第043回国会 大蔵委員会 第18号
昭和三十八年三月十五日(金曜日)
   午前十時三十八分開会
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 出席者は左の通り。
   委員長     佐野  廣君
   理事      柴田  栄君
           西川甚五郎君
           柴谷  要君
           渋谷 邦彦君
           永末 英一君
   委員      太田 正孝君
           川野 三暁君
           高橋  衛君
           津島 壽一君
           林屋亀次郎君
           堀末  治君
           森部 隆輔君
           永岡 光治君
           野々山一三君
           野溝  勝君
           鈴木 市藏君
  政府委員
   大蔵政務次官  池田 清志君
   大蔵省主計局法
   規課長     上林 英男君
   大蔵省主税局長 村山 達雄君
   大蔵省理財局長 稻益  繁君
   運輸省船舶局長 藤野  淳君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
  説明員
   外務省アメリカ
   局北米課長   西堀 正弘君
   外務省条約局外
   務参事官    須之部量三君
   大蔵省銀行局特
   別金融課長   新保 実生君
  参考人
   日本開発銀行総
   裁       太田利三郎君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○産業投資特別会計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避のための日本国とオーストリ
 ア共和国との間の条約の実施に伴う
 所得税法の特例等に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国政府とグレート・ブリテン及び北
 部アイルランド連合王国政府との間
 の条約の実施に伴う所得税法の特例
 等に関する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国とニュー・ジーランドとの間の条
 約の実施に伴う所得税法の特例等に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
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○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
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○委員長(佐野廣君) この際、参考人の出席についてお諮りいたします。
 本案審査のため日本開発銀行の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 本日御出席は、日本開発銀行総裁太田利三郎君、同じく理事大島寛一君であります。
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○委員長(佐野廣君) それでは、前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○渋谷邦彦君 開発銀行の方にお伺いしたいと思います。昨年の臨時国会のときに表明された内容の一つとして、ガリ・エロの返済金は開銀の納付金によってまかなう、また十分まかなえるはずであるという趣旨がございました。現在開銀に対する回収状況、また現在納付金の状況についてどのようになっておりますか。
○参考人(太田利三郎君) 大体、近年は利益金、たとえば最近の五カ年を申し上げますと、三十二年度で利益金百七十八億円、国庫納付金百四十三億円三十三年度で百六十億に対して納付金百二十四億円、三十四年度が百六十六億円の利益に対しまして百二十五億円の納付金、三十五年度が百七十五億円に対して百三十一億円の納付金、三十六年度が百七十四億円の利益金に対しまして百二十四億円の納付金、三十七年度は見込みでございますが、百八十四億円の利益に対しまして百三十億円の国庫納付金を予定いたしております。本年度はまだ締め切っておりませんし、利息収入も年度末に固まって入ります関係上、はたして利益金がこのとおり参りますかどうか、今申し上げられません段階ではございますけれども、大体これと大差ない状態にいくのではないか。したがいまして、国庫納付金も、あるいはこれが百三十億以下になることがあるかもしれませんけれども、まあたいした違いはないんじゃないか、大体こういうふうな見込みを立てております。
 それで、多少減るかもしれぬと申し上げましたのは、実は外債の発行が予想よりも早く、実は三十七年度二回発行できまして、しかも、その最初の分が予想よりも早く発行できましたこと、また二回目分も金額も予想よりもふえたというようなこと等で、支払い利息が当初の予定よりも多少多くなったというようなことで、これが多少動くかもしれませんけれども、まああまり大きな狂いはない、こういうふうに考えております。
○渋谷邦彦君 大体三十二年以降三十七年の見込みに至るまで、利益または納付状況はそう大差はないようでありますが、現在融資先よりの回収状況、これが円滑に行なわれているかどうか、また特に、焦げついていると申しますか、憂慮すべき融資先についてはどういうものがあるか、この点あわせてお伺いしたいと思います。
○参考人(太田利三郎君) われわれのほうの貸し出しは全部長期の設備資金でございまして、したがいまして、長い期限のものは電力三十年、海運につきまして十三年ぐらいというような長いものでございますので、その間に多少の市況のいかんによりまして約束どおり回収のいかないものもございます。それで、昨年の三十七年の九月末現在で申し上げますと、開発銀行の貸付金の中で期日どおり返ってきていないもの、すなわち回収が延滞しておりまするものが四十九億七千二百万円ございます。これは実際の場合でございますが、なおこのほかに海運につきましては、近年の市況におきましては期日どおりに取り立てるということが必ずしも実情に合いませんので、一期間これを徴収を猶予する措置をこの数年来とっておりますけれども、これがかなりの額に上っておりまして、これが海運につきまして三百八十八億二千万円ございます。したがいまして、ただいま実質の回収の延滞は、この両者を加えたもの約四百三十億であるという計算でございます。
○渋谷邦彦君 今の御説明によりますと、特に海運が、相も変わらず不況を続けておる、まあそうした関係から、非常に回収がおくれておるという御説明のようでございましたが、もちろん開発銀行としては、不況産業の再建ということが融資に対する大きな趣旨の一つになっているようでありますが、貿易の自由化に伴いまして、今後銀行側としてどのような判断と、海運企業に対する施策をお持ちになっていらっしゃるか、それをお伺いしたいと思います。
○参考人(太田利三郎君) 今の自由化の問題は、海運に関する問題としてでございますか。――御指摘のとおり、海運は実は万年の不況産業でございまして、これは日本だけではございません。世界各国ともかなり海運対策には頭を悩ましているようでございますが、特に日本におきましては特殊の事情もございまして、非常に困難な状況にございます。したがいまして、この数年来海運造船合理化審議会におきましていろいろな対策が審議検討されたのでございますが、ようやく今国会に提案されておりまする海運に対する助成、開発銀行の利息たな上げを中心といたしまするうしろ向きの助成並びに新造船に対しまする利子補給の増強という二つの柱によりまして、この海運業を建て直す、こういう案が国会に提案されまして、これから御審議願うことと存じまするが、大体これによりましてほぼ外国と競争し得るような状態になるのではなかろうか。むろん、この政府の助成だけでは不足でございまして、これには業界自体がほんとうに合理化をしていただくということが先決問題でございますので、この助成の前提として、企業の集約、合理化ということが要請されておりまして、実は目下各業界でこれを目標としまして、いろいろと集約化の具体策が進められつつある状態でございます。これが集約化が実現し国家助成が実現いたしますると、規模におきましてもかなり大きな規模になります。たとえば、うわさされております一番トップ・グループ、大きなグループのごときは、大体世界でも二番目ぐらいの大きさのものになる。また、今までいろいろ過当競争をやっておりましたものが、これはよほど緩和される。また、むだな経費を使っておりましたいろいろな施設も、これを共同で使うとか、いろいろな工夫がなされまして、経費の面でも非常に合理化されるということで、自由化されましたあげくにおきましても――実はあげくと申しますが、海運企業はもとから自由競争にさらされておるわけでございますが、こういった対策が実現いたしますれば、徐々に外国にひけ目をとらぬような企業に立ち直るのじゃなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○渋谷邦彦君 今、利子のたな上げということが御説明がありましたが、銀行の経営として考えるならば、利子のたな上げということははなはだ不本意ではないかと思うのでありますが、この点について、おそらく政府の要請に基づく施策だと存じますが、その際に銀行側としてどういうお考えであられたか、お伺いしたいと思います。
○参考人(太田利三郎君) これも今御指摘のとおりでございまして、銀行を経営をいたしますものとして、その利息収入のかなり大きな部分を占めておりまする海運収入が一挙に実際上入らなくなるということは、これはいかにも独立の金融機関といたしまして好ましくない形でございます。ことに対外的には非常にこれはおもしろくないのでございまして、開発銀行は御承知のように世界銀行からの借款とか、あるいは近年は外債を出します等、外資の導入につきましてかなりの役割を果たしておるのでございますが、これが開発銀行に対する信頼からきておることに一半の原因のあることはもとよりでございます。これが、今申しましたようなことになりますと、はなはだ憂慮すべき事態になると、実はわれわれもこう考えまして、これは政府にもいろいろお願いしまして、何とか独立の金融機関としておかしくないような扱いをしていただくということで、結局、ただいま提出に相なっておりまする法案のように、たな上げいたしました利息に対しては国庫から同額開発銀行に対して補給していただく、こういうことに相なっておるのでございまして、これがそのようにもし通過するということになりますれば、われわれの希望も達せられたわけでございます。対外的にも支障なくいくのではないか、こういうふうに考えております。
○渋谷邦彦君 論点は別になるのでありますが、現在海運企業に対してどのくらいの融資がございますか、総額でけっこうでございます。
○参考人(太田利三郎君) 三十七年十二月末におきまして、海運に対しまする融資残高でございますが、千九百二十九億四千百万円でございます。
○渋谷邦彦君 十月以降、この残高が今御説明があったとおりでありますが、これ以降に利子のたな上げ以外に融資をされている向きがあるかどうか。関連して申し上げたいことは、海運のほかに不況産業といわれる石炭があるわけでありますが、この石炭にいたしましても、融資の対象として、その後もおやりになったかどうか、これをお伺いしたいと思います。
○参考人(太田利三郎君) 融資はむろんいたしておるのでございまして、たとえば今仰せの石炭業に対しましても、同じく昨年十二月末におきまして四百四十一億六千五百万円、こういう融資の残高を持っております。それから、毎年これに対しまして合理化資金、開発資金の融資をいたしております。三十七年度におきまして、当初の予定にさらに追加融資を加えまして百二十五億円の融資をいたすことに相なっております。なお、金利は、昔は一般金利八分七厘の金利を適用しておりましたけれども、近来石炭企業の合理化を援助する意味におきまして、これを六分五厘に下げてこの立ち直りを促進しておる、こういう状態でございます。
○渋谷邦彦君 貸付残高が相当の巨額に上っていることは今の御説明のとおりでありまして、さらに追加融資をされてその再建をはかられる意図も十分理解できないことはないわけであります。ただし、このまま強硬に融資を続けて、はたして回収の見込みがあるかどうか、また同時にその産業自体が発展のきざしの方向をたどるかどうかということは、はなはだ疑問の点もあろうかと思いますが、相当それにははっきりとした裏づけがあって今申し上げた追加融資ということがなされているのではあるまいかと私は思うのでありますが、その点、先ほどの質問とあるいはダブるかと思いますが、もう一度確認をいたしたいと思いますので、どういう論拠に基づいて追加融資をなさっておるか、伺いたい。
○参考人(太田利三郎君) これは、開発銀行ができまして、毎年度石炭に対しましては新規の融資を継続いたしておるのでございまして、それが三十七年度の分がただいま申し上げました金額と相なっておるわけでございます。仰せのように、ただ漫然と石炭に出しているということではございませんので、それは従来とも同じ貸し出すにいたしましても、その中で今後ビルドアップする値打のあるような山を選びまして、選んで融資をいたしております。そうして、これが大体の感じで申しますと、将来、石油の価格に対抗し得るようなコストで生産し得る、そういうような山を大体目標にいたしまして、そういう山を取り上げて融資をいたしておるのでございます。したがいまして、回収につきましても、これは十分な審査の上にいたしておりますので、長引くことはございましても、そう心配ないのではないかと思っておるのでございます。
 なお、昨年度石炭調査団の答申に基づきましていろいろの対策が今提案されておるのでございますが、三十七年度以降、その思想にのっとりまして、それと歩調を合わせまして、われわれも石炭に対して融資をしていく、こういうつもりでおるわけでございます。
○渋谷邦彦君 先ほどの御回答によりますと、回収不能になっておる金額も相当の金額に上るのでございますが、この焦げつきに対する対策と申しますか、処置につきましては、どのような方法がとられてこられましたか、またこれからどういうような方法をもって臨んでいくのか、お伺いしたいと思います。
○参考人(太田利三郎君) 先ほど申し上げました延滞は、これは回収不能ではございませんで、長期貸付は大体年賦償還で返っているわけでございますが、そのうちで約束の時期に一時支払いがおくれておる、こういうものの数字を申し上げたわけでございまして、むろんこれが全部回収不能になるというようなものではございません。貸し出しにあたりましては、回収し得るようなものに融資しておりますのみならず、担保も十分取っておりますので、最終的に回収不能になるというものはきわめて少ないのではなかろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。
○渋谷邦彦君 たしか銀行局の金融年報だったと思いますが、融資先でございますが十幾つあったかと思います。あるいはもっとあるかもしれません。そのうちで特に悪いのは、先ほどから問題になっております海運企業あるいは石炭。これ以外に特に回収が悪いような個所がございましたら、その件数と金額をお知らせいただきたいと思います。
○参考人(太田利三郎君) やっぱり海運と石炭というものが一番問題の企業でございますが、そのほかの問題の企業といたしますると、企業としてまとまったものはございませんで、雑産業その他と申しますかが、数字的に多くなっておりますが、ちょっと私、どういうものが入っておりますか、つまびらかにいたしませんが、おもに復金時代の引き継ぎがかなりあるようでございます。開発銀行になりまして出したものは、それほど多くない、こういう状態でございまして、ちょっとただいま件数を具体的に申し上げる資料を持っておりません。
○渋谷邦彦君 そうしますと、いずれにしても、僅少と申しますか、そう問題にすべき件数、金額ではない、このように判断してよろしゅうございましょうか。
○参考人(太田利三郎君) そのとおりでございまして、従来の滞り貸し償却額に照らしましても、たいした金額にはならない、今後もそういうふうになるだろう、こういうふうに思っております。
○渋谷邦彦君 大蔵次官にお尋ねしたいと思いますが、先ほどからの開発銀行のほうからの説明によって、いろいろな新しい点がわかったわけであります。ガリ・エロの返済金については開銀の納付金によってまかなう、先ほど申し上げたとおりであります。これは当局として間違いなく確実に、昨年度大臣が言明されたとおりに遂行される意向でいらっしゃるのか、それをお伺いしたいと思います。
