第028回国会 社会労働委員会 第1号
昭和三十三年五月三十一日(土曜日)
   午前十時五十七分開会
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  委員の異動
五月十六日委員斎藤昇君辞任につき、
その補欠として大谷贇雄君を議長にお
いて指名した。
五月二十九日委員大谷贇雄君辞任につ
き、その補欠として斎藤昇君を議長に
おいて指名した。
本日委員西田信一君辞任につき、その
補欠として有馬英二君を議長において
指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     阿具根 登君
   理事
           勝俣  稔君
           木島 虎藏君
   委員
           有馬 英二君
           斎藤  昇君
           鈴木 万平君
           谷口弥三郎君
           片岡 文重君
           藤田藤太郎君
           松澤 靖介君
           田村 文吉君
           竹中 恒夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   通商産業省鉱山
   保安局長    小岩井康朔君
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  本日の会議に付した案件
○労働情勢に関する調査の件
 (中興鉱業株式会社江口炭鉱の災害
 に関する件)
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○委員長(阿具根登君) ただいまより社会労働委員会を開きます。
 委員の異動を御報告いたします。
 五月十六日付をもって斎藤界君が辞任され、その補欠として大谷贇雄君が選任されました。
 五月二十九日付をもって大谷贇雄君が辞任され、その補欠として斎藤昇君が選任されました。
 五月三十一日付をもって西田信一君が辞任され、その補欠として有馬英二君が選任されました。
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○委員長(阿具根登君) 労働情勢に関する調査の一環として、一般労働問題に関する件を議題といたします。
 まず、中興鉱業株式会社江口炭鉱の災害について、関係当局から説明を聴取いたします。
○説明員(小岩井康朔君) 昨年の暮れから本年にかけまして、坑内出水災害が頻発いたしまして、いろいろ世間をお騒がせしておりますことは、大へん私ども担当者として恐縮に存じております。
 昭和三十三年の五月七日二十二時四十分に、長崎県の松浦市調川町にあります中興鉱業株式会社の江口炭鉱、ここで起りました坑内出水の概況を申し上げます。この炭鉱は、労務者六百五十名ばかりで、出炭は月に八千五百トンばかりを出している山でございます。ちょうど五月七日の二番方に、場所は江口斜坑の第二坑道左本線払坐昇、少しわかりにくいのでございますが、お配りいたしました資料の裏に簡単な図面がついております。その図面をごらん願いたいと思います。その当日の二番方といたしまして、第二坑道の区域に、六十三名ばかり配番されておったのであります。ちょうど時間が二番方の作業の終りになります時間で、三番に引き継ぐちょうど引き継ぎ時間に当りますので、ちょうど水の出ましたバッ点のしるしのついております坑口から約千七百五十メートル、あとの六十三メートルばかり足しますと、千八百メートルばかりの距離になるのでございますが、この掘進に従事しておりましたものが一応仕事が済みまして、もう昇向しておったのであります。ところが、その近辺の右五片の払いには当時三十八名がおりまして、ちょうどその水の出ました所に割りつけられました連中が、自分の作業個所に行こうとしておったときに、二十二時四十分ごろに水が出て参りまして、そのまま現場へ行かずに引き揚げたわけであります。ところが、その出水を知らない右五片の方の作業人員の三十八名のうちで、九名が脱出ができただけで、あとの残りの二十九名というものがついに行方不明になったのであります。もちろん坑内出水でありますので、一応行方不明と言っておりますけれども、当然私の方ではなくなったものと考えております。従いまして、この変災は、二十九名の死亡者を出した変災でございます。さっそく対策を立てまして、現在排水作業を続行中でございます。しかし、当初予想しておりましたよりも、非常に坑道の崩落が距離が長く、広範囲に崩落いたしておりまして、ポンプも百三十馬力三台、二百馬力一台、八インチ三本、五インチ一本、こういう非常に設備といたしましては十分な排水能力の施設ができておったのでありますけれども、坑道の崩落が激しいために、その崩落を直しつつ排水作業を進めておりますので、遅々としてなかなか進まない状態でございます。大体今後順調に進みまして、従来の取明けの状況から見まして、今までの崩落の状態の半分ぐらい……、それは、これから先になりますと、鉄ワクの、鋼ワクのところが相当ございますので、そこは崩落が比較的少いのではないかという予想のもとに、従来の落ち方の半分ぐらいを見込みまして、大体六十日から七十日ぐらい、死体の場所によりまして、一番出しにくい個所に待避中罹災したということを予想しますと、百二、三十日ぐらい今後かかるのではないか。非常に収容の作業も予想よりもおくれておりますことは、まことに恐縮に存じておるのでありますが、私どもは、現地の監督部を督励いたし、特に直接経営者であります中興鉱業には、でき得る限りのスピードをもちまして、安全に早く死体の収容ができますことを念願しておったのでありますが、実は一昨日、この排水作業に関連いたしまして、また犠牲者を二名ばかり出しまして、重ね重ね非常に残念に思っておりますが、今後さらに犠牲者を出さないように最善の注意をいたしながら、でき得る限り早く死体の収容をいたしたい。原因につきましては、この出水個所から百七、八十メートル離れた所に、同じ炭層の採掘跡がございます。それから、出水をいたしました個所の百メートルばかり上に別な二尺層という炭層の跡がございます。結局このどちらかに直接ぶつけましたか、あるいは何か脆弱な地帯がありましてぶつけたか、おそらく私どもはこの両者のどちらかにぶつけたものであろうというふうに考えておりますが、大体いろんな情勢から判断いたしまして、同じ炭層の砂盤層の採掘跡に直接ぶつけたのではないかという想定を一応いたしております。まだ排水が完了いたしておりませんので、その辺の確たる判定は下し得ずにおりますけれども、別途に捜査もいたしておりますので、排水の完了次第、厳重に原因を究明いたしまして、適当な今後の措置をとりたい、かように考えております。
○委員長(阿具根登君) 質疑のある方ばお願いいたします。
○片岡文重君 今の御経過を大体伺っておりますと、事故が頻発しておるという事態も承知しておられるようであるし、この江口炭鉱の事故の復旧とまでいかない、まだ排水の状態の中にあって、さらに事故が起っておる、こういう事態になったのは、突如として起ったのではなくて、やはりこういう事態が頻発するに至るまでには、それ相応の原因が私はあったのではないかと思うのですが、なぜこういう事態が頻発するに至ったのか、そういう点について、保安局としては究明をしておられるのかどうか、その点を一つ伺っておきたいと思います。
