第038回国会 社会労働委員会 第6号
昭和三十六年二月二十一日(火曜日)
   午前十時五十二分開会
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  委員の異動
本日委員高野一夫君及び藤原道子君辞
任につき、その補欠として古池信三君
及び江田三郎君を議長において指名し
た。
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 出席者は左の通り。
   委員長     吉武 恵市君
   理事
           加藤 武徳君
           高野 一夫君
           坂本  昭君
           藤田藤太郎君
   委員
           鹿島 俊雄君
           勝俣  稔君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           久保  等君
           小柳  勇君
           相馬 助治君
           竹中 恒夫君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 古井 喜實君
  政府委員
   厚生大臣官房長 高田 浩運君
   厚生省医務局長 川上 六馬君
   厚生省保険局長 森本  潔君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
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  本日の会議に付した案件
○社会保障制度に関する調査(一般厚
 生行政に関する件)
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○委員長(吉武恵市君) それでは、ただいまより社会労働委員会を開きます。
 まず最初に、委員の異動を報告いたします。二月二十一日付をもって藤原道子君が辞任し、その補欠として江田三郎君が選任されました。
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○委員長(吉武恵市君) それでは、社会保障制度に関する調査の一環として、一般厚生行政に関する件を議題といたします。
 質疑のおありの力は順次御発言を願います。
○坂本昭君 一番最初に大臣に伺っておきたいことは、当委員会では、二月の七日に厚生予算全般についての説明を聞きました。そのときに、当委員会全体から、審議の必要上、資料の提出を求めました。その資料は、たとえば、大臣が非常に苦労された生活保護の一八%引き上げ、その引き上げの具体的な根拠、どういう根拠で一八%引き上げたか。あるいは、社会福祉関係に七%のベース・アップをした。その根拠はどういうところにあるか。これは社会局関係。それから保険局については、医療費引き上げの一〇%の根拠。さらに、国保、年金の内容的な数字。また、児童局では、保育所に働く保母さんたちのベース・アップの七尾の根拠。さらに、医務局については、国立病院、療養所の給食の三円二十九銭ふえたその根拠。また、病院ストに関連して、看護婦の賃金の実態。そういったものの資料を出してもらえば、それによって委員会の審議が非常に能率的になるということで、二月七日に資料要求したにもかかわらず、今までにまだそれらの具体的な資料が出ておりません。これは一体出さないつもりなのか、それとも一体どういう考えのもとに当委員会の要求を拒否しておられるのか。私は、これは非常に今後の審議上重大な関連がありますので、この際、明確な答弁を大臣から求めたい。また、従来ともに、これは厚生省の各種の諮問委員会における態度を通じて、よらしむべし知らしむべからずという態度を非常にとっている。この問題は、医療費の問題についてもあとで相当論議されるところだと思いますが、このような国会の委員会が要求する資料に対しても、こういう提出しないという怠慢な態度をとっている。これについて大臣の責任ある御答弁をいただきたい。
○政府委員(高田浩運君) 資料の問題は、むしろこれは事務の方の問題でもございますので、まず私から申し上げたいと思います。
 お話のございましたいろいろな資料につきましては、鋭意私どもの方で調製中でございますが、中には多少むずかしい点も含んでおりますので、おくれておることは大へん申しわけなく残念に思っておる次第でございます。なるべく早く調製いたしまして提出いたしたいと思います。(「一週間もたって、十四日に出すという約束だった。答弁にならない」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(古井喜實君) 委員会、国会の審議はなるべくあらゆる資料をさらけ出しに、いわばあけっぱなしに提出して、十分よいところ悪いところ論じていただくことがよいことだと思いますので、御要求に応じて極力整えて出させるようにいたしたいと思います。少しおくれております点は、今も御注意のあったところでありますが、(「少しどころじゃない」と呼ぶ者あり)せいぜい急がせまして、御要求にこたえるようにいたしたいと思いますので、いましばらくお待ちいただきますように、できるだけ早くお出しするようにいたします。
○坂本昭君 それでは、今のそれぞれの局に関係のある資料を各局長から責任ある答弁を一つこの際して下さい。いつまでに出す、それだけをはっきりして下さい。それを大臣は十分聞いた上で、その通りにならない場合には、(「督励する必要がある」と呼ぶ者あり)督励どころじゃないですよ。資料によっては一日二日で出るものがあるんですから、それでも出さないというなら、局長としての任にたえないものだと、私はそう思います。各局長から明確なる答弁をして下さい。
○政府委員(森本潔君) 保険局関係で御要求になりました資料は、医療費一〇%引き上げの算出の基礎が一つと、それから国保の、ちょっと内容ははっきりわからないのでございますが、基礎数字、たとえば、被保険者数とかあるいは一人当たりの医療費とか、そういうことだったと思います。(「予算の具体的説明だ」と呼ぶ者あり)ええ、ですから、今申しましたような被保険者数であるとか、一人当たりの医療費であるとか、それを合計したらどういうことになるか、こういう資料かと思いますが、いずれも準備をいたしておりまして、おそくとも今週中には整備ができる予定でございます。
○鹿島俊雄君 関連して……。
○坂本昭君 各局長の答弁を一つ明確にしてそれからやって下さい。
○委員長(吉武恵市君) 坂本委員に申し上げますが、ほかの局長は出ておりませんので……。
○坂本昭君 出ておりますよ。医務局もおりますよ。それなら官房長、責任をもって各局の資料をいつまでに出すか……。
○委員長(吉武恵市君) 官房長が代表して答弁されたらいいのじゃないですか。(「官房長はつまらぬ。さっきの答弁ではつまらぬ」と呼ぶ者あり)
○政府委員(森本潔君) 社会局、医務局の関係、至急に一つ出すようにいたします。
○坂本昭君 至急とはいつか。厚生省の至急は一年も二年もかかる。もっと明確な答弁をして下さいよ。七日の日がきょうは二十一日や。そんな困難なものは保険局のものを除いてはないはずですよ。
○藤田藤太郎君 七日のときにはそうむずかしい資料を要求したのじゃないんですよ。予算のずっと出てくるベース・アップだとか、事務費の問題だとか、いろいろ全般にわたってわれわれがちょっと聞いてもわからぬ問題は、それを積算の基礎、どういうところからこうなったということを詳しいことを十四日までに出してもらえぬか。そうしたら、そういう工合に全体について努力をいたしましょうと、ここで皆さんおいでになったとき約束された。それが一つも出てきていないのだよ。だから私は不親切だと思う。当然なことですよ。これは私や社会党だけが言っているのじゃない。皆さんがそうおっしゃってそれで気持よくここで約束した。それが二十一日まだ出ない。今週中だという御返事があったのだけれども、これはあまりに信義に欠けるのだよ。
○政府委員(高田浩運君) 私が至急と申しましたのは、さっそく現局にあたりまして、きょうできるものならきょう中にも出したい。あすできるものならあす中にも出したい。おそくとも両三日のうちにはお出ししなければならない、そういう、一日も早くと、そういう意味で申し上げた次第でございます。
○鹿島俊雄君 大臣にただいまのに関連してお伺いしておきたいことは、ただいま大臣は、審議に必要とする資料についてはさらけ出すとか、明るみに出すとか、そういうようなことを言われましたが、いいとか悪いとかいう問題ではないのであって、われわれは、今日医療費の問題を中心に非常に混乱の状態にあることも見のがせない事実でありますし、また、今後非常なこれは重大な段階に突入するのではないかというような問題であります。従って、慎重にこのよってくる原因を明らかにしなければならぬという点に立っておるのであって、いいとか悪いとかいうことは資料が出てから論ずることなんです。従って、早急に、もう本日の委員会にそれを期待しておったわけなんです。それを依然として遅延しておることははなはだ遺憾であります。
 それから資料について、ただいま官房長から、また森本局長から、提出を求められる資料の内容についてお話がありましたが、その中でもう一度確認しておきたい点は、今回の医療費算定の基準になる実態調査に関連をいたしまして、二十七年の資料をスライドしたと言っておりましたが、このスライドに使った計数です、この計数を一つはっきりしてもらいたいということを前にも言ったはずなんです。この点はもう特に重大な点であります。
 それから二十七年当時の調査客体の抽出方法、また、その客体についてできるだけ明らかにしていただきませんと、問題になる点があるのであります。これについては後ほど関係局長にも質問いたしますが、そういったことが審議の重要なポイントになるのでありますから、そういったものがないと、またここでは総括的な質問はいたしますが、肝心の一〇%引き上げ適正であるというようなことに関する議論というものはできないわけなんです。御存じの通りに、それらの質問に対しましては、毎回、適正であろうというようなことしか今言われておらないのです。これは重大な問題ですから、この点について明らかにするということで、二、三日という今お話もございましたが、はっきりと委員会の次回開催までに調査をするとか、また、本日ある程度の資料に対する説明でもあれば、これによってやっていきたい、こう思うのであります。もっとはっきりした責任のある御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 先ほど申しましたように、また、官房長も申しておりますように、全体論としては、関係局と、確かにあしたは出せるか、どうしてもあさってになるかとか、具体的に各局と打ち合わせをして、そして出せるものなら一日も、きょうにでも早く出すようにしたいと思います。それから今のお話の医療費関係の資料も、お話のようなことがわかる資料を、さっき保険局長が申しておりましたように、極力急ぎまして、局長が言っておりますように、できれば一日も早くでありますが、どんなにおくれてもこの週をこさぬように、それはずれるという意味ではありませんが、だいぶこれは精細な資料でありますので、至急整えて、これも御要求のような点をわかるようにして出させたいと思いますので、これも時間をなるべくかけませんから、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
○竹中恒夫君 先日私は、社会保険の医療費算定につきまして、一〇%の根拠を示す資料を要求いたしました。また、病院、診療所の格差についての納得のいき得る資料の要求をいたしたわけでございます。今日二週間を経ましてなお出ないということについては、当委員会の各同僚委員の方々のただいまの御発言によって、十二分に厚生大臣もよくおわかりになったことと存じます。どうか責任のある態度をもちまして、しかも正確なる資料を御提出いただきまして、審議に支障のないようにお取り計らいを願いたいと存じます。
 なお、ただいまからいろいろと質問申し上げたいと思いますが、先般の当委員会において、残念なことには大臣がごく短時間しか、予算委員会の関係でおられませんでしたので、あるいは次官にかわっていただいて御答弁もございましたが、やはり最高責任者としての大臣からの直接の私は御答弁をわずらわすという意味で、多少重複の気味もありますが、はっきりした御答弁を賜わりたい。特に時局はきわめて重大な段階に立ち至っております。御承知のように、昨日は日本歯科医師会におきましては、全国の代表者が集まりまして、医療保険の改革に対する悲痛な叫びをあげました。これに対して当局から何らの御祝辞なり、あるいは見解表明なりも議場においては私は聞き得なかったのでありますが、そうした問題にも関連して御質問いたしたいと思います。
 そもそも今回のこうした混乱状態に医療費問題が入ったということについての原因は、厚生大臣は一体どこにあるとお考えになっておられるか。少なくとも私は原因の探究をすることによって原因を見きわめ、この原因の除去をしなければ、現在のような調停方法なり、あるいはあっせんでは、とうていこの大問題は解決し得ないと私は思う。
 第一に考えられますることは、社会医療保険制度そのものが一貫性がない。大正十五年に法が制定されて、昭和二年から始められた健康保険を初め、十年後に行なわれた国民保険、船員保険その他もろもろの医療保険が、その時点々々の考え方によってできておる。従って、この間に矛盾がある。一般国民が国民生活をするのに、法律を知らなくても生活はできる。ところが、医者は、百以上もある関係の法規、いろいろな法規を知っておらなければ――国民は悪いことをしなければ生活はできる。医者はその法律を知っておらなければ、良心的な立場だけで仕事をしたのでは、あるいは制限診療に触れるとか、あるいは健康保険法に触れるとか、良心的に医者が仕事をしたのでは、法律に触れる場合がある。こういう凡百の法律が相重なり、一貫性がないということにそもそも混乱の原因があると思う。従って、大阪で厚生大臣の談話がございましたが、こういうような事柄を察知しての大臣の私は御発言だろうと思うのですが、まず第一に、制度に一貫性がない。しかもその制度の考え方が医療の本質を十二分に理解しない、消化しないままで法律ができておる。ここに私は大きな混乱の原因がまず第一にあると思う。この点について御所見をまず承りたい。
