第043回国会 逓信委員会 第20号
昭和三十八年三月二十九日(金曜日)
   午後一時三十分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 三月二十九日
  辞任      補欠選任
   野田 俊作君  徳永 正利君
   白木義一郎君  中尾 辰義君
   赤松 常子君  田上 松衞君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤 顕道君
   理事
           鈴木 恭一君
           寺尾  豊君
           松平 勇雄君
           光村 甚助君
   委員
           植竹 春彦君
           郡  祐一君
           迫水 久常君
           白井  勇君
           新谷寅三郎君
           徳永 正利君
           最上 英子君
           谷村 貞治君
           鈴木  強君
           野上  元君
           横川 正市君
           中尾 辰義君
           田上 松衞君
           須藤 五郎君
  国務大臣
   郵 政 大 臣 小沢久太郎君
  政府委員
   郵政政務次官  保岡 武久君
   郵政大臣官房長 武田  功君
   郵政省電波監理
   局長      西崎 太郎君
   運輸省海運局長 辻  章男君
   運輸省船員局長 若狹 得治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       倉沢 岩雄君
  説明員
   海上保安庁次長 山崎  城君
   気象庁総務部長 伊東 道郎君
   運輸省船員局船
   舶職員課長   鎌瀬 正巳君
   運輸省船員局船
   舶職員課課長補
   佐       中沢 宣道君
   日本電信電話公
   社運用局長   山下  武君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○電波法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
○委員長(伊藤顕道君) ただいまから逓信委員会を開会します。
 初めに、委員の異動について御報告いたします。
 本日、赤松常子君が委員を辞任せられましたので、その補欠に田上松衞君が選任せられました。
○委員長(伊藤顕道君) 電波法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言願います。
○鈴木強君 船員局長が他の委員会の関係でお急ぎのようですから、先に局長に対する御質問を申し上げます。
 今の船舶職員法によって定められている通信士の定員は、何名になっておりますか。
○政府委員(若狹得治君) 現行法におきましては、客船、漁船その他詳細な規定はございますけれども、概括して申しますと、五千五百トン以上の貨物船、これはまあ数は一番多いわけでございますけれども、これが三名の乗組定員でございます。これは、電波法によりまして第一種局と規定されておりますので、二十四時間の聴守が運用できますように三名の定員をきめておるわけでございます。それから千六百トン以上五千五百トン未満の船舶は、電波法では、第二種局と、こうございますので、定員は二名といたしております。千六百トン以下の国際航海に従事する船舶、五百トン以上の船舶につきましては、定員は一名、電波法上の第二種局乙ということになっております。
○鈴木強君 それを合わして、一級無線通信士、二級無線通信士に分けて、何名になりますか。
○政府委員(若狹得治君) 通信士の内訳でございますけれども、現在、甲種、乙種及び丙種、つまり一種、二種、三種の通信士がおりまして、大体総数は七千名ないし八千名という状態でございますけれども、このうち商船関係に乗り組んでおります一級通信士は、現在約千九百名でございます。それから、二級通信士は、約千三百名でございます。
○鈴木強君 それは今一種、二種甲、二種乙のそれぞれのトン数によって船別がきまっております。それから乗組員もきまっております。そういう基準によって計算した場合、定員法上の定員は何名おるかという質問ですけれども、そうすると、一級通信士ですね、あなたのほうでいうならば。その人が千九百名で二級通信士が千三百名の定員だ、こういうことですか。
○政府委員(若狹得治君) 商船関係の定員といたしましては、一級通信士の定員が現在千二名でございます。これは三十八年の一月一日現在の船舶を対象にいたしましての定員数でございますが、一級通信士の定員は千二名でございます。それから二級通信士は千八百七十九名でございます。これ以外に、漁船関係が、一級、二級合わせまして約九十名程度の定員があるわけでございます。
○鈴木強君 その定員に対して、実際に現在一級無線通信士は何名か、二級無線通信士は何名か、それをちょっと教えていただきたい。
○政府委員(若狹得治君) 先ほど申し上げましたように、実員数は、一級通信士が千九百名、これに対して法定定員は千二百名、それから二級通信士は千三百名、これに対しまして法定定員は千人百七十九名ということでございますので、一級通信士は、定員数よりも実員数のほうが約九百名オーバーしておるという状況でございますし、二級通信士のほうは、逆に約六百名不足しておるというような状態になっておるわけでございます。
○鈴木強君 一級通信士が千二名に対して千九百名の実在員であるということ、それから二級通信士については、千人百七十九名の定員に対して千三百名ほどしかおらぬということですね。それは一体どういうところにこういう定員と実在員との差が生じている理由があるのですか。
○政府委員(若狹得治君) これは、船舶に乗り組んで二級通信士として業務に従事している間に、一級通信士の試験を通ってその資格を取得した方もあるでしょうけれども、あるいは一級通信士として最初からお勤めになっておりましても、通信長にならないという方もあるだろうと考えられますけれども、いずれにいたしましても、実員数のほうがはるかに上回っておるわけであります。ただ問題は、これ以外に予備員というものが必要でございまして、有給休暇の補充とか、あるいは病気の場合もございますし、それから乗船の待機というようなものもございますので、通常の船舶の乗組員数というものは、大体において法定の定員の二五%程度の予備員を持っているというのが常識でございますので、通信士につきましては、現在非常な逼迫の状況でございますので、予備員率というものは非常に低下いたしておりますけれども、これ以外に予備員というものはあるわけでございます。したがいまして、実員数のほうが法定定員より上回っておるのは当然でございますけれども、多少現在の甲種通信士につきましては、その予備率を上回って多数の人が現在いるというような状況でございます。したがって、甲種の第一級の通信士が、実際は第二級の通信士の仕事をしておいでになるというような実情ではないかと思います。
○鈴木強君 この予備員はどのくらいおられますか。
○政府委員(若狹得治君) 先ほど申しました法定定員と実員数の差が、すなわち予備員でございまして、現在約三百名程度の方が予備員というふうに推定されるわけであります。
○鈴木強君 わかりました。二級通信士が国家試験を受けて一級通信士になっていて、実際には、電波法上一級通信士でなくてもいいところにも一級通信士を置いてある。これはもう私はけっこうなことだと思うのです。技術が優秀な人がおるわけですから、非常にそれはいいことだと思います。そこで、今回この法律改正をやりますと、実際に乗組員数も全然変わってくる、それからトン数による各船種の区分けも変わってくるわけですが、一体、今回の改正によって、職員定員法上の定員がどういうふうになりますか、これはおわかりでございましょうか。
○政府委員(若狹得治君) 御承知のように、法律案の内容といたしまして、二級の通信士が、この法施行に伴いまして、現在の半数になるわけでございます。第二種甲に現在の第一種局がかわるということになりますれば、一級の通信士の数は従来と変わりませんけれども、二級の通信士のほうが半数になるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたような千八百名余りの二級通信士の定員というものは、法律施行に伴いまして、その半数の約九百名ということになって参るわけでございます。したがいまして、その点から見まして、先ほど二級通信士の実数を千三百名と申し上げましたが、その差は余ってくる状態になるわけでございます。と同時に、一級通信士のほうも、現在すでに約九百名余剰でございますので、これは明年度の新造船というものを当然予定しておかなければならないわけでございまして、そういう事情がございますし、さらに減耗補充の問題があるわけでございます。その減耗補充をどの程度に見積もるかということは、需給計画の作成上、非常に大きなアイテムでございますけれども、最近の情勢を見て参りますと、昨年度は一〇・五%程度の減耗の率になっております。これは、海上労働の実態というものが必ずしも時代の進展にマッチしていない。たとえば待遇条件が必ずしもよくないというような問題もあるかと思いますし、また、現在の法律改正の問題が現場に影響しているというような問題もあるかと存じますけれども、逐年減耗率というものはふえておるような状況でございます。したがいまして、われわれとしましては、大体一〇%ないし八%程度というようなところでいろいろ検討はいたしておるわけでございますけれども、一〇%程度というふうに算定いたしまして、来年度の新造船を入れて考えてみますと、三十八年度におきましては、甲種一級通信士におきまして、約四百名の過剰になってくる、これは、本年度は九百名でございますけれども、減耗の率とそれから新造船というものを考えまして約四百名の過剰になってくる、それから二級通信士につきましては、千三百名の実数がございまして、法定定員は九百名になりますけれども、減耗補充と新造船の関係がございますので、むしろ二十名程度不足してくるのではないかというような状況になるだろうと考えておるわけでございます。したがいまして、第一級及び第二級を合わせまして、年間としては、約四百名程度の過剰の人員が出て参るという見通しでございます。それから三十九年度に参りますと、これも新造船とそれから減耗補充ということがございますので、甲種におきましては約二百名程度の過剰、乙種はかえって二百名程度不足になってくるというような数字になってくるわけでございます。これにつきましていろんな前提があるわけでございますけれども、現在海運の労使間におきまして、新規採用の禁止という協定があるわけでございます。過剰職種については、労使間において、個別的に協議しなければ新規採用しないという協定をいたしておりますので、通常約六十名程度、電波高校からの新規採用が例年あったわけでございますけれども、この算定には、そういうものは入れておらないというような条件がございますけれども、大体三十九年度におきましては、もうすでに需給の関係は均衡がとれてくる、それ以後はだんだん足りなくなるという数字的な見通しを持っておるわけでございます。
○鈴木強君 予備員を含めてのお話でございましょうね、今の御説明は。
○政府委員(若狹得治君) さようでございます。予備員というものを大体二割五分程度見ているわけでございます。これは一般の職種については二割五分の予備員を持っているわけでございますが、先ほど、需給関係から船舶通信士の予備員率というものは、非常に低いと申し上げましたけれども、先ほどの数字から御説明いたしましたように、現在法定定員を上回って海運会社にいる者は約三百名程度でございます。甲乙合わせまして計算いたしまして三百名程度。したがいまして、現在の定員数というのは約二千九百名でございますから、通常の予備員率から申しますと、約八百名程度の予備員が必要なわけでございます。それが約一〇%に下がっているということは、この中には有給休暇の人間もございますし、病気療養中の者もございますので、この人間のやりくりという点については、非常に窮屈になっているということが言えるのではないかと思います。この程度のことでは、とうてい円滑な船員の配乗というものはできませんから、今後の需給の見通しとしては、二五%の他の職種と同じような予備員率を見込んで計算いたしているわけであります。
○鈴木強君 現在、電波高校は、仙台電波高校それから詫間電波高校、熊本電波高校、それに国立の電気通信大学、それから電波高校が一つございますが、ここで無線通信士の養成をやられているのでございますが、今のお話を聞きますと、昭和三十九年度になると、大体とんとんになっていくというお話です。そうしますと、それに対応する通信士の確保ということは、相当重要な問題になってくると思うのですけれども、これに対してはどういうお考えでございますか。
○政府委員(若狹得治君) 先ほど御説明いたしましたように、三十八年、三十九年は、通信士が過剰の状態でございまして、労使間の労働協約によりまして、新規採用しないということになっておりますけれども、実際われわれの計算というのは単純な算術計算でございまして、実情は、法律改正になりましても、この配乗がえということは、直ちに簡単にできるものではございません。時期的なズレというものは当然考えていかなければならぬ。それから見習いを乗せるという場合も当然考えなければなりませんが、そういう面はなかなか数字にあがってこないわけでございます。したがいまして、一応数字的には非常な過剰状態のようでございますけれども、実際の措置といたしましては、ある程度の新規採用を続けながら、この過剰状態を処理していくということを行なわざるを得ないだろうと思います。したがいまして、電波高校の卒業生につきましても、ここ数年間全然新規採用しないでいくというようなことは考えられませんので、従来程度の新規採用を続けながらも、この配置転換を円滑にやっていこうということをお願いしなければならない。と同時に、従来約六十名程度しか海運界には来ていただけなかったわけでございますけれども、今後の需給を見てみますと、四十年以降はやはり相当の不足が出て参りますので、これの養成ということはぜひとも強力にやっていただくように、文部省とも連絡をしていかなければならないと考えているわけでございます。
○鈴木強君 なかなか需給の調整がとれてないということは、やはりあなたも言われたように、船舶職員というのは、特に海上に乗り出して仕事をする困難な仕事ですから、相当に疲労も加わるでしょうし、そういうものと同時に、もう一つは、待遇ということも――私はどういうふうになっているか知りませんけれども、そういったような諸般の情勢と、今電波法が改正になろうとする前夜でありますから、こうして非常に慎重な態度をとっているということも事実だと思うんですね。したがって、そういう通信士に与えている心理的な影響をどういうふうにして排除し、その動揺を押えつつ正常な運航をはかるように持っていくか、これが非常に問題になってくると思う。で、具体的には賃金等については、これは労働組合もあるようですから、経営者との間に、それぞれ要求もあり交渉も進められていると思いますけれども、監督をする運輸省として、それらの具体的に起きてきつつある現象に対して、何か特別な手は打っておられるのでございましょうか。
○政府委員(若狹得治君) 通信士の不足の問題は、一昨年非常に急激に現われて参ったわけでございます。この補充ということにつきましては、何分法律上に定められた定員でございますので、一名欠員ができても船が出港できないような状態でございます。したがいまして、船会社は懸命にこの補充について今日まで努力してきたわけでございます。しかし、待遇の改善というような問題につきましてはなかなか、海運界の実情から見まして、これが実現できないというような情勢でございます。ただ現在の法律によりまして、通信長及び二等通信士、三等通信士というような階層に分かれた給与が現在できておりますけれども、今後定数の改正によりまして、同時に待遇の改善も行なわれていくとわれわれは考えているわけでございます。と同時に、こういう通信士の将来を左右するような法律改正の問題について、早くめどがつきますれば、職場も安定してくると、また今後の方針も立ってくるということで、海上に出てこられる方もふえてくるんじゃないかとわれわれは考えておるわけでございます。
○委員長(伊藤顕道君) ちょっと速記をやめて下さい。
  〔速記中止〕
○委員長(伊藤顕道君) 速記起こして下さい。
  ―――――――――――――
○委員長(伊藤顕道君) この際、委員の異動について御報告します。
 本日白木義一郎君が委員を辞任せられまして、その補欠に中尾辰義君が選任されました。
  ―――――――――――――
○鈴木強君 これは電波監理局のほうにも関係あると思うのですけれども、国際通信条約の無線通信規則の付録十二号というのがありますね。きのう電波監理局長からお答えいただいた、世界を六つの地域に分けてあらかじめ定められた時間に通信をやるようになっている、そのうち特に日本の場合は、Cに該当するということを聞いたのですがね。そこで、たとえば今度の場合は、一万トンあるいは二万トン級のタンカー船であっても、二種の乙になるわけですね。そういう関係から私はひとつ聞いておきたいのですけれども、たとえばこの割当を見ますと、GMTでなく日本の時間に換算すると、朝九時から十一時まで、十三時から十五時まで、十七時から十九時まで、二十一時から二十三時まで、こういうようになって二十三時から朝の九時までとにかく通信はしない。八時間勤務ですから、これはおそらく裏時間といいますか、二時間やっては休み、二時間やっては休み、こういう、実際には十六時間やるような勤務をやらされるわけですね。そこで今度は、運用規則の第四十二条によると、「船舶局の閉局の制限」というところに、第二項のところに、「一般海岸局を通信の相手方とする船舶局」――これはまあ漁船の船舶局を除くのですが、「一般海岸局を通信の相手方とする船舶局は、その船舶の入港前及び出港後それぞれ三時間以上開局し、自局の所在する通信圏の海岸局との連絡の設定を容易にしなければならない。」、こういうふうに義務規定があるわけですね。そうしますと、かりにこの二種の乙局がAという港を朝の六時に出港するとしますね、六時に出港する。そうすると、通信時間というのは、九時から十一時なんだが、前にもう六時からの三時間というものは、これは開設しなければならぬのだと思うのですね。そうすると、これはもう義務ですからね。しかし、航行中の運用義務時間というものは八時間、これは絶対曲げられない時間ですからね。そうすると、その前の三時間というものは、一体完全に勤務しなければならぬことになるのですが、これはもう超過勤務でやりますというようななまやさしいものではないと思うのですね。これは一体八時間勤務との関係で、船員局長、どういうふうに考えているのですか、この点のあれは。