○説明員(小岩井康朔君) 坑内出水事故につきましては、昔からも時折はあったのでございます。しかし、昨年の十一月から少し重なって災害が起りまして、私どもも、今後遠い見通しといたしまして、坑内出水は今後ますます多くなる災害ではないかということは当然考えております。従いまして、もちろん今年度も坑内出水の対策としては強く打ち出しまして、すでにもう四月、この災害のあります一ヵ月ばかり前に、九州におきましても筑豊、佐世保、長崎地区にそれぞれの炭鉱を集めまして、十分この出水に対する防止対策についてはこまかく打ち合せを済ましまして、なお後ほどもよく連絡をして調べてもらったのでありますが、当炭鉱からも二名の係が出席しておるようでございます。御承知のように、鉱区がだんだん細分化されると申しますか、鉱業法が改正になりまして、祖鉱区というものが設定されるようになりましてから、鉱区の細分化と申しますか、だんだん小さい鉱区が増して参りまして、お互いに隣接の鉱区との関係が非常に複雑になってくるような傾向があるのであります。従いまして、隣接の関係につきましては施業案におきましても、特に重複鉱区、隣接鉱区との関連がございまして、でき得る限り隣接の採掘跡との関係は十分に審査をいたしておるのであります。しかしながら、九州におきまして一番残念なことには、戦災ですっかり資料を焼きまして、従来からございましたりっぱなものが一応なくなりまして、その後各炭鉱から自主的に、従来のでき得る限り綿密に記載したものをとりまして、それを今最も信頼できる原図といたしておる次第でございまして、鉱業権の移転その他の激しい中小の炭鉱におきましては、十分従来の古い時代の採掘跡というようなものが完全に記入されておらないケースがございまして、そういった点では、なかなかこの収拾が今後もむずかしい問題になってくるのではないかというふうに考えております。しかし、坑内災害がなぜ頻発したかということにつきましては、たまたま片寄って起ったというふうに考えておりますけれども、今後大きい目で、坑内出水事故というものはだんだん、よほどしっかりしないとふえる傾向が出てくる。それは、鉱区が非常にお互いに接近してくることと、旧坑の関係がなかなか明瞭にしにくい状態にあるということで、ふえる傾向にあると考えております。今後私どもは、これが対策には、でき得る限りの一つ思い切った方法をとってみたいと考えております。
○片岡文重君 今までの炭鉱の状態が、精密な図面等がなくて、資料もなくてわからなかったが、たまたま今度は事故が重なり合ったのだ、しかし今後はさらにふえるであろうと、原因の究明もできなくて、しかも事故はふえるであろうということになったら、これらの炭鉱に働いている特に坑内夫の諸君にとっては、これは、毎日々々が危険きわまりない状態に置かれると私は思うのです。そういうことでは、保安局としての責任は私は果されないと思うのですが、精密な資料もないということも一つの原因ではありましょうけれども、
  〔委員長退席、理事木島虎蔵君着席〕
かりに昨年の事故を見ただけでも、東中鶴では、十八名の死体がまだあがっておらぬということです。籾井でも四名の死亡者を出している。小倉炭鉱では、たまたま死亡者はなかったけれども、これも出水の事故を起している。中興では、今の問題になっている御説明のあった通りです。福島県の日曹の赤井の山でも、五名からの死亡者を出して、これもまだ死体があがっておらない。こういう事故がひんぱんに起りつつあるわけです。特に私はここでお聞きしたいのは、そういう事故が頻発しているにもかかわらず、山の経営者、企業者というものが、これらの事故に対して一体衷心から責任を感じているのかどうかということです。これに対して、監督の衝にある者が十分な責任のとれるような監督を一体しているのだろうかという疑いも多分に出て参ります。特にこの中興炭鉱の場合には、施業案をこえてくっさくしているということは、地方の監督部でも知っておったということではないですか。しかも、これに対して察知はしているようですけれども、あえて危険を予知しながら、これを中止させておらない。中止させる権限がないということになれば別問題ですけれども、少くともこういう事故が起るであろうということは、この江口炭鉱の場合には、こういう事故が遠からず起るであろうということが予知されておったにもかかわらず、これを防止し得ないで、得ないではなくて、防止しないで、こういう犠牲者を多数出すに至った、ここに私は大きな問題があると思う。施業案をこえてくっさくしているような事態に対して、一体当局はなぜこれを中止させるような強硬な手段をとらなかったのか、この点が一点。
 それから特に、この山の従業員の諸君が、この起るべき事態というか、危険を予知して、感じておったにもかかわらず、次の入坑者、つまり犠牲になった諸君に対しての十分な引き継ぎがなされない、なされないというよりも、させなかった。この山は今入っていくと危険だということを出てくる者が――この場合、今の御説明によると、二番方の者ですか、三番方に引き継いだのですから、当然二番方の者は知っておったはずです。しかも、それを三番方に伝えるということに対しては、聞くところによると、口どめをされておったという話さえ伝わっておる。そういうことになると、まさに事態は、防ぎ得るものも防ぎ得なかった。防ぎ得なかったのではなくて、防がなかった。こういうことが私は不祥事になるのではないかと思うのですが、これらの点に対して、実際監督の衝にある当局としては、どういうふうに指導をしてきたのか、また、こういう事実に対して知っておったのかどうか、知っておったとしたならば、なぜこれを中止させなかったのか。これらの点について一つ御所見を伺いたい。
○説明員(小岩井康朔君) 施業案を出て作業をしておったというようにお聞きいたしましたのですが、実はこの江口炭鉱は、租鉱炭鉱であったのでありますが、災害の直前に中庸鉱業と合併いたしまして、完全に鉱業権者となったわけでありまして、ちょうどその引き継ぎのごく近いときに事故が起っているわけなのでありますが、租鉱権の時代には、ほかの区域では出ているところがあるのでありますが、災害を起しました所はもちろん租鉱区内でありまして、鉱区外に出ておるということはないのであります。その点は、何かお間違いではないかというふうに考えております。
 それから、すでに十分、水が出るという危険が以前からわかっておったにもかかわらず、何も処置がとれていないではないかという御質問でありますが、実は施業案におきましても、坑内実測図におきましても、この旧採掘跡―私が先ほど申し上げました、水の出ました、百メートルばかりそのすぐ上に、二尺層の採掘跡がある。それから百七、八十メートル離れた所に同じ炭層の砂盤層の採掘跡があるのでありますが、これらの採掘跡は全然記載されていなかったのであります。これもよく現地に調べてもらったのでありますが、必ずしも悪意があって書き込まなかったというのではなくして、まあ百七、八十メートルほんとうに離れておるものでしたら、また鉱区内であれば、鉱区外に出さえしなければ、出水の危険というものはまず一応ないというふうにも考えられますし、まあ百メートル直上に採掘跡がありましても、一応特別な大きい断層だとか、脆弱なことがはっきりわかった地帯がない限りは、百メートル離れておれば大体大丈夫ではないかという考え方で、水に対する危険については、現地の通産局の監督部も、租鉱権設定の当時の租鉱権の施業案に対しましては、水に対する懸念を持っていなかったようでございます。監督官も、三十二年の十二月十三日、それから十一月も、十月も、九月も行っておりますけれども、いずれも報告を見ますと、水に関する注意事項というものは全然ないのでありますので、三十二年十一月ですから、災害の発生からは半年ばかり前であります、で、現在の作業個所よりも、ずっとまだかなり手前の所をやっておりました関係で、まだそういった懸念が見られなかったのではないかというふうにも思われますけれども、水に対する注意というものは何らしていない。こういう点を見ますと、事前にそうひどい危険性が十分わかっておる、だれにもわかる程度の危険性があったということは、ちょっと私の方では考えられないのでありますが、もしそういった、はっきりわかるような事情がございますれば、十分に調査いたしまして、適当な方法をとりたいと、かように考えております。
○片岡文重君 少くとも従事しておった諸君は、この危険は予知しておったということを私は聞いております。これは、必ずしも虚構のことではなくて、それらの従事員諸君について、監督の衝にある者にただしてみればすぐにわかることですから、これは一つ厳重に調査してほしいと思うのです。
 それから、しからば精密な資料がないということであるならば、この施業案に対しての調査の許可を与える場合には、その旧鉱の所在とか、その状況に対する調査も行わないままに調査を許可をしたのかどうか。で、行なったとするならば、その不十分な資料に基いてだけ許可をしたということになるのかどうか。もしそうだとするなら、これははなはだ危険なことだと私は思う。この点について、どの程度の資料に基いてその中島鉱業との合併をしてから出された施業案についての許可をされたのか、その点を一つ。