○政府委員(池田清志君) ガリオア・エロアにつきまして、わが国が対米債務を確実に負って参っておりますことは御案内のとおりでございます。その債務履行につきましては、産投会計から計画的に、年次的に進めておりまするわけでございますが、それらにつきましても、日米の合意の関係もございまして、政府といたしましては、予定どおりに進行しております。
○永岡光治君 関連して。まず、制度上の問題についてお尋ねいたしますが、これは大蔵省の、大臣がいなければ政務次官でもけっこうですが、従来は産投会計に資金あるいは歳入として繰り入れる場合には、附則で、そのつど、予算できめられたほかに改正を行なっておったわけであります。今回その制度を改めまして、法律の改正によらずに、予算だけでこの問題を処理していこうということになったようですが、いかなるところにその根拠があったのか、従来どのような具体的な支障があったのか、その点をひとつ明確に御答弁いただきたい。
○政府委員(池田清志君) お尋ねの点は、従来産投会計に一般会計から繰入金をいたしまする際におきましては、附則によりまして、国会の議決をいただいておるわけです。つまり、法律によりましてそういうことになっておるわけでございますが、今回提案をいたしておりまする法案によりまして、予算の定むるところによりまして、その目的が達せられるようにしようということを御審議いただいておるわけです。そこで、根本的な理由いかんというお尋ねになって参るわけでございます。
 産投会計は、御承知のように、ただいままで見返り資金を中心といたしまして進んで参ったものでございますが、その間十数年と申しましょうか、経過しておりまする間に、この効果が相当に現われておるわけでございます。今までは、臨時特殊的なものと考えられておったのが、政府といたしましては、従来の成績等も考えまして、恒久的な制度にいたしたいという意図を持っているわけです。恒久的な制度にするということに相なりますというと、ほかの同類同種の特別会計等の関係等と比較いたしてみますと、そこの点が改めなくちゃならないことになって参ってきているわけであります。ほかの会計におきましては、予算の定むるところによりまして、国会の御承認をいただきますというと、立法事項を待たずして、その目的が達せられるようになっておりますので、私ども産投会計におきましても、そのことをお許しいただきたい、こういうことで提案をいたしております。
○永岡光治君 具体的にどのような支障があるか、法律の改正によって従来やっておったのではいかなる具体的な支障があったか、具体的な例をお示しいただきたい、こういうことを申しあげたわけであります。
○政府委員(池田清志君) 過去に立法でやっていただいておりますから、その支障につきまして私よくわかりませんが、事務当局からその事例についてお答えを申し上げます。
○政府委員(上林英男君) 過去におきましたような、そのつど立法措置をいたしますことがどのような支障があるかというお尋ねでございますけれども、今までも円滑に御議決をいただき、お認めをいただきまして、実施して参ってはおりますので、特に支障云云という問題ではないかと思います。問題は、ただいま政務次官から御答弁申し上げましたように、一般会計と産投会計との繰り入れ関係のあり方と申しますか、その機構がどうなったら妥当であるかという考え方をいたしてみたわけであります。
 前々からも御説明申し上げておりますように、一般会計から産投会計に繰り入れを行ないまする場合に、それが臨時的、きわめてまれにしか考えられない、こういうような場合には、特例措置といたしまして、一般会計から産投会計に繰り入れることができるというような臨時立法措置を講じていることがございます。しかしながら、その特別会計の財源といたしまして、一般会計から繰り入れを行なうことが、むしろ、と申しますか、たびたび行なわれる、そういうような場合におきまして、一般会計と特別会計とのつながりをどう規定するか、こういう問題であるかと思います。
 その点につきましては、御存じのように、産投会計からの投資需要は年々増加いたして参っておりまするし、その財源をまかないますために、ここ数年来一般会計から相当繰り入れをいたして参っているわけでございまして、今後もその必要性は相当増加するものと考えられるのでございます。そういうような状況にかんがみまして、この際一般会計から産投会計への繰り入れを制度としても整備をし、その道を開いておくということが必要であると考えたわけでございます。一般会計からたくさん特別会計に入れた例がございまするし、また、その機構を整備した例があるわけでございます。たとえて申しますと、賠償特別会計、国立病院特別会計、食管特別会計、あるいは農業共済保険関係、糸価安定特別会計、輸出保険特別会計、機械類賦払信用保険特別会計、こういったようないろいろな特別会計におきまして、一般会計からこれらの特別会計へ繰り入れをいたします場合は、予算で御審議をもちろんいただくことは当然でございまするが、そういう御議決をいただきました場合におきましては、予算の定むるところにより繰り入れをいたすことができるように相なっているわけでございます。こういうような制度全体の姿を考えまして、また産投会計の現状も考えまして、その産投会計の規定に整備を加えたい、こういう考え方によるものでございます。
○永岡光治君 別段支障はないけれども、簡単にやりたいというふうにしか私ども取れないのですが、それでは、さかのぼってお尋ねいたしますが、この附則をもって定めるとしたときの考え方、それはどういうところにあったのですか。当初から予算の定むるところでいいはずであったのにもかかわらず、この法律にそうしなければならなかった理由があったろうと私は思うのです。
○政府委員(上林英男君) 産投会計は、御存じのように、昭和二十八年度において設置をいたしましたものでございますが、その当時におきましては、この産投会計が見返資金特別会計を承継いたしまして、主として見返り資金を承継いたしました資産をもとといたしましてそういうものなどの回転によりまして投資をし、また投資需要もまかなっていける、こういう前提で作られたものでございます。したがいまして、その財源として一般会計から繰り入れを受けるということは当時考えておらなかったわけでございます。そのような理由から、今度またその所要の措置も講じておらなかったわけでございまするが、その後経済の進展、あるいはわが国の置かれました国際環境等に対応して参りますためには、経済基盤の強化その他のために投資の拡大もやって参る必要が生じて参ったわけでございまして、これらに応じまして産投会計の投資の幅もふえて参った。それに基づきまして、ここ数年来は、ただいま申しましたように、一般会計から産投会計へそのつど御審議を願い財源そして繰り入れをいたして参った、こういう状況であるわけでございます。
○永岡光治君 発足は二十八年ですけれども、この繰り入れを行なったのは二十八年からじゃないのですね。あとなんですよ。そのときに、なぜそれを附則でやらずに予算の定むるところに従うというふうに改正をしなかったかという、そういうことを私は尋ねておるわけですが、繰り返して質問してもあまりはっきりしない。あなた方は簡便にしたいということのようでありますが、私が心配するのは、これは一般会計から、つまり国民の税金からこれを繰り入れるという問題なわけです。したがって、これはきわめて重大だと考えなければならぬと思うわけです。
 しかも、この案によりますと、資金に繰り入れる方法と歳入に繰り入れる方法と二つあるわけですね。そうして資金から取り下げて歳入に今度は組みかえなければならぬということになるわけでありますから、二重の手間を考えなければならぬということで、慎重に考えておるとするならば、当然私はこれは法律の改正でいくべきだ、こういうふうに考えるわけですが、しかも、予算は御承知のとおり衆議院を通過いたしますと三十日以内で自然成立することになるわけです。言うならば、予算ということは、一つの会計で資金に相当するわけでありますから、歳入に立てれば、これは法律の改正ということになるわけでありますから、それとやはり私は同じように法律の改正をやっていいんじゃないか、こういうふうに考えるわけですが、どうしても法律の改正をしないで、簡便にして予算だけにしなければならぬという理由は私はないと思う。むしろ、国民の立場からするならば、やはり従来どおり附則の改正で行なうべきである。この主張はいけないというその理由はどこにありますか。積極的にいけないのだ、そういう弊害があります。そうなれば、こういう弊害があるのだという国民が納得する弊害があれば、私も承服いたしますが、そうでない限りは私はおかしいと思うのです。積極的な理由がなければならぬと思うのです。あなたのお話を聞くと、積極的な理由は私には感じられないのですが、その積極的な理由、すなわち、この法律を改正してやることによって、いかなる具体的な支障があり、国民にいかなる迷惑を及ぼすか、その具体的根拠がないと、従来やっておる方法でいいじゃないかと思う。しかも、私どもさっきから申し上げておるように、予算は予算、法律の改正は改正、これは国民の税金を使うんだから慎重にやるべきだ、こういう主張を、あなた方、それはいけないんだという私の主張に対する否定の理由があれば別でありますが、そうでない限りは、私は従来どおりでしかるべきじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょう。政務次官のほうから。
○政府委員(池田清志君) 先ほど来、私ども政府の考え方として申し上げておるところでございますが、従来法律によりましてやっていたことが、別に特別に悪いということの御説明は申し上げておらないわけでございますが、今回の改正によりまして、なおよりよくなる、それがよろしいんだと、こういうふうに考えておるわけでございます。積極的な理由とおっしゃいましても、先ほど来私が申し上げましたように、この制度を恒久化いたしまして、一般会計からも予算によりまして産投特別会計に繰り入れができるようにしたい、そういう熱意の現われであることを御理解いただきたいと思います。
○永岡光治君 どうも、よりよくなるというが、あまり僕はよりよくなるようには考えられない。よりよくなるというのは、どういう点がよりよくなるんですか。あなた方の手続が簡略だという意味ですか。それ以外によりよくなるというのは国民の立場からしてないと私は思うんですが、国民の立場からよりよくなるというのはいかなる意味ですか、その点をひとつ……。
○政府委員(池田清志君) 一般会計から産投会計に、資金なりあるいは歳入なり、繰入金を出しまするもとは、従来もありましたように、やはり国民の税金に仰いでおることが多いわけ合いでございます。そこで、それにつきまして、これから後におきましてもそういう道をたどっていきまして、ほかの特別会計と同じようなふうに進んでいくほうがよろしいと、こう考えてのことであるわけです。
○永岡光治君 それがあなた方いいと言うんだが、明確なあれがないんですがね。こういう意味ですか、そうすると。もう少し突き進んで聞きたいと思うんですが、一般会計から繰り入るというものは例外としたいんですか、恒常的にやりたいわけですか。いかがでしょう。その方針をひとつ明確にしてもらいたい。
○政府委員(池田清志君) 今の問題でありますが、恒常的か臨時的か、こういうふうのお尋ねでございますが、政府といたしましては、先ほど来御説明を申し上げておりまするように、この会計を恒常的な特別会計といたしまして、いよいよ内容を改善したり強化していったりいたしまして、わが国の産業基盤の涵養をいたしたい、こういうことでございまするので、一般会計からの繰り入れが従来より以上に、度数において、あるいはまた金額においてあるということを予想しております。
○野溝勝君 関連質問。これは法規課長に聞いたほうがいいと思うのですが、この永岡君の質問は水田大蔵大臣のときから問題になっておるんですよ。あなたたち。それを知らぬことはないと思う。予算委員会で井手君が、財政法の違反じゃないかとか、あるいは憲法に反するんじゃないかと質問して、水田君は、今後そういう点は注意するというわけなんだ。それをまた堂々と、この産投などの特別会計で出しておるものですからね。どうも、一般会計から繰り入れでやるならわかるけれども、そうでないこういう出し方は、実に御都合はいいでしょうけれども、財政法からいうと非常に疑問が多いんですよ。そういう点から質問しておるので、だから、その点は法規課長も十分その間の事情は知っておると思う。その点、この問題について、相当事務当局として意見を出されたのか、あるいは政治的な上からの御命令によって、こういうことをやらざるを得なくなったのか、その点をひとつお聞きしたい。
○政府委員(上林英男君) ただいま野溝先生御指摘の点につきましては、補正予算による資金への繰り入れが財政法二十九条に触れるのではないかという、こういう御質問でいろいろ御議論をいただいたわけでございます。その点につきましては、水田大蔵大臣も、今御指摘のように、この点については十分慎重に検討をするというお約束をいたしまして、この点につきましては、御存じのように財政制度審議会にも諮りまして、この前の前の国会であったと思いますが、二十九条の改正をお願いいたしまして御可決をいただいたわけでございます。その問題につきましては、そういうふうな処理をさせていただいたわけでございます。
 なお、この一般会計から産投会計に繰り入れることが予算で御議決をいただけば、それに従って行ない得るといたしましたのは、制度といたしまして、前々から申し上げておりまするように、当初はあまり予定をしておらなかった、いわば臨時的であると考えておった。ところが、最近の状態におきますと、ほとんど毎年と申しますか、一般会計から財源を補給するということによって、投資を拡大していく必要性が生じて参っておるわけでございまして、今後もその必要性がますますふえて参るということになりますと、この特別会計自体といたしましても、一般会計から財源を仰いで投資ができるという道が開かれた特別会計である、そういうふうにいたしまするほうが特別会計の実態をむしろ現わすものである、こういう考え方に、私どももそう考えたわけでございまして、特に今御指摘のように、政治的な観点からこれをそうしようというふうな結論になったわけではございませんので、むしろ事務的な検討といたしまして、特別会計としての機構といたしましては、一般会計から投資財源を仰げる、そういう特別会計であるということにしたほうがより実態に即応し、またその将来のあり方にふさわしいものではないか、こういうふうに考えましたわけでございます。
○野溝勝君 これは答弁は得なくてもいいのですが、あのときは補正予算が中心でしたが、大体井手君のあれとしては、やはり財政法上これには疑義があるということで、あの際は補正予算の問題を取り上げたのですけれども、大体は予算の編成にあたってはそういう点を特にあれして、織り込んでおったわけですよ。その点はひとつ……。
○永岡光治君 この論争は私はあまり続けようとは思いませんけれども、方針として、恒常的のものであれば、またあるだけに、法律で改正したほうがいいことになるかもしれませんが、その点は論議の分れるところだと思いますが、今大蔵省の方針としては、こういうような特別会計について、一般会計から繰り入れる特別会計の本質を生かすためにはあまり制約を加えたくない、制約ということがおかしいなら、簡便にしたいというふうに理解するわけですが、そういうふうに理解していいわけですね。だとすれば、この種会計、あるいはこの精神に従う特別会計、幾つかあると思うのですが、特別会計の自主性というか、その敏速なというか、あまりいろいろな法律を作って、これで監視するようなことでなしに、そういう方針でいくというのであれば、これはまた一つの方法だと思う。その方針として理解していいのかどうか。いいとすれば、また他のいろいろな特別会計についても、私どもその点について大蔵省の善処を要求しなければならぬものが、たくさん出てくるわけですが、この辺について、いかがな考えであるか、政務次官にお尋ねしたいと思う。
○政府委員(池田清志君) 国会のほうの議決をお願いいたしまする煩を避けるために、法律を避けて予算に移したというわけではないのでございまして、先ほど来申し上げておりまするように、制度をいわゆる恒常的にしていきまして、ほかの特別会計と同様に進んでいくほうがこの制度の健全な発展のためによろしいと、こういうふうに結論したからであります。
