第046回国会 社会労働委員会 第19号
昭和三十九年四月七日(火曜日)
   午前十時三十六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
 四月七日
  辞任     補欠選任
   小平 芳平君  牛田  寛君
  ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長     鈴木  強君
   理事
           亀井  光君
           高野 一夫君
           藤田藤太郎君
           柳岡 秋夫君
   委員
           加藤 武徳君
           鹿島 俊雄君
           紅露 みつ君
           徳永 正利君
           丸茂 重貞君
           山本  杉君
           横山 フク君
           阿具根 登君
           藤原 道子君
           牛田  寛君
           村尾 重雄君
           林   塩君
  衆議院議員
   修正案提出者 小宮山重四郎君
  国務大臣
   厚 生 大 臣 小林 武治君
  政府委員
   厚生大臣官房長 梅本 純正君
   厚生省医務局長 尾崎 嘉篤君
   厚生省薬務局長 熊崎 正夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       増本 甲吉君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○麻薬取締法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○社会保障制度に関する調査
 (病院の管理等に関する件)
  ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) ただいまより開会いたします。
 おはかりいたします。来たる九日の委員会に、雇用促進事業団の運営に関する件について意見を聴取し、質疑するため、雇用促進事業団理事長万仲余所治君を参考人として出席要求したいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) 麻薬取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案中、衆議院の修正にかかる部分についての説明を、修正案提出者、衆議院議員小宮山重四郎君より聴取いたします。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 麻薬取締法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について御説明申し上げます。
 その内容は、現行法では「麻薬取扱者の免許の有効期間は、免許の日からその年の十二月三十一日まで」であったのを、麻薬取り扱い者中、「麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者又は麻薬研究者の免許にあっては免許の日からその日の属する年の翌年の十二月三十一日まで」と改めたものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(鈴木強君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
○高野一夫君 小宮山さんにちょっと伺いたいのですが、免許の期限ですが、一年と二年ですか、この二つにお分けになったのはどういう意味になりますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 便宜、薬務局長のほうからお答えいたします。現在の手数料の中身は、法律の十一条で、輸入業者、それから輸出業者等の免許と、それから麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者の免許と、こういうふうに五号まで分けて交付の手数料を定めておりますが、いわゆる身分法に基づきます、たとえば麻薬小売業者においては薬剤師の免許を持っておる者、あるいは麻薬施用者、また管理者等は医師の免許を持っておる、あるいは薬剤師の免許を持っておるという関係で、身分上の免許に基づく身分だけは、これは他の製造業者と取り扱いを異にしたほうがいいであろうということで、その点で身分法に基づく身分免許を持っておる分だけを一年間延ばすという措置をとる、こういうことに相なっておるのであります。
○高野一夫君 これに医師会側から何か三年にしてもらいたいというような要望が出ておったように聞いておりますが、これが二年が適当であって、三年は適当でないという点について何か説明を薬務局長から。
○政府委員(熊崎正夫君) そういう御要望がありましたことを私どもは承知をいたしておりますが、現在の薬事法上のたてまえ――薬事法だけに限らず、いわゆる医薬品関係の法令上の取り扱いといたしましては、薬事法に基づきます薬局その他の業務免許につきましては、二年という期限を切っておりますし、それから、麻薬と同じような取り扱いを規制いたしております覚せい剤取締法に基づきます覚せい剤の施用機関につきましても免許を二年というふうに規制をいたしておりますので、薬事関係の法体系のたてまえからいって、三年じゃなしに、二年にするのが適当ではないかというふうに衆議院の委員会のほうでは御判断いただいたというふうに私ども承知いたしております。
