第026回国会 法務委員会 第9号
昭和三十二年三月十九日(火曜日)
   午前十時五十六分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     山本 米治君
   理事
           雨森 常夫君
           一松 定吉君
           棚橋 小虎君
   委員
           青山 正一君
           大谷 瑩潤君
           西郷吉之助君
           吉野 信次君
           赤松 常子君
           岡田 宗司君
           河合 義一君
           宮城タマヨ君
           辻  武寿君
  国務大臣
   法 務 大 臣 中村 梅吉君
  政府委員
   法務政務次官  松平 勇雄君
   法務大臣官房調
   査課長     位野木益雄君
   法務省矯正局長 渡部 善信君
   法務省保護局長 福原 忠男君
   厚生省社会局長 安田  巖君
  説明員
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局総務
   局総務課長)  海部 安昌君
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局刑事
   局長)     江里口清雄君
   最高裁判所長官
   代理者
   (事務総局家庭
   局長)     菰渕 鋭夫君
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  本日の会議に付した案件
○裁判所法等の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 の件(売春防止法の施行運営に関す
 る件)
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○委員長(山本米治君) これより本日の会議を開きます。
 裁判所法等の一部を改正する法律案(予備審査)を議題といたします。本日は、本法律案立案の経過並びに逐条的に補足説明を聴取いたしたいと存じます。
○国務大臣(中村梅吉君) 最高裁判所の機構を改革しようとして、裁判所等の改正の案件を提案いたしまして、御審議をわずらわすことになりました。先般提案趣旨説明で申し述べましたように、従来の最高裁判所の機構をもっていたしましては、事件が非常に山積をいたしまして、現に五千件内外の件数が積滞をいたしております。一時は七千件にわたる状態でございましたが、その後いろいろな努力をいたしまして減っては参りましたが、なお五千件内外の事件が積滞をいたしておりますような次第で、このままでは最高裁判所のあり方として適当でないのではないかという議論が数年前から各方面に起りまして、一面刑事裁判に対する上告の範囲が非常に問題になりまして、従来は違憲関係と、判例変更の事案のみが上告の範囲になっておりましたが、民事の方では、さらに法令の違反が判決に影響を及ぼす場合等は、上告の理由になっておりますので、これとつり合いのとれるような改正をすべきではないかという議論が強く起りまして、その趣旨にかんがみまして、いろいろ検討を続け、先般提案趣旨で御説明申し上げましたような法制審議会の長期にわたるいろいろな論議を尽しまして、その答申をここに得ましたので、今回その提案の運びになりましたような次第でございます。その法制審議会で長年論議をいたしました経過、ここにいたりまするその経過の概要等につきましては、できるだけこの機会に詳細に申し上げまして、皆さんの御審議の参考に資していただきたいと思いますので、従来この法制審議会の関係事務を担当して参りました位野木政府委員がおりますので、政府委員からむしろその詳細をこの機会に御説明を申し上げる方が適当かと思いますので、そういうふうに一ついたしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
○政府委員(位野木益雄君) この最高裁判所の機構改革及び上告制度の改善の問題が論議されるようになりましたいききつにつきましては、ただいま法務大臣から述べられました通りでございます。
 なお、経過の概要につきましては、提案理由において述べられておりますが、この法制審議会で正式にこの問題が取り上げられましたのは、昭和二十八年の二月でございます。それまでにもすでに民事訴訟法の改正の問題、特に御承知のように民事上告特例法の問題を中心といたしまして、この問題がすでに昭和二十四年ごろから論議になっておったのでありますが、正式に最高裁判所の機構、裁判所の機構の問題についても論議をするということになりましたのは、昭和二十八年の二月でございます。で、その二月の二十日に法務大臣から法制審議会に対しまして、裁判所の制度を改善する必要があるか、あるとすればその要綱を示されたいという諮問を発したのです。この諮問事項を審議するために、法制審議会では司法制度部会というものを設けまして、審議を開始したのであります。この司法制度部会は昭和二十八年の三月から審議を開始いたしまして、昭和二十九年の一月までの間に八回も会議を開いて審議をいたしたのであります。
 この司法制度部会で出ました論議で代表的なものを申し上げますと、大体三つの種類の意見に分けることができるのであります。
 第一番目は、現在の制度をなお維持すべきだ、現在の最高裁判所の制度を維持すべきである、こういう意見なんです。この意見は、最高裁判所の未済事件が非常にふえておるけれども、これは戦後の異常な事態に基くものであるから、これをとらえて直ちに最高裁判所の制度の基本的性格に手を加えるということは早計である、今しばらく現在の機構のもとで手続法を改正する、あるいは運用を改善するというふうな方法によって事態を解決することが賢明であるし、これが十分可能である、こういうふうな見解なんであります。
 第二のグループの意見といたしましては、最高裁判所の裁判官を増員すべきであるという意見でございます。この意見は、最高裁判所の未済事件が非常にふえたのは、裁判官の数が少いからだ、昔は大審院でも四十数名の裁判官がいたのであるが、今は最高裁判所の裁判官は長官を入れまして十五人にすぎない。こういうふうに裁判官が少いから、どうしても事件がたまるのであるから、裁判官を現在の二倍あるいはそれ以上に増員すべきであるというのであります。そうして同時に、最高裁判所は今のように憲法違反とか判例変更等の重要事件を審判するのみではなくて、民事、刑事ともに、もう少し広く一般の法令違反事件についても審判するようにすべきである。すなわち上告の理由を今よりも拡張すべきであるということを主張するのであります。
 それから第三番目のグループの意見といたしましては、上告事件を取り扱うための特別の裁判機関を設置すべきであるという意見であります。この意見は、東京高等裁判所またはその他の適当な裁判所に上告部というものを設ける。あるいは現在ある裁判所のほかに、全く独立した別の裁判所、すなわち上告裁判所とも申すべき裁判所、こういうふうなものを設けて、ここで一般の上告事件の審判をさせる。そうして最高裁判所はこの上告部または上告裁判所から送致を受けた憲法違反とか、判例変更等の重要な上告事件のみを取り扱うことにすべきである。このようにすれば、最高裁判所の負担を軽減することができまして、裁判はむしろ今よりも若干減らすのが適当である。こういうふうにすることによってのみ、一方においては新しい司法制度の理想を貫く。他方においては一般法令違反をも上告理由として認めようとする要求に応ずることができるというのであります。
 司法制度部会では、このような意見を中心といたしまして、非常に白熱した論議をいたしたのであります。資料も集めまして検討いたしたのでありますが、この司法制度部会におきましては、結論を得る前に、先ほど申し上げましたいわゆる民事上告特例法の有効期間が切れかかったのであります。これは初め御承知のように、二年間の有効期間の臨時立法として成立したのでありますが、その後一回だけ延長いたしまして、それが二十九年の五月一ぱいで期限が切れることになっておりますが、これをもう少し延ばすか、あるいは延ばせないとすればどういうふうにしたらいいだろうかということを早くきめなければいけないという立場になったのであります。そこで、この司法制度部会では、根本論議をしばらくおきまして、この民事上告特例法の失効に伴う善後措置について審議を進めたのであります。その結果、法制審議会の会長を通じて、法務省の方に中間報告意見というものを出したのです。で、この中間報告意見に基きまして、法務省では、裁判所法及び民事訴訟法等の各一部改正法律案を立案いたしまして、第十九国会に提出いたしたのであります。この法律案については、十分御承知と思いますが、この法律案は、一部修正の上、可決されて成立いたしたのであります。この法律によりまして、民事事件につきましては上告理由が憲法違反のほか、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反を上告理由とするということになったのであります。なお、簡易裁判所の民事に関する裁判権の拡張その他若干の最最高裁判所の負担調整のための措置が同時にとられたことは、御承知の通りであります。
