第046回国会 社会労働委員会 第14号
昭和三十九年三月十九日(木曜日)
   午前十時四十六分開会
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   委員の異動
 三月十七日
  辞任      補欠選任
   徳永 正利君  青木 一男君
 三月十八日
  辞任      補欠選任
   青木 一男君  徳永 正利君
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 出席者は左のとおり。
   委員長     鈴木  強君
   理事
           亀井  光君
           藤田藤太郎君
           柳岡 秋夫君
   委員
           加藤 武徳君
           紅露 みつ君
           佐藤 芳男君
           徳永 正利君
           丸茂 重貞君
           横山 フク君
           杉山善太郎君
           小平 芳平君
           村尾 重雄若
           林   塩君
  衆議院議員
   発  議  者 吉川 兼光君
  国務大臣
   労 働 大 臣 大橋 武夫君
  政府委員
   労働政務次官  藏内 修治君
   労働大臣官房長 和田 勝美君
   労働省労働基準
   局長      村上 茂利君
   労働省労働基準
   局労災補償部長 石黒 拓爾君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
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  本日の会議に付した案件
○電気事業及び石炭鉱業における争議
 行為の方法の規制に関する法律を廃
 止する法律案(衆議院送付、予備審
 査)
○労働保険審査官及び労働保険審査会
 法の一部を改正する法律案(内閣送
 付、予備審査)
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○委員長(鈴木強君) ただいまより開会いたします。
 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。
 発議者衆議院議員吉川兼光君より提案理由の説明を聴取いたします。
○衆議院議員(吉川兼光君) ただいま議案となりました電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律を廃止する法律案につきまして、提案理由を説明申し上げます。
 電気事業及び石炭鉱業の争議行為の規制に関する法律は昭和二十八年に三カ年の時限立法として制定されたのでありますが、その後、昭和三十一年に本法を存続さす議決がなされ、今日もなお効力を有し、電気事業及び石炭鉱業の争議行為に対し適用され、民主的労働運動の重圧となっているのであります。
 しかるに本法制定当初に見られたような極左的労働運動は今日では全く微弱となっておりまして、労働運動自体の民主化が進んだ現在では、いわゆる「山ネコスト」と呼ばれるような暴力的な極左ストは皆無となっております。したがって労働組合の持つ争議権を法をもって規制するがごとき立法は、いまや全く必要としないのであります。
 また、本法の廃止につきましては、ILO八七号条約の批准が行なわれれば、当然国内法の整備の一環としても行なわれなければならないのであります。政府も国会も一日も早い批准を望んでいる現在、本法のごときは当然に事前に整理解消すべき立法なのであります。
 さらに、申すまでもなく、本法の目的とする公共の福祉を擁護するために、電気事業と石炭鉱業における争議行為を規制するという法理念は、いまや全く必要といたしません。そればかりか、憲法第十三条に規定する国民の完全平等並びに憲法第二十八条に規定する労働運動の権利の保障の精神に反するものだといわなければなりません。本法第一条の目的が憂慮したような事態は、労働関係調整法第一条及び第二条によって、十分に調整することができるのであります。したがいまして、本法第二条の電気事業の争議行為の方法の規制につきましては、労働関係調整法第八条第二項及び第三十五条の二、第三十六条、第三十七条、第三十八条の条項によりまして、それぞれを十分に目的は達成できると、断言できるのであります。
 さらに、また、本法第三条における石炭鉱業の争議行為の禁止につきましては、鉱山保安法第四条、第五条及び第十二条によって、鉱山の安全の確保について、労使が順守しなければならないことが明記されておりますし、石炭鉱業の争議によって国民経済が著しく阻害されたり、公衆の日常生活が危険にさらされるときには、労働関係調整法第八条第二項によって公益事業として指定し、労働関係調整法を適用することによって、本法の目的はこれまた十分に達成できるといわねばなりません。
 このように、法理論及び実態論の双方から見ましても、本法を廃止することは適切なものであり、時機を得たものであります。
  何とぞ、本案につきまして慎重審議の上、御賛同あらんことを希望いたします。
○委員長(鈴木強君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。
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○委員長(鈴木強君) 労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、どうぞ順次御発言願います。
○柳岡秋夫君 本案に関連をいたしまして、最近における労働災害の問題について、労働省当局の御見解をお聞きしたいという考えでございます。