○政府委員(若狹得治君) 入出港時におきます労働時間の問題は、他の職種についても言えることでございまして、これは船員法に規定がございまして、こういう労働時間については、法律上の制約の中でこれを処理していくということになっておるわけでございます。具体的に申しますと、たとえば甲板部の職員のごときは、入出港のときに見張りの関係がございますけれども、勤務時間割以外にやはり見張りに立たなければならないというような規定もございますし、そういうものと同じ問題でございますので、そういう処理をしていくことになると考えておるわけでございます。もちろん労働時間の問題としては、時間外の問題も出てくると思いますけれども、外航船の大きな船につきましては、入出港の回数というものは非常に少ないわけでございます。内航船の、たとえば旅客船のごとき、非常に入出港回数の多いものについては、労働時間はまた別の規定を持っておるわけでございます。
○鈴木強君 それは内航、外航いずれの場合を問わず、こういう具体的な事実が出てくるでしょう。これは超過勤務で処理すると、こういうことなんですか。
○政府委員(若狹得治君) 労働時間の賃金の問題については、超過勤務の問題として処理する場合が多いだろうと考えておるわけでございます。
○鈴木強君 いや、この通信士の航行八時間の義務運用時間というものがきめられている以上は、あなたが言う八時間労働ということがもし原則であるならば、その労働時間の中で調整するということになると、自然的に超過勤務でやらざるを得ないでしょう。その際に、超過勤務というのは、本人の意思によっておりますね、そういうことと関連して、たとえば今でしたら直やっておって、三名おれば、あるいは二名おれば、ある程度の融通はつぐと思いますね。ところが、この人がたまたま下痢をしちゃってどうにも動けなくなった、そんなときは一体どうするのです、一人だけの人で。
○政府委員(若狹得治君) 超過勤務は、お説のとおり、本人の意思によってこれを行なうわけでございまして、他の者から命令されてこれを行なうということは、常態では考えられないわけでございますけれども、先ほど申しましたように、船員法上の特例がございまして、入出港の場合には、労働時間外の勤務を命ずることができるようになっておるわけでございます。したがいまして、労働時間の問題、超過勤務の問題については問題はございませんけれども、病気になった場合にどうするかという問題でございますが、これはもう全般について言えることでございまして、ただ一人の通信士が病気になって動けなくなった、船は全く外界との通信が途絶してしまうということが当然考えられるわけでございまして、そういう場合の措置といたしましては、できるだけ早く通信士の補充を最寄りの港で行なうということは当然のことでございますけれども、われわれとしては、今後の課題として、少なくともこの経過期間が終わった後の問題として、戦前に行なわれておりました聴守員級の資格をとらせるというような措置を考えなければならないというように思っておるわけでございます。現在でも、商船教育を受けた者はSOSの発信だけはできるというような状態であるわけでございますけれども、はたしてそれだけで十分であるかどうかという点も検討していかなければならないと思います。
○鈴木強君 これは四年間、今度修正になって経過規定がございますからね、すぐ法律が通ってということにはならぬと思うのですけれども、今お話のあったようなことは、やはり一方においては、労働者に対する幾ら義務規定だからといっても、二人おる場合と一人おる場合じゃ、これは全然問題にならないし、特にこれが一たん海洋に出て航行中などに、もし不幸にして病人なんか出た場合、普通のかまを洗うとか、火をたくとかいうようなところは多少やりくりができるとしても、通信だけは余人をもってかえがたいのですね。そこらから連れてくるといって毛連れてくるわけにいかない。しかも、あらしが来たりしても、警報一つ受けるにもやはり通信士でなければできないのだから、そういうことを考えるときに、私は、航行の安全ということからいっても、一名に減らしてしまうということは、かなり問題があるということを、これはあとから、いろいろもっとオート・アラームの問題や海難の問題や、いろいろな点から結びつけてもお聞きしたいと思っているのですが、これ一つ見ても、現状よりかよくなるんじゃなくてやはり悪くなるということは、だれが見たってこの改正案というものは、悪い意味の改正案だということは言えると思う。皆さんも決して自信を持ってこの法律案がいいということは言い切れぬと思う。ですから、職員のほうをあずかる船員局長としては一体どうですか。これは、もともといろいろの問題があって十年近くももめてきたのだが、海員組合という一つの組合があるでしょう。ですから、そういうところと要員の過剰あるいは補充について、具体的なお話を進められると思うのでありますけれども、こういう思い切った改正を――私らから言うと改悪なんだが、やろうという、そういう意図が、どうも私は、航行の安全を確保しようという精神から逸脱しているような気がするのですがね。こういう点は皆さんのほうでは、この改正によって人が減る、しかし一体、従来以上の人命保全や航行の安全ができるという確信はちゃんと持っておられるのでしょうかね。私は持てないと思う。この点どうですか。
○政府委員(若狹得治君) 船舶乗組員の定数合理化という問題は、単に通信士だけの問題ではございませんで、他の職種についても、同じような問題があるわけであります。ただ今御指摘のように、通信士は余人をもってかえるということはできないわけでございまして、甲板部、機関部等の定員の減少という問題とは性質が非常に違うわけでございます。したがいまして、航行の安全という面から見まして、一名になった場合の措置ということは、当然十分考えなければならない問題であると、われわれ考えておりますけれども、現在におきましては、航行警報なり、あるいは気象の状況というものの把握は、必ずしも無線通信員によらないで、いろいろな方法によって、たとえばラジオ等によって十分これを知るということができるわけでございます。法律といたしましては、最低限度を規定するということでございます。その最低限度の考え方という問題になりますと、国際水準というのが一つの原則になってくるのではあるまいか、それ以上の問題は、労使間においていろいろ御検討いただいたらいかがなものであろうかというようにわれわれ考えたわけでございます。また、現実の問題といたしましても、通信士は、船舶の中でいろいろな他の通信部門以外の仕事も行なっているわけでございます。したがいまして、労働問題という面から見ますと、そういう問題も同時に解決しなければ、単なる法律上の減員ができましても、実際上の減員ができないというような問題があるわけであります。しかし、法律の最低限度という面からいいますれば、現在の通信の状況という面から見ましても、一名の仕事量で十分であるというように考えられますし、また、航行安全の措置という面から見ますと、単に通信の問題だけじゃなしに、他の甲板部、機関部の仕事の問題、あるいは航海計器の問題、いろいろな問題に波及して参るわけでございまして、そういう面の進歩ということも、われわれとしては期待いたしておるわけでございます。また、通信自体につきましても、たとえば自動受信機の装備なり、あるいは気象のファックスの装備というようなことによって、その労務を減少していくということを考えておるわけでございます。
○鈴木強君 まあ、どういうふうに御説明いただいても、私は、現在のこの電波法に基づく基準によって配置されている職員の数が必ずしも適正であるかどうかということは、これは論議があるとしても、しかし、現実にこの規定によって配置されている職員がおりましても、なおかつ、海難等の事件は、全世界の海難事件の三分の一が日本の船舶によって起こされている。こういう事実や、あるいは今、まあラジオやなんかで聞けるとおっしゃるけれども、これはNHKの標準放送は、空中電力百キロ、これは今、川口でやっているのですけれども、この無線設備を使って昼間半径五百キロ。ですから、銚子から四百キロメートルというと、どの辺まで行くのですか私わかりませんが、その程度の所はカバーできる。しかし、これはもう外航になると、NHKの放送を聞いてやるというようなことはなかなかむずかしい。それから今お話しになったオート・アラームについても、私はあとから申し上げますけれども、このオート・アラームがまたいろいろとむずかしい点があるのです。国際放送ですと大体全海域をカバーしますけれども、これは気象通報なんというものはそう簡単に国際放送やっていないから、結局たよるとすれば、NHKの標準放送、テレビは、これはもう銚子沖では見えぬのですから、大体半径九十キロメートルぐらいしかカバーできない。そういうわけですから、まあ何と御説明いただいても、現状よりも悪くなることはこれは間違いない。だから、あなたが言われたような――私は、最悪のことを、極端なことを言うようかもしれぬけれども、これはやはり極端なことを考えてしておかぬと、極端なときに間に合わない。ですから、私はこういろ意味で、腹が痛くなったとか、下痢したとかということを申し上げましたけれども、そういうときに一体航行の安全を何によって確保するかと、そういうことを考えるときに、どうもこの改正には私は賛成できない。そういう立場をこれだけでも持つのです。
 それから今度この基準が変わって参りまして、第一種局になっております現在の局が、まあこれはタンカーでもそうでしょうけれども、たとえば七万トンあっても今度は二種局の乙になってしまっておる。そういうことになりますと、通信士の資格要件一つ見ても、一種局の場合は、十五年以内に船舶に乗り込んだこととか、あるいは四年以上一級通信士として勤務しなければ通信長にもなれない、こういう今規定があるのです。ところが、今度は変わりますと、第二種乙について、一級通信士で十五年以内に船舶または海岸局に勤務したこと、しかも、一年以上一級通信士または二級通信士として経験があればなれるということで、たいへん私は基準は落ちている〜思うのです。二級通信士の場合でもそうです。十五年以内に船舶あるいは一年以上二級通信として勤務した場合でなければならない。しかも、三名おった者が今度は一名になって、一体、七万トンのタンカー、あるいは非旅客船が相当大きなトン数のものが、がたっと一級から二級に――一種から二種の乙に落ちてしまって、実際今あなたが言われたような諸般の海上における通信というものが十分できるかどうか、非常に私は疑問を持つんです。こういう点は、船員局長としてどうお考えでございましょうか、あなたの領域であったらお答え願いたい。
○政府委員(若狹得治君) 御指摘のように、船舶は年ごとに大型化して参りまして、現在ではすでに十三万重量トンの船舶が就航しておるような状況でございます。ただ、通信量から申しますれば、今そう多くないわけでございまして、乗組員の数にいたしましても、現在の十三万重量トンで約五十名足らずの人員をもってこれを動かしておるわけでございます。したがいまして、通信量というものは、他の船舶と全く変わりはないわけでございまして、仕事量自体としては、十分これで処理できると考えております。ただ、船舶自体が非常に大きな財産でございますので、これを保護する、守るという意味で、船主が法律以上に人員を配置いたしまして、万全を期するということは当然考えられることでございますけれども、これは法律問題とは別個の問題であるとわれわれ考えております。
○鈴木強君 それから、きのう海上保安庁の次長さんでしたかね、山崎さん。きょう来ていらっしゃいますか――海上保安庁は、オート・アラームとの関係は、私がきのう公海上においてリレーする場合のことをお話ししたら、その場合には確かに考えなければならぬし、関係がある、こう言われた。ところが、一般の場合は、オート・アラームについては関係ないとおっしゃったんですが、そのとおりですか。
○説明員(山崎城君) 私が前回に申し上げましたように、日本周辺における海難の発生に対しまして、十分私どもとして体制を整えておりますので、おおむね千マイル程度以内の問題でありますならば、当庁の巡視船ができる限り救助態勢の万全を期することができる、こういうことになっておりますので、その範囲のことでありまするならば、問題はない、こういうことでございまして、当庁の所管という点から考えまして、問題ない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○鈴木強君 ちょっときのうの御答弁で、私記録をわからなくしてしまったんですが、三十七年度二千八百六十隻の遭難した船があったということを聞きましたが、そのうち海上保安庁が自力によって、他に応援を求めずに海上保安庁独自の力で救援したというのは、幾らぐらいでございましたか。
○説明員(山崎城君) 海上保安庁が独自で救助いたしましたのは七百五十三隻でございます。それから海上保安庁とその他のものとの協力によりまして救助いたしましたものが三百六十三隻ということになっております。もっともこの隻数には、台風その他異常気象による海難を除いております。
○鈴木強君 そこで、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、海上保安庁の船は八十八隻と言いましたですか。
○説明員(山崎城君) 巡視船と称せられるものが八十八隻でございます。ほかに巡視艇というのがございます。
○鈴木強君 そうしますと、お話のように、七百五十二隻は、あなたのほうで直接船からSOSその他連絡を受けて直接に救助しているんですけれども、三百六十三隻というものは、他の船の協力を得て救援している、こういうことになりますね。そこで、他の応援を得た三百六十三隻の船については、やはりそれぞれの交互の連絡をとっておやりになっておると思うんですね。一たん海上保安庁がキャッチしても、そのキャッチしたことを近辺を走っている船に連絡してやるとか、そういう連絡をとってやると思う。そこで、私は伺いたいんですけれども、無線局運用規則の第七十三条によりますと、警急信号を出せる場合は、「遭難呼出し又は遭難通報」、二つ目が、「乗客又は乗組員が船外へ転落した場合において、他の船舶に救助を求めるための緊急呼出し」、この二つの場合のほか警急信号というのは出せないのですね。御承知のとおり、オート・アラームというのは、警急信号を出して、そしてそのあとにSOSを出してその遭難の状況を知らせる。ツーというのと、トンというのと、ツーというのと、トンというのと、四秒・一秒、四秒・一秒と一分間やるわけですね。今のオート・アラームですと、四回ないし五回目にいったら鳴るというので、いずれにせよ、そういうオート・アラームの操作というのは、警急信号の信号を出す場合にのみ操作する。そうしてみると、やはり法律によって定められている遭難通信はいいのですけれども、緊急通信、安全通信、非常通信、こういったようなふうな場合は、一体このオート・アラームが動かせない。今までのように船舶に二人ないし三人乗っておって、絶えずオール・タイムにキャッチすれば、いつ何どきでも、そういうSOSが出てもわかるけれども、二時間勤務で二時間休む、また二時間勤務して休む、十二時になったら朝の九時まで人がいない。一体そういうときに海難の通報を受けるのはオート・アラームしかないですよ。これは船員局長も聞いておいていただきたいですね。そういうわけで海上における一体緊急通信とか安全通信を送る場合には、かなり緊急な事態ですよ。そういう場合に、オート・アラームが動かないというようになったら、やはり問題じゃないですか。海上保安庁のほうでも、今度はそういうことによってあなたのほうでいろいろ連絡しようとする場合にでも、向こうから連絡がくる場合でも、今申し上げたような遭難呼び出し、遭難通報が、これはいいですけれども、そのほかの緊急、安全というような場合には、用を足さないんじゃないですか。そういう面からいって、私は、オート・アラームというものに依存をしていくということは、非常に問題があるし、オート・アラームによってあなたのほうの影響がなくなるという関係が、たいして差しさわりがないんだということは当たらないですよ。それは、そういう場合に対する措置はどう考えているのですか。
○説明員(山崎城君) 海上保安庁といたしましては、海難救助をいたす現場機関でございますので、いろいろな場合が現実に発生すると思いますが、そういったあらゆる場合に、できるだけ万全の措置を講ずる、こういうことを念願いたしておるわけでございまして、今申されましたような具体的な問題につきまして、今、私どものところにおきまして具体的な検討はまだいたしておりません。
○鈴木強君 具体的な検討はしておりません、それはしていないからオート・アラームとは関係がないと言う。千キロかの間については、オート・アラームなんというのはつけてもつけなくても影響がないということになると思うのですけれども、具体的にはこういう問題が出てくるのですよ。オート・アラームをつけて、定員を減らすために、そのことによってあなたのほうの仕事はだいぶやりにくいです。それからまた、実際に救助できることもできないという事態が起きてくる。これはあなた、海上保安の責任を持つ保安庁として重大問題じゃないですか。それらのことを、こういう電波法の改正によって、あなたのほうの仕事上一分を争って救助に出動しなければならない、かかる場合、通信をやる場合でも受ける場合でも、オート・アラームによって実際にはできない時間が出て来るのです。そのために、助かる人も助からない。向こうに双眼鏡で船が見えるけれども、通信連絡ができないということがある。これは困ったことですね。検討していないというけれども、具体的にこういう事実を次長はどう思うのですか。
○説明員(山崎城君) そのような場合には、できるだけ当庁の全能力を活用いたしまして事に対処いたしたい、こういうふうに考えております。
○鈴木強君 そんなことはあなた当然ですよ。そういうために国の機関として作ってあるんですからね。当然のことなんだけれども、それができないじゃないですか。実際やろうと思ってもできないじゃないか。情報をとれない、情報を送れないじゃないですか。そういう事態が起きてきて、こういうオート・アラームをつけるために、そういう結果を招来するんじゃないですか。それをどういうふうに克服するかということを聞いているんです。今までは頼むぞといって連絡すれば、人がいるから、いつもウォッチしているのだから、警急信号も何も要らない。SOSを聞いたらすぐ緊急出動してきますよ。ところが、それが人がいなくなったら、できないじゃないですか。オート・アラームをつけるために、人を減らしたら連絡のしょうがないでしょう。三百六十三隻というのは、あなた方独自でやったんじゃないんですから、いずれにしても、だれかに救助を得ているんです。そういう救助が得られなくなるんじゃないですか。他に連絡がとれなくなるんじゃないですか。
