第031回国会 予算委員会 第18号
昭和三十四年三月三十日(月曜日)
   午前十時二十五分開会
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  委員の異動
三月二十七日委員安井謙君及び井上清
一君辞任につき、その補欠として古池
信三君及び小幡治和君を議長において
指名した。
本日委員大沢雄一君、小幡治和君、関
根久藏君、川村松助君、阿具根登君、
吉田法晴君及び羽生三七君辞任につ
き、その補欠として大谷贇雄君、川口
爲之助君、後藤義隆君、勝俣稔君、松
浦清一君、曾祢益君及び岡田宗司君を
議長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     木暮武太夫君
   理事
           小柳 牧衞君
           近藤 鶴代君
           塩見 俊二君
           西田 信一君
           堀木 鎌三君
           鈴木  強君
           松浦 清一君
           矢嶋 三義君
           森 八三一君
   委員
           石坂 豊一君
           泉山 三六君
           植竹 春彦君
           大谷 贇雄君
           勝俣  稔君
           川口爲之助君
           川村 松助君
           古池 信三君
           紅露 みつ君
           後藤 義隆君
           迫水 久常君
           笹森 順造君
           下條 康麿君
           館  哲二君
           鶴見 祐輔君
           苫米地英俊君
           横山 フク君
           吉江 勝保君
           岡田 宗司君
           片岡 文重君
           北村  暢君
           栗山 良夫君
           坂本  昭君
           曾祢  益君
           高田なほ子君
           中村 正雄君
           平林  剛君
           山田 節男君
           加賀山之雄君
           田村 文吉君
           千田  正君
           市川 房枝君
  国務大臣
   内閣総理大臣  岸  信介君
   法 務 大 臣 愛知 揆一君
   外 務 大 臣 藤山愛一郎君
   大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
   文 部 大 臣 橋本 龍伍君
   厚 生 大 臣 坂田 道太君
   農 林 大 臣 三浦 一雄君
   通商産業大臣  高碕達之助君
   郵 政 大 臣 寺尾  豊君
   労 働 大 臣 倉石 忠雄君
   国 務 大 臣 青木  正君
   国 務 大 臣 伊能繁次郎君
   国 務 大 臣 世耕 弘一君
  国 務 大 臣 山口喜久一郎君
 政府委員
   内閣官房長官  赤城 宗徳君
   内閣官房副長官 松本 俊一君
   同       鈴木 俊一君
   法制局長官   林  修三君
   防衛庁長官官房
   長       門叶 宗雄君
   防衛庁防衛局長 加藤 陽三君
   防衛庁装備局長 小山 雄二君
   調達庁長官   丸山  佶君
   法務省刑事局長 竹内 壽平君
   法務省保護局長 福原 忠男君
   外務省アメリカ
   局長      森  治樹君
   外務省条約局長 高橋 通敏君
   大蔵省主計局長 石原 周夫君
   大蔵省主税局長 原  純夫君
   大蔵省管財局長 賀屋 正雄君
   大蔵省銀行局長 石田  正君
   文化財保護委員
   会委員長    河井 彌八君
   食糧庁長官   渡部 伍良君
   運輸政務次官  中馬 辰猪君
   運輸大臣官房長 細田 吉藏君
   運輸省鉄道監督
   局長      山内 公猷君
   建設政務次官  徳安 實藏君
 事務局側
   常任委員会専門
   員       正木 千冬君
 説明員
   会計検査院事務
   総長      小峰 保栄君
   日本専売公社総
   裁       松隈 秀雄君
   日本国有鉄道総
   裁       十河 信二君
   日本電信電話公
   社総裁     大橋 八郎君
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  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○昭和三十四年度一般会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十四年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和三十四年度政府関係機関予算
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(木暮武太夫君) これより委員会を開会いたします。
 まず、委員の変更について御報告いたします。三月二十七日安井謙君、井上清一君が辞任し、その補欠として古池信三君、小幡治和君が、三月三十日阿具根登君、吉田法晴君、大沢雄一君、小幡治和君が辞任し、その補欠として松浦清一君、曾祢益君、大谷贇雄君、川口爲之助君がそれぞれ選任せられました。
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○委員長(木暮武太夫君) 次に、昭和三十四年度一般会計予算、同じく特別会計予算、同じく政府関係機関予算を一括して議題といたします。
 これよりしめくくりの総括質疑に入ります。曾祢益君。
○曾祢益君 私は日中関係につきまして、総理、外務大臣及び場合によりましては通産大臣の各閣僚に対しまして、若干の質疑を試みたいと思います。
 国民の立場から日中関係の推移を眺めてみますると、社会党が三月の初めに訪中使節団を送るというころの政府並びに与党の態度を見ておりますというと、何だか社会党にいわゆる現状打開の功を奪われるのではないかというようなあせり、あるいは嫉視といいますか、かような点が相当露骨に現われておったように思います。たとえてみれば、気象あるいは郵便の政府間協定をやってもよろしい、あるいは政府間の貿易協定すら考えられるのだ。さらには、大使会談の観測気球をあげるなど、また与党の中からも、党対党の書簡を出すとか、あるいはだれか使いを送るといったような、やはり便乗といいまするか、あるいは妨害といいまするか、選挙目当てと申しまするか、そういう動きとあせりが明瞭にあったように思うのであります。ところが、社会党が向うに参りまして、周恩来総理の談話あるいは共同コミュニケ等によって、中国側の現状打開、国交正常化に対する態度というものがきわめてきびしいものがある、こういうことがさらに確認されますると、とたんに今度は全く、実はそういう状態であればこそ、国民としては政府対政府のいわゆる外交の常道、原則に従って、いかなる現状の打開を考えるか、こういうことに対して政府に大きな期待を持っておるにかかわらず、この問題に対しては全く安易な静観論、あるいは無責任な投げやりの態度に終始しておりまして、あまつさえ、社会党の言動あるいは共同コミュニケなんかのいわばあげ足取りにうき身をやつしているというようなありさまであります。特に周恩来総理の談話は、これは言うまでもなく、政治を語る用意があるならば、政府対政府のレベルにおいて話をしようという、これは一つの大きないざないであることは明瞭であります。この投げかけられた大きな課題に対して、政府は何もこたえようとしない、何ら真剣なる施策、方策すら行われた様子はない。果してこれは外交を国民から委託され、そうして国民が期待している日中間の現状打開というこの大きな問題に、その国民の期待にこたえる態度であるかどうか、この点をまず基本的な心がまえとして岸総理の所信を伺いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 日中間の関係につきましては、御承知のように、昨年五月まではいわゆる積み上げ方式によりましてあるいは文化の交流なり、人的交流、あるいはさらに経済の交流というようなことを積み重ねていきつつ日中両国のお互いの理解と友好を進めていく、政治の関係においては、両国が置かれている国際的のいろいろな関係から見て、これを急速に解決することは困難であるという観点に立って進んで参っておることは御承知の通りであります。昨年五月にこの日中間における第四次貿易協定の問題に関連し、さらに国旗問題等が惹起されまして、一切の交通が断たれたという状況にあることも御承知の通りであります。こういう状態を長く続けていくことは両国のために望ましくないし、また世界の平和のために望ましい状態ではない。これをやはり打開していくことに努力をすべきであると私どもも考えております。ただ、打開する場合において、しからば、いわゆる昨年来中国側が唱えておる、強力に主張しておる政治と経済の不可分、さらに政治優先、話合いは両国の国交正常化の話合いならば政府間においてする用意があるというようなことが明らかにされておりますけれども、私は、今日本が置かれている立場から申しまして、今日政府間において国交正常化に関する話合いをする段階に来ておるとは考えないのであります。やはりこの際は、われわれはあらゆる面において積み上げ的な、従来やってきておるような方針をもって日中の関係が一切遮断されておる状態を打開し、そうして両国の理解と友好の度合いを進めていき、同時に国際的諸問題の処理に関しましても、適当の方策を考えていくというのが日本のとるべき態度であり、またそれが最も適当であると、こういう考えをいたしておるのであります。
○曾祢益君 伺っておりますと、総理も、この状態の長く続けることは望ましくない、打開に努力すべきである、こういう基本的な考え方を述べておるのでありまするが、いわゆる政経不分離あるいは政治優先の原則が出たから、即一切の正常化べの政府間の話合いなり、政府の努力というものは全部見送るのだ、こういうように伺うのであります。これはいずれまたさらにこの点についてあとから詳しい質問をいたしまするが、まず総理にこの点を御注意申し上げたいのは、去る二十五日淺沼団長以下私どもも政府並びに与党の首脳部にお目にかかりまして、われわれの会談の結果、並びに中国側の態度、少くともその大綱についてはお話をまじめに申し上げたつもりでございます。要するに、あとでも繰り返しまするが、現状打開から最終的な国交回復までのプロセスにおいては、一種の段階といいまするか、柔軟性と申しまするものかがある。この点は明確になったと思うのでありますが、してみれば、同日少くともわれわれの共同コミュニケもいろいろな不幸な関係で、完全な日本文のテキストが日本の新聞に出ておらなかったというようなこともございましたので、十分にこれらの点も御検討になって、そうして重要なことでありまするから、検討に時間をかけることにあえて異存は申しませんが、御検討を賜わるものと私どもは期待しておった。ところが二十七日の衆議院予算委員会における淺沼書記長との応酬は、これはもういわば顧みて他を言う、中国側の意図の正しい解釈ではなくて、まるで向うがかたくて話にならぬと言わぬばかりの態度に応酬されておったのははなはだ遺憾だと思います。この点について、まあ二十五日に検討を約されたからどうだというような議論は、質問してもしようがありませんから、以下これらの問題について論点を明らかにしながら続けて質問をしたいと思います。
 まず第一の問題は、今申し上げました現状の打開と、すなわち国交正常化の方法でございます。私も明瞭にこの間も申し上げましたし、賢明なる総理がこの点おわかりになっていないはずはないと思う。中国側の主張と態度というものは、現状の打開、すなわち国交正常化の第一段階として、特に貿易再開のためにいわゆる三原則を認め、これに相応する措置をとることが不可欠だと言っております。それが私は国交正常化あるいはその一つである貿易再開の一つの段階、それから今度は国交正常化の最後の段階、最後のプロセスということを考えてみますると、これは言うまでもなく共同コミュニケにも明瞭に書いてございまするが、やはり日本と中華人民共和国との間の平和条約が締結されなければならないということを中国側がかたく堅持しております。あわせてその日中平和条約が締結される前に、日本と台湾との条約が解消されるということが言われております。この点についても、新聞等が中国文を非常にフリーに訳した誤まれる、正確でない日本文が伝えられておりまするから、ここにこの点を明らかにしておくことが必要だと思いますので読み上げまするが、「日本と中華人民共和国とが国交を回復さるためには、当然まず日台条約を解消し、日本と中華人民共和国との間に平和条約を締結しなければならない。」、これが先方の態度でございます。そこで国交正常化、貿易再開がいわゆる正常化の第一歩である、最終段階は平和条約の締結と、これに先だち日台条約の解消でありますが、その中間にもとよりいろいろな大きな政治、外交の問題があることは、これは言うまでもないことであります。それがすなわち、ただ単に日台条約の問題だけではございません。安保条約の問題もそこに伏在しておることは、これははっきり認めなきゃならない。しかし、そうだからといって正常化については何にもやらない、こういうような一体態度でいいかどうか。少くともそれは再開についての明確なる三原則、こういうものが与えられているときに、その三原則の意味をどう解するか、これらの点についての掘り下げが当然に行われなければならない。また中国の廖承志君と日本記者団との会見した記事をお読みになってもおわかりになりますように、なるほど日本の外交路線について非常な危惧を持っております。従って、国際連合中心主義というのは、いつまでも中国が朝鮮戦争における侵略者だという態度をとっているのではないか。台湾との条約に固執するということは、これは中国としてはなはだ不愉快な非友好的な態度だと述べておるが、しからばその問題が解決されなければ貿易が開かれぬとか、正常化の第一歩すらこれを拒否するということは一つも言っていない。むしろきわめて含みのあることを言っておると思うのであります。ところが、総理大臣の少くとも淺沼君に対する応酬を伺っておりますると、あたかも中国側はこの正常化の条件として、日華条約を直ちに廃棄することを要求している、そんなことはできない、こういうような返答をされている。これは私は総理みたいな明快な法律的な頭の人がおっしゃったとしては、これはむしろはっきり申し上げれば、これは曲解である。中国側の正しい意図に対して政府がこれをどう見るかはいいですけれども、これは正しい意図でなくて歪曲して、そこまで現在要求しているのだから、それは貿易なんかもあきらめなさいと言わぬばかりの作為的な意図がありはせぬかと思うくらい、われわれとしてはわかりません。この点についての総理の御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。先般淺沼君初め皆様が中国をたずねてお帰りになってその報告を聞きました。私は先ほど来申し上げているように、日中間の現在の状況をこのままに推移することは望ましいことでないから、これを打開するという考え方を終始持っておるわけでありますから、この訪中団の一行のお話に対しては、きわめて真摯な気持でいろいろとお話を承わって参ったのであります。いろいろ今曾祢委員がお話のように、中国側の態度については、一つの幅がある考え方であるというふうなお話も確かに承わったのであります。しかしながら、今日において、この政治と経済とが不可分であり、むしろ国交正常化の話をせずして貿易の話というようなことは考え得られない。もちろん今お話のように、あらゆる外交の手続であるとか、あるいは交渉の段階というものももちろんあることはお話があった通りでありますけれども、しかしながら従来日本がとっており、またわれわれとしてはこれは動かすことのできない一つの外交路線と考えておるものに対して非常な大きな外交路線の変更なくしてはできない今の国交正常化という話を、この段階において政府間においてするということは、私はそれはとうていできないことじゃないか。日米安保条約のいわゆる三原則という問題に関しても、われわれは敵視政策をとっておりませんということを言っても、あなたは、安保条約自体の改定ということが中国に対する敵視政策の一つの表れだと中国側が考えているのじゃないかという点に関しましても、御意見を承わったのでありますが、やはりそういう点は中国側から見れば、今もお話がありましたが、安保条約やあるいは日華条約の問題は非常に不愉快であり、やはり日本が非友好的な政策の一つとして、そういうものをとっているのだという考えが根底にあるのであって、それを変更せずしては、実は敵視政策をいかにとっておらないということを言っても、これは向う側としてはとうてい信じないというような状態であるということが明らかにされて参りますと、今日の状況で、われわれは少くとも、日本の安全保障態勢として安保条約態勢というものを、これを解消するとか、あるいは廃棄するということの考えを持たないし、これを合理的に改定するという方向に向って進んでおることは、これをわれわれが変更するわけにはいかない。あるいはこの中華民国との関係の日華条約につきましても、これを廃棄する方向において、われわれが今日いろいろな言動をするということは、私はやはり日本の立場としては適当でないことでありますから、そういう意味において、今日政府間において国交正常化の問題を中心として、あるいは貿易の問題というようなものの行き詰まりを打開するということは、とうていわれわれとしてはできないのじゃないか、ここに非常な困難があり、われわれとしては今日の状況でそういう方向でこれを解決するということは、とうてい政府としてはなし得ない、こういうふうに実は考えておるわけであります。
○曾祢益君 これは論理の遊戯になってはいかぬと思うのですが、総理は同じ衆議院の予算委員会の御答弁において、国府との間には国交――当時中国を代表する政府として条約が結ばれたことは事実である。その後の変化についてはこれを調整し矛盾をなくしていくことがいい。が、中国大陸との関係はあくまで積み上げ方式により平和的に解決をしていくことが現実に即した方法である。まあ若干の字句の違いはあるかもしれないが、そういう趣旨のことを言っておられると思うのです。私はここに、少くとも総理が前段に言われたところは、総理みずからも中国の実権が、すでに台湾ではなくて、大陸北京に移っていることを認めている、事実として。しかもその矛盾を調整しなければならないということも認めておられるものと私は解釈する。しからば、後段の「積み上げ方式」云々という言葉は、これはあとでさらに論じたいのですが、私はこの表現は適当でないと思いまするが、少くともその調整と矛盾の解決は逐次段階的に北京政府との国交を正常化する方向に向うと、こういう造本的な方向は実は認めている。がしかし、そのことをどう表現するか、またその結果のいろいろな外交上のはね返りに苦労しておられるのではないか。これは非常に買いかぶっているかもしれませんが、一体そこら辺のことをほんとうにどう考えるのか。もし三原則の内容等について今いろいろ総理から伺いましたが、この点については、さらにあとでもっと明確なる応答をしたいと思いますので、今申し上げた、総理みずからも台湾条約は現状に適しないのだと、すなわち大陸には中国を代表する政権があるのだ、この事実はもう否定できないのみならず、この矛盾を調整するという努力がされなければならぬ。ただその方法は積み上げ方式という表現は悪いけれども、逐次段階的にやるべきだ、こういうことを言っておられるのじゃないかと思う。もしそうならば、私どもはその方向は、これはそれこそ現実に適した方向で、その方向を支持したいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(岸信介君) われわれも中国大陸をこの北京の政府が事実上支配しておる、その事実が漸次強固になりつつあるというこの現実を全然無視してわれわれは考えるべきでないことは言うを待ちません。しかしながら、これを調整するのにおきましては、われわれが従来とつてきた外交政策の上から考えまして、またわれわれが常に外交方針の基調として考えておるところの国連中心主義の考え方から申し上げましても、私はこれの解決というものは、そういう政治的な解決はやはり国連を通じて国際的に解決されない限りにおいては、一国だけでもってこれが解決される状況にないことは言うを待たないと思うのであります。こういう意味において、そういうことが今日の現実の状況として取り上げていく上におきましては、やはりそういう諸種の関係が調整されるということが前提であり、その間においてそれでは一切の――その間はそれが解決されるまでは中国と日本との関係は一切断絶だということがそれでは適当であろうかと言えば、私はそうではない、やはりその解決される、調整されるまでの間に、両国があるいは人的交流をし、文化の交流をし、経済の交流をして機会を進め、友好的な関係を作り上げていくということがこれらの国際的な問題を調整し、解決するやはり道であるというのが、私どもの考え方でございます。
○曾祢益君 そこで、政府が基本的には、今もお話があったように、中国の実情に即して北京政府との間に国交の正常化をしていかなければならぬと、こういう大体の方向は考えている、ただ、それの場合に三原則という問題が、率直に言ってどこまで三原則が政策転換を要求するのか、これらについての不安が――もしこういうことであるならば、ただ単にこれを座して静観しているべきではなくて、政府の意図も国交を正常化していくという、あるいは友好関係を増進するという方向は考えるというならば、この三原則というものについてもっと掘り下げをやり、あるいは政府の責任においてその意図を確かめるという積極的な努力がなされなければならぬ。そうでなくて、言っておられることはいかにも何人に対してもそつがないけれども、実は三原則がこうではない、それを最も厳重に解釈する、だから実際には手が出せない、そうして国連の決定待ちと、これは日本と中国とのこの歴史的な、地理的な関係だけから見ても、これは日本の外交の路線としてとるべきではない。日本だけですべての問題を解決することができないことは言うまでもないが、ただこれは国連待ちというのは無為無作の、アメリカにドー・ナッシング・ポリシーというのはまさにドー・ナッシング・ポリシーです。そうではなくして、当然に真意を確かめようとなぜなさらないのか、いろいろな方法があると思う、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(岸信介君) 従来この国会におきまして、貿易を再開するために、大使間の会談もわれわれは適当であると見るならば、そういう方法も一つ考えていきたいというようなことを申しております。私どもは、あらゆる面からこの中国側の真意をも確かめ、またそういう打開についての適当な手がかりと申しますか、チャンスと申しますか、そういうものを見出し、これをとらえてこの打開を推進していこうということは常に考えておるところであります。私どもは今回の社会党の訪中団のこの一行が向うに行かれて、いろいろ話し合いをされる場合におきましても、これは一つのそういう向うの真意を確かめるチャンスでもあるし、また日本側のわれわれの考えている正しい理解を向う側に与える絶好の機会でもあるし、こういうことが両国の行き詰った関係を打開する場合におきまして、一つの手がかりとなることを私どもは大きく期待しておったのであります。しかし、結果において今日のところにおいて、直ちにこれが非常に私どもの期待しているようにいったかどうかということについては、私どもは実はむしろ予期しただけの効果を得られなかったことを遺憾に思っておったのでございますが、しかし、この場合において中国側の意向というものもある程度わかっております。ことに曾祢委員のお話で見まするというと、あるいはこの共同声明やその他新聞に報ぜられたことと違って、中国側の態度には相当の柔軟性といいますか、幅といいますか、そういうものもあるということも承わったわけであります。そういうような考えのもとに今後適当な手がかりを見つけて、そうしてこれを打開していくというふうに努力をすべきものである、かように考えております。(発言する者多し)
○委員長(木暮武太夫君) 静粛に願います。
○曾祢益君 野党が発言したときだけ静粛に願いますはいかんですよ。
 もう、総理のお話はいつでもきわめてそつがないのですが、私はたとえば藤山さんに、一体向うに言ってる敵視政策というのは、安保条約のことも含むのか、こういうことを質問したら、これは含むようであり、また含まないようである。つまりこの点は、三原則の中に貿易再開の条件として安保条約の破棄なり、あるいは解消なりを条件としていると解釈しようというのは、これはそれこそ歪曲であって正しくない。だから私は総理が、私から中国の柔軟、あるいは段階的な態度を聞いて喜んだと言われますが、ただ誤解のないようにしたいのは、私は三原則によって、及びこれに基く対応する措置をとることによって貿易の再開ができる、それは間違いない。その場合に安保条約の破棄だとか、日台条約の破棄を要求していないというのは理の当然ではないか、そこで国交調整には段階があるのだ、こういうことを申したのでありまして、安保条約の問題なんかを引っぱってきたり、日台条約を引っぱってきて、そうしてこれを要求しているのだからできないなんという従来の逆宣伝的な言い方はやめてもらいたい。これはやはり事実を正確に見て、その上に立って政府がやっていかなければ、一つの政治としてのわれわれの論争点になるのですが、そういう変なやり方はぜひやめてもらいたい。
 そこで、では三原則のいま一つに、二つの中国の陰謀に加担しない、という問題があります。これも心配すれば限りないのです。それだったならば、台湾との条約を今破棄することを要求していいはずです。これはそうでないことをすでに昨年の九月、佐多君がもたらした報告が明瞭に示しているじゃないですか。当時、佐多君がもたらした報告の中には、このいわゆる二つの中国の陰謀に加わらないというその証拠としては、日本政府の態度表明が次のようであればいいと言っている。すなわち、日本政府は中華人民共和国との正常な関係の回復を念願し、そのために努力する、私はこの表現まで政府に押しつけようなんという気持はありません。しかしその基本的精神というものはここに現われているのじゃないか、それを曲解して何もしないというその態度は、ほんとうに国民の上に立った外交ではないと私は思う。そこで私はどうしても三原則を確かめ、私は認められると思うのですが、そうしてその上でまず貿易を正式に再開するための――しかしこれは貿易だけの話ではありません。貿易を再開する目的のための政府間の政治会談を行うべきだ、こういうふうに考えまするが、この点についてあらためて総理並びに外務大臣の所見を伺いたい。
○国務大臣(岸信介君) 私どもこのいわゆる三原則に示されておるような敵視政策であるとか、あるいは中国の、二つの中国を作り上げる陰謀であるというような、あるいは両国の国交正常化を阻止するような方策をとらないというようなことは、従来とも、われわれ自身が敵視政策をとった考えもありませんし、あるいは二つの中国というような陰謀や、あるいは国交の正常化を特に妨げるというような策をとったことは、私どもはない考えでございます。しかしながら、今まで申し上げましたように、日本が自由主義の立場を堅持し、アメリカとの協力関係を強化していくというこの方針なり、あるいは国連を中心に、われわれの行動を国連の憲章の精神に基いて尊重してやっていくというような基本的な外交政策の考え方は、われわれが一貫して持っておるわけであり、私どもは、それが今日においては国民の大多数によって支持されておる日本の外交方針の路線であると考えておるのでありまして、これを特に、われわれは従来の路線を変えるのだというようなことを、何らかの形で声明するとかというようなことは考えてはおらぬのみならず、また、具体的に今お話がありましたが、安保条約やその他の具体的の問題について、これを政治的な立場から解決する、解消するというようなことは、これまたできないことは言うを待ちません。しかしながら、貿易の再開についてわれわれが非友好的な考え方であるとか、あるいは永久に中国大陸におけるところの、北京政権の、いわゆる中華人民共和国のこの統治しておる実態をわれわれが無視していこうという考えでないという立場さえ十分了解がつくならば、われわれとしては、一日も早く、貿易の再開は国民の要望しておるところであり、またこれは両国の繁栄のためにも役立つことであり、さらにそういうことが打開されて貿易が開かれるならば、両国の友好と理解がさらに大きく増進されるということを信じておりますから、従って、これに対しては政府間において話し合いをすることもわれわれは辞せないと言ってきております。しかし、それをどこにおいてどういうふうな方法で具体的に実現していくかという問題に関しては、なお政府としてはいろんな点を十分に見きわめをつけて、必ずこういうものが成功するという見通しを立ててその交渉に入っていくべきものである、こういうふうに考えております。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私はあまり頭がよくないかしれませんが、実は共同声明その他を読みまして、必ずしもただいま曾祢委員が言われたような解釈が完全にできるとは実は思っておらなかったわけでありますが、ただいまお話のような曾祢委員の解釈でありますと、従来からの線とそう違わない線が出ておるのではないかと思うのであります。むろん総理が言われましたように、今日、日本が外交路線を変えるわけにいかぬことはむろんであります。たとえば中華民国との関係を断絶するわけにも参りませんし、また、私といたしましては、安保条約が適当であると、今日の改正そのものをストップするわけには日本のためにいかぬことむろんだと思います。そうした現在の実情というものを、はっきり日本の立場というものを理解するという上において政治的な話し合いをするのだ、社会党の行かれたときにちょうど社会党の主張を述べられてそれに対する向う側の、ある程度その上に乗った意見でありますが、自民党の持っております意見を申し述べる、そうしてそれによって向う側が理解をするかしないかという問題は、今の曾祢委員のお話からすれば、あり得ると思います。そういう場合ならば、あるいは適当の機会に自民党の議員団が行って、そうして自民党の主張を述べて、そうして向う側がそれに対して、今、曾祢委員が言われたような案を示すのか示さないのかということを聞くことは、これは必要なことではないか、こう思っております。(「いつ派遣する」と呼ぶ者あり)
○曾祢益君 私は今、藤山外相が言われたことについて誤解があるといけませんから、はっきりしておきたいんですが、この点はさらに私の質問の中でもやりますが、今までと同じだと、私の話を聞いておると。コミュニケを必ずしもそうは解釈されないが、これは私は同じでないということを言っている。つまり貿易ですね、積み上げ方式というものはもうこれはだめだと、こういう言葉及び考え方、その積み上げ方式というのはどういうことかというと、民間の交流から民間協定、それから政府間の個別協定、そのあとで全面的な国交調整の条約を結ぶ、こういうやり方は、向うは、やり方自身が悪かったんじゃなくて、岸政府の敵視政策によってできなくなった、もうこれはだめだ、こういう立場をとっているんですから、総理も外務大臣も、貿易のための話し合いだけをやろうという考えは、これはだめなんだということを、私どもは口をすっぱくして言っている、これは。ただ貿易をやるために必要なことは、政治を語る、いわゆる三原則を――明らかに三原則に関する承認の態度をもって、そうして貿易をやろうということならば、道が開かれる、これは私ははっきり申し上げておるんで、そこに直ちに安保条約の少くとも廃棄あるいは日台条約の即時廃棄という問題はないんだということは、第一段階にはないということは、これは私がはっきり申し上げているわけです。従いまして、そういう点について変に誤解があることは避けたいと思いまするから、私は自民党がお使いを出されるのはけっこうだと思います。また、いろいろな政府としてとらるべき確かめの方法はあろうと思います。要は、総理はさっきは大陸との関係を調整しなければならぬ、台湾の主権を認めたことが矛盾であるということを言いながら、いわゆる日本政府は中華人民共和国との正常な関係を回復することを念願し、努力するということすら言わない、これは私は矛盾であろうと思う。しかし、その点は議論でありまするから一応やめまして、やはり三原則を認めた上に――まず貿易を再開するための三原則を認めることが、政治に触れておりまするから、政治と経済のための会談をぜひやるべきである。その前に確かめたいことがあるというなら、政府の責任においてどんどん確かめたらいい、こういうことを私は申し上げておるのであります。そこで、この政経――政治経済が分離できない、あるいは当面政治が優先するという周恩来氏の演説に一体……。総理は、十七日の日本商工会議所の総会でこういう趣旨のことを言っておられる。政治経済の不分離とは、わが国と台湾政府との間の日台条約を破棄させようというねらいであろう。私は、これこそ周恩来氏のあのときの発言が何であったかを率直にお読みとるならば、そうでなくて、むしろ藤山さんあるいは高碕さん、こういうまあバンドン・グループですかね、こういう人から経済の話をしようじゃないか、貿易の話をしようじゃないか、大使会談をしようじゃないか、貿易の方だけをやろうというような誘いかけは、これには応じませんと、これには。そうでなくて、政治をも語ろうというのですか、それならばどうぞと言って、まあドアを完全に開かないで、ドアをぷらんぷらんさせておるというような……。一つの甘い政経分離論を否定するとともに、政府対政府の政治会談に対してドアをぷらんぷらんさせておる態度だということは、これは明々白々たる事実です。今共同コミュニケをお読みになり、私どもの説明をお聞きになった総理としては、まさか、この日商総会におけるような、政経不分離とは日台条約を廃棄させようというねらいだろうと、そういうような、何といいますか、無責任な、大衆目当てのようなことはお考えになっておらないと思います。総理と藤山さんはこの点どうお考えであるか、はっきりと伺いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 中国において政治と経済を不可分であるといい、政治が優先するのであるというこの議論に対しまして、曾祢委員はお帰りになってからいろいろとその真意についてお話がありまして、今もお話があったのでありますが、しかし、先ほども共同コミュニケにおいて読まれておるように、私は中国の政治問題ということは、ただ漫然と政治も語るというようなことで政治経済不分離というようなことがいわれておるわけではなくして、やはり国交正常化、その精神は中華人民共和国との間に、先ほどもおあげになりましたように、平和条約を結ぶのだ、その前提としては台湾との間にある日華条約を解消せしめるべきである、こういうことが政治の話の骨子であって、ただ一般にばく然と政治を語るというような意味において一緒に話すならば、経済のことは話すが、一切政治のことを話さないというようなことではなくして――広く一般に抽象的に政治の問題も話すのだというような、ぼんやりした意味ではなかろうと私は思うのであります。そういう意味において、やはり中国側が常に強く日本に対して政治経済は不分離であり、政治問題を解決しなければならないということを優先的に考えなければならぬと言うことは、今申したように、この国交を正常化すことであり、そのためには平和条約を結ぶことであり、そのためには日華条約を廃棄、解消することだということは、一貫した論理であって、従って、その点が中国側が言っておる政治経済の不分離であり、政治優先の話でなければできないということの私は意味であると、今でもそう考えております。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私も総理の言われました通り、政治と経済を分離して話せないということは、今日までの認識でいいますれば、安保条約をやめてこい、率直にいってですね、安保条約をやめてこい、あるいは台湾との条約を廃棄してこい、こういうふうに私どもは考えておるわけです。それでは行って話はできぬ、日本の立場として今日そういうことはできないのだ。それは理解できるのか、日本の持っておる立場、外交路線を今変えるわけにはいかぬという立場を話すという意味における政治を話すという意味ならば、これは私は一つ話し合いしてもいい、それを理解するかされないかは別として……。そういうふうに考えております。
○曾祢益君 通産大臣。
○国務大臣(高碕達之助君) 曾祢さん御承知の通りに、われわれがバンドン会議に参りましたときには、当時の日本の情勢は台湾を中国の代表として認めておる、日本はアメリカとの間に安全保障条約があるということがはっきりしております。また当時の中国事情は、台湾と離れて中華人民共和国ができて、それはソ連との間に中ソ同盟条約を結んでおる、この事実もあったのであります。そのお互いの立場をよく尊重し、お互いの政治機構というものをお互いに尊重し合って、それでお互いに内政に干渉しないということをよく申し合せて、そうして両国との間に文化的なり、あるいは経済的な提携をしていこうじゃないか、そして日本が日も早く国際連合に加入することを努力しようじゃないか、こういうことがあのバンドン会議で結ばれたのであります。それ以来私どもが考えておりますことは、日本国民は中華人民共和国に対して何ら変った考えを持っていない、先ほども岸総理がおっしゃったごとく、何ら敵対行為を持っていない。また何ら二つに分れている中国のその一方に参加するというようなことはしていないということは、はっきりした事実であります。にもかかわらず、こういう、どうも政治と経済とは分離できないのであって、従前の積み上げ方式がいけないというと、そこに中華人民共和国の方針が変ったかのごとく考えますが、日本といたしますれば、バンドン会議以来終始一貫、ちっとも変っていないと私は信じております。