 最近、労働災害が非常に注目を浴びてまいりまして、人命尊重という立場からの運動も、この国会前におきまして高まっておるところでございますが、政府の発表しておりまする統計によりますると、昭和三十八年度におきまして、死傷件数、休業一日以上でございますが、七十四万四千件、さらに、また、死亡に関しましては六千三百件、千分率は三二・六、過去の三十二年以来の統計を見ましても、年々労働災害が増大をしておる、こういう状況でございます。これに対して、政府は、現在、国会に労働災害防止に関する法律案を出しておりますけれども、その内容はきわめて姑息的と申しますか、いわば防止協会法案といわれるような内容でございまして、この増大した労働災害を真に防止をして、労働者の生命を守っていくということの観点からすれば、きわめて貧弱なものではないかというふうに考えております。したがって、当局として、現在この労働災害の防止のためにどのような対策を考え、実行しようとしておるのか、こういう点について、実は労働大正からお伺いすればいいのですが、おられませんので、政務次官からお答えを願いたいと存じます。
○政府委員(藏内修治君) 御質問のとおり、経済の高度化に伴いまして、産業の労働災害も、思わざる部門に非常に複雑な様相で発生をする傾向が強くなっております。これにつきまして、かなり労働省といたしましては、きめこまかな対策を用意いたしておるつもりでございます。詳細については基準局長より御説明をいたさせます。
○政府委員(村上茂利君) 御指摘の点につきまして、災害の発生状況をまず申し上げますと、確かに三十六年までは逐年災害の実件数はふえておりましたが、その後三十七年、三十八年と漸次軽減してまいりまして、しかしながら、実数としては、御指摘のように三十八年中の死傷件数、休業一日以上でありますが、七十四万四千という非常に多数に達しておりますので、これにつきまして根本的な対策をさらに確立いたしまして、災害の減少につとめたいと思っております。しかしながら、今後の対策を推進するにあたりまして、基本条件といたしましてどのような問題点があるのかという点につきまして、労使、公益各方面の問題点認識についてのある程度の共通の体制をお願いしたいと存じまして、先般三月の十三日に労働基準審議会に、災害対策につきまして、まず問題点についての御提案をいたしました。問題点につきまして、労使、公益各方面の御意見を伺いつつ、今後の対策を早急に考えたいと思っておる次第でございますが、労働省として問題点をどのように考えておるかという点につきましては、まず、第一に、一般の人命尊重観念の高揚という点から見まして、これを災害の面から見ますれば、安全教育、衛生教育という問題を今後どのようにとらえ、どのように具体的に、たとえば義務教育課程なり、あるいは職業教育課程に乗せていくかという点についての検討を進めてまいりたい、また、災害発生の遠因といたしましては、産業構造なり労働市場における後進性に由来するものも少なくありません。たとえば建設業における下請関係とか、あるいは元請企業に対する下請の関係とか、いろいろな問題がございます。そういった点についてどのように今後考えていくか、さらに、また、企業内外における問題点としまして、たとえば企業外における問題点といたしましては、たとえば一定の場所に幾つかの下請業者が入りまして建設事業を営む、たとえばワシントン・ハイツのオリンピック工事場のように、一カ所に多数の下請が入っておりまして、それを統轄する安全管理体制などがなっていない、整っていないという場合に、だれに責任を負わすかという問題があるわけでございます。これは企業外の問題でありますが、これを現在の労働基準法のような法律で規律するという点については多少問題もあろうかと存じまして、御質問にございました労働災害防止に関する法律案の中にそういった関係の規制方式を定めておるわけでございます。また、企業内における問題としては、企業内における労使の協力態勢をどうするか、安全管理体制をどうするか、それから施設の関係における安全対策をどうするか、いろいろな問題があるわけでございます。これらの点につきましては、現在も労働基準法及びこれに基づく命令によりましても規制をしておるのでございますが、ただいま政務次官から御答弁がございましたように、さらにきめのこまかい対策を講ずる必要がある、こういう点につきましては中央労働基準審議会におきまして、さらに具体的な検討をお願いしたいと思っておるわけであります。しかしながら、企業内における災害対策の問題にいたしましても、個々の企業で解決し得ない幾多の問題がございます。そういう場合には、災害多発業種、たとえば港湾荷役でありますとか、建設業でありますとか、林業でありますとか、あるいは貨物取り扱い事業でありますとか、そういった零細企業が多く、かつ、災害が多い事業につきましては、災害防止協会といったような自主的な民間団体をつくりまして、そうして当該業種に共通した問題を取り上げて災害防止規定を作成する、こういう態勢をとりたい、こう思うのであります。したがいまして、先生が御指摘のように、まさに労働災害防止に関する法律は、全体の災害対策のごく一部の、つまり企業内における災害対策の問題を扱う態勢といたしまして、災害が多発する、しかも、零細企業が多いような、労働組合も一般的に確立されておらないといったような業種につきましては、労災保険特別会計から交付金を出しましても、自主的に災害対策活動を進める必要があるというふうに考えて、労働災害防止に関する法律案を提出しておるような次第でございまして、あの法律によって災害対策につきまして完ぺきを期するというような意図のものではないのでございます。したがいまして、労働省といたしましては、ただいま申しましたような精神的な面、産業構造に関する問題、企業内外の問題、さらには行政体制の問題、いろいろございますけれども、これを早急に対策を確立いたしまして万全を期していきたいと考えております。現在の予定では、中央労働審議会が四月十七日に開かれますので、その際には具体的な対策につきましての検討がさらに前進するものと期待しておるような次第でございます。
