第025回国会 社会労働委員会 第3号
昭和三十一年十一月二十二日(木曜
日)
   午前十時二十七分開会
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  委員の異動
本日委員小幡治和君、吉田萬次君及び
寺本広作君辞任につき、その補欠とし
て勝俣稔君、横山フク君及び谷口弥三
郎君を議長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     千葉  信君
   理事
           榊原  亨君
           安井  謙君
           山本 經勝君
           早川 愼一君
   委員
           大谷藤之助君
           勝俣  稔君
           草葉 隆圓君
           谷口弥三郎君
           野本 品吉君
           吉江 勝保君
           片岡 文重君
           木下 友敬君
           藤田藤太郎君
           藤原 道子君
           山下 義信君
           竹中 恒夫君
  衆議院議員
           井手 以誠君
           内田 常雄君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 小林 英三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       多田 仁己君
  説明員
   厚生大臣官房総
   務課長     牛丸 義留君
   厚生省公衆衛生
   局長      山口 正義君
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  本日の会議に付した案件
○性病予防法等の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)(第二
 十四回国会継続)
○身体障害者福祉法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 (第二十四回国会継続)
○寄生虫病予防法の一部を改正する法
 律案(衆議院提出)(第二十四回国
 会継続)
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○委員長(千葉信君) それではただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず最初に、委員の異動を御報告申し上げます。
 十一月二十二日付小幡治和君、寺本広作君及び吉田萬次君が辞任されました。その補欠として勝俣稔君、谷口弥三郎君、横山フク君が選任されました。
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○委員長(千葉信君) 性病予防法等の一部を改正する法律案及び身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたし、ます。
 まず提案理由の説明を願います。
○国務大臣(小林英三君) ただいま議題となりました性病予防法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 性病予防法におきましては、性病診療所費に対する国庫負担率は、二分の一となっておりますが、これは補助金等の臨時特例等に関する法律によりまして、昭和二十九年度来四分の一に低減されているのであります。
 しかし、その後検討の結果、性病予防行政の円滑な運営をはかりますためには、この特例措置を廃止することが妥当と認められるに至りましたので、このたびこれが廃止の措置を講じようとするものであります。
 ただ、保健所に併設されております性病診療所につきましては、保健所と一体的に運営されております等の特殊性に基きまして、現在のところ保健所の経営費に対する国庫負担率が三分の一になっている関係上、これと同一にするのが妥当と考えまして、国庫負担率を三分の一とした次第であります。
 以上がこの法律案を提案いたしました理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんととをお願い申し上げます。
 次はただいま議題となりました身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 現在、身体障害者福祉法、生活保護法、未帰還者留守家族等援護法及び結核予防法におきましては、これらの法律に基く、医療に関する給付の担当機関を病院及び診療所に限定しておりますが、これらの給付措置の一環として、薬局において薬剤を交付する場合が考えられますので、関係法律を改正いたしまして、今回これらの法律の医療に関する給付を担当する機関として厚生大臣または都道府県知事が薬局を指定できることとすることが、本法律案のおもな内容であります。