○曾祢益君 どうもいろいろおっしゃいますけれども、これは確かに中国の態度は、私は日本の態度が主となって変ったのだと思う。いつまでも民間交流、民間協定から政府協定になどというようなことをやっていて、政治的に人民共和国との間に国交を正常化するという基本的方向で、いわゆる前向きの姿勢で努力するどころではなく、かえって……。日本が変っていないとおっしゃいまするが、昨年の世界の事態を考え、金門、馬祖の事態を考え、安保条約の改正の問題を考えたときに、向うが日本の岸内閣の政策がもう信頼できないと考えることも、これは私は無理からぬ点もあると思う。自分の方は一つも変ってないのに向うが変ったからけしからぬということは、これは私は成り立たないと思う。今、藤山さんのお答えはきわめて要点に触れたお答えだったと思うのですが、私は明瞭に申し上げますけれども、あなたは政治会談、政治を論じてもいいけれども、日本の立場、つまりこの安保条約を直ちに解消するとか、日台条約を直ちに解消することはできないということはわかってもらいながら話すのだ、こういうことを言っておる私はさっきから何回も言っているように、三原則を受諾し、それのために措置をとるということは、これは安保条約の即時解消、日台条約の即時解消を意味するものではない、何回繰り返してもその通りであります。ただ問題は、向うがなぜ日本の岸内閣の政策を敵視的と見ることになったかというと、今申し上げたような金門、馬祖の問題、安保条約の改定の問題がああいう環境と雰囲気の中に行われたことは、これは非常に不幸なことてあって、向うとしては心配しておることは事実であります。だから安保条約の改正は、交渉は、やめてもらいたいということは事実であります。しかし、いわゆる政治を交えた会談にいくと、直ちに日台条約の破棄あるいは安保条約の破棄を即時言わなければ話に乗らないという言い方は、やはりいやだからやらないということの口実に使っているだけで、三原則にそういうことはない。しかし、これは第一歩であるから、方向としては、中国大陸の主人であり、中国全体の主人である中華人民共和国との間の国交調整に努力する、この基本的な政治方向は、これは当然必要だ。あとは一つ相談するというのが私は向うの態度を正しく解釈するものだ、かように申し上げておるのであります。
 幾ら申し上げても逃げ口上ばかりで話が進みませんから、次べ進みます。
 そこでいま一つ政経不分離の問題について、政府の言い方、私は非常にこれまた最も典型的な、顧みて他を言う言い方ではないかと思われる。というのは、こういうことをよく言われる、それはどうも政治と経済と一緒でなければいかぬと言うけれども、それはおかしいじゃないか、西ドイツやフランスはどうなんだ、西ドイツやフランスはやはり人民共和国と国交を正常化していないのに貿易を許しているじゃないか、なぜ日本にだけそういうことを言うんだ。これはちょっと大衆向けの選挙目当ての演説だと思う。私はそんなことはこの参議院の権威ある予算委員会における総理や外務大臣と私たちの応酬では許されないことだと思う。あなた自身がよく御承知だと思う。総理は淺沼氏に対してこういうことを言った、中共が日本に対して政経不可分と言うのは、ほかの意図があると言うほか仕方がない。これは何を意味しておるのか。一体総理は、NATO諸国ですね、西ドイツ、フランス、それと中国との関係、なるほど承認しておりません。また、日米安保体制下にあって、そうして総理の言葉を聞いても、政策としては今核武装しないけれども、憲法では核武装がある程度許されるのだ、自民党の基本政策として国会の議決によって永久にいかなる核武装もしないなんかということに縛られたくないという、こういう日本の場合と、中国が取扱いを変えるということは、ある意味では当りまえじゃないか。西独が今中国を承認しまいが、フランスが承認しまいが、これは中国にとって大して大きな問題じゃありません。だから、こういったようなNATO諸国と日本とを対中国関係において同じだというような議論は、これは私はまじめな議論でないと思うのです。どうお考えですか。
○国務大臣(岸信介君) 今お話がありましたように、中国が、要するに政治と経済が不可分のものであるという議論は、いろいろな各国に対する政治情勢やあるいは政治的な立場等から、ある田に対してはそういうことを強く言い、また、ある国に対してはそういうことを全然言わぬということもあり得ることは、曾祢委員みずからも現にNATOの国々やあるいはオーストラリアあるいはカナダ等に対する中国の立場と日本に対する立場は違うんだ、こういうことをお話しになっておることでも明瞭であります。私は、そのことを言っておるのであって、政治と経済が不可分であるというのが、論理的にもしくは実際的にこれは可分にすることができないものだ、こういう理論的のなにがあるわけではなくして、これにはやはり政治的な考え方が、そのなにがあるのだ。日本の立場に対して、日本をしてはどうしても中国との国交を正常化し、日本においての日華条約やあるいはアメリカとの関係の安保体制というようなものに対して、これを変更してもらいたい、もしくはそれを、今までの進め方を変えてもらいたいという意図から出ておるものと想像せざるを得ないということを私は言ったのであります。今の御質問の中にも、そのことは当然出ておるように私は思いますので、決して衆議院でお答えをしたことが、私は間違っておるとは思わないのでございます。
○曾祢益君 もうこういう議論をしていても、誠意のある御答弁とは思われません。私は段階的にやり得るということを明白に証明したけれども、何かと言えば、最後のところまで、とことんまですってんてんになっちまうからやらないのだ、こういう論理でのお話ですから、これは平行線です。
 次に、重要な問題として、これまた大きな論争点といいますか、論点になっているのは、相対立する軍事ブロックのこの問題です。すなわち、言いかえるならば、日米安保条約と中ソ友好同盟条約との関係であります。繰り返して申し上げる必要もないのでありまするが、私ども第一回に五七年に中国へ行きましたときに、共同コミュニケにはっきりと書いてあります。それは、アジアにおいて相対立する軍事ブロック体制を解消して、そうして日中米ソを含む平和保障体制を作ることが望ましい。私どもは、その基本的観念を今回もはっきり貫いておるのであります。第二回の共同コミュニケをごらんになっても、いろいろ字句的の問題がございまするが、要するに、われわれとしては安保体制は打破しなきゃならない、安保条約の改正はこれは反対だ、解消しなきゃならぬ、そうしてこの努力と並行して、われわれとしてはあらゆる手段を講じて日中米ソの四国の集団安全保障条約を作る、この集団安全保障条約ができる過程において、日米安保条約も中ソ友好同盟条約の対日軍事条項もこれは解消し、あるいは効力を失うと、こういう立場を明確にして参ったつもりであります。ところが、総理のこの問題に対する応酬ぶりは、これまた何といいまするか、あげ足取り的な歪曲的な解釈をしておられるようであります。たとえば、これまた淺沼君との応酬の一こまでありまするが、中国側はまず日本が裸になれ、そうしたら自分も裸になろう、こういう態度に出ていると、まあこういうことを言った。中国自体がまず手本を示すから日本もならえというならば信用できることだが、現実はそうでないと言った。私は今申し上げましたように、私どもの共同コミュニケの正確なる解釈として、四国条約ができるときには、あるいはその前にも、二つの対立する軍事同盟は解消する、こういう基本的な態度に立っておるのであるから、お互いに自分の方が先に裸になれとか、お前だけ先に裸になったらおれは裸になるというような言い方をしているのではない。現にそうでない。もとより私どもは、日米安保条約なり中ソ友好同盟条約の解消と、今申し上げました四国集団安全保障条約の締結が、今直ちにできる、容易にできると言っているわけじゃありません。そういう点についての社会党の方針についての御批判ならば、私どもは、それについて批判は批判として受け取る用意があります。ところがそうじゃなくて、総理の言い方は、まるで中国側が、お前だけ裸になれ、先に裸になれと言った、それはけしからぬじゃないか、むしろ中国よお前こそ中立になれ、裸になれという、挑戦的と言ってもいいような言い方をされておる。これは私は、日本の総理の態度としては、はなはだ遺憾にたえない。あらためて私が申し上げるまでもなく、たとえばNATO条約とワルシャワ条約との関係を考えても、まじめに東西の首脳部が話し合うときに、お前の方が先にNATO条約をまず解消してこなきゃ話にならぬ、あるいはワルシャワパクトを先に解消してこなきゃ話にならぬ、そんなことで外相会談や頂上会談ができるはずもないし、現実に東西の間にいろいろの外交の応酬はあっても、そういう子供らしい言い方をしている一国の総理はないと思う。この点について総理のもう少しまじめな態度を表明していただきたい。われわれは、日本の軍事同盟の方もやめていこう、中国もいろいろわれわれも誤解を与えたであろうし、歴史的の理由はあったろうけれども、それがやまって四国条約ができるならば、中ソ友好同盟条約の対日軍事条項を失効させるというこういうことを言っていることを、すなおに受け取って、この点を解釈すべきである。その政策に政府が賛成してないというのはいいけれども、中国にただ泥をかけるような無責任な言い方はやるべきでないと思いますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(岸信介君) 私は淺沼君との質疑応答において、今お話があったような趣旨で言ったつもりではないのであります。私は、こういう問題はお互いが信頼関係に立って、お互いがお互いの政策としてとるべきかどうかは別として、この対立した現在の状況においては、両方が謙虚な形においてそういうものをなくして、こういう形を作ろうじゃないかという話し合いができることは、それは、その方針をとるかとらないかは別として、そういう態度であるべきだと思います。昨年来、中国が、日本の中立政策をとるべきことをいろいろな形で言っておるけれども、これはお互いがすべて中立政策をとり、そして世界の対立を解消しようという動きか国際的に出ることは、これは望ましいことであり、また、お話のように、首脳部会談を開いてそういう緊張を緩和するためにそういう立場をとろうというような動きがあることがその一つの証拠であります。しかしながら、今回のこの共同声明を見ますというと、われわれの、日本側に対する安保条約の解消や何かははっきりと言われておりますが、そういう中国側における、これはお互いに中国の方でもこうするし日本の方でもこうしようじゃないかというような共同声明にはなっておらない点に、私は私の目を注いで、そうして淺沼君の御質問にお答えをしたわけでありまして、決してまず君の方から裸になってこいというような意味で申したわけではないのでありまして、今度の共同声明を見ますというと、そういう点に関することが私は明瞭に出ておらぬ、こう申したわけであります。
○曾祢益君 これは、しいて曲解しようとすればそういういろいろなあれはあるでしょうけれども、私は明瞭に申し上げておきましたように、第一回の共同コミュニケと全然同じである。すなわち四国条約というこの集団安全保障条約を目途とするならば、いずれも相敵対的な軍事同盟はやめる、そういう趣旨をはっきりと貫いたものであるので、この点は、総理のただ単に中国に対するお前だけ先にやめてこいという態度はとらないのだということは、私どもはまさにそうでなければならないと思うので、了承しますが、社会党のことについてもそういう無責任なる、あと足で泥をかけるようなことはやめてもらいたい、かように考えます。
 そこで、私は論点をいささか変えまして先ほど来の私の論述の中で、政府はいろいろ言っておられまするが、日米安保条約のただあったという時代と、それの改正――いわゆる改正です、この問題とで中国側の日本に対する見方というものは非常に変ってきたことは、これは歴然たる事実でございます。そういう点から、安保条約についてごく簡単な結論的な重点だけを伺ってみたいと思う。
 第一に、私は、この点を指摘しながら総理並びに外相の意見を伺いたいのは、私は安保条約の改正の――まあわれわれは反対でありまするが、いずれにしても安保条約改正問題をとらえた時期というのが非常に政治的にまずかった。金門、馬祖の緊張、その時期に安保条約の改正といえば、しかもなお当時の日本政府の考え方、総理の答弁から見ても、沖縄を含むという方向がかなりはっきりしておった。しからば向うから見れば、これはNEATOの結成であり、核兵器の、あるいはロケット基地を拡大するものであって、これは従来よりも一そう中国に対する激しい軍事的攻勢態度をとるのではないか、こう思ったことは、これは事案です。私は率直に、改正を取り上げた時期がまずかったということをお考えであるかどうかを伺いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、何か台湾海峡に問題が起ったときに取り上げたというふうに曾祢委員は御了解になっているようでありますけれども、第二次岸内閣のできましたのは六月の十日であったかと思う、私はその直後から、日本とアメリカとのこれからの友好関係を持続していくことが、日本の外交路線の一つの大きな筋でありまして、その基盤をなすものは安保条約だと思っております。従って、安保条約に対するいろいろなる批評、また日本の持っております弱点というものを改善していくことが、やはり日米の間の非常に強いつながりをつける一つの方法ではないか、こう考えてこれを取り上げたのでありまして、当時七月の初めにむしろワシントンに行きたいということを言っておったのであります。決して台湾海峡が起りましてから突然これを取り上げたわけじゃありませんし、七月以来、事前的にマッカーサーとも打ち合せをしておったのでありまして、たまたまワシントンのダレス長官の都合が九月でありましたので、九月に延びましたけれども、そうでなければその年の七月の初旬に取り上げておった問題だと思います。
○曾祢益君 外務大臣には失礼ですけれども、それは日米関係だけを見てのお話であって、日米安保条約が何に対抗したものであるかということを言えば、これは言うまでもなく中国、ソ連その他の大陸に向けたものであるわけでありますから、アメリカ関係だけを考えて事務的にやったということは、いやしくも日本の平和と安全を総合的に考える外相のお言葉としては受け取れない。やはりこれがより刺激的な方向にならないようにということは当然に――改正問題を取り上げるにしてもそのはね返りが大陸にはどういう影響を与えるということを考えていかれるのが当然ではないか、これは私の意見であります。
 そこで、安保条約の問題で私はアメリカの人なんかによく聞かれるのですが、一体日本は何をしておるかわからぬ、交渉を始めておいてそうして政府の意見すらきまらない、まだ党内の意見と政府の意見の調整ができない、こんな外交の推移というものは、私は日本の歴史にもない、いわんや外国の歴史にはないと思う。これからまだ調整する、交渉してから調整する、こういうことは、いかに政府が全くの思いつき的に、何らの準備なく、確信なくやったかを明瞭に示しておると思う。
 そこで、この段階においてごく重点にしぼって三つばかり御質問いたします。少くとも沖縄を含まないということをはっきりおきめになるおつもりであるかどうか。これは外務大臣の気持の方は大体そっちのようですから、総理からはっきりした御言明を伺いたい。
○国務大臣(岸信介君) 私はこの安保条約の改定の問題についていろいろな論議のありまする場合に、沖縄、小笠原の問題が今度の改定の一つの問題点であるということはよく承知しておりまして、これに対する手は、十分世論を聞いた上で決定をしたいということを申して参ったのであります。しかし今日においては、大体これに対しては、この入れるという方に対するいろいろな国民の批判等も十分に頭に置きまして、最後の結論としてはアメリカ側と十分に折衝してみたいと思っておりますが、大体入れない方向で進んでいきたい、こう思っております。
○曾祢益君 もう一つ、この点が非常に私が重要だと思うのは、これは特に藤山さんの考え方に――まあ岸さんが、初めやや安易に、憲法の範囲内ではあるけれども、相互防衛条約の方向を実は考えておられたように思う。その後、そういう考えが国民の反対にあって、簡単に言えば基地貸与協定的性格のものとでも申しますか、そういうふうに変っておる。ところが藤山さんのお気持あるいは党内のいろいろなあれもあってでしょうが、少くとも日本に駐留するアメリカ軍に日本防衛の義務をはっきり書かせよう、こういう考え方から、しからば日本に駐留するアメリカ軍に日本防衛の義務を書かし、日本に攻撃が加えられた場合、あるいは日本におけるアメリカの軍事基地に攻撃が加えられた場合に、日本の自衛隊がアメリカと共同して守るということの方はすっ飛ばすということは、これはどう考えたって条約の形からいってもおかしい。そこであまりアメリカの、有事の際に日本を応援する義務をはっきり書かせようとするあまり、再び話が戻って、日米の、日本地域、たとえば沖縄を含まなければ日本本土ということになりましょうが――に限っての共同の防衛義務をはっきり書こうという方向に進んでおるように考える。しかし、これはゆゆしきことではないか。ことにそういうことになってくると、いわゆるヴァンデンバーグ決議という問題に、必ずそこに触れてこなければならない。これはもしヴァンデンバーグ決議をここで引用するとなると、日本の憲法の精神からして共同防衛について、私は日本本土についてすら、さような観念は私はないと思うのでありまするが、いずれにしてもヴァンデンバーグ決議のいま一つの重要な点は、日本の国防力を維持し、発展させることが従来保守党の諸君がいっておられた、憲法に許された自衛の範囲であるから日本みずから守るのが何が悪いのだという議論から飛躍して、ヴァンデンバーグ決議の国防力の維持発展は、自助並びに相互援助のためであることをはっきり書いている。しからば、日本の憲法から見て、その条文と精神から見て、いわゆるやみの軍隊といわれておるけれども、少くとも自衛のための軍隊であるということで、のがれてきたのに、今度は自衛と他衛の分とを含めての防衛力を持つということが、むしろヴァンデンバーグ決議を、その点を書くならば、これは非常に大きな憲法問題が起こるということを私は常に指摘しておったのですけれども、この点についての明確なる外務大臣、総理大臣のお考えを伺いたい。
   〔委員長退席、理事堀木鎌三君着席〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) ヴァンデンバーグ決議というものは、アメリカがこの種条約を結ぶときの一つの方針として掲げたものであることは御承知の通りでございます。ただ日本とアメリカとの今回の安保条約の改正に当りまして、日本の憲法の範囲内であるということは、これは申すまでもなく大前提条件としてわれわれは堅持しておるのであります。従って必ずしも今日まで他の国と結びましたと同じようなヴァンデンバーグ決議案の書き方をしなければならぬということは、私は必ずしもないと思います。しかしながら、やはり自分みずからが自衛の力をできるだけ養っていくということは、これは当然のことだと思うのでありまして、そういう意味において日本の経済、財政が許す限りにおいては、ある程度日本みずからがそれを決定していくということは必要でございましょう。また日本におります米軍が一応何かありましたときに、日本と共同で作戦を意図する場合もあろうと思いますけれども、これも必ずしも現在の日本の憲法からいいまして、単一司令官のもとに共同動作をとるということはする必要がないのでありまして、自衛隊とアメリカ軍が十分な協調を保って参りますれば作戦行動はできると考えておるのでありまして、そういう意味において憲法上の問題の範囲内で処理できると考えております。
○国務大臣(岸信介君) 今、外務大臣が答えた通りでありますが、私ども今度の改定の前提として、日本憲法が独得の憲法であることを前提として日本の間において、この憲法の範囲内においてすべての改定を行なっていくということが大前提となっております。今ヴァンデンバーグ決議との関係のお話でありますが、これらにつきましては、今、外務大臣が申し上げましたように、従来のヴァンデンバーグ決議そのままの字句で入れるか、それが適当であるか、あるいはどういうふうにこれを日本の憲法との関係を明瞭にするかというような点につきましても十分われわれは話し合いでこれをきめていくつもりでおります。
○曾祢益君 ヴァンデンバーグ決議につきましては、いろいろ言っておられましたけれども、むしろ自助でなくて、相互援助等のために防衛力を持つというところにヴァンデンバーグ決議の精神があるのですから、そういう点を十分にわきまえておやりになる必要があろうと思いますが、いずれにしても、最後に安保条約の問題についての最後の点はこういったようないろいろな、国民的にもいろいろな問題がある。自民党の党内の意見すら調整できない、対外的には非常な疑惑と非常な不信感を与えている。こういう安保条約の改正をやめるというお考えがないか。これは外務大臣、総理大臣から伺いたい。
○国務大臣(岸信介君) 私はこれをやめる意思は持っておりません。やはり合理的に改定すべきものであると考えておりますから、あくまでもその方向で進んでいきたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 総理の答弁された通りであります。
○曾祢益君 最後に、この日中国交調整といいますか、正常化についての議論が平行線で終ったのは遺憾ですが、政府対政府において国交正常化への努力、その段階としての三原則承認――相応する措置をとることによって、政治的な会談、これによる貿易の再開ということを極力われわれとして主張しておるんですが、それすらおやりになろうとしない。そこで、私ども今度向うに参りまして、少くとも人的な交流あるいは往来、それから文化交流、これの窓口を開いて参ったと思うわけであります。これが、いわゆる国民外交というわけであって、この国民外交は先ほど申しておりまするように、従来の積上方式ではありません。政府対政府のこの正式なる外交の常道に従って打開しなきゃならぬと思うんです。しかし、このわずかなるとびらではあるけれども開かれた。人的往来、人的な往来と文化交流は、これは貴重なものだと思います。従って、こういう問題について政府が少くともこれを妨げないのみならず、それはけっこうなことである、当然援助を与える。こういう態度が当然とらるべきであろうと思いますし、ただ残念ながら中国側の人が日本にくることは非常に先方としても、ちゅうちょしている。現状においてはその条件が整っておらない。こういうことを言っておりますので、まあ文化的交流は、これは人事のあれを必要としない場合もありまするからいいのですけれども、いずれにしてもこの、日本人が向うに行く人事の往来、あるいは文化の交流等については積極的にこれを支援していくようなお考えであるかどうか。この点を総理並びに外相から伺いたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今日まで特にこれを妨害した事実はないんでありまして、そういう意味において、われわれとしても文化的なあるいは人的交流が行われます際に特別な理由のない限りは阻止いたそうと思いません。
○曾祢益君 どうもずいぶん歯切れの悪い御答弁ですが、もっとはっきりこういうことはいいことなんだ。政府の無為無策、投げやりで、国交正常化という努力すら、あるいはその検討すら現在なされておらない。そのもとにおける国民対国民の交流はけっこうだと、極力それは応援する、歓迎するというくらいのステーツマンシップは発揮される気はないでしょうか。あえて岸総理大臣の所見を伺いたい。
○国務大臣(岸信介君) 私は先ほど来申し上げたことで、根本の考え方については御了解いただいたと思います。今の人的交流やあるいは文化交流というようなものはできるだけこれがスムーズに行われることが両国の理解、友好を深める上に望ましいと思いますから、適当なものに対しましては適当な指示を与え、また政府としてできるだけの力を注ぐことは当然であろうと思います。
○曾祢益君 非常に残念ですけれどもこれ以上幾ら問答を進めても、これは平行線、というより、本質的には私は平行線でないはずなんであるけれども、そつのない答弁で常に問題は同じところに終始しておるのでありまするから、私は非常に不満でありまするがこれ以上時間を使えません。これで質問をやめます。(坂本昭君「委員長、関連して」と呼ぶ)
○理事(堀木鎌三君) 曾祢君の質問は終了いたしました。(「関連を求めているのだから一つ許しなさい」と呼ぶ者あり)
○坂本昭君 議事進行のために今まで遠慮していたのですよ。
○理事(堀木鎌三君) 関連だとおっしゃるから、済んだことだけは、はっきりしておこうと……。じゃ、坂本
○坂本昭君 先日並びに本日の討論を通じて拝聴しておりまして、一つ明確にしていただきたいことがありますのでお伺いいたします。それは敵視政策に対するところの理解の問題、総理も外務大臣も敵視してないということを繰り返して言われる、ところで一番の、中国側から日本に対して見まして敵視をしている一番の重点は、やはり私は台湾海峡の問題であろうと思うのです。そして先ほど来外務大臣は六月にマッカーサー大使とも会ったが、それは内閣の更迭に伴って儀礼的に会ったというふうに逃げ口上を述べておられましたが、当時、六月中に藤山さんは十回以上マッカーサー大使にお会いになっておるわけです。そして七月の初めにはたしか総理は単独会見をしておられるはずであります。何もそれは、たまたま内閣が変ったからということではなくして、やはり安保条約の改定に対する問題であり、しかも先ほど曾祢委員が指摘せられた通り、あの当時の台湾海峡の情勢は、たしか七月には第七艦隊が台湾海峡に集結しておった。すでにアメリカ側の準備は去年の早春から着々と進められておる。そういう状況の中で、たとえば日本の岩国からはアメリカの海兵隊、航空隊がたしか二個連隊岩国から出発をして、おそらく最初は沖縄と思いますが、沖縄からさらにどこへ行ったか私は知りませんが出かけている。またその後第七艦隊の基地は実質的に横須賀にあったと考えられる。そうした中で台湾海峡の問題が起ってきている。私はこの台湾海峡の問題に対して、この深刻さと重要性を総理も外務大臣もことさらに国民の目をごまかして国民に知らさないようにしているのではないかとしか思われない。で、私は第一点としては、この台湾海峡の問題の重要さというものを総理並びに外務大臣がどのように理解しておられるか。その理解の深さによって、つまり敵視、敵視ということの内容を中国側の理解するように皆さんが深刻に理解できるかできないか、そういう大事な点が私はあると思う。最近中国の人民公社の民兵組織についていろいろな批評がありますが、私はこの中国の人民公社の民兵組織というものは台湾海峡に端を発してでき上ったものであって、中国の受身の側によって作られたところの組織であると理解しておる。まず第一点は、この台湾海峡問題の重要性についての問題。さらにその次は、一体この台湾海峡の問題がどういうふうに経過したか。私は九月の終りにサイドワインダーの攻撃をもって始まったころ、さらに十月の初めから行われた例のソビエトの水爆の実験の再開、この水爆の実験の再開ということが非常な意味を持っているのではないかと思うのであります。つまりこのことによって台湾海峡の軍事的な危機というものが緩和された、あるいは避けられたとも思う。で、この二つの点、最初に台湾海峡の問題の深刻さと、さらにこの問題が十月の初めを契機として方向が変った。緩和された。避けられた。そのことに対する理解をどういうふうにしておられるか。これは非常に重大な問題でありまするので、総理並びに外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) お答えいたします前に、ちょっと誤解がありましたようですから申し上げておきたいのでありますが、私がワシントンに参ろうということで一番初めにアメリカ側に話しましたのは、七月十日前後に行って会いたいということを、六月十日に第二次岸内閣ができました直後に申したわけです。当時むろん台湾海峡の問題等は起っておらなかったわけであります。その点だけ御理解をいただいておきたいと思います。
 台湾海峡の問題が重大であるということは、これは申すまでもないわけでありまして、おそらくベルリン問題と台湾海峡の問題は、現在の国際情勢の中で一番大きな問題であろうと思うのです。特に極東に位しております極東の関係国としては、これは非常に重大であるということは申すまでもないのであります。その点はわれわれも非常に重要な問題であると考えております。
 ただお説のように、何かとかく売り言葉に買い言葉にはなりますのですが、アメリカ側がこれを誘発したようなことで、七月半ばから第七艦隊が集結したというようなふうにお話がありましたのですけれども、私どもは必ずしもそうアメリカ側が誘発したとは考えておらぬのであります。その辺は若干御意見、観察等の違いがあろうかと思いますが、むろん私はソ連が水爆をやったというような問題は大きな問題でありますけれども、これと必ずしも直接台湾海峡の問題が関連しているとは思いません。中共側におきましてもむろん武力でもってやるよりも、できるだけ話し合いでもってやっていきたいという考え方は持っておると私は思う。従って外相会談も応諾をいたしましたし、また場合によっては国連総会等においてこの問題を論じ合うという態度をとっておったんで、少くともあったためにというような直接の関連は別に……。中共側でも話し合いに持っていきたい。アメリカ側でも話し合いに持っていくことは望ましいことである、こういうことではなかったかと思っております。
○理事(堀木鎌三君) 森さんの質疑が次に予定されておりますから簡単に。
○坂本昭君 どうも外務大臣の認識が少し浅いんじゃないかと思うのですが、私は去年の五月の第四次貿易協定の破棄されたことと、それから今の安保条約改定への動きと、それから第七艦隊の動きと、中国側では私はこれは同じように理解しておると思います。一つの密接な関係の中でつかんでおる。そうしてまたそういうふうに理解しなければ極東におけるこの重大な問題のほんとうの意味をつかむことはできないと思う。私はそういう点で外務大臣の認識、わざととぼけて言っておられるのか、はなはだ疑わしいのであります。
 それから、特になぜ私がソビエトの水爆の実験の再開を持ち出したかといいますと、九月の終りに、これはイギリスの新聞もフランスの新聞も台湾海峡の非常な危機ということを伝えておる。それからサイドワインダーの攻撃まで始まっておる。そうしてそれに対してソビエトは水爆の実験という形で、私たちの知るところでは例の大陸間弾道弾だろうと思います。弾道弾に水爆をくっつけて、そうしてあの北極圏の上空で、向うまで行かせないで途中で爆発させるところの実験をしておる。つまりあれで台湾海峡に対する大きな索制をやったと私は思うのです。それであのために、もし台湾海峡で強引な攻撃をする、武力攻撃をやった場合には大へんなことになる。そういうことで、私は第七艦隊のいわば武力活動というものが非常に緩和されてきた。むしろ十月以降台湾海峡における第七艦隊の行動というものは新聞にも出ないようになってきた。私はそういうふうに理解してあの水爆実験というものが、ただでたらめに九月の終りの夜中、十月一日の未明からたまたま行われたものではなくて、やはりそうした睨み合せの上に行われて、そしてそのことは去年の、もう初めから――早春から、たとえば台北においては疎開が始まっておる。これは去年の二月から三月ころ始まっておる。それから貿易協定の破棄が行われたのが五月、それから藤山さんがマッカーサー大使と一生懸命お会いになったのが六月、岸さんがお会いになったのが七月、それからいわゆる新聞に出てきたのが、例の金門、馬祖が出てきたのが八月、そして九月の終りサイドワインダーの攻撃が始まった。そうして十月になったらなりを静めてしまった。おそらくそれらの中に非常に明白な一連の関係があって、中国側はこれらの動きを通して、日本の敵視政策というもの、少くとも岩国だとか横須賀がアメリカの基地として使われておる。それに対する非常に強い、まあいわば中国側の非難というものを私は表明していると思う。そういう点の認識が非常に欠けていると思うのであります。総理が、私はまさか知っておって知らないとは言われないと思うのですけれども、そういう認識を全然欠いておられるのかどうか、その点を総理に伺いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 安保条約の改定の問題は、御承知の通り重光外相がアメリカを数年前に訪問したときから日米の間においては話し合いがされたものであります。私が一昨年参りましてアイゼンハワー大統領と話をし、さらに委員会を作ってさらに検討したというような沿革的にすでにきまって、その方向に現在も安保条約が非常に不合理であるから合理的にしようということは、日本の国民の願望であって、私はそういうことを通じて日米間の話をしてきておった問題であります。従って今時期的にいろいろな関係を連絡をつけてのお話でありますが、安保条約の問題と台湾海峡の問題は全然関係のない問題であります。しかし台湾海峡の問題が非常な重大な意義を持っておることは、これは言うを待たないことであり、世界各国はこれに対して非常な関心を示したところからも、われわれもまたこれが平和的に話し合いできまることを初めから強く念願しておったことも御承知の通りであります。これと安保条約との関係はこれは事実上全然関係ないのでありまして、従ってそういうふうな報道やあるいは端摩憶測は、私は全然事実に反しておるということは私は責任をもって申し上げます。
  ―――――――――――――
○理事(堀木鎌三君) 森八三君。
○森八三一君 三月三日の日に三十四年度の予算三案が衆議院を通過しまして、本院に本付託になった四日の日から、本院では連日この委員会を開きまして、内事、外交きわめて広範な問題にわたりまして質疑が行われました。その質疑を通しましてきわめて重要と思われることで、今なお政府の考え方が必ずしも明確に表現されておりません数個の問題が残されておると思うのであります。そういうような関係からいたしまして、ただいまも外交問題で曾祢委員から御質疑があったわけでありまするが、私はこの際内政問題を中心として数個の点についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 その第一点は皇太子殿下の御結婚と特赦の問題であります。かつて、いわゆる国連大赦が行われました。その結果国民があの措置をいかに痛烈に批判したかということは総理もよく御記憶の点であろうと思います。おそらく国連大赦、特に選挙違反の問題が葬り去られたということにつきましては、国民ひとしく憤激を覚えたことであろうと私は承知をいたしております。そこで、いずれ近いうちに皇太子殿下の御結婚という時期が来るであろうということを予測いたしましたので、二十八国会に、もし総理が総理として御在任中にそういう機会がおとずれてくるとすれば、そのときに国連大赦のような取扱いをされるかどうか、これは非常に大きな問題であるので、総理の御所信を伺いたいというような質疑をこの席で私もいたしましたし、緑風会といたしましては多年の主張でありますので、本会議を通しましてこのことを究明もいたしておるのであります。当時まだ未定の問題であるので明確なことは言えないというような御答弁でありました。昨年衆議院の解散後、再び自民党が多数を占められまして、岸さんが総理の席につかれましたので、もう総理の御在任中にそのおめでたがくることは聞違いないと思われるので、今度は一つはっきりした御意見を聞きたい、こう申し上げましたところが、今までしばしばございました皇太子の御結婚等の際に選挙違反を含めた特赦、大赦等は行われておりません。だから大体そういうことになるでありましょうというような趣旨の御答弁でございました。そこで、過日十七クラブの市川委員から、いよいよ四月十日という日もきまったわけでありまするので、ここで具体的にどうされるかという質疑をされました。これに対しまして、総理はやはり今まで御結婚等の場合に、そういうような前例はございませんし、大体今回の場合に、選挙違反を特赦に含める意思はないというような趣旨を御答弁なさいましたので、私は一応それで了解をいたしておったのであります。ところがその後今月の二十六、七日ごろの産経新聞、その他有力な新聞の論説に、必ずしも総理がお考えになっているようなことではなくて、与党の内部にやはり選挙違反を特赦に含めるべきであるというような意見が台頭しておるというよう論議もございました。二十八日の夜の徳川夢声、柳家金語楼の対談でありまするこんにゃく問答の際には、いよいよあしたは知事選挙の告示が行われる。そうしてこの特赦の問題をとらえて、どうもはっきりしておらぬから選挙違反はやり得だといったような趣旨の対談が行われておるのであります。公明選挙を主張されておる……、これは国民全体が要望している非常に重要なことであります。このことが総理がはっきりされないということのためにゆがめられていくということになりますれば、これは非常に大きな問題であると思うのであります。もうすでに旬日のうちに迫っている皇太子様の御成婚のことでございますので、政府としては明確にされる必要があると思います。ことに今月は相次いで地方選挙が行われますことでございますので、ここに、もし期待を持って選挙違反等が行われたといたしますならば、日本の政治を混迷、暗黒に陥れるということになるわけでございますので、もうこの段階では、かれこれおっしゃられませんで、明確に、やらぬということを言明されるべきであると思いますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(愛知揆一君) 皇太子殿下の御慶事に際する恩赦につきましては、かねがね申し上げておりますように、この機会に恩赦法に定めてありまする恩赦の一定の規模、範囲等のものをこの際行うことは相当であると考えておるわけでございまして、だんだん時期も迫りますので、具体的な点につきましてただいま最終案を取り急いで作成中でございます。御慶事に際しましてこれを発表するようにいたしたいと考えております。そこで選挙違反の問題についての具体的なお尋ねでございますが、まず第一に、恩赦法で規定されているいわゆる恩赦には五つほどの種類がございます。大赦は今回の恩赦につきましては考えておりません。従いましてただいま御指摘がございましたが、いわゆる国連恩赦等の際に行われましたような大赦ということは考えておらぬわけでございまして、その他の特赦、復権、刑の執行の免除あるいは減刑というようなものに限りまして、いかなる罪の種類のものをどういうふうに取り扱うべきかということについてただいま成案を急いでおるわけでございます。
 そこでこの選挙違反の問題でございますが、これは一般的な例として申し上げるわけでございますが、たとえば今申しましたような種類の恩赦を行います場合に、いわゆる裁判所におきまして刑の言い渡しをするというようなものを原則的にそれらの対象にして、これらの方法が原則的に個別的に行われるわけでございますが、そういったような場合に、特に選挙違反であるからこれらのものから取り除くということはいかがかと思いまするので、そういう種類のものにはこれを含めて考えることが相当であろうと、こういうふうな考え方で、ただいま先ほど申しましたような成案を取り急いでいるわけでございます。