 このようにいたしまして、民事上告特例法の執行に伴う善後措置の立法は一応できたのでありますが、しかしこの根本的な問題は、今日なお残っておったわけでありまして、国会方面でも熱心に研究を進められておったのでありますが、法制審議会におきましてもこの問題を根本的に研究する、しかも総合的に研究して、しかもこれを促進しようということを考えまして、昭和二十九年の八月からは司法制度部会、民事訴訟法部会、これも法制審議会で民訴の改正について研究しておる部会でありまして、司法制度部会及び刑事法部会、ここでは刑事訴訟法の改正について審議をしております。この司法制度部会、民事訴訟法部会及び刑事法部会から小委員を出しまして、上訴制度に関する合同小委員会というものを設けて、ここで問題を総合的に調査、審議しようということになったのであります。この合同小委員会は、昭和二十九年の八月から審議を開始いたしたのであります。この小委員会の審議が始まりましてから間もなく、二十九年の九月には、最高裁判所から最高裁判所の機構改革についての意見が出されたのであります。この意見はお手元にお配りいたしました上告制度改正に関する諸案及び法制審議会答申という資料がございますが、この資料の一の2でございます。その要旨は、最高裁判所の裁判官は減員し、一般法令違反を審理するためには、別に上告を取扱うための裁判機関を設けるべきであるというのであります。合同小委員会におきましては、最高裁判所側の委員からこの意見が主張されたのであります。これに対しまして、弁護士側の委員からは、その前の昭和二十七年十二月に日本弁護士連合会で決定されまして二十八年の一月に法務大臣あてに提出された裁判所法等の改正案という案があるのでありますが、これは資料の一の1に載っております。この線に沿った最高裁判所の裁判官を増員して上告理由を拡張せよという趣旨の意見が主張されたのであります。またこれに先だちまして、衆議院の法務委員会に設置されました上訴制度に関する調査小委員会におきましては、昭和二十九年の十月に、今申しました日本弁護士連合会の案と基本的構想を同じくするところの試案を中間的に作成、発表されたのであります。これは裁判官を十五名に増員する、そして上告理由を拡張しようというのであります。このような次第で、合同小委員会における審議は、最高裁判所側の裁判官の減員論と、弁護士側の裁判官増員論とをめぐってなされたのであります。ところが審議を進めていくに従いまして、最高裁判所の側の委員から、前こ最高裁判所の発表した意見の中では触れられなかった点が明らかにされたのでありまして、それは、一般法令違反を審理するための裁判機関を、どういうふうに設置するかということについてでありますが、この裁判機関は最高裁判所に置くのが適当であるというふうに主張されるようになったのであります。そういたしますと、根本の考え方にはかなりの違いがあるのでありますが、出た意見の外形におきましては、最高裁判所側の意見と弁護士側の意見との間に、実質的に非常にまあ差異が少なかったというふうなことになるわけです。そこで、同二十九年の十一月に、法務省の幹事側から、上告制度改正要綱試案というまあ案を、審議の促進をはかる意味で出したわけです。この案は、最高裁判所は大法廷または小法廷で事件の審判をするということにいたしまして、大法廷は憲法第七十九条により任命される裁判官七人で構成する、七十九条というのは、最高裁判所の裁判官の任命方法であります。内閣で任命しまして国民審査に付する、こういう方法であります。その方法で任命される裁判官は七人として、これで大法廷を構成する。小法廷の裁判官は総数三十人といたしまして、これは憲法第八十条により任命する、こういうことにいたしたのでありますが、その八十条と申しますのは、下級裁判所の裁判官の任命方法であって、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣で任命するという方法であります。そういうふうな試案を法務省の幹事側から小委員会に提出いたしたのでありますが、これに対しましては、裁判所側の委員及び学界関係の委員には特別な反対はなかったのであります。しかし、弁護士会側の委員の中からは、反対の意見が出されたのであります。その後、しばらく小委員会も中断いたしておったのでありますが、昭和三十年に入りましてから、今度は、今まで十分論議が尽されていなかった上告理由の範囲の問題について審議をしたのであります。特に、刑事の上告理由の範囲をいかにすべきかという問題を中心にして審議をいたしたのでありますが、これにつきましては、現状の通りでよろしいという意見から、広く一般法令違反全部を上告理由とすべきであるという意見に至るまで、あらゆる種類の意見が出たのでありますが、大体のグループに分けますと、今申し上げました資料の、一の5に出ております六通りの案があったのであります。これは十九ページですが、現行法上ほかの刑訴とか、民事上告特例法、そのほかに出ている線に従った案でございます。それだけの案が出たのでありますが、これにつきましても、一般法令違反を広く上告理由として認めるべきであるという弁護士会側の意見と、一般法令違反についても、ある程度これを上告理由として認めるが、あまりに広く認めることは適当でないという意見が対立したのでありまして、この制限的に一部法令違反を上告理由として認めるべきであるという意見は、裁判所側の委員及び訴訟法関係の学者側の委員の主張するところであったのであります。ところが合同小委員会における審議も、回を重ねるに従いまして、だんだん歩みり寄の気運が強くなりまして、昭和三十一年の二月の会議では、委員の間で、一つ法務省の幹事側から案を出してくれというふうな要望がございまして、案を出したのであります。
 これは二通りの案を出してみたわけでありますが、最初の案は資料の一の6に出ている案でございます。甲案というのでありますが、これは、最高裁判所の機構は変更しない。おおむね現在通り。なお小法廷の数を運用によってふやして四つとするとかいうような考え方をいたしておりますが、法律的には、機構には改正を加えない。刑事の上告理由の範囲を拡張はいたします。が、機構の改正を加えないで、最高裁判所の負担の調整のためのいろいろな方図を考えてみたのであります。これが甲案。
 もう一つの案は、乙案ございまして、その次に出ております。これは大法廷の裁判官を長官以下九人とする。小法廷の裁判官を三十人とするといたしまして、同時に刑事の上告理由を拡張するということにいたしたのであります。この二つの案を提出いたしましたところが、甲案につきましてはあまり審議がなされませんで、乙案を中心にして審議が進んだのであります。結局甲案は取り上げられなかった。乙案を取り上げたということになったのであります。その論議といたしまして、最高裁判所側から、この法務省の幹事が出しました乙案に対しまして、意見書が出されました。この意見書は、多数意見と少数意見と二つございまして、多数意見の方は資料の中の八番目に出ております。二十六ページであります。これは、乙案の趣旨は大体けっこうだが、この部分はこういうふうに修正してもらいたいという部分的な修正意見、それから少数意見の方は、資料の九番目に出ておりますが、乙案に対して根本的に反対の意見、最高裁判所側からは多数意見と少数意見の二つが出されたのでありますが、弁護士会側からも意見書が出されたのでありまして、これは前に弁護士会から出されておった意見書及び衆議院の小委員会の意見書の線に沿うものでございまして、最高裁判所は長官及び最高裁判所判事三十人をもって構成するという趣旨の上告規定の改正要綱というのであります。これは十番目に出ております。
 このように意見が出されたのでありますが、だんだん論議を続けておる間に、次第に多数の意見の賛成を得られるような方向が明らかになりまして、昨三十一年の三月十二日の第十七回目の合同小委員会の会議におきまてし、上告制度改正に関する試案(乙案)というこの法務省の幹事の案に若干の修正を加えました内容の合同小委員会としての案が決定されるに至ったのであります。そこでこの合同小委員会の案を司法制度部会、民事訴訟法部会の各部会において審議いたしましたところ、それぞれ承認が得られましたので、さらに昨年の五月八日の法制審議会の第十三総会において審議いたしました結果、ここの資料の最後に出ておりますような上告制度改正要綱という答申案が決定されたのであります。
