第035回国会 文教委員会 第4号
昭和三十五年十月十五日(土曜日)
   午前十時十一分開会
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  委員の異動
九月三日委員野田俊作君辞任につき、
その補欠として近藤鶴代君を議長にお
いて指名した。
九月二十二日委員岡三郎君辞任につ
き、その補欠として小笠原二三男君を
議長において指名した。
十月四日委員小笠原二三男君辞任につ
き、その補欠として岡三郎君を議長に
おいて指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     清澤 俊英君
   理事
           安部 清美君
           加瀬  完君
   委員
           小幡 治和君
           杉浦 武雄君
           岡  三郎君
           千葉千代世君
           豊瀬 禎一君
           常岡 一郎君
           岩間 正男君
  国務大臣
   文 部 大 臣 荒木萬壽夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       工楽 英司君
  説明員
   調達庁次長   真子 伝次君
   大蔵省主計局主
   計官      新保 実生君
   文部省大学学術
   局大学課長   春山順之輔君
   文部省初等中等
   教育局長    内藤譽三郎君
   文部省管理局長 福田  繁君
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  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告
○教育、文化及び学術に関する調査
 (当面の文教政策に関する件)
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○委員長(清澤俊英君) それではただいまより文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九月三日、野田俊作君が委員を辞任され、その補欠として近藤鶴代君が委員に選任されました。以上であります。
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○委員長(清澤俊英君) 次に、今日の委員長及び理事打合会の経過について御報告いたします。
 本日は、まず、先般当委員会が行ないました委員派遣に関しまして派遣委員より報告を聴取いたし、次いで板付飛行場周辺の防音設備に関する件等当面の文教政策に関する調査をすることを決定いたしました。
 以上、理事会決定通り調査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(清澤俊英君) 御異議ないと認め、さよう進めて参ります。
 それでは、まず、第三班富山、岐阜班より御報告願います。
○杉浦武雄君 派遣第三班の御報告をいたします。第三班は、千葉委員、私、それから調査室から前田調査員、法制局から齋藤参事が参加いたしまして、九月二日から六日まで五日間、富山、岐阜両県における学校教育の一般、大学問題、文化財の保存保護の現状等について調査をいたしました。調査事項といたしましては、大学については、富山大学の薬学部及び岐阜県立医科大学を視察し、さらに乗鞍岳に参り、東京大学東京天文台所属のコロナ観測所並びに東京大学付置の共同利用の研究機関である宇宙線観測所を視察いたしました。学校教育の一般問題については、それぞれの県教育委員会において関係者から実情を聴取いたしました。また、文化財関係につきましては、特別天然記念物である魚津埋没林、高山市における各種の文化財、関市の新長谷寺のほか数カ所を調査いたしました。以下、そのおもなものにつきまして御報告を申し上げます。
 まず、大学について申し上げますと、私どもの参りました富山大学薬学部は、明治四十二年に県立富山薬学専門学校として創設せられ、大正九年に国立に移管せられたものでありまして、年々多くの優秀な卒業生を送り、諸設備及びその業績は高く評価せられておりましたが、昭和二十年の八月、戦災のために建物も設備もほとんど焼失してしまいましたので、同窓会などを中心とする復興期成会が結成せられましてその活発なる活動によりまして、地元はもとより、全国の同窓生及び薬業会社から多額の浄財が寄付せられ、これと国費と相待って至難な復興も敏速に進捗しまして、現在では施設においてはほぼ旧態に復し、昭和二十四年新制大学に転換以来、さらに鋭意設備の充実に努力をしている状態であります。また、付属の施設としては、医薬資源研究所、薬草園、無菌製剤室、放射性同位元素応用研究室等を有し、一そう研究の成果を上げているようであります。なお、昭和三十年度からは専攻科が設置されて、多年の要望であった卒業生並びに薬学専攻に関連のある理科系の大学卒業生などのために、学校教育法に定める精深なる薬学研究に応ずることとなりまして、名実ともに薬学教育の重要な地位を堅持いたしている状態であります。私どもは、ここで熱心な陳情を受けたのでありますが、その内容は次のようなものでありました。一、大学院の設置についてであります。これは、薬学部を持つ国立の新制六大学共通の念願でありまして、機会あるごとに文部省に陳情しているということでありました。二、製薬学科の増設についてであります。現在本学部は薬学科の一学科のみでありまして、近年著しい医薬品の進歩発展に伴いまして、従来の薬学教育に加えて、製薬技術者の養成のための専門学科の新設が必要となって参りましたので、本学部に製薬学科を設けて時代の要求に応じようとするものであります。ことに、富山県は全国屈指の薬業県でありまするので、地方産業の発展に寄与する面からも、製薬学科の設置を強く要望しておりました。三、薬学部付属の研究施設として薬用資源研究所を新設してほしいとのことであります。ここには、他の大学に見ない薬草園一万坪を擁して、研究所と表裏一体の使命を遂行いたしている現状でありまするので、学部付属の研究施設として薬用資源研究所の設置も認められたいというのであります。四、教官定員の増加についてであります。同学部の現在教官定数は二十七名でありますが、これは他の大学の薬学部に比べて定員数が少ないのでありまして、ぜひとも最小限四名の助手を増加していただきたいということであります。
 次に、岐阜市において、岐阜県立医科大学を視察いたしました。同大学は、昭和十九年県立女子医学専門学校として発足し、以来十六年を経過し、その間、二十二年岐阜県立医科大学、二十四年に岐阜県立医工科大学の設置を見たのでありますが、二十七年に工学部が国立の岐阜大学に移管せられましたので、医学部は単科大学として存続して今日に至っているのであります。学長の話によりますと、県は施設充実のために、すでに三億一千万円の金を投じ、なお、三十五年以降二億四千万円をもって校舎、病棟、図案、器具機械の拡充整備を行なう基本方針を定め、実施中であります。本大学の医学進学コースは、岐早大学教養部に委託しております。ここで私どもは陳情を受けました。それは、学校当局ばかりではなく、県民の熱望として述べられましたが、県立医科大学を国立に移管し、総合大学としての岐阜大学のより高度の運営に資することが、文教施策の面から見てきわめて適切と認められますので、ぜひ三十六年度から本大学の国立移管が実現するように、文部省にも申請しておるということでありました。
 次に、私どもは、乗鞍岳にある東京大学東京天文台所属のコロナ観測所及び東京大学付置の共同利用の研究機関である宇宙線観測所も視察いたしました。コロナ観測所は、昭和二十二年から蓼科、八ヶ岳、冨士山において試験観測に着手をいたしましたあとで、乗鞍岳が最適地として決定せられたものでありまして、二十六年から本格的な観測に着手いたし、三十年には研究室等の増築が行なわれて、施設も逐次増強改良せられております。この観測所におけるおもなる仕事は、コロナ・スペクトルのおもなる輝線━━輝く線であります、おもなる輝線の太陽周辺における強度分布の測光観測、コロナ分光写真観測、紅炎写真観測などであります。運営は、一カ月交代勤務の常駐八人の人間でなされておりまするが、一年の四分の三は雪と氷におおわれ、気圧は五百五十ミリ程度でありまするので、軽い労働にも疲労しやすく、登山、下山は非常に困難であります。ことに厳冬季におきましては、全山氷結いたしまするので、斜面は一歩誤れば数十メートル転落することは必至であります。生命の危険さえも感ぜられるわけであります。この交代時の上り下りのほかに、観測所における仕事も大へん困難なものが多いようであります。ドームについた雪や氷を完全に落とさなければ観測の支障となるのでありますので、烈風の中でも朝早く行なわれる仕事でありましたが、昨年から二軍屋根を作りまして、その空間に熱風を送り込んで氷を溶かす装置をいたしましたので、この点は改善せられました。しかし、完全な除雪のためには、どうしても屋根の上の作業が不可避でありますので、マイナス三十度の外気温と同じ温度の観測室内での長時間にわたる作業には、想像に絶する苦しいものがあるようであります。
 現在、常時のコロナ観測所は、欧州に五カ所、米国に二カ所ありますが、欧米と昼夜を異にする東洋では、この乗鞍コロナ観測所がただ一つ存在するのみであります。従って、欧米で観測のできない時刻に日本では観測ができることになりますので、コロナや紅炎を連続観測して、その急激な変化をとらえ、地球に及ぼす影響の研究への資料を提供することになりますから、この観測所の行なっておる仕事は国際的共同研究の一環として、日本の占める地理的関係からきわめて重要なものがあります。
 次に、宇宙線観測所に参りました。この観測所は全国の宇宙線研究者、学術会議原子核特別委員会の要望もあり、昭和二十八年国立学校設置法を改正して、共同利用の研究施設として東京大学に付置せられたのであります。観測所には専任職員、技官三名、技術員四名、その他四名が交代で常時勤務をいたしているほか、全国各地の大学、研究所などから研究を行ないに参りますので、時には二十名をこすこともあるようであります。宇宙線観測所は、地球外から飛んで参ります素粒子を観測して、原子核の構造を探求しているので、現在原子核の研究とともに、原子物理学で最も重要とせられている研究分野を受け持っている上、全国の学者の共同利用の施設として運営せられておりますから、その役割はきわめて重要なものと考えられます。
 なお、両観測所において要望せられましたことを申し上げますと、一、建物の改増築及び観測所までの専用道路を整備したい。二、研究員及び職員の定員増加。三、研究設備の新設増強。四、貯水槽の増設。五、無電通話器の整備などでありました。特に宇宙線観測所においては、共同研究の観測のために特殊装置を運転するための専任技官五名の増員が強く要請されております。
 さらにつけ加えて陳情を受けましたことは、長野県側において、両観測所付近まで新たに観光道路の建設が進展しているそうでありまするが、観測所における仕事の性質上、周囲の空気が清浄であることが絶対に必要で、ごくわずかな塵埃や煤煙も、精密を要する観測に致命的な支障をもたらすことがあります。このために、多くの犠牲を忍んで、観測条件のよい乗鞍山、頂を観測所に選んだわけでありまするから、この重要性にかんがみて、観光道路計画遂行の場合には、終点は観測事業に何ら差しつかえのない二千六百メートル程度にとどめておいてほしいということでありました。
 次に、学校教育一般について申し上げます。私どもは富山、岐阜両県において、それぞれ教育委員会の関係者と懇談をいたし、特に学校安全会の実情、学校給食の実態、産休補助教員の配置の状況、並びに人事管理等について聴取いたしましたが、さらに次のような要望がございました。一、公立学校施設設備国庫補助率の引き上げ。二、義務教育施設整備事業の起債ワクの拡大。三、僻地冬季分校教材教具費国庫補助の実施。四、文化財保護事務委託費の充実及び建造物維持管理費の国庫補助実施。五、公立学校教職員旅費の増額、卒業生就職あっせんにいく教員及び修学旅行つき添い教員の旅費の補助。六、公営体育施設費の国庫補助率の引き上げ並びに補助対象の拡大。たとえばスポーツ・センター、水泳プール、キャンプ場、青年の家、スキー場等。七、スポーツ振興法の制定促進。たとえば体育主事の設置、体育拒導組織の確立、体育団体の助成、スポーツ講習会の助成、指導者の養成確保等。八、日本学校友全会都道府県支部費の増額。九、学校給食費国庫補助率の引き上げ並びに学校給食実施の義務制。十、勤労青少年の教育制度の確立を期し、新たな制度の立法化。十一、青年学級の専任主事の必置。十二、社会教育指導者養成及び研修のための予算増額。
 大体以上のようなものでありました。
 なお、ここに特に申し上げたいことは、富山市にある県立富山通信産業高等学校についてであります。これは日程の都合で視察できませんでしたが、この種の学校は、その例を他に見ないと思いますので、教育委員会から聴取いたしました概要を申し上げます。
 昭和三十三年に開校した本校は、富山県総合教育計画の重要なる課題として設置せられたものでありまして、名称は通信産業となっておりますが、現在は農業に従事する少年に対して、日常の農業生活を教育的に編成して、勤労と学習との合一をはかることを方針としました現場学習、家庭学習、登校学習とによって行なわれております。従って、農業技術に関する教育内容は、生徒各人が実際に従事しておりまする自家農業の具体的な内容を出発点として、それぞれの農業経営の維持、改善、拡張の計画を援助指導する現場学習を行なわせておるのであります。そのために、教員は毎週一、二回程度農家家庭を巡回して指導しております。このような学習の方針によりますと、当然生徒各人によって学習の内容は、一般的には異なるものとなりまするが、一斉指導、グループ指導等の適切なる方法を講じておるほか、年間平均八十五日から九十日の登校学習を計画的に進めておるということでありました。本校は現場指導を中心にした学習形態をとっておりまするので、富山市周辺を実験的に学区として設定し、現在九十三名の生徒が在学しております。その年令層は十五才から二十五才に及んでおります。
 次に、僻地学校の実情視察の報告をいたします。私どもの参りましたのは、丹生川村の旗鉾にあります旗鉾小中学校であります。この村は高山市から乗鞍岳に至る、面積二百二十六平方キロという広い地域でありまして、東西二十八キロ半、南北十三キロ、標高五百九十メートルから千百六十メートルという山岳地帯の三十三部落からなる人口約六千七百名の村であります。しかし、この村は各所から古代の住居跡の炉が発見せられ、土器や石器も発掘せられ、四千年以前から人類が住んでいたことが想像せられる土地でありまして丹生川という名前も、明治八年万葉集にある柿本人麿の歌からとったということでありました。本校も、明治十四年に旗鉾小学校として発足しておるのでありまするから、歴史的にも相当古く、現在児童生徒の数は、小学校百五十名、中学校六十七名、計二百十七名。職員は小学校六名、中学校二名、うち中学校二、三年は複式職員十一名で組織せられております。
 私どもは、ここでの懇談の際、次のような陳情を受けました。その一つは、僻地の教育向上をはかるために、学級の編制基準の児童生徒数の引き下げを必要としますが、文部省の学級編制の基準は、岐阜県のものより高いため、岐阜県では現在以上に引き下げようとしないから、まず国の編制基準を引き下げてほしいと、こういうのでありました。その二は、中学校の技術家庭科の新設に伴って、施設設備費の補助増額とともに、担当教員の資質向上のための講習会の充実並びに上級免許状の取得について配慮をしていただきたいというのでありました。なお、理科教育、音楽教育についても同様の問題がありました。その三は、僻地に点在している学校の統合実現のため、鉄筋校舎の国庫補助の増額に努力してほしいとのことでありました。
 最後に、文化財について申し上げます。
 まず、高山市において、史跡に指定せられている高山陣屋跡を視察いたしました。ここは徳川幕府の直轄地として、代官、郡代が二十五代、百七十七年にわたって住まいして、飛騨の政務を見ておったばかりではなく、明治以後も郡役所、飛騨支庁、飛騨県事務所として使用せられ、名称、機構こそ違っておりまするが、常に飛騨地方統治の中心的役所として今日に及んでいるのであります。従って現在の建物は約二百五十年前の享保十年のものでありまして、正門、玄関、本庁舎、庭園、お米倉などは、今なお古色蒼然として残っております。県の事務所長は、この飛騨の歴史を語る文化財が、資金難で荒廃していくということはまことに忍びがたいものがあるばかりではなくて、根本的には県の事務所として新時代の役所として使用することは不便でもあり、ますます荒廃を重ねるわけでありまするから、県事務所は別の土地に新築して、陣屋跡は郷土館として、旧態を長く保存しておくのが望ましい、こういうふうに述べられました。当面の保存対策といたしましては、玄関正面の青海波壁面、本庁舎のぬれ縁、お米倉の屋根の修理などを強く要望しておりました。
 さらに高山祭の屋台について申し上げます。この高山祭の屋台の創設は、遠く享保年間に始まり、自来日枝神社及び八幡神社の祭礼における「ねりもの」として発展し、いわゆる飛騨匠の卓絶したる木工術による特殊な構築、彫刻、金具類の装飾が、今なおけんらん豪華な文化遺産として伝えられております。その文化的価値は、歴史的にも、また美術的にもきわめて重要なるものがありまするので、本年三月、文化財保護委員会から重要民俗資料として指定せられたのであります。その中の一台と、収納土蔵を見て参りましたが、その際、高山屋台保存会長から次のような陳情を受けたのであります。それは、すでに重要民俗資料として指定を受けた二十三台のほかに、さらに飛騨総社及び東山白山神社の祭礼屋台がありまするので、これをも指定をしてもらいたい。また、屋台は各町内において特別に建造した防災用土蔵に収納保管してあったのでありますが、何分にも土蔵そのものが時代を経たものでありまするので、その修理維持に多大の経費を要している現状に留意せられて、収蔵庫の建設補助を受けたいというのでありました。
