第026回国会 文教委員会 第15号
昭和三十二年三月二十九日(金曜日)
   午後三時八分開会
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  委員の異動
本日委員近藤鶴代君及び藤原道子君辞
任につき、その補欠として田中茂穂君
及び松澤靖介君を議長において指名し
た。
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 出席者は左の通り。
   委員長     岡  三郎君
   理事
           有馬 英二君
           野本 品吉君
           矢嶋 三義君
           常岡 一郎君
   委員
           川口爲之助君
           左藤 義詮君
           林田 正治君
           林屋亀次郎君
           三浦 義男君
           安部 清美君
           高田なほ子君
           松澤 靖介君
           松永 忠二君
           湯山  勇君
  国務大臣
   文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
  政府委員
   文部省初等中等
   教育局長    内藤譽三郎君
   文部省管理局長 小林 行雄君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
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  本日の会議に付した案件
○就学困難な児童のための教科用図書
 の給与に対する国の補助に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○学校給食法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。
 委員の異動について報告いたします。本日藤原道子君及び近藤鶴代君が辞任され、補欠として松澤靖介君及び田中茂穂君が選任されました。
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○委員長(岡三郎君) まず、就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
○林屋亀次郎君 本案に直接関係ありませんけれども、ごく簡単に一つ質問いたしたいと思いまするが、それは学校の教科書以外に、課外読本と申します、いわゆるワーク・ブックというのが、私の調べたところによりましても数十種のものがあるように承わっておりまするが、これに対するところの文部当局はどういうお考えを持っておいでになりまするか。これもある程度まで私は少くとも規制する必要がありやせぬか。現在のところではあるいは父兄の負担も、これが各種各様にわたっている関係上、相当の金額に上りはせぬかと思います。せっかく教科書に対するところの無償配給も行われても、こういう方面にいわゆる抜け道があるようなことは決して喜ぶべき現象ではないと思いまするので、大体こういうワーク・ブックというのがどういうたくさんな種類のものがあるかということ、それからこれに対して文部省はどういうお考えを持って処置をせられるお考えであるかという二点を承わってみたいと思います。
○政府委員(内藤譽三郎君) 御指摘のワーク・ブックについては相当数にも上っておりますので、またこれが教育上必ずしもいい場合がないとも予想されますので、先般の教育委員会法の改正によりまして教育委員会に承認または届出を要するようにいたしましたので、ある程度規制されたものであります。なお父兄負担の点についてもできるだけ軽減するように、文部省も指導いたしております。
○松永忠二君 一つ二つお伺いしたいと思いますが、まず第一点としては、補助率が八割というふうに予算に出ておるわけでありますが、あと二割は義務的に、ほとんど確実に市町村に負担させるものなんですか、どうなんですか、その点を一つお伺いしたい。
○政府委員(内藤譽三郎君) これは生活保護法との関連によりまして八割にしたわけでございますが、二割は必ず市町村負担、父兄には御負担のかからないように措置いたしたいと考えます。
○松永忠二君 で、この就学困難な児童のための法律の施行令の中に、国の補助は限度が限ってあるわけであるけれども、「その給与した教科用図書の定価又は購入費の総額について行うものとする。」というふうに書いてあるわけです。これは一体八割とこれとの関係はどういうふうに考えられるか。
○政府委員(内藤譽三郎君) 御指摘の点は前年度の政令だと思います。そこで文部省といたしましては総額を児童数に按分いたしまして一応府県に配付するわけでございます。それから府県の方では児童数と生活扶助を受けておる者の程度を勘案しまして市町村に配付すると、前年度は総額――全額でございましたので、一応補助単価、全額単価六百円を基準にしたわけでございます。ですからその範囲内でもし余裕がありますれば人員をふやすと、こういう考え方、あるいはもし予算が足らないのならば人員を減らすという操作が加わったわけでございます。
○松永忠二君 ちょっと理解しにくいので、もう一度再質問するわけでありますが、その施行令の中では、国の補助の基準として、「都道府県の教育委員会が各市町村に配分した児童の数を六百円に乗じて得た額を限度として、その給与した教科用図書の定価又は購入費の総額について行うものとする。」というわけであるので、これは今お話の配分については基準が別にあるとしても、国が府県に配分する基準についてはそこに出ておるわけなんですけれども、とにかく国の補助の基準としては、給与した教科書の総領について行わなければならぬ、というふうに施行令では規定されてあるのだと思うんです。これはどういうふうな解釈なんですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) これは前年度の政令でございますから、今度政令を改める場合には五分の四にしたい、八割にしたいと思いますが、一応総額を出しまして、その中で市町村が操作するわけでございます。ですから定価が上っておる場合には、おそらく市町村は児童数の方を減らすんではなかろうか。それから単価が低い場合には児童数をふやすという操作をするんではないかと思います。
○松永忠二君 そうすると、これは施行令を改めるというふうなことの理解でよろしゅうございますか。
○政府委員(内藤譽三郎君) さようでございます。
○松永忠二君 それではその次の点として、配分の方法についてでありますが、生活保護を受けている者の数と児童の生徒数とに基いて配分の基準がきめられておるわけであります。これについて考えてみると、生活保護を受けている者の数に按分することのできる児童の数というものは、十分の三以内というふうに規定されておるわけです。これについて、こういうことを実施されていて、この点について考究する必要があるというふうにお考えになっているのか、あるいはこれでいいと考えられておるのか、それをもう一度お聞きしたい。
○政府委員(内藤譽三郎君) この制度は昨年初めて試験的に創設したわけでございまして、いろいろと問題もあるかと思いますが、なお今後も研究して参りたいと思っております。ただ概数的に申しますと、各県の児童数に一応配分しまして、さらにこの場合に生活保護の児童数というものも勘案しなければなりませぬので、大体準要保護児童と生活保護児童との関連は相当深いものがございますので、この点の配分の比率については、児童数と生活保護の児童数、これの比率についてはさらに研究する余地はあるかと思いますが、今のところ大体前年度の方針を踏襲いたしたいと考えております。
○松永忠二君 配分の方法でありまするけれども、ここで議題になっているような、いわゆる準要保護児童というような生徒は、相当やはり生活が困難で、そのために教科書の支給をするというようなことになっておると思います。この生徒数に応じて配分をして、それをある一定の生活保護法に基いての補正をする、というような形では、実際から考えてみると、実は現在の地方の財政のアンバランスから考えてみても、非常に地域によって格差があると思うわけなんです。ある地域においては非常に生活保護というか、準要保護児童というようなものが非常に多い府県があるし、また府県によっては非常に少いものも出てきておるので、どちらかといえば生活保護を受けている者が大体準要保護児童と比例するということであれば、それを基準にして、それでそれを補正する数字としての児童数というものがあるべきだと私は思うわけなんです。せっかく四%の児童にくれたいのが、現実には一・九%であるという実情からみても、ほんとうに困っている準要保護児童に、その金額をその地方に支給されるということについては、十分考えていかなきゃできないと思うわけなんです。これについては、私もこの現在の配分が正しい、誤まっているという根拠を持っているわけじゃないけれども、われわれが常識的に考える場合には、事実困っている生徒に金が与えられていくということでなければ、その府県の児童数によって、これが生活保護の生徒の率から考えて調整されていくのでは、少し性格がおかしいのではないか。誤まりが出てくれば、ほんのわずかな金であるけれども、もらう生徒からいえば非常にありがたい金なのだから、その配分については十分御研究をいただいて、実情に合うように一つ、もし改める必要があれば十分にその点を改善をされていくように特にお願いをしておくわけであります。
○政府委員(内藤譽三郎君) 実はそのお話の通りでございまして、私どもも調べたところですが、生活保護の児童数の比率と、全県の児童数の比率をとってみたのです。しかし現実にとりますと、大体生活保護の対象人員でとった数と児童数のとった数とあまり変らなかったのです、全県的には……。しかし県から市町村の段階にいきますと、必ずしもそうでないので、先ほど申しましたような比率をとったのでございますけれども、今後この点は十分検討いたしたいと思っております。
○矢嶋三義君 二、三伺いたいと思いますが、生活保護法の適用を受けている小中学校の生徒の総数並びにその数の全生徒児童に対するパーセンテージはどうなっています。
○政府委員(内藤譽三郎君) 大体小中合せて六十五万人程度と思います。もちろん毎年多少の伸び縮みがございますが、昨年度は六十五万程度でございます。約三・五%くらいと私は思っております。
○矢嶋三義君 この教育扶助を行う際の教科書の単位は、この法に基く、小学校五百八十四円、中学校九百十円という同じ単価でいっておりますか。
○政府委員(内藤譽三郎君) さようでございます。
○矢嶋三義君 当初この概算要求する場合に、全生徒児童の四%程度、準保護児童数とつかまれましたね。それは、その根拠はどういうところにあるのですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) 大体保護児童が四%という推定をしまして、それに対してほぼ同数の準保護児童、こういうふうに計画したわけでございますけれども、これは四%については、準保護児童の四%の方は、科学的な綿密な調査をしたわけではございません。大体の見当として、保護児童とほぼ同数の準保護児童がいる、こういう見通しを持っておるわけでございます。
○矢嶋三義君 例年この予算要求する場合には、給食の方でも教科書の方でも大体四%とつかんでいるようですがね、その四%という数字をつかんできた根拠は、あなたの今の説明で、十分ではないですけれども一応了解するとしても、本年度若干教科書並びに給食の補助の対象となる生徒の率は上げているが、まあ二%か、一・九%になっておりますがね、この予算折衝の場合は、何ですか、どういう論戦が行われて、例年の四%の要求があるいは一・九%程度に押えられるのですか。このね、わずかな予算だけれども、この効果というものは相当大きいと思うのですがね、どういう論戦が行われているか、それを御説明願いたい。