○永岡光治君 したがって、そうなれば、そういう方針に従って将来とも他の会計、特別会計についても、そういう方向でいくということに理解していいわけですね。それじゃ、そういうふうに理解いたしまして、次の質問に移りたいのですが、これはわが同僚議員の野々山君からも質問しているようですが、まだ明確な答弁を私聞いていないわけですが、したがって、重複するかもしれませんけれども、重ねてお尋ねいたします。
 前国会において同僚議員であります成瀬君から質問をいたしたと思うのでありますが、この特別会計の財源には国債は充てないのだ、こういうように当時大蔵大臣は答弁した。これによると国債を充てることになっているわけです。方針がいつ変わったのか。国会のつど、しかも同じ大臣、所管大臣のときに変わるようでは、これはわれわれとしては心外だ。いかなる理由に基づいて、いかなる事情の変更があってそういうことになったのか、明確に御答弁いただきたい。
○政府委員(池田清志君) 今のお尋ねの点は、昨日の当委員会におきまして、田中大蔵大臣から明らかにお答えをいたしたわけでございます。それによりますというと、昨年の国会におきまして今御指摘のような問答のありましたことを認めまして、田中大蔵大臣といたしましては、国債と、こう言うて質問をされたのに対しまして、大臣は、国債はその当時までといたしましては内国債、国内で募集する公債である。こうういふうにもう世の中も考えており、大臣も考えておりまして、したがいまして、その答えといたしまして、国内債は発行しない、こういうことを言うたのであると、こういうことを答弁をいたしておりました。その後の問題といたしましてについては、その後の状況によりまして、この国会に外債を仰ぐということの御審議をいただいておるのだ、こういう説明がありましたことを御報告申し上げます。
○永岡光治君 そうすると、国債を国内債、内国債ということに理解したという御答弁ですが、それはそれとして、方針としてお尋ねいたしますが、三十八年度二百三億を外債で募集をするとしておりますが、将来の方針として外債に依存する度合いを強くしようと考えておるのか、どの程度考えておるのか、方針をひとつお尋ねをいたします。
   〔委員長退席、理事西川甚五郎君着席〕
○政府委員(池田清志君) 今の問題は、御承知のように、会計は一年度限りずつやっていくのであります。から、産投会計の原資等を充実をいたしまするために、先ほども申しましたように、一般会計からも相当につぎ込むことができることになりまするし、さらにまた、状況によりまして外債も仰ぐという工合の程度で私は考えておるのでありますが、ですから、外債をどういう程度にするというような比率的なことについては、ちょっとお答えがしにくいと思っております。
○永岡光治君 出たとこ勝負じゃ……国の規模を見て考えなければならぬのだこういうことになると思いますが、基本的な態度として、国債というものにあまりたよらずに、一般会計からの繰り入れですね、結局そういうことでやらざるを得ないと思うのです。そういう方針でいくという方針を持っているのかどうか、そういうことになるわけですね、私の聞きたいのは、どういうことでしょう。出たとこ勝負じゃ、あまり私は無責任だと思う。あなたのおっしゃるように、これは恒久的なものと考えておるのだ、こういうさっきからの答弁で、それも附則をやめたいのだ、こういう答弁をしているかと思うと、将来のことはあまり考えぬのだ、出たとこ勝負で考えるのじゃということじゃ、おかしいじゃありませんか。この産業、日本産業の伸びと特別会計とはうらはらの関係でしょが、五カ年計画、十カ年計画を持っていれば、当然私は特別会計の将来はわかってしかるべきだと思うのです。ですから、私は聞いておるのですけれども、それはそのときの出たとこ勝負じゃおかしいと思うが、いかがですか。
○政府委員(池田清志君) 具体的な問題も入りますので、ほかの政府委員から答弁いたします。
○政府委員(稻益繁君) 先ほど政務次官が恒久的な制度と申しますか、そういうことで考えるがゆえに、今回のような法律の改正をお願いしておるのだ、こう申し上げました意味は、一般会計からいわゆる出資財源の繰り入れにつきまして恒常的なものだということで、これは私どももさように考えております。
 それから、御指摘の外貨債でありますが、これは御承知のように、昭和三十三年度に一回国債の形でニューヨークで発行いたしております。その後国債という形をとりませんで、政府機関であります開発銀行でありますとか、あるいは電電公社でありますとか、そういったところが政府の保証を受けまして、いわゆる保証を受けた政府の保証債という形で外債を募集して参ったのであります。これは電電債で二回、開銀債で三回発行いたして参っております。今回別途外貨債の法律をお願いいたしておりますゆえんは、ニューヨークの市場、あるいはまたニューヨークに限らないわけでありますが、外債の起債市場の事情、また国内の資金需要の状況、そういったものを勘案いたしまして、少なくも三十八年度につきましては国債の形で二回程度の発行を予定いたしたい、かような考えのもとに外貨国債を出すということに踏み切ったわけなのです。この点につきましては、恒常的と申しますか、一般会計からの出資、原資としての繰り入れが恒常的であるという問題とはいささか問題が違うのであります。そういった貸付のための原資として外債をいかような考えで発行して参るか、これは何と申しますか、そのときの外国の起債市場なりあるいは国内におきます貸付原資の状態なり、そういったものを勘案いたしまして決定していくべき問題ではなかろうか、かように考えます。
○永岡光治君 それじゃ、質問を次に譲ります。
○鈴木市藏君 私はこの問題について、開発銀行や、それから外務省関係で質問したいと思いますが、一つの問題は、先ほど質問されたように、今度は法律でなくて予算一般という形でこういうふうな附則の改正を行なうということですが、これは一体、産投会計の問題を今度大蔵委員会、こういうふうな委員会で審議しないというふうな、そういう方針になると思うのだが、一体どうなんですか、こういうことを考えておるのですか。政務次官、どうですか。
○政府委員(池田清志君) この法律が国会の議決を経まして法律になりました後においては、産投会計に一般会計からの繰り入れをいたしまする場合においては、予算の定むるところによりまするわけですから、したがいまして、予算案の中にそのことが盛り込んであり、その予算につきましては、国会の中におきましては主として予算委員会の対象になるであろうと思います。
○鈴木市藏君 つまり、次第に――そうしてかつての説明では、この改正は事務的なものだと言いながら、次第に、やはり結局政治的に問題が転化されて、委員会審議を省略するといったような形で、言うならば、今よりももっと自由に、産投会計の財源を豊富にするばかりでなく、自由に駆使できる。言うならば、フリー・ハンドを一そう拡大するという意図がこの改正案の中に含まれておる。そのねらいはそういうところにも一つあるのだというふうに私たちは考えるわけです。
 で、問題は、ひとつ具体的に質問いたします。二号補正予算で三百五十億の繰り入れをきめましたが、この二号の補正の、九十三億は穴埋めに使うということはわかりましたが、残りの二百五十七億というものは使途が明確でないのですが、一体これはどういうところに使うのですか。
○政府委員(上林英男君) 御存じのように、資金と申しまするのは、一会計年度内に消費し尽くさない予定をもって保有いたしまする金銭でございます。わが財政法の建前におきましては、年度独立の原則というのがございまして、当該年度の歳入をもってのみ当該年度の歳出に充てるわけでございますが、その例外といたしまして、年度を越えて金銭を保有する必要がある場合におきましては、法律で御審議をいただいた場合に限り持つことができるわけでありまするが、そういう資金につきましては、年度を越えてこれを使って参るということが可能なわけでございます。
   〔理事西川甚五郎君退席、委員長着席〕
 この産投資金は、そういう性格を持ちました金でございます。いわば、何と申しますか、常識的な言葉で申しますならば、一種の貯金みたいなものでございまするが、今御指摘の三百五十億のうちの九十三億を引きました二百五十七億及びそれが生みます利子につきましては、したがいまして、今後の投資需要の財源を確保いたしまするために留保いたしておる金でございます。原則といたしましては三十九年度以降の投資に充てるべく、これを資金の中に留保いたしておる金でございまして、今後の投資需要を勘案してその使途をきめていくわけでございます。具体的にその使途が、これを使いますることが必要になりまする場合には、別途特別会計の補正を、特別会計の予算に歳入として受け入れ、これをまた歳出として計上すると、こういうことをいたしまして、使用をいたして参るわけでございまして、具体的にこの金をどういうふうに使うかという場合におきましては、その特別会計の予算として御審議をいただく、こういうことになるわけでございます。
○鈴木市藏君 今の話でも、私たちは、これはとても納得できないのですよ。言うならば、公然たる隠し金みたいな性格のものですね。とにかく今使う当てがないのだ、三十九年度に使う予定なんだけれども、今具体的にはかくかくのものに使うという目安はない。考えられることは、一つの問題は、これを出したわけは不況対策だというようなことを言っておったと思うのですけれども、今まあようやく法案の形をとって出されてくるだろうと予定されている、つまり特定産業振興に関する法案、こういうふうなものにこの二百五十七億という、つまり残りの金が使われるのではないか、これが一つの質問です。
 それから、もう一つは、もし今言ったように、特別具体的に使い道を今考えていないといったような、そういう余裕の金があるならば、なぜ一体減税のほうに回さないのです。減税のほうに回せと言ったときには、実は財源がないのだと言いながら、二百五十七億というのは、三十八年度には使わないで、三十九年度以降にこの特別会計で何か使う道があったら使おうというのでもって、隠し金にしておく。そんなことが今許されていいものかどうかということなんです。この二つの問題についてひとつ答えて下さい。どういうふうな見解でそういう処置をとったか。
○政府委員(上林英男君) 産投資金への繰り入れにつきましては、いろいろ御議論をかねてからいただいておりまするが、この資金へ繰り入れをいたしまするのは、将来の投資財源を確保し、今後の日本の経済基盤を強化するために役立たせようという意味でございます。ことに本年度におきましては、幸いにして自然増収もございましたものでございまするので、これを資金に入れておきまして、今後の投資需要というものに弾力的に対応していこう、こういう思想のもとにこの資金への繰り入れを行なったものでございます。この点につきましては、まあかねてから御議論がございますように、あるいは先ほどお話がございましたように、財政法上疑点もあるのではないかという御議論がありましたが、そういう点もございましたので、これは慎重にいろいろと検討いたしまして、この前の国会に法律の改正案を提案し、また今後の問題といたしましても、財政投資の弾力的な確保という観点から、こういう制度を続けていきたいということを考えているわけでございます。
 なお、今のこの資金をどういうふうに取りくずすかと、今議論になっておりますような特定産業の振興対策というものに使うのではないかという話でございまするけれども、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、これを使う、今さしあたりこれを何に使うということは考えておらないわけでございまして、現実に必要になりました場合におきましては、先ほど申し上げましたように、別途特別会計の予算措置というものが要るわけでございまして、そういうものが要るような場合におきましてはそれによって御審議をいただく、こういう格好になるわけでございます。
○鈴木市藏君 どうも、あらかじめ金を取っておいて、使い道はあとで考えるというようなことは、全く驚いたことと思うんですよ。そういうことと、この、つまり歳出の予算の中からやりさえすりゃいいんだといって、法律を避けてやるというこの改正案とは、一脈通じておるものがあるんですよ、結局。何というか、これは一種の財政上のファッショ的な行き方に通ずるものがあると言われても弁解の余地がないくらいにひどいやり方ですよ、あなたたちのこのやり方は。実際問題として、これだけの余裕の金があるなら、なぜ一体減税の財源に回さないんです。減税をしろと言えば、金がない、金がないと言いながら、しかも使う道がない金を一般会計から先取りして取っておくなんていうことは、あり得べからざることだと思うんだけれども。
 それで、ひとつ具体的に次の問題について外務省の方に聞きたいと思うんです。ガリオア・エロアの問題が起きたときに、返済金の一部を日米文化教育交流のものに使うんだということの取りきめが行なわれている。そして二月十一日に第一回目の支払いを済ましたということを聞いておりますが、これはほんとうですか。
○説明員(西堀正弘君) ただいま先生のおっしゃったとおり、三月十一日に第一回の賦払いをいたしました。そのうち、ドル払いのものはニューヨークで支払いを了しましたし、それから円払いの分は、日銀の口座に振り込むという措置をとっております。
○鈴木市藏君 それは、金額は、新聞の報道によると、バンク・オブ・アメリカのほうには四十五億円、連邦準備銀行のほうに残りというふうにいわれておりますが、それで間違いありませんか。
○説明員(西堀正弘君) そのとおりでございます。
○鈴木市藏君 この交換公文によると、これはアメリカの金だから使途はアメリカが勝手にやるんだというふうな建前にとられておりますけれども、この金の使途については、外務省は向こうと打ち合わせしたか、あるいは相談をしたとか、協議をしたとか、こういうことについて、協議の内容まで、わかったらひとつ知らしてもらいたいと思うんです。
○説明員(西堀正弘君) 仰せのとおり、確かにこの金は向こうの金になるわけでございます。しかしながら、そのうちの教育及び文化の交換の目的のために使用する二千五百万ドルに相当するところの円貨につきましては、その使途の目的が日本と合衆国との間の教育及び文化の交換の目的ということでございますので、もちろん向こうの金ではございますけれども、当方といたしましても、われわれが希望する両国間の教育文化の促進の目的ということに合致すべく、こちらのほうの希望を向こうに十分に伝えまして、こちらの希望をいれていただくというような交渉をしたいと思っております。
 それで、われわれ聞いておりますところでは、今まですでにこちらのほうの希望を申し述べておりますけれども、それは要するにこの基金というものを、元本を全部使わずに、むしろその基金を運営して得るところの利息というものでもって末長くこの基金というものを活用していきたい、という当方の希望を向こうにかねがね申し伝えておりますけれども、本件につきまして向こうのほうでも、大体においてそのような内容で運営していきたいという希望を表明してきております。しかし、本件につきましては、いまだに最終的な決定を両国の間でやったわけでございませんので、向こうのほうの訓令待ちの状況でございまして、方針といたしましては、今申し上げましたようなこちらの希望を強く実現していくために交渉いたしたいと存じております。
○鈴木市藏君 昨年も、この問題が臨時国会にかかったときに、当時の安藤アメリカ局長に質問しているのです。去年の五月二十二日の読売新聞に、安藤アメリカ局長がアメリカの駐日公使と話し合っている、日米文化センターを作ってこの金を財団法人的なものに積み立てておいて、利子でもって運用したいというようなことが報じられている、そういう事実はあったのかということを私が質問したのに対して、安藤政府委員はそういう具体的な問題についてはちっとも入っていません、読売の記事は非公式なものだということで一応否定されましたが、今のお話によりますると、結局この元本には手をつけないで利子で運営をしていくというふうにほぼまとまった、そういうような今のお話でしたですね。そこをはっきりしておいてもらいたいのです。
○説明員(西堀正弘君) 先ほども申し上げましたように、それはわれわれの希望でございまして、その希望はもうすでにわれわれのほうのきわめて非公式なラインで在京米国大使館の担当官に伝えてあるわけであります。で、向こうのほうでも、われわれの強い希望を了といたしまして、大体その方針でいけそうだというようなことをすでにわれわれのほうに申してきている、こういうことでございまして、最終的な決定はまだできていないというのが現状でございます。
