第032回国会 社会労働委員会 第6号
昭和三十四年十月一日(木曜日)
   午前十時四十四分開会
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  委員の異動
九月三十日委員常岡一郎君辞任につ
き、その補欠として前田久吉君を議長
において指名した。
本日委員阿具根登君辞任につき、その
補欠として久保等君を議長において指
名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     加藤 武徳君
   理事
           高野 一夫君
           吉武 恵市君
           木下 友敬君
   委員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           片岡 文重君
           久保  等君
           小柳  勇君
           藤田藤太郎君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   労 働 大 臣 松野 頼三君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  説明員
   労働省職業安定
   局長      百田 正弘君
   労働省職業安定
   局職業訓練部長 有馬 元治君
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  本日の会議に付した案件
○労働情勢に関する調査の件
 (労働省関係昭和三十五年度予算の
 概要に関する件)
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○委員長(加藤武徳君) ただいまから会議を開きます。
 委員の異動を報告いたします。
 九月三十日付をもって、常岡一郎君が辞任し、その補欠として前田久吉君が選任されました。また、本日付をもって、阿具根登君が辞任し、その補欠として久保等君が選任されました。
 以上、報告いたします。
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○委員長(加藤武徳君) それでは労働情勢に関する調査の一環として一般労働行政に関する件を議題といたします。
 労働省関係昭和三十五年度予算の概要について、説明を聴取いたしたいと思います。労働大臣から説明をお願いいたします。
○藤田藤太郎君 労働大臣のお話を聞くのですけれども、要綱を書いたやつはもらえぬですか。
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
○国務大臣(松野頼三君) 来年度の労働行政について、私の考えているところを申し上げます。
 最近におけるわが国の雇用失業情勢は、経済の活況に相応して漸次回復し、明るい展望を示しておりますが、わが国においてはここ数年激増する新規労働力の問題、また、広くかつ多量に存在する不完全就労者の問題、さらには中小企業における労働問題など基本的な重要問題があり、労働行政も長期的、計画的にこれらの問題解決のために対処して参らなければならないと存じます。よって、昭和三十五年度においては、現在政府が鋭意検討しておる新長期経済計画に即応し、経済発展の推進の方向に沿って雇用の増大、中小企業労働問題の合理的解決及び労使関係の安定などの労働政策を強力に推進して参りたいと存じております。
 まず第一に、雇用失業対策でありますが、産業の発展を推進するためには、技術者、技能者が国民の層に厚く存在することが必要であります。しかるに、わが国においては、技術者、技能者が著しく不足しておる状態にあるので、科学技術の振興、技術教育制度の充実と相待って職業訓練を拡充強化するとともに、技能検定を本格的に実施し、もって技能労働者の大量養成と生産技術の進歩に対応した労働力の体質改善をはかって参りたいと考えております。特に、石炭産業、駐留軍離職者等の対策につきましては、まずこれら離職者の就職を促進せしめるため、職業訓練の機動的な実施及び広域職業紹介の強力な実施をはかるとともに、公共事業等を重点的に実施し、あわせてこれら離職者をもっぱら吸収するための特別の事業を実施することにより、その対策に遺憾のないようにして参りたいと考えております。
 また、失業対策事業につきましては、現行の失対事業就労者のうちには高度の労働能力を持つ者と労働能力の低い者とが存在し、かつ長年月にわたり固定化する傾向が強いので、就労者の能力、適性に応じた事業の運営をはかるとともに、労働条件の改善を行うことにより、極力能率を増進させ、あわせて職業紹介、職業訓練の機能を強化拡充して、あとう限り一般雇用へ転出させるなど失業対策事業の改善をはかって参りたいと考えております。
 なお、これらの対策を円満に推進するため、失業保険法の改正を行い、保険給付の拡充整備をはかりたいと考えております。
 また、身体障害者の就職が困難な実情にありますので、職業訓練を充実し、特別の職業指導及び作業習熟訓練を施すとともに、求人開拓を推進して、もって身体障害者の雇用促進をはかるべくその立法措置も検討してみたいと考えております。
 第二に、中小企業に対する総合的労働対策について申し上げます。
 わが国の産業構造上、大企業労働者と中小企業労働者との間に、賃金、労働時間、安全衛生、労働福祉などの労働条件の格差がますます増大しつつあり、また、最近中小企業における労働紛争議も頻発し、かつ激化の傾向を呈する状態にあります。この実情にかんがみ、全産業の八割を占める中小企業労働者の雇用の安定を確保するため、その労働条件、労働福祉の向上、労務管理の改善及び労使関係の安定など中小企業の労働問題全体について総合的な対策を強力に推進して参りたいと存じます。
 そのため、まず前国会において成立いたしました最低賃金法及び中小企業退職金共済法の趣旨の普及及び徹底を通じて労働条件、労働福祉の充実強化をはかるとともに、中小企業における労務管理の近代化、合理化を促進するための指導、助言を行い、あわせて労使双方に労働法令の啓蒙普及をはかり、もって正常な近代的労使慣行を醸成し、紛争議の未然防止と早期解決に努める所存であります。しかして、この対策推進の適切を期するため、中小企業の労働関係の正確かつ広範囲の実態把握のため、調査統計の拡充整備をはかることとしております。
 なお、家内労働についても総合的対策を早急に講ずることが必要であると考えられますので、家内労働の実態の正確な把握と対策樹立のため、調査を行なっていきたいと考えております。
 第三に、労働安全衛生対策について申し上げます。産業災害防止については、官民協力して、安全管理、安全推進に意を注いで努力しておりますが、依然として激増の傾向にあります。昭和三十五年度におきましては、すでに策定しております産業災害防止総合五カ年計画推進の線に沿って、産業災害防止体制をさらに強化し、特に中小企業の災害防止及び重大災害の特別防止対策の強力なる推進をはかり、産業災害の激減に努めたい所存であります。また、労働衛生の面におきましても、産業技術の革新に伴う各種職業病の多発と、その肉体的、精神的障害の悲惨な状態から見て、職業病防止総合対策を確立し、労働衛生管理機構の充実強化、労働環境改善の技術指導など強力に職業病防止対策の推進をはかるとともに、特殊健康診断の励行を期して、職業病の早期発見と事後措置の指導に努めたいと考えております。
 なお、けい肺及び外傷性脊髄障害に関する特別保護法は、さきの臨時措置法によってその改正が必要となっておりますが、具体的な内容につきましては、けい肺審議会の答申を待って措置いたしたいと考えております。
 第四に、婦人及び年少労働者の福祉対策について申し上げます。婦人及び年少労働者に対しましては、婦人及び年少労働者の保護体制の充実強化をはかるとともに、その福祉の向上に特に重点を置き、各種の施設の拡充をはかって参りたいと考えております。
 以上の構想に基きまして来年度の概算要求を行なっている次第でありますが、御承知のように、来年度の予算編成については、財源が必ずしも潤沢ではなく、これが実現には相当の困難が伴うものと考えますが、よろしくその趣旨をお考えの上、御協力下さるようお願い申し上げます。
○委員長(加藤武徳君) ただいまの説明に基きまして質疑を行いたいと思いますが、労働省側からは労働大臣のほかに、亀井労政局長、堀労働基準局長、谷野婦人少年局長、百田職業安定局長、有馬職準訓練部長、和田会計課長等が出席をいたしております。それでは質疑に入ります。
○藤田藤太郎君 私は二、三お聞きしたいと思うのです。大臣の今の発言の中に雇用失業、要するに雇用の条件は回復の道に歩んでいる、こういう工合におっしゃいました。それで不完全就労者が多い、中小企業労働者の状態、結局日本の今の政府のやっている経済計画に沿ってやるのだと、こういうお話で、それで最後に技術者が足らぬ、で技術訓練と検定をやって高めていく、こういうお話で第一点のお話がございました。しかし、問題は技術者の訓練をして機能を高めることは必要でございます。これは必要なことでございますけれども、問題は今の失業者をどうするかということが問題の根本だと思うのです。この点には具体的に一つも触れられていない。予算要求の段階だからということで。今までの大臣、今までの場われわれの委員会においては、日本の労働力がどういうところに今あるか、これをまず把握する、どういう工合に配置して失業者をなくしていくかという問題、不完全就業者には、潜在失業者といわれている方々には、これは生活の問題との関係がある。だからこの方々を、一つは就労の機会を与えてこれを完全雇用の方向にと、政府も自民党も言っておられるように、われわれも主張しておる。そういう苦しい人のない世の中を作るというのが目的でありますから、こういう格好では、われわれにはわからぬ。だから大臣は、今度の労働大臣は、私は、今の失業者、潜在失業者をどうしていくか。たとえば失業対策事業ではこうやっていく、これではまだまだ問題がたくさん残るでございましょうから、公共事業との関係をどういう工合にして雇用対策を立てるか。来年度の予算要求の問題ですから、来年度の新規労働者をどういう工合にして雇用の配置につけるか、こういうお話があって私は第一点の問題はしかるべきだと思う。そういうことに一つも触れられていない。これではね、われわれはここで議論するというたって何を議論するか、私は松野労働大臣は、今までからの実績によって、非常に期待をしていた。ところが、このお話では、どこに御遠慮されてこういう発言になったか知りませんけれども、率直に一つ話していただきたい。
○国務大臣(松野頼三君) 藤田委員の御質問の御趣旨は、日本の労働者の数を正確に把握することと、その上に、完全失業者、不完全失業者というものの数字を正確に出すことと、そして日本の産業にこの雇用を何人をどこに当てはめ、何人をどういう方向で吸収する、そのために政府はどういう産業とどういう対策を立てるか、こういう実は具体的な対策の御説明をすれば御納得いくかと私も考えております。