 また高山市では、飛騨民俗館にも参りました。飛騨の西方、白川の流域にありまする白川村が、電源開発による御母衣ダムの建設に伴って、由緒ある合掌作りの家が湖底深く没することになりましたので、高山市はその一つを譲り受け、文化財として保存し、一般に公開するため松倉山麓に移築したものであります。この建物は約二百五十年前に建てられた建坪約三百三十平方メートル、高さ十六メートルのものでありますが、寄贈せられた約一千点の収蔵品の中には、重要民俗資料として指定せられた日本唯一のそりのコレクションもありました。
 以上のほか、重要文化財に指定されている高山市の国分寺、萩原町の久津八幡宮、関市の新長谷寺を視察して参りました。
 以上をもちまして第三班の報告といたします。
○委員長(清澤俊英君) 次に、第一班鹿児島、宮崎班より御報告を願います。
○安部清美君 第一班の調査報告をいたします。
 第一班は、柏原委員と私に、随行として調査室から生田調査員、他に法制局から岩倉課長、文部省から宮武事務官が同行いたしまして、去る九月十七日から二十三日までの一週間にわたり、鹿児島、宮崎の両県における所管事項につき調査して参りました。
 教育行政一般については、それぞれの県、市教育委員会において、関係者から実情を聴取し、また知事、市長、その他教育関係者と懇談をし、要望を聞き、各県下の学校を視察いたしました。
 文化財につきましては、西都市の古墳群、その他数個所を視察し、大学については、鹿児島、宮崎の両大学の関係者と懇談いたしました。
 以下その概要について申し上げます。
 最初に、鹿児島県から申し上げます。本県は御承知の通り、ここ数年間は大した被害こそ受けてはおりませんが、台風の常襲地帯であり、大企業、大工場が少ないため、経済的にも恵まれず、しかも奄美大島を初め、多くの離島を持っていて、地理的条件も悪く、学校数の三分の一が僻地学校に指定されている現状でありまして、県全体としては教育の後進県であります。県としては、一、学力水準の向上。一、体力の充実。一、科学技術教育並びに産業教育の振興。一、道徳教育の徹底。一、青少年団体の育成と成人教育の充実。一、学校運営及び人事管理の適正化。一、僻地教育の振興。一、教育施設の充実等に教育行政上の努力目標を置いております。
 以下要望事項を主として、まず、文教教施設関係から申し上げます。
 全国的規模で起きている中学校生徒の急増状況は、本県では、本年度において一万五千二百八十二人の増加でありまして、昭和三十四年度に比し一一四%、学級数は前年度の二千七百六学級から、二千九百八十二学級へと、二百六十七学級の増加を見、昭和三十七年度では、一四七%となる予定でありまして、急増による不正常授業の解消に鋭意努力しているが、困難をきわめているとのことであります。この中学校の急増対策のため、建物の整備関係予算、特に昭和三十七年度分に対しては、入学の前年度に建築できるように予算措置をされたい旨の要望がありました。
 私ども一行は、鹿児島市内の城西中学校に参りまして、急増の状況を見て参りました。この学校は、年が二十学級で千七十九名、二年が十五学級で七百七十九名、三年は十二学級で六百二十二名でありまして、現在九教室が不足し、職員室、特別教室をつぶして教室として使用し、職員室はそのため四個所に分散しておりました。今後の不足見込みは、昭和三十六年度に十六教室、昭和三十七年度にはさらに二十二教室になるとのことで、市教委としては、本校のごとき大規模の学校は二校に分離、新設することが望ましいが、土地の取得困難と、新設の費用が、昭和三十七年度の全市の増築分に相応するほど多額な財源を要するので、今後の対策については、苦慮しているとのことでありました。
 また、高等学校につきましては、昭和三十八年度以降の入学志望者は七千人程度の増加があり、現在の募集人員をそのままとすると、年々一万人近くの中学卒業生が、希望する高等学校に入れないということであります。県としては、本問題解決のため、高等学校の新設と学級数の増加について立案計画中ではあるが、教職員の人件費、施設設備に要する経費は財政的に県独自で解決できず、早急に国において具体的措置を行なうことを望んでおりました。
 他に、施設については、シロアリの被害と、台風常襲地帯であるので、市町村の鉄筋、鉄骨作りの希望が九〇%以上もあり、少なくとも校舎建築の構造比率を八〇%以上に引き上げてほしいこと及び危険校舎の改築、学校統合の新増築、屋内運動場等の予算の増額についての要望がありました。
 次に、科学技術教育関係では、理科教育の充実が本年度から三カ年計画で行なわれており、県費一千万円をもって小中学校教員を高等学校に集めて研修を実施しているほか、理科教育センターの設置についても研究中であるとのことでありました。しかし、理科設備の充足状況はおくれておりまして小学校では全国平均に比し五・五%、中学校は七・六%減となっているので、これが充実につき大幅の国庫補助金の増額、教員養成と教員確保のための待遇改善などが要望されました。
 また、産業教育振興法で設備費を補助対象として復活すること並びに産業技術の急速な発展に伴い機械器具の更新に迫られているが、県立鹿児島工業高等学校の場合には、年間三十万円程度の配分ではいかんともすることができないので、機械器具の更新予算の増額について要望がありました。
 次に、僻地教育については、本県の小中学校全体の三分の一に相当する三百四十八校、高等学校でも約二〇%の十七校が僻地指定を受けており、従って僻地教育の振興については、教育行政の重要施策として実施しておりますが、その進捗は、特に施設においておくれているようであります。すなわち教員住宅では、千八百十三名の中で住宅の不足している者が、校舎内に居住している者十一名を含めて千五十六名もあるのに、本年度はわずかに十二戸分の国庫補助が決定されたということでありまして、住宅不足を解消するにはほど遠く、集会室も小学校百十一校中三十七校、中学校では六十三校中六校という遅々たる整備状況であります。
 僻地におきましては、テレビが教育効果と地域社会の文化向上に果たす意義がきわめて大きいことは御承知の通りでありますが、僻地校のうち、昼間送電の行なわれていない小中学校が百三十五校もありまして、これらの学校ではテレビも見ることはできないのであります。この学校に対する自家発電は本年度十一校の補助の決定があったという状況であります。
 また、本年度から半額国庫補助が出るようになりましたテレビ購入についても、多くの希望校がありましたが、本年度は六台の配分があったのみということでありました。予算の増額についての要望がありました。
 次に、県の道徳教育研究協力校である中州小学校につきまして申し上げます。
 本校は、明治四年に創設され、昭和三十一年に創立八十周年記念を行ない、その事業の一環として「新しいしつけ」の名において学校と父兄が共同して研究したものであります。この学校では、年間、一学年に三十六時間の特設時間を設けまして、道徳教育について研究を続けている学校であります。その内容については、「道徳教育の研究と実際」という報告書の第三集、第四集をもらってきてありますから、その細部についてはごらんいただくこととし、実地に視察しました一部を御紹介いたしますと、五年生は「フランダースの犬」をテーマにし、そのねらいは「生物に対し、あたたかい愛情をもって接する態度を養うとともに、人間同士もお互いに尊敬と愛情で結び合うという心情を養う」としてあり、スライドを児童に見せて自由に感想を述べさせ、児童の経験について話し合っておりました。また三年生の「なかまはずれ」、六年生の「スポーツ精神」というような題目も同様でありましたが、この授業中における児童の態度は非常に楽しそうで、熱意を感じました。
 特殊教育につきましては、県立鹿児島ろう学校及び天保山中学校の特殊学級を見て参りました。その際に盲ろう学校の校舎建築補助の高等部までの拡大、高等部の就学奨励費の完全支給のほか、特に幼稚部を国庫補助の対象とすることについて強い要望がありました。なお、ろう学校の場合には幼児から一貫した教育が大切であり、また効果が大きいので本校の場合、本年度より満二才から寄宿舎に入れて教育を行なって、成果を上げているとのことでありました。天保山中学校では、その授業を見ることができませんでしたが、この学校では特殊学級の開設以来七年を経た現在、百十一人の卒業生を出しております。そのうち就職した者は九十七人、家業についた者六人、家庭で保護されている者四人、進学四人となっておりまして、就職した者九十七人中、失敗した者は三人だけであり、その他の者はその後の成績もよく、ある事業所では毎年の卒業生を特に頼んでくるとのことでありました。また卒業生のうち二名の女子は結婚生活に入ることができたという喜ばしい話を聞きました。この学級には木工、印刷の簡単な設備を持っておりますが、このような教育には職業訓練のための施設、設備をすることがその教育効果を大きく上げることを痛感いたしました。
 次に、宮崎県について申し上げます。まず、公立文教施設については、小学校は児童が漸減の傾向にあるとはいえ、本県の場合においてはいまだ三百十六学級、一万四千八百五十二人が不正常授業を受けており、最低基準に対する不足坪数は八千四百八十四坪もあります。また、小学校で屋内運動場を持たないものは三百四十七校中、二百四十二校に及び、その不足坪数は二万五千七百二十二坪に達する状態でありまして、年間の降雨日数の多いこの地方としては特に不便を感じており、国庫補助の対象としてほしい旨の要望がありました。中学校では百七十二学級、七千九百七十人が不正常授業を受け、校舎の不足坪数は四千六百五坪となっております。なお、生徒の急増に伴う不足教室解消計画は昭和三十八年度の推定不足教室数は五百九十三教室でありますが、これを昭和三十五年度百六十九教室、三十六年度二百四十五教室、三十七年度百教室、三十八年度二十教室として整備する計画でありましたにもかかわらず、本年度の国からの補助金配分は百教室分であり、本年度計画に対して六十九教室の差ができておりまして、これを来年度に持ち越すことになると、昭和三十六年度は最低三百十四教室の整備が必要であるという状態になります。こうしたことの起こらぬように、その年度ごとに計画を消化して、生徒を完全に収容できるような建築補助金の予算措置が要望されましたが、特に昭和三十六年度分については本年度補正予算で措置されたい旨の要望がありました。中学校の屋内運動場の設置は百七十三校中、五十五校にすぎず、その不足坪数は一万二千七百一坪でありまして、毎年五、六校の割で整備されているような状況でありまして、この分に対しましても予算の増額を望まれました。高等学校の校舎の不足坪数は全日制だけでも七千三十四坪もあり、その整備は地方財政事情によりきわめて困難の状況であり、昭和四十年度には生徒数で約一万四千人の増加が予想され、その不足坪数は三万九百五十一坪にもなる状態でありますので、国において特別措置を講じてもらいたい旨の要望がありました。危険校舎は、四千五百点以下の建物が小中学校で三万九千四百八十二坪もあり、特に本県の場合はシロアリによる被害が多く、私ども一行は西都市上穂北小学校でこの状況を見て参りましたが、シロアリには、ヤマトシロアリ、イエシロアリと二種ありまして、ヤマトシロアリは、日当たりの悪く水気の多い場所に、地上から二メートルぐらいのところまでに被害を与え、イエシロアリは、土台から入り込み、柱、けたと建物全体を食い荒らしていきます。関係者の話によりますと、ただいまのところ木材にシロアリ防除処理を施し、被害の防止をはかっても、実効は少ないとのことでありました。このシロアリの被害を、台風常襲地帯であるとの理由により、建物の改築には鉄筋、鉄骨作りの希望が多いので、国家補助の構造比率を、鉄筋、鉄骨について引き上げてほしい旨の要望がありました。
 僻地学校としては一級地の西都市上穂平八重分校に参りましたが、この分校は、西都市より自動車で約一時間余り、一つ瀬川の渓谷沿いの、熊本県八代市に出る道路を上ったところにありまして比較的交通の便のよいところにありますが、ちょうど学校の上に高圧線が通っておりながら、無電灯地帯というところであります。ここは教員二名、児童数三十六名で、一年から三年、四年から六年の複式学級でありまして、一見平地校と何ら変わらず、整地されたりっぱな運動場と、清潔そうな校舎でありますが、中に入りますと教材、教具の貧弱なことが目につきました。先生の要望にも、まず第一に教材、次には、九キロ以上もの山道を通学してくる児童に対する、風雨の際等の宿泊施設、それから医療施設、電灯、テレビ、子弟の教育のための育英制度等が述べられました。
 次に、文化財について申し上げます。鹿児島県における国の指定文化財のおもなるものは、天然記念物と史跡であります。鹿児島市において、異人館といわれております史跡、「鹿児島紡績所技師館」と「旧集成館」名勝としての「仙巌園」を見て参りましたが、技師館の腐朽ははなはだしく、床は抜け、とびらは落ちているところもある状態で、早急な修理を必要としておりました。また、仙巌園、旧集成館は、島津興業株式会社が管理して、周辺の遊園地、娯楽場とともに有料で入場させており、庭園の建物等は直接触れることができぬようにしてありますが、旧集成館の、反射炉、溶鉱炉跡等には自由に立ち入ることができるため、形は次第にこわれているようでありますので、適当の措置を行なうよう話しましたが、技師館の応急修理とともに、指定地域の境界標、標識板の整備等を行なって保存に万全を期するため文化財保護委員会に申請中とのことでありました。近年都市計画、観光事業の活発化に伴い、天然記念物、史跡等の現状変更の問題が多いのでありますが、本県でも昨年は屋久島スキ原生林に地下水路を施設すること、仙巌園にローブ・ウエーを設けること、また本年は牧園町の天然記念物のノカイトウ自生地の指定区域内に有料観光道路を雄設する等の問題があり、これらの事業と文化財保護との調整が問題となったようでありました。
 宮崎県の文化財としては、西都原の古墳群を視察いたしました。この古墳群は、西都市の西北に位し、東西に一・五キロ南北に三・九キロの台地の中に、男狭穂、女狭穂の陵地参考地を入れて、三百基余りの大小の前方後円墳、円墳、方墳等の各種古墳からなっている大古墳群であります。この保存施設は、昭和二十九年度より三カ年計画により、総工費四百十万円、うち半額の国庫補助をもって完了いたしております。しかしながら、県内には七十カ所余りの古墳群が散在いたしておりますが、戦前には畏敬されて侵す者もなかったのに、戦後は発掘して荒らされることも諸所にあるので、啓蒙と監視に力を入れ、逐次保存施設を設けていく計画で、本年は持田、川南の両古墳群について文化財保護委員会と保存について折衝中であるとのことでありました。
 次に、鹿児島大学について申し上げます。この大学は第七高等学校、鹿児島師範、同青年師範に鹿児島農林、鹿児島水産の両専門学校を統合して、昭和二十四年に文理、教育、農、水産の四学部からなる新制大学として発足し、さらに昭和三十年鹿児島県立大学の医、工学部を国立に移管した結果、現在六学部からなる総合大学であります。
 ここでは各学部校地の統合、熱帯医学研究所の設置、沖縄よりの入学志望者、地元よりの入学率等の問題があげられました。すなわち新制大学の悩みの一つとして、各学部の校地が分散されていて、その統合に苦労していることはしばしば聞くことでありますが、本大学では県の多大なる援助により十一万坪の校地を取得し、文理、教育、農、工の四学部の統合が教育学部の一部を残して着々と進められておりました。
 熱帯医学研究所は、奄美大島の県立病院の中に、本年度より助教授一、講師一の研究陣が発足いたしましたが、県としては大島嶼予算の中から建物を提供し、大学の付置研究所を作ってもらいたい意向であります。
 大学としては文部省に来年度予算に要求をしているとのことでありました。また、沖縄よりの本大学、特に医学部への人傑の希望者が非常に多いが、一般の競争試験では学力の点で劣り、二十名に一名程度の合格率であればよい方であり、これらの志望者に対し何らかの特別の措置を講じてほしいとのことでありました。なお、科学振興に重点が置かれ過ぎて、人文系に圧迫がないように配慮されたいこと、教養課程の学生の実験費の経費を学生経費の積算の基礎に加算されたい等の要望がありました。
 宮崎大学では一般的な問題として地方大学の育成が希望されましたが、特に本大学に電気工学科を新設すること、教官の確保等についての問題があげられました。
 地方大挙の育成については、講座制大学と学科制大学との区別、特に研究費についての差異につき配慮されたいとの要望がありました。
 電気工学科の新設については、この大学の工学部に電気関係の学科がなく、電子工学を主として四講座を設置することについてここ数年間努力しており、大学の準備も完了しておりますので、来年度も予算を要求しているとのことでありました。また教官は、地域給の関係困難等経済的の理由によりその確保ができないので、これらの解決についても配慮されるようにと要望がありました。
 以上をもちまして報告を終わります。
○委員長(清澤俊英君) 次に、第二班新潟、山形班の報告を願います。
○豊瀬禎一君 第二班の報告に移ります前に、本年度における文教委員会の三班にわたる正式出張調査の報告が行なわれておりますので、委員長の方におきまして大臣または政務次官に早急に出席するように手配をいただきたいと思います。
 第二班の調査報告をいたします。
 私どもの班は、北畠、小幡の両委員と私の五名に、調査室から吉田調査員、ほかに法制局の国井参事と文部省の松平事務官が同行いたしました。期間は九月三日から七日までの五日間で新潟、山形の三県へ参りました。
 まず、新潟県におきましては、長岡市の県立第三高等学校の老朽校舎、新潟大学工学部及び積雪科学館等を視察いたしました後、佐渡へ渡り、無形文化財に指定が予定されておりまする「鬼太鼓」、「のろま人形」等の実演を観賞し、僻地校一校と佐渡博物館を視察いたしましたほか、特別天然記念物として世界的珍鳥とされている「トキ」の保護に関する陳情を受けました。新潟市におきましては、県教育委員会から一般教育行政についての説明と要望とを聞き、新潟大学本部において学内一般報告を受けた後、教育学部の老朽危険校舎を実地に視察いたしました。
 以下これらの主要点について報告を申し上げます。
