第024回国会 法務委員会 第13号
昭和三十一年四月十日(火曜日)
   午前十一時三十三分開会
    ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     高田なほ子君
   理事
           井上 清一君
           一松 定吉君
           亀田 得治君
           宮城タマヨ君
   委員
           西郷吉之助君
           赤松 常子君
           小林 亦治君
           中山 福藏君
  政府委員
   調達庁労務部長 海老塚政治君
   法務政務次官  松原 一彦君
   法務大臣官房経
   理部長     竹内 壽平君
   法務省刑事局長
   事務代理    長戸 寛美君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○本委員会の運営に関する件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 の件
 (京都市における傷害致死事件に関
 する件)
 (山形県における検察官の不当行為
 に関する件)
 (板付基地勤務者の人権擁護及び裁
 判管轄権に関する件)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
○委員長(高田なほ子君) ただいまより委員会を開会いたします。
 本日の委員長及び理事打合会の経過について御報告をいたします。本日の打ち合せ事項は八項目に及んでおります。一つは家事審判法の一部を改正する法律案の取扱い、第二、検事総長出席要求の件、第三、派遣委員報告の件、第四、刑法等の一部を改正する法律案の取扱い、第五、幼児誘拐等処罰法案の取扱い、第六、能代市等の大火の原因究明のための調査方法、第七、接収不動産に関する件、第八、板付基地の経過、こういう八つの問題を打ち合せたわけです。
 家事審判法の一部を改正する法律案については次回までにお互いに検討し、結論を出して方向をきめていこう、こういうことであります。
 それから第二番目の検事総長出席要求の件は、御承知でありましょうが、京都地検で起った起訴取り消しの問題ですが、きょうは当局者から総体の説明を聞き、その後さらに理事会において取扱いを細部にわたってきめていこう、こういうわけです。
 それから第三番目の委員、派遣報告の件は大阪拘置所移転にからむ派遣委員の報告を本日行うわけです。
 それから死刑廃止法案の取扱いについては公聴会を二日間にわたって開く、人選その他の問題については理事会で最終的の相談をまとめる、そういうわけです。
 幼児誘拐等処罰法案の、取扱いについては質疑を続行して採決していく。
 それから第六番目の能代市等の大火の原因究明のための調査方法でありますが、これは単に能代市だけではなく、一般の火災の原因を十分探求していこう、全国的な問題を含めてのことでありまして、消防庁それから検察庁、警察等から本件についていろいろと御意見を聞き、また研究の方法もさらにそれが済んでから細部にわたって御相談する、こういうことであります。
 それから接収不動産の問題については今週中に大体意見書が出るので四月末日までをめどとして採決をする、こういうわけです。
 板付基地の経過の問題については前回の委員会の後に起っておる経過もあるようですから、調速庁からその後の説明を聞く、こういうことになっております。
 従って本日の委員会は第一番目に京都地検の起訴取り消しの問題、それからその次に大阪拘置所の派遣委員の報告、それから外国人の登録は、きょうは公報に出ておりますが、質問者の羽仁さんがきょう御出席になっておりませんので、きょうこれは取りやめて、板付基地から運んでいく、こういうことになっておりますので御了承をお願いいたしたいと思います。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(高田なほ子君) 速記を始めて。
 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題に供します。
 京都地方検察庁が傷害致死事件について容疑者をあやまって起訴したという事件について、当局から御説明をお願いいたしたいと思います。
○政府委員(長戸寛美君) 昨日の朝刊紙に、ただいまお話のような報道記事がありましたので、本省といたしましてはさっそく京都地検に照会いたしたのでありますが、それによりますると、昨年四月十日午後十時半ころに京都市上京区仁和寺街道七本松西入ルの道路上におきまして、道路上を木下治、当時二十才でありますが、通行中、宗と申しますか、それから山田、山本、浜田、この四少年とけんかをしまして、四名は共同して木下をなぐりつけ、木下がその場から西の方約九十五メートル走り逃げたのを追いかけまして、なおも共同して暴行を加えた。その木下は刃物で突き刺されましてその場から病院に運ばれたのでありますが、間もなく死亡した、こういう事件が起きたのであります。
 当時木下は兄とともに付近の遊廓内をひやかして歩いていたのでありますが、右四名とも知り合い関係はなかったようであります。そこで四月十一日――事件の翌日でありますが、京都西陣出におきましてその四名を緊急逮捕いたしまして取り調べを行い、それがすべて少年でありますために、家庭裁判所に送致いたし、同裁判所から刑事処分に付する旨のいわゆる逆送を受けた後に、昨年六月三日京都地方裁判所に対しまして、暴力行為等処罰に関する法律違反及び傷害致死罪によって公判請求をいたしたのであります。
 そのほかにも宗という少年は十数件に及ぶ暴力行為等処罰に関する法律違反と窃盗罪、それから山田につきましては、数十件の窃盗罪、山本につきましては無免許運転というふうな事実もあったようであります。その後十回にわたる公判を重ねて参ったのでありますが、本月四日真犯人と目される佐藤久夫――久しい夫と書きますが――二十五になる者が地検に出頭して供述をいたしておるのであります。この佐藤の言うところによりますると、被害者が、まず今度自首して出た佐藤久夫と路上でけんかをいたしまして、仲裁に入る者があって二人は一応けんかをやめて、別々に反対方向に歩き出したのであります。ところがその直後に問題の四名が被害者と口論をして、共同して被害者に暴行を加えた。被害者は佐藤久夫の歩いて行った方にまあ逃げて行ったわけであります。そこで佐藤は、再び被害者が自分にかかってくるものと思って、刃物を振って立ち向った際に、被害者に傷害を与え、そうしてその結果死亡したと、こういうふうになるようであります。
 その場は非常に暗い路上であったらしいのでありますが、そこへ被害者を追いかけてきた四名がさらに共同して被害者をなぐりつけた、つまり佐藤という者が被害者を刺した、そこへ四名が追っかけてきてなぐりつけたということであります。結局その四名のみが初めはっきりいたしておりまして、最初の佐藤という者が捜査の初めの段階においては明らかになっておらなかった、こういうことになるわけであります。
 そこでこの佐藤が自首して参りましたので、京都地検といしましては、さらにその佐藤を取り調べ、四名との関係その他をよく調べまして、この佐藤という者が真犯人であるということがはっきりいたしますれば、先の四名に対する傷害致死につきましては公訴、取り消しということで、佐藤についてあらためて起訴するという問題が起ろうかと思うのであります。この捜査の経過から申しますと、被害者の木下という者を宗初め四少年が共同して二カ所で殴打暴行したといううふな事実は、四名とも認めておったのでありますが、宗を除きまして三名は刃物をもって被害者に切りつけた傷害致死の事実については終始否認している。で、宗は逮捕後警察署に対し一回ジャックナイフで木下を突き刺した事実を認めているのであります。その後の取調べにあたりましては、否認をしている。宗が当時ジャックナイフを所持しておった事実は、他の三名の者もこれを認めているのでありますが、数度の捜索にもかかわらず、このジャックナイは押収されるに至らなかった、こういうふうなことでありますので、諸般の事情から、京都地検といたしましては、凶器のないまま四名の少年に対して傷害致死の事実をもって起訴いたしたのであります。ところが先ほども申しましたように、佐藤久夫はこの本年二月十七日付の京都新聞によりまして、この四少年の公判のことを知りまして、悩んでおりますうち、三月二十日この前も問題になりました映画「真昼の暗黒」を見たことから自首する決意を固めまして、たまたま自分の姉の夫が谷口弁護士の事務所の事務員をしている、こういうような関係から、四月四日に谷口弁護士につき添われまして、地検に自首するに至った、こういううふうな次第であります。なお佐藤久夫は自首に際しまして、被疑者を切りつけたという凶器、血のついた当時の着用の靴、ズボン等の衣類を持参いたしまして任意提出しているのであります。京都地検といたしましては、これらのいわゆる証拠品、本人の供述等を参酌して、今後の措置をとりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
○委員長(高田なほ子君) ただいまの御説明について御質疑がある方は御発言願います。
○亀田得治君 若干お聞きしておきたいと思うのですが、この宗という少年以外は、本件犯行は全部ずっと否認しているということですが、この宗少年は公判廷においてはどういう態度をとっているのか、おわかりでしたら……。
○政府委員(長戸寛美君) 本日までに本省に参りました報告では、警察において自白したのみ、こういうふうになっております。
○亀田得治君 そうすると、公判廷においては警察の自白をその通り維持しているかどうか、これはわからないですかまだ……。
○政府委員(長戸寛美君) おそらくは否認しているかと思いますが、なおその点は今後調べてお答えしたいと思います。
○亀田得治君 それからこの四人の少年は現在もずっと拘束を続けておるわけでしょうか。
○政府委員(長戸寛美君) 浜田少年は昨年の六月八日、山田少年は昨年の六月十日、宗少年と山本少年でございますか、これは十月二十二日保釈出所いたしております。――ちょっと訂正いたします。六月十日の保釈出所いたしましたのは山本の方かもしれまん。それから十月二十二日が宗と山田であろうと思います。
○亀田得治君 全部出ておるわけですね。
○政府委員(長戸寛美君) はい。
○亀田得治君 この四人の少年並びに木下等は全部お酒等でも飲んでいたわけですか。そういったようなこまかい点はまだわかっておりませんか。
○政府委員(長戸寛美君) 事件のあったのは飲み屋の前でけんかが始まったようでございますが、当時四少年が飲酒していたかどうかはいまだ報告では明らかでありません。
