第038回国会 商工委員会 第29号
昭和三十六年六月七日(水曜日)
   午後三時三十六分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     剱木 亨弘君
   理事
           川上 為治君
           古池 信三君
           椿  繁夫君
           牛田  寛君
   委員
           赤間 文三君
           大泉 寛三君
           大川 光三君
           岸田 幸雄君
           小林 英三君
           鈴木 万平君
           阿具根 登君
           近藤 信一君
           中田 吉雄君
           吉田 法晴君
  国務大臣
   通商産業大臣  椎名悦三郎君
  政府委員
   通商産業大臣官
   房長      樋詰 誠明君
   通商産業省企業
   局長      松尾 金蔵君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
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  本日の会議に付した案件
○割賦販売法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○請願の審査に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
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○委員長(剱木亨弘君) これより商工委員会を開会いたします。
 割賦販売法案を議題として審議を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○近藤信一君 本法律案につきましては、去る三月本会議におきまして質問したので、なるべく重複しないようにと考えておりますが、若干の重複はお許し願いたいのであります。
 政府は提案理由の中で、割賦販売業者と購入業者の間に紛争が生じやすいなど、いろいろの問題があると申しておりましたが、この法律案ができないとどんな支障が起きるのか。また現にあるところの紛争等をお示しを願いたいのであります。
○政府委員(松尾金蔵君) 御質問の趣旨は、現状におきまして割賦販売で、どういうまあトラブルなり、あるいは問題があるかということで、その問題の解決のために、この法律案の実施が必要であるかという御趣旨であると思いますが、御承知のように割賦販売はだんだんと広がっておりますけれども、これが現実にその間のトラブルが起きて裁判ざたにまで上がってきて云々という件数は、私どもの調査ではあまり多くはないようであります。しかし、たとえば新聞の投書その他によりまして、ある場合には悪質な販売業者が不当な方法で割賦販売の商品を取り上げていったという苦情でありますとか、あるいは月賦の集金に対する苦情でありますとか、そういうトラブルの事件が投書その他の形で報道せられております。また一部、昭和三十四年の判決等におきましても、裁判によりましてこの問題の解決が行なわれたこともございます。また逆に、割賦販売業者の方で、これは必ずしも悪質の購入者ということではないかもしれませんが、現在でも相当貸し倒れその他の事件があり、またそれが、ある場合には常習的な詐欺事件というようなことで裁判ざたその他になったものは、これまた相当の件数に上っております。この方で申しますと、たとえば昭和三十年から三十四年、この間に年々数百件を数えるような件数も裁判ざたになっております。そういう問題を考えますと、おそらく割賦販売の場合には、一々の問題が裁判上の問題にならない形で、ある場合には泣き寝入りというような形で問題が処理されているのが多いと思います。しかし、今後、割賦販売が健全に育っていくためには、最小限度のいわゆる秩序維持のためのルールを作っておく必要があるというのが今回の法案の趣旨でございます。
○近藤信一君 そういたしますると、裁判問題になっておるというのは、これは年々九百件ですか。
○政府委員(松尾金蔵君) 売主の側が不当なことをやったという理由で裁判になっておりますのは、件数はあまり多くございません。私どもの調べでは二、三件しかないようでありますが、逆に、買主の方がいわゆる詐欺的な行為で割賦販売を悪用したという例は、裁判の件数におきましても、昭和三十年ごろから年々数百件を数えております。
○近藤信一君 まあ、裁判問題になっていない潜在的な紛争の問題については把握できないと私は思うんですが、これらの潜在的な紛争というものが将来も多くなってくるであろう、こういうことも予想されて今度の本法律案ということになったということですね。
○政府委員(松尾金蔵君) 私どももそのように考えております。
○近藤信一君 本会議でもお尋ねいたしましたことですが、本案は割賦販売のルールをきめるものでございまして、奨励とか抑制の考えはないとのことでございました。しかし、将来にわたって割賦販売というような取引方法を盛んにしようと思っておられるのか。今度のは取引秩序をきめるだけの法律だが、今後これを奨励するというお考えでございますか、または抑制しようというのか、この点、政府の態度を伺いたいのであります。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これはあくまでルールを確立して秩序を正すという点に重点を置いて今回の法案を提出した次第であります。特にこれを奨励するとか、あるいは抑制するとかというような、そういう政策的なねらいは法律そのものにはございません。
