第028回国会 社会労働委員会 第18号
昭和三十三年四月一日(火曜日)
   午前十時四十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
三月二十八日委員片岡文重君辞任につ
き、その補欠として小林孝平君を議長
において指名した。
三月二十九日委員小林孝平君辞任につ
き、その補欠として片岡文重君を議長
において指名した。
三月三十一日委員紅露みつ君辞任につ
き、その補欠として高野一夫君を議長
において指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     阿具根 登君
   理事
           勝俣  稔君
           木島 虎藏君
           山下 義信君
           中山 福藏君
   委員
           有馬 英二君
           榊原  亨君
           鈴木 万平君
           高野 一夫君
           谷口弥三郎君
           横山 フク君
           片岡 文重君
           藤田藤太郎君
           松澤 靖介君
           山本 經勝君
           田村 文吉君
           竹中 恒夫君
   衆議院議員
           中山 マサ君
           八田 貞義君
           福田 昌子君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
  政府委員
   厚生政務次官  米田 吉盛君
   厚生省公衆衛
   生局長     山口 正義君
   厚生省医務局長 小澤  龍君
   厚生省児童局長 高田 浩運君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○母子福祉資金の貸付等に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○児童福祉法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○角膜移植に関する法律案(衆議院提
 出)(第二十七回国会継続)
○衛生検査技師法案(衆議院提出)
○予防接種法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) ただいまから委員会を開きます。
 委員の移動を報告いたします。
 三月二十八日付をもって片岡文重君が辞任され、その補欠として小林孝平君が選任されました。三月二十九日付をもって小林孝平君が辞任され、その補欠として片岡文重君が選任されました。三月三十一日付をもって紅露みつ君が辞任され、その補欠として高野一夫君が選任されました。
  ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案、児輩福祉法の一部を改正する法律案、以上二案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
○国務大臣(堀木鎌三君) ただいま議題となりました母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 母子福祉資金の貸付は、都道府県が母子家庭や父母のない児童に対し、生業資金、修学資金、修業資金等八種類の資金を貸し付け、その経済的自立の助成をはかることを目的としているものでありますが、昭和二十八年四月この法律の施行以来昭和三十二年十一月末現在までに、都道府県が母子家庭等に貸し付けました金額は約四十八億円に達しており、わが国における母子福祉対策に多大の寄与をいたしているのであります。
 今回の改正の第一点は、生業資金の貸付金額の限度を五万円から十万円に引き上げたことであります。すなわち、現行の五万円をもってしては、それによって開始し得る事業の範囲がおのずから限られ、母子家庭の経済的自立をはかることが期待できない場合が少くありませんので、これを十万円に引き上げたものであります。
 改正の第二点は、現行制度のもとでは、修学資金の貸付を受けて高等高校に就学した児童が大学に就学し、または医師の実地修練を受けているような場合には、その者が引き続き修学資金の貸付を受けたときのほかは、高等学校で貸付を受けた修学資金を償還しなければならないこととなっておりますので、修学資金につきましては、高等学校もしくは大学に就学し、または実地修練を受けている間の償還金は、その支払いを猶予できることとしたものであります。
 改正の第三点は、修業資金につきまして、現在は、児童が二十才に達しますと、知識、技能を習得している途中でありましても、それ以後は貸付が打ち切られることになっておりますので、修業資金の貸付期間の限度とされている二年以内の範囲内におきましては、二十才に達した後においても継続貸付ができることとしたものであります。
 改正の第四点は、都道府県は、急を要する場合には、都道府県児童福祉審議会の意見を聞かないで、貸付金の貸付を決定し得る道を開いたことであります。これは、生業資金、事業継続資金、住宅補修資金等につきましては、その資金の性質上早急な貸付を必要とする場合が少くないからであります。
 改正の第五点は、違約金の割合を他の貸付金や公租公課の延滞金等の場合と同様に、日歩四銭から三銭に引き下げたものであります。
 以上が改正案の大要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 改正の第一点は、身体の発育が未熟のまま生まれた乳児、すなわち、いわゆる未熟児に対する教育の制度を設けることとしたことであります。
 御承知の通り、わが国の乳児の健康状態は近年著しく改善され、その死亡率は、終戦直後に比較いたしますと、約二分の一に低下いたしておりますが、そのうち未熟児の死亡が乳児死亡の三分の一を占め、その対策が久しく要望されております実情にかんがみ、このたび家庭内で養育できる未熟児に対し保健所職員による訪問指導を行い、また、入院を必要とする未熟児に対し養育に必要な医療の給付を行うこととし、一貫した未熟児の養育対策を確立することとしたものであります。
 改正の第二点は、母子衛生に関する都道府県知事の権限を保健研を設置する市の市長に移譲することとしたことであります。すなわち、児童福祉法に規定する母子手帳の交付、妊産婦等に対する保健指導の勧奨、乳幼児に対する健康診査の施行等の都道府県知事の権限を、保健所を設置する市におきましては、市長に移譲することにより、行政の効率化と母子衛生の向上及び増進をはかることとしたものであります。
 以上が、この法律案を提出いたしましたおもな理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(阿具根登君) 両案に対する質疑は、次回以降に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 大臣は、急用がありますので退席いたします。御了解願います。
  ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) 次に、角膜移植に附する法律案を議題といたします。質疑を願います。
○勝俣稔君 第七条の 「業として」と、こういうようにありますが、「業として」「眼球の提供のあっせんをしようとするときは、厚生省令の定めるところにより、厚生大臣の許可を受けなければならない。」ということは、業としてこれは成り立つものでございましょうか。お伺いいたします。
○衆議院議員(中山マサ君) 御承知の通り、ブラッド・バンクでございましたならば、これはりっぱに業として成り立ちまして、配当まで出しておるという話も、私もそう聞いておるのでございますが、この角膜の方は、本来ならば、私自身としては、業としては成り立たないと、こういうふうに考えております。なぜかと申しますると、角膜の移殖を必要とする失明者の数というものは、次々とそう出てくるものではないというように私は考えておりまして、ある一定の数にほとんど限定されるであろうという建前からいたしますれば、それを業といたしましても成り立ちはすまいとは思いまするけれども、衆議院の審議中におきまして、万が一そういう場合があるときを考えなければいかぬじゃないかという御意見が出まして、そしてこういうものが挿入されたわけでございますので、万一の場合ということのための対策であると私は考えております。
○勝俣稔君 行政当局の方に伺いますが、実際の角膜移植の方法と申しますか、学問的の方でなくして、やり方ですね。たとえてみれば、なくなった方から眼球をもらうのにどういうようにして、そして、どういうように保存をどこでして、どこで移植をするか、これに関する時間の問題等を一つお知らせ願いたいと思います。
○政府委員(小澤龍君) 前回の委員会で申し上げました通りに、角膜の保存期間は、短い時間に制約されております。従いまして、眼球を摘出し、角膜を剥離して、これを長時間保存することはできません。従いまして、実際問題といたしましては、角膜の移植を希望し、また適用者であるところの患者さんのいる所におきまして死体から眼球を摘出いたしまして、その場で手術を行うということが大部分の、絶対多数のケースになるのではなかろうかと考えております。
 なお、先ほど勝俣先生の御質問に対しまして中山議員からお答えがございました通りに、業としての場合でございまするが、この第二条に、「視力障害者の視力の回復を図るため角膜移植術を行う必要があるときは、」というふうに、角膜移植術を行う場合を制限してございます。これは、「必要があるときは、」と申しますのは、一般的に必要が世間にあるということではなくして、必要がある当該患者が現にそこに存在するとき、かように私どもは解釈いたすのであります。従いまして、いつどこに角膜移植を必要とする患者が出るかわからないのに、あらかじめ眼球を摘出して用意しておくということは、この法の精神に反する。現実にその患者がある場合においてのみ、この角膜移植術がこの法律によって許される、かように解釈しておるのであります。従いまして、ブラッド・バンクのごとくに、業として、あらかじめ眼球をくり抜いてこれを売買するとか、あっせんするとかいうようなことは事実あり得ないと、かように考えておる次第でございます。
○勝俣稔君 それじゃ、厚生大臣が認可を与えるというのは、どういう判断で与えるのか。「省令の定めるところにより」というのは、どんな省令を出すつもりでおるのか。こまかいことは、私はここで要求しませんが、こういうことが成り立たないというのに、万が一あるかもしれないというようなことで、ここでいわれているようになったようでございまするが、どういうまあ団体なら団体、どういうものを一体想像しておるかということを、厚生省に伺いたいのございます。
○山下義信君 関連して。勝俣委員への答弁のあります前に、関連して私も伺いますが、一括して御答弁願いたい。これは、「業として」という場合における厚生省令はどう考えているかという質問なんですが、私は関連して、業というものが成り立たないという意味の御答弁も今ありましたが、業としてでない場合ですね。業としてない場合で、死体の眼球の提供のあっせんをするという場合には、厚生省はどうきめるか。この厚生省令に考え方が二つあると思うのですね。「業として」という場合と、業としてではないが、死体の眼球のあっせんをしようという場合とは、すっかり違うと思うのですね。その業としてでない場合は、厚生省令としては、そのあっせん者に関連しての措置はどう考えるか。こういうことをあわせて伺いたい。
○政府委員(小澤龍君) この第七条に該当するものといたしましては、私どもは、次のような場合を想定しております。角膜移植の手術を受けたいという者が相当数現に存在するわけでございまして、さような人の希望をとりまして、名簿を作成して、そして大学病院等の大きい病院にあらかじめ通報しておきまして、たまたま眼球を提供してもいいという者が出た場合に、その希望者を呼び出しまして、診察して、適当者であれば移植をするといった程度のいわゆる登録、紹介といった仕事が想定されるのではないか、かように考えておる次第でございます。そこで、さような事業をする場合には、当然通信費も要りましょうし、連絡費も必要でありましょうから、若干の出費は必要であろうと思います。従いまして、かような業をなさんと欲する人々は、厚生省令の定めるところによって厚生大臣に願い出て、その承認を求める。その中身につきましては、届出のいろいろな事務規定が考えられますのでございますけれども、本法案の立法の精神が、人道主義に立脚しているものでございまするので、私どもといたしましては、その場合におきましては、これがはなはだしい営利事業にわたるというふうな内容であっては、これは許可しない方が適当ではなかろうかと存するのでございまして、さような人々の届出規定がおそらくは省令の中に規定されるものと存ずるのでございます。
 なお、続いて、業としない場合ということでございますが、業として行うと申しますのは、反復継続して同一の仕事を行うということが、業としてと私どもは解釈しておりまして、たまたま自分の知り合いに角膜の移植術を受けたい人がいるのであるが、その人があっせんをして、ある病院にそれを連絡して、あっせんをしてあげる、それがただ一つのケースである、業として反復繰り返してやるというのではないという場合は、この法の適用外でございますので、一々厚生大臣の承認を受ける必要はない、行うことができる、こう解釈する次第でございます。
○勝俣稔君 前の委員会のときのお話で、眼球が非常にやみ値で高く扱われておるというような際に、第七条で「業として」云々というようなことにしますと、何か非常にこれで商売ができるんじゃないだろうかというような誤解を与えられるところがありやしないか、こういう意味合いから、むしろ私はこれは良俗であり、ほんとうに下村さんのお話のように、自分の眼球を人にあげたい、こういう精神でこの仕事はいきたいというように考えておるときに、この「業として」というような事柄になりますと、よほど考えなくちゃならないんじゃなかろうかというように私は思います。まあ繰り返してやるというような意味合いで、反復してするというような事柄はいろいろで、これを業と見るならば、この業は利益が伴わない業であるという考えで、ある奉仕団のごとき、あるいは社会サービスをやるような団体なりがこういうことをやると、あっせんだけをほんとうにやるというような意味合いであるならば私はいいと思いますが、営利事業のような意味合いに、先ほど局長の言われたように、ブラッド・バンクのように考えるということは非常に問題じゃなかろうか。なお、もしブラッド・バンクのようなことを取り扱った場合においては、これは病院ではない、診療所でもない、この眼球を粗末に扱っても、これは何ら制裁がない。六条においては、病院及び診療所の管理者ということが書いてあるのであるが、こういう人はどういうふうに取り扱ってもいいんじゃないかというようなことも出てきやしないか、こういうふうに思いまして、この七条の適用に当りましては、私は、よほど注意を厚生当局がなされなければならぬというように考えておる次第であります。
 なお、この二条においては、「医師は、死体から眼球を摘出することができる。」この医師と移植する医師とは同じ医師であるのであるか、ないのであるか。ここも一つお開きいたしたいのでございますが、別々で成り立つものであるか、同じ人であるかは、厚生当局いかがですか。
○政府委員(小澤龍君) 建前といたしましては、医師であれば、同一の医師である場合も、ほかの医師である場合もあり得ると思います。実際問題といたしましては、同一の医師が、かたがた眼球を摘出し、かたがた手術をするという場合がより多くはないかと、こう予想をしております。
 なお、だたいまの勝俣先生の御注意は、まことにごもっともでありまして、先ほど申し上げましたように、眼球自体をあらかじめ摘出して、そうしてこの目玉は要りませんかといったような業はとうてい予想されませんし、また許すべきではない。この法文並びに実際問題からわれわれの考えておりますのは、せいぜい申して、そういう人の登録、紹介という業ということを想定しておりますので、成立いたしました暁におきましては、この実施に当りましては、そういう趣旨のもとに、慎重に進めていきたいと考えております。
○竹中恒夫君 私も、前回の委員会で、いろいろと提案者から御意思なりお考えを承わっております。非常に善意に立脚しことでございまするし、目的が非常にいいことなので、すみやかにこれの成立を私は希望いたすわけであります。希望いたすわけなんですが、それを前提として、前回の私の質問なり、それによっていろいろと考えられた点もあられると思うのですが、重ねて申し上げる必要もないわけなんですが、結局、私の考えとしましても、やはり本人の意思ということをどうもこの際取り上げたいという気がするわけですが、しかしこれは、この短い国会に何とか早く成立させたいという、提案者なりあるいは政府当局、衆議院の御意向なれば、別の機会に考えてもいいと思うのですが、簡単にできるものであるならば、死体ということですから、物でなしに、本人の意思、事前の意思、遺言があったならば、その意思というものを当然に取り上げてやるべきではないかという気がするわけなんですが、そうした点が手続の上、時間的にどうかという点で、私も実はしいてこれを主張するわけじゃございませんが、その意と、それから、もう一つ問題になりますのは、この間の委員会でも問題になったように、ほかにも移植術があるわけです。たとえば、歯などがあるのですが、いわゆるりっぱな死体の歯を抜いて、そうして再植なり移植できるわけですね。目だけに限った、角膜に限ったということだけが言われるが、いろいろなものが進むにつけて、先般の議論のように、卵巣の移植とか、いろいろなことがあるわけですね。そういうことに対しては、一応今問題にもなっておらないからということで、角膜だけになさったのだろうと思いますけれどもね。医者側から考えると、なぜこれだけ取り上げなければならないのかという気がするのですね。そうした点について、もう一回お考えをお尋ねいたします。
○衆議院議員(中山マサ君) 竹中委員のお言葉、まことに専門家でいらっしゃられますという立場から、非常に御造詣の深い御質問だと私も思うのでございますが、何と申しましても、私はしろうとでございまして、そういうことができ得るということさえ存じませんでした。それで、この角膜の問題も、これは私が思いついたのではございませず、舞台裏をはっきり申し上げますると、スタインバーガーという機械部隊の軍曹、これは、カリフォルニア大学を出た、非常に優秀なる二十五才の青年でございましたが、この人が日赤本社を通じまして私を呼ばれまして、こういうものをするにつけては、どうしてもその国の法律に抵触するかしないかということも聞きたいしというので、井上眼科医院長さん、黒沢博士その他の相当な方々に御集会を向うでお願いになりまして、私が呼ばれて行ったという、ほんとうのしろうとの立場でございまして、日本に来てみて、あまりにもめくらが多過ぎると、それで、自分の両親がカリフォルニアにおいて、こういう社会運動に非常に興味を持って、本職のかたわら運動をしておると、自分も日本に来て、もうすぐ解除になって帰るのだが、一つこれを日本に自分が来た置きみやげにして帰りたいと、善意の置きみやげであるという話を聞きまして、私も、日本の目の悪い人に対して、外国の駐留軍のこの青年がここまでも熱意を持っていて下さるのだったら、私はしろうとだけれども、国会議員であるという立場からでき得ることならば、ぜひこの意思を生かして参りたい。こういう考えから出発いたしまして、ほかの人間の部分というものが取りかえられるなどということは、衆議院におきまして参考人に来ていただいて、これは社会党さんの御要望でございましたが、来ていただきまして聞きまして、初めてわかりましたような次第でございます。それで、こういう話を間かれまして、社会党の滝井、この方も御本職がお医者様だそうですが、厚生省におかれましては、こういうふうに、いろいろなる部分がそういう移植ができるということであるならば、ぜひ一つ、これを機会に体系を整えて、後日ぜひ一つその資料をくれろという御要望もありましたようなことでございまして、これが出ましてから、そういうことがわかって参りましたような次第でございまして、ここがしろうとの悲しさとでも申すのでございましょうか、そういうことでございまするので、いずれは厚生省は、滝井委員の要望によって、この可能なる体系を終えて、資料を提出されることと思いまして、そのときにはまた移植法という意味で、角膜移植でなくて、全体を総括した移植という題名のもとに、私は新しく提出される日もあるかと信じておるような次第でございます。
