第040回国会 社会労働委員会 第22号
昭和三十七年四月二十四日(火曜日)
   午前十時五十三分開会
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  委員の異動
四月十九日委員鹿島俊雄君及び村山道
雄君辞任につき、その補欠として西田
信一君及び手島栄君を議長において指
名した。
四月二十一日委員西田信一君、吉江勝
保君及び手島栄君辞任につき、その補
欠として鹿島俊雄君、勝俣稔君及び村
山道雄君を議長において指名した。
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 出席者は左の通り。
   委員長     高野 一夫君
   理事
           鹿島 俊雄君
           村山 道雄君
           阿具根 登君
   委員
           勝俣  稔君
           佐藤 芳男君
           谷口弥三郎君
           徳永 正利君
           山本  杉君
           横山 フク君
           相馬 助治君
           村尾 重雄君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君
  政府委員
   厚生省年金局長 小山進次郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
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  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○国民年金法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(高野一夫君) ただいまから本日の社会労働委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について報告いたします。四月十九日付をもって鹿島俊雄君、村山道雄君が辞任され、西田信一君、手島栄君が選任、四月二十一日付をもって西田信一君、吉江勝保君、手島栄君が辞任され、鹿島俊雄君、勝俣稔君、村山道雄君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(高野一夫君) 理事の補欠互選を行ないます。
 ただいまの報告のとおり、鹿島理事、村上理事が一時委員を辞任されましたために、理事二名の欠員を来たしております。この際、理事の補欠互選を行ないたいと思いますが、慣例に従いまして、委員長の指名に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、鹿島君、村山君の補欠として、鹿島俊雄君、村山道雄君を理事に指名いたします。
○委員長(高野一夫君) 国民年金法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○阿具根登君 大臣がこの前お見えになりませんでしたから、藤田委員の質問のお答えが残っておると思うんです。その御質問を要約してみますと、国民年金ができてまだ日が浅いので、やむを得ないところはあるけれども、政府の考え方が一貫しておらない。だから、一体今後の見通しとしてどういう考えを持っておるのか。その点を明らかにしてもらいたい、こういうことが要約すれば藤田君の質問であったろうと思うのです。この点について詳細にひとつ御説明を願いたい。大臣の今後の考え方、国民年金はかくあるべきであるという考え方をひとつお示し願いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 国民年金の問題につきましては、実施以来、まだ日の浅いことでございますが、政府としましても、漸次改善、向上をはかって参りたいという考えのもとに、これまで法律の内容につきまして、改善の努力を続けてきておるのでございます。今後どういうふうに持っていくかという御趣旨のお尋ねであろうかと思いますが、私どもとしましては、国民年金制度の内容につきまして、まだまだ改善すべき余地があるものと考えておりますし、国会におかれましてもその趣旨の御発言が多いわけでございます。いろいろ検討いたしておるところでございますが、的確なことを具体的に申し上げる段階にもまだ至っておらないように思うのでございますが、大体私の今後の考え方という程度にひとつお聞きとりをいただきたいと思うのです。