○近藤信一君 従来も割賦販売ということが盛んに行なわれておりまして、これが法制化ということになりますると、ますます盛んになるという傾向は私は強いと思うのです。そこでやはりこれが法制化されれば、この割賦販売ということを奨励するということにも、私はなると思うのですが、大体割賦販売で生活していくという階級というものは、おおむね勤労者階級が多いのではないかと私は思う。そこに私は問題があるのではないかと思うのです。やはり生活に追われれば、契約した割賦というものも契約通りにいかないという場合もあって、紛争というふうなことも起こってくる。そういう点を考えますると、やはり私は法制化されたねらいというものは、若干おかしくなってくるのではないですか、この点いかがですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかく自然にこれを放置いたしましても、だんだんと社会信用が拡大されるに従って割賦販売というものは、事実上相当普及する傾向にあることは、これはいなめないのであります。ただしかし、これに伴って先ほど局長から申し上げたようないろいろな弊害がこれに伴って多くなるのは、どうも社会経済秩序の上からおもしろくないので、その弊害だけはどうしても矯正しなければならぬ、秩序を正していかなければならぬ、かように考えるわけでありまして、法律そのものには、特に政策上のねらいを持った規定はない。ただしかし、この法律の施行によって、健全にこの割賦販売制度というものが普及されていくであろうということは、これはわれわれも予見している次第でございます。それがもし勤労者大衆に害を与えるというようなことになりますれば、これはまた考えざるを得ないと思いますが、ただいまのところは、そういうことはないと思います。
○近藤信一君 この法律案の中には、割賦販売と、それから割賦購入あっせんということが規定されております。両者は全く異なっているとは言えないにいたしましても、異なったところも多いと思います。この両者を販売法として一括するのは若干おかしいと私は思うのですが、この点お尋ねいたします。
○政府委員(松尾金蔵君) この法案の建前は、割賦販売についての一般的な購入者と販売者との間の秩序維持を中心にして、総則の方にそれを書いておりまするが、その割賦販売の特殊な形態として、今御指摘がございました割賦購入あっせん業者を仲介といたしまして、いわゆるチケットによる割賦販売が行なわれております。その場合には、もちろん一般的にチケットによる割賦販売の販売者と購入者との問題もあるでありましょうが、それ以上にそのチケットに上って物を売ったいわゆる加盟小売商が現実にその代金を受け取りますのは、いわゆるチケットの購入あっせん業者から代金を受け取るわけでございますから、その場合に、もしチケット発行機関、ここでいっております割賦購入あっせんの機関に信用上の貸しがありますと、加盟小売商が代金支払いを受け得ないという危険を伴いますので、割賦販売に伴いまして、いわゆる加盟小売商が不測の損害をこうむらないよう、いわばそういう特殊な場合における割賦購入の秩序維持ということを、特殊の形態の場合の小売商の保護ということを付加して規定したということで、いわば特殊の場合についての規定を加えた、やはり割賦購入であることについては同意義でございます。
○近藤信一君 そういたしますると、チケットで物を買う場合とそれからたとえば信販なんかの関係ですね、これとの関係はどういうふうなことになりますか。
○政府委員(松尾金蔵君) 現実にチケットで割賦購入をするお客さんは、御承知のように、今お話がございました信販会社からチケットを購入をしてその代金はおおむね職場を通じて分割払いで購入あっせん機関の信販会社に払うわけでございます。そういたしまして、そのチケットを持ったいわゆる購入者がその割賦購入あっせん機関に加盟をしておる商店に行って物を購入するわけでありますが、その場合にはいわゆる割賦の問題は、今お話のように確かに購入者とチケット購入あっせん者との間に割賦の問題が起こっておる。しかし、その割賦購入の問題と相関連いたしまして、そのチケットによって物を売った加盟小売商の保護をする必要があるというところで、いわゆる割賦販売とチケット販売とは関連するということで、この法案の中に規定をいたしたわけであります。
○近藤信一君 本法の三十条で、チケット業者は金融面についていろいろと除外をすることになるわけですね。これはこの前衆議院議員にお尋ねしたことですが、やはりこれを認めると悪弊があるということであったが、現実にどんな悪弊が今までに出てきておるかということについて、御存じの点をお示し願いたいと思います。
○政府委員(松尾金蔵君) 御承知のように現在このいわゆるチケットによる金融が行なわれておりますのは、大体東京、大阪に限られておるのであります。これらの地域におきましては、本来このチケットは、先ほど申しましたような意味で、チケット発行機関である信販会社が発行をして、そのチケットを買い取ったといいますか、チケットを受け取った購入業者は、それに署名、捺印をして、しかも会員証を提示して物が買えるという意味の証拠書類であります。証票書であります。それ自体には何ら価値のない、従って有価証券でもなければ、そういう性格のものではないわけであります。むしろ購入者の身分に付属して署名、捺印し、会員証を示して物が買えるという証票書でありますが、それを担保として金融をする、その金融の場合には、現在行なわれております形としては、当然そのチケットを金融業者が預かるわけであります。しかし、いざという場合には、貸付金が回収できない場合には、そのチケットを物にかえなければなりませんから、多くの場合にはあらかじめそれに署名、捺印をとっておいたり、あるいは必要な場合には適宜処分されても差しつかえありませんという特約を結んでおる、そういう本来のチケットの法律的性質と違った、従っていわば法律上から言えば、無効の契約の形で金融が行なわれておるというところに、まず問題があると思いますが、現実の問題としては、そのようなチケット金融をした場合に、その貸付金が回収されない場合には、そのチケットを買い集めにくるブローカーが多いという場合も多いようであります。ブローカーの場合、そういうものを買い集めまして、もともとそのチケットは七掛とか八掛とかいわゆる安く金融されておりますから、当然その券面金額より安くブローカーの手に一括渡されるわけであります。そのブローカーは、そのチケットをもっていろいろな商品を買い集めて、それをまた安く売るという非常に変態的なことが行なわれておる、また、ある場合においては、そのチケットをさらに使いたいお客さんに転売をする、かりにそういうことになりますれば、チケットが転転と流通するという形になって参ります。そうなりますと、現在の制度におきましても、貨幣類似の証券取り締まりにも触れるおそれがあるというのが大蔵省の見解でございます。いずれにいたしましても、本来の用途以外にそういう金融措置にチケットが使われるということは、割賦販売の健全な発達上重大な支障があるというのが、私どもの考え方でございます。
