第028回国会 社会労働委員会 第28号
昭和三十三年四月二十二日(火曜日)
   午前十一時九分開会
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  委員の異動
本日委員井上清一君辞任につき、その
補欠として横山フク君を議長において
指名した。
 出席者は左の通り。
   委員長     阿具根 登君
   理事
           勝俣  稔君
           木島 虎藏君
           山下 義信君
           中山 福藏君
   委員
           有馬 英二君
           植竹 春彦君
           草葉 隆圓君
           斎藤  昇君
           塩見 俊二君
           谷口彌三郎君
           横山 フク君
           片岡 文重君
           藤田藤太郎君
           松澤 靖介君
           山本 經勝君
           田村 文吉君
  衆議院議員
           田中 正巳君
           古川 丈吉君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
  政府委員
   厚生省公衆衛生
   局長      山口 正義君
   厚生省医務局長 小澤  龍君
   厚生省児童局長 高田 浩運君
   厚生省保険局長 高田 正巳君
   運輸省船員局長 森  巖夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
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  本日の会議に付した案件
○母子福祉法案(山下義信君外六名発
 議)
○調理師法案(草葉隆圓君外四名発
 議)
○医師等の免許及び試験の特例に関す
 る法律の一部を改正する法律案(衆
 議院提出)
○保健婦、助産婦及び看護婦等の産前
 産後の休暇中における代替要員の確
 保に関する法律案(片岡文重君外九
 名発議)
○連合審査会開会の件
○日雇労働者健康保険法の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
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○委員長(阿具根登君) ただいまより社会労働委員会を開きます。
 委員の異動を報告いたします。四月二十二日付をもって井上清一君が辞任され、その補欠として横山フク君が選任されました。
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○委員長(阿具根登君) 母子福祉法案を議題といたします。
 提案理由の説明を願います。
○山下義信君 ただいま議題となりました母子福祉法案の提案理由を御説明申し上げます。
 児童は、その家庭生活において正常な養育が行われて、初めてその健全な育成が期待でき、また、母は、その養育という天賦の使命を果すべく特別の精神的身体的負担をになっているのでありますが、父なき母子家庭においては、母が父にかわって一家の経済的支柱とならねばならず、しかも、わが国在来の家族制度等の影響で、女子はその経済力が乏しいのが通常でございますから母子家庭の維持は、母にとって、実に容易ならざることと申さねばなりません。従いまして、国家社会は、児童福祉の一環としての観点から申しましても、父にかわって母子を保護し、母としてその児童養育の任務を全うさせるため特別の施策を講ずる必要があるのでございます。
 母子世帯に対する福祉施策といたしましては、特に、昭和二十七年母子福祉資金の貸付等に関する法律が制定され、母子世帯の好転のために果したその役割には、看過し得ないものがございますが、近時、一般国民の生活が逐次改善向上するにつれまして、母子世帯がその歩みから次第に取り残されつつある状況が見られるのであります。
 すなわち最近昭和三十一年八月に行われました全国母子世帯調査によりますと、わが国における母子世帯総数は、当時において百十五万ということでございます。しかして、この母子世帯となった原因、母子世帯の業態或いは、収入等の状況についてみますと、あの敗戦直後の極度の窮迫、荒廃の状態から見ますならばよほどの落ちつきを得てきたことは疑いのないことでございますが、なお、これら母子世帯のうち生活保護法による保護を受けているものは、母子世帯総数の一一%十二万世帯ということであります。全国の被保護世帯の割合二・五%に比較いたしますと、実に四倍強となっております。また、一ケ月一万円未満の収入世帯は、四八%、五十五万世帯ということでございます。こう見て参りますと、保護世帯とはなっていないが、生活保護法とすれすれのボーダー・ライン層、生活に全く余裕のない世帯が約半数を占めているということに相成ります。経済面における母子福祉の一そうの推進は、きわめて緊要のことと申さねばなりません。この際、社会福祉施策の各分野にわたり、母子の福祉を目的とする強力かつ総合的対策を講じる必要があると存じて、本法案を提出いたした次第でございます。
 次に本法案の概要を御説明いたします。
 本法案は、配偶者のない女子で児童を扶養している者が、母子世帯なるが故に負うている諸々のハンディキャップを補充することによりまして、その経済的自立の助成と生活意欲の助長をはかりますとともに、あわせて父母のない児童の独立自活の促進をはかることを目的といたしまして、これら女子及び児童について現在ございます母子福祉資金の制度を全面的に強化拡充するほか、新たに、母子住宅の建設確保、特別の職業紹介、職業補導制度の新設、保育手当の支給及び寡婦控除額の引き上げ等の措置を講じますとともに、母子団体の事業に対する助成措置を訓じ、また、これら母子福祉対策を強力に実施するにつきまして必要な母子福祉審議会、母子相談所その他関係機関の新設拡充を規定してございます。すなわち、関係者多年の念願でありますところの、母子福祉総合対策法でございます。
 まず、母子福祉資金の拡充強化といたしましては、第一に、新たに医療貸付を設けるとともに、生業資金又び事業継続資金において母子団体に対する団体貸付の制度を創設いたしました。第二には、生業資金及び事業継続資金の貸付限度を、個人に対する場合は三十万円及び十万円に改め、母子団体に対する場合は百万円及び三十万円とするほか各貸付金についてその貸付限度の大巾な引き上げを行うとともに、貸付金は、生業資金及び事業継続資金のほかは、すべて無利子に改めることといたしました。第三には、母子世帯の現状に照して、据置期間及び償還期限を延長するとともに、やむを得ない事情のため、償還金の支払猶予がなされた場合においては、自後の償還金については、その支払期限の繰り延べを行うことにいたしました。第四としてこの母子福祉資金の貸付を強力に推進するため、都道府県の特別会計に対する国の貸付を、現行の都道府県の繰入額の三倍から四倍に増額することといたしてございます。
 次に、住宅に困窮する母子世帯のための住宅確保の措置といたしましては、公営住宅法による公営住宅建設計画中において、これら母子世帯のために、家賃千円以下のアパート式母子住宅を確保するよう国及び地方公共団体に対し義務づけるとともに、この母子住宅は昭和三十八年度までの間に二万戸以上建設することを明記いたしました。母子住宅は、その名の如く児童をかかえる母子世帯に限り入居することができるのでございますが、入居中に児童が、成長して二十才をこえた場合においては、五年間特例を認めることといたしてございます。なお、母子住宅の建設費については、国が八割を負担することといたしました。
 幼児等を扶養しながら働く配偶者のない女子の職業の問題に関しましては、福祉資金の貸付、専売品販売の許可及び公共建物内営業の許可等における優先取り扱等従来からございます援助のほか、本法案においては、新たに次の二つの措置が講じてございます。
 第一は、これらの女子の職業紹介等については、公共職業安定所は適切な措置を講ずることとするとともに、労働大臣は厚生大臣と協議の上、必要と認めるときは、都道府県知事をして、公共職業補導所において特別の職業補導を行わせることといたしました。
 第二は、保育手当の支給でございます。母子世帯の母親達が安心して外に出て働きますためには、その児童のめんどうをだれに頼むことから解決して行かねばなりません。そこで、これらの母親達が、その児童を保育所等に入所させた場合に必要な費用を保育手当として支給することといたしました。
 母子世帯に対する租税減免措置の強化といたしましては、所得税の寡婦控除を現行五千円から七千円に引き上げるとともに、地方住民税における免税点の引き上げ等が規定してございます。
 次に、母子福祉を推進して参りますには、これら配偶者のない女子で児童を扶養している人々が主体となって組織する母子団体の自主的活動を助成することがはなはだ効果的であります。そこで、母子団体については、その授産施設の生産品についての官公署の優先買入義務、国及び地方公共団体の補助等を規定しますとともに、国税、地方税につき種々の特例減免措置を講ずることといたしました。
 関係機関の新設拡充の措置といたしましては、まず、母子福祉に関する審議機関として、中央及び都道府県にそれぞれ母子福祉、審議会を置くこととし、母子福祉資金の貸付決定に当っては、都道府県母子福祉審議会の意見を聞くことといたしました。
 次に母子福祉の相談指導に当る機関を充実するため、新たに、母子相談所を福祉事務所に付置することとし、母子相談員を常勤としてこの母子相談所に置くとともに、別に、名誉職の母子福祉協力員を市町村に置くことといたしました。なお、母子相談所、母子相談員等に要する費用については、国がその半額を負担することといたしてあります。
 以上が本法案の提案理由及びその概要でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに、御可決あらんことを申し上げます。
○委員長(阿具根登君) 本案に対する質疑は次回以後にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
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○委員長(阿具根登君) 次に、調理師法案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
○草葉隆圓君 ただいま議題となりました調理師法案の提案理由を御説明申し上げます。
 食生活は、われわれの日常生活において、その活動力を求める源泉となるべきものでありますが、この食生活において、食品の調理のいかんはきわめて重要な意味役割を持っておりますことは申すまでもございません。特にそれが業として行われる場合には、さらに、公衆衛生の上からも、国民の健康の保持増進の上からも、その重要性に一そうの関心を向けざるを得ないところであります。
 まず公衆衛生の上からは、伝染病蔓延の予防、中毒等の危害の発生防止のために、食品の選択、処理等の各段階を通じまして、相当の知識及び技能が必要とされるのであります。
 また、国民の健康の保持及び増進の上からは、美味と栄養とをマッチさせた調理を行い得るために必要な素養を備えることが要請されるのであります。
 このために、すでに多くの都道府県におきましては、条例または規則により調理士の制度を設けてこれが資質向上に努力しているのでありますが、その資格要件が各都道府県によって区々でございまして、資質向上に資するに十分とは申せない実情ずあります。この際、国がこれを統一して全国的制度にいたし、調理師の資格を整備向上させる必要があると考えまして、ここに調理師法案を提出することにいたした次第であります。
 次に本法案の内容の概略を御説明申し上げます。
 本法案は、調理技術の合理的な発達と国民の食生活の向上に資する目的のもとに、調理の業務に従事する者の資質向上をはかるため、一定の調理、栄養、衛生に関する知識技能を備えることを調理師の資格要件とすることにいたしたいと考えまして、調理師の免許制度を設けることにいたしました。
 調理師の免許を受けるには、三つのコースがあります。その第一は、義務教育修了後、厚生大臣が指定いたしました調理師養成施設で一年以上、調理、栄養及び衛生に関して調理師たるに必要な知識、技能を修得するコース、その第二は、義務教育修了後二年以上調理の実務に従事した後、都道府県知事が行う相当期間の講習に通って所定の課程を修了するコース、以上二つの場合は、無試験でございます。第三は、義務教育修了後二年以上調理の実務に従事した後、都道府県知事が行います試験に合格するというコースでございます。そうして、都道府県知事が行います講習及び試験については、その内容を統一するため、厚生大臣がその基準を定めることといたしております。一方において養成所における正規の養成を経て早く一通りの知識技能を身につける道を開くことが、従来とかくの批判の的となっております身分的徒弟制度の解消のためにも理想とするところでありますが、他方現実の問題として、この種業務に進む人々の多くが、経済的に恵れない環境にある人である現状を考えまして、働きながらでも資格をとり得るよう配慮して、三つのコースを規定いたした次第であります。
 調理師の免許制度の効果といたしましては、調理師でなければ調理師の名称を使用してはならないという名称使用の制限を規定しております。
 最後にこれら調理師が自主的にみずからの技能を向上させ、その他福祉の増進をはかるための自主的団体としての調理師会の組織に関し規定いたしております。
 経過措置といたしましては、第一に、現在都道府県の条例または規則によって調理士免許をとっている者は、本法案施行後三年間を限り、本法案の規定による調理師とみなすことといたしました。そうして、第二に、これら条例または規則によって調理士免許をとっている者及びこの法律施行前に五年以上の実務経歴がある者に限っては、本則とは別に、当分の間、厚生大臣の定める基準により都道府県知事が行います講習を受けた上で、本法案による新しい調理師免許を受けることができるように措置が講じてございます。
 なお、この調理師の制度の創設に関連いたしまして、特定多数人に対して食事を供給する施設で栄養指事員の指導を受けまたは栄養士の置かれているものにおいて行われる調理は、これらの者の栄養指導に従って行われなければならない旨の規定を栄養改善法に設けることといたしました。
 以上本法案の提出理由及び内容の概略を御説明申し上げました。
 なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(阿具根登君) 御質疑を願い
 ます。
○山下義信君 本案に対しましては質疑を打ち切り、討論を省略して、直ちに採決せられんことの動議を提出いたします。
  〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) それではただいまの山下君が提出になりました質疑を打ち切り、討論を省略して直ちに採決せられんことの動議に御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それでは疑疑を打ち切り、討論を省略して、直ちに採決いたします。
 調理師法案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(阿具根登君) 全会一致でございます。よって本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における口頭報告の内容議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。
 それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    山下 義信  谷口彌三郎
    山本 経勝  有馬 英二
    藤田藤太郎  田村 文吉
    松輝 靖介  横山 フク
    片岡 文重  勝俣  稔
    中山 福藏  草葉 陸圓
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○委員長(阿具根登君) 次に、医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。
○衆議院議員(田中正巳君) ただいま議題となりました「医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律」案の提案理由を御説明いたします。
 終戦前に満州国、朝鮮、台湾、極太等の地において、その地の制度によって医師又は歯科医師の免許を得ていた者のうち、昭和二十八年三月以降引き揚げてきた人々につきましては、現行法によって免許を取得するための特例が訓じられているのでありますが、昭和二十八年三月以前に引き揚げてきた人たちにつきましては、医師法または歯科医師法の附則に規定されていた同様の特例が昭和二十八年または昭和三十年をもって期限が切れたために、現在では国家試験予備試験を受験する以外には免許を得る道が閉ざされているのであります。
 しかるにこれらの人々の中には、特例が認められていた期間中に免許を取得することができなかった者がなお相当数おる状況であります。
 以上のような現状にかんがみまして、昭和二十八年三月以前に引き揚げた人たちに対しましても、それ以降引き揚げた人たちと同様に昭和三十四年末まで免許取得のための特例が認められるように現行法を改正しようとするものであります。
 なお、特例試験の受験回数につきましては従来二回に限って受験することができることとされていたのでありますが、今回、回数の制限は行わないこととしたのであります。
 次に外地で歯科技工の業務を行なっていて昭和三十年十月十五日以降引き揚げてきた人々につきましては、内地の特例技工士との均衡をはかる必要上その業務の継続、歯科技工士試験の受験資格について特例技工士と同様の資格を認めることといたしております。
 以上が本法改正の理由でありますが何卒慎重御審議の上すみやかに可決せられるようお願い申し上げます。
○委員長(阿具根登君) 次に、厚生省からの説明を求めます。