○亀田得治君 大体以上でこの事情はわかりましたが、そこで若干私新聞の記事等を見て、非常に検察上の問題として重要だと思われる点二、三感じましたので一応御意見を聞いてみたいと思うのです。おそらくこの事件は結局は直接この問題にタッチした検事なりあるいは警察官なり、そういう人の直接の陳述を聞かなければ決定的な私どもの質疑追及もできないかと思うのですが、一応今まで現われた段階で、一つ法務当局の意見をここで若干聞いておきたい。
 その第一点は、本件ではこの物的な証拠がおっしゃったようにない、四人のうち三人までが否認しておる、しかもその自白をしたという一人の少年ですね、その自白も警察における自白であって、果して公判廷でその通りしゃべっているかどうかわからない。そういう点だけを聞きましても、これはずいぶん思い切った起訴をしたものだということを私感ずるのですが、その中でただ一つ検察側の根拠になったと思われる宗少年の自白ですね、その自白というものが新聞等の報ずるところによると、逮捕されて九日目ですね、期間が切れる直前、そういう時期になってようやく出てきた自白だ、こういうことが報道されておるのです。で当然私はこれは非常に無理な調べ、拷問というものがあったに違いないと、こう考えるのですが、この点はどういうようにあなたの方では見ておられますか。
○政府委員(長戸寛美君) 早々の間でございましたので、とりあえず電話、電信で照会いたしまして、先ほどお話申し上げましたような御報告をいたしたわけでございますが、さらに私どもとしましては調査いたしまして、詳しい御報告を申し上げたいと思っております。御存じのように少年事件は一応家裁送致ということをいたします。家裁において審理の上、刑事処分相当のものとして逆送され、その逆送によって初めて起訴する。おそらくこれは当時の血液、血痕、もし佐藤の言うところが正しいといたしますれば、刺した後に四人がそれにかかってやったというようなことから、血液、血痕がやはりその衣服についておったろうと思うのでありますが、そういうような血液検査をした上で起訴というふうに至ったものと思うのであります、従いまして捜査の過程において行き過ぎがあったかどうかという点については、さらに調査の上お答えをいたしたい、かように考える次第でございます。
○亀田得治君 こういうことはもちろん十分な調査の上、正確なお答えを願わなければならぬわけですが、ともかくよくあることですが、相当拷問らしい事実があった、こういうことが出てきても、拷問をした当の諸君というものは、これはなかなか拷問をしたといったようなことを言うわけがない、いつも……。けさの読売新聞等を見ても、この取調べに当った諸君は、いずれも拷問の事実を否定している、こういうことが書いてある。ただ私が聞きたいのは、そういう拷問の事実があったかなかったかということは、これはいずれば拷問されたその人をここに来てもらって聞いてみれば一番早くわかるわけなんです。だからそういう点は別として、この事件の全貌から見て、全部が否認している、しかもこの宗だけがその拘留の逮捕の期間が満了する前日、そのときに初めて一言だけ言う。それまで否認しているのですよ、宗自身も……。だからこれは私は拷問か非常に悪質な誘導かどっちかでなければ、こんなことを、自分のせぬことを言うはすがない。そういう事実がなかったということは現在では明らかになっているのですから……。そういう立場で、法務当局自身としては、これは非常に大きなミスだという考えでこの報告を求め、調査をされるのと、いやそんなことはあるまいというので調査をするのとせぬでは、これは非常に違ってくるのです。そこで私はあなたの方ではこういう今わかっている範囲のことでも、一体拷問や不当な取調べ、こういう点についてどういうふうに見当をつけておられるか、これを聞いているのですが、非常に大事なことですからね、心がまえとして。
○政府委員(長戸寛美君) われわれといたしまして、いずれにしましても真犯人があとから出たということは、その捜査がいかようにありましても、これはミスであるというふうに考えるわけでございます。そういうふうな真犯人が出たような事件につきまして、どうしてそのようなことが起ったかというふうなことは、一件々々徹底的に究明する態度をとっております。従いまして本件につきましても、なぜこのようなあやまちをしたかというふうな点を徹底的に調査いたしまして処理したい、こういうふうに奪えているわけでございます。
○亀田得治君 私がお聞きしているのは、そういう慎重にお調べなさることはけっこうなんですが、端的に聞きたいのは、これはどうも拷問があったのだというふうににらんでおられるのかどうか。私は普通の事件ならそんな無理なことは開きませんよ。検察官の上に立っておられるあなた方たちに対して……。私はむしろ検事下総長に実はきょうは来てもらって、端的にその心境を聞きたいと思っていた。そういう気持なり見当というものを持っておられるかおられぬか。持っておられるならばおられるとはっきり言ってもらいたい。もしあなたの方で全然そういうことは考えておられない、こういう事案について……ということだと、私どもとしてはそれはちょっと常識に反すると思うのです。そういう考えで検事なりあるいは警察官というものを善意に見ておられちゃ、これは大へんですから、そういう意味で聞いておるのです。拷問があったというふうに若干でもあなたの方で見込みを付けておられるのかどうか。その点を一つ率直にお答え願いたい。
○政府委員(長戸寛美君) 私は拷問というふうなことがあっては大へんでありますし、これはもちろん言うまでもないことでありますが、ただ捜査の経過におきまして宗の自白その他によりまして被疑者にとって有利な点、そういうふうなところを看過する、あるいは一種の予断といいますか、それによって有利な点をオミットしてものを考えるというふうな点がなかったかどうかというふうな点を気にいたすわけであります。もちろん拷問等があってはならないのでありまして、もしそういうことからこういうふうな事態になったということでありますれば、それは特に調査をいたす点でございますが、もう一点は今申し上げましたように、有利な点、証拠上出てきた有利な点を看過する点がなかったかどうかというふうな点も判断してみたいというふうに考えておるものであります。
○亀田得治君 それはちょっとなんですね、あなたの立場ということに少しとらわれておると思うのですね、答弁自身が……。それはもちろん有利な点を看過するようなところがなかったかどうか、こういう点の調査も必要ですが、私はこれはもう普通のことではこういう自白というものは出てこぬと思うのです。必ずこれは拷問、誘導があるに違いないと思うからそういう立場で一つ十分検討してほしいと思います。
 それから第二は、今年の二月十六日村松泰子というのですか、女の方が法廷で証人に立っておる、この人がこの事件が起きた直後に真犯人と思われる人が共同便所で物を洗っていた、こういう姿を見たという証言を公判廷でやっております。これは新聞で書かれておりますが、ところがそれに対して検察官がさらに呼び出しをかけて、お前はそれは偽証じゃないかということで追及したということが書かれておる。で、私はこれは非常に重大なことだと思うのです。しかもその追及をするときに逮捕状を持っていた、検察官が、逮捕状は執行しなかったけれども、そういうことなんです。で、検察官が自分の思う通りのことを言わなければ偽証だということで追及する、もしそれを翻さなければ放り込むぞと言わぬばかりのこれは脅迫です。しかも起訴されておる事件自身がそれほど、物的には非常にあいまいな点のある事件について、第三者が宣誓までして、そうして実はこういう材料がありますよという証言をすれば、私はもう人権の保護ということをまじめに考えておる検察官であれば、むしろ私はそれを慎重に検討してみるのがほんとうだと思うのであります。そういうことをやらないで、逮捕状をとって、お前のは偽証じゃないか、こういうことをやっているということが出ているのですが、この点はあなた方の方でどういうふにごらんになっておりますか。
○政府委員(長戸寛美君) 本年の二月十五日第十回公判におきまして、弁護人側の証人として佐藤一代、村松泰子という二人の人が出廷し、その証言した内容に検察側としまして疑問を持って捜査を開始したのであります。村松証人は事件当日、現場付近の便所で本件被告人以外の男が血のついたものを洗っているのを見た、こういう証言をいたしたのであります。佐藤証人は、事件直後知人の今の村松という人からその見た事実を聞かされたということを証言いたしたのであります。で、この弁護人側がこの証人を知るに至った動機等から、この証人の証言は検察側としまして公訴事実立証上重大な支障が生ずる点があるのにかんがみまして、検事としましては村松証人に問題の便所の場所を指摘させようとしたのでありますが、意外にも的確な指摘をなし得ない。それからそのほかに証言をするまでに至る間に介在する人との関係等も考慮いたしまして、この佐藤、村松というふうなものが偽証をしておるのではないかというふうな心証を得たわけであります。二月の二十三日に佐藤一代氏を地検に出頭させて取り調べましたところ、同人はそのような自白をし、それから翌二十四日、その佐藤の供述に基きまして偽証教唆として西村というものを逮捕したのでありますが、本人は否認、三月一日に村松さんを呼び出して任意取調べをしたのでありますが、これも否認をしておったのであります。この佐藤の供述によりまして逮捕したが、三月二日に至りまして、さらに取綱べをした結果、西村、村松を釈放した、その後は公判の経緯を見守る、これが報告によるところでございます。
○亀田得治君 私はそういう逮捕までは行かなかったかと思っていたのですが、御報告によりますと、偽証だということで一部逮捕まで実行しておるということですが、この点は一つ十分究明してもらいたい。ともかくこれはこういう真犯人が出てきたから検察側の方も手をあげておりますけれども、そうでないような場合には、結局決して検事や検察は無理をしておらぬということで押し切ってしまうのです、普通は。こういう検察官の態度そのものがもういけないのですよ。そういう考え方だから警察、にもそういう考え方がうつる、そうしてこういう事件ができ上ってくる。それから次にはこの傷害致死だけではなく、ほかにも何か余罪があるからということでのようですが、その点は一緒に起訴されている形式になっておるのでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(長戸寛美君) この傷害致死に併合罪として暴力行為等処罰に関する法律違反というようなものをつけておりますし、報告によりますれば、ある者については窃盗その他を起訴しておるというふうに見られます。
