第022回国会 本会議 第19号
昭和三十年六月三日(金曜日)
   午前十時二十四分開議
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 議事日程 第十九号
  昭和三十年六月三日
   午前十時開議
 第一 国防会議の構成等に関する法律案(趣旨説明)
 第二 住宅融資保険法案(趣旨説明)
 第三 婦人の参政権に関する条約の批准について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
 第四 関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定書への署名について承認を求めるの件(衆議院送付)(委員長報告)
 第五 船舶積量測度法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第六 競馬法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)
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○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。鶴見祐輔君から、海外旅行のため会期中請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よって許可することに決しました。
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○議長(河井彌八君) 日程第一、国防会議の構成等に関する法律案(趣旨説明)
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、内閣からその趣旨説明を求めます。杉原国務大臣。
   〔国務大臣杉原荒太君登壇、拍手〕
○国務大臣(杉原荒太君) 今回提出いたしました国防会議の構成等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
 御承知の通り、さきに第十九回国会において成立をみました防衛庁設置法は、その第三章におきまして国防会議のことを規定いたしておるのであります。すなわち内閣に国防会議を置くこととし、国防の基本方針、防衛計画の大綱、防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否等につきまして、内閣総理大臣は国防会議に諮問すべきものとし、また国防会議は、国防に関する重要事項について、必要に応じ、内閣総理大臣に対し意見を述べることができるものといたしております。しかして国防会議の構成その他必要なる事項は、別に法律で定める旨を規定いたしておるのであります。
 政府は、以上のような国防会議の任務にかんがみ、これが構成等につきまして慎重に検討して参ったのでありますが、ここに成案を得ましたので、今回本法律案を提出いたした次第であります。
 次に本法律案の主要なる点を申し上げます。国防会議は議長及び議員をもって組織するものとし、議長は、内閣総理大臣をもって充てることとし、議員は、副総理たる国務大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済審議庁長官並びに識見の高い練達の者のうちから、内閣が両議院の同意を得て任命する五人以内の者をもって充てることといたしております。しかして国務大臣以外の議員の任期は三年といたしております。なお議長は、必要があると認めるときは、議員以外の関係国務大臣、統合幕僚会議議長、その他の関係者を会議に出席させ、意見を述べさせることができることといたしております。
 以上のほか、議長及び議員の職務上の秘密保持、国務大臣以外の議員の任免等につきまして所要の規定をいたしております。なお、国防会議の事務につきましては、内閣総理大臣官房に、国防会議事務局を置き、これを処理させることといたしております。
 以上が、本法律案の提出の理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
○議長(河井彌八君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。植竹春彦君。
   〔植竹春彦君登壇、拍手〕
○植竹春彦君 ただいま政府より提案理由の説明のありました国防会議の構成等に関する法律案に対しまして、政府に質問をいたします。
 質問の第一は、防衛出動と国防会議との関係についての総理大臣に対する質問であります。すなわち防衛出動は軽率であっ七はならない、しかし時に迅速果敢なることを必要といたしますにめに、近い将来防衛庁設置法案を改正して、国防会議を決議機関に改めるという説が今日ありますが、この説に託しましては、民主党内にもそういう説を強く主張せらるる人もあるように承知しておりますので、総理大臣のこの点についての御所見並びに御方針を承わりたいのであります。その説の理財といたしますところは、第一に自衛関が一政党の私兵化をきたさぬためでのると同時に、第二には、武官優位の傾向を防ぐためであるとされておるわけであります。この質問の思想とするこころは、第一に、わが国では左翼勢力の増大によりまして、独裁主義者が末議院に多数を占めるときには、統帥問題に急に変化が生じて、自衛隊が一政党の私兵化をきたして、かえって治安が撹乱せられる場合が想定せられるからであると同時に、第二には、これと正反対に武官優位の傾向を強からしむる疑念があると思う二つの点からであります。この説が行われることを承知いたしておるのであります。自衛隊法第七条によりまして、総理大臣は内閣を代表して自衛隊を指揮監督する権能を有し、しかも内閣総理大臣は各大臣の罷免権を持っておりますから、結局総理大臣は自衛隊に対しても、国防会議に対しましても、専断権を掌握しておることになります。だから緊急で国会休会中には、国会の事後承諾では間に合わない、私兵化のおそれがあると言われておるわけであります。総理大臣は少数意見の反対党を無視して隊の出動を指令し、かえって暴力革命を達成せしめ、あるいは反対に隊の出動を押えて、鎮圧すべき暴動を鎮圧しないで、革命を消極的に助けて成就せしめ得るおそれが十分にあるわけであります。もっともこの場合は、主権者たる国民の過半数の投票者が選挙におきまして、こういうような革命的な、急進的な総理大臣、独裁的な総理大臣の率いる政党を選んだのであるから、これは国の最高意思が革命と独裁とを要請するといたしましても、ただいまの民主党の内閣には民主党の反左翼的な理念と政策とがおありになることでありましょう。内閣を投げ出した後といえども、革命的、独裁的政権を望んでおるわけではないと考えます。だから政府及び民主党といたされましては、民主党内閣桂冠の後におきましても、軍の行動、運営が独裁的に、革命的に陥らないように立法措置を講じることは当然であると想像されます。このためには諮問機関ではなしに、決議機関と改めることが保守党の立場から必要であるというのが、この説であろうと思いますので、それに対する総理大臣の御所見を承わりたいのであります。
 質問の第二は、議員の任期の点でありますが、国防会議の議員は三年となっておりますが、これは大臣たる議員の国会議員としての任期四年、この任期と同様に国防会議の議員の任期も四年といたしまして、毎年一部改任の方式がよいという説もあるわけでありますが、総理大臣の御所見はどうでありますか、承わりたいのであります。この質問の理由は、第一に軍の統帥態度が急激に変化しないためと、第二に独裁に陥るといたしましても、それまでに国民に十分の熟慮期間を与えるためであります。
 質問の第三点は、憲法改正の際には、国防会議の規定を織り込む必要があるとする説に対する、総理大臣の御所見を伺いたいのであります。質問の理由は、第一に国防会議の規定に恒久性を帯びさせるため、すなわち急進的過激に、しかも容易に国防会議規定を変替されないようにするためでありますが、昨日の衆議院の本会議におきまする総理大臣の御答弁によりますと、国防会議と憲法とは一応関係がないように御答弁になっておられますけれども、この観点からしての総理大臣の所信を伺いたいのであります。すなわち国防会議の規定が単に法律によるならば、衆議院の過半数が左翼勢力によりまして占められる場合には、法律改正という簡単な手続によって、国防会議、国の国防の基本方針を定めていくこの国防会議の規定は容易に、かつ合法的に、独裁的に変替せられるから、これを防ぐ必要があるというのがこの質問の理由になっておるわけであります。
 質問の第四点は、事務局を権威あるものにすべきであると思うので、総理及び防衛庁長官に対してお尋ねをいたします。ただいま示されました法律案の議員はいずれも非常勤でありまするから、いかに識見高い議員といえども国防の重要問題の資料を必要とし、しかもその資料は正確、正鵠を得た資料でなければならない、一方に偏した意図のある資料であってはならないわけであります。端的に言うならば、防衛庁の出店的な資料の提供や、出店的な事務局であってはならない。十分に制服を押え得るように権威のある事務局でなければならないと思うので、政府の意思を御明示願いたいのであります。また事務局の構成と局員の地位、実力程度をお示し願いたいのであります。これは防衛庁の長官にお尋ねいたします。
 第五の質問は、防衛会議に制裁規定が欠除している点でありますが、総理及び防衛庁長官にこの点をお尋ねいたします。昨日の衆議院の本会議におきまして、杉原長官は特別に制裁規定はないという御答弁でありますが、ないならば、一般規定としてどういう規定が適用されるとお考えになるか、その規定はこういったようなこの違反に対する適切なる制裁規定であるかないか、どういうふうにお考えになるか。そうしてまたそれが適切なる制裁規定でないとするならば、特別の制裁規定を今後お作りになり国会へ提出なさる御意図はおありになるかどうかという質問であります。自衛隊が出動するように命令を受けましたときに、国防会議の結論と反対の軍の集団抗拒が行われましたときの制裁規定、これまた制裁の程度はどういうふうになっているか、杉原長官に制裁規定とその適用の寛厳方針についてお伺いたしたいのであります。またかくのごとき実力行使を起さぬような予防的な制度を作っておくべきであると思いますが、隊のこれに対する教育態度と制裁態度について同長官の御意見、御方針を承わりたいのであります。
 最後の質問といたしまして、質問の第六点として、大臣以外の任免範囲につきまして、石橋通産大臣に御質問を申し上げます。この任免の範囲は、法律案には具体的には示しておりませんが、昨日の衆議院本会議において、総理大臣でありましたか杉原長官でありましたか、たしか総理の御答弁だったと存じますが、白紙の状態であるという御答弁でありましたが、白紙と申しましても、これはたとえば旧軍人を入れるか入れないか、あるいはまた民間人のどういう人を入れるか入れないか、元の総理大臣を入れるか入れないか、こういったような点につきましては、白紙といえども無定見という意味ではなく、すでに胸中には御決定になっておることがあろうと思います。また員数につきましては、過少数に、半分以下に、全体の議員の数の半分以下になっておるのでありますが、これに対しましては、いわゆる民間議員の数が多い方がいいという議論と、それからまた、むしろ民間議員を一人も入れる必要はないという議論と二通りあるわけでありますので、これに対します総理大臣の御所見を伺いたいのであります。
 もともと国防の独立した生存活動を維持する組織と行動とでありますから、この国防会議議員の範層、範囲は、外交、経済、内政及び教育、教育と申しましても、精神運動、また科学教育等、多岐にわたっているのであります。国防の根本的重要会議体である国防会議は、むろん作戦計画だとか、直接部隊を指揮するようなものではありません。すなわち国民の意思、国力、国際的動向から大乗的に国防の重点につきまして審議する会議でありますから、旧軍人や制服を加えることは、小乗的な、専門的な技術に終始して、旧軍人や制服に引きずられるおそれがありますから、議員に加えることを反対するという論者もありますし、あるいは逆に、真に識見高道な練達の人ならば、旧軍人でもいいではないかというふうな逆の議論もあるわけでありますので、この点は白紙状態といえども、大体の総理大臣としてのお考え、御方針がおありだろうと思いますので、この御方針が承われないならば、御意見、御所見だけでも、ぜひお伺いいたしたいのであります。
 また石橋通産大臣にお伺いいたしたい点は、国防は産業と密接不可分の関係にありますので、財界、産業界からこの議員を出すか出さないかという点についての御所見を承わりたいのであります。
 また先ほど申し述べました大臣以外の議員の数が半数以下になっているけれども、この法案では諮問機関になっている建前からいたしますと、議員の数を増加させても、すなわち民間議員の数が過半数となりましても、よく各方面の意見を徴することができるから、かえってその方が妥当であるという意見もあるわけでありますが、総理大臣のこの点に関する御所見も承わりたいのであります。
 今日政治の形態は、政党の責任政治ではあるけれども、軍の統帥機関には外交、軍事はできるならば超党派的に中立性を保持せしむることが願わしく、さればとて、恒久性に重点を置き過ぎないために、この質問の第二点として指摘しておきました通り、毎年一部改任方式をとることはいかがであろうか、政府の所信をお伺いする次第であります。また内閣は、事実問題といたしまして、たびたびかわります。しかし国防のごときは毎年予算の年度年度で一段落になって、年度政治とも表現すべきものでは、国防の責任が果して行かれない。今日のように財政の十分でない時代でも、やはり五カ年計画、六カ年計画といったような計画を立てることはきわめて重要であり、政府は六カ年計画を立てておられます点は承知いたしておりますので、これはすみやかにこの長期計画を国会に提出せられることを私は希望する次第であります。しかして国防はその基礎からしっかりと築き上げて行かなければなりませんから、単に兵の員数や資材の数量、それらを増加させるのに重点を置くべきではない。今日のわが国の軍備は、数ばかり作り上げるときではない。将来のための基礎工作をがっちり作る時期であると私は確信いたします。たとえば防衛研修所といったような総合戦研究的な国防の基礎研究を、みっちり今のうちにやっておくべきでありましょう。また予算を取りますときにも、員数をふやすよりも科学的防衛線、科学的研究に予算を回すということが、今日ただいまの重要課題であると私は思うので、この点防衛庁長官の御所見と御方針とを承わりたいのであります。
 先ほど制裁規定の点におきまして、私の質問の不明確な点がありましたが、それは集団抗拒に対する制裁だけを質問したように申し上げたかと存じのよするので、さらにつけ加えて申し上げますることは、この国防会議の議員たる議員が秘密を漏洩いたした場合には、特別の制裁規定は特にないという杉原長官の昨日の衆議院における御答弁でありましたけれども、それでいいのかどうかという点を重ねて御所見を伺い、将来この制裁規定を完備せらるる御所存であるかどうか、あわせて伺いたいのであります。
 以上六項目にわたっての質問につきましては、さらに再質問の時間を留保いたしまして、一応私の質問を終了いたします。政府の責任ある御答弁を求める次第であります。国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 植竹君の御質問に対しましてお答えをいたします。
 諮問機関に国防会議をいたしまして決議機関にいたしませんのは、内閣の責任制をとっておる建前からでございます。
 毎年一部を改選した方がいいと思うがというお話でございますが、議員が五名以内であり、任期が三年でありますから、一年半に任期をする必要はないと思ったのであります。
 憲法改正につきましては、憲法改正の際に審議をする必要があるのではないかというお話でございますが、これはまことにその通りと思います。憲法改正の際には、慎重に研究すべき問題であると思うのであります。
 それから事務局を権威あるものにすることにつき、あるいは制裁規定につきましての御質問は、防衛庁長官からというお話でありまするから、これらの点につきましては、防衛庁長官からお答えをすることにいたします。
   〔国務大臣杉原荒太君登壇拍手〕
○国務大臣(杉原荒太君) お答えいたします。
 第一は、事務局の問題でございます。事務局は要するに内閣総理大臣の諮問機関の性格を持つところの国防会議の事務局である。従いましてその事務局は、先ほどおっしやいました、防衛庁のいわゆる出店とか、そういうふうな性格を持つべきものじゃない。もともとが、この国防会議そのものが、大所高所から総合的の判断を下してやっていく、こういうところに私は任務があると思いまするので、従ってどこの、単に防衛庁のというようなことではなくて事務局の方も、あらゆる関係のところをよく見てやっていくようなものでなければならぬと思っております。
 それから今度はその規模等でございます。これはなかなか私は慎重に考えなければならぬ問題だと思います。現在のところへ内閣から若干名、これは現在の内閣の人員の中から選任いたしまして若干名、それに関係省から兼務の者を必要とするという、割に簡素なもので考えております。それからこの事務局の人事運営等については、私は特に慎重な態度でやっていくべきだ、そう考えております。
 それから第二に、国務大臣以外の議員が秘密を漏洩したという者に対する特別の制裁規定がないのじゃないか、こういう御質問であります。この国務大臣以外の議員は、真に識見の高い練達の士で、しかもこれは両議院の御同意を得た上で任命する、そういう方でありますから、当然に人格識見ともにりっぱな方であると思います。その際、実際問題としては、秘密の漏洩というようなことなどは、私らは予期したくないのでありますが、それに対する制裁規定というものは特に設けておりません。これは御承知の通り、国務大臣の場合なども、特別にそういう規定はないのであります。しかし、もっとも、そういう秘密を漏らすとか、その他議員としてふさわしくないというようなことがありましたならば、これは罷免の事由になります。そのことは法律に規定しておる通りであります。
 それから第三に、防衛出動や治安出動などの場合に、集団抗拒というような場合の対策でありますが、これに対しましては、御承知の通り、現在自衛隊法の中で治安出動の命令を受けた者が、上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗したというような場合には、五年以下の懲役、または禁固に処するということになっており、また防衛出動の命令を受けた者が上官の命令に反抗したり、あるいはまた服従しないような場合には、多数共同でなくとも、七年以下の懲役、または禁固に処する、こういうふうに相なっておるわけでありますが、しかし、これに対しまして政府といたしましては、そういうのに対して特に、いたずらに罰則をこれよりもさらに強化して臨むということではなくして、隊員に対する日ごろからの精神訓練によって、規律の保持というような点を徹底して、こういうふうな事態を防止する方がよいと考えております。
 それから第四に、将来に対する、いたずらに自衛隊の数のみをふやしたり、資材をふやしたりすることではなく、基礎的な方面の研究ということが大事じゃないか、御趣旨はその通りだと思います。そうしてまたこの点は非常に大事な点でございまするが、現在でももちろん、そういうふうな趣旨で考えているわけでございます。現に技術研究所の予算などを、ことし特に増加をお願いしているのも、実はそういう趣旨でございます。
   〔国務大臣石橋湛山君登壇〕
○国務大臣(石橋湛山君) お答えいたします。
 国防会議に産業とか経済、そのほかの、先ほどお話のありました各方面の高い知識と見識とを反映する必要があるということ、これは申すまでもないことかと思います。しかし、それだから産業界の代表者というような意味で、産業界の代表者が議員に選ばれなければならぬということになりますと、人数の制限もありますし、なかなかそういう、特に代表者というような形で入る必要はないかと思うのであります。全体として、今、防衛庁長官も言われたように、国防会議そのものが公正な高い見地から、正しい判断が行われるような構成をとればいいと思うのであります。
 それからなお、兵器産業と申しますか、あるいは国防産業と申しますか、その方面についてはむろん防衛に非常に関係があるのでありますから、これは通商産業省にその方面の審議会が設けられまして、各方面の実際家を集めてその意見を聞くことになっておりますから、その方面からも間接には国防上に産業界の代表者が発言権を持っているということでございまして、ただいまのところではさような程度で満足すべきものと私は考えております。
   〔植竹春彦君発言の許可を求む〕
○議長(河井彌八君) 植竹君。
   〔植竹春彦君登壇〕
○植竹春彦君 杉原長官に対して再質問を申し上げます。