○高野一夫君 これは法律がみんな違うわけですから、同じ法律の中で一年、二年、三年と区別するというのはまずいかもしらぬけれども、法律が違うから、一年であろうと二年であろうと三年であろうと、随時変えてもいいのではないか。別に統一しなくてもいいのではないか。ことに去年登録をするのもあれば、ことし登録するのもあるし、年限は法律で二年とか三年とかきめても、結局は実務上はまちまちになるわけなんで、三年期限はまずいというようなもっとはっきりした何か根拠はないわけですか。三年期限で差しつかえないんじゃないか。それが役所のほうでも、また、こっちの免許を受けるほうでも手数が省けていいのではないかという感じがしますがね。あまりむちゃくちゃになっても困るだろうけれども、ある程度は少し長くしたほうが手数が行けていいのではないか。特に役所のほうで手数を省けて助かるのじゃないか、こう思うんですが、それはどうですか、業務局長。
○政府委員(熊崎正夫君) 厚生省が修正をいたしたんじゃございませんので、私どもの衆議院におきます答弁は、一貫いたしまして、現行法上のたてまえでまず支障はないんじゃないかというふうなお答えをいたしてきておるわけでございますが、ただ一点こういうことは申し上げられることができると思います。麻薬の取り扱いにつきまして、この麻薬の取り扱いが、一歩間違えれば非常に社会的に重大な影響を与えるという点からいきまして、いわゆる免許手数料につきましては、毎年毎年更改するのをたてまえにして、昭和二十八年以来、今日まで続いてきておるわけでございます。しかも、年度途中で免許の書きかえがありましても、その年の十二月三十一日までということで期日を限りまして、一斉に切りかえをやる。そこでもって、たとえばいろいろな事故があった、免許を与える場合に支障があるんじゃないかというふうな、そこで一定のセレクトといいますか、めどをつけることができるということでもって、従来とも、ここ十年くらい毎年毎年更改いたしておったわけでございます。したがいまして、やはりいわゆる身分免許の法律に基づきます免許証と、こういう業務を免許、身分免許にプラスされました業務免許上の取り扱いとはおのずから異なってもしかたがないんじゃないか。これがいわゆる薬事法上の薬の関係の私どものほうで取り扱っております法体系上の取り扱いであると、こういうふうに私どもは判断しておったわけでございます。
○高野一夫君 麻薬の取り締まりは厳重にしなけりゃならぬが、そこで、もしも違法行為があれば、違法行為があったところで免許を取り消すなり何なり、それは一年であろうと半年であろうと三年であろうと、随時変えてやれるわけだから、一年なら一年で更新をする。その間でも、違反があればそこでやれる。だから、更新の時期が非常に短いからいいとか、長いから不都合を来たすということは私はないんじゃないか。いつでもやれる。違反行為があれば、そのときに更新を待たずにぴしゃっと処断できる、免許を取り上げることもできるんだから、だから、ひんぴんと更新をやるから整理ができるとか、取り締まりがうまくいくとかということは、これは別なのではないかと思いますが、どういうふうに考えられますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 高野先生のおっしゃることは、私どももそういう考え方は成り立つと思いますし、また、お考えとして、そういうお考えも私どもあるとは思うのでございますが、ただ、いわゆる医師法に基づく医師の免許なり、薬剤師法に基づく薬剤師の免許というものは、これは終身の免許でございまして、薬剤師なり、あるいは医師、歯科医師の身分に基づきます免許を持っておりまして、さらにそれに付け加えられた業務免許といいますか、麻薬法上の施用者の免許といいますものは、これは身分法上の免許とは性質をおのずから異にするわけでございます。したがいまして、薬事法その他の法律におきましても、やはり身分免許を持った上で、さらにそれにプラスされた業務免許上の規制というものが個個の法律について書かれているわけでございます。取り扱いに慎重を期さなければならぬということで、麻薬取締法におきましても、施用者その他の業務免許の規制というものは、各条文にそれぞれあらわれているわけでございます。しかも、一年に従来してきたということにつきましては、非常に煩瑣であるという考え方も片一方では成り立つかもしれませんが、もう一つ、非常に便利な点もある。便利というと語弊があるかもしれませんが、たとえば年度途中におきまして麻薬取締法上の違反があったといった場合に、その瞬間に免許の取り消しが行なわれるわけでございますし、その免許の取り消しが行なわれた違反行為自体の中身によりましては、これは直ちにまた取り消された免許が翌年には復活されるという場合もあるわけでございます。ところが、これは期間が長くなりますと、次の免許までの間には、やはり直ちに免許の復活をやるということはなかなかむずかしいわけでございまして、その辺も考えまして、私どもは、現行法上の取り扱いでまず支障はないのではないかというふうに従来とも思っておった次第でございます。
○高野一夫君 もう一つちょっとわからないのですが、年度途中に違反行為があってその免許の取り上げをする。そうすると、それを復活するのに、次の更新の時期まで待たぬと復活できませんか、そういうことはないでしょう。更新期間が二年だから、二年の時期が来るまでは復活できない、三年だから三年が来るまでは復活できない、こういうことはないじゃないですか、麻薬法では。
