第028回国会 外務委員会 第12号
昭和三十三年三月二十七日(木曜日)
   午前十時二十一分開会
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  委員の異動
三月二十五日委員吉江勝保君辞任につ
き、その補欠として野村吉三郎君を議
長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     寺本 広作君
   理事
           井上 清一君
           鶴見 祐輔君
           森 元治郎君
           石黒 忠篤君
   委員
           井野 碩哉君
           鹿島守之助君
           笹森 順造君
           杉原 荒太君
           永野  護君
           野村吉三郎君
           岡田 宗司君
           羽生 三七君
           安部 清美君
  国務大臣
   外 務 大 臣 藤山愛一郎君
  政府委員
   外務政務次官  松本 瀧藏君
   外務大臣官房長 田付 景一君
   外務省経済局長 牛場 信彦君
   外務省条約局長 高橋 通敏君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       渡辺 信雄君
  説明員
   外務参事官   白幡 友敬君
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 本日の会議に付した案件
○在外公館の名称及び位置を定める法
 律等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○日本国とインドネシア共和国との間
 の平和条約の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とインドネシア共和国との間
 の賠償協定の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○旧清算勘定その他の諸勘定の残高に
 関する請求権の処理に関する日本国
 政府とインドネシア共和国政府との
 間の議定書の締結について承認を求
 めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査の件(国際
 情勢に関する件)
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○委員長(寺本広作君) それでは、ただいまから外務委員会を開会いたします。
 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案(衆議院送付)を議題といたします。
 本案につきましては、先般、提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 なお、本件は、本月二十日、衆議院から送付され、本付託になりましたので、念のため申し上げておきます。
 質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
○鶴見祐輔君 ちょっとお伺いしたいんですが、今、各国の公使館を大使館に上げるということが趨勢のようでございますが、日本でもだんだんにそうなりますが、そうすると、公使館として残る国が少いために、その国が不愉快に感じるようなことはないんでございますか。
○政府委員(松本瀧藏君) だんだんと、世界の趨勢からいたしまして、公使館を廃止して大使館一本にする傾向でございます。特に、新興国家、東南アジア、中近東あたりの新しい国におきましては、非常に格式を重んじまして、先方から、最初から大使の交換をしたいというようなことで、たとえば、ガーナのような場所、あるいは、ラオスであるとか、そういうような国は全部そうでございます。従って、日本側から公使館を大使館に上げようというのは、ただ一件しかないのでありまして、これはニュージーランドでありますが、あとは、まあ大体先方から申し出てきておりますのを取り上げて、御審議を願っておる次第でございます。
○鶴見祐輔君 そうしますと、将来、外務省の御方針としては、全部を大使館にしようということでありますか。
○政府委員(松本瀧藏君) これも、やはり世界の傾向に従ってやりたいと思うのでありまするが、今のところでは、全部大使館にするというはっきりした政策はもちろん出ておりませんが、大体、公使館が少くなって、大使館の方の数がはるかに従来よりも増大するという方針にのっとりまして、そういう工合に進んでおります。
○鶴見祐輔君 そうしますと、名前は大使でも、実際の取扱いは、俸給その他、公使というような場合もあり得るんでありますね。
○政府委員(松本瀧藏君) 俸給の制度によりまして、もちろん大使の中にもいろいろ段階がございまして、これは間違っておったら一つ官房長に是正してもらいたいと思いまするが、古い公使の方が新しい若い大使よりも年俸が多い場合があると考えておりますが、これは一つ官房長から。
○政府委員(田付景一君) 大使も公使も、いずれも一号給から四号給までございまして、これは大使も公使も同じ俸給になっております。それから、大使の一等上の五号俸だけが特別にできておりまして、これだけが公使がない、それだけの差でございます。
○鶴見祐輔君 ついでにお伺いしますが、総領事ですね。まあ、イギリスなどは非常にえらい人を総領事にして、戦前エジプトの総領事は閣員と同じような格を持つような場合もあったのですが、日本については、総領事については、何か別なお考えがありますか。
○政府委員(田付景一君) 実は、大使、公使は、御承知の通り、認証官になっておりまして、総領事は一般職ということになっております。従って、一般職の俸給その他が適用になっておりまするので、その点、大使、公使と総領事とは、イギリスのようなえらい人といいますか、そういう区別は、イギリス等のものとは違っております。
○鶴見祐輔君 私のは、俸給とかそういうことでなくて、たとえば、こういうふうにごく小さな国に大使を置かれるということになりますと、非常に大きなアメリカならアメリカの総領事の仕事は、ある小さい国の大使の仕事より重大なことがたくさんあると思いますが、そういう場合に、やっぱり総領事は、名前は総領事ですけれども、その仕事の立場、あるいは交際費その他の上からいって、十分働けるような制度をお考えになる時期がだんだん来るのじゃないかということを考えますが、それはいかがでありますか。
○政府委員(松本瀧藏君) 確かに、三人とか四人しかいない公使館あたりと、今鶴見先生が御指摘になりましたたとえばアメリカのニューヨークであるとか、あるいはロスアンゼルスであるとか、サンフランシスコの総領事館との仕事のウェートから申しますると、はるかにこの総領事館の仕事の方が多いかと思います。もちろん、職務内容につきましては、大公使館と領事館の職務内容は若干違いまするが、仕事のウェートと申しましょうか、比重と申しましょうか、いろいろ差があるようであります。特に総領事のポストにつきましては、相当たんのうな士でないといかない。特にその国の事情、実情等あたり非常に詳しい者、特別に技術的等あたりの問題も加味して選ぶべきであると思うのでありまして、大体外務省といたしましては、そういう事柄を一応参酌いたしまして、総領事級のポストを選んでおります。
○鶴見祐輔君 ついでにお伺いしますが、昔戦争前に、ニューヨークの総領事が、公使の資格をもって総領事をしておられたことがあります。将来日本政府代表の公館が大使になるという場合には、公使という地位を御利用になりまして、各大使館に配属の公使のみならず、大きい総領事館は公使の待遇を持った人が行かれるようにでもなさるお考えはございませんか。
○政府委員(田付景一君) 外務省の中に、館長以外の者でやはり公使になれる制度がございます。現に、ジュネーヴの総領事は公使になっております。そういうわけで、われわれの方としても、将来そういうことも考えていきたいと思っております。
○鶴見祐輔君 それではついでにお伺いいたしますが、イギリスなどでは、職業として初めから外交官を選んだ人を非常に優遇して、そうして外務大臣の席だけは常に政治家がなっているが、若いときから外交官になった方の位置あるいは取扱いは、大臣でなくても非常に優遇していると思うのです。従って、そういう人々を一カ所で非常に長く置いておると思うのですね。たとえば、ジャワの総領事をしておった人は、二十年おってジャワの本を書いておりますが、それなどは一つの典拠のような大きな本になっている。エジプトの総領事をクローマーのようなえらい政治家が長い間しておった。私は日本も、今までは人手も足りなかったからやむを得ないと思いますが、将来やはりこういう場所々々の専門家を一カ所に長く置いて、そしてその位置を変えないで、その場所においてずっと昇進の道が開けるような方法をだんだんに、制度でなくてもいいですが、方針としておきめになる時期にきておるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(松本瀧藏君) 確かにわが国におきましては、ディプロマティック・サービスとカンスラー・サービスというものを区別いたしまして、これを専門的なキャリャにしているところもございます。非常に長短もございますが、私どもの聞き及んでおります範囲におきましては、英国のごとく、総領事、領事を長い間勤めることによって、その土地の事情等あたりに十分通ずることによって能率を上げておるということを教えられております。日本の場合におきましては制度も少し違いますが、将来十分こういったことを参酌して検討してみる必要があるのではないかと考えます。
○鶴見祐輔君 もう一つただいまの御説明に牽連いたしまして、私は領事と外交官とを別にという意味ではございませんで、キャリア、ディプロマッツというものを一年や二年でどんどんかえるということは、国家にとって非常に不利である。よって来たる原因は、かわらなければ位置が上らないというような制度であるから、だから一つの場所におって、名前は領事であろうが、公使であろうが、非常にその位置に対して重要性を置くことが望ましいということを申し上げたのですが、もう一つ牽連してお伺いしたい。言葉の問題なんですが、今研修所をお作りになって、せっかく非常に根本的な訓練をお与えになっておるだろうけれども、やはりフランス語をやった人をドイツへ送ったり、英語だけできる人をスペインに送ったりすることは非常に不利益じゃないかと思うのですが、これは、外務省の陣容を整えることも必要でありましょうが、将来やはりだんだんその言葉を中心にして場所をきめる、そういう場所におれば、どこまでもそれで上まで上っていけるというような制度をきめる御方針ございますか。
○政府委員(松本瀧藏君) ただいま鶴見先生からの御質問のようなことは、たびたび話題に、また、県案になっております。十分検討いたしまして、将来もっと合理的な運営のできるような一つ組織にしていきたい、こう考えております。