 なお、このほか、右の薬局における薬剤の交付と関連いたしまして、国民健康保険法につきまして、国民健康保険法の規定による国民健康保険運営協議会の委員を、薬剤師を代表するものからも委嘱できる道を開く等、若干の法文整理を行うこととしたのであります。
 以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。
 何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
○委員長(千葉信君) それでは、まず性病予防法等の一部を改正する法律案の質疑を行いたいと思います。申し上げておきますが、大臣は衆議院の関係で欠席をされますけれども、公衆衛生局長の山口正義君、大臣官房総務課長の牛丸義留君が説明に当られます。御質問を願います。
○山下義信君 質問というよりは、性病予防法ですか、今議題になったのは。性病予防法の改正の提案理由の説明を聞いたのですがね。公衆衛生局長から、内容についての事務当局の説明を一つお願いしたいと思います。
○説明員(山口正義君) 性病予防法等の一部を改正する法律案、提案理由につきましてはただいま大臣から申し上げた通りでございますが、ただいま提案理由で御説明申し上げましたように、性病予防法十六条に基きまして設置されております性病病院、性病診療所の補助率は、本法そのものにおきましては二分の一になっているわけでございます。設置並びに運営に要します費用は二分の一になっているわけでございますが、それが先ほど提案理由にもございましたように、補助金等の臨時特例等に関する法律によりまして、昭和二十九年以来、性病病院に対します、事業費に対します補助率は、依然として二分の一でございますが、性病診療所――その性病診療所は二通りございまして、単独の診療所、それから保健所に併設してございます性病診療所と二通りございますが、単独の診療所は全国で三十カ所ございます。それから保健所併設の診療所は、保健所の数、七百八十二カ所ございますが、その両方ともその事業費に対します補助率が四分の一に低減されているのでございます。元来性病予防行政といたしましては、種々の方策をとっているのでございますが、その早期治療を普及いたしますために、経済的に恵まれていない人たちに対しましては、その治療費用を減免する制度を設けられているのでございますが――、先ほど申し上げました数字、私間違いましたので訂正さしていただきますが、三十カ所と申し上げましたが、病院でございまして、単独の性病診療所は四十八カ所でございます。訂正さしていただきます。その減免の制度が設けられているわけでございますが、国庫補助率が低減されました結果、それと一方におきましては、地方財政がだんだん窮屈になって参りましたために、おのずから地方におきましてその、性病診療所を設置いたしております地方公共団体におきまして、収入をはかるというような傾向が見られてくるようになって参ったわけでございます。従いまして、性病予防行政の一つの方法でございます減免治療ということが、だんだん行われにくくなってくるわけでございます。その結果といたしまして、国で一定額の予算を計上いたしましても、地方で十分予算を計上せずに、国で予算を計上いたしました予算が不用額になるというような事態も起ってくるというようなことになって参ります。これではせっかく性病予防法の趣旨といたします早期治療を実施いたしますための減免治療ということが十分に行われないことになりますので、やはり性病予防行政と早期治療の実をあげますために、この際、地方財政がますます困難になって参ります折柄、国の補助率を上げまして、そうして地方が予算を十分に計上し、必要なものに対して減免治療を行い得るようにというような方途を考うべきではないかということで、昭和二十九年度以来、臨時特例によりまして四分の一に下げられております補助率を引き上げたいというわけでございます。もともとの二分の一に戻したいというわけでございます。ただ、先ほど提案理由の説明でも申し上げましたように、保健所併設の診療所につきましては、保健所の事務費に対します国庫補助率が現在三分の一になっておりますので、これは保健所の医療費に対しまする国庫補助率との関係もございますので、三分の一に引き上げるということにさせていただきたいと思うわけでございます。もともとの法律で二分の一であったものが三分の一になるということは、一見下るように思われるのでございますが、実際的には現在四分の一になっておりますので、現実の面におきましては、四分の一から三分の一に引き上げられるということになるわけでございます。このように補助率を引き上げさせていただきまして、そうしてこれらの性病診療所における減免治療をできるだけ多く行う、そうして経済的に困っている人たちに対して性病に対する早期治療を実施してあげたいというのが趣旨でございます。
