第041回国会 運輸委員会 第3号
昭和三十七年十一月十日(土曜日)
   午前十時十七分開会
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  委員の異動
 十月二十二日
  辞任      補欠選任
   千葉  信君  大倉 精一君
 十一月九日
  辞任      補欠選任
   相澤 重明君  小柳  勇君
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 出席者は左の通り。
   委員長     金丸 冨夫君
   委員
           江藤  智君
           天坊 裕彦君
           平島 敏夫君
           小酒井義男君
           小柳  勇君
           中村 順造君
           吉田忠三郎君
           浅井  亨君
           中村 正雄君
           加賀山之雄君
  国務大臣
   運 輸 大 臣 綾部健太郎君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       古谷 善亮君
  説明員
   外務省アジア局
   長       後宮 虎郎君
   外務省アジア局
   南東アジア局長 稲田  繁君
   中小企業庁振興
   部長      加藤 悌次君
   運輸省船員局長 若狭 得治君
   運輸省鉄道監督
   局長      岡本  悟君
   運輸省自動車局
   長       木村 睦男君
   海上保安庁長官 和田  勇君
   建設省道路局次
   長      尾之内由起夫君
   日本国有鉄道副
   総裁      吾孫子 豊君
   日本国有鉄道施
   設局長     山口 和雄君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠互選の件
○運輸事情等に関する調査
 (自動車行政に関する件)
 (海運に関する件)
 (日本国有鉄道の運営に関する件)
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○委員長(金丸冨夫君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 初めに、委員の異動について御報告いたします。
 去る十月二十二日付をもって委員千葉信君が辞任し、その補欠として大倉精一君が委員に選任せられ、昨九日委員相澤重明君が辞任し、その補欠として小柳勇君が委員に選任せられました。
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○委員長(金丸冨夫君) 次に、理事の補欠互選についてお諮りいたします。
 去る十月一日付大倉君の委員辞任に伴い、理事一名が欠員となっておりましたが、ただいま御報告のとおり、大倉君が再び委員に選任せられましたので、この際同君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(金丸冨夫君) 御異議ないものと認めまして、さよう取り計らいをいたします。
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○委員長(金丸冨夫君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行ないます。中村正雄君。
○中村正雄君 運輸大臣が見えておりますので、この前の委員会で質問いたしました自動車の保管場所の確保等に関する法律の施行に関しましての事前の措置について、答弁をきょう大臣から伺うことになっておりますので、その間の御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) この車庫の規制等は、交通緩和を目的として制定したのでございまして、いろいろな規制をやりましたが、おもなものは、道路の幅員に関しまして、普通のバス二台が一緒に通れないような道路については、これを拡張するまではある種の制限を設ける。それから車庫の規制等も同様の趣旨でこまかく規定してありますが、詳細は事務当局から御説明いたさせます。
○中村正雄君 私のお尋ねしましたのは、この前の委員会で大臣が退席なさいましたので、この次の委員会で御答弁願いたい、こういうことで保留したのは、この自動車の保管場所の設置に関する法律を実施するについては、衆議院のほうも、参議院のほうも、院の附帯決議をつけているわけなんです。これについては、こういうことをやった上でやらないと混乱するからということで、内容は御承知と思いますが、附帯決議の内容が、私の見るところでは、なかなか実施されておらない、実施されずして直ちにこの本法が施行になっておる、こう考えておりますので、院の附帯決議の内容についてどういう具体的な措置をおやりになったか、これを聞きたいわけなんです。
○国務大臣(綾部健太郎君) それは、中小企業の問題といたしまして、閣議でも議論が出まして、本年度は中小企業について融資ワクを拡大し、しかもそれを少し早目に、融資のワクを、十二月を待たずして、十一月――今月の月末あたりから出すようにいたしまして、そういう適正な人はその車庫その他の融資はできるはずになっておりまして、通産省とよく協議して、閣議でもそれが了承されまして、増額になっておりますから、私は、もしそういうことで困っておる車主があれば、中小企業金融公庫なりあるいは国民金融公庫で貸し出しができるようになっておると考えております。
○中村正雄君 実際、中小企業だけでなくして、その他の自動車の所有者がこの法律施行によって困っているのは、そういう車庫を作るための資金面、これもあると思いますけれども、私は用地のほらが先決だと思います。委員会の審議のときも、たとえば国が持っている用地、あるいは都が持っている用地、そういうところに公共の駐車場を作る、そうして混乱しないようにするというのが政府の御答弁であったわけなんですね。そういうことを早急にやって、これを実施しなければ混乱するだけだということで、そういう点は十分準備してやります、こういう御答弁だったのですが、そういう面の計画はどうなっておりますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) それは、大蔵省の国有地並びに都の都有地についてそれぞれ交渉いたしておるはずでございます。
○中村正雄君 交渉しておるはずでなくて、そういう公共の駐車場の設置の具体的な計画はどうなっておりますか。ありませんか、ありますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) あります、もちろんございます。ただ、おっしゃるとおり、土地がなかなか得られない。その土地の確保について、今極力当局並びに大蔵省管財局と検討いたしております。
○中村正雄君 そうしますと、根本の問題でお尋ねするわけなんですが、この法律を施行するときには、そういう措置をやらなければ、現在適当な保管場所がなくして自動車を持っている人、この人はもう自動車を持つなということになるわけなんですね。ところが、今の大臣の御答弁によりますと、具体的に何らそういう緩和策を講ぜずにこれをやっているわけなんです。実施しているわけなんです。そうしますと、衆議院も同じことを決議していると思うのですが、衆議院も、参議院も、この法律を実施するときはこういうことをやってもらいたいということを全会一致できめているわけなんです。それを全然無視して政府が実施した、こういう結果になると思うのですが、この点一体どういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 全然無視してというわけではございませんが、結論的に申せば、そういうような一時的の何は起こるかもわかりませんが、さようなことのないように、ただいま申しましたように、それぞれの方面へ交渉をいたして、極力実現するように努力中であります。
○中村正雄君 いくら申しても水かけ論になると思いますが、相当こういう問題で困っているわけなんですが、院の意思もありますし、政府当局でもそういう点は十分お考えだと思いますので、早急に私はそういう措置を講じてもらいたいと思います。
 事務当局にお尋ねしたいのですが、この前の委員会で警察担当のほうから御答弁がありましたが、現在窓口でありまする警察官がふなれなために、やはり実際上統計の上では、申し出の翌日とか翌々日になっておりますけれども、その実情を見ますと、実際証明書をもらう日もしくは前日に申請の日付を記入するというような状態であって、実際五日か一週間もかかっているのが実情だと思うんです。この窓口の混乱の状態を、運輸省の立場から見てどういうようにお考えになっているか、またどういうふうに改善したらいいとお考えになっているか、その辺について御答弁願いたい。
○説明員(木村睦男君) 警察署の証明の点につきましては、前回に警察のほうからも答弁がありましたが、私の聞いておりますところでは、この前も御答弁がありましたように、初めのうちは、最初でございましたので、ややすべてがおくれておったということでございます。だんだん改善されまして、円滑にいっているように聞いております。ただ、私のほうで聞いておりますことでも、場所によっては多少まだおくれているところもあるようですが、逐次改善されている。
 それから、営業用の車等につきましては、道路運送法上の車庫の確認をいたしているし、また、警察でやることは二重手間ではないかというお話もございまして、これもこの前一部お答えいたしましたが、二重手間にならないように、具体的に現地の警察当局等と十分協議をいたしまして、改善に努力をいたしております。いずれ政令その他の改正が必要な点もあろうかと思います。その点もあわせて検討いたしているのが実情であります。
○中村正雄君 今お話のありました事業用の車の適用除外の問題なんですが、これは私内容がわかりませんが、政令その他で適用除外を作るという意図で計画なさっているんですか、どうなっているんですか。
○説明員(木村睦男君) その点につきましては、警察当局とも協議をいたしておりますが、政令等を必ず改正してそういうふうにやっていくかどうかということについても検討しておりますが、この席でこうきめているのだと言う段階に至っておりませんので、ちょっと申し上げかねるのであります。
○中村正雄君 そういう命令の改正その他は別にして、私これは解釈の違いもあると思いますが、この自動車の保管場所の確保に関する法律と、あるいは道路運送法、道路運送車両法等の関係を見て、これはやはり、営業用の自動車について証明その他をこの法律によって必要にするということは、私はこれは間違っているんじゃないかと思っているわけです。したがって、実際上から考えても、営業車については、車庫がなければ営業は許可しないわけですから、したがって、その車両の大体について一般車と同じようにやることは必要ないわけですから、政令の改正が必要かどうかは別にして、実際上営業用の車につきましては、この法律の適用除外になるような扱いをいたしたいということは、これは事実の問題として考えていいですか。
○説明員(木村睦男君) 実情は、先生のお話のとおりでございます。われわれもそういうふうに考えまして、その方向に向かって努力いたしたいと思っております。
○中村正雄君 まだ確定じゃないから、確答はできないと思いますが、近い将来にそういうふうな取り扱いになるということは考えていいわけですか。
○説明員(木村睦男君) 二重手間がなくなるように、その方向に考えていきたい、かように考えております。
○中村正雄君 中小企業庁の担当の方等にお尋ねいたしたいわけですが、この法律の施行について、中小企業者等が車庫を作るのに資金がない、土地がないというようなことで、通産省のほうで運輸省の要請に従って何らかの措置をしなくちゃいけないということで、資金の拡大、早期の貸し出し等、今運輸大臣が答弁になりましたようなことをお考えになっておるようですが、実際こういう面についての実情はどうなっておるか、おわかりになっておればお知らせ願いたい。
○説明員(加藤悌次君) まず最初に、資金の問題でございますが、御承知のように、非常に中小企業は、不況のしわ寄せが参りまして、一般的に非常に困っておるということで、政府関係の金融機関の資金の裏づけについては、一般的な問題として、今年度もすでに七百億ばかりの追加の措置をやっております。特に、自動車の車庫を作るための資金でございますが、現在までのところ、非常に顕著な申し出、こういったものはまだない。それから、調査を現在まだやっておりません。一般の店舗なり、あるいは倉庫、そういったものに資金の需要が出ておる。ただ、原則的には、こういう法律に基づいて設置するものには優先的に貸すということでやっております。ただ、運輸関係の業種で、これは商工中金でございますが、ことしの十月までの過去半年のこういった資金の貸付実績を見ますと、大体昨年の二倍半くらいの件数になっておるということで、かなり資金の需要が出てきておるということでありますが、今後需要がだんだん現われてくるに従って、そちらのほうをできるだけ優先的にいたしたい、かように思っております。
 それから、これは来年度の問題でございますが、個々の業者がなかなか車庫を作るのはたいへんだ、特に東京は――ということで、私どもはできるだけ組合等の共同施設ということでひとつこれを設置せよということで指導いたしております。来年度の希望を全国とってみましたのですが、現在のところ、大体百十四カ所ばかり組合がございますが、資金が大体八億くらいになっております。これにつきまして、一般の金融でなくて、政府の直接の資金をもちまして、共同施設に対する無利子貸付の制度があるわけであります。その共同施設の無利子の貸付についても、できるだけこれを優先して考えたいということで、これはまだ予算の要求の段階でございますが、このための別ワクを特に大蔵省のほうと今折衝しております。これは五年間の無利子の貸付であります。
 それからもう一つ、税制の面でありますが、これはやはり、組合等が共同施設として車庫を作ります場合に、不動産取得税並びに固定資産税を非課税にしてもらいたいということで、これも現在来年度の税制改正の一環として自治省と折衝いたしております。こういう段階でございます。
○中村正雄君 運輸大臣にお尋ねするのですが、一応この問題の施行区域について、今後これを拡大していく、ほかの都市にも及ぼしていくという計画が今おありになるかどうか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま通産省の事務当局からお答え申し上げましたが、漸次その方向に向かうようにいたして、実情を調査いたしまして、御希望に沿うようにいたしたいと思います。
○中村正雄君 私の質問は、この法律の施行地域ですね、これを現在指定しているわけなんですが、これ以外に拡大していくお考えが今おありになるかどうかということをお聞きしておる。
○国務大臣(綾部健太郎君) それは実情に応じまして、今後するせぬをきめたいと思います。
○中村正雄君 最後に運輸大臣に、これは要望なんですが、この会議での答弁はそれぞれの立場があると思いますが、実際上都市におきまする駐車場なりあるいは保管場所がないために相当困っている自動車所有者も多いと思います。したがって、院の附帯決議にもありますように、公共的なやはり駐車場等を早急に具体化していただきたいということを要望して、この問題についての僕の質問は終わります。
    ―――――――――――――
○委員長(金丸冨夫君) それでは、次の問題に移ります。中村君。
○中村正雄君 海運局長、船員局長並びに外務省の方にお尋ねしたいのですが、この前の委員会での答弁が外務省関係残っていると思うのです。フィリピンの政府に対しましてどういう交渉をしているか、その後の交渉の経過について外務省のほうから御答弁願います。
○説明員(稲田繁君) お答え申し上げます。
 前回の運輸委員会でお尋ねのございました、フィリピンにおける、主としてミンダナオ島のラワン材の積み取りに参りました船、大体先回は、四隻に対しまして現地に暴行事件がございまして、それについてお答えを申し上げたわけですが、その後また数件同じようなケースが起こっております。それらも取りまとめまして、フィリピン側とどういうような交渉をしているかということを申し上げます。
 まず、先回、私どもといたしましては、フィリピンにある大使館のほうに事件の詳細を通報いたしまして、フィリピン関係当局の本件に対する調査、それからこのような事件が再発しないように適切な措置をとるということの申し入れを板垣大使に対して訓令を発したわけであります。その後、前回申し上げたとおり、私が東京にあるフィリピン大使館のラミレス公使に同様の注意を喚起いたしまして、同様な再発防止のための措置をとるように、重ねて東京において要請いたしたわけであります。その後、前回の委員会で、いろいろ、窃盗とか暴行事件だけでなく、非衛生的な行為、たとえばコレラの予防措置というようなこともつけ加えて措置方をフィリピン政府に申し入れしたらどうかというお話がありました。これは、フィリピンにある日本の大使館に私どもが先生の御要望の線に沿って訓令を出しましたところ、十月十九日にフィリピン政府に同様の趣旨の申し入れをしている、それで、まだはっきりした回答をフィリピン側からはもらっておりませんが、ただ、しかし、フィリピン側としては、いろいろ関係政府機関、軍とか、警察、海軍、それから税関というようなものに、現地において事態の起こった究明をするということと、それから再発を防止する、こういうようなことが起こらないようにという措置をとるように地方に指令をしているという返事が参りました。それから、まだはっきり申し上げる段階にありませんのですが、税関等は、地方のコミッショナーに対して、厳重に措置方を、再発防止のための所要の措置をするようにということを指令しているようであります。それから、今後、われわれとしましても、フィリピン側と協力しまして、なるべく日本船が入る港と、入るときと、船の名前等を通報し、そして現地において適切な措置がとられるようにというふうな方向で、安全を確保するため組織的に制度化していく、こういうふうな方向でフィリピン側にいろいろ頼んでおります。まだこの結果については、今はっきりと申し上げる段階にありませんが、大体この方向にフィリピン側も動いてくれるものと私どもも期待しております。
○中村正雄君 そうしますと、この前の委員会のときの御答弁と同じように、フィリピンの政府に対しては、それぞれ具体的な事実を示して、今後不祥事件が発生しないような措置を依頼しているわけなんですが、まあフィリピン政府としても日本国の依頼によってそのような措置はしているようではあるけれども、まだ正式な回答は来ておらないと、こういうふうな御答弁ですか。
○説明員(稲田繁君) これは、中間的な回答をフィリピン政府から非公式にいただいて、そして、どういうふうにフィリピン側が処置しているということは、われわれとしても手に取るようにわかっております。ただ、書き物によって正式に、こういうふうに具体的な措置をいつどういうふうにとったということまではいただいておりません。しかし、フィリピン政府がわれわれの申し入れに対して非常に協力的に措置をしてくれているということはよくわかっているわけであります。そのうちまたはっきりした回答が参りましたら、御報告申し上げたいと思います。