 まず、拠出制の年金につきましては、私としましては、いろいろ事務当局に検討してもらっておる段階でございますが、少なくとも年金額は、十年後には現在の倍ぐらいにはしたいものだという考えのもとに進んでおるようなわけでございます。したがいまして、現在の老齢年金、四十年の拠出で月額三千五百円と、こうありますが、これを七千円ぐらいには持っていきたい。また、障害年金、それから母子年金、準母子年金あるいは遺族年金等につきましても、それぞれ現在の月額の倍額ぐらいにはしたいという考えでもって検討を進めてもらっておるようなわけでございます。
 また、受給資格につきましても、いろいろ異論のあるところでございますが、受給資格の期間につきましても、方向といたしましては、現在よりも短縮の方向に向かって進んで参りたいと、かような考え方をいたしております。
 いま一つこの拠出年金につきまして、大きな問題として論議せられておりますのは、所得比例制を入れたらどうか、こういう御議論であります。この所得比例制の問題は、政府としましても検討の価値のある問題と考えまして、いろいろ勉強さしてもらっておるところであります。聞くところによりますれば、社会保障制度審議会方面においては、比例制よりも、やはり現在のフラット制がいいのだ、こういうような御議論もかなりあるやに伺っております。そちらのほうでも、御審議はもとより御審議として進めていただきまして、われわれとしましては、その答申も拝見した上で十分考えなければならぬと思いますけれども、一応この所得比例制につきましても、検討はいたしておるところでございます。従来、所得比例制を導入するについては、現在の条件がまだ不十分であるというふうな考え方もございまして、従来、支障とせられております条件につきましても、だんだんと緩和されておるように考えられますので、今後の研究題目としまして取り上げて検討いたしたい。さらに社会保障制度審議会の答申等も拝見いたしました上で最後的な考え方をきめたい、かような考え方をいたしておる次第でございます。これをいつからやっていくかという問題もあるわけでありますが、老齢年金の改善につきましては、計算のし直しと申しますか、再計算等、国民年金の改造を行なうものとせられております。昭和四十一年を目途にいたしたいと思います。
 また、障害年金等の改善につきましては、少なくとも、おそくとも四十一年まで、もし情勢が許すならばそれ以前においても何らかの措置を講じたいという考え方をもって、現在事務当局に検討をわずらわしておるところでございます。
 それから、もう一つ福祉年金でございますが、この福祉年金につきましては、昨年及び今回の改正によりまして、各種の支給制限措置が、あるいは撤廃せられ、あるいは緩和され、ほぼその基礎固めが終わったかとも思いますので、来年度以降におきましては、年金額の引き上げの問題と取り組んでいこう、こういう考えをいたしておりまして、現に検討に着手させておるところでございます。年金額の引き上げにつきましては、これは福祉年金でありますので、全額国庫支出によってまかなわれておるわけであります。そういうふうな性格のものでございますので、当然国の財政との関係もございますし、十分な検討を必要とするわけでございますから、気持としましては、福祉年金実施以後の物価の変動等のことも十分考慮に入れまして、少なくともその物価の上昇いたしました線を下回ることのないように、むしろ上回って引き上げたい、こういう考え方で検討いたしておるわけであります。その実施の時期でございますが、年金制度は、申し上げるまでもなく、一年間だけの問題ではないのでございまして、少なくとも五年程度の長期の見通しの上に立って進めていくことが必要であろうかと考えます。長期的な計画との関連を考慮しながら、昭和三十八年度、すなわち来年度からこの福祉年金の引き上げについて具体的に実施する内容をきめていくつもりでおります。ある程度の期間を見通して、この程度までもっていきたいという考えのもとに、来年度から福祉年金の引き上げについて具体化していく、こういう考え方を持っております次第でございます。あまり具体的かつ正確な答弁でございませんが、今申し上げましたような考え方でもって厚生省といたしましては検討を進めておるところでございます。