○政府委員(熊崎正夫君) 従来の取り扱いは、次の免許までは、それまでの期間は免許の復活はやらないという取り扱いをいたしております。次の更新のときに新たに免許するという方針をとっておるわけでございます。
○高野一夫君 それは何か根拠があるのですか。次の更新のときまでは復活をさせないということは、何か法律的の根拠があるのですか。そうなると、これはまた免許の期間を延ばすということは、非常なこれは問題になってきてしまう。それなら遅延のほうがいいということになるわけですね、その人が改心すれば。改心しなければ一生免許をやらなければいいんで、ちゃんとして、なるほど悪かったというならば、なるべく早く復活さしていいわけなんだから、そうすると、免許のこの期間を長くするということは、その人によってきわめて不都合な結果になる、こういうふうにもなってきやしませんかね。これは何か根拠がありますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 実は、その点が私どももいろいろ御意見がありましたときに最も心配もし、有利な点と不利な点と申しますか、そういう点をるる申し上げてきたわけでありますが、別に次の更新の期間まで待たなければならんという法律的な根拠はございません。しかし、やはり現行法上のたてまえ上、非常に麻薬の取り扱いについてシビアな取り扱いをしておる、それに基づきました違反があった場合には、これは当然やはり免許期間の間はひとつ遠慮していただくというふうな考え方をとるのがたてまえでございまして、したがいまして、免許証取り消しの取り消し自体の行為につきましても、私どもとしましては、相当慎重に取り消しの行為をやるということを指導いたしておりますが、これが取り消された場合には、やはり次の期間まで待つのが当然であるというふうな考え方でもって従来ともやってきておるわけであります。
○丸茂重貞君 衆議院の社労におけるやりとり等をめぐっても、本委員会のいまの厚生省の答弁をみても、ちょっとふに落ちないところがあるのです。大体今度三年という議論もあるが、二年にしたおもな根拠は法体系を整える意味だ、覚せい剤が二年だからそれに合わせるのだ、そういうお答えでしたね、さっきはそういう御説明でしたね。
○政府委員(熊崎正夫君) 私ども、これは先ほども私申し上げましたように、実は厚生省が修正をしたということじゃございませんので、その修正の中身につきましての議論を私は御紹介した、薬務局長が答弁をしろということでございましたから、議論の中身を御紹介申し上げただけでございまして、それで、私どもとしましては、まず現行法体系上十年やってきたものをいまここで変える必要はなかろうというふうに終始お答えをいたしたわけでございますが、その間、やはり修正の必要があるという委員会の議論の過程におきまして、これを二年にするか三年にするか、あるいは十年にするかという御議論がございました中身の紹介でございます。そのときに、二年というのは、他の薬事法の系列の体系の中で、それが至当ではなかろうかという議論が出たというお話をいたしただけでございます。
○丸茂重貞君 そうすると、厚生省は、いまの一年が妥当だということをやはりいまでも考えておるわけですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもとしましては、衆議院の委員会におきましても、現行法上のたてまえからいい、また、今度の麻薬取締法の改正法律案を提出しました中身にもそのことは考えておりませんので、私どもとしましては、政府原案でよかろうというふうに考えて申し上げておるわけでございます。
○丸茂重貞君 一体厚生省は、大体こういう行政の監督官庁ですが、監督官庁というは、要するに自分のほうの都合さえよければ、実施されるほうの立場はどうでもいいという気持ちを持っておられるか、そういう気持ちはないか。
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもとしましては、もちろん法律に基づきますそれぞれの国民の受ける方々の利益ということを常に考えて行政の運営をやっている次第でございます。
○丸茂重貞君 いまの国民の受ける利益というか、その国民の中に施用者、取り扱い者は入っておるか。
○政府委員(熊崎正夫君) もちろん入っております。
○丸茂重貞君 とにかくこの取り扱い業者あるいは施用者が免許更新の際の複雑な手続について悲鳴を上げているというか、声はいままで一回も聞いたことがあったかなかったか。
○政府委員(熊崎正夫君) しばしば私どもそういうお話は承っておりますし、また、衆参両委員会におきましても、従来のお話で、非常に手数はかかるということは承っております。したがいまして、昨年の取締法改正のときの議論も十分承りました上で、免許の手続につきましては、従来の方式等につきまして相当簡略化いたしまして、なるべく簡易な手続でやるというふうな措置をとったわけでございます。
