第040回国会 大蔵委員会 第32号
昭和三十七年五月六日(日曜日)
   午後一時三十六分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     棚橋 小虎君
   理事
           上林 忠次君
           佐野  廣君
           荒木正三郎君
           永末 英一君
           市川 房枝君
   委員
           青木 一男君
           大谷 贇雄君
           高橋  衞君
           西川甚五郎君
           林屋亀次郎君
           前田 久吉君
           山本 米治君
           木村禧八郎君
           成瀬 幡治君
           野溝  勝君
           平林  剛君
           原島 宏治君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   外 務 大 臣 小坂善太郎君
   大 蔵 大 臣 水田三喜男君
  政府委員
   外務政務次官  川村善八郎君
   外務省アメリカ
   局長      安藤 吉光君
   外務省条約局長 中川  融君
   大蔵政務次官  堀本 宜実君
   大蔵大臣官房長 佐藤 一郎君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
   大蔵省理財局長 宮川新一郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
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  本日の会議に付した案件
○産業投資特別会計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(棚橋小虎君) ただいまから委員会を開きます。
 前回に引き続き、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は御発言願います。
○木村禧八郎君 外務大臣に伺いたいのですがね、このガリオア・エロアの総額ですね、援助額につきまして資料が提出されているのですがね。それで、日本側の資料もアメリカ側の資料も、ガリオア一本で出されているのですね。ガリオアとエロアとの内訳はわかっておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これはどうも内訳の点は、実はこちらの資料でも、これがガリオア、これがエロアということがよくわからないのです。先方は、一九四七年の予算におきまして、ガリオアというものが項目に上がってきたわけです。その前は軍事予算の中で処置している。これはプレ・ガリオアといっているのです。これは一九四九年になってエロアというものが追加されたわけでありますが、そのエロアというものはやはり同じガリオアの会計の中から出ている。予算の支出としてはエロア勘定というものでなくて、エロアというものは含まれているけれども、ガリオアという項目の中から出している、こういうことでございまして、われわれのほうでチェックしてみたところでは、項目別にはなっておらないと、こういうふうに聞いております。
○木村禧八郎君 これは大蔵省からお出しの資料ですがね、「国の予算」、昭和二十五年のこれを見ますと、ちゃんとガリオアとエロアは区別されているのですよ。しかも、物資別にちゃんと区別ができておりますよ。それなのに、どうして区別できないのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私が申し上げましたのは、通産省のほうで、司令部が遺留した資料がございました。その遺留資料の中でいろいろファイルになっておるのがございます。そのファイルについて、これがガリオア、これがエロアというのがどうも分けられなかったようでございます。われわれのほうといたしましても、そういう関係もございますから、これはもう一本にして、余剰物資の関係も含めて一本にして解決したいということを申しまして、先方もそれで了承した、こういう経緯でございます。
○木村禧八郎君 それは一本にしてと言いますけれども、じゃ、その前に聞きますが、ガリオアとエロアとの区別ですね、どういう区別があるのですか。
○政府委員(安藤吉光君) これは、さっき外務大臣から御説明がありましたとおり、米国の軍事予算法の四十七年度の軍事予算法、ということは、四十六年から七年までの予算、その中に、ガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズという項目がございまして、その項目にいろいろ使途が書いてございます。行政的なもの、その十一番目にいわゆる占領地の救済費というのが書いてございます。ところが、一九四九年の予算法に至りまして、やはりガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズという項目のところにいろいろ目的が出ておるのでございます。大同小異でございます。ところが、それに一項目が加わりまして、この費目はさらに占領地の復興に使うことができるという項目が加えられた。予算の財源は両方とも同じものであります。したがいまして、その範囲は拡大をされましたけれども、これによって直ちに両者の区別を生ずるというようなことはない。同じ予算からで、同じだ。世間でよくガリオア・エロアと申しますけれども、四十九年予算にいわゆるエコノミック・リハビリテーション、経済復興というものが入っているというので、一部においてはこのエロアというものが別もののように今日感じられるわけでありますが、しかし、これはただいま御説明申し上げましたとおり、予算的な措置としまして全然同じ項目から出ているわけで、ただ範囲が広がったというだけでございます。したがいまして、アメリカ側といたしましては何ら本質的な――日本側においても通産省のほうの資料においては区別ないというふうに考えております。
○木村禧八郎君 この大蔵省が出しています「国の予算」、これは二十五年度の「国の予算」ですがね、これをごらんになりますと、物資別にもちゃんと区別されているんですよ。それで、この資料の出所はサーベイ・オブ・カレント・ビジネスという資料です。それとアメリカの下院の記録ですね、そういうものによって作成されておるんですね。そうして、たとえばエロアにつきましては――エロアとも言うしイロアとも言っておりますが、大体においてエロアのほうはまあ産業の復興の資材ですね。それは趣旨からいって当然そうなりますが、はっきりと、たとえば工業原料及び半製品とか、繊維とか、金属及び同鉱石とか、非金属の鉱産物、化学製品、またこの化学製品を内訳にしましてゴム、石炭、皮革類、油脂類、その他となっております。あるいは工業機械及び部品、自動車及び部品、再教育関係経費、物資輸送費とか、そういうふうにエロアの内訳がはっきりとここに書いてあるんです。それから、ガリオアについてもその内容が書いてある。ガリオアは主として食料品が多いのでありますが、たとえば穀物及び食料類とか、農具及び肥料、石油及び同製品、医療品及び医療器具、こういう項目に分かれております。それから、年次別に見ますと、大体エロアの援助予算がアメリカに計上されてきているのは一九四八年から九年の会計年度ですね、一億八百万ドル、それから一九四九年から五〇会計年度で一億一千六百万ドル、こういうふうに内訳がちゃんと出ておるんですね。
 ですから、われわれに出す資料におきましても、こういう資料がちゃんとあるんですからね。政府で出したこれにはちゃんとそういう内訳が出されておるんですよ。それなのに、われわれに出されたこの資料はガリオア一本になっちゃっているんです。だから、ガリオアという項目の中にいわゆるエロアというものが含まれておるんです、一本にしてしまったと。こういうものはあるのでしょうけれども、しかし内容が違うんですよ。しかも、そういうように分類してあるんですからね。分類してあるんですから、そういう分類ができないはずがないですよ。
○政府委員(安藤吉光君) 私自身「国の予算」を十分読んでおりませんけれども、聞くところによりますと、係官があちこちから聞いてそういう資料を書かれたやに聞いております。実際問題といたしまして、先ほど御説明いたしましたように、一九四九会計年度からいわゆる復興的な目的を持ったものが含まれたということは、これは予算のいわゆる使途が拡大されたということになっております。しかしながら、向こうとしてはそれをはっきりと、これはガリオアであるとかいうことを分けておりません。と申しますのは、全体がガリオア、ガバメント・アンドリリーフ・イン・オキュパイド・エリアズ、ガリオアという費目の中に一括されておるわけであります。
 ただ、しかし、しいて申しますなれば、御配付いたしました米国側の決算資料でございますね、資料の何番になりますか、「米国の対日援助額」という、米国から出して参りました資料でございます。その資料別添二というところをごらん下さいますと、たとえばプロジェクト百四十二、百七十二、百八十二、百九十二、四百七十二等を見ていただきます。これは確かにどちらかといえば復興資材的なものでございます。そしてこれを年度別な、要するに輸入の数字を見ますと、一九四九年から始まっている。これは先ほど御説明いたしましたように、一九四九一会計年度の予算がこういったことにも使い得るという、拡大されたということをこれで実証する次第でございます。しかしながら、たびたび申しますように、この二つを、ガリオア・エロアを明確に区別はしていないのでございます。実質的にそれをごらんになりましてわかりますように、一九四九年からは、今までなかったのが、今までゼロであった費目が出ているということで、いわゆる復興的な意味に拡大されてきたということがおわかりになると思います。
○木村禧八郎君 これはあとでもだんだん質問して参りますがね、この返済を考える場合、この区別は私は非常に重要ではないかと思うのですよね。大体ガリオアは今御説明あったように、これはガバメント・アカウントですね。
○政府委員(安藤吉光君) ガバメント・アンドです。
○木村禧八郎君 ガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズ。僕はほかの資料で見たら、ガバメント・アカウント・フォア・リリーフ・イン・オキュパイド・エリア・ファンドで、ガバメント・アカウントじゃないのか。ガバメント・アンド・リリーフというのじゃおかしいじゃありませんか。
○政府委員(安藤吉光君) この言葉が出てきました一番もとでございます米国の軍事予算法も、たとえば一九四七年にいたしましても、エロア的なものが始まったという一九四九年のものにいたしましても、項目の内容は、ガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズ、占領地における行政及び救済という費目になっております。したがいまして、そのかしら文字を全部縮めましてガリオアというふうに言っておるわけでございます。
○木村禧八郎君 ガバメント・アンドですね。まあそれでもいいですよ。これはリリーフが主ですよね。
 それから、エロアのほうはリハビリテーションでしたね。エコノミック・リハビリテーション……。
○政府委員(安藤吉光君) エロアはエコノミック・リハビリテーション・イン・オキュパイド・エリアということを縮めたわけでございましょう。しかしながら、一九四九年度法、これによりましても、この項目はガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズというのがございまして、その中にくだくだと目的がたくさん書いてございます。行政費的なものがずいぶんございます。そしてその中に、さらにこの金は経済復興にも使ってよろしいということが書き加えられてあるわけでございます。したがいまして、費目の性質といたしましては、あくまでガリオアでございます。
○木村禧八郎君 まあそれは、じゃ、それで一応あれしておきましょう。
 それから、プレ・ガリオアというのがこっちの資料にありますね。それは何ですか。このガリオア援助を受ける前に、たとえばララ物資とか、ケア物資とかいう援助があったはずですね。そういうものはどういうふうにしておりますか。
○政府委員(安藤吉光君) ララ物資とかケア物資とは全然性質が違っております。したがいまして、これに入っておりません。プレ・ガリオアと申しますのは、米国の一九四七会計年度、すなわち一九四六年から始まりました軍事予算で明確にこういった救済ができるガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズという項目ができまして、一九四六会計年度におきまして軍が日本を占領いたしましたときに、進駐軍と申しますか、当時の言葉では進駐したときにこういった占領地の救済に使ってよろしいということが許可されまして、そうしてあくまでも米国の軍事予算の中から出したものでございます。したがいまして、ケアとかララとかユニセフとかいったものと違うわけです。当時プレ・ガリオアと申しましたのは、ガリオア前だという意味でございますが、当時は、一件ごとにほとんど、いろいろ資料としてお配りしたのでございまするが、このプレ・ガリオアが日本に供与されますときに、そのつどスキャッピンで指令がございます。そうして支払い条件等はあとできめるというようなことがついております。
○木村禧八郎君 このプレ・ガリオアとガリオアとどう違うのですか、実質的に。
○政府委員(安藤吉光君) 正式にガリオアと呼ばれるようになりましたのは、先ほども御説明いたしました一九四七年度陸軍軍事予算法、それによってガリオアという項目ができてからでございます。しかし、それまでも政府の指示によりまして、米国が自分の持っている予算の中から日本の救済をやっておった。そのときはまだガリオアという字がございませんでしたから、プレ・ガリオア、すなわちガリオア以前、前ガリオア時代でございます。それを便宜プレ・ガリオアと呼んでおるわけでございます。
○木村禧八郎君 そのプレ・ガリオアについても債務と心得るという、そういうことになっておったのですか。
○政府委員(安藤吉光君) プレ・ガリオアもやはり陸軍省の軍事予算でございます。その予算の項目の中にシビリアン・サプライ・プログラム、民間供給計画というのがございます。それから出ておるわけでございます。
○木村禧八郎君 これからだんだん質問していきますが、ところで、さっき大蔵省の昭和二十五年度の「国の予算」にガリオア、エロアの金額、それから物資別にもちゃんと区別できておるのです。資料として区別したものをどうして配付できないのですか。この二十五年の「国の予算」、これはどういうふうにしてこれを作成したのですか、非常に物資別にはっきりできているのですが。ですから、それを国会に資料を提出する場合にも、これは非常に詳細に物資別に明確に区別されておるのが、どうして今度資料を提出するときそれがこういう区別をして提出されないのか。かりにそれがガリオアの中に含まれておるとしても、エロアがガリオアの中に含まれておるものであるとしましても、ちゃんと物資別に区別されておるのですし、今までの資料ではガリオア・エロアと、こう区別してずっと発表されておるのです。こういう資料があるのです。なぜそれができないのですか。
○政府委員(安藤吉光君) 「国の予算」をどうしてお作りになったか、詳細によく存じません。しかし、先ほどから申しますとおり、この本質的なガリオアというものの中にエロアが入っていることは、るる御説明申し上げましたとおりであります。それで、その予算法の編成によりまして、一九四九年度から新しく復興的目的のものが追加された、それを拡大してそれにも使ってよろしいということでございますので、おそらくは私は先ほど申しました米国から出ました資料の別添二のいわゆるプロジェクト百四十二以下五つくらいのものを集めて、いわゆるこれはいわばエロアといった性質のものだということに当時了解しておったのじゃなかろうかと推察いたします。
○木村禧八郎君 そんないい加減じゃ困るね。大蔵省、どうして作られたのですか。これ作った資料の名前が出ておりますよ。「サーベイ・オブ・カレント・ビジネス(昭和二十五年二月、経本、貿易局編、「貿易情勢の分析」参照)」と書いてありますよ。それから、一九四八年から四九年、これは米国下院の記録の一九四九年五月十七日の分です、「一九五〇年度は当初予算額によった。」、こういうものがあるのですですから、僕は当然、この資料をいただいたとき、これはそういう区別があるものと思ったのですよ。そうしたら、ないのです。ですから、非常にずさんだと思う。せっかくこういうようなものをちゃんと大蔵省で作ってあるのですよ。当時の記録があるのですよ。