 この答申案の趣旨は、まず、最高裁判所は、今、長官以下十五人の裁判官で構成されておりますが、この裁判官の数は、重要事件を審理するためにはむしろ多きに失する。そうして一方、普通の上告事件を審理するためには少きに失する。こういうふうな考え方で、最高裁判所で大法廷を構成する裁判官は、長官及び大法廷判事八人で構成する。そうして小法廷の数は六つ設けまして、三人以上の合議体で審理、裁判をして、その総数は三十人にする。これは、大法廷と小法廷の判事を別にしまして、現在は同じ人で大法廷及び小法廷を構成していますので、別別の人で構成する。そうして、小法廷では、できるだけ民事及び刑事というふうに専門に別れて裁判をするということにしてある。で、裁判官は、長官及び大法廷の判事の裁判官に限りまして国民審査に付する。すなわち憲法八十条の規定による任命方法である。小法廷の裁判官は、それ以外、すなわち下級裁判所の裁判官の任命にする。こういう趣旨で、そうして大法廷の方の裁判官の任命につきましては、裁判官、検察官、弁護士及び学識経験者で構成する選考委員会の意見を聞くことにすべきであるというのが、この最高裁判所の機構についての要綱の趣旨であります。上告理由につきましては、民事につきましては現行法通りとして変更いたしませんが、刑事につきましては「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反すること」ということを上告理由として加えるという意見です。要旨はそういうふうであります。
 以上が法制審議会における審議の経過でございます。
 次に、法案のうち、重要と思われる部分につきまして補足して説明いたしたいと思います。条文の順序によりまして便宜御説明いたしたいと思います。
 まず、第二条の改正でございます。これは新たに下級裁判所の一種といたしまして、最高裁判所小法廷という裁判所を設置することにいたしたものであります。現行法の二条一項は下級裁判所の種類について規定いたしておりますが、最高裁判所小法廷を設置することに伴いまして、条文の体裁を改めまして、裁判所の種類について規定すするとにいたしたのであります。で、裁判所の種類といたしましては、すでに憲法上設置されております最高裁判所のほかに、最高裁判所小法廷、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所を設置するという趣旨であります。で、結局、その最高裁判所小法廷というものは、新たに設置されるということになるわけでございますが、この小法廷は、憲法第七十六条のいわゆる下級裁判所の一種であるということになるわけであります。ただ、この最高裁判所小法廷は、最高裁判所と事件処理上その他におきまして非常に密接な関係を持っておりますので、最高裁判所にこれを付属して設置するというふうなことにいたしております。これは後に述べます。二条の二項の改正は、これは最高裁判所小法廷につきましては、設立廃止及び管轄区域については、別に法律で規定する趣旨が必要ないので、このように改正したいということでございます。
 第五条でございますが、これは裁判官の官名をここに掲げておりますが、そこに最高裁判所以外の裁判所の裁判官といたしまして、最高裁判所の小法廷の設置に伴いまして、新たにこれを構成する裁判官として、最高裁判所小法廷首席判事及び最高裁判所小法廷判事という二種類の裁判官を設けることにいたしたのであります。それから第三項の改正でございますが、これは、今、最高裁判所の判事の人数が十四人となっておりますが、これを八人に改めるということにいたしております。それから小法廷の首席判事及び小法廷判事の人数もそれぞれここで規定いたしたのでございます。それぞれ六人及び二十四人ということにいたしておるものであります。
 次に第八条の二でございます。これは先ほど申し上げましたように、小法廷は最高裁判所に付属しておるということを規定いたしたのが第一項であります。小法廷は下級裁判所の一種でございますから、これを最高裁判所の機構から全く独立した別個の裁判所として設置して、別個に長官を置き、また事務局も置くということも考えられるのでありますが、小法廷は、事件の処理上最高裁判所と共同して上告事件を処理するというふうな、非常な密接な関係がございますので、これを最高裁判所の傘下に入れて、付属して設置するということにいたしたのであります。そしてその司法行政事務は、後に述べますように、特別のものを除きまして小法廷がみずから行わないで、最高裁判所がこれを取り扱うということにいたしております。そして長官、事務局等も別に置かないということにしたのであります。第二項は、国法上の裁判所としての小法廷が、小法廷首席判事及び小法廷判事で構成されるということを規定したものであります。これは裁判所法の十五条等で規定してしる体裁にならったものであります。
 第八条の三でございますが、これは小法廷の権限について規定いたしております。第一項におきまして、最高裁判所は、第七条及び第八条の規定によって裁判権を有する事項につきましては、原則として小法廷も、最高裁判所と同様の裁判権を有するものといたしております。ただ、小法廷が裁判権を有することにするのは適当でないという場合がございますので、その場合には、最高裁判所は特に定めて例外を設けることができることにしたのでありまして、たとえば裁判官に対する分限事件、それから弾劾事件等につきましては、ここではずすということは予想されるのであります。それから第二項でございますが、小法廷は固有の権限を持っておる。これは、この法律に定める固有の権限もございますし、他の法律において定める固有の権限もあるという趣旨でございまして、この法律に定める固有の権限と申しますのは、小法廷の裁判に対して異議の申し立てというものを認めておりますが、その異議の申し立てがあった場合に、原裁判の執行停止等の処分を命ずる権限あるいは一定の範囲内における司法行政事務を行う権限等が、この法律による固有の権限でございます。他の法律による固有の権限と申しますのは、たとえば刑事事件について、小法廷がした裁判に対して、異議の申し立てがあった場合における原裁判所の刑の執行の停止、また原裁判の執行の停止等をさすのであります。
 なお小法廷は、憲法判断を要する事件等につきましても、抽象的には裁判権を持っているのでありますが、憲法問題について判断をする場合とか、あるいは従来の最高裁判所の判例を変更しようとする場合等におきましては、小法廷で裁判をするよりも、ただちに最高裁判所の審判を受けさせるのが適当と考えられますので、こういう場合には小法廷は裁判をすることができない。そうして大法廷にこれを移させるということにいたしているのでありますが、その場合が第三項に規定いたしております。
 次に第九条は、第一項は最高裁判所の審理、裁判をする場合の態様について規定いたしております。第二項は小法廷の審理、裁判をする場合の態様であります。
 第十条は、大法廷すなわち最高裁判所と小法廷との間の審判の方法でございますが、結局まず小法廷で事件を審理、裁判をして、その中から大法廷で審判させるのを適当とする事件を大法廷に移させるという仕組みにいたしております。小法廷の裁判は三審でございますから、最終的なものにいたしてよろしいかとも考えられますが、憲法八十一条との関係から、やはり憲法問題につきましては、大法廷に異議の申し立てをすることにいたしております。
 それから第十二条におきまして、小法廷は、司法行政的には最高裁判所に従属していると申しますか、小法廷の司法事務は、最小限度のものを除きまして最高裁判所に行わせるということにいたしておりまして、司法行政的には一体をなしているということもできる規定でございます。
 それから第三十九条でございますが、これは最高裁判所の裁判官の指名または任命につきまして、裁判官任命諮問審議会に諮問しなければならないということに規定いたしております。
 あとはこまかい点でございますから、省略いたしまして、ただ刑事訴訟法の改正では四百五条というのがありますが、これは刑事の上告理由の拡張をしようという趣旨でございまして、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反することを理由としようとするものでありますが、御承知のように判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違反がある場合控訴の理由になっております。控訴の理由になっておりますが、上告理由では、それとの均衡上からも、そのままということでは広すぎるのであって、それから上告審の負担ということから、これのままでありますと、相当数の裁判官がなお要るということも考えられますので……。それからもう一つこの今の公訴理由で相当判決に影響を及ぼすことが明らかな法令なんというのは広く解釈されておりまして、たとえば刑法十四条の刑を加重する場合の限度は二十年であるというふうな規定がございますが、そういうふうな規定の適用を示すことを忘れておったというふうな場合にも当るというふうな判例もあるそうでありまして、そういうふうな場合は、必ずしもこれは原判決を破棄する必要がなかろうかと考えられますので、こういうふうにいたした次第であります。あと異議の申し立等は裁判所法の規定と同じ趣旨であります。
