第041回国会 商工委員会 第1号
昭和三十七年十一月一日(木曜日)
   午前十時三十分開会
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  委員の異動
 九月一日
  辞任      補欠選任
   奥 むめお君  林   塩君
 九月二日
  辞任      補欠選任
   川上 為治君  松村 秀逸君
   吉田 法晴君  松本治一郎君
 九月三日
  辞任      補欠選任
   松村 秀逸君  川上 為治君
   松本治一郎君  吉田 法晴君
   二宮 文造君  小平 芳平君
   林   塩君  奥 むめお君
 九月六日
  辞任      補欠選任
   小平 芳平君  柏原 ヤス君
 九月七日
  辞任      補欠選任
   柏原 ヤス君  二宮 文造君
 九月二十一日
  辞任      補欠選任
   川上 為治君  山本  杉君
 九月二十二日
  辞任      補欠選任
   山本  杉君  川上 為治君
 十月二十二日
  辞任      補欠選任
   吉田 法晴君  米田  勲君
   近藤 信一君  佐多 忠隆君
 十月三十一日
  辞任      補欠選任
   佐多 忠隆君  近藤 信一君
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 出席者は左の通り。
   委員長     赤間 文三君
   理事
           剱木 亨弘君
           武藤 常介君
           向井 長年君
   委員
           亀井  光君
           小林 英三君
           古池 信三君
           阿部 竹松君
           近藤 信一君
           岡  三郎君
           二宮 文造君
           奥 むめお君
           上原 正吉君
  国務大臣
   通商産業大臣  福田  一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       小田橋貞寿君
  説明員
   通商産業政務次
   官       上林 忠次君
   通商産業省通商
   局次長     宮元  惇君
   通商産業省企業
   局長      佐橋  滋君
   通商産業省繊維
   局長      磯野 太郎君
   中小企業庁長官 樋詰 誠明君
   中小企業庁振興
   部金融課長   秋本  保君
   日本国有鉄道総
   裁       十河 信二君
   日本国有鉄道営
   業局長     遠藤 鉄二君
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  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調
 査(石炭運賃の通算制に関する件)
 (綿製品の対米輸出に関する件)
 (貿易自由化に関する件)(中小企
 業金融対策に関する件)
○派遣委員の報告
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○委員長(赤間文三君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたしまして、まず石炭運賃の通算制に関する件の調査を進めます。
 関係当局から出席の方は、十河日本国有鉄道総裁、遠藤日本国有鉄道営業局長、これ二人でございます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○阿部竹松君 国鉄総裁にお尋ねいたしますが、石炭輸送の価格の問題、石炭輸送費の通算制と併算制の問題をお尋ねしようと思っております。
 新聞によりますと、全部通算制になったように、また実施はきょうからか、来月からか知りませんけれども、出ておりましたが、その併算制、通算制がどういうような御決定になっておるかということ。それから石炭コストを一昨年トン当たり千二百円ダウンを決定しておるのです。そのとき通産省なり、経済企画庁にお尋ねすると、千二百円のコストダウンという中に国鉄輸送費の値上がりを考慮しておりませんでした、こういう話なんです。そこで石炭の輸送費の問題で、この前の国鉄運賃の値上げの場合に、いろいろと経済企画庁とか、通産省とか国鉄のあなたのほうに話し合ってすっきりせぬ面があるわけですが、その後どういう御処置をとられたか、その二点についてお尋ねいたします。
○説明員(十河信二君) 石炭に限らず、国鉄の運賃の私鉄との間の併算制と通算制、この二色ありますが、国鉄におきましては、政府、運輸省とも御相談いたしまして協議の結果、併算制を原則とするということに相なっておるのであります。ところがいろいろな歴史的の経過によりまして一部通算制になっておるところもあるのでございます。先般の運賃改正の際に値上がり分の二分の一を延納するということを認めることになりました。延納することになっておるのであります。その延納した部分については長い間かかって払われるということになっておるのであります。そういうふうになっておりますが、こういう現在のいろいろな状態によりまして、石炭鉱業がますます困難な時代になるというので、先般閣議で通算制にしろということをおきめになりました。運輸省や会社といろいろやり方を相談いたしておったのでありますが、今月一日から通算制を実施するということに決定いたした次第であります。
○阿部竹松君 私の理解する力が足りぬためか、よくわかりませんが、前に運輸省、国鉄、閣議で云々というお話がありましたが、前のお話はともかくですが、先般といっても、一年前の閣議で御決定されておるわけでしょう、通算制にしなさいと。詳しく言えば十一カ月前かもしれませんが、一年前の閣議で決定しておる。それで今総裁のお話を承りますと、今月一日から、こういうことですが、それは全部適用されるわけですか。それからこれは石炭ばかりでなく、一般旅客輸送をやっておる会社にもあるやに承知しておるのですが、そういう中身を少し具体的にお知らせを願いたいと思うわけです。
○説明員(十河信二君) これは閣議の決定は石炭についてでありますから、そのほかの問題につきましては、遠藤営業局長からお答えいたさせます。
○説明員(遠藤鉄二君) この十一月一日から実施をいたします範囲は、山元社線発の石炭だけであります。北海道の三菱鉱業、羽幌炭鉱等でございます。
○阿部竹松君 その三菱鉱業、羽幌炭鉱のほかにその鉄道を利用して運ぶ中小炭鉱がたくさんあるのじゃないですか。それはどういうことになるのですか。やはり同じに取り扱われるわけでしょう。
○説明員(遠藤鉄二君) 北海道の炭鉱は以前から通算制をとるところと併算制をとるところと両方ございました。で、通算制のほうはこれは問題ないわけでございます。今回併算制から通算制のほうへ移行いたしますのは、北海道の残っておりますその他の、雄別炭鉱、天塩炭鉱、留萌鉄道、羽幌炭鉱、三菱鉱業、この五社でございまして、これが実施いたされますと、山元私鉄発の石炭は全部ということになります。残ったものはないわけです。
○阿部竹松君 そうしますと局長さん、総額にして大体国鉄当局で試算になった額はどのくらいになりますか。
○説明員(遠藤鉄二君) 山元の石炭の軽減は年間にいたしまして三億九千万円程度でございます。そのうち国鉄のこれは結局減収になるわけでありますが、それが二億八千万円、私鉄のほうの減収が約一億円、かような割合になります。
○阿部竹松君 そうしますと、閣議決定は石炭に限定されておるので、したがって、その石炭だけさしあたり通算制にした。その他旅客等においても併算制のものもございますね。それは今回の措置の中には入っておらぬわけですね。
○説明員(遠藤鉄二君) だいぶ前でございましたが、この席上で、通算制と併算制がありますことは、これは一つの歴史の所産であります、また理論的におかしいというお尋ねもございましたのですが、おかしいと言われればそういうように考えられる節もあるわけなんです、理論的には。したがいまして、われわれは今後通算、併算という問題は全物資につきましてもう少し筋の通った格好に持っていきたいわけでございますが、それは将来の問題でございます。今回の閣議の御決定は山元私鉄発の石炭について、石炭の緊急対策の一環として通算をやれ、こういう御決定でございますので、それに従ったわけでございます。
○阿部竹松君 その石炭のほうはわかりましたが、今、私鉄運賃値上げ云々等が盛んに論議の焦点になっておるわけで、したがってその私鉄運賃の値上げと関連して、そういう問題を国鉄の当局のほうでは検討しておらぬのですか。
○説明員(遠藤鉄二君) われわれの考えでは、運輸機関が通し運送をするわけでありますが、これはやはりそれぞれの運輸機関につきましてあるいは法律なりあるいは認可でもって運賃がきまっていくことになります。その通し運送をする場合にはそれぞれの運賃を計算いたしまして、それを足したものをいただくというのが普通で、いわゆる併算制というのは、旅客につきましては全部これは併算でございます、それぞれの運輸機関の運賃を合わせていただいておる。私鉄もそうでありますし、船などもそういうわけであります。連絡をやります際に船会社のほうの運賃はこうだ、鉄道の運賃はこうだということで、それを足していただいている。ただ貨物につきましては、これも併算が原則なんでありますけれども、歴史の所産で一部通算をやっているということでございまして、この問題、ただいまの通算と併算の問題は、私鉄運賃の値上げとはこれは全く関係がないことであると私ども考えております。
○阿部竹松君 関係ないとおっしゃれば関係ないけれども、やはりばらばらに併算制にすると、どうしても遠距離の場合には通算されてこないので高くつくものですから、これは直接関係はないけれども、間接的に関係あると思う。しかしそれは私きょう論争しようと思っておりませんが、さいぜん、もう一点のほうの総裁が答弁された昨年の運賃値上げの措置ですね、木暮さんが当時運輸大臣であって、石炭や金属鉱業は貿易の自由化に備えて運賃の値上げは困るということで、いろいろ陳情、請願、要請がそれぞれの関係会社あるいは団体等からなされたときに、それはまあ運賃の値上げは値上げとして認めて、その後に何らかの措置をとりますと、こういう木暮運輸大臣の皆さん方の要請に対する答弁がなされているわけですが、その点を少し具体的に御説明いただきたいと思います。
○説明員(遠藤鉄二君) 昨年の春の国会におきまして、国鉄の運賃改正法案を審議されます際に、いろいろ各物資別の負担にたえられるかどうかというような問題が各物資に出まして、石炭については運賃法改正後でございましたが、二分の一だけ、先ほど総裁が御説明いたしましたように石炭緊急対策が終わるまで延べ払いをする、かようなことになりましたわけでございますが、その額が、大体国鉄の負担額が年間十二億見当であったわけでございます。これだけがただいま国鉄の負担分になっているのでございます。それから今回こうやって先ほど御説明申しましたように国鉄も二億数千万円の収入減になるわけであります。これは閣議の決定どおりやったわけでありますが、といって、国有鉄道といたしましても、石炭もお困りではあると思うのでございますけれども、最近の運賃収入も特に貨物につきましてはふるわないわけでございまして、予算達成にきゅうきゅうとしているのでございまして、国鉄の負担する分につきましても、ひとつ政府において融資等国鉄に何かの対策をもって御援助願いたいということをわれわれ運輸大臣にお願いを申し上げている次第であります。
○阿部竹松君 その延納の十二億という金額ですね、これはどういうふうな方法で国鉄が支払ってもらうものか。ただ単にばく然として現段階では延納であるということで支払い方法をおきめになっておらぬものかどうかということです。
 もう一つ、さいぜんお尋ねした中に金属鉱業の貿易自由化によっての措置をお尋ねしているわけですが、たとえば硫安あるいは硫化、こういうものが肥料会社と関係あるわけですね、そういうことでどういうふうな措置を講じておられるか、その点もお尋ねしておきたい。
○説明員(遠藤鉄二君) 延納の未払い額の二分の一でございますが、それを実施するにつきまして国有鉄道といたしましてもただ延ばすというわけにはいかないわけでございます。これについてはわれわれ保証をいただかなければならないということで、大手炭鉱につきましては大手炭鉱の連帯保証をいただいたわけであります。それから中小炭鉱につきましては信用力が低いといいますか、そういう関係上、これは私が申し上げるのはどうもおかしいのでございますが、政府のほうで法律を改正されまして、石炭合理化事業団でございますか、あれの法律を改正されまして、それが保証をするということになったのでございます。
 それからその次のお尋ねの硫化等の問題につきましては、これもわれわれ通産省と十分相談をいたしまして、非常に運賃負担のつらい物資につきましては、ある程度の運賃緩和措置を行なったのであります。その金額は大した額ではございませんでしたけれども、事情が非常にお苦しいようなところは多少われわれのほうも軽減措置を講じたわけであります。