○亀田得治君 私はその点の取り扱いも非常に重要だと思うのです。というのは、暴力行為が余罪にあるとか何とかいいましても、今申し上げたようにこれは非常に無理な取り調べが警察であったに違いないわけです。そうでなければ殺人なんていうようなことを簡単に自白するわけがないですよ。従ってそういう調書に基いてこの一連の起訴というものができいてるわけですね、だからそうして見れば、この一番大事な傷害致死という問題において大きなミスがあったということなら、私はほかの点も一応白紙に返してやるべきだと思うのです。ところがどうもこの京都からの知らせによると、いやあれはだめになったけれどもほかの方はまだいけるのだ、そっちの方はまだ裁判をやるのだというような考えのようなんです。これは非常に間違っているので、どうもこれだけ大きな迷惑をかけたんですから、これは相済まなかったというので、一応白紙に返す、問題を。私はそれが当然の責任のとり方だと思うのです。個人的責任なりまた地位とかこういうものは別として、被害者に対する気持としてはそうあるべきだと思う。それを一方はだめになったっておれの方はまだ全然だめになっていない、こっちでまだ引っかかっているのだ、こういうみみっちい、役人が自分の面子だけを重んずるような感じを与えるような取扱い、これは私は法務省としてこういう点の取扱いは、それこそ指揮権だ、正しい意味のやっぱり指揮をしてもらいたい、そういう点はどのような報告になっておるか、またあなたの方ではどういうふうにお考えになっているか。
○政府委員(長戸寛美君) 先ほど申し落したのでありますが、今の亀田委員の御質問にお答えする前に、その点をちょっと申し上げましてから今の御質問にお答えしたいと思います。
 この四少年が被害者に共同して暴行を加えて、逃げる被害者を追いかけ、さらに暴行を加えたというこの暴力等処罰に関する法律違反の事実は一応明らかなようでございますが、佐藤が自首して参ったことによりまして、被害者を中心としたけんかの状況が明らかになって参ると思うのであります。四少年は佐藤が被害者を刺した前後に共同暴行を加えておる、で、佐藤が刺す、四名がなぐるということが同一の個所できわめて接着して行われたもののようでありまして、被害者の死亡の結果についての四名の刑事責任ありやいなや、あるいは佐藤自身の致死に対する責任の問題というふうな点が微妙のようでございますので、これは決して京都地検として面子にとらわれたという問題でなしに、その真相を究明して参りたい。その結果として佐藤が真犯人であるというふうなことが明らかになりますれば、その点の処理は当然いたすというふうに考えておるわけでございます。
 もう一つは、傷害致死の問題が無罪と申しますか、だめになりました場合に、その他の案件をどうするかということでございますが、それに対しましては、これは少年事件でございますからして、その傷害致死というものがあればこそ刑事処分相当として逆送してきた、こういうふうな状況下にありますので、それは検察庁としても当然考えなければなりませんし、また裁判所としても、少年法の五十五条でございますかによりまして、さらに家裁の方に移送して、刑事処分でなしに事を決する、こういうふうなこともできるかと考えるのであります。従いまして京都地検としてはおそらくその点を十分究明の上、しかるべき処置をとる、こういうふうに考える次第でありますし、われわれとしましてもその点は十分に関心をもって京都地検の処理につきまして意見を述べたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
○亀田得治君 私は普通の事件でも事案によって、たとえ事実があっても、事情を考えて起訴猶予にするとかいろいろあるわけです。そこで本件のような場合には、なるほどほかにちょっと余罪等があるかもしれぬが――ありますが、ともかくそれ以上の苦しみというものを受けてしまっておるわけですね、実際のところ。だから私はともかくこういうものについてはそう規定にとらわれないで、たとえそっちになくてもこっちにまだあるんだというのでは、私はあまり国というものが何か冷たい感じを与えると思うのです、その点を言っているんです。これは十分一つ今後の扱い方として考えてほしい。
 で大体熊沢検事正が、これは検察の大きな黒星だ、こういうことを言っておる。その言葉の内容ですね、これは私は実は非常に気にしているんです、検事正が来られたら大いに聞いてみようと思うんですがね。というのは、この事件が真犯人が出てきた、それが黒星だった、こう言うておるんですね、でこの四人の者が実際にやっておるものであれば、おれの方は黒星じゃない。つまり有罪であるかないかということがいつも頭の中にある。ところが私どもの言うのはそうじやないんですね、たとえ有罪だとしても有罪に持って行く過程において取扱い方が非常に不当であれば、これは黒星なんです。ただそれが有罪である場合には世間が騒がぬだけで、まあ問題が大きくならぬだけなんです。たまたまこれは真犯人が現われてきて、四人の少年が無罪、こうなってきたところから無罪だということが黒星だ、見当違いをしていた、と言っている意味が強いのです、大体において。私どもは人間の判断だから有罪、無罪、いろいろある。だからこれはどういう事件であっても取扱い方というものを慎重にやってもらいたい。そこに実は問題がある。そういう意味でこの検事正が、大きな黒星をした、こういうことをおっしゃっているとすれば、私まだまだ確信が持てない。だから今後これは過去の取り調べだけでなしに、今後の扱い方の上においても、十分そういう気持を反映さしてほしい。
 それから最後にこの事件に関連してもう一つ。私は今度自首して出た人の問題について、若干法務当局の意見を聞きたい。それはこの真犯人という佐藤さんという人は「真昼の暗黒」を見て、自責の念にかられた、こう言っているわけなんです。私はおそらくこの映画は最高裁等からまあ横やりが入ったりしておりますので、法務当局においてもこの「真昼の暗黒」という映画の問題について、いろいろ考えておられると思うのですが、こういう事件が起き、そうして佐藤さんがこれを見て自首をされたということ等から考えて、一体法務当局はこの「真昼の暗黒」、これをどういうふうにお考えになっておるか、これを一つお聞きしたい。これは政務次官の方が若干問題が専門的じゃないのでいいかと思うのですが、率直な御意見を一つお聞きしたい。
○政府委員(松原一彦君) 実はこの問題が起り、高田委員長ともきのう御折衝申して、君はあの「真昼の暗黒」を見たかというお話で、しごく恐縮しておりますが、実は私ただいま非常に忙しくて、夜昼ともにひまがございませんので、ついまだ見ておりません。しかし先般来このことにつきましては最高裁判所の方からも事務総長が来ての話でありまして、よく存じておりますので、なるべく近いうちに見たいと思っておりますが、亀田さんの言われる通りに、こういう人権に関する問題は慎重の上にも慎重に扱わねばならないと心得ております。今回の京都事件につきましても、この道の多年の経験者である事務次官ともよく打ち合せましたが、過去においてもこういうことはないじゃない。そういう場合における取扱い等を聞いてみまするというと、検事の方に誤まりがあれば処分すると、はっきり申しておる。どこまでもあやまちをおおい隠すのではない。われわれは常に反省して、検事の側においても警察の側におきましても、警察官があやまちを犯せば国民の前にあやまらねばならないと、はっきり申しておりますから、私はこれを是としておる次第でありまして、いましばらく慎重に調査の時間をかしていただきたいと思います。
○亀田得治君 いや私お聞きしておるのは、ちょっとまあ見当が違っておったわけでありますが、あの映画の問題ですね、「真昼の暗黒」、まだごらんになっておらないようですが、しかし今までいろいろ御意見等、賛成反対いろいろお開きになっているでしょうが、その点についてどのようなお気持を持っておられるか。
○政府委員(松原一彦君) 私はやはり予断しちゃいかぬと思います。いやしくも裁判官が裁判をして公判をしている。そのきまらないうちに映画をもってこれは聞違いだというようなことをば大衆にこれを示して、もしこれが間違いでなかったらどうするか。私は裁判官は一応日本におけるところの最高の独立の裁判をする権能を与えられておるのでありますから、その裁判が決定しない前に予断を与えるようなことば、私はよろしくないと思う。従ってこういう映画が、証拠に基いたのかどうかそれは知りませんけれどもが、まだ見ておりませんけれども、筋としてはいかによくできておろうとも、私はよろしくないと信じます。
○亀田得治君 これは私はなはだ意外な御答弁を聞くのですが、まあごらんになっておらないというからそういう答弁が出てくるかもしれません。何もあの映画では最高裁で今かかっておる事件、それが間違いだとかそんなことを別に言っておりません。これは映画としての一つの題材を現実にあった事件から取っておる。それだけのことなんです。で一審、二審の判決がある。その判決をいろいろ批判する。こんなことは自由なことなんですからね。判決そのものは公表されていることだし、でまあそういう判決の批判が自由だとかそういうことは別としても、映画そのものは名前も全部違っておるし、一つの劇としてこれが仕組まれておるだけであって、あれを見ていてどこの事件のどの判事がどうやった、どれをどうしなければならぬとか、そんな感じは一つも受けませんよ。ただ一般的にはまだ日本では拷問等がまだある、そういうことを扱っているだけでね。そういう角度でこれはぜひもう少し……ちっと何か前提がとらわれておるように私は思うのです。そういう気持で見ておれば少しも現実の裁判の批とかそんなものじゃない。実際は私は裁判のことをよく知っておる者が見ておってもそんな気持にならないです、入っている間は。しかるがゆえにまた観客にも訴える力があるわけでしょう。劇としてそういうものが仕組まれておるところに、どんな映画だってほとんど、いくらかは現実の材料というものによってこれはやっておるわけですからね。いつかの秀駒の映画だって、あればやはり若干そういう関係があるかもしれない。しかし成ってしまった映画というものは別なんですよ。どうもそこはあなたの方でもっとざっくばらんに、前提にとらわれないで考えてほしい。それでそういう立場で考えて、たとえば今度のような事件ですね、その真犯人にそれが訴えて、その人のためにこの冤罪を着せられようとしておる四人の少年が助かった。私はこれだけでもこの映画の価値というものは大したものだと思うのですよ。たくさんの裁判官や警察官、警察がやっておったってはっきりしなかった問題でしょうが……。それがたまたまこの良心に訴えられてそれが出てきた、私はそこが映画の価値じゃないかと思う。そういう点どういうふうにお考えでしょうかな。私はもう一ぺん見てもらって議論してもらいたい。
○政府委員(松原一彦君) 実は私は正木さんの本は読んでおります。そうして正木さんの論じられておることは正木さんの御自由でありますから、いかに本に書かれても御自由であります。しかし裁判はまだ進行中であります。今度の映画というものが、「真昼の暗黒」というものが、その裁判を取り扱ったものたというお話を聞いております。それだけの話であります。それが非常に芸術的によくできておるということは、また私どもは教育に長く携っておりますから、それが人心に及ぼす影響の上にも非常にいいものであって、今まで隠れておった犯人が出てくるほどに強い教化的な反省を与える仕組みになっておるということなら、それはけっこうなことだと思いますが、まだ不幸にして私は見ておりません。ただ最高裁の方で苦労しておりますように、もしこれをそのままやるのならば、これに対する反対としてやるならば、まあ判決が済んでからしてもらいたいということに対しては私は同感を持ったものであります。
