第030回国会 社会労働委員会 第2号
昭和三十三年十月七日(火曜日)
   午前十時四十九分開会
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  委員の異動
十月一日委員坂本昭君辞任につき、そ
の補欠として小柳勇君を議長において
指名した。
十月六日委員藤田藤太郎君辞任につ
き、その補欠として千葉信君を議長に
おいて指名した。
本日委員千葉信君辞任につき、その補
欠として藤田藤太郎君を議長において
指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     久保  等君
   理事
           勝俣  稔君
           柴田  栄君
           山下 義信君
   委員
           草葉 隆圓君
           紅露 みつ君
           斎藤  昇君
           高野 一夫君
           谷口弥三郎君
           西岡 ハル君
           横山 フク君
           木下 友敬君
           小柳  勇君
           藤田藤太郎君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
  政府委員
   厚生政務次官  池田 清志君
   厚生大臣官房長 太宰 博邦君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省公衆衛生
   局長      尾村 偉久君
   厚生省医務局長 小沢  龍君
   厚生省社会局長 安田  巌君
   厚生省薬務局製
   薬課長   喜谷市郎右衛門君
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  本日の会議に付した案件
○社会保障制度に関する調査の件
 (第二十二号台風による被害対策に
 関する件)
 (一般厚生行政に関する件)
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○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開きます。
 委員の異動を報告いたします。
 十月一日付をもって、坂本昭君が辞任し、その補欠として小柳勇君が選任されました。
 十月六日付をもって、藤田藤太郎君が辞任し、その補欠として千葉信君が選任されました。
 十月七日付をもって、千葉信君が辞任し、その補欠として藤田藤太郎君が選任されました。
○委員長(久保等君) 社会保障制度に関する調査の一環として一般厚生行政に関する件を議題といたします。
 橋本厚生大臣から厚生行政に対する施策について御説明を願います。
○山下義信君 議事進行について発言があります。
 厚生大臣の御所信を承わる前に、私として、ぜひこの委員会で御発言あるいは御報告を願いたいことがあるのでございます。あるいは理事会ですでに御相談ができているのではないかと思いますが、もしその点御相談ができていなかったといたしますれば、この席でお取り上げを願いまして、御善処をわずらわしたいと思うのであります。
 第一点は、先般の台風第二十二号の災害に対しまして、諸般の対策が講ぜられたわけでありますが、その間に厚生省として災害救助法関係の対策がどういうふうにされたかということの御報告を願いたいと思うのであります。これはいつも大きな災害のあとにおきましては、委員会におきましてこれらの御報告にあずかることになっておりますので、この際お願いしたいと思うのでございます。
 第二点は、前々回でありましたか、休会中の委員会におきまして、わが党の坂本委員から大臣にお伺いをしたのでありますが、従来とももとより問題になっておりました国民年金制度に対する厚生省の案、いつ御発表に相なるのであるかということを委員会として伺ってある。大臣からお答えもあった。その通りに休会中に御発表に相なったのであります。この際、臨時国会も開かれ、正式の委員会も開会せられたのでありますから、当然政府の方でお考えになりました政府案といいますか、国民年金制度の要綱についての御報告なり、あるいは要すれば若干の御説明をわずらわしたいと思うのであります。
 その点から一つ議事をお進めを願いたいと思います。
○委員長(久保等君) それでは厚生大臣から御説明を願います。
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいまのお話は、委員会としてのお進めになり方の問題もおありのようでございますから、私の方としての用意のことを申し上げまして、委員会のお指図によって善処いたしたいと考えております。
 今回の災害は、もうまことにひどく、特に伊豆方面においてひどうございました。あと東京、福島等において相当の被害を来たしておるのでございます。災害が起りましてから、あと直ちに、その日のうちに手配を始めまして現地に係官の派遣もいたしましたし、部分的には、私、社会局長等も出かけまして、当面の問題は応急救助に力を入れながら、その後、災害救助法の発動と相待って諸般の手配をいたしておる次第でございます。これにつきましては、社会局長から詳細説明をいたさせるつもりでございます。
 それから国民年金の問題に関しましては、社会保障制度審議会の答申をもとにいたしまして、与党の特別委員会等とも相談をいたしながら、基礎的な考え方を固めておりましたが、まだまだ内容は固まりませんし、厚生省としての案もまだはっきりしたものはきめかねておる状態でございますが、御承知のように、こうしたような問題は、項目だけを取り上げて議論をしておりますると、やはりほんとうのものにまとまらないのでありまして、一応とにかく諸般の疑問点を残しながら一つの考え方で全体を制度として組んでみる。それによって予算は幾らかかるか、一ぺん計算をしてみる。そうして組んだものによってまた全貌を見回して、本格的な検討を始めるというような趣旨で、むしろ本格的検討の初めての下案という意味で先般一案を作成をいたしまして、審議をいたしておる次第でございます。俗称厚生省案と書いてございます。そういうふうな意味で全貌を見ながら本格的な仕組みとして、第一次的に審議を始めるという状態でございましてそういう意味のものと御了承をお願いをいたしたいと思います。これは多少の準備もございまするし、口頭でただ単に申し上げまするよりも、刷りものの用意をいたしまして御報告申し上げた方がいいと思いますので、私といたしましては、むしろ御意見を伺うよい機会でございまするので、委員会開催の日取りをおきめ下さいますれば、それによってまだきまってはおりませんけれども、練っておりまする下地の考え方につきまして御理解を仰ぎ、また、御意見を承わらしていただきたいと思っております。ただ、本日はここで申し上げるにはちょっと準備が不足だと思います。時刻を御指定を願いたいと思います。
○山下義信君 災害の応急対策といいますか、厚生省としてのお取りになりましたその対策についての御報告は、この種の大きな災害についてはいつもなされるのが例なんであります。そうして被害状況の資料もお配りになりまして、御説明があるのが通常の例になっておると思うのであります。そういう資料もお出しにならないということはどういうことなんでありまするか。これは非常に私ども不満に存じます。委員会が開かれることがわかっておりましたならば、お出しになるべきではないだろうかと思う。ありますればお出しを願いたいと思います。
 それから国民年金制度の厚生省案につきましては、固まっておいでになろうと、おいでになるまいと、すでに事務的にも発表に相なっておりまする以上は、私は、その要綱は委員会にお出しになりまして、一応の御説明があるべきであろうと思います。ことにその一部については、これも新聞紙で拝見するのでありますが、私どもは新聞紙で拝見すると同時に、公式の席でも承わりたいと思うのでありますが、承わるところによりますと、一部の点については、これを予算化して、財政当局に御要求になったということであります。そうすれば、あなたの案は全部がまだ不確定なものばかりではないはずでありまするから、ただ一応の試みにこういう考えを持っただけのことであるというような、一つの話しぐさの程度ではないのであると思いまするので、私はやはり厚生大臣としては、この委員会に御説明になるのが至当であると思いますので、本日はそれらについての、当委員会で質疑応答するについての用意がないとおっしゃれば、日をあらためましてこれを御報告に相なって、私どもにも若干、どういう御趣旨であるかということを伺う機会を持たなきゃならぬと思うのであります。
○国務大臣(橋本龍伍君) 災害対策の問題はもう準備をいたして当委員会で直ちにいたすべきだと思いますが、まことにごたごたいたしまして恐縮でございます。ただいま資料を取り寄せておりますので、参りましたらすぐ社会局長から説明いたさすつもりであります。
 それから国民年金制度に関しましては、これも十分資料準備をいたしまして皆さんに聞いていただきたいと思います。ただいま申し上げましたように、時刻をお打ち合せいたしまして十分な御説明を申し上げ、また、御意見を承わりたいと思います。
○委員長(久保等君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記をつけて。
○藤田藤太郎君 今の山下さんの御発言に対して、ちょっと大臣の声が小さくて聞えなかったのですが、これは資料が出るというのは、国民年金の資料もきょう出すということですか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 実は国民年金の関係は担当官が出ておりますが、やはり委員会でお聞きいただくのでしたならば、私の方も相当みっしりした御説明を申し上げて、また、御意見も伺いたいと思いますので、きょうはそういう意味での実は資料準備が不十分でございます。きょうでない別の機会の日時を御指定願いたいと考えております。
 それでは資料が参りましたので、社会局長から災害状況を……。
○説明員(安田巌君) 大へん被害状況の御報告がおくれまして申しわけない次第でございますが、お手元に差し上げました台風第二十二号による被害状況、これが最も新しいものでございます。表をごらんになりますと、大体の被害状況がおわかり願えると思いますが、このうちの一つの特徴は、静岡県におきまして、御承知のように、狩野川のはんらんによる人的の被害が非常に多いということでございます。死者が六百二十一人となっておりますのは、これは確認いたしたものの数でございますけれども、なお、行方不明が三百四十五となっております。これらは流されました流木の堆積の下になっておるのではないかというふうなことで、現在に至りましてもいろいろと死体の捜索に骨を折っておるような状況でございます。
 それから災害救助法の適用地域といたしましては、その次にございますように、十三都道府県――二十三区三十四市、六十四町村でございます。このうち昨日と違いますのは、きのう北海道から夕張市、様似町、尻岸内村、これだけを急にまた災害救助法の適用地域にしたいと言って参りましたのが違っております。
 それで政府でとりました措置といたしましては、二十六日の夜水害があったわけでございますけれども、二十三日に直ちに今回の二十二号台風の災害に対しまして災害救助法による中央災害救助対策協議会を開いたわけでございます。
 それから直ちに建設大臣が現地に、その日のうちに飛行機で参りまして私もお供をいたしたわけでありますけれども、翌日、二十八日現地を視察いたしましてその場でいろいろ災害救助等につきましての指導もし、また、要求も聞いて参ったようなわけでございます。
 それから二十九日の日に再び建設大臣の視察の報告を中心といたしまして、第二回の中央災害救助対策協議会を開いたわけでございます。
 なお、十月一日に、二十二号の災害の対策本部を中央に設けるということをきめまして、三日の日にその対策本部が山口国務大臣を本部長といたしまして静岡県の三島の方に派遣をされまして五日にそれが帰ってきたようなわけであります。