○近藤信一君 ただいまの説明でわかったような気がいたしまするけれども、新聞等に、たとえば東芝のテレビまた三菱のテレビが、五万何千円のものが三万幾らということで堂々と新聞広告をして売っているわけですね。ああいうのは、やはり今あなたが言われましたような、たとえばチケットを買い集めて、そうしてそれによってまた商品を買い集めて、その商品を一括して売り込んで、そこで協定値段というのを大きく破った電気用品というものが売られておると私は思うのですが、そういう弊害も出てくるのですか。
○政府委員(松尾金蔵君) 今お話のテレビその他のいわゆる価格の非常に高いものについてのディスカウント販売のものは、その全部のものがチケットと関係しているとは私どもは承知しておりません。むしろ問屋金融その他の関係でそういう事例がかなり多いというふうに私ども聞いておりますが、まれにはやはりチケットの買い集めのものがあることはあるかと思います。現実にはチケットがブローカーの手に買い集められた、あるいはこれはすべての場合そうであるとは思いませんが、たとえば洋酒でありますと、ウイスキーその他を買い集めて、それが町のバーその他に安く売られておるというようなことを私どもは耳にいたしておりますが、まずあまり商い商品には集中していないのではないかと思います。
○近藤信一君 しからば、現在までに弊害としまして、どのような、たとえば大きな弊害があるか、あなたの方でわかっておりましたらお示し願いたいと思います。
○政府委員(松尾金蔵君) 弊害という意味で、一番極端な例ということを申し上げますと、御承知のように、競馬とか競輪の関係の新聞その他に、金融をいたします、チケットをいつでも買いますというような広告がしばしば出ておるようであります。この法案の全体の骨格の論議で、合理化審議会の流通部会におきましても、そういうようなことで、ことさらにチケットの金融をすることを業として、大々的な広告をして、競馬場その他の近くで当面金に困っている者に金融をして、それを業としているのは、いかにも不健全ではないかということあたりが問題の発端であったのでありますが、これは最も極端な場合でありましょうが、それ以外にも今申しましたような本来の用途以外の金融を受けるためにチケットが発行されたり、転々流通されることが不健全な要素であると思います。
○近藤信一君 今までにわかっておる大きな弊害としては、競馬や競輪、そういうところに使われているという点が多い、こういうことでございますが、そこで、私どもはいわゆる競輪、競馬というものが、そういうところからも悪用されておると、こう思うわけなんです。従って、私どもとしては競輪などは廃止すべきだ、こういう態度をきめておるわけなんです。競輪、競馬等がこのチケット業者等に悪用される、こういうことがあなたの方でわかっておれば、当然私は競輪、競馬等は廃止すべきだと思うのですが、これはまたあとから本委員会にかかるのではなかろうかと思うので、そのときにまた議論になると思うのですが、私どもとしては、今度のこの第三十条というものが、そういう点から出発したというふうにも聞いておるわけなんです。この点は、ほかにまだ弊害があるけれども、おもなる弊害というところは、そういう競輪、競馬と、こういうことであるとするならば、これは政府はよく考えなければならぬと私は思うのですが、この点、通産大臣、まだ競輪の問題ではございませんが、あなたの御所見はいかがですか、参考のためにお尋ねしておきます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 今問題になっているようなケースは、まことにこれは困ったことで、あくまでこれは是正しなければならぬ問題だと思うのであります。競輪、競馬の問題につきましては、調査会が設けられまして、根本的にこれらの問題に関して慎重な審議が行なわれることになっておりますので、その結論に待ちたいと考えております。
○近藤信一君 次に、割賦販売に指定する商品として、どんなものをあなたの方ではお考えになっておられますか。
○政府委員(松尾金蔵君) この法案の第二条にも、この法律の適用されます割賦販売の商品は政令で指定することになっておりますが、それはあくまで商品ということで、「耐久性を有し、かつ、定型的な条件で販売するのに適する商品」ということでございますから、たとえば耐久性を有しない燃料でありますとか、その他の消耗品でありますとか、あるいは飲食料品等にも割賦の行なわれているものがございましても、そういうものは耐久性云々の関係はございませんので、指定するところではございません。また、「定型的な条件で販売するのに適する商品」ということになりますので、たとえば船舶でありますとか、鉄道車両のような注文生産によるようなものは、これはマスプロによってある定型的条件で販売するに適しないものでありますから、そういうものも除外することになります。また、これは商品という意味で、商行為の対象となる物品、動産を規定いたしておりますから、そういう意味で、不動滝――現在行なわれておりまする建物の割賦等はこの中には入れない予定でございます。そういうものを除外いたしまして、現在割賦販売の行なわれております商品は、商品の分類の仕方としては、比較的大まかな分類で現在行なわれておりますものは、おおむねすべて指定の中に取り入れるというつもりでございます。
○近藤信一君 動産が対象になって、不動滝は現在対象になっていない。そこで、動産でございますならば、いろいろとあると思うのですけれども、長期にわたる割賦販売というものもあると思うのですが、この点の期限という問題については、何ら触れていないのですが、この点いかがですか。
○政府委員(松尾金蔵君) 現在行なわれております割賦販売は、私どもの承知いたしておりますのでは、一番短いものが四カ月程度、長いものは一年を越えるものがもちろんあると思いますが、大体の標準的なものは十カ月乃至一年ぐらいだというふうに聞いております。現在行なわれております割賦販売の対象商品の、何といいますか、耐用年数といいますか、使い得る期間をあまり越えるような長期の割賦の期間は、これはもちろん不適当であると思いますが、また同時に、家計の負担からいいましても、まあ通常の経済常識で、今行なわれております十カ月ないし一年ぐらいのところが、普通の割賦販売商品に適当な期間であろうと思います。あまり長い期間も適当でないでありましょうし、あまり短いのは割賦販売の本来の経済的機能を果たさないことになりますので、現在行なおれております割賦販売の期間は、おおむね私は妥当なところではないかと思っております。