○政府委員(安藤吉光君) 今のサーベイ・オブ・カレント・ビジネス、これはアメリカの商務省の発行物かと思います。いわゆる刊行物でございます。これのほかにフォーリン・エイドとか、いろいろ今国会でお取り上げになった商務省の一つの資料だと思います。その資料は、私承知しておりますところでは、全部、最後のときまでの数字をとっていないのじゃないかと思いますけれども、先ほど私が申し述べたこの資料をお配りいたしてあります米側決算資料の別添二のプロジェクト百四十二、百七十二、百八十二、百九十二、それに四百七十二、すなわち一九四九年から新たに増加されまして、いわゆる諸原料、いわゆる復興的な意味を持った、経済復興に資するような物資を含めますと一つの数字が出て参るわけでございます。しかし、これは性質としてはあくまでもガリオアという予算の中から出ておるわけでございまするが、四十九年度から陸軍予算法でそういったことが拡大されたわけでございまするが、そういったことから、今申しました五つのプロジェクトを最後までずっと拾ってみますと、総計が三億二千五百万ドルになるという、これはこの資料でおわかり下さるかと思います。
○木村禧八郎君 そんなことを聞いているのじゃないのですよ。こういう資料がちゃんとできているのだから、こういうような資料が出せるかと聞いているのです。これはあとの質問にも関連してくるのですよ。この援助の大部分はガリオアなんですね。エロアもありますけれども、エロアはガリオアよりもはるかに少ないのです。それで、普通の常識からいきまして、ガリオアの場合はリリーフということになっているのですよ。片方は復興を援助する、リハビリテーションですね。リリーフという場合には、私はこれは贈与的な意味がかなり強いと思うのです。それから、復興に対しては、これは借款的な意味がかなりあると思うのですよ。私がこれは邪推するのか知りませんが、この区別ができるのに、区別をしないで一本に出してきているということは、ガリオアとエロアを区別した場合、そのリリーフのほうが圧倒的に多くて、復興的なものは小さいのでありますから、そこで債務として返済するにあたってガリオアが圧倒的に多いし、それから復興的なものも、援助的なものが少ない。そういうことになると、この返済の問題を処理するにあたって、ガリオアは大体これは救済的なものであるから、これは贈与として、払う必要はないのじゃないか。しかし、エロアのほうは復興援助的なものだから、これは払う必要があるのじゃないかと、こういうような議論が出てくると困るので、そうして一本に、これを区別しないで、こういうふうに出しちゃっているのじゃないか、こういうように私は推測したのです。そういう区別できるのにどうしてそういう資料を出さないのか。いろいろあそこにもあるここにもあると言っても、ちゃんと過去において整理して出されておるのですから、そうすればわかりいいわけですよ。そういうような形においても出されていない。ですから、これは今この点をやりとりやっていますと時間ばかり経過しますから、こういう資料があるのですから、出して下さい。出せないはずはないのです。その資料を要求しておきます。
○国務大臣(水田三喜男君) これを私どももこの問題でいろいろ過去にも質問があって検討したのですが、御承知のように、主計局の個人が執筆したものであって、公式のあれではないというふうにこの本自身断わってあるのですが、その個人が今いませんでわかりませんが、私どもの想像では、当時、進駐軍の中にはそういう勘定があったんじゃないかということは一応推測されます。で、したがって、この司令部と接触している間にこういう勘定があったとかいうような情報を集めてとったかなんかで、その個人が書いたんではないかと。間違いとも言えないでしょうし、正確とも言えないのですが、これを見た人がないし、司令部さえそういう勘定のあったことの残置物もないということでございまして、見た人はとにかくないと、それから残っている書類の中にもないと、こういう事情のようだそうでございます。
○木村禧八郎君 それは一ヵ所じゃないのですよ。この「国の予算」の内容で、物資別に出ているのは五百四十八ページですね。それから、もう一ヵ所は、終戦処理費の説明のところに出ていますね。これは八十ページです。これは物資別には出ていませんが、金額としてガリオアとエロアと区別して出ています。それで、大体その援助につきまして、こう書いてあるのですね。「援助額を米国の予算額についてみれば下表の通りであるが大体日本の負担している終戦処理費と見合う金額である。」と、大体日本の終戦処理費と見合う金額においてアメリカが援助をしているということが書いてあるのです。こういうことも非常に重要だと思うのですね。ですから、アメリカは大体、これが返済されなくても、終戦処理費の見合いにおいて差引できるのだから損しないという、そういう形において援助しているということがこれでもわかるのですね。この八十ページですよ。ごらんになって、これにも区別してあるのですよ。ですから、担当官が今いないからわからないというのは、そんなことじゃ困るのです。
 それからさらに、前に私が質問したことがあるのですがね。いつ債務と心得るようになったかということについて、やはりこの「国の予算」に書いてある。それはあの講和条約のときに債務と心得るということになった経過があるのだというふうにこれにも書いてあるのですね。前にこのことを質問したら、それもこれは事実と相違しているから訂正するとかなんとか言われたんですね。
 これはわれわれはかなり権威のあるものと思って今まで尊重してきているのですよ。大事な資料です。これですね、非常に詳細にいつも書いてある。それで、こういう詳細な資料はかなりおくれて来ますから、すぐには間に合いませんが、過去の経過を知る上には非常に忠実に資料を集めて書いてあるわけですよ。ですから、私はこれをたよりに今度の援助の問題を調べてみたんですが、こういういい資料がちゃんとここにあるのに、われわれに出したのはこんなの、全部一本に突っ込んじゃって、そして出されておる。この点、ですから一応資料として、今すぐでなくていいですわ、もうこれは成立したから、それでもうかまわないと、そんなもんじゃないと思う。あくまで事態は明らかにしておかなければならないですから。
○国務大臣(水田三喜男君) もうこれは済んだからいいかげんにというのじゃなくて、この前からも問題になっておりましたが、通産省あたりはそういうはっきり区分けされた勘定が司令部にあったかどうか、ないような気がする、だから、これは「国の予算」に書いたほうが間違いではなかったかという問題まで出されていますが、私どもは間違いじゃなくて、当時執筆者が調べて、司令部内にはそういう勘定があったんだろうというふうに推定するのですが、それは今残っておりませんし、日本側で見た人もないということでございますので、これは資料を出せといっても、この資料はございません。
○木村禧八郎君 とにかく四億九千万ドル、まあ利息を入れると五億二千万ドルぐらいになりますが、それだけのものを支払うかどうかという問題なんですよ。それについて、その内容が明らかにされないということもありません。間違いじゃないかなんて、とんでもない話で、これをごらんなさい。こんなことで間違いができますか。詳細に書いてあるんですよ、金額別に品目別にはっきり。
○国務大臣(水田三喜男君) だから、したがって、そういう勘定があったにしろなかったにしろ、こちらでわかりませんので、通産省が残された資料をみんな伝票ごとに全部区分けして整理して、こちらで全体の総額を出すという作業をしたわけでございまして、それがきれいに帳簿が残されておるのなら問題ありませんが、それはございません。ですから、全部残置資料で長い間かかって通産省がその計算をやったということであります。
○木村禧八郎君 私はどうしても割り切れないですね。じゃ、ガリオアは幾らでエロアは幾らというその金額の区別だけでもできませんか。ここに区別しているんですよ。
○国務大臣(小坂善太郎君) それがガリオアという勘定とエロアという勘定が全く同じ次元で二つ並列すると、こういうことであれば、それをやる意味があるわけでございますが、先ほど来申し上げておりまするように、ガリオアの中にエロアというものがある。ガリオアというものは、ガバメントの勘定とリリーフの勘定、これが一緒になっておるものですが、このリリーフの勘定をさらに分けてエロア的なものがそこに加わってきた、こういうことでございまするので、全体として見る、こういうことでありまするから、特別にこれを分けてみても、それはどの意味もないと、こういうことも考えざるを得ないわけでございます。
○木村禧八郎君 そういう御答弁なら、私はさらにこの資料を引用して言いますが、こういうふうに書いておるんですよ。「ガリオア資金は、一九四六米会計年度以来、占領地(日本、琉球、ドイツ、オーストリー等)における飢餓、疾病ないし社会不安の防止を目的として計上されるに至ったもので主として食糧石油、肥料、医療品その他の救済物資の輸入に用いられてきたが、その後、一九四七年度からは新に日本経済(及び琉球)の自立再建を目的とするエロア(エコノミック・リハビリテーション・イン・オキュパイド・エリアズ)資金が設けられ、各種の工業原料、機械その他復興資材の買付に充てられることになった。」と、こういうふうに説明されておるんですよ。ですから、当時としましては、これは飢餓、疾病ないし社会不安の防止を目的として援助されておるんですから、リリーフなんですよ。そうなると、当然これは占領軍の責任として援助したものであって、これは贈与的な意味に解さなきゃならないわけなんですよ。
 それで、その次に一九四七年度からは、日本経済の自立再建を目的としてエロアというものが出てきたわけなんですから、そうすると、だからこれは復興的なものなんですね。そうしますと、常識から考えると、日本経済の自立再建に対する援助については、これはやはり債権債務的に考えてもよろしいのではないかということも出てくるのですが、しかし、この援助の大部分であるガリオアについては、あくまでもこれはこの当初の説明では、これは飢餓、疾病ないし社会不安の防止なんですからね、当然これは無償的な贈与的なものであるというふうに解釈されざるを得ないのではないか。
 それで、私はこの区別を今やかましく質疑しているわけなんです、そういう立場からですね。ですから、こういう資料があるのですから、それで外務大臣がこれを区別しても意味がないようなことを言われていますが、意味があるのですよ、こういうものを調べてみれば。外務大臣は何か一生懸命にアメリカに払わなければならぬというほうの資料ばかり探しているようで、日本の利益になるようないろんな文献とか資料を無視しているように思われるのですよ。国籍をどちらに置いていられるかと疑問に思うような感じもときどき受けるようなときもあるのですがね。もちろん、外務大臣はそういう気持がないと思うのですけれども、われわれとしては、なぜもっと日本が有利になるような主張を、ほかにいろいろ資料があるのに、されないのかという不服があって仕方がないのですよ、その点がね。
○国務大臣(小坂善太郎君) どうも非常に私の真意を曲解されておると思いますが、私はできるだけガリオアの返済というものを少なくて済むようにあらゆる努力をしたつもりでございます。したがって、いろいろ反対債権の問題等も、主張すべきものは十分主張したつもりでございますが、一たび合意いたしましてこれだけのものを払う、こういうことにしたのでありますから、これをただでいいのだという主張をここでやるわけにはいかぬと思うのです。ただでいいじゃないかと言われれば、そうではございません、先方としてはこれだけの根拠があります、また、われわれとしてもそれを納得せざるを得ないのですということを、ここで御説明しなければならない立場にあるわけですね。
 今「国の予算」のお話がございましたが、これは大蔵大臣からもお話がございましたように、その当時の主計官かなにかいろいろ調べて書かれたのでしょうけれども、それが普遍的に今日においてもそうであるということを立証する根拠はないわけなんです。というよりも、むしろわれわれとしてはアメリカの陸軍予算を見ますると、ここではガリオア一本でしか出ていない。ガリオアの中で、これはガリオア、これはエロアというふうに向こうでは分けていない。こちらでは分けられているではないかと主張しても、先方の決算を終わっているベースを見ましても、特にそういうふうに分けられていない。ガリオアの中にリリーフのほかに経済的な復興という目的にも使い得るという項目が加わったということだけで、ガリオアそのものの質的な変化がそこに行なわれたのだということは、先方の予算からは受け取れない。したがって、この区分に従って、できるだけわれわれは、反対債権を主張して、できるだけ安くしてもらう、こういうことで努力したわけです。ですから、先方で十分決算を終わっているベースでいけば、十九億五千四百万ドルというのが向こうの主張なんです。これに対しては、こちらで調べたところでは十七億九千万ドルしかないのだ、こういうことを言いましても、先方が、違うと言うなら君のほうで資料を出せと言ったところが、これはとても煩瑣でかなわないから日本の資料を認めるということで、向こうで折れて参ったわけです。そういうことで、私はやっておるつもりでございます。
○木村禧八郎君 私は、ここにこういう資料があるのですから、それにちゃんと基づいて、リリーフ的なものと債権的なものというふうに日本の政府は分けて、そうして交渉するときに交渉を有利にするような努力をなぜされなかったか、その点が非常に私は怠慢だと思うんですよ。決算を見てもないといったって、こういう資料があるんですから、これをもとにしてやっていけば、私はトレイスしていけばできないことはないと思うんです。その点、外務大臣は向こう側のあれでは十九億五千四百万ドルですか、日本側はもっと少ない、十七億幾らと、こう言っていますが、それでかなり向こう側の計算は多いんであるが、日本は少なく計算したんだと、しかもそのうち全部払うんではなくて四億九千万ドルに少なくしたんだから、当然これは返済すべきものじゃないかというお考えのようです。
 それからまた、債務として合意に達したんだから、これは払わなければならぬと、こう言いますけれども、しかし合意に達したのは政府であって、政府が合意に達したが、最後はやはり国会が認めるか認めないかです。国民がこれを承認するかしないかで債務になるわけです。で、政府が合意に達して国会に承認を求めてきているのを、われわれがそれを正しいのかどうかということを国民の立場で今審議しているわけなんでありますから、もしかりに政府が債務として合意しても、これが不当なる債務、正しからざる債務というのであったら、同じ債務であっても、これは払う必要がないということが出てくると思うんです。
 で、政府の提案理由を見ますると、こういうことが書いてあるんですね。「当時わが国の食糧生産は戦前の半分以下に低下し、国民は未曾有の食糧難に当面したのでありますが、わが国には食糧や生活必需物資を輸入する外貨はもちろん、外貨獲得の余力もなかった状況でありました。しかも海外からは数百万に上る復員、引揚者を迎え、国民の食糧対策をいかに進めるかは、わが国民にとってまさに死活の問題であったのであります。このような際、米国が提供した対日援助が、いかにわれわれを勇気づけ、今日のわが国経済復興の原動力となったかは何人もこれを否定し得ざるところであります。」と。そこで、こういう経過があるので、債務と心得てこれを返すのが当然である、こういうように説明されているわけです。しかし、これは私はものの一面だけしか見ていないと思う。それはあのころはわれわれもずいぶん食糧難で困りまして、アメリカが援助をされたことに対してはみんな感謝をしておるわけです、みんな感謝している。しかし、それはものの一面なんです。ものの一面であって、もう一つ、もののもう一つの側を見なければならないと思うんです。アメリカはそれによって決して損はしていないんですから。むしろ得をしているんです。このことをこれから私は具体的に質問して参りたいと思う。
 一応政府は債務として心得ましても、われわれ国民から見ると、感謝はしているが、その反面においてアメリカは決して損をしていないんだ、しかもこれを返済させるとなれば不当な得をするんだと、アメリカは。そこで割り切れないんだという点を、具体的に質問をして参りたいと思います。
○平林剛君 今のガリオアとエロアの区分についての資料をどうしても出せない、こうおっしゃるんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) その資料は、全体のものを調査した資料はございますが、この二つを区分した資料というものは実際にはありません。
○平林剛君 そうすると、今まで政府はガリオア・エロアというふうに説明しておったんですけれども、今度はガリオアというふうに統一してしゃべることになったんですか。今までなぜガリオア・エロアというふうにしゃべっておったんですか。しゃべるということは、一応ガリオアとエロアと区分されておるから、総括してガリオア・エロアという表現を使っていたんじゃないですか。あなただって国会で答弁をするときに、ガリオア・エロアと言ってしょっちゅう答弁していたじゃないですか。外務省の中川条約局長だって、安藤さんだって、やはりそういう言葉を使っておったし、みんなガリオア・エロア、こう言っていたじゃないですか。ないんですか、それは。
