第037回国会 社会労働委員会 第2号
昭和三十五年十二月十五日(木曜日)
   午前十時二十六分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     吉武 恵市君
   理事
           加藤 武徳君
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           紅露 みつ君
           佐藤 芳男君
           谷口弥三郎君
           山本  杉君
           横山 フク君
           秋山 長造君
           久保  等君
           小柳  勇君
           藤原 道子君
           田畑 金光君
           村尾 重雄君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 古井 喜實君
   労 働 大 臣 石田 博英君
  政府委員
   内閣総理大臣官
   房審議室長   飯田 良一君
   調達庁長官   丸山  佶君
   厚生政務次官  安藤  覺君
   厚生大臣官房長 高田 浩運君
   厚生省医務局長 川上 六馬君
   厚生省社会局長 太宰 博邦君
   厚生省保険局長 森本  潔君
   労働政務次官  安部 清美君
   労働省労政局長 冨樫 総一君
   労働省職業安定
   局長      堀  秀夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  参考人
   日本赤十字社副
   社長      葛西 嘉資君
   日本赤十字社総
   務部長     岡田 好治君
   全日本赤十字労
   働組合連合会中
  央副執行委員長  宇夫方貞夫君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○社会保障制度に関する調査
 (厚生行政の基本方針に関する件)
○労働情勢に関する調査
 (労働行政の基本方針に関する件)
 (駐留軍労務者離職対策に関する件)
 (炭鉱労務者離職対策に関する件及
 び日雇労務者の年末手当及び石炭手
 当に関する件)
 (病院等における労働争議に関する
 件)
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○委員長(吉武恵市君) それではただいまから社会労働委員会を開きます。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 労働清勢に関する調査の一環として、病院等における労働争議に関する件について参考人から意見を聴取することといたしまして、その人選、日時及び手続、その他につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。よって委員長は、理事と協議をいたしまして進めることにいたします。なお日時は、本日午後一時からといたします。
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○委員長(吉武恵市君) 次に、社会保障制度に関する調査及び労働情勢に関する調査を議題といたします。
 この際、新任の古井厚生大臣から厚生行政の方針について、また、再任の石田労働大臣から労働行政の方針についての所信を聴取することにいたします。
 まず、古井厚生大臣から御発言を願います。
○国務大臣(古井喜實君) 今回第二次池田内閣の成立にあたりまして厚生大臣を拝命いたしました。かねてこの方面について御造詣の深い皆さん方の御協力を得まして責任を果たしたいと考えております。この機会に一言ごあいさつを申し上げ、あわせて厚生省所管の諸行政に関して所信の一端を申し述べたいと存じます。
 あらためて申し上げるまでもなく、社会保障の充実をはかり、国民生活の安定と福祉の向上をはかりますことは、福祉国家の実現を期する上にきわめて重要な意義を有するものでありまして、現内閣の基本的な施策の一つとしておるところであります。厚地行政は、これら諸施策を推進するにあたりまして、その中核をなすものとして重要な役割を有するものでありますので、微力ながら全力を尽くしまして、社会保障制度の整備充実に重点を置きつつ、厚生行政諸施策の推進に努めて参りたいと考えております。
 まず第一に、医療保障の問題でありますが、国民健康保険につきましては、未実施の大都市におきましても、事業開始の準備を進めまして、予定通り今年度中には皆保険が達成される見込みであります。一方、給付内容の向上につきましては、結核及び精神病に関する国民の医療負担がきわめて重い現状にかんがみまして、まずこの点に重点を置いて対策を講ずるように検討いたしております。
 また、医療保障の実効をあげますための問題といたしまして、まず医療施設の整備充実の問題がございますが、これにつきましては、本年八月から業務を始めております医療金融公庫の資金ワクの増大等に努力をいたしましていきます一方、また、医療施設運営の合理化につきましては、この方面につきましては、特に最近における世上のいろいろの状況にもかんがみ、その指導に十分の工夫と努力を注ぎたいと考え、目下鋭意検討をじておる次第であります。
 なお、この春発足いたしました医療制度調査会は、その後順調に調査審議が進められておりますが、何分審議内容が重要な問題でありますので、十分な審議を尽くし得るよう、場合によっては審議期間を延長するための必要な措置をとらねばならぬかと考えております。
 第二に、国民年金の円滑な実施であります。国民年金制度は、福祉年金の支給に引き続きまして、明年四月からいよいよ拠出制年金が発足いたすこととなりまして、この十月一日から全国一斉に加入者の届出受付が開始されたのでありますが、特に大都市等の都市部の進捗状況に若干問題がありますほかは、まずまず予期された進捗状況で進んでおります。申すまでもなく、国民年金は、国民皆保険とともに社会保障制度確立の二大支柱をなすとも言うべきものでありまして、将来、国民の所得保障の分野に重要な役割を果たすべきものでありまして、この健全な発展いかんは、今後国民生活の安定に重大な影響を及ぼすものと考えられますので、死亡一時金の創設、六十才からの減額支給など、改善すべき点は、これは通常国会に諮りまして、早急に改善をすることにいたしまして、円滑な実施をはかっていきたい考えでおります。
 また、厚生年金保険等各種公的年金制度との通算調整につきましては、国民皆年金の基礎を固める意味において、その実現がぜひとも必要でありますので、目下この問題については具体案を検討いたしておる次第であります。
 以上のほか、生活保護につきましては、その基準の引き上げ等によってその改善をはかり、また、母子、老人、身体障害者等に対する施策に特段の配慮を加えまして、いわゆる日の当たらない階層にも、その生活の向上等にできる限りの努力を払う所存でございます。
 さらに、健康な国民生活の基本となる生活環境の改善につきましては、これが関連施策の内容が国の他の施策の内容と比較して、あまりにもつり合いがとれていない現状にかんがみ、また、一九六四年のオリンピック開催も一つの契機となって、生活環境の整備を要望する世論もありますことにもかんがみまして、上下水道、屎尿処理施設等、環境衛生施設の整備をはかりたいものと念願をいたしております。
 そのほか、母子衛生の向上、児童の健全育成施策を強化し、国民の資質向上の基礎を固める一方、国立公園及び国定公園の整備、同和対策の推進等、国民福祉の向上に努力をいたしたいものと思います。
 以上るる申し述べましたが、いずれにいたしましても、今後推進すべき厚化行政の具体的な諸施策につきましては、できる限り皆さん方の御意見を尊重いたしまして、その具体的実現につきまして皆さん方の御協力、御援助を得まして、厚生行政の発展をはかっていきたい考えでおりますので、重ねて皆さん方の御協力をお願い申し上げる次第であります。よろしくお願いいたします。
○委員長(吉武恵市君) それでは、次に石田労働大臣から発言をお願いをいたします。
○国務大臣(石田博英君) 引き続いて労働省を担当いたすことになりました。どうぞよろしくお願いをいたします。
 この機会に所信を申し述べまして皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 わが国の経済は順調な拡大発展を続けており、これによって、雇用情勢は著しい好転を見せました。一部では労働力の需要に対し、供給が不足する等、労働力の需要に不均衡が牛ずる傾向すら現われております。このような雇用情勢は、今後の経済発展によってますます顕著になるのでありますから、労働行政もこれに即応して適切な施策を行なってゆかなければなりません。この見地から、全国的視野に立った広域職業紹介の充実とともに、労働力の産業間、地域間の流動性の増大をはかってゆきたいと存じます。また、技術革新が急速に進展しておりますので、これに即応した技能労働者の養成に施策の重点を注ぐ必要があると考えます。
 次に、経済、雇用情勢の改善が著しい今日こそ、中小企業労働者の労働条件や福祉が向上する絶好の機会と思いますので、最低賃金制、週休制、一斉閉店、時間制、中小企業退職金共済制等、各方面にわたって中小企業労働者の労働条件の改善をはかりたいと存じます。
 さらに、かかる好況にとり残されがちな家内労働者、未亡人、孤児、身体障害者等については、それぞれの実態に応じたきめのこまかい対策を進めて参りたいと存じます。
 最後に、よき労使慣行の確立を強調いたしたいと思います。労働運動が自由にして健全な展開を遂げることは、民主主義社会の発展にとってきわめて重要な意味を持つものでありますから、政府もこの方向に向かってさらに努力いたす所存であります。
 以上きわめて簡単でありますが、私の考えを申し述べ、労働行政の運営にあたっては、皆さんの御意見を十分拝聴しながら力を尽くして参りたいと存じます。何分よろしくお願いをいたします。
○委員長(吉武恵市君) 次に、この機会に新任の安藤厚生政務次官からごあいさつを申し上げたいとの発言を求められております。発言を許します。
○政府委員(安藤覺君) 私このたび厚生政務次官の任命を受けました。まことにふなれ未熟者でございます。練達なる諸先生方の御指導、御鞭韃のもとにあやまちなきを期して、大臣をお助けしていきたい、かように考えております。何とぞよろしくお願いいたします。
○委員長(吉武恵市君) 次に、安部労働政務次官から発言を求められております。これを許します。
○政府委員(安部清美君) 私、今回労働政務次耳に就任いたしました。御承知のように、まことに経験の乏しい不敏の者でございますが、皆様の一そうの御支持、御支援を得て、大開を助けて、労働行政に専心したいと存じておる次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。
○委員長(吉武恵市君) 厚生大臣及び労働大臣の所信表明に対する質疑は都合によって次回にいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
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○委員長(吉武恵市君) 次に、労働情勢に関する調査の一環として、駐留軍労務者離職対策に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○藤田藤太郎君 私は、きょうは時間があまりないわけでありますけれども、駐留軍関係の問題点については二点だけお伺いしたい。
 第一点は、今駐留軍の離職計画を見ますと、来年の六月までに大体四千人の人が離職、人員整理をされることになって、それに追っかけてアメリカのドル節約と申しましょうか、こういうことでどれだけの離職者が出るか、これにつけ加えて見当がつかないわけであります。昨日も三千四百九十なんぼですか、そのほか横須賀では三百十八人の解雇申し出があったという、こういう工合にしてどういう影響があり、どういうことになってくるか、それからまた、その関係について調進庁、政府はどのようなコントロールを軍との間にされているか、そういう問題、あわせてこれは調達庁と労働省の関係になるのだが、こういう離職者の対策をどうお立てになるか、こういうのが質問の第一点でございます。それから順次やっていきたいと思います。
○政府委員(丸山佶君) まず第一に、先般発せられました米国大統領の指令によりますと、外国に駐留する軍隊自身の現有勢力の維持、あるいはそのオペレーションの縮小ということはしない、そのつもりはないということが指令にありますので、その軍隊の維持及びオペレーションに必要な駐留軍の労務者に関しましては、一応大きな変動がないと推定されるわけでございます。しかしながら、今後具体的にあの指令措置がいかように進んでいくか、実際によっていかに変更されるかという事情は、今のところ実は判明しておりません。調達庁といたしましても、すでにこれに関し、在日米軍に照会を出し、双方の間に今後の進展について十分な連絡をとる、このような措置を今いたしているわけでございます。
 なお、駐留軍の離職関係は、そのような事情がなくとも、漸次ふえる方向にあることは事実でございますので、この離職対策に関しましては、御承知の通り、調達庁が労働省とともに、いろいろ離職前における職業訓練のこと、また、離職者に対するいろいろの施策、これをやっているわけでございますが、なお、これもすでに議会で法律とされましたところの駐留軍離職者の特例措置法ということで、各省ともにこれに協力して、総理府総務長官が主宰されている協議会において強力な施策によって、この離職に対処する、このような措置を進めていることは御明知の通りであります。
○藤田藤太郎君 それでは私はまあこれは組合の方からもらった資料なんですが、今日から大体来年の六月、または三月一ぱい、それから来年度の離職されていく向こう側の計画、大体どういう推移で離職者が出てくるかという、こういうことについて伺いたい。一般的なそういうものについて。
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、今の見込みといたしましては、米国の本会計年度が来年の六月まで続きますが、その間にやはり数千名の縮減があるということを予定しております。
○小柳勇君 議事進行について。ただいま藤田委員が質問している問題、非常に緊急を要し、重要な問題でありますが、前から質問を通告されていることで、その数字についてもまだ資料をもらっておらぬわけでありますが、調達庁はこういう重要な問題について、もう少し数字的に提出して説明されることを私求めたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○政府委員(丸山佶君) 資料によってそのことを明らかにするということを、実は私承知しておりませんで、まことに恐縮で、今ととのえておりません。現在はっきり推定しておりますのは、二千名弱でございます。
○藤田藤太郎君 そういう答弁で、来年の六月ころまで大体二千名弱だ……。しかし、具体的に各基地において、どういう離職というものが、実際働いて、あしたから首切られる立場からすれば、どうなるかという不安定な状態に置かれて、今出ているのでは、四千近く来年六月まで首切られるんじゃないかということを働く労務者は心配している。私はいつも感じることですけれども、あなたが駐留軍労務者の雇い主なんですよ。あなたが駐留軍労務者の雇い主でありながらそういう無責任なことでいいんですか。それじゃ横須賀できのう申し合わせがあった、こういうことを御存じですか。ほかにもこういう例がありますか。だからあなたは米軍との間にどういう工合にこの労務提供というものが動いているか、どういう計画でことしが進み、来年がどういう推移で動いていくかというようなことは、十分に調べて、その対策を、離職された方々の就職対策と事後の生活対策というものを立てなければならぬのが調達庁長官じゃないですか。それに二千名足らず、そんなことじゃ私は理解できません。もっと数字をあげてやって下さい。
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、調達庁長官としては、この職責上においてできるだけ早く事前に離職すべき数というものを把握して、それに対応さしていくのは当然でございます。そのために努力しておる次第でございます。先ほども申し上げましたように、現在判明しておる程度がそれである。しかし、これからの行くべき筋、これからの変動予想に関しましては、先ほども申しましたように、今のところ、まだ判然しておらない、これをできるだけすみやかに判然するために、照会を出し、連絡を密にするということの処置を講じておるのであります。
○藤田藤太郎君 そうすると、調進庁長官としては、今うわさにのぼった、それから労働者があらゆる角度から自分の働いておる場所はいつまで働ける、こういう角度から自己の生活問題ですから非常に真剣に調査して、今までの歴史を見てみると、駐留軍労務者の就職対策というものは、ほったらかしとは私は、言いませんけれども、ほとんど顧みられていないという現状なんです。そうすれば、働いている駐留軍労務者自身としてみたら死活問題ですよ。だから真剣にならざるを得ない。そうすると何ですか、あんた交渉して、この労務者がもしもそういう離職の問題が出てきても、あなたの力でその離職を食いとめる、万一食いとめられないときには事後のその人の生活というものを責任をもって見ていく、こういう工合にお考えになっているんですか、私はそれを聞きたい。そのくらいのあなた自信と決意があるなら、私は今これこれの程度だという、あなたはまるで人ごとのようなことでいいかもしれない。しかし、そうじゃない。具体的に出てくる今までの例がそうです。三十何万の――ところが今日は五万以下になっている。そういう切られてきた人がみんな困ってきた。それなればこそ働いている人は非常に真剣なんですよ。だから私はきょうお尋ねしているのは、一般の離職者がどうなる、あなたの立場からしたら残念ながらこういう状態で減っていくんだから、ここの場所ではこういう具合に減っていくんだからという工合に十分に事前に調べて、そしてそれを働いている方々に通告をして、そうして労働省と一緒になって事後のほんとうの困らないような対策を立てる、そういう熱意がなければ、あなたは雇い主なんでしょう、国を代表して。そんな無責任なことはないじゃないですか。
○政府委員(丸山佶君) 私は、先ほどから申された通り、労務者の日本政府を代表する雇用主の立場にあります。その職責におりまして、この労務者の離職ということをできるだけ食いとめたい、これは当然のことであります。しかしながら、現在の軍の状況、この趨勢においてこれは避けがたいことである。しからばそのあとの措置をどうするか、これがもう大へんな問題でありますので、先ほど申しましたが、労働省とともにいろいろな措置を講じている、調達庁長官の職責、権限で及ばない範囲もたくさんあるわけであります。だからそれらに関しまして、この駐留軍労務者の離職問題は単に私どもの力だけではできない面、これは労働省がもちろんその職責としてやられる面、これらをあわせてやるとともに、それでもなおいけないので、これは国会によりまして成立いたしましたああいう特別な措置法もできている、そういうことによって政府全体がより集ってそうしてこの対策を講ずる、この筋にいかなければだめだ、この筋において私は努力しているつもりなんでございまして、決して私は人ごとのように無責任にこのことを考えて、何らこれに対してなすことなくいるというつもりでは私はございません。
○小柳勇君 私はおとつい調達庁に参りまして担当者の労務部長と会っているから長官の努力していることはわかります。しかし、長官が今言われたように、長官だけでこの問題は解決できない問題もあるのです。それであればあるだけ、数字でも出して、それを与党の委員にもよく説明をして、みんながわかって、これをどうするかという知恵をしぼり出すのが今一番大事なことじゃないかと思います。従って、私は初めに資料が出されているかどうか調べましたところが資料が出されていない。おとつい私が行って、調達庁には大体そういう数字があるのだから出そうと思えば出せないことはない。それを出してよく委員に説明をして、それじゃこれからどうしよう、自分の力だけでは足りないから貸してくれ、そのくらいの決意を披瀝しなければこの問題は解決しないと思うのです。これは間接雇用の問題だけではありません。直接雇用のハウス・メードもたくさん首を切られつつあるのです。これは単に調達庁だけの問題じゃなくて、やはり国の問題として措置すべき問題だと思う。従って、これは長官に直ちに数字を出していただいて、もっと具体的に努力された跡を説明していただきたい。
 それから同時に、総理府から審議官が見えておられますから――総理府の長官が見えないのは残念でありますが、審議官に今の問題を伺います。現在、間接雇用として首を切られている者が何名、これから首を切られる者が何名、それからハウス・メード等の直接雇用でどのくらいの首切りがあるか、総理府の方で把握された数字を説明願いたいと思います。
○政府委員(飯田良一君) 御質問は、現在の在籍者、それから最近における離職者、それに関する数字でございますが、それによってお答えいたしますが、現在の在籍者は間接労務者五万九千三百名――間接雇用てございます。それから直接労務者が、一万五千名、特需労務者が七千七百名という在籍でございます。
 それで過去の数字になりますが、三十四年度の離職者は、間接労務者において一万六千二百名、直用労務者が三千六百、特需労務者が三千七百というふうに承知しております。
 それから本年度内における見込みが、間接労務者が一万一千、直用労務者が千六百名、特需労務者が千七百名。
○小柳勇君 これからの見通しは。
○政府委員(飯田良一君) 一応本年度内と申しますのは、この見通しを含んだ数字でございます。
○小柳勇君 関連して質問いたしますが、今の三十五年度の間接、直接、特需のこの解雇の見通しがありますが、これは三月までの見通しですか。
○政府委員(飯田良一君) さようでございます。
○小柳勇君 そうすると、まだあとこの在籍者に対して相当の余りがありますが、現在総理府としては、そういうようなことでこのドル防衛による首切りの問題を考えておるのかどうか。
○政府委員(飯田良一君) 最近におけるドル防衛関係による変化というものは、私どもの方でもまだ見込みを立てるのに資料が十分でございませんので、その関係は含まないで申し上げたわけであります。
○小柳勇君 さっきの藤田委員の質問は、ドル防衛によってもうすでに各地に首切りが発生しつつある。またそれが見通しされる。それが中心に今質問されておるわけです。調達庁長官もその今まで予見された首切り対策については、労働省の所管局とも連絡しながら離職対策を十分やっておる。それはわれわれ認めておるわけです。先日来の、十一月十六日のアメリカ大統領の声明によって起こるであろう首切りの問題について、今調達庁長官非常に苦労しながら努力しておる、しかし、自分の力でいかんともしがたいところもあるとさっき発言された。そういう問題について総理府として、総理府はこれは全体的な取りまとめの離職対策の責任者でありますから、そういうことについてどのような対策を持っておられるか、質問いたしたいと思います。
○政府委員(飯田良一君) 全体的に把握するといいますか、という立場におきまして、早急に見通しを立てる必要、これは何よりも肝心でございますが、私ども直接立てる資料がございませんので、目下関係各省、大いに推進いたしまして至急そういう見通しを立てるべく督励しておるところでございまして、まだ遺憾ながら集まってはおりません。
○小柳勇君 私は、さっきから発言しているのは、そういうところに問題があると思うわけです。ドル防衛によって駐留軍の労務者が首切りを受けつつあるということは、もう発生しているわけです。それにかかわらず、調達庁長官も一生懸命努力しておると言っているのにかかわらず、まだ総合的なそういう会議にもかかっておらぬところに、この問題が解決されない、われわれが不安とするところがあるわけです。従って、これまで全然会議にもかけていないような問題について質問するということは、時間の空費ではないかと思いますが、なお、藤田委員が質問するようでありますから、藤田委員の質問を聞いたあとで、私もまた意見を述べたいと思います。