 ただいま、国務大臣以外の者の漏洩に対する制裁の話がありましたが、私の質問は、国務大臣を含めての制裁規程でありますが、国務大臣は辞職すれば政治的責任は解除されると思いますけれども、この漏洩の事実に対する法的の責任も、あわせて規定しておく必要がないかどうかという質問でございます。大臣でも時に放言せられることがままあるのは御承知の通りであります。放言と漏洩とはむろん違うわけでありますが、また放言のうちに漏洩が含まれていることも、将来想像はしておかなければならないと考える。やはり識見高邁であるから、多分漏洩はしないであろうといったようなことで、法の完備というものはできない。やはりこの漏洩してはいけないという実体法があれば、それに対して制裁は当然考えておくべきものであって、単に道徳的制裁のみならず、法的措置を講じておくのが当然であると思うので、その点重ねて質問いたします。
 また、第二の再質問は、集団抗拒に対しましては、五年以下の懲役ないし禁固云々、あるいは七年以下の懲役云々の規定を適用するといったただいまの御答弁に対しましては、これは軍、この自衛隊、国防の組織である隊といたしましての集団抗拒に対する制裁規定は、これであっていいかどうか。これはわが国はわが国独自の立場で考えていくべきであることは当然であるけれども、また世界の趨勢というものが、この規定をどういうふうに取り扱っておるかということについて、杉原長官の御研究の結果を披瀝していただきたい、と同時に、これに対する制裁規定は、教育方面に力を置いて予防するだけでは足りない。やはりこの集団抗拒に対する制裁規定は十分にはっきりした、特別の、軍にふさわしい、真に国を防衛するに足る立派な集団としての規定を完備しておかなければならない、こう考えますので、再び杉原長官に特別の規定を将来完備するのお考えがあるかどうかということを重ねて質問いたすのであります。
 また第三の再質問は、事務局組織の内容について質問いたしましたが、これについては御答弁がなかったのでありますが、この事務局の組織につきましては、すでに国防会議の法律案が提出されました以上、それが政令にゆだねられるとしても、もうすでに事務局組織の内容については十分に腹案ができていなければならないと思うので、この組織の内容について重ねて質問を申し上げます。以上であります。
   〔国務大臣杉原荒太君豊里〕
○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。
 第一問の国防会議の議員が秘密漏洩をした場合に、法律上の制裁をする法的の措置をとるべきだという御意見、そういうお考えもございましょうが、しかし政府といたしましては、そこまでは考えておりません。
 それから第二の集団抗拒に対する制裁の規定が、現行では不十分ではないかというような御趣旨からの御質問であったように思いますが、これは私、これ以上なお重くするというようなことは考えておりません。むしろこういうことはもう、そうじゃなくて、やはり平素の教育、訓練という方に重点を置く、そういう行き方でやっていくつもりでございます。
 それから第三の事務局の組織のことの御質問でございますが、これは先ほど申しましたように、内閣の官房に事務局を置くということで、大体課及びこれに準ずるものに匹敵する程度のことを考えております。そうしてその員数は、先ほど申し上げましたように、現在の内閣の定員から約数名、それに関係省の兼務者を出す、そういうふうにいたしております。
○植竹春彦君 あとは委員会で質問いたします。
○議長(河井彌八君) 松本治一郎君。
   〔松本治一郎君登壇、拍手〕
○松本治一郎君 私は、ただいま上程されました国防会議の構成等に関する法律案について、日本社会党を代表して数点鳩山首相に問いたださんとするものであります。
 私は質問の本筋に入る前に注意として申し述べておきたいことは、この国防会議の構成等に関する法律案なるものは、重要中の重要法案であり、一歩誤まれば再びあのおそるべき戦火の中に日本を投げ込む危険きわまりなき法案であると思いまするがゆえに、私はこの質問に立った次第であります。
 私は一昨年以来、毎年一回ずつ世界平和行脚旅行をして回ったのであります。その旅行によって今の世界の動きが那辺にあるかということを知得し、これをもととして質問せんとするものであります。鳩山首相におかれましても真剣に聞かれて明確なる御答弁を求むるものであります。
 本日、私は新聞を見まして、あなたの血圧が発病以来の好調だということを聞きました。心うれしく思っておるものであります。御在任中は健康であってほしいのであります。
 先に立って質問された人と、あとに立って今質問せんとする松本と立場が違う。一方は戦争を肯定し、われわれは平和を建前とする、そういう建前で質問するのでありますから、(「何、とんでもないことを言うな」「取り消せ」と呼ぶ者あり)御答弁をお願いするものであります。(「取り消せ」「静粛静粛」と呼ぶ者あり)
○議長(河井彌八君) 静粛に願います。
○松本治一郎君 鳩山首相は、今まで機会あるごとに、第三次世界大戦の勃発を防止し、世界の平和を守ることに努力することを言明されてきたのであります。鳩山君が去る五月四日締結された日中貿易協定に対して支持と協力をお誓いになっておる。今また、現在日ソ国交正常化のため松本全権をロンドンに派遣されておることも平和を求めんとするためであろうと思うのであります。しかるに君は、一方において防衛六カ年計画を作り、自衛隊の増強をばかり、アメリカに対する防衛分担金削減交渉においては、表面上百五十億程度の減額をさせたことにはなっておるが、本年度予算案では、前年度に比べて防衛庁費、予算外契約、施設の提供費、前年度の繰越金、直接軍事費の合計五百三十億を増加さしておるのであります。
 さらにアメリカに対しては、最近飛行基地の拡張を許し、また濃縮ウラン受け入れ協定などの交渉を進めておるのであります。このような鳩山内閣最近の一連の政策を見ますとき、鳩山君の選挙前後の公約、いわゆる平和外交の方針とは全くうらはらであるのであります。防衛分担金削減交渉では、一体どんな裏取引が行われておったか、それをきょうははっきり聞かしてもらいたい。第三次世界大戦を防止する平和外交が本心なのか、それとも先般英国で行われたあの選挙戦に保守党も、鳩山氏が先般選挙の際に使ったあの平和云々のことを言って、労働党が負けておる。そういう気持で鳩山首相は事を濁しておるのか、原爆貯蔵言明につながる防衛の強化、今問題になっておる濃縮ウランの受け入れ、米軍基地の拡大及び国防会議の設置等を通じて、アメリカの戦争政策に協力することが、鳩山内閣の政治、外交を貫く最高方針なのか、これを明確に聞かしてもらいたいのである。
 第二にただしたいことは、そもそも日本国憲法第九条は、武力による国際紛争の解決はやらないと戦争放棄を明記しておるのである。現在の自衛隊は明らかにこの憲法に違反する軍隊である。われわれは吉田内閣のときから、この違憲性を糾弾して再軍備に反対してきた。鳩山君も第一次鳩山内閣を組織する前後においては、自衛隊は憲法第九条に違反するおそれがある、だから憲法を改正しなければならないと違憲を認めておったのである。しかるに君は、過般の衆議院議員選挙において、この平和憲法を守ろうとする両派社会党が議席の三分の一を占めて憲法改正ができなくなるや、君は前首相吉田君がかつて言ったような、憲法は改正しません、再軍備はいたしません、警察予備隊、保安隊は軍隊ではありませんと言ったような欺瞞的な言辞をまね、自衛のための軍隊は憲法九条に抵触しないなどと、三百代言的な解釈を下して、軍備の拡張に狂奔し、あまつさえ吉田内閣時代の防衛庁設置法に基いて、この国防会議の構成に関する法律案を提出するに至った。これはすでに違憲を承知の上で、さらに一そうの違憲立法をあえてしようとするものでないか。
 そこでこの内容についていうならば、この法案に基いて作られる国防会議なるものは、国防基本方針を決定し、国防計画に関連する産業の調整計画大綱を立て防衛出動の可否をきめる内閣総理大臣の最も重要な諮問機関であるばかりでなく、必要に応じて内閣総理大臣に意見を具申することができることになっておるのである。このような広範にしてしかも強力な機能を持つ国防会議を作ることは、まさに昔の大本営と国家総動員本部を兼ねた機関を作ることである。(拍手)旧帝国憲法時代の統帥権と軍政の権限とを統合した天皇のごとき強力な軍事的、政治的支配体制を作ることである。これこそは、ある恐るべき独裁的戦争機関を作るものである。このような国防会議の出現は、永久の平和をうたっておる憲法を守るわれわれの断じて許すことのできないものであるのであります。(拍手)
 鳩山君は、この国防会議の構成に関する法律案のみならず、吉田内閣が作った防衛庁設置法を撤回する勇気はありませんか。特にわれわれが指摘しなければならないことは、自衛隊に対する出動命令は、内閣総理大臣が国会の承認を得ることなしに、この国防会議の決定で下すことができるということである。(「とんでもない話だ」と呼ぶ者あり)そうです。防衛出動ということは、戦闘行動を始めることであり、宣戦布告の結果と全く同じことである。戦争の開始というような国家国民の全運命を決定する重大事が、「特に緊急」ということに名をかり、国会、国民の承認なしに、あえてなし得る機関を設置するがごときは、国会の否定、憲法のじゅうりんであるばかりでなく、憲法がその前文にうたっている平和主義、民主主義を根本的に否定するものではないか。この重大問題について鳩山総理はどう考えておられるか。
 第三に聞きたいことは、この法案は幾つかの重大な点で故意に不明確にされておる。第一に、このように国家国民のための全運命を決定する国防会葬が、閣僚のほか、一体いかなるものによって構成されるのか。議長には内閣総理大臣が当り、議員には副総理、防衛庁長官、外務、大蔵各大臣、経審長官などの閣僚のほか、今も言われた「識見の高い練達の者」を若干名加えるというが、一体識見の高い練達者とううのは何をいうのであるか。元総理とか各党党首をいうのか。それとも旧職業軍人や軍需産業の代表をも構成に加え、軍拡と戦争準備を急いで、次の原水爆戦争への参加を強行するのであるか。またこのような重大問題を決定せる会議の議決方法は、全会一致制として戦争の勃発と参加を防ごうとするのか、それとも多数決制をとって他国のための出兵を容易にするのか、この点重大点である。さちにこの会議の運営には安保条約、行政協定、MSA協定を根拠としてくるアメリカの干渉を断ついかなる保障があるのか。このような重大な点を何ゆえに隠し、あいまいにしておくのか。この点、はっきりと答弁していただきたいのであります。
 第四にお尋ねしたいことは、今日このような重大法案が、あたかも防衛庁設置法の附属法案の形で鳩山内閣から提出されていること自体に、大きな落し穴のあることを感ぜざるを得ない。
 現在アジアの諸国は戦争を回避し、平和を固めることに真剣なる努力を払っておるのであります。去る四月、インドで開かれましたアジア諸国会議には、アジア十六カ国の代表が集まり、続いてインドネシアで開かれたアジア・アフリカ会議には各国の首相または外相など、二十九カ国の政府を代表する者が参加いたしまして、いかにして戦争の原因である緊張と植民地主義をアジア、アフリカから駆逐し、各民族の独立の上に、いかにしてその生活水準の向上と経済的、社会的協力を実現するかについて話し合い、満場一致をもって決議しておるのであります。
 かくしてアジア全体は、平和と解放への道をまっしぐらに進みつつあるのであります。アジアにおいて戦争を希望し、戦争を引き起しておるものは、アメリカとその手先になっておる三、四の政権だけである。しかも、かれらの戦争政策は新しい植民地主義として、アジアの諸民族の平和への熱望と民族的自覚によって糾弾され、その野望は次々に打ち砕かれつつあるのであります。もはや、アジアの諸民族の中で、アジア人同士で戦わせようというアメリカの政策に踊らされるものはなくなりつつあるのであります。ところが、アメリカはアジア諸民族のこのような自覚により、次々に失敗すればするほど、その従属国で軍事基地を拡大し、原水爆攻撃の態勢を強化し、従属諸国の傭兵軍備に狂奔しておるのであります。今日、日本において自衛隊の急速な増強を促し、ジェット機の生産と濃縮ウラニウムによる原子科学の推進をしている国は、ほかならぬアメリカであります。その手先に平和外交の使徒をもって任ずる鳩山君がなろうというのであろうか。日本はかってABCD包囲線といわれた諸国と第二次世界大戦を戦い、あの亡国の悲運にあったのである。今、世界には平和通鎖線が広がりつつある。世界各国において開催されている何々会議というものは、この平和連鎖線の一つ一つであるのであります。その逆に、戦争連鎖線を作ろうとするのがアメリカである。戦争連鎖線に日本が引き込まれることは、アジアの孤児になるばかりでなく、世界の敵となるのである。鳩山内閣がここに提案しておる国防会議の構成等に関する法律は、日本におけるアメリカの戦争政策に最後の点睛を終って、日本をアジアの孤児とするばかりでなく、世界の敵とする法律である。
 最後に、本法案第六条にうたっておる閣僚外議員の心身故障者に対しては罷免できる規定があるのでありまするが、それは閣僚外議員のみを対象としておるのはどういう意味であるのか、了解に苦しむところである。
 私は絶えず鳩山君の健康を心配しておる者であります。君は質問に対する答弁において、私の答弁に間違ったことがあるかもしれない、それは病気のためであるから許してもらいたいと、たびたび言われた。その点、了とするものがないわけではありません。が、国政の重大問題に対して間違ったことがあるような答弁は、まっぴらごめんであります。
 今、われわれは、戦争か平和かの重大岐路に立たされておる。こうしたときに、一国の政治の最高責任者たる者は、心身健全にして、いかなる誘惑、威圧にも屈することなく、国家、国見の運命を正しく判断できる者でなければならない。
 以上の意味におきまして、重ねて明確な答弁を求めまして私の質問を終るものであります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 松本君の御質問に対してお答えをいたします。
 この法案を提出いたしましたのは、防衛庁設置法に基きまして提出いたしたのでありまして、決して、米国の政策とは何らの関係がございません。
 松本君は世界の平和に対する熱望について説かれましたが、今日、全世界の国民がすべて第三次世界大戦を避けたいとする熱望は、だれもかれも持っておるところであろうと思うのであります。その世界の第三次大戦を避けたいとする熱望が、どうして達成できるかということにつきまして、私は松本君と何か少し違いがあるようであります。各国と友好関係を保っていくということは、もとより必要でありますけれども、一国が自衛力を持たないということが、あるいは世界の大戦といわなくても、何か国際間にトラブルを起す原因となる場合があるのでありまして、そういうような場合に備えて各国が自衛力を持っておる現在であり、また各国が自衛力を持つことを必要としておるゆえんであると思うのであります。(「憲法九条はどうした」と呼ぶ者あり)
 そこで、憲法の禁止しておりますのは、紛争を戦争によって解決するということは憲法ではいけないことになっておるのであります。自衛力のためならば兵力を持っても差しつかえないということは、自衛隊法その他において、防衛庁設置法等におきまして、国会もすでに承認をしておるものと私は考えておるのであります。戦争挑発の側に引き込まれるおそれを御心配のようでありますけれども、戦争挑発の側に日本が立つということは断じてございません。
 憲法改正について、私は憲法改正論者であり、今日でもある機会には、この憲法は、現在の憲法は改正する方がいいとは思っておるのであります。(「なぜか、憲法違反だろう」と呼ぶ者あり)いや、その防衛庁設置法、あるいは自衛隊法を憲法違反であるとは思っていないのであります。(「じゃ、なぜ改正する」と呼ぶ者あり)憲法を改正すべき理由はほかにあります。
 最後に、この法案を撤回しないかというお話でありますけれども、私は世界平和を維持するのには、各国が自衛のための兵力は持つ方が、世界の平和を維持するゆえんになると思うのでありまして、憲法改正の必要は、憲法改正をしてこれを撤回するというような意思はございません。
 すべての質問には答えていないようでありますが、その他の質問については、防衛庁長官から答弁をしてもらいます。大体におきましては、松本君の質問のおもなるものについては答えたつもりでございます。御了承を願いたいと思います。(拍手)
   〔植竹春彦君発言の許可を求む〕
○議長(河井彌八君) 植竹君、どういうことですか。
○植竹春彦君 松本治一郎君の発言中、自由党並びに私に対して、きわめて不穏当な言辞があったと考えられますから、議長は御調査の上善処せられたいと思います。
○議長(河井彌八君) 植竹君に確かめます。ただいまのは、議事の進行に関する発言でありますか。
○植竹春彦君 さようであります。
○議長(河井彌八君) 議長は、速記録を調査いたしました上で、適当な措置をとります。議長におまかせを願います。
    ―――――――――――――
○議長(河井彌八君) 松浦清一君。
   〔松浦清一君登壇、拍手〕
○松浦清一君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま御説明を受けました国防会議の構成等に関する法律案について、内閣総理大臣並びに関係大臣に対して若干の御質問をいたします。
 ただいまの御説明を承わるまでもなく、この法律案の性格や内容につきましては、去る第十九回国会において防衛庁設置法の審議の際、前内閣から十分に承わっておるところであります。われわれ社会党といたしましては、この法案の基本法である防衛庁設置法に対しても、明らかに憲法違反であるとの建前によりまして、反対をいたしてきたのでありますから、本法案につきましても、最終的にはあるいは政府の御期待通りにはならないかと存じます。しかし、一応疑義のある点は十分伺っておきたいと存ずるのであります。
 まず、総理大臣に対して基本的な問題についてお伺いをいたします。先ほど鳩山総理は、自衛隊は憲法違反ではないとおっしやいましたが、昭和二十七年、長い追放から解除せられまして、七年ぶりに戦後初めての選挙に立候補され、九月の十二日、第一回の政見発表演説会のため、音羽の御殿から日比谷の公会堂に降り立たれまして、ときあたかも警察予備隊が保安隊に変り、七万五千から十一万に増強されようとするときでありましたので、当時の吉田総理の、保安隊は戦力でもなければ軍隊でもない、従って憲法違反ではないとの説を反駁いたされまして、警察予備隊とは、巡査ではなくて、あれは明らかに軍隊ではないか、しからば軍備はすでになされつつあるのである、たとえ自衛軍でも軍隊である限り、憲法はすみやかに改正すべきであると考えておると演説をされました。めでたく当選されまて、現在は内閣総理大臣の最高栄職にあられます。しかしながら、この自衛隊が憲法違反でないとの考え方は、鳩山さんが総理以前の個人の鳩山一郎氏としての所論であって、総理大臣としての鳩山さんは、この趣旨とは全く反対の方向に進みつつあるのであります。この演説要旨を正しく理解いたしますると、現行憲法のもとにおきましては、軍備を拡充することは明確に否定しておられ、憲法改正なしに行う軍備は、たとえ昔の警察予備隊でも反対することを国民に公約されて、政界に復帰されたのであります。もし鳩山総理が、公約に忠実であれば、反対した吉田内閣時代の自衛隊に対して何らかの改変を加えられるのが当然であります。しかるに、改変するどころではなくて、吉田内閣の作った既成事実をそのまま肯定され、このような法案を出されるのみならず、さらに一そうの速度を加えて軍備の強化に狂奔されておられるのは、一体どういうことでございますか。いつのころから心境が変化されたのか、国際情勢によって変化されたのか、国内情勢なのか、それとも外国から強制でもされたのか。これはこの法案審議に際しての基本的な重要問題でありまするから、総理から明確にお答えおきを願いたいと思うのであります。(拍手)
 次に、法案の内容についてお伺いをいたします。
 第一に、国防会議の性格についてであります。国防会議の目的は、国防の基本方針、防衛計画の大綱、前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否等についてであります。この法律文章の打ち出し方は、国防の基本方針とか、防衛計画の大綱とか、大きな責任と構想とを持っているようではありますが、その実体は、単なる内閣総理大臣の諮問機関となっておりまして、主導的にこれらの責任を負うのではなくて、内閣総理大臣の立てた計画の可否について諮問され、これに答申するにすぎないことになっております。これは憲法に規定された内閣責任制の上から考えると当然のことであります。しかし、防衛庁の長官は国務大臣をもってこれに充てられ、国務大臣は内閣総理大臣から任命され、国防会議の議長は内閣総理大臣であって、議員は内閣総理大臣から任命された副総理たる国務大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経済審議庁長官が充てられることを法律で規定いたしますると、たとえ国防の必要を是認する立場に立つといたしましても、国防の計画や、防衛の出動というような国の運命にかかわる重大事に対して、国会の意思はどのようになるのでありますか。いつでも鳩山総理のような人が総理大臣である間はまだしもでありますが、もし吉田や東条というような性格の人が将来総理大臣になって、自分の考えに従わない閣僚は、一夜のうちにどしどし取りかえることも考えられ、軍隊の統帥権は事実上総理大臣一個の権限に属する結果となります。国家行政の首班たる内閣総理大臣と、この内閣総理大臣から諮問されて、これに答申する国防会議の議長たる内閣総理大臣との関係はどのように使い分けされるのでありますか。これが法案の内容に対する質問の第一であります。