 長岡市の県立第二高等学校は、明治三十五年の創立にかかり、すでに五十七年を経過しておりますため、校舎の老朽はなはだしく、数年前から危険校舎の指定を受けている個所が全校舎の八割にも及んでおり、年々多額の経費を計上して、これが維持補修を行なうことにより、辛うじて使用している現状でありますが、土台、床板等の腐朽損壊がはなはだしく、台風積雪等による不慮の災害も予想され、加うるに近年入学志望者の数は定員の三倍にも達しておりますにもかかわらず、これを収容することが不可能であるため、地域社会の教育的情熱にこたえることができないことを遺憾としておるということであります。もちろんPTAや同窓会等の協力により、昨年四月「校舎改築対策委員会」を結成し、総工費二億二千万円の予算をもって昭和三十六年度に用地の買収、三十七年度着工、四十年度に完工する具体案を作成して、地元負担金の造成に懸命の努力を払いつつあるのでありますが、何分にも膨大な工事費を必要とするので、国、県及び市当局の絶大な援助を仰ぐことによって、所期の目的を達成したいという強い要望が対策委員と学校当局者から熱心に述べられました。この工事計画には、現在の校地を売却して他に安価な校地を求める予定が含まれており、現在の校地の売却による一億円と、PTA負担金五千万円とがすでに確実に予想されておるとのことでありますから、国及び県の急速な措置により改築の実現はさして困難ではないと考えられるのでありますが、対策委員の言葉によれば、元来高等女学校であったこの学校の卒業生が女子に限られているため、要路に対する政治的折衝の力に欠けることが改築実現の遅滞を見る原因の一つであるという見解でありました。私どもが実地検分しました数棟の校舎も雨漏りはもちろんのこと、つっかい棒等によって辛うじて倒壊を免れているきわめて危険な姿でありました。すみやかに改築の運びに至りますよう強く希望するものであります。
 新潟大学工学部は長岡高等工業学校として大正十二年に創立された当時の建物と、戦時中に増築されたいわゆる戦時規格の建物からなっておりますが、いずれも腐朽はなはだしく、特に狭隘な土地に建物が密集して建てられ、しかも冬季積雪時の連絡通路としてこれらの建物を相互に結ぶための廊下があたかも風洞のように延々として縦横に連なり、直線で百六間に及ぶ長いものもあります。一朝火災の場合の危険度の高いことを憂慮し、消防署員の常時派遣が行なわれているという現状でありまして、急速な改築の要に迫られております。本年度からの学生増募に伴う施設の拡充と教職員定数の増加が喫緊の問題であり、特に化学工学科の学生を収容する施設の新築が当面の課題であると工学部長から述べられました。それからこの工学部付置の積雪科学館を参観しましたが、ここには雪に関する種々の機械、器具、その他民俗資料が展示されてあり、降雪の分布、積雪被害対策等の研究を行なっております。積雪地域では冬季は機械体操用の鉄棒を取りはずしておかなければ、積雪とその融解のため鉄棒に湾曲を来たすということで、私どももその曲がった実物を見せてもらいました。積雪地方の校舎建築費の補助は、この雪の重みに対する抵抗力を考慮して、補正増額されたいとの希望も述べられました。
 次に、特別天然記念物に指定されている世界的珍鳥トキの保護状況について申し述べます。この鳥は、サギ類によく似て、くちばしは非常に大きく、長い円筒形を呈して、下の方に湾曲し、その基部と先端は赤色をしています。たけは低く、からだの幅は広く、後頭部は羽冠をなしており、全身白色で、翼の裏側と風切羽と尾羽とが美しいトキ色をなしております。それがトキ色の起こりだといわれており、漢字では、数字の七と十の字を重ねた扁に鳥の字を書いた「鴇」または、朱色のサギ、「朱鷺」と書かれています。昭和九年文部省では天然記念物に指定していますが、当時佐渡島内における生息数は、百羽前後とされていましたが、年々減少の一途をたどり、現現では佐渡に八羽、石川県の能登半島に五羽という、まことに心細い数になっていると申します。その後、昭和二十七年に特別天然記念物に指定され、昭和二十九年には新潟県の県鳥に選定され、また昭和三十五年には国際保護鳥となっています。ところが、トキの巣を作る営巣地である新穂村では、一昨年から昨年へかけて、五千万円で鉄筋コンクリートの小学校を建てたため、その財源捻出の一法として、はからずもトキの営巣地である山林十二町歩を生椿村落へ売却しました。この生椿部落は、五戸、二十三人の製炭部落であって、協同組合から借金をして山林を買い取り、向こう七カ年に伐採製炭する一方、本年度からこの借金を元利なしくずしに返済していかなければならない事情にあり、もしその山林をトキの保護のためにきらせないとなれば、生椿部落五戸の人々は、たちまち生計の道を断たれる状態にあります。しかし、この部落の高野高治氏は、個人的事情を超越して春から夏を通して、トキの飛来することに、連日その数や時刻を記録して、教育委員会に届け、絶滅一歩手前の世界的珍鳥の保護のために、ひたすら協力しているということでありまして、地元の教育委員会を初め関係者一同から、この事態の解決について熱心な陳情がありました。この切迫した事情を解決するには、結局国がトキ営巣地の山林を買い取り、徹底的保護策を樹立するととにも、地元住民の生活を安定させる以外に方法がないのではないかと思料されるのであります。
 私どもは、また、順徳上皇の上陸地と伝えられる真野の入江に近い佐渡博物館を参観しました。この博物館は、昭和二十九年九月の開館にかかり、発足目なお浅いにかかわらず、自然科学展示室には、地質、植物、コンブ、貝類、魚類、鳥類の標本、人文科学展示室には、考古、歴史、美術工芸、芸能、民俗の各分野にわたる資料が充実しており、また民芸品展示室には、民具、農具、紡織、被り物、運搬具等が整然と陳列されてありました。これらのすべてが佐渡に関係のある文化財資料であって、学校教育、社会教育に積極的に協力して、島内における学術文化の振興に寄与せんとする熱意がよくうかがわれました。
 佐渡におきましては、なお、僻地校に指定されている畑野村立松ヵ崎中学校及び小学校を参観いたしました。この学校のある地域は、西北部に小佐渡山脈を背負い、東南部は佐渡海峡に面して他と隔絶されており、冬季十二月下旬から四月上旬までは、積雪のため島の中心部とのバス交通は途絶し、積雪は二メートル余、標高四百メートル以上の峠道を二十キロ歩くよりほかに方法がなくなり、また、海上の交通も、夏季の隔日航海が、冬季は荒天のため五日ないし一週間も欠航が続き、島の中の孤島と化してしまうということであります。また、この地域には、一軒の書店もなく、医療施設も不完備であり、子弟の高校進学には、家庭からの通学が不可能なため、月額六、七千円を要する状態であると述べられました。この中学校では、学校植林が伝統的教育指導として特色を持ち、生物愛、郷土愛、祖国愛の教育、人間育成の教育として道徳教育指導の場ともなっていました。学校植林はまたこの地域に最も適した生産教育として効果を上げているということでありました。僻地学校の悩みとして、教職員の定数をせめて教科目の数まで増加してもらいたい。現在の陣容では、無免許の科目を担当する教員が多く、教育効果も上がらず、僻地教育の後進性を除去することができません。この学校の教員で勤続年数の最も長い者は十三年、最も短い者でも六年に達している。僻地教員の人事交流が円滑に実施されなければ僻地教育の振興は期しがたい。また、僻地勤務教職員の福利厚生に関しては、子弟の進学、住宅難、物資不足、家族の病気、娯楽機関のないこと等々各種の悩みがあることなどが校長から述べられ、僻地勤務の教職員に対する恩典として、僻地勤務年数の恩給への特別加算等の措置を考慮してほしいとの陳情がありました。
 次に、新潟市におきましては、県教育委員会及び新潟大学本部に参りました。県教委からは、学校安全会の運営状況、産休代員の配当状況、学校給食の実施状況、その他教育一般についての報告がありました。学校安全会は、幼稚園から高校まで及び保育所等の加入は九五%に達し、共済掛金の納入も九五%を示していました。事故発生数は四月から八月までに報告されたもの千三百十一件、その治療費は二千二百四十七円の程度でありました。義務教育生徒児童の保護者負担金の全額を町村費をもって支払ったものが数カ所あり、これらの共済掛金の全額を公費で負担されるよう、各方面から要望されているということでありました。産休代用教員の補充は百パーセント行なわれていました。
 学校給食は、完全給食を実施しているものが小学校の六二%、中学校の一八%であり、高等学校では人員数において全国の七位、盲ろう学校では同じく全国の二位であるということでありました。新潟県は、財政再建団体であるため、教育予算についても窮屈を免れない現状にあり、給食新設校の設備補助費の増額及びすでに開設している学校についても施設設備の不備不十分なものは、これを新たに補助対象としてもらいたいとの要望がありました。
 なお、県教委当局から、三十六年度の教育予算について、(一)すし詰め学級の解消。(二)高等学校急増対策。(三)科学技術教育の振興。(四)父兄負担教育費の軽減。(五)青少年教育の振興。(六)社会教育の振興(七)特殊教育の振興。(八)僻地教育の振興。(九)学校運営の正常化と管理指導体制の充実等について陳情がありましたが、その内容の詳細は会議録に掲載することといたします。
 新潟大学におきましては、伊藤学長から当面の問題点についての説明がありました。その一つは、現在医学部の付置研究施設である脳外科にさらに講座を増加して大学の研究所としたいこと。第二は、長岡の教育学部分校の付属小中学校の校地を交換して他に移転すること。第三は、医学部付属病院を改築すること。第四は、教育学部校舎を改築することでありました。特にこの教育学部は明治七年に創設された新潟師範学校の後身であり、その校舎は、明治四十三年の新潟市大火の後に再建された木造校舎を襲用したものでありますから、自来、風雨積雪にさらされることすでに五十年、今や柱傾き、床湾曲して腐朽損壊はなはだしく、台風、積雪による危険はきわめて大きいのであります。この老朽校舎の改築と近代設備充実のため、父兄後援会や同窓会などの関係者が相はかり、昭和三十三年十二月に、新潟大学教育学部校舎改築促進期成会を結成したのでありますが、膨大な建造費を要することや地元負担金等のため、所期のごとく進捗せず、本年七月に至り、各方面に陳情して賛同を得、期成会を発展的に改組して、新潟大学教育学部改築期成同盟会を結成し、学内にもまた新潟大学教育学部改築学生促進委員会が生まれて、校舎改築の促進をはかりつつあり、すでに地元寄付の七千五百万円も予定され、建坪四千余坪、総工事費三億円をもって三カ年で竣工の計画が立てられているということであります。私どもが実地に検分しました二、三棟の校舎も、屋根は波打ち、窓の開閉が不可能な教室も随所に見られるばかりでなく、「危険につき閉鎖」と張り紙された研究室も二、三にとどまらない現状でありまして、その危険度はもはや教職員や学生に生命の危険をさえも感ぜしめるに十分な限度に達しているとさえ見受けられたのであります。
 新潟大学教育学部については、新潟県内の三カ所に分散する校舎の統合の問題が未解決であって、それらの問題がこの危険校舎改築の遅滞に何らかの影響をもたらしているやの印象をも受けましたけれども、事態はすでに人命にもかかわる状態にまで進んでいるのでありますから、関係当局の急速な措置により一日も早く校舎の改築が実現されることを私どもも強く希望する次第であります。
 次に、山形県について申し上げます。山形県では、まず鶴岡市の山形大学農学部と致道博物館を視察し、市の教育委員会から教育の一般説明を聞きました。また。酒田市においては第四中学校と本間美術館を視察し、市の教育委員会において一般説明と陳情を受けました。それから湯殿山中の僻地校を視察し、その翌日、山形県教委において県内教育の一般状況を聴取し、次いで山形大学本部において大学の現状についての説明を聞きました。
 以下主要点について申し述べます。
 山形大学農学部は、昭和二十二年に設立認可となった農林専門学校が、二十四年県立山形農業大学となり、同年五月山形大学設置とともに、その農学部として発足したものでありまして、農学、林学、農業工学の三学科からなっております。宍戸学部長の説明によれば、県立農大としていまだ完成を見ないまま、直ちに山形大学農学部に移管されたことなどにより、教員組織の面において欠陥があり、完全講座制を充実できないことを遺憾としているということでありました。ここでも研究費、旅費、学生実習費、機械購入費、化学薬品費等の不足が訴えられ、特に旅費については年間総額四万五千円という少額であって著しく窮屈を感じているということでありました。
 鶴岡市で特筆大書すべきことは、この地が学校給食の発祥地であるということであり、明治二十二年に大徳小学校において実施以来、本年が七十周年記念に当たるということでありました。現在市の小学校二十五校、中学校十一校の大部分が完全給食を行ない、大いに成績を上げているということでありました。
 酒田市におきましては、市教委から学校給食、産休代員補充、学校安全会の運営、文化財保護等の現状について報告を受けましたほか、私どもが実地視察をいたしました市立第四中学校についての説明を受けました。第四中学校は、三つの中学校を統合したものでありまして、総額百六十万円を投じて校舎を新築し、ほぼ完成に近づいております。統合当初は多少感情的にしっくりしない点もあったが、現在では不平の声もなくなり、円満に運営されているということでありました。生徒の通学距離は最上川上流地域の七・八キロが最も遠く、六キロ以上の地区からの通学生は生徒総数九百十五人中、約一割の九十名余りあり、これらの生徒に対してはバス賃を市から支給しており、年間一人八千六百四十円、総額約百万円に上っているということでありました。
 酒田市教委からは、また、次のような要望がありました。一、中学校の技術家庭科の設備費を増額するとともに、教員養成をすみやかに行なってもらいたいこと。二、養護教諭と事務職員の配置を行なって、現在の手不足を解消してもらいたいこと。三、教員の通勤費の額を拡大して、任地居住者にも均霑させ、また僻地教員の人事交流を円滑にしてもらいたいこと。四、市立高等学校の校舎増築には何らの補助金も与えられていないが、高校急増対策に迫られているおりから、せめて起債は認められるよう措置してもらいたいこと、等であります。
 次に、僻地学校について申し上げます。私どもは湯殿山中の大網小学校の田麦俣分校を視察いたしました。この学校は東田川郡朝日村に属し、鶴岡市から約二十キロ南東にある大網小学校から、さらに八キロほど隔たった山中にありますが、冬季は積雪のため唯一の交通機関であるバスも通わず、交通は全く途絶し、文字通り陸の孤島となるということでありました。ここから中学校へ進学するには二十キロの距離かあり、冬季だけでも寄宿舎の設備が強く要望されておりましたし、僻地教員の研修のための旅費の増額も要望されました。
 山形県教育委員会におきましては、県内の教育一般についての説明と要望とを聞きました。
 まず、文化財については、国への要望として、一、文化財保護行政担当職員設置のため人件費の補助を行なってもらいたいこと。二、積雪寒冷地域にある文化財の管理には特別補助を行ない、文化財の修理については高率補助を行なうようにされたいこと。三、埋蔵文化財の取り扱いに関する、現行の文化財保護法と遺失物法の二法適用を、文化財保護法のみで処理し得るよう、関係法の改正を望みたいこと、などが述べられました。
 学校安全会の加入状況は、国公私立とも百パーセントであり、災害発生は、本年四月から七月までに千百七十三件、うち死亡四名という報告でありました。
 日本学校安全会山形県支部の運営を円滑にするため、関係機関から運営審議委員の推薦を求め、また審査員の委嘱を予定し、支部の運営及び給付の適正を期したいと考えているが、安全会の事務加入契約、掛金収納、災害給付の審査、給付金の支払い通知、送金等繁雑であるばかりでなく、契約の相手方は多数を対象としているため、現在の三名の職員では不足であって、増加の必要があると語られました。
 また、三十五年度の支部の事務費二十一万円が本部から支給されているけれども、これは所要額の五分の一にも達しない貧弱なものであるから、事務費の大幅増額が必要であるし、市町村教育委員会に対する事務費についても、日本学校安全会がこれを交付するよう措置されたいとの要望がありました。学校給食については、小麦粉等の政府売り渡し価格の値上げにより保護者の負担増となったため、山間僻地においてはこの負担にたえないため、学校給食は中止または開始延期のやむない現状にあり、窮地に陥る懸念があり、このため実地回数を減じ、栄養量を確保するため比較的安価なカルシウム、ビタミン等の化学的栄養剤を使用して、栄養強化をはかる等の方法を講じており、一般の食生活と同様に合理的栄養の組み合わせによる学校給食の自然のあり方を破壊しつつある。
 学校給食の教育上の効果や、児童、生徒の体位の向上、体質の改善、国民の食生活の改善等の重要な目的から、これが実施を円滑にするためには、小麦粉、脱脂ミルクの政府売り渡し価格の値上げは致命的打撃であるから、これを格安に売り渡すよう措置してもらいたいとの要望がありました。
 産休補助教員の配置については、本県においては百パーセントに措置されており、産前六週間、産後六ないし八週間、前後を通じて十四週間まで与えることができるように条例によって定められているということでありました。
 次いで、僻地学校の状況についての説明があった後、公立文教施設の整備、高等学校生徒の急増に伴う施設設備の補助、科学技術教育の振興、学校職員の勤務条件の改善、市町村教育委員会事務機構の充実、社会教育施設設備費の増額についての熱心な要望がありましたが、その内容の詳細は会議録に掲載することといたします。
 なお、本県知事部局からの要望として、青少年対策事業の整理統一について発言がありました。すなわち、現在、青少年対策の実施は、母子福祉、職業安定、農政、蚕糸、農地開拓、計画管理、社会教育等多岐の分野にわたっており、内容的にも同工異曲の感がするものもあり、また、これが研修を受ける青年の個々人はほとんどすべての分野に関係を持つ形となって、応接にいとまないありさまであるから、結局効果も上がりにくいうらみがある。よろしく中央において整理統合をはかられ、時間的にも内容的にもより効果あらしめるよう工夫してほしいとの趣旨でありました。
 最後に山形大学について報告いたします。
 山形大学は、文理、教育、工学、農学の四学部からなっており、昭和二十四年五月から新制大学として発足したものであります。