 同時に、せっかくそういう制度ができましても、運営の面においてはなはだ私は欠ける点があると思う。非常に官僚政治ということが言われておりますが、官僚諸君の優越感、あるいはまた、独善的な考え方、そうしたことが災いしておることも私は見のがせない事実だろうと思う。決してそういうことがないとは私は言わせません。特に厚生行政は医師会とまっこうから対立して感情行政をやっておる。感情で政治をやっておる、厚生行政をやっておるということはもってのほかなんです。これは何も私が言うんでない。第三者の新聞報道関係におきましても、医師会と厚生省の対立は悲しむべきことだということをはっきり言っておる。こういう点についての当局の反省も必要だろうと思うし、監督なさる大臣としても、そういう点についての官僚への御指導も私は必要であろうと思う。また、政治のあり方につきましても、今の行政態度で、先ほども問題になりましたような資料提出一つなかなかできない。軍機保護法があるわけでもない。少なくとも関係団体にはデータをお作りになる場合、あるいは施策を立てる場合においては、あらかじめ厚生当局としてはこういう考えを持っておるんだが関係団体はどうだと、保険者団体にも打診なさる必要があるでしょう。医療担当者にも打診する必要がある。これをなさずして軍機保護法のような秘密主義でもってやって、でき上がったものを新聞へアドバルーンを上げて、その反響によって適当にやるという従来の厚生行政の行き方、アドバルーン行政というものは、私はいかぬと思う。これが今回の混乱の第三の原因であろうと思う。
 第四に、私は国の努力が足らぬと思うのです。社会保障制度に対しまして、終戦後進駐軍がやって参りまして、時の総理に対して、日本は社会保障は一体どういうことをするんだということであったときに、国は金の要らない、国民から保険料をとっておる、社会保障制度の中でほんとの意味の保障でない社会保険、医療保険というものを中心に、こういう施策をもって社会保障をやりますと……。進駐軍は驚いたわけです。実に大規模なものを持っておるといって、驚いたわけですが、その保険――国がどれだけその医療保険に力をいたしておるか、国の努力というものは、今日においても現実に現われておらない。進駐軍に対して適当にごまかして、日本の社会保障制度はこういうことでいきますということですが、その根幹が医療保険である。何ら他に見るべきものがなかったというようなことがございます。
 私はまず以上の四点から考えあわせまして、今回の混乱の原因が以上申し上げた点にあると思うんですが、大臣はどう今回の原因を見ておられるか、そうしてその原因を除去するに対しての具体的な施策がおありになるならば、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) お話のように、社会保障の各制度がおくれておったものが、まあよいものならば一つでもという式に、全体的な体系を考えるいとまなしに、できるものから一つ一つ実現していったというふうなことでありますので、今日全体を振り返ってみるというと、その医療保険の分野から見ましても、まことに不均衡、また、体系的な整備を欠いているというようなうらみがあると思うのであります。できるものから一つずつやっていったというような、まあ急ぎ足でいったために、こういうことになったのだとは思いますが、しかし、もう今日の段階になりますと、全体を振り返ってみて、全体としての体系的な整備を考えなければならぬじゃないか、私はこの前もそういう音一味のことを申し上げたのでありますけれども、お話のように、組合の健康保険、政府管掌以下国民健康保険まで、いろいろ違うのであります。これはやはり全体的に見直す時期にきたと思うのであります。そういうことも大きく問題が横たわっていると思うのであります。また、こういうふうに保険医療という分野がだんだん広がってきましたので、こういうふうにこの保険医療が広がった今日の段階、この事実も無視できませんが、どうしてもこの保険医療というものには半面の弱点というか、まあまずさというものもあるわけであります。それが規格診療になり、あるいはいわゆる官僚統制というふうな弊も伴い、あるいはまた、経済、財政ということが非常に強く支配するというようなことになり、反面においては、でありますから自由診療のよさというものを殺してしまうようなまずい点も起こってきている、そうしてまた、お医者さんの人格とか、医学の立場というふうなものを軽んずるような、つまりひっくり返して見れば、そういう半面も起こっておるのじゃないかと思うのであります。そこでそういう弊を、やはりこの社会保険医療となると起こりがちなものを、一方さっき申したような自由診療的なよさをどういうふうにしてこれに生かしていくか、今日までその問題の解決ができずにおった、こういうことがやはり問題が非常にこう深刻になってきた原因だと私は思うのであります。つまり社会保険医療を広げるというのに精一ぱいであって、それと今の自由診療的な行き方のよさやなどとどう取り組むかという辺が十分解決されていなかった、でありますから、今回のこの医療費をめぐっての事態にいたしましても、今日の医療費のことも大事でありましょうけれども、さかのぼってみると、この保険医療というものと自由診療というものの長所をどういうふうに調和するかという根本問題が解決されてなかったというそこにぶつかってきているような私は気がするのであります。で、これを解決していきます道は、どれもこれもじゃいっときに耳をそろえて一日二日なら一日二日、十日なら十日でできるかといったら、そうはいきません。やはり問題が根本的でありまするから、相当腰を落ちつけて、段階的に順序を間違えぬように一つ一つ解決していって、それで全体の解決が得られるのだろうと私は思うのであります。そういう考え方で、もう順序を誤らぬように一つ一つ解決をして前進すべきものだという私は感じを持っているのであります。まどろっこしいようでありますけれども、問題が根本的でありますから、それ以外の行き方では解決ができない、その場当たりのことばかりやっておったのでは解決されぬ、根本に触れなければ解決にならぬ、こういうふうに思っておるのであります。そういうふうな心持は私は強く持っておるのであります。で、その心持を自分の心持として、そういうふうに取り組んでいきたいという心持を表明いたしますことは、これは私は一つも差しつかえない、また、その考え方に対して御批判も受けたらいいと私は思っておりますが、段階的に、じいっとしておってはいけませんから、一つずつ解決していくという道をとるほかはないように思っておるのであります。それで、今の制度の乱立の問題、官僚統制というか、官僚主義に堕しておる弊害の点、まあ時おり私が考えを申します点、それから最後には、今のもう少し国がいわば財政的にも金を出さなければいかぬじゃないかと、こういう問題、これは申すまでもなく、今後に大きく残っている問題でありまして、一番初めのいろいろな保険制度の乱立を調整する問題とあわせつつ、やはり国が持つべき方面にはもっと持っていかなければいかぬと、これはもう国保にしてもそうでありますし、それからまあむろん日雇健康保険などもそうでありますし、持たなくてよいところは持つ必要はありませんけれども、持たなければならぬ方面がたくさん残っておりますから、これもいっときに国の金をたくさんどっと出せ、そうも実際問題はいきませんので、漸進的しか仕方ありませんが、国保にしても、日雇健康保険にしても、今回だってまあ一歩前進くらいのところかもしれませんけれども、先向きに歩いているわけであります。しかし、問題は大きくこの点にも残っていると思いますので、この次の年度にもぜひこれは改善したい、国からももっと金を出すようにしたいと思っている方面もあります。一歩々々問題を把握することと、それから順序を考えることと、それから一歩一歩実行で解決していくということをやっていきたいと思っております。
○竹中恒夫君 大臣答弁として、抽象的なあるいは一般論的な御答弁としては満点であろうと思いまするが、ただいまから少しく具体的に問題を掘り下げて討議をしてみたいと思います。
 まず第一に、総論的の立場を述べてのお話でありますが、今のお考え方は当然そうあるべきだと思いますが、この泥沼のこの時局をどう解決するかということについては、恒久対策と、今の当面する対策と、二つあると思います。私は七月一日実施ということに対して賛成いたしません。後ほど重ねて質問いたしたいと存じまするが、とにかく大臣は七月一日実施ということに踏み切られて、そうして対策を考えておられる。ところが、最近の与党の調停、ごあっせん等を見ましても、抜本的な対策が取り入れられていない。何か総論的な、先ほど質問いたしましたような制度上の問題までもこの機会に解決すべきであるというようなにおいがしておるわけです。保利総務会長も郷里の佐賀県でそういうようなことを言っておられる。時間的にそういうことはとうてい不可能である。たとえば甲表乙表一本化するという問題でも、あなた方は、厚生当局は点数をやるのだとおっしゃっておられるが、点数を一本化するというだけでもなかなか容易な操作でないと思う。医療担当者が得心のいくような点数のバランスのとれたものはできないと思います。ましてや、根本的な問題までも取り入れて、この七月一日までに解決するということは非常に困難であります。従って、恒久対策と緊急対策と別に考えなければならぬと思う。現にあなたが社会保障制度審議会に諮問しておられまする将来の報酬金のあり方はどうすべきかということは、これは恒久対策だと思う。今の間に合うべき問題じゃないと思う。二月中に答申を求められておるようですが、それは国会に回ってきて法律になると相当論議が戦わされて、四月、五月になって自動延長になって、七月一日が十月になり十二月になるという懸念すらある。どうか恒久対策と緊急対策とをはっきり分けて処理願いたいということをお願いしておきます。これに対して一々答弁を願っておりますると、大臣は非常に丁寧な答弁をなさるので、私の質問時間以上の時間をお取りになるので、質問が進みませんから、もう答弁は求めませんが、ほんとうを言えば、私はこの一斉休診に対する責任をお聞きしたい。一斉休診に追い込んだ責任がどこにあるか。一斉休診した医者が悪いような考え方があるようですが、とんでもない話であって、一斉休診をせざるを得なかったところに追い込んだ厚生行政の私は欠陥なり、責任なりが、そのよってきたる被害が、医者にあるように言われることも迷惑であり、同時に、厚生大臣は新聞紙上に医師の良識によってということをおっしゃっておられる。まことにその通りですが、良識の押し売りをされたのでは医師は迷惑。医者は初めからヒューマニズムに立って職業を選んでおるわけです。当然良識は持っております。持っておりまするし、良識があるがゆえに主張を具体化するということについては何か良識に欠けているような感じにとれるああいう声明なり表明というものは、医者側から言えば迷惑のあまり、大臣から言えば当然こういう良識を信頼するとおっしゃることはそれは正しいのですが、非常にそういう点はデリケートな点があると思うのです。大臣とそのことを今討論しておりましては肝心の医療費に対する具体的なことに入りませんので、この程度で話をおきまするが、次にお聞きしたいのは、大臣にお聞きしたいのですが、先般この委員会で論議になったのですが、医者の経済的な、社会的な地位、ランキングというものはどこにあるのかということについて、医務局長は、わからぬが、医療費の算定をするにあたって所得保障の立場から医療費の算定をなさるのか、技術を中心にいわゆる医療技術に対する評価だけをするのかということに対しては、医療技術を評価するのが報酬のいき方だとおっしゃった。しからば、医者というものは医療技術だけ評価することによって――各科があるわけですが、科によっては、この技術の評価では飯が食えない。所得保障というものも当然しなきゃならぬと思う。医者である前に、医者が国民であるということを忘れておる。そういう意味合いから申しますというと、やはり医者の経済的な、社会的な地位というものに対する厚生省は一つの考え方がなきゃならぬと思う。上か中か下か知りませんが、一応目安が私はあって初めて医療費の算定ができると思うのですが、一体医者というものはどの立場に置かれているかということについての大臣の所見をお聞きしたい。これがなければ医療費の算定の議論は進みません。
○国務大臣(古井喜實君) この医療費の問題を考えるにいたしましても、一体社会的にお医者さんがどういう地位を持たなきゃならぬか。それに応ずるだけの経済が成り立つようにということを重要に考えなきゃならぬと思うのであります。その意味で、多分この局長などがすでに御説明申し上げ、あるいはこれからも申し上げるのかもしれませんが、かりに勤労する人々の所得階層を十階層ぐらいに分けるとすれば、最上位の階層に属するぐらいな、つまり経済が成り立たなきゃいかぬ。まあごく大ざっぱな論でありますけれども、そういうふうに思うのであります。同時に、各技術に対してはそれに応ずるこの報酬もなきゃなりません。全体として経済がどの程度に成り立ったらよいか、最上位の階層の経済が成り立つようなところをめどに置かなきゃいかぬと、そういうふうに考えてきております。