○阿部竹松君 もう少し具体的に聞きたいわけですが、硫安だけなんですか、ほかの品種は該当せぬわけですか、昨年の運賃値上げについての措置は。
○説明員(遠藤鉄二君) 肥料につきましては、農林省等と御相談申し上げまして、いわゆる肥料年度と申しまするか、そのときでなければ実質上の運賃負担力がない、こういうことで肥料についての値上げを実施するのをちょっとずらしたわけなんであります。新しい肥料年度から新運賃を負担していただくということにいたしました。
 それから硫化鉱等の実質山元の非常にお苦しい、特に自由化を控えまして苦しいところでは、これははっきりとそういうものに対して運賃を引くというわけにもわれわれちょっと参らぬわけでございますが、営業的に見て引くだけの理由があるというような理由から、これは多少の、年間にして一億ばかりでございましたけれども、運賃の軽減をはかったわけでございます。
○阿部竹松君 次にお尋ねするのは、十河さんも炭鉱経営者で志免炭鉱というのの経営をやっていられるわけなんですが、あの志免炭鉱と同じ粕屋炭田ですが、粕屋炭鉱というのがある。どちらもあまり寿命がないと言われている。ところが今度の有沢広巳さんを団長とする政府委任の石炭調査団は鉱区の整備統合という案を出しておられます。これによって実施をされるということになると、当然閣議決定によってなされることでしょうが、志免、粕屋の統合ということに鉱区調整の面でなってくるだろうと思うのですが、これについての総裁の見解はいかがですか。
○説明員(十河信二君) 調査団の報告も出たばかりでありまするし、政府のほうでまだ確たる方針も御指示をいただいておりません。われわれとしてはあの報告に基きましていろいろ検討はいたしておりますが、ただいまのところどうするというところまで決定いたしておりません。
○阿部竹松君 そうすると、志免炭鉱は志免炭鉱でやっていかれるということですね。
○説明員(十河信二君) そういうことをどうするかということをまだ検討中でありまして、こういうふうにするという方針を決定いたしておらないというのが現状でございます。
○阿部竹松君 最後に一点お尋ねいたしますが、話が振り出しに戻りますが、この十二億ですね、これは閣議で法律で云々とおっしゃったけれども、やはり責任は皆さんのほうで預っているからあると思うのですが、これはしかし全然国鉄は関係がないと解釈してもいいわけですか、支払い延納分はあなたのほうは関係ない、こういうふうに理解してもいいわけですか。
○説明員(遠藤鉄二君) 延納の措置をとれということは閣議の御決定でありますけれども、延納をするしない、その契約支払い方法等は、これは国鉄と荷主さんとの契約でございますから、したがいまして年間十二億の延納をいたしますれば、その契約書に従いましてわれわれは所定の期日にはそれを納めていただかなければならないわけでございます。
○阿部竹松君 そうすると、この十二億という金額は、値上がり率の半額が十二億と、こういうことであるわけですね。
○説明員(遠藤鉄二君) さようでございます。
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ本件はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(赤間文三君) それでは次に、綿製品の対米輸出に関する件の調査を進めます。
 政府から出席の方は繊維局長の磯野太郎君でございます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○二宮文造君 当局に綿製品の対米輸出、特にブラウスとそれからズボンの問題について若干お伺いしたいと思うのですが、八月の三十一日にこのブラウスとそれからズボンは全面的に船積みが停止になっております。当時は日米間の船積みの実績が数量計算に食い違いがあるということで、綿製品の賦課金問題もありまして、アメリカ側を刺激をしてはおもしろくないということで、政府のほうでとられた措置だろうと思うのですが、その後業者あるいは政府の代表と順次交渉を持たれているようでございます。しかも大平外務大臣が渡米されたときにも、国務長官と会ってこの問題にも触れておるようでありますし、また朝海大使を通して数回の会合も開かれているようでございますが、それがすべて外電とかあるいは新聞情報とかいうことで漏らされているにすぎないのでございます。業者のほうでは、全面的に船積み停止されたまま、一部で十一月の十五日には再開されるであろうというふうな希望的な観測は持っておりますが、その間について政府のほうからも確固たる御指示が全然ない。最近の新聞では特に難航し始めたというふうなことを伝えております。御承知のように縫製品の関係は非常に零細業者が多い。いってみますならば、商社、それから元請業者、下請のまた下請というふうに、非常にこまかい規模で仕事が進められております。現に岡山県の児島半島、それからまた四国の今治市などにおきましては、瀬戸内海の漁業が非常に不振でございまして、内職からすでに本職に変わっているような、三台、四台という規模でもって下請をやっている。そして生活をはかっている。町を歩きますと、一見して輸出の作業やっているというのが随所に見受けられております。そのように組合としてもあまり政治力がございませんし、また団結もありませんし、またそういう零細な業者についてはなけなしの中から設備を設けまして、そうしてそれによって生計をはかるというふうな状況になっておる現状の中で、このような対策がはっきりされてないということは、非常に不安をきたしております。現に業者の中では船積みの見通しがないためにすでに金融面にも困っておりますし、また商社のほうからのオファもないというふうなことでだんだんと不安な状況が進んできております。
 こういう中で一つお伺いいたしたいと思うのですが、本年度の規制といいますか、あるいは協定数量といいますか、日米間のその数字はどこにおいて本年は進められてきたか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○説明員(磯野太郎君) 御承知のとおり本年の綿製品のアメリカに対します輸出の関係は昨年の九月に取りきめられました一九六二年の綿製品日米協定で各種綿製品につきましてワクがきめられておるわけでございますが、それによりますと、問題のただいま御指摘のございましたブラウスとズボンにつきましては、ブラウスが単体物――つまりブラウスだけでございますが、単体物として百五十七万五千ダース、それから同じく単体のズボンといたしまして百万ダース、こういうふうな協定の数字でございます。それから御承知のとおりブラウスとズボンが一緒になっておりますセット物というものがございますが、これは日本側のやり方、解釈といたしましては、ただいま申し上げました単体の数字以外のワクの中でこのほかに雑というワクがございます。その中で計算をして出す、こういうふうな協定に相なっております。
○二宮文造君 問題の船積み実績の日米間の食い違いといいますか、日本側でとりました一――八間の船積みの実績はどのような状態になっております。
○説明員(磯野太郎君) 本年の一月から八月までの実績でございますが、これは今御指摘のございましたように、九月一日から船積みを停止しておりますので、八月末の数字でございますが、単体物といたしましてブラウスが百四万一千ダース、それからズボンが八十八万九千ダース、こういうふうな数字に相なっております。
○二宮文造君 それから問題の雑に計算をされますセット物につきましては……。
○説明員(磯野太郎君) セット物は同様の期間で四十六万八千ダースというふうな数字になっております。
○二宮文造君 さて、九月から十二月、しかももうあと二カ月でございますが、この間に本年度として船積みをすべき数字は、日本側としてはその差し引きと、それからアメリカ側としてはどのような計算のもとに残るワクはこれだけであると交渉の際に示された数字がありましたら、その点をお知らせ願いたいと思うのですが……。
○説明員(磯野太郎君) 今お話がございましたとおり、日米の交渉の関係は九月十八日からワシントンで交渉しておりまして、現在まだやっておりますが、大体いろいろな関係が詰まって参りまして、ただいま両方で討議しておりますのは、御承知かと思いますけれども、今後日本が輸出を再開した場合に、本年内にブラウス、ズボンあるいはセット物を幾ら出せるか、幾ら出すかというふうな点で議論をしているわけでございます。これは今御質問のございました日本側の数字あるいはアメリカ側の数字は、これは今外交交渉をやっております最中でございますけれども、大まかな数字を申し上げますと、日本のほうで要求いたしておりますのは、問題はセット物でございますが、セット物につきまして約十八万ダース前後、それからそれに対しましてアメリカのほうからただいまのところ出しております数字は約五万ダース前後ということで、御了承願います。
○二宮文造君 今のはブラウスだけと承知いたしておりますが、ズボンのほうも……。
○説明員(磯野太郎君) これは御承知のとおりセット物でございますから、ブラウスとズボンがセットになっている。あるいは下はズボンであるけれども上はブラウスでなくてシャツであるというふうないろいろな組み合わせがございますので、その辺の関係と、ブラウスのセットで幾ら、あるいはズボンのセットで幾らというふうな表現をしておりますが、そのおのおのにつきまして、今申し上げたとおり、日本側が大体十八万ダース前後、アメリカ側は五万ダース前後、こういうことでございます。
○二宮文造君 現在交渉の途中でございまして、今、情報によりますと、妥結に至るのが相当おくれるのではないかというふうなことも言われておりますが、期日が何さま年末に迫っております。あまり妥結がおくれますと、結局今度は船積みの点で非常に問題になってくると思いますが、その交渉の見通しについてお聞かせ願えたらと思います。
○説明員(磯野太郎君) 今お話しのございましたとおり、それから先ほどからるるお話しのございましたように、業者の中には相当の企業のものもございますけれども、零細企業も多うございまして、輸出契約はできておりますけれども、それから物は作りましたけれども、その物を今度抱いてなければならぬ。金の面で困ってくるとかいうふうな生産維持の問題だとか、あるいは企業の資金的な点について非常に問題があるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ早くわがほうの、ただいまも申し上げましたような要求の趣旨をできるだけ向こうに入れさせまして妥結をいたしたい、早急に妥結をいたしたい。そうして円満に輸出を再開さす、こういうふうに考えております。
○二宮文造君 八月三十一日に船積みを停止いたしましたときには、日本側の希望といたしましては十一月の十五日を目途とする。もしそのときに妥結されなくても、もう船積みができるような措置を講じておる、このように業者に対しては説明があったように聞いておりますが、今のお話では早急にということで見解が明らかになってないわけですが、業者としましては一日千秋の思いで待っております。特に今も申しましたように、零細業者が非常に多くて、これだけにかかっております。ですから、ここで政府の強い推進でもって早急な妥結を願いたいと思いますし、交渉が難航しておりますのは、来年度分の含みを持って双方が協議しているから、そのためにことしの数量を来年度の基礎数字にするということでもめているようにも伺っておりますが、来年度の見通しというものについてはいかがでございますか。
○説明員(磯野太郎君) 御承知のとおり、日米間の綿製品の関係は、本年は先ほど申し上げました二国間の日米協定でやっていくわけでございますが、御承知のとおり、綿製品の国際長期協定ができ上がりまして、日本もそれに参加をいたしましたので、来年からはこの国際協定によって輸出をやっていくわけでございます。そういうふうに、まあ基盤が多少かわってくるわけでございますが、ただいまお話しのいろいろ現在の交渉の問題につきましては、今御指摘のとおり、多少アメリカ側といたしましては、来年のことも考えておるというふうなことも推察できるわけでございますけれども、私どもといたしましては、問題は当面船積み再開後どれだけ輸出できるかというふうなことが重要だと考えております。それに重点を置いて交渉いたしております。来年の点は、ただいま申し上げました国際協定によってやっていくというふうに考えております。
○二宮文造君 ちょっと前にもどりますが、残高が大体十八万ダース、これが日本側の計算だ。アメリカ側の計算では約三分の一、このような新聞報道でございますが、もしそのようなことになりますと、すでに今までに商社のほうでも手当てをしております。それからまたメーカーの間でも、一部半製品になっているものもございます。もしそれがキャンセルになりますと、その間の金融措置だとかあるいは行政指導だとか、そういう面について当局はどのような考えを持っておられるか伺いたいと思います。