 第二に、統合幕僚会議と国防会議と内閣との関連についてであります。前にも指摘いたしましたように、防衛庁設置法を初め、自衛隊法やこの法案等、一連の防衛関係法規を調べてみますと、結果的に内閣総理大臣にすべての権限が独占されて、国会の意思は全く無視されておるのであります。右の関連において疑問とするところは、統合幕僚会議の目的は、陸海空の幕僚監部において作成された防衛計画、後方補給計画、訓練計画の方針、出動時における自衛隊の指揮命令等の調整をはかることでありまして、防衛庁設置法第二十七条は、自衛官の最上位にある者が議長となるように規定をされております。統合幕僚会議議事運営規則によりますと、陸海空の幕僚長を集めて、自衛官の最上位にある者が議長席に着いて議事が運営される、昔の参謀会議といったところでございましょう。機構の形はまことに壮観であります。そして、議事は陸海空三幕僚長の合意によって決せられ、もし意見の一致をみないときは、その意見の相違点及びその理由を明らかにし、議長の意見を付して防衛庁長官に報告の義務のあることを規定いたしております。もしこの統合幕僚会議において、三幕僚長の意見の一致をみず、その理由が防衛庁長官に報告されたとき、これはどのような機関が調整に当るのでありますか。防衛庁長官の職務権限は防衛庁設置法第三条第二項に明記してあるように、内閣総理大臣の指揮監督を受けて庁務を統括すること、所部の職員を任免すること、その服務を統督することであって、防衛、後方補給等の計画性のあるものについては何らの権限も持ってはおりません。従ってこの三幕僚長の意見の不一致の報告は内閣総理大臣に直送され、ここで総理が裁断を下すのか、または国防会議に諮問されるのか、その筋道を明らかにしていただきたい。私が何故にこのようなことを総理大臣に質問するかと申しますと、かつて日本が米英に宣戦を布告して太平洋戦争を起した際、当時の海軍は、米英の海軍力と日本の海軍力とその補給力の比較差を知っていたので、太平洋戦争をやることには反対でありました。しかし東条一派の陸軍好戦派の圧力に屈して、玉砕の明瞭である戦争に突入したことは周知の事実であります。国の将来は、総理大臣、あなただけのものではないのでありますから、もしこのようなときに、たとえ軍人ではなくても、東条のような陸海空のいずれかに偏した考えを持った総理大臣がおって、独断的に片寄った裁断を下すようなことになりますと、今度こそ国は滅亡するのであります。統合幕僚会議の意見が一致しないときは、これを全然取り上げない方針であるのか、それとも何かの方法で裁断を下すのか、このことが、防衛関係法規や、この法案のどこにも見当らないので、総理大臣の明確なお考えなり、御方針なりをお伺いいたしたいのであります。
 第三には、議員の選び方についてであります。ただいまの御説明によりますと、副総理たる国務大臣、外務大臣、大蔵大臣、防衛庁長官、経審長官等は法によって規定され、その他は「内閣が両議院の同意を得て任命する者五人以内」となっております。内閣総理大臣によって任命される国務大臣が、内閣総理大臣が議長となるこの会議の議員となることにも問題があることはもちろんではありますが、さらに問題となるのは民間から選ばれる議員の選び方であります。先ほど杉原防衛庁長官は、両議院の同意を得て任命するのであるから、これこそ国会の意思によって選ぶのも同然であると御答弁になり、総理もまたそのようにおっしやるかもしれません。形式的にはそれはその通りであります。しかしながら、何によらず、原案というその元の出し方というものは、原案なしの合議による場合よりも、非常にその比重の高いことは常識であります。従って原案を出される人選についての総理の心がまえを伺っておきたいのであります。法案には「識見の高い練達の者のうちから、」とあって、どのような範囲から選ぶのか明確にされてはおりません。一体どのような範囲が考慮されておるのでありまするか、お伺いをいたします。第十九国会において、防衛庁設置法が内閣委員会において審議されました際、時の内閣は、総理大臣の前歴のある者に限るというような答弁をしたことがございますが、この法案にはそのような基準は明記されておりません。結局現内閣もやはり同じような考えなのか、はっきりと伺っておきたいと存じます。さらにまた、この議員の人選について注意しなければならぬことは、旧軍人や軍需産業に関係のある産業人や知識人であります。結果として、国の興亡を顧みない好戦学者や、好戦軍人や、軍需産業にのみその利潤追求の道を求めようとする産業人によって国防の計画などが立てられていくことは、国民にとりましてはまことに迷惑しごくであります。総理大臣から人選の方針を明確にしておく必要があると思います。
 第四に、本案第十条で、総理大臣官房の中に国防会議事務局を置くことになっております。この国防会議と事務局の所要経費は、その要求の総額において、内閣官房一般行政に必要な経費として七千二百十六万円が計上されておりますその中に含まれておると予算書では説明をされております。本案が成立することを仮定し、内閣官房一般事務を処理するのと合わせて十八人分の予算が要求されておるのであります。先ほど杉原防衛庁長官は、内閣官房定員の中から若干名と答えておられるが、ほんとうは何人なのか、明確にしていただきたいのであります。今日までの政府のやり口といたしまして、国会の反撃に会いそうな問題については、初めは警察予備隊というようなところから出発をして、小さな既成事実を作って、いつの間にか二十万に近い軍隊を作り上げてしまったのと同じ方法で、今はささやかな要求であつても、既成事実を作っておいて、いつの間にか事務局の局員が三十人となり、五十人となり、これが自然に増強されて、虎視たんたんとしてその機をうかがっておる旧軍人諸君の謀議の巣となるおそれがあると思うのであります。今日までの防衛計画が日本だけの意中によって行われていないことは天下周知の事実であります。アメリカの意向を土台にしてこれが進められ、日本の独自性のない計画が立てられているやさきに、一部の旧職業軍人の野望がここに集結をいたしまして、国防の基大方針や防衛計画の大綱が事務的に立案され、防衛出動の可否までが謀議されて、多忙な大臣諸君や、非常勤の議員によってこれがうのみにされる危険さえあるのであります。武器の力によって国民の自由なる意思を押え、軍人の独善専行によって太平洋戦争は起り、国を破滅せしめたのであります。軍人の好戦的な職業意識は、過去の経験に徴して、鳩山総理も杉原長官も、よく承知をされておるところであります。事務局の機構やその規模のいかんは、このような危険が予想されますが、鳩山総理並びに杉原長官は、将来そのような危険が起らないためにどのような配慮とお考えを持っておられるか、お伺いをいたします。
 また三十年度予算で要求されております七千二百十六万三千円の内閣「官房一般行政に必要な経費」のうち、国防会議運営に要する経費は幾らでありますか。また、これが自衛隊のように毎年加速度にふくらんでいくのではないか、これは大蔵大臣に、要求される十八人のうち国防会議関係は何人なのか、また毎年ふえてゆくのではないか、これは防衛庁長官にお伺いをいたします。
 第五に、さらに総理大臣にお伺いをいたしますが、最近伝えられるところによりますと、先月三十一日の閣議におきましてまたまたMSA協定に伴う秘密保護法の一部改正法案とか称する法案を提出することを決定された由であります。これまで白米防衛援助協定と日米船舶貸借協定の二つの協定により、アメリカから提供されている物件と情報に限って秘密保護法が適用されていたものが、もしも、この法案が提出され、成立しますると、昨年七月この法律の施行以来貸与された駆逐艦の設計図ほか十数件に及ぶ秘密物件がさらに拡大をされ、わが国の自衛隊は、政府のどのような陳弁にかかわらず、往年の軍隊とますますその性格を同じくしてくるのであります。もちろん、しいてわが国を独立国家と自認するならば、その独立国たる日本が外国に対して少しも秘密も持たないことは、国の利益を守る上から必ずしも妥当ではないかもしれません。しかし、われわれの恐れることは、国の利益を守る秘密そのものではなく、法律によって国の行政官に秘密の安易な権限を与えることであります。かつて一萬田大蔵大臣は、四、五月分暫定予算審議の際に、三十年度の防衛関係予算は、昨年同様千三百二十七億円で抑えるということをしばしば言明をされました。しかるに結果的に見ますると、この千三百二十七億円のほかに、前年度予算の未使用分二百二十七億円、さらに百五十四億円の予算外契約に対する国庫の義務負担が計画されているので、本年度における防衛関係費は合計千七百八億円の巨額に達し、軍隊ならざる自衛隊は三万一千二百七十一人を増強しようと計画されております。思えば、昭和二十五年、七万五千人の警察予備隊として発足したこの軍隊は、昭和二十七年に十一万人の陸の保安隊と海の警備隊に増強され、それから二年たった二十九年には十六万四千五百四十人の自衛隊に躍進をして、さらにまた、これが十九万五千八百十一人に新たに増強されようとしております。このように、数は飛躍的に増強されつつ、秘密はますます拡大されようとしております。武器も秘密だといい、国防会議も秘密だという。外国に侵略を目的とする軍隊ならば秘密を要することも考えられないことはありません。しかし今日まで政府がしばしば言明されておりまするように、自衛のための自衛力なら、何のために秘密をだんだん拡大していって、知らない者を罪人にする必要があるのでしょうか。国民は、この疑問を、この際、総理大臣から明確に解いていただきたいことを要望している。またこの秘密がさらに拡大される御方針であれば、その範囲もついでに承わっておきたいと存じます。これは先方の御都合次第であるというなら、それはそのようにお答え願ってもけっこうであります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 松浦君の御質問に対してお答えをいたします。
 九月十二日、日比谷公会堂で私のいたしました演説を御紹介になりましたが、全くその通りであります。今日私が主張しておるところとは、その間に差異がございます。これは時代の変化でございます。全くその当時におきましては、防衛庁設置法とか、あるいは自衛隊法というものはまだございませんで、常識では、自衛の目的のためにも兵力を持ってはいけないというのがその当時の常識でありました。それをああいうような名目で事実上の軍隊を置くということは憲法違反だと考えたのであります。その後におきまして、自衛隊法あるいは防衛庁設置法というものが議会を通過いたしまして、第十条が自衛の目的の必要限度ならば差しつかえない、憲法違反にならぬというのが議会の空気になり、世論もこれを支持したわけでありまするから、この変化によって私も意見を変えたのでございます。どうぞ御了承を願いたいと思います。
 それから諮問機関に総理大臣が議長としているのは当を得ないようなお話でございましたが、議長として直接会議に列席しておることを必要と考えたのでございます。他にも、こういうような先例はございます。
 それから統合幕僚会議、これについての、性格についての御質問がございましたが、この統合幕僚会議というものは防衛庁長官の補佐機関であると考えております。議員の選び方について、軍人とか軍需業者、それらを考えているのではないかというようなお話がありましたが、全く今は白紙でありまして知識の多い練達たんのうの士を選びたいと考えております。(「旧軍人を二人や三人入れるのだろう」と呼ぶ者あり)そういうことは考えておりません。
 秘密保護法の改正について御質問がございましたが、これは昨年締結せられました日米艦艇協定を加えるだけの技術的なものでございまして、重要なる改正ではございません。他の御質問については関係閣僚から答弁をしてもらいます。(拍手)
   〔国務大臣杉原荒太君登壇〕
○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。
 この国防会議の事務局に関する予算でございますが、これは約九十八万円、そうしてその内容は二つございます。一つは国務大臣以外の議員の手当を見ております。それと、もう一つはその事務費でございます。あとの個々の職員に対するものは、先ほど申しましたように、これは特に見ておりません。
○議長(河井彌八君) 堀眞琴君……。(「大蔵大臣の答弁はどうした」と呼ぶ者あり)一萬田大蔵大臣。堀君少しお待ち下さい。
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
○国務大臣(一萬田尚登君) 国防会議の経費に関しましてお尋ねがありました。内閣官房の一般行政に要する経費が七千二百十六万円計上されておるのでありますが、そのうち国防会議に要するものとして九十八万五千円を充てるごとになっております。
 なお、この事務局の定員でありますが、これは今日、人員整理を官庁でしておるときでもありますし、また国防会議の事務量が、ただいまのところ予定ができませんこと等から、今回は内閣官房の定員のうちから差し繰りをして、そしてこの事務をとらせることにいたしておりまして、このために特別増員をいたしておりません。十八名ありますのは、これは内閣官房の既定の定員であるのであります。従いまして、今後これではどうかというお尋ねもあったように思いますが、私はこの会議の性質から、今後どういうように事務量がなるか、むろん私も今ここできまったことを申すわけにも参りませんが、しかしこの会議の性質から言いまして、そう大きな経費を要求されることはまあないだろうと、こういうふうに今私は考えておるようなわけであります。お答え申し上げます。(拍手)
○議長(河井彌八君) 堀眞琴君。
   〔堀眞琴君登壇、拍手〕
○堀眞琴君 私はただいま上程されておりまする国防会議の構成等に関する法律案につきまして、若干の質問をいたしたいのであります。
 まず第一は、憲法問題に関してであります。松本、松浦両議員によりまして、同じく憲法問題に関連しての質問があったのでありまするが、鳩山首相のこれに対する答弁を見まするというと、憲法第九条は、国際紛争を戦争によって解決することだけを禁止しているのである、自衛のためならば日本では兵力を持つことができるのである、こういう答弁の趣旨であります。しかしながら第九条の第二項の陸海空その他の戦力を持つことができないと規定したその趣旨は、決して自衛のための兵力を認めたものとしてこれを受け取ることができないのであります。しかも自衛隊は防衛のための十分な事実上の力を持っているのであります。またさらに第二項の後段における交戦権の否定、この規定の趣旨から申しましても、よしんば直接侵略があり、これに対抗するための交戦を行う、すなわちこの交戦を行う権利を、憲法は否定しているのであります。従ってその観点から申しましても、この法律案が憲法違反であることは言うまでもありません。私どもはこの法律案の母法である防衛庁設置法並びに自衛隊法が、昨年本国会に上程されました当時、憲法違反であるということを指摘いたしました。私どもはこれに反対いたしたのでありまするが、本法律案は防衛庁設置法の第四十三条に基いて上程されておるのでありまするから、従ってこれが憲法違反の法律案であるということは間違いがないのであります。しかもこれによりまして事実上の日本の再軍備は一段と促進されることになるのであります。鳩山首相はただいま松浦君が指摘しましたように、在野時代には再軍備のために憲法を改正しなければならないということを主張されておった。ところがこれに対する鳩山首相の答弁は、当時とただいまでは時代の変化によって自分の考え方が変ったということであります。防衛庁設置法や、自衛隊法が国会において承認を受けて、それ以後自分の考え方が変ったというのでありまするが、しかしその腹を探るならば、結局憲法改正のために必要な三分の二の勢力を、国会において確保することができなかったというところに、本当の大きな意味があると申さなければなりません。勢い吉田内閣がとって参りましたところの、実質的には憲法を無視するような既成事実を作り上げて、それを積み重ねて行って、そうして日本の再軍備を推進する、こういう意図であると言っても差しつかえがないのであります。すなわちこの法律案は、憲法違反の法律案、首相はこれに対してどのような見解を持っておられるか、重ねて私は質問いたしたいのであります。
 第二に、この法律案の上程に至った事情について承わりたいのであります。もともと国防会議を設置するということは、昨年の春、保守三派のいわゆる防衛折衝できまりました。そうしてそれが防衛庁設置法に明文として盛られたのであります。そうしてその国防会議の構成につきましては、昨年の六月初めの吉田内閣の閣議で決定されているところであります。しかしこの決定は、いわば防衛二法案を成立させるために、当時の急場しのぎのためのものでありました。それなればこそ国防会議の構成に関する法律案は、それまでに、吉田内閣当時におきましては日の目を見ることができなかったのであります。今回の法律案が、その内容において昨年の法律案要綱とほとんど同じものであり、それがあらためてここに上程されるに至ったということは、何かそこに理由がなければならぬと思うのであります。それは何であるか、過般防衛分担金の減額問題について日米間に折衝が行われたのでありまするが、あの際、国防会議設置に関してアメリカ側から何らかの要望があったのではないかということを想像されるのであります。これについて鳩山首相並びに外相の御答弁をお願いしたいのであります。
 第三に、国防会議の構成についてお伺いいたしたいのであります。国防会議の構成並びに権限は、おそらくはアメリカのナショナル・セキューリティ・カウンシル、あるいはイギリスのディフェンス・コミティを参酌して作られたと思われるのでありますが、アメリカの場合は大統領が議長であり、副大統領、国務長官、国防長官、その他の関係諸長官が議員としてこれに参画することになっている。イギリスの場合でも内閣総理大臣を議長とし、国防大臣を副議長とし、枢密院議長、外務、大蔵その他の関係閣僚が正規の議員となって、三軍の総長も会議に出席させるということになっており、その構成員はもっぱら政府部員をもって占めているのであります。日本の場合はどうかというと、本法律案の第四条に規定しておりまするように、総理大臣を議長とし、副総理、外務、大蔵その他の関係閣僚を構成員とし、そのほかに識見の高い、練達の者の中から内閣が任命する、こういうことになっているのであります。この識見の高いいわゆる民間人の議員として任命される者については、同僚議員からしばしば質問が行われ、その任命については、現在は白紙であるという答弁が行われたのであります。私はこの白紙であるということを一応尊重するとしましても、しかしこの民間人は任期が三年となっております。植竹議員は国防問題の重要性にかんがみて、その恒久性を維持しなければならぬというので、任期の長いことを望んでおられたようでありまするが、しかし内閣の政治的な責任をとるという観点から申しまするならば、むしろ民間人を入れる場合であっても、その民間人の任期は、内閣とともにその進退を明らかにするということが最も望ましいと思うのでありまするが、その点に関して首相並びに防衛庁長官の御答弁をお願いしたいのであります。
 最後に、国防会議の権限についてであります。国防会議の有する権限についても、大体アメリカやイギリスの制度を参酌したと思われるのであります。その性格も諮問機関となっておる点、全くその軌を一にしておると言わなければなりません。しかしこれを詳細に検討してみまするというと、日本の国防会議は、アメリカやイギリスの当該会議に比較して、大きな権限を有することが見られるのであります。すなわちアメリカの場合は、まず第一に国家安全保障に関係ある政府各省及び各機関の政策及び業務を一そう有効に調整するために大統領の指示する業務を行うことというのが第一であります。第二には、大統領の指示に基いて、合衆国の軍事力に関係ある事項について国家安全保障のために査定し、評価し、大統領に勧告すること並びに国家安全保障に関連した各省各機関の共通の事柄について政策を審議し、これを大統領に勧告するということになっており、第三には、随時みずから適当と認め、また大統領の要求する勧告または報告を行うこと、というのがアメリカの国家安全保障会議のその仕事となっておるのであります。これに対しまして日本の場合はどうかというと、防衛庁設置法の第四十二条第二項並びに第三項によるというと、同僚議員が質問いたしましたように、総理大臣が国防会議に諮らなければならない事項として五つ、それから国防会議は国防に関する重要事項について必要に応じ総理大臣に意見を申し述べることができるということになっております。いかに日本の場合が権限が大きく、従ってそれは単なる諮問機関以上の政治的な意味を持つ機関ではないかということがおそれられるのであります。すなわちこの国防会議が内閣に対し何らかの圧力を及ぼすところの関係を持つに至るのではないかということがおそれられるのであります。