○委員長(寺本広作君) 速記とめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) それでは速記起して下さい。それでは他に御発言もないようでございますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより採決に入ります。在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手をお願いいたします。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(寺本広作君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第百四条により、本会議における口頭報告の内容、第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりまして、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(寺本広作君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、御賛成下さいました方は、順次、御署名をお願いいたします。
 多数意見者署名
  鶴見 佑輔 井上 清一
  森 元治郎 石黒 忠篤
  井野 碩哉 鹿島守之助
  笹森 順造 杉原 荒太
  永野  護 野村吉三郎
  羽生 三七 安部 清美
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○委員長(寺本広作君) 次に、日本国とインドネシア共和国との間の平和条約の締結について承認を求めるの件、日本国とインドネシア共和国との間の賠償協定の締結について承認を求めるの件、旧清算勘定その他の諸勘定の残高に関する請求権の処理に関する日本国政府とインドネシア共和国政府との間の議定書の締結について承認を求めるの件(以上三件、衆議院送付)を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を続行いたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○森元治郎君 政務次官にちょっと伺いますが、今のインドネシアの政府が、外務大臣の名で、隣近所の国に、革命政府側に武器を渡さないでくれというようなことを要請した、そういう電報が二十二日ごろありましたが、どういう国々に要請したのか。
○政府委員(松本瀧藏君) 新聞にはそうういう情報がございましたが、日本にはまだ何らそういうことの公電は入っておりませんので、事情は不明でございます。
○森元治郎君 日本側にこれに関連するような要請なりあるいはこういうことを隣近所の国々に要請したという通知があったかどうか。
○政府委員(松本瀧藏君) 全然承知しておりません。
○森元治郎君 インドネシアの事態は非常に重大だと思うのですが、外務省は情報収集のためにどういう措置をとっておられますか。
○政府委員(松本瀧藏君) 刻々と総領事館を通じましてのいろいろな情報、また、各方面から集められました情報によって状況判断をしておりますが、こまかい点につきましては、政府委員より答弁させます。
○説明員(白幡友敬君) お答え申し上げます。インドネシアの内部の政治情勢は非常に複雑なものですから、いろいろ公的な筋、私的な筋を通じてできる限りの情報収集をしております。公的の筋につきましては御承知のように、ジャカルタとかスラバヤにそれぞれ公館がございます。適宜これから情報を送って参りますが、出先機関は正式に先方の政府筋、それからそれ以外に、長年にわたりまして作って参りました情報網というものがございますので、政府筋及び反政府筋の各方面から情報を集めております。
 それから最近では、新聞にも発表されたのでございますが、ジャカルタの総領事館から、メダン地区に出張いたしまして現地の情勢を目撃させております。それからまた、シンガポール及び豪州にございます在外公館におきましても、現地に関する問題について、できるだけ詳細な報告を送ってくるように命じてございますので、そういう筋からも若干入っております。それからまた、反政府側の情報が、主としてシンガポールに比較的集まって参っております。これは極秘のルートでもって、できる限りの情報を集めております。
○森元治郎君 今のお話の中で、多年にわたって作ってきた情報網、そういう内容と、メダンに派遣したのは書記官であるのか書記生であるのか、どれくらい滞在し、その結果はどういうふうになっているか。
○政府委員(松本瀧藏君) 情報網等の問題に関しましては、いろいろと事めんどうのこともありますので、特に通信関係等あたりに非常に明るい森先生ですので、内容はこまかく説明しないでもおわかりだと思うのでありますが、特に外交のやはりいろいろな問題にも触れますので、一つこれ以上こまかく申し上げることを遠慮さしていただきたいのでありますが、書記官等あたりを派遣いたしまして、どの程度の成果があったかというようなことにつきましては、多少抽象的になるかもしれませんが、一つ政府委員より答弁させます。
○説明員(白幡友敬君) メダンに派遣いたしましたのは、現地におきます副領事でございます。これは副領事と申しますのは、外務省の官制ではかなり幅の広いものでございますが、大体三等書記官くらいのものでございます。それともう一人、言葉のできます昔のいわゆる書記生クラスのものを二名やっております。これはごく最近でございまして、その報告の結果はまだ入ってきておりません。おそらく緊急の事態でない限りは、できるだけ詳細に公信をもって報告させることになっておりますので、いずれ近日中に入ってくるだろうと思います。
○森元治郎君 いずれ近日中に報告を発表するのですか。
○説明員(白幡友敬君) 報告が手元に入ってくると思います。
○森元治郎君 どこの手元に。
○説明員(白幡友敬君) 外務省でございます。
○森元治郎君 現在の情勢を、現実を説明してもらいたいのですが、大体反政府側というのは、ジャカルタを中心として見れば遠いところに、いわゆるSEATOの関係の方を背中にした方に根拠をかまえている。スマトラで言えば中北部、クリスチャンの多いセレベスの北の港、これはフィリピンの方に近いと、そういうように背中にして布陣している。軍隊が展開していっているというのは非常におもしろいことだと思うのですが、すなわち裏から連絡ができそうなところに配置されている、こういう兵力と、それからその裏側との反政府側の連携というものはどんなふうになっておるか。
○政府委員(松本瀧藏君) 軍の配置等につきまして、われわれは調査をするということよりも、主として政治的にものを見てきておるわけでありますが、御承知の通り、今回の紛争というものは、民主主義的な国民党の創設者であるところのスカルノ大統領の一統と、これに対する宗教的、現実的と申しますか、マシュミ党の――回教政党ですが、この対立で始まっているわけであります。理想主義的なスカルノと、いわゆる親西欧的と目されている――これはオランダ等あたりの情報によりますると、そういう工合に言っておりまするが、現実的なハッタとの対立であるともいわれているのでありまするが、私どもが直接このハッタ博士あるいはスカルノ大統領等あたりに話しをいたしまする機会ごとに感じますることは、オランダその他あたりから入ってきておりまする情報ほど深刻ではないということであります。特にこのジャワ人優先の政治を行なってきたことに対して、スマトラの代表等あたりが非常に不満を抱いておった、従って、スマトラ出身のハッタ博士をこれに一枚加えたいというような気持があることを私ども十分承知いたしております。日本に参りまして、いろいろな反乱軍の代表者等あたりがスカルノ大統領をねらっているとか、あるいは文書を突きつけたとかいうようなこともございましたが、これも実態は、われわれが報道機関を通じて承知しておりますことよりも相当ギャップがあったようであります。従いまして、私どもといたしましては、この反乱軍の行動というものが、一部の国から流れて参りまするニュースほど深刻なものであり、また、将来の見通しのつかないものであるというような工合には考えていないのであります。なるたけ早い機会にこれがおさまって、平和なインドネシア国が確立することをわれわれ非常に期待している次第でございます。
○森元治郎君 外務省として、今日までの情報を基礎にした判断はどういうものか、もう一ぺん伺いたい。そうしてこれは収拾がつかないように発展する可能性があるのか、あるいは遠からず政府側の方がおさめ得るのか、その間のきょうまでの見通しを一つ伺いたい。
○政府委員(松本瀧藏君) スカルノ・ハッタ会談が一回、二回と続けて行われましたが、もちろんその内容をじかに聞いたわけではございませんのでわかりませんが、現地からの情報によりますると、決して一般で唱えているような深刻なものではない。非常に、和解をして、一つ何とかおさめたいというような気持が双方にあるということを教えられております。大して、これが大きな事態になるとは外務省では考えておりません。もちろん、いろいろとローカルないざこざは絶えないでありましょうが、大局はおさまっていくと、こういう工合に考えております。
○永野護君 今政府軍と反乱軍との両方から、いろいろな物資の調達に日本に来ているようです。反乱軍側との諸種の契約というものは、政府のお見通しでは、日本とインドネシア国との国交の調整にどういう影響があるとお考えでしょうか。つまり反乱軍とのいろいろな契約が、正常なインドネシアとの国交に非常に大きな影響を与える好ましからざることとお考えになるのか。あるいは反乱軍とも、適当なコンタクトを持っていた方が、場合によってはいいというような考え方もあるかと思うのですが。
○政府委員(松本瀧藏君) もちろんわれわれこのインドネシアとの講和条約並びに賠償協定あたりの対象は、今ジャカルタにございまする政府を相手としてやっておるのでありまして、地方の反乱軍事あたりと接触を保つとか、あるいはこれを援助するということは、いろいろとインドネシアのただいまの政府と日本の関係に好ましからざる事態を起すことは当然であります。従いまして、直接反乱軍に武器を売るとか、あるいは援助するというようなことは考えておりません。ただ、いろいろと情報によりますると、日本からシンガポール等あたりに送り込まれた物資が、これがスマトラに流れておるという情報はございまするが、確かなことはわかりませんが、プロバビリティーは私はあると思うのであります。従って、そういうことも間接的にはあるかもしれませんが、チェックする方法はないのでありますが、スマトラはシンガポールと自由に経済関係を今結んでおりますので、そういうこともあり得るのではないか、こう憶測いたしまするが、直接はもちろんわが国としては援助するわけにいかないのでございます。