○説明員(磯野太郎君) 先ほど申し上げましたとおり、私どもの約十八万ダース前後の数字につきまして、極力これを妥結の中に取り入れて妥結したいというふうに考えておりますが、ただいま御指摘のような、契約はしたけれども在庫になっているとか、そういう点は金融の問題、いろいろあると思いますので、これはそういう点につきましては、たとえばこれは御承知かと思いますけれども、まあいろいろ必要によりましては商工中金でございますとか、そういうものにも極力あっせんをいたしまして問題のないように解決をいたしたいと考えております。
○二宮文造君 総括的な問題になりますが、このような対米輸出の面におきましても、それからまたカナダのほうでも同様に強い規制が昨年あたりから始まっていると聞いております。また一方西ドイツのほうは若干これから数年にわたって数量が増加していく、そういう道が開けたというような報道でございますが、全般的に見ましてこの縫製品の関係――縫維二次製品の関係について、今後の輸出の伸びの見通しについて、どのような考えを持っておられるか伺いたいと思います。と申しますのは、この間の石炭調査団の答申によりましても、産炭地の振興対策の一つといたしまして、たとえば産炭地に縫製品工場を設けて、そうして労働力を吸収していく、そのようなことも言われております。この調査団の答申に基づいて政府がまたいろいろと思考されるのだろうと思いますが、その輸出の伸びを一応お伺いいたしておきたい、このように思います。
○説明員(磯野太郎君) 概括的に申し上げますと、繊維製品、これは全体でございますけれども、全体の関係を申し上げますと、ただいま通産省で作っております数字から申しますと、昭和三十六年度の、これは繊維全体でございますが、二次製品でなくて全体でございますが、輸出の実績が約四十三万トンでございます。それから先日私どものほうで作りました昭和四十年度の繊維の需給の見通しがございますけれども、その数字によりますと、約五十五万トンというような見通しを立ててやっておりますが、約十二万トンばかりこの五年の間にふえていく、一応推定でございますが、そういう考え方を持っております。それから内容といたしましては、これはいろいろございますけれども、特に特徴といたしましては、これは御承知かと思いますけれども、最近繊維製品の需要のパターンというものが多少合繊のほうに移っていることは御承知かと思いますが、輸出の関係におきましても、各種繊維の中ではやはり合繊が相当に大きく伸びてふえてきている。数字で申し上げますと、大体四十年度には現在の二倍半くらいの輸出ができるのじゃないか、それから綿製品の特に二次製品につきましては、これは御承知のとおり北米市場、それからその次に東南アジアが市場でございますが、まあこれも非常に大きな伸びが希望できるというわけじゃございませんけれども、若干は伸びていくというふうに考えております。それから新しい市場といたしましては、二次製品につきましても欧州市場を開拓していく必要があるというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、綿製品の二次製品につきましては、御承知のとおり綿全体につきまして後進国がだんだんそういう工業を育成していくわけでございますから、わが国といたしましては、できるだけその二次製品の高級化をはかっていく、高級製品を作って出していくということが好ましいというふうに考えております。
○二宮文造君 先ほどちょっと触れましたが、産炭地の振興としての縫製品工場、こういう考え方が調査団から報告が出ておりますが、業界のほうでその意向をただしてみますと、今はどちらもピークにきている、内需にしましてもそれからまた輸出にしてみてもピークにきている。既存の業者としては労働力を確保するということには魅力があるけれども、現在の施設をあるいは移転するとかあるいは拡充するとかというふうな意欲的なものはない。よほどその工業誘致の好条件な所でないと、特に九州方面になりますと、輸送の問題も伴って参りますし、労働力のほうは供給源があるとしても今度は輸送の問題でネックになって、これは空文にひとしいのではないか。またそこへ施設を設けてみたところで採算が合わないのじゃないかというふうな見解を漏らしている向きもございますけれども、当局としましては、やはり産炭地の振興ということに、この縫製品の工場というものを考慮しながら今後進んでいかれる方針であるかどうか、それを承りたいと思います。
○説明員(磯野太郎君) 石炭問題、それから産炭地の振興の問題として、ただいまお話のございました縫製品の工場を新たに作る、あるいはどっかから持ってくるというふうな計画がもしございまして、まだそういう点私ども具体的にはその話を承知しておりませんけれども、そういう話がございますれば、これはただいまおっしゃいましたようないろんなむずかしい問題があると思いますけれども、私どもといたしましては、極力それを応援したいというふうに考えております。
○二宮文造君 先ほどの金融の問題とも関連して参りますけれども、現在輸出につきまして、貿手によりまして前貸しの制度がとられておりますが、これが実際に運営されておる状態を見ますと、一部商社で取り扱われているにすぎない。しかもその前貸しはメーカーのほうには全然渡っていない。中には委任状をとって、そしてその商社のほうで金繰りに使っている。メーカーのほうには回らない。その措置の精神と実際のあり方というものが非常に食い違っているような状態で、メーカーのほうは特にこの作業の資金の金繰りに困っているようでありますが、この面の打開として、業者のほうからはこの貿手の制度、前貸し制度をメーカーのほうにも利用できるような、そういうような方式に改めてもらいたいという希望がございますが、これについてはどのようにお考えでございますか、承りたいと思います。
○説明員(磯野太郎君) 輸出前貸し資金の問題、今お話のございました輸出貿手の関係は、これは今御指摘がございましたように、輸出品を生産をするその前貸し資金を円滑にするという趣旨で、輸出貿手制度が作られたわけでございますが、実際の運用といたしましては、今お話がございましたとおり、これは最後に御承知のとおり日本銀行に参るわけでございますけれども、その輸出契約でございますとか、それから信用状でございますとか、いろいろむずかしい要因がございまして、そういうような関係で輸出契約をバイヤーと行ない、それから信用状を接受いたしますものが商社である関係から、これは実際問題といたしまして、商社に対する金融、商社金融というふうな、結果的にそういうふうな運用に相なっておるわけでございます。その点につきまして、今お話のございましたとおり、特に繊維のほうの業界は、これは零細業でございます関係上、そういうような生産金融を直接メーカーの段階まで流れるようにやってほしいという強い要望が、これはずいぶん前からでございますが、ございまして、これは趣旨としてそうしなければいけない、それから実際問題としても非常に困っておるわけでございますから、そういうようなことをしなければいけないということで、これはだいぶいろいろ私ども研究いたして参っておる次第でございます。ただこれにつきましても、いろいろなむずかしい問題がございまして、結局今のように、輸出生産のための金融という制度、仕組みではございますけれどもその金が円滑にメーカー段階に流れないということは、これは繊維だけでございませんで、各業界を通じてそういうことに、これは鉄鋼、機械その他もそういうようなことになっておるわけでございます。したがいまして、この点を今の輸出貿手のような、いわば一般金融の仕組みの中で解決いたしまして、メーカー段階まで流すということが円滑にできるかどうか、若干疑問の点もございまして、これは私見でございますけれども、私どもといたしましては、むしろたとえば繊維のような業界につきましては、政府関係機関、たとえば商工中金あたりがそういうふうな意味合いの金も流せるというふうに将来持っていくほうがいい、あるいはそういうことを真剣に考えたほうがむしろ実現性があるんではないかということで、そういう点をただいま研究いたしております。
○二宮文造君 これはむしろ中小企業庁の問題になると思うんですが、これはあとにいたします。
 最後に希望のようなことになりますけれども、現在縫製業者と申しますのは、組合に入っておりますのが、大体六百の工場、その労働人口が三万八千人、このように承知いたしております。しかし実態をもっと下のほうへ伸ばしてみますと、先ほど申しましたように、それか二倍あるいは三倍、もっとそれ以上になるかもわかりません。二台、三台、登録もしないで内職的にやっております。で、またその団結力というのはないわけです。たとえば石炭鉱業のようなのは、総評あるいは炭労というもので団結して政府にデモでもかけて、早く日米交渉を妥結させよというふうな運動もできますけれども、そこまでの力もない。また業者に政治力もない。ここでこの道を打開できるただ一つの力は、やはり政府当局の強力な推進ということがただ一つ問題の解決の方向になっております。したがって、早急に解決するであろうとか、あるいはもうすでに年末に迫っておりますので、鋭意その努力を重ねられて、早く業者の愁眉を開いていただくように、せっかく努力をお願いしたい、こうお願い申し上げまして質問を終わりたいと思います。
○説明員(磯野太郎君) 今お述べになりましたとおりに考えておりますので、私どもといたしましても、せっかく努力いたしたいと思います。
○委員長(赤間文三君) ほかに御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(赤間文三君) 次に、貿易自由化に関する件の調査を進めます。
 政府側から出席の方は、上林政務次官並びに宮本通商局次長でございます。
 御質問のおありの方は順次御発言をお願いいたします。
○近藤信一君 私は貿易の自由化について若干の質問をしたいと思います。
 政府は業界の反対も相当ございましたけれども、それを押し切って予定どおりに十月の一日から、目標は九〇%ということで多数の品目について自由化に踏み切ったのでございます。それは目標の九〇%ということが不可能のような結果で八八%というようなことになりました。私どもは、国内の産業事情から見て九〇%の自由化は多少無理じゃないか、こういうふうに思っておったものでございますが、その間の調整に政府が苦心されたことはまあどちらかといえば、けっこうなことであったと思います。しかし、実際には政治力の強い品種が自由化を延期され、政治力の弱い部門が自由化を無理にやらされた、こういうふうなことで心配もあります。
 そこでまず最初に、九〇%でなく八八%に落ちついたそのいきさつについてお伺いしたいのであります。
○説明員(上林忠次君) 去年の秋ころから自由化を促進するということで準備いたしておりましたが、なかなか経済の現状は全体を自由化するような域に達していない、国内産業をある程度保護しなければいけないというような窮況に迫られまして九〇%の目標が八八%にとどまった。二百六十二品目が自由化をまた延期するというようなことになったわけでありますが、何とかして全体のわれわれの目標の九〇%の自由化を早く決行して競争力を増していく、そうして日本の経済力をもっと伸展させるというようなことにいたしたいと思っております。各国の交渉の上に、先方の自由化計画と相待って、早くこの日本の自由化を達成したいというようなつもりでおりますが、本年はそういうような国内産業の現状から考えまして、われわれの目標まで達しなかったことを残念に思っておりますが、早くわれわれの経済力を増強したい、そのためには目標の九〇%を達成したい、そのためには、本年特に問題になりました重油とか石油製品のネガ・リストを作ったのでありますが、こういうふうなものも早く自由化になって競争力がますます強くなるというような域に達しなければならぬということで努力いたしております。農産物におきましても、何とか自由化に近づけたいと思いますが、農産物は各国の状況から考えましてもやむを得ないものが相当ありまして、相当延びると思いますが、われわれは何とかして世界の市場に濶歩し得るような競争力を増したいというような点で思案しているような次第でございます。
○近藤信一君 今までの自由化は比較的競争力のあるものから実施されてきた。本年の四月に自由化が広げられて七三%になったが、これまであまり深刻なものはなかった。ところがこれを一挙に九〇%まで広げる段階になると、競争力の弱いものまで自由化しなくてはならない。それだけに自由化延期の業者からの陳情もよけいあったわけなんです。ただいまのお話にもありますように、九〇%が八八%にすることでがまんしなければならなくなったものでありますが、したがって、今度の自由化の一五%に含まれる品目はいずれも問題をかかえた業種でございますし、品目であります。たとえて申しますれば、石油の原油の自由化についてはすでに乱売合戦が激化してきた。それから機械については外国の長い延べ払いが日本の機械工業を圧迫している。また化粧品なんかは、外国はものすごい広告料を支払い、あるいは歯みがきの会社のように、ただで、無料で広告品をばらまいて、そうして宣伝しているというようなことが新聞にも出ているわけなんです。また百貨店などはいわゆる舶来品の特設売場を設けているところもございます。舶来品尊重という悪習慣の強い日本ではなかなかばかにならぬ影響もあろうかと思います。八八%を自由化を実施してからまだ一カ月しかたっておりませんが、その影響はすでにいろいろな面に現われているとも考えられるのであります。政府の御調査ではどうなっているか御説明を願いたいと同時にまた政府が思い切って自由化するには自由化のよい影響もあったはずだと思います。むしろ自由化のよい影響のほうが多いからこそ積極的に門戸を開いたのだと思うのでございますが、したがって、よい影響と申しますか、自由化の効果と申しますか、そういうものがどう現われてきているか、この両面の影響についてお答えいただきたいのであります。