○政府委員(小澤龍君) 外地で医師の資格を持っておる者が日本に引き揚げました場合に、特例試験を受けまして合格した者は日本の医師としての資格を認めるという制度が終戦後できたわけでございます。この制度によりまして、現在まで医師で特例試験を受けました者は延べ回数で一千百名と相なっております。そのうち三百九十七名が合格いたしまして、合格し得なかった者が二百七十二名でございます。
 同様に、歯科医師につきましては、試験を受けた者が延べ回数で三百六と相なっております。そのうち合格いたしました者は二百二十三名、不合格となった者が二十三名でございます。不合格になりました者は二回だけ特例試験を受けることができるのでございまして、二回受けてもなお不合格の者は予備試験を受けます。予備試験に合格した者は実地修練を受けまして、実地修練を経た者が普通の医師の国家試験を受けまして合格した場合において初めて医師の免許証を受けるわけでございます。引揚者が外地において相当の臨床経験を持ち、内地に引き揚げて勉強せられまして特例試験を受けるわけでございますが、かような人々に対しまして昭和二十八年以降の人は特例試験を受ける資格がありません。予備試験だけの受験資格しかございませんので、この際特例試験を復活させて受けさしたいというのがただいまの提案の理由だと存ずる次第でございます。
○委員長(阿具根登君) 御質疑を願います。
○藤田藤太郎君 そうすると何ですか、二十八年以前に帰ってきて、今日まで試験を受けたところが不合格者がまだ相当残っていて、千幾らとおっしゃいましたね、何人残っているのですか。
○政府委員(小澤龍君) 受験回数は一千百名でございまするけれども、それぞれが二回試験を受ける権利を持っておりまするので、実数はこれより少いのでございます。昭和二十八年以前で特例試験に不合格であったものは、二十八年以前の者では医師でありますと二百四十七名、それから歯科医師であると十七名でございます。その後これらの者のうち若干名は予備試験を受け、それからインターンをやりまして普通の国家試験を受けて合格しておりますので、そういう人間を差し引きますと、昭和二十八年以前の帰国者であって、この特例試験に落ちました者が医師で申しまして二百二十七名、歯科医師で十六名でございます。
○藤田藤太郎君 この今の法律で試験を受けさそうとするのは二百二十七名と十六名ということになりますね。そこで二十八年といいいすと今三十三年ですから、日本に帰ってきたのは五年前ですけれども、その方々は今何をやっておるのかということ、それが一つ。
 もう一つは、おそらく医者の仕事をやっておられないと思うんだけれども、そういう場合に、お医者さんが五年もあけられて、試験を通ったからといって、実際の学問的は別といたしまして、臨床その他の問題について厚生省はどういう工合にお考えになっておりますか。
○政府委員(小澤龍君) こういう人々の一人一人の現在の就業の状況は完全に掌握してございませんけれども、多数の方が病院等におきまして細菌の検査とか、病理の検査とかいったような医学に関連深い業務に従事している人が相当多数あることは事実でございます。従いまして引き揚げて参りましても、医学とは全く無縁でない、つまり縁い深い人が非常に多かろうと考えておりまして、引き続き日本の医師の資格を得るために熱心に勉強しておられるということを承わっておるます。
○藤田藤太郎君 これはこの前のときにもお聞きしたかもわかりませんけれども、今の日本で二十八年以後――以前でも特例試験を受けるという人は、医学の系統はどういう系統の医学をおさめてこられたのか、その辺あたりどうですか。
○政府委員(小澤龍君) 満州国においての軍医学校であるとか、あるいはそれぞれの大学、ただし当時の日本の大学より若干レベルが低いのでございますが、そういう大学を出まして、現地におきまして医師の免許証を受けた大部分の人は、若干期間臨床経験を持っておる方々でございます。
○勝俣稔君 実はこの問題はちょうど私が衛生局長をやっているときに、外地で臨床をしておる、今医務局長の言われるように、臨床経験を持っておる、しかし敗戦と同時にこちらへ帰って来て職がない、これはどうしてもお気の毒だ、ぜひこの人たちを一つ救済しなければならない。しかしただこちらの医師法もございますし、無条件ですることはいけない、どうしても試験を受けなければいけない、こういうような趣旨でなされたものでございまして、その後御承知のように最近でもたくさんの外地から引き揚げてこられる人があり、この中には今申し上げたような方々がおいでになる、こういうような意味合いにおいて、私はこの法案につきましては賛意を表する者で、討論の場合のようなことを申し上げてまことに粗い済みませんが、ぜひ私は別にこれに対して御異議はえらくあるまいと思うのです。委員長、しかるべくお取り計らいを願いたいと思うのでございますが……。
○委員長(阿具根登君) 他に御発言もありませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。
 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより医師等の免許及び試験の特例に関する法律の一部を改正する法律案について採決をいたします。
 本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(阿具根登君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成、その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それから御報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    山下 義信  谷口彌三郎
    山本 経勝  有馬 英二
    片岡 文重  田村 文吉
    藤田藤太郎  斎藤  昇
    松澤 靖介  横山 フク
    中山 福藏  勝俣  稔
    ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) 次に、保健婦、助産婦及び看護婦等の産前産後の休暇中における代替要員の確保に関する法律案を議題といたします。質疑を願います。
○横山フク君 この産休の問題に関連して、定員について伺いたいと思うんですが、現在、産院あるいは病院でも、産科におきまして、新生児の場合に、新生児は一患者となっていない、母親と同じ一組になっているわけでございますね、そうして、それはいつまでそういう形をとるんですか、医務局長に伺いたいと思います。
○政府委員(小澤龍君) 病院におきましては、通常分べんにおきましては一週間、そういう形をとっております。
○横山フク君 通常においては一週間でございますけれども、通常でない場合は、産婦に異状があったような場合、あるいは新生児に異状のあったような場合、そういう場合には、一カ月あるいは一カ月をこえて入院しているときがございますけれども、そういう場合において、新生児のベットは考えられてないと思っておりますけれども、いかがでございますか。
○政府委員(小澤龍君) ただいまのお話の通りでございまして、母親が異状があって入院しておるときには、便宜必要のある場合は、病院で新生児をお預りをしておる。これは特別なサービスとしてお預りしておるという形をとっております。それから新生児自体が病気になった場合、あるいは未熟児であった場合におきましては、これは新生児には特に処置を加えなければなり益せんので、そういう段階に参りますと、新生児は一人の患者としての形に相なるわけであります。
○横山フク君 実際に未熟児の場合には、一人の数になっておるというお話ですけれども、往々の場合、未熱児の起る原因として、母親の病気ということが不可分の問題であります。従って母親が入院しておる限りにおいては未熟児であっても、未熟児のベットは認められないのが通例であるのでございます。通例ではございませんか。
○政府委員(小澤龍君) ただいま私が申し上げましたことは、そういう建前になっておるのでございますが、実際の運営は、ただいまのお話のように、話し合いの上において、若干の期間は、病院等におきまして、特別なサービスといたしまして、便宜取り扱うということが実情のように承知しております。
○横山フク君 今のお話し、病院においての特別なサービスはけっこうでございます。しかし、その負担はだれにかかるかという問題です。病院の負担ではなくて、それは看護する助産婦なり看護婦の食掛にかかってくるわけでございます。そういう負担をあえてして、ことに母親が病気の場合、当然母親から生まれた未熟児等の場合においては、普通の平常産の分べん以上に、母親においても新生児においても手がかかるわけでございます。しかも、なおかつ、これが母と子供と二人が、一患者という形においてあるというのは、どういうわけなんでございましょうか。
○政府委員(小澤龍君) 御指摘の点は、まことにごもっともと存じます。御承知のように、病院内分べんというのは、従前は非常に数が少なかったのでございますので、理屈通りにきちんとはやらぬでも、ともかく病院全体の手をかけて、何とかやれたというのがかっての姿であったのでございます。それがただいま踏襲されてきておるというのが実情でございますが、御承知のように、最近病院内分べんが非常にふえてきておるわけでございます。従って母体の疾病、赤ちゃんの異状等に対しましては、相当病院全体として手がかかる状態と相なってきたのでございます。私どもも、このような新しい事態に対処いたしまして、この方面には、特に新たなる観点から、入院患者としての取扱い方並びに看護面、治療面におけるところの人的物的構成等について検討し、対処していかなければならぬと考えまして、ただいまその辺の調査をしておる次第でございます。
○横山フク君 今のお話によると、ただいま対処していかなければならぬので調査しておるというお話ですが、病院分べんがふえましたのは、昨年、ことしにかけての問題ではないわけでございます。近来この四、五年、昭和二十五年あたりから、急角度に上昇しているわけでございまして、もうすでにその当時から考えていただかなければならない問題であったと思っております。普通新生児においても分べん画後においては非常に母親において手数がかかる、普通の患者以上に手数がかかる、正常産においての新生児においても非常に手数がかかるわけでございます。それをまだ考えていない。ことに母親に病気がある、あるいはその結果として新生児にも病気があるという場合においては、なおさら普通の患者以上の、二倍、三倍の手がかかる。今日までそれがなおざりにされて、定員について何ら考えられていないということは大へん遺憾だと思います。今度それをお考えになるのは非常におそいと思いますが、お考えになるというお言葉を信じます。お考えいただくと思いますが、ただ問題は、ここでそういった病児、未熟児とあるいは産婦に異常のあった場合だけを一母子を二ベッドにするのか、あるいは生まれたときから新生児もそのまま、一母子を二ベッドにするのか、その限界点はどういうふうにお考えでございますか。
○政府委員(小澤龍君) 通常分べんのときに、従来の通りに、親子合せて一ベッドと考えるか、あるいはそれを二ベッドと考えるか、あるいは一・五と考えたらいいかということも、私どものただいま命題として取り上げて、検討しておるところでございます。これは医療報酬に直接関連のある問題であるだけに、私どもは公平な態度で慎重に事を処したいと考えておる次第でございます。
○横山フク君 医療報酬に関係があるからといって削る形のような、慎重というようなことをいっては困ると思います。かっては母子は母親のベッドの中に一緒に抱いて寝ておった。でありまするからして、その当時においては一母子が一ベッドであったということがわかる。しかし、もうすでに終戦当時あるいはそれ以前から新しいあり方の病院等におきましては母子別々でございます。しかも新生児は新生児室という形において看護婦看護で母親と別別にされている。ですから一母子一単位に考えているという形が十年以上継続されているという形は非常に残念だと思います。もう新生児でありましても、今までそうあったからといって、新生児が生まれた当座においては非常に手がかかるものでございます。それだけに正常産で生まれた場合においても、これは当然一母子二ベッドに考えるべきものであって、医療報酬とからみ合せて慎重な、影響があるからという形でいくべき問題ではないと思うわけでございます。ことにこのために助産婦が非常なオーバー労働になっている。二ベッドが一単位になっているために非常なオーバー労働になっておりますので、私はこういう問題を定員として計算を入れていただかなければならぬことだと思っております。
 それから次に伺いますのは、医療法においては産科におきましては、四ベッドに対して一人の看護婦という形になっております。そうして基本的に看護婦の定員がきめられてありますけれども、産科におきましてはその看護婦の中の適当数を助産婦に置くとあって、その看護婦の中の割合が、助産婦がどのくらいの割合になるか、産科のベッドがどれだけあるから助産婦はどれだけという形は何らきめていない。ただ適当数という形であるだけでございます。従って産科のベッドが十ベッドであろうと二十ベッドであろうと、それに合わせた看護婦はきめてありますが、その中の助産婦の割合はきめられてない。極端に言ったら一人の助産婦であってもいいという形があるわけであります。しかし御承知のように、医師または助産婦でなければ助産の業を営むことができない、看護婦ではできないということなんです。そうすると助産婦としてはその場合において、当然これは常時つき添わなければならぬ。医師が最初から、分べんの開始当時から終りまで添うという形は今日の日本においてなされておりません。助産婦がいたしますが、助産婦は当然三交代どころか、一人の助産婦が毎日、毎晩昼夜兼行でもってやっている形があるわけでございますけれども、それは医務局長御承知でいらっしゃいましょうか。
○政府委員(小澤龍君) 先ほど申し上げましたように、最近施設内分娩が非常にふえて参りました。ところが一方医療法の施行規則の基準が適当数ということになっております。適当数という数は何人でもいいわけでございますが、病院によりましては出産数に対応いたします助産婦数が明らかに足りないという所が現にございますことは事実でございます。そこで、過般予算委員会の分科委員会でもお答え申し上げました通り、これをわれわれといたしましては放置するわけにはいかないのでございます。適当数をおおむね何人という一つの基準に書きかえなければならぬ問題があるのではないか、かような意を十分反省いたしまして、出産の非常に多い施設、中等部の施設、少い施設、これらのものを類別いたしまして出産並びに新生児の看護、助産婦、看護婦等の活動、仕事、その両者の相関を調べまして、新たな、新しい基準をもってこの施設内出産に対応していかなければならないと考えて、これまた申しわけないのでございますが、ただいま検討している最中でございます。
○横山フク君 先ほどから、最近とみに施設内の入院分べんが多くなったということのお話ですが、同じことを私も繰り返すことになりますが、近来の入院分べんといえども、昨年、ことしにかけての問題ではないわけでございます。従って私たちの方の助産婦会でも、これは委員会には持ち出してございませんが、内部的な話し合い等は相当進めておったのでございます。しかし今日まで何ら実施できなかったのが現状でございます。従ってやむを得ず今日この機会に委員会でもって、はっきりしたお言葉をいただこうと思って出しているわけでございます。でございますだけに、私は局長の御答弁だけではここでは了承するわけにはいかないので、大臣からこの問題に対して責任ある御答弁をいただきたいと思うわけでございます。
○国務大臣(堀木鎌三君) これは専門家の横山さんからの御質問なのですが、率直に言って、一方において厚生省で児童の健康あるいは肢体不自由児の問題、あるいは今回御審議をわずらわしました未熟児の問題その他についての問題から考えましても、この助産婦さんの定員の問題というものを現状のままに放置しておいてはいけない。実際施設のいい民間の病院に行きますと、相当私は最近の実情に応じてやっておる状況も見ますが、しかし今申し上げましたように、全体として考えますときに、ことにここにあげてありますような保健所、国立、公立の病院、診療所の問題といたしましては、どうしてもこの問題を解決いたさなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。現状でもってとうてい満足できない、なるほどおっしゃいましたように、すでに入院分べんの現象というものは何も今始まったことではなくて、傾向線としては十分すでによほど前からわかっていなければならぬ状態でありますが、これらの問題が財政上の制約によって今まで満足に解決して参らなかった傾向もございますが、今後はこの問題についてぜひ確保いたしたい。適当数がどのくらいかというふうな問題は、個々の状況によって違うかと思いますが、しかし今の現状でもって適当数だということは考えられないのではなかろうか、それらにつきましても専門家の意見を聞きまして充足をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  〔委員長退席、理事山下義信君着席〕
○横山フク君 次に、これは公衆衛生局長はいらっしゃると思いますが、公衆衛生局長に伺いたいのですが、ただいま入院分べんの場合を考えましたけれども、保健所の問題でございます。保健所におきましては申し上げるまでもなく妊産婦の保健指導をいたしておりますし、診察もいたしております。不具の診察等は当然入るわけでございます。ところが保健所において助産婦のいる保難所は幾つもございません。ただいまここに私ども資料を持ってきておりませんが、幾つもございません。一県に一人の助産婦……一県に数カ所の保健所があるのに、一県に助産婦が一人もない所も相当数あるといった形でございます。しかも保健所の医師が産科を専門にした医師でない所があるわけでございます。一保健所に一人の医師。ところが、その医師が産科の医師でもなくて、そして助産婦も一人もおらない。しかも、腹部を診察して、妊娠中毒症だとか、位置が異常であるとか言われて、しかも保健所で月に一回定期診察をする。保健所で診察を受けて異常がないということだからといって安心しておられる。そして分娩期になりまして助産婦のところに来られました場合に、それはもう手おくれだという形が多くあるわけでございます。なまじ変な保健指導をするくらいなら、そして安心感を与えるくらいなら、かえって保健指導をしない方がいいというのが現状でございます。保健所という名前において、世間的信頼をかち得ておきながら、実際においては技術がない人たちによって保健指導をされているという形がままありまして、私たち地方に参りますと、そういったケースをよく耳にしておるのであります。ことに私は未熟児の問題においては、これは多く助産婦が扱っておる。病院において、医師においても、産科の医者が未熟児においては多く担当しておると同じように、新生児機関と関連した問題として、これは助産婦が扱っているわけであります。
