第046回国会 社会労働委員会 第16号
昭和三十九年三月二十六日(木曜日)
  午前十時四十五分開会
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出席者は左のとおり。
  委員長      鈴木  強君
  理事
           高野 一夫君
           藤田藤太郎君
           柳岡 秋夫君
  委員
           加藤 武徳君
           紅露 みつ君
           佐藤 芳男君
           徳永 正利君
           丸茂 重貞君
           山下 春江君
           横山 フク君
           阿具根 登君
           杉山善太郎君
           小平 芳平君
           村尾 重雄君
           林   塩君
  衆議院議員
   修正案提出者  西岡 武夫君
  国務大臣
   労 働 大 臣 大橋 武夫君
  政府委員
   労働大臣官房長 和田 勝美君
   労働省労政局長 三治 重信君
   労働省労働基準
   局長      村上 茂利君
   労働省労働基準
   局労災補償部長 石黒 拓爾君
   労働省職業安定
   局長      有馬 元治君
  事務局側
   常任委員会専門
   員      増本  甲吉君
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本日の会議に付した案件
○労働保険審査官及び労働保険審査会
 法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○労働問題に関する調査
 (港湾労働者問題に関する件)
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○委員長(鈴木強君) ただいまより開会いたします。
 労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、本法律案中、衆議院の修正にかかる部分についての説明を、修正案提出者衆議院議員西岡武夫君より聴取いたします。
○衆議院議員(西岡武夫君) すでにお手元に配付してあります件につきまして、衆議院の修正にかかる部分について、簡単に御説明申し上げます。
 再審査請求事件等の取り扱いについて、委員三人をもって構成する合議体によるものと、委員全員をもって構成する合議体によるものとの区分を明確にすることとしたのであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げる次第であります。
○委員長(鈴木強君) それでは、前回に引き続いて質疑を行ないます。質疑のある方は、どうぞ順次ご発言を願います。
○柳岡秋夫君 今回の一部改正の趣旨が、提案説明の中にもありますように、案件の迅速、かつ、適正な処理をはかるためだと、こういうことになっております。したがって、現在の案件の処理状況について、現在やられておるのが、こうした迅速、かつ、適正な処理がはかられていないということに裏を返せばなるのではないか、こういうふうに思いますし、また、現実には確かに一年ぐらい引き延ばされておる、こういうような現状も見受けられるわけでありますが、この現状についてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(和田勝美君) 労働保険審査会は、審査会が発足いたしまして以来、全部で二千件以上の請求を受けて、審査をそれぞれ慎重に、かつ、公正に行なっておられるわけでございますが、審査請求は、最近の年平均は大体二百六、七十件ということでございます。それに対しまして、三人の委員で審査会を構成しておやりになっておりまして、実は毎日出て審査のための調査、調書の作成、それから審理、あるいは鑑定人に鑑定を求める仕事、そういうようなこと、あるいは利害関係人、それから原行政処分庁の意見を聞くというような御努力をなさいましても、大体処理件数が年間の処理件数程度にただいまのところとどまっておるわけでございます。持ち越し件数がございますので、いまのところから申しますと、請求件数と持ち越し件数がおおむね処理件数の倍になっておる、こういうような状況でございます。そのために、一件の平均の所要期間を見てみますると、最近では十三ヵ月ぐらいを要しておるわけでございます。これは現在の一つの合議体としておやりになるのでは、他の社会保険審査会等の例から見ましても、一つの限度にきておる。公正的確にやらなければならぬということになりますと、年間の処理件数としてはこの程度が限度であろう、そういうわけでございますが、そうしますと十三カ月もかかることになりますので、審査の請求をしておられる労働者側の方のことを考えますと、これをさらに迅速に処理できる体制をつくることが必要であろう、こういうのが今度三人の増員をお願いいたしまして、小法廷的なものをつくりまして、当面これは審査会でおきめになることではございますが、大体二つくらいの小法廷をおつくりになって審査を進めていただきますれば相当の能率があがる、そういう意味で、慎重な審査とともに、迅速な処理もできるようになる、かように考えておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 十三カ月くらい要するということでございますが、これは単に審査官が数が少ないということだけではないんじゃないか。この審査会がそれぞれの労災保険、あるいは失業保険、あるいは炭鉱離職者関係、そういうことで管轄がみな違うですね。したがって、それをまとめるために大臣官房という中にこの審査会が置かれているようでございますが、大臣官房の中で、この審査会の事務局が、どちらかというと、大臣官房の中の主要な仕事として扱われていない。いわゆる大臣官房の中にあっても、一部の仕事として、何といいますか、十分官房長が指導監督をして、そして仕事を運営していくというような態勢ができていないんじゃないかと、こういうふうにも私は考えるのです。と申しますのは、今回三人から六人に審査官をふやしたわけでございますけれども、それでは一体それに対応する事務局の態勢というものがどういうふうに計画をされておられるのか、そういう点が予算上見ましても、職員の増員ということも明らかにされておらないし、したがって、単に審査官をふやしただけでは迅速な案件の処理ということは私は期せられないんじゃないか、もっと全体的な態勢の強化ということが必要ではないかというふうに思うのですが、そういう点、事務局態勢について全般的にどういうふうな計画をお持ちでございますか、お伺いしたい。