○委員長(山本米治君) 本法律案につきましては、本日はこの程度にとどめます。
○委員長(山本米治君) 次に、検察及び裁判の運営に関する調査といたしまして、売春防止法施行運営に関する件、少年法等の改正問題に関する件を議題といたします。
 質疑のおありの方は順次発言を願います。参考までに申し上げますが、法務省からは中村法務大臣、厚生省からは安田社会局長、最高裁からは菰渕家庭局長、江里口刑事局長が来ておられます。
○宮城タマヨ君 売春防止法につきまして、きょうは総理大臣、厚生大臣それから法務大臣の御出席を願ったのでございますけれども、国会の大みそかが近づいておりますので、皆さんどうも引っぱりだこで御出席を願えなかったのでございますが、厚生大臣のかわりに安田局長にお願い申し上げます。その第一点は、この三章にございます更生保護ということについての御意見でございます。実は今まで売春婦は全体といたしまして五十万と推定され、あるいは七十万、八十万という数を数えております。そのうちの大体一割くらいは、一番多い年は、ここ十年間の中で報告を聞いてみますと、八万あるいは五万程度が、これは警察、検察の手にかかっておるものでございますが、だからあとほとんど大部分というものは、今後やはり厚生省関係の厚生保護に関する人々なのでございます。この大ぜいの人々を、一体厚生省は更生保護させるということについては、更生保護とこの法律でうたっております字の示す内容の終局の目的を、厚生省はどういうふうにお考えでございましょうか。第一点の質問でございます。
○政府委員(安田巖君) 更生保護と申しますのは、現在そういうふうな職業に従事しております者を、そういうところから足を洗わせまして、そうして正常な社会の仕事につかせるというのが終局のねらいだろうと思います。あるいはまた家庭に帰して結婚をやらせることだと思いますが、先ほどお話がありましたが、売春婦の例でございますけれども、昨年確かに五十万というふうな話をされた方もあります。で、私どもの調べでは二十八年に調べたのが、やはり大体十七、八万だろうと思っております。昨年私どもの方で調べました数は大体これは十四万八千六百六十二名となっておりますので、十五万前後じゃないかというふうにつかんだのであります。これは労働省の方でお調べになりました。この調べ方は存じませんけれども、十五万何がしという数と大体符合しております。私どもの調べましたのは、昨年の末ごろに各府県の衛生部を通じて、末端の保健所等を動員しまして調べた数字がそれであります。御参考までに申し上げますが、そのうちで赤線関係者が約五万五千、それから青線その他の関係者が六万八千、その他の街娼になりますと、これはなかなかっかめない数字でありますが、大体そのくらいだろうという推定をいたしまして、いろいろな措置を講じたいと思っております。
○宮城タマヨ君 今の数はこれは五十万といい七十万ということもみんな推定数でございますから、しかし厚生省でも十五万と数え、十三万と数えても、やはりそれも推定数で、確かなことはわかりませんけれども、現在は赤線、青線地区というものはだんだん表面にはなくなるわけで、いよいよ来四月一日からはこれはもう罰則が施行されますから、表向きはなくなると思いますが、それにかわりまして、今白線地帯というものが、できておりますが、厚生省ではその調査ができておりましょうか。
○政府委員(安田巖君) 白線というのは実は存じませんのでございますので、調査ができておりません。
○宮城タマヨ君 それは大へんです。白線地帯と申しますのは、御存じなければ説明いたします。白はしろうとという意味です。しろうとが集まりまして、そうしてコール・ガールといっていますけれども、それは表面やっぱり職を持っておるような、あるいは会社に、あるいは常識として正当な所に職を持っておるような形をしておりますところの若い者、あるいは年寄り、あるいは未亡人、あるいは母といったようなものが、秘密の組織に加わりまして、そして秘密の組織を作っておりますものの中には、暴力団のようなものがたくさんおる。そしてそういうほんとうのしろうとで組織を作りまして、電話一本で指定地に行くという組織が白線地帯でございます。そういうものが今だいぶ広がっております。東京あたりは――東京と限らず、都市にはずいぶんおりますが、だんだん広がって、津々浦々へ行き渡ろうとしておるのでございますが、こういうものを数えますと、とてもたへんなことになる。それから結婚紹介所というのが、これは結婚を紹介するのもありましょうけれども、売春を紹介する、それから宿屋が、みんな業者が転業する、するといって転業しておりますもの大小、これは女とともに転業するという形でございまして、内容はみんな御想像ができると思いますけれども、ほんとうの転業をしておらない。これには私は一つは業者の方にも無理のないところもある、というのは、今日前借をみんな女が持っております。多いのは十五万円以上だそうでございますが、大てい数万円の前借を持っておりますので、それを踏み倒されて逃げられた分には、業者もたまらないものですから、やっぱりともに転業しようといって、アベック式の宿屋がたくさんできております。それから実はこの間あんまの陳情を受けたのでございますけれども、ことに熱海なんかに五、六百人以上の美人のあんまというのがはびこっております。そうしてその美人のあんまに今までの人たちは圧倒されまして、これは大問題だから、一つ取り締ってほしいということを言ってきた人がございますが、内々調べておりますが、警察関係も聞いてみたのですが、やっぱりこれは事実らしい、まあこういうインチキあんまなんか加えますというと、これは大へんなものであります。これはもう百万以上も突破しているのじゃないかと私どもは推定しなければならない、残念でございますけれども。こういうものに対して、今、更生保護ということは、職業を持たせて生活を安定させるというお答えでございましたが、それは私はどのくらい一体厚生省が本気になってお考えなのか、ということは、厚生省の予算の方を見まして疑いが多いのでございます。これだけの予算をもって、一体十万人にしても五十万人にしても、厚生省は一体どうするつもりなのでございましょうか。一々厚生省の予算あるいは労働省の予算も見ましたのでございますが、実に微々たるもので、ことに最も必要だなと思うところには予算が一つもない、これは労働省関係でございますけれども、一番必要な女子就職助成資金の貸付に必要な経費というのはゼロでございます。職業を授けるというのにこれはどうすればいいんでございますか、その点いかがでございますか。
○政府委員(安田巖君) いろいろ売春の実態につきまして御教示いただきまして、まことにありがとうございました。ただ、今お話のような場合は、まあ何人いるかということはわからないわけでありましょうけれども、大体そういう者が取り締られて表に出るとか、あるいはそういう者の中から、自分はそういうことをしたくなくて更生したいのだというふうに出てこないと、今のところ白線であるとかコール・ガールといったものを一々私どもの方の組織で探して歩くということは、ちょっとできないのじゃないかという気がいたしますが、と申しますことは、今度の保護更生でございますが、これはまあ権力を伴わない、いわゆる社会福祉の仕事としての保護更生の仕事でございますから、たとえば相談所ができるとか、あるいは収容施設ができるとかいたしましても、これは収容の強制力がないということ、それからもう一つは、現在まだ法律が刑罰規定につきましては施行になっておりませんから、いわゆる猶予期間中でございますので、まあそういったような関係からどの程度そっちの方を取り締れるか、もちろん府県条令等もございましょうけれども、しかしこの法律自体とすれば、そういう猶予期間中でございます。そういうことを考えあわせますと、そう一ぺんに何もかも、私どもの方で全部やるというところまではいかないのじゃないかという点も、多少予算に表われておるのじゃないかと思っております。予算が必ずしも十分とは申せませんけれども、今のやり方で参りますというと、結局婦人相談員と相談所と、それから保護施設という三つを一つにいたしました体形によりまして、自発的に出てくる者であるとか、われわれの方から目にとまる者であるとかいう者をだんだんと世話していく。そしてまた明年の四月の、法案の全部の実施期が近づくにつれまして、また状況も変ってくるかと思います。その状況に沿ったような措置をまたとりたいと、こういうふうに考えておるわけであります。