○国務大臣(水田三喜男君) さっきお話がありましたように、エロアというものがあったにしましても、米国の会計の上から見ましたら一本になっているということでございますから、今一本になっているガリオアという字を使っておるわけでございまして、エロアというものがあったことは事実でございます。
○平林剛君 内閣総理大臣でさえも、ガリオア・エロアという言葉を使っております。決してガリオアとは言っておりません。これは、アメリカのほうの法律については先ほど御説明があったとおりかもしれません。だけれども、今「国の予算」を見れば、そういう区分がされているし、今国会における内閣総理大臣の答弁も、水田大蔵大臣の答弁も、外務省の条約局長、アメリカ局長の説明の中にも、ガリオア・エロアと、こういう説明があるのですから、やっぱり区分をされておることを承知だから、ガリオア・エロアという言葉を使っていたのじゃないですか。もしそうでないとすれば、初めからガリオアと、こう言っておればいいじゃないですか。なぜ今までそうおっしゃっておったのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 累次御説明申し上げましたように、ガリオア予算というものは一九四七年にできたわけですが、その後、今までにガリオア予算の中になかった性格、経済復興ということに関する支出、これが一九四九年から加わってきたわけです。そこで、そういうエロア的なものも加わったということで言っておったわけでございますが、勘定として先方へ返す場合に、アメリカの陸軍省の予算、これから支出されているのはガリオア勘定から出ているわけです。したがって、正確に申し上げますれば、ガリオア問題の結着と言うほうがほんとうだと思います。
○平林剛君 いや、私は、今これを区分して、そういう趣旨でなぜ交渉しなかったかということで聞いているわけじゃないのですよ。将来もわれわれは十五年間にわたってそれぞれ返済計画を立てていくわけでありますが、やはりその内容については国民もある程度承知しておったほうがいいのじゃないか、こういう意味から、この法案についての正否とは別に、参考の資料をもらいたい。私はそういう角度で、もらいたいと思います。だから、そういう意味なら、区分すればできないことはないのじゃないか。その証拠に、政府はすでに内閣総理大臣初めすべてガリオア・エロアということで承知して説明されているわけですから、やはりそういう区分ができるのじゃないかと思うのですよ。私は、それであらためて交渉せいと言うわけじゃない。将来国民がこういうものであるということを理解できるような資料として提出をしてもらいたい。これはやはり私も別な角度からでありますけれども、お出しになっていただきたいと思うのです。
○政府委員(宮川新一郎君) 先ほど大蔵大臣がお答えいたしましたように、木村先生の御指摘になりました「国の予算」、これは当時の担当官がいろいろな資料に基づいてやりましたので、国会に正式の資料としてお出ししてもしミスリードするようなことがあってはいけないと思いまして、資料をお出しできないと申したのであります。いろいろな関係で、読んでみますと、アメリカの決算資料に基づいて当時の担当者が作ったように思われます。で、日本側のほうには特別にそれははっきりした資料はございません。
○木村禧八郎君 今のは、今平林君の質問に対して答えてもらわなければなりませんが、今の御説明は、アメリカの決算資料にはあるわけですね。ガリオア・エロアの区別がしてあって、それによって作成したというような御答弁ですね。それならできるはずですよ。
○政府委員(安藤吉光君) 先ほど私御説明いたしましたとおり、このエロアというのは四九会計年度のガリオアの項目に使途として追加されたと申しまするか、従来の使途、行政的なもの、あるいは救済的なもの、そのほかに経済復興にも使ってよろしいといって、いわゆるガリオアという費目の使途を広げたということから、エロアとそれを称したわけでございます。それで、アメリカの決算資料そのものにガリオアとエロアを分けているわけではございませんで、アメリカの予算といたしましてはガリオアというものが一本でございます。で、エロアというものは、まあいうなればその中に四九会計年度から一部含まれていたというふうに予算面からは見られるわけでございます。そして、先ほどもちょっと申し上げましたとおり、お手元に前に御提出してございます「米国の対日援助額」という資料がございます。その別添二というところに、サマリイ・オブ・プロキュアメント・バリューズ・オブ・ガリオア・グーズ・デュアリング・フィナンシャル・イアー・一九四七・スルー・フィナンシャル・イアー・一九五二、一九四七会計年度から一九五二会計年度までの明細がございます。その明細の中に先ほど私が申し上げましたプロジェクト費目、一四二、一七二、一八二、一九二及び四七二は、ちょうどこれを見ればわかりまするように、一九四九会計年度から始まっております。それで、この品目を見ましても、大体いわゆる復興目的のものが含まれておる。したがいまして、この一九四九年度以降は予算そのものが、使途がいわゆる復興にも使い得ると書いてありますのが、こういった決算資料によりましても四九年度から新たにこういう費目が加わっておる。したがいまして、この加わった費目をずっと足してみますと、先ほど私申しましたように、三億二千五百万ドルという数字になる。いわばこれがエロアという使途に該当するものではないかということがいわれるわけでございます。しかしながら、予算法上は、あくまでもこのエロアというものはガリオアの使途の一部として、ガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズ、その中の使途の一部でございます。なお、この費目には行政費も相当費目としてはたくさん入っております。終戦までの行政費総額通じますと、八千九百万ドルございますが、そういったものを含めましたのがいわゆるガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズ――ガリオアでございます。したがいまして、特にエロアだけを取り上げてガリオアと並立させるということは、予算の性質から、あるいはこの費目の性質から、実際はできません。しかしながら、先ほどるる御説明申し上げましたような次第でございまして、この五つの項目を大体拾いますと、その目的の、いわゆるエロアと俗にいわれておる目的に該当するものであるということが推定されるわけでございます。その金額は、くどいようでございますが、三億二千五百万ドルというふうにわれわれは了承しております。
○木村禧八郎君 その、一九四九年からと言いますが、この資料によると、一九四七年度からになっていますね。
○政府委員(安藤吉光君) それは間違いでございます。四九会計年度、すなわち四八年七月から始まります会計年度におきまして、初めて軍事予算法によりましてこの費目が上げられたわけで、それは明らかに間違いでございます。
○木村禧八郎君 さっきのお話は予算について言ってるんでしょう。予算ですね。
○政府委員(安藤吉光君) はい。
○木村禧八郎君 ところが、この当時の資料によると、はっきりと一九四七年度から新しくエロア資金が設けられたと書いてあるのですよ。そうすると、この資料はでたらめなんですか。
○政府委員(安藤吉光君) 私、「国の予算」は読んでおりませんけれども、実情は私の御説明申し上げたとおりでございまして、どうもふに落ちないのでございます。
○政府委員(宮川新一郎君) たびたびお断わり申し上げておりますように、この「国の予算」は当時の担当官が有志集まりまして作ったものでございまして、まあ国として公表したものじゃございません。私もそれ読んでおりませんが、一九四七年度と書いてありますれば間違いでございまして、一九四九年度から始まっていることは外務当局が御答弁申し上げたとおりでございます。
○木村禧八郎君 先ほどこの区分がアメリカの決算書によってなされたんだろうと言われたのですが、そうですが。
○政府委員(安藤吉光君) ただいま私が決算資料に基づいて御説明申し上げましたのが、これが実情でございます。大蔵省の係官の方がどういった資料でお書きになりましたかは承知いたしませんが、この資料をわれわれ入手いたしましたのは昭和二十九年でございます。
○木村禧八郎君 それは常識からいいまして、書いた担当官がいるとかいないとか、子供みたいな答弁ですよね。これはだれが見たってね。これは大蔵省が出してるんですよ。当時の池田大蔵大臣、ちゃんと推薦の辞を書いていますしね。これは主計局長河町さんも書いております。ですから、当時としては客観的にこれは忠実に資料をまとめたものだと思うのです。ですから、今になってみると、なかなか当時の資料集めるのはむずかしいと思うのですが、当時でしたから、これはよく資料をまとめられたと思うのですよ。ですから、こういうものをもとにして、もっと私は国会に出す資料としては、区別がちゃんとあるのですから、なぜこういう資料が出せなかったかということを私は疑問に思うのです。とにかくこれはもう一度よく検討してみて下さい。できるはずだと思うのですよ。できないというのは私はおかしいと思う。ちゃんと過去に……。
○国務大臣(水田三喜男君) これは執筆者自身も、ここにそういうものがあったと伝えられていると書いているんだそうでして、執筆者自身もこれを正確な資料持っておったかどうか、これはわからないのです。実際に私が調べましたら……。
○木村禧八郎君 そんなこと書いてありませんよ。
○国務大臣(水田三喜男君) どっかにあるそうですが……。
○木村禧八郎君 あったと伝えられているなんて、そんなこと書いてありませんよ。いいかげんなことを言われては困りますよ。そんなこと書いてありませんよ。あとでもっと検討して出して下さい。私はその点はまだ質問留保しておきます。おかしいと思うのですよ。
○荒木正三郎君 今の問題、ガリオアとエロア、区別がないという外務省の答弁だったのですがね。かなりはっきりとした区別があるんじゃないですか。その具体的問題として、エロア物資として、いわゆる経済復興物資ですね、たとえば綿花、あるいは鉄鉱石。綿花の場合、いわゆるエロア援助としてアメリカの農務省がクレジットを設定して日本に相当量の綿花を入れた問題がありますね。そうしてこれについては、日本の輸出によって得た外貨、これで返済していくという事実がありますね。これは、明らかにこの綿花の輸入はエロアの援助である。ガリオアと区別できないとかあるいは一部だとかいう説明では、説明し切れないものがあると私は思うのですがね。ですから、全く区別がつかないとかいうふうに片づけてしまうことができないのではないかと思うのですが、どうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは全然別でございまして、いわゆる綿花借款、一般のクレジットを設定いたしました場合、それとガリオア・エロアの問題とは別でございます。
○荒木正三郎君 しかし、これやはりエロア援助として一応日本へ援助の形で入ってきたんじゃないですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは日本に当時外貨がなかったわけでございますから、いずれにしても相当なフエーバーを与えなければ綿花輸入というものはできないわけであります。しかし、これは外貨がないのであるからということで、クレジットを設定いたしまして、綿花借款ということで呼んでおりますが、この範疇に属するものとして処理をしておる、こういうことでございまして、一般の貿易的性格を持つ、かような関係でございます。
○荒木正三郎君 この問題は、一般の貿易の問題の中で私は触れて質問したいと思います。一般にこういう物資の援助についても、エロア援助というふうに解釈されて今まで来ておったと思うのですがね。
○政府委員(安藤吉光君) これは通産省のほうがお詳しいかと思うのでございますが、この手元に持っております資料によりますと、CCC綿花借款とか、あるいはその他各種の綿花借款を当時やっております。QM綿花借款というのもございます。今仰せのはいわゆるクレジットを設定されて綿花を輸入する綿花借款、各種のものがございますが、それであろうと存じます。
○木村禧八郎君 関連して。エロアでも綿花輸入されたんですね。エロアでも輸入されているのですよ、綿花。それから、綿花借款によっても輸入されているんですね。ですから、綿花輸入というのは全部綿花借款だけじゃないんですよ。
○政府委員(安藤吉光君) 仰せのとおり、借款ではございませんが、いわゆるガリオア資金で幾分綿花が来たことも事実でございます。
○木村禧八郎君 エロア資金でしょう。ガリオアとエロアの区別がそこで問題になってくるのですよ。ガリオアとエロアは区別されているんじゃないですか、内容が。それはガリオアですか、さっきおっしゃった綿花の輸入は。救済物資ですか。
○政府委員(安藤吉光君) くどいようでございますが、私さっきるる御説明申し上げましたように、一九四九会計年度、すなわち四十八年の六月から始まりますアメリカの会計年度からは、ガリオアの予算によりましていわゆる復興目的のために日本に援助し得るということになりました。ただそれだけのことでございまして、資金といたしましてはガリオア一本でございます。
○木村禧八郎君 それはおかしいですよ。この援助の始まった歴史的経過というものをずっと考えてもそうですしね。それから、「国の予算」の説明でも区別がなされているんですよ。飢餓とか疾病とか、そういう社会不安の防止を目的としたものと、経済復興の援助とは、これは違うわけですよ。それも経済復興の分も、飢餓、疾病ないし社会不安の防止を目的としたものを一緒に説明しているわけですよ。そこがおかしいと思う。予算の項目はそうでも、その中身については違っておるわけですから。それから、綿花の輸入はエロアでも輸入されております。綿花借款でも輸入されております。そこのところはどういうふうに区別されておるのか。
○政府委員(安藤吉光君) 再三申し上げましたように、先ほどの決算資料をごらん下さいますとわかりますように、一九四九会計年度、それから今までなかったいわゆる経済復興的なものに役立つ物資が参っております。それらの中にただいまの仰せの綿花も入っておるやに承知いたしております。
○国務大臣(小坂善太郎君) 問題はこういうことじゃないかと存じますのですが、いわゆるガリオア予算法が改正されたあとのいわゆるエロアという性格のものが入った以後において来た覚書ですね、それと、それ以前の覚書、この両方とも覚書には、この金額並びに支払い方法は後日決定する、こう書いてあるのでございまして、そのときにわがほうとして、その一九四九年以降の物資はこれは経済復興的な問題の性格を持っておるのだから、この問題についてはそれはよけい払うとか、この前のものはただとか、そういう留保はつけたかどうかという問題だと思います。これは全部そういうことがないように、それを承知して歴代の政府が、社会党の内閣の政府もこれは承知して受け取りを出しておるわけです。
 そこで、われわれといたしましては、この問題を考えまする場合に、やはり西独の例を先方は引いてくるわけでございまして、西独ではECAによる資金、これなどは全く今のお考えからすれば、そのECAの資金とそれ以前の資金とは非常に違うということになるわけですが、これはやはり一本にしてECAになってからの十五億三千万ドルと、それ以前の十五億二千万ドル、両方足して三十億ドルにして、それをなべて三分の一にしておるわけでございます。そういうことからいたしまして、これはガリオアだ、これはエロアだといってみましても、なかなかその間に換算率の差等を設け得ない。いわんや先方の勘定からすれば、累次にわたって御説明したように、予算項目としてはガリオアである。そのガリオアの中の支出が従来一本であったものが、一九四九年度以降はエコノミック・リハビリテーションというものに使える、こういうことになっただけの相違である、こういうことになっておるわけです。先ほどお話がございましたが、綿花借款というようないわゆるクレジットの設定されたものについては、これは純粋な貿易勘定として処理されるということになっておるわけであります。
○木村禧八郎君 それじゃ、この資料の点についてはあとでまたあらためて、もう少しほかの資料を探してみて下さい。それで、できたら、私のほうは必要なんですから。政府のほうは一本で必要じゃないと言っておりますからね。アメリカのガリオア予算の中にやはりエロアの項目があると言うのですからね。そうでしょう。ガリオアの中にエロアという項目を一九四九年から作ったと言っておるのです。何だか非常にそこがおかしいのです。ないというのはおかしいのじゃないですかね。
○平林剛君 数字だって全部区分してある。アメリカ陸軍省予算としてガリオアとエロアは区分しておる。
○野溝勝君 こういう点ははっきりしておるのじゃないですか。エロア資金による援助は一九四八年七月――昭和二十三年から、四九年七月――昭和二十四年以後はガリオア資金に合併されたけれども、その前は別になっておるのじゃないですか。そういう点をごっちゃにされておったのじゃおかしいと思うのだな。だから、割り切れないのですよ。