○鈴木市藏君 それで、もう一つ聞きますけれども、最近この金をもとにして、そのようなつまり法人団体を日本に作ることになっている。大体あなたが今おっしゃったとおりに、希望どおりにいくらしいということを先回りをして、すでに財団法人私学教育研究所設立計画書というものが作られて、ずっとそういう趣意書がもう回っているわけですね。で、これは本年の二月の十五日の予算委員会で、私たちの須藤同僚議員が荒木文部大臣に聞いているところですが、この金を中心にして、今言った財団法人私学教育研究所設立計画書を作った小野理事長は、あなたの部下である文部省内藤事務次官と話し合っている。そしてどういうふうなことをやっているかという内容については、自由の教育と称して、日本の中学、高等学校の教師、学生を大量にアメリカに連れて行って、反共とアメリカの反動思想教育をやろうということだ、という質問をしておりまするが、この使われる金ですね、またそれによって作られるそのような法人団体は、今言ったようなことをやるようなそういう計画を話し合っている。あなたたちの内容としては、アメリカとの話し合いというものは、そういうものの内容を含んで話し合っておるかどうかを、ひとつはっきりとお答え願いたいのです。文部大臣は答えなかったのです。文部大臣は知らなかったと言って答えなかったのですけれども、あなたは話し合っていると言うのですから、話し合ったその内容についてお答えを願いたい。
○説明員(西堀正弘君) 私も、ただいまの先生のおっしゃいました私学振興基金でございますか、全然聞いておりませんです。で、われわれが今まで話し合っておりましたのは、要するにもっと非常に一般的なことでございまして、この支払われた円貨、これを積み立てて、その利息でもって両国の教育文化交換の目的に使おうじゃないかと――実質的にどういうように使うかという面につきましては、そこどまりでございまして、要するに基金そのものをなしくずして使ってしまうか、あるいは利息だけで将来末長くやろうかというようなところで、その後者のほうに落ちつきそうだ、こういうことでございまして、現実の問題といたしまして、今、先生のおっしゃいましたようなことにつきましては、われわれ聞いてもおりませんし、またわれわれの交渉においても触れたことはございません。
○鈴木市藏君 では、まだ具体的にこのかくかくだというふうにお話ができる段階ではまだないというわけですね。そうですね。――首を振っているようですから、そうだろうと思うのです。それで、これは私たちが、この論議されたときから、すでにこの交換公文はけしからぬということを言って反対をしたのですけれども、大卒外務大臣は、西ドイツの例を引いて、西ドイツではこういう金をアメリカに返すときに何らの注文をつけなかったけれども、日本は、日本の意向を伝えて利益になるようにしたのだ、この交換公文はそういう趣旨で作られたのだということを盛んに強調しておりましたが、私たちは今日に至るまで、決してそういう日本の利益になるようなものに金が使われるとは考えていないわけです。まして、こういう交換公文なるものが、一緒にやるということは深みに入ることだということを言って反対をしたわけです。この日米文化教育の交換のほうについてはそのままにして、これは四十五億、とにかくそれに、第一回分を払ったということを言われているし、残りの金ですね。第一回分は総計して七十九億払ったのですね、日本の円にして。そうすると、残りの金はどういうことに使われたのですか。
○説明員(西堀正弘君) 第一回の支払いでございますから、どこに使われるかということはまだ申し上げるわけにいかないのでございますけれども、残りのドル、これはニューヨークの連邦準備銀行に支払われた。これは向こうの予算に振り込まれまして、これはまた御承知のガリオア協定に付属いたしました支払金の使途に関する交換公文にうたってございますように、「合衆国政府は、適当な立法措置を経ることを条件として、この日本政府から受領するところの資金を低開発諸国に対する経済援助に充当する」、こういうことになっております。
○鈴木市藏君 そのことはもう前に何回も念を押してわかっているのですよ。つまり、金を払うときあるいは払うに至る過程の中では協議するということになるのですよ、アメリカと。これが西ドイツと違って日本の利益になることなんだということで、盛んに協議の功績をうたっておったわけですよ。したがって、金を支払った今日、その後進国の開発、はっきりいえば東アジア地域における後進国の開発に、第一回分の金が行ったのだから、どういうところに使われるかということについて、協議が行なわれたものとわれわれは考えられますが、一体その具体的な内容いかんということを聞いているんですよ。具体的な内容はわかりませんか。
○説明員(西堀正弘君) 何分にも、この支払いは三月十一日に行なわれたばかりでございまして、これから交換書簡で言われておりまするところの第二項の「日米両国政府は、東アジア諸国の経済援助になるべく行くように、随時相互に密接な協議をする」というこの協議は、今後行なわれるものと考えます。
○鈴木市藏君 それが前の国会の答弁とは違うのです。前のときには、その協議が行なわれて、金の使途については日本の希望が十分にいれられるということをかちとったから、これは西ドイツよりも日本のほうが有利なんだという答弁を行なっておった。当然、金が支払われる、支払われていくまでの過程、支払われた今日において、どういうところに使われるかというその具体的な交渉、協議の内容があるはずです。ないとするならば、全くそれは当座しのぎの答弁だったとしかとれないのじゃないですか。今まで協議しなかったのですか。協議をしないとすれば、今後どういう課題で協議をしようと思っているのか、その辺のところをはっきりお答えを願いたい。
○説明員(西堀正弘君) この交換公文におきまして、もうすでにこの低開発諸国に対する経済援助のほうに向けるということは、向うの約束なんでございます。それから、協議をするという点は、これは東アジアの諸国に対してそれをなるべくやってくれというようなことは協議事項として約束しているわけでございます。したがいまして、その低開発諸国に回すということの、経済援助に回すということに関する限りは、もうすでにこれは協議の必要もない、もう向こうのほうでのはっきりした約束でございます。今先生のおっしゃる協議という点は、現実にそれではなるべくこの東アジアの諸国のほうに回してくれ、これの協議なんでございまして、これは現実に支払いました、三月十一日。これからわれわれのほうの希望を十分に申し伝えたい、こう考えている次第でございます。
○鈴木市藏君 私はその交換公文の解釈を今ここであんたに聞いてるんじゃない。それは、この前の前の国会で、解釈の問題については、政府の方針を聞いてるんですから、その上に立って第一回の支払い分が行なわれた今日、協議の具体的な内容いかんということを聞いてるんです。協議をしたのかしないのか。しないとすれば、これからどういう考え方で協議しようとするとか、それを聞いてるんです。あなたのおっしゃったように、条文の解釈を今ここで聞いてるんじゃない。お答えのないところを見ると、全然協議もしていないし、これからも協議をする気持もないんですか。
○説明員(西堀正弘君) 繰り返し申し上げますけれども、この密接な協議という点は、東アジアの諸国のほうに向けるという点についての密接な協議でございまして、これはわれわれ今までやったかという御質問に対しましては、われわれは存じておりません。しかし、当然ここにもうたわれておりますとおり、また現実に三月十一日に支払われたことでございますから、これからもちろん、この交換書簡の第二項に定められましたこの精神を生かすべく、交渉は、あるいは協議は行なわれるものと考えます。
○鈴木市藏君 どうも、日本の外交というふうなものは全くアメリカに対してはひどいもんです。普通の常識で考えてごらんなさいよ。この金についてはこれから協議してお互いの使い道をきめるんだといって、普通の場合であったって、金をやるときに、金だけ先にやっておいて、あとから協議しましょうというのは、普通の場合だってありはしない。いわんや国の外交で、当然金を支払うときには、かくかくの協議をして、そうしてお互いが合意に達したということで支払うのがあたりまえなんですよ。私は、こういうふうな日本の外交のやり方というふうなものについては、全く国民を愚弄していると思っている。当然のことじゃないですか。普通の対人間におけるところの関係だってそうですよ。そういう取りかわした証文があるならば、当然金を支払うときには、その取りかわした証文に基づいて何に使うか、おれのほうの希望はこうだというようなことを言って、合意の上で行なうのがあたりまえのことです。しかも、そういう正式の公文があるにもかかわらず、金は支払う、協議は後ほどいたしましょうというふうなことでは、全く責めを果たすものとは言えないんじゃないかというように思うんです。
 私は、そういうふうなことになるから、こういうふうな交換公文などというようなものをきめて、もっともらしく一時的には国民の目をごまかして、あたかも西ドイツより日本のほうが有利な条件をアメリカとの間にかちとったかのような印象を与えている。こんな交換公文というものは役に立たぬ。かえって日本の外交が一そうアメリカのひもつきになってしまって、御説ごもっともになることは明らかである。この交換公文それ自身はやめたらどうかということを言ったんだけれども、これは国民の利益になることであるからということで、当時の大蔵大臣の答弁は押し切っているわけです。今後は、この問題について協議をするということについては、あなたの言明なさったとおりでありますけれども、いつごろどういう内容で協議をするかということについては考えておられませんか。
○説明員(西堀正弘君) これはもうすでに支払いも了したことでございますし、速急にいたしたいと存じます。その内容その他につきましては、相手国の予算にも関係する問題でございますから、どこまで申し上げることができるか、私、現在のところはちょっとお答えいたしかねます。
○鈴木市藏君 この問題については、これ以上質問することは私はやめます。
 次に、開銀の問題については少し聞きたいのですが、さっき関連の問題で少し聞こうと思ったのですけれども、同僚議員が質問したことと重複するから避けます。古いことは聞きはしませんが、体制金融ということで、開銀の融資計画の中に、今度は二十億を自動車産業に、十億を石油化学にということをうたわれておりますが、このことについてひとつう聞きしたいのです。具体的に計画を開銀自身が持っているのかどうか。
○参考人(太田利三郎君) これは三十八年度の予算が通りまして、われわれの資金計画が固まりましてから、それらの運輸省その他に協議してきめるつもりでございます。今のところまだ、われわれとして具体的にこういうふうにという考えは、今のところまだ持っておりません。
○鈴木市藏君 今のところ持っていないと言うけれども、もうすでに新聞には出ているじゃないですか。石油化学と自動車に年間三十億の開銀融資、出資方針固まるということで、新聞にも出ているとおりですが、この二十億を自動車産業に、十億を石油化学に融資をするというこの内容について――まだ固らない特定産業の法案にとらわれなくたっていいですよ。私はそれを聞いているのではない。そういうことはあなたたちもう答えしにくいでしょうから、二十億の自動車産業と十億の石油化学というものについて、こういう考え方で融資をするのだと、開銀の考え方をお考きしたいのです。
○参考人(太田利三郎君) これは新聞などに出ておりますのは、おそらく新聞の推測かと思いますが、こういった産業の動きにも関係する問題でございますから、通産省と十分協議してやらなければなりませんので、開発銀行だけでこういっ方向というものは実は今のところ持っておりません。まだわれわれの意見を申し上げる段階になっておりません。
○鈴木市藏君 僕はそうは思わぬね。太田総裁は、場所が場所だから、口を慎しんでおられると思いますけれども、これはもう通産省との約束済みで、もうすっかりおぜん立てができていて、何に幾ら、かにに幾らと言われておると思いますけれども、私は全部の問題を聞いているわけじゃない。二十億の自動車産業と十億の石油化学の問題だけについて聞いておるのです。これが日本の成長産業の部類に属するものとして、開銀がみずからの立場でどう考えておるかということを聞いているのですよ。
○参考人(太田利三郎君) これは繰り返して申し上げるようでございますが、実のところ、これをやるかやらぬかという、そこまでまだ案が固まっておりませんので、いわんや、この内容についてどういうふうにやるかというような段階に至っておりません。ただ、自動車工業と石油化学に対して、今仰せになりましたような金額程度を融資しようではないか、この程度が一応両者の間に話し合いになっておる段階でございまして、今のこのぐらいの金をどういうふうにつぎ込みますか、非常に膨大な資金需要が両方ともある産業でございますし、どういうふうな対象にどの程度のものをつけるかというようなことは、実は今のところまだこれから検討する、こういう段階でございます。
○鈴木市藏君 これから検討すると言っておりますけれども、今業者の間で話し合いがされておると言っておりますが、実は通産省の中で、もうすでにあなた方の融資計画とは全く密接な形で協議されておる。これはほぼというよりも、もうすでに、事前に公表がされないまでも、もう決定だといわれてもいいようなものだというふうに私たちは理解しているのですが、つまり、こういう特定の産業に特別な融資を今行なう必要というものを、どういう観点で開銀はお考えになっておるか。私が先ほど言っているのは、開銀の考え方を聞いているわけです。金額は具体的に二十億と十億をあげて、産業は自動車産業と石油化学というものをあげましたが、金の問題はともかく、どうしてこういうような産業に特別のつまり融資計画を持つに至ったのか、その考え方を聞いているのです。
○参考人(太田利三郎君) これは自由化が実施されますと、乗用車の工業、それから石油化学工業、ともに日本におきましてはまだ比較的幼稚な産業でございまして、国際競争力に耐えないのでございます。したがいまして、これに対して何か国際競争力をつけるような措置が要るじゃないか。これには膨大な実は金がおそらく要ることになると思いますが、先ほどのお話にございましたような金でございますと、実は幾らもこれは御援助できるような十分な金額ではございません。ただ、開発銀行が融資することによりまして、市中銀行の融資その他の補完の役目あるいはその資金を引き出すような効果があればいい、こういうことで考えられた制度だと思うのでございますが、結局、国際競争力をつけますために、乗用車工業におきましては、量産体制を進める、そうして国産車の価格をできるだけ引き下げる、こういう趣旨でやるのでございまして、そのためにはいろいろ提携合併ということが必要になるかもしれませんが、趣旨としましては、今申し上げましたような、何とかしてコストダウンをきせるような方向に持っていこう、こういうことでございます。これは石油化学におきましても同じことでございまして、大体に量産体制を進めていくような方向にいくような自動的な役割を幾らかでも持とうと、こういう趣旨で、持とうということでございまして、どうも今のところその程度のことしか申し上げられないと思います。
○鈴木市藏君 その程度のことしか申し上げられないことはよくわかります。だけれども、聞くところによると、特定産業振興案というものについて金融界で一番積極的なのは開銀だということを聞いておりますから、あるいはあなたの口から、なぜこういう成長産業に融資を行なわなければいけないかという抱負経綸まで合わせたお話を承ろうと思っておったけれども、どうも総裁はそこまで言わないようですから、これはまた後日の機会にお聞きすることにいたします。
 ただ、二十億や十億の金はささいな金だと言うけれども、開銀が十億融資すれば市中銀行はその三倍も融資をするといわれておるくらいで、二十億の金が六十億にも八十億にもなるものだ。今までの事例から見てもそうじゃないですか。だから、この特定産業を振興させようとしている開銀の立場というものについて見解を聞きたいと思ったが。私は意地の悪いことを決して言うわけではないが、開銀というのは、この前々の国会でも明らかになったとおりに、見返り資金を出資として作られた銀行ですから。この八二・七%は見返り資金を出資として作られた銀行であって、もう一つは世界銀行の借入金をもって作られているわけですから、ざっくばらんに言うならば、私は結局アメリカの金で作られた銀行である、開発銀行というのは。だから、開発銀行は日本の特定産業の振興に一番金融機関としては積極的であるということは、同時に、特定産業の振興というものはどういう背景を持っておるかという点が、物質的な裏づけとして明らかになっているんじゃないかと思ったから、そういうところまできょうは聞きたかったが、時間の関係もありますので、どうも太田総裁は口が固くてそこまではお述べにならないようですから、これはまた後日に譲ることにいたします。