○政府委員(内藤譽三郎君) 文部省としては、今年はぜひ中学校の方に伸ばしたい、前年度は小学校一・七%でしたので、中学校を伸ばすことに重点を置いたわけであります。そこでさらに小中合せて今度は一・七%を一・九%にするというので、努力をしたのですが、まだ十分ではもちろんございません。ただ四%という点については、生活保護法のようにケース・ワークで相当綿密な収入調査をいたしておりませんので、私の方も四%という点については、十分な確信を持っていないのですが、もちろん予算で不足しなお困っている児童がございますれば、比率を上げるように努力をいたしたいと考えております。
○矢嶋三義君 大体今の文部省のつかんでいる数字では、全生徒児童の八%に対して教科書へ補助しますれば、教科書を購入するのに困る生徒児童は日本にはいなくなると、かようにお考えになっておられるわけですね。
○政府委員(内藤譽三郎君) 大体そういう考えです。
○矢嶋三義君 そうすると、その概算要求に出ているように、大体五億あればよろしいわけですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) あと二億ほどあればいいわけです。ですから一億九千万、さらにその倍額があれば、四%というふうに考えております。
○矢嶋三義君 四%の概算要求は五億五百万円やっていましたね。
○政府委員(内藤譽三郎君) これは全額で計算しておりますので、実は生活保護法との権衡をとりまして、八割にいたしましたので、計数が変っております。
○矢嶋三義君 昨年は、それじゃ全額予算を組んだのですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) 全額でございます。
○矢嶋三義君 今年は八割になったわけですね。
○政府委員(内藤譽三郎君) さようでございます。
○矢嶋三義君 大臣にお伺いしますが、この教科書給与の問題については、憲法に保障される義務教育無償実現の立場から、天野文部大臣当時に第一学年の生徒に対して、算数、国語を無償で給付すると、それを六年次計画で当初小学校だけの生徒児童に対して、無償にするという計画でスタートしていますね。その後政府の方針が変って、新入一年生だけに、国民的自覚を促すとともに、入学おめでとうという祝意を表する意味において、新入一年生だけに無償供与する、こういう予算の組み方をして、それから松村文部大臣の末期から今度はさらに転換して、困窮者に対して一年に限らず小学校、さらには中学校まで拡大して供与するというところから全額としたわけですが、本年度は生活保護費との関係で一部補助、八割と、まあ歴史を顧みますというと、転々とこう変ってきているわけですね。私も一昨年、一昨昨年東南アジア諸国から欧米諸国を視察したのですが、まあ英国とかフランス等、負担能力のある父兄には子供さまの教科書を買ってもらって、負担能力のない生徒児童に対して国が無償供与しているという形態のものもありますが、大部分の国は私が見ました範囲内では、義務教育学校の教科書というものは国で全額無償供与しているという国の方が多く、大体世界の趨勢としてはそういう方向に進んでいると私は視察して帰ったわけですが、この義務教育学校における教科書というものは、これは基本的な問題ですが、これに対する国の考え方が、今私が申し上げたように、その年々によって転々と方針が変るというのは、私はあまりほめたことではないと思うのです。やはり大きな方針のもとに、一度にできなければ年次計画をもってやっていくという基本的な態度というものが私は打ち立てられなければならぬと思う。そう大臣のかわるたびにこれらが転々と変るということでは私はならぬと思うのですが、大臣のお考え並びに今後の構想についてはどういうものを持っておられるか承わりたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 教科書の問題につきましてどういうふうに考えるかということでございますが、義務教育関係について、すべての生徒児童に教科書を無償で配付する、これも一つの考え方でありますが、また新入学の者に対してまあお祝いというような心持で教科書を配るというのもこれも一つの考え方であります。今日日本といたしましては、生活の困難、教科書を入手しがたい人たちに対して、子供に対して教科書を与えるという建前をまあとっておるわけであります。いろいろ考え方によりまして結論も違ってくると思うのでありますが、私は今の生活保護児童、あるいは準要保護児童というような者に対する扱い方がこれで完全に行われているというふうにも思いません。今後さらに発展させるべき点があると思うのでありますが、現実問題といたしまして、考え方としてはただいまのやり方を踏襲して、さらにその充実をはかっていきたいというのが現在の私の考え方でございます。
○矢嶋三義君 事務当局に伺いますが、小学校並びに中学校の生徒児童に教科書を無償で国から供与するとすれば、小中学校おのおのどの程度の予算を必要とするとつかんでおられますか。
○政府委員(内藤譽三郎君) 大体百五十億くらいを見ております、小中学合せて。
○矢嶋三義君 合せてですね。
○政府委員(内藤譽三郎君) はあ。
○矢嶋三義君 次に、今の方針に基いて中学校に拡大されたわけですが、小学校児童に対する以上に、中学校の生徒に対してはよほど教育的な考慮を払って取り扱わないと、非常に感受性の強い年代ですから、卑屈感を起すと、かなり問題が起ってくると思うのですが、そういう点についてはどういう指導をされておられるのか、承わりたいと思います。
○政府委員(内藤譽三郎君) お説のように卑屈感を起さないように、十分配慮……校長なり教員がその点に格段の配慮をするような指導をいたしております。
○矢嶋三義君 文部大臣にお伺いするのですが、私は、並びに私の党では、義務教育無償という実現のためには、生徒児童の教育に対して最も必要な教科書だけは、一度にできなくても年次計画をもって無償供与する方向に政策を進めていくべきだという政策を持っておるわけですが、あなたとしては、現在においてはそういう方向をとって漸進的にこの政策を推し進めることよりは、本法案のような立法精神によってやっていくのが適当だと、こういうお考えだということを先ほど承わったわけですけれども、中小学校の生徒児童に対して全額無償供与に比べれば、生活保護並びに準要保護児童に対する予算というものは、事務当局から説明されましたようにきわめて僅少で、事務当局が要求されました約四億円に対して一億九千万ばかりの予算が計上されておる。ここ数カ年の間において、これは実現しなかったのですが、一つ来年度あたり全児童の四%に対する四億円程度の予算というものは、ぜひ私は確保していただきたい、また憲法に義務教育無償という条文がある以上は、その程度のことは私は国の力でやって、そうして純真なる義務教育諸学校の生徒児童の教育の格差というものが少しでも排除されるように努力さるべきだと思うのですが、大臣のお考え並びに決意を私は承わりたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまの教科書供与の実情というものが私は決して十分でないということは先ほども申し上げたわけであります。これはまだ制度といたしましてもきわめて不完全であり、もっともっと実情につきましてもよく把握し、合理的な制度に改善していくことにお互いに努めなくちゃならぬと思うのでございます。まだ発足したばかりの制度でございまして、改善の余地はあろうかと思うのであります。なおまた予算的な面におきましては、さようなわけでありますので、現在の状況が決して十分とは申しません。従いまして、その充実につきましては、できるだけ善処して参りたいと思っております。
○矢嶋三義君 この予算の執行の仕方について私は承わりたいのですが、十二月ごろに末端の先生方にお会いしたところが、まだ補助金が届いていないということを聞いて、私はそんなはずはないと言ったのですけれども、役場の方でも、いやきていないのだと、こういう話を聞いて驚いたのですが、どういう手順を追って、いつごろ配分されているのか。ことにこの三十一年度の予算というのは年度内に成立しているのだから、私は執行はかなり順調にいったのじゃないかと思いますが、その経緯を一つ御説明願いたいと思います。
○政府委員(内藤譽三郎君) 補助金等の適正化という御承知のような法律がございまして、補助金の額の確定をしませんと、補助金が支出できない、こういう状態でございますので、その額の確定に手間取っておったので、一つは市町村で払っていただいておれば、あとからいくわけでございます。もちろん補助する方針なり基準というものは通知されておりますから、市町村でも十分御存じのはずであります。ただ現金のおくれましたのは、ただいま申しましたように、補助金の適正化に関する法律で確定をしなければ補助金が支出できない、こういう状況であったためにおくれたと思います。
○矢嶋三義君 それじゃ具体的にいって、この法律が通過成立し、それから国会において予算の審議が終了して、具体的に末端にこの補助金が届くのは何月ごろになるのですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) もちろん概算払いという方式もあると思いますが、今のこの補助金については、確定払いをとっておりますので、補助金が確定してから出すことになっておりますので、いつもおくれております。その点は今後十分研究してみたいと思っております。
○矢嶋三義君 だからことしは何月ごろなんですか。届く目途を持っておられるのですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) この概算払いの協議をいたしませぬと、私もちょっと確答もいたしかねるのですが、従来は概算払いはこういうものにはしておりません、大蔵省として認めておりませんから、この概算払いの協議がととのえばすぐにでも支払いできます。この場合には、九割の概算払いをするわけでございます。しかし、新しくその概算払いの協議がととのいませんと、確定払いになりますので、やはり本年と同じようにおくれると思います。ですから、その点は、概算払いの協議をするように努めています。
○矢嶋三義君 その点を、よほど運用に意を払ってもらいたいと思うのです。確定払いするから、地方自治体立てかえておけといっても、自治体によると、立てかえる金すらないところがあるのですね。しかし、わずかなことだからやろうと思えばできるから、やらないのがいけないといわれるかもしれないけれども、なかなかやりづらいところがあるんです。だから現実的に府県に対しては十二月、私が話を聞いたのは一月中旬でしたが、それまで届いていないのです。一年終るのですからね。ささやかな補助が、その年度が終るころにならなければ届かぬというのは、あまり漫々的で、そう大きな金でもないし、中央と地方と理解をもってやれば私はもう少し運用がスピーディにできると思いますので、その点についてはあなた方の方でも注意されると同時に、地方教育委員会を通じて適当な指導をやっていただきたいと思います。
○政府委員(内藤譽三郎君) できるだけ早く出すようにいたしますが、一つは地方の申請を出していただかなければなりませぬので、申請がおくれている点もあるわけであります。申請がととのい次第私の方は支給額の確定を行なって、早く出すように努力いたします。
○松永忠二君 その点で、今までの施行令によると、全額国が負担するということになっているので、二割を負担する場所は一体市町村なのか、府県なのか、そういうことについては明確になっているのですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) 明確になっております。市町村が学校の設置者でございますから、設置者が二割負担するということになっております。
○松永忠二君 そうすると、市町村の予算編成がすでにもう終っているわけなんですが、そういう点については、今度は二割のいわゆる市町村負担をしなければできないということはわかっていて、予算化されているのですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) この点は、十分事前指導をいたしております。
