第031回国会 社会労働委員会 第3号
昭和三十三年十二月十八日(木曜日)
   午前十一時十分開会
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  委員の異動
十二月十七日委員坂本昭君辞任につ
き、その補欠として藤原道子君を議長
において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     久保  等君
   理事
           勝俣  稔君
           柴田  栄君
           木下 友敬君
           中山 福藏君
   委員
           石原幹市郎君
           紅露 みつ君
           斎藤  昇君
           高野 一夫君
           谷口弥三郎君
           西田 信一君
           小柳  勇君
           藤田藤太郎君
           山下 義信君
           田村 文吉君
           竹中 恒夫君
  政府委員
   警察庁刑事局長 中川 薫治君
   労働政務次官  生田 宏一君
   労働省労政局長 亀井  光君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   厚生省医務局長 小澤  龍君
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  本日の会議に付した案件
○労働情勢に関する調査の件
 (日本専売公社の労働紛争問題に関
 する件)
 (新潟県下における全日本国立医療
 労働組合の問題に関する件)
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○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開きます。
 委員の異動を報告いたします。
 十二月十七日付をもって坂本昭君が辞任され、その補欠として藤原道子君が選任されました。
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○委員長(久保等君) 労働情勢に関する調査の一環として、一般労働問題に関する件を議題といたします。まず、日本専売公社の労働紛争に関する問題について御質疑を願います。
○小柳勇君 政務次官に質問いたしますが、今専売公社と全専売労働組合との間に不当労働行為に対する申し立て二件、それから調停申請が六件、こういうものが出されまして紛争状態にあるし、かつ、戦後長い間の全専売労働組合というりっぱな組合が危機にある、非常に険悪な情勢にあるということは御存じでしょうか。
○政府委員(生田宏一君) そういう事実があるということはよく存じております。
○小柳勇君 わかっておりますね。そういう情勢の中で、民間でも、すでに新聞でも発表されておりますように、月に大体たばこの製造量が九十億本ぐらいあるわけですね、平素は。ところが、最近、この十月以降八十億本ぐらいに減産しているわけです。十億本ぐらいの減産になっているわけです。そういうような紛争があるために、たばこの製造がそういうふうに減産されて、この年末から正月にかけての町のたばこの製造が足らないのじゃないかという心配すら今巷間にうわさされておるのですが、そのことも御存じでしょうか。
○政府委員(生田宏一君) 労働争議が起きて製造に実害を及ぼすならば、むろん品物が足りなくなることは当然のことでございますが、専売局の滞貨について、幾ら減って幾ら足りない見通しだという、そういう数字までは存じませんが、一般的な現象としては、おっしゃったように私ども考えておるわけであります。
○小柳勇君 専売の当局は、政務次官や大臣に対して、一体この紛争をどういうふうに収拾しようと考えておるか、報告が参るとか、あるいは御相談にやってきておるのかどうか、そういう点ありましたら一つ教えてもらいたいと思います。
○政府委員(生田宏一君) 私からお答えするのはこまかいことではございませんが、労使関係の紛争が起きたときには、その双方の主張を聞きまして、事実関係に立って問題を処理していくということ以外に方法はございません。が、そういう点につきましては労政局長が担当しておりますので、詳しく御説明さしていただきます。