○説明員(小岩井康朔君) 施業案の審査につきましては、現在のところは、相当件数も多い関係で、一々現地を調査するということはほとんどできていないような状態であります。当時この施業案を認可いたしました場合も、局にあります図面で隣接の関係を調べたものだと考えております。もちろん現地も調査しなかったように聞いております。ただ、その図面が不確かであったではないか、こういうお話でありますけれども、先ほどもちょっと触れましたように、現在局にあります実測図の関係は、一応一番信頼し得る状態のものなのであります。しかし、この旧坑の関係の図面は、経営者が何よりも一番実際に知りたい問題でありまして、これは、だれしも自分の山を水没さして喜ぶ者はもちろんないわけでございますので、でき得る限りいろいろな旧坑の正しい図面を入手するために非常に努力するのでありますが、これは、中島鉱業の従来やっておりましたものをたまたま引き継いだのでありますから、中興鉱業としましては、坑内実測図にそう苦労するはずがなかったのでありますけれども、ちょうどこれも工合が悪くて、たしか二十八年の三月でしたか、事務所を焼きまして、正式の図面を焼失してしまっておるのであります。それで、できるだけいろいろな図面を集めまして、現在信頼の最もできるというものを作ったのが、今目下鉱業所にあります原図なんでありまして、おそらくいろいろな検討を他方面からいたしておりまして、私どももかなりな信憑性があるのではないかというふうに一応考えておったのでありますので、まあこの図面に従って一応判定するのが、方法としてはこれ以外にはないのじゃないかというふうに考えております。
○片岡文重君 先ほどの御説明で、小坑も激増してきておるし、いろいろな実測図その他の資料も不十分であるということであるなら、確信がなくておそらく許可をしたものではないかと思われるのですが、そういう、現実にこの犠牲者をたくさん出していることから見ても、あながち結果論ではなくて、しかもこれが頻発しておる。将来も起るであろうと予知されるような状態にあるならば、そういう不確かな資料に基いてまでどうしてこれを許可しなければならないのか。この優良な、品位の高い、優秀な石炭がたくさん出て、これを掘らなければ、国家としての経済にも産業にも重大な影響を与えるということであるならば、これはまた経営者としての、あるいは資本家としての立場からも、理屈は成り立つかもしれませんが、そうでもなかりせば、こういう小さな山で、しかも事故が起った場合の措置というものは、そう企業としては、万全の措置は講じておるでしょうけれども、犠牲者の立場に立ったら、将来なお百二十日も百三十日も採掘にかかるかもしれません。死体の収容すらできないような状態で放置されておる。これらの点をもう少し人情味を持って考えてみたら、許可をする立場にある者も、これらの許可に当っては、もっと慎重に堅実な態度で許可されてしかるべきだと思うのですが、今までの御説明を伺っておると、そもそも許可のときに手落ちが私はあったのではないか。この点について手落ちがないとおっしゃるなら、どの程度の慎重さをもって許可をされておるのか。この不足している実測図やその他の資料にかわるべき措置をどういうふうにしてとられたのかということをお伺いしたい。
 それから、施業案をこえておらないと言い切っておられるようだが、まだ浸水の状態は相当ひどいというお話なんですが、この浸水の中にあって、なおこれがこえておらないということがわかるのかどうか。わかるなら、どういうふうにしてこれは水の中に入っておる状態をお知りになることができたのかどうか、この点も一つあわせてお聞かせ願いたい。
○説明員(小岩井康朔君) 私の表現が少し強過ぎたかもわかりませんが、坑内出水の統計を申しますと、三十年に十一件やっておるのであります。三十一年には十件、三十二年が十二件、三十三年が現在までに六件、スピードが少しずつふえておるという実際の数字なんでありますが、内容を見ますと、三十年は十一件ですが、死亡が一名であります。三十一年は十件で、一件減っていますが、死亡は五名、三十二年が十三件で、二件ふえているのですが、死亡が二十六名、三十三年が六件ですが、現在まで死亡が三十六名出ている。件数では特に非常にふえている、頻発しているということではありませんけれども、内容が非常に大きいので、私どもも今後、将来は放っておけば数もふえるし、内容も大きくなるのではないかということを予想して、防止に万全を期しているという意味で御説明申し上げたのであります。
 それから、施業案の図面がどれもこれも不確かということではないのでありまして、中には中小で、鉱業権がひんぱんに変ったり、あるいは譲渡、統合がたびたび行われたり、たまたまそういったものが図面が不確かになっておるのでありまして、現在持っております坑内図が全面的にいいかげんなものでは決してないのであります。むしろ大手の坑内図なんというものは非常にりっぱなものでありまして、その坑内出水のほとんどが中小で起っておるということをごらんになりましても、中小の、特にそういった関係の移り変りの激しかった所が、肝心な所が抜けるというケースで、ごく危ないというのは比較的少いのであります。私の方でも、危険の予想される所は、当然出水の指定坑口といたしまして厳重な方法をとるようにしておるのであります。しかし、この指定の坑口も、目下のところ非常に――従来は大事をとりまして、これは相当の設備をさせるものですから、大事をとっていたのですが、今後坑内出水もふえる、現に頻発しておるという実情から、この指定の強化ということを昨年からいたしまして、現在では、九州のごときは、もうすでに三十数件も指定拡張を決定いたしております。これは相当思い切った、従来も全国で三十五坑しかなかったのでありますが、もう数は九州だけでも倍以上に指定の範囲を拡大しておる。これは全国的に早急に実施いたしまして、少しでも旧坑に近づく、二百メーターくらいを考えておりますが、あまりこれを長くとるということも技術的に批判を受ける結果になりますが、二百メーター以内に入ればどんどん指定をして、それぞれの方法をとっていくというような強硬な方針を目下とりつつあるのでありまして、今後もふえるであろうということが予想されますだけに、思い切った方法で、これをふやさないように防止したいという気持でございます。
○阿具根登君 局長の話を聞いておりますと、この前もそうだけれども、結局悪いものはおらないのだ、図面も非常に確かだと、こういうことを言っておられる。私は、今度も現地に行って見たのです。ところが、通産省には図面はないのです。あなたのおっしゃるように、焼けて、ないのです。終戦後十三年もたって、図面がなくて許可するなんて、もってのほかです。しかも、会社から出された図面を当てにしてやっておられるのです。そういたしますと、向うで聞くと、あなたがここでお引きになるように、図面を見てみるならば、古洞は、この場合百八十メートル離れております。そうすると、古洞から水が入ってくるわけはないのです。そして施業案ばちっともこえてないとおっしゃる。そうすると、どこから水が来たことになりますか、何が悪いから水が……、どこに欠陥があったか、これを考えなければいかぬのです。通産省はちっとも責任を感じておらない。死んでいった人間はどうなります。この前、東中鶴のときも申しましたけれども、通産省は、監督官がはっきり施業案をこえているのを見つけておる。見つけておっても、これを中止するのに一週間もかかっておる。この間に水が出て、十八人の一人の姿も坑外に上っておらない。中小炭鉱は手を上げておる。もうおそらくこの死骸は永久に出ぬかもしれない。そうした場合に、国はどう処置をとるのか。これは、水が出なければ原因はわからないとあなたはおっしゃる。その水を出そうとはしなさらぬ。この問題が一つですね。そうして施業案をこえておったときの責任は、だれが負うべきであるか。これが一つ。今度の場合は、警察ですら松元副所長を過失致死の疑いで調べておるのです。警察ですら過失致死の疑いで調査しておる。それに、当の監督官庁のあなたは、ちっともそういうことには触れておられない。しかも、水の危険はなかったとおっしゃるけれども、私の調べた範囲内においては、二ヵ月以前から水が出ておる。しかも、水は非常ににおいがついておる。坑内経験者であるならばだれでもわかるように、古洞の水が出ておるということは当然わかっておる。しかも、水が出たときの退避の訓練までされておる。ということは、経営者は、周囲に古洞があって、いっ水が出るかもわからないから、そのときには、どういう合図をしたらどういうふうに逃げろと、こういうふうに訓練までされておる。こういうことが常識で考えられるものかどうか。坑内の水が出てから、走って逃げて間に合うか。しかもこの場合も、東中鶴もそうでしたが、この場合も六本のマイトの穴を掘っておる。一本から水がふき出しておる。そのあとの五本は、そのマイトをかけて打っておる。しかもマイトをかけた人は、水が出てきたが大丈夫でしょうかと言って、係員に聞いておる。それを五木打って上って、そのあとがこの出水ですよ。だから、ただ机上であなた方が報告だけをお聞きにならぬで、何が原因であるかということを知らなければ、いつまでたっても続きます。正確な図面も、十三年たって握り切らんでおる。二百メートルだったらどうするこうするとおっしゃるけれども、実際三百メートルのところで水が出ておるじゃありませんか。どこに責任があって、どうすればいいのかということを、はっきり一つ聞かしてもらいたい。すでに四十何人の人が一人も出ておらない。この責任は一体、監督官庁どう考えておられるか、はっきりした説明と釈明を願いたいと思います。