○矢嶋三義君 従来、先ほどちょっと歴史を申し上げましたが、ああいう経過をたどって十割補助になっている。生活保護法の教育補助が八割になっているから、これも八割にしたということは納得しかねるのですがね、それは同じ教科書の補助にしても違うと思うのだ。義務教育無償の立場から出てきておったものを、小学校生徒だけを対象としたときは十割であったが、今度中学校に拡大するから補助率を二割下げておくというような考え方が、私は大蔵主計当局に出てきたのだと思いますが、小学校の生徒にしてみれば、まあ設置者である市町村から二割プラスして十割になるようなものの、これは町村によったら二割プラスしないで、八割のまま補助するようなところが出てきますよ、必ずそこにはね。だから、小学校児童にとれば、国の思いやりというものは、前年度よりは低下したということになるわけですからね。十割国庫補助であったのが八割に下ったのですからね。私はこれは後退だと思うのですね。来年度はぜひもとの十割に戻してもらいたい。どうですか、そこのところは。
○政府委員(内藤譽三郎君) 本来就学奨励の事務というものは、学校教育法によりまして市町村がしなければならぬ。国はこれを援助するという建前になっておりますので、全額見るという場合よりは、従来は主として補助をいたしておったのであります。補助率をなるべく高めるというので、最高のものが今生活保護法で八割でございますので、八割に合したというわけでございます。本来ならやはり市町村も幾分か負担しまして、国と市町村が協力してやるということがいいのではなかろうかと私どもは考えているのであります。もちろんこれは単価できめますから、単価と児童の相乗積でいきますから、総額は幾ら、この場合に市町村は今回の法律によっては八割補助ということがはっきりしておりますので、その点は市町村は二割負担をしなければならぬ、市町村に義務支出を課するつもりでおります。
○矢嶋三義君 そういう考え方は私は通らないと思うのですがね。地方自治体に対する国の思いやりというものは、やはり足らざるものがずいぶんありますよ。そのために地方財政は非常に窮迫しているわけですがね。今あなたが申されたように、国と自治体が両々相待ってというようなことでは、実際うまくいかない。義務教育無償という憲法に確たる条文があるのですからね、今までその立場から十割補助という実績があるのを、ここに二割下げるということは、どうしても私は後退したという感を持たざるを得ないのです。これは従来通り、来年度から十割の国は予算を組むべきだと思う。そうしなければスムーズにいきませんよ。そうして大臣が言われるように、四%なり五%と、ボーダー・ラインにいる人を救っていくような方向に、せめてその程度くらいはやらなければ義務教育無償という憲法の条文が泣くと思いますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) この制度の、義務教育無償の原則というものと関連してのお話でございますが、これはなかなかむずかしいところでありまして、いろいろ御議論はあろうと思うのでございますが、私は現在の制度が直ちに義務教育無償の原則そのものがここに実現しているとは考えないのであります。もし義務教育無償の原則でいくといたしますならば、もっと状態は変っていかなくちゃならない、かように思うのでありまして、むしろ生活が困難なために教科書が入取し得ないような人たちに対する援助の手を差し伸べておる、こういうふうにこの制度は理解するのがすなおな考え方じゃなかろうか、そのように私は考えますので、今の問題は十分われわれも研究しなければなりませぬけれども、直ちにこれをもって義務教育無償の原則を一歩後退したというようにおとりになる必要はないのじゃなかろうか、かように考える次第でございます。しかもそういうふうな立場から考えまするというと、国の方で全額見るということも一つのいき方でありまするけれども、いわゆる生活困窮者に対する援助の基本法でありますところの生活保護法の例も八割ということになっておりまして、あとの二割は地方が負担するということにもなっておりますので、それと調子を合せた制度にするということも決しておかしな考え方ではないのではないか、こういうふうな気持はいたしておるのでございます。なお町村としましてこれが非常に大きな地方の負担になるという問題でありまするならば、またその観点から特に考えなければならぬ点もあろうかと思いますが、現在の程度でありますればそれほど過大な負担を地方にかけるものでもない、こういうふうに考える次第であります。
○委員長(岡三郎君) 私も日ごろ考えておる点を二つばかりちょっと聞いておきたいと思うのですが、義務教育無償という点からいって教科書とか給食の問題が考えられるが、財政的からいって相当膨大な支出になるので、貧困児童に対して給与していくという国としての恩恵というような立場に立つ一つの施しといいますか考え方もあると思うのですが、私は諸外国の例を待つまでもなく一つの方法として、国として学校に備えつけさせる、これはまあイギリスあたりでは、われわれの見てきたところではやっているわけです。これは日本の国情に適するかどうかという考究はしなければならぬとしても、とにかく一年々々やったものがむだになるということで、これが義務教育に対してもっと大幅に拡大できないということになるというと私はやっぱり困るのじゃないか、そういう点で学校に国として補助し、また市町村で幾分の金を出して買ったものを備えつけて年々その数を増していって、保健所も消毒その他をやるし、あるいは取扱いですね、そういった点については十分教師の学童の訓練といいますか、公共物を尊重するというような風習をつけるためにという利点もあるので、そういうふうな方法も実際にイギリス等においても行われているのだが、そういう点について考究されたことがあるかどうか、それに対する御意見があったら聞かしてもらいたいと思うのですね、文部大臣。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は諸外国の制度をよく存じませんので、政府委員からお答えを申し上げたいと思いますが、学校に備えつけるということは確かに一つの考え方であろうと思うのであります。私といたしましては外国の例等もよく聞きまして、検討いたしてみたいと思います。
○政府委員(内藤譽三郎君) イギリスやアメリカでもお話のように無償といった場合に、大部分の国が備付で学校の備品になっております。そこで日本の国情の場合に、学校の備品の場合に生徒は持ち帰ることを禁止されておりますので、家へ帰って勉強しようという場合には、非常に不自由になるという点も一つ懸念されておるわけであります。それからなお自分の本にやはり書き込みをしたい気持が相当強いようでありまして、いろいろこの点については日本の学者の中でも議論が分れておりまして、日本の国情から果して備付にもっていけるかどうか、一つのお考えとしては非常にりっぱなお考えだと思いますけれども、直ちにこれが実施できるかどうか、私どももその辺をもう少し検討いたしてみたいと思います。
○委員長(岡三郎君) もう一点、備えつけるというふうなことがいろいろな点から見てこれは経済的にもまた児童の学習においても、集約してとにかく勉強というものは学校においてやるのだし、家に帰った場合はそれに基くところの宿題なりそういった方向で一貫して集約的にやるのだというふうな建前に立てば、だらだら、だらだら家へ持っていってやることもなし、効果というものはまたいろいろと考えられております。ただ必要に応じてならば家庭へ持ち帰ることもよろしい、ただしそのときには先生が十分この児童に言い含めてやる方法も私はあると思うのだが、一番私は問題になる点は、教科書が年々年々、改訂々々で、その少部分の改訂で新しい本を買わなければならぬという経済的な面ですね、こういう点で文部省としては指導要領その他については朝令暮改ではなくして、やはり一冊の教科書が出たら相当権威のあるものとして、そうしてそれが出たら朝令暮改的に本屋や教科書業者が新しい本をよけい買わせるために教科書を毎年々々取りかえるということに対しても私は防衛的になると思うのですが、ある程度しっかりした本をある期間は使わせていく、そうして一定の期間がきた場合に改訂するというふうにいかなければ、国としては非常に私は不経済ではないかという面を考えるわけです。だからそういう点と合せて四億なり五億という将来予算を獲得した場合に、それが積み重ねられて、義務制においてはこれは学校へ行けばとにかく本は備えつけてあるのだ。それを全体的に交代さしていくときには、それに伴う予算というものが微少で済むような方向へいったならば、私はある程度憲法に規定している方針を実現することも可能じゃないか。給食などで問題になりますが、給食にしても、私はなかなか社会党が天下をとっても、全部に無償給食というふうに一ぺんにいくかどうか非常に疑問だと思っている。そうした場合に、やはり給食に対するいろいろな面については相互関連していくようないわゆる児童が衛生上に気をつけて、相当学校で備品としての要素を多く持っていくようにしたならばこれは可能だと思うのですが、教科書にに対するひんぴんたる改訂という問題は私は問題だと思うのですが、この点どうですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) 御指摘のような教科書をしばしば改訂をするというのは、教育上から申しましても、また父兄の負担から申しましても、必ずしもよい方法ではないと考えておるのでありまして、改訂制限をいたしたいという趣旨で、この前の教科書法案にもそういう趣旨の現定を設けたわけでございます、しかし私どもはできるだけ指導の面におきまして、しばしば改訂をしないように業界にも要望いたしておきたいと思っております。
○委員長(岡三郎君) その点について指導要領ですね、その点についてもあまりひんぴんと改訂するということになると、自動的に教科書が年々年々少部分的に改訂されるという弊害が起ってくると思うのですが、緊急やむを得ないというものはそれはやらなければならぬと思うのですが、その前に誤まりのある教科書という問題がずいぶん前に起りましたが、そういう問題は十分精査するとして、指導要領による改訂といいますか、そういうものに弊がやはり相当あると思うのですが、こういう点については十分留意してもらいたいと思うのですが、どうですか。
○政府委員(内藤譽三郎君) まことにお説ごもっともでありまして、ぜひ私どもも従来多少そういうきらいもあったと思いますので、今後反省いたしまして一度に全部を改訂いたしたい、しばらく改訂が済んで、実績を見た上でなければ改訂というものを軽々にやるべきでないと考えておりますので、今後この点については十分留意いたしまして御期待に沿うように努力いたします。
○委員長(岡三郎君) 私はそういう面とかね合せて一つ文部大臣に無償という線は理想だが、なかなか思うようにいかぬという点も半面わかりますので、しからばさらにこの教科書の問題についてはどうしたら国としていいのかという点については、一つ先ほどの御答弁にありましたように御考究を願ってよろしく願いたいと思うのですが、この点いかがですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) その点につきましては、十分に今後研究をいたしまして、さらに改善をはかって参りたいと思っております。
○矢嶋三義君 ただいま教科書の問題が出ましたので、さっきの学校備付の問題について私はもう一、二点伺いたいと思うのですが、確かに外国の学校を見た場合に、学校に備えつけてやってうまくいっているところがあるのですね、そしてうちへ帰って復習をする必要のある、たとえば算数とか国語のような本は持って帰っていい、けれども自宅に帰って復習を要しない、教室だけで十分理解できるし、理解させようという、たとえば図画とか音楽というような教科書は持って帰ることができないというように、持って帰ることができるのと持って帰れないのとが区別してあるのもありますし、まあそういうのがうまくいっている国というのは結局学校並びに家庭における衛生、健康管理もうまくいっているでしょうし、また国民経済の状況もよくて、家庭には家庭でまた子供の教養読本がおそらくあるのだと思うのですが、そういう点日本とは国情が違うということは認められなければならぬと思うのですが、しかし私は長い目で見た場合、研究に着手すべきじゃないか。日本でいえばあるいは国立学校、あるいは国立学校の付属校あたりで一つのテスト・ケースとしてやってみたらどうかと思うのですがね。大がいの子供は大きなカバンに教科書、教材等一ぱい詰め込んで、背中が曲るように遠い道をカバンに入れて登校、下校して、うちに帰ったら読みやしない。ただ袋に入れたのを学校に持って行って持って帰るのだという子供が大部分ですが、その点だけでもきわめて不合理なことをやっていると思うのですよ。そこで全国津々浦々一度にやるわけにはいかぬが、そのための付属校、研究校だから、ああいうところで僕はやってみたらどうか、そういう段階に僕はきているのじゃないかと思います。長い目で見るとやはりそういう方向に進んだ方がいいのじゃないかというような感じを私は従来から持っているわけなんですが、そういう試みをしようというような国立学校の付属校あたりはございませんか。またそういうようなサゼスチョンをしていくようなお考えはございませんか。