○説明員(宮本惇君) お答え申し上げます。その前に、先ほどの上林政務次官の御発言を補足させていただきますと、八八%にとどまって、なぜ九〇%にならなかったかという点でございますが、これは実は昨年の自由化促進計画におきましては、石油製品も全部自由化をするという前提に入っております。ところが御承知のように、石炭鉱業のああいう状態でございまして、今ここで特に重油を自由化いたしますと、非常な影響を与えるという意味で、率の面では、特に重油を自由化しなかったということがこの率の引き下げに大きく響いてきているのでございます。
 それから特にEEC諸国の中で日本に対してのみ差別待遇をやっている国がございます。いわば、こちらがとにかくこの二年半で四〇%から九〇%近くまでいったという努力をしているにもかかわりませず、相手が依然として日本品だけを相当多数に押えている。したがって、こちらがせっかく自由化をしているのに、相手がそういうことならばやむを得ず依然として相当品目を押える、この二つが実際問題として二%足りなかったという大きな原因でございます。
 それからただいまの、しからば実際問題として八八%自由化の影響はどうであるかということになるわけでございますが、実は十月一日から自由化いたしまして、まだそれほど具体的にFAからAA及びAFAに移したものにつきましては、実はまだ影響は出てきておりません。たとえば二、三、万年筆のごとき、あるいはコーヒーはすでに自由化されておりますが、これにインスタント・テイを自由化いたしましたために多少ふえている程度でございまして、万年筆なども大阪あたりでは、パーカーが相当だぶついて値下がりの傾向を示しているというようなことで、もうしばらくたちませんと、今度の八八%の自由化の影響というのがまだはっきりつかめないような状態でございます。しかしながら、御指摘のように、今お話がございましたように、たとえば機械につきましては、御承知のように延べ払いでもって日本に入ってくる、それからまた膨大な宣伝費を使っているということに対しては、御指摘のように、自由化というのは品質、性能だけで自由化するわけでございます。そういう一取引条件、その他につきましては、これは別問題でございますので、現在のところある程度、たとえば標準外決済と申しますか、そういう面で、たとえば延べ払いなどを押えておりますが、御承知のように日本がかりに八条国に移りますと、そういう資本取引を除いた場合、いろいろな制限ができなくなりますので、そういった面におきまする今後の施策といたしましては、たとえば機械につきましては、延べ払いのための何かそういう基金的なものを設けるとか、あるいは国産品愛用運動を大々的に促進するというようなことを今通産省といたしましては検討中でございまして、大体そうした方向で今後対処していかざるを得ないのじゃないかと思っております。
○近藤信一君 今回の自由化を延期した品目、たとえば乗用車、大型発電機大型工作機、電子計算機のような工業製品・それから銅、鉛、亜鉛のような鉱産物、それから砂糖、バナナ、酪農品のような農産物、これらもいずれ自由化される品目と思いますが、その時期はいつごろに予定しておられるのか、いずれも問題の多い業種や品目ですが、どういう対策を講じ、どういう順序で、いつごろ自由化するかを差しつかえなかったら明らかに示してもらいたいと思います。
○説明員(宮本惇君) たしかに残りました中で御指摘の自動車、発電機、工作機械、砂糖、バナナ、それから銅、鉛、亜鉛というような問題でございますが、まだ八八%がついこの間終わったばかりで、具体的にいつ何をどういうふうな時期にやるかという全体の方針が実は政府といたしまして決定しておりません。しかしながら、これは実は来週から始まります一MFの年次協議ともからみ合うわけでございますが、かりに日本が今度八条国になるかどうかということは、その結果によっても違いますが、いずれにいたしましても、特定のたとえば石炭あるいは米麦というようなものを除きましては、これをいつまでも残しておくというわけにはなかなか参りません。したがいまして、自動車などにつきましても、御承知のように、これは工業製品で諸外国、特に欧米諸国が最もねらっておるあれでございますが、今の日本の自動車業界の現状がいいかどうか、今御承知のような、相当多数の自動車会社がございまして、それぞれ小規模生産をやっているということで、別途通産省の産業構造調査会の中で、特に自動車あたりについて、今後自由化に対処してどういう態勢にもっていくかということをいろいろ研究しているわけでございます。そういう態勢をとりながらやっていかなければいけないのじゃないかと思います。
 それから、たとえば発電機などにつきましても、御承知のように、確かに技術的には現在さほど、特に二十万キロワット以下のものは問題ないわけでございますが、それ以上のものも、もうしばらく時間をかしていただきますれば、ある程度国産で十分まかなえる自信を持っております。ただこれは工作機械と同じでございますが、たとえば電力会社が重電機を買いたいときに、日本の物がいいとわかっておりながらも、金が苦しいためにやむなく延べ払いのほうに行くという傾向につきましては、今年度わずかでございますが、二十億円ばかり開銀資金をつけまして、電力会社に重点的に延べ払いの金をつけたわけでございますが、これだけではとても足りませんので、先ほど申し上げましたような機械類につきましては、そういう全体をもう少し大きな構想でやっていきたい。これは今研究中でございます。
 それから銅、鉛、亜鉛につきましては、これは現在ガットで、特定のガット税率を交渉中でございまして、ある程度の関税の引き上げを今交渉しております。これが話がつきますれば、もちろんある程度の対策を講ずるわけでございますが、ある程度近き将来いけるのじゃないか。
 それから砂糖、バナナ、農林物資でございますが、御承知のように砂糖はいろいろ問題はございますが、これはこの間十月の最後の特別委員会におきまして、できるだけ早くやるというような政府としての方針を立てておりまして、今農林省で砂糖、バナナにつきましては、いろいろ研究中であると思います。
 大体その程度でございまして、今どれをいつやるかということは、まだ実は最終的にきまっておりませんので、この程度でごかんべんいただきたいと思います。
○近藤信一君 貿易が自由化されますと外国品が流入して、為替が自由化されると外国資本が入ってきます。外資を導入することについては、それが日本の産業を圧迫し、支配し、日本人がついに外国資本のために働くようになると問題が大きいと思うのでありますが、この点についてはいづれ詳しくお尋ねする機会もあろうかと思いますが、今外国資本が盛んに日本で合弁事業や、ノック・ダウン――すなわち部品を輸入して日本で組み立てるような事業をやっておるのですが、また清涼飲料のあるもののように、外国資本が日本に工場を作りまして、原液を本国から入れて、日本の市場を取ってしまおうとしているのもあります。丸善石油のように外国に身売りするせとぎわに立ったものもある。こうして、日本産業が外国資本に牛耳られてしまうのではないかという心配もあるわけですが、政府はこういう事態に対してどう考えておられるのか、この点を伺います。
○説明員(宮本惇君) 確かにお説のように八条国に移りますと、為替取引の面から申しますと、資本取引は、これはある程度制限できるわけでございますが、そういう面から現在いろいろございます外資法が足元からくずれていくという心配があるわけでございますが、同時に今御指摘のように、やはり日本自体の国内には資金が相当足りないので、いわば質のいい外資というものは、これはまた歓迎しなければいかぬ。ただ、これが御指摘のように、市場支配をされてしまって、結局従属的になってしまうということも困るわけで、そういう意味で、外資法というようなものを当然何らかの形で残しておかなければならないということは当然でございます。つまり何と申しますか、最後の一線を守るだけのものは残しておきたいということで、現在いろいろ為替管理の管理方式の自由化と同時に、その外資法をどういう形で残すかということをいろいろ研究中のようでございます。ちょっと申しわけないのでございますが、所管が違いますので、あれでございますが、そういうことで今われわれといたしましては、そういった心配、先生の御指摘のようなことのないように、今後できるだけ研究を進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
○近藤信一君 政府ではできるだけそういうことのないようにしたいと言っておられますけれども、国内の現在の金融の引き締めからいいまして、大企業等においては、設備投資に相当金を使っても、これ以上国内の銀行からの融資もできない、こういうようなときに、やはりこれは、たよっていくのは、好むと好まざるとにかかわらず、外国資本にたよっていく、こういう傾向も私は将来大くクローズ・アップされてくるのじゃないか、こういうことが心配されるわけですが、この点はいかがですか。
○説明員(宮本惇君) 最後にはやはり経営者の良識という問題もあると思いますが、やはり現実に金がない場合に、どうしてもそういうことになるという傾向はあると思います。ただその場合に、先ほど申し上げましたように、たとえば工場ができて、それを部品、つまり何と申しますか、ノック・ダウン方式と申しますか、そういうような形でくる場合に、これをどうしても防げないということでは困りますので、その点もそういう最後の一線だけを守るべく今いろいろ検討しておるようでございます。実は、これは申しわけないのでございますが、企業局の所管でございまして、ちょっと私からそれ以上お答えできないのでございますが、御趣旨はよくわかっておりますので……。
○近藤信一君 もう一つ伺いたいのは、世界の貿易政策の方向ですが、今日本では自由化を問題にしていますが、各国では関税を引き下げてお互いの貿易をふやそうとしている、これが今日の現状なんです。アメリカの通商拡大法はEECとの関係が中心ではございますが、日本に対しても関税引き下げを要求してくることが予想されるのではないかと思うのです。そうしますると、今日本では輸入を自由化するために一時関税を引き上げたり、それから緊急関税を設けたりして国内産業を保護しようとしておりますが、今度はその関税を低くしなければならないというような場合が起こるのではあるまいか。そういうときに、政府は日本の産業をどういう方法で保護育成していくか、今から考えておかねばならぬと思いますが、その点について政府はどのような方針を持っておられるのか、お尋ねいたします。
○説明員(宮本惇君) 確かに御指摘のように、今アメリカが通商拡大法が通りましたことを機会に、特定の倒外を残しまして、世界中でお互いに現在の関税のレベルを半分に下げようじゃないか、こういう提案をしたいということを言っております。で、具体的に申し上げますと、実は今ジュネーブでガットの総会をやっておりますが、それが終わりますと、そういう考え方のいわゆる作業部会というものを設けまして、どういう方法でやるかという第一次的な検討をする。来年の二月ごろに大臣会議を開きまして、そうしてとにかく関税を引き下げるいう方向だけきめようじゃないか、それから一九六四年から五年間かかって一九六九年までに半分にしていこうということでございます。で、大体例外的な部分と申しますと、アメリカといたしましては、一割ぐらい残して、残りの九割を……。もしこれがそのまま参りますと、たとえば日本が約九割自由化をした、ところが、残りの一〇%については関税はそのままのかわりに、現在あります九割は全部半分にしなければいかぬ、こういうことになるわけですが、それがそのとおりになるとは決して思っておりません。ただ、方向といたしまして、やはり日本としてもIMFに入っておりますということは、お互いに世界的に関税を引き下げて、そうして貿易を自由にする、このこと自体は方向としてはいいわけでございますが、問題はそのやり方でございます。したがいまして、まだアメリカはそう考えておるだけで、別にEECがどういう反応を示すか。たとえば、とても一割ぐらいじゃだめだから三割にしよう、五年じゃだめだから十年にし