○説明員(小岩井康朔君) 現在排水ができておりませんので、はっきりした当時の原因のいろいろ断定を下すべき重要なファクターがまだわかりませんので、もちろん放任しているわけではありません。並行いたしまして捜査をやっておりますが、いかんせん、一番大事な現場がまだ見られませんので、そういったいろいろの保護事項につきましては、公表はできませんけれども、現地で目下いろいろ調べてございます。まだ私、それらの内容につきましては御報告いだしませんでしたが、目下捜査中でございますので、いずれ事実のわかり次第、厳重に処断をするつもりでございます。
 なお、東中鶴の問題で、死体も出ない、仰せの通りでありまして、もう半年あまりにもなりまして、まだ一名も死体が出ないどころか、今後まだまだ相当長くかかるという実情でありまして、何とも申し上げようもない。私どもも、直接の関係者としましては、非常に深く反省をいたしているのでありますが、特に東中鶴の点につきましては、山が小さいために、死体の収容も十分できない。なるほど生産が全然なくして、五カ月も六カ月もやれるわけがないのであります。従いまして、国で何らかの補償というような点も、前の国会で御質問もありましたけれども、いろいろ検討してみましたけれども、どうも石炭の関係だけそういった方法がどうしてもとりにくい。しかし、これはどうしても、経営者の方で責任をもって死体の収容をはかってもらうしかないということで、実は東中鶴におきましても、契約のなかった炭層を、現在の権者に掘れるように親権者にお話をいたしまして、目下千五百トンぐらいの、当時の半分ぐらいの出炭をいたしているのであります。すなわち半分ぐらいの出炭をいたしながら、排水作業を続けているという、非常にまあ悲惨な状態で収容作業をやっているわけでありまして、私どもは、あらゆる方法を講じまして、必ずこの死体の収容は、長くかかりましても実現したいという気持で、ひるまずに、目下収容作業を続行中でございますが、いかんせん、経営者に力がない関係で、いろいろなむだな方法をとりながらやっているので、非常に時日がかかりまして、答弁らしい答弁もはっきりできませんことは、非常に残念に思っております。
 それから、施業案の図面も全くなしで認可していると、これは、非常にこの中興鉱業の場合、図面は、昨日も現地と連絡をとりまして、確かめたのでありますが、図面は持ってはおりますけれども、それが確かであるか確かでないかという点につきましては、いろいろ御批判もあると思います。しかし、先ほども申し上げましたように、局が焼けまして、山から提出されたままの図面であることば確かでありまして、そういういいかげんなものをそのまま使うということについては、多少の問題もあるかとも思いますが、もちろん旧坑につきましては、施業案にも記載もないし、距離も、照らし合せた図面に対しては、距離の関係も相当ございまして、図面が正しいものと認定すれば問題なかったのでありますが、たまたまその図面が正しくなかったというために問題が起っているのでありまして、それがなぜ、正しくない図面を使ったかどうかという点になりますと、相当議論の余地も出てくると思います。それらにつきましては、もう少し時日をいただきまして、だれがどの図面を使って、どういうふうに指示さしたかという点につきましては、まだ十分に連絡を受けておりませんので、この辺で一つ……。
○阿具根登君 二つの問題、いま一点からいきますと、たとえば東中鶴の問題は、山が小さいので、非常に資金に困っているけれども、国で援助する方法がないのだ、こういうことになれば、それで責任の所在ば明らかでないようになってくる。私は、死骸を一日も早く出してもらいたいというのが第一です。
 それから、その原因を早く探知しなければ、死体の出ぬうちに、またこういう大災害が起っているじゃございませんか。そうするならば、国がこれに援助して、水を出すだけの金を出す何がないというならば、これは法の欠陥であるならば、あなたの方から、これは法律として、そういうやつを認めて国が援助すると、しかしその金は今後の国会で取るということでもできると思うのです。何もするということがなくて、現状のままで、そうしてあなた方はベストを尽しているとおっしゃる、しかし、実際東中鶴では十八名、ここでは二十九名、籾井が四名、こういう人たちはまだ下にいるのです。しかもその原因は、水をあげなければわからない、こうおつしやる。われわれが常識から考えて、これは掘り過ぎだ、許可以外に掘っておるのだ、われわれはこう思っておる。あなた方は、しかもそれを監督官が認めておりながら。しかも水をあげてしまわなければはっきりしたことは言えないと、こう言って鉱業権者をカバーをしておりなさる。援助しておりなさる。私はそう思うのです。鉱業権者は実際それを見ておる。しかしこれは掘り過ぎているから、危ないからとめなければいかぬということで、手続が一週間もかかっておる。だから、この委員会でそれを言われた場合に、この委員の方から、それは国の責任になるぞと、そういうことを言えば、国が認めておって、国の出先が認めておって、その手続で一週間かかって、その間に水が出てきたとするならば、国の責任になって、賠償は国が全部負わなければいかぬと、こういうことがここではっきり言われておる。そこまで知っておっても、どこが悪いのだということを言えない。水があがらなければわからない。ところが、実際被覆を与えた会社は、会社が小さくて水があげられない、そうなっておれば、原因もわからなければ、責任も明らかにならぬじゃありませんか。それができないならば、こういう法律を作って、こういう場合には国が水をまず出すのだ、この次の災害を防ぐためにも、まず原因の探究だ、まず被害者の死体をあげるべきだ、こういうことをあなたは一ぺんでもここへ出しましたか、一ぺんでもそういうことを言われたことがありますか。ただ、今の現状のままで、そうしてベストを尽しておる、こういうようにおっしゃっておるけれども、何もベストを尽しておられぬ。東中鶴も一ぺんお行きになったらいいでしょう。今度の場合がその通りです。今度の場合は、しかもこれは、施業案をこえておらないとおっしゃる、施業案から進んでおらない、突破しておらないと、そこまではっきりおっしゃるならば、そうならば、ここにどういう古洞があったかということを早急に調べるべきだ。政府が認可した通りの施業案で行っておる、政府が認めた通りの図面で行っておるならば、水が出てくるわけがないじゃありませんか。どこから水が出てきますか。これを非常なりっぱな地図だとおっしゃるけれども、自分たちがほんとうにこの地図を再確認されたことがありますか。調査されたことがありますか。会社の地図と同じやつを出されました、私が行ったときも。会社は掘るためにやはり、五十メーターという線はあっても、会社は掘るために、金をもうけるためには、あるいはその図面は、悪く言えば、故意に違うやつを持たせたかもわからぬ。会社の言う通りだけをあなた方は信用しなさって、死んだ鉱員のこと、今後の災害をとめるための対策についちゃ何も持っておらぬじゃありませんか。だから、私はその責任を追及しておるわけなんです。これは、三十年の八月に施業案が認可されておるのです。三十年の八月といえば、合理化法案を出して、三百万トンの石炭を節約せにゃいかぬ、買い上げにゃいかぬ、炭が多過ぎるといって、あなた方が右往左往して、そして三百万トンの炭鉱を買い上げるときですよ。そういうときに、そういうずさんな図面を見て、炭鉱を許可せにゃいかぬ、どうしてそういうことが言えますか。だから、ここでどうだああだというよりも、どうすれば今後直るのだ、どうすればいいのだということをはっきり言ってもらいましょう。責任の所在を明らかにしてもらいたいと思うのです。そうしなければ、安心して炭鉱の人たちも就業できないでしょうし、一番あなたが心配されておる中小炭鉱は……、この水没はほとんど中小の炭鉱です。大炭鉱は、あなたは図面をはっきりしたのを持っているとおっしゃる。それならば、中小炭鉱だけでも、確実なる図面を作るためにはどういうことをしなければできないか、予算も取っておられるはずです。どこの図面を新しくお作りになったのですか。九州の中小炭鉱のあなた方の調べてある図面を全部一ぺん出して下さい。正しいのであるか、正しくないのであるか、どういうふうに調べられたのか、会社のやつを写すだけなら、金は要らぬはずです。金が足りなければ足りないで、なぜ国会に出しませんか。そういう点について、ほんとうにあなた方が、自分の子供が実際死んでまだ水の中に埋まっておるという感じになって、あなたの立場から、一つはっきりした所信を披瀝してもらいたいと思うのです。