○柳岡秋夫君 ただいま労働災害の防止に対する問題点等について幾つかあげられているわけでありますが、その中で精神的な面の対策と申しますか、人命尊重の観念の高揚をやられていくことも一つだと、こう言われておりますが、しかし、私は、やはり最近労働災害が非常に多くなっているという最も大きな原因は、何と申しましても高度経済成長政策に刺激されて、各経営者が他の企業に負けまいとする、いわゆるいい言葉で言えば旺盛な生産活動を高めるために、労働者のそういう立場というものを無視したいわゆる生産体制、能率第一主義、生産第一主義のところにやはり労働災害の増大しておる根本的な原因があるのではないか、こういうふうに考えております。したがって、精神的な面で、職業訓練、あるいはその他の訓練の中で労働者に対して幾ら人命尊重の訓練をしても、私は根本的な解決にはならない、経営者に対して、もっと生産第一主義というものをなくして、そして労働者なくしては生産はないのだということからいいましても、労働者の労働条件を中心として職場の環境をよくしていくとか、あるいは新しい技術に対する訓練を十分やっていくとか、そういう経営者に対する啓蒙というものを私は労働省としてはゆるがせにしてはならない問題じゃないか、こういうふうに思うのですが、こういう点はどういうふうにお考えになりますか。
○政府委員(村上茂利君) 全く同感でございまして、労働省といたしましても、審議会に提出いたしました問題点にはそのことを特に強調いたしておるわけであります。問題は、それは企業内における問題でございまして、まず、第一に、経営者、使用者の安全意識の高揚ということを第一に強調いたしまして、問題点として提起しておるような次第でございます。また、それに関連しまして、非常に計画的な生産の強化に伴う時間外労働の恒常化等の労務管理の不合理性などの問題があるということも私ども率直に認めまして、問題をすでに審議会に提起しておるような次第でございます。したがいまして、こういう観点から対策を考えるということになりますれば、いわゆる安全技術的な問題ではなくして、労働時間、その他安全関係の周辺をめぐる諸条件の整備、大きい立場から申しますと労務管理の問題、こういうことになろうかと思います。そういった点につきまして重要性を私は痛感いたしておりますので、今後の災害対策樹立にあたりましては、幅広く、総合的な角度から取り上げてまいりたい、かように考えておる次第であります。
○柳岡秋夫君 さらに、もう一つの問題として私は提起をしておきたいと思いますが、やはり政府の出しておりまする「労働災害の防止に関する法律案」の中でも若干触れられておりますけれども、労使の関係ですね、労使がやはりその職場でほんとうに信頼された労使の間であるというようなことが、最も労働災害をなくするために、また、生産を上げるために必要だということを、私は過去の経験からも痛感をいたしておるわけでございますが、ところが、この労使関係が最近においては非常にうまくいっていないという傾向がたくさん出てきておるわけですね。それはここの社労委員会でもときどき取り上げられている問題でございますが、そういう労使関係に対する労働省の行政指導、もちろん労働大臣も所信の表明の中ではそういう点を強調されておりますけれども、基準局として、労働基準法の完全実施のために、労使というよりも、使用者に対しての教育、こういう面に三十九年度はどの程度の予算をもって積極的にやろうとしているのか、そういう点をひとつお伺いしておきたい。
○政府委員(村上茂利君) 災害対策のために労使が御協力いただかなければならないという点は、全くこれは御指摘のとおりでございます。この点につきましては、今後とも、労使が相協力して安全問題についていろいろな措置を講じていただきますようにお願いしておる次第でございますが、考え方として二つの点を申し上げておきたいと思うのでございます。
 それは、労働基準法なり安全諸規則に定めております基準を順守するかいなか、守るかどうかという点につきましては、法定基準に違反したものは罰則付きで臨むわけでございまするので、法令に定める基準を守るかどうかという問題は、いわば国家機関の手によってこれは厳正に対処していく必要があろうかと思うのでございます。しかしながら、個々の産業ないしは企業におきましては、法令で定める基準以上に、さらに高い基準をそれぞれの企業に相応したように設定する必要もあろうかと思うのでございます。それにつきましては、欧米のように、労働協約によってきめのこまかい協定をするという方法が考えられるのでございますが、そこまで熟していない産業、企業も数々あるわけでございます。法定基準以上の基準を設定し、きめのこまかい措置を講ずるという点につきましては、何といたしましても労使関係の場においてそういった基準が設定されることをわれわれは期待いたしておるわけでございます。しかし、一方、労働組合が十分に発達していないような特殊な職場の流動性のあるような産業、たとえば建設業であるとか、あるいは山林で労働いたします林業労働者、民間の林業労働者というような向きにつきましては、労働協約によってきめのこまかい基準を設定するということも困難な面があろうかと思います。したがいまして、一方においては労使関係の場におけるルールの設定を期待いたしますと同町に、そういったまだ熟しない状態にある特殊な産業、企業におきましては何らかの方法が必要でなかろうか、そういう意味におきましても、特殊の業態におきましては災害防止協会のごときものが必要ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
 それから、第二の問題点といたしましては、現在の安全衛生規則におきましても、安全に関する委員会、衛生に関する委員会というような制度が一応考えられておるのでございます。そして、また、現に大企業などにおきましては、安全委員会を労使協定によりまして設立しておるという例も少なくないのでございます。今後におきましては、そういったすでに設立されております安全委員会をより適切に活用いたしまして、労使の協力態勢が一そう助長されますように私ども今後指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 なお、この関係の予算は幾らかという点でございますが、このための特別の予算というのは計上いたしておりません。しいて申しますならば、労務管理の面からいろいろ対処いたしておりますが、労務管理関係の改善費といたしましては、約三千四百万円を計上いたしております。