○藤田藤太郎君 今総理府の審議室長がことしの見通しを言われて、間接が一万一千、直接が千六百、特需が千七百ですか、こういう工合に言われておる。それで調達庁長官はまあことしの六月までの間に二千人ぐらいだろうと、こう言われておるわけです。たらずと、こう言われておる。私はこの総理府の審議室長が言われたことが総括的な現実の問題だということであれば、私はこれ以上あなたに質問をいたしません。しかし、私は労務者の対策とかいろいろな問題は、本部長として総務長官が責任を持っておられるのだから、これはいいが、しかし、直接の今の日本のシステムからいって、あなたは雇い主になっているのだから、労務者の間接雇用の問題についてでも、あなたは明確に把握して、どういう工合に動いていくのだというぐらいのことは、数字をあげてここで説明されるのが順当ではなかろうか、私はそう思う。それもおあげにならないで、そうして二千人たらずだなんということでは、私から見たら、無責任な発言だと私は思いますよ。人が聞いたって、私はそう思う。だからそういうことでは、私たちはなかなか納得できない。しかし、こういう工合に出てきたのだから、この三月以降どうなっていくか、一般的な問題はどうなっていくか、それからたとえば一番最初に私が言いましたように、もう昨日横須賀で二百十八人の首切りの申し出があったということを聞いているわけです。これは一般の計画以外の問題だと私は思うのです。こういう工合にして直接働いている現地でこういう話が出てきている。そういう把握について、一つ長官に聞いておきたいと思うのです。
○政府委員(丸山佶君) 二千名弱という数字に関しましては、先ほど申しました通り、ただいま判明しておるところである。しかしながら、米軍の情勢が大統領指令等によって相当の変化があるかどうか、これが実は在日米軍でもまだ現在のところ判明しておりません。もう少し時間がたちまして、在日米軍の実情を本国に今おそらく報告しておる段階でありまして、こういうものを本国が総体的に見てどういうような措置、方法を、方針を考えてくるか、こういうことによって具体的にどういう変動、変化があろうかというのがこれからの問題でございます。従って、先ほど申しましたように、私どもはすでにこの問題を在日米軍には申し上げておる。また、これに関して今後随時緊密、密接なる連絡をとることも約束しておりますので、それらの線によりまして今後の事態の把握ということを明確にいたしておる、この措置を私が現在とっておるわけであります。それによって今後の総合対策等につきましても、私の方から労働省あるいは総理府の方へも的確な資料を出しまして、それに応ずる対策を御相談する、そうして政府全体としてこういう措置に万全を期したい。私はこのように考えております。
○藤田藤太郎君 私はもうあまり重ねてこの問題を聞きませんけれども、横須賀の首切りが言われたことは御存じなんですか。これが一つ。それからこういう工合にして起こってくるというような問題は調達庁か総理府か、その本部ですか、政務長官の本部で、アメリカ軍と接衝した結果、こういう格好で首切りの問題が出てきているのは、アメリカが秘密に勝手にやってあなたの方に報告する形式をとって、何もわからぬ間にこういうことがやられたのか。この二つの問題を聞かして下さい。
○政府委員(丸山佶君) 横須賀の人員整理の問題は、海軍のPXの従業員の問題だということで、そういう情報は調達庁も知っております。これが今度のドル節約政策の一環としてやられたものか、その以外の別の事情があるのか、これに関しては目下神奈川県を通じまして実情を調査しておる段階であります。
○藤田藤太郎君 そういうことを初めからわかってるように、あなたもここでおっしゃってもらわなければそれはわれわれどうなるのだ。私の質問していることに、具体的にあげてどうかとそこまで言うと、わかっておったんだと、これはあまりにも不親切というか、あまりにもあなたはこの国会というものをどういう工合に見ておられるか、私はそういう疑念を持ちますね。まあしかし、私はそれ以上言いませんが、問題はこういういろいろの問題が推移しているのだから、一般的な離職の状況を月別に、場所別に、そうして六月まで、六月以後の一年くらいの見通しというものを数字にあげて一つ出して下さい。
 それからドル防衛からくる離職の問題について、どういう工合に努力をしているというそれも一つ書類にして、総理府、木部のどちらからでもけっこうです。全体をまとめるなら総理府の木部でもけっこうです。調達庁と御協議をしていただいて、ぜひこの社労委員会に出していただきたい。急いで出していただいて、その上で来週この問題についてもう一度質疑を私はして明らかにして事後の対策を私たちはどうすればいいかということを考えたいと思います。
○政府委員(丸山佶君) ドル防衛に関する影響というものの実情というものは、先ほど来申し上げました通り、今のところ明瞭になっていないのでございます。もちろんこれを在日米軍との連絡によりましてできるだけすみやかにいたしまして、そうしてお話の通り、この的確な資料によりまして総理府にもお願いして措置したいと、このように考えております。
○藤田藤太郎君 私は、前段の推移の問題を資料として出してもらう。それから把握していないけれども、どういう努力をしているということを出してくれと言っているんです。それはいいですか。
○政府委員(丸山佶君) これからの推移に関しまして、私どもが資料として出せる程度のものができましたならば、そのようにいたしたいと思います。
○藤田藤太郎君 できましたならばというのですか。大体今日把握されている本年度から来年度にかけての推移というものをあなた方は努力して出してもらう。できましたなら――それならできませんでしたと出さぬでも済むと、こういう言い方だと思うのですが、出すということに努力するという意味ですか、どういうことなんですか。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) それでは速記を始めて下さい。
○小柳勇君 調達庁長官のドル防衛に対する駐留軍労務者の首切りの問題についての見解が甘いように私はとるわけです。これは労務部長とも会っていろいろ話してみると、長官以上に今後の重要問題として感じておられるように私は思うのです。たとえば現在の米軍の家族の三分の二なら三分の二が来年の夏までに帰るとすると、それに雇われておったハウス・メードなどというものは、当然首になることが予想される。それからPXの商品が売れなくなると、これに従事しておった職員も要らなくなる。従って、たとえばドル防衛によって駐留軍の家族が今後来ない者もあろう、長官は帰る者はあまりないだろうと言われておるけれども、相当の者が帰るのではないかと思うわけです。そうすると、それに従って関係者が相当首を切られていく。これが大した重要問題でありますときに、そういうことが予見されておるときに、そういう離職対策もまだ協議をされておらないという事情がわかったわけです。従って、第一に言いたいのは、長官がもう少し緊迫感を持って、具体的な予見した対策をもって対策を立ててもらうということが一つと、それから早急にそういう離職対策本部に調達庁長官で権限外のこともあろうから、一つ早急に討議して結論を出してもらいたい。将来の対策に対するいろいろな討議をしてもらいたい。これが第二の私どもの要求です。
 総理府の長官にも重ねて質問したいと思いますが、やはり長官だけではこの問題はいかんともしがたい問題もありましょう。従って、政府自体が一つ全力をあげてこの当面の問題を打開するために努力することを希望するわけです。それに付随するさっきの藤田委員の要精した資料を私も求めたいと思います。以上です。
○政府委員(丸山佶君) 冒頭に藤田委員の御質問に私が答えましたのは、大統領指令、つまりドル防衛問題の基本になっているこの指令の中の文言から言えば、軍自体に関してはこれこれこういうふうになって、従って、これによれば、それに直接働く者には大きな変動がないと推定するというのが、一応私は理論だと思いますので、そのように申し上げたのです。しかしながら、これによって、甘く見ておるというようなお話でございますが、そのような考えは持っておらない。海外における支出というものを全般的に減らそうということであるから、あるいはその軍自体のオペレーション等にもいろいろな変動も予想される。しかし今のところ、具体的にまだそれが判明しておらない、こういうことが二点。それからあの指令に今の家族の引き揚げのことは具体的に入っております。来年の一月から再来年の夏七月までの十八カ月ですか――にかけて三分の二は減らそう、こういうことははっきりしております。従って、それに応ずるところの影響は必ずあるはずです。お話のように、PXに対する需要あるいは種々なるクラブに関する利用度ということにも影響があろう。なお、家庭で見れば、ハウス・メードが要らなくなる、こういうことも予想される、このようなことはもちろん私どもも推定しておるわけでございます。しかし、この家族引き揚げに関しましても、一応大きなワクがきまっておるものだけでございまして、これがどういう工合にどういうような時期でいくということについて、なお具体的措置があるわけでございまして、これらについて軍がいろいろ具体案を立てておる、これらの情報に関しましても、これも当初申し上げましたように、私どもはすでに照会し、向こうと、今後この問題について密接なる連絡をとって、調達庁にはわかり次第相談をしてくる、このような態勢を今整えておる、このようなことを申し上げたわけでございます。藤田先生並びに小柳先生御要望のいろいろな資料等については、できるだけ御要望に沿うつもりであります。
○田畑金光君 私、おくれまして聞き漏らした点もあるかと思うのですが、今の答弁で大体わかったような感じもしますが、はっきり申しますと、在日米軍当局から、日本政府あるいは調達庁に対して、例のドル防衛に伴う駐留軍労務者の問題等については、まだ何ら具体的な申し入れとか、話し合いとか、こういうことはないんだ、今のところ何も具体的な話し合いを受けていないんだ、こういうことなんですか。
○政府委員(丸山佶君) この問題に関しまして、在日米軍と調達庁はすでに連絡をとっておる。しかしながら、在日米軍としても、いろいろなことの具体的な今後の計画等がまだできていない段階にあるので、その策定ができ次第連絡をとる、このように思っておる次第でございます。
○田畑金光君 先ほど、実は私外務省のアメリカ局の安全保障課の方にちょっと連絡をとって聞いてみたんですが、実は外務省の方としても、この問題について具体的には何も聞いていないのだ、むしろ私の聞いたのは、ドル防衛と駐留軍労務者との関係は一体どういう形になっていくんだろうか、こういう質問をしたわけなんですが、電話で聞いてみたのですが、外務省としては、調達庁の方から資料あるいはそのつど連絡を受けている程度で、具体的に聞いていないんだ、むしろまた、在日米軍の方としても、アメリカ本国から具体的なこの問題に関する指令というものがきていないという話なのです。こういうようなことも言っておるのですが、今お聞きしますと、調達庁としては、在日米軍から連絡を受けておる、こういうような話ですが、それはやはり在日米軍としては、アメリカ本国からの具体的な指令等に基づいて具体的な措置に出ておるのかどうか、それが調達庁への話し合いになってきておるのかどうか、この点はどのように見ておられるわけですか。
○政府委員(丸山佶君) 私の、どうも言葉が足らないのか、説明が下手なのか知りませんが、在日米軍は現在のところ、本国との関係において具体的にどうこうなるというまだそのものができておらないというのが実情と私は見ております。そのように向こうも申しております。従いまして、私どもはこの問題につきまして、いちはやく在日米軍とは連絡はとっておりますが、向こうが具体的にこれこれこうだというのは今何もない、これからこの計画等を具体化したものが本国と折衝においてできて、そういうものができれば、もう直ちに日本側にお知らせする、このような連絡を私は在日米軍ととっておる次第でございます。
○田畑金光君 まあ、調達庁長官の御答弁を聞いておっても、同じような印象を受けるわけですが、たとえばドル防衛が日本の今後の国際収支や日本の経済にどういう影響をもたらすのか、こういう質問に対して、あるいはまた、国民一般の印象からしますと、ドル防衛のアメリカの今後とっていくであろう具体的な措置を考えたときに、日本の経済成長等に対して先行き非常に暗い感じを受け、また、不安を持つのが国民一般の感じだと思うのですが、これに対して大蔵大臣初め総理の答弁は来年の下期以降若干の影響は出てくるだろう、三十七年度に一億ドルないし二億ドルというようなこと等も、具体的な影響が――特需の減少を通じて国際収支の面における影響が出てくるだろう、こういうような話等がありまして、実は非常に楽観的な印象を与えようと努力しておるわけです。調達庁長官のお話を先ほどから伺っておりましても、同様に、まあ政府のそのような答弁と歩調を一つにするように、まあ来年以降の影響というものは考えられるというようなことですが、しかし、国民の側から言い、ことに駐留軍労務者の立場から見ますと、直接影響を受ける関係者の立場から言うと、そういうような楽観的な見通しでは、なかなかおさまらぬと、こう思うのです。先ほど来藤田委員等から、質問の中に強く要望として出されておりますように、もっとやはり具体的なアメリカの動きに即応する、まあ調達庁として具体的な――どうすれば最小限その被害を防止するかということについて、もっとやはり見通しの上に立って作業を進められることが必要だと考えておりますが、まあこういう点については、一つ先ほどの要望にありましたように、これだけ大きな問題となっておるにかかわらず、なおかつ今のような、何ら具体性のない答弁だけでは、われわれ議員としても非常に不満足でありますので、その点は一つ早急に御努力願いたいと、私の方としても強く希望申し上げておきます。
○藤田藤太郎君 この件についてもう一言、調達庁長官に申し上げておくのですが、たとえばアメリカの大統領――われわれの知悉しない面もあると思いますから、命令がどういうような格好で出ていて、そして軍や、その他の関係がどういう工合に出ているというような資料をわれわれに一応配ってもらって、そしてこれがこうだ、こうだという説明であれば、この問題はもっと明らかに、もっと理解が早かったと思うのです。ですから、どういう工合に動いているかというような資料も、参考資料で出してもらって、われわれの認識を深めたいと思いますから、それも重ねてお願いしておきたいと思います。
 それからもう一つお聞きしたいことは、駐留軍労務者の賃金の問題なんです。賃金はどういう工合にして、公務員の給与が今国会にかかって、政府の提案は、一応十月一日からやる、こういうことになっておる。この駐留軍労務者の給与のべース・アップはどういう工合にお考えになっているか。これを聞きたい。
○政府委員(丸山佶君) 駐留軍労務者の賃金のべース・アップに関しましても、政府の一般公務員のベース・アップに準じまして、実施をいたしたいということで、目下米軍と折衝しております。ぜひ実現いたしたいと私どもは考えております。
○藤田藤太郎君 いろいろとお話は聞いておったのだが、独立して、公務員のべース・アップはいろいろのものとの関係をはずして、ベースはべースとして上げるということに理解していいですね。
○政府委員(丸山佶君) 駐留軍労務者のべース・アップも、一般公務員のべース・アップに準じて上げていく。その基本方針でございます。その上げ方に関しましては、駐留軍労務者の給与体系、それから公務員の給与体系がぴったり相応するものではございません。そこでそれに準じて同様にということが、どのようなものをもってそういう方針に即するものといえるかどうか。こういう技術的な点において折衝を要し、検討を要する問題がございます。とにかく基本といたしましては、一般公務員のべース・アップに準じてこれをやっていく方針でございます。
○藤田藤太郎君 それで、私の聞いているのは、先日までうわさに聞いておったのだが、その財源云々で、何か休暇云々という話があったのだ。そういうことはもう関係なしに上げるということに理解していいわけですね。
○政府委員(丸山佶君) お話の通り、その給与体系の違っておる一つのものとして、有給休暇買い上げというようなものをやっておるわけでございまして、これがこの問題にかんがみまして、確かに問題になりました。しかし、私はこれとそれとは別問題である、なるほど確かに今の時期における制度としてはおかしいが、しかし、事実上の問題として収入のもとになっている、これに変更を加えることはできない。制度としてこれはあらためて別に考えていくが、このものとはからみ合わせて措置することはしないと、このような方針をとっていくつもりであります。
○藤田藤太郎君 それからもう一つお尋ねしたいのですが、それじゃ給与に関する凍結が行なわれているわけですね。ことしの四月ですか、たとえば大工であるとか、配管工であるとかいう人に、賃金の凍結が行なわれているわけですが、この数は千人ぐらいだそうですが、その方にも、このべース・アップは今おっしゃった趣旨でおやりになるということですね。
○政府委員(丸山佶君) 賃金凍結と申しますか、本来ならば、このワク内にとどむべき賃金というのが、事情によりましてワク外になっている。そのために足踏みをしているものが約九百二十名ほどあるようです、お話の通り。これらのものに関して、理論的にはべース・アップを行なうことは、ますますそのワクとの開きを多くするという難点もございます。しかし、全然これに対して、何らのべース・アップもないということは、やはり本来基本的な趣旨ではあるまいということで、目下この問題の検討、また、米側との折衝に、相当の難航がある問題でございまして、確定的なことは申し上げられませんが、できるだけの努力はいたしているつもりでございます。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○高野一夫君 今藤田委員、小柳委員、田畑委員の御質疑に対する丸山長官の御答弁でわかったことは、ドル防衛策の影響としては、まだ全くわからない。それで在日米軍当事者が、本国に目下照会中だ、打ち合わせ中である。だからその結果がわかればわかると、こういうことだ。それで、それはそうだろうと思うのですが、そこで在日米軍当事者としては、本国との打ち合わせの結果、その具体的な結論が出せるのは大体いつごろになるという見通しぐらいはあるだろうと思うのですが、そういう点について、調達庁に何か連絡がありましたか。もしもないとすれば、調達庁の方として、大よそいつごろには、向こうから結論が聞かれるだろう、こういう見通しをつけておられるか、これを一ぺん確かめておきたいと思います。
○政府委員(丸山佶君) 確かにその問題がありまして、私もそれに関して関心を寄せているわけで、話を在日米軍とはいたしているのでございます。お話の通り、できるだけすみやかに、在日米軍としてもつけたい、しかし、本国が、世界全体の関連においてどういうように措置するかということで、これまでになれば明確になるという筋はまだ出ておりません。しかし、私どもの予想としては、いろいろ全般的にどうこうということはならぬでも、ある程度のことについては、来月あるいはおそくも再来月、この一カ月か一カ月半のうちには、ある程度の状況はわかってくるだろう、このように見込みはつけております。
○田畑金光君 藤田委員の質問で、ちと長官の御答弁が明確にどうも受け取れなかったのですが、給与の問題ですね、公務員が一二・四%上がった。そこで駐留軍労務者についても、これに準じて、アメリカ軍と話し合いをしているというような御答弁でしたが、それは話し合いをしているのではなくて、話し合いがついたのかどうかですね。公務員に準じて、一二・四%の駐留軍労務者の賃上げについては、話がついて、財源措置等もまとまったのかどうか、この点明確に一つ御答弁願いたいと思うのです。
○政府委員(丸山佶君) この準じて上げる率の問題が幾らになったか、そこまで具体的にはまだ話がついておりません。しかし、基本的に準じたものを上げるということははっきり話がついております。でありますので、今国会において公務員の給与法案が通過することは確実でありますので、おそくもその通過したときまでには話をつけるように努力をいたしております。
○田畑金光君 そこで、これは私駐留軍労務者の賃金というものをよく聞いておりませんのでわかりませんが、今度の公務員の給与を見ますと、一般的に上厚下薄と言われて、上に厚く下に薄い、格差が非常に大きいのだ、こういう問題が強く批判として出ておるわけで、これは今回の給与法改正法案の審議の中で、国会において取り上げられる一番重点だと思うのですが、今調達庁長官のお話による、駐留軍労務者も公務員に準じて上げるというような場合に、その上げ方は、公務員の今格差があると言われているような形で、やはり考えていくのかどうか。それとも駐留軍労務者の給与の引き上げは、従来一率に引き上げてきたということを聞いておりまするが、そういう形をとるのかどうか、その辺はどういうことになるわけでございますか。
○政府委員(丸山佶君) 公務員の給与に準じていたしますと、お話の通り、上の方が率がよくて下の方がそれほどではない、このような状況にありますので、それをそのまま準じていくということになりますと、そのようになるわけでありますが、しかし、私としては、全体的の給与体系もまだそっくりそのまま当てはまるような給与体系にもなっておらないような状況でありますので、やはりこれに関しまして、一つの考えとして平均的にいくということでも準じてやるという措置になると、こう言えると思いまするので、そのようなことも考え合わせまして、今目下せっかく検討中でございます。いずれ数日中には、その結論を報告し得るようにしておきます。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
○委員長(吉武恵市君) それでは次に、炭鉱労務者離職対策に関する件及び日雇い労務者に関する件を議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言願います。
○藤田藤太郎君 私は、今日、緊急な問題として労働省にお尋ねしておきたい点を初めに全部申し上げて、順次お答えをいただいて、われわれの理解を深めたいと思うのです。
   〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕
日雇い関係については、一つは緊急失対事業の年末資金の問題をどうするかということが一つ。それからもう一つの問題は、たくさんありますけれども、聞いておきたいのは、北海道の日雇い労務者の石炭手当の問題をどう考えているかということが一つ、一般的な問題は日を改めてやりますから、この二つの問題を聞きたい。
 それから炭鉱離職者の今日の現状と、今年から来年にかけて、本予算もあるし、補正予算の関係、それから三十六年度予算の関係でどうするかというような問題をお聞きしたい。あわせて、今の駐留軍労務者の離職の推移並びに先ほどお話がありましたが、労働省としてはどういう考え方で対処するか。
 この四点を私は聞きたいと思うのですが、順序は、なんでしたら日雇いの方から始めてもらってけっこうです。
○政府委員(堀秀夫君) 炭鉱離職者の対策の一環といたしまして、まず第一に、ただいま御指摘の緊急就労対策事業を現地において実施しているわけでございます。そこで、この緊急就労対策事業は、御承知のごとく、炭鉱離職者臨時措置に基づきまして運営しているところでございまして、業者に対しまして請負に出すという形で運営をしているわけでございます。従いまして、この緊急就労対策事業におけるところの賃金の問題あるいは手当の問題等につきましては、これは労使の問題として話し合ってきめてもらう、こういう考え方をとっておりますので、政府といたしましては、緊急就労対策事業に対する手当の問題について、何日を出すというようなことは、現在のところ、考えておりません。
 それから北海道におけるところの日雇いの石炭手当の問題でございますが、これは御承知のように、冬季における北海道の失対事業の運営については、他の場所と違いましていろいろ特殊性がございます。私どもはそういう観点から、この北海道におけるところの失対事業のあり方というようなことにつきまして、検討をして参りたいと思っておりますが、たとえば冬季におけるところの石炭手当の問題につきましては、私どもはこれは一つの重要な問題といたしまして、今後、関係各省と十分話し合いを続けまして、現状に即するような方法を見出すように努力を重ねたいと思っているところでございます。
 それから次に、炭鉱離職者対策の現状と今後の見通し、対策の見通しでございますが、炭鉱離職者につきましては、御承知のように、その後も依然として実人員が減少の傾向をたどっております。明年におきましては、やはり本年に引き続きまして、これは通産省と目下数字を固めつつあるわけでございますが、一応の推定といたしましては、やはり二万四千人程度の実人員の減少が行なわれるのではないか、このように思っております。従いまして、私どもといたしましては、通産省とも密接な連絡をとりましてこの離職対策をさらに積極的に進めて参りたい。すなわち第一番に、離職された方々に対しましては、援護会等における移住資金の支給等の裏づけといたしまして、職安の第一線機関を動員いたしまして、広域職業紹介の努力を積極的にさらに続けていきたいと思っております。現在の状況は、昨年の三十四年度におきましては、目標を二千名と見込んでおりましたが、就職者数は三千五百名と、目標を相当上回る成績を見ております。三十五年度につきましては、四月から十月までの間におきまして、目標は一般の広域職業紹介が四千人、それから訓練所等を出ました者について二千人というふうな目標を定めて推進しておりますが、四月から十月までに実績が二千七百三十六名というような数字になっておるわけでございます。来年度におきましては、この広域職業紹介活動をさらに積極的に行ないまして円滑な配置転換ができまするように、われわれとしては努力を続ける考えでございます。