○近藤信一君 今行なわれている割賦販売のうちでも、二十カ月、二十五カ月というのがよく新聞などにも広告されているわけなんですが、この点いかがです。
○政府委員(松尾金蔵君) 私どもの調査によりますれば、今申しましたように、大部分のものが十カ月から一年くらいでありますが、たとえば乗用車とか、あるいは動力耕運機のような比較的高価なものは、やはり十五カ月ないし二年というようなものがございます。これは商品の性質上、当然それだけの使用期間に耐え得るものでありますし、値段もそれ相当なものでありますから、今申し上げましたのは、標準的なものを申したわけでありますが、現在行なわれておりまするのは、大体その経済的な価値判断に従って、あまりそうしたものはないと思いますけれども、今御指摘のようなまれな例として、新聞広告その他で非常に長い、その割賦販売商品の使用期間と比較して経済常識からみて非常に長過ぎるような割賦期間のものがございますれば、これはその実情を調査して健全な方向に持っていく必要があると思います。
○近藤信一君 割賦販売で物を売った場合には、代金を受け取っていない、また金額が受け取れるかどうか疑問のこともございます。その場合、税の上では、物を販売するということは所有権が移転したときと考えられる。割賦販売については、金額を受け取って品物の所有権が買手に移るときに物が売れたものと、こういうふうにお考えになるのですか。
○政府委員(松尾金蔵君) 現在の民法の一般解釈として、代金の支払いが済まなくても、売買契約ができて、その当該商品を相手に渡せば、そのときに所有権が移るという解釈が比較的多いようであります。しかし、これはまた、割賦販売のように代金の完済が済まない間は必ずしも所有権の移転はないという説もあるようであります。現在は、もちろん代金の完済が終われば当然問題はありませんが、代金の完済以前において、所有権の移る時期というものについては、おおむね所有権は移るという説の方が多いようでありますけれども、そうでないという説もかなりあるように聞いております。
○近藤信一君 割賦購入あっせんと所有権移転の関係はどうなっておりますか。
○政府委員(松尾金蔵君) 割賦販売の場合には、先ほど申しましたように、代金の決済は、割賦購入のあっせん機関と――信販機関と購入者との間に行なわれます。そうして加盟商店はそのチケットと引きかえに物を渡すわけでありまするが、そのチケットと引きかえに代金を受け取る関係は、信販機関と加盟商店との関係になるから、その場合には、購入者と加盟商店との関係は、チケットと交換に商品を渡せばそのときにもう所有権は移転してしまうというのが現在の通常の解釈であると思います。
○近藤信一君 第七条の所有権留保の推定は、割賦購入あっせんの場合には適用されないで、購入あっせんでは、代金を全部支払ってしまわなくても所有権は移転するのだと思うのですが、この点いかがですか。
○政府委員(松尾金蔵君) ただいま申しました割賦購入あっせんの場合には、代金の支払い云々の関係は、購入者と加盟商店との間には起こらないで、信販機関と加盟商店との間に、いわゆる代金支払いの問題が起こって参ります。従いまして、第七条の規定は購入者と割賦販売をする者との間の代金支払い義務の関係が起こる場合だけの適用でございますので、チケットによる場合は普通の現金販売の場合と同じことになっており、第七条の適用はないということであります。
○近藤信一君 割賦販売が流行するためには、信用制度が確立していなければならないと思うんです。信用の薄いところへは割賦では売れない。日本では個人の信用調査があまり行なわれていないのですが、これができないと割賦販売が盛んにならないと私は思うのですが、その点いかがですか。
○政府委員(松尾金蔵君) 御指摘の通りでございまして、まあ日本は、わが国の場合は、割賦販売は現在まだだんだん伸びつつありますけれども、諸外国に比べますと、まだまだ初歩の段階にあると思います。割賦販売が非常に伸びております欧米諸国の例では、今御指摘の消費者の信用調査機関が相当発達いたしております。そのための会社なり、その他もかなり大規模なものが発達いたしておりまして、割賦販売業者はそういう信用調査機関を利用しておるというのが実情でございますが、日本の場合にはそこまでのところはまだ今後の問題であろうと思います。従いまして、現状では割賦販売業者がある程度相互に何と申しますか、悪質の購入者としていわば札つきのような者がかりにありますと、その辺は相互に通報し合うという程度の現状にとどまっております。いずれ将来の問題として信用調査機関を何らかの形で整備をしていく。これも政府がいきなり信用調査機関を作ってやるというようなものではなくて、やはり割賦販売業者がそういうものを利用したい、またそれには割賦販売業者が自分たちの情報も進んでその信用調査機関に提供をするというような、業界のいわば自主的な盛り上がった気分の中でだんだん信用調査機関というものが育っていくのであろうというふうに期待いたしております。
○近藤信一君 その信用調査が十分でないと、割賦販売を業とする中小企業ですね、これらは大きな被害をこうむる場合があるのです。この場合の補償というふうなことなんかについては、どのように考えておられますか。
○政府委員(松尾金蔵君) 現在も日本で若干の保険会社に割賦販売に関する保険がございますけれども、これは割賦販売にかかる商品が何らか不測な事態でまあ滅失、損失をしたような場合に、そういう事故に対してだけの保険であります。しかし、今御指摘のように、そういう場合だけではなくて、いわゆる貸し倒れ原因に対する何らかの保険作用を設けることが必要であるということは、ほかの国の例を見ましても、そういうことを今後の問題として検討しなければならないと思います。ただ、現実には日本の場合には割賦販売が全体の信用保険にかけるほど、つまりコンマーシャル・ベースで信用保険が成立するほど、それほど広く行なわれているという状態ではまだないのではなかろうか。今後割賦販売がだんだん広く行なわれるに従いまして、信用保険の範囲は広くなればなるほど保険として採算がとれるわけでございますから、そういう時期を待って信用そのものに対する、貸し倒れそのものに対する保険を将来の問題としては考えなければならぬと思います。
○近藤信一君 本法が施行されますれば、これは割賦販売を奨励するような法律でございまするから、相当割賦販売というものは隆盛になってくると私は思うのです。やはり本法を政府が提案されると同時に、そういう保証保険というふうなものもあわせて考慮すべきだと私は思うのですが、今、局長は、将来そういうことを考えていかなければならぬ、こう言っておられまするけれども、将来とは一体次の国会か。次の国会――臨時国会があれば臨時国会、それとも通常国会というふうなときに、何かお考えありますか。