○竹中恒夫君 これも大へん抽象的ですが、要するに、勤労階層の、大臣が十ならば十に分けた場合、最上位にあるべきだという大臣のお考えですね、そうすると、今後の医療報酬金の決定いかんによって最上位でないような結果が現われた場合には当然お考え願いたいと思います。これも議論いたしません。時間がございませんから、次に私は大臣にお伺いしたいのですが、大臣は筋を通すことを非常に大臣として大切にしておられる。これは当然私は政治家としてそうあるべきだと思います。日ごろから御尊敬申し上げております。ただ、ここで私は申し上げたいのは、筋も、大きな筋もあれば、小さな筋もある、ぜん気の筋もあるわけです。小さな筋を通すことによって大きな筋から踏みはずすということがあってはならないと思う。社会保障制度という一つの大きな土俵がありまして、社会保障制度の中の土俵を割ることはいけませんが、同心円で一そう半径の小さい中医療協という土俵を割りましても、私は社会保障制度の大きな土俵さえ割らなければ政治のあり方として正しいと思う。この点について、私は大臣が常にすべての問題を白紙で中医協にまかしておるのはこれは私は正論だと思う。中医協の土俵ということに関する限りは正論だと思いますが、この中医協の土俵そのもののよしあし、私はこれから生まれ出るであろうものがどんなものかわからないということを考えた場合に、それが生まれ出るのを待って、七月に間に合うか合わぬかわからぬというような今の状況においては、同心円のもっと大きな社会保障制度の土俵さえ割らなければ私はいいのであって、これこそ政治家としての私は務めであろうと思う。大行は細瑕を顧みずといいますけれども、あまりに筋々と言いましても、小さな筋を尊重することによって、角をためて牛を殺すということがあるわけです。私この点を心配するあまり、決して大臣の信念を曲げろ、筋はどうでもいいというのじゃありませんが、今申し上げた意味においての再考をお願いしたい。たとえば、なるほど中医協にすべてのものは法律上聞くのだという建前であるとどうしてもおっしゃるならば私はあえて聞きたい。カナマイシンのときはどうであったか。私は、あれに対しては全幅的に賛成をいたしました。大臣の蛮勇に対しては敬意を表しました。これこそ政治家だ、正規な中医協を開かずしてでも、人命尊重の見地に立った場合には、厚生行政の最高責任者は、あえてああいう不合理な持ち回り会議のような、中医協を開いたという形だけにして、関係団体から、日本医師会からも委員を推薦してあったはずだ。これに発言もさせずに、公益委員だけを集めて持ち回りでなさった。これは正しい中医協の運営でないと思う。しかし、人命尊重の見地からやむを得ずやられた、そういうような意味の筋をはずされることは私はいいと思う。今回の、この問題にいたしましても、中医協、それにかわるべきもの、あるいは改良すべきものを立てるのだという考え方はわかりますが、医師会側の言うていることを聞きますと、中医協がどういう形になろうとも、厚生当局が、いわゆる政府案が、単価でなしに点数でいくのだ、制限診療さらには地域差撤廃については、そうたやすく、財源の関係もあってなかなか踏み切れないのだ。あるいはまた、医師会の言われることは、もし医療協が賛成をすれば医師会案でもいいのだと大臣は言っておられる。あるいは一〇%引き上げでは低いから、一五でも二〇でも中医協の答申さえあればのむのだと言っておられる。建前論からすればいいでしょうが、医師会の懸念することは、そういうそらぞらしいことを大臣がおっしゃってもそういうことには絶対にならない。今のままの中医協が諮問した場合、あるいは改造されたものがどんなものか知りませんが、それに対して不安があるわけだ。大臣はそう言うても、医師会としてはやはり過去の医療協議会の運営あるいはその実績からいっていつも政府案になってしまう。このことを考えた場合に、不安でこの土俵場に残れないという心境は私はよくわかる。大臣もその点おわかりになると思います。だからあまりそらぞらしいようなことをおっしゃるということは、これは決して筋を通す意味から言うのじゃございませんが、聞く方からいうとそらぞらしいことになる。こういうこともあわせて緊急対策としては、小さな筋を尊重し過ぎるということに対しては、いま一応お考え願いたい。この席上でおそらく大臣は、よろしい、じゃ中医協をやめて君の言うように政治折衝をしようとはおっしゃらぬと思う。また、おっしゃれない立場にあると思いますが、少なくとも緊急対策として処理する場合には、当然そこまでの考えもお持ち願いたいということを申し上げておきたいと思う。そういたしませんというと、政治じゃなくなってくる。政治がないから一斉休診したり、あるいは抗議大会を開いたりするわけです。やはり政治というものは必要である。理屈だけじゃないと思いますので、この点も特に筋を通すという大臣の考え方には賛成いたしますが、緩急よろしきを得たいき方をしてもらいたいと思う。今大臣が国の努力に対して云々という御説明がございました。漸次やるという御説明がございました。しからば私はお聞きしたい。今回の総予算において、なるほど大臣の御努力で社会保障制度に関する諸費用は二千七百六十七億円、一一・八%ということであって、六百三十五、六億円の増額でございます。御努力は非常に多といたしますが、しかもこの中には生活保護基準あるいは文明病としての小児麻痺、結核、精神病対策あるいは辺地対策、環境衛生等、非常に多方面にわたっての新しい予算をお取りになっておられる。それには敬意を表しますが、私は六百三十六億ふえた中で、今次この大きな問題である医療保険にどれだけの金を増額なさったかということを私は聞きたい。決して国の努力として医療保険に対して十二分な私は配慮をなされておらないと思う。社会保障制度の問題は、国民のあるいは国家の予算に対しての一一・八%というのがいい悪いというような、そういう角度からの議論でなくして、国民の総消費総額に対して、どれだけ国が金を出しておるかということが問題である。国の予算に対する比率でなくして、国民の総消費総額に対して、どのくらい国が出しておるかということが現実的な問題である。欧米諸国では、少なくとも国民の総消費額に対して一〇%以上の金を出しておる。日本では六、七%しか出しておらない。こういう観点から見ましても、予算の上からこれだけしておるのだからいいんだとおっしゃるかもしれませんが、現実の問題としては国民の支出に対しての比率というものが肝要であろうと思う。特に私はなぜそういうことを申しまするかというと、今回の七十四億円の増額、一〇%増額に対して私は疑点を持っております。少なくとも政府所管の医療費が一〇%上がれば七十億円要るんです、政府所管だけで。その七十億円の見返り残金といいますか、あるいは国の援助は三億円なんです。あなたは昨年来医療費の引き上げはやらなければならないが、国民には迷惑はかけない。被保険者には迷惑をかけないと言うておられたはずなんだ。政府所管の被保険者は七十億円今度は金がふえる。かりに一〇%引き上げをするとして。その七十億円のうちで三億円しか国が出しておられない。これで国の努力が十分だとおっしゃるのですか。少なくとも昭和二十九年、三十年当時は、健保赤字の時代には、七十億円という金を国が貸してやって、そうして別に年々三十億円という金をずっと三年、四年と出しておられた。当時の大蔵大臣なり、池田さんなり、総理の岸さんは、赤字の手当金の七十億円は出してやった。別に三十億円は政府所管の健康保険の円滑なる発達のために出したのだから、将来黒字になってもこれは引き上げないのだと言明しておられたのが、今日は医療費引き上げという問題があっても、わずか三億円しか出さないということは、医療保険の大きな後退だと私は思う。予算全体から見れば六百三十六億円という増を見て、私は非常に厚生大臣の政治的手腕を買いますが、これをしさいに検討していくと、医療保険に関する限りは大きな後退をしておる。国民に差引六十七億円のしわ寄せをしておる。あなたのおっしゃった国民に迷惑をかけぬということは一体どういうことなのか。国の努力が足らぬと思う。また、増額は見ましても七十四億円の中で医療保険には二十億円しか出しておられない。生活保護法だ、結核、精神病というような、当然国が負担すべきものの増を含めて七十四億円である。国民保険と健康保険と日雇いと船員とこの医療保険に対しては、七十四億円のうちで二十億円そこそこより出しておられない。政府所管一つ見てもそうです。全体を見てもそういうことになるのですが、一体これで国の努力は十分だとおっしゃるのですか。今おっしゃったような漸次やるのだというようななまぬるいことでは、私は医療保険というものは今の混乱の原因の除去にもならぬと思う。そういう点を私は御所信を承りたい。
○国務大臣(古井喜實君) 社会保障関係のいろいろな制度、施策は、格好だけはだいぶんできてはきましたけれども、一口に申しますと、どれもこれも内容が貧弱なのであります。それでどれも実は内容を改善し、充実していきたいとこういうふうに思いますので、まあどの制度、どの施策についても気は配らなければならぬ状況でありまして、お話のように、そういたしますと総額相当大きな増額をいたしましても、どれもまだ十分と言えるほどにはいかないような状況でおるわけであります。一挙には残念ながらいき得ないで気をもんでおる、あせっておるような状況であります。医療関係におきましては、医療費の引き上げ、もともと一〇%総医療費に対して足るか足らないかというところからまあ出発いたしますけれども、これにしても、でき得るならば医療協議会を開いて論議をしてもらって、何パーセント一体引き上げたらいいか、どれくらい引き上げたらいいか幅を審議してもらい、それがもし一五%、二〇%という結論になるならばこれを尊重して予算を組むようにしたいものだと思ったのであります。遺憾ながら予算は締め切りの時期があり、医療協議会は開くことができないというので、手元の厚生省の資料をもとにして、あるだけの資料ではじき出して、ただいまの一〇%という計算のものを予算に載せたわけであります。そういう経過でありまして、論ずる場所で論じてもらっていないのですから、あとさきにはなりますけれども協議会で十分論じてもらって、どうしてもこれだけでは足りないとこういうことになりますならば、その意見を、まだかけていないのですから、大いに尊重しなければならぬと私はそう思うのであります。先にそれをやっていないのでありますから、ただ手放しで足る足らぬというのは私どもの扱いとしては非常に困難でありまして、その場においてそういう結論が出るなら大いに尊重しなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。それから今の今回そういうふうに引き上げるにいたしましても、少なくとも保険料を引き上げるということはしたくないと、こういうことを考えますので、どの保険関係についてもお話の政府管掌につきましても、この引き上げのために保険料を上げるということはしたくないと、こういう考え方で財政措置を講じたのであります。でありますから、この引き上げに関連しては三億を出すことにいたしておりますけれども、これとても保険料は今回の医療費の関係では引き上げないで済ましたいと、こういうことを考えてでありまして、事実保険料を上げないで済まし得ると、こういうふうにそれだけの措置は、それのみならずできておるつもりであります。患者負担の点が引き上げに伴ってふえる点が残るのでありますが、これはまことに気が痛むのでありまして、医療費引き上げの反面は、つまり患者負担がふえるという保険料の問題のほかのことがありますので、非常に気が痛むのでありますが、これはそれぞれ、たとえば給付の半分は国保ならば自分で負担すると、こういう建前になっております以上は、この建前を変えませんことには患者が負担すべき分が若干ふえましても、建前がそこにあります以上はもういたし方がない。問題は五割給付を七割にするとかいうふうな給付率の引き上げの問題として負担割合の、つまり改訂の問題として考えるほかはないじゃないかと、こういうことです。しかし、保険料を引き上げると、こういうことはもう少なくともしたくないということで財政措置を講じたわけでありますから、これはまず一応これでこの際の一〇%引き上げの措置としては、もっとそれは考えれば問題がないとは申しませんけれども、手当はいたしたつもりでいるわけであります。
○竹中恒夫君 今の答弁は、これは満点は上げられません。保険料を引き上げないというのであるならば、国の出す金は三億や五億じゃいけないわけなんです。保険料を引き上げないのであるならば、保険財政の根源は保険料ですから、保険料を引き上げずして一〇%上げるのであるならば、国の出す金はもっとたくさん出さなきゃいかぬと思うのが一点と、もう一つ、今の中で、私は医療保険に対する正しい認識が私は大臣に欠けているのじゃないかと思うのは、患者の負担はやむを得ない、これは聞きのがすことのできない一言です。医療保険のそもそもの考え方は、患者に病気になってから経済負担をさせないために、ふだん健康のときに保険料を納めて精神的な肉体的な経済的な苦痛のないための医療保険なんです。それを国が出す金を出さずして患者に転嫁して、見てもらう患者がある程度持つのはやむを得ないというこの考え方は、医療保険の本質を私は誤っておる、こう思うのです。が、しかし、これは議論いたしません、時間がございませんから。(「議論せい」と呼ぶ者あり)もっとずっと大臣おられるなら議論しますが、あなたにまだ聞きたいことがある。
 で、その次に緊要な問題、次の第一点は大臣にお聞きしたいのですが、医療費というものは、これは大臣、公共料金と考えておられるのか、医療費の性格を私は聞きたい。先日これに対する明確な答弁が次官からなされておりません。医療保険というものは、法律できめて国の大きな施策の一つとしても公共的な事業である、これに払われる料金は公共料金なのか、あるいは自由診療当時のような考え方をかみ合わせた外部からの圧迫、圧力を感じない医療は、医療費というものを医者が得心し得る範囲内できめていいのか、医療費というのは公共料金か一体何か、性格をお聞きしたい。