○中村正雄君 まあこの問題は、フィリピンの政府に対してこういう不祥事件が起きないように協力を依頼するということでなくして、私は十分抗議する内容だろうと思うんです。したがって、この点については、外務省としてもいろいろの関係はあると思いますけれども、早急に日本の船舶が安全にフィリピンの港に入って仕事ができるように措置を僕は講じてもらいたいと思うんです。
 それから、運輸大臣にお尋ねしたいんですが、まあ六月以降相次いでこういう事件が起きているわけなんです。十月の二十七日に、船主協会からも、運輸大臣あてに、今後こういう事件の起きないように、そしてまた船舶が安全に航行できるようにということを要望書が行っていると思うんです。これについて、運輸省はどういう処置をおとりになっているか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) ただいま外務省の南東アジア課長から申し上げましたような処置をとりつつあると同時に、外務省へ向かいましては、それを具体的に、今中村委員のおっしゃるような事実の起こらないように万全の措置をとるよう強く要望いたして、その結果を待っておるというのが実情でございます。
○中村正雄君 大臣でなくてけっこうなんですが、船員局長か海運局長がいらっしゃったら、事務的にお尋ねしたいんですが、相次いでこのフィリピン方面でこういう問題が起きているので、乗組員が安心してこの方面の航行ができないということで、これ以上事故が起きるのであれば、フィリピンの問題の起きるような港に行く船については乗り組みを拒否するというような強硬な組合員の意向があるわけですが、これに対してどうお考えになっていますか。
○説明員(若狭得治君) フィリピン方面の事件につきましては、最後に一番大きい問題になりましたのは、日周丸という船がございます。その後われわれのほうでいろいろ調査いたしまして、それ以前に、先ほど外務省から御報告がありましたように、数件そういうような類似の事件があったわけでございますけれども、日周丸事件以降におきまして類似の事件が起きたというような報告は受けておりません。ただ、その状況をいろいろ調査いたしてみますと、フィリピン航路ラワン材の積み取りにふなれな船舶が比較的多く被害を受けておるというような状況もわかって参りましたし、また、われわれといたしましては、あの問題が起きました直後に、関係船主に対しまして事件の実情を詳細に報告いたしまして注意を喚起いたしたわけでございます。船主といたしましては、当然荷主なりあるいは現地の代理店等を通じまして、そういう事故の再び起こらないように措置をとる道があるわけでございますので、当然そういう万全の措置を講じておるというようにわれわれ考えております。したがいまして、今後そういう事態がまた起こるというような事態であれば、われわれは当然必要な措置を考えなければならないと存じますけれども、ただいまのところは、そういう船主の努力、あるいは先ほど外務省から御報告のありましたような事実によりまして、さらに今後類似の事件が頻発するというような事態はおそらくないだろうというようにわれわれ考えておるわけでございます。
○中村正雄君 今局長のお話になりました日周丸、これは八月十五日の事件なんですが、その後また九月の二十三日に同じような――万野汽船の松豊丸というのですか――事件が起きているわけなんですが、これは内容御承知でしょうか。
○説明員(若狭得治君) 承知いたしております。
○中村正雄君 こういうふうに次々にこういう不祥事件が起きているわけなんで、海運関係としても、相当この問題についてはやっぱり関心が深いと思うのです。外務省のほうでも、誠意を持ってフィリピンの政府と交渉し、今後こういう事件の起きないように努力をされていると思うわけなんですが、それと同時に、直接の主務官庁であります運輸省でも、やっぱり船主なりあるいは荷主等と、十分こういう面の連携をとって、こういう事件が一日も早くなくなるように、ひとつ努力を願いたい、要望しまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
○委員長(金丸冨夫君) 中村君の質疑は終了いたしました。
 引き続き中村順造君。
○中村順造君 私は、まず、現在理不尽にも盛んに行なわれております李ラインの問題につきまして、特に今、日韓交渉などが非常に新聞をにぎわしておりますが、そういう意味で、李ラインの問題だけ取り上げて質問する場合には、これはまあ運輸大臣の所管であろうと思いますが、しかし、もう少し大局的に見ますならば、やはり今進められておる日韓交渉の経緯だとか、あるいはその本質的なもの、こういうことで関連がありますので、きょうは特に私は外務大臣の出席もお願いをしておりましたが、何か外務大臣は御都合で出られない、こういうことであります。運輸大臣はいずれにしても池田内閣の閣僚であることは間違いないわけでありまして、そういう意味で、まず、韓国が昭和二十二年の二月以来今日まで、船の数にして二百九十四隻、人員にして三千五百九十七名、その中で沈没した船が二隻、それから死亡人員が八人、こういうふうな実態になっておるわけです。特に私は、本委員会できょう取り上げておることにつきましては、去る十月の十三日ですか、二十二昭徳丸の拿捕、特にその拿捕の状況などを判断しますと、断じて許すことのできない内容を持っているわけです。そういう意味におきまして、逐次海上保安庁なりあるいは外務省からも出席をお願いしておりますので、その意味で質問を続けていきたいと思いますが、まず運輸大臣に、今申しましたような観点からいたします大臣の考え方、特に、今わが党はあげて反対をいたしておりますが、日韓交渉の大詰めを迎えた今日の段階で、こういうふうないわば海賊的な行為というのが今なお続けられておる、この点につきまして、大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 日韓問題も大詰めに来まして、いろいろな問題が解決されるように、私どもは閣議においても外務省からその報告も受け、特にそういうことのないように厳重に外務省を通じて日韓間の交渉を進めていくように要望いたしておりまして、大体、日韓交渉が妥結する場合には、かようなことも同時に根本的な、あるいは根本的に近い方向に日韓会談が妥結し、したがって李ラインの問題も解決されるように期待をし、そういう方面に閣議でも努力いたしておるのであります。
○中村順造君 大臣の言われておることは、何かそのまま聞くと、今までの李ラインというのはあっても仕方がないのだというふうな前提に立った御答弁のように受け取れるわけです。しかし、私どもは、李ラインというものはあくまで不当なものであり、断じて許されない公海上における一方的ないわゆるそういうラインであって、みずからの利益を守る、こういう考え方に立っておるのであるし、なおかつ、今までの経緯から見ますと、それはあるいは昔でいう人質というようなものをとって、そうしてみずからの立場を有利にする、そういう考え方もこれにはうかがえるわけです。そういう意味におきましては、大臣ももっときぜんたる態度をとってもらいたいと私は思いますが、大臣と今そういう点について繰り返してやっても仕方がないことでありますから、話を進めますが、まず海上保安庁にお尋ねします。特にこれは十月十三日の問題でございますが、十月十三日の午前零時十四分ですが、それから始まりましたいわゆる韓国の警備艇による第二十一昭徳丸、第二十二昭徳丸の追跡、最終的には第二十二昭徳丸が拿捕された。私の手元にあります資料によりますと、必ずしも海上保安庁の巡視艇が、ほんとうに日本の漁船を守るために、文字どおりあらゆる手段を尽くしたというふうには理解がとれないわけです。いろいろ傍受された無線の記録なども私は持っておりますが、その意味におきまして、いろいろあなたのほうでは、こうだ、ああだと言われると思いますけれども、どういうふうな状況であったのか、まず一通り伺って、そうして内容に入りたいと思いますが、まず十三日の午前零時十四分から四時三十分、二十二昭徳丸が拿捕される間における巡視艇の配置状況、それから巡視艇のとった行動などについて説明を願いたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 中村委員の、私が韓国側の李ラインに関してとった行動は当然であるかのような考えであって、韓国側が不当であり、不法であるということを認識した前提で外務省と交渉しておらぬかのようなお話でございますが、私はさような考えは持っておりません。きぜんというか、何というか、強く不当行為、不法行為に対しては、外務省として、あるいは政府としてやるべきであるということを、しばしば外務大臣にも言うて、外務大臣もそのように了承して、そのもとに折衝しておるように聞いております。詳細は、外務省から来ておりますから、その経過の内容は後刻報告いたさせます。
○小柳勇君 関連して。運輸大臣の言葉じりをとるのではございませんが、初めの中村君の質問に対して、大臣の決意を聞いておりまして、私どもはきぜんたるということを感じませんでした。したがって、もう一度大臣に質問してもらうように中村君に言いましたが、今補足の説明がありましたから、私は関連して質問いたします。
 第二十二昭徳丸拿捕事件については、大臣はその事件の概要なり現状を御存じであるかどうか御答弁願います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 一応、海上保安庁長官から報告は受けておりますが、詳細は保安庁長官に説明いたさせます。
○小柳勇君 大臣、重ねて質問いたしますが、第二十二昭徳丸事件は今までの拿捕事件と若干性質が異なると私どもは理解いたしております。中村君が激しい言葉で海賊的行為という言葉を使いました。李ライン外に出ておる、しかも漁獲をやっておらない、ただ航行しておる、自分の漁場に向かう航行中の日本の漁船に対して、二隻の韓国の船が参りまして、銃をもって脅迫して、しかもその銃をさかさにして殴打しておる。銃が折れたという事件です。そうして拿捕しておるわけです。このような事件を知っておられるならば、日本国民として、しかも運輸大臣として、もっと激しい憤りを持ってこの事件を処理されるのが至当だと考えます。今の御答弁では、その事件の内容を知られぬように私は思いました。ですから質問いたしました。その点も御存じでしょうか。
○国務大臣(綾部健太郎君) よく知った上で、外務大臣にも交渉いたしております。
○説明員(和田勇君) それでは、ただいま中村先生からお尋ねの点につきまして、簡単に御説明申し上げます。
 第二十二昭徳丸が拿捕されました場所は、農林二四四区の付近でございます。十二日の十二時三十分から厳戒警報発令中でございました。厳戒警報発令と申しますのは、警備艇が非常に近接しておるから漁撈中の船は網をあげて待機してほしいというような場合に出す警報でございます。
 次に、第二十二昭徳丸は第二十一昭徳丸と組んで作業しておったのでございますが、その第二十一昭徳丸が母船でございまして、これがこの警報を受信いたしました。二十二昭徳丸自身は受信をいたしておりませんでございました。しかし、第十二昭徳丸は、二十一昭徳丸から、逐一われわれのほうから出しております警報を全部は聞いておらなかったようでございます。
 次に、やや詳しくなりまするが、当時の模様を申し上げます。
 この二十二昭徳丸は、十月の十二日の午前九時半ごろに福岡を出まして、青島沖を漁場に向けて出港いたしました。私のほうの巡視船の「こしき」というのがございますが、これが韓国の警備艇の八六八号、これを発見いたしましたので、追尾警戒いたしておりましたところ、十三日の零時十分ごろに同警備艇が三十五度に変針いたして参ったのでございます。そこで、「こしき」は直ちに前方八海里付近に進路を西南西に向けまして航行中の船影をレーダーで認めましたので、速力を速めてこの船に近づくとともに、無線並びに探照灯照射によりまして漁船の退避を指示いたしました。この船につきましては、何らこれに応ずることがございませんで、依然として西南西方向に航行を続けておったのであります。一時ごろに警備艇八六八号がこの二十二昭徳丸に約一海里に急速に接近して参りました。そのときに「こしき」と漁船との間は一・五海里程度でございます。一時四十分ごろに「こしき」と、さらに八六八号は、ともにこの二十二昭徳丸の百メートル近くまで接近して参りました。そこで、二十二昭徳丸の逃走を、逃げていただきたいということで、昭徳丸に「こしき」を回って逃げろというふうに指示いたしました。同時に、煙幕を張り、探照灯を照らしまして、積極的な拿捕防止に当たったのでございます。しかし、この二十二昭徳丸は非常に速力がおそうございまして、脱出が困難と認められましたので、漁船に対しまして乗組員に「こしき」へ移れということを再度にわたって勧告いたしましたが、船のほうからは機関が好調だからということで乗って参りませんでした。一方、韓国の警備艇の八六五号というのがございますが、これは十二日の二十二時ごろから、農林二四四区の三、あるいは二四五区の一、二三六区の七、二三四区の九、この辺の海上を行動中でございまして、この警備艇には、私のほうの巡視船の「あわじ」が追尾警戒を行なっておりました。その間に、第三十八海洋丸、天佑丸、いずれも日本の漁船でございますが、あぶないからということで退避させたのでございます。さらに、十三日の午前二時三十分ごろに、巡視船「あわじ」は、一時五十分ごろから行動をともにいたしておりました巡視船の「よしの」に八六五号の追尾警戒を引き継ぎまして、二十二昭徳のほうに急行いたしましたが、ちょうど二時三十分ごろに、八六五号も、また八六八号も、この拿捕に向かうということでございまして、三時三十分ごろに第二十二昭徳丸の現場にほとんど同時に二隻の警備艇が着いたのでございます。そこで、私のほうの巡視船「こしき」は、八六八号に対しまして、また巡視船「あわじ」及び「よしの」は、八六五号に対しまして、それぞれ拿捕防止を行なったのでございますが、二十二昭徳丸はこの両警備艇にはさみ打ちになりまして、四時三十分八六五号は二十二昭徳丸の右舷の船尾に追突いたしました。そうして武装員が乗って参りまして拿捕されたのでございます。さらに、二十二昭徳丸に乗って参りました韓国の警備兵にこの漁船の船員二、三名が銃でなぐられたようでございます。これは確かでございます。その際に、乗組員数名が海の中へ飛び込みまして、五名は私のほうの「よしの」に救助されたのでございますが、他は、ちょうど暗いところでもございまするし、探照灯のあかりで間違って向こうの警備艇に泳ぎついて収容されたのでございます。十三日の五時十五分に、私のほうの「こしき」は、警備艇に接舷を求めましたが、拒否されております。また、二十二昭徳丸の乗組員の釈放を交渉いたしましたが、これに対しても何らの応答もございませんで、五時三十分に警備艇八六八号は漁船を引っぱって、十三日の二十三時三十分に釜山に入港いたしました。なお、巡視船「よしの」が救助した五名以外の七名は、韓国に抑留されております。こういう状況でございます。
○中村順造君 私が運輸委員として一昨年海上保安庁の第七管区保安部に視察に参りまして、本年また第六管区の視察にも参りましたし、海上保安庁のされておるお仕事が非常に広範多岐にわたって、それぞれ心労をされ、御苦労されておりますということは、よくわかります。わかりますが、今の長官の答弁で、若干警備状況が、この前七管に参ったときには、七管の本部長の説明では、大体韓国の警備艇というのはどこの港におる――たとえば釜山、あるいは仁川、こういうところを根拠地にしておるのですから、その港外で日本の巡視船がレーダーを持って待機をしておるならば、向こうの警備艇が出てくるのはわかる。したがって、警備艇が出動したということがわかったときには、直ちに李ラインの中におる全日本の漁船に対して退避指令をする、こういう措置がとられておると一昨年は聞きました。ところが、今の説明でみますと、あるいは地図で見ますと、この二四四の漁区、今度拿捕された地域はかなり釜山の港から離れておる。そうして、向こうの警備艇の八六八、八六五はかなり南のほうに来て、そこで初めて「あわじ」と「こしき」と、こういう日本の巡視船が接触をしておるわけです。そうすると、この状況から見ますと、私がまず疑問に思うのは、従来のいわゆる釜山の根拠地の外におけるレーダーによる把握というものは今日なされておるかどうか、この点はあとでひとつ。もしそれが、釜山の根拠地の外で完全に向こうの警備艇が出動するということが把握されるならば、もう少し事前に時間的に余裕があったと思う。今のお話では、一・五海里だというお話ですが、そこまで接近するまでわがほうの巡視船が向こうの警備艇の把握ができなかったということになりますから、これは警備の問題でありますから、専門的な問題であろうと思いますので、あとでお答えをいただきたい。
 それから、御答弁の中で、しばしばこの昭徳丸の船員に対して日本の巡視船に乗り移れ、こういう勧告をしたけれども、応じなかった、こういう御答弁があった。しかし、これは長官はどこからそういうことを――現地の、おそらく七管かあるいは十管から出動した巡視船からの報告だと思いますが、私の持っております、先ほど申し上げました、この十三日の一時十四分、第二十一昭徳丸がこういう無電を発して日本の巡視船に救助を求めておる、これが第一報だと思いますが、一時十四分第二十一、第二十二昭徳丸、農林漁区二四四区三において韓国艇に追跡され中、各船の救助を求む、これが第一信、以下ずっとあります。最後のいわゆる四時三十分に拿捕されたという状況まで――二十一昭徳丸が無電を持っておるから、従船である拿捕された二十二昭徳丸は、それだけの通信機関を、設備を持っておらない。したがって、主船である二十一昭徳丸と巡視船との間の通信というものは間断なくとられておる。一分置き、短いときには三十秒、全部とられておる。私はその資料を持っております。けれども、巡視船と――特に「こしき」「あわじ」と二十一昭徳丸との間におけるいわゆる無電の連絡には、一言半句も乗り移れということはないわけです。むしろこの中で見ますと、漁船のほうから乗ってくれと、こういうことが無電でされておるわけです。これは読むと長くなりますから私は省略しますが、二十一号昭徳丸が、ちょうど非常に緊迫した状況の中で日本の巡視船に、もう少し近づいてくれ、そうして本船に乗って指示をして下さい、こういうふうな連絡をしておるわけです。ところが巡視船のほうからは、本船は停止したから横につけるように。どちらにつけたらいいか。右舷につけて下さい。ところが、なかなかつけられない、速度も違うし。そこで二十一号昭徳丸のほうからは、向こうがうしろから追跡してくるから仲に入ってくれ、そうして妨害してくれ、当時の状況、私持っておりますけれども、ちょうど今説明のありましたように、二十一昭徳丸、二十二昭徳丸――二十二昭徳丸は八六八号に追跡されておる、その間に入った「こしき」は、これはきわめて果敢に仲で、いわゆる追跡の妨害をしておる、ジグザグ・コースをとる、あるいは発煙――煙幕をたくなりして。ところが二十一号昭徳丸のほうを追跡したのは八六五号で、これに対して仲に入ったのは「あわじ」です。これは「こしき」と同じような行動をとっておらない。これはそれぞれ、「あわじ」は何か第五管区、「こしき」は第十管区、こういうように、それぞれ所管の管区が違いますから、方針が違うかもしれませんけれども、そういう実情でもって、長官が言われるように、その間における、拿捕までの間における万全のことを手配をした、こういうふうには、この中では受け取れないわけです。