○説明員(小岩井康朔君) 現在通産局で使っております坑内実測図が、特に中小の関係では、相当でたらめになっておるということで、実は私どもの方でも、中小の関係ではなかなか正確は期せられないということは考えておりますけれども、提出された図面のほかに、どういう旧抗があるかという点につきましては、これは調べることもなかなか困難でありますし、また、古い方に聞きましても、いいかげんに、適当な輪郭で、図面を入れることも非常にむずかしい。これらは、特に坑内実測図につきましては、通産局長に提出することになっておりますし、通産局の方で一応責任を持っておりますので、よく石炭局長とも相談いたしまして、今後特に中小の関係の坑内の実測図につきましての扱いは、十分にいろいろ検討の上対処したいと考えております。
○阿具根登君 それだけじゃ何にもなぬじゃないですか。東中鶴で水が出なかった場合はどうしますか。あなた方は、実際あなた方の監督官の手落ちがはっきりしておるでしょうが、それがわかるのがこわいのですか。はっ一きりしておるでしょうが……。この前の議事録持って来なさい。そうしたら、あなた方は、水を出さなければできないと言えないとおっしゃるのでしょう。水を出す前に、監督官は行って、施業案の以上掘っておりますということがあなた方のところに、課長のところまで報告が来ておるはずです。それですらあなた方は責任をとろうとしなくて、それじゃ水をあげてから……。その水はあげられないということになっておるじゃありませんか。そのためにはどうする、水をあげるためにはどうする、水をあける以外には仕方ありませんと、何カ月後には水をあげたいと思う、あげておるのだ、見通しも何にもないじゃありませんか。そのとき二ヵ月とおっしゃいました。二ヵ月後には、これは水をあげてわかりますとおっしゃったけれども、もう二カ月はとうに過ぎました。今度もこれで百二十日とおっしゃったのですね。そうした場合に、そういう鉱業権者では水をあげ切れない場合にはどうしなければできないのだ。何かあなたの考えを言わなければわからぬじゃありませんか。原因もつかめない。責任の所在も明らかにならないそうしておいて、ほかの鉱区を掘らしておいて、あとの人はこれで飯だけ食えるじゃないか、またそれが水にぶち当てるという心配がないとは言えないと思うのです。それが一点ですね。その点をはっきりしてもらいたい。どうすればいいのか。法が不備であったならば出しなさい。法が不備であるから、この法はどう変えてもらいたいということをなぜ国会へ出しませんか。それだけやる何がないのですか。やる自信がないとおっしゃるなら、ないとおっしゃっていただきましょう。自信のある方に立って、そうしてやってもらわなければ、こういう災害が続きます、いつも。
 それから、この江口鉱業所の問題も、行ってみれば、あなたのおっしゃる通りに、図面がないのだと監督官がおっしゃるのです。戦災で焼けて図面がないと……。東中鶴のときもそうでした。図面がないのだでいいのでしょうか。現在の技術でこの図面ができないのかどうか。もう掘られたあとは、前の古い人から聞くとか何とかといっても、それは、鉱業権者ば図面でもわかるでしょうけれども、実際採炭しておる人は、どこまで掘っておるかわかりませんよ。そういうのを聞かなければわからないのか。現在の技術では、古洞を探すということは不可能なのかどうか、そういう点をはっきりしてもらう。不可能でないならば、その可能にするためにはどうすればいいのか。可能の範囲で精密な図面を作るためにはどうすればいいのか。どれだけ金がかかるのか。どれだけ期間がかかるのか、十分調査してあるはずなんです。そういう点を私はお聞きしてきた。問題そのものをあなた方に追及するのじゃなくて、そういうあなた方の対策、監督官庁としてのあなた方の責任の所在を私は明らかにしたい、かように思っておるのです。
○説明員(小岩井康朔君) ただいまの出水の防止対策でありますが、この旧坑の関係につきましては、もちろん、行政上の措置といたしましては、採掘跡を入念に調査して作り上げるということも、も一ちろんやることにいたしておりますが、これはまあ、技術上なかなか完全なものは期し得られないことが一つと、いいかげんな図面ができますと、かえってこれを過信しまして、また災害を起すという点もございますので、まあ今後の点は、できるだけ採掘したあとは間違いなく記入させていくという方法をとると同時に、普通一般的に見ますと、こういうような旧坑にぶつかりますときには、一般的には、何かしらの前兆があるはずなんであります。私どもも、いろいろなケースにぶつかりまして、大がい何かの前兆がある。あるけれども、なかなかこれが旧坑の水であるということの断定が、技術的に非常に山では迷っておられるようであります。これは、もうすでにとうにネスラー試薬を使いまして、旧坑の水かどうかを大体判定する方法はできておりまして、もちろん数年前に鉱業会誌にも発表になり、いろいろ使っておる山もあるのでありますが、なかなかこれが百パーセントというわけには参りません。何割かはわかるのでありますが、また何パーセントかの不確かな点もありまして、なかなか十分に使用するという段階に至っておりませんが、私どもの方針としましては、必ず機会あるごとに、簡単な試薬で、簡単な方法でわかるのでありますから、これを使うように連絡を十分にいたしておるのであります。ここにおきましても、変災後ネスラー試薬を使ってやってみたところが、旧坑水だということは一応連絡を受けておるのでありますけれども、こういうような方法を十分普及させまして、一応旧坑水かどうかという点を確かめると同時に、先ほど申し上げました少し範囲を広げまして、従来の規則では、旧坑に五十メートル以内に近づいたときには先進さつ孔をやるというふうにきめてありますけれども、実際の運用としましては、先ほど申し転げましたように、もう旧坑に向って二百メートル以内に進むというときには、私の方で自動的に出水の指定をいたしまして、まあ少し業界には無理だというような声が起るかもしれませんけれども、二百メートル以内に入りますときには、先進さつ孔もやってもらうし、水が出るような場合には、必ず試薬を用いまして、旧坑水かどうかという判定をつけてもらう。なお進むに従って浸透水その他の水の出るような場合には、全力を一つ傾倒して、いろいろな判断をつけてもらうということを十分周知徹底をさせてみたい、かように考えております。技術的には全然防ぎ得ないということではないように考えておりますが、なかなか今、完全にこれを予見し得るというような方法、いい方法は現在のところないのであります。超音波で、音波の反射によって旧坑がわかるというようなことも、研究はいたしてもらっておりますけれども、なかなかここ一、二年で完全なものができるというわけにも参りません。少し機械の大きいものですと、ある程度わかるものはありますけれども、ことに中小に高価な機械を全部備えつけるということも、なかなか実際問題としては困難でありますので、この先進さつ孔の実施と試薬の実施、この二つを徹底的に実施させて、この旧坑水の出水事故を防ぐ現在のところ一番大きな私の方の対策の根幹にしたい。もちろん今後も旧鉱図の整備もいたしますけれども、これらは、使いようによっては、かえって悪影響をきたすというような点もありますので、今後は範囲を広げて、出水の指定を強化すると同時に、指定に伴って起りますいろいろな実施の内容につきましては、完全に行われるように監督強化をいたして参りたい、かように考えております。
○阿具根登君 今後の問題で、五十メートルという、法律できめてあるのを、図面があまり完備しておらないために、二百メートルから出水指定をして、先進さつ孔をやらせる。これを実行してもらうことは、今おっしゃったから、それはそれでやってもらいたいと思うのです。