  〔理事山下義信君退席、委員長着席〕
外国におきましても、イギリス等におきましては、そういったケースの保健婦が助産婦の資格もまた持っておるということを必須条件にしておる形でございます。そういう形であるだけに、未熟児対策にまで乗り出されるならば、なおさら一保健所に一人の助産婦は当然置くのが私は本来のあり方であろうと思います。それでなかったら、いっそうのこと妊産婦に対する保健指導という形を削るか、どちらかにする方が本来の姿であろうと私は思うわけであります。局長においてはこの問題に対してどういうふうにお考えになりましょうかしら。
○政府委員(山口正義君) 保健所で母子の指導をいたします際に、専門的な知識がないためにかえって迷惑させる場合があるというお言葉でございましたが、私どももときどきそういうことを承わりまして、まことに申しわけないと思っているのでありますが、まず医師の方の問題は、これは保健所に現在勤務しております医師は、大体結核の専門の人が多いのでございます。そういう意味で、特に最近母子衛生の問題、それから家族計画の問題なんかを取り上げるようになりまして、産婦人科の専門家を必要とする場合が多々出て参ります。そういう意味から保健所の常置の医者でなしに、非常勤職員としてそういう相談日に専門の医者を非常勤でお願いするようにしたいということで、三十二年度からこの予算措置を講じているわけでございまして、そういう点で専門的な指導ができるようにお医者さんの面ではやって参りたい、そういうふうに考えております。
 それから保健所における助産婦さんの配置状況が非常に手薄である。これはまことに御指摘の通りで非常に申しわけないのでございますが、ただ、保健所に勤務しておられます保健婦さんの中に助産婦の資格を持った方が相当おられます。これは県によっていろいろでございますが、東京近郊の数県調べてみましても、保健婦さんの半分くらいは助産婦さんの資格を持った方もございます。あるいは少いところでは三分の一、四分の一というようなことでございますが、しかしながら、その方々が助産婦の知識を持って十分に指導していただかなければならないと思うのでございますが、必ずしもそれが十分に行われていないというのが先ほどの御指摘の点だと思うのでございます。そういう意味で、先般も保健所の職員の充足状況でいろいろ御指摘を受けましたが、特に家族計画の問題、あるいは今度の未熟児対策の問題というような点から考えて、保健所の職員の充足について、やはり助産婦さんの充足を特にはかるように府県を指導していかなければならない、そういうふうに考えております。
○横山フク君 今度保健所の問題でございますが、保健婦さんでございますね、たとえば東京都におきましてはA級はどこの保健所でもそうですが、A級は十五人に大体なっております。しかし東京都でもって十五人の定員を満たしておるところはないわけでございます。ひどいところは七人、八人のところがあるわけでございます。半分ぐらいなわけですね。これもその資料の封筒持って来なかったのですけれども、私のところにまた別の日にあらためて――あなたの方からいただいたのですけれども、お見せしてもいいのですけれども、半分欠けているわけですね。B、十二人のところでも五、六人のところもある、東京都では。という形でございまして、充足数非常に悪いのでございます。でありまして、私はもちろん保健所の保健婦さんたちの産休の問題も考えなければならぬ問題だと思います。現在東京都でもってお産をする人は一年間に二十人だそうです。一年間に二十人の保健婦さんがお産をする。一保健所に一人ないわけでございます。産前産後で四十二日、合せて八十四日もらったとしても三月間しか充足できないわけです。定員十五人のところ七、八人しかいない。あと七人欠けている。そこで三月間だけ代替をもらうよりも、私は定員を増加させるという形の方がより先決の問題であるし、喫緊の問題であると思うのです。こういう問題に対して厚生省の方では……東京都は決して私は東京都の予算措置が悪いとは思わないので、東京都の方でよく質問をいたしますと、地方でもってこれは予算をもらわないから、だからできないのだというお話ですが、私はよその県はあるいはそういうのも一つの原因になっておるところもあるでしょうけれども、東京都に関する限りはそれがすべての原因であると私は思えない。私はそれは東京都の予算状況も見ておりまして、思いません。でございますが、これは満たされないということはどういうところに原因があるのか、それに対して原因をためる形でどういう処置を今までおとりになっていらっしゃったのか、それを伺わせていただきたいと思うのです。
○政府委員(山口正義君) 御指摘のように保健所の一応国で考えております定員は、Aクラスは十五人、Bクラスが十二人、それからCクラスが八人ということになっておりますが、それに対してただいま横山先生は都の予算化の状況が悪くないというふうなお話でございますが、私ども東京都近郊の数県を調べてみまして、国が考えております定員に対して、県の定員は、これはこの前、前国会のときにも問題になったのでございますが、県ではっきり保健所ごとの定員をきわめているのが割合少いのでございまして、一部局合せて定員をきめているところが多いのでございますが、一応東京都では国が考えておりますのに対して七〇%ぐらいの予算化をしているというような状況でございます。保健婦につきましてはそうでございます。それから神奈川県で八〇%、埼玉県で七五%、千葉県で七六%という予算化の状況でございますので、私どもはそういう点からやはり府県における予算化を促進するということを、向上していくということが必要だと思うのでございまして、そういう意味ではやはり国からの援助をもっと引き上げて、そうして地方が予算化しやすいように持っていきたいと、そういうふうに考えているわけでございます。一応都で予算化し、あるいは府県で予算化しましたその人数につきましては、現在員は一応九〇%以上一〇〇%近くまで充足されておりますので、やはり地方で予算化してもらうことが第一段階だと、そういうふうに考えております。それに対しては国からできるだけ予算化しやすいような措置を講じていかなければならないと考えております。
○田村文吉君 発議者に伺いますが、六万二千人の該当者の中で、一年にどのくらいの方が延べ人員でお休みにならぬけりゃならない人数ですか。
○委員長(阿具根登君) ちょっと発議者よく聞き取れなかったそうでございますが……。
○田村文吉君 六万二千人の当該者があるのですね。そのうちでお産のためにお休みになっているという方々は延べ人員にしてどのくらいなんですか。
○政府委員(小澤龍君) ……
○田村文吉君 いや、 私は発議者に……。
○片岡文重君 お答えを申し上げます。
 正確な数字になりますと、残念ながら把握できない状態にあります。というのはすでに保健所、特に地方の病院、療養所、保健所等におきましては、出産のためにやめなければならない。従ってこの私どもが調査いたしました資料の上には正確な産休、お産のために休暇をとるという数字が出てこないわけです。全部が出てこない。お産のために休暇がとれないからやめていかれる、そういう人たちを一応仲間に入れませんで、大体現在のところ千五百人程度と見ておるわけであります。
○田村文吉君 それは延べ人員ですか。
○片岡文重君 延べ人員でございます。
○田村文吉君 長いこと病気をしたり何かでお休みになる方が相当あるのだろうと思うのですが、そういう方々の代替要員という問題は、別に問題にならないのですか。その人たちの人数というものはどのくらいの人数でございますか。それがもし発議者でおわかりなければ当局の方で一つ御答弁願いたい。
○片岡文重君 ただいま申し上げました千五百人というのは大体の実人員だそうですから、訂正いたしておきます。
 それから長欠等の場合は当然私は予算の中に、予定人員の中に見込むべきである、たとえば結核であるとかその他長期療養を要するものは、従来の実績から見て大体何%ぐらいになるのかということで定員を見る場合には当然見るべきであると思うのであります。しかし現在のところでは、長欠はその機関によっても違うようですけれども、休職扱いとして定員外になっておりますから、保健所、病院等における助産婦、保健婦あるいは看護婦等のごとく、定員の中において七十日、八十日と休むような場合には、これは定員のワクの中に入っておりますから、どうしても代替要員を見なければ、現実にそのものの休んだ労働量が他の同僚の上にかかっていくことになりまするので、定員外扱いとして新たに定員をふやしていただけるならばこれにこした措置はないわけでありますけれども、当然見べき定員もとれないような状態のもとにおいておかれまするので、この際はどうしても三月近い休暇をとるもののためには代替要員を入れてほしい、これが私どもの趣旨でございます。
○田村文吉君 政府委員に伺いますが、どのくらいの病欠等によるあれがございますか。
○政府委員(小澤龍君) 病院、療養所における病欠あるいは休職等の全国的な数字はございませんが、国立病院、療養所の経験で申し上げますと、ただいま資料を持っておりませんが、たしか長期病気欠勤者が一%ぐらい、それから休職者が〇・五、六%台だと記憶しております。この数字は昔はもっと多かったのでございますけれども、だんだん健康管理等が徹底して参りまして、かなり減ってきてその段階に達した、かように承知しております。
○田村文吉君 今六万二千人に対して千五百人のお産があると、こういうふうに承わったのでございますが、今の病気欠勤の場合は六万二千人の一%といたしますと、六百何十人の不足があるものとして要員を充足していらっしゃる。同様の意味で私はお産というのは神武天皇以来あるのでございますから、別にきのう、きょう始まったものでないので、やはり定員の中にはちゃんとそういうものは織り込んであるべきであると私は思うのでありますが、その点はどうですか、政府当局に伺います。
○政府委員(小澤龍君) 実は医療法の施行規則に、病院で常時配置しなければならない職員の標準がきめられております。これは標準という言葉を使っております。看護婦は一般の場合におきましては、入院患者四名について一人、医師は入院患者十六名について一人、先ほど横山先生のお指摘のごとくに助産婦は適当数というような表現で職員の標準が示されておるのでございます。
  〔委員長退席、理事山下義信君着席〕
この標準をきめたときの制定の事情を実は先般調べたのでございます。というのは、なま身の人間でありますからして病気で休む場合もある、あるいは会議その他でもって出歩かなければならない者もある、そういうようなものが看護婦であれば、患者四人について看護婦一人の中にそういう欠勤の要素を編り込んで制定したかいなかということを実は調べたのでございます。遺憾ながらその当時のそういった記録は全然残っておらないのでございます。それからその当時の人にいろいろ尋ねてみておるのでございますけれども、実ははっきりした答えは得られないのであります。当然考えられますことは、ただいま御指摘のごとくに、なま身のからだであるから、若干その辺も考慮して、おそらくかような標準がきめられたのじゃなかろうか、かように推察しておる次第でございます。
○田村文吉君 大体特別会計によっております現業官庁その他のところでは、みなかような数字を編り込んで定員というものは大体きまっておるのですね。でありますから、これが病院等におきましてはそういう病気欠勤の場合も考えないし、お産の場合も考えないというようなことで組み立てられておるものでしょうかどうか、それを私は伺いたい。
○政府委員(小澤龍君) ただ申し上げ得ることは、病気欠勤する人の数は年々減少して参っております。これは先ほども申し上げた通りであります。逆に出産の数は年々増加して参っております。三年ほど前はたしか国立病院、療養所の経験では一コンマ何%か、一%台であったものが今日では二コンマ何%か、資料がありますが、昭和三十一年におきましては国立病院におきましては二・八%、療養所におきまして二・三%、かように出産の数は増加しておることは事実でございます。また先ほども申し上げましたように、病気欠勤の数は比較的に減少しておることも事実でございます。
○田村文吉君 最後に伺いますが、これに対する予算はいかほどをお見込みになっておりますか。
 最後に、政府はこの議員提案に対してどういうお考えをお持ちになっておりますか。それをお伺いいたします。
○片岡文重君 お手元に差し上げてございます法律案の中にございます通り、平年度におきまして三千二百万円と見ております。ただしこれは国立関係だけでございますので、都道府県の分は含んでございません。
○田村文吉君 政府の所見をお聞きしたい。
○政府委員(小澤龍君) 国立病院、国立療養所におきましては、昨年当委員会におきまして産休休暇を与えることに対する御決議がございましたので、すでに予算決定後ではございましたけれども、特に産休要員を確保するために既決予算の中からある程度の予算を別に取り出しまして、完全とは申せませんでしたけれども、ある程度の代替要員を雇いあげるという措置を講じたのでございます。その金額が昭和三十二年度におきまして、これは七月から、第二四半期から実施したのでございますけれども、国立病院におきまして百五十三万五千円、それから結核療養所におきましては百八十一万円でございました。これは結核療養所の方が出産数が多いからでございます。ところで昭和三十三年度におきましては、産休を与えるための手段といたしましてあらかじめ予算を計上してございます。これが大体国立病院におきましては二百八十九万三千円、結核療養所におきましては三百六十五万三千円でございます。これの算出の基礎は、従来とも病気で欠勤するとか、あるいはお産で休むとかいったような場合には休暇を与えないのではなくして、与えなければならない建前になっておりますので、それは他の職員がその分をよけい働らいてカバーするという形で休暇を与えて参ってきたのでございますけれども、先ほど申しましたように、だんだんお産の数もふえましたので、可能な範囲においてこの代替要員を雇って全職員の労働をカバーするという考え方でこれを計上したのでございまして、大きな病院におきましては、看護婦さんが非常に数多くいることでございますので、特に雇う必要はないだろう。しかし小さい施設におきましては看護婦さんの数が少いので、これは雇ってあげなければ全体の負担も大へんです。休む人も大へん気がねであろうということを考えまして、この計上の一応の基礎には、予定全出産数の大体九割の代替要員を雇い入れるという、そういう前提のもとにこれを計上したようなわけでございまして、もちろんお産のことでございますからして、予定よりも少い場合も多い場合もございます。これは最近の傾向といたしまして年々増加いたしておりますので、なおこれで不足するようであれば、われわれとめ置き予算の中からこれに追加いたしまして、産休代替は予算上万遺憾のないように実施をいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
○田村文吉君 今の発議者の御説明にございました三千二百万円の予算の増加ということは、政府でお認めになりますか。
○政府委員(小澤龍君) 国立の施設で申しますと、厚生省で経営しております国立病院、国立療養所、それ以外に大学病院がございます。国鉄病院がございます。労災病院もございます。いろいろ他に国の経営いたします病院がございますので、それを含めての御算定と考えるのでございます。また私どもの算出の基礎は、実は一人前の、すべて一人前の看護婦さんなりをかわりに雇うという考え方ではないのでございます。実際問題といたしまして、この八十四日を限って、産前四十二日、産後四十二日、合せて八十四日を限って、そうして正規の看護婦さんをその間だけ雇うといたしましても、なかなか助産婦さんでも保健婦さんでも、まあ看護婦さんの方は派出看護婦がございますけれども、そういうりっぱな人は入手することができるかできないか、一つ問題でございます。ことに国立病院、なかんずく療養所はいなかにたくさんできておりますので、その地方におきまして、すぐ間に合うような有資格者が得られるかどうか、もしかりにそういう人が得られたといたしましても、その病院の事情を精通し、よく知っていて、掃除の用具はどこにあるか、あるいは薬品等の請求はどこを通してやるかといったことまでのみ込むのには相当時間がかかる、それよりも病院をよく知っている人に、むしろ看護婦助手としてお手伝いを願った方が、病院の側としてはさらに効果的ではなかろうか、従いまして代替要員には原則としてこういった看護婦助手の働きをなすような人、特に病院の事情をよく知っているような人、たとえば病院の職員なんかの奥さんで、かつて看護婦さんをやった方がおられますので、御主人を通じて病院の事情もよく知っておるし、病院の職員の人の名前も顔もよく知っておられる方がままございますので、そういう人を選んでお願いしてお働き願ったらどうであろうかというような考え方から、実は予算単価は一日二百八十五円となっておりますので、一人前の看護婦さんではない、看護助手を代替として雇うという考え方になっておりますので、一人前の看護婦さんを雇うより下回って出ておるわけでございます。
○田村文吉君 政府は、この案に対しての結論はよろしゅうございますか、これは大臣に伺っておきたい。
○国務大臣(堀木鎌三君) この法律は先ほどからいろいろ論議されておりますように、実は率直に言えばその実態を整えるということと、それに対する財政的な措置をするということの方が目的を達するのであってただ、法律だけですべての問題を解決しようとすることは相当困難だと思います。三十三年度の予算……むろん私どもとして御趣旨には、もう当然われわれ自身がこういう法律案が出ないように参ることが当然であり、また御趣旨には私ども何ら異議はないのでありますが、しかしながらこれらについては、実際問題として法律でもって縛るということよりも、そういう実態的な諸条件を整備し、それに伴う財政的措置を講ずることが当然である、ただ三十三年度の予算におきましては、この法律案の完全実施をいたしますような予算的措置はまだ講じておられないのでございます。今後の努力に待つところが多い、かように考えておるような次第でございます。