○委員長(千葉信君) 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(千葉信君) 速記を始めて。
 それでは御質疑もございませんようですから、これで御質疑を打ち切って、さらに討論を省略して直ちに採決に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) 性病予防法等の一部を改正する法律案につきまして、原案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(千葉信君) 全会一致でございます。よって本案は原案通り可決することに決定いたしました。
 なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
 それでは報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    山下 義信  藤原 道子
    片岡 文重  藤田藤太郎
    木下 友敬  山本 經勝
    竹中 恒夫  吉江 勝保
    谷口弥三郎  榊原  亨
    勝俣  稔  大谷藤之助
    安井  謙  草葉 隆圓
    早川 愼一
    ―――――――――――――
○委員長(千葉信君) それでは、次に身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案の質疑を行います。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。――それでは先ほどの例にならって、先に総務課長牛丸義留君が出席されておりますから、御説明を願いたいと思います。
○説明員(牛丸義留君) 身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案の趣旨は、先ほど大臣が説明いたしました通りでございます。この法律案の内容といたしますのは、本年の四月一日以降実施されましたいわゆる新医薬制度の実施に伴いまして、処方せんの発行に伴いまして薬局が薬剤を交付するということが社会保険医療並びにこれに類似の医療の制度として実施されることになったわけでございまして、ところが健康保険法その他につきましては、従来の法律規定といたしまして、保険薬剤師という規定がすでに法定されておるわけでございますが、ここへ掲げてあります身体障害者福祉法並びに生活保護法、結核予防法、未帰還者留守家族等援護法等の規定におきましては、薬剤薬局の指定という制度が法律上明定されておりませんでしたので、この際その点をはっきりと条文に規定しまして、新医薬制度の施行に遺憾なきを期したいというのが本法の趣旨でございます。
 それから第二の点は、国民健康保険の運営協議会の委員は、従来医師、歯科医師の方の代表はありましたけれども、薬剤師の代表がございませんでしたので、これも同じ趣旨に従いまして薬剤師代表の方を運営協議会の委員に入れるというのが、第二の点の趣旨でございます。
 以上の二点が本法の法律規定の内容でございます。
○委員長(千葉信君) それでは本案につき質疑のある方は順次発言を願います。
○安井謙君 私の方は別に格別質疑もないので、討論を省略したいと思いますが、社会党その他の……。
○委員長(千葉信君) ただいまの安井君の動議に御異議ございませんか。
○山下義信君 私どもには関連して伺いたい点がありますが、それはまた他の機会に譲ってもいいと思いますが、しかし法律案を上げるときには少くとも主管局長は私は出席すべきだと思う。先ほど出席者の氏名の御紹介があったときに、総務課長の御氏名もおっしゃったが、これは総務課長はいつの場合でも法案の審議には出席すべきであって、総括な立場の人でありますから、少くとも主管局長は出席しなくちゃならない。そうじゃなくて、本来は法案の採決には大臣もしくは差しつかえれば政務次官が出席すべきである。先ほど大臣はお差しつかえがあって、委員会の許しを得られて席を離れられたのでありますけれども、主管局長が出席しないということは、これは私は妥当でない、あまりにルーズに流れることは慎しむべきだと思うのであります。はなはだそういう点は不満に存じます。あまりルーズに流れ過ぎてもいけません。きょうのところは、私は一応恕しておきますけれども、今後厳に戒めていただきたいと思います。どういうわけできょう社会局長が出席しなかったのかということを一応おっしゃっておいていただかなくちゃならぬ。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○藤原道子君 局長はなぜ出られないのですか。
○説明員(牛丸義留君) これは関係局長といたしましては、社会局長並びに引揚援護局長、それから薬務局長、医務局長も関係がございますが、従来慣例といたしまして、医薬分業の関係はほとんど省の各局に関連いたしますので、総務課長の主管ということになっておりましたので、それは関係局長の出席をしない理由ではございませんが、そういうふうな慣例で私が一応説明に当ったわけでございます。局長さんの出席されなかったことはまことに遺憾でございますが、一応主管の説明はそういうふうな慣例で私が説明いたしましたので、御了承願いたいと思います。