 よう、そういうことディスカッションする余地は十分にあるわけでございまして、いたずらに言いなりになるわけじゃございませんし、関係各国の動向も打診しつつ、日本としてはできるだけ日本の実情に合ったような案を出していかなければならないということで、実はいろいろ研究中でございますが、ただ、何分にも具体的にはだいぶ先のことでございます。しかし、ただ先のことだといってほっておくわけにいきませんので、確かに御指摘のように、かりに残りの一〇%というものが今度は――今までは、自由化をする場合に、関税を上げてから自由化するというのだったのが、今度は二正面作戦といいますか、関税の引き下げと自由化と、こうくるわけなんで、その辺は十分日本の実情も訴えまして対処していきたい。したがって、その対策というようなものはやはり今から考えていかなければいけない、こういうふうに考えております。
○近藤信一君 これは大臣が来てからもう一回……。この問題は非常に重大だと思うのです。EECの発展と日本の経済の発展とは関連がありますから、これは大臣にあとでお尋ねしますが、最後に一点、自由化対策の予算について、これはちょっと無理かもしれませんが、お尋ねしたいと思います。
 思うに、今年は自由化騒ぎで明け暮れしたように感じます。石炭の問題も石油の問題も、それはある意味では自由化の投げた波紋とも言えます。ただいま政府は来年度予算を編成している最中ですが、通産省として、この自由化に対処する政策を予算や法律案でどのように実施しようとしているのか。新聞紙などでこれは断片的には報道されておりますが、また本日今まで述べられた対策もありますが、総括的に今後の施策の方針を伺いまして質問を終わります。
○説明員(宮本惇君) 実は、その御指摘の対策を今一生懸命に検討中でございまして、詳しいことは別といたしまして、考え方だけを大ざっぱに申し上げさしていただきたいと思いますが、大きく分けまして三つあると思うわけでございます。
 第一番目は、御承知のように、波打ちぎわのいわば直接的対策といたしまして、緊急関税制度というものをもっと合理的に活用していこう。御承知のように、九〇%を自由化いたしますために、ある程度の関税率の引き上げをやったわけでございますが、残りの中でもある程度の引き上げをもって自由化に踏み切れるものもかなりあるわけでございますので、その点はそういうことをいたしたい。それから波打ちぎわ対策の第二番目といたしまして、やはり御承知のように、この間実施されました関税引き上げ制度、タリフ・クオータというものも、これも大いに活用いたしたいと思っております。
 それから第二番目の対策といたしまして、国内需要の確保対策ということが、問題だと思います。要するに、御承知のように、いろいろな鉱産物その他も国内産品だけではまかなえないので、ある程度のものは輸入しなければならぬというものが相当あるわけでございます。したがいまして、ある程度国産のものは必ず買う、そうして足りないものを輸入するというような、つまり生産業界と需要業界との話し合いというものがスムーズにいくことによって自由化に踏み切ったものもございます。たとえば、製紙用のベルプというようなものがまさにその例でございますが、そういう方策も大いにやっていきたい。それから、先ほども御指摘のような、外国品の尊重ということに対して、やはりある程度国産品がいいんだという、もちろん昔のようないわゆる頭からそういうことをただかけ声をかけてもだめでございますが、そういった点も、どうやったらもっと国産品愛用運動というものが普及されるかといった点を予算的にも組みたい。
 以上がいわば外向きのあれでございますが、基本的には、これは何と申しましても、国際競争力の強化を中心とします合理化対策、近代化対策ということに尽きるわけなんでございまして、この点は産業対策の確立とか、あるいはそういうようなこと、さらには中小企業の対策、あるいは、たとえば鉱山あたりにつきましても、特に非鉄金属が石炭のようにやはり何か突っかい棒をしなければいかぬというようなことでございまして、詳しいことは今いろいろ官房を中心に検討中でございますが、考え方といたしましては大体そういうことを頭に置いてやっていきたい。
 それから先ほど申し上げました、たとえば機械なんかにつきましては、そういう向こうの延べ払いに対応する何かこちらもそういう基金みたいなものを作って対抗していく、こういうことも考えております。
○委員長(赤間文三君) 近藤委員の御質問で政府側の答弁漏れがありまして、佐橋局長が見えましたので、答弁を補足してもらいます。
○説明員(佐橋滋君) おくれて参りまして……。近藤先生の御質問は、資本の取引が自由化され、あるいはわが国が今度の勧告を受けまして八条国に移行した場合、外国の資本が、ノック・ダウンとか、あるいは合弁形式で日本の企業支配をするのではないかという御質問であったとただいま承ったわけでありますが、御承知のように、現在は外資法がございまして、外資法の運用でそういう事態のないように期しておるわけでございますが、この外資法が、八条国に移行した場合に、日米通商航海条約との関係でどうなるかというのが非常に問題でありまして、外資法的なものが何らかの形で残って、優良会社だとか、あるいは問題のないものだけを通すという、いわゆるスクリーン方式が残れば問題はないと思いますが、その点につきましては、日米通商航海条約との関係でいろいろと問題があるものですから、現在、その点については何らかの形で最終的にスクリーンをするという制度は残す必要があるという考え方で日米通商航海条約との関係を検討いたしておる段階でございまして、いずれにしても、まだ、八条国移行の勧告があって、そうして日本がその加盟の宣言をいたしますまでの間、時間的になお若干のゆとりがありますので、慎重に検討して参りたい、こういうふうに考えております。
○委員長(赤間文三君) ほかに御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。
   ―――――――――――――
○委員長(赤間文三君) 次に、中小企業金融対策に関する件の調査を進めます。
 政府側から上林政務次官、それから橋本中小企業庁振興課長、秋本金融課長、大蔵省の銀行局の新保特別金融課長が見えております。やがて樋詰君も来るでしょう。
 御質疑のある方は順次御発言を願います。
○亀井光君 きょうは時間もないようでございますので、主として中小企業の年末金融の問題につきまして政府の御見解をお尋ねしたいと思います。
 日本の経済は二重構造の上に成り立っておるといわれております。たとえば、事業所の数をとってみましても、総数で百五十五万の事業所の中で、実に九八%というものが中小企業でございます。あるいは労働者の数をとってみましても、千六百万という雇用労働者の中で、七〇%をこえる者が中小企業の労働者といわれておるのでございます。こういうふうに、日本の経済のささえをなし、日本の経済の基礎をなしておるこの中小企業に対しますいろいろな実は問題があるわけでございます。
 その中で昔から言われておりまするように、経営というものは金と物と人というものの上に成り立っておるのだといわれております。特に、中小企業が大企業との間にだんだん格差を広げて参っておりますことは、今後日本の経済の発展の上におきまして非常に大きな問題をはらんでおると考えるのでございます。たとえば、人の問題一つとってみましても、労働条件が大企業に比べて非常に悪い。あるいは職場の環境が悪い。あるいは新しい新鮮な労働力を導入して体質を改善しようとしても、なかなか中小企業には新規学校卒業者のような質のいい労働者が入っこない。あるいは中小企業の中に雇い入れられましても、その雇用の安定がなかなか保てない。こういうふうに、一つ人の問題をとりましても、大企業と中小企業との間には大きな問題を持っております。また、物の問題をとってみましても、大企業は、豊富な自己資金、あるいは金融を十分得られるために、設備の近代化が着々と進んで参りまして、そのことによる生産性の向上並びにコストの引き下げという面において非常に力強いものを持つのでございますが、中小企業は、依然として古い機械を使い、そこに近代化のきざしというものはなかなか見出し得ない。こうなりますと、大企業の生産性、付加価値生産性ではございますが、この生産性向上と見合って、中小企業はいつまでたっても付加価値生産性が向上しないというところに、日本経済の二重構造という問題がますます幅を広げていくのではないかという気がいたすわけでございまして、この中小企業における人と物との関係につきましては、もっと機会をあらためて政府の所信を伺いたいと思いますが、きょうは、経営の基礎であるその金の問題につきまして、少しお伺いをしてみたいと思うのでございます。
 中小企業は、今申しますように、大企業に比べまして生産性が低いというところに、中小企業の宿命的なものがあります。そのために、金を金融機関から借りようとしても、担保力がない。あるいは信用が低いというようなことによりまして、なかなか十分な物の面からする設備の近代化も容易ではない。あるいは運転資金にすら困ってくる。こういう事態があるわけでございまして、そのために一般金融機関で貸し得ない。そういう金融措置として、法律の定めるところにより、中小企業金融公庫あるいは商工中金あるいは国民金融公庫、こういう三つの中小企業向けの金融機関が設置されているのでございますが、その融資量が、量において少ない。しかもその実績を見てみますと、中小企業向けの融資の割合を見ますと、一〇%程度しか融資されていないというふうに聞いているわけでございます。また、融資の手続の問題につきましても、担保力、信用度の低いというようなことからして、せっかく作ったこの三つの政府の金融機関というものの運用が円滑に行なわれているかというところに、私大きな疑問を持つのでございますが、この点につきまして、政府当局のひとつ御見解をまず確かめてみたいと思います。
○説明員(秋本保君) ただいま先生から御話がございましたように、中小企業の金融が大企業に比べまして、いろいろな面におきまして待遇が悪いということは、われわれ常に感じておりまして、したがいまして、中小企業の専門の金融機関、なかんずく政府関係金融機関につきまして、できるだけ政府資金を投入いたしまして融資をするということに努めて参っているわけであります。御指摘のとおり、全中小企業向け残高に占めますところの政府の関係機関の割合というものが一〇%弱にしかなっていないということは、お説のとおりでございまして、私どももできるだけそういう点につきましては確保に努めて参っているわけであります。特に、御承知のように、昨年来の景気調整の時期におきまして、私どもはできるだけ財政資金からこの機関に、中小企業に金を流すことに努めまして、景気の調節のしわ寄せが中小企業に及ぶことがないように努力をいたして参ったわけであります。また、今年におきましても、去年に比べまして財政資金を増加しましてまず当初計画を組みましたし、その後、景気の侵透に伴なう対策といたしまして、財政資金をできるだけ加えることにいたしまして、六月にも一部そういう政策を講じましたし、また、年末にもさしあたりの対策として四百億円の追加財投をきめているような次第でありまして、今後ともそういう点については、中小企業の設備の近代化とか、あるいは景気のしわ寄せが起きないように、できるだけの努力をいたしていきたいというふうに考えております。
○亀井光君 中小企業向けのために、一般の金融機関では貸し得ない資金を流すために、わざわざ法律でこの三つの政府機関たる金融機関を作ったのであります。その金融機関の融資が、わずか総額の一〇%足らずしかないということは、これは政府として十分私は考えていただかなければならぬ。資金量を少しくらいふやしましても、資金量の率でいいますと一〇%前後では、あまりにも不十分であると思われる。全国銀行の貸し出しが従来のごとく大企業に流れるということでありますと幾ら三機関の資金量をふやしましても、中小企業に向かっていく資金というものはわずかなものである。私はせっかく作ったこの三つの政府機関である金融機関でありますから、法律で定められているその使命が、ほんとうに達せられるように努力すべきである。私はその点につきまして、あとで大臣も見えられましたら再び質問をしてみたいと存じますが、この点につきましては、どうか通産省におかれましても、十分力を入れて措置することが私は必要だと思う。少なくとも半分ぐらいまでは中小企業に、こういう中小企業のための政府機関の金融機関でございますから、資金が流れるくらいの努力をすべきであるというふうに私は考えております。
 そこで年末の問題でございますが、今お話のように、三つの金融機関並びに買いオペを含めて四百億円の財政投融資のワクをふやす決定をされたようでございますが、私が御質問申し上げたいのは、去年の年末とことしの年末と中小企業の金繰りというものが、どう違っているか。去年よりもことしのほうがひどいとお考えになるのか、あるいは去年よりことしのほうが楽だというふうにお考えになるのか、まず、この点について御質問いたしたいと思います。