○政府委員(亀井光君) ただいま御質問がございました専売当局と全専売労働組合との間のいろいろな紛争につきまして、事実関係としまして、われわれの方にいろいろ連絡はございます。しかし、目下その中心部門になります団体交渉中における公社の一方的な通達に関する事項、あるいは団交に関する労働協約の改正の問題等、いずれも公労委にかかりまして、目下調停が進行中でございますので、私としましては、内容自体につきましては政府側の見解というのですか、そういうことを申し上げることは差し控えたいと思いますが、事実関係としましては公社当局からも連絡はございますが、そういう点につきましては労政局長が担当しておりますので、詳しく御説明さしていただきます。申し上げることは差し控えたいと思いますが、事実関係としましては公社当局からも連絡はございます。
○小柳勇君 政務次官に一つお伺いしておきますが、まあ専売当局にいろいろ労使関係その他おまかせとは思いますけれども、製造が九十億出るのが八十億に減って、正月にはそのたばこ愛好者が買いあさらなければならないほどの事態があることを御承知になって、政府としては積極的にこういう問題については収拾に乗り出すべきだと思う。しかも各公社、各省とも大体年末の手当も支払われて、ほとんどのところが紛争の解決が行われておるのです。ただ一つこの専売当局だけがなお頑強に自分の意見を固執して、そのために問題が解決しない。たばこの製造が減産されて、正月の市民生活の楽しみを一部削減されようという現象に対して、私は政府当局がもう少し積極的に、特に政務次官などはそういう問題など乗り出していって、事態を収拾されるように努力さるべきだと思うのですが、その点について、政務次官の御見解を聞いておきたいと思います。
○政府委員(生田宏一君) 私どもといたしましては、労働争議が起きた場合にすみやかにこれが終止符を打っていただいて、そして産業なり経済なりが平静な状態に早く立ち戻っていただくことは、国民生活の上から考えてみましても当然のことでございます。ただ、事実関係について、それを曲げて事実関係を処理するわけには参りませんので、いつも一般的な問題でございますが、こういう場合には、すなおに解決しないのが今までの通弊といいますか、習慣だったように思うのですが、そういうことではなしに、できるだけすなおに物事を解決することを望みますことはもちろんでございます。
○小柳勇君 労政局長にお伺いしますけれども、これはいろいろの評判でありますから、具体的にどうということは今すぐ指摘いたしませんけれども、最近十日ごろから専売の労働者に対する政府の方針なり専売当局の政策が非常に強化されて、今までたとえば国鉄とか全逓を押えてきたが、今度は一つ専売と、こういうことで特に労働政策に対して労働省が一体となって断圧政策をとっておるということを聞くが、そういうものについて、抽象的でもかす。それは直接の機関、公労委がありますなんということで、私は事を済まされるならば、この前の王子製紙の問題と同じです。王子製紙は幸いに解決をしましたから私たちは喜んでおります。喜んでおりますけれども、あの事態を振り返って見てみなさいよ。今日まで法律違反になるぞ、と言ったらどきっと交渉をやったじゃありませんか。それでいくぞというので、中労委が手を引いたとたんに一斉に十二月まできたじゃありませんか。こういう形というものを権力で、業務命令で、一方的にどしどしおおいかぶしていくという、こういう形の露骨なる現われが原職員部長から出てきて、行われておるということは、私たちは組合からも聞いて知っている。周知の事実なんです。しかし、私は原職員部長がどうこうということをここで論じているのではない。そういう形のものが公社の中まで入ってきて、労使関係の、労働者の意見を聞かずに、力によって、業務命令によって法律違反になりそうなら、ちょっと体裁をつくろってやればいい。この問題が社会的に機関に動かなくなったら業務命令でどんどんやっていく。相手の言うことを聞かない、団体交渉は実質的に拒否をする、こういう形の私は労使関係が続いているのに、労働行政として労働省としては、黙っていていいのかというのが小柳君の主張であり、私も同じ考え方で質問している。だから、もっともっと私は努力をされなければいかぬのじゃないか。たくさんの事案があって、調停委員会に申請もされておりますけれども、年末の一時金の問題だけでもあそこだけがいまだに問題を残している。それはどこに根があるのかというと、今の問題なんです。