○政府委員(若狹得治君) 海上保安庁で海難救助に当たっておられる範囲というものは、先ほどから御説明がありましたように、大体日本周辺の非常に狭い地域でございますが、この間における遭難の場合におきましては、当然警急信号を発信して遭難を知るというオート・アラームの活用が今後期待されるわけでございますけれども、現状におきましては、この日本周辺におきましても、オート・アラームを活用してこの遭難を救助したというような例は少ないわけでございます。と申しますのは、ほとんど大部分の船舶が三直制をとっておりまして、オート・アラームにたよるというような状態になっておらないというところに一つの原因があると思いますけれども、今後は、各船ともすべてオート・アラームを装備して、こういうのは海難の場合の常識になる、警急信号発信というものは、海難の場合の常識になるというのであれば、そういうものが活用されましょうし、したがって、海上保安庁では、二十四時間の聴守を各巡視船及び海岸局において行なっておられますので、必要がないようではございますけれども、船舶の遭難というものは、非常に広い海域において行なわれますので、できるだけ近い船が直ちにその現場に急行するということは当然のことでございます。こういうものはもちろん必要であると思います。また、最近におきましては、沿岸の電話というものが非常に発達して参りましたし、今後われわれといたしましても、そういう面にできるだけの力を注いでいきたい、電話によっていろいろな通信ができるというような状態になることが一番望ましいわけであります。それから、そういう電話の普及ということをはかりますと同時に、一番問題は、先ほどから鈴木先生御指摘がありましたように、外国へ行きまして、全然日本の海上保安の手の伸びない所で遭難が起こったら一体どうするかという問題がもちろんあるわけでございます。この問題は、われわれといたしましては非常に苦しい問題でございますけれども、外国船もほとんどすべての船舶が、一名の通信士によって現在通信を行なっているわけでございます。したがいまして、その中へ日本船が入っていきまして、相互扶助を行なって海難を少なくしていこうということでございますので、そういうような外国船と同じような条件で働くということでございまして、日本船だけがこの聴守体制というものをとりましても、必ずしもそれだけでもって海難減少ということは期待できないわけでございます。われわれとしては、一部で言っておりますように、船舶通信士を、諸外国もみな日本の例にならって常時聴守、常時運用というような制度になるというようなことがあるいは望ましいかもしれません。各国の実情はなかなかそういうような方向に向いておらないわけでございます。したがいまして、日本を遠く離れて活動する場合には、やはり国際水準によって仕事を処理していくということが原則であっていいのではないかと考えているわけであります。国内問題としましては、先ほど申しましたように、電話の普及という問題と、オート・アラームの活用という問題と、海上保安施設の整備という問題が残されるわけでございます。
○鈴木強君 もちろん今現在は、三人ないし二人の通信士が乗っておるわけですから問題はあまりないと思うのですね。だから適切な措置というものはとり得るのですけれども、これから改正になった後のことを私は言っているのであって、もしオート・アラームを設置する場合に、私は、警急信号を発信できるという、無線局運用規則第七十三条というものをある程度改正をして、安全通信だとか、あるいは緊急通信、非常通信、こういったふうなものを、警急信号というものを出し得る、そういうふうになっておれば、ある程度のオート・アラームの操作というものは容易になってくるわけですね。そこらは、もしやるとすればそういう措置をやはりとっておいたほうがいいんじゃないかと思うのです。そうすれば海上保安庁のほうも、そういう場合でも、さっと信号が出るとぱっと出てくるわけですから、相手方に信号がいくわけですから、そういうふうなことをちょっと考えたらどうかなと私は思ったね、これは、百歩譲った場合に。それはどうなんですか。
○政府委員(西崎太郎君) 確かに今先生おっしゃいましたように、従来日本ではオート・アラームが日本船には普及していなかったために、そういった点の研究にまだ足りない点があったと思いますので、今後そういった点は十分研究を進めたいと思いますが、ただ、まあ、それにいたしましても、一応この国際電気通信条約の無線通信規則の千四百七十条というのがございますが、ここでいわゆる警急信号の乱用ということを制限しているわけでありまして、大体三つの場合に認められているわけであります。御承知のように、遭難呼び出し、または遭難通報の場合、危険――この場合には自船だけでなくて他船の遭難も扱えるようになっておるわけでございます。それから実は従来日本の運用規則に、ちょっとこれは抜けているのですけれども、サイクロンの緊急警報の伝送、これはまあ熱帯性の低気圧といいますか、台風なんかの場合も含まれる場合が相当あると思います。これは、したがって安全通信に該当するわけであります。それから緊急通信の中では、先ほど先生の言われました乗客、乗員の船外への転落、こういった場合には認められる、こういうことになっておりますので、その範囲を越えて改正するということにつきましては、ちょっと疑義があると思いますが、少なくとも現在の日本の運用規則の範囲をさらにこの条約の線に沿って拡大するという必要はあるのじゃないか、こういうふうに考えておりまして、研究を進めたいと思っております。
○鈴木強君 運用上の問題であるけれども、これはきわめて重要な人命、非常事態との関連ですからね、やはり法律というものはこうなっておりますとね、慎重ですね、これは。通信士は今いった条約との関係――警急信号でなければ出しちゃいかぬということがあるものだから、七十三条というのはそれを受けてやったと思いますけれども、今度オート・アラームにかわっていった場合に、そうすると海上保安庁が、オート・アラームがつけば――一ついたってつかなくたって、そんなことわしらに関係ないと言っているけれども、とんでもない話で、実際にここを変えてやらぬと、海上保安庁が出ようとしても、他に連絡しようとしてもできないことになってしまうんだから、それは海上保安庁の認識不足なんです。そういう点はひとつ、四年間の経過規定であるようでありますから、これはたいへんな問題だと思うのです。若狭さん、電話の普及、これは私はけっこうだと思うのです。できるだけ電話を普及をしてやるということは。これは電電公社の領分に入ってくると思いますが、これは話し合いをしておりますか、船舶のほうは。
○政府委員(若狹得治君) 沿岸電話の普及につきましては、郵政省及び電電公社と三年ぐらい前から常に連絡を保ちながら、この普及に努めているわけでございます。われわれといたしましては、できるだけ早く海岸局の整備、その他いろいろな施策を講じていただきたいとういことを、常にお願いして参っているのであります。
○鈴木強君 電電公社の山下運用局長が見えておりますけれども、これはどうでございますか、見通しは。
○説明員(山下武君) 私、現在直接の担当でございませんので、多少不正確の点があるかもしれませんが、ただいま電電公社では、日本近海を航行します船舶との間に、無線電話の連絡を設定いたしまして公衆通信業務をやり、かつまた、ただいま問題になっておりますような海上保安関係で必要な通信の連絡をやろうということで進めております。
○鈴木強君 それはまあたいへんタイミングが合ってけっこうなことと思います。確かに電電公社の場合も、船舶それから航空機ですね、列車、列車は最近特急なんかについて、非常にこれは便利ですよ。ああいうものが、いずれにしても航空機や船舶にできて、大いにこれは発展していいと思うのです。これはひとつ、この機会にさらに推進をしていただくように、私からもお願いしておきたいのですが、私は、まあこの改正によって影響を受ける点は、一つは、きのうも指摘しましたように、海上保安庁関係のお仕事、要するに人命保全、海難問題に対する点が一つ。それからもう一つは、気象関係で、さっきのC地帯の割当時間からしますと、午前三時の気象通報は完全に打ってもらえなくなってしまう。これに対しては別途何かお考えだそうですから、その点は推進していただくとしても、そういう面において非常に気象庁の関係の皆さんに迷惑がかかってくるというのが、一つあると思うのです。それからもう一つは、これは大事なことですけれども、公衆通信、その船に乗り組んでいる人に対して、だれが電報を出そうと、自由に、しかも短時間に到着をする、こういうことが公衆電気通信法の規定であるし、また、それが大きな使命になっていると思うのです。ところがそういうものが、船舶通信士の低減によって、かなり問題が出てくる。きのうも私は山下局長から伺いましたが、大体海岸局から船舶へ送り込む電報で、最高は三時間以上をこしているものが、その四〇%ですか。五〇%近くが二時間以上、三時間近くかかっている。そういうような状況ですから、かりにさきに申し上げましたように、午前九時から十時、二時間の割当時間の間に呼んだけれども、三時間かかった電報じゃつきませんよね。そうすると、もう一回二時間の時間を置いて、一時か二時ですかに、また呼ばなければならぬということになる、そういうことが出てくると思う。そうすると結局そこのところで、三十分や何かは船舶のほうががまんして、オーバー・タイムして電報を受けるということを当然通信士としては考えると思うのですね。そういうもろもろの点からいってみても、私は、通信士を減らすということは、きわめて時代逆行もはなはだしい。特に海運日本とか、海国日本とかといって四面海に囲まれている日本にとって、日本の場合、他の国に比べて特性もあったでしょう。ですから私は国際水準、国際水準と言うけれども、国際水準では律し切れないから今までこういう措置をとってやってきたと思うのです。ですから、それでも二千八百六十という一年間における海難事件がある。最近は痛ましい海難事件を私たちは幾たびか聞いているのです。一朝間違ったらこれはもう人命に影響することですから、とんでもない事態を起こすわけでありまして、そういう面からいっても、私は、ここで通信士を何名か減らしてどの程度海運業がもうかるかしれませんが、これはあとからもう一度伺いますけれども、そんなところで人件費の節約をして逆に大きな被害が起きて損害を受けるということになったら、あぶはちとらずじゃないかということをつくづく私は思うのです。これは大臣にも私は伺いたかった一点ですけれども、この提案理由の説明を見ると、「最近困難な事態に置かれているわが国海運企業の改善をはかり、国際競争力を強化する方策の一環として、かつは、」ということでさっき言った無線通信士、「船舶通信士の需給状況が最近逼迫を告げている実情から、船舶無線電信局の運用義務時間の短縮について強い要請があります。」、ここにこう書いてあるのですけれども、一応今私が指摘したようなことは、これはあなたも否定できないと思います。一面、海上人命財産の保全ということからいったら、今これだけのことをして二千八百件の海難事件があるのに、これをもっと人を減らした場合に、それ以上に減るなんということは、これはちょっと想像できない、どういったって、それはできないと思います。そういう点を考えるときに、「わが国海運企業の改善をはかり」というのだが、一体わが国の海運企業の実態はどうなっているのですか。この法律を提案するに際して、郵政大臣としては、わが国海運企業の改善をはかるところは、どういうところをはからなければならぬというふうにお考えになっているのか。
○国務大臣(小沢久太郎君) これは国際競争力を強化するというような意味でありまして、それから先ほど鈴木先生がおっしゃいました海上の安全の問題等々の問題は、これは十分気をつけなければならない問題でございまして、そのためにわれわれのほうも慎重にこの法律の改正は検討をいたしたわけでございます。ところが、技術の進歩もありますし、それから電波疎通等々の問題、いろいろな問題も研究を要する問題がありまして、そういう点も、大体われわれといたしましては、国際水準までに高めてもいいんじゃないかというような結論に達してこういう法律を出したわけでございます。しかし、それにいたしましても、やはり経過措置を講じませんと、これまでそういうシステムになっておりませんから、経過措置の間に、今後の万全の措置を講じたいというようなつもりでございます。
○鈴木強君 ずいぶん抽象的なお答えですけれども、一体海運関係の全体の企業の中で営業的な費用はどの程度か、これはつかんでおられますか、営業費といいますか……。
○国務大臣(小沢久太郎君) その点につきましては、ひとつ運輸省のほうからお答えさせていただきたいと思います。
○政府委員(若狹得治君) 海運会社の営業収入と申しますのは、海運会社と申しましても、内航、外航その他非常に数が多いわけでありますから、今問題になります国際競争を行なっている海運会社という意味で外航船の主力会社約五十数社ございます。その総営業収入といいますのは、大体年間二千五百億程度でございます。鈴木先生の御質問は、それと今度の電波法改正に伴う人件費の節約の問題をお聞きじゃないかと思いますけれども、その中で賃金部門に支出する金額というのは、年間二百五十億程度でございます。
 さらに、その中で通信士はどのような程度の比重を持っているかという問題でございますけれども、これは今、手元に明確な資料がございませんけれども、今度の合理化措置によりまして、通信士の減少によりまして経費が節約されるというものは、約十七億程度というふうにわれわれは計算いたしております。ただ、これはまあ一応の計算でございまして、現実的には必ずしもそういうふうに人数に金額をかけて出てくるというものを期待しておるわけじゃございませんで、一昨年来船舶の乗組員の定員についての労使間の協定が廃止されまして、定員を合理的に配置することを労使間で相談して、したがって、船型別の定員の協定というものはなくなったわけでございます。具体的に労使間で相談しながら定員の合理化を進めていこうということで、現在まで約一年半ばかりの間に七%程度の定員の合理化ができたわけでございます。そうしてそれによって浮かした経費というものを待遇改善に充てておるというのが現状でございます。したがいまして、通信士が減少する、あるいはこの通信士の問題に関連してさらに他の面の合理化を行なっていく、一体として合理化を行なっていくというような問題が今後起こってくるでありましょうけれども、それが直ちに海運企業の収支に影響してくるか、どの程度影響してくるかという想定は、われわれとしては簡単に出せないという状況であります。ただ、先ほど大臣から御答弁がございましたように、国際競争力をどうしてもつけなければならぬという問題がございまして、最近は船舶のオートメーション化というものは非常に進んで参りまして、ごく少人数で船舶を動かしておるというような世界的な風潮になって参っておりますので、日本もそれに立ちおくれてはならないということと、海運企業の現状というものは非常に悪化しておりまして、いかに小さな合理化でもこれを放置することが許されないというような現状であります。そういうような面からこれを取り上げていただくことをお願いしておるわけであります。
○鈴木強君 よくわかりました。十七億程度の――これはまあもちろん推測でしょうし、私もそういうふうに伺いますけれども、経費、人件費の節約になるようですけれども、私は、こういうことをこの委員会の審議ではっきり言っておきたいのですよ。一体十七億の節約をし、通信士を減らして人件費を減らしてみたけれども、実際に来年の今ごろ一これは四年間は経過措置があるからいいですけれども、経過措置が過ぎたあとで海難事故――全体としてこの法律を改正したためにこういうマイナスが出てくるということを断言したい。私はそういうふうな考え方を基本的に持っておりますから、今お話のように、できるだけの合理化をやることは、これはもうただ単に海運企業だけでなしに、あらゆる企業がやっております。その場合に、もちろんそこにおる職員の労働条件や雇用をどうするかということが当然問題として起きてきますから、それを政府が責任を持ってやってやる、最悪の場合には、さらに職場が違っても生活権を守ってやるという大前提がうしろにあって初めて合理化というものが成功していくと思う、そういう配慮があるならば。それくらいのことはやるべきだと思うのです。しかし、その海上における、特にオートメーション化しようといってもなかなかできない、しかも、それだけの海上における通信士も、これは目の見えない人がかけためがねを取られたようなものであって、公衆通信というものが一たん停止すれば、これはどういう気象条件の中で、いつ変わるかしれない状況のもとで航行しなければならぬという不安があるわけでありまして、私はそういう点からいって、現状の船舶通信士を減らそうという、そういうことは幾ら合理化といってもこれは手をつけるべきでない。つけるとしても、もう少し考えようがあったと思います。あまりにも思い切っていますね。先ほど言ったように、タンカー船が大きくなって、人が減るかもしれませんが、そうかといって十何万トンというタンカー船の航行時間中、一日わずか八時間しか通信ができないという、そんなことでは私は困ると思う。そういう意味からいって、私の心配というのはたくさんあるわけでありまして、この改正について私は遺憾ながら反対をしなければならぬ。
 それでもう一つ大臣に伺いたいのは、あなたのほうからいただいた郵政省の資料のうしろのほうに書いてありますが、三十五ページのところから書いてあるのですが、そもそも船主協会と池田総理が会談をして、本法案に対して省議決定に至るまでの経過、会談の日時及び内容についてはつまびらかでないと、ここにうまく逃げておる。しかしこれについては、われわれはもうすでに前から申し上げておるように、明らかに船主協会との会談において、池田総理が船主協会から改正してもらいたいという強い要請を受けてやったんです。現実にそれまでは電波の監理を扱っているあなたのほうの監理局でも、この改正案については反対だった、非常に慎重であった、ところが、この会談によって一挙に情勢がくつがえされた。そしてここに書いてあるような結果である。法案になり、また国会に出してくるという経過を踏んでおる。だから言うならば、これは船主協会から政府に、池田総理に相当に圧力をかけて、そして池田総理の圧力によってでき上がったわけです。だからかなりの無理がある。これはだれが何といってもそう思う。私も多少無線に関係がありますから、特に航行中の船舶の安全のための通信士というものについては、私はだれよりも理解しておるつもりだし、みずから体験しておるつもりなのです。その立場に立っても、これは少しひど過ぎる。もう少し考えようがあったということをつくづく感じておる。そういうことで大臣は、手島さんから引き続いておそらくこれはやったんだと思うのですが、もう少し再検討をする必要が私はあったと思うのですがね。そういうことを考えておるのですがね。だから、国際競争に勝つために、あるいは海運企業の改善とか言っておりますが、通信士の需要供給のバランスをとれるようにするとか言っておりますが、これは募集をすれば何ぼでも希望者はあるのです。希望者がないのは、さっきちょっと政府委員からお話があったような条件の不安があるからないのであって、そういう点をよくしてやればあるのです。これは、私は理屈にはならない理屈だと思うのです。この提案理由の一番大きな理由になっておる、さっきお話を聞いたのですけれどもね、どうも私は、その程度の御説明では納得できないのですがね。もう一回大臣、ほんとうにこれは今後法が実施された暁において、非常に不安を感ずるのです。大臣の、いや大丈夫四年間の経過期間もあるし、君の言っておることは危惧だ――こうここに最後のところにありますよ、第三に、今回の改正によって、公衆通信疎通等につき、現状に急激な変化をもたらすことを避けるため、経過措置として四年間やると書いてある。さっきぼくが指摘した公衆通信の疎通ということは大事な問題でありますが、そのことについては、あなた方は責任を持てない現状において、急激な変化をもたらすことを避けるために、経過規定を置いたと書いてある。一体四年間たってこの疎通について変化が、何の保証によって変化をもたらさないということが言えますか。こういう点とあわせて、大臣がほんとうに、いや君大丈夫だと、こう言えますか。