○山下義信君 私は説明のことを言っているのじゃありません。説明であろうと、質疑であろうと、討論であろうと、採決であろうと、すべて法案の審議に当っては大臣みずからがその衝に当るのが、これが建前です。で、その他の人たちが当る詳しい説明があれば事務当局がなさるのが、これが建前。そして各局にわたることについて御説明になるのは、それは総務課長が便利でよろしいでありましょう。しかし法案を採決しようというような段階になりますれば、少くとも関係の局長、数局にわたればその主たる局長が出席するのは当然であります。身体障害者の今回の法案の内容が薬局や薬剤師あるいは薬務、医務等にわたるといいましても、身体障害者関係の主管局長はだれですか。関係局長は数局にわたりましても主たる主管の局長は社会局長であるということは明白である。少くとも社会局長が出るのが……。法案を採決いたしますのはわれわれ全国民に代ってやるのでありまして、厳粛にやらなければなりません。身体障害者の数十万の人たちの福祉に関する法案を採決する。厳粛にやらなければならぬ。質疑は省略いたしましても、討論は省略いたしましても、その採決に当って政府の責任者が顔を出さぬということは、私はあまりに国会の運営としては疎略過ぎると思う。
○委員長(千葉信君) ただいま山下君並びに藤原君の言われましたことは重々御もっともでございますので、この点については後刻委員長から厳重に厚生大臣に注意を与えることにします。従いまして、先ほど安井君から動議がありましたが、この法律案についての質疑は大体以上をもって打ち切りといたします。
 もし討論がおありになれば討論に入りたいと思いますが、いかがでしょう。
○安井謙君 関連して……、委員長の御釈明で了承しまして、その通り進めたいと思うのですが、今の山下君の御意見通り、採決のときには大臣がお差しつかえならば政務次官でも顔をお出しになるというのは、これはどこで見ても当りまえのことなので、その点はあわせて今後一つ十分お願いいたしたいと思います。(「その通り」「同感」と呼ぶ者あり)
○委員長(千葉信君) 討論のおありの方は……。
○藤原道子君 私も討論省略に異議ないのです。ですから、これをあと回しにして、次に移っていただいて、採決のときにはせめて政務次官ぐらいは来ていただくことをお願いします。まだ委員会の出発でございますから、出発からあまりルーズになることは好ましくございませんので、そういうことにお計らいを願いたいと思います。
○委員長(千葉信君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(千葉信君) それでは速記を始めて下さい。
 それでは本件につきまして、討論を省略することについて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
 それでは本案に関する採決についてはあとに回すことにいたします。
    ―――――――――――――
○委員長(千葉信君) 次の寄生虫病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提案者内田常雄君が出席されておりますので、提案理由の御説明をお願いいたします。
 なお、衆議院議員の眞崎勝次君、楢橋渡君、井手以誠君が出席されておりますことを念のために申し上げておきます。
○衆議院議員(内田常雄君) ただいま議題となりました衆議院提出の寄生虫病予防法の一部を改正する法律案につきまして衆議院を代表してその提案の理由を御説明申し上げます。
 この法律案は過ぐる第二十四回国会におきまして、衆議院におきまして全会一致をもって可決され、本院に送付せられたものでありますが、当委員会の継続審査に付されて今日に至っておるものであります。
 この改正法律案の趣旨といたしますところは、現行寄生虫病予防法におきまして、法定寄生虫病として指定されておりますところの住血吸虫病のうち、地方的に最もしょうけつをきわめておりまして、かつ重篤な症状を呈し、一番厄介な日本住血吸虫病につきまして、これが計画的の根絶をはかろうとするものであります。この日本住血吸虫病につきましては、すでに関係地方の各位は十分御承知のように、他の寄生虫病などと違いまして厄介なことに、医学や薬学の進歩した今日におきましても、これを予防しまたは治療する的確な方法がないのであります。しかもこの病気は、その病原虫の微細なる幼虫が特定地域における穀倉地帯の田畑の間の小溝などに発生浮遊いたしまして、人間はむろんのこと、牛馬などの哺乳類の健全なる皮膚を通して体内に侵入し、肝臓や血管を侵して、勤労不能の状態に陥らしめ、ついには死亡せしめるというおそるべきものでありまして、山梨や、広島、福岡、佐賀などの各県をはじめ有病地方におきましては、農民や学童などその罹病率がきわめて高い状況にありまして、まことに悲惨なことでありますのみならず、農耕その他日常生活に重大なる障害を与えておるものであります。