 これは読みますと、非常にその当時の状況がわかりまして、無電でやりとりしている状況がわかって、まさにその当時の状況をほうふつとして、私ども非常に漁船の船員、いわゆる無防備であり、何ら武装もしておらない。しかも先ほど小柳委員の言ったように、この船はまだ魚をとっておらない、今から漁場に行くという航行中の船だ。その間の三時間に余るところの武装された、いわゆる警備艇によって追跡され、しかも最終的には拳銃を突きつけ、さらに銃把でもってなぐりつける、こういうことを考えますときに、私どもは、いかにその二十一昭徳丸あるいは二十二昭徳丸に乗っておったこの漁船の船員が、どれだけ恐しい目にあったか、こういうことを考えると、私は今まで、冒頭に申し上げましたように海上保安庁の巡視船の諸君は非常に努力しておるということはわかりますけれども、この一つの例をとらえてみますと、その点につきましては、必ずしも万全でなかった、よって来たる原因もあるようでありますからあとで申し上げますが、特に拿捕された最終の状態、今長官がお話しになりましたけれども、結局二十二昭徳丸をまん中にして八六五号、これが右舷に衝突をして韓国の警備艇がいためまして、中で浸水し始めた、こういう状況にもあるし、それから八六八号が左舷につくというふうで、ちょうど八六五号といわゆる八六八号とのまん中に本船がはさまれて、そうして最終的な場面を迎えた。
 ところが、中でいわゆる今お話のあったように暴行して負傷者も出る、しかも拳銃を突きつけておるというふうな状況から、恐しさのあまり海に飛び込んだ。これは今長官がお話しになったとおり、海に飛び込んだとき、どういう状態だったか。この八六八号ですか、これから探照灯で海面を照して、そうして救命ブイを投げ、日本語で、こちらへ来い、こちらへ来い、こちらへ上がれ、こう言うから飛び込んだ、船長――人間もわかっておりますけれども、それらの人は、てっきり日本の巡視船と間違えて、そのブイに取りすがって引き上げられた。ところが、それがあにはからんや韓国の警備艇だった。そこに、たまたま来合わせました巡視船の「よしの」、これがカッターをおろしまして、ようやく残りの者を日本側に収容した。ところが、探照灯でもって照らしてブイを投げたのが韓国の警備艇だ、それじゃ日本の「こしき」あるいはそれと一緒に従来同じようなコースで航行をしておった「あわじ」というものは、現地よりはるかに離れたところにおった。こういう状況で、そういうような状況を総合しますと、やはりその間に、長官のお話のあったように、必ずしも乗り移れと言っても、言うことをきかない。あるいは最終の場面に、救助の状況におきましても、飛び込んだのは七名か八名が飛び込んで、そのうちの五名を、かろうじてわがほうに収容した。あとの残りの人は韓国の警備艇に収容された。こういう状況から見て、私は御苦労はわかるけれども、万全でなかったという気持がするわけです。
 もし私の申し上げていることが、それは間違いだということで長官が指摘をされるなら、その点の指摘をしていただいて、これは将来、あってはならないことであります、断じてあってはならないことでありますから、御指摘を願いたい。
○説明員(和田勇君) お答えいたします。私のほうでは李ラインにこの九月から、従来四隻配置いたしておりましたものを五隻配置いたしております。出漁をいたしております漁船は非常に数が多うございまして、場合によりましては、この李ラインに千隻以上になる場合もございます。大体数百隻出ておる状況でございまして、この五隻配置いたしておりますのは、二十四時間ということで、結局しょっちゅうこの広い李ラインに五隻の船を配置いたしている。そのためには、現在十五隻の船を必要といたしますので、主として第七管区、門司の管区本部が担当はいたしておりまするが、南九州の第十管区あるいは第五管区あるいは第八管区から、それの応援をいたしております。しかし、この応援をいたしました船は、いずれも門司の第七管区本部の指揮下に入りまして仕事をやっております。また「あわじ」につきましても、しばしば応援に行ったことがございまして、七管区の船、あるいは十管区の船であるからどう、あるいは他の応援の船であるからどうということはございません。門司の管区本部で一本にしぼって、李ラインの拿捕防止対策に当たっておるのでございます。
 どういうふうにしてやっているかと申しますと、ただいま先生のおっしゃったとおりでございまするが、実は非常に警備艇の行動が最近、ことに朴政権になりましてから活発でございます。前の張勉内閣のときよりは組織も変わりまして、非常に活発に、しかもこの八六五号艇というのは、妙なことを申し上げて恐縮ですが、非常に成績を上げておる船でございます。先生のお手元の資料を詳しくは存じませんで、あるいは間違ったお答えをするようでございまするが、「こしき」のとった処置と「あわじ」のとった処置がまずかったのではないかというふうな御指摘でございまするが、あるいはさようなことはあったかと思いまするが、しかし、私のほうの「あわじ」も、先ほど申しましたように、しばしば応援に出ておりまするし、門司で、一本で統制をいたしておりますので、決して応援船でありまするがゆえに、拿捕防止について違った方法をやったのではございません。先ほど申しましたように、この「あわじ」は途中で、これはよその船でございますが、つかまらなかった日本の第三十八海洋丸並びに天佑丸を、それぞれ待避せしめたのでございます。それほど船がたくさんいるということが同時に言えるかと思います。
 それからもう一つ、私どものほうでやや遺憾に思っております点は、レーダー等が、これは夜のことでございまして、万全を期しておりまするが、夜、レーダーで見ましても、警備艇であるか漁船であるか、なかなかむずかしゅうございます。しかし現地の船長は、報道によりまして、警備艇であると判断いたしまして、追尾あるいは前後哨戒をいたしたわけでございます。
 そのほかに実は申し上げていいかどうかも、ちょっとためらうのでございまするが、向こうから電波を発射するわけでございます。その電波を発射しましたのを、方向探知器によりまして、こっちが察知いたします。その電波を出す方法が、最近は非常に向こうがうまくなったんであります。そのために私のほうで非常に苦労して、非常に簡単に電波を出してくる。それで方向探知器で向こうの警備艇の位置を見るわけでございまするが、これは線に出て参りますだけでございまして、完全につかまえられない場合もございます。またこの広い海域に、常時五隻を出して大丈夫だということではございません。むしろこの方面につきましては、私どももう少し船を出したい、しかし北海道から九州の南まで、あるいは海難のために、また警備関係の問題もございますので、精一ぱいのところ五はい出しておるのでございまして、ロランあるいは古い故障の多いレーダーにつきましては、少し問題ははずれるようでございまするが、三十八年度に、ぜひいいレーダーをつけてほしいということも要望いたしております。
 まあ現地の連中がやっておりますることにつきまして、御指摘のようなまずい点がございますれば、なお、詳細調査をいたしまして、できるだけさような不祥事がないように努めたいと考えております。
○中村順造君 これはいろいろ私が申し上げれば、また、あとで参考にもなると思いますから、私は何もはったりやなんぞで申し上げているわけではないわけでありまして、こうした実情にあったということで、巡視船の職務御苦労でありますけれども、より万全な措置をとっていただきたいということで申し上げておるわけであります。
 特に、これはことしの第六管区の視察に参りました際にも、いろいろ海上保安大学の練習船だとか、あるいは巡視船の強化だとかいうことは、これは私は自民党の議員の皆さんとも一緒に行ったんで、これは与野党問わず、そういうことは痛切に感じておるわけでありますから、特に私はこの件につきましては、あとでまた外務省のほうからお答えいただきたいと思いますが、専門的に見て、どうしたらそれではあの場合よかったかということが、現地の意見として出ておるわけであります。いわば一つは八六五号艇についておった「あわじ」が、端的に申しますが、「こしき」と同じようなひとつ方法をとってくれたら、あるいははさみ撃ちにはならなかった、逃走には成功したかもしれないということが、現地の意向としてあるわけです。
 それからもう一つは、漁船が退避をしていく途中、今長官のお話にもありましたけれども、日本の巡視船が日本の漁船を、いわゆる抱きかかえるというふうな形に持っていくことが一番望ましいと思います。そこでそういう考え方は、やはり急場の場合には、漁船は日本の巡視船が唯一の頼りだから、いっときも早くこれと接触をして、そして韓国の警備艇との間に入ってもらいたい、こういう気持になるのは私は当然だと思います。ところがこの場合に限っては、どうしたことか、巡視船のほうから、本船に寄ってこい、こういう指示が、無電の連絡なんかを見ますと、しばしばされておるわけです。ところが、巡視船と漁船というのは、残念ながら速度が違う。だから、巡視船のほうから漁船のほうに寄っていくことは可能でありますけれども、漁船のほうから巡視船のほうには、なかなか寄れなかったという実情がこの中にあるわけです。そういう場合に、やはり一歩進めて、危険はあるでしょう。それは追跡する船と逃げる船との間にはさまれることもありますし、そういうことをしなければ寄っていかれないわけですから、危険はあるでしょうけれども、あえてそういうふうな一つの方法をとってでも、危険を犯してでも、日本の漁船に対する日本の巡視船の措置というものが非常に現地では望まれておるわけです。
 そういう意味で、いろいろ煙幕であるとか何とかありますけれども、今長官のお話の中にあった、この無電の設備だとか、あるいはレーダー、そういうような設備に欠陥があるなら、これは当然直してもらわなければならぬと思う。そういう欠陥のあるものでもって、日本の漁船を保護するなんという考え方に立たれること自体が私は問題だと思いますが、そういういわゆる装備の上で欠陥があるなら、これは遠慮なくひとつ、大臣もここにおられることでありますから、そういう意味で十分要求をされ、また警備艇の数が少ないとか――私はちょうど呉に参りまして、前の大臣をしておられた木暮さんと一緒に行きましたが、呉は御承知のように軍港で、駆逐艦はたくさんおりますけれども、あの大学に配置されている練習船一つ見ましても、非常に老朽で、という説明を聞きまして、これは私どもの考え方でありますが、駆逐艦というのは、戦争が始まらなければ要らない船です。ところが巡視船は平時におけるいわゆる警備、あるいは救難、これは私から申し上げるまでもなく専門家でしょう、大臣も。私今、長官とやり取りをいたしておりますので、そのことは、大臣に私直接聞かなくてもおわかりになると思いますから、駆逐艦を増強する政策よりも、むしろ、海上保安庁に所属する巡視船の強化ということを、ぜひ来年の予算の中にも、大臣のほうでお含みをいただいて御努力を願いたい、そういうことで私は、海上保安庁の、この事件につきましては、必ずしも万全でなかったので、今後、万全の措置をお願いするということで、海上保安庁に対する私の質問は終わります。
○小柳勇君 海上保安庁に、最後の点でお聞きします。今最後に中村さんが言いましたような、巡視船の行動については、限界を設けているのではないかという気がいたしますが、あなた方が、たとえば韓国の警備艇については、この程度の行動しかするなというような行動の限界についての指令が出ておりますか。
○説明員(和田勇君) 私どものほうでは、実は武装いたしておりまするが、韓国の警備艇も国の船でございます。したがいまして、私ども自身の巡視船も銃撃をされたことがございます。ただし、損傷はほとんどございませんでしたが、非常にこの点につきましては憤慨にたえないのでございまするが、向うは撃っていないということを言っております。ところが、私どものほうの警備の閣議決定の線では、武装いたしておりまするが、発砲その他についてはしない、もし、韓国の警備艇の警備員がわれわれの保安官の生命を危くする、と申しますのは、乗船して参りましてピストルあるいは銃を向けたときは、持たしておりまするピストルを撃ってよろしいというわけでありまして、非常になまぬるいようなことではございまするが、退避を勧告する、そのためには煙幕を張るとか、あるいはジグザグ行進をして妨害をするとか、いわゆる実力行使はしないということが閣議決定になっておりまして、これはずっと守っております。したがいまして、先生のおっしゃるように、制限があるわけであります。
○小柳勇君 その攻撃は、もちろんできませんでしょうが、正当防衛については当然許せるでしょう。それで、その漁船を中にして、両方にはさんで、警備艇が来るやつを妨ぐ、その前に、あるいは衝突をして船が沈没するかもしれない、巡視船が、そういう場合には、どうなんですか、あなた方は、その巡視船の行動が行き過ぎであったという判定をいたしますか。
○説明員(和田勇君) これは、はっきりしたことは申し上げられませんが、韓国の警備艇と、私のほうが出しております四百五十トン、三百五十トン、まれに二百七十トンも出しておりますが、これの船体の強度から申しますと、わがほうの巡視船のほうが優秀でございます。したがいまして、横腹に向こうの警備艇が突っこんで参りますれば、もちろんこちらが損傷を受けますが、普通の場合には向こうの警備艇のほうが、わが巡視船にやられるというような強度でございます。
○小柳勇君 そういうことを質問しているのじゃありません。船が、日本の漁船がおるから、両方に壁をするように保護した場合に、向こうの警備艇が当たってくる、その場合に、そんなにまん中におらぬでもいいではないかというように指導しておるのですか。
○説明員(和田勇君) できるだけ妨害をして、そういうことをさせないようにと指導いたしております。
○小柳勇君 そういうことをさせないということは、拿捕させないということでございますか。
○説明員(和田勇君) さようでございます。
○小柳勇君 その場合に、もし巡視船に損傷が与えられて、保安官などに海難などの事故が起こった場合には、どういう扱いをいたしますか。
○説明員(和田勇君) 御質問の意味がよくわからないのでございますが、死傷をこうむった場合でございますか。
○小柳勇君 そうです。
○説明員(和田勇君) 公務員法の適用で、それぞれけがをした者はけがをした場合、あるいは死んだ例はございませんが、公務員法の一般の職員と同じような程度で、自衛隊の場合とは違っております。
○小柳勇君 今一般に拿捕された船員などの意見を聞きますと、巡視船が行動なんかが制限されておって、煙幕を張るぐらいなことはいいけれども、ジグザグをやって、たてになると、保安庁の長官がしかるのではないかという心配をしておる、一つは。もう一つは、もしそういうことをやっておって、その巡視船が沈んだ場合には、これはよくやってくれたとほめないで、行き過ぎたから船が沈んだ、けしからぬではないかというようなことを長官が言いはしないか、または保安官などに死傷があった場合には、それは犬死だと、行き過ぎたからやられたのだと、むしろ私どもとしては、それをほめてやって、昔の戦死というのはちょっと言い過ぎでありますが、それくらいの功労をたたえるようなことがあるのか、ないのか、それを聞いておきたいと思います。
○説明員(和田勇君) 小柳先生のおっしゃるお気持は、私自身はよくわかります。しかし現地の職員が、さような危惧を持っておる者も中にはありはしないかと思っておりますが、この特別哨戒に当たる巡視船の各責任者は、しょっちゅう会議をいたしまして、不十分ではございまするが、特別哨戒の手当もつけておりまして、割合に私どもから見ますると勇敢にやってもらっておる。
 ただ、御指摘のような韓国の警備艇にぶつけられて穴をあけられるとか、あるいはけがをしたらというような心配を持っておる者も、全部が全部そんなことはございませんが、中にはある者もあるかと思いますが、こういう点につきましては、よく先生の御趣旨を体しまして、さらに万全を期するようにいたしたいと考えております。
○小柳勇君 運輸大臣、今お聞きのことについて、どうでしょう。もう少し言いますが、漁船が逃げる、漁船の速力がおそいから巡視船が煙幕を張ったり、たてになったりして、ジグザグで守るわけです。そういう行動については、これは保安庁長官も指導しておられるようです。やれということです。そしていよいよ接近いたしまして、韓国の警備艇が無法にも突き当たってくる、そういう場合に、漁船を守るために巡視船が傷を負ったとする、あるいは保安官に死傷事故が起こったとする、その場合には、あまり行き過ぎではないかというようなことを言わないで、よくやってくれたとほめるのか、ほめないのか、大臣の意見を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(綾部健太郎君) 具体的なことでお尋ねですが、実際の問題の場合でなければ、仮定をして、それが勇敢であるとか、これはよろしいとか、私聞かれても、ちょっとお答えがしにくいのですが、大体巡視船がその任務を果たす上においてやった行動については、私は、それは賞賛すべき行為であって、私はむしろ韓国政府に対して反省を求めたりなんなりして強い態度で臨みたいと思っております。
○小柳勇君 なぜ私がそういう質問をするかというと、ここに報告にもありますように、ほかに「あわじ」と「いすず」がおったわけです。それが姿が見えないのです、最後の場面で。したがって、私懸念いたしますのは、そういうように本気になって漁民を守ろうとするその行動が、あるいは韓国の警備艇を妨害しなければならぬ、妨害したために、漁船は拿捕をのがれるかもしれない、その場合、巡視船が行き過ぎであった、それを保安官などは心配しておるんではないかと思うのです。もし大臣が今言われたように、あるいは今長官が言ったように、身をもってよく守ってくれたとほめるならば、この「あわじ」や「いすず」は逃げるはずはない、四隻の巡視船がおって、最後の場合、二隻しかいない、そういうのが、北九州の漁民の中に非常に不信感がある、一体保安官は何をしておるかと、したがって、私は質問しているわけです。もう一回、その点について長官から決意を聞いておきたい。
○説明員(和田勇君) 今先生の話、どうもお言葉を返すようで恐縮でございますが)「いすず」は、「よしの」と任務交代のために、十二日に基地の門司を出まして、十三日には農林二三三区の六に達しております。そこから現場に急行いたしております。決して逃げておりません。
○小柳勇君 わかりました。逃げたという言葉は、現場の保安官に対して失礼でありますから、その言葉は取り消しますが、この最終報告の中に、不明であると書いてある、初めおったが、どこに行ったかわからぬと書いてあるから、そういうような長官からおしかりがあるかもしれぬと思って、あまり立ち入らなかったか、最後の場面で、たった一つの巡視船が韓国の船に交渉しているわけです。四隻並べて交渉するのと、ただ一隻で交渉するのは、交渉の力も違おうと思うのです。四隻の巡視船が、ほんとうにこの漁船を釈放するような要求をすれば、一切船は無法をやってないから、それを四隻そろえて、四隻のものが本気になってやるならば、いかにわからぬような韓国の警備艇でも、わかってくれたんではなかろうかと思うから、今言っているのです。したがって、最終場面で身を挺して、巡視船も傷がつくかもしれないけれども、身を挺して守るだけの決意が出るというのは、どこから出るかというと、長官や大臣の気持ですよ、長官や大臣の決意があれば、現場の保安官諸君は、ほんとうに勇気を持って、しんから漁民を愛して、私は救難なり防御の行動をやると思う、それを聞きたいわけです。そのことを言っているわけですから、逃げておる、おらぬ、そういうような末梢的なものではなくて、もう一回長官の今後の方針を聞いておきたい。
