第034回国会 社会労働委員会 第24号
昭和三十五年四月十三日(水曜日)
   午前十一時五十三分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     加藤 武徳君
   理事
           高野 一夫君
           吉武 恵市君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委員
           大谷藤之助君
           鹿島 俊雄君
           紅露 みつ君
           徳永 正利君
           小柳  勇君
           田畑 金光君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  政府委員
   労働政務次官  赤沢 正道君
   労働省職業安定
   局長      堀  秀夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○身体障害者雇用促進法案(内閣送
 付、予備審査)
  ―――――――――――――
○委員長(加藤武徳君) ただいまから委員会を開きます。
 身体障害者雇用促進法案を議題といたします。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
 なお本日は、労働大臣がのっぴきならない会議を持っておられるようでありまして、労働省からは赤沢政務次官が出席をされております。なお、担当局長として、堀職業安定局長が出席をいたしておられます。質疑のおありの方は逐次御発言をお願いします。
○藤田藤太郎君 私は、身体障害者雇用促進法という今度の法律が出て、今、開会前に、坂本委員から身体障害者を雇用するにはどうすればいいかという、この前提案した問題の説明がありましたが、ただしかし、雇用という問題は、雇用、就労をさせていくという行政的な意欲、こういうものが就労の場を作るというこの政策と申しましょうか、また、雇っている使用者においても、人権尊重というような格好のものが、今日世界の流れだと思うのです。そういう中から、たとえば雇用と、雇用している者の労働者の生活維持、こういう工合に考えてこなければ、単に身体障害者だけのこの問題、この法案自身が手ぬるいのでありまするが、全体の雇用促進ということでないと、健康で働きたいという人が雇用、要するに就労の機会を失っているという条件が他にあったときに、この問題が実効が上がるかどうかというところに私は大きな問題点があるとこう思うのです。ですから、一般に完全雇用がしかれて、雇用関係においては失業者がない、日本でいわゆる後進国特有の潜在失業者の要素をもって、それが一つも進展をしてない今日、工業国といわれ、日本は政治的には世界の六大工業国といわれ、また、宣伝をし、しかし、雇用構造については、就労構造については、むしろ後進国並みの潜在失業者、不完全失業者という状態に何らメスを入れない、こういう格好で、私はこの雇用をはかっていくという精神、気持というものが実現するかどうかということを非常に疑うものです。ですから、私は、きょうは大臣に来てもらって、そういう考え方をお聞きしたかったんです。ところが、非常に御熱心な政務次官もおいでになっていますので、また大臣は大臣として、――政務次官、安定局長のお考えを、きょうは時間もないですから聞いていきたいと、こう思うのです。私はそういうことを考えて参りますと、日本の要するに労働力の配置の問題を一つ見てみても、雇用労働者は徐々でありながら拡大増加している。しかし、一つは自営業者的な商売、要するに物資配給機構に携っている人や、非常に耕作面積の少ない農業人口というものかある。だから、政府が所得倍増し論を言ったところで、案を立てたとたんに破綻をしてしまうというような格好、政府の発表している経済の所得の町から見ても、一つは十で一つは一というような格好で、農業労働者の所得なんかが出てくるというような格好で、私は非常に将来の雇用の問題をつかむのに苦心をしているところなんです。ですから、やはり国は経済政策、外交政策、いろいろな政策があるでしょうけれども、何といっても労働行政としておやりになるのには、日本の労働力がどういう工合に配置されて、雇用労働者だけでいいということであってはいかぬと、全日本の労働力というものを、どういう工合に配置していくか、それには経済の政策をどうしていくかというようなこと、それから雇用計画というようなものを私は立てていかなければ、労働省が日々ほんとうの実態の把握を持ち、その上で計画を立てていかなければ、私は問題はつまびらかにならないし、この法案も実効が上がらないのじゃないか、こういう工合に思っているわけです。