○説明員(樋詰誠明君) 昨年の今ごろは、いわゆる勘定合って銭足らずということで、一応金繰りは非常に苦しかった。しかし、その予定どおりの金が、売りかけその他が回収されるということであるなら、企業としては一応採算としては必ずしも悪くないというのが昨年の実態であったかと思います。その後、景気調整が浸透するにつれまして、いわゆる受注減といったような格好が、特にこの夏ごろから起こって参りました。その結果、最近は勘定も合わず銭も足らずというような格好で、いわゆる不況としては本格的な格好で、ことしのほうが苦しいんじゃないか。しかし、金繰りそのものということからいいますと、これは昨年もことしに劣らないくらい金自体では追われたわけでございます。
 そこでわれわれといたしましては、今後は中小企業の体質善改というようなことに特に力を入れるということによりまして、そうしてその不況を切り抜けるということをしたいと思っておりますが、さしあたりといたしましては、年金金融並びにそれに続きまして第四四半期において必要な手当を行なうということによって切り抜けていきたいと考えております。
○亀井光君 今の御説明ですと、昨年の暮れよりも、ことしの暮れのほうがよりきびしいというふうに御観測になっていると思うわけでございます。特にお話の中にございましたように、ことしは仕事の量自体がなくなってきている。これは経営者にとって将来への非常な不安をかもし出しまする問題でございます。金の問題は、これは一時的に政府の今日資金を流すことによりまして切り抜けられるといたしましても、仕事が減って参るということは、これは中小企業の経営者にとりまして非常に大きな私は不安を将来に残しているというふうに考えるわけでございますが、そういう中において四百億円の財政投融資のワクをふやした。これは実は昨年の記録をみますと、九月二十六日に五百五十億の財政投融資のワクをふやす決定をしております。ことしの四百億は十月十九日だと私は記憶しておりますが、決定しております。時期的にも、去年よりも非常に金詰まりであり、中小企業の金融が逼迫しているにもかかわらず、政府の打つ手がおそい。しかも、額が昨年は五百五十億でありながら、ことしは四百億、これはどういう理由であるのか、ちょっとお聞きしたい。
○説明員(樋詰誠明君) 昨年は、いわゆる金融引き締めという政策がとられまして、そしてそのしわが、まず端的に中小企業に寄るであろう、これは申し上げるまでもございませんが、いわゆる資金の限界需要者として、ちょっと締められると、まっ先にしわ寄せされる、そういうことから金融引き締めと並行いたしまして九月の末に、今お話のような措置がとられ、追っかけまして、さらに十一月に措置がとられたわけでございます。最初のやつは金融引き締めの本格化というものに対する対策であり、十一月に年末金融対策がとられたわけでございます。昨年は実は九月の末から十二月の末までの三カ月間、いわゆる第三四半期の間に四千三百六十六億というものが政府機関並びに一般金融機関を通じて中小企業に向けられております。この中には、石炭金融という特別なもの、それから第二室戸台風によるものというものが含まれております。これが八十三億でございますので、実際は四千二百八十三億という金額が、昨年の第三四半期中に中小企業に純増せられて向けられた金でございます。
 それでは、ことしは大体第三四半期中に、どれくらいの金が向けられるかということでございますが、大体われわれの今の予想では五千六百億程度の金が中小企業にいく、これは少なく見積っても、その程度いくのではなかろうか。この中には、たとえば全銀協――全国銀行関係は一応かたく押えて大体千五百億というふうにみましても、この程度になるわけでございまして、昨日の新聞等で、全銀協がいろいろ申し合わせておりますが、ことしは二千億ぜひやりたい。去年の千四百五十七億がことしは二千億やりたいということで、二千億というものが全体的な金融としてゆるむということで、さらに最近の中小企業向けのシェアが減少しているのを解消するために、積極的に中小企業向けという格好でやりたいということで、この二千億の目標に到達するということになりますれば、それだけで六千億というものが全体で確保されるということになるはずでございまして、資金の量といたしましては、大体昨年よりも四割程度くらい第三四半期はふえるのではないかというふうに考えております。
○亀井光君 今のお話のように、去る十月二十九日の全銀協の定例理事会で、二千億円の特別のワクをふやして中小企業向けの金融の措置を講じようという御決定になっているのでございますが、ただ問題は、そういう市中銀行なり一般の民間の金融機関が、はたして中小企業に、そのワクどおり流してくれるのかどうか。これは先ほど冒頭に申し上げましたように、中小企業の担保力の問題あるいは信用の低い、こういう点からみまして、一応形式的なワクはきまりましても、それがそのまま流れるかどうか。政府機関の金融機関では、先ほど申しましたように一〇%しか占めていない。市中銀行が、はたして皆さんが希望するように、あるいは中小企業の経営者が希望するごとく流れるかどうかというところに私疑問を持つのでございまして、そのためには何と申しましても、政府の中小企業金融公庫なり国民金融公庫あるいは商工中金、こういうふうなものがリードしなければならぬ。昨年の年末金融関係で政府の財政投融資のワクをふやしましたのが千四十億円と私記憶しておりますが、ことしは今お話のように四百億が一応決定になっている。今後そういう意味で、民間のそういう金融機関の指導的立場に立つべきである、こういう政府の金融機関というものが年末にかけて、どの程度のものを一体お考えになっているのかどうかお尋ねしたいと思います。
○説明員(樋詰誠明君) 一応昨年、今先生御指摘の千六十億というのは、これは第四四半期に行なわれた分も入れてのことでございます。われわれといたしましては、第四四半期分というものをひっくるめまして、実は年内に約四百八十億程度の財政資金の追加をやっていただきたいということで、大蔵省と折衝しておったわけでございます。そのうちで大体三百二十億程度が、年末までにどうしても要る金であり、約百六十億が一月以降に需要される金、そういうようなつもりでやったわけでございます。ただ先ほど申し上げましたように、全体の金融機関からの数字というものが、これは確かに先生御指摘のように百パーセント予定どおりいくということは、これは非常にむずかしいと思います。で、二千億と言っておりますが、私のほうは、これは相当歩どまりがあるであろうということから一昨年の実績、それとほとんど同程度ということに押えるということにいたしまして、千五百程度ということに、かりにやってみても、五千六百億くらいになるんじゃないかといったことを勘案いたしまして、とりあえず年内は四百億ということでやったわけでございますが、その四百億の中には、買オペの百五十億等がございますので、われわれのこの前の要求、大蔵に対する要求というもの、それをそっくりそのまま残しておいて、そして年末にみてもらった二百五十というものを差し引きますと、第四四半期では二百三十億程度のものが、財政資金として需要されるという格好でございますが、その当時よりも実際に一般の金融の資金供給力というものが、かなりふえておるんじゃないかというようなことを考え合わせますと、あるいはこの二百三十億自体に、そうこだわらぬでもいいんじゃないか。いずれにしましても、問題は中小企業は、現実に一体どれだけ困っているかということを救うということにあるのでございますので、さしあたり民間の短期資金等は、ある程度潤沢にその供給見通しが立ったといたしましても、それが第四四半期以降、実際にその後の会社を順調に経営していくということに対して十分な資金的な裏づけになり得るかどうかということを勘案した上で、一月になりましたら、また第四四半期分として財政投融資の必要額を財政当局と折衝してタイムリーに資金を供給するというふうにやりたいということで、これにつきましては一月になったら、あらためてそのときの金融情勢をよく両者で検討した上で必要な手を打とうということを、大蔵省との間に約束しているわけでございます。
○亀井光君 今の御説明を聞きますと、四百億は一応決定になった、それで今度、大蔵省との折衝で四百八十億をふやしていく、そうすると八百八十億という額でございます。これがまたしかも第四四半期に一部が繰り延べられる、昨年は第四四半期を含めて一千四十億という数字を私は記憶にございますが、政府の財政投融資のワクを、政府資金の流出のワクが去年よりも少ないこういうことでいいのかどうか、お説の中には、民間の金が昨年の暮よりも若干だぶついてくるから、民間の金融機関を通じての融資が潤沢に行くとすれば、政府の資金は、それほど要らないのではないかというふうにとられるような御説明でございましたが、その点もう一度、ひとつ答えていただきたい。
○説明員(樋詰誠明君) 先生御指摘のように、現在の政府関係機関というものの中小企業金融に占めるウェートというものは一割弱、これはわれわれとしましても、今後政策的な金融ということを進めていくというためには、できるだけ増加していきたいというふうに考えておりまして、たとえば三十八年度財政投融資の要求等についても、相当八割程度ふえるという要求を現在いたしているわけでございます。われわれといたしましては、今後できるだけやはりこの率を上げていくようにしていきたい、そういうふうに考えております。
 ただ当面の問題といたしましては、財政資金あるいは民間資金というものを通じまして、確実にそれが中小企業に流れていくということであれば、一応の目的は達し得るわけでございますし、大蔵省のほうの御協力もいただきまして、できるだけ中小企業に確実に流れるように、いわゆる中小企業向け融資にとどまらず、大企業向けに対する融資につきましても、下請の中小企業に払えというひもつきで大企業に流していくといったようなことも、現在とっていただくということにしております。こちらのほうが大体初期の目的を達するということになりますれば、当面の問題としては、十二月までは大体四百億の財政資金というものを追加すれば、大体御迷惑はかけないで済むのじゃないかというふうに考えております。
○亀井光君 もちろんお説のとおりに資金量のワクを幾らふやしましても、現実にそれが中小企業の経営者に渡らければ意味がないのであります。そういう面の御配慮をやられるということにつきましては、私非常に敬意を表するのでございますが、問題はそれとともに、もう一つ時期的なものがあろうと思います。経営者というものは、いつも将来へ向かっての準備と計画というものを持っていかなければ、経営の基礎はないのでありまして、将来に不安を感ずるようでは、特に金の問題につきましては、なかなか十分な力を経営に注ぐことはできない。特に年末のように差し迫って、これを越さなければならないというふうな場合におきましては、できるだけ早くそういう政府の方針、中小企業向け年末金融に対する政府の方針をできるだけ早くひとつ明確にされて、中小企業の経営者が安心して年を越せるという気持を生み出していただくように、これは御要望ですがお願いしたいと思うのでございます。
 最後に、もう一つの問題は、産炭地の中小商工業者の金融の問題でございます。去る十月の十三日に、石炭鉱業調査団の答申が政府に出されたのでありますが、あの答申を見ますと、その中心というものが石炭産業の安定、特に需要の確保、雇用の安定、こういうものを中心としました答申の内容でございまして、そのために昭和四十二年までに二千五百億という資金が必要だという答申なんです。この二千五百億のほとんどは、私は政府資金にならざるを得ないと思います。そうなると、これは結局国民の税金でございます。国民の税金によって、いわば国民の負担によって石炭の経営者なり労働者というものが救済されていく、そのこと自体、いい、悪いは申し上げません。ただこれだけの巨大な政府資金を注いでも、なおそこに、陰に隠れて救済されない住民の層があることを私は忘れてはいけないと思います。
 それは何かといいますと、産炭地周辺におります中小商工業者でございます。千二百万トンのスクラップ・ダウンによりまして痛手をこうむりますのは石炭の経営者と労働者だけではないのであります。むしろその影響がもっとより深くより広いのは、それは産炭地における中小商工業者だと私は考えるのでございます。現在すでに百億に近いといわれている売掛代金を持っており、さらにこれが将来千二百万トンのスクラップ・ダウンによりますと、今後の売掛代金ですら、なかなか回収できない。今までそれほどの膨大な売掛代金がありながら、ざらにその代金がふえていく、こういう問題がございます。しかし千二百万トンのスクラップ・ダウンによりまして、商工業者がその産炭地で営業ができない、商売ができないというふうなことになれば、結局他に移転をして業を営む、あるいは従来の生業を転業せざるを得ない、こういう問題がある。また場合によりましては、店を閉じ、従業員の解雇という問題が中小企業の商工業者の中から出てきます。その数はおそらく、石炭調査団の答申の中に、石炭産業の労働者六万人といわれておりますが、あるいはそれを上回る、あるいはそれの倍にもなる、ような大きな影響というものが産炭地の中小企業者の中に私は出てくるおそれがある、まあこういうふうなことを考えて参りますると、この石炭鉱業調査団の答申に漏れておる、まあ若干触れはいたしておりまするが、産炭地周辺の中小商工業者、あるいはもっと広く言えば、鉱害を受けまする農村の方々、こういう方々、いわゆる産炭地の住民に対する対策を忘れては私はいけないと思うのでございます。