 それで、主として静岡の災害が一番大きいので、静岡のことについて申し上げたいと思うのでございますけれども、災害救助法を適用されました全地域に対しまして、罹災者の救出、避難所の設置、たき出し、被服、寝具、生活必需品の配給、死体の発掘、埋葬等の応急救助の実施に全力をあげたわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、狩野川流域の修善寺、大仁、伊豆長岡、それから韮山、その辺は非常に人的な被害が多いところでございました。飛行機の上から見ましても、普通の畑が全部材木で埋っているようなところがございました。そういうような流木が約四万石と称せられておりましてそれをのけるだけでも延べ一万人かかるだろうと思われます。きのうも、私どもの方から現地の対策本部員として派遣されました者が帰って参りまして、やはりこれを自衛隊でブルトーザーか何かでばっとやれば簡単にいくのでありますけれども、下に死体があるのじゃないかということで、一本々々どけてくれというようなことで、なかなかそちらの方がはかどらないというような話も聞きましたけれども、そういったようなわけで、ぼつぼつ見つかりながらも、なお先ほどの数字に示すように、数百人が行方不明であるというような状態であります。
 それから避難所の設置につきましても、各方面で避難所を設置いたしているわけでありますが、そのほか伊東の方でも相当被害がございまして、伊東市におきましても、一時は連絡が絶たれましていろいろ報告が入らないというようなことがあったわけでございます。
 それから救援物資につきましては、県の本庁から、毛布や、その他のものを被災地に急送いたしております。
 それから医療救護につきましても、こまかい数字は省略いたしますけれども、医療班でございますとか、あるいは防疫班だとかというようなことにつきましても、遺漏のないように活動をいたしておったようでございます。
 なお、防疫につきましては、百二十班の防疫要員、五百五十七人が活動いたしておりますが、このうちには京都、愛知、三重、岐阜、兵庫の各府県からの防疫要員二十一人、それから自衛隊の防疫要員二百五十人が含まれておるわけでございます。
 それから伊豆地方の罹災地は、飲料水に非常に困っておるということは私ども視察いたしましたときに感じまして、すぐに一つ濾水器を何とかならねいかということで、その場ですぐ措置をいたしたのでございますが、五台は自衛隊から借りることができることになりました。あとの五台を厚生省を通じまして、京都と愛知県から急送いたしまして、これは私どもが参りました翌日到着いたしたようであります。それから罹災者に対する民間の救援物資といたしまして、アメリカの宗教団体が組織しておりますところのCACという団体がございますけれども、その物資のうちからミルクが四千ポンドと小麦粉五千ポンド、衣料品が五十こうり、これを急送いたしております。それから第二次今として、ミルク二万八千ポンド、小麦粉三万五千ポンド、衣料品百三十こうりを手配いたしました。なお、日本赤十字社からも毛布、下着類二千八百点を発送いたしたわけでございます。
 で、厚生省関係で現地に参りまして、いろいろと要望がございましたことにつきましてとった措置を簡単に申し上げてみたいと思いますけれども、国民健康保険の事業に対する資金の貸付及び補助に関する特別の措置をしてくれないかというのが一つ、そのうちで被災の市町村に対する国庫の給付金及び事業費に対する補助金の繰り上げ交付、これにつきましては目下取りまとめ中でありますけれども、早急に交付するようにいたしたいということでございます。
 それから保険料も減免いたしました保険者に対しての災害特別措置につきましては、現行の補助金制度のワクの中で操作できる範囲内で考えるということでございます。
 それから上水道、簡易水道、汚物処理施設、公衆衛生施設等の復旧費に対する国庫の助成の特例の措置を設けてもらいたいということにつきましては、水道施設復旧補助金につきましては、目下予算措置を講ずるよう考慮しております。
 なお、地方負担分に対する起債についても考慮するように検討したい。
 それから清掃施設整備費補助金、清掃事業費補助金についても予算のワクはないのでありますが、二十八年の災害についての特別措置を行なっておりますので、今度の災害に対する他の施設とにらみ合せまして考えたいということでございます。
 それから次は、母子福祉資金の貸付補助金の総額及び負担割合の引き上げということを現地で要望いたしておりますが、これは母子福祉資金の貸付につきましては、国庫のとめ置き額がございますので、その中で十分実情に応じて考慮したいという所管局の答えでございます。
 そのほか世帯更生資金の貸付金、医療費貸付金の補助等につきましても、補助金の増額について十分考慮したいということを考えておるのであります。
 以上が大体二十二号台風の被害の状況、主として静岡県における被害に対しましての措置でございます。
○山下義信君 災害救助法関係の予算は、大体総額どのくらいになるのですか。
○説明員(安田巌君) 大体一億二千万円ばかりでございますが、現在すでにございますので、五千二百万ばかりの予備費の要求に相なるかと思います。
○山下義信君 この際、私は厚生大臣に伺いたいのでありますが、いつも大きな災害のありますつどに災害救助法が適用されて一般の印象としては、今社会局長からも報告がありましたような諸般の救助対策を講ぜられて災害救助法が発動されるというと、ずいぶん救助されるような印象を一般国民が持ち、罹災民はもとより持つ。ところが、実際は数十億はもとより数百億に上ろうかという大災害、今回の災害につきましても、今災害救助法関係の必要な予算がどのくらいかといいますと、一億ちょっと出る程度なんですね。そういうふうでありますから、名は災害救助法となっていろいろな項目が適用されるようにはなっておりましても、御承知のごとく、単価は非常に低いし、期限は短かく切ってあるし、補助率は低いし、ことに問題としては、御承知のように、その県の通常歳入の基準額の千分の幾つかを超えなければどうとかいう制限がありまして、ほんとうにこの種の罹災者に対する衣食住諸般の災害救助の実情というものはきわめて微々たるものです。従って、災害が起きますつどに、われわれ国会関係者としても、建設、農林水産、いろいろな関係の委員諸君と災害救助法のありますゆえんをもちまして社会労働委員会の委員として参りましても常に肩身が狭い。その多くの罹災民をながめ、その多くの住宅が流れ、もう食もなく衣もなく住もないその惨たる罹災民を前に置いてどの程度の救助ができるかといわれたときに、実に赤面に堪えぬことにしばしば遭遇する。私は災害がありましたつどにこれを問題にして、そうしていつの間にか、のど元過ぎたら忘れるということを実は繰り返しておるのでありますが、一つ尋常の際に非常の備えをしていただきましてこの災害救助法を全面的に――これは相当古い法律で、ことにGHQの指示によってこれをやりましたので、いろいろな救助の従来の実績からいきましても、全面的に一つこれを検討していただいて、相当罹災民が力の綱として頼みがいのあるような救助法にこれを一つ強化する必要はないかという考えを私ども持っておるのでありますが、将来災害救助法について再検討をなさる御意思がありますかどうか、そういうことをこの際伺っておきたいと思う。
○国務大臣(橋本龍伍君) 仰せの通り、災害救助法はほんとうの応急救助でありまして、なるべく早い機会にそれぞれの本務に従って処理をしていく。たとえて申しますれば応急仮設住宅などは災害救助法による厚生省の所管でありますが、御承知のように、五坪くらのものをほんとうにかりに作る、あとの住宅の建設問題については建設省あたりの方へなるべく早く引き継いでいくというのが本来の筋でありまして、そういう意味で災害救助法は非常にしぼってあると思うのでありますが、ただお説のように、まあ非常にしぼり過ぎておる面があると思います。現在でも可能なる範囲内で今回の災害についてもやりたいと考えておりまして避難所の開設期間なども十日になっておりますけれども、十四日に延長し、たき出しの実施期間も六日であるのを十四日にし、なおまた、医療や助産期間も十四日となっておりますけれども二十一日まで延長しておるのであります。確かにお説の通り、しぼり過ぎじゃないか。で、実際のばたばたした災害の場合には厚生省が主管しながら、まあ当座何でも間に合うという態勢をもう少し考える必要があると思いますので、災害救助法の問題については検討いたしたいと思います。ただこういうものは私がただ検討すると申しましても、長い時間のかかりますものだけに、その場限りになってしまってはいけませんので、ただいまの御提言に従いまして厚生省の中でだれか専担者をきめまして、省内に小委員会のようなものを作りまして災害救助法の検討をいたしたいと思います。
○山下義信君 最後に私が社会局長に伺っておきたいのですが、同時にお願いしておきたいのですが、日本赤十字社は災害救助法におきましても、また、日本赤十字社法におきましても、この種災害の際におきまする災害救助の仕事に対する協力関係を強く要請しておりまして赤十字社としても重大な任務を持っておるはずなんです。今回の災害に当りまして、ことに災害の非常に大きかった静岡県を中心にしてどういう活動をいたしましたか。一つ適当な機会に今次災害における日本赤十字社の活動状況について資料として御報告を願いたいと思うのです。相当やっているのではないかと思いまするけれども、寡聞にして耳にいたさないのでありまして自衛隊の活動のごときは非常に規模も大きいのでございますし、世間でもよくわかっておるのでありますが、その他個人の篤志の人、その他の諸君が人命救助その他に活動したいろいろな事例を耳にいたしますが、今次の災害を通じまして、日本赤十字社がかくのごとき活動をしたということを耳にいたしませんので、もし活動状況が低調であるということになりますと、これはゆゆしきことであろうと思う。金額は少うございますが、おそらく一般予算からもこの種災害救助のために赤十字社に若干の補助も出ておる。補助があろうと、あるまいと、当然日本赤十字社の重大な、私はこれは活動項目の一つであろうかと思うのであります。大体において十分な活動ができておりましょうか。あるいはどういう状態でありましたか、社会局長把握しておられます点がありましたら、この席上でお示しを願って、その他は資料によりまして活動状況あるいは物資の配給状況その他につきましてもお示しを願いたい。もし平時のこの種災害に日本赤十字社の活動がはなはだ消極的であったということになりますと、私どもは十分考えなければならぬと思います。この点を社会局長に伺っておきたいと思います。
○説明員(安田巌君) お答えいたします。日本赤十字社の災害時における活動としましては、救助の活動につきまして特種を役割を持っておりますのは御承知の通りでありまして、今回におきましても、主として医療関係につきまして医療班等を組織して現地に派遣いたしております。そのほか先ほど私がちょっと触れましたように、救援物資を送りますとか、あるいはそういった物資あるいはお金を取り次ぐ、集めるというふうな仕事をいたしております。なお、今度の災害における日赤の具体的な活動につきましては、また、後日詳しく報告申し上げたいと思います。
○藤田藤太郎君 先の社会局長の具体的な処置の中で、アメリカの何とかいう団体からミルクやその他が来た、救援された。これは国境を越えて非常にありがたいことだと私は思います。思いますけれども、社会局長の報告を聞いていると、具体的に物資はそれだけで、日本の政府が、被災された住民に、たとえば医療の問題とか食糧の問題とか、その他健康上の問題とか、いろいろの具体的な問題はどうやられたか、やっておいでになっているのか、そういうことの報告がないと思う。だから私はここで速記録に残る印象は、その団体と赤十字社が衣類を五千点出したということで終っているような報告じゃなしに、もっと具体的に、どういう工合にその現地では厚生省の係りはどうやった、政府全体の対策本部はどれだけのものを住民に供与してやったということを私はやっぱり明確にしてもらわないと、何か他力本願的な災害扶助で終っておるような印象をここでは受ける。これは速記を読まれた他の人から見てもそういう印象を私は受けると思う。だからこの点は明確にしてもらいたい。