 その前に、第一番に、失業者というものの中にも、御承知のごとく、完全失業者という今の統計の取り方必ずしもこれが絶対無比で正確だとは私も思いませんけれども、一応現在におきましては、完全失業者というものの統計は、今日可能なものは、いわゆるあの統計による完全失業者の統計をとっております。その数から見て、実はふえたか減ったか、昨年は二十五万人というものを完全失業者の予定で失業対策事業というものの計画をいたしたわけでありますが、その後の趨勢を見て参りますと、やはり情勢によって必ずしもその数字が、統計上の数字が必ずしも予算の実行上の数字にはならないという、なかなか、一番基本的に申しますと、その数の把握ということが一番大きな問題だと私は存じますが、今の政府の能力及びすべての諸外国の例を見ましても、ああいう数字の統計しか実施できない。それで完全失業者、不完全失業者あるいは潜在失業者の数というものが、従って正確に把握できないというところに、非常に正確に議論をされる藤田さんに私どもの答弁が非常にあいまいになってしまうというのは、やはり基本的な数字の把握がどうしても不正確だということは、これは否定できないことじゃなかろうかと考えております。一応あまり正確なことはそういう意味でごかんべん願って、それでは次には少くとも新規雇用の数字をどうするか。昨年はたしか百十万という数字を新規雇用という形で出しまして、それで経済計画を作りました。しかし、それに従っても、完全な実行はできたかというと、それはなかなか計数上完全なものとは私も言えない。来年それでは相当な実は新規労働力が出て参ります。これが実はただいま長期経済計画において来年の雇用をどの程度、実際就業希望の雇用をどの程度の数字に見積るか、あるいは各種産業にどのようにこれを割り当てるか、そうして完全に来年の新規労働力というものを吸収できるかというのが、一番、目の前の予算における議論に私はなるかと存じます。そのことにつきましては、実は経企そのものが産業計画、あるいは長期経済計画、あるいは来年の経済成長の伸び工合、あるいはその伸びの中でどの産業が伸びるかということを前提にして産業別に実は雇用の吸収というものを計算していかなければ私は正確には出てこないのじゃなかろうか。その作業は実は本日のところ、経企からもまだそんな具体的なものを私の方に示されたこともございませんし、まだ御相談もそこのところまで進んでおりません。さしあたり来年の経済の成長の伸び、あるいは本年の、三十四年度の経済の見通しということがまだきまらない今日でありますから、三十五年はできておりません。まあそういう具体的な話を申し上げれば納得いくかと存じますが、今日の段階ではまだそこまでの作業というものは進んでおりませんので、私の感じとしては、そういうものを、正確に早くお示しいたしたいというのでありますが、何といっても最終的には相当これは時間のかかることで、毎年予算決定前にやっとこれが予算と経済の見通しがきまるものでありまして経済見通しがきまらない今日では、なかなか私の方もこれ以上の御答弁を申し上げるわけにいかないのです。しかし、私の気持は今申しましたような中で御理解いただきたいのでありますが、藤田委員のおっしゃるような趣旨もよくわかりますけれども、数字的に示せと言われるが、今日の段階では非常にむずかしい。私が今言いましたのは、この四月以来ずっと統計上における雇用というのが予想よりも悪化しなかったという前提のもとに、ある程度明るさを実は示したという感じで御説明申し上げたわけで、じゃあ来年明るいのかどうかということは、これはやはり一応の経済計画やすべての総合計画で判断しなければならない。しかし、一応前進した、経済の拡大ということはこれは必然的に明らかなことでありますので、雇用も今日より以上前進するように私も進めて参りたい、こう考えております。
○藤田藤太郎君 非常に、まあお答えを願ったのでありますけれども、わからぬ。で、問題は、もっとざっくばらんに、労働行政を担当される大臣でございますから、ざっくばらんに私は話されていいと思うのです。そうあってしかるべきだと私は思うのですよ。今日、今の大臣のお言葉によりますと、今の労働力調査そのもの自身が完全なものとは思っていないとこうおっしゃるなら、なぜ、その労働力調査が完全なものでないというなら、もっと正確の度合いの高い調査に改めるということをおやりにならないか。これが一つでございます。たとえば、今不完全就業、要するに潜在失業と言われている潜在失業者が日本にそれじゃどれだけおるのだという調査がどこでできているのだ。できていない。こういう調査もやはり必要になってこようと私は思うのです。たとえば、労働経済指標というものを出されております。で、この労働経済指標を見てみましても、今の労働力人口が農業労働者を含んで季節的に移動している。こういう現状も、私が申し上げるまでもなしに労働省としては十分につかんでおられると思います。で、そういう季節移動の労働者をどういう工合に配置していくかというところも、これも大きな課題であろうと思います。そういう調査というものは、私は実態をもっと把握して、そうしてそれによって日本の、今の経済企画庁との関係があって十分に示されないのでわからないとおっしゃいますけれども、むしろ労働大臣が日本の経済計画を立てるのに一番大きな発言を持ってしかるべきだと私は思うのです。そうでなければ、日本の失業とか生活とかということは在れないと私は思うのです。だから、労働大臣は日本の経済計画を立てるのに一番大きな力を持って臨んでもらいたい。やってもらいたい。これが私が強く主張したいところでございます。
 それから、雇用計画というものは、私は、基本的にはこうあるべきだという基本的な計画を政府としてやっぱり出してもらわなければ困る。一年の年度計画というものもむろん必要でございましょう。そういうことをやらないで、石炭離職者ができた。駐留軍に――駐留軍はずっと前からわかっている――離職者がどんどんふえた。駐留軍の労働者の就職の状況なんかはほんのちょっぴりでございます。ほんとうにほったらかしでございます。それどころか、今の機械化やオートメーション化によって労働者が減っていくという現状からくる計画性というものが私はなければどうするかということです。労働時報によって労働省の報告をしておられる結論的な要綱の中に、労働者や労働組合の時間短縮の要求を期待するというようなことが書いてある。労働者のことですから労働組合や労働者がやっていくのは当然でございますけれども、日本の潜在失業をどこへ配置づけるかということについては、政府もそこに十分な施策と計画というものをもって完全失業をとらえておられるのでしたら、そこに目標をかっちり置いてやってもらわなければ私は困ると思う。これは、松野大臣は私はそれをやってもらえると思って期待をしておりました。まあ、きょうのお話では、そこまでおやりになっているけれども、ここで発言をされないのかどうか知りませんけれども、非常に問題があろうと思います。それからこの労働経済指標を見ましても、農業労働者と雇用労働者の関係、たとえば外国の歴史を見ても、経済が進行に応じて農業労働者が雇用労働者へ転換していっているという歴史は、これは外国の例をとって参考にしようと思えばいつでもできると思う。経済状態が同一じゃありませんから、そうは簡単には日本に当てはめることはできないにしても、そういう計画が私はあってしかるべきだと思う。そういう点を一つはっきりとしていただきたいと思うのです。
 それから新規雇用の問題でございますけれども、新規雇用の問題も、いわゆる昨年度の例は百二十万で、自家就労というような格好で雇用の中に入れて、四十五万というようなあいまいなる数字でもって出てきて議論をしたことがございます。私は今非常に苦しんでおられるところだと思いますけれども、しかし、来年度は何人新規労働者が出るかということはもうはっきりしているのです。この新規労働者をどこに配置づけるかということは、私はやはりもう計画を立てて予算を要求しなければ、予算要求ですから、これはもう今以外に時期はないと私は思うのです。そういう点をもう一度一つ……。
○国務大臣(松野頼三君) 御承知のように、統計が必ずしも完全でないということから、毎年前進しながらその統計の整備に当っておりますし、来年ももちろん労働省でも毎年統計の充実ということでなお一そうより以上の正確な把握のために努力するように予算にも要求をいたしております。これは、なお総理府の統計局もございますので、総理府統計局も来年、再来年は全国の国勢調査の年になっておるはずでありますし、それに合わせてやはり就労構造の基本調査あるいは移動調査というものも、統計のために新しくより以上正確なものを作ってもらう予定にしております。もちろん各省連合しながらやりませんと、これは動態的調査というものが非常に問題になって、毎千ある瞬間にはやっておりますけれども、常時これを設備しておらないところに統計上のいろいろな錯誤が出てくることは事実であります。私もおっしゃるように、雇用計画を完全にする。これがある程度強制といいますか、ある程度計画の裏づけとして強制的な雇用というものができますれば、これは非常に計算上より以上労働大臣もやりいいかもしれませんが、日本の帝業及び今日の状況では、強制的に割当労働というわけには参りませんので、やはりそれには産婆そのものの構造内における規模とあるいは余裕というものを勘案して私の方の労働省としてはそれに当てはめる、推進をするというふうな作業しかできないのじゃないだろうか。そのためには新規労働力というものの総体をつかんで、しかし、新規労働力の総体の数字はある程度できましょうけれども、その中の雇用と自営をどれだけにするか、あるいは自分の家事の手伝いをどうするか、あるいは雇用者になるかということはなかなか正確にはそうびしゃっとできるものではありませんけれども、しかし、より以上毎年重ねるに従って正確の度合いは私は前進してくると存じます。
 なお、御指摘のように、農業の労働力が非常に過大であるというので、今回は特に農林大臣からも希望がございまして、労働省の中に第一次産業の農業の雇用を、より以上正確な産業の雇用者に当てはめるために、今年は農林省は二三男対策と銘打ち、労働省の方は雇用改善という名前で、新規要求として新しく職業訓練から雇用の増進のために農村の二三男を対象とした雇用の問題を新しく三十五年度は要求をいたしております。