だから、二、三私は労働省の考え方を、この際、法案の具体的な問題に入る前に、聞いておきたいと思うのですが、この前も少し聞きましたけれども、時制がなかったので、途中半端になっております。だからまず第一に聞きたいのは、日本の経済の成長率というものを、経済企画庁が出しているわけですけれども、それの雇用率がどういう工合になっていくのか、その計画を私は聞かしてほしいのです。よく第一次、第二次、第三次産業の中で、どういう工合に変化していくというのが、抽象的に出て参りますけれども、まあ五年ごとでいいですから、一九五五年から六〇年までの実績はどうなっているか。六〇年から六五年までの計画はどうなっているかということを、労働省、聞かしてほしいと思います。
○政府委員(赤沢正道君) 後半の数字については、今局長の方で調べておりますから、また御説明すると思いますけれども、今、坂本委員の社会党案の御説明を聞きまして、私もあらかじめ読んでおいたのですが、説明を聞いたのは今初めてであります。まことに綿密に計画してあって、考えようによってはもう政府案より数歩進んでおるほどだと思いますが、ただ、初めてこういうものをいたします際に、やはりわれわれといたしましましては、今日の経済全般をにらみ合わせ、さらには使用者側の立場、産業の実態等も勘案して、こういうふうにいきなり指名雇用であるとか、あるいは解雇します場合の承認だとかこういったことを、また、雇用率もここまで綿密に法案に一ぺんにほうり込んで、さらに罰則はないけれども、つけるのは望ましいというところまで進むということにちゅうちょしておるわけで、やはり近い将来にこういう方向に向かっていかなければならぬことは私は当然だと思います。今藤田委員の御質問は大局的からりお話でございますが、この前の御質疑でも、一体失業者の実態を十分労働省は把握をしておるのかというふうな御質問があったわけであります。完全大業者の数や、また、その中の一部の実態というものも明らかになっておりますが、私どもが実際のことを申し上げると、今一番困っておるのは、不完全就労の実態がどうであるか、私が労働省に入りまして、まず第一番にこの問題を突き詰めにかかりましたところ、実際言いますと、まだ中身が明らかになっておらぬ、これがやはり後進性、雇用問題についての後進性を今藤田委員から御指摘になりましたが、多くの問題は私はここにあるのではないかと思うわけでございます。何といっても非常に人口が多いし、従って、失業者、さらには不完全就労の人が非常にたくさんある。そういった意味から申しましても、やはり優先的にここまで強い雇用促進法を出すということにちゅうちょせざるを得ません。それに先立って今藤田委員が言われるような就業者の実態というものを調べて、これに対する全般の雇用計画はどうかというふうな御質問でございまするけれども、この方面を計画的にやっていくことがまず先行さるべきものでもあると思いまするし、私どもといたしましても、経済企画庁が中心になってやっておりまするが、労働省ももちろんこれに参画をいたしまして、それも現に検討をしておるわけであります。ただいま御質問がありました数字につきましては、局長の方から御説明をいたします。
○政府委員(堀秀夫君) わが国の雇用構造がどのような方向に向かって発展していくべきであるかという問題につきましては、ただいま藤田委員御指摘になりましたように、現在までのわが国の雇用就業構造には、先進諸国に比べまして相当異なった面があるわけでございます。その中でやはり最も大きな一つの特徴として指摘しなければならないことは、第一番目に、就業者の中に占める雇用者の割合が先進の諸外国に比べまして、わが国では非常に少ないということが第一点、それから第二点といたしまして、産業構造の中におきまして第一次産業の就業者の割合が高い。同時に、第三次産業の就業者の割合も、これも相当高いと、この点が特徴でございます。それと並びまして、大企業に雇用される者の数、それから中小零細企業に雇用される者との比率は、中小零細企業に雇用される者が非常に多い。これが第三の特色である。この三つの点がやはりわが国のいわば二重構造と申しまするか、先進諸外国に比べまして、いろいろ分析しました上で、大きな特色になっておるものではないか、このように思うわけでございます。