○阿具根登君 大臣の考え方としてはわかりますが、国民年金というものの国民に与える考え方というものは、非常に重大なものがあると思うのです。社会保障の一番大きな根本になるものだと思うのです。そうしますと、国民年金が日本に制定されたということだけをとれば、諸外国から見れば、日本も相当福祉国家になったのだというような影響を与える。そういうような認識を持たせる。ところが、来て見れば何のことはない、これは小づかい銭にも満たないものだ、こういうことになってくれば、名目だけが福祉国家ということを言われ、あるいは国民年金ということを言われておるけれども、盛った中身はまるでそれに該当しないものだ、こういうことになれば、かえって私は害多くして得るところ少ないものになってしまってきておりはしないか、こう思うわけなんです。基本的な問題では私どもの考え方とまた違いますので、これは意見の対立するところでやむを得ませんが、正しい内容について御説明を、これは局長さんでけっこうですが、老齢というのは、幾つくらいから老齢と考えておられますか。老齢年金は七十才ということになっておりますが、今、日本国民の平均年齢から考えてみて、老齢という年齢は幾つをもって正しいと思っておられるのかどうか。
○政府委員(小山進次郎君) 幾つから老齢として老齢年金支給の対象にするかという議論は、現在、社会保障制度審議会でも実質的に御議論になっておりますけれども、その議論の内容を御紹介申し上げますと、いずれにしても、老齢になって働けなくなる結果、いろいろの所得活動ができなくなるという時期をもとにして考えることが至当であろうという考え方に立って、現在、雇用者については、やはり六十才程度という、今の各種年金制度は大体そういうふうに考えていっていいだろう。それから、生産手段を持っている自営業者についても、それとやや違えた年齢、たとえば現在の国民年金における六十五才というものは、一応常識的な線と考えていいんじゃないか。この二つは、大体皆さんの議論がほぼ一致しているようであります。もちろん現在論議途上でございますから、結論としては出ているわけではございません。大体一致しているようであります。問題は、それと違えて七十という線を引いている老齢福祉年金のあの問題をどうするかということが議論になるわけであります。これについては、まだ社会保障制度審議会で御議論にあまりなっていないようでありますが、傾向としては、便宜的なものとして、ある程度どこに置くということは一応考えられていいだろう。しかし、望ましい方向をいえば、やはり六十五才に向かって逐次下げていくという方向が適当であろう、大体そういうふうな御議論であろうと思います。
○阿具根登君 大体六十才という線が一応考えられておる。民間等を見てみますと労働年齢は、ほとんど大部分が五十五才なんです。しかし、実際五十五才というのは、現在の年齢から見て、これは労働年齢の限界だとは私は思っておらない。当然六十才過ぎてもいいと思うのですが、六十五才から七十才というのは一番私は重要なときじゃないかと思うのです。六十才過ぎた人を一体だれが保障してやるのだ。特殊な人はいいでしょう。たとえば国会議員は七十才になってもこれは勤まるかもしれません。しかし、その国会議員は七十才でもたくさんおられるのだが、実際事務官僚になってくれば、定年制も六十才にしこうという声まで出ているわけなんです。そういう点から考えてみましても、六十才から七十才までの間というのは、一番今老齢という問題、あるいは六十才が老齢だときめつけることはできないかもわかりませんが、収入面から見、生活面から見るならば、一般の国民大衆のこの年齢に対する期待というのか、考え方というのか、これは相当大きなものがあろうと思うのです。それを国民福祉年金のほうで、七十才でやむを得ないのだろう、五才くらいの開きはやむを得んだろうというのは、あまりにもその年齢の人に対する考え方が薄いのじゃないか、こう思うのですがね。この五才というのは非常に大きな意味を持っておるし、一体この人たちはどういう考え方で生活をするのか、実際から言えば、平均年齢からいっても、延びたといっても男六十六才何ぼでしょう。そうすると、平均年齢を通り越して、いわゆる生き残った人に少しみてやる、のだという、私はまことに不まじめというか、それは当たらないかもしれませんが、そういうことにしか考えられないわけです。少なくも、国民全部が一応平均年齢まで生きたならば、その方はこの国民年金の適用を皆受けるのだというようなことは考えてしかるべきだと思うのです。その平均年令以下でなくなった人はこういう恩典には何も浴さないのだ、これは私は考え方が少し違うのじゃないかと思うのですが、どうですか。