○永野護君 現実にいろいろ取引されておるものでシンガポールなんかを通らないで、直接反乱軍側に渡るもの、たとえばどうしても隠すことのできない船舶なんというものが場合によると考え得るのじゃないかと思うのですけれども、そういう場合に、政府は、その契約をインドネシアとの間の国交におもしろからざる影響を与えるからという理由で、私人の間のコントラクトの形式になっていると思いますが、それに対してチェックするような何かの手段に出られるようなことはないのですか。
○政府委員(松本瀧藏君) ちょっと技術的の問題もございますので、説明員から答弁させます。
○説明員(白幡友敬君) お答え申し上げます。いわゆる反乱側が、船舶とか、武器とかというものを非常にほしがっているということは私も聞いておりますが、永野先生から御指摘ございましたように、船舶などでございますと、直接反乱側の港湾に入っていくという可能性があるわけでありますが、もちろん御承知のように、日本の船舶貸与とか、売却というものについては、政府の許可が必要になるわけでございます。それが明らかに反乱側に供与されるものであるということがはっきりいたしております場合には、政府といたしましても、これはあまり好ましくない事態であるという見地から、何らかの処置を取らなくてはならないと思っておるのであります。ただいまのところは、そういうことを聞いておりません。現、実にそういう事態が起きたということを聞いておりませんので、具体的にどういう処置になるかということは何とも今のところ……。
○永野護君 それからついでに伺うのですが、このインドネシア賠償協定の実施はいわゆる間接方式をお取りになる。ところが、間接方式は美点もありますけれども、非常に欠点の多いことは皆さんすでに御承知の通りだと思うのです。債務は国の債務だから、そのコントラクトがうまく履行されない場合、たとえば品質が非常に悪いというような場合に、向うの人が勝手に買い付けておいて、結果が悪いのは日本政府の責任になるというようなことが非常に多い。ことにインドネシアの船舶問題で、前にも経験もあるようですが、今度はよほど注意して、私はまあ持論としては、間接方式がいいと思うのですけれども、直接方式にきまっておりますから、今さらそれを繰り返しても、どうにもならぬことでありますけれども、その運用上特にインドネシアの問題は前にいろいろな問題もあったことでありますから、問題の起らないように、ただ安いからというだけの理由で相手方の十分なる検討なくして契約しておいて、結果において悪い。その相手方の選定はインドネシアの人が知って十分に責任を背負うべきはずであるにもかかわらず、日本の物は悪いというようなことにしりを持ってこられるプロバビリティは非常に多いと思う。でありますからこの直接方式ではありますけれども、何らか政府がその将来のそういうトラブルを見越して、それを防ぐ処置を何らかの形でおとりになる必要があるのではないかという感じがしているのですが、何かそういうことをお感じになったことはありませんですか。
○説明員(白幡友敬君) お答え申し上げます。御承知のように、賠償方式を直接方式といたしますか、間接方式といたしますかということは、日本の部内でも非常に議論のあったところでございまして、また、交渉の過程におきましても、各国ともあるいは直接方式がいい、あるいは間接方式がいいということで議論があったことでございます。しかし、この利害と申しますか、これは双方にとりましてそれぞれ一長一短がございまして、どちらがいいのであるかということは必ずしも言えない。と同時に、また、どちらにもそれぞれまた欠点と申しますか、それを持っておるわけでございます。たまたまビルマが御承知のように、直接方式でやっておりまして、フイリピンも従って直接方式、インドネシアの場合も直接方式ということになって参りました。これは間接方式にいたしますと、一つには政府が今お話ございましたように、相当の責任を持つということになるわけでございますが、そうなりますと、非常に日本側のいわゆる賠償物資を供与いたします機関というものが膨大な機構を必要とするようなことになって参ります。なるだけわれわれといたしましては、そういう点を排除したいという考えがありました場合に、直接方式ということになってきたわけであります。ただいままでのところ、御承知のように、ビルマ及びフィリピンに実施しておりますのは直接方式でございまして、この方式は必ずしも完璧とは言えないかもしれないですけれども、現在までのところ、そう大きなトラブルも起さないで、特に賠償物資に対するクレームのような問題も比較的大きなものがないということなので、一応このままでいけるのではないか。もちろん御指摘がございましたように、その欠陥を防ぐためにできるだけの考慮を払い、できるだけの措置をあらかじめ・考えておくということが必要ことは、まことにお説の通りでございます。
○永野護君 この前伺ったので、形の上で一応御答弁を得たことになっておるのでございますけれども、生産物の意義なんでございます。その賠償を払うために、そのために特に外貨を必要とする物資の供与については、金額のいかんにかかわらずそれはいかぬという方針なんでございますか。この前の委員会のときに、生産物の意義ということを伺ったときに、通常の輸入のワクで入る原料を使うのはまあいいと思うけれども、特にその賠償物資を供与するために外貨の獲得を特に必要とするというものは、この生産物の中に入らないというような趣意に伺ったんですが、そこでこの常識の問題で、どの程度までならいいかという、ごく現実の問題があるわけなんでありますが、これはもう白幡さん一番よく御承知の現実の問題で非常にトラブル――トラブルというよりは難航したことは御承知の通りです。でありますから、私は、このインドネシアとの将来の貿易を進めていく上に役に立つようなものであれば、パーセンテージが何%かということは別問題でありますけれども、多少そのためにドルが必要であっても大局から言ってみて、日本のために必要とするものは認めたらいいじゃないかと私個人の意見では考えているのでありますが、今また、事新しくこの生産物という文句を使って、この賠償物資の供与を規制してありますから、この際に多少の何らかそこに余裕のある解釈を、国会で公けにきめておいていただきたいという希望があるのでありますが、政府の統一見解というものは、何か協議されたことがあるのですか。この生産物の意義に関する日本国内の各官庁の意見の調整をおはかりになったことがあるかどうかということが、私の伺いたい点なのであります。
○説明員(白幡友敬君) お答え申し上げます。これは事情を申し上げますと長くなるのでございますが、御承知のように、日本の賠償の考え方は、一番最初が役務賠償――相互条約に従っての役務賠償から出発したわけでございます。ところが、この純粋な役務賠償をやっておりますと、なかなか実施する場合にむずかしい。どうしても若干のものは、日本側がたとえば外貨を払うことがあるとも、負担しなければならない。一番最初に問題になりましたのは、動力が問題になってきたわけであります。純粋に役務賠償ということになりますと、中小国が資材を持ち込みます。それに日本が加工する場合であります。それだけじゃどうしても動力が要る。その場合に、日本が水力電気、あるいは日本が生産します石炭でもってまかなえればいいのでありますが、その場合に輸入しなければならない動力でもってまかなわなければならぬという事態が起きてくる。その場合に、その輸入動力の部分は外国から取り立てる問題が事実上起って参りまして、そこでだんだんと意味が拡張されて参りまして、その後、日本の経済状態もよくなってきたので、現在のように、御承知のように、資本財、あるいはその他の生産物という形になっておりまして、そこで問題になりましたこの条項は、すでにビルマ、フィリピンの時代からも問題になっておったのでありまして、一番具体的な問題としてこれに該当いたしまするのが、いわゆるロイヤリティーとか、パテントの問題であったわけであります。これは厳格に申しまして非常に大きなことになるのであります。特にそのために、日本側として外貨を支払わなくちゃならぬということから、これが問題になって参りました。
 それからもう一つの問題は、たとえばある種の生産物をいたします。ところが、幸か不幸か、非常に日本の科学技術が進んでおりまして、今外国が希望するような機械のごときものはほとんど日本でできる。できないものはないというくらいな状況だものでございますから、いろいろなものを希望して参ります。ところが、その中に一部分、特殊な金属、特殊な貴金属を使うような機械も出てくるわけであります。その場合に、日本では一般にそれが消耗されていない、つまり使われていないにもかかわらず、賠償でもってそういう要求が出てくる、技術的には日本が可能である、しかし、そのためには、特殊な資材を外貨を払って買わなければならない、こういう事態が具体的な問題として考えられるわけであります。そういうものを防ぐ意味で、こういう規定を挿入することになったわけであります。そこで、現在やっております資本財賠償にいたしましても、その他の生産物――つまり消費財でございますけれども、こういうものにつきましても、その何%か日本が外貨を払ってやっていることは、これは事実なのでありまして、結局それを具体的に適用いたします範囲の問題つまり幅の問題でございます。結局今までは特に政府の間で統一見解をするために協議をしたということはございませんが、現在まで賠償交渉をやってきております過程におきましては、常に大蔵省、通産省などともよく協議をしておりまして、結局その外貨負担の限度の問題は、常識的に考えていくのだということについては、各省とも異見がないわけであります。結局良識的に判断して、それが特殊なものであった場合でも、その外貨負担というものが非常に大きくならないような場合ですと、あるいは今先生のおっしゃいましたように、幅がつくこともあり得るのではないかと思われますけれども、原則といたしましては、先ほども申しましたように、そのために特に外貨負担を払わなければならない、しかもその金額が相当大きいということに対しては、本来の賠償、日本の賠償というものの精神、出発点からして、これは排除していきたいという基底があるわけでございます。
○永野護君 今の御説明の中に、「相当」とか、あるいは「良識」とかという言葉がある。その「相当」の限度と、「良識」の限度が非常に現実の問題として違っておるように思うのであります。外務省、通産省の「良識」「相当」の程度と、大蔵省の「良識」「相当」というのとは、相当食い違いがあるように思うのでありますから、私はぜひこんな機会に、その「相当」とは何ぞや、「良識」とは何ぞやということに、ばく然たることでもいいのでありますけれども、何らかの標準を作っていただきたい。ということは、大体から言いまして、大蔵省の担当官の「良識」及び「相当」は、非常にストリクトな法律的の見解が多いように思いますし、外務省及び通産省の見方は、大局から考えてみて、日本の国のために、それがまあ少くも経済的にはその方が将来非常に役に立つであろうというような見方から判断されるケースが多いように思うのであります。私は、そういう方の説に実は個人としては賛成なんでありますが、実際問題とすると、非常にそれがもめて、結局あのフィリピン飛行機のエンジンなんか、とうとうどうにもならなくなって、このエンジンは向うから供与するという形で、くの字なりにもまとまったようですけれども、ファイブ%、全体の金額からこのファイブ%の問題があるために、九五%の、日本の将来非常に有望な市場を失うという結果が起るわけです。あれは幸いにフィリピンの方が折れましたからよかったようなものでありますけれども、ああいうケースがこのインドネシアにも将来起るのじゃないか。だからそれは一割くらいはいいとか、二割くらいはいいとかいうようなことは、数字に現わすことはできないかもしれませんけれども、少くも相当の程度とか、良識によるとかいうようなことでなしに、何かそこへある程度の外貨の要求が起っても、大局から言ってみて、日本の経済発展のために必要だというものは目をつぶる、認めてもらうということを、これはもうざっくばらんに申しますと、外務省の方々はよくおわかりだから、外務省の政府委員からその御答弁は実は私求めていないので、大蔵省の委員の方が見えておれば、大蔵省の方の方々に御意見が聞きたいのであります。それをこの記録にむしろ残しておきたい。