○国務大臣(小沢久太郎君) 先ほど来、鈴木先生の言われました、郵政省にあって最初は慎重論であったというようなお話がございました。これは私の承るところによりますと、やはり何といいましても、通信の疎通の問題と、それから海上の安全の問題、それが一番大事な問題でありますから、そういう点につきまして、慎重にわれわれといたしましては研究いたしたわけでございますけれども、最近の技術の進歩で、まあ日本の技術も諸外国並みになりましたし、そういう心配もなくなったし、かつ、先進国におきましてやっておる国際水準に近づけるわけでございますから、われわれといたしましては、十分安全を保てると、こういうふうに思っており、この法律案を出すという決心をしたわけでございます。ただ問題は、これまではそういう体制になっておりませんから、急激にこれをするということはこれはまた避けなければならないというようなわけ合いでその間に経過措置を作ったわけ合いでございまして、その間におきまして、鈴木先生の今おっしゃったような点は、十分にわれわれといたしましては研究いたしまして、そうして万全を期していきたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
○鈴木強君 山下運用局長、この問題と関連して、私は公社に伺っておきたいのですけれども、公衆通信の疎通について、確かに今一挙にやられてはたいへんなことだと思う。今でも海岸局は銚子、長崎が主になっているわけですから、戦後海岸局がだいぶなくなっておりますからね。勢い集中するのですね。一面、海岸局を少しふやして、その面から疎通をよくしたらどうかという考え方も出てくると思うのです。当然これをやっていきますと、そういう体制がはたして公社のほうにあるかどうかということですね、これは非常に大事なことですから、ここで即答できなければ、私はまた別の機会でもいいのですけれども、何かそういうことについて研究を加えておるようでしたらお聞かせをいただきたいと思いますが、どうですか。
○説明員(山下武君) ただいま鈴木先生がおっしゃいましたように、短波無線局の増強の必要があると存じますが、御承知のように、現在短波局としてやっておりますのは、長崎と銚子でございます。このほかに別にまた短波の局を設けていくかどうかということは、御指摘のように、一つの研究テーマだと思いますけれども、私たちのほうで研究いたしました結果によりますると、これ以上局をふやすということよりも、現在の銚子と長崎における無線局の設備その他を増強いたしまして、ふえていく通信の疎通をやれるようにすることのほうがいいのであろうということで、今回のこの法律案が改正になりますれば、それに応じまして銚子、長崎の無線電信局の設備の増強をはかりたい、そのように考えているわけでございます。
○鈴木強君 それから最後にもう一つ伺っておきたいのは、電波監理局長、無線通信士の国家試験のことでございますけれどもね、最近どうも郵政省はいじわるになって、少しむずかしい問題ばかり出しやがるというふうな批判を、ちまたの声を聞くのですけれども、まさかそんなことはないのだろうと思うのですけれどもね。わしがそんなことを言うのは何かというと、どうも合格する率が最近低いようですね、その点はどうですか。合格率はどうですかね、従来のあれから見て、少しダウンといいますか……。
○政府委員(西崎太郎君) 御承知のように、無線従事者、特にその中でも無線通信士の試験につきましては、これは国際電気通信条約の無線通信規則によって要求されておるところの技能及び知識の試験をやっておるわけでありますが、御承知のように、無線関係のそういった面の技術の進歩発達が非常に早いというようなこともありまして、試験がだんだんむずかしくなってきているというような批判も耳にしないことはありません。しかし、われわれとしましては、別にできるだけ狭い門にしようといういじわるな考え方で問題を作っておるわけじゃありませんので、最小限必要な技能、知識を要求しておるわけであります。それで合格率はどうかということでございますが、資料はここにございますから、申し上げますと、一級の通信士でございますが、三十四年度から三十六年度までの各年度の合格率でございますが、三十四年度が一七・二%、三十五年度が一六・八%、それから三十六年度が一八・五%、だんだんと合格率が上がってきておる、こういう状況でございます。ただ二級の通信士につきましては、三十四年度が九・九%、三十五年度が一〇・六%、三十六年度が九%、こういう状況になっておりまして、全体総じて申しますと、そうたいした合格率の動きはないのでございますが、要するにわれわれとしましては、最小限の技能を要求しておるわけでありますので、なお、こういった点につきましては、そういう批判が起こらないように十分今後改善を加えていきたい、こう考えております。
○鈴木強君 わかりました。これは上がったり下がったりしていますけれども、やっぱり試験というのは、どこの試験でもそうですが、そういう批判はあると思うのですよ。あると思うから、別にそれに屈する必要はないけれども、しかし、できるだけより民主的にやってやるということが必要なんで、何か試験制度について今御検討いただくようなお話があったのだが、これは試験問題というのは、大臣の決裁を得て、あんたのところで作るのでしょうね。そういう試験制度全体に対して何か研究するような具体的なものは考えているのですか、早急に。たとえば何か試験制度全体に対するもう一度洗い直してみる意味において委員会的なものを作ってやるとか、それでなかったら省内で何か対策委員会というものを作るとかということは考えておりませんか。
○政府委員(西崎太郎君) 無線従事者制度全般の問題として、この電波法全般の改正の問題もあるものですから、そういうことも考えまして検討をしようということになっております。それから、そういった機会に、たとえば認定制度の問題であるとか、あるいはもう少し業務経歴といいますか、そういった要素よ、考えたらどうかといったような点本問題になると思います。
○田上松衞君 遅刻して参っておる関係から、鈴木委員によってただされたすべての内容を熟知しておりません。したがって、当然反復するようなことになるかもしれませんが、その点御了承願っておきたいと思います。なお、大まかにあとで聞いた質疑応答の中では相当わかったような点もありますから、それらの点は大体省略していきたいと思っております。
 劈頭にお伺いしたいことは、一体、この改正案は政府みずからが発意したものであるか、あるいはどこかからの強い要望に従ってやったものであるかどうか、その点をお聞きしておきたい。
○国務大臣(小沢久太郎君) この改正案につきましては、政府みずから至当であろうというような考えから発案した次第でございます。
○田上松衞君 政府みずからが発案したものである、発意したものであるということであるならば、これを受けて立つところの船主なり、あるいは従業員団体の海員組合等、それらの方面とどのような了解を遂げられておるか。全然それなくしてやられたのかどうか、重ねてお伺いします。
○政府委員(西崎太郎君) 先生も御承知のように、この問題は非常に長年の問題でありまして、われわれのほうといたしましては、関係各方面の意見は個々に承知いたしておったわけでございます。また、これは郵政省も直接ではございませんが、この法案と船舶職員法とはうらはらの関係にあるわけでございまして、その船舶職員法のほうにつきましては、船舶安全審議会、ここに郵政省も委員という格好で出席いたしております。そういった機会にも十分各方面の意見を承知いたす機会があったわけでございます。
○田上松衞君 それらの関係者に意見を聞き、意見を聞いた上に案の内容を立てられるというのであれば、それは了解できるのですけれども、私が承知する範囲では、そうでなくして、あとでこれらの関係者は受け身になってやっておったというのがほんとうじゃないかと感ずるのですが、その点どうですか。
○政府委員(西崎太郎君) 先ほど申し上げましたように、それぞれ各方面の意見を個々に承知いたしておりましたので、特に公聴会を開くとか、そういった機会を持つということはしなかったわけでございます。
○田上松衞君 大臣、時間お急ぎのようですけれども、非常にこのほうも大事な問題ですから、まあできるだけ、絶対に必要だという時までひとつがまんしていただきたいと思います。
 私がお聞きしている要点は、前から出されているこの案に対しまして、労働者側に立ちますところの海員組合は強くこれに反対を続けてきたわけなんです。さらに、この内容について、船主の間でも決して賛成ではないと考えるわけなんです。もうこまかいことはいろいろ時間の関係もありますから省略いたしますけれども、一つの問題をとらえてみても、この改正によって船主が一番おそれている点は、各船主グループはおのおののグループに属する船舶相互の間で連絡時間を設けまして中継ということをやっておるわけです。ところが、今後はこうしたことが不可能になってくるということが実際問題として出てくるわけです。こういう一つの例をとらえてみても、そういうようなことが出てくるわけで、決して船主のほうが了解をしたようなことだとは私は受け取れないということなんです。しいて申し上げますならば、これは提案理由の中で示されている海運企業の現状にかんがみてということは言わずとしてわかった問題で、大臣がさっき説明されたように、この法のねらいは、国際競争力の強化にあるのだということをずばりと言われておったのだが、なぜであるか、それは。裏から見ますると、日本の海運企業の現状には、いわゆる一口に言って多くの体質改善を要する点があるというこの一点をつかみまして、そうしてその中で小さな問題であるけれども、ほじくられて責められるから仕方がない、大きなもののためにはこうした点を絶対反対だと言い切れないところに、何かしらぬ押えつけられた、やむなくしいられておるようなニュアンスが感じとられるわけなんです。今さっき申し上げましたような船舶相互間の中継なんというものは、直ちにこれはできなくなってしまう、こういうような不自由を感ずるわけなんですが、その点について当局のほうから御答弁いただきたい。
○政府委員(西崎太郎君) 確かに今先生が御指摘になりましたように、いわゆる船舶を仲介とする通信につきましては、従来から見ますれば不便になるという場合もあろうかと思いますが、御承知のように、この各海域別の通信時間、いわゆる時間割でございますが、これをごらんになるとわかりますように、相当ダブっておる時間帯が多いわけでございますが、こういう点を承知の上で通信をすれば、そういうことは可能である、こういうふうに思います。
○田上松衞君 完全に納得しないままに――私は完全に納得するには相当の時間を要すると思いますから、しないままに次へ進みたいと思います。
 この法案のしりについている理由のところに、「最近における無線機器の性能の向上にかんがみ、」こう書いてある。これは具体的にはどういうことを意味しておりますか。
○政府委員(西崎太郎君) いろいろございますが、おもな点について申し上げますと、オート・アラームの性能が改善されたというような点、それから無線通信機の信頼度といいますか、故障が少なくなってきたということ、あるいは通信の自動化と申しますか、たとえば気象図のファクシミリによる受信、あるいはニュースのファクシミリによる受信、こういうようなものがその例として考えておるわけでございます。
○田上松衞君 無線機器の性能の向上という点で最初に言われた一つだけ、オート・アラーム、一体オート・アラームの性能あるいはその価値といいますか、こういうものをどの程度に評価されていますか。ついでに申し上げまするが、これらの形態及び金額、さらには、いろいろな科学者及び技術者等の意見をどの程度聞いておられるか、あわせてお聞きしたい。
○政府委員(西崎太郎君) オート・アラームの価値をどういうふうに評価するかということでございますが、オート・アラームの問題につきましては、先生もよく御存じのように、国際的ないわゆる海上における人命安全条約、これに基づいて使用しておるわけでございまして、その技術基準につきましても、その条約の中に示されておるわけであります。各国ともこれを活用しておる。そうして御承知のように、現在のところは千六百トン以上の外航船につきましては、無休聴守という義務が課されておるわけであります。結局まあ通信士によるウォッチ以外のことはオート・アラームによって代用といいますか、代行できる、こういうことになっております。日本のオート・アラームも確かに従来その需要があまりなかったということもあると思うのですが、性能的に遺憾な点があったと思います。しかし、この点もだんだんと改善されまして、先般資料としてもお手元にお届けしてあるわけでございます。外国製品と実地の比較試験をやりました結果、おおむね性能としましては国際的な基準まで到達しておる、こういうふうにわれわれのほうで判断しておるわけでございます。また、このオート・アラームにつきましては、実はわれわれのほうとしまして、もっと日本だけでなくて、いわゆる世界の海運国、こういうところの意見もよく聞いたほうがいいんじゃないかということで、英米その他の諸海運国に照会したわけでございます。その結果の回答といたしましては、現在のオート・アラームで信頼して使える、こういうふうな回答を得ております。
○田上松衞君 すでに利用しておる外国の船会社等に照会してみて、そして自信を得たとかいうようなことを言われておるわけですけれども、日本の科学者、日本の技術者はどう言っていますか、意見を聞かれたことはありませんか。
○政府委員(西崎太郎君) これは非常に特殊の分野でございますので、この方面の専門の技術者と申しますと、これを作っておるところのメーカーの技術者ということになるわけでございます。もちろん、そういったところの技術者は一生懸命これの性能の改善に当たっておるわけでありまして、十分国際的な水準は確保できておる、こういうふうに申しております。また、オート・アラームの問題につきましては、その重要性にかんがみまして、いわゆる型式検定制度というものを採用いたしておりまして、その型式のオート・アラームが、先ほど申しました国際的な基準を満たしておるかどうかという点につきまして、郵政省の所属機関であります電波研究所において、これの検定試験に当たっておるのでございます。その結果、あるいはまた、ここの担当の技師、こういうものに聞きましても、国際的な水準には到達しておるのだ、こういうふうに聞いております。
○田上松衞君 さっきお聞きした中で漏れておる点があるのですよ。形及び最近におきまするいろいろ改善をされたであろう一個の金額、どのくらいですか。
○政府委員(西崎太郎君) 形と申されたんですが、おそらく型式の問題だろうと思いますが、現在、型式検定に合格しておるところの製品の種類は八種類でございます。それで会社としては四社でございます。これの金額でございますが、国産品は約五十万円でございます。それから外国の製品は八十万円くらい、こういうふうに見ております。
○田上松衞君 大体お話の中で明らかになるように、こういうものに信頼するということは、実はナンセンスだという気がするわけです。今、あなた方が自信を持たれるという根拠は、外国の使っておる人々の意向を聞いてみたり、あるいは日本においてもメーカーの技術者の意見を聞くというのですか、何か確かめたようなことになるのですが、大メーカーの技術者が、安心できるものではあるけれどもというようなばかなことをいうものがどこに偽るか、子供でもわかる。さらに郵政省の電波研究所でもって、確かに国際的な水準にまでは到達しておるのだというようなことを言われたから、それでいいのだ、その程度が大体信頼するに足りると確信されたことのように承るわけですけれども、よけいなことですが、私は、科学技術特別委員会に席を持っておる関係から、日本における最高のこの方面の学者たち、研究者たち、実験家等、これらの意見を、特に関心を持ちまして、今、問題になっておりまするオート・アラームのことについては、相当聞いたわけですけれども、笑っておるのですよ。それはないよりはましだ、そんなことは。しかしながら、少なくとも御説明になったところの通信士によるウォッチ以外の通信を果たすことができるのだなんて大きな期待をかけるのだという、これはとんでもないことだ。これはいろいろ意見になりまするからしておきますけれども、私は、そういうような認識が相当間違っておるのじゃないかということを考えておるわけなんです。さらに、それはそれとしておきますけれども、海運企業の合理化、各方面について相当、郵政省もさらには運輸省も、これらについて相当考えてもらわなければならないことは言うまでもないことですが、根本になりまするところの企業のそうした合理化の問題が、こんな小さなところへしわを寄せられたので、さっき鈴木委員がこもごも言っておられたのですが、ほんとうに航海の安全を求めることの上に支障を来たすようなことは、これは何だか主客転倒だという感じがしてならない。もちろん、このことはさっき大臣もそういう不安があればこそ長い間、一方の面においては、必要であるとは考えながら、相当そこに悩む点があって延びておったのだということで、気持はわかりますけれども、大事な点は、このことによって海上航海安全の上に大きな支障を来たすようなことがあってはならない。これは今からでももう少し考える必要があるだろうと思うのです。だが当局としては、依然としてこれはたとえどのような大きな障害があるとしても、どうしても押し切らなければいけないということをきめておられるのかどうか。これは大臣に聞くことでしょうけれども、非常に無理な問題だろうと思うのですけれども、あなた方の決意だけでもお聞きしておきたい。