○説明員(安田巌君) 私の説明が適当でなかったかと思うのでありますけれども、実は災害救助法と申しますのは、府県知事が救助の責任者になっておるわけでございます。そこで、その中できめられておりますのは、たとえば罹災者の救出でありますとか、たき出しでありますとか、避難所を設けるとか、被服、寝具だとか、生活必需品の給与だとか、医療救護だとか、埋葬だとか、あるいは学用品の交付だとか、そういったようなことを知事の責任においてやることになっておるわけです。で、私どもの方では中央におりまして、そういった現地と絶えず被害の状況等の報告を受け、連絡をいたしましてそれらのことがうまく迅速に行われるかどうかということにつきまして指導をいたしておるわけでございます。で、現在私どもの方がその当時から聞いておりますのでは、たとえば静岡県の例をとりますと、そういった場合の応急の手段というものは、そのときにおいてベストを尽したと私どもは見ております。たとえば向うへ参りまして食糧品等につきまして、それではほかから回さなければならぬか、あるいは毛布等につきましてもこれは東京であっせんをして送らなければならぬかというような要望事項を聞きましたけれども、すべて県内で間に合うという状況でございます。それは知事が責任をとってやるという形になっております。ただそういった濾水器が足りないとかいうようなことにつきましては、私どもの方ですぐほかの県から回すとか、あるいはガス壊疽の患者が二名ばかり発生したのでありますけれども、そういう場合の血清がないということになりますと、すぐ私どもの方であっせんをしまして、千葉の血清の研究所の方からそれを送らせるというような処置をとっております。そこでそういうような費用を使いました場合には、先ほど山下委員からお話がありましたように、静岡県でいいますというと、県税の普通税の額の千分の二をこえた場合には五割の補助を出す、救助に要する費用ですね。そうしてまた、それが千分の十をこえれば七割、さらに二十になりますと八割とか、二十をこえるとどうというふうに、九割までの補助金が行っておるわけでございます。建前とすれば国が物を買ってすぐに送ってやるとか、そうしてこちらから行って何かしてやるということでなくて、あくまで知事の責任だということになっておりますから、災害救助法を適用いたしましても、小さい災害で県の負担力からいって当然それが負担できる程度のものについては補助金がいかない。その補助金がいくかいかないかという基準が県税普通税の総額の千分の二というのが基準になっております。こういう仕組みでございます。今まあ私どもがそういった府県でやっておりますところの、災害救助法に基く食糧その他の救助の関係は、これは当然うまくいっておるということを前提といたしましてただ好意的に、そういうふうな外国の物資なりあるいは一般の民間からの援助がありましたものを申し上げましたようなわけであります。どうぞ御了承下さい。
○高野一夫君 私はちょっと社会局長に伺いたいと思うのですが、けさNHKのラジオ放送でこういうことを申しておった。これを一つ伺ってみたいと思うのですが、非常に雨が降って冷え込んできて、寝具に困り、一枚の毛布に数名の家族がくるまって寝る。それで足りなくて付近の農家からむしろを供出してもらってむしろにくるまって寝ておる。こういうようなことがけさ報道されてこれを聞きますと、僕なんか与党ですから、非常に先ほどのお話じゃないけれども、何か政府も県の方も何もやっていないじゃないかという印象を深く一般民衆に与えたような気がしまして、非常に肩身の狭い思いをしたわけなんです。これは今の社会局長のお話では、食糧、衣料、寝具、そういうものは大体円滑にいっているというようなお話だけれども、そういう毛布一枚に大ぜいがくるまって、むしろを供出してもらってむしろにくるまって寝ている、こういう惨たんたる状況であるということがラジオ放送で全国に放送される、これは私どもからうっちゃっておけない状態だと思うのですが、こういうことは知事が責任をもってやるにしても、何か静岡県の方からどうも配給が十分にできないとか、手が回らぬとか、そういう打ち合せとか、相談はないものですか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 私からちょっとお話を申し上げておきたいと思います。実は社会局長の申し上げましたのも真実ですし、それから今新聞報道等からお話のあったのも実は真実であります。と申しますのは、あの災害がございましてから、厚生省としてとりました態度は、夜明け方から特に静岡はひどいと聞きまして静岡の災害対策本部と連絡をとらせました。電話回線で連絡がとれました。そのほか、各、県でも災害対策本部ができる限り連絡をさせたのであります。災害救助法を発動した報告を受けましたので、何か中央でやることはというと当面現場で全部間に合うという話でございました。そこで直ちに中央におきまして、私が副会長をやっております中央災害対策審議会を開きまして、応急救助の方策について各省手配をいたしますることと、それから自治庁において特別交付税の残りを直ちに配分をいたしますことを急速にきめまして、その後は、災害対策本部を特別に設けて、山口国務大臣を主体にしてやることを進めたのであります。そこで現場でのいろいろの手配の問題としては、現場で手配のできないことについては、これは援助を求められる限り急速に措置をとりましたし、その日の午後には係官を派遣いたしまして、連絡をとっておる次第でございます。ただ物量としては一応間に合いましても、現場のところへいきかねておるところが交通、通信その他いろんな関係であるようでございます。東京都内などでも、たとえば都の方も乾パンの世話等もいたしましたけれども、これはやはり現場へいって参りますると、こんなところまで水がついている。それで路地のすみには船も車も入れないというような状態でありまして、そういうようなところに、人が残っているところにやはり実際行ってみると、何とかしておれの方まで持ってきてくれというようなことをどなられるという状態でございまして、実際問題はそれぞれの、たとえば東京で言えば区役所あたりが担当しておるのでありますが、すみずみまでになかなか飲み水でありますとか、食糧でありますとか、行かないところがあるようでありますし、それから静岡等におきましては、特にいろんな問題があるようでございます。ことにその後、雨が降れば、仮橋も流失するというような状態で、それで遺骸の問題につきましては、何とかしてこれを早くやりたいと思いますが、大体が泥土とそれから材木の下に、すっかりばらばらになりました家の材木の下あたりにあるようであります。これを結局シャベルだとか何かでいろいろ掘り出した人をとりあえずそこへ置いてそしてトラックを呼んでくるというような事態はあるのだろうと思いますが、この点に関しましては、県当局等も骨を折っておると思いますが、災害対策本部におきましても、そういうようなこまかい手配のできるようには全力をあげて骨を折っていまして、なおなお注意をいたして、早くこまかい手も回るようにいたして参りたいと考えております。
○高野一夫君 その予算を獲得して、根本的の災害対策を講ずるのもけっこうで、これも早くやらなければならぬのですが、応急の処置ですね、食糧、ことにこう冷え込んでくると寝具、衣類、それが今の大臣のお話のようないろんな事情ももちろんあるのだろうと思うけれども、それだからこそなおさら一つ早く何とか手配を講ずる必要がある。どうしても手配を講ずることができないのかどうか、やはりその辺を調べる必要があると思う。それで幾日目くらいにはあの孤立した一つの部落に衣料、食糧を配給ができるとか、できないとか、こういう見通しくらいつけなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけです。ことに新聞、ラジオ等でこういうような報道がされますと、災害地全般についてこういうような状態であるというふうにしか一般の人には考えられない、そういうふうに考えたがるわけです。それはまだ非常に困るところもある。たとえば手の届くところは十分手が届いている。しかし、孤立してどうしても近寄れない部落においてままそういうことがあるというようなこともあろうと思いますが、それじゃ幾日ぐらいたつと十分な手配ができるか、こういうような見通しをつけて、一般の人が多少なりとも安心感を持てるような放送と申しますか、報道を厚生省の方でやはりおやりになる必要があるのではないか、こういうことをけさラジオを聞いてつくづく感じたので、それで申し上げたわけです。どうか県の方と連絡をおとりになって、近寄れない所はもう全然当分、一週間、十日も方法はないのかどうか、それとも四日か一週間、十日もたてば近寄れる方法があるのか、手配できるのかどうか。場所はきまっているのですから、こんなことを一つよくお調べになって対策を講じて、そして一般世間の人がやはり多少なりとも安心してくれるようなふうに報道してもらいたい。これは社会局長どうですか。
○説明員(安田巌君) 実は本部の部員としまして、伊豆に行って参りまして現地を足で歩いて参りました課長が帰って参ったのでありますが、今衆議院の方の社労に入っておりまして、その報告によりますと、確かに伊豆の山の中で毛布が足りなくて寒いということを申しておったのでございます。それはすぐ県庁の方に申しまして県から至急毛布を送るということで、話をつけて参ったようでございます。なお、この災害地の状況として今残っております問題は仮設の住宅でありますとか、死体処理の問題が残っております。避難所なんかはもうほとんど閉鎖いたしまして、それぞれ親類、遠戚の方の関係のある家に引き取られたのが大部分で、私どもが予想いたしておりましたよりはずっと避難所の数なんかも少くなっているようであります。食糧、その他につきましても、一時は全然交通途絶しまして被害の状況もわからない状況でございました。私が参りましたのは災害が起りました翌日の土曜日でございましたけれども、土曜日にすでに食糧品は流れてしまったわけでございますから、ヘリコプターで米七俵運んだという程度でありまして翌日もヘリコプターを動員いたしまして米やみそを運んだというようなことでございました。しかし、現在のところでは、一応そういった点では連絡をつけられているようでございます。しかしながら、いずれにしましても、そういった非常に交通の不便な所とか、末端等において若干そういった問題があることは事実だろうと思います。そういうことにつきましては、今度参りました際にしさいに見て参りまして十分注意を与え、また、県当局といたしましても当然いたさなければならぬことでございますので、至急それに対する措置をとるということで実は帰ってきたようなわけでありまして、大体災害救助法にいうのはいわゆる応急における人命に関係のある救助ということになっておりますから、ある程度そういった応急の救助が続けられまして、その後、今度その人が、災害による精神的、物質的の打撃によりまして生活困難というような問題が起きました場合は、それはあるいは中小企業の問題あるいは農業政策の問題、あるいは私どもの方で申しまする生活保護の問題に切りかえられるわけであります。そういった点も災害救助法の特色でありますので、その辺のことがまあいろいろとまた誤解を与える原因になっているかと思うのでございますが、現在のところは、先ほど申しましたように、私どもに持って参りました報告でございますと、確かに毛布が足りないところがありました。それに対しましては今申しましたような措置をとったわけであります。
○高野一夫君 よろしく一つ。
○紅露みつ君 今放送のお話が出たのですが、きのうあたりやはり放送で、何が一番今ほしいかと、何が一番困るかということを避難した人に尋ねているのですが、全く家ですね。家、住むところができたらというので、女の方が泣きながら希望を言っておりましたのですが、これもまあ家のことですから、そんなに一日や二日では建たないでしょうけれども、さしあたって住宅の方の相当応急なものを計画しておられるのでしょうか。もうどんどんかかっておりますか。どんな工合に住宅の方がなっておりますか。
○説明員(安田巌君) そういった場合の住宅でございますけれども、まあとにかく一応避難所を作るというのがまず第一の仕事でございまして、これは小学校に避難所を設ける場合もございますし、ほんとうのバラックの掘立小屋を作りましてそこに避難所を設ける場合、しかし、その避難所というのは一時的なものでございますから、さらに今おっしゃるような住宅対策が必要になってくるのでありますが、災害救助法といたしましては、今その避難所のほかに、応急仮設住宅というのがございまして、これは先ほど大臣が申し上げましたように、普通はこの流失なり、全壊の家屋の三割というのを一応の基準にいたしておるわけでございますが、静岡県の要望もございますので、四割くらいまで何とか私どもの方は認めたい。せっかくまあ財務当局と折衝いたしております。そのほかに今度は住宅対策といたしまして建設省の方の災害の住宅がございます。これが大体三割くらいでございます。あとはまあいろいろ、自分でやる人もありましょうし、あるいは親戚や知り合いのところへ入るというのもございまして、まあ大体そのくらいありますというと、従来でございますと間に合うわけでございます。