○藤田藤太郎君 どうも具体的におっしゃらないのでございますから、私はきょうの段階ではそう多くはここで意見を吐きませんが、しかし、私は何といっても、そういう、私が申し上げましたような計画というものをお立てにならないと、今後出てくる失業対策というものはこうやくばりになってしまって、張ったあとからはげていくということになりはしないか。私はここで、いかにして四千五百万から六百万に達する産業労働者、労働力人口を中心にした九千万の国民生活をどうして保持していくかというこの問題の重要な問題点を私はここでは議論しなければならぬ、こう思っておるのです。今おっしゃいましたように、日本の経済計画は云々、そこできまったやつの割当に応じて労働省はそれに取り組んでいくのだと、こういう工合におっしゃいましたけれども、たとえば今年度の運用部資金の一兆二千三百億ですか、民間とは関係のないこれだけの膨大な運用資金があるわけです。そういう資金を、たとえば骨にして雇用計画を立てるということは今日の状態においても私は可能だと思う。そういうところにおいては、経済計画を立てる一番大きな重要な位置というものは労働大臣が持ってしかるべきだと私はそう思います。だから、そういうことでもう少し明確に労働省としては労働者保護といいますか、ひいてはこれが購買力に変化し、日本の経済の発展に転化していく根本の問題ですから、どうか一つ労働大臣はそういう意味からうんと力を入れていただきたい。私が質問しても具体的にお答えになりませんから、ここでこの問題に関しましては、今の労働力の把握をする労働力調査、ああいうものでは私は困る。皆さん方もお困りになっておると思う。だから、あの労働力調査を根本的に改めるということをまず考えていただきた。潜在失業者の把握という問題も、当然私は今度の予算要求でこの調査機構を変えるためにやっていただきたい。これが私はこの問題と経済計画に対する労働省としての発言権と申しましょうか、経済計画を立てる柱になるつもりで一つ経済計画の中で労働大臣はがんばって、日本の雇用計画、完全雇用の問題について取り組んでいただきたいということを特に希望しておきます。強く要請をいたしておく次第でございます。ですから、そういうことを要請したあとで、さしあたっての今年度の失業対策をどうするかという問題に入ってこようと思うのです。この点についても、新規雇用についてもお話がない。いずれ数字でお示しになるのだそうでございますけれども、しかし、予算はいつきまるのか知りませんけれども、大体十二月一ぱいくらいに最終的に予算がきまるということを今までの慣例からいって聞いております。そうすると、今一番労働省としては主張すべき時期ではなかろうか。石炭や駐留軍の離職者の問題を含めてまた、ほかにもたくさんの離職者がございます。たとえばアメリカの例をとって何ですけれども、あれだけ経済の復興しておるアメリカでも、今四百万から五百万の失業者がおる。これは何を物語っておるかというと、機械化、オートメーション化、こういう問題との関係が非常に深いと私は思うのです。だから、そういう点からいって、時間短縮という問題も単に労働者や労働組合に期待するのではなしに、労働省としてもどういう工合にして完全雇用の道を開くかという問題は、近代産業と中小企業の非常に段階の激しい日本産業構造でございますけれども、その中でもっと積極的に一つ考えていただきたい。これだけ強く私は主張しておきます。
 それからもう一つお聞きしたいのは、次の問題ですけれども、失業保険の拡充をやると、こういう工合におっしゃいました。ところが、今失業保険の積立金は六百億をこえるところまできていると私は思う。あのたくさん失業ができた困窮のときに、ここでも一度議論をいたしましたが、失業保険支給を二十六週を三十九週に大統領命でしたアメリカ、日本は六百億の積立金ができたのに、失業保険の合理化とか何とかいう理屈をつけて、まだ失業保険の改悪の方向をしようとしている。積立金はたくさんできたから政府の支出金を少くしていこうというようなことが出て参ります。拡充強化というのはどういうところにポイントを置かれてやろうとしておられるか、私はお尋ねをしたい。
 それからもう一つ、お話の中で、中小企業の労務管理の近代化ということを言われました。この点について、もう少し詳しくお話を願いたい。
○国務大臣(松野頼三君) 失業保険の改正の今の構想といたしましては、失業保険給付内容におきまして、次の転業あるいは就業に対するある程度の援助を考えたい。もう一つは、ある程度次の職業及び転業のために訓練をする失業訓練所の入所期間における失業保険が切れた方というものについては、この保険の給付内容の改正をいたしたい。なお、もう一つ考えられますことは、やはり失業保険の年限というものについてある程度の手心を……運営上、より以上の前進をしたい。この三つを今考えておりますが、まだそのうちどこから着手するかということは、今後の問題でございますが、今のところは、なるべく次の転業のために失業保険金を活用いたしたい。これが一番のねらいで、失業者に保険金をいたずらに延ばすということよりも、次の転業、あるいは次の就業のために積極的に援助をすることの方が、失業保険のより以上の意義がありはせぬか、こういうようなところを実は考えているわけであります。今日この一部の者については、移転手当とかという程度のものが支給されておりますけれども、それをもう少しある程度、次の、場所も変りましょう、ことに広域的な産業構造を考えませんと、非常に地域的なものでは、今日非常な不況産業に就業される地域ではお困りもございますので、ある程度やはり広域的な、全国的移動ということも考えながら、失業保険法の運用をその方向に向って参りたいという意味の改正でありまして、どこを幾らするのだと言われれば、そこまでは固まっておりませんが、焦点としましては、その点が一点、もう一つは失業訓練の期間中の保険金の問題、これが第二点でございます。第三点としては、ある程度やはり年限に応ずるとか、あるいは特殊の方とかというものについての保険金の運営を改正いたしたい。この三つが実は問題の、私の考えております失業保険法の改正の実はねらいであります。近代化とか。場所とか、あるいはどうだとか、これはもうしばらくかんべんを願いたいと思います。
 もう一つ中小企業の近代化、争議の労使関係の問題でありますが、中小企業は今日ややもいたしますと、やはり労使ともに、労働法そのものの順法と申しますか、あるいは解釈と申しますか、あるいは普及徹底という意味が欠けておりはせぬか、こう考えまして、労政関係といたしましても、非常な問題がありますが、その前に紛争そのものの防止を、もう少し考える必要がありはせぬか、こう考えまして、やはり基準法の問題とか、あるいは労使関係の労働協約の問題とか、あるいは作業日程の問題とかというその争議以前の、現在の就業問題に非常に不備な点が見受けられるという意味で、この普及徹底をさせるために、労務管理者というものの一つ教育をしたい。今日でも安全衛生につきましては管理者という制度がございますが、もう少し大事な労務管理というものについては、普及徹底がおくれておりはせぬかという意味から、労務管理者というものに労働法の、あるいは基準法のあり方を教える、こういうことを考えまして、これは所管として持つならば、基準局の管轄でございましょうが、そういうふうな考えで労務管理者というものの実施をいたしたい。これを今回ただいま申しました中小企業に、この普及を特に私は考えた方がよくはないか、この意味でありまして、また、労政事務所の拡充ということももちろん考えております。官としては労政事務所の拡充をしながら、紛争を未然に防ぎ、民の方から言いますと、労使の中に入って中間的にこの管理、監督、及び労働基準法のあり方から手続、方法までこの管理者が円満にやる、こういう趣旨であります。
○藤田藤太郎君 失業保険の拡充のお話の中で、いろいろお話がありましたけれども、しかし、六百億も基金ができて、失業保険自身が非常に何といいますか、充実したものがあって、政府の支出金を削減しておいて、その上でテクニック的な要素を考えないということは、どうも私にはわからぬ、削減ならまず第一に、今までのところへ政府の考え方を戻してもらって、そうしてその上に立って失業者の救済のために、拡充をしていくという、そこへ根本的な問題を置いていかなければ、私はならないのじゃないかと思うのです。これはどうも今のお話では、少し根本の問題に触れておられないような気がいたしましたので、一言触れておきます。
 それから労務管理の近代化と言われますけれども、ただその水の流れるごとく政府は今の大企業が、生産力がだんだん独占をいたして、中小企業が次から次に苦しい目にあっている、こういう経済的な関係をそのままに置いておいて、中小企業の労務管理の近代化というてみたところで、なかなか何十万件も基準法違反があるというのをほっておいては、私はなかなかむずかしいと思う。だからこれもやはり根本的な日本の経済施策の中に大きな力を入れて、その中で基準法をどう守らすか、労務管理をどう近代化するか、こういうところにどうか力をいたしていただきたいと思うのです。御所見があったら、承わっておきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 親子関係の中小企業と大企業の問題につきましては、今いろいろ実は産業的な法律としては、下請代金の促進をするのだとか、あるいはあまり値をたたいちゃいけないのだとか、いろいろ防止法というものが今日ある程度できておりますが、なかなかその法律だけでも実は必ずしも満足に実施できておらないという関係も、私は各所で見受けられるのではなかろうか。従って、これは労働大臣の所管というものではございませんが、やはり中小企業というものが一番苦しい思いをいたしておりますのは、やはり親子関係の工場からの発注の時期とか、支払いの時期というものが、産業的には非常に重圧を私は加えられておると考えます。同時に半面、中小企業の労使関係というものも、おのずから大企業の下請的な傾向で、ある場合においては、やはり賃金の格差も相当目立っておりますので、中小企業独自でこの問題を解決するというのじゃなく、大企業及び総体的な産業の中でこれを救っていかなければ私はならないのじゃないか。また、中小企業の下には、もう一つ零細な家内工業というものも存在いたしております。中小企業からもう少し下にございます家内工業という大きな日本の生産力を忘れるわけには参りませんし、これにつきましては、今後私は、家内工業の保護法的な安全と衛生の保護を焦点とした家内工業法というものの選定のまず準備をいたしたい、こう考えておりまして、どこの場面と瞬間的に言われますと、いろいろ議論がありますが、その場面だけで解決できないというのは、これは日本の産業界の、一つの諸外国に見られない大きな難問題が私は存在しておるんじゃなかろうか、こう考えておりまして、もちろん中小企業そのものの中における矛盾と苦労もありますので、今日、私労働大臣としては、まず労使間における賃金の確定とか、作業とかいうものについて、労働条件の向上と、福祉をはかるということを、三十五年には着手したい、こう奥は考えておるわけで、藤田氏の御指摘のような総合的なものは、やはりこれは日本のいろいろ関係がございますので、来年の予算だけで、これは解決できるものではございません。しかし、その一つの現われとして、一歩でも前進して一つの方向を来年は築いて参りたい、こういう努力を重ねております。