○宮城タマヨ君 刑罰規定、つまり法務省関係のことは厚生省に伺っておるわけじゃありません。それは今から法務大臣に伺うところなのでございますが、婦人相談員あるいは婦人相談所というものについての経費というものは幾らおとりになっておるのでございますか。そして、すでにこの婦人相談員というものは昨年の十月から、あるいは場所によっては十二月から始まっておるのでございますが、それにつきまして、一体厚生省は、前にあなたとここで取っ組んだことでございますねそのときに、この資格については十分考えます、そしてりっぱな人を出しますということを、ここに速記録がございますが、おっしゃっておるのですけれども、果してそれをやっていらっしゃるかどうか。もう四県か五県かを除くと、あとみんな任命されておりますが、どうでしょうかということ。これは私大きい問題だと思う。それでまあ私ども知り得ておるところでございますと、自薦他薦、そうして九千円の金がほしいという者が大部分のように思っておりますが、その点いかがでございましょうかということ。
 それからいま一つ。局長と取っ組んだという私の点は、婦人相談員であっても男の相談員を置く方がいいじゃないか。それは大事な就職につきまして、これは女の人よりもやはり男子の人で、ことに有力なという私言葉を使っておりますけれども、その内容は、まあ言ってみれば商工会議所の会頭であるとか、あるいは大会社、大工場を持っているような非常に有力な人を置いてほしいと、それは女の相談にじかに当らなくても、就職の点に必要、だから、それだけの男の人を持ってきてほしいということを私は言ったと思っております。
 それからいま一つ。この女の方でございますけれども、私は今日任命されておる婦人の中には、ずいぶんりっぱな、実力のある方もいらっしゃると思っております。だけれども、やはり生活の足しになるからと、一つの職業的に九千円の金がほしいという方もまたたくさんあることを、私ども身をもって体験しておりますからわかっております。そういうことで一体この大勢の、十万にしても、あるいは何万にしても、それは裕福でないのはしようがないとしうけれども、そこでこれは初めの更生保護というものは一体何をするかということにあとで触れますけれども、これは私は大へんな問題が起ると思う。だから、男子の資格についてはさっき申し上げましたけれども、女の資格については、やはり一般の婦人、それから一般のお母さんの協力を得るような、そういう人を先頭に立てておかなければ、これは実際こうい売春防止法なんという法律を作っても、法律一本でこれは実行できるなんということは絶対ないと私は思っております。これは第一に、さしあたっては日本の女性全部が協力しなかったら、できる仕事じゃないと思う。その日本全体の女を引っぱっていくという者は一体だれでありますか。それは私は婦人相談員だと思う。それだけの資格を持った、それだけの人徳を持った人が、一体選ばれておるかどうかということは、今日もう大部分選ばれました人たちから見ますというと、私は遺憾千万な点があると思いますが、この二点についていかがでしょう。
○政府委員(安田巖君) 売春の防止につきましていろいろ社会の協力と理解がなければ、完全な目的は達しられないのじゃないかという点につきましては、全く同感でございまして、そういう意味から申しましても、婦人相談員というものの任命ということは非常に大切なことだと私は思っておるわけであります。私どもは、この資格要件といたしまして、社会的人望があって、婦人保護事業につき熱意と識見を有しておるものということと、もう一つは、年令が三十歳以上というようなことを、一応通牒に書いて出しました。これを具体的に書くにはあまりに複雑な問題でございますので、やはり個々の人につきまして、この人が適当であるかどうかということを判断する以外に道はないのじゃないかということで、こういう抽象的な基準を設けたわけでございますが、御承知のように、これを設けます設置の主体は、府県知事とそれから大きな市でございますので、市長なり府県知事が、そういうものを置くわけでございます。現在まで、これは二月までの統計でございますが、大体三百七名ばかり置かれておりまして、そのうち男の人が八十八人で、女の人が二百十九人であります。男と女とどちらが適当かという問題は、宮城先生はこの前は大体男の方がいいのじゃないかという御意見でありましたし、赤松先生は女の方にしなければいけないというお話がありまして、まあ両方の御意見がちょうど入って、男の人が八十八人で、大体四割くらいになっておるわけであります。男を特に置いております所の言い分は、たとえばかけ込みなんかがありましたケースを取り扱う場合に、なかなか女の人では工合が悪いような問題が起きた。たとえば長野県の場合なんか、この前、赤松先生から御指摘いただきましたけれども、そういう経験を持っておりますから、男の人を置きたいということで、男の人を置いた実情でございますが、そういうことで、ほんとうに具体的に一人々々について言わなければ、抽象的にここで議論しましても、なかなか結論が出ないのじゃないかという気がいたします。
 なお、こういう問題については、今後も各府県における訓練でありますとか、指導でありますとか、そういうことについて十分気をつけて参りたいと思います。
○宮城タマヨ君 私は婦人相談員に男ばかり置けということを言ったことはありません。そういうことは考えません。それは大部分は女でいい。だけれども、その中には有力な男の人を加えておく方が、仕事に都合がいいじゃないかということ。私は、一体更生保護ということは、かかって、いい所に就職させて、金をたくさんとらせたい。それ以上に、売春婦の――もっとも法務省の取扱うような売春婦は別でございますけれども、そうでない売春婦はたとえば厚生省的な入れものを作ってそこへ入れる必要はないほど、右から左に就職ができて、十分金がとれればそれでけっこうです。法務省はぜひ入れものを作らなければならぬということを言いますけれども、厚生省関係で一時保護所みたいなものを作って、あそこで袋張りをさせたり、それから肩かけを編ませることで、あの人たちが一体満足して生活するかどうかという問題を考えていただきたいのです。あの人たちは右から左にりっぱに就職できて、たくさん金がほしい、それをさせてやれば、みんな更生すると私は思う。そうして私の女に対する更生保護というのは、ただ生活すればいいというのではなくて、日本の女として最後は日本のりっぱなお母さんとして、この人たちを終始させたいというのが、私の念願でございます。そういう意味合いから、男の人を入れるならば、職業あっせんの意味でりっぱな人を入れてほしい。実力のある人、婦人ももちろん必要です。このかけ込みというようなものは、まれにあるケースで、全体のことに対してはごく少い。そんなことは私は国全体として考えるときに、必要ないと思うくらいです。そうしてそれは当然のことなんです。私は婦人一般の理解があればということを真に思っておりますが、たとえば売春婦が五十万人いたら、日本のお母さんで、ほんとうに人の子か――他人の子ですけれども売春婦がかわいそうだと思う人が五十万人いたら、何もこんな法律を作ることも何もない。五十万人のお母さんたちが、一人ずつわが家に連れてきて、そうしてほんとうに女の生活を指導し、金のもうかることをしてくれれば、それで事は足りていると思う。現にヨーロッパなんかでは、個人の家庭ではありませんけれども、宗教団体の婦人が実にたくさん吸収してやっているのを私は見てきている。私はそういう意味で日本のお母さんたち五十万人、それから売春婦が三十万人なら三十万人でもいいけれども、一軒一軒吸収してくれればなあ、なんて言いましたら、ある人に私しかられまして、宮城さん、あんたのうちみたいに男が一人もいない、子供もおらぬというようなうちならそんなことが言えるけれども、それはとんでもないことじゃないかと言われて、もう私近ごろそれを言わなくなった。やむを得ないと思う。だけれども、私はその考え方の続きはずっと持っておって、やはりお母さんたちがみんなうしろだてになって、救ってやろう救ってやろうという意欲があれば、問題は非常に楽に解決すると思うのです。だから厚生省の一体考え方で――更生保護ということを、ただ単に職業だけと考えてそれでいいですかと私は言いたい。
○政府委員(安田巖君) 宮城先生の御意見一々ごもっともでございまして、私どもの考えと全く同じなんでございます。と申しますのは、相談所を設けました趣旨は、そこを窓口にいたしまして、婦人相談員がいろいろ世話をいたしましたケースにいたしましても、あるいはその他民生委員、あるいは警察、その他の関係機関から送られて来ました者でも、本人、が出て参りました者でも、そこでできるだけさばくというのが実は趣旨なんでございまして、そこでいろいろ、郷里に帰させるとか――帰れるものは郷里に帰しますけれども、帰郷旅費がないというものは世話をします。親を呼び出した方がよければ呼び出すこともいたします。なお関係の職業あっせん機関でありますとか、その他の福祉機関に連絡をいたしまして、就職等ができる者はそこでできるだけさばきたい。一時保護所を設けましたのは、女のことでありますからして、転落防止で、今晩も泊る家がないというような女の方もあります。それからかけ込んで来ましても、あるいはそこに、ほかから送られて参りましても、二日や三日では就職ができない場合がある。そういうときにあぶのうございますから、よそへ泊っておれというわけにいきませんから、一時収容所を設けまして、大体二週間から二十日くらいそこに置き、その間にできるだけ婦人相談所の機能をフルに活用して、そこでなるべくさばきたいというような趣旨であります。どうしてもいけないものを保護施策に持っていきたいということでございますので全く同じ考えでございますので、そういう点について十分気をつけて参りたいと思います。