○国務大臣(古井喜實君) 竹中さんのお話の中に、あるいは私の申し上げたことを言葉が足らなんだのか、お取り違えになっておるように思った節があります。それは先ほどのこちらからも議論がありましたが、患者負担の問題でありますが、患者負担が相当あることがよいということを言っているのじゃありませんので、患者負担はだんだん減していくのがよいのであります。ですからこれは国保の方で五割給付を今度はまあ結核や精神病については七割給付にいたして三割だけ患者負担にしておる。一般の病気の方面にも患者負担を減して、つまり給付率を上げていくということが望ましいのであります。これはもうその通りに思う。ただ現在、国保ならば一般の病気なら五割給付となっておる、五割は患者負担という建前になっておる。その建前のもとにおいては、今度医療費引き上げに伴って若干患者負担もふえるけれども、この建前が半額給付ということになっておる以上は、そこが若干ふえるのはやむを得ないということだけを申したのであります。給付率の引き上げ問題は大いに引き上げたい、こういうことでありますから、この点はまあ誤解下さらぬようにお願いいたします。
 それから公共料金かどうかと、こういうことでありますが、私はまあ公共料金だとは思っておりません。ただ、医療費に対してどこまで国が保障するかと、こういう問題になってきますと、保障の範囲、限度の問題といたしますというと、これは全く手放しのものじゃありませんで、どれだけ国が保障するかという問題になりますから、これは料金とか何とかという、公共料金だというわけじゃありませんけれども、そこに公的な一つのワクが、保障のワクがきまっておる。しかし、診療報酬自体が公共料金かと、本質が。ちょっと私は、そういうふうに今まで思っておりませんので、今のような考え方でおるのであります。
○鹿島俊雄君 関連。ただいま大臣が非常に重要な点について触れられましたが、竹中委員の質問の、医療報酬というものは社会保障の関係において公共料金的な性格を持つかどうかという点については、さようでない。そうなると、これは原則としてこの社会保険医療の報酬というものは、医療担当者と保険者との契約であります。従って、その引き上げ要求に関する理論的なものがなければ全然これは認めない。しかも、一方的に厚生省側において算定したものは適正なんだということを押しつけるような形がずっと続けられてきております。すなわち、これは政治的な医療単価、医療報酬と言われても仕方がない。そういったような中に長く置かれた関係が今日問題を起こしてきているんです。少なくとも、医療担当者側である程度の引き上げ要求をすると、直ちにそれが不当なものだと、しかも、国民の負担力から見ていかぬというようなことをすぐ厚生省側が言うわけなんです。ここに私は非常に疑問があるんです。というのは、厚生省は、保険者でありまた監督者の二つの立場を持っておるんです。これが今日いろいろな場合に率直に医療担当者側に受け取られない原因になっておる。また、被保険者側の一部にもそうであろうと思うんです。そこで、かつて社会保障制度審議会で、この立場を、厚生省は監督者の立場に当然立つべきだと、保険者としての立場はこれはいけないという答申がなされております。にもかかわらず、それはそのままほってある。大臣は、先ほど来、すべての事柄は民主的に諮問機関に諮ってやる、たとえ政治的な配慮をやることがあってもその筋を通すんだと言っております。そうなると、そういった最高権威のあると目される社会保障制度審議会の答申は絶対なものだと思うんです。そういったものを今まで厚生省は取り上げておらないんです。今後、大臣は、そういった審議会の答申をそのまますなおにお取り上げになるかどうかという問題であります。また、今回の医療費の算定方式に至るまでのものも社会保障制度審議会に諮問されております。これは非常に無理だと思います。こんな大問題を二月中に答申を得られるなんということを期待することは間違いでありまするが、そういったことを諮問されておる。そうすると、その審議会において一定の算定方式が答申された場合はどうなるか。医療協議会との関係につきましても、非常に微妙な問題が起こってくると思うのであります。こういった点について、これは非常に重要でありまするので、この際関連事項として承っておきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) 社会保障制度審議会がどういう答申をされるか、これはまだわかりませんが、従来の考え方が、厚生省の役人が医療協議会に入るのがおかしい、まずいと、こういう考え方がありますならば、今度も、このたびの答申もそういう内容の答申がくるに相違ないと思うのであります。そうすれば、これは尊重しなければなりません。尊重して、その通りに実行しなければならぬと思います。
 なお、医療費の問題は、今回もこの通りの問題になっておりますけれども、今回のみならず、従来も、何かそのつどのようにこの医療費の問題は取り運びが混乱をしてきておるのであります。混乱紛糾を重ねておるのであります。将来もほっとくというと、同じことを繰り返していくんじゃないか、これを私は憂えておるのであります。何とかごく冷静に平穏にこれを運ぶように軌道に乗せられぬものか。こういうことをいつも繰り返しておっては私はよいことと思わぬのであります。何とか軌道に乗せたい、こういうふうに思うのであります。どうしたら軌道に乗るだろうか、こういうふうに考えますと、一つには医療協議会の仕組みがまずいという点もあると思うのであります。これもあるから、これも直したいものだと思うのであります。しかし、それだけで軌道に乗るかというと、大体医療費を算定するルールというものが今までないのじゃないか。のっとって算定していくルールというものがないのじゃないか。このルールが確立されれば、それにのっとって、今度上げなきゃならぬ、どれだけ上げなきゃならぬということがそれをよりどころにして容易に算定できると思うのでありますけれども、その根本がないように思う。そこで、何とかこのルールを確立するという道を考えられないか。それは一日や二日でルールができるものじゃありません。けれども、そのルールを確立する一つの機構は、こういう機構でもってルールを確立したらいいじゃないかという機構は考え得るのじゃないかと思うのであります。そういう機構が考え得るなら、そこで十分論じてもらって、こういうルールにのっとってやったらよかろうということを出してもらいたいと思う。これには相当時間がかかると思います、機構は早く発足いたしましても、ルールそのものをきめるのは時間がかかると思います。これは時間がかかっても仕方がない。そういう道はとらんならぬ。ルールを確立すれば、それにのっとって現実に今度上げるとかこの次に上げるとか、こういう上げる問題と取り組む。ルールを土台にして出す。もう一つ大事なのは、そのとき必要な資料というものを常時収集し整備しておくようなある一つの事務的な機構も要るんじゃなかろうか。それも含めて一つ研究を要するのじゃなかろうか。そういうふうにルールをきめる方途がきまって、そうしてルールが時間がかかりますができるとし、それをもとにして現実に改定の問題をきめる機構も改善される、資料も整っておるというふうなことになれば、将来は医療費問題が軌道に乗って大きな混乱を起こさずにきめ得るようになるのじゃなかろうか。
 しかし、今申しましたようにルールをきめます問題は、機構ができましても時間がかかります。今回の引き上げの問題はそのルールができるのを待ってというのでは間に合わぬようになると思います。でありますから、これはそれができるのを待たなきゃ今回の引き上げのことも行なわないんだというわけにはいかぬ。しかし、少なくとも医療協議会――従来の方式になっちゃいますけれども、つまり、そのルールとかいうのができるまでは従来的な扱いになりますけれども、医療協議会はしかし改善して、そうして関係の人が快く出やすい場にして、そうして具体的にそこで審議してもらうことはできるのではないか、こういうふうに私は思うのであります。
 それで、繰り返して申すことでありますけれども、私はなにも俗にいう厚生省案とかいうものをやろう、あれを実行しようという気はないのであります。繰り返しこれは申しておるのであります。ただ、一〇%にせよなんぼにせよ、予算を組みますときに、よりどころがないので、医療協議会を開けなかったから、あれをどれくらい一体値上げを考えたらいいかということを最終的には厚生省なりの算出の方法をとったわけです。それで一〇%と出た。これを具体化していく道はどうかというと、これは白紙というか、どのように医療協議会できまってもよろしいので、それでこれが医師会のおっしゃるように一律引き上げという結論になってもよろしいのであります。医療協議会という場においてきまるならばそれでけっこうである、そういうふうに私は思っておるのでありまして、内容については一つもそれだこれだというような拘泥した考えを持たぬということはきょう申し上げるのではなくて、これはもう何べんも繰り返して申し上げておるのであります。ただ、軌道に乗せたいということを私は願っておるのであります。
○鹿島俊雄君 ただいま大臣の御答弁は非常に懇切だと思うのですが、質問の要点については遺憾ながらどうもはずれてくる。ただ、大臣の医療費に対する誠意の表現を繰り返すにすぎないというふうに受け取るしかないのです。私のお尋ねしている点は、先ほど竹中議員から公的性格があるかどうか、あるとすればこれは考え方を変えていかなきゃならぬ、そうだとすればこれは一つの契約なんです。医療担当者と保険者との契約である。従って、これが一定の要求をする要求の基準というものは物価指数のスライド等を考えてやっても不思議はない。ところが、毎回これをやると、厚生省はそれに対する反対資料をもってこれに対して対応をされる。今回も一〇%の医療費引き上げというものは適正なものであるということを言っておるわけなんです。そうなると、これはもうまっこうから対立しなきゃならぬ。同時に、医療協議会の性格を変えるとか政府側の委員を入れないでいいんだというようなことを大臣言いますが、これは間違いなんで、現在政府は保険者なんです。その立場において保険者代表の形でこの委員会に出ているわけだ。従って、そういうことを言われるならば、根本からこの監督者としての立場に返り、保険者としての立場を別の角度で話すということがなければ当然医療協議会の構成要員の中に入ってくるんです。従来とも入ってきて、もう進行係の形を務めていることは歴然たる事実がある。私もかつて数年間、医療協議会の委員をやっておりまして、この欠陥についても、また、いい面も多少ありますが、そういった面は身をもって体験をしておるのです。これも再三言われている。ここにもうすでに混乱の原因があるのです。そのために社会保障制度審議会では、この二枚看板の立場ではいけない、純然たる公正なる判断を下し、公正なる社会保険医療行政の指導をするという立場に立たなければいかぬということを言っておるのです。ところが、これをどういうわけかやらない。従って、むしろ最近の行き方は保険者代表としての立場が強いわけです。たとえば、今度のようにやむを得ず一斉休診が行なわれると、今度は監督者の立場に立って押えていく。それでは医療担当者は納得しないのです。従って、その点を私は聞いておるのです。
 もう一つは、公的、いわゆる公共料金というものを考えてないとすれば、医療担当者側の要求というものは単なるこれは取引である、経済現象の取引として見て差しつかえないんです。ただ、医療というものそのものが公的性格があるんだという点はあります。しかし、それと保険医療行政とは違うのです。その点を混同して、正当なる医療報酬の引き上げに対しても、医者は公的な性格を持っているんじゃないか、国民に奉仕する立場にあるんではないかというような立場から、直ちに押えていく、これでは納得がいかぬというのが現象なんです。この二点を私ははっきり聞きたい。そうでないと、大臣は毎回、民主的に機関に諮ってやるんだ、と繰り返しておられる。
 またもう一つ、このついでにお聞きしておきたいことは、過般大臣は、この混乱の原因なる医師会、歯科医師会との事前折衝はできるだけ誠意をもってやられたかどうかという点について質問しましたところが、まあ医師会の例をとりますると、武見会長とは一回も会ってない、また、会見を申し込んだが拒否されたということを言っておられまするが、先般衆議院の社労委員会における参考人としての立場の公述によりますと、武見会長はこう言っております、前後九時間程度通算協議をしました、ただ一回も厚生大臣の会見通告に対しては拒否という事実はないということを言っておるのです。あなたはそのときに御欠席になられておりましたが、そういったことが私は問題だと思うのです。ただ私は、機械的に会ったことの事態を言うものではないのでありますが、そういった配慮がなければこの混乱する状況というものはとうてい私は乗り切れぬと思うのです。もし武見会長の言うことが事実であるとすると、大臣はこの本委員会において率直にものをおっしゃっておらぬことになる。これは考え方によりますると重大な問題になる、あるいはまた、武見会長はさようなことを、強硬なことを言われた、そうすると、われわれの判定というものもまた誤ってくる。何も私はこの責任とか、その言動の内容について責任を追及するわけではないのでありますから、そういった意思調整ができないというようなことでは、とうていこれは私は解決がつかぬと思います。その点につきましては関連して御質問したい。
○国務大臣(古井喜實君) 三つの問題について御質問がありましたが、第一の問題は、先ほどお答えしましたことを繰り返すことになります。つまり医療協議会に、保険者代表として厚生省の者が入るのはよくないという意見が、社会保障制度審議会から前にあったという点であります。今回も、前にそういうことがありましたから、同じ趣旨で答申がありましょうから、そうすれば、その通りに実行いたします、入れない、こういうふうに申し上げたのであります。前に、先ほど。それが一点じゃないかと私は伺ったのであります。