○紅露みつ君 かかっておりますね。着々進めているわけでございましょう。
○説明員(安田巌君) 静岡の方は、まあこれからというところだと思います。
○勝俣稔君 疾病の発生工合、すなわち伝染病の発生の工合であるとかというような点も今すぐにということは要求いたしませんが、いずれうまく処置をされておることと私は考えております。なお、医療機関がこのために非常に損害を受け、国民医療に影響を及ぼしておりやしないかというようなことも考えておるのでありますが、これもまた私、今すぐにどんなような状態であるかということは、すぐさまお聞きすればなおいいのでございますが、無理な要求だと思いまするから、そういうようなことはこの委員会にまた後日御報告を私願いたいと思うような次第でございましてそれだけつけ加えて要求だけしておきます。
○藤田藤太郎君 私もこの今資料をもらっただけじゃどうも非常に簡単な資料だと思いますから、今のような状況の資料を一つ今度出してわれわれの認識を深め、対策を立てるところがあれば対策を立てなきゃならぬから、ぜひ次の機会には出してもらいたい。いかがでしょう。
○委員長(久保等君) いかがですか。
○国務大臣(橋本龍伍君) けっこうです。
○委員長(久保等君) 先ほど山下委員からのお話のございました国民年金制度の問題についてですが、次回の委員会で、国民年金制度に関する御説明を政府の方からお願いをすることにして、何か本日資料はお持ちになっているようですから、資料の御配付を願って、次回にこれに対する質疑等はお願いいたしたいと思いますがいかがでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) では、さよう取り計らうことにいたしまして、資料の御配付を願いたいと思います。
 ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記を始めて。
 厚生大臣の所信表明要旨につきましては、これを速記録にとどめることにいたしましてごらんを願いたいと存じます。
○木下友敬君 このプリントの所信表明の中の第三をちょっと見たのですが、これを見ると、「第三は、疾病対策の強化でありますが、特に結核につきましては、近年その死亡率等に関し著しい改善をみたのでありますが、いまだに多数の患者が存し、国民の健康と生活を脅かしておりますので、健康診断、患者管理、感染源遮断に工夫をこらし、今後十年間に結核問題の解決をはかりたいと考えております。また、結核対策実施の基盤ともいうべき保健所についてもその機能の強化に努めたい所存であります。」こう言っておられます。これを見ると、今後十年間に結核の問題を解決したいと、こういうふうなおぼしめしのようであります。ところが、この九月十八日のこの委員会での大臣の明年度予算に対する考え方の表明の中でも、また、その日、山本さんでしたか、政府が予算の比較的個々について説明された中に、結核対策についてはあまりはっきりした表明をしておられないようです。十年間に結核を撲滅するんだというようなことは、きょう初めて出てきたんですが、あれを見てもあまりそういうことがうかがわれない。で、私は尋ねたいのですが、この前も尋ねたのですが、近来結核の病床が非常にあいてきておる。療養所などでも結核の病床が空床になったのがだんだん増してきております。そこで前国会の委員会でも尋ねたのですが、その原因は何かということを尋ねたが、結局それは健康保険における一部負担、入院料を患者が一部負担しなきゃならぬということが大きな原因になっておる。それからまあ生活保護法で適用を非常に狭めておる。厳重にこれを調べて調べ上げて、そうしてなるだけ病核の入院というようなものを少くしようというような方針をとっておるのが、現在の生活保護法の運営の仕方であって、そういうことがおもな原因で結核患者の入院が少くなっておる。それならば結核患者は減ったかというと、これは決して減ってはいない。こういう場合に一体厚生省は、この結核病床を従来とってきたように二十六万床、これをもっとふやして毎年一千床あるいは三千床と、だんだん増していく計画を続けていくのか。あるいはもう結核の病床は増さないという方向でいくのか。この間の説明の中にもそれは出てきていないし、また、そういうことも聞きませんが、一体どういうふうに考えておられるのか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 結核の問題につきましては、実は先般予算問題についてお話をいたしました際に、私はまあごく荒い抽象的な話をいたしまして、会計課長からお話をさせたのですが、これは全部に網羅的にお話ができないものですから、あるいはその点の印象が薄かったかと思いますが、結核の問題に関しましては、本年度の問題としても、来年度の問題といたしましても、重要政策の項目として考えております。で、今回の予算におきましても相当重点を置いて大きな要望をいたしているのでございます。
 で、結核は、総体的には従来から見て非常に改善をされて参りまして、死亡率が減ったほど患者自身は減ってはおりませんけれども、しかし、これは厚生省でもさらに実態の調査をいたしておりますが、大体の見方としては、この死亡率が減ると同時に、総体的にもやはり結核はだんだんに追い込み得る可能性が生じつつあると考えております。
 で、病床の問題に関しましては、従来と同じように病人がたくさんいるのに、わざと入院を必要とする患者を生活保護や何かで縛って入れないというようなことはございません。ただ、戦後国立の療養所等で、まあなおっても出ないような人たちが相当おったりしてそういう面での管理に困っているものですから、その中におらんでいい人たちは、これは診断の結果、退所を願うということはございますけれども、現在そういう面で結核対策上必要とする患者を入れないというようなことはないのであります。ただ、総体的に見まして結核のベッドは今日の程度でやはりかなりあきができつつありますので、結核のベッドをさらに毎年毎年ふやしていくというふうなことは、今日は結核ベッドに関しては、現在のベッドの数で足るのではないかと考えているのであります。
 そこで、この今後十年間に結核問題の解決をはかりたいと考えておりますのは、ここまで結核を追い込んで参りましたならば、本式に――とにかくある程度金もかかることでありますが、結核対策に力を入れるならば、これは十分に結核患者というものを極度に減らすことができると考えているのであります。で、従来といたしましては、漫然とこの健康診断を全部やる、患者を全部めんどうを見るという建前で、しかし、そうはなかなかいきかねるというような形で、健康診断も御承知の通り、全国的に三六%程度しかできておらぬわけであります。最近ドイツで出しました結核対策等も、やはり重点を置いてこの感染源を遮断する、そうしてその目的のために健康診断も重点的にやるし、それからまた、見つけた患者をなおしてしまうということを重点的にやるという方法をとっているのであります。で、やはりそういう面に考え方を置いた方がよかろうということで――何も従来の結核対策を変えるわけではございません。これは国民全体に健康診断をし、国民全体に結核患者をなおすということをするわけでありますが、どうもそういう形で漫然と結核患者の治療費をふやすというようなことは、予算上から言ってもなかなかできませんので、今回予算に関連して要求をしてぜひ実現をいたしたいと考えておりますのは、この従来の、見つけました患者を完全になおしてしまうということを考えまして健康診断につきましても、今日ありまする患者の周辺を重点に置いて健康診断をいたしますことと、そしてこの見つけました患者、従来からわかっておりまする患者に対しては、もうどうしてもこれはなおしてしまう。そのために必要があれば入所命令を出しまして、入所命令を出す対象の患者に対しましては、公費負担をふやすというような形で、しぼった形で公費負担をやる。それで見つけた患者をなおしてしまうという方向に力を入れて、そういうふうな形でこの結核問題の解決をはかって参りたいと考えておるのでありまして従来でもやはり総体的に公費負担の増加というふうなことは努力いたして参りましたけれども、これはなかなか財政的にも困難でありまするので、今言ったような形でしぼった公費負担を財政的にも実現をいたしまして、そうして重点的にこの結核問題の解決をはかって参るというふうにいたしたいと思っておるのでございます。これが大体今度の予算に関連して考えておるところでございまして、結核の問題については、来年度の対策の中でも最重要項目の幾つかの一つに考えておる次第でございます。
○木下友敬君 三十三年度の厚生省の予算要求のときも、結核対策費はかなり力を入れて要求してありましたが、結果的には非常な査定をされてしまって結核対策が十分できなかったように思うのですが、今度健康診断、あるいは患者管理の方面にまた力を入れておられるということは、これはまあ同感なんです。ただ、今答弁の中で、生活保護でしばっておることはないと言われたのは、これは大きな間違いであって、これは今度次々の委員会でまたお尋ねもしたいと思いますが、今の生活保護法は、何と大臣が言おうと、やはり医療保護におきましても非常な不自由な目にあわしておることはもう確実なんであります。今のような状態では、とうてい生活貧困な者は、十分どころではない、不十分な治療さえ受ける状態にはいっていないということは、これはもうはっきりしたことなんですから、これはぜひ改めて、生活保護、あるいは医療保護についてもっと力を入れていただきたいと思うのです。
 まあ今の御答弁で、結核のベッドを今日以上に増していくということは考えないというようなことがはっきりしましたが、それでは現在あるベッドを確保していくというのは、現在も国立の療養所でも相当荒廃したものがある。ベッド数が少くて、保安度も非常に悪いものがあるから、これを整理統合するとかということも、厚生省ですでに考えておられますか。一体その状況、あるいはもくろみがどういうふうになっているか。大臣でなくても、わかった方から……。
○国務大臣(橋本龍伍君) もうベッドは確保いたしまするのと、それと、それからもう一つ、旧来の療養所は御承知の通り、非常に古いものでございますから、これを近代化した形に持っていきたいと思っておるのであります。従来のはいわゆる大気安静療法を対象にした小さな療養所が多いのでありまするが、今日考えておりまするのは、こうした療養所は、これは予算の関係もございますが、もう毎年やはり計画的に逐次改良いたして参りまして、そして地方でなかなかいろいろ問題がございますので、へたにどうこうというようなことがなかなか考えにくいのでありますが、考えておりまする希望としては、一つの一定の規模の、外科の治療だとか、検査だとか、何とかいういろいろな近代的な診察検査、それから治療の設備を整えましてそれにふさわしい規模の療養所に漸次建てかえて参りたいと実は考えて、年々そういう方向に持っていっております。ですからベッドは確保しながら、それを近代化した方向へ建てかえて参るということでやっております。
 なお、それから、ただいま医療扶助の問題等についてお話しがございましたので、社会局長からちょっと説明いたさせたいと思います。
○山下義信君 ちょっと関連して。今厚生大臣から国立結核療養所につきましては、できるだけ近代化して整備をするというお話しでありましたが、その意味は、若干の結核療養所は廃止するとか、あるいは縮小するとかというようなやはり御計画があるのでありますか。
 それからいま一つは、結核療養所については、いわゆる独立採算制的な制度にこれを改める意向があるのかどうか、そういう方向で検討がされておるのかどうかという点について、厚生省の方針をこの際一つお示しを願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 最後の方からお答えを申し上げますが、結核療養所の問題につきまして、独立採算制にやる気はございません。