○柳岡秋夫君 聞くところによりますと、基準法を完全に実施しているかどうかというような、いわゆる監督をする監督官ですか、この方は全国で専門的にそういうことをやっているような人は七百人くらいしかいない。したがって、各職場の監督も十分やれない、こういうようなことを聞いているわけですが、もちろんその監督だけで労働災害が防止され、あるいは労務管理がよくなるということは私たちは考えません。したがって、一面では、先ほどから申し上げておりますように、経営者に対する啓蒙、労務管理に対する指導という面がより重要なことであるというふうに考えておりますが、いまのお話ですと三千四百万円程度の労務管理の面における予算しか取っておらない、こういうことでは、私は、いま非常に国民から注目を浴びておる労働災害を防止する積極的な意欲というものが労働省に欠けているのではないか、こういうふうに感ぜざるを得ないわけでございます。こういう問題につきましては、いずれまた労働災害防止法案を審議する際に論議をしてまいりたいと思いますので、後日に譲って、この法案の問題について若干質問していきたいと思います。
○藤田藤太郎君 労働省に私も関連してお尋ねしたいのでありますが、労働災害の問題は、私は根本的な心がまえをきめなければならぬときにきていると思うのです。ですから、労働省としては、聞くところによると、労働基準審議会に案をおかけになったということを聞いておるが、どういう点とどういう点を審議してもらいたいという、労働災害防止のその考え方の案を出されたのですから、その考え方の案をひとつわれわれにお示しを願いたい、こう思うわけであります。都合が悪ければ都合の悪い理由を御説明いただきたい。基本的にどう進めていくかということが明らかにならないと、労働災害の問題はなかなかむずかしい、端々の問題を議論しても、これはなかなかむずかしいのではないか。そのあたりの議論は順次していかなければならぬし、政府の考え方も聞かなければならぬのですが、そういう案がありましたらひとつお示しを願いたい。
○政府委員(村上茂利君) 去る三月十三日に労働基準審議会におはかりいたしました労働災害防止対策の現状と問題点という印刷物は、別途また御配付申し上げたいと思いますが、その内容としますところは……。
○藤田藤太郎君 質疑があったようですから、資料で出していただきたい。
○政府委員(村上茂利君) 資料で提出いたしたいと存じます。五つばかり問題点を先ほど申し上げましたが、なお、先ほど柳岡先生からの予算についての御指摘がございましたが、労使関係を場にした関係予算は幾らかというので、三千四百万円と申し上げたのでございまして、災害対策費全体といたしましては、五億円をさらにオーバーしているわけでございます。その点御了承を得たいと存じます。
○藤田藤太郎君 そこで、重要な事項として基準審議会にお出しになった。基準審議会は大体いつをめどにしてその結論を出されるのか、政府の取り組み方で、私は、たくさんな行政事項が、単に労働省関係ばかりではない、産業関係、通産省関係もあれば、建設省の関係もいろいろあるわけでありますから、そこで、やはり労働災害防止の基本的な問題が、少なくともこの国会の、できるだけ早い機会に浮き彫りにされてこないとこれは問題だと、こう思っているわけでございますので、そこらの点は、基準審議会と労働行政の中で、いつぐらいに結論が出て、何日ごろに労働省としてはこれを明らかにしていくか、内容の問題の議論はあると思いますけれども、そのスケジュールをひとつ聞かしていただきたい。
○政府委員(村上茂利君) 問題点が非常に広範多岐にわたりますし、ものによりましては労働行政の範囲をこえるような問題もございます。労働行政のワクをこえすまような問題につきましては、私どもといたしましては、総理府に設置されております産業災害防止対策審議会がこの三月三十一日に廃止される予定でございましたが、総理府設置法の一部改正法案を現に国会に提出いたしておりまして、その法律案が成立いたしますれば、今後さらに四月以降も存続することに予定されております。そこで、そういった総理府における審議会の場を通じましても、さらに御検討いただきますように期待しているわけでございます。そういった点、問題の性質によりまして、中央労働基準審議会のみで処理する問題と、それから総理府の産業災害防止対策審議会等を通じまして審議をお願いするものとがあろうかと存じます。
 それから、次に、災害対策の内容につきましても、立法措置を要するもの、規則改正で措置するもの、それから予算上措置するもの、行政指導で措置するものというように、それぞれ具体的な手段方法につきましては、とるべき手続その他の問題があるわけでございます。そういった点を考慮いたしまして、四月十七日に開かれます中央労働基準審議会におきましては、当面可能な対策を中心にいたしまして、また、将来にわたって継続的に考えなければいけない問題、それからいま申しました当面の問題、しかも、それが法律改正を要するか、規則改正でできるか、行政指導でできるか、予算上の問題というように仕分けいたしまして提案をいたしまして御審議を願いたいと、目下その案につきまして検討しているような次第でございます。したがいまして、時期的にいつか、こういうことになりますれば、対策の事柄の性質によりまして、早く出るものもありますし、かなり先になるものもあろうと思います。しかし、私どもとしましては、少なくとも中間報告的なものは七月ごろには御提出いただきたいというふうに期待いたしている次第でございます。
○藤田藤太郎君 どうもいまおっしゃったのですが、中央労働基準審議会は、当面の問題と将来の問題との区分けをしてお考えになる。中間報告は七月とおっしゃったのですか。
○政府委員(村上茂利君) 七月でございます。