○藤田藤太郎君 今の大臣の答弁を聞きますと、趣旨についてはごもっともだと、こう言うんですね。ところが私は議員提案でこの問題が出てきたというところには、具体的欠陥があるからこそ、出てきておるわけだ、ないところには私は出てこない、行政上の措置について足らざるところをここで法律としてきめて、そうして行政上実現しようという立場からこの法案が発議されておると思う。そうなると、私は今の大臣のお言葉や局長の御返答を聞いていて、たとえば保健所の状態がどうなっておるか、病院、助産婦の関係、看護婦の関係がどうなっておるかという資料をなぜお出しにならないか。具体的に、厚生省はこのような法案が審議されるには、私はそういう資料をお出しになって、実情はこうだ、こういうところに欠陥があるということをなぜはっきりされないのか。私は非常にその点が不満です。そうして皆さんが把握して、実態を理解して、その上でどう解決するか、その欠陥の根となっておるものをどういう工合に取り除くかというのが国会の、立法府の審議だと私は思う。そういう点は議員提案だからといって資料も、この法案が出て、答弁はされるけれども、実際資料をお出しにならないで、今六万二千とかいうお話しがございましたけれども、それじゃ実態はどうなのか。国営といいましても、いろいろの病院があるとおっしゃるけれども、それじゃそういう病院にはどういう形でおられて、実際にどういう工合に休暇が支給されておるかということをわれわれ全体が把握しなければいかぬ。それがためには資料を親切に、こういう法案が出てきたら出すということがまず第一義じゃないですか。これが私は非常に不満です。
 そこでお尋ねをしたいのは、ここの、発議者の方からの資料だと思いますけれども、この調べたものなんですが、保健婦のこれを見てみましても、産前産後休暇のないものというのからずっと……この資料はあなたの方にいっていると思うんですがね、読み上げてもいいんですが、たとえば一つの例ですが、産前休暇の実態をここで出しております。上の方から言いますと、全国で六千二百七十二名の中で既婚者が二千四百二名、それから分娩をした者が千六百五十七名、だんだん下っていきまして、産前休暇のない者が八十五名、一週間もらった者が四十八名、二週間の者が四十一名、六週間の、四十日間の休暇をもらった者が、そのうちで六%、二十三名しかないというこれは実態なんです。この実態が報告されている。そうなると、休む、居残り勤務とか、そういうことでカバーをして休暇が与えられる、しかし居残りする者がなければ休暇がもらえない、実際問題として。これはどこの職場でもそうですが、きょう局長がこの出産の問題は年々ふえて、全体の二・八%まで年々ふえている、こうおっしゃっている。それじゃ、この二・八%が定位置にあるのか、だんだんふえるのか、減るのか、大体二年か三年とってみたら平均値が私は出ると思う。出たらそれに応じてやはり正規の定員ということじゃ困るとか云々という御意見がありましたけれども、やはり臨時に補充するだけの定員をやらなければ、居残りをする者はオーバー労働になるでしょうし、それは健康に障害が出るでしょう。こういう問題はやはり私は明らかにされなければいけない問題じゃないかと思うのです。ですから、まず第一に、私は保健所の問題や実態の資料をなぜお出しにならなかったかということが一つ、それから今三十三年度で、大臣のお言葉を聞いていると、十分でないけれども予算上の問題として努力をしたい、こうおっしゃっております。それなら努力をどういう方向でおやりになるのか、その実態というものを少しお話を願いたいと思うのです。そうでないと、あなたは資料をもって読み上げますけれども、それを控えることもできません。
○理事(山下義信君) ただいま藤田委員の要求の資料を厚生省はお出しになれますか。
○政府委員(山口正義君) 先般御要求のございました保健所の人員、人数別の充足状況、それは医師につきましては出しました。それから保健婦、看護婦、助産婦につきましては府県別ので提出いたしました。ただ、御指摘のように、産前、産後、その産休の資料はまだ提出いたしてございません。
○藤田藤太郎君 それはいつもらいました。
○理事(山下義信君) それでは産休関係の資料を至急に両局の関係の資料を提出願いたいと思います。
○藤田藤太郎君 私は今の保健所の資料はもらっておりませんけれども、私は産休の問題にしたって、あなたの方は資料をもっておやりになるけれども、その発議者、われわれとしては大体の全体を見て千五百人、それからする費用というのはほんのわずかです。国全体の費用からみればわずかなんですから、私は大臣はこれを、産休をやらなければいかんとおっしゃっている。おっしゃっているなら、その裏づけというものを私は厚生省がおやりになるということでなければ、資料の問題もそうでしょうし、これをどうして実現するかという、このことを明確にここでしてもらいたい。
○理事(山下義信君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(山下義信君) 速記を起して。
○藤田藤太郎君 それでは資料が出てくれば明らかになりますけれども、実態というものは今私が読み上げたように実態にあるわけです、実際問題として。休暇はもらいたいけれども、それをかわってくれる者がないから休暇がもらえないという実態に私はあると思う。そこでこういう問題が出るので、厚生省は、資料が出る前で、政府から出たら、その資料も出るかどうかわかりませんが、そういう状態をどういうふうにして緩和しようとしておられるか、ちょっとその点を伺いたい。
○政府委員(小澤龍君) 先ほど申し上げましたように、病院、療養所等におきましては出産数が非常に少かった。従って、その方が休まれましても他の労働力でカバーしてきたというのが実際でございます。だんだん出産数が多くなりますと、それではとうてい許されないのでございまするので、先ほど申し上げたように国立病院、療養所におきましては、予算措置を講じまして代替要員をなんとかして確保していきたい。これも代替要員につきましても、また確保の仕方についていろいろ私ども構想があるわけでございます。たとえば出張所別に若干名を常時配置しておいて、必要なところにそこから派遣する。そうすると、しろうとをいきなり雇うよりもずっと便利があるのじゃないかというような考え方もございます。いろいろ対策等もございまするが、これもなにせ予算措置をしましたのは三十二年度からでございますので、経験も浅いことでございますので、できるだけ早い時期に、こういう対策を考えて、がっちりした組織の上において、考え方の上において、十分に代休を与えられるような行政措置を講じていきたい、かように今考えて決心しておるような次第でございます。
○理事(山下義信君) 先ほど山口公衆衛生局長からお答えいたしました資料は、ただいま到着いたしましたから御配付いたします。
○政府委員(山口正義君) 保健所の助産婦、保健婦、看護婦の方々の産休の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、まず府県で定員を充足してもらうということが第一でございますが、そのほかに一応私どもの方で府県に対して保健所の職員に対する交付基準を作って出しております。その際に府県で一応考えておりました以外に臨時の保健婦さん、助産婦さん、看護婦さんを雇い上げたというようなときには、それに対する国庫補助金を要求して参ります。それに対して特別承認という形で補助金を出して、そうして臨時に雇い上げた方に対する国庫補助を財政的な裏打ちをする、そういうことを従来やっておりまして、今後もその方針を続けて参りたい、そういうふうに考えております。
○藤田藤太郎君 そうすると産前四十二日、産後四十二日の、この休暇を支給するというのは、厚生省の見通しではいつになったら実現すると考えておられるか、予算上の措置を含めて。
○政府委員(小澤龍君) 国立病院、療養所につきましては、今年度はまず大体先ほど申し上げましたように九〇%予算でございますけれども、実情を見て必要があれば一〇〇までこれを拡大していく、こういう考え方をもって対処しておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 三十三年度四月一日から百パーセント実施する、こういうことですか。
○政府委員(小澤龍君) さようでございます。実はこの問題を含めまして全国各地でもって院長、庶務課長とのブロック会議をやっております。そうして、いろいろ施設側の御希望等も取っておりますので、帰って参りましたならば、さっそくこれをその土台の上において予算を配付をいたす考えでございます。ただもう前年度と同じように、あるいは前年度より基準をゆるめるのだから、どんどん要求書を出せということは申しておりますけれども、こまかい点は、先ほど申し上げたような措置でやるのでございます。大体三十三年度につきましては、いずれもかなり十分に休暇を与え得るような措置が講じ得るのではないかと考えております。
○田村文吉君 事柄はけっこうなんでございますが、予算は組んであるのでございますか。
○政府委員(小澤龍君) 予算は組んでございます。
○田村文吉君 ございます、はなはだおかしいやね。
○政府委員(小澤龍君) 国立病院、療養所につきましては予算を組んでございますけれども、他の大学病院とか、あるいは国立病院等につきましては、おそらくその特別な予算は組んでないのではなかろうかと、こういう点を心配しております。
○田村文吉君 そうすると、別に法律は作らないのだけれども、予算は組んで、かれこれの病院に対してはできるようになっておると、こういうふうに解釈してよろしいのですね。
○政府委員(小澤龍君) この点につきましては、厚生省所管の国立病院と療養所だけだと、私のお答え申し上げているのは、だけだと御了承願いたいと思います。
○藤田藤太郎君 それじゃ国立病院と療養所は百パーセント四月一日から実施する、それで、そのほかの国立病院の関係はどうなりますか。
○政府委員(小澤龍君) 私どもは病院行政を担当しておるものといたしまして、他の病院につきましては、必要な事項については指導し監督することができるわけでございます。問題は、産前産後の休暇を与えなければならないことは当然でございますけれども、与える方法といたしまして、代替要員を雇うことは、これは非常にいい方法だと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、休む人は単に産前産後だけではございません。病気その他でも休む場合もしばしばございまするので、そういった場合には、病院におきましては、一般には他の職員がその分の仕事をカバーするというのが従来の慣行でございます。従いまして、われわれの指導といたしまして、代替要員の予算を計上しなければならないという、一本だけの指導だけでいいかということが非常に問題でございます。それは病院の規模によりましても、あるいはすでにあるところの定員の関係によりましても違うと存じまするので、産前産後の休暇を与えなければならぬことは、これは間違いないことでございますけれども、その方法といたしましては、一律にこれを縛つていくということはただいま考えていないわけでございます。
○藤田藤太郎君 そうすると、他の国立病院については、予算措置は今いつまでにやるという見通しがないということですね。
○政府委員(小澤龍君) 他の国立病院については、他の国立施設と話し合いの上で、その現状に応じた、産前産後の休暇のやり方についての現状に応じた話し合いをしていきたいと存じておるような次第でございます。
 なお、先ほど百パーセントと申しましたけれども、これは人間のやることでございますので、私の方では再パーセントやりたいと考えておりますけれども、それは、場合によってはあるいは九〇%になる場合もあり得ますが、われわれの考えておる意思のほとんど全部は三十三年度においては達成したい、かような考えであることを御了承願いたいと思います。
○藤田藤太郎君 それでは、保健婦、助産婦ですね、特に保健所に勤務されておる者が中心だと思うのですが、この方々の産休の問題はどうなんですか。
○政府委員(山口正義君) 先ほど申し上げましたように、臨時に職員を雇い上げました場合には、特別承認で財政的な裏打ちをしておるわけでございます。三十三年度におきましても、そういう方向で大蔵省と、交付基準をきめる場合によく話し合いをしておきたい、そういう考えであります。ただ従来出てきております代替要員の、代替要員と申しますか、臨時に保健婦、助産婦を雇い上げた場合の内訳は、私ども明確にいたしておりませんが、いろいろな理由で、臨時に雇い上げた際の費用が要求されてきておるわけであります。今後におきましても、そういうものをみなひっくるめて、やはりやっていきたい、そういうふうに考えております。
○藤田藤太郎君 これも、そうすると、三十三年度から百パーセント実施するということですか。
○政府委員(山口正義君) これは、国の予算だけでなしに、地方庁の予算も関連して参りますので、直ちに私ここで今、百パーセントに実施いたしますというふうに、はつきりはなかなか申し上げかねるわけでございますが、法律に定められましたように、産前産後の休暇をやれるように、地方で財政的措置を講じてもらいたい、さように考えております。
○藤田藤太郎君 それは、見通しはいつまでですか。何年くらいですか、百パーセントやれるというのは。何年くらいの計画を立てておられるのですか。
○政府委員(山口正義君) 何年というても、年次計画というわけではございませんで、必要な面につきましては、三十三年度からできるように指事していかなければ、処置を講じていかなければならない、そういうふうに考えております。
○藤田藤太郎君 そうすると、どうも国立病院と結核療養所は大体百パーセントことしからやるように措置いたし、他の国立病院や、助産婦、保険婦のおられる保健所については、やはり具体的な事実というものは、努力をするという段階で、具体的には一つの実行としては、今ここで明らかにならない、そういうことになるから、要員のこのような法案が出てくるのだと私は思うのです。これはやはり、やってもらわなければたまりませんからね、実際に働いておる人は。だから私は、やはりこの法案というものの意義というものはそこにあると思うのです。だから、きょうは、いろいろ皆さんの時間の都合で、これで私の質疑は打ち切りますけれども、しかしこの問題は、今発議されておる法の趣旨というものを生かすというところに厚生行政の柱がなければならぬと私は思うのですよ。だから、そういう点で、一つ至急に資料を出してもらわなければならぬし、そうして、その実態に対する問題を、もう少し明らかにしていただきたいと思います。
○理事(山下義信君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(山下義信君) 御異議ないと認めます。
 暫時休憩いたします。
   午後零時四十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十九分開会
○委員長(阿具根登君) 再開いたします。
 この際お解りいたします。日本労働協会法案審査のため、大蔵委員会と連合審査を行うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。日時は、二十三日午後一時といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(阿具根登君) 次に、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、衆議院における修正意見について説明を願います。
○衆議院議員(古川丈吉君) 日雇労働者健康保険法の一部衆議院修正につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 政府提案の日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案は、日雇労働者健康保険に傷病手当金及び出産手当金の制度を創設するとともに、保険給付費に対する国庫負担及び国庫補助の割合を明らかにし、かつ、保険料の額及び療養の給付の受給手続の合理化をはかることにより、本制度の健全な進展を期する趣旨に出たものでありまして、その趣旨は了とするところであります。
 しかしながら、政府原案におきましては、保険料中被保険者の負担すべき第一級の保険料十一円のみを当分の間十円と読みかえ、事業主より軽減いたすこととしておりますが、疾病保険における保険料は、事業主及び被保険者の折半負担を原則とすべきであり、日雇労働者健康保険におきましても、同様にその建前は貫くべきものと考えるのであります。政府の原案においてこの原則が貫かれなかった理由は、この原則を考慮しつつも、保険財政上やむを得ずとった措置と思量されますが、保険料については、来年度以降においてさらに考慮する道もあり、これによって財政収支の改善をはかることも可能と思われますので、本年度は一応折半原則を貫くことが適当と考えるのであります。これらの事情を勘案いたしますと、事業主の負担すべき第一級の保険料も軽減して差しつかえないものと認められますので、当分の間十円と読みかえると修正することといたしたのであります。
 以上がこの修正案を提案いたしました理由並びに修正の要旨であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
○委員長(阿具根登君) これから質疑に入るのでありますが、本案の詳細について、政府委員から説明を願います。
○政府委員(高田正巳君) 御提案申し上げました日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、そのおもな点を御説明を申し上げます。
 内容の要点は、第一は、従来から要望が非常に強うございました傷病手当金並びに出産手当金、この二つの制度を新設をいたすということがその第一でございます。傷病手当金、出産手当金ともに、その支給額は、第一級は二百冊、第二級は群四十円という内容に相なっております。なお、傷病手当金の支給期間並びに出産手当金の支給期間は、十四日以内ということに相なっておるわけでございます。