 第一点の本人の意志。私がこれをお願いしたときは、実は本人の意思を入れておいたのでございまするけれども、御承知のように、解剖の方の立法の中には遺族ということになっているから、まあそういうことにしておいたらどうだというようなお話がございまして、こういうことになりましたのでございます。竹中委員におかれましては、私ども衆議院議員が今夜面しておりまするところの政治情勢をよく御承知でございまするので、これが一日も早く何いたしませんことには、またこれが何年か、何カ月かの間は空白になるということは、これを非常に待望して待っていらっしゃいますお方々にまた失望を与えなければならぬ。ここまで持ってきます間に、いろいろな面で、私のほとんど一年以上了解をとりつけるために苦労して参っておりますので、でき得るならばこれを通していただいて、後日移植法という新しい法でもって、先生方の今のお話もまた生かしていくことができましたならば非常に幸甚だと、こう思う次第でございます。
○政府委員(小澤龍君) ただいまの本人の意思という問題でございまするが、死体解剖保存法で遺族とだけなっておりまして、本人の意思に触れてございません。しかしながら、私どもの行政指導といたしましては、遺族の意思の中において、この本人の生前の意思あらば、これを尊重するようにということを行政指導して参っておりまして、今日までにおきましては、私どもの行政指導が大体もんちゃくなしに参ってきておるのでございます。昭和三十一年中に官公私立の大学で施行いたしました解剖は、系統解剖で四千六一体、病理解剖で六千二百体でございます。同じく昭和三十一年度中に――会計年度でございますけれども――国立病院でいたしました解剖数は九百三十九体、それ以外の病院等を合せますというと、この一カ年の解剖数は非常にたくさんの数に上っておりますが、大体生前における本人の意思を尊重したところの遺族の意思という行政指導によって、つつがなく運営して参っておるような次第でございます。もしこの法案が成立いたしましたならば、同じ精神、同じ趣旨のもとにこの法律を運用したいと考えておる次第でございます。
 なお、臓器の移植の問題でございまするが、実は私、歯の方は存じておりません。お許しを願いますが、歯以外のもので参りますというと、現在実用の段階あるいは実用の可能性のあるものを申し上げますというと、角膜と血管と骨でございます。角膜は、ただいま御審議中のものでございまするけれども、血管につきましては、実は東大の木本外科で従来二例ございました。一例は手術後死亡しております。一例は助かっております。これは、他人の死体の血管を使いましてやったものでございます。これは、今後相当発展するのではないか。現にアメリカなどでは、相当数多く行われておるということを聞いておりますが、日本におきましてはまだまだ、ただいま申しましたような事例数でございまして、研究中の段階であると言ってもいいのじゃないか。最近ニトロンとかバクロンとかという合成物質が研究されまして、いわゆる血管の代用品が研究されまして、この使用が相当盛んでございまして、もしもこの成績がよければ、こういう合成物質を使った方がなお都合がよろしいのではなかろうか、こういうふうに学者間では言われております。
 骨につきましては、たとえば背椎骨の固定手術のような場合でございまして、これは大体、現在では自分の骨を使っております。患者自身の骨を使っておりまして、腸骨の一部分をそぎまして、そうしてその本人の背椎の固定等に使っております。まだ第三者の骨を使ったという事例はございません。将来こういうことは、そういう他人のものをどんどん使うという段階になりましたら、われわれ行政当局といたしましても、相当考慮しなければならないという気がいたすのでございます。
 じん臓とか肺臓とか甲状線とか、神経、筋肉というものは、まだ動物実験の段階でございまして、実験成績を聞きますというと、どうもうまくいっておらぬ。動物実験は、まだまだうまくいっておらぬ。実用というのはかなり遠い将来ではなかろうか、こういうような学者間の話でございますので、一応御報告申し上げます。
○竹中恒夫君 今の御答弁の二点なんですが、本人の意思云々については、行政指導で適当にやると、それはけっこうなんですが、どうか、この考え方にありまするように、死体に対する礼意の保持という点から、十二分に死体そのものの礼意を考えるということから考えれば、当然本人の意思ということは、これより先行して考えなきゃならぬ問題ですから、適当に施行細則か何かで御考慮願いたいと思うのです。今の後段の方の問題なんですがね。御承知のように、今日心臓を取り出して、外で手術をしてやるということもできておるわけなんです。もうこれは、遠い問題じゃないと思うのです、私は実際に。まあ複雑な臓器は、なかなか困難ですけれども、ある程度のものはどんどんできると思う。特に、今御説明になった骨の問題などは、顎骨の損傷やカリエスになったような場合は、死体の顎骨を取って移植するということもどんどんやっておるわけなんです。先ほど歯を申しましたが、歯に限りませず、顎骨の移植でも何でも、今実際やっておりますが、そういうことを考えまするというと、やはり角膜に限定するということについては、学問の進歩が今ありつつあるにかかわらず、これを否定するがごとき結果になってはまずいという気持があるだけで、まあこれ以上私は申しません。一応そういうことを考えての質問だったということで、あなたの方でも、今後の行政措置を適当にお考えになられたいと思います。
○藤田藤太郎君 私は、この前ちょっと欠席いたしましたので、重複するかもわかりませんが、お許しを願いたいと思います。
 第二条で眼球を摘出する。で、私の聞いている範囲では、眼球を摘出しなくても、角膜だけ、たとえば日日生きている人の三分の一くらい角膜を取って、そうして移植してやることが可能だというお話を聞いておるわけです。そこで、それはこの第七条の「業」という問題が出てきたのじゃないかと思うのですがね。先ほどから聞いていると、業は成り立たないというお話があります。しかし、現実の問題として、生命を保って生活をしている者の三分の一の角膜を取って他の人が救われる。その場合に、十万円も二十万円もするということになってくると、三分の一取ったときに、完全無欠、その人の視力に差しつかえないのかどうかという問題が一つ問題になりましょう。それからそれに危険性があるということになってくると、またこれは、医術、医学、学術の面からも問題になってくる。そこらあたりがはっきりよく私にはわからないのですけれども、そういう点ははっきり、完全無欠で、それで視力が三分の一だけ減退するのか、どういう工合になるのかわかりません。そういうものとの関係で七条の「業」という問題になってきますと、それは、現実問題として非常にむずかしい問題が出てきやせぬかと思うのです。そこらあたりの関連を、これは一つ医学技術の問題と、それから、実際の問題との関係を少しお話しを願いたい。
○政府委員(小澤龍君) ただいまの御質問は、この前の委員会でも出たのでございます。純粋医学的には、角膜のきわめて小部分を取って相手方に移植するということは、可能なんでございます。そして、なおかつ、角膜のごく端の一部分であれば、角膜を提供した人も失明しないで済むことはあり得るわけです。ところが、実際問題となりますと、しばしば、角膜に傷をつけますと、相当注意いたしましても、いわゆる交感性眼炎という病気が出まして、片目だけじゃなくて、両眼失明の心配がくるのでございます。そこで、ごくわずかないわゆる目の外傷でありましても、その目の外傷の経過によりましては、残念なことだけれども、一眼をくりぬいてしまわないと、他眼に影響を及ぼすというふうな事例がしばしばございます。さように、医学技術的には、実際問題といたしまして、健康な人の角膜にメスを入れるということは、非常な大きな危険がございますので、医学上これを行うということはあり得ない、さよう御了承願いたいと思います。
 それからなお、移植いたしましても、角膜移植術は百パーセント成功するものではございません。せいぜい二〇%かあるいは四〇%か、外国の例、日本の学者の御意見等を参照いたしまして、せいぜいそんなところ、しかも、視力の回復の程度は、いわゆる一・〇までいきませんで、せいぜい、うまくいって〇・四か〇・五のところでございます。従いまして、さような危険を冒してまでも生体の角膜を取るということは、医学上、事実問題としては行うことがあり得ないと、さよう御了承願いたいと思います。
○藤田藤太郎君 そうすると、生存している人の角膜を少しでも取るということは、医学上、法律上、許されないということが第一ですね。それから、今ここに書いてある方法で眼球を取って移植した場合でも、成功率は今の技術の上では少いということになりますと、業として眼球の提供のあっせんをするときはという、ここで法律上、業として出してくるということですね、これは少し考えなきゃならきやならぬ問題があるのじゃないですか。これが第一点です。
 それから、生前の本人と遺族との関係の問題、ここらあたりをもう一度、一つ御意見を聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(小澤龍君) 先ほど申し上げましたような事情から、いわゆる営業としてこれが盛大にいくとかということは、とうてい私どもは考えられないことでございます。従いまして、この角膜移植を希望する人あるいは角膜を提供してもいいと言っている人々、そういう人の間に立ちまして、こういう希望者、こういう提供希望者がおるのじゃと、何と申しますか、連絡と申しますか、そういうことをいわゆる世の中のために奉仕的に行う、つまり営業として行うのではなくて、奉仕として行うという業は、これは篤志家によって営まれることはあり得るのではないか、こういう考えをするのでございます。しかし、その篤志家としての名前に隠れて眼球を高い値段で売買するというふうな不逞のやからが出てくることを抑えるために、この法律が特にそういう業ということを加えたものと、かように解釈いたします。
○藤田藤太郎君 しかし、業として行うということになると、今の厚生省の意図がどうであろうと、本人の意思でやるのですから、業そのものを法律で許可するなら、業として行うものの人格構成というものに対して、いずれ政令その他で問題が上ってきようと思いますけれども、その規律というものがはっきりしていなければ、いかにここで希望的な御意見が述べられても、これは、現実の問題とは違った格好になる。だから問題は、業としてという問題を、政令その他で行うときには、どういう厚生省はお考えで規律、それからその作業をやっていこうとするか、その法人になるか個人になるか知りませんけれども、それをどうしてそれじゃあ行政上の監督をしていくか、こういう問題が私は明確にならないと、この問題はつまびらかにならないと思うのですがね。
○政府委員(小澤龍君) 手続規定は、省令に委任されておるわけでございますが、従いまして、省令を制定するに当りましては、国会における皆様方の御論議というものを十分尊重いたしまして、関係各方面の学識経験者ととくと御相談申し上げて、慎重な態度で省令をきめたいと存じまするけれども、さしあたり、業を行う者の主体はどうであるか、信頼するに足るものであるかどうかという点が第一点だと思います。それからあっせんの方法手段ということが第二点だと思います。なおこれは、あっせんするに当って、若干の手数料等が当然要求されると思いますけれども、その金額等が適当であるかどうかという判断が第三点だと思います。その他考えられることは多々あると思いますけれども、そういったことを中心にいたしまして、慎重に審議でき得るような手続規定を作り、その規定に基いて業を行う者を厳選して参りたい。もし業を行う者があるとするならば、これを厳選していきたい。かように考えております。
○山下義信君 ちょっと私、先ほど勝俣委員の御質疑に関連して伺って一応わかったようでしたけれども、またわからなくなったので、もう一度願いたい。業としてということですね。これは、法律の用語としましては、言うまでもなく、営利を目的として、先ほど医務局長の言われたように、その行為を反復してそれを業とする者ですね。あるいは通念としてそうですね。それで、第七条の「業として」のこの規定は、一般に営利を目的としてこの種のあっせんをすることを許した法律ですね、これは。それで一体、実際としてそういう営利事業が成り立つか成り立たないかは別として、これは一つの営利事業としてやる場合を想定して、第七条というものが規定してあるのですね。それで、厚生省令では、できるだけそういう営利的な業者というものはなるたけ抑えて、そういう者にはやらさぬように、また非営利的な、どっちかといえば公益性のあるような形の団体もしくは個人、なるべく一つそれにあっせんをやらせるように指導していきたい。こういう方針だと、こういうことですね。法律はこう書いてあるけれども、実際は省令で許可という場合にしぼっていこうという考えだというふうに御意思が聞えたのですね。そうすると、ここに二つの疑問が起きるのですがね。一つは、厚生省令に定めるところによって厚生大臣の許可を受ければ、だれにでもできるという建前に第七条がなっておって、その実は厚生省令でその許可を受けようとするものを選別して、しぼっていこうとするならば、それは、省令にはまかせられぬぞという疑問が起きてくる。それならば、法律で明らかにしておかなければ、法律ではだれにでもできるということにしておいて、実際は省令でこういう種類の人にやってもらいたいという望みがあるならば、これは、本来ならば表に出して、法律事項とすべきものなんですね、建前は。省令の事項じゃない。省令の事項というものは、だれでもこれを営利事業として許可を受ければやらせるぞといって一般に許しておいて――これが法律です。けれども、実際はだれにでもやらせるのでないのだぞという重大な中身をそういうふうにして持っていこうとするならば、それは本来、法律の建前からいっても、省令に委任すべきじゃない。法律でこれは明らかにすべきものなのですね。これが私は一つ疑問に思う。
 それから、それに関連しますが、第九条の罰則というものですね。「六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金」という、この第九条の刑罰は、これは、第七条が営利事業としてやる者という前提で、第九条の罰則がこれはあるのです。これが非営利的なものを主として前提するという方針ならば、第九条の罰則は重きに失する。その刑罰の量が不均衡になってくる。第七条の持っていこうとする方向と、第九条の処罰のこの刑の量というものが、これは不均衡になる。第九条は、第七条が営利事業としての業種を想定して処罰がしてある。そういうものにやらすのでないという方針ならば、第七条の違反事項というものは、この処罰は、実はもっと軽くてもいいはずなんです。ここにアンバランスが生じてくる。これはどういうふうに割り切っていきますかね。一応ここに、立法意思を明らかにしておかなきゃなりませんよ。
○政府委員(小澤龍君) ただいまの御質問は、立法された側からお答え申し上げるのが適当かと思いますけれども、前段、私から一応了解しておるところを申し上げます。
 お説のごとくに、許可、認可の性格を立法的に省令でもって片づけるということは適当ではない、さようなことであれば、本法にこれを挿入すべきである、まことに先生のおっしゃる通りと存ずるのであります。私どもは、省令において先ほど申し上げましたような手続規定を入れますが、運営といたしましては、内面指導といたしまして、許可認定に対して、この国会におきまして先生方の御意見は、かように人道主義に立脚した事業は、営利にわたって、もうけ仕事としてやるのは適当でないという御意思と私どもは拝聴いたしまして、これを行政指導の面に強く反映さしていきたい、さように考えている次第でございます。
 それから、量刑が重きに失するのではないか、こういうことでございますが、これは、おそらくは、許可を得ないで勝手にもうけ仕事でやっている人間を対象として、この程度の量刑を立法者によってお考えになったのではなかろうかと、かように考えるわけでございます。
○山下義信君 これは、そういう政府当局の、御提案者を含めての御意思はわかりましたから、一応了承しますが、私は、やはり本法を運用した後に、適当なときに、法文の不備な点は場合によっては改正することもやぶさかでないという意思を御表明しておかれることが妥当である。少し無理な解釈をしていかなければなりませんから、あとで何か付帯決議があるにいたしましても、適当なときに法文の不備なところはまた後日改正するにやぶさかでない、こういう意思表示をしておかれる力がいいのではないかと思いますが、その辺は、提案者としていかがでしょう。また政府当局としていかがでしょう。
○衆議院議員(中山マサ君) ただいまの御心配、いろいろありがたく頂戴さしていただきますわけでございますが、いろいろ不備な点もあるということも御指摘いただいておりまして、すべての法律が、いつもこの国会にも、何々の法一部改正というものは、これはしょっちゅう出ておりまするから、こういうところは改正したらいいという強い御意思を拝聴いたしますれば、また今後適当なる時期におきまして、皆様方の御満足のいくようなことに持っていくことは、私としてはいささかも異議がないわけでございまするから、この点も、ここに記録にとどめさしていただきます。
○政府委員(小澤龍君) 私ども、この法律の運用はこれからでございまするので、運用した場合において、いろいろな場面に遭遇すると存じますが、それに基きまして、将来改正すべきであるならば、厚生省といたしまして、改正に努力するようにいたしたいと存じます。
○山下義信君 そういう最終的な御意図を承わったあとで伺っては済まないのですが、私としては、実はぜひ承わっておかなければならぬ点が一つございますから、それを一つ提案者から承わりたい。
 第四条なんですね。第四条の「礼意の保持」、これは、注意周到にしていただきまして、私としては、特にこれはありがたいと思うのですが、これは一つの道徳規定であります。提案者として、この第四条で、「礼意を失わないように特に注意しなければならない。」ということは、具体的にはどういうふうに注意をすることを望んでおられましょうか。これを明らかにしておいていただきたい。
○衆議院議員(中山マサ君) この問題も、いろいろと御相談申しておりまする過程におきまして、たとえば、人体全体の解剖をした場合に、その道の先生でございますが、ある所で、その解剖したあとの身体の腕と申しますか、どこか一部の骨を犬がくわえて、どこかへ持っていったことを聞いたことがある、こういう御心配を御表明いただきましたので、貴重なる病人に対する対策のための御研究に御自分の御遺体を御提供下さるお方様の骨の一部でもどこかそういうところに忘れ去られたのだと思います。悪意でそれが放置されたとは私は考えたくないのでございますが、それが犬などに運ばれておったというようなことがもしあったといたしますれば、まことにこれは、礼意を失ったやり方であると考えまして、それで、目を頂戴いたしまして、そうして角膜を取りましたあとの残りでございますね、これがひょっとどこかへ捨て去られるようなことがあってはならない。だから、厚生省は特にそういう点に気をつけて、その残余の部分は、また、目のほかの部分の研究のためにお使い下さいましたあとでも、またその残りでも、ちょっと焼却するとか、ちゃんと適切なる方法によってそれに対処すべきであるというところから、総括的に、そういう残余の部分に対して、これを粗末にしてはならない、貴重な身体の一部でございまするから、礼意を尽して、それを焼却するとか、あるいは埋めるとか、そういうふうな行為でなければならないという結論を、こういう形に表現さしていただいたのでございます。