 公共料金がどうかという点でありますが、これはかりに保険制度がなかったらどうであろうかと考えますると、お医者さんと患者との関係だけですから、これはお医者さんが幾らとおっしゃる、患者の方がそれを払うだけのことになってしまいます。高ければよう払わぬというだけのことになってしまう、患者とお医者さんだけの関係になってくる。そこでこれは単純に患者と医者の関係だけになるのであります。しかし、保険医療になりますと、今度は公的にある程度の負担をして、そうして公費でもって医療費の負担、全部までいかないかもしれないが、持たにゃならぬということになってくる、保険医療になると、公費が持たれてくるという問題が、ここに加わってくるのであります、医療費が。そこで公費の関係では、これは金を出せるか、出せないか、国の財政なりあるいは国保で言えば地方の団体、市町村なり、こういう問題になってくるのであります。その点では、どれだけ出せるものかという意味においては、公のものが関与する、だから全く手放しのもとの、そういうことがないときのお医者さんと患者さんとの関係とは、それはその点が違います。違うはずです、それは。その点の違いはあります、それは。ですから単純にこれを私的な取引の価格、手数料価格というようなものだけに見ていいのか、それとも公的な面が一面あるのか、こうなりますと、両方の面があることは事実なんであります。ですから、右か左かという質問はちょっと御無理なんであります、これは。大体御無理だと私は端的には思うのであります。そういう面から、両方が金を、公費を出すのだからくっついておるということも事実なんですから、そういう面もあることも事実なんであります。これは本来の、ありのままの姿ではないかと思うのであります。
 それからもう一つ、最後の武見会長と会ったか会わぬかの問題でありますが、この今回の一斉休診等のことをおきめになる前後、また、それ以後にはお目にかかったことはありません。私がお目にかかったのはその前のことであります。その前には数回お目にかかっております。今回の一斉休診などをめぐって、不幸にしてお目にかかる機会がなかった。これは事実であります。
○高野一夫君 今公共料金の問題が出ましたが、これは右か左かはっきり割り切れぬというような大臣の答弁だけれども、私はこれは明確に公共料金ではないと思うのです。これははっきり今後の報酬の算定に大事なことですから、はっきりしておいていただかなければならぬ。公共料金というのは常識で言ってもわかる通りに、公共の一つの企業体があって、たとえば公社のごときものがあって、その料金をみんなが、それを利用した者が払うのが、そういう公共団体の収入になる、これはもう常識論ですが、それから医師その他の医療費の場合は、それがそれぞれの個人のふところに入る収入となる。それは、当然私は社会保険の医療においては公の性格を多分に持っているけれども、郵便あるいは鉄道料金等のごとき公共料金とは同一に考えちゃいけない。これははっきりと一つしておいていただきたい。そうでないと、今後医療費をどうするかという将来の対策を考えるについても、いろいろ非常に問題が起こってくると思う。公共料金のきめ方と、それから個人の収入に入る報酬のきめ方、これはおのずから違って参る。ことに非常に社会保険の医療は公共性を帯びているわけですから、報酬という観念でいくべきである。これは今後算定、あるいはそういう方面のきめ方に道が違ってくると思いますので、この点は一つ明確に厚生省としてつかんでおいていただきたい。
○国務大臣(古井喜實君) 先ほども申しましたように、根本的には公共料金だとは私は思いませんので、それはこまかく言えば、公立病院とか国立病院とかいうところの関係もありましょうけれども、そういうものは抜きにしまして、全体論としては公共料金ではないと、私今まで思ってきております。申しました意味は、一面公費で負担しなければならぬ部分があるので、その意味において公共料金になるという意味じゃございませんけれども、公費で負担するという面が一つあると、そういう公的な面があると、こういうことを申し上げたので、性格が公共料金になってしまうとは私は思っておりません。そういう公的な負担の面が起こってくるということを申し上げたのであります。
○鹿島俊雄君 関連。そこで私は、ただいまの問題について、重ねて大臣の所信を承りたいことは、この医療報酬というものが公的な性格は持つが、公的なものではない。ところが、厚生省の今までの扱い方は、医療担当者に対して、根本的な問題がそこにあるのです。たとえば皆保険ということは、いわゆる医療のもう国家統制の一つの形であります。国家管理とは申し上げませんが、国家統制の形である。自由診療の世界から法律をもってここに移るわけでありますから、しかもそれに協力をしないと、その保険医は国の施策に従わないとあたかも非国民的な烙印を押される、また、批判もされるのであります。従って、好むと好まざるとにかかわらず、医療担当者はこの国家統制的な社会保険、皆保険医療の中に入ってくるわけです。そうなると、他面国はこの保険医に対する保障というものを考えておったかどうか。これは全然ない。現在の個人診療所は自己負担によってやっておる。多年の苦労によって積み重ねた診療所なんです。これが何らの保障もなく、皆保険の形に突入するということは、私的施設を公的施設に置きかえたと言っても過言でないのです。こういったことをやっておる。ところが一面、今度はそれらの状態から、やむを得ず、最近の保険医の状態というのは非常に悪いので、何とか医療報酬を上げてほしい、しかも、被保険者の負担等も考え、当然公的性格がある以上は、国が大幅な国庫負担をすべきだということを医療担当者は言っておる。私はきわめてこの点は妥当な叫びと思います。ところが、そういったさなかに、厚生省の今回の予算措置を見ると、わずかに政管において三億円程度、これでは、ある場合には公的性格を強要し、ある場合には私的医療機関としての扱いをしているわけです。私はそう断ぜざるを得ない。しかも、税金等の問題が起きましても、公的医療機関は無税、私的医療機関は、軽減措置はとられておりますが、税金をとられる。医療報酬単価は同じである。そういうところにも矛盾がある。従って、こういった矛盾の累積なんです。従って、毎年毎回この問題が繰り返されてきている。この辺でこれをはっきりしなければ、幾ら医療協議会を開いても水かけ論になる。しかも、今までの医療協議会において出てくるほとんどの意見というものは、厚生省の事務当局の幹事案的なものが中心になって議が進められていく。ある場合には、医療担当者の意見というものはそっぽを向いて取り上げない、これは私は身をもって、かつて委員として経験もいたしております。従って、実態を申し上げている。こういったことが今日の状態なんです。従って、公的性格があるとすれば、あるような施策を考えない限り、今日以後の社会保険医療の混乱というものは私は回避できない。大臣は、医療協議会に一〇%の予算措置を要求した、要求によって一五%になり得るというようなことを言っておりますが、それによってこの問題はすでに解決はつかないと思う。
 先ほどもう一つ申し上げたことは、医療協議会に委員を出すか出さぬかということは、根本的に健康保険法の改正にまでいかなければならぬことであります。政府は保険者の立場を持っている以上は、当然この協議会に委員を送るという立場がなければまたおかしいということになるのであります。従って、諮問者であり、また、諮問を受ける立場に立つというようなことの法的にあることがおかしい。従って、これをはっきりと解決をしないと、たとえば世論が、医療協議会に対して、保険者側の立場で厚生省が、事務官が出ることはまずいといっても、これは通らないのです。これこそ私はおかしい議論だと思う。また、そういうことを軽々しく大臣が言われることは、この機構上の問題について認識が足らぬと私は思います。従って、今日医療団体側ではこの混乱を深く突き上げ解決するためには、健康保険法の改正にまでいかなければならぬということは、そういったところをさしていると私は思います。個々の問題ではないのであります。そういった点をはっきりと認識しないと、もう二、三回御所見を承っておりますが、民主的にやるのだ、しかし、いかに民主的にやろうといたしましても、基本の問題は残されるのでは、ルール、ルールとおっしゃられるが、確かにルールというのは大事であるから、そういったものは考えなければいけないのであります。私はこの点について重ねてはっきりと聞きたい。また、先ほど来高野委員からもはっきり所信も述べられましたが、それを厚生省は公的のようなものでまた私的のようなものだ、公的でないとすれば国が幾ら補助金を出しても、これはもう公共料金ではないことになる。そうなれば一つの医療報酬に対する契約です。こういったものについて、もう一ぺん承りたい。
○国務大臣(古井喜實君) 今の診療報酬が公共料金かどうかということは、先ほど来申し上げた通りであります。公費で出す部分があるために、若干の規制が起こるということがあるかもしれませんけれども、しかし、私的な料金であって規制が起こることはあるのであって、性格がこれで変わるとは私には思えないのであります。
 今の健康保険法の問題は、これはよく検討をしてみて結論を出したいと思うのであります。
○竹中恒夫君 医療報酬が公共料金かどうか、その性格を聞きたい。高野委員の御説明と申しますか、お考えも承りました。一応その御意見も私は理解できます。ただ、ここで疑点、公共料金でないとはっきり踏み切れない疑点があると思うからもめていると思いますが、その理由は、皆保険であって、国民全部に法律で強制加入させるということなんです。一つの鉄道やその他のような事業団ではございませんが、国の力でもって国民の全部、だれ一人漏れなくどれかの保険に入る皆保険であるということが一つ、もう一つは、あなたは、自由患者時代は医者と患者の相互契約でやったのだ、今日公共的な国の金が入るから、その意味で少しく自由診療当時の料金とは違うというようなニュアンスで御答弁なさったのでありますが、私はではここで聞きたい。医療報酬金は一体だれがきめるのか、厚生大臣がきめるのです。ただ、料金をきめる場合に、中央社会保険医療協議会に諮問するだけのことなんです。行政決定権はあなたにあられるわけです。国が法律でもって国民を強制加入させておいて、その料金は政府がきめるのだ、医者は何ら発言権がない、医療協議会であるとおっしゃるが、かりに医療協議会でありましても、並行答申がなされても、どんな意見が出されても、とにかく採否は大臣にあられるわけです。決して医療協議会できめろという法律じゃない。その証拠には二十六年にも三十三年にも医療協議会という土俵場の議を経ずしておきめになっておられる前例二つもある。ですからその意味からいうて強制加入であり、料金は大臣がきめるのだ。しかし、これは公共料金でないのだ、そう簡単に割り切れぬ節もあると思います。しかし、議論になりますからいたしませんが、そこで公共料金でないのであるならば次のことをお聞きしたい。先般もこれは申し上げたのですが、日本銀行の昭和二十五年から三十五年の間の公共料金並びにこれに類する料金の指数変動が出ております。二十五年を一〇〇といたした場合におきまして、電気、ガス、水道、そうしたものはおおむね昭和三十五年には一七〇前後です。政府のしておられるいわゆる公共料金でしょう。郵便はがきが二五〇なんです。新聞は六九〇なんです。ラジオは二四七、八なんです。医療費は、一〇〇とした場合に三十五年に一二四なんです。公共料金を下回るこの医療費の上昇率、そういう料金のきめ方をした厚生大臣の考え方は、あくまでもこれは公共料金の関連からおきめになったと了解しておるのですが、今の御答弁ではそうではなく、ニュアンスがどうもそうでないように思う。私はここでお聞きしたい。公共料金の上昇率から比べて、平均一七〇、一八〇、国家公務員の賃金ベースはもう御承知の通り。一二四の医療費を今度一〇%上げるということはそれほどむずかしいのかという問題と、公共料金でないとするならば、なお一そう自由な個人の所得に属するものであるならば、もっともっと医者の医療所得保障を考えた料金でなければならぬと思う。ただ国は金が出せないということで逆算計算して単価がこうあるべきだというような行き方でありましては、私は、納得が医療担当者はいかぬと思う。こういう公共料金の上昇率に比べて著しく低い、ゆるいテンポである。こんなことで、池田内閣の閣僚としてお聞きしたいのだが、所得倍増に対して十カ年先に一体医者はどうなるか、国民の所得は八五%上がるし、賃金ベースはそれにつれて上がっていくでしょう。今のような料金の考え方で大臣が公共料金を下回るようなことで押えていって、そうして国民の所得が倍増した場合に医者は麦飯を食えということになると思うのですが、閣僚として所得倍増に対して、しかも厚生大臣として、医療担当者に対する所得倍増に対する具体的な方策はおありになるのか、その点を私はお聞きしたい。
○国務大臣(古井喜實君) 公共料金かどうかの性質論は別にいたしまして、医療費が高くなっていくということは、これはもう一つには診療機関の経済の問題だけでなしに、そこは窮屈で苦しいという問題だけでなしに、これは高くなってくるのはあたりまえの方向だと思うのであります。この際、医学医術が進歩していく、こういう状況であり、また、診療所の設備施設も改善していかなければならぬ、こういうことでありますから、どうしてもこれは進むにつれて高くならざるを得ぬはずのものだと思うのであります。そこで一方医学は進む、従って経費も高く多くなる、それを国民が、じゃ負担する力があるのか、こういう今度負担する方の側に力があるのかという問題が出てくると思うのであります。そこで国が、やはり背負わなければならぬと、こういうことにもなってくることは、国の財政の事情もございましょうし、そこで調和点をこれは見出していくということが結局この医療費などをきめる問題点になってくるの、だと思うのであります。で、今の医療費が不十分だと思いますから、とにもかくにも医療費の値上げをやりたいと、こういう考え方をもって臨んでおるのであります。これは過去のこともお話でございましたけれども、昭和二十七年から三十三年、六年目になんぼ上がったのだといえば六年目に八・五%であります。それから三十三年から今日まで三年目に一〇%上げてみよう、十分だとは申しません。申しませんけれども、足らない点は、やはり足らないなら足らないで、ただわれわれが考えるのでは誤りがありますから、ここで申しますように、学識経験者も、それから医療の担当者の方も、払う方も、ここでよく論じて、足らぬならば足らぬという結論を出していただけば、それを大きに尊重しなければならぬ、こういうことになってくると思うのであります。そこで十分だとは必ずしも思っておりませんけれども、やはり共通の場において足らぬなら足らぬ、どれだけそれなら上げたらいいということの意見を出していただきたい、こういうふうに私どもにはなってくるのであります。決してこれで十分だと申しておるわけではない。将来ここでとまるわけのものでもない。将来医療費は、診療報酬も上がっていくべきものだと思うのであります。きようでおしまいというものではないと思います。そういうふうに思います。