○説明員(和田勇君) 御趣旨はよくわかりました。ただ先ほど申しましたように、この広い海域に五隻配置いたしております。もちろん四隻で交渉したほうが、一隻で交渉するよりも、はるかに強力でございますが、こういう場合、えてして他の警備艇も出ておるわけでございます。ですから私どもは、なるほど二十二昭徳丸につきましては、お気の毒にたえませんが、またほかのものがつかまる、これでは、せっかくこの広い海域におって、そこに全部集ってしまうと、からになります。そういう関係もございますので、欲を申せば、さらにもう一ぱいくらいいただきたい、来年度から三百五十トンを二隻作ってほしいということを要求いたしてございますが、そういうような状況でございます。お気持はよくわかりましたので、さらに検討いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えます。
○小柳勇君 船の足る、足らぬという話が出ましたから、これも蛇足ですけれどもつけ加えますが、ちょうどそのころ水俣の日本窒素の争議がありまして、日本窒素の会社から一隻の船で製品を出す、そのとき、あなたのほうの船が七隻、巡視船がその一隻の水俣の会社の輸送船を守るために、七隻の巡視船が水俣の港に待機して、これを守って出したことがあります。そういうものを考えますと、今九百そうの、船が多いときにはおって、船が足らぬとおっしゃるけれども、私はそれとこれと考えてみまして、どうもその船――巡視船の動きが、何かこう片一方に寄り過ぎておらぬかという気もいたしますけれども、その点は、また別に論議をいたしましょう。
○説明員(和田勇君) ちょっと一言。先生、それは誤解ではないかと思います。と言いますのは、水俣に七隻出ましたのは、一隻が巡視船で、あとは巡視艇でございます。艇と申しますのは、大体水俣の付近を航行できる程度の船でございまして、李ラインには出られないわけでございます。この点ちょっと。
○小柳勇君 わかりました。その点は、私は巡視艇を巡視船と見ていましたので、それは訂正いたします。
 それからもう一つは、これも最後の問題、わずかな費用で済むと思うのですが、巡視船に優秀なレーダーも必要だと思いますが、その船員の報告の中に、二十二昭徳丸に無電の装置がなくて、無線電話でやっておるわけであります。したがって、巡視船にもし無線電話があったならば、その無電機がない巡視船でも、無線電話で話せたのではなかろうかと思う。したがって、今後巡視船に無線電話を取り付けてもらえぬだろうかという要求も出ておりますが、その点いかがでしょうか。
○説明員(和田勇君) お答えいたします。予算のことでございまして、急速に三十八年度ということは全部できませんので、四十一年度までに全部そろえたいと思っております。
○小柳勇君 次は、もう少し具体的な問題でございますが、この拿捕されるときに、さっき中村委員が言いましたように、銃をさかさに持って銃把で叩きまして、そうして銃が折れるように、傷を負っております、日本の船員が。これは保安庁の調書にも、本人から供述調書が出ております。こういうものについては、日本で裁判をするというような手続はとれぬものでしょうか。
○説明員(和田勇君) 私もそのことにつきましては、書類を見まして非常に憤慨にたえないのでございます。が、これはむしろ、外務省からお答えいただいたほうがいいかと思います。
○小柳勇君 それでは、保安庁についても、若干もう少し行動についてでありますが、一番大事なことは、巡視船の行動の限界について、もう少し積極的にこれからも御指導願いたい。そうして保安官の諸君が安心して、しかも身を挺してと言うと極端でありますけれども、身を挺して漁船を守るような行動ができますように、大臣も長官も、今後ともひとつ指導なりあるいは指令を出してもらって、訓練していただきたい。これを要請いたしまして、保安庁に対する質問を終わります。
○中村順造君 一つだけ。今、小柳委員から話がありましたことを大臣にひとつ具体的にここでお尋ねしたいと思います。一つだけですから……。
 今の保安官の一身上の問題ですが、これは士気にも影響しますし、現地の要請では、やはり今、小柳委員から話がありましたように、問題が起きたときに、やはり身分の保障と申しますか、最終的に、たとえば殉職したというふうな場合に、どうなるかということがはっきりしていない、こういうことも、やはり士気に影響しているのじゃないかということもあるわけですが。
 そこで、具体的にお尋ねしますが、今、長官の答弁の中で、そういう場合には一般職の公務員の災害補償でやるというお答えでございました。ところが、これは大臣御承知かどうか知りませんが、私の聞いた範囲では、六月の十三日、ことしですが、閣議決定として、例の自民党のほうから準備をされました特別ほう賞制度というか、いわゆる陸における警察官、海上保安官、こういうものに対しましては、そういう場合には、殉職したような場合には、特別な措置をする法律が準備をされた、こういう経緯があるわけです。ところが、それは国会に上程されないままに、この問題は今日に至っているけれども、予算措置、六月の閣議の決定で最高三百万円を限度にして予算的な措置がされるようになった。そこで陸上の警察官については、そのことが殉職の場合には適用される、またはされた例もあるかと思いますけれども、そういたしますと、陸上における警察官の任務、さらに海上における海上保安官の任務等考えますと、いずれも同じような性格だと思います。特に海難救助、李ラインの問題だけではなしに、いわゆる荒天時における海難救助作業などというものは、やはり自分の身を危険にさらさなければ相手を救助することが不可能だという場面がしばしばあります。そういう場合に、この特別ほう賞制度による予算措置による三百万円を限度とするこの措置が、海上保安官などにやはり適用されなければならぬ、こう私どもは考えるわけですが、この点は閣議で――そのときの閣議に大臣出ておられたかどうか知りませんけれども、当然だと私は思うのですが、大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 当然と思って――まだそういう具体的事実が起こりませんから、起こった場合には、さように取り計らうように努力することはもちろん、そうなることと私は信じております。
○中村順造君 長官はどうですか。
○説明員(和田勇君) 警察官の場合と同じような考え方はもちろんできるわけでございまするが、あの規定は、たしか非常に狭いものであると承知いたしておりまして、韓国の警備員から、そういう暴行を受けた場合に、まだ私のほうに例がございませんが、先生のおっしゃるような御趣旨でやってもらいたいと思います、もし不幸にして、そういう場合がございますれば……。なお私のほうの、これは人事院のほうの御了解を得まして、災害のあった場合に、百万円以下の賞じゆつ金を出せるということには現在なっております。この百万円が十分であるかどうかは問題でございますが、さらにこれを二百万円というふうに、目下もう少しふやしていただきたいということを検討いたしております。
○中村順造君 大臣のお答えはわかりましたが、長官今、頭がよ過ぎて私の言うことがわからないのかもしれませんが、これは李ラインに限った問題ではないと思います。海上保安官というのは、海難救助もありましょうし、あるいは警備の問題もあるから、やはり陸上における警察官と同じような立場がしばしばある。それで今のお答えで、何か百万円を限度だとか何とか言われますけれども、せっかく閣議で、予算的な措置をしても、法律にはなっておりませんから、これはいずれ、どういう経過をたどるか知りませんけれども、今日やられていることは三百万円を限度にして可能だと、やろうと思えば――そういうことでございますから、何も李ラインに限らず一般のいわゆる海難救助、警備の問題についての海上保安官の、そういう待遇の問題については、大臣は、それは当然だと言われているから、あなたが別のことを言われると、これはまた、海上保安官のいわゆる士気にも影響しますから、もう少し、大臣がせっかくそう言われているのだから、長官は長官として、そういう方針に基づいてやられるかどうかということを私はお尋ねしているわけです。
○説明員(和田勇君) 言葉が足りませんで、李ラインの問題だけではございませんで、一般の災害の場合ももちろんでございます。ただ三百万というのは、私のほうの現在の規定では百万以下になっております。そうしてまだ具体的な事態が起こっておりませんので、私どものほうとしては、この場合、今、先生三百万とおっしゃいましたが、それは人命は非常に尊いものでございますから、御趣旨のようなことで、さらに今後相手のあることでございまするが、できるだけ努力をいたしたいと思います。よく御趣旨はわかりました。
○中村順造君 大臣、せっかくおられますが、ちょっとあと、また国鉄の問題もありますからおっていただきまして、やはりこれは、ただいまから外務省に一、二、今回の問題について、先ほど大臣も、外務大臣とも折衝しておると、こういうふうなお答えでございましたから、きょうは外務大臣も呼びましたけれども、御都合で来られないということで、アジア局長が来ておられるそうでありますから、この点に、今までの点について、外務省に二、三お尋ねをして、この問題を打ち切りたいと思いますから、海上保安庁と外務省とひとつ席をかわっていただきたい。
 外務省のアジア局長、お見えになっておるということで、お尋ねしますが、まずこの李ライン、これは私が時間のないのに、初めから今日までの状況をるる申し上げる必要もないと思います。
 そこで、まずお尋ねしますが、冒頭申し上げましたように、船の数にして二百九十四隻、人員にして三千五百九十七名、こういういわゆる不当拿捕が今日まで、昭和二十二年から続けられておりまして、これは国会で問題になったのも、今回が初めてでないと思います。しばしば言われておりますが、どういうことで、この不法不当な李ラインをめぐって韓国と、どういう考え方について今日まで折衝されたのか、その点をまずお尋ねしたいと思います。
○説明員(後宮虎郎君) 非常に大きな問題でありますが、この李ラインが、最初約十年くらい前に宣言されましてからも、その当時から原則論として、こういう国際法に認められないものは、国際法に認められていない制限は認めるわけにいかないということを何回も抗議いたしております。また、この一般論とは別に、各漁船が拿捕されますごとに、厳重に抗議をいたしております。ただ御承知のとおり、先方は先方で、この李ラインというのは、国際法の慣例に基づいた制限だ、合法的なものだという立場をとっておりますので、結局両方の議論は、両方が合法的立場に立って突っ張っております以上、今度の日韓交渉によりまして、双方合意に基づく漁業協定によって、これを解決するよりほか、一方的に解決するわけにいかないような仕儀に立ち至っておる次第であります。
○中村順造君 まず、両方が合法的だと主張しておるからということでございますがね。それは事実問題として、向こうは向こうで合法だ、こちら側は非合法だといっても、そういう水かけ論に終わるということは、私は今までのやり方のよかった悪かったということは別にして、そういうことのあったということは認めますがね、しかし、日本の国の方針として、韓国に日本がいわゆる合法でないと主張するなら、今まで一体、どういうことがされておるのか、新聞などで見ますと、そういうような不法な拿捕がされた場合には、ただ一片の向こうの出先き機関に対して申し入れをされる、そのことだけで、一切ほかのことはやっておられないように私どもは理解をするわけですが、何か別にそういうことを向こうの代表部に申し入れると同時に、適切な措置というふうなものを要求され、外交の問題については、私は外交ということについてはしろうとでありますけれども、ただ一片の、それだけのものしかやる方法がないのかどうか、その点はどうなのか、ひとつお尋ねします。
○説明員(後宮虎郎君) この拿捕が起こりましたような際には、あるいはまた拿捕に際して、さっきお話がございましたような暴行事件がありましたようなときは、特にそうでございますが、韓国の代表部を通じまして、厳重に書面及びその前にとりあえず口頭によって抗議をする。特に暴行事件等に対しては、責任者の処罰等まで要求しております。さっき裁判権をこちらで行使することができないかというようなお話もございましたが、御承知のとおり、まだ犯罪人引き渡しに関する協定もできてないような状況では、向こうの主権下におります国民の引き渡しを求めて、こちらで裁判をするということもできないわけでございまして、そういう漁業上の紛争に巻き込まれた人たちを、どちらでつかまえ、どちらで裁判するかというようなことまで、今日、今度できますべき、交渉すべき漁業交渉の内容の一つになってくるというふうに了解しております。
○中村順造君 これはただ、日本の国民としての立場からだけでなしに、やはり人道上の問題として、たとえばこの海上保安庁の資料を見ますと、昭和二十四年ですか、一月二十三日第十一万栄丸というのが銃撃を受けて船長は即死しておる、以来、二十二年の二月四日の不法拿捕以来今日まで、そういう不当なことが繰り返し繰り返し行なわれておる。しかも銃撃による即死も。これは初めてでありますが、その後にもまた死傷者が出ておりますが、そういうことが反復されておるにもかかわらず、日本の外務省は韓国に対して、なぜそういうことにつきまして、もう少し強硬なものが主張できないのか、されてもいれないというなら、しないのも同じことでありますから、ただ厳重に申し入れたということだけでは、国民は納得しないと思う。特に今申しました二十四年のいわゆる銃撃による即死以来、今日、十月十三日は、これはまだ詳しいことは、私は調べていただいておりますけれども、これもまた、私のいただいた返事では、通り一ぺんの返事でありまして、重傷しておらないけれども、治療はしておるというふうに――銃が折れるほどなぐりつけられて、それが重傷でないということはないわけですよ、そういう状態が反復繰り返されておるにもかかわらず、なぜ韓国に対しまして、それだけの強硬な処置がとれないのか、その点ひとつお答えをいただきたいと思うのです。何かほかに韓国について日本の外務省が、それだけの強硬な措置をとっていけないという理由があるなら、その点を説明を願わなければ、国民として納得できないわけです。
○説明員(後宮虎郎君) お言葉、一々ごもっともでございまして、外務当局としても、ある意味において切歯扼腕しておるというのが実情でございます。結局、ただ実力をもって、いわゆる昔のシベリアの沿海州の強行出漁と申しますか、そういうところまでの措置がとれない以上は、結局外交上の措置というのは非常に弱い限られたものになるわけでございまして、結局、さっき申し上げましたとおり、できるだけ早く漁業交渉を妥結して、こういうことが起こらないように、あらかじめ予防するというふうに措置するのが、外交当局としてできる唯一のことであることは、非常に私たちも残念に思う次第であります。
○中村順造君 大臣にお尋ねしますが、大臣は先ほど、外務大臣とも折衝しておると言われましたけれども、こういうふうな不法不当なことが、しばしば繰り返されておって、閣僚として、一体どうお考えになりますか。日本のいわゆる韓国に対する私どもは非常に軟弱だという考え方を持つわけですが、向こうは拳銃を突きつけ、銃撃をして、そうして全く武器を持たない、しかも平和的な産業に従事しておる日本の漁船を次から次に不法に拿捕し、なおかつ、その拿捕に際しては重傷者まで出し、特に今日までは、すでに銃撃による即死ということもしばしばあった、こういうことについて、日本の政府のいわゆる韓国に対する軟弱と申しますか、態度を閣僚として、一体どうお考えになりますか。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私は非常に、やはり遺憾千万なことと考えております。ただいまアジア局長が申されましたように、これは外交的な前提条件が整わない限り、なかなか解決は困難と考えております。
 そこで、われわれ池田内閣としては、早く日韓交渉を妥結して、かような問題の根本的解決に一歩前進をするように私は努力いたしており、外務大臣も、さようなことを申しております。
○中村順造君 私は日韓交渉で妥結をして、漁業協定などを結んで、この問題を解消するというのは、これは筋が通らないと思う、私の意見は。意見が違えば仕方がないですが、日韓交渉は日韓交渉で、別な問題です。請求権の問題にしても、無償供与の問題にしても、これは別の話であって、李ラインの海賊的な行為は断じて人道上許せない、こういうことを私は言っている。これは、そういうことを日韓交渉とからませること自体がおかしい。日韓交渉がまとまれば、李ラインの問題が解消します、竹島の問題が解消しますというのとは別なんです。これはここで、本委員会で、その議論をあまりしても仕方がないと思いますけれども、これは十分、日本の漁業が安全に操業できるということと、向こうが不法な理不尽なことを繰り返すということとは、これは全く、そこに原因があることであって、日韓交渉とは関係がないことです。日韓交渉と関係があるという考え方をされて、日韓交渉が妥結されれば、自然解決的に李ラインが解消するということは、これは国民は納得できません。そういう点は私は、今後まあそれは大臣が閣僚と言っても、閣議でどういう大方針がきめられておるかしりませんけれども、私ども国民的な立場からみれば、やはりここには一貫したひとつの大きなひもがあって、大方針があるからこそ、事、韓国に対しては、そういう軟弱な態度をとらなければならぬ、こういうふうに理解せざるを得ない。
 そこで、この問題は局長と私と議論しても仕方がありませんが、昨日も、いずれ近いうちに外務大臣に出ていただくということをお願いしているわけですが、具体的にそれでは、今回の二十二号の昭徳丸の実態から、これは前に、私は課長に連絡をして、課長からそのことについては、厳重に申し入れがしてあると言われておりますが、まず私が聞かなければならないのは、韓国の船は、大体貿易船として、魚を積んだ船が下関に入っているわけでしょう。これは私は、そのとおりだと思いますが、もしそのことを知っておられるなら、韓国の船が下関に魚を売りにくる。とった魚を揚げている。貿易をしている。なぜ日本の国が、向こうが勝手に引いた李ラインというものを中心に考えなければならぬか、こういう点について、ひとつそれでは報復手段といえば極端かもしれませんけれども、かりにも李ラインというものを不法に彼らが強行するなら、いわゆる韓国の、日本の下関における魚の陸揚げというものはできないというふうなぐらいのことは、当然外務省としても、何らかの方法を私はとる気持があるならとれると思う。そういう点を私はお尋ねしているわけです。