○委員長(寺本広作君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) 速記を起して下さい。
○政府委員(松本瀧藏君) ただいまの問題につきましては、政府部内で一応意見を統一いたしまして、御回答申し上げたいと思います。
○永野護君 承知いたしました。
○羽生三七君 私の質問は、まあ質問というよりも、むしろ大部分は意見になるのですが、このインドネシアの政情がこういう状態にある際に、しかもこれは賠償協定がここで今成立しよりとしているわけです。そういう場合に、われわれは他国の自主性を少しでも侵してはならぬ、これはまあ当然のことであります。
 しかしまた、同時に、賠償がきまったら、やればそれでいいのだということでもなかろうと思うのですね。だから日本で行う賠償が効果的にインドネシアの経済の発展に寄与する、そういうことでなければならぬと思う。しかし、まあ御承知のように、相手国は非常な混乱の状態にあるし、それは混乱が片づくまで賠償の実施は延ばすということじゃなかろうと思う。混乱があっても何でも、そこで行うべき賠償の実施は第一年度から始めていくと思う。しかし、それが実際どういうように使われていくかということは、これはなかなか大きな問題だと思いますが、しかし、他国の内政にわれわれはかれこれ言う必要はないし、また、そういうことがあってはならぬし、また同時に、インドネシアの経済の発展のために具体的に貢献することは必要だろうと思う。一体そういうことが具体的に考えられておるのかどうか、また、考えねばいかぬと思う。そうでないと、あとは野となれ山となれということで、賠償協定さえ結べば、物さえ送ればいいということではなかろうと思う。私は非常にそこのところが問題だと思う。従って、これはインドネシアの政情を把握しながら、同時にそういう混乱の中でも、なおかつ、この日本の賠償協定によるところの実施が、実質的に貢献し得るような配慮を常々やっていかなければならぬ。しかもこれは政府は、あまりこのインドネシア賠償は急いでおられないようですが、急いでおりますか。何かあまりお急ぎでないようですが、しかし、実際にこれは今国会で成立すれば、すぐ始まることなんですが、その辺はどうなんですか。政府の心がまえを、これは外務大臣にお聞きするのが適当かと思いますが、しかし、それは当然一応の心がまえはあると思いますから。
○政府委員(松本瀧藏君) もちろんわれわれは、賠償の取りきめあるいは講和条約の締結によりまして、向うにいろいろな処置を延ばしたりあるいは早急にやったりしまして、国内干渉になるというようなことを考えているわけではないのでありますけれども、かりにもし、これを引き延ばしまして成立させないということになれば、あるいは反乱軍のプラスになるかもしれません。そういうようなこともあります。しかし、われわれは、そういったことでなくして、一応イニシャルをいたしました現政府を対象といたしまして、虚心たんかいにこの問題を進めている次第であります。なお、われわれの信念といたしましては、講和条約の締結と賠償の協定が取りまとめられることによりまして、インドネシアの平和と、そして繁栄に寄与するものであるという、もちろん確信をもってこの交渉は進めてきたのでありまするが、先方にもいろいろなこまかい国内の要求がございます。こういったものを先方から日本に申し入れまして、これを加味してわれわれ十分建設的にこの問題を三つ今後進めていきたいと、こういう考えであります。
○森元治郎君 事実について伺います。今のインドネシアの騒ぎをどういうふうに規定しておるのか、見ておるのか。内戦とかあるいは武力紛争とか、どういうふうに規定しておられるか、外務省側の考え方、それから新聞用語式に反乱軍といい、あるいは反政府軍というが、政府はどういうふうな言葉を使ってやっておられるか。
○政府委員(松本瀧藏君) もちろんわれわれは、これがどういう形の紛争であるかということを規定してこれに取っ組んでおるのではございません。従って、ある特定の言葉をもってこの紛争をわれわれ表現しておるのではないのですが、一応ものの考え方といたしましては、これは国内の問題である、こういうような工合に考えております。
○森元治郎君 在外公館との電信の往復あるいは省内でこの問題を考えられる場合には、何か論議の基準として一つの言葉が適用されなければならぬと思うのですが。
○政府委員(松本瀧藏君) 一応ジャカルタあたりで使っておりまするレーベルという言葉、反乱軍というようなまあ言葉で一応表現しておりまするが、それで規定しているわけではないので、一応便宜上そういう言葉を使って電信は打ってきているようであります。
○森元治郎君 それからこれも新聞報道ですが、だいぶヨタが乱れ飛んでいるようだけれども、ソビエトの武器がきたと片方では言い、また、共産圏の方の放送では、アメリカの武器がだいぶ落下傘でおりたとか、持ち込まれたとか言うんですが、その情報はどうですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 新聞情報ではいろいろとそういったことが出、また、それを打ち消した情報もございまするが、何ら確証を得ておりません。そういう事実の確証はわれわれ得ておりません。
○森元治郎君 やはりこの何か事態にさわるのをこわがっておるような感じを受けるんですが、こういう事実というものはやはりしっかり収集される必要があると思うのは、今後事態がどうなるか、デリケートだと思うので、その点、努力されたらいいと思うんですが、どうですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 先ほど館員をメダン等に派遣いたしまして、現地のいろいろな調査等に当らしておるというお話を申し上げました。また、情報網はどんなものであるかという質問に対しまして、これはちょっとここで言わすのは酷だというお話を申し上げましたが、あらゆる手段を尽しまして、もちろん正確な資料によって、正確な判断を下さなければ正確な解答は出ないので、従って、そういう努力をわれわれは続けております。毎日のように情報をとりまして、そうしてこの正しい情報に基きまして、正しい判断を下すように今努力しております。
○森元治郎君 SEATO会議が最近三日ばかり開かれて終りましたが、インドネシアの政情についても当然議題になったと思う。秘密会議であったために公表されないが、何か政府に通報があったかどうか。
○政府委員(松本瀧藏君) 正式には何ら通報はございません。
○森元治郎君 言葉じりではないが、それでは情報筋でもけっこうです。公式になければですな。当然アメリカ側を通じて、あるいはその他を通じてあったはずだと思うのですが。
○政府委員(松本瀧藏君) この新聞情報とか、そういう間接のものは一応われわれ受けておりますが、これは正式のものとはもちろん解せないのであります。が、こまかい点に関しましては、参事官から一つ説明させます。
○説明員(白幡友敬君) SEATO会議の中でどういう議論が行われましたか、直接に私どもはあらゆる情報筋を利用いたしましてもわかっておりません。ただ御承知のように、数日前に豪州の外務大臣がこの問題に対して、中立的な立場をとるんだ、インドネシア問題について中立的な立場をとるんだということを、新聞電報によりますと、言っております。そういう点から見ましても、結論的には、事態を非常に深刻に注目はしておるけれども、それぞれの国はやはりこれを内政上の問題として、特にどちら側に好意を寄せるとかあるいは支持をするということはなしに、中立的な見方と申しますか、これでもって様子をながめておるというのが現状であろうと思っております。これは、ただいままでにインドネシアに関係しております欧米あるいはアジア地域の国々の公式な情報あるいは非公式の意見などをそれぞれできるだけ今集めておるのでありますが、いずれの国も、政府としては、あくまでも特にこれに介入するというようなことはやらないという立場を皆とっております。ただ場合によりましては、全く個人的な立場から、いろいろな物資が動くというようなことはあるかもしれませんが、これはしかし、それぞれの国の政府の直接やっておることでなくて、全く商業の自由という点から起っていることだと思っております。
○森元治郎君 これは政府の方針ですから、外務大臣に伺うのが当然だが、もうすっぱくなるほど外交三原則でアジアの一員だということを強調しておるわけです。従って、アジアの一員で、しかも国交回復、賠償協定の締結というこのときに当って、うっちゃっておけば、私は相当混乱する状態が発展してくるというふうに想像されるので、政府としては、今のスマトラにおるのをまあ反乱軍ときめておるのですから、反乱軍に対しては、日本の国内措置としてはいろいろな援助その他の連絡をとってはいかぬという命令をすると同時に、東南アジアの関係国に、特に岸総理はあの近所をくまなく歴訪されたのですから、こういう国々に向って内戦、武力の紛争を助長するような措置をとらないように、武器の禁輸とか、そういうことを要請すべきである。これがほんとうに今の賠償協定実施の裏づけの措置だと思う。外務大臣がいないからお答えできないかもしらぬが、有能な政務次官として、この政策、この方面の問題に関連していろいろ研究されておるでしょうから、どういう研究をされたか、お伺いしたい。
○政府委員(松本瀧藏君) もちろんアジアの一国といたしまして、アジア諸国におけるところのいろいろな問題に関しまして関心を持つのは当然でありますし、また、これが三本の柱の一つになっておることも、先ほど森委員からもお話がございましたごとく、政府といたしましても、何回となく繰り仮して言っているところであります。ただし、関心を持っておるということ、これら独立国の国内干渉をするということは別問題であります。もちろんわれわれは、何らインドネシアの政情等あたりに関しまして、紛糾等あたりに関しまして、介入する意思は毛頭ございません。ただし、先ほど申し上げましたごとく、この賠償締結のわれわれの基本精神というものは、インドネシアの平和と、そしてこの国の繁栄ということをひとえに願ってわれわれはやっておりますので、この場合、こういうものを送ったならば政府は強化されるであろう、こういうものを少しチェックしたならば、いわゆる反政府の勢力が高まるであろうというようなことは一度も考えたことはございません。先ほども使いました虚心たんかい、こういう気持で、われわれは、このインドネシア国全般の繁栄ということを考えまして、この賠償の問題は進めておる次第でございます。