 このような事情に対処いたしまして、数年前から政府におきましても、現行寄生虫病予防法の規定を適用して、病原虫生息地帯の公共団体と協力して、この病気を撲滅いたしますために、その病原虫の中間宿主である宮入貝と申す特定の巻貝を絶滅する方策を講じ、その方法として国費の補助によりまして、これが生息地帯における溝渠のコンクリート化を行わせて参っておりますことは各位のすでに御承知のところと存じます。
 しかしながら、この数年の経過にかんがみますと、この病害が特定の地方に限られたものでありますこと、また財政支出の問題などに災いされまして、さきに申述べましたように、この病気がゆゆしいものでありまして、放置することを許し得ないものであるにもかかわらず、施策の徹底を得ずこのままの状況では本病の撲滅も百年河清を待つのたとえの通りでありますので、ここに今回、寄生虫病予防法の一部を改正いたしまして、法律上明確に本寄生虫病の撲滅対策を取り上げ、昭和三十二年度以降おおむね十年を目標としてこの病原虫の生息地帯において施設するコンクリート作りの溝渠新設の基本計画及び各年の実施計画を国において定めることといたすとともに、これがための公共団体の支出する費用に対する国費負担の割合を要すれば政令をもって引き上げることができることといたしたいと存ずるものであります。
 以上がこの法律案を提出しました理由であります。
 この法律案はただいま申し述べましたように、予算の若干の増額を伴う法律案でありまして、先般衆議院を通過いたしましたのち、あたかも昭和三十二年度の予算概算の要求時期に当っておりましたので、厚生省当局からはこの法律の改正に基く予算の概算を大蔵省に現在提出、要求中の事情でございまして、三十二年度におきましてこの法律の趣旨に基く予算の成立を期しますためには急を要するものと考えますので、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(千葉信君) 御質疑を願います。
○藤原道子君 ちょっと提案者にお伺いしたいのです。三十一年度においても予算が計上されておるのじゃないでしょうか。それともう一つ、どのくらいの予算を伴うものでありましょうか。
○衆議院議員(内田常雄君) お尋ねの件につきましては、これは三十一年度におきましても、また数年前からわずかの予算が計上されております。しかし、その予算は三十一年度について申しますと、わずかに二千万円くらいでございまして、その施設をいたしますための総額の費用は、現在の寄生虫病予防法の規定によりますと、地方公共団体のうち当該市町村が三分の一、それから関係府県が三分の一、国が三分の一の補助、こういう形でございますから、国は昭和三十一年度において約二千二十五万円の予算を計上しておりますが、事業費全体としては六千万円、これはわれわれが希望をいたしまするところの費用からいたしますと非常に少いのであります。それではこの法案が通った場合においてはどうなるかと申しますと、御配付の法律案の中にありますように、今後は政令をもって、つまり厚生省と大蔵省との打ち合せによりまして、今の法律にある三分の一、三分の一、三分の一という負担、これを変更して地方の公共団体の負担を軽くして、国費の若干増額を期し得るような形にいたしております。厚生省から三十二年度の概算として要求されておりますのは、三十一年度の二千万円余りに対しまして一億一千四百万円くらいの概算要求をしておると聞いております。従って約九千万円くらいの予算の増額が、この法律を通していただきますならば実現されるのではないかという希望を持っておるわけでございます。
○藤原道子君 これを継続いたしまして、十カ年計画で完成できる見込みなんでございますか。
○衆議院議員(内田常雄君) さようでございます。
○山下義信君 今の藤原委員の御質疑は提案者に対してされたのでありますが、この際、政府当局から本法施行についての必要な予算の算定の年度等について、今後の政府としての本法施行についての考え方、あるいは大蔵省当局との厚生省の見通し等について政府の方の一つ考え方を聞いておきたいと思います。
○説明員(山口正義君) ただいま議題となっております法律案につきましては、今後の財政負担の問題もございます。国庫負担率の引き上げについても慎重に検討する必要があると存ずるのでございますが、この日本住血吸虫病の被害にかんがみまして、計画的にその予防措置を講じようとされる御趣旨はごもっともでございます。やむを得ないものと認めまして善処をいたしたいと、そういうふうに政府といたしては考えておるわけでございます。
○山下義信君 予算の見通しはどうですか。