 その半面におきまして、転職訓練というものを、本年度に引き続きまして積極的に希望者に対して実施を行なって参りたいと思っております。本年度はおかげさまで、一般の離職者訓練所のほかに、総合職業訓練所の施設が逐次設置拡充を見まして、たとえば荒尾であるとか、あるいは小倉、八幡であるとか、あるいは遠賀、大阪であるとか、順次開所をいたしまして、希望者を入れて訓練を行なっておるところでございますが、来年度におきましても、引き続きまして、この総合訓練所、一般訓練所におきますところの炭鉱離職者の転職訓練というものを希望者に対して積極的に実施して、配置転換の裏づけにして参りたいと思っております。
 なお、それと同時に、緊急就労対策事業、公共事業、鉱害復旧事業等につきましては必要なワクを確保して参りたい。このような考え方で、本年度に引き続きまして積極的に離職者の援護を行なって参りたいと思っております。
 なお、ついでに申し上げますが、配置転換の裏づけといたしまして、やはりわれわれがこの一年間の体験を通じまして痛感しておりますることは、やはり労務者の住宅の確保をいたしませんと、なかなか広域職業紹介というものがうまくいかないということでございます。そこで本年度におきましては炭鉱離職者援護会におきまして、移住資金の支給のほかに、移動式のパイプ・ハウス等の無償貸付、それから住宅奨励金の支給というような業務をやって参っておりまするが、これだけではまだまだ不十分であると考えるのでございます。そこで、本年度におきましては、つい最近でございまするが、離職者援護会におきまして、炭鉱離職者用の専門のアパートを需要地に建設するということに関係各省とも相談して方針が決定いたしました。名古屋に六棟、それから大阪、兵庫に一棟ずつ、さしあたり五十世帯ずつの棟を建設いたします。結局四百世帯になりまするが、本年度におきましては以上のような措置を決定いたしまして、
   〔理事高野一夫君退席、委員長着席〕
現在、現地の基礎工事に着手する段取りになっております。来年度早々にはこれを開所いたしたい考えでございます。
 なお、来年度におきましては、以上申し上げましたような措置のほか、ただいま申し上げましたような情勢にかんがみまして、炭鉱離職者用の住宅の確保という点につきまして、私どもとしては関係各省と折衝いたしまして、本年度よりも飛躍的にこれを充実さして参りたい考えでおるわけでございます。
 以上が炭鉱離職者につきましての現況と、来年度のわれわれの基本的な考え方でございまするが、次に駐留軍について申し上げますると、先ほど調達庁長官あるいは審議室長等からいろいろな御答弁がございました。労働省といたしましては、中央の駐留軍離職者関係対策協議会等におきまして基本的な方向の検討をいたしまして、その一環といたしまして離職者の就職対策を進めておるところでございまするが、ドル防衛等に伴うところの影響につきましては、先ほど答弁にありましたようなことで、まだ具体的にどれだけ出ておるかということを、調達庁その他からの資料もございませんので、これは労働省といたしましては、至急この離職者対策協議会等において、関係省の資料を持ち寄りまして推定の努力を行なうように私どもといたしましても努力いたしたいと思っておりますが、本年度におきましては、現在本年度当初から九月までに離職されました方が大体私どもの調べでは約七千人程度でございます。ただいまから来年の三月末には、私どもといたしましては、さらに六千人ぐらいの離職者が出ることを、まあ前提といたしましていろいろ努力の準備をしておるわけでございます。この具体的な数字は調達庁等と連絡いたしまして今後やって参りまするので、これより多くなるか少なくなるか、それは調達庁等と相談をいたしまして、また、それに応じた対策をとりたいと思いますが、現在は今のところ、ただいまから来年の――今年度一ぱいの間になお六千人ぐらいが出るということを前提といたしまして対策の準備を進めております。すなわちわれわれの方の対策といたしましては、やはり現地の職安機構の体制を整備いたしまして、離職者が発生するような基地の周辺におきまして現地出張相談を行なうということ、これは芦屋等においてもすでに行なったところでございますが、今後においてもそういう方式で実施いたしまして、これと同時に、周辺の事業主に対しまして求人開拓の活動を積極的に行なって参りたいと思っております。それから希望者につきましては職業訓練を――転職訓練を実施いたしたいと思っております。本年度におきましては、駐留軍離職者の転職希望の対象は一応九千八百人程度に予定いたしまして、そのワク内におきまして希望者に対しまして機動的に実施を行なって参りたいと思っております。従って、本年度におきましては、以上のような準備がございますが、転職訓練につきましては、希望者があれば現地において機動的にそれの要望にこたえて実施することが可能であると考えております。
 それからなお、転職訓練中の生活の問題がやはり重要であると考えておるのでございまするが、これは幸いにいたしまして、この通常国会におきまして、職業訓練中の方につきましては、失業保険を延長支給するというような改正が行なわれましたので、この活用によりまして対処して参りたいと思っております。
 それから、以上のような措置を講ずるとともに、調達庁等にお願いをいたしまして、基地内の転職訓練、これも自動車運転その他につきまして活発に行なっていただくようにお願いをしております。それからなお、次官会議の申し合わせによりまして、駐留軍離職者等が集中的に発生する地域におきましては、公共事業その他の実施についても重点的にワクをとって行なうという申し合わせをしておりますので、これをそのほかの裏づけにして参りたいと考えておるわけでございます。
 なお、これは私どもの方の直接の所管ではございませんが、協議会等におきまして相談をいたしまして、自営業を営むことを希望する方につきましてのいろいろな援助につきましては、労働省といたしましても測面的に御援助を申し上げるということにいたしております。
 以上が駐留軍の離職者対策につきましての現在の私どもの基本的な方針でございます。
○藤田藤太郎君 問題点をずっと並べたわけですけれども、いずれ日をあらためてやらなければ、もっと理解を深めなければならぬ問題がだいぶ出て参りました。私は今のお答えの中で、第一番目の緊急就労対策は、労使で解決をしていくということだけでいいのかということを私はお尋ねしたい。今日大体六十万くらい登録者がおられる。この緊急就労対策は八百五十円の単価で七千五百人ですね。それでその石炭事業の離職の際に緊急就労事業としてやってその単価の中に含んでいる、理屈はそういう理屈も言えるかわからぬけれども、しかし、実際問題として、一般失対から特別失対もあれば臨時失対もある。そこに出ている人が、賃金の額の差異はむろんありますけれども、やはり年末のささやかな、われわれはあれではとてもよろしいと言えぬような十・五日が支給されるわけですが、その七千五百人の人にこれは八百五十円の単価をきめて、ワクであるからといってこれはほっぽり出す。本来その仕事がなければ一般就労の中に入ってくる人だと私は思う。入ってくる人であるが、こういう事業があるからそこで働いている。賃金を見てみてもそう大して違わぬ。こういう状態の中でこの人たちだけをほっぽらかして、これは労使でやってもらいたい――労使でやってもらいたいというなら、あくまでその事業を提供される使用者の方に行って、そしてそういう年末の配慮を国が方針としてきめて、一般にはやってるんだから、そういうめんどうを実質的に見てもらえるようにしてあげる、こういうことがあって私はしかるべきだと思う。単に労働省として、労使の問題だからそこで解決してもらいたい、くらいでは、これはなかなかおさまらない、私は問題だと思うのです。だからどういう工合に……、単に労使で解決してもらいたいだけで突っ放していいものかどうか、もう一ぺん真意を伺っておきたい。
○政府委員(堀秀夫君) 御承知のごとく、緊急就労対策事業は、臨時措置法に基づきまして業者に請負に出しまして工事をしてもらう。その場合に、その工事に就労させる労務者につきましては、八五%が炭鉱離職者であることを必要とするという条件をつけまして請負に出しておるわけでございます。そこで、この手当の問題につきましては、これはもう形式論でまことに恐縮でございますが、やはりこの一般失対等と違いまして業者に請け負わしておるわけでございます。従いまして、その賃金をどのくらいにするか、あるいは手当をどの程度支給するかということは、政府としてはきめておらないわけでございます。ただまあ実情いろいろ伺ってみますると、その後におきまして、最近はいろいろな事情もございまして、この現在の八百五十円程度の単価では非常に苦しいというお話も関係者からいろいろ聞いておりますので、私どもといたしましては、来年度の予算におきましては、いろいろな現地の事情を伺いました上で、もう少し実情に即するような予算の裏づけを獲得いたしたいと思いまして、これにつきましてはわれわれ全力を挙げまして努力をする考え方でおるわけでございます。そこでこの年末はどうなのかというお話でございますが、すでに業者に対しましては請負契約を結びまして、単価八百五十円ということで請負契約を結んで、それに基づいて現在工事を施行しておるわけでございます。一般の公共事業と同様に実施されておるわけでございます。公共事業につきましても、御承知のように、賃金あるいは手当というような問題は、業者において労務者側の意見も聞いてきめておるわけでございまして、それとの関連等も出てくるわけでございます。本年度におきましては、私も炭鉱離職者の方々の実情については、深い同情の念を持ち、その生活がちょっとでもよくなるということについては全く同感でございますが、現在のこの緊急就労対策事業の問題につきましては、遺憾ながらいろいろ検討もしてみたのでございますが、本年度においては、すでにこの発注もいたしまして、その単価で工事をやっておられるわけでございます。そういうような事情でございまして、手当の問題について今、国として措置をとることが不可能だという情勢にございますので、きわめて遺憾でございますが、ただいまの段階におきましては、そのようにお答えするほかないわけでございます。
 来年度の問題といたしましては、来年度になりますると業者に対して新しい条件で発注をするわけでございますから、来年の予算の問題につきましては、私どもも最善を尽くして努力をする考えでございます。
○藤田藤太郎君 私は、ここで今の理屈を申し上げません。ただしかし、条理からいっても、現実問題からいっても、あなたの言われるようなことで突っぱられることだとは私は思えない、労働者の身になってみたらそんなことはできっこない。だから、今日、今の時間においてはどうだということを、私はそういう要求しかできょうがないのだということならまた話は別だと思う。だからこの問題は、だんだん年末も迫ってくることだから、それだけでは私は済まされないと思うので、一つ次の機会にはどうせ社労委員会も持ちます。しかし、省としても、この問題は今のような、今の時間における答弁じゃなしに、真剣にこの問題は考えてもらうということだけを、一つここで約束してもらわなければ、私はこの問題についてこのままでは引き下がれないと思う。
○政府委員(堀秀夫君) ただいまいろいろ検討をしておるわけでございまするが、私としては、ただいま不可能である、こう申し上げざるを得ないわけでございます。しかし、今後の問題等につきまして、十分真剣に検討を続けてみたいと思っております。
○藤田藤太郎君 それではそういうことにして、緊急に一つそういう不公平のないようにしてもらいたいということだけは申し上げておきます。
 それから石炭手当の問題は重要問題として検討を行なっていきたいということをおっしゃったと思うのですが、よく汲みとってくれというならそれでいいかわからぬけれども、一般公務員もあれど、生活保護者にも支給されて、日雇い労働者だけないということについては、これはあなたも、理屈からいっても成り立たぬ問題だと私は思うので、そういう趣旨に沿って、実現するために努力している、こういうことですね。
○政府委員(堀秀夫君) 関係各省と十分折衝いたしまして、努力をしたい考えでございます。ただ、いろいろな関連の問題もございますので、いろいろな問題点があるということは御承知願いたいと思いますが、私どもとしては、一つの大きな問題点として真剣に検討して参りたい考えでございます。
○藤田藤太郎君 私は炭鉱離職者と、それから駐留軍離職者の問題は、ただいまやり出すとだいぶ長くなりますから、日をあらためたいと思いますが、この問題は、われわれが最も理解して、最もその対策をどうすればいいかということを考え出すには、政府はたとえば補正予算もある、来年度の予算もあるのだから、そのあなたの考えていることを、予算要求をこの委員全部に配ってもらって、そうしてそれを、こういう格好でやろうとしているのだ、これをやるには、これだけの金が要るので、これだけやろうとしているのだということをここに出されていいことだと思う。今日予算説明はいろいろなところでやっておられるということは、国会の日報を見てごらんなさい、よく書いてある。どこにも書いてあって、どこでもやっておるわけだから、委員会にも一つ公式に出してもらって、そうしてわれわれがこういうあれでこれじゃ足りないのじゃないか、これの必要なためには、来年度の予算、補正予算のための大蔵省との中に予算関係は成立するのだけれども、そういうものにはこの委員会としてどうすればいいのかというやっぱり委員会自身の考えもある。だからぜひ来年度の予算要求、それから補正予算の解説、こういうものを私は出してもらいたいと思うのです。私はきょう補正予算の解説をここへ出されるのかと思っていたのです。きょうもう少し時間があれば両大臣に私は言おうと思っていた。しかし、衆議院の予算の関係で、われわれはお譲りいたしましたけれども、具体的には事務当局からお出しになって、事務当局から具体的に説明するのだから、そういうことだと私は思っていた。ところがそうじゃない。構想だけ述べられたのだが、これでは議論のしようがない。だからぜひ一日、二日の間に出してもらいたい。そうしてその上に立って来週早々にでもこの二つの問題の検討をしたい、こういう工合に思います。それを一つ。
○政府委員(堀秀夫君) 補正予算につきましては、私どもの方の関係では、一般の失対労務者の年末手当一・五日分を計上いたしております。そのほかに、失業保険の、これは義務的な一般会計からの繰り入れ、国庫負担の繰り入れの問題ですが、それを計上しております。以上の通りでございます。
 なお、住宅につきましては、補正予算を待たずして、炭鉱離職者援護会の予算を活用いたしまして、二億五千万になるわけでございますが、先ほど申し上げました炭鉱離職者用のアパート八棟の建設に着手をいたしました。明年度の問題につきましては、いろいろ私どもの方の考え方でございますので、後の機会にさらに具体的に御説明を申し上げます。
○田畑金光君 今の質問に関連するのですが、御答弁を聞いておりますと、例の緊急就労対策事業に従事しておる炭鉱離職者の年末措置の件です。これだけ炭鉱離職者について特別な保護と言っては強過ぎますが、特別措置をやってきて、緊急就労対策事業に従事しておるこの人方の年末の措置について何一つ考慮されていなかったということは、これは、大きな手落ちじゃなかったか、こう感ずるわけです。おそらく一般失対に従事しておる諸君には、従来賃金増給の措置がはかられるし、また、今回は新たに年末手当の一・五日分ですか、これを設けられておる。それからまた、生活保護を受けておる人方に対しても、年末一時扶助手当を支給する措置がとられておる、そういう際に炭鉱離職者については特別措置を作り、援護会等を作っていろいろ援助の手を差し伸べられてきたにもかかわらず、年末になってみますと、実は緊急就労事業に携っておる炭鉱離職者については一般公共事業従事者と同じ扱いだ、これは何としても合点のいかぬ、納得のいかぬ点じゃなかろうかと、こう思うのです。現に八百五十円の単価についても、あれではとても事業効果を上げることはできぬし、また、資材費、輸送費あるいは人件費等を考慮した場合にはもっと上げてくれという要望は関係炭鉱市町村から強く出ているわけで、この点は、今御答弁を承りますと、来年度の予算では別個な考慮あるいは実情に即した考慮を払うという御答弁ですから、これは来年の予算は予算としてわれわれはそのようにおやりなさることを期待しておりますが、当面の問題として、この緊急就労対策事業に携わっている炭鉱離職者の年末手当の措置については皆目これはだめなのかどうか。さっき大へんこれは見込みないというような断言的なことを話されたので、これからわれわれとしても強く一つ労働省に申し入れをし、善処を求めようと考えていたのだが、それではどうも実も花もない話になってしまうので、この点労働省としては、再度一つ大臣を中心に考えてもらいたいと思うのですが、どうですかね。
○政府委員(堀秀夫君) 実情いろいろ私どもも拝聴いたしております。単価の問題等につきましては、実情に即しない面が多いと思いますので、先ほど申し上げたような考え方で臨みたいと思っております。この年末手当の問題につきましては、答弁を繰り返すようでまことに恐縮でございまするが、すでに業者に対しましてこの条件で発注もして現在工事を行なっておるわけでございます。そういうような建前で賃金あるいは手当というような問題については、国は関与しない、こういうことになっておるわけでございます。そのような建前でございますので、いろいろ検討しておりますが、ただいま私が申し上げましたように、これはそういう建前からいたしまして、今年度につきまして、国が措置を講ずるということは非常にむずかしい情勢でございます。しかし、いろいろな御要望につきましては、また、関係者とも相談をいたしまして検討はしたいと思っておりまするが、ただいまの段階では建前からいたしまして不可能である、こう申し上げざるを得ない情勢でございます。
○田畑金光君 今の建前論はよくわかりますが、賃金、手当については全部請負業者にまかせてあるので、その建前からしては、国として今さらどうにもできぬという、その建前論は理屈としてはわかりますが、しかし、どうでしょうか、そういう建前論ということを、この事業を始める当初において、労働省としては予測されてこのような仕組みになったのか、現実年末にぶつかって、この問題に当面してみると、その建前はどうも無理な点があった、これはやはり改めなければなるまい、こういうような気持になっておるのかどうか、いずれですか。
○政府委員(堀秀夫君) 本年度の予算編成をいたしました際には、先ほど申し上げましたような建前で、一般の公共事業と同様、賃金、手当というものについては国はきめない、業者に発注をして行なってもらう、こういう考え方で立てられておるわけでございます。ただ単価等が実情にそぐわない点もあるというような関係で、なかなか関係者において御苦労が重なっておるような情勢も聞いておりますし、御要望も伺っておりますので、来年度の予算の編成にあたりましては、十分そういうような実情を加味いたしまして、私どもとして関係各省と折衝して、実情を改めるように努力いたしたいと考えております。
○田畑金光君 本年度の予算措置では、実情に基づいて改められる。それでわれわれもそれを期待しておりますので、来年以降のことは、先ほど申し上げたように、来年度予算のときに論議することにしまして、当面この年末の措置については、ただあんたの方で、当初の建前がこうであったから、現実の事態としてはどうにもならぬという、こういうことだけでは済まされないと思うのです。また、後日の機会にお伺いしたいと思うのですが、三井三池の労務者についても一名の失業者も出さないという、あれほど大きなみえを切られた労働大臣でもあるし、ことほどさように万事炭鉱離職者の問題についてはあたたかい措置を考えておられる大臣でもあるし、この問題について、こういうような形で取り残されるということは、大臣の気持に反すると思うので、これはよく一つ労働省としても大臣を中心に御検討なさって、来年の予算と言わず、当面この矛盾をどう調整するかということは、もっと一つ真剣に取り組んでいただきたい、こう思うのです。この点は、そういうような御努力をなされるものだとわれわれは信じておりますが、その御努力の経過を見て、またそれぞれ御意見を申し上げたい、こう考えております。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて、本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。ちょっと速記をとめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。午後は一時半から再開をいたしたいと存じます。休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時四十八分開会
○委員長(吉武恵市君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 労働情勢に関する調査の一環として、病院等における労働争議に関する件を議題といたします。本日は本件に関連して調査上の参考に資するため、日本赤十字社の運営について参考人の出席を願っております。
 それではこれより日本赤十字社における運営状況について参考人の各位から意見をお伺いすることにいたします。
 この際、委員長として参考人に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。
 参考人の各位には年末御多用のおりから御出席下さいまして、ありがとう存じます。
 目下医療機関等において労働争議が起きており、日本赤十字社においても行なわれている現状であります。当委員会は、この際、日本赤十字社における経営管理の現状及び争議の経過等について、経営者側及び労働者側の代表の方々においでを願って、御意見をお伺いいたし、委員会における調査上の参考にいたしたいと存じまして、御出席を願った次第でございます。何とぞ当委員会の意のあるところをお含み下さいまして、おのおのの立場から隔意なき御意見をお述べ下さいますようお願いをいたします。どうぞよろしくお願いをいたします。
 なお、便宜上、最初に葛西参考人の意見聴取、質疑を終了して後、宇夫方参考人から意見を聴取し、質疑を行なうことにいたしたいと存じますので、御了承願います。
 それではこれから参考人からの御意見の発表をお願いいたします。まず、日本赤十字社副社長葛西嘉資君からお願いをいたします。なお、参考人の説明について補足する必要がある場合は、ほかの方からも御答弁ございましてもよろしゅうございます。それでは葛西嘉資君。
○参考人(葛西嘉資君) このたび私ども赤十字の病院が全国にわたりましてストの状態に入っておりまして、患者の方々その他の人に御迷惑をおかけしていることはまことに遺憾でございまして、申しわけなく存じております。
 赤十字の運営のことを初め申して、それからストの経過を申すようにという委員長のお話でありますが、日本赤十字は、御承知のように、昭和二十七年にきまりました日本赤十字社法によって運営をいたしております。日本赤十字は、社法によりまして一国一社、一つの国に一つの赤十字というような原則で、日本の赤十字の全体は赤十字の社長が運営するというような格好になっております。社法並びに定款の規定によりまして、社長は日本赤十字社を代表し、赤十字の行ないます業務を総理するというような形になっております。しかしながら、日本全国にあるものを東京で全部やるということはできませんので、これを大体支部――府県を区域にする支部に分けまして、支部の組織というものがございます。それからそのほかに、また支部の指導監督のもとに医療施設がある、こういうような形になっておりまして、社長、支部長、病院長というようなものの権限といいますか、責任といいますか、ここらのところが問題があるように思いますので、少しその辺を申し上げた方がいいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