○片岡文重君 雇用問題で少し具体的になりますが、一つついでにお尋ねしておきたい。それは新規労働力となってくる学卒者の雇用の問題、これももちろんきわめて重要な問題でありますが、最近の政府の御発表では、来春の新卒の採用見込みは、非常に明るい見通しを持っておられるように言っておられる。今年度当初における御発表もそうでありました。しかし、新卒者の就職率というものは、学校別に調査をして見ると、発表と実際とはだいぶ違っておるようです。たとえば、就職試験も受けられない、あるいは受けても合格できない。従って、就職が未定である、そういうような場合にも、子供の方ではこれを家事手伝い、農業に従事、家業に従事ということになる。そうすると、これは全部就職の中に入るわけです。しかし、これは完全に潜在失業者です。潜在失業者というより、むしろ完全失業者です。だが、発表の場合には、これは就職者の中に入ってくる。特に私立学校等の場合には、これは私立学校の経営者団体からしかられるかもしれませんが、しかし、実際において、卒業者の就職率のいいか悪いかということは、入学志願者の募集に当っては、非常に大きな影響を与えますから、なるべく就職率はいいように発表します。従って、実際の就職者と発表とは、相当の開きがありますから、こういう点等について、やはり何らかの私は考えをもっておかなければいかぬと思うのです。
 今しかし、私ここでお尋ねしたいのは、そういう青少年諸君の就職率も大事ですけれども、それ以上私たちが心配の種になっておるのは、せっかく優秀な技術を身につけておりながら、特に三十二年度から、三十三年度にかけての景気停滞期において発生した中年者といいますか、熟練者の失業者です。これはなかなか採用する方で、家族手当やら、高給やら等々の難点があって、なかなか就職できないんです。こういう人たちに対する――つまり新規失業者となっていく者は、ほとんどこういう人たちですが、これに対する何か特別な対策を、三十五年度にはお立てになっておられるのかどうか。先ほどの労働統計は、そう正確ではないというようなお話もあったようですから、別にその言葉じりをとらえるわけじゃありませんけれども、しかし、そういう年令別、あるいは技能の有無による調査も不完全であっても、とにかくできておるはずですから、これらに対する消化の方法、これをどういうふうにお考えになっておられるのかどうか、具体的な案をお持ちになっておるなら、この際御発表いただきたいと思います。
○説明員(百田正弘君) 具体的な問題でございますから、私から実情を御説明申し上げます。第一の、最初にお話しになりました新規学卒の問題でございますが、これは御指摘の通り、私はそういう事態もあろうかと思います。そこで、現実に職業安定所が扱っております場合に、大体学校の卒業者について、三通りか四通りの就職の方法があろうかと思います。第一は安定所を通じましてやるもの、それから安定所と学校との協力態勢というような形でやるもの、第三が学校のみでやる。第四は、それぞれ自己の縁故その他によってやるというような形になっております。少くとも学校が職業安定所と連繋をとりまして、協力関係に立ってやりますものにつきましては、われわれの方で把握のできる数字でございます。その成績につきましては、従来から申し上げておりますように、これは数字をどうのこうのという意味じゃなく、ほんとうに相当な優秀な成績を示しております。問題は、今お話しになりましたように、学校限りで、学校が自分のところの成績をよくするためとかいったようなことで、かりにそうした事態がある、あるいは家事手伝いということで潜在化しているというような事態も、あるいは私もないとは申せないと思いますけれども、私どもといたしましては、従って、現在できるだけ安定所との協力態勢を強化して、そうした学校をふやしていくというような努力をいたしているわけでございます。それによりまして、安定所の力と学校の力が結託いたしまして、就職率がよくなるように現在努力中でございます。なお、来年度におきましても、そうした意味におきまして特に農村その他において家事手伝い、その他の形で滞留しておられると申しますか、一つの過剰人口として滞留しておられる人々のためには、特に職業訓練所を拡大いたしまして、この方面の就職を積極的にはかっていきたい、こういうふうな計画を現在持っているわけでございます。
 第二にお話しになりました、相当技能を持っている熟練者であって、中年になって失業した方もいる。これは特に一般的に申しまして、日本のこうした雇用的な障害の姿からいたしまして、非常に中年層になった人以上の就職が非常に困難であることは、遺憾ながら、これが事実でございます。われわれといたしましても、特に最近におきまして新規労働力につきましては、十分とは申しませんけれども、とにかく今後の見通しといたしましては、相当明るい見通しを持っている。今後むしろ問題は中年層以上の、しかも労働力人口というものの構成が、今後順次上の方に片寄っていく。今後一番考えなければならぬ問題は、私はこの問題であろう、こういうふうに考えております。そこで、われわれが今一番先ほど大臣からもお話しになりました広域職業紹介の問題につきまして重点を置いておりますのは、一つは新規学卒の問題でございます。第二は一地域に多数の離職者が発生してくる。今度の石炭のような場合でございまする第三は技術を持ちながら、技能を持ちながら、その地域で就職できないということ、こういう方々の全国的な広域職業紹介を積極的に実施したい。広域職業紹介と申しましても、単に口だけでは簡単でございますが、何の技能も持たない失業者だといった方は、実際上非常に広域といってもむずかしい問題でございます。技能のある方々の、現在技能労働力の過不足状況も調べておりますが、そういった意味で、これが積極的に広域職業紹介をはかっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○片岡文重君 結局御答弁としては、もうその域を出られないかと思うのです。しかし、職業安定所の窓口を実際通して、どのくらいはけていっておるかということなんですね、中年者が。職安でもこれはもうほんとうに困って、かけずり回っておるようですけれども、なかなか雇う方では、そう家族手当がたくさん必要であったり、高給を払わなければならぬということになると、どうしてもちゅうちょいたしますから、なかなかかけずり回ったほどの効果は上がっておらぬのです。そこで私はやっぱり今までのような職安だけにまかせたやり方で、今までの状況で、ただ職安の役人を叱咤勉励してみたところで、これでは私はらちがあかぬと思うのです。やはり何か強制法を作ってというわけには参りますまいけれども、たとえば政府が経営者団体に働きかけるなり、日経連の首脳部を動かすなり、少くとも経営者団体が率先してそういうものを消化していくという態度に変っていかなければ、この問題は私は解決できぬのじゃないかと思います。そういう面に対して、政府が働きかけるのも一つの方法でしょうし、私は思いつきの域を出ませんけれども、たとえばの話です。こういうふうにやはり今までの機構の上に立った督促だけではなしに、何らかやっぱり個々に具体的な新しい方法を見出さなければ私はだめだと思う。今の御答弁の域を出ないとすれば、そういう具体的な案は現在お持ちになっていないと思いますが、もしそうだとすれば、これは早急に具体的な対策を立ててもらって、職安の窓口にだけ責任を持たせないで、政府が先頭に立って具体的な措置をとる、局長も認めておられるように、好景気になったからといってこれらの中年の者がすぐ消化されるような事態にはなかなか、非常な景気が来てでもなければなかなかできないのですから、今のような上昇線の程度では私は決して早急に解消できないと思う。ですから、もっと具体的にこれらの問題を研究して、今後のおそらくこれはガンとなるのですから、この点に対する具体的な措置を私はぜひやってほしいと思います。御所見を伺っておきます。
○国務大臣(松野頼三君) ちょうど、御指摘のように、経営者団体に私も来年の卒業生及び過去の卒業生を今後定期的に経営者団体の方と計画を合わせて雇用対策を促進して参りたいと考えておりましたので、ちょうどいい機会に御指摘いただきましたか馬、近いうちにそういう会を、一回や二回じゃありません、常時経営者団体の、いわゆる労務求人側と、労働省が、これは主として求職側、求職側というとおかしいが、求職側を代表して、一つの計画を、毎年新規卒及び過去の学卒についての計画の打ち合せを実施いたしたいと思います。ちょうどいい機会に御指摘がありましたので、具体的に近いうちにその実行をはかりたいと考えております。できるだけ私も、実は労働大臣の立場からのみならず、多数の周囲を見ておりますと、学校を出た者の就職というものは、家事手伝いのために大学を出たという人もないと思います。やはり大学を出る以上は、それだけの将来に対する一つの希望があって学校に入られたのですから、その方たちが家事手伝いしかできないというみじめなことでは御本人にとっても、また、社会にとっても惜しいと思います。雇用状況が一昨年は窮屈な時代でありましたが、昨年は一昨年よりもっとよかったと統計で見ておりますが、労働省としてもある程度の基礎学を学んだ方については、それだけの就職の道が求められるように、親身になって考えて参りたい。ちょうどいい機会に御指摘になりました。今後実行してどの程度の効果が上りますか、完全とまでは言いませんが、私は実施できると思います。職安及び安定局長を通じてこの促進をいたすつもりであります。