 それから、これは私のある資料では、昭徳丸については、これは李ラインの外だ。それは追いつき、追いつかれた過程においては、二三三にしても二四四にいたしましても、李ラインの境界線ですから、これは漁船の場合は外におったと言うし、向こうの場合は内におったというでしょう。いずれにしても、これは漁場に向かうから船なんです。魚を一匹も積んでおらない。今から魚をとりにいく青島の沖にとりにいくという性格の船、それを拿捕して、まあ航海日誌に、いつか李ラインの中で漁をしたとか、その日誌を根拠にして、これに対して向うは裁判をして、そうして犯罪者だという認定のもとに、一年か十カ月かの実刑を盛ると思う、これは今までの経験からみて。それからその後において、二、三日後におきまして第五大洋丸というのが、これがまた拿捕されている。これもまた同じ目的で青島沖に漁に行く船が、これは拿捕されて、第五大洋丸は釜山に連れていって――それは釈放しておる。そういう二つの場合を考えた場合に、この第二十二昭徳丸については、七名ですか、この船員と船体とともに拿捕しているのです。これの釈放、特に重傷者もあるという前提に立ったときの交渉というものは、一体どういうふうに、だれを相手に、どういうふうな交渉をされておるのか、その点をひとつ説明を願いたい。
○説明員(後宮虎郎君) 御指摘のとおり、この大洋丸のほうは、あとから拿捕されたのでございます。昭徳丸よりかあとから拿捕されたにもかかわらず、先に釈放されておるのでございますが、これは実は、これについても、それで、そういう事実を指摘いたしまして、代表部に抗議したことに対して、一応の向こうの言っておることは、大洋丸も、それから、この昭徳丸も、やはり操業しておったということを書き物の中でも言っておるのでございます。
 それでは、なぜ釈放を大洋丸だけしたのかと申しますと、少し内輪話になりまして、こういう席上でどうかと思いますが、実はちょうど大洋丸がつかまりましたときに、金部長が、この日本に滞在中でございまして、それで、そういう、ちょうど池田・金会談が行なわれました際に、池田総理から特に、こういうふうに金部長が来て、日韓関係の話をしようといっている矢先に、こういうことが起こるのは、はなはだけしからんということを非常に強く言われましたので、韓国側は、この日韓会談のさい先を傷つけないように、そういう政治的考慮から、これを特に釈放したのであって、これは特別な好意である。日本側の操業していなかったという主張を認めたわけではないんだという立場をとっております。それでこちらが、その大洋丸のことを先例として釈放しろと申しますと、特別な好意でしてやったものを、先例として援用されては困るというのが向こうの言い分でございます。ですから、こちらのほうは、もちろんそれに対しまして、操業の事実のないことを繰り返して言いまして、たまたま私、先月三十日にアジア局を担当するようになりまして最初のこの韓国側に申し入れましたケースが、この昭徳丸の釈放問題でございまして、ぜひそういう意味からもひとつ、これも同様に釈放してくれということを、ここの代表部に強く申し入れまして、代表部のほうでは、本国に請訓することを約束いたしましたが、まだその返事は受け取っておらぬというのが実情でございます。
○中村順造君 今楽屋裏の話というのがちょっとありましたけれども、これは、それは楽屋裏であろうと表であろうとさしつかえないと思いますが、私は本末転倒もはなはだしいと思う。というのは、第五大洋丸というのはトロール船で、かなり大きな経営者なんですよ。非常に日本でも有数な部類に属する、企業に属する船なんです。ところが昭徳丸だとか、いわゆる以西底びきなどというのは、みんな零細な企業なんです。わずか一隻か二隻かの船で、かろうじてその経営を成り立たせるというふうな経営の実態なんですよ。たまたま大手の船であったから、これは好意的に、まあいわゆるトップ・レベルの会談の中で、大洋をひとつ釈放したらどうか、好意で釈放いたしましょうというのならば、むしろそこに、池田総理のあたたかい思いやりがあるならば、大手の大洋よりか、これはもちろん全部がいけないという前提には立っておりますけれども、それ以前の問題として、今日まで抑留されておる人の釈放、さらには今拿捕した第二十二昭徳丸などを中心にして、これを釈放せよ、特に拿捕のときには、けが人まで出しておるじゃないかということが、第一の話題にのらなきゃならぬ。これは好意であろうとなかろうと、私も、まあ不当だ、不法だと言っているのだから、それはまず金情報部長というのが、たまたまお話に出ましたけれども、金情報部長が、今度新聞を見ますと十二日ですか、また日本に寄りまして、日韓会談というものは大詰めを迎えるようなことが新聞に出ておりますけれども、これは、ぜひそういうものは、前例もあることならば、向こうが好意だと言うならば、さらに百歩を譲って向こうの好意だということを認めるとして、今まで抑留されているものを即時釈放すると同時に、拿捕した船を――特にあのような理不尽な形で拿捕した昭徳丸を即時釈放せよということは、これがもし可能であるならば――今まで前例があるということが今楽屋裏からありましたから、そういうことで交渉して、もし可能であるとすれば、ぜひこのトップ会談の中で、従来のことを解消して――私はそう考えておりませんけれども、ほんとうにこの日韓交渉の妥結ということが、日韓の国交関係の正常化なり、あるいは親善関係をもたらすものという前提に立って、池田内閣が日韓交渉を進められておるにつきまして、今そういう前提が立つならば、不法なものをまず釈放するということが先決だと思いますが、この点につきましては、アジア局長は、私が申し上げたような考え方でそういうことがやれるものかどうか。私は、これは要請だから、少なくともこの交渉の課題に上げるということは可能だと思うのですが、その点どうですか。
○説明員(後宮虎郎君) 御趣旨よく拝承いたしましたので、大臣以下上司に伝えまして善処していただくように進めたいと思います。
○小柳勇君 関連いたしまして質問いたします。
 まず運輸大臣から、日韓会談によってこの問題が解決するのだという御発言がありましたが、これは非常に問題が大きいと思うのです。それは、この大洋丸の釈放のときも、向こうの警察隊の主任が船に参りまして引き継ぐときに、大洋丸を「よしの」に引き継ぐときに、これは日韓会談を進めるために釈放するのだということを明らかに言明しておる。あなたがおっしゃったとおりです。そういうことが下部の末端の警備艦の乗組員にすらわかっておる。そういうふうに李ラインで拿捕するということも、私は日韓会談を有利にしようとする韓国の作戦ではないかと思う。それを日本の大臣が、日韓会談によってこういう問題を解決いたします、そういうふうにそれに乗っていけば、ますますこういうことが起こるような気がする。この李ラインの問題だって、これは勝手に韓国のほうからつけておることであって、日本の漁業の問題とは別に、軍事的なラインだと思う。その軍事的なラインであるものが、この韓国の漁業権のほうに利用されて、しかも、それが日韓会談で解決するということを大臣が考えておるとすれば、この問題はますます起こってくると思うのです。したがって、こういうような拿捕事件などは、日韓会談があるから、そっとしておいてくれというようなことは、大臣として言ってもらいたくない。特に第二十二昭徳丸については、明らかに日本の巡視艇も認めておるように、漁獲をやっていたのではない。自分の漁場に航行中でしょう。航行中の問題であるから、特に日韓会談とは関係はないわけですよ。そういうことで、この第二十二昭徳丸、ほかにも同類の事件がございますが、大洋丸が釈放されたと同じように、第二十二昭徳丸も釈放されなければならない。これは日韓会談とは別だ、私はこう考えるのですが、運輸大臣の御見解をもう一度お聞きいたします。
○国務大臣(綾部健太郎君) 私は、李ラインの問題が日韓会談の主要な目的だとは申しておりません。そういうようなことも、根本的な解決はどうするかというお尋ねでございましたから、それも一つの根本的な解決に近づく道である、かように考えております。ゆえに、この日韓会談が、その漁業問題のみに限って日韓問題をやろうというのではありません。お互いに自由陣営におって、そうしてこの隣で文化の交流の久しい韓国と平和な状態に国交を回復するということは、私は国民の大部分の念願しておるところと思います。そこの見解の相違でございまして、これ以上議論したって同じことだと思います。
○小柳勇君 そういうようにけんかを吹っかけちゃいかぬですよ。
○国務大臣(綾部健太郎君) けんかじゃない。
○小柳勇君 見解の相違じゃありませんですよ。今までずっと論議されましたでしょう。それは全体的な問題は、日韓会談に漁業権の話がありましょう。それは当然です。当然ですが、この拿捕されました大洋丸とか、二十二昭徳丸というのは、自分の漁場へ航行中に不法拿捕された。今までずっと話があったとおりです。したがって、この問題を論議しているこの席で、日韓会談によってこの問題も解決するかのごとき発言をされますというと、日本の大臣がこんなことを考えているならば、日韓会談を優勢に韓国がするために、ますます拿捕するでしょう。その心配がありますよ、と私は言っている。そのことは見解の相違じゃないと思うのです。どうですか。
○国務大臣(綾部健太郎君) そういう意味なら見解の相違ではありません。
○小柳勇君 わかりました。その意味において、この第二十二昭徳丸については、不法にも拿捕されておりますから、運輸大臣、ひとつ運輸行政の責任者として、一日も早く釈放を要求していただきたいと思いますが、外務大臣もされましょうが、運輸大臣、どういうふうな方法でこの釈放について、あるいは漁船員の家族の今後の生活安定について、不安を除くために、どういう手をおとりになりますか、お聞きいたします。
○国務大臣(綾部健太郎君) 外交手段によって……、その外交の結果に待つよりほかないと思いまして、私は外務大臣を通じて、外交的折衝によりましてすみやかに拿捕を解除するように努力いたしております。
○小柳勇君 アジア局長に質問いたします。
 中村君の質問で大綱はわかりましたが、もう少し私は深く具体的に質問いたしたいと思いますが、今までの交渉、たとえば代表部を通じ、口頭なり書面で抗議をしておられるようでありますが、その反応、それから日韓会談にこういう拿捕事件などが利用されておると思いますが、その点いかがでしょうか。
○説明員(後宮虎郎君) まず、こちらの申し入れに対する先方の反響でございますが、最初申し上げましたとおり、やはり基本的な点で、こちらの主張が合法だという見解をこちらは当然とっているのに対して、向こうも、自分たちのとっている措置が合法だという見解をとっているものでございますから、この抗議とそれに対する応答が、正直に言いまして、しょっちゅう平行線のような格好になって参ります。その点、具体的の場合、そういう結果の出るのがまれと申しますか、少ないのは非常に遺憾にたえない次第でございます。
 なお、現在の拿捕が日韓会談だけの交渉上のひとつの手段として使われておるかどうかという点の御質問だと存ずるのでございます。この点につきましては、先方の腹の中はわからないのでございまして、日韓会談で漁業交渉を有利にするために、この拿捕措置を強化しているというような徴候と申しますか、そういう意図は、今のところは、まだ外務当局としては、今まで感じておらないのでございます。
○小柳勇君 私は、主観を申し述べて失礼ですけれども、外務省の交渉がまことに軟弱であるし、力のないような気がしてならぬのです。私は主として社労ですから、たとえば調達庁なりの交渉状況を見ておりますが、米軍に対しても、まことに強力に職を賭して日本の労働者を守る交渉をしていただいている。韓国が不法に、まさに海賊的行為で拿捕し、かつ日本の国民に損傷を与えているその事件に対して、アジア局長がここできれいに答弁されるのは、私はまことに遺憾です。職を賭して一回くらい交渉されたことがあるかどうかお聞きいたします。
○説明員(後宮虎郎君) 私、十月の三十日に発令になりまして、まだそういう機会に恵まれていないのでございますが、今後の日韓交渉で及ばずながらこういう点を円満に解決するように努力いたしたいと思います。
○小柳勇君 局長、日韓交渉では間に合わぬですよ。逮捕されているんですよ。今韓国にいるんですよ。事実これは不法に逮捕されているんですよ。日韓交渉でこの事件を解決しようなんというようなゆうちょうな考えについては、その点、私どもは解せないのですが……。
○説明員(後宮虎郎君) 言葉が足りなかったのでありますが、漁業問題一般につきましては、今度の交渉を通じて解決に努めると申す意味だったのでございまして、昭徳丸事件につきましては、もちろんこれは日韓交渉と切り離して、即時釈放の線で強硬に交渉を繰り返すつもりでおります。
○小柳勇君 さっき中村君が発言いたしましたように、韓国の船が関門に入ってくるわけです。自由に入っておるわけです。御存じでございましょうか。その韓国の船は自由に通ってくるわけです。日本の漁船は自分の漁場に航行ができないということは、これはかんべんならぬと言っています。われわれは国民運動に訴えて、もしそれが、外務省がそんなに軟弱で、そんなに不法に拿捕されたようなものの釈放要求ができなければ、国民運動を展開して、国民の力をもってまず韓国の船の拿捕事件があるいは起こることを心配するわけですが、そういう危険な情勢にあって、アジア局長、今後どうされますか。
○説明員(後宮虎郎君) 報復措置というような話も各方面に聞いておりますのでございますが、現在までのところ、政府全般といたしましても、外務当局といたしましても、まだ報復措置――貿易上あるいはその他の報復措置に訴えて、昭徳丸事件にいたしましても、あるいは漁業問題一般にいたしましても、解決するのが、現在の段階において最も有効な措置であるかという点については、まだむしろ消極的な結論になっておる段階でございます。
○小柳勇君 最後に。十三日に金部長がおいでになるようでありますが、この拿捕された船の釈放並びに今までに問題になりました点を、重要な問題として取り上げることを外務大臣にお取り次ぎ願って、交渉できるように御配慮願えますか。
○説明員(後宮虎郎君) きょうの御発言の趣旨はよく大臣に伝えまして、金会談に備えるようにしていただきたいと思います。
○小柳勇君 今のは、十三日の日に――急いでおりますものですから、十三日の日にそういう問題を金部長の耳に入れて話し合いできるように御努力願えると理解してよろしゅうございますか。
○説明員(後宮虎郎君) 目下のところ会談は十二日ですが、そのときだけが今のところ予想されております唯一の会談の時期でございますので、その時期に取り上げていただくようにこちらからお願いしたいと思います。
○中村順造君 私は本日、去る十月十三日に起きました不法な李ライン上における日本漁船の拿捕の問題に関連いたしまして、運輸大臣の出席をお願いし、かつアジア局長の出席をお願いして質問をいたしたわけでありますが、最終的に小柳委員からも要請がありましたように、これはやはり本質は、私の説明するまでもないことだと思います。やはり一貫して考えられるのは、日本の政府の韓国に対する態度が、この一般的なものの考え方と、それから、あくまで不法不当なものを彼らが強行しているというこの区別を明確にしないところに、私は問題があったと思う。したがいまして、政府の方針あるいは外交方針、これから問題は抜本的に解決をするというなら、そこに問題があるわけです。ひいてはそういうことが政府の出先である運輸省なり、あるいはさらに運輸省の出先であるところの海上保安庁、非常に話が失礼に当たった議論もしたかと思いますけれども、海上保安官の士気の問題までも言及しなければならぬし、あるいは日本の名誉をかけて、あの広範な海洋において苦労している巡視船の行動にまで言及しなければならぬという非常に遺憾な議論を私は繰り返したわけでありますが、これはしかしよってきたる原因は、先ほど申し上げたとおり、一にかかって日本の政府の方針にあると思う。この点は、ひとつ大臣も十分閣議等で善処されるようにお願いいたします。
 時間も参りましたから、あとひとつ国鉄の問題について二、三お尋ねをいたしていきたいと思いますから、どうぞ委員長、よろしくお願いします。
○委員長(金丸冨夫君) 李ラインの問題は、質疑を終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(金丸冨夫君) 次の議題に移ります。中村君。
○中村順造君 国鉄の最近の運輸事情についてお尋ねいたしますが、東海道新幹線、あるいは第二次五カ年計画と、いろいろ衆参両院を通じましてそれぞれの委員会で問題になっておるようでありますが、特に、時間がもうございませんから詳しくお尋ねするわけに参りませんが、新幹線の問題については、今さしあたって問題になっているのは、これのいわゆる完成の時期、それから、どうしても当初の計画どおりこれを完成さすというためには、かなりな無理をしなければならぬ、これは私どももそのとおりに考えておるわけです。もちろん来年度予算にも関係のあることでございますが、そういう推移の中で、用地買収の問題が本院の決算委員会でも多少論議をされておりますし、それから衆議院の運輸委員会でも一応話はされたように聞いておりますが、私の心配しておるのは、私なりに一応そういう新幹線の用地の買収ということにつきましては、多少の勉強をさせていただきましたが、私が一番心配しておるのは、そういう問題が正確に、いわゆる社会に反映をされない、誤り伝えられたものが、あたかもそれが真実のように伝えられる、こういうことになりますと、やはり新幹線の工事の進捗状況等にも私は影響があると思う。したがいまして、今まで副総裁はおいでになったかどうか知りませんけれども、本院の決算委員会なり、あるいは衆議院の運輸委員会等で問題になったことを私は繰り返すわけではありませんが、結局、そういう推移をたどりながら、将来どういう展望に立っておられるのか、大まかに、そういうことであったけれどもこうだということをひとつここでお答えをいただきたいと思う。
○説明員(吾孫子豊君) 新幹線の工事の進捗状況を全般的に申し上げれば、工事の工程そのものは、全体として順調に現在進んでおるということを申し上げて差しつかえないかと思うのでございます。用地の問題につきましても、ごく小部分につきまして、ところどころまだ買収の済んでない所もございますけれども、買収を目的としております用地の大部分はすでに確保でき、それぞれただいま全線にわたって工事を進捗せしめておりますので、ただいま予定いたしておりますように、大体三十九年の三月末までには全体の工事は完了し、三十九年の夏以降において運転も開始できる、こういう見通しで進めております。
 ただ問題は、御指摘のように、当初予定しておりました予算額よりもだいぶ上回って参りますので、この資金の手当について、今後まず、さしあたっては来年度予算の問題として御審議を願わなければならないことでございますけれども、工事の工程のほうは、先だつ金の問題を一応除外いたしますれば、順調に進んでおりますので、これからあと資金の手当について、予算の上においてこれを手当することをお認めいただきますれば、予定どおり完成できるものと考えている次第でございます。
 ところで、先般来、特に十月の上旬、用地の買収に関しましていわゆる汚職というような問題があるのではないかというようなことがだいぶ新聞等にも報道せられまして、こういう点ははなはだ遺憾に存じている次第でございまするが、万一新聞に伝えられておりますとおりのようなことがございましたら、これは、まことに申しわけないということで済む問題でもございませんで、たいへんなことでございますから、私どもといたしましても、さっそくそういう点については、できる限りの取り調べもいたしまして、その結果、新聞に伝えられております一番大きな問題は、横浜の新駅の付近において買収した土地に関連しまして、何か国鉄の当局に背任の容疑があるとか、あるいはまた贈収賄がそれについて行なわれたのではないかというようなことが、それをにおわせるようなことが新聞に出ておりましたが、私どもが調べましたところでは、問題にされております中地某という人の関係の会社から買った用地が、非常に何か高いものを買っているというようなことが書かれておりましたけれども、そういう事実はございません。他の近隣の土地の買収価格その他に比較いたしまして、決して高いものを買ったということにはなっておりません。また、この問題に関連いたしまして、贈収賄というふうな事実も万々ないであろうということを私どもとしては確信している次第でございます。ただ、過去においてもいろいろ問題もございましたし、十分関係者一同戒心いたしておりますので、新聞をお騒がせしたということは、まことに遺憾でございましたけれども、私どもが取り調べました限りにおいては、御心配をおかけするようなことには万々ならないというふうに思っております。