 以上の点に関しまして、首相並びに防衛庁長官の御答弁をお願いする次第であります。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 堀君の御質問に対してお答えをいたします。
 この法案は、御質問の中にもおっしやいました通りに、防衛庁設置法の四十三条に基いて提出いたしたのでありまして、米国側の示唆に基いたものでは断じてありません。分担金の際にこういう約束をしただろうというような御質問がありましたが、そういうことはもちろんございません。憲法違反につきましては、私はたびたび申しますがごとく、自衛のための目的ならば、その必要限度において違反ではないと思いますので、前のお答えを参照していただきたいと思います。
 任期について、あるいは構成について御質問がございましたが、任期はやはり人員が五名以内ということになっておりますし、二年の任期でありまするから、やはりこの今度の法案に出した程度が一番いいと考えております。
 その他御質問がございましたが、これは防衛長官の方が適当だと思いますから、防衛長官から答弁をしてもらいます。(拍手)
   〔国務大臣重光葵君登壇〕
○国務大臣(重光葵君) 本法案が過般の防衛分担金削減交渉の一条件として米国側より要望されたものではないかと、その御質問に対しましては、ただいま鳩山総理大臣からお答えした通りでございますが、さような事実のなかったことを私からもお答え申し上げます。
   〔国務大臣杉原荒太君登壇〕
○国務大臣(杉原荒太君) お答え申し上げます。
 この国防会議の権限が大き過ぎはせぬかという御懸念のもとに御質問でございますが、これはもうあくまでも諮問機関でございます。その大き過ぎはせぬかという理由として、堀議員がお考えになったと私が解釈しましたのは、一つは諮問する事項が必要的な諮問事項なんです。必ず諮問しなければならぬということになっておる。それからまた、ほかの例もあることでございまして、特にこれだけが例外というわけではございません。それから、ここに諮問する事項を列挙してある、この列挙事項か非常に重要なことであると、なるほど重要なことであります。重要なことであるからこそ、実はこういうことは慎重の上にも慎重にやらなければならぬ。しかもそれは、先ほども申しましたが、単に防衛上、狭い意味の防衛上の必要という角度からでなく、外交、政治その他経済、あらゆる角度からこれを検討せなくちゃならぬ。しかもそれをつまり大所高所から総合的な判断を下したいと、これはもちろん内閣がその責めを果すべきでありますけれども、さらに慎重の上に慎重を加えると、こういう意味でそういうことを諮問事項に加えておるわけでございます。
 それから意見具申権があるということも中枢な一つの根拠じゃないかという御意見であったように思いますが、これはほかの諮問機関にもよく例のあることであります。
○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 議事の都合により、二時まで休憩いたします。
   午後一時十九分休憩
     ─────・─────
   午後二時二十八分開議
○議長(河井彌八君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 日程第二、住宅融資保険法案(趣旨説明)
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、内閣からその趣旨説明を求めます。竹山建設大臣。
   〔国務大臣竹山祐太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹山祐太郎君) ただいま議題となりました住宅融資保険法案につきまして、その提案の趣旨及び法案の概要について御説明をさしていただきます。
 政府におきましては、住宅難のすみやかな解決をはかることをもって重要施策の一つといたしておりまして、これがため昭和三十年度予算案において、公営住宅、公庫住宅、公団住宅等、公的資金による住宅建設の増大をはかる措置を講じますとともに、他方、民間自力による住宅の建設力を増大して、住宅の供給を円滑ならしめるための各般の施策を講じつつある次第であります。民間自力による住宅の建設を促進するため、政府といたしましては、租税の軽減措置を拡充強化いたしますとともに、民間資金の住宅建設への導入を容易ならしめる措置を講ずることが必要であると考えております。
 このため、まず、金融機関資金融通準則を改訂し、金融機関の住宅資金の貸し出しが容易に行われる道を開いたのでありますが、住宅の建設のためには多額の資金を必要とし、しかもその資金は長期にわたって固定化する消費的資金と考えられ、かつ、住宅の担保価値も低い等の理由のために、金融機関からの住宅建設資金の貸付は、現在なお不十分な状況にあります。住宅建設に対する民間資金の融通を円滑にし、住宅の建設を促進するためには、金融機関が住宅建設資金を融通した場合、これによる損失を填補する方策を講じ、金融機関の行う住宅建設資金の貸付を容易にすることが必要であると考えます。
 以上のような目的を達成するために、住宅建設に必要な資金の貸付につき、保険を行う制度を確立する本法案を提案することといたした次第であります。
 次に本法案の概要を申し上げますが、第一に、保険を行う機関は住宅金融公庫といたし、公庫は金融機関を相手方とし、その金融機関が住宅建設等に必要な資金を貸付けたことを公庫に通知いたしますことによって、金融機関の貸付金の額が一定の金額に達するまで、その貸付について、保険関係が成立する旨の契約を締結することができることといたしました。この場合、公庫が事業年度ごとに保険をすることのできる貸付金の総額は、国会の議決を経た額以内といたしております。第二に、保険関係が成立する貸付は、住宅の新築のほか住宅等の増築、改築、修繕及び移転、住宅建設に必要な施設の建設、これらに必要な土地等の取得及び造成に必要な貸付で、貸付期間が六カ月以上のものといたしました。第三に、保険金額等につきましては、貸付金の額を保険価額とし、この額に百分の八十を乗じて得た額を保険金額とし、公庫が支払うべき保険金の額は、保険価額から貸付金の回収した類を控除した額に百分の八十を乗じて得た額とし、また、弁済期における債務の不履行等を保険事故といたしております。第四に、保険料の額は保険金額に年百分の三以内で政令で定める率を乗じて得た額以内とすることにいたしました。第五に、以上のほか、いろいろ法律関係の規定を設けております。
 この法律案に基きまして、公庫は昭和三十年度においては、以上申し上げました住宅融資のため五十七億円を限度として保険をいたす計画であり、このため、政府はこの基金として公庫に対し三億円の出資を予定いたしております。
 以上が本法案の要旨であります。(拍手)
○議長(河井彌八君) ただいまの趣旨説明に対し質疑の通告がございます。順次発言を許します。石井桂君。
   〔石井桂君登壇、拍手〕
○石井桂君 私は、ただいま議題となりました住宅融資保険法案に対しまして、自由党を代表し、若干疑問とする点をあげまして、政府の意見をただしたいと思うものでございます。
 この法案は、政府の住宅政策の一環をなすものでございますから、この法案の内容に立ち入る前に、私は、まず政府の住宅政策の基本的構想についてお尋ねをいたしまして、さらに本年度の、いわゆる四十二万戸建設計画の具体的内容につきまして、国民の間に沸き上っておりますところの不満と要望とを取り上げまして、これに対する政府の所見を、大蔵、建設両大臣から承わりたいと存じております。
 政府はさきの総選挙に当りまして、三十年度四十二万戸の住宅建設を大きく取り上げました。そして、それは十年間に住宅難の解消をはかるための初年度の実行計画であるということであったのでございます。十年間に住宅難を解消するためには、現在の住宅不足数二百八十万戸に、人口の増加に伴いまする新しい需要の発生と現存家屋の老朽化等、毎年二十五万戸ずつを考えに入れますと、十カ年に合計五百三十万戸と相なりまして、これを毎年にならしますと五十三万戸になるのでございます。従いまして、四十万戸程度の建設を毎年しておりましては、到底追っつくものではないと思うのでございます。ほんとうに十年間に住宅難を解消するためには、住宅の建設数を毎年逐次増加して行かなければなるまいと思います。ですから初年度の四十二万戸は、十カ年計画ではすでに小さいものと考えられます。初めからこの計画はずれているのではないかというふうな考えが浮かぶわけでございます。前国会におきましても、同僚議員から政府の十カ年住宅建設計画の全貌を示すようにという要望がなされたのでございますが、その際の大蔵大臣、建設大臣の御答弁は、きわめて抽象的でございまして、多少とも実現の可能性を裏づけるような数字的な御説明はなかったのでございます。しかしながら、今日におきましては、予算案はすでに審議にかけられておりますし、住宅公団法案とか、この法案等が、関係法案として出そろっておりますので、政府の十カ年住宅建設計画は、すでに完全に数字的に固まっておる段階と考えられますが、それは一体どういう計画のものであろうか、毎年どの程度の資金を用いまして、各種目の住宅を何戸ずつ建設しようとするのか、それらの点につきまして、この際はっきり御説明をお願いしたいと思うのでございます。十カ年で住宅難を解消するということは、非常に魅力のある着想でありますので、国民はすみやかにその全貌を知りたいと熱望しておりますし、本年度の住宅建設問題を論ずるに当りましても、計画の全体の姿をここに明らかにしておくということが、ぜひ必要なのでございます。この点をまずお尋ねする次第でございます。
 ところで、本年度の四十二万戸でございますが、これが年度内に果して実行可能であるかどうかということにつきまして、世間でも大いに疑問としておるところでございまして、昨年度は二百五十七億円の国費を使いまして約三十一万戸の住宅建設が行われました、もとよりこの三十一万戸の全部が、国賓の支出を見ておるわけではございませんが、これは二十カ年計画の一環として行われたのでございます。本年度は三百九十億円の国費を使いまして四十二万戸の建設を行うということでありますが、計画通り果して実行できるでありましょうか、どうでしょうか。四十二万戸中、民間自力達設に非常に多くの部分を依存しておるだけに、最近民間における住宅の建設が下り坂になってきておることを考え合せますときに、危惧の念を抱かざるを得ないのでございます。十カ年計画をほんとうに実行しようとするのであるならば、たんねんに下から数字を積み上げまして、確実な計画を立てなければならないと存じます。十カ年の計画の数字的裏づけがないだけではなく、初年度の実行計画さえもが、はなはだ怪しいということでは、政府の信用にもかかわると思うのでございます。はなはだ口が悪い言い方かもしれませんが、一時の功名心が四十二万戸という過大な数字となって現われたのではなかろうかというようなことも考えられます。しかもこの数字は十カ年計画からいえば、きわめて少い数にも思えますし、なお実行可能な面から考えますれば、実行はなはだ危いものとも思われます。政府は少しこの際、風呂敷を広げ過ぎたのではないかと考えられます。十ヵ年で住宅難を解消するというこの計画そのものが、現在の段階におきまして、はなはだ無理な計画であったのではなかろうか、こうした懸念はただ私一人のものではございません。政府は近い将来において謙虚な気持に立ち帰り、十カ年計画を検討する御意思がありますかどうかを、十分納得のいくような説明をもちまして、建設大臣、大蔵大臣から承わりたいと存じます。
 次に、本年度の計画といたしまして、政府が発表しているものに対しましては、国民の間に多くの不満や要望が叫ばれております。すなわち第一には、国民が現在最も多くの期待をかけておりますのは、手頃な施設と手頃な家賃の中層アパートであります。ところが政府の計画では、この国民が最も要望しておりますところの公営の十二坪耐火アパートが、本年度は多数削減されておりまして、これに入ることができなくなっております。このことはまことに残念なことでありますが、これを相当復活させてもらいたいというのが国民の第一の要望のようなふうに承わっております。
 第二は、六坪という狭小な住宅が多数建設されることになっております。これは戦後十カ年間に年々少しずつ上昇してきた住宅水準を一挙に低落させることともなろうと存じます。このようなまさに不良住宅とも申すべきものは、かりに住宅難に迫られてせっぱ詰って飛びつくものがございましても、入居者はたちまちにして生活の不便に悩まされまして不満を抱くようになるということは、過去の経験からも明らかであります。このような狭小住宅は、独身者用を除きましては、決して国民の歓迎するところではないと思うのでございます。
 第三には、公庫住宅の融資率を約一割引き下げることが予定されておりますが、これは国民の住宅建設の意欲に水をかけるようなものでありまして、これによって頭金の額は増大し、本年度、住宅の建設を予定して営々として貯金をしていた者も、しばらくは見合せなければならない始末になりましょうし、また融資率引き下げが実行せられますると、公庫を利用できる階層は比較的収入の多い階層にとどまるという好ましからざる結果ともなるでありましょう。公庫融資率の引き下げは、国民の全く強く反対しているところであります。
 ごく要約いたしますと、以上の三点が政府の本年度の計画に対する批判であり、要望でもあります。四十二万戸建設ということは、いかにも魅力あるスローガンでありますが、その内容は以上のように国民の希望するところとは相当のズレがあるように考えられます。政府はこうした国民の要望を取り上げまして、これに沿うような計画の変更を行う意思があるかどうかを建設大臣からお伺いしたいと存じます。
 以上政府の十ヵ年計画及び本年度の実行計画につきまして私の疑問とするところを述べた上で、ただいま提案せられました住宅融資保険法案に関しまして、少しく質問を試みたいと思います。
 政府の本年度四十二万戸計画を見ますと、国の施策による住宅が十七万五千戸、民間の自力による建設が二十四万五千戸となっておりまして、自力建設の分は昨年度の十九万戸に比べて五万五千戸の増加という計画でございます。国の施策による分につきましては、先ほど要約的に意見を申し上げておきましたが、かりにそれが所期の結果を得られたといたしましても、その成果は四十二万戸計画の半数に満たないものでございまして、四十二万戸計画の成否はかかって民間自力建設がどの程度に効果をおさめるかにかかっておるといっても過一言でないのでございます。民間の住宅建設の最近の趨勢を見ますと、デフレ政策の浸透とも関連して、建設数はむしろ下り坂にあるということが実情であります。この趨勢を逆転させて、昨年度の十九万戸に対しさらに五万五千戸を増加させるには、なみなみならぬ努力が必要であろうと存じます。今議題になっております住宅融資保険法案は四十二万戸計画の成否にかかわる民間自力建設促進のためのほとんど唯一の立法でありまして、この法律の効果いかんが四十二万戸計画達成のかぎと申すべきものでありましょう。従ってわれわれはこの結果に大きな関心を持たざるを得ないのでございます。
 そこで第一にお尋ねしたいと思いますことは、本法によってどの程度の自力建設が期待されておるかということであります。本法による融資の総額は五十七億円でありまして、平均二三二十万円といたしましても、この三十万円ではとうてい満足すべき住宅は作ることはできませんが、かりに三十万円といたしましても、一万九千戸、すなわち本年度予定増加分の五万五千戸の三分の一にすぎません。これを修繕等の小口の需要に充てますれば、口数はもちろん増加はいたしますが、また本法には貸し付けの限度が定められておりませんから、鉄筋コンクリートのようなアパートに貸し付けるといたしますれば、口数一口において数千万円の貸し出しにも相なるわけであります。政府は果してどの程度の住宅に基準か置いて融資をしようとする意思であるか、またその基準を元にいたしまして計算した場合に、何戸の住宅が建設せられることになるかということを予想いたしまして現在の計画に織り込んであるのか、この点につきまして建設大臣の御所見を承わりたいと存じます。
 第二にお伺いいたしますことは、五十七億円の保険契約を確保できる見込みがあるかどうかということでございます。後に申し述べますように、償還条件や保険料率が割高になっておりますのに災いされまして、融資の希望者が予想外に少くなるような場合も考えられますし、またもし融資を望む者が相当に多かったといたしましても、金融機関の方では貸し付けを渋る場合が相当多かろうと存じます。金融機関の側から考えますと、小口で、しかも比較的長期にわたる貸し付けでありまして、さらに担保価値の低い住宅でありますから、もともと住宅融資は金融機関にとって好ましからざる投資でありましょう。住宅融資は調査とか抵当権の設定に金がかかりますし、また人の住んでおる家屋に対しましては抵当権の行使が面倒であるということもありまして、すでに本法立案当時から金融界では白眼視していたほどでございます。また大蔵省が先に住宅融資促進の通達を出して、融資順位をAクラスに引き上げた際にも、銀行筋の反応は全然見られなかったという事実もございます。金融機関の住宅融資に対するこうした態度は、中小企業への融資に大銀行等が積極的でないのと軌を一にするものでありましょう。これらの点を考えますときに、政府がせっかく五十七億円の融資を予定いたしておりましても、借手と貸手の双方の事情から、予定の保険契約が成立するかどうか、危ぶまれておるのでありまして、政府はこれに備えるために何らかの具体的な施策の持ち合わせがあるはずだと思うのであります。保険契約確保の見通しはどうであるか。この点につきまして大蔵大臣の御所見を承わりたいと存じます。
 第三には、融資が住宅以外に流れることに対する防止策についてお伺いしたいと存じます。住宅に融資するつもりでおりまして金を貸したが、いざ建物ができてみると、たとえばパチンコ屋などになり、住宅の施設のないものができ上る。融資の用途が住宅以外に変更されたというような例は、住宅金融公庫の場合にもよく見受けられたところでございます。公庫の場合でありますと、これに対しては、貸付金の一時償還を請求することができる規定がありますし、また建物ができ上らないうちに、あるいは竣工後に地方公共団体に建築工事の審査を委託する規定もございます。これらによって右のような住宅以外の用途への流用はある程度まで防止されておるのが現状であります。本法による融資の住宅でありましても、また同様の場合が起り得るものと考えられます。のみならず、金融機関側といたしましても、住宅以外に流用された方が償還にはむしろ都合がよろしいとして、流用を大目に見たり、あるいはむしろ歓迎さえするということになりかねませんことを心配しておるようなわけであります。そういうことになりますならば、住宅の建設を目的とする本法の趣旨は没却せられることになりましょう。このような住宅以外の用途への流用を防止するにはいかなる具体策をお持ちになっておるか。建設大臣にお尋ねしたいと存じます。
 第四には、本法による融資の対象としていかなる階層の者を考えておられるかどうかということであります。本法による融資に対する利率は、公庫の五分五厘に対しまして、相当高率な一割前後ということであります。かりに一戸十坪で三十万円と見まして、一年の利息は三万円、片割にして二千五百円であります。利子だけでも二千五百円でありまして、この上さらに元金の月賦償還が加わるわけであります。本法による融資の償還期限は、最低限を六カ月と定めてあるだけでありますが、聞くところによりますと、最長五カ年程度ということであります。かりに三十万円を五カ年で償還するといたしまして年六万円、月割にして五千円でありますから、さきの利息二千五百円と合算いたしまして、当初は三十万円の家を作るのに七千五百円、あるいはそれに近い高額を月々償還しなければならないわけであります。こういうような融資は、一般勤労者にとって耐えられない負担であることは、われわれにはっきりわかります。これに対して東京都などでは、一戸当り三十万円と見て、半額の十五万円を限度として融資し、十カ年六分五厘にて月賦均等償還する途を開いている例も地方庁にございます。これらと比較しましても、本法による激賞の償還条件は非常に悪く、住宅を与えなければならない人に十分利用されないうらみがあると思われます。政府は本法による融資の対象としていかなる階層を予想しておられるものであるか、建設大臣にお伺いしたいと存じます。
 第五に、本法による保険料率三%以下についてでありますが、これはちょっと高くはないかということを大蔵大臣、建設大臣から御意見を承わりたいと存じます。住宅に関する融資保険制圧は、アメリカにおいて、はなはだしく発達しておりまして、私が聞くところによりますると、F・H・A、すなわちフェデラル・ハウジング・アドミニストレーションによりますと、料率は〇・五%でありまして、十分活用せられているそうであります。年間住宅建設戸数百万戸中の三分の一をこの融資で消化いたしておりまして、しかも建設基準も、工事中数回にわたる審査によりまして、まことにりっぱに守られ、住宅の質も満足に確保せられておるということでありまして、この際の銀行の融資の利子は年四%、二十五年償還の由でございます。これに比べて、本法における保険料率の三彩以下というのはまことに高きに失するように思われますが、せめて一%以下というふうに改められないのかどうかをお聞きしたいと存じます。