 そこで、最後に一つでけ聞きます。産投外債について政務次官に聞きます。産投外債を、今度は外債は産投一本ですか。一本にする予定ですか。今までは電電とか、開発もやっておりましたけれども、今度は、外債は産投一本でやるという政府の計画ですか、この点をひとつお聞きしたい。
○政府委員(池田清志君) 具体的に当局からお答えさせます。
○政府委員(稻益繁君) 国債のほかに、三十八年度といたしましては、一応電電債、それから東京都債、これも政府保証の形で出したい、かように考えております。
○鈴木市藏君 産投外債というのは、大体六千万ドル予定しておりますね。六千万ドルですが、第一回が三千万ドル、第二回目三千万ドル、二つ合わせて六千万ドルでやろうと言っておりますけれども、聞くところによると、六千万ドルではなくて、一億二千五百万ドルだと言っておりますが、どっちが正確ですか。
○政府委員(稻益繁君) ただいま私がお答え申し上げましたのは、アメリカ市場での起債でありまして、したがいまして、六千万ドルというのは、一応国債を予定いたしております。そのほかに、アメリカ市場で、ただいま申し上げました電電債を二千万ドル、それから東京都債で二千万ドル、これで一億になるわけであります。そのほかに、従来からやって参っております大阪府市のマルク債、これが一億マルクにする予定であります。合計いたしますと、一億二千五百万ドル、いわゆる国債と政府保証債と合わせました総額が一億二千五百万ドル、こういうことになります。
○鈴木市藏君 一億二千五百万ドルの内容はよくわかりました。私はこれで質問を結わるわけですが、結局先ほどからの質問でも明らかになったように、産投が、一方においては貿易・為替の自由化という方向を政府は方針としてとりながら、他方においては、やはり新しい統制的な処置を講ずるという、両刀使い、いわば二面性というか、そういうものをもって臨んできておる。産投が、その両刀使いの有力な一翼をになっておるというふうに考えておるわけです。そして産投外債、あるいはまた、おそらくこれだけでは、不足になったときには、内国債まで発行するようになるだろうが、そういうときの窓口が、すべて産投特別会計ということになっているだろうというふうに思うのですよ。だから、そういう形で、産投というのが、ほんとうに今までとは違って、まさにことしから、政府が新しい性格を持たせようとしている。この辺のところの全貌を、次の機会にひとつ、もっと討議の上で明らかにしたいと考えておるわけです、これはおそらくは、産業新体制を確立するという、その財政上、金融上の一つの基地にする、一大とりでというか、そういうふうなものに産投特別会計をしようと考えている政府の意図があるように考えられる。私たちは、この点について、きょうは時間がないのでこれ以上討議は避けますけれども、その産投の基本的な性格をめぐって、次の機会にはぜひひとつ討議したいと考えまするので、きょうのところはこの辺で私は質問を終わります。
○野々山一三君 輸銀の関係でちょとお伺いをいたしたいのですけれども、輸銀の皆さんお見えでないようですから、関係当局からお答えをいただきたいと思います。輸銀に今まで出ておる出資金の総額は、きのう私が要求して出て参りました資料によりますと、千百八十三億産投会計から出ておるというふうに読むのですけれども、これは間違いないのでございましょうか。これはあなた方から出た資料を念のために確認しておくのですが。
○政府委員(稻益繁君) 三十八年度まで入れますと、仰せのとおりでございます。
○野々山一三君 三十八年度までを含めて、つまり今審議している法律案が通って、そうして融資計画に基づいて出ていくものを含めた額が千百八十三億、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(稻益繁君) 今回出資いたします二百億を入れました結果が、千百八十三億でございます。
○野々山一三君 そこで、お伺したいいのでありますが、最近、たとえば今のところでわかるものであれば、わかるものとして、ひとつお伺いしたいのですが、三十七年でありますか、輸銀として動いている融資額は、一体計画としてどれだけ、決算がどれだけで、それから三十七年は、ワクとしてどれだけを計画して、見通しとしてどういうふうに決算が出ておるかという、その最近の傾向だけでもけっこうでございますから……。
○説明員(新保実生君) 輸出入銀行の貸し出しの規模でございますが、三十七年度の当初計画におきましては、つまり財投計画策定当時でございますが、千二百五十億円の貸し出しを予定いたしておりました。ところが、最近における実績を勘案しまして、三十七年度の実績見込みを立てますと、約百億円程度下回りまして、千百五十億円程度となる見込みでございます。なお、御参考までに、三十八年度といたしましては千三百億円程度の貸し出しを予定いたしております。
○野々山一三君 その百億ぐらい当初考えたよりも融資実績が少ないというのは、三十七年度だというわけでございますね。そこで、ことし、つまり三十八年度の計画が千三百億というのですけれども、一体この融資需要というものの根拠というようなもの、あるいは成り行き、見通しというようなものは、どういうふうにお立てになっておられるわけでございますか。
○説明員(新保実生君) 輸出入銀行は、貿易の成り行きに大きく左右されるわけでございます。そこで、各年度初めに財政投融資計画を策定するに際しましては、経済企画序で策定されまする輸出の見通しとか、それから、その中でも、輸出入銀行の融資の対象となりますのはブラント類でございます。船舶とか重機械類でございますので、そういったものについての受注の状況あるいは見込み、そういったものをベースにし、その年度における輸出の伸びと申しますか、努力目標も織り込みました輸出の伸びというものを織り込んで、大体輸銀の融資対象になる物資についての輸出見込み量というものを出しまして、それをもとにしまして、市中銀行と輸出入銀行が二と八の割合で融資をいたすわけでございます。それは、以上のようにいたしまして輸出金融の貸し出しのワクを想定いたします。
 それから、別途、海外投資金融というのがございまして、これは、たとえばアラビア石油の開発事業とかそういったものがございますが、そういった個個の事業についての工事の進行状況、それに応ずる資金需要、そういったものを勘案しました投資金融についての所要資金量を出すわけでございます。
 なお、もう一つの要素といたしましては、海外経済協力ということが最近行なわれておりまして、たとえばインドの建設事業五カ年計画に対する援助というようなものも、この輸銀の融資対象になるわけでございます。その進行状況に合わせて貸し出しの規模をきめるわけでございます。
○野々山一三君 今の御説明によりますと、相当緻密な検討を加えた結果、融資計画を立てる。それに対して、たとえば資金不足というようなことが起これば出資もするというような立て方で、計画を立てられる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○説明員(新保実生君) そのようにやっているわけでございます。
○野々山一三君 そういたしますと、先ほど出た最近一年の三十七年だけを見てみましても、約百億の、計画に対する実績が下回っている、こういうことを言われたわけです。三十六年はどうかということになりますと、これも、私お聞きもしなかったし、お答えもなかったのでありますが、大体約一割近い融資ワクの遊びというものがあるということの結果になっているようですが、その理由は、一体どういうことで思ったよりも実績が少なかったのか。そこらを。先ほどは相当緻密な検討をして立てるんだというふうにおっしゃったのですけれども、その違いというものが、二年も続いて一割近い見当違いというものの起こっている根拠をお聞かせ願いたい。
○説明員(新保実生君) その見込み違いが生じました原因でございますが、これは海外に対する経済協力の事業において見込み違いを生じた、これが一番大きな理由でございます。それで、一船の船舶とか重機械、いわゆるプラント類の輸出見込み額につきましては、三十七年度も当初予定いたしましたとおりに大体出ているわけでございます。一帯大きな差異を生じました原因は、インドの円借款でございます。それから、パキスタンに対する円借款。これが一応政府間の協定では、あるいは向こうの政府と輸出入銀行との約束では、いつまでに大体これくらいの金を出す、輸出をするという見込みがあるわけでございますが、ところが、これは向こうさんのいろいろな建設事業がとかくおくれがちになりまして、したがって、物資の発注もずれてくる。私どもとしましては、やはり当初の約束ベースで財政資金の所要額をはじいておきませんと、これはまた国際信義にもかかわる問題になるわけでございますから、そこら辺は約束ベースで一応見るわけでございますが、現実にはやはりそういった建設事業が御承知のようにずれるというような関係で、もっぱらと言っていいほど、円借関係でおくれているというのが実情でございます。
○野々山一三君 二年に及んで約一割の見当違い、これは非常に大きいものだと思います。さらにことしも千三百億を見込まれておるということでありますけれども、二年も続いた見当違いという上に、さらに輸銀に二百億の出資というのは、これは私どもとしてはなかなか信用できない一つのポイントなんです。これは水かけ論になるかもしれませんですけれども、国債を発行する、さらに一般会計からの相当量の出資をするというようなことからいたしまして、この点はちょっと重視をしなければならぬ。金がないと言いながら、片一方では見当違いが二年も続く。私が調べただけで二年も一割違うのですから、もっと前から調べればもっと狂うかもしれませんが、一体そういうことはどういうことかという点が、私の非常に疑問な点なんです。
 加えて、船などは当初思ったよりも順調に進んでいる、こういうお話でありますけれども、ただいま手元に配られました輸銀の船舶向け融資の実績を見てみましても、金額的にはやや伸びておるように思われますけれども、実績、仕事量というものから見ますと、三十五年の七十一万総トンは、三十二年の百四十八万総トンに比べると半分、その中で三十六年はやや上回って八十九万総トン、これはおそらく、私はこのデータの裏を洗えば、思ったより少ないという答えが出てくることは容易に想定されるわけであります。あとでまた船舶関係を兼ね合わせて質問いたしますけれども、この見当については全く自信があるというふうにでもおっしゃるのですか。担当金が詰まっておる現状、しかも、外債を発行するという事態のもとでの問題でありますから、責任ある答弁を願いたい。
○説明員(新保実生君) 三十六年度におきましても見込み違いを生じたのは事実でございますが、これは先生御承知のとおり、当初計画を一度改定しておるわけでございまして、当初は九百七十億の貸し出し予定、それを秋の追加予算か何かのときに千百八十億を予定いたしまして追加をいたしたわけでございますが、実績はそれを下回った。これは先ほど答弁漏れで恐縮でございます。
 そういう事態において二百億円の出資を出すのはどうかという御意見でございますが、これは先生も御承知のように、輸出入銀行というのは、高い金利の金を借りてきまして、そして安い金利で貸し出しを行なっておるわけでございます、そこで、ほうっておきますと、赤字が出てくるわけでございまして、その赤字が埋めるためには、やはり出資というものをやりまして、これは出資には配当とか何かがございませんので、そういう関係で調節をしておるわけでございます。そこで、まあ相手が国際関係に左右される輸出量でございますので、ぴたり目標どおりというのは、なかなか、いかなる場合でもやりにくいものでございますが、そういった場合がかりに生じて参りましても、二百億円の出資というのは、現在の輸出入銀行の採算の面から見まして、最小限度の数字じゃないかと考えております。
 それから、船舶輸出の量的な関係でございますが、ちょっと手元に資料不足で恐縮でございますが、輸出入銀行の貸し出し資金ワクをきめる場合のやり方は、ちょっと運輸省の場合と時間的にズレがございまして、運輸省のほうは注文をとられる、あるいは着工ベースで数量を押えておられるわけでございます。私ども、もちろん、そういう要素を加味するわけでございますが、輸出入銀行の融資というのは、一つの船を造るのに数年かかりますので、前からのしっぽが残っておるわけでございます。そういう関係もございまして、ちょっと量的にぴたり合うようには参らないわけでございます。いずれにいたしましても、輸出入銀行というのは、輸出が伸びれば資金を政府も追加して参っておりますので、そういう面で船舶の輸出が阻害されるということはないように考えておるわけであります。
○野々山一三君 私は船舶だけを一例として取り上げたのですが、もし、あなたがそういうふうに全体に伸びておると言うのなら、そのデータをひとつ各品目別に実態を示していただきたい。かりに、あなたのおっしゃる説を私が了承いたしましても、二年間に及んで百億以上、つまり、百億というよりはむしろ一割、一〇%と言ったほうが正確だ。その一割も見込み違いが起こっておるほど、輸出はとても伸びていないじゃないかという言葉に、借款の問題が見当違いが起こったという問題以外にも、それは言えるのじゃないかと私は思う。
 それから、もう一つは、今お話の中にもちょっとありましたけれども、輸銀が見当違いが起こるということは、かりに内輪に見当違いが起こったならば、あなたの言われるとおり、金遊ばしておくものが、赤字が逆に減るわけです。あなたの言うさやでいったら、うんと活発に、もっとうんと貸したら赤字がふえるということに、あなたの言われる説を――言葉じりをとって恐縮ですけれども、違うならもう一ぺん正確に言って下さい。高い金利の金を借りてきて安いベースで融資すると、輸銀の赤字がふえます。その赤字を減らすために、出資という方法によって輸銀の金の成り行きを安定をするとか、つまり赤字を減らすのです。こういうのでは、一般会計から繰り入れ、外債を入れると、いよいよあなたつぶれますよ。そんな理屈は成り立たないでしょう。あなたの言われたとおりを申し上げたつもりでありますが、間違っておったら、もう一ぺん言い直して下さい。
○説明員(新保実生君) ちょっと言葉が足りなかったわけでございますが、仰せのとおり、貸し出しをいたしますと、輸銀の場合は逆ざやになっておりますから、赤字が生ずるのは事実なんでございます。そこで、従来、毎年同じように産投会計から出資をしていただいておる。ところが、全体から見ますと、たとえば三十八年度の資金計画について申し上げますと、千三百億円の貸し出しをしておる中で産投の出資は二百億円でございます。で、あとは資金運用部からの借入金、これが六百十億円、さらにその差額は回収金とかそういった自己資金でまかなうということになっておるわけでございます。そこで、その一割の見込み違いを生じた場合に、これはどこで調節するかという問題でございますが、この政府出資だけを減らして調節するということでなしに、やはり借入金なり出資というものに応じて、このウエートに応じて調節するということになるのではないかと考えております。出資よりもやはり借入金のウエートが約三倍あるということを先ほど申し上げたわけでございます。
 それから、輸出入の見込み違い、これはもうできるだけ正確を期すべきであって、私どももそのつもりでやっておるわけでございますが、何分世界のいろいろな要素に左右されるものですから、どうしても多少の見込み違いということは、毎年、従来もあったわけでございます。これはできるだけ正確を今後期して参りたいと考えております。
○野々山一三君 あまり時間がないものですから、くどいことを言いたくないのですけれども、何べん言われても、結局は、あなたの説をそのまま受け入れれば、見込み違いが起きて融資ワクが少ない、金はある程度余裕がある、これははっきりしましたね。そこへ加えて、二百億円の出資をする。しかも、この出資の土台が問題なんです。第二次補正で相当程度入れる。さらに余剰金を先食いしていくわけです。一般会計の余剰金を先食いして、普通ならば三十九年度の金ないしは公債償却に充てられるべき性質のものを、ここでまだ決算もしない段階で来年度の金として使うわけです。財政法上にも非常に大きな問題がある。それをなぜ、そう無理して、金があるのに、一割も見当違いをするようなことをやっておきながら、しかも財政法上問題があるようなことを、なぜやらねばならぬか。そこが私が一番問題にしたいところなんです。政府の責任者から答弁をお願いいたします。
○政府委員(池田清志君) 三十七年度の剰余金と申しましょうか、決算上の剰余金ということにはまだなっておらないわけでございますが、そこに至る途中にありまするところの三百五十億というものをもちまして、第二次補正で三十七年度の問題として御審議をいただいておるわけでございます。御承知のように、決算上の剰余金でありまするならば、財政法にちゃんと規定がありまして、それに従ってやるのでありますが、そこに至る途中におきまするものでございますから、補正予算の財源として使わしていただくと、こういうことになります。