 そういうようなわけでございまして、今後工事の工程を予定どおり進めて参りますためには、資金の調達問題というのがあるわけでございますけれども、これにつきましては、ぜひ皆様の御支援を得まして、予定どおりこの工事が完成できますように、国鉄全体の輸送力増強に非常に大きな関係を持っております東海道新幹線の問題でもございますので、ぜひ御支援をこの上ともお願いいたしたいと存じている次第でございます。
○中村順造君 非常にこまかいお答えをいただきましたが、私はひとつ、こういう今までの経緯からみて心配になっているのですが、たとえば横浜の例をとられたわけですが、時価三千円くらいの所を九千円か七千円かで買い集めて、それを三万円近い金で売った、売れた、こういうことがいわれているわけでありますが、私は、そのことが背任であるとかあるいは汚職であるとか、そういうことは言っておらないわけでありますが、問題はやはり、今何%かわかりませんけれども、全部が全部国鉄が用地を買収したというわけではございませんで、若干残っている、ところが、この残った土地をこれから先買収するに際して、やはり向こう側から、そんな値段のものだったか、平たく言えば、売るほうの側が、これでは今まであまり安過ぎるということで、そのために、そういうことが非常に社会の問題になったために、いわゆる必要以上に土地の値上がりということで、そういう事実をもたらしはしないか、また、そのことは、ひいては国鉄のいわゆる新幹線の用地の買収について困難な問題として残りはしないか、さらにはまた、そのことが必要以上のいわゆる出費になりはしないか、こういうことを心配をしておるわけです。新聞に出たからとか、あるいは警察が調べたからとかいうことで、それを前提にして、やはり売るほうの側から、今までの交渉は安過ぎた、あるいは条件が悪過ぎたとか、こういう一つの新しい問題が出てくるのではないかということを私は心配しておるわけですが、こういう心配はない、こういうことなり安心ですが、お金の面については、予算がありますから、また予算のときに、それぞれ議論をされると思いますから、その点の心配があるかないかということ、今日までの用地の問題をめぐって、将来の問題としていわゆる未買収の土地を買収するについて、より困難性が伴うじゃないかということを私は心配するわけですが、これは、今までの新聞なりあるいは記事なりについて、内容が全部が全部私はほんとうだと考えておりませんし、私の調べた範囲でも、今、副総裁のお答えになったとおりだと思いますが、その点のひとつお答えをいただきたいと思います。
○説明員(吾孫子豊君) その問題があるのじゃないかと伝えられた中地という人の会社から買った時期は、その付近の他の土地を買収した時期よりも比較的早く実は買っておりますので、むしろ問題の場所は、その付近に比べれば相対的には安く国鉄は買ったように実際になっております。したがいまして、御心配になられておるようなことは、このことに関してはあまりないじゃないかと思いまするが、今残っておりますのはきわめて小部分の区間がぼつぼつと残っておるわけでございまして、それらの人たちの中には、もっと高くということを言っておる人ももちろんあるのでございますけれども、大体私どもの見通しといたしましては、そう遠くない将来において、すべての用地の確保が、適正な値段で買収することができるものというふうに考えております。このことで非常に御心配をおかけするということは今後ないものと思っております。
○中村順造君 それでは、新幹線のそういうこれから先買収するについては、ああいうことが伝えられておったけれども、心配がないと、こういう御答弁ですから、その点は私はまたそのまま信じていきたいと思います、新幹線の完成もこれは当然やらなければならぬことで、今日に至っては必要だと思いますので。
 それから、別なことをお尋ねするのですが、これはしばしば本委員会でも問題になりましたが、例の三河島事故以来、国鉄の安全輸送ということが問題になっておるわけですが、私の手元に、今月二日の日の「交通新聞」があるのですが、この「交通新聞」を見ますと、総裁が、国鉄の中の一つの労働組合に対しまして、警告ですか、というようなものを発しておられるわけです。私はこの間のいきさつについて詳しくは知りませんけれども、列車の安全運転をする、いわゆる安全輸送をするということについては、労働組合も経営者のほうも、その点について別に意見が私は違う点はないと思うのですが、何か違ったところがあればその点をひとつ指摘をしていただいて、これは大臣も、何か私の聞くところによると、出張中に組合の幹部とも会われておるというお話ですけれども、こと列車の安全ということについては、これは労使がどうだこうだということで意見が違って、お前のほうは安全にならない、おれのほうは安全だと、こういうことはないと思いますが、その点はどうですか。しかも総裁が、違法事態には厳重処分と一面に大きく扱っておられますが、将来どういう展望に立っておられるか。時間がないから簡単にお尋ねします。
○説明員(吾孫子豊君) 列車運転の安全を確保するというその目的に関する限り、国鉄労使の間において意見の相違なぞがあり得るはずはございませんので、その点はまさに先生のお言葉のとおりでございます。ただ、今お尋ねのございました二日の「交通新聞」に載っております警告というのは、これは動力車労組に対する警告のことであると思いまするが、これは、実は先生方のお耳にも入っておると思いまするが、三河島事故の発生いたしましたあとで、ただいまの御質問にもございましたとおり、列車運転の安全確保ということは、労使共通と申しましょうか、労使の対立し争うべき事柄ではもちろんありませんので、労使一体になってひとつ安全確保のための委員会を作ってやろうじゃないかということがあって、委員会を作って数回審議もしておったのでございまするが、たまたま動力車労組が、何と申しますか、運転の安全確保を実現していくための方法、手段ということについて、委員会というような形でやることは好ましくない、いろいろ問題になるようなことはすべて団体交渉でやろうじゃないかというようなことを申し入れて参りまして、団体交渉でもって問題が解決できない場合には、実力行使も辞せず、いわゆる実力行使の名のもとに実際上争議行為に類したようなこともやるというような指令を発し、また、当局側にそういうようなことを申してきたというような事実もありましたので、それに対して、こちら側も警告を出したわけであります。その警告の中で特に強調いたしました点は、列車運転の安全確保ということのためには、単にいわゆる狭い意味の労働条件の問題だけでなく、いわゆる公労法でいわれております管理運営事項というようなことについても、労使双方が隔意なく意思の交換をする必要があるということのために、いわゆる団体交渉事項というようなことで法律で範囲を限られておりますこと以外の問題も当然取り上げなきゃならないということがあるので、ああいうようなむしろ委員会という形式で、労使一体になって協力一致目的を達するようにするのが適当ではないかということであの委員会を作ったのに、その委員会から脱退をして、いわゆる団体交渉というような姿で、そういう方法で問題の解決をしようという言い方を動力車労組がいたしておりましたので、そういう考え方は間違っておるのじゃないか、いろいろ問題があるけれども、そういうあらゆる問題を労使一体の委員会、事故防止委員会というような姿でやっていくということで一緒にスタートしたのだから、せっかくそういうものもできたことであり、他の組合はその形でなおやっていこうということになっておるのに、動力車労組だけがそこから抜けて、そしておれたちだけは団体交渉でやるのだ、それがうまくいかぬときには、片一方ではまた実力行使をやるのだというようなことで、穏やかではないじゃないか、そういうようなことで、正常な業務運営を阻害する行為が行なわれるというようなことになった場合は、まことに残念であるけれども、当局側としては、遺憾ながら厳重な処分もしなきゃならぬようになるから、そういうことのないようにひとつしてもらいたいという趣旨の警告を出したわけでございます。それが新聞に伝えられた記事の中身であると思います。
○中村順造君 詳しい話をきょう私はする用意がありませんが、とにかく先ほど申し上げましたように、列車の安全確保が前提に立つなら、そう目にかどを立てなければならぬというふうなものじゃないと思います。それから今副総裁がお話しになった事故防止委員会ですか、これなんか、動力車労組が脱退をした、ほかの組合が入っておるのに動力車労組だけが脱退した、こういうようなことでございまして、それはそれなりの理由は私はあると思います。たとえば無人踏切に自動車が突っ込んでくる、そういう場合に、安全運転をしようじゃないか、あるいは信号機の見通し距離が非常に短いんだ、これはとてもその制動距離では事故が防止できない、こういうことはほかの組合にはあまり関係ないことで、見通し距離が、いわゆる無人踏切に自動車が入ってくるというような、みずからの生命の危険なり列車の安全確保、こういう点については、それは動力車の場合は動力車自身の判断もあると思いますから、今ここで私はとやかく申しません。けれども時期的に見まして、やはりたとえ団体交渉の事項であろうとなかろうと、そういうことをいつまでも繰り返しては、事故というものをほんとうになくすることができるかどうか。六日には、「鉄道の事故をなくす会」というような、いわゆる広い国民的な視野からの会もできておるということを聞きましたけれども、それらのやはり世論にこたえるためには、交渉の事項であるとかないとか、そういうことでなしに、それから事故防止委員会の運営にしても、いろいろ精神条項を優先させるのか、あるいは今日の輸送状況に見合った設備を優先するのか、それはいろいろ解釈のしようがあろうと思いますが、いずれにしても従来やられているような賃金の要求だとか、あるいは要員の要求だとか、こういう面について実力行使を組合がやる、こういうことに際しての違法事態には厳重処分なんて、時期的に見ましても十一月二日と言えば、まだまだ私は労使双方が真剣になって、ほんとうに事故をなくするという謙虚な気持に立てば、処分という言葉が出るのは、それはずっとあとでいいんじゃないかというふうな私は印象を受けた。この点は、私きょうは議論をしませんけれども、そういうふうな事態が非常に先鋭化しておるし、それから現実に三河島事故というものを国民が経験をして、ほんとうに鉄道というか、これは国鉄には限りませんが、国鉄、私鉄を通じて鉄道事故というものは非常に大きな、時と場合によっては甚大な被害をもたらすものだということがよくわかった、そういう意味でひとつ労使ともに謙虚な気持に立って国民のいわゆる要望をいれてやる、こういう気持に私は立ってもらいたいと思って、そこでやはり厳重処分だとか、違法行為だとか、従来のような賃金要求などに使われるような気持をまず捨ててもらって謙虚な気持に立ってもらう、こういうことを、私は、これは国会が始まればまた委員会が持たれますから、そのときはそのときの事態に応じて私なりの質問をしたいと思います。本日は時間がありませんから、そういう前提に立って私の要望を加えておきます。
 私の質問を終わります。
○委員長(金丸冨夫君) 中村君の質問は終了いたしました。小酒井君。
○小酒井義男君 時間の関係もありますから、踏切改良の問題に限って簡潔にひとつ要点だけをお尋ねしておきたいと思いますが、三十九国会で踏切道改良促進法ができまして間もなく一年になります。ところが、相変わらず踏切事故というものはやはり次々と続発しておるという、こういう状態でありますから、従来の五カ年を目標とする改良計画を強化する必要ができてきたのじゃないかと思うのです。そういう点について、今日まで法案ができてから、運輸省の計画に基づくところの改良が実際に進んできておるかどうか、そういう経過をこの際お尋ねしておきたいと思います。
○説明員(岡本悟君) 踏切道改良促進法によります改良の進捗状況を申し上げますと、まず、保安設備の整備でございますが、当初この促進法によりまして整備したいという目標の個所数は、五千九百カ所でございましたが、法律に基づきまして現在までに指定しております個所数は二千五十五カ所でございます。そのうち三十七年度着手予定分が千百六十四カ所ございます。その実施状況は、竣工いたしましたものが百三十四、工事中のものが四百九十三、設計中のものが五百三十七でございます。したがいまして、工事中のものを入れます、し、大体五四%近くがもうすでにでき上がりつつあるということが言えるかと存じます。
 次に、立体交差化の点でございますが、これは指定いたしました個所数は二百七十七カ所でございまして、三十七年度の着手予定分は七十五カ所でございます。竣工いたしましたものが四カ所、工事中のものが三十五カ所、設計協議中のものが三十六カ所でございまして、工事中のものを含めますと、五二%程度でございます。
 なお、構造改良のものとしまして、道路の幅と踏切の幅が一致しないものがございますが、そういったようなものを直そうというのが構造改良でございますが、これにつきましても、すでに建設省との間で一致をみました指定の原案を、警察庁にも出しまして協議いたしておりまして、近日中に指定できる予定でございまして、原案の内容は、国鉄関係が二十八カ所、私鉄関係が三十四カ所でございまして、その全部につきまして、踏切道の拡幅を行ないまして、事故の防止に寄与したい、かように考えております。
 なお、最近の踏切事故に関係いたしまして、特に御承知の南武線の事故が発生しましてから、大臣の指示によりまして、従来の整備計画を再検討いたしまして、目下大蔵当局と来年度の予算におきまして、いろいろ予算の要求をいたしておるのでございまして、その骨子は、交通量に主として従来重点を置いておりました考え方を変えまして、自動車通行可能の踏切道には、全部保安施設を整備するという方針に切りかえまして、その緊急整備に対しては、私鉄全部に補助をするという考え方でございます。ただし、全国で見ますと、御承知のように、六万以上の踏切におきましては、まだ保安設備がございませんので、それを全部整備するということになりますと、たいへんでございますから、二メートル以下の所は自動車通行はまずできないという前提に立ちまして、二メートル以上の所の踏切を全部施設を整備するという考え方でございます。二メートル以下の所は自動車通行を禁止してもらうという措置を警察庁の協力によって実施していきたい、かように考えております。
○小酒井義男君 二メートル以上の踏切というのは、その六万カ所のうちのどのくらいですか。
○説明員(岡本悟君) 大体三万カ所、半分でございますね、半分は自動車通行可能の二メートル以上の踏切でございます。
○小酒井義男君 三万カ所に一応警報器をつけるということになるのですね。そうしますと、今、一カ所どのくらいかかりますか。
○説明員(岡本悟君) 大体百万から百二十万というふうに計算しておりますが、これを全部やりますと、やはり五百億円を出るような数字になります。
○小酒井義男君 実は法案審議の過程で、これは運輸大臣にお聞き願っておきたいと思うのですが、予算の範囲内で政令で指定をするものに対して補助をいたす、三十七年度のその政令の対象となるいわゆる赤字会社四十社と収益の非常に少ない会社九社、四十九社の踏切が百九十九カ所あるのだ、その経費に対する三分の一の補助をするとすると、概算六千五百万円の予算が必要だからそれを要求している、こういう法案審議の過程での説明だったのです。私はその際に、当時の運輸大臣の斎藤さんに、そういう計画でいくと、予算が取れない場合は、計画どおり改良が行なわれないことになる心配があるのじゃないか、こういう点はどうかと言ったら、予算が通る見通しがあるような答弁をされておったのです。ところが、予算がきまってみますと、二千二百万円余り、約三分の一、そうすると、したがってその予算の範囲内で政令できめるということになりますから、非常に補助対象というものがしぼられてくると、こういう結果になったのです。そういう状態の中で予定どおり進むはずが私はないと思うのです。今日の踏切事故の発生の、あるいはこれを改良する必要性の主たる原因は、やはり交通量がふえたということであって、一部には列車、電車の回数がふえた、スピードがアップされたという点も出てくると思うのですが、主としてやはり自動車交通量がふえたと、そういう原因によって改良を必要とする踏切道に、それくらいの予算で全部関係業者にやれと言ってみても、なかなか実行できぬのじゃないかという私は懸念を持っておったのです。そこでお尋ねしたいのですが、ああいうふうに予算が減った場合、補助の対象、補助金を交付する場合、たとえば百九十九カ所を目標にしてやれば三分の一というものがその三分の一程度のものになるわけです。三分の一やろうとすれば、百九十九カ所のその三分の一ぐらいのものより改善できないという、こういう結果になるのです。実際の運輸省の扱いはどういうふうにされておるのか、その点を承りたいのです。
○説明員(岡本悟君) 最初、運輸省としまして仰せのような予算を要求いたしたのでございます。これは、私鉄全部に対しまして補助をするという建前で要求いたしたのでございますが、その予算折衝過程におきましていろいろ大蔵省と議論いたしたのでございますが、つまり、踏切の保安施設の整備の責任というものはやはり鉄道事業者の企業としての社会的責任であるという結論に到達いたしまして、保安施設の整備は鉄道事業者みずからの負担においてやるべきだということを法律にも明記いたしたわけでございます。ただ、私鉄の中におきましても、非常に経営状況の悪い私鉄がございまして、全然収益を生まないような、こういう保安施設の整備につきましては能力がないというようなところもございますので、そういうところに対しては、国あるいは地方公共団体が補助しようということに結論が出たわけでございまして、そこで、そういう結論からいたしますと、計算して参りますと、大体二千二百万円程度で国としては三分の一の補助ができるということになったわけでございます。
○小酒井義男君 当時の鉄監局長の答弁の中に、先ほども私が言いましたように、三十七年度に整備する百九十九カ所の工事費総額が一億九千六百万円でありますから、その三分の一の国庫補助を行なうために六千五百三十三万ですか、要求をしたと、こういうふうな答弁になっておるのですね。これは、いわゆる四十七社ですか、四十九社ですかの赤字会社、あれはそういうところだけの整備個所じゃなかったのですか。