○亀田得治君 その点は判決の批判ということに対する考え方の違いですから、これ以上議論しても仕方ないかと思いますが、むしろこの映画の作成について作成者の方が最高検に平出検事をお尋ねになったときには、最高裁とは逆に意見は言われなかったわけですがむしろそんなことは御自由に自分の判断でおやりになった方がよかろうという態度をおとりになった。私はその態度こそがりっぱであったと実は思っておるのです。検事の方が拷問とかそういう問題が出てくる映画ですから、これはどうもやめてくれよ。こう言いそうなところなんです。それをそう言われなかった。そういう検事が皆さんの部下にいるのですよ。私はそうしたらもうそういう検事の気持がまあもっと伸びていくような態度こそとってほしいと思うのですがね。で、これもはなはだ議論になりますが、しかしこの映画によって四人の少年が助かった、このことの価値というものをどういうふうにお考えでしょうか。裁判の批判は別として。
○政府委員(松原一彦君) それはまことにけっこうなことだと思います。それはひとりこの映画ばかりでなく、昔から私どもは映画、劇等の及ぼす影響の大きいことは、これはもう実に一片の教育的訓話などの及ぶところではないと思っております、今日まで「滝の白糸」などもあの人情にからんだ結果、あれに打たれた人が泣く、私はけっこうだと思います。それは架空であろうとも何であろうともその影響力の大きいことを思うにつけましても、悪いものを悪いとすることはまことにいい。従って先刻お答えしました通りに、検事が拷問等によって誤まりを犯した場合においては、私どもは十二分に反省し、それがはっきりした場合においては処分するという先輩の話を聞きまして、私も安出し、どうかそういうふうになってほしいと思っておるわけでございます。
○亀田得治君 まあその映画の価値は現実にお認めになりましたから、その点だけは私了承いたします。私はむしろ「真昼の暗黒」などは、今最高裁にかかっておる四人の被告ですね、むしろあの人々自身に最高裁が見せてほしいぐらいに思っておる。人間というものは、やはり良心は偽われないもので、自分らのやったことがずっと画面に出てくる、その映画が終った直後の四人の人の感じというものによって大体わかります。それほどよく訴えておる映画なんです。私はそういう意味で、ぜひ一つ早くごらん願って、いろいろお考えを願いたいと思います。
 それから、なお、責任をとるというふうに先ほどから盛んにおっしゃっておるわけですが、初めはそういうふうにおっしゃっても、ややもするとうやむやになることがあるわけですが、実際に拷問、取扱いの不当といったようなことが現われてきた場合には、どこまで責任をとらすのか、まあ段階がいろいろありますね。そのときに検事正とか、私はこれはおそらくこういう傷害致死ですから、検事正がみずからタッチして事件を処理されていると思うのですが、その責任をとらす高さといいますか、範囲ですね、これはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(松原一彦君) 最も適正なる責任をとらせたいと思います。
○亀田得治君 まあ調査もまだ十分済んでおらぬようですから、その程度しか仕方がないかと思いますが、これは十分一つ厳格な責任の取り方を要請して、私の質問を一応終ります。
○委員長(高田なほ子君) なお委員長からも御要望申し上げたいのですが、亀田さんからも御要望がございましたが、本委員会として、映画「真昼の暗黒」は前からも問題になっているところでありますから、どうぞ早急にごらん下さいまして、貴重な資料を得ていただきたいということを、委員長からも当局に対して強く御要望申し上げます。
○宮城タマヨ君 ちょっと政府当局に伺いますが、この少年の年令をもう一ぺん……。さっきおっしゃったんでございますかしら。浜田は幾才でございますか。
  〔委員長退席、理事亀田得治君着席〕
○政府委員(長戸寛美君) 生年月日で申し上げましょうか。
○宮城タマヨ君 年は大体わかりませんか。
○政府委員(長戸寛美君) 宗少年は昭和十二年十月十八日生まれ。あとで当年何才に直します。
○宮城タマヨ君 みんな少年ですね。
○政府委員(長戸寛美君) そうです。
○宮城タマヨ君 この事件は非常に重大問題として私どもは扱わなければならないと思っておりますが、ことにこの四人がことごとく少年でございますというところに、もうこれは非常に大きい問題として取り扱っていただきたいと思っておりますわけです。それで私の伺いたいことは、まあ警察は無理も言うだろうし、ときに子供ならおどしも言いまして、まあ拷問という言葉が適当かどうかわかりませんが、拷問にいかないまでも、そこに無理があっただろうとは想像できますけれども、私の一番知りたいと思っておりますことは、家庭裁判所に一度送られて、それが逆送されておりますね。その逆送されましたときに、この四人の少年に対しまして、一体どういう調査がされておるかということと、それから逆送されましたときの罪名は何かということでございます。そのときはやはり傷害致死で来たんですかどうですか。ということは、私は警察はまあ当てにはしませんが、家庭裁判所においての調査官の調査というものについては、これは少年法によって守る意味合いにおいて調査されておると思っておりますから、ここには無理がないと思っておりますが、いかがですか。
○政府委員(長戸寛美君) 家庭裁判所から逆送になりました場合も、暴力行為と傷害致死の事件として参っておるわけでございます。従いまして家庭裁判所においては、相当慎重な調査審理の上参ったものと承知いたしております。
○宮城タマヨ君 そのときに四人の者は傷害致死罪を認めておりますか。傷害致死罪として逆送されるということについて、それを認めておりますか。それから、またこの調査官の調べの線の上におきまして、佐藤久夫という者が出てきておりますか。どうでございましょうか。こんな点は、実は少年の問題でございますから、調査官の調査の記録なんか私は見たいと思いますが、これは裁判所の方の問題ですから、あなたの方には報告になっていないのでございましょうね。
○政府委員(長戸寛美君) 今のお尋ねの点につきましては、私どもの方で最高検とも打ち合せまして、あるいは検事を京都地検に特派して、調査の上お答えいたしたいと、こういうふうに考えるわけでございます。調書の問題は、現在裁判中でございますので、提出はあるいは困難かと思います。
○宮城タマヨ君 調べていただきたいのは、この四人の子供を調べました警察官は少年係でしたかということ、それから調べに当りました検事は少年係であったか、一般の検事であったかということを一つ調べていただきたい。今わかっておりますか。
○政府委員(長戸寛美君) この四名の主任検事は、京都地検の中沢検事、公判部長検事でございます。少年の方を兼務しておるかどうかについては、現在わかりません。
○宮城タマヨ君 警察もわかりませんか。
○政府委員(長戸寛美君) 警察は、先ほども申し上げましたように、京都西陣署において検挙いたしたのでありますが、宗と山田は西陣署に、山本は下鴨署に、浜田は川端署にそれぞれ留置したのでございますが、それらの調べた者が少年係であったかどうかは、今までの報告ではわかりませんので、調査の上お答えいたしたい、かように考えます。
○宮城タマヨ君 これは少年法の運営の上におきましても、非常に問題だと思いますので、この少年が事件を起しまして以来、身柄をどういう所に留置したか、あるいは警察に何日、鑑別所に何日というように、子供の経路をずっと調べていただきたい、身柄の処置の経路を。
○政府委員(長戸寛美君) 先ほども申し上げましたように、昨年四月十一日に四少年を逮捕いたしまして、ただいま申し上げましたように西陣、下鴨、川端署にそれぞれ留置をし、四月の十五日から四月の二十八日まで検察庁において検察官が取調べに当っております。四月の二十八日に家裁送致いたし、まして、その日に鑑別所に身柄は移しております。五月の二十五日に家裁から検察庁に逆送がありまして、その日に身柄は拘置所に移され、六月八日、六月十日、十月二十二日、それぞれ保釈出所になったという次第でございます。
○宮城タマヨ君 この拘置所はやはり何でございますか、おとなと一緒でございましょうね。
○政府委員(長戸寛美君) これはおとなと一緒の拘置所でございますけれども、分割しておると心得ております。
○宮城タマヨ君 それからもう一つ。これは私にとっては非常に大事なことなんですが、こういう報告も家庭裁判所、最高裁判所関係も半分はございますけれども、こういう重大なケースについて、一体この地方から中央にどの程度に報告されているものでございますか。言ってみれば、あなた方はこれをどの程度知っていらっしゃるのですか。今問題が起ったからお取り調べ下さるのですけれども、昨年以来私なんかも法務委員の責任を持ちながらうっかりしておりましたけれども、それはどういうことになっておりますのですか。
○政府委員(長戸寛美君) この特殊の事件につきましては、非常に詳細な報告を求めておるわけでございますが、一般傷害致死の事件というようなことでありますれば、その起訴状等が、その経過を簡単に付記して送って参るというのが実情でございます。
○宮城タマヨ君 そうすると、まあこの事件なんかはそう大したことじゃないというように取り扱われておったわけでありますね。大体からいいますと、家裁の方から逆送されるような子供については、特に慎重にしていただかなければならないケースだと思っております。いかがですか。
○政府委員(長戸寛美君) 仰せの通りでございまして、この少年事犯、それを特に刑事処分相当として起訴いたすような場合、これは特に慎重を期さなければならぬと思っております。従いまして検察庁におきましても、少年係検事というようなものを設け、それは相当年配の者を充てるということにいたしておるわけでございまして、先ごろ本省におきましては、少年事犯の取扱いの重要性にかんがみ、八高検のブロック会同を開催いたしまして、少年係を集めてそれらのことを協議いたさせた次第でございます。
○宮城タマヨ君 中澤検事は少年係でございませんでしたか。
○政府委員(長戸寛美君) その点につきましては、公判部長でございますけれども、少年係を兼ねておるかどうか、ちょっと今わかりません。あとでお答え申し上げます。
○宮城タマヨ君 少年係がこの少年を扱ったかどうか。警察でも、検察の検事も、ちょっとお調べ願いたいのですが。これは今後少年法の運営に非常に大事なことだと思っております。