○森八三一君 重ねてお伺いいたしまするが、個別的に審査をして減刑等を行うことにすると、その場合に四月十日までに刑の確定した者だけが対象になりまするのか、四月十日現在では刑が確定いたしておりません検挙の段階にある、あるいは取調べの段階にあるという者を含めるのかどうかということについてお伺いをいたしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) この点はただいま申しましたように、恩赦法の明定しておるところに従うわけでございまして、たとえば特赦で申しますならば、第四条に「特赦は、有罪の言渡を受けた特定の者に対してこれを行う。」ということになっておりますので、この明文の規定する範囲内で行うべきことは当然であろうと思うわけであります。
 それから先ほどちょっと答弁漏れがございましたが、ただいま現に行われつつあるような選挙等については、御案内のように事前運動の取締り等について十分のわれわれといたしましても配慮をして参ったわけでございまして、現に行われつつあるような選挙等の公明を保持することに支障のあるようなやり方はいたさないことは当然のことと思います。そういうことを基本的な考え方として具体案を取り急いでおるような次第でございます。
○森八三一君 比較的明確になって参りましたが、そこで、もう一回重ねてお伺いをいたしまするが、四月十日までに刑の言い渡し確定がした者に限って取扱いをするということであると了解をいたします。
 それから、もう一点お伺いをいたしたいのは、そういう措置をする場合といえども選挙違反を特別に取扱いしないということはいかがであろうかというような御発言があったのでありまするが、選挙違反を含めなければならぬという積極的な理由が存在するのかどうか。私はその罪の種類によって、あるものは含め、あるものは含めないという措置は可能であろうと了解をいたしております。必ずしも刑の確定した者は全部それぞれやらなければならぬということではなくて、特定な刑につきましてはこれを全然対象にしないということは特赦法におきましても可能であろうと思うのであります。現在の政治を明るくして参りまするために、選挙違反等をその対象にしないということは当然な私は措置でなければならぬと思うのでありまするが、今の御発言では何だか、こう公平の観念にそれるようなふうの御発言でございます。私はそういう考え自体が非常に間違っておると思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(愛知揆一君) これもまた恩赦法の規定するところでございますが、罪の種類を定めて行うことになっておりますから、その罪の種類をいかに選択するかということにつきましては、刑事政策的な観点によって旧憲法のときと違いますので、昭和二十二年に恩赦法が制定せられた、それからの考え方に基きまして罪の種類を適当の範囲に選びたいと思っております。で、その際におきましてただいま申し上げましたように選挙違反というようなものを特に除外する、あるいは特にこれだけを取り入れるというふうに特別扱いにするということは私はいかがであろうかと考えておるわけでございますから、先ほど申し上げましたような範囲内におきまして、具体的に成案を取り急いで結論を急いでおるような次第でございます。
○森八三一君 総理、今法務大臣と私の質疑をお聞きになっておりまするが、私は、選挙ということが国の政治の基本になっておるわけでございますが、それにいやしくも違反した者は、この際除外をするということが、当面の措置としてはなされなければならぬ当然のことだろうと思うのであります。必ずしもこれをはずすことが不公平になるとかいうのではなくて、日本の政治の現況を眺めました場合に、どうしてもこのことは強く打ち出すべきであると思いますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(岸信介君) 先刻から法務大臣が具体的に詳細にお答、え申し上げておりますが、今回の御慶事に際して、いわゆる恩赦法のどの範囲のことをすべきかという点は、第一に大赦をやるかやらないかという問題。戦後におきましては大赦が行われております。私どもは今回のなにについて大赦は行わない、恩赦のうちの特赦でもっていくべきだ、そして、それではどういう罪をこれに該当せしめるかという問題に関しましては、今、森委員のお話しのように特に選挙違反というものを特別に扱ってこれを除くというふうな御意見でございますが、私はやはり特に選挙違反に対してこれを特別に抜き出してきて特赦にかけるということも適当でないが、同時にこれを特にそういう場合に他の罪と区別して除外するということも今日の刑事政策の上からいっていかがかと考えております。十分にこれらに具体的にあげるべき罪の種類につきましては、法務当局におきまして慎重に今検討をいたしておるわけでございまして、ただ私としても、先ほど法務大臣が申しましたように、特にこれを特殊の罪として特赦扱いをするということは適当でないのじゃないかというような考えでおりまして、従って今、森委員の御意見でございますが、そういうふうには私は今日のところ考えておりません。十分に一つ検討をいたしていきたい、こう思っております。
○森八三一君 それじゃ法務大臣に、もう一ぺんお伺いいたしまするが、刑の確定しておるのはいかなる罪科の者でありましょうと全部今度の特赦のあるいは恩赦でありまするか、その対象になさるのでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたしますが、そうではございませんで、先ほど申しましたように、罪の種類を選びましてその範囲内でいたすことにいたしておるわけでございましてたとえば非常な凶悪犯であるとかあるいは非常な破廉恥罪であるとかいうような罪の種類を除くことはもちろんでございます。
○森八三一君 そういうことで刑の種類によって差別が設けられるという場合に、一番大切な国政の基本となるべき選挙の問題を入れなければならぬという考え方は私は非常に了解いたしかねるのであります。必ずしも凶悪犯と並べて論議することは適当ではないと思いまするが、考え方によりましては国政を乱る、その大もとをなす選挙の違反というものは、凶悪犯よりももっと厳密に解釈すべきものであるというように私は理解するのでございます。これはもう時間がございませんのでここで論議はいたしませんが、私は、その感覚が非常に間違っておる、
 これは、どうしても選挙というものは、厳密に、かたい上にもかたく解釈をすべきものである、そうでございませんければ、ほんとうに日本の国政なり地方の行政を明るくするという、かねがね念願しておる公明な政治というものには相ならぬと、こう考えまするので、さらに御検討中とのことでございまするから、慎重に一つ研究されまして、われわれの希望が取り入れられまするように御配慮を願いたい。(「ちょっと関連して」「皇太子の結婚式をスポイルしちゃいけませんよ」と呼ぶ者あり)
○理事(堀木鎌三君) 矢嶋さん簡単にお願いします。
○矢嶋三義君 先ほどの法務大臣の答弁は、総理大臣が総括質問の段階でここで答弁した方針と食い違っているじゃありませんか。総理大臣は、総括質問の段階で、選挙違反は恩赦に含めないということを明確に答弁された。そうして、その日の午後から、与党内はあなたの答弁を中心に沸騰いたしましたね。そして、あなたに相当の抗議が党内からあったはずです。あなたは、党内収拾策としてよろめいて、そうして本日の段階にきているのが真相だと思うのです。その党内のことはともかくとして、あなたが総括質問の段階でここで答弁されたのと、きょうの答弁と食い違っておるということについては、いかに説明されるか伺いたい。
○国務大臣(岸信介君) 多少私の答弁が食い違っている点があったかもしれません。私の考えにも、多少の明確でなかったものを明確にし得たところがあります。
○矢嶋三義君 その点よろめいちゃいけませんよ。
○国務大臣(岸信介君) 私の気持は、実はその一番なには、考え方の不明確であったことは、大赦と特赦の関係をよく法律的に考えておらなかったという点にあると思います。しかし、戦後にしばしば行われました恩赦の場合に大赦が行われておりまして、一切、係属中のものも全部、選挙違反というものを無罪にいたしておるようなことが行われております。そういうことをしない意味において、私はこの選挙違反というものを考えておったのであります。ただ、今も申しますように、特赦ということを具体的に判断……言い渡しがある、罪が確定するというようなものについて、罪は罪として、無罪にするのじゃないのだと、そうして罪として、現在のところ減刑であるとかいろいろなことを、罪ありとした後において特に減ぜられるのである。あるいはそういうような措置がとられるというようなことにつきましては、先ほどから申し上げておりまするように、各種の犯罪と選挙違反を特別に区別するということも、刑事政策の上から適当でないという考えに立ったわけなんでございます。私の先に答弁しておりますことは、主として大赦という従来の例を頭に置いて答弁して、おりましたために、不明確であり、従って、言葉の上において私の言ったことが矛盾しているようにとられたこともやむを得なかったと思います。私は正確にそういうように今は考えております。
○矢嶋三義君 大赦と恩赦と混乱されたわけですな。
○国務大臣(岸信介君) そうです。
○理事(堀木鎌三君) 森君、政府の答弁は要りませんか。
○森八三一君 この問題につきましては、これ以上質疑はいたしませんが、私はここで再確認をいたしておきたいと思います。今回行われるであろう特赦につきましては、四月十日までに刑の確定しておる者のうちからその種粕川を選択して措置をするということでございました。今後刑が確定するであろう者は一切含まないということに了解いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ちょっと、先ほど私念のために読み上げましたように、恩赦法の第四条――特赦で申しますならば、恩赦法の第四条で、言い渡しを受けた者ということに相なっておりまするので、その範囲内で行うというふうに御了解を願いたいと思います。(「関連」と呼ぶ者あり)
○森八三一君 ただいま私の申し上げましたことと法務大臣の御答弁とは、常識的に、私は同一のように思うのですが、言い渡しと確定とどういう差がございますのか。
○国務大臣(愛知揆一君) これは法律の字句の問題でございますけれども、念のために申し上げたので、第四条に先ほど読み上げましたように、有罪の言い渡しを受けた者に対してこれを行う、こういうことでございます。(高田なほ子君「関連、今の問題……」と呼ぶ)
○理事(堀木鎌三君) 森委員、今の問題に関連してまだあるのでしょう。
○森八三一君 言い渡しは受けましたが、第一審の場合には二審、三審と上告その他の権利がまだ保有されているわけです。そういうような者も特赦の対象にするということですか。私は言い渡しを受けた者で、その次の段階に問題が発展していく権利を保有して、る者はこれは含めるべきでないというように理解をいたすのでございますが、その辺の取扱いはどうなんでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) この第四久の解釈といたしましては確定――刑の確定ということを意味するものであると、こういうふうに考えるわけでございます。従って大体先ほど御指摘の通りに理解して差しつかえないと思います。
○森八三一君 先ほど御指摘の通りに理解してよろしいということでございますから、私が重ねてお尋ねをいたしました第一審で刑の言い渡しを受けましたけれども第二審、三審に権利を保有している者はこれを含まないというように理解いたしたいが、それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの条文の解釈としてはその通りでございます。
○高田なほ子君 法務大臣にちょっとお尋ねいたしますが、特赦には、首相は総括質問のときに一応選挙違反をした者もその特赦の中に含まれるというような意味の御答弁があったのですが、これは法律をよく御存じにならなかったのでそんな発言になったのだと言われますが、どうも御精神が少しぐらついてきているのじゃないかというように思うのであります。それで第四条の問題を言われましたが、これは特赦の対象にならない者――特赦であっても特赦の対象にならない者が二十一年十一月三日の減刑令の中にずっと盛られております。放火、わいせつ、暴行、強姦致死、貨幣偽造、直系尊属殺人及び未遂、保護責任者の尊族遺棄、尊属掛捕、監禁による死傷、強盗、事後強姦、強盗、強姦及び未遂、それから二十二年十一月三日にさらにこれが拡大されて汽車、電車を転覆した者またはさせようとして計画をした者、そのほかアヘンの密輸、アヘンの吸飲、こういうものまでも含めて恩赦の対象にしない、こういうふうな規定が出ているはずです。私どもの考え方から言えば、アヘンを吸飲した者もこの特赦の対象にならないというふうに重い罪状として国は規定しているのに、民主政治の根幹をゆさぶるような選挙違反がこれに含まれていないということももちろんこれも疑問ですが、この疑問をいまさら私は問題にしようとは思いません。疑問は疑問として研究しなければならないと思いますが、問題はこの個別恩赦の中に選挙違反というものも含めて考慮しているのか、ただ考慮々々だけではさっぱりわからない。なぜならば、個別恩赦には一定の基準を設けなければならない、法務省が一定の基準を設けて個別恩赦というものを規定しなければならない、これは恩赦権というものはないということになっている。でありますから、当然選挙違反の問題もここでは相当問題になっているのでありますから、個別恩赦の範疇の中にそれらのものも含まれていると解釈したい、このように思いますが、いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) 具体的に限定して申し上げますと、特赦の場合におきましては、これは個別審査ということが中心でございますから、その基準をどういうふうに定めるかという場合に、その定め方を閣議できめるわけでございまして、このときには個別の特赦を申請し得るものは、こうこうこうというものという定め方をするわけでございまして、ただいまおあげになりましたものは、政令あるいはその他の法令によりまして罪の種類を特定をする――たとえば先ほど申し上げましたように、かりに大赦を行うというような場合があるといたしますと、これは罪の種類を政令で定めて、これらの政令に規定された罪については大赦をして、全部その刑がなかりしことになる、そういうことになりますので、そういう場合には、ただいまおあげになりましたように、これこれは含む、これこれは除外するというふうな定め方になるわけでございます。
 それから特赦の場合の個別審査の場合に、当時の犯状とか行状とか、あるいはいろいろその他の事例もあるかと思いますが、比較的抽象的な定め方になっております。それからそれらによって、現に定められておりまする中央更正保護審査会の審議を経て、その個々の事情によってこれを特赦するかしないかということを定める、こういうことになるわけでございますから、その基準の定め方が、先ほどの例にとりました大赦令の罪の種類をきめるという場合とは、これはきめ方が違う場合があるわけでございます。そういうようになっているわけでございます。(高田なほ子君「ちょっと、個別恩赦の中に含まれない……」と述ぶ)
○森八三一君 その次にお尋ねいたしたいのは、国会の運営を正常化するということは、これはわれわれ議員は当然等しく要望しているところでありまするし、国民も最近の国会の運営の実体を見まして、一刻も早く正常化されることを期待をいたしていると思います。で、その目的を達成いたしまするためになさなければならぬ問題は、きわめて多岐多端でありまするが、私ども緑風会といたしましては、その一つの具体的な措置といたしまして、少くとも正副議長は中正な立場に立つということがよろしいという考えをもちまして、本会議におきましても、過去においてしばしばこのことを総理にお尋ねをいたしているのであります。不幸か幸いか知りませんが、昨年の変則国会のあとを受けまして、どうしてもこういうようなことが繰り返されてはいかぬということから、両党の間に話し合いが進行し、最後に両党首が会談をせられまして、国会運営の正常化について申し合せが成立いたしました。その一項目に、われわれ年来の主張でありました院の正副議長は党籍を離脱をすべしということが決定されまして、衆議院におきましてはこれがすでに実行をいたされているのであります。
 そこで総理にお伺いいたしたいことは、過般も市川委員の質問に答えられまして、自分としてはそのことを期待しているが、参議院については、やはり参議院の院議をもって決定すべきものであって、それに対してとやかく自分から申す筋合いではないというようなふうの趣旨の御答弁であったと思うのでありまするが、そこでお伺いいたしたいことは、昨年のあの変則国会のあとを受けて行われました両党首の会談というものは、これは私は公けのものであって、私的のものではないというように了解をいたしておりますが、そういうような了解に間違いございませんでしょうか。
○国務大臣(岸信介君) もちろん、昨年の臨時国会のあとの、鈴木委員長と私と会談をいたしまして、国会正常化についての話し合いをいたしましたのは、私的の会談ではございませんで公けのものであるということは言うを待ちません。そうしてあの中にも――あのときに問題が起りましたのは、御承知の通り衆議院において非常に世間の批判を受けるような事態があったわけでありますから、最も第一段に考えたことは、衆議院における議事運営の将来の問題が一番の問題として取り上げられたわけでございまして、参議院の問題に関しましても、なるべくこの趣旨に沿ってやってもらえないか、しかし参議院には参議院の考えもあるだろうから、参議院の自主性はこれを認めることにしようということを申し合わせの中にもいたしましたような次第でございました。
○森八三一君 参議院の自主性をお認め願っておるということにつきましては当然でありまして、私もそれでとやかく申し上げるものではございません。ございませんが、お話がございましたように、公けの立場において会談をせられまして、一つの結論が得られたということでありますれば、その結論を実行いたしまするために、党の責任者といたしましては最善の努力をされなきゃならぬと思うのであります。ただ申し合せをしたけれども、自主性ということに隠れて、いい加減に放置されるということでは、両党首の公けの会談の結論というものが非常にうやむやになってくる。これでは今後、お互いに信頼して話し合って結論を出しましても、その結論というものが何にもならぬということになる、おそるべき結果になると思うのでありますので、どうしてもその公けの立場で取りきめをしたことは、これを実行するという、この責任は私は感じなければならぬと思うのであります。
 そこで、参議院の場合には今なおそれが実現はいたしておりませんが、党首として党員に対しいかなる努力をなさいましたか。両党首が申し合せたことを実行するという責任をお持ちになっておると思いますが、そのことについて、党首として、党員に対してどういうような立場でその実現をはかることに御努力をなさったのか、いきさつをお伺いいたしたい。
○国務大臣(岸信介君) この党首会談で申し合せましたことは、同時に党のそれぞれの機関におきましても、これの了承をとりまして、その具体的の実現の問題に関しましては、さらに両党の間におきまして研究をすべき問題もございますので、両党からそれぞれ代表委員を出して、この両党首の申し合せいたしましたことをさらに一これが実現されている問題もあるし、実現されていない問題に関して実現の方法、具体的な方法等を真剣に両党において代表の間で検討するということになっておりまして、私はあくまでも、もう申し合せの趣旨を両党とも、一つ誠意をもって実現するように、今後におきまして努力をいたして参りたい、かように思っております。
○森八三一君 申し合せの内容はきわめて項目が多いので、総括的にお答えを願ったのでありまするが、私が今ここで取り上げておりまする問題は、緑風会多年の主張でありまする、国会の運営を正常化するための一つのポイントになる正副議長の党籍離脱の問題を取り上げて論議をいたし、質問をいたしておるのであります。
 で、このことにつきましては、もう両党首が今後話し合う必要はないので、自由民主党の党首として、その党員である正副議長に、その申し合せを実現するために努力をされなきゃならぬと思うのでありまするが、そのことについて、参議院の自主性ということから離れて、両党首で申し合せをしたことを信義を持って実行するという立場に置かれていらっしゃいまする自由民主党の党主として、党員であり、その地位についておる人に、その趣旨を実行せしめるために、どういうような御努力をなさいましたかということをお伺いいたしておるのであります。
○国務大臣(岸信介君) この参議院の議長、副議長の党籍離脱の問題は、ただ単に私は、今日議長、副議長になっておられる方の個人的の問題ではなくして、あの党首の間でお話を申し上げました際にも、参議院においては参議院の従来の行きがかりや主張もあることだし、また参議院そのものも自主性を持っておることであり、また両党首だけで参議院の問題をきめることも適当でないから、これは参議院の自主性にまかそうじゃないか、趣旨はなるべくこういう趣旨の方向で考えてもらいたいということを、あの申し合せの趣旨でございます。しかし私は、やはり私自身も参議院におきましても、議長、副議長の党籍離脱の問題は趣旨としてはその方向にいきたい考えを持っております。従って、なるべくその趣旨が実現されるようにということを、私としては参議院の自民党のそれぞれの機関に諮っております。従いまして、まだその結論を得るに至っておりませんけれども、私は将来にわたってそういう努力を続けて参って結論を出したい、こう思っております。
○森八三一君 私は、総理が党首の立場でお取りきめになったことは、その党に属する党員としては、やはりその趣旨を生かして、党首のおきめになったことを実践するという責務を持つと思うのです。そこで、そういうような態度をとられた場合に、参議院には自主性がございまするから、参議院の院議でその議に及ばずという結論を出したとすれば、これは参議院の自主性を尊重するということで、両党首の申し合せというものは実現いたしませんでも、これは参議院の自主性というものが優先をするという考え方でよろしいと思うのでありまするが、その手続がとられておらんところに私は問題があると思うのであります。そういうことでは、近代政党としてほんとうに党内をまとめていくということにはなりかねる。非常にこれは問題であると思うのであります。ただ、今お話しのように、参議院の自由党にも諮って、総理もその趣旨が実現されることを期待をしておるということでございまするから、そういうようなふうにしなさいということはお話しになったけれども、一向進行しておらぬといたしますると、両党首が公けの立場で話し合っても、そのことが実行されぬということになると、今後責任のある立場同士の者が話し合いをいたしましても、自分の家に帰ってきてから、どうも内の中で聞かんから、あれはもうだめだよと、こんなことでは、お互いに公けの立場で話し合うということがむだになってしまう。これはおそるべき結果になると思うのであります。ですから、私はどうしてもこの際は、総裁という立場で、その党員が総裁の公けの立場においてお取りきめになったことを実践するということにしなければならぬと思うのであります。もしそれに従わぬということでございますれば、これは党規に照らして処断するという勇気をお示しにならなければ、大政党としての党節というものは乱れていくのではないか。そのことが外交の上にも、内治の上にもいろいろな問題が起ってくる。私は時間がありますれば、そういう問題についていろいろな最近の事例をあげてみたいと思うのであります。現にこの予算委員会で審議をされておりまする重要な道路整備五ヵ年計画に関連を持つ揮発油税の問題にいたしましても、私は直接関係しておるわけではございませんから、つぶさではございませんが、巷間伝えられるところによると、衆議院の段階では無修正のままに通過せしめたけれども、参議院で予算が通過するとたんに、参議院でこれを修正するという含みがあるやに承わるのであります。いやしくも党の政調会と政府との間に話がきまって出したものを、与党自身がそういうように修正をするというようなだらしないことでありましたら相ならぬと思うのであります。そういうことが、今申し上げましたように、公けの立場で両党首がきめたことすら実践ざれないということに、やはり端を発しておるように思うのであります。このことについて総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(岸信介君) 実は先ほどから申し上げておりますように、参議院の議長、副議長の問題につきましては、鈴木委員長と私との話し合いにおきましても、多分に幅を持たした、この衆議院の場合とは違った申し合せになっております。これはあの文言をごらんいただければはっきり出ておるのでございます。もちろん、私は先ほど申し上げておるように、この議長、副議長の党籍離脱の問題につきましては、なお党内の機関に十分に諮りましてそれの実現に向って今後も努力するということを申し上げておるのでございまして、今日までまだ実現いたしておりませんことは、いろいろな、参議院には参議院のお考えもあることでございますから、なおその点は十分に努力をいたして参りたい、かように考えております。
○森八三一君 時間がございませんから、このことはまだ十分きわめたわけではございませんが、その次の問題に入りたいと思います。ただ、今総理の御答弁だけではどうも私は納得がいたしかねる。それは、参議院の自主性ということは、申し上げましたように、参議院が院議で党籍を離脱する必要なしという決定をするとか、あるいは党籍を離脱すべしという決定をするということでありまして、両党首の間で申し合せせられたことは、党の内部において実現されなければならぬと思うのであります。そのことと、院議と申しますか、参議院の自主性というものとはこれは区分をして考えていただきたい。
 そこで、今最後にお話がございましたように、自分としては、やっぱり国会正常化のために、院の議長というもの、あるいは副議長というものは、党籍にとどまっていない方がよろしい、こういう考えは変っておらぬ、これが変ったら大へんなことなんで、これはそれが変ったら申し合せが根底からくずれるのですから、当然なことだと思います。その実現のために努力をしているが、なお今日実現を見ていないのは非常に遺憾だ、だからすみやかにその実現がされますように今後も努力するということでございますので、その誠意に期待をいたすのでありますが、なかなか数カ月かかっても実現をいたさぬ現状でございますので、おそらくその誠意のある御努力というものは、そう急には実を結ばぬであろうと想像はいたしますが、私の想像が裏切られまして、すみやかに実現されますように、ほんとうにこれは真剣に一つ考えていただきたい。そのことは、ただ単に国会の正常化という問題だけではなくて、大政党である自由民主党内部における総裁としての統率力というものにも私はつながってくる問題である、こう思いますので、よく一つ御考慮をいただきたいと思うのであります。
 その次にお尋ねをいたしたいことは、まず大蔵大臣に一つお伺いいたしますが、今回の予算を見ますると、米の政府買い入れの制度がいわゆる予約買い入れ制度というものに変って参りまして、政府の御施策と生産者諸君の協力とによりまして、初めのうちはこの制度がなかなか理解をされませんで、いろいろ問題を起しておったのでありますが、年とともにだんだんこの制度の実体というものがよく理解されまして、非常に成果を上げてきていると思います。数量的に見ましても、政府の期待数量以上に予約数量が集まつてきているということが、そのことを雄弁に立証をいたしていると思うのであります。こういうふうに成果が上って参りました内容といたしましては、いろいろ政府のとられました対策が生産農民諸君によく理解された、なるほどほんとうに米価そのものは低米価で押えられておりましても、それに付随する各般の措置、施策というものが理解されまして、政府の気持をよく了解をして参ったことがそういうような成果を上げているゆえんであろうと私は了解をいたしているのであります。そこで、ことしはそういうふうな状況下におきまして、通常申しまする予約減税を廃止するという措置が予算的に講じられている。それでは生産者の諸君に不利を与えるので、減税相当分だけを米価に加えて差引ゼロにするんだということで、七十五円を加えまして一万二百五十円という予算米価が策定をせられていると私は了承をいたしているのであります。そこでお伺いいたしたいことは、七十五円というものを米価に織り込むという結果は、政府に米を売る生産者諸君は、経済的にプラスでもなければマイナスでもないということでございまするのか、あるいはプラスになるのか、マイナスになるのか、これはむずかしい計算ではございまするが、一応の試算はおありになると思うのであります。結論だけをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘になりましたように、今回は予約減税の措置をやめまして、予約する場合は七十五円をつけ加えるということでございます。で、これはいろいろまあ御意見があると思いますが、この措置を切りかえることによりまして、当然生ずるであろう所得税の増加あるいは住民税の増加、それにちょうど見合う分だけをこの七十五円として予約申し込みの全農家に還元する、こういう措置を実はとったのでございます。で、すでに御承知のことだと思いますが、数次にわたりましてこの税法の改正等によりまして、ただいまでは全農家のうち、所得税を納めております、いわゆる農業所得で課税対象になります農家は、全体としての八%にすぎないのでございますが、今日まで続いているような制度をとりますことは、特殊の農家にとってのみ特別な利益を与えている、こういう感じがいたしますから、今回はこれは当然所得税がふえるだろうし、住民税がふえるだろうし、その金額に見合う分だけを全農家に還元する、こういう措置をとったのでございます。
○森八三一君 ただいまの大蔵大臣の御説明で、一応米価の中に七十五円を加えますることによって生ずるであろう税の増加される部分だけを補なったのだ、だから従来税を納めておった諸君は差し引きゼロだ。それから従来税に関係のなかった諸君は多少でもプラスになるのだというようなお話しと了解いたします。一応計算上はそういうことになるかもしれませんが、そういうことでございまするなれば、少くとも政府へお米を売る諸君はです、非常にこれを歓迎してですね、これは非常にありがたい、なるほど政府はいいことをやってくれたといって、喜んでこれに対応すべきであると思うのであります。ところが、今大蔵大臣の御説明のようなことであるといたしまするといたしましても、生産者諸君は全部これに反対しているんです。総理は常に民主主義を実践するということを誓われる。民主主義とは何ぞやといえば、これは国民の声を聞くことだということで、ほんとうに民主主義を実践するんだということに、忠実に私は心を砕いていらっしゃると了解をいたしております。そこで、税制調査会等はいろいろな答申をいたしているといたしましても、税制調査会の諸君に関係のあることではないので、米を政府に売る連中の問題なんです。その連中が全部それはいやだ、差引ゼロになる、プラスになるのだというのなら、これは喜こんで飛びつきそうなことなのであります。ところがそれをいやがっている、現行の制度を持続してもらった方がいい、こう言っているのです。だとすれば国の財政から見ましても差引損得はない、損得という言葉は適当でございませんが、通例申しますればそういうことです。そうして差引ゼロだというのに、せっかく予約制度というものがだんだん成果を上げて参りましたのは、減税も一つの要素であり、時期別価格差とかいろいろなものがくっついて、総合的に米価が形成されているというところに、一応の魅力を感じてずっと協力してきているという実態なんです。それをいやがっていることを押しつけるという態度は、民主主義政治を実践しようとする総理のお気持とは相反することです。これが歓迎されるのなら別です。歓迎されないで、しかも国費から見ますと差引ゼロだ、そんなことを押し売りする必要は、どこにもないと思うのです。調査会がそういう答申をしたからということで、筋を通していらっしゃるように聞えまするのでございますけれども、私は直接関係する生産者諸君が、全体的にこぞって反対をしていやだということを、親切ごなしにその方がいいんだといって押しつけるという態度は、これは改めてもらたいと思う。もしそれを強行するというのなら、私はそうは思いません、そんな総理が、そういうようなことをおやりになるとは思いませんし、私も総理に一票を投じた一人としてそれは否定をいたしますが、あえてそれを強行なさるとすれば、総理は権力政治をおやりになるということに考えを変えなければならぬ、こうなってしまうんです。この点いかがでございましょうか、これは総理からお答え願いたい。
○国務大臣(岸信介君) 私ちょっと今質疑応答を聞いておりまして理解できないのですが、私の方から質問してははなはだ恐縮なんですが、どうして生産者の連中が現行法がいいんで、政府が考えているのは非常に困ると言っているのか、私はその理由が理解できないのでございますが、もちろんわれわれは、ただ税制審議会がこういうからそれでやるのだという簡単なことではございません。実際上この方が生産者にとっても適当であると考えておるのでありますが、生産者がただどういう意味でこぞって反対をしているのか、私にはその辺の事情がよくわからないのであります。
○森八三一君 こまかい問題ですから総理に直訴した農民もいないと思いますので、よくおわかり願えないかと思いますが、お聞きを願いますように、大蔵大臣は決して農民諸君に不親切な仕打をしているんじゃない。差引ゼロだよ、税制調査会も税の体系というものを整えるためにそうした方がよろしいということで、損をさせるのじゃない、その税のふえる分だけはこちらの方で、米価をよくしてやるのだという御親切なお話しなんでございますけれども、そのことを農民がなぜ理解しないのだろうかというところに問題があるんです。それは結局私は最後は税の増徴をするという結果が生れるだろうと思うのでありますが、と申しますのは、これは総合課税でございますので、それだけ所得の控除がございますれば課税の線から下へ沈んでしまうとか上ってくるとかいろいろ問題がある。農民諸君はそういうことをこまかくは計算をしておらんと思います。大蔵省ではそれを非常にこまかく計算されておる。ことに国税庁長官は頭のいい人ですから、かなり正確に調べて御親切な仕打がされておると思うのでありますが、親切の押し売りをする必要はないですよ。親切は親切だとおっしゃっておっても、受ける方がそれではいやですと言うなら、そのいやの方に従われるのがそれが民主主義だと思う。それがどうしてできないのか、私は不思議です。親切の押し売りをするというのではいけないのです。関係者以外の人が税体系がああだからこうだからということを考えてそれを押しつけるということはいけない。かりに農民諸君が損をするといたしましても、その方がいいとこういうことならそれでいいじゃございませんか。それを何も押し売りをされることは私はわからぬ。どうしてもそれを押し売りをなさるということに農民諸君がやはり心配している。いずれどこかで増税をされるということにつながってくるという心配を持つからなんでございますが、でありますから、せっかく私は予約制度というこの制度が行われまして、ことし四年目か五年目になりますが、政府の非常にあたたかい思いやりから漸次成果も上って参りましてことしも政府の期待数量よりはよけい政府へ売るということのために、十四日の配給日数が十五日に延びておるとか、これはことしの増産という成果の結果でもございますが、そういうことで政府に協力しておるのです。その協力しておる諸君がこうしてほしいということを、それが財政上非常に大きな欠陥を生するということがございますれば、それはまた考えなければならん。しかし、財政上の差引はないということでございますれば、これは事務的な考えではなしに、政策的、政治的に総理は処断をさるべきであると私は考えます。農民諸君の喜ばんことを押し売りをしてはいかん、これがわからんとおっしゃいますが、そのわからんものは、農民諸君もわからんかもしらん。わかったとかわからんということではなしに、親切だとおっしゃっても向うでいやだというのなら、おやめになったらいいじゃないですか、どうでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 総理に詳しく説明いたしておりませんので、どういうことを議論しておるかちょっとわかりかねているようですが、先ほどから森さんが事柄の性質はよく御承知だと思いますので、私は実は詳しく事態の説明をいたしませんでしたが、御承知のように、予約制度を奨励するという意味で予約米については米の所得控除についても特別な税制措置をとって参りました。この税制特別措置がありますために、まあ今日特別の農家は利益を受けておられるというのが現状でございます。今お話にもありましたように、この予約制度は、相当普及して参りました今日の状況から参りますと、特別の人だけに利益を与えるという制度は思わしくない。税の特例の措置から申しますとおもしろくないというのが、実は基本的な考えであります。しかし、国としては別にそれを廃止することによって税をたくさんいただくのだと、こういう考え方で租税上の特例を廃止するわけではございませんから、この税制の特例を廃止することによって生ずるであろう所得税の増なり、住民税の増というものは、予約申し込みをなされた全農家に還元することの方が望ましいのではないかということで、国としてはその特例分に相当すると考えられる金額を、今回石当り七十五円として全農家に均霑さす、こういう処置を実は考えたのであります。そこで問題になりますことは、森さんも御承知のように、今日までこの特別措置によって利益を得られておる農家から見ますと、これは石当り七十五円の増加であるだけで、むしろ所得税は増徴されるだろう、在来の税制の特例だけの方が楽だ、こういうお気持があるだろうと思います。しかしながら、農家によりましていわゆる中農以上の農家ばかりでもないことでございますから、少額の申し込みをする人たちは今日まで何らの恩典を受けておらなかった。しかしこの特例を廃止することによって、ただいま指摘するように、所得税や住民税が一面でふえたのですから、そのふえた面を全体に返していく、小さい人たちがこれによって利益を受けるということにしたいというのが、私どもの考え方でございます。私どもは、その制度の親切の押し売りというような見方もあるでございましょうが、制度そのものについての今日までのPRが不十分だろうと思います。ことに来年度産米の価格決定の場合には、予算米価の上に七十五円の加算の一応の処置はとっておりますものの、最後に米価審議会においてどういう決定をいたしますか、この米価そのものが相当高いところにいくことを強く希望する向きから考えると、この種の七十五円程度の還元では反対だという議論もきっと起るに違いないと思いますが、少くとも予算米価を決定いたします場合には、租税上の特例廃止、その特例廃止によって国が利益を受けるというようなことがあるなら、これを全農家に還元していくことが、これは政治としての当然のことだと思う。私どもは租税上の特例廃止ということを前提に考えますので、ただいま申し上げるような七十五円を全体の農家に還元していくということを考えておるのであります。そこで問題は米価審議会で、さらに産米の米価をいかにきめられるか、こういう御議論のあることは、これはもうもちろん私どもも一応残しておる問題でございます。今回とりました措置が予算米価決定においての基本的な考え方である、これを御了承いただきたいと思います。