○羽生三七君 ちょっと関連して。比ほど永野さんからの御質問があった、とですが、今の森委員の発言にも関連するのですけれども、現実に武器なんかが輸出されたことあるのですか。
○政府委員(松本瀧藏君) 全然私ども承知しておりません、そういう事実のあることは。
○羽生三七君 これは普通の商社が普通の貿易として、そういうことをやる場合にはどうなんですか。
○説明員(白幡友敬君) お答えいたします。日本では御承知のように、武器は特にいろいろな問題がございますので、通産省で一々許可制をとっておりますから、まず一般の商社でも武器を取引するということはできないはず、つまりやみ取引というものはできないはずでございます。
○森元治郎君 さっきもう一つの点にお答えがなかったのですが、関係国に向っての武器の輸出とか、武力紛争に油を注ぐというようなことはしないでという呼びかけをする用意があるか、これはすべきだと思うのですが。
○政府委員(松本瀧藏君) 私どもの承知しておりまするところでは、その気持は、日本ばかりでなく、アジア地域各国がこれに直接関与しないという建前をとっておりますので、差し迫って今、日本から呼びかけなければならないというような事態ではないと、こう考えます。しかし、気持の上におきましては、当然そういった機会をとらえてわれわれやるべきだと考えます。
○森元治郎君 非常に落ち着いておるのですが、私は特にアジアの一員という三本の柱の一つと、それから近隣東南アジアの国々とわれわれとは平等であるが、特に賠償協定というものの取りきめに当っては、特段の関心があるべきだと思うのです。それはマラヤとかセイロンとかインドとかありますが、日本の場合、苦しんで賠償を払うのですから、これが完全に目的を達しないことには意味ないのだから、進んで私はやるべきだと思うが、もう一ぺん。
○政府委員(松本瀧藏君) ただいま森委員の御忠告十分参酌いたしまして、今後いろいろ方針をきめたいと思います。
○森元治郎君 先ほどの政務次官のお答えの中に、何か日本国内でいろいろ反乱軍に援助することをやめさせるような措置は内政干渉云々というお話でありましたが、これは決して内政干渉ではないと思うので、その点もう一ぺん。
○政府委員(松本瀧藏君) もちろん先ほど政府委員から説明がございましたごとく、武器輸出の場合には、一応通産省を通じまして許可制になっておるので、わかることであります。国内のいろいろな紛糾を増大するような輸出ということはもちろんわれわれ警戒すべきであり、政府としては断固としてこういう処置をとらないように政策を進めるべきである、こう考えます。
○森元治郎君 あらかじめ措置する、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○政府委員(松本瀧藏君) そう御了解下さいましてけっこうでございます。
○杉原荒太君 先ほど森委員から、インドネシアの情勢についての御質問があって、それに対し、外務省の見方を松本政務次官から御答弁があった。外務省側の御答弁は、私らも実は従来大体同じような趣旨、線で見ておるわけです。ところが、最近それに反するようないろいろな情報が伝えられておる。その情報の中で、特に私気づいて多少懸念いたしておりますのは、いわゆる反乱軍とアメリカの政府というのじゃないけれども、中部スマトラにあるアメリカの石油利権というものとの関係、石油の利権料を何か中央の方に送るのが停止される、そうしてアメリカのカルテックスの利権が中心でありましょうが、現地のアメリカ側で空挺部隊、ヘリコプター等の派遣を要請したという情報がある。そうして台湾を通じてアメリカの武器がいっておるという情報がある。それからこういうことは適当かどうか、私もちゅうちょする気持があるのですが、インドネシアの情勢の判断について、アメリカでももちろん注意しておるわけだが、あそこのアリソン大使のアメリカに対する情勢の報告というものがダレスあたりの見ておるところあるいは方針としておるところとかなり違っておる、あまりにも食い違っておるということがもとで、大使の更迭もあったというようなことが伝えられて、一番私らが懸念する点は、これが先ほど政務次官の言われたように、インドネシア内部限りのものとしてずっと進んでいくならば、私は見通しは非常にやさしい。ところが、いろいろと外部からの要素が入って、そして、いわゆる内乱の国際化というふうな事柄をはらんでくるというと、事態は重大だと思うのです。そこで先ほど白幡君が答弁された中に、内政上の問題として諸外国もこれを見ておって云々ということがあったが、そのあとの方に、まだはっきりせぬところがあったように思うのです。政府の立場としては、いずれもこれを内政上の問題としてこれに立ち入るとか、内政干渉はいたさないというが当然でしょう。これはいかなる場合でもそうです。表面はそれに違いない。ところが、さっき白幡君の答弁の中に、個人的には関係を持っておるのがあるというような発言があったが、これが重大なんですよ。それだから、そういった点について、外務官でよほどこれは重大視して、情勢の判断なども、ただ希望的な観測だけでなく、これを無根なら無根というところで突き詰めることが必要だと思う。そういう点で、先ほどから私が述べた、こういうふうに伝えられておるということについて、外務省では、これは無根であるというふうなところまでの判断の基礎を持っておられるかどうか、その点を一つお聞きしたい。
○政府委員(松本瀧藏君) 詳しいことは政府委員に御説明させますが、ちょっと大きな点だけお答えしたいと思うのでありますが、もちろん、こういう後進国の中に起きまするところの内紛というものは、外国のいろいろな勢力が非常な魅力を持つことは当然でございます。その意味におきまして、直接間接、あるいは何らかの手が伸びるのではないかということは、もちろん、われわれは警戒いたしまして、いろいろと情報を集めておるわけでございます。たとえば、日本の場合におきましても、漁業交渉等あたり、いろいろな、たとえば講和条約の問題を出すのも、これは選挙目あてで、選挙に対する干渉をしているのだというようなことすらも新聞に出るほど、小さなことでも、とにかく外国の勢力がいろいろ入ってくるというような情報が新聞に伝えられるのであります。そういう意味におきまして、われわれは希望的観測ではなくして、先ほど申し上げましたごとく、客観的な情勢を正確に把握する意味におきまして、いろいろな入って参りまするニュースにいたしましても、そのソースを十分検討いたしまして、正しい資料に基いて正しい判断をして、正しい客観情勢をわれわれは把握するという工合に進んでおります。
 アリソンのこの問題も十分われわれは承知しておるばかりでなく、深くその理由をいろいろと検討もしております。もちろんこの問題に処しましては、われわれは外国のいろいろな影響に左右されることなく、独自の立場の、独自の判断をもってこれを進めていくという方針は堅持しております。
 なおこまかい、たとえばカルテックスの先ほどのケース等あたりに関しましては、こまかいことにつきまして、一つ政府委員から答弁いたさせます。
○説明員(白幡友敬君) 具体的な事実につきまして若干お話し申し上げます。
 先ほど杉原先生からカルテックスの問題を御心配があったのでありますが、現在インドネシアの石油は大体中部と南部に動いております。これは外国の、アメリカのものだけでなく、イギリス系のもの、オランダ系のものがございます。
 そこで、まず問題になっておる中部は、新聞によく出て参りますパカンバルーというところにカルテックスが相当大きな採油を営んでおります。生産量もなかなかふえております。このカルテックスの問題につきましては、当初これが、いわゆる反乱軍の手中にあったようでございますが、カルテックス側とインドネシアの中央政府との話し合いの上で、御承知のように、一時操業を停止いたしまして、その後に御承知のように、落下傘部隊をおろしまして相当闘争いたしました。そうして現在は、ごく最近の新聞の情報によりますと、再び平常に操業ができるようになったということを伝えられております。もちろん、従いまして、それが政府軍の保護下と申しますか、勢力圏内で操業するということになりますと、あそこから出て参りますロイアリティは中央政府の方に入ってくるのではないかと思っております。
 それから南部にございます石油は、これも現在大体スマトラ南部師団というものが若干態度をあいまいにしておるようでありますけれども、実際問題として、南部が中央政府側に寝返り打つということは非常にいろいろな点でむずかしい問題があります。たとえば、南部にはジャワ人がたくさん入っておることやら、やはり欧米の石油事業というものが相当大きな資本を入れておりますので、こういうところが戦火の中に巻き込まれることは好みません。従いまして、たまたまこういう欧米の事業というものは、政府側と反政府側との間の何と申しますか、真空状態と申しますか、というような特殊な地位に立っておりますために、お互いが損害をなるべく与えまいというふうに注意しておりますので、現在のところは、依然として南部も大体政府系統の中に入っておるとわれわれは見ております。それから個々の問題、つまり援助と申しますか、各国のいわゆる反乱軍との関係でございますが、これは御承知のように、スマトラというものはマレー半島と非常に、近うございまして、つまり、あすこはいわゆる密貿と称せられております政府の監察をくぐってやっておる貿易の要素がかなりあります。現在インドネシアが作戦行動を起しておりますのは、これはいわゆる反乱軍を直接にたたくという純粋の軍事的な目的よりも、むしろ私どもは、経済的な目的を非常に持っているのじゃないか。そのために一番先に手をつけました東海岸にございます密貿易の根拠地を押えております。その後の政府軍の行動を見ておりましても、大体密貿易の根拠地を逐次押えるような態勢になってきております。従いましてマレー半島との密貿というものは逐次押えられていきつつあるというのが実情ではないかと思います。
 それから、アメリカの問題につきましては、先ほども政務次官からお話がございましたアリソンさんの更迭ということは、これも政治的な問題ですから、なかなか真相はよくわからないのでございますけれども、私どもにはっきりしておりますことは、あのアリソンさんの更迭する前後、それから今日に至りましても、アメリカのインドネシア政府に対する経済援助というものは一向変っておりません。御承知と思いますが、先般東京でアメリカの例のICA関係の管轄であります。全東南アジアの地域のICAの会合がございました。このときにも、インドネシアからも代表が参りまして、私も個人的にいろいろ意見を交換いたしたのでございますけれども、その結果から見ましても、アメリカは決してインドネシアに対する経済援助というものを、この事件後トーン・ダウンしておるというような傾向は見えません。また、個人的に私ども話しました印象からいたしますというと、やはりアメリカの政府筋は、こういう問題が起るもとは経済的な問題が何といっても根本的なんで、そのためにはインドネシアの経済をよくしてやるということ、それに全力を尽すのだという考え方は依然として変っていないというふうにわれわれは考えております。