○政府委員(安藤吉光君) 実は私、ここに一九四九年米国陸軍予算法を持っておるのでございますけれども、この中にガバメント・アンド・リリーフ・イン・オキュパイド・エリアズという項目がございまして、その項目の下にずっとこまかく書いてございます。その項目の中にずっと続けていろいろな目的が書いてございます。その項目の目的でちょうど二ページくらいに余るいろいろ説明が書いてあるのでございますが、その説明のまん中ごろに、この歳出は日本、朝鮮及び琉球における経済復興にも右を使ってもよろしいということが書いてあるのでございます。したがいまして、予算の項目としてガリオアと並んで別なエロアというものがあったわけじゃございません。あくまでもガリオアというもの一本でございます。その中でいろいろな目的に使っておるのでございます。
○平林剛君 今のことについてちょっと……。それはおかしいと思う。僕の持っておる資料によれば、やはり陸軍省の予算では科目はガリオアとエロアに分けておる。決算数字も出ておりますよ。一九五〇アメリカ会計年度によれば、エロアのほうは九千七百四十六万二千ドル、区分けしてあります。一九五一アメリカ会計年度によれば、一億八千八百二万三千ドル、区分けをしております、エロアの分がガリオアとは別に。
○政府委員(安藤吉光君) 私はどういう資料か存じ上げませんが、レファレンスという本じゃございませんですか。
○平林剛君 違います。
○政府委員(安藤吉光君) 私どもがお手元に提出いたしました「米国の対日援助額」というものが、これが向こうの決算の資料でございます。
 なお、つけ加えますと、この中の別添二というところのさっき申しました五つのプロジェクトを拾っていただきますと、これが大体一九四九会計年度から始まって、いわゆる追加になった目的としてガリオアの中から出ておるいわゆる、何と申しますか、復興的な物資になっておるということに承知いたしております。
○委員長(棚橋小虎君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
○委員長(棚橋小虎君) 速記をつけて。
○木村禧八郎君 ただいまのガリオアとエロアの区別について、こちらにもそういう区別された資料があるのですから、もう一度政府においてもよくいろんな資料を当たってみて……。で、区別した資料を要求いたしておきます。委員長からも……。
○委員長(棚橋小虎君) その点は、後刻理事会で相談いたします。
○木村禧八郎君 それじゃ、これから本論に入るわけです、今まで資料について、資料が不備ですから……。
 それでは、外務大臣にまず伺いたいのですが、これを債務として返済する理由、これは今まで衆議院でも参議院でもいろいろ論議されておりますから、なるべく私は重複を避けて質問したいと思うのです。そこで、簡潔に、政府は債務と心得て、そして返済しようとしておるわけですが、その根拠はどこにあるのですか。これを簡潔に言っていただきたい。
○国務大臣(小坂善太郎君) 今までいろいろな機会に申し上げておりますから、非常に簡単に申し上げますと、まず先方の覚書に、これはいずれ返すのだ、ただ計算方法、それから金額は相談する、こう書いてあって、自分の方でそれを承知して受け取っておる、これが一つであります。それから、先方が予算支出をするわけでございますが、その予算支出の際に、先方の要人がいろいろアメリカの議会でその理由を説明した。その説明の中からは、ただだということは出てこないで、やはり覚書の趣旨を確認していること。それから、極東委員会の対日政策、これなどもその理由ということで、日本に対する戦後の援助というものは、何がしかはこれはくれるけれども、何がしかは返すのだ、こういう性格のものだ、こういうことでございます。
 しからば、講和会議のときになぜそういう問題が出なかったかということがあるかもしれませんけれども、講和会議というのは多数国との間の講和でございまして、アメリカと日本国との間だけのガリオア返金というようなものは、これは特に講和条約の際に規定すべきものではない。わがほうとしても、占領者であるアメリカと被占領者であった当時の日本政府との間に交渉を持っても、満足な交渉ができないから、これはあとで日本のほうに力がついたときに、対等な交渉能力を持ったときに解決したほうが有利である、こういう考え方のもとに先方を説得して、そういうふうなものは、いずれ決定するというのは講和後に延ばす、こういうことにした、こういう事情であります。
○木村禧八郎君 もう一つ何か理由があったと思うのですが……。
○国務大臣(小坂善太郎君) 阿波丸の協定のことかと思いますけれども、阿波丸協定の付属了解事項で、占領費並びに戦後の日本に対する借款及び信用は日本に対する有効な債務で、アメリカ政府の決定によってのみ減額されるものと了解する、こういうことが了解されておりますわけで、これなども一つの理由であります。
○木村禧八郎君 阿波丸の問題については、衆議院でも問題になったし、ただし、それが経済貸付とか、さっき言った綿花借款とか、あるいは貿易の回転基金、そういうものをさすのか、いろいろ問題があるわけですが、それはまたあとで質問するとしまして、要するに政府の考えは、過去のいろいろの記録から見ても、債務である、あとで返済するという取りきめができているのだ。それが根拠ですね。第一の根拠です。それから、もう一つは、これまで、これは吉田総理も前に言われたのですが、これは慈善ではない。独立国として慈善を受けるべきではない、だから返すべきものである、こういうふうに答弁してきておりますが、これも一つの理由になっておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これは、マッカーサーがアメリカの議会にメッセージを送りまして、その中にもそんなようなことを言っているわけです。これは昭和二十二年の二月二十日のことでございますが、米国予算からの支出は、日本国の債務となる、援助は慈善ではない、日本国民もまた慈善を欲していない、こういうことを言っております。さっき申し上げました極東委員会の決定というのは、降伏後の対日基本政策、これは二十二年の六月十九日に出ておりますが、日本に対する輸出代金は非軍事的復興に支出することができる。輸出代金でもって非軍事的な輸入すなわちガリオア・エロアというようなものの代金の決済に充てることができるという趣旨で、こういうものに対して、ただでやるわけじゃない、こういうことを言っております。これなどもさっきの理由に、簡単に申し上げましたので除きましたが、いろいろ先方の理由の中に入っているわけであります。
○木村禧八郎君 それは、対日基本方針についての解釈は、私は少し違うのですが、これはガリオアというものをさしているのじゃないと思うのです。ことにあのころはエロアなんていうのはありはしませんし、少し違いますが、しかし、要するにこれは債務である。そういういろいろな文献もあるし、そこで債務と心得る。それから、もう一つは、独立国として慈善を受けるべきではない、慈善じゃない、こういうことを吉田総理も言ってきているわけです。結局根拠としては、その理由としては、これは債務である。向こうも債務として主張しているし、そういう記録もある、それで政府は債務として心得ている、債務性があるのだということですね。それが一つと、もう一つは、慈善を受けるべきではない、独立国として返すべきものだ。この二つと見てよろしゅうございますか、根拠は。
○国務大臣(小坂善太郎君) 私は、むしろ先方の言っている資金の性質ですね、それを申し上げているわけです。だから、われわれの気分としては、やはりこれからアメリカといろいろな面でむずかしい折衝もしていくわけでございますが、その際に、いつまでも、何か終戦の復興は、アメリカが慈善をほどこして、そのために日本民族は立ち直ったというようなことを思われるのははなはだ遺憾だと思いまして、そういうものはやはりきれいにしておいて、言うべきことはちゃんと言う、こういうほうがいいと思います。
 なお、この解決は昨年から行なわれたわけではございませんで、御承知のことでございますが、終戦直後の、この昭和二十七年にマーフイ大使から当時の岡崎外務大臣にこの解決のことを言ってきております。翌年行なわれました池田・ロバートソン会談においても、このことは言及されております。これは公式な話でございませんけれども、その当時七億三千万ドルというような数字が出たようにも承知しております。その後、公式な交渉を東京で昭和二十八年の五月から十月にかけて行なわれました。そうして昭和三十年に重光当時の外務大臣がアメリカへ参りまして、ダレス当時の国務長官との間に共同声明を出して、この解決は至急にやろうというようなことを言っております。その後、事あるたびに日本の要人がアメリカへ参りまするたびに、この問題の実は催促を受けているわけです。そのたびに、こちらとしてはまだどうとかこうとかいって、逃げておる格好になっておるわけです。もうここまで来て、ドイツは五年も前にこの問題は解決しておりますので、日本だけがいつまでもそうやって、事を言辞を弄して逃げておるような格好は、これははなはだ今後の対米関係、日本の国際信用という点からいかがと、こう考えまして、交渉に踏み切りまして解決をしたいと、こういう実情になっております。
○木村禧八郎君 私は、この問題は、かりに債務と心得るにしましても、それが必ずしも返済しなければならない私は債務ではない、こう思うのですが、かりに債務であるとしても、その点はもっと私は明確にしなければならない。それから、日本がこれをかりに返済しなくても、これは単に慈善を受けたものではない、返済しなくても。あの当時感謝はいたしましたけれども、しかし返済しないからといって慈善を受けたものではないと私は思うのです。
 そこで、その根拠としていろいろな点を質問したいのですが、まず第一に、このガリオア・エロアの援助を考えるにあたりましては、この援助が行なわれるに至りましたあの当時の事情というものがよく理解されなければならないと思うのです。援助されるに至ったあの当時の事情を抜きにして、あの当時のいきさつを抜きにしてこの問題を考えても、これは非常に観念的な、抽象的なまた議論になると思うのです。そこで、あの当時どうして司令部が日本に援助をするに至ったか、その事情を外務大臣はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(小坂善太郎君) われわれの先輩からいろいろ聞きますと、終戦直後にその人たちの頭にあったのは、現地調弁をされたらたいへんだ、日本は占領を受けるわけですが、占領軍が日本で現地調弁をするといっても、これはどこの国でもやっておることであって、これは断わる理由も無条件降伏をしている日本としてはない、そうなったらたいへんだ、こういう気持が非常に強かったということであります。しかし、そうではなくて、先方は余剰物資というものがたまたまあったりして、これは非常にわれわれにとって仕合わせなことであったと思うのですが、これを日本に人道的な気分で、日本に対して持ってきて、日本の経済安定、民生の安定というものに寄与をしよう、そういうことであえてこの援助に踏み切った。これは日本ばかりでなくて、西独でもそうであったし、またイタリア等にも多少行っておりますし、それから琉球、韓国、それからオーストリア、こういう方面にも行ったわけでございますが、そういう事情というのは非常に当時としては、われわれが現地調弁をされるかもしれぬと思っておったところに、そういう援助を受けたことは非常ないいことであった、こう思っております。
○木村禧八郎君 外務大臣はそういう御認識なんですかれ。対日基本方針、これの一番最初の目的、日本の占領政策の目的はどういうところにあったと思うのですが、最初の。
○国務大臣(小坂善太郎君) 昭和二十年の九月二十二日に、降伏後における初期の対日基本方針というのが出ております。これは、アメリカ政府は、降伏後における初期の対日方針としては、日本国は平和目的のために必要な物資の輸入並びにその支払いをなすための輸出を許可さるべし、こういうことを言っているわけでございます。
○木村禧八郎君 一九四八年一月六日に、サンフランシスコでロイヤル長官が演説をしているわけですね。それは記録はあると思うんです。それは日本の非軍事化と経済自立に関する演説をしている。その中でこういうふうに述べているんです。その占領政策の最初の目的は、「日本の侵略の防止、すなわち武装解除による直接の防止と、再び侵略戦争の精神を発展せしめないような種類の政府の創設による間接の防止とであった。日本の真の幸福、または国家としての強さは断然二次的な考慮であった。すなわち日本からわれわれ自身を護ることの次であり、戦勝連合国に与えた損害に対する賠償支払から見て二次的の問題であった。」、こういうふうに述べている。要するに、最初は日本を徹底的に非武装化する、再び日本が侵略国家にならぬように徹底的に非武装化するということが占領の最初の目的であって、日本国民の真の幸福とか、そういうものは第二次的なんだ、こういうことをはっきり言っているわけです。そうして、さらにこういうふうに言っているんですよ。ロイヤル長官は、「私自身を含む多くの米国民にとって、最も驚くべき経過であり、かつわれわれのドイツ及び日本に対する勝利の最も失望的な面の一つは、占領問題についてわれわれに負わされてきた責任と費用であった。当初この負担の程度を認識し得たものはほとんどなかった。今日ではわが国のあらゆる市民がわが占領政策がいかなるものか、またいかなる理由によるかを疑問とするのはもっともな次第である。」、こういうふうに言っているわけですね。パールハーバーの問題もあったわけでして、アメリカ国民がパールハーバーで日本に打撃を与えられて、非常に日本に対する感情が悪かったわけですね、アメリカ国民の。そういうときに日本に援助をするということは、たいへんアメリカ国民に理解させることが困難であるということが書いてある。そこで、どうしてもこれは債務という形において、アメリカ国民の税金で日本を援助するのでありますから、パールハーバーでああいう打撃を受け、日本に対するアメリカ国民の感情が非常に悪いときに、日本を援助しなければならぬ、こういう事態にあったわけですね。ですから、私は、これを単に贈与であるというふうには言えなかったと思うんです、アメリカとしては。アメリカ国民の税金負担で日本を援助するということになるんですから。そこが非常に矛盾に陥っている、ジレンマに陥っている、マッコイ少将はちゃんとここに言っているんです。ですから、その当時は日本からこれを返してもらわなくても、一応アメリカ国民には債務という形で、ただやるのじゃない、こういうふうに説明しなければ援助できなかったのじゃないかと思うんです。
 しかも、なぜ援助をしなきゃならぬかというと、ここに書いてあるわけです。「その後新しい情勢が、世界の政治及び経済に、国防問題に、また人道上の考慮に生じた。わが今後の道を決定するに際しては、今はこれらの変化を充分考慮に入れなければならないが、これらの成行きは多く最初の方針が定められた後に生じたものであることを記憶すべきである。」、つまり、中央政権ができつつあったころですね。四九年には中共政権ができました。その前に蒋介石がもう敗北して台湾に逃げつつあるときであります。ですから、アメリカの最初の対日基本方針は非常にミスを犯したと言われるのですが、戦争においては、中国においては蒋介石政権が支配する中国を頭に置いていたわけですね。ですから、日本に非武装憲法を与え、極東のスイスみたいにするのだとマッカーサー元帥が言ったのはそのことを意味しているのであって、アメリカは、戦後においては蒋介石の支配する中国をアメリカの極東政策の拠点にすればいいという考えがあったから、日本に非武装憲法を与えた。そうして、もし日本にアメリカが援助を与えなければ飢饉と疾病によって日本が赤化する危険がある、共産化する危険がある、そういうのでアメリカ国民としては、感情としては援助したくないんだけれども、援助せざるを得なかった。そういういきさつからやはり債務というふうに私は形はなっていると思うんです。そうじゃないんですか、ほんとうは。
 いろいろ文献を見ましても、これがアメリカ国民の税金負担であるということをどこにでも書いてあって、それが結局占領費として返ってこない、そういう負担であるというふうに理解されておるんです、どこでも。一応債務というように言ってはおりますけれども、そういう意味での債務であったのです。ですから、これはあの当時の事情を頭に入れて債務の問題を考えませんと、単なる債権債務と違うと思うんです、これは。ですから、これは必ずしも返さなくても慈善を受けたというようなものではないと思うんです。あの当時のいきさつからいえばですよ。それで、日本を救うのが目的ではなかったわけですよ。われわれとしては援助を受けてありがたかったのですから、感謝するのはいいんです。だから、ただ感謝だけしておったんではものの二面だけしか見ていないと私は言うのです。アメリカは何のために援助したか。日本の赤化を防止するために援助せざるを得なかった。そういういきさつがあると思うんですが、外務大臣はそういう点について、そういうことを頭に置いて交渉されたのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) 一九四七年にガリオア予算が通りますときに、これを今お話しのように債権にすると、クレジットということにしようという話があったけれども、そういうふうにすれば一銭二厘といえども取り立てなくちゃならぬ、こういうことになるから、それはやめようということになった経過があるということでございます。もちろん、初期の基本方針というものは、日本の民主化、こういうことでありまして、その日本を民主化するためには、日本の国民の生活を極度に窮乏に陥れるというやり方は、これは賢明でないと、こういうことから援助が来たというように私どもは理解しております。