○赤松常子君 私はしろうとでございますが、ちょっとお伺いいたします。こういう場合にそれを取り調べた人、関係当局というものが非常にミスをした次第でございますが、それに対する従来の例といたしまして、どの程度責任をとらしていらっしゃるのか、あるいは減俸というのですか、譴責というのでございましょうか、どういう程度にこういう場合の責任をとらしていらっしゃいますか、それをちょっと従来の例から聞かしていただきたいと存じます。
○政府委員(長戸寛美君) 人違い、それら真犯人が後に出たというふうな事件につきましては、特に最高検においても関心を持ちまして、一件々々なぜそういうふうに間違えたかという実態を調査いたしまして、それぞれの検事にそれに関する始末書きといいますか、を出させ、それからその当該検事正が意見を出すというふうにいたしております。現在までにいかなるそれに対しまして措置をとったかにつきましては、人事課の方に聞きましてお答えいたしたいと思いますが、本件に関しましては、その間違いの所在を明らかにして、それに非違があるということでありますれば、責任を明らかにするようにいたしたいと、こういうふうに考えております。
○赤松常子君 ではどうぞそういう御調査なりをまた御報告願いたいと思います。
 それからもう一つ、四人の少年が長い間、四月から六月まででございますけれども、一応自由を拘束されたり、いろいろ取り調べられたりいたしましたその精神的な、また心理的な被害と申しましょうか、そういうことに対して、今までもそういう例もずいぶんあったと思うのです。特に今度は死刑廃止の問題も論議されておりますときに、佐藤という人が自首しなければ、不幸にしてこの人がそういう人を殺したということの罪名によりまして命を絶たれないとだれも保証できない場合でございますし、非常に私これは重大だと思うのでございますが、そういう場合にこの少年たちのそういう被害に対する補償と申しましょうか、慰安と申しましょうか、何というのでしょうか、それはどういうことになっているのでございましょうか。またこの四人の人を釈放されます場合に、その関係者がどういう態度で釈放したのでしょうか、そういう点もちょっと知らしていただきたいと思います。
○政府委員(長戸寛美君) 御存じのように刑事補償法というのがあるわけでございますが、無実の場合に刑事補償を一日二百円以上四百円以下で金銭的な補償をするということになっておるわけでございます。ただ刑事補償法の第三条によりまして、「一個の裁判によって併合罪の一部について無罪の裁判を受けても他の部分について有罪の裁判を受けた場合」には、裁判所の健全な裁量によって補償の一部または全部をしないことができる、こういうふうなことになっておるわけでございますが、刑事補償の手続はそのように定められておるわけでございます。
○赤松常子君 ところがこの場合子供でございますし、そういうことは私、知っていないと思うのです。そういうものはだれが一体そういう場合に世話をし、こういうことがあるのだぞと教えてやるものでしょうか。私は非常に釈放されるその前後の取扱い、その間に受けたそういう心理的ないろいろな被害に対して、いやしてあげたいと思うものですから……。その辺のことは一体どうなっておりますか、聞かしていただきたい。
○政府委員(長戸寛美君) 先ほども申し上げましたように、この佐藤という自首して参りました者と、四少年とが同じ場所で競合してなぐったり突いたりしたという問題がございますので、京都地検におきましてはさらにその実態を、真相を究明して処理することになるわけでございますが、もしほんとうにそれが無実である、傷害致死の点が無実であったというふうな場合でございますと、そういうふうな制度があるということを、検察庁としては十分にその関係人に話すべきである。またそうするであろうというふうに考えております。
○赤松常子君 ぜひそれをしてあげてもらいたいと思います。それからまた暴行の方はまだはっきりしないで、今調べ中なんでございますね、傷害致死だけははっきりしたわけでしょう。
○政府委員(長戸寛美君) これは非常に短時日の間に事はきまると思うのです。今、京都地検におきましてはその四名の暴行と、それからこの佐藤というのがほんとうに突き刺したとしまして、その突き刺したことによる致死の結果、それがどういうふうな関係にあるかということを究明しておるわけです。それがきまりますれば、もし全然傷害致死の関係について四人の者が因果関係がないということが明らかになりますれば、これはその分の公訴取り消しというふうな問題になろう、これはもう数日にきまる、こういうふうに考えております。
○中山福藏君 私、ちょっと簡単に一つお聞きしておきたいと思うのです。お聞きすると同時に警告といいますか、法務省の意見を承わっておきたいと思います。これは亀田委員が先ほどお尋ねになりました、いわゆる証言に関する偽証の疑いありとして逮捕したという問題が起っております。これは非常に重大な問題でございまして、私はその経験者なんです。私がかつて統制違反の弁護をいたしましたときに証人が出た。これはこれを取り扱った検事は今、相当の地位に上っております。ところが証人を申請して許可されまして、いろいろお取り調べがあった。ところがそれが偽証だというので、お前は残っておれと、こういうわけです、立会検事が。そうして残されて一、二時間油をしぼられて、お前は証言の通りに押していくならばここで逮捕して起訴する、こう言われまして、とうとう、いや私が悪うございました、私が検察庁で述べた通りでございますから、どうか一つかんにんしてくれと言って、それで許されまして、かえって私の弁護した人は有罪になった。今日もそれは前科者になっております。そこで私はその証人に対して、お前さんはなぜあんないくじのないことを述べたのかと言いましたところが、いや末がおそろしいと言うのですね。仕方がないから、私の公判廷で言ったことは間違ないのですけれども、仕方がありませんと言ってそのまま……。私は今日でもその統制違反をやった人間は無実だと考えておりますが、それが前科者になっておる。それとこれと対照いたしまして、私はまことに今日までの検察官の態度というものは非常に反省の余地があるんじゃないか、在野法曹として常にそう考えております。たまたまこの事件にこういう問題が起きまして、そして世間の注目を浴びておるこの際に、さらにその気持を新たにして、私は法務当局に強く、十分一つ若い検事の指導、監督というような問題については、層一そうの御注意を喚起したいと考えております。それからせんだって千葉でしたか埼玉でしたか、同じような事件が起っておりますね。警察の拷問というものがあったために、すでに服罪中の事柄に対して真犯人が現われて、そうして埼玉か千葉かの弁護士会は、この警察官二名を告訴しました。こういう問題が起きておるのです。これは私は警察あるいはその法務当局のいわゆる復古調を帯びた傾向が、ある一点に現われてきたのじゃないかというような考えを抱かざるを得ないのです。こういうことは徳川幕府時代ならいざ知らず、これはよほどお考えを賜わらないと、民主主義とか何とかいって騒いでおる今日、すべて政府のやりまする政策全般にそのはね返りというものが相当きつく当ってくる。それでこういうふうに世間に露呈した事件以外に、こういう問題がたくさんあるんじゃないかというような私どもは懸念すらも抱かざるを得ないのであります。こういう点について松原次官も、今法務大臣がお休みでありまして、お骨が折れることでしょうが、これは常識的の問題なんですから、どうか一つそういう点について松原次官から政府の将来の事件取扱いに関する一つ方針を明らかにしていただくということは、これはむだなことではないと私は思うのです。大体警察と検察というものが近ごろある場合において功名争いをやっておるような、法的のここに対立的な関係があるわけなんですから、そういう関係からも、あるいは連絡を欠いていろいろな間違いが起ってくるんじゃないかと思うのです。今度の問題、あるいは私はっきり覚えておりませんが、この千葉か埼玉かの事件、こういう問題は実に何と言いますか、私ども、法務省としては実に世間に顔を出せないような問題じゃないかと思うのです。しかしこれは人間のやることですから、神様じゃないのだから、それは間違いが全然ないとは言えませんけれども、これは傷害致死というような問題につきましては、相当重罪であるという立場からも、これは無実の、無事の人が監獄に入るということは、国民の一人としてたえられないことである、そういうようなことでございますから、一つ政府の検察官に対する指導、警察官に対するところのいわゆる監督というような事柄につきまして、一つ政府の所信を明らかにこの場合していただきたいと考えております。
 それから先ほどの亀田、委員、赤松委員の言われましたこの責任の範囲ですね、これは私はこの、ころ非常に考えている。小学校の生徒が船が沈没してしまって、そうしてたくさんの生命が失われた。そういうときにおいても、昔だったら大臣が責任をとるのですよ。近ごろはその責任者がきわめて下級の官吏だけに限られておるような傾向を帯びている。これは私は事のいかんにかかわらず、最高責任者というものは自分の立場を明らかにするという、やはり昔の――昔のと言いますか、明治時代の大臣の態度というものは非常にきれいだと思うのです。だんだん人間が利口になりますというと、いろいろな理屈をつけて、これはこのくらいの範囲だったろうということになってしまう。森永事件なんかも結局その一端を現わしたものだと思うのです。民間、官界にかかわらず、その責任者というものは一向自分の責任を痛感しない。私は将来一つ責任を明らかにする意味において、こういう点はやはり最高責任者というものは、事のいかんにかかわらず、自分の立場を明らかにするということによって、国民一般に対する思想の善導の上に非常に影響を及ぼしてくるのじゃないかと思います。この場合も理屈一点張りで小知恵を使って自分の責任を回避するということが、いわゆる一般の風習になりつつあるように私は見ておる。どうかこういう点もお含みの上での政府のお考えを承わりたいと思います。
○政府委員(松原一彦君) 御警告はまことにごもっともと思うてよく承わりまして法務大臣に伝えます。実は法務大臣、きょうは起きて参りまして閣議に出ました。しかしまだ病が全くいえませんので、早く退出いたしまして、出席ができかねますが、おっつけ出席しまして責任を果すことにいたしております。この検察官に対する心得等につきましては、私はごくしろうとでございますが、就任以来牧野法務大臣の訓辞と申しますか、話をたびたび聞きますが、今あなたのお話の通りのことを申しておる。功名争いをしてはならぬ。まるでネコがネズミをもてあそぶような態度をもって臨んではいかぬということをくれぐれも申しております。そうしてさっき刑事局長代理を言及しましたが、努めて本人に有利な方面を見てやれ、極力本人に有利な方面をばのがさないように見てやることだということをば、たびたび申しております。そうして検事が越訴の数を多くするということよりも、むしろ検事が人権を擁護して、検事の姿から光月がさすような態度をもって臨んでほしいということを申しておりますので、今、牧野法務大臣の考え方がそのまま行われれば、私は非常にけっこうなことだと実は見ておるのでございますが、しかしくろうとの、多年この道に携わっておいでになる中山さん、亀田さん等の方丈からごらんになれば、非常にもの足らない点がおありになるだろうということも想像にかたくございません。御警告の趣旨はよく伝えますことを申し上げます。