○高野一夫君 私は今片岡さんの最初の御質問のときにひそんでおった御意見に非常に共鳴しておるわけです。それがただ仕事で特に学校を出た者のことを言うのですが、仕事にありつければそれをもって就労が完全にできたという、こういう考え方は確かに誤まりだと思います。日本の現在の状況から考えまして、理工科の学問の振興、科学技術の振興を考えておるわけでありますが、たとえば現在でも専門の技術、学問をおさめてそれが自分の専門の仕事に果してありつけるかどうかということは疑問に思うのです。農芸化学をおやりになった方で、仕方なくほかの石けん会社なんかに勤めていく、また一方、染料化学をおやりになった方が、染料会社に就職できないで、化粧品会社に入っていく、こういう事例が非常にあるわけです。こういうことを考えますると、私は先ほど労働大臣がこの経済企画庁を中心とした経済企画、産業の発展計画こういうものができて、そこで今後の労働の雇用関係というものも考えなければならないというお話があったけれども、むしろ各種産業の発展の計画というものを、その計画というものに対しましては今後の理工科の学問、あるいは並びにその系統を出たものの就業状況というものを強く織り込む意味において経済計画を立てるためには、政府において、労働大臣が強い発言権をお持ちになってそしてむしろ労働大臣がその中心になって、計画のいろいろな発案をなさる、こういうお気組みが望ましい。ことに文教対策に対しましても、理工科対策に対しましても、ただ理工科の学問の振興、科学技術の振興といったところで、それをやったものが、それぞれの産業で、自分の専門の技術を生かされるような日本の産業状態がまず必要である。日本の文教対策というものと産業計画というものとは、やはりこれが関連して密接不可分の状態にあると思うのでありまして、従って、そういう文教対策に対しても、経済計画の対策に対しても労働大臣がむしろ中核になった、その一つ何といいますか、自信をもって、確信をもって大いに強い発言権をお持ちになってこの対策に当っていただきたい。こういうことを私は希望いたしたいのですが、この点に対する労働大臣の御決意があるならば承わっておきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 藤田さん、鶴野さんの御指摘で言葉を正解に申し上げませんでしたが、実は経済企画庁の中にも、労働省からもちろん人骨を派遣しております。企画庁の中におりますけれども、労働省の出身で雇用関係は、実は労働省の出身者が経済企画庁の中において雇用計画を立てておるわけでございます。総合的な発表が企画庁からありませんので、私の方もこれ以上の言葉を差し控えたのでありますが、全然私が知らないというよりも、企画庁の方の総合的数字の発表がまだ……。経済企画庁に派遣した者が経済企画庁の職員となって、今後経済企画庁の中における雇用の実は策定をしておるわけでございまして、もちろん労働大臣が知らないというわけでもございませんが、いずれ私の立場としては、政府におきまして、ある程度企画庁の中の――閣議における会議が私の一番最後の決定のかぎではなかろうかと考えております。正式にどうなりますか、この今度の経済企画庁の中における雇用の問題は私自身も非常に関心をもって経済企画庁長官にもうすでに三回雇用促進の立場からも実はなにしたわけでございます。といってまだ総合的数字が出ないので、私もこれ以上お答えができませんけれども、方向と関心というものは常々、実は接触しながら、私の理想をより以上生かしていきたいという、こういう気持を持っておるわけでございますが、企画庁からまだ決定数字が出ませんので、これ以上お答えはできませんが、方針としては、高野さん、藤田さんがおっしゃるように、私の立場でできるだけの方向へ努力する。そういう今日の作業における関心は実は常々持っておるわけでございまして、その総合的なほかの方がまだきまらない、総合的なものが出てこないので、これ以上ここで私としては御答弁できませんけれども、おっしゃるような方向でできるだけのスタッフと努力をいたしたいと考えております。
○片岡文重君 私先ほど申し上げたのは、今高野委員が具体的な構想を述べられたのでありますが、この問題が一つと、それから求人側に積極的に政府が働きかけたらどうかと言っておるのは、長期失業者の傾向は多分にある、中年者で技術があってもできない。よもや技術のない中途において失業した人の――いわゆる家族を持ち、一個の社会人として生活をしておる人たちの失業者、これをもっと積極的に吸収できるようなことは政府は考えないか、職安だけにまかしておいたのでは不十分ですということを申し上げているのです。ですから、それに対して積極的な方途を政府は先頭に立って考えて下さい、こういうことを申し上げておるのですから、別に言葉じりをとらえているわけではないのです。さっきの大臣の御答弁の中ではそういう点に触れられてなかったようですから、その点を重ねて私は申し上げておきたいのです。特に何か局長の方で具体的に構想せられてあるならばこの際承わっておきたい。大臣からも一応の見解はこの際披瀝されておいてしかるべきだと思うのです。
○説明員(百田正弘君) ただいま御指摘になりました点は、私どもも実は、今技術者というお話でございましたけれども、それを含めまして中年層以上の人たちの就業問題及び新規学卒にいたしましても、従来から問題になっております両親または片親のないという人たちの就職問題、あるいはこれは多少違うかもしれませんが、大学の特に文科系統の人たちの就職問題、これは実は景気がよくなっても、非常にむずかしい問題でございます。従って、単に景気の上昇で雇用ができるからということだけには期待しておれない実情でございます。従って、これらの問題、中小企業等の問題もございますが、特に就職の困難な人たちのために、これは特に求人者の側の理解、お話の通り、求人者側に対する啓蒙が必要になってくる、これを安定所の手だけでやっていくということは、限りある人と限りある機能では不十分でございます。そういう意味におきまして、われわれもこれは特に必要と考えまして、来年度の一つの構想といたしましては職業安定協力員というような人たちを委嘱いたしまして、こうした面に対する、求人者に対する啓蒙なり、あるいは求人情報の獲得、求職者に対するいろいろな特別な相談といったようなことに協力していただこう。不十分ではございますが、こういう制度を来年度の構想として考えておるような次第でございます。御参考までに申し上げます。
○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(加藤武徳君) 速記を起して。
○国務大臣(松野頼三君) 片岡さんにお答えいたします。おっしゃるように、いろいろな場面もございますので、ぜひ一つその方向に私自身努力して参りたい、その場面も私ども想定しながら局長が申したことも含めて十分努力いたします。
○小柳勇君 大臣の来年度予算に対する説明に対しては相当質問がありますが、数字を見た上でないと、今年度の動きと来年度の動きがどのように変っていくかということについての考えも相当はっきりしませんので、後日数字を見せてもらってから、それによって……私どもが社会党の大会でも提案しているように、雇用基本法、あるいは低所得者に対してどうするかという大きな二つの柱で大会でも討論して、今後の国民生活をよりよくするために検討しなければならぬ、そういう点で特に労働省、厚生省の問題を重点にわれわれとして検討いたしますから、数字を見た上で、私は十分に大臣の御意向を聞いて私どもの意向も十分盛った上で来年度の予算の件について考えてもらいたいと思うわけです。従って、そういうふうな抽象的なことではしようがありませんので、今日は特に私は石炭失業者に対して質問したかったのでありますが、それでもし予算が概算でもきまっておれば、お話し願う。数字が概算でもきまっておらなければ、再三大臣の意向は聞いておりますから御答弁いただく必要はありません。要望としては早急の問題でもあるし、ぜひ石炭産業失業者の問題を重点的に労働省の問題として解決していただきたいという要請をしておきたいと思います。
 そこで具体的に質問を申し上げるのは、職業訓練法の中における技能検査の問題であります。これは近々問題となることでございますので、質問いたして大臣並びに関係者の意図を明らかにしておきたいと思います。
 去る六月の十六日の目に、労働福祉中央協議会というものから労働大臣並びに職業訓練審議会長に対して申入書を提出いたしております。
 その申入書の内容をかいつまんで申し上げますと、職業訓練法の施行をみたのは昨年の七月である。まだ一年も経過しておらないのに、この職業訓練法によって技能検定を早急に実施しようとしておる。この技能検定実施要綱は、これを受けようとする者に対しては今年になってから初めて示されたものであって十分その内容を理解しておらない。従って、この検定をなされることによって、今後労務管理の面あるいは労働者の今後の賃金などにも相当影響する。従って、労使間に無用の混乱を招くものと考える。
 なお、具体的にはこの検定の中に次のような問題がある。
 一つは、労務管理に悪用される危険性がある。
 二つ目には、職業訓練と分離し施行した形で検定が実施されること。被検定者は、資格の取得のみに目を奪われ、訓練そのものが等閑され、職業訓練法の目的に反する結果になるおそれがある。すでに神奈川などで職業訓練を無視した検定のみの実施の傾向が出てきておる。また、東京都では職業訓練法に基く訓練実施のための施設貸与についても教育委員会はこれを拒否し、ている事例もあるが、これらの点についても労働省は適当な行政指導をしていない。
 三つ目には、すでに各省が独自に実施している試験制度などとの間の調整もできておらないような現状である。
 四つ目には、画一的に八十職種にわたって検定の実施を考えているが、明らかに検定の不要と思われるものもある。この点十分な検討が加えられておらない。
 五つ目には、検定実施の結果から生ずる有資格者と無資格者との間に実力を無視した形式的差別が生ずる。その他、実施要綱内容においても検定委員の任命や、委託団体の委託基準、受験資格など、検定実施の過程における問題も多い。このような具体的な問題もあるにかかわらず、実施を急ごうとしておるのはなぜか、このようなことを申し入れております。従って、結論としては、検定を延期してもらえないであろうかというお申し出をやっておりまするが、第一点は、この申し入れに対しては、大臣並びに職業訓練審議会がどのような結論をお持ちであるか、逐次質問を展開していきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 六月十六日というお話でございますが、私が就任以来たびたびいろいろな方にお会いいたしました。なお、審議会からの答申もいただきました。なるべくすみやかにやれというのが御趣旨の内容に存じましたので、なるべくすみやかにというわけで実は準備をしたわけで、ただその中にいろいろな項目が列挙してございますが、そういうものはその当時の非常な不安な状況あるいはまだよく検討がなされておらなかったために、そういう項目があげられておられるように存じますが、本日実施いたす段階になって各種調整をいたしますと、その項目はだいぶ実は改正と申しますか、その不安は実は去っておるかと存じます。従って、具体的には訓練部長から項目について答弁をいたさせます。
○説明員(有馬元治君) 小柳先生の御指摘の一番最初の問題ですが、訓練法が施行になりまして一年しかたっていないにもかかわらず、画期的な検定を実施するのは不都合だ、こういうのが第一点だと思いますが、これは御承知のように、訓練法は従来の職業補導、それから技能者養成、この二つの制度を蹈襲したものでございまして、この戦後の二つの制度で養成された終了生もすでに二十八万数千人を数えております。さらに加えて、終戦直前直後の混乱の時代は別といたしまして、昭和十三、四年ごろから工場、事業場の要請も出ましてその当時からすでに国の制度として技能者の養成制度は確立されておったのでございまするが、また、さらにさかのぼりますと、たとえば三菱の長崎造船所のように、日清戦争直後の明治三十年台から技術学校という形で事業内の養成訓練が行われている実績がございます。こういった過去の実績を蹈襲いたしまして訓練法という形で集大成したのでございますので、訓練法だけをごらんになって一年の実績しかないという判断は早計かと思います。