○政府委員(内藤譽三郎君) 終戦直後は非常に紙の紙質が悪かったのでありまして、やはり装丁なり紙の紙質なり、こういうものがよくないとせっかく備えつけてもむだなんでございますので、欧米でやっておりますようないい教科書でないとそれは非常に困難であると思います。日本の現在の教科書で果して備付として十分間に合うかどうかという点になりますと、これは教科の科目にもよると思うのでございますが、全部がそういうわけには参らぬかと思っております。御趣旨の点もありますので、今後十分研究してみたいと思います。
○矢嶋三義君 先ほど教科書問題の質疑をする前に文部大臣はこの法律案によって組まれている予算は義務教育無償実現という、そういう角度とは自分は思っていないのだ、こういう意味の御答弁でございましたが、憲法には義務教育無償ということは大きな柱として立てられているわけですが、義務教育を無償実現を目ざして、それに沿っての灘尾文政、それを裏づけする予算というものはどういうものとお考えになっていらっしゃるか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 義務教育無償ということは、これは憲法に掲げられた大原則であり、また大理想であると私どもは考えております。この原則につきましてはもちろん文教行政をつかさどります以上これを尊重して参ることはこれは当然のことでございますが、現実に果して義務教育無償とはどういうことであるかということになりますというと、これはいろいろ私は議論のあるところであろうと思うのであります。現在は御承知のように、現在の日本の制度といたしましては義務教育無償というものを、これを最低線と申しますか、どういうふうに申し上げたらよろしいかわかりませぬが、一応授業料免除ということをもって私は義務教育無償の原則を現わしておるであろうと思うのであります。しからばこれで義務教育無償の原則が不十分なのか十分なのかということになりますと、いろいろ議論が出てきておりますが、あまりはっきりしたことはそこにはない。現行制度としては義務教育無償の原則は授業料免除という点においては明確に現われておると思います。そのほかの面は、これをもって義務教育無償の原則を現わしておるものと見るか、ほかの見方をすれば皆それぞれによってお考えはあろうと思いますけれども、私は現在のこの教科書無償給与というような制度をもって直ちに義務教育無償の原則の現われであるというふうには理解しないのであります。それとつながるものであるとか何とか、いろいろものの言い方はあろうと思いますけれども、的確に申しますればこれをもって直ちに無償の原則を現わしておるものである、その現われであるというふうにはっきり申し上げる自信はないのであります。
○矢嶋三義君 授業料を徴収しないということが義務教育無償の具体的な現われだと、それもその一つでしょう。しかし、少くとも義務教育無償というものが憲法に書かれている以上は、またあの憲法が制定されたときの国民の受けたものというものはそんなものではないわけです。私は少くとも教育を進めていくに当って、いろいろ経費は要ります。しかし、少くとも義務教育無償という条文が憲法にある以上は基本的な、教育に必要なものである教科書くらいは、この義務教育無償実現のために無償にする方向に政治というものを、文教政策というものをもっていかなければならぬ。私はそう考えるのですが、大臣にはそういうようなお考えはないように聞えるのですが、授業料を徴収しないということだけで、義務教育無償についてはあなたはもう事足れりと満足されているのでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 決して事足りたとか足りないとかいうようなつもりで申し上げているわけではございませんが、この今日やっております制度をもって義務教育無償の原則であると申し上げるのに私は自信がないということを申し上げているだけであります。もしこれをもって教科書を与えるということが義務教育無償の原則であるということであれば、もう少し姿が変ったものでなければならない。そういう意味で私は申し上げているわけであります。しかも義務教育無償ということは観念としては言われますけれども、具体的現実的にいかなるものが義務教育無償の原則であるかということになりますというと、これは人々によっていろいろ意見はあろうと思います。かなり幅のある問題であるとも考えられますが、文部省所管の大臣としてこれが義務教育無償の原則を現わしたものでございますと言い切れないものがありますので、かようなことを申し上げているわけであります。
○矢嶋三義君 この義務教育無償の論議はこういうところから出てきたのですが、今まで十割補助だったのが八割になった。それから全生徒児童の四%を一応目途としたけれども、それが一・九%程度になったので、この形態で困窮児童に補助するに当っても、もう少し補助率並びに予算額の増額をはかるべきじゃないか。そういうお考えはございませんかという点から義務教育無償論が出てきたわけで、私はその質疑応答はここでやめます。大臣の気持の一部はわかりましたからやめますが、ただ私が申し上げたい点は、この十割が八割になり、それから一・九%で一億九千万円という予算になっておるが、これを増額してもらいたいという、しなければならぬということを私は引っ込めるわけにはいかぬと思う。これはたとえば現場においてはこういうことが行われているのです。修学旅行はもちろんのこと、教科書の購入に当っても、PTAのお母さん方は運動会のときにバザーをやる、それで物を売って、自分の子供の運動会なんか見ておりませんよ。大がいのPTAのお母さん方は、運動会の日には一生懸命ジュースを売ったり、まんじゅうを売ったり、バザーをやっておる。その売上金で教科書の買えない子供に教科書を買う金を補助したり、あるいは修学旅行の金を補助したりしておる。さらに一歩進みますと、一カ月一回ぐらい映画会をやるわけです。映画会をPTA主催で、お母さん方、文化部長あたりが主催でやっておる。そして生徒は映画を見る。それから観覧料を二十円か、あるいは三十円とって、その売上金で困窮家庭の子弟に教科書を買ってやる、あるいは運動ぐつを買う補助金を出す、あるいは修学旅行に行けないものを、それに行けるように補助金を出す、こういうふうにやっておるところはずいぶんあるのですよ。こういう現実を知っておれば、このせめて四%程度のものはどうしても実現していただかなければならぬという声が出てくるわけなんです。また先ほど質疑に出ましたように、あとで精算するのだから、わずかな金だから立てかえて、四月学期早々にこの補助金を子弟に与えるように自治体の方で取り計らえばいいわけなんですけれども、そこにやはり理解が足りないために、翌年の一月になってもなお補助金が届かないというような、これはまあ自治体の財政困窮というだけでなくて、理解の足りないところからきておると思うのですが、そういう状況下に、さらに十割負担のが八割負担になってくると、またこういう不遇な状態というものがさらにひどくなるんじゃないかと、こういうふうな懸念もされるわけです。そこで私は先ほどのような質問をしたわけで、それから義務教育無償論になったわけです。それはまあ本論じゃなかったわけです。そういう末端には実情があるわけですから、四%の数字のつかみ方自体も、局長の御答弁では科学的な根拠はないと答弁されておりましたけれども、当らずといえども遠からずの数字じゃないかと思うのです。まあせめてそういう数字に即応した予算が組める程度は努力してもらいたい。それがこれによって義務教育無償になったとは私も言いませんけれども、その気持というものは出てくるわけですからね。それによってまた父兄も生徒児童も救われるわけなんですから、努力をいただきたいと思います、大臣の……。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ほんとうに生活が困難のために教科書の入手が思うにまかせないという者に対しては、漏れなくこの制度が行き渡るようにしたいということは、これはもちろんのことでございますので、四%というものにつきましても、いろいろ精査いたしますれば、まだ問題が残っておると思いまするけれども、ともかくこの目標に向って十分努力いたしたいと考えております。なおまた八割にいたしましたけれども、本を受ける本人から申しますれば、これは無償であることは変りがないわけであります。問題は町村がどの程度積極的に協力してくれるかというところに多くかかっていると思うのであります。その点につきましては、町村がほんとうにあとの二割を負担をすること、同時に事務の処理を的確にやりまして、なるべくすみやかにこちらから金が払えるようにすること、それが必要なことと思いますので、さような面におきましても十分努力して参りたいと思います。
○野本品吉君 一点だけお伺いいたします。直接この問題に関係はないのでありますが、教科書の問題なのでお伺いしたい。それは文部省では諸外国の義務教育に使用しております――義務教育じゃない、教育に使用しておりますいわゆる教科書ですね、この教科書についてお集めになって、その内容を御検討になっておられるかどうか。
○政府委員(内藤譽三郎君) ユネスコを通じまして、できるだけ各国の教科書を送っていただきまして、内容についても検討しております。
○野本品吉君 私がこの点をお伺いいたしますのは、実は前にも私は申したことがあるのですが、私の親友であります今の海上保安庁の水路部長をしております須田君が、学術会議でフィリピンに行きますときに、向うの教科書で何か参考になるものがあったら買い求めてきてほしいと頼みました。一冊地理の本を持って参ったのであります。この地理の本を見て、なぜそれを持ってきたかというと、驚くべきことが書いてある。一昨年でありますが、日本人は戦争愛好国民である、中国人は平和を愛好する国民である、日本人に鉄を与えるというと、直ちに剣を作る、中国人に鉄を与えるというと、田畑を耕すすきを作る、こういうことが開巻第一ぺ−ジの「日本」というところに書いてある。それからなお、その地理の教科書のさし絵として入っております写真のそこここには、大よそ現在の日本とかけ離れた写真が数多く入っております。たとえばはきもの屋という写真を見ますと、われわれが小さいとき、いなかにありましたようなげたを斜面の段階に並べたところがあるのです。育児というところを見ますと、これもまたひどい、見すぼらしい格好をして、背中におんぶしておる状態が書いてある。私は少くとも日本の教科書には、かような間違った理解、認識の上に立っての記述だろうと思いますけれども、このことを見ましてから、私はいつも、われわれの日本の教科書も、外国の真相を誤まり伝えたり、あるいはゆがめたりするようなことは絶対に警戒しなければならぬけれども、同時に外国の教科書でかような事実のあった場合につきましては、十分調査の上、外交機関等を通じましてこれが是正を要求すべきである、かように考えておる。従ってユネスコを通じて教科書をお集めになっておるそうでありますが、できれば特に世界各国における初等教育と申しますか、国民教育に使います教科書については、精細な御調査を願いまして、日本の認識を教科書等を通して誤まらせることのないように御検討を願いたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 適切な御意見でありますので、十分検討したいと思います。