○藤田藤太郎君 そうすると、私は少しやはり問題が残りはせぬかという気がいたします。労働省からお出しになっている労働災害の法案があるわけであります。これを促進していこうという、まあこれはむしろ経営者の協会立法と申しましょうか、そういう性質のものでありますから、名前があまり大き過ぎますけれども、これで災害をみんなみるというような法案では私はないと思います。そうすると、基本的な問題が明らかにされないでこの法案が国会にかかっている、七月ごろ中間報告が出る、それで端の問題だけが国会で議論するなんということは、少しどうも本末転倒じゃないかと私思うのです。ですから、やはり基本的な考え方というものがここに明らかに示されない限り、いまかかっている法案の審議というものは、私は審議が困難になってきやせぬかという心配をしているわけであります。われわれ国会議員として、法律案がかかっておるわけでありますから、そこで、一つの点としては、私は、労働者にかぶさってくる災害という立場からすれば、炭鉱の災害は通産省のほうにあるといえども、炭鉱地下労働者の災害は、これは当然労働基準に関係するものとして災害対策というものが打ち出されなければならぬ。ですから、その問題が法律上は労働省の管轄でないとしても、地下保安の問題は労働省でやる。労働省は、その行政管轄の問題はあとになろうとも、考え方としては地下労働者の問題もつまびらかにしなければならぬと私は思うのであります。
 もう一つの問題点は、今日の交通地獄によって、交通労働者が過酷な密度の高い労働をしいられて事故を起こしておる、こういう問題は労働災害の一つだと思う。また、労働者がこれだけの交通地獄の中で通勤をするときに、障害が起きる、これも労働災害の範囲内でないということは私は言えないと思う。こういうふうに労働者に関する一切の問題は、基本的な考え方として、その対策はかくかくのとおり、労働行政だけで足りないところはかくかくのとおりにという、こういう基本的な考え方に立って、他の担当行政官庁はそれをこういうふうに処置するのだというところまで深く入らないと、いまの安全衛生の規則だけ、そういうものをはずしただけで労働問題を処理されるということでは、私はやはり問題があろうと考えておるわけであります。だから、私の主張点は、炭鉱災害は労働省で管轄をしてやるべきだ、こう思っているわけです。ここで議論をあまりいたしませんが、そういうたてまえに立ってこの問題を処理し、そうして労働災害の基本的な問題が浮き彫りされて、それが直ちに法律になるかならないかを検討する、それで個々の問題について法律が出るか、行政でやるか、あるいは教育指導でやるかという仕分けが初めてできるのじゃないか。やはりその基本的な問題として、国会にその方向がぴしゃっと出て、そうしていま出ているような、本筋、労働災害防止の促進の一つの方法としての問題が審議されて処理がされるということでなければ、中間報告もおおまかなところが七月に出ますというようなことでは、この労働災害の結末というものは、われわれいまの法案を付託された社会労働委員会としては、この法案を審議しなさいといわれたってなかなかむずかしいのじゃないか、そういうことが言える。だから、そういう点は、ぜひ労働大臣から明らかにしておいてもらいたい、こう思うのです。
○政府委員(村上茂利君) これは藤田先生御承知のとおりでございますが、労働災害プロパーの問題と、それから御指摘のように、交通の災害、それから、最近は公害の問題であるとかいうように、労働者に対する災害以外にも、これと関連いたしまして、一般公衆の災害という観点からいろいろな問題が提起されておるわけであります。それをどう扱うかという問題がございますが、労働省としましても、災害対策一般の問題の中にそういうものもあわせて考えるべきだという認識のもとに問題提起はいたしております。ただ、しかしながら、それらの問題が等閑に付されておるかどうかと申しますと、交通災害につきましては、交通基本問題調査会がいま答申を出すべく案を作成しているような段階でございまして、その中にも交通災害対策が示される予定でございます。また、鉱害につきましては、鉱害対策連絡協議会というものもございまして、そちらのほうで検討しておるというような状況にございまして、それぞれの分野でそれぞれの対策を練っておるようなわけでございます。したがいまして、先ほど
 七月ごろに中間報告と申し上げましたのは、全体としての構想をまとめますには、そういった関連各種審議会、調査会等とも歩調を合わせながらやるとすれば七月ごろになるのではなかろうか、こういうことでございますが、しかしながら、労働省の所管でできるものはいつごろまでに考え方を明らかにするかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、四月の十七日の審議会には、かなり輪郭のはっきりしたものが検討されるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。その点、周辺の問題と労働行政プロパーの問題とを私ども関連をせしめつつ、しかし、労働省所管の問題につきましては、できるだけ早くその対策の全貌を明らかにしたい、かように考えで、おる次第でございますので、その点御了承いただきたいということと、それから、鉱山保安問題にいたしましても、所管の問題につきましては従来御論議いただいたところでございますが、具体的な鉱山保安法の改正はどうするのか、規則改正はどうするのかという点につきましては、過般私のほうから提出いたしました勧告に基づきまして、鉱山保安法の改正法案、あるいは鉱山保安規則の改正問題が審議されておるわけでございますから、こういう関係とにらみ合わせつつ対処していきたい、かように考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 大体わかりましたが、鉱山保安法の改正、どういうところとどういうところを改正するのだということがあったら、この委員会にひとつ提出をしてもらいたいと思います、労働省の意のあるところを。私の言っているのは、大まかにはそれでけっこうなんであります。七月というのは、あなたのほうで運輸行政の問題をどうするとか、その他の行政の問題をどうせよと私は言っているのではない。しかし、生産につく日本の経済の柱である労働者が、業務上の災害、業務に関係して災害を受けるような問題は、他の行政の一般的な問題は別として、きちっとひとつ出してもらいたい。これは運輸省の問題だから、運輸省で働いている労働者は運輸省の問題ということであってはいけないのではないかということを言っているわけであって、そういうものを含めて、業務上の災害――業務に関係して、たとえば通勤の場合どうするとか、安全衛生の問題が各省の行政の中にあるけれどもどうするか、そういう問題のことはきびしくひとつ労働省が早目に出してもらいたい。それに従って各行政庁がそれぞれ持っている行政の中で改善をしていくその方向が七月でも、それはやむを得ないと思います。