 特に年末を控えまして、これからそういう産炭地における中小商工業者というものは、まあ金詰まりもあるし、あるいは今までの売掛代金の回収も不可能、こういう事態において、一般的な年末の金融につきましては、先ほど御質問いたしましたが、特にこの産炭地における中小商工業者に対しまする年末金融について、どういうふうにお考えになっておるかということをお尋ねしたいと思います。
○委員長(赤間文三君) ただいま大臣が見えましたので、大臣に対する質問は亀井さん、近藤さん、向井さん、三人でございます。
○国務大臣(福田一君) お答えいたしましょう。お説のとおりこの商工業者の掛売りといいますか、貸し売りをいたしております金額が相当額に上っておるので、非常にそういう意味でめいわくをしておるというか、困っておる、こういう実情は承っております。
 そこで、ただいま通産省といたしましては、その実態を早急に調査をいたしまして、これに対しても何らかの措置を考えるように処置をいたしたいと思いまして、過般から実は調査をいたさせておる段階でございますので、調査も、そう二週間も三週間もかけるという意味ではございません。緊急にその調査を完了いたしまして、そうしてこれに対する適当な手を打っていきたい、かように考えておる次第でございます。
○亀井光君 通産大臣がはっきりと、そういうように御言明をいただきまして、私も非常に喜ばしいのでございますが、その際に売掛代金の問題もさることながら、先ほども申し上げましたように、産炭地の中小商工業者が転業しなきゃならぬ、あるいは産炭地以外のところで業を営まなきゃならぬ、こういう場合の立ち上がり資金といいますか、あるいは生業資金といいますか、そういうものの融資、この問題につきましても、どうか十分な御配慮をいただきたいのとあわせまして、店がつぶれ、あるいは会社がつぶれるということで、経営者自体がまあ失業する、路頭に迷う、さらにそれに関連しまする従業員が失業していく、まあこういうものも炭鉱の労働者、炭鉱産業のスクラップ・ダウンから出て参りまする離職者と並んで、これはあるいは労働者の問題かもしれませんが、政府としては、そういう方々に対しても、あたたかいひとつ思いやりをぜひとも捧げていただきたい、かように私考える次第でございまして、質問の最後で申し上げましたそういう産炭地の根本的な問題は別にいたしましても、産炭地にある中小商工業者の年末の金融について、特に一般中小商工業者と違う御配慮が要るのではないかという、まあ御質問をしたわけでございますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○説明員(樋詰誠明君) 実はことしの夏に、御承知だと思いますが、国民金融公庫から一億円、産炭地の中小――特に商業者等に対して融資をしようということで資金を準備いたしておりますが、今までのところ、その使い状況は非常に進みません。大体一割ちょっと程度しか使っておらないわけであります。
 将来の問題につきましては、先ほど大臣から申し上げましたように、ただいま調査をいたしておりまして、何らかの格好で産炭地域における中小の商工業者が、今までの売掛を回収し、さらに将来に向かって新しい力強い足を踏み出すことができるようにしたい、こう思っておりますが、当面の年末金融につきましては、ことしの夏の資金というものが、まだだいぶ残っておるような関係がございますので、それの使い状況等にあわせまして、とてもそれだけじゃ足らぬということになりますれば、時期を失しないように国民金融公庫あるいは商工組合中央金庫といったようなところから、年末の所要の資金を確保するようなことを考慮したいと思っております。
○亀井光君 せっかく御調査を始められたようでございますから、できるだけ早くその結論をお出しいただきまして、私がただいま御要望申し上げましたいろいろな点につきまして、どうか十分な対策を立てられることをお願い申し上げまして質問を終わりたいと思います。
○近藤信一君 先ほど政務次官、それから局長から御答弁がございましたが、大臣から一、二点について御答弁を願いたいと思います。それは十月から貿易の自由化が実施されたのでございまするが、当初の目標は九〇%であった。ところが実際今までやってみますると、それが九〇%にいかずに八八%ぐらいでとまった。これにはやはり私どもが考えますると、政治力の強いものは、どうもあと回しにされておるというようにも感じられるわけなんで、そこで約一二%というものが将来に残されておるわけなんですが、この一二%の、あとの自由化についての目標といいますか、そういうことについて、大臣はどういうふうな御処置をとられようとしておられますか、この点をまず一点お尋ねいたします。
○国務大臣(福田一君) お話のとおり今回は八八%に自由化をいたしたのでありますが、なお残ったものもございますので、これについては、やはりできるものはひとつ、自由化を進めるようにしようというわけで、研究を進めておるわけでございます。それについて、何をいつどこでやるかということは、御承知のように、いろいろ影響もございますので、これはまだ研究中でもございまして、決定もいたしておりませんので、今申し上げるだけの資料を持ち合わしておらないのでありまして、その点は御了承をお願いいたしたいと思います。
○近藤信一君 いま一つ考えられることは、自由化をやられる上において、関税の引き上げがなされておる。ところがEECとの関係で、ただ関税を引き上げただけで、それじゃ自由化がなされて、国内の産業に影響がないかというと、私は決してそうじゃないと思うのです。やはり大臣も御承知のようにEECの発展というものは、やっぱり相当評価してもいいのではないか。そのためにイギリスも、積極的にこれに参加しようとしている。アメリカも、これに関心をもっておる。こういうことになれば、将来通商拡大法でアメリカが関税の引き下げをやる、日本に引き下げるべき話し合いがあった場合に、これは当然日本としても関税の引き下げをやらなければならぬと思うのです。そういたしますると、せっかく関税を引き上げて自由化に対処しようとしての心がまえというものが、そこで関税の引き下げということになりますと、これはあまり軽視できない問題ではなかろうかと思うわけなんですが、この点について、政府はどのように考えておられますか。
○国務大臣(福田一君) お説のとおりEECの関係あるいはアメリカのほうからも、そういうような要請がこないとは言えません。また、そういうことはあり得ると思うのでありますが、しかし、その場合においても、私たちはあくまでも自主性を貫いて日本の産業が大きく影響を受けるのに、向こうから言われたからといって、関税の引き下げをするというようなことは私はなすべきではない。やはりすべて日本の産業が生き残れるかどうかということを十分見きわめた上でなければ、それに応じていくわけにはいかないと思います。もちろん一般論としては関税は、お互いにできるだけ下げたほうがいいということにはわれわれは反対するわけではございませんけれども、個々の問題につきましては、今言ったような観点から見て、そしてやっていくべきだと思います。これに対してアメリカが――おそらくアメリカといえども、日本に対して、どうでもそれだけは下げろと、こう言うはずもない。今のところわれわれはそういうふうに考えておるわけであります。
○近藤信一君 従来の例から見ますると、日本の自主性と、大臣今言われましたけれども、なかなかこの自主性というものが認められない。日本の経済はアメリカ経済に従属されておる、こういうふうにいわれておるようなわけで、なかなか私は、今大臣が考えておられるような甘いことではだめじゃないかというふうに思うのですが、どうですか、この点。ほんとうに大臣本腰を入れて日本の自主性を確保されるかどうか、その決意を伺いたい。
○国務大臣(福田一君) 過去のことは責任がないとは申しませんけれども、私よく存じませんので申し上げるあれはありませんが、私といたしましては、たといアメリカからどう言われようと、日本の産業に大きな影響を及ぼす関税の問題を軽々にいじる――軽々ということは取り消しましょう、これを変更するというような考えはございません。
○近藤信一君 先ほど局長からも御答弁がございましたが、これは重複しますけれども、大臣に直接御答弁願いたいと思いまして、自由化に対処するために、やはり来年度における予算の問題、それからいろいろな立法の問題、こういうことが当然考えられると私は思うのですが、これについては、大臣の御決意をひとつお願いいたします。
○国務大臣(福田一君) そのことにつきましては、先ほど局長がお答え申し上げたとおりでございまして、私からお答え申上げましても、別にかわるところはありません。ひとつお許しを願いたいと思います。
○近藤信一君 先ほど亀井委員からも、年末金融のことで質問がありまして、私もちょっと感じたのですが、十月から貿易自由化になったから、すぐそれが十月に響いたということじゃ私ないと思うのですが、私どもの愛知県において、この十月に入ってからでも相当中企業で倒産をしているところが二、三あるわけです。しかもこれが自動車――軽二輪ですね。小型の自動車関係、そういうところに、そういう倒産の事実が出てきておるわけですが、そういうことを考えますると、私はいろいろな業界、また業種関係で、去る国会において私どものところにたくさんの陳情や請願があったわけです、自由化延期、または反対という、それを政府は、この十月から強行されたわけなんですが、直ちにそういう国内産業に影響が響いてきておる。したがって会社では再建のために合理化をやらなければならないとか、またいろいろなことで銀行の管理下に移っておるということで、労働者がすぐ犠牲を負わなければならぬ、こういう状況が現在あっちこっちに、特にこれは小でなくて、中のほうの企業に現われておる傾向なんです。これに対するところの何か御処置というふうなものを通産省として、何かお考えになったことはありますか。
○国務大臣(福田一君) ただいま御指摘になりましたようなことにつきましては、これは自由化の問題というより、あるいは一般不況とか、あるいは小企業に対する大企業のしわ寄せというような問題が理由であったかと考えておるわけでありますが、いずれにいたしましても、日本経済に対する調整というものは、すでにその効果を発揮いたしておりますので、今後としては大いに需要を喚起させる工夫が必要であるという観点から、通産省のみならず、政府といたしまして、ひとつ政策的にいろいろの問題を打ち出していきたいというふうな考えで、今研究をいたしておるところでございます。
○近藤信一君 特に年末を控えて中小企業は非常に苦しんでいる、ここに現われている傾向としては、手形などが従来三カ月のものが四カ月、五カ月というのがたくさん出てきております。それから御承知のような無理な支払いが親工場から下請けの企業に押し付けられている問題があちこちに出てきております。特に相当この年末から来年にかけて、今度は中企業にそういう問題が起こっているが、将来はやはり小企業にも、この傾向がどんどんと出てくるのじゃないかというふうに予想されるわけでありますが、先ほど亀井委員も言われましたように、いわゆる年末金融に対して政府は、いろいろな手厚き措置というものを講じてもらいたいということを希望いたしまして、私の質問を終わります。
○亀井光君 先ほど大臣まだお見えにならない間に中小企業庁長官に御質問申し上げたのですが、中小企業金融というものが、その担保力の少ないこと、あるいは信用の薄いことからして、一般の民間の金融機関から、なかなか融資が受けられないということから、法律で中小企業金融公庫あるいは商工中金あるいは国民金融公庫という政府機関を作った。ところがこの政府機関からの中小企業に対する資金量は、わずか一〇%にすぎない。せっかく法律で、こういう三つの専門の政府機関を作りながら、貸出の残を見ますと、一〇%しかない、こういうことでは法律の精神に反すると思いますが、こういう点について、今後大臣の十分な御監督の上におきまして、中小企業の経営者に、法律の使命が十分達成されるように、中小企業に資金が用意されますように、ひとつ御努力いただきたいということをお願いかたがた大臣の御決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お説ごもっともでございまして、最近の傾向を見てみますというと、大企業のほうには、相当金融が回っているにかかわらず、中小企業に対してはいささか比率等も下がっていることは事実でございます。よく御趣旨に沿って十分に注意をして参りたいと、かように考えております。