 最後に、耐火建築促進法による補助の打ち切りと、本法による融資の関係につきまして建設大臣にお伺いしたいと存じます。都市の不燃化は、防災の見地からはもちろんのこと、木材の節約、富の蓄積等からいいましても、国策として大いに取り上げられなければならない問題であります。従いまして、耐火建築促進法が昭和二十七年、議員立法により成立いたしまして、実施されてきたものでありまして、数カ年に実り、年一億ないし二億の金が同法によって防火帯内に建築される耐火建築に補助をされてきたものであります。しかるに本年度はこれが予算は打ち切られたのでありまして、その代りに、本法によって従来行われておる公庫融資の範囲を多少拡張いたしまして、耐火構造の住宅併用の建物で、所定の規格のものに対しましては、住宅でない部分について、従来よりも幾らか広い範囲に融資をする途を開いたということでありますが、都市の不燃化と住宅難の解消とのこの二点から見て、この措置はどの程度の成果を上げ得るものとお考えになっているかどうか。私はこの措置の結果として、すでに指定された防火帯内の耐火建築は阻止せられまして、既定の都市不燃化計画に大きな支障を来たすものと考えますが、どうでしょうか。また、この分の融資は金融公庫の予算にどのくらい見込まれておりますかを建設大臣からお伺いいたしたいと存じます。
 以上をもちまして質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕
○国務大臣(一萬田尚登君) お答え申し上げます。
 一点は、保険契約五十七億、これが確保できるかというお尋ねでありますが、私どもは、この住宅融資の保険制度によりまして、銀行、特に私は保険会社、信託等の金融機関が十分協力して下さるであろう。従いまして、この金額は確保ができると、かように考えておるわけであります。
 なお、この住宅融資保険料三%でありますが、これは少し高くはないかということでありますが、保険料率の最高限度といたしまして、わが国で今日行われておりまする他の類似の融資保険料率並びに事故の率、住宅金融公庫におきまする貸出金の滞納状況等を勘案しまして、この程度は適当であろう。先ほどお示しのアメリカでは〇・五くらいで大へんパーセンテージが低いのでありますが、まあ日本ではこのくらいやむを得ないだろう。ただ、これを具体的にやる場合に限度があります。さしあたってはまあ二%程度に引き下げてやりたい、かように考えております。
   〔国務大臣竹山祐太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹山祐太郎君) 石井さんのいろいろ専門的な御親切な御注意を含む御質問には、心から敬意を表するわけでありまして、この新しい法案の制度につきましては、初めてのことでありますので、われわれもいろいろ国会の御意見を伺って細部についてはきめたいと考えておる重要な点にお触れをいただきましたことを、感謝と敬意を表するものであります。
 最初に、十カ年計画についてのいろいろ御意見がありましたが、これは理論的な根拠と申しましても、いろいろ御批判はありましょうけれども、今の国家財政の現状から考えて、なるべくすみやかに住宅問題の解決をいたしたいということが大体十カ年という考えになったわけでありまして、これは四十二万戸は少いじゃないかというお話でありますが、これは一方、経済審議庁で作っておりますあの経済六カ年計画の国民所得の増加に応じまして、年度計画は漸増することにいたしておりますのと、何と申しても、第一年度でありますから、準備その他のことから考えまして、控え目に四十二万戸といたしたようなわけでありますが、一方においては住宅の要求は緊急でありますので、専門的な立場からお考えになれば若干の無理をお感じになろうかと思いますが、われわれとしては、国民の要請にこたえるためには、あらゆる努力をいたしてこの完遂をはかりたいと考えております。なお一方、この計画に従いまして先般住宅審議会におきまして公営住宅三カ年計画の第二期案なるものが御決定をいただきまして、目下国会にその承認を求めておりますが、公営住宅は三年間に十五万五千戸という計画を御決定をいただきましたので、政府はその線に沿って公営住宅を進めて参るつもりでありますので、この基本的な公営住宅の計画に沿いまして、公庫の制度、及びわれわれの考えております公団の制度、その他民間自力建設の諸施策とあわせまして、十カ年計画を推進をいたして参りたいと考えております。
 なお、現在の立てました計画に対して重要な三点の御指摘がありましたから、これについて申し上げますと、第一の公営住宅の中の耐火アパートを急滅さした、非常に減らしたことは遺憾であるというお話でありますが、この点がしばしば申し上げておりますように、従来進歩して参りました公営住宅の中で最も程度のいい十二坪の耐火アパートを、大部分そっくりこれを公団に移して、思い切ってこの中層アパートだけを二万戸作るのが公団の主たるねらいであります。これはいろいろ由はありますけれども、これを引き抜いたあとの公営住宅を五万戸にいたしましたのは、一方におきまして、公営は御承知の通り地方財政の負担が半額必要であります。今年度の計画をもってしましても、地方財政負担は約百億を要するわけであります。建設省は道路において一方に百億、住宅において百億というような地方財政を要求いたさなければならぬ立場にありますので、私は計画だけを押しつけるようなやり方では今の窮迫した地方財政に対処する道ではないと考えまして、この公営住宅におきまして戸数は五万戸前年よりも増加をいたしましたけれども、この中で一番金のかかりますこの中層アパートを公団に移しまして、公団は御承知の通り百六十六億の資金の中で、十六億、一割を地方に負担をしてもらう制度でありまして、これによって地方財政負担の一番金のかかる分を別の方策に移しましたわけで、従って石井議員の御指摘のように、公営の中におきまして一番金のかかるアパートか減っておりますけれども、われわれにそれにかわるに、できるだけ低家賃の住宅を公営で供給をする。そのために、今も第二の点として御指摘のありました、六坪のアパートは、はなはだけしからぬという御指摘はしばしば伺うところでありますが、この六坪のアパートは耐火のアパートでありまして、約二十四、五万円かかります。従来やっておりました木造はこれよりも費用は安くできるわけでありますから、われわれは決して費用を値切るためやったのではないのでありまして、従来の八坪の木造に対しては、今回の一番進んだ建築方式をとりますと、六坪のアパートは、必ず生活内容は向上をするものと考えておりますが、もちろんこれは中央、地方、それぞれ地方の実情に適応するように実施はいたすつもりでありまして、決してことさら小さな家を作る考えは毛頭ございません。
 なお、国庫住宅の融資の比率を下げたことも御指摘がありましたが、これは全面的に下げたのではありません。中でいろいろな種類がありますから、従来の率でやっておるものもあり、若干下げるものもあり、また世間では土地融資をやめたように誤伝をされておりますが、土地融資の額は昨年よりも増加をいたしておるようなわけでありますので、この点は個々のこれからやって参る具体的な方策について、またいろいろ御批判をいただきたいと思うのであります。
 従って、目下のところ、この計画を練り直す考えはないかという御注意につきましては、実施の上におきましては、もちろんよく御意見を伺って実際に適応するようにいたして参りたいと思いますが、現在の予算に編成をいたしました計画は、われわれは許される財政の範囲において最大のものと考えておりますので、さように御理解をいただきたいと思うのであります。
 自力建設につきましていろいろ御批判がありましたことは、これはまことにごもっともな点もあるのでありまして、これは見方の問題でありますから、昨年二十万戸近いものができた、今年は何ぼできるかということは、これは極端に申せば、やってみなきゃわからぬことでありますが、私は昨今の情勢をいろいろな角度から見ておりまして、住宅建設の方策が各方面に非常に燃え上ってきておることだけは事実でありまして、これをいろいろな方面から支持協力を願っていくならば、私はむしろ昨年よりも多くの民間自力建設ができるのではないか、決して楽観をいたしておるのではありませんけれども、さような見通しを持っておるようなわけでありまして、従って、昨年に比べて約四万五千戸の増加を見ておりますけれども、しかしこれは先ほど申し上げましたように、融資保険法と税制の処置、すなわち特別償却制度を四倍に引き上げる、また不動産登録税の問題及び固定資産税等の、不十分ではありますけれども、税制処置によりまして、産労住宅等は急速に進展をするのではないかということを、われわれは努力をし、また期待をいたしておるようなわけでありまして、この点も私は大体見込みを持っておるわけであります。
 なお、この資金の問題につきましていろいろ専門的な御注意をいただきました点については、一々反発的な御答弁を申し上げるよりも、よく御注意の点を考えまして、実施の上に生かして参りたいと思いますが、二、三お答えを申し上げますならば、この資金の確保は、大蔵大臣が申し上げましたように、私は十分でき得ると思いますし、また最近は、銀行方面は積極的に協力を申し入れてきて下さっておるような状態であります。住宅以外に流れるという御心配については、できるだけ今後この契約約款を作ります際に、御注意の点を生かしてさようなことのないよう努力いたしたいと思います。
 階層はどういうとこかということで、ありますが、これは在府の資金で家を建てますように、明確にどの階層ということを指定することは、御承知の通り困難とは思いますけれども、あくまで住宅政策の本旨にのっとりまして、われわれが考えます従来の線を中心にできるようにいたしまして参りたいと思っております。
 なお保険料率は、大蔵大臣の申す通り、二%ということに大蔵省との間に話をきめておりますから、これも高いとおっしやられればそうも思いますけれども、今与えられたいろいろな資料を基礎にいたしますと、ある程度の安全率を見ますと、この程度になりますが、これも実施をいたした上でできるだけ引き下げることに努力いたしたいと考えております。
 なお、この五十七億で何戸建つかということにつきましては、これも政府資金で建つように、机の上の計画を申し上げることは無責任のような感じもいたしまして申しませんし、また実際何戸になりますか、私にもはっきりと申し上げる数字的な基礎はないのでありますが、実行の場合におきまして、できるだけこれを広く、また実際に合うように契約約款できめて参りたいと研究をいたしております。
 なお最後に、耐火建築の問題について御注意をいただきました点は、よくわれわれも、決して今回耐火建築の補助金が削られましたことについて満足を率直に申していたしておるわけではありませんけれども、まあ小さな補助金を整理して、他の方法でこの際はいこうという政府全体夢方式にのっとりまして、この際、法律はそのまま生かしておきまして、災害等の場合にはこれを適用をすることを考えておりまして常時の場合は今回の公庫の資金をこれにできるだけつぎ込むことによりまして、お話の通り今までやっていない制度を開きまして、耐火の建築に融資を特に集中をいたそう。一方、この前も申し上げましたように、公営、公庫、公団を通じまして、全体の耐火率は前年度の倍になっておりますから、この全体の公営、公庫、公団の住宅を計画的に進めることによりまして、一方、今回の処置とあわせて従来の耐火建築に対する施策から絶対に後退をすることはなく、むしろ一段と進めたい心持で対処をいたしておるような次第であります。以上であります。
   〔石井桂君発言の許可を求む〕
○議長(河井彌八君) 石井桂君。
○石井桂君 再質問よろしゅうございますか。
○議長(河井彌八君) どうぞ。石井桂君。
   〔石井桂君登壇、拍手〕
○石井桂君 私は、ただいまの建設大臣の御答弁は、私の意見と違うところもございますが、はなはだ良心的であります点を非常に満足に思います。ただ建設大臣と大蔵大臣とお二人そろいもそろって第二番目にお伺いしたことの御答弁が、まるで違っておる。私は五十七億円の融資のお金が確保できるかどうかということを聞いたんじゃありません。つまり借手を貸手の話がうまく、契約がうまくいきますかどうですかという見込みを聞いたんで、お金は大蔵大臣がよく知っておるから、そんなことは心配しないわけです。お金を用意したものが、借りたい人はうんといるけれども、銀行は貸さない、また銀行の方でも気に入らぬ、あるいは借手の方でも気に入らぬということで、お金はあっても、破談になってしまう例が多いのじゃないか。五十七億のつまり契約が確保されるかどうかということをお聞きしたのですが、お二人とも大臣がお間違いになりましたから、もう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
○国務大臣(一萬田尚登君) お答え申し上げます。
 御質疑の点をはっきりいたしませんで、大へん相済まなく思っております。御質疑の点は私どももなるほどと考えるのでありますが、この保険制度を十分活用いたしまして、なお十分な指導も与えて、この契約が十分確保されるようにいたしたいと考えているわけであります。
   〔国務大臣竹山祐太郎君登壇〕
○国務大臣(竹山祐太郎君) 大へん申しわけありませんでしたが、実は私、今までいろいろな方面との話し合いの感じから申しますならば、この程度の額は当然消化ができるものだ、むしろこれは最初の計画でありまして、これをもとにいたしまして漸次拡大をいたして参りたいという気持でおりますので、御心配の点についてついうっかりいたしましてまことに相済みませんが、しかしおっしゃられる通り、問題は現実の金の貸し借りの問題でありますから、理窟で参らぬと思いますが、しかしこれは御注意の点をよく注意をいたしまして、実施の上、いろいろな契約を取りかわす方式等の場合におきまして、ほんとうによく利用できますように努力をいたしたいと考えております。
○議長(河井彌八君) 近藤信一君。
   〔近藤信一君登壇、拍手〕
○近藤信一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました住宅融資保険法案について、関係各大臣に対して若干の質問をいたすものであります。
 鳩山内閣が今次衆議院選挙に際して国民に対しての重要な公約の一つとして、初年度住宅四十二万戸の建設があります。私どもといたしましても、今日住宅に悩んでいる国民のために一日も早く住宅難を解消しまして、文化的な生活のできることを望んでいる次第でございます。そういう視点から私はこの住宅四十二万戸建設の公約を非常に喜んでいた一人でもあります。ところがこの四十二万戸の住宅建設案の内容を見まして、まことにがっかりしたのであります。このことは私だけでなく、住宅に悩んでいる国民は四十二万戸という大きな公約を期待し、今年こそは住宅難が解決されるであろうと考えておりましたので、がっかりしたというよりも、国民を愚弄するものとして義憤を持っている次第でございます。政府は四十二万戸の数字を合わせるために非常に苦労をなさって、公営住宅や公庫住宅の坪数を六坪や八坪に切り下げたり、政府資金の切り下げをされたりしてまるでマッチ箱のような家を建てられるのでありますが、わずかに六坪や八坪の狭小住宅を建設されて、新婚家庭や母子住宅にされる計画ですが、新婚家庭必ずしも二人ということではありません。やがては二人が三人になり、四人となってふえていくことは当然であります。また母子住宅も必ず二人ときまっているものでもありません。昨晩の夕刊にも、狭小住宅の悲劇が出ておりました。横浜で六畳間一間にたくさんの人が生活しており、二才になる幼女が生後一カ月余りの赤ん坊を窒息死させてしまうという悲劇がありました。これは一例にすぎませんが、こうした事実から見ましても、狭小住宅がいかに不適当であるかが十分にうかがい知れるのであります。今日でも過密居住だと非難を受けておるのに、さらにこれに拍車をかけるような狭小住宅の建設をなぜされたのでありますか。
 いま一つ不可解なことは、今年新たに増改築分が三万戸予定されております。本来私ども日本人の考え方で言いますならば、二戸ということは独立家屋をいうのであって、一間ふやしたから、または修繕をしたからといって、これを一戸に計算することは、インチキもはなはだしいものだと断定せざるを得ないのであります。さらに、民間自力による二十三万戸の建設と一万五千戸の増改築の分まで、政府は公約の中に入れて計算しておりますが、これまた国民を愚弄するものであります。政府は何ゆえに公約されたときに増改築の四万五千戸を含むと発表しなかったのでございましょう。国民が受けた印象は、四十二万戸全部が政府資金によって建てられるものというふうに受け取っておったのであります。従って選挙のときには、政府もまたそのように宣伝されたのでありますから、国民がかように考えるのも当然だと思います。政府は選挙に勝って、初めて民間自力による住宅建設を表面に出され、それまではひた隠しに隠していたのでありますから、国民からインチキなものだと言われても、二の句がつげぬことと思います。
 このように、政府は四十二万戸建設を公約した以上、何とか数字だけのつじつまを合わせなければならないので、このような方法を考えられたのか。数字を合わせるためなら、どのような手段をとってもかまわないと考えておられるのか。また、本年度中に、公約されました四十二万戸の住宅建設は大丈夫作り得るという自信があるのか。もしできないとすれば、総理はどのような責任をとられるのか。これらの点について明確なる御答弁をお願いいたします。
 第二点といたしまして、総理は過日外国記者団との会見で、防衛分担金の削減をアメリカ側と交渉して、その分を大幅に住宅建設の面に回すと言っておられたのでありますが、今日ではそれが不可能になりまして、住宅建設の面には回すことができなくなったと思われますが、総理自身は最初から無理だと思いながらも、四十二万戸の公約かあるので、大よそ夢みたいな考え方を国民に公約し、現実にそれが不可能となった今日、総理は責任をどう考えておられるのでございましょう。防衛分担金の削減の問題は、最初からだめだと思いながらも、国民にはあたかもできるがごとき印象を与えられた点で、まことに総理の責任は重大であり、かつまた公約違反だと考えますが、これに対して総理はいかに考えておられるか、はっきりと御答弁をお願いいたします。
 次は、大蔵大臣にお尋ねいたします。第一点は、今年度予算編成に当りまして、住宅対策こそ防衛対策であると大みえを切られた初年度四十二万戸の建設を公約し、そのための予算を計上されたことと思います。ところが公庫住宅の融資率を見ますと、木造、耐火構造建築ともに三十年度は二十九年反より一〇%ずつ切り下げられております。これを逆に申し上げますならば、公庫で住宅を建設する国民に、頭金が一〇%ずつふえてきたということになります。そういたしますると、政府の住宅建設の促進という面からいいまして、これははなはだ矛盾していると思いますが、何ゆえにこのような無理をしなければ予算編成ができなかったのでしょうか。また、こうした予算を組まなければならなかった理由は何でございましょうか。
 第二点は、公庫から融資をしてもらって住宅を建設したいと念願する階級は、大部分勤労者階級でありますが、従来頭金が多くて、家を建てようといたしましても、建てられないというのが実情でありました。昨年はやつと頭金が五%少くなったのであります。ところがデフレ下における勤労者階級は、五%頭金が少くなったにもかかわらず、なお頭金ができずに、住宅を建てようにも建てられないというのが現状であります。それなのに今回また一〇%頭金をよけいに出さなければ住宅を建設することができません。これでは住宅困窮者は永遠に住宅を建てることができないのであります。この矛盾を大臣はどのように解決される考えでおられますか。
 第三の点は、住宅公団を設置なさる考えは、政府の住宅四十二万戸建設の公約が、政府資金だけでは非常にむずかしい、また、その見通しもつかないので、住宅公団を設置されまして、地方公共団体にも出資させる、政府は資金のてこ入れを地方にさせまする考えのもとに、住宅公団なるものが設置されると考えますが、政府が政府の責任で公約を果すことができなくなったので、その責任を地方にも分担させようとするのが、この住宅公団法のねらいでなかろうかと思いますが、大臣はこの点どのように考えておられますか。以上三点についてお答えを願います。
 次は、自治庁長官にお尋ねいたします。このたび政府は四十二万戸の住宅建設の公約を果すために、住宅公団法を提案され、住宅公団を設置されるお考えでありますが、この公団法を見ますると、地方公共団体が二〇%の出資をしなければなりません。このことは政府が四十二万戸の公約を実行するために、地方にも責任を負ってもらわねばならぬと考えられたことと思いますが、今日地方公共団体は、どこもかしこも赤字財政で、四苦八苦しておるというのが現状ではなかろうかと思います。そうした財政窮迫の折に当って、政府から公団への出資を押しつけられた場合、一体地方公共団体は公団に出資する資力があるのかどうか。もし出資できるとすれば、どこの地方公共団体にその資力があるのか、この際お聞きいたしたいと思いますから、この点について長官から明確なる御答弁をお願いいたします。