○丸茂重貞君 そうすると、いままで麻薬免許の更新手続に関して悲鳴が上がっているということは承知の上、昨年の改正でこれをあなたがいま言われたとおりだとすると、たいへん簡略化したというお話でございますが、一体どの点をあなた方簡略化したと思われるのですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 従来の取り扱いにつきましては、大体四点くらい、先生御承知のように、申請者の書類の手続を規定いたしておったわけでございます。第一は、医師あるいは薬剤師たる資格を証明する書面、これは医師の免許証、あるいは薬剤師の免許証を添付させるということになっております。第二番目は、禁治産者でないことを証明する書面、第三番目は、精神病者、また、麻薬――大麻あるいはアヘンの中毒者でないことを証明する書面、それから第四番目は、総体的に欠格事項に該当しないことを証明する書面、これを添えまして、そうして都道府県知事に提出することになっておったわけでございますが、今回の改正によりまして医師、薬剤師の資格を証明する書面につきましては、これは免許証は必要としないということにしまして、ただ、登録番号だけを記載すればいいということにいたしました。
 それから、禁治産者でないことを証明する書類につきましては、従来、市町村長の証明を必要としたわけでございますが、これもマル、バツでもって文書にバツとマルだけを本人が自分で書いていただければ足りるということにいたしました。その他精神病、あるいは麻薬の中毒者でない医師の診断書もきわめて簡略化いたしまして、私どもとしましては、従来の取り扱いにつきましては、相当手続の簡略化をはかったというふうに考えておるわけでございます。
○丸茂重貞君 いまの簡略化は、説明を聞いたところによると、取り扱い業者の立場ではなく、監督する立場からの簡略化というふうな印象が強い。ことに禁治産者でない証明を簡単にしたというが、禁治産者なら医師法によって医師免許証は取り消されるのです。従来こんなことを続けていたというのが、厚生省の前時代的な考え方の証明なんです。これはあれほど強く言ってこのくらいしか改まらない。だから私は、先ほど言っているように、取り扱いを受けている者の立場からにおいていろいろ考えているのじゃなくて、昔から監督する立場で、こうすれば都合がいいという立場しか考えておらぬじゃないかということを言っているのです。これは見解の相違だから、それ以上言いません。
 もう一つは、衆議員の社労委におきましても、討論の中でしばしば出てきたあなた方の意見だというふうに聞いておるのだが、法体系を整備する意味で二年だ、これはやむを得ないのだ、こういう説明があったかに聞いていますが、もしかりにそういうことであったとするならば、従来どうだったか。従来は、麻薬取り締まりは一年で、覚せい剤は二年だ、このアンバランスはどういうわけで出ておったのか、これをひとつ御説明願いたい。
○政府委員(熊崎正夫君) 覚せい剤と麻薬の違いというものは、医者であられます丸茂先生よく御存じだと思います。やはり麻薬の社会的な影響というものの深刻さ等を考えまして、これが一年というふうな形になっておったというふうに、私どもは承知をいたしております。
○丸茂重貞君 麻薬と覚せい剤が違うか違わないかということを社会的にそう区別をつけていいか、これは問題があると思うのですがね。そういう意味で確かに一年と二年になったのですか、はっきりこれはひとつ答えてください。
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもはそういうふうに解釈をいたしております。
○丸茂重貞君 そういう意味でいままで覚せい剤と麻薬を取り扱ってきたのですな、厚生省は、そうですね。もう一回はっきり答えてほしい、これは後ほどもう一回。
○政府委員(熊崎正夫君) そのとおりであります。
○丸茂重貞君 そこで、今回は、覚せい剤と麻薬を、まあ細部にわたっては厚生省が提案したのじゃないからと逃げるが、議員修正で確かに二年になった、その間に三年という声があったのかどうか、取り扱い業者その他に、少なくとも三年にしてもらいたいという声があったことをいままで知っていましたか知っていませんでしたか。
○政府委員(熊崎正夫君) 承知いたしております。
○丸茂重貞君 そういう場合において、私の聞いたところでは、厚生大臣以下厚生省は、三年いとう案に対しては反対だという意向を、国会等でなくても、他の場所でしばしば意見表示があったといううわさを聞いておるが、これはほんとうかうそか、その点はどうです。
○国務大臣(小林武治君) これは、私は原案の修正に反対しておったのであります。三年とか二年とかの問題ではない。私としては、この際は政府案でひとつ願いたいということを強く述べております。したがって、二年とか三年とかという問題に私は何もこだわっておりません。
○丸茂重貞君 そうすると、厚生大臣は、麻薬免許の取り扱い手続の簡素化というふうな問題には全然ノータッチというか、そういうことは考えていなかったと、こういうことですか、ただいまの御答弁は。
○国務大臣(小林武治君) 考えていなかったといって、これは御承知のように、政府提案するには、いろいろの手続を経て出ておるので、政府案として決定しておりますから、私ども提案者としては、政府案でこの際は通してほしいという希望を述べるのは当然のことだと、私は改正にはあくまでも反対しておったのであります。
○丸茂重貞君 そういう政府提案でまあやってもらいたいという意向はわからないじゃないですが、その場合に、たとえば二年にしろ三年にしろ、議員修正で少しこれを延ばしたらどうかという意見が出た際に、厚生省とすれば一顧の価値もないといって、これは原案どおりで押し通される、こういうお考えだったですか。
○国務大臣(小林武治君) これは一顧の価値があるからして十分検討さしてほしい、したがって、次の機会にわれわれは検討したいからして、この際としてはいろいろの手続を経てやったのであるからして、今度の国会ではこの政府案を通してほしい、こういうことを強く申しておったわけでございます。