○政府委員(松尾金蔵君) 今御指摘のございました信用調査の問題でありますとか保険の問題等は、割賦販売の秩序維持のあとに同時に起こってくる政策として当然私ども考えております。先ほど申しました産業合理化審議会の流通部会におきまして、引き続きそれらの問題を検討いたしておりますが、先ほど私、割賦販売に関する借用保険は、信用保険としては現在まだ行なわれていないと申し上げましたが、これは私ついうっかりいたしておりまして、つい最近二、三の社でそれを始めることになるように聞いております。もちろん、まだ早々のことでございますから、初めから大きな規模ではないと思いますが、保険会社としても、そういうことに若干手をつけたいという気分にあるようであります。
○近藤信一君 将来割賦販売が盛んになる見通しが濃いわけなんですが、その場合、おもにどのような商品が動くとあなたの方では考えておられまするか。
○政府委員(松尾金蔵君) 最終的にはやはり割賦販売を利用する消費者の選択によることになると思いますけれども、御承知のように、日本の場合は、いわゆる耐久消費財のほかに着物でありますとか洋服でありますとか、ある場合には靴下のようなものまでもあわせて割賦販売が行なわれておるようであります。しかしこれはほかの国の例で言いますと……。日本の場合には割賦販売の商品の範囲がやや広いような傾向を示しておりますが、これは日本の消費者がそういう選択をしたのでありましょうが、割賦販売に本来一番なじみやすいということになりますれば、やはり相当期間使用に耐える――やはり耐久性のあるものであって、しかもその価格も一時払いでは購入しにくいようなものというのが本来割賦販売の制度になじみやすい商品であると思いますが、まあこれは、ある何か特別な方法で範囲を限定しようというような考えは現在持っておりません。やはり消費者が現実にそういうものを好んで利用されるなら、しかもその結果が健全でありさえすれば、私どもはそれでけっこうだと思っております。
○近藤信一君 最後にお尋ねしておきたいのですが、有名品のメーカーの多くは大企業が多いと私は思うのです。そういたしますると、この割賦制度の確立ということは、大企業に非常に有利であって、中小企業にとっては私は不利だと思うのです。消費者に保護されまして若干のおこぼれ的利益はございまするけれども、やはり何といいましても割賦販売がどんどんと盛んになって参りますれば、いわゆる製造の面においても、大企業が有利で中小企業はやはり不利だ、そういたしますると、この割賦販売法というものは、大企業のために用意されたというふうな誤解も私は生ずると思うのですが、この点、あなた方は、どのようにお考えになっておられますか。
○政府委員(松尾金蔵君) 現在行なわれておりまする割賦販売の商品の種類を大観してみますと、今お話のように比較的有名商品、従って、大メーカーの商品が多いということは、その通りでございます。もちろんその例外もたくさんございますが、そういう傾向は確かにあると思います。しかし、そういうことによって、商品そのものは、そういう傾向を持っておりますけれども、現実に割賦販売に従事しておるいわゆる割賦販売商店、これをとりますと、これはもう大部分の場合が、中小小売商であります。もちろん例外的に大メーカーが、その別の商事会社を作って、そこで割賦販売をしている例もございますけれども、そういう場合でも、そういう大メーカーが割賦販売のための商事会社を別に作りましても、現実の販売としては、それぞれ傘下にいわゆる代理店なり特約店を設けて、私どもの調査でも、全国で大体、大きなメーカー筋でございますと、五千店くらいのいわゆる小売商を特約店として抱いておるようであります。
 そういうことを考えますと、いわゆる割賦販売の商業面では、小売商が大半を占めておる。しかし、同時に、そこで販売されておりますものは、御指摘のように有名商品が多いと思いますが、これは割賦販売という形で、初めて有名商品が売れるということよりも、経済の実勢なり、消費者の選択性向がそういうことを示しておるのだというふうに私どもは考えております。
○近藤信一君 あと一点お尋ねしますが、やはり割賦販売が盛んになって参りますると、それに伴いまして過当競争が私は激しくなると思うのですが、この点いかがですか。
○政府委員(松尾金蔵君) 過当競争という言葉の程度いかんにもよりまするけれども、現在でも御承知のごとく、町のあちこちにありますいわゆる割賦商店の間にも、かなり過当競争といいますか、競争が激しいように聞いております。従って、まあいわゆる商業なり、販売商店としては、適正な競争なり、あるいは若干その度をこえる程度の競争が行なわれることは、むしろ商売の常道でしょうし、問題は、その場合に頭金をあまり小さくしたり、あるいは割賦販売の期間をあまりに長くし過ぎて、そのためにその割賦販売の対象商品との間に不健全な結果を生むことがないように、そこまでのことは、健全な割賦販売のためには必要であると思いますが、そこまでの以前の問題で販売競争が行なわれることは、私どもは別段差しつかえない、むしろ商売の常道としては、そうあるべきだというふうに考えております。
○阿具根登君 一、二点質問いたしますが、生活協同組合、それから農業協同組合、何々協同組合、会社の売店、こういうようなものが、これから除外されておりますが、これはどういうふうに考えておられますか。
○政府委員(松尾金蔵君) 今御指摘にございました場合は、いずれもいわゆる組合共同体と申しますか、そういうことで、組合と組合員の間は共通の目的で、利害相反しないということが建前になっております。この法案で利害調整をやっておりますものは、購入者と割賦販売業者との間に、もともと経済的利害の対立があるという前提で、その間のトラブルを少なくするようにということを目的にいたしておりますので、そういう共同目的のためにも、限られた組合員同上の、組合による組合員相互間の問題は、この法律の適用から除外をした建前でございます。