○政府委員(小山進次郎君) 先ほども申し上げましたように、老齢福祉年金の七十才という年令については、諸般の情勢が許すならば、六十五才に向かって一才でも二才でも近づくように下げていくことが望ましい、こういう考え方は、大体どなたも今のところ考えておられるわけであります。私どももそういう考え方をもとにして作業したいと思っておるわけであります。ただ、その場合に、七十才というものが現在の状況においては一応考えられるだろうということを言っております人々の考え方は、現実の問題として、ちょうど今日本は老齢人口が急激にふえている時期になってきておるわけです。それに対して、一方、現在の福祉年金の額について、先ほど大臣から申し上げましたように、来年度以降さらに積極的に引き上げをしよう。こういうふうに考えておるわけでありまして、ちょうどまあ今後国家財政にかかる負担が二つかかり合いますので、ぐっとふえるという事情があるわけであります。そういう面からしまして、どちらをとるかというふうなことを考えて、何といっても、次の段階で考えるのは年金額の増額だろうという考え方をとる人は、年令の引き下げは一時待っても、年金額の増額のほうに力を入れて、少しでもこれを充実したものにしよう、こういうふうな議論をするわけであります。それと逆に、年金額は、まあある程度でやむを得ないけれども、年令をひとつ六十五に向かって一刻も早く引き下げよう、こういう議論の方は、今のところ、あまりないわけであります。これはもちろん両方ができれば一番いいわけでありますが、ものの順序として、そういうふうな考え方を持っている方が多いということを御紹介申し上げたわけでございます。
○阿具根登君 いや、その理論でいけば、それじゃ八十才に線を引けば三倍ぐらいやれると思うのです。それは長生きした方に対して、お祝いとしての考え方ならば私はわかります。それなら九十才の人に線を引くなら、それならばその人は私は楽に生活できるぐらいに、私はこの予算で楽々とできると思う。その考え方なんですよ。国民年金というのはどうあるべきか、しかも、福祉年金として老齢年金を設置したというなら、その考え方自体が、一つのワクの中に、予算の中でこのぐらいしか金がないのだという考え方なのか、あるいは考え方がそれを先行して、少なくとも予算はこれだけこれに入れるべきだ、国民年金というその名称からして、基本的な考え方からして、このうちのわずかの予算のわずかのワクを考えて、そのワクの中で操作をしようとするから私はそういうことになってくる。そうするならば、やはり長く生きた人にたくさんやりなさいというならば、八十才に引いても何でもないわけです。そうしたら三倍も四倍もやれると思う、七十才から八十才の人の減り方というのはものすごいと思う。そうすると、考え方が私は逆に入っておる。国民年金ということをきめている、そうして福祉老齢年金と、年寄りの方には国が保障してあげますよと、これは今できたのだから、今まで掛けておらなかった人にもこうして無償で差し上げますということになってくるならば、相当膨大な金になると思うのです。それは踏み切っていくべきだと私は思うのですがね。それをあくまでもワクがどのくらいだけと今きめられておる。無制限のワクということは考えられませんので、今考えられておるようなワクの中でやられるならば、年令も七十才で切らねばいかぬし、金額も微々たるものです。そこに私は矛盾があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(小山進次郎君) 私の申し上げ方が、その点やや明瞭を欠いたかもしらぬのでありますが、申し上げている気持は、少なくとも次の段階に私ども厚生省のほうとして明らかにすべきことは、福祉年金については、望ましい姿としてはどれだけの金を国から入れることが望ましいという姿、全貌を示すことはどうしても必要であろうと思っております。そういう全貌を示す場合に、年金額としてはどのくらい、それから老齢年金の支給開始年令七十才というのは、どのくらいまで下げるということが望ましいということは、当然含めて考えなければならぬと思っております。その意味で阿具根先生おっしゃるような考え方をもとにして、それのうち、どれくらいのものが実現できるかどうかというのは、これは次の段階の議論になるわけでありまして、その点は明瞭にしつつ今後の作業を進めたいと思っております。
○阿具根登君 次に、福祉年金の併給に関して、公的年金の額を二万四千円をきめられたその理由ですね、二万四千円に満たない場合には、二万四千円の差額を支給するということになっております。それから公務による死亡、廃疾となった場合の七万円ですね、これは今度七万一千円に上がったから、おそらくそれをとられていると思うのですが、その考え方は一体どういう考え方か、これをお伺いしたい。