 それから、改正の第二点は、これも従来から被保険者より熱望されておりました療養の給付におきまする受給手続の簡素化でございます。これは、普通の健康保険でありますれば、被保険考証を持って、それを医療機関に提示することによって保険給付が受けられるのでございますが、日雇労働者健康保険におきましては、御承知のように、被保険者手帳に保険料を納付いたしましたときに貼りまする切手の枚数が、一定期間一定枚数以上あって初めて受給要件が発生をするのでございまするので、従って、従来の取扱いにおきましては、医師にかかりたいときに、事前に保健所に参りまして、受給資格の証明をもらいまして、その証明書を持って医者にかかる、こういう関係になっておったのでございます。これを今回は、日雇労働者健康保険受給資格者票というものを被保険者手帳と別個に設けまして、被保険者が自分の都合のいいときに、あらかじめそれに受給要件を満たしておるという資格を確認しておいてもらいまして、いよいよ病気になったときには、そのままそれを持っていけばいい、こういうふうに手続を簡略化いたしたわけでございます。これが第二点でございます。
 それから第三点は、保険料並びに賃金の等級区分の改訂でございますが、従来は、ご存じのように、百六十円を区切りといたしまして、それ以上を第一級と、それから百六十円未満を第二級、そうしてその保険料は、第一級が事業主八円、被保険者八円、第二級が事業主八円、被保険者五円、こういうことであったわけでございます。今回の案におきましては、区切りを二百八十円以上と二百八十円未満に分かちまして、第一級におきましては保険料が十一円十一円、第二級におきましては十円八円、ただし、第一級の被保険者の十一円につきましては、附則におきまして、当分の間十円とすると、こういうことにいたしたわけでございます。この点が第三点でございます。
 それから、第四点といたしましては、日雇健康保険に対しまする国の責任が、従来の規定では明確になっておりませんので、これを明確にいたした次第でございます。御承知のように、三十二年度におきましては、いわゆる医療費に対しまして一割五分の国の負担をいたしておったわけでございますが、三十三年度には、予算の方も二割五分までその負担率を引き上げまして、そうしてそのことを法律の明文の上に、四分の一というものを負担するということを明らかにいたしたわけでございます。
 なお、今回の新設されました傷病手当金、出産手当金につきましては、これにつきましても、予算の範囲内においてそれの三分の一以内を補助するものとするということにいたしまして、この点を明確にいたしたわけでございます。ただし、予算は三分の一が計上されておるわけでございます。
 大体、以上四点が改正のおもなる点でございます。
 一応簡単に、内容の主要点を御説明申し上げた次第でございます。
○委員長(阿具根登君) 質疑のある方は御発言を願います。
○松澤靖介君 この保険法の改正に対しまして、一、二御質問いたしたいと思います。
 今回のこの改正の場合において、いろいろと内容を検討した場合において、もう少し拡充強化すべきじゃないかというよう点があるように思われますが、それらの点について、この程度にとどめたということは、結局予算的措置ということから起ったものかどうか、あるいはまた、日雇健康保険はこれくらいの程度で差しつかえないという考えのものにおやりになったのか。ことに、ただいま問題になっておりますところの社会保障の問題、すなわち年金の問題にいたしましても、すべてこれらのいわゆる恵まれざる人、低額所得者に対しての愛の手を差し伸べるということが大きな行政的、政治的関心事だと私は考えておりますが、その点について、これらのいわゆるほんとうに低額所得者の方々に対して、もう少し愛の手、と言ってもいいかと思いますが、差し伸べて、そうしていわゆる日の目を見ることの少い人たちに対して、大きくこれをもう少し拡充してやるべきじゃなかったかと考える点があるように思われますが、それらに対しての御所見を、厚生大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(堀木鎌三君) 実は私は、就任以来、日雇健康保険法につきましては、傷病手当金及び出産手当金の手当がないことが非常に遺憾である。何とかこの両手当を創設することが、日雇健康保険にとっては最も必要なことでなかろうかということを考えて、この問題の解決に当りたいというふうに考えたわけであります。ところが、御承知の通り、一方において日雇健康保険は、最近におきましては、赤字が相当多く出ておるというふうな状況でございまして、これらの赤字を解消し、そうしてなおかつ、両手当を支給するということに当面せざるを得なかったわけであります。むろん、日雇健康保険の給付内容の向上とか、あるいは料率の低下ということは望ましいことでありますが、御承知の通りに、今度療養給付に対しましての国庫負担を一割五分から一挙に二割五分に上げ、あるいは傷病手当金につきましても、国庫の負担を三分の一と新しくきめ、これらのことは、相当従来の経緯から考えますと、何と申しますか、逐次改善に向うとしましても、従来の経緯から見ますると、私は相当、何と申しますか、少くともやや飛躍的に進めることができたというふうに考えておるのでありますが、しかし、むろん私ども、これをもって満足しているわけではございません。しかし、各種社会保険を通じまして、被保険者の数その他から見ましても、今回の財政資算の上におきましても、日雇健康保険法に相当多額の財政負担を、被保険者の割合からいたしますと、やらざるを得なくなったわけであります。今申し上げましたように、国庫の負担増を来たしているわけであります。しかし、赤字を解消し、むろん御満足ではないであろうし、われわれも、もう少しそれらについて逐次、これらの保険について改善を加えたいとは思いますが、全体のバランスから見ますると、むしろウエートは相当日雇健康保険に置いたものであると考えましたので、とりあえず、これらの傷病手当金、出産手当金等を創設いたしますこの際におきましては、この程度で各般の社会保険を通じて御満足を得たい、こう考えて提案いたしているような次第でございます。
○松澤靖介君 承わるところによると、相当この問題に対しまして、堀木厚生行政が一歩前進しているような点が見受けられない点もないではないですが、私としては、やはりこの種の問題に対しましては、画竜点睛というか、もう少し一歩進んでおやりになった方が、もう堀木厚生行政のはなやかさといいますか、最後のまぎわにきてのおみやげということになっても非常に私はよかったのじゃないか。これは後世に残る問題である。私は、そのような点において、もう少し一段とお考えになってしかるべきじゃなかったか。ことに、衆議院で御審議中と思いますが、国民保険の問題につきましても、国重負担は三割とすべきであるというようなことの点から見ましても、皆保険というような立場から見ましても、すでに国保は三割という線が唱えられているようでありますが、この種の問題につきましては、私は、やはり三割充分というような線にとどむべきじゃなくて、もう少し、三割とか、出し惜しみをしないで、こういう方面には出していただいて、そうしてほんとうに堀木厚生大臣があってかように――この前も審議しました福祉法案の問題についても、一段と強力におやりになった点は見受けられたのですが、この点に対しましても、私は一段と力強くおやり下さったならばよかったのではないかと考えられますが、なお、先ほどの御答弁中に、赤字の問題が出ておりましたのですが、この赤字のいわゆる最近における増加率といいますか、そういう点は、政府委員からこの前もお聞きしたかと思いますが、なお念のためにお聞きしたいと思います。
○政府委員(高田正巳君) 三十一年度の決算によりますると、支払い未済、これがまあ実質的な赤字といわれるものでございますが、四億三千二百万円でございます。三十二年度の見込みでございますと、三億四千九百万円の見込みでございます。ただし、これらはいずれも、各年度におきまして前年積立金をくずしておりますので、その実質的な単年度の収支といたしましては、これに積立金をくずしました額を加えて単年度の収支を考えて参らなければならないわけでございます。そのことは別にいたしまして、この決算じりでは、今申し上げましたような額が支払い未済、すなわち赤字として出て参っているわけでございます。
○松澤靖介君 ただいま承わりますと、約四億円かくらいの赤字だと思いますが、やはり恵まれざるこれらの人人に対する保険制度としてももう少し赤字にこだわらないで、高田局長は、社会保険の赤字に対しても非常に神経過敏であったように思いますが、私は、この種のいわゆる日雇者健康保険などに対しましては、赤字なんというものは、もうそんなに神経過敏にならないでも、赤字になったら赤字になったで差しつかえないという気持でおやりになった方が、またやるべきじゃないかと、こう思うのですが、それらの点について、こういうことで差しとめたということも、やはり局長自身も赤字ということに対して非常に御関心をお持ちになって、この程度にとめたものなんですか。事務的にそれをお聞きしたいと思います。
○政府委員(高田正巳君) 先生ただいま御指摘のように、保険経済というものは、そう一年くらい赤字が出たからといって、その赤字の額にもよりますけれども、そうそれを気にしてこれをどうするという心配をする……もう少し長期的に見ていかなければならないという点は、私も同じような考え方をいたしておるのでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、三十一年度では四億三千万余円のいわゆる支払い未済額に対しまして、積立金より受け入れを一億四千万円ばかりいたしております。それがプラスされるわけでございますが、三十二年度におきましては、実は積立金の受け入れを六億三千万円いたしておるのでございます。それで、先ほど申し上げました数字とプラスをしていただきますと、三十二年度の赤字というものは、相当大きな、単年度の赤字というものは相当大きな数になるわけでございまして、従いまして、今後のその見通しをつけて参りまする際に、ただ単年度の、その年その年の特殊な事情で赤字が出たのだ、来年は好転をするという見通しがありますれば、これはまた別問題でございますが、今のように、三十一年度、三十二年度ともに赤字であり、しかも三十二年度は、赤字額が非常に累増をしている。今後どうなるかという見通しにおきましても、このまま放置をしておきましては、これはもう、とうてい財政は維持していけない、こういうふうな観点に立ちまして、やはり財政の健全化というもの、保険を運営をいたす場合におきましては、これは重要な要素といたしまして、施策の上にそれを反映さしていかなければならない。まあ私どもは、財政問題につきましては、さような考え方をいたしておるわけでございます。
 特に日雇健康保険におきましては、御承知のように、保険料が定額できまっておりまするので賃金ベースが上りましても保険料の方は上らないような格好になっておるわけでございます。この点が一般の健康探険等と特に違う点でございます。
 さようなことにもなっておりまするので、このままで推移するならば、赤字額はだんだんと累増をしていく、こういうふうなことが確実に言えるわけでございます。それで、それに対しまして、私どもは、国の負担の方も、先ほど申しましたように、また大臣が御答弁なさいましたように、従来の経緯から見ますると、相当飛躍的に増加をしてもらうという措置をとる。また同時に、賃金もだいぶ上っているわけでございまするので、制定当時の保険料が定額でくぎづけになっておりますところを、これも君千引き上げるということによりましてこの財政的な手当をいたして参りたい、かように考えておるわけでございます。
 それで、御質問の後半の方にございました、しからば、そういう赤字というようなことを非常に心配をして、今回新設される傷疾手当金なり出産手金なり、そういうふうなものの給付の内容をもう少しよくするということをしないでいるけれども、それは赤字ということを気にしたからかというふうな御趣旨の御質問でございました。その点につきましては、もちろん、財政全般の収支をよく考えて、財政的な裏づけのある給付の内容にいたさなければならぬということの配慮はもちろんでございますけれども、しかし、決してそれだけで私ども今回の傷疾手当金なり、出産手当金なりの給付内容を決定いたしたわけではございません。たとえば、失業保険の給付がどういうふうになっているか、それらとの均衡を考えましたり、あるいはまた、制度を新しく創設をする時期でございまするので初めから非常に高いレベルのもので出発をいたしますることも、これはいろいろいかがかという配慮も私どもにはあるわけでございます。さような観点から、この程度で出発をいたすことが妥当であろう、こういうふうな考え方をいたしたわけでございます。しかしながら、大臣御答弁のように、この内容で私ども決して満足をいたしているわけではございません。将来いろいろの事情をにらみ合わせてこれが改善には十分努めて参りたい、かように考えているわけでございます。
○松澤靖介君 御説明によりますと、やはり赤字というものも相当考慮に入れたようにお聞きしたのですが、それで、傷病手当金あるいは出産手当金、そういうものを創設したいわゆる一歩前進した場合において、もう少しほんとうに喜ばれるようなものにしてほしかったというのは、まあ私一人じゃなくて、多くの人が一様に申しているのです。もう少し、あまりまあ赤字というか、そういうものに拘泥したようなやり方でなくて、やはり健全運営というようなことを考慮外にしてやるべきではないか。すなわち、ここにあるところの出産手当金にしても、傷病手当金にしても、十四日にしたというものをもう少し延長して、少くともたとえば傷病手当金なら二十一日とか、あるいはまた、出産手当金ならもう少し長くやるような措置を考えられなかったかどうかということ、それから、傷病手当金にしても待期の問題があるのですが、これが少くとも三日くらいにすべきじゃなかったかということも考えられるので、そうすると、なお一段とほめられるような、皆に喜ばれるような、まあ政治というものは皆に喜ばれる……しかしながらまあ経済情勢等も考えなければならぬからということをおっしゃるかもしれないけれども、こういう問題である以上は、金を惜しまずにやられるべきではないかと思うのですが、これらの点にいて、かようにおきめになったその点の御所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(堀木鎌三君) 松津さんのお話は、私も実際はやりたいにきまっているのでありますが、ことに、今御指摘になりました問題につきましても、社会保険審議会におきましても、大体待期の四日を三日にしたい。それから、今傷病手当金の問題でありますが、待期の四日を三日に、あるいは支給期間の十四日を三十日にというふうな考え方も御答申を受けておるわけであります。それから、出産手当金の創設についても、支給期間を四十二日に改めたいというふうな御意見が出ておることは、これは私も、できるならこの御意見を尊重いたしたいという考え方は、私ども社会保障の前進を心がけておりますものとしては、そういう問題を考えることは当然であろうということを考えております。しかし、この日雇、健康保険の経過をごらん願っても、療養給付に対して一割五分から二割五分に上げたということは、これは相当私は、率としてはやはり従来の経過から見れば大きなもの、それから傷病手当金、出産手当金も、国庫の負担が三分の一ということも、これも、ちょっと前例から見ますと、ほとんど考えられない。こういうふうにいたしまして、なおかつ、現在の日雇健康保険の財政状態から考えますと、これは私としては、やはり一般各社会保険のウエートも考えて参らなければなりませんし、そういう点から考えますと、まあ今度の予算額をごらん願いましても、被保険者の数その他から考えまして、これだけのウエートを置いたということ、金額も、正確に記憶いたしておりませんが、ともかくも日雇健康保険のための財政支出の増額が六億円余に上ったということから見ますと、全体の中でははるかにウエートを置いた。むろん私といえども、松澤さんがおっしゃるように、こういう制度をやる以上は、ほめていただきたいのは自分の心情としては当然なんですが、しかし、政治の現実及び財政の現実から見ると、はなはだ御不満な点に落ちついたことは申しわけないと思うのですが、最初の段階においては、ひとまずこの程度で私はがまんしていただくよりほかない、逐次財政状態の好転を待ちまして、私どもは、常にその内容の充実、改善に努めて参りたい、こう考えておるような次第でございます。御不満の点はもう十分わかりまして、私もその点では、もう少し松澤委員からほめていただく方がいいわけなんでありますが、どうもそうは参らなかったというのが偽わらざる心境であります。
○松澤靖介君 堀木厚生大臣は、いつもほめられるのはきらいかと私考えておったのでありますが、今聞いてみると、そうでもなさそうでありますから、なお今後一段と、私は堀木厚生大臣に期待いたしたいと思いますが、保険料について、なぜああいう工合に改正をやったのかどうか。それからまた、折半というその考え方というものをこの場合にもおやりになるお考えかどうか。やはり先ほどの提案者の説明にも、保険料を十冊十円にしたのは、保険料の折半負担ということを考えてやったことだというようなお話もあったようでありますが、この点について、厚生省御当局はどういうふうにお考えになっておりますか。
○政府委員(高田正巳君) 社会保険の保険料は、労使折半というのが、これはいわゆる私傷病の場合におきましては一応の原則でございます。従って、現行の日雇健康保険の保険料におきましても、第一級八円八円ということで、折半負担になっておるわけでございます。ただ、第二級におきましては、百六十円未満という、非常に賃金日額の低い方でありまするので、これは、従来から八円五円ということで、均衡がくずれております。しかし、このパーセンテージは、全体の日雇健康保険の対象者から申しますると、非常にわずかな数字でございます、第二級というのは。それで、今回の改正案におきましても、私どもは、第二級は別といたしまして、第一級におきましては、折半負担の原則が当然と、理屈の上で考えたわけでございます。従いまして、法案の本則におきましては、先ほど御説明を申し上げましたように、十一円十一円という折半負担の原則を開いたわけでございます。ただ附則におきまして、当分の間被保険者の方を十一円というのを十円と軽減をいたしましたのは、従来の八円から十一円までに上るという、急激に被保険者の負担が増すということは、これはもちろん、事業主の方でも同様でございまするけれども、ことに被保険者におきましては、いわゆる日雇い労働者の方々でございまするので、その辺が相当これはきついことであるというふうな観点におきまして、また、社会保険審議会の御答申等にも、できるだけ保険料は引き上げないようにと、ことに労働者の保険料は、特にその生活の実態から見て、引き上げないようにというふうな御趣旨のこともございましたので、それらをも考え合せまして、附則におきまして、その折半負担の原則を破るような御提案を申し上げたわけでございます。しかしながら、建前から申しますれば、やはり少くとも第一級におきましては折半負担が好ましいという点は、私どももさように考えておるわけでございます。その意味におきまして、本則では折半負担という原則を明らかにしておるような次第でございます。