○竹中恒夫君 私の質問を取り違えておられるように思います。ただいま医学が進んだら医療費がふえるというのは単価の問題ではないのです。当然人口がふえ、あるいは文明病がふえれば、医療費がふえるのはあたりまえなんです。それを言っているわけじゃない、医療単価を言っているのです。今大臣は、医学が進めば医療費が上がる、そういうふうにとられるのですが、それはそれでよろしいのです。そこでそうなってくると、私は重ねて聞きたいのだが、具体的に何ら所得倍増に対して、年々医療費の算定をするとか、しなければならぬのだというようなお考えがあるのかないのか、一向に御答弁なかった。おそらく池田総理のあの声明なり、公約をすなおに受け取れば、私は正直者なんですが、すなおに受け取っております。国民の所得は倍増するし、賃金ベースもだんだんだんだんふえていって倍増すると思う。だからあなたのおっしゃるところの社会保障制度審議会に諮問なさった、そういう機関は、年々そういうふうに医療費も毎年経済情勢の変動によってお考えになられるのか、所得倍増に対して医療費はどうお考えになっておるかお聞きしておるわけなんです。ただ何となく、この際低いから上げるのだというのではなくして、やはり年々検討すべきだというように考えておられるかどうか、その点お聞きしておるので、三年に一遍、五年に一遍やるというのでは困るのです。
○国務大臣(古井喜實君) そこで私が申し上げているのは、そういうルールがきまっていないから混乱が起こるのだ、毎年上げるのか、二年目に上げるのか、ルールというものがないから混乱が起こるのだから、ルールを確立する方策を一方で講じなければならぬ、私はそう思うのであります。で、ただもう上げたらいいじゃないか、いやまだ早い、そういう議論をしておったのではこれは混乱が起こる。それでありますから、やはりルールを確立するという問題をどうしても一つ考えておく必要がある、こういうふうに思う。そこでルールの問題としてこれは考えるべきじゃないかと思っておるわけであります。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○竹中恒夫君 今の大臣の御答弁である程度私は安心したのですが、国民年金その他いろいろな法律を読みますと、やはり、あるいは国家公務員の給与ベースでもそうですが、いろいろな法律を読み、考えますと、一年とか、二年とか切って、経済情勢の変化を勘案して検討するということになっておりますね。この上げる上げぬは別として、検討する建前でもってやっていただきたいと思います。
 そこで最後にお尋ねしたいのですが、いわゆる政府原案と申しますか、厚生省案というものは、今回の引き上げは一〇%は点数でいくのだと言っておられる、私は、点数単価方式について、時間があればここで徹底的に議論したいと思うのです。そもそも点数単価方式というものの考え方が、大臣御承知の通り、大臣が答弁なさった通り、点数はランキング、単価が、経済情勢に即応して年々歳々これに追いつけるようにするのが単価です。従って、医療方式のあり方の、点数単価方式の意義というものははっきりしておる、それを今日ことさら耳をおおい、あるいは便宜主義で保険者の反抗攻勢を避けるとか、いろいろな政治の配慮があるでしょうが、先日の御答弁では、点数の中にも薬価が入っておるからとおっしゃったが、薬価に変動があれば点数がいとも簡単にその操作はできるのであって、年々の消費指数の変化というものの、これのスライドは点数では絶対できない、できない仕組になっておる、点数単価方式というものは。それをあえて押して点数でやるのだということは、これはあまりに頑迷であり、固陋であり、自説を主張するものである。国会の総意なら、国会で議論されること、政治家が大臣と話をすることは決して闇取引ではありません。政治をしておるわけです。堂々と政治をしておる。この点数単価方式に対する大臣の明確な意見を私は承りたい。事情やむを得ないからこうだというのであれば、また考え方があるのでありますが、そうでないなら、今回に限り医療費引き上げは点数でやるのだという考え方は絶対いけないと思うのです。この際やむを得ないという意味合いになっておるのかどうか、その点はっきりお聞きしたい。これで私の質問を終わります。
○国務大臣(古井喜實君) 竹中さん、何べんも申しておりますように、点数の是正をやるのだということは一度も言っていないのであります。
○竹中恒夫君 それはあなたは言っておらないが、新聞に厚生省案で出ておる。
○国務大臣(古井喜實君) 私の言っておることが、厚生省の一番責任のある言葉です。それは私はそういう方式でいくとか、言っていないのであります。さっきも申した通りに、単価引き上げだけの方式でいくということが、医療協議会の結論ならそれでもよいのだ、つまりいわゆる厚生省案と世間で言っておるものには少しも拘泥しない、こう言っておるのでありますから、これほどはっきりしたことはないじゃありませんか。点数の是正という方式にもうきまっているのだというふうにはお考え願わないように、これはお願いをいたしたいと思います。決して私はそういうふうに思っていないのですから。
○竹中恒夫君 僕はその答弁には納得いたしません。なるほどあなたは国会ではそういうことを言っておられる。だけれども、自民党の党三役とあなたとの折衝経過では、新聞等に出ておる内容等から、すなおにそのようには受け取れません。新聞は別だとおっしゃれば別です、私どもは知りませんから。ですが、医師会としては、ああいう記事が出れば不安を持つ。大臣は、まかしておけ、白紙だとおっしゃるが、その白紙で議論をする場というのは一体どんな場ですか。結論はきまっているのですよ。厚生省案はきまっているのです。それを承知しておられるがごとき感じを受けるのです、担当者は。あなたはそうじゃない、あなたは純真な立場で筋を通そうとしておられるのだが、もう医療協議会を開かなくったってあの厚生省案から一歩も出ない、結論はきまっておると憂えておるのであって、あなたがおそれ過ぎたとか、これだけではわからぬというようなおしかりの意味の御答弁がありましたが、私はすなおにそういうふうには受け取りません。客観情勢からいって、決してそういうふうになまやさしいものじゃないということを、私ははっきり申し上げておきます。
○相馬助治君 この際、端的に厚生大臣の御見解と決意を承っておきたいと思うのです。と申しますのは、現に一斉休診が行なわれて、今後もまた陸続として行なわれようとしておる。これは全国の患者の感覚をもっていたしますれば、実に大へんなことなんです。しかも日本のいろいろな階級の中でも、良識の人の集まりであるはずのお医者さんが、そうして普通はネコのごとぎおとなしい種類に属するお医者さんが、こんなにいきり立っているというこの事態を、私は簡単に見過ごせないと思うのです。そこで厚生大臣は着任以来努力されていることはわかります。筋を通そうとしていることもわかります。今の社会保険制度を抜本的に改正して、もろもろの矛盾というものを統一していかなければ解決し得ないということもわかります。しかし、今問題になっているのは、そういう恒久策でなく、緊急対策が問題になっておると思うのです。なぜこういうふうに問題がこじれたかは、あなた自身がよくおわかりだと思うのです。自民党並びに今の政府が一〇%の医療費引き上げを決意された、これはなかなかの努力だったでしょう。ところが、たちまち保険局長から、その一〇%の引き上げは病院と診療所とに格差をつける。これも若干不確実かしりませんけれども、病院の方はそうなるというと一四・二%が上がるのだと、こういうことを言い出した。だから、最初医師会に比べて歯科医師会などはずいぶん穏健な主張だったらしいが、その業態からいうと、病院でなくてほとんど診療所を持っている歯科医師会は、これは大へんだというので、最近に至ってはこの歯科医師会の憤り方などというものもこれは非常に火の手が上がってきておる。こういうさなかにおいて、あなたがこの緊急対策として社会保障制度審議会に、医療協議会のメンバーの差しかえの問題を諮問されるというようなことをとっておりますが、その努力は多とするけれども、この緊急問題を解決するために恒久策を持ち出しているので、目の前に流れている洪水を防ぐのに、山に木を植えようという相談をしているのに似ているので、一体この洪水をどうするのかということが一つと、それから山に木を植えることとは区別して考えなければならない。私の聞いておるのは、その洪水をどうするのかということですけれども、一つ明確にお答え願います。
 まず第一に、両医師会の要求でも違っている面があるが、一致している面は単価で片づけてくれということなんです。単価引き上げに踏み切ってくれということなんです。十三円とかいろいろ言っておりますけれども、値段はしばらくおいて、単価引き上げに一つこの際厚生大臣は踏み切れということなんです。しかもあなたの所属する与党である自民党では、山中委員会が単価引き上げがよろしいという結論を出して、新聞に発表しておる。ところが、政党責任内閣の現段階において、党三役の考え方と山中委員会の考え方と、それから厚生大臣の考え方がばらばらになっているということが、いよいよこの両医師会に対してやり切れないような焦燥感を抱かしていると思うのです。従いまして、私聞きたいことは三点ほどありまするが、あなたはこの際、いろいろ問題はあろうけれども、一応暫定単価を引き上げて、そうして両医師会を納得せしめて、甲、乙一本化の問題であるとかその他の問題こそは、残余の新しくできるであろう医療協議会等にまかせるというくらいなことを出さなければ、解決つかないように思うのですが、最近におけるこの緊急対策としての大臣の決意をまず承っておきたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) そこで、もうあらためて申すまでもないことでありますけれども、一体その一律引き上げということにいたしましても、どういう方法にいたしましても、厚生大臣だけで、政府だけで独断でやるということが今の国法の建前上、私はできないと思っておるのであります。つまり医療協議会というものに諮問しなければならぬ、こういう法の建前がございますので、そこで医療協議会にとにもかくにもかけなければ独断ではできないと、こういう問題がありますので、そこで簡単に、では私がこういたしましょうと、かけないでおいて政府がどういたしましょうと言ってしまえないのであります。そこで、ただ医療協議会が開きにくい今まで状況で一年半以上も寝てしまっておる。どうしてこれを開くかと、開かないで一体やるのかどうかと。開かないでやるということは、私は法律を無視することでまことにこれは困るのであります。また、そういう行き方をしまして、それでおさまるものだと私は思いません。一方この支払う方の関係者の立場もあることであります。この人たちに全然関与、発言の機会を与えないで、結果的にも実際円満におさまるものかどうか。医療協議会を開きますればそういうことも何とかできる。ですからどうしてもそこに、おっしゃるところの気持は、意味はわからぬのじゃありませんけれども、私としては非常にこれは困る点があるのであります。
○相馬助治君 現在の緊急対策としては、それは当面なっていないのです。それはなぜかといいますと、しゃべる必要もないのですが、しゃべりますが、医療協議会が今までこの種問題に対して最終的に政府を動かすような確定的な答申をしたためしがありますか。ただの一度もない。そうしていつでも政治的段階において解決をされてきたことが三回。一度のごときはとうとう答申案がまとまらずに、各委員の答申私案というものをばらばらに列記して、そうしてこれを厚生大臣に答申をして、天下に醜をさらしたことがあるはずです。一つの単独の委員会が、一決しないところの個別的な意見を羅列して並べるというがごときは、全くこれは言語道断であります。しかし、私は医療協議会そのものを、そのことをなじっておるのではない。この種問題はそういうふうにむずかしいということであって、私は一面同情しておるのです。しかもカナマイシンのことについては、事人命に関するがゆえに、法を無視して、あなたはおやりになって竹中委員から賛同されたではありませんか。子供が今おぼれようとしているのです。これを救出する方法について、あの手でいこうか、この手でいこうか、こういう方法でやっては筋が違うなどということを一体親心としてやれるかやれないかという問題が一つなんです。それから法律的な問題で、あなたは私を納得させようとするならば、あなたが社会保障制度審議会に諮問したなんということが法律的に間違っている。あれは内閣総理大臣の諮問機関であるはずです。しかし便宜的には、ここに審議をゆだねて、そうして一歩進めることもよろしいでしょう。しかし、あなたは白紙であるということを言っている。厚生省の元締めであるあなたが、白紙で諮問するということは自信のなさを物語っている。二つぐらいは試案を出して、その甲乙の検討をゆだねるというならばわかるけれども。要するに、私の言いたいことは、あなたが筋を通そうとしてやっているそのことは全部わかるし、また、問題の性質上筋を通さなければならないけれども、私の言うのは、単価を十五円にも二十円にも上げろと言っているのではないのです。十三円と要求している。その十三円も正しいか正しくないか議論があるでしょうけれども、さしあたりこの際は単価引き上げに踏み切って、両医師会をまず納得せしめながら、しかもこれを反対的な立場に立っている七団体との意見も調節して、政治的に解決するほかは私はないと思うのです。これがいいとか、悪いとかいう議論になれば、これはまずい。この種の問題を政治的に解決することはまずい。しかし、日本は政党責任内閣制度なんです。国会は最高の機関なのです。そこにおいて議をまとめ、そこにおいて古井厚生大臣は池田内閣に責任を持つと同時に、全国民に対して責任を持っているので、あとで批判があろうとも、まずこの洪水をしずめなくちゃならぬと私は言っているので、あなたは何か単価引き上げその他のことでもよろしいけれども、自民党の党内において、今後どういう見通しを持ち、また、この筋論だけでなくて、差し迫った事態に対して何らかの具体案を持つかどうか。その御決意を承りたい。何にもそういう案は持たないのだ、あくまでも筋を通して、法律通りに医療協議会の発生を待ってそれからやるのだというならば、私は予測する、非常に重大な問題が起きる。すなわち予算は一〇%の値上げのまま通過するでしょう。そうすると金はこの通りあるぞ、これを上げないのは医師会が悪いのだ、文句をつけるからなんだ、こういうことになって、いよいよ医師会を感情的にこれは追い立てる。こういうことになるというと、迷惑をこうむるものはわれわれ患者である。私は医師会の感覚でものを言っているのじゃない。一国民として、一患者の感覚として、医療ストなどというやり切れないことは早くやめてもらわなくちゃならない。簡単に医師会に向かってお前らやめろと言うことが今できますか、今までの経緯から考えてくると。法律違反が若干あろうとも、前例もあることなのだから、そうして今日硬骨漢をもって鳴るあなたなのだから、ここで一丁手を打ってもらわなければだめだと私は思う。この決意を承りたい。