 関口学長の説明によりますと、現在重要懸案事項として、山形地区施設の統合整備と工学部に精密工学科を新設することとがあげられました。施設の統合整備は、文理学部の隣接地を拡張して、教育学部及びその分校を文理学部地区に統合整備することであり、昭和二十九年度において文理学部の現有敷地二万坪の南隣接地一万六千余坪を買収して総合運動場として整備を完了し、旧文理学部の運動場約六千坪の敷地に所要建物を新築することとしております。
 教育学部の移行には最低限度約四千九百坪の建物新営を必要とするので、そのうち約二千八百坪は教育学部の現有の施設を対象として、山形県と対等の施設整備を条件に交換の措置を講じ、残余の二千百坪の施設は国費により整備する予定であり、交換措置のために県において必要とする経費は一億三千五百万円程度、国費による整備の経費は約一億一千余万円の見込みであるということでありました。この交換措置は、県立北高等学校の敷地が狭隘であり、かつ建物も改築を要する段階にきているので、同校の施設を処分する財源を主体として移転を計画していたことによるものであるが、赤字再建団体である県の財政事情の好転に伴い積極的に折衝中であるとのことでありました。
 工学部精密工学科は現下の工業界において最も要望の多い、しかも極度に不足を来たしている精密工業関係技術者を養成するため、この学科を新設するものであります。
 本学においては、学生部を中心に厚生補導業務の組織を設けまして、補導教官、担任教官、学生相談所等を置いて、学生の集団及び個人の指導助言に努力しているが、学内における厚生補導の施設設備の不備が著しく、これらの教育効果を阻害している。現在、学内にある厚生福祉施設はわずかに狭隘な食堂と理髪所及び健康相談所等にすぎない状態であって、大学の施設の貧困は、学生が学園を自己の生活の場とする観念をなくし、学園を無味乾燥にしている。また、学生と教官とが常に互いに接触することは教育に最も重要なことであるが、現在は学生と教官が語り合う場所がなく、学生会館の建設が緊急課題であると述べられました。
 学生の課外活動は学部ごとに結成されている学友会を中心として行なわれ、さらに各学部学友会を一丸とした連合体を結成して有機的に活動しており、文化、体育等の諸活動を通じ健全な発達をしつつあるということでありました。
 また、現下教育界における重要問題の一つである全学連の一環としての自治会活動は、本学においては比較的低調であって、各学部ともに自治会は結成されておらず、数年来文理、教育両学部の一部学生によって自治会結成の動きが見られるが、同調するものが少なく、概して学生活動は平静であるとの報告でありました。なお、教育研究実施上緊急に措置を必要と認められる事項として自然科学系統の教育研究用設備の更新並びに新設と教官研究費の増額が強く要望されました。
 以上、第二班の報告を終わります。
○委員長(清澤俊英君) 豊瀬委員の報告中にありました、山形県教育委員会の要望書及び新潟県教育委員会の陳情書を会議録に掲載いたすことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(清澤俊英君) 御異議ないと認めます。さよう取り計らいます。
 ただいまの各班の報告に対し御質疑がございませんか。
○安部清美君 各班それぞれ報告いたしました通り、各班共通の問題もたくさんあると思いますし、特定の問題も多いと思います。この際その一々について文部当局の意見を聞きたいと思うのですが、時間もかなり過ぎておりますから、文部省において、今報告いたしましたことを検討されて、次の委員会の機会にまとめてその回答をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(内藤譽三郎君) 次の機会に提出いたします。
○委員長(清澤俊英君) それじゃ次の機会に取りまとめて報告いたします。
○豊瀬禎一君 今の扱い方でけっこうですが、特に新潟大学を視察しまして感じましたことは、大学に昇格する際に分校を設置したために、現在の報告書にもありましたように、教育学部のああいう老朽校舎にあるにもかかわらず、この統合と分離問題がそれぞれ異なった意見のもとに進められておるために、老朽校舎の改築ということがおくれておるというのが現状でないかと思います。この種の問題につきましては、単に新潟大学だけでなくて、全国に幾つかの類似した問題があると思うんです。で、いわゆる学芸大学、あるいは教育学部の分校、あるいは本部との統合問題につきましても、次回にかなり詳しい計画なり基本態度なりを明らかにして出してほしいと思います。
○説明員(春山順之輔君) ただいまの御要望は、十分調査して、御要望にこたえる資料を出したいと思います。
○委員長(清澤俊英君) 他に御質疑はございませんか。――御質疑がございませんようですから、派遣委員の報告はこれをもって終了いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(清澤俊英君) 次に、板付飛行場周辺の防音施設に関する件につき調査を進めます。質疑の通告がございますので、この際発言を許します。
 ただいま出席しておられるのは、文部大臣はもうじき、五分ぐらいすると見えますが、福田監理局長、真子調達庁次長、柏原不動産部長、新保大蔵省主計官が出席されております。
○豊瀬禎一君 板付飛行場周辺にあります学校の防音施設の問題について四、五点ただしたいと思います。
 この件に関しましては、昨年の九月でしたか、大臣以下に質問をいたしまして、それぞれ大臣並びに本日も御出席の柏原さん、あるいはその他の方々から御答弁があっておりますが、その際私が主として重点を置きましたのは、第一に爆音そのものが日々に大きくなっておる、すなわち機種の改造によって飛行機の爆音が大きくなっておるのに、防音施設はある一定の時期に調査されたものに基づいて行なわれていくために、竣工したときは爆音に対して不適当な装置になっておるという、何といいますか、イタチごっこの矛盾と、特に板付のような大きな軍事基地は、少なくとも現在の政府の重要な政策の一つとして設置されておる問題であるから、この爆音の被害の解消という問題については早急に国の責任として抜本的な解決をはかってもらうように要望いたしておきました。その際、松田大臣も趣旨はその通りでありまして、板付のような大きな軍事基地の周辺の爆音による被存の問題は、市当局の責任や居住民の被害状況がそのまま放置さるべきでなくして、十分文部省、調達庁、大蔵省等と相談して、早急に解決していきたいという旨の答弁があっております。この、先の委員会における誠意ある御当局の答弁を基礎といたしながら、まず私は質問に移る前に、一応簡単に被害状況の説明をいたしておきたいと思います。
 すでにみなさんの中にもかなり多くの人がジェット機の爆音の被害につきましては十分御承知のことと思います。私も前回申し上げましたように、板付の飛行場の滑走路から直線距離にして五百メートル以内のところに居をかまえておりました関係から、身をもってこの被害を受けておるのですが、先ほども申し上げましたように、F86が参りましたころは、爆音の平均が百一フォン、最高が百十フォンでありました。ところが、現在機種が改良されてF102になりますと、平均が百七、最高は百二十七フォンの大きな音に達しております。参考までに申し上げますと、一フォンというのは大体木の葉が地に落ちるときに出す音の程度のものでありますが、これの百倍ということでなくて、フォンは自乗でありますために、その音がいかに大きいかということはよくおわかりと思います。と同時に、あとでも質問の際、詳しく申し上げたいと思うんですが、機種が改造されたために、従来は滑走路から飛び上がった飛行機が旋回をして高度をとるための距離というものが短かったのでありますが、現在あの胴体が三角になっておるコンベア等の飛行機は、F86や100の時代よりも旋回距離もずいぶん長くなっています。そのために従来の一応予定されておりました施設区域外にまで被害が及んでおるのであります。さらに福岡市の教育委員会におきまして、板付の周辺の学校の三十一校につきまして非常に綿密な調査を行なっておりますが、飛行回数も一時間に――授業時間の一時間のうちで十二回ないし十五回にわたって飛んでおります。そのために学力の低下あるいは聴力に対する障害、特に疲労が大きいということ、それから前回も申し上げましたが、二十数件も板付周辺の基地において事故が起こっております。あるときのごときは一瞬にして数名の人が焼死いたしております。席田小学校の中にも不意に機関銃弾が飛び込んだ事件がありました。こういう点からして飛行機種が発達してくると、その危険度も増大するわけでありまして、木造校舎に飛行機がもし墜落するような事故があった際には、非常に大きな事故が憂慮されておるのであります。さらには家庭に帰りましても、防音装置のない家庭におきましては、テレビ、ラジオの聴視がきわめて不能であるし、自宅学習も困難な状況にあります。大まかに申し上げまして、福岡市の九十一校のうちの三十一校、三五%の生徒がこの爆音のために日々の教育障害を来たしおるわけであります。
 ここで簡単にその状況を説明いたしたいと思うのですが、御承知のように飛行機は飛び上がる前に始動を行ないます。この始動音というものは上空を飛翔しておるときよりももっと大きな音を出すのですが、これも三十五年の二月一日から三月三十一日までの継続調査によりますと、始動音による継続時間、いわゆるジェット爆音をぶうっと鳴らしておる時間が一時間に七分、一日に五十五分、旋回による継続爆音の聞こえる時間が、一時間に六分、一日に四十五分、飛行頻度は先ほど申し上げましたように一時間のうちに平均十三回、一日に九十五回の多きに達しておるのであります。
 ここで簡単に聴力、学力の低下について御説明申し上げたいと思うのですが、一番ひどい学校の東吉塚、月隈校と、学級数、児童数、生活環境の類似しておる百道小学校と原小学校について調査が行なわれております。東吉塚は飛行場から千七百メートル、月限が六百メートル、百道小、原小はそれぞれ八千メートルの距離に離れておる学校、これらの学校におきましては、非常に多くの生徒の調査の結果によりますと、ジェット機の爆音と同じ程度の音、周波にして四千サイクル、この音については聴力の低下をほとんど全部の生徒が来たしております。大きい音を出しましてもきょとんとして、何といいますか、音が聞こえないような状況になっております。ところが、他校におきましては四千サイクル、五千サイクルという高音域におきましては聴力の上昇を来たしておるわけです。従って、いつもジェット機の爆音にさらされておる子供は、高音域においては聴力の低下を来たしておるという現状です。さらに、二十八年の六月八日文部次官通達によりますと、ちょっとややこしい数字になりますけれども、デシべルというのは音の一つの測定の基準ですが、三十デシベル以下は軽度の難聴であるという通達が出ております。ところが、今申し上げました両校におきましては、ほとんど全部の生徒が平均十五デシベルだけ聴力が落ちております。いわゆる軽度の難聴の半分になっておるわけです。こういうふうに、高音城においても聴力が低下し、聴力値も落ちておるという状況です。特に放置できないのは、学力低下の問題ですが、二つだけ例を申し上げたいと思います。この調査は中学校の高校進学率の低下という点と、文部省によるところの学力調査の二つを説明したいのですが、箱崎、福岡中学、千代中学校というのは、中学校が新設されたときには福岡市におきましても最も高等学校の進学率のよい学校でありました。ところが、三十二年、三十三年の統計によりますと、家庭環境の変化がないだけでなくして、大体箱崎中学におきましては、千代中学におきましても、いわゆる父兄の職業は公務員関係その他の人たちがふえておりまして、むしろ上昇したと見られるのにもかかわらず、この基地の学校におきましては、進学率が三十二年は四五・七、その他の学校におきましては五三・四、全市平均五〇・六、この爆音がひどくならない前におきましては、これらの学校は全市平均をはるかに上回っておった学校であります。さらに文部省学力調査を三十四年度の例をとってみますと、国語におきましては全市平均が五六・九七、東光小学校におきましては、五一・八、算数におきましては、全市が四九・七であるのに四六・八と低下をいたしております。それだけでなくして、生徒の家庭における世論調査の結果では、うちに帰って爆音のために勉強を途中で取りやめる、いわゆる勉強を中止するという者が七一%の多きに出ておりますし、やかましくて勉強できず腹がたつという無邪気な意思表示をしたのが二三%、朝夕の学習は特にできないという者が一二%出ております。その他眠れないという者が一二%から三六%、一晩に目をさます、数回目をさますという統計が何と四九%、住民の半数はそういう現状に置かれております。
 もう一つだけ御報告申し上げたいのは、了解度試験と明瞭度試験というのをやりました。これは意味のない言葉を録音にとりましてきわめて発音のよい人が録音にとりまして、それを音のしないときと、爆音時とやるのですが、コシカケを逆にしたケカシコという言葉に対して、はなはだしいのはイチコとかケンシンとか、こういう答え方をしております。これは爆音のしないときはケカチコとかケナシコとかいう程度の間違いしかないわけです。
 こういうふうに、一時間々々々の先生の言葉あるいは友だちの発表というものも、非常に不明確に受け取り、了解度も減少しておるのであります。この明瞭度試験と了解度試験の統計を申し上げてみますと、月隈小学校におきまして五百十二問を出しました。ジェット機の最高音は百二十七フォンですが、その半数に近い六十三フォンの中で、正しい答えを出した者が二百七十問、五三%であります。了解度試験におきましては、同じような状況の中で、これは八一%の爆音のあるときの、正しい答えが出ています。従って了解度と明瞭度におきましては、明瞭度の方がはるかに劣っておるということを、この調査は示しておるのであります。
 以上、一応私は時間の関係もありまするので、簡単に爆音の被害状況を報告いたしました。このほかにラジオが途中で聞こえなくなったり、ジェット機が飛翔しておるときには、テレビが映っておっても全然音は聞こえません。いわゆる口だけ動かしておって、音のないテレビを見ておるという時間も非常に長いのでありますし、当時は新聞でも騒がれましたように、鶏が卵を生まなかったり、あるいはお産の人、病気の人が非常に困ったという現象も毎日続いておるわけであります。
 そこで私はこういう現象ので、まず一番にお尋ねいたしたいのは、先ほどから申しますように私どもの立場としては、現在の日本国憲法の中で外国の軍事基地があるということは、これは憲法違反であるという立場をとっておるのでありますけれども、きょうはそのことについて触れたくないと思います。ただこの軍事基地が、いわゆる安全保障条約あるいは基地貸与協定等によるところの、国の大きな政策として行なわれておる。その政策の具体的な現われから、飛行場のある周辺の住民、あるいは教育上に非常に大きな降雪を来たしておるということを、強く強調したいわけです。そこで私が第一にお尋ねいたしたいのは、こういう状況を、本年度は福岡市に四億円差し上げます。あるいは横田周辺に幾ら出します、次年度は幾ら出しますと、こういう小刻みな予算支出をしていただきますと、先ほどから申し上げましたような一時間の中で十何回、一日のうちでは五、六十回という回数、授業中に飛行機が飛んでおるために、それだけ毎日毎日教育低下を来たしておる。これを国の予算が不足しておるからということで、何カ年間もかかって、しかもまだ多くの単校は、何年度にはっきりと防音施設が設備してもらえるかどうかも不明のままにあるわけです。そこで私はこのことは、少なくとも国の責任で、早急に爆音の被害を受けておる学校は、一年ないしは二カ年間の短期計画のもとで、早急に完成さるべき問題だと思うのですが、この点に関しまして調達庁は特に今日まで非常に御好意ある態度をとっていただいておりますが、調達庁、大蔵省さらには文部省の見解、特に文部省につきましては、こういう学校教育に障害を来たしておる問題について、今日までどういう具体的な態度を調達、大蔵当局に対して折衝してきたか。見解と経理についての御報告をお願いいたしたいと思います。
○説明員(福田繁君) お尋ねでございますが、文部省といたしましては、板付のような非常に膨大な基地から起こりますいろいろな教育上の支障につきましては、できるだけすみやかにその障害を除いていただきたい、こういうような考え方をもちまして、これはまあ御承知のように特損法の問題でございますので、調達庁等と十分緊密に連絡いたしまして、防音装置を施し、あるいはまた、完全な防音装置をいたしますにはどうしても木造を鉄筋に改築するという問題がございますので、できる限りこの木造を鉄筋化していく、こういうような建前でやってきたのでございます。従って三十四年度までに大体三十一校、今年度も大体調達庁の方といろいろ相談をいたしまして約二十校程度防音工事を実施する、こういうような予定をいたしておるわけでございます。従ってまあこれらの学校につきましても、先ほどお述べになりましたように、飛行機の発達が非常に急速でございますので、機種の変化等によりまして、以前に防音工事をやりましたものがさらにもう一ぺん完全な防音工事をやらなければならぬというような事柄もございまして、なかなか予算等に制約されますので十分でありませんけれども、できる限りこれをすみやかにやっていきたい、こういうように考えておるわけでございまして、今後につきましても、従前と同じように調達庁その他の関係の部署と御相談申し上げていきたい、こう考えております。もちろん文部省自身といたしましても、これは特損法の問題でございますけれども、不正常授業の解消あるいはまた危険校舎の改築というような、該当するような校舎につきましてはできる限り文部省の手続によりましてこれをやっていきたい。こういうような方針で扱ってきておるわけであります。