 そうすると、今度の問題では、すでに二カ月前からそういうことがあった。今までは、三インチ管の三十馬力か十五馬力のポンプ一台で、一日のうち何時間か動かせば水は上っておった。こういう所は、坑内ではほとんどもう水がない所みたいな所なんです。それが非常に水がふえてきた。急にふえてきた。そうしてその水は非常に腐ったにおいがしておった。こういうことは、組合員も、会社も、どっかこれは旧坑があるのだ、古洞があるのだということは気づいておったということを言っておるし、今度は不幸中の幸いと言いますが、今までは、ガスの場合も水の場合も、ほとんど全部が死んでおる。ところが、今度の場合は、その一番原因になっておるばっ点じるしの所におった者はみな上っておるのです。一番状況がわかっておる。前六本、一本から残った水が出てきた。だから、これは危ないと、係の人のところに行って、これでいいのかと聞いた人もある。それを掘っておるということになってみれば、一応の原因ははっきりしている。それが事実であるならば、これは会社の責任だということは、はっきり言えると思いますが、局長言えますか。
 それから、東中鶴ははっきりしておらないのです。これはどうしますか。これが、この前おっしゃったように、施業案以上に非常に掘っておった場合は、監督官庁の責任者としての国の賠償に応じますかどうか。はっきりその二点について伺いたい。
○説明員(小岩井康朔君) 江口の場合は、出水個所におりました人間は無事に出ております。従いまして、これらの方々からは十分な聞き取りもされておることと考えております。聞き取りだけで処置をつけるというわけにも参りませんが、できる限り証拠の裏づけをいたしまして、おかしい点がございますれば、現地の方面とも十分相談いたしまして、十分厳重に措置をとりたいと考えております。まだ目下捜査中でありまして、こまかい連絡は十分に受けておりませんので、この処置につきましては、もう少し日にちをいただきたいと、かように考えております。
 それから、東中鶴の死体の収容でありますが、東中鶴は、現在排水いたしておりますところは、非常にバレが激しくて、進み方がのろい。一日に半メーターくらいしか進まない所がございまして、このままで参りますと、非常に日数のかかることば、計算上からも簡単に出るのでありますけれども、それをもっと早くしたいのはやまやまでありますけれども、現在の鉱業権者では、先ほども申し上げましたように、自力ではもう収容作業ができない。とうに手をあげておったのであります。それを国で今すぐどうというわけにも参りませんので、経営者側にほかの炭層を掘れるようにいたしまして、現在従来の半分ばかりの出炭をして、それで排水作業をまかなって続けているというような状態であります。もちろん、現在の権者は、この排水作業を放棄いたしておりません。私どもも、放棄させる気持は現在持っておりません。日にちは相当かかりますけれども、死体の収容は最後までやるつもりで現在おります。ただ、日にちのかかりますことは、まことに残念だと考えておりますが、ただ、この作業を現在の鉱業権者が完全に手をあげてしまって、もう死体の収容作業は現状ではできないというような段階に達しますれば、何らかの方法も講じろ、こういうことでありますけれども、もちろん私どももいろいろ検討はいたしておるのでありますけれども、なかなか死体の収容の経費、これは、場合によりましては非常に大きい金がかかるのであります。今東中鶴だけをごく簡単に計算してみましても、現状のような進み方で参りますと、数千万円かかるのであります。そうしますと、そういうような金を国がすぐ今出すというわけにもなかなか……。どこでどう出すか、むずかしい問題でありまして、むずかしいからやらないというのではありませんけれども、石炭の関係だけにこういった方法をとるということも、なかなか議論の余地もあるでしょうし、船の関係などもずいぶん調べまして、船の関係を、ほかの産業のことを引き合いに出すことは私どもどうかと思うのでありますけれども、船などは、だいぶ大勢の人間が海底に沈んで、死体の上らないのがたくさんございますが、これを国で上げろということになりましても、いろいろ複雑な問題がたくさん出て参りまして、石炭の関係だけを国でやるということにもなかなか踏み切りがつかない。原則としては、やはりどこまでも鉱業生産者に責任を持って、自分の使った人間でありますので、自分の起した事故についても最後まで、死体の収容のできるまで責任を持ってもらうというのが原則の姿でありますけれども、今後ますます中小の炭鉱もふえておりますし、中小で資力がない、できないというような場合にはどうするかというような点も、もう少し検討をさしていただきたいのであります。検討いたしているのでありますけれども、なかなか今すぐお答えできるようないい方法が出ないのでありまして、非常に担当の係官も、むずかしい問題だというので、頭を悩ましております。もう少し時間をいただきまして、どうしても検討した結果むずかしいということでしたら、またこの席で私からはっきりお答え申し上げたいと、かように考えております。
○阿具根登君 そういうむずかしいことはわかっているのです。むずかしいから長引いていることもわかっている。だから、国が数千万円出すことができないけれども、一個人に出させようというのも無理だろうし、では国がやるといえば、もうかるだけもうかって、この連中は本気になりませんよ。今のままで行っておったら、ずるずるべったりで、また半年たった、半年たった、もう死体のことなんかみな忘れてくる。原因がとうとうこのままでいけばわからずに終るのですよ。だから、国が出せないなら出せない、あるいは国が立てかえてやる、そのかわり、その原因によっては、これは全部業者が持つのだとか、あるいはそうでなくても、これは業者が何年間で払うなら払うというようなやり方もありましょうし、それができないならば、炭鉱業者の連帯責任として、トン当り幾らか取って、ちゃんと災害用にやったらいいじゃないですか。いろいろやればやる方法はあるはずです。実際死んだ人が一番かわいそうじゃないですか。その家族が一番かわいそうじゃないか。危害を与えた人は資力がないといって、いつまでかかるかわからぬけれども、ぼちぼちやっている。国はわずか数千万円の金が出せないからといって責任を回避している。そういうやり方がどこにありますか。海だったら、ここに沈んだということはわかっておっても、波の都合によったり何かして、相当沖に行ったりするでしょう。あるいは人間の力では潜水もできないというようなことも、不可抗力ということもあるでしょう。しかし私は、不可抗力でない限りにおいては、海のやつも、相当な犠牲を払って出してもらっていると思う。炭鉱のやつは、死体がそこにあることはわかっている。しかも、だれかが悪いからそういう結果になっているのです。掘った人が悪いのじゃない。あるいはガスだったら、極端な場合は、坑内でマッチをすったとか、スパークが出るというような問題もあるかもしれない。水だけは絶対そういうことはあり得ないのです。だから、極端にわれわれが解釈すると、通産局自体も、保安監督局自体が自分の責任をこわがっているのじゃありませんか。あそこの問題は、出てきたら事態ははっきりしますよ。こわがっているのじゃありませんか。業者自体がこわがっているのじゃありませんか。原因がわからぬのを幸いに、わからないように、水がいつまでも引かないようにする。長くなれば長くなるほどまた起きます。そうしたら、いよいよどこまで掘っておったかわからないようなことになるかもしれない。だんだん長くなればなるほど原因はわからなくなるのです。そういうことでは、災害は未然に防げぬというのです。今度の江口鉱業所の場合も、見通しがつかぬようになるならば、半年も一年も延びぬように、何とか早く対策を講じなければいかんでしょう。それだって原因がちっともわかっておらぬじゃないですか。これは、地図が悪くて古くなったのをわからなかったのだというようなものも出ておらない。施業案の許可された以上に掘って古洞にぶち当てたということも出ておらない。現実は、何十人の人間が死んだというだけじゃありませんか。だから、今のような答弁はだれでもできるのです。今置かれた立場で、そうして現在の範囲内ではこれしかできない。与えられた自分の範囲内でこれだけベストを尽しております。それだったら、小岩井さんが局長でおらぬでも、だれでもできます。課長でもだれでもできます。