○政府委員(若狹得治君) この問題は、先ほどからいろいろ御質疑、御答弁がございましたけれども、まずこういう問題が出て参りました経緯でございますけれども、先ほどから電波監理局長から御答弁申されましたように、海上航行安全審議会等の答申に基づいてこういう問題が出てきたわけであります。しかし、それ以前にすでに海運合理化審議会においても、こういう問題が取り上げられまして建議されているというような状態でもございます。同時に、通信士が非常に逼迫して参りまして、せっかく無線機を積んでおりながら、通信士が得られないために出港できないとか、あるいは無線局を閉鎖するというような状態が出てくる、あるいは船舶の資格を一級落としまして三名の乗り組みのところを二名の資格の船にして航行区域を制限するというような状況が出ておったために、こういうような改正に踏み切らざるを得なかったというのが実情でございます。先ほどからいろいろオート・アラームの問題その他障害となる問題について御質問でございますけれども、われわれといたしましては、通信士が減少いたしましても、航行の安全に、通信の面においては、人数の減ったことによる障害はもちろんあるとは思いますけれども、それを他の乗組員全部の努力によってカバーする、あるいは海岸局の整備によって通信の疎通をよくしたことによって労働を減少していただく、あるいは受信装置等の自動的なものをできるだけ採用することによっていろいろな困難を克服していきたいということでお願いしておるわけでございまして、今申されたような大きな障害は出てこないというように考えておるわけでございます。
  ―――――――――――――
○委員長(伊藤顕道君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日野田俊作君が委員を辞任せられまして、その補欠に徳永正利君が選任されました。
  ―――――――――――――
○田上松衞君 大きな障害が出てこないと確信するものと、そうではなくて、もう大きな障害が目の前に見えているじゃないかという意見との対立があるわけです。これをこの場で論争してみたって始まらぬから、この場ではよすことにいたします。私どもは、鈴木委員同様根本から意見を当局と異にしておるのですが、だが、いずれにしても聞くことは聞いておかなければならぬわけですけれども、政府は施設の改善などについて確信をしておられるか。できるという確信をお持ちになっておられるか。
○政府委員(西崎太郎君) 経過措置期間中に対策として研究しなければならない問題は、いろいろ御指摘もありましたように、たくさんあるわけでございますが、特に郵政省関係としましては、まず海岸局の増局と申しますか、今までむしろ船側に負担がかかり過ぎておったというきらいもあるわけでございまして、そういう意味で陸側のほうにその負担を肩がわりしていくという考え方が非常にこれは必要になってくると思いますので、そういった意味でも海岸局の整備をはかる、これにつきましては、海岸局の整備とともに、電電公社による設備の増強の問題、こういった問題があるわけです。そのほか、先ほど来お話がありましたように、通信の疎通を円滑にするための一助としまして、いわゆる表時間割に対しまして、裏時間制というものを採用いたしまして、これによって通信が特定の時間内に殺到することを緩和しよう、こういった点についての研究も必要でございます。そのほか、船側におけるいろいろ無線関係の設備の改善につきましても、郵政省としましても、できるだけ協力して参りたい、こういうふうに考えております。
○田上松衞君 私がいただいておる時間がすでに経過しておるわけで、まことに恐縮ですけれども、もう少しお聞きしたいので、したがって、答弁も要点だけでけっこうです。
 この中で特にお聞きしておかなければならぬことは、経過措置期間中での施設の改善の一番大きな問題は、海岸局の設置、国が具体的なこれについて計画といいますか、あるいはもうすでに手をつけておられるような予定がございますか。
○説明員(山下武君) 電電公社といたしましては、本案の実施に伴って起こるであろうと思われます通数の変化、時間別取り扱い数等を十分検討いたしまして、実施後における公衆通信への影響をなくするということで十分検討しておりまするが、また、これに伴う施設の増強等の対案等もございますけれども、それは本案が通過して実施いたしたいと思っております。今ここで申し上げることはちょっと差し控えておきたいと思います。十分やるように実際の準備をしております。
○田上松衞君 周波数の割当をふやせる見込みはどうですか。
○政府委員(西崎太郎君) その点につきましては、郵政省として責任を持ってやりたいと思っております。
○田上松衞君 両方からお聞きしてみても、いまだ完全に四年の間にこれが安全な状態にまでできるという確信はお持ちでないようです。努力してみる、一生懸命やってみるというだけのことにすぎないわけです。そこで、これが万一経過期間中にできなかった場合には、この経過措置期間は、さらに延長することになるのですか、どうなんですか。
○政府委員(保岡武久君) 経過期間中に経過規定が無事に終わりますように全力を政府として尽くしたいと思います。
○田上松衞君 もちろん、全力を傾到してやってもらわなきゃならぬのですけれども、今いろいろお聞きしている限りでは、いまだなお確信を持って大丈夫というところまではこれは言い切っておられないわけなんですよ。私どもの考えでは、逆に申しますと、とてもじゃないが、四年や五年でできるはずはないと、鈴木委員がさっきいろいろ言われたところのこんなことよりも大きな船の事故等を考えてみますと、航行の安全性の欠除を考えてみますると、これに対抗するための施設というものが、四年や五年ではとうてい無理じゃないか、オート・アラームの問題、さっきからいろいろ言われたけれども、あれはただ試験してみたとかなんとかいう程度で、たかだか五十万程度のものです。極言しますれば、あんなものはほんとうは目ざまし時計ですよ、その役しかしないのです、これを私は知っていますから。こんなものにたよってそれで大きなあれをやって、損害を受けるなんということに対して、責任を持てるようにということになりますると、これは相当のやっぱり年数がかかるはずだ。したがって、そこに経過措置の期間というものがずれてくるだろう、こなきゃならぬだろう。それでも、できてもできなくても、四年したならばこれとうらはらになりますところのいわゆる通信士の減員というやつは強行されることになるのかどうか、こういうことをお聞きしているわけなんです。
○政府委員(保岡武久君) お説のことは、政府といたしましても心配をいたして当然いたさなきゃならぬ問題でございますので、確信を持ってできる限りの施設をいたしたいと考えております。
○田上松衞君 どんどん時間がたって申しわけないのですが、言うまでもなぐ、この法案を裏から見ますると、船舶職員を減じてしまえ、通信士を減じてしまえということが無理なんですよ。それを持ち出すことのために、しかつめらしくやったのが電波法の改正なんですよ。わかっていますよ、こんなことなんか。そういうことなんですが、そこで結論的に、通信士の定員改正によって、さっき何か御答弁があったようだったのですけれども、鈴木委員のあれに対しまして、どれくらい過剰になってきますか、現在の通信士が。
○政府委員(若狹得治君) 先ほど御説明いたしましたように、三十八年度には、甲種通信士は、経過的に過剰状態を呈しておるわけでございます。三十九年に至りまして、需給は均衡するわけでございます。したがいまして、この経過措置が終わった場合には、その年度において、また二級通信士の過剰状態が過渡的に出てくるということでございますが、その翌年度におきまして、また同じ現象が繰り返されるというような状態を想定いたしておるわけでございます。したがいまして、需給問題としましては、二カ年間の過剰状態、それから二級通信士の再教育の問題、そういう問題について、郵政省と協力いたしまして、今後、措置して参りたいと、かように考えておるわけでございます。
○田上松衞君 大ざっぱの数は……。
○政府委員(若狹得治君) 現在の実員と法定定員について、先ほど御説明いたしたわけでございますけれども、概数を申し上げまして、三十八年度は、一級通信士が四百名過剰、それから二級通信士は約二十名不足、それから三十九年度におきましては、一級通信士が約二百名過剰、二級通信士は二十名の不足、四十年度におきましては、二級通信士が約四百名の不足、四十一年度におきましては、一級通信士は約二百名不足、二級通信士は約五百名の不足という状態が考えられるわけでございます。これは、先ほど御説明いたしましたように、新規採用というものを見込んでおらない数字でございます。
○田上松衞君 いずれにいたしましても、最終的にはどうなるかということは別といたしましても、当面する問題は、相当数の過剰が出てくる、これに間違いないわけですね。これらの人の雇用安定や、ないしは再教育を検討していかなければならぬ。最後には、足りなくなってくるとおっしゃったけれども、そんなこと、いつまでも待っているわけにはいかぬですね。そういうものに対して、何か行政的措置をお考えになっていますか。
○政府委員(若狹得治君) 再教育の問題につきましては、当然一級通信士の非常に不足の状態が四十年度以降出て参るわけでございます。たびたび申し上げておりますように、通信士を得られない場合には、船舶の運航ができないわけでございますので、船主団体及び労働組合とも協力をいたしまして、この補充ということを考えなければならない、その補充につきましては、現在二級通信士として職場に働いているものを最優先的に考慮するのは当然のことでありまして、そういう点について、今後労使の協力を得て、再教育の問題を解決して参りたいと考えているわけでございます。
○委員長(伊藤顕道君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(伊藤顕道君) 速記を起こして。
○田上松衞君 内心はなはだ相すまぬと思いながら、しかし、きょうは採決をしてしまうという段階になってしまっておりますので、まことに心外ですが、お聞したいことはどんどん端折りつつやっているわけであります。以上申し上げた点は、それぞれどうしてもただしておかなければならぬ。これ以下については、だんだんむずかしくなってしまいますから、果てしがありませんから……。ただし、私の立場は、もう絶対反対だということに尽きるわけで、ここで論争してみたってしょうがない、聞いてみたって、どうも気持の合わないお返事ばかりになってしまうわけですから、この程度で打ち切っておきたいと思います。
 ただ、最後に要望しておきたいことは、何といいましても、このことが将来思わざる大きな結果を来たすであろうということを考えるわけなんで、それは主として船舶自体の問題、さらには乗組員自身の人命の問題にまで発展して参るということは間違いないことだと考えまするので、この点について十分どうぞ、よかれあしかれ、さっきの御決意を聞いてみますると、われわれ野党のほうがどうがんばってみたって数でやられてしまう。そうしたときに、この法については、ただ質疑は終わったのだ、了解されたんだという認識でないということを、肝に銘じておいて、改善すべき点は改善する、反省すべき点はすなおに反省して下さることを要望申し上げておきたいと思います。
 質疑は終わります。
○野上元君 私は、まず最初に基本的な問題について、二、三お聞きしたいと思うのです。郵政大臣がおられませんので、政務次官にかわって御答弁を願いたいと思いますが、この電波法の一部を改正する法律案は、電波行政上の必要に基づいて出されたものじゃなくて、海運界の合理化の側面援助として出されたものである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(保岡武久君) 海運界に国際競争力を付与するということが重大な問題でもありますが、同時に、それに関連しまして、電波行政の上から見ましても、最近の電波機器の発展等にかんがみまして、許容できるという限度で出しているわけでございます。
○野上元君 積極的な理由は、あくまでも海運業界の再建を側面から援助するという立場をとり、はたして電波法を改正してもいいかどうかという点については、いろいろと検討してみたが、今日の段階においては、大丈夫である、こういうふうに考えられて出されたわけですね。
○政府委員(保岡武久君) 話の始まりは大体そういうふうに考えております。
○野上元君 この点で明らかになりましたように、本法案は、電波行政を管理している郵便省が、積極的な意味においてこの改正提案をしたのではなくして、別の理由に基づいてこの電波法が改正されようとしておるということが明らかになったわけです。したがって、昨日来同僚委員がいろいろと質問された中で、いろいろと矛盾が出、欠陥が出ておることもまた当然だと言わなければならぬと思うのです。その点について、二、三御質問をしてみたいと思いますが、今回の法改正によって聴守義務時間が少なくなる、したがって、無線通信士の配置が減る、そのかわりオート・アラームをもってこのギャップを埋めていく、こういうことになるわけでありますが、明らかに船舶における無線通信局の機能は低下する、こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
○政府委員(西崎太郎君) 今、機能と申されましたけれども、それをどういうふうに解釈いたしたらいいか、ちょっとわかりかねるわけでございますが、とにかく業務には、また保安上は支障なくやれる、こういう考え方でございます。
○野上元君 その点はひとつあと回しにしまして、運輸当局の方がおられたら御答弁願いたいのですが、この電波法の改正のために今回上程された理由は、海運界の合理化にある、こういうことが今、政務次官の口から明らかになったのであります。したがいまして、同時に、本院で審議されておる船舶職員法が問題になるわけでありますが、本来ならば、連合審査あるいは合同審査等によって明らかにしたいと思いましたが、その時間がないのでお聞きしたいと思いますが、今日の海運業界の状態はどういうふうになっておるか、こういう点についてお聞きしたいと思います。郵政省でもいいんですよ。法の提案者だから、当然そういうことは調査して万遺漏なきを期しているわけですから、郵政省から御答弁願ってもいいわけです。また、当然郵政省がこの説明をしなければならぬと思うのだが、政務次官、いかがですか。海運業界の実情、合理化しなければならぬ、再建しなければならぬ実情は、今どういうふうになっておりますか。
○政府委員(辻章男君) 海運界の現状について、私から簡単に申し上げます。
 現在利子補給を受けておりまする会社につきまして、私どものほうでは、年々監査をし、もちろん報告をとっておるわけでございますが、この五十四社につきまして、三十七年度の九月期の決算について簡単に申し上げます。五十四社の三十七年九月期の決算におきましては、収益と費用を差し引きまして――償却前利益という言葉を使っておりますが、総水揚げから費用を差し引いた金額が百四十三億余りでございます。ところが、この期におきまする普通償却の限度額が約二百億でございます。したがいまして、償却前利益をもちましてすべて償却に充てるわけでございますが、率にいたしまして約七〇%程度しか償却ができない、三〇%は償却の不足になっておるということでございます。それで、これは三十七年九月期の決算でございますが、そのときにおきまする累積した未償却がどれくらいあるかと申しますと、約六百四十億が償却不足累計額に相なっておるわけでございます。それからまた現在、これらの五十四社の会社の払込資本金が約一千億でございますが、これは、いわゆる資本構成の率で申しますと、約二〇%にしかすぎないわけでございまして、現在わが国の産業界におきまする資本構成は、産業全体としては三〇%程度と承知しておるわけでございますが、非常に借入金が多くて資本構成が悪いという結果に相なっております。現在それでは、これは終戦後戦時補償の打ち切りその他によりまして自己資本を喪失いたしまして、戦後の新造船というものは、いわゆる借金政策によってやってきたわけでございますが、この設備資金の借入残高がどのくらいかと申しますと、三十七年の九月末におきまして約三千億でございます。このうち千七百五十億程度が開発銀行からの融資でございまして、千二百三十億が一般の市中の金融機関からの借入金に相なっておるわけでございます。ところが、海運界の長期にわたりまする不況におきまして、先ほど申し上げましたように、償却未済が、償却不足の累計が相当額ございますが、また約定の延滞、つまり借入金を返済計画どおりに返済できないために、それだけ借入金の返済がおくれておりますもの、約定延滞額が約九百億に達しているような状況でございます。
 以上簡単でございますが、海運界の状況を申し上げます。
○野上元君 ただいま海運局長から、海運業界の最近における状況を御説明があったわけですが、これを聞いておりますと、すでに今日においても借入残高が三千億ある、この利子だけでも、これは莫大な数字に上ると思うのです。したがって、海運界が立ち直るためには、電波法の改正などという邪道でなくして、正攻法で私はやるべきだというのが持論なんです。したがって、政府においても、あるいは与党においても、今回御承知のように、この国会において海運二法を出されて国会の審議をやっておるわけですが、そういう方針でやられることでないと、海運業界の再建ということは困難ではないか。これは日本ばかりでなくて、西ドイツにおいても、いろいろな方法を用いて再建をやったようですが、そういう方法こそとらるべきであって、電波法を改正することによって、わずか十五、六億の何といいますか、節約することによって、海運界が立ち直るとは考えられないわけです。しかも反面、非常に大きな障害をもたらす可能性をこの電波法改正は含んでおるわけです。これは今日までの審議によって明らかになっておるのですが、そういう犠牲をも顧みずこの電波法を改正しなければならぬという理由は、われわれとしては了解できないわけです。
 で、海運局長としては、直接電波法には関係ないと思いますが、先ほど来の質疑応答で明瞭になったように、この法案が提出された理由は、海運界の建て直しにあると、こういうことが政務次官からはっきり答弁があったわけです。あなたのほうに御質問申し上げるのですが、これだけ摩擦を生じながらこの法案を通す理由は一体どこにあるか、その点ではお答えできますか。
○政府委員(辻章男君) ただいま御指摘ございましたように、現在の海運界の苦境を脱しまして海運を再建いたしますためには、相当思い切った措置が必要なんでございまして、御指摘ございましたように、現在いわゆる海運二法案を出しまして、国としても画期的な覚悟で海運再建に取り組むわけでございます。しかし、今問題になっておりまする船舶乗り組みの無線通信士の問題は、世界的な水準からいたしますれば、非常に大幅なことを法的に強制しているわけでございまして、現在新しい船につきましては、いわゆるオートメーション化等が進みまして、海運組合とも話をしまして、いわゆる人員の合理化が円滑に進みつつあるわけでございます。無線通信士の定員等につきましては、画一的に法律でもって三名というものが、大多数の船は玉名まあ強制されておるわけでございまして、こういう点によりまして、年間十億以上の負担というものが、やはり相当な負担でございまして、これは、私どもは、企業者の最大の努力と国の助成と、その他あらゆるものを総合いたしまして海運の再建をしなけりゃならぬと考えておる次第でございまして、そういう意味におきまして、この無線通信士の問題も、ぜひこの際御解決をお願いして、いろいろな要素を取りまぜまして海運の再建をはかりたい、かように考えておる次第でございます。