 それからPRの問題が特に強く御指摘があったかと思いますが、なるほど私どももPRが非常に技術的にまずいという点もありまして、その申し入れの当時におきましては、過去に必ずしも趣旨が徹底していなかった向きもあったわけでございますが、今日におきましては、関係団体の委託についての受諾の応答もございまして、それから各種の労働組合の方々ともわれわれ直接接しまして、誤解の向きは極力これを理解していただくようにPRもしておりまするし、また、第一線の府県等を督励いたしまして、直接受験者並びにこの受験者を指導する側の使用者側、特に検定を実際に担当される専門家の方々、こういうところをねらいまして具体的なPRを現在第一線においてやっておりますので、その点も逐次改善されて実施までには、必ずしも十分とは言えないと思いますが、われわれが大体予定した程度のPRが行われ、また、その効果も出てくるのではないか、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 今のその答弁は少しまとをはずれていると思うのだけれども、職業訓練法が出て一年しかならないから、この職業訓練法がよくわからないというのでなくて、職業訓練をしてその人だけを試験検定するならば問題はなかろう。ただし、その職業訓練法に基く技能検定というものは全般的なものである。しかも八十職種にわたっているかような広範な技能検定、しかも一級、二級に分けてこれを検定するが、そのような法律に基いてやる技能検定というものは職業訓練が実際まだ十分なされておらないのに、その方だけ先行していないかという点が一2だから裏を言うならば、職業訓練をやった人だけを技能検定をやるならば、それは今でも差しつかえなかろう、こういうことであるが、技能検定と職業訓練がばらばらに動いている、そういう点を労働省はどういうふうに考えているか。これが第一点の質問です。
○説明員(有馬元治君) ヨーロッパの制度を見ましても、修了した者は原則として検定を受ける、こういうふうな順序になっております。訓練法も原則的には訓練のベースの上に検定を展開する、こういう考え方で仕組まれてありますので、原則的には訓練修了者に対して一定の実務経験を経た後に技能の順調な成長をはかる、こういう意味で検定制度を確立したわけでございますが、まあ法律立案の当時から訓練自体がまだ必ずしも理想的な状態にまで達していないので、訓練修了生だけに受験資格をしぼるということはあまりに実情に沿わない、門戸は平等に開いてもらいたい。こういう要請が強くございましたので、訓練を修了していない実務一本で来た方々にも適当な評価基準でもって受験資格を与えておるわけでございます。従いまして、今後訓練を充実するとともに、本来の姿に戻ってくると思いますが、これはやはり相当の年月を要することだと思います。
○小柳勇君 職業訓練法ができたとき相当論議してあるので、大体理想とかこの概念的なことはわかるわけですね。具体的に今、総評など労働組合がこぞって統一した意見として延期を申し入れているものは、その職業訓練がたとえば五つの職種を近く技能検定をやろうとしておられるが、その技能検定をやられる五つの職種についてその職業訓練を受けた人を主体としてやるということが中心であればいいわけです。ところが、その五つの職種を限りまして、あと任意希望者というけれども、五つの職種全部が検定があって、一級、二級に分けようとしておる。そうしますと、これを受けなかった者は第一段の落伍者と一般では見るわけです。そういうような矛盾も発生しておる。従って、この職業訓練の終ったときの修了試験みたいな格好でやるものと、このできた技能検定というものは違うので、いましばらくそのような技能検定試験というものを待って、もう少しPRなりいろいろして、わかったところで、これがみな納得したところで技能検定をやるのが正しい行き方ではないか、こういうことを重ねて質問します。
○説明員(有馬元治君) 今訓練のべースが必ずしもわが国においては理想的な実績に達していない。また、内容についても大手筋のやっております。る企業内訓練に見られるような非常に充実したものもございますし、中小企業が寄り集まって共同方式でやっておりまする非常に財政的にも制約のもとにやっておる不十分なものもございます。従って、内容も非常にまちまちでございまして、これをもう少し内容も改善しながら検定へ持っていくという考え方も、御意見も内部にもあって、審議会等におきましてもいろいろ討議したのでございますが、これは修了時の検定ではなくて、その後二年ないし七年たった後における実力による検定でございますので、修了時検定という形で行なっておりまする西ドイツのような場合には、そういう内容がきちんと画一整然に統一されておるという前提が必要でございますが、わが国の場合にはそういった状態になっておりませんので、修了時検定をことさら避けまして、実務経験を最低二年、一級の場合は最低七年というふうな線を出しまして、訓練のよしあし、内容から直接検定に結びつかないような制度を打ち立てたのでございます。そこで、この検定に合格した者と合格しなかった者、それの企業内における取扱いの問題でございますが、これは各産業団体におきましても直接企業の生産なり経営に関係する問題でございますので、いろいろと討議が行われまして、結局この検定制度が順調に軌道に乗って――大体十年くらいの目安を立てておりますが、そういう状態になったときに労務管理の手段といいますか、労務管理面に活用していく、それまではこれを単刀直入に労務管理の面に利用するということについてはいろいろと弊害がございますから、その点については、われわれの方からも使用者側に、この検定の結果を直接労務管理に、組合側の言葉をもって表現するならば、悪用することのないようにということを強調しておりますので、その点も検定制度の成長に伴って活用されていく、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 そうすると、この建設次官からの労働次官に対する回答があるのだけれども、「昭和三十四年三月二十日付、労働省発職第二九号で照会のあった標記について、下記のとおり意見を回答する。」という回答がありますね。このような各省から労働省に対していろいろたとえば自分のところでこんな試験をやっているのだが除外してくれとか、このようなそれに該当はしないというような回答があっていると思うのだが、そういうような各省なり、民間でもあるいはそういうものを具申するところがあると思うが、そういうものについては労働省は一体どういうふうに考えているか。
○説明員(有馬元治君) これは検定を行う場合には、検定を実施する職種について一々政令で指定するわけであります。政令指定ということにはその前の段階にある関係省との間に十分話をして閣議できめる、こういう手続になりますので、ほかの試験制度との関係はそれぞれの関係省との間に必ず調整を経て手続的には検定を行うという形になるわけでございます。今度の場合におきましても、建築大工について建設省からいろいろな要望がございまして結局建築士法によりまする建築士の資格を取得している者については一級、二級を通じて一次試験を全部免除するというふうなことで折り合いがつきまして大工の検定を実施するということにしたわけでございます。
○小柳勇君 そうしますと、政令をいつ出されたかということと、試験を労働省としていつやろう考えておられるか、それから三点は、職業訓練部長として職業訓練法の中における技能検定、いわゆる職業訓練法という母法があって、その具体的な一つの施行法として発足したこの技能検定というものが先行しているとわれわれは考えるが、その担当部長は一体そう考えないのかどうか、その点をつけ加えて伺いたいと思います。
○説明員(有馬元治君) この施行政令の方は七月の一日に公布になっております。その政令を受けてもう少しこまかい手続をきめました省令が七月の二十日に施行になっております。それから試験は本日付をもって官報に公示いたしております。今月の二十日から募集を受け付けまして来月の末日に締め切り、第一次試験は来年の一月の十日の午前九時から五時までにわたって五職種全国一斉に行います。第一次試験の合格者について二月の下旬から三月一ぱいかけまして、これは職種によって、場所によっていろいろ試験の場所、期日が異なりますが、大体四十日間の間に第二次試験を施行する予定で公示はいたします。それから第三点の訓練が先行すべきではないかという最初の問題ですが、私は原則的には御意見に賛成でございます。従いまして検定を開始いたしましても、やはりその基礎になります訓練そのものを充実発展させるためにいろいろな訓練助長の行政を今後強力に展開していくべきであると考えます。
○小柳勇君 具体的にもう二つ、これは大臣にお聞きしておきたいのですが、一つは、訓練中三年間は組合員としないという協約を結んだ組合があるわけです。この職業訓練の訓練中三年間は労働組合員にしないという協約を結んだ組合があるのだが、これは労働委員会の問題だと思いますけれども、労働省としてはそういう指導をしたことがあるのかどうか、これが一つ。それから第二は、大臣は一月十日に試験するというのだけれども、試験を受けようとしているものがこぞって反対している試験を一月十日に実施しないでせめて一年間といいますか、来年の七月ごろまで延期してもう少し、私の方も十分討論しつつあります。討論するので政府も少し討論して、もう少しお互いに気持がしっくり、よしやろうというところでやるのがいいのではないか、これをどうしても官報に出したからしようがないというなら、一月の十日の試験は何か予備試験とかなんとか少し緩和して、あともう少しわれわれと協議するだけの余裕を持ってもらいたいと思うが、その点、大臣の決意を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 今の組合員にするかしないかということは労働省は指導したこともありませんし、何ら関与したことはありません。おそらく労働協約あるいは労使間の問題であって、労働省でそんなものの関与もしておらぬし、今後も関与するという考えは持っておりません。
 それから第二番目の問題ですが、やはり一応手続を経まして、そうして審議会からも答申もいただいておる労働省の立場としては、一応法規に従い、政令に、審議会の答申に従って実施するという方向できめるべきであろうと私は考えます。また、いろいろ各種団体の方からも小柳さんと同意見の方がだいぶ出て参りました。とにかくそれはいろいろあっても強制的な試験ではないのであって、とにかくもし実行して非常にこれが悪かったとかあるいは応募者がいなかったというならそれは労働省も考えなければならないが、私はまだまだ個人々々の自由意思というものもやはり尊重しなければならないので、その通り実行するという話をしましたが、反対者の方もいろいろ御議論がありましたけれども、やはり全部が反対だというなら、これは受験者がゼロなんですから、これはやろうと思ってもできないということもありますが、ただいま募集中でありますから、応募者の結果を見てからまずこの議論を私はすべきではないか。今日は今応募しておりますから締切期日までに一人もいなかったというならやろうと思ってもできないことでありますから、もうしばらく、任意の応募者ですから、それを見てから私は十分実行して参りたい、こう考えておりまして、今のところはこれを特に変えるとか、あるいは応募者がないとは私は思っておりません。今まだ募集中のことでありますから、その議論はあとで私はまたしてもいいのじゃないか、こう考えます。