○説明員(真子伝次君) 飛行場から発進しまする、また飛行場から飛び立った飛行機が飛行中に発する爆音あるいはテスト音というものによって、非常に周辺の方に、関係方面に御迷惑をかけておることは事実であります。で私どもは、御承知の通りこれが対策として、特損法に基づきましてできる限りこのまず公共施設、特に法に基づいて学校について教育効果を阻害しないようにこの防音工事を施すということを最も力を入れて予算を使い、精力を傾けておるわけでありますが、なお、昨年度からは病院に対しましても公営私営を問わず防音工事を実施する、こういう方針になっておる次第でございます。しかしながら、その騒音度が、今も豊瀬先生のお話のように、私どもがいろいろ防音工事を施して参りましても、飛行場で、あるいは飛行場周辺に活躍する飛行機はだんだん発達いたしまして、その騒音度がわれわれが予期した以上に先回りして激しくなっていく、従いましてその被害も大きくなるという実情でございますので、あとから追っかけるような形でありますが、できるだけ関係方面の御協力を得まして、調達庁ももちろん中心となってその騒音度を測定し、あるいは被害の実情を検討し、できる限り防音工事等によってそういった教育阻害等のないように、あるいは医療の損害もないように注意するとともに、一方テスト音等によって爆音が必要以上に場外へ発散しないような工夫をどうしたらいいかということをいろいろ検討いたしておる現状でございます。板付周辺の学校につきましては、これまでに昭和三十四年度で三十校、三十五年度において七校を実施いたす予定でありますが、昭和三十六年度におきましても鉄筋化防音工事二校を含めまして、ただいまのところ合計十五校の予定で防衛支出金の予算を要求中でございますが、明年度のこれが実施の際におきまして、私どもが今続けて調査しておりまする爆音、騒音度が非常に激しくなるという事実が明らかになりますれば、予算の範囲内で計画をさらに修正して防音工事等を実施するというようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
○説明員(新保実生君) 駐留米軍飛行機の機種の変化に伴いまして、ますます騒音による学校の教育効果の低下ということがひどくなっておるという事情は、現地の方々からも何回か承りまして理解しておるつもりでございます。三十五年度の予算におきましては、前年度に比べましてある程度増額いたしたわけでございますが、なお、予算実行の段階におきまして他の費目に余裕があれば極力そちらの方へ充当するようなことをいたしまして、防音工事関係の予算の増額に努めておる状況でございます。今後におきましてもさらに努力して参りたいと考えております。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 基地周辺の学校教育に支障を及ぼしております騒音防止対策については、具体的にそれぞれの担当部局から御答弁申し上げた通りでございますが、何にせよ文部省自体の予算でございませんために、いわば間接射撃になるような格好で非常に不便な気持はございますけれども、しかし、何としても学校教育が、やむを得ない騒音とはいいながらそのために阻害されることは、学童生徒のために申しわけないことでございますから、従来とも調達庁と十分連絡をとりながらできるだけのことをということでやってきておりますことは御答弁申し上げた通りですが、今後に対しましても御質問の御趣旨まことにごもっともでございまして、できるだけの連絡を防衛庁当局と調達庁当局に十分とりまして予算獲得等には努力いたしたいと思っております。
○豊瀬禎一君 それぞれ御答弁がありましたが、私の聞きたいことは、前回の九月の委員会でも申し上げましたように、文部省、大蔵省、調達庁、それぞれ御努力をいただいておることはよくわかる。しかし、委員会で前回も松田大臣も、宮澤次官も、それから吉岡という次長さんもその他の人々も、これは国の責任である、一日も放置できない問題だ、従って鋭意努力します、研究しますと、こうおっしゃっていただいたわけですが、今も大体似たような御答弁を特に大臣からもいただいたと思うのですが、ちょっとこれをごらんいただくと、これが滑走路ですが、赤と青のあれがあります。青はすでに防音工事ができておる、鉄筋化されたところですが、赤はこれだけの学校がまだそのまま残っておるわけです。先ほども何度も申し上げましたように、一時間の授業の中で十三回、一日で多いときには百何十回も飛行機が飛んでおるために、現に授業が、先ほども申し上げましたように、一日の授業の中で四十何分と五十何分の間は、すなわち二時間に近い時間は延べにして支障を受けておる、こういう状況の中で、今年度は三校実施します、次年度は鋭意努力をしていきます、こういうことではやはり地元としても非常に、軍事基地に賛成、反対、あるいは再軍備に賛成、反対という、そういった一つの政策的な立場の相違を除いて、現に子供たちが一日五時間ないし六時間の授業の中で八十分から九十分の間は爆音のために授業を受けられていない。この教育上の損害、マイナスというものは、これは、これが一千億も二千億もするならば、これはなかなか大臣も簡単には解決できないでしょう。しかし、板付周辺の全体を解決するのに、市の教育委員会の資料によりますと二十億は要らないはずです。そうすると、一兆五千何百億という本年度の予算の中で二十億というのは、これは微々たる金額です。そうして、しかも子供たちが、生産事業であれば他日取り戻すことができます、しかし、義務教育における小学校から中学校までの在校時間ももちろん、家庭に帰っても爆音のために勉強ができていないというのが七〇%もいます。これを、いつまでには国の責任で完成しますという一つの見通しがないことには、地域の人々としてはなかなか安心のいかぬ問題だと思う。特に先ほども申し上げましたように、昨年度も文部大臣は━━これは文部省の予算でないことはおっしゃるまでもなくわかっています、しかし、事教育に関する限りは自分の省の予算でないといって放置できない問題だと思う。私は、文部省は大体被害調査をどうやったかを聞きたいところですけれども、これはきょうはその責任は問わないことといたしまして、文部省としてこれだけ多くの子供が毎日毎時間被害を受けておる問題を、何年計画ではっきりやってもらうという一つの何といいますか、完成計画を持たないということが問題だと思うのです。それで、もう一度大臣にはっきりと板付は申すに及ばず、その他の基地周辺の防音工事は少なくとも学校に関する限りでは、あなたがいつまで大臣にあられるかどうか、これはわかりませんけれども、私としては少なくとも二カ年間程度では、最大延ばしてもその程度ではやってもらいたいと思うのですが、いわゆる全部を完了してしまうのは一年か二年か三年か四年かわからぬけれども努力するということでなくして、何年間の間に最大これだけのことはきちんとやりたい、そういう点を大臣の決意として承りたいし、特に大蔵省にお聞きしたいことは、予算の際に、調達庁から、あるいは文部省から要望されてもそれぞれ削られるわけでしょうが、先ほどから言いますように、大体、全体を完了することにしても、鉄筋改築を必要とする学校が私どもの考え方では十二校あるわけですけれども、これの予算は全体にして国の補助費は二十億をこさないと思うのですが、これだけの予算は少なくとも今年度、あるいは次年度までには出してもらって、そうして軍事基地があるために五時間の授業のうちで七十分、八十分の授業を爆音のために実質受けていない子供に対する責任をはっきりしていただきたいと思うのです。もう一度、努力しますということではなくて、完全鉄筋化の防音施設を何年度まででやってしまうという決意を持っておられるかどうか、簡単にお聞きしたいわけです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) ただいまお話のような関係に立つ学校施設整備につきまして、十五校分かを概算要求してもらっておると聞いておりますが、相なるべくはそれを一挙につぎ込みたいという気持もむろんございますけれども、ただ全国的な対象として、おのずから緩急順序も、今までに約束されたりなんかしておりましょうから、意気込みだけはそうでございましても、一挙に御要望に沿うということは事実上困難かとも想像いたしますが、少なくとも二年、三年計画では要望にこたえなければ義理が済まないような気持でございます。そういう気持であらゆる努力をいたしたいと思います。
○説明員(真子伝次君) 鉄筋化のお話がございましたが、現在の鉄筋化計画はF100Dジェット機に対処するもので、それに対処して計画をいたしたものでございますが、板付周辺におきましては昭和三十五年度に実施中のものが御承知のように東吉塚小学校と席田小学校でございまして、昭和三十六年度以降に鉄筋化したいという考えを持っておりますのは吉塚小学校、東光中学、板付小学校、大野北小学校、計六校でございます。なお、私どもは、なるべくこういったことをたくさんやりたいという気持にもちろん内心燃えておりますけれども、実際の調達庁の予算は、すべてのものを含めまして事業費が防衛支出金におきまして昨年の成立が約五十五億であったようなわけでございましてこれを全国の基地関係の施設費に充てておるものでございまして、なかなか一挙にどこだけ片づけるというわけには参りませず、全体としてこれをあんばいをしていかなければならぬ関係にございますので、非常に予算上の制約等むずかしい点がございます。先生のお話のように、板付周辺で、われわれもまだ全然着手していない、これから防音工事を飛行場付近で着手しなければならぬと思っておりますものが約二十数校ございまして、その予算も先生のおっしゃる通り二十数億を必要とするというふうに考えられますが、全体の調達庁のワクの予算がその程度でありますし、昭和三十六年度の予算要求の仕方としては前年度の五割増し、五〇%以内で予算要求することに押えられております関係にあり、国全体の予算を考えましても調達庁があまりわがままも言えませんので、地元の御希望に相当隔たるかと思いますが、今後はできるだけ、しかしながら、こういったことについてあくまでも努力を継続して、なるべく被害の少ないように計らっていきたいと、こう考えておりますから御了承いただきたいと思います。
○豊瀬禎一君 調達庁の予算の中で今日まで非常に努力していただいていることはよくわかっていますし、今の調達庁の予算の中では私の申し上げていることが実現不可能だということもはっきりしておると思う。だから、先ほどから言っておりますように、大蔵当局が予算査定の際に、何度も申し上げますように、爆音で、義務教育でありながら一日のうちで二時間近い授業を実質受けられない子供があるのを、しかも今のお話のように、わずかに二十数億の金であるのを承知の上で予算が出せないというところに私はこの問題に対する認識が足らないのじゃないかという気がするのです。それで、大蔵省から来ておる新保主計官の方に、もしあなたのお子さんが吉塚小学校や東光小学校におられて、爆音のもとで授業をしておるとすると、親としては当然学校をかえられるか、あるいは何でそういう教室を放置しておるか、こういう気持をお持ちになると思うのです。そういう気持を市民にして約三〇%、学校数にして三五%の生徒と父兄は、みなそういう被害を受けておるわけです。だから、調達庁の予算の中でこれ以上のことをして下さいというのじゃなくて、調達庁の必要経費を増額してもらいたい、こういう考え方をただしておるわけですが、その点について、もう少し明確な主計官の御答弁を承りたいとともに、大臣にもう一度お伺いしたいんですが、少なくとも、何度も申し上げますように、教育が爆音によって障害を受けておるというこの問題は、大臣が調達庁予算だからといって放置できる問題じゃないと思うんです。文部省として、もし現在基地周辺の全国の学校数の把握のもとにこれを文部省としては何年度までに防音施設を完成するという計画があるならば示していただきたいし、ないならば、これを十分討議していただいて、臨時国会中に開かれます次期委員会で一応の方針、計画をお示し願いたいと思うんですが、この点はいかがですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど私の気持だけは申し上げたんでありますが、また、これは事実できそうに思いまして、三年ぐらいの間にはと申し上げたわけでございます。しかし、実際のところ、事務当局と十分相談をして、何年までにはどこそこの基地関係の学校施設を、何年度にどこをあてて、三年後には全部解消するという具体的な計画をもって申し上げたんじゃございません。先刻お見せいただいた地図を瞥見いたしまして、今まで数年がかりで何がしかをやった。それをスピード・アップすることによって目見当三年くらいにはでかしたいものだという希望的な気持を決意として申し上げたような次第でございます。なお、次の委員会までに検討をして一応の目安を示せとおっしゃれば、事務当局それぞれ相談いたさせまして、検討後お答え申し上げたいと思います。
○説明員(新保実生君) 現在基地関係でいろいろ問題がございまして、それに対して国が処置しなければならない予算というのが、現在施設提供諸費という形で予算に計上されておるわけでございますが、御承知のように、基地関係につきましては、学校防音以外にもいろいろございまして、三十六年度の予算要求といたしましても、たしか八十五億でございましたか、そういう金額に上っておるのであります。従いまして、学校防音工事のみを特に繰り上げて処理するということは、そういう全体の予算の制約もございまして、非常に困難な事情にあるわけでございますが、しかし、この問題の非常な深刻性と申しますか、緊急性につきましては、十分承知いたしておりますので、来年度におきましては、いろいろな問題の中でも特に優先順位の高いものとして処理して参りたいと、かように考えております。
○豊瀬禎一君 大体先ほども大臣の御答弁で了解いたしますが、一言だけ申し上げておきたいのは、大臣もおいでになったことがあると思うんですが、私も七月三十一日、それから十月と、それぞれ暑いときと涼しくなったときと、その学校を回ってみたんですが、真夏のごときは、木造の中では、もちろん窓を締めておっても、先ほどから申しますような今の爆音の中では防音施設になっておりません。従って、防音にもならないのに窓を締めておるために、通風施設が不完全なために、非常に暑いわけです。七月の何日かのときには、板付小学校の五年の担任の先生の調査では、四十一度に室内温度がなった、こういうわけです。こういう中で蒸しぶろのようなところで汗をぶるぶる流しながら木造の防音設備の中で勉強しておるし、従って、暑いために窓をあけっぱなしで、防音設備はあってもなきにひとしい状況にあるわけです。こういう点も十分考えていただきまして大蔵当局、調達庁の方は十分おわかりと思いますけれども、文部省は、実際に夏の暑いときに当該学校に足を踏み込まれて子供たちがどういう状況で学習しておるかを身をもって体験していただきまして、早急に先ほど大臣の御答弁のように、文部省だけでなくて調達、大蔵当局と打ち合わせをしていただいて、今後の基地関係の防音設備鉄筋化に関する一応の年度計画を立てて次期委員会にお示し願いたいと思います。
 次に申し上げたいのは、これも先ほどからたびたび申し上げておりますように、現在のところ一応調達庁の方でどの区域にあるものは先に優先してやるという基準がございます。これは当然のことでありまして、飛行場の滑走路から直線距離上は飛行機が飛び上がっていくためにやかましいわけですし、また、両横は始動その他の滑走路を走る際にやかましいから、そういう基準があるのは当然と思いますけれども、先ほどこの地図をお見せいたしましたように滑走路直線上から大体二十度の角度の中には三校ありますけれども、これを五十度まで延ばしますと、約十校程度の学校が含まれるわけです。この地図でお見せしますとわかりますように、これが滑走路ですが、この二十度のこの中の爆音の状況と、すぐ隣にある、これが五十度まで延ばした線ですが、この中にある学校とは、爆音が大きくなったために、フォンをはかりましても、もちろん幾分こちらの方が音が低いようですけれども、限界から越えておることは確かに言えることです。同時に、この滑走路から真横に線を引きまして、一・五キロ、二キロ、それぞれの線がありますけれども、この両横に対する爆音も、従来の基地からしますと非常に大きくなっておりますし、この滑走路を飛び上がりますジェット機が従来はこのあたりで旋回しておったのが、次第に旋回距離が遠くなっておりますために、先ほど調達庁の真子さんですかおっしゃったように、大野小学校までも、ずいぶん離れた所にあるのですけれども、爆音で授業困難になっておるわけです。そこで私がお願いしたいのは、従来の滑走路直線から二〇度の角度内にあるというのを、これもこまかく申し上げるといろいろになると思いますけれども、ここでどこまで具体的に広げて下さいということは申し上げませんので、一応早急に調査していただいて、いわゆる適用区域を拡大するという点について現在どのようにお考えか、調達庁の方にお尋ねいたしたいと思います。
○説明員(真子伝次君) 板付飛行場におきましては、本年六月ごろから、基地で使います主体機が従来のF100Dジエット機からF102Aジェット機にかわりまして、騒音のために受ける被害の範囲が拡大しておるものと思われるのであります。で、そういう一般の周辺の方々からもやかましい声が上がっておりますが、福岡調達局に命じまして詳細その実情を調査いたしておりますので、近く、いつとはその期日を切って申し上げかねますけれども、判明するものと思っております。その結果が認められれば、またそれに対する必要な対策を考えていきたい、こういうように思っておる次第でございます。
○豊瀬禎一君 よく、わかりましたが、従来の適用区域から、ジェット機の爆音に応じて拡大していくという、原則線はおとりになっておるようでございますが、さらにもう一歩進んでお尋ねいたしたいのは、現在のところ各省で大蔵省と予算折衝しておりまして、大体ある程度固まりつつあるのじゃないかと思うのです。本年度の予算要求の中に従来の二十度、あるいは一・五、キロの線よりも地域を拡大して適用するという基本的な態度に立って予算要求をしておられるのかどうか。
○説明員(真子伝次君) 現在要求しておりますこの予算につきましては、新しいこの調査でありませんで、さきに申し上げましたようにF100Dジェットを対象とした、これに処する対策として要求しておるものでございます。
○豊瀬禎一君 すでに適用区域の距離に関する基準を改正してもらいたいということは、福岡市当局からあなたのお手元のところにきておると思う。御検討済みと思いますが、大体あの案に対して検討された結果、一応妥当なものとお考えでしょうか。
○説明員(真子伝次君) 今申し上げますように、さらに現実の板付周辺の騒音事情を調査いたしておりますので、その結果答えを出すようにいたしたい、こう存じております。
○豊瀬禎一君 その結論が、大体の結論的なものといってもいいのですが、本年度のいわゆる通常国会に予算が提出される前にプランがきまり、そうして予算折衝の間に合いますか。
○説明員(真子伝次君) この調査は約二カ月くらいかかるものと見込んでおりますので、何とかそれに間に合わせたいと思いますが、確約いたしかねますがそういう見通しでございます。