 かような関係に相なっておるわけでございます。
○松澤靖介君 やはり折半負担というものを考えておるけれども、特殊保険であるということで、一級は折半、その他はそうでないというような、やはり特殊性をお認めになっておるのですね。その点を……。
○政府委員(高田正巳君) 特殊性と申しましても、先ほど申し上げましたように、一挙に急激に上るということが非常にお気の毒であると、こういうことを主として考慮をしたのでございます。制定当時の八円の保険料とその当時の平均賃金というものとを比較いたしてみますると、今日の賃金ベースからいけば、十一円というのも、数字の上においては決して無理ではないという計数が出てくるわけであります。しかしながら、従来八円であったものが、急に三十三年度の七月から三円も上っていくということは、これは何としても、日雇い労働者の方々の生活実態から見て、非常にお気の毒であると申しますか。骨の折れることであろう。その辺の配慮をいたしましたので、附則で当分の間はと、こういうことで、その原則を破ったわけでございます。従って、日雇い労働者においては、折半負担なんというものはこれは例外で、そんなことは要らないのだというような考え方でさようにいたしたわけではないのでございます。その辺、若干デリケートでございますが、ほんとうの気持を率直にお答えいたしますと、今のようなことになるわけでございます。
○松澤靖介君 私は、折半というものをそんなように考えてはいないのですが、結局こういう工合に、ある程度の例外的措置というか、そういうものを認めている以上は、何かしらそこに、低額所得者であるというような前提があってこういう措置がなされたと思います。そういうものであったならば、私、その前提措置というか、そういうものは生かすべきじゃないか。法は国民のためであるので、これらの人に厚くするのが常識だと考える。保険の一般方針というか、あるいは根本の問題であるとかというようなことは抜きにしても、それより、社会保障制度の拡充というような大はいをかざしている今日において、やはりこういう方々に対してこそ、私は、あたたかい手といいますか、そういうものを差し伸べるべきじゃないか。これをよけいに、三円多くしたからといって、保険財政がよりよくなるというようなことは考えられないと思います。ただ要するに、それはやったということにすぎないのじゃないか。三円上げたから少し黒字になったということも考えられない。私は、この種の保険料の増収といいますか、そういうことに対しては、そういうように思っておりますが、それならば、保険料というものは単に折半だから、折半主義に必ずすべきであるというようなことは抜きにしてもやはり、何回も申しますけれども、くどいようですけれども、社会保障制度拡充というような、いいことである以上は、これらの低額所得者に対しても、ほんとうに喜ばれる、生きられるような方策をなすべきじゃないかというので、その点について、やはり国庫負担にいたしましても、保険料を上げるかわりに、国庫負担によって、そうしてそれらの人々に恩恵を与えるというようなやり方が私は至当じゃないか、こう思ってお聞きしているのであって、健康保険は、折半がこれは原則だからそうすべきであるとか、そういう意味で申し上げたのではなくて、これらの人々は別階級にある、別のものであるために、何とかこういうものは、保険料などを増額しないで、国庫負担として、そんなに金があるものかとおっしゃるかもしれませんが、私は、やりようによって、幾らもこれくらいの金はできると思っておるから申し上げるので、これらの点について、そんならどのくらい増額になったのか、あるいは、今度一円少くしてどのくらい減収になったのか、その点お知らせ願います。
○政府委員(高田正巳君) 御修正の事業主側の十一円を十円に引き下げることによりまして、三十三年度におきましては、一億一千七百万円の減収になります。平年度化しますると、一億五千六百万円ほどの減収になるわけでございます。従いまして、これが事業主分の一円でございますので、この金額というものが、被保険者、事業主ともに一円違いますと、この倍になるわけでございます。上げましても下げましても、この倍になるわけでございます。それから、三円上げますと、この四倍になる。こういうふうな金額に現況としましては相なっておるわけでございます。
○松澤靖介君 そうしますと、これは意見になるかもしれませんが、そう大きい額とは思われないので、将来この点について善処していただきたいと、こう要望しておきます。
 なお、適用の問題ですが、たとえば、土建労働者とか、あるいは山林労働者あるいはつき添い婦、帰結工、これらの者にこの保険法が適用されない面があるので、これらの人々にも適用されるような、いわゆる擬制適用といいますか、そういうことをおやりになられるように措置を講じたいと思いますが、そういう点について、どういうお考えを持っておりますか。
○政府委員(高田正巳君) 日雇労働者の健康保険の適用範囲につきましては、法律に実は限定的に明かにしているところでございます。従って、今御指摘のような方々がそういう方々であるからといって、当然には日雇労働者健康保険の適用者にはならないわけでございます。その方々が政府管掌の健康保険の適用事業場に雇われた場合、あるいは失対事業とか公共事業等に行かれた場合には、これはなるわけでございますが、そういう方々であるからということによっては適用の対象にはならない。ただ、御指摘のことは、おそらく大工さんとか左官さんとか、そういうような方々を擬制組合と私申しておりますが、そういう方々の組合を事業主と擬制いたしまして、擬制的に日雇健康保険を適用しておるということをやっているのでございます。それで、そういうようなやり方で、今御指摘のような方々を全部包括をするつもりはないかというような御質問と拝承いたします。今後検討をしてみたいとは存じますけれども、今申し上げましたように、法律の建前から申しますと、現在認めております擬制適用というのが、実は法律から申しますと、非常に工合の悪い筋のものなんで、これ以上にさようなものを広げて参るということは、これはいかがであろうかと、かような考え方を私どもはただいまのところいたしております。しかし、御指摘の点につきましては、今後もう少し検討いたしてみたい、さように存じている次第であります。
○山本經勝君 私、大臣に伺っておきたいのですが、お出しになっております資料の中に、社会保障制度審議会、社会保険審議会等の答申が出ております。これは、その内容をこまかに一々申し上げる前に、大臣に伺いたいのは、一体こうした所定の審議会があって、その答申を受けられて、そうしてその答申を基礎にして法改正その他必要な措置を企画立案し、国会に諮られる、こういう須序は当然踏んでおられるわけでありますが、その答申の内容を改正案の中に、見受けたところ十分に取り入れられておるとは考えられぬのです。そうしますと、実は厚生省だけではない。政府が作っている幾多の審議会あるいはその地熱似の諮問機関等に意見を微しながらも、都合のいい部分だけは取り上げるけれども、肝心なところはすっぽかしておる、こういうようなやり方がやられておると言わざるを得ぬのです。
 ですから大臣から、基本的な問題として、まず第一点、答申案と今の改正案とは相当な開きがあると思う。たとえば傷病手当の支給にしても、あるいは出産手当の支給等にいたしましても、答申の内容から見ますと、およそ縁遠いほどのものになっておる。これでは、せっかく国の機関として定められた諮問機関の意義を一向に果さない、こういうことになると思うのですが、この点どうお考えになっておるのか。
○国務大臣(堀木鎌三君) 御指摘の点につきましては、私みずからが、さっき松灘さんの御質問に応じまして、あえて社会保険審議会なり社会保障制度審議会の御答申と比べて、私としても今後努力しなければならぬということを申し上げたような次第でございますが、何しろ今回私どもが意図しましたところは、長い間の懸案になっておる傷病手当金、出産手当金の問題を解決しないで日雇健康保険法をいつまでも置いておくのは、日雇健康保険を設けた、何と申しますか、一番大切なところが抜けておる。制度創設のときから、この問題はわれわれ自身も考えておった問題でありますので、この問題について一番問題になりますことは、予算的措置が果してできるかどうかという問題が一番大きな問題になって参ります。先ほど松灘委員に御答弁のときにも触れたのですが、正確に数字を申し上げませんでしたから、繰り返したいと思いますが、ともかくも日雇労働者健康保険は、三十二年度では六億五千五百四十八万円でございました。今回は、こういう医療給付費を二割五分、一割五分から二割五分に上げる。傷病手当金、出産手当金の創設で五億二千八百万円、ほとんど一挙に倍になる。なるほど金額は、お前そう言うけれども、少いのじゃないかとおっしゃいますが、まずこの問題を予算的処置をしないと、実は社会保険審議会なり、社会保障制度審議会に御諮問申し上げるのにも、こういう問題を抜きにしてはできないというような考え方から、実は予算的処置の方にまず最初に主力を注ぎまして、そういう意味から、ある意味においては確かに山本さんの御指摘のように、予算的処置のあとで御諮問申し上げるような結果になったのでありますが、従いまして、御答申を受けた際に、さらにもう一ぺん、われわれとしては、この御答申の趣旨になるべく従いたい、こういうことで、鋭意努力をいたしましたような次第でございますが、確かに、率直に申して、全然これを無視したわけではございません。しかし、あなたから言われれば、都合のいいところだけとったじゃないかとおっしゃるようなことの御批判も受けるかと思いますが、しかし、四等級を二等級にすることによりまして、なおいろいろなわれわれが考えておりません問題もありましたが、これらにつきましても考え、その他についても考えたのでありますが、さしあたり三十三年度の予算としては、まず私どもこの問題に関しては、従来の経過から見れば、確かにほかの保険の問題よりは進んでやったのだ、将来の問題として、私どもは財政の許す限り、この御答申の趣旨に沿うよう努力いたして参りたい。これが現在の方針でございまして、決して無視して参るようなつもりはないのでございます。
○山本經勝君 局長さんにお伺いしたいのですが、先ほど松澤委員の質問に対して御答弁の際にお話があって、賃金も上ったし、ところが、日雇、健康保険の問題については、健康保険等の場合と違って、賃金の上昇に伴うスライドがない、そこで低額になっておるというお話があった。それから、賃金もだいぶ上っておると、非常に賃金の上ったことを指するためにも、保険料金の引き上げが必要である。こういうお話があった。ところが、これなんかは、この答申によって見まするというと、これはどちらの答申も一致しておる。少くともこの日雇い労務者の賃金の実情というものは、今の全体の産業労働者の賃金レベルから見ますと、非常に低い状態であることは、申し上げるまでもない。そこで、そのわずかばかりの収入に対して負担する割合といいますと、これは、非常な差が事実上生まれてくると思う。それなのに、料金の引き上げによって、たとえば傷病手当金あるいは出産手当等、新しく創設された保険財政をまかなっていこうという考え方は、この法そのものの根本精神とははなはだしく背馳するという印象を受けてどうもならぬ。だから、そこらあたりをもう少し懇切に、実態に即した解明をいただきたい。
○政府委員(高田正巳君) 私どもの資料によりますると、現行の百六十円以上と未満というふうに考えて参りますると、百六十円以上の方々の施行当初におきまする――昭和二十八年度であったかと思いますが――施行当初におきまする平均賃金を一〇〇といたしますと、三十三年度におきましては一三七程度に平均賃金が上っておる見込みでございます。この辺から、八円が十一円になりましても、施行当初のことから考えますと、そう無理ではないというふうな考え方をいたしたわけでございますが、しかし、それにつきましては、先ほど申し上げましたように、当分の間は十円にとめ置く、こういうことでやったわけでございます。
 それからなお、健康保険料率とこの日雇い労働者の平均賃金、今回新たに定められた第一級、第二級の方々の平均賃金のパーセンテージをとって見ましても、さほど日雇い労働者の方が高いということにはならないのでございます。むしろ第一級等においては千分の二十五という数字が出て参りますので、現在健康保険におきましては、政府管掌におきましては、労働者が千分の三十二・五ということでございますので、それらと比較いたしましても、特別にこちらの方が商いということには、実は数字的にはならないのでございます。しかしながら、御指摘のように、施行当初の賃金の状態と、その当時の現行の保険料、あるいは現在の賃金の状態と今後改正をいたそうとする保険料の額がつり合いがとれておる、あるいは、新しい案による保険料のパーセンテージが、健保と比較をしてみましてつり合いがとれておるというふうなことでございましても、やはり御指摘のように、全般がいわゆる日雇い労働者として生活実態がお気の毒な方々でありますので、できるだけ保険料を引き上げないで、財政のまかなえないところは国の方からでも支出をしたらどうだという御意見、これは、必ずしも私どもも不賛成なわけではないわけでございます。さような観点から、先ほど来申し上げておりまするように、今回新たに創設する現金給付につきましては、これは三分の一の国庫負担、それから医療費の方につきましては二割五分、事業主負担のありまする保険といたしましては、現在かような高率な国が援助をいたしておるものは、これは全然ございません。従いまして、まず私どもといたしましては、最大な努力をいたしまして、できるだけ国のてこ入れを強くしておるわけであります。足らざるところはこれはやむを得ず保険料でカバーをして参るというふうな方向でものを考えておるわけでございます。
○山本經勝君 保険局長のお話は、数字を並べて、そうしてデスクで割り出す方法としては、一応合理的なのです。ところが、今その中でお話があったように、実際は、たとえば三百二十円ですか、平均の賃金の中で生活をしておるという、私の申し上げたのは、実態に即する状態をもう少し掘り下げて、厚生省としてはお考えいただかなければ、実際上この与えられた法律の恩恵に浴することができないのみか、たとえば対象外にはずされたり、いろいろ苦しい状態のもとにおかれておるという実情を基礎にして、どうあるべきか、そのことは、この答申の中にある程度、具体的には書いておりませんが、抽象的には取り上げられておる。ですから、そういう配慮をしてしかるべきではないかという答申、これを十分に取り入れておらぬところに、申し上げるような不満が現にあるわけなんですね。そうすると、大臣に言わせると、今後そういうところを改善をしていきたい、今後の話は、もっともこれは、どのようなことでも言えるわけですが、なかなか、いつも言われて実行に移らぬのが実態なんです。
 そこで、今賃金の話が出たから、もう一つ伺っておきたいのは、大体昭和二十八年にこの日雇い労務者が受けた給与を一〇〇として、そうして三十二年には一三七になっておる。こういう、数字上の計算は、一応そういうことかもわからない。ところが、むしろ根本問題は、この日雇い労務者の賃金を少くとも産業労働者の平均賃金の水準にまで引き上げて、そうして保険料を上げられる、こういうことになれど、やはり筋が通っていくと思うのです。これは、賃金の問題は厚生省の問題ではない。それはむしろ労働問題である。労働省の所管であると言えるかもしれない。ところが、同じ閣内において、労働省とことに厚生省とは有機的なつながりを持っておるし、しかもこの委員会は、厚生省と労働省と一つの委員会なんです。ですから、特にこういう点を私は考えられる必要がある。そうしますと、少くとも基本的には、非常に安い賃金で、苦しい生活を続けておる不安定な状態に置かれておるのが、やはりこれが基本問題になってくると思う。健康保険の、政府管掌であれ組合管掌であれ、とにかく健康保険ぐらいの線には引き上げねばならぬという答申は、少くともそういう基本問題の解決と並行しなければならぬと思う。今までのような賃金の実体ではなくて、そのものをより引き上げて、給与を増額するという前提から始めていかなければ、生まれた赤字をどうするかということで、あるいは給付額を増額することのために必要だということで、この負担金を、つまり保険料を引き上げる、こういうやり方ではなくて、むしろ基本的には引き上げる保険料に耐え得る状態を作り出してやるというところに重大な政治的な意味が私はあると思う。ですからこれは、単に厚生大臣のお話のように今後さらに努力する点があると言われるのではなくて、努力する方法があるとしたならば、私は、基本的には給与を引き上げるというところから始まるだろう、こういう点について、積極的に労働省と話し合うというお考えがあるかどうか、大臣にお答え願いたい。