そういうことだったら、技術家でなくてもできます。事務家でもできます。もっと思い切った策をやりなさい。東中鶴のときでもあれだけ言っているでしょう。まだ死骸も上っておらぬのです。どうしてそういうことはできないのですか。そういう対策を立てられて、国会が反対したならば、責任はわれわれにあります。あなた方は、それを出すだけの任務と責任があると思うのです。そういうことは出せないですか。法を変えるとか、あるいはそういうふうな便法をとるとか、とにかく早く原因をつかんで、二度とこういうことが起らないようにする、早く死体を上げて、そうして安置する、こういうことのために打つ手はないのですか。今のままですか。そうしたら東中鶴はいつ出ますか、江口鉱業所の死体はいつ出ますか。今後こういうことが絶対にないようにするためには、どういう手を打ちますか。私はそういう点を聞いているのです。またこういうことが起ります。これは、やる仕事をやっても起ります。それは、人間のやる仕事をやって出てくるやつはやむを得ない。しかしまた、私が言っていることができると思う。この前から言っているけれども、あなた方は、半年たっても、一ぺんもそういうようなことを法律案として出したことはないじやありませんか。何も方法はないのですか。局長としての力はこれだけですか。これ以上できなければ、できないとはっきり言って下さい。まだできる人ばいるばずです。はっきりして下さい。私は、あなたを責めるということではなくって、何十人の人がまだ出ておらないのですよ。あなた方は現場を見ておらぬから、机の上だけだから、私たちのような気持にならぬのです。六十何人の人がみんなあなたに……、だれだって、自分の肉身を坑内の地下室の中に入れてしまって、まだ上ってこないなら、その人の気持になってみなければわからないでしょう。あなたたちは現場へ行かないでしょう。現場を知らぬでしょう。保安局長というのは、それだけを保安局長の仕事だと、私はそういうことは言わない。しかし、四十人も人間が死んできているのだったら、もっと保安局長として積極的なやり方をやっていただきたい。現場に行かぬなら行かぬでいいけれども、だけれども、そんなら局長としてどうしたいということを、もっとわれわれが納得するように一つやっていただきたいと思うのです。
○説明員(小岩井康朔君) 東中鶴の坑内出水につきましては、私も坑内へ下りまして、現場も十分見て参りまして、自分だけの判定もいたしたのであります。実は、最初の死体ぐらいは、五月の末か六月中には、私は卸底の一人くらいは上るという認定を私なりにつけたのでありますが、それは、私が参りまして、坑内十分くまなく回りまして、現在の作業の個所を見ましたところは、非常に水も少くて、ごく普通のバレと同じような状態でありまして、この程度で進むならば、大丈夫六月中ぐらいにはおそくとも卸底の数人のうちの一人くらいの、第一体くらいは私は大丈夫上るのではないか、また、山の所長にも、見た状態では私は上ると思うから、ぜひまず一人だけでも六月中に上げてほしいという相談もいたしまして、このような状態でずっと進んでくれるなら、上るかもしれないという見通しをつけておったのでありますけれども、やはり斜坑に入りますと非常に状態が悪くて、予想以上に難航を続けているようであります。私も、今後の見通しを絶えず心配しまして、現地に聞かしているのでありますけれども、何さま先のことでありまして、どの範囲に崩落が来たしているか、なかなか十分に予想をつけかねる。予想だけでしたら、何日でも簡単につくのでありますけれども、相当長く予想がかかりますので、私も、このままではなかなか放置できないというので、かなり自分としてはドラスティックな気持の方法も持っております。しかし非常に微妙な点がございまして、お話も、ただいまここではいたしかねるような状態のものもございますので、いずれまた別な機会に私どもの考えをお伝えして、お諮りしたいという気持を持っております。
○藤田藤太郎君 関連して。通産省に図面がない。そういう話があって、通産省自身も図面のないことは認めておられるという工合に、私はこの質疑の中で感じました。それじゃあらゆる方法をもってその図面を調べる、主として申請権者の図面が中心になってやっているようであります。しかし、結果論として、その図面の判定が正しかったか正しくなかったかという問題すら、鉱山保安局で今論議になっておるという状態を私は感じるわけです。それで、東中鶴から、今日まだあらためて二十九人もこういう事故が起きておる。五十メートルのやつを二百メートルにするのだとおっしゃってますけれども、その確証は何によって求めるかという基礎的な図面というものが通産省自身にわかってない。そういう状態の炭鉱というのは、私は専門家じゃありませんから、よくわかりませんけれども、他にもあると私は疑わざるを得ない。そういう状態の中でなぜ許可がされたのか、そのいうふうな不安定の中でなぜ採掘を許可されたか、鉱区を許可されたか、ここに一番問題があるじゃないですか。だから、客観的に監督権者の立場から見れば、全体的な炭鉱を一つずつ洗ってみて、古坑がある、要するに旧坑があるということは、これはだれが見てもよくわかる問題だ。旧坑があって、旧坑がどの程度掘っておったくらいのことは、厳密にわからなくとも、わかるはずだ。その周囲で新しい炭鉱を採掘をやるとすれば、二百メートルとか五十メートルとかいう問題じゃない。そういう確証がないのだから、そういうものには許可しない。一つずつ山を洗ってみて、そういう危険性のあるものは停止さす。そして保安上の問題としてあらためて調べて、確信の持てるものだけに採掘を許して営業さす、こういうところに行かなければ、先ほど海の問題を引き合いに出されましたけれども、これは、結果的に死体収容の問題ですね。人為的に、炭鉱の現実の問題というのは、人間の能力で調べたら私はできる可能の範囲のものがほとんどだと思う。天災地変じゃない。人間がやることによって可能なものが九九%だと思うのです。古坑との関係、古洞との関係、だからそういう危険のあるやつはまず許可をしないということです。一時そういう危険のあるものは停止する。そして十三年もたって、明確に図面がないという不安定な状態で、出炭がどうこう、それは国策的にはあるかもしれませんけれども、そういう人間の生命まで不安な状態に陥れる採掘というものをなぜ認めるか。こういう問題を取り除かない限り、私はどんどん起ると判断します。この前の東中鶴のとき、もうこういう問題が危険がないということは、どこに判断できますか。現実に起きているじゃありませんか。起きている以上は、そういう処置を鉱山保安局はとるということを明確にされないと、今後五十メートルを二百メートルにするといっても、二百メートルでよいのか、五十メートルでよいのか、これは不安定で、現実的にそれが正しくて万全であるという確証がどこに得られるか、得られないじゃないですか。そんなら、何といってもそういう明確な図面ができるまでは、明確な確証を出すまでは許可しない。それから、一つ一つ山を洗ってみて、そういう危険のあるものは今直ちに作業を停止して、洗ってみて、確信のあるところだけを作業を進めさせる。これが監督官庁の任務じゃないか。私は、それをここで明確にしてもらわなければ、こんな事故は何ぼでも起きるかもしれない。そうすると、結局水をあげる資金やその他の問題もありましょう。しかし人間でやれる。可能のことです。可能でないということは、人間が生命をなくするということなんです。この生命をなくするという危険をはらんだ業務というものが続けられるというのはとんでもないと思う。金の問題じゃない。金で命は買えない。だから、そこのところは明確にしてもらいたい。私は、さっきから話を聞いていて、そこのところがさっぱりわからない。それを明確にしてもらいたい。そうでなければ、こんな不安というものは去らないのじゃないか。どんどん起きると判断せざるを得ないのじゃないか。私はしろうとです。私は専門的なことは、山の中に入っていますけれども、現実にはわかりません。わかりませんけれども、どんどん出水の問題で死亡されたことをここで論議されて、そのときに適当にお答えになって、今後は間違いを起さないような答弁をされるが、次から次に起きてくるじゃないか。そうすると、根本の問題を絶ち切らない限りはどうにもならない。これが監督局の任務だ。国としての任務だと思う。そこのところを明確に、それをやられるのかやらんのか、はっきりしてもらいたい。そうでなければ何ぼでも起きる、そういう不安が除かれません。