○国務大臣(古井喜實君) この一斉休診等は国民も不満を持っているのでありますし、何とかこれを回避したいということはみんながそう思っているのであります。そこで、さらばといって、じゃ法律はこの場合だから無視してやれいと、こうおっしゃっても、私は非常につらいのであります。そうでなければ医療協議会にかけなければならぬということになってしまう、ここが問題なのであります。かけろということは健康保険法にあれほどはっきりと書いてありますので、国会できめたこの法律を無視するということが私には非常に困るのであります。で、過去においてということをおっしゃいますが、過去にどういうことがあったか――いろいろあったでありましょうが、それがはたして、全然意見がばらばらになるにしても、意見を聞かなかったという事実が過去にあったとは全然聞かなかった、これは過去のことでありますが、過去はどうでありましても、そういうことをやっていくと、やはりこの医療費の将来から考えましても、医療費問題が軌道に乗らぬじゃないかと、私はそれを憂えるのであります。何とかルールに乗って、軌道に乗ってこれは将来に運んでいくようにしたいものだと思いますので、あなたの御意見には沿わぬかもしらぬが、今のように思っております。
 なおまた、社会保障制度審議会は総理大臣だけでなくても主管大臣も諮問ができるようになっております、法律の上で。これは御承知の通りです。それから白紙で臨むのがいけないとおっしゃいましたけれども、とかく厚生省が原案を作ったりして影響を及ぼして案を作るということに対する非難もあるのであって、現に中央公論に武見医師会長がお書きになっている、ごらんになったかと思いますけれども、社会保障制度審議会にかけているけれども、厚生省の保険局長森本の案を実行するのだ、そういう御批判もあるのであります。で、なるべく厚生省色を抜いて、あそこにはもう各方面の達識の士がみなそろっておいでになるのだから、問題はよくわかっているのだし、あそこで審議していただくことが一番よい案を得る道だ、こういうふうに思いますので、あそこに御意見を問うているのであります。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○相馬助治君 古井厚生大臣は賢明であって、私の言っていることがわからぬはずないと思うのです。というのは、私は法律違反をしろと言っているのでなくて、過去の引き上げの実例なんかを見ますと、政治的解決をして、それから医療協議会に諮問をして法律の体裁を整えておる。私これでもやむを得ないし、よろしいと言っているのです。そこで問題は、今社会保障制度審議会に医療協議会の改組について諮問をしているのでしょう。全くこれは山のものとも海のものともわからない、そうして緊急に解決しなければならないものは、この関所を通さなければ解決しないと言っているのでしょう。これは解決の熱意のないということなんです。このことだけわかればよろしいです。ですから、相馬の言う通りまことに不満であるけれども、法律に縛られているから、もう両医師会が何と騒ごうと、一斉休診をやろうと、今の法律のもとでは医療協議会の議を経て、その上でなければ医療値上げというものはいたしませんと言うならばそれでよろしい。私は場所を変えて、政治問題として、本会議でものを尋ねるからそれでよろしい。あなたの見解だけ最後に承っておきたい。私の言うことはあなたわかっておる。わかってて逃げている。緊急にどうするのだと私は聞いている。
○国務大臣(古井喜實君) おわかり下さっているように、私の意見はさっき申し上げました通りであります。
○坂本昭君 時間の関係で私は四点だけお尋ねいたしますから、簡明にお返事をいただきとうございます。
 第一は、先ほど来の各委員からのお尋ねで、紛争と混乱の原因が保険医療を広げるに精一ぱいで急ぎ足であった、そういう御説明がありました。で私は、医療を広げるために急ぎ足であったという事実を認め、そのために国民のために特に社会保障の基本的な考えである所得の再分配ということが十分行なわれてきていなかったと思う。そういうときにこの四月から国民皆保険をやるということは非常な私は問題点が重なってくると思う。この際私は、この医療の機構あるいは制度、行政機構、これらを全面的に整備するということが当面の重要な問題ではないか、これが一点。従って、これに付随して拠出年金というような非常な問題点を含む、しかもそれを再分配に直接関係のある拠出制の問題などは見送るべきではないか、これ第一の質問です。
○国務大臣(古井喜實君) この医療保障の制度に不十分な点が多々あることは私もそう思うのであります。これを充実していくということが非常に急を要する、力を入れたい方面であることはその通りに思います。やっていきたいものだと思います。国民年金を延期するかどうかという問題は、私はこれは国民年金制度というふうな進んだ社会保障の制度は不十分な点があるならばだんだん改善し、充実しながら、しかし、先向きにいく、育て上げると、こういう道を歩くのが適当であろうと、そういうふうに思いますので、国民年金制度の実施を延期するという考え方は持たぬのでございます。
○坂本昭君 今のような急ぎ足でやっておる場合に、両手に花というわけには私は現実にはいかないと思う。だからこの点は、古井大臣の任務としては、この医療問題の整備に全力をあげるべきだと、そういう点御警告申し上げておきたい。
 第二点は、中央医療協議会の運営に関する歴史的事実を大臣はまだ十分認識しておられない。先ほど来いろいろ議論がありましたが、昭和二十五年の六月に協議会ができて、二十六年の十一月に単価問題を審議してまとまらず、二十九年の五月には意見が不一致したままの意見を出して、その二十九年の十一月には医師の代表がすでに欠席しておる、見るに見かねて三十一年の十一月に大臣が諮問しておられる社会保障制度審議会が勧告を出して性格と構成を変えろという勧告を出したにかかわらず、聞いていない、そうして三十二年の十二月には医師会の委員は総退場し、三十四年の六月には医師会の委員が欠席のまま今日に至っておる。私はそうした中で、たとえば米価審議会なぞは農林省の役人は一人も入っていない、ところが、中央医療協議会には保険局長も入っていれば医療課長も入っている。また、公益代表と称するものの履歴書を見ると、元社会保険局長、元生活局長、元厚生次官、元厚生省衛生局長、こういう実情にあったということがまだまだ大臣には認識が欠けていると思う。これは率直に過去の歴史を通じて、今民主的な行政機構を確立させようとしておられる大臣としては、十分に認識を新たにしていただきたい。
 そこで私は具体的にお尋ねしますが、何もかも社会保障制度審議会待ちと言いますが、これは不見識もはなはだしいと思う。もちろん当然大臣にはある程度のお腹はあると思うので、私は四つのお尋ねをしたいが、第一は、利害関係者を除くおつもりがあるかどうか、まずそれから聞きましょう。イエス・ノーで答えて下さい。
○国務大臣(古井喜實君) 利害関係者を除く考えがあるかどうか、私がせっかく社会保障制度審議会に最善の知恵を出して下さいと言っておいて、こうだああだと、私が諮問をしておって、まるで軽んじたようにこっちが先に意見をいってしまうのはちょっと順序が悪いと私は思いますから、まあこの点は今申し上げるのは差し控えたいと思います。
○坂本昭君 そういう考えではいけませんよ。利害関係者はやはり入れたがいいと、ただし、社会保障制度審議会が除くべきだということが出たときには白紙をもって受け取るというのが正しい考えで、初めから私はそれには見識ありませんというのは、これは大臣としてまことに不見識きわまりない。たとえば三者構成についてどうお考えになりますか。
○国務大臣(古井喜實君) これはまあ今の四者構成がよいか悪いかはとにかくとして、実績上四者構成ではお話のような過去になってしまったわけであります。動かないということになっちゃったわけです。それがまあつまり変えるというもとになっておるわけです。三者構成がよいのか、あるいは利害関係のない人ばっかりがおっしゃるようによいのか、これはそれぞれ利害得失があると思うのです。ですからその利害得失を各方面の人が論じていただいて、こっちだろうと、こっちの方がよかろうと、いやこっちがよかろうと、こういうふうにつまり御意見をどっちがいいのかまとめていただいたものを私は待っておるのであります。どっちにも利害得失がそれはあるだろうと思う。しかし、多数で考えれば結局こっちだと、こういうことになるだろうと思いますので、それをわずらわしておるというのがまあありのままの心境です。
○坂本昭君 それははなはだおかしい。社会保障制度審議会はどの委員が何名、どの委員が何名というところまで私は答申は出すべきではないと思う。大きな方向が出てきたその方向の中で、あなたはたとえば利害関係者の数のバランスだとか、あるいは三者構成をどうするかということが出てくるはずであって、あなたとして当然の判断の根拠となる見識がなけりゃならない。たとえばこういうことの御返事はできると思うのです。私は従来のあれから見ると、被保険者の代表の数が少ないと思う、これなぞは増すべきだと思うのですが、そういう点はどうお考えになりますか。
○国務大臣(古井喜實君) 被保険者の数を増すという考え方をとるのがよいのか、あるいは受け取る側と払う方というものの二つのものとして考えるのがよいのか、これはやっぱり十分論じてもらって結論を出してもらいたい。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記やめて。
  〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記始めて。
○坂本昭君 そういうような、あまり何もかも白紙というようなものは、大臣としての私は見識に関すると思いますよ。その点では、自分の具体的な意見、審議会がこういう意見を出した場合には、それにそのまま従うというならば、私はもっともだと思う。だが、たとえば被保険者の数をふやしていくのがいいと私は思っておるが、それについては、どの程度ふやすべきかについてまでは、審議会が答申をされるであろうとは思われない。またたとえば、私は医療担当者側の代表の中に、医療労働者の代表も入れて、これは病院ストとの関連もあるから、この協議会に出したらいいのじゃないか。そういうことも私案として考える。そういうものの考え方はどうかといってお尋ねしているので、それはいいか悪いかぐらいは、御返事いただきたい。被保険者の代表をふやすとか、あるいは医師、歯科医師以外に、いわゆる医療労働組合の代表も入れるということはどうであるか。その程度の御返事はいただきたい。
○国務大臣(古井喜實君) これは繰り返してお尋ねでありまするけれども、基本的に一体こっちからある案をもって諮問をするという方式もあろうし、そうでなくて、それでは色がついておってまずいじゃないか、こういうふうな行き方もあるのですから、ですから、十分自由に論じていただいて、結論を出してもらう方が、この場合は適当だと思うので、そういう言い方をいたしておりますから、もう少し向こうの御論議をせんじ詰めていただく。それを待ちたいと思いますので、まああなたには御不満かもしらぬけれども、私はここで具体的なことを、こうだああだというのもどうかと思いますから、御了承願いたいと思います。
○坂本昭君 それならば、社会保障制度審議会の答申にそのままにお従いになりますか。ちょっと確かめておきます。
○国務大臣(古井喜實君) 尊重して考えます。
○坂本昭君 そんなら、その尊重するところのその基準はお持ちなはずであります。その基準はどういうふうな御基準でございますか。
○国務大臣(古井喜實君) つまり、それを手を加えるというなら、加える基準が要るのでありましょうけれども、尊重していきたいというのですから、変えるという何か目安を持っておって変えるというなら、それは基準の問題になるでしょうけれども、尊重して実行したい。こういうのですから、これはおわかり下さると思うのであります。
○坂本昭君 今の問題は、時間の関係で、次回に譲ります。
○委員長(吉武恵市君) 簡潔に願います。