○小柳勇君 大臣の考えの中には、試験をやることが簡単に技能テストだというような意識があるような気がしてならぬのですが、受ける者にしますと、大臣もかつて試験をお受けなされたと思いますが、政府の試験というと、非常に決定的なものを感ずるわけです。ところが、すでに使用者もそれをそう感じますし、たとえば自分が自由に使っている場合に、これは頭がいいけれども、少し作業をなまけるから押えてやるという、そういうことが非常に決定的になる、それが即資格、給与というふうなものにつながって連鎖反応を起してくるわけです。従って、今大臣の考えておるようないわゆるテストだから模様を見て下さいという考えは改めていただきたいと思います。
 それから第二の、やりますと、こいつはもう実績となって参ります。私もかつて若いときに特級汽罐士というボイラーの工場長の試験を受けさせられたことがありますが、それは今も私は免状を持っておりますけれども、それも強引に受けさせられましたのです。今のような組合がない時代で、われわれはそうしなければならぬと思って、しかもそれは政府がやったのだから絶対のものだというので、これも今なおフリーパスで通っております。従って、やります前が大事でありますから、今これが官報が出たようでありますから、出たことは認めます。もうしようがありません。きょう私も発言しますからしようがありませんが、今の大臣の発言にはもう少しわれわれと話すだけの余裕のある気持になっていただきたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(松野頼三君) 小柳さんと私の話はいつでもできますけれども、御承知のように、審議会にまかせまして、審議会からの答申を受けて細目の実行を奥は私はやるべき責任が生まれておるわけであります。審議会でいろいろな関係者、反対者、賛成者、いろいろな方が御議論をなさった上でこれが出てきて今日おるわけで、私個人がこれについて意見を言うよりも、審議会ですでにもうほとんど全部の業者、全部の関係者が入って議論された答申を私はいただいたのですから、その審議会を作って私がそれを尊重するというのが私の義務でも私はあろうかと思うのです。私が言いましたのは軽く言ったわけじゃございません。これは任意試験であるということを私は強く言ったわけであります。これがただのテストだという、任意試験だということを私は強く言ったわけで、強制試験だというならこれは非常に問題があると思いますが、任意試験だという意味で私は軽く言った。本人の意思でこれはきまるのだと、こういう意味で私は申し上げたので、任意試験でありますから、やらなきゃいけないとか、受けなきゃいけないとかいうことになったら、それは政府も考えなきゃいけないことでありますから、今日の場合は反対者の方もあれば、同じ業者の中で賛成者の方もあるのですから、賛成者の方も拾ってあげなきゃならない。そういう気持も閉ざすこともいいことではなかろう、これは法律のときに、いわゆる技能検定者だけに、訓練所出身者だけに限定すればいいんじゃないかという議論もありましたが、それではあまり窓口が狭いのじゃないか。もっと広げろという意味の御議論もあって法律ができたのですから、私としてはやはり法律とそれから審議会の意向を受けて、しかもなるべくすみやかにということでありましたから、私としてはしかしあまり急にはできませんので、ある期間をおいてぎりぎりのところまで実は周知徹底をはかって、そうしていよいよ実行を来年は実施しようというのでありますから、それは法律の通過とそれから審議会の形勢で、なお慎重に来年の一月にこれを実行する。それで本日官報に出したという手続としては、まあ最大限そういう御不安のないようにということを重々実は私も各所で説明をいたしました。反対の団体の方も来られましたから、よくお話をいたしました。そういう手続は十分経てきているのですから、これでなおかつ実行がうまく行かなかったというなら、これは私も考えなきゃならぬと思いますが、私は一実行できる、また、応募者も順当にあると、こう考えております。これは一回きりじゃありません。毎年々々実行いたしますから、本年受けなくても、来年受けられてもいいし、再来年受けられてもいい。なお非常に不安の方は、学カテストばかりやるのじゃないかという不安が六月ごろございました。多年訓練を経たものが、まあ学力的な学問的なペーパー・プランは下手かもしれないが、実務はおれは上手だと、こういうようなものはどうするのだという議論が六月にございました。その当時は試験の検定方法がよくきまらなかったから御不安もございましたけれども、その検定方法というものを、そういうものを十分勘案して御心配のないようにということになりました。今回の実行におきましてはもちろんただいわゆる学問だけにあらず、実務を十分加味するという、実際に即した実行をするということで、私はその方の不安は除かれたのじゃなかろうかと、こう考えております。
○藤田藤太郎君 これは職業訓練の法律がきまって、そして今問題になっている、小柳委員が言っておりますが、まあ戦後国家試験というのはだんだんふえてきている。しかし、その基準というのはやっぱり公共の福祉とか、安全とか、そういうものを基準にして国家試験をやる。これはまあ技能検定という格好で出ているけれども、何といってもやはり労働者が受ける意味は、技能検定といっても国家試験というのに変りはないわけです。一般に八十職種もこれをやる。この法律からいって、訓練をして技術を上げる、これは国民の福祉のために技術を上げていくということについては何人も異論をはさまないところだと思う。しかし、こういう格好で国家試験的な、権力が付随しているようなものを持ってきて、先ほど小柳委員が言いましたように、日本の組織されている労働者がこぞって、まだ十分な、不安感といいますか、この内容に対する理解の度合いとか、そういうものが十分にないときにこの問題の試験をやるのは困ると、またはこの検定試験自身がある特定の団体に付託されるとか、試験官がどうであるとか、こういうやはり不安感が強くプラスされてくる、そういうものが十分話し合いされた上で、こういう訓練を主体にして、どの程度の格好の検定にするかというようなものが、肝心受ける労働者の理解がなければ、私はやはり問題があろうと思うのです。だから、この職業訓練法は、何といっても国会を通過した法律ですから、これによって訓練を高めていく、国民の福祉のためにお互いが練ましていく、こういうことは、それはむろんいいことでございましょうけれども、今の不安感の状態で、検定試験をこういう格好で早急におやりになるということは、私はやはり問題があろうか思うのです。今大臣の言によると、もう政令を出したから云々、まあ応募者がなければ云々というお話がありました。しかし、私は労働省の役割としてはそういう点は業者の中にも相当意見のある人があると思うのです。聞いてもおります。また、企業自身の中でよりよい生産を作るために検定といわぬでも訓練をして、そういう積み重ねをしてこられた歴史がある。先ほど有馬さんが発言になりましたが、そういうところはおのずから自主的にむろんやってきている。しかし、全部の、公共の福祉とか安全とかいう一つのワクから全部の一般のものにまでそういう格好のものをやろうとするのには、その全部の労働者、全部というわけにはいかぬにしても、大体の労働者がその今行われる技能検定というものに対する心がまえ、そういう理解の度合い、不安を取り除くための心がまえというものが十分にできていないときに、私は少し強行するのは早いのじゃないか、こういう気持を私は持っています。だからその点は、今審議会から答申があったから審議会の意見を尊重したのだ、こうおっしゃいます。しかし、具体的に労働行政をおやりになるのは労働大臣、労働省なんですから、それは審議会との間にも理解を深めて、この受けようとする労働者の気持というものを生かしていくところに労働行政のうまみがあると、私はそう思うのです。だから、そういう点は十分に配慮をしていただきたいと思うのです。そういう理解のもとにみんなが気持よく試験を受けられる、たとえば訓練を受ける、こういうことにならなければ私はいけないのじゃないか、こういう非常に強い意見を私は持っている。小柳委員が言いましたから私は控えておりましたが、結論的にそういう格好で、この問題はやはりもっともっと深刻に労働者の意見を聞いて処理されることを強く一つ望みたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 藤田氏御指摘のような状況がございましたので、実は六月以来なるべく時間をかけて、そうしてお話し合いも私もたびたびいたしましたし、そうしてまあ実行も七月、八月だというわけにいきませんので、なるべく延ばして、十月まで告示を延ばした。試験は来年まで延ばす。実は相当ぎりぎりまで延ばして、なるべく周知徹底という努力を実は私もいたしましたし、全部いたしたわけです。今日最近は私のところに、特に八月ごろまではよく来られましたけれども、大体私は御納得いただいたんじゃなかろうか。従って、そう大きな最近反対申し入れも受けておりません。六月、七月ころはたびたびございました。しかし、大体において私も努力いたしましたし、私も全部が全部とは思いませんが、まあほとんど本年やることについては非常に注目はしておられますが、やっちゃいかぬのだという意見は私はもうほとんどないのじゃなかろうか。ただ何となしに大丈夫だろうかという不安は、第一回でありますから私も認めますけれども、ことしやっちゃいかぬのだという反対は私はだいぶやわらいでおる、いろいろな条件が次々に発表されましたから、受ける方も大体心組みは以前と、強い反対の当時の意見とは変った。六月の審議会では少数でございましたが、非常な反対者が事実ございました。しかし、そういうものを練り合せながら今日私は実行して参って支障はなかろうと、こう思っております。審議会だけを私は金科玉条とするわけじゃありませんが、その趣旨に沿って実は努力して参りましたので、今日は強い、絶対いけないというような意見も減ったのじゃないか、組合の方もその後、八月以後は一ぺんも来られません。だんだんお会いするたびに変ってきておると私は思っております。そういうわけで、ことしはまず最初でございますから、私もがむしゃらにはこれをやるわけじゃありませんけれども、しかし、一つの段階を経て前進しなければならないという意味で、ことしは第一段階ですから、完全なとは言えませんが、やはり一つの啓蒙的のことも相当努力をして参りました。もちろん今回実行して、それで足らないところは翌年また直しながらやっていけば、私はこの問題は積み重ねていかないと、技能者ですから希望者の方もたくさんあるのです。そういう方の希望をここでつみ取るわけにもいきませんので、ことしはぜひ実行して成果をあげたいと考えております。なおしかし、この問題は最初ですから、十分に私は注意して参りたいと思います。