○山下義信君 そういう御注意もけっこうでございますがね。私はお願いしておきたいと思うことは、厚生省が将来指導する上において、これが単なる死文に帰しては、私は、本案が人道上の法案であると言いながら、この第四条の道徳規定といいますか、注意規定が死文に帰しては、これは困りますから、指導上も注意していただきたいと思います。ただいま提案者の言われましたような死体の取扱い方はもとよりでありますが、これは眼球の摘出をいたすので、死体を取り扱われるのですから、みだりに必要部分以外の死体にさわりますようなことは、厳に慎しんでもらわなければならぬ。それから、その死体に対して摘出の手術をされる医師その他関係者は、死体に対しての敬意その他も厳に取る行うてもらわなければならぬ。たとえ手術室というようなところで行われる医学的な処置でありましても、十分終始敬意を表してもらわなければなりません。それから、注意をしていただかなければならぬことは、早いほどよろしいということが、先般来の委員会の質疑応答の中で、医学的にお話がありましたが、この死体の取扱い方は、もう人間が死にましたらですね。死んでからのあとは、これは、非常に重大な人生の儀礼の範疇に入ることになりますので、一体その死者に対する法事等が済んでおるのか、そういう前にするのか、済んだあとにするのか、そういう宗教的儀式が済んだかどうかというような点の関係も、注意深く取り扱ってもらわなければならぬ。特に私としては、その点をお願いをして、なお、この礼意を失わないようにするためには、その摘出した眼球を移植したその結果がよかったか悪かったかというようなことにつきましても、遺族の人に報告と言うと語弊があって、固過ぎるかしれませんが、謝意を表するとか、様子を言うとかということが礼儀です。それは、金を出して買うたといえばそれまでのことでありますが、また金の要らぬという方もありましょうし、移植したあとその仙万般の処置を遺族に十分これも伝えるということも、一つの礼意を失しない範疇に入ると思います。そういう点を一つ御注意を願いたいことを要望しておきます。
○藤田藤太郎君 いまの第四条の関連において、私も、先ほど本人の意思の問題を言ったが、御返事がなかったのですが、第二条の二項ですね。「眼球を抽出しようとするときはあらかじめ、その遺族の承諾を受けなければならない。」、ここまではいいのですが、「ただし、遺族がないときは、この限りでない。」というのは、どういうことを意味しておるのですか。遺族がない人は、勝手にやっていいということなんですか。本人以外にもう関係者がないわけなんですから。
○衆議院議員(中山マサ君) これは、いろいろむずかしい問題になると思いますが、盛岡の事例を先生は御承知でございますか。盛岡におきまして、これは問題になりましたのでございますが、精神病にかかっている内縁の妻が死去されましたときに、その夫が眼を献納と申しますか、されまして、そうしてそのことが、まだこういう法律も通っておりませんでしたものでございまするから、問題になりまして、裁判になりました。そうして結局におきましては、その喪主、内縁の妻ですから、その夫たる人は法律上の遺族ではないということになりまして、ただし、諸外国の例によりましても、そういう場合には、いわゆる葬儀を行う喪主をもって慣習上の遺族とするというところでこれがおさまった事例が、判例と申しますか、あるわけでございまして、そういう人もあるいは全然ないとはいえないということも、これは意味しておるかもしれないと私は思っております。
○藤田藤太郎君 そういう内縁とか、そういう関係の人はいいでしょうけれども、これは、そういう一つの判定をすることができるでしょうけれども、全然身寄りのない人が死んだ場合、これは、そういうときにはどうなるのですか。勝手にやっていいということになりますか。
○衆議院議章(中山マサ君) これによりましては、そういうことになっておりますのでございますね。遺族がなければ、持っていきようがないのでございますから。だんだんむずかしくなって参りますと、遺族のない、財産の場合には、誰もなければ、それは国庫へ財産は没収されるわけでございますね。ですけれども、遺体を国庫が没収をしてみたところがどうにもなりませんので、そういう場合は、仕方がないからこういう形が、遺族のない場合があるかもしれないということを想定いたしまして、これが入れてあるわけでございます。
○藤田藤太郎君 だから私は、そこを聞いているのです。遺族が全然ない人は、承諾なしでもそれができるかどうかということを聞いている。できるのですか、できないのですか。
○衆議院議員(中山マサ君) この法律を通していただきますと、できることになるわけでございますが、そういうく上然遺族のない人は、これは、だれかがやっぱり、公的の機関がやりますか、だれかがやることでございまするから、その人が承諾したらいいことになるのでございませんでしょうか。遺族がないからといって、やっぱりだれかが跡始末をする人が了解を与える、さっき申しました、あるいは慣習上の喪主でございますね。だれか喪主にならなければなりませんから、喪主に御了解願わなければ仕方がないのじゃないかと私は思っております。
○藤田藤太郎君 そこは非常にむずかしい問題だと思うのです。たとえば、付か、交通とか水難とか、何かの事故でなくなるような方があります。それからまた一人で、自分の葬儀費用はともかくとして、葬儀費用がなくて死んだ人の死体をさわっていいのかどうかということを聞いている。これは自由に、どっかのものがさわっていいということになっているのだが、そういうことになれば、非常に問題がありゃせんかと、だから、遺族とか、または遺族に類すると判定のできるものの了解を得たときにはこれはさわると、そうでないものはさわってはいけないということでなければ、それは自由に、どっかの適当な場合にいるものがさわっていいということじゃ、四条の礼意の問題とは食い違うのじゃないですか。
○衆議院議員(中山マサ君) それじゃその責任者の方から。
○政府委員(小澤龍君) 死体解剖保存法に、これと類似の規定がございます。死体解剖保存法の場合には、死後三十日をこえて遺族が現われないときには、医師が、死体を解剖する人が、医学の研究その他の目的で解剖することができるということになっておるのでございます。ただ、この死体の場合においては、三十日という日にちの余裕がございます。その間遺族を探すということができるわけでございますけれども、この場合は、三十日たったのでは、角膜移植の役に立たないというところから、それは立法者におかれまして、死体解剖保存法というような日にちの制限を付さなかったものととれるのでございます。先ほど御指摘の、何か事故があって急になくなったという方は、この第三条ですね、変死体もしくは変死の疑いあるときは、これは移植できないことになっております。おそらくは、ただいま御指摘の事例は、養老院その他施設に収容されておって、遺族が全くなくて、孤独で収容されておるような人がなくなった場合と存ずるのでございまして、もしこの法律がこのまま通るといたしますれば、私ども行政指導といたしましては、本人の生前の気持を確かめてからというふうな指導をしたいというふうに考えております。
○藤田藤太郎君 そうすると、遺族のない人は、原則としてやらないが、生前のその人の意思、それによってやる、遺族に類似して客観的に認められるもの以外は、生前の本人の意思の発意以外にはやらないと、こういう工合に、「ただし、遺族がないときは、この限りでない。」というのは理解していいわけですね。
○政府委員(小澤龍君) この法律を真っ正面から解決しますと、遺族のない人は、どんどん一方的にやっていいわけでありますが、ただ、私どもの行政指導といたしましては、そうでなしに、こういうふうに、本人の意思を確かめるようにという行政指導をしたい、こう存ずるのでございます。
○藤田藤太郎君 私は、そこを明確にしておいてほしいと思います。これは、必ず間違いが起きますよ。単に養老院とか事故の変死の場合は別ですが、どっかの町で寝ていて死んだと、それじゃただし書きでやっていいのだということで、その場に、周囲における適当な処置というものが私は行われることになる、この四条の礼意の問題の関係で非常に重大だと思うのです。礼意の保持、との関係においてですね。だから、その点は明確にしておいてほしいと思うのです。
○衆議院議員(中山マサ君) ただいまの遺族のない場合というので、御心配いただいておるのでございまするが、それで、明確にする必要があるという御配慮でございまするので、何か付帯決議ででも一つ、そういうことをうたっていただきまして、その行政当局に対して一つのワクを作っていただきますれば、解決できるのじゃなかろうかと思っております。
○横山フク君 今のお話なんですが、付帯決議と行政指導と、法律の本文とでは、その効力の度合いはどうなるんでございましょうか。法律の本文の方が強いと思うのです。付帯決議をやったからといって、「遺族がないときは、この限りでない。」という場合においてやったのだからということでは、私は、付帯決議と行政指導と、それから法律の本文との効力の度合いからくる問題だろうと思いますが、いかがでございましょう。
○政府委員(小澤龍君) ただいまの点は、まことにその通りの御意見でございます。ただ、われわれ行政指導に当りましては、その点、礼を失してはいけないと、崇高なる人道主義に基いているこの法律でございますので、万事礼意を失しないように、これを尊重して、敬虔な気持で行うということで全部の行政指導を貫きたいと存じておるのでございます。いかにもこの法律にはこう書いてありますけれども、これに違反する場合でも罰則がないわけでありまして、罰則がないから違反してもいいというわけではないのでありまして、それで、私どもは、すべて法の精神を生かして全部が行われるように、行政指導としては進めていきたいと思うものであります。
 ただいま藤田先生の御指摘の問題は、多くは養老院等の施設に長期間入所しておった者の場合に起きやすい問題だと思うのでございますが、その場合は、私どの行政指導として、本国会の御意向を尊重いたしまして、できるだけ生前の本人の意思を確かめるようにすること、並びに施設長が必ずこの行為について同意するというような行政指導をしていったらいかがかと、こんなふうに考える次第でございます。
○藤田藤太郎君 今の局長のおっしゃったことは、私は了解するんですよ。遺族があるとか、客観的に遺族にかわった措置を講ずるとか、変死の状態とかにそういう措置をするということは、私はそういう措置がしてほしい。しかし、そういうものがどこで明確になるかということを私は言っているんであって、そうでないと、単に病院ばかりじゃないと思うんです。個人の家でなくなられた方もあると思うのです。そうすると、その種類はどう措置しなくてもいいとこの法律はなってしまうんだから、だから、付帯決議の問題が出ましたが、行政指導を明確にするなら明確にするというように、明らかにならないと、ただ付帯決議と行政指導ということだけでは、私は問題があるんじゃないかということを言っておるんです。
○政府委員(小澤龍君) 適当な付帯決議をいただきますれば、その線に沿うて私どもは専心この行政指導に努めるつもりでございます。万が一皆様方の御意見に反したような事態が出る場合には、その場合においては、即刻法律そのものを改正して、先生方の御意思が徹底するような措置を講ずるというように考えております。
○横山フク君 局長の言われることは、私はよくわかるのですが、しかし問題は、局長がするのでなくて、それで民間人が、「遺族がないときは、この限りでない。」ということを拡大解釈してやった場合に、これは行政措置でやりますと言っても、私は、「遺族がないときは、この限りでない。」というのだからやったんだというのでは、あとあとまで困ると思うんです。「遺族がないときは、この限りでない。」と、法律に書いてあるだけに、始末が悪いと思うんです。罰則がないから、なお始末が悪いと思うんです。それを、行政指導をするとおっしゃっても、行政指導をする対象だけがするならいいけれども、そのほかに、別途にする場合もあると思うんです。そういう場合どうなるかということになると思うんです。これは明文化し過ぎて、先ほどから私も疑問に思っていたんですけれども、これはかえって、「遺族がないときは、この限りでない。」という形で出ていると、軽視した、軽く考えた気持が出ておるんです。法律であとで直すと言われるけれども、法律であとで直すというものが予測されるのにそのまま通すということは、私はおかしいと思うんですね。
○政府委員(小澤龍君) これは、この法律におきまして明らかな通りに、眼球摘出手術、それから、角膜移植手術を行う者は、医師に限るわけでございます。従いまして、医師は当然のこと、この死体を敬虔な気持を持ちまして、この問題を処理すべきものと私どもは考えておるのでございます。従いまして私どもは、医師会その他を通じまして、なお念には念を入れて行政指導をする。万が一行政指導に反したような場合におきましては、単にこの法に罰則がなくとも、別途行政処分等の道もございますので、私どもは十分に、全国の医師を医師会等を通じまして指導いたしまして、国会の御審議、御意見に相応するように善処して参りたいと考えております。
○田村文吉君 議事進行。五分間休憩されたらどうですか。
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記を起して。
 一応本案に対する質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議なしと認めます。
  ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) 次に、衛生検査技師法案を議題といたします。
 質疑を願います。
○高野一夫君 私は、基本の問題について、衆議院側の八田先生、山口公衆衛生局長に私の見解を申し上げて、かつ、あなた方の御見解を確かめておきたいのであります。
 それは、この法案の第二条に、衛生検査技師なるもののなすべき検査の仕事が掲げてあるわけなんです。これは明確に、細菌学的、病理学的の範囲に限局されている。この病理学的、細菌学的の範囲に限局されたるものに、衛生検査技師なる広範なる名称をつけたというところに、私は問題があると思う。従って、一番最初に、福田衆議院議員が衛生検査技師法案を国会にお出しになった。これに対しましては、私どもは、その内容について疑義を持ったので、これに反対をして、そしてわが党では、病理、細菌検査技師法なる法案を作って、衆議院に提出して、両法案が並行して継続審議の形になっておったのは、御承知の通りである。その後両党の政治的折衝の結果、内容は自民党側の病理、細菌検査技師法案の内容をとって、少くとも第二条のこの仕事の面においてはその内容をとって、そして一方に名称――検査技師並びに法律の題名については、福田議員の提案の衛生検査技師または衛生検査技師法案なる名称を取ることによって妥協ができて、今日回付されてきたわけである。これは、私が申し上げるまでもない。これは、両党議員の一致した話し合いで、しかも、衆議院では、全会一致で委員会、本会議を通過した案でありますから、私は、この法案に対して何ら異存はない。反対しません。反対はしないけれども、はっきりとここに確かめておかなければならない。それは、この衛生検査というものは、明治時代からすでに学界において常識的に使われておる一つの言葉なんです。そして明治時代から、学界においては衛生検査法なるものがあったわけです。そしてそれは、法律ではございませんけれども、分析あるいは衛生化学方面の、あらゆるものの化学的検査をやるものが衛生検査法として、分析の方法、検査の方法がきめられてあって、政府の公定書じゃないけれども、全く公定書同様の権威を持って、所管庁のその方面の化学的の仕事をする人たち、あるいはその衛生検査法を基準にして仕事をしておられる人たちの間に、そういう衛生検査法なるものが存在しておった。ところが、衛生検査法なるものが、御承知の通りに、全くの分析科学、あるいは医療分析、あるいは衛生化学的検査方法であって、ところが、ここにある衛生検査なるものは、全く医学的の病理学あるいは細菌学的の仕事に限局されている。非常にこの点は、この仕事の内容とこの衛生検査技師あるいは衛生検査技師法案という名称とそぐわないものと私は思っておる。しかしこれは、そういうような話し合いが一致してできたのだから、これは、結果としては同意いたしますけれども、ここで、今後の取締り面において細心なる注意を払ってもらわなければならないということと、衛生検査なるものの考え方、学術的あるいは技能的の考え方に今後非常に混乱が起る懸念がある。これを私はこの際はっきりとしておかなければならぬと思うわけであります。従来の衛生検査は、先ほど申し上げた通りに全く化学的の、ケミカルなものを衛生検査として、そういう学問的な分析をすべてきめてある。これには化学的の検査は何らやらないことになっておる。また、医師の指導監督のもとに多年の間習熟されたにしても、化学的仕事が当然全般にわたってできるものとは考えないから、だから、化学的の検査をすることについては、われわれは最初から絶対反対している。そして病理学的なものに限局したわけです。ところが、病理細菌学的なものはわかるのだけれども、衛生検査技師というものについては、さような従来の長い間の学術的業務的の伝統、またそういう名称があり、いろいろいたしますので、こういう混乱を今後いかにして防ぐことができるかということであります。
 そこで、一たび衛生検査技師なる肩書きを取って、保健所へでも病院へでも行く。そうすると、ここに書いてある通り、「医師の指導監督の下」ではあるけれども、衛生検査技師だから、全般にわたって衛生検査をやっても差しつかえないじゃないか、こういうふうなことに誤まり考えらるようなことがあると、これは非常に大へんなことになるわけであります。そこで、私の心配するのはそれなんでございまして、あくまでも病理細菌の検査に限局していただかなければならないが、名称がたまたま衛生検査技師法などという、広範な化学的の仕事を含めた名称になっておるので、その混乱をいかにして防がれる用意があるか、これは私は、厚生省に伺いたい。
 そこで、この点について、衛生検査技師が今後養成され、その技師のあり方についても、十分技師自身いろいろ考えていただかなければならないけれども、この技師を使って仕事につかせるその人たちがこの法律の内容を十分吟味して、そうしてその仕事の内容も限局されたものであるということを十分吟味した上で仕事につかしめなければ、とんでもない間違いが起る、こういうことを私は学問的に心配する。そこで、衛生検査技師だから、保健所で、それじゃいろいろな、食品衛生検査もできるじゃないか、こういうふうなことにでもなれば、おそらくそれは、保健所の所長にしても、どこかの病院の病院長にしても、この二条によってはっきり限局されたるものであるということを把握されて、そういうことは万間違いないと私は考えるけれども、とかく法律が誤認されて、誤まり活用される場合がなきにしもあらずでありますので、その点は、私は非常に懸念するわけであります。従って、これについて今後どういうような方法を講ぜられるか。たとえば、医師が医師法等によって、医師、歯科医師法なり、あるいは医療法等によって、医師、歯科医師のなすべき業務がきめられる。薬剤師もきめられる。そうして医師がその業務にないものをやれば処罰される。歯科医師も処罰される。薬剤師も処罰される。ところが、第二条でいう衛生検査技師なるものができて、限局された範囲の仕事をやればいいけれども、それ以外の逸脱した業務をやった場合に、これをどう取締るかということが、この条文の中には探しても見当らないような気がするのであります。従って医師歯科医師、薬剤師ごときものが逸脱した行為をした場合に、医師、歯科医師、薬剤師がそれぞれ処罰を受ける。それに該当するようなふうに、衛生検査技師が逸悦した場合に、いかなる取締りの措置をなさるつもりであるかどうか、これは、私が見落しておるのかもしらぬが、それをお教えを願いたい。並びに第十八条に、それと関連いたしまして、「衛生検査技師の信用を傷つけるような行為をしてはならない。」と、こう書いてあるのは、どういうことを意味するのであるか。業務上のことであるか。もちろん、免許をひえた医師でございますから、業務上の問題に関することであると思うけれども、これも、当局が監督指導あるいは取締りをする面において重要なる第十八条の条文であると思うので、この意味も、一つ八田先生の御解釈並びにこの法律をわれわれが通したあと、厚生当局がどういうふうに考えられるか、こういう点について一応私は伺っておきたい。まず、その辺で御見解を伺って、それではっきりいたしますれば、私の質問は終りたいと思いますが、はっきりしませんければ、もう一ぺん繰り返して質問したいと思います。