 ですが、さればといって、それは今お話しのように、旧敵国でありますから、戦争直後に対日感情がいいわけはないんです。しかし、その日本に対してアメリカ国民の納税をそちらに分けていくということについて、政府の当局者がいろいろそれを正当化するために議会で証言等を行なったこの事情はもちろんあると思います。しかし、さればといって、それじゃ全部ただかというと、どうもそうもいかぬということで、私どもが今度交渉いたしましたのは、結局四分の一払って四分の三はただということでございますから、まあこの程度のところが非常に妥当なんじゃないか、こう思っておるわけでございます。
○木村禧八郎君 外務大臣はしばしば、この程度なら妥当じゃないかと言うんですけれども、一応表面に現われている数字は、アメリカは十九億ドル、日本は十七億ドル、それが四億九千万になっておるわけです。非常に減額してもらったん、だからありがたいというような考え方をしているんですが、私はそれは非常におめでたい考えだと思うんですよ。実におめでたい考え方です。ですから、アメリカがなぜ日本にこういう援助をしなければならなかったかということを、そういうあの当時の具体的の事情とあわせてこれを考えなければならぬ。そうすれば、アメリカは日本から返済してもらえなくても非常な得をすでにしておるんです。
 もう一つ、前に予算委員会でドッジさんの証言を引用して質問したことがあるんですが、重ねてここでこのドッジさんの証言を申し上げて私は質問をしたいのです。ドッジさんは、昭和二十四年四月七日に日本に来たときには、日本の新聞記者に会って、アメリカの援助というものはアメリカ国民の税金から負担しているんだということを言っておるわけです。ところが、アメリカの国会ではこういう証言をしておるんですよ。これはアメリカの第八十一国会の下院歳出委員会です。一九五一会計年度ガリオア歳出要求に関して、アメリカの納税者を納得させるため、日本に対する米国の援助は決して損をしているものではないと、こういう証言を行なっている。こういうふうに言っておるんですね。「対日歳出要求の主要な構成が食糧と綿花とに関連していることは強調さるべきである。現在も将来もこれらはいずれも過剰物資であり、商品金融会社によってすでに買上げられているが、商品金融会社は現行立法によって買わなければならぬものである。その限りで現在も将来も政府支出の増加を意味しない。対日援助計画の実費は、このように主として要求された資金で購入さるべきものが過剰物資であることを充分考慮さるべきである。一九五一年度に日本向けに要求される経済援助総額(二億七千百万ドル)のうち八七%はアメリカの過剰物資の購入と輸送にふりむけられるのであり、その中には小麦の一億三千百万ドル、綿花および生綿の九千九百万ドル、油脂五百万ドルが含まれている。歳出要求と関連してさらに重要なことは、本年度に日本にあたえられる援助は、日本が占領軍にあたえる費用のドル換算よりも少なくないという率直な事実である。本年度の日本に対するガリオア援助資金要求額は二億七千万ドルであるのに対し、占領軍のための日本政府支出のドル換算額は約二億九千七百万ドルになろう。日本占領のアメリカ軍のため日本政府による支出は、もしそれがなかったら、国防省の軍事予算から約三億四千五百万ドルを必要としたことであろう。……合理的な適切な援助額は他の地域と比較してわりのよい投資なのである。」、インタレストだと、こういっているんですよ。「日本は現在極東におけるわれわれの既成のインタレストの焦点をなしている。将来も相当期間のあいだ、それは米国のいくつかの重大インタレストの一つになるだろうが、現在では日本はわれわれが大きな影響力をもち、かつわれわれが目的達成に必要な諸要因のすべての完全な統制力をもっているアジア唯一の国である。過去一年ことに最近におけるこの地域の出来事の傾向は、日本におけるわれわれの地位を増強し強化する必要を強調するものであった。われわれの将来の極東政策の発展は、極東地域への今後の援助拡張の跳躍台として、また供給源として、日本を利用することを必要ならしめるであろう。」、こういうふうに述べているのですね。これから見ますると、ドッジさんは、一応これはアメリカ国民の税金で援助しているんだ、だから債権ではある、こういうふうに言っておりますけれども、アメリカ国民としてはちっとも損をしているのじゃないのだ、日本に援助したものは余剰物資であるということは十分考慮さるべきであるということを言っておりますし、また日本の占領費のほうがはるかに援助額より多いんだ、だから損をしていないのだと。
 で、もし余剰物資を日本に輸出しなければ、援助しなければ、農産物価格支持のために商品金融会社が買い上げなければならない。買い上げて、価格支持政策をやらなければならないのですよ。それで、日本に援助したために、向こうの農産物価格を安定させることができたわけですね。ですから、アメリカはこれによってちっとも損をしていないのでありますし、かりに日本が債務であるとしても、アメリカはちっとも腹が痛んでいないのです。そういう債務である。そうしてまた、日本をアメリカの影響下に置いて、そして今後極東地域にアメリカは援助を行なう場合の跳躍台として日本を利用することができるんだ。ですから、少しも損をしていないんだということをドッジさんはアメリカ国民に説明しているわけですよ。かりに債務であるとしても、それはアメリカは一つも損をしていない債務なんですよね。これによってむしろアメリカは利益を得ているとドッジさんは言っている。そういう内容の債務ですから、したがって、この債務を、外務大臣は、これは金額はうんとまけてくれたんだから、四億九千万ドルぐらいは当然払うべきものだと言っておりましたけれども、これを払ったらアメリカを非常にまたもうけさせる、得をさせるということになるのじゃありませんか。ですから、私は債務であるということと、その債務の内容です。これが正当なる債務ではない。ことに占領下であって、日本に債務として一方的に向こうが押しつけてしまったわけであります。そういうことからいって、かりに債務であるとしても、こういう事情を述べて、債務ではあるとかりに認めても、しかしこれはこうこうこういう事情があるわけですから、アメリカさんは一つも損をしていないのじゃありませんか、それなのに、なぜこれを返済を要求するかというふうに交渉されなかったのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) この問題については、他の機会でもいろいろ御質問もあり、お答え申し上げたわけでありますが、そういうドッジさんの証言があったということは、それだけに旧敵国であったわが国に対する援助というものがなかなか反対論が強かった、こういうことではないかと思うのでございます。しかし、われわれはこの援助すなわち債務というふうに言っているわけじゃございませんで、債務性がある、こういうふうにわれわれも認めておったわけでございます。今回御審議をいただいて国会の御承認を得れば、ここで債務が四億九千万ドルというものができるわけでありますが、先方としてはそういう事情もあって、今までには、先ほど申し上げましたように、何回もいろいろ督促をし、そのたびに先方としても、最初七億三千から六億ドルぐらいのところまでおりて参りましたけれども、今回四億九千万ドルというところまでおりたということは、先方としてはかなり踏み切ったということだと思います。
 やはり同じような条件にありました西独、西独にいたしました援助も、今あげたドッジさんが証言したと同じように、余剰物資であって商品金融会社の手持ちであったものが援助されましたけれども、それは九年前にすでに解決を見ている。しかも、一九五三年の西独の議会においてこの法案が通りますときには、反対党も一致して、非常に戦後の復興というものがアメリカのドレッシングによってできたということを感謝して、これからドイツは一本立になって、旧債務のごときものは返して大いにやろうと、こういうふうなことで通ったということを聞いております。当時反対したのは共産党だけであります。共産党も消えてしまった。こういう事情にありますので、われわれとしてはいつまでもそう言っておいてけりがつく問題ではないし、またおしかりを受けるかもしれませんけれども、この程度ぐらいのところまで先方がおりてくれば、われわれとしてはこういうものはきっちりとけりをつけて、われわれの主張すべきものは堂々と主張する、こういう態度のほうがよかろうと考えております。
○木村禧八郎君 私は、けりをつけるにしましても、けりのつけ方について、あとなお、なぜこれを円払いにしなかったかということに関連して質問したいと思うのです。その前に、まだ……。かりに債務であってもアメリカは決して損をしていないのであるし、むしろかなりこれを通じて得をしているという点があるわけですから、そういう点はやはり明らかにして交渉すべきだったのではないかと思うのです。
 そこで、これに関連して伺いますが、援助物資の価格とか数量とか、そういうもののきめ方は、あれは管理貿易下にありまして一方的にアメリカがきめたものでしょう。そうなっているのじゃないですか。
○政府委員(安藤吉光君) 通産の方がいらっしゃいませんで、私から御説明申し上げます。
 当時確かに管理貿易でございました。したがいまして、米国の決算べースによります資料、それは確かにアメリカのほうのいわゆる財政的にどう支出したかという向こうの資料でございます。私どもといいますか、通産省で日本側の数字を算出いたしましたときには、大体これらの物資につきましては大部分が価格は表示してなくて、数量とか品質とか、そういうものはわかっていたわけであります。したがいまして、通産省が多年にわたって一件々々ごとの資料で積み重ねて算出されましたときには、当時の国際物価指数とか、あるいはIMFの数字とか、いろいろ基礎的な標準的な単価をかけて算出なすったまあ一応信憑すべき公正な数字というものをもってこれらを評価された。したがいまして、一つには日本側の遺留資料が非常に厳格に、これはガリオアであるということがわかっているもののみを集めてやった。もっといろいろせんさくすればあるかもしれません。しかしながら、ガリオアとわかっているものだけを集めたということと、それからわれわれのほうで適当であると考える物価指数を、標準単価をかけてやりました関係で十七億九千万、向こうとは二億近い開きになった数字になったわけであります。
○木村禧八郎君 あの当時のガリオアが打ち切られるまでの対米貿易ですね、アメリカの管理下における対米貿易はどういうふうになっておったかですね。アメリカからの輸入が非常に大きかったわけでありますが、その場合、私は管理貿易を通じてアメリカはかなりその利益を得ているのではないかと、こう思うのですが、あの当時の対米貿易の実態ですね、大体アメリカからの輸入は全体の輸入のどのくらいを占めておったか。
○委員長(棚橋小虎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(棚橋小虎君) 速記をつけて。
○木村禧八郎君 それじゃ、その数字はあとで聞くといたしましょう。
 それで、ドッジ氏が来ましてから、為替が一本になるというので、あの一ドル三百六十円というのは円安にきめられたと思うのですが、円高にきめられたと思うのですか。これは大蔵省ですよ。
○政府委員(上林英男君) 当時やっておりませんので、正確にはお答えできないと思いまするけれども、私のあのころの記憶を思い出してみますと、いろいろ議論があったように心得ております。概していえば、円を強めにやったという議論が多かったように私は記憶いたしておりますが、物によりましては反対であるというふうな議論もたしかあったと思います。物によりまして、あのときもいろいろな議論があったように記憶いたしておりまするし、いろいろな計算の何といいますか、高いとか安いとかという具体的な計算まで雑誌やなんかに出ておったような記憶もいたしますが、正確には覚えておりません。
○木村禧八郎君 物によって違う影響が出てくるのは当然ですね。その前は普通為替でありましたからですね。私は、対米貿易に関する限りは、かなり円安になっていたのじゃないかと思います。原料輸入の場合、かなり不利になったのじゃないかと思います。あの当時の貿易は入超がずっと続いているのですよ。ほとんど対米貿易の入超なわけですね。ですから、私はそういう貿易面を通じましても、アメリカは決して損しているのではないと。それで、為替レートの設定の仕方から見ましても、アメリカはそういうものを通じて、しかも為替相場の設定一ドル三百六十円はドッジさんのもとできめられたわけでありますから、そういうことから見ても、アメリカは決して損をしているのではないと、こう思うわけですがね。その点はどうですか。対米貿易と為替相場との関係ですね。それで、原料輸入が非常に多かったのですから、特にアメリカからたくさん輸入したのですから、私はアメリカはそういう面からもかなり得をしているのだと……。
○政府委員(上林英男君) これも正確なお答えになるかどうかわかりませんが、当時の物価政策といたしましては、原材料あるいは基礎資材というようなものは安く売り渡すといって、そういうものにつきましては、いわば低物価政策を極力しいておったわけでございます。したがいまして、その面につきましては配慮が相当強い。しかし、その他の消費資材につきましては、そういう配慮が若干薄れておるということもございますから、そういう面におきまして、物によって非常に違っておったということも言えると思います。しかしながら、この問題は、その当時の物価対策の関係から出て参ります問題でございまして、したがいまして、それによってアメリカとの関係を云々するということは若干いかがかと思っております。
○木村禧八郎君 そういうこともやはり、この返済にあたっては十分検討をされるべきじゃなかったかと思うのですよ、あらゆる点から考えて。そうしてかりにこれを返済しなくても、決して不当ではない、そういう論拠もやはり政府としては十分調べて交渉に当たるべきじゃなかったかと思うのです。ただ債務性があるのだということだけで、それで金額をまけてもらったからこのくらい払うのは当然だ、そんな簡単な割り切り方で返済されたのでは、われわれとしてはどうしても納得いかないわけですよ。ですから、そういう点を十分考えて……。これは慈善じゃないのですよ。はっきりマッカーサーが言うように、慈善どころか、アメリカの投資なんです。インベストなんです、非常に得しているのですから。それをまたここで返すなんというのは、二重にアメリカは得し、もうけるわけです。そういう点も十分にこれは考えなければならないと思うのです。
 それから、もう一つ伺いたいのですが、占領費との関係ですね、終戦処理費との関係はどうなっておりますか。終戦処理費はこの援助額よりもはるかに多くなっております。これは前にわれわれに資料を提出してもらいましたですね。昭和二十一年から二十八年まで、五千百六十八億四千八百万円、大体これで正しいですか。
○政府委員(宮川新一郎君) そのとおりでございます。
○木村禧八郎君 これは、ドル換算はどのくらいになりますか。いろいろ当時、為替相場が違いますけれども、大体大蔵省のほうで換算すると……。
○政府委員(宮川新一郎君) 御指摘のように、当時いろいろな換算率がございまして、年度によりまして換算率が変わっておりますが、当時の軍票換算率で換算いたしますと、約五十四億ドルでございます。
○木村禧八郎君 五十四億ドルという終戦処理費を払っておるわけですね。占領費をね。前にも言いましたように、アメリカとしては、この対日援助をやる場合、終戦処理費と見合って行なってきておると私は思うのです。ですから、かりにこれは取れなくても、占領費と差っ引きすれば、アメリカは決して損をしない。ドッジ氏もはっきり言っておるのですよ。ですから、関連さして考えて、日本の政府はどういうふうに考えていますか、終戦処理費と対日援助との関係を。
○国務大臣(小坂善太郎君) 終戦処理費は平和条約第十九条で日本側の負担したもの五十四億ドル、アメリカの直接軍費というものは十四条で先方が負担した、こういうことになっておるわけであります。今、終戦処理費を払いながら、なぜガリオア・エロアの返済をするかということでございますが、ドイツの場合は終戦処理費を百二十七億ドル払っております。そしてガリオア・エロアの返金、ECAの返金というものが十億。でございますから、やはりそれとのバランスで、日本だけが終戦処理費を負担しているからただだということも言えないということでございます。