○豊瀬禎一君 いろいろ御努力いただいておるようですが、すでに適用の地域を拡大するという点につきましても、市当局からすでに十分陳情も申し上げておるところでありますし、また、爆音の被害につきましては十分御承知のことと思いますので、先ほど大臣にお願いしましたと同様に、次回ないしは十一月に開かれます適当な機会に、できるだけあの基準が不当であれば調達庁自体の案を一応まとめてお示し願うようにお願いしておきたいと思います。
 続いて第三の質問に移ります。これも同様に前回の委員会におきまして質問をいたしまして、調達庁としては趣旨はわかるけれども、実際の適用については問題があるので研究したいというようなことを、議事録によりますとお答えになっておるようですし、大蔵省の吉岡さんも、文部省、調達庁のお話を十分伺いまして、よく検討して参りたいと思いますと、こういう御答弁をいただいておる問題ですが、皆さん方には釈迦に説法と思いますが、御承知のように、防音工事をすると換気装置をしなければならないために、ファンを使わなければならない。ところが、福岡市の教育予算の中には一応の限度がありまして、この間参りました、七月三十一日に参りました際にも、市当局から、電灯料をこれだけに押えてくれと、こう言ってくるものですから、きょうはちょっと曇り空ですから、換気装置のモーターを動かさないでがんばってみましたけれども、ちょっと子供の顔を見て下さい、とこういうものですから、東光小学校に入って見てみますと、ファンをとめた二重防音装置の鉄筋の中の教室はかなり高い温度になっております。これはいろいろ現在の法機構の中では問題のあることと思いますけれども、大体、市当局が調査いたしましたものによりますと、授業日数二百四十三日、一日平均それぞれ規模は違いますけれども、現在備えつけられております十二インチから二十インチのファンを小学校で四時間、中学校で四時間半程度動かすとみまして推計した計算によりますと、鉄筋の筥松小学校校では、大体基本料が十万八千二百二十二円、使用料が十一万六千九百何ぼかになりまして、合計二十二万程度の金額になっています。中学校におきましてもやはり同様な現状です。ところが、木造の小学校の吉塚小学校の例をとりますと、合わせまして電灯料が、いわゆる換気装置を動かすための電灯料だけが、これは計算ですけれども━━というのは、メーターは一つでございまして、理科の実験も職員室、宿直室につけている電灯も一緒に計量器の中に入ってしまいますから厳密に分けることができないで、先ほどの基礎に基づいた計算としてやったのですが、八万六千九百十五円になっています。この二つを比較してみまして木造の場合よりも、当然のこととして鉄筋の場合の方が電灯料が三倍程度になっているわけです。三十四年度では、小学校四校、中学校校の電灯料の総計が百二万二千百二十四円、木造の場合が五十万五百三十二円、三十五年度が、鉄筋の場合、小学校六校、中学校四校で百五十六万五千二百三十八円、木造の場合が約十一校で六十三万、このようになっています。これは先ほど申し上げましたように、防音装置の機能を発揮させるために必要な電気料だけは今のところきちんとメーターの中に出てきませんけれども、もし換気装置を動かさなかったら、防音施設というのは空気が変わらないために温度が高くなるし、空気がよごれて参りますし、一時間もあの中に五十何人かを密閉して詰め込んでいると、非常に吐きけをもよおしたり、そういう現象を生じます。従ってこのファンを動かすということは、防音施設とは切っても切れない関係と申しますか、防音施設そのものであると申して差しつかえないと思います。この点につきまして、最少限度防音施設の維持と申しますか、機能を発揮させるための防音施設に伴うところの電気料、これは今大臣や調達庁の方の御答弁によりますと、かなり努力していただいて防音施設を拡大していただくようですが、これがふえて参りますと、ますます膨大になってくる。市田局としては、すし詰め教室の解消やその他の教育予算の問題の解決のために、必ずしも防音施設に対して予算をつぎ込むことはできない。そうすると、結局先ほど吉塚、東光小学校の例でありましたように予算に制約されまして、肝心の防音施設の一環である通風施設というのはストップするという現状です。こういう点を十分御配慮願いまして、もし防音施設に要する電気料と一般の電気料との区別が価額的にきちんと現われなければ問題が困るということでありましたら、そのことは別に解決する問題といたしまして、ぜひともこの電灯料負担につきましては防音施設の一環として国の方で責任をもっていただきたいというのが、直接ファンをとめられて困っておる学校長の願いでありますし、予算を扱っておる市当局の願望でもあるわけです。こういう点を十分お考えいただきまして、今申し上げますように、電灯料の計算の仕方はいろいろお考えいただくとして、基本的に防音施設に伴うところの電灯料というものは、施設の一環としてこれを国で負担していただきたい、このように考えておるのですが、この点を前回からお願いしておるのですが、その後の経緯とお考え方を承りたいと思います。
○説明員(真子伝次君) 御質疑の点でございますが、鉄筋化して防音工事をいたした場合に、その工事をした建物を運転するために換気装置が必要である、その換気装置をいたしましてもこれを動かすには電気でやらなければならぬ、電気料がかさむということのために、せっかく鉄筋化いたしましても、それが動かないで困るというようなことは、福岡市周辺、板付ばかりでなくほかのところでありました。鉄筋化の場合についても、同様の不平があり、希望があるわけでございます。そこでこの問題は調達庁でもいろいろ研究いたしますし、こういった維持補修の経費というものは従来支出いたしておりませんでしたので、いろいろ検討いたしたわけでありますが、昭和三十六年度におきましては、電気料金のうち特に動力線を使用する換気装置を設置したものにつきましては、補償の必要があるというように結論を得まして目下予算当局に折衝中でございます。
○豊瀬禎一君 非常に御努力をいただきまして御礼を申し上げます。で、今の問題につきまして大蔵当局としては現在どういう考え方を持っておられますか。
○説明員(新保実生君) 鉄筋校舎にすることによりまして、換気のための電力料がふえるということは事実だろうと思います。ただこれに関連いたしまして、いろいろ御質問にもありましたように、技術的に区分ができるかどうかという問題でございますが、なお私どもの立場で申しますと、鉄筋化による効果と、いろんな広い意味の利益と申しますか、防音はもちろんでございますが、それ以外のプラスということも考えられますし、なお現在鉄筋化を要する学校が非常にたくさん残っておるというような状況でもございますので、この問題はまあその次の問題にしていただけないだろうか、こういう気持でおるわけでございますが、三十六年度におきましては、調達庁から正式にそういう問題としての予算要求もございましたので、これから十分検討いたしたいと考えております。
○豊瀬禎一君 私どもの立場としては、いわゆる換気装置を操作するところの全電気料を直ちに持っていただきたい、そうしないと電灯料の値上がりだけでも大へんですし、そのことは一応おくとしても、先ほどから何度も繰返しておりますように、電気料に制限を受けるために、必要な時期にファンがとめられてしまう、そうすると学習効果も低下しておりますし、健康も空気が汚濁いたしますためにマイナスになってきます。ただでさえ爆音で被害を受けている中に、肝心の国の施設でやっていただいた防音装置に伴う換気装置が、わずかな金のために予算がありませんから、きょうは皆さんがまんしてファンは動きませんから、がまんして下さい、こういうことを現場に立っている先生たちが生徒に言うことがどんなにつらいことか、そうして少なくとも五、六年生や中学生になりますと、これだけの鉄筋化をしておいて、ファンまでつけておいて、電灯料が幾ら要るとか、それをなぜ動かしてくれないのか、こういうことがホーム・ルームやその他の場所で出てくるのは当然です。従ってせっかくあれだけの施設をしていただいたのですから、無理を申したいところですけれども、調達庁要求のまず動力線に要するところの電気料金だけは調達庁もがんばっていただきたいし、大蔵省の新保さんがお答えになりましたように、一つこれだけは三十六年度ぜひとも何とかしていただくように切にお願いいたしておきたいと思います。
 次に、私は冒頭に小学校、中学校における爆音による被害状況をごく大づかみに申し上げました。しかし、これはもう私から申し上げるまでもなく、こうした現象は単に学校の校舎の中でのみ起こっている現象ではございません。先ほど私も申し上げましたように、私自身が病気になって寝込んでおるときなんかは、すれすれにジェット機が飛翔し去るというときには、どうしても神経がいらいらします。夜中も目がさめる。大きな機関銃の射撃音に驚いて早産をする。こういった事態はひんぱんに起こっておるわけです。この件につきましては私の記憶違いかとも思いますけれども、先の国会の最中に、福岡市の板付飛行場基地の移転促進協議会の代表の市会議員とその他の代表が調達庁にも大蔵省にもお伺いして、いわゆる基地に対する基本的な対策を立てるその基礎として、人体はもちろんのこと、いわゆる飛行場設置に伴うところの障害、影響をどういうふうに住民あるいはその他の病院、学校、保育所、幼稚園等に与えておるかという点について、促進協としては九大の学者をわずらわしてかなり詳細なデータを作っておるけれども、調達庁自体で調査をいただきたいという要望をしたことがあります。その際に真子次長さんおられたような気もするのですけれども、私の記憶違いかもしれませんけれども、そのとき調達庁の方は、これは趣旨としては当然やるべき問題であるし、ぜひとも実現するように努力したいという旨の回答をされたと思います。まあその御回答があったなしにかかわらず、基地の対策を進めていくためには爆音が人体にどういう影響をもたらしておるか。特に板付の基地は北海道のそれとは異なりまして、東光中学校の校区のど真ん中にありますし、都市の都心部にあるわけです。こういう点を十分配慮いただいて、これがまた二年も三年も被害調査が行なわれたのでは対策が間に合わないと思いますけれども、原則的に板付における、板付だけではなくして、ジェット機を持っておる軍事基地周辺にどういう爆音によって被害が起こっておるかということを調査されるような御意思あるいはそれについて予算要求をしておられるような事態がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(真子伝次君) 飛行場その他提供施設に関する行政をつかさどるものといたしまして、いわゆる基地問題というのは非常にやかましくなっておりまして、われわれといたしましては、われわれの今までのような考え方で、また今までやっておったようなやり方では不十分であるということを私どもかねて考えておったところでありますが、この際、昭和三十六年度におきましては、新しい協定を円滑、円満に実施していくということが大きな眼目であります。それがために必要なことは決意をしてやっていかなければいかぬじゃないかという考えに立ちまして、基地行政を行なう上の総合対策をいろいろ検討いたしております。その一環といたしまして、基地周辺の環境整備というものも一つの項目に上げておりまして、たとえば御質疑のこういった爆音等が人畜━━人ばかりでなく家畜、いろいろなものに与える影響というものがどういうふうになっておるかということを私どもも実際に知りたいわけでございまして、それを知った上で必要な対策は国としてやっていかなければいかぬじゃないか、そういうふうに思いまして、今そういった関係の調査費を要求中であります。これがもし実現できますれば、こういった騒音が、人や家畜その他のものに与える影響というものを、大学とか研究所とか、いろいろな研究団体等にも委託しますし、みずからも調べに着手いたしまして必要な対策を講じたい、その調査費を要求中でございます。三十六年度予算に要求中でございます。
○豊瀬禎一君 真子次長の答弁で了解いたしましたが、新保主計官の方はこの予算につきまして、現在どういう措置を、予算要求につきましてどういうお考えを持っておられますか。
○説明員(新保実生君) 当地周辺に及ぼすいろいろな影響の調査の問題につきましては、実は話は予算要求の当初にお聞きしたわけでございますが、いろいろほかの問題にとりまぎれておりまして特にそれについて、さらに第二次の内容なり何なりを説明を聞くまでに至っておりませんが、三十六年度の予算審議の一環といたしまして、その問題は十分研究いたしたいと思っております。
○豊瀬禎一君 一つぜひとも予算を実現していただいて、かなり大きな、赤ん坊からことしで十四、五才になっていると思いますが、このジェット機が入りまして十四、五年の間に、身体にも、もちろん家畜にもかなり大きい影響が出ておると思いますし、その他にもいろいろな問題を惹起しておると思いますので、こういった点につきましては早急に御調査をいただいて適切な対策をお願いいたしたいと思います。
 最後にもう一点だけ、これはさきにも調達庁の方に御見解をお伺いしたのですが、老朽校舎、あるいは不正常授業をやっているところの解消のために、木造を鉄筋に改築する場合、その周辺にある学校につきましては文部省の方から鉄筋だけの予算は出るわけですが、しかし、それは三分の一の現行による補助率ということでございます。これでは、市としては負担が大きくなりますが、前にもお願いいたしておりましたように、木造を鉄筋化するためには、やはり板付の基地周辺でなければ木造で事足りるわけですけれども、周辺に学校があるためにどうしても鉄筋にしないと、もし万一飛行機から落下物があった際に危険ですし、また爆音からいっても大へんだというので、鉄筋化しているわけです。こういう点をお考えいただいて、この木造を鉄筋にする場合にも、やはり爆音があるためにこうなるのだという点を配慮願いまして、木造を鉄筋化する場合には、鉄筋から木造の建築費用を差し引いた額、いわゆる鉄筋と木造の差額だけを調達庁の方でぜひともこれは補償していただきたい。こう思うのですが、こし件に関しましてはどういう御見解でしょうか。
○説明員(真子伝次君) 基地周辺の特定住民のみがそれらの損害のため負担か過重になっているということにつきましては、その建築費の工事本体の一部を防音工事の一部として考えてくれという御趣旨はごもっともでありますが、これは今まで申し上げまするようないろいろな予算との関連がありますので、なるべく負担が過重にならないような具体策につきまして、関係省とも検討さしていただきたい、こう思っております。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 申しわけないのですが、私特損法の実態を存じませんけれども、もし特損法が今おっしゃるようにまさしく基地なかりせばそのことが必要でなかったはずだから、それも一種の補償を考慮していくべきだということになっておれば、予算措置としてできようと思うのですが、仮定に立って申し上げて恐縮千万ですが、趣旨としては、私は御質問のお気持はわかるような気がいたします。もし特撮法の建前から、学校建築のための補助金制度から今のままでできないとすれば、さらにまた何か特別交付税の考慮ができるものかどうか、そのことも事務当局からも聞いておりませんので、詳しくはわかりませんけれども、おっしゃる趣旨は何とか実現できるものならしたいものだという気持でおるということで、ごかんべんいただきとうございます。
○説明員(福田繁君) ただいま大臣からお答え申し上げた通りでございますが、事務当局といたしましては、ただいま調達庁の次長さんから御答弁がございましたように、非常に好意的に調達庁の方でお考えいただいておりますので、さらにそういった差額の面について補償ができるということであれは、非常にけっこうでございます。現在のところ文部省では不正常授業の解消あるいは老朽危険校舎の改築といった場合におきまして、これを鉄筋化するというケースがありました場合には、二分の一ないし三分の一の補助でございますので、残りを一応起債によってこれをやるより仕方がないというのが実情でございまして、将来、調達庁の方でそういうケースについても十分考えていただくことができれば、非常に幸いだと思っております。
○豊瀬禎一君 大臣が言われるように、特損法の建前からいろいろな問題があろうと思いまするが、肝心のところは、やはり爆音があるためにそういった特別の支出を市だけが負担している、こういう現状でございますので、必要があれば法を改正するという点も含めて考えていただきまして、先ほど真子次長から言われましたような趣旨に沿って、文部省、調達庁、大蔵省、三者一体となってこれが解消ができるように御努力をお願いいたしたいと思います。
 以上、大体五点にしぼりました質問を終わりますが、何度も申し上げておりますように、福岡市の九十一校のうちで三十一校、三五%という多数の該当校が基地あるために、何度も申し上げますように、一時間の授業の中に十三回という飛行回数の被害を受け、しかも明らかに全学級生徒の中に中耳炎とか、あるいは先天的な病気によらないで聴力減退という状況を来たしておるし、同時に、優秀校であった小中学校も高等学校進学率が年とともに減少していくという状況です。これら一つ一つを例をあげてみましても、身体的にも学力の上におきましても、基地あるためにそれ以外の学校よりも不当な教育を甘受しつつあるというのが現状であります。住民におきましても、それとほぼ同じくらいの比率の住民が同様の影響を受けている問題であります。この全体の問題は調達庁の次長の言葉のように、いずれ早急に予算化していただいて、根本的な調査の上に立って対策をしていただくことといたしますが、特に文部省は、予算が調達庁に関係のものであるということではなくて、これだけ多くの学校が、生徒が被害を受けている問題ですから、もっと精力的にこの事態の認識なり、あるいはできれば大臣直接当該学校の爆音の中で授業状況を見ていただいて、そうして一日も早くこれらの基地周辺の子供が他の学校の生徒と同様に、最小限度義務教育だけは受けられるような措置を具体的に完了していただきたいということを強くお願いいたしまして私の質問を終わります。
○安部清美君 関連しまして一言だけ要望しておきます。