 そこで今後のあり方について、どうあるべきかという問題でございまするが、私はこれは根本的には経済規模を拡大することによって、就業者及び雇用者を吸収する余力を拡大していく、これが根本の施策でなければならないと思うわけでございまするが、それと同時に、ただいま私が申し上げましたような点につきまして、先進諸国の例を見ながら、これを健全な方向に発展していかなければならないと思うわけでございます。すなわち就業者に対する雇用者の比率というものを増大させていくということ、それから第二番目に、特に第二次産業におけるところの雇用者の率を引き上げていくという方向に進んでいかなければならないと思うわけでございます。
 そこで数字になりますけれども、ただいま手元にあまりこまかい資料を持ち合わせておりませんけれども、大体のところを申し上げますると、いわゆる新長期経済計画によりますると、これは三十一年度から三十七年度にかけての一応の見通しを策定しておるわけでございまするが、三十一年度の総人口の平均は九千二十八万でございます。これを昭和三十七年度においては九千四百五十九万になると、このように推定しておりますが、その際における就業者総数は三十一年度平均が四千二百十一万であるのに対しまして、三十七年度は四千五百六十八万、このように見込んでおるわけでございます。それからこれを年率にいたしますると、昭和三十一年から三十七年度を平均いたしまして、就業者というものは一年に大体六十万平均伸びていくということになるわけでございます。それから雇用者につきましては、昭和三十一年度平均千七百八十三万、これを昭和三十七年度は二千三百二十三万、このように見込んでおります。それが年度平均にいたしますると、これは八十三万ということでございまして、換言すれば、就業者に対するところの雇用者の伸びというものを相当大きく見積もっておるということでございます。結局ただいま就業者が年度平均六十万、雇用者が八十三万ということでございまするから、いわゆる自営業主、家族従業者というものは、年度平均で約二十三万人程度ずつ減少していく、このように見込んでおるわけでございます。
 なお、これをさらに新しい最近の考え方を取り入れまして、どのような方向でさらに練り直していくかという問題については、ただいま経済審議会において御検討を願っておりまするので、これはこの新長期経済計画に一応見通してありますものを最近の経済情勢の推移及び最近の所得倍増論等の新しい考え方を取り入れまして、練り直していくことが必要である、このように思っております。その際における根本的な考え方といたしましては、先ほどもちょっと融れましたが、まず第一に、経済の発展をはかって経済規模を拡大して、就業者及び雇用者を収容する余地を増大させていくということを根本的な考え方といたしました。それと並びまして、その雇用の伸びというものは二次産業を特に中心に考えていくということ、それからもう一つは、ただいまも御指摘がありましたが、わが国においていわゆる完全失業者というものは、大体年平均五十万から六十万という数字でございますが、それ以外に、ただいまお話しになりましたような不完全就業的な存在あるいは潜在失業的な存在が多数あるということでございますから、これらのものにつきましては、一つは最低賃金制等を中心にするところの賃金政策の発展、それからこれと並びまして社会保障制度の拡充強化によるところの社会保障の整備、こういう問題をあわせて考えていくことが必要であろうと思います。なお、それと並びまして、この労働力の質を向上させるということがやはり非常な急務であると考えております。いわゆる求人は、最近の状況を見ても非常に多いということでございまするが、必ずしも求職がこれに結びつかないということの背後には、産業自体は技能労働力というものを非常に需要しておるわけでございまするが、技能労働力というものがやはり非常に不足しておるということが指摘されるのでありまして、これにつきましては、職業訓練計画というものを大規模に計画的に拡充発展させていく。そうしてわが国における技能労働力というものを計画的に大幅にふやしていくということが必要であろう。
 大体ただいまのような基本的な考え方をもって、労働省としては、経済官庁ともいろいろ相談をいたしまして、今後におけるわが国の雇用の健全な発展というものを期したいと考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 いま言われたことは、この前もそうだし、経済企画庁もそういうことを言っておるので、非常に抽象的で、労働行政というのはそんな抽象論でやるものじゃないと私は思うのですね。だから、私はこの前のときと重複しないような面でこの前も議論しましたからもっと具体的な問題を聞きます。
 一つは、設備投資というようなものが本年三兆あまり計画されているわけですけれども、どの産業では幾ら投資したらどれだけ就労がふえるのかというようなことをつかんでおられるのですか、年次別に。