○政府委員(和田勝美君) 審査会の機能といたしましては、法律上はどこまでも委員が主体になって審査の事務をお進めになる、こういう形になっておるわけでございます。これは第一審と申しますか、最初の請求が審査官という独任制の公務員に対して行なわれますので、その第二審としては慎重にやらなければならないということもございますので、審査会方式で行なわれております関係上、審理自体につきましては委員が御担当になる、こういう構成になっておるわけでございます。したがいまして、審理に関します審問とか立ち入り検査とか、こういうものは庶務を担当します職員には委任をすることができない、こういう状態でございます。そういうことからいたしまして、委員の皆さまにたいへん御苦労をおかけいたしておりますので、委員の増員を今回お願いを申し上げたいということでございますが、事務局といたしましては、法律の三十七条にございますように、委員会の庶務をつかさどるということになっておりまして、それ以外では施行令の三十条と三十一条の規定がございまして、職員がやります仕事は、審理のための処分等の口頭による申し出があった場合の聞き取り書の作成、あるいは審理関係では、わずかに審理期日の調書の作成と、こういうほんとうの庶務の担当をいたしているにすぎない状態になっております。したがいまして、職員の増員という問題が現在の迅速処理ということにかかっておりますよりは、審理それ自体を担当されます委員の方の増員のほうがまず先に立つものではないか、かように考えて今度の提案を申し上げたわけでございます。今後といたしましては、この委員増員後の審査会の具体的な動きを見まして、将来の問題としては、委員の権限の一部を職員に委任するというようなことも考えなければならないかどうか、こういうようなことにつきましては、今後の審理の状態を見た上で検討さしていただきたい、こういうように考えておりまして、職員の増員ということを直ちに考えるより、委員の増員のほうが先ではないかと思います。
 なお、大臣官房で担当することにいたしておりますが、労働省の訓令によりまして審査会の事務室というものを設置をいたしまして、現在は定員が十従って職員の諸君がそれぞれ職務に精励しておってくれますので、十分信頼をいたしておるようなわけございます。
○柳岡秋夫君 私どもも、この三人の審査官を六人に増員をするというそのこと自体に別に異議を持っているわけじゃないのですが、先ほど官房長が言われましたように、六人にして、いままで三人でやっておったものを、今後は二つぐらいの小委員会を設けてやればいままでの倍の審査ができるようになるのじゃないか、こういうふうになりますれば、いままで十四人の職員で一つの小委員会的な三人の審理の事務をやってきたのを、今度は二つの小委員会の事務をいままでどおり十四名の職員でやるということになれば、十四名の職員の労働過重になる。事務の処理についても倍に数量がふえて、非常に定員的に私は不足を来たすのではないかというふうに思うのです。ですから、そういうふうに審査官がふえて審査の事務が促進をされれば、それに付随する庶務的な、いまいわゆる官房長が言われたような仕事は当然ふえるわけでございますから、それに見合うやはり事務局態勢というものを私はつくらなければ審理の迅速な処理はできない、こういうふうに考えているわけですが、そういう点はどうですか。
○政府委員(和田勝美君) まことに御理解ある御質問をいただきましておそれ入っております。確かに二つの合議体できますと、それだけ迅速に処理ができますので、従来二百五、六十件の処理をしたものがさらにふえることはもう言うまでもないのであります。私どもの予定としましては、審査の件数が三分の一以上ふえるだろうと思っておりますが、そういう点からいたしまして、いま御指摘のありましたような点を、十分私ども審査の実際の上において、事務室に特に無理のかからないような配慮を今後いたさなければならぬと、かように考えております。
○柳岡秋夫君 私は、労働省のその官房における仕事の内容ですか、そういう点はまだ詳しくは存じておらないのですが、こういう非常に労働者にとって重要な問題を処理するものが官房という一部局の中に置かれているということ自体が、私は若干問題があるんじゃないか。できれば、こういうのは一つの独立した事務局をつくって、そうしてこの迅速にして適正な処理の案件のために十分な仕事ができるような労働省内における一つ組織の改変をすべきではないかと、こういうことも考えておるわけでございますが、大臣官房の中に置くというのではなくて、独立した事務局をつくる、こういう考えはございませんか。これは社会保険審査会の事務局についてもやはり私は同様なことが言えるのではないかと思うのですが、こういう点について大臣のひとつ御見解をお伺いしたい。
○国務大臣(大橋武夫君) いろいろ役所の機構につきまして御理解のある御意見を承っておるのでございます。なるほど、一応理論的には、確かに柳岡委員の言われるとおりだと思うのでございます。しかし、役所にはいろいろのしきたり、習慣――必ずしもよい意味ばかりのものとは存じませんが、そういったものもございまして、かりに独立の事務局、人員にして事務員が十数名、そして審査官が数名というようなその事務局を、かりに独立して置きますというと、この役所は非常に小さな役所になります。しかし、独立の役所であります以上は、受付から会計から宿直から、何からかにまでやはり人を置かなければならない。置くこと自体は人さえふやせばいいのでありますが、そうしますると、またいろいろな事務的な面になりますと、予算の配賦を受けるとか、経理の執行、そういうようなことになりますと、一々こまかい事務にまで本省の官房に連絡し、大臣、次官の決裁を受けるというようなことになる事柄もあるわけでございまして、これらの実際の実務の運営の面から申しまするというと、やはり大臣、次官に直属しておりまする官房の中に事務室が便宜存在するということか、かえって事務の簡捷であり、また、いろいろ審査会の仕事を運ぶ上におきましても便宜であるというのが実情だと思うのでございます。したがって、各省にも類似の機構がございまするが、いずれも大臣官房において処理するというようなしきたりになっておるようでございます。私は、理論的には別といたしまして、実情といたしましてはこれで差しつかえないし、また、かえって事務の迅速な処理ができるのではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。今後事務もいろいろふえてまいりましょうし、したがって、また、人員もそれに応じてふやしていくというようなことに相なりまするならば、必ずしも現在の機構をいつまでも維持しなければならぬということではございませんが、実情に応じまして適宜勘案してまいりたいと思います。
○藤田藤太郎君 いま柳岡委員の議論されることは非常に大事なことだと私は思うのです。そこで、この法律に基づいて見ますと、「会長は、会務を総理し、審査会を代表する。」ということで、この審査会そのものはどういう性格を持っているのかということですね。これは単なる諮問機関なのか、行政委員会的性質を持って、みずからの権限で行なうことになっているのかどうかということが一つです。