○国務大臣(堀木鎌三君) 今、政府委員から御説明申し上げましたのは、一応数字的な根拠を申し上げたのでありますが、私どもといたしましては、前前申し上げますように、やはり社会保障制度の全体の一環としてこの問題に対処するという基本的な態度は、変えていないわけであります。従いまして、山本さんのおっしゃるように、単純な、過去からの指数によってとることでなしに、内容を検討して、エンゲル係数が非常に高いと申しますか、という状況にあるものが、保険料の負担がある程度上るのは、これは非常にほかの場合と違うということは、十分私どももわかります。ただ、御不満ではありまししょうが、前々申し上げるように、今度は、今申し上げました社会保障の観点から、療養給付を、やはり一割五分の低位であったものを二割五分国庫がもつ。傷病手当金につきましても三分の一を、ほかに例を見ない三分の一を負担するというところまで行ったのでありますから、それでそういうふうな状況で考えていただいて、そうして保険財政はまあ赤字でいいというわけには参らないので、それらの点を勘案して、やむを得ざる処置として、この程度は、現在の日雇健康保険の財政の状況から勘案してみるというと、やむを得ないのではなかろうかというように考えてものをきめたような次第でございます。山本さん、今後なお努力いたしますという点について、これはまあ普通の答弁だとおっしゃいますが、傷病手当金創設のために実に苦心惨たんはいたしました。決して私は、そうあなた、普通の恒例的な文句でお答えしておるつもりではございません。こういう手当金を創設するのに、振り返ってみると一番苦労した一つであるということは、これは、こういう問題に御精通の委員として、よく御承知だと思うのでありますが、まず今側はこの点を考えていただきたい。
 それから、今後の労働者の賃金の上昇ということにつきましては、私も過去の経験上、むろん労働者の賃金水準が向上して参るということは、われわれ自身が努めなければならぬ問題である。これは、ひとり私は労働省だけの問題だとは思いません。私自身も当然考えなければなりませんが、産業なり経済企画を預かっておるすべての閣僚が、そういう諸般の条件を作り出すことに努力しなければならぬ問題であるというふうに考えておりますので、今後とも努力はいたします。しかしこれは、率直にいえば、各閣僚がみな私は協力すべきものであるというふうに考えておるので、この問題は努力する、これこそほんとうの努力をするのでございますが、努力はいたすつもりでございます。
○片岡文重君 これこそはほんとうの努力をされるそうですから、しかし、古老のお話によると、今度と化けものは見たことないというのだから、大いに張り切っていただきたいと思うのですが、大体予算に制約をされて、この答申案に忠実に沿い得なかったということは、ただいままでの御説明によってわかりました。ただこの問題は、こういう方面にさかれる政府予算のワクといいますか、重点がそもそも少いのではないか。これは、全部やってみたところで、一体何億かかると言いたいところです。特に零細なる収入によって細々と暮しておる諸君が、少くとも五日間は無収入の状態に放置される。これをせめて一日でも縮めてほしいという答申案のこの内容等についても、私は、そう金のかかることではないじゃないかというような気がいたしますので、これらの点については、待期期間の短縮、それからさらに、出産手当、傷病手当の新設といいますか、創設をされた御苦心については、なるほど今の内閣のもとでこの種の予算をお取りになる、これはまことに厚生大臣としては、並々ならぬ御努力であったことと思います。特に厚生大臣の御性格から言って、何か仕事をしなければならぬ、何か残さなければならぬという積極的な意欲も十分私は推察できます。できますが、しかし、今申し上げました通り、まるまる抱えてみたところで知れておるのですから、この際これは、政府全体のお気持として、この待期期間の短縮、それから特に不愉快なのは、給付を始めるのは十月一日です、で、料金の値上げをするのは七月の一日です。これは、答申案にも、政府の案は少しひど過ぎるではないかということを言っておられます。答申案を拝見して、これは、答申案はひどいなと思うのは残念ながら私どもには見当らない。こういう点については、ぜひ一つ積極的な御検討をいただいて、なるべく近い機会にこれらの問題は一つ解決していただきたい。特に出産手当の問題も、その際、十四日間支給となっておりまするけれども、先ほどの産休の問題で、労働大臣は、これは基準法に定められておると、いみじくも先手を打たれましたけれども、この日雇健康保険法の適用を受けて、今度創設される出産手当を受けられる労働者の数などというものは、これはどのくらい御予定になっておられるか知らぬが、そんなに大きな数ではおそらくないでしょう。私は、実数はまさに微々たるものじゃないかと思うのですね。それを十四日間に値切るなんというのは、全くそれは、堀木さんらしからぬみみっちいことじゃないかと思うのですがね。これ、どうして十四日なんという切り方をされたのか、人数を一体あげてみたって、これはこんなにも少いのかと、その数字を誤まりではないかと思うくらい私は少い数字だと思うのです。ぜひこれは、最近の機会において、政府みずから、これらの点については、率先して改訂をされるように御努力をいただきたいと思うのです。
 次に、関連をして、船員保険法の問題でお尋ねをしておきたいのですが、これはどうも、最近大臣は瀕繁におかわりになるので、前大臣のお約束ですから、堀木厚生大臣必ずしも責任を負えないとおっしゃられればそれまでですけれども、少くとも同じ岸内閣のもとで、神田厚生大臣が二十六国会でこれは約束されたものです。そのときに、お約束だけでは心もとないということで、この船員保険法の問題については付帯決議がつけられておるのです。その一体付帯決議をどのように実施されたのか、もう改正されてからそろそろ一年になるが、不幸にして私どもは、この付帯決議が具体化されたということについては、さっぱり聞いておらぬわけです。特に神田厚生大臣は、私どもの言うことについては、まことにごもっともである、なるたけ近い機会にと、和田厚生大臣はこういうことを言っておる。適当な機会にそういった措置を講じます、こういう約束をしておるのです。この適当な機会というのは、暗にこの二十八通常国会をさしておるわけです。しかるに二十八通常国会も、一日、二日でもって解散をされるというのに、今もって厚生省からも運輸省からも、この船員保険法の約束をされた改正案が提出されるというお話も伺っておらない。はなはだもってこれは怠慢しごくであると私は思うのですが、この点、一つ厚生大臣並びに運輸省の担当者から御所見を伺っておきたいと思うのです。
○政府委員(高田正巳君) 私からお答えをさしていただきたいと思います。
 二十六国会で船員保険法の改正案が御審議になりましたときに、付帯決議がついております。その内容は、先生よく御存じのように、船員保険法について、その改正について検討の必要がある。その中身としては、標準報酬の最高額三万六千円、これを、健康保険においては、先般の改正で五万二千円まで上げた。ところが、船員保険法におきましては、三万六千円据え置きのままになっておるという問題が一つと、それから、あのときの改正で、一部負担制度を新たに設けました。その一部負掛制度についてもよく検討をするようにという御趣旨のこの二点、それで、付帯決議をちょうだいいたしておりまするので、私どもといたしましても、いろいろ検討をいたしておるのでございますが、御存じのように、船員保険というのは、健康保険と違いまして、総合保険でございます。従いまして、三万六千円という最高額の標準報酬につきましても、これを引き上げますると、長期部門、いわゆる年金部門にも、すべてに影響して参るわけであります。陸上の労働者の場合におきましては、年金部門では、御存じのように、一万八千円という最高が押えられておるわけです。疾病部門だけ、健康保険法が五万二千円まで先般の改正でいったわけであります。そういう長期保険も含んだ総合社会保険という形をとっておりますので、なかなか厚生年金保険の一万八千円の最高標準報酬ともにらみ合せて物事を考えて参らなければなりませんので、実は、今日までこれを直ちにどうするという結論を得ておりません。しかし、御存じのように、厚生年金保険におきましても、船員保険の長期部門におきましても、来年度は保険料率の再計算の年に当っております。従って、この次の通常国会には、これらの点を改正いたしまして、どうしても法案は出さなければならない年に当っておるわけであります。その作業も目下進行中でございますが、この機会に、全般的に、厚生年金保険なりあるいは船員保険の長期保険につきましても再検討をいたして参りたい、こういうことで、その際に総合的に一つ結論を出して参りたい、かような考え方でただいまおるわけでございます。
 それから、一部負担の方でございますが、これは、二十六国会で御審議になりましたときにもいろいろ御論議がありましたように、確かに船員保険の一部負担というのは、陸上の労働者の一部負担とは性格が違っております。その辺の配慮から、船員保険の一部負担については、性格が違うから、同じようにやるということはいかがであろうかというふうな御意見もあったわけでございます。その辺について、実施の状況を見て、そうして将来再検討を必要とするような場合があるならば再検討をするようにというのが、この付帯決議の御趣旨と私どもは拝承いたしておるわけでございますが、これの制度を実施いたしましたのは、明けまして昨年の七月からでございます。まだ制度を実施いたしましてから非常に日も少いわけでございまして、私どもといたしましては、今直ちにこれをどうこうするということは非常に早計であり、もう少しこの実際の運営の姿をよく見きわめました上でものを判断いたしたい、かように考えておるわけでございます。
 これを総合いたしまして、付帯決議の御趣旨につきましては決して私どもなおざりにいたしておるわけではございませんで、それぞれ検討を加えておるのでございますが、事柄の性質上まだ結論に到達いたしておらない、こういうことでございます。
○片岡文重君 今の局長のお話を伺っておると、付帯決議の趣旨は、検討を加える機会があるならば検討を加えるというように御理解なさっておられるようですが、これはもってのほかです。今あなたがおっしゃったように、この一部負担の問題も、陸上労働者の一部負担とは違って、一部負担には違いないけれども、たとえばこの初診料は、陸上の労働者では大体一回です。これが原則でしょう。また、ほとんど例外というものは少いかもしれません。しかし、船乗りの場合は、初診料というものが、悪くすれば五回にも六回にも及ぶわけです。たとえば、腹痛を起してお医者さんにかかる、荷揚げが済んでしまって、なお腹痛がなおらなければ、船に乗って出かけなければならない。次の港でなおらなければ、上陸してお医者さんにかかるわけですから、こういうことを重ねていけば、船乗りの場合は、沿海航路のごときは、初診料が五回も六回もかかるわけです。そういう特殊事情等も論議して、これは、なるべく早い機会にやっぱり検討すべきである。さらに、標準報酬の引き上げについては、概して言えば、船員労働者の方がむしろ賃金は高給でしょう。それなのに、陸上労働者の方は五万二千円で押えてある。片方は三万六千円で押えてある。これはむしろ逆なんです。それは、総合保険だからという性質もあります。ありますけれども、やはり報酬の性格からいって、現実に高級船員等は相当の額を取っているんですから、これらの諸君の実態を考えれば、やはり高級の標準報酬の引き上げは当然行わるべきである。これは、むしろ同時に行われるべきであったんです。私たちに率直に言わせれば、これにむしろ同時に行うべきものを、厚生省の手違いか、運輸省の気のつかなかったところかわからぬが、手違いで、これは同時に行われなかったじゃないですか。むしろ私は、当然同時に行わるべきものであったと思います。同時に行われないものならば、なるべく早い機会に行うべきだったと思う。従って、次の国会ということは、おそらく特別国会ではなくて、ことしの暮れに召集される通常国会を意味されるのかとも思いますが、でき得るならば、一つ特別国会において必ず上程されるように努力をしていただきたいと思う。で、昨年の七月一日からこの一部負担が実施されたのですが、法が実施をされてまだ間がないから、適当な資料が集まっておらないとおっしゃられたようですけれども、少くとも新しい法律が実施されたその直後は、しかもこれが下級船員等の生活に面接影響を与えるものであるから、政府としては、できるだけ親切にその実態調査を行うということが私は適当じゃないかと思う。一体昨年七月一日から実施された一部負担の実施状況というものを政府は調査をされたかどうか、昨年の保険法改正のときには、労務官を増員をして、そうして万遺漏のないようにいたしますと、こういう御説明があった。一体労務官を何人増員されたのか。どういう方法でこの実施の状況を調査されておるのか、まずここを一つお尋ねをしておきたい。
○政府委員(森厳夫君) お答え申し上げます。
 船員保険法の一部改正に伴いまして、一部負担金が万一船員の方にかかってくることがあると、非常に問題があるというように私ども考えまして、そのために、まず厚生省と共同いたしまして、全国で相当の個所でこの趣旨の普及説明の会合をやりましたし、それからまた、運輸省といたしましては、詳細にこの実施に関する指示をいたしまして、極力行き違いのないようにいたしたわけでございます。ただ、お話ではございますが、労務官の増員はいたしておりません。これは、労務官をあのときにも増員いたしますとは申し上げなかったように私は思うのでございますが、これはいたしておりません。しかし、いずれにいたしましても、現在持っております労務官なり、あるいは全国の海運局あるいは支局、出張所というようなものも動員いたしまして、この趣旨を徹底させ、間違いのないようにやっております。
 それで、その実績でございますが、船員法の適用を受けまする船舶が大体一万八千隻内外かと思っております。それに対しまして、毎月船員労務官が監査いたしております船の数は一千隻余り――一千三百隻程度でございます。その中に、いろいろな違反があるわけでございますが、一部負担に関連する違反は、件数でいきますと、昨年の七月、八月が一件ずつ、九月、十月がなく、十一月が二十一、十二月十四、一月が十九件、それから二月が五件というようなことになっております。船員の数はこれより多少ふえておりますけれども、そういうような件数になっております。で、われわれといたしましましては、こういうような事故がないように、絶無であるようにというわけでやっておるわけでございまして、こういう数が出ましたことは、非常に私どもとして遺憾に存じておる次第でございます。しかし、この違反を犯しております船の内容につきまして調べてみましても、大体大型船には非常に少うございまして、小型船あるいは機帆船とか漁船というものが大部分でございまして、われわれも相当努力いたしたつもりでございますけれども、そういうところまで十分徹底しなかったものがあるのではないかというふうに考えられますので、今後さらに、こういうものについては、間違いがないように、十分注意をいたすようにしていきたいというふうに考えております。
 なお、関連いたしまして、この前の国会のときの御議論にも基きまして、あるいは厚生省その他の関係省とも相談いたしまして、船員の安全衛生に関する月間を昨年初めて設けまして、その方面の関心を惹起いたしまして、かなりの程度の成果を収めたのではないかと思っております。今後も同じような方針でこれをさらに徹底していき、この船員の問題につきまして改善を加えたいと、かように考えておる次第であります。
○片岡文重君 今の船員局長の御報告になりました件数については、私どもの調査したものとは相当な開きがあるようです。特に内容につきましては、船の数ではなくて、問題は、これは船員の数が問題になってくると思うのですね。従って、一つそういう御調査があるならば、必要な項目に分けて、そうしてその受診船員の数と、それから一部負担をしておる者、それから一部負担を船主がしなければならぬことになっておるのに、船員がそのまま自分で負担をしてしまった者、あるいは、それからその中には、法の改正を知らず、法のあることを知らずして、みずから当然負担すべきものとして負担をしている者と、相当の数が、船主に申し出ることによって船主の御不興がこわさに自分で負担している者があるのです。こういう点等について、わかるならば調査をして、その資料を当委員会に御提出をいただきたいと思うのです。後刻、これは委員長からお願いいたします。
 それから、労務官は現在決して十分な数があるとは、おそらく局長もお考えになっておられないと思う。むしろきわめて不十分な状態にあると思う。労務官といい、あるいはボートといい、これは、運輸委員会等でもかって相当問題になったことがあると思うのですが、当然監督をすべき船員労務官が監督を受くべき船主のボートに乗って、その監督を受くべき船主の船を監督している、こういう事例が全国にもあるわけです。これは、首をかしげておられるようだが、実際にある。これはお調べになった方がいいと思う、もしそれがないようなお顔をしているなら。これは、事実お調べになって、そういうことのないようにしていただきたい。これは現実にあるはずですから……。こういうことでは、実際労務管理なんということはできるはずがない。そういう状態の中で、目に余るような基準法違反等についても十分な調査ができないのに、いわんやこの船員の一部負担等が十分調査ができるはずがないので、そういう点については一つ十分に考慮をされて、私はたしか、船員労務官の増員を行なってというふうに記憶しておりますが、これは、ここに今速記録がありませんから、あるいは十分督促をしてとか、督励をとかいう御答弁であったかもしれませんが、いずれにせよ、この点については、一つ増員をするなり、督促、督励をするなり、遣漏のないような方法を講じていただきたいと思うのです。
 それから、特に今の資料の中ですが、この一部負担を課せられる以前と、一部負担を課せられてから受診率の低下というものが相当目立っているはずです。これは、私どもの調べたところによっても十分明瞭に出てきております。ですから、そういう点等についても一つ調査をしていただきたいと思うのです。
 それから、ついでにお伺いをしておきたいのですが、船内診療所というものがあるわけです。この船内の医療が保険で行われるようになってから、すでに四年にもなるわけですが、この間一度も、船内医療の実態が調査をされておるというこを私は不幸にして聞いておりません。これは、船員局で調査しておられるかどうかわかりませんが、私どもはあまり聞いておらないのです。この船内診療について、まず第一に問題になってくるのは、やはり施設だろうと思うのです。診療施設、それからやはり船医の問題だと思うのですね。この船内診療を始めるそもそもの目的は、申し上げるまでもなく、十分御承知のように、船内医療の向上のためにという名目で、保険によって船内医療が始められたわけであります。ところが、結果としてどういうことになったかというと、船主は、なるほど船外における、あるいは上陸をさせる、陸上の医者で治療させるというような船主の経費の軽減をしたことは事実でありましょうけれども、不完全な船内診療機関がなまじあるばかりに、かえってその不完全な診療所で診療を余儀なくされるということで、早期治療ということも手おくれになる場合もあるし、もう老朽、古い医学で、まあほとんど隠居仕事で乗っているというお医者さん等も相当あるようだし、特に小さい船なんかは、ローリングなどで注射も打てないというような例も聞いておりますし、それから、船内の診療室が同時にその船医の個室にもなっているというようなことで、衛生上の見地からいっても、医学的な見地からいっても、相当問題になるようなものが数多くある、こういうことも聞いております。従って、こういう点についても、運輸省としては十分やはり調査をしていただきたいと思う。おそらく今までやっておらないと思う。これは、ぜひ一つ早急にやっていただきたいと思います。