そうでしょう。だから、そこは一般論じゃなしに、専売公社の今の労使関係の問題については労働省はもっと関心を持つ、もっと親切に、もっと努力をしなければいかぬということを私は言いたい。だから、そんな一般的な話しではなしに、今の事態をどうする、公労委の関係をどうする、専売公社の労使関係の問題をどういう工合に考えて、どういう工合にお手伝いをするならする、こういう問題をはっきり言っていただかなければ、せっかく聞いているのに、それは具体的に、一般論としてはこうする機関がありますというような返事をされてもわれわれは理解できませんよ。もう少しはっきり言って下さい。もう少しはっきり考えを聞かして下さい。その上に立って次に進みましょう。
○政府委員(亀井光君) 御質問の問題は、現在公労委で特に一昨日の晩から精力的に行われているようであります。従いまして、この段階で私どもとしまして申し上げられますることは、公労委に対しまして、できるだけ早く公正な結論が出るようにということをわれわれとして押していくというだけしかないと思います。この点につきましては、われわれ第三者の独立機関ではございますが、事務局を通じまして、そういうわれわれの気持は前々伝えておるわけであります。公労委におきましても、そういう現在の、年末を控えての時期でありまするから、そういうことも十分承知をしつつおとついの晩から精力的にやってきておられるわけであります。従いまして、われわれとしましては、今申し上げましたように、公労委としてできるだけ早く結論を、公正な結論を出してもらうようにということをさらにまた要請をする、このことについては一つ努力をいたしたいと考えます。
○藤田藤太郎君 そこで、私は今の年末一時金の問題は、今局長の言れるように一昨日からやっていられる、この問題は何らか努力されているのだから済むでしょう。しかし、今までの全体の問題が、今の生産にまで影響しているようなこの事態というもの、団体交渉拒否によってやられている年末一瞬金の問題は、問題が解決するとしても、全体の問題の団体交渉の拒否ということについては公労委が今やっているというのだから、公労委をして御努力をお願いしたいと思うけれども、一般的な問題、団体交渉拒否の問題について正常な形に乗せていく。それがためのおそらく公労委に対する叱咤激励が足らぬ。だから、一般問題ももっと叱咤激励して、正常な形に復帰するように、一段と努力をしてもらいたい。これだけ強く要望しておきます。そして、早く正常な形になることを期待します。だからこの次のときには、明確に一つわかるように、やったということを明確にわれわれに御報告をいただきたいと思います。また、報告ばかりで、なしに、実質的にしていただきたい。これでこの問題は打ち切ります。
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
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○委員長(久保等君) 次に、新潟県下における全医療組合の問題について御質疑を願います。
○藤田藤太郎君 新潟県の柏崎国立療養町の盗難事件から始まって、看護婦がその容疑を受けて、その容疑の取調べ、それからその取り調べた経過、それからそのような半旗について、あらまし御報告を私は願いたいと思うのです。今人権問題にまで発展しておりますので、ぜひこれを聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(中川薫治君) ただいま御質問にかかる事件のあらましでありますが、今年六月の九日の日に、柏崎国立療養所の職員の力から、療養所内において盗難があったので、一つ警察で捜査してもらいたい、こういう趣きの電話がございましたので、所轄署におきましては、係員を当療養所に派遣いたしまして、被害者から事情を聞きましたり、そこのいろいろ関係者等から事情を聞いておったのであります。それで、何といっても盗難事件でありましたので、いろいろそこに居あわせた人、看護婦さんの人々等から事情を聞いたのでありますが、だんだん聞いて参りますと、盗難事件が数件あったのでありますが、一番新しいと思われる事件が、患者さんが被害者になる事件なのでありますが、患者を被害者とする事件等につきまして、看護婦さんの方々から事情を聞いておる、こういう状況があったのであります。