 それから、何といっても、審査を決定したら、労働大臣の直轄にあることは、これは労働省の行政の中の一つであることは事実ですけれども、そういうことになってきて、特にこれは独立した性格でものごとを行なう形でなければ私はいけないのではないか、こういうぐあいに思うのですが、そこのところ性格をどういうぐあいに……。
○政府委員(和田勝美君) この審査会の性格は、行政事件に対する不服処理、異議の申し立てに対する処理を専権的にこの審査会といたしましては行ないまして、他の一切の支配を受けないという行政機関でございます。したがいまして、いわゆる諮問機関とかそういうものではございませんで、審査会の決定がございますれば、その事案に対する行政機関としては最終的な決定になるわけでございまして、大臣からは完全に独立したそういう職権行使を行なうことになっております。
○藤田藤太郎君 そうすると、審査会が決定すれば、大臣はこれに意見を差しはさむことはないわけでございますか。
○政府委員(和田勝美君) さようでございます。
○藤田藤太郎君 そういう独立した権限を持って、全くもって行政を独立してやるという機関であるとすれば、私は、労働省の行政のその一部で事務を行なうことはおかしいと思うのです。だから、全体的な労働大臣の統括は受けましても、やっている案件審議そのものは、私は法律に基づいて独立して事を行なうということでなければいけない。労働省の官房における一部の職員が片手間でやっておるというようなことじゃ、この審査会の意義というものはまるっきりない、私はそう思う。それを労働省はどう考えておるか。
○政府委員(和田勝美君) 審査会は、先生すでに御承知のとおりに、現行法の二十九条によりまして「委員は、独立してその職権を行う。」ということで、はっきり委員の仕事についての保証がございます。そうして労働省の職員が行ないますのは、同じく三十七条で、「審査会の庶務は、労働大臣官房で処理する。」ということで、先ほど柳岡委員の御質問にお答えいたしましたように、純然たる庶務事項だけを職員が行なうわけでありまして、審議それ自体は職員が関与いたさないのでございます。そういうことからいたしまして、独立機能を営みます審査会の機能は、職員が大臣官房の職員であることによってその独立性を阻害されないじゃないかというのが私どものここに考えておる考え方でございます。なお、職員につきましては、この庶務を担当いたします職員は、ほかの仕事を実はやっておるわけではございませんで、先ほど申しました十四名は、専任的にこの庶務の仕事を担当しておる。ほかの、たとえば総務課の仕事をやって、片手間で審査会の庶務をやる、こういうことにはなっておりませんので、御了承いただきたいと思います。
○藤田藤太郎君 どうもその辺が私はおかしいと思うのです。これはまあ改正事項には出ていないのですが、やはりこの際三人を六人にふやして、この事務のたまったやつを減らそうというのでありますから、そこらあたりもやはり明確に――これは具体的に言えば設置法の改正ということに当たるか知らないけれども、そういう点はやはり具体的にしなければこの問題は解決しないのじゃないか。いま官房長の言うように、庶務は行なう、審査は関係しない、当然のことで、そんなことは委員の権限、責任、義務で任命されておるのですから、庶務とは何ぞや、調査、それから一切の事務は庶務という概念に入って、事務局が協力しているということになるわけです。たとえば中央労働委員会が行政委員会として、みずからの権限によって行なうということで事務局を独立さして、中央労働委員会の事務局員というものは労働省の行政職員でありますけれども、労働省の他の分野の中の職員じゃない。中央労働委員会という、その会長や委員の驥尾に付して仕事をするという独立体制にあるわけですね。その職員に対して、労働省が、事務の仕事やその庶務の仕事についてとやかく言えるような存在ではないわけです。それでなければ行政委員会の意味はない。だから、身分そのものの関係において労働省の職員として派遣されるというかっこうになることも、これは私はこの間までは問題を提起したくはありません。しかし、この労働委員会の職員のように、会長の統轄によってこの審査会が、より意義あらしめるためにその自分の職務というものは集中されなければならぬ。それなら会長の監督のもとに職員が動くという態勢をとらなければ、そうして、また、中央労働委員会のように事務局を置いて云々というように、明確にその仕事の分野を独立体制にしておかないと、私はやはり問題があると思うんです。といいますのは、三人が六人になって、この委員が独立した権限と権利義務において仕事をする。ところが、職員は官房長の命令によって自由に事務を扱うということは、審査会の大半といったらちょっと悪いんですけども、相当な分野を事務局が扱うわけですから、これに他の命令を差しはさむ、労働大臣や直接の長である官房長が指示、意見その他を差しはさむ余地があるようなかっこうというのは独立性を阻害していると、私はそう思うんです。だから、そういう点はもっと明らかにしなければいかぬじゃないか、私はこう思う。その点もう一度。
○政府委員(和田勝美君) 審査会の独立性の保障という点につきましては、私どももきわめて重要なことと思います。そういう意味からいたしまして、十分事務室の運営につきましては、私どもが特別にとやかく言うようなことは全くいままでのところないということでございます。先生がいま御引用になりました中央労働委員会でございますが、実は中労委のほうはどこまでもこれは独立して行ないますが、職員の扱い方について、法律上ちょっと審査会と違った内容になっております。と申しますのは、組合法の二十二条によりまして労働委員会の強制権限を書いておりますが、そのときに調査――関係工場事業場に対する臨検とか、業務の状況もしくは帳簿書類その他の物件の検査というようなことは、実は職員が委員と同じ権限を持っております、中労委の場合におきましては。で、中労委の職員は、そういう意味では非常に強い権限を持っておりまして、単に委員会の庶務を扱うということだけではないわけでございます。これは向こうの案件の性質上そういうことになりますわけでございますが、それに対しまして、審査会のほうは、先ほどお答えを申し上げましたように、もっぱら庶務を扱うという法律上の規定になっておりまして、委員と同じような権限行使をいたさない。そういう点からいたしまして、いまのところ、先ほど大臣がお答え申し上げましたような意味合いにおきまして、大臣官房で庶務を扱うということになっておりますが、今後審査会の実際に動いてまいります姿の上で、やはり職員にも調査権限というものを付与しなければならぬ、単に委員の増員とか何とかということでなくて、職員にもそういうものを与えなければならないというようなことになってまいりますれば、それはまた非常に強い権限を職員として持ってまいりますので、単に大臣官房の職員が庶務をつかさどるということではおさまらないのではないかと思いますが、こういう点については、審査会の処理をおやりになります実態を見ながら、今後の問題として私どもも十分検討させていただきたいと思います。