○衆議院議員(八田貞義君) 衛生検査技師という名称の問題でございますが、衛生検査という名前が一般的になっておりますので、そういう見地から、衛生検査技師という名称を用いるようになったわけでございます。
 そこで、衛生試験検査というものが、医化学的試験にも衛生試験検査という名称を使ってやられておりますが、また、病理細菌学的検査におきましても、「衛生検査指針」というものができております。そういうものにのっとってやられておりまして、地方の条例等におきましては、すでに衛生検査技師という名称も使われておると思うのであります。それで、仕事の内容を十分に明確にいたしまして、一般的に使われておる衛生検査技師の名称をこの法案において使おう、こういうふうに衆議院の段階におきましてきめてここに持って参ったわけでございます。内容は、決して第二条の仕事の内容を逸脱するものではない。ただ、名称は一般的に使われておったので、衛生検査技師という名称を使った、こういうような解釈でこの名称を使ったということを御了承願いたいと思います。
 なお、その他の御質問につきましては、行政上の問題点が多いと思いますので、事務当局から答弁いたさせます。
○政府委員(山口正義君) 名称を衛生検査技師法とされました理由につきましては、ただいま提案者の八田先生から御説明があったわけでございます。
 高野先生の御指摘のように、従来のいわゆるケミカルな面を主とした衛生検査と、この法律で申します衛生検査、病理細菌検査を主とした衛生検査とまぎらわしいから、今後行政的にそれを指導、取締りをしていくときに、どういうふうな態度でやっていくかという御質問でございますが、私ども、第一には、第二条に定めてございますように、この法律で衛生検査と申しますのは、第二条に規定されておりますような範囲のことでございます。さらに第二条の中に、「その他の政令で定める検査」という字句がございますが、政令を定めます際にも、たとえば、いわゆる生化学的検査のうちで、薬剤師と特に関係の深いビタミン検査などとは違いまして、尿の蛋白含有量の検査とか、あるいは糞便中の血液混入調査、その他尿糞便、胃液、髄液などについての衛生的諸検査だけをこの政令で定めるようにしたい。そういたしまして、この法律の趣旨としておられます衛生検査の範囲を逸脱しないように、政令を定めます際には十分注意してやって参りたい。そういうふうに考えておるわけでございます。
 また、本法で定められました衛生検査技師という人たちの仕事の範囲と申しますのは、この法律で定めてございますような仕事をするのであるということを、これは行政指導によりまして、その衝に当る地方庁の人たちあるいは研究所の人たち、あるいはその他のいろいろの機関の人たちにその趣旨を徹底させていくような措置をこれから講じていかなければならない、そういうように考えておるわけでございます。
 それから、罰則の問題でございますが、これは、名称制限の法律でございまして、業務制限の法律内容になっておりませんので、これは、業務制限ということは、高野先生御指摘の線とちょっとピントがはずれておるかもしれませんが、業務を、どうこうするということを制限するという……、この衛生査技師という名称を用いて衛生検査の仕事をしてはいけないという制限だけでございますので、衛生検査技師でなければこの仕事をしてはいけないとか、衛生検査技師はそのほかの仕事をしてはいけないというような制限は、ここにはっきり入っておりません。この法律で衛生検査技師というのはこうこうだという規定だけでございますので、その点、高野先生の御指摘になるような罰則という問題がこの法律に出ておりませんので、その罰則によってのいろいろな行政的な取締りということは、この法律ではできかねると思うのでございまして、もっぱら行政指導によりましてこの法律の趣旨を十分徹底させて、この法律で衛生検査技師というのはこういう仕事をする人であるということを徹底さしていきたい、そういうふうに考えております。
○高野一夫君 局長に伺いますが、免許を与えて、衛生検査技師なる資格を定めることになる。そうしてその技師なるものは、第二条によってはっきり、かくかくの検査を行うことを業とするもの、こういうふうになっておって、その業とする内容が二条にはっきりと定義づけられておるわけなんで、そこで、その技師が定義づけられたるその業とする内容の範囲においてやるならいいけれども、それを逸脱した場合に、それに対する監督、取締りができないということがあっては、私はこれは困ると思うのだが、それは、今後何か政令とか省令でやる方法でもお考えですか。これは、あらゆるものが免許を受けて資格を受ける。その資格を受けた者が定義づけられたる業務を逸脱した場合には、ことごとく全部取締りの対象になっているはずだったけれども、それが、今お話のあったようなことであるならば、免許を受けない者がこの技師を僭称するということはいかぬ。第三者を取締るということだけであって、免許を与えたる技師自身に対する取締りがあるかないかということは、これは私は、相当深く考えてもらわなければならないと思う。これはどうですか。衆議院で、こういう議員立法でできたのだから、われわれもそれに対して、党の関係だから再任があるのだけれども、政調で吟味したあとだけれども、いろいろやっている間に、いろいろなことを思いついてくるので、一応伺っておきます。
○政府委員(山口正義君) 私どもの解釈といたしましては、業務制限ではございませんので、たとえば、この衛生検査技師の法律案に定めております病理細菌検査あるいは高野先生御指摘のようないろんなほかの諸検査というものは、特にだれがやってはいけないという業務制限は、現在のところ、法律に規定はないわけでございます、従いまして、この法律の趣旨は、衛生検査技師という免許を受けて、衛生検査技師という名称を使ってする仕事はこれこれであるという規定だと、私はそういうふうに解釈しております。
○高野一夫君 それはわかるのですが、だから、衛生検査技師が二条に定めたることを業としてやるにはこうも差しつかえないが、その立場において、逸脱して、それ以外の仕事を業としてやるという場合にはどうなさるつもりであるかということを私は聞きたい。それがないのです。しかも、そういうことは、非常に今後十分当局としては注意しておかなければならぬものだと思う。先ほども申し上げた通りに、この言葉の使い方からして、今後相当の混乱をきたす懸念があると私は思うから、それを老婆心で申し上げるわけであります。そういう事態が発生することはないと思うけれども、母体としては、やはり万全の策を講じておかなければなるまいと思うのです。
○政府委員(山口正義君) 先ほどもお答え申し上げましたように、この法律は業務制限ではございませんので、ここに規定をしてございます衛生検査にいたしましても、あるいはそのほかの生化学的検査にいたしましても、だれはやっちゃいけないという規定は、現在のところこの法律にもございませんし、そのほかの法律にもないのでございますので、たとえば、この衛生検査技師の名称を使ってる方がほかの検査をされましても、それを罰するということは、現在の法律ではできない、そういうふうに考えております。
○高野一夫君 そうなると、あなた、それは大へんなことになる。もしも日本酒をどんどん持ってきて、この中に防腐剤が入ってるかどうか検査してくれ、私は御生検査技師だからやりましょう。こんなことで、この第二条の中にはないけれども、そういうことをかりに業としてやった場合、あるいは、たくあんの禁止した着色であるかそうでないか、あるいはそのほかの飲食物の漂白剤、防腐剤、あらゆるものについて、その検査が非常にこれはやかましくなる。それを業としてやった場合に、これは、第二条には全然許されてないわけなんです。ところが、許されてないことをたまたま、やはりその方の仕事も衛生検査の、しかもそれは本筋である。従って、名称が衛生検査技師だから、本筋の方に入って、それじゃたくあんの検査もやりましょう。ミルクの検査もやりましょう。お酒の検査もやりましょう。メチルアルコールの検査もやりましよう。こういうことに逸脱して、そういう不心得な技師があるとは思わぬけれども、万一あった場合に、それをどういうふうにするかと、これは、行政当局として考えておいていただかなければ、これはとんでもないことに私はなると思う。
○政府委員(山口正義君) もちろん、他の法律――医師法とか、薬剤師法とか、あるいは金品衛生法、いろいろな法律がございますが、その法律の規定に抵触するような場合は、そちらの法律に基いて取締っていくということになるのでございまして、この法律自体として取締るということができないということを申し上げるわけでございます。
○高野一夫君 しからば、あなたの御専門の、あなたの所管にある食品衛生のことを伺いますが、昨年の通常国会で食品衛生法の改正案を通した。あの中に、食品用薬品の公定書を作ることになった。また、いろんな添加物について非常なやかましい問題が出てきて、それであの改正案を作ったわけなんです。そこで、それじゃ食品衛生の検査、防腐剤、漂白剤、いろいろな毒劇物を使う、そういうものを検査するのはだれだれでなくちゃいけないというのが別個に、食品衛生法なりそのほかでありますか。それがあるなら、食品衛生法なら食品衛生法でもって、食品衛生関係のそういう検査はこの方でやるんだから、こういう人にはやらしちゃいかぬということはいえるけれども、私が記憶するところによると、食品衛生に関する毒劇物の検査あるいは着色の検査、それはこういう者でなければやっちゃいかぬということはなかったように私は思ってるんだけれども、それはどういうふうになりますか。
○政府委員(山口正義君) 食品衛生法自体にそういう規定はございませんが、たとえば、医師法、薬剤師法において、医学的な検査をし、また化学的な検査をして、判定を下し得るというのはその人たちの権限になっておりまして、医師、薬剤師の責任において、極端な申し上げ方をいたしますと、しろうとの方にいろいろ検査の手伝いをさせる、化学的な検査あるいは細菌学的な検査をさせるということは差しつかえないのではないかというふうに存じます。
○高野一夫君 私は、この法律をぶちこわすために質問してるんじゃなくて、これを一つ協力して通して上げて、いかにかして、せっかく病理細菌の面において長い間苦労されてる人たちが、医師の指導監督下において一人前の仕事ができるようになるようにと、こう思って、これをこのままわれわれは全幅の賛成で通したい、そう思って私は質問している。だから、そのためには、ここで万全の対策を厚生省がお考えになっておく必要があると、こう思うから、私は注意を申し上げてるわけです。
 そこで、今のお話を伺っても、やはり私は、その権限というものははっきりはしてないと、こう思います。ことに、一番これを逸脱しやすいのは、いわゆる化学的、試験の方面の、いわゆる本筋の衛生検査の一面に逸脱する可能性があればあると、こう思うわけなんであって、その方面について、権限はどこに必ず規定してあると、こういうことは私はないと、こう思うので、それを私は心配するわけで、この免許を受けた人はみんな善良なる人で、そうだろうと思うんですが、世の中には、いろいろな人が各社会には出て参りますから、いかに悪用する人が出ないとも限らない。そこで私は、ここで注文を申し上げておきたいことは、これをそんなふうに、逸脱しないようなふうに行政指導をどうされるかということは、きょう伺わなくてもよろしいから、さらに今後十分研究していただいて、こうした逸脱したものは、適当な方法でもって、たとえば検査技師の免許を取り上げるとか、どうするとかいうような方法なり何なり、いわゆる信用――第十八条に、先ほど私があげた検査技師としての信用を失墜するものである、そういう行為をなす者である、こういうようなことにも考えようによっては解釈が成り立たぬものでもないと思う。それで、この法文の全般について、厚生省案ではないけれども、厚生省において十分研究されて、これに混乱が起らないように、この取締り監督が厳重に適正になされるように、速急に一つ検討されて、この法案通過後でけっこうでありますから、適当な機会に、われわれはこういうふうに厚生省として今後指導するつもりである、こういう考え方を二つお聞かせ願いたい。
 もう一つ伺いたいのは、これはあくまでも医師の指導監督下にやるのであって、医師がいなければできないものだと了承しますが、これは間違いないですね。これは八田先生。
○衆議院議員(八田貞義君) ただいま高野先生からのいろいろな御指示、御注意に対しましては、十分に今後間違いないようにやっていくつもりでございますが、ただ、今度の法律の要旨は身分法の規定でございまして、第二条にありますように、医師の指導監督のもとにやられる仕事でございます。従って、医師の指導監督以外の仕事というものは、この法律においては慰めていないわけでございます。ですから、あくまで、たとえば、先生も御承知のように、主として今日やられておる衛生検査ですね、官公私の衛生研究所、保健所の検査室または病院検査課等で行われておるわけでございます。ですから、ここらに働いている人方を今日身分法によってお救いすると、あるいは資質の向上を願うというのがこの法律を作った趣旨でございますので、当然、今申し上げましたような施設においては、医師の指導監督のもとに行われておるわけでございます。ですから、これから先の、医師の指導監督以外の業務というものは、この際、現状から考えまして、今のところ考えていないわけでございます。もしもそういうようなことがやられては大へんなことになりますので、特に医師の指導監督のもとにというように、明文化いたしておるわけでございます。
○高野一夫君 もう一つ伺いますが、病院とか保健所、診療所、療養所あたりで、そこには、事実自分が指導監督を受けるべき医師等がおいでになる。こういうところでは問題ない。ところが業とするものです。私がかりに衛生検査技師になりまして、その免許を受けて、うちの前に看板を掲げる。そうして近所に医師がいる。私は何々、八田医学博士の指導監督のもとにこれを業としてやるんですと、こういうことは許されますか。これは厚生省からでもいいんですが。
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記をつけて下さい。
○衆議院議員(八田貞義君) たとえば、「医師の指導監督の下に」の拡大解釈でございますね。これはたとえば、今高野先生がおっしゃいましたように、私が技師でもって、そこの管理者になりまして、そういった形態の衛生検査かできるかどうかという問題です。これは業務立法に入ってくると思うのです。こういった形態は、現状から考えて、まず今のところは対象にならぬと、こう考えまして、現在働いておられます現状から考えまして、こういった規定を用いたわけでございまして、あくまでそういった業務立法によって取り締らなきゃならぬという部面が出てきた場合には、私としても考えていきたい、こう思います。
○政府委員(山口正義君) 先ほど高野先生から、今後の行政指導について御注意を受けたのですが、その際免許の取り消しをしたらどうですかということですが、本法での免許の取り消しは、要件がきまっておりますが、ただ、先ほど御指摘になりました第十八条の「信用失墜行為の禁止」ということは、これは、本法が業務制限の法律でない関係からこういうことが入っておりますので、これは結局、先ほどから高野先生が御指摘になりましたような点、定められた仕事以外のことをしないようにというような趣旨もその中に入っておるわけでございますので、この十八条の趣旨をも尊重いたしまして、先ほど高野先生の御指摘になりましたような点、十分注意して今後の行政指導に当って参りたいと思います。
○片岡文重君 今の高野委員の御質問に対しての立案者の御答弁によると、医師の指導監督というのは、特に町で開業しておられる、衛生検査技師の仕事をしておられる諸君の上に問題が起ってくると思うのですが、その場合には、業務立法において適当な処置をとられるという話のようにも聞いておったのですが、そうすると、この指導監督という拘束をする範囲といいますか、検査技師を規制していく監督の範囲、これは一体、どの程度までをこの範疇に入れてお考えになっておるわけですか。
○横山フク君 関連して。この指導監督ですね。検査した結果を発表いたしますね。その場合に、「医師の指導監督の下」ですから、検査結果を外部に発表する場合には、医師の名前でもって発表するのか、衛生検査技師の名前で発表するのか、これは当然、私たちの解釈では、医師の名前で外部に発表する形になると思うのです。そこまで伺いたいのです。
○政府委員(山口正義君) たとえば、具体的に申し上げますと、「医師の指導監督の下」で、どの検体をどの方式で検査するかというような決定並びに検査の決定に基く当該患者の疾病の有無あるいは病名の決定というようなことは、医師の責任だと存じます。ただ、検査の内容自体及び菌があるとかないとか、陰性であるとか陽性であるとかいう決定は、衛生検査技師の責任だと存じます。発表は、その範囲内ならば、衛生検査技師も発表ができる、そういうふうに考えるのでございます。ただ、衛生検査技師としては、病名を判断するとか、診断名を下すとかいうことはできないというように解釈いたしております。
○片岡文重君 病院の中に勤務されておられる場合に一つ限って考えてみますが、この場合に、この検査技師としての仕事をする場合には、私はしろうとですから、検査方法等について幾種類もあるし、いろいろな形もあるでしょうけれども、これはわかりませんが、とにかくこの検査はこういう方法でやってくれ、あるいはこれはこういう方法でやってくれとか、この式でやってくれとか、いろいろ指示が与えられると思うのですね。こういう、検査技師本来の業務を行う上に当っては、その業務を行わせる医師の立場から、その検査結果の正確を期するために、いろいろと指示を与える。これが私は指示だと思う。従って、この域だけにとどまるものなのか。それとも、この検査の一つ一つのこまかな作業に至るまで、医師が現にそばにおって監督をしておらなければならないのか、この指導監督という言葉の中身は、いろいろと私は考えられると思うのだが、その検査業務を行うこと自体に対する業務上の指示と、それから、いま一つは、この検査技師が、たとえば八田さんなら八田さんのところの病院で働いておる。そこで、八田病院の従業員として、八田病院長の従事員としての監督を受ける。これは、検査技師なるがゆえの監督ではなくて、看護婦さんも薬剤師さんも、他の医局員も、みな従事員としての監督を受ける。これは当然のことだと思う。ところが、検査技師なるがゆえに、その従事員としての監督以外にも何らかの監督を受けるのかどうか。これは、開業医の中に、病院あるいは保健所等の中における検査技師の立場を考える、これが一つある。