 社長は、今のように本社を代表して、赤十字の仕事を総理してやる、仕事の大体内容、総理の内容の実態は何かと申しますと、支部との関係から申しますと、定款に定められておるところの役職員並びに幹部職員の任命、支部に委任したものがございますが、幹部の方は本社で内申によって任命するというような形。それから第二は、本社の全体の制度の改廃というような、全国的な制度の改廃というようなものが社長総理の一つの内容でございます。それから第三は、赤十字事業の全般的な企画、指導というようなことが支部に対して、あるいは病院に対して行なわれるというようなことでございます。そのほかに、第四番目に赤十字の特殊な事業として、国際的ないろいろな赤十字事業がございます。そういうようなものは一本で本社がやる、たとえば中共の引き揚げでありますとか、あるいは今政府の委託を受けてやっております在日朝鮮人の北鮮帰還というような問題は本社でこれをやる、それから日本赤十字は国際赤十字連盟の理事国になっておるわけですが、そういうようなものも大体本社の方でやっていくというような、四つくらいの活動の内容を、分割いたしますとそういうことになろうかと思います。で、赤十字の事業はそんなようなことで全国で行なわれるわけでございますが、これを大体四十六都道府県に分けまして、そしてその区域でやる、ことに事業をやるにいたしましても、支部でやります事業は、お金がありませんので、大体社員あるいは賛助員というようなものの援助によりまして、その地方々々でそれらの援助をいただきまして、その額を、評議員という議決機関があるのでありますが、それの議を経て、支部によって本社の指導のもとに行なわれる、こういうことになっております。
 病院は、今大体病院の数が百、それから診療所の数が四十五くらい全国にございますが、そのうち三つの病院――東京の渋谷にございまする中央病院、それから産院、それから特殊な沿革である諏訪の病院というものだけは、これは本社の直轄病院ということになっておりまして、支部に属せずに本社に直轄している、こういうことになっております。あとの残った九十七の病院及び診療所は支部の所管というようなことに相なっております。そして、これは御承知のように、院長は、医療法の規定によりまして、病院の業務を管理するというようなことになって、いわばまあ何といいますか、第一線の第一次の責任者というようなことになっておるわけでございます。
 それから支部と病院の関係でちょっと申し上げたいと思いますのは、たとえば病院を作りたいと、あるいは病院をやめたいというときにはどういうふうな手続になるかと申しますと、病院を地方の要望等によって一つ作ろうというようなときには、書類を付して社長の承認を支部長に受けさせます。社長がやろうと、相談してやったらいいというようなことになりましたら、この社長の承認を受けて、支部長は医療施設の開設に関する手続を社長にかわって行なうのだと、こういうことになります。それから廃止というような場合が必要だというようなときには、その旨を社長に報告して、その指示に従って患者をどうするとか、あるいは資産をどうするというような処理をすると、こういうふうな仕組みになっております。これはそういうわけで、何といいますか、国が国立病院を経営するというのとはいささか違う。それはどういうところによるかというと、おそらく財源の関係、いろいろその支部支部、地方々々でお世話になるというふうなことで大体自主的にやる。それから仕事も、赤十字社の事業と申しましてもいろいろ地方等で特色のあるものをやりたいというようなことで、そういうふうな仕組みになっているのですが、終局の責任と申しますか、一社の代表であり、総理する責任は社長にあることは言うまでもございません。大体そんなふうな仕組みで運営をいたしておるのが実情でございます。
 それから収入の方の面を申し上げますと、大体病院の方は何と申しますか、そこで上がりました収入は、大体これは本社や支部へ持ってくるようなことはない。その病院で上がりましたものはその病院で、一つは患者に還元する、患者サービスに向けるというような面に使う、と同時に、また従業員の待遇改善の方に、増収があれば待遇改善に向けるというようなふうにいたしております。それから支部なんかの方であれば、今の予算は大体医療施設の関係では、ごく大づかみに言って百十億円くらいの一年の規模でございます。それから支部、本社の関係になりますると、財源というのは何であるかというと、これは昔と違いまして、本社にも支部にも財産というものを持っておりませんので、毎年々々社員の方方にお願いをいたしまして、あるいは賛助員の方々にお願いをいたしまして社費を出していただくと、この金が、大づかみに言って約九億円足らずのものがあるというようなことで、そんなようなことで、それから特殊に今の北鮮帰還というようなことになりますと、これは政府からその事業を指定した委託金というようなものをいただきましてやっておる、こういうまあ実情。そういうことから自然そんな仕組みになっておるんだと、こういうふうに理解をいたしております。
 まあそんなことでございますが、今度待遇改善の問題に関しまして、ことに政府職員等が今度べース・アップをされるというようなことに関連をいたしまして、われわれも、政府が上げるというようなことになりますれば、どうしても私どもの病院の従業員も業種としては同じことをやっておるわけでありますし、災害救助というような新しい仕事もそれに付加されておるわけでございますので、何とかしたいというようなことを考えたのでありますが、財源がないわけであります。そんなことで、先般来こういう事態になったわけでございます。その経過をちょっと委員長の御指ホによって申し上げたいと思います。
 先々月の十月の二十五日に、労働組合の方から要求を書面によって提出がございました。大体五項目ございます。その五項目は何かと申しますと、第一は労働協約を改訂したい。ちょうど改訂の時期にも来ておりますものですから、これこれのことを改訂したいという申し出がございました。それが第一点でございます。
 それから第二点は、今度大幅に賃金を上げてもらいたい、具体的に申しますと、一人につき五千円、最低一万円上げてくれ。それから現在のまあ昇給の期限がきまっているわけです。何年たったら上げるというようなのがきまっている。こういうのを三分の一くらいに短縮して早く上がれるようにしてもらいたいというのが要求でございます。
 それから第三点は、ちょうど暮れに迫っておりますものですから、年末賞与に関してでございますが、年末賞与に関しましては、私どもの方としては、一律げたばきと申しますが、一律プラス・アルファをつけてもらいたいというようなこと。一律五千円のげたばきをしてもらいたいということでございます。これはまあ普通の病院でございますと、その病院の財政によりまして、財政の許す範囲において、その病院々々でやるわけでございますが、それのときに新しく一律げたばき五千円ということでやってもらいたいというのが、第三の要求でございます。
 それから第四、第五はちょっと特殊の問題でございまするが、第四は、広島県の糸崎に療養所を主体にした糸崎赤十字病院というのがございますが、これらの存廃問題が起こっておるのでありますが、それについて本社は責任を持って一つ措置を講じてもらいたいということでございます。
 それから第五は、東京の武蔵町赤十字病院について、夏以来一時金の賞与の配分につきましてトラブルがあったのでありますが、それを一つ努力して解決をしてもらいたいというような、五つの点でございます。
 この点につきましては、十月二十五日に書面で出て参りましたので、十月の二十九日に、一カ月ちょっと前に、私どもの方から回答をいたしたのでございます。これは重複いたしますが、ちょっと回答の内容を申し上げる方がいいかと思いますので、私、申し上げてみたいと思います。
 第一の労働協約の改訂については、組合側の方からの言うてきた、こことこことを変えてもらいたいという点については、いろいろ検討をせにゃならぬ。それから今度、こっちの方も、本社側の方でも、今改訂の機会に変えたいものがある。そういうものをつき合わしてやりたいというようなことで、具体的な素案みたいなものを作ってまあ今話し中というような状態でございます。
 それから第二の問題は、あれでありますが、第二の賃金の大幅な引き上げという問題につきましては、これは御承知のように、昭和二十三年の秋に医療費の八・五%の引き上げがございました。そのときに第一次及び第二次の給与改善というものを本社は実行いたしたのでございます。そして、職員について相当上がっている。平均いたしますと、二十七カ月短縮ぐらいの平均の値上げをいたしました。しかしながら、これは財政の余裕のいいところは、もっとずっと出ておりますし、それから財政の悪いところは、低い引き上げしか出なかったというような、非常にバランスがくずれておるような、非常はアン・バランスの状態の引き上げが行なわれたのでありますが、そんなことで、もう財源はほとんどないわけでございます。そんなことで、今度、一律全職員に対してべース・アップをするということは今はできない。ただ、しかし、その財源のある病院については、今の年末賞与が出せるわけですから、年末賞与で分けることもよろしい。それから全部の職員に上げることはできぬけれども、その病院々々で非常に、たとえば看護婦が少ないとか、あるいは事務職員の、あるものが少ないというようなものには、それは財政の許す限り、特別昇給と私どもは申しておりますが、そういうふうなことで昇給をしてやってもらう。問題はまあ結局、一律上げるということは、この前のように医療費の根っこが上がるというようなときでなければできない。新聞などによりますと、医療費の値上げというようなことがあるやに想像されるのだが、近く行なわれると思うが、そのときまで待ってそのときにはやる、そのときには――実は日本赤十字の給与の体系と申しますのは、本社が一応基準をきめて、その適用を地方々々でやらせるということになっておるわけですが、その給与体系というのが、終戦直後に実は作りまして、そして若干の手直しを数回やって今日に至っておる。非常に実情に合わない。ことに国家公務員等は今度変わるということになりますと、非常に合わない点があるので、これを改正したい。ところが、給与の改訂という問題は、相当財源を持っておらぬとできぬのであります。幸いに、医療費の改訂ということがもしやることができるものならば、医療費の改訂のときに、給与の体系もあわせて改訂をしたい、こういうことを申しておる。ですから、今のところは、全職員に対してはできぬ、財政のあるところで、今の年末賞与なり、あるいは特別昇給なりでやるということが回答であったのでございます。まあそれがまだ妥結しておらぬ。
 それから年末一時金につきましては、私どもとしましては、今まで従来一律五千円とか一律千円とかいうようなことをつけ加えることは、賃金というものは大体労働に応じてやっておるのであって、みながげたばきで増をやるということは悪いことだというようなことにもなりますので、そういうことは認めることはできぬという方針なんであります。しかし、また、他面考えてみますと、府県であるとか、あるいは市町村でありますとか、あるいは、私どものような公的医療機関というようなもので実際調べてみますと、若干のものを出しておるのがあります。そういうことでありますならば、うちの方だけでそういうことをやるのもどうかというようなことで、そういうふうなことがあって、地方の慣習で、大体社会通念としてもち代ぐらいの程度のようなものでございます。そういうような額の限られたもの、少額のものが出ておるというような場合には、日本赤十字としても出してもいいのだということでございます。そして、この問題は、大体今の病院の経済によってやるのでありまして、そういう基本方針で今、各単組、これは労働組合は全日赤という、きょうお見えの宇夫方君なんかのいる全日赤のほかに単組がございます。これが病院長と団交をやるわけでございます。それは今二十五ばかりかと思いますが、年末賞与の点については、すでに妥結を見ておる病院もございます。大体そういうことでございます。
 それから糸崎の問題につきましては、存廃の問題について今、広島県の支部におきまして、地元の市の市長さんなんかに入っていただきまして、今、小委員会でどうするかというようなことを今検討中でございますので、それの意見を尊重して、本社としての最後の態度をきめる、これが回答でございます。
 それから武蔵野の問題については、御承知のように、夏からいろいろ問題があったのでありますが、都の労働委員会の方からあっせん案が出ておりますので、これが組合側の方がのめなかったのでありますが、私どもは都のあっせん案を受諾、その都の方のあっせん案の線で円満に妥結してもらいたいということを言っておるわけでございます。まあ、そういう回答を十月の二十九日にいたしましたので、一カ月ちょっと前でございます。
 それから十一月の十日ごろから一回、二回、三回、四回でございますが、団交をいたしました。これは夜おそくまで団交を継続したわけでございますが、どうもなかなか妥結の線に至りません。そこで、年末も近づきますし、それからこう平行線で行っても仕方がないから、一つ公正な第三者の意見を聞いて、そして妥結をしたいというふうなことで、十二月二日の第四回の団交のあった夜おそくに中労委へ行こうじゃないかということを言ったのでございますが、同意を得られません。そんなことで翌十二月の三日に入り、本社としましては中央労働委員会にあっせんを依頼いたしたのでございます。しかし、どうもそのままでございまして、その後、その間十月二十五日から第一波の病院ストが行なわれる。それからずっと四波でございますか、一昨日、十三日の第四波までストが行なわれているという状態でございます。ストの状態は百の病院の中に全日赤加盟の病院が五十か五十一加盟しております。半分加盟しているというようなことでございますが、その五十の病院の中に三十ちょっとというふうなところが、全日ストとか、職場大会というような、ストというのはどこまでがあれか、そういうふうなことで行なわれているのが用状でございます。私どもとしましては、もう赤十字のこういう施設が、こういうことになりまして、一般に迷惑をかけますことは、申しわけのないことだと思いますので、なるべく早く解決をして、そして患者の方にも迷惑をかけぬようにするし、一般の人にも安心をしていただけるようにしたいものと熱望している実情でございます。
○委員長(吉武恵市君) どうもありがとうございました。続いて、全日本赤十字労働組合連合会中央副執行委員長宇夫方負夫君から御意見を承りたいと存じます。
○参考人(宇夫方貞夫君) 私の方からはできるだけ重複を避けて、できるだけ事実に沿ってお話ししたいと思います。で今副社長の葛西さんの方から一応争議の経過あるいは日赤の機構その他についてお話がありましたので、具体的な現在の賃金あるいは労働条件について申し述べたいと思います。
 私たちは長い間病院という特殊な職業の中で、患者さんをかかえて、できるだけやはり話し合いで解決したいと思いまして、今日まで再三努力をして参りました。しかし、四回の団体交渉を重ねて参りましたけれども、一向に話が進展いたしませんで、こういう状態に入ってしまった。実は、賃金の問題に入りますけれども、私たちの仕事の性格上、やはり人事院の勧告に出された公務員の賃金と比較してみたいと思います。お手元の方にも資料をだいぶ配付しておりますので参考にしていただければと思います。今八月に出された人事院勧告によりますと、国家公務員の賃金は基準内平均賃金が二万一千六百円ということになっております。で、もし人事院勧告がそのまま実施されたとしますと平均二万四千二百八十円というふうに勧告でなされております。一方私たちの方の賃金を調べてみますと、八月現在で国家公務員と同じようにある程度――これは少し給与体系が違うのでずれるかもしれませんけれども、ほぼ似たような計算をしましたところ、平均基準内賃金が一万三千百二十七円、こういうデータが出ております。ですからもし人事院勧告が案施されたとしますと、私たちとの賃金の差は一万一千円という差が出て参ります。ですから私たちが今要求しております一律五千円の賃上げということはむしろ低過ぎる、控え目な要求であるということが言えると思います。
 これを全然別な角度から計算したのを見ますと、これは日赤健康保険組合の方で集計した資料によりましても、平均報酬月額が本年の九月で一万七千六十九円という数字が出ております。これはあらゆるものが入っての計算でございます。これから見ましても非常に少ないということが言えると思います。
 次にこういう低い質金になった理由といいますか、一つはやはり初任給が低いということが言えると思います。たとえば看護婦さんにとってみましても、大体中くらいなといいますか、病院経営によって、さっき萬西さんの方から話があったのですが、経営によっていろいろあるのでその基準の取り方がむずかしいのですけれども、一応中くらいなところをとって、看護婦さんの初任給が九千四百円、国家公務員の場合は一万一千三百円という数字が出ております。低いところを申し上げますと、七千百五十円という初任給がございます。特に今のは看護婦ですけれども、一般労務員の場合には三千七百五十円といったような、生活保護基準よりもまだ下がるような初任給がある、こういう事実でございます。
 それからもう一つは定期昇給といいますか、一定の期間がくると少しずつ給料が上がる、この定期昇給の額が非常に極端に低いということが言えると思います。たとえていいますると、五千円の人が一万円になる、いわゆる五千円上がるのに十二年を要します。一万円の人が二万円になる、いわゆる一万円上がるのに十八年を要します。ですから具体的な例でいいますと、高校卒業した十八才の方が、今の日赤の規定でいきますと六千八百円が初任給でございます。ですから十年たった二十八才、大体結婚のできる年令といいますか、そのころになってやっと本俸が一万二千円、これでは結婚もできないという現状でございます。ですから私たちが今要求しております五千円、もう一つの定期昇給を三倍にしろ、いわゆる現在の昇給期間を三分の一に短縮しろという要求は決して無理なものではないということができると思います。
 こういう低賃金と、もう一方には今度の争議の一番根幹をなしているといわれる労務管理の問題があります。労働条件といいますか、実は今の医療法看護基準は昭和二十三年の十一月にできております。ですからすでに十二年を経過しております。このワクで一応医師、看護婦その他が押えられております。中にはこれを下回っているところも現実にはありますけれども、非常に看護婦その他の定員が不足しておりますために現在基準看護をとりながら、たとえばつき添いがいないとやっていけないということがもうあたりまえになっている、こういうことでございます。本来はこういうことは絶対にできないことでございますけれども、しかし、現実には手術されたりなんか、おそらく皆さん方の中にも御経験があると思います。自費でつき添い婦をつけないとやっていけないというのが現状でございます。さらによく患者さんの中から聞かれることは、病院は一日がかりだということをよく言われます。これは実はその通りでございまして、武蔵野の闘争のときにも、私たちが二時間待って診療三分ということを申しましたら、患者さんから文句が出まして、それはうそだ、三時間待って診療二分だと言われました。そこでもう一ぺん正確に計算をしてみました。実のところ三時間待って診療は一分三十秒でございました。これが現実でございます。これでは良心的な治療ができるとは、だれも言えないと思います。さらに例をあげますと、水戸の日赤においては、疲労のために手術場の看護婦さんが全部倒れた。あるいはベッドから患者さんが落ちて死んだ、しかし、それを看護婦さんは知らなかったという事実さえあるわけです。あるいは九州の福岡の日赤においては、産科の看護婦さんが三十二時間の連続勤務をやっている。しかも、それが一カ月に四回ないし六回ある。あるいは山形県の東根においては、二十七時間勤務が平然と行われている、こういう事実がございます。あるいは石巻の日赤におきまして高橋哇予という看護婦が夜勤が一人なために、夜患者さんに殺された事件さえも起きております。こういうふうに実は基準法を下回るような、しかも、めちゃくちゃな労務管理がなされているわけです。もう少し例をあげさしてもらいますが、女子の職員を保険の請求事務のためだということで、夜の十時または十一時、十二時までも働かしてみたり、監督署の方から注意があって、そんなに働かしては基準法違反だということで注意をされましたところ、今度は逆に十一時、十二時まで働かしておきながら、帳簿の上では十時以前につけろというふうな強制的なことまで言われております。実際にはそれまで働かしておきながら帳簿の上には十時以下につけろと、こういうむちゃなことが言われております。しかも、こういう時間外をやらしておきながら、正規に支払っている病院というのは非常に少ないという事実でございます。これは博愛精神とか奉仕とかいう名前でサービスをしろということで、時間外をカットされておるのが事実でございます。しかも今度は時間外協定さえもやっていない所が大半を占めている。こういうことが実は今度のこうした闘争の一番根になっているごとではないかというふうに考えております。
 で、これはただ単に偶然に起きてきた問題ではない、こういうふうに僕らは考えております。昭和三十一年の赤十字から出された赤十字病院経営資料によりますと、こういうことが書いてあります。これは本社の方針として出されたものです。職員はフルに稼働する、患者サービスの減退を来たさないぎりぎりの線までできる限り多くの患者を取り扱うことが肝要である、こういうことが指導として出されております。この基本的な考え方から現在の労務管理がなされているというふうに判断せざるを得ません。で、こういうことでは私たちの生活を破壊するばかりでなく、ひいては患者さんに非常に迷惑をかけております。地方病院の小児科の患者さんたちは、こういうことを言います。看護婦さんが忙しいから、迷惑がかからないようにおしっこの時間にはみんなで行きましょうね、こういうことが患者さんの中で言われております。あるいは患者さんの中で看護婦さんが忙しそうだから用事も頼めないというようなことも再三聞かれる事実でございます。これがいわゆる博愛と人道をモットーとする赤十字の実際の姿でございます。で、先ほど葛西さんの方からもお金がないから賃金の値上げができないのだというようなことも言われました。しかし、私たちは決してそうではないというふうに考えております。それは一つには、昭和三十四年度の決算の中でも、これは本社側から出された資料でございますが、三億四千万円の黒字が出ております。さらに本来これは赤十字本社がやらなければならない設備投資が約四十億、そうしてこれの返還金が元金で四億、利子が三億の返還を行なっております。総計七億、これは私たちから言わせれば、本来赤十字本社がやるべき仕事であって、われわれの働いたものから出すものじゃないというふうに考えております。さらにもっとひどいのは、本来赤十字が事業として行なわなければならない看護学院の養成、これは年間約一億五千万円かかっております。これは本来赤十字本社がやるべき業務であります。しかし、この一億五千万のうち三分の二は病院に負担をさしております。約一億です。これらを総計しますと、五千円賃上げしても、なおかつ余りがあるということができます。私たちはこういうことから、実は四回にわたって団体交渉を重ねて参りました。しかし、金がないということだけで、その資料も見せてもらったのは、四回目の一番最後の十二月一日、しかも夜の十二時過ぎに約四十分間、わずかに二枚の資料を見せただけです。あとは四回目の夜半過ぎまで一片の資料も出さず、ただ金がない、金がないの一点張りで通されております。こういう現状の中で私たちが立ち上がるわけがあるわけです。
 さっき萬西さんの方からも、四回目の最後のときに第三者のあっせんを依頼しようということが話されましたけれども、私たちはまだ早いというふうに考えて、実は実情の聴取をお断わりいたしました。これは今申し上げましたように、実は団体交渉がまだ具体的な数字その他についての審議が一向に行なわれておりません。そういう段階で、第三者に頼むということは間違いだというふうに考えたからです。ですから私たちとすれば、もっともっと団体交渉に誠意をもって臨んでもらいたいというふうに考えるわけです。一方そういうふうに団体交渉の中では資料も出さずに、ないないの一点張りで通しておきながら、今度の争議に対する対策として本社から出された資料によりますと、ストライキの対策本部を作れとか、あるいは非組合員に呼びかけて全面的な協力をしろとか、あるいは保安協定を急げ、部分ストライキとか全面ストライキに入る前には、中央労働委員会があっせんに入ってくるから、それまでは五分五分の態勢をとっておけとか、あるいは県とか市の警察にあいさつをしておけとか、こういう指示を一方には流しているわけです。こういうような状態では、私たち本社にはたして誠意をもって解決しようという意思があるのかということを問いただしたいというふうに考えるわけです。私たちはそういうことで、もっともっと話し合いによって解決しなければいけないし、今後も実は、あす一時からもう一ぺん団体交渉をやることになっておりますけれども、その席上でも全力を出してとにかく団体交渉で解決するべく努力はいたしたいと思います。
 もう一つ最後にちょっとつけ加えたいのですが、糸崎の問題がちょっと出されたわけですけれども、この糸崎の日赤は、経営状態が悪いということで昨年の六月十三日に本社からの指令によって統廃合するということが決定された。今日までいまだに戦いを続けておりますけれども、一方ではそういうふうに経営状態が悪いからということで病院をつぶす、また、佐賀県の唐津の日赤のように、市から四千三百万で病院を買い入れて、その返還を五年間で従業員の犠牲においてやれというようなことまでやられております。これは非常に重要なことだと私たちは解釈しております。赤字になったからつぶす、やれそうだから組合員の犠牲、従業員のしわ寄せによってものを買っていく、こういうことが現在行なわれているわけでございます。ですから、私たちは先ほども設備投資その他のことも申し上げましたけれども、そういうことからやはり解決をしなければ、今回の問題は根本的な解決は見られないというふうに考えております。簡単ですが。