○政府委員(堀秀夫君) いろいろ検討はしておりまするが、まだ結論を得るに至っておりません。
○藤田藤太郎君 それもつかまずに経済計画の中に雇用計画を立てるなんというのはナンセンスじゃないですか。どう思っておられるのですかな。私も企画庁に行って先日調べて参りましたけれども、企画庁にもそういう資料がないのです、残念ながら。企画庁がこういう印刷して持って参りましたけれども、これにも三十一年のやつが大ざっぱな産業で、たとえば工業、石炭、建設、製造業、卸、小売、通信、サービスというような格好で出ています。それも三十一年の資料なんです。私は三十一年の大ざっぱなものが、これも実際かどうか私はよく判断がつかないのですけれども、こういうものしか経済企画庁でもない。ましてや労働省でこれだけ科学、機械の発展、生産増強の新しい設備が拡大して生産増強やる。これは自然の流れなんで、人間の生活にとってこれを食いとめることは私はできないと思うのです、生産増強というのは。人間の能力で生産増強の機械を作る。そういう設備で生産を増強するというのは自然の流れで、そういうことの中から国民生活をどう引き上げていくという答えが出てこなければならぬ。そういうことも把握しないで雇用の拡大をする、ことしは何兆投資したから、これでそれじゃどの産業ならどうで、どの産業ならどうだという工合に雇用の計画立たないのじゃないですか。結局どこへいくかというと、おこぼれちょうだいの零細企業や、中小企業の中へみんな就業したいというものを押し込んでいって、産業の二重構造だ、就業の二重構造だということで、これを直すんだ直すんだと言ったところで、計画何にもないじゃないですか、それはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(堀秀夫君) いわゆる投資に対して雇用がどれだけ伸びるかという問題は、いわゆる雇用係数の問題でございます。これによって各産業別にどのような投資が行なわれ、どのような設備増強が行なわれるという場合に、どのように雇用が伸びていくかという点の大ざっぱな見通しがついていくということは御指摘の通りでございます。それらの点につきまして、目下経済審議会等にもお諮りして、今の新長期経済計画をいろいろもう少し地固めしていく必要があるということは、われわれもその必要性は認めております。そこで、先ほど申し上げましたように、最近の経済構造の変革であるとか、新しい考え方を取り入れてさらに練り直す必要があると認めて作業をしておると申し上げましたのは、そういう点も一つの大きな検討問題として、われわれは検討を進めなければならないという考え方を持っておるということを中に入れたつもりでございまするが、ただいま御指摘のような点もさらに具体的に研究を続けまして、これを地固めの資料にしていくことが必要である、このように考えます。
○藤田藤太郎君 それはきょう始まった問題じゃなしに、ここで私が問題にするからこれからやっていくという答弁じゃ私はならないと思うので、歴史を振り返ってもらったらわかるように、毎年労働行政の中では当然こんなことは把握してつかむべき問題だと私は思うのです。それもつかんでおらぬで、今後やるときにそういうことも考慮しますと言ってみたところで、それこそ私は労働省の、就労をふやすとか雇用計画をするというのは怠慢きわまりないと思うのです。で私は、そういうことが明らかにならぬと、これは経済企画庁の書類ですけれども、この三十一年の例を一つとってみまして化学産業は一億円の投資に対して九・八ですよ、一千万円。三十一年で一千万円しても、まだ就労一人の場ができない、こういう数字が出ています。段階的に機械産業は一七五、そういうもので九・八と一七五、紙類なんか二一・六とか金属関係でも二一・六、こういう数字が、三十一年の経済企画庁の数字なんですが、日進月歩の激しい今日これが半分になったり、三分の一になったりしているところもたくさん私はあると思う。そうなるといろいろ投資されて経済拡大、経済拡大といわれるけれども、経済拡大したところで生産だけは拡大する、設備と生産だけは拡大したって雇用計画なんて立ちっこないじゃないですか。私はそういう状態の中なのに、労働省がこういうものを頭に入れないで雇用計画を立てるとしてどういう工合にして立てていかれるか、私は非常に疑問に思っている。これはまあ一点です、具体的な問題なんですね。