 本委員会におきましては、今豊瀬委員から板付基地の問題についていろいろ要望があったのでありますが、私も常岡委員も福岡県出身でありまして、同様板付の爆音による被害状況というのは毎日のように身をもって体験しておるのであります。重ねていろいろ私どもの立場からも御質問申し上げたいと思いますが、今一応豊瀬委員の質問で一通り尽くされておると思いますから、そういうふうな重複は避けたいと思いますが、一言だけ要望しておきたいと思うのであります。
 もし板付が東京都付辺にあってあれだけの毎日被害を受けておるとするならば、国はもっと積極的にこれの解決に当たっておると思うのであります。地域がああいうところにあるために、ただいまいろいろ数をあげて説明されましたように、実際あすここに生活しておる人は、福岡市民の三分の一は四六時中爆音の被害にさらされておる。これは私は、積極的に徹底的に国としてもこの対策を講ずべきであると思うのです。先ほど総合調査の要求がありましたが、私どもも、単に学校教育の正常化ということだけでなくて、この被害の総合的な調査を国がやって、そしてそれに対する対策を講ずべきであるということを感じておるものであります。この点も重ねて私から要望しておきたいと思うのであります。
 なお、さっき学校の鉄筋化の問題について調達庁当局から御説明になりましたが、私の記憶の間違いであるかもしれませんが、昨年及び一昨年の鉄筋化の全国の校数を考えてみまするというと、その大部分は福岡市がいただいておる。今回A地区の福岡市、先ほども御説明がありました吉塚、東光、板付の三校はこれはぜひとも早急に鉄筋化されなければならない地域にあり、また被害の最もひどい学校であると思うのであります。これは予算のワクを広げていただかないと、他の地区にもやはり同様の要求があると思うのです。ですから、どのくらいの予算が鉄筋化の予算であるかはっきりいたしませんが、かりに四億か五億の鉄筋化の予算を振り当てられておるとすれば、福岡市の三校だけでそれくらいの予算を食ってしまうのではないかというふうに考えるのであります。しからばその三校の中の一校だけことしはやって、あと一校を来年回しというふうなことは私は地域住民の感情から許さぬと思う。同じ地域で同じ被害を受けている学校が、国の予算の関係で順序をつけられるということはこれは許さぬと思う。この点は調達庁当局並びに大蔵省におかれましても、地域の事情をよく御調査いただいて、そしてぜひ地方住民が最も熱望しておりますこの問題を、逐次そういう線において解決されますように私からも重ねてお願いいたしておきたいと思うのであります。
○委員長(清澤俊英君) 私からもちょっとお伺いしたい、要望しておきたいことがありますので申し上げますが、聞いておりますと大体は学校ばかりでなく、厚生関係等に深い関連を持った一つの障害を来たしている。そこであの天然の現象によりまして、風水害というようなものがあれば、これに対しては災害の特別措置が講ぜられるが、まあ、どうも普通いう災害という概念とはちょっとと違うように見えますけれども、これらは災害と見てもたしか差しつかえないと思うのでありますが、こうしたものが広範な範囲において恒常的にあるとしまするなら場は、私はやはりそれに一番関係の深い厚生、文部、なおこれの調達に当たる調達庁が中心になって、特別な法律をもって予算化をはからなければ、ただいま問題になっておりますように急速な住民の被害を除去するわけにはいかないと思いますが、そういう点に対して、文部大臣並びに調達庁次長の考え方の中にそういうふうな一つの考え方を最後の腹としてお持ちになっているのかどうかお伺いしておきたいと思います。場合によりましたら、これはやはり総理大臣に出ていただいて、総括的な方法も、あるいはその御意見もお伺いしていかなければならぬ問題であると思いますので、そこまでいかないで、大体賢明な皆さんがそろっておられるのでありますから、一つそういう点に対する御決心をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 先ほど来豊瀬委員、安部委員、なおまた委員長からも、最小限度教育、特に義務教育過程にある児童生徒の立場をお考えいただいて、基地の爆音からこれらの子供たちを守っていこうという御趣旨のあたたかい御意見等を拝聴いたしましてまことにありがたいことに思い、施設が十分にてきぱきといきませんことを恐縮に思うものでございます。極力先刻も申し上げましたような心がまえを持ちまして支障のないように、支障のある時期が最小限度にとどまり得ますように努力をいたしたいと思います。なおまた一般的な問題として、こういう基地の騒音から及ぼされるもろもろの被害を総合的に勘案して、どうするかという課題と取っ組めという委員長のお話でございますが、まさしくその必要がある課題と存じます。今板付は、防衛庁ないしは駐留軍の飛行機の爆音を中心に問題が起きているわけですが、今後一般の民間の航空機といえどもだんだんとジェットエンジンに変わっていく傾向にあるようでありますし、タービンプロペラの飛行機も同じような騒音を出すようにも聞いております。そういうことからいたしまして、単に軍事的な基地という以外に、一般近代的交通の空港の問題として対策を考えねばならないもろもろの問題が将来にわたってあり得ると想像されるわけでありまして、単に教育の術ないしは一部の厚生問題ということでなしに、国全体の交通計画あるいはまた基地と一緒になった、あるいは防衛庁の行動と一緒になった総合的な見地からではないと抜本的結論が出にくいかと思います。そういう意味において政府全体の問題でもあろうかと思うのでありますが、今後の検討に待ちたいと思います。
○説明員(真子伝次君) 先ほども一言触れましたが、基地総合対策というものがどうしても必要であり、今日までの国のやっておる施策では足らない点が多々あるというふうに考えておる次第でございまして、この騒音が、たとえば軍用基地周辺の人あるいは家畜、いろいろのその他のものに、魚とかそういったものにどういう被害を与えるかというようなこともその総合対策の一環として考慮する必要がある。こういう見地に立ちまして、これら人畜等に与える騒音の被害がどういうふうになっておるかということを私どもは知りたいわけでありますけれども、今までのところその調査費がなかったので、さしあたり三十六年度におきましては、これら騒音関係についての調査費を要求中、ございまして、これが実現いたしますれば、国の予算の範囲内で適時適策を講じていきたい。つまり今までは学校騒音防止にもっぱら重点を置いて、特に重点を置いて、従来も防音工事関係ではなお病院にまで今のところは手は伸ばしておりますが、さらに今申しましたような調査の結果、法規を改正してその範囲を拡張し、その他の公共施設についても必要であり、民家についても必要であるといったようなことになりますれば、あるいは今すでに所によってはやっておりますような集団移転とかいうような点もいろいろ必要であろうし、しなければならないだろうと考えておるわけでございまして、これらの点についても今後十分私どもは努力を重ねて、こういった施策を実施したいと思いますので御了承いただきたいと思います。
○委員長(清澤俊英君) 大体御質疑は尽きたようでありますので、この板付の問題に対しましては、本日はこのくらいにしてとどめたいと思います。
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○委員長(清澤俊英君) 次に、当面の文教政策に関し調査を進めます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○豊瀬禎一君 八月三十一日、九月一日の両日にわたりまして大臣に対して日教組との交渉ないしは会見を拒否しておられる理由の不当性についていろいろ問いただしたのですが、当日は理事会の協定によりまして、大臣が午後一時から所用があるということでございましたので、私の質問も一応大臣の見解は教育の中立と教師自身の政治的中立は別個の問題であるという点だけを確認したにとどまりまして、その後の「倫理綱領」の問題とか、特に大臣が触れられました破防法すれすれの内容の具体性あるいは教育基本法の改正の問題につきましては触れられませんでした。ここで質問を始めます前に、前回お願いをいたしておきましたいわゆる大臣の答弁の中に、「教師の倫理綱領」ないしは「新しく教師となった人々に」というものを見てみると、現行の憲法秩序を侵そうとしておる、あるいは破防法すれすれとか、あるいは革命的な云々とか、こういった言葉がありましたし、また日教組に対する連絡事項でしたか、そういう文書を出されたものの中にも、同様一、二ヵ条を指摘しての見解があったと思う。そこで、質問を始めます前に、前回要求しておきました、倫理綱領のどの個条、どういう文言あるいは「新しく教師となった人々に」のどこがあの回答の中に指摘してあるような革命的、あるいは委員会で答弁をされた破防法すれすれ、あるいは現行憲法秩序を乱そうとしている、こういう点に当たるものか、まず資料の御提供をお願いいたします。
 今、見まして、読むひまがないのですが、この資料では、前回私が問題にいたしました教育の政治的中立の問題を否定する条項と憲法秩序をくつがえそうとしている、━━大体こういう二点についてお出しになっていると受け取れるのですが、間違いありませんか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) そのつもりでございます。
○豊瀬禎一君 大体幾つか要求の回答が出ておるようですが、特にこの二つから判断いたしまして、憲法秩序をくつがえそうと考える根拠、事例を一瞥しますと、大体定期大会の運動方針からとってあると思いますが、それから人権じゅうりんの具体的例、こういう点があげられておるのですが、憲法秩序をくつがえそうとすると考えられておる根拠は前回に答弁の倫理綱領ないしは「新しく教師となった人々に」の中にはないという考えであると判断してよろしいですか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 憲法秩序という意味合いですけれども、現在の憲法はいわゆる国際協調主義、平和主義、民主主義というものを根幹としてできておると思います。民主主義の定義もむずかしいことでございましょうが、私の理解するところによれば、主権は国民にあり、そうして政治のやり方は法治主義を貫き、議会主義を貫くということが骨子となっておるかと思うのでございますが、私が前回、憲法秩序阻害云々と申しました意味合いは、今申し上げたような意味で、法治主義の建前が現実の日教組の指令に基づく行動において、倫理綱領の趣旨に従って指令が出されると推察されますが、そのことが法治主義を否定するがごときもろもろの事件が起こったのではなかろうかと私は観測しておるものでありますが、そういう意味合いを憲法秩序の阻害もしくはそれに触れるものだという意味合いで、この前答弁したかと記憶いたしておる次第でございます。
○豊瀬禎一君 私の聞いておりますのは、議事録の文言に別にこだわるわけではございませんが、大臣の先回の委員会における御見解は、教育の政治的中立の問題も、それから破防方法すれすれという言葉を引き出したところの現行憲法秩序をくつがえそうとしておるという点も、倫理綱領、「新しく教師となった人々に」、あるいは運動方針その他具体的事項、こういうことがあったと思うのです。私がお聞きしたいのは、この資料によると、運動方針と具体的な事例があげられておるが、倫理綱領ないしは「新しく教師となった人々に」の中には第二項の該当事項はないと判断しておられるとみて差しつかえないかと聞いているのです。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私は、この前も申し上げました通り、倫理綱領ないしは「新しく教師となった人々に」という解説書を通覧いたしました場合に、教師を労働者と規定し━━私は、教師はあくまでも教師という立場が第一義的であって、知能労働者という意味合いでは、国会議員といえども知能労働者ということになると思いますが、そういう意味とは別に、本来、教師というものはあくまでも教師であるというのが第一義的な立場である。しかるに、労働者と規定し、ブルジョアとプロレタリアとを対立概念として理解されるところの労働者と規定し、しかも、団結せよと規定し、団結こそは教師の最高の倫理と規定し、しかも直接階級闘争という言葉は使っておりませんけれども、まさしくその理念によって貫かれている、一貫していると判断される。しかも特に関心を持たざるを得ないのは、青少年を、その倫理綱領ないしは「新しく教師となった人々に」を通じて意図されるところの政治活動ないしは歴史的課題の解決のにない手として有能なものに仕立て上げるという考え方、その考え方に基づいてのもろもろの日教組中枢部からの指令というものが出されておると考えられますし、各大会ないしは中央委員会等における論議、それから生まれ出でる結論も、その線によって貫かれ、かつ、実際行動も現われておる。こういうふうに観察されるのでございます。その一連の事柄を今の憲法秩序について申し上げましたような意味合いで、いわば憲法は法にあらず的な考え方も内在しておると想像されるのでありますが、そういうことから指令された結果が、もろもろの具体的事実となって現われている一連の有機的な相関関係を通覧いたしまして、憲法秩序に触れる点がありはせぬかという意味合いで申し上げたのであります。その意味でこの資料をお読み取りいただきたいと考えまして提出いたしておる次第であります。
○豊瀬禎一君 すいぶん長々と答弁されましたが、結論的には、第二項の方にも、私が申し上げた倫理綱領、「新しく教師となった人々に」は該当するかどうか。ただし、それは、全体的な通覧といいますか、そういう印象といいますか、あるいは有機的関連とか、なかなか抽象的なことをおっしゃっておるようですが、その点に関しましても、あることは間違いないという答弁のようでございますので、その点を、大体その本を見てどうだということでなくして、問題は非常に憲法秩序をくつがえそうとするという問題ですから、あるいは破防法すれすれ……破防法というのは、お読みになっておる通り、具体的なことが書いてありますので、そういう点を、今の抽象的な考えを、やはり第一項と同様に、大体こういう点、こういう点というのをあげていただきたい。
 それから第二には、新聞の報ずるところによりますと、大臣は放言したとお考えにならない、信念をした吐露したとお考えになっておるのでしょうが、校長大会とか、あるいはその他の会合の際にも、あるいは新聞紙の報ずるところでは、教育基本法を改正したい、こういうお考えを持っておるようです。そこで、教育基本法をなぜ改正したいと考えておられるか、あるいはさらに、改正をどのようにしよう━━どういう点をどういうふうに改正しようとしておられるのか、そのいずれも、二点とも次回に文書で提出願いたいと思います。その第二項に申し上げました倫理綱領ないしは「新しく教師となった人々に」、これが憲法秩序を全体的に破壊する主張を持っておるということであれば、そのことも資料として文書にあげていただきたい。
 それから、当然そのことと、私どもの把握では、教育基本法の改正というものも関連して討議すべき内容だと思いますので、こちらも今申し上げましたように、概略でよろしいから次回に、基本法改正に関する大臣の現在の考え方、あるいは集点といったものを出していただきたいと思います。そうして私どもはその三つを通覧しながら次回に大臣にその点をただしていきたいと思います。
○委員長(清澤俊英君) 出していただけますか。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 第一の御要望も、大体ただいま差し上げたことで尽きておるかと思いますが、その点は御要望もございますから、検討さしていただいて、要すれば提出することにいたします。
 第二の、教育基本法の問題につきましては、一応私の今の考え方をこの際申し上げておいた方がよろしかろうと思いますので、申し上げたいと思います。よろしゅうございましょうか。
○豊瀬禎一君 どうぞ。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 私が教育基本法に触れましたのは、去る演説会の席上で触れたわけでございます。と申しますのは、日本が敗戦によって占領されました。占領されてマッカーサー司令部が置かれました。占領軍の占領政策の基本方針というものは、大体今日では歴史的なあるいは科学的な研究調査の結論としても一応の線としては、日本をいかにして再び立ち上がらしめないようにするかということが一つの根本目標であったようであります。そういう考え方のもとに、少なくとも昭和二十年、二十一年あるいは二十二年の初頭までは考えが一貫しておったと観測されるのでありますが、それゆえにこそ、御案内のごとく、日本の今の憲法も、もともと英語で書いた基本線を与えられて、それが中心になって案を作られ、最終帝国議会において審議決定せられて、昭和二十二年の五月に施行されたという経過をたどっておるわけでありますが、従って端的に申し上げれば、憲法そのものもほんとうの意味で日本人の創意が盛られ、自由な意思表明というものが実質的には表明されていないという節々が多分にあることもこれまた今日では周知の事実であろうと思います。また、そのことのゆえに賛否両論はございましたが、憲法調査会法が法律として、国会の意思として制定せられまして、すでに学者その他の委員が任命せられて足かけ四年越しの検討を加えておる。それは当初申しましたような経過にかんがみまして今の憲法そのままでいいかどうか、独立を取り返しました立場において考える日本人の自由の意思によって一ぺん考え直してみよう、改正すべきかどうか、改正しないと結論が出るかもしれない、あるいは改正すべしというならばどこが悪くてどう改正すべきか、足りないところはないかということが検討されつつあると思うのでございますが、その憲法の趣旨にのっとって教育基本法が制定せられ施行せられたのでありますが、その施行せられた時期は憲法よりも二カ月さかのぼって、二カ月早く施行されておるという通例法規の制定施行過程から見ますれば異様な形で、もととなるべき憲法があとから施行せられ、それに基づいた教育基本法ないしは学校教育法というものが二カ月先んじて施行せられたという異様な形を残しております。これは普通の形ではないと思われますが、いずれにしましても憲法そのものすらも検討されつつある。しかもその制定されました客観的状況は以上申し上げるようなことが少なくともあったとするならば、やはり教育の基本を定めております基本法につきましても同じような意味合いにおいて今日独立を回復しました全日本人の立場において、当時の教育基本法を批判された有識者もたくさんいらっしゃるようでありますが、それらの方々を初め学識経験、その道の権威者を網羅した姿で検討をしていただく一つの課題ではなかろうかというふうなことを去るしゃべります機会に申し上げたのであります。私の教育基本法について考えておりますことは以上を出でませんのでありまして、再検討を加えるべき一つの課題であろう、それは文部大臣ないし文部省の官僚どもがほしいままにどうする、そんなものじゃむろんあってはならない。慎重にも慎重を期して、いわば当時の条件下において言うならば、非常に制約された、意思表示の可能な範囲が狭い時期のことでありますから、もっと自由潤達に明朗に独立回復後の国民的な立場からも慎重再検討を必要とするであろう、こういうことでございます。ほしいままに、よくいわれるごとく保守反動教育だ、あるいは忠君愛国、天皇陛下万歳の方向に教育自体を逆行させんとしておるけしからぬ意欲を持っておるのだと言う向きもございますけれども、そんなばかげたことでなしに、繰り返し申し上げておそれ入りますが、あくまでも全日本人的立場において冷静に沈着に、しかも科学的に合理的に第一流の権威者をわずらわしまして検討していただいて、これでよしとならば、それもよろしい、何か足りないものがあるならば、つけ加えるならつけ加えてもよし、あるいは改正すべき条項があるならある、どういう形で結論が出るかは私自身でかれこれ申し上げる資格のないことを万々承知しつつ一つの再検討課題であろう、こういうことを申し上げたような次第であります。今日ただいまもそういう考えを持ち、その考え以上のことは何にも考えておりませんことをこの際申し上げさしていただきます。