 それから療養所の施設を近代化して参るということは、ぜひやりたいと考えておりますが、この場合に、具体的に場所によって違いますけれども、なるべくやはり今までの療養所というものを生かして参るという考えでおるのであります。場所によりまして、たとえば極端に小さな療養所であって、そうして近接したところに療養所があって、それをかりに建て直すときに、統合するというような形で問題が起らないようなところについては、これは一つ統合して、大きな療養所を搾るということも考えたいと考えております。これはごく具体的に、それぞれの問題についてはやはり既存の療養所というものをなるべく生かしながら、もちろん既存のベット数というものは当然維持をいたしまして、そうして既存の療養所というものを生かして建てかえていくということをできるだけ基本方針にしながら、だんだん療養所の近代化をはかって参りたいと考えております。
○山下義信君 独立採算制にするかしないかということについては、非常に重大な関心を持っていたのでありますが、そういう方針でありますれば、納得しがたいことでございますが、その点了といたしますが、療養所も、全般的に非常に腐朽した古い不完全な療養所がたくさんあるわけでありまして、これにつきまして適当な対策の要することは、従来からわれわれも若干そう思っておりましたが、将来の改造といいますか、改善といいますか、それについて具体的な計画ができておるのでありますか。もしもできておれば若干のお示しを願いたいと思います。
○説明員(小沢龍君) ただいま大臣から申し上げましたような趣旨に従いまして、具体的に私どもは考えておるのでございます。現在検討しておるものもございます。たとえば、これはただいま進行中でございますが、宮城県の仙台市の近くに二つの療養所がございます。その療養所の相互の距離はたしか一里か二里程度の間隔かと思いますが、相当両方とも荒廃してきております。それをどうしても再建しなければならない。その場合に、片方の療養所を逐次縮小いたしましてそしてその分を別の療養所に建て増して二つ合わせて一つの有力な療養所にするということを、これは目下進行中でございます。
 それからたとえば、来年度に実施をするという一つの代表的なものにつきましては、新潟県の新潟市の郊外に、内野療養所と有明療養所というのがございます。この両方の療養所の距離は大体十町ほどかと思いますが、有明の療養所というのは非常に古くて、また非常に小さいのであります。建物も大へんいたんで参っております。早晩建て直さなければならないという運命になっております。有明療養所をつぶすかわりに、内野療養所を有力な療養所にしていく。今申し上げましたように、地方の方々にあまり大きな迷惑がかからない、しかもそれぞれの療養所が近代的な内容をもったところのしっかりした療養所になるように逐次実態に応じて計画していきたいと思うのでございます。しかしながら、これをやるにつきましても相当巨額な予算を要しますので、とうてい全国一斉に行うことはできませんので、来年度は数カ所程度のことをやったらどうであろうかということで目下検討しておる次第でございます。
○木下友敬君 今の説明の中では、宮城県と新潟市の近くのがありましたが、まだほかにもたくさんあるならば一つこの際あげてもらいたいと思いますが、私の方から申しますと、山口に埴生療養所という小さいのがございます。これはどれくらいか、百何十ベッドくらいではないかと思いますが、非常にきたない療養所がある。それは国立と言っては言いにくいような療養所で、あるいは厚生省としてはこれはやめる気ではないかと思う。そこであすこでは院長はたしか三月か四月にやめました。それで自来院長はいない。のみならず、それと同時に、医員が三名やめてしまった。だから医者はいない。専任の医者がいなくて患者は入院しておる、で近くの山陽荘という国立の療養所から医者が出張して一人駐在しておるという形であって地元としては、もうこの療養所はやめるのではないかというような心配ももっておるのです。そこの後任の医者などについても私は心配したこともありますけれども、厚生省としては院長を私が推薦したときにもそれはうやむやにして受け付けなかったが、最近また医者を入れようというような話も聞いておりますが、一体ああいうのはほかにもたくさんあるのではないかと思うが、やめる気か、やめない気か、確保していくのか、あるいは山陽荘等に合併していく気か。そういう点についてはっきりしたお答えを。
○説明員(小沢龍君) ただいま御指摘の埴生の療養所はお言葉の通りでございまして、施設が非常に小さくてまた古くて荒廃しております。それからあの地域に百二十ベッドでございますけれども、百二十ベッド程度の小療養所を作って果してどういうものであろうかということにつきましてただいま検討いたしておりますが、私どものただいまの事務的な考え方といたしましては、将来あれは廃止をいたしまして、そのベッド分をどこか適当な地域の療養所に合併したらどうであろうか、こういう考え方をしております。
 それからその勤務者につきましては、院長がやめましたあとは適当な後任がなくて実は困っておるのでございますが、御推薦を受けた方も存じておりますが、年令の点につきましてどうであろうかということでまだ決定しておりません。できるだけこれは結核治療でございますので、若手の積極的な治療のできるような方がほしいという考え方で、今あっちこっちあたっております。山口医科大学の方にも話をしておるのであります。山口医科大学の方では全面的に医員を引き受けてもいいという内意を漏らしております。院長ばかりではなくて医員を引き受けてもいいという内意も受けて参っておりますが、療養所もああいう小さな施設であり、しかも内容が設備も不十分でございますのでなかなか医者として行き手がないのでございますが、まあわれわれといたしましては、単に医者の免許証を持っておればいいというのではなくて、やはり近代の結核医学をよく理解し、これをりっぱな治療の行えるお医者さんがほしい、そのためにも内容の整備したりっぱな療養所として現在の療養所を作りかえていきたいという考え方で目下考えておる次第であります。
○木下友敬君 将来あれはどうするか、やめたいというような考えであるのでありますが、現在まだ相当患者が入院しておるし、近い将来あれをやめようなんて考えるのは私は間違いだと思う。やはりある程度の補充をしてやっていかなければならない。特に厚生省のやり方で私らは非常にけしからぬことだと思うのは、三月か四月に院長がやめて、医者が二人ついてやめてしまって、あと医者がいない状態なんです。国立の療養所であって医療法できめておる医者がいない。たとえば定員が四人のところに医者が三人しかいないとか、二人しかいないというのならまだいいけれども、一人も専任の医者がいないという国立の療養所が現存しておるということは、とても一般の開業医を監督するとかいうような資格がないと思うのですね。そういう考え方では、これは大いに私は厚生省としては陳謝してもらわなければいけない。医者のいない療養所を国立として持っておるというようなことは、これは改めてもらわなければならない。適当な医者がいないから置かないというようなことは、これはおかしいので、次善の策として一時的にでもかわりの医者を置くというようなことをしなければ、医者のいない療養所を国立として置いておくというようなことは、これは考えが間違っておる。実際にああいう療養所で医者の得がたいのはよくわかります。へんぴなところであって文化点な施設もないし、子供の教育にも困るというようなところに医者が行きたがらないということはわかっております。もう一つは、近来結核の医者というものが非常に少くなってきておる、これは日本の全国的な傾向でございまして結核の問題が大体片づきそうだ、もう結核というのは、今追い打ちをかけると結核がなくなりそうだというので、若い医学徒で結核を専攻する人がだんだん少くなってきたという傾向がある。これは一つは厚生省の責任でもあるわけで、医療の予算面のあれではずいぶん要求もしておりますけれども、結核は大体もう曲りかどに来たんだと、そこで、これからはガンとか、あるいは心臓とか、そういう方面に医療行政の重点を置いていくという印象を受けるわけです。それは実際面においてもガンのセンターでありますとか、あるいは血管系統のセンターを作るというようなことにだいぶ重点が向いて来つつあるということを早くも青年学徒は取って、結核だけに突き進むという例が少くなってきている。たとえば例をとって、埴生の療養所においても百二十か百三十のベッドのところでもって、結核だけで行く医者は得がたい。もしあすこが結核以外の診療までやるとすれば、あるいは山口医科大学でも医者を派遣することができるかもわからないというのが実情ではないかと思う。しかし、一方ではああいう小さい部落で、結核療養所で一般診療までやるというようなことも、これは考えもんだと思う、こういう点は一体どういうふうに考えているのですか。
○説明員(小沢龍君) 前段の医師の問題でございますが、医師は院長並びに医員がやめた後、直ちに刀根山病院から一名専任を派遣しております。それから山陽荘の荘長を院長の兼務といたしております。なおかつ、山陽荘から一名医員を派遣いたしまして院長または副院長が一週間に一回なり、あるいは十日に一回なりときどき指導する、あるいは監督に埴生の療養所に出向いてもらうという対策をとっておるのでございます。非常に不十分な医師の態勢でございましてこの点はきわめて遺憾なことに存じまするが、御指摘のごとく、ただいま結核の専門医を得るということはきわめて困難な状況でありますので、この程度が私どもとしては精一ぱいのところでございます。現在患者数は八十名であります。
 それからあそこの療養所は小さいから、片手間に一般医療をやらしたらどうだ、それなら医者が来るのではないかという御指摘でございまするが、この点は地元の県の衛生部とも連絡しておりますが、特にあの地方に相当な診療所を、国営の診療所的病院を設けなければならないような事情でもないようでございますので、埴生療養所につきまして、療養所とプラスして一般診療をやるというような計画はただいまのところは持っておりません。
○木下友敬君 今の私が言ったのは、あそこで一般診療をやったらどうかというのではない。一般診療をやれば医者が得られるということを山口大学などが考えている。厚生省としては一般診療をやる気があるかということをお尋ねしたので、御答弁では一般診療をやる気はないということでございますから、その点はわかりました。診療所の問題につきましてはまだ……。
○勝俣稔君 今大臣がお話のように、療養所を現代的にしようと、非常にけっこうなことなんですが、これはぜひやっていただきたい。しかし、これは先ほど来聞いておるところによると、どうも国立の療養所のように考えられるのでございまするが、公立の療養所に対して、私立の療養所に対してもそういうようなお考えがあるのかどうか。そこのところをお伺いいたしたい。
 なお、予算等についても、そういう措置がもしあるならば、講じられてあるやらどうやら、私は私立の方で療養所を現代化する場合において、その予算が計上されておるかどうかは私は実は知らないのでございますが、なお、これは官立だけの療養所でこれ足れりとすることは私はないと思います。現在でも県立でも十分大きなきれいな療養所が建っておるようでございます。この点のことを一つ明確にしていただきたいと思うのであります。あるいは一面から見れば、結核はまあ国立、あるいは公立だけで、もう療養所はそういう方針でいくのであるか、そうなれば二十六万病床のうち相当数のベッドがまた足らなくなってくるのじゃないか、もうこういうようにも考えられますので、その点のところを一つ御説明願いたいと思います。
○説明員(尾村偉久君) 先ほどからの国立以外の公立または法人、私立等の療養所の整備でございますが、予算上はまあ結核予防法に基くものでは、ベッドを増加する、いわゆる増床または新設、これ以外には現在のところ改善費は予算に計上いたしておりません。ただし、これはやはりかつて結核予防法に基きまして補助を受けて新設または増床したものが年を経ればいたんで参りますから、これは自力または必要ならば起債、あるいは金融措置、これらの世話をできるだけいたすのが至当であるということで新、あるいは増の場合のごとき補助予算は組んでおりません。