○木村禧八郎君 アメリカが終戦処理費によって日本から物資とかいろいろのサービスを調達したわけです。あの当時の事情を御存じの方はおりますか。日本のインフレがひどくなったのは、終戦から昭和二十三年ころまでものすごくインフレがひどくなりましたね。あのとき日本のインフレをひどくさせた原因にはいろいろあります。いろいろありますが、その一つは終戦処理費が非常に大きく出てきたということですよ。そうして当時の記録を見ますと、日本が戦争で負けて物資が非常に乏しいところへ持ってきて、アメリカ軍が終戦処理費をもって石炭を使い、われわれが非常に寒さを感じて日本国民一般が困っておったときに、あそこのGHQは石炭をどんどんたいて、そうしてみんな上着ぬいでワイシャツ一つでやっておったのですよ。非常に日本の物資が乏しいときに、この終戦処理費を通じて、そうして電力もガスも水道も石炭も、あるいは鉄も、そういうものを調達したわけです。当時の調達庁の記録を見ますれば、これが非常にはっきり出ておるわけです。日本のあの当時のインフレをひどくした原因にはいろいろあります、それだけじゃありませんけれども、終戦処理費があのときにものすごく出てきたわけです。これはインフレをひどくさせて、当時日本国民を非常に苦しめたのですよ。そういうものなんですよ。そういうことも頭に置いて、そうしてやはりこの援助というものとの私は見合いにおいて考えるべきだと思うのですよ。
 ですから、アメリカは援助したと言いますけれども、占領初期の段階においては非常に無理な調達をしまして、調達庁でもずいぶん困ったのですよ。調達の方式なんかについてもいろいろ問題ありましてね。ですから、そういうこともやはり頭に置いて、この援助は債務であるとしても、それから終戦処理費は当然敗戦国民ですか、被占領国民が負担するものとしましても、取りきめとか条約できまっておっても、事実問題、実際問題としては、これは相殺以上にわれわれ負担しているのじゃないですか。そういう点、やはり交渉にあたって強調されたのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) われわれ、あらゆる面でいろいろ話をしたのでございますけれども、今の調達は、日本の国内で調達した分もありますが、先方は非常に物を持ってきているわけですね。それから、先方の需要を満たすのは、直接の軍事費で満たしておるわけです。これも相当使っておるということを言っております。なお、わが方の立場に立って見ますると、これはわれわれとしては当時非常に物資欠乏にあえいでおったのでありますが、そのとき先方が物資をよこした、それを日本ではマル公でもって配給するということができたごとは、終戦後のインフレ下でわれわれ非常にあえいだわけですが、これがわれわれの経済をその後立ち直るだけの力を与えた一つの動因になっているということも認めざるを得ないわけです。お前のほうが終戦処理費で非常に物を使ったから日本はインフレになったのだという議論は、やはり敗戦後のあの当時の物資の窮乏あるいは財政政策の貧困、そういうようなものからインフレを起こしたわれわれの責任を全部ゼロにして、先方のやったことだけがインフレの原因だという主張には、どうもちょっとなりにくいように思って、一応は話しましたけれども、それだからただにしろということにはならなかったわけでございます。
○木村禧八郎君 まあ過去のことですから、あまり繰り返したくないのですけれども、それは小坂さん、そんな今御答弁なったらおかしいと思うのですよ。あのころはずいぶんみんな抵抗したものなんですよ。終戦処理費があんなにじゃんじゃん出てきたから、石橋さんなんか非常に困ったのですよ。石橋さん抵抗したのですよ。しまいには石橋さんは好ましからぬ人物として追放されましたけれども、あれは別の問題ももちろんありましたけれども、財産税の問題もあったけれども、しかし、あの当時としては明らかに、私もあのころのインフレをずいぶん調査をしておったわけですけれども、あれが全部の原因ではなかったのですけれども、日本のインフレをひどくした当時の原因としてはそれはひどかったのですよ。戦争に負けて預金がどんどん引き出されたということ、政府が余った臨軍費をどんどんむやみに使ってしまったというようなこともあるのですけれども、しかし、あの当時としては、物資欠乏のときにアメリカがああいう終戦処理費で調達したということは、ずいぶんインフレをひどくしたわけなんです。そういうこともやはり頭に置いておかないと、何でも援助してもらったからありがたいありがたいだけで、私は済まされないと思うのですよ。少なくともアメリカは決して慈善としてやっているのではないのですから、ただありがたがってばかりいたのでは、私は済まされない問題だと思うのです。
 それから、次に、それでは伺いますが、アメリカから援助を受けた物資を売って、それで日本は見返資金に積み立てましたが、あの資金というのは、あれはどういうふうに運用されたのか。あれは日本の政府の資金であるのかアメリカ政府の資金なのか、どっちだったのですか。
○政府委員(宮川新一郎君) 日本側の資金でございます。
○木村禧八郎君 日本側の資金とすると、日本政府はあれは自主的に運用できたのですか。
○政府委員(宮川新一郎君) 当時占領下でございまして、司令部の許可を受けて運用しておりました。
○木村禧八郎君 それならば、日本側の政府の資金でありながら、一々司令部の許可を受けなければこれは運用できなかった。そうして円に換算するときはどういうふうにして換算したのです。
○政府委員(宮川新一郎君) 二十四年四月一日から二十四日までは三百三十円、二十五日以降は三百六十円で換算いたしまして、援助物資のドル価格を円に換算いたしまして、貿易特別会計から見返資金特別会計のほうに繰り入れたわけであります。
○木村禧八郎君 これは、司令部のあの覚書に基づいてそれはやったと思うのですが、ここに大蔵省理財局で編さんした資料があります。「ガリオア及びイロア輸入による見返り円」というそういう件名で覚書が出されておりますが、これを見ますと、日本銀行内に政府名義で日本安定のためアメリカ援助見返資金特別勘定を設置するということになっておりますね。「連合国総司令部は随時米国援助ドル価格を日本政府に通報し、又日本政府はこれに基いて総司令部より日本政府に指示された交換率又は為替レートによって計算された等額の円を資金に預け入れるものとする。」、こうなっているわけです。そうなれば、これは援助のドル価格もアメリカがきめるわけですね。そして日本政府に通告する。そうして今度は円に直す場合の交換率、為替レート、これもアメリカのほうが指示するわけですね。
○政府委員(宮川新一郎君) ドル価格は、木村先生御指摘のとおり、アメリカから通報がございます。換算率は、私お答え申し上げましたように、指令に基づきまして大蔵省令を出しまして、昭和二十四年四月一日から二十四日までは三百三十円、それ以降は三百六十円で換算いたしまして積み立てて参ったのであります。
○木村禧八郎君 あれですか、援助のドル価格は随時アメリカ政府が日本政府に通報するというのでしょう。これは向こうが一方的にきめて日本政府に通告するわけですね。
○政府委員(上林英男君) これは援助があるなしにかかわらずドル価格を通報するという意味ではございませんで、援助の援助物資が届きますと、通産省が当時受け取っておりましたが、その受け取った援助物資につきまして、司令都側と相談いたしまして確認をいたしましたドル額が司令部から通報になって、それに見合う円が積み立てられる、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 ですから、そのドル価格というのはアメリカのほうの計算で、そしてアメリカのほうで計算して、日本に相談してきめるわけでないのでしょう。計算して一方的にきめて、日本政府に通報するということなんでしょう。これは普通の債権債務と違うのですから、非常にそういう特殊なものでありますから、そういう点を聞いているわけです。
○政府委員(宮川新一郎君) 日本側は、司令部から日本側に引き渡すべき輸入品の内容、陸揚げすべき港につきまして、文書または口頭による指令、この指令によりまして通産省が陸揚げ並びに引き取りの手配をいたしまして、受領書と引きかえに現品を引き取りまして、受領書は総司令部に送付いたします。総司令部は、さらにこれを二、三ヵ月まとめまして、援助物資のドル価格を、先ほど私が申し上げましたような換算率をもちまして円貨を見返資金に積み立てるように政府に言っている、こういう手続でございます。
○木村禧八郎君 ですから、アメリカは援助物資をこちらに送るとき、その金額を日本政府に通報する場合には、それは援助物資の価格というものは、これはアメリカ側が一方的にきめるのでしょう。そういうことですね。
○政府委員(宮川新一郎君) そうだと思います。
○木村禧八郎君 それから、次に伺いますが、この「ガリオア及びイロア輸入による児返り円」という、アメリカ総司令部の日本国政府あての覚書の第三項によりますと、「日本政府は総司令部によって承認された額と目的においてのみ資金から引出しをなすことが出来る。」ということになっていますね。日本政府の資金だとさっき言われたでしょう。日本政府の資金でありながら、どうして「日本政府が総司令部によって承認された額と目的においてのみ資金から引出しをなすことが出来る。」、こういうような制約を受けているのですか。これでは日本政府の資金とは言えないと思うわけですが。
○政府委員(宮川新一郎君) 形式的に申し上げますれば、アメリカの資金でございませんで日本側の資金でございますので、当時、御承知のように司令部の管轄下にありまして、特に司令部の許可に基づいてやるという指令が出ました以上は、われわれとしてもそれに従わなければならぬ、こういう事情であります。
○木村禧八郎君 占領下であるからいたし方がない、そういうことなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 予算も全部です。一切合切……。
○木村禧八郎君 予算も全部そうである、そういう状態にあったわけですね。その他このメモランダムによりますと、この資金の使用について非常に厳重な制限があるわけですね。たとえばこの第五項目を見ますと「資金よりの引出準備申請の許可、制限、不許可に当っては、日本政府日本銀行その他金融機関による予算、通貨及び金融統制の分野における予め立てられた目標の達成度の如何を考慮するものとする。」、こうある。非常な制約があるわけです。そうなると、向こうから援助を受けた物資を売って、日本政府が見返資金に積み立てて運用するとなりましても、非常な制約があるわけですね。普通の債権債務と大へん違うわけです。占領下だから仕方がないといえばそうかもしれません。しかし、その債務というものの性格は普通の債権債務というものと非常に違うのでしょう。非常に制約がされたものですよね。それから、向こうのアメリカの考えによって、こういう物資を日本に援助しよう、その価格もこうだ。こっちに選択の余地がないのですよね。単にドルを援助されたのではないのですよ。単にドルを援助されたら、そのドルで日本はよその国から何でも買えるわけですけれども、とにかく一定の使用価値のものをアメリカがきめて日本に余剰物資で援助する、そうしてそれを売って見返資金に積み立ててこれを使用すると、アメリカの厳重な制限がある。つまり、アメリカの占領政策に基づいてそれを使用しなければならぬ、こういう非常に制限されている債務である。そういうものじゃないですか。その点はどうですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう特殊な関係にあったものでございますので、援助すなわち債務といっているのじゃございません。債務と心得ている。その幾ばくを債務とするかは外交交渉によってきめよう、こういうふうにしていたわけでございます。
○木村禧八郎君 それなら伺いますが、それでは、そういう非常に特殊な債務だったのですね。それは外務大臣は認められるのですね。返済するにあたりましては、なぜドルとして返済するのですか。われわれが援助を受けたものはドルじゃないのですよ。特定な物資ですよ。しかも、アメリカから余剰物資として一定の使用価値のものを援助を受けて、しかも、それを売って使う資金というものは非常に制約を受けているわけですね。したがって、特殊なる、非常に特殊なる債務ですね、債務として認めておる。そこで、返済するにあたりまして、なぜそのドルとして返済するのですか。そこで伺いたいのは、この返済によって日本政府のドル負担になる分は幾らであるか、この金額を伺います。
  〔委員長退席、理事上林忠次君着席〕
○国務大臣(小坂善太郎君) そういう意見もいろいろ述べてみたのでございますが、結果的には二千五百万ドル分は、これは円で持つということにいたしております。他の部分は要するにアメリカのほうの国庫に入れる、こういうことでございますから、一度ドルとしてアメリカの国庫に入れる。しかし、われわれとしては低開発国の援助に、しかも経済援助にぜひ使っていきたい、軍事的なものではなしに。そういう主張をいたしました結果、そのようにしようという交換公文になっております。現在アメリカはその交換公文に基づきまして一九六二年の対外援助法を修正いたしまして、その分に日本からの返金というものを充てて、そういう六百十八号という項目を起こしまして財務措置をしようということでアメリカ議会に提案する、こういうふうなことであります。
○木村禧八郎君 これはドル負担は結局どのくらいになりますか、これをドルで返すことによって。
○国務大臣(小坂善太郎君) ですから、四億九千万ドルから二千五百万ドルを引いた数ですね。それがドル負担でございますが、それに今度利子をつけて参りますが、計算のほうは大蔵省のほうから……。
○政府委員(宮川新一郎君) 元本は四億九千万ドル、これに二分五厘の利子が八千九百万ドル、合計五億七千九百万ドル、そのうち二千五百万ドルがただいま外務大臣が答弁されましたように円払いで、残額はドル払いでございます。
○木村禧八郎君 もしそれをドルで払わないで円払いにして、そのドルを日本が運用したらどのくらいになりますか、返済までに。たとえばアメリカの銀行の預金あるいはアメリカの証券等に運用したら、どのくらいになりますか。もし円払いの場合だったら、それだけの外貨が節約できるわけです。そしてそれを外貨として運用できるわけです。これは大きいですよ。そういうふうに運用した場合、どのくらいになりますか。
○政府委員(宮川新一郎君) 御指摘のように、かりにドルを払いませんでドル預金をいたしますれば、あるいはアメリカのボンドを買うとかいたしますれば、それだけの運用利益があると思いますが、ただいま特に計算はいたしておりません。
○木村禧八郎君 まあ大まかにどのくらい――今どのくらいで運用しているのですか、ドル預金ですと三分……。
○政府委員(宮川新一郎君) 正確にはわかりませんが、おおむね三分程度ではないかと思います。
○木村禧八郎君 三分程度でしょう。ですから、もしこれをかりに債務として返済しなければならぬとした場合、まあ自然成立しちゃいましたからこれは返済することになったわけですけれども、われわれは債務であってもこれは返済しなくてもいい債務であると考えておるわけですけれども、かりに返すとして、やはり最後のこちらの主張としまして、今の国際収支が非常に問題になっているときですし、日本の外貨も非常な危機状態ですよね。アメリカからも借金しなければならぬ、IMFからも借金しなければならぬという状態ですから、そういう状態のときにどうして円払いを主張しなかったのか、交渉の場合ですね。これは円払いの交渉をされたのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) でございますから、二千五百万ドル相当分だけは円で日本の国内に積み立てるというところまでは先方は同意をしたわけです。しかし、その他のものについてはアメリカ側はドルで返せというのでございますから、どうもそれ以上いやだといっても、交渉をまとめます上にはこれ以上はどうにもしようがない……。
○木村禧八郎君 では、最初から円払いを主張されたのですか、全部円払いを……。
○国務大臣(小坂善太郎君) 特にそういう主張といいますか、交渉の過程で種々な提案もしたり、いろいろいたしましたわけでございます。
○木村禧八郎君 全部円払いの主張を、交渉をされたのですか。
○国務大臣(小坂善太郎君) これはまあいろいろわがほうとしては、たとえば日本の資材を調達するようにしてもらいたいとか、あるいは日本としてこれを日本の勘定にして、そうして日本から直接どこかの国に対する経済援助なりそういうものにさしてみたらどうかとか、いろいろなことを言うてみたわけですが、結論としては今申しましたような結論でございます。