 それから次の問題は、所得倍増し論で七・二%というやつが一応挫折しました。そうして農業所得が二・五、他の所得が九・何ぼ、一〇という格好で、七・二%という格好で所得が倍増しにならぬということで今挫折して再考されているそうでございます。しかし、経済企画庁の面から見ると、農業の所得はことしは二%しか見込んでいない。そこの労働者というのは、私は最近地方を少し回ってみましたが、農村の都会近郊の中学卒業生というのは、農家に一人も残らぬそうです。全部中学卒業生は就労の場がある、最近、労働省から御報告されている通り。そうして、肝心な世帯を持った青年、壮年の失業者が、職場がないという状態なんです。これは結局、産業予備軍といいますか、肝心の労働力のある者が就労の場がないという現象は、私は、単にこれは一地方の現象じゃないと思う。これは全国的なそういう学卒に対する就労の場はできておるけれども、農業労働力といいますか、そういうところにたくさん潜在している労働者をどうつかんでいくかというような問題も、私は雇用計画を立てる考慮の第一になってくるんじゃないか。それと受け入れ態勢の設備投資がたくさん……、経済の拡大、生産の拡大、設備の拡大というけれども、就労には変化がないという条件、こういうものを考えずして雇用計画は私は立たない、こう思う。やはりそういう点は、経済企画庁がどうあろうと、労働省として実態を把握して、どうすべきかということをお考えになるのが当然だと私は思う。
 それから、もう一つの点は、国際共通の、やはり労働時間の問題で、労働時間を短縮して雇用を拡大するということ、これも私は当然のことだと思うのですが、この計画はありますか。今の所得倍増しの農村計画、農村労働者の労働力をどうするかということ、時間短縮をどういう工合にやっていくという計画はおありですか。おありであったらお聞かせ願いたい。
○政府委員(堀秀夫君) ただいま藤田委員の、労働省は何もそういうことの必要性を認めておらぬで雇用計画を立てているのはおかしいじゃないか、こういう御質問でございましたが、決してそうではありません。これは私どもが再三申し上げておりまするように、そういう問題がやはり必要であるということ、その必要性はわれわれ十分認識しておりまして、そのために、現在、経済審議会なり、あるいは労働省といたしましては、内閣の雇用審議会等にもそのような考え方をお諮りいたしまして、衆知を集めて、それらの問題を織り入れた計画の練り直しというものが必要であると考えて検討しておる段階であるわけでございます。ただ、ただいまちょっとお話がありましたが、最近の技術革新等に伴いまして、技術の進歩、革新という方向が非常に目ざましいものがある。従いまして、それらをよく見きわめまして雇用計画というものも検討していかなければならないということでございまするから、作業は非常に複雑多岐にわたるわけでございまして、短時日の間にはできない。そのために、われわれは目下大いに検討を重ねておる、こういう段階なのでございます。それから次に、労働時間の問題でございますけれども、これにつきましては、われわれは労働時間短縮の方向に進むということは、これは方向としてはまことに望ましいことであり、われわれとしては、その方向に進めていかなければならないと考えております。特に問題になりますのは、労働基準法の定める労働時間、これを各事業所で守ってもらうということが、まず第一の問題でございます。それから第二の問題としては、特に大企業等におきましては、交代制の採用その他の合理的な方法によって、労働基準法のワク内において、さらに労働時間を短縮する方向に持っていくということが望ましい、この二つの方向かあるわけでございます。これにつきまして、労働省といたしましては、日経連その他の使用者団体にも呼びかけまして、ただいまのような方向を使用者としても持っていくように検討してもらいたいという申し入れを労働大臣からいたしております。また、内閣の雇用審議会におきまして、この労働時間短縮の問題というのを一つの大きなテーマとして取り上げていただいております。まず第一に出てきておるのは、ただいま私が申し上げたような方向が望ましいということが出ております。しからば、いかなる方向でこれを進めていくかということが、第二の問題になるわけでございまするが、これにつきましては、雇用審議会にも内閣総理大臣からただいま諮問を申し上げておるところでございます。雇用審議会におきましても、これは労使その他学識経験者のトップ・レベルの方々が御参加になっておりまするので、これをいかなる方向で進めていくかという点につきまして御検討を願った上で、われわれとしては、それに基づいて施策を進めていきたいと考えております。
○委員長(加藤武徳君) ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて下さい。