 それからベッドのワクでございますが、現在おおむね二十六万床をこしておりますが、現在利用中の結核ベッドは約三十一万床でございまして、五万床が現在あいております。もちろんこれは、この原因は家庭における医療が相当成功してきたとか、あるいはいろいろな原因が重なっております。で、必ずしももう二十一万の入院患者だけで日本の結核の入院患者は十分だということではもちろんないわけでございます。ことにこの生活保護の適用を受けない、あるいは健康保険の加入者でないというような、いわゆる俗にいうボーダー・ラインの階層で、要入院患者のまだ放置されておる者もなきにしもあらずなのでございますので、来年の医療保護の中ではこれらの重症で、しかも人に非常に感染のおそれがある開放性である、家族も多数いるというような者をことに第一優先に考えまして、本年度のワクの約五十倍の者が公費で入院ができるようにという予算を一番額を多く結核予算として組んでおる次第でございます。これによりまして、さしあたり今のあいておりますベッドは来年のこの予算が通過いたしますれば、一応満たされて、さらにその上、次年度の予算はその実績に基きましてまた増加する必要があれば増加する。そういたしますと、並行してあるいは増床も必要になるかもわかりません。これは明年の様子でやる、かように存じております。
○勝俣稔君 私の聞いているのは、政府は、一体、公立と国立の療養所を根幹として、むしろ私立のがいけなくなったらそのままほっておくというつもりであるかどうかということを実は申し上げた次第で、今のように公立と国立の方は、まあとにかく何とかりっぱなものをやっておるが、私立の方がいけなくなったら、もう起債もやっていっても返す見込みもないという結核患者のあれでございますから、それならそれで減っていってしまう。その場合に、政府は今のその補充というものは、やはり国立でやっていくつもりか公立でやっていくつもりか、そこのところを私はちょっとお聞きしたいと思っておるのでございまして、将来の結核療養所のあり方は、どういうお考えでいられるか、これは将来の問題で、今の予算の問題だけでなくして、どういうお考えで政府当局はお考えになっておるか、私はこれは大臣にお聞きしたいと思うのでありまするが、とても事があれになれば、事務当局でもけっこうでございます。
○説明員(尾村偉久君) この結核ベッドを、国、公あるいは私と分けまして、日本中の公け以上でやるというようなことは、実際には不可能であり、不適当である。と申しますのは、現在あります療養所の種別が、各府県ごとに、それぞれの組み合せが同じように配置されておりません。ある地域では、やはり私立に相当たよらざるを得ないような配置条件である。しかもそういう場合に、新たに現在国や公立を割り込まして、一時でもオーバーになるというようなことは、これはもう全くむだでありますし、不適当でございます。また、県によりましては、七割、八割の結核ベッドが国立病院と国立療養所のベッドで大体占められて、また間に合っている、こういう状況でございますので、これを一がいに、将来国か公けだけでいくというようなことは不可能でもあり、今考えておらぬ次第でございますが、ただ私立がもしいたんできまして、非常にベッドが減らざるを得ないという場合に、国の整備とか、あるいはまた公けの方も、県の場合では主として金融の世話でございますが、これと同様に、国が直接起債の世話、いわゆる私立に対する起債の世話というのは不可能であります。それから補助金を整備費として上げるというのは不可能でございますので、これを決してなくさないためには、金融措置、いわゆる医療金融公庫とか、これは来年度要求が医務局から出ておりますが、その他の政府ができるだけあっせんできる金融措置で、適切な私の療養所は、やはり従来の任務を続けてもらう、かようにいたしたいと存じておる次第であります。
○勝俣稔君 重ねて伺いますが、そうすれば、私立の療養所が、これじゃいけないが、要するによくしようというものに対しては、補助金はもう出さない、そうして金融措置の方面だけで心配してやる、こういうお考えなんですね。
○説明員(尾村偉久君) ただいまの点はさようでございます。
○藤田藤太郎君 ちょっと関連して。今結核の根本対策の問題にちょっと触れられましたけれども、今二百七十万の結核患者がおるというこの認識ですね。多少の数字の差があるかどうか、これはあらためて聞かしていただきたいと思いますが、問題は、結核というものは、もう伝染病ではなく、そして今日また技術が発達して今日の日本の医学技術では完全治療の見通しがついているという工合に私は認識をして、厚生省の十年で撲滅するという覚悟も、そういうところにおありだと思うんです。ただ、この二十六万床のところが、二十一万床で五万床があいているというこの問題を指摘するのに、ボーダー・ライン層ということをおっしゃった。しかし、私は、やはり病院に入りたくても、生活上の問題、そういうようなことで入れないという人がほとんどじゃないか。これはもうなおせば伝染病ですからうつらないし、撲滅する。また、早期に撲滅するように、この結核というのは日本の国民病といわれている問題だから、抜本的な対策が私は立てられるべきだと思う。そういうところに今の保険経済の問題で、いつもここで議論になるように、健康保険とか、国民健康保険の問題についてもいろいろの関連がある。だからこういう結核対策こそ、今の二百七十万の患者を、十年でなしに、早急にやはりこれを解決をして、結核の早期撲滅をするという決意があるのかどうか。先ほどの話を聞いていると、ちょっとぼけてきたような感じを持つので、それくらい厚生省は、実は医療的にもこの問題を十分に把握されておらぬ。それと大臣その他のお話を聞いておっても、今のようなお話になってくると、もう少し私ははっきりしたお話を承わりたいと思います。
○説明員(尾村偉久君) 五年前にやりました実態調査では、医療を要する者が二百九十二万、今年度はただいま集計中でございますが、本年度同じやり方でやりまして、結果はあるいは二百七十万になるか、二百八十万になるか、これは人口も約五百万増加いたしておりますので、比率はたぶん減っておると思いますが、まだ結果は出ません。しかし、いずれにいたしましても、二百数十万以上の要医療者がおるという見込みでございます。ただし、重症は前よりは比率は減っておるという、今までにタッチいたしました学者の大体の意見でございます。しかし、いずれにいたしましても、さように多い患者でございますので、これをもうできるだけ急速に医療を要するような結核患者を減らしてしまうということは、もう厚生省としては、できるだけ早いほどこれは望ましいことと思っておりますが、それを十年計画というのはどういうことかということでございますが、現実には二百何十万という患者は、サンプル調査で一定の地域を全国から選びましてそれから統計学的に正しい方法で推計した総数でございまして、結核患者が現に病んでいる者をつかみまして、具体的な処置をしなければこれは何にもならないのでありまして、従って、この多数の患者を、極力まず病状をありのままにつかむことが先決でございますので、それから見ますと、一挙に来年中に二百九十万程度の患者を政府なり公けがつかんでしまってこれをそれに合うだけのベットを用意する、あるいは家庭治療の者もたくさんございますが、これの治療体制を一挙に整えましてやるということは、これは実際としてできないわけでございますので、来年の管理検診によりまして、最も危険性があると思われる患者のグループをまず個人個人つかんでしまう。で、これを、ことに感染の危険があり、しかも重症の者を入れるということを年々積み重ねていくわけでありまして、結局これによりまして全部つかんでいく。で、新たな発生もその間に若干ずつ起って参りますが、これは新しい届出という形、あるいは健康診断によりましてこれも把握するということで、大体の一応の五年後の目標を、現在の要医療患者を二分の一にする、で、それから以後の五年で、そのときからまた今度はスピードが上りますので三分の一にする、おおむね今の六分の一の患者数ということに目標を立っておりますと、大体今のアメリカ、あるいはもうすでに結核患者が退治されております英国程度の患者比率、大体現在程度、この程度にする。一応これはもうそういうような国々では、結核というものは、大体胃膓病以下のような考え方になっております。もちろん南部の一、二州では濃厚にございまして、ここでは問題でございますが、国全体の疾病対策としては非常に皆無になっておる、いわゆる撲滅された情景である、こういう形にいたしたいということでございまして、これなら従来の五年間でおそらく一割減っておれば非常に知れたものと思っておるのでございますが、それに比べまして非常なスピード・アップで、しかも日本のこれからやり得るいろいろな受け入れ態勢の限度からみましても最大ではないか、かような推計で対策を立っておるわけでございます。
○木下友敬君 先ほどのお話の続きをいきますが、さっき三重県の二つの療養所、それから新潟県の内野、有明療養所、これを一緒にしたいというようなお話がございましたが、これがいつごろの計画になるのか、それから話が出なかったが、福岡に筑紫病院というのがある。あれも手をかけるようになっておるようですけれども、これがいつごろになるのか。それから今の山口県の埴生療養所、これも行く行くはやりたいというが、いつ、ころの計画にするつもりか。その他にもあるならば、具体的にその年次を示してもらいたい。
○説明員(小沢龍君) 一つの療養所を取りつぶすだけでなく、同じ程度のベッドを他の療養所に付設して参るのでございますので、一カ所にやるにいたしましても相当巨額な経費を必要といたしますので、私ども目下来年度の計画につきましては、大蔵省財務当局と折衝中でございます。もしも予算が許すならば、これは三重県ではないのでございまして、宮城県でございますので、宮城県の方は来年中に完成いたしたい、こう考えております。
  それから新潟県の内野、有明療養所につきましては、来年から再来年度にかけてこれを完了いたしたい、こう考ております。
 それから埴生療養所につきましては、これはできたらば来年度中にもやりたいと思っておりますが、財政とのにらみ合せでどういうことになりますか、まだ最終決定になっておりません。
 それから御指摘の筑紫病院につきましては、あれは療養所でございませんで、国立病院でございます。北九州の方に、福岡市にメディカル・センターを作りたいということを計画しておりますが、これが今年から工事に着工いたしますので、私どもの希望といたしましては、メディカル・センターが三年で完成することを望んでおるのでございます。完成したならば筑紫病院に入院しておる患者を、あるいはそのスタッフを福岡市内の新しい国立病院の方に移しまして筑紫病院を廃止いたしたい、こう考えておる次第でございます。
○木下友敬君 小さい療養所でも、ある個所にある場合には、これをやめてほかへ持っていくというようなことは、その地方に影響するところも非常に大きいと思うのです。ですから、そういうことを実行される前には、よくその地方の実情等も本省において一つ勘案されまして、たとえばその地区の厚生省の出張所とかいうようなところだけにまかせないで、本省からも十分調査の上で取りやめるとか、あるいは併設するとかいうことは入念にやってもらいたいということを申しておきます。
 それからこれは前にも私一ぺん尋ねたことでございますが、療養所をさっき山下先生が言われました独立採算制はどうかということで、大臣はこれは独立採算制にする意思はない、非常にけっこうな考え方である。ところが、国立病院の方は独立採算制になっております。これがなるとき私ども非常に遺憾に思ったのですが、同じ国立であって病院の方は独立採算制でやる、療養所はやらない、私は国立病院ももとのように、昔のように、独立採算をやめてしまって療養所と同じような格好に持っていくのが私当然だと思うが、なぜそういう区別をつけなければならないかということの一つ御説明を聞くと同時に、一つもとに返して、独立採算制をやめてしまう考えはないかどうか、その点をお伺いしたい。
○説明員(小沢龍君) 国立病院は御指摘のごとくに、初めは療養所とひとしく一般会計であったのでございます。しかしながら、その当時結核対策がわが国の国策として大きく出ましてしかも国立療養所はわが国の当時の結核ベッドの非常に大きな部分を擁しておったのであります。そこで、国策としての結核対策を遂行する上におきまして、入院患者の経済負担等を考慮いたしまして、そうして結核療養所は独立採算制にすべきではないという考え方に立ちまして、結核療養所はそのまま一般会計として残して、今日に至っていると思います。ただ国立病院につきましては、一般病院といたしまして、日本中の病院のきわめて小さい部分であります。その他のすべての病院がほとんど独立採算制で、能率のある運営をしているのであります。一般病院である国立病院だけが、歳入と歳出と見合わないでもいいという経営をすることはどうであろうかということからいたしまして、当時独立会計というふうに変ったのであります。たしか昭和二十四年度からでございます。で、今日に至っているのでございます。今日の現状からいたしまして、特にまた、国立病院を一般会計に直さなければならぬという、積極的な特別な理由がないわけであります。なお、独立会計の姿のままに国立病院を運営していくことに相なると思うのであります。