○委員長(吉武恵市君) ありがとうございました。
 それではただいまの両参考人の御意見について、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○高野一夫君 葛西さんの立場はよくわかるのですが、宇夫方さんは組合の専従者ですか、それとも何か特殊なやはり職場においでですか、そのお立場をちょっと聞かしていただきたい。
○参考人(宇夫方貞夫君) 昨年の六月から専従として東京の本部に勤めております。
○坂本昭君 日本赤十字社が本社また支部、さらに各病院、診療所、それぞれの方々がそれぞれの立場で、あるいは国際的に、あるいは国内的に多くの仕事をしていただいて参りましたことにわれわれとしては心から謝意を表しているものでございます。
 ただいまお二人から御説明を承りまして、当面する病院ストというものについて、当委員会としては当事者の自主的な、民主的な団体交渉によって解決されることを心から望むものであって、われわれ委員会がどうしようというものではないことを明らかにしておきたいと思うのであります。ただ御承知の通り、日本赤十字社法が昭和二十七年の八月十四日に制定されましたとき、当参議院の厚生委員会におきまして附帯決議が付せられております。この附帯決議は、私の読んで理解した範囲におきまして非常にりっぱな附帯決議であります。単なる形式的なものではなくて、当時参議院の厚生委員会……。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記やめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
○坂本昭君 非常にりっぱな附帯決議でございます。そして自来記録を見てみましても、参議院の中におきまして、この赤十字社法、あるいは赤十字の運営の問題、さらにこの附帯決議について審議をされたという記録はないようでございます。従いまして、そういう点で、当面する問題はもちろんのことでありますが、この際当時の附帯決議の関係もあって、根本的に日本赤十字社の有している諸問題について明らかにし、そのことが当面の問題の解決、さらにまた、好来の根本的な問題の解決、そういうことになるであろうと思いまして、しばらくいろいろお伺いをし、当委員会としての将来の審議のための参考にして参りたい、そう思いますので、委員各位におかれましても、基本的なことから質疑をいたしますので、どうぞこの点御了承いただきたいと思います。
 まず葛西割社長にお尋ねいたしたいのですが、この赤十字の指導原理として、この参考資料の一番最初にありますが、特に一九四八年の指導原理十三カ条に、第一に、「篤志的、公共的、自治的組織である。」そういう原理が掲げられて、さらに第二のところに、「その国の政府の承認を受けて、」「官の不足を補う目的でその事業を運営する。」こういうふうな原理を掲げられております。現在の日本の赤十字社は一体活動方針としてどういう考えを持っておられるのか、また、具体的にはその活動方針に基づいてどういう仕事がされてきたか。もちろんわれわれとしても国際的に北鮮引き湯げ問題とか、あるいは国内的には各種の社会福祉の事業をしておられるやに承っておりますが、一応一の際、葛西参考人から、日本赤十字社の活動方針並びに具体的にどういうことをしておられるのかを簡単に御説明いただきたいと思います。
○参考人(葛西嘉資君) 大へん大きなむずかしい問題の御質問で、当たるかどうか知りませんが、ちょっと「篤志的、公共的、自治的組織」という点についてどういうふうなことだと、こういうお尋ねだと思うのですが、篤志的と実は申しますのは、これは申すまでもなく、外国もそうでございますが、赤十字の組織というものは、何と申しますか、全部の国民の援助のもとにというようなことで、時間のある者、あるいは経済のある者、あるいはそういういろんなもののある余暇を利用するとかなんとかして活動をするということでございます。だろうと思います。そんなことで、これは外国の先進国のいろんな赤十字等におきましても、御承知のように、ボランティアの活動というものが非常に行なわれております。戦後、日本におきましても、御承知のように、私どもはこれを奉仕団と申しておりますが、こういうものが非常に狭い地域で、もちろん奉仕でありますから狭い地域でございますが、だんだんと整備をされて参りまして、現に病院等にも行ったり、あるいは災害等にもそういう奉仕が行なわれておるというふうなことがございまして、あるいは本社等では今忙しい際には学生等が来て事務を手伝ってやってくれるというふうなことも行なわれ、だんだんこういうものは広くそれを組織化していく、あるいはそれを、何と申しますか、やりがいがあるように仕事を見つけ、そしてその訓練をし、やりがいがあるようにしていくということが使用者と申しますか、責任だと思うのです。そういう方面で、今の奉仕団の方の関係、あるいはまた、青少年を中心にいたしました青少年赤十字、ジュニア・レッド・クロスというものがございますが、そういうふうなもの等の活動を通じまして、それが直ちに災害の救護の活動に通じたり、あるいは国際親善にあれしたり、というようなことをやっておりますので、これは今後ともまた大いに伸ばしていかなきゃならぬことだと、こういうふうに思っております。
 それから公共的と申しますのは、これはもう私の理解するところでは、申すまでもなく、政府や、あるいは市町村等の足らぬところを補ったり、あるいは御相談をしていろいろやっていく。現に法律になっておりますのが、災害の場合がそうでございますが、災害の場合には、府県知事が災害救助法に基づいて災害活動をやります際に、日本赤十字が民間の活動の総元締めというようなことでやらなきゃならない。そんな意味で、不幸な災害がございましたときにはお金を集めるというふうなことをして、これを災害地へ送るというふうなことなんかもそういうことじゃないだろうか。これは例をあげれば切りがないのですが、これは当然のことだと思っております。
 なお、この自治的と申しますのも、これもやはり赤十字は、どっちかと申しますと、一つは独立の機関――日本赤十字社法に基づいて独立の機関として活動をする、政府の監督のもとに活動をするということになっておるのでありますが、その機能はやはり自治的にと申しますか、民主的にと申しますか、下の方の各社員の意思というものをでき得る限り反映をしてやっていく、というようなことだと思います。なお、こういう点について私ども特に考えなきゃならぬと思っております点は、御承知のように、赤十字は一朝有事の際に、日本ではまあそういうことを今のところでは予想する必要がないのでございますが、外国の赤十字等では戦争というふうなことがかりに起こると、それでも俘虜とかなんとかいうものにつきましては、お互いに交戦の相手国ともある程度の連絡、たとえば慰問品を送るとか、通信の連絡をするとかいうふうなことをしなきゃならぬ。従って、何と申しますか、その政府のいわれのない財政的援助というふうなものを受けないで、財政的に独立しておらなきゃならない、その国の赤十字はその国の国民の基礎の上に成り立たなきゃならぬというような理論があるようでございます。そういう点からも、組織の方もあくまでも自主的に、自治的にやっていかなきゃならぬというようなことではないかと、私はそんなふうに想像しておりまして、この赤十字の御指摘の推算原理十三カ条は、私どものまあバイブルみたいなものでございますので、そんな心持で運営をしておるつもりでございます。
○坂本昭君 次に伺いたいのは、日本赤十字社法と、それから事業の問題でありますが、この社法を読みますと、国際的に、国際赤十字の活動については私たちも多分に教えられておりますが、国内的にはこの赤十字社法は社会福祉法人としての立法的性格を赤十字社に持たして、たとえば児童福祉法の五十六条、あるいは生活保護法の四十一条から四十五条に至る間、これら全部みな福祉三法を、この赤十字社法ができたときに改正をやっております。そして、その中で社会福祉法人としての性格がこの赤十字社法を通して赤十字社に持たされている、そういうふうに私はこれを見るのであります。そこで、こういう国内的な立法の性格から、具体的な施設にどんなものがあるか、それからどういう活動をしておられるか、これは簡単に、私たちの参考のために御説明いただきたい。特に申し上げておきたいのは、この生活保護法、児童福祉法にも規定されておりますが、生活保護の入院、あるいは生活保護による外来、こういったものがどうなっているか、これらのことも統計資料があれば一つ伺いたいのであります。――当然に社会福祉法人としての私は任務であろうと思います。
○参考人(葛西嘉資君) 御指摘のように、日本赤十字社の仕事の中にお話のような社会福祉的精神のもとに運営すべき部面がございます。そのほかにもございます点は御了承の通りだと思います。そんなよらなことで、あるいは養護施設みたいなものも経営いたしてございます。それから現にこの近くでは、肢体不自由児の施設を、お年玉の寄附をいただきまして、武蔵野赤十字病院に肢体不自由児施設を特設しているというようなこと、あるいはまた、小さい病院等でいろいろな社会福祉的な意味の、何と申しますか、附帯事業みたいなものを作っているものもございます。数は今ちょっと手元に資料がございませんので……、そういうような部面の活動もいたしております。しかし、経費から申しますと、何と申しましても、私どもの赤十字の方は、災害とか、そういうような場合のために病院を経常しているというのが、日本赤十字社として非常に大きな部面になっております。医療施設でございますが、医療施設を日本赤十字社が行なっている大体の目的は、私は五つあると思います。
○坂本昭君 ちょっと、私の聞いているのは、医療施設のことを聞いているのでなく、社会福祉施設のことを聞いているのです。具体的な数を二つほど言われましたが、これらが幾つくらいあるのか、もう少し具体的のことを教えていただきたい、よく知らないので。
○参考人(葛西嘉資君) まず第一に、夏季施設の保育所というのを行なっております。こういうものが、県によりまして八つばかり、それを行なっておりまして、これらの実人員が三十四年度に三千九百九十四人取り扱っております。それから身体障害者の援護につきましては、これは各府県によっていろいろ違うのでございますが、義肢の修理をいたしますとかあるいは補聴器の修理をいたしますとか、あるいは巡回診療班というようなものを回しますとか、あるいは対盲人の関係の点字図書の整備をするということで、これなんかも相当の本が、全国で申しますと、四万五千冊くらいの盲人用の点字図書を整備いたしております。
 それから児童保護施設といたしましては、乳児院みたいなものを、これは県の委託もございまするが、そんなものが、数を示しましょうか、九カ所でございます。それから助産院が一つ、それから保育所が二つ、虚弱児施設が二つございます。それから養護施設が一つ、それから肢体不自由児施設が二つでございます。これは若干古いかもしれません。三十四年度ですから、その後また作ったのもございます。それからあとは、農繁期の保育所等の援助をしておりますのは、これは大体三十三万円、金額は大したことはございません。それくらいのことです。農繁期の保育所の助成もしております。赤十字社が具体的にやっておりますいろいろな施設というもので、今思いつきましたのは大体それくらいのものでございます。
○坂本昭君 そうしますと、それらの施設は本社の直営ではなく、支部でやっておられるのだと思います。支部でやっておられるもので、一番大きなものは病院だと思っておったのですが、支部で経常しておられるこうした施設が、百カ所もないようですが、こういうものは全部支部で直営しているわけですね。
○参考人(葛西嘉資君) さようでございます。
○坂本昭君 そうすると、こういう社会福祉施設の経営は、財政的にはどういうふうに行なわれておりますか。
○参考人(葛西嘉資君) 児童福祉法なりあるいは身体障害者福祉法に該当いたします分についてはパーフェクト幾らというふうなことで国の委託金を受けております。それから足らず分の方は一般の社興の方から出していただきます社費をもってこれを補っている。それから今言ったように、それのないものについては、これは純然たる支部の持ち出しで経営をいたしておる。こういうことになっております。
○坂本昭君 今の社会福祉の施設については大体わかりましたが、そこで病院についても、私はやはりこの社法に基づけば、社会福祉的な病院である任務を私は負わされているんじゃないかと思う。従って、この病院の中における生活保護による入院あるいは外来、こういうものは一体どうなっているか、具体的な資料を一つ御説明をいただきたい。
○参考人(葛西嘉資君) ちょっと前提を申し上げさせていただきたいと思いますが、赤十字が医療施設を設けますのは、社会並びに定款の規定に基づきまして大体四つほどの目的をもってやっている。
 一つは、災害地における救護、これを第一に掲げております。
 節二は、医療の資のない者に対する一部または全部の負担、これが御指摘のように、社会福祉という面だと思います。一般医療援護と申しますか、そういう而。
 それからもう一つは、看護婦の養成ということを……まあもともと赤十字が医療施設を持つようになりましたのは、大へんこういうことは失礼ですが、外国の例なんか見ましても、アメリカのごとき、赤十字のように医療施設を全然持たない病院もございます。あるいは西独等みたいな、病院を持っておるものもございます。日本は持っておる国なんでございます。明治の始めにこれを作りますときには、看護婦の養成をしなければいかぬ、それにはどうしても現地訓練として病院が心要だということで、明治十九年でございますかに、橋本綱常先先があそこへ作るときに病院を作ったということを本に書いてございますが、そういうふうな沿革で病院ができてきたというふうに、日本は病院を持っておる方の赤十字でございます。
 それで、そのために看護婦の養成ということをやり、百ぐらいの病院がございますが、実は病院の規模の小さいところなんかはできませんので、現在では短期大学を含めまして三十七カ所の看護学院といいますか、看護婦の養成所を持っておりまして、一年に大体六百七十名前後の赤十字看護婦を養成しておる。災害救助等の目的のために特殊な教育も施しておるのでございますが、そんなような格好になっております。
 それから第四番目は、申すまでもないのでございますが、公衆衛生に対する保健指導というふうな、大体この四つの目的を持ってできておるものでございます。
 この点が、御承知のように、済生会とかなんとか純然たる社会福祉法人と違う点でございます。社会福祉的な面は持っておりまして、それででき得る限り一つそういうものをやれということで生活保護法等の患者あるいは健保の患者というようなものをできるだけ入れるように努力をいたしておるのでございまするが、今手元に空活保証法の患者を――病院全体の何%になりましょうかな、絵があるだけでちょっと……。二〇%ぐらい生活保護法の患者が入っておる。ごくわずかでございます。ごくラフな数字でございますが、入っておるということでございます。これは申すまでもなく、生活保護法の費用を持っていただくことになっております。そのほかになお医療の資に乏しい者に対して、あるいは法律ではできぬけれども、何とかしなければならぬという者に対してできるだけやるということもせにゃならぬと思っておるのですが、これは金になかなか制限がございまするので、十分なことができない。それで支部等で若干の財源があるようなものについては、そういう費目に限って、あるいはある支部等では相当三百五十万とか、一年にそういうような目的のためにやっているということで、社費から集めたものを使っているところもございます。
○坂本昭君 そうしますとあれですね、大体大づかみのところで社会福祉的な任務から言うと、生活保護が約二〇%程度入院している。もう一つ日赤の病院については公的医療機関としての任務が与えられているはずで、当然一公的医療機関としては、生活保護も扱うし、特に保険の患者さんを扱わなくちゃいかぬと思うのです。保険の患者さんは一体どの程度にお扱いになっておられますか。
○参考人(葛西嘉資君) これも何%になりますか、絵でですが、保険の患者は、健康保険並びに生活保護の患者は六〇%になっているかと思いますが、五〇何%――人で申しましょうか、生活保護の患者が百四十四万三千六百六、それから保険の患者の方が四百二十八万四千四百四十一、これが三十四年度の集計でございます。そういうことになっております。
○坂本昭君 全体は……。
○参考人(葛西嘉資君) 全体は、そのほかに自費その他の関係が、これは入院でございますが、百五十万ばかりございます。今のところは。今度国民皆保険にだんだんなることになりますと、そちらの方が多くなって自費というものが少なくなると思います。大体これは三十四年のことでございます。
○坂本昭君 ちょっと今この数を簡単に計算してみますと、大体七百万の入院患者の中で生活保護は確かに二〇%ぐらいですが、それから保険関係が六〇%程度のように入院患者については見られます。
 組合の宇夫方さんにお尋ねしますけれども、あなた方が病院で勤務しておられるその状況の中で、生活保護の患者さん、保険の患者さん、大体どの程度の割合であるか、お気づきになっていますか。
○参考人(宇夫方貞夫君) 今ここにそういう資料を持っておりませんのでよくわかりませんけれども、大体の推測では、葛西副社長の言ったのが、そんなものじゃないかというふうに思います。
○坂本昭君 これは私は非常に大事なことだと思うのですね。日赤の社法によって社会福祉法人としての任務が私は与えられていると思うのです。従って、その中で生活保護の患者さんなどは優先的に見てあげるということがこれは赤十字精神の私は使命だと思うのです。まあ、そういう点でわずかに二割程度しか入っていないということはどうもまだこの使命を十分果たしていないという印象を受けざるを得ないのです。
 なお、私伺いたいのですが、赤十字に入院すると、たとえば、本社直営のモデル病院である中央病院など保証金が取られるということであります。三千円ないし三万円という保証金を取られる。一体これは赤十字精神のどこからこういう保証金というものが出てくるのですか、一つ伺いたい。
○参考人(葛西嘉資君) 中央病院の例をお引き下さって、保証金と言いますかのことをお尋ねでございますが、これは何か歴史が古いそうでございますから、あらかじめちょっとお金を出しておかないと出るときには困るのじゃないかというようなことであった、そういう沿革があるそうでございますが、それをまあずっと書いておったので、累次こういうものは――ところがまあ実際はそれだけないと困るというので、実際問題として中央病院にも尋ねますと、それがないから入院させない、拒否したという例はございません。だから、なしでやっているのが多いのでございますが、ただしかし、何としてもそういうものをはっきり書いておくということは、いくら昔からやっておろうと、それは入るときには非常に心理的な圧迫になって容易に入りにくいというふうなことがあるということで、これはもう早くやめるようにということを申しておったのでありますが、ちょうどこういう機会であるから、多分お尋ねがあるだろうと思ってちょっとあれしましたところが、来年の一月一日からこれは廃止するという報告が実は参りましたので、大へんどうも……。まあなるべく、思いやりのないといいますか、実際、ないと入れるというのじゃ困りますので、中央病院ではそういうことにしております。聞きますと、大部分の病院ではそういうことはないのですが、おっしゃるように、中央病院はいまだにやはり予納金的性格のようなもののつもりのようですが、何か保証金とかなんとか言っておりますが、とにかく来年一月――もう間もなく廃止することにした、こういう報告で、これはそういうことを申し上げて御了解を得たいと思います。
○坂本昭君 私たちも赤十字病院に入院しなくてはいかぬかもしれませんが、その点、保証金を取られるというようなことになると、ちょっと入院できませんので、そういうものはもうすべからく撤廃していただきたいのです。
 なお、定款の四十八条にはかなり具体的な本社の使命が書かれてあって、非常にいいことだと思うのは、この中に、「病院、診療所等の医療機関を経営し、輸血事業の普及を図ること。」、実はこの輸血事業というのは日本で非常な行き詰まりをしておる。その中で日赤がこの輸血事業を事業の大事な項目としてあげられていることに非常な私は敬意を表するのであります。ただその活動が一体どう行なわれているか。その点簡単に御説明いただきたい。
○参考人(葛西嘉資君) 輸血事業に対しての非常な御理解あるお話をいただいてまことにありがたいと思います。これは占領下にアメリカ側の援助によりまして輸血研究所というものを作った。その後またお年玉等の援助によりまして、東京、大阪に外部に出せる輸血銀行を持ちました。そのほか各病院々々でやれます輸血設備というふうなものを、若干の経費等をお年玉その他でいただきまして、三十三カ所の病院に輸血の設備を、その病院だけのものを持っております。ところが、何といいますか、なかなか輸血というものは、供血者の方の発見その他にめんどうである点と、それからもう一つは、何と申しますか、輸血銀行株式会社が非常に商業的な手腕を発揮されますために、なかなか思うようにいかぬのでございます。そんなことで三十三カ所そういう設備を設けましたけれども、なかなか活躍をしておらぬというような実情がごく最近までございます。ところが、御承知のように、非常に輸血の問題、これはもうるる申し上げる必要はないのですが、坂本さん御存じの通りに、重大な段階になって参りましたので、昨年は政府の方の厚生省当局と一緒になりまして、輸血の国民運動というふうなものを起こして、その機会に、一つ、眠っておる――三十三全部じゃありませんが、眠っておる三十三のうちの若干のものは目をさまさしてやるということにいたしまして、現在少し元気を出しかかってきているというような状態でございます。根本的には、今おっしゃるように、輸血と赤十字というのは実は非常に大事でございまして、外国の例等を申しますと、オーストラリアのごときは輸血を全部政府の独占にいたしまして、設備を全部政府が作って、これを赤十字に全部委託をして、そうしてやっておって、商業的ないろいろな弊害というものを除去するというような制度になっているように、先般オーストラリア赤十字のものから聞きました。ことしは、また、東洋の方面のアジア地域における輸血の問題というのは非常に大事だというので、国際赤十字連盟と共同いたしまして、世界の輸血学会をこの八月東京で開きましたのは御承知の通りでございます。こういう機会に、ぜひ一つ力を入れて、財源を……これは金でございますから、財源を見つけて、あるいはこういうものなら財政独立の原則にもなにしませんし、政府にもできるだけの援助をお願いいたしまして、そうして赤十字と輸血というようなこと、完全な輸血が行なわれるようにしたい、そう思っておるわけでございます。
○坂本昭君 今たびたび御説明いただいたときに、何か種本があるようですが、それを私たち当委員会に資料として御配付いただきたいと思います。
○委員長(吉武恵市君) あとでけっこうですから、全部の委員にお配りをいただきたいと思います。
○坂本昭君 次にお伺いいたしますが、今の財政の問題が、だんだんと、本社でもいろいろな御見解を持っておられるようだが、財政の隘路があるというようなお話になって参りましたが、一つ、皆さんのいわゆる日本赤十字社の社員から百円を取っておられる社費、それから共同募金、それから先ほどもちょっと出ましたが、賛助費といいますか、寄付金ですね、その他の収入、それから事業別の支出、そうしたものを書いたものはありませんですか。
○参考人(葛西嘉資君) 今は書いたものはちょっとないので、これから拾わなければならぬのでございますが、ごくラフなお話を申し上げましょうか。
○坂本昭君 とりあえずの、社員の数が何人おるか、それから社費が幾ら入って、共同募金とか、あるいは賛助費その他の収入がどういうふうになっておるか、それから支出がどうなっておるのかという、大まかなことを、とりあえず説明していただきたい。
○参考人(葛西嘉資君) 計数ですから、総務部長から申し上げてよろしいでしょうか。
○参考人(岡田好治君) それでは大体の概数を御説明申し上げます。