 それから町で、私は衛生検査技師ですということで、この法にかなった資格を持って町で開業した場合に、その医者から、あるいは阿具根医師、あるいは山下医師、高野医師というところからその検査を依頼されるわけです。その依頼をされた場合に、一体指導監督というのは、どういうことをさして指導監督というのか。その町の開業医から町で開業しておる衛生検査技師が依頼を受けて検査をする場合に、これはこういう方式でやってくれ、これはこうだと思うが、こういう方法でやってくれ、こういう指示が与えられる。それ以外に、どういう監督をなさろうとする意思なのか。この指導監督という内容について、もう少し明確にお示しをいただきたい。
○衆議院議員(八田貞義君) 指導監督と申しますると、衛生検査技師というのは、養成機関を出まして、一定の資格を備えております。しかも、実験とか試験なんかをやる場合には、衛生検査指針というのがございまして、その衛生検査指針に従って十分にやれるだけの技術を修得しておるわけです。ところが、たとえばチブスの患者といたしますね。臨床上お医者さんが見て、チブスらしい。しかし、臨床上はそう思っても、それを裏づける基礎的検査がなければならないという場合に、たとえばチブス菌の検査とか、あるいは血清のヴィダール反応とか、そういったものを衛生検査技師自身に言うわけですね。命令するわけです。そうすると、その方法によって陽性とか陰性という成績表を出してくる。だから、その成績表について臨床診断と結びつけまして、初めて病名というものは決定するわけでございます。だから、そういった意味合いからいたしまして、決して、試験検査の結果が陽性に出たから、あるいは陰性に出たから、この病気は否定できるのだ、あるいは肯定できるということは、衛生検査技師自身にはないわけでございます。あくまで医師が臨床上の診断の上から、衛生検査技師の補助診断をとって、そうしてその病名を決定する、こういうような実態になっておりますので、「指導監督の下に、」という言葉を使っておるわけなんであります。まあ指示ということになると、たとえば検査の内容について、一々こまかいことを言うのだろうと思うのですが、これは、衛生検査指針というものがございまして、その衛生検査指針にのっとって、十分に熟達した技能を使って成績を判定でき、試験結果を出せる能力を持っておられる方々だけなんです。そういう意味で、指示は違いまして、病名の決定というような問題が大きなウェートを持ってくるのですから、「指導監督の下に」という言葉を使ったのであります。
○勝俣稔君 関連して……。これは、衛生技師は、その成績をここに書いてある範囲内においては発表して、自分の名前で発表していいというように衛生局長も言われたのでございますが、あなたもそうお思いですか。
○衆議院議員(八田貞義君) もちろん、その検査について、担当者として衛生検査技師がその名前を用いる向きは、私はさしつかえないと思います。
○勝俣稔君 だれにそれを発表していいのですか。監督の医師に発表していいのですか。社会に発表していいのですか。応長といえば、社会に発表することだろうと私は思うのですが……。
○衆議院議員(八田貞義君) ここは、今の高野先生からの御質問と関連してくる事項なんですが、現在の状態では、衛生研究所とか、あるいは保健所とか、あるいは病院などの検査室に働いておられる方の身分法を考えておるわけでありまして、ですから、その人の検査成績を医師に報告するわけです。ですから、その場合にも、もう初めっから「医師の指導監督の下に」ある検査を行うもの、もしも、ただ問題が、ほかに衛生検査をやる状態があって、そうしてそこから検査の成績を受けるというようなことが将来考えられる場合には、業務立法によって抑えていかなければならない。今の形態ですと、全部がもうほとんど「医師の指導監督の下に」という状態の現状にあるわけです。ですから、そういう意味におきまして、たとえば、ほかの、私立大学なんかで臨床検査所を作ってあるところがあるのですが、そこの指導監督に当る人は、その医師になっておるわけですね。そこに今度は、ほかの開業医の方が注文するわけです。やはりそうすると、そこにいるその指導監督者の名前によって報告をされるだろう、まあこういうふうに現在はなっておるわけであります。
○勝俣稔君 これは、どこでどういうような状態であろうとも、身分法としてそこへ出てきた場合には、発表は、お医者さんのもとにいるからであるとか、あるいはこれが独立の業として働くことができるかによって、その発表の権限というものが私は変ったのではおかしいのではないだろうかと思うのですが、あなたはどういうふうにお考えになりますか。
○衆議院議員(福田昌子君) ただいま勝俣先生の御意見、私、非常に重大な点だと思うのでございますが、この法律によります限りにおきましては、さような発表は、責任は、医者の立場でやるということに相なりますので、個個の衛生検査技師の方が検査の成績を内部的に発表なさるのは、これは御自由でなさってもいいことだと思いますけれども、外部的な発表は医師の責任においてする、こういうふうにこの法律の実行上いたしたい。
○勝俣稔君 この法律ではそうなっておりますが、これは、先ほど八田さんの言われるように、別個にこの人が職業を持った場合においては、その本人は発表していいのですか。
○衆議院議員(福田昌子君) その点につきましては、今の法律上まだ手落ちの点であると思います。従いまして、そういう業務内容を規制した法律につきましては、新たな立法措置を必要といたします。そのときには、ただいまのこの法案の趣旨に沿いまして、責任は医者にあるというふうに規定すべきものであると考えております。
○勝俣稔君 私は、この検査の発表にもいろいろあると思う。コレラ菌を使から発見して、これはコレラ菌なりと言ったら、すぐコレラ患者ということになると思うのです。あるいは保菌者である。でございまするから、私は、この衛生検査技師という人は、少くともそういったような面についての発表ということは、私はできないのじゃなかろうか。したら、やはりこれは重大な問題が起きはしないか、こういうように思うのでございますが、衛生局長は先ほど、公表はこの本人、衛生検査技師ができるのだ、この範囲内においては、というようなお話でしたけれども、ちょっとそのように承わったように聞きましたが、それは私の聞き間違いだろうと思いますが、いま一度承わっておきたい。
○政府委員(山口正義君) 私が先ほど発表という言葉を使いましたのは、あるいは誤解をせられたかと思いますが、世間に発表をするということではございません。本法の十九条にも、正当な理由がなくて、知り得た秘密を他に漏らしてはならないという、秘密漏洩禁止の規定もございます。従いまして、世間に発表するというようなことではございませんで、その検査技師の責任において報告すべきところの報告をするということと、そういうふうに御解釈願いたいと思います。
○勝俣稔君 秘密漏洩は、そういう意味じゃないと私は思うのであります。秘密漏洩は、これによって寄生虫卵があったというようなことを話したからといって、えらい秘密漏洩にはならないのではなかろうか。秘密漏洩は、医師の秘密漏洩と同じような意味合いのものではなかろうかと考えております。とにかく今のように、そういうような事柄が根本的に医者の診断の伴うものについては、これは絶対に、衛生検査技師というものは、私は発表してはいけないのだ、一般には……。少くともやはり「医師の指導監督の下に」となっておるのです。やり方の指導ということもありましょうけれども、少くともやはりその管理者でございますか、先生に、お医者さんに発表するといいますか、そういうことであると思うので、私は、これをそう解釈していきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
○衆議院議員(八田貞義君) 今、勝俣委員の仰せられた通りでございます。
○片岡文重君 先ほどの「指導監督」に対する八田さんの御説明では、はなはだ残念ながら、私にはどうものみ込めませんでしたが、先ほど高野委員からも言われましたように、本法案は共同提案にもなっておりまするし、私ども社会党の政策審議にもかかった法案ですから、一応私どもとしても、そう反対的な立場に立ってお尋ねしているわけではございません。
 ただ用語として、この種の法律案には、また既成の法律の中には、こういう言葉はありません。同種のものについては……。従って、特にこの衛生検査技師法についてだけ「指導監督」という言葉を使わなければならない理由というものが、もう少し明確に私は承知したいということでお伺いするわけですが、指示という言葉が不適当であるなら、この検査業務を行うに当って、医師の立場から、検査方法なりあるいは検査技術なり、あるいは最新の学理なり、いろいろな医師の立場から、自分の診断の正確な資料として検査をなさしめる立場から、業務としての指導の行われることは、私は当然だと思うのです。しかし、監督ということになってくると、さらに強い意味が加わり、かつ狭義なことになってきやせぬかと考えます。ですから、ここでたとえばエックス線技師法であるとか、あるいは歯科衛生士法であるとか、そのほかに類似の法律を見ましても、「直接指導の下に、」とか、あるいは指示によりとかいうことで、そういう必要な規制をしておるようです。これだけ特に「指導監督」という言葉を使うからには、やはりそれだけの何らかの意味があるものではないかと考えるのでありますが、従って、その「監督」という意味の持つ内容と効力といいましょうか、そういう点について、もう少し明白にお示しをいただきたいと思う。
○衆議院議員(八田貞義君) 「指導監督」という問題、あるいは直接指導の問題とか、指示のもとにという言葉の使い方がいろいろあるわけでございますが、この場合には、責任の帰趨を明確にしておこう、特に病名の診断に関することですから、そういう意味からして、責任はあくまで医師の側にあるのだ、こういった点を明確にしておこうという考えからして、「指導監督の下に」という言葉を使ったわけでございます。
○片岡文重君 どうもその程度では……。何といいますか、まあ御意向はわかりましたから、議論ではありませんから、ほかの問題でお尋ねいたしますが、山口局長にちょっとお伺いしますが、いまのこの第二条における「医師の指導監督の下に」という規制の方法ですが、これについて、厚生省としては、他の類似の法規からいって、特に異なった規制をしておるように考えますけれども、直接監督の任に当る厚生省として、この点をどういうふうにお考えになられるのか、御所見を伺っておきたい。
○政府委員(山口正義君) 特にエックス線技師あるいは歯科衛生士あるいは歯科技工士等は、先ほど片岡先生御指摘のように、「指示のもとに」、あるいは「直接の指導の下に」、「直接の指示に基いて」というような表現でございまして、「監督」という字が使ってございません。そういう点で、特に「監督」という字を使われたということにつきましては、ただいま八田先生からお答えがございましたように、病名の決定等について、あるいは先ほど勝俣先生からも御注意がございましたように、病名の決定等について特に注意をする必要があるということで、監督という強い意味の言葉を用いたというようなお答えでございました。従いまして、私ども、今後この法律を運用して参ります際に、衛生検査技師として仕事の成績を出されるというようなことについても、ただいま提案者の方で、そういう点に特に「監督」というような言葉を使って、強くお考えのようでございますが、私どもとしましても、検査方法のこまかい一つ一つに入ってまでの指示は、医師の方ではなさらないと思うのでございますが、全般的な結果の扱い方というようなことについて、特に医師が監督されるというような御意図があるというようなこの法律の規定があるというお答えでございますので、その御趣旨を尊重して行政的に取り扱って参りたい、そういうふうに考えております。
○片岡文重君 保健所とか病院とか、そういう機関の中におられる諸君は、さっきちょっと申し上げましたように、従業員としての勤務上の監督を受けることはあり得るでしょう。しかし、町で開業して、いわばお医者さんの下請をやっているような検査技師の諸君は、その医師の指導監督というもとに置かれるならば、どういうことをさしているのか、特に、今ここで法律が成立をして、この法律の実施の暁には、厚生省が当然この法律を守るものにならなければならぬ、これを実施していかなければならぬ。そのときに、こいう表現で、しかも、その監督という内容が明確になっておらなくて、厚生省としては、行政指導が果して十分にやっていけるかどうか、私は、そのためには、この際あくまでも、市井の開業著といえども、この法律に照らして違背しないような条件のもとに置かれなければならない。もしこれが法律通り守られないならば、守られるようなやはり法律にしておかなければならない。そういう意味で私はお尋ねをしているのですが、このままで厚生省としては差しつかえないのかどうか、もし差しつかえないという御意見ならば、一体厚生省として考えておられる指導監督とは、どういうことを考えておられるのか、明確にしてほしいと思います。
○政府委員(山口正義君) 私どもは、この「監督」と申します字句の解釈につきましては、先ほど八田先生からもお答えがございましたように、結果の取扱い等についての監督も、特に提案者としては重視しておられるわけでございますが、一般的な業務上の監督というふうに私どもは考えているわけでございまして、提案者の御趣旨は、検査の施設とかあるいは方法というようなところまで、こまかく医師が監督するというような御意図ではないのであろうというふうに解釈いたしております。施設、検査方法というようなところまで規制して監督するということになりますと、これまた別の法的規制が必要になってくるのではないか、そういうふうに考えておりますので、一般的な仕事のやり方についての監督、それから、特に結果の取扱いについての監督というようなことで、そういう解釈でこの法律の運用に当って参りたい、そういうふうに考えております。
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
 休憩いたします。
 再開は、午後二時にいたします。
   午後一時一分休憩
   ――――・――――
   午後二時十六分開会
○委員長(阿具根登君) 再開いたします。
 この際、午前中質疑を一時中止しておきました角膜移植に関する法律案を議題といたします。
 質疑を願います。――他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。
○藤田藤太郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、この角膜移植に関する法律案に賛成をするものでございます。
 この法律案は、視力の障害者の視力を回復するために適切な処置をとろうという法律案でありまして、目が悪いために非常に苦痛な人生を送られている方々を、明るみの世界に皆の手によって救い出そうという法案でありますので、もとより私たちは、この法案に賛成をするものでございます。しかし、この法案自身がきめておりますように、たとえば、死亡された方の角膜を目の悪い人に移植するというこの問題については、死亡された方々自身の取扱い等については、これこそ慎重に、または礼儀を尽して行われなければならない重要な問題があろうと思います。はたまた、これに関連して、このようなお世話をする人に当りましても、非常に慎重さが要るのはもとよりでございます。そこで私たちは、この質疑の中でも、提案者との間または当局との間において、いろいろの面から質疑を続け、この法の精神がほんとうにすなおに実現され、そうしてまた、よりよい状態を生み出すための質疑の中から明らかになってきたことがいろいろございます。私たちは、この法案成立と同時に、この法案がよりよく世の中のためになるように運営をするために、これに加えて、ぜひ必要な問題が出てきたのでございます。
 ここで、各派の話し合いによりまして、一致した付帯決議案を、この法案がきまりました上において、付帯決議案を出したいと考えるのでございます。
 付帯決議案を読み上げたいと思います。
  附帯決議案
 本法の運用に当っては次の諸点に特に注意すること
 一、眼球の摘出については、遺族の同意のみならず、生前における本人の意志を充分に尊重して行うこと。特に遺族のない場合においては、本人が生前において眼球を提供する旨の意思を表明したとき以外は、摘出を行わないように充分指導すること。
 二、眼球の提供のあっせんを業とする者に対する許可に当っては、営利を目的としないことを許可の要件とすること。
  右決議する。
 この二項目の付帯決議を皆様方の御審議にゆだねるわけでございます。この付帯決議を出すに至りました経過は、先ほど申し上げましたように、各派の話し合いによりまして、皆さん方の一致した意見として、私がかわって付帯決議案の提案をいたしたような次第でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたしたいと思います。
○委員長(阿具根登君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより角膜移植に関する法律案について採決いたします。
 本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(阿具根登君) 全会一致でございます。
 よって本案は、全会一致をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられました藤田君提出の付帯決議案を議題といたします。
 藤田君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(阿具根登君) 全会一致と認めます。よって藤田君提出の付帯決議案は全会一致をもって、本委員会の付帯決議とすることに決定いたしました。
 なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続き等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それから、報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますので、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    山下 義信  山本 經勝
    片岡 文重  藤田藤太郎
    谷口弥三郎  榊原  亨
    有馬 英二  勝俣  稔
    木島 虎藏  鈴木 万平
    中山 福藏  田村 文吉
○政府委員(米田吉盛君) この際、政府といたしまして一言申し上げたいと思います。
 ただいま付帯決議になりました点につきましては、本法案の審議過程において、委員各位の御論議が、大体人道主義に基いて御心配の点が多々あったやに拝察いたします。この付帯決議の御趣旨に十分沿うように、政府といたしまして努力をいたしますことをこの際申し上げておきたいと思います。
○衆議院議員(中山マサ君) ヘレン・ケラー女史は、盲人のために光をより高く掲げよということを何かの雑誌にお書きになっていらっしゃいまするが、日本におりますところの盲人の一割が……皆様方の御慎重なる御審議によりまして本日可決の運びになりましたことは、まことに私の本懐とするところでございますし、また無上の感謝と敬意を表するものでございます。
 委員長におかせられましては、いろいろとごあっせんをいただき、また理事のお方様方にもいろいろ手の行き届いた御心配をいただきまして、本日これがみごとに通りましたことを、私は、ここに深く提案者といたしましてお礼を申し上げるものでございます。まことにありがとうございました。
  ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) 次に、衛生検査技師法案を議題といたします。質疑を続行願います。