○説明員(山口正義君) 予算は先ほど提案者の内田先生から御説明がございましたように、来年度は今後残っております必要と認められますものを十年に割りまして、その十分の一を事業の量といたしまして、それから一件当りの予算単価も引き上げ、それから先ほどお話のございました国庫補助率も現在は三分の一、三分の一、三分の一でございますが、今要求いたしておりますのは、地元市町村が四分の一、府県が四分の一、国が二分の一ということで要求をいたしておりまして、厚生省から大蔵省に対しましては、事務的な一応の説明を終り、この事の重要性を十分強調してございます。またこの法案が提出されますに当りまして、先ほど山下先生からもお尋ねのございました政府全体としての考え方につきましても、事前に大蔵省といろいろ話をいたしておりますが、結果的に、どういうふうに大蔵省議で中央の案をきめますかということにつきましては、まだ確定はいたしておりません。しかし、本問題の重要性につきましては、事前に大蔵省とも十分話し合っております。果して厚生省当局が要求いたしました通りの数字になりますかどうか、それはまだはっきりいたしておりませんが、見通しはある程度明るいと、そういうふうに考えるわけでございます。
○草葉隆圓君 これは大へん大事な大きい問題でありまするから、衆議院の御提案に対しましては、いずれ早急に進めていかなければならない問題だと思いますが、現在の罹病の状態、それからこれに対する処置というのはどういうものを政府の方で……患者に対する処置……。
○説明員(山口正義君) 本病は先ほど提案者の内田先生からも御説明がございましたように、非常に特殊な病気でございまして、一たんその病原体がからだの中に入りまして、これは寄生虫の子虫として入りましてからだの中で親虫に成育いたしまして、そうして血管の中に発育して、血管の中に溜っていろいろな症状を起してくるわけでございますが、非常に結果的には重篤な症状を起して参りまして、貧血あるいは腹水あるいは肝硬変、脾腫というような症状を起して死に至るというようなことでございます。
 ただ先ほどからお話がございましたように、地方的な疾病でございますので、患者総数といたしまして、私どもの方に届出されております患者の数は、一年間にはたとえば昭和二十九年には千五百三十七名、昭和三十年には千三百四十九名、死者の数は昭和二十九年には八十六名、三十年はまだ確定した数字が出ておりません。そういうことでございますが、その地区に住んでおります住民に対します率からいたしますと相当高いものになる、そういうふうに考えるわけでございます。治療法は現在アンチモンという金属を使って注射をしてやっているわけでございますが、それだけでは先ほど御説明がございましたように、なかなか治癒に導かせるということが困難な状態でございます。
○竹中恒夫君 今の御説明で、三十一年度に二千万円を国庫がお持ちになるということであれば、その場合に府県がまた三分の一、それから市町村が三分の一でありますと大体六千万円くらいですね。今度この提案通りで、当局のお考え通り予算がかりにとれますと一億一千万円のものがとれて、その見返りが、四分の二が国庫ですから、同様の一億一千万円というものを県と市町村が持つわけですから、それに対しまする見通しと申しますか、地方財政との関係はどうなりますか。
○衆議院議員(内田常雄君) お答えを申し上げますが、昨年までおおむね年額二千万円、これはこの二千万円の計画で本病の撲滅をはかります場合には、おおむね三十年から四十年たたないとこの病原体の撲滅ができないということになっております。そこで各府県の状況によって違いますが、おおむねの府県におきましては、多少の地方負担が増してもぜひこれを五年くらいのうちに撲滅をはかりたい。そうしなければ、三十年、四十年たっておったんでは結局その撲滅ができないからということで、ある程度の地方負担を覚悟しての陳情、要請が大蔵省、厚生省に毎年相次いでおるようであります。そこで今までの状況でいきますと、三十年、四十年かかるのを五年でやることになりますと、国費の負担も地方の負担も非常にかさみますので、大蔵省といろいろ話し合いをいたしました結果、十年計画くらいでやらしていただきたい、そうすれば国も財政上応じやすくなるし、また今お尋ねのような地方負担も緩和ができるであろうということでこれを十年にいたし、また補助率も従来の三分の一をこれを二分の一というふうに引き上げたわけでございます。もっともこれは一年、二年やりまして、今の十年計画というものは、これは今度法律に明定いたしますから、これを変更することは法律の改正がない限りないものと思いますけれども、負担の問題につきましては政令でその負担率をきめることにいたしておりますから、万一事業量がふえまして、地方公共団体の負担がし切れないという場合には、あるいは国の負担率をこれを五分の三にいたすとか、あるいはさらに六分の四にいたすとかということは国会も応援をいたし、また厚生省も十分必要と認める限りにおいては大蔵省に折衝していただいて、地方負担をできるだけ将来に向って軽くしていくという方法をとらなければならないものと考えております。
○竹中恒夫君 よくわかりました。