 それから、先ほど御質問がございました台湾からの武器を云々ということでございますが、これは当時パカンバルーの飛行場にインドネシア軍が到着いたします前に、若干のこういう兵器が落下傘でおろされておった。しかも、それがアメリカ製であったということは、インドネシアの総理大臣のジュアンタが正式に発表いたしておりますから、おそらくこれは事実であったろうと思います。ただ、それがどこから参りましたかということは、なかなかわかりにくい問題じゃないかと思います。当時新聞の情報では、豪州の飛行機基地からマークをつけたものが来たのだということを言っておりますけれども、これは飛行機にいろんな国のマークをペンキで塗りかえるなどということはきわめて容易なことですから、必ずしもそれが豪州から送られたのであるというふうなことは考えられないと思います。ただ、それが絶対にないのだということを確信をもって申し上げるとはできません、マレー半島の密貿易、その他から見まして、事実行われてはおる。しかし、それが全体の動向を支配するようなものになっておるか、あるいはなり得るだろうかということは、従来のインドネシアのああいう内政問題、これはだいぶ古くからしばしば繰り返された問題でございます。それでそういう過去のインドネシアの内政上の問題をたんねんにトレース・アップいたしまして、科学的にいろいろ角度から分析いたしましても、私どもには今度の事態がそういうごく一部の少数外国の商人とか、そういうものによって大きく大勢が変化されてしまうということにはならないという判断を持っておるわけであります。
○永野護君 将来の日本の東南アジアの経済開発というようなことを考えますときに、インドネシアは中心的の存在でなければならぬと思います。従って、そのインドネシアにおけるいわゆる反乱軍の将来がどういうふうに落ちつくであろうかという見通しは、日本のためにも非常に重大なことだと思うのであります。従って、それに関する情報を十二分に収集されて、十分なる材料に基いた判断をしていただきたいと念願するのでありますが、現在、日本の外務省の持っております予算は、平常の外交をするのに必要な予算、しかもそれはきわめて窮屈な予算であるように思いますので、こういういわゆる火事場騒ぎのときに、それに対処する費用は非常に不十分じゃないかと、私は想像するのであります。もちろんりっぱな高木さんもおられますし、長年のスタッフもおられましょうが、あれだけの大きな国で大使もおられないというような時期ですから、この大きな問題の推移がどうなるかということで、日本の態度をきめる唯一の材料である情報というものは、新聞情報程度以上、もっと地についた材料をお集めになる必要があるのではないかと思うのでありますが、それについて、今のきまったきわめて乏しい外務省の予算より別に、だれか大物と申しますか、副領事を出したと言われるものでなくて、もっとしっかりした人を派遣して、そして実情を、十分なる費用を使って調査するというような御計画はまだありませんのですか。
○政府委員(松本瀧藏君) ただいまのお説のごとく、特に大切なことは、でき得る限りいろいろと調査をして、その調査に基いていろいろな政策を決定すべきだと思います。先ほどから二回ばかり繰り返しましたごとく、われわれはあらゆる手段を講じまして、与えられた限度内におきまして、正しい資料に正しい判断を加えて、正しい結論に達するようにしたいと思っているのでありますが、お説のごとく、外務省の予算はきわめて乏しいのであります。この前も一度私、ぐちを申し述べたのでありますが、ここで繰り返して一応外務当局としてぐちを述べさせていただきたいのでありますが、海外に、与党の先生方、野党の先生方が旅行されて帰りますたびに、在外公館の方に世話になった。しかし、あれではいかぬ。もっと調査費や予算をとって十分活動できるようにしなければいかぬということを何回も御注意があったのであります。さらに好意を持っておられる弁は、与党、野党を問わず、予算折衝のときには及ばずながら力になって陳情もいたすからということであったのでありますが、結果におきましては、一人もお手伝い願えなかったのであります。そればかりでなく、予算委員会におきましても、国会の審議におきましても、一番多く要求されますのは外務大臣であります。本日も非常に御迷惑をかけておりますが、内閣委員会、あるいは大蔵委員会、その他の直接関係のない委員会等あたりにも引っぱり出されまして、外交問題をいろいろと尋ねられるのであります。私は比重におきましては、これは非常に大きいものだと思います。その意味におきまして、比重の大きい、やはり外務省の仕事がもっと自由に、ほんとうに思い切って活躍のできますように、一つ三十三年度予算はあと数日で決定いたしますが、さらに今年の暮れの予算折衝のときには、一つ超党派で、できる限り外務省の予算獲得に御協力願いたいと思います。従いまして、目下のところは、十分なる経費をもって大々的の調査をさすというようなことは考えておりませんけれども、限られた予算の許す限りにおきまして、この重大な問題は、私は真剣に取り上げて調査をする必要があると存じます。
○永野護君 私も御同感なのであります。でありますから、この質問をしているのでありまして、正当な日常の外交事務だけでも不十分な外務省の予算に、こういう大火事のような問題が起ったときには、特殊の事由ですから内地で言えば大風水害が起ったようなことでありますから、この一事件だけを処理するために、場合によっては予備費から出すことを請求されてもいいと思います。日本に対して死活の問題とも言われ、重大な関係のあるこのインドネシアの政府がどこに落ちつくかというような見通しをするために、費用が乏しいからというので、不十分な新聞の切り抜きなんかで判断しているのには、あまりに問題が大き過ぎると考えますから、そういう非常措置をおとりになるお考えはないかということをお伺いしたいのであります。
○政府委員(松本瀧藏君) 一応大物の調査団をスマトラに送るということも一つの考えと思いますが、それだけでは私は正確な資料を得ることはできないと思います。角度を広くいたしまして、いろいろな角度から、いろいろな方面から集めました資料に基いてやらないと、ほんとうに正確なものはできないのではないかと思うのでありますが、一応今のところでは大体の見通しもついておりますが、事態の推移いかんによっては、今御注意のありましたような方法を講じなければいけないのではないかと、こう考えます。その節には予備費なんかからぜひ出していただくように御協力願いたいと思います。
○杉原荒太君 先ほどの質問の続きですが、いわゆる反乱軍の政治目的は、どういうところにあると判断しておりますか。
○説明員(白幡友敬君) お答え申し上げます。ただいままで反乱側が公式に、表面に言っておりますことは、一つは、現在の中央政府の容共政策に反対するということ、もう一つは、現在のジャカルタの中央政府、これは内閣でございますが、このジュアンダ内閣は憲法違反であるということを言ってております。この憲法違反であるという理由の一つは、インドネシアは御承知のように、民主主義、代議政体をとっているのであります。現在のジュアンダ内閣の成立は、大統領が戒厳令下に持っております大統領の非常大権でもって任命した政府であります。それからこれに続きまして、そこにできております国家審議会という機関がございます。この国家審議会というのが政治的に非常に強い力を持っておりまして、これがこの国会制度を事実上否定したような格好になっておりますので、こういうものもやはり違憲であるということを言っております。こういう違憲論が一つと、それから先ほど申し上げましたように、スカルノのやり方が容共であるという二つのことを言っております。しかし、これもある程度、確かにこの二つがやはり革命側の政治目的になっていると思いますけれども、しかし、事実上はと申しますか、われわれが観測いたしておりまするのは、これだけの理由ではなかろう、これは古いインドネシアの革命闘争、特に一九四五年にあそこが独立いたしまして以来のインドネシアの政治、内政上の問題、あそこはいろんな種族が集まっておりまして、その種族間の感情上の問題、あるいは軍の統帥権の問題その他経済的な問題、特に外領地域が、地方の自治権をもっと拡大したいという希望からいろいろな複雑なものが入っておりまして、一がいにどれが根本的で、その問題が解決すればすべてきれいに片づいてしまうのだというような考え方は私どもは持っておりません。
○杉原荒太君 私の質問というのは、それの観測というか、観測よりも、実際にその点がどうであるかによって今後の情勢の推移というものがずいぶん違ってくるだろうと思う。今の中共政府に取ってかわるということが政治目的なのか、あるいは必ずしもそうじゃなくて、ただ政策を変えさせるというところに目標の限度を置いているのかどうか、それに対して中央政府側で今後どういうふうに反応していくかということが今後の情勢の推移を決定していくということと思う。そこで先ほども言われたが、少くとも今の中央政府の、共産党も引き入れ、また、同調させていくという政策に対して反対、いわゆる反共だということ、これなどはさっきの国際化するかどうかという点と非常につながってくる問題、ある見方ではこれは必ずしも中央政府に取ってかわるということが目的ではない。一つの大きな目的は、要するに、今の中央政府の政策を、その中で特にいわゆる容共政策、これを変えさせるということに一つの目標の限度があるというようなこと、そういうものに対して、今後中央政府側で一体そういう点がどういうふうになっていくものだろうと推測、判断しておられますか。