○藤田藤太郎君 今大臣が、六月から七月ごろ反対があったけれども、今は理解したと、こうおっしゃっております。労働者側にしてみれば、自分の意見というものをよく聞いてもらって、そういうものは熟知するまで十分に配慮してもらえるものだということで、最近一、二カ月その陳情がなかったのだと私は思うのです。だから私は、今私たちがここでこういう議論をするということは、総評、全労初め、あらゆるところで、今小柳さんや私が申し上げておる気持が一貫している、だから、今の大臣の見方とはだいぶ違うと思うのです。だから、その点は大臣も、労働者がどういう気持を持っておるか、ただ労働省に来ないからもう理解をしたのだ、こういう認識というものは、これは一つ改めてもらって、そうしてやはり受ける人が真剣にならなければこういうものは成功するものじゃないのだから、十分に関係の方々とよく理解のいく話し合いを始めてもらって、その上で処置をしてもらうようにしてもらいたいと思います。その点、労働大臣どうですか。労働組合その他関係者の意見を十分にこれから聞いて、その上でやはり今のような一応は手続になっているけれども、そういう配慮をもう一段してみよう、こういうことを一つお考え願えませんか。
○国務大臣(松野頼三君) きょう告示を出しましたので、なお、この問題についていろいろ御不安もおありでしょうが、その告示をいたしましたから、これについてぜひ十分な理解と努力をお願いして、そうしてより以上多くの応募者があるように私も努力いたしますし、また、御不安のある方が、受けようか受けまいか心配される方もありましょうから、そういう御不安のないように私も努力いたしまして、どうか応募者が順調に集まりますように、また、不安のないような努力はなお今後続けて参りたいと考えております。
○藤田藤太郎君 私の言っておるのは、応募者がより多くという努力じゃなしに、不安があるからもうしばらくこの問題は労働者の意見を聞いて、いつから始めたらいいかという問題について十分に話し合って理解を深めてくれということを言っておるのだから、それは誤解のないようにしておいて下さい。
○片岡文重君 労働大臣にちょっと申し上げたいんだけれども、どうも松野労政というのは、私はあとさきのことを少しやる傾向があるんじゃないかと、大へん失礼だけれども、考えます。この前の委員会で取り上げられました国家公務員等の専従者に対する所見発表の問題にいたしましても、もっと労働大臣としてはさしあたってやらなければならない重要な問題があるのにもかかわらず、どうも時流の先をゆくというんですか、フット・ライトを浴びるようなことばかり考えておられるんじゃないか、こういうじみな行政をあずかっておられる大臣としてはもっとやはり影響の及ぼす点を深く私は考えていただかなければいかぬと思うわけです。今のこの問題についても、先ほど有馬部長のお話では、職業訓練の内容も非常にまちまちである、区々である、国で始めたものは日が浅い、しかし、日清戦争直後から始まっておるという古い経験もあると言われた。しかし、歴史が古いから必ずしも優秀であるというわけでもなかろうし、この技能者の技術水準を高めるということが目的であるなら、むしろ国であると私であると、あるいは地方団体であるとを問わず。その職業訓練の内容を統一して向上せしめるところに政府はまず第一段の努力を私は払うべきだと思うんです。で、各企業所における技能者の素質を向上させるということがまず第一段のねらいであるなら、そういう施設やそういう具体的の方法が完全にとられた上に立って、どの程度の水準に達しておるのかということでの任意的なテストを試みるというのであるならば、これはわからぬこともないでしょう、労働者諸君にとっても不安はないわけです。ところが、今職業訓練というものの設けられておるのは大企業に限られておるのであり、中小企業というよりもむしろ零細企業の共同出資によるようなものは、なるほどあるにはあっても数は少いわけです。こういうところで出てくる労働者の数というものは全般の労働者の数から見ればきわめて少いわけです。だから、おそらく国で統一した試験を行なって、それらの技能検定をしようとされるのでしょうけれども、そういう水準を引き上げることに対する努力を――目ざましい成果を上げるような努力をあんまりされないで、何かこう画一的に労働省の権限を広めてゆく、これには役立つでしょう、しかし、労働者諸君にとっての職場内における不安、これは試験を受けることの不安じゃないんですよ、むしろ職場の中における労働者の労務管理上受ける不安です。これは何といっても払拭するわけには私はいかないと思う。ですから、ここで問題になるのは、こういう労務管理上におけるいろいろな取扱い上の不安、これはいかに政府が使用者に対してそういう労務管理に使ってはいけないというようなことを言われても、これは労務管理者の立場になれば、使用者の立場になれば当然これは使います。これはおそらく大臣が使用者になってもお使いになる、便利ですからね。第一そういうレッテルを張った方が、たとえば定期昇給一つ考えてみても、百パーセントに昇給資金がなかった場合には、そのうちの八割なり七割なり五割の者が昇給する場合に、平等な勤務成績であったら、一体どれをとるかということになれば、こういう技能検定に通っておる者を当然とるでしょう、そういうところに不安が私は大きくあると思うんです。そういう危険の方が多くて、一体これによってどの程度労働者諸君が利益を受けるのかということになると、ちょうど学生時代の点取り虫がいい成績をとって卒業して、社会に出ても、必ずしもその卒業成績順には社会に貢献していくというわけにはいかぬと思う、そういう実際に仕事をすることよりも、受験の要領だけに熟達しておる者の方が先に合格してゆく、こういう危険性もあるわけです。どう考えてみたってこれを早急にやらなければならない理論にはなってこない。むしろそれよりも一般の労働者諸君に高い技術水準を与えられるような方向に、むしろ企業内における職業訓練所を持たないところにはもっと政府が補助をしてやらせるならば、国の職業補導所を広げるならば、そういう技術を早く与えて雇用等の問題を解決するような方向に私は持っていくべきだ、そういう努力に労働省の方としてはむしろ全精力を傾けるべきじゃないか、こう私は考える。本日官報にすでに公示されたということにこだわっておるようですが、職業訓練法をこのような方向に使うことに労働省が力を入れておるとすれば、われわれとしては、少くとも昨年通した職業訓練法に対して重大な修正を加えなければなりません。改訂を加えなければならない。早ければこの通常国会等において私たちは改正案を出したいと思う。特にこの省令や政令の内容等についてはわれわれはほとんど関知しておりません。これの審議のないことをいいことにしてこういうことをやられるのでは、私たちとしてもう一ぺんこの問題に根本的に検討してみる必要がある。どうしてもこの改正案を考えなければならないと思いますから、この際、一つ試験期日を延ばすなり、できればこの際一応見送るということにいま一度大臣の御考慮をいただきたいと思うのです。
○国務大臣(松野頼三君) すでにこの問題は多数の受験資格者、何十万もの方がおられますし、ただ訓練所の卒業生だけの人員にあらずして、相当多数の受験資格者の方がおられます。この方々は、一口も早く受けたいという希望者もおられることがありますので、この法律が通りました以上、なるべく早くそういう希望者の方にも間口を広げることは、労働大臣としてはあたたかい一つの意味じゃなかろうか。同時に、試験を不安にされる。ゴマをすったものが出世をするということでは困りますので、やはり技能によって職業に優劣をつける、これならば産業に対する貢献にもなりましょうから、その意味ならば、私は技能をみがく一つの目標と申しますか、刺激と申しますか、その方向にもこれは確かに利益がある。これを労務管理の対策としては毛頭考えておりません。また、結論においてはそういう労務管理になるには相当時間的余裕がなければ、労務管理というようなそういう状態にはならない。五年か十年かのやはり長い歴史がなければ私はその方向に進まないのではないかと思います。一人、二人が急に受けたからと、そういうわけのものではなかろうと私は思います。いつまでもやらなければいつまでもこの問題の実行はできませんので、初年度いろいろ不安も御意見もございましょうが、まあ本年やっていただいて、そしてさらに私たちもこれを考えます。といってこれはやらなければいつまでも不安のままで放任するわけにもいきません。そういう強制的な、圧迫的な運営をしているわけではありません。不安だ、不安だといっていつまでもやらなければ、いつまでもこの実行はできません。従って、本年度はまず十分注意をしながらまず実行させていただきたい。そして悪いところがあれば私もこれは十分考えます。しかし、悪いのだ、悪いのだということで実行しなければ、受けたいという希望の方のことも考えなければならない。相当の数の受験資格者がおられますので、また、ぜひ受けたいという方がたくさんおりますから、そういう意味におきまして、まず応募者をきめるということ、それから実行する、この意味で改正、修正の意見を固めていただければ私は幸いだと思います。
○藤田藤太郎君 悪いとかいいとかという議論を、そこまで突っ込んで議論しているのではない、受ける対象の人がこぞってこの問題に関してもっと理解が深まり、不安がとれなければ困る、三十万か二十万か知りませんが、受けたい人が待っているというけれども、雇用労働者は私の言うまでもなくもっとたくさんの数です。そういう人たちがこぞって理解のいくまで延期をしてくれ、こういう言い方なんです、それをちゃんと理解をしてもらわなければ困る。だから十分に理解がいくまでこの問題をしばらく延期して、十分にわれわれが不安がないように、理解ができるように延期してもらいたいというのが皆の意見なんです。希望なんです。だから、その点は労働行政のうまみを生かして、十分に理解をするような話し合いをしてもらって、そしてこの問題を何年も待てとか、そういうことまで議論は進んでいないのだから、そこは十分に理解をして、そして労働大臣はうまみのある行政をやってもらいたい、それを特に希望しておきます。
○委員長(加藤武徳君) 労働省関係に対する今日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
 本日はこれで散会いたします。
   午後零時四十五分散会