○説明員(岡本悟君) この法律では、御承知のように、政令で定める鉄道、軌道事業者を対象にするというふうになっておりますが、この政令で、赤字会社並びにこれに準ずるような会社ということになっておりますが、この解釈につきましていろいろ論議しました結果、赤字というのは、一体鉄道事業だけで見るのか、あるいは兼業も含めて見るのか、いろいろ議論しました結果、まあやはり兼業も含めて赤字であるかどうかということを考えるのが至当であろうというふうなこと、それから赤字に準ずる会社というのは一体どういう会社なのか、こういうことにつきましてもいろいろ大蔵省と折衝いたしたのでございますが、まあ結局、これに準ずる会社と申しますのは、営業用の固定資産の益金に対する割合というものが、大体全国をとってみますと五分でございます、平均。まあ五分以下のところは赤字会社に準ずるような経営状態の悪いところというふうに考えまして、そういうふうにワクをはめて参ったものですから、だんだん少なくなりまして、結果的には、先ほど申し上げましたような約二千二百万円の補助金ということに相なったわけでございます。
○小酒井義男君 それで、政府の補助金がそういうふうに減額をされてしまった、そういう予算ワク内で政令がきめられた、その政令できめられた踏切の整備に対して、都道府県なりあるいは市町村が補助をすることができるというああいう建前になっておるのですが、地方自治体がそれを今まで改良されていく過程で経費の負担をしておるのでしょうか。そういう点はお調べになっておりますか。
○説明員(岡本悟君) この問題につきましては、自治省の協力を得まして、法律あるいは政令の趣旨徹底に努めておりまして、関係地方団体は三十二ございます。そのうち現在まで十六の地方公共団体が補助をするということに態度を決定いたしておりますが、残りの十六の地方公共団体に対しましても、地方の陸運局を通じまして協力を求めるようにせっかく目下のところ努力いたしておる次第でございます。
○小酒井義男君 これもやはり、法案審議の過程では自治大臣とも十分打ち合わせをしてこの方針で進むことを確認を得たというふうなお話を伺ったのです。ところが、実際に今御報告があったように、半分ぐらいのものがなかなかそういう態勢にはなっておらぬということですから、こうした一年間やってみた経過というものをやはり御検討になって、そうして当面する交通事故、踏切事故防止の方針を積極的に進めるということになると、今までのやり方ではやはり実効が上がらぬのじゃないかと思うのです。そういう点について、先ほど鉄監局長から、全体の保安設備の改良に対する補助のことを折衝しておるとおっしゃったのですが、まあ補助のことや、あるいはその他運輸省の方針としては融資の問題あるいは減税の問題と、いろいろ総合的に考えるという方針のようでありますが、そういう点のことをやはり積極的に進めていかぬと、なかなか計画どおり進まぬ危険性があると思うのです。ちょうど今予算の折衝の過程でもありましょうし、こういう重要な問題ですから、ただ指定をしてやれやれと言っておっては、それで解決はつかぬ懸念が非常に強いのですから、その点を、特にこういう非常に時間の制約があったのですけれども、この点だけはこの際大臣にも十分ひとつ努力をしていただく必要があるのじゃないかと思うのです。
○国務大臣(綾部健太郎君) 御趣旨ごもっともで、私ども今後の折衝で、自治大臣とも協力して、極力推進いたして御希望に沿うように努力いたしたいと思います。
○小酒井義男君 こまかい問題は、またあとの委員会にひとつ譲ることにいたしまして、大臣、時間の関係もあるようでございますから、今申し上げておるような経過を十分ひとつ重要な問題として取り上げていただかぬと、やはり交通事故の一番今解決しなければならぬ問題の一つが踏切事故だと思うのです。そういうことを特に強く要望申し上げて、質問を打ち切ります。
○委員長(金丸冨夫君) 小酒井君の質問は終了いたしました。
  次に移ります。吉田君。
○吉田忠三郎君 昼食抜きでだいぶ長時間にわたって会議が開かれておりますから、お互いにおなかがすいているのじゃないかと思うのです。ですから、そういう面で、きょう実は相当この委員会で私は質問いたし、また意見を述べたいというふうに思いましたけれども、ただいま申し上げました角度から、簡単な問題だけ二つ三つこの際聞いておきたいと思います。
 一つは、国鉄の関係ですけれども、先般の北海道の災害で、前々から申したように、国鉄側としてもたいへんな被害をこうむったわけなんです。その中の一つでございますけれども、宗谷本線という函館本線に関連する本線がございます。そこの災害復旧についていろいろ国鉄側としては懸命な努力をされておりますけれども、その進捗状態がどうなっているかということをひとつ聞いておきたいと思います。
○説明員(山口和雄君) ただいまのお話にお答えいたしますが、北海道ではこの夏に九号、十号の台風が相続きまして、国鉄は非常に災害を起こしました。申しわけないと思っております。そのあとで集中豪雨がございまして、そのときに宗谷本線が寸断されまして、今お話のございました宗谷本線で一番災害の大きかったのが、問寒別の下平の橋梁のところでございます。ここにつきましては、ちょうど川のふちを線路が走っておる関係で、上から土砂崩壊が起こりまして、橋げた並びに橋脚が倒れまして、相当期間不通になったわけでございます。私のほうといたしましては、直ちに土砂崩壊の原因あるいは将来の対策ということで技術研究所の地質の専門家並びに土木の専門家を派遣いたしまして、将来どういうふうにこれを復旧するかということを実は検討さしたわけでございます。初めに、大体今くずれておりますのが上の、私のほうで申します表土と申しますか、下に岩がございまして、その上に乗っている土がくずれるおそれがあるということでございましたのですが、現在なお亀裂の発生のおそれがございますので、機械を数カ所取りつけまして、亀裂がもし起こりますと、下でベルが鳴るというふうな装置を現在施しております。そして見張人をおきまして、もし崩壊の前徴があった場合には列車の安全を確保する、直ちに列車をとめて警戒をさらに厳重にする、というふうに措置してございます。
 それから将来の問題といたしまして、過去土砂崩壊の非常に多い地区でございましたので、さらにコンクリート等で法面を防護いたしますか、あるいはトンネル等でその裏を抜けるというような、あるいは川を対岸に渡ったほうがいいかどうかというふうな、いろんな防災上の計画を現地の工事局に命じまして現在調査をさせております。
 簡単でございますが、以上現在の措置をお答え申しました。
○吉田忠三郎君 今の答弁で将来のことについても若干触れましたけれども、そのことはあとで申し上げますが、私のほうからも伺ってみたいと思いますから、そのときに将来のことについてさらに具体的に御計画なり何なり発表していただきたいと思います。ただ、今申されたそこの個所ですけれども、一カ月どの程度運休をやっているかということなんですがね。そのことと、もう一つは、現在復旧して規定のスピードで運行しているか、こういうことなんです。
○説明員(山口和雄君) 現在、先ほど申し上げましたように、橋脚が倒れまして、仮の橋脚で、本復旧まで至っておりませんので、徐行さしております。それから雨が降りません場合には、全然現在でも土砂崩壊の傾向はないのでございますが、雨が降りましたときに、ただ岩の上に乗っている土が落ちる徴候が出てくるというふうな報告があります。
○吉田忠三郎君 一つ答弁漏れがあったのだけれども、一カ月どの程度運休しているのですか。
○説明員(山口和雄君) ただいまのところは、この間十月の十九日に雨が降りまして、そのときに大体一週間、四、五日程度とめたように記憶しておりますが、そのほかは列車をとめたことはないと思っております。
○吉田忠三郎君 何か今の答弁では、十月の幾日かぐらいに若干雨が降って、二日かないし三日くらい運休したと、こうおっしゃられているわけですけれども、事実はそうではないのです。私は先月のたしか二十五日だと思いますけれども、現地の事情をどうしても見ていただきたいということで現地を視察調査をいたしました。ただ単に国鉄の管理者だけではなくして、地域住民の人々、さらに今あなたのおっしゃったように集中豪雨などの関係がございますから、気象庁の関係の人々も伴って視察をしたわけですけれども、現地の現場の事情は、今局長も申されたとおりの実情というところですけれども、わずか、今日のところでは、三ミリかあるいは五ミリ程度の雨量で運転休止をしなければならぬという実情になっているわけです。したがいまして、その地方におけるたいへんな問題になって、新聞などにも取り上げられておりますけれども、私がそこで調査をしたり、あるいは現地の関係の人々から伺ったところでは、一カ月の間に十日前後運休しなければならぬ、こういうことが強く訴えられている。
 それから先ほど来いろいろ国鉄の安全運行についてもここでいろいろなお話もあったわけですけれども、これと関連するわけですが、乗務員の諸君は、あなたのただいままでの答弁の中で、それぞれのつまり防災設備をしたと、こう言っておりますけれども、安心して乗ってもおれぬと……。確かにいまだに徐行運転はしておりますけれども、いついかなる場合に土砂崩壊があるかわからぬ、したがって、乗務員のみならず、旅客の生命だってこれはたいへんなことですから、こういう問題について、今あなた答弁したような程度では、私はやがて第二の三河島事件なり、あるいは南武線のような事故が発生しないとは保証できないと思うのです。ちょうど私が行った十月の二十五日でございますけれども、この日はわずか三ミリ程度、三ミリ程度といったらごく少量の雨量だと思います、かさなど必要なかったわけですから。そういうときにも土砂が崩壊をして、国鉄の職員が二百名ぐらいおったと思いますけれども、えらい苦労をされて、寝食を忘れて努力をして、その土砂崩壊を未然に防ぐために事前の防災活動をしている。
 こういう事情等を私は現実に見て来ているのですが、こういう点、どうお考えになっておりますか。
○説明員(山口和雄君) 今お話しの、非常に災害のために運転上不安であるというお話で、申しわけないと思いますが、実は、北海道地区につきましては、私どものほうの統計で見て参りましても、最近非常に雨が従来と変わって多くなって参りました。過去の資料を見ましても、急に昨年来北海道地方の雨が強くなったということで、従来から北海道地区の鉄道路線につきましては災害に弱い所が多いのでございますが、雨が少なかったということで今までの手当をしておったのでございますが、最近の状況を見まして、私どもも、北海道地区の防災対策というものを、現地の支社とともに、目下どういうふうにやっていくかということを真剣に取り組んでおる状態でございまして、この夏の災害におきましても、早く雪の降らないうちに工事できるものはやっていただこうということで、とりあえずことしすぐ手の打てる予算等につきましても、ほとんどまあ現地と相談して実は工事をやっていただいておるという現状でございます。将来につきましても、なお一そう大いに考えていきたいと存じております。
○吉田忠三郎君 将来ということなんですけれども、もはや北海道なんか雪が降っているのですからね。あの地方は御承知のように、北海道の全く北の果てですから、そうしますと雨がなくったって、今の場合ですと降雪がある。昼間にこれが融雪する。したがいまして、雨が降ったと同じような現象が路面に影響してくる。こういうことなんで、将来ということよりも、現実に毎日のようにそういう危険な状態がこの橋梁の個所だけは存在していると私は見てきたんですがね。したがいまして、雨だけじゃなくて、今申し上げたことが一つと、もう一つには、御承知のように、非常にこの辺は降雪量の高いところで、ですから、やがてもう十二月に入って参りますと、雪害の関係が出てくると思いますが、こういう関係で、実際宗谷地方あるいは北の網走地方の産業経済等にらみ合わして、輸送量をにらみ合わして、輸送の完璧を期していくという立場に立つとき、一体これはどう考えたらいいかということなんですよ。
○説明員(山口和雄君) 今お話しの地区につきましても、かつてなだれがございましたのでございますが、何しろ一般的に、宗谷本線につきましても、基本的に線路が弱いと申しますか、若干の雨でもくずれるおそれがあるというふうな地質でございますので、過去においては雨が少なかったために災害が少なかったというふうにも感ぜられます。私ちょっと誤解をお招きしたかと思いますが、将来と申しましたのは、そういう地質のところでございますから、これからそういうことも考えて手を打っていかなければいけないじゃないかということを申し上げたのでございます。
 今すぐどうなるかという問題でございますが、できるだけのことをやっておるつもりでございますが、雪害等につきましても、私どものほうで雪害の特別の委員会等がございます。そういうところの御意見というものを取り入れて、なだれ防止、あるいはなだれの徴候を予知するというようなことで、災害をできるだけ未然に防いでいきたいというように考えておる次第でございます。
○吉田忠三郎君 考え方はまあそれでいいと思うのですけれども、現実に毎日そういう危険な状態があるわけなんで、これをやはりどうするかという善後策ですね、やはり僕は考えなくちゃならぬじゃないかと思うのです。国鉄の施設を担当している方々のみならず、経営者ですね。ですから、もとよりこれは宗谷本線で、本線ですけれども、迂回すれば天北線があるわけです。ああいう危険な状態の個所を完全復旧するか、あるいはそうでなければ、将来――先ほどあなたが言ったように、トンネルにするのもちょっと僕は技術的に困難だと見ましたがね。だから、そういう恒久的なことはもっと将来に向けて考えるんだけれども、それ以前の問題として、人命上の問題が私は必ず伴ってくると思いますが、これは私はあえて断言しておきます。そういう緊急を要する問題をかかえておって、天北線を迂回するとか、善後策をやはりとるべきじゃないかというふうに僕は思うんですが、こういう点はお考えになっておるんですか。
○説明員(山口和雄君) 実は、お話の点につきましても、目下いろいろ将来の対策の一環として関係の局のほうとも相談しておるのでございます。なかなか迂回輸送は災害等の場合においては御承認いただけるんですが、どうしても現在の列車をなかなかとめるわけにいかないということで、先ほど来お話がございましたように、徐行して現在通しておるような次第でございまして、危険になりますればもちろん列車はとめるということになるのでございますが、将来の問題としては、やはりどういうふうにすべきかということで、当然私どもも議論の対象にいたしておる次第でございます。
○吉田忠三郎君 将来に向けてといういろいろな言い方をされたんだが、実際私は現地を見まして、監視員がたしか二、三おりまして、無線連絡をやって昼夜間断なく監視をされておるわけですけれども、先般北海道の南で、これは鉄道じゃないけれども、山津波の膨大な、おそらくは日本の山津波の最大のものだと報道されておりましたが、ああいう関係のものが出て、この地方の住民というものはたいへん心配しておりますよ。そのことが私はないとはこの場所だけ見て断言できないような気がしたんです。ですから私は、ちょうど二十五日に行ったときも、その幅が二百メーターくらいじゃないですかな、それから奥行きのほうがやはり三百メーターくらいの土砂を、国鉄の職員みずからが非常に身の危険を冒しつつ事前にそれを崩壊させておる。こういう作業等も見てきたんですが、それをやってなおかつ安全かというと、あなたがおっしゃっておるような安全などというものではないですよ。ですから、あえて私は聞いているんですけれども、あの関係では、もはや恒久的な将来に向けての計画を抜本的に立てて、その間は善後策として天北線を迂回させる、もとよりこれは丙線規格ですから、輸送量などに問題があろうと思いますけれども、そういう点が、やはりこの際あなた方管理者として、経営者として、考えていかなくちゃならぬのじゃないかというような気がするんですが、こういう点はさっぱり私の胸にすとんと落ちるような答弁がないんですが、あなた現地見ましたか。
○説明員(山口和雄君) 私自身はまだ現地へ行っておりません。私のほうの専門の連中を編成しまして、現地調査させて、その結果は聞いております。
○吉田忠三郎君 そこで、今私が申し上げました事情というものは実在しておりますから、早急に、ただ単に現地の関係の向きから報告を受けるということじゃなくて、もっと積極的に調査なりあるいは研究をされまして、万が一事故がないように努力をしていただきたいということを要望いたすことが一つ。
 それからもう一つには、恒久的な問題として、まあうしろのほうに大石さんもおいでで、隧道の権威者でありますけれども、隧道ということよりも、逆に対岸のほうに思い切って線路の改良工事をやるという面とあわせて、線路の切りかえもやるべきだと私は見てきたのですがね。もとより経費の伴うことははっきりしておるのですけれども、われわれしろうとから考えても、二、三億あればいいのではないかと思うのですが、ぜひこの点について検討を加えていただきたいと思うのですが、この点いかがですか。
○説明員(山口和雄君) ただいまの先生のお話の趣旨を体しまして、将来の防災対策並びに現在の対策というものを、ぜひ安全という立場から考えていきたいと存じております。
○吉田忠三郎君 具体的に申しますけれども、現地の保線区長、現地の管理局長は、今私が申し上げましたことをお認めになられまして、それぞれ支社段階、本社段階にこのことを具申をして、しかも、私ここに設計図をいただいてきておりますけれども、こういう青写真を入れて強い要請を要望しておると、こういうことを聞いてきておるのです。これに対してあなた具体的な御答弁がないのですが、この点はどうなんですか。現地の保線区長からこういう青写真をちょうだいをしてきて、これは官民を問わず強い要望をされて、強くこの点は本社に要求されているのですが、これは私が書いたものでも何でもないのですが、この点どうですか。抽象的じゃなくて、そのものずばりと答えてくれなくては困る。来年度なら来年度、それでなければ、明後年度なら明後年度に予算化するとか、改良工事をやるなら改良工事をやるとか……。
○説明員(山口和雄君) 今お話しの点につきましては、私のほうから、札幌の工事局長に、対策としてトンネル、あるいはそこ自体で防護できるかどうか、技術的な問題を含めて、あるいはルートを変える場合に、トンネルに抜けられるか、あるいは対岸に渡り得るかというようなことで、近く設計できるように、実は調査をこの災害の直後命じております。今お手元の図面は、おそらくその一環の中の調査の資料かと存じますが、私のほうの札幌のほうの調査が終わり次第検討いたしまして、一番いいと思われる案を実は採用していきたいというふうに考えておりまして、まだ現地のほうからの調査の報告が正式に参っておりませんので、個々には聞いておりますが、それをもちまして本社で検討していきたい、かように考えております。河川の問題でございますので、対岸に渡る案と、今お話に出ましたのですが、聞くところによりますと、河川改修の計画もお話のように道庁のほうで見ておられるようですが、そうなりますと、いろんな御相談しなければならない問題点がございますから、それらも含めまして、現地で検討いたしておるはずでございます。