 その後、そういった所で事情を聞くのは、何といっても関係者の名誉を十分考えなければならぬと思いまして、所轄警察署では、この看護婦さんの一人の方に同意を求めて警察署に来ていただくように促したのでありますが、その当該看護婦さんは同意をされまして、署においでになったのですが、署の前におきまして、その看護婦の方は倒れられたので、治療等の措置を講じましたところ、自殺をはかられている様相でありましたので、支給手当をいたしました。その看護婦さんの方はだんだん回復に向われまして、現在は仕事についていらっしゃるようであります。
 本件は盗難事件でありますので、その盗難の関係等について状況を十分聴取しておったのでありますけれども、ことに関係された方々が、比較的若い看護婦の方々でありますので、その心理、精神に及ぼす影響等も亜祝いたしまして、無理な取調はしない、こういう角度でやっておりますので、いまだ盗難の被疑者が割り出せない、こういう状況でありますので、いろいろ関係者に御迷惑をかけていると思うのでありますが、警察といたしましては、この関係者の、盗難事件の被疑者を割り出すことに努力をいたしまして、盗難事件の被疑者を割り出して参りますと、いろいろあの人がとったとか、この人がとったといううわさもだんだんはっきりいたしまして、関係者もはっきりするのではないかと思うのでありますが、金円の盗難でございますので、物的証拠が比較的少いので、大へん苦心しているのでありますが、財布その他の関係等もだんだんはっきりいたしまして、本当件をはっきりさせたいと、こういうふうに地元の警察では考えている次第でございます。
 この間に当りまして、当該自殺未遂をはかられた看護婦さんのお父さんが警察においでになりまして、どうも自分の娘が被疑者的に扱われておる。それをはっきりしてもらわないと、自分の娘としても困る、こういう申し出がありましたので、そういう趣旨を考えまして、だんだん捜査を続行しているという状況でありますが、その看護婦さんの取調べに当りまして、いろいろ無理な調べがあったというようなお話しも聞いておるのでありますが、そういった点も今新潟県の当局におきまして、この本件盗難事件の捜査を続行するという反面、そういった面も十分調査しているという状況でございます。
○藤田藤太郎君 問題は、私はこの看護婦さんが被疑者になられた、この看護婦さん自身の手記がここに出ています。これを読んでみると、いかに警察というのはひどいことをやるのだなという印象を受ける、これは私読んでみてもいいです。読んでみてもいいけれどもお前が犯人だ、なぜとったと、言わぬか、それでなければ手錠をはめて警察に連れて行くぞ、追い込めて追い込めて、とったと言え、言わざるを得ぬからとったと言う、そういうところまでいく。しかし、どこに捨てたかと追い詰められて、お前が自白したら帰してやるからということで、それでとったということを、やむを得ず言った。どこに捨てたと言われても、とった覚えがないから捨てたところがわからぬ。ところが、旬日を経ずしてその財布が隣のベットから出てきている、関係のないところから出てきている。それでもあくる日警察は調べにくる、とりあえず署に連れて行く、今まであった事件も全部お前じゃろうということで、あくる日は押しつける、そうだ、早く自白せいという格好でいって、とりました。警察に行くのなら私は死んだらいいのだと言って、薬を飲んで、警察に行くときには死の覚悟で、薬を飲んで警察に行くまでに倒れた、こういう事件である。私は聞いておられると思うのですけれども、ここに書いてある手記を読んでみると、大へんなことです。それでお父さんがいますが、この父親がもっと明らかに、ほんとうに娘のことだから、この調査はその調べられた人が白ということをはっきり言わないから、何とかはっきり調べてくれ、そう要求しているのにそのままなんです、これは。容疑者であるらしく、ないらしく、まだ調査が済みませんという格好で、六月から今日までそのままなんですよ、こういうひどいやり方というものは、私はないと思う。そういう取調べを警察は現地においては、この出先においてはするのですかね。私は重大な問題だと思うのです。このあとから新潟県の今の地域のあらゆる団体が立ち上って、人権の問題だ、早く真相を調査をせいといって要求するのは当然だと思うのです。これはどうなんですかね。これから調査いたしますという問題じゃないのです。もう六カ月もたっていることだから、警察でも大体内容がわかっている問題だと思うのです。