 次に、建設大臣にお尋ねいたします。詳細につきましては、委員会で質問をいたすことにしまして、若干の点についてお尋ねいたします。第一点は、今日の住宅難を解決するための一環として、住宅公団の設立を考えられておられますが、果して住宅公団の設置によって住宅困窮者が解放されるかどうかはまことに疑問があるので、大蔵大臣にもお尋ねいたしたいと思います。今日住宅困窮者世帯の状況を見ましたとき、月収一万六千円未満で、家賃支払い能力八百円から千五百円程度の世帯が三三%あり、月収一万六千円から三万六千円程度で、家賃支払い能力が千五百円から三千円程度が約五七%、それ以上が、約一〇%と推定されております。本来住宅政策というものは、住宅に一番悩んでおる人たちのために政策が立てられるというのが住宅建設の基本政策だと考えます。従って家賃も比較的安くて入りやすい住宅というのが、ほんとうではないでしょうか。ところが住宅公団の計画は住宅困窮者を対象とするのでなく、自力でも住宅が建設できると思われる高給者が対象になっているように思われます。すなわち家賃でいいますなれば、一カ月三千六百円から四千円程度を支払わねばなりません。これでは住宅困窮者にはとうてい手が届かないというのが本質であり、一部特権階級のための公団のように思われてもいたし方ありません。この点大臣はいかに考えておられるのか。第二点といたしまして、住宅公団は政府の出資と地方公共団体の出資によって組織されるのでありますが、地方公共団体で財政窮乏により、できない地方公共団体があると思われます。その地方の処置についてどのようにされるお考えであるか。また公団は主たる事務所を東京に置き、必要な地に従たる事務所を置くことができるとあるが、必要な地とはどこをさして言っているのか。その必要と考える地方公共団体が公団に出資しているといないとにかかわらす、必要の地と認めた場合には、従たる事務所を置くことができるのか。第三の点は、公団管理委員の点であります。公団には五人の管理委員が置かれるわけであるが、この五人の委員は建設大臣が任命されることになっておりまして、そのうち二人の委員については、公団に出資した地方公共団体の長が共同で推薦した者のうちから任命しなければならぬとあるが、地方公共団体の長の意見が食い違って一致点をみなければ、共同推薦することができないのであります。その場合どのような方法で地方からの委員を任命されると考えておられるのか。またどうしても地方からの委員が任命されない場合は、建設大臣の任命として大臣が任命した委員のみで運営するお考えであるのか。もし建設大臣の任命された委員のみで運営する場合は、建設大臣の独裁的運営になるおそれがあると思うのですが、この点どのように考えておられるのか。第四点は、住宅公団法第三十四条に、住宅の建設または宅地の造成計画については、その区域に含む地方公共団体の長の意見を聞かなければならないとあるが、その区域の長の意見が一致をみない場合は、その地域の住宅の建設や宅地の造成計画ができないことになると考えられるが、その場合いかなる方法で住宅の建設や宅地造成をやられるのか。その地域に含む地方公共団体の意見の一致をみない場合、反対する地方公共団体だけを残してその他の地方公共団体の長の意見が一致した場合は、賛成した地方だけに住宅建設や宅地造成をおやりになるのか。その取扱い方についてお尋ねいたします。第五点は、住宅公団に勤務する役職員の給与の問題であります。住宅公団法五十四条に、公団の役職員に対する給与及び退職手当の支給の基準を定め、または変更しようとする場合は建設大臣の承認が必要であるが、住宅公団の役職員の任命権は総裁にあります。給与の点を建設大臣が握っておられるので、もし役職員が給与について交渉する必要が生じた場合、一体どちらを交渉相手としたならばよろしいのか。すなわち任命権を握っておる総裁に給与の交渉をしようと思いましても、その権限がありませんので、給与の点になるとわざわざ建設大臣のもとに行って交渉をしなければなりません。給与問題で交渉しているとき、総裁が任命権を握っているので、総裁が勝手に蕨首するというようなことも発生すると考えられるが、総裁は任命権のみで、任免権はないのか。もし総裁に任免権がないとするならば、一体誰が任免権を握っておられるのか。この点が不明確でありまするから、大臣から、交渉相手が誰で任免権はどなたが握っておられるかなと、以上五点について明確なる御答弁をお願いいたします。
 最後に、労働大臣にお尋ねいたしますが、今回政府から提案されました住宅公団が発足いたしまするならば、当然職員等も多数使われるのでありまするから、公団に職員組合が組織されるものと考えます。その場合公団の職員組合はいかなる性格を持つものであるか。たとえば公社と同じ性格のものであるかどうか。更に団体交渉権並びに争議権はどうなるのか、この一点について御答弁をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 御質問に対しましてお答えをいたします。
 分担金の減額によって住宅を建てたいと思いますということの発表は、形の上において言葉が行き過ぎておることを認めます。しかし実質的に考えますれば許さるべきものと私は考えておるのであります。自衛力の漸増は条約上の義務でありまして、その自衛力の漸増によりまして防衛庁費が増額いたしますれば、住宅の建設はできないのであります。しかるに防衛分担金の減額百七十億を得まして、防衛庁費プラス分担金というものの総領が前年度のワク内にとどまることを得ましたがために、住宅の方に幾分かの金が回るようになったのであります。だからして実質的にいえば、防衛分担金の減額が住宅を生んだということは言えないことはないのであります。
 他の御質問に対しまして、たとえば四十二万戸の建設ができない場合の責任等について御質問がございましたが、私は現在におきましてできるだの努力を費して予定計画の実行をいたし、そうしてそのことは決して不可能なことではないと確信をしておる次第でございます。
 他の御質問につきましては関係大臣から答弁してもらいます。
  [国務大臣竹山祐太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹山祐太郎君) お答えいたします。
 計画につきまして、いろいろ増改築の問題や小さい六坪の住宅についての御意見等もありましたが、先ほども申し上げましたように、増改築においては非常に要求がたくさんありまして、従来もやりたかったりでありますが、その資金がなかったということで、今回この分を増したわけでありまして、もちろん一戸建に越したことはないと思いますけれども、今も例でお話のように、狭小過密の住宅が現実にあることは事実でありまして、これを増していくということは、実際に必要な最小限度においての要求にこたえるものだと考えております。なお六坪の住宅についても、先ほども申し上げましたように、今回の計画では月八百円の家賃でありまして、しかも耐火建築であります。従来の木造は千円であります。そういう意味で、われわれは公営住宅をできるだけ御意見のように、低家賃の住宅を供給するには、公営によらなきゃならないことは申すまでもないのでありますから、この低家賃の公営をできるだけ増すということに最大の努力をいたしますが、しかしこの公営は半額の地方負担を伴うわけでありますから、御意見のようにこれは無制限には広められません。もちろん御質問の社会党の御出張のように、全部を国費でやるならば、これは立場が別でありますから。私たちの立場としては、現在までの半額地方負担という建前の公営を実行をいたしますとすれば、もう百億近い地方負担をこれ以上増すということは、自治庁の立場からいってもなかなか困難でありますから、その意味で、われわれは低家賃の住宅をできるだけ公営でやる半面におきまして、一方、要請をされておる中層のアパートは公団に持っていきまして、先ほども申すように一割程度の地方の負担にいたしまして、これで従来要求をされておった産労住宅を思切いって建てよう。これは頭金の要らない、全額公団の費用で土地代も出して建てて参るわけでありまして、これはお話のように決して高い収入の人をねらっておるのではないのでありまして、従来の公庫及び公営の中で考えられました産労住宅をそのまま公団で頭金なしで作っていこうという点については、私は一つの進歩であると考えておりまして、決してこれが高級アパートを予想をいたしておるものではありません。そういう意味におきまして、今回の公団は、私は公営の一つの形の変ったものであり、資金の根源が違いますから、こういう方法でやるわけでありますから、御心配の点については十分解決をし得ると思っております。
 なお公団の管理委員の問題についていろいろ御心津がありましたが、これは法案の建前からいたしましても、できるだけ地方との関連を考えていくわけでありまして、決して建設大臣が独裁をするなんということは少しも考えておりません。
 またその他の職員の問題につきましても、政府が全額出資をしてやるに近い、大部分の金を政府が出します以上は、この公団の職員の給与の問題等についても、政府が一応のかかりあいを見るということは当然あり得ることで、今の公庫にも近い建前でありますから、決して建設大臣が一々こまかい点まで文句を言う考えはありませんが、この違前をとっておくことは、その他の機関との関連から当然の制度だと考えております。
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
○国務大臣(一萬田尚登君) 住宅金融公庫から一般住宅への融資につきまして一〇%融資率が下りました。これは、この融資を利用する人々の状況から見まして、この融資率を一〇%引き下げることによりまして、資金の効率を高めて、なるべくたくさん家を作るようにという考え方からきております。なお、勤労者が家を作るのに頭金か少しで済んでおったのが、今回は一〇%上ったじゃないか、それで、一方に住宅建設を叫びながら勤労者の住宅建設を不便にするのはおもしろくないと、もっともであるのであります。ただ、今日この申し込みが非常に多く工、競争が非常に激しい結果、頭金が君子高くなりますが、大体負担力の多い人にという状況で、負担力の多い人の範囲で、今、家を建てる競争が非常に激しくて、希望者が多い結果、そういうふうな形になっております。こういうことは、御趣旨もあるように、ほんとうに私も遺憾に思っておりまして、今日のこの財政の苦しいときに建築をする、なるべく早くたくさんの家を作って御利用に供しよう、こういうふうな関係からきておるのでありまして、今後においては十分注意しなくてはならぬと考えております。
 なお、今回の公団について地方公共団体に出資をさせておる。これは地方公共団体に対して責任を重くしておりゃせんか、こういう御質問であると思うのでありますが、この公団には、御承知のように政府も約百億に近いものを出し、それから民間資金も五十二億導入する。それから地方公共団体から十六億ありますが、従来公営住宅に出しておった資金が今回十七億ばかり減少いたしますところから見まして、特に今回負担が加重されるという結果にはならぬようであります。なおこの公団の建てます家は、先ほど建設大臣からお話がありましたように、主として実際上大都市の周辺になると思うのでありまして、従いまして地方公共団体も負担力の強い地方公共団体になると考えておりまして、決して地方に特に負担をかけるというわけではないことを御了承を得たいと存じます。
   〔国務大臣川島正次郎君登壇〕
○国務大臣(川島正次郎君) 住宅建設は、国、地方を通じまして重要な施策でございまして、これまでとも公共事業といたしまして、地方におきまして相当の犠牲を払っておるのでございます。今回公団を作るに際しまして、十六億地方公共団体から出資をいたす計画でございますが、これは地方交付税法によりまして交付金を受けない団体、東京都、大阪、神奈川の三府県、並びに市といたしましては、大阪市、横浜市、川崎市、神戸市、名古屋市並びに北九州の各市など十四市にこれを引き受けてもらう計画を立てております。もっとも建前といたしましては、これは各地方団体の任意でございまするけれども、この程度は引き受け得るものと考えております。
   〔国務大臣西田隆男君登壇〕
○国務大臣(西田隆男君) お答えいたします。
 ただいま提案いたしてありまする法律案の中には、収賄等の刑事罰に関しましては、公務員に準ずるという規定はありますけれども、労働者の労働権に関しましては、何等制限規定を設けておりません。従って労働組合ができました場合においては、労働組合法及び労働関係調整法の適用を受けることになります。
   〔近藤信一君発言の許可を求む〕
○議長(河井彌八君) 近藤信一君。
   〔近藤信一君登壇〕
○近藤信一君 ただいま、鳩山総理の答弁ですが、私がお聞きしましたことは、四十二万戸が今年度建たない場合に、大きな公約の一つに対して現在の政府がどのような責任をとるか、こういうことを私は質問しておるのであります。鳩山総理は、ただいま四十二万戸を建てることは不可能でない、こういうことで答弁されましたが、私は建たない場合の責任をどうするか、公約違反であるが、これをどうするか、こういう点をもう一度御答弁が願いたい。かように思います。
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) お答えをいたします。
 現在は建設可能と思っております。それでもしも建たない場合においては、その際に責任をとるつもりでございます。
○議長(河井彌八君) 田中一君。
   〔田中一君登壇、拍手〕
○田中一君 私は日本社会党第二控室を代表いたしまして、ただいま議題となっております住宅融資保険法案に対しまして、若干の質疑をいたすものでございます。
 鳩山第一次内閣は一萬田大蔵大臣の経済政策の一つとして四十二万戸住宅建設を公約したのでありました。私はこれが単なる総選挙への戦略として言われたものであったといたしましても、戦後十ヵ年を経た今日、おそまきながら、具体的な重要政策として政治の表面に押し出されてきたことに対しましては共感を持ったものでございました。しかしながら今次われわれの前に提案されております三十年度予算の中には、四十二万戸建設への財源措置を見出すことができなかったのであります。これは私ばかりでなく、国民ひとしくふんまんを感じたものと考えられます、自由党吉田内閣の二十九年度予算の中の住宅費に比較してみますと、財源措置として計画されておるものは、戸数において十一万戸の増、財源において四十四億円の増にすぎません、従ってまったく総選挙へのから手形であったのでありました。ことに質においてもバラックともいうべき木造住宅が大幅に増大し、八坪が六坪に切り下げられ、量においても民間自力建設が二十四万五千戸を含まれておる等、ただただ四十二万戸への数字を合わせようとしているだけのことが明瞭に見受けられるのであります。まったく質量ともに不良化した、明らかに公約無視の政策であることを指摘せねばなりません。本法案は現在建設委員会に付託されておりますところの日本住宅公団法案とともに、いわゆる持てる者への住宅供給であり、低額所得者に対しましては高ねの花でございます。住宅金融公庫とともに勤労者を対象としたものではないことは御承知の通りでございます。なお、政府は本法案のほかに民間住宅建設促進のために、国税の面におきまして、貸家を新築した場合も、特別償却の措置をとるとか、立売り業者から買い受ける者の登録税の引下げ、あるいは地方税の面におきましても、固定資産税の軽減等の措置を講じて、新しく家主という資本家群を製造しよという政策を強力に推進しております。これらの立法はことこどく建設資金を持っておる者に対しまするところの措置でございまして、住宅困窮者の住宅困窮度は、この二つの法案かでき上るとともに、ますますこの困窮度を加えてくるものと断ぜざるを得ないのでございます。
 私はここに上程されました本法案につきまして、関係法案とも関連いたしまして次の九つの点につきまして質疑をいたすものでございます。
 第一の問題は、この金融保証によって民間自力建設はどのくらい建設されると想定しておりますか。政府の四十二万戸建設の中身は、二十四万五千戸が民間自力建設となっている。しかるに民間建設は、逐年減少の一途をたどっております。二十九年は先ほど大臣は二十万戸建ったと申しておりますが、はっきりと、約十万戸でございます。かりに増改築未届け分を加えても二十万戸とはならぬものと考えられます。この住宅融資保険法はそのための唯一の措置と考えられておる、そういうものを作るための唯一の措置と考えておるかどうか。三十年度におきまして政府は三億円を保証金として出資し、民間金融機関の住宅融資約五十七億円を想定しておりますけれども、この五十七億円も一件当り五十万円の融資といたしますならば、約一万戸しか住宅が建たないということになります。従いまして、はたしてこのような措置で二十四万五千戸の民間自力建設が実現され得るでございましょうか。これが第一の質問でございます。
 第二は、この法律は、法文のどこを見ましても、住宅に困窮している者に対する金融機関の融資であるということが書かれておりません。一体この政府の金融保証の対象となる住宅及び宅地の需要者というものは、どういうものを考えておりましょうか。法文から推察すれば、住宅の建設あるいは経営を事業とする者、または宅地の造成、分譲事業等を行う電鉄会社、その他の事業会社に対しまして、金融機関が金融事業として行うことになる公算が非常に大きいのでございます。政府は、中小金融機関の救済政策として考えておるものであるかどうか。また政府が債務を保証しようというその究極の目的はどこにあるのか、家を建てるためにあるのかどうか。住宅困窮者に対しますところの施策というならば、なぜ保証の対象となる金融機関の貸付基準を法文にはっきり明示しなかったか。何らの明示なく、ただ事業者でも、たれでも借りられるというような法文になっております。
 第三には、金融機関は、この保険の対象となる貸付に際しましては、どういう物を担保物件として取るつもりであるか、この点も明確に法文化しておりません。
 第四には、金融機関はどのような金利で住宅資金を借りる者に対して金を貸すのでございましょうか。金融機関は保証保険料として、公庫に貸付金の三分、ただいま建設大臣の説明を聞きますと、二分ということになったそうでございますが、二分というものが保険料として支払われます。しかしながら、この二分というものは当然金を借りる者に対して転嫁されるものであってはなりません。かりに金融機関が行うところの国民に対する貸付というものが、金利一割二分であるとするならば、この二分を増しますならば、一割四分の高率となります。今日低金利政策をとっております鳩山内閣といたしましては、大蔵大臣はこの点どうお考えになるか、これが第四の点でございます。
 第五には、住宅金融公庫が保険金を金融機関に支払うために、金融機関として当然貸付金の回収をしなければならない、このように義務づけられてはおりまするけれども、貸付金の二割に相当する分を回収してしまえば、あとは金融機関はその貸した者から何も取り立てないでも、この住宅金融公庫は支払ってくれます。従いまして、金融機関が公庫から保険金をもらったあとは、拱手傍観をして、取り立てをしない場合は、政府はどういうような措置をとるか。それがこの法文に明確化されておりませんが、その場合、国民の税金をもってこの保険の支払いをするのでありますから、これは重大なる使途の不明朗化を招くものではなかろうかと考えます。
 第六には、この法律は先ほど石井議員が指摘したように、耐火建築促進法の実質的改正を行わんとしておる。耐火建築促進法は第十三国会におきまする議員提案でございます。われわれも党内のいろいろの問題を克服いたしまして、この案に賛成したものでございました。しかしながら、たった二カ年間の実績を見ただけで、補助金制度をやめまして、住宅金融公庫の融資制度に変っておる。現在、全国におきまして五十八都市が防火建築帯として指定されて、今日までやっと一割しか事業の緒についたものはございません。にもかかわらず、国の補助金を切りかえて融資にするということは、少くとも立法者であるところの国会議員に対する軽視ではなかろうかと存じます。この点も伺いたい。
 第七には、民間資金の活用についてでございます。政府の住宅政策は、つまるところは民間資金の活用によって建設戸数だけをふやそう、こういうところにねらいがあるものと考えられます。ところが、そのためには民間資金の活用ということは、どういうものを対象に考えられておるか。政府の新たに企図するところの日本住宅公団の本年度の計画の資金は、生命保険及び損害保険、あるいは銀行等々から五十二億の金を借りて、それを唯一の資金として考えられておるように見受けられます。しかもこの民間資金の金利というものは、九分五厘という高率でございます。現在東京都住宅協会が損害保険協会から借りておりますところの融資というものは七分八厘でございます。従って九分五厘対七分八厘の差を考えますと、大蔵大臣または建設大臣は、どのような根拠をもちましてこの九分五厘という金利を承認したか、はなはだいまわしい単なる銀行救済の計画だけではなかろうかと考えられるのでございます。