○中山福藏君 刑事局長に一つ私お願いしておきたい。この証人を逮捕するというような言葉は立合い検事は一切将来その裁判が済むまでは使わないように一つしていただかないと、公正な証言というものは私は行われないと思うのですよ。これは、実際証人にわざわざ出てきてもらって、お前の言うたことはうそだからきよう残っておれ、お前は検察庁で述べた通り言わぬと偽証だからこれからぶち込むぞと言われたら、大がいの国民、ことに日本人は正直ですからね、官吏の前では。りっぱな裁判ができぬと思うのです。今度の事柄なんかもやはりその点がある部面に現われておるのじゃないかというような気がいたします。それで官吏に迎合するという七百年来の日本人の奴隷根性をたたき直すためには、これは検察庁も協力していただかなければならぬと思うのです。そしてりっぱな国民、人間というものを作り上げるということを、国民総力を結集して私はやらなければいかぬと思うのです。ほんとうにりっぱな人間を作るということは、私は社会全体の連帯責任だと考えております。これは私どもは自分の地位とか何とかというものを忘れて、一個の人間を作るということが私はすべての社会、政治の最後のねらいでなくちゃならぬ、こう考えておりますから、将来一つ証人なんかをお取扱いなさる場合においては、その裁判が済むまでは、一つ逮捕、監禁というようなべらぼうな言葉をお使いにならぬように、また起訴なさらないように、私は将来方針をきめていただきたいと、これは刑事局長にお願いしたいのですが、どうでしょうかね、そういう点は。
○政府委員(長戸寛美君) 公判進行中における偽証の問題でございますが、これは検察官として本来起訴いたしました以上におきましては、起訴時における証拠資料によりまして、起訴を維持し得るというふうな確信がなければ起訴すべきではないのでありまするからして、従いまして証人の証言の内容のいかんによって、一々それを偽証としてこれを追及するというふうなことは避けなければならぬと思うのであります。従いましてお話のように偽証の点でもってそれを追及する、こういうふうなものは万やむを得ない場合というふうにわれわれは考えたい、かように思っております。
○中山福藏君 万やむを得ないというのが私にはさっぱり解せないのですよ。すべて万やむを得ないでやっつけられる。万やむを得ないじゃなくて、裁判最後の判決確定までは、その事件については、それはまあ時効という関係もございましょうが、できるだけ一つ起訴、逮捕なんかというようなことはなさらぬように一つお願いしたいと思うのですが、万やむを得ないということの範囲はどうですか。そういうことで片づけられると、どういうことでも万やむを得ないということで片づけられてしまう。これは万やむを得ない事件だから一つ片づけてしまおうということになってしまう。その言葉をやめてほしいとお願いしておるのですよ。
○政府委員(長戸寛美君) 御趣旨を体しまして行き過ぎのないようにいたしたいというふうに考えております。
○宮城タマヨ君 私は初にも申しましたけれども、家庭裁判所で調査しまして、傷害致死ということを四人とも認めておって、そして映画を見た結果真犯人として佐藤が出てきたというと、筋書としてはまことにいいことで、四人の子供が助かると思いますけれども、そこに非常に慎重にやっていただきたいということは、どうも私は警察が調べて拷問にかけてやっただけなら私も納得できますが、とにかく逆送された事件ですから、これは非常に慎重に調べていただきたいということは、この四人の者に対してでもでございますけれども、その真犯人として自首した佐藤という者に対する精神鑑定や環境の調査、つまり周囲の状況をよく調べてみたらどうか、まさか佐藤が、ちょっとそれほどのぼせてふらふらと言ってくるというようなことも考えられませんけれども、でも二十四、五ぐらいな、少し精神のあまりしっかりした者でないというような場合に、そういうこともあり得るということを考えて、そうでなくて、これが真犯人ということを確定することを私は願いますけれども、一つ十分調べていただきたい。お願いしておきます。
○理事(亀田得治君) ほかに御質疑がなければ、本件の調査は本日のところはこの程度にいたします。いずれ本件はさらに続行していきますが、今後の扱い方等については、これは理事会で御相談申し上げて決定することにいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
○理事(亀田得治君) 次に派遣議員報告の件を議題に供します。
 過日本委員会の決議に基いて派遣されました調査班のうち、第一につきましてはすでに報告がなされましたが、本日は第二班の大阪拘置所の移築問題に関する調査について御報告をお願いいたしたいと存じます。
○宮城タマヨ君 大阪拘置所移築問題に関しましての調査報告を申し上げます。
 私ども委員三名は、三月八日から十日までの三日間大阪府に派遣されまして、大阪拘置所の移築問題について現地の実情を調査して参りました。私が調査班を代表してその次第を御報告申し上げます。
 御承知のように、本件の問題は、大阪拘置所が戦後の過剰拘禁の状態を改善するため、政府は昭和二十六年大阪市北区北錦町のいわゆる天満橋敷地に移築する計画を立て、土地買収をいたしましたところ、地元の反対にあい、計画一頓挫の形となりました。それで現在問題となっておる都島区善源寺町友渕町にまたがる延原製作所敷地に計画を変更したのでございますが、ここでも地元の猛烈な反対が出て、反対期成同盟などから請願陳情が提出されるに至りましたので、当委員会といたしましてもついにこの問題を国政調査の一環といたしまして取り上げることになった次第でございます。
 調査の目的は、一、大阪拘置所の過剰拘禁の状況、つまり施設拡張の緊要性の程度、二、天満橋及び都島の敷地の状況、特に都島については反対の理由となっておる学校教育、産業、道路及び緑地計画、民心などに及ぼす影響、三、現地矯正当局側の意見、なかんずく地元の反対に対する意見及び現在拘置所のある地区に増築する案に関する意見、四、地元側の意見、五、他の適当な候補地の有無、という五点に置いて調査を行なったのでございます。
 大阪到着の翌九日まる一日を調査に費し、午前中は主として大阪拘置所ほか敷地三カ所を視察し、午後はもっぱら現地矯正当局、地元代表、及び法曹関係者との会見に過しましたが、本問題の実情の把握は当初の予想以上に相当むずかしく、与えられた時間では十分な調査を遂げるに至らなかったのでございます。この点についてはのちに言及いたしますが、とにかく詳細は別に報告書にしたためて提出いたしますから、これについて御承知いただくことにして、ここでは簡単に要約して調査の状況と結論とを申し述べたいと存じます。
 まず大阪拘置所の状況でございます。この拘置所は本所と四条分禁所とから成っておりますが、分禁所の方は四条町にありますが、時間の関係上残念ながら視察することができませんでした。以下大阪拘置所と申しますのは本所のことでございますから、そのつもりでお聞き取り願います。
 拘置所は敷地約二千三百坪に対し建坪約千二百坪、延べ二千百坪、大正七年に設置された二階建庁舎で、一見していかにも古く、かつ狭隘そのものの感じを受けました。収容定員四百七十名に対し、視察当時の収容現在員は九百三十七名、約二倍の過剰拘禁となっております。定員一名の房室に三名、はなはだしいのは定員三名の房室に十名も収容し、普通各房の一人当りの面積、内面実測坪数はO・七坪ないしO・九坪であるのに、実際はO・二七坪ないしO・五三坪、つまり畳一枚に二人ないし三人という状況でございました。この数字をもってしましても、いかにひどい過剰拘禁でありますかが察知されるのでございます。従って建物の周囲にも十分な基地がなく、運動、衛生、保安警備などの面から見て、はなはだ不十分のようでございます。例をあげればまだまだございますが、とにかくこのような実情では、被収容者の人権を尊重し、処遇の適正を期しがたいばかりでなく、管理警備上からいたしましても遺憾でございますから、大阪拘置所の拡張または移築は急務であろうかと感じた次第でございます。
 なお四条分禁所の方も当局の説明によりますと、収容定員千二百二十八名に対し、現在員千六百七名、約四百名近い過剰拘禁となっており、その施設も臨時応急的な脆弱なもので、採光不十分な内房式の構造であるとのことでございました。
 そこで、拘置所を現在地に拡張増築することができないかどうかという問題でございます。この点は地元が強く要望し、高層建築が可能であるのに、当局がこれを顧みないのは不可解であると攻撃し、一方当局側では高層建築の管理上の難点、隣接地の既設建物の処置、道路関係、建築基準法上の制限など、いろいろ理由をあげ、これまた強く反対しているのでございます。
 そこで、まず拘置所を現在地に拡張するにいたしましても、第一に、現在の敷地だけに増築する場合、第二に、東側の隣接地にある法曹会館、弁護士会館、判横車官舎などを取り払い、この敷地にまで拡張増築する場合、第三に、さらに道路を越えて東側の一画まで延長し、拘置所官舎、判検事官舎、更生保護委員会庁舎、民家などを取り払い、これらの敷地にまで拡張して増築する場合、第四に、これは厳密には移築となりますが、ただいま述べました東側の一画だけに移築する場合と、いろいろの案が考えられます。
 ところで新しい拘置所にどのくらいの延べ建坪が要るかと申しますと、過去数年の収容状況から見まして、少くとも二千五百名の収容能力のあるものを建てなければならないと思われます。これだけの定員のものを作りますのには、法務省側では一万二千坪を要すると言っておりますので、一応その数字で仮定して参りますと、第一案では現在の敷地と変りませんから、かりに現在の建物でいっても十階の非常な高層建築となります。第二案では、敷地合計三千七百坪、その五割を建坪にとるといたしましても六、七階。どちらにしましてもかような高層建築は、一般の事務官庁と異る拘置所の機能上、果して適当であるかどうか疑問と存じます。第三案では三、四階程度のもので済むかと思いますが、中間を通る道路との関係、撤去建物の移築問題、その他複雑めんどうな問題が派生することが予見されますし、東側の一画は検察庁において将来そこに庁舎を建設することを希望しているようでございます。第四案に至っては、敷地合計三千坪、第一、二と同様高層建築となるばかりでなく、既設家屋の撤去、移転の至難な問題を伴います。