○森八三一君 今総理もお聞きのように、政府に米を売らん全農民諸君にも還元してやるのだということで、いかにもこれは親切な御処置というように聞えるのです。だとすれば、そういう今まで所得税に関係のなかった諸君もこれは歓迎しなければならぬはずなんです。ところが、そういう諸君も相含めておる。しかも政府の仕事を担当いたしておると思われまするような農業委員会、農業会議、農業会議所等の系統におきましては、やはり反対をしておる。これは全農民を網羅しておる組織なんです。だからそういう諸君や機関が反対をしておるということは、これは全農民の意思であると見なきゃならぬと思うのであります。そういうことを、今大蔵大臣の御説明私よくわかります。わかりますが、かりに大蔵大臣の御説明の通りであったといたしましても、全農民が喜ばんことをあえてやる必要はないじゃないか、私も租税特別措置法等の特例は、これは努めて整理をし、廃止するということが好ましいと思います。思いまするが、日本の食糧問題ということは、非常にこれは重要な問題なんです。特にここでこれにひびが入るということになれば、これはほんとうに重大な問題が私は巻き起ると思うのです。そういうようなことをやっちゃいかぬ、今安定をしてきて、ことしはさらに日本経済というものを安定の形で伸ばしていこうという努力を払っておる矢先に、こんな問題からいろいろ混乱が起きちゃいかぬ、こう思いまするので、せっかく四カ年間の苦労によって漸次理解をされて参りました予約制度というものが、さらに前進をいたしまして、ほんとうに余剰米というものは、やみ売りがなくて全部政府の手に集まるという時代を一刻も早く完成しなきゃならぬと思うのです。そのために大きな一つの支えになっておる、しかも売る人、売らん人も農民という立場における生産者諸君全体が現行制度を維持すべしという主張をしておることを、財政上何ら関係のないということがございますれば、これは一つ現行制度を維持するということに考えていただきたい。それこそがほんとうの私は民主政治の本道をいくものであると理解をいたすのであります。今最後に大蔵大臣は、いずれこのことは米価審議会等の論議を聞いて最後の結論を出したいということでございまするので、予算米価にはそういうことで構想はされておりまするが、これを固執しないということであると私は了解をいたします。そこで米価審議会がどういう結論をつけるか私は今わかりません。わかりませんが、やはり全農民の意思を受けてそういうような結論が加えられたとか、あるいは多数をもってそういう意見が述べられたという場合には、これは謙虚な気持でお聞きを願い、そうして日本の食糧政策というものについてひびが入らんように、それはやはり全農民諸君の協力がなくてはいかぬことでございますので、よく一つ頭にとどめておいていただきたいと思うのであります。きょうここでこれ以上この問題を論議いたしませんが、私は民主政治の本道というものは、あくまでも国民の声を聞かなければならぬと思います。少くともこれに関する限りにおきましては、生産者の声を聞くということでなければならぬと思いますので、よく一つお考えをいただきたいということを申し上げておきます。
 その次にもう一つ、農業問題でお伺いしたいのですが、最近農業法人の問題が非常に論議の中心になっております。衆議院の農林水産委員会では、農業法人を育成強化していくことがよろしいというような委員会の決定があったやに、新聞紙を通じて承知をいたしております。それをよく分析してみますると、問題が私はあると思うのです。私は必ずしも農業法人に変えることに賛成をするものではございません。これは非常に、農地法その他日本の農業経営の上にも重大な基本的な問題がはらまれておりますので、これこそ真剣に考えなければならぬと思うのです。がそこで、なぜ一体そういうような重要な内容を包蔵している農業法人問題というのが、ここ一両年にわかに台頭をして国会の論議の対象になっているかと申しますると、これは昭和二十五年に日本の税制が根本的に改正せられたシャゥプ勧告によってこれは行われた。そのときに農業に専従する専従者の控除をすべしということがシャゥプ勧告にあったのです。あの昭和二十五年の通常国会は重大な税制の改正でございますので、通常国会では結論が出ませんで、とうとう持ち越しちまって、参議院の通常選挙、改選後の臨時国会にこれが持ち越された。そこで結論が出されたが、その当時もこれは非常に論議されたのです。論議されたのてすが、いかにせん占領中でございまして、どうしても向う様の言うことを聞かなければならんということで、日本の国会としてはしぶしぶ了承いたしましたのが、当時のシャゥプ勧告による税制であったことを私は記憶いたしております。その後日本も独立いたしましたので、漸次国情に合うように修正をされてはきております。おりますが、その出発のシャゥプ税制というものを全的に実行するというならまだよかったと思いますが、そのシャゥプ勧告の中から専従者控除というものだけひょっと横べはずして実施したところに、私は問題が一つあると思うのです。そのことは済んだことでございますから、今そのことを論議する必要はございませんが、農業法人が問題になっておりまするのは、結局その専従者控除というものが認めておられないところに問題があると思うのです。そこで法人にいたしますると、これは当然給料その他で支払うから、専従者の所得というものは、報酬というものは税制の対象にならぬということになる、シャゥプ勧告のもとべ戻るのです。そういうことの実態が阻害されるということから起きてきている。もちろん、法人問題はそういう税制の問題だけではございません。農業の経営の近代化とか機械化という問題も含まれております。おりますが、現行の法制のもとにおきましては、農業経営の機械化、合理化、近代化ということにつきましては、あるいは農業協同組合法等によって十分解決される道はあるのでございます。ございますが、そういうような日本の農業生産を飛躍的に発展せしめていく方途であるといたしますれば、あえて好ましからぬような農業法人を作る必要はない、他の法律によって十分それは阻止されるのであります。そういうことを知っておりながら、あえて農業法人を作ろうというところに、やはり税制の問題に私はポイントがあると思うのでございます。でございますから、これは私は、やはり政府は根本的な中央、地方の税制を改正するために、本年度は新たに調査会を作って御研究なさるということでございまするから、私は今ここでこれをとやかく申すのではございませんが、少くともこの重大な問題をはらんでいる農業法人の問題につきましては、農業に従事する専従者に対する控除はすべきである。これを確定しないと、将来やはり問題が残ってくると、そうして新たに、これはただ単に税金の問題だけではありません。農業経営そのものの根本に非常な変革を来たす重大な私は問題になると思います。それがあるいは政治的にもつながって参りまして、さらに大きな問題に私は発展をする素地を作ると思いますので、この点は真剣に考えていただきたい。私の要望いたしますのは、総理にお答え願いたいのは、シャゥプ勧告に認められておった専従者控除を認められておらぬというところに問題があるのですから、これは青色申告、白色申告というようなことではなくて、青色申告したものは今でも認められますが、私は青色申告の報酬としてこの税を扱うなんていうのは実に邪道きわまるものであって、そんなことは私は税の体系として納得はできません。今はそういうような報償的な扱いを受けているのです。青色申告をしたものは、専従者控除を認められておる、こういう措置か認められております。だからそういうことであるならば、法人を作らんでも青色申告したらいいじゃないか、こういうことを税務当局はおっしゃいますが、私はこの措置を青色申告の報償的な措置として扱うということは、税の建前から言って私は感服いたしません。そういうものではないと思います。だから白色申告であろうと、青色申告であろうと、基本的に私はやはり体系上専従者控除を認めるべきであると思います。そのために税収が減って困るということであれば、それは他の方法によって解決すべきであって、どうしてもこのことは納得ができませんので、専従者控除を認めるべきであると思うのでありまするが、お考えいかがでございましょうか。今ここで結論を出せというのは無理かもしれませんけれども、お気持だけでも一つ伺っておきたいのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 農業課税についてただいま御指摘になりますように、世帯員の専従者に対します給与控除、こういう道はないか、これはしごくごもっともな点だと思います。この点は非常な問題のあることでございますので、ただいままで基本的制度ができておりませんから、青色申告をなさるならば、それができますというようなことを言っておりますが、これは今御意見にありますように、農業やまた中小企業について、全部を家計と企業と区別しろと申しましても、それは無理なことで、帳簿から整備していくのでございますから、ことに農業に対してこれは少し無理な話だと思います。しこうして御指摘になりますように、この青色年若制度の促進の問題とかねあわせて解決するということは、これは本筋でないと、かように考えます。そこで問題になりますのは、農業の辻人成りの問題が非常にやかましい。うこにいろいろ問題がございますが、御指摘のようにこれもその一つである、これはもういなめない事実だと思います。そこで一体どうしたらいいのか、まあかねてから農業とあるいは中小企業との課税の問題であるとか、あるいは大企業につきましても課税の問題、こういうことが議論され、青色申告と白色申告との関係においてもいろいる均衡をとる、こういうことで議論が出ておるのでございます。最近まで結論が出ておらない状況でございますから、ここで世帯員の専従者を全部除くようにしろ、こう言われましても、まだなかなか結論はそう簡単には出ないと思いますが、少くともこれから租税調査会を設けまして、企業課税のあり方等を十分検討することになっておりますが、そういう際には当然農業課税のあり方との均衡をとるように、十分考えていかなきゃならない問題だと思います。今日まで何もしなかったわけではないので、弁解がましくなりますが、ただいま御指摘になります青色申告の問題であるとか、あるいは農家の実態から見まして、扶養控除を引き上げるというようなことによって、そういうような負担を軽減していくとかいうようなことを考えて参りましたが、これはどうも根本的な解決ではないように思いますので、将来税制調査会において、やはり基本的な問題として、この問題を取り上げて、十分検討をしたい、かように考えております。
○森八三一君 税調誰査会かきわめて短時間のうちに結論が出されますれば、一つの対策であると思いまするが、私は中央、地方を通じまして、抜本的に、将来相当長期間不動の税体系というものを構想されるということでございますると、そんなに一夜づけで簡単に結論がつけられようはずはないと私は思います。また、そんなに簡単につけられても困ると思うのです。これはほんとうに真剣に考えてもらわんというと困る問題でございますから、そういうように早急には参りかねると思います。そこで、多少の時間を要すると思いますので、そういう時間を要する過程に、今法人成りという問題がぐんぐん進んでくるということになりますると、これは混乱の種をまくということになりまするから、早急に税体系についての根本的、抜本的な対策が考えられないということでございますれば、その善後措置として、私は申し上げますように、シャゥプ勧告に認められておったこの専従者控除は、端的にお認めになるということを、一つ御考慮を願いたいということを要請をいたしておきます。
 時間が参りましたので、最後の質問にいたしまするが、運輸大臣は御病気だということでございまして、私は政務次官にお伺いいたしますが、この委員会を通しまして、いろいろ貨物運賃の改訂が論議になりましたその過程で、永野運輸大臣の御答弁は、貨物運賃は改訂いたす所存でございますが、決してそれによって貨物運賃収入を上げようとするのではございません、総額については予算にあるだけでございますという御答弁、それからもう一つの御答弁のポイントは、原価主義と由しますか、コスト主義と申しますか、そういうことで処置をいたしたいということで御答弁になっておりますが、運輸当局のお考えは、永野運輸大臣が、この委員会を通して御答弁になりましたこの二つの基本線というものは、変りはないということでございまするのかどうか。
○政府委員(中馬辰猪君) 運輸大臣が昨日から発病いたしまして、ただいま静養中でございますので、政務次官がかわって御答弁を申し上げます。
 ただいま二つの点についての御質問でございますけれども、運輸大臣の方針については私どもも異存はございません。
○森八三一君 そうしますると、非常に重大な問題が起ると思うのです。コスト主義、原価主義ということになりますと、比較的重いとか、かさの大きいというものに、どうしても輸送に対する原価がかかります。そうするとこれは運賃を上げなければならぬ、こうなります。端的に申しますれば、石炭とかいうような基本資材、それから国民生活に密着する農林水産物、そういうようなものはその範疇に入ってくると私は常識的に思う。そういうものが原価主義ということに貫かれて、運賃が上るということになりましたならば、これは国民生活なり、基幹産業の伸展のために、非常に大きな問題を起すと思うのであります。そこで、総理なり大蔵大臣にお聞きを願いたいことは、私はそれも一つの構想として否定するものではございませんけれども、物の最終価格に含まれる運賃部分は、どれくらいの割合になるかということは、やはりこれは考慮しなければならぬ重要な私は要素だと思うのです。単純に独立採算制だから、原価主義でいくのだと、こういうことで割り切ったのじゃいかん。それでは経済界も混乱するし、民生も安定を失うということに私はなると思うのです。もしそれが行われたならば、これは農林生産物のようなものは、やはり適作でそれぞれ土質なり風土に起因して発達している、それが非常に大変革ということになると思うのです。これは農業経営の大問題である。たとえて申しますと、東京なり大阪なりに搬入される黄菜のごときは、それぞれ相当遠隔の地が適地でございますので、入ってきている。そういうものが運賃が高くなるとなれば、たちまち都市生活の日常に脅威を与えるということになる。これは常識的な問題で、総理は十分御研究になっていると思いますが、私はどうしても最終価格のうちに含まれる運賃部分が、どういうふうな割合であるかということも、これはコスト主義と並べて検討する有力な一つの対象にしなければならぬ、それを忘れて、運輸大臣が端的に言っていらっしゃいますようなことではいかんということを強く主張をいたすのであります。時間がございませんので、この点は要望になってしまったのでありますが、運賃改訂が行われる、これは国会の了承を得ずに、貨物等級の改正だけでいかれるかと思いますが、そういたしますと、各種の委員会を通して論議をするということはわれわれにできなくなります。等級の変更だけになります。そういうことで、政府の行政措置ですらっといっちまわれるというと、あるいは結果は非常に大きな問題につながってくる、こう思いますので、十分一つ今申し上げましたように、コスト主義と、そうして最終価格に含まれる運賃がどういう割合を占めるかということと、並べて御研究をいただきたいということを申し上げまして、時間が参りましたので、私の質問を終ります。
○理事(堀木鎌三君) 森委員の質疑はこれにて終了いたしました。
  ―――――――――――――
○理事(堀木鎌三君) ただいま委員の変更がございましたので、御報告いたします。
 羽生三七君が辞任し、その補欠として岡田宗司君が選任されました。
 午後二時二十分に再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時二十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時三十九分開会
○委員長(木暮武太夫君) これより委員会を再開いたします。
 現在、理事が一名欠員となっておりますので、理事の補欠互選を行いたいと存じますが、この互選は成規の手続を省略して、前例により委員長にその指名を御一任願いたいと存じます。御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木暮武太夫君) 御異議ないと認めます。
 委員長より松浦清一君を理事に指名いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 休憩前に引き続いて質疑を行います。千田正君。
○千田正君 私の質問する時間はきわめて短かく制限されておりますので、端的にお尋ねいたしますが、明敏な首相のことでありますから、お答えは十分一つしていただきたいと思います。
 岸内閣が成立して以来の外交問題につきましては、御承知の通り、現在は安保条約の改正等をめぐって日米間の問題は進行中と思いますが、その他の、日ソ問題は、平和条約やあるいは漁業条約を含んだ日ソ条約等が何らの進展も見ておらないということ、さらにまた日韓問題、ただいまは日本と中共との問題等につきましては、過日も本委員会におきまして外相にただしたときは、社会党の訪中使節団の諸君が帰って来てから十分向うの状況も聞いた上で、政府としての考え方をまとめようという意味の御発言もあったようであります。ところが淺沼社会党書記長の首相との間の質疑の内容を見ましても、お互いに平行線をたどっておる。本日の午前の曾祢委員からの質疑に対しましても、いずれも明確な結論が出ておらない。国民の多くの者はどうかして今日いまだに締結されておらないところのこうした重大な外交問題が、一日も早く解決することを望んでおることは、言うを待たないのでありますが、自民党並びに政府としては、日米間の問題を片一方においては掲げておるが、一方におけるところの中共との問題は全然これは触れようとしないのか、あるいは静観という名前をもって、むしろあきらめに近い諦観にいっておるのじゃないか。社会党の諸君からいえば、今日の重大問題は、むしろ日中間の問題を解決するにあるのだ。こういうふうに二大政党が、片や右、片や左とおのおのの方向をたどっていって永遠に平行線のごとく見える。これでは国民としては納得いかないのでありまして、国民が皆さんに負託した理由のものは、一日も早く平和の原則を立てて、独立の日本のまたその基盤となるべき経済基礎を置くべきである。同時にこうした外交をすみやかに解決することがわれわれの望むところである。ただ政党を結んで、その政党が日米である、日中である、こう争っておるということは、国民としましては、何か政党政治そのものが浮き上っておるのじゃないか、こういうことにまでも考えられるのであります。
 そこで私は総理に特にお尋ねいたしたいのは、先般から淺沼君の一行が帰ってきて、中共の状況も質疑の最中におわかりでありましょうし、また総裁として、総理としての考えも、そういうことを中心にして考えた場合に、この際日本はある程度国論を統一すべきじゃないか。われわれの望むところは、むしろ参議院なり衆議院なりの外務委員会もある。そしてまた政府も加えられまして、そしてこうした問題の重点政策をお互いに話し合って統一した外交に進むべきであるという観点から、やはり超党派的な外交審議会であるとか、あるいは外交調査会あるいは協議会というようなものを作って国論を統一するような一つのまとめ方をすべきが今日の段階においては必要じゃないかと私は思いますが、こういうことをやるという積極的なお考えがありますかどうかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 外交の問題について国論を統一してやらなければならないというお考えにつきましては、これは何人も異存のない問題であろうら、なおこれらに対する国民の各方面からの批判であるとか、あるいは今お話のような国論を統一しなければならない、またするというふうな機運がさらに一そう動いてくるというようなことを、政府としては考えていかなければならないと思います。ただいまの千田委員のお話でございますが、現在直ちにそういう委員会なりあるいはそういう機構を作って意見の統一をはかる。こう申しましても私はまだその段階ではないように思うのであります。しかし御指摘の点はわが党におきましても、政府におきましても、また社会党におきましても、十分に一つお互いに反省してみなければならない重要な問題に触れておると考えます。
○千田正君 今首相からは今その段階ではない、こういうお答えでありましたが、私は、国民はむしろ非常に批判的である。一体自民党、社会党、いわゆる政府なり社会党は何を考えておるのか。国民の要望しておるのは、そういうお互いの理論闘争ではないのだ、むしろ一日も早く国民の期待する方向に進むべきが政府としてもとるべきことであり、また政党としても考えてもらわなくちゃならないことではないか。国民の希望なり、あるいは期待というものの方向に進まずに、別途の方向へお互いの信念と称して論争を繰り返していたのでは、いつまでたっても静から動への動きがこないじゃないか。こういうのが現在のほとんど大部分の国民、政党に属さない国民の多くの希望なり期待なりがそこにあると思うのであります。それでただいまのお話では現段階ではそういうところではない、こういうお話でありますが、そうしますと、将来は何かそうした機運が出てくるならば十分に考えていくというお考えを持っておられるのか。また最近中共との問題は、一応周恩来首相のああした共同声明、それに対する岸首相のまた声明といいますか、委員会等を通じての信念を披瀝されておりますので、その食い違いを是正されるというような問題――これは終戦後、日本が中共から、おそらく大部分の引揚者のものは中共から引き揚げてきておる。で、お互いの国の現在の国民感情なり、情勢その他理解していないところにまた一つの大きな欠陥があるのじゃないか。そういう面からでも徐々に直していかなくちゃ、とうてい中共との問題は解決つかないじゃないか。こう思いますが、積極的に静観からさらに一歩進めて考えるという方策を何かお持ちでありませんかどうか。その点お伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 午前中もお答え申し上げましたように、この日中間の関係を打開することはこれは必要であり、またそのために中共側の今回の訪中使節団のもたらされたいろいろの意見等を、われわれも各方面から検討いたしております。ただ午前中にも話をしましたように、いわゆる政治と経済との関係というものにつきまして、まだまだ両方の意見というものの間に食い違いがあるように考えられます。私どもはできるだけ早くその状態を打開するためにあらゆる一つ手がかりを作っていきたい、という考えをもって検討して参りたい、かように考えております。
○千田正君 外交問題の一つとして外務大臣並びに農林大臣にお伺いしたいのですが、先般来日ソ漁業条約は停頓したままになっておる。資源問題から規制問題、さらに最後の漁獲量の問題に突入してきておるのですが、現在のところはソ連側の出方というものは、かつて日本がソ連との間に話し合いのあったいわゆる豊漁年、不漁年、このいずれにも属さない問題を強硬に日本側に対して実行しようとして主張してきており、これであってはいつまでたってもいわゆる日本の念願しておりますところの資源保議という建前からいって、また公海の自由操業という原則からいって、日本の権益などは守れない。かように私どもは現在の状況を考えておるのですが、一体これはどういうふうに進展さすべきであるか、進展しなければならないのか、また政府としてはどうがんばらなければならぬかということぐらいのことは、はっきりしてもらわないと、すでに操業時期はもう一カ月あとに迫ってきております。この点につきまして外務大臣並びに農林大臣の御所信を承わりたいと思います。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日ソ漁業条約におきます日ソ委員会は、一月以来会合を重ねておりまして、いまだ結論に達しておりませんことはお話の通りでございます。現在望ましいことは資源委員会におきまして、この委員会におきましてできるだけ、両者の持っておりますデータの上に立って、そして資源論争の下に問題が解決されることであると思います。ただ本年度のソ連の態度というものは従来にも見ないような相当強硬な態度であります。また出してきました案もかなり強硬な案を出しておりますことは、今日まで御説明申し上げた通りだと思います。しかしわれわれも、第一義的には、何としてもソ連側も資源の上に立っての根拠を示していろいろ論議をしておりますので、われわれとしても資源の上の論争としてそうした根拠の上に立って、委員会でできるだけ論争を続けてまとまることが望ましいことはむろんなんであります。従って今日それをやっておりますが、最終的段階になりまして、ただいまのお話の通り、漁期等も迫ってくるといたしますれば、最終的にどうしても解決しない場合には、政治的にいろいろな折衝をしなければならぬかと思いますけれども、現在ソ連側もまだその意向を持っておらぬわけであります。委員会の席上での論争を引き続き続けておるのが実情でございます。内容等につきましては農林大臣の方から……。
○国務大臣(三浦一雄君) 日ソ漁業交渉の現段階でございますが、過般来資源量の討議をいたしました。これは不幸にしてまだ一致するような結論には達しておりませんが、その間にありまして規制措置についての向う側の提案があったのであります。これは先にも御説明申し上げました通り、とうてい公海自由の原則から申しましても、同時にまた漁業協約を結びますにつきましての基本的な考え方から言いましても、とうてい容認はできない、こういうことで、その方面につきましてわが方が科学小委員会等で提示しました各般の資料をもって、これに対して鋭く反論をしておる。こういう実情であるのでありますが、これと並行的に、ニシンであるとかカニの問題につきましては、この討議を並行的に行なっている段階でございます。同時にただいまの焦点でありますところの漁獲量でございますが、ソ連側は昨今の資源状況は非常に憂慮すべき事態であるからというので、規制措置に相並びまして去る二十六日に五万トン程度の提案をしたわけでございます。しかしながらわが方の資源論、同時にまた各般の資料を見ましても、とうていこれは容認することはできないのみならず、漁業条約の本質から申しましても同時にまた関係の漁民を保護する見地からいいましても、とうていこれを承服することはできぬのでございますから、各般の資料を提出いたしましてそうして相互にこの問題についての取り組みをしているわけであります。同時に、向う側といたしましては、規制措置等につきましては若干の修正を出して参りました。しかし本質的にわが方の了承し得ない点でございますので、なお懸命に努力しているということでございます。仰せの通り漁期をだんだんひかえているのでございますから、これは取り急ぎ結論を得なければならぬことでございますけれども、現在のようなソ連側の提案では、先ほど申し上げました事由によりましてわが方ではこれを容認できませんので、あらゆる各度から各般の資料を出し、同時にまた日ソ漁業条約の基本的立場、同時にまた漁業関係の漁業者を保護する見地から懸命に努力いたしまして、そうして所要の結論を得たい、かように努力している次第でございます。
○千田正君 一昨年、昨年の日本側の代表であった高碕、平塚、井出、河野、それから赤城、こうした日本の政府代表が昨年一昨年ソ連に行きまして、そうして話し合いをしてきましたところの漁業条約の話し合いは、今日に至ってはむしろ根本的に違ってきている。あの当時の話し合いとは全然違った方向に入ってきている。この段階に来ているということは私が申し上げるまでもない。外務大臣も農林大臣も御承知のことと思いますが、こうした話し合いというものは、その場限りでもう終ってしまっているのかというふうにわれわれは考えるのであります。私は、あれは生きているのじゃないか。日ソ間の漁業条約あるいは平和条約を背景に持ったこの漁業条約というものは、少くともお互いの信頼の上に立ってそうしてあくまで了解の上に立ったことであってみれば、今日かような状態に持ち込むということは、はなはだ向うが無謀なやり方じゃないかと私は思うのですが、その点はどういうふうに外務大臣は考えておられますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) もちろん、日ソ漁業協定の委員会の毎年の話し合いというものは、やはりこれは相当尊重されていくべきものだと思います。こうした交渉あるいはこうした問題が解決いたすのには、過去からのいろいろの論議のつながりというものが尊重されなければならぬのでありまして、急激にいろいろな、数量でありますとか規制区域でありますとか、そうしたものが変化いたしますことは、その関係者に対して非常な経済的な、あるいはいろいろな意味における新しい負担と申しますか、あるいは制限をかけることでありますから、たとえ終局においていろいろな問題がありましょうとも、急激な変化ということは望ましいことではないのであります。急激な変化を望ましいことでないとすれば、やはり過去からの話し合いというものが相当尊重されてこなければならぬ。本年はソ連が今までの話し合い以上に相当強いことを言って参り、特に規制区域等についてはそういう点があるのは残念だと思っている次第でございます。
○千田正君 一昨日の新聞等に伝えるところによりますと、これはよそのことでありますけれども、やがて日本側にも響いてくるのですが、ソ連のトロール漁船がアラスカのブリストル湾沖のべーリング海に約五十隻現われて相当量の漁獲をやっている。この辺は日米加の三国が条約を結んで、そうしてお互いに資源保護のために規制をやっている。条約に参加しないところのそうしたソ連が条約国をしり目にしてそうして勝手に漁獲をする、こういうような意図の下に動かれたのでは、一体日米加の条約とか日ソ間の漁業条約というものは意味をなさないのじゃないか。こういう問題が最近非常に強く批判されてきているのであります。条約さえ結んでおらなければ、どこでも勝手にやっていいじゃないか、他国のめいわくなどどうでもいいじゃないかということの下に、そういうふうなことをやられるとするならば、日米加漁業条約なんていうのは価値がなくなる。また日ソ漁業条約を結んでもやがてアメリカなりカナダなりがこの地区に入ってきてとるとするならば、これまた意味がなくなるじゃないか。こういう一つの大きな矛盾をはらんできておるところの今日のこの姿に対して、外務大臣はどういう考えを持っておられるか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま御指摘のありましたような、ソ連のトロール船がブリストル湾に入って漁業をしておる、というような報道があったことは事実でございます。従って、この問題はむろん直接日本とソ連との間の関係はございませんし、またその意味からいえば、直接日米加の漁業条約と関係ございませんけれども、そうした行動が自然とられることになりますと、アメリカ側のいわゆるアラスカ海漁業というものに影響し、ひいては日米加の条約に影響してくることになろうと思います。従って、そういう問題については、将来やはり十分な考慮をして参らなければならぬので、現に日米加の漁業協定委員会等の会合についてはソ連がオブザーバーで出る。日ソ漁業の場合にもアメリカでもそういう意向を持っております。やはりそうしたもの全体を含めてあるいは何か考えていかなければならぬのではないか、というような問題も将来としては起ってくるかと思います。そういう点については十分この問題を注視していかなければならぬ問題だと思います。
○国務大臣(三浦一雄君) ソ連側が今の海域に出て操業しているということにつきましての、実は正確な情報をまだ得ておりません。従いまして、この海域におきまして、御承知の通りオヒョウなどを底びき等をいたしましてとっておりまする場合には、これは日米加の関係で保護すべきことになっておりますから問題は起きようと思いますけれども、ソ連側をこの方面で制肘するという根拠は実は持ちかねるわけでございます。今のところ確たる情報を持っておりません、これ以上お答えする正確な資料を持っておりませんけれども、これらの問題につきましては、日本としましては、日米加の問題等につきましても厳格に見守っていく、同時にまた日ソ関係にありましても、おのおのその協定になりました事項は順守しつつ操業を確保していく、というのが建前であろうか、こう考えております。
○千田正君 きわめて短かい時間なので残念ですが、これは正直者がばかを見るような政策を日本がとっていたのでは、いつまでたっても日本の力が伸びていかない、こういう点において再検討していただきたいと思います。
 最後に総理大臣にお尋ねいたします。時間もありませんのできわめて結論的に申し上げますが、昭和三十二年の二月以来岸内閣が今日まで二年有余の間内閣をとって参ったのでありますが、岸首相が総理大臣になられると同時に、われわれ国民に耳にタコができるほど唱えて参られたのが三悪追放です。これは自民党の公約であり、また岸内閣として当然やらなければならない問題としては、これは三悪追放である、暴力と汚職と貧乏と、これは国民に強く約束する、こうおっしゃって今日まで参ったのでありますが、今や参議院の選挙あるいは地方選挙を前にしまして、私があらためて岸首相にお伺いしたいのは、一体三悪が追放されたかどうか。第一番の汚職の問題についてはどうかと申しますと、昨年末以来千葉銀行の問題であるとか、グラマン機のいわゆる機種選定の問題であるとか、あるいはいろいろなたとえば日比の賠償問題をめぐっての、岸首相の身辺に対して、野党の諸君からの攻撃を受けておるとか、こういう問題、さらに公務員等の汚職等を数えるときわめて膨大な数に上っております。首相がたびたびおっしゃったような三悪追放の第一点であるところの汚職そのものが、ちっともきれいになっておらない。かつて十九世紀のころヨーロッパにおいて次々と内閣が倒れていった幾多の国々の例は、その裏面を見るとことごとく政商と結託したところの当時の首相なり内閣なりのいわゆる汚職事件であったことを考えますと同時に、私はかつての東欧における民主主義はそうして滅んでいったことを考えると、私は今日の政情は実に重大であり、またこの東ヨーロッパの政争と同じように民主主義没落の趨勢をたどっておるのではないか、ということを深く考えられますので、この汚職に対してはどういうふうに首相は考えておられるか。選挙を前にしてまさしく国民の前にはっきりと声明されるべきであると思いますが、汚職問題について、次に暴力と貧乏をあげますが、順次私はお伺いいたしますから、汚職問題についてはっきり御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 政治を清浄なものにし、この汚職をなくするということが民主政治の根底に横たわる大事な問題であることは、千田委員の御指摘の通り、私自身内閣を組織して以来、私が三悪追放を国民に誓い、私自身におきましてもあらゆる面で汚職をなくするように努力をいたして参っておるつもりでございまして、これには第一は私は何と言っても政治家の心がまえ、政治家の政治のあり方というものが大事だと思います。第二には公務員の綱紀の問題が取り上げられなければならぬと思います。そうしてこの根底に横たわるものは、言うまでもなく国民道義の高揚であり、従ってこれに対して政治家あるいは政党、特に政局を担当している者としては、これに対する国民から疑惑を持たれることのないように、あらゆる面において努力すべきことは当然であると同時に、いやしくもこの汚職の問題が取り上げられるという場合におきましては、徹底的にこれをやはり追及して、そうして真相を明らかにするということによって、もしも罪ある者はこれを私は法によって処断をして、そうして一般の関心を求めていくという態度をとっていかなければならぬと思います。この戦後におきましていろいろな方面において汚職の問題が起っております。これは非常に遺憾なことでございますが、私はなかなかこれが一朝にしてなくなるような簡単な問題ではないと思います。歴代の首相といえども、いかなる政治家といえども、汚職をもって民主政治の敵としてこれをなくしようということは、だれもが考えたことであり、また努力をされてきていると思います。十分にあらゆる面から総合的にこれが絶滅を期していくように私は努力を続けていかなければならぬ、また国民もこれに対して協力していただき、国民からの強い批判が起るようにしていくと同時に、今言うように政治に当る者としては、特に十分自戒自粛すべきものであると、かように考えております。
○委員長(木暮武太夫君) 千田君に申し上げますが、時間が経過いたしましたので簡潔に一つお願いします。
○千田正君 時間があまりございませんから簡潔に質問いたしますが、お答えは十分はっきりしていただきたいと思います。
 次に暴力の問題につきましては、最近非常に取締りが厳重になって、ある程度少くなったようにも見えるのですけれども、実際においてはそうでなくて、むしろ別な面において派生してきておる、こういうのは私が申し上げるまでもなくおわかりだろうと思います。それで社会不安が決して減じてきておらない。取締りは一片の法律だけではできないのじゃないか。その根源に横たわるものをやはり適切に見定めて、そうしてそれに対していろいろな点からこうしたものの取締りなり、撲滅をはからなければならないのではないか。どうも従来見ると一片の法律だけをもって押える、押えてみたところがすぐまた法的欠陥が現われて、それが一年もたたないうちにまた釈放されて戻ってくるというと、また同じことをさらに繰り返していく、今日の暴力ざたというものはほとんどそうである。最近に至っては、やはり政治的背景その他をもって、いろいろな団体をもってこの暴力ざたが盛んになってきておる。こういう問題はやはり暴力追放という首相の理想からいえば、単なる法律、一片の取締りだけではだめじゃないか。何かその根源を突きつめて、そうして考えなければ、この暴力追放なんというのはやり得ない。私はその点について一点。