○政府委員(中川薫治君) 本件の事実をはっきりいたしますのは、何と申しましても盗難被疑事件という事件のわけでありますがかかる事件の被疑者を割り出すということが、一番問題の本質的なかぎかと思うのであります。ところが、看護婦の方が被疑者であるかどうか、もちろんはっきりいたさないのでありますが、この方が、服毒自殺をはかられましたものですから、そういった事情を考えまして、その病中等においては捜査を続行することはこれは慎しむべきことでありますので、本人の回復を待っているという状況でございます。その他、こういう事情でありますので、各方面の資料に基いて事件捜査をやっておるのでありますが、六月に起った事件でありますが、なかなか思うように進まないということについてのおしかりは、それはわれわれも十分反省しなければならぬと思うのでありますが、その原因の一つは、看護婦の方を被疑者だとは直ちに申すことはできませんが、そういう事情等によって詳しい方の一人だと思いますので、その被害者の方に常時接触されておる力でありますので、当該盗難事件について、状況を詳しくお述べいただくのには比較的御協力いただかなければならぬ方だと思うのでありますが、その方が服毒自殺をはかられた、こういう事情で治療を受けていらっしゃる、ことに年令も若い方でありますので、その方に精神的動揺を与えるということも警察としては考えなければなりませんので、そういうこともありまして捜査がおくれておる、これは事実でございますが、だんだん回復されるに従いまして状況をお聞きする機会も出て参りましょうし、その他の資料に基いて事件の内外もはっきりいたしたいと思うのであります。
 それからお尋ねのこの看護婦の方々の捜査について、警察に大へん人権じゅうりんのことがある、こういう御趣旨でございますが、そのことにつきましては警察でも調べておりますが、警察以外の機関の法務局におきましても調査をされておりますので、両方の調査の結果に基きまして、人権じゅうりんのかどがあります場合におきましては、そのことに伴う措置を講じたいと思うのでありますが、まあこういう事件でございますので、両当事者の言い分だけ聞いておってもつじつまが合わない点もございますので、それに関連する事項等も十分調査して参りませんと、本件の調査にからみ人権じゅうりんがあったと、こういう結論を出すことは困難であるかと思うのであります。
○藤田藤太郎君 そこで、なぜ、父親から真相の調査をしてくれ、自殺をはかられて助かったけれども、そういつまでも長く寝ておられるわけじゃないから、それも取調べの対象になるでしょう、おそらく警察から見れば。だからその人ばかりでなしに、たくさんの――現に現物は出てきているでのすから、その被害というものはないのですけれども、そういう事態が起った何時間かの間、財布が紛失しておったという事態については、警察がやはりその事件の問題をめぐって、周囲をめぐれば、この調査というものはできるわけです。それが父親からそれだけの強い要求があるのに、いまだに調べられていないということは、これはどうなんですか。
○政府委員(中川薫治君) この本事件の関係の実際をさらにはっきりしたいとは私も考えておりますので、御質問がありましたように、新潟の当局等も督励いたしまして、この事件の真相をさらにはっきりいたしまして、その状況に基きましてさらにお答えいたしたいと思います。
○藤田藤太郎君 これは長くなりますから、この手記に現われている警察の人がどう言った、こう言ったということはここで申し上げませんけれども、こういう肝炎が明らかになれば、あなたもこういう手記を読んでおられると思うのだが、そういう場合には、警察としては私は当然その当時取調べに当った刑事の人ですか、に対する処置というものは講じられるだろうと私は思うのです。だからあまりにも、私はこれを読みましてひど過ぎると思うのです。だから、それはほんとうに公正に、あらゆる人が納得するような処置をぜひ講じてもらいたい、これをお願いしておきます。
○政府委員(中川薫治君) さらに公正に調査したいと思います。
○藤田藤太郎君 厚生省の関係の人に私はお尋ねしたいと思うのですけれども、本来こういう病院内で盗難事件が起きた場合は、どういう取扱いをされているのでしょうかね、まず順序をお話し願いたいと思います。
○説明員(小澤龍君) 盗難事件が起きた場合には、起きたケース、ケースによりましてそれぞれ処理しておるのでございまして、一般的に方針なり方則なりをきめて、盗難事件の処理をさしておるというようなことはございません。