 社員は大体六百万と称しております。その社員の方々の中からお集めいただきます社費が、これは三十五年度の――これはほとんど実績になっておりますけれども、六億一千二百万ばかりでございます。それから賛助費の方が一億三千三百万、大体社費は百円以上ということになっておりまして、賛助費は百円以下でございますから、計数的には一億三千三百万ばかりでございます。それから寄付金が二千五百万となっております。それから本社もありますから、それを全体を入れますと、大体九億一千百八十二万七千円でございまして、今申し上げました数の総計が七億七千百八十三万円になります。そのほかに一億三千九百万というのが、これが社費なり賛助費の中から一五・四%程度に相当しますものを本社に送って参っております。言いかえますならば、全部で社費、賛助費、寄付金全体で九億一千百万円と、こういうことに相なるわけでございます。その九億一千百万円の中で、本社に一割五分四厘ほどを支部から送って参るわけでありますが、その金は一億三千九百万円ばかりでございます。そうして残り八四・六%は文部の事業に充てるわけでございますが、これが七億七千百万円ということに相なっております。この九億一千百万円が本社並びに支部の根幹財源になりまして、このほかに事業収入とか、あるいは政府の委託事業の収入とか、そういうものを合わせて事業をいたしておるわけでございますが、それがどのようになっておるかと申しますと、まず本社関係と支部関係に分けて申し上げた方がよろしいと思いますので、本社関係におきましては、今申し上げました社費なり賛助費、寄付金、そういうものの本社へ参りますものの総額が一億三千九百万円、そのほかに事業収入が四百三十一万円ばかり、それからそのほかに災害等の補償収入とか、いろいろな雑収入がございますけれども、そういうものを入れまして、これが三千七百五十九万円ばかり、それから今度の北鮮帰還業務、あるいはその他お年玉の寄付金、こういったようなものを入れまして本社へ入って参りますのが一億六千三百万ばかりでございます。
○坂本昭君 北鮮が幾らですか。
○参考人(岡田好治君) 北鮮が三千三百八十四万七千円、当初でございます。ただし今度の補正予算でさらにこの増額がなされておるようでございますので、大体今度の増額で約七、八千万の予定になっております。それからお年玉が八千四百三十五万ばかりになっております。これらがおもなものです。これらのおもなものを入れまして、今申し上げました一億六千三百万程度に相なるわけでありまして、その合計が三億四千五百万ばかりになるわけでございます。本社は大体一カ年の経費、国際活動なり何なり、こういったような経費のすべてを三億四千五百万円の中でやっておるわけでございます。
 それから支部の方がどうなりますかと申しますと、先ほど申し上げましたような内訳の収入を合計いたしますと――社費収入というものを合計いたしまして七億七千八百万円、そのほかに事業収入が約四億一千八百万ばかりでございます。この四億一千八百万の中で、これは特別会計に属しておりまする八十八の病院のほかに、実は支部直営の病院が七つばかりございますので、これの収入が三億六千六百万ばかりでございます。ですから事業収入の四億一千八百万の中で三億六千六百万は、これはいわゆる支部経営の病院収入ということになります。従って、これを差し引いたものが結局支部のいろいろな事業に使われるわけなんでございますが、一応分析いたしますとまたこんがらがりますので、これらを合わせまして事業収入というものが、文部が四億一千八百万ということに相なるわけでございます。
 それからその他の支部におきましての災害のときの補償収入とか、国庫からの交付でありますとか、あるいは前年度の繰越金とか、こういうものを入れまして、これが約二千三百万ばかりでございます。そこで社費収入の七億七千万と事業収入の四億一千万とそれから雑収入的なものの二千三百万、これは繰り越しを含めてのこういうもの、それから今の北鮮帰還業務等になりますと、本社からさらに支部の方へ移して、政府から委託してもらいましたのを移していきますものが約千四百八十万ばかりでございますが、そういうもの等を含めまして、いわゆる本社からそういう指定をいたしまして交付いたしますもの、こういったようなものが二千百四十四万ばかりでございます。これらを合計いたしますと支部が十三億三千万ばかりに相なるわけでございます。合計いたしまして本社の三億四千万ばかりのものと、それから支部の直接使います十三億二千万入れまして本社、文部全体で使いますものが大体十六億七千八百万、こういうことに相なっておるわけでございます。
○坂本昭君 国際赤十字からの収入あるいは国際赤十字への積立金といった、そういった性格の金はないんですか。
○参考人(岡田好治君) 国際赤十字からちょうだいする分でございますか――それは全然ございませんで、むしろ逆に国際赤十字委員会なり、連盟へ、これは各国赤十字社が分担をいたしておりまして、大体連盟分担金、私の方で払っておりますのが大体二百五十万、
   〔委員長退席、理事高野一夫君着席〕
 それから国際委員会に払いますものが百二十五万、こういうものをむしろ歳出の方で払っているようなわけでございます。
○横山フク君 これは三十五年度の予算ですか。
○参考人(岡田好治君) 予算でございます。大体今の社費収入の方は、もう五月から運動を始めてやりましたものでございますから、社費収入の方の収入は大体実績でございます。
○横山フク君 関連。先ほどの宇夫方さんの話で、帳簿をちょっと見せてもらった、そのときに三億四千四百七十四万円の黒字があったというんですね、病院収入で。これは病院収入なんですか。
○参考人(宇夫方貞夫君) これは病院収入の三十四年度の決算でございます。
○横山フク君 病院収入であって、宇夫方さんのところで見せてもらったときは、三億四千四百七十四万の利益が上がっている。介のこれで見ると、病院収入では三億六千六百万の収入であって、利益ではない。全収入が、三億六千六百万円というのが全収入になるんですね。これは利益じゃない。そうすると、これから経費を引いた残りが利益になるわけですね。そこのけたが違い過ぎる。話のつじつまが合わなさ過ぎるところがあるんですが、その説明をちょっと聞かしていただきたいと思います。
○参考人(葛西嘉資君) 今の説明がごっちゃになっていたものですから、御理解困難であったと思いますが、今の御指摘の資料の方は一般の特別会計になっております病院の計算でございます、三億幾らというのは。それから今申し上げましたのは、病院に二つございまして、独立会計やれないような病院の方は、支部なら支部の会計の中で医療事業をやっております。今、御指摘になりましたのは、ただいま説明を申し上げましたのは、そっちの、特別会計にならない、いわば小さいような病院、あるいは診療所を含めた数字でございます。それで病院の特別会計になっております八十八の病院の総収入は、大体百十億円というような収入になっております。病院に二つございまして、今申しましたように、百五十くらいの病院、診療所がある。その中の大きな病院だけは、八十八だけは一つ一つの病院が特別会計をやっております。それの総計が百千億、そのほかに残った方の病院は、これは支部の方の会計と一緒にしまして決算上、予算上は……。そうして内訳はもちろん違いますけれども、そういうふうにして経理している、こういうわけでございます。
○坂本昭君 非常にこまかい数字を並べられるので、今、横山委員がお間違いになったのであります。あなたの方で出していただける先ほどのパンフレットは、昭和三十四年の決算がついておりますか。
○参考人(葛西嘉資君) これは三十四年の決算は今取りまとめ中でございまして、これには載っておりません。それから病院別のこまかい決算というものは、今、取りまとめ中で、まだできておりません。帳じりだけを合わしたのが今の点でございます。
○坂本昭君 それではこの際お願いしておきますが、今数を並べられたのでは、なかなか了解がしにくいので、三十四年度の決算について今の社員の明確な数、それから社費、それから募金の内容、それから事業別の支出、これは一つ一つ参考資料として後日提出をお願いいたしたい。よろしゅうございますか
○理事(高野一夫君) 萬西さん御返事願います。
○参考人(葛西嘉資君) 後日、今御要求のものは提出することにいたします。
○坂本昭君 この際一つお伺いしておきたいのは、国からの補助金ですね。今伺いますと、災害の場合と北鮮引き揚げの場合が介話にありましたが、その他病院の建設とか、あるいは看護婦教育の補助金とか、そういうものは全然ありませんか。
○参考人(葛西嘉資君) これは、病院の建設についての補助というものはございません。それから看護婦の養生等で建物を建てる場合にもらったこともありますが、これは大体ございません。
   〔理事高野一夫君退席、委員長着席〕
 それでまあ今の、先はど、一番最初お答え申し上げましたように、赤十字の財政の独立というものは、そういうふうなものについては差しつかえがないと、朝鮮の問題とか、あるいは災害の機械の装備というものには差しつかえがないということに、これは法律になっておりますので私どもはお願いをいたしたのでありますが、なかなかいただけないというのが正直の実情でございます。
○坂本昭君 そうしますと、社法の三十三条には、第一項に「救護に関する業務を日本赤十字社に委託する」第二項には「実施に必要な施設又は設備を、あらかじめ、整備すべきことを」「命ずることができる。」また、第三項には「委託された業務を実施するために支弁した費用を補償する。」それから第四項には「整備に要する費用の全部又は一部を負担する。」というふうに社法には定めてあるのであるけれども、この三十三条は実際にどの程度まで行なわれたのですか。
○参考人(葛西嘉資君) この条項で、今の設備の整備のために三百二十万でございますか、国から補助を、これはいただいております。これは病院でございませんので、今の災害の装備という、たとえば医板を作りますとか、あるいは救急用の自動車を整備しますとかいうふうなものを年次別にいたしまして、一年に三百二十万いただいております。それからまた、災害等の場合に、今御指摘にありました県の委託を受けてやりますような場合にはその費用を、何といいますか、穴埋めしてくれる、ということは、それはあとで受けることになっております。これは当初は予定できませんものですから、当初には載っておりませんが、ただしかし、それはさまったものでございまして、きまらないものはこっちが自前で持ち出すと、そういうふうな委託のきまったものはそのつど、災害救助法に基づいて委託をしたものについては都道府県の方から私の方にいただく、国からじゃございません。都道府県の方からいただく。そのいただいたものは県の方がまた国へお願いするというような段取りになっております。
○坂本昭君 先ほどの収入の中に、賛助費というものが説明がありました。百円以下の寄付金は賛助費という、この社法によりますと賛助費というこういう項目は何も規定はありません。これは一体どういう性質の寄付金でありますか。そしてまたその使用目的はどこにありますか。
○参考人(葛西嘉資君) 仰せのように、本社の社員が中心でございまして、これには百円とかというような限度がございます。ところが、百円は出せないけれども、五十円くらい出していこうというような御好意のものについては、これをそのまま取るということもどうかというようなことで、定款を変更いたしまして、賛助員という新しい制度を作ってやっておるわけでございます。従いまして、社員ではないものでございますが、準社員ですか、そういうふうな格好になっております。
○坂本昭君 その定款の変更というのは、いつ行なわれて、どこにそういうことが書いてありますか。
○参考人(葛西嘉資君) 今の点は岡田総務部長からお答えいたします。
○参考人(岡田好治君) これは、社法の方は社員だけを規定いたしておりまして、賛助費の方は、これは規則できめまして、つまり、寄付金の中にやはり賛助していただく方と、それから単なる寄付というようなことで、御本人のやはり賛助の意図というものを明らかにした方がいいのじゃないかということで、賛助員という制度を規則でこしらえておるわけであります。従いまして、賛助員は法律なり定款で定められたような義務はないわけでございますけれども……ちょっと答弁を間違えましたので訂正いたしますけれども、定款の十八条の次に、新たに三十二年に改正しまして、十八条の二として「社旨に賛し、継続して社業を奉助する者は、これを賛助員とする。2賛助員に関する事項は、別に規則をもって定める。」こういうことで実は規則をもって内者を定めておるわけでございます。
○坂本昭君 先ほど申し上げました参議院の附帯決議を見ますと、昭和二十七年の附帯決議に、募金については第二項目に「二カ年後においてもなお相当額の一般募金を必要とする場合は、厚生大臣の許可を受けて行うこと。」ということが入っております。従って、その後、衆議院の速記録を見ますと、昭和三十年に一応衆議院の社労委員会で審議されていますが、そのときもまだ社員制度が十分できていない。これは葛西副社長が答弁しておられる。そのために二年後の措置がうまくいかないので、やはりその募金というものにたよっておられる。ところが、昭和三十四年からこれが廃止になった。今伺うと、定款の十八条の二を追加されて賛助員の制度というものを設けられた。一体、この賛助員の制度を設けることによって、皆さん方どういうふうに、具体的に募金の実を上げておられるのか。
○参考人(岡田好治君) 今のお尋ねの点でございますが、この前、社法が参議院で御審議いただきました最終的なときの附帯条件でございますが、私どもは、あの際は社員というような組織でございますが、社員の獲得に万全を期すべく努力いたし、また、支部等の当局者に対しても、社員募集というものに対して非常な熱意を示したわけでございますが、御承知のように、相手があることでございまして、いわゆる目標額を定めて市町村の方々にもお願いして、符付を多くの方にお願いしてやるのでございますけれども、何せ、終戦後実施いたしました募金のあの気持というものがなかなか払拭できませんし、それから社員というものの趣旨を御説明申し上げても、なかなか社員になって十年なり二十年なりそれではこれだけのものを変わらず納めてやろうという方は、漸次ふえては参っておりますけれども、今申し上げますような事業を実施いたします上においての財源をとりますだけのものに十分ではないわけでございます。そこで御承知のように、寄付金というものはそういうことで、公募のような形は、とにかく参議院の附帯決議もございますので赤十字としてはそれを尊重いたさなければなりませんから、公募の形による寄付金というものはこれはやらない。ただ社員にお願いして参りましたときに、社員はいやだけれども、まあ赤十字の名は昔からよく知っているし、仕事もいいからこの程度のものは替助員として何してやろうという一つ御援助をいただきます形として、こういう社員という権利義務を持つようなことはとにかく無理にお勤めすることは社員の本質でもございませんので、こういう賛助する形で永遠に本社の名簿に記録させていただく。やがてこの方々が社員になっていただく一つの素地としてまずとりあえずことし賛助員ということで御勧誘申し上げる、こういう制度でいたしておるわけであります。
○坂本昭君 本社の皆さんの苦衷のほどはわかりますけれども、しかし、やはりここに僕は赤十字というものの経常ということ、それから今当面するいろいろなトラブルの出発点があるのじゃないかという気がするのです。この点は皆さんだけに苦労をおかけさせようとは思わない。われわれも一緒にこの際十分検討して、この委員会ではすでに前に付帯決議も作られたのですから、十分そのよ「て来たる困難な点を解明していきたいと思うのです。
 その前に、実際上今あなたは賛助員という賛助の制度をおっしゃられましたが、私たちもいなかに住んでおりまして、赤十字募金というものが町内に削り当てられてくる。そういう実態を知っているのです。そうしてその中では今あなたの言われたような趣旨というものは少しも徹底していない。つまりこれは機構にも関係してきますが、あなた方の社長、それから副社長、理事、また各支部に――支部長はおおむね知事さんが多い、それから区長とか分区長というのですか、市町村長さん、そういう行政の縦割りだけでやっておられるので、自治的な公共的な要素が少ないのです。あなた方も赤十字精神にほんとうに立脚した活動方針がないために結局末端にいっても広がっていかない。これはわれわれとしても赤十字社法を作って、これをもっとりっぱなものにするためにこの中に定められたいろいろな財政的な援助もしてあげなければならないと同時に、あなた方も怠っている点がずいぶんたくさんあるんじゃないか。そういう点で私は今伺っているのです。これは今ここで申し上げるまでもなく、もう各地方に対してはいわば強制的に割り当ててきていますよ。こういうようなことではたしていいだろうかということですね、これが一点。
 それから前々からも白い羽根の問題についてはずいぶん国民が疑惑を持っている。そういうことが結局赤十字に対する協力を失わせてきた理由だと私は思う。ですから、この際白い羽根の決算書を一度出していただきたい。われわれはこれを検討して直すべきものは直す、全面的に赤十字の活動ができるようにやっていきたいと思う。
 第三点は、前にいろいろなララ物資など入っているが、こういったようなものがほんとうに適切に使われたか、そういう点が明らかになれば、私たちは国民に対してもっと赤十字本来の任務に邁進するようにしっかりやってもらいたいということを積極的に呼びかけていきます。
 今の町内割当の問題、それから次の白い羽根の決算書の問題、それからララ物資の問題については後日一つ資料を出していただけませんか。よろしいですか。
○参考人(葛西嘉資君) 今の赤十字の一般の協力を仰ぐためのいろいろな組織についてのお話がございまして、私どもも実は苦慮をいたしておる点でございます。全国的に、なかなか全国民の人にどういう組織をやるかというような点は非常に困難でございまするが、最近のちょっとした新しい傾向としましては、今申しますように、お願いをするのにも、やっぱりほんとうにお願いをするというのには、先ほど申し上げましたボランティアの人たちが活動をしてもらうところが非常に効果が上がっている。これは趣旨がわかって、こういうわけだから出してくれということで、赤十字の奉仕団の方面が活動している地域が、東京その他これはごく小部分でございますがございます。こういうところが成績もいいし、今言ったような強制という点がないという点で、こういう方面の独自の組織というものを考えていかなければならぬと、こう考えております。
 それからなお、白い羽根についての疑惑というような点、あるいはララ物資に対する疑惑というような点、これはありとすればまことに申しわけない点でございます。私どもは、もう私どものほんとうの真情というものは、赤十字に対する背からの先輩の人たちのやっていただいたことによる信用というものが、私たちの大きな財産、これをそこなうということは非常に残念だということを申し上げております。
 それで決算書その他のものはやはり出してもおるのでございますが、非常にあれでございます。しかし、これは後日提出をすることにいたします。
 それからララ物資なんかも実は非常にいただいて、病院なんかにやっておって、あまり警戒をし過ぎて、そうしてそのままおいて、もう使えぬようにしてしまったというような実例も実はある。これは注意が過ぎて好意に報いなかったという例だと思う。これは調べまして資料を提出することにいたします。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記つけて。
○坂本昭君 今ボランティアの問題が出ていましたが、実は定款にもある評議委員会とか、こうした問題も、もう少し突っ込んでお尋ねしたいと思うのです。というのは、こういうところの民主的な選挙の方法が十分でない。たとえば評議員の推薦委員を作る、初めから市町村長がきめたような人で選ばれていく、そういうようなところにいわゆるボランティアの自由な発言、また、その地区の人たちの自由な民主的な意見というものが、赤十字の経常の中に反映されてこない面が私は多々あると思うのです。こういう点については、これだけ議論しておっても大へん長くなりますから、十分これは御配慮をいただきたいと思う。何か副社長さんとして意見があるならば一応承っておきたいと思います。
○参考人(葛西嘉資君) 今の評議員推薦委員会のお話についての点がございましたのですが、これは私ども当時関係をいたしませんでしたが、社法制定当時もいろいろ問題があったそうでございます。しかしながら、何せ社員が数が多い。全国にばらまかれておる、そこらのものから、本来からいえば公職選挙法のようなことをやるのもいいでしょうが、非常にこれは金がかかることになるので、今のような制度が一番赤十字としてやり得る民主的な、一番近い方法だということでこういう結論になったように私は承っております。これがなかなか経費の関係などからむずかしい問題じゃないかと思うのですが、なお、この点については一番根本の問題でございますので、怪々に私どもがここでどうこうということは申し上げられないことではないかと思います。
○坂本昭君 今の点は、私は赤十字社運営の基本的な点だと思いますので、これはまたあらためて検討してみたいと思います。
 次に、赤十字社の給与規程ですね、給与規程はどうなっているかを伺いたい。
○参考人(葛西嘉資君) 先ほど申し上げましたように、全国に通ずる根本的な制度の改廃というものは本社がやることになっておりまして、一応給与の基本的な規程というものは本社で日本赤十字社の給与規程というものがございます。ところが、この給与規程と申しますのは、実は終戦の直後作りまして、その後数次の改正を施しましたけれども、なかなかやはり実情に合わない点が非常に多い。それで、今のままではちょっとどうも何ともやりようがないような状態でございます。したがいまして、私どもはもしこの医療費改訂ということが御決定になりましたならば、そういう財源がありました機会に根本的な改正を本社としてやる。その規程によりまして、各地方の実情、あるいは地方の財政に応じて、給与の具体的な当てはめをやる、こういう大体そんな格好になっております。
○坂本昭君 その財政の問題でありますが、先ほど病院の経理費が約百十億ですか、そういう説明がありましたが、その詳しい内容、これは資料としていただけますか。
○参考人(岡田好治君) 御指摘の特別会計、病院会計のなにでございますが、三十四年度の決算を今損益計算だけ締め上げておりますが、損益計算でよければお出ししてけっこうだと思います。大体損益計算が当該年度の稼働の実績を示すわけでございますので、一番わかっていただくのに都合がいいんじゃないかと思いますのです。
○横山フク君 関連して。葛西さんの先ほどの一番最初のお話ですね。それから今のお話を伺っていると、各病院が独立採算のようにうかがえるのですけれども、各病院は独立採算制になっているのですか。
○参考人(葛西嘉資君) 独立採算と申しますか、その病院で上がりました収入はどこへもやらずにおいて、そうして一つは患者への還元といいますか、患者へのサービス、あるいは一つは従業員の給与に回すという、あるいは患者へのサービスと申しますのは、機械を買うなんということも入っておりますが、そういうようなことで、本社や支部にそれを持ってくることはしていない。そういう意味なら独立採算ということになっておるのです。これは赤十字の病院は中央病院が明治十九年できまして以来、その病院でまかなうというような組織になっております。これはどういうことかと考えてみますと、赤十字の病院というのは、地方等で御承知のように、病院を作りますときには、鞍前でありますればいろいろ地方の方々に御寄付をいただく、そうしてその当時は、本社も相当の金を持っておりました。本社の金と地方で御寄付をいただいた金で病院を作るというようにしてきた。ところが、その後は今度は地方でもなかなか集まりにくい。それから本社では一文もないというようなことで、どうもそれを改善するといいますか、改めることができませんで、今日大体今の八十八と申しました特別会計の病院におきましては、その病院で上がりがあればそれを追加予算として使っていくというようなことでやっております。従いまして、非常にばらばらになっておるというのが実情でございます。そういう意味から申しますれば、独立採算とおっしゃったのがそういう意味ならその通りでございます。
○横山フク君 今の独立採算といえば独立採算というお話なんですが、そこで上がりがあればそこで使う、これはわかるのです。しかし、赤十字の精神からいったならば、どこでもそこで上がりがあって余るという形にすべてがいくとは思えないわけです。そして、また、医療施設のないようなところにもまた作るんでしょうが、採算のとれないようなところにも作ることがあると思うのですね。また、開設当時じゃ上がりがないだろうと思われるところがこの八十八カ所にはあると思うのです。そういうところには上がりが当然ないわけです。そういうところに本社から何か補助金とか、あるいは同じベースに合わせるためにはそういうものがなければいけないわけだろうと思いますけれども、そういう形のものがとられていないわけですか。
○参考人(葛西嘉資君) お言葉のように、そういうふうなことができればいいのでございますが、実は今のように、本社といえども、あるいは支部といえども今の全部の、会費三十円等を合わせましても、先ほど申しましたように約九億、それを本社収入というようなことでいろいろな他の事業をやっております。従いまして、そちらへ回すというような金は、実はないわけであります。戦前の赤十字でございますれば、相当のものは持っておったそうでございますが、今は全然ないということで、できません。従って、今おっしゃるように、やりたいという仕事、赤十字の目的のためにやらなければならないというふうな仕事についても、実は手が出ない、まあそういう実情でございます。