 かようなわけで、現在地拡張案は、地元の要望にもかかわらずその実現はきわめて困難なものと考えられるのでございます。
 次に天満橋、都島の敷地及び現地視察中、地元側から新たに申し出がございました候補地茨田地区について申し述べます。
 まず天満橋敷地でございますが、ここは面積約一万一千坪の整然とした矩形状のあき地で、後に都島敷地について説明しますように、特に撤去を要する建物など障害物もなく、若干の整地工事によって直ちに建築に着手し得る状態にあります。裁判所からも近く、場所としましては、周辺地がやや繁華に過ぎ、また近くの天満橋駅から望見されることに難点はございますけれども、都島敷地に劣らぬ格好の候補地であると認めました。第二に都島の方でございますが、ここはやや不整の矩形状をなしている広大な土地で面積は天満橋敷地より八千坪も広く、拘置所用地といたしましては十分でございます。ただいまこの土地には元工場の巨大な建物が数十棟立ち並び、中には堅固なれんが造りを交えていますので、これの取りこわしなどの予備工事に相当の日子と経費を要し、拘置所の早急な移築目的には沿いかねるのではないかと思われる点が難点でございます。
 なお地元の反対理由の一つとして、ここの敷地は都島工業高校などの教室から指呼の閥に望見され得るということでございますが、視察の際は、その校舎は他の建物にさえぎられて見えませんでございました。とにかく都島敷地は、南北は直ちに鐘紡及び十条製紙の工場に、東は鐘紡野球場にそれぞれ隣接し、西は淀川に面していて、周辺の学校までは直線距離で三百メートル以上、通路を迂回すれば八百メートル以上の距離を隔てて、その間に工場民家など密集していますので、拘置所を設置することが他の地区に設置する場合に比較して、特に学校教育の環境に悪影響を与える憂いがあるとは考えられません。もっともそれは拘置所の構造体裁や護送経路のいかんなども大いに関連してくる問題と存じます。次に、この敷地を工場用地として温存すべきであるという反対理由については、現在の工場建物及び付近の工業地としての状況から見て、確かにそれは一理あることと思いますが、しかしただいまのところ工場の再建または転用については別段の話もなく、この点は大阪経済界の意向とも関連する問題であろうかと存じました。それから敷地の中央部は京阪国道と淀川堤防上の道路とを連絡する大道路計画の路線の予定地であって、九割まで計画完成済みであるということでございましたが、指示された道路を視察した結果によりますと、幅約五メートル、通行はひんぱんでなく、近年開設されたものかどうか確認されるまでに至りませんでした。また、もし敷地中央部を大道路が貫通することになりますと、東西に長い都島敷地は南北に二分されて狭長かつ不整形を増し、かえって工場用地としての価値を半減するのではないかと考えられます。淀川沿岸一帯に桜を植えて緑地化する計画も、また反対理由の一つでございますが、これは将来の計画のように見受けられます。おそらく地元側の意向は、暗い印象を与える拘置所の存在が緑地化の効果を減殺するということにあるかと察知されますが、私どもは緑地化によって人生の暗い施設の印象が幾分でもやわらげられることこそ望ましいのではなかろうかと考えたのでございます。最後に、拘置所の設置が区民に不安恐怖をもたらすという現地側の懸念については、従来過去数年間同じ区内にある大阪少年鑑別所の収容児の逃走、放火、暴行など多くの事故によって迷惑をかけられたために、地元の人々が拘置所の移築についてまで不安の念をたかぶらせるに至ったことは十分同情されるところでございます。しかし拘置所は少年鑑別所と異なり、保安警備の面においてはるかに強化されていること、また未決拘禁所の近代的な機能を全からしめるため、これを都市に設置すべき必要がある限り、そこに発生した事故は、たとえ他の地区にあっても、市民全般に影響を及ぼさざるを得ないことを地元の人々にも理解していただきたいところでございます。それから隣接地の工場の従業員も移築に反対しているとのことでありましたが、両工場とも敷地に対し背を向けているような格好で一あって、特に従業員の労働意欲や気分をそぐほどの影響があろうとは考えられません。とにかくこれら心理的な影響の点は、敷地内の拘置所の位置、構造その他建築上の問題とも関連することでございます。
 次に茨田地区について申し述べます。この地区は急に視察することになった関係上、明確な資料も判然としないまま一応土地の状況を視察するにとどまりました。ここは地積約一万三千八百坪、裁判所からの距離約六・五キロ、自動車で約十五分の所にあるということでございますが、付近は民家の少い水田地帯で、上空を高圧送電線が通過しています。拘置所側の説明によりますと、ここを敷地とするためには、土砂約六千九百立方坪、トラック二万三千八百台分をもって埋め立てすることを要するとのことで、一見いたしましても基礎工事に相当の日子と経費を要するものと考えられます。
 なお候補地と連関して現在の裁判所、検察庁及び弁護士会の意向はどうかと申しますと、いずれも拘置所の移築自体は必要であるとしていますが、どこの敷地が適当かという内容的な意見の表明は差し控えております。もっとも弁護士会では、さきに天満橋敷地案を支持し、実行委員を設けて、その実現に協力してきた関係上、今後早急に都島敷地案について検討を加え、賛否の態度を明らかにしたいと申しております。警察当局としましては、なるべく裁判所に近い場所を希望しております。
 以上三カ所の候補地をかれこれ比較してみますと、私どもといたしましては第一に都島、第二に天満橋、第三に茨田地区の順序が適当であると認めました。もっともこれは調査当時を基準とした結論でございます。
 ところがここに調査終了後、ただいまの結論に重大な影響を及ぼす新しい事情が発生しましたので、付け加えて申し上げます。それは都島の敷地は延原観太郎氏の所有ということになっておりましたが、最近その所有権について紛争が起り、良島正浩という人が昨年十一月延原氏との間に代金二億三千万円で売買契約を結び、手付金五千万円の内金五百万円を支払って、敷地の所用権を取得したということを理由に、延原氏を相手取り、去る三月二日土地の処分禁止の仮処分を神戸地裁尼崎支部に申請し、五日にその仮処分決定がなされたということでございます。これに対し延原氏は異議を申し立て、事件は本訴に持ち込まれたといううわさでございます。このことは三月十五、十六日の大阪夕刊読売、大阪日日新聞に大々的に掲載され、また反対同盟側から陳情もございました、とにかくかような紛争が生じ、裁判によって、土地の処分が禁止ざれたことが事実といたしますと、もちろん結論はこれを変更しなければなりません。すなわち紛争の解決まで結論を見合せるか、または延原氏に所有権があることに落ちつくことが前提条件として都高敷地案をとるか、それとも拘置所を早急に移築すべき必要性とも連関し、紛争が長引くようであれば、都島案を不適当とするか、微妙複雑な事態に立ち至りました。
 いずれにしましても、本問題については、なお現在地建築案に関する専門的な所見、都島敷地の工事計画、茨田地区に関する具体的資料、拘置所移築の緊要性、敷地交換のいきさつ及び評価基準、土地紛争の実情など諸点について、法務省側の意見をさらに徴し、検討を重ねる必要があろうかと考えております次第でございます。
 以上中間的なものとなりましたが、これをもって一応調査報告を終ります。
○理事(亀田得治君) ただいまの報告に関する質疑は理事会決定通り次回に譲りたいと思います。
 それでは暫時休憩いたしまして、午後は三時半から再開いたします。
   午後一時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時六分開会
○理事(井上清一君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 まず山形県における検察官の不当行為に関する件について、御質疑のおありの方は御発言を願います。
○亀田得治君 本件は前回の委員会で若干御質疑申し上げたのですが、その後本件について処分等がきまったようでありますので、若干その点の御報告もいただいて、なおその点について少し確めてみたいと思います。そういうわけですから、まずその後における処分決定等についての御報告をお聞きしたいと思います。
○政府委員(長戸寛美君) お尋ねの粕谷茂太郎外二名に対する名誉棄損被疑事件につきましては、本年三月二十九日付をもって不起訴処分にいたしております。
○亀田得治君 この農民組合の山形県連合会の諸君に対する処分は、起訴猶予、こういうことになったようですが、それに関してそういう処分に付した理由なりいきさつですね、この点の御説明をお聞きしたいと思います。
○政府委員(長戸寛美君) 本件につきましては、公然とビラを貼りまして検事等の名誉を棄損したことは明らかだというふうに考えられるのですが、すでにその取締りによって自後組合側におきましてもそういうふうな同様の行為を繰り返すというふうなことがなくなっておりますし、そういうふうな諸般の点を考慮いたしまして、起訴猶予にいたしたわけでございます。
○亀田得治君 農民組合の諸君の相手にいたしました渡辺検事、それから三浦副検事ですね、この両校事のとった行動ですね、この点についてはどのようにお考えでしょうか。普通はやはりそういう検事にも若干手落ちが認められるというようなこともあって、従ってそれに対する若干の誹謗はいたしかたないじゃないか、こういうふうになって、起訴猶予になるものだと私どもは思うのです。その点はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(長戸寛美君) 前回も申し上げましたように、私どもとしましては、これら検事の措置が特に不当であったというふうには考えておりません。ただ選挙違反の取調べ等によりまして、その佐藤長治郎等に対する取調べがおくれまして、今農繁期にかかって取調べをしたということは、客観的に見るとあまり妥当でなかったという点はございますが、これもやむを得ないものと考えられるわけでございまして、先ほど申し上げましたような理由で、起訴猶予にいたしておる次第でございます。