○政府委員(小山進次郎君) この二万四千円に当たりますものは、現在の制度では一万二千円、つまり福祉年金の額と同額になっているわけであります。この現在の考え方は、一応前提としては、国民年金制度というのは、そのときまで年金制度に守られていない人々に差し上げるという趣旨で始めた年金制度だという前提をとっております場合でも、受けておりまする年金の額が一万二千円を下回っている場合には、少なくとも一万二千円程度の年金を結果として差し上げるようにしたいという考えからそういう措置をとっているわけであります。ところが、この一万二千円という額はあまりに少な過ぎる、社会保障制度審議会でも、少なくとも月二千円くらいの年金というものは何とか保障したいものだ、こういう御意向が非常にかねてから強かったわけでありますので、今回ほかの年金と合わせて月二千円、つまり年二万四千円になるまでの間は、併給として福祉年金のほうから支給をする、こういうふうにしようという考えをとったわけであります。その場合に、公務死、戦争公務によります人の場合を七万円としましたのは、戦争公務等で受けておりまする年金の中には、生活保障的な部分のほかに、精神的な要素が非常に多いわけであります。そういう精神的な要素というものは十分考えなくちゃいけない、こういうことになりまして、それをどの程度に見るかということで、まあ学識経験者の間で論議をしてもらいました結果、これは普通扶助料と公務扶助料との間における倍率を一応のよりどころとすることが適当であろう、こういうことになったわけであります。この倍率は、一番多い場合が三・五五から始まって二前後まであるわけであります。それの大体平均である三倍というものをとりまして七万円というものを設定したわけであります。したがって、七万円先にあってというものでなく、二万四千円から七万円が出て参ったわけでありまして、これがきめられました沿革から申しましても、どちらかというと、これは恩給の今回の引き上げとは直接の関係は持っておりません。おそらく将来この七万円についても、二万四千円を引き上げるということと関連して、当然そのときは今申し上げた倍率を頭に置いた調整が行なわれる、こういうふうになる性質のものだと思っております。
○阿具根登君 私、時間がないので、ちょっと質問して出ていかなければいかぬので、質問の途中になりますが、一つだけ聞いておきたいのがもう一つ残っておりますからお聞きしておきますが、この支給制限額を十三万円が十五万円に引き上げられた、もちろんそのときの本委員会の附帯決議では十五万円にせいということがついておったわけです。ところが、国民年金を十五万に引き上げたら、児童福祉年金も十五万円に引き上げられた、こういうことになっておりますね。ところが、地方税法では十五万円を十八万円に今度改正されたわけです、そうでしょう。ところが、当時十三万であったから十五万にせいということが当委員会で言われておったものと私は思う。ところが、一方では十八万に引き上げられた、そうして今度国民年金は十八万円になぜ上げなかったか、またこの次は十八万にせいと言うに違いありません。これは私は、かりに採決をするとすれば、これは附帯決議でも、地方税法の一部改正と同様、十八万円にしなさいとつけるに違いありません。そうすると、今度向こうは二十万円になるかもしれない、そういう後手々々に、こういう地方税法でさえも先に進んでいるのに、一番苦しい人をあずかっておる厚生省が、国民年金も十五万円でよかろう、国民年金は十五万円だから、児童福祉手当のほうも十五万円だ、一切下のほうに右にならえをしておるこの考え方なんです。どうして十八万円にできなかったのか。なるべく問題の起こらないように、予算が取りやすいように、まあよそが取って、一年か二年たってからそのあとをぼつぼつ追いついていく、こういうことでは社会保障は私は成り立たないと思う。どうして十八万円にできなかったのか、その点ひとつ。
○政府委員(小山進次郎君) この問題は、先生おっしゃいましたように、制度を創設いたしますときから、本人所得を調整する基準は、地方税法において地方税を免除される線と一致させることにしよう、こういう前提で始められたものでありまして、向こうが十三万であったときは十三万であったのでありますが、十五万に引き上げられましたので、それに合わせるということをしたわけであります。したがって、前回申し上げましたように、当然本年度からは、私どもこれはぜひとも十八万円にしたい、また、これは当然すべきものだと考えておるわけであります。なぜそれを早目にしないかということであります。これはただいま申し上げましたような沿革からいたしまして、向こうが確定したら、次にそれに応ずるように調整をしていくという建前でスタートいたしましたのでそういうふうにしておるわけであります。