○木村禧八郎君 外務大臣は経済外交経済外交と言っておりますけれども、経済外交として今一番力を入れているのはそういう点じゃないですか。箱根会談を昨年十一月にやりましたね。あの箱根会談でそういう話をしなかったのですかね。もうすでにガリオア返済の問題が起こっておりましたが、かりに払うときは、日本の国際収支はこうだ――対米貿易がものすごい片貿易じゃございませんか。ものすごい片貿易でしょう。この片貿易を直す意味においても、これを円払いにしたならばどうしたって日本で資材を買わざるを得ないでしょう。そうしたら、対米貿易のものすごい片貿易を直す上にも、これは貢献したと思うのですね。
○国務大臣(小坂善太郎君) 箱根会談以後、御承知のように、非常に対米貿易が伸びてきておりまして、輸出はたしか、これはもう大蔵省その他の管轄ですが、非常に戦前戦後を通じて最も大きな輸出というものがかなり実現をしておるので、片貿易の点は大いに是正に努めております。しかし、片貿易はアメリカとだけでなくて、ソ連との間にも輸出入のアンバランスが非常に大きい。これも是正に努める。あるいは日本側としまして、たとえばナイジェリア等に対しましては、これは十倍も出超になっているわけです。八千万ドルと八百万ドル。いろいろ国と国との実情がございまして、どこの国に対してもバランスがとれた貿易というものを考えておるわけでありますが、こういうガリオアの問題なども解決するということも、やはり貿易というのは政府だけがやるものじゃございませんで、一般の国民の感情というものも大事でございますので、そういう点では非常に私は今後の対米輸出というものについては、一つのこれを伸ばすきっかけにもなり得るのではないかというふうに思います。
 それから、ひとつ日本に金を積んでおいて、ほかにこれを日本から援助したらいいじゃないかということも、実はある時期において考えてみたことがありましたけれども、受けるほうの国からいいますと、これは本来アメリカへ返すべき金を、日本がアメリカのふんどしで相撲取っているということで、これはそれほどありがた味というものは、受けるほうからは出てこないということから、やはりきれいに返すべきものは返したほうがよろしいのではないかと思いまして、先ほど申し上げましたように、この金を低開発国の援助に使っていくということに同意したわけであります。
○木村禧八郎君 低開発国援助の問題についても問題はあるわけですけれどもね。しかし、ドルでアメリカに返して、あと、たとえば軍事的に使用しないとか、低開発にどういうふうに援助しろということは、注文つけられない。これは加藤シヅエさんがガリオアの反対討論のときに言われましたがね。そんなことをひもつけられないじゃないですかね。ですから、私は最後の日本の主張としまして、どうしても払わなければならなくなった場合は、せめて円払いくらいだけの条件は取りつけるべきじゃなかったかと思うのですよ。今の国際収支はこういう状態で、アメリカの市中銀行から二億ドル借金し、輸出入銀行の担保で一億二千五百万ドル借金している状態でしょう。経済外交というのはそういうところにあるんじゃないかと思うのですよ。何かその非常に安易な、十九億ドルと主張しておったのに四億九千万ドルにまけてくれたからいいんじゃないかという、そんな素朴なおめでたい考えでやられたのでは、私はたまらないじゃないかと思うのです。これはもう特殊の債務ですからね。アメリカからドルを援助されたわけじゃないですからね。それで、日本の余剰物資をアメリカに返したらどうですか、過剰生産になるような物資を。それこそ対等ですよね。そういう点、やはりお考えにならなかったのですかね。
○国務大臣(小坂善太郎君) そういういろいろな形も考えられることもございましょうけれども、一応われわれはアメリカの国庫に返済額を入れるわけです。そのあとアメリカが他の国に対して援助をいたしまする場合に、日本の品物を調達させるという気持に向かわしめれば、これは同じことになるんじゃないかと思います。先ほど私、ちょっとアメリカとの輸出のことに触れましたけれども、これは御承知のように、一月には前年に比べて一割九分ふえておりますが、二月に三割八分ふえ、三月には五割ふえております。そういうようなことで、やはり非常にむだなことをするようなお考えも一部にあるようでございますが、私は、大きな目から見れば、やはり長年の懸案を解決するということは、他の面で大きくプラスになって返ってくるのではないかというふうに考えております。
○木村禧八郎君 ですから、私は百歩を譲って、懸案を解決して払うにしても、せめて円払いぐらいの条件はどうしてつけられなかったかというわけです。ですから、これがドルで援助を受けたというならいいのですよ。今までのいきさつからいきまして、かりに債務としましても、その債務の性格が非常に違う、特殊なる債務なんですから。そこまでがんばれなかったというのは、私は非常な何というのですか、安易な気持で交渉に当たったと思うのですよ。日本のやはり国際収支とかその他の問題も十分考えながら、いわゆる片貿易はアメリカだけじゃないと言うけれども、それはもうへ理屈ですよ。実際問題として、今の日本の国際収支の大幅な赤字の一番基本は対米貿易の大幅赤字にあるのですからね。それは私はごまかしにすぎないと思うのです。
 で、じゃ、次に伺いますが、これはドルを払う場合ですね、直接には産投会計の金で外為の外貨を買うわけですか。どういうふうに処理されるのですか。
○政府委員(宮川新一郎君) 産投会計が円支出をいたしまして、為替を買いまして、アメリカに払い込むわけであります。
○木村禧八郎君 そうしますと、円は外為に入る……。
○政府委員(宮川新一郎君) さようでございます。
○木村禧八郎君 実際問題としては、アメリカに預金なんかしておりますね。そういうものがアメリカ勘定に振りかわるという形になるわけですか。
○政府委員(宮川新一郎君) そういうことでございます。
○木村禧八郎君 それで、産投のほうでは、一応この返済分を債務にするわけですね。債務に立てるわけですね。
○政府委員(宮川新一郎君) そのとおりでございます。
○木村禧八郎君 そこで、次に伺いたいのですが、この産投から支払うというのは、いわゆる二重払い云々が問題になっておりますが、二重払いにならないですかね。
○政府委員(宮川新一郎君) 二重払いという言葉の意味がなかなかデリケートだと思いますが、アメリカに対しては、円と申しますか、代金を払っておりませんので、この際払うことは、これは二重払いにならないことは明白でありますが、私ども、二重払いを問題にしましたのは、国民が援助物資を買うにあたりまして、一応、円でありますけれども代金を支払っております。その代金を支払っておりますのを、一般国民の税金でもって負担いたしますと、国民としては二重に払ったような印象を受けるのじゃないか、こういう見地から、国民が援助物資を払い下げを受けまして、代金に相当する円価格を積み立てました見返資金、これを引き継いでおります産投会計の中の見返資金関係の資産の運用収入で支払うことにいたしますならば、二重払いという懸念はなくなるのじゃないか、かような見地に立ちまして、産投会計から支払うこととした次第であります。
○木村禧八郎君 おかしいね。三十七年度は幾ら返済することになるのです、見返りから。
○政府委員(宮川新一郎君) 三十七年度は七十九億円になります。
○木村禧八郎君 それから、一般会計から産投に繰り入れるのは幾らですか。
○政府委員(宮川新一郎君) 本年度は二百三十億円です。
○木村禧八郎君 もし返済しなければ、もし三十七年度で産投会計からアメリカの債務を返済しなければ、一般会計から繰り入れる分はそれだけ減らしていいわけでしょう。そうじゃないですか。
○政府委員(宮川新一郎君) その点は御指摘のとおりでございまして、見返資金から、産投会計から対米債務を支払わなければ、その金だけ出資金が減ることは、これは事実であります。
○木村禧八郎君 それならば、国民の税金で払うということになるのじゃないですか。
○政府委員(宮川新一郎君) 援助物資の代金を積み立てました見返資金関係の運用収入で支払うということと、今年度新たに一般会計から産投会計に出資いたしますのは、輸出入銀行なり、開発銀行なり、あるいは住宅金融公庫なりに対する出資の必要性に基づいた別個の政策に基づくものでございまして、御指摘のように、一般会計から繰り入れたからといって、二重払いになるものじゃないと、かように考えております。
○木村禧八郎君 それが子供だましだと言うのですよ。あなたのほうでは、観念的に、いかに別だ別だと言ったって、たとえば一つの例をあげましょうか。ここで政府は公債を発行する、それは公共事業費に使う。公共事業費に使うので、再軍備に使うのじゃない、こう答弁しても、たとえば国の税金を公共投資のほうに全部使っちゃえば、今度再軍備の予算は足らなくなる。そのために発行した公債は、これは軍事公債であるということもできるのです。ところが、実は今度、説明の仕方ですね、発行した場合、防衛費のほうに先に使ってしまうわけですね、税金を。そうすると、今度は、公共事業費が足りないから、これは産投復興のための公債発行だ、こういう理屈も立つわけです。ですから、そういう観念的に、これは別個に別建で、これはそっちに支出するのだするのだといっても、会計全体から見れば、結局アメリカに返済しなければ、返済しない分だけは一般会計、国民の税金から繰り入れなくて済むのでありますから、考えようによっては、アメリカに返済する分を国民の税金から払うというふうにも、これは解釈できるわけですよ。今、あなたがお認めになったでしょう。二百三十億、三十七年度に一般会計から産投へ出資する。もし産投のほうで返済しなければ、その分だけ一般会計から繰り入れる分が減るのだ、こうおっしゃったでしょう。ですから、その関係においては、やはり一般会計から返済分を払う、こういうことにならないですか。
○政府委員(宮川新一郎君) 御指摘のように、対米債務を支払わなければ、その分だけ一般会計からの出資は少なくて済むことは事実でありますけれども、対米債務支払い財源といたしまして、国民が払い下げを受けました物資の代金を積み立てたものを払うわけでありますので、その関係におきましては、国民として二重払いにならない、かように考える次第であります。
○木村禧八郎君 そこがどうも……。それはおかしいじゃないですか。はっきり一応前段を認めたでしょう。認めたのですから、もし対米債務を払わなければ一般会計から繰り入れる分が減るということですから、払うから、一般会計からそれだけ余分に繰り入れることになるでしょう。ですから、これには、提案理由には、全然この別個の目的のために使われるということを言われておりますけれども、しかしそれは子供だましみたいな説明だと思うのですよ。それは切り離すことはできないでしょう、そういうものを。観念的には切り離すことはできますが、実際はそうじゃないのです。実際はやはりそれだけアメリカに返済するから一般会計の繰り入れ分がふえるのだ、そうすればその分はやはり二重払いになる、その点はどうですか、もう少しはっきり……。
  〔理事上林忠次君退席、委員長着席〕
○国務大臣(水田三喜男君) これはこの間から再三答弁しておるつもりでございますが、対米支払いをしなければしないだけの金が浮くことは当然でございますが、債務を払えば払っただけ資金が、たとえば産投会計の投資の原資が減るということは、これはあたりまえでございます。で、減ったらどうなるかという問題でございますが、今後産投会計における出資要求がどういうふうになるか、別途の政策によってここへの出資が必要だという必要性を認めて、新たに一般会計から入れることもございましょうし、もう出資はこの辺でいいということで出資が削減される場合もございましょうし、そうなればそう資金が要らないということになりましょうし、また必要が起こった場合に、これは一般会計で入れるべきものか別個の資金調達の方法を考えるかというようなことも、今後問題になるかと思いますし、それと今言ったこの積み立ててある金の系統から、その資産の運用によって払って、そこに国民が誤解しないで納得するという道をつけることと、一応観念的にははっきり離しますし、同時に、実際も金額的に見て今後の政策の必要性なり要望によってきまる問題ですから、事実的にもこれは切り離せる問題だと私どもは考えております。
○木村禧八郎君 私、まだ産投の問題については割り切れない点がございますし、今後の産投の資金調達のあり方等についてもまだ問題があるのですけれども、ほかの委員も御質問あるようですから、一応この程度で保留して、またあとで質問することにいたします。
○平林剛君 ちょっと関連して。今、木村委員が質問をしておった援助費の支払いが二重払いにしないようにするということは、大蔵大臣しばしば機会を見ては発言をしておりまして、そういう意向は私も聞いておるわけです。今までの政府の答弁を総括をしてみると、ガリオアの支払いは十五年間で二千八十五億円である。ところが、二十八年に産投が承継した見返資金は、これは二千九百十九億円ある。三十六年度末の利益積立金も千四百三十三億円あるから、だから、そういう意味では二重払いにならないのだ、また債務の支払いは見返り関係の資産をくずすことなく開銀出資に対する毎年度の納付金や開銀貸付金の約定に基づく回収金と利子収入の合計で大体完済できるという答弁が、総合してみるというとあったわけです。そこで、私は大蔵大臣にお尋ねするのでありますけれども、これは総ワクにおいては今のような説明がつきましても、一時的にはやはり税金を食ったのです。税金を食って返済しなければできないというようなことに、十五年間のうちにはなるのじゃないですか。実際的にも、先ほど説明したような勘定で明瞭に区分されておるということが言えるでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 計算は今言ったようにはっきりしておりますが、これはこの毎年々々の支払期になりましたら、金繰りの問題では同じ産投会計内の立てかえ分というようなことはあろうかとも思いますし、いろいろ立てかえということはあるかもしれませんが、十五年間における収入の計算においては完全に返せるということになって、これはまた事実私どもの計算どおりで、十五年間の計算ではそうなろうと思います。少しぐらいの狂いがあっても、まだ十五年間で百十七億ですか、それだけの余裕を今のところ見ておりますから、そう大きい狂いはない。計画どおり払えると思っています。
○平林剛君 私は、今回の産投会計の中からこの援助債務支払いが行なわれるという場合に、先ほど来議論がありましたように、どうもわれわれの考え、一般国民の感情からいって、割り切れないものがあるわけです。それだけに、この支払いの場合には、大蔵大臣が今まで言ってこられたように、明確に区分していくような措置が必要でないだろうかと思うのであります。たとえば、あるときは立てかえをやるんだというようなことだとか、議論の立て方によりましては、先ほど木村委員が指摘をしておりましたように、ほかの一般会計からの繰り入れがあるということになれば、これは金に別に区分をしているわけではないわけですから、税金を使っておるということにもなるわけですね。だから、そういう意味では、これは私は明確にしていくような考えを持つべきでないか、こう思うのであります。そこで、この財源調達を明瞭に国民に説明できるような計画ですね、十五ヵ年間にわたっての計画、こういうものはもちろん政府においては検討済みのことと思いますけれども、ございますか。
○政府委員(宮川新一郎君) 全体の支払い総額は二千八十五億円、それに対する収入は二千二百三億円でございまして、各年次ごとの数字につきましては正確な積算はいたしてございません。しかし、大体達観いたしまして、大臣がお答えになりましたように、途中年次におきまして多少収入額が支払額より減るというような時期がございますけれども、初年度と申しますか、初めのほうは収入のほうが多ございますので、そういう余裕金をもって途中年次の計画はカバーできる。最終年次のほうに参りますと、支払額が減って参りますので、ただいま平林先生の御指摘のありましたような出資金なり出資金に基づく納付金で支払うというような計算になるということだけは試算いたしてございます。
○平林剛君 私はその試算してあるものを参考のためにいただきたいんです。これはやはり今後も十五ヵ年間にわたって、援助債務の支払いが二重払いでないということや、それを今後も見ていく必要がありますので、私はこの機会に試算をした財源調達の計画を委員会に提出しておいていただきたい、こう思うのですが、いかがですか。
○政府委員(宮川新一郎君) 各年次の数字はございませんが、十五年間全体の試算表はございますから、それをお出しいたします。