 本件につきましては、柏崎療養所の看護婦の寄宿舎内におきまして、実は数回盗難があったのでございます。それでお互いに困った。それからお互いに考え合せてみても、どうも事の真相ははっきりしない。看護婦仲間同士でお互いに疑い合うということは非常に不愉快なことだ、それで一度警察に調べてもらおうじゃないかということを看護婦全体が相談しまして、そうして総婦長に申し出た。それで総婦長がこれを庶務課長に申し出た。その申し出に基いて、庶務課長は警察の方に依頼したのでございます。そこで警察の人が参りまして、いろいろ看護婦さん等に事情を聞きまして、聞いただけで、また明日参りますからといって帰られた。それで翌日来て事情を聴取しようとしたところが、今度はたまたま病室の患者の、五千円ばかり入っていた財布がなくなっていたといって、患者が騒ぎ出したのでございます。そこで、その病棟勤務の人たちが相談し合って、ちょうど警察が来ているのだから、それで患者も騒ぎ合っていることだし、お互いに困っていることだから、一つ警察に調べてもらったらどうだということで、その病棟勤務の人たちの申し出によりまして、警察官に話をされた。それで、じゃ来たついでだから一つ調べてあげましょう、あるいは関連があるかもしれないから調べてくれということです。そういうことで実は関係の深い人に事情を聞こうとしたわけであります。ただいま問題になっている看護婦はその病棟所属の看護婦でございまして、その日の朝、患者さんのベットの整理と申しますか、掃除と申しますか、した人で、最も身近に接した人の一人だと思いますが、順序とし、その人から事情を聞こうということになって、その療養所の応接間でもって二人の警察官の方が事情を聴取したわけであります。その事情聴取の時間があまり長いので、総婦長が心配いたしまして、総婦長が二、三回その部屋に訪れたらしいのでございますけれども、まあ第三者が入ると、早くいうと、事情が聞きにくいから遠慮してほしいという希望があったので、その問い合せと申しますか、刑事の方が看護婦に事情を聞くというときに立ち会うことをしなかったわけであります。その日はそれで済んだわけでございますけれども、晩方になりまして、なくなった財布が隣の患者のベットから出てきたということになったのでございます。さらにその翌日、ただいまお話のように、二人の警察官が来まして、いろいろまた同じ看護婦さんについて事情を聴取した。とにかく応接間は廊下に面しておりまして、人通りも多いし、ごたごたするし、他の職員に対する影響もあり、それから警察に来て静かなところでお聞きした方がいいのではないかというようなことから、来てくれませんかというようなことで同行されたのではないかと、こういうことになった次第でございます。
 残念ながら年の若い看護婦でございまして、非常に何といいますか、感激の強い年ごろでございますし、本人にとっては非常なショックであったかと思うのであります。人知れず睡眠薬を飲んで警察へ行ったというようなのが実相でございます。
○藤田藤太郎君 私はこの報告を見ますと、今までにそういう事件があったということ、二段に分けて、本人はみなとりましたと、こういう結局とりましたと言わされたというか、とりましたというような格好になってしまっているのですね。だけれど、私はこうずっと見ると、その病院の中で盗難事件が起きたら、まず病院の中でよく調べるということが基礎であって、そしてどうしても手に負えぬときに警察に相談するということになると私は思う。ところが、たまたまここに出てきた事件に、前にあったのは別といたしまして、今度出てきたこの患者の盗難事件というものは、私は病院の中で、これが被疑者でありますよというような格好で警察へ渡したとは言いませんけれどもね、まあそういう格好、よく真相もわからぬのにそういう格好でやったような零囲気がここにあるのだがなあ。これは私は病院の管理運営という面から見て、院長がおり、事務長がおり、看護婦の上には婦長からずっと責任者がおるのだけれども、少し私の感じでは軽率ではなかったかという感じがするわけです。まあ警察の問題は別としましてその状態はどうなんですかね。