○野上元君 海運界の再建あるいは合理化というような問題については、必要があればやらなければならぬと思うのです。ただ問題は、そのやり方にあると思う。先ほどの御説明によりますると、非常に苦境に立っておるようです。しかし、その海運界自体の営業のやり方、企業のやり方等にも大きな問題があるというような気がするのですが、今日海運業者といわれるものは全国でどれぐらいあるのですか。
○政府委員(辻章男君) これは、大体外航関係に関係しておりまする企業の数といたしましては、大体二百程度と考えております。
○野上元君 私の調べた資料によりますと、外航関係はもちろん含めてすべての業者というのは、大体五百十ぐらいあるというふうに思いますが、その点は運輸省でもそういうふうに把握されていますか。
○政府委員(辻章男君) これは内航関係のものを入れますと、例の機帆船の関係等が入りますと非常に数は多くなると思うのでございますが、小さな、いわゆる一ぱい船主等を入れますと、今御指摘ございましたあるいは五百程度になるかと思うのでございますが、私、今残念ながらはっきりした数字々覚えておりませんのでちょっとお答え申しかねる次第でございますが、相当な数になりますことは確実でございます。
○野上元君 外航船腹を持つ業者が二百をこえるというような状態は、企業の経営から見て、運輸省当局から見て、明らかにこれは過当競争と思われるけれども、どういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(辻章男君) 御承知のように、海運界はいわゆる運航業者と申しますものと、それから貸し船業者、まあ俗にオペレーターと、オーナーといっておりますが、国際海運市場で外国の海運と対抗いたしますものは、まあ運航業者でございまして、貸し船業者は、運航業者に船を期間用船をいたしまして、商売上の問題は、集荷営業活動は運航業者がやっているという状態でございますので、先ほど約二百と申し上げましたが、いわゆる運航業者の数で申しますれば、大体三十社を少しこえる程度が運航業者でございますが、この三十社というのでも私どもは多いのではないか、今御指摘ございましたように、外国との激しい競争はもとより覚悟の上でございますが、邦船界におきましても、遺憾ながら過当競争と目されるものがございまして、これがやはり日本海運の現状には不適当な様相を呈しておるというふうに認識いたしております。したがいまして、今回提出いたしておりまする海運企業の再建整備に関する臨時措置法案におきましては、これらの企業が海運の再建整備に適するような集約を行なうことを条件にいたしまして種々の助成をしていこうという考えに立っておるわけでございまして、それらの集約がうまく参りますれば、少なくとも邦船間の過当競争は防止し得るような態勢になるものと私どもさようにまあ考えておるわけでございます。
○野上元君 新聞の報ずるところによると、今海運局長が言われたような一つの条件的なものを付して海運業の再建整備に関する臨時措置法案と造船利子補給に関する法案ですか、この法案を出しておるようですけれども、もうすでに附帯決議などがついたようですね。それによると、この集約の方法については、弾力性を持っていってもらいたいというようなことがいわれておるわけでございます。したがって、あなた方が希望されておるような集約が簡単にやれるというふうには考えられない。このことは、ただいま皆さん方がこの問題を確認されたわけじゃなくて、もう長年にわたってこの問題は出ておったにもかかわらず、今日までやれなかったという状況にあるわけですから、今あなたが言われたような、簡単に集約化されるとは思わないけれども、この点は、運輸省としてはどういうふうにお考えになり、かつ、今後どういうふうに指導をされようとしているのですか。
○政府委員(辻章男君) 先ほど申し上げましたように、現在遺憾ながら邦船間に過当競争がございまして、この点につきましては、業界自体もよく認識しているところでございますので、私どもは、今のままではどうしても今後経済の伸展に伴いまする海運の使命を果たすには、相当の船の建造が必要でございますが、現在のような状態では、国民経済上必要とされる船も建造が困難というような状況でございまして、ここで集約を行ない、その企業の基盤を強化することが絶対に必要と考えております。また業界におきましても、それについては相当深い理解がございまして、私どもも、業界の意見としても、政府のそういう考え方に賛成であると、したがって、最大の努力を払っていきたいという意向を承っております。ただ先ほど御指摘がございましたが、衆議院の運輸委員会におきまして、この臨時措置法案に関して、弾力的な運用をはかれという附帯決議がついておりまして、私どもは、この附帯決議の御趣旨を体して法の運営に当たりたいと考えておりまするが、私どもの理解しておりまする限りにおきましては、いわば整備計画の承認等ということは、非常にケースごとに複雑な問題、困難な問題を含んでおりますので、いわゆる官僚の一方的な、実情を無視したような机上の判断だけでは、大きな誤りを犯すおそれがあるから、よく実情に即するような考え方で事に当たるべきだという御趣旨と了解しておるわけでございます。で、この整備計画の承認等に関しましては、海運企業整備計画審議会というものを設置いたしまして、これに学識経験者その他のたんのうな、練達の方々を委員にお願いいたしまして、そういう措置をとります際には、運輸大臣よりその委員会に諮問いたしまして、委員会の審議を十分に尊重して、運輸大臣としての承認等の措置をやっていきたい、かように考えておる次第であります。
○野上元君 時間があまりありませんから、突っ込んでお聞きすることはできないので残念ですが、運輸省としては、大体どれくらいのグループに集約さるべきだと、また指導しようとしておられるのか、その点を明らかにしてもらいたい。
○政府委員(辻章男君) この企業の集約統合ということは、企業にとりましていわば死活の問題でございますので、あまりいろいろな条件を付すということになりますと、実際問題として事が動かなくなるのではないかというふうに考えられるわけでございます。したがいまして私どもとして、こういう形が一番理想的であるという理想図が描けないわけではございませんが、そういうふうなものを描きまして、それに当てはめるような無理なことをすることは、かえってでき上がったものが非常に、まあ油と水を一緒にしたようなものになって、運営が円滑にいかないというおそれがあるというふうに考えましたので、あの法案にございますように、保有船腹を五十万トン、それから運航船腹は保有船腹を含めて百万トンという基準であって、五カ年間に自立の体制がとり得ることが確実という基準を設けまして、これに合うように、各企業の自主的な判断によって、実のある集約をやらせたいというふうに考えております。したがいまして、何グループでなければならぬというふうな考えも持っておりませんけれども、これの百万トン、五十万トンというふうなことを考えました経緯から申しますと、当時わが国の外航船腹が約九百万トン程度でございますので、まあ大体この基準でやっていけば、七
 つか八つ以下には必ずなるだろうというふうな予測のもとに、ああいう基準で出発した次第でございます。
○野上元君 まあ自由経済のもとにおける企業ですから、政府があまり深く統制をするということは事実上不可能だと思うし、このまま放置すれば、海運業界の立ち直りは不可能である、重大な危機に瀕しているという認識は、運輸当局も持っておられるし、かつまた、海運業界でもそのことはわかっていると思う。しかし変に集約しても、これまた重大な問題を起こす、まあこういうことなんですね。したがって、それが今日までなされなかった大きな原因だと思うのです。したがって、今回海運二法案が通るとまたもとのもくあみになって、今の状態のままで泥沼の中に国家資金をつぎ込んでいく、あるいはまた、その他の方法で資金をつぎ込んでいくというようなことになりはしないか、そのことのほうが私は海運の立て直しについては重要ではないか、こう考えているわけです。したがって、この電波法あたりをいじり回すことによって、大きな犠牲を払いながらこれは法律できちっときめることができるものだから、容易な道を選んで、こちらのほうへきて船員のほうに大きな動揺を与えているという結果になっているわけです。したがって、海運界の再建は、ひとり業者だけがやれるものでないと思うんです。やはり従業員と一体となった形でもり立てていかなければならぬということはもう自明の理だと思うんです。にもかかわらず、この電波法が出たということだけで、船員には非常に大きなショックを与えている。今日私のほうにももう連日のように陳情がくるというような状況では、再建はおぼつかないのではないかというように考えるのですが、その点海運局長として御意見ありますか。
○政府委員(辻章男君) 電波法の問題で関係の労働組合がある衝撃を受けていることは事実でございます。実は私どもも、職場を奪われるということは非常に大きな問題でございますので、実はこの主管は船員局長でございますが、私どもとしましても、船主団体に対しましては、この今提出いたしておりまする電波法あるいは船舶職員法が成立の暁におきましても、雇用の問題については慎重な考慮を払って、いわゆる社会問題を惹起するようなことのないようにということを強く要望いたしておりまして、船主団体のほうにおきましても、その点については十二分の配慮を払って円滑に切りかえていきたいというふうに考えておりますから、雇用の問題について深刻な事態がくることは万々あるまいと私は考えている次第でございます。
○野上元君 運輸関係をついでに聞いて参りますが、この法案の修正によって、四年間というものは、新造船もこの法律が適用されるということになったわけです。したがって、前回出された法律と若干違ってきた。しかも、内容は新造船についても、そういうことになったわけですから、今後、あなたのほうで造船計画を持っておられると思うんですが、この四年間に作られる新しい船の通信士、及びこの通信士が仕事をする場所ですね、こういうものはどういうふうに計画されているんですか。
○政府委員(辻章男君) ただいまの御質問は、今後どういうふうな船が建造されていくかという御質問と了解してよろしゅうございましょうか。
○野上元君 わかりにくかったと思いますが、修正以前の法案だと、新造船には適用されなかった、したがって、直ちに一名でよろしいという船が大部分になってきた、したがって、船を作る場合に、一人の無線通信士を収容すればよろしい、こういう設計がなされるはずであったわけですが、この修正によって、この新造船も適用されるということになったので、四年後でなければ一人にはならないわけですね。そういうことになりますと、造船計画にも重大な影響があるのじゃないかと思うが、その点は支障なくおやりになれるのですか。
○政府委員(辻章男君) 当初、前の原案では一名ということになっていたものが、今回の修正によって、四カ年間は新造船においても二名の居室が要るわけでございます。もちろんこれにつきましては、二名の居室ができるような船の設計でもって建造しているわけでございます。一名の設計のようなことで工事が進んでおりましても、工事を変更いたしまして、二名の居室はできるように設計を変更さしていく、そういうふうにやって参るつもりでおります。
○野上元君 それは、その仕事は海運局長の仕事ですか。
○政府委員(辻章男君) これはむしろ、所管の問題といたしましては船舶局の所管になるかと思いますが、しかし、一面から申しますと、労働条件の問題でもございますので、労働環境といえば船員局ということになるかもしれません。いずれにしましても、一名のところへ二名押し込むというふうな、そういうむちゃな設計はさせないようにやって参りたい、また、やっていけるものと、かように考えております。
○野上元君 その点は間違いなくひとつ御指導を願いたいと思うのです。
 それから、この法案が成立することによって、運輸当局が持っておる船舶で拘束される船舶がありますか。
○説明員(鎌瀬正巳君) 運輸省関係では、国鉄関係と、それから航海訓練所、気象庁、海上保安庁でございますけれども、法律では最低限をきめますから、役所関係はほとんど三名乗せることになっております。
○野上元君 一つの例をとってみますが、青函連絡船ですね、あれには今日無線通信士は三名乗っておりますね。しかしこの法案が通ると、一般の船は、四年間は現状維持でございますけれども、四年以後になると一名になっていくわけですね。どんな大きな船でも、九隻以外の船は全部一名になっていくということになるわけですが、その場合、国鉄当局としてやはりこの法案の趣旨にのっとって、三名乗っておったけれども、一名に減らせる、減らすというような対策がありますか。
○政府委員(辻章男君) 国鉄当局の話では、青函連絡船につきましては、非常に業務通信また一般交通通信も多うございますし、多数の人命をかかえておる問題でございますので、この法律の成立いかんにかかわらず、現状を変更するつもりはない、かように申しておりますから、間違いないと思います。
○野上元君 それで明らかになりましたが、この法案が適用される船舶については、遠洋航海であっても、貨物船である場合には一人になるのですね。これは青函連絡船のあの短距離であっても三名乗せる、国鉄当局は玉名乗せる、しかし民間は一人にしなさい、こういうのは不合理じゃないですか。
○政府委員(辻章男君) この法律の趣旨は、国際水準並みに一名でも、最低は一名でよろしいということでございますので、必要があれば、もちろん二名なりあるいは三名なり乗せることを妨げる趣旨ではないというふうに私どもは考えております。
○野上元君 それは、あなたの立場からすればそういう答弁をされるのはあたりまえだと思います。しかし、法案の内容を見ますれば、この電波法を改正する目的は、明らかに海運業界の負担を軽くしてやろうということにあると思うのですから、当然私は最低の通信士を乗せるという方法をとると思います。それは、労働組合がありますから、団体交渉をもってその人員はきめることになると思いますけれども、しかし、それでは海運業界の建て直しのための法案の趣旨がまるで骨抜きになってしまうと思うのです。しかし、おそらく結果的には、この法案がものを言って一名になると思います。こういう場合に、国鉄当局と一般の民間の商船との関係は非常にアンバランスになる。国鉄当局はあの短い距離であっても、通信は輻湊するし、かつまた、無線は重要であるからということで三人は確保されるということであるなら、当然さらに遠い海を渡って航行する船舶が青函連絡船より危険度が少ないということはできないわけでありますから、運輸当局としては、そういうことのないように逆に持っていくべきじゃないか、こう考えるのですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(辻章男君) 私どもは、世界海運諸国が現在法制的にも、最低の人員としては一名ということを規定しておりますし、現に遠洋を航行しておりまする外国船のもう圧倒的な大部分というものが、一名の無線通信士でやっておるわけでございます。日本船だけが玉名ないし二名でなければやれない、そういうことはないというふうに考えておる次第でございます。
○野上元君 その点は、またひとつ電波監理当局にも聞きたいと思いますが、通信士の関係は、海運局長じゃなくて、船員局長ですか。
○政府委員(辻章男君) さようでございます。
○野上元君 船員局長がおられないようですが、わかりの方はおられますか。
○説明員(鎌瀬正巳君) 船舶職員課長が参っております。
○野上元君 先般衆議院の逓信委員会におきまして質疑が行なわれておりますが、その中で、日本の無線通信士の待遇問題に触れております。若狭局長の答弁によりますと、諸外国はいわゆる部員である、いわゆる通信士は部員である、職員ではないという場合が多いのであります、しかし、日本の場合には全部職員である、したがって、給料が高いのだ、こういう発言をされておるのですが、この点は間違いないのですか。
○説明員(鎌瀬正巳君) 私の担当ではございませんけれども、局長が衆議院の逓信委員会でそのように申されましたけれども、日本の船舶通信士が甲・機職員に比べますと、外国より高いという趣旨に御答弁申し上げたと思います。
○野上元君 あなたに聞いても仕方がないのですが、あの場合に、諸外国の無線通信士の給料を例示されておるわけですよ。その中に英国のがありますが、それは、一人月給三万七千円というふうになっています。したがって、それは明らかに日本の無線通信士の中級程度ですね、三万七千円というと実際には百ドルですね、アメリカのドルに直しますと百ドル強、そういう無線通信士が、英国の船に乗っておりますか、そういう安い給料の。
○説明員(鎌瀬正巳君) イギリスの今お話ございました三万七千二百九十六円というのは、イギリスの船主団体と労働組合の間で締結いたしております労働協約の初任給の数字でございます。
○野上元君 今日、日本の労働界が、あげて、欧米の水準並みに給与を引き上げてくれということを言っているわけです。しかも、今年それを実現してくれとは言わない。少なくとも五、六年後にはそうやってくれ、そういう強い要望があるわけですね。それから見ると、無線通信士の関係は、アメリカは別として、諸外国並みにいっているというふうに考えてよろしいのですか。
  〔委員長退席、理事光村甚助君着
  席〕
○説明員(鎌瀬正巳君) アメリカは別といたしまして、諸外国と比較いたしますと、なお低いのじゃないかと思います。
○野上元君 今日、電波法改正の理由の中に、通信士の需給状況が逼迫を告げておるということを言われておりますが、この理由は何だと思いますか。需給状況が逼迫をしている理由というのは。
○政府委員(西崎太郎君) 所管の問題はあるかと思いますが、私が承知いたしておりますのは、まあ、今日弱電界の好況という関係から、そういう方面への需要なり、あるいは待遇がよいためにそちらに転出する人が多い。まあ、そのほか、こういった電波法の問題があります関係で、多少不安に感じるといった、そういうきらいもないではないと、こう考えております。
○野上元君 そうしますと、私も大体そういうふうに考えているわけですよ。一つの理由は、陸上における弱電関係の待遇のほうがむしろよろしい。しかも、試験制度もきわめてゆるい。したがって、そっちへ流れたほうが得だという考え方がある。