○亀田得治君 私が特にお尋ねするのは、この前から問題になっておる選挙違反に子供を法廷に呼び出した。法律上はできることかもしれません。あるいは佐藤長治郎のこの問題、これはまあ有罪にはなりましたが、この扱い方において非常に納得いかぬものがある。で、特に長治郎が斉藤正子の公判の証人に申請されていたわけですが、ちょうどきょうの午前にあったようなことがこの証人に検察官から言われているんです。で、つまり証人に申請した後に、検察官が長治郎を呼んで、おれの前で言った通り正子の公判でも言わなきゃいかぬぞ、そうしないと罪になるぞ、こういうことを言われているんです、死ぬ前に。たまたま京都の事件と同じようなそういう性格を持っておるのであって、私一つこれは報告だけを求めておったのでは、なかなかそんなことまではだれも言ってくれないと思うのです。やはり長治郎がそういうことを言われて死んだ。それは親戚なりそういう人たちは知っておるわけですから、やはりそこまで突っ込んだやはり調査をしてほしいと思うのです。私どもが地元の山形新聞を拝見しますと、山形地方検察庁の言い分として、結局選挙違反の有罪の判決があり、酒税法違反事件も有罪の見通しがついて、検察官の処置が正しいことが証明された、こういうことが談話として当局から発表されておるんです。私はこの点が実は気に食わないので、その選挙違反、なるほど有罪かもしれない、酒税法違反、有罪かもしれぬが、酒税法の方は有罪になるかならぬか問題だと思うのです、本人がやはり否認しているんですから。唯一の証人である長治郎がもう死んでおるんですから。ところがそれがたとえ有罪になるとしても、有罪になれば検察官の方が正しかったのだ、こういう考え方ですね、私はそれに不満なんです、実は。選挙違反なんかもちろんいかぬ、密造なんかもちろんこれはいけない。いけないんですが、その扱い方を実は言っているんで、そう点に対して世間は批判している。それに対する答えというものはないわけなんです。このことを私は実は上の方では調べてほしい、こういう気持なんです。で、この選挙違反の方は若干お調べになっておるようですが、あとの問題ですね、これはまだ十分御調査になっておらないと思うし、それからもう一つは、この前も申し上げたように、農民組合の専務所に対する強制捜索ですね、これがあなたも若干行き過ぎがあったかもしれぬというような感じを述べられたようですが、こういうことでも、これは実際逮捕状を片手に持っておってそうして調べる。実行さえしなきゃいいじゃないか、こういうやり方はもってのほかだと思う。実行せぬものなら初めから取る必要はないので、相手は何も逮捕されたされぬからというて、否認したりしなかったりするような事案じゃないんですから、事案そのものが。実際に調べてみても何も否認も何もせぬ、そのまま言っておるわけです。そういう点からいっても、この渡辺並びに三浦副検事、私はこれは扱い方としてはきわめて妥当を欠いていると思う。結論が有罪無罪、それじゃなしに、経過というものははなはだ当を欠いている、こう思っているのです。その点に対するあなたのお答えがどうもあまりはっきりしない。どうでしょうか、私の言うのは、そこを言っているのです。
○政府委員(長戸寛美君) 私も有罪無罪ということと、横車の扱いが妥当であったかいなかということは別であると。ただ問題としまして、公判におきましてはその被疑者の供述等の任意性ということも当然に考えられて参りますので、それが有罪であるという場合には、そこに特に不当なことがなかったという一応の推定はできますけれども、そのほかは、妥当ならざるものがあるとすれば、別に究明しなければならぬという本筋は私も同感でございまするが、本件についてわれわれの見たところでは特に不当とみなすべきものはなかったように思っておる次第でございます。
○亀田得治君 それは地元のあなたの方の調査というのはどういうふうにされたのでしょうか。
○政府委員(長戸寛美君) 私どもの方では山形地検の検事正から報告を徴しております。事件の処理については特にこのような問題でございますので、仙台の検事長に請訓して山形地検において事を決した、こういう次第でございます。
○亀田得治君 仙台の高検なり地検というものは、結局これは起訴するとかせぬとか、そういう点の問題であろうと思うのです。私のお聞きしているのは、扱い方に不当な点があった、この点は地検なり高検ではわからぬと思いますから、だからそういう点についての疑義が出ている以上は、ただ文書でそういうところから、求めるだけでなしに、やはり私は京都事件で刑事課長を派遣されたように、刑事課長とまではいわなくとも、やはり適当な方を派遣して相手方の言い分を聞かなければこれはわかりません。これはほんとうに重要な京都事件のようなものであれば、これは法務委員会に証人に来てもらうということもできるでしょうが、そう一々ほかのことまでそんなことできるわけじゃないのですから、これだけの疑議があれば、やはりあなたの方で直接地元にだれかをやって、そうして調べる、こういうことぐらい私はやってほしいと思います。
 それからもう一つこれが起訴猶予になった直後に、渡辺検事の奥さんの兄弟に当る方から、日本農民組合の山形県連合会に投書が――手紙がきているのです。この手紙、私昨日聞きまして、現物をくれないかと言ったのですが、現物は山形にあるからといって、それじゃ名前なりそういうような点で電話でもして至急聞いてくれぬかということで聞いてもらったところ、酒田市の浜島、ここに住んでいる杉山民江という人なんです。この人から手紙が来まして、実はあれはうちの親戚だが、あの検事はおもしろくない男なんだ、皆さんに迷惑をかけているようだが、ともかく私らも新聞で見て非常に遺憾に思っているのだと、大いにやってくれといわんばかりの手紙がきておるのです。これはこういう手紙が内輪の中からくるようなそういう人が人を調べるということは、これもやっぱりおもしろくないと思う。私はこれは決して渡辺氏に会うたこともないし、どんな人か個人的には知りませんが、ただこういうふうに数々問題が起きてきて、そこにもってきて親戚からこういうことを言われることは、これは私はいい人だとは断定できぬと思う。こういうことになってくると、少々悪くてもかばうのが普通ですから、そういう点も参考にされて、もう少し調査をしてほしいと思う。その点どうでしょうか。これはもう少し調査をしてほしいと思うのですがね。ただ文書で求めるだけじゃなしに。
○政府委員(長戸寛美君) 今までの記録その他をよくまた検討いたしまして、その上でさらに実地について調査した方がいいということになりますれば、お話のように調査さしたいというふうに考えております。
○亀田得治君 それじゃその点はお願いいたしておきます。そうして調査の結果悪いということになりますと、あれは適格審査委員会とかいろいろありますが、そういうものは経なくても、法務省なり検察庁の首脳部自身がそういうふうに認定すれば、これは簡単に処分できるでしょう。その点はどうなんですか。
○政府委員(長戸寛美君) これは一般的な問題としてお答え申し上げますが、懲戒と申しますか、訓告その他の処分は本省においてできる次第でございます。
○理事(井上清一君) 次に板付基地勤務者の人権擁護及び裁判管轄権に関する件につきまして、当局からその後の経過について御報告を願いたいと存じます。
○亀田得治君 その後の経過といいましても、二、三日しかたっておらないわけですが、私の情報によりますと、福岡の地元からの正規の報告書がすでにあなたの方に届いたということを承わっておるので、先だってからの御答弁では、それが着き次第、大体まあ質問者のおっしゃることは間違いないと思うが、それが着き次第すぐ検討して、そうしてしかるべき行動を起すというふうに聞いているのですが、それが着いたかどうか明確に確認してもらうことと、もしきておれば、それを基礎にしてどのように処置されておるかお聞きしたいと思う。
○政府委員(海老塚政治君) お答え申し上げます。地元福岡県からの報告書は本日考の手元に届きました。まだ十分検討をいたしておりませんが、内容につきましては先般の委員会におきまして亀田先生からお話しがありました趣旨の内容でございます。私どもといたしましては現在までのところ保安条項に該当すると断定する資料がございませんので、そういう線に基きまして、諸般の情勢資料を十分検討いたしまして、できるだけ早くこの点につきまして関係軍当局との折衝を開始するようにいたしたいというふうに考えております。
○亀田得治君 ぜひそういう線で一つ御努力を願いたいと思うんです。首を切られた諸君もほんとうに悪ければこんなに執拗にはこないと思います。やはりこの件に関してはもう明白な無理が私はあったと思うので、それでそういう点でぜひ一つ最大の努力を願いたい。それであまり長引くと、結局本人自身が日本政府を抜きにして直接米軍の責任者と掛け合う、こういう事態にも発展していくわけですね。若干その動きがあります。私はいやしくも日本政府というものがあって、そういうふうな格好をとっていくということは、これははなはだある意味ではどうかと思うのです。それで、ぜひ一つこれは材料もすでにそろったと思うから、がんばってほしいと思う。きょうは何か日米合同委員会がおありのようですが、何かその際にはこの問題は取り上げられておるわけでしょうか。
○政府委員(海老塚政治君) 日米合同委員会はたしか先週あったと思いますが、あれは隔週木曜日だったと思いますので……、とにかく本日は開催されておりません。
○亀田得治君 本日はないのですか。
○政府委員(海老塚政治君) はあ、ありますのは施設合同委員会と申しまして、その合同委員会とは別の、施設等についての返還その他につきましての委員会は本日ございますが、それは合同委員会と別個の問題でありますので、本日お話の合同委員会につきましては、次の合同委員会その他であるいは軍側からもこの点についてさらに意見の開陳があるんではないかと思っております。
○亀田得治君 最も近い時期に早く折衝を持ってもらいたいのですが、それはすぐできると思いますが、あしたにでもそれはできないのですかね。
○政府委員(海老塚政治君) ちょっとこれはお尋ね恐縮でございますが、直用関係の労務者につきましてのレイバー・サブ・コミティでございますね、やはり解雇されました者につきましてのレイバー・サブ・コミティが本日開催される予定でございましたところが、これは十二日に延期になっております。十二日に、おそらく先生のおっしゃっている委員会だと思いますが、それは開催するように延期になりましたので……。
○亀田得治君 じゃ十二日といえばあす、あさってですから、ともかく早く片づけるように要望しておきます。
○政府委員(海老塚政治君) ただいま申し上げましたレイバー・サブ・コミティは直用労務者についての関係でございまして、私どもの受け持っております日米合同委員会につきましては、これは間接労務者につきまして、その会議とは別に合同委員会の問題といたしまして取り上げられているわけでございますが、これにつきましては米軍側もできるだけ事実その他について調査した上で、調査のととのい次第合同委員会で軍側の回答を述べるということになっておりますので、その点御了承を願いたいと思います。
○亀田得治君 直用であろうが、間接雇用であろうが、どっちだって、これは首切られた方からいえば同じことなんです。問題の性質がただ両用であるか、間接雇用であるかによって、形式が違うだけで、だからどちらか一つの解決がつけば当然同じことなんで、そういう点は私も了承して申し上げているので、ともかく一つどっちからでもいいから早く片づけてもらうように再度お願いしておきます。
○理事(井上清一君) ほかに御発言がなければ本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十一分散会
     ―――――・―――――