 時間がありませんから、二点の貧乏という問題につきましても、この予算を通じてみましたところが、十分にこの貧乏対策ができておらない。たとえば厚生省の白書にしましても、労働省から出ておるところの失業者の対策の問題にしましても、潜在失業者を含めるというと、一千万をこえるというようなことは、岸首相が考えておられるところの貧乏追放とは、およそ縁の遠い問題が起きてきているのではないか。青少年に至っては、今日学校は卒業しても就職はできない。首相のおっしゃるところの青年よ希望を持て、理想を持てという、あなたの高い理想が、青年自体に何ら侵透しておらない。職がないのだ。思想上においては、あなたの好ましからざる方向へと転落しておるのが現在の姿であるということを考えましたならば、総理としましては、二年有半、今日二悪追放を一つの公約として掲げられてその理想を実行するためにやってこられた二年半の功績というものは、はなはだ私は薄いと思う。でありますから、この暴力追放の今の問題、貧乏の来たるべきその根源を衝いて、そうしてどういう方針をもって今後これを貫くか、これは今日地方選挙なりあるいは参議院選挙を通じて、また振り返って、振り出しに戻って、首相が新たなる決心をもって国民に約束しない限りにおいては、民主主義のいわゆる二大政党云々ということは、むしろ今日は言うべき時代ではないのじゃないかと私は考えますので、この際、はっきり国民に公約すべきところの実行に対する方策を述べられんことを希望しまして、私は質問を終りたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 暴力の問題につきましては、御指摘のように、暴力にいたしましても汚職にいたしましても、ただ法の取締りを厳にする、あるいは法律を設けてこれを取り締るというだけで、その目的を達するものではないことは、私もさように思います。ただ、しかしながら現在のこの社会生活において、お互いに平和な生活をしていこうというものを脅かし、これに対して、その平和を乱すような事態は、これは放っておくわけにはいきませんから、あくまでも取締りをし、そういう事態を引き起したものに対して、法の命ずるところによって処断するというのは、これは当然であると思います。しかしこの問題は私はやはり今お話のように、ただ法で取り締るだけではなくして、その人んが暴力を犯すに至っておる原因、また取り締った後において、その人々がほんとうに更正して、平和な生活、民主的な生活に入るような事態を作っていかなければならないのでありまして、ただ捕えて法によってこれを監獄に入れて、そうして法の命ずるところによって、これを出して知らぬ顔をしておるということでは、次から次へと絶えないと思います。従ってその更正の問題に関しましても、相当にわれわれはこれに力を用いていかなければならないし、またそういうものが、特に青少年の、若い人々の間に起ってくるということについては、社会的な欠陥の問題も、私はあらゆる社会環境を改めていくことが必要であり、そういう点にも意を用いていかなければならぬと思います。
 また、貧乏追放の問題につきましては、私はよく言っておるのでありますが、やはりほかの暴力の問題にも、あるいはある場合には汚職の問題にも、皆、根は関連してくると思います。やはり経済生活を安定的ならしめ、そうして各人の生活を向上せしむべく社会環境をよくしていくということを伴わなければいけないのでありまして、一方においてわれわれは経済の安定的な成長、繁栄をはかって、職場を多くし、就職の機会を多くするように努力するとともに、やはり社会保障制度を拡充していかなければならぬ、この意味において私どもが国民健康保険の皆保険を実施して、国民年金を出発するというようなことも、これらの方策の一環として考えていただきたいと思います。
 要は、やはりこれは何といっても政治そのもの、政治家そのものが非常な決意をもって、あらゆる面において民主政治を実現し、自由な、また幸福な福祉の生活を国民に作り上げるように努力すると同時に、やはり国民全体の方々の協力を得て、そういう社会を作り上げる熱意を燃やしていただかなければならぬと思います。この意味におきまして、やはり政治そのものに対する国民の信頼を得るように、あらゆる面において努めていくということが、何といっても根底であろうと思います。私はそういう意味において、私が政局を担当する限りにおきましては、なお至らぬところについては十分反省する、同時にその努力を続けていきたい、かように念願をいたしております。
○委員長(木暮武太夫君) 千田委員の質疑は終了いたしました。
  ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 次に、市川房枝君。(「要求大臣を全部そろえなければ、休憩しますよ「労働大臣はどこへ行った」と呼ぶ者あり)
○市川房枝君 恩赦の問題につきましては、午前に森委員から御質問がございましたが、私にはどうも納得できない点がございます。総理が大赦と個別恩赦とを混同しておった、こうおつしゃいましたけれども、総理が御存じのないはずはないと思います。何だか、そこには少しごまかしがあるような気がいたします。私が三月五日の総括質問で、この恩赦についてお伺いしましたとき、総理はこういうふうに答えて下さいました。過去の皇太子御成婚の場合にも選挙違反は「含めておりません。私は十分に各方面の情勢等も勘案して、最後の決定の決定をいたしたいと思っておりますが、しかし、選挙違反の問題を特にこれに含めるということはこの際として適当でないというのが私の考えでございます。」、こうお答えになっております。私は特に大赦とか特赦という言葉で念は押しませんでしたけれども、総理のお言葉のように、過去の皇太子の御成婚の際、つまり明治三十三年の大正天皇の場合には、大赦も特赦もございませんでした。大正十三年の今上天皇の場合も、大赦はございませんでした。特赦はありましたけれども、それには選挙違反は一つも含んでおりません。これは五百三十七人だけでありまして、関東大震災のときに、いろいろな流説から殺傷したような人たちに対して適用された。従って私は特赦ももちろん含めて、選挙違反一切も含めてお伺いをしたわけでありまして、総理ももちろんそのつもりでお答えを下すったと思い、はっきりしたお返事をいただいたと思って、実は喜んでおったわけであります。ところが午前の質問に対して、大赦はしないが特赦をする、こういうことをおっしゃっておりまするが、これは私はどうもやはり党の方の圧力で総理がよろめきましたと申しますか、少し考えをお変えになったのではないかと、こう思われるのでありますが、いかがでございましょうか。今上天皇の場合には特赦はしなかったですけれども、減刑はいたしました。その減刑は五万人の中に、選挙違反が少し含まれておったようであります。私は今度も個別に減刑はある程度する、それも悪質犯でなくて形式犯などに対しての減刑をするというのなら、私もその程度なら賛成でございます。今度特赦をなさいますにつきましても、新聞その他で伺いますというと、特赦の標準をかなりお広げになる。そうすると、結局、大赦と同じくらいに大量の選挙違反の方たちが許される。それからもう一つ、やはり新聞に出ておりますのは、先ほど法務大臣からお話ありませんでしたけれども、いわゆる政令でもって復権令を出す。選挙違反で公民権を喪失した方たちも全部許す、こういうのが含まれておるらしいのですが、そうなりますというと、今度の恩赦では非常に選挙違反というものは浮び上ってくる。結局はお手盛り恩赦で、皇太子の御成婚を汚すということに私はなるのではないか。従って国民の中にずいぶん強い反対がございます。毎日のラジオの放送あるいは新聞の投書その他にずいぶん出ております。私は今からでもおそくないので、総理は党内のそういう圧力に屈しないで、国民の声を聞いて、恩赦の範囲を、先ほど申しました減刑の程度にとどめていただくということはできないものか。これは日本の、私は将来の政治の上から見て、非常に重大な、いや、総理御自身の政治的な生涯からごらんになっても、この際、総理の最初のお考えをはっきりとお通しになるということが、私は非常に大事じゃないかと、こういうふうに考えるわけであります。
 それからいま一つ恩赦に関連いたしまして、むしろ死刑の宣告を、判決を受けておる人たち、それが多数決であったり、あるいは情状によりまして、死刑を一等免ずるというようなことがもし行われますれば、これこそほんとうに皇太子様の恩赦にふさわしいものと思いますが、それについては、これは法務大臣からでもけっこうですが、どういうふうにお考えになっておられるか伺いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。ただいまの死刑の問題でございますが、これは御承知のように、新憲法になりましてから、恩赦の制度もすっかり変った関係もございまして、いわゆる常時恩赦という制度が行われております。今日に至りますまでも、死刑の判決が確定いたしました場合は、この常時恩赦を扱いますが、中央更生保護審査会におきまして、十分に漏れなく死刑の宣告ありました場合については、その情状、犯行、その他のいろいろの条件を調べまして、そして決定をすると申しますか、法務大臣に上申があるわけであります。でありますから、このことはあえてこの際この御慶事に際して、一律に減刑というようなことを考えませんで、やはり個別的に十分審査をして最後の決定をすることが私は望ましいことであると考えますので、今回の皇太子の御成婚恩赦とは切り離して、従来のようなやり方を推進して参る、かように考えております。
○国務大臣(岸信介君) 御成婚の場合の恩赦の範囲をどういうふうにするかということに関しまして、この前、市川委員の御質問に対しまして私がお答えをしておいたことにつきましては、多少私が研究が十分でなかった点があるように思います。それは午前中にも申し上げましたが、戦後におきましてこの恩赦の行われた数回の場合におきまして、大赦が行われておりまして、その罪を一切罪でないことにするような意味の非常に広範囲のものが行われてきておったことは御承知の通りであります。私は今回の皇太子殿下の御成婚に当りましての恩赦については、そういう広範囲のことは、これは従来の例から見ても差し控えるべきであり、またそういうことは適当でないということを従来も考えておりましたし、またそういう意味で大赦は行わないということにいたしたいと思っております。
 なお、恩赦のうちの特赦の点につきましては、これは個々に、要するに犯罪者として罰せられた者を、いろいろな情状によって罪を軽くしたり、あるいは罪を免じたりする制度でございますから、これはいろいろな犯罪の種類のうち、どういうものを選ぶかということは、いろいろな刑事政策の点もありますし、事務の点からいろいろな点を考察して、この適当な範囲をきめ、そうして特赦の方法でこれを用いることが適当である。ただしその場合に、選挙違反というものをどう扱うかという問題につきましては、午前中にもお答え申し上げましたように、特にこの選挙違反に寛大にして、選挙違反を事実上大赦にひとしいような形にするというようなことをすべきものでないことは言うを待ちませんが、同時に選挙違反なるがゆえにほかのいろいろなものと区別して、午前中にもそういう御意見もございましたが、特にこれだけは恩赦の域から除外するというような扱いもいかがかと考えておるのでございます。
 そういう意味におきまして、いろいろと事務当局において検討いたしておるのが現状でございますが、私がこの前お答えしたときには、少しその点についての研究が十分でありませんために、きわめて私は常識的に申し上げまして、あるいは今御指摘にありましたように、私の何か態度が非常に変ったような印象を与えましたことは、重々私の研究が足りなかった結果でございますから、ここに釈明をいたしておきます。
○市川房枝君 今の総理の釈明を伺いましたけれども、どうも納得できません。しかし私は時間がありませんので、次に進ませていただきますが……。
○千田正君 関連質問を……。
○委員長(木暮武太夫君) 千田君、簡潔に一つお願いします。
○千田正君 ただいまの市川委員の質問に関連しまして、法務大臣にお伺いしたいのですが、恩赦法の第三条の解釈をどういうふうにとっておられるかという点です。「有罪の言渡を受けた者については、その言渡は、効力を失う。」という一号の規定と、第二号の規定に「まだ有罪の言渡を受けない者については、公訴権は、消滅する。」この公訴権の消滅のみならず、従来検挙されて審理中の者あるいは疑いがあって勾留されている者等に対しまして、この恩赦法の働きはどうなるのか。「まだ有罪の言渡を受けない者」というと、場合によっては、選挙違反であった、昨年の衆議院の際の選挙違反の者は、何年も延ばしておいて恩赦の恩典に浴そうとする考えを持っている者と、早く言い渡しを受けてこの特典を受けようとする者との、この二つの面が、選挙違反ばかりでなく、犯罪の特赦に対し、種類によって受刑を受けそうな者がいろいろなことを工作しておる。こういう点が多々ありますので、この「言渡を受けない者」は一体どうなるのか。また現在検挙されておって、いまだ何らそうした法的関係が進行しておらない者はどうなるのか。こういう点について明快な御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまお尋ねの第一の点は第三条の問題でございますが、第三条は大赦の規定でございまして、大赦と申しますのは、御承知のように常識的に申しますと、根こそぎにみんななくなるといいますか、そういうことになるわけでございます。その大赦の場合におきましては、ただいま御指摘の通り、有罪の言い渡しを受けた者については、その言い渡しは効力を失います。それから言い渡しを受けていない者については公訴権が消滅をする。つまり私ただいま申しましたように、一切根こそぎになくなる、罪は、根底から疑いがなかりしことになる、こういうことが大赦令でございます。この大赦につきましては、今回の皇太子の御成婚恩赦については考えていないわけでございます。
 それから、その次のお尋ねにつきましては、午前中にも御質疑がございましてお答えいたしましたように、たとえば特赦の場合におきましては、有罪の言い渡しを受けた者に対して、これを行う、こういうことになっておるわけでございます。なおただいま死刑の問題等についても、お話を申し上げましたように、今日の制度では、いわゆる常時恩赦という制度も広く活用いたされておりますから、そういう場合のやり方といたしましては、ただいま御懸念のございましたような、いろいろの点を総合的に考えまして、不公正がないようにと申しますか、均衡のとれた筋の通るようなやり方でやるのが、政策として相当なやり方である、このように考えております。
○市川房枝君 あと私、婦人関係の問題と売春の問題で伺おうと思ったのですが、私の時間が、あと五分で来ちゃったのですが、一つお許し願って、売春の問題について総理に伺います。
 売春防止法は、昨年の四月一日から、完全実施になり、約一年経過をいたしましたが、実施の状況は、必ずしも良好でなく、赤線復活を信じて転業しない業者がまだある実情でございます。その上、最近では選挙を前にして、候補者と予想せられる人たちが、赤線復活必至だということを宣伝しておる向きもございます。一体これは、だれの責任でありましょうか。法律を制定したのは、国会であります。それも、政府案で両院とも満場一致で成立しております。この法律を実施し、法律の目的を実現するのは、私は政府の責任だと思います。
 もちろんこの問題は、非常にむずかしい問題でございまして、金と努力と時とが必要だと思いますが、一番大事なのは、これを解決しようとする熱意であると思います。ところが、政府には、もう売春問題は済んでしまったというので、内閣に設けられております売春対策審議会や、厚生省に設けられておりました売春対策推進委員会などを廃止されようとされました。また売春関係全体の予算も、三十四年度は、要求額の半額以下で、三十三年度より約一億八百万円減少しておりまして、総計四億千五百万円でございます。だからその業者になめられて、赤線値活論が起っておるのだと思います。
 しかし御承知の通りに、日本は昨年、国際連合の売春禁止の条約を批准いたしましたから、今さら赤線復活はできないのでありますし、あるいは黙認も私はできないと思います。で、無理は、こういう現状を御存じでおいでになるでございましょうか。どういうふうにこれをしようとお考えになっておりますか。私ども及び婦人団体は、要するにこの問題が、こういう状態であるということは、岸総理に、この問題に対しての熱意をお持ちになっていないのだと、こういうふうに考えております。そうでないとおっしゃるのでございましたら、少し具体的に御意見を伺わせていただきたいと思います。
 それから、なお気の毒な婦人たちの保護、更生の問題は、厚生省の担当でございます。厚生省の係の方は、なかなか熱心にやっておられますが、今度の坂田厚生大臣は、なんだかあまり熱心でないようなふうに聞いております。堀木元の厚生大臣は、非常に熱心にやって下さいましたことを私どもは感謝をしておるのでありますが、厚生大臣からも、一つ売春問題についての御意見を伺わせていただきたい。
○国務大臣(岸信介君) 御指摘のように、売春禁止の問題は、これは長年の日本に行われておりました弊習を、これによってなくしようという、非常に高い理想から、この法案が成立し、また国際条約にも入って、日本としてもこの問題については、とにかく長年、いろいろな論議があり、ずいぶん国内において反対もあり、長い歴史的ななにもあったのでありますけれども、これをやるという強い決意のもとに踏み出したことも御承知の通りであります。
 しかして、これを実現する上におきましては、いろいろな点において、努力をしなければならぬ一番大事なことは、今お話のように、政府がこれを実行する上における熱意というものは、何といっても大事だと思います。さらに婦人団体その他国民の方々の非常な御協力も必要だと思います。何といっても、これに従事しておったところの者が他に転業し、正当な業務に転業し、またこれに従事しておった人々が、りっぱな更生の道を持てなければ、ただ法律でもって禁止しただけでは、なかなかこれが達せられない。従って予算の面におきましても、施設等におきましても、国がやらなければならぬこともたくさんございます。私の聞いておりますところによるというと、施設があるにもかかわらず、これの利用率というようなものについても、まだ十分ではないというようなこともございまして、なお非常な強い熱意をもって努力を続けていかなければいかぬ、決して私は、これを軽視し、問題が済んだから、これに関するなには、いろいろな審議会やらその他のものを廃止して、これで済むのだというふうに簡単には考えておりません。足りないところのものにつきましては、いろいろ今後において努力をしていきたいと思いますし、また、一番大事なことは、政府が熱意をもって、あくまでもこの法律の方針はまげないということは、これは、この席をかりまして、私ははっきり申し上げて、そういう赤線が復活するというような一つの考えをもって、いろいろな行動をするというようなことは許せない。徹底していないところは、今後相当な時間を費しても、必ず政府としては、これは法の目的を達するように、あらゆる面から努力をしたい、婦人団体等の御協力も、切にお願いを申し上げておきます。
○国務大臣(坂田道太君) 御承知のように、本年度の予算に計上いたしております額は二億二千三百万円でございまして、前年度に比しまして確かに一千万円程度減額になっておるわけでございます。しかしながら、これは御承知の通りに施設が昨年度できまして、それで減額になったわけで、これでもって、非常にこちらが努力をいたしておらないというわけではないわけでありまして、ただいま総理大臣からお答えございましたように、確かに、一部におきましては、東京等とか、あるいは大阪等におきましては、相当利用率も多いわけでございますけれども、まだ、最近になって施設ができた所とか、あるいはいなかの方で、まだそういう機運が、十分徹底をしておらないという所においては、確かに五〇%、六〇%という所もあるわけでございます。これは、今お話にございますように、皆が、これをどうしてもやらなければならないのだという気持に、やはりなっていただかなければならないわけでございまして、私どもといたしまして、一度こういうような法律ができまして、これをきめました以上は、この方に努力をして参りたいと思うわけでございます。
 特に、先般も菅原さんあたりの売春対策推進委員会のメンバーの方々にもお集まりいただきまして、私、事情等も承わっておるわけでございますが、何せ私就任、間もないわけでございまして、その収容施設等の状況等を、この目で見たわけでもございませんし、あるいはその方々に対しまして、お話を伺ったわけでもございませんので、もし、国会が終りましたならば、それらの点も、よく私のこの目で見まして、あるいは事情等も聞きまして、そうして推進をいたしたいというふうに考えておるようなわけでございます。
○委員長(木暮武太夫君) 市川君に申しますが、時間が……。
○市川房枝君 今の総理のお言葉、大へんありがとうございました。どうか一つ、これからそういうふうにおやりいただくようにお願いいたします。婦人の問題は、きょう時間がありませんから、あとで、また総理に私の申し上げたかったことを差し上げますからどうぞ。
○委員長(木暮武太夫君) これにて、市川委員の質疑は終了いたしました。
  ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 次に、岡田宗司君。
○岡田宗司君 本日朝、日本国とアメリカ合衆国との安全保障条約第三条に伴う刑事特別法違反事件で、東京地方裁判所で裁判に付せられておりました武藤軍一郎君外六名の学生に対しまして、東京地方裁判所の伊達裁判長は、全部無罪の判決を言い渡したのであります。その判決文の要旨のうちに日米安全保障条約は、国内的にこれは憲法違反である、また行政法あるいは行政協定並びに刑事特別法も、同時に憲法違反であるというような重大な法律的な内容を含む判決が下されたのであります。
 この事件について、私どもは本日、その情報を受けたのでありますが、このことについて、正確なることを一つ、法務大臣からお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 本日、東京地方裁判所におきまして、いわゆる第三次の砂川事件、これは刑事特別法の第二条違反の疑いで公判が行われておったのでございますが、ただいまお尋ねの通り、無罪の判決が言い渡されたのであります。私も、何分今朝のことでございますから、自分自身としても、まだ詳細に判決の理由書を点検するだけの時間的余裕がございませんが、伝えられるところによりますと、日米安保条約、行政協定並びに刑事特別法等一連のこうした法規は、憲法に違反するというようなことがある模様でございます。これを根拠としてこれらの条約、法律等が、憲法に違反するから無効であるという趣旨のようであるということを伝えられておるわけでございます。
 私どもといたしましては、もちろん検察当局を中心にいたしまして、詳細に、その理由を検討いたしました上で措置をとりたいと思っておるのでございますが、この際申し上げたいと思いますのは、すでに行政協定等を有効と認めて、それを前提にしての判決というものは、東京高等裁判所初め相当の件数になっておるわけでございます。大体、ただいま調べましたところでは、七十数件の判例が、すでに出ておるようでございますし、上級裁判所である東京高等裁判所におきましても、三件のものが、かくのごとき、ただいま申しましたように、これらの協定、条約、法律を、もちろん有効であることを前提にして判決が確定しておるものも三件ございます。最高裁判所の判例は、まだこうした事案について出ていないようでございますが、ともかく、こういったような、多くのすでに判例があり、また、その中には、確定しておるものも相当の数が、ただいま申しましたようにございますわけでございまして、この東京地方裁判所の本日の要するに判決というようなものは、きわめて何と言いますか、異例と言いますか、初めての私どもとしても経験ではないかと思うのでございます。先ほどお断わりいたしましたように、詳細の理由について点検をするまだいとまがございませんが、もし伝えられておるような理由であるといたしまするならば、これはわれわれとしては承服ができません。
 従って先ほど申し上げましたように、検察当局におきましても、十分検討をいたしました結果、控訴をするというようなことになると私は考えておるわけでございます。
○岡田宗司君 愛知法務大臣に、私は正確ないきさつをお伺いしたいと、こう申し上げましたので、あとの解釈なんぞについては、私は何もお聞きしていない。
 けさ東京で判決が行われたのです。そうしてこの事の重大性にかんがみて、閣議まで開かれておるじゃありませんか。それにこうこういう模様でございますの何のというのは、何です。一体。判決文をここへ持ってきてお読みなさい。私は法務大臣から聞きたいのは、その点なんです。そういう不誠意な答弁では、私は満足できない。どうぞ判決文をここでもって披露をしていただきたい。それを報告が行ってないはずはない。それをここでもって、こういうような判決が下ったんだということを、この予算委員会に御報告願いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの問題について、閣議を開いたというような事実はございません。それから、ただいま申し上げました通り、判決が出たからといいまして、それを十分に、私自身、先ほど申し上げました通り、十分に、これは検討しなければ、軽々に意見を申し述べることはできませんし、それから、それらに対して、どういう措置をとるかということも、とりあえずのところとしての、私の気持を申し上げただけでございまして、膨大な判決の理由書を点検して、その中の各項目について、こまかく意見を申し上げるべき、私は、今、段階ではないと思います。
○岡田宗司君 判決要旨は、すでに新聞にも発表されている、政府が、知らないはずはない、それについて報告しないということは、まことにけしからぬ話なんで、だから私は、それを求めているので、まだ政府の解釈とか、それに対する政府の態度というものは聞いておりません。
 どうか一つ、その点から政府の方で、誠意ある御答弁を願いたい。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま申し上げました通りでございまして、その詳細な判決文の理由書というようなものを、私自身として物理的にまだ読む時間がないんです。(「怠慢々々」「議事進行」と呼ぶ者あり)
○岡田宗司君 これは重大だということは、法務大臣は今言われたじゃありませんか、そうすれば、けさ判決があったものが、しかも法務大臣が、重大だと言われたものが、今、それまでわからないということは何事ですか。(「事実を報告しろ」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(愛知揆一君) これは、申し上げるまでもございませんが、こうした種類の裁判が行われまして、他の裁判についても同様と思いますけれども、判決書自体が、まだ検察庁の方にも届いていないんでありますから、私は、先ほども申し上げましたように、こういうふうに報ぜられておると、その報ぜられているというようなことが、事実でありとするならば、ということで、申し上げておるんであります。私の手元に、判決書が来ていない、私は見てもいない、検察庁にも来ていないんですよ。
○岡田宗司君 怠慢々々。それから、政府に対する報告を聞かして下さい。
○矢嶋三義君 議事進行について。
 この問題は、非常に重要だからというので、わが党の方からは、質問時間をお願いをしたわけです。ところが、今までの経過があって、各会派の方で、質問時間の割愛がいただけないで、社会党としては、持ち時間の中から十分間さいて、岡田委員に質疑していただいているわけです。ところが、この通告は午前中したにもかかわらず、明確な答弁をしていないわけです。そこで、岡田委員の方は、討論をピントを合してやるために、経過を説明してほしい、判決理由の要旨を述べてほしいということを要請しているわけです。それを明確にして議論したいというわけなんです。だから、それを述べて下さい、ここにあるから、これを読んだらどうですか、そうして議論をして下さい。
○国務大臣(愛知揆一君) 何べんも同じことを申し上げて恐縮でございますが、これは、事は裁判所におけるところの判決でございます。その判決が、係検事のところへ、いずれ回って参りましょうけれども、それがまだ来ていないわけでございます。(「怠慢々々」と呼ぶ者あり)私が、怠慢といわれたって、それは、裁判所の制度自身の当然のことなんでございます。
 私は、何べんも申しますように、そういうことが新聞等で報ぜられている、ですから報ぜられたところを見た、それに対するところの、とりあえずの、御質疑でございますから、お答えをしたわけでございまして、これは、怠慢とか何とかいう問題とは、別の問題、裁判所の問題なんでございます。
 さよう御了承を願います。
○岡田宗司君 ちょっと、議事進行について。
 私どもは、けさこの報道を聞きまして、政府に質問すると、こういうことで、その質問の要旨等についても、政府の方の代理の方が来られまして、いろいろ私に聞いたから、私、それを申し上げた。だからこの問題が、私によって質問されるということは、御存じのはずなんです。それだのに、「模様でございます」とか、「伝えられるごとく」とか言うのは、一体どういうことですか。少くとも答弁するに当りましては、責任ある答弁をする、それには、それ相当の材料を持っておらぬければならぬはずです。
 ことに法務大臣は、これは重大なことである、ということを言われたとすれば、その重大であるということを判断されるに当っても、それくらいの御用意はあったはずだと思うんです。それを、そう言われないということは、私、非常におかしいと思うので、これは、その点をはっきり、経過について、またあるいはその判決の全部でなくたってよろしいのですが、要旨について、政府の方から御報告のない限り、私はこの質問を進めるわけには参りません。
○国務大臣(愛知揆一君) くどいようでございますが、裁判所から、政府が報告を求めるとか、裁判所が、判決について政府に報告をするとか、そういうことは、三権分立の建前からいって、私はあり得ないことなんでありまして、従って情報を伺ったことを基準にして、そういうことが事実ならばということで、お答えをしたのでございますから、これは、そういうことはできないことであるということを申し上げたわけでございます。
○岡田宗司君 議事進行について。
 私は、何も裁判所から、とれとは言っておりませんよ。法務大臣のもとに、検察関係の機関があるのでしょう。その方が報告を受けているはずですよ。ですから、そっちからとったってとれるはずだ。それをやらないで、「ようであります」の、「模様であります」のじゃあ、私は納得ができない。
○委員長(木暮武太夫君) そうすると、岡田君にちょっと伺いますが、政府の方から、今の判決文の要旨なり判決文を明示して、あなたの質問の資料にしなければ、質問を、そうすると今できないと、こういうわけですか。
○岡田宗司君 私どもは、今、早くやってもらいたい。
○鈴木強君 議事進行。
 ただいまの問題につきましては、われわれが、本予算を審議する過程におきまして、自衛権の問題をめぐって、憲法第九条の解釈は、何回か政府と激突してきて参っておるわけです。少くともこの問題が、従来、政府が主張して参りました考え方と、全く相反する判決の要旨になっている以上、われわれとしては、この予算審議は、そういった基本問題が明確にならぬ限りにおいては、応じられない。
 そこで私は、この愛知法務大臣は、なるほどそういう権限もないでしょう。しかし事は、その東京地方裁判所で、けさ十時に開廷されて、そこで言い渡された判決でありますから、こういう重大な問題に対して報告する義務があるとかないとかということを別にして、国会の審議の中で、これだけ重大問題化していることですから、政府が進んで、そのいきさつを把握することは当然のことだと思う。あなたは、政府が、三権分立で介入するとか、しないとか言っておるが、それならば、質問しないにもかかわらず、今、調べて控訴するということまで言っている。これは、言っていることと、やっていることと違う。そういうばかげた答弁を法務大臣が言うことはけしからぬ。あなたは三権分立を、はっきり分立するなら、なぜ先ほど、質問をしないことに控訴するかもしれぬということを言っているのか、言語道断だ。
 少くとも委員長、本問題については、本予算審議の過程において、最大問題として、われわれが主張してきたことと、はっきり関係があるので、委員長は、すみやかに政府が、この判決がどういう判決であるか、その内容を岡田委員の質問に答えて、ここに、事を明らかにする措置をとられるように、私は委員長にお願いします。それでない限りは、審議はできません。
○栗山良夫君 議事進行。
 私は、われわれの手元に、もうすでに判決理由書のおおよその要旨というものが、手に入っているのでありますが、それを責任ある法務大臣が、まだお知りになっていないということは、まことに奇怪しごくであります。従いまして、岡田委員は、今、判決要旨の説明を求められた、この説明に応ぜられない、法務大臣のただいまの答弁は、まだ勉強ができていない、まだ入手していない、こういうことでありますが、これでは、本委員会が、中心の論題としてやって参りました憲法と行政協定、安保条約の関係が、依然として不明確のままでありまするから、従って当委員会は、法務大臣が判決要旨を手に入れられて、勉強をして、当委員会の要請に基いて、答弁に応じられるまで、暫時休憩されることの動議を提出いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(木暮武太夫君) ちょっとお待ち下さい。
 愛知法務大臣に申し上げますけれども、今、議事進行で委員の方の発言のありました通りでありまして、この判決文の要旨なり、あるいは判決文全体なりを出すことによって、審議が進捗するという状態にあるのでございますが、あなたのさっきのお話を聞くと、あなたがお手元に取れないことも理由のあるように思いますけれども、(「そんなはずはない」と呼ぶ者あり)あなたの方から、何か御発表になるようなことはできませんですか。
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたしますが、先ほど申し上げたのは、事実その通りなんでありまして、係検事のところへもこういう判決の謄本というようなものは、裁判所から参りますのには、相当時間かかるわけであります。いわんや、私は、その正文を見て、点検するだけの時間的余裕はございませんということを、申し上げた通りでございまして、それに付け加えて申し上げることはございません。
○矢嶋三義君 議事進行。
 ただいま栗山委員からも、議事進行があったのですが、適切だと思うのです。それで、愛知法務大臣が、検察庁の方に連絡とりましたら、必ずこの判決理由の要旨というものは、簡単に入手できると思う、東京で行われた裁判ですから……。従ってここで休憩をして今後の運営について、委員長、理事打ち合せ会を開いていただきたい、動議を出します。休憩して下さい。
○委員長(木暮武太夫君) 速記をとめて。
   午後三時五十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時五十七分速記開始
○委員長(木暮武太夫君) 速記をつけて下さい。
 この際、委員長から申し上げることがございます。岡田君の御要求の件につきましては、判決正文は、本日の審議には間に合いませんが、判決要旨が配付されておるようにも承わりますので、政府において資料を取り寄せる手配をしておりますから、二十分間だけ休憩いたします。
   午後四時五十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後五時四十八分開会
○委員長(木暮武太夫君) これより委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続いて、岡田君の質疑を続行いたしたいと存じます。この際、法務大臣の発言を求めます。愛知法務大臣。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどの判決の書類の問題でございますが、判決文の正本が係検事の手にわたりまするのには、いまだ相当の時間がかかりまするので、この点を御了承願いたいと思います。
 ところで、本日判決の言い渡しの際、裁判所が判決理由要旨なるものを法廷外で記者クラブ等に対しフリントして配付いたしたものがありますことを確認いたした次第でございます。これをただいま私人手いたしました。この書類は、ここに申し述べました通りに正確なものでありますことを前提として御了解願いたいと存じます。その上で読み上げることにいたしたいと存じます。それじゃ刑事局長から……。
○政府委員(竹内壽平君) 判決理由要旨と称する書面の内容を朗読いたします。
   「刑事特別法第二条は、アメリカ合衆国駐留軍基地内の平穏を保護するため、基地に対する正当な理由なき立入又は不退去に対し一年以下の懲役又は二千円以下の罰金若しくは科料を科したものであるが、これに対応する一般刑罰法規である軽犯罪法第一条第三十二号違反の場合は単に拘留又は科料を科し得るに過ぎない。この差別的取扱は法が駐留軍基地内の平穏を特に重要と考え、一般国民の土地等の平穏よりも一層厚く保護しようとする趣旨に出たものとみるべきであるが、もし合衆国駐留軍がわが憲法上許すべからざる存在であるならば、刑事特別法第二条は国民に対して何等正当な理由なく軽犯罪法に規定された一般の場合よりも特に重い刑罰を以て臨む不当な規定となり、何人も適正な手続によらなければ刑罰を科せられないとする憲法第三十一条に違反する結果となる。
 日本国憲法第九条は、侵略戦争は勿論のこと、自衛のための戦争及び自衛のための戦力の保持をも許されないとするものであって、これは憲一法前文に掲げられたところの「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないように」しようとする日本国民が、「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想(国際連合憲章もその目標としている世界平和のための国際協力の理想)を深く自覚し」た結果、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を維持しよう」とする決意に基くものである。従って憲法第九条の解釈は、このような憲法の理念を十分考えた上でされなければならず、単に文言の形式的把握に止まったり、合衆国軍隊の駐留はわが国が軍事的真空状態になることを防ぐためのやむを得ない手段であるとする政策論によって左右されてはならないことは勿論である。