○藤田藤太郎君 いや、私はむしろその点を問題にしたいわけです。この審査会は、たとえば失業保険、労働災害ですね、労働関係における関係のもの一切を審査して決定をする、非常に私は大きな権限だと思うのです。たとえば労災にかかった人の現地調査をして状態を調べない限り、結論は出せないものだと思う。それをあなたおっしゃるように、これは庶務だけなんだ、いままで三人だったので、能率があがらなかったので六人にされることはいいことだけれども、私は、その職員の立場からいって、それは委員のやることだから、言われるとおりものを書いたらいいのだ、命令によってどことどこと、これとこれと調べて、こいという、そんな権限も行く義務もありませんということでは審査会は回転しないと思うのです。実際上は、職員をして、このA、B、Cの案件について、委員が行けないから、かくかくのものを調べてこい、決定権は委員にありますけれども、そういうことはいまの中労委規則の検査の事項と具体的には同じことをやっている。やらなければ意味ないのです。こういう審査会の事務機構なんというもの、事務員というものは意味がないものだと思う。あなたのおっしゃるように、庶務庶務といって、庶務だけで処理して何のこともないというなら、私は事務局なんというものはあってもなくてもいいと思う。そんなことではないと思う。私は事務局というものに権限があるとは言いませんよ、権限があったら委員会はおかしなものになってしまうのですから。しかし、審査会の命を受けて、会長の命を受けて、委員の命を受けて、その審議案件事項が、より迅速に、より有効に決定されるために手足になって働く任務を私は事務局が持たなければならぬ。そういうことになる、独立の管轄の審査会であり、独立した権限がある審査会が手足に持っている事務局が、他の命令でも動かせるという職員が庶務事項だけを扱うということでは、私は意味ないと思う。これは言うてみるだけの話にすぎないと思う。そんなものなら、審査会というものは、これは存在価値そのものがおかしくなってくる。もっと有効に、会長や委員の命によって職員というものは手足になって働くということでなければ意味がないと私は思うのです。これは昭和三十一年にできてから今日まで議論しなかったことも、われわれの責任は感じますけれども、この際、やっぱりこの問題は浮き彫りにして、審査会がもうたくさんの中小企業――退職金の問題等も含めて、その労働省の関係する法律事項に基づいた案件をここでばさばさ片づけていこうというのでしょう。そんなものを六人や八人でとても――事務局は庶務だからといって何の手足にもならないかっこうで、記録係のような事務局なら、審査会というものはとても活動できぬ、私はそう思う。だから、この際、事務局というもの、それから審査会というものを、審査会が独立した権限を行なうなら、これに伴うような事務局をつくる、このことを私はやっぱり明確にしておいてもらわなければいけないのじゃないか。これはこの法律事項の中にも一つ出てきますね。事務局を置いて云々というものが出てきますね。それからもう一つは、労働省の設置法の中にも、一つ出てきますね。だから、そういうやっぱり処置をお考えになったほうが、より具体的でいいのではないか、私はそう思うのです。機構が小さいとか大きいとかという問題じゃないと思う。これから社会保険とか、社会保障的な苦情処理の問題は幾らでも私は出てくると思う。いま厚生年金――厚生年金は関係ありませんけれども、だんだんとふえて千七百万も千八百万も――日本の産業労働力の中の人口比率から見て、雇用労働者の比率が二千七百万くらいになりましょう。ことしは全体の産業労働力の中の雇用者の比率というものは、やはり外国の例をみても、七五から八〇くらいになっている。非常に重要な役割をこの審査会は持っておる。ですから、六人やそこらでいかないで、今度十人にふやす、十五人にふやすということに私はならざるを得ぬ性格をこの委員会は持っている。その意味で、私は、ふやして事務を迅速にやることは賛成でございます。だから、それをやれるように、ひとつ事務局というか、委員会自身がやれるようにしてもらいたい。これはひとつお考えをいただかなければ困るのじゃないか。この今度の出ている資料にはありませんけれども、そういうことを生かしてもらわなければ私はいけないのじゃないかと思うのです。
○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど柳岡委員の質問にもお答え申し上げましたるごとく、藤田委員の御意見については、まことにごもっともに存じます。しかし、実は御承知のように、この種審査会の庶務を扱う事務局の問題につきましては、各省にいろいろ類似の審査会もございます。それらについての現在のおよその型ができておるわけでございます。ただいまの御意見は、その現在の型を打破することが事務の能率的の処理をはかるゆえんではないかという御意見でございますが、私も確かにそういう点も考えられると、かように存ずるのでございますが、御承知のとおり、この問題につきましては、他の法令との関係もございまするし、また、各省のそれぞれの関係で、予算上の取り扱いにつきましても、一応定まった形がございますので、これらのことを考えまするというと、予算との関連等で、労働省だけで結論を出しても、それによって直ちに処理するということもできない性質でございますので、十分に労働省といたしましては関係各省と打ち合わせまして、予算等の面についても大蔵省あたりと相談し、その上で政府全体として結論を出した上で、あらためてお答えを申し上げるようにいたしたいと存ずるのでございます。したがって、この法案の御審議にあたりましては、この問題と一応切り離して、私どもの宿題として今後研究を続けさしていただくというふうにお願いをしたいと存じます。
○藤田藤太郎君 私は、大臣がいまおっしゃるお気持ちはわかると思うのです。宿題としてこの問題を処理したいと、こうおっしゃるわけですが、私は、本来の姿というものを浮き彫りにしたほうがいいと思うのです。ここで労働省に云々の議論をするのじゃなしに、この審査会がほんとうに有効適切に活動できるような姿にしたほうがよい、私はこういう立場をとるわけです。ですから、各省の関係というものをお考えになることも研究されることとも私はけっこうだと思います。しかし、このような独立して権限を行なうような性格のものは、私は、やはり他の官庁の指示を事務局が受けるようなかっこうでなしに、いまの日本が民主主義的な機構の中で、国民生活向上といいますか、社会規正をはかっていこうという趣旨から言えば、少しそこのところはそぐわないと私は思うのであります。ですから、もっと具体的に掘り下げて言えば、いま大臣のお気持ちをたとえばくむといたしましても、その基本的な考え方は御理解をいただいて、最も早い機会にこの問題の処理をする、こういう約束をここで、次の国会なら国会にこのような問題をひとつ――各省の関係というのはぼくはあまりないと思うが、だから、それを約束していただきますれば、私は、この問題をこれ以上は申し上げませんけれども、やっぱりこういういう性格のものは明確にしておかたいと、労働省自身もお困りになるし、また、国民も要らないところに疑念を持つようなことで、お困りになる。