○説明員(白幡友敬君) 容共政策とか反共云々の問題は、これも簡単には申し上げられないわけでございますが、やはりインドネシアの国内における共産勢力というものが、一体どういうものかという問題からいかなければならないと思いますけれども、私どもが今まで調べております限りでは、インドネシアの中には、いわゆる共産勢力と一般に見られておる中に二つございます。一つは国際的な共産勢力であり、一つは民族主義的な共産勢力というものがありまして、この二つが往々にして外部では混同されて考えられております。この国際的な勢力の共産主義というものと、それからそういう民族的な共産主義というものが場合によっては一緒になり、場合によっては離れたりしながら争ってきております。現在いわゆるスカルノ政権というものは容共であると言われるようになりました一番のもとはどこかといいますと、まず昭和三十年に、あすこで総選挙を行いましたその総選挙の結果が、予想外に共産勢力が伸びてきているということ、その次に、昨年あすこの地方選挙を行いましたが、この地方選挙におけるジャワ島の選挙において、共産勢力がまた再び非常に躍進をしたということから出発し始めている。それまでは特に政府が容共とか反共とかいうことでなしに、共産勢力というものは、共産党というものは合法政党として認められており、自由に動いておったわけなんでございます。ところがたまたまそういう選挙の結果、共産勢力が非常に伸びたということから、反対派が非常にこの問題を取り上げるようになりまして、政府に対して容共政策をとっているのではないかということを言うようになりました。特にまた、昨年の春にスカルノがいわゆる指導された民主主義という一つの理想を政治の中に導入いたしまして、この中に共産勢力がやはりほかの勢力と同等にいすを占めているという考え方でございますけれども、これは必ずしも厳格な意味で共産勢力がほかの勢力と同等の立場でいすを占めているとわれわれは考えておりません。これは現に個々の人間を一人々々、いわゆる共産派といって反対派から非難されております者を、個個の人間の過去から最近における動き、そういうものを調べてみますと、必ずしもそう極端な共産主義者であるというふうには考えられないのであります。つまりこれはスカルノ自身もそういう点は非常に注意しながらやってきているとわれわれは見ております。それからこれは、立場上反対の立場にありますハッタ前副大統領の意見によりましても、インドネシアの共産勢力というものはそう大きなものではない、自分としてはそうこれを心配していないということを言っておられます。従いまして、むしろ反共とか容共というのは全然それがないとはもちろん言えないわけで、ありますけれども、これは幾つかの政治目的の中の一つでありまして、これ以外に一番やはり根本的な間脳といたしましては、インドネシアの政治というものが最近非常に大きな変革をしつつあります。それは若返り的な変革をしておりまして、そこからいろいろな摩擦が起きてきておって、そのために中央政府というものがだんだん弱体化と申しますか、前ほど強い力を持てなくなった。地方であるとか、あるいはその他の勢力のやはり思想、意見というものを無条件にはねつけることができない。やはりそういう勢力にだんだん耳を傾けていかなければならないような実情になってきたというところに、一番の問題があるのではないかというふうにわれわれは考えております。
○森元治郎君 一つだけ伺います。今まで政府側の方針を伺いましたが、反共看板の反乱軍の出現に政府がよろめかなくて、やはり虚心たんかいに平和条約、賠償、協定をやっていこうというなら、この際、国際紛争化の進まないうちに――私に進んでいくと思うのですが、進まないうちに政府としてその方針を声明されて、強い日本の立場というものを打ち出した方がいいんじゃないかと思うのですが、そういうことをお考えになったことがあるかどうか。
○政府委員(松本瀧藏君) 目下のところ、別にそこまで強く考えておりませんが、ただわれわれは、正常にこれを一つ進めまして、早く批准をしたいという気持でございます。国内の問題でございますので、もちろんいわゆるこの反乱分子のプラスになってもいけないし、また、中共政府のこれがマイナスになってもいけないというようなところからいたしまして、国内の問題で、ありますので、われわれは、ただ正常にこれを一つ進めていきたい、こういう気持でございます。
○森元治郎君 その気持わかりますが、SEATO反響から見て、SEATOの国々が、不気味に黙っている。アメリカもいろいろな電報その他で、ダレスあたりも苦々しい顔をしているようであります。そこへもってきて、当の日本がまた大へん紳士的というか、ふわっとした態度ではどうもおもしろくない。やはりはっきりした方がジュアンタ、インドネシアの中央政府に対しても非常に好意的なものになる。もたもたしてやみ取引でもしようとした連中にはこれを押える高価もあり、事態をはっきりさせるという意味で、私は積極的に出される方が、政府のためにも日本のためにもなると思うので、もう一度伺います。
○政府委員(松本瀧藏君) 今のジャカルタにあります中央政府におきまして、は、日本の国会審議等あたりの模様は刻々と向うに通じてございます。従いまして、誠意をもってやっているという日本側の誠意というものは、十分向うに届いておりますので、今のところでは、これ以上声明等あたりいたしまして、やるというところまでは踏み切っておりません。
○森元治郎君 外務大臣おいでになったから伺いますが、大体政府の方針は、松本政務次官、政府委員から説明を受けましたが、今政務次官から伺ったのは、この際、政府の方針を発表して、インドネシヤ紛争の国際化ということのないようにすることが政府のとるべき道である、ところが、政務次官の御説明、御答弁では、国会の審議状況その他は中央政府の方でよく詳細承知しているというのですが、そういう専門家筋だけがわかるのではなく、中外にという、昔われわれが使った外に向って、東南アジアの国、ことにSEATOの国、近所で武器でも出そうかともたもたしているような国々、また、態度不明確なアメリカに対しても、日本のアジアの一員の立場を打ち出した方がこの際必要であり、よいことだと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) インドネシアの政情その他の問題を、賠償関係を通じて表明したらどうだというような御意見だと思うのでありますが、条約が両方の国会で批准されまして、そして批准書の交換を行うというような場合もあります。適当なる機会には、日本がインドシアに対して友好的な考えを持っているということを申し立てる機会もあろうかと思います。
○森元治郎君 私の申しましたのは、国際紛争化のおそれがあるから、この際、日本政府の態度を明確にして、変な武器などを入れたり、内政干渉したり、あいるは挑発行為を、国なり個人なり団体なりがしないように、そういう方針を打ち出す声明をしたらどうかという、こういうことです。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御趣旨の意味がわかりましたので、よく研究した上で考慮してみたいと思います。
○岡田宗司君 ただいまよく研究してやられるということですけれども、こういうことはやはり早くしないとまずいと思うのです。いよいよこの条約が国会で承認されるというようなときになっては少々おそいと思うので、これは政府として早く、内政には日本としては干渉しない、それからそういうことは、どこの国がそういうことをしようと、反対するという立場を明確にしていただきたいと思うのです。
 それからインドネシアの内戦が早く終ることを私どもは希望するし、また、それがなければせっかく条約が締結されても、これは実施の上にいろいろ問題があろうかと思います。今の形勢からいえば、私は今の中央政府が大体強いと思うし、また、外電等も反乱軍の方が形勢不利というふうに伝えられてきている。まあそういうような事態からでしょう、中央政府の方からこの条約が日本の国会で承認されて、批准が交換されるというような場合には、賠償使節団を送るというふうに伝えられているのですが、それについて何か向うから連絡がありましたか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 批准が終りますと向うから賠償使節団がすぐ来るので、今首脳部の人選中だというような公電はきております。
○岡田宗司君 賠償使節団が来るということは、向うとしては早く賠償の具体的な交渉を行いたい、そして実施を早めたいという意向だと思うのですが、政府は今のインドネシアの政情からしてこれをもっと形勢を観望していくというおつもりですか。それとも今のインドネシアの事情から見て、この賠償使節団が来た際にこれを受け入れて、そして話を具体的に進めてしかるべきであるというふうにお考えであるか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 賠償条約を批准書の交換をいたしましで発効しますれば、われわれとしては、できるだけそれをスムースに早く円滑に実施、運営していくように日本としてはいたしたいと思っております。特にまあ、インドネシヤの現在の経済事情から申しますと、相当やっぱり困難な立場にもありますので、向う側も急いでこういう条約実施に入りたいと思いますから、こちらも当然精神から申しましても、そういうインドネシアの経済の現状を賠償を通じてでも援助できるようにしたいというふうに考えております。
○岡田宗司君 それからこの条約が承認され、批准が交換されたら、直ちに大使館を向うに開設して大使を置く、まあ向うもそうするでしょう。それは急速におやりになるつもりですか。代理大使とか何とかということで、しばらく様子を見ようというおつもりか。まさかそんなことはないだろう思うのですが……。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 批准が終りますれば、早急に大使を任命して送りたいと思っております。従って、他の考慮からそういうことが、ただ人事上の運営の問題からおくれることはありましても、おくれないようにできるだけ早く大使を任命したい。ちょうどあそこで大使の官邸も四月半ばごろには竣工するのじゃないか。今建築しておりますから、そういうふうなこととあわせて早急に実現していきたいと、こうふうに思っております。
○岡田宗司君 それから現在インドネシアの政情の不安に伴って、日本品の輸入等についていろいろ障害が起っているようです。それからまた、インドネシアの方から日本に船を借りたいという話もそのまま立ち消えになっている、こういう事態ですが、これに対してインドネシアの経済関係を促進するために現在何らかの措置を講じておりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) インドネシアとの経済関係は、船のことは民間の向うの代表が来られまして、こちらで民間の船会社と折衝をされましたけれども、船の性質の問題なり、あるいはフレートの問題等でうまくいかなかったということは遺憾だと思っております。貿易の増進その他につきましては、条約上最恵国待遇でというようなことになってきましたので、これから活発に仕事が進んでいけるのじゃないかと、こういうふうに考えております。
○岡田宗司君 それはまあごく一般な方針なんですが、現在政情不安の時代に、まあ貿易が非常に困難の状況にある。それの打開のために現在何か措置を講じているかどうかということをお聞きしたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 現在政府として、特段の措置を講じてはおりませんけれども、将来、両国の貿易関係を増大していきますことは、日本政府としても望ましいことで、ただ、インドネシアの経済関係が非常に困難な場合がありますので、まあ過去にありましたような焦げつき債権等のできないようには注意して参らなければならぬわけでありますが、そういう面を考慮しながら、増進の方向に持っていきたい、かように思っております。
○羽生三七君 今外務大臣からお話のあった、過去における焦げつき債権のようなことの再び起らぬようにというお話でありましたが、この協定で過去の焦げつき債権はこれは帳消しになるわけですか。その後の最近の事態の推移はどうでしょうか。これはノーマルにこの貿易関係はいっているのかいないのか。前のままの継続のような事態がまだあるのか。その辺はこれはなかなか――相当私は大きな問題だと思うのですが、これは外務省じゃわかりませんか。