○阿具根登君 そこが私はそういうふうにひとつの問題を厚生省でやる場合、厚生省ひとつも自主性がない。一方が十五万なら十五万にします、そうしてほかの社会保障制度も、国民年金が十五万ならこれも十五万、十三万なら十三万、少しも自主性がないのじゃないか。よそがきめてくれるから、よそがきめれば、わがほうもそれについていきましょう、そういうことじゃなくて、一番苦しい者をあずかって、しかも、福祉国家という銘を打って、そうして国民年金なるものを作ったならば、よそを引きずっていくくらいの考えがなくちゃ私は成り立たないと思うのですよ。それを今度十八万円に向こうがなったから、この次の国会では十八万にする、そのときにはおそらく所得は倍増になっている、物価は上がってきている。二十万円になれば二十五万になっている。その次に向こうが上がりましたから二十五万になる。そういうことで私はこの大問題に取っ組んでいけるかと思うのです。あまりにも消極的だと思うのですがね。こういう点ぐらいは、逆にこちらのほうが、向こうが十八万ならば二十万ぐらいにしてくれというくらいの気持があって私は進めると思うのです。だから税法が第一で、税法が変わったからわがほうがついていくのだというのならば、何もここで論議する必要がないのです。私たちは、それならば税のほうをやりなさい。そうすればこっちも上がるのだから、厚生省かまわないでよろしい、地方行政にいって、これは税金のほうを一部改正をして、これを二十万にしなさいという主張をしたほうがよほどいいのです。ここで審議する必要ない。あまりにも消極的じゃないかと思うのですがね。この委員会で十五万ということをつけられたのも、私はそういう意味だったろうと思うのです。十八万になればもちろん十八万、あるいはそれ以上にしなさいというのが委員会の考え方だったろうと私は思っているのですがね。当時委員会におりませんでしたからわかりませんが、そういう消極的なことでは、何かまあ社会保障というのは生産じゃないのだから、だから国家の資金を使うだけのことだから、だから、あとからついていくのだというようなことであるなら、福祉国家ということはもう口にせないほうがいいと思うのです。これは自然そうなっていくのだったらば、そこに私は、どうしても厚生省が、何か各省の一番うしろからついていって、拝みます頼みますというような政策をやっているのじゃないかと思う。そうじゃなくて、厚生省は福祉国家をうたったならば、かくあるべきだ、こうしなかったら福祉国家の看板おろしなさいというくらい大臣は閣僚会議で言っていると思うのです。福祉国家だの所得倍増だのというならば、一番下の人たちがもっと生活ができるように、国民年金とは、なるほどこれはりっぱな年金だとみんなが言うくらいの主張をすべきだと思うのです。その点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 厚生省の立場といたしましては、阿具根さんの御指摘になりましたような点につきまして、もっと厚生省が積極的でなければならぬ、かように私も考えます。むしろ地方税等で所得の少ない人たちに対する考慮を払います場合にも、その資料は厚生省から出ていくというくらいでなければならぬはずのものだと私も思うのであります。したがって、今のお言葉は、われわれに対するむしろ鞭撻のお言葉であるというふうに思うのでありますが、この問題につきましては、スタートから、ただいま局長が申しましたように、何かよりどころというので、地方税によりどころを求めたと、こういういきさつから今日までの経過をたどってきておる、かように考える次第でありますが、御指摘になりましたように、あとからあとからついていくだけでは、お話のとおりに、社会保障について大いに熱意がある、力があるということにはならない。われわれといたしましては、これまではそういう方向で参っておりますが、今後のわれわれの心がまえといたしましては、お話になりましたような点は、われわれとしても反省しなければならぬ点があると思います、今後の努力といたしましては、おっしゃったような方針で、厚生省の国民の生活水準、そういうふうな問題についての関心を払うのは私の省でなくちゃならない、こういうくらいのつもりで進めていくように努力いたしたいと思います。
○委員長(高野一夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(高野一夫君) 速記をつけて。