○矢嶋三義君 ただいまのに関連してですが、三年前ですか、フランスの日本大使館に当時の社会教育局長を文化アタッシェとして派遣したわけですが、当時、日本の国力も充実してきたので、また文化交流、それを通じての各国の関係をより好転させるために、教育、文化、学術方面を担当する外交官を主要各国に送るようにするのだということが述べられたわけですけれども、一向進展しないようですが、私はただいま野本委員からも質疑がありましたように、そういう問題を解決するに当りましても、世界各国の主要国並びに特に日本に近い東南アジア諸国等には、教育、文化、学術方面を担当される外交官を少くとも一人ぐらいは私は駐在させるという方向に私は進んでいかなくちゃならぬと思うんですけれども、この点については大臣はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お尋ねの御趣意につきましては全く同感でございます。文部省といたしましてもそういうような方角に向って進んで参りたいと考えております。来年度の予算の際にも若干の要求はいたしたわけでございますが、残念ながら実現するに至らなかったのでありますが、今後ともに努力いたしていきたいと存じております。
○委員長(岡三郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。……別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) これより採決に入ります。
 就学困難な児童のための教科用図書の給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(岡三郎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておっておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    左藤 義詮  湯山  勇
    常岡 一郎  安部 清美
    林田 正治  川口爲之助
    松澤 靖介  林屋亀次郎
    三浦 義男  野本 品吉
    有馬 英二  高田なほ子
    松永 忠二  矢嶋 三義
    ―――――――――――――
○委員長(岡三郎君) 次に、学校給食法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○湯山勇君 学校給食法の一部を改正する法律案の中で、玄麦に対する補助ですね、小麦に対する補助が、昨年、本年と、一昨年よりも非常に少くなっておるのですが、対象の人員はふえておるにもかかわらず、食管会計でこれに出される費用が少くなっておるというのはどういう理由によるのでしょうか。これをまずお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(小林行雄君) 御承知のように、三十一年度からアメリカの余剰農産物である小麦を贈与してもらいまして、これを学校給食に使うことになったわけでございまして、三十一年度におきましては十万トン、それから三十二年度にはその四分の三である七万五千トンを使うという予定になっております。従来の玄麦の半額の国庫援助ということは、購入分に対する直接食管からの援助でございまして、この贈与分については援助がないわけでございます。従って、対象の人員は、御承知のように、年々と増加をいたして参りますが、この給食の原材料である小麦に対する補助は、この贈与の期間中は多少減じておるわけであります。
○湯山勇君 そこで、贈与の分がなくなれば、国の方で持つ補助というのは減るわけでございますか。
○政府委員(小林行雄君) 米国の余剰農産物の贈与の関係は四年間でございまして、三十一年度から四年間だけ贈与があるわけでございますので、その後になりますれば、この贈与の効果というものはなくなるわけでございます。三十一年度にある程度パンについての値段は下ったわけでございますが、その贈与の減量とともにだんだんとパンの値段というものが上って行くという計算になるわけでございます。
○湯山勇君 現在もやはり半額が負担されておるという形をとっておりますか。もっと別な形をとっておりますか。
○政府委員(小林行雄君) 三十一年は、大体購入の小麦粉の二分の一に相当する金額に見合う金額を援助してもらっておったわけでございます。すなわち、購入分の二分の一は大体一円六銭程度になりますので、それを一食一円というように見て国の補助をいたしたわけでございます。三十二年度は、それをそのまま踏襲いたしまして、さらにそれによって多少浮く財源が出るわけでございますが、それを準要保護児童、あるいは高等学校の給食用の施設、設備等の財源に振り向けて行ったわけでございます。
○湯山勇君 そこで、私は、簡単に計算しまして、贈与のないときに比べて、玄麦に対する国の負担というものは十億も減っておるわけでありますが、来年度においては、こういう機会に就学困難な児童のための給食等を大幅に伸ばしてやるべきじゃないかという感じを持つわけですが、本年度若干の伸びは見られましたけれども、まだまだ教科書の方との比においても劣っておりますし、さらに当初政府が御計画になった率、四%でございましたか、それに比べると、はるかに遠いと思います。非常にいい条件のときに、そういうことをやっておかなければ、四年もたって、また国の負担が、今度は四十億も、五十億もということになったときには、私は実際問題としてはなかなかできないのじゃないかということを考えるのでございますが、管理局長はどうお考えでございましょうか。
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答え申し上げましたように、贈与がなくなりますと、またもとの値段にだんだんと戻っていくわけでございます。これは、生徒、父兄の負担でございますが、これはだんだんもとへ戻っていくわけでございます。ただ、それまでの間に、先ほど申し上げましたように、給食の施設、設備の補助予算を大幅にふやす、あるいは準要保護児童の制度を始めるということをやったわけでございますが、御指摘のありましたように、私どもの一応の計算上の理想としております四%には、本年度の予算ではまだ遠いわけでございます。これは、ただいまお話のございましたように、できるだけこの時期に、こういった施設、設備とか、あるいは準要保護児童の方に予算を回してもらいまして、大幅に伸ばしていくように今後も努力を続けたいと思います。
○湯山勇君 ちょっとあとへ返りますけれども、本年度給食関係費はどれだけ増になっておりますでしょうか、総額において。
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお尋ねのありました、これは、食管会計におきましては、十五億四千万が十三億という数字になっております。これは、前年度の数字の中には、国内産の脱脂粉乳の購入に要する経費と、三十年度の食管の赤字補てんの経費、約二億四千が入っておるわけでございます。でありますから、それらを差し引きますと、前年と同額ということになっておるわけでございます。それから文部省関係の経費につきましては、こまかい事務費等は除きまして、準要保護児童の経費が約五千万の増、それから定時制の高等学校の経費が千二百万、それから給食会の補助が約百三十万増、なおこれはそれとは直接の関係はございませんけれども、北海道の冷害対策の方の施策といたしまして、準要保護児童に対する給食費の補助金を組んでおりまして、それらを合せますと大体七千万程度の文部省関係の事務費の増になっているわけであります。
○湯山勇君 そこで三十年度はこの負担は食管会計だけでも赤字補てんの額を入れれば二十億こえておるのではないかと思います。それから昨年と比べても、今年度は食管会計においてそのまま、なまのまま比べれば二億減になっておる、ふえた分は七千万くらいしかふえていない、実際は。昨年から中学へも拡大されたわけですから、給食費というのは私はもっとふえていいのではないか、給食関係費というのはもっとうんとふえるべきものではないか、こういうふうに考えているわけでございます。で、もちろんこの食管会計の減ったのには贈与分という別な事情がありましたから、そのトータルだけから結論を出すわけではありませんけれども、しかし、こういう有利な情勢の中にあるにしては、それから中学へも給食を拡大する、定時制へも拡大する、こういう情勢の中においては、このふえ方というのはあまりにも小さいのではないかというような感じを持ちますので、で、やはりこれは来年度はこれでいたし方ないかもしれませぬけれども、再来年度等におきましてはもっと中学の方の規模も多くなってくることだと思いますし、小学校にもまだまだできていないところがたくさんありますし、定時制も本年から発足するのですから、そのいいことが認められて三十三年度あたりにはずいぶん要求も出てくるのではないか、またそうでなければせっかく法律を作った意味はないわけでございます。でそれらも考え合せ、そうして非常に経済状況もいい状況ですから、四%の目標が達せられるように三十三年度においては一つ十分努力願って、われわれやあるいは学校関係者、父兄が期待しておるようなそういう予算が組まれるようにぜひ御努力願いたいと思います。
○安部清美君 私はこの機会に二、三点お伺いしたいと思います。一番にこの学校給食行政の問題、で、第一番にお伺いしたいのは、学校給食会の性格というものですね。どういう運営でやっておられるのか、それを明確に一つお教えを願いたい。
○政府委員(小林行雄君) この日本学校給食会は、御承知のように法律に根拠を持っておる特殊法人でございます。これは一昨年の六月に成立いたしました日本学校給食会法という法律に根拠を持った特殊法人でございまして、文部大臣の監督下にある財団法人でございます。この給食会では、給食用の物資の配給、あっせん、それから給食事業の普及というようなことを業務といたしておるものでございます。役員等につきましては、これは文部大臣が任命する。そうして業務につきましては、一定数の評議員というものを置きまして、評議員の意見を聞きながら仕事をしていくという仕組みになっておるのでございます。
○安部清美君 大体性格はわかりましたが、今承わりますと、学校給食会に三百万の補助の増になっておるようでありますが、この運営費というものはどういう形で運営されておるのですか。
○政府委員(小林行雄君) 日本学校給食会の経理は、物資経理と業務経理の二つにはっきり分れておりまして、物資経理の方は、給食用物資を購入したり、それを輸送したりというための経費を取り扱っておるものでございます。また業務経理というものは、これはいろいろな役職員の人件費、あるいは事務費等を組み入れておるものでございまして、この両者の間には全然融通することをしないという建前になっております。この物資経理にいたしましても、また業務経理にいたしましても、すべて国の補助金でまかなうということにいたしておるのでございます。
○安部清美君 教育委員会と学校給食会との関係はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(小林行雄君) 府県の教育委員会は、この物資の関係につきましては、日本学校給食会法ができる以前におきましては一心同体のような形で実は行われておったわけでございますが、昨年初めにある事件が起ったりいたしましたようなことから、こういったものははっきり監督官庁である都道府県教育委員会と府県の学校給食会というものは分けた方がよろしいということで、各府県の学校給食会を府県の教育委員会からなるべく切り離すように従来文部省は指導をして参ったのでございます。府県の教育委員会は府県の学校給食会を指揮して学校給食用の物資の配給、あっせんを行わせる、府県の学校給食会は、従って学校給食用物資の配給、あっせんだけを業務として、あるいは普及事業を業務として取り扱う、従って府県の教育委員会の方が学校給食会に対して監督的な立場にあるということでございます。
○安部清美君 大体わかりましたが、そういう点から言って取扱いをやっておりますものが非常に危険性のあるものであると私は思うのであります。そういう点についての監督を教育委員会の方がやるということになっておると承わるんでありますが、この点について、今の組織から言って十分なる監督ができるかどうかということに疑義を私は持っておるのですが、この点いかがですか。