○向井長年君 ちょっと大臣にお聞きしたいのですが、先般来の東北電力の料金問題は閣議で決定したようで、十二月一日から実施ということでありますが、この内容については、いずれ日をあらためてお聞きしたいと思いますが、それに関連して、昨日の朝日新聞に東北電力の堀社長が、その電気料金の値上げに伴うところの東北地方の大口の需要者に対して、十分に了解を得るに至らなかった、そういうところから、通産大臣に辞意を表明して辞職するということが出ているようでありますが、この点についての真相をお聞きしたいと思います。なお新聞の記事におきましては、いわゆる会社の内部からでなく、外部からその後任を求めたい、こういう意向だ、こういうことも出ておりましたが、この真相もひとつお聞きしたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 新聞には、何か朝日だけではなくて、ほかの新聞にもその種のことが出ておったように聞いておるのでありますが、私は実は直接に社長から辞意を承ったことはございません。ただ公益事業局、担当局のほうから、何かそういうようなことがあるらしいというようなことは、お話を受けたことがございます。御承知のように、電力会社におきましては、電源開発株式会社は、これは私の監督といいますか、直接のあれでありますから、任命その他につきましては、私が決裁をするわけでございますが、電力会社は株式会社でございますから、株主総会において、そういう人事を決定すべきものであると思うのであります。私直接には、これに関係をいたしておりませんので御了承をいただきたいと思います。
○向井長年君 そのとおりだとは思うのですが、公益事業局に、そういう意思表示があったということですか、当人から……。
○国務大臣(福田一君) いや、私当人からあったかどうかは知りませんが、公益事業局長から、どうも今度は、東北電力の社長はやめるらしいということをだいぶん前――きのうじゃなかったです、十日ほど前じゃなかったかと思いますが、何かそういうことを聞いたことがございます。
○向井長年君 ……といいますと、それからあとは、株主総会できめることでございますので、通産大臣直接の問題じゃないと思うのですが、あの理由が、料金値上げに伴うところの一般の大需要家に対する了解工作が非常にまずい、こういうことが言われたようです。したがって、そういうような事態で当人がやめるという意思表示をしたか、これは私も真相は知りませんけれども、所管大臣として、こういう責任をとるというようなことが当然であるか、あるいはまた、これから非常に重要なときであるから、引き続き電力事業の今後の民主的な運営なり、あるいは産業振興のために今後しっかりやれ、こういう考え方であるのか、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(福田一君) この問題は、御当人のおきめになることでございまして、私の関与するところではないと考えております。
    ―――――――――――――
○委員長(赤間文三君) 次に、先般、電源開発、石油及び天然ガス資源開発事業、金属鉱業並びに臨海工業地帯の実情調査の目的をもって派遣をされました各班から、その調査の報告を願うことにいたします。
 まず東北班からお願いをいたします。近藤委員。
○近藤信一君 東北班について御報告をいたします。
 派遣委員は向井、岸田、岡の各委員と私の四名で、期間は十月二日から六日までの五日間でございました。視察個所は、電発の奥只見発電所、大鳥発電所建設現場、石油資源開発の見附、申川、秋田沖の各地区及び帝石の八橋油田、三菱金属鉱業の尾去沢鉱業所、秋田製錬所、日本ガス化学の松浜工場、東北電力の新潟火力発電所建設現場であります。
 これらの視察を通じまして、私どもの感じました点と、現地の関係者の要望の概要を御紹介いたします。
 奥只見は出力三十六万キロワットの完全地下式の発電所で、本年六月に完成しており、また大鳥は奥只見の下流にあたる地点で、明年十一月に運転開始をする予定で建設中の出力九万五千キロワットの発電所であります。当地におきましては、坑道十八キロメートルに及ぶ電源開発道路の将来の利用について、奥只見地域の開発とあわせて、観光道路として研究する必要があるように思われます。
 石油及び天然ガスの開発につきましては、この種の事業は、常に相当な規模の探鉱をやって、一定量以上の埋蔵量を確保し、企業の長期安定をはかるとともに、貿易の自由化と、年々増加するエネルギー源の需要に対応して、今後さらにコストの低下と新油田の発見開発を進める必要がありましょう。会社側では、探鉱資金の財政援助が削減されてから、油田、ガス田の開発による営業収入の一部で、これが不足分を補ってきましたが、最近の原油価格の低落のため、生産量がふえても営業収入がふえないので、積極的探鉱のために十分な財政援助を要望しておりました。
 なお、東北電力が新潟市に建設している火力発電所は、出力二十五万キロワットで、重油と天然ガス半々の混焼ですが、ここで使用するガスを石油資源会社が見附、片貝地区から供給することになっており、天然ガスを利用する発電所として注目すべきものと思われます。
 次に、金属鉱業つきましては、東北地方は、わが国鉱産物の約三分の一を産出していますが、地理的条件が悪く、その上諸物価の値上がりと、主要鉱産物の価格の低落等のために、休廃山が続出しているのであります。大体わが国の鉱業は、鉱床の規模が小さく粗鉱の品位も低いため、国際競争力が弱くて、現在でも健全な経営を維持することが困難だといわれています。この上に、貿易の自由化によって国内鉱山の休廃止が続発することにでもなりますと、経営者はもちろん、多数の鉱山従業員の失業問題をも惹起することになりましょうし、また、鉱山所在地の地方自治体や一般住民の生活にも重大な影響を及ぼすことにもなりますので、この際、非鉄金属の自由化を控え需給及び価格の安定、新鉱床の開発、鉱山が休廃止した場合の離職者対策等抜本的な施策を求める声が強く、また、鉱業審議会の「自由化に対処する鉱業政策に関する中間答申」の完全実施と予算の裏づけを強く要望しておりました。
 以上、簡単ですが、概略を申し上げまして、私の派遣報告を終わります。
○委員長(赤間文三君) 次に、九州班の報告をお願いいたします。阿部委員。
○阿部竹松君 九州班につきまして、私から御報告申し上げます。
 赤間委員長、椿委員、奥委員及び私の四名は、去る十月八日から十三日まで六日間の日程をもちまして、大分県及び宮崎県下に参りまして、臨海工業地帯、低開発地域工業開発地区の問題を主として、あわせて金融鉱業及び電源開発問題等について調査を行なって参りました。以下その要点について簡単に御報告申し上げます。
 まず初めに工業開発の関係についてでありますが、新産業都市建設促進法に基づく地域指定に関しては、大分・鶴崎臨海工業地帯と日向・延岡臨海工業地帯を、また低開発地域工業開発促進法に基づく地域として、宮崎・高鍋工業地区をこのたび視察したわけであります。
 大都市における人口及び産業の過度の集中を防止し、既成工業地帯の生産活動の行き詰まりを打開し、あわせて地域格差を是正するため、いわゆる百万都市建設の構想が唱えられ、この趨勢に対処して第四十回国会において新産業都市建設促進法が成立し、これに基づいて近く地域指定が行なわれる段階にあることは、皆様御承知のとおりであります。
 大分、宮崎両県当局においては、それぞれ、これまでに相当額の先行投資を行ない、新しい工業地域の形成に努力してきており、いずれもこのたびの新産業都市建設促進法による地域指定を受けることを切望しております。
 大分・鶴崎及び日向・延岡の両地帯とも、いずれも広大なる工業用地を準備し、しかも良質、低廉、豊富な工業用水に恵まれ、その他港湾建設についても、きわめて好条件に恵まれており、加えてエネルギー供給事情、労働事情等きわめて有利な状況下にあるのでございます。鶴崎市には、すでに鶴崎パルプ、三善製紙その他が操業しており、臨海地帯の埋立地については、埋め立てを終わった一号地に近く九州石油が建設に着手するのを初めとして石油化学コンビナート、富士製鉄の進出等が予定されております。
 また、日向・延岡地帯では、御承知のように、すでに旭化成が四十年前から延岡に立地し、ベンベルグ、レーヨン、旭味、火薬、化成品等を中心に、豊富な用水と電力と労働力を利用して、人口十二万の工業都市を作っていますが、宮崎県では、その隣接の日向市の細島とあせて一大工業地帯を建設すべく昭和二十七年以来、非常な熱意をもって用地の造成工事を実施して、工場誘致に努力してきたのでありますが、最近に至り、鉄興社の進出が決定して、ようやく内容の充実に進んできたという実情になっておるのであります。
 私ども現地をおたずねして、この地方に対する従来の考え方というものについて認識を新たにしたものが若干ありました。それは、従来九州地方は一般的に台風常襲地帯として、その影響を強く受けていると考えられ、これらの臨海工業地帯についても、その面の心配があると考えていたのでありますが、現実は、案に相違して、これらの地帯はその特殊な地勢的関係から、過去において一度も台風による被害を受けたことがない地帯であるばかりでなく、細島のごときはむしろ避難港として好適の場所とされてきているとのことであり、私どもの抱いていた危惧は完全に払拭されたのであります。この他、両地域ともきわめて美しい自然の環境に恵まれておるところから、県当局はインダストリアル・パークを策定し、美しい工業地帯ということに、特に意を用いていることに私ども大いに共感を抱いた次第であります。また僻遠の地と称せられていたところも、交通、殊に航空路や海路の発達で、必ずしも遠くはないという事態も生まれて参っておるのであります。これらはほんの一例でありますが、今後の新しい工業基地の建設にあたっては、新しい観点に立った新しい考え方というものがきわめて大切であるということを痛感して参った次第であります。新産業都市の建設は、単なる工場誘致ではなく、理想都市の建設であるだけに、その拠点都市を育てるためには、道路、鉄道等の交通網の整備を初めとして、資金面、事業面からの国の積極的な援助が必要でありまして、そうでないと、せっかくの地元が先行投資の形で莫大な資金をつぎ込んだ都市建設の計画が、中途半端な結末に終わるおそれがあると思われるのであります。
 次に、宮崎、高鍋工業地域については、いずれも低開発地域工業開発促進法による開発地域としての指定を受けているものでありまして、本法律に基づく低開発地域における工業の開発促進のために着々とその実をあげているところであり、たとえば、本田技研の子会社である本田ロックを初めとして、中規模の優秀な工場の進出が実現しており、今後の開発が大いに期待されているところであります。
 次に、耳川水系発電所について申し上げます。
 宮崎県下を流れる耳川水系は、開発がよく行なわれているためでもありましょうが、年間を通じて水量に変化が少なく、水力用の河川としては、きわめて良好なものでありまして、九州地区における水力用電量は年間を通じてこの耳川水系が最大のものであります。発電所は一番上流の上椎葉を始めとして七発電所、計二十九万キロワットの出力を持っておるのであります。このうち諸塚発電所は、揚水発電所としての特色を持ち、また、上椎葉発電所は事業会社によるわが国最初のアーチ式ダムであることは皆様御承知のところと存じます。この耳川の水は、河口の日向難に至る間において七つの発電所のエネルギー源としての効能を果たした後に、さらに冒頭に御報告申し上げました細島臨海工業地帯の存立を支える豊富な工業用水としての任務をも持っておるものでありまして、自然の高度利用という問題に興味を抱いた次第であります。
 最後に、日本鉱業佐賀関製錬所について申し上げます。当製錬所は臨海の製錬所としては最大の規模でありまして、銅、鉛、硫酸を始めフェロニッケル、金、銀その他の製錬を行なっておるのであります。ここで一つ私どもの印象を申し上げてみますと、技術革新の影響ということでありまして、設立当時の立地条件としては、半島の突端であるため、煙害の心配がないということに最大の利点があったのでございますが、その後の技術革新により、排煙回収接触式濃硫酸製造を行なうことにより、煙害を防止することができるとともに、硫酸を製造することが可能となったのであります。このため、現在の立地条件としては、もはや煙害はほとんど考える必要なく、むしろ海上輸送により原料産地、消費地に接近するということが製錬所の立地条件としては第一に考慮されるべきものとなっていることであります。ここにも時代の推移とこれに伴う産業の進展の現実というものを、あらためて直視する必要があるということを考えた次第であります。昨今自由化に関連いたしまして、金属鉱業の危機ということがいわれ、大量の人員整理が行なわれておる現状でありますが、経営者及び労働者のそれぞれの立場からの金属鉱業の前途についての見解を聴取して参りました。
 以上、きわめて簡単でありますが、その概要を御報告申し上げた次第であります。
 なお、現地では懇切なる案内と御説明をいただき、また豊富なる資料等もいただいて参りました。それらたくさんの資料は、調査室において整備しておりますので、必要に応じて御利用いただければ幸いと存じます。以上で終わります。
○委員長(赤間文三君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 別に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめまして、本日は、これにて散会いたします。
  午後零時五十八分散会