 もう一つは、しょっちゅう電波法が問題になっている。定員の問題がしょっちゅう問題になっている。そういう不安定な雇用条件のもとにある海上勤務を、何で無理してしなければならぬのか。陸上には幾らでもあるということが理由で需給関係は非常に私は逼迫していると思うのです。したがって、この法案が通過して四年経過すると、全く一人で勤務するわけですね。そういう勤務の中にほうり込まれる通信士が考えた場合に、明らかにそういう職場を選ぶ者はますますなくなってくる。ほとんど楽な陸上の弱電関係のほうに流れてしまう。そういう結果になりはせんかということをおそれているのですが、その点については、監理局長は自信はありますか。
○政府委員(西崎太郎君) 自信と申されても、ちょっと返答に窮するわけですけれども、これで職場が安定し、それから待遇面においても改善されるということになれば、その心配は要らないじゃないかこう思います。
○野上元君 条件づきになるわけですね。一つは待遇を改善されることということなんですね。しかし、それはわからないわけです。そういうことはね。しかし、一つわかっておることは、従来三人ないし二人乗っておったところを一人になるのですから、非常に過重労働になるということだけは明らかだ。その点は認めますか。
○政府委員(西崎太郎君) 少なくとも、精神的には従来よりもその負担が加重されるということは争われないと思います。
○野上元君 そうすると、よほど待遇を改善する方針をとらざる限り、この需給状況はますます逼迫すると見てよろしいですな。
○政府委員(西崎太郎君) これは将来の問題でございまして、十分そういった点も運輸当局その他で考えていただきたいと思います。
○野上元君 そういうふうに非常に自信のない答弁でこの法案を出されて、被害者がたくさん出るわけなんだが、非常に遺憾だと思うが、それは別として、さらに運輸当局に聞きますが、今日船舶の中における通信士の地位といいますか、それは、通信長はサロン・クラスですね。で、二通以下はメス・ルームにおるというのが大体の日本のしきたりだと思う。その考え方というのは変わりませんか。たとえば、若狭局長は、外国では部員が多い、職員であるから給料が高いのだというようなことを言っておられたのだが、その裏には、それじゃメス・ルーム以下のものに下げてしまうというような考え方があるのかどうか。その点明らかにしてほしい。
○説明員(中沢宣道君) 船員局長のお答えは、そういうお答えではなかったと思います。むしろ、一名になれば通信長になるわけです。待遇が上がると御返事したと思っております。
  〔理事光村甚助君退席、委員長着
  席〕
○野上元君 一人しかいないわけですからね。待遇は上がりも下がりもしない。通信長は将来も通信長として、その待遇は変えない。こう考えてよろしいですか。
○説明員(中沢宣道君) 部員にする意思は全然局長は持っておられません。サロン待遇。
○野上元君 私が集めた資料によりますと、先ほどの鈴木委員の質問に関連しますが、C地帯における無線電報の取り扱いは非常に多いわけです。これは、この理由は、その周辺に船がたくさん航行しておるからだと思う。ところが、今日の状況においては、現行法をもってした場合に、聴守義務時間というんですか、は二十四時間、運用義務時間は十六時間ということになって、二人が配置されておる場合が多い。たいていの船はそうだ。したがって、二人では三交代できないわけですから、そのギャップはオート・アラームでやるというような状態になっておりますが、しかし、実際問題として労働過重だ、この地帯における。その点はどういうふうに把握しておられますか。
○政府委員(西崎太郎君) 確かに、先生今おっしゃいましたように、H一六でございます。十六時間の運用時間の執務というものは、ほかのH二四とかH八から比べまして、多少無理があると思いますが、これはやはり国際的にもそういう制度が、またそういう時間割りがきまっておるわけでありまして、よその国もその制度に基づいてやっておるわけですから、やれないことはないと思います。
○野上元君 非常にその答弁は、問題な答弁ですけれども、やれないことはないということは、船の上に通信士は乗っておるのですから、それはもうやらなければならぬでしょうね。おそらく仕事を押しつけられるということは、その裏には、もう明らかに労働基準法を越えた勤務が行なわれる可能性が出てくるわけです。それで、現行法のもとにおいてさえ、非常にこのC地帯における通信状況は錯綜して、相当な量である。三人どうしてもほしい状態にある。しかも、これを法改正して経過期間の四年が過ぎると、一人にたるわけですね。そうすると、電報の疎通というものは著しく能率を低下してくるということは明らかに考えられるのだが、そういう点についての配慮はなかったのですか。
○政府委員(西崎太郎君) さっき、多少私の答弁で足りなかった点があるかと思うのですが、H一六というのは、十六時間の執務時間ということでありまして、結局、それに二人の法定定員が乗るというわけで、算術的に言いますと八時間勤務ということになるわけでありますから、別に労働契約違反とか、そういう問題にはならないと思います。
 それから、先生が今おっしゃいましたH八になった場合の通信の輻湊の問題でございます。確かに相当通信が特定の時間帯に集中するというようなことにもなりますし、その対策としまして、われわれとしましては、その四年間の経過期間中に、海岸局の増強であるとか、あるいは裏時間制の採用の検討ということをやって、そしてこの経過期間が経過した後において混乱が起こらないように、こういうふうに考えておる次第であります。
○野上元君 私は、現に船に乗って仕事に携わっておる人たちの意見を徴してみたのですが、それを信頼するとすれば、非常に苦しいということです。しかし、あなたのほうでは、図上から見てやり得るということですから、それは水かけ論みたいになってしまいます。しかし、現実に通数が非常に多いのです、このC地帯に限っては。現行の二名でさえやれないというのを一名にするということは、非常に無理が生ずるのではないか。この点については考慮する必要があるのじゃないかというふうに私ども実は考えるわけです。したがって、後ほどまたその点についてはお伺いするつもりです。
 海上保安庁次長、見えておりますね。ちょっとお尋ねしますが、きのう来の質疑応答で、海上保安庁関係の問題についてはだいぶ理解できたわけです。そこで、あなたが昨日発表されました三十七年中における遭難船の数は二千八百だということを言われたわけですね。その中は、ほとんど無線を持っておらない小さい船ということを言われておったのですが、それは間違いないのですか。
○説明員(山崎城君) 昨日申し上げましたように、総隻数の中で無線設備を有するものは八百五隻、無線設備のないものが二千五十五隻でございます。
○野上元君 二千八百のうち、無線を装備しておらない船の数は圧倒的ですね。したがって、無線を設備しておらないということがやはり遭難の原因になるということは明らかに数字が物語っておると思うのですが、その点は、保安庁としても同感ですか。
○説明員(山崎城君) 実は、この無線設備を有するものと有しないものとの隻数を申し上げたわけでありますが、これは必ずしも海難が発生いたしました原因とは結びつかないのでございまして、私どものほうで調査いたしました内容によりますと、原因といたしましては、衝突でありますとか、あるいは乗り上げでありますとか、あるいは機関故障、あるいは火災であるとか、浸水であるとか、あるいは転覆であるとか、あるいは推進器の障害、あるいはかじの故障であるとか、そういったことが原因になっておるわけであります。
○野上元君 海上保安庁としては、船は必ず無線通信の装備を持っておることが望ましいじゃないですか。
○説明員(山崎城君) 無線の設備をさせるかどうかという法律上の問題を離れまして、もちろんこの無線設備を持っておったほうがベターであるということは言えると思います。
○野上元君 そうしますと、この法案によって、船舶の無線通信の能力は明らかに低下すると思うのですが、海上保安庁としては、原則論的には好ましくない、こういう解釈でよろしいですか。
○説明員(山崎城君) その点につきましては、先般来申し上げておりますように、海上保安庁といたしましては、別段大した支障はないと、こういうふうに考えておるわけであります。
○野上元君 昨日あるいは本日の鈴木委員の質問によって明らかになりましたが、海上保安庁は常時ウォッチをやっておるわけですね。ことに、五〇〇KCについては万全を期しておられると思う。したがって、遭難船の受信は九六%は直接あなたのほうでアンサーを発しておるということが言われておるのですが、そのアンサーを発するのはいいが、それを受ける相手の設備が今度非常に弱くなるわけです。そういう点について見ると、海上保安庁としては、この法案を改正されると、何か強力なその対抗策を考えられなければならぬと思うのですが、その点、何か特別に考えておられることがありますか。
○説明員(山崎城君) それらの点につきましては、先ほども、るる鈴木先生からも御指摘をいただいた点でございまして、今後四年間に十分あらゆる問題を検討いたしますと同時に、現在海上保安庁の持っております救難用の巡視船艇その他の施設を十分に充実するとともに、大所高所から、一面におきまして海難防止の活動を十分に強化してやっていくことによって、できる限り海難を防止しよう、こういうつもりでございます。
○野上元君 保安庁が救援におもむく範囲というのは、何か取りきめがあるのですか。
○説明員(山崎城君) 現在そういった各国の海難救助についての守備範囲と申しますような取りきめはございません。したがいまして、海上保安庁といたしましては、現在持っております巡視船の能力でありまするとか、諸般の情勢から、先般来私が申し上げておりますように、おおむね千マイル程度ならば、従来出動さしておるわけであります。
○野上元君 時間がありませんので急ぎますが、次に、気象庁関係にちょっとお伺いしたいと思いますが、この法案は四十国会でも審議されたわけです。で、四十国会におきまして、私が、前の長官である和達さんに、この電波法を改正することは、気象庁長官として、あるいはまた技術者として見て、どういうふうに考えられるかと言ったところが、好ましくない、こういうふうに答弁されたのですが、今でもやはり気象庁はそういうふうにお考えですか。
○説明員(伊東道郎君) この法案が通りましたあとにおきまして、経過期間終了後、気象庁が気象業務を遂行するにあたりまして、夜中の三時の海上からの気象観測通報を受けることが相当困難になるわけでございます。その意味におきまして、私ども気象庁といたしましては、ある程度困るわけでございますが、これにつきましては、経過期間が数年ございますし、この間におきますところの、今後の必要な海域におきまして、特に夜間の気象通報を円滑に入手するような関係方面の協力を得まして、船舶と特約し、これと契約を締結するなど、いろいろな措置を考えていくというようなことで対処していきたいと考えているような次第でございます。
○野上元君 あなたのほうで発行された五カ年計画というものがあるわけですね。これを読んでみますと、「社会の気象業務に対する要望はますます増大しており、現在の施設、業務体制では、これらの要望を満たすには十分と言えない。」、したがって、五カ年計画を持つのだ、こういっておるわけです。したがって、このことから考えると、この電波法の改正は明らかにあなた方の考えておることとは逆行しておるわけですね。そうでしょう。
○説明員(伊東道郎君) 私ども気象業務を円滑に推進いたしますためには、観測資料を手に入れるということが第一義であるわけでございまして、その意味におきましては、多少困った事態がここにおいて起こってきているということだけは言えると思います。
○野上元君 気象観測の場合ですね、今日気象庁のみでなく、商船等に依頼して海洋気象の報告を受けておるわけですね。したがって、気象通報関係は非常に大きな公共的な意味を持つわけです。で、それが非常に今度は弱まってくるということになる。それに対して、気象庁としては、特別に定点観測船を設けるとか、あるいはその他の方法をもってこの穴を埋めていくということは考えておられるのですか。
○説明員(伊東道郎君) 現在、日本の東方及び南方の海上における気象観測のデータが私どもといたしまして必要なことは、これは申し上げるまでもないことでございまして、現在のところ、南方定点を海上保安庁とともに観測の対象としておるわけでございますが、これのみでは十分ではないというような点で、この船舶からのデータが相当大事な役割をつとめておるわけでございます。現在の気象業務の進展段階におきまして、科学の進歩に伴いまして、観測の方法、通信の手段というものが、いろいろ新方式が開発されつつあるような状況でございまして、これについてはまだ未知数の分野が多いようなわけでございまして、この四年間に新技術を開発できるかということは、まだ相当に問題があるように思うのでございますけれども、私どもといたしましては、その方面の技術開発に努めたいとは思っておりますが、この海上からのデータにつきましては、船舶関係者あるいは電波関係機関の御尽力を御期待いたしまして、これに対する対策を講じていきたいと思っておるような状況でございます。
○野上元君 そうしますと、気象庁といたしましては、非常に消極的な態度で対策を進めておるということですね。他のほうで積極的に何か対策を講じてもらいたい、そうしてそのギャップを埋めてもらいたい、こういう希望のようですが、そういうふうに承ってよろしゅうございますか。
○説明員(伊東道郎君) 気象庁といたしましては、できる範囲内のことを努力いたしていきたいと考えております。
○野上元君 ただいまの質疑でも一部明らかになりましたように、今回の法律によって、運用義務時間を軽減するわけですね。短縮するということは、それだけ無線電信局の機能が低下するということになると思うのです。そうして、加えて無線通信士が減っていくのですから、明らかに能力は低下するというふうに考えられるのだが、この点については、郵政省はあくまでも能力の低下はないと言えますか。
○政府委員(西崎太郎君) 先ほど来申し上げましたように、通信の疎通、それから安全、こういった点からいいまして、電波監理上は支障はないと、こういうふうに考えております。
○野上元君 いろいろと質問をしたいことがたくさんあるのですが、時間がないようなんですが、四十国会で、私は、電波監理当局に対して、オート・アラームの実験を強く要望した。そうして今回実験されて、その報告書が出ておるわけですが、しかし、現在の段階において、いかなる国のオート・アラームであっても通信士にかわり得ることはない、こういうような報告が出ておるわけです。それを一つとって見ても、明らかに能率が低下するということが考えられるのじゃないですか。
○政府委員(西崎太郎君) オート・アラームにつきましては、日本の製品も国際水準までには来ておる。そういう意味で――もちろん先生がおっしゃいましたように、これは完全無欠なものではないということは、われわれとしても認めるのにやぶさかでないわけでありまして、さらにこれの改善につきましては大いに力を尽くして参りたいと、こう思っておりますが、とにかく、国際水準並みの安全の保障といいますか、こういう点は可能だと思います。
○野上元君 これ以上あなたとやりとりすると、水かけ論になりますから、いたずらに時間のむだになるような気がいたしますからやめますが、この際、郵政大臣並びに運輸当局の方も見えておるので申し上げておきたいのですが、これもまた四十国会において、私のほうから明らかにしたのですが、この法案を改正することによって、明らかに海上航行の安全度が低まる。したがって、人命並びに財貨の救助に若干の能率の低下を来たすのだということは、これはだれでも認められると思うのです。
 それともう一つは、この法律を改正するきめてとなっているのは、オート・アラームがあるわけです。このオート・アラームは、機器の改良によって、だんだんいいものができておるということは当然だと思うのです、今日の進歩状況から見て。しかし、なお完全とまでは言えない。無線通信士にかわり得るものではないのだ、こういうことも多くの人が認めておる。したがって、海上における遭難の度合いも、そういう意味においては大きくなるだろう。特に、オート・アラームが故障したり、あるいはまた誤作動したり、不作動の場合には、一体だれが責任を持つかという問題になったわけです。ところが、これはまことにけしからぬことなんだが、船主協会のほうから、各船主に当てて、オート・アラームが故障によって事故を生じたその責任は、それは無線通信士にもないし、船長にもないし、船主側にもない、あげてそれは、この法律を改正した郵政省にあるのだ、こういう文書を流したのです。私はそれを今持っておる。そういう考え方でやられては、非常に問題があると思うのです。だから、そういうことを十分に考慮して、この問題については対処してもらいたかったのです。したがって、わが党としては、あくまでも反対である、まだこういう状態ではない、海運事業の合理化をするには、もっともっとほかに方法があるじゃないか、ということで、今日まで反対してきたのですが、あなたのほうでは、どうしてもこれを通すという状況になったのですが、しかし、それでもなおかつ、私が申し上げたような状態について心配がある。これは、無線通信士の諸君は非常に心配しておるわけですが、そういう点について、郵政大臣並びに運輸当局は、業界の指導については万全を期さなければならぬというふうに考えるのですが、その点、業界の考え方に対しては、郵政大臣、どういうふうにお考えになりますか、そういう文書を発した………・。
○国務大臣(小沢久太郎君) この問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、国際競争力の強化といものを主として、または無線士の需給難ということのために法の改正を行なったわけでありますが、今野上さんの仰せられたような点、いろいろな点がございます。たとえば、オート・アラームの点、日本の国産品が外国並みにいったといいますけれども、まだまだ改善を要する点があると思います。それからその責任問題等々の問題があると思います。こういう問題といたしましては、われわれのほうはよく指導いたしまして、ことに経過措置の四年間に今の体制を変えるわけでありますから、あるいは海岸局の設置だとか、いろいろな問題があります。そういう経過措置の間に万全の措置を講じまして、遺憾のないようにしていきたい、そういうふうに考える次第であります。
○野上元君 この際、はっきりしてもらいたいのですが、経過措置を四年間置かなければならなかったということは、やはり相当に意味があると思います。それは、あなた方自身もそれを認められておるのです。したがって、四年間の間に何をやるのか、簡単でいいですから、項目別、これとこれとこれをやる、必ずそれはやるというものを、ひとつ出してもらいたい。
○政府委員(西崎太郎君) 郵政省関係といたしましては、先般来申し上げましたように、海岸局の整備ということ、それから裏時間制度の問題についての検討、その他船舶用の無線設備の改良について協力して参りたい、こういったことでございます。
○野上元君 運輸省としては何か……。