○政府委員(小林行雄君) 文部省といたしましては、この都道府県の学校給食会が実際に物資の取扱いをいたします場合に、物資の上におきましても、また金銭的な会計的な面におきましても、あやまちを生じないように、できるだけこれを任意団体から財団法人に切りかえることを指導し、助言をして参っております。現在までに大体各府県の三分の二程度の府県の学校給食会が財団に変ってきておるわけでございます。またやはりこの学校給食用物資の配給、あっせん等につきまして、万一事故が起きたというようなことになりますと、給食の実施上、また普及上からいたしましても、非常に父兄なり学童なりに不安を与えますので、絶対にそういったことの起らないように文部省としては厳重に指導をして参りたいと思います。
○安部清美君 もう一点伺いたいと思いますが、学校給食婦、栄養士の実態、給与関係の実態について、全国の状況を承わりたいと思います。
○政府委員(小林行雄君) 学校の給食関係の従事員でございますが、これは三十年の六月に調べました数字によりますと、給食についての専務者、実際に給食の仕事をするために雇用されておる者の数は、一万九千という数字になっています。これは、全国の集計の数字でございます。そのうち、完全給食の方の数字は一万六千、それからそれ以外の、たとえばミルクだけの給食等に約三千程度の職員がおるわけでございます。その一万九千のうち、大体一万二千程度はそれぞれ設置者の職員になっております。従って、一万九千から一万二千を差し引きました残りの七千弱の者が、その他の使用人という形になっておるわけでございます。これらの一人当りの平均の給与額は、大体月に五千五、六百円程度ということになっております。それから、この人件費の負担の区分でございますが、大体七五%程度は設置者である市町村が負担しておる。それから府県、これは設置者でありませんが、府県が負担しておるものが約一〇%程度ございます。残りの一五%程度がその他が負担しておるといったような調査の数字に相なっております。
○高田なほ子君 この際、文部大臣に二、三点お尋ねをしたいと思います。給食問題の根本に触れることになるかと思いますが、今回政府がお出しになったこの改正案は、負担が困難と認められる中学校の生徒の保護者のために学校給食に関する国の補助の範囲を拡大するということで、大へんこれは賛成であり、今までの御答弁の中から見ると、政府としては学童給食に対しては拡大方針をとっておられるようでありまして、この拡大方針についてわれわれもまた衷心より賛意を表するにやぶさかでないわけであります。しかし、問題になりますことは、食糧自給六カ年計画の中で、アメリカからの贈与分が今日まで学童給食の上にかなり低廉な形で役立ってきたことは事実でありますが、しかし、今後これが打ち切られた場合に、相当一般の父兄の負担増になるという形になってくるのではないか。せっかくの政府の拡大方針が、父兄側に対する負担増になるという形における拡大であったのでは、若干私どもとしてもこれは考えさせられる面があるわけであります。従いまして、政府の食糧自給計画の中に占められる学童給食というものの位置を、一体どういうふうにお考えになるか。対象の拡大ということはわかりますが、私の聞かんとするところは、量的にどういうふうな形でいかれるものか。あるいは、この場合における父兄の負担増というものに対する政府の基本的な態度は、どういう態度でもって臨まなければならないのか、また、臨もうとしているのか。この点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ごもっともなお尋ねと考えるわけであります。情勢が変って参りましてそのために父兄の負担が非常に増してくる、その結果給食という仕事がはばまれてくる、というようなことになりましては、これは困ったことになってくる。われわれといたしましては、この学校給食ということの意義並びにその効果を認めて今日までやってきておるわけであります。これが拡大の方向に向ってあくまでも努力をして参らなければならぬ。しかし、その間に問題を妨げるような事態が起ってきたということがありますれば、それに対応いたしまして政府といたしましてもこの原因を除去することに努力すべきことは当然だと思うのでありまして、さような意味合いにおきまして給食費の額をできるだけ安くいたしまして父兄の負担が――多少の上り下りということは世間の状態の変化によってあるかもしれませぬけれども、これによって父兄が非常に困るというようなことはないように措置して参るつもりでおります。
○高田なほ子君 御意見のほどはわかりますが、しからば制度の上でも不安定な食管特別会計の中に学童給食関係の費用を入れるということではなくて、別個にこれを組み入れることができるものか。しかし、そういたしますると、国全体の食糧需給計画と学童給食の関連というものがとだえてしまうので、別個の予算を組むということと、不安定な食管特別会計の中に入れるということと、国全体の需給政策の中でどういうふうにこれがからみ合っていくものか、なかなかむずかしい問題で、どんなふうにこれがなっていくものか、非常にこれは不安に考えられるわけでございますが、こういうような考え方から推して参りますと、今後の学童給食の質的な問題ということについても相当考慮しなければならないのではないか。つまり、澱粉を主にして考えるということよりも、蛋白あるいは脂肪、こういったようなものが学童給食の中で大きな比重を占め、しかもそれが国の補助の対象になるような形に持っていくことが正しいのではないか、こういうふうに私は考えておりますが、質的に見てこういうような学童給食の基本的な考え方というものは従来通り踏襲して行かれるものかどうか、政府のお考えをこの際御説明願います。
○政府委員(小林行雄君) お尋ねの前段の問題でございますが、食管特別会計に一般会計から繰り入れてその食管の操作で給食のパンの補助をするという制度の問題でございますが、これにつきましては、それ以前は文部省自体に実は給食の補助に関する経費の予算を組んでおったわけでありますが、食生活改善ということに非常に大きな意味を持たせまして、そういった意味で、従来食生活改善の仕事をしておった農林省の食管特別会計の方に文部省の方から移していったわけでございます。もちろんこの経費を食管に置くがいいか、あるいは文部省自体に持ってきて文部省自体が扱う方がいいかということについては、いろいろ検討すべき問題があろうと思います。文部省自体に持ってきます場合に、文部省自体がいろいろな物資を直接取り扱うというようなことについては、これについてはそういったことはあまり芳ばしくないという意見もございます。最近文部省といたしましても、それらの点についていろいろと検討をいたしておりますので、将来このどちらの方に置くかということについては一そう研究をして参りたい、こういうふうに思っております。
 それから後段の方のお話でございますが、確かに現在学校給食が日本の食生活の改善ということについて非常に大きな役割を果しておりますし、またそういった意味は今後ますます私は大きくなっていくんじゃないか。学校給食を通じて、日本国民の食生活を改善するという非常に大きな意味を持っておると思っております。そういった意味から、それの給食の内容につきまして、蛋白質の増加、澱粉質でなしに蛋白質の増加、これに対して国がある程度できるならば援助するのがよかろうというお尋ねでございますが、これは現在は残念ながら、この学校給食用の蛋白質の材料は脱脂粉乳でございまして、これについては国から援助がございません。理想といたしましては、やはりこういった脱脂粉乳につきましても、国がある程度財政の許す範囲内で、援助ができれば、非常にいいことと思っております。文部省としても、なかなか給食費の全部がこれが無償になるというふうな方向にはいかないと思いますけれども、そういった目標のもとに一そう努力をして参りたいと考えております。
○高田なほ子君 質的な改革を、食生活改善の上から実行して行きたいということでありますが、現在は脱脂粉乳の使用でそれがまかなわれているようでありますが、将来は内地産の約二千万トンのなま牛乳というものが、行政措置の非常に円滑な運営で、学童給食の上にそれが十分に使われることが望ましいんではないか。またそのために文部省は努力をするというようなお話も、かなり前に御答弁になっておったようでありますが、実際問題としては、今、それが行われておらないでお手上げの形になっている。従いまして内地産のなま牛乳を学童給食の上に廉価に与えるというような積極的な方法が食生活改善政策とともに必要なのではないかと思う。手を打っておらないかどうか。
○政府委員(小林行雄君) 国内の酪農振興の意味から申しましても、やはり学校給食に国内産の乳製品なり、あるいはなま乳が使用されるということは、私は非常に趣旨としてはいいことだと思っております。ことに酪農地等で比較的容易になま乳が入手できるようなところでは、そういった方向に進むのがいいと思っておりますが、何分現在の乳価から申しますと、輸入の脱脂粉乳を使っております場合には、一回分、一食分が一円ないし一円二、三十銭という数字でありますが、国内産のなま乳を使いますと、酪農地でも五、六円はするということで、非常に現在開きがあるわけでありまして、父兄負担の点から、そういったなま乳を直ちに酪農地でも給食の線に乗せがたいというような実情でございます。それで、なま乳を使用する場合に、国家から助成をしたらというような意見もありまして、文部省といたしましても、ここ二、三年かなり研究いたしまして、農林省ともいろいろ話し合いをいたしましたが、現在まで、まだ実現する段に至っておりません。しかし将来できれば、そういった方向も合せて考えて行くべきものと思っております。
 なお、昨年は農林省とも話し合いまして、酪農地等でなま乳を使いたいところでは、給食のために使う低温殺菌の設備を農林省の方から補助するという方針をきめまして、全国からその希望をとったのでございますが、私どもの指導の不十分のせいもあったかと思いますが、わずかに三、四町村だけであったわけでございます。これは私どもの期待からちょっとはずれたような格好でありますが、将来もそういった御希望が非常に強ければ、今後もそういった面についての考究をしたいと思っております。
○高田なほ子君 先ほど大臣は、まあ父兄の負担増にならないようにはかりたい、ということでありますが、実際はPTAの寄付も二十八年度は八十億、二十九年度は八十七億、三十年度はちょっと九十億をオーバーしていると思います。三十一年度はさらにそれをオーバーしていると思う。これは数字が示している父兄の負担増の実態であります。贈与分がなくなりますと、パンの値段が上ってくる。そうすると父兄負担がさらにふえてきますが、パンの値段は実際どのくらい上る計算でございますか。
○政府委員(小林行雄君) 私どもといたしましては、大体贈与がなくなった場合に、贈与以前の値段にとめておきたい。もっとも輸入分の値段が、アメリカ自体の粉の原価が上ったり、あるいは海上運賃等が大幅に上れば別でございますが、私どもの目標といたしましては、大体余剰農産物の贈与がなかった塚前に戻るというのがいいんではないかというように考えているわけであります。
○高田なほ子君 いいんではないかということは、それは理想で、今後運賃も実際に上りますしね、その他の物価が上ってきますと、かなりやはり父兄の負担というものは増してくるように考えられるので、この点はそうのんきに、贈与以前の値段で行うというようなことでなしに、どのくらい上って、どのくらい負担になるかというようなことについても十分研究をしていただいて、父兄の負担が増さないように極力御努力願いたいということ。
 もう一点伺いたいのでありますが、これは要保護児童に対する国の補助でありますが、現在対象人員の実態をどういうふうに把握しておられますか。数字をあげて説明していただきたい。
○政府委員(小林行雄君) 学校給食の関係につきましては、数年前、ある府県に対しましてサンプルの調査をしたことがございます。当時の対象の人員数は現在よりは低かったわけでありますけれども、比率といたしましては、大体四%程度という数字が出たわけでございまして、文部省としては、現在この予算を組みます際にも、四%程度のものが準要保護児童の比率に該当するものとして一応予算を組んだわけであります。本年度は大体小学校で六百三十万、それから中学校で三十万という数字を組んでおりますので、その四%程度のものが一応この準要保護児童に該当するのではなかろうか。そういたしますと、六百六十万の四%、まあ二十六、七万が一応これに該当するのではなかろうかというふうに推定をいたしております。