○吉田忠三郎君 河川改修の話が出ましたけれども、私は災害対策の委員ですが、河川については今回はなかったのです。全部その年度別の、例の十カ年計画とか五ヵ年計画を検討するという面も、その計画全体を通してもないのです、河川改修の計画は。また、行ってみて早急に河川改修をしなければならぬという実態でもない、この場所は。ですから、そういう他力で、しかも現状維持というのは、あなた方の考え方には私は問題があるのじゃないかと思います。ですから、現地では本社にそういう旨を上申している。それからまた国鉄自体の経営から見ても、先ほども申し上げたように、天北線を迂回するということになりますと、これは相当運輸効率が下がるわけですから、ですから、宗谷本線にひとつやらなければならぬことは当然ですが、そういう面から考えてみても、やはり対岸に路線を切りかえる、こういう基本的な考え方に立って計画を私は具体的にすべきではないかと思うのですが、ただ単に工事局のほうに命じておるものが上申されてきて検討を加えるといったって、これはもうあなたがどういう答弁をしようと、具体的に何とか施策として施さなければならぬものだとすれば、検討じゃなくて――検討というのは、現場で金のかかることも含めて言っているのでしょが、かりに金がどの程度かかるかということは、あなた方商売人としてやっておられてすぐ出る。だから、これをどう一体年次計画なら年次計画、五カ年計画というものなら五カ年計画というものを示していただきたい。私はこの点納得できない。
○説明員(山口和雄君) 別に今お話ございましたように、先生のお手元にございますような計画もむろんございます。それから隧道を掘るということについても、一応可能かどうか検討させております。川を渡った場合に、どこを通るかというその道も二カ所ないし三カ所検討しております。これはきまりましたら直ちに私は手をつける――今、私が検討をと申しましたのは、すべて技術的な意味の検討でございます。案がきまりましたら直ちに来年度から着工というふうにしたいと思います。非常にむずかしい地域だというふうに考えておりますので、それで再びこういう危険な事故がないようにという意味の技術的検討ということでございまして、別に特にこのために関心を寄せていないということじゃございません。現地の測量その他がまとまり次第、私どもはすぐ技術的検討に入るというふうに考えております。
○吉田忠三郎君 こういう理解でいいですか、来年度ということですから、今あなたのほうとしては、それぞれ現地、支社、札幌工事局と、それぞれ担任のところで調査をして、技術的に検討を加えて、どの案がいいかということが出たとすれば、三十八年度予算に具体的に予算編成をして来年度工事着工、こういうことだと、こういう理解でいいですね。
○説明員(山口和雄君) 私どもはできるだけ早くやりたい、来年度予算というものは、まだ私どもの段階ではきまっておりませんけれども、来年度できますれば――早く案ができれば、本年度は今の段階では無理かと思いますが、来年度はぜひやりたいと思います。
○吉田忠三郎君 国鉄の関係は、それでけっこうですが、建設省の関係はいらっしゃいますか。
○委員長(金丸冨夫君) 出ております。
○吉田忠三郎君 今の質問に若干関係がいたして参るわけですけれども、この宗谷地方、北見、網走管内でございますが、今申し上げましたように、冬季じゃなくとも国鉄の現状はこういう事情ですから、非常に客貨輸送量ですね、地域の産業開発なり、あるいは住民の要望に十分こたえることができない。しかもこれから冬季になって参りますけれども、建設省のほうとしては、主要幹線については、北海道の場合は除雪をすることになっておりますぬ。おおむね分類されまして、除雪作業区分によりまして分類されて、一種、二種程度のものはできているという私は理解をするのですけれども、三種の面についてはまだ除雪されてないところが相当あると思うのです。で、特に主要幹線でありながら、建設省の道路改良の工事が進まないために三種扱いにされている。これが非常に交通の不便のみならず、先ほど申し上げたような、この地方の産業経済の発展を阻害している、こういう面があるのですが、大体この地方における、今申し上げた三種のために除雪されてないところが何カ所くらいあるか、お尋ねをしておきたいと思います。
○説明員(尾之内由起夫君) 除雪の問題につきましては、道路事業といたしまして長期計画が立てられておりまして、その長期計画の中で雪害対策事業ということで除雪事業が見られておるわけであります。御承知のように、道路は五カ年計画で二兆一千億の全体計画をきめておりまして、その中で、さらに主要寒地につきましての道路交通確保の五カ年計画というものがきめられております。それは総額で百八十五億程度のものでございますが、この経費の中に三つの柱がございまして、除雪関係と、豪雪関係と、凍雪害の防止、こういうふうになっておりまして、今御指摘の除雪がその一項目に上がっておるわけであります。北海道の除雪は、全体の除雪のうちのかなり大きな部分を占めておるのでございますが、何分にも除雪の事業といいますものは、全体規模がそういうふうにきめられておりますために、今の五カ年計画では冬季完全な交通確保のための事業費が十分でございませんので、お示しのように、自動車交通が必要でありながら十分除雪がなされておらぬというところがあることは否定できないのでございます。私どもといたしましては、最近北海道のみならず、内地におきましても冬季交通確保の問題が非常に世論としても高まっておりますので、また本年三月に豪雪の特別法も制定されましたので、来年度からはさらにこの事業の規模を増すようにひとついろいろ予算上の措置を講じていきたい、かように考えております。
○吉田忠三郎君 一つ漏れておるのですがね。そういう大綱はわかるのですけれども、とりあえず、今限定しました北海道の北の果ての宗谷、北見、網走地方ですね、この関係で実際に除雪のできていない、それがために、冬季の交通量はもとより、陸の孤島といわれるようなところができているわけですけれども、そういう個所が何カ所くらいあるのですか。
○説明員(尾之内由起夫君) 地域ごとに私どもでは基準の交通量をきめまして、路線の性格をきめて、その路線につきまして除雪をしているという形で拾い上げておりますので、それに落ちたものの資料を今手元に持っておりませんので、ちょっと即答できませんけれども、もし必要ならば、後刻調べまして資料を差し上げたいと思います。
○吉田忠三郎君 具体的な個所が今持ってないということであれば、あとでけっこうですから、その資料を持ってきていただきたい。
 そこで、あなたのほうは作業区分をきめているわけですね、標準として一種、二種、三種と、こういうふうにきめて、いついつの自動車の交通量を調査して区分をきめておるわけです。ところが、あなたのほうの関係機関だと思いますけれども、開発局が、北海道の総合開発計画と並行さして、特に産業開発道路であるとか、あるいは今言ったような一国、二国を含めて、主要幹線が、冬季間でもバス、トラック、こういったものに類似する交通機関が常時通行するようにする、こういうことが開発計画の中にある。このことは、具体的に北海道開発局が出しております。パンフレットの中にも出ておる。三十七年度に全部主要幹線に指定されたところは除雪をする、こういうことなんですが、経費の関係は、次長も申されたように、十分あるはずなんです。一般的な経常的な経費も、冬季間の交通量確保については、流用する面があるわけですから、私は経費じゃないと思うのです。端的に具体的に申し上げますけれども、宗谷管内の天塩と豊富というところがある。距離にしてせいぜい三十キロぐらいのところじゃないかと思いますがね。これはいまだに除雪されていない。三十七年度は来年の三月三十一日までが三十七年度ということですから、これでやろうというのかどうか、これについてどういう計画を持っていらっしゃるか、ことしやれるかどうかということです。
○説明員(尾之内由起夫君) 先ほど申しますように、除雪は、ある基準をきめまして、その基準に該当するものを除雪路線として指定する。その路線につきまして所要の機械除雪をやるということになっております。大体各年の実績を見ながら必要な除雪経費をきめておるということになっておりますので、もしその路線が、そういう台数なり、いろいろ基準に適合し、また全体の機械の配置その他からできる形になっておるならば当然指定された上で行なわなければなりませんが、そういうふうに行なわれていないというととは、おそらくそういった基準の上からくるのじゃないかと思うわけです。不幸にして今お示しの天塩−豊富間の状況をはっきりつかんでおりませんので、これに対して、なぜ行なわないのかということについてはお答えができませんのはたいへん遺憾でございますが、これにつきましても十分調査をさしていただいた上で御返事さしていただきたいと思います。
○吉田忠三郎君 調査はけっこうですけれども、標準からいくと二種になっておりますから、これはあなたのほうの標準からいくと主要幹線になっておりますね。ですから、そういう面ですと、当然これは通らねばならぬと思うのですがね。しかも、私はこれまた先月のたしか二十四日にこの路線を自動車で通ったのですが、そうしてそう道路が悪いというようなところじゃない。しかも、多少改良工事もやっておりますけれども、冬季間の場合は夏場と違いますから、非常に路面が凍結しますから、除雪さえしていけばかえって夏場よりりっぱな道路になり得ると私は思うのです。長い間北海道に居住している体験上、そういった経験があるわけですが、にもかかわらず、この部面だけない。ですから、この辺はどこら辺に問題があるかということなんですね。ちょうどここは、幸か不幸か、稚内の建設局の関係と、留萠の建設局の関係の中間になっておる。境目になっておる。どちらの建設局に聞いてみても当を得ない説明しか受けられないのです。この点あなた方は今後どういうふうに路面を確保することを現地の地方機関に対して指導していくか。これは、あなたの答弁の基準、標準ではないと私は思いますけれども、ここにもありますように二種になっておりますから、これは一国ですよ。今まだ改良工事をしていますから完全になっていませんけれどもね。この点いかがですか。
○説明員(尾之内由起夫君) 基準の問題でございませんと、これまた行政上の指導になるかと思いますが、実はまだ今日までそういうようなことを北海道につきまして私ども聞いたことがありませんので、この機会によく開発局の考え方を調べまして、もしそういう手落ちがあるならば、そういうことがないように指導いたしたいと思います。
○吉田忠三郎君 数年前から陸上輸送協力会から相当強く関係の向きに陳情なり請願なり要請があったと私ども聞いている。ですから、具体的に私はきょう参考までに地名まであげて言ったわけですから、十分調査検討をいたしまして、経費の関係であるとか、基準とか標準の関係でないということは明らかですから、十分地域住民の要望にこたえるように行政指導をしていただきたいし、もしかりにこれが改良工事をやっているためだとするならば、できるだけ、わずかな区間ですから、改良工事を計画変更というほどのことではないはずですから、すでに改良工事に着手しておることですから、工事促進をはかって、少なくとも稚内市という市があるわけですから、ここが冬期間やや長期的に陸の孤島になり、これがために、この地方における、特に北海道開発計画という、りっぱに銘打ったものがあるわけですから、その趣旨に沿わないような行政は私はなすべきじゃないと思いますので、十分こういう点、行政指導していただきたい、こういうことを強く要望して、この件については終わりたいと思います。
 それから次に、先ほどもちょっと触れましたけれども、北海道の道南の、再三報道関係に報道されました、熊石町と乙部村の中間の豊浜というところで大きな山津波が起き、しかも運行中の函館バスのバスがその土砂に巻き込まれて大惨事を起こした、こういう事故があるのですけれども、この事故の原因をきっと関係の省で調査したと思いますが、知っている範囲でお答えいただきたい。
○説明員(尾之内由起夫君) 先般起こりました乙部村地内の山津波につきましては、ただいま開発局のほうで専門の委員会を作りまして、その原因なり対策なりを調査中でございまして、まだその報告をされておりませんので、十分なことはお答えできないかと思います。当時からわかっておりましたことは、あの地域の第三、第四トンネルの付近は割に地盤がいいところでありまして、幸いにしてトンネルは残ったのでありますが、その間の地域が非常に悪い泥岩的なものでございまして、これがたまたま崩壊、地すべりをしたということになっているわけでございます。それ以上のことはまだ、今その調査を開発局でいたしまして、専門的に委員会が検討している段階でございますので、詳細なる科学的な結論が出ておりませんので、それ以上のことを申し上げる資料を持ち合わしておりません。
○吉田忠三郎君 まだはっきりしないとすれば、せっかく調査検討を加えているのでしょうから、それはそれでいいですが、あそこの道路ですね、これまたあの地方における唯一の産業開発のあれですから、復旧が非常に緊急を要するのでありますが、復旧の計画なりあるいは復旧工事にかかったと思いますけれども、その進み状態、そしてまたいつごろ完成するかということはどういうふうなお考えを持っているでしょうか。
○説明員(尾之内由起夫君) 重要な路線でございますので、一日も早く開通させなければならぬわけであります。私どもは応急の対策といたしまして、旧道でございますが、旧道を使いまして、せめて一車線でも早く通したいということでいろいろ準備を進めております。そのために約一千万円ほどの予備費の要求を大蔵当局にいたしておりまして、大体予備費のほうは話がつきそうな今日の段階でございます。ただ旧道は、御承知かと思いますが、きわめて狭いものでありまして、またこれがすべってきて位置を変えておるわけでありまして、やはり期間と申しますか、復旧措置といたしましても、今年一ぱいくらいはかかるのではなかろうかと思っておりますが、できるだけ早く応急措置をいたしたいという考えで進んでおります。恒久措置につきましては、まだ地すべりの原因なり対策というものが先ほどのような事態ではっきりきまっておりませんので、とりあえず応旧措置によりまして、その上で恒久的な措置をするようなことにいたしたい、こういう考えで、まだその方法、規模等につきましては今日まできまっておりません。
○吉田忠三郎君 今、経費の問題が出ましたけれども、予備費の流用をそれぞれ求めている。そこで、私は予備費は予備費でけっこうかもしれませんけれども、本来これは災害だと思うのですね。災害復旧費で取れないものでしょうか。この点はどうですか。
○説明員(尾之内由起夫君) その点につきましては、ああいう現象が一体災害であるか何であるかということにつきまして、建設あるいは開発局の当局と大蔵省との見解、必ずしも一致いたしておりません。したがいまして、とりあえず予備費ということで措置をしております。
○吉田忠三郎君 その経費の点については、いずれにしても復旧をすみやかにしなければならぬということですから、そのことはあまり言及をしませんけれども、きて問題は、その原因がまだ究明中である、ですからはっきりしない、こういうことの段階だけれども、一体その結果を見なければいずれの責任かよくわかりませんけれども、災害を受けた地方自治団体なり、あるいはこれは個人災になるわけだけれども、十一名ですか十四名ですか、不幸にして尊い人命を失ったわけでありますけれども、こういう人々の補償などということは将来どういうふうなことになりますか。
○説明員(尾之内由起夫君) 今までちょっと前例のないことでございますし、また担当の開発局の職員も、当日は非常に防災措置につきまして努力いたしておったような次第でございまして、これは今までのいろいろ報告によりますと、不可抗力というような判断がされるのでありますが、何分にも前例がないわけでありますから、今までのところ、それの措置につきまして、私どものきまった考え方をまだ持っていない次第でございます。
○吉田忠三郎君 その関係の省できまった考えを持っていないということになれば、この現地を見ますと、確かに今次長の申されたように不可抗力であるという面が私どもながめてみても非常に強く感ぜられるわけなんです。だからといって、今申し上げた多数の個人の尊い犠牲者になられたということは、これと相伴って、関係の市町村自体が相当膨大な地方自治体の財政に影響するがごとき経費を出しておる。こういう面についてはまださっぱり検討していないということになると、これはどうなんですか、事故というものは、この災害なるものは不可抗力であるから、不可抗力で受けられた災害、被害などというものは全く顧みられないということになるのですか。
○説明員(尾之内由起夫君) 私どもの所管に属するかどうかわかりませんので、はっきりした御返事をできないので恐縮でございますが、恒久的な施設としての欠陥なり、何かそういうことから起因したものではなかろうというような判断をいたしておりまして、これは一般的な問題として、こういう場合にどうするかというような観点で議論されるべき問題ではなかろうかと思います。ちょっと私どもの立場で返答申し上げにくいのでございます。
○吉田忠三郎君 補償の関係については、次長とここでやりとりしてもどうにもなりませんから、あとで関係のそれぞれの責任のある人々と十分これから話してみていきたいというように思いますけれども、いずれにしても、復旧をまず第一に急ぐということを建設省としては考えていただきたい。それから建設省の職員も不幸にして一名犠牲になって、いまだに遺体があがらない、こういうことですから、先ほどの前の質問の中に出ましたけれども、おそらく一般公務員法をそれぞれ適用するのだと思いますが、これらについても十分残された人々の生活の心配のないようにしていただきたいということと、あわせて今触れましたが、一般の人々のこうむった被害に対して何らかの手を打たなければならないと思うのですが、建設省に関係する問題は最善の努力を払っていただきたいということを申し上げておきます。
 それからもう一つは、こまかな問題ですけれども、石狩川の河口に二級国道として対岸との客貨の輸送をやっておりますが、渡し船のようなものがございますけれども、これなどは最近の台風の影響であるとか、あるいはまた台風がなくても、相当融雪期になりますと増水して参りまして、川の流れも相当急流な川ですから、ために特に人命の危険性などを考えまして、建設省のほうではフェリー・ボートを今度入れたわけです。相当多額の予算をつけて入れたわけですが、現実にこれがどう動かされているか、こういう点について存じておりますか。
○説明員(尾之内由起夫君) フェリー・ボートのことにつきまして、私ども最近の請報を何も得ておりませんので、ちょっと御質問の趣旨がわかりません。
○吉田忠三郎君 では私から具体的に申し上げます。あなたのほうで、最近の客貨の輸送力に見合うように、それから今申し上げたように、人命尊重ということを十分考慮されまして、船に約九百万、それから対岸に接岸する桟橋のようなものを施設をしたわけでございますが、この設備経費が大体千三百万、合わせて二千余万円ですね。それで設備したものを、いまだ半年くらいこのとおり投げ出されて、ローカルの新聞種になっているんですが、こういう点はどうなんですかね。
○説明員(尾之内由起夫君) ただいま申しましたように、ちょっとその話につきまして、特にそういう状態であるということを存じておりませんので、どういう理由でそうなっているのか、お答えができないことをたいへん遺憾に思います。
○吉田忠三郎君 これを参考までにおあげしますから、時間がありませんので、この問題を取り上げてとやこう言うのじゃありませんが、できるだけ相当の金を投下して地域住民の客貨の輸送確保に努力するという、その線に沿うて一日も早くりっぱな船が就航できて、対岸の産業経済、地域住民の輸送の便になるようにやっていただきたいことを申し上げて終わりたいと思うのであります。
○委員長(金丸冨夫君) 吉田君の質問は終了いたしました。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後二時八分散会