○山本杉君 葛西さんのお言葉の中に、患者サービス、それに機械を買うということをちょっとおっしゃったのですけれども、患者還元とか、従業員還元ということについて具体的にお聞きしたいと思いますので、どうか一つ……。
○参考人(葛西嘉資君) 今の、金が余る、といっては失礼ですけれども、多少増収になった場合どうするのかというような場合は、大体株主というものももちろん赤十字にはございませんし、そういうことはいたしません。そこで余った金はそこで使うというようなことになりますれば、一つは待遇の改善ということ、給与の方からやっていく。それから医療の方も、先生御承知のように、機械はどんどん進んでいく、そういうものはかえていかなければならぬ。金がございませんので、そういう増収の中からやっていくというようなこと、あるいは病院をきれいにするというようなこと、そういうものもあわせて、患者還元なり、あるいは患者サービスと私は申し上げたのです。
○山本杉君 給与規程というものは、本社において、本部においてするとさっきおっしゃったのですが、今のお話では、金が余れば従業員の待遇改善をするとかいう御説明でございますが、これはどういうふうに……。
○参考人(葛西嘉資君) そういうときには本社の規程がございます。たとえば三十号というものを三十一号にするというふうなことにいたします。これは先ほど申しましたように、院長とか副院長というようなことになれば、社長の任命になって、院長は社長を通じて社長が任命する。下の者は支部長が任命したり、あるいは副院長が昇級するというようなことになるわけです。いつどういうふうにするかというような基本的なことだけ本社で制度をきめておって、実際はその病院なり支部なりでやっていく、こういうことでございます。
○横山フク君 先ほどの、よその病院では助けられないから、その病院々々でもってするのだという形になりますと、同じ赤十字の看護婦でも、甲病院と乙病院との間、あるいは丙病院との間には、賃金ベースに相当の格差ができるというような形は当然あり得るわけですね。それで、これは本社の方ではそういうことは御承知の上であるのだし、これは社会福祉法人としての赤十字病院ということになっているわけですね、どの病院にしても。
○参考人(葛西嘉資君) 社会福祉法人としての病院というと、ちょっと先ほど来病院医療施設の使命というのは五つございますと申し上げたその一つには、社会福祉法人的なものがあるということを申し上げたのです。今お話のように、経済の違いによりましてアンバランスは、これは実際ございます。非常に遺憾なことでございますが、なるべくそれをあまり部内に不平のないようにということで押えているわけです。これを極端に押えますと、一番低いところへ押えてしまうと、これは問題になりません。そういうようなことで、まあ初任給等もある程度のあれは、何号から何号というようなごくなまぬるい、まあ目安と言いますか、そんなものを作って運用しておる、運用せざるを得ないという実情でございます。
○横山フク君 これでおしまいにしますから、もう一つ。
 今のお話で、一番低いところで押えたんじゃそれはいけないことはわかっているのですが、ある標準線のところは当然あるべきだし、それに対して赤十字本社として、八十八が赤十字という名前がついて、そうして赤十字精神で働いている限りにおいてはそれに何らかの努力をされるのが私はしかるべきだと思うのですが、これはまたあとで、関連質問でない自分の質問のときに伺わせていただくことにいたしまして、もう一つ今の質問に関連して伺いたいことは、その病院は独立採算制でもってその建物の返還にも充てていく。先ほどの宇夫方さんのお話ですと、四億円と三億円――利息ですね、それを利益の中から返還していったということを伺いましたけれども、各八十八の病院が、全部その建物の返還あるいは利息等もその中から払って、なおかつ独立採算制という形になっているのか。その建物についての減価償却ですね、そういうようなものはどういうふうになっているのでしょうか。
○参考人(葛西嘉資君) 今の点は、非常に残念なことでありますが、ありていに申しますと、建物とかのそういう改築等に要しました元利の償還というものは、ほとんど実際としまして大部分のものは病院から元利を償還しておるというのが実情でございます。それからただごく例外に、支部に相当の力がありますところ、たとえば東京というようなところなどでは、これはまた若干のものを支部で補なっているところもございます。何にいたしましても、病院の経済というものが百十億でございます。それから賛助員とか何とかというような他の赤十字の事業を一切やるもののネットの収入というものは九億でございます。そこであまり病院の経済が大きくなり過ぎて、支部なり本社なりというものは、非常に何と申しますかおとなと子供というようなもんじゃないんでございますね、実際。そういうものが、ありていに申し上げた実情でございます。
○勝俣稔君 今のことにちょっと関連して、簡単に……。
 病院をですね、今のようなアンバランスが出てくるというような事柄は、赤十字が病院を経営しておるそれ自体に私は問題があるんじゃなかろうか。アメリカのように、病院は経営はしておらぬで、必要のある場合には病院の方を動員してくる。赤十字の仕事というものは非常に多い。もうある資金ではとてもやり切れないような仕事を現在なさっておるというところに私は無理があるんじゃなかろうか。もし今のような状態でいくならば、今の赤字も補てんしてくれるように政府の方で考えるようなことをするとか何とかしていかなければ、このアンバランスというようなものは、個々別々に、独立採算制のような格好でやっていくということでは、私は永久に払拭できないじゃなかろうか、こういうように思うのですが、赤十字として、将来のあり方として、病院をどうしても経営していかなければ日本の赤十字の目的は達しられないのであるかどうか。ちょっと大きな問題になるかもしれませんが、一つ御意見を承りたいと思います。
○参考人(葛西嘉資君) 非常な大問題でございまして、今ここで私が、赤十字としてどう思うかというお尋ねでございましたが、これはまあ一つお許しをいただいて、個人といいますか、これは使い分けできるかどうか知りませんけれども、私個人としての意見を申し上げさしていただきたいと思いますが、仰せのように、当初、やはり赤十字が病院を持った時代の、赤十字がお金を集められた時代にはこういうものか。ところが、今日のような時代になりまして、九億しかネットの入らない赤十字という、文部、本社を合わしたものが百十億で、八十八の病院が一体経営できるか。しかも、財源というものはこういうものだというふうなことをおっしゃると、私は根本的には今、勝俣さんおっしゃったような心持が実はいたします。しかし、これは一つ非常に大問題でございまして、ただ、今の看護婦の養成ということにつきましては、これはどこの赤十字もやっておりますので、日本の赤十字もやはり災害その他のために看護婦の養成ということはやっていきたいと思います。しかし、アメリカみたいに、病院がなくても委託をして養成しているというふうなところも現にある。絶対に病院がなければどうだろうかという気もいたしますが、これは橋本綱常先生あたりの昔に考えたことを私ごときが一存でここでどうだということも、これまたここで申し上げられない。実際はアメリカのようなものもあり、あるいは西ドイツみたいなものもございます。いろいろあるのは御承知の通りでございます。
 ただ、ちょっと荷が重過ぎるという点は私個人としては率直にその通りだと実は思うのでございます。しかし、しようがない。
○勝俣稔君 初めのころは軍にも医務局のようなものはなし、そうして赤十字がほとんど医務局の仕事をしておった。私のおやじなんかも動員されて、赤十字の応召にいつでも応ずるというような調子で二度ばかり応召のような目にあって、うちの方は困ったのですけれども、まあ、ああいうときには軍の方から相当赤十字の方にも援助があったのじゃないか。どういうものでございましょうか。そういうようなことの時代はよかったかもしれないけれども、今のような、政府の方がもう少しく見てくれなければどうもやっていくということは非常にむずかしいことになりはせぬか、こういうように思いますが。
○参考人(葛西嘉資君) どうも勝俣さんにお答えするというよりは、むしろ赤十字としてはこれは大問題でございますので、ただいまここで軽々に申し上げられませんが、私個人としてはちょっと荷が重過ぎるのじゃないかという感じは率直に言って持っております。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○田畑金光君 今の質問に関連して聞きますけれども、質問が葛西さん中心に集中しているので、御討議を聞いておりますと、結局各病院が独立採算、こういう形で運営されておる現状のもとにおいて、先ほど宇夫方さんからお話しになりましたいろいろ今回の組合側の労働条件の改善の問題点等については、制度そのものからきて大きな壁にぶつかっている、こういう印象を受けるわけです。
 そこでお尋ねしたいことは、こういう根本的な問題について労使の間という言葉を使いますが――の間にお話がなされておるかどうか。また、先ほど宇夫方さんのお話を伺っておりまして、黒字の問題等がありましたので、私たちもそういう黒字があるならば、当然これは理事者側として労働条件改善の問題については考えるべきじゃないか、こういう気持を強くしたわけでございますが、こういう根本的な制度の問題等について、宇夫方さんの方におかれてはどういう考え方で当局と話し合いを進めてこられたか、まず、これを伺いたいと思います。
○参考人(宇夫方貞夫君) われわれ労働組合としては、とにかく一律五千円上げろということで、その基本線で進んでおります。その制度の問題については当然当局側が考えるべきだという考え方を持っております。
○田畑金光君 組合の方の考え方としてはそれでいいと思うのです。それでその考え方で進んで参りますと、結局先ほど来葛西さんのお話を聞いておりますと、平行線をたどるような感じを受けるわけで、そこでこの問題について萬西さんというよりも理事者側としては、この問題について従来の制度にあくまでも固執して話し合いの糸口を見つける努力をなされておるのかどうか。あるいは従来の制度がこうだから、これはできないのだ、こういう形で取り組んできておられるのか、この点を一つお尋ねしたいと、こう思うのです。
○参考人(葛西嘉資君) 私どもは今の根本の問題につきましては、やはり私どもの限度もございまするし、寄り寄りお願い等はいたしておりますけれども、これはむしろ私どものごときものというよりは、もっと大きい問題のように心得ておりますので、今申しましたような根本の問題についてはまあそれよりも当面の問題というふうなことでございます。私どもは国のきめられたその制度の範囲内でやっていくというより手がないのじゃないかというふうに考えております。ただ新聞等によりまして医療費の値上げということが近いというふうなことにもなっておりますので、とりあえずのところは、その医療費の値上げによって財源の根っこができたときにやりたいというようなことは、これは組合側にも話をいたしておりますが、医療費の値上げの問題にさらに波及してきますいろいろな問題については、これは一日赤の実は問題ではございませんので、大体そんなようなことでございます。
○田畑金光君 そういうようなことになってきますと、葛西さんのお話を聞いておれば、もはや解決のめどを労使の間で見出すことはなかなか困難であると、こういうような印象を受けるわけですが、ところが先ほど来両者のお話し合いを聞いておりますと、話し合いを組合の側としてはなお持とうとして申し入れてきておるわけで、ところがその話し合いというものがどちらかというと理事者の側としてはやめて、都労委に持っていこう、まあこういう態度が見受けられるわけです。やはり労使の間の問題ですから、それはどこまでも話し合いによって問題の打開をはかるということがこれは常識だと思うし、そうでなくして自主的な話し合いをやめて一足飛びに第三者機関に持っていくということも、これは世間一般のルールや慣行にこれは反すると、こうわれわれは見ておるわけです。しかしまた、話し合いをするにしても、やはりいろいろ経理の公開の問題とか、日赤のいろんな事業の運営の実績の問題であるとか、こういうことをやはり親切に公開して話して、そうしてお互い自主的な話し合いをできるだけ進めてまとめていこうという努力が必要だと思うのですがね、そういう点について葛西さんとしては十分尽くされたと考えておられるのかどうかですね。
○参考人(葛西嘉資君) 今のベース・アップとか今度の問題になっているような問題を話し合いをして解決をしたいという点はこれは当然のことで、御迷惑をかけるべきではないと思うのでありますが、先ほども申し上げましたように、回答を十月の末に出しましてから団交を四回いたしましておりましても依然平行線をたどっているような状態で、これではどうにもならぬ、やはり公正な第三者にお互いの主張を話し合って、そうしてあっせんをしてもらう方がいいじゃないかという結論になったわけです。しかしながら、それがまたできぬということになれば、さらに何とか道のないところにも道を発見しながら、そうして話し合いをして解決をするようにするよりほかない、またそれよりほかない、こういうふうに考えております。
○田畑金光君 そこで私お尋ねしている要点は、話し合いをなさるためにはやはり当局としても資料等については、ことに経常や経理の問題等にも触れて、やはり率直に公開されて話し合いをなさるべきであったと、こう思うのだが、そのような努力というものは今まで十分やってきたのだと、こういう考え方で理事者側としては労働委員会の方に移すようなことになったのかどうか、その点です。
○参考人(葛西嘉資君) 今の話上合いは十分夜を徹してやるということでいたして参ったのでありますが、どうしてもなかなか平行線で、いかぬのでございまして、そしていつまでもそういうことでいるというのも、年末を控えているし、できるだけ早く、そういう機関もあることでございますから、そういうところで話し合いをして、そうしてまた公正な第三者にも聞いてもらってやる。財源等もこういうわけだということは話しているわけであります。そういうことでやらなければならぬと思ったわけでございます。しかし、また振り出しに戻ってもう一回やれということになれば、さらに何べんでもそれを継続して、できるだけそれを努力していくというよりほかない、こう思います。
○田畑金光君 その点について宇夫方さんとしては、組合側というか、どういう考え方を持っておられますか。私の今お尋ねしたことについて、あなたが先ほど最後に述べられた問題に関連して聞いているわけですが。
○参考人(宇夫方貞夫君) 時間はたとえかけたといえども、中身に入らなければ同じことの繰り返しです。言葉でいえば、悪い言葉ですが、テープ・レコーダーをかけ回す、くるくる回ると、こういうことです。
○藤原道子君 私は葛西さんに伺いたいのですがね。古い制度だけを振り回していらっしゃるように思えるのです。それで現実に今の労務管理の状態が正しいと思っていらっしゃるか。
 それといま一つは、今の何といいますか、社会全般と比較して日赤の待遇がそれでいいとお考えになっているかどうか。
 それからもう一つは、三十二時間も連続勤務をさしている、あるいは二十七時間やっている。そうしてそれが疲れれば、これを表面づらは時間を合わせて、そうして実働は相変わらずやらしておる。こういう人道を無視したやり方をしていらっしゃる。これに対していいと思って、それをそのままにして制度がこうだから仕方がない、金がないから仕方がない、こうして押し切るやり方のもとにやられたのでは平行線でしょう。これを正しいと思っているかどうか。私も日赤病院へこの間視察に行って来ましたが、六十人の赤ちゃんを世話するのにたった二人でやっている。夜は一人。これで人命の管理ができるかどうか、私は非常にこわいです。これは入院するのが考えものだという状態でございました。あるいは患者がかりにおっこって死んだのを知らなかった、こういう状態でいいとお考えになっておるのかどうか。それでただ日赤病院であって財源がない、だからすべてを看護婦に、従業員にしわ寄せしていくのだ、ほおかぶりでいくのだ、これでは私は血も涙もない、そういう考えを私はまず聞きたいのです。
○参考人(葛西嘉資君) 今の藤原委員のお尋ねの労務管理が今でいいかという点については、私ども十分でない、さらに努力をしていかなければならぬ、こう思っております。しかしながら、この労務管理の問題も実は今急にそういうことを言っているのではございませんで、過去数年来これはぜひやらなければならぬというわけで院長等の会合がありますときは、ほとんど毎回労務管理の問題を取り上げて、あるいは講習会とか、何かやってきておるのであります。しかしながら、何せ数が多いし、全国にまたがっておるというようなわけで不十分な点が相当あるということは私率直に認めざるを得ないと思います。さらにその点については努力をしていきたいと思います。しかしながら、また他面、ある院長が――これは小さいことを申して失礼ですが、ある一人の院長が参りまして、私のところもうるさいですから、大へんなものですから、かねのかかることはちょっとむずかしいけれども、金の要らぬことでできるものはほとんどやり尽くしておりますということを私自身に明言をした院長も実はございます。しかしながら、全体的に見て、私は労務管理がもうこれでよろしゅうございます、正しいなどとは思っておりません。これはさらに努力をしてやっていかなければならぬ、こういうふうに私は思います。
 それから第二の、今の給与の問題が、全国的に全般と比較していいかということになりますと、私どもはいいと思っておりません。まあ給与の問題、いろいろ比較が非常にむずかしゅうございます。御承知のように、各病院なり国立と比較するにいたしましても給与の体系が違います。勤務時間も四十四時間、四十八時間というような状態があったりいたしまして、比較が非常にめんどうでございます。しかしながら、これをごく最近私どもの方で大体これくらいならいいだろうということでまとめてみたのでございます。そうすると、今度はベース・アップになって参りますとこれは相当に違って参ります。これは率直に違って参ります。しかしながら、べース・アップになる前の平均のものと給与の実態調査をいたしたのを見ますと、まあ国立と追っつけ追っつけ、高いのもあるし低いのもある。職種によって違いますからあれですが、そういうような数字が出ております。しかしながら、これで私どもは十分だとは思っておりません。これはむしろいろいろな仕事をやっておるわけでございまするから、さらにこういうものがよくなるということを切に希望しておるわけであります。
 それから第三にお尋ねのありました、いろいろ何十時間勤続もあった、人道を無視しておるというようなお話、これはもう、どういう実例か私その具体的例について調べておりませんけれども、おそらく急患とか何とかということがあってやむを得ずそういうことになったのだろうと思いますが、しかしながら、また病院の実情等によって十分の人が用意できないというふうな病院も私はあると思います。だからこういうものはできるだけ努力をしてやる。努力をしてというても、から念仏の努力でなしに、私ども現に、藤原さん御存じのある病院なんですが、そこあたりで薬の購入から今の日常の、窓口までのルーティンの組織を改善することによりましてその病院で一カ年約四百万円の、金に換算して利益が出てきたのがございます。そういうものはかりにそういう制度を改正することによって四百万円――一年にですよ。そうすればそれだけ財源の余裕ができるわけです。患者にサービスするなりあるいは給与の改善をするなり、そういう面での努力というものは、すでにこれは数年来そういうことをやっております。こういうことは小さいことではありますけれども、各院長に各職場々々でやってもらいたいということをこれは口をすっぱくして院長の会合で話しております。そんなことでいいなんということは毛頭考えておりません。
○山本杉君 労務管理の話が出ましたからちょっと伺いたいのですが、それは百以上病院が全国でおありになるわけですが、労務担当の職員というものはあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
○参考人(葛西嘉資君) お尋ねでございますが、これは三、四年前から労務担当職員を置けということにいたしまして、そうしてだいぶ置いているところもございます。ところが、なかなか置けないところがまだ多うございます。これはもう――まあ担当といっても、その専任の者を置けと、そうすると、まあ庶務課なら庶務課でやるとか人事課でやるというようなことをやっているのがいまだにだいぶあります。これは繰り返してそういうことを言っているのでございますが、なかなか手が及ばない。これはまあ一つは金のことがございましょうし、一つは今のいい人が得られないというようなこともありましょうし、あるいはまあ院長あたりで、こっちをやめてこっちをやるというようなことも、もっとプライオリティの高い面があったというようなこともあるのでございます。私どもはぜひそういう方面の労務管理の講習会もいたしております。あるいは労務管理というものについての専任職員を置いてもらうことをやらなきゃならぬという方針は本社としては持っておって、これを全国に実行してもらうように指示をいたしております。
○藤田藤太郎君 私は萬西さんにお尋ねしたい。先ほどから病院の独算制を――独算制じゃないけれども事実はそういう工合にやっておる、こうお話がある。先ほど宇夫方さんのお話を聞いていると、一つの例をあげられました。たとえば石巻というような例をおあげになりました。四千五百万円を五年間でその病院が返済していくという例がある。あわせて今日そういう建設やその他の負債が三十億あって、七億ずつ病院の収入から払っていく。看護婦の養成には一億円でこれも支出している。そうして結局どうなるかというと、膨大な百からの中で――八十八の病院、診療所をまぜてもっと多くなると思いますけれども、その医療の病院の従業員のかせぎによってそういうものが全部まかなわれているということなんです。あなたの方も認められたように、そういうことです。そういうことで待遇が改善ができぬ。こういう話に詰まってくるわけでございます。で、日赤の代表として言われたことと、個人としては非常に残念でございますと、こういうお話があったのです。それで、続いて私が聞いていると、今の制度が悪いからやむを得ないというような発言もございました。しかし、現実の問題として、私は、給与体系がどうなっているか、労働の管理がどうなっているかといういろいろな問題がありましょう。私は大筋として、今公務員の給料が今度一二・四%上がって、その差額が、宇夫方さんのお話の大体対象にするところをとってみても、一万一千円の差がある。一万一千円、一カ月において。この一万一千円の差があるということが発言をされておるわけでございます。それで、今葛西さんのお話を聞いていると、他の病院と云々ということを言われたが、私たちもなかなかそういうことが考えられないのですが、とにかくとして、公務員の方、国立病院や療養所等の方とは日赤の方が大体同じだ。しかし、国立病院やそれから国立療養所は公務員べースでいくわけです。そうすると、それと一万一千円の差があるというこの現実の問題を私はどうするかということなんだと思うのです、問題点は。そうすると、私は、先ほどおっしゃったように、個人としてはこうだということでなしに、いかにして赤十字精神を生かしていくか。そのためにはどう改正を――赤十字社法というものをどう改正するか。この法律の中には国が補助して守っていくという、そういう趣旨もりっぱに書かれているわけです。先ほどの質疑からいっても。なぜ私はこの一万五千人ですか、従業員がおいでになるその方々がこういうベースで働いておられる。で、今の制度がこうだから平行線だと、私はこれじゃ人を使って、日本の医療行政を、実際には主として、赤十字病院の大きな百十億からの特別会計、またそれに加えて相当な何があるのですけれども、それをやってそれだけの人を使っている方として、どうももっとなぜ根本的な問題に、このような問題を解決するために政府にもなぜ当たられないか。そうして、ただこの従業員の方に対して何とか化活ができるという方法を、どうしたらいいかということをお考えにならないかというような私はそういう感じでさっきから聞いているわけです。だからその制度が悪ければ制度が悪い、どうしたら直るかということをなぜもっと積極的に今日までおやりにならなかったか。ただ医療単価の問題が値上げその他の問題にきたときには云々ということを仰せになりました。しかし、私は根本的な制度の問題、これがやっぱり給与の問題に関連してきて、こういう一万一千円という差ができてきておるという現実を一万人以上使っておられる日赤本社の役員としては私はもっと真剣に見つめてもらいたい、こういう気がするわけです、聞いておりまして。そのようなことについてどうお考えになっているか御意見を伺っておきたいと思います。