○木下友敬君 結核が特に重点的に取り扱われる意味において、結核療養所は独立採算制としないという考え方ですね、それは了承いたすといたします。
 それじゃ質問を続けますが、精神衛生方面というのがまた非常に重大な問題になってくると思うのです。だんだん文化が進んできますれば、精神病あるいは精神病類似の者がふえていくということは考えられますが、厚生省のこの精神衛生方面に対する施策、あるいは抱負について一般的に一つのどういう方針で進むかということをはっきりしてもらいたい。
○説明員(尾村偉久君) 精神衛生の方につきましては、結核が幸い死亡数については著しく減りましたが、患者対策についてもただいまのようなかなりのめどがついたわけでございますが、精神障害者の数は年々まだふえております。しかもその数は膨大でございまして、大体いろいろな実態調査で見ますと、障害者というふうにひっくるめますと約百三十万人ということで、そのうちの約四十万人がいわゆる精神病者、その他精神の変質者、それから精神薄弱者、その三種類がありますが、その他を入れまして百三十万人になるわけでありまして、この精神病者のみでもそのうちの約十万人が相当な重症で、発作その他の狂暴性のものがあるということでございまして、これに対しまして現在約六万五千ベッド収容力を持っているわけでございます。これからみましても非常に精神衛生対策はおくれているようでございまして、まことに残念なわけでございます。従いまして、まず第一は、この精神病そのものをなくすという前に、目前治安を乱し、あるいは社会活動を非常にそこなっております重症精神病者を少しでもよけいに収容し得るように、半分は隔離の目的になりますが、これが非常に緊急でございますので、第一はベッドを逐次ふやしていく、しかもこれはできるだけ大量に年々ふやしていく、これが第一の目睫に迫った対策の一つでございます。
 それから第二は、さようなことをいたしましても、諸外国の例を見ましても、他の伝染病その他が著しく減るにかかわらず、精神ベッドは年々ふえていく。アメリカの例で言いますと、百四十万ベッド、アメリカ国内全体で病床を持っておりますが、そのちょうど半分の七十万ベッドは精神病床でございましてちょうど日本の結核病床が全体のベッドの約半数近くを占めるのといい対照になっているわけです。かような意味で普通の今までの疾病対策等では世界的に見ましても、精神病は減らないというような現状でございますが、しかしながら、そうばかりも言っておれませんし、急速に何十万ベッドというものを設立いたしまして全部収容するということは、これは実際問題として不可能でございますので、やはりベッドに入ならいでもある程度治安を乱さない、あるいは若干でも軽快して、いわゆる社会生活に何とかたえる、こういうことは必要でございますので、従いまして、在野の住宅におる大多数の精神障害者を相談事業によりまして、適切な家庭の療養生活が送れるようにする。
 それからむだに精神ベッドを占めないように、是が非でも必要な者のみに少い精神ベッドを使わせるという意味で、患者の区別のために、精神衛生相談所網を完備いたしまして、能率的な精神衛生対策の中核にする、これが第二の対策にいたしております。
 それから第三といたしましては、もちろんこの最重点に収容しなければいかぬという者につきましても、費用の関係で回りに非常な迷惑をかげながら入れないという者のためには、精神患者の措置費によりまして、これを優先的に費用に心配ないように、公費によって収容する、これは来年度約一万一千人が常時かような形で公費入院ができますように拡充いたしたい考えでございます。
 第四番目の問題といたしましては、精神障害者の相当数がやはり遺伝的な経路のかなりはっきりした重症の精神病者も相当多く次々と発生しているわけでございますが、これは優生保護法に基きまして、精神病のできるだけ濃厚な遺伝因子を所有すると認められる者は、これは不妊手術をするという形で、この方面の適切な運用を強化する、かように考えているわけでございます。
 その他精神衛生対策としては、やはり今言いましたような措置をするのに、周辺並びに家族の非常に精神病に対する理解が結核ほどにとてもいっておりませんので、これによりましていろいろな障害がまだまだございます。それから家族の協力によりまして家庭療養で相当程度持ちこたえられるものがあるにもかかわらず、その知識が不十分でございますので、精神衛生に関する啓蒙が今の時代に非常に必要だ。この対策を五番目にいろいろな手を考えている。大体今のところ、さようなことによりまして、精神衛生対策を強化する、かような方針でいるわけでございます。
○木下友敬君 今のいろいいの施策に対する考え方はわかりましたが、一番今困難をきわめているのは、やはり費用の問題だと思うのです。入院させなければならぬけれども、措置費が県にもないというようなことで、むろん家族ではどうにもしようがないというので、自分の家に置いておるのが、非常に社会の秩序を乱している、あるいは入院させておった者を無理やりに連れて帰らなければしようがないから連れて帰ったところが、大へんな殺人を起したというようなのを新聞記事でちょいちょい見る。だから一万一千人に対する措置費を作られるというのはこれはぜひ実現してもらわんと、気違いからやられたというのはこれは一番ばかばかしいことですから、これは特に意を尽してもらいたいと思うのです。それと同時に、今実際精神病の病床が足らない、そこで私立の精神病床がどんどんできているようですが、私立の精神病床を作るのに対して政府は一体これを援助するとか、あるいは補助をやるとかというようなことについて今まで以上に積極的にやってもらいたいと思うのですが、それに対する考え方がどうであるかということを一つお尋ねしたいと思います。
○説明員(尾村偉久君) 精神ベッドに関しましては、増床については公けのものも私立のものも急速に増床できる可能性があって、できてから精神病患者の治療に最も適しているものというのは区別せずに補助をする。ただし、補助率は公立の場合には二分の一国庫補助、それから法人立の場合には三分の一の国庫補助になっております。ただ原則といたしましては、どちらに重点を置くかといいますれば、精神病のような本人は自意識がないわけでありまして全くもう運用する側の意のままに管理されるわけで、もちろんこれは国なり県が監督するわけでございますが、さような精神病院の特長から申しまして、どちらかといとえば公けが望ましいということで公立重点にはなっております。しかし、さように申しましても、全然公立がないところに新たに公立を土地から選ばして――非常にこれも反対の地区が多いのでございます――ということでは間に合いませんので、あくまで早く土地を得られて増床が可能で、運営状況も非常に信頼するに足るところは、私立も補助をする対象には十分考えております。ことし五百ベッドの私立の補助を計上いたしておりまして明年も同様に考えておるわけであります。
○木下友敬君 それに関連して実は麻薬患者のことについても聞きたいのですが、きょうは麻薬の関係の薬務局がおりませんからですが、ヒロポンの場合には非常に精神病的な現象が起きた。それから現在、たとえば横浜とか神戸で非常な大きな問題が起きたような、林立典ですか、ああいうようなアメリカの駐留軍を利用して麻薬の密輸をやって、そうしてたくさんの麻薬患者を出しているというような状況、その麻薬患者をよくするためには収容しなければならないけれども、現在の精神衛生法ではどうにもならない。ことは麻薬患者ということがわかったら収容しなければならぬけれども、人権擁護という意味で強制的には入院させられないというような状態があるのです。このことについては、もっと詳しく説明を聞きたいのですが、一体厚生省としては、麻薬患者を強制収容のできるような精神衛生法の改正というようなものをもくろむ意思があるかないかということだけ一つ聞いておきたい。これはどうにかして収容するような手をしない限りは、麻薬患者ということがわかっておっても、現在麻薬を押収しなければこれが手を下せないというような非常に不自由な状態にあるわけです。この点について一つ答弁して下さい。
○説明員(尾村偉久君) 現在のところ、犯罪事件と関係なしにいわゆる収容管理するといいますと、精神病院、いわゆる精神ベッドにする以外にないわけでございますが、この場合にはやはりあくまで精神衛生法に基いてやらざるを得ませんので、強制する場合には、あくまで鑑定医の判定が精神障害があるということに至りませんと、ただ麻薬の常用者の疑いというだけではこれはまだ精神衛生法にはかからないわけです。しからば精神衛生法を拡充して、漫性使用者という者は一種の精神障害者との鑑定の結果、強制でき得るものとして医学的に拡充するかという問題でございますが、これはいろいろ論議もございまして、精神病の専門の医者のいろいろな意見もございますが、現在のところはこれは不適当、精神衛生法によって一切の麻薬中毒者をかけるということは不適当と、われわれは現在考えておるわけです。
○木下友敬君 麻薬患者ということがわかっておるのを、精神衛生法を改正するということで収容できない、それはわかりますが、それでは精神衛生法ではなくて別に麻薬取締法というものを拡充して、そうして麻薬患者を収容してよくなしていく、強制的によくなしていくという方向に進まぬことには、麻薬患者ということがわかっておっても、手が下せないということは、これは非常に不十分なことだから、精神衛生法でできなければほかの法律を改正する、あるいは新たに作るということで、麻薬患者をなくなしていくということをしない限りは解決つかぬ問題だと思うが、この点、どういう御見解ですか。
○説明員(喜谷市郎右衛門君) 局長が出張中でございますから、かわって御答弁いたします。
 ただいまお話がございましたような麻薬患者を強制収容するかどうかという問題でございますが、これはまず第一に施設の問題がございます。現在県によりましてはこういう施設を作りたいというようなところがございます。そういった研究も目下進めております。
 それで御質問の要点でございます強制収容をする法律を考えるかどうかという問題でございますが、これも目下検討中でございます。私も実はその衝に直接当っておりませんので、十分お答えできません。
○木下友敬君 この問題、日をあらためてまたやります。
○柴田栄君 実は環境衛生に関連いたしまして緊急な問題として政府の対策をお伺いいたしたいと存じます。
 御承知だと思いますが、当委員会でも最近にも問題になりまして特に委員会から私ども調査班が派遣されて、実は熊本県の水俣に参りまして、いわゆる水俣病に関して実は調査をいたしたわけであります。この奇病とも言い、まだ原因も明確にされておらない水俣病に対しまして、第一番にこれは非常に現在は局地に起っておる問題でございます。今後化学工業が進展すれば、各地に、この原因を究明いたし、対策を考えておかなければ奇病が起るという感じがするのでございます。これについては国家としてただいま相当根本的に御調査をいただかなければならないという問題が一つと、あの水俣病にかかりました患者の現状を見ますと、今日国家が大きく保護をいたしておりまする小児麻痺患者等に対する対策と比較いたしまして、全く言語に絶するようなひどい症状であり、かつ、おそらく回復の望みはないような患者の現状にあるわけで、これをただ単に現在行われておるような対策で見殺しに、というと語弊があるかもしれませんが、このままにしておけば、ほとんど見殺しにするような現状は社会としても許されないという気がするのですが、これについては、今後かような悲惨な状況を引き起さないというために、原因を徹底的に探究し、対策を考えると同時に、国家は一種の社会の犠牲のような患者並びにその家族に対しまする対策を徹底的に考えてしかるべきじゃないかという気がするわけでございます。この件に関しましては、厚生省でもいろいろお調べはいただいておると思うのですが、今後の対策について一つ所見を承わっておきたいと、かように考えます。