われわれも、これを審議した以上、このことは何だと言われても返事のしょうがないというところに追い込まれる、私はそう思う。ですから、やはり法律で独立した権限を持って行なうというならば、その事務当局というのは独立して、その会長の命令や、委員会の命令に手足となって働くということが明確にならなければ、こういう審査会の意義というものは、もう何分の一減になってしまうと思う。そこらあたりを明確にしていただければ、私はこれ以上追及いたしません。いたしませんが、本来の姿にしてもらいたいということです。労働大臣にこの行政上の問題についていろいろ御意見があるということであれば、委員会に堂々と申し上げられたらいいと私は思う。その行政の問題は委員会の運営の中で大いにできるし、問題の摘出のしかたや法律の悪い点は、法律を変えられることも大臣の実際権限でございますから、そういうことはできるけれども、少なくとも審査会に問題の案件をかけて、それで独立した権限で行なうというたてまえをとる以上は、私は、その点手直しをきちっとしておかなければ問題が残る。そうでなければ、その疑いが起きて、要らぬところで問題が起きる、こういう気がいたします。そういうふうに私は患っている。だから、その点を、単にこれは希望事項とかなんとかということではないと思う。われわれのこの問題を審議する責任もあるし、労働省は行政をやられる国民、労働者相手の責任もありますから、そこのところは明確にひとつ設置法とこの法律の関係は、委員会や会長の命令を統括すると法律にも書いてあるから、手足になって働く事務局を独立したものをつくってもらいたいということをひとつお約束を願いたい。
○国務大臣(大橋武夫君) 必ず次の国会でこの事務局を独立させるというお約束をここで申し上げるわけにはまいりません。というのは、先ほど来申し上げましたるごとく、予算その他の関係もございますので、労働省だけで単独に政府としての態度を決定するわけにいかないからでございます。しかし、先ほど来申し上げましたるごとく、御趣意のあるところはよく承りましたし、また、その御趣意はまことにごもっともであると存じまするので、今後その線に沿うて各省と打ち合わせをいたしまして、各省の打ち合わせの上で、差しつかえがないという結論になりましたならば、できるだけ早い機会にそのように収めるようにいたしたいと存じます。
○藤田藤太郎君 いま大臣の理由の冒頭に、予算の関係と、こうおっしゃったわけです。しかし、私は、予算の関係は出ないと思う。私たちが何人いなければならないとかなんとかというのなら、予算の関係というものは出てくるわけだけれども、いまの事務局機構の人員でいいのか悪いのか、足らないのかどうかということは、機械的にわれわれがここで議論を述べる問題ではないと思う。それは実際に委員会が運営できる人員が何人なのかどうかということは、いろいろ皆さん方の歴史的の経験の中から出てくるので、そこで初めて予算の関係が出てくる問題だと思うのです。だから、予算の関係ではなしに、ものの考え方を私は聞いているわけです。十四人いまおいでになってそれでいいのか悪いのか、私はよう判断を下しません、ここで足らんとか多いとか。だから、そういう問題が理由の第一ではなくして、ものの考え方が私は第一ではないか。独立して権限を行なうその委員会の手足になって働くという機構を明らかにしてもらいたいということなんであります。だから、そこのところはひとつ大臣も明確にこのような問題が他にもあるとおっしゃいましたが、その点の打ち合わせや研究をされることは、それは私は何ともそのことについては問題を提起いたしませんが、ものの考え方として、そうでなければ審査会の独立性というものが、もうあなた方労働省としては失われてないとおっしゃっても、私から失われている。何分の一かに失われているという、そういう疑念を持たすような機構は置いておくべきではないというのが私の主張でございます。できれば、独立して権限を行なうなら、独立して権限を行なうということを明確に名実ともに、形も実質もともに伴うというところへいってもらいたい、この考え方をお聞きしているわけです。
○国務大臣(大橋武夫君) 先ほど来、私の申し上げましたことは、御趣旨はよくわかりましたし、その御趣旨につきましては同感であるということを申し上げたのでございます。ただ、それではすぐここの席で、来年からでもそれを改正する法律案を出すかという点でございまするが、それは労働省としては、御趣旨はごもっともと存じまするので、できればそうしたいと思うけれども、大蔵省、あるいは行政管理庁、その他この行政機構の改変にあたりましては、他省とも相談を要しまするので、それらの点に当たった上でないとはっきりしたお答えはできません。しかし、労働省としては、まことにごもっともでございまするので、それに向かって努力をいたしますと、こういう趣旨でございまするから、御了承いただきたいと思います。
○柳岡秋夫君 いままでの御答弁によりまして、この審査会が独立した権限を持って運営をしているということについてはわかったのでございますが、私、大臣官房の中にこれがあるというような、その形の上から考えると、何かやはり独立した権限が、大臣なり官房長あたりの労働省の考えがその中に入る懸念が出てくると思う。こういう疑問を私たちとしては持つことになるわけです。そこで、いままで御質問申し上げておったのですが、そうしますと、独立した権限を持って、自主的に審査会が運営をしているということになれば、自主的にやっているということになりますれば、当然審査会の業務の増加に伴っての職員の問題、あるいはその他の事務処理にあたっての経費の問題等について、会長なら会長が予算の要求をしたという場合、その予算要求に対し、一体労働省はどういう形でその要求を取り上げ、そして大蔵省との折衝もやっておられるのか。これは、労働省がいわゆる官房なら官房として、官房内におけるその他の課ですか、その他の課と同じような立場で考えて、この審査会のいわゆる独立性というものを阻害するような面があるのかないのか、その辺をひとつ。ほんとうに名実ともに審査会の独立性というものを尊重するのかどうか、その辺をひとつお伺いしたい。
○政府委員(和田勝美君) 予算等につきましては、組織令の関係で、形は官房の総務課がこれの庶務をつかさどっております。しかし、先ほど申し上げましたように、十四人の職員が専任で事務室をつくりまして、その事務室は、大臣訓令で出ておりますが、事務室をつくってやっておるわけであります。審査会の会長以下の委員の方方と事務室の者が十分相談をいたしまして予算を編成をいたしております。それに対して会計課長が、省全体の立場でいろいろな事務的な調整はいたしますが、実質的なものを特に切るとか、あるいは独立制を阻害するような意味で予算を会計課長調整でなくする、こういうようなことは、実は設置以来一回もございません。その点につきましては、これは審査会の委員の皆さんも十分御理解をいただいておると思います。最終的に予算案がきまります場合には、もちろん会長及び委員にも御同意を願って労働省としてはとりまとめをしているようなわけでございますので、予算的な面から審査会の独立を侵害するような例は、現在までのところは全くございませんから、御了承いただきたいと思います。