○平林剛君 そこで、私は、それを見れば、一般にもどういうふうにして財源を調達するかという中身がわかってくると思うので、あるときは国民の税金を立てかえなければならぬという時期も出てくるのでしょう。そして今お話しのようなことも出てくるわけです。で、債務支払いのために、今ある余裕金というものも、漸次回収金が多くなってくるに従いまして足りなくなってくるときがくる。そういうときには、おそらく政府は、今後も産投会計に対する政府関係機関からの出資要望がふえてくると思いますから、その財源不足を補うために、一般会計から資金をよけいそれだけ繰り入れていくというような措置が今に必ずとらなきゃならぬことになると思うわけです。そうなると、ますます明瞭を欠いてくるわけです。大蔵大臣がしばしば言明しておるように、いや、これは二重払いでないというような幾ら言明をしたって、実際は、何だごちゃごちゃのどんぶり勘定じゃないかというようなことになりまして、長く尾を引いて、国民感情に割り切れないものを残していくように私は思うのです。そこで、そういう誤解を避ける――私はまあ誤解というよりも、そういうことを指摘し得ると思いますけれども、しかし、大蔵大臣の立場からいえば、そういう誤解を避けるためにも、産投会計の中にガリオア返済の何か特別勘定というようなものを設けて、それで資金の出入りを区分をしていくというようなやり方は考えておらないのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 区分するということも考えましたが、これは特別に実益がなくて、かえって煩瑣になるという結論から、区分しないことにしたわけでございますが、衆議院の大蔵委員会におきましては、この問題を論議しました結果、野党側におきまして、話はわかったと。今見返資金関係の金が四千億円資産として残っておるのだ、その中で払うということでしたらこれは払えるので、二重払いというようなことはもう当然ないと。そうだとすれば、むしろ今その四千億円という資産は国民のためにりっぱに役に立って使われておるのだ。だから、それはそれでもう国のためになっているのだから、支払いのほうはきれいに一般会計から払っても二重払いにならぬという計算が示されたのだから、そのほうがすっきりしやせぬかと、こういう議論が野党の方から出ましたので、私はそのとおりだと。そこまで理解してもらえるのなら、一般会計から払ってもいいものだが、あなた方と違って国民一般はまだそう思わない、全部一般会計で払ったら二重払いになりやせぬかという誤解も相当国民層にあるのだから、やはりここで金に筋をつけて、この積み立てた系統の金がこうなっているから、その中でこの金を払うのだというふうにすることが、国民に誤解を与えないで納得してもらえる道だと考えて、わざわざわれわれはそういうことをやっているのだという説明をしたわけでございますが、ほんとうなら、その積み立ててある金が、もしその金がなかりせば、これは国のいろんな国民の施設のために当然一般会計が今日まで負担しておったことになろうと思います。それだけ役に立っておるものが一方にあるのだから、それにさわらずに、あらためて一般会計からその分を出してもいいのじゃないかという議論もおそらく成り立つと思いますので、そうすれば支払いはすっきりするのですが、しかし、私は二重払いという問題が国民層の中に明らかに議論が出ております以上は、やはり二重払いでないと、金に糸目をつけた払い方を考えることが妥当ということで、特にこういうふうなやり方について御承認を願いたいということでございます。
○平林剛君 私はまあ、非常に大蔵大臣もきれいなことを言っておるけれども、今に時日がたつに従って最初の言明があいまいになってしまうということをおそれるわけです。だから、こうなるというと、産業投資特別会計で払うほうがほんとうなのか、別個の特別会計を作って、そうして明確にしていくのかというような点も検討しなければならぬのじゃないだろうか。むしろそのほうがすっきりしている。李下の冠何とかというけれども、少なくともあなたが二重払いでないというようなことを国民に納得させようとするならば、そういうことも考えていっていいのじゃないか。本来産業投資特別会計法という一つの法律は、このために設けられたわけではないわけです。財源は見返資金が組み入れられてあるけれども、全然今度のやっと別個なんです。だから、そういう意味では何か特別会計を設けたほうがいいのじゃないか。今回なぜそういうことをしなかったのかという点が、どうも私疑問でしようがない。
○政府委員(宮川新一郎君) 御指摘のように、特別会計を別に設けるということも一案でございます。いろいろ研究いたしました。しかし、大臣が答えましたように、産投会計から出資いたしております対象は約二十ばかりございまして、産投と別の会計を設けますと、出資の対象に対しまして二重に支払っていかなきゃならぬと、出資していかなきゃならぬ。非常にその経理が複雑になります。そういう複雑な経理方法を用いなくとも、るる御説明申し上げておりまするように、援助物資の積み立て代金でもって支払われるということが明白でありますので、特に返済のための特別会計を設けることをしなかったので、産投会計のほうから支払っていくと、こういうような結論に達したわけであります。
○平林剛君 私は実務のことはよく知りませんから、めんどくさいとかなんとかいうことはよくわからないけれども、考え方として、こういうやり方はどうも何かカモフラージュしているような感じを受けるのです。さっきのガリオアとエロアの問題についても、同じようにいつの間にかガリオアにしてしまった。これについてもはっきり国民の前に、これはこうこうであるというようなやり方を示さず、産業投資特別会計からやっていくというような考え方の中には、何かすねに傷持つというほどではないかもしれませんけれども、何かそういうものを隠しているような意図、名と実体が違うようなことで処理してしまうというような考え方がひそんでいるのじゃないかと思うので、むしろこれははっきりやるならやると。国民の批判はいずれ下るでしょう。こういう問題について政府がなぜ急いで対米債務を処理しなければならなかったかということについてのいろいろな国際的な問題や、あるいは政府の考え方についての批判というものは当然適当な機会に下るでしょう。だけれども、しかし政府自体は今後においても常にこういうことをやったということをはっきり国民の前に示す自信を持つなら、持つようにはっきりさせた会計処理をしていったらいいのじゃないか。そのためには、もうこれからはそういう特別会計の中に一般会計から組み入れないのだ、先ほど木村委員が指摘したようなそういうことはできないようになっていますというようなことを言えるようなものを、なぜおやりにならなかったか。私は、この点はやはり政府にも少しすねに傷があるのじゃないだろうかと思うのであります。これはまあこの問題についての関連質問でありますが、私の意見を少し申し上げておきまして、またあとでほんとうの質問をやらしていただきたいと思います。
○荒木正三郎君 私は外務大臣に、先ほど木村委員からの質問に関連して、ちょっとお尋ねしたいのですが、これ、債務として結局十七億ドル幾らという決定を見たわけですね。その金額を決定する場合に、対日援助物資の価格を決定する場合、まあ当時の国際価格というものを基準にして決定したと、こういうお話です。そうすれば、私はもう一つやはり国際価格で算定し直すべき問題があったと思うのです。それは三百六十円レートに決定されたのが昭和二十四年ですから、それ以前のいわゆる為替レートのない時代ですね、複数レートを使っておったとき、その当時の昭和二十年から昭和二十四年まで日本が対外輸出をしたその価格というものは、これは非常に割安な値段で決定されておるわけなんです。それをやはり国際価格に換算し直して、この対米債務の金額の問題を決定する必要があると思うのです。日本が輸出したものについては、その当時の契約価格で算定しっ放しになっている。これは衆議院の委員会でもずいぶん、日本の輸出したものが非常な安値で売られておるという実例まで取り上げられた。まあずいぶんひどいものもあったわけです。そうすれば、この対米債務の金額を決定するにあたっては、やはり対外輸出、特に対米輸出ですから、それの価格を国際価格で算定し直してやる必要が私はあったのじゃないかと、こういうふうに考えているのですがね。
○国務大臣(小坂善太郎君) この日本に対する援助、これは通産省で十七億九千万ドルというような金額をはじき出したのですが、これは当時の国際価格を調べて、これを数量その他にかけまして、そういうものを出したわけであります。今のお話は、対米輸出、これが不当に安かったじゃないか、それをなぜ差引勘定として提案しなかったかということのように承りました。当時、日本としては外国のマーケットに対する何も手づるがなかったわけで、これはやはり司令部が管理貿易をやっておったわけで、このときの価格というものは、これは司令部が一方的にきめたじゃないかということでございまするけれども、やはり衆議院等で問題になった価格を見ましても、やはり運賃、価格、あるいは手数料というものは、これは今でもやはりそういうようなものが付加されたものが対米輸出になっておるので、こちらの原価と先方の小売価格というものを比較して、直ちに非常に安かったではないかという結論も出ないようでございます。かりにそういうものがあったといたしましても、これは援助物資そのものの評価をどうするかということでございまして、その当時、君のほうが非常にもうけたではないかという根拠は、実はあまりない。しかし、かりにあったとしても、援助物資を返す場合に、何がしか返す場合に、それと直ちに差引勘定とするというところには、なかなか理論が立てにくいわけです。援助物資そのものは、先ほどもいろいろお話がございましたけれども、われわれとしては、かりに賠償を取られるということになりましても、これは従来からのいきさつからいいまして、賠償の問題を、かりにアメリカが出してきても、仕方がなかったかもしれない。しかし、非常にアメリカのほうはそういう点を配慮して、日本から賠償を取っていないわけです。むしろ逆に、対日援助物資を、戦後十年たちます今日まで、講和条約以後、そのまま何ら解決を見ないままに、こういう事態になってくるということを容認しておったわけです。その当時、日本がこの援助物資の支払い代金、これはただで使っておったわけで、この間の金利計算だけ見ても、相当に大きなものがあります。こういうような事情からいたしまして、私は交渉し得る最大限度といたしまして、この程度の金額ならやむを得ないであろうというふうに思っておるわけです。
○荒木正三郎君 外務大臣に重ねて伺いますが、昭和二十四年以前の問題ですがね。終戦直後から、見返資金特別会計が設置される、あるいは為替レートが三百六十円にきまる以前の問題ですね。その以前の問題として考えた場合、援助物資と一般商業物資の輸入、これは区別がなかったと思うのです。これは岡崎外務大臣もそういう答弁をいたしております。そういう内訳は不明であるという答弁をしております。これは事実そうであったと思うのですね。ですから、援助物資も、それから一般の商業物資も、一括して輸入物資として日本に入ってきていると思います。これに対して日本が輸出をして、そして操作をして、いわゆる輸入超過、その輸入超過分が援助物資に当たる、こう考えてもあまり違いはないと私は思うのですね。そう考えた場合、輸入物資については当時の適正価格で算定を今日すると。輸出物資については、これは私が今申し上げるまでもないですが、これは一々例を申し上げるのはやめておきますが、綿糸布にしても一ドル二百五十円、高いものになると、自転車のようなものは一ドル五百十円ですがね。陶磁器は六百円、もっと高いものもあったようですが、非常に格安で売っているわけなんですね。格安か格安でないかということは、非常に問題があると思うのですが、いずれにしても、私は国際価格でやはり算定をして、そうしてやっていった場合、いわゆるこの二十年から二十四年までの輸出額、大体六億五千万ドルですか、これは倍ぐらいになるのじゃないかというように思われるのですね。
 で、外務大臣は、いろいろ同情ある措置を受けたので、そうこまかいことを言う必要はないようにおっしゃったのですがね。やはり勘定準勘定として、輸入物資については国際価格で算定して、輸出物資についてはその当時の契約価格で、非常に安く買われた値段で算定する、こういうことは片ちんばではないか、そういうことを私は言っているのですよ。
○国務大臣(小坂善太郎君) 当時の国際価格に比して非常に日本の物資が安くたたかれたかどうかという問題でございますが、これは大体国際価格並みであるとアメリカ側が、交渉いたしますと言っているわけであります。実はわがほうの複数レートは、なぜ陶磁器等については一ドル六百円、あるいは自転車等についてはお話のように五百何十円かの値段であったか。結局それらの生産費が、国内で非常に高くついたということでございます。綿糸布等については二百何十円、そういう価格でできるものが、そういう複数レートをとらざるを得なかったということは、それだけ国内の生産費というものは、物によって非常にアンバランスであった。こういうことの結果、そうしなければ輸出ができなかったという事情で、先方へ持っていっての価格というものはこれは違わない、こういうふうなことだと存じております。現在日本の出した庫出しの価格が安いじゃないかということについては、どうも運賃とかあるいは手数料、こういうものが足してないのでございまして、それを足しますと、大体国際価格になるというふうな説明を受けております。
○荒木正三郎君 それは国際価格であるというような大体御答弁でしたがね。それじゃ、もし国際価格よりも非常に割安であったという場合、外務大臣、これは責任取りますか。
○政府委員(安藤吉光君) 当時の貿易については通産省が一番詳しいと思いますが、きょう来ておられませんので、私、かわって御説明申し上げます。
 昭和二十四年三月までのわが国の輸出、これはJES統計――司令部の統計でございますが、それによりますと、六億五千四百九十九万ドル、輸入が、援助物資が十一億九千七百四十五万ドル、商業物資輸入五億四千二百九十四万ドル、そうなっております。今お説のいわゆる日本から出たのが非常に割安に行っている、あるいは向こうから来るのが割高に買わされていたのじゃないかという御議論のようであります。この議論は、衆議院におきましても、また他の委員会におきましてもありました。通産の御説明によりますれば、当時いろいろめくら貿易の点もあったけれども、いろいろその点を勘案いたしまして、先ほど外務大臣から申し述べられました、要するに日本の物価体系というものが、非常に当時低物価政策をとっておられたその関係もございますししますので、輸入物資を今度国内で配給するときはマル公で配給するとか、いろいろな関係がございました。輸出物資は非常に国内の生産費が終戦後高くついた点もございまして、それらの点をいろいろ勘案されまして、国際価格に近づけるようにして輸出されたというように聞いております。それで、諸掛りとか船賃なんかを入れますれば、大体国際価格とひどい差異がなかったというふうな通産省の御説明でございます。
○木村禧八郎君 関連して。どうも今の御説明ではわからないですが、たとえば外国輸入業者の手数料がものすごく高いんですね。たとえば、これは衆議院でも問題になったかもしれませんが、自転車を例にとりましょうか。自転車一台外国の卸売価格が三十五ドル二十五セント、それから日本の積み出し価格が十四ドル五十セント、運賃諸掛りが十ドル二十九セント、それから外国輸入業者の手数料が十ドル四十六セント、こうなっているんですよね。そうすると、日本の積み出し価格と外国の卸売価格との間にはたいへんな相違があるわけです。三十五ドル二十五セントの卸売価格に対して日本の積み出し価格は十四ドル五十セント。で、これはほかの物資についてもそう言えるわけですね。タイヤ・チューブなんかひどいですね。タイヤ・チューブは、外国の卸売価格が六十三ドル、チューブ一本。これに対して日本の積み出し価格が二十四ドル九十五セント、外国の輸入業者の手数料が三十二ドル二十一セント、こうなっているんですね。ですから、今の御説明ではちょっと違うのですね。ほかの物資についてもありますがね。セメント、板ガラス、マイクロ・カメラ、ハーモニカ、魔法びん、デコレーション・ランプ、毛織りの手袋、絹布、注射筒、こうあるのですがね、どうなんですかね。
○政府委員(安藤吉光君) どうも通産省の方がいらっしゃればよく御説明がおできになるのかと思いますけれども、御同様の質問が衆議院でも出まして、井手先生から同じような趣旨の御指摘がございました。通産省のほうでその後も検討いたしておりますが、私が承知いたしておりますところでは、やはり注射筒七八%というのは確かに高うございます。しかし、たとえばセメント一五%、あるいはそのほかいろいろでこぼこはございますが、大体この程度の諸掛りと申しますか、船賃と申しまするか、これはまあ現在においてもそう大差はないのだというふうに承知しております。
○木村禧八郎君 当時新聞なんかごらんになったでしょう。あの当時の新聞は、それはもうとても安く売らされて、外国で非常に高く売っておるのだということ。あの当時の新聞をごらんになれば……。これは当時の新聞の報道ですよ。あの当時の新聞をごらんになれば、それは非常に問題になったのですからね、あのころ。ですから、かなり外国の業者にものすごい――ミシンなんかも問題になりましたね。ものすごい不当価格が行なわれたと思うのですね。それから、今の御答弁とあの当時の事実とたいへんどうも食い違いが出ておりますね。これは通産省の人に説明してもらいましょうか。
○委員長(棚橋小虎君) 五時三十分まで休憩いたします。
   午後四時五十五分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