○国務大臣(橋本龍伍君) 水俣の問題につきましては、当委員会でかなり詳しくいろいろ御審議ありましたのであります。現在までのところ、いろいろ検討いたしました結果は、これは最終的に問題を究明するというのはなかなかむずかしいことでございますが、全部ぎりぎり結着して何もかもわかってしまわなければ発表しないということは遺憾と思いまして私の責任で今日までに検討された結果、判明しております事実というものを発表いたしまして、その後さらにいろいろ進めているわけでございます。結果は御承知の通り、いろいろな影響が出ているのでございますが、ただ残っております問題は、なかなか究明がむずかしくて現在のところでは、水自身は海水を取ってみても汚濁はわからないわけであります。水俣のある部分の、要するに海底の奥の方に重金属に関係のあるものが含んでおります。それからまた、そういうものがどうして魚の体内に入るのかわかりませんけれども、魚の体内にも検出されているというような問題がございまして残っております問題は何といいますか、生きた動物の平素の生活状態等を調べてみないとわからないのでありますが、今日までのところで調べられるところは調べて、それから生活保護の問題でありますとか、あるいは農林省、その他で対策をとってもらいます点については、今まで御承知のように手を打って参ったわけでございます。とにかく食物中毒による疾病としては前例のないような重いかつ悲惨なものでありまするので、国としてもその原因を徹底的に究明をいたしますとともに、患者に対して適切な医療並びに援護の措置を講ずるために目下予算を要求中でございます。つまり今までの程度の調べは発表いたしますようにいたしましたが、今後の問題はなかなかむずかしいものでありますので、予算といたしましては、従来の医学的研究のほかに薬学、化学、水産学、地質学、潮流学等の面で多角的かつ総合的の検討を行いますために、総合研究費として三百二十三万一千円を要求いたしますとともに、患者を特定の施設に収容いたしまして治療を行うための施設設置費として二百九十二万八千円、患者の収容費として二百十二万八千円、合計八百二十八万七千円を予備金を要求中でございます。今までといたしまして、研究にも、それから生活保護等にもそれぞれ手当をいたしましても、それでもどうもこれ以上手を尽せないので、予備金を要求しているのでございます。なお、昭和三十四年度におきましても、研究を続行いたしますために、三百六万八千円、患者収容費として六百五十六万五千円、合計九百六十三万三千円を要求いたしまして目下審議をいたしているところでございます。
○柴田栄君 いろいろ具体的に対策をお立ていただいておりますことは非常にありがたいことと思っております。お話の通り、なかなか原因を明確に究明するということも困難だというふうにも考えられまするが、あの所に参りまして肥料工場の廃液の排出する現状と水俣港の現状を見ますと、この間にいろいろ政治的な、あるいは地元の特殊の関係から困難な状況にあるかもしれないが、その辺を乗り越えて思い切った総合的に調査をお進めいただかないと、真実がつかめないかもしらぬが、これはもう方向は大体わかっているのじゃないかという気がいたすのでございます。この辺は一つ将来のためにも、政府ははっきりとした態度で原因究明に臨んでいただきたい。そうしてまあ現状を見れば、だれでもこのままではどうにもならない。第一、罹災者はまあ魚が原因であるということまではほとんどだれも疑う者はないという関係から、漁家の家族がほとんどだという、しかもその漁家というても、きわめて何といいますか、生活困窮者に近いような、最近の沿岸漁民の家庭生活からきているような問題もございまして、あの患者をそのままかかえては、患者ばかりじゃなしに、その周囲の家族もほとんど餓死せざるを得ないというような現状にございまする点を一つよく御考慮いただきまして、徹底的な御対策を重ねて特にお願い申し上げまして、政府の対策の実現をお願い申し上げます。
○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記を始めて。
○小柳勇君 小柳です、一つよろしく。
 時間もおそくなりましたので、私は部落解放の問題について、おもな点だけ二、三質問して、また後日に譲りたいと思いますが、その前に結核問題で一つだけ要望申し上げておきたいと思うのです。方々の全国の国立療養所を回ってみまして、一番感じますことは、私立の療養所などに比べて医者、看護婦の諸君の熱意と申しますか、待遇との関連もありましょうが、非常に私立の病院に比べて積極的でないような、愛情の足らないような印象を受けますし、患者の意見を聞いてみますと、非常にそういう点をこぼしてもう少し厚生省も親切にやってもらえないだろうか、先生や看護婦の諸君もそういう面でわれわれが要望を出しても、なかなか親切でないのではないかというような意見も多々患者から出ておりますから、しかも施設についても非常に荒れほうだいの所もたくさん見受けております。従って、積極的に一つ厚生省からも出て行かれて国立療養所など十分視察してもらって足らない面は指導してもらうし、施設についてはできるだけ予算をとって改善して、さっきの大臣の御答弁に施設の近代化をするという話がありましたが、積極的にやってもらって、まあ気持よくとは――これは病人ですから気持よくなることはありませんけれども、十分に療養の成果をおさめるように、特に一つ厚生省の積極的な指導なり、予算獲得にがんばられるよう、初めに要望いたしておきたいと思います。
 本論に入りまして部落解放の問題でありますが、ことしの三月の十一日の日に、総理大臣は国会で部落解放の問題について四つの公約をいたしております。で、厚生大臣はその後、その総理大臣の公約に従っていろいろの措置をやられたと思いますが、予算の面、あるいは審議会の面、その後の厚生大臣がとられた措置について第一にお伺い申し上げたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) この同和対策の問題に関しましては、今年度の予算もまことに十分でございませんけれども、その予算の範囲内で、できるだけこれを有効に使用するように、まず骨を折って参りましたのが一つ、それからもう一つの問題といたしましては、この審議会設置の問題がございますが、これは内閣の方と相談中でございます。まだ結論を得ておらないのでございます。で、この同和対策の問題につきましては、私は現在までも相当やはり頭を使ってこられたと思いますが、なお、来年度の予算にもう少し十分な経費をとりまして、諸般の手を打って参りたいと考えておるのであります。なお、こまかい点につきましては、社会局長からお答え申し上げたいと存じます。
○説明員(安田巌君) これまでのことにつきましては、大臣がただいま申し上げた通りでございます。ことに明年度の同和対策予算要求の概要は、総額におきまして二億八千八百三十一万三千円でございます。おもなものは従来と同じく隣保館を十カ所、共同浴場が二十カ所、それから下水排水路の整備費、これは道路らしい道路がなくてことに側溝がございませんために御承知のように、下水排水が流しっぱなしだというようなところが多いわけでございますが、そういうような費用二百二十四カ所分を要求いたしております。それから共同作業場、これが四十カ所、それから隣保館の運営費の補助金といたしまして既設分が三十一カ所、新設分が十カ所、合計四十一カ所分千四十五万円を要求いたしたいと思っております。そのほかトラホームの予備費の補助金といたしまして千七百六十五万円ばかりを目下大蔵省に対しまして要求いたしておる次第でございます。
○小柳勇君 大臣にもう一回お尋ねしますけれども、審議会の設置についての、これはすぐ聞けることですから、こういうことに関して言っていいかどうかわかりませんけれども、以前堀木大臣のときには、積極的にそういうことまでいろいろお考え漏らしておられたようであるが、大臣かわられて、ほとんど積極的な意欲を見受けられないということすら聞くのでありますが、そういうふうな大臣として試案でもあったらお聞かせ願いたいと思うのです。それは時期的にもう相当長い問題であるし、今さらこれは厚生大臣に私は新たちに要求する話でないので、すでにもう前の大臣からもいろいろの引き継ぎもあろうと思うし、そのことが審議会を設けることだけによってすぐ成果がおさめられるとは考えませんけれども、そういうものすら発足しないとすると、部落解放問題について厚生省がどれだけ一体積極的であるかということに対してわれわれとしても安心できないので、くどいようでありますけれども、もう一回一つ、大臣はどういうふうに今後積極的にこれを進めていくか、また、プランでもあればお聞かせ願いたいと思うのであります。
○国務大臣(橋本龍伍君) 実は先ほども結核対策に対してあまり言及しておらぬじゃないかというおしかりを受けたのでありますが、たまたま私就任いたしましてから医療費の問題だとか国民皆保険、あるいは国民年金だとか、現実に仕事の何といいますか、量が相当大きいもので、何かかにかその触れる範囲が多いものですから、そういうところばかりやっていてほかのところをやらぬじゃないかというような御意見が出やすいのであります。これは私としても気をつけなければならぬことだと考えております。ただ同和対策の問題につきましては、これは十分その重要性を考えてこれの対策を考えておるわけであります。ただ同和対策の審議会を作るとすればこれはもう当然内閣に設置すべき問題でございましてただその推進力といたしましては、これはもう厚生省の方で熱心に話をすべきものと考えております。内閣の側とは何とか御要望に沿うような方向でと思って相談をいたしておるところでございます。同和対策について重要な問題でありますゆえんは十分心得ておるつもりでございまして、今日内閣へ設置されるべき審議会について、私としてどうこうというような構想を発表するのもちょっと行き過ぎかと思いますので、大体そういう方向でなお骨を折りつつあるということで御了承願いたいと思います。
○小柳勇君 いろいろ概念的には部落のいろいろの問題が、貧乏とかあるいは差別待遇とか言われておりますけれども、統計的に当然社会局その他厚生省で調べようと思えば簡単に――単ではないけれども、できることだと思う。われわれはわれわれなりにいろいろ数字を持っておりますけれども、しかし、厚生省で今までそういう調査なり、あるいは対策なりのために、統計的にあるいは調査資料として一体やられたことがあるのかどうか。また、あればそういうものを一つこの委員会に出してもらって具体的ないろいろの資料、数字、統計によってこれをどうするというような、そういうものをあればお答え願うし、なければ今後一つ準備してもらいたいと思います。
○説明員(安田巌君) 部落の現状についての調査でございます。けれども、これは非常に古い昭和十三年のときの調査が最近までずっと一つの基礎資料になってきたわけであります。その後二十八、九年にも私どもの方で非常な抜き取りの調査でございますけれども、いたしたことがございますし、それからごく最近は、私どもが予算を組む上に必要な程度の調査をいたしたことがございます。いずれも調査がいろいろ問題がございまして困難な点もございますので、必ずしも御期待に沿うような資料ではないかと思いますけれども、一応役所の方へ帰りまして、それらの資料でお目にかけるものがありますかどうか調査をいたしてみたいと思います。
○小柳勇君 具体的にさっき言われた隣保館の問題、あるいは共同浴場などの建設の状況、その他具体的にまだいろいろあるようでありますけれども、きょうは大体概括的にそういうものを質問して、この次の機会に譲りたいと思います。
○藤田藤太郎君 今の質疑を聞いていまして、私は厚生省として厚生行政について、この同和問題について熱意が足らぬと思います。総理大臣が確約し、そして審議会を設ける、それが三月だという。それに今のお話を聞くと、調査もない。昭和の十何年に調査したものしかない。これだけ社会的に問題になっているものについて、あまりにもこれは聞いていて熱意が足らぬ。だからこれはそういうことでは……厚生行政の一つの問題、これだけ社会的に問題になっている問題を今のような態度じゃ私はけしからぬと思う。だから、この次の厚生関係のこの委員会には、明確に今までやってこられた対策、そして今後の構想、それから今の同和地域がどうなっておるかという現状を努力をして一つ資料を出してもらいたい。そうして、その上で今小柳委員が具体的に今後この問題を進めたいと言われるから、皆がそれを認識してこの問題と取り組んで処理したい。強く要望いたします。
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十五分散会