全体のまとめをするのだからやむを得ないと思いますけれども、少なくとも、労働災害に関する問題は各省にまたがる問題で、きびしくひとつ基本的な防止のための考え方を、この十七日あとさきにはきちっと出していただきたい。そうでなければ、さっき私の議論したような問題になるということだけを申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど来の藤田委員の御質問につきましては、労働災害の根本的の解決のために総合的に対策をつくるべきだという御趣旨でございますが、私どもも全く同感に思っておるのでございます。元来、ただいま提案、御審議をいただいておりまする災害関係の法案は、昨年の通常国会に提案いたしたものでございます。当時といたしましては、これで当面の災害対策として取り急ぐものはぜひ進めたいという考えで提出いたしたわけでございます。その後、昨年の秋になりまして、三池の災害、あるいは鶴見事故というような相次ぐ大災害の発生によりまして、お示しのとおり、従来の災害対策というものを再検討して、根本的に全般的な計画を打ち出す必要が生じてまいったわけでございます。したがって、労働省といたしましては、そういう要請のもとに、従来の産業安全衛生対策というものを全面的に検討いたしまして、そうして労働基準法の改正を含む全面的な対策というものを検討いたしておるわけなのでございまするが、それはそれといたしまして、その根本対策の中で、提案いたしておりまする法案がいかなる位置づけになるものであるか、そうして、全体の対策の中で、やはりそれはそれなりに必要なものであるという御説明を申し上げませんというと、この法案の説明としては至って不十分を免れないと存じたわけでございます。そこで、災害の安全全般の対策ということになりますと、これはこうした制度の性質といたしまして、やはり労使関係にいろいろな面で関係がございまするので、単に役所の考えだけを申し上げまして、役所としてはこう思う、これでいきたいと、こう言いましても、はたして労使がこれに協力の労を惜しまないかどうか、その辺を確かめる必要があると存じ、すでに内々で使用者側並びに労働者側の意向をも打診し、大体こういうふうな考え方ならば労使も協力してもらえるだろうというめどもついておるというような状況でございます。もちろん細部に至りましては、またいろいろな審議会その他で、労使、公益を含む関係者が論議され、細目を決定してくださるでしょうが、大綱としては、まずかようなものであろうかというような輪郭はおおよそ考えておるわけでございます。で、その考えのもとに、ただいま御審議いただいております法案以外の各般の施策につきましては、それぞれ予算措置、あるいは立法措置が必要でございまするから、これらはまた多少準備の必要もございまして、願くば次の通常国会にぜひ提案するように運びたい、こういう考えを持っておる次第でございます。そういう考えのもとに、基準審議会、その他いろいろな審議会に提案、諮問と申しますか、いま御相談をいただいておるような状況なのでございます。私どもといたしましては、労使の協力を得られる、また、得るためによりこの考え方をこれらの審議会を通じて具体的に詳細なものにつくり上げていただいて、そうして、それを労働省としては誠意をもって実行したい、こういうように考えておるのでございます。しかし、御審議の都合上、その内容を早く示せという御要望はまことにごもっともでございます。先ほど来、局長から申し上げましたような段取りで進んでおりまするので、来月の半ばごろにはそれらについて一応の考え方を御説明申し上げ得ると存じます。
○藤田藤太郎君 いや、いまの労働大臣の御努力しておられることについては敬意を表します。私は、やはり国会で突き詰めたよりよいものをこしらえるというものとあわせて、具体的には携わっている方々の意見を聞いて調整していく、こういうところに労働省が努力されておることは私はいいことだと思うのです。私はなぜこんなきびしいことを言うかといいますと、私たちは、これ社労委員会で、一番人命を損失した激しい問題は炭鉱の事故なんです。そうして、炭鉱の事故で、まあ人の名前をさしてはまことに恐縮、ちょっとどうかと思いますけれども、四年間も五年間も保安局長にいて、おざなりの答弁をして漫々と日を送ってきた。東中鶴の水没、あの三つほど水没ができました。何が原因かといえば古道だ。古道の調査をして、再び水没災害の起きないようにする。口ではそうおっしゃるけれども、何もされない。今度通産省の石炭局長を呼んできて聞くと、予算を上げていたします、それじゃやってもらいたい、これも何もしない。そうして豊州炭鉱で川の底一メートル足らぬような底で大水が出て六十何人も死んだ。これもほっぽらかしでございます。そういうことをやっておる。ガス爆発にしてもそうでございます。日本一といわれるような三井のあの坑道でガスの爆発があり、四百何人かが死んだ。だんだん追及してくると、これはもうぼけてしまって、かくかくの責任体制が全うされてないからこうなったという結論も十分出ない、そうして人命が次から次へ損傷されていく。こういうことをほうっておいていいかどうかということ、私たちは、行政が違うからといって、それじゃほっておいていいかどうかということは、頭にきているわけですよ、ざっくばらんに、社労委員は。と私は思うのです。正常な神経を持っていたら頭にきますよ、これは。そういうことが、ただ行政の問題がどうの、行政区画の問題がどうのといってほっておくべき問題でない。古道の調査もして、きちっと図面を書いてやっておけば、かくかくの所からこれだけの幅の所に入ってやったらいかぬということにしておけば、水没事故なんというのは一件も起こりませんよ。それが何年たっても何もされない。だんだん掘ってもガスの濃度について十分検査がされていない。ばかっとやってまた人が死んだ。私は、ほんとうに労働災害の防止の監督行政は一本にしてもらいたい。一本にしてきびしくやってもらわなけりゃ、何年たっても同じことを繰り返すだけですよ。通産省の行政の中の議論は私は皆さん方の中ではいたしませんけれども、そういうことがございますから、交通事故でもそうでございます。そういうところに問題の根源があるのですから、労働者が、働いている人がその損傷にあうのですから、そういうことはきちっと早く出してもらわなければいかぬということを申し上げておるのでございますから、私たちが、この決議で皆さん方が賛成していただくなら、私は、いまの地下保安関係は労働省に監督行政を移せということを、むしろ社会労働で決議をしてやるべきじゃないかと思う。一本の形で予算を取って、その鉱山保安なんかを労働省で、その生産につく労働者を守る、国民を守る立場から予算をつけていく、そうして処置をしていくということにしないと、いつまでたってもこれはもう解決しない問題だと、私たちはほんとうに悩んでいるわけですよ。だからこういうことをきびしく言っておるわけですから、その気持を十分にくんでいただいて、そしてやはり方向をびしっと出していただきたいということをお願いしておきます。私は関連質問だから、これで終わります。