○山本杉君 厚生大臣にちょっと伺いますが、その改正そのものに反対であったとおっしゃられた理由をもう少し詳しくおっしゃっていただきたいのです。改正そのものに反対とおっしゃられた理由。
○国務大臣(小林武治君) 政府案の修正には私は反対であると、こういうことです。
○委員長(鈴木強君) 反対だという趣旨をもう少し説明してくれということです、質問者は。
○国務大臣(小林武治君) 趣旨と申しますと、これはよく御存じのように、自民党としても政府としても、いろいろの手続を経て検討をして出しておるので、そう、さようでございますか、修正けっこうでございますというような案は出しておらない。しかし、御議論はまことに私どもとしても考えなければならぬからして、十分検討さしてほしい、そして、この際はひとつ政府案を通してほしい、そういうことを中しておったわけでございます。
○丸茂重貞君 少し角度を変えて厚生大臣に御質問しますが、いまの医療機関が――これは、麻薬だけじゃありません。全般的の医療を行なう上についての事務手続の煩瑣、あるいは事務時間に取られる時間の大きさというふうなものについては、一体、厚生大臣はどういうふうな感想といいますか、お考えを持っておられるか、これをひとつお聞きしたいのですが。
○国務大臣(小林武治君) これはもう事務が繁雑であることはできるだけ避けなければならぬ、したがって、いまの医療費の要求等についてもできるだけ簡素化してもらいたい、するようにしろということを指示しておりますし、どの手続でも、できるだけ無用なこと――無用なことでなくても、省略し得ることは省略して、そうしてお互いに手数を省くことは当然であります。この問題につきましても、相当手数を簡素化してあるわけなんで、事務当局は、私ども前々からのお話でもってしたと、こういうことを言っておるのでありまして、これは当然できるだけ簡素化するのがあたりまえであります。
○丸茂重貞君 先ほどの局長の言った簡素化の内容については、これは簡素化じゃない、簡素化だと、水かけ論になるので、これ以上は言いません。大体それくらいの省略をしたことをもって簡素化をしたのだといって声を大にして言うところに、私はまだ厚生省が前時代的な、何と申しますか、監督官庁なんだ、おまえはおれらの言うとおりにやらなければいかぬのだというふうな圧制的なムードがどうしても読み取れる。そこで、なるほど、手続上からは厚生省は今度政府原案を出しておるのだから、それを喜んで直してもらいたいと、こういうことは言えない立場だということはわかる。しかしながら、衆議院の議論の段階において、ああいうふうにいろいろ議論として紹介したというふうに局長は言っておるけれども、その局長がいまのようなことを言っておるのはけしからぬ、そうじゃないですか。法律体系を整える意味で、最低二年はやむを得ないのだというムードに対しては、これはいま冒頭に説明があった。一体、いまの法律体系法律体系といいますが、法律というものは、実際の仕事が円転滑脱にいくような法律でなければ意味をなさない。円転滑脱にいかせないような法律だったら、気づき次第直していくべきだと思う。これは議員修正で間違っておるのじゃないかと突つかれてほうっておくところに、私は、厚生省の非情なやり方がある、思いやりがない、情けがない、人の立場に立ってものを考えない、こういう点が非常にうかがわ
 れる。いま厚生大臣がそのとおり言った。私らは反対ですが、やむを得ない、ここに非情な考え方がある、思いやりがない考え方がある、だから、いろいろな面で厚生行政というものが油が切れる。もう少し思いやりのある立場でいったら、ふだんあれほど思いやりのある厚生省だから、いろいろなことがあっても、やむを得ないという立場にみんななる。ふだんそういうことをやらないものだから、一事が万事、すべてに、何というか、摩擦ができるという気がするわけです。いまの厚生大臣のお話ですと、この際はそれはやむを得ないというお話でしたが、一体いまの麻薬取締法に基づく免許の更新の年限を三年、四年、五年、聞くところによると、社会党からは十年の修正案が出たというふうに聞いております。これは十年でも三年でもいろいろな問題がありましょうが、たとえば五年というふうにした場合に、一体これで致命的な取締法の欠点が出てくるか、これはひとつ局長からはっきり聞きたい。
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもは、五年という仮定のお話でございましょうけれども、そういう話が出た場合には、やはり困るというふうに考えております。
○丸茂重貞君 私は、困るということを聞きたいのじゃなくて、困る理由が聞きたい。そういうふうに御質問しておるわけです。それをひとつ聞かしていただきたい。
○政府委員(熊崎正夫君) 免許の更新といいますか、先ほど身分上の免許と、それから業務免許とはおのずから性質が違うというふうに申しました。それに基づいて、やはり五年ということになりますれば、更新自体の手続上の問題ということよりも、やはり業務免許によって利益を受けるといいますか、ある程度の特別な免許資格を有せられる方々にとっても、この次の更新まで待つというふうなことによりまして、事実上麻薬の取り扱いができないというふうな場合も考慮いたしまして、やはり五年というのは長過ぎるというふうに私どもは考えております。