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(岡三郎君) 速記を始めて下さい。
○高田なほ子君 小学校が二十七万ですか。
○政府委員(小林行雄君) 本年度は大体小学校の対象人員数が六百三十万、それから中学校が三十万と予定をいたしておりますが、その比率をかけて申しますと二十六万ないし二十七万程度のものがあるのではなかろうかと推定されます。
○高田なほ子君 これは、三十年度の教育扶助を受けておる児童数というものは約七十一万に及ぶようですね。それから準要保護児童が三十万に及んでおるようですが、四%という数字になって、二十七万という対象人員が予算化されたわけですが、準要保護児童のすべてを完全に対象にするということが可能な数字ですか、予算ですか。
○政府委員(小林行雄君) 御承知のように教育扶助の関係は、すべての児童を対象といたしておりまして、学校給食は、これまたよく先生御承知のように、現在は義務給食ではございません。希望給食でございますので、全部が学校給食の対象人員になっておらないわけであります。そういうことから教育扶助の支出と必ずしも並行して、一致していくわけではないわけであります。現在の予算で、これを全部し切れるかと申しますと、これはそうなっておりません。対象人員の大体一・〇五%だけを本年度は援護し得るという数字でございます。
○高田なほ子君 あれですか、年次計画で逐次全員を国の扶助でもって拾い上げていくという御説明ですか。
○政府委員(小林行雄君) こういったものについて、私どもは特に年次計画ということでなしに、一刻も早く予算的な裏打ちをしたいということで努力いたしたのでありますが、本年度はこの程度にとまったわけであります。私どもといたしましては、できるだけ早い機会に、この該当者が全員この援護の恩典を受けるように努力をしたいと思っております。
○高田なほ子君 実際に準要保護児童、あるいは要保護児童という場合に予算化しないときには、これはまたPTAの負担になるということになりますか、こういうことに相なりますか。
○政府委員(小林行雄君) 一応そういった推定を、四%という推定をいたしておりますが、まあそれからいきますと、一・〇五%でありますので、非常に少いわけであります。ただこの一・〇五%という数字は、市町村が全額をその父兄に、あるいは生徒に扶助するということを想定して割り出した数字でございまして、実際には市町村がそれは二分一だけを持つというようなものがあるわけでございますので、大体本年度の予算で一応十万人程度の児童生徒の援護ができるのじゃなかろうかというふうに推定をいたしております。そうすると、まあ先ほどの二十六万に比べますと、約三、四〇%のものがこれで救うことができるのじゃないかと思います。ただそれ以外のものについては、やはりどうなるかということでありますが、従来この制度ができる以前から、市町村、あるいは府県等で、相当程度給食費を援助をしておった実例もございますが、なるべくそういった方式の援助が、今後も続けられるように指導をしてみたいと思います。
○高田なほ子君 これは神武景気ですが、だんだん貧富の格差が大きくなるし、実際に準要保護児童でも、国の補助の手が伸びないということは、まことに情ないことで、どうかこれは早急に、大臣もこの席におられるわけでありますから、すべての子供たちに国の補助の手がいくように、もっともっと大蔵省にこの実態を知ってもらって、一刻も早く、これが完全に施行されることを、私は強く希望いたしますが、この際大臣にも、本件については特に法の精神を尊重するためには、予算的にそういう手が打たれなければ、幾ら法律を形式的にそろえても、何にもならないということであります。どうぞ御決意のほどを、この際承わっておきたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 極力御趣旨に沿うように努力いたします。
○高田なほ子君 それから給食の作業員のことでありますが、調べてみて驚いたのですが、小学校の先生の中で、給食に専務している方が千二百六十四人、それから専務ではないけれども、先生が学童給食にタッチしなければならないといういわゆる専務者と思われる数が、全国に三万三千九百五十五人という、非常に多数の数字が出ている。教育者は教壇に専念してもらいたいものであるので、給食の雑務に、教育のかたわら、これが追い使われるというようなことであっては相ならぬことである、この点はとくと実態を調査されて、教育者に過重な仕事を負わせないように、これはかなり大きな問題だと思いますから、十分に研究していただきたい、特に一校当りの平均からいうと、教員が一・四%学童給食のために人員が動員されている。これでは産休補助教員も不足になってくるし、定員も不足だということでは、子供の正常な授業ができません。どうか一つ、この給食の方に起ってくるこういう不測な事態についても、実態を把握して、善処されることを強く私は望みます。
○政府委員(小林行雄君) この昭和三十年の調査の数字でございますが、これについては、私どももいろいろまだ現在でも疑問を持っているところもあるわけでございまして、現在御審議を願っております予算が通過いたしますれば、この中に学校給食関係の指定統計の実態調査をやりたいという経費も含まれておりますので、その調査では、こういった給食関係の従事職員、あるいは先ほど来お話をいただいておりますところの準要保護児童関係等を、ことに重点を入れて調査いたしたいと思っております。
○矢嶋三義君 簡単にお答え願いたいと思います。さっきの数に関係するのですが、安部委員の質疑に対して、専務者一万九千人とお答えになりましたのですが、この中には栄養士も入っているのですか。
○政府委員(小林行雄君) この中にはおそらく、これはその身分関係が雇員傭人その他となっておりまして、はっきりいたしておりませんが、その中にはおそらく入っていないのじゃないかと思います。
○矢嶋三義君 栄養士は何名要るとつかまえられておりますか。
○政府委員(小林行雄君) これは昨年の九月の調査でございますが、現在約千百二十六人ということになっております。都道府県の教育委員会に四十三人、それから市町村の教育委員会に二百六人、小学校が七百九十一人、中学校に四十人、学校給食会その他に三十九人ということになっております。
○矢嶋三義君 あなたは主管局長として、各学校に一名の栄養士を置く必要があるとお考えになりませんか。
○政府委員(小林行雄君) 現在学校給食をやって参ります上に、理想といたしましては、各実施学校に栄養士が設置されるということが望まれることでございますが、なかなか現在の財政状況では、そういった裏づけができがたいので、できればこの設置者であるところの市町村教育委員会の職員として、すべての市町村に設けられるようになれば、非常に学校給食の栄養関係もよくなるのではないか、そんなふうに考えているわけであります。
○矢嶋三義君 栄養士がいないために、家庭科の先生がそちらの方に時間をさくというような事態が起っているし、また学校給食にいろいろ事故が起っているわけで早急に栄養士を置くように努力すべきだと、かように考えます。
 それから先ほどのあなたの答弁の中に、七千人はその他の使用人と言われておりました。七千人は職員でなくて、その他の人だと言われていましたが、これは設置者の負担でなくて、PTAの負担だと、こういう意味ですか、あるいはお母様方がお手伝いされているのが七千人に含まれているわけですか、この七千人の中にはパートタイムでお加勢している人が入っていないものと考えられるがどうですか。
○政府委員(小林行雄君) さきに、市町村の職員になっていない者が大体その程度あるということでございます。従ってPTA等で金を、まあ給与を持っておって、しかも勤務場所は学校に来ているというものがあると思います。いわゆる順繰りに交代して父兄が給食を応援するというようなものは一応除外されておると思います。
○矢嶋三義君 給食の成果を上げるためには、またこの不祥な事件等起さないためには、先ほどあなたに伺いました栄養士を置くことも大事であると同時に、適正なる身分を確保され、それから適当なる給与を受ける専務者ですね、これを置くことは私は給食を食生活の改善並びに教育効果をねらって永久的に続けるようになった本日大切だと思います。パートタイムでお母様がお加勢に出ていくという姿はこれは暫定的な応急の措置であったわけで、一日も早くこれから脱却するようにしなければならぬと私は考えますが、あなたの考え並びに指導方針はどうですか。
○政府委員(小林行雄君) 学校給食を的確に実施いたしますためには、生徒の数に応ずる員数の職員が必要だということは当然でございまして、従来文部省といたしましても、専任者でそういう員数の調理に従事する職員の確保ということについて指導してきたものでございます。ただ従来地方財政の窮乏というようなことから、なかなかそういった面にも市町村としては手が回りかねておったようでございまして、文部省といたしましてはできるだけ自治庁とも相談をいたしまして、今回この給食の炊事婦の賃金を、地方交付税の交付金の算定の基礎に入れてもらったような次第でございます。大体計算といたしましては、全国で九億円程度の財源を得たわけでございまして、これによって文部省としてはできるだけそういった市町村の職員が学校給食実施の市町村に置かれる二とを期待いたしておるわけでございます。今後もできるだけこういう方面で身分の確保とか、あるいは待遇の改善ということにも努力をいたして参りたいと思います。
○矢嶋三義君 先ほどの説明の一人平均五千五、六百円程度というのはひどいものだと思うのですね。それは時間がないからさておいて、給食児童、生徒何名までは専務者が何人必要だというそういう研究をされた結果を持っておられますか。
○政府委員(小林行雄君) これは私たちとしては、いろいろ相談はいたしております。児童、生徒数に応じた、適応した員数ということについては研究会等でいろいろ研究をいたしたのでございますが、ただ実際に置く段になりますと、財政の点からなかなかそれが実行できないというような実情でございます。研究会でいろいろと研究発表したような数字はございます。
○矢嶋三義君 しかし、それらの結論を持たなければ自治庁交渉はできないのじゃないですか。
○政府委員(小林行雄君) 自治庁に対しましては私どもが折衝いたしましたのは、給食を実施している学校で標準の学級というものを一応想定いたしまして、学級数、それから児童数からその員数を割り出したわけでございます。標準の学級というものを考えたわけでございます。
○矢嶋三義君 その点は努力を願うこととして、最後にお伺いしておきたい点は、学校給食の価値が非常に高く評価されて、食生活の改善と、それから教育効果をねらって、その実施がなされ、その進展がはかられておるわけですが、あなたの方から出た資料を見ますと、都道府県によってはずいぶんアンバランスがあるのですね。たとえば青森は最低のようですが、比率が六・八、それから秋田が二八・三、こういうふうに低い。それから高いところで最高は愛知の九八・五、それから東京が高かったんですが八九・〇というような、おおむね経済力の豊かな自治体が高く、しからざるところが低い、しかもそのバランスが、今私が申し上げましたように差があるわけですが、小中学校の給食というのは義務教育小学校の生徒児童に対してなされ、しかもそれが食生活改善として教育の一環として行われているわけですから、これほどの実施状況の差があるということは、数字を見て私はびっくりしたのですが、非常に遺憾なことだと思うのですが、あなたの方としてはどういう対策を持たれ、また指導され、今後いかようにされようとしておるのか、その方針を伺っておきたい。