○片岡文重君 提案者にいま一度、この第二条の「指導監督」ということでお開きしておきたいのですが、先ほど来の御説明によりますと、この衛生検査技師の業務である検査の結果は、あくまでも医師の責任において発表もされ、これが診断の基礎資料として使われるということになるようでありますが、そのためにこの「指導監督」という言葉を入れたのだと、大体こういう御意見のようであったのですが、この法案の内容からいたしますれば、別に町で開業することを否定をしているわけでもありませんし、禁止してもおらないと思うのですが、従って将来は、現在も若干あるそうですが、将来なお、町で町医の下請をし、あるいは一般市井人の依頼によって、細菌学的検査その他の許された範囲内の検査を行うことができると思うのですが、そういう場合に、この検査技師の行なった検査結果というものは、何人の責任において発表されるのか。
 それから、その場合に、もし医師の指導監督があくまでも必要であるとするならば、そういう場合の医師は、どういうところに求めるのか。
 それから、いま一点は、このままの条文では、衛生検査技師の行う業務一切についての責任を医師が負うということになって、はなはだ責任が過当に負担をさせられるおそれはないのかどうか。
 この三点について、一つお伺いをしたいと思います。
○衆議院議員(八田貞義君) 衛生検査技師の名称を使用して衛生検査を行うときは、医師の指導監督を受けるべきであるという趣旨が、この「指導監督の下に」ということでございます。ですから、衛生検査技師という名称を使って仕事をやる場合には、医師の指導監督というものを受けなければならぬのだ、こういう意味でございます。
 具体的にどこの医師かということについては明示されておりませんが、衛生検査は、現在主として官公私の衛生研究所、保健町の検査室または病院検査科等で行われておりますので当該施設の医師の指導監督を受けることになります。
 指導監督のもとにある場合には、たとえばどの検体をどの方式で検査するかの決定並びに検査の結果に聴き当該患者の疾病の有無または病名の決定などは、医師の責任に専属いたします。検査の内容自体及び菌の保有量、陰性陽性の別などの決定は、もっぱら衛生検査技師の責任に属することになります。
○片岡文重君 時間がありませんので、重ねて御質問をしたいところですが、次に移ります。第二条……。
○田村文吉君 関連して。一般人が、医師を介しないで、衛生検査をお願いするということはできるのですか、できないのですか。
○衆議院議員(八田貞義君) 今の御質問の御趣旨は、町にある衛生検査所でございますね。そういうところに検体を出して、検査を受ける場合をさしておられると思うのでございますが、ここでいう衛生検査技師という名称は、医師の指導監督のもとに業務をやる場合に、衛生検査技師という名称を用いて仕事をやる、こういう趣旨でございますので、他の、町の検査所に働いておられる人で、まだ衛生検査技師の試験も受けない、まあこれから、この法案が通れば、試験を受けなければならぬのですが、衛生検査技師の名称を用いないで、そして今後町の検査に当る人も考えられます。そういう場合、たとえば個人が頼みにいけば、どういうものが考えられるかと申しますと、まあ便の中に回虫がおるかいないか、あるいは小便の検査とか、そういったことが考えられて参ってくるわけでございます。ですから、そういった方面への規制と申しますか、そういった面に対する規制ということになりますると、業務立法というものを考えていかなきゃならぬわけでございます。
○田村文吉君 私のお尋ねしたことにお答えを願いたいんですが、私の伺いたいことは、一般の人が町の衛生検査技師というものに、医者を介しないでお願いができるんですかできないんですかということを伺っておる。
○衆議院議員(八田貞義君) この点は、ものによるわけなんですが、できると考えております。ものによってです。
○田村文吉君 できるとなると、先刻から片岡委員が尋ねられてる趣旨がそこにあるんで、できるとするならば、どの医者の監督を受けるのかと、その場合には、検査技師の勝手に、自由に選んだ医者の指揮監督を受けなきゃならぬのかどうか。あるいはまた、患者の方から特に指定があったら、それを受けなきゃならぬのか。そういう点をはっきり一つ。
○衆議院議員(八田貞義君) 衛生検査技師の名称を用いてやる場合には、医者の指導監督のもとになければなりませんし、医師を通してその検査を依頼するという格好になると思います。
○田村文吉君 また話しがもとへ戻っちまうんですが、そこをはっきりしておいてもらわんと困る。要するに、医者を介しないで、直接衛生検査というものが技師のところへ行ってできるのかできないのか。医者を介しないでできるのかできないのか。それを一つはっきりしてもらわんと、話しがいつまでもから回りで……。
○衆議院議員(八田貞義君) 医者を介しての検査でございます。
○山下義信君 そういうことは法律に書いてない医者を介しなければ衛生検査技師に検査の依頼をしてならないということは書いてない。これは、依頼をすることは自由であるが、衛生検査技師が仕事をするについては、医師の指導監督を受けよというのであって、依頼をすることは、何も医師に関係ないじゃないですか。法律にはそういう規定ない。どうしてそういうこと言われますか。
○衆議院議員(八田貞義君) どうも答弁がしどろもどろになって参りまして恐縮ですが、衛生検査技師という名称は、医師の指導監督のもとにやられる仕事に対して衛生検査技師という名称を用いてるわけでございます。
○田村文吉君 それはわかるんですよ。法文にはっきりと書いてあるからわかるんだが、一体町の人は、医師の手を通じないで検査をお願いができるんですかという質問なんです。それを一つ。
○木島虎藏君 こういうことじゃないですか。一般の民衆は、検査を頼むときにはお医者さんに頼んで、お医者さんが検査技師のところにやるのか、あるいは直接、まあわれわれがその検査技師のところに、どうぞお願いしますと、こう行けるのかどうかと、こういうことだと思います。どうですか。
○榊原亨君 八田先生に、提案者に、ただいまのことに関連してお尋ねするんですが、いろいろの検査物を依頼することは、医者を通さずしても自由であって、医者を通してもよければ、通さなくても自由であるが、その検査物を検査することにおいては、衛生検査技師という名のもとに検査するときにおいては何びとかの医師の指導を要すると、こういうふうに私はこの法律をとっておるんですが、その点はいかがでしょう。
○衆議院議員(八田貞義君) ただいまの榊原先生から御指摘になったような法文として考えておるわけでございます。
○勝俣稔君 ちょっと伺いますが、この衛生検査技師という資格をとったならば、業として衛生検査をすることができるんですかできないんですか。八田さんにお聞きします。
○衆議院議員(八田貞義君) やはり第二条に番いてありますように、医師の指導監督のもとに衛生検査技師は業をやるというわけでございます。
○勝俣稔君 現在寄生虫なんかの検査をやてっおる人たちは、これはもう、衛生技師でないが、やってもよくて……それはどうなんですか、それはやっちゃいけませんか。現在やっておるのがありますね。寄生虫の検査なんかを団体から、町村から頼まれたり学校から頼まれて、それで、ホルマリンの吸収による検査などをやってみて報告しておりますが、こういうものは、業としてはやっちゃいけないんですか。衛生検査技師というものの資格があったなら、この人は医者の監督のもとでなければいけないし、こういう資格のない人は、業として現在やっておる。その業を剥奪するのですか。
○衆議院議員(八田貞義君) 今、勝俣先生から言われたことですが、この法案は、名称制限だけなんでございまして、業務を押えるというものではございません。ですから、先ほどからの御質問に対しまして、まとめて申し上げさしていただきたいんですが、衛生検査の業務は、伝染病の病原体等を取扱うなど、危険有害なものが多く、かつ、近時ますます複雑困難なものになっているので、一定の資格を有する者に一定の名称の使用を認める、いわゆる名称制限にとどまらず、一定の資格を有する者以外の者には衛生検査の業務を行わせないように、いわゆる業務制限を規定すべきであるということは、きわめて望ましいことであり、賛意を表するところでありますが、現段階においては、資質の向上が急務でございますので、とりあえず資格を定め、名称の独占を認めることにとどめておるわけでございます。
○勝俣稔君 そうすると、将来は、今寄生虫卵の検査をしておるような人はやめさせるおつもりなんですか。現段階ではこれこれだというお話ですけれども、将来やめさせるおつもりですか。
○衆議院議員(八田貞義君) その問題につきましては、まあ業務制限立法というようなものによって、ある点まで規制をしていくような段階に立ち至れば、業務制限立法というものを考えなければならぬ、こう考えております。
○田村文吉君 ちょっと議事進行についてあれですが、八田議員のお話は、大体山口局長さんとも十分に御納得の上で、この案についての御協力になっているのじゃないかと思うのです。従いまして、答弁は、私は山口局長さんに一つはっきりと伺いたいのですが、先刻申し上げました、一般の人が医師を通ぜずして検査をお願いするということは可能なんでありますか。
○政府委員(山口正義君) 先ほど御質疑ございましたように、それは可能でございます。ただその際、仕事をいたします際に医師の指導を受ける、こういうわけでございます。
○田村文吉君 その場合の医師の選択は、検査をする人が自由に選んでよろしいのでございますか。患者の方で特に指名するというふうにする必要が起るのですか。
○政府委員(山口正義君) 私どもの解釈といたしましては、検査する人が選んでいいと思いますけれども、特に患者の方から希望があれば、またそれに従った方がいいと思います。
○田村文吉君 ただいまの解釈に、発案者の八田さん御異議ございませんね。
○衆議院議員(八田貞義君) はい。
○藤田藤太郎君 医師の指導監督というものが頭にあるのでしょう、この業務を行うのに。それでありながら、衛生検査技師が日々町で営業していてですよ。自分が適当に監督する人を引っぱってきてやるという法案は、これは、こんな法体系というのはあるのですかね。これは山口さんに聞きたい。
○政府委員(山口正義君) 私ども考えますのに、一般の方が直接衛生検査技師のところへ行かれるというのは、先ほど八田先生からお話がありましたように、糞便の検査とか、尿の検査という場合だろうと思いますが、しかし、大体において、血液の検査とか、あるいは髄液の検査とか、そのほかの細菌の検査ということは、医師からの依頼ということが多いと思います。患者自身が血液を持っていくということは少いと思います。従って、大体どこの衛生検査技師はどこのお医者さんからよく依頼を受けるということが自然にでき上ると思います。従って、おのずから、指導監督と申しますか。指導してもらうというようなお医者さんが衛生検査技師とは自然にでき上るのではないかと、そういうふうに考えているわけでございます。
○藤田藤太郎君 私は、この法案の全体をながめてみて、非常に厳密なというか、国家試験があるのですね。そうでしょう。国家試験をもってその技師を選ぶわけですよ。その選ばれた人が、今ここの二条の「細菌学的検査」からずっと下のものの検査をする能力を持つわけです。その人が国家試験に通って、町であろうとどこであろうと、これだけの検査をする能力を持つ、国家試験の要するに及第、これは社会がこの人にそれだけの資格を与えておるわけです。そうでしょう。与えておるのにかかわらず、与えられた者に対して、町であろうとどこであろうと、社会人がそれだけ認めているわけですから、その人の能力というものを。それを認めておいて、それで、先ほどの説明を聞くと、頭に医師の指導監督ということが書いてある。町では営業する。この問題については、どこかで指導監督する医者を見つけてこなければこれはできぬというのは、これはどうかと思うのですがね。その関連について聞かせて下さい。
○政府委員(山口正義君) 国家試験を経て資格を与えるということは、お説の通りでございますが、事柄が、けさほどから話が出ておりますように臨床的な面が非常に多くなりまして、医師の診断というような、あるいは病名の決定というようなことに非常に関係が深い部面がたくさんございます。ごく極端な例は、海水の中の細菌の検査というようなこともあるかと思いますが、大部分は、患者あるいは人間についての検査でございます。従いまして、その検査の過程なりその結果ということにつきましては、医師の業務と非常に関係が深いことになるわけでございます。技術そのものは、非常に専門的な研修を受けた、修業をした、りっぱな技術を持った方でありますけれども、それをどういうふうに使うかというようなことにつきましては、医師の診断の一助となる場合が非常に多いのでございますので、やはりその仕事の、取扱いについては、医師の指導監督を受けていただくということが適当だと、こういうふうに考えております。
○藤田藤太郎君 社会的に、衛生技師というものを国家試験によって社会人が認めたならば、本来の法の建前は、私の指導監督という格好まで強めていいかどうか疑問を持っております。おりますけれども、指導監督という格好になるなら、これだけ非常に身体生命に関するような微妙な仕事を衛生技師がやるわけですから、単にこの法の形から見れば、私はこう説明があってしかるべきだと思う。というのは、一定の地域はどの医師が担当して指導監督……店を開くときには、業務をするときには、この地域のときにはどこの医師が監督する、この地域のときにはどの医師が監督するという社会の秩序というものがあってこそ、初めてこの医師の指導監督ということになるのではないか。それを衛生技師そのものが、指導監督というものがあるから、医者をどこかから手引きをしてこなければいかぬというような印象を与えるような法案というものは私は知らぬので、ちょっと理解に苦しんでおるところなんです。私は、本来申し上げますと、指導監督というようなところまでいく必要があるかどうか、私としてはそうは考えていない。考えていないけれども、この法の建前からいけば、こういう格好で出すとすれば、私は、社会人が認めたそれだけの能力、それに必要な指導監督という能力が付け加えられるならば、行政といいますか、一般社会人が選んだそういう指導監督というものが上におらなければ、法律の建前にはならぬのじゃないかと私は思うのですがね。この趣旨には何も賛成しませんけれども、この法文の書き方からすると、そうならなければ、指導監督する人をどこからか見つけてこなければいかぬというのはどうかと思うのですね。まあいいです。
○山下義信君 今、指導監督のことが問題になっておりますから、関連して伺うのですが、この指導監督の方法等は、これは、政令で規定されるお考えですか。これは、指導監督ということが全部にかぶさってあるので、いろいろ問題が出てくる。質疑応答を聞いておると、医師の指導監督を必要とする面もあるのでしょうね、検査の中には。全部に指導監督をかぶせると、いろいろな疑義が生ずる。そこまで厳格にやるということになると、指導監督の方法、またその指導監督を受ける方法という自柄が省令その他でこまかに規定されるのですか、どうですか。つまり言いかえますれば、これを厳密にやっていくということになると、指事監督を受けておるという立証もしなければならぬ。また、指導監督をする者の監督の責任も生じてくる。ただ、医師が指導監督するといって、検査技師を押えつければいいというのではなくて、監督する人の責任問題も発生してくる。ここにこう書いてあるだけのことで、それは実際に、そんなに一々こまかに、指導監督に反したからどうするとか、その受け方がどうだとかということを厳重に、また詳細に規定するという考えはないでしょう。それから、先ほど山口局長の答弁には、これは医師の診断の資料に重大な関係があるから、それで指導監督をやる、こういうことをやられると、もろもろ、みな医師の診断の資料に関係のあるものはたくさんある、たとえば薬剤師なんかいろいろ薬局その他万般のものがあって、医師のいやしくも診断の資料に重大な関係があるものは、みな指導監督するということをやったら、果てがない、これはエックス線技師とか歯科衛生士というものは、これはそれぞれ歯科医師あるいは医師の診療には関係があるから、ともすると、その診療行為に堕するおそれがあるからこそ、それぞれの医師の指導の下に、という文句を入れたので、それは何か材料になるから、資料になるから、関係があるからというような、そんなばく然たることで歯科衛生士とかあるいはエックス線技師法に医師の指示とか指導を入れたのではない、それは、ややもすると業者が治療にまぎらわしい行為をするおそれが多いから入れた、そういう直ちに診療行為に堕するおそれがないでしょう、衛生検査技師は。ここに指導監督を入れた趣旨というものを、提案者は晦冥にして、こうしてございますけれども、一応、こうしただけのことでございまして、別にそれを厳重に追及するのではございませんというならば趣旨が通る、これを厳密にするということになれば、これは法律は非常に不備であって、どこかで破綻を生じてくる、つじつまが合わぬということになる。一応こういうことにしてありますが、こういう趣旨でその衛生検査技師がやってくれれば、この心持ちでやって下さるのであれば、医師側としては異議がない、実は、こういうことが腹の中で……、こういう御趣旨じゃないのでしょうか。これを伺っておきたい。
○衆議院議員(八田貞義君) 山下先生から御指示がございましたが、実は、医師本来の行う業務で、医師が当然行わなければならぬ業務で、衛生検査技師にやってもらう、こういう格好でございますので、責任は、あくまで医師が負うのだ、診療に重大な関係を持つことでございますので、先生の言われたのと同じような意味の考えで、この「医師の指導監督の下に、」という文句を入れておるわけでございます。
○片岡文重君 この第二条ですが、これを見て、私あとから結論的に質問しようと思って、指導監督をまっ先に取り上げたのですが、そこでストップしてしまったんですが、起案者八田先生は、私どもの質問に少し、何というか、かかり過ぎておると思うのですが、この法案の趣旨とするところは、この衛生検査技師なるものの、町における開業は認めないという趣旨なんですか、ということは、この第二条を読みますと、衛生検査技師とは、まず「都道府県知事の免許を受け」ることが必要である、それから衛生検査技師の名称を用いるということが必要、「名称を用いて、」ですからね、それから「医師の指導監督の下に、」あるということが必要、それから細菌学的検査その他政令で定める検査を行うことを業とするということが必要なんですね。この四つの条件がそろわなければ、衛生検査技師とは言えぬということなんです。そこで「医師の指導監督の下に、」という二項目が抜けても、衛生検査技師とはいえない、それから業としなければ、これも衛生検査技師とはいえない、たとえば、資格をとった御婦人が結婚して奥さんになって、もう検査室には勤めていないということになると、この人は、衛生検査技師とはいえぬわけです、この法律からいえば。さらに、この政令で定めるということがどういうことをいうのかわかりませんけれども、この一部をやらない、拒否しても、この人は衛生検査技師とはいえない、さらに、私は衛生検査技師でございますということをみずから言わなければ、この人は衛生検査技師とはいえない、これを読んでおると。ですから「医師の指導監督の下に、」という一項目を除いてしまうと、衛生検査技師というものは、成り立たぬというわけです。だから、もし医師か指導監督というその医師が、先ほど来の御質問によって、その検査技師が自分で自分を監督してくれる者を見つけてくるか、頼みにくる患者さんが見つけてくるかというようなことが質問されているわけですか、そういう事態は、私はあり得ないと思うのですよ、自分を監督して下さいといって連れてくるようなことは、おそらくないから、この法律をそういうふうにして検討していくと、法案のねらうところは、保健所なり病院なり検査機関なり、こういう一つの組織の中で、職を奉じて、一日分がそこの従業員となって働いておる検査技師の名称を認めておるということだけであって、町における開業は、この法律案では認めておらぬのだと、こういうことにも解釈はできるわけですね、現在しかしおるそうですね、おるが、この法律案の上からいうと、認められない、だから将来もこれは認めないのだと、こういう建前なのか、あるいは将来にわたっても、現在やっておる人ももちろんのこと、将来開業する者はこれは認めていくのだと、こういうことなのか、まず、その点一つはっきりして下さいませんか。