○阿具根登君 そうしますと、大きな商社が非常に安い値段で、割賦でしかも直接これを販売する機構を持ってくる。そういたしますと、こういう共同機関は、ほとんど締め出しを食ってくる。結局、私はそのために、今日までやっておる営業が非常な大きな打撃を受けてくる、こういうことが考えられると思うのですが、どういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(松尾金蔵君) 現在協同組合その他で、割賦販売は必ずしもあまり広い範囲では行なわれていないように私どもは承知いたしておりますが、今後それらの組合で組合員を相手に、組合の事業として割賦販売が行なわれますことは、もちろんこの法律の規制そのものは受けませんけれども、組合員が、そういう目的で組合の運営をやっていこうということをされれば、それで十分なのではないかと思います。
 もちろんその周囲に、組合が十分育たないうちに、大きな割賦販売がどんどん行なわれていくということになりますと、確かに御指摘のように、組合の事業との関係で摩擦があるのではないかという点はございますが、これは、この法律の目的自体が、先ほど申しましたように、そういう割賦販売を特に奨励するとか、どういう種類の割賦販売を抑制するということではなくて、一に割賦販売業者と購入者との間のトラブルの防止、秩序維持ということを建前にいたしております関係から、法律の建前としては、この法律の規定は、組合の事業にはなじまないということにならざるを得なかったのであります。
○阿具根登君 では小売業者と割賦販売業者との間の不合理を取り除くのだと、こうおっしゃるけれども、そのために、今度は、こういう協同組合との間の不合理が出てくるわけです。一方の不合理を取り除くために、より弱い組織を不合理にしておいて、これじゃあまりに勝手過ぎると私は思うのですがね。
○政府委員(松尾金蔵君) 割賦販売全体に対する将来の政策問題といたしまして、こういうものが健全に育っていく方向にあれば、それをもっと、先ほど来問題が出ておりますような信用調査機関でありますとか、あるいは信用保険、あるいは税制上の優遇、あるいは割賦に対する金融問題、そういうことで、健全な方向にいくものは大いに育成すべきだという事態が、これは現在私どもが、先ほど申しました合理化審議会の資金部会で審議中でございますが、そういう問題に触れて参りますれば、この法律の問題とやや問題を異にいたします。
 従いまして、そういうときに、今までの組合関係の割賦販売について、同じような援助といいますか、奨励策をとるべきではないかということは、これは別個の問題で、その間に、私どもは双方の区別をする理由はないというふうに考えております。
○阿具根登君 これが実施されれば、そういう不合理が出てくるということは、これはもうわかっておるので、非常な被害を受ける、そういうことになれば、これと同時に、やはりこれの保護策を考えなければならないと私は思うのです。出てきてからでは、大メーカーならいざ知らず、こういうところでは、もう出てきたときにはほとんどお手上げだ、こういう非常に零細な人たちが組合を作っておるのであるから、力が弱い。だから、こういう大メーカー、こういうものを守る前に、まずこういう人たちを保護してやるべきだろうと私は思うのです。
 それを逆に、こういうのが出てきたから非常に大きな商社等は、これで安定してくるのでしょう、あるいは小売業者も一部安定してくるかもしれない、しかし中小企業は、これを作られる場合には、一応はずされておったのですね、たしか。それがやっと問題になってきてから、中小企業の問題も考えられてきたということになってくれば、今度は関連して、こういうものも何か保護策を考えるのだということにならなければ、私は逆になるのではないかと思うのですが、何かこの後でも、直ちにそういう機関でも調査されて、保護策を立てるお考えはあるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(松尾金蔵君) 先ほど申しましたこの問題の検討を引き続き続けて参りまする意味で、流通部会で割賦販売に関する全体の政策と申しますか、かりに健全な方向にいく割賦販売を優遇、助長するということでありますれば、その際の考え方は、いわゆる商人のやりますものも組合等のやりますものも、区別する理由はないと思います。
 ただ、私どもの現在までの調査では、組合等で割賦販売の行なわれておりますものは、あまり多くないというふうに聞いておりますけれども、この辺も、よく実態を調査いたしまして、そのような、今御指摘のような不合理な結果が生じないように十分運用して参りたいと思います。
○吉田法晴君 今の阿具根委員の質問に関連して一点と、もう一つ伺いたいのですが、生活協同組合等の場合は、八条の四号のイというわけですか。「組合並びにその連合会及び中央会」ですか。
○政府委員(松尾金蔵君) その通りでございます。
○吉田法晴君 そうしますと、協同組合もだし、あるいは農協等についても問題だということになるわけですね。そうすると、実際には協同組合の場合についても、月賦というか、あるいは割賦販売が行なわれておっても、この法律は適用はできない。それを流通部会等で研究をして、同じような保護といいますか、法律関係での規制方法を研究し、必要であれば実施をしたい、こういう御答弁ですね。
○政府委員(松尾金蔵君) 先ほど申しましたように、組合と組合員との間のトラブルの問題には触れませんけれども、将来割賦販売全体について優遇策、奨励策等を講じて参ります際には、同じ割賦販売である限りは、組合等の問題もあわせて、そして一緒に処理していくようになると思います。
○吉田法晴君 これは通産省あるいは企業同等で、生産者あるいは商店といいますか、等から月賦、割賦等を通じて買いやすいように、しかもその間にトラブルが起こらないようにということが、この法律の目的だと思うんですが、そうすると、その通す取り扱い業者が何であるかということは、これはまあ問題にならぬと思う。従って、一応第八条で、国だとか、あるいは輸出取り引きによる割賦販売云々ということで、これは、輸出業者を圧迫するという点で除かれているのは、当然だと思うんですけれども、四のイ等については、除かれた精神が那辺にあるかという点を伺いたいんです。それは、どういう理由ですか。
○政府委員(松尾金蔵君) この法案の内容といたしますところは、割賦販売業者と割賦による購入者との間に、長期にわたる契約でございますから、当然その間に、経済的な利害関係の対立期間が長い。つまり商人とお客さんとの間に経済的な利害の対立関係がある。それがかなり長期にわたるから、特にこの場合には、そういうことの少ないように調整をしたい、トラブルの少ないように秩序維持をしたいということでありますから、つまり双方の間に、経済的な利害の対立があるという前提で条文は規定されております。