○宮城タマヨ君 そうしますと、一時収容所とそれから保護施設と別にお作りになるのでございますか。
○政府委員(安田巖君) 婦人相談所に必ず一時収容所というのを付設する趣旨でございまして、それから保護収容施設というのは全然別な所に作ります。そういう考え方でございます。
○赤松常子君 ちょっと婦人相談員について、先ほどの安田局長のお話、少し相違するところがございますので訂正いたします。
 いわゆる長野県の例であります。今あなたがおっしゃいましたように、長野県はほんとうに男ばかりでございます。一週間ばかり前に私長野市に別の用事で参りまして、県庁に参りまして、その事情をよく聞いてみたのです。そういたしますと、今、安田さんのおっしゃったように、かけ込みが多いから男にしたという意味ではございませんでして、県知事は婦人も交えたいと思っていたけれども、社会部長がいろいろ操作をなされた結果、男だけになったという御説明でした。そこで社会部長をお呼びいたしまして、どういうわけで男ばかりになすったのですかと聞いたら、非常に苦しい答弁をなさいました。私、実はフェミニストで、婦人を非常に尊重いたします、こういう婦人相談員の方は、九千円しか月に手当がない。九千円ぼっちでりっぱな女の方はおいでになるはずはございませんから男の方にしましたと、こうおっしゃいましたから、あら、それでは今九千円で婦人相談員になっていらっしゃる男子の方はみんなそうごりっぱな方じゃないというふうにも解釈されますねと申したのでございますが、大へん苦しい――うやむやにおっしゃって、そういうかけ込みのために男子が適当であるという意味ではなかったのでございます。この点ちょっと御訂正申し上げておきますが、幸いにまだ長野市及び松本市は任命が未定でございましたから、それにはぜひ婦人をと、知事にも市長さんにもよくお話し申し上げて帰りました。今ちょっと付け加えますが、かけ込みの場合は、婦人がそれに当らなくても、人権擁護委員であるとか民生委員、あるいは警察の助力を得れば、十分その業者との交渉はできると思うのであります。から、かけ込みのための男子という意味は根拠がないと思うのであります。
○政府委員(安田巖君) 実は私どもは長野県の係員に聞きましたのでございますが、今のようなことを申しておりますものですから、そのままお答え申したわけでございます。知事がそう言ったということでありましたならば、先生の御意見の方が正しいと思います。私どもの方は係員からそういう話を聞いておりましたものですから、そのまま申し上げた次第であります。
○宮城タマヨ君 安田局長にお願い申し上げますが、全国の婦人相談員の数はこちらに出ておりますが、その資格を調べていただきたい、ごめんどうでございましょうけれども。それで、中には婦人相談員の任命は受けたけれども、仕事もよくわからぬという方があるのではないかと思うのです。この間ある所から来ました手紙に、毎日仕事がない、お客が来ないものですから、売春婦のあとをかけ回って追い歩くのでくたびれてしまう。九千円では安くて困るというような、全く九千円につられている。金のない人が集まってもらったのでは私は困ると思うのです。
 一つ調べて下さい。安田局長は、もうよろしゅうございます。
 今度は法務大臣に伺います。
○赤松常子君 ちょっと局長さんに一つ。この間お尋ねいたしましたが、もう三月も半ばを過ぎておりますが、まだ任命されていない県が五つあったはずですが、その後、任命されたでしょうか。御督促なさったでございましょうか。
○政府委員(安田巖君) 実はまだその県におきましては置いておりません。私どももやかましく申してりおますが、置かないことが違法だとまではまだ言えないので、来年の四月になっても、もし置きませんというと、法律に書いてあるじゃないかということで言えるわけでありますが、行政的に極力指導いたしまして、できるだけ今月中に置くよう努力いたしたいと思います。
○赤松常子君 なるたけ早く御任命いただきますようにお願いいたします。
 この前の法務委員会で私御質問申し上げておきましたが、横須賀市の例と福島の例でございます。この前の厚生省で調査なさいました調書は私いただいております。それを拝見いたしましても、私、その人、個人をかれこれ申す資料を持っておりませんけれども、この文面だけで見ますと、あまり適格者ではないように考えるわけであります。この場合、特に福島の場合は、二十四才の男子の方であって、どういうわけかというと、これに書いてございますのは、ただ妻子があるから安心である。こういう簡単な理由で二十四才の方が婦人相談員になっておられます。私は妻子があるということだけでもちろん個人の熱心な点も所長が答申をしておられます限り、それもいろいろ限界があると思いますが、どの程度に熱心であるかという、個人によっていろいろ相違があると思います。最後に厚生省は、しばらくこの人々を変える意思はないという御意見書がつけ加えてございます。これも私やむを得ないことだと思いますが、六ヵ月その実績を見て、そしてあとで適格であるか適格でないかということの御判定があるやに聞いておりますが、そういう際のこまかい規定と申しましょうか、非常に不適格である場合は、どなたがそれを変えられるのか、それがはっきりしておりましょうか。その点心配でご。きいますから。
○政府委員(安田巖君) 今の地方制度から申しまして、こういったたとえば横須賀市の場合は横須賀の市長が置いておられると思います。福島県の場合には福島県の知事が任命いたしておるわけでございますから、私どもの方のいろいろな基準というものは、これは一つの行政上の指導の方針でございます。はなはだしく不都合がない限りは、私の方からそれをやめさせろと言うことはどうかと思いますので、もうしばらく様子を見させていただきまして、その上で注意すべき点は注意する。ただいまのところ、福島県の問題も年は若いのでありますけれども、これは福島県の北会津の社会福祉協議会に長い間勤めておりまして、非常に勤務成績もいいということでありますし、それからこの間御指摘になりました独身という点は、妻子があるということがはっきりいたしました。それから非常に重厚な落ちついた人物で、非常にまじめなよくできる人だそうであります。県でも特にその点を問題にしながら、実際調べたけれども、この人ならば大丈夫だということで、特に認めたというようなことでございますので、それをどうも工合が悪いからやめきせるということは、もう少しお待ち願いたいと、いうような趣旨でございます。
○宮城タマヨ君 もう一つ安田局長にお尋ねいたしますが、婦人相談員についての研修所といったものを考えられるのはおかしいようなことでございますけれども、研修所を建ててでもしなければならないほどこれは大事なことだと思われるのでありますが、厚生省が一般的に、総括的に、指導していらっしゃるような書類が何かございましたら、一つ提出していただきたいと思います。
○政府委員(安田巖君) 実はこの法律ができまして、大急ぎで相談員、主として婦人相談員のための資料といたしまして、こういう「婦人保護の手引き」というものを厚生省で作りましたが、こういうものが一つの資料でございます。
○宮城タマヨ君 お忙がしいところをお出ましいただきまして、大へん法務大臣に相済みませんと思います。
 私、今日お伺い申し上げたいのは、売春防止法の一部改正ということが本国会の初めから提出の予定法案の中にございましたのに、本国会には出さないということをこの間おっしゃっておった。大へんあわてておるのです。それで、これは一番重要な点で、法律の何章になりますか、今は三章までできておりますが、そのどこにおはさみになるつもりか存じませんが、名前は何か知りませんが、とにかく来年の四月になりますと売春をやった女たちは六ヵ月の懲役に行かなければならない、放っておいたら。それで保護立法をやらなければならないのでございますけれども、この保護立法がないためにこれはざる法案です。このざる法案というものは車の片輪で歩いてるようなもので、このできておる売春法ではとても動くことはできないのですから、その大事な保護立法を今国会に出さないとおっしゃる難点は、立法の一番の難点は、どこにございましょうか。