○野々山一三君 まあ私はね、第二次補正そのものについても実は根本的に問題があると思っておるのですが、そこへもってきてですね、あともう年度が切れる一カ月や半月くらい前にですね、法律的行為をしたからといって、これは余剰金として決済したものでないのであるからと、これはまさに論弁というものでございます。しかも、かりに百歩譲って、それが一般会計だけであるなら別問題、さらに、これに匹敵する二百三億というものをさらに外貨債で求めるというものの考え方は、いかにもこれは、今わずかに議論をしただけでも食い違いがありましたということで、一割の見当違いがありましたという、財源は一割余分にあるということが言えるわけです。そうすれば外貨債、半分これは削ってもいい。極端にいえばですね。二年間に一割、つまり百億くらいずつ見当違いである。ここで外貨債を二百億出すのですから、これはパーになる。そういうことをあえてしなければならぬ、財政法上問題もあるということなんですからね。これはどうも、政務次官、なかなか答えにくいかもしれぬけれども、責任者はもうちっと……。
 せっかくこれはここまで明らかになったんですから、これは一ぺん委員長にお願いしたいのですけれども、この法案上げるまでに、やはりもう一回直接閣僚責任者から政策論として私は聞く機会を与えていただきたい。よろしゅうございますか、これは根本問題だから。これだけのたった一つをとらまえてこれだけの違いがあるのですからね。これはやっぱり、私はこねるというわけじゃなくて、政策問題として責任ある答弁が願いたい。きのうも少しやりましたけれども、外債の性格の問題をやったんです。今度はいよいよ出すということ、つまり受け入れるということですから、別の法律で確かに議論する機会ありますけれども、受け入れることをイエスと言うかどうかということをやる前に、それはやっておかなければいかぬとよいます。あるいは審議の順序として外貨債問題を先に審議してきめちゃうというなら、また一つの手続として私は許すけれども、今度でけっこうです、これはひとつぜひ善処をいただきたい。よろしゅうございますね。これは確言をしていただきたい。
○委員長(佐野廣君) 協議します。
○野々山一三君 それでは、その先に進めますけれども、最近これは――船舶局の方おみえでございましょうか。きのういただいた資料でもわかりますけれども、主要二十四工場の日本における船の工事能力を一回正確にお伺いしたい。まあ全体でもけっこうです。あるいは主要のものでもけっこうです。資料があったら、これは出してもらって説明していただけるなら、それでもけっこうです。
○政府委員(藤野淳君) 工事能力はいろいろな要素がございまして、工事能力を算定するきまった方式は全然ございません。ただ、私どもがある仮定のもとに最近算定いたしましたところによりますと、これはきわめて仮定でございますけれども、三百十七万トンという能力が現在……
○野々山一三君 いつ査定されました。
○政府委員(藤野淳君) これは最近、約一カ月前でございます。これは現在計画中のすべての施設拡充計画がフル稼働した暁でございますけれども、そういう算定をいたしております。
○野々山一三君 船舶白書によります数字、運輸省が発表いたしました数字をずっと拾ってみますと、昭和三十二年からのものが私の手元にございますが、ピークは昭和三十二年が三百八十七万総トンでございますこれは工事実績です。これはお役所の発表した数字です。それが一番底についたときを見てみますと、昭和三十五年二百二万総トン、最近の私どもの手元にあります数字によりますと、三十年九月で二百六十万総トンという実績になる。今あなたの言われた数字三百十七万総トンというものも、お役所の同じ機関で調べられたもののようですけれども、その違いというものは一体どういうことなんでありましょかう。
○政府委員(藤野淳君) ただいまおあげになりました数字は手持ち工事量の数字でございまして、工事着手前のものも入っております。したがいまして、三百八十七万トンはまだ着手していない相当な数が入っております。したがいまして、相当開きがあると思います。
○野々山一三君 そうすると、今のあなたの言われた三百十七万トンの根拠になる数字はこの資料の中にありますか、船型別、できるならば。
○政府委員(藤野淳君) それは最近算定いたしましたので、その資料には入っておらないわけであります。
○野々山一三君 三百十七万総トンの稼働能力があるというのは、最近調べた数字なんだとおっしゃいましたね。大体、その数字の根拠になる船の型別ぐらいのものですね、あるいはドックならドックの容量別ぐらいですね、そのくらいのものがなければ、実際にこれだけ稼働できますという、三百十七万総トンというものが稼働できますという答えにはどうもならないので、そのもとの数字はございますかと伺ったのであります。
○政府委員(藤野淳君) 数字はございますので、お入り用でございましたら、いつでも御提出申し上げます。
○野々山一三君 それは早急に出して下さい。
 そこで、大体日本で最近造った実績というものは、今私が手持ち工事量の材料をある程度使ったものですから、狂いがあるのかもしれませんけれども、最近造った実績ですね、稼働能力と造った実績の最近五、六年の数字はございますか。
○政府委員(藤野淳君) 数字はございます。
○野々山一三君 そうすると、その稼働能力に対する造った実績の差はどのくらいになっておりますか。資料はあとでいただくといたしまして、質問を進めていくために結論的な数字を二、三年のものでけっこうでございますが。
○政府委員(藤野淳君) 数字をもって後日即刻御提出申し上げます。
○野々山一三君 数字であとで正確なものをいただくとして、年次別の答えぐらいは、これは当然材料を持ってきてもらわなければ議論にならない。今お答え願えませんか。
○政府委員(藤野淳君) 能力と建造の実績、これは年によりまして相当の変動がございますけれども、大体において六割から七割見当の実績でございます、能力に対しまして。しかし、能力の内容が、今の三百十七万トンと申し上げましたのは非常に多くの仮定が入っておりますので、当時の能力を一一算定いたしておりませんので、三百十七万トンから相当修正いたしませんとその建造実績に相応する能力がわからないのでございまして、まあ大体において六割から七割見当じゃなかろうかと思っております。
○野々山一三君 まあ、審議会が、御承知のように合理化を促進させ、その合理化の実績に応じて計画造船なんかを割当融資をするという作業をされてきたから、相当の修正があるだろうということは私もわかりますけれども、この最近の五年なり三年ぐらい、まあ五年ぐらいの実績がえらく――それによって何十万総トンの稼働能力が減殺されておるということは、私はおよそ考えられない。むしろ、最近は造船建造能力を拡大するということで、相当の設備投資もやっておるということから見ますと、むしろ逆にふえているんじゃないかとさえ想定されるのでありますけれども、あなたはどうもさわらせないつもりなのか、そこの答えがないので、非常に聞きにくいのですが、私の調べた限りでは、大体今おっしゃった七割ないし六割くらい稼働しているということにも当たっていると思いますけれども、百二十万総トン分くらいの建造稼働能力を遊ばしている、こういうことがいわれておる。大ざっぱな見当としてそのくらいで間違いない、こう理解していいのですか。質問を進めるために、大ざっぱの見当でよろしゅうございます。正確なことはあとでけっこうです。
○政府委員(藤野淳君) 造船のような非常に複雑な総合工業の能力と申しますのは、非常に算定がしにくうございまして、先ほど申し上げました三百十七万トンという数字はいろいろな仮定を設けて算定いたしましたので、それに必要な従業員の所要数といったような問題も現実とはややかけ離れた数字でございますので、設備の稼働能力というものは、これはフル稼働になるということはほとんど考えられない。常に相当の余裕を持っていなければ、むしろ円滑な操業が困難であるといったような性質のものでございますので、ただいま百二十万トンが遊んでいるというふうに判断できないかという御質問でございますけれども、この点につきましては、必ずしも遊んでいるというふうにはわれわれは考えておりませんけれども、ただ、はっきり申し上げられますこことは、フル稼働にはないということは、これはもう間違いございません。
○野々山一三君 これは、あなたみたいな答弁をされると、質問をずっと進めていこうと思って、わからぬ数字はあとでもいいと言っているんだけれども、ぶらぶらと、正確に調べてない。で、最近やったら三百十七でございます。いよいよそのデータを出せと言ったら、わかりません、複雑なものがありますと。耕転機も作っていますから、それは複雑でしょうよ。船会社が今耕転機も車両も作ったりしていますから複雑でしょうよ。その議論もする気持ではおりますけれども、今ここでやろうとは思っておりませんよ。しかし、もっとまじめに取り組んで答えて下さい。あなたみたいな答弁をしておったら、私は実は、金の問題で話をしようと思っておるのだけれども、それじゃこれは話を進めようたって見当もつかぬですよ。
○政府委員(藤野淳君) 私はまじめに御答弁申し上げておるつもりでございます。私ども長年造船のことをやっておりますが、建造能力がわれわれの仕事を進めていきます上におきましてどのようなものであるかという問題は、たとえば船台、この船台をフル稼働するとどれくらいの能力があるかという問題よりも、その船台の一台の建造トン数が六万トンになるのか三万トンになるのかという問題が当面の問題でございます。私は決して複雑に申し上げておるわけではないのでございまして、最近の造船設備がどんどん拡大、革新、近代化されて参りましたのも、建造能力を拡大する意図のもとにやりましたのではございませんで、造船の需要面が大型化いたしまして、従来の船台では間に合わないというわけで、大きな船台を新設しますとか、あるいは拡張いたしますとか、あるいはそれにクレーンを増強することによりまして稼働率を上げるといったようなことになっておるわけでございまして、先生の御指摘のような能力とか実績につきまして、われわれは必ずしも重要な問題ではないというふうに考えておりまして、むしろ投資が非常に効率的に生産面に反映するということをわれわれは常に注意しておるわけでございます。
○野々山一三君 あなた、そういう御答弁があると思うから、私は船の型あるいはドックの大きさ、そういうものに類似した稼働能力の三百十七万総トンというものの能力をはじいた基礎を説明してくれと言っているんです。あなたとベースが変わった質問をしているわけじゃない。今の答えだったからあえて申し上げるんですけれども、そこでなおかつ、私はあなたにあとで同じことを繰り返してもらいたくないから申し上げるんですけれども、先ほどちょっと言った合理化審議会が造船産業そのものに対して合理化を進めよう、あるいは適応性を拡大しろ、それに応じて、その結果をチェックして発注もしよう、融資もしよう、こういうやり方をしているから、相当程度の修正があるだろうということは私も認めると、こういって前提に申し上げている。それもあなたと私の議論の根拠は違わないでしょう。
○政府委員(藤野淳君) 実は先生の御指摘のように、海運造船合理化審議会でただいま造船能力につきまして審議をいたしております。しかし、三百十七万トンの資料を作りましたけれども、これはもうほんとうの審議の材料でございまして、これは権威ある資料ということじゃないんで、その資料には運輸省の作成というあれは書いてございません。ただ、ほんとうの参考資料として提出してあるんでございまして、ただ、何万トンの船台がどのような稼働ということで三百十七万トンができ上がっているかということは、いつでも御説明申し上げます。大体のことを申し上げますと、船の船型別に、何万トンは何カ月船台、何万トンは何カ月船台ということで、一率に稼働率から積算したのが三百十七万総トンになりましたのでございまして、これはいつでも資料として用意いたしておりますので、ただいまは持っておりませんが、またお手元にお届けするつもりでございます。
○野々山一三君 では、その資料を出して下さい。それで、私が申し上げているように、今までの船の型、能力はドックの能力なりなんなりに応じてどういう稼働をしてきたかということの実績、それから今後の需要に応じられるための生産設備改造計画というようなものも、これは見せてもらわぬと、これから将来あるいは議論ができないんで、その資料をひとつ出しておいて下さい。
 これは委員長、正式に資料要求としてお願いをしておきます。
 で、まあきょうのところは、どうも何かつかみどころがないような話ですから、この問題はこれでおきまして、次に、最近ギリシャだとか、あるいはインドネシアなんかも、それからソ連、そういうところから、日本でできた船を買いたいという動きが相当積極的に出て参りました。石炭輸送船、あるいは鉄鉱石輸送船、あるいは石炭タンカーというようなものの受注というものが、相当活発に動きかけているといわれております。そういう傾向は、具体的なあなた方の役所で、こういうことで進みますとか、あるいは許可をいただくとか、あるいは金の融資の問題で通産に行くとかいうような、ややでき上がったというか、交渉がまとまりかけているようなものの数字が、何も今申し上げた国柄だけでなくて、大体今までの実績をここに出してもらったのですが、わかれば知りたい。私がそれを知りたいというのは、この問題でやっているとまた同じことになりますから、あれですけれども、結局延べ払いの条件、輸出に対する、輸出船に対する延べ払いの条件というもので非常に大きく引っかかっている例がある。たとえば、かりに五年のものを、頭金二割残余のものを五年ということであって、それでせめて七年にしてもらえば、うちの会社では相当の設備が遊んでいるので仕事がしたい、できぬので、しようがないから耕転機を作ったり車両を作ったりということをやっているというような企業も相当ある。あるいは、先ほどちょっと触れましたけれども、新しく設備投資をしたい、適応性に応じた、受注動向に応じたドックなどの改造もやりたいというのだけれども、そういう仕事が二つ三つ目につけば、あるいはその仕事が入るならば、首を切らないでも船会社としてやっていけるという造船企業者の訴えというものは、相当私どものところにも来るわけです。私は去年の秋にこの種の問題で、単に船だけでなくて、機械、重工業、重電機関係に対しても、もう少し延べ払い制度を緩和する、あるいは相手国で差をつけるというやり方についても、再検討を加えることによって相当程度のものが出ていく、輸出振興策という面から考えても出ていく可能性がある、だから検討を加えたらどうかという質問をいたしました。再検討をいたしますという約束が大蔵大臣とに、約束というか、そういう答弁がなされた。その後の傾向を通産当局などに聞いてみますと、これはひとつ正直に答えてもらいたいのですけれども、まあ船を扱っている運輸省のほうでは、あまり輸出船というものなどを一生懸命やると、今度は日本船で運ぶということが少なくなって、変易外収支のものに影響を来たすのではないか、だから押えたいという問題がある。あるいはその結果として、戦標船、つまり中古船を改造することによって、インドネシアなんかに売り出そう、あまりいい材料のものを売り出したくない、こういう作業が進められているやに伺う。私、伺いたい点は、一つは、これほど能力が遊んでいるのに、しかも受注はあるのに、延べ払い、あるいは入国手続、あるいは決済の仕方というようなものに意地を張っていることのために、非常な船舶産業に対して無用の混乱なり意欲を喪失させるという結果を招来しているということに対して、一体関係当局というものはどういう考えを持っているか、将来こういう遊んでいるものに対してどういうふうに直していこうとするのか、延べ払いについてもさらに再検討を一歩進めるつもりはないのかということをお伺いしたい。そういうことに金を使うというために金が必要だから、産投会計法の改正をするというものの考え方に立脚しているのかどうか。そこらも一束にして、時間がないからお伺いしたい。関係当局全部答えて下さい。
○政府委員(藤野淳君) ただいま現存船、既製船の外国への売却のことも御質問がございましたが、これにつきましては、海運局のほうから御答弁を申し上げることと思います。建造の注文につきまして、ギリシャ、インドネシア、ソ連その他からどのような商談が現在固まりつつあるかという資料の御提出の御要求がございましたが、これは何分営業秘密に属しますので、正確なものはとうていできませんけれども、一応の資料は御用意できると思います。