○衆議院議員(八田貞義君) 先ほど前段の御質問のありました現状の衛生研究、現在働いておる衛生研究所とか保健所とか病院、検査室、そういった人の身分を考えております。現在町の中にやっておられる少数の人ですが、それはこの法案では考えていないわけなんです。これらに対する税制の問題になりますと、業務制限立法を将来において作らなければならない、こういうことになってくると考えております。
○片岡文重君 そうすると、この法律案の上では、業務禁止の規定はないけれども、この第二条によって、実際は業務禁止をしていくのだ、つまり業務禁止というか、業務制限といいますか、つまりその雇われておる機関以外においては開業することはできない、独立して間業することは認められない、こういう趣旨なんですか。
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記をつけて下さい。
○衆議院議員(八田貞義君) ただいまのお話でございますが、町の現在営業されておる検査に対して、この法律案によっては規制することはございませんのです。やめてしまえというようなことは、全然うたってないのでございます。ただこの法律案は、結局、身分法、現在働いておられる身分法というものを考えて、結局は、現段階における資質の向上ということが非常に急務であるという考えから、とりあえず資格を定め、名称の独占を認めることにとどめたわけでございます。
○片岡文重君 御趣旨はよくわかります。で、別に反対でもございませんが、ただこの場合に、「医師の指導監督の下」で、しかも、これは厳重に解釈をされてくると、現に町で開業しておる者は、医者の直接の指導がなければ、あるいは監督という――この監督といい、あるいは指導といい、その内容がどういうことであるかは、午前中からしばしば御質問申し上げておりますけれども、その内容については、まだ明快な御指示がありませんのでわかりませんけれども、少くとも指導監督という社会通念が、もしこの場合、ここでも適用せられるとするならば、相当なやはり規制を受けなければならぬわけであります。そういう規制を受けるようなお医者さんが、自分の現在営業しておる検査所のほかにあって、自分がそのお医者さんから指導監督を受けられる、こういう検査所は、これで法律に違背はしません。けれども、そういうお医者さんを持たないで、自分の技量と知識だけで従来検査をやってきておった者、また将来やっていこうとする者、こういう者は、この法律案からいえば、どうしてもここで指導監督をしてくれるお医者さんを見つけてこなければやっていけぬということになってしまって、そうしてその衛生検査技師という名称も与えられないことに私はなると思うのです、この第二条からいって。その点が、今申し上げたようにしなければならないのか、町の検査技師というものは、将来は認めていかないお考えなのか、ここをお聞きしておるわけなんです。もし認めていかないということになれば、これは重大な問題だと思いますので、たとい数は少くとも、職業選択の自由もこれによって拘束をされるわけでありますから、そういう点等もありますので、特にお尋ねをしておるわけです。
○衆議院議員(八田貞義君) 現在働いておられる、先ほど申し上げました衛生研究所とか保健所とか病院、そういったところの人の資質の向上だけをこの法律案で取り上げておりまして、その先のことは、今のところ考えておりません。
○政府委員(山口正義君) 片岡先生御指摘の通りに、「医師の監督指導」がなければ、これを業としてやることができないわけでございまして、現在、町で開業しておられる方々が、これによって業として衛生検査技師という名前を用いてやろうとお思いになる場合には、特定の医師の指導監督を受けるという形をおとりになると、そういうふうな形を私は考えております。
○藤田藤太郎君 それじゃ一つお聞しておきますけれども、今の衛生技師は町で営業している人は、どういう監督、どういう形になっているのですか、それを一つ聞かしていただきたい。
○政府委員(山口正義君) 現在のところは、もちろん医師法違反とか、薬剤師法違反とか、そういうものに触れれば別でございますけれども、そういうことがない限り、検査するということは、別に特役の規制はございません。
○片岡文重君 どうも肝心なところだと思うのですが、そこのところがはっきりいたしませんが、少くともこう解釈してよろしいですか。衛生検査技師という名称を用いて、現在保健所なり、病院なり、検査課なり、とにかくそこに勤めておって、この衛生検査技師の業務にたずさわっているものについては、そこの直属のあるいは病院の経営者なり、医師の指導監督を受けてやっている。これは町で開業しているものについては、衛生検査技師という称号を望むものについては、このいろいろな試験を受けることはもちろんですが、現在はおらなくても、医師の指導監督を必要とするその、医師の指事監督というのは、検査技師自身がつけてきてもよろしいし、それから検査を依頼してくるものが連れてきてもよろしいが、とにかく指導監督をしてくれるお医者さんさえ連絡がつくならば、町で開業することも将来とも認めていく、こういうことになるわけですか。
○衆議院議員(福田昌子君) 私どもが考えております点は、ただいま片岡先生の前段の御趣旨につきましては、全く同一の意見でございますが、後段の町で開業いたしておりまする衛生検査技師の方につきましての職能の範囲、これに対する監督、これに対する権限というものにつきましては、これは新しく法律で規定すべき今後の問題であろうかと思っております。その法律で規定いたしまする内容につきましては、私どもといたしましては、ただいまの保健所あるいは国立病院、その他、衛生研究へお勤めになっておられる方たちが、直接医者の監督指導のもとに業務に携わっておられまするが、かような形式と同じような形式をとって参るべきものだと、かように考えております。
○片岡文重君 そうすると、そういう立法がなされない限りは、現に町で開業しておる者、並びにこれから開業をする者は、衛生検査技師という名称は用いられないことになってくるようですが、その通りですか。
○衆議院議員(福田昌子君) その点につきましては、これは衛生検査の技師たる試験をお受けになれば、衛生検査技師という名称を、試験に合格した上は、お使いになってよろしいわけでございますから、それと、町で開業いたしまする業務の内容とは、また監督官庁の関係というものは、これは別の問題になってくるかと思います。
○片岡文重君 そうはいかぬでしょう。これは第二条を見ますと、さっきも申し上げたのですが、衛生検査技師とは、都道府県知事の免許を受け、衛生検査技師の名称を用いて、医師の指導監督のもとに、そして、これこれ、その他、政令で定める検査を行うことを業とする、この四つの条件が具備しなければ、衛生検査技師とは蓄えぬわけです。そこで、町で開業しておって、医師の指導監督を排除するということになれば、これもまた衛生検査技師とは言えない。それから国家試験を通っただけで、試験には合格はしておっても、検査を業として行なっておらなければ、これは衛生検査技師とは言えぬわけです。ですから、今、先生が御説明のように、一つの条件を欠いておっても、この衛生検査技師という名称は、この第二条を厳格に解釈する限り、与えられかいわけですね。そうすると、現に、今、町で開業し、あるいは将来開業する者は、たとい、これを業とし、あるいは免許を受けておっても、医師の指導監督というものがなければ、これは衛生検査技師ということは言えぬということになるわけでしょう。それでよろしいでしょうか。
○衆議院議員(福田昌子君) 私どもの立法の趣旨としては、先生のただいまの御意見と同じような考えをいたしておるわけでございますが、現実の問題として考えました場合に、町で開業しておられる衛生検査の業務に携わっている人に不利な点がございますので、これは後刻、法律で、先生の御趣旨のように、制約を設けていきたい、こういう意見でございます。
○片岡文重君 そうなりますと、新しく立法されるまでは、この法律案による限りは、指導監督をしてくれるお医者さんを持たない限り、町の検査業をしでおられる方は、衛生検査技師ということは言えぬわけだが、この場合、しかし、せっかく、こういう法律ができ、検定も受け、合格をされて、なお新しい法律ができないために、その業務制限が行われる。これは、業務制限は、法規の上ではありませんけれども、現実に名称が用いられないということになってくれば、当然、これは経済界の法則ですから、これは当然、自然発生的に制限を受けて参ります。これは既得権を不当に侵害することになって参りますから、そういうことは、私は許されないと思います。そこで、もし、本国会で、直ちにあとを追って、それらの諸君が認められる法律ができるなら別として、さもない限りは、これは行政措置なり何なりで、これを認めるなり何なり、厚生省として措置がとれるのかどうか、その点を一つ聞いておきたい。
○政府委員(山口正義君) 福田先生からのお言葉もございましたが、私、先ほどお答え申し上げましたように、第二条の条件が満たされねば、衛生検査技師として認めて差しつかえないと存じます。
○片岡文重君 第二条の条件が認められないわけなんですよ。第二条の条件が全部認められてくるならば問題はないのです。問題はないが、医師の指導監督を受けられない場合が出てくるでしょう。その場合に、この条件がどうしても必要だということになるならば、町から検査を依頼する者が来て、医者を連れてくるなり、あるいはこの衛生検査技師自身が、他にお医者さんを見つけておいて、そうしてその指導監督を受けるなりすれば、二条は満足するわけなんです。ところが、それができない場合は、これは、今、現にやっておるのですから、そのやっておる者が、この医師の指導監督ということだけで制限をされることになってくるでしょう。そうすると、業務もできなくなってくるし、衛生検査技師ということを言えなくなってくるということですね。そういうことでは、既得権者を不当に抑制することになりゃしませんかということです。それを救済する方法があるのですかということです。
○政府委員(山口正義君) 私ども考えておりますのは、医師の指導監特を受けられないということは、ちょっと考えられないと思うのでございます。従いまして、既得権を侵害するというようなことは、起り得ないというふうに考えております。
○勝俣稔君 県の衛生試験所なんかで、この試験に受かって働いておる人は、医師の指導監督のもとに置いておるから、衛生検査技師なんでございますね。そう言えますね。これは、その人がもし失業した場合に、これはもう衛生検査技師でなくなるわけですか。
○政府委員(山口正義君) 勝俣先生のお尋ねの点、取り違えておるかもしれませんが、その県の衛生試験所なり研究所を離れたという場合に、その人が独立して業として行うというときに、たとえば、その前の衛生試験所の所長の――医師である所長の指導監督を受けるということをされれば、私は、業としてやっていただいていいと思います。
○片岡文重君 第三条の問題で一つお尋ねしたいのですが、この免許を与えるに当って、「試験に合格した者」に免許を与えるというやり方と、「同等以上の知識及び技能を有すると認められる者に対して」も与えられることに、第三条ではなっておりますが、この政令の定めるところによる同等以上の知識及び技能を有すると認める認め方、つまり試験の内容ですか、方法、これはどういうことをお考えになっておられますか。また、どの程度のことをお考えになっておられるか。
○政府委員(山口正義君) これは政令で定めることになっておるのでございますが、端的に申し上げますと、大学の課程を卒業いたしました医学士、理学士、獣医学士、歯科医学士、農学士というような方を考えております。
○片岡文重君 そうすると、これは、そういう卒業という、つまり第十五条ですかの受験資格を必要とする学校なり養成所を卒業した者以外は、この三条の政令の定むるところ云々という条件は、知識、技能といいますか、そういう点で、別々に検定をされるのではなくして、医学校を出た、あるいは薬学校を出たと、こういうことだけで、その卒業証書だけで、これを認める、こういうことなんですね。
○政府委員(山口正義君) さようでございます。
○山下義信君 関連質問。今の認定の範囲は、学校卒業後、そういったような限られた資格の者だけを認めるということになりますと、多年この仕事をやって、経験を積んで練達堪能の技術を持っておる者というようなものは、この認定の範囲には入りませんか。それで、今の学校卒業資格で認めるというならば、これは認定ということでなくして、ちゃんと有資格者として列挙すればいいのであって、この厚生省令で「同等以上の知識及び技能を有すると認め」るというような認定などは、おおむねの例は、その業に長く従事して、その技術なども優秀であって、すでに高く世間からも認められておるというように者を認定でもって資格あるものと認めるというのが、他の例なので、それで、今のような一定の学校の卒業等の資格というように限定するのは、認定どころじゃない、それはもうりっぱな有資格者であって、これは、むしろ今言ったように、当然試験を経ないでもいいような有資格に列挙しておけばいいので、おそらくこの試験の受験資格その他からいきましても、その程度の者を認定するのには、今申したように、この業務の多年の経験者等も、これはその認定の範囲内に入るのが常識ではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○有馬英二君 関連して。ただいま山下委員が言われたことと同じことなのですが、多年、たとえば大学の研究所で中学を出ただけぐらいの学歴で何年も何年も検査に従事して、それが十年も二十年もたって、非常に優秀な技術を持った者というのが、大学病院であるとか、あるいは病院の検査室であるとかいうような所では、各地におるわけですね。そういうのは、そのまま認定をするのであるか、あるいは試験を受けなければ衛生検査技術者になれないのか、この点を一つ。
○政府委員(山口正義君) 提案者の先生方の御意向も伺いました上でのお答えでございますが、私どもといたしましては、三条で考えておりますのは、山下先生の御意見もございましたが、先ほどお答え申し上げましたように、政令ではっきりその学校の事業生であるということを規定したいというふうに考えているわけでございまして、長年その仕事に従事されました方は、やはり試験を受けてその資格をとっていただきたい、そういうふうに考えているわけでございます。十五条に受験資格がございますが、その受験資格としましては、三年間の養成施設を出ていただかなければならないのでございますが、ただいま両先生からお話のございましたような、長年経験を持っておられる方につきましては、付則の三でその特例を認めて受験をしていただくというような考え方であります。
○中山福藏君 ちょっと提案者にお尋ねしておきますが、私は弁護士ですけれども、弁護士あるいは経理士なんかでも、その身分獲得に必要な試験を受けて、まあ一つの地位を獲得しておられる方はたくさんありますが、その場合においては、たとえば弁護士の場合においては、代弁人というものだったですね、もとは……。これは弁護士試験を受けずに一つの資格を与える。経理士もそうですね。それから税理士なんから、たとえば弁護士の資格のある者は無試験で税理士になることができる。その経過的な恩恵ということを法律は必ず考えておるわけですね。ただいま山口局長の御説明によれば、たとえば年をとって、いろいろなものが、記憶が鈍くなってから、なかなか試験を受けるということは考えものなんです。これは通らぬですよ、おそらく……。しかし、その技術に対しては高度な検査能力を打っている人がたくさんある。これは、何とかそこに一つの救済規定というものを、社会的に考えましても、これは必要じゃないかと思うのですが、そういう点についての御研究はしてあるのでしょうか、ないのでしょうか。たくさんありますよ、無試験で一つの資格を与えられたということは。そうすると、今、有馬先生もおっしゃったように、多年大学なんかにおって、医者もだれも及ばないような検査の知能を持っておっても、その人は埋もれ木となってくたばらなくちゃならぬというような、実に社会政策的に考えても相当考慮しなければならない点が多々あると思うのですが、そういう点については、御考慮になったことがないのですか、それをちょっとお伺いしておきたい。
○衆議院議員(八田貞義君) 今の御質問に対して、実はいろいろ考えてみたのでございますが、法の権威の前に、一応同様に受験資格を与えられて試験を受ける、そういう建前で、法の権威という観点から、一応試験を受けてもらおうではないか、で、その後の取扱いの問題につきましては、いろいろと今後検討して参りたいと思うのです。私自身といたしましても、今御指摘のように、相当長年間検査業務に当られておって、年令が非常にかさんでこられた、こういう方々に対しては、何とか特別な、十分それを考慮に入れた検討をやって参りたい、こういうふうに考えますが、一応、法の権威の前に試験は受けていただく、こういうふうにしたわけでございます。
○中山福藏君 大体、法律というものは、実社会に適合して、人が安心して飯の食えるようにしてやるというのが法律の建前でなくちゃならぬ、立法の精神というものは。それを、技巧を弄して、ただ法律の面目さえ備えればいいという法律では、私はそれは死法だと思う、そんなものは。で、ただいま藤田君が御質問になった点ですが、町に開業しておるところの、いわゆる業として現在やっておりまする衛生技師が、この法律ができたためにできぬということになるということは、これは職業を剥奪するものですね、法律の力によって。そういうその適正を欠いた法律というものは、私は社会政策の見地からも、立法の精神からも、これは相当考慮すべき問題だと思うのですよ。だから「指導監督」という問題でも、この文字を分析していろいろ理屈を言えば、二日でも三日でも言えると私は見ておるのです。これはあなた方の考えは、依頼という意味じゃないか。たとえば病院におけるところの衛生検査技師は、いわゆる医者の依頼を受けて検査する。あるいは町に開業している人も、お医者さんだとか本人の依頼を受けて一応検査するという、そういう意味じゃないか、そうしなければ、非常に不穏当な言葉になってきますがね、どうですか、一つお考えを承わっておきたい。
○衆議院議員(八田貞義君) この試験にたとえば落第した場合に、落ちた場合に、あしたからその仕事がなくなってしまうというものではございません。試験は何回でも受けられる、こういうことにいたしまして、御趣旨は十分にわかっておりますので、何とか善処したいと、こう考えておる次第でございます。
○中山福藏君 もう一点最後にお伺いしておきたい。これはお考えは大へんけっこうな、その身分というものを法制化するということで、けっこうで、私はこれは賛成なのです、この法律案の建前からいけばですね。でありますが、非常に御準備が、大へん失礼ですけれども、釈明と申しますか、お答えになることが、まだそう完全にそしゃくされていないじゃないかという、まことに失礼な申し分ですけれども、考えを持つのですが……。それで、一つお尋ねしておきますが、これは獣医師と歯科医師というのが抜けているのはどういうことなんですか。そういうふうな方面に関する衛生の検査というのは要らないのですか。後日、それは、そういうふうな法律を作られるつもりでおやりになったのですか。ちょっとそこを承わっておきたい。医師ということになりますと、全部を含んでいるのですか、どうですか、そこは。
○衆議院議員(八田貞義君) 二条の意味ですか、三条の意味ですか。
○中山福藏君 「医師」という言葉の……。「医師の指導監督」ということが書いてありますからね。それをお尋ねしているわけです。