 日米安全保障条約第一条によれば、合衆国駐留軍は単に日本国の防衛のため使用され得るばかりでなく、合衆国が極東における国際の平和と安全の維持のため事態が武力攻撃に発展する場合として戦略上必要と判断した場合は、当然日本区域外に出動し得るのであって、その際にはわが国が提供した国内の基地は勿論その軍事行動のために使用されるわけであり、わが国が自国と直接関係のない武力紛争の渦中に巻き込まれ、戦争の惨禍がわが国に及ぶ虞は必ずしも絶無ではない。従って日米安全保障条約によってこのような危険の可能性を包蔵する合衆国軍隊の駐留を許容したわが国政府の行為は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きないようにすることを決意し」た憲法の精神に悖るのではないかとの疑念も生ずるのである。しかしこの点はさておき、合衆国軍隊がわが国の防衛のために使用される場合について検討すると、安全保障条約によれば、わが国は合衆国軍隊に対して指揮権、管理権を有しないことは勿論、合衆国軍隊は外部からのわが国に対する武力攻撃を防禦すべき法的義務を負担していないのであるが、同条約締結の動機、交渉の過程・更には日米両国の政治、経済、軍事上の密接な協力関係、共通の利害関係等の諸事情を考察すれば、わが国が武力攻撃を受けた場合に合衆国がわが国の要請に応じてわが国内に駐留する軍隊を直ちに使用する可能性は頗る大きいものと思料され、このことは行政協定第二十四条の規定に徴しても十分窺われるところである。
 このようにことを実質的に考察すると、わが国が外部からの武力攻撃に対する自衛に使用する目的で合衆国軍隊の駐留を許容していることは、憲法第九条第二項によって禁止されている陸海空軍その他の戦力の保持に該当するものといわざるを得ず、結局わが国内に駐留する合衆国軍隊は憲法上その存在を許すべからざるものといわなければならない。
 かくしてわが国が締結した日米安全保障条約及び日米行政協定の国際法的効力は格別、国内法的には合衆国軍隊の駐留が憲法第九条第二項に違反し許すべからざるものである以上、刑事特別法第二条の規定は、前に指摘したように何人も適正な手続によらなければ、刑罰を科せられないとする憲法第三十一条に違反するので無効なものであるから、被告人等に対する公訴事実は罪とならないものとして無罪を言渡すものである。」以上。
○岡田宗司君 ただいま刑事局長から読み上げました判決理由要旨は、岸総理もお聞きになったと思うのであります。私は内容のことは繰り返して申し上げませんが、このことにつきましては、この判決は単なる論文ではない、国際政治学者あるいは評論家が論文で書きましたものについては、いろいろ論争も行われるでありましょう。これは一つの裁判による判決であります。判決において、かように日米安全保障条約、行政協定あるいは刑事特別法が憲法違反であるとされたことは、これが初めてでありまして、これの法律に及ぼす影響あるいは政治的に及ぼす影響というものは、きわめて大であると思うのでありますが、首相はこの判決の影響が政治的にいかなる影響を持つものであるとお考えになるか、まずその点からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 憲法や法律の解釈につきましては、いろいろな論議が行われ、従来も行われております。判決につきましても、今回の判決理由要旨として今読み上げましたことは、従来私ども政府がとっておる見解とは全然別個のもの、反対のものであります。私はもちろん判決がされたということは、それだけで一つの意義を持つことは当然でありますけれども、言うまでもなく、裁判の一審においての判決に対して不服の場合におきましては上級審に控訴する、また上告することになっております。最後の最高裁判所で決定される判決に対しましては、これは法の解釈として最後的に尊重しなければならぬことは、言うを待ちませんが、その途中におけるいろいろな判決等につきましては、従来も今回の判決とは全然違った立場をとっている判決がありますし、また現にそれが確定をいたしておる実例もございます。これらに対する政府の考え方は、従来私どもが国会を通じて申し述べておるような見解を政府としてはとっているわけであります。従って法的な措置につきましては、なお十分検討の上でわれわれのとるべき措置等につきましては考えていかなければならぬ、かように思っております。
○岡田宗司君 先ほど愛知法務大臣は、三権分立の建前から云々と言われて、判決というのに対する一つの大きな意義を認められておるわけであります。これはその判決のうちにおいて憲法違反であるということが指摘されておる、このことは今までもちろん私どもの党も日米安保条約、行政協定あるいは刑事特別法が憲法違反であるといって参りましたが、しかし、これはなお一つの論議の問題でありますけれども、今次裁判所において、たとえこれが第一審においてなされたものであって、最終的に決定されたものではないにいたしましても、なお争うべき余地があるにいたしましても、裁判所がかような憲法違反であるということを決定いたしましたことは、これはひとり日本の国民に対して大きな影響を与えるのみならず、私はこのことが日本とアメリカとの間において大きな影響を与えるものと思うのであります。このことによりまして、政府はおそらくがく然としたでありましょう。またこれによりましてアメリカ政府もまたこの報を受けましたならば意外な打撃を受けたと、こう感ずるに違いないのであります。このことは私はおおい隠せないことであると思うのであります。私どもは、もしこういうような事態が起ったといたしました場合に――今、政府はさらに日米安全保障条約の改定の話を進めようとしておるのであります。さきの国会におきまして、岸総理は日米安全保障条約は相互防衛条約的なものにする、あるいはその共同防衛の範囲を、沖縄、小笠原を含めても差しつかえないということを、しばしば言明されておったのであります。もし、こうようなことになりますならば、この判決において明らかにされましたところの違憲をさらに強めるということになるものと言わざるを得ないのであります。私どもはこの判決が出ましたとたんに感じましたことは、もはやこの点について裁判所が新たなる見解を出しました以上、これが最終的に決定見るまでに時間はかかるでありましょうし、また最終決定がいかになろうといたしましても、私はそれまで日米安全保障条約の改定のごときことを、政府は断じて進むべきではないと思うのであります。この点について岸総理は、今行われようとしております日米安全保障条約の改定を打ち切る意思があるかどうか。もし、この判決があるにもかかわりませず、政府はこれを無視いたしまして、その最終的な決定を見ざるうちに、さようなものを進めるといたしますならば、三権分立の精神を、これをじゅうりんするものと言わなければなりません。政府はこの判決が出ました後にも、なお日米安全保障条約改定を進めるつもりであるかどうか、この点についてお伺いをしたいのであります。
○国務大臣(岸信介君) 三権分立のこの建前から申しまして、裁判所が政府と違った見解をとることも、もちろんあり得ると思います。しかし、憲法の解釈、法の解釈につきましては、最後的にきまる判決を待っていかなければならぬと思います。その途上における判決だけでもって、政府が十分に、もちろんこの判決のあったということに対しましては検討もし、詳細にあらゆる点から検討する必要があることは言うを待ちませんけれども、私はこれをもって政府が従来、今日までのとって参りました憲法上の解釈について、私どもはこれを変える必要というものは、今日の段階においてはこれを認めておりません。従って今日の段階において、直ちに安保条約改定のことを、従来の方針を変えるということは、今日の状況においては考えておりません。
○岡田宗司君 ただいまの御答弁を聞いておりますというと、どうも私どもはふに落ちないのであります。とにかくこの判決によりまして、少くとも裁判所は日米安全保障条約等が違憲であるという判決を下したわけでございます。もちろんこれから争わなければならぬでありましょう。しかしながら、裁判所がそういう判決を下したということは、先に申し上げましたように、単に国際法学者や、あるいは政治評論家がこれにいろいろと非難をしたり、攻撃をしたりする議論を展開しておるのとは違うのであります。この裁判所の判決の重要性というものが認められるかどうかという点は、これは非常に大きな問題でありまして、政府は単にこれを一片の論文と同じように解しておるのかどうか。そうしてこれが、この判決が国民にいかなる影響を及ぼすものであるかという点について政府はどう考えておるのか、その点を総理にお伺いしたいのであります。
○国務大臣(岸信介君) 同じ安保条約や行政協定に関しましても、従来相当たくさんの判決もございます。私は今回の判決が出たから、これを唯一のものとしてこれに従わなければならぬ、こうは考えておりません。従来上級裁判所におきましても、これと反対の見解をとった判決がすでに行われ、確定を見ておるものもあるのでありまして、従って今回の判決だけを唯一のものとしてこれに従わなければならぬというふうには考えておりません。
○岡田宗司君 私はただいまそういう、それに従えということを聞いておるのではないのであります。これは単なる批評家の論文ではないのだ。学者の論文ではないのである。裁判の結果の判決であります。そうして判決というものは三権分立の建前からいくと、これは重大なものであります。しかもこれは、この刑事特別法に基いて起訴をされました人たちを無罪としておるのであります。そういうような事実上の効果も及ぼしておるのであります。で、このことは非常に新聞にも大きく報道されておりますし、国民はこの判決によって、日米安全保障条約が違憲であるということを、今までいろいろと雑誌の論文だの、あるいは著書だので聞かされておりましたものが、裁判所においてそういう判決があったということを聞き、あるいは読みました場合に、これが非常に重大なものであると考えるに違いないのであります。特に先ほど愛知法務大臣が申しましたように、七十余件の前にこれと違った判決がある。そのあとにおいてなおこういう判決が出たというところにさらに重大なものがあると私は思うのであります。これが国民の安保条約に及ぼす考え方には、非常に大きな影響を与えると思うのでありますが、総理はこの判決が日米安全保障条約、行政協定、刑事特別法に対する国民の考え方に重大な影響を与えたものであるとお考えになるかどうか、その点をお伺いしたいのであります。
○国務大臣(岸信介君) もちろんいろいろな見方があると思います。これを事情を十分に知悉して考える人もありましょうし、ただ一つのできごととして見る人もありましょうし、いろいろな国民に与える影響というものはさまざまであると思います。しかし、事は厳粛なる法律の解釈の問題であり、また憲法との関係の問題、条約との関係の問題でありますから、私どもは慎重に判決の理由等をも検討をして、そうして国民に対してもわれわれの従来考えてきておる考え方、それは今申し上げるように、裁判所におきましても、多数その考えを支持してきておった判決が現実に存しておるというようなことも、十分に一つ理解してもらいまして、正当な判断と、それから判決として最後的な決定を見るような措置を十分に一つ慎重に検討して、国民が正当なる理解を持つように努めていかなければならぬと思います。
○岡田宗司君 私どもはこの判決はきわめて重大なものであると考えておるのであります。この判決の理由として示されておるところにつきましては、今、私はもうすでに持ち時間が切れておりますので、ここで政府側の意見を聞くわけには参りません。あるいは他の同僚諸君がその点についてさらに質問をするでありましょうし、あるいは衆参両院の委員会におきまして、政府側の見解をただす、ことになるでありましょう。そういうことは、いずれ今後の問題といたしまして、私は、この判決は重大な影響を持っているものと思うのであります。そして、私どもは、この判決によっていよいよ日米安全保障条約、行政協定並びに刑事特別法等は、憲法に違反しているものである、こういう信念をますます固めたのであります。そして私どもは、この判決に示された理由は、国民を納得させるに十分であると信ずるのであります。それゆえに私どもは、今後一そうこの点を国民に明らかにして、そうして日米安全保障条約等が憲法違反である、そうして、この憲法違反である日米安全保障条約を強化し、あるいはこれに基いて自衛隊を組織し、そしてまた、アメリカとの軍事協力を進めようとする岸内閣の政策に対しましては、まっこうから反対をしていかなければならぬと考えておるのであります。私どもは、この判決によって引き起されましたところの諸種の問題について、なお、われわれといたしましては検討をいたしまして、政府の見解と相まみえることがある、こう考えているわけでございます。私どもは、この判決を非常に重大に考えますがゆえに、今政府にその所信をただしたのでありますけれども、私どもは、政府からこれに対する満足した御答弁は得られなかったのであります。いずれ機会を改めまして、政府の所信をなおはっきりとお伺いしたいつもりでございます。
 私の質問はこれで終ります。(「ちょっと関連」と呼ぶ者あり)
○委員長(木暮武太夫君) 関連ですか。どうぞ。
○矢嶋三義君 一つだけ関連して伺います。それは、岡田委員の最後の質問に対する総理の答弁が不明確である。それは、あなたが総理大臣として、また、自民党の総裁として、政治家として、憲法の解釈を変える考えはない、それは勝手です。それはあなたの勝手です。しかし、あなたは、憲法九十九条の制約を受けなければならない。少くとも裁判所は、あなた方の憲法解釈に疑義があることを明確に打ち出しておる。これをはっきりとわが日本社会党は、安保条約締結以来ずっと主張してまた。そのままこのたびの国会における本会議並びに予算委員会、特にこの予算委員会では論じられたのですが、わが日本社会党の議員の主張した通りです。矢嶋が書いたような文章であります。(笑声)立法府でもそういう意見がある。裁判所は、少くともこういう見解をはっきりと判決として出してあるのでしょう。で、それがあれば、あなたは、行政府として、憲法九十九条の「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」という憲法九十九条の制約を受けるわけですからね。だから、あなたは、憲法解釈を変える、変えないは、それは勝手ですよ。しかし、一国の総理大臣、行政府の長として、こういう判決が出た以上は、三権分立の立場から、今、安保条約の改定交渉をしているのは、この最終確定解釈が下されるまでは、憲法の番人である最高裁判所の裁定がきまるまでは、交渉を停止すべきだと考えます。
 また、もう一つは、「自衛のための戦力の保持をも許されないとするものであって、」と明確にわが日本社会党の主張の通り述べています。だから、このたびの予算書に盛られている自衛隊の増強、すなわち一万二千八十五人増強することも、直ちに一応停止すべきだと思うのです。そうして、最高裁判所の最終的な憲法解釈が出た後にやるべきであって、先ほど岡田委員に対するあなたの答弁は、憲法九十九条違反です。明らかに違反です。答弁を訂正していただきます。
○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げましたように、憲法と安保条約、行政協定の関係につきましては、従来もいろいろな判決が出ております。すでに政府と同じ見解のもとに判決されたものもあります。今度出ましたものが、われわれの見解とは違っておりますが、これが最終的に決定をしないときに、私は、それだけを唯一に取り上げて、政府として行動をきめるとか、あるいは考えを変えるとかいうべきものではないと、こう思っております。(矢嶋三義君「それは司法権の無視ですよ」と述ぶ)
○委員長(木暮武太夫君) 岡田委員の質疑は、以上をもって終了いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(木暮武太夫君) 次に鈴木強君。
 鈴木君に申し上げますが、労働大臣が本院社労委員会にただいま出席中ですので、労働政務次官がここに出ておりますから、どうぞ御了承願います。連絡はとっております。
○鈴木強君 だめだ、それじゃ。
○矢嶋三義君 委員長、質問者がだめだと言うんだから、呼んで下さい。始められぬですよ。議事進行。総括質問で、質問者が、大臣がいなければ質問できぬと言うのに、委員長、なぜ呼ばないのですか。
○委員長(木暮武太夫君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(木暮武太夫君) 速記を始めて。
○鈴木強君 私は一カ月間の本委員会の審議を通じていまだに不明確の点がございますので、そういう点に集中をして、以下御質問を申し上げたいと思います。
 その第一点は、岸総理の財産公開についてであります。私、お互いに政治家として多少私事にも関係いたしますし、不本意にも思いますが、しかし、このことが不明確のままに本予算委員会の審議を終ることは、まことに許すことのできないことだと私は思いますので、この機会に総理の御所見を承わっておきたいと思います。
 御承知の通り、グラマン機種決定、さらにまた賠償問題等を追及する過程において岸総理の身辺に問題が波及をいたしました。私たちは非常に事が重大でありますから、非常に慎重に取り扱ったのでありますが、御承知の通り本委員会では委員長・理事打合会におきましてこの問題はいろいろと協議をしたのであります。その結果、委員長より岸総理に対して特に申し入れがあったと思います。しかし、私たち理解する範囲におきましては、予算委員長に対して何らのあなたからの意思表示もございませんしするので、あなたはこの財産の公開については必要があればお出しになる、こうおっしゃっておりますが、私たちはそれでは出していただきたい、そしてむしろそのことによっていろいろな疑惑が一掃できるならば、総理のためにも私たちはまことに適切な処置ではないか、こう考えておるわけでありまして、そのことが委員長・理事打合会におきましてもその必要性は皆が確認いたしました。ただ、私事にわたる点もありますから、委員会の決定とはいたしませんでしたが、その趣旨を委員長より総理に申し伝えたわけでありまして、その後、総理としては、この問題についてどうお考えになるのでございましょうか。進んで公開をする気持はないのでございましょうか、この点をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) この前の予算委員会におきましてそういう要求があり、理事会におきまして、そのことは予算委員会としてはそれは正式に要求はしないということに決定されたということを、委員長から私にお話がありました。しかし、今鈴木委員のお話になっておるような空気も理事の間にあったということも私は承わっております。私としては、これはすでに衆議院でも申しておりますように、必要であるとするならば、出すことにやぶさかではないと申しております。現在、私自身の良識に訴えて出すことが適当であるかどうかということにつきましては、その後におきましても、いろいろと考えております。しかし、今のところにおきましては、私は、公開するということは、その必要を私自身としては今日においては認めておりません。これを私の心境として申し述べます。
○鈴木強君 私はただいまの岸総理の御答弁を伺いましてまことに遺憾に思います。少くとも一切の疑惑を解き、身の潔白を立証するのには残された道はこれよりほかに私はないと思います。従って、むしろ進んで岸総理がこのことをやられることが国民の期待するところだと私は信ずるのであります。そうでありませんから、たとえば次々に、その後の岸総理の財産公開がおくれているために、新聞その他雑誌等でこの問題が取り上げられておるのでありますが、この雑誌によりますと、岸総理の財産目録ということで特別レポートの記事が載っておりますが、これを見ますと、私たち今まで知り得なかったような点も詳細に述べておられます。ますますあなたに対する疑惑というものが蔓延をしていくのではないかと私は思うのであります。過ぐる衆議院の予算分科会において川崎秀二君が質問した記事がちょっと載っておりましたが、私はこれを見たときには、あなたの別荘は熱海にしかないと思っておったわけであります。ところが、箱根にもあるということがここにも書いてありまして、どういうことかなと思っておったのでありますが、今回、週刊新潮の雑誌を見ますと、小湧谷ですか、そこにもあるということが書いてあるのでありまして、なるほど、このことか、こういうふうに私は思ったのでありますが、かくのごとく、いろいろな意味から疑惑が非常に増大をしていくことは岸総理にとって私はとるべきことではないと思うのであります。ですから、われわれもしあなたがそういう態度でありますと、委員長・理事打合会の決定としては、さらに協議をするということになっておるわけでありますから、ですから、この決定が正式にはもちろ委員会としての決定ではありませんが、そういう強い意思のもとに委員長を通じてあなたに申し入れをしておるわけでありますから、そういったわれわれの意向に沿わずして、できないということを私は納得できません。なぜ、そのことをやって、あなたの身の潔白を立証されないのですから、私は非常に残念に思います。もう一度一つ伺いたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 鈴木委員の御意見としては私十分謙虚に拝聴をいたしました。しかし、私はあらゆる面から私の立場及び私の考えというものを検討いたしまして、今日のところにおきましては、これを公開するということは考えておらないと先ほどの心境を申し上げた通りでございます。
○鈴木強君 依然としてそういう総理の態度でありますと、われわれはまた委員長・理事打合会において検討いたしますが、まことに私は遺憾千万だと思います。しかし、総理がそういう御心境でありますならば、私、これ以上あなたに御所見を承わるのもどうかと思いますから、この問題は以上で終ります。
 次に、労働大臣来ましたか。仲裁裁定の問題をやりますから、委員長、呼んで下さい。
○委員長(木暮武太夫君) 今呼びに行っております。(「社労委員会は散会したのですよ」と呼ぶ者あり)
○鈴木強君 これからやってくるというのでやっていたのに来ない。一つ先に繰り上げてやったのです。呼んできて下さい。
○委員長(木暮武太夫君) ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(木暮武太夫君) 速記をつけて下さい。
○鈴木強君 争議権のない三公社五現業の労働者の賃金要求は、相当紛争を重ねて参りましたが、過ぐる二十六日に公労委から仲裁裁定が提示されております。私は、この扱い方について政府のお考えをただしておきたいと思いますが、まず、この裁定によって三公社五現業の予算はどの程度増額になりますか。これは委員長、各公社の方々がいらしていると思いますから、御答弁いただきたいと思います。
○説明員(十河信二君) 金がどれぐらい要るか、予算――財源をどうできるかということを今検討いたしております。私どもといたしましては、仲裁裁定は尊重して、完全に実施したいということで今、一生懸命に検討をいたしておるところであります。
○鈴木強君 所要額は幾らかかるのですか、国鉄の場合ですと。
○説明員(十河信二君) 所要額もまだはっきりわかりませんが、私の見当では五十億ないし六十億ぐらいじゃないかと思っております。これはまだ検討した上でありませんから、はっきりしたことはわかりません。
○説明員(松隈秀雄君) お答え申し上げます。専売公社といたしましては、仲裁裁定実施に要しまする給与諸手当所要額は一億六千八百万円、まあ約一億七千万円というところでございます。
○説明員(大橋八郎君) 電電公社といたしましては、二百五十円のベース・アップの額は約十億と計算しております。
○鈴木強君 これは大蔵大臣にちょっとお尋ねしますが、今三公社の総裁からそれぞれ所要経費の額が発表されました。もちろんまだ最終的なものでないようでございますが、そのほか五現業の方はどうなりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいままだ計算中でございますから、はっきりしたことはなかなか申し上げかねると思います。思いますが、たとえば郵政でございますと、全都府県の関係で四千万ちょっと出るのじゃないかと思いますが、なお郵政では、裁定を受けておらない全逓その他があるわけでございますが、その方がどのくらいになりますか、十一億程度の金額になるのじゃないかというように考えております。それから造幣はきわめて少い金額でありまして、これは八百万円程度であると思います。印刷については三千五、六百、またアルコールも造幣同様に少額でございます、七百万、あるいは国有林野関係は一億ちょっと出るのじゃないかと思います。
○鈴木強君 トータルは。
○国務大臣(佐藤榮作君) トータルは、いろいろの見方がございますから、はっきりいたしませんが、今の郵政まで全部入れまして、また、国鉄は先ほど五十億ないし六十億というような計算をしておられますが、私五十億ちょっと出るのじゃないかという感じがいたしておりますが、これも数字がはっきりいたしません。さように考えて参りますと、郵政を全体入れるといたしますると、七十億をこし、七十三億幾らというような全額になるのじゃないかと思います。
○鈴木強君 そこで労働大臣にお尋ねいたしますが、公労法第十六条によって仲裁が出た場合、国会への手続があると思います。その点につきましてはどうお考えでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、仲裁裁定が出ましたならば、公労法三十五条で、政府はあとう限り実施できるように努めなければならないとなっておりますから、それぞれの公社の経理内容によって、大蔵大臣ができるだけの努力をして、そうしてこれが実施をすることになります。しかしながら、御承知の予算上資金上支出不可能だと思われるようなものは、何らか他の方法を講じなければならないと思います。いずれにいたしましても、ただいま大蔵大臣も申し上げましたように、検討中でありますからして十日以内に議決を求めなければならないとなっておりますから、もう少し検討を進めていただいて、その都合によりましては、なるべく早く国会に議決を求めるの手続をいたしたい、こういうふうに考えております。
○鈴木強君 非常に抽象的なお答えでありますが、私はもっと具体的にお尋ねをしておきたいと思いますが、まあ国鉄は五十億ないし六十億ということで、相当、額が多いと思います。そのほか電電、郵政等、十億をこえるところもございます。従って私は、なるほど三十五条との関係で資金上その他差し繰りできる場合もあるかもしれませんが、少くとも予算を私たちが審議し、これに承認を与える立場に立ちますと、それぞれ各省等の予算については必要最小限度のものを組んでおられる、こういう提案理由の説明の中で審議をしているわけであります。従って、たとえ十億であろうが、五十億であろうが、こういった仲裁裁定が出された場合に、当然予算の補正措置をするということは、私は理の当然だと思うわけであります。しかし、今検討中だというお話でありまして、具体的なお話は聞けないのでありますが、私たち灰関するところによりますと、やはり費目の移流用等によってやれるところはやらせる、こういう御方針をお持ちではないかと思う。それでは、私はやはり当初予算との関連で、どこの省でも、そういったものを予測して予算を組んでおったはずはないと思います。ですから当然その分だけは予算の切り下げになりますから、執行上非常に困難があると思います。ですから、私は少くともストライキ権を奪われて、団交が決裂し、仲裁裁定がああいう不調に終って、とにかく額は少いでありましょうが、仲裁裁定がここに提示をされた以上は、どうしてもこれは一つ内閣として補正の措置をとっていただく、こういうことでなければいけないと思うのです。その根本的な公労法の精神というものを深く理解されて、そういう措置をとられることが至当だと私は思います。従って、今非常に抽象的でありますから、それ以上御答弁ができないとすればやむを得ませんけれども、われわれの言っている思想というのは、皆さんも私は同感だと思うのです。ですから、そういう趣旨でもう一歩進んでやっていただけるのかどうなのか、これは大蔵大臣にも御所見を承わっておきたいと思うのであります。そうして労働大臣は検討中だと言われますが、十日以内に開会中は提示すると、こういう規定になっておりますので、いつごろになりますか、そう遷延されては困ると思うのです。一日も早くこれは所定の手続をとって、そうして実施してやるということが政府の態度だと思いますので、そういう点もこの機会に、およそわかっておりましたら、いつごろという点まで一つ明らかにしていただきたいと思う。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、仲裁裁定が出ましたときにおいては、予算の移流用、すなわち予算総額を上回った移流用も、御承知のように、ときには許されておるわけであります。そのようにしてあとう限り実行に移したい。もちろん政府は公労法の法則に従って、これを実行に移すということについては決定いたしておる方針でありますから、ただいま申し上げましたように、数字的にも検討をいたしておりますから、なるべく早い機会に必要なものは国会の議決を求めるの手続をいたしたいと、こう思って鋭意急がしておる最中でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま労働大臣からお答えいたしましたように、仲裁裁定が出ました際は、予算総則でも、特別移流用であるとか、あるいは予備費の使用であるとか、給与総額等について増減ができるようになっております。だから、この規定でまかなうのでございますので、御意見のように、仲裁裁定が出たから直ちに予算を修正するとか、その補正を出すとか、こういうことにすぐ一足とびになるとは思わないのでございます。問題は、先ほど来各関係のところで御説明いたしておりますように、ただいままだ金額そのものも固まっておりません。そういう意味で、労働大臣の言っておりますように、仲裁裁定が出た今日でありますから、その趣旨を十分尊重し、できるだけこれを完全に実施するように、私どもといたしましても最善の努力は払うつもりでございまして、ただいませっかくいろいろ検討している最中でございます。そこで、問題が考えられますものは、国鉄並びに全逓において、特に私どもが工夫をしなければならないものがあるのじゃないか、かように実は考えて心配をいたしております。国鉄の場合におきましては、いかにもその金額が大きいのでありますので、移流用なり、あるいは予備費を使うにいたしましても、いろいろ予算の面で工夫をしないと、これが実施について支障を起しては相ならない。こういうことで、ただいまいろいろ検討しておる最中であります。もう一つは、郵政関係は、御承知のように全逓の関係の職員の関係でございますが、この組合は仲裁裁定を受けておらないのであります。郵政省関係で仲裁裁定を受けておりますのは、きわめて小さい団体である特定局関係のものだけでございます。これは一万五千前後だと思いますので、残っておる二十三万の処置、これをいかにするかという問題があるのであります。御承知のように、先ほど説明いたしましたように、予算総則では仲裁裁定が出た場合における移流用であるとか、あるいは予備費の使用というようなことを規定はいたしておりますが、仲裁裁定が出ない場合においてのかような処置をつけるという方法が、実はないものでありますから、この点では手続的に相当検討を要する、裁定が出ておらないから知らないというわけにもいかない問題だと思います。そういう意味でもう少し時間がかかっておって、どうも各方面に心配をかけて大へん申しわけなく思いますけれども、この種の措置でございますから、十分各方面から検討いたしまして、あとに問題が起らないように処置したい、かように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 ただいまの全逓関係の職員に対する処置については、私、実はあらためて御質問申し上げたかったのでありますが、せっかく大蔵大臣から、御心配いただいて先に御答弁いただきまして感謝するわけでありますが、これは一つぜひ、いろいろとILO批准の問題ともからんで問題があるようでございますが、今、大臣の言われたような形で、一つぜひ万全を尽していただきたいと思います。それから国鉄、郵政の場合、額が多いというのですが、これは電通の場合でも十億近い金が必要でありまして、少くとも私はこの予算の中でやりくりするということは、相当にこれは至難だと思います。かりにアルコール専売等のように七百万円でありましても、印刷のように三百六十万円でありましても、やはりその予算の額はだんだん少くなっていくわけでありまして、その中から私はこういう人件費を、物件費を切るか何かわかりませんが、差しくりということは相当私はむちゃなことになると思うのです、無理があると思うのです。ですから、労働大臣のお考えの中にも、今せっかく検討中だということでありますから、私は一つストライキ権のない組合に対する措置として、当然仲裁裁定は完全に実施するとともに、予算的な措置については移流用でやるというようなことは、これは今年の計画の中で、これは取りやめになったとか、国民に納得していただける問題がありますれば、それを他に流用するということはこれはあり得るかもしれません。しかし、それは私はそうではないと思うのです。ですから予備費を切るか、何を切るか知りませんが、いずれにいたしましても、予算措置というものは当然こうやってやるということが、この公労法の精神ではないかと私は思うのです。ですから、そういう点で七十二億程度の額でありますから、これは一つ予算化していただくように、強く私は労働大臣と大蔵大臣に要請しておきたいと思うのですが、もう一回御所信を聞かせていただきたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 印刷の金で今三百六十万円と言われたのは、三千六百万円でございますから、その数字を訂正させていただきます。
 で、ただいま御指摘になりますように、予算というものが非常に厳正に正確に作られておるのでございますから、これを移流用すればどっかに支障が出るだろう、こういうお考えもあることだと思います。同時にまた予算は相当大きな金額でございますので、昨年あたりの例によれば、これは大体移流用でまかなっておるのでございます。これは必ずしもいいと申すわけではございませんが、今回程度のことでこれが支障を来たすかどうか、その辺を十分考えたい、こういうことでございます。
○鈴木強君 この点は、いずれそういう手続をなさると思いますから、そのときに本格的な論議をすることにいたします。ただ、私は強い要望として今申し上げたわけでありますから、それぞれの既定予算の中でやるということは、これはむちゃなんです。ですから、できるだけ補正の措置をとるように私は強くお願いしておきます。
 それから、その次にお尋ねしたいのは、国家予算の執行についてであります。私、毎年々々思うのですが、一兆三千億、一兆四千億と規模が大きくなって参るわけでありますが、その予算の執行に当って、会計検査院からの決算報告書を見ますと、十数億に上る被疑事項がございます。これは国民として非常に遺憾なことだと思いますが、どうしてこういう問題が年々歳々同じように指摘をされ、著しき進歩の跡が見えないのか、こういう点非常に私は心配しております。そこでお尋ねをしたいのは、まず行政管理庁と会計検査院ですが、会計検査院は、こういった監査をただして、国会に報告するというのが任務だけでもないと思います。要するに、執行過程において、どうしてこういう被疑事項ができ、不正使途が出てくるのか、こういった原因も当然探求をされると思うのです。従って、そういう事実があるとすれば、これの改善策を行政管理庁とも話し、あるいは政府とも相談をして、何らか抜本的な解決策を立てなければと考えるのでありますが、会計検査院の仕事も私は大へんだと思います。全国くまなくおやりになるわけでありまして、その機構なり、人員なりを見ましても、まだまだ不十分な点があると思います。ですから御苦労のことはわかりますが、やはりもう一歩進んだ会計監査を実施するために、現在の陣容が不完全ではないかという危惧も持つわけでありますが、そういった点もからめて、こういう原因がどういうところにあるのか、そうして、これをどう克服していかなければならぬか、このような点について、まず私は、行政管理庁長官も絶えずこういった事実は御認識だと思いますので、これに対する対策ですね、そういうものを一つお聞きかせいただきたいと思うのです。
○国務大臣(山口喜久一郎君) 会計検査院から年々多くの被疑、不当を指摘されていることは、まことに遺憾でありまして、行政管理庁といたしましても、検査院からかかる指摘を受けないように、政府部内の監査を厳重にいたしまして、事前にこれを予防するようなことを主眼として、今後一そう強力に監査を進きていきたい考えであります。また、これらの被疑不当の原因を見ますと、機構の問題、また制度、運用の面においても遺憾の点が多くあるのです。また、権限と責任の範囲が不明確で、事務の末端に対する権限の委任というような点も多くあげられておるのであります。また、許認可等につきましても、処理能力以上の事務量が局長、課長、これらの方々に負わされていることなど、いろいろの原因を指摘されております。われわれといたしましても、その本来の任務に照らしまして、これらの根源を是正することに力を尽したい考えであります。もちろん監査に当りましては、発見されました個々の不当の事例につきましては、それぞれ厳正に忠告し、また処置して参ったのでありまして、今後とも会計検査院からかかる指摘を受けないように、また少くなるように、一そう努力をいたしたいと考えております。
○説明員(小峰保栄君) 会計検査の結果について御説明申し上げます。会計検査院で検査の結果指摘しておりますいわゆる不当事項、これは実は最近相当に減少しております。一昨年が二千二百件、一昨三十年度でございます。それから三十一年度が千百件、三十二年度が五百一件、金額で申しますと、三十一年度が二十五億に対しまして三十二年度は十五億円、相当に減ってはきておるのでありますが、まだまだ決してこれでいいという状態にはなっていないわけであります。私どもといたしましては、機構の点、先ほどお話がございましたが、昭和三十年度に一局増設いたしまして、現在では局が五つになっているわけでございます。まだ必ずしも人員として十分とは思っておりませんで、増員計画も持っておりますが、なかなかこれが実現いたしません。で、現在は今までの職員の資質の向上ということによって、これを補っていくという方向にいっているわけであります。