 なお、輸出に対する延べ払い条件の問題は、昨秋、先生から御質問がございまして御答弁申し上げましたが、当時に比べますと、七割七年というような延べ払い条件はやや前進いたしまして、八割八年におおむねなっておるわけでございます。
○野々山一三君 それはわかったわけですか。
○政府委員(藤野淳君) なっておるんです。なお一、二、延べ払い条件で現在交渉中の案件がございますが、私どもといたしましては、基本的には、輸出船舶は造船の五〇%、あるいは時によりましてはそれ以上の比重を占めておりまして、輸出産業としても非常に重要な使命をになっておりますので、これはできるだけ伸張さしたいという基本的な態度でございます、したがいまして、受注等を容易にいたしますために、競争相手国の提示している輸出条件と同様以上の輸出条件を日本の造船業に付与いたしまして、競争力を強化してやる。それによりまして受注が容易になるように援助するのは当然のわれわれの責務でございまして、そのように努力いたします。ただ、あまり先走りますと、かえって将来禍根を残しますので、その辺の手綱の締め方が非常にむずかしいわけでございまするが、関係当局とも十分連絡を密にして、先生の御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
○野々山一三君 もう一つですが、今のおっしゃる八割八年というような処置も講じておると言われるんですけれども、ソ連なんかの船だとかそういうようなものを、まあ相手国によって相当差をつけているんじゃないですか、そういう答えになっておるので。最近、受注傾向から見ますと、そういうようなところから相当まとまった、しかも船によっては一万トンから五千トンぐらいの規模のものを相当程度日本で造ってもらいたいという傾向があるというデータも私どものところにあるんです。そうすると、日本の今の建造能力からいって、遊ばしているものを相当フルに使うことが容易だということがごく簡単に言えるわけです。つまり、私の即断が早過ぎたらあれですが、いわゆる中級ないし中上ぐらいの造船会社などは、相当今資金で困っている。そういうところは相当仕事ができるという傾向になるわけです。そこで、相手国によって差をつけるというやつについても、もう一歩進めて検討してもらうということが必要じゃないかと思うんです。同じまあ八割八年というのは、まあ私が質問しているような趣旨の相手国との間ではないでしょう。そこのところが私の問題にしているところでございますから、ひとつ検討を一歩進めてもらいたい。あるいは別の機会でもけっこうでございますから、これは商売上のこともありますので、ここでずばり言えないところがあったら、別な機会でもけっこうでございますから、将来の考え方というようなものをひとつ説明をしていただきたい。ここで答えられなければ、あとでけっこうでございますから。
 以上で終わります。
○野溝勝君 簡単なことですが、ちょうど開発銀行の総裁がおいでになっておられますので、お伺いしたいと思います。
 その前に理財局長さんからもお伺いしたいんですが、この手元に配付されました表で少し理解に苦しむ点があるんですが、この中で地下資源というのが出ておりますが、地下資源にもいろいろあると思いますけれども、これは何を意味しているのですか、理財局長から。
○政府委員(稻益繁君) これは北海道地下資源株式会社のことでございます。
○野溝勝君 そうすると、北海道地下資源株式会社というと、地下資源は北海道だけと解釈するのか、これは。
○政府委員(稻益繁君) 北海道に限定されております。
○野溝勝君 この問題に対して疑問がありますが、あまりここで論争はいたしません。まあピック・アップしてお伺いしたい。
 次に、お伺いしておきたいことは、石油資源というのが機関別に出ておりますけれども、この石油資源とはアラビアその他東南アジアにもあるのでございますが、国内の石油資源、石油資源会社のことを意味するのでございますか。
○政府委員(稻益繁君) 国内でやっております石油開発のこと、それだけでございます。
○野溝勝君 こういうことを、こまかいことですけれども、これからはわかりやすくもう少し記入をしておいていただきたいですね。
 次に、お伺いしたいのは、開発銀行に関しましてですが、開発銀行は、先ほどの同僚委員からの質問もありましたが、新聞だけでなくて、うわさによりますると、いんしん産業といいますか、高利潤会社といいますか、石油並びに自動車産業に相当融資をするということを言われているようでございます。先ほどの総裁の説明で、まあ輸出振興あるいは貿易の自由化等によって考えなければならぬということであるので、具体的に数字のことは申されぬけれどもという話がございましたが、私はここでまたしいてこれを繰り返して質問しようといたしませんが、開発銀行は、できる当時におきましては、重要産業ということでございますから、もちろん重要産業に対する開発機関として、これは思想は別でございますけれども、その趣旨としていたし方ないと思いますが、しかし最近におきましては、開発銀行も地方開発、地域開発を大いに強調されているのでございます。そうすると、この地域開発のほうの予算も削ってこっちへ持ってくる、こういうようなうわさも飛んでいるのでございますけれども、そういうようなことが考えられているのでございますか。特に問題によってはさようなこともあり得るというのであったら、この際お聞かせ願いたいと思います。
○参考人(太田利三郎君) 仰せのように、当初基幹産業を中心にして融資して参りましたのですが、近年地域差の是正ということで、地域開発にもかなり重点的に融資をいたしております。それで、地域開発の金はどういう産業に貸さなければならぬということではなしに、その金を貸すことによりまして、比較的おくれておりまする後進地域に新しい産業ができる、しかも、それがなるべく関連産業を持つような事業であればなおさらけっこうでございます。また、もう一つ、雇用をできるだけ増加するというようなねらいを持っておりまする場合も、われわれとしては非常に好ましい対象として取り上げているわけでございます。
 それで、大体の方針としましては、やはりできるだけ地元産業を育成する、地元資本によります産業を育成するというのが重点でございますけれども、地方によりましてはなかなかそういう事業が興って参りません。で、場合によりましては、大企業の地方に工場を出しますような場合にも、ある程度これは融資をすることもございます。ただ、この場合は地元産業に対しまするような場合と違いまして、工事資金のほんのある程度おつき合い程度のごくわずかな資金を融資いたしまして、それによってほかの金融機関の協力を願ってその地方に工場ができる、こういうような見通しのものに対して融資するわけでございまして、そういう大企業だからと申しまして、中央の資本のものであるということだけでこれを排除するということはいたしておりません。目ざすところは、先ほど申しましたように、その地方になるべく関連産業ができ、雇用が増加する、そういう産業を誘致するというねらいでございますので、今のような措置をとっておる次第でございます。
○野溝勝君 私は、開発銀行が主要産業、基幹産業のみに制約されないという方針を打ち出した、すなわち、今総裁がお話しになったように、格差をなくすように努力する、それで地方の産業開発に乗り出した、こういうわけなんですが、これはまことに私はけっこうだと思うのです。けっこうだけれども、今総裁のお話の中にありますとおり、なかなか地方産業の予算が少なくて、にもかかわらず中央の大企業の進出に予算を出しておる、こういうことをたびたび各地方から聞かされるのでございます。これは、私は多い少ないは別として、ひとつ考えていただきたい。これは理財局長のほうでもひとつ考えていただきたい。
 それから、私はどうしてもふに落ちないのは、まあここで思想的論議をしようといたしません、私はいつの機会にもこの時点においていつでも質問しておるのでございますが、ちょうど岸内閣のときだったが、国内産業を保護する、助成すると。これは国内産業けっこうなんですが、そこで大きなもうけをしたのが、今の池田さんの所得倍増どころじゃなく、何百倍増か知らぬけれども、大もうけしたのが自動車工業で、非常な高利益を得た。こういうのは自己資金でやったらいいと思う。さもなきゃ市中銀行。それを、こういう金をまだ高利潤を得ている会社とか産業にぶち込むというのは、それは貿易の自由化もあるかもしらぬけれども、この金を使うということは私はあまり芳しくないですな。まあそういう点におきまして、これはまあ出発当時が基幹産業、主要産業ということでございますから、そのワク内だといえばそういうことになりますけれども、私はこういう見解を持っておるのでございますが、総裁、いかがなもんでございましょうか。
○参考人(太田利三郎君) 私も同感でございまして、自動車産業のごときは、実は近年、長い間開発銀行は融資をいたしておりません。自動車産業ばかりではございません。大きな鉄鋼業その他、当初われわれも出しましたものも一人前になりまして、自己で、自分で資金調達ができるようなところには融資をいたしておりませんです。
 ただ、自動車−乗用車工業の場合には、いろいろこれは議論が尽くされた結果でございますけれども、今のところ、いんしん産業ではございますけれども、これを全く外国との競争場裏にさらしますと、いかにも脆弱な部面がかなりございます。十分な量産体制も整っておりませんし、部品のコストも高うございます。できました車、値段を比べてみただけでも、すぐこれはいかにも弱い企業である、実質的にも国際的にも弱い企業ということがうなずけるのでございますが、そういうことで、趣旨としましては、むろんこういう成長産業には開発銀行は漫然と融資すべきではないと思いますけれども、こういった自由化という特別の情勢下におきまして、しかもある一定の条件を満たして国際競争力を持つような企業に対して、持たせるような措置としていろいろな措置がありますけれども、その一環として開発銀行も金融的に少しでもお手伝いするということは、これはまあやむを得ないのではないか、こう思って、われわれもこの措置、この法律も通りますし、また予算が通過しましたときにおきまして、どういったふうに融資をするか、先ほどもお答えいたしましたけれども、具体的に実は何もまだ検討いたしておりませんです。今後十分検討を加えまして、ただ大企業に漫然と融資をするということでなしに、いろいろな観点から検討いたしまして、この資金が有効に使われるように運営いたしたいと思っておる次第でございます。
○野溝勝君 総裁のお答えの気持もわかるのですが、何せ戦後一番もうけた産業は幾つもありますが、これも代表的になっていますからな、自動車工業というものは。だから、そういう高利潤を得ておるものに対して、どうも手厚い保護をするという考えはどうかと思うのです。ほかにも貿易の自由化によって非常に影響しているものはたくさんございます。ですから、そのあんばいを誤らぬようにやっていただきたいということなんです。もうお答えはけっこうです。
 理財局長に対しても、この考え方をひとつ、あらゆる機会にこういう見解があるというようなことで、融資対策の場合は御検討を願いたい、こう思っていますが、それに対してお答えを願いたい。
○政府委員(稻益繁君) 十分御趣旨を体しまして、検討したいと思います。
○委員長(佐野廣君) 午前はこの程度とし、午後二時再開いたします。
 暫時休憩いたします。
  午後一時十八分休憩
 午後二時二十七分開会
○委員長(佐野廣君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。
 所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とニュー・ジランドとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、以上いずれも衆議院送付を三案を一括議題とし、三案の質疑に入ります。
 御質疑のおありの方は順次御発言願います。
○柴谷要君 二、三御質問をいたしたいと思います。
 これから国際間の経済交流が盛んになって参りますと、このような租税条約の特例法も毎国会出されてくると思うのです。条約は各国別なのもやむを得ないといっても、国内法については特例法を一本にして、その中でイギリスとオーストリアと、こうふうな規定の仕方ができないものかどうか、この点をひとつ冒頭でお伺いしたいと思います。
○政府委員(村山達雄君) これは各国と租税条約を結びます場合に、大体要素といたしましては、それぞれの国内法が第一に違います。したがいまして、その条約の形が一々内容が違って参ります。それから、相手国でいうと、従来締結した国は相手にもたくさんあるわけでございます。その慣例がございます。日本側にもまたその問題がございます。それからまた、両方の経済関係の利害が違います。両方の国の利害が必ず相手国によって違っている。同一であるとは限りません。大体以上の三つぐらいの相違からいたしまして、条約の内容が個々の国によって違って参るということは、これはやむを得ないことでございまして、どこの国でも、双方の利益が合致する限り、その限度において条約を締結しておる、こういうことでございます。
 条約では、御案内のように、最高限度を定めておりまして、それに基づきまして、国内法的にそれに基づく手当をしておるというのが実情でございますので、一括して、たとえば外国との条約締結に伴う所得税、法人税等の徴収に関する法律というようなものを出すということは、これはなかなかむずかしいのじゃなかろうか、かように考えております。
○柴谷要君 この特例法は、配当に対する税率は何%以下に軽減すると規定しているが、税率が確定していないから必要になるので、インドとの条約ですか、これは税率をぴたりと書いて、特例法をわざわざ設けていないようになっている。そういう規定をするとどういう不都合が生ずるのですか。インドだけは別な扱いをしておるのですが、この点をひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(村山達雄君) これはインドの例がむしろ例外でございますが、私の聞き及ぶところでは、インドのほうでは税率の特例を国内法で求めることが非常に困難である、それで条約でのみできるというような、国内的な税法の従来の建前と申しますか、慣習と申しますか、そういう点が強く主張されて、例外的に条約に規定された、このように聞いているわけです。
○柴谷要君 日本人及び日本法人で海外に進出して、これら租税条約で恩恵を受けている状況等について、御説明をいただきたい。
○政府委員(村山達雄君) これは結局、その条約の内容によって非常に違うわけでございます。現在条約を締結している国は、すでにこの提案している三カ国を除きまして七カ国でございます。それはアメリカ、スエーデン、パキスタン、ノルウェー、デンマーク、インド、シンガポール、これが締結された順序でございますが、今回新たに三カ国を提案いたしておるわけでございます。
 一般的にどういうあれがあるかと申しますと、ごく概括的に申しますと、配当利子あるいはロイアリティ等につきまして、それぞれ協定によりまして、国内法よりも安い税率を使っておるというのが大体共通しております。日本の場合ですと、いずれも二〇ということになっておりますが、これが一〇ないし一五で規定されておる。ですから、受け取る場合においても大体同じことが考えられます。それから船舶、これは国内では関係ございませんが、船舶につきましては、先進国は大体ネット課税でございますので、特に問題はございませんが、後進国は運賃に対して何%、こういうやり方をしておるわけであります。これに対してわれわれは、租税条約ではその点を、それはいかにも両方の経済の交流のために思わしくないということで、交渉いたしまして、グロス課税を認めるにいたしましても、大体半分ないしゼロぐらいに切り下げているということ、こういうことが相互の利益であります。航空機については、今まで聞いたところでは、全部相互免除をやっております。こちらも失うかわりに、向こうも失う。こちらの航空会社も、その負担のみならず、手数が非常に省けるという問題があります。
 それから、一般の事業につきましては、大体先進国相互間では国内法で特例を認めることはいたしません。ただ、その事業所得の範囲というものを明確にいたしまして、それで不当な課税が及ばないように手当をいたしておるということでございます。型といたしましては、もし恒久的施設がある場合には、そこの国で発生したものを全部課税するというアメリカと日本のようなやり方と、それからその事業に帰属するものだけ課税するというたとえば英国とか、この三国もそうでございますが、そういう型とか、いずれにいたしましても、課税範囲を明確にするということでございます。