 それに対しまして組合の場合には、本来、組合員が共同して組合を構成して、共同目的のためにある事業をやるといたしますれば、その組合が、組合員の不利になるようなことをはかるはずもありませんでしょうし、組合は、また組合の事業をもり立てていく建前になっておるという意味から申しますと、組合と組合員の中のこの関係には、ここで言っております割賦販売業者と一般の購入者との間のような経済的な利害の対立がないと、従って、その間の調整について、特別なこの各条項を適用するのは適当ではなかろうということで、そういう意味から、これを組合等の場合には、適用除外をいたしたのであります。利害の対立を前提とした秩序維持という点からはずしたのでありますが、先ほど申しましたように、別途割賦に対する全体の奨励策、助長策というような問題になりますれば、これは別途の問題でありますから、その間には、組合の場合と一般の場合を区別する必要はないということに相なるかもしれません。
○吉田法晴君 利害の対立を前提にして云々というのですけれども、いわば物品の授受、それから割賦すべき必要がある云々、それから購買者といいますか、物を買うあれからいいますと、組合員である、あるいは労働者、勤労者、あるいは大衆需要者という点からいえば同じです。利害の対立がないからという理由ではずされると、生活協同組合の組合員に対して、おそらく相当に大企業が多いと思いますが、それが組合と組合員との関係の中に入り込むという可能性は、これは現実にあるわけです。従って、関係が同じだから、その関係をやっぱり保護すべき必要は同様にあるんだと思いますから、やってみて必要があるということであれば、考えるということでなしに、もっと積極的に、組合の場合についても、同じような取り扱いができるように検討願いたいということを要望をいたします。
 それから先ほど近藤さんから御質問になりました七条の所有権に関する推定の問題、衆議院の修正者の何と申しますか、説明の際にちょっと聞いたんですが、先ほど松尾局長の説明を聞いても、どうもその辺納得がいかぬから、そこのところだけお尋ねしたいんですが。どうして、こういう条文を設ける必要があるのか、その辺が納得ができない。民法の即時取得の条文によると、善意無過失で動産が授受されたら、そこで所有権は移転すると普通考える。従って、品物が移されると大体所有権は移転するというのが多くの考え方だろうと思う。で、全部の代価を支払わなければ所有権は移転せぬのだという推定は、それはすることはできますできるのは。しかし、なぜそういうふうにしなければならぬか、実際に所有権が移転をしておるのは、契約によって行なわれているでしょう、あるいは全部支払わなければ移転しないという契約もある、あるいは半分支払ったら移転するという契約もあるでしょう、そして、全部支払わなければ移転しないという契約が圧倒的に多いというように私は思いません。私ども、まあ月賦、それはそのときの契約、これは法契約になるかもしれませんけれども、契約にまかせればいいことであって、法文で、全部の支払いが済まなければ、所有権は移転しないんだ、あるいは留保されておるものと推定するという条文を特に設けることは、販売業者の保護に片寄るんではないか、こういう気がするんです。
 契約にまかせないで、初めから条文にうたった理由は、どういうことですか、その必要はないんじゃないかと思う。
○政府委員(松尾金蔵君) この第七条の規定は、まあ推定規定でございますから、今お話のように、別途契約がございますれば、もちろんその契約に従えと、その意味では契約にまかせてあるとも、言えると思いますけれども、しかし当事者間に、何ら所有権の移転の時期について約束がなかった、特約がなかったという場合に、トラブルが起こる可能性があるわけでございます。
 その際に、先ほど申し上げましたように、現在の民法の一般解釈からいたしますと、代金支払いが済んでいない状態において所有権が移転するのかどうかということについて、若干の疑義がございますので、その場合には、特約がなければ、つまり当事者間の契約にまかせるのだけれども、特別の約束がなければ、一応、所有権は代金が完済していない場合においては、売り主の方に残っておるというふうに推定をしてあげましょうというところに踏みとどまっておる考え方でございます。
○吉田法晴君 特約があれば、特約に従うということですけれども、しかしそれは、民法の一般原則で、契約があれば契約に従う、ところが、これは特則です。で、しかも所有権に関する特則をここでうたうと、これと違った契約をした場合に、その効力と、それからこの条文の効力と、これは争われます。争われるが、実際問題として、これは特則であるだけに、こっちが優先をすると考えるし、考えられがちでしょう。それからこういう規定が設けられれば、ほとんど契約というものは、こういうことになってしまいます。全部払ってしまわなければ、所有権は移らぬのだと、そういう意味で条文を規定しなければ、一般原則になり、あるいは債権が残っておる、その債権の担保として物が対象になるのだと、こういうあれですけれども、それをこして、こういう規定を作れば、これは販売業者のやはり保護に片寄る法上の推定規定ですから、契約に優先する結果になるのじゃないですか。
○政府委員(松尾金蔵君) 私どもの調査では、現在割賦販売の行なわれておりまする大部分のものには、契約条項の中に所有権留保の特約があるようであります。従いまして、かりにそういう状態であれば、その上に、わざわざまた所有権留保の推定規定は必要はないじゃないか、大部分の場合に、そういう特約があるじゃないかということは確かに問題であります。私どもの方も、この条項の検討には、その辺のところも検討いたしましたけれども、しかしやはりすべての場合に、そういう特約があるとは限りませんし、またそういう特約条項を入れた契約証書を必ずしもかわさないで、特に先ほど申しましたように、割賦販売業者、しかも小さな業者が、互いに競争をしておりますから、お客さんに対して契約書を渡して記名捺印をして下さいということを言いにくい場合が、かなりあるようであります。そういう割賦販売の場合には、所有権の留保の特約がない状態で、いずれとも判定のつかない状態に置かれる場合があるわけであります。
 そういう場合のために、こういう推定規定を置いておけば、一応購入者の方は、もう占有権を取得しておりますから、使用収益に何ら差しつかえございません。もしその商品について、第三者が攻撃をしてきた場合、あるいは購入者が何らかの悪意をもって、他に処分をしようとした場合、そういうまれな場合に、販売業者の方の保護になるというための、いわば念のための推定規定であるという趣旨で、この規定を入れたつもりでございます。