 それから検査の結果、減ったとはいいましても、相当、数が多いのでありますが、これもただ指摘だけいたしましても、何にもならぬということもありませんが、私どもとしては満足なものとは思っておりません。そこでいろいろ原因を探究いたしまして、それぞれ御注意申し上げておる次第であります。大体原因を大まかに分けますと、怠慢とか、過失とか、個人的な事由にあるものと、それから制度が悪いために生じたものとに大体分けられるのじゃないかと思うのであります。個人的な怠慢の方に原因があるものは、これはどうしてもやはり資質の向上なり、責任者の処分なり、こういうようなことでやっていくほかないのであります。制度の悪い点につきましては、たとえば内部監査を充実するとか、こういうようなことで御注意申し上げまして、だんだんそれが実現しつつあるような現況でございます。
○鈴木強君 なるほど、多少なりとも前進している点は私も認めますが、昭和二十六年以来、七カ年のトータルをとってみますと、非違件数が一万一千三百三件、それから不正その他非違事項として指摘をされているのが四百六十一億になっているのです。これは私は非常に重大問題だと思います。国民は非常に苦しい中から税金を納めている。ところがこういう非違事項があげられる、不正の支出があるということになりますと、もう税金を出したくない、極端にいうと、そう思います。今は国民が一番困っているのは税金なのです。何とか一つまけてもらいたいというのは世論ですよ。しかし苦しい中にも税金を納めている、その税金が毎年十数億、あるいは二十億という金がむだに使われ、あるいは不正に使われるということは許すことができないと思うのです。ですから、私は何とかして、こういう不正行為がないようにするのが行政担当者の重大な使命だと思うわけです。ですから、山口行政管理庁長官は、いろいろ御苦心されておるようでありますが、昨年も同じような答弁を前長官はやられているのです。もっと抜本的に、制度上の欠陥はどこにあるのか、その欠陥を是正するために組織をどう変えなければならないのか。そこまで突っ込んで御検討いただかないと、私たちは納得できません。もちろん個人の不注意によるものとか、不可抗力的なものはやむを得ないでしょう。人間は神様ではないのですから。しかし、少くとも意識的にやられる不正事項については断固として許すことはできません。ですから、そういう点は大いに職員諸君の訓練をされ、資質の改善をやっていただくことはけっこうですが、制度上の欠陥は相当にあると思うのです。内部監査組織というものが不十分である。そういう点について行政管理庁としてメスを入れて、制度上からのミスがなくなるようにすることが大きな問題だと思います。ですから、そのこととあわせて、具体的に行政管理庁としては御検討いただいて、もちろん行政機構の簡素化なり、縮小化なり、いろんな点が出ておりますが、そういう問題もあわせてお考えになることもけっこうだと思いますが、しかし私は今、会計検査院の話を聞いても、実際にどの程度書面を見ておりますか、これはお聞きしなければわかりませんが、少い陣容で、おそらく膨大な執行状況をそれぞれの伝票によって確認するというところまでやってないと思うのです。人が足りない、その要員の措置すらできないような状況であります。ですから、私はここで二億の金を投じて人をふやしても、結局、その事故がなくなれば同じことなのです。ですから、そういう点も十分お考えいただいて、抽象的な制度上の欠陥とか、あるいは人の訓練とか、そういうことでお茶を濁さずに、もう少し抜本的な対策を私は政府全体として立てるべきじゃないか。こう思っております。
 会計検査院にお尋ねしますが、この陣容の中で監査をする場合に相当苦労があると思います。しかし、おそらく証拠書類その他完璧に皆様がお調べになることはできないと思います。ですから、そういう点はどの程度監査をやられておるのですか。それから管理庁長官には、そういった具体的な改善策をすみやかに立てる御決意があるかどうかという点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(山口喜久一郎君) 御趣旨に沿うよう今後一そう努力をいたします。(「形式的な答弁だ」と呼ぶ者あり)
○説明員(小峰保栄君) お答えいたします。書面は仰せの通り非常に大きな量が毎年出て参ります。書面検査は全部一応百パーセント検査をいたしております。実地検査でございますが、これも重要な個所、具体的に申しますと、歳入徴収官あるいは支出官がおるというような重要な個所は、大体三〇%くらいの実地検査をやっております。補助工事の現場になりますと、これは今御案内の通り非常に数が多いわけでございます。農林、建設合わせますと八、九万ございます。これは大体毎年一万くらい検査しているというのが実情でございます。
○鈴木強君 今の会計検査院の監査の実情はお聞きの通りなんです。ですから、私はもっと厳密に検査をしてもらうと、この額でおさまらないと思う。もっともっと隠れた非違事項があると私は思うし、また不正な行為があるかもしれません。ですから、この点は総理も今お聞きでしたから、ぜひ一つ国民全体から見て、何とかこれをなくさなければならないという強い希望があるわけですから、一つ本腰を入れてこの対策を立てていただきたいと思います。
 それからもう一つ、付随的にお尋ねしておきますが、私は資料として三十四年度の各官庁における交際費の資料を出していただきましたが、これを見ますと、報償費と交際費と合わせて年間十五億八千万円くらいな金が使われております。前年度は十五億でありますから、この計算をしてみますと約八千五百万くらい、ことしはふえているのです。もちろん国の、執行上必要な交際費なり報償費を私は組むなとは言いません。しかし、できるだけ交際費等は節約していくというのが予算執行の建前でなければならないと思います。この前、栗山委員から具体的な御指摘がありましたような、たとえば総裁に就任されて、自由民主党の諸君を官邸に集めて一ぱいやるというようなことが具体的に指摘されておりました。しかし、私は少くともこういうことは厳にやめてもらいたいと思うのです。そういうことをもしおやりになるのならば、党費の中から出して、総裁としておやりになるのならけっこうだと思いますが、岸総理としての立場で交際費を使うことはぜひやめてもらいたい。外務省関係が相当膨大でありますが、これは私たち外国を回ってみましても、私は非常に予算措置が不十分なために思うようにできない部面もあります。ですから、外務関係については額が多いわけでありますけれども、私たちはまあ了承できますが、しかし、こういった執行段階において、できるだけむだをなくしていくようにするためには、どうもちょいちょい赤坂に行って料理屋で一ぱい飲むというようなことが多い、率直に言って。私は予算執行に当って、また国会全体の問題としても考えなければならぬ点もあると思います。ですから、飯を食うなら、どっか安くできるところでやれば済むのです。それを赤坂で芸者をつけて飲むことをやるから金がかさんでくる。そういった交際費や報償費の使い方について、もう少しメスを入れる必要があると思う。会計検査院は、こういう報償費や交際費の使途について、明確に、妥当性があるかどうかというようなことを全部当っておられますか。その点を一つ伺いたいと同時に、岸総理に対して、今申し上げたような点は厳にやめてもらいたいと思いますが、おやめになる御意思がありますか。そうしてできるだけ国民の負担を軽減するように、要を得て、しかも簡にして体面を汚さないような方法は、工夫されればできると思いますが、そういった点についても総理として十分お考えいただきたいと思いますが、それらの点についても御所見を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 現在、報償費あるいは交際費というような項目のものにつきましては、これが使途については十分今御指摘になりましたように、これがルーズに流れることのないように厳格に、その目的に必要なるところへ必要なように使われるように特に考えていく必要があると思います。十分にその点は考慮していくつもりでおります。
 それから、私あの費用がどこから出ておりますか、はっきり承知いたしておりませんが、総理としての交際費を使うことは適当でないと思いますから、そういうときには自民党の総裁としての費用を使うようにいたします。
○説明員(小峰保栄君) お答えいたします。交際費、報償費でございますが、交際費につきましては、ほとんど全部証拠書類を出してもらいまして、普通の書面検査と同じ検査をしております。報償費につきましては、これはなかなか証拠書類が出しにくいものが実は多いのでございます。明細書を出してもらいまして、実地検査のときに証拠書類を先方で拝見する、こういう方法をとっております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 報償費並びに交際費がふえたというお話でございますが、私どももこの報償費並びに交際費につきましては、ふやすという考え方を持たないで、できるだけ節約するという考え方で予算を組んだつもりでございますPそこで報償費につきましては、三十四年度は前年度よりも減っております。ただ交際費について、これが相当ふえておりますが、これは先ほどお話がありましたように、外務省関係の在外公館の交際費がいかにも少い、こういう状況でございますので、ことしは必要なる支出として九千六百万円、実はふやしたのです。従いまして、交際費が九千二百万円ふえておりますが、在外公館の費用を増加させて九千六百万円、その内訳であるということを御了承いただきたいと思います。
○栗山良夫君 議事進行。委員長、私今ちょっと委員を勘定いたしましたところが十六人しかおりませんが、これで議事進行してよろしゅうございますか。
○委員長(木暮武太夫君) 速記をとめて、
   〔速記中止〕
○委員長(木暮武太夫君) 速記始めて下さい。
○鈴木強君 次に、公共企業体の経営についてお尋ねをいたしますが、昭和二十九年と三十二年の二回、公共企業体審議会から公共企業体改善要綱という答申が岸総理大臣になされております。昨年私、総理にお尋ねいたしましたが、昭和三十二年の十二月に出たばかりでありますから、今検討中である、こういうお話でありましたが、その後、具体的にこの公共企業体に対する政府の基本的な考え方が出ておらないように思います。発足以来七年ないし十年間の公共企業体経営の中でいろいろと問題もあるでしょう、従って、国民としてはこの企業体のあり方が今日の状態でいいのかどうなのかということが、非常に疑問を持っております。そこに答申案の出された意義もあると思います。従って、きょうは一つ言いのがれは許しませんから、一つ三公社の総裁、それからそれを監督しているそれぞれの大臣、最後に総理からこの答申案に対して具体的にどういう御方針をおきめになっておるのか、そして今後これをどうしていこうとするのか、こういう点を一つ逐次伺いたいと思います。
○説明員(十河信二君) 私はこれらの審議会の御意見の中に、傾聴すべきものが多々あると考えております。それを国鉄だけでできることは順次やって参りまして、できないことは政府の方にお願いをいたしておるのであります。しかしながら、そういういろいろな制限、まあ自主性の問題が一番多いと思うのでありますが、自主性を拡大してもらえないということはわれわれの側に、国鉄の部内に足りないところ、あるいは悪いところがあるからそういうふうにならないんじゃないかと、こう深く反省いたしまして、でき得る限り皆さんの御意見のようにしていただけるように、大いに自粛自戒に努力をしておる次第であります。
○説明員(大橋八郎君) お答え申し上げます。審議会の答申の細目にわたりましては、直ちに実行できることもあり、まあできないこともあるかと思いますが、大体いま少しく自主性を与えていただくことは、公社当局としては望ましいと考えてはおります。
○説明員(松隈秀雄君) 公共企業体審議会の答申におきまして、専売事業というものは民営にできるのではないかと、こういうような御意見がありました。なるほど物品の製造販売業でありますから、ほかの公社よりも民営に適するという議論は成り立ちやすいと思うのでありまするが、なお、これを民営に移しますにつきましては、たばこ耕作者との関係、その他各関連いたしました点について十分検討を要する問題であると、こういうことで審議会も検討を要すというのが最終結論になって、その検討をいたすことといたしまして、実は大蔵省の方にも専売事業の審議のための一つの審議会を設けるということに昨年なっておったのでありまするが、審議会というものを法律によらずして設けるということは許されない、こういうようなことからいたしまして、今回改めて法律によりまして専売事業の審議会を設ける、こういうことが提案になっておりまするので、その法律が実現いたしますれば、政府に専売事業審議会というものが設けられまして、専売事業の民営の可否、それからそれに関連いたしまする諸問題の検討が行われることになる予定になっております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま松隈専売公社総裁がお答えした通りでございます。審議会を設置するということで御審議をいただいている状況であります。
○政府委員(中馬辰猪君) 答申のありました中で、逐次成案を得たものについてはこれを実施に移しております。たとえば今国会において御可決をいただきました、日本国有鉄道法の一部改正案によって、支社制度を強化するような案はその一例でございます。ただ、予算及び決算あるいは運賃料金等については、これを国会の議決事項からはずして、国有鉄道で独自でやったらどうだろうか、こういう意見につきましては、この際、きわめて重大でありますから、目下運輸省におきましては検討中でございます。
○国務大臣(寺尾豊君) お答えいたします。答申案は、企業性、自主性を高めて、能率的あるいは進歩的運営を行い、そうしていわゆる企業体としての運営を確立をするというような非常にいい面がたくさんあると思います。ただ、中に、公共企業体管理委員会、あるいはまた、予算、決算を企業性に適合するように改めて国会の議決を要しないようにしよう、こういう点もあるわけであります。これらの点につきましては、なお相当検討を要する問題ではないか、こういうように考えておりますが、いい面につきましては十分これを取り入れていきたい、目下大いに研究をしておる、検討をしておる、こういう次第でございます。
○国務大臣(岸信介君) 答申に対しましては、それぞれ各主管庁において十分な検討をさして参ったのでございます。御承知のように、先ほど来お答え申し上げましたように、いろいろな点に関連をしておりますが、たとえば専売もこれを民営に移すかどうか、また公共企業体の自主性を認める意味において、いろいろな提案がされておりますが、国会の関係であるとか、あるいは一般財政計画との関係であるとかいうふうなものに触れております問題は、いずれも重要な何を持っておりまして、答申だけでもって直ちにこれを取り入れるということにつきましては、なお検討を要する点が少くないと思います。従って、それらの点につきましては、なお検討を続けて参りたいと思いますが、同時に、すでに実行をしております点もありますし、あるいは法律案等によりまして、あの趣旨に沿うた改正をする等の、執行の比較的容易な問題につきましては、順次これが実現をはかりつつあるのでございます。根本的な多くの問題については、なお慎重に検討をいたして参りたいと思います。
○鈴木強君 私はそれぞれの皆さんの御意見を承わりまして非常にがっかりしました。もちろんこの答申自体も私は絶対的なものではないと思います。果して三公社の企業の実態を十分に理解されてやっておられるかどうか、そういった点、私たちもこの答申案を見まして疑問な点はございます。だがしかし、現状の経営状態でいいかどうかということについては多分に疑義があります。従って、公共企業体という形態を戦後わが国が取り入れたその意図というものは、少くともその企業的なこれらの事業は、国有国営というお役人式な経営よりも、一歩進んだ企業体にして、経営者に思う存分やらしてみる、こういうのが私は公共企業体の本旨であったと思います。ところが現状は、立法の精神から相当逸脱をして、今それぞれの公社総裁が言われているように、公社の自主性というものがかなり侵害されつつある。国鉄当局の場合でも、これはいろいろの場合にいわれるわけでありますが、その企業性と公共性というものと採算性というものがどう調和していくのか、国民は少くとも国の事業としてどんなに僻地におろうが、できるだけいい汽車を走らせてもらいたいし、多くのダイヤを編成して、できるだけ時間を多くとってもらいたい、こういう要望がございます。しかし、一面企業性を考える場合には、そういった点がなかなか困難になってくる、そこに公共性というものが行き詰まっていると思うのです。電電公社の場合でも、百数十億の電信の赤字をかかえて、これは特にこの答申案の中にも入っておりますが、こういう非生産的な電信事業というものを併用して、なおかつ、電話を年間二十五万ないし三十万ふやそうということになりますと、非常にその資金計画等においても困った問題が出てくる。ですから、これらの抜本的な対策を政府がお立てになりませんと、私は公共企業体の経営というものは生きてこないと思います。昨年、総理にお尋ねして、慎重に検討している、こういうお話でありますが、依然としてわれわれが理解できるような具体的な問題の解決はなされておりません。これは三公社の総裁は、政府機関の経営者として任命されているわけでありますが、三人の話を聞いても非常に消極的なんです。私は経営をあずかっている経営者として、もっと答申が出たならば、この答申の、ここはこうだ、専売公社の松隈総裁が、かなり民営の問題について御意見を発表して下さいましたが、その他は、具体的にこの場においても出ていない、もっと私は、まかされた経営者が、これでいいのかどうか、積極的にその施策を打ち立てて、政府に対して強く要望をする、これが一番大事だと思うのですが、そのことが非常に私は欠けていると思う。また、せっかく答申を受け取ってどうしようかという基本的な問題に対して、政府自体が唯々諾々として、真剣にこの問題に対する検討をしておらない、そうしか受け取れません。非常にこれは私は残念でございまして、ぜひ一つ、来年もやるかもしれませんが、もうちょっと具体的にわれわれが了解できるような、国会を通じて国民が理解できるような具体策を検討していただいて、ほんとうにこれらの事業が国民の寄託に沿って、安んじておまかせできるような経営形態を私はしいてもらいたいと思う。これは総理に強く要望しておきます。
 それから時間の関係がありますから、専売公社の点についてちょっとお尋ねいたしますが、私たち非常に今心配をしておりますのは、新聞等でも報道しておりますように、塩の問題であります。今三十万トンくらいの過剰生産をして、赤字が四十七億も出ている、こういうふうな経営に対して、私は政府全体として、あるいはまた、専売公社御自身としても、この見通しについては誤まっておったのではないか、聞くところによりますと、岡山県の錦海湾を開拓して、相当な資金を使って生産増強をやっておられたのでありますが、今日では輸入の塩が一トン五千円で、国内産が一万二千円ですか、七千円も国内産の方が高くなっておる。これじゃあ専売事業というものに対して、非常に国民は疑義を持つし、塩の専売自体が問題になってくると思うわけであります。ですから、こういう塩の経営、さらにショウノウとかいろんな点も、近代科学の発展で、そう必要でなくなってきているのですから、私は専売公社の経営については、もう少し思い切った施設が必要ではないかと思います。そういうわけで、総裁もだいぶ御苦心をいただいていると思いますが、特に塩の問題について、どういう見方、方針をお持ちでございますか、この機会に承わっておきたいと思います。
○説明員(松隈秀雄君) ただいまお話のありましたのは、塩業整備に関する問題だと思うのでありますが、塩につきましては、御承知の通り、終戦後、非常な塩飢鯉にあいましたので、ぜひ国内塩の増産をはかりまして、食料塩の全量自給を達成したい、こういうことで、昭和二十五年の閣議決定がございます。その方針に向って、公社といたしましては、塩の増産に努めたのでありまするが、途中におきまして、従来の入浜式な製塩方式に新技術を導入いたしまして、流下式という方式及び枝条架という方式を導入いたしまして、ここに一つの技術革命が行われたわけであります。新技術のことでありまするので、その生産力の把握につきまして、公社内部においてもいろいろ議論をしたのでありまするが、やはり塩の増産を達成したいというような考えが強かったために、どうしてもその計画を内輪目に見積る、こういうような点もございまして当時新技術によりまする生産は一ヘクタール当り百八十トンくらいだろうという、こういう見通しを立てたのでありますが、だんだん実施して参りましたところ、その後の技術の進歩もございまするし、また、最近において災害等の被害を受けることも非常に少いという、あれこれの原因からいたしまして、ヘクタール当り二百トンをこえ、さらに二百五十トン以上もできるというようなものも出て参ったと、こういうことからいたしまして、昭和三十一年ごろまでに免許をいたしましたものの能力が、全部完成をいたしました暁においては百二十五万トンないし百三十万トンに内地の塩の生産が上ると、こういうような見通しも立ちましたので、これでは、食料塩といたしましては大体百万トン程度あれば用が足りるのでありますので、過剰塩を生じたということに相なりましたので、この過剰塩の処置につきまして、公社も苦心いたしまして、塩業者とも話し合いました結果、これはやはり過剰設備を整備してそうして残る塩業者の企業を合理化する必要があると、こういうような結論に達しましたので、どういう方法で過剰塩の整備を行うかということにつきまして、塩業審議会という諮問機関がございますので、これに諮りまして、大体その答申を待ちまして、塩業の整備、すなわち非能率、不採算の企業に補償を与えて整備をする、そうして残った塩業者が合理化されて日本の塩業というものが近代化する、合理化が行われるようにする、こういうことをねらいといたしまして、本国会に塩業整備臨時措置法という法律の御審議をお願いいたしまして、衆議院を通過いたしまして、本日参議院の大蔵委員会において大体の御質問が終ったところという段階でございます。
 なお、補償のための予算的措置といたしましては、昭和三十四年度より三十五年のニカ年度にわたりまして、総額八十七億円ほどの金額を予定いたしまして、これは予算書に計上してこれまた御審議をお願いしておるというのが実情でございます。
○鈴木強君 塩業対策は非常に緊急な問題でありますので、御措置をおとりになっていることは私たちも了承しております。だがしかし、果してそれで私はこの危局を乗り切れるかどうか、非常に疑問を持っておりますので、かような質問をするわけであります。外国からどんどんと安い塩が入ってくる、こういう段階において、もう少し私は基本的な今後の長期の経営を打ち立てていただいて、その上にのっとって逐次整備をされていく、こういう方針をおとりにならなければいけないと思っております。ですから、今日の段階でまだ私は絶対安心はできないと思いますので、今後とも一つ専売公社の総裁さらにまた、大蔵大臣等十分御検討をいただきまして、万全な対策を立てていただきたいと思います。
 それから次に伺いたいのは、日ソ漁業の問題でありますが、午前中千田委員からも御質問がありまして、外務大臣から御答弁がございましたので、私はその内容については触れませんが、ただ、国民として非常に危惧することは、あまりにも一方的なソ連の言い分というものは納得できません。従って、この状態では、漁期も迫るし、非常に漁民連中は心配していると思います。だから何とかしてこの事務的な委員会の審議でなしに、もっと本格的な政府交渉等をやって、政治的に解決をする必要があるのではないかと私は思うのです。これに対して外務大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。遅々として進まないこの委員会交渉というものを乗れ切っていくために、やはりもっと政府が本腰を入れて政治折衝まで持ち込むような必要があると思いますが、こういう点についてどうお考えでございますか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) ソ連との交渉がいろいろな意味で長くなり、特に漁業委員会というものは毎年相当やはり長時間かかるものとして、われわれも毎年の例から申しましてもう少し早く話し合いを進めなければならないのじゃないかというように考えております。ただ、日ソ漁業条約の趣旨から申しますと、あの専門委員会におきまして、十分資料等の上に立って、話し合いがつかなければならぬような一応仕組みになっております。それでありますから、先般来、ソ連が相当強硬な提案をしてきたのも、一応そういったソ連側の資料に基く仕組みから論じておる場合もあるわけであります。従いまして、そういうものを相当やはり日本側は資料に基いて反発しておきますことは必要だと思いますので、そういう段階をとってきておりますが、しかし、お話のようにだんだん漁期も迫って参りますし、そうなりますれば日本の漁業者の立場、また、日本の立場というものはこの問題について相当量要でありますから、ある段階に参りますれば、政治的に問題を取り扱っていくことが必要であって、必ずしも委員会の論議だけで尽きるということには相ならぬと思うのであります。しかしながら、今日最終的にそれらの、ようやく五万トンの数字も出て参りましたし、規制の措置も出てきておるわけでありますから、最終的にそれらのものをそろえて委員会の討議をやっておりますから、近くそれぞれの結論の上に立って何らか判断をして参らなければならぬと思っております。
○鈴木強君 これは一応のスケジュールとしてはわかりますが、私の心配するのはもっと先のことを心配しているわけであります。この点は大臣も同感のようでありますから、一つ推移を見て、政治的な問題に取り上げて早期に解決するように御努力願いたいと思います。
 それからもう一つ外務大臣にお尋ねしたいのは、現在行政協定に基いて日本の労務者がそれぞれの基地で米軍に協力をしております。その中で、電電公社の職員が、米軍の基地内における電話のサービスを提供しております。これは行政協定に伴うサービス協約によってやられておるわけでありますが、先般新聞紙上にも出ておりますように、今度の闘争で、リボンをここにつけましたところが、これが反米闘争だというように一方的に認識をして、そうしてそれぞれのキャンプにおる公社の職員を締め出した問題がございました。大臣も適当な措置をとっていただいておるようでありますが、私は、少くとも電電公社の職員は一般の駐留軍労務者と違いまして、電電公社に明確に籍を置き、サービス協約に基いて協力をしている立場にあるわけですから、公労法上何ら違法行為でないということを公社当局も認め、政府も認めておるにかかわらず、ただ、一方的な判断によって従業員をシャット・アウトするなんということはもってのほかであって、もしそういう態度に出るならば、全職員を引き揚げてしまうというような事態も当然出てくると思います。そういうことはお互いに現段階において不幸なことですから、もう少しくこれらの問題に対して、日米合同委員会等もあるわけですから、今後の問題もありますので、今暫定的に組合の方がリボンを取りましたからおさまっているのですが、これはまた出てきます、ですから一つ合同委員会等で取り上げていただいて、今後に悔いを残さないような対策を立てていただきたいと私は思っておりますが、この点に対する大臣の御意見を伺いたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先般、電電公社の職員の方が青いリボンをつけて、そうして基地に入ろうとしたところが、それをとめた事実がございます。今問題が起っておりますのですが、まず第一には、やはり電電公社の方とアメリカの軍の人とが話し合いをするということが適当だと思います。ただ、われわれも側面からそれを見ておりまして、先般アメリカ局長が、非公式にではありますけれども、合同委員会の席上で、記録をとらない席において話をしております。もし電電公社の職員がアメリカ軍との間に、十分な理解がいきません場合には、合同委員会において取り上げて説明をし、また、アメリカ軍に対する反感的な行動でなくて、春闘の一環として、そうしたリボンをつけたというだけの問題であることは十分説明をさせるつもりでおります。
○鈴木強君 次に、防衛庁長官にお尋ねいたしますが、また、明日矢嶋委員の方から詳細にやりますから、時圏の関係もありますので、私簡単に伺いますが、この前の委員会で、私関連質問に立って、今日防衛庁は殺人電波を研究し、その試作をやっておるのじゃないかと、こういう質問をいたしましたが、そのようなことはないと、こういう答弁でございました。その後、予算の分科会において、この問題を取り上げて、防衛局長、装備局長にいろいろ伺ったのでありますが、今練馬の自衛隊の陸幕の第二部でやっておりますものは、私ども現地を見せていただきたいと思っておりますが、それに対する危惧は、私相当解消したと思います。従って、さらに現地を見せていただいた上で最終的な認定をいたしたいと思いますが、ただ一つ困ったことに、今お使いになっておりますレーダー・サイト、これに一千メガワットの磁電管を使っております。そして波長は十メートルに及ぶというのでありますが、これは非常に人体に障害を与える。少くともこれの使用については、厳重なる予防措置をとりませんと、われわれ日本国民は絶対に安心ができません。その節、装備局長、防衛局長に対して伺ったのでありますが、果してこの一万メガワットの磁電管が発生をする電波というものが、人体に障害を与えるかどうか、与えることは認めております、あなたも局長も。しかし、その距離の判定で、私は少くとも専門的にこれを研究してみましたが、十メートルの十メガワットといいますと一万メガワットになります。従って、大出力の磁電管を使っておるとすれば、そのレーダー・サイトを中心にして、おそらく百メートルぐらいの間は人体に障害を起し、白血球が少くなって、そこを見学に行った人が知らぬ間に人体に障害を起しておると、こういう事態が起きてくることを実は危惧するわけです。その後、その距離について見解の相違がありましたので、十分御検討いただくことになっておりますが、その点に対しての御見解を長官から答弁承わりたいと思います。
○国務大臣(伊能繁次郎君) 御指摘の磁電管の問題につきましては、他の委員会におきましてもお尋ねもありましたので、当方においても詳細に検討いたしました結果、現在の施設は、ただいまお言葉の百メートルというお話がございましたが、当方といたしましては、有害と認められる距離の二十倍のアローアンスをとりまして、百四十メートル以外では絶対に人体に当らないように、建物につきましても、レーダー・サイトの地域、これは非常に広いものでありますが、さらにその磁電管を使用します実際のレーダー・サイトのハウス、そのハウスの回りにはさらに二重の柵も設けまして、それから出ます電波につきましては、百四十メートル以外では絶対に人体には触れないというような厳重な措置をとって処理をいたしておりますので、万御心配はないということを私は申し上げたいと存ずるのでございます。
○鈴木強君 長官の御答弁ですと、百四十メートル以外であれば大丈夫だと、こういうお話でありますが、かつて日本の海軍が、日本に生産される鋼の三分の一を使って強力な、これはもうものすごい殺人電波の研究をした事実があります。ですから、私は、今の段階で御使用になっているレーダー・サイトのメガワットは、今のようなお話かもしれませんが、今後、科学技術の発達に伴って、相当大出力の磁電管を使えると思うわけであります。今日では私は幸いにして、レーダー・サイトが山の中にありますから、人の接近する率というのは少いかもしれません。しかし、もの珍らしくその付近を見学しよう、こういうような人たちも多い時期でありますから、この人体に与える障害の補償ということは、非常にこれは重大問題でありますので、私たちもまだ現地を見ておりませんので、今ここで断定はできませんが、少くとも今後の問題として、こういう人体に障害を与えるような機器が使われているということは、国民にとって重大問題でありますので、これらの防衛措置といいますか、措置設備といいますか、こういうものは新しく防衛庁としても措置されて、絶対に一般国民に、こういう不安感を持たせないようにすることが、私は防衛庁の任務だと思います。従って、これらの措置について、さらにもう一度私はぜひ現地も見たいと思いますが、防衛庁としても、万遺憾のない措置をとっていただくように、特にまたここで希望いたしますが、保証ができますか。
○国務大臣(伊能繁次郎君) お答え申し上げます。従来も御指摘のような措置をとっておりますが、今後といえども万遺憾のないような措置を、一そう厳格にとりたいと思いますので、また、お尋ねのように、いずれ現地の御視察等もございますので、十分その点については、われわれも万全を期したいと、かように考えております。
○鈴木強君 その次に、文部大臣にお尋ねをいたしますが、国立劇場の建設につきましてはすでに敷地も決定をし、本年度の予算に約二千万円の予算が計上されております。これの建設の進行状態は、現段階におきまして、どのようになっておりますでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 国立劇場の予算につきましては、ただいまお話の通りでございます。昭和三十一年四月十七日の閣議決定によりまして、国立劇場設立準備協議会というのを設置をいたしまして、そこで基本構想について準備をいたして参りました。で、ちょうど敷地も決定をいたしましたので、旧臘答申案が提出をされたのでありまして、この際、答申案は非常に固い形で、もう動かさぬという趣旨ではございませんようでありますが、一応の形としましては、日本の古典芸能の上演を主として、現代芸能の上演にも応じ得るように工夫された収容人員二千人程度の第一劇場。現代芸能の上演を主として、日本の古典芸能の上演にも応じ得られるように工夫された、収容人員千三百人程度の第二劇場。収容人員六百人程度の能楽堂、これを作りましてこのほかに資料調査、養成、管理関係の施設、共通付帯施設等を作るということで、建築延坪、建設費等についての一応の目安をつけているのであります。ところが、これは一応の御決議をいただいたのでありますが、これに関しまして、かなり有力な異論が現在出ております。それは日本の古典芸能を主として第一劇場でやるよりも、むしろ収容人員の大きな劇場で人数の多いオーケストラや団員によって演奏される西洋芸能を主にしてやるべきだ、第一劇場と第二劇場とは構想を変えたらどうだという意見が出ているのであります。これにつきましては、文化財保護委員会が所管でやっておりますので、文化財保護委員会におきまして、一応決定された基本構想をもとにしながら、さらに衆知を集めて最終的にアイデアを練るようにただいまいたしておるところでございます。来年度は設計の予算もとっておりまするけれども、この設計につきましても、やはりただいま申しました基本構想をほんとうにきめてかかることが必要でありまするので、至急ただいま私の申し上げました筋についての検討を開始をいたしまして、まず基本構想をなるべく早くきめて、そうして参る。もし、これにつきまして特別の支障なく進捗をいたしますれば、三十四年度中に建築設計の懸賞募集を終え、昭和三十五年度に実施設計を完了をいたしまして、昭和三十六年度から建設工事に着手をして、三十七年度末、すなわち三十八年の三月くらいに竣工をさせたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、最近の基本的な問題の進め方につきまして、担当しておられる文化財保護委員会の方から御説明を願いたいと思います。
○政府委員(河井彌八君) ただいま文部大臣から御説明申し上げましたところで大体尽きておると思いますのですが、何かなおこまかい点等につきまして御質問がありますれば、お答え申し上げたいと思います。
○鈴木強君 私は、昨年の十二月の二十二日に国立劇場設立に関する答申を文化財保護委員会がなされて、きわめて適切に二十七日の日にはその基本要綱を決定されて、一応の案ではありますが、委員会の方ではやられておる。ところが、文部大臣のお話によりますと、有力な反対意見が出てきた。これはどういうことですか。自由民主党も何か、この国立劇場の建設については、公報にちょっと載っておったと思いますが、特別な何か委員会ではないでしょうが、そういう御検討を党でもおやりになっておるようでありますが、私の言いたいのは、十二月二十二日に答申がされた。その答申案は、少くとも各界の専門家を網羅して十分の意見を徴しておきめになったものだと、私は思うのです。五回にわたる審議の中から一つの結論を出されております。ですから、それに対してもちろんいろんな、これは恒久的なものでありますから、中途半端なものでなしに、思い切ったものをやっていただきたいと私たち思います。従って意見のあることはけっこうでありますが、そのことが劇場設立に対してじんぜん日を延ばすということであってはいけないと思いますので、文部大臣の御所見ですと、三十八年三月には竣工したい、こういう御熱意でありますから、ぜひ私はできるだけ早く促進をしていただきたいと思いますが、今重大反対意見が出てきた、こういうのでありますが、その意見はどういうものでありますか。
 それから、文化財保護委員会の会長さんにお尋ねしたいのは、少くともあなたは十分自信と確信のある答申をなされたと思います。従って、今になってまたけちをつけられたことに対しては迷惑じゃないかと思うんですが、あなたの御見解を承わりたい。