○説明員(中沢宣道君) 運輸省といたしましては、船舶の通信機器の整備、ファクシミリ、あるいは自動送受信装置、近ごろ開発されておるいろいろな機械がございますので、そういうものを順次に取り入れるように考えております。
○野上元君 海上保安庁は何か考えておりますか。
○説明員(山崎城君) 先ほどちょっと触れましたように、海上保安体制の強化という点でございます。
○野上元君 気象庁は、先ほど言われたとおりですね。
○説明員(伊東道郎君) はい、さようでございます。
○野上元君 今発表されたものの中でも、具体的なものもあるし、きわめて、体制の強化というような、抽象的な、一般的な表現をされたところもあるのです。したがって、これらのことをやらないと、今私が申し上げたようなことも起こり得るということは十分に予見できるわけです。避けられる災害は全力をあげて避けていかなければならぬと思う。その点については万遺漏のないようにお願いしたいと思います。
 それから監理局長にちょっとお尋ねしたいのですが、この法案が通って、実施までに四カ月の期間が要りますね。その間には主としてどういうことをやりますか。
○政府委員(西崎太郎君) 主としては、運用規則の改正の問題がございます。
○野上元君 その規則の改正の場合に、何か審議会的なものをもってやられますか。
○政府委員(西崎太郎君) これは聴聞にかけます。
○野上元君 その聴聞の委員の中には、実際に海上で従事しておる人たちが入っておりますか。
○政府委員(西崎太郎君) もちろん、そういう関係の方も入れたいと思います。
○野上元君 そのことを約束してくれますか。
○政府委員(西崎太郎君) それはお約束いたします。
○野上元君 なおたくさんあるのですけれども、本日は時間がないようですから、これで終了いたします。
○委員長(伊藤顕道君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤顕道君) 御異議ないと認めます。よって本案に対する質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○野上元君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案について反対の討論を行ないたいと思います。以下、若干、反対の理由を述べたいと思います。
 この法案は、すでに御承知のように、長年懸案になっていました法案であります。しかし、長い期間にわたって慎重に検討して参りました結果、前国会におきましても、なお、これを成立せしめることは必ずしも当を得たものではない、こういうことで、この国会に持ち越されたわけでございます。
 まず第一に、反対の大きな理由は、この改正案の説明の中にもありますように、この改正は、電波行政上の必要に基づいて行なうというよりも、むしろ、海運業界の企業建て直し、あるいはまた、船舶通信士の需給状況が逼迫しておるという理由に基づいて電波法の改正が行なわれたという点でございます。これは明らかに本末を転倒しておるのではないか、かようにわれわれとしては考えておるところでございます。
 御承知のように、企業合理化を行なう場合、あるいはまた、自動化を行なうという場合において、製造業界においては、明らかに生産性の上昇を来たすということでなければならぬと思いますし、サービス部門においては、サービスの向上ということが常にその目的でなければならないというように考えるわけであります。その場合においてのみ人員が減ることについても認めざるを得ないという場合が出てくるわけであります。しかし、今回の改正による合理化は、明らかにその逆の現象が出るわけであります。すなわち、この法律を改正することによって、四年後には、三名の通信士を乗せておる船舶はわずか九隻であります。それ以外の船舶は全部一名になることになるわけであります。この面からも、明らかに通信能力の低下ということは問題なく認められなければならないと思います。かつまた、この法案がもたらす結果として、運用義務時間の短縮ということが出て参ります。これまた、通信を行なう時間を軽減するわけでありますから、この面からも通信の能力は落ちてくるということが明らかだと考えるわけであります。したがいまして、そういう考え方から見ても、この法案について私どもは賛成ができないわけであります。
 さらにまた、具体的に申し上げますならば、今日、船舶上において無線電信局が開設され、そうして船舶無線通信士が配置されている目的は、言うまでもなく、海上航行の安全、あるいは海難救助であろうと思います。第二は、公衆通信の疎通、第三には気象観測通報、さらにあげますならば、長い間航行を続けている船舶職員の諸君が家族に打つ電報、これ等についても、私はこれを看過することができないのでございます。このあげました目的の一つ一つをとって、この法改正後の状況を分析しまするならば、航行安全の問題についても明らかに低下することは間違いないと思います。今日三名の通信士が二十四時間勤務を行ない、常時聴守を行なっていることに比べれば、一人にして、オート・アラームをつけてこれを埋め合わすということは、とうてい不可能なことだと考えるのであります。この点については、本委員会の質疑応答の中からも明らかにされたと考えるのでございます。
 御承知のように、海運業界の状況はきわめて困難な状況にあります。かつまた、その海運業界の困難さが日本の貿易収支にも重大な影響をもたらしているということについても、われわれは十分に承知いたしているのであります。しかしながら、これはきわめて大きな問題でありまして、政府が本腰を入れて抜本的な対策を講じなければ、とうてい再建は困難であろうというふうにわれわれとしては見ているのであります。今日、電波法の一部を手直しすることによって再建の一助にするというようなことを考えること自体が、非常に危険を冒しているのではないかというふうに考えます。いわば、小の虫を生かして大の虫を殺してしまうというようなことにもなりかねないのであります。とりわけ、海上航行におきましては、人命の問題がございまして、最もわれわれが関心を持たなければならぬものでありますが、これに少しでも危険を増すような状態になる法案について、われわれは賛成するわけにはいかないのであります。
 第二の点は、公衆通信の疎通でありますが、これまた先ほど明らかになりましたように、現行法においてもなおかつ非常に輻湊して困難な状態にある地域が相当多数ある。かつまた、その船舶は相当の数に上っているにもかかわらず、この改正をされますと、一名になってしまう。これまた公衆通信の疎通上悪影響を及ぼすことはいなめない事実であると考えるのでございます。
 第三は、気象観測通報の問題でありますが、これは今日最もはっきりした問題でございます。御承知のごとく、日本は四面海に囲まれました海洋国でありまして、気象の変化は特に著しいとされております。したがって、気象観測の的確な、かつ迅速な把握は、きわめて重要な国策でなければならぬというふうに考えておりまするが、この法改正によりまして、この面においても非常な障害が出て参ることが明らかになったわけであります。第四十国会におきまして、和達前気象庁長官は、気象庁長官としても、あるいはまた技術者の立場から見ても、この法案には賛成しがたい、今日気象観測の万全を期することは絶対性を持つものである、ころ彼ははっきりと明言をいたした事実をもってしても明らかだと考えるのでございます。
 第四の点は、船舶に乗り組んでいる職員が、長い航海のために、家族との連絡をするというようなことが当然行なわれると思います。そのことが、船員の士気高揚の上にとって重大な役目を果たしていると思うのでありますが、それは必然的に抑制されざるを得ない。公衆通信でさえ、法改正が行なわれた後においては、非常に困難を伴うことが予見できる以上、船員の電報は明らかに抑制の方向に向けられるであろうということが十分に察知できるのでございます。したがって、今日、船員の士気を鼓舞する上からも、この法改正は悪影響を及ぼすということが考えられるのでございます。
 以上、私がただいま申し上げましたような点をつぶさに検討いたしまするならば、この際この電波法を成立せしめることによって大きな障害をもたらすものであり、しかも、この電波法改正の目的が海運企業の再建にあるということを考えますると、あまりにも犠牲が大きいのでございます。今日、この改正法案が提出されたということによって、船員には著しい動揺を与えておるということを見ても、その点は明らかに証明ができるのでございます。こういう点を考えまして、わが党としては、あくまでもこの法案には反対の意思を表明いたしたいと存じます。
 最後に申し上げておきたいと思いますが、この法案が多数をもって可決されるということになりまするならば、今後四年の経過期間がございます。その間にあらゆる方途を講じ、私がただいま申し上げましたような欠陥についての除去に万全を期していただきたいということを一言付言しておきたいと思います。
 以上終わります。
○新谷寅三郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております電波法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表明するものであります。
 この法律案の内容は、言うまでもなく、海上の安全を各国船舶相互間の協力によりまして確保するために必要とする船舶無線電信施設の運用に関し、世界の主要海運国におけると同様の国際水準においてこれを維持せしめようとするものでありまして、これは、優秀な素質の船員と、西欧諸国に比べまして決して劣らない技術水準の船舶無線機器を持っておりまするわが国といたしましては、もちろん当然の措置であるのみならず、むしろ、今日までこのような措置を講ずることなくして放置せられておったことに対しましては、遺憾とするものであります。
 したがって、私は、この法律案の規定するところは一日も早く実施に移すことが適当であると考えるのでありますが、この法律案の附則におきましては、四年間の経過期間を設けておるのであります。私は、ここで諸般の情勢からいたしまして、この附則の規定にあえて反対するものではありませんけれども、少なくともこの四年間の経過期間中におきましては、郵政省も、電々公社も、運輸省も、また気象庁、海上保安庁等の諸機関も、それぞれその職責の分野に従いまして、かねての懸案でありまする海岸局の拡充強化、その割当周波数の増強、船内職制の改善による無線通信士の労務負担の軽減、気象観測及び海難救助体制の改善強化等、この法律案の施行に関連のある諸問題を急速に処理して、この法律案による新しい海上安全体制が円滑に実行に移され、そうして海上の人命及び財産の安全に万全を期すべきであると考えるのであります。私は、特にこの点を強く要望いたしまして、討論を終わります。
○中尾辰義君 私は、公明会を代表いたしまして、電波法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
 わが国は、世界有数の海運国として、現在二十四時間通信を行ない、海岸局との交信、海難救助に従事し、尊い人命を守って参ったのであります。しかるに、今回の改正案は、わが国海運企業の改善をはかり、国際競争力を強化する方策の一環として、かつは、船舶通信士の需給状況が最近逼迫を告げている実情から、船舶無線電信局の運用義務時間の短縮を要請しておりますが、これはで海上勤務が不安な上、いつ解雇になるかわからぬ精神的圧迫から、とうてい安全なる船舶の運航は望めないのであります。しかも、日本近海の海難事故がかえって増大しているときに、わずか一人で臨機応変の処置ができるとの保障がないのであります。
 以上の理由によりまして、本法案に反対するものであります。
○田上松衞君 民社党を代表しまして、本改正案に対しまして、反対の意思を表明いたします。
 池田総理は、常々、全世界が羨望するほどの経済成長を誇示いたしまして、ずっと続けてきたわけでありまするが、ことに、不必要なまでに口にする、経済はおれにまかしておけというふうに、みずからが陶酔してしまって、大企業に対する設備投資を果てしもなく続けてきてしまったことは、論議の余地はございません。こうした基本政策が誤まりであったことは、今日ようやく種々の角度からの事実が示しておりますし、池田さん自身も、そのことと及び政策転換の余儀なき必要性を認めざるを得なくなっていることは、すでに経済審議会等を招集していることで明らかであります。こうした無定見と、でたらめ政策の中に、見のがされておった、幸か不幸か、この海運企業が、国際競争に立ちおくれを来たした根本の基因があると私は考えておるのであります。しかるに、池田さんは、失政を謙虚に反省することなくして、きわめて近視眼的な、独善的な判断のもとに、もっぱら海運企業者の無能になすりつけてしまって、海運企業の合理化と国際競争力の強化という美名をかぶせまして、小乗的な、部分的な面に大きななたをふりつけてかかったというのが、この改正案、いな、改悪案の実体であると承知しなければならない。
 この改悪案が、不幸にして通過することになってしまいますならば、海上の安全確保の上に大きな支障を招来することは、火を見るよりも明らかでありまするが、他面、結果的に、国際競争力の強化と逆行するところの、首つりの足引っ張りになってしまうことに陥るであろうことを、われわれはおそれておるのであります。その一つ一つの理由については、先刻の社会党の野上委員の意見と全く同一でありまするので、ここにこれを繰り返しまする愚を避けますけれども、一点だけ、野上委員の意見に付加いたしまするならば、本法案によって直接不安におののく通信士たちのみでなくして、他の船舶に働く全船員の職を失うであろうところの損失は、まさにはかり知れないものがあると信じておるのであります。考えて出されたはずのものであるけれども、こう思い詰めるならば、私は、今のうちに願わくは率直にあやまちを改めて、この改正案を撤回されたいことを期待するのでありまするけれども、この場になっては、そうも参りますまい。結局、多数の力によって、これは通過せざるを得ないと判断するわけでありまするけれども、しかしながら、願わくは近いうちに、なお途中においてでも、再度ほんとうの意味の改正案を用意されたらどうであろうか。なお、その中でも、できることならば、今まで多くの質疑の中で指摘されたような問題について真剣なひとつ御検討をいただいて、こうしたわれわれの、いな、国民のこの不安をぬぐい去ることに努力していただきたい、かく希望を申し上げておきたいと考えるのであります。
 結論的に、本改正案に対しては断じて賛成するわけには参りません。かく申し上げまして、私の討論を終わります。
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、この法案に反対をするものであります。
 審議のときにも申し上げましたが、数年間も衆参両院において審議を拒否されてきたこの法案を、性こりも丸く、今回また国会へ出してきたということは、私は、国会の意思に対する軽べつだと思うのです。そういう点でも、私は、この法案は通してはならない法案だと考えておるわけでありますが、審議のときに、大臣に、なぜこういう大幅の改正が必要かという質問をしましたときに、大臣は、国際海運の競争の面から、また通信士不足の面からと、こういうお答えをなすったと思うのです。国際海運競争の面とはすなわち何かといえば、結局、海運会社の経費の節約、こういうことであろうと思うのです。で、通信士の不足の面というのは何か、これは、私は決して通信士は不足するのではないと考えます。待遇さえよくすれば、決して通信士は不足するものではない。今日の待遇でも、私は決して不足するものじゃないと思うのです。何がゆえに不足していたかといえば、数年間も前から、いわゆるこの法案を国会に出して、通信士は首切るんだぞ、首切り予告を与えておるところに、だれが好きこのんで入ってくるかということなんです。だから、通信士はだんだん不足していくのは当然であろう、こう思うのです。こういう面からも私は非常に不満を感じます。
 通信士が三人乗っておるのが一人になれば、かなり労働強化が来る。労働強化の結果は、不測の事態が起こってくる。気象観測の面でも、海難防止の面でも、いろいろな面でマイナスの面が出てくるというのは、これは審議の中で大体わかったことだと思うのです。これは、関係当局でも、私は頭から否定することはできないことであろうと思うのです。なぜ、船会社の経理の面だけから考えて、こういう、人命に対していろいろな面に大きなマイナスの起こるような法案を通さなきゃならぬかどうか、これは、私ははなはだ不満な点です。審議のときにも申し上げましたが、これはいかに首切りの法案ではないと答弁しましても、結果的に見れば、必ず首切りになるということは明らかです。衆議院で、海運再建整備法案及び船舶建造融資利子補給法案が委員会を通ったと聞いておりますが、あるいはもうきょうあたり、本会議を通っておるかもしれませんが、この電波法改正案は、この右の二法案と関連のあるところのいわゆる集中合併法案、独占に奉仕するところの法案であって、首切り法案と言わなければならないと思うのです。ある営利会社の営利を保護するために、いろいろな面に大きな問題を投げかけるところの、提供するところの問題を持ったこの法案を強引に通そうという、自民党諸君の、私はものの考え方に大きな疑いと不満を持つわけなんです。
 そういう立場から、私は、この法案の通過に対しては、絶対に反対したいと思います。
○委員長(伊藤顕道君) 他に御発言もなければ、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤顕道君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。電波法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を衆議院送付案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(伊藤顕道君) 挙手多数でございます。よって、本案は、多数をもって、衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊藤顕道君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 この際、郵政大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
○国務大臣(小沢久太郎君) 電波法の一部を改正する法律案は、当委員会におきまして慎重御審議の結果、御可決をいただきまして、まことにありがたく、お礼を申し上げます。
 本法の施行にあたりましては、当委員会の審議の経過にかんがみまして、御趣旨を体しまして、万全を期していきたいと思っておる次第でございます。
○委員長(伊藤顕道君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十八分散会
   ――――・――――