○政府委員(小林行雄君) 御指摘のありましたように、この給食の普及率は府県によって非常にアンバランスになっております。たとえば青森県、あるいは宮崎県といったような県は非常に低い、それに比べて愛知県とか、東京とかは全国的に言いますと高い比率になっております。これにつきましてはただいまお話のございましたように、その府県、あるいは府県内の市町村の経済力ということもあるかと思いますが、一面やはり学校給食についての指導者の関心、あるいは理解力というような点についてもかなり実は開きがあるのじゃなかろうかと思っております。文部省といたしましては特にこういった普及の率の低い府県の直接の責任者、関係者等に文部省に来てもらいまして、いろいろと普及方策等についても助言をしたこともございます。今後もこうしたアンバランスを幾らかでも是正するように、できるだけの努力をいたして参りたいと思います。
○委員長(岡三郎君) 二点ばかり質問いたします。北海道の方は非常に凶作で、できるだけのことをやっておってまだ十分とは言えないような状態です。東北ではわれわれが聞くところによれば、岩手の北部ですね、あるいは青森近辺にも相当冷害に伴う凶作というものがあって、部分的ではあるが、山間僻地の方においてはやはりほとんどとれなかった、そういう点で非常に困窮の度合いが強くなっているということを聞いておるのですが、本年度の予算においては何とかならぬとしても、何とか実情を調査して、それに即応するようにやはりやってもらいたいと思う気持が強いわけです。
 それからもう一点は陸地の凶作ばかりでなくて、沿岸漁業の不振ですね、これに伴うところの学童の登校の率が非常に悪い。ここに一つあるのは岩手県の宮古市の例ですが、カキとノリの養殖がほとんど高波によって全滅に近いほど被害を受けている。こういうふうなことで学童が登校できない。それから先般新聞に出ておったのは、千葉県の九十九里沿岸の中学生の状態ですが、ほとんど学校へいけない。これはほとんど経済的なものに原因がある。それで進学できない子供が非常に多い。これはやはり沿岸漁業というものが非常に不振で、子供は昼飯を得るために働かにゃならぬ、こういうような実情報道が新聞に出ておったことは御存じのことと思うのでありますが、やはり法の趣旨から見て、何とかそういうふうな困窮の度合いの強い所に、相当国の恩典がいくというふうにやることが、一面においては長期欠席児童を減少し、不良化を防止するということになるんじゃないかと思うのですが、実施に当って、一つそういう面における配慮というものを何とか考えてもらいたいと、こういうふうに考えておるわけですが、いかがでしょう。
○政府委員(小林行雄君) ただいまお話のございました岩手県のと申しますか、東北地方の冷害地の欠食児童に対して給食をというお話でございましたが、実は北海道の凶作の場合には、国の準要保護児童対策以外に、ユニセフの本部に申し入れをいたしまして、本部の方から百四十万ポンドのミルクの無償贈与を受けて、それを送ったのであります。その直後にこういった岩手県の方からのお話も実はあったのでございますが、重ねて要望することもできませんので、日本のユニセフ協会の方に頼みまして、そのユニセフ協会の方から金を出してもらいまして、その金で買ったミルクを、約一万六千ポンドばかり岩手県の方にお送りしておるわけでございまして、それでこの夏ごろまでは、その地域についてはしのげるのではなかろうかと思っております。
 なお、千葉県のことについては、それは新聞等で読みましたが、まだ県の方からも話は聞いておりません。ただ準要保護児童については、そういった災害対策的なことは必ずしも含めてないわけでございます。けれども、この配分に当りましては、学校給食の対象児童数と同時に、その要保護児童の数も、配分の際に合せて考えて補助の配分を行うということにいたしておりますので、そういった地域に対しましては、ある程度この補助金がよけいにいくということになるのではなかろうかと考えております。
○委員長(岡三郎君) そこで私は、今の教育の現状を見るというと、教員の給与にしても、先生の定員にしても、はたまたこういうふうな給食にしても、富裕府県といわれている所、財政的に何とか間に合っていける所は相当程度いいんですが、地方財政の貧困な所は、その県がルーズに金を使ったんではないのに、その地方財政の税制の点から相当に苦労しておる。そういうふうな面から、悪い方はだんだん悪くなって、いい方はやはり依然としていいという状態は、何とか改善してもらわねば、国の最低教育というものは守れぬじゃないかという点は、これは四六時中いってきた点ですが、私は千葉の問題については、どの程度かということは、今後調査しにゃならぬと思いますが、あれは凶作というか、いわゆる凶漁という問題よりも、もう恒常的になっている。ずっと減漁が続いて、恒常的にこの地帯が貧困になっている。そういう所は、やはり自己負担というものができないから、だんだんとほうっておかれるようになるのじゃないかというふうに危惧するわけなんで、一つ文部省においては、そういうふうな特段なる地帯というものに対しては、ことによったならば国で全額見るというふうなシステムも、一応段階的に御考究になっていただきたいと思うのです。地方財政が困っているほど見てやらなければならぬ問題が、なかなか今の立法からいうと手が届かぬ。そういう点については、一つ何とか義務制の生徒だけについても、何とかこの点一つ国の恩恵というものが行き届くように御考究を願いたいと、こういうふうに考えているわけなんです。一つこれは文部大臣の方にも、今の教育界における財政的に見た一番大きな問題の一つの要素がやはりここにあると思うので、一つよろしく御考究を願いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お話の御趣旨は、私も同感の点があるわけであります。行政が、ややもすると形式に流れると思いますので、実質が伴わないというきらいに陥りがちなんであります。十分注意して参らなければならぬと思います。大体お話の御趣旨は、私は同感でございますが、この問題につきましては、一面におきましては、何か言うと、地方財政の窮乏というふうなことで片づけられるのでありますが、これは一面においては、大蔵省が文句を言うよりは、文部省が努力をしなければならぬというようなことと同じように、地方においても、決してそれだけの金が、全体からいって出ないわけじゃない、そのつもりになってくれればやれぬことはないという要素もあろうと思います。また給食なんかの問題にいたしましても、一面においては指導者の不徹底ということもございましょうが、同時に、またその地方の人たちが、やはり自覚して協力をするというようなことにならなくちゃならぬような要素もあろうかと思います。先般も新聞に、九十九里浜の問題が出ておりましたが、実はあの地方の様子を聞いてみたのであります。だんだん聞いてみますと、新聞に伝えられるほどの状態ではないようでありますけれども、確かに問題とすべき点はあるのであります。地元の教育委員会等を督励いたしまして善処するように助言をいたしておるわけでございますが、これらの問題をとらえて見ましても、一面においては、外部の状態が悪いために結果がおもしろくないということもございますが、同時に、府県の方でその気になってくれれば差しつかえないというふうな問題がありますので、その辺はよく考えまして、大筋な話といたしましては、御趣旨に沿うように私ども今後ともに努力して参りたいと思います。
○委員長(岡三郎君) それからもう一点、都道府県の学校給食会が法人化されていくということはその通りだと思うんですが、都道府県の方においても補助金を出してやっておる。それで学校給食会が物資をあっせんする場合において、やはり子供から一人幾円というふうに取っておるということも聞いておるわけです。両方合せて、相当経費の使い方等については批判される面があるのではないかというふうにいわれておる面もあると思うんですが、その点はどうですか。
○政府委員(小林行雄君) 日本学校給食会に関しましては、これは現在そういうようなことは絶対にやっておりませんが、府県の給食会の事務費等につきましては、全額やはり府県で持っておる場合と、そうでない場合もあるように私ども聞いております。これはやはり学校給食をやります上からいきますならば、府県が持ってくれるようになるのが理想だと思いますので、文部省といたしましても、その事務費については、できるだけ公費で持つように指導して参っておりますが、今後もその指導を強化して参りたいと思います。
○野本品吉君 先ほど酪農振興となま乳振興に伴いまして、なま乳を学校給食へということでありますが、私は現在の日本の酪農というものは、農家の、この現金収入の唯一のよりどころにしようという経済的な立場から経営されているのが多いで、従ってこれを学校給食にすぐに結びつけるということには、相当困難があると思います。価格の面において。そこで一つお伺いしたいのは、現在の脱脂粉乳の供給というのは、将来ずっと続けられるお見通しであるかどうか、それが一つ。それからもう一つは、栄養的に考えれば、私は蛋白あるいは脂肪の補給というような点から言いますと、学校給食の問題は、都市よりも農村に重点を置くべきであるという考え方をしているわけです。この二つの点についての御意見を伺いたい。それだけです。
○政府委員(小林行雄君) 現在の形態の学校給食では、脱脂粉乳は蛋白源といたしまして非常に重要な地位を占めておるわけでございます。この脱脂粉乳につきましては、現在のところ、これがとだえるというようなことは私どもも想像いたしておりません。多少値段の上り下りということはあり得るかと思いますが、今後も継続してこの脱脂粉乳を給食に使用していくのじゃなかろうかと思っております。
 なお、農村に対して給食を普及すべきであるというような御意見は、まことに私どもその通りだと思っております。と申しますのは、日本人は、ことに農村では澱粉質をよけいとり過ぎる。米麦を非常に食べて、蛋白をとらないというようなことから、農村に私どもといたしましても給食の重点を今後向けていきたい。現在までは大体一般的な普及ということでやっておりましたが、今後の普及の重点は、ことに農村の方に向けていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○委員長(岡三郎君) 速記停止。
   午後五時三十二分速記中止
     ―――――・―――――
   午後五時五十一分速記開始
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○野本品吉君 私は本案に賛成の意を表するものでありますが、この際各派を代表いたしまして、次の付帯決議を付したいと思います。付帯決議の案文を朗読いたします。
   学校給食法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
  本委員会は、学校給食法の一部を改正する法律案を可決するに際し、左の附帯決議を附し、政府に対して、その速かな実施を要望する。
  一、学校給食の趣旨を達成し、その速かな普及を図るため、十分にして適切な予算措置を講ずること。
  一、学校給食の重要性にかんがみ、義務教育諸学校並びに夜間課程を置く高等学校に、栄養士を置くよう所要の措置を講ずるとともに、学校給食に従事する職員の身分の確立と、その給与費国庫補助の方途を講ずること。
 以上であります。
○委員長(岡三郎君) ほかに御意見もないようでありまするから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 学校給食法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(岡三郎君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名願います。
  多数意見者署名
    有馬 英二  野本 品吉
    三浦 義男  林屋亀次郎
    松澤 靖介  川口爲之助
    林田 正治  高田なほ子
    安部 清美  常岡 一郎
    湯山  勇  矢嶋 三義
○委員長(岡三郎君) 次に、討論中野本君から提出された付帯決議案について採決いたします。
 本付帯決議案を可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(岡三郎君) 全会一致であります。よって、野本君提出の本付帯決議案は、全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十三分散会