○豊瀬禎一君 大臣就任後のいつでしたか、これも新聞の報道ですが、自分は全く教育のしろうとだとおっしゃった、ように書いてありますが、大体教育のしろうとですから、その程度しかお考えになっていないということは当然のこと思いますが、かりにそうであるとすれば、長々と制定のいきさつについていろいろな批判を加えられましたけれども、制定のいきさつは歴史的の課題として一つの意味を持っております。しかし少なくとも大臣が教育の一番大元になる教育基本法を再検討をないしは改正しよう、こういうことを念頭に置くのは別として、外部に向かって話をする以上は、いきさつにとどまらず、現行基本法に対する改正すべき諸点というものに対して明確な一つの、専門的な知識はなくとも、基本的な考えがなければならないと思います。それがなくして、いきさつがこうだから一つ勉強してもらって、よかったらよし、悪かったら変える、こういう無責任な放言をされると、基本法に従い、教育関係諸法規に準じて流れておる教育の一つの体制というものは非常に大きな混乱になると思います。で、もし大臣が近い機会に憲法調査会のごとき教育基本法改正の委員会を作りたいという明確な意図でしたら、その構想についてお述べ願いたいし、ただばくとして一応再検討の時期に来ているんではないか、こういうことで変えたいところ、改正すべき見解がないとすれば、いたずらに教育基本法について再検討の段階に来ておるとか、いかにも改正をするといったような前提を人々に与えるような言動は、厳に大臣として慎しんでいただきたいと思うんです。
 まず第一番にお答え願いたいのは、何か改正の特別委員会を設置しようというお考えであったら、時期、構想についてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) まず最初に、何か改正する具体的な考えが自分自身ないならば黙っておった方がよかろう、不謹慎ではないかというおしかりでございますが、私はその点はちょっとお言葉を返すようで申しわけございませんけれども、見解を異にしております。すなわち憲法すらも、何も当時の政府側といいますか、与党といたしましても、こう変えるんだと党として決定したり、あるいは政府として正式にきめたりした考えがあって、憲法調査会法が提案されたとは、私は承知いたしておりません。あくまでも憲法制定の経過に照らし、再検討を加えるべき課題であると考えられるから、それを改正すべきかいなかまでも含めて調査をするというための憲法調査会法であったと存じます。それと同じ意味において国民として独立回復後━━ほんとうは独立回復の直後が時目的には一番よかったろうとはむろん思いますけれども、憲法すらもがなかなかそういかなかったという周囲の状況の影響もあったかと心得ますが、同じような意味合いにおいて私自身がこうすべきだという案を持つ、持たぬ、そんなことでなしに、国民的な立場から再検討をする一つの課題であると申し上げること、そのことはおしかりを受ける筋合いじゃなかろうと考えるわけであります。しからば再検討というんだが、どういうふうな構想を再検討の方法として持っておるかというふうなお尋ねでございますが、私は現在ございます中央教育審議会あたりに、私が申し上げましたような意味で、はたして取り上げていただいていいかどうか、取り上げるとするならば、いかなる方法をもって再検討の方法とするか、手続とし手段とするかというそのことを、慎重を期さなければならないから検討していただいたらいかがであろうかというようなことを一応考えておる程度でございます。
○豊瀬禎一君 時期は。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) これはただいま中教審には大学制度のことを検討していただいておりまして、実際問題として近く選挙があると承知するわけですが、選挙後の課題にならざるを得ない、時期的には必然的にそうなろうかと思います。
○豊瀬禎一君 大体大臣の見解を求めたのではなくして、資料を出してもらいたいと思っておったところに、大臣が答弁したいということでお聞きしておりますので、それに反論することは今回は避けたいと思います。
 憲法の問題にいたしましてもいろいろ述べられましたけれども、すでに御承知のように、憲法に違反する法律をたくさん制定しておいて、それの条項に合うように憲法を改正しようと意図しておるということは、これもあなたのお言葉を返すようですけれども、国民周知の事実です。従って憲法改正の骨格というものが、ああいう形の法律提案の形式をとりましたけれども、その意図、骨格といものは、大体大多数の人がわかっておるし、さればこそそういう審議会には参加しない、拒否した人もあるわけです。私の言いたいのは、言葉がいろいろ不適当であったかとも思いますけれども、あなたは教育基本法の十条によって、教育基本法ないしは学校教育法に従って、教育諸条件の整備に忠実に努力する義務づけをされておる人間です。荒木萬壽夫代議士が衆院の中で、そういう動きをされることについて私は何とも申しません。あなたが堂々と見解を披瀝されることについて尊敬をこそすれ、内容については別として態度については敬意を表します。しかし、あなたは今申し上げるように、基本法十条によって、その基本法にあるところの十一ヵ条ないしは学校教育法その他の法規を忠実に守りながら、しかも十条の教育諸条件の整備に努力すべく義務づけられておる人です。その人が先ほどから言いますように、具体的な大臣として、あるいは政治家として、一つの見解も持たずに再検討の時期にきている、制定のいきさつが占領軍の落とし子である、こういうことはどう考えましてもいささか不見識であると思います。しかし、そのことはお互いに見解があることですから別にいたしまして、先ほど申し上げましたように、できるだけ詳細に倫理綱領、それから「新しく教師となった人々に」という名で、先ほど質問した要綱と、今議事録に載りましたから大体いいと思いますが、なお教育基本法改正についての具体的な見解があったら、それも委員会前に、少なくとも委員会の前日程度に各位にお渡しを願えるように準備をしていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(清澤俊英君) 他に御質疑の方はございませんか。御発言がなければ、本日は本件に関する質疑はこの程度といたします。
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○委員長(清澤俊英君) 次に、名城大学に関する件について調査を進めます。御発言の方はありませんか。――ないようでありますから、私から一つお伺いします。
 もう時間も非常に過ぎておりますので……。先般の委員会で杉浦さんから非常にこまかい点に至るまでの御質疑がありまして、その御答弁として裁判所の方で田中理事長も業務執行停止ですかをやって、代行者をきめられた。従いまして当分の間、その代行者によって推移する状況を見て、いろいろ文部省では考えていく、こういうお話であったと思いますが、その後の様子は私よりはむしろ文部省の方でより詳細にわかっていると思いますが、大体の傾向は、昨日関係者並びに学生の大挙陳情等をお聞きしますると、田中前理事長には何ら反省の意思もなければ、その代行者等の考え方等について協調していくというような傾向が見えない。だんだん反抗の度を高めていってほとんど見込みがない情勢になっている。こういうことで、もうここまできたならば、地元におきましては、関係法律を変えて文部省が強力な処置をとっていただきたい、こういうところに、まあ結論としてそういうものができ上がって、衆参両院の関係者並びに地方のいろいろな人の関係者等のお集まりの中でも、その中で文部省からも課長も出て御相談になったようでありますが、その結論として立法措置を必要とする、こういうように結論が出たように聞いておりますが、文部省としては、昨日も学生の陳情などを聞きますと、校舎の破壊、それの復旧並びに先般の伊勢湾台風等による荒廃の復旧に何ら手がついていない。農学部の実習農地の売り払いを企てたり、また学習上必要設置が放棄してあるとか、はなはだしい実情で、全く学習上困難しているから、一日も早く何とかしてもらいたいという陳情も受けているのでありますので、文部省としては確たる方針のもとに何らかの立法措置を考えられるか、もしなければこの文教委員会等におきましても、田中前理事長一派のとっておりまする方針が非常に不当であるということは、全部認識しておられますので、従って議員提案等の形でこれを処理する場合、文部省としてはどういう御態度をとるおつもりなのか、もう事は結論に達していると思いますので、御決心のほどを一つお伺いしたいと思っております。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 名城大学の件は、私も就任早々からいろいろと話も聞き、対策につきましても苦慮いたしているわけでございますが、いやしくも学校法人がその経営すべき内容が公のものであることであるにかかわらず、理由のいかんを問わずたくさんの増生に混迷と迷惑をかけているということは、何とも申しわけないことであると存ずるのであります。さりとて現行法律制度のもとに建設的にこの問題を処理するということはなかなか困難なようでございます。解散命令等をなし得る権限も与えられているようでありますけれども、それだけではあとは野となれ山となれ式になってしまって建設的な結論ができかねるという悩みを持っているわけでありまして、何とかして理事者に健全な人が出ていただいて、さらにまた超党派的に、政治家の方々も超党派的な立場において御協力、御指導もなさっておられるようだし、地元の自治体等も非常に関心を持って好意的に御協力いただいておるとも承りまするので、できるだけそういうごあっせんによって建設的な結論が出ることを期待しつつ今日に参っておるような次第でございます。さらにそのことを御期待申し上げておると申し上げて支障なかろうと思います。ただ、今後同じようなことが続出するとも考えられませんけれども、万一に備えて、何か法律制度上、こういうふうなむずかしい案件が出てきた場合に、問題をすっきりと処理するような建設的な制度を立てたらどうだという御意向等も承っております。そういうことも必ずや必要であろうという角度から、事務当局に検討をしてもらっておる段階であることをお答え申し上げます。なお、経過等の具体的なことにつきましては、政府委員からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
○説明員(福田繁君) 名城の問題につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げました通りでございますが、事柄は、現行の私立学校法、あるいは寄付行為に基づきまして理事の選任、解任といったような法律問題でございますので、私ども非常にはがゆい点がございますけれども、いかんともしがたいのであります。そういった意味で、代行者が選任されまして、代行者を中心に再建をはかっていくというような機運になっております。幸いに、代行者が選任されて以来、教授側、あるいは学生諸君も代行者に協力していくというようなことを申されておりますので、現在においてもそういう態度でやっていただいておるものと考えておりますが、そういったことで、いろいろ制約がありますけれども、ごくわずかずつ前進しているのじゃないか、こういうように考えます。ただ再建については、いろいろ根本的な問題がありますので、困難なことが将来まだ予想されるわけでございますが、これにはやはり若干の時日をかけませんと、そう急速には私は解決しないのではないか、こういうように考えております。ただいま大臣からお話がございましたように、名城大学の問題のみを対象にしたものではございませんが、こうした私立学校の紛争等につきまして、事が教育上非常に支障があるというような事態が起きますことを憂えまして、紛争の防止並びに解決の方法について学校法人運営調査会に諮問いたしましたところが、実は昨日その運営調査会におきましてはその結論を出したのでありまして、おそらくきょう文部大臣あてに答申が行なわれるものと思っております。それによりますれば、大体この紛争につきましての新しい機関として、紛争の調停機関を設けて、極力調停手段による解決をはかっていこうということが一つの眼目でございます。またもう一つは、現在の私立学校法が解散はできますけれども、解散をするということによって学校そのものの存立というものが非常に困難になりますので、学校教育、あるいは学生の教育というものを何とか存続させたいという観点からいきますと、現行法規は非常に不備な点がありますので、そういった面で解散に関する規定を改正いたしまして、そうして学校の存続がはかれるような方法を講じよう、こういうのが大体二番目の主眼点でございます。こういった方法を用いて一つ紛争の解決なり防止をはかっていきたい、こういう趣旨で最小限度の立法措置をとるべきであるという結論が昨日出たのでございます。従って、文部大臣にその内容が答申がありますれば、当然に私どもといたしましてはすみやかに法制的な措置について研究しなければならないと考えております。先ほど大臣がおっしゃいましたことも、大体その点だと考えております。なるべくすみやかに法制的な措置を研究して参りたいと考えておる次第でございます。
○委員長(清澤俊英君) ちょっとくどいようになりますが、前段の問題ですが、そういう審議会を設けていま一度調停をやろうと、こう言っておられますけれども、過去の経過を見ますと、もう全く良識を失っておるのではないかと思います。裁判の際に傍聴席におって裁判官に食ってかかるというようなことは、まずこれはわれわれも例を聞いたことがないですよ。いやしくも、私立学校かどうか知りませんが、大学の理事長が裁判のまっ最中に傍聴席から発言して、怒号して、裁判官からしかられるというようなことは、良識を失っておると思うのです。こういう者を相手にして円満な解決なんということは、もう長い間の経験ではっきりわかると思うのですよ。従いまして、今後何らか法的措置をもってこれを補うと、こういう方法より私は残されぬと思います。従いまして、文部省の方針等は、すみやかにその後段の方法を行なうことによって、一日も早く関係者全般が安心していけるように一つ措置をお考えいただきたいと思います。従いまして、これはやはり通常国会中くらいに解決するような一つのお考えがあるかどうか。いろいろの関係上はっきりとは言われますまいが、そういう考え方の基本的なものをやはりここでしゃべっていただきませんと、昨日の学生の様子などを見ますと、おちおち学問ができませんと、こう言っておるのです。だから、その点に対して、私に対する答弁でなく、あの若い世代の学生に対して安心のいくように、親切な御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 今委員長のお示しのような心がまえで善処いたしたいと思います。ただ、一般的な立法のことでございますから、名城大学の当面の問題に直ちに適用できるということは今後のことでございまして、この立法が選挙後の国会で結論づけられましょうとも、その間には新しい新学年の学生募集もあることでございまするし、何とか今の理事者で━━理事長代行者に信頼のできる方が就任されておるやにも聞きますけれども、現在の理事者を中心に、当面の学生の悩みのもろもろのことを極力善処していただくやり力によって当面に善処していただく。そうして、抜本的なことは新規立法を待たなければできないということでございますれば、勢い結果的には、今後検討を終えるであろうところの立法措置によって解決することに期待せなければいけませんけれども、願わくばそれ以前に学生たちが困らないような事柄を、十分に一つ地元とも協力をお願いいたしまして善処いたしたいと思います。
○豊瀬禎一君 関連して。前回の委員会でも、杉浦さんの質問に続いて問いただし、また要望もいたしておったのですが、一点だけさらに強く要望しておきたいと思うのは、第一は、大臣も局長も言われたように、解散という措置は極力避けていただきたい。それから第二は、前回も要望したように、大臣のお答えにもあったように、次の学年の生徒募集、これには時期があると思うのです。だから、この前に何らかの事態の、立法措置でもよし、ほかの措置でもよし、とにかく何らかの事態解決ができ、来年度の学生募集に対しては、十分安心して応募できるような態勢を早急に確立していただきたいと思います。
○国務大臣(荒木萬壽夫君) 極力御要望に沿う努力をいたします。
○委員長(清澤俊英君) 他に御発言もないようでありますから、本日はこの程度で散会いたします。
   午後二時一分散会