○参考人(葛西嘉資君) こういう大事な問題について赤十字としてじゃなくて、個人としてというようなことで話したというようなお話がございましたが、これは重大なことでありますので、私がどうこう言うことじゃないので、私個人というのは、かりに、今責任者の立場にございましても私がかわればかわるものだ、むしろ一時的なものでございます。赤十字のことはあれでございますから、私は日本赤十字社としての意見をここで申し上げることは事が重大すぎるということを申し上げたいのであります。それから今のいろいろな制度の矛盾といいますか、あれに私は二つあると思うのであります。赤十字自体でこのある矛盾といいますか、いろいろな困難な点というものと、それから国なり全体のいろいろな矛盾というような問題にぶっからざるを得ないと思うのであります。私が今申し上げましたのは、赤十字自体の方はこれはでき得る限りの努力をすべき、今の範囲内ですべきだと思います。しかしながら、これはできるものとできぬものとがございます。ことに赤十字というものは社員の支持によってできておる団体であり、いろいろ沿革なりあるいは経済的な基盤というようなものがございますので、なかなか部内だけでもできない問題もあろうかと、こういうふうな率直なことをありのままに申し上げたわけでございます。それからなお第二に、今の改善を要するという制度の問題につきましては、これはむしろ日本赤十字だけの問題じゃございませんで、むしろ国全体の問題でございますので、その点についてはむしろ私がこういうところでいろいろなことを申し上げるのは小なまいきなことになるというふうにも実は思っておるわけでございます。しかしながら、その全体のいろいろな意見等を適当のときに具申するということは、きょう政府の関係もおいででございますから、そういうふうにしてもらいたいということは時々申しておるつもりでございますが、なかなかいきませんので、どうか一つ根本的な改革等も御賢察をいただいてお願いをせなければならぬことだと、こういうふうに思っておるわけであります。本社自身の問題についても努力はいたしますけれども、何せ赤十字の何といいますか、成り立ち、それからその経済的な基盤というような点からなかなか実際上はむずかしい。ことに御指摘になりました独立算採というような問題については、これは非常にむずかしい、事実上むずかしい問題だというふうに申し上げざるを得ないのであります。
○高野一夫君 きょうの委員会が約二時間弱おくれて開かれたので、もう時間がなくなってしまって、せっかく二人においでを願いながら、病院ストの本論に入ることができない、それで委員会をおしまいにしなければならなくなってまことに残念だと思うのです。そこで、お二人のお話を伺っていますと、今後両者で話し合いをされても、とてもこれは話し合いがなかなかつきそうもないように感じられる。で、どういうふうにしたらば展開の道が開かれるかという点について双方で私は考えていただきたい。きょうはもう詳しく伺いません、時間がないから。ただ一つ私は、経営者側としての葛西さんに一つ伺いたいことは、結局たとえば給与の問題にしてもやりにくいとお考えになる一番の根本の欠陥は、九十七に上る支部管理の病院、診療所が、先ほど来るるおっしょったように、その病院の収入でまかなう、黒字が出ればその病院だけで使う、使い方は別といたしまして使う。そして赤字が出れば支部の方から補助でも出るわけなんでしょう。ここに私は欠陥があるのじゃないか。そこで支部で開設して支部で管理する病院、診療所であっても、看板は日赤の病院、そんなならば、なぜこれを本社で全部統一されて、そして収入は全部一カ所に集めるという形をとる。そして赤字の病院は赤字の病院なりに、その中から補てんをしていく。そういたしますれば、あるいは支部の熱意が失われるという意見もあるかもしれませんが、それは日赤の精神にかんがみて、そういうことはあり得るわけはないとは一応考えるわけなんですが、そうして全国を通算して一カ所に集めて、一カ所で配分をするということならば、給与の問題も私は考えやすくなるのじゃないか。そこで現在のごとき状態であって、そして給与規程は本社で作っている。そしてその給与は個々の病院でそれぞれまかなっているにすぎない。赤字の病院もあれば黒字の病院もある、こういうようなことでは、私はなかなかこれで一つ問題がむずかしくなると思うのですが、これは改正しようと思えば私は速急にできると思う。それは来月、再来月にやるというわけにはいくまいけれども、三十六年度なら三十六年度、二、三カ月の準備期間があれば、この組織の改正はできやしないか。そして全部帳簿をそういうふうにして通算をした収入、通算をした配分の仕方、これならば本社の給与規程の改訂も考えやすくなるし、ベース・アップにしましても、適正なる算定をされることもやりやすくなるのではないか。現在のごときでは、なかなか私も考えてみても非常に容易でない。ただ容易でない、容易でないと言っていたのでは、いつまでたっても話は始まらない。そこでこの改正が年月はかかるかというと、私は年月はかからない。やれると思う。一生懸命努力されれば、支部が四十六しかないのですから、それで病院はわずか九十七しかない。そこで速急に一つそういうような体制に改正をすることができるかできないか、これを研究なさることがいいのではないか。そこで私は今度は労組の方とあなた方の方との話し合いができるきっかけが大きく開けてくるような感じがする。これは今あなたは立場々々を御心配になっておられるが、これも日赤として組織上大きな問題でありましょうから、きょうは一々あなたから、ここで時間もないから答弁は要りませんが、あなたに一つお願いをしておきたい。日赤で速急に研究をされて、そして改正しようと思えば速急に改正ができる。絶対に半年かける必要はないと思う。でありますから、できるだけ早く病院ストの問題、給与の問題の道を早くつけるためには、そこの、この根本の問題の改正に私は着手してもらいたい。これが一番早道だと思う。結局遠回り通するようであって、一番早い道ではないか。赤十字の病院に関する限りは、そんなような感じがするのです。どうか一つ、またしばらくこれを研究してもらって、休会明け直後どういうような検討をされた結果になるかはいずれ聞かしてもらう機会があると思う。できるだけ近い機会に、その研究の結果を伺いたいと思うております。きょうは御答弁要りませんが、そういうことを研究する意思があるかどうか、これだけ一つお伺いしたい。
○参考人(葛西嘉資君) 時間を非常に急いでおられまして、だいぶ長く時間をとることを遠慮しなければならないと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、独立採算というのは、先ほど来申し上げましように、地方々々でいろいろお世話になってできているというような沿革、それから昔からやってきておるというような事実、それから経済的ないろいろな基盤が、その地方々々で支部初めやっておるというような点などから考えまして、今高野さんはできるじゃないかというお話でしたが、なかなかむずかしい問題でございます。それから実はその点に関連してちょっと簡単に申し上げたいと思うのですが、今の職員の退職納金の問題が、なかなか病院の経済がまちまちであるために、中には非常に退職金も払えない。そこで分割してやっているというような実は病院があるのでございます。これは何とかせねばならぬというので退職金だけの問題について、それもわずかの積み立てでございます、一定の率をその目的に限って本社に集めようじゃないか、その中から払っていけばもう待ってくれというような必要はないじゃないか。中にはこの人がやめたいと言っているのに退職金を払わなければならぬから、ちょっとやめるのを待ってくれというような病院も実はあった。そういうことでは困るからというので、退職金の本社積み立ての制度を作りますのも、これがもう四、五年かかりました。それでもなかなか今独立採算というような考え方と申しますか、そういうものがございまして、これは高野さんが非常にいとやすいことで、即刻やってやれるじゃないかというのですが、非常にむずかしいという点、なお研究をせよということでございますので、研究をする、これはもうもちろんでございます。やらなければならぬと思います。実情だけを申し上げます。
○高野一夫君 それでは申し上げますが、歴史的のいろいろな関係があってできないできないと言ったら、いつまでもできないと思います。今の退職金の例は典型的な、そういうような現在の制度の不合理であったわけなんだろうと思いますが、九十七の日赤の支部で管理している病院の年々の決算、予算というものはあるわけでしょう。そうして、その個々の、甲の病院、乙の病院のたとえば建造費、改築、機械器具、すべてのそれの償却、年々の償却、どういうふうになっている、どれくらい残っている。こういうものは全部計算できているはずです。九十七あるはずです。それを集めてきて、予算及び決算はこうなってきて、どこの予算はどうなっている。患者のいわゆる収容人員は、予定はこう、計画はこうということなら、九十七の資料を集めることは、私はそう難事ではないと思う。それを大勢の人間が集まって手分けをされてやれば、決算面、予算面、償却の問題として私は統計的数字は出てくると思うのです。それができないできないと言ったのでは、いつまでたってもできないから、何とかしてこねを全国統一されない限りは、私はこの問題の給与的、経済的問題の解決はとてもすることができない、話はつきませんよ、お二人の話を聞いておっても、ですから根本の問題はそこにあると思うのです。私は、少なくともそれが四年もかかる。退職金の問題に四年もかかるというようなことではしょうがないので、いつの日になるかわからぬということになると思いますが、九十七の書類を集めるなんということは、私はできないことはないと思う。もしもできないというならば、九十七の病院の経済的な管理、書類の監査が非常にまずい、あるいは非常に不完全である。それがきちんとして行なわれておってそうして支部なら支部長、あるいは本社の方でまとめて監査が十分できているならば、決算、予算、計画、償却の問題、すべて直ちに私はわかると思います。これはそう長く、半年もかかるとは考えられない。もうこれ以上申しませんが、私はそういう考えを持っているのです。そういう点ができるかできないか、早急に御検討置きを願いたい。
○坂本昭君 最後にそれでは二点だけお伺いしておいて、私の結論をつけておきたいと思います。
 いろいろ伺ってみますと、組合の立場から発言されたいろいろな決算の内容だとか、賃金の内容だとか、勤務時間の問題、これらについては葛西さんとしては若干異議もあるように見受けられました。たとえば山形県の病院で、そんなに長い時間に働いているように思わぬというような発言もあったように思うのです。しかし、これはあなたのところには労務管理の責任者もおらぬというのは労働大臣が本会議で言ったのです。これはむしろあなたの認識の不足じゃないかと思うのです。ただ先ほど国立病院と比較をしてそんなに差はないという発言をしておられました。こういうことを言われる以上、あなたの方でも資料がおありだと思うので、本社で調べられた基準内給与の調査を一つ出していただきたい。それはできますか、あなたの方では大体あなたのところの人たちの賃金をつかんでおられるはずだから、それを出していただきたい。
○参考人(葛西嘉資君) 今の基準内賃金ということになりますかどうかわかりませんが、一応その似たものと合わしたものを今申し上げました資料は提出することにいたします。
○坂本昭君 それは早急に出していただく心要があると思うのです。私の方では一応国立病院、療養所の今年の四月の調査を見ると、これと今の日赤の組合から出された調査を見ると、やはり一万一千円差があるようです。だからあなたのつかんでおられるものとこれは比較をして、あなたの方で言っておられるのがほんとうかうそかということを確かめてみないといかぬと思う。
 それからもう一点は、きょう一番最初に申し上げました二十七年八月十四日の参議院の附帯決議の中には、七項目の中で特に医療の問題について相当重点が置かれたので、この中にも機構として人事の刷新をはかるという、おそらくこのために葛西さんは厚生省からおいでになられたのじゃないかと思う。非常な重大任務を持って赤十字社に来られたと思う。ところが、この中で、第五番目に載っている「医療機関の経営は本社の直営とし、公的医療機関としての性格を明確にし」この点がちっとも明確にされていない。これはある意味では葛西さんの怠慢であるというそしりを私は免れないと思う。ことに先ほど来三十四年度の決算などについて黒字が出ているという話もある。しかもこれは組合品の資料と言いまましても、これはあなたの方から、日本赤十字社副社長の名前で各支部長あてに「昭和三十三年度予算編成方針に関する件」あるいは「三十五年度予算編成に関する件」こうしたものを読みますというと、明らかにあなたのまあいわば苦衷というものがお察しできるのです。たとえば三十三年度については「特別会計は単なる予算経理上の手段にすぎないもので支部事業として別個の存在をなすものではない事を改めて認識する必要がある。病院会計において当然必要とする経費の不足のある場合は、社費等をもつって賄うべき筋合いのものである事は当然のことといわなければならない。」こういうことを、各支部長に三十三年には出している。また、三十五年の場合は「赤十字の施設としての公共性の特色を生かし」「真に経営が困難な場合には社費収入のうちから当然必要額を繰り入れらるべきであって、」こういう点であなた方の言わんとする気持もわかる。ただそれに対して十分具体的な努力をしておられないと思う。今与党の高野委員からもあなたの決意についていろいろと促しておられましたが、私たちとしては、これは赤十字社の問題は与野党一致した問題として俊敏なる葛西副社長の御奮起を促して、われわれもともにこの赤十字がほんとうに本来の目的にかなうような運営をしていただきたいと思う。その中から当面するこの看護婦さんやそのほかの人たちの労働条件というものも、私は改善されていると思う。で、その点今の附帯決議のこの第五項に対するあなた方の今までなしてきたことについての反省と、それから、これはまた時間が長くなりますから――一応決意の点だけは一つこの際伺っておきたいと思います。
○参考人(葛西嘉資君) 今の御指摘になりましたような、この経営についての考え方というものは、そのお述べになった三十三年、三十五年の通りに考えているわけです。何にいたしましても支部の財源というものが非常に脆弱でございます。非常なもう差のあるものでございます。そうして、その九億の中から、今の本来の赤十字のいろんな国際的なあるいは国内的ないろんな行事をしていかなきゃならぬというようなことで、予算の配賦でなかなか十分なことはいかぬ。それでごく大づかみに話しますと、大体支部の方から医療、社会事業というような意味の病院に繰り出している金あるいは借金の一部をちょっと援助しているというようなもの等を合わせまして、二千四、五百万のものが出ていると思います。これはしかしわずかのものです。そんな財政の状態でございます。しかし、趣旨としましては一体の事業でございまするので、今のように考えております。ただ決議にありました五番の問題については「直営」という意味が、全部この本社でやるというようなことにつきましては、これは厚生省等で国立病院等の管理をやっているのもこれは御承知の通りでございますが、医務出張所というような、ああいう機構が要ったり、なかなか東京で全国の百なり百四、五十の病院、診療所を経営するということは容易なことじゃございません。従って、やはり赤十字としましては今の地方で財政的な基礎があるということのほかに、やはり支部で手近かなところでめんどうを見てもらうという制度だけでは、今の赤十字の財政的並びに行政的能力から見るともうこの限度よりしょうがないのじゃないかと、私はそういうふうに思っております。
○委員長(吉武恵市君) 速記をやめて。
   〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて下さい。
○横山フク君 希望だけ申しておきたいと思います。葛西さんの先ほどのお話で、医療費が値上げするまでは、医療費の値上げということにすべてが逃げ言葉になっているのですね。しかし、私は先ほどからの葛西さんのお話を伺っていたら、これは医療費値上げしても、おそらくこの問題は解決できないと私は思うのです。もっと以前の、医療費値上げ以前の問題が、赤十字にはたくさんあると思うのです。私、伺っておりますと、社会福祉法人の日本赤十字社の付属病院という形はなしてないと思う。みんなてんでんが一つの何というか、独立採算の営利病院、営利病院のもう採算のとれない、なんでそんな見込みのないところに無計画的に赤十字という名前においてやり過ぎたか、これはマネージャーとしての拙劣さを露呈し過ぎているのだろうと私は思うのです。しかし、これを何とかここで解決つけなければいけないと私は思うのです。これを解決するためとしても、私伺いたいことは、先ほど坂本さんから各八十八の直営ですね、そういったものの決算会計報告を求められておりましたが、私はそれだけでなくて、五項目の要望のほかに、労働組合の方から出ておりますこの中にある看護量、労作量、そういうことで非常に過酷になっている。これが結局賃金ベースにもはねかえるわけであるしお金だけではないと思う。そうなると、各病院の延べ入院数、それからそれに対する医者、看護婦、あるいは従業員その他の人々の定員数とまた実際の人員数、そうして労働時間、超過時間、その超過時間に対してどのくらいのことを見ているか、あるいはこの場合には深夜労働ということが一週間にどのくらい深夜労働を連続課せられているか、こういうものをデータをおとりになっていただきたいと思う。それらを見てからでなければ、私はこの賃金が安い高い、もちろん安い、安い上にさらにそれにプラス・アルファとしてかかる、こういう問題がここに出てくると思うのです。そういうものを私はいただいて、その資料からまた考えなければならぬ問題が多くあると思うし、もっと赤十字の付属病院の機構そのものに考えを入れていかなければならぬ。一般の問題もあるでしょうけれども、もっとそれ以前のそういうことに対しても私は考えなければならぬものを持っていると思いますので、そういう資料を私の方に、この委員会に御提出いただくことをお願いいたしたいと思うわけです。
○田畑金光君 葛西さんに私も一、二点だけ要望として申し上げておきたいのですが、先ほどのお話を聞いておりますと、ほかの病院、四十五の診療所、その中で二十五の病院は話し合いがついた、こういうような説明等もあったと思いますが、結局できるところはそれを妥結を見て、できないところはそのまままたほうっておく、こういうことは、同じ赤十字の名を冠する各病院等において、まことにこれは遺憾なことだと、こう考えるわけです。やはり同じ赤十字のもとで働いている、また経営されている病院であるならば、やはり赤十字社当局としてもできるだけ全体がよくなるように努力をされることがこれは大切だと思うのです。遺憾なことには、すべてが政府の医療費の値上げに待つのだ、こういうことですが、それは争議の解決というものは、政府が医療費の値上げ措置をとるまでは、そのまま継続もやむを得ないのだ、これでは社会的な責任という点において私は当局として果たしたということにはならぬと思うのです。やはり医療費の問題はその問題として、当然これは関係機関において十分審議し、また、来年度予算措置の場合までには解決をみるかもしれぬが、それはそれとして、その問題にすべてを負わすんじゃなくして、もっとやはり私は赤十字理事者側として、現在の状態のものとにおけるいろんな改善を加えることによってできる道もやっぱり見出すべきであるし、せめてそれくらいの、一言くらいの、こういう点で一つわれわれとしても工夫して争議の問題の早期解決を見出してもらいたい、これくらいの一言をわれわれは実は願っていたわけですが、すべてがどうも政府に依存するというようなことでは、今日の社会的な要望からいっても私はどうかと考えておるわけなんです。これをよく一つ考えていただきたいと思う。
 それから第三の問題としてお願いしたいことは、制度の根本の問題についていろいろ議員から要望がありましたが、私も同じ感情を持つわけです。ただ葛西さんとしては、いやこの問題は従来の歴史やあるいは地方的な特色を生かされておるので、なかなかこれはむずかしいと言う。むずかしいだけでこれは片づけられないようにわれわれは見るわけで、赤十字というとわれわれは人道主義ということを思い出すし、あるいはヒューマニズムという別話のような感じまで持っているわけで、ところがその赤十字の中で今日初めてこういう問題があるということを国民一般は知ったような状態だと、こう思うのですね。まあそういうことを考えたとき、こういうような機会こそ、世間の関心が集まっておるこういう機会こそ、赤十字の制度の中にこういう根本的な矛盾があるんだということになれば、やはりこの問題を議会や政府や、あるいは世論の中にも訴えて、この際一つ赤十字の将来の根本的なあり方という問題については、勇気を持って私は取り細まれることが必要じゃなかろうかと、こういうことを高野議員と同じような感じを持つわけです。これらの点をよく一つ考えていただいて、現在にこの争議がどういう方向で解決されるかということは、一番今重大な関心事にもなっているわけですから、その中での赤十字社ですから、十分一つ責任を考えられて、善処されることを強く希望しておきたいと思っております。
○久保等君 私も先ほど来、いろいろ葛西さんからお話を伺っておって、特にちょっと要望を申し上げておきたいと思うのですが、それは団交のあり方の問題について同じようなことを数回やられた、団交で繰り返し巻き返し、全然進展をしないといったようなお話もあったのですが、私はもう少しそれこそざっくばらんになって、なぜそれならば組合の代表の方々と、副社長実際団交に出ておられるのかどうか知りませんが、ちょっと手元にあります資料を見ると、人事部長、総務部長あたりが出られておるようだが、副社長みずからこの問題にほんとうに真剣に取り組む勇気と努力がなされているかどうかについてさえ若干の疑問を感ぜざるを得ない。先ほどちょっと宇夫方さんのお話によると、資料なんかの提供にしても、ほとんど資料を提供して真剣に問題の解決をやろうという努力がなされないようなお話も伺ったのですが、実態をほんとうに団交の席でさらけ出して、当然団交の席上でやるべきだと思うのですが、そういったようなことも何かやられておらないような印象を持つのですが、こういったような事態の解決について、ほんとうに私はもう少し積極的に、またほんとうに条項等についても、まずそんなことは団交を行なう場合の前提条件だと思うのですが、ぜひ一つそういった誠意のある、しかもほんとうに解決するのだという意欲をもう少し燃やしてもらわないと、何かそれこそ旧套に閉じこもってしまって、伝統ばかりをえらい強調されておりますが、私は、管理経営者と従業員との間における博愛精神は具体化しておらないという印象を持つ。何か博愛々々といって観念的な言葉の中に蟄居してしまって、全然そういった問題に対して新しい積極的な意欲を燃やして問題を解決しようとする管理当局としての誠意を、お持ちになっておるかもしれないが、具体的に表明されておらない。団体交渉等の問題については、これは私が申し上げるまでもない、ほんとうに誠意をもってもう少し積極的に取り組んで問題の解決に一つ当たってもらいたい。このことを特に私は、決意のほどを伺いたいと思うのですが、強く要望しておきます。
○委員長(吉武恵市君) いろいろ御意見もあろうかと思いますが、だいぶ時間もたちましたので、この程度で質疑を打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。
○坂本昭君 ただ資料を幾つかお補いしたい、全然ないものですから。きょうお願いした資料を間違いなく出していただきたい。
 それもあまりおそく来年の春ということじゃ困りますから……。
○委員長(吉武恵市君) 委員長からお願いをいたしますが、委員から御要求のありました資料はできるだけ早く一つ御提出をお願いしたいと思います。
○藤原道子君 時間がないから私はもう言いませんが、きょうの委員会の開き方は不手ぎわだった、肝心なところに何も入れない。ぜひ今後はもう少し実質的審議ができるように委員長において……。二時間も三時間もおくれたり、その間のことも文句があるけれども、私はがまんします。きょうは医務局長も来ているのですから、よく医務局においてもこういう実態であるということを認識しておいてもらいたい。
 それから葛西さんは、明治十九年以来の赤十字精神の亡霊につかれているのじゃないかと思う。下手なことを言うと食いつかれると思って、えらい人がたくさんいるものだから、やはり逃げ口上ばっかり私は聞くのです。もう少し誠意をもってやって下さい。そのことだけできょうはやめます。
○委員長(吉武恵市君) 参考人に対する質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと存じます。
 参考人の各位には、長時間御出席をいただき、御意見の発表を下さいまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後五時五十一分散会