 先ほど要望申し上げました標準報酬の引き上げ、それから、一部負担の撤廃等については、これは、なるべく近い機会に、ぜひ運輸省からも、厚生省に積極的に働きかけていただいて、お互いに緊密な連絡をとって、神田厚生大臣も、これはもっともである、なるべく近い機会にやらなければならぬということをはっきり言っておられるのですから、これはぜひ一つ約束をしていただきたい。堀木厚生大臣にも、一つ約束をしておいていただきたいのですが、前任者の約束であるから知らぬとはよもや申されますまいが、一つ、話の内容は、これは保険局長も、運輸省の船員局長も、十分承知しておられるし、もとよりこういうことには異論はないはずですから、この要望については、必ず一つ確約をしていただいて、でき得るならばこの特別国会、それができないならば、少くとも通常国会あたりには御提案下されように、特に来年は、保険料の改定年に当るそうですから、当然これは、処置しなければならぬ時期にも再会しているのですから、この際、あまりめんどうくさいことを御質問申し上げなくても済むように、一つ堀木大臣の功績として長く残されるような案を上呈されるよう、特にお願いしたいのですが、この点についてのお約束を承わっておきたいと思うのです。
 それから、委員長にお願いしますが、今、船員局に対して二、三の資料を要求いたしております。この資料は、当然できる資料だと思いまするので、当委員会からの要求として、委員長からお取り計らいをいただきたいと思います。
○政府委員(森厳夫君) 先ほど件数を申し上げましたが、人間の数はわかっているのでございますが、ただいま申し上げましょうか。
○片岡文重君 資料にして、プリントにして出して下さい。
○政府委員(森厳夫君) ただ、受診の数とか何とかいうものは、私の方にはちよっと資料ございませんので、厚生省の方から取り寄せます。
 なお、後にお話がございましたが、船内の医療、船医の問題でございますが、これについて一言お答え申し上げますと、日本では、世界各国に例のないことでございますが、五千トン以上の船については医者を乗せる。これは、世界各国に例がございません。日本だけでございます、医者を乗せているのは。そういう法律で規定をいたし、さらに、その船内に保有する医薬品でございますが、医薬品を甲乙丙と三種類に分けてございますが、それぞれの規模の船には、それぞれのものを積ませるというようにいたしまして、毎年これは常に監督をいたしております。中の積んでおる状況について監督いたしております。それからなお、小さい船は、五千トン以下の船には、医者は乗せておりません。しかしそういう医療品、それから、それを使うための医療便覧などにつきましては、これは、乗せることを強制いたしております。それから、これは船員保険との関係以前から、船員法が改正になったときから、前から乗せておる制度でございます。なお、船内の医者は、医者に限りませんけれども、船員の健康証明の制度に関しまして不十分な点があるということが、この前の国会のときにもお話が出ておったかと思いますが、それにつきましては、直ちに船員法の施行規則を改正いたしまして、結核予防法と同じような歩調で実施するというように実施いたしておりますので、つけ加えておきます。
○国務大臣(堀木鎌三君) 片岡さん、まことに申しわけないけれども、前任者のお約束は、決して私前任者のことだと考えてはいないのです。およそ政党が同じ党に属しまして、その党として選ばれた以上は、同じように前任者のお約束したことも、われわれは解決しなければならないのは当然の責任であります。これは、公党として重んずべきものであるというふうに考えております。でありますから、はなはだこういうことを言っては申しわけないと思うけれども、前任大臣の言われたことをみんな、わずかの在任期間に解決するというのは、実際努力してもなかなかむずかしい問題で、そういうことだけはお考え願いたいと思う。私も、就任以来神田前大臣の国会における公約につきましては、できるだけ次の国会においては私が責任を果したいのは、これは当然のことだと思いますし、私もその考え方で当っておったのですが、何分にも……実際またある議員は、お前は一つだけやってみろ、今までの大臣は、約束はするけれども、一つも果さないんだから、お前は一つだけ解決しろ。そうすれば、お前は大臣としての責任が済むのだと、実際問題としては、多くの問題についての解決に努力しながら、ある程度皆さんから思えばもうすでに解決すべき問題であるから、解決して国会に臨むべき問題であるとおっしゃることもよくわかりますが、事実問題としてなかなかできにくい。今お話の船員保険に関しましても、運輸省及び厚生省が一緒になって、私は前大臣のお話したことを解決したい。こういうふうにお約束申し上げていいと思います。ただ、確かに船員保険については、実は年金制度をやるのに、現存の厚生年金制度、船員保険制度、その他一切を率直に言えばさらけ出して、もう一ぺん再検討すべき時期に達していると思うのです。そのときに、基本的な考え方が一つの方針で貫かれなければならないと思います。従いまして、そういう問題については、時期的には、あなたお約束しろとおっしゃるけれども、これは、片岡さんのようによく知っておられる人が、次の通常国会でお約束しろということ自体が少し御無理じゃございませんか。私はそう思いますので、私自身の性格を知っていていただくだけに、私は、次の臨時国会に出しますということをお約束しろということだけは、ちょっと御質問の方から願い下げをしていただきたい。しかし、前厚生大臣がお約束いたしましたことは、公党として果す努力をいたすことはお約束いたします。
○片岡文重君 責任を重んずるというお立場からの今の大臣のお言葉だと思うのです。了承できないことはございません。しかし、少くとも前大臣が約束をされて、適当な機会に改正案を出す、この適当な機会というのは、暗にこの通常国会をさしておられたはずなんです。それが今日まで、全然その検討をしておるという気配もないし、第一、四月一日から実施されておる一部負担等については一番関心を持つべき運輸省にも責任がありましょうが、厚生省にも当然私は責任がないとは言えないと思う。これの実情調査はやっておらぬのじゃないのですか。新しい法律が実施されたならば、当然その法律が実施されておる船員に対してどういう影響を与えておるのか、この法案が通過するときに非常に論議になったわけです。もっともこれは、論議の最中に、十分審議されないで、私の質問の途中で、自民党の方から質疑打ち切りの動議が出されて、これは質疑の途中で打ち切られてしまった。そういういわくつきのある改正法案なんです。ですから、それだけに、私は論議も中途半端になっておるし、与える影響が主として下級船員に多いということもありますから、これはやはり厚生省でも、船上局でも、積極的にそれらの実施の状況等は調査すべきである。それもしておらない。そういう消極的な態度では、これから先にやりますと言われても、当てもなしに、ただ、やります、やりますで、私ども、大臣が、今までのやりますとは違いますと、これこそほんとうですと言われても、具体的な御確約がなければ、ほんとうにやりますということを信じていいのかどうか。まさに私ども、先輩として厚生大臣がどういう方であるかということは十分存じ上げておりますけれども、この公式の席上において、速記にも残ることでありますから、確たる御所信を承わっておかなければ、質問の打ち切りようもないと私は思う。重ねて御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(堀木鎌三君) まことに私として申しわけないと思っています。従いまして、今後につきましては、片岡委員の言われたこと及び当委員会の御決議にありました趣旨に沿うて、神田前大臣の言いました方向に向って事務的にも進むし、そしてその公約されたことについて果すべき努力はいたします。
○山下義信君 私は、質問はしないのですが、高田保険局長の補足答弁を願いたいと思うのです。というのはさいぜん日雇健保の保険料が高いか安いかということの質疑応答があったときに、一般健康保険の料率と比べて、この日雇、保険の料率は、今度十円、十円、八円、五円にしても高くないということを答弁されたのですね。あのままになっているのですが、これは、答弁の補足をしておいていただきたいと思う。それは、この日雇いの賃金と一般労働者の平均賃金というか、一般労働者の賃金と保険料率とを比べ合せて、一般健康保険では、千分の三十二・五、日雇、健康保険を率に割ってみると、千分の二十五とか幾らになるとかいうことの比較をされたんですね。そういう比較は、はなはだ済まないのですけれども、きわめて粗雑な比較であって、これはしろうとはそうかと言うて、それでそういう比較で通されるかわからぬが、それはきわめて私は不完全だと思うのです。そういう千分の三・二五、あるいは日雇いの方が千分の二五か幾らになるというようなことば、両者の賃金の内容を無視した話であって、それで、一般労働者の賃金の実態、一般事業場の労働者の名目賃金以外に受くるところのいろいろの福利厚生の利益、そういうものが実はいろいろあるのですね、隠れたものが。日雇いの賃金は、表に出た裸のまるまるの賃金ですね。ですから、実際は有形無形の労働者の受くる――なんと言うていいか、報酬というものの実情は違うのです。ことに標準報酬のはめ方、四捨五入のとり方、いろいろ違うのです。それで、そういう料率だけを、これだけを比べて安い高いということは言えない。かつまた、十分な答弁を望むとすれば、ただ料率が高い安いということはおかしい。受くる給付の内容ともかけ算をしてもらわなければいけないのであって、これは、ほんとう言ったら、日雇いの料金が安いか高いか、健康保険に比べて、それが比較がどうかということは、もっともっと掘り下げなければいけないわけなんですね。その点の補足答弁をしておいてもらいたいと思います。
 それからいま一点は、これは私は、衆議院の速記録を見ないからわからぬが、おそらく御議論になったところだろうと思うのだが、この施行期日が違うんですね。傷病手当金、出産手当金の施行期日と、それから料金取り立ての期日とが違うんですね。これはもう、だれも皆知っていることなんですけれども、一応ここで尋ねた者がおるということがないというと、これは、そのままだまって通したということでは、あとで審議が漏れたと言われては困る。なぜ三カ月の隔てをしたか。取る方の金は先に取って、そうして払う方は三カ月あとで払うということは、あなた方の力は先にぼったくってしまうというやり方だと、これは皆が非難していることなんでしょう。言いかえるというと、従来の赤字を被保険者に、日雇いにかぶせようとしているということをだれも言っていることなんです。これも一つ釈明をしておいてもらわないと――そうじゃございません、いやそうでございますと、どちらでもよろしゅうございますから、一つ釈明をしておいてもらわぬと、これはどうしてもさわっておかなければならぬところですから、その二点です。
○政府委員(高田正巳君) 第一の御指摘の点は、先生御指摘の通りっでございます。簡単に平均賃金がどのくらいになるというふうなことをやりましても、これは、日雇いの方はフラット制で取っておるのでございまして、健康保険のように、それぞれの賃金の局に応じて料率をかけていくわけじゃございません。その点から申しましてもそうでございますし、それから、今の給付の面がどの程度均衡がとれておるかという点も、これは考え合せなきゃなりません。従いまして、私が、今さように響いたかもしれませんけれども、そういう深い意味の、決定的な意味で、日雇いの今回の改正の保険料率というものが決して健康保険より比べてみてまあ安いのだとかというふうな、決定的な意味で実は御答弁を申し上げたわけじゃございません。いろいろな掘り下げた観点から比較をしてみますれば、相当いろいろ考えなければならぬ点があることは事実でございます。ごく単純に、平均賃金保険と料額とをパーセンテージでとってみますとこういうことになりますということだけを申し上げましたものですから、その点誤解がございましたならば、訂正をさしていただきたいと思います。
 それから第二点の、今回新設をいたそうといたしておりまする傷病手当金、出産手当金のいわゆる給付改善の面は、十月一日からの実施になる。それから、保険料の取り立てば七月一日から、これははなはだけしからぬではないかというような御趣旨の御質問があったわけでございます。まさしく原案ではさようになっておるわけでございます。ただ、決してこれは、前取りをするという趣旨でそうなっているのではないのでございまして、言葉をかえて申し上げますれば、今回の新たに設けた傷病手当金、出産手当金の三分の二分は、保険料でこれはまかなっていただかなきゃならぬ。それから、それだけでなくて、今回の保険料の引き上げにつきましては、従来からありまする医療給付部門につきまして、非常に収支の不均衡を過去においてもなしており、今後もなる見込みがあるから、従来のものの財政の健全化という二つのねらいが今回の改正にはあるわけでございます。その面から申しますと、これは、国庫の負担を一割五分から工割五分に引き上げたねらいは、四月一日から保険料の引き上げをやりませんとつじつまが合わぬわけになるわけであります。従って、財政健全化の面の保険料引き上げは四月一日から、それから傷病手当金、出産手当金の国庫負担以外の分の保険料の引き上げは十月一日からというふうにいたしますれば、そこが明らかになるわけでございます。ところが、さように分けて保険料の引き上げをやりますると、切手を作り直しましたり、あるいは関係者の間で事務的にも非常に御不便をかけるようなことになりまするので、それを合せまして、七月一日という中間にその引き上げの時期を持ってきたわけでございます。そうしますれば、一回保険料の引き上げという措置が行われれば、今後それが永久に続く――まあ永久ということは何でございますか、今後引き続きそのままでいける、切手の変更とか、あるいはまた、事務的な諸般の関係者に対する御迷惑も一回で済む、こういうふうな趣旨でやったのでございます。その点は今のような事情でございまするので、保険料の引き上げが給付の新設に見合うものだけでありますれば、十月一日でいいわけであります。ところが、財政健全化という要素を含んでおりまするので、さような時期になったということを申し上げて御答弁といたしたいと思います。
○山下義信君 私は、今の答弁に了承いたしかねます。皆さんはどうでありますか存じませんけれども、私は了承いたしがたいということだけ申しておきます。
○委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速設を始めて。
 他に御発言もございせんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見等おありの方は、討論中にお述べを願います。……別に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それではこれより、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(阿具根登君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって、原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
○松澤靖介君 ただいま議決されました本案に対しまして、付帯決議を付したいと存じますので、その動議を提出いたします。
○委員長(阿具根登君) 御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松澤靖介君 先ほど質疑中にも、政府委員並びに厚生大臣よりお聞きしたのですが、今回のこの改正案なるものは、万やむを得ない、いわゆる暫定措置的なと言うと語弊があるかもしれませんが、将来において大いに考慮すべき点があるということをお認めになったように承わったのであります。その意味におきまして、われわれといたしまして、皆様方の同意を得まして、付帯決議を付しまして、将来日雇労働者健康保険の本来の趣旨にのっとって大いに強化すべきじゃないかという意味において提案いたす次第であります。
 決議案を朗読いたしたいと思います。
  日雇健康保険の給付内容は、本改正によってもなお、不充分であるので、国民皆保険の一環として速かに健康保険の水準にまで引上げる様努力すべきである。
  即ち、政府は、更に国庫負担を大巾に引上げることによって、療養給付期間の延長、傷疾手当金及び出産手当金の給付期間の延長、待期期間の短縮、ほ育手当の新設並びに適用範囲の拡大を図るよう努力すべきである。
  なお、被保険者の便に資するため事務手続の一層の簡易化をはかるよう努力すべきである。
  右決議する。
 以上であります。
○田村文吉君 ちょっと、文章が、この印刷されたものとお読みになったものとちょっと違っておるようですが、「出産手当」ですか、「出産手当金」ですか。
○松澤靖介君 これは「手当金」です。それから「待期期間」の「期」が落ちているのですが……。
○委員長(阿具根登君) 松澤君提出の付帯決議案を議題といたします。
 松澤君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(阿具根登君) 全会一致と認めます。よって松澤君提出の付帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    草葉 障圓  木鳥 虎藏
    勝俣  稔  横山 フク
    谷口彌三郎  田村 文吉
    中山 福藏  塩見 俊二
    斎藤  昇  植竹 春彦
    有馬 英二
○委員長(阿具根登君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会