○委員長(鈴木強君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(鈴木強君) 速記をつけて下さい。
○柳岡秋夫君 改正案について若干質問をしておきたいんですが、提案説明によりますと、過去三カ年の年間平均受理件数が二百六十件をこえておる、こう言われております。もちろんこれは再審査請求であろうかと思いますが、いわゆる再審査請求の前のいわゆる審査請求案件と申しますか、そういうものの受理件数はどの程度あるのか、もしおわかりでしたらお伺いしたい。
○政府委員(和田勝美君) 昭和三十五年度から三十七年度までの三ヵ年間におきます審査官の処理状況でございますが、まず、労働保険審査官につきましては、この三カ年間で年平均の審査の請求件数は二千九百十件でございまして、決定をいたしましたものが二千六百三十七件、取り下げが三百七十二件ございますので、大体請求件数と処理件数とは、ほとんど同数になるわけでございます。なお、失業保険審査官につきましては、この三カ年間の年平均で請求件数は四百五件、決定件数は百四十九件、取り下げが二百五件ということで、このほうは、若干翌年に繰り越しておる、こういう状況でございます。
○柳岡秋夫君 中小企業関係のあれはないんですか。
○政府委員(和田勝美君) 中小企業退職金共済事業関係と炭鉱離職者の就職促進手当関係は、まだ一件もございません。
○柳岡秋夫君 そうしますと、過去三カ年間の審査請求件数、さらに、また、決定件数を合計してみますと三千件以上、決定の場合が二千八百件近くあるわけですが、この決定二千八百件の中で、二百六十件の再審査請求と、こういうことになるわけですね。まあ現実の労働審査官の行なう決定の実体というものは、私まだ把握をしておりませんが、せんだって若干の例を扱ったことがありますけれども、自分でその決定が不服であっても、泣き寝入りをするというか、再審査請求をあきらめるというようなことがあるのではないかという懸念を若干持つんです。と申しますのは、やはり労使関係が、非常に零細企業なり、特に後進的な産業、たとえば漁業関係等におきましては、平均賃金の決定とかその他におきましても、一方的にやられておるというケースが非常に多いと思うんです。したがって、そういう場合に、よほど労働保険審査官が公平に、いわば労働者の立場に立っての審査、あるいは決定というものの配慮をしていかないと、権力に弱い労働者が非常に多いわけですから、これでいいのだということになりますると、それでもう再審査請求の道が開かれておってもやらない、こういうことがあるのじゃないかというふうに私は考えるのです。この二千八百件近くの決定が、真に労働者が納得をして受理されたものであればけっこうですが、そうでなくて、半ばあきらめて決定書を受理するというようなことであると、これは問題があろうかと思います。そういう点について、労働省として、どういう監査と申しますか、指導をされておりますか、お聞きしたいわけです。
○政府委員(和田勝美君) 御指摘の点は、こういう審査制度につきまして、特に慎重に考えなければならぬ問題でございます。そういう点もございますので、実は監督署、あるいは安定所でそれぞれ処分をいたします場合には、行政処分をいたしまして、これこれの決定――こういうことで傷害等級何級とか、あるいは不正受給であるとか、こういう決定をいたしますときには、必ず本人に文書で決定書を渡しまして、その文書の中にも、こういうことで審査官に請求ができる、そうして審査官の決定に対して不服がある場合には、審査会で再審査ができる。それに不服があったときには、さらに裁判所にも行けるということ、その旨を記入する文書を渡しますとともに、監督署、あるいは安定所では、そういうことを口頭ででも労働者の方に申し上げておるわけであります。それで審査会の審査がいよいよ始まりますと、これは法律の定めるところによりまして、使用者及び労働者の側が、ある意味における関係人的な立場で、俗に参与といっておりますが、参与の形で審査案件についてそれぞれ意見を述べていただくことになっております。また、調書その他も参与の方はごらんをいただけることになっておりますが、その参与の方の御意見やら、行政処分の対象になっておられる労働者の意見はもちろん聞くことになっておりまするし、その他の利害関係人の方の意見も十分徴した上で、文書によりまして、こういう理由でこういう処分をいたすことにいたしますということを審査官としては労働者の方に言いまして、決して泣き寝入りということでなくて、審査会で再審査できるからということをお話し申し上げることにいたしております。しかし、そうはいたしましても、東京にだけしかありません審査会に出てくるということはなかなかたいへんなことでございまするが、そういう点は、特に労働者側を代表される参与の方の意見等も十分聞き、参与の方がご本人等にも十分相談できるようにいたしまして、できるだけいまのお話の泣き寝入りというようなことのないような措置を講じておりまして、全くないということはもちろん申し上げられないと思いますが、そういうような配慮をいたしておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 じゃ、そういう点をひとつ十分御配慮をいただいて運営をしていただきたいというように考えております。