○柳岡秋夫君 最後に要望を申し上げておきたいと思いますが、いずれにしても、これは非常に労働者の利益にとりましては重要な案件を処理する機関でございますから、ひとつ十分案件の処理にあたっては、先ほど官房長のほうから、一応の今後の運営の方針と申しますか、お考えをお聞きしたわけでございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、非常に十二カ月ぐらいの期日を要しておるというようなことでは、これは問題がございますので、今回のこの増員にあたって、一そうその事務の処理が迅速に適当にされるように、十分な御配慮をぜひお願いをしたいということが一つでございます。
 それから、もう一つは、先ほど藤田委員も申されましたように、やはり自主的な審査会の権限が行使できますよりに、審査会の独立性というものはあくまでも保って、そして十分な審査ができるような態勢をつくっていただきたい、こういうふうに思います。
 以上で質問を終わります。
○藤田藤太郎君 そこで、お尋ねをしておきたいことは、委員の皆さんの現状なんでございます。これは、私ちょっと席をはずしていましたから、どうも質疑があったかどうかわかりませんけれども、質疑があった点なら、もうあったということを明らかにしてもらえばいいわけでありますが、その委員はいま三人でありますけれども、今度六人にされるわけですけれども、日々の勤務状態はどういうことになっておるのか、たとえば非常勤か常勤か、そして、非常勤ならばどういう状態で、常勤ならどういう状態で勤務をされているのか、そこらのところをひとつお聞かせしていただきたいと思います。
○政府委員(和田勝美君) 委員は常勤でございます。常勤でございまして、現在どんなことをただいまおやりになっているかということをちょっと御紹介さしていただきますと、月曜日は合議事案の事前検討ということで、月曜日六件から八件ぐらい検討しておられます。それが検討を終わりまして、その次の日の火曜日はいわゆる合議になっていまして、採決をするための合議を皆さんでおやりになります。それから、水曜日は審理事案の事前検討、いよいよ審理を始めるときに、どういう内容の事件であるかということにつきまして、書類その他によって検討を加えるのですが、それを水曜日におやりになっておりまして、これも大体六件から八件ぐらいございます。木曜日は、申し立て人、あるいは処分をいたしました行政官庁その他の利害関係者、あるいは参与の方の御参加等を得まして審理を行なっております。金曜日は、審理期日に事務局職員が作成をした調書を閲覧する日です。事務局の職員が書記役として作成したその調書がどういうように作成されているかということの調書の閲覧、あるいは事件が解決をしたあとでどういうように処理をされておるか、こういうような事後の検討、大体こういうような日程で現在委員の方がそれぞれ御精励をいただいております。
○藤田藤太郎君 そういたしますと、この委員の方々は、いま非常にそのたまっているやつをできるだけ早く処理してもらわにゃいかぬのですが、一日の勤務は、一般公務員と同じように出勤をして、そして月曜日から土曜日まで出勤してそれと取り組んでやる。現地視察その他の問題もあるわけだと思いますが、そういう現地に出て的確に事件を把握するための費用やその他の問題については、労働省はどういう費用を使っておられるわけですか。
○政府委員(和田勝美君) 三十九年度予算で例をとって申し上げますと、総額で二百四十二万三千円の予算を計上いたしておりまして、中身は、参与手当が十八万、諸謝金二万、職員が出ます職員旅費として四十万九千、それから保険審査のための旅費が二十九万九千、参与の方が現地視察等出ていただきますための旅費が二十五万七千、証人を呼びます旅費が八万六千円、それから庁費といたしまして、所要の紙、電話料、通信その他のものが全部入りますが、百十七万二千円、こういうような内訳になっておりまして、現在のところでは、予算上不足をするので審査に特に差しつかえがあるというようなことは私ども聞いておりません。
○藤田藤太郎君 参与という役割のほうが大きいように私みえるわけですが、参与というのはどういうことですか。
○政府委員(和田勝美君) 審査会法の三十六条に、関係労働者及び関係事業主を代表する者の指名というのがございまして、法律的には正式に参与という名前を使っておりませんが、この方方は俗称まあ参与ということでお願いをいたしております。これは審理にお立ち会いを願ったり、それから書類を閲覧をされたりいたしまして、意見を審査会のほうにお出しをいただいております、その事案に対する意見を審査会のほうにお出しをいただく、これが主たる任務でございます。
○藤田藤太郎君 わかりました。そこで、委員の旅費が二十九万というようなことになりますと、たとえば偶数、奇数で委員が派遣される、一年のうち二回、三回行けば、まあ二回とは言いませんけれども、二十九万じゃ、もうせいぜい少ない回数だけしか出張ということになりませんね、これは。そこらあたりの問題は、何も予算をたくさん組んでどうやれということを言うわけじゃない、出張する必要がなければせぬでも私はいいと思いますけれども、予算のワクによって問題や案件をしっかり把握することができないように予算で縛るようなことがあっては、私はこの活動が十分に効果を生まないと思うので、この二十九万九千円というのが適切であるかどうかはよくわからぬけれども、しかし、全国的な一切の問題を、参与の数等もありますけれども、これだけじゃどうもものさしを当ててみても足らないような気がしますが、どうなんですかね。機械的にこのワクで押えているということなんですか、これは。
○政府委員(和田勝美君) 現在の現実の活動をされておりますのは、お一人大体一年四回ぐらい御出張になっております。それで、大体一回に事件を取りまとめてごらんになりますので、六、七件くらい一回の出張で実地調査をされる、こういうことでございますから、全事案の一割二分くらいについては、委員が一人について二十八件くらいになるわけでございますから、延べでいいますと、もっと多い数現地調査をなさっておるということでございます。大体一回は一週間程度御出張になっておるようでございます。