 それから、これに対しては当然政府として積極的な協力をしなければならぬと思いますが、問題は、金になると大蔵大臣きんちゃくのひもを締めるということになるんですが、文部大臣の構想のように、基本方針を早くきめていただくと同時に、これが建設に対して積極的な御協力をいただけますかどうか、この点も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 実は、新聞等にも出ておりましたので、私はあまり詳しく申し上げなかったのでありますが、昨年の暮の答申は、小宮氏が座長になられて決定をされたものであります。ところが、その後になりましてから、オペラ、バレー、オーケストラいうと西洋芸能の方をやっておられる方々の中に、ほとんど総員残りなくと言っていい程度なのでありますが、これはそういう人の中に、賛成と不賛成とあるということならばあれでありますが、ほとんど全部を網羅した形で、西洋芸能の方は、オーケストラだけでも非常に大きな人数がいる、かつまたオペラ等非常にたくさんステージに立つ人がいる、そうすると、音のボリュームからいいましても、それからそれに従事する人たちの経費という点でペイするための観客の多いさといったような点からいっても、千三百人程度ではとても成り立たぬというような意見でありまして、これがまあ一部の人の意見というならば別でありますが、もうオペラ、バレー、オーケストラの関係の全員が練り直しを要求しているというような状態のときに、たまたま、もう決議をしたんだから、一事不再議でやってしまうというような筋合いの事柄でないように私は思いますので、その方々にも申し上げたんですが、これは実は座長をやられた小宮さんも、練り直しをするのは、もう一ぺん考え直していいのだという御意見だというようなことも、来られた方からお話がありましたけれども、個人的ないろいろな見解は別として、一応とにかく決議はあったのだから、それを原案として、その決議のなるべくすみやかな進行をはかる、ただし、ほかの事柄と違って、そう無理やりに一度きまったんだから再議に及ばずといって、意地を張るようなことでもないと思いますので、文化財保護委員会の方でもう一度とっくり御相談を願って、やるならやるで、みんながこれはけっこうだというような方向でやりたいというふうに考えまして、一応の原案はあるんだが、この原案を進めるという上において、なるべく円滑に進める一つ話し合いというものを一応やってみられたらどうかということを言うて、私はお帰しをしたところであります。
 そこで、私はさっき申し上げたのは、設計をやるにつきましても、まあ大蔵当局としても、この芸能界に非常に大きな異論があるというようなときには、予算をつけるには不安ができるというようなことにまあなり勝ちなんで、一応一つ文化財保護委員会の方でもう一度お考えの上で、もっと芸能界の一致点を見出して、そこで、ここで一応積算されている予算三十四億というものについての折衝にまあ入りたいと考えている次第であります。
   〔理事堀木鎌三君退席、委員長着席〕
○政府委員(河井彌八君) ただいま文部大臣から御説明申し上げたような事情であります。昨年の十二月二十二日でありましたか、国立劇場設立協議会というのが一応の結論は出しました。そしてそれでよかろうということで、大体その線に決定をいたしました。ところが、ただいま大臣のお話のあります通り、これはどれだけの人たちが寄っての何かわかりませんけれども、つまり、第一劇場の使い方、第二劇場の使い方につきまして、だいぶ異論があったということがわかって参りました。そしてここにちょっとありますが、三月の十七日ですか、国立劇場設立答申書再検討協議会というようなものができまして、それで意見書を出しています。要点は、つまり第一劇場、すなわち二千人の劇場に観客二千人、それの劇場をば、むしろ新しい演劇、バレーだとか、あるいは歌劇だとか、舞踏だとか、そういうようなふうにしてくれという意見がだいぶ出ております。文化財保護委員会といたしましては、その設立準備協議会の決定を尊重いたしまして、それによってそれの実行をするということが建前になっておることは申すまでもありません。
 そこで、この協議会の委員の選定につきましては、たしか閣議決定の条文によりますと、委員も四十名、各界の学識経験者と申しますか、それぞれのエキス。ハートを選びまして、そうしてそういう組織をすることになっております。それからさらに、別の規定では、臨時委員を置くことができると、こう書いてあります。現在、私はっきり記憶しませんが、大体もう常任の委員は四十名、ほとんど定員一ぱいだろうと思います。それから、やはりこの仕事が重要である、各界の意見をできるだけ網羅しなければならぬというので、臨時委員を、これも約四十名近く任命してあります。そうして、昨年の十一月十二日に敷地が決定いたしましたから、予算の決定もいつもより早くされておりまして、十二月一ぱいということで、非常に急ぎました。それで、分科会も、協議会の分科会が四つありますが、そのうちで曲目をきめるのと、それから劇場をきめるのと、その両方が特に慎重に審議をいたしまして、あるいは分科会一つだけの会議を開きまするし、あるいはまた連合会を開きました。そのときには、常任の委員ばかりでなしに、臨時の委員も加わりまして、そしてずいぶんその検討をいたしたのであります。そうして、その結果が、ただいま申しましたように、第一劇場、すなわち二千人の劇場は古典劇をやる、それから千三百人の劇場は新しい劇をやるというふうなことにきまりました。しかし、そうはきまりましたものの、その設備の改善というのはおかしいのでありますが、その設備の仕方によりましては、小劇場においても旧劇ができ、古典劇ができ、それから第一劇場、すなわち大きな方においても新しいものができるというようなふうに、大体そういう構想できまってきておるわけなのであります。
 まあそういうことでありますが、私どもといたしましては、相当な発言の機会を与え、そうして私自身もその分科会等に出席いたしまして、ずいぶんいろいろな意見を聞きました。聞きましたから、大体それをその通りに間違いないであろうというようにも考えておりまするけれども、何しろ各芸能界の希望も考えますれば、それこそ十人十色であります。すなわち、幾つ劇場を作ったらそれで満足するかというようなことは、これはわからないほどたくさんの希望があります。それであっては、どうしたってこの国立劇場を作る上におきましてそんなことはできない。すなわち、敷地においても限りがある。また予算も、これは三十四億と一応はきまりましたけれども、それっぽかりでは足りないでありましょう。しかし、それにかかわらず、何でもそれぞれの劇場がほしいがごとき要望であっては、それに応ずることはできないのでありますから、まず第一劇場、第二劇場、それから新たに加わりました能楽堂というものを作るという大体の方針でいくつもりであります。
 そして、やはりこの仕事がほんとうに後世に残るところのりっぱな総合的の文化事業であるという性質にかんがみまして、そしてとにかく衆知を集めまして、慎重の上にも慎重を加えまして、そして近くもう一度この準備協議会を開きまして分科会なり、あるいはそれの常任委員会というものもありますが、そういうものにおいて審議し、そしてさらに総会で決定するというような、そういう順序を踏むということをよく考えております。そして、これまで私などにもいろいろの機会において意見を申し述べてこられた方の意見そのものは、それぞれその協議会に移しまして、そして慎重審議させるような手段をとっておる、こういうわけであります。大体この程度であります。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府といたしましては、国立劇場、これはぜひとも完成したいというふうな意気込みでございます。土地の選定等につきましても協力して参りましたし、また三十四年度の予算も、少額ではございますが、一部を、設計費、調査費等に計上いたしておるのでございます。今後は、設備の規模なり、あるいは設備の内容なり、さらにまた完成後の運営方針なり、そういう基本的な考え方がきまりましたら、文部省と十分相談いたしまして、所要の予算を計上して参りたい考えでございます。
○鈴木強君 大蔵大臣のお考え方はわかりましたが、ただ一つ、この問題が基本的に決定を見ない、文部大臣のお話が、私はやはり問題だと思うのです。やはりオペラなり、バレーなり、オーケストラーなり、すべての人が反対をしておる、こういうことでありますが、そもそも、この設立準備について協議会を持たれて、その委員を相当広範囲に集めて御検討いただいたわけでありますから、そういうときに、これらの今反対をすべてしているといわれるような方々を、かりにその協議会の中に入れておかないとすれば、これはやはり一つのミスだったと思うのです。そういった点は文部大臣も反省していただけると思うのですが、やはりそのことが結局原因になって、基本構想がきまらない、予算も十二月中にやれというようなことで、河井委員長も御苦心なさったようでありますが、基本方針そのものがきまらなければそうなってしまう。結局、せっかくやろうと思う計画がちょっとした手抜かりのために絶対反対を食うということは、これはしかしまた行政執行上非常にまずいことだと思う。こういった点は大いに反省していただきたい。今後再びこういうことのないようにお願いしたいと思います。
 それから次に、大臣にお尋ねしたいのは、今、無線のアマチュア局の設置が非常に盛んにやられておるが、それで私、最近の不法電波の発射に対して非常に心配しておる一人でありますが、先般、この不法施設について郵政当局が御苦心をされて、摘発しております。この摘発の最終結果を見ますと、現在までに判明した全国の不法アマチュア局の数は二百三十九件になっておる。しかも、非常に悪質なものがございまして、中には建設省所属の河川水防用に使われている無線局の割当、これは建設大臣の名義になっておる。たとえば、建設名古屋とか建設大阪とか、こういった局がございます。これらの呼出符号を使って、周波数を使って、極端に、意識的に水防無線の妨害をやっておる事実があります。
 しかも、この不法電波を発射している人たちをしさいに検討してみますと、そのうち約七〇%までは十八才前後の高校生である。中学生、高校生が非常に多い。こういった未成年者がこの不法電波を発射しているということは、非常に重大問題だと思うのです。これは学校教育上も、これらの年令層の人たちが特に科学に興味を持ちますから、こういった電波を何とか出してみようということをやられると思いますが、これは一つ学校教育上から見ましても、このデータから見まして非常に重大な問題だと私は思うのです。文部省としてもこれらの間違ったやり方について重大関心を払っていただき、何とか学校教育上こういった矯正の方法をとっていただきたい、こう私は念願をするものでありますが、これらの点について大臣の御所見を承わりたい。
 それから、もう一つ、ついでにお尋ねしますが、南極観測の問題に関連をして、これは笑われるかもしれませんが、私は去年真剣にあすこに残された犬の問題について質問した。当時、松永文部大臣は――民間でも当時慰霊祭をやって、何か弔いをやっておった。で、文部大臣としてはどうかという御所見を伺ったときに、文部省としてもぜひやりたい、こういう御答弁があった。幸い、今年は南極観測は、皆さんの努力で、各界の御努力でうまくいって、やがて宗谷は帰って参りますが、タロー、ジローは生きておったようですが、そのほかの犬は不幸にしてなくなってしまった。だから、そういうささいなものであっても、私は動物愛好家の一人だから、言ったことはやってもらいたいと思います。実際やっていますか、どうですか。これは特にこの際伺っておきたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) お答え申し上げます。実は芸能界の問題について、最初の人選のときから、もう各界網羅して入っておられるのでありまして、決して昨年の暮れの決定が非常に横暴にきめられたわけじゃないので、私もどうも、藤原さんとか、長門さんとか、たくさん来られたときに、どうもあまり御熱心に審議に参加しないで、あとで文句というようなことでは困る。しかし、とにかくこういう問題だから、衆知を集めて文化財保護委員会もやられるおつもりのようなんで、気持よく国立劇場をでかすようにしよう、ということを申し上げた次第であります。そういう趣旨で指導しておるわけであります。
 それから、アマチュア無線局の問題でございますが、これはほんとうに重大な問題でありまして、厳重な警告をいたしたいと思っております。で、現在、科学知識を高揚する上で必要でありまするから、中学校におきましては簡単なラジオの受信機の組み立てや、アマチュア無線局の見学などの指導例を、学習指導要領で示しておる部分もございます。で、かえって、学校で先生が指導してラジオ部というようなのを作って、学校の監督のもとにやっておりまするところは、なかなか熱心にラジオのことをやりまするけれども、かえって間違いがないのじゃないかということを考えておるのであります。ただ、もう一般的に子供の知識が普及いたしまして、ちょっとおもしろいもんでありますから、ただいま申し上げましたような点につきまして、ついやってしまうようなこと、これにつきましては、やはり今度も新しい学習指導要領で、むしろ知識の内容自身はもっと徹底して向上させたいと思っておりますが、下手をしますと、よけい違反事故を起すおそれがあるので、むしろ学習指導要領で、今までのよりも新学習指導要領で一そう高度のやはりラジオ知識を教える方向でいきます限りにおいては、むしろ積極的にクラブ活動その他においても指導しながら、そういうことはやっちゃいかぬのだということを教える積極指導の方が、むしろ間違いがないと思いまするので、当面の問題としてはそういうことを気がつくようにいたしますが、十分そういうような面の、とめてもどうしてもやりたがるという子供の性情だけは十分考えながら指導したいと思っておる次第でございます。それから、犬のことにつきましては、慰霊祭をいたしましたかどうか、実は私が就任をいたしましてからはやっておりませんので、やっておるとすればその前の話でありますが、調べておりません。ただ、ついでに私申し上げておきたいと思うのですが、今回宗谷が参りますについて動物愛護協会の方からもいろいろお話を承わりまして、宗谷が帰ってくるときに犬をぜひ連れてくるようにというお話でありましたが、これはやめさせました。というのは、とにかく、赤道を越えてはるばる帰って参りますので、最初に犬を送りましたときには、御承知のように冷房室を作って送りましたので赤道を越えられたのでありますが、今度は宗谷に冷房室がありませんので、何でも今度行きましたときには小犬を三匹連れて行ったそうでございますが、これくらいのものはどうにか越えられましょうけれども、タロー、ジローのように大きくなったのを連れて帰る、三匹の小犬も大きくなって連れて帰るということになると、おそらく日本に帰り着くまでに死んでしまうのではないかということで、現地の方によく事情を話して、国内でもいろんな御希望のある点は伝えておきましたけれども、動物愛護というような趣旨からいいましても、最善の方法を講じてほしいということを言ってあるのであります。その結果、今回はこのまま犬を越冬をさせて、そしてこの次、来年迎えに参りますときには、やはり犬も冷房室を設備をして連れて帰る、大体そういうふうに考えておる次第でございます。
○矢嶋三義君 関連質問。
○委員長(木暮武太夫君) 矢嶋君どうぞ。
○矢嶋三義君 文部大臣並びに総理に伺いたいと思います。今のに関連して、先般、本部は来年度も引き続き南極観測をやるという基本方針をきめられたようですが、これは予算の関係もあるので、閣議においてやはりそういう方針がきめられなければなりません。この統合推進本部の方針については、文部大臣並びに岸内閣総理大臣はどう考えているのか、お答えおき願いたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 実は南極の観測のことにつきましては、予算等できめましたのは一年ということに相なっているのでありますが、南極の観測をやっております国際会議の方で南極の観測をもう少し続けたい、将来の問題としては地図の作成等の問題もありますので、当初考えられました今年分までというのをさらに一年延長するというような趣旨で国際会議をやりたい、で、それに人をよこしてくれという要望がございました。これは豪州のメルボルンで会議があるのであります。政府といたしましては、はっきりいよいよこの次もやるということを決定いたしますについては、国際会議で初めもきめたものでありますから、国際会議で十分意見があって、各国も結局やるということになったときにやるわけでありますが、日本の代表を出しまする際、ほかの国が引き続いて一年延ばしたいという意見が多数であったら、日本の方からも一年延ばしてもよろしい、それに応ずる用意があるという含みを持って出ようということを閣議で了解いたしました。その後、その国際会議の結果に基いて、そして最終的にどうするかということについては、まだ決定的な閣議決定はいたしておりません。
○矢嶋三義君 総理はどうですか。
○国務大臣(岸信介君) ただいま文部大臣がお答え申し上げた通りであります。
○鈴木強君 犬は口がきけませんから、私はかわって言うのです。あの酷寒の地で食うものもなくて死んだのですね。非常に私はかわいそうだと思うのです、口がきけないから。松永さんはあなたに引き継いでないというが、これは職務怠慢だ。もし引き継いでないとすれば、もし慰霊祭がやってなければ、あなたがやってくれますか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 南極観測のことにつきましては、日本は幸いに犬の犠牲だけでございまして、人の犠牲がなくて済みましたが、よその各国を見ますと人命の犠牲が非常に出ておるようであります。私は、南極観測の問題に当りまするたびに、何かしら、日本ではもう南極観測というのは問題がないので、人命には一つもまあ心配がないというふうに考えられておるのでありますが、なかなかの問題でございます。で、よそは犬もさることながら、南極観測に関しましては人の慰霊祭をほとんど各国ともやっておるわけであります。今後終りますまでの間、人命に支障のないことを私、心から念願をいたしておる次第でございます。で、犬の犠牲だけで済むということはほんとうに仕合せなことでございます。それで私は、人に危害のないことを感謝いたしますとともに、私は犬の問題につきましては、十分丁重に扱いたいと考えております。従いまして、もし慰霊祭をするということになっておりましてまだやってございませんということでございますならば、民間団体等とも相談をいたしまして、十分犬のことは考えたいと思っております。
○鈴木強君 文部大臣、なかなか親切だから私の聞かないことまで答弁するが、最後のことだけ言ってくれればそれでいい。やってください、それは。
 それから次に厚生大臣に伺いますが、現在温泉法第十四条によって、国民温泉の指定をやられております。現在十七の温泉が指定されておりますが、私の非常に残念に思うのは、国民温泉には指定はするものの、その設備改善等については、何ら予算的な措置がないわけでありまして、実際に私たち国民温泉に指定されている所に行きましても、内容が非常にお粗末で、これが国民温泉かと慨嘆するわけであります。従って、何とか予算措置を含めた政府の補助ということがあってしかるべきだと私は思います。先般も私的には厚生大臣にお話をいたしまして御同感のような御意見を伺っておりますが、ぜひ一つ早急にこの問題については、大蔵大臣にも御協力いただいて何らかの補助的な予算等の措置をやっていただきたいと私は思うのでありますが、この機会にあらためてお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(坂田道太君) 国民大衆のレクリエーションの場といたしまして、やはり療養と温泉地を特に指定いたしまして、御指摘の通り全国十七カ所が指定されたわけでございますが、この前、私的に、何にもないのではないかというふうに申し上げたのでございますが、実はあるわけでございまして、大体、公共施設につきまして、本年度の予算におきまして五百万円ほど補助を行うようにいたしております。それからまた、この指定いたしました所につきまして、宿泊施設等につきましては、県なり、あるいは市町村の方から御要求かございました場合においては、厚生年金等の還元融資の道が開かれておるわけであります。すでに一億五千万円の宿舎――これは過去三カ年間の実績でございます。やっておるわけでございます。今年度の五百万円の補助金につきましては、駐車場であるとか、あるいは道路であるとか、あるいはキャンプ場であるとか、公衆便所等の施設を考えたいというわけでございますが、何を申し上げましても非常にわずかな額でございまして、今後とも大いに努力をいたしまして、りっぱな運営をしていきたい、そうしてほんとうに国民の方々が喜んで療養なり、あるいは健全な温泉を利用していただくようにしたいと考える次第であります。
○鈴木強君 確かに五百万円程度のものではきわめて不十分であって、皆さん行ってごらんになるとよくわかりますよ、道路だって設備だって何もそうないのです。だから、もっと積極的な施策をやっていただくように、大臣の御答弁ですから、お願いしておきます。
 それから、これは再確認する意味において総理大臣にお尋ねしておきますが、高速度自動車道路法が通りまして、先般も論議になりました中央道か東海道か、こういう路線の決定をめぐって論議が非常に出ております。あの法律の中には予定路線がすでに準備をされて、その予定路線に基いて正式な路線決定を法案として出すことになっております。確かに建設大臣の御意向ですと、東海道という案があるが、これはもしやるとしても別であって、中央道は絶対にやるのだ、こういうお話でありました。その路線の決定法案は次の国会に――これは通常国会だと思いますが、出すように調査をしておる、こういうお話でございましたが、どうも東海道か中央道かということで、今日においてもまだ論議がされておるのです。これは非常にそれぞれの地域の人たちに特に関係がありますので、人心を惑わすことになって、せっかくやろうとする趣旨が浸透していないと思うわけであります。ですから、この機会に総理大臣から、建設大臣がこの前おっしゃったように、必ず中央道はやるのだ、そうしてその路線の決定については調査を進めて、次期通常国会には出したいという御所見について間違いがないのかどうなのか、明確に一つ承わっておきたいと思います。
○国務大臣(岸信介君) 建設大臣がお答え申し上げましたように、あの法律の趣旨に従って十分調査研究をいたしまして、案を得て国会に提案するようにいたしたいと思います。
○鈴木強君 最後にお尋ねしたいのは、午前中も出ておりました皇太子の御結婚に伴う恩赦の問題でありますが、私はどうも聞いておりまして納得ができないわけです。確かに総理は、選挙違反については恩赦に含める意思は毛頭ありません、こういう御答弁をしたことは市川委員が指摘した通りであります。ところが、きょうの御答弁ですと、恩赦には幾つもある、大赦とか特赦とか、四つか五つあると思うのでありますが、そういったことを実はよく知らなかったという御答弁であったのですが、これは正直にものを言いましょう。総理はおそらくそういうこの前の御答弁と同じ御所信であると思うのです。ところが、やはりいろいろと党内の事情等もありまして、選挙違反の問題については、復権という形で何かやろうじゃないかという意見が出てきておると思うのですが、これは私非常に残念なことであって、少くとも選挙違反に問われたような者を今回の恩赦の中に含めるということが絶対あってはいけない、これが国民の世論ですよ、これは。ですから、この点については、答弁されることと、あとからまた出てくる問題と非常にちぐはぐになって私たちは困るのです。総理がああいう御答弁を明確にしておいたにかかわらず、何日かたってあとに官房長官が新聞紙上に発表しておるところを見ると、そうでもないようなことを言っておる。
 それからこの前も、私はあなたに海外派兵の問題について、少くとも例をあげて、これは決して不明確じゃありません。議事録をごらん下さい。爆撃機によって敵地を爆撃する場合には、これが海外派兵になるのか、ならないのか、落下傘はどうだ、輸送船はどうだ、具体的に例をあげて私はあなたに質問したわけです。ところが、爆撃機による敵地の攻撃は海外派兵になるということを、あなたは御答弁になったのです。私がそこでやじったら、訂正するというようなことで簡単に逃げておりますがね、それでは相済まぬと思うのです。やはり一党の総裁であり総理であるわけですから、われわれに明確に言明されたことは、十分党内の事情も勘案して御発言になっていることだと私たちは了承して、その通りにいくと私ども信頼しているにかかわらず、中途でもってぐらついてくるということは非常に私は残念でたまらないのです。政治家というものは、ほんとうに愛情を持ち信念を持って、正しいためにはやはり身を犠牲にしてもやっていくというようなのが私は政治家だと思うのです。私はそういう信念が正しいと思うのです。ところがいつかの問題を、今回の委員会でも私たちが審議する過程で、総理のおっしゃることとどうも党内の問題がうまくまとまらない。これは正直に言って下さい。これはあなたの信念は変らないと思うのです。これは与党内部の御議論によってそういうふうに変ったのでしょう。それをあなたは大赦、特赦、特別審査、そういうものを私は知らなかったからああいうお話をうっかりしたのだ、そういうことじゃないのじゃないですか。そうであれば、これ以上私は追及できませんけれども、あのときの言明はそうは受け取れませんよ。岸総理たるものが恩赦の内容を知らなかったということは、これはちょっと受け取れませんよ、率直に言って。そこら辺は正直に言って下さい。私は正直が一番大事だと思うのです。
○国務大臣(岸信介君) 午前中にお答え申し上げましたように、私は、実は終戦後に行われているこの恩赦がほとんど大赦であったことは御承知の通りであります。そういう形でもってこの選挙違反というものを一切罪をなくするということは私はすべきものでないという考え方を終始持っておったのでございます。それが質問の際におきまして、私がそういう心づもりで答弁いたしましたことが、法律的に言いますというと、きわめて不正確であるということを後に気がついたわけであります。この罪を、今度の場合におきましては、そういうふうに広く大赦の方式をとらずして、一応罪は罪として判決の言い渡し確定したものが、その減刑であるとか、あるいは復権であるとか、いろいろな恩典に浴するというような建前をとる。その場合に、午前中にもお話をいたしましたように、特に選挙違反というものを特別扱いするという考え方は私持たないのでありますが、他のいろいろの罪と一緒に検討いたしまして、適当なものを今申しましたような特赦の恩典に浴せしめる。その場合に、選挙違反なるがゆえに、これは絶対にその恩典に浴さしてはいかんという御議論も皆さんから承わったのでありますが、そうまで私は考えずに、やはり適当な全体の罪の特赦の恩典に浴せしめるものを刑事政策上から十分に検討して、その結果として入るというようなこと、これは私はやはり選挙違反といえども考えていくのが適当じゃないか、こういうふうに考えております。
○鈴木強君 法務大臣おりますね。あのとき法務大臣も岸総理と同様な御答弁をなされているんです。あなたは特に総理と違って直接の担当大臣でありますから、少くとも岸総理の言っているように、大赦だったからそのほかのことは考えなかった、こういうふうなことでありますが、これはほんとうの総理の意思であれば私はこれを許すにやぶさかではありませんけれども、何だかしらんが、私たちはああいえばこういうというようにごまかされているような気がしてならないのです。今度新聞等で見ると、政令恩赦ですか、こういう形と個別恩赦の二本建をとるそうでありますが、特に復権の問題等について、具体的な法務当局の基本的な考え方が今週中くらいにまとまるだろう、こういうお話も報道されております。私は少くとも法務大臣として、専門家でありますから、まさか総理と同じような考え方を持っておられて答弁したとは思いません。従って、あなたの見解を聞くと同時に、政令、個別の二本建の今回の恩赦の具体的な構想というのは、それじゃ復権についてはどう考えておりますか。私はこういう形になりますと、早く裁判をして判決を出す、それがいろいろな政治的なバックが入って問題を必ず起してくると思うのです。不幸にして判決が延びた人たちはどうなるか、これは大へんな問題になると思います。ですからそういう中途半端な考え方であっては私は困ると思うし、そういうことはなかったと私は思うのです。この点法務大臣としてはどういう御見解ですか。
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま総理から御答弁のありましたような総理のお気持だったのでありまして、大赦ということは、私は今度の場合におきましては、たとえば前のこれに一番類似しておると思われる立太子礼の場合、その他の前例から申しましてもさようなわけであります。ですから、前の国連恩赦の問題に関連いたしまして、常識的に大赦ということは考えないと、こういう総理のお気持であったと私は存じておるわけであります。なおそのとき総理も明確にせられておりますように、これらのこまかい点についてはいろいろの状況や、あるいは前例やその他諸般の情勢を十分勘考して具体案を作りたいということを言っておられたわけであります。それから私は別の機会であったかと思いますが、たとえば判決の確定しておるものについて特赦等を行うというような場合におきましては、ただいま総理からお話がございましたような、特にこれは選挙違反というようなことであるから除外した方がいいとか、あるいは特にこれを入れた方がいいとかというようなことはかえって全体の考え方からいってとるべきではないのではなかろうかということを申したのであります。これを要するに、大体先ほど来いろいろと質疑応答がございましたときに私が述べましたように、基本的な考え方といたしましては、大赦は考慮の外におきまして、それから、たとえば特赦につきましては、政令特赦というようなことはないわけでございましてこれは恩赦法の規定するところによって個別恩赦ということになるわけでございます。これに対象としてどういう範囲を入れるかということにつきましては、正確に申し上げまして、まだ日にちもございますことでありますから、ここに詳細に明らかにするだけのまだ成案を得ておらないわけでございます。
 それから、先ほど千田委員からの御質問のときにもお答えいたしましたように、恩赦法というのは旧憲法時代のものとは全然違っておりますので、これもたとえて申しますれば、常時恩赦というような制度もございます。年間に普通のときでも数百件に上る常時恩赦が行われております。でありまするから、かりに万一、不均衡あるいは不公平というようなことがあればこれで救済し得る道も、これは一般に申しまするのですが、道もあるかと考えるわけでございまして、それらを十分に念には念を入れてあらゆる場合を考えまして、最善と思いまするものを決定いたしたいと、こういうふうに考えております。
○委員長(木暮武太夫君) 鈴木委員に申し上げます。持時間が経過しましたから、どうぞ簡潔にお願いします。
○鈴木強君 これは非常に答弁がまずかったと思うのですよ。少くとも恩赦ということを前提にして言っておりますから、聞く方でも、恩赦の中には五つの種類がある。これは専門家であればそういうことはちゃんと知っているわけでしょう。そうであるならば、恩赦をするかしないかということは、恩赦の中に選挙違反を含めるか含めないかという具体的な質問なのですから、含めるか含めないかという問題ですから、こういう構想がありますよということを、あなたが総理の言われておることは非常にまずかったと、あなたもそばで伺っていたでしょう、そうであればそれだけの注意をして、こういうことはこうと具体的に言ってくれればいいのですが、それを恩赦の中に選挙違反を含めるか含めないかという質問に対して、含めないとこう言っておるのですから、この五種類の中に入らぬとわれわれ理解しておった、国民もそう理解しておった。ところがふたをあけてみれば五つある、政令と個別と。そうしてこの選挙違反の人たちを入れて救済していこう、こういうやり方が私たちは気にくわぬ、答弁が不親切ですよ。こういう重大な問題に対して、今になってからそういうつもりでやったとか、そういうつもりで言ったとか、そういうふうなことを言ってはこれはけしからぬ。これはもうあなた方が何と陳弁しようと、その後の党内事情等があってこういう格好になっておるんでしょう。まことに私たちは遺憾にたえません。こんなばかげた答弁をされておったのでは、まじめにわれわれは政府に対する質問をしようという勇気がなくなります。そういう人を欺瞞するような答弁をすることはけしからぬ。悪かったと思いませんか。
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、実は恩赦というようなことは、四月十日という日をもって基準にするというのが恩赦法の精神でございます。従って四月十日というときに、そのときにこれは政府として定められた方式によって最終的な案を発表し、実行するものであると私は確信しておるわけでございまして、総理も前のときにもお話になり、またただいまもそうなりますが、具体的詳細な事項につきましては、まだ明確に申し上げ得る段階ではないようでございまして、ただいま鋭意検討中である、この経過におきまして気持を話され、あるいは話しますことが、ただいまお叱りをいただいたような、そういう気持でやっておるのでは毛頭ないことを御了承願います。
○矢嶋三義君 関連して。
○委員長(木暮武太夫君) 関連ですか、どうぞ簡潔に、許しますから……。
○矢嶋三義君 今の問題は、ここは日本国の国会ですからね、まあまあというような応接間で話すようなことは許されないと思う。市川委員が質問した当時は、このたびの御成婚式で大赦令が行われないということは、もう内閣は何べんも発表しているし、それを前提の上で市川委員は恩赦の問題を論じたのです。総理大臣はあの国連恩赦が牧野法務大臣の手によって行われた当時、あなたはいかなる役所におられましたか、それもお答え願いましょう。そのときに選挙違反を大赦令に入れたというので非難ごうごうたるものがあったことを御記憶があると思う。あなたはどういう役所におられましたか。そうしていやしくも国会で恩赦の問題を論ずる場合、これは厳粛な問題です。大赦令と特赦令の区別がわからないで論ずるなんということはあり得ないことですよ。いやしくも恩赦を論ずるならば、あなたは大赦と特赦については十分認識がなく不十分であった云々というふうに言っておられますが、許されないですよ、これは。これは世が世ならば、予算審議がストップするだけのこれは重大な問題ですよ。そうですよ。私は予算審議に協力する意味において、そういう必要があるなと思いながらもストップしないで予算審議を委員長に協力しておるのです。実はここで市川委員に答弁した通りやられるか、陳謝すべきですよ。総理、これは国会なんですからね。法務大臣もいろいろと御心配になって答弁されておりますが、それは国会の殿堂の中では許されないですよ。あなたはこの前海外派兵についての飛行機の爆撃についても取り消された、これは私はめったに答弁を取り消さないと言ったけれども、このたびのこの問題というのは、恩赦というものが重大なものだけに、しかもこれは厳粛であらねばならぬ問題であるだけに、市川委員に対する答弁で、本日の答弁を黙って許すわけにいかないのですよ。何とあなたが言われても、あなたのこの前の答弁は選挙違反は恩赦の中に含めるには適当でないというニュアンスが明確に出ているのです。あの答弁の中には明確に出ている。ところが本日になって、選挙違反だけ、だからといって恩赦から除くのは適当でないと思う、私は大赦はやらないという気持でなにしたのだ、法務大臣の言葉をもってするならば、毛頭そういうことは総理が考えていなかったというに至っては、これは愛知さん、幾ら口は便利だといってもこれはいかぬですよ。一応国会で答弁した以上は、市川委員に答弁したあの線でやるか、あるいはここで陳謝すべきですよ。繰り返して言いますがね、恩赦の問題を論ずるに当って、いやしくも総理大臣ともあろうものが、大赦と特赦をはっきり区別、意識して答弁しないというようなことはあり得ないことですよ。まずあなたは国連恩赦のときに、いかなる役職にあったかということを答えて、さらに私の伺った点にお答え願いたい。
○国務大臣(岸信介君) 国連恩赦のときは、鳩山内閣の末期であったと思いますから、おそらく私が幹事長時代であったかと思います。
 それから先ほど来、いろいろ私の市川委員に対する答弁と、本日の答弁が食い違っておるという点に対しての御非難でございますが、私、実はその点に関しては今朝来申し上げているように、私の十分研究が行きとどかないために誤解を生じましたことは、私今日申し上げた通り、大赦はしないということについては、一貫して従来もお話した通りのことであって、個別恩赦につきましては、刑事政策の上から、各種の犯罪についてそれぞれ事情を十分検討した上で結論を出したい、こういうことでございます。
○矢嶋三義君 これで終ります。総理大臣、研究不十分で誤解を招いた云々というようなことでは通りませんよ。総理、研究不十分のために誤解を招いたというようなことでないですよ、これは。あなたは当時幹事長なんですよ。総裁選挙の行われたのは、年が明けてからですがね、その前の幹事長ですよ。当時は根本さんが官房長官です。これは大赦にするか、特赦にするかというような点は、当時与党で非常に議論があったのですよ。そうして牧野法務大臣の手でそれがなされたわけですね。それに対してごうごうたる非難があったことは御記憶があると思うのですよ。従って、あなたは、今度恩赦の問題を考えるに当って、大赦でいくべきか特赦でいくべきか云々ということは、十分頭にあるわけですよ。そこで市川委員は、このたびは大赦が行われないということは何べんもあなたからも、法務大臣からも発表されているから、それを前提に市川委員は聞いたのですよ。選挙違反というものを恩赦にするかどうか、速記録を見てごらんなさい。速記録でも明確に選挙違反というものは恩赦法を適用するのは妥当でないという、あなたの見解が脈々とあの速記録に出ている、はっきりしている。それは決してあなたの失言でなかったと思う。あなたの信念だったと思う。そうして本日御答弁が変っておるのですから、その経緯を言って、やはり陳謝するならしなければ……、自分の研究が不十分であって誤解を招いた、これでは野党側としてはあなたの能力検査を必要とするですよ。もう一へんお答えを願います。委員長、もう一ぺんお答えを願います。
○国務大臣(岸信介君) 恩赦の中の大赦は、私はそういう議論ももちろんこの前の国連加入のときの恩赦のなにに関連しまして、ずいぶん世間の批評のあったことを私もよく承知いたしております。従ってそういう意味において、今度の恩赦においては選挙違反の問題を扱うまいという私は考えでおったわけであります。今日もまたそういう意味においては、全然同じ考えを持っておる。ただ個別的の特赦の問題につきましては、いろいろな刑事政策上の見地からの検討によって、選挙違反であるから、特にこれだけは除外しろという御議論も、けさから一つの御議論として承わっておりますが、私の考えでは、特に選挙違反なるがゆえにそういうものから除くとか、あるいは特に選挙違反を取り上げて特別に特赦にかけるというふうなことでなしに、各種の事情を刑事政策全般から検討して結論を出したい、こういう考えでございます。
○委員長(木暮武太夫君) 鈴木委員の質疑は終了いたしました。
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○委員長(木暮武太夫君) 委員の変事についてこの際報告いたします。関根久藏君、川村松助君が辞任し、その補欠として後藤義隆君、勝俣稔君が選任せられました。
 明日午前十時より開会することとして、本日はこれにて散会いたします。
    午後九時一分散会