 それから、通じて申し上げられますことは、先進国、後進国を問わず、課税関係がこの条約の存続期間は安定するということでございます。これ以上の課税――かりに相手国の税法が改正がございまして、一般的にはそれ以上の税率を課税することになりましても、この条約の存続する期間はそれでもって安定するわけでございます。その意味で、企業は相当長期にわたって見通しをもって取引ができるということ。それからなお、心理的な問題として、私現地に参りまして一番感じたのでございますが、これを締結いたしますと、その地の税務当局と日本側の進出している企業あるいは日本人の間で、税務に関しては非常に協力的になる。これがまあ私は心理的には最大のプラスであろうという感じがしております。もちろん、条約でも相互の課税について、あるいは徴収についての相互援助の規定は設けられておりますけれども、この条文に盛られた以上に両方の融和がはかられている。まあこういったことにございます。その程度につきましては、それぞれ経済関係の濃密の関係あるいはその盛られた条約の内容によって違いますが、全般的に申しますれば、ただいま言ったようなことが言い得ると思います。
○柴谷要君 それから、外国税額控除。外国でいろいろ事業をやられていて向こうで税をかけられている、それが日本の税の扱い方からいきますというと、控除されるということになっておるのですが、この状況をちょっとひとつ教えていただけませんか。局長でなくとも、その担当の方で……。
○政府委員(村山達雄君) 昨年度、法人、個人を通じて約六億程度の税額控除をやっております。法人がたしか五億をこえている。で、残りが大体個人である。大体全体の件数で二十六件ぐらいでございます。
○柴谷要君 ドルじゃなくて、円でございますね。国内のことですからね。
○政府委員(村山達雄君) 円でございますね。
○柴谷要君 それでは、次は、申告納税の特例は、条約の規定によって支店を通じて行なわない部分の特例ということですね。――申告納税の特例は条約の規定によっては支店を通じて行なわない部分の特例、こういうふうに思いますが、そういう内容でございましょう。間違いないですね。
○政府委員(村山達雄君) こういうことでございます。支店に帰属しない、たとえば日本でございますと、日本に支店のあるたとえば英国の法人が、支店でもって受け取らないで、本店が受け取る配当あるいは利子について、申告納税の特例をこの規定で設けている。
○柴谷要君 わかりました。そうなると、たとえば支店を通じて投資を行なっている場合はどうなるのです。支店が投資を行なっている場合には、支店が配当を受けている。これはこの特例法とはどういう関係になりますか。
○政府委員(村山達雄君) こういうことでございます。日本の国内法は、ここにもし恒久的施設、つまり支店があれば、日本の所得税法、法人税法では、かりに本店が受け取っておっても、全部法人の場合は法人税の三八%がかかるわけでございます。これに対しまして、今度特例法で、条約できめておりますのは、そういうときに、もしそれが本店のものであれば、その点はこの条約で、この日本の国内法にもかかわらず一〇で課税してよろしい、こういう規定の仕方をしているわけです。ここでさらにその申告の場合に、もう一つ、一段と書いてございますのは、ネットでもって――しかし、それは国内法でもって総合する場合を別に排除しているわけではございませんので、国内法の支店でもってそれを申告した場合にネットで課税するわけです。配当にもし利子負担があればそれを引きまして、ネットでもってもし五%以上に下がるということであれば、グロス一〇%取っているわけですから条約では。ところが、ネットに直した場合に、それが一〇%より下がるということであれば、条約については内国民待遇を規定してありますから、内国民待遇条項によりまして一〇%以下になることを妨げないと、 こういうことを言っているわけでございます。
○柴谷要君 各特例法の、オーストリア、イギリス、 ニュー・ジーランド、三国の経済交流の現況についてひとつお知らせをいただきたいと思います。
○政府委員(村山達雄君) 貿易、船舶、航空機、外資導入、海外投資、事業活動、そういった観点から申しますと、まず日本からの輸出でございます。これは一九六一年をとっております。これはいずれもドルでございますが、イギリスが一億七百万ドル、英国に対しまして。それからオーストリアに対しましては四百八十万ドル、ニュー・ジーランドに対しましては二千五百万ドル程度でございます。相手国から日本への輸入が、英国の場合一億四千万ドル。オーストリアが三百五十万ドル、ニュー・ジーランド四千四百十万ドル程度でございます。
 それから、船舶でございます。これは日本へ参っております定期だけしかわかりませんが、日本へ向こうから参っておりますのは、イギリスからは八十四隻。それから相手国へ、日本から英国へ行っているのは千二百九十便。それからオーストリアは、どうもこの統計では両方ともない。ニュー・ジーランドは、向こうから来ているものはございませんが、相手国に行っているのは六十便ございます。航空機、これも便数で申しますと、英国から日本に来ている便が六百三十四便、日本から英国は百四便、オーストリア、ニュー・ジーランドは今のところなし。
 外資導入状況でございますが、これは株式投資で経営参加のものを出しているわけでございますが、英国から日本に参っておりますのが三十四件、八百二十万ドル。それから、同じく英国から借り入れている金でございますが、件数で四件、金額で五千万ドル。それから技術援助契約、これは受けるほうが六十件ございます。オーストリア、ニュー・ジーランドについては、オーストリアから技術援助契約五件ばかりございます。
 それから、海外投資、こちらから向こうに出している分でございますが、証券取得が五件、英国でございます、二十七万三千ドル。オーストリア、ニュー・ジーランドは、 ニュー・ジーランドがございます。こちらが二十三万六千ドル出しております。証券取得でございます。それから貸付でございますが、これはいずれもないようでございます。それから技術援助契約、こちらからやっているのは英国に対して一件でございます。
 それから、現地法人数がどれくらいあるか。これは、こちらから向こうに参って現地法人を立てておるものでございますが、英国に五件、それかニュー・ジーランド三件、オーストリアは今のところありません。それから、支店は英国二十四件、その他なし。それから、駐在員事務所、英国四十四カ所、それからニュー・ジーランド五カ所。在日外国人、これは向こうから参っておる人間の数でございますが、英国が二千四十二人、オーストリアは九十七人、ニュー・ジーランド七十四人と、大体以上のような経済交流の状況でございます。
○柴谷要君 オーストリアには日本から技術援助は入れていないのですね。これはありませんね。
○政府委員(村山達雄君) オーストリアではございません。
○柴谷要君 それから、英国のほうの、技術援助は一件だけでございますか。
○政府委員(村山達雄君) イギリスの場合、イギリスに対して今の一件であります。
○柴谷要君 いずれも今聞いたのは租税条約を締結したところの国のことを聞いたわけですが、そのほかに無条約国というのがございますね。この無条約国との経済交流の最近の状況をひとつお聞かせいただきたいと思います。たとえば、中共なりソ連と、近くはそういう国がありますが、これは無条約国でしょう。こういうところの経済の現況をちょっとひとつ。
○政府委員(村山達雄君) 今手元にございません。全体の貿易統計とか、そういうものはございますが、無条約国に対してどうなっているかというところはまだ見ておりません。
 それから、もう一つ申し上げておきますと、まあ、われわれ条約を結べる国につきましては逐次拡大していくことは必要だと思っておりまして、今後計画している国が今幾らかあるわけでございます。向こうもその気になり、こちらも大体その気になっている。それからまた、割と日本と経済交流の濃いところをだんだん見ていくわけであります。そういうところにつきましては、いろいろな関係を調べております。今一般に無条約国とどういう関係になるという点は、従来もあまり調べておりませんし、まあ調べて出します。これから調べなければいかぬと思います。
○柴谷要君 日本の経済の面から考えても、また国際交流の面から考えても、条約締結国が多くなることが望ましいと思うのですが、最近特に貿易が活発になりつつある中共とかソ連の問題について、租税条約といいますか、こういうものが大体いつごろになったら締結できるような見通しになるのか、ひとつ見解を聞かしておいていただきたいと思います。なかなか困難な問題と思いますけれども。これは政務次官がいいじゃないですか。
○政府委員(村山達雄君) これは、おそらく、今まで租税条約を結んでおりますのは、大体そこが国交が開かれて、しかも原則としましては通商航海条約が先行しておる、あるいは通商航海条約がもう結ばれる機運にあるというところで、租税条約を結ぶということでなければ、相手もその気にはなりませんし、だから、言ってみてもむだなことだろうと思うわけでございまして、われわれはその機運を見まして、できるだけ早い機会に結んでいくことでございます。したがいまして、ただいまあげられたような国についていつやれるかということについては、全く見通しが立たない状況でございます。
○柴谷要君 オーストリアの租税条約は、昭和三十六年十二月に政府が交渉して妥結をしているということになっているのですが、何ゆえ今日までこのような措置がされなかったのか、この理由についてお聞かせを願いたいと思います。
○説明員(須之部量三君) 御指摘のとおり、できますれば昨年国会で御承認を得たいと思ったのでございますが、諸般の事情から延び延びになりまして、ことしの国会に御承認をお願いしたわけでございます。一方、オーストラリアのほうは、昨年の二月に国会手続を済ませまして、いつでも批准できる態勢になっておりますので、今回御承認を得ましたので、近い将来なるべく早急に批准書の交換をいたしたいと思っておるわけであります。
○柴谷要君 次は、連合王国という名称ですね、たいへんどうも実は不敏ながら勉強不足で、これは一体通常われわれが考えているような国名で言えないものかどうか。
○説明員(須之部量三君) もちろん、英国という言葉が通常は使われておるわけでありますが、厳密に申し上げますと、元来いわゆる英国の島それ自体がイングランド、ウェールズ、スコットランドの三つに分かれておったわけであります。歴史的に申しまして、イングランド、ウェールズが元来一つになっておったのでございますが、その後イングランドとスコットランドが、昔あった王家が一つになりまして、そのときにグレート・ブリテンということになったわけであります。その後、北アイルランドの北部が英国のほうにいろいろな理由で分かれてつくことになりまして、それがくっつきましてユナイテッド・イングランド、連合王国ということになったわけであります。したがいまして、英国の発展の過程がここに出ておるわけでありますが、グレート・ブリテンと北アイルランドが一緒になって連合王国になったということで、正式の名称は連合王国という言葉を使っておるわけであります。
○柴谷要君 租税条約における連合王国が国際関係に責任を有する地域に対して拡張適用することができるとしている。これはちょっと僕らにはよくわかりませんけれども、ちょっと説明していただけませんか。
○説明員(須之部量三君) これは英国の場合、海外に植民地を多数持っておりますし、最初はまあ英本国という言葉を使いますと、英本国と日本の間で適用するわけでございますが、その海外の植民地におきまして実質的に同様な性質を有する租税を有する地域、その地域との間では、日本との間にやはり二重課税の取り扱いをするのが双方に便宜であるというような場合には適用できるということでございまして、英国の結んでおります他の条約、たとえば通商航海条約なりあるいは二重課税防止条約なり、いずれも同様の内容を持っておるわけでございます。現に、今まで調べました先例でも、たとえば英国とスエーデンとの間の二重課税条約を植民地に適用する、あるいはデンマークと英国との間の二重課税条約を植民地に適用するというような例はいろいろあるわけでございます。それで、この国際関係について責任を有する地域というのは具体的に何かということになりますと、狭い意味というか、厳密な意味での植民地と、それからローデシア、ニアサランド連邦及び英国の保護領、この三つが含まれるということになるわけであります。
○柴谷要君 たいへん恐縮でございますが、昭和三十六年度源泉所得税の課税状況、これは三十七年度はまだはっきり出ておりませんね、これをひとつ利益配当、余剰金の分配及び利息の配当から、事業の用に供する機械等の貸付に対する所得という欄まで、幾つあるかな、十項目ありますが、その十項目の対象人員と源泉徴収額の内訳をちょっとひとつ教えてくれませんか。そちらの数字とこちらの数字とぴったり合わしておきたいと思うのです。
○政府委員(村山達雄君) これは外国人に対する源泉徴収のお話だと承っておりますが、配当、利子、それからロイアリティ、給与、この中には恩給のようなものを含みます。それから資産の貸付、これだけに分けて申し上げますと、三十六年度税額でございますが、配当が二億八千万円、それから利子が三億七百万円、ロイアリティが六十億二千四百万円、この中にはいわゆる現物出資による譲渡所得に対する税金を含んでおります。それから給与が二億七千五百万円、資産の貸付による所得に対するものが三千八百万円、合計いたしまして六十八億五千万円でございます。
○柴谷要君 終わりました。
○鈴木市藏君 今の柴谷委員の質問にちょっと関連しますが、主税局長が先ほど答えておったのだけれども、つまり具体的に国名をあげて、ソ連といたします。日本の商社の駐在員というものが向こうに行って、具体的に仕事などやっている場合の租税その他の関係は今どういうような形になっておるのか、これをちょっとお聞かせ願いたいのです。
○政府委員(村山達雄君) 向こうの税制はなかなかわからないのですが、われわれの耳にしている限り、課税されて問題を起こしたということを聞いておりません。
○鈴木市藏君 現状はまだ、これに関する限りは未条約なんですが、これをどうして、そういう現に国交も回復し、貿易を行なっておるにもかかわらず、こういう国との間に総合的な内容を持った条約を行なうように積極的に働きかけないのですか。この辺のところはどういう事情からきているのですか。
○政府委員(村山達雄君) これは先ほど申しましたように、租税条約の締結というのは、やはりその相互の国が相当国際的環境が緊密になりまして、少なくとも正常の国交を開くとか、あるいは通商航海条約というようなものが結ばれませんと、どちらもその機運が乗ってこないというのが実情であります。それから、ソ連の税制はよくわかりませんが、われわれ耳にするところによりますと、あそこには所得に対する課税というふうな租税制度がないのじゃないか。ですから、そういう二重課税防止のような問題も当然必要ないのだ。間接税あるいは売り上げ代金の中に含んでおるものについて、われわれは結んでおりません。これはその国国でどういうものに対してそういう税目を認めるか、あるいは税の形でなくて、幾らで売るかという問題でございまして、本来、租税特別条約の対象にならない部類だろうと思うのです。そうだといたしますと、ソ連についてかりにありましても、むしろ、向こうの租税体系が私の想像するようなものであるとすると、その必要がないのじゃなかろうか、あるいは非常に少ないのじゃなかろうか、こういうふうに想像されます。
○委員長(佐野廣君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(佐野廣君) 速記を起こして。
 他に御発言もないようでございますから、三案の質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより三案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) それでは、これより採決に入ります。所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とニュー・ジーランドとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、以上、三案を一括問題に供します。これら三案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(佐野廣君) 多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、諸般の手続等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 それでは、本日はこれをもって散会いたします。
   午後三時二分散会