 第八に、公団の供給する住宅はどういう階層、どういう人を対象にして入居させようとしておるのか。今日住宅を最も必要としている者は、昔の借家人階級でございます。すなわち勤労者であることは申すまでもございません。公団の提供する賃貸アパートは、わずか一割の民間資金を導入することによりまして、家賃は四千二、三百円以上のものとならざるを得ません。この五十二億の民間資金というものは、九分五厘の金利をもちまして、五カ年間に割賦返還をしなければならぬことになっております。従いましてこの四千数百円の家賃を支払い得る階層は、どの階層をさしておりますか。おそらく建設省に就職しておりますところの課長級であっても、四万円あるいは四万五千円の収入があるといたしましても、家族数の大きい場合にはとうていこの家に住めないのが現状でございます。さらに不思議なことは、この公団法でできあがりました家に対しましては四千数百円の家賃を払うのはたった五年でございます。もしこの五カ年間の借入金を返却したあとは、当然二千七、八百円の家賃とならざるを得ません。従いまして、これをそのままの形で四千数百円を永久にとるといたしますならば、その差金二千数百円というものに対する収入はどのように措置されるのでございましょうか。これも第八にお伺いしたい点でございます。全く住宅に困窮しておりますところの国民は、ただ一つ公営住宅に頼るのみでございますが、公営住宅ですら高額収入者以外には家を提供してくれないのが現状でございます。
 第九には、宅地造成についてでございますが、先般住宅金融公庫法を改正いたしまして一二十万坪の宅地造成を計画いたしておりましたのが、昨年辰二十九年の計画でございました。ところが今日になりましても、まだ東京都は一つも宅地造成を発表いたしておりません。これは一体どのような形でどこに宅地を求めようとするのか、この点を最後に明らかにしていただきたいと存じます。
 なお私どもは、本参議院に日本社会党両派共同提案として、国設住宅法並びに日本分譲住宅公社法案を提案いたしております。これらはともに低額所得者を含んだ勤労者大衆への供給であり、賃貸住宅におきましては財源は国が負担して建設し、管理は都道府県知事にゆだね、あらかじめ公募した者の中から住宅に困窮する者で政令で定める月収額以下であるものを登録し、そのうちから住宅の困窮度、同居の親族の負数と住宅の床面積に、通勤、通学の利便を考慮し入居者を選定して、住宅難解決に当ろうという政策を持っております。これは建設大臣御承知の通りでございます。この中には、家賃は入居者の月収と同居親族の月収の合計額の百分の五と、はっきり明文化いたしております。また分譲住宅は、元利とも月二千円程度の割賦金で、鉄筋コンクリート十二坪程度の部屋が二十年間に取得される等の内容を含んでおることは御承知の通りでございます。私はたまたまわが社会党が提案いたしておりますところの二つの住宅法案とこの住宅融資保険法並びに日本住宅公団法と比べますと、あまりにもかけ離れたものであることは慨嘆にたえません。同時にまたこの二つの法案はともに建設委員会の並行審議となっておりますが、少くともわれわれの提案する法案と政府提案というものが、この国会を通じまして、厳正なる国民の批判を受くる日の近からんことを待っております。
 以上、私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣竹山祐太郎君萱垣〕
○国務大臣(竹山祐太郎君) お答えをいたします。
 今回の五十七億の資金でどのくらい家が建つかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、これは直接政府の金で建つ家のように、戸数をはっきり申し上げるということの性質のものではありませんが、先ほど申したように、二十三万戸の自力建設に対しては、従来は何らの施策がなかったのでありますのに比べて、われわれは税制の処置と、この五十七億の金融保証の処置等をあわせて、決して満足だとは申しませんけれども、これでもって今の情勢から見れば、三万戸程度の増加を見込むことは決して無理でないと考えております。
 なお、金融事業、この資金の問題につきましていろいろお話がありましたが、われわれは決して特殊の相手を考えているのではない証拠には、この法案の中に、これを取扱う機関としては信用金庫や労働金庫等をお願いする建前を明確にいたしておりますように、従来の住宅政策を、それらの機関を通じてこの資金を流し、また契約をいたす考えであります。担保は何をするかということも、これは契約の場合において相談をして参りますけれども、常識的な線できまるものと考えております。金利につきましても、これは高いとおっしゃられますが、先ほどお話の中にもありました、従来の保険会社が七分程度の金を貸しておるというのは、全くのつなぎ資金でありまして、政府の金を借りて家を建てる協会が、一時その頭金のつなぎ資金で借りるには、確かにその程度のものも出しているようでありますけれども、今回の資金は、五年以上の長期の資金を公団に出させるわけでありますから、これは普通は一割以上に貸している金を九分五厘にしているので、決して私は安いとは思いませんけれども、これは大蔵大臣の御努力で今後もできるだけ引き下げていこう、こういうことでありますから、実勢に沿っていくので、特別に高過ぎるなどとは考えておりませんし、従来デパート、その他に流れておった保険の会社の資金が住宅に注ぎ込まれてくるということは、私はこれが一つの制度の皮切りとして、こういうことに一般の資金がだんだん向いてくることを希望する意味からいって、政府の圧力でむちゃくちゃに安く金利を押えても、流れ込んでこないと思いますので、これは生きた経済でいくよりほかなかろうと思っております。
 なお、二割の請求等の問題がありましたが、これは実際実行上の問題でありますから、契約その他において御心配のないようにいたしていくことに考えております。
 耐火建築の問題については、先ほどもお答えを申したように、国会の御意思はわれわれは尊重をいたしまして、この法律はそのままを生かして、できるだけ機会のあるごとに、この制度で参りたいと思いますけれども、現在やっておりますのは、御承知のように八分の一政府が実際は補助するといったような、非常に少額の補助金でありまして、同時にこれに同額の地方費負担を伴うものでありまして、もらう方は確かにけっこうでございましょうが、ごくわずかの補助金を地方費負担とともに補助しなければならないという制度で今やりましても、これは地方財政の現状からすれば、なかなか動きません。それよりも、それ以上の、全部にわたっての資金を、むしろこの住宅資金を供給して家を建てる方が効果があると私どもは考えておりますので、これは一方においては、非常の際には補助金制度も生かしつり、一般の原則は、むしろ金融措置でいく方が多額の金で、また住宅を中心とする耐火建築に対しましては、ごくわずかの補助金は、最初の呼び水にはなりましょうけれども、今後多数の耐火建築を作っていこうとする際におきましては、むしろこの方が今の実情に合う。一面には地方財政の現状というものからも考えた次第でございます。
 なお、民間資金の活用につきましていろいろ御意見がありましたが、この点は田中さんの御計画の法案とは全く立場を異にいたしておりまして、全部を政府の金でおやりになろうというお考えに対してわれわれは国家財政の許す限りあらゆる資金をこれに集中いたしまして、一方においては、やはりある程度の家賃は持ってもらうという建前であるから、公営に一番低家賃のところを集中いたし、公団においてはこれに準じて、公庫と公営との間をねらって参ります。
 なお、先ほどのお話の、最初は高い家賃だが、あとは安くなるが、そのあとのもうけはどうするかというようなことは、少し誤解の点があろうと思います。それは公団は、御承知の通り、無利子の政府財政資金と、これに利子のつく運用部資金と、それから民間資金と、及び一部の地方負担と、この四本建で資金が構成をされておりますのは御承知の通でありまして、この点をうまく組み合わせまして、いわゆる政府資金は長いのですから、短い金利の高い民間資金と、無利子の長期の政府資金とを十分織り合わせまして安い家賃、あるいは分譲価格で作っていこうというのでありますから、今お話のように一つ一つを切り離して考えれば、高くつくようにお感じになるのはごもっともでありますが、そこを全体を調整していくところに、公団の制度の妙味をわれわれは考えているのでありますから、決して公団が将来に向ってもうけるなどということは毛頭考えておりませんし、公団は御承知の通り、半分は賃貸にし、半分はこれを産労住宅で分譲いたしていくというような、いろいろな建前をとって参りますが、全体を一括して申せば、この民間資金と政府資金とを合わせまして、一番安い家賃、または分譲価格で、ずっと長い年限にわたってやることが、勤労者の住宅供給のために必要な制度と考えて打ち立てた建前でありますから、御心配のようなことは毛頭いたすつもりはありません。
 それから土地の問題につきましては、お話の通り、現在まで公庫が宅地の金融をいたしては参っておりますが、なかなかこれでは、目に見えたように参りません。そこで公団が今回まず一年百万坪ずつの、政府の資金をこれに直接導入をして、宅地の造成をはかるほか、三十数万坪のいわゆる政府の、国有地の現物提供をしてもらう。これらを宅地化する等の方法を、公団では思い切ってそこにやることを中心の施策にいたしたようなわけでありまして、これと従来の公庫その他の制度とあわせまして、宅地対策を考えている次第であります。(拍手)
   〔国務大臣一萬田尚登君登壇〕
○国務大臣(一萬田尚登君) ただいま建設大臣から詳しく、私から御答弁申し上げるべきところも、ほとんど全部御答弁があったように存じます。(笑声)
 ただ一つだけ、東京都の住宅協会が七分八厘の安い金利で借っておるのに、今度の公団では九分以上の金を出して、金融界の救済といいますか、何らかおもしろくない不明朗なところがあるかのようにお話があったのでありますが、この東京都の住宅協会に借りましたのは、これは金額が一億円でございます。それから期限も一カ年と思っております。そして、これはいろいろな関係から東京都が特に話し込んで、まあ特別な勉強の金利が出ておるのでありまして、これは一般的には取り上げられないのであります。今日、この保険会社の金利は、大体日歩三厩一厘ぐらいが、これが今回は二様六厘程度で借り受ける、こういうふうになっておりまして、決して特に高いというわけでもないのでございまして、私が特に、まあ保険会社その他の金融機関が、こういう大衆の住宅に資金を向けて下さるような気持になったといいますか気持になるということは、これは少し変ですが、大衆の建築に資金を向けるこの考え方は、私は金融機関の一進歩であろうと思うのであります。金融機関としては、やはり商業ベースからいえば、もう少し有利に、かつ安全に、かつ回転率のいい方向に貸す方向はたくさんあると思う。がしかし、大衆のこの住宅に巨額の金を出そうというその考え方は、私はやはり金融機関の近代的な一つの進歩であると、こういうふうに考えておるわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河井彌八君) 長谷部ひろ君。
   〔長谷部ひろ君登壇、拍手〕
○長谷部ひろ君 私は無所属クラブを代表いたしまして、ただいま問題になっております法案の基礎になる住宅政策の基本問題につきまして、そのきわめて重要な点について、二、三鳩山総理大臣と竹山建設大臣に質問申し上げたいと存じますが、質問に先だちまして、先日建設省が私どもに配付いたしました昭和三十年度建設省予算関係資料に基きまして、私どもが検討し、計算いたしましたものを申し上げて、その後にお伺いを申し上げたいと存じます。
 住宅対策は、鳩山内閣の最も重要な公約の一つであり、私どもも深い関心を持っております。四十二万戸の住宅建設の公約は、表面の計画戸数とその内容との間にかなり違いがあるように思います。まず災害住宅を除く公営の一般住宅につきまして計算をいたして見ました。それによりますと、なるほど戸数は二十九年度に比べまして、三十年度は一千三百二十四戸増加しております。しかし建坪数は七万二千三百六十八坪の減少となっておりました。そこで、かりに一戸当り平均十坪の建坪住宅と仮定いたしまして三十年度に減少した建坪数を割って見ますと七千二百三十六戸、戸数が減ることになるのでございます。私が十坪の建坪と仮定いたしましたのは、家族三、四名の生活し得る最低の住宅の建坪ですから、十坪で減った建坪数を割って見ましたら、七千二百三十六戸減っていることになっておりますのに、政府では一千三百二十四戸増加していると言っていらっしゃるのでございます。そこでこの建坪数の減少は、実質的に住宅建設が、内容から見て二十九年度より後退しているとみなさなければならないと存じます。たとえば、簡易アパートの六坪のようなものがふえるのでございます。六坪といえば全くの過密住宅であります。
 さらに具体的に内容を検討いたして見ますと、次のようになります。少し数字が続きますのでお聞きづらいと存じますが、よろしくお願いいたします。公営住宅の一般について見ますと、その建設戸数の総計は、二十九年度四万八千六百七十六一尺三十年度は五万戸ですから、前に申し上げましたように、一千三百二十四戸の増となりますが、総坪数につきましては、二十九年度の五十二万七百六十八坪に対して、三十年度は四十四万七千四百坪、差引七万二千三百六十八坪減ということになるのでございます。さらに一戸当りの建坪数別にこれを見ますと、一般におきましては、建坪十坪の戸数は、前年度に比べまして三百四十九戸減でございます。十二坪の戸数のもの一万一千三百七十二戸減となっております。十五坪のものは百戸減となっております。そして坪数の少い八坪のものだけが五千百戸増ということになっております。第二種が木造八坪、百九十戸減、簡易耐火八坪のものが百二十七戸減、特殊耐火十坪、四十二戸減となっております。簡易アパート六坪のもの八千三百戸と、耐火十坪のものが百四戸増という内容になっておるのでございます。で、これを見ますと、十坪、十二坪、十五坪と比較的大きい坪数のものを減じまして、八坪とか、六坪のものを増加して、総坪数を減じているのでございます。これはまさしく鳩山総理の住宅政策の看板に偽りがあるとどうしても申し上げたくなるのでございます。このように一戸当り八坪とか六坪とかいう小さいものを建てようとしておいでになりますが、もちろん私も今後の住宅は必要以上に大きなものでなく、耐震、耐火の高層建築が理想であることはよく存じております。先ほども近藤議員の申されましたように、小さい住宅は母子世帯とか、新婚者とか、少人数の世帯には向くかも知れませんけれども、これとても永遠に同じ人数の状態とは限りませんし、また低額所得者は必ずしも少家族ではございませんので、狭隘な住宅にかもし出される保健、衛生、教育その他のいろいろな芳ばしくない問題は、住宅政策の精神に反するものと思うのでございます。鳩山内閣が最も大きく公約なさいました住宅対策は、私ども国民が皆一様に最も関心を持ち、非常な期待を持っているのでございます。しかしながら、四十二万戸の建設も内容を検討してみますと、以上申し上げましたように違っているのでございます。
 そこで、次の点を鳩山総理並びに竹山建設大臣にお伺い申し上げたいのでございます。まず第一に、選挙で住宅建設四十二万戸を公約なさいました当時、その内容は、政府が現在実施なさろうとしておいでになります程度のものでございましたでしょうか。あるいはその後事情が変りまして、このような哀れな計画になったのでございましょうか。もし事情が変ったというのでございましたら、どのように変ったのでございますか、それをお伺いしとう存じます。
 第二には、鳩山内閣は国民に最もわかりやすい、そしてまた国民の最も熱望しております住宅対策を初め、各種の公約を発表なさいましたが、政権をおとりになりました現在は、前の吉田内閣とほとんど同じ方向をおとりになりつつあるように思われるのでございます。国民の願いをあれほど正しくおつかみになりました鳩山政府が、なぜその反対の方向をおとりにならなければならないのでございましょうか。これほど国民の願いを知り尽しておいでになりながら、それをもし裏切るようなことがございましたならば、これはまことに罪深いことと存じます。(拍手)政権におつきになりますと、何らか国民以外の圧力が加わるのでございましょうか。私どもはそれがほんとうにお伺いしたいのでございます。
 第三には、過密住宅に対するお考え今後の対策についてお伺い申し上げたいと存じます。
 以上三点を総理大臣と建設大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣鳩山一郎君登壇〕
○国務大臣(鳩山一郎君) 長谷部さんの御質問に対して答弁をいたします。
 公約した当時の考え方と法案を提出いたしましたときと別に変更しておるとは思いません。現実に即した内容を持っておるものと考えております。住宅政策といたしましては、十カ年で解消することを目標としておりまして、国の資金による住宅建設の増大と税制金融上の措置を講じて、民間自力による住宅建設とを併進いたしましてこの住宅政策を実行いたしたいと考えておるのでございます。
 建設大臣から、その他の御質疑に対しては答弁をしてもらいます。(拍手)
   〔国務大臣竹山祐太郎君登壇〕
○国務大臣(竹山祐太郎君) お答えを申し上げますが、計数的に御質問でありますから、私も少し数字について申し上げて、前提を御理解をいただきたいと思います。
 それは、しばしば申し上げますように、今回の住宅対策は、四十二万戸は当初から考えておった案でありまして、その後の事情によって変ったわけではありません。ただ選挙中にいろいろこまかいことを申しましても、これは選挙のためにいろいろただ批判が多くなるだけでありますから、私たちは慎重に計画を立てまして、総選挙後におきまして発表をいたしました通りの計画に予算は計上をいたしております。そこで計画の内容につきまして御批判がありましたが、今回の案は公営住宅と公庫と公団の三本建になっておりますから、公営だけについて御批判をいただいても、御理解をいただくことは困難であろうと思います。主として今御検討下さいましたものは公営でありまして、公営がどういうふうに変ってきたかということを端的に申しますと、御承知の通り、公営は一種と二種ありまして、二種は政府が三分の二負担し、地方公共団体が三分の一負担する最も低家賃のものであります。第一種は二分の一地方が負担をするものでありまして、この第二種は昨年度は九千二百五十五戸でありましたものが、今回は一万七千三百戸に第二種をふやしておりまして、半面第一種の方は三万九千四百二十一戸のものを三万二千七百戸にいたしまして、合わせて五万戸にいたしております点は、われわれは最も低家賃のものを多く作りたいという意味におきまして、第二種に思い切って集中をいたしたわけでありますから、これで国費の負担は決して軽減されておりません。しかもこの二極の中で、御指摘はありましたけれども、先ほども申した通り、従来八坪の家が一番安い家賃の約千円の木造でありまして、これは母子家族その他一番生活困窮者の要求をされるものでありますが、これを今回も七千伍百戸やりますほかに、御指摘のように、六坪の簡易耐火アパートを八千三百戸新たにふやしました点は、決してこれは費用を安上りにするわけではなくて、むしろこの六坪の方が一戸の費用はたくさんかかります。しかし、いわゆる耐久年限の上から言いまして、計算上家賃は八百円でこれは済みますから、今実は御婦人方心ら非常に感謝をされておりますのがこれでありまして、むしろ私はいろいろ御婦人の御要求に沿うべく考えた案と実は考えております。しかして第一種の方で減りましたのは何かと言いますと、一番多く減りましたのは、中層耐火のいわゆる一番進歩いたしましたアパートを思い切って減らしております。これは先ほど来申しておりますように、前年度は八千戸ほどでありましたものを千四百戸に減らしておりますけれども、その半面、これと同じアパートを二万戸公団で全額政府の負担、と言っても、内容は先ほど申したようないろいろな資金を合わせまして、頭金も一文も要求せずに、土地と建設資金を全部公団の負担におきまして二万戸のこの中層アパートを建てるのでありますから、この公営の番進歩したアパートを公団に持って行ったわけでありまして、費用のかかるものを公団で引き受けて、そうして公営全体は今申した通り第二種に重点をおいて、最も低家賃の家を多く供給しようというのが今回の構想の重点の一つでありまして、もちろん立派なアパートをたくさん作りたいという要求と希望に対してはこたえなければなりませんけれども、皆さん方の御要求のように、政府が全部の負担をする建前でない建前から言いますならば、一方においてどうしても安い家賃の家を相当供給するということと、また半面においては耐火のアパートをできるだけ作って行くという二つの相反したといいますか、まるで違った要求をどこで調整するかということが住宅政策の一番むずかしい点でありまして、私はさような意味におきまして、御批判はありましょうけれども、まず今日の事態に対しましては、一番国家の負担する低家賃の公営第二種住宅は思い切って数をふやす、そして一方においては、民間資金を充当いたしまして、耐火の高層アパートを公団によって作っていく、これによって全体の住宅政策のバランスをとりましたのが今回の計画でありますので、御理解をいただきたいと思う次第であります。(拍手)