○丸茂重貞君 これは医師に一例をとって言いますと、大体医師の免許証があればあらゆる薬が使えることになっておる、これが医師法上、医療法上のたてまえなんです。それを麻薬という特殊な薬の性格上、及ぼす社会的な影響等を考えて、やむを得ず業務規定でこれに対して管制をしておる。したがって、この管制というのは、実際上、麻薬取締法上いろいろな支障がない限りにおいては最小限にとどめるべきなんです。したがってほんとうに本法を業務規定で管制しているのだから、取締法上支障がない限りにおいて、その業務規定というものはゆるやかにしておかなくちゃならぬたてまえだ。私は、麻薬取締法をゆるやかにしろと一つも言っているのじゃない、そういう混同が役所においても行なわれておる。手続さえ繁文縟礼にしておけば、あと麻薬取締法の実効があがったような印象をまだ持っているところに改めなければならぬ点がある。なぜ議員提案を待つまでもなく、率先して政府が思い切った簡素案を出さないか、こういう点にある。いま話を聞いておっただけでも、非常におかしな点がある。たとえば二年になりますと、麻薬で罰則を受けた者が復活する場合に、一年のほうが便利でございます、こういう御説明があった。これは局長としておかしな説明だと思う。というのは、これは途中において罰則で取り消されるわけでしょう、行政処分の問題でしょう。その例外とも見られる行政処分を前提として本法というものがどうあるかこうあるかという議論は、これは本来転倒だと思うし、牽強付会だと思う。あなたは説明に詰まって、ほかに言うことがなくて言ったということはよくわかるので、その点は何ほどかは同情します、あんたの苦しい立場もわかる。めちゃくちゃを押し通しているから、合理的な問題に対して、あえて非合理を押し通そうとすればそういう苦しい答弁になるということは私はわからないじゃない。わからないじゃないのだが、あまりにも従来そういうやり方が今日うっせきしちゃって、厚生行政が、事、医療の面に対しては、もうにっちもさっちもいかなくなっている。それを少し当面する問題かからはずれたところから解きほぐそうとする善意と積極性があるかないか、それが一つもない。ないから、依然としてきょうもあんな簡素化したものを、鬼の首でも取ったように、簡素化いたしましたなどといって大きな声で答弁するところに時代の、ズレがあるというふうに考える。一体、一年なら便利だというのは、いまの取り消しの場合以外に何かありますか、施用する立場から。もうありませんかどうですか、ひとそつれを聞かしてください。
○国務大臣(小林武治君) 私、一言申し上げておきたいのですが、まあいろいろ丸茂さんからお話があって、まことにごもっともでありますが、この法律はもう十年以上施行されておりまして、初めから一年でできております。その途中におきまして、たとえばこれを二年にしろという話が一体いつ出たことがあるか、たとえば昨年もこの法律案を改正しております。その際に私はどういう議論があったか知りませんが、あの際にどうしても二年にするほうがいいという議論があれば、政府、厚生当局としては、私は二年の改正案を出したのではないかと思いまするが、私としますれば、何か突如として今年どうしても二年、あるいは三年に直せ、こういう議論が出てきているのは、私の頭が悪いせいかもしれませんが、ちょっと了解しがたい。昨年も同じ機会があった、また、前にもそういう機会があったに違いないが、これを一年では困るから、二年、あるいは三年にしろという議論があったようには、私は寡聞にして聞いておりません。昨年も同じ議論があれば、今年当然こういう改正案が出るからして、厚生当局としても十分考慮の上で皆さんの意見を参酌した案が出せたのではないかと思うのでありまして、いろいろおっしゃることは私どもはごもっともと存じますが、この問題につきましては、私はそういう感想を持っております。まあわれわれとしても、厚生行政というものがいろいろの面で非常に不都合を来たしておることはよくわかって、これらをひとつ直そうという努力をいろいろいたしておりますが、本件については、多少そのような感じを私は持っておるということだけ申し上げておきます。
○丸茂重貞君 厚生大臣のお答えで、これは厚生大臣は大体一年くらいでおかわりになるので、前からのいきさつ等、詳細に細部の問題まで御存じなくてもしかたがないと思います。しかしながら、これは役所の役人はずっといるのですから、お聞きになっていただければわかりますように、与党のそれぞれの部会におきましては、この問題については再三論議は尽くされております。これは熊崎薬務局長も前の局長によく聞いていただければわかる。きょうはそういうことは抜きにして、もう一つの問題は、きょうの議論は衆議院におきましてもちょっと議論が出たようですが、今回この手数料を二百円から五百円に引き上げた、この引き上げた理由は一体何なんですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 先生御承知のように、手数料の金額は、各厚生省関係の法令以外におきましても、それぞれ物価の変動等に応じまして、それぞれの法律でもって、あるいは法律以下の政令、省令でもって、手数料は、各省通じまして、相当引き上げてきておるわけでございます。麻薬取締法の手数料につきましては、昭和二十八年にこの法律ができましてから以後、十年間というものは全然手数料を引き上げていないわけでございまして、十年の間に物価は相当変わっておるという点等を考えまして、手数料の引き上げにこの際踏み切ったというのが中身でございます。
○丸茂重貞君 なるほど十年間に一度も引き上げなかったから二百円を五百円、二・五倍にした、こういうことですね。そうすると、その手数料に見合う麻薬取り扱い者の麻薬取り扱いに対する特別の収入といいますか、このほうは一体どうなっていますか、この十年間で。
○政府委員(熊崎正夫君) ちょっと御質問の趣旨が理解できませんので、もう一度お願いいたします。