 ほかに御質疑はありませんか。――別に御発言もなければ、本件に対する質疑はこれをもって終了したものと認めます。御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に移ります。御意見のある方は、賛否を明らかにして、順次御発言を願います。
○阿具根登君 私は、本法案につきまして、社会党を代表いたしまして、反対の意見を表明するものであります。
 それは、国民年金法の発足にあたりまして、わが党が明確に所信を披瀝しておりますように、現在の国民年金法の一部を改正されて、幾分よくなったとはいえ、羊頭を掲げて狗肉を売る、いわゆる国民年金というものの持つ意義が、国の非常に大きい柱として、福祉国家の柱として大きな期待をかけられておるにかかわらず、その中身はまことに微々たるものであって、かえって誤解を生じ、国民に対して、期待をかけて、しかも与えるものはまことに微々たるものである、こういう点につきまして私どもは反対せざるを得ないのでございます。
 今日までの質問におきまして、わが党の考え方を十分いれて御答弁を願って参りましたが、私どもは、国民年金というものは、国民一般大衆が一番期待しておるものであると思うし、大衆に対して一番のよりどころにならなければならない、かような考え方から、今日のこの程度の改正では決して満足するものでなく、基本的に国民年金そのものの意義がはっきりと打ち出された国民年金法に改正すべきだと、かような考え方から、私は反対の意見を申し上げる次第であります。
○村尾重雄君 私も、民主社会党を代表しまして、遺憾ながら本案に反対いたします。理由は非常に簡単であります。
 このたびの改正案をわれわれ見ますのに、かなり前年度の当委員会で改正を取り扱われたときの附帯決議なり、また審議の内容と、また各界の意見をいれて、年金の引き上げ、また給付条件等の緩和と、いろいろと改正に取り上げられたその意図というものは、十分にわれわれは了とするものであります。しかし、ただいまも反対意見の中にありましたように、今日の政府の積極的な経済政策、特に所得倍増論というものは、その反面、物価の値上がりというものは著しいものがある。特に生活諸物価の値上がりというものは、もう目に余るものがあるのであります。そういう点から、厚生省におかれても、単に国民年金だけでなくて、その他の年金また社会保障の関係する法案についての給付面等についてこれが改善をなさなければならぬという意見は、もちろん持っておられることもわれわれも察知するのであります。現在の厚生省、特に非常に政治力を持っておられる大臣がおられて、なおかつこの程度の改正ということは、特に財政力のあり余る今日の政府において、われわれとしてはどうしても許すことが、また了解することができないのであります。非常に簡単でありますが、しかし、反対理由は明瞭であります。こういうような点で、遺憾ながら本案に賛成いたしかねるのであります。非常に簡単な理由でありますが、反対をいたします。
○鹿島俊雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本改正案に賛成をいたします。
○委員長(高野一夫君) ほかに御意見はありませんか。――別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めます。御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認めます。
 これより採決を行ないます。
 国民年金法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(高野一夫君) 多数であります。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、議長に提出する報告書の作成手続等につきましては、慣例に従って委員長に御一任願いたいと思います。御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高野一夫君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。
 ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
○委員長(高野一夫君) それでは速記をつけて。
 本日の審議はこれをもって終了いたしました。次回は明後日午前十時から開会いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
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