○谷口弥三郎君 ただいまの御説明を聞いて大いに安心したのです。私どもはこの十年間の計画というものをぜひ五年ぐらいにしていただきたい。予防的に早くやらないと、一たん入り込みますとなかなかなおりませんので、しかも、最近は肝臓に注射いたしまして、そうしてその注射の方法によって割合に早く見出すことができております。従って一方にはそういうような診察方面とかというのでできるだけ早く見出す方法もいたしますけれども、アンチモンを用いましてもなかなかなおりませんのでございます。従って予防的に、早くこの工事を完成するというような方面に全力を尽していただくのには十年じゃ、あまり長過ぎるので、五年計画あたりにぜひしていただきたいと思っておりましたが、今の御説明を聞いて私は安心しております。どうぞ一つぜひ急いでとれが行われまするようにお願いいたしたいと思います。
○衆議院議員(井手以誠君) 提案者の一人として一言お願いをいたしたいと思います。この法律案は、実は衆議院において二つ同様の趣旨で提案いたしたのでありますが、これを併合いたしまして、ここに皆様に御審議をお願いいたしておるわけであります。
 私は佐賀県の出身でございますが、筑後川の沿岸におきましては、非常に罹病率が高いのであります。しかも最近はだんだん上流の方に蔓延いたしまして、ただいま鳥栖保健所の報告によりますると、旭村の全村の統計では百人に対して四人、部落によりましては百人に対して十一人の罹病率でございます。これをまとめて何千人という数字は今のところはっきりいたしませんが、これを届出制、その他によって明瞭にしたことはないのであります。症状が著しくなってから初めて入院し、治療するという状態のものでありますので、はっきりした数字はつかむことが困難でございます。せっかく今日まで石灰窒素その他によって予防措置は講ぜられておりますけれども、ただいまのお話のように、その対策が遅々として進みませんので、蔓延して非常に心配をいたしておる次第であります。先日地元の者が九大に入院いたしましたが、治療費が二十五万円かかるというようなことで、どうしても治療を受けられない悲惨な状態を現地で私は承わったのであります。どうしても皆様方のお力によりまして、コンクリートの溝を早急に完成しなくては、筑後川沿岸の住民が安心して農作業に従事することもできませんし、学童が水泳することもほとんどできないのであります。今学童の水泳は現地におきましては禁ぜられております。あの地方に参りますと、五尺そこそこの男が非常に多いのであります。それはほとんど寄生虫によるものであり、御存じかもしれませんが、徴兵制度があった当時には、徴兵よけのためにこの病気にかかりたいというお願をかけるという話があったのも、そういう事情の一端を物語るものであろうと思うのであります。
 どうぞ皆さん方のお力添えによりまして、すみやかにコンクリートの溝が完成できますように、また負担率におきましても、地元三分の一、府県三分の一ということでは、一カ市町村一千万円とか、五百万円という負担では、とうてい必要は痛感いたしましてもたえられない金額でございますので、どうしても国のお力によらなくては、お力を得なくては、このコンクリート化ということができないわけであります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○片岡文重君 そういう悲惨な状態に置かれているのに、しかも十年間を要する。十年間の計画で、この法律を改正して、一年に要するものが大体一億一千四百万円という、きわめて軽微な金だと私は思うんだが、どうしてもっと早くそれをやるようなことを考えられないのですか。少くとも三年なり、五年なり、とりあえず縮めることぐらいは考えてやるべきじゃないか。その十年という遠慮した理由はどこにあるのですか。
○衆議院議員(内田常雄君) 片岡さんから、まことにありがたい御質疑で、感銘をいたすのでありますけれども、先ほども触れましたように、この病気が日本の国でわずか数府県に限られているということのために、たとえば結核病でありますとか、あるいは健康保険の問題でありますように、まあ言葉が適当であるかないか知りませんが、いわば一つの政治力に従来ならなかったのでありまして、そのために毎年計上いたされております二千万円でも、毎年一ぺん皆増皆減とでもいいますか、ほとんど零に落されるくらいでありまして、大蔵省におきまして、そのたびごとにわれわれ、地元出身に限られるのでありますが、参議院議員の各位や、また衆議院におります私どもが、地方の輿望を代表いたしまして、厚生省、大蔵省に乗り込んで、やっと前年程度の二千万円が計上されるということでありまして、このままで行きますれば、三分の一補助の二千万円、しかもこの病気撲滅のために三十年、四十年かかるということがわかっているではないかということで、先ほども申し述べましたように、たとえば地方道路の整備計画などにヒントを得まして、五年計画ということを法律案にうたったのでありますが、大蔵省はああいう役所でございまして、どうしても聞き入れない。ことに内情、これは内輪でございますから内情を申し上げますが、予算を伴う法律でありますから、なかなか与党であります、政府をもっております自由民主党などにおきましても、そういう議員立法が容易にできない。大蔵省がある程度同意を示さない限り、三年でやってしまう、五年でやってしまうと言いましてもできない問題でありまして、この際は歩どまりをねらおうというような気持から、とりあえず十年にいたしました。これは大蔵省に聞えると困りますけれども、また状況を見まして、八年なり七年なり、五年なり、さらにこれは法律を修正するのが、一番これは実現に近い方法だと考えまして、これをやったわけであります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