○丸茂重貞君 それじゃもう一回聞きましょう。麻薬施用者が麻薬を扱う特別な手数料がありますね。特に医者ならば麻薬加算というのがありますね、麻薬加算。その麻薬加算は、一体この免許更新に伴う手数料二・五倍に対してどのくらい上がっておるか、それを聞きたい。
○政府委員(熊崎正夫君) 先生のおっしゃるのは社会保険診療報酬点数表のことだろうと思いますが、ちょっと私、点数表の中身につきましては承知いたしておりません。いずれ調べた上でお答えいたします。
○丸茂重貞君 あなたが知らなければこっちで教えます。ずっと長らく一点の加算だった、それが一・六点になった、これは一・六点。そうして片方は二百円が五百円、そういうことを全然薬務局長たる者が知らないでこういうことをやったということになる、そういうことだね。私は、少なくも厚生行政というものは一貫した方針でやっておられると思ったら、いま聞いたらとんでもないことになっておる。薬務局長は点数表の内容については少しも知らぬ、こういうことなんですな。だから、薬務局長は、薬務局の立場でもって医療機関にかってなことを押しつける、保険局は保険局でいろいろかってなことを押しつける、こういうふうに厚生行政はばらばらだというふうに了解してよろしいかどうか。
○政府委員(熊崎正夫君) たいへん恐縮でございますが、麻薬の加算料の中身につきましては、私はいま先生にお聞きしましてよくわかりました。ただ、先生は、よく診療報酬の点数の中身を御承知の上で御議論をしておられると思うのでございますけれども、これは医療費の社会保険の点数表の移り変わりというものと、それから、各法令に基づきます手数料の歳入との関係は、これは全然別個でございます。社会保険診療報酬点数作成の際に、他の法令によりまして、手数料がどのくらい入っているからこの歳入の点数表をおのずから変えなければならないというルールは、私どもは確立されていないというふうに承知をいたしております。
○丸茂重貞君 これはますます奇々怪怪な御説明を承る。そういうことになると、たとえばこれは極端な話だが、麻薬の手数料というものは、医療費がどうなっておってもかまわない、自主独往の立場で取り上げるのだ、極端なひとつの発言のしかたをすれば、こういうことをいってもやむを得ないいまの御説明ですね。そうすると、一体麻薬手数料というものは、さっきあなたがいったように、利益が上がったから取るのだという説明をしておりましたね、そうでしたね、取り扱い者が受ける利益から取るのだ。これはあとで速記録を調べればすぐわかるが、私が間違いなら取り消す。そういう説明があったにしろなかったにしろ、麻薬の手数料というものは、麻薬を扱って、その扱うことによって普通の薬と取り扱いが違うのだから麻薬加算があるのだ。その麻薬加算の費用によって手数料、免許料の費用が出るという考え方が普通は至当ではないか、あなたのいまの話を聞くと、社会保険診療報酬の点数表というものは、他の法令による費用なんというものは全然かまわないのだ、これはほんとうにそういうことになっておりますか、一体厚生行政というものは。もう一回ひとつはっきり聞かせてもらいたい。
○政府委員(熊崎正夫君) 手数料とか、あるいは免許料とか、いろいろ国の歳入なり、地方公共団体の歳入に計上されます手数料は、それぞれの法令で金額がきまっておるわけでございますが、先生のおっしゃるように、そういう身分免許なり業務免許に基づきます手数料収入がこれだけ上がるから、あるいはこれだけ減るから社会保険の診療報酬の点数表もこういうふうにしなければならないというルールは、どう見ても、私どもはそういうふうなルールになっておるとは承知いたしておりませんので、やはり半数料というものは、これは私は先ほどそういう説明をいたしませんでした。つまり麻薬を取り扱うことによって受ける利益のために手数料をとるのだというふうな説明を私はいたしておりません。やはり手数料といいますものは、一定の要式行為によりまして、申請者が国家機関に対して一定の手続をするという場合に、おのずからきまる金額が出てきているわけでございまして、この辺は各法令の手数料とのバランスを考えまして、私どもは財政当局と十分慎重な打ち合わせをした上で手数料をきめているわけでございます。
○丸茂重貞君 ますますそれは私のほうが頭が悪いせいか、あなたの説明はさっぱりわからない。もしわかったとすれば、厚生省の行政というものは、薬務局、保険局、それぞればらばらで、ひとつも統制がとれてないということ以外にない。説明をつけるとすれば。というのは、いまの取り扱い者、施用者にとって収入の道というのは、ほとんど九割九分までは社会保険で入ってくる。したがって、収入イコール社会保険と見ても差しつかえないいまの体系ですね。その中にあって、麻薬手数料というものは、それぞれ各法律に基づく手数料で取り上げるのだといっても、出すほうの立場になればどこから出るか、これは医療報酬から出す以外にないわけです。そこで、私が厚生行政というのは血も涙もないというふうに冒頭にいったのはそういうことをいっている。出すほうはかまわず、ほかの法律と右へならえでどんどん出してやりなさい。収入するほうは一向それと無関係で押えていく。ここに私は厚生省の非常に非情さがあるといった。厚生省というのは、医療機関にとって親であり、兄貴でなくちゃならぬ、慈母でなくちゃならぬ。その慈母が、取られるものはどんどん二・五倍になるが、収入のほうは別にゆっくりひとつ考えましょう。こういうことになったら、一体厚生省の主体性はどこにあるか。もし厚生省が血も涙もある行政をやろうとするならば、麻薬の手数料を二・五倍にするなら、一・六倍の麻薬加算を二・五倍になぜしないか、そこまで一体配慮を及ぼしたことがあるかどうか、ちょっとこれを聞かしてもらいたい。