○藤田藤太郎君 これは私は、どうもあなたがそうおっしゃっても、二十九万円ということじゃ、どうも納得がいきにくいわけだけれども、あまり議論をしますまい。そこで、私らの耳に入る案件がございます。昭和三十七年当時の問題がまだ漏れておって解決つかぬから、何とか調べてもらいたいというようなことが私らの耳に入るほど問題がずっと延びておる案件が多いと思うのですね。だから、私は、やはり実情なんというものは、現地にいて実際にじかにはだで把握してこなければ問題の解決ができない、東京で処理をしてきなさい、はいというようなことで問題が延びておるということが私はあると思うのです。私はそういう意味でちょっと希望条件を申し上げておるのだけれども、一日も早く問題を処理するためには、そんな機械的に一週間行かれることになりましょうぐらいのことではなしに、また必要がなければ予算が少なくてもよいかもしれませんが、必要があれば、そういう長い案件を処理するためには、もっと予算がたくさん要るかもしれません。そういう点は、その独立して権能を行なう法律を持ちながら、遠いところから、雲の上からさわっておるようなかっこうじゃ、私は問題の解決ができないと思う。そういう点はひとつ十分に自主的な活動のできるような処置を講じてもらいたい。何らかの方法が私はあると思う。きょうはこれ以上申し上げませんが、そういうかっこうで一日も早く迅速に処理ができる、拙速をとうとぶという意味じゃございませんけれども、しかし、そういう意味のことを十分労働省で腹に入れていただいて、問題の処理に独立して権限が行使できるように、取り組んでもらいたいということを、私は希望条件で申し上げておきます。こまかい予算の問題ですから、それ以上申し上げません。
 終わります。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○藤田藤太郎君 私は、本案に対して、衆議院送付原案含めて、賛成の立場から意見を少し申し上げたいと思うのですが、ただいまこの委員会で審査会の運営、それから独立性の問題だとえば独立して権限を行なう審査会でございますから、名実ともにその手足となって働く事務機構といいますか、そういうものが出てこなければ私は問題を残すのではないかと思う。だから、その早急な是正を願いたい。そのものの考え方について質疑をいたしましたところが、大臣も、その前提については賛成である、しかし、いろいろと他の関係において検討しなければいかんので、早急にこの問題の処理と取り組みたいという御発言がございました。私は、その大臣の御意見を了といたしまして、そして一日も早くこの本来の独立性のもとに審査会が運営されることをこいねがうものでございます。私はその点だけを特に労働大臣にこの際申し上げておいて、そしてこの案件がほんとうに名実ともに審査会として独立して運営ができて、国民の生活、労働者の生活に寄与するように進めてもらいたいということの意見を申し上げて、賛成の討論といたします。
○委員長(鈴木強君) 他に御意見もないようでありますが、討論は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案(衆議院送付)原案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 総員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
  ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) 労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。杉山善太郎君。
○杉山善太郎君 労働大臣にお伺いいたしますが、ことしの春闘にちなんで、主として港湾労働問題に焦点をしぼって若干お尋ねをしたいと思います。申し上げるまでもないことでありますが、ことしの春闘は、言うならば大幅賃上げ、最賃制、時間短縮、生命尊重、安全確保、社会保障の充実等が要求の柱でありますが、とりわけことしの春闘で最も苛烈で深刻な闘争は、四月の中旬ないしは下旬を目途に展開されるであろうところの交通運輸共闘会議の陸海空に及ぶ立体的なストライキであろうと、かように判断いたしております。そこで、この交通運輸共闘会議の一翼であり、むしろ主軸であるところの港湾共闘会議は、過ぐる三月五日付で、日本のすべての港で働く港湾労働者及びこれに関連する官民の労働者およそ二十万を代表して、これらの労働者が当面する緊急な問題について、すなわち、賃金の引き上げの問題、それから港湾労働者の雇用の安定に関する措置について、それから労働安全の確保について、さらに四番目といたしまして、港湾の福祉施設の整備について、以上のごとき四つの柱についての緊急の案件を、やはり統一要求書の形で、去る三月六日、院内で共闘会議の代表者がそれぞれ黒金官房長官に会って要求書を手交しておるのでありますが、しかも、その際、官房長官に対して、本件に関しては、関係各省に対して、かなり具体的な親切な回答なりをお願いしたい、こういうことを要請している事実があるのでございますが、これに対して、これらの要求事項として、ある面は運輸省に関係があり、ある面はやはり労働省に関係を持つ問題だと、かように理解をしておるわけであります。したがって、比重からいえば労働省の所管の比重がやはり多いと、こういうふうに考えますので、ひとつ労働大臣からこの間の見解、所見をお伺いしたい、かように考えます。
○国務大臣(大橋武夫君) 港湾中央共闘会議の要求書は、労働省もこれを承知をいたしております。で、この統一要求事項の内容中には、労働省の所管に関係ある問題といたしましては、第一は、「雇用の安定に関する措置について」、これは要求書の第二項になっております。それから、次は、「労働安定の確保について」、これは要求書の第三項でございます。それから要求書の第四項、「福祉施設の整備について」、この三点が特に労働省の所管事項に関係のある事柄でございます。まず、港湾労働者の雇用安定に関する問題でございまするが、港湾労働者の雇用安定に関しましては、三月三日に、港湾労働等対策審議会におきまして、これが対策についで答申が行なわれておるのでございます。政府といたしましては、答申の内容を十分に検討いたし、その趣旨を尊重いたしまして、できる限りすみやかに総合的な港湾労働対策の実現をはかりたいと思いまして、現在具体的な準備を進めておる状況でございます。
 労働安全の問題でございまするが、労働災害の防止につきましては、人命尊重という基本理念に基づきまして、関係行政体制の整備充実をはかりますとともに、特に港湾荷役業につきましては、他の業種に比べまして災害の発生率がきわめて高いのでございまするから、重点的に監督指導を実施し、また労使の自主的な安全活動の促進をはかりまして、労働災害の防止に万全を期したいと思っております。
 なお、今国会に提案をいたしておりまする労働災害の防止に関する法律案におきましては、この法律による特別の指定業種といたしまして港湾荷役業を指定し、積極的に安全活動の推進をはかりたいと思っております。
 福祉施設の整備につきましては、かねてから港湾労働者用住宅、福祉厚生施設につきまして、関係機関と密接な連繋のもとにその整備を進めてまいっておるのでございまするが、今後の港湾の充実発展ということを考えますると、いまだその成果は微々たるものでございまするから、今後はその整備充実に一そう配慮いたすようにいたしたいと思っております。なお、港湾福利厚生協会の運営につきましては、労働者の意見が十分反映されるように行政指導をいたしておるのでございます。要するに、統一要求書において要求されておられまする事項のうち、第二項以下、労働省所管事項につきましては、要求の趣旨はまことにごもっともであり、われわれといたしましてもこれが実現に全力をあげなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