 次に、二百六十件という平均の受理件数でございますが、これがいままでのところ、中小企業、あるいは離職者対策のほうの関係ではないということで、労働災害と失業保険の関係でございますが、この二百六十件の不服申し立ての内容ですね、どういうことでそういう再審査請求が出ておるのか。たとえば給付の問題であるか、あるいはそうでなくて、失業保険の場合ですと、資格喪失とか不正行為に対する処分とか、いろいろ分かれておりますが、そういう区分別におわかりでありましたらちょっとお知らせ願いたい。どういう件数が一番多いのか、そういう点をお聞きしたい。
○政府委員(和田勝美君) 三十八年におきます労働審査会の再審査の状況の内訳についてちょっと申し上げてみたいと思います。
 一番多うございますのは、労災関係の傷害等級の決定に関します再審査請求が一番多うございまして、労災件数全体の中の五四%で、百四十五件でございます。その次は業務上であるかいなか、いわゆる業務上外のものが二五%で六十八件、それから、その他たくさんのものがござますが、そういうのが一五%で四十二件、それから、給付制限に関しますものが六%で十六件、これが労災関係でございます。
 失業保険関係は、これはもう半分の五〇%が不正受給関係、不正受給であるかいなかの関係、これは五〇%と申しましても、全体が十二件でございますから、六件でございます。その他は給付制限の問題でございまして、これが九%まあ大体そんなような内訳でございます。
○柳岡秋夫君 そういう内容で一応わかったわけですが、特にこの給付の関係につきましてやはり再審査請求をしてくるということは、私は、一つには平均賃金の決定のしかたですね、これにやはり原因するところがあるんじゃないかというふうに思います。先ほど申し上げました漁業関係、あるいは零細企業等におきましては、平均賃金の決定が当然労使の間で協約が締結をされ、そうして労使の同意のもとにそういうものが決定されなければならない、こういうふうになっているわけでございますが、しかし、実際には非常に平均賃金の決定がむずかしい。特に漁業関係におきましては、漁のあるときないとき、一年間を通じて非常に計算のしかたがむずかしいというようなことで、労働大臣が決定をするというような面もありますし、そういう面で、真に労働者の立場で見れば、非常に低い額で平均賃金が決定されておるということがたくさんあるんじゃないかと思うんです。そういう面に対する給付の際の不服というものが再審査請求となってあらわれてくるんじゃないかというふうに思うんですが、この平均賃金の決定について、詳しくは私も存じておりませんけれども、原則としては、やはり過去三カ月間の平均賃金というふうになっておりますが、いま申し上げました漁業関係等につきましては、なかなかむずかしい関係から、労働大臣が決定をするということになっているんですけれども、どういう基準と申しますか、労働大臣が決定をする場合に、どういうものを参考にし、資料としてそういう平均賃金を決定しているのか、概略でけっこうですけれども、お聞きしたいと思うんです。
○政府委員(石黒拓爾君) 平均賃金の点につきましてお答え申し上げます。
 平均賃金は、もちろん通常の常用労働者の場合には問題ないわけでございます。問題がございますのは非常用の労働者、なかんずく零細企業の労働者でございます。しかも、そのうちで、いわゆる第一次産業と申しますか、農林業、漁業、あるいは建設業といったようなものにつきましては、そもそも賃金台帳も備えてないのはもちろん、支払い形態も口約束とかいうようなことで、非常に実態がつかみにくいわけでございまして、一律にどういうような基準でやるというようなことも申しかねるわけでございます。建設労働者などの場合には、以前でございましたらPW、現在におきましては、それに準ずるような賃金統計に従いまして一応の算定ができるわけでございますが、漁業労働者のような場合には、これはそういうような統計もとりかねるわけでございまして、非常にむずかしい次第でございます。そういったような場合には、できるだけ労使双方が納得してつくった協定に基づいて払うという方式が一つございます。これは最も民主的でございますが、ただ、その協定というものが、とかく労働組合もしっかりしてないところでは、一ぺんつくっちゃったものを何年もほったらかしておく。今日のような情勢では、古くなって、非常に常識外の低い賃金が協定されているというような場合がしばしばあるわけでございます。こういう点につきましては、基準監督署におきましてよく注意をいたしまして、現実に合うような協定をつくり直させるように指導いたしておりますが、間々それから漏れるものもございまして、迷惑をかけておる向きもあります。そういう点はますます改善いたしたい。それから、そのほかの場合におきましては、たとえば林業などにつきましては、過去一年間の災害を受けた人に対する休業補償額から逆算をしてことしの平均賃金というものを基準局で算定して、そして関係者に示して、ことしもそれでけっこうだというならそれでいくというような方式もとっておりますが、一律にどうこうということは申し上げかねるわけでございます。なお、現在法律改正を労災保険審議会で審議中でございますので、平均賃金につきまして、もう少しすっきりした方法を講ぜられないものかということで、あわせて研究しております。
○柳岡秋夫君 きょうは時間がありませんから、また次の委員会で続けて質問をしたいと思いますが、平均賃金の問題につきましては、これがやはり災害が起きた場合に非常に影響の多いことでございますから、労働省がすでに指導をされておりますような内容によりまして、現実に合いました平均賃金が常に協定として成立されておるように、労使双方に対するひとつ好意ある指導をぜひお願いをしたいというふうに思います。あとは次の機会に質問したいと思います。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、本日のところ、本案に対する質疑はこの程度にとどめておきます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
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