○衆議院議員(福田昌子君) 御質問二ついただいたと思いますので、二つについてお答えさしていただきたいと思いますが、この経過規定の問題について、深く検討していないのじゃないかという御指摘をいただきましたが、実は、この点につきましては検討しないわけでもございませんで、現実の問題として、十分衛生検査業務に携わって長い年限を経ておられる人につきましての処置につきましては、いろいろこれは検討いたしました。しかし、皆様方の御意見が一応やはり厚生省でおきめいただく試験を受けていただく方がよかろうという大勢に傾きまして、試験を受けていただくという規定にいたしましたわけでございます。試験の内容、試験の仕方につきましては、これは厚生当局で、今後行政措置としてお考え願えることであろうと考えております。
 なお、第二条の「医師の指導監督の下に、」と書いてございます点を、歯科医師、獣医師も入れたらいいじゃないかという、その点でございまするが、私ども、将来、その必要があれば入れるということに、決してやぶさかではございません。今の段階におきましては、「医師の指導監督の下」でよろしいというような御意見が大多数でございましたので、「医師の指導監督の下に、」と、こういう言葉にいたした次第でございます。
○中山福藏君 福田先生はお医者さんですが、そこで、動物から人体に伝染する病気があると、私はしろうとでありながら、聞いているのですがね。そういうときには、獣医師というものとやっぱり普通医師と合議して、一つの指導監督の任に当るということは必要じゃないかと思うのです。そういう点は、法律案の欠陥になるということはお考えになりませんか。
○衆議院議員(福田昌子君) 私どもがこの法律を考えましたのは、おもに公立及び民間といたしましても世間的に衛生研究用として認められている所、あるいは厚生省の所管でありまする保健所、国立病院、県立の衛生試験所というようなところにお働きになっておられる人たちの、衛生検査に携わる方方の身分法というものを支点にいたしまして考えた次第でございますので、かような機関におきましては、おおむね「医師の指導監督の下に」ということで、現実の問題は十分でございまするので、かような意味において考えた次第でございます。その医師が直接に関与いたしませんいわゆる動物の疾病につきましては、獣医師のお取り上げが必要かと思いますが、獣医師のお取り上げになりました疾病の検査につきましても、これは医師の指導監督の下におきましても、現実の範囲内においては、ある程度、差しつかえないのじゃないかと思います。なお、完全を期します上におきまして獣医師の方と協力いたし、御相談いたすことは、これは当然のことかと思います。
○中山福藏君 私はそう長くありません。もう一つだけお尋ねしておきます。この間、私ニューヨークの大学に行って見たのです。麻薬の専門の医師がいるわけですね。これは麻薬のほか何もやらぬで麻薬のことばかり専門なんなんです。これは一つのやはり技術の高度化を要望された結果がここにきたと見ている。将来そうなってくるのじゃないかと思う。衛生に関する問題というものは、やはり鋭角的に、すべては高度化すると、こう見ている。だから、有馬先生の言われた二十年、三十年という間大学におった者は、何らかそこに厚出大臣か何かの、同等以上の力ある者と認定した場合においては、というようなただし書が必要じゃないかと思うのですよ。たとえば、出入国管理令にこういうことが書いてある。すべての法規的な制限によって退去命令を行なった場合においても、法務大臣というのは、自由裁量によってその在留を許可することを得るというやはりただし書が入れてある。ほとんど救済規定というものは、ただし書によって一つのやはりそこに緩和政策というものが打ち込まれている。この法律案もそういうことが欠けているのは、あまり急いでお出しになったためだと思うのですが、趣旨は賛成ということを言うてありますから御心配は要りませんが、これは不完全な法律案だから、相当な時期に追い打ちを食らわして法案を出すというような御希望、あるいは御意思があるのですかどうですか。そこだけを二つ承わっておきたい。
○衆議院議員(福田昌子君) 御指摘いただきましたように、私どもこの法律案が発令なものと決して思っておりません。将来におきましては、先生方の御指導のもとに、時機を得ましてまた修正することも当然あり得ると考えております。
○山下義信君 さっき問題になりました指導監督ですね。これは一部必要あることは、私どもも認めますが、また行き過ぎがあってもそれはまた過ぎることになる。それで指導監督というのは、どういう程度にやるのか、具体的に政令ででもきめようという考えであるかどうであるか。提案者と政府の方と、どちらにお願いしていいか知りませんが、具体的に腹案を一つ資料として出していただきたいです。お願いしておきたいと思います。
○委員長(阿具根登君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) 次に、予防接種法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入るのでありますが、まず、政府委員から細部の説明を願います。
○政府委員(山口正義君) ただいま御審議を願っております予防接種法の一部を改正する法律案の大要を御説明申し上げたいと存じます。
 提案の理由につきましては、先般大臣から御説明申し上げました。予防接種法が昭和二十三年に制定されまして、その際、各種の予防接種に対する規定が設けられたのでございましたが、ジフテリアにつきましては、昭和三十三年に制定されましたときに、ジフテリアの予防接種を三期に分けて実施する。すなわち生後六カ月から十二カ月までの間に第一期をやり、それから小学校入学前の六カ月の間に第三期をやり、小学校を卒業する前六カ月の間に第三期をやるという規定が設けられたのでございまして、その後、その法律に基いてジフテリアの予防接種を実施して参ったのでございますが、ところがジフテリアの発生状況、患者の発生状況を見てみますと、終戦直後、昭和二十年には全国で届出患者が八万五千ばかりでございました。その後だんだん減って参りまして、昭和二十七年には八千三百というふうに減少したのでございますが、終戦直後の十分の一に減少いたしましたが、翌二十八年からまた少しずつふえて参りまして、三十一年では一万八千、最低の昭和二十七年に比べますと約一万人増加して参ってきておるのでございます。私ども、なぜそういうふうに増加してきているかということをいろいろ検討いたしました。ジフテリアに対する疫学的な調査と申しますか、予防接種の実施状況、それから発生の年令別の状況、地区別の状況、それから免疫調査によりまして、特殊な調査によりまして、免疫の保有の程度というようなものを調べてみたのでございますが、そういたしますと、予防接種法を制定いたしました当時は、母親から免疫体を受け継いで持っている期間が相当長いというふうに考えられました。たとえば少くとも六カ月ぐらいはあるだろう。それで六カ月から十二カ月までの間にやった方がいいという考えだったのでございましたが、ところが、だんだんその後調べてみますと、これは全国的な流行との関係もあるのでございまして、母親からの免疫の子供に対する受け継がれ方が、割合早く消える。三カ月以後になりますと、急に免疫度が下るということがわかって参りました。また、年令的に見ますと、三才から五才ぐらいまでの間に免疫の保有の程度が急に下ってくる。従って、そういう時期にジフテリアの発生が非常に多くなってきているということが、疫学調査の結果、これは二十九年から実施した調査でございますが、はっきりして参りましたので、それで、今回やはりジフテリアに対しまする免疫を、予防接種によって与えますためには、従来生後六カ月から十二カ月と考えておりましたのを、もう少し早く繰り上げて、三カ月から六カ月までの間に第一期の予防接種をやった方がいい。それからその次に小学校入学前六カ月まで、間を置いておったのでございますが、三才から五才までの間に急に免疫が下って参りますので、第一期が終りましたあとで、十二カ月ないし十八カ月の期間に第二期をやりますと、それが小学校入学前ぐらいまでずっと続くというふうに考えられますので、一回間にふやすというふうなことを、今回の改正によってお願いしたいというふうに考えているわけでございます。ただ、そういたしますと、従来ジフテリアの予防接種は三期と申しますか、三回でよかったのでございますが、四期になるわけでございまして繁雑になるわけでございますが、幸いに、百日ぜきの予防接種が、現在生後三カ月から六カ月までの間に第一回目をやるということになっておりまして、第二回目を第一期が終りましたあと、十二カ月ないし十八カ月に実施するということになっております。たまたま百日ぜきとジフテリアと同じ時期に実施するということになります。また一方、百口ぜきの予防接種液とジフテリアの予防接種液と混合して作って、一回の注射で済むということが外国でも行われております。わが国におきましても、研究の結果、そういう予防接種液を作ることができるというふうになりましたので、これは、法律そのものの条文の中には現われて参りませんが、実際に実施いたします場合には、百日ぜきとジフテリアと混合して一緒にやりますれは、かえって従来よりも回数が少くて済むというふうなことになりますので、接種を受けられる方々の便宜も考えまして、そういうふうな方法をとればいいのではないかというふうに考えるわけでございます。
 以上が、今回御審議を願っております法律案の大要でございます。
○委員長(阿具根登君) 御質疑のある方はお願いいたします。
○中山福藏君 一つお尋ねしておきたいのですが、実は、この前私の友人は十八と二十になる娘を持っておった。それでチフスの予防注射だったと思いますが、それをやったために、二人とも一週間の間に、そのなまのばい菌はまだ生きているのですね、注射したあと、それが二人とも本物になってしまって死んだのです。二人とも一週剛の間に死にました。これは大阪の市会議長をしておった沢竹という人の娘さんですが、そこで、予防注射に対する非常な恐怖心を学校の父兄が抱くようになった。私は、この際お願いしたいのは、これは委員長を通じて一つ願いたいのは、予防注射のために、そういうふうに本物の病気になって死亡した人がどれくらいあるものか、もし資料がありましたら、この際、せっかくこういう法案が出されたのですから、そういう点も一つ検討してみたいと、こう考えるのですが、一つ委員長にお願いしておきます。
○政府委員(山口正義君) ただいま中山先生からの御発言でございましたが、資料として差し上げたいと存じますが、腸チフスのワクチンは、これはばい菌を殺し、死んだばい菌を使っております。従いまして、ただいまお話しの接種後一週間で本物の腸チフスになられたというお話は、腸チフスの潜伏期間は大体二週間から三週間でございますので、これは私どものただいま承わっただけの考えでございますが、すでに感染しておられて、そのあとから予防接種が行われたんではないかというふうに考えられるのでございまして、ただ予防接種をやったために本物の病気になったというのは、ごく特定の例を除いてはございません。ただ、特定の例と申しますのは、昭和二十三年でございましたか、京都でジフテリアの予防後種をいたしまして、それは製造過程に誤まりがございましたので、ほんとうは毒素を殺してささなければいけなかったのを、それの中和が十分行われておりませんでしたために、これは局所のかいようと起しまして、そして全身の中毒症状を起して、六十名はかりが犠牲になられたことがあったのでありますが、そういう特殊の例を除きましては、予防接種のために発病されるというようなことはないのでございまして、資料としてただいま御指摘の点は差し出すようにいたしたいと思います。
○中山福藏君 私は特殊の例を承わりたいと実は考えております。で、これは製造者も神様でないし、お医者様も神様でないですから、断定をされるということはこれは早計じゃないかという気がするんですね。現代の医学の知識程度ではこういうふうになっておるということならば、私は得心いたしますが、しかし、ばい菌も、いわゆる何と申しますか、細菌に抗する力を持つばい菌は相当ふえるわけですね。時の経過とともに、ばい菌の抵抗力というものはだんだん増してくるということは、これは一般的な常識でございましょう。もうすでに医学の範囲を私は脱しておると見ておるのです。そこで、抗生物質とかいろいろなものが薬としてできておるのを用いるのだと思うのですが、だから、特殊の例を私もしろうととして、一応見せていただいて、そうして法案についても、もし必要ならば、そういう意も加味しておく必要があるんじゃないかという気がいたしますので、お願いいたします。
○政府委員(山口正義君) 御注意の点、十分ごもっともだと存じますが、そういう事故のあるために予防接種というものに対して非常に危惧の念を一般の力に抱かせるということは、これは避けなければならないことでございますので、まあ先ほど申し上げました京都の事件は、これは非常に世間を騒がした重大な事故でございまして、それを契機といたしました関係もございますが、その後、予防接種に使いますワクチンの検定、これは国家検定で厳重に効力なり、あるいは安全性というものを、それから雑菌がまじっているのかいないかということも十分検定して、国が責任をもって検定したワクチンを、法律で使います予防接種に使用するということにいたしておりまして、御指摘の点は、私ども十分注意いたしておるわけでございます。過去にございましたそういう特殊な例につきましては、いずれ資料として提出いたしたいと思います。
○中山福藏君 最後にもう一つ申しておきたい。
 私は、森永ミルクの問題を見て、いかに官憲監督あるいは検査所というものがルーズなものであるかということを痛感したのです。重役は全部あのときは刑事訴追を免れた。しかし、下っ端の技師とか直接の人が三、四人訴追された。で、世の中が、現在の社会組織が、そういうようにできているのですね、会社組織なんかが。だから、万一そういうことが起りましても、上の者はしりをかいて逃げる。だから責任の所在というものがすこぶる不明確なんです。だから、厳重検査したとおっしゃっても、そういう六十名も中毒者が出るというような、本病人が出るというようなことはあり得るのです。だから、検査の方法というものを十分一つ注意していただかぬと、十八、九に育てた、二人の娘しかない沢竹市会議長が、そのためにすっかり病人みたいになった。あの現状を私は見たものですから、これは時に私は検査の方も十分厚生省として身を入れて監督していただきたい、こういうことをお願いいたしておきます。
○勝俣稔君 このジフテリアと百日ぜきの混合ワクチンでございますが、これは一緒にやっても拮抗性のような作用はないのでございますか。あるいはまた、反応について何か加わるようなことはないのでございますか。
○政府委員(山口正義君) 混合ワクチンについての第一点のお尋ねでございますが、これは両方まぜてやりましても拮抗作用はなくて、むしろ相互に助け合うというような作用がありまして、免疫の上り方が強いというデータが出ております。
 それからもう一つ、副作用の点でございますが、ジフテリアの予防接種液は、御承知のようにほとんど反応がないのでございますが、百日ぜきの予防接種液を接種いたします場合には、局所的な発疹あるいは全身的な軽い発熱がございます。これを両者まぜましたために特に増強するというようなことはございませんで、その点は、事前に私どもも十分注意して、いろいろ実際に接種をしてやって比較をいたしましたのでございますが、もちろん混合してやります場合には、ジフテリア単味でやりますよりは反応が強いことと思いますが、しかし百日ぜきと比較いたしますと、ほとんど有毒素がない。実際に実施するのに支障がないというふうな結果が出ておるわけでございます。
○勝俣稔君 このワクチンは混合ワクチンとして検定をやるのでございますか。別々にやって、それをまぜるわけでございますか。
○政府委員(山口正義君) 薬事法の中で検定規則がございますが、先般、本年一月に新しく混合ワクチンにつきましての検定規則を制定いたしました。従いまして、最初からまぜて製造いたしまして、そのまぜたものを国家検定するということになっております。
○勝俣稔君 そうやって下されば――私も知らなかったのですが、そうやって下されば、あの厳格なる検定をなさって、それで注射する、その液だけそのものを注射なさるのだから、そういう間違いはないのじゃないか。もし別々に検定をして混合するような場合があったならばと思いまして、その危険をちょっと心配したもので、御質問申し上げた次第であります。
○有馬英二君 ワクチンは、どこの製造ですかということを伺いたい。
○政府委員(山口正義君) これは現在細菌製剤の製造は、各所で行われておりますが、民間の細菌製剤製造業者が製造いたしましたものを、国家検定いたします。現在特にどこというふうに限定はいたしておりません。
○有馬英二君 要するに、どれくらいの種類と申しましょうか、製造所がどれくらいありますか。
○政府委員(山口正義君) 大体私どもの承知いたしておりますのは、七カ所ぐらいというふうに承知いたしております。
○有馬英二君 それの製造所の違いによって、ワクチンのききようと申しましょうか、免疫の発生の度合いが違うというような成績は出ておりませんか。
○政府委員(山口正義君) 製造場所が変りましたために効力の差があるかないかということにつきましては、製造所によりまして、従来今まで調査して見、あるいは実験的に検査して参りました結果によりますと、製造所によりましては、そう差はないように承知いたしております。ただ、まぜ方とかいろいろな、従来実験的にやりました際には、明礬トキソイドとか普通のトキソイドとか、いろいろなものを使いましたために、その種類によっては差は出ておるわけでございますが、製造所によって特に差があるというふうには聞いておりません。しかし、これは国家検定の際に効力試験をいたしますので、一定の基準に合うようにして、市販にいたすことができると、そういうふうに考えております。現在まで、私どもの方で実験的と申しますか、やって参りましたワクチンは、皆国家で作りまして、あるいは予防衛生研究所において作りましたものを使用いたして参りました。今後は民間で作られますので、それは一定の水準に合うようにこちらで検定いたして市販いたすことにいたしたいと考えております。
○勝俣稔君 ワクチンに関してのなんでございますが、例の結核のBCG細菌ワクチンが一時有毒であり、何とかというので、ひどく――厚生省当局じゃありませんが、そういうことを言うたのでございますが、このごろは非常に結核にようきくのみならず、最近らいにきく。このらいの予防にもきくし、治療にもきくというような事柄をちょっと聞いておるのですが、その事実について、簡単にお話を願えればけっこうだと思います。
○政府委員(山口正義君) BCGは、元来結核の予防接種、結核の予防のために作られたものでございますが、これが最近らいにきくということが、実験的に、あるいは経験的に立証されてきているのでございます。それは現在予防衛生研究所におります柳沢博士が、一定の場所において、らいにすでに感染した人たちに対して、感染した子供に対して、BCGを接種して、その発病の様子を比較してみましたところが、BCGを接種した者と接種していない者とでは、発病の率が非常に違うということから、そういうことが考えられるのでございまして、また、一般に最近若い人のらいの発病が非常に減ってきておりまして、このらいの発病の状況を疫学的に調査いたしてみますと、BCGを接種した地区においては、子供のらいの発病が非常に少いというような成績が出てきておりますので、結核につきましては感染防止、あるいは発病いたしましても軽くて済むというようなことでBCGが使用されておりますが、らいにつきましては、潜伏期間が長い関係もございまして、すでに感染してしまったあとでBCGを接種いたしましても、発病を防止し得るというような成績が出てきておりまして、私どもBCGを取り扱い、また、らいの予防あるいは治療ということに携わっておりますものとしまして、このBCGがらいの発病防止にきくということを立証づけるいろいろのデータが出てきていることは、非常に喜ばしい事実であるというふうに考えております。
○委員長(阿具根登君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時二分散会
   ――――・――――