○説明員(小澤龍君) 私の方で病院についていろいろ調べたのでございますが、この看護婦の宿舎内に盗難事件が起きて、そして婦長等が中心になっていろいろ調べたのだけれども、どうも実相がつかめない。それで警察にお願いしたわけでございますが、そういうことのためにかなり全体の職員特に看護婦さん方が、神経質におなりになって、たまたま患者さんの財布がなくなったということで、それじゃぜひということでたまたま警察が来ているので、職長の中の希望で調査方をお願いしたというのでございますが、その間、ただいま御指摘のごとくに、きわめて軽率であったかどうであったかという問題は出てくるかと存じますけれども、あの雰囲気の場合におきましてはやむを得ない措置でなかったのではないか――それがやむを得ないのではない、非常に軽率であったのだということになれば、私は今後そういうことのないように一段と指導して参りたいと存ずる次第でございます。
○藤田藤太郎君 だから私は警察がその事態について取り調べられたのですが、こういうことを警察が言っているわけですね。「こっちは久住さんにあって。いろいろときいた。ちゃんと調べて裏付けもあるんだから、お前がウソをいってもわかるんだぞ」それから「お前は久住さんにはじめないといってあとからあったといった、変じゃないか」「はじめは記憶にはなかったが、あとからよく考えたら、あったからあったといいました」といったような、――それは本人が言っているわけですが、それからあとは、「とったんだったら今の中に白状しなさいゆるしてあげるから」というようなことを言ってみたり、こういう初めから測定した形で、その看護婦だけしか調べていない。それを被疑者扱いにして警察はやっている。だからそういうところを見ると、警察の人はよそからわからぬわけだから、病院の方から何かいびり出して、これを被疑者ですよという工合に送り込んでいるような、警察と病院幹部との間で、私はそういうことをやっているのではないかという疑いを持つのです。これはやはり病院自身としても、病院内における職員に対して、白か黒かはっきりわからないのに、そういう取扱いをする。警察はどういう工合に聞いたか知らないけれども、警察のやり方というものは、私は納得いかないのだが、罪人扱いでやっているわけです。だから、警察が調べるという前に、病院の幹部諸君等が通じて、何かそれだけを問題にしているような感じを特に受けるのです。
○説明員(小澤龍君) 実はその点、私どもの方も注意して事情を調べたのでございますけれども、少くとも病院当局はその看護婦さんが被疑者であるという考え方はしていなかった。従いまして、そういう趣旨でその看護婦さんを警察の方に突き出したと申しますか、さようなことは絶対にございません。ただ、先ほど申し上げましたように、関係の最も深い人はだれかというと、もちろんその患者さんでありますから患者さんに聞いた。その次に一番患者さんに接触しておったのはだれか。たまたまその看護婦さんが当日一番患者さんと深く接触しておったので事情を聞いた。私どもにおきましても、ただいまでもその看護婦さんが犯人であろうというような考え方は毛頭持っておらないのでございまして、この間の事情をかなり慎重に調べたのでございますけれども、病院当局が本人を被疑者のごとき感覚をもって警察に引き渡したということは毛頭ございません。
○藤田藤太郎君 だからそうなってくると、私は、なおなお今私が一言、二言言いましたけれども、警察官の取調べというものは私は人権じゅうりんもはなはだしいと思うのです。だから、これは両方とも調べてみなければわかぬ。これは新潟で今大問題になっていることは皆さん御承知だと思うのです。至急にこれは調査してもらいたい。もっと客観的に調査してもらいたい。そうして警察の方はさっきお願いしましたから、こういう真相を明らかにしないと、これがだんだんと盛んに今言われる恐怖警察、恐怖政治のような方向に世の中を追い込んでいくことはわれわれは残念だと思います。だから、そういう町からも、厚生省は病院に事件が起きたときの真相というものを明確にしてもらいたい。私たちはそれと警察の調べられた問題とあわせて、この問題が解決するようにわれわれも努力しなければいかぬ、こう思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○委員長(久保等君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記を起して。
 本問題に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。
 午前の会議はこの程度にいたしまして休憩をいたします。
   午後零時十四分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