○説明員(小岩井康朔君) ただいまの御質問、非常にむずかしい問題でありまして、正確な坑内実測図を確保しへこういうことなんでありますけれども、これはなかなか中小の関係で、古い時代の旧坑図をしっかりつかんで、そして正しく認可するということは、私は、今後なかなかむずかしい問題で、実際にはできにくいのではないかというふうに考えております。これから先のやつは、でき得る限り落ちのないようにやっていく。それから前のやつは、施業案が出ましたときに、特に中小の関係では、隣接の関係を直接洗いまして、なおかつ内部でも、まあ坑道を掘る場合には、一応先進さく孔というものをできる限り広範囲に必ずこれは実施してもらうということで、新しい区域を確保しながら仕事を進めていくという方法を完全にとらない限りは、私は完全に防ぎ得るということは確信が持てないわけであります。しかし、旧坑の位置がわからなくても、旧坑水であるということの認定はほぼつき得る技術的なやり方もあるものですから、これらを並行して、そしてこれをはっきり規則にうたうようにするかどうかの点につきましては、鉱業法とも関連が十分にございますので、鉱山局、石炭局とも十分相談いたしまして、法的の改正で十分に補いのつき得る点につきましては、改正も考えてみたいというふうに考えております。
○藤田藤太郎君 そうすると、あんたのおっしゃる結論は、鉱山局その他と相談して何らかの処置をする。後段のお話を聞いておると、なかなか熱意のあるようなお話です。しかし、前段のお話では、中小企業は私の言ってておることは無理なんだという前提で、そんなお話を進めてもらって何ができるのです。今やらなければならぬことは、しろうとが見てもわかることです。明確なんですよ。図面がないので、不安定な状態で許可しておる。ただにおいのある水が出たとか出ないとかいうことで判断するとかせんとかいう問題じゃない。明確に通産省が資料をもって、人為的に災害を防げる立場に立って認可をする。そういう危険のある所は、今の作業をとめさす。このことが根本的に考えられないで……そこから起きてくるいろいろの問題はまた政治的に、保安上の問題やその他の問題は別に考えたらいい問題で、問題はそこなんです。その問題がむずかしいという前提のもとに、鉱山局や何かと相談して、できるだけのことをしたいというのならば、これは今までと同じことが続く。そうしたら、そこの作業員というのは消耗品ですか、もっと明確に言えば。そういうことが将来起きても、こればやむを得ない、頭からそういうふうに勘定に入れて、労働者が生命を絶たれておるような問題が出てもやむを得ないという考え方に立たざるを得ないのです。人間の命は一番大切なんです。その大前提になる問題を、この問題について鉱山局長とかその他の関係において不備な点は変えましょう、それからそういう状態、具体的に、根本的に災害がなくなるような立場から新しい法の保護を加えましょうとか、規律をつけましょうということで相談するなら、私は幾らか前進すると思う。しかし、前提がもう中小企業はしょうがないという前提で、そんなおざなりの返事を聞いてもしょうがない、結局人間は消耗品だということになる、採掘労務者は。そういう格好で鉱山保安をやってもらっては困ると私は思うのであります。だから、後段の面だけを明確にして下さい。後段の、今の不安定な……将来の保障ができるような、将来危険が、そういう事故が再びないような方法を、鉱山局長その他通産省として、不備な法案を直す処置をする。これを明確にここでこう約束していただかないと、前段の前提のもとにやられたのでは、今までの問題と同じです。そういうことのないようにしてもらいたい。どうなんです。
○説明員(小岩井康朔君) でき得る限り災害防止の根本的な問題で一つ改正を考慮してみたい、かように考えております。
○藤田藤太郎君 今度の特別国会には、アウトラインを出せますか。
○説明員(小岩井康朔君) 保安の関係は、相当鉱業法と姉妹法になっておりますので、私の方だけでできる問題ですと非常に簡単なんでありますけれども、鉱業法の関連で改正を考慮しないとできない関係で、時間はもう少し長くお与え願いたいと思うのであります。鉱業法の改正につきましては、先国会でも、大臣も石炭局長も実は申し上げておるのであります。私どもも承知いたしておりまして、できるだけ早くこれらを調整をはかりたいという気持でおりますので、時間が少しかかりますことは御了承願って、次の国会に必ず出せるというお約束は、ちょっとここではできにくいのではないか、かように考えております。
○藤田藤太郎君 私は、作業の具体的な問題を言っているのではない。要綱ですよ。アウトラインという、要綱というものを、こういう方向でいくのだ、これに対する専門的な方面から注文もあるでしょうから、そういうことが今度の特別国会には出せますかと言っているので、法文の何条というこまかい問題まで、そんな半月やそこらでせよと言っているのではありませんから、人間の生命の危険というものが現に次から次に出てきているのですから、こういう方向でいこうという大筋は、私は明確にしなければ、それはすべて時間がかかるということで、一年や二年もかかっているということでは、なんぼ事故が起ってくるかわからない。そんなことをやっているなまやさしい問題ではない。そういう点だけは明確にしておいて下さい。
○説明員(小岩井康朔君) 大綱だけでしたら、特別国会に間に合うようにいたしますけれども、まだ相談もいたしておりませんので、できるだけ間に合せるという方向で、どうしても間に合わなければ、一つ臨時国会の方にお譲りを願いたいと、かように考えております。
○理事(木島虎藏君) それでは、本問題の調査はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(木島虎藏君) それでは、さように決します。
○理事(木島虎藏君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
  〔理事木島虎藏君退席、委員長着
  席〕
○委員長(阿具根登君) 速記をつけて下さい。
○藤田藤太郎君 きょうは時間がないようですからあれですけれども、資料だけを一つ、要求をしておきたいと思うのです。
 まず第一に、厚生関係の問題から言いますと……、厚生省は見えているのですか。
○委員長(阿具根登君) 速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。
○藤田藤太郎君 じゃ、委員長で特別な計らいをしていただきたいと思うのです。
 それは、第一は、厚生関係の年金の問題が答申も出てきているようです。これに対する資料を一つ、ぜひ内外の資料を一つそろえてもらいたい。
 それから第二は、医療制度の問題、国民健康保険、それから政府管掌、組合管掌の健康保険もありましようし、皆保険を目標にしたこの関係の資料、現実の資料というものをぜひそろえていただきたい。
 それから結核の問題があります。この前、結核の法案を出しましたけれども、これに関係する資料をぜひ一つ可能な範囲でそろえていただきたい。ほかにまだありますけれども、ほかは、これは再開してからにいたしたいと思います。
 それから労働省関係、この不況下における、あれだけ大臣がやかましい約束をした、本年度の完全失業六十五万と言いながら、ものの一月も経たぬうちに八十五万にはね上っており、私が論議したことがそのままここに出てきておる。こういう不安定なことでは私は困る。だから明確に、たとえば操業短縮はどうなる、どれだけの失業者が出る、オートメーションによってどれだけの、要するに就職したい者との関係において、どれだけ収容力の関係が出てくる、要するに本雇用者と臨時雇用者との関係がどうなってくる、それからここ半年くらいの見通し、それからこれに対して労働省はどういう工合に処置をしようとしているか、こういう失業関係の資料を一切明確に出してもらいたい。ものの一月もたたぬうちに引っくり返るような資料なら要らぬと思う。もっと明確に、もっと厳密に出してもらいたい。自家就労で、それが潜在失業者、そう言われたら、その通りでございますというような、そんな不安定な計画と資料は出してもらいたくない。もっと明確な資料を出してもらいたい。これを特にお願いしておきます。
○委員長(阿具根登君) 藤田委員から御要望のありました資料につきましては、委員長からそれぞれに通達いたしまして、次回までに提出するようにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十九分散会