○藤田藤太郎君 だから今言いました資料を私は出してほしいと思うのです。今の答申に対する就労の場が、最近どうなっているかという資料を一つ。
 それから、そうしますと、ことしの投資計画の中で、どういう工合に雇用に変化があるかということが、すぐわかるわけですから、これが一つです。
 それから今の農業労働力の配置がどうなっているか。その就労の傾向の問題を、これは農林省と一つ相談して出してほしい。
 それから時間短縮の問題は、今お聞きしていると、雇用審議会とこうおっしゃいますけれども、単に労働省は、行政の面で法律できまり云々ということがありますが、失業対策の行政の面はたくさんあるので、基本的な問題がそういうところで審議されたり、国会で審議されるのならいいけれども、それを審議する的確な資料をやはり労働省としてはあらゆる努力をして作って提供しないと、私は的確な案というものは出てこないと思いますから、その点が一つです。
 それから、今度は質問ですが、三十三年から三十四年の経済の成長の問題が出て、それから三十四年から三十五年の経済成長、投資という問題まで、私は長くなりますから言いませんけれども、明らかにだんだん今の状態ではなりつつある。しかし、この状態が、来年の春、再来年までも、新聞では盛んに言っているけれども、この経済の動きというものが続くのかどうか、ペーパー・プランでは私は何にもならないと思うのです。国内需要のないところへ貿易待ち経済、こんな格好のものが続くのかどうか。もしも三十二年のようなことになったら、膨大な失業者が街頭にほうり出されるという問題もある。単に、経済の計画は政府や企画庁が立てるのだから、労働行政というのは下請業だというつもりで雇用問題を見てもらっては大へんなことになると思う。これは一つ次官、そういう今の労働行政で何ら不安のない――ことしは百何万ふえるということを労働省は盛んに答弁をしているのだから、その基礎をなす経済の動向はどうかという御見解を次官から一つ承っておきたいと思います。
○政府委員(赤沢正道君) どうも難問題で、私からその的確な見通しをと言われましても、公の席上ですから、ここで勝手なことを申し上げるわけにいかぬのであります。しかしこれは、国の経済政策全般の問題ですし、私どもといたしましても、過去数回繰り返しましたように、いたずらに設備投資を大きくしてパニックみたいなものを起こしましても混乱するばかりですし、さらに大きな失業者などを出すようなことになっては、大へん申しわけがないことですし、もちろん労働省側といたしましても、そういった点もあわせて、経済企画庁とも連絡をとりながら、全般を進めていると私は考えております。その場に行っておるわけではありませんが、しかし、ことしの後半、あるいは明年度の経済全般の見通し等について、私から申し上げるのは、これはいかがかと思いますから、差し控えたいと思います。
○藤田藤太郎君 私は、一言それでは言っておきたいのですけれども、国内の生産の中で、やはり八〇%から八五%は国内消費と思うのです。貿易にゆだねるという問題も一〇%か一五%だと私は思うのですね、だから生産がこのようにして拡大をしていくのに、消費をする面の需要の問題が、需要カ、購買力がないところに、生産が何ぼ拡大していったって需要力がなければ操業短縮、首切りという以外に手はないのです。貿易の問題を考えて、貿易は日本が伸びただけよろしい、国内需要もないのに輸出だけでよろしいというわけではない、私は何も設備拡大に反対ではないのです。経済拡大賛成です。経済を拡大して国民生活を引き上げるということは当然のことだから、それは賛成だけれども、それに応じて経済拡大と同じように国民生活の引き上げということを考えない限り、経済のパニックというものに襲われる、これは常識だと思う。そういうところに一切手がつけられないで、一切というとあまり言い過ぎかもしれないけれども、生産にマッチしてつけられないで、単に雇用計画は労働省は下請的な格好でやっておられるような気がするから、そういうことでいいのですかということを言いたいわけです。だから、これも一つの宿題で、この次お聞きしたいと思うのです。
 それから、それに関連して、たとえば外国の経済計画と雇用計画の関係なんかの資料があったら、私の方でも集めようと思うが、なかなか集まりにくいから、ぜひ労働省で集めて、それを一つ出してほしい、これだけの資料を私はお願いして、きょうの質疑はこのくらいで終わります。