○政府委員(牛場信彦君) オープン・アカウントの協定が昨年の七月に失効いたしまして、あとはポンドの現金決済になっております。しかし、実際問題として、ほとんど向うがライセンスを出しませんので、ときどきまとめて繊維品など買っておりますが、直接の貿易は今のところ非常に不振でございます。シンガポールを通じて一部行っていることは、先ほどうちから御説明申し上げたようなわけであります。
○羽生三七君 その不振というよりも、実質上前のこの不払いと同じような――支払遅延と同じような状態が今でも続いているのかどうかという、具体的なことはどうでしょうか。
○政府委員(牛場信彦君) これは全部現金決済でございますので、今そういうことは全然ございません。
○羽生三七君 それからもう一つ、これはこまかいことになるかもしれませんが、平和条約の第三条に、この一九五五年に「バントンにおいて開催されたアジア・アフリカ会議における決定の精神に従って」云々と、こうあるのですが、あのバンドン会議の精神というものは非常に広範なものだろうと思うのです。平和問題から、その他広範なものだ。しかし、その精神に従ってということをこういう条約の中にうたうということは、かなり私は珍しいケースだと思う。従って、これは単に平和条約に関連するインドネシアの問題だけでなしに、これはアジア・アフリカ関係諸国に広範に、非常に今後とも適用さるべき日本外交の基本的な基調であると了解してよろしいわけですね。そうしないと、初めてこういうことを条約の中にうたったのですから、平和条約の中には書いてあるが、あとは別だということではこれは困りますので、これは広範にアジア・アフリカ諸国に対する日本の外交の基調として適用される重要な問題をこれは認めたことになると思うのですが、これは外相の御説明を伺いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) バンドン精神を体現してAAグループとの間の外交を考えていくことは当然のことであります。ただ、バンドン会議加盟国の中にはいろいろな立場もありまして、先だっても申したと思うのでありますが、バンドン会議の精神というものは相当高いところにあるわけであります。将来その高いところに向って、アジア・アフリカ諸国がバンドン精神に進んでいくという意味は、日本のアジア外交においても必要だと思います。
○岡田宗司君 これはちょっとこのインドネシアの賠償問題とは離れるのですが、海洋法の会議で、日本はソ連の提案に棄権をするようになりましたが、これはこちらからもそういう訓令が出てそうなったと思うのですが、僕らあの理由等についても非常にけげんにたえない点があります。まあ政府の言うところによりますれば、原水爆の実験禁止は単に海洋だけの問題ではない。たとえばソ連の領土でも行われているが、それと両方でなければ意味をなさないのだから、だからあれだけ切り離してやるということは意義がないという意味で賛成しなかったということを聞いているのです。ところが、まああれは海洋法の会議なんで、従って公海上の問題だけ取り上げてやられることでいいのだと思うのですが、どうしてあれは賛成されなかったのか。もっと私どもにわかるように、はっきりさせていただきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) あの海洋法の第二十七条に、公海の自由というものがあるわけであります。そこに原案に四つほどの、航行の自由でありますとか、漁業の自由であるとかというようなものがうたってあるわけであります。ソ連の提案というものは、それをつまり原爆に使用しないように、この影響を公海に与えないようにというような提案であります。海洋法典自身にしても、二十七条の原案で、相当広範に海洋の自由というものはカバーしておるのでありますから、それ以上にそれをつけ加えることの必要があるかどうかという点も一つの問題があると思います。従って、各国の代表部と今接触してみましても、インドあたりも、必ずしもソ連の提案そのままをのむべきだという考え方ではないようであります。しかし、そういうソ連の提案がどういう点にあるのかということを十分聞き知り、討議することは必要だと思うのでありまして、従って、議題にすることについては、日本としては賛成する、その討議を聞いてみようじゃないか、してみようじゃないかということを申したわけであります。しかしながら、まだ最終的に棄権するか、棄権しないかという決定はいたしておらぬわけであります。ただ、海洋法典にこういうことを書いても、陸上があいていると、これはまあ政治的な観点から見るわけでありますけれども、陸上で盛んに行われているというようなことがあれば、非常に陸上でもそれを禁止する方法をとらなければ、公平を欠くじゃないかというような考え方もあり得るわけであります。同時に、日本としては陸上とか、海上とか言わんで、原爆そのものを一つ禁止するというような立場もとっておるわけでありまして、そういう意味から言えば、一日も早く原爆の実験禁止をしてもらわなければならぬわけで、何か海洋だけ禁止すると言えば、陸上は原爆をやってもいいのだというような錯覚を起すことも、かえって原爆全体の実験禁止にもあれじゃないかという考え方もあるわけで、いろいろな意味において、ソ連の話し合い、あるいは討議を聞いた上でこの問題を考えていきたいと、こう思っております。
○羽生三七君 はなはだ恐縮ですが、議題外のことですが、今の岡田委員のことで私お伺いしたい。
○委員長(寺本広作君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(寺本広作君) 速記始めて。
○羽生三七君 今岡田委員の御質問にですね、この原爆実験禁止の問題が出て、政府も積極的にというお話で、お考えだろうと思うのであります。ですから、今われわれがしょっちゅう言っておるように、それはそうだが、日本みずから――それを何か今私ども社会党の方が実は非核武装宣言というようなことを言っておるのですが、そういうものを作れば、広範な案を、政府の方でもおやりになるお考えはないのですか。それをもしやった場合には、われわれの方に、政府としては積極的に賛成して、今国会で成立させてやろうというお考えはありませんか。もしほんとうにそういうお考え方があるならば、他国と協議する必要は毛頭ないので、日本の国会の意思、政府の意思で――もちろんこれは国会の意思できまることであろうと思うのですから、えらい、政府としても迷惑なことでもなかろうと思うし、与党としても協力をされてこれを実現するように、外務大臣としてもむしろ配慮をするくらいな気持になっていただけると私は思うのですが、いかがなものでしょうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 核実験の問題で、両院の決議もあったわけであります。まあそういう問題については、案を見ないと何とも申し上げるわけには、この席ではいかないと思います。
○羽生三七君 いや、それはごもっともですが、案を見なくても、また、今の私の言葉でわかっておるはずで、これはもうまことに簡単にそれはよかろう、今の立場でちょっといいとか、何とかいろいろあるだろうと思いますが、その点私は無理を言うわけじゃないが、ほんとうに、その意思があるならば簡単だと思います。他国と協議を要しないただ一つの方法だろうと思いますので、ほんとうにその気があるなら、一つわれわれがやる場合に、大いに政府も御勘考いただきたいと思います、どうですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御意見の通り承わっておきます。
○岡田宗司君 海洋会議に出て、これからソ連が出して、それを討議して、その上で態度をきめるのだということですけれども、もう大体政府の態度はきまっておるのじゃないですか。ただこれはアメリカヘの気がねもあろうし、イギリスヘの気がねもあろうということで態度をきめられては私どもとしては承知できないのです。やはり日本自身が、原水爆の実験に対して強い反対をしておるという日本の立場で、この問題を取り扱っていただきたい。特に最近アメリカあるいはイギリスが太平洋でもって実験をやろうというときには、私たちとすれば、こういう会議においてもやはりこの問題を十分に討議して、日本の立場ではっきりした態度を示していただきたいと思います。陸上と海上と分けてどうの、こうのというようなこともありますけれども、海上だけでもまず禁止するということが成り立てばこれはけっこうな話です。それから陸上を含めて全体の問題は、この次の国連でもってこれが討議するようになれば非常にけっこうなことだと思います。一部だからいけないとか、あるいはよその国の方の顔色を見てでなければ事がきめられないということでは、これは困る。少くとも日本の立場というものは、この問題についてはもっと強い立場でなければならぬと思う。私はやはり今度の国連総会に、日本としてこの問題をもう一度提案してみる、これはよその国からももっと支持がある。去年よりもさらに強い支持が出てくると思うのですが、国連に対してもう一度この問題を提起するおつもりがあるかどうか、これをお伺いしたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 海洋会議におきまするこの問題についても、いたずらに今他国の顔色を見ながら問題を考えるというのじゃなくて、日本の立場からも、日本の立場でこれを考えることは当然なことだと思います。
 核実験禁止の問題につきましては、さらに来たるべき国連で何らかの提案をするかという問題でありますが、当然われわれとしては、核実験禁止の問題については引き続き努力をいたしたいわけでありまして、国連等においても、昨年から見ますと、よほど情勢も移りつつ進んでおるようにも見られますので、われわれとしても十分な努力をして、来たるべき国連において、何らかこういう問題が解決するように努力していきたいというふうに考えております。
○岡田宗司君 十分に努力されることはけっこうなのでありますが、やはりこういうものを提案するという具体案を政府として示し、国民にもこれを訴えていかなければならぬと思うのですが、近くそういう国連に提案するについての何か具体案を発表される段取りになっておりますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま来たるべき国連総会において日本の代表部としてどういうふうにこういう問題を扱い、どういう提案をするかというような問題については、今せっかく研究をいたしておるわけであります。先ほども申し上げましたように、情勢も原爆禁止の方向に幾らかずつは世界の形勢も動いておるようでありますから、それらと見合いながら、適当な提案もできることになろうということで、いろいろ研究をいたしております。
○委員長(寺本広作君) それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十五分散会