○杉山善太郎君 もう一点この際お聞きしておきますが、確かにこの港湾共闘会議の統一要求という形で、形式上はどうあっても、出されたのは、具体的に去る三月の五日付であります。さらに三月の三日には港湾労働等対策審議会の答申が出ておる。言うならば、この港湾労働対策審議会の答申を踏んまえて、しかしやはり政府はひとつ誠実を込めてこの答申に一日も早くこたえてもらいたい、そういう願望が、タイミングの点で、時たまたま春闘の中でこれが要求書の形になっておる。そういうことと比較対照いたしまして、たとえばこの港湾労働の雇用の安定に関する処置についても、決してなまの姿で答申がわが意を得た答申だと、だからこれをひとつはね上がったような気持ちでこれをどうこうするというような形ではなくて、むしろ闘争は手段であって、問題は、このことが諸外国に非常な立ちおくれ、そういう客観的の事実の上に立って、主体的な条件については、やはり調査であるとか、そういう段階は、そして予算的な措置というものは、過去の国会の論議においても、そういう過程においては、拙速的にもはや調査とか予算云々という問題は出ておるはずだといったような形から、かなり経緯深慮遠謀をめぐらしながら、さらに具体的にはILOの運輸委員会の港湾労働者の雇用恒常化に関する決議を基本にして法の制定を要求するといったような、考え方によっては意地も悪くあるけれどもなり深刻だと、そういうふうに、決して物取り的な、物理的な要求だけではなくて、そういうふうにひとつ御理解をいただいて、ことに私は、この種の形式は、実際問題として、常にいなかにおりましたもので、よく存じませんけども、やはりかりそめにも去る六日の日に官房長官に、この答申の性格上、政府ということを対象としてつまり出ておるわけでありまするから、港湾の代表者がこれを手交しておるわけでありまするけれども、しかし、これが答申が出て、それを踏んまえて、そして要求の形にあらわれてきておる。それがやはり結果的に見て、現象面では、のれんに腕押しのようなかっこうになってしまって、それがアブハチとらずになるという杞憂を私は私なりに感じましたので、きょう若干の質問をしながら、やはりこの受けとめ方に対する――いま大臣は、二項と三項と四項は、これは労働省所管に属するものと判断するとして、そういう考え方の表示がありまするが、しかし、この前段の賃上げの問題についてもよく御理解をいただきたいと思うのであります。時たまたま、たとえばこれは若干話が横すべりいたしますけれども、自由労連のベクー書記長が来ておられて、昨日労働大臣はお会いになっておると思うのでありまするけれども、この賃金問題について、やはり労働大臣とベクー書記長との間にいろいろなお話があったやにお新聞面でうかがっておりまするけれども、それはそれといたしまして、この港湾労働の共闘会議の統一要求書の内容をよくひとつ検討していただきたいと思いまするのは、確かに港湾労働の雇い主は、すべて民間企業に属しておりまするが、賃金問題は、これはやはり企業主、言うならば使用者と労働者との間でこれは対等の原則に立って話し合うという通念であるけれども、事、港湾の賃金問題については、やはりこの賃金なり賃金の原資であるところの港湾運送業の運賃であるとか料金であるとかいうことが問題になるのだ。したがって、港湾運送事業法の手続によって定められている認可料金というものがあるんだと、こういうような形でデリケートな、不可分な関係を持っておるのだ。だから、これをずっと掘り下げていくならば、その所管がどこであろうとも、現上象面でとらえた、しかも、生活に直結する賃金問題は、それは運輸省でやはりこの答申の第二項にあるところの港湾の運送事業についていろいろと集約なり合理化することが必然になってまいりまするけれども、労働者の要求する経済要求の立場からいけば、やはり賃金、そして賃金の原資ということになるわけでありまして、そういう点についても、ひとつここまでまいりまするというと、先ほど申し上げましたとおり、大体交通運輸共闘会議が、まあかりにこれは新聞は陸海空の立体的ストライキだといっておりまするけれども、海の部面の中核は、やはり九十五の港湾にいろいろと苦労をしておる港湾労働者がこの問題に対してやはり非常な関心を持っておるというのでありまするから、十分やはり官房長官に対してこの統一要求書を手交するときにどうか関係各省を通して、でき得る限り可能な、具体的な誠意のこもった回答を要求しておるのでありまするから、そういう点を踏んまえて、十分ひとつ善処してもらいたいということを、きょうの時点では要望しておくのでありましてその問題の中身に入って私がここで云々すべき性質のものではなかろうかと、かように判断をいたしておりますので、私の質問は、今日的な段階ではこれで終わっておきますが、しかし、この間の事情について、もう一回労働大臣から所信をお聞かせいただきたい、かように思います。
○国務大臣(大橋武夫君) 御承知のとおり、港湾荷役は、産業の成長に伴いまして、取り扱い量が非常に膨大になってきておるのでございます。しかも、これを処理するにあたりまして、いまだ合理化が必ずしも十分に進んでおりませんので、労働力の需要も非常に大きくなってきております。ところが、御承知のような国内の労働需給関係でございまするので、この労働力の不足をいかに補充するかという点になりますると、労働省といたしましても、非常に至難な事業であるということを痛感いたしておるわけでございまして、これを将来にわたって打開いたしてまいりまするには、何と申しましても労働条件の改善をはかって、そして港湾荷役の労働というものが、労働者として生活を託し、また、家庭を営み、将来に善良な市民としての十分な生活を享受し得るという希望のある職場に仕立てていくということがこの問題の根本的な解決策であると、かように考えておるわけでございます。かような意味におきまして、労働省といたしましては、港湾荷役の問題について、昨年以来、非常に力を入れまして各般の点について検討を加えておったのでございまするが、幸いに、先般、港湾労働等対策審議会において適切な御答申をいただきましたので、これをすみやかに実現いたしたい。労働省だけの希望といたしましては、少なくとも来年の通常国会あたりには法案を御審議いただくように全速力で進んでいきたい、かように考えておる次第でございます。しかし、これが実現にあたりましては、関係各省と十分な打ち合わせをいたす必要もございまするので、ただいま事務当局相互の間におきまして、具体的な点についていろいろ打ち合わせをいたしておるような次第でございます。
○委員長(鈴木強君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日のところこの程度にとどめておきます。
 これにて散会いたします。
  午後零時十七分散会