○国務大臣(中村梅吉君) 実は法務省といたしましては保護処分に関する立法措置については、かねがね研究をし現にその具体化をはかっておるのでありますが、この保護処分については、少年法等による保護処分は、一応日本の国としても経験いたしておるのでありますが、売春婦に関する保護処分につきましては、全く新たな研究でございますので、的確な結論を得ることに非常に困難をいたしておりますが、これはしかしながらそれぞれ研究を進めまして、近くその成案を得られるかと思うのでありますが、法務省が一応の保護処分に関する成案を得ましても、これはいろいろな各省庁にもまたがることでありますので、関係各省庁と十分協議をして、その上でさらに今度はいろいろ御苦労いただいております売春対策審議会に諮問をいたきなければなりません。実は私といたしましては、できるだけすみやかに成案を得、今国会に提案をいたしたいと思っておるのでありますが、先日あのように申し上げましたのは、私どもの所だけの作業ならば的確なことを申し上げられますが、他の関係各省との協議、それから売春対策審議会に参りますと、これまたいろいろの角度から御研究をいただくことになると思いますので、その審議会の答申が一体いつ得られるかということは、私どもにもこちらだけで勝手に想定することが困難だと思うのであります。かような次第でございますから、まあおそくも来国会の冒頭と申し上げましたが、今国会のうちに私どもとしてはぜひ提案の運びにいたしたいと、かような熱意をもって目下その作業を進めておるような次第でございます。
○宮城タマヨ君 私もその売春対策審議会の審議委員の一人でございますので、大へん責任を感じているのでございます。そこで、今少年法というお話が出ましたが、私どもこの売春対策の立法を第二国会以来ここでもう鋭意研究しておりますときに、この少年法式にもしできるものなら非常に簡単ではないかと言って、初めはできない、この立法措置としてできないということでございましたが、途中になりまして、いやこの家庭裁判所で全部取り扱うということもできるということを法制局の方からお話がございまして、私は非常に喜びましたのでございます。そこでこの少年法流に、全部この家庭裁判所で取り扱って、そして家庭裁判所でまかなわれないものは、今のこの少年事件と同じように検察庁に逆送するということにしまして、そしてこの家庭裁判所一本でいったらどうでしょうかということを私は願っておりますが、その少年法でいけないというわけはどこにございますか。
○国務大臣(中村梅吉君) 少年法の保護処分と、またこれはよほど角度が違うんじゃないかと、そこでまあいろいろの角度から、新たな立法でありますから研究をいたしておるのでございますが、できるだけ早い機会に成案を得まして、関係各省との協議も済しまして、私どもといたしましてはすみやかに売春対策審議会に諮問の手続きをいたしたい、かように考えておるのであります。そこで売春対策審議会に正式諮問をいたしまして、本格的な討議をしていただきます前に、売春対策審議会の幹事会を開いていただきまして、幹事会の手はずなどもおきめをいただく、これらも並行して実は進めておるのでありますが、二十九日に大体売春対策審議会の幹事会を開いていただくように手配をいたしております。それと並行してこちらの準備を進めまして、幹事会の御相談をしていただき、審議会の本格的の審議に入っていただく、こういうような方法で目下鋭意進めておりますので、御了承をいただきたいと思います。
○宮城タマヨ君 この少年法式でと申しましょうか、少年法じゃございませんから。少年法式でまかなえないという理由としては、こう伺っていいんでございますか。少年犯罪者と売春婦とはいろんな意味で角度が違うと、こういうふうにおっしゃったようでございますが、そうでございますか。もしそうでございましたら、実際は検挙されて警察から検察庁に送られるという今までの実情を見ますというと、これは売春だけでなくて、やっぱり窃盗その他があるんでございます。でございますから、私はこれは少年法式に扱えば一番いいと思うのです。ただ、家庭裁判所で取り扱われるなら、いろいろめんどうな、たとえば子供と一緒にあんなものを連れて来られても困るという、そういうことも一応考えられると思うのですけれども、これを刑事裁判所に持っていくといたしますと、どういうことになるだろうということが問題になるのです。
○国務大臣(中村梅吉君) 御承知の通り売春防止法によりますと、対価を受けてあるいは受ける約束で不特定の人と禁止された行為をするものというのが刑罰の対象になりますわけでありますが、この中には御承知の通りいろいろな内容のものがあると思うのです。たとえば職業があるけれども、かたがた不特定多数の者とそういう行為を行う者、あるいは全然職業がない結果、そういうことになっていく者、その他いろいろ分析いたしますと、内容的に異なるものが多いかと思います。少年犯罪の場合でありますと、これは一つの犯罪的性格等からも参りますが、売春の場合におきましては、先ほど来も御意見がございましたように、職業の関係、いろいろな関係がありますから、保護の段階におきましてできるだけ解決に努めていく、どうしても保護の段階で解決のできない者について、さらに保護処分を、保護矯正処分の方法を講ずる、こういうような仕組みになっていくと思うのでありますが、そこで少年の問題でありますが、少年にして売春防止法に該当する者が出た場合には、これはもちろん家庭裁判所で事件の処理をし、保護処分に付すべき者は保護処分に付する、こういうことにいたしたいと、目下のところ考えておりますが、成人の場合につきましては、また少年法の制度とは別の角度の研究をいたしまして、別の角度の取扱い、保護処分をいたきなければならぬ、かように考えましたので、それらの点につきまして、いろいろと研究を進め、具体案を目下作りつつある次第でございます。
○宮城タマヨ君 それでは家庭裁判所で扱えないとしたら、刑事裁判所で扱うというお考えでございますか。
○国務大臣(中村梅吉君) まだそれらの点につきましては、具体的に結論が出ておりませんので、研究過程にございますので、いろいろ衆知を集めて適切な結論を得たいと、かように考えます。
○宮城タマヨ君 この家庭裁判所……局長見えておりますね、もし法務省もまた売春対策審議会も家庭裁判所でこれを取り扱う方がいいということになりましたら、家庭裁判所側はどういう御意見をお出しになるでしょう。
○説明員(菰渕鋭夫君) 家庭裁判所といたしますと、売春の取扱いは、今おっしゃいました通りに、一部少年の取扱いと共通するものもございますけれども、実際の面を考えてみますと、ことに少年では、御承知の通りそういう人が存在するということだけで、非常に気持が乱されるということもあると考えます。また家事の場合ですと、全然そういう世界を御存じない方もたくさんございますということで、また誤解を招きやすいということも考えられますので、ただいまの物的設備から申し上げますと、すぐにお引き受けすることは非常に困難ではないかと考えております。しかし別に――ただいま家庭裁判所の中に少年部と家事部がございます上に、もう一つ婦人部というものも設けることができて、別の建物でも設けることができるということになりますと、少年の取扱いになれた方々に、また同じような保護の育成の考えをもって、婦人の更生に当ることもまたいいことじゃないかと考えておりますが、ただいま私の方で研究しておりますが、法務省の方から正式に何らのお話もございませんで、まあ大体準備しているということが実情でございます。
○宮城タマヨ君 一応それは承わっておきます。
 保護局長見えておりますか、ちょっと保護局長に……。もし今の問題でございますね、今の問題で家庭裁判所で取り扱わないで、刑事裁判所で取り扱うということになりますと、そうすると、この第十九国会でございましたか、刑法の一部改正がございまして、初度目の執行猶予の保護観察を受ける、これは私も立法ができましたときに喜びました。ということは、これで売春婦を救えるならばいいなというので、一般の人の救いの手にもなりますけれども、この売春婦の取扱いについて苦労していた矢先でございますから、ことに喜んだんでございます。もしこれを刑事裁判所で扱わなければならないという場合の救いの手というものは、ここに非常にしぼられるであろう、こう思うのでございます。そうしますというと、今の一体保護司でまかなえるかどうか、ことしの予算を見ますというと、これはなかなか保護司があまりふえているようでもございませんけれども、あれは五万二千人だったと思いますが、それがまだ四万台でございましょうか、この点について、保護局長何か手をお打ちになっておりましょうかどうか、ちょっとお伺いいたします。