○議長(河井彌八君) これにて質疑の通告者の発言は、全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
○議長(河井彌八君) 日程第三、婦人の参政権に関する条約の批准について承認を求めるの件
 日程第四、関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定書への署名について承認を求めるの件(いずれも衆議院送付)
 以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。まず委員長の報告を求めます。外務委員長石黒忠篤君。
   〔石黒忠篤君登壇〕
○石黒忠篤君 ただいま議題となりました婦人の参政権に関する条約の批准について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過及び結果を報告いたします。
 政府の説明によりますと、この條約は、国際連合の一九五二年の第七回総会で採択され、一九五四年七月七日に発効したものでありまして、わが国は本年四月一日これに署名いたしました。本条約の内容は、婦人の地位を国際的に高めようとする国際連合の事業の一環として作成せられたものでありまして、婦人に対し、男子と対等の選挙権と被選挙権を保障すること、及び婦人に対し公職就任の機会均等を保障するものでございます。で、わが国としては、本条約の当事国となることによりまして、国際連合の事業に協力をするということができるのみならず、わが国においては、すでに確保されておりまする男子と対等な婦人の参政権を国際的にも確認することとなるという点にかんがみまして、この条約を批准ずることについて承認を求めたい、こういうのが趣旨でございます。条約文の詳細の内容につきましては、お手元の資料で御承知を願います。
 委員会での質疑においては、この条約へ未加入の国及びその未加入の理由、ソ連その他の国のなしたところの留保の意味、本条約の特質というような諸点につきまして、委員から質擬が行われたのでありますが、それに対する政府の答弁の概要を申し述べますと、この条約にすでに署名をした国は四十数カ国で、十九カ国が批准を了し、または加入をいたしております。未加入国は、英、米を初めといたしまして二十数カ国でありますが、その加入しない理由いかんと申すと、英、米は、本条約が定めておるような事柄は、本来、国内問題で、条約事項ではないという立場からであります。またイエーメン等の回教国、または、いわゆる後進国におきましては、男子さえ参政権が与えられておらぬものがあるのであるから、婦人に参政権を認めることができないというような、その国の法制ないしは風俗習慣の相違から署名をしておらぬのである」という答弁でありました。次に、「ソ連初め東欧諸国は、第七条及び第九条に関しまして留保を付しておる。すなわち、第九条は、解釈または適用に関する紛争の解決については、国際司法裁判所に付託をすることを規定しておるのでありますが、これらの国々は、この国際司法裁判所の強制管轄権を受諾しがたいということの理由をもって、第九条に拘束せられないとしております。また第七条については、従来の国際法上の解釈としては、ある国が留保を付する場合においては、他の全締約国との間には条約が成立しないのであるが、本条約におきましては、多くの国の加入を希望したために、特例を設けて留保を行なった国と留保を承認しない国との間においてのみ効力が生じないということにいたした。これに対しまして、ソ連初め東欧諸国は反対したものであります。なお、インドのごときは、第三条の、婦人に公職就任の機会均等を保障する規定に対し、婦人が軍隊に勤務することを除外しておる。これは婦人の肉体的条件からいたしまして、当然のことであって、この種留保をしない国でも、婦人が軍人となることを認めておらぬ国はたくさんあって、かかる留保の必要はないと思われるが、インドの場合は、良心的に考えたものと認められるのであります。なお三条によれば、婦人は何らの差別も受けることなく、男子と同等の条件で国内法で定める公職につき、及び国内法で定めるすべての公務を執行する権利を有するとなっておりますが、この公職、すなわちパブリック・オフィス及び公務、すなわち。パブリック・ファンクションの定義については、国連の総会でも議論が沸騰いたしまして、結局、各国共通の観念を見出すことは不可能であるとして、各国のきめるどころにまかせたというような経緯もある」という説明があったのであります。
 また、「本条約は、その特質についてどういうものであるか」という質問がありましたが、「この条約は、国内法的にはその定めておるところに従わなければならないが、普通の国際条約とは趣きを異にして、宣言的のものであって、道徳的な原則を明らかにしたものである、かかる性質の条約は、第二次世界大戦後、国際連合が生れて、経済及び社会の分野における国際協力を強調するに至ってからの産物である」という答弁がありました。なお、「わが国は婦人の参政権をすでに定めておるが、本条約はわが国に、これに加入することによって、何らかの影響を及ぼすものであるか」という質問に対しまして、「わが国が現在この条約の当事国となること自体によって、新たに国内的に立法措置を要するものではない」という答弁でありました。
 委員会は五月三十一日質疑を終了し、次いで、六月二日に討論に入りましたところ、梶原委員より、「日本国憲法第十四条の規定の範囲に、本条約の内容が包含せられるものである」との了解のもとに、本案に賛成をするという御発言がありました。
 かくして討論を終りまして採決を行いましたところ、本件は、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
 次に、ただいま議題となりました、関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定書への署名について承認を求めるの件につきまして外務委員会における審議の経過と結果を報告申し上げます。
 政府の説明によりますと、わが国は一昨年のガット第八回締約国団会議において採択されました関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する宣言、これはすなわち日本のガット仮加入宣言でありますが、それによりまして事実上ガットに加入したと同様の利益を享受しておるのであります。しかるに、この規定するところによりますと、同宣言はガットヘの正式加入の日、または別段の取りきめがない限り、本年六月三十日に失効するということになっておるのであります。一方本年二月二十一日に、ジュネーブにおいて開始されました、そうして今なお現在続行されておりまする関税交渉会議におきまして、わが国のガットヘの正式加入が討議されておるのでありますが、六月三十日までに必ず正式加入実現の運びに至り得れば、まことにけっこうであるが、必ずできるとは申されないような事情のもとにおきまして、昨年十月よりの第九回締約国団会議において万一、右不可能の場合に備えまして、前記の仮加入宣言の有効期間を延長することと相なり、本件議定書が本年一月三十一日に、賛成二十六、反対なし、棄権五、欠席三という成績をもって採択されたのであります。この議定書は、わが国と仮加入宣言の当事国でこの議定書に署名する国との通商関係を、わが国のガット正式加入、または本年十二月三十一日のいずれかの早い時期まで引き続きガットの規定によりまして規制しようとするものでありまして、わが国はこの議定書に署名することによって、継続してガットに基く利益に均霑することができるわけなのであります。
 しかるにこの議定書が署名のために開放せられておりまする二月一日には、国会は解散中でありましたが、この議定書はもともとわが国の利益のためのものであり、かつその署名を前提として作成されたものであり、なおかつ、時あたかもガット正式加入のための関税交渉を控えておる際であったので、わが国が率先して署名をするということが絶対に必要なものであったために、二月一日政府の責任においてこれに署名をいたし、国会の承認は憲法七十三条のただし書の規定によって、これを事後に求めることといたしたものであります。右のような事情がございまするから、これを了察して本国会において承認を与えられんことを求めた次第であるというのが、政府の説明であります。
 さて、この議定書の内容は、前述の政府説明の通りに、ガット仮加入宣言の効力を、暫定的に延長することを目的としたものでありましてその詳細はすでにお手元に配付されておる資料によって御承知と存じますので、ここには述べません。
 委員会は、本件について二回開会いたしまして審議を行いました。本件議定書そのものは簡単でありますが、これに連関しましては、たくさんの重要問題がありました。わが国のガット加入の見通しいかん。加入に伴う利害、また、わが国が関税および貿易政策においてどういう根本的方針を持っておるかということ、ないし目下ジュネーブで行われておる関税交渉に触れまして、各委員からの熱心なる質疑が行われたのであります。主要なものを申し上げますと、まず、「本件議定書採択に当って棄権している五カ国、及びその棄権の理由はどうであるか」ということの質問に対しまして、「棄権した国は、英本国、オーストラリア、南ローデシア、南ア連邦、並びにチェコスロバキアである。英本国及び英連邦諸国の棄権は、国内業者の反対を反映するものと推測される。チェコの場合の理由は、政治的のものであるように思われる」という答弁がありました。次に、「本年二月から開始された関税交渉の経過、並びに日本の正式加入をいたし得る時期の見通しいかん」という質問に対しましては、「関税交渉中の国は、米国、カナダ等十五カ国にわたっておるが、正式加入のためには、締約国三十四カ国の三分の二以上、すなわち二十三ヵ国以上が加入議定書に署名せねばならないのであるが、関税交渉に今参加している国は十五カ国であるから、まだ参加していない国の中でオーストラリア、フィンランド、ギリシャ、トルコ、インド、ブラジル、チェコの七カ国は、日本の加入を支持する旨を表示しているので、残る一ヵ国を獲得すべく、主としてベネルックス三国に対して交渉を進めておる。しかしオランダは政治的理由で難色を示している。」なお、関税交渉は十五カ国に対して並行して行われておる。すなわち、一つの品目について税率の引き下げが討議せられる際には、その品目の重要輸出国は、すべてこれに関与する仕組みである。たとえばアメリカに対する日本の輸出品である玩具の関税税率引き下げの交渉の結果は、同じく玩具を輸出しておる国のドイツ等の諸国にも影響が及ぶから、従って交渉には参加させて、技術的に詳細な討議がなされるので、すこぶる面倒で時間がかかるが、しかし非常な努力をもってこれに当っておるので、六月上旬には交渉のめどがつき得るのではないかと思われるようになって参ったということであります。正式加入の手続きとしては、交渉が終了すると加入議定書が作成されて、これに締約国の署名を求めるために一定の期間開放される、そして二十三ヵ国以上が署名をしたときに有効となる、「ただいまのところでは、この時期を九月上旬と見込んでおる」との答弁でありました。次に、「英国及びフランスとは関税交渉を行なっておるのか、それとも別途に関税について話し合いが行われておるのか、また加入議定書に署名するように交渉をしておるのか」という質問に対しまして、「英国は関税交渉には応じないが、ガット第三十五条の規定を援用して、日本加入を支持する態度を示している。フランスは三十五条の援用加入を認める態度をも示しておらない。英国とは最近通商条約締結の機運に進んでいるので、日本としては通商交渉の過程で根本問題の解決をはかった上、ガットのワク内に持っていくことを適当と考えている。フランスについては通商条約を結ぶ話は進んでおらないが、やはり通商条約から入っていくのがよいと考えておる」という答弁でありました。
 次に、「ガット加入は、日本の経済自立ないし国際収支とどれほど関係があるか」という質問に対しまして、「現在、関税について最恵国待遇を与えている国との関係においては、加入後格別の変化は起らないと思われるが、日本の貿易上、アメリカ関係が非常に重要な地位を占めているので、交渉の結果、わが国の主用輸出品に対するアメリカの税率が引き下げられることともなれば、アメリカから受けるところはきわめて多く、この点は実質的に大きな利益となると考える」との答弁でありました。「日本は今、関税自主権を持っていると言えるか、日本のガット加入に反対する国に対して、自由に高い関税を課することができるか。」こういう質問に対しまして、「日本は関税自主権を持っておる、また関税法及び関税定率法に基いて、差別待遇をなす国に対して複関税、または報復関税を課すことができる。もっとも協定税率は、これら特別税率に関する定率法いかんにかかわらず、従前通り適用されるのである。また報復的関税を課する問題は、実行上は慎重に検討する必要がある。たとえば対日平和条約によって、日本は明年四月までは相手国に対して双務的ではあるが、最恵国待遇を与えることを義務づけられているのであって、また特別税率を課する輸出品目の実態についても、とくと考えをする必要があって、報復的関税の実施はなかなかむずかしい点を伴うのであるが、原則的に言えばできるということになるのだ」という答弁がありました。
 次に、「イギリスが日本と最恵国待遇を含む条約を締結することをしぶっておる理由の一つには、意匠盗用の問題等があるようであるが、先方から繊維品についての苦情が来ていると聞いているが、実情はどうか」、という質問に対して、「意匠盗用の問題等は、日本側にだけ非があるのではないが、先方が日本の実情に通じていないことから起るのが最大の原因だと思われる。しかし最近は実情調査に人が参ったので、その結果を期待をしておる。現に陶器のごときは、非常によい解決に向いつつある」というような答弁がありまして、「英国と通商条約を締結するためには、条約の規定自体、あるいは附属議定書等に、商標権、意匠権の保護のための規定を入れることが必要になるように思われる」という答弁でありました。そのほか米国上院におきまするクーパー法案に対しまするいわゆるジョージ案に関しましたり、また第九回締約国団の会議で議せられたガット規定の改正問題如何というようなこと、また、これらに対するわが国の意見、日本の行なっておるリンク制等の輸出助長政策に関しまする締約国団の意向はいかがであるかというような質疑応答が行われたのでありますが、詳細は会議録で御承知を願いたいと思います。
 委員会は、六月二日質疑を了しまして、討論に入りましたところ、小満委員より、「本件には賛成をするが、ガット加入の見通し及び加入することによってわが国はいかなる利益を得るかの点についての政府の説明は不十分であることが不満である。しかしジュネーブにおいてわが国代表団が極力努力しておることでもあり、成果をあげるように外務省は十分努力すべきものであるという希望条件を付して賛成をする」との意見を述べられました。
 次いで採決を行いましたるところ、本件は、全会一致をもって承認すべきものと議決いたした次第であります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。
 まず婦人の参政権に関する条約の批准について承認を求めるの件、全部を問題に供します。委員長報告の通り、本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
○議長(河井彌八君) 次に、関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定書への署名について承認を求めるの件、全部を問題に供します。委員長報告の通り本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よって本件は、承認することに快しました。
     ―――――・―――――
○議長(河井彌八君) 日程第五、船舶積量測度法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず委員長の報告を求めます。運輸委員長加藤シヅエ君。
   〔加藤シヅエ君登壇、拍手〕
○加藤シヅエ君 ただいま議題となりました船舶積量測度法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
 船舶積量測度法は船舶の積量を定める基礎法でありまして、この改正案の内容を簡単に申し上げますと、舶用機関の技術的発達による舶用機関の小型化に伴いまして、船舶の機関室の積量と船舶の総積量との割合が百分の十三以下の船舶が著しく増加して参っておりますが、現行法におけるこの種船舶についての純積量の算定方法の定めが、より大型の機関の船舶、すなわち前述の割合を超える船舶の場合に比し、著しく均衡を失しておりまして、その結果順税、つまり船舶のトン数に応じてかける税金の賦課等の場合におきまして、不公平な結果になっておりますので、かかる船舶についての純積量の算定方法を均衡のとれたものに改めようとすることでございます。
 質疑の過程におきまして明らかにされたおもな事柄を申し上げますと、その一は、英国ではこの改正案と同様な改正について、すでに関係国政府の同意を受け、昨年七月より実施しており、その他の諸外国においても、同様の趣旨の法律改正を取り運び中であること。その二は、わが国がこの改正を実施しても、船舶の積量測度方法については、関係諸国との間に互認協定を結んでいるから不都合は生じないということ。その三は、この改正案によると、日本船から徴収する噸税収入は年間約二百五十万円減少するが、日本船舶が外国に支払う順税は約千四百五十万円減少する見込みであることなどでございます。
 討論省略の上、採決に入りましたところ、本法案は原案通り可決すべきものと全会一致をもって決定いたした次第でございます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
○議長(河井彌八君) 日程第六、競馬法の一部を改正する法律案(農林水産委員長提出)を議題といたします。
 まず提出者の趣旨説明を求めます。農林水産委員長江田三郎君。
   〔江田三郎君登壇、拍手〕
○江田三郎君 ただいま議題となりました農林水産委員会の提出にかかる競馬法の一部を改正する法律案について提案の理由を説明いたします。
 御承知のように競馬施行者は、勝馬投票券を発売し、その収益によって畜産の振興、民間の社会福祉事業の振興または地方財政等に寄与することになっているのでありますが、最近主として地方競馬を対象として、勝馬投票券の購入の取次を業とする者が増加し、その営業所数は、全国を通じて千数百カ所に上り、取扱い金額は数十億円に達していると推定されております。これら馬券取次業者の多くは、単なる取次の名において、いわゆる、のみ行為を行なっておりまして競馬の健全な施行を阻害するのみならず、社会公安上からも閑却できない状態にあると思われるのであります。この点につきましては、現行競馬法に、勝馬投票類似の行為をさせて利をはかった者に対する罰則規定がありますが、単なる取次行為の名のもとに、投票類似行為を行う場合には、その立証がきわめて困難なため、取締力の実効が上らない実情であります。かような事情は、かつて競馬と同種の競技である競輪においても見られ、車券取次業者の弊害、はなはだしいものがありましたが、昭和二十七年六月議員立法によって、これが禁止措置がとられ、さらにこれにならって、小型自動車競走及びモーターボート競走についても同様な措置がとられましたが、ひとり競馬だけは今日まで放置されておりましたため、ここにいわゆるのみ行為の不正行為が集中してきたのであります。ここにかんがみ、競馬に対しても、競輪等にとられたと同様な法的措置を講ずるため、この法律案を提出した次第であります。しかして、本法案の内容は、すでに自転車競技法においてとられたと同様、現行競馬法に「業として勝馬投票券の購入の委託を受け、又は財産上の利益を図る目的をもって不特定多数の者から勝馬投票券の購入の委託を受けた者」に対する罰則規定を設け、これによって勝馬投票券の購入の取次に伴う、いわゆるのみ屋等の不正及び弊害を防止しようとするものであります。
 以上がこの法律案を提出するに至りました理由及びその内容でありますが、農林水産委員会におきましては、慎重検討の結果、右は当面きわめて重要な措置であると考えまして、委員会の総意をもって提出することに決定したものであります。
 何とぞ御可決あらんことをお願いいたします。(拍手)
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。
 本日の議事日程は、これにて終了いたしました。
 次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した案件
 議員の請願
 一、日程第一 国防会議の構成等に関する法律案(趣旨説明)
 一、日程第二 住宅融資保険法案(趣旨説明)
 一、日程第三 婦人の参政権に関する条約の批准について承認を求めるの件
 一、日程第四 関税及び貿易に関する一般協定のある締約国と日本国との通商関係の規制に関する千九百五十三年十月二十四日の宣言の有効期間を延長するための議定書への署名について承認を求めるの件
 一、日程第五 船舶積量測度法の一部を改正する法律案
 一、日程第六 競馬法の一部を改正する法律案