○国務大臣(小林武治君) これは手数料という考えは、あることが必要で、そうして役所に何かを出す。それから、それに対して許可とか認可とか、あるいはいろいろするそういう役所にかかる手数に対する対価、こういうことでありまするからして、それで、免許もらったり何かもらったりする、何か利益があるとかないとかいうことには関係ない。手数料というのは、あることを役所にさせる、そのさせたことに対する手数料というふうに私どもは理解いたしております。したがいまして、その手数料を払っても、本人には何の利益もないことが幾らもあるというふうに思うのでありまして、手数料というのはそういう性質のものだというふうに私どもは理解をいたしております。
○丸茂重貞君 手数料はそういう性質のものでけっこうなんですよ。それならば、なぜ二百円を五百円と唐突として上げられたか、その理由を詳細にひとつ御説明いただければ私も納得できる。
○政府委員(熊崎正夫君) 十年間上げなかったというのが大きな理由といえば理由であるわけでございますが、十年間の変遷といいますのは、これはただいま大臣がおっしゃられましたように、役所の人件費も十年の間には上がっているわけでございます。その他役所が使ういろいろな様式その他につきましても、印刷代から何から、やはり物価は変動しているわけでございますから、そういう点を考えてこれを上げたということになっているわけでございます。
○丸茂重貞君 なるほど十年間に役所の人件費等その他が上がったというのはよくわかる。それでは一体出すほうの人件費等その他は十年前とくぎづけであるという考え方なのかどうか、その辺は一体どういうふうな役所として調整総合をして判断をしたのか、その点ひとつ説明をしてもらいたい。
○政府委員(熊崎正夫君) 医師の収入がどのように変動したかという御質問のようでございますけれども、これはいわゆる先ほどから繰り返しますけれども、手数料の中身というものと、それから、社会保険の医療報酬との関連性はないわけでございまして、手数料が二・五倍に上がったから、社会保険診療報酬もおのずから二・五倍に上がらなければならぬというふうな理屈は私は全く出てこないと思います。ただ、診療報酬につきましては、過去数回にわたりまして報酬のパーセントは上がってきていることは、もう先生御承知のとおりでございますが、これが手数料の二・五倍とバランスをとって上げなければならぬというふうな理屈は私はどこにもない、こういうふうに思います。
○丸茂重貞君 そういう好きかってな議論をするから、私はいいかげんなところで質問を切り上げようと思うけれども、切り上げられない。一体そういう自分かってな議論がとうとうと通ると思うところに厚生省の非常に思い上がりがあると思う。一体、薬務局長、そういうことでこれが通ると思うか思わないか。これは私がはっきりいいますと、たとえば医療費の例をとると、これは昭和二十三年から五〇%しか上がってないのです。手数料と医療費は別だというぐらいは私だってわからないことはない。私がいっているのは、人件費が上がったから手数料を二・五倍にしたという御説明があったから、それでは取り扱い機関の人件費はどういうふうに上がっているのか上がっていないのか、その点を説明してもらいたいといっているのです。その点はどうですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 薬務局長所管外でございますので、ちょっとそのお答えはできないわけでございます。
○阿具根登君 議事進行についてちょっとおはかりを願います。
 いままでの質問、答弁を聞いておりますと、この法律について、厚生省も、これはあまり好きでないらしい、あまり急いで通してもらいたくないらしい。また、修正されておる衆議院のほうからも、これは自分の意に反した修正になっておるようでございます。質問されておる自民党の方の質問を聞いておっても、非常に不満があるようでございます。私どもは私どもでそれ以上の不満がありまして、相当時間もたっておりますし、午後は他の委員会もございますので、私は質問を保留いたしまして、次回に質問さしていただきたい。だから、どういうふうに理事会でおきめになっておるかわかりませんけれども、きょうの採決はやっていただきたくない、かような動議を私はここに提案いたします。
○委員長(鈴木強君) 委員長も、どうも先ほどから質疑を聞いておりまして、衆議院修正部分に対する質疑について御質問申し上げたところが、厚生省が立ってかわってやっておる。これは一つの異例な御答弁だと思いましたけれども、委員長許しておったわけであります。ところが、問題はそこら辺に集中されまして、二年、三年、五年、十年と、いろいろ論議の中で免許期間の問題が出てまいりました。したがって、もう少し衆議院の修正部分にかかわる点について、明確に御答弁が最初にほしかったわけですけれども、その辺の確かに議事進行が委員長としてもまずかったように思います。特に感ずることは、薬務局長の答弁というのは、非常に私は、感情的というと語弊があるかもしれませんが、感情に満ちたように聞こえるんです。私はそうでなければけっこうですけれども、もう少し厚生省の立場に立って、国会に対して、いろいろな委員各位の御質疑に対して、もう少し誠心誠意を持って、足らざる点は補っていく、弾力を持って検討するような態度で私は答弁をしてほしいと思うのですが、あなたの答弁は非常に私は気にさわるような答弁