○政府委員(福原忠男君) ただいまの売春防止の関係で保安処分を法務当局として考慮していたんでございますが、この問題を今宮城委員の仰せのような初度目の執行猶予の場合に、保護観察に付するという形で、刑事裁判所の方でお取扱いになるという形自体については、まだ検討を要する面が私はあると思っております。ことに保護局の関係といたしましては、その点についてはいわば疑問と申しましょうか、一応の懐疑の念を持っている、たとえば今の初度目の執行猶予につきまして、保護観察に付するということ自体の実績も、実はこれは先生方の御努力でああいうような画期的なものを日本の法制に持ち込んだのでありますが、それの実績は、必ずしも皆様の御期待に浴っているというように考えられない実情であります。従いまして、その点につきましてはなお研究きしていただきたいということを前提といたしまして、御質問の点につきましては、これをたとえば保護観察に付する、保安処分の一種としての保護観察ということも考えられましょう。そのような場合も、受け入れ側の保護司制度というものが、御存じのようにこれはいろいろな、あるいは釈迦に説法かもしれませんが、民間の方にお願いするということが保護観察の本質的な面で効果があるということで、これは全くの民間の方のいわば自発的な人道愛的な気持の御発露として、ほとんど法律の上でも全く無給の制度として保護司制度が置かれております。この方々に保護観察の大事な面を実行していただいておるわけでありますが、従いましてわれわれといたしましては、そのような制度が、たとえば刑事裁判所を通じまして保安処分としての保護観察あるいは初度目の執行猶予に付されますところの保護観察というような制度になりますところで、これを受けます保護司の方の実績があがらなければ、これは期待するところが必ずしも実現できないと、こう考えますので、実はいかなる制度になりましょうとも、この保護司制度の充実ということが、当面保護局としての最大の眼目でございますので、実は昨年以来先生方などにお願いいたしたり、または国会の方面に、いわば今まで割合に法務省的にじみにやっておりまして御理解を願えていない部分があると思いますので、昨年度はかなりこの方面において努力いたしたつもりでございますが、実は予算に組みましたところ、必ずしもわれわれの要求するところの何分の一にも当らないような、多少の増額は認められましたが、なお至らないものでございますので、まあ保護司制度の拡充ということは、一に今かかって予算の拡充ということにあると思っておりますので、その方面で十分努力いたしまするし、皆様方の御理解ある御援助を願いたいと、こう考えております。
○宮城タマヨ君 それは実際は、私はこの前の委員会でも申しましたけれども、売春婦自体を内閣が甘く見ているのじゃないかと思っているのです。どうして一体法務省で、今話はこの保護観察の保護司の問題ですけれども、一体今年度で保護司を充実しておかなかったら、この仕事はどうなりましょうかということなんです。だけれども予算面では削られ削られ、影も形もなくなっておりますが、これは実際この法律を実施したら、私は大へんな問題が起るのじゃないかと、ほんとうは心配しているのでございます。けれども今の御説明で一応は納得することにいたしまして、それで今度は法務大臣にお伺いしたいのですけれども、一体女の入れものをどうしようとお考えになっているのでございますか。これは厚生省は一時保護所やあるいは保護施設を作るという、これは大事なことですけれども、それ以上に私は迫っている問題は、一体法務省の施設をどうするかということでございますね。これをまあ保安処分の作り方によっていろいろあるとはいいながら、どちらにしても、今ある刑務所を使うか、少年院を使うか、そうでなかったら完全なものを作るというこの三つよりほかに私はないと思っておりますが、どういうお考えでございましょうか。しかし予算に一つも計上されていない現状でございますが、一つお答え願いたいのでございます。
○国務大臣(中村梅吉君) 場所によりましては、既設の刑務所の一部を使用しなければならないこともやむを得ないかと思いますが、私どもの目下の考えといたしましては、何とかして大都市だけでも売春婦関係の保護矯正の処分をいたしまする施設をぜひ作るようにいたしたいと、かように今熱意をもって現在の保護処分に関する法制の研究とあわせて、将来のことを実は考えておるような次第であります。そういう意味からいいましても、私といたしましては売春の処罰関係の方を担当しておりまする人間として、できるだけ早く保護処分に関する法制を立案を終りまして国会に提案をして、そうして今国会中に議決を願えれば非常に仕合せでありますし、もしどうしても売春婦対策審議会等の審議が日数を要してその運びにならないまでも、今国会で提案をして、継続御審議をいただいておきますならば、来年度の予算を予算化す上において、次の国会で提案をいたしまするよりもよほど運び方が順調にいくのではないかと、かように考えまして、鋭意事務当局を督励いたしまして、その成案を実は急いでおりまするような次第であります。
○宮城タマヨ君 やむを得なければ刑務所を使うと、今の状態でございますと、結果としたらそういうことになるかしれませんが、私はどうしてもこれは犯罪者扱いは、犯罪者の入れられている女子刑務所に入れることは不賛成でございます。ということは、もうこれは少年の年令なんかも今やかましくいわれておりまして、悪いことをしたやつは皆処分したらいいじゃないか、というような一般の風潮が流れておりますが、私はそうじゃなくて、やはりあの少年の犯罪者といえども、せめて二十才くらいはどうかして教育をして、刑務所へ入れないでやっていきたいという願いを持っております。その私の願い心は、女たちに対してやっぱり刑罰として入れるその刑務所でなしに、新たな構想によって……、しかし処遇については私はかなりきびしい考えを持っておりますけれども、刑務所に入れないように、施設を新たに作っていただきたい。そうしてこの厚生省関係の更生保護のことを先ほどちょっと申しましたけれども、これは刑事処分を受けるような婦人でございましても、終局の目的はやっぱり日本のりっぱな、押しも押されもしないお母さんを作るということが、私はこの刑事処分の終局の目的じゃないかというように考えております。そういう意味合いにおいて、やっぱりその生活補導や職業指導をするといったようなことを主にしました一つりっぱな施設を、これは金を使っていただいてもよろしゅうございますから、考えていただきたいと思いますが、それにしましてはもう日にちがございません。もうあと一カ年でございますから、大へん気がせいておりますけれども、何とか御処置を願いたいと、特に法務大臣にお願い申しておきます。私はきょうはこれだけでよろしゅうごがいます。
○赤松常子君 最後に一点。今の家庭局長に宮城委員がお尋ねになったその御答弁の中に、家裁の中でそういう問題を取り扱うところすらもできていない、こういう非常に心配な御答弁でございましたのですが、こういうこともまた家裁のやはり機構の改正充実ということになると思うのでございます。そういう点で具体的に何かお考えがございましょうか。法務当局にそういう点のお考えがすでにございましょうか。非常に心配でございますので、そういう点ございましたら教えていただきたいと思います。
○説明員(菰渕鋭夫君) 御質問の趣旨は、こういう売春のことを取り扱う部ができてないということでございますか。
○赤松常子君 婦人部を作ってというようなお話で、私大へんいいと思うのでございますが、大へんまだまだ追ってというお考えの段階なのでしょうか。もう少しそこをどういうふうに機構を改革するという構想を練っておられましょうかということです。
○説明員(菰渕鋭夫君) 成年の売春につきまして家裁で扱うということになりますと、家裁の性格がちょっと変ってくると思いますが、何しろそういうものを、成年の売春婦の保安処分とか、保護更生について、決定を家裁でするか、あるいは普通の裁判所でするかということにつきまして、まだ成案について何らの私らも知識を持っておりませんので、内々研究はいたしておりまするけれども、まだ確定的なお話を、一つも関係方面からいただいておりませんので、ちょっとそれはこうするとすぐには申し上げかねますけれども、もし皆様がそうするのが一番適当だとおっしやれば、またある程度それをすぐに具体化する準備は研究はしておりますけれども、今法律上はそういうものがございませんので、そういかないというように申し上げたわけであります。
○赤松常子君 四月からそういう事態が起ることは明白なんでございまして、いろいろそれに対して業者との問題があるとか、中に入っている人のいろいろないざこざであるとか、きっと持ち込まれることは明瞭でございますので、そういうことに関して早く扱う窓口をお作りいただきますように、これは法務大臣にも早くその点をどちらが扱うかということ、それに対してどういう処置をなきるか、その基準でございますね、早く早くお急ぎいただきたいことを要望申し上げる次第でございます。
○説明員(菰渕鋭夫君) 個々のケースにつきましては、未成年の売春婦につきまして、各地方の条例の違反もございまして、そういうものを取り扱っておりますから、そういうものと同じように今のところは考えて、成年ですからその点は変るかもしれませんけれども、その準備は、個々のケースについては、各裁判官がそれぞれ心組みができております。
○委員長(山本米治君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時五十六分散会