 なお、つけ加えさしていただきますと、この病気で困りますのは、人間の保護だけならよろしいのですが、人間のほかの、牛や馬や、ネズミ、ウサギというものが全部かかるものでありますが、その元をただす以外にないということで、かような処置をとらなければならないということで、ぜひ一つお考え願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
○委員長(千葉信君) ほかに……。以上で質疑が尽きたものと思いますから、質疑を終了して、討論に入りたいと存じますが、いかがでしょうか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○草葉隆圓君 討論を省略して直ちに採決に入られんことの動議を提出いたします。
  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) ただいまの草葉委員の動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) それでは討論を省略して直ちに採決に入りたいと思います。
 それでは寄生虫病予防法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本法案に御賛成の方は御挙手をお願いいたします。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(千葉信君) 全会一致と認めます。
 以上をもって本法律案は原案通り可決せられました。
 なお本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成、その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
 それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    山下 義信  藤原 道子
    片岡 文重  藤田藤太郎
    木下 友敬  山本 經勝
    竹中 恒夫  野本 品吉
    吉江 勝保  榊原  亨
    谷口弥三郎  早川 愼一
    勝俣  稔  大谷藤之助
    安井  謙  草葉 隆圓
    ―――――――――――――
○委員長(千葉信君) それでは、次に身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案について採決を行いたいと存じますが、その前に、委員長から厚生大臣に対して一言御注意申し上げておきたいと存じますことは、この法律案の審議の経過におきまして、特にこの法律案が採決せられるという状態に当っての御意見として、法律案の審議に当って大臣もしくは政務次官等責任者が委員会に出席を怠り、質疑に当っても、さらにまた採決等の場合に大臣、政務次官の出席のないままに採決に入ることが適当でないという立場から、特にその大臣なり政務次官が国会に対してはなはだしく誠意を欠くという点について強い御意見がございましたので、委員長も妥当と認めてその点については今後十分御注意いただくように大臣に対して、この機会に一言御忠告申し上げておく次第でございます。
 それでは身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案につきまして原案の通り可決することに御賛成の方の挙手をお願いいたします。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(千葉信君) 全会一致でございます。
 よって本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
 それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    勝俣  稔  早川 愼一
    大谷藤之助  安井  謙
    草葉 隆圓  山下 義信
    藤原 道子  片岡 文重
    藤田藤太郎  木下 友敬
    谷口弥三郎  山本 經勝
    野本 品吉  吉江 勝保
    竹中 恒夫  榊原  亨
○委員長(千葉信君) 以上をもちまして、今日は散会いたします。
   午前十一時二十五分散会