○坂本昭君 そこで次の問題は、先ほど医師の待遇の点で、十階層にランキングを分けると、最上位にあるというお話ですが、これは大臣の考えとしてはいいのですが、現実の厚生省のとっている行政はとんでもない大違いなんです。たとえば中学校を出て、准看になって、そうして二十五くらいになった看護婦が、病棟のたとえば婦長をやっている。同じ年に中学校を出て、高等学校、大学を出て、医者になって、同じ病院に医者として勤務した場合に、一体どういう給料の状態か。看護婦の方が給料が上であります。こういうようなところで、大臣の考えだけは一応通っているように見えるが、現実はあまりにも違い過ぎているということなんですね。私はどうしても、これからの医師の待遇については、医師の最低賃金という立場でものを考えなければならぬ。そうしてそのためには、たとえばイギリスでは、一九四六年にスペンス委員会ができている。さらにまた一九六〇年にはピルキントン委員会の勧告ができている。ピルキントン委員会は、三年にわたってこまかい調査をして、その結果、不当に安過ぎたと言って、たしか平均五百ポンドを遡及して返している。そういうふうな特別な委員会ができている。大臣に伺いたいのは、第一に、医師の最低賃金というそういう見方でものを考えることができるか。私は今政府の行なっている、池田内閣のやっているところの低医療費政策というのは、低賃金政策だと思う。これは幾ら古井さんががんばったところで、古井さんの手腕だけでは解決のできない、今日の自民党の持っている政策転換をやらなければできない問題なんです。だから歯科医師会と医師会の方々、その政治的な取引で解決しようとしているが、政治的な取引ではこれは解決できませんよ。もっと基本に横たわっている低医療費、低賃金政策というものを、これを根本的に変えるということ、場合によれば、もう内閣がつぶれてしまわなければできない。それほど深刻な問題を持っていると思う。ですからその点で、第一に最低賃金という考え方と、医療の労働者――医師、歯科医師を含めて、あなたはお考えになるかということと、もう一つは、今のスペンス委員会、ピルキントン委員会のような、そういう特別な委員会をお作りになる考えがあるか、この二点をお伺いしたい。
○国務大臣(古井喜實君) この医療の従業者の方の最低賃金を考えるかどうか。これは私には、すぐさまきょう持ち合わしている結論はありませんので、検討をしたいと思います。開業医の方もありましょうし、これは賃金じゃないのであります。それから雇用関係になっている人もありましょうし、しかし、最低所得というような意味で、最低所得をどの辺に目安を置くか、それを法的に縛るかということは、これは重要な問題でありますから、それはそれなりに検討してみたいと思うのであります。
 それから何か特殊の調査委員会を設けるか設けぬかでありますが、これも率直なところ、私はきょう見解を持っておりませんので、研究いたした上にいたしたいと思います。
○坂本昭君 何もかも白紙で、その白紙の紙もない大臣では、どうもしようがないと思います。今問題になっているのは、結局労働基準法との関係だと思うのです。そうして厚生省がこの医療行政を担当しながら、医療労働者に対する労働基準法の適用について、非常に怠慢であったと思うのです。もちろんこれは労働省の所管でしょうが、ものの考え方として、厚生大臣として、厚生省として、行政の中で、医療における労働基準というものが、どう守られているか、これを私は根本的に考えなければならぬ。今までやっていなかった。そうしてまたこれが白紙である。紙もないということでは、これは非常に怠慢であります。むしろ大臣がかわって、どなたか出直して検討していただかなくちゃいけない。しかし私は、大臣は十分熱意を持って当たられると思うので、最後に一点伺いたいのは、日曜日の全日休診ということが、今後の医師会のスケジュール闘争の中で出されております。この日曜の全日休診を一体どう考えられるか。私は、医師の、労働基準法の面から、これは検討すべきだと見ているのであります。しかし、今一斉休診とかいって、日曜に休むことについて、非常にマスコミも大きく取り上げて、また、厚生省もずいぶん大騒ぎをしておられる。だから、一応この日曜全日休診をどう考えるか。そしてそれに対して、どういう対策を立てていかれるか。私はさしあたっての問題と、また、労働基準法の面からの問題と対応して、大臣の御回答を願いたい。
○国務大臣(古井喜實君) この一斉休診という言葉が当たるかどうか知りませんが、日曜日には診療所を休む、こういうこと、そのことには、これは確かに一つ、そういうことが大きにあっていいではないかと、私どもは思うわけであります。ただしかし、今の医療の現状は、公的な医療機関のほかに、この通りに開業医の多数の方にたよっているのでありますから、そこで国民の立場から申せば、それならそれなりに、この緊急措置に対する慣行なり扱いの方法がやはりかみ合わせられるのが必要じゃないか。両面やはり考えていかなければならぬじゃないか。手放しに一方的にだけ言ってしまえないのじゃないか、休まれるのもけっこうだ、しかし、そういう面も一つの慣行が起こる必要があるじゃないか、そういうふうに私は考えるのであります。
○坂本昭君 大臣のお言葉によりますと、お医者さんどうぞ日曜日はお休みになって下さい、これは非常に大事なことでありまして、安んじて一斉休診ができる。そしてあと、それに伴って慣行という言葉を言いましたが、慣行というけれども、今のままに放置しておくと、今後もその慣行にのみゆだねるということは厚生行政の怠慢であります。私は、現在無医地区に対し、僻地に対する医療の問題を充実すると同じように、医者の労働基準法も考えて、日曜日は休んでいただくが、そのかわりを行政的にどうするかということを当然考えておくべきだと思う。今日厚生省は国民皆保険をやると言いながら、無医地区も実質的に千カ所くらいある。そして日曜日は医者を休ませもしない、こういうふうに医療制度の中で、非常に多くの矛盾を持ち過ぎているので、私は古井厚生大臣の最大の重点を医療制度の根本的な改革、また、行政機構の改革に懸命に努力していただきたい。そしてそれらを通じて社会保障を、この日本の社会保障を向上させるとともに、それ以外のいろいろな現在の厚生行政の能力でできないことはしばらくやめた方がいいのです。そして今の医療問題に一生懸命最善を尽くしていただきたい。従って、一番最初に申し上げた通り、拠出制の年金などは、これは拠出年金がいかぬというのじゃありません。私たちもいかぬとは言ってないが、何もかも手をあけ広げて急ぎ足でやっていると足をすくわれますよ、足をすくわれないために、今の医療制度の充実をとりあえずおやりいただきたいということを、最後に警告しておいて、私の質問を終わります。
○山本杉君 私が御質問申し上げたいと思いましたことは、相馬委員も、それから今坂本委員からも出たのでございますが、一昨日の、十九日の一斉休診の問題でございますけれども、私は良識ある医者というものがストライキ的な印象を国民に与えなければならない、こういうようなやり方というものをするということに対しては、非常に私自身としては、これは残念なことだと思うのでございます。それで大臣も問題の根本的な解決をはかりながら一つ一つ片づけていきたいということをはっきりおっしゃっていらっしゃるので、この点については、大臣自身もほんとうに片づけて下さるものと私は信じておったのでございますが、とうとうあのような状態に追い込められ、今大臣の御発言では、これもまたいいじゃないかというような御発言でございましたが、しかし、私といたしまして、この問題に対してあのように党三役が乗り出して、両医師会の会長との話し合いで解決つくものと期待をしておりました私どもは、その期待を裏切られたような格好でございました。そこで、なぜ医師会の方がこれをけらなければならなかったか、新聞の報道によりますと、どうやら厚生大臣の方から待ったがかかったからだ、それに対して医師会は不誠意だと言ってあのような結果になったのだということでございます。また、次にもやる、それからまた、保険医総辞退もやりかねないというような状態になってくる、このことはだんだん世論を積み重ねて、そして政党を引っぱり回して、そうして政党政治というものに方向を見失わせてしまうようなことになりはしないか、そこまで私どもは心配するのでございますが、この間のその話し合いのときに、大臣はどういうふうな方法でうまい工合にお運び願えなかったのか、そこを一つ伺ってみたいと思うのでございます。
○国務大臣(古井喜實君) 何か私が横やりを入れて党の三役の方が尽力しておられるのをこわしてしまったかのようにあるいはお考えかもしれませんが、そういうことはございません。党の三役がとにかく尽力されることは、非常にこれは多として、大いに御努力はけっこうだと思っておったのであります。何か新聞に出た案と、それから最後に出た案と違っているあたりが、私が何か文句でもつけて変えさせたかのようなことを誤解をされておる向きがありますが、私は案は、初めの案もしまいの案も、一つも関与しておりません。どこでどう変わったのか全然知りません。案自体に一つも関与しておりません。これは私の関係する部分じゃないので、党の三役の方でどういう案をお作りになるか、お考えになったことでありまして、一つも私はこの案の内容について意見を言ったことはありません。尽力は大いに多としておったわけであります。何か誤解か一あなたというわけじゃない、あるかもしれませんが、これは事実は事実であります。
○委員長(吉武恵市君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(吉武恵市君) 速記を始めて。
○鹿島俊雄君 局長は、先ほど各委員の資料提出に対してしばらく時間の余裕がほしいと言われた、その中で、提出すべき資料に関して明確を欠いておる。はっきりと私は確認したい。特に、私は、先般来主張し、また要求している中で、大事なものをそこへ一つはっきり明記していただきたい。
 第一は、今回一〇%の医療費の引き上げ算定を行なった、これはおおむね適正だと、こういうことの答弁がある。適正であるならば適正に対する私は真偽をここで論じません、資料を提出願わなければ承知できないから、それを早急に出していただきたい。その資料の中で大事な点は、昭和二十七年の実態調査のデータをもって基準とし、その後の計数をスライドして今回の算定をした。一番問題になる点は、このデータの取り方であって、スライドした計数の実態を数字に表わしてもらいたい。
 それから昭和二十七年に行なわれた実態調査については相当に議論があった。従って、それに関することは私は言いません。これについて相当な学者の間の議論があるし、調査客体の取り方にも問題があった。従って、調査客体の取り方をはっきりしてもらいたい。どういうものを対象にとったか。そこで私は、なおこまかく言っておきたいことは、この基準をなすデータは、一般医療、歯科医療を通じて、非常に多くの格差を持っておるわけです。ところが、何を基準に置いたかということをはっきりしておきたい。私の記憶によると、個人内科開業医の実態をもって各科の実態をこれに適用させた、スライドされたというか、計数を加味したというか、そういうようなことを聞いておる。こういう点は非常に重大だと思う。特に歯科は、昭和三十二年の算定の場合においても、特にその積算の基礎というものは歯科に置いてない。歯科医療の実態は全然考えない。内科の個人開業医のデータをもって歯科医師の生活実態の基準に引用しているというようなことを、私は記憶がある。こういったことを再び繰り返しているかどうかという点をはっきりと承っておきたい。
 それからなお、総医療費の中で最も重大な薬価と資材の占めるものが非常に大きな意義がある。厚生省はおおむね二〇%というふうな発言があったので、先般質問したところが、医療課長から非常に精細なパーセンテージの発表があった。これはあればけっこうなんですが、この数字的なものをはっきりと示してもらいたい。そうでないと、この重大な医療費の算定にあたって科学的な根拠というものがなくなって、しまうと私は思う。あるのか、ないのか。あるならばはっきりと数字を示してもらいたいという点を私ははっきりと要求いたします。
 この点をいつ出してもらえるか。これがないと、われわれ現在非常に医療を中心に混乱している現状において、正確な判定を下すことができない。このことは社会保険医療協議会においても同様であり、社会保障制度審議会においても当然問題になると思う。この点についてはっきりと私は要求をし、いつこれは出すか。できれば次回委員会開催前に各委員のお手先にこれを提出してもらいたい。これを希望します。
○政府委員(森本潔君) ただいま御要求のございました資料、この前から御要求のあった資料でございますので、準備をいたしております。先ほども申し上げましたように、急いでやっておりますが、少し膨大なもので数字等もございますので、おそくとも今週中には出したい、こういうことであります。なお、できるだけ一日でも二日でも急いでやりたいと、かように考えております。
 それから、いろいろ四項目ございましたが、これらのものは今の資料の中に含めて出す予定にいたしております。
○鹿島俊雄君 了解しました。
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○委員長(吉武恵市君) この際、委員の異動を報告いたします。
 二月二十一日付をもって高野一夫君が辞任し、その補欠として古池信三君が選任されました。
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○委員長(吉武恵市君) 本件に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉武恵市君) 御異議ないと認めます。
 それではこれにて閉会をいたします。
   午後一時二十五分散会
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