○高野一夫君 私、藤田委員の質問に関連して申し上げてみたいと思いますが、私もちょうど藤田委員と同じような質問をかつて五年くらい前に、西田さんが労働大臣のときにずいぶん食い下がったことがある。どうしても私は納得できなかった。当時西田さんは、高野は何かおれに含むところがあっていじめるのじゃないかと言われたくらいですが、そういうときは、雇用問題を中心にして、自営も含めて大きな就業の問題で、計画的の対策を聞いたのだけれども、これが全然われわれの納得する説明がなかった、その後、労働省はわれわれ与党になってしまったから、私もそのままほうったらかしておいたんですけれども、正直なところほうったらかしておいた。今経済の五カ年計画を立てるとか、七年計画を立てるとかいって、それで経済企画庁でやっている。その一応の成案ができて、今度は労働省はそれに一応参画しているのだが、参画して案を立てるということが私はおかしいと思っている。毎年々々これは就業計画というものは労働省では出なければならぬわけです。五年計画、七年計画、それはかりにそういう長期の計画でなくても、来年度の産業経済の対策というものは予算編成のとききまっているのだから、そうすると、三十五年度はどうする、三十六年度はどうする、年々の一年ごとの計画が私はなければならぬと思っている。農村の二男、三男対策といったところで、二百万といい、二百五十万といい、三百万といったって、まるで農村の潜在失業者の数もまだつかめていない、こういうようなことですから、これは今詳細にわたって、さすがに藤田委員から御質問もあり、要求もありましたが、もう一つ具体的に、たとえば一種、二種、三種という分け方ではなくて、山の方の鉱業なら石炭がどう、石油がどう、一方の工業なら何がどうと、もっと詳しい化学工業がどう、造船がどう、鉄鋼がどうというふうに年々の計画、そうしてその計画が済んだあと、昨年の計画はこういうところに間違いがあった、こういうところはぴったり合ったというふうなら、修正なり納得なりできると思う。だから、五カ年計画、十カ年計画、七カ年計画の経済計画が立つ、それで労働の就業の対策が立つというものでは私はないと思う。毎年あってしかるべきだと思うのです。そうしてこういうような雇用あるいは就業の問題が論議されたときは、去年の計画はわれわれはこういう計画を立てたが、実は建設業においてはこうであった、鉄鋼業においてはこうであった、造船業においてはこうであった、この点は見込みが合ったが、この点は見込みが違った、従って、今度次年度はこういうふうに持っていく、こういう説明は少なくとも衆参両院の社会労働委員会あたりに労働省からしてもらいたいと思うのです。だから、今重ねて私からもお願いしたいことは、少し各産業大ざっぱでなくて、もう少しこまかく、小さい産業はいいから、大きなおも立った産業について、雇用、自営を含めた就業全般についての、ここ三、四年の経過と今後の対策、見通しというか、見込みといいますか、そういうものを一つ数字にして表わしてみてもらいたい。それは白書なんかに出るような、ただばくとしたものでは、これはわれわれ自身納得ができないのです。これはぜひ一つ政務次官にもお願いしておきますから、事務の方でまとめてみていただきたい。それが出れば、私もまた根拠があるから――根拠がないから質問もできないから黙っているけれども、根拠ができるから、私は雇用促進法案がいよいよ本審査になったときに質問申し上げたい。
○坂本昭君 こちらが予備審査だからだと思うのですが、労働省からいただいたのを見ると、この法案の基礎資料になるいろいろな統計的な数字などまだもらっていないと思うのです。一つ今までの統計資料をまとめたものをいただきたい。たとえば、この間の政令のこまかいのをいただきましたね。この中にも国及び地方公共団体等の機関にかかわる雇用率、こういう場合に、国及び地方公共団体の機関の数をどういうふうに抑えておられるか、たとえば消防庁とか警察庁とかありますね、そういったものを、どういうふうに押えてどういうふうに除いておられるか、あるいは障害者をもってあてることが困難な職を多数含む機関として、林野庁、日本国有鉄道、地方公営企業等と書いてある、これの数、それから民間事業所について、これも数、それから同じ中でも陸運業、建設工業等の現場事業所、これなどは雇用率が低いのですが、この数、これは当然おありだと思うのですが、今まで出してなかったのです。質問する前にこれを出していただきたい。
○委員長(加藤武徳君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(加藤武徳君) 速記を始めて。
 それでは、本案に対する本日の質疑はこの程度にしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(加藤武徳君) 御異議ないものと認めます。
  本日はこれで散会いたします。
   午後零時三十九分散会
   ―――――・―――――