○吉田法晴君 購入者が悪意の場合、あるいはたとえば競売だとか何とかという場合には、これは販売者を保護するに役立つ、これはもうわかります。そういう意味においての購入者よりも販売者の方が、この条文では優先的に考えられている。またあなたは、契約が別にあれば云々と言われますけれども、所有権に関する規定と、それから契約の効力と比較すれば、やはり所有権に関する規定の方が優先するでしょう。そうすると別に契約の定めるところによるというのでなければ云々という、あなたの説明は、契約が別にある場合に、この条文がどう働くかというと、契約に従わなければ、この条文が生きると私は考えるのです。
 そういう意味において、やっぱりこの条文は、販売者の保護に片寄っているような気がいたします。
○政府委員(松尾金蔵君) 確かにこの第七条の規定は、販売業者の保護に重点を置いた規定でございます。この法案全体とすれば、むしろ消費者保護、購入者保護に規定の大部分が重点が置かれていますが、第七条は、今御指摘のように、特約をしていない状態で、従って所有権移転の時期について疑義がある場合に、第七条の規定が働いてきて、その場合に販売業者の方を保護をするための規定だということで、まあこの条文、この法案全体といたしまして、販売業者保護に重点を置いた規定は、唯一の規定と申しますか――規定になっておる建前でございます。
○委員長(剱木亨弘君) 他に御質疑はございませんか。――他に御発言がなければ、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○椿繁夫君 私は日本社会党を代表して、衆議院送付の修正案を含めて賛成をいたします。ことに第一条の目的に追加して、「この法律の運用にあたっては、割賦販売を行なう中小商業者の事業の安定及び振興に留意しなければならない。」このように目的に追加をし、さらに原案にございました公聴会の規定を削除いたしまして、三十六条から四十二条にわたって割賦販売審議会の条章を設けております。この運用にあたって、特に十名の委員を通産大臣が指名をされて審議会を設け、その審議会の活動によって、この運用の足らざる点などを補完していこうという趣旨などがございます。それに加えて付帯決議をさらに付して、割賦販売審議会の委員の中に、一般小売商業者並びに消費者の代表をそれぞれ任命をすることを決議をもって望み、また、一般小売業者の行なう割賦販売に対しては、税制上、金融上の特別優遇措置を検討されることを望み、消費者の利用に供するため消費者金融の道も検討されたい、さらにまたこの割賦販売の施行にあたっては、信用保険制度等の整備も行なうべきであるというような意味の付帯決議を付しておられます。私どもの懸念しておりましたこの数点にわたって修正が加えられておりますので、これ以上付加することはないと思いますが、特にこの審議会の委員の任命にあたっては、一般の小売商業者並びに消費者の代表を、それがついておるから一名ずつ入れたら、それでいいのだというようなことではなくて、この法案の全体の修正の趣旨に沿って運用されることを強く望み、この法案に賛成の意を表明いたします。
○川上為治君 私は自由民主党を代表いたしまして、衆議院の修正を含めて、本法案に賛成いたします。
○委員長(剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
 本案に賛成の方は、挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(剱木亨弘君) 全会一致と認めます。
 よって本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成等につきましては、慣例により、これを本委員長に御一任願いたいと存じます。
  ―――――――――――――
○委員長(剱木亨弘君) この際、請願の取り扱いに関してお諮りいたします。
 ただいま本委員会に、かんがい排水用電気料金値上げ反対に関する請願外百十件の請願が付託されておりますが、その審査の方法について、御意見があればお伺いいたします。
○川上為治君 本国会も、会期ももう少なくなっておりますし、また審議を要する議案も多数残っておりますので、請願の審査につきまして、理事会において十分御検討願い、その結果を委員会に御報告をいただいた上で、委員会において審議することとしたらどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
○委員長(剱木亨弘君) 請願の審査につきまして、ただいまの川上委員の発言通り取り扱うことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。
 よって、さように決定いたしました。
  ―――――――――――――
○委員長(剱木亨弘君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま本委員会において調査を進めております経済の自立と発展に関する調査を、閉会中も継続して行なうこととし、本院規則第五十三条により継続調査要求書を提出することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(剱木亨弘君) 御異議ないものと認めます。
 よって、さように決定いたしました。
 なお、要求書の作成及び手続等につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じます。
  ―――――――――――――
○委員長(剱木亨弘君) 委員派遣承認要求に関し、お諮りいたします。
 今期国会の閉会中、経済の自立と発展に関する調査のため、委員派遣を行なうこととし、本院規則第百八十条の二の規定により、議長に要求書を提出することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(剱木亨弘君) 御異議ないものと認めます。
 よって、さように決定いたしました。
 なお、派遣委員の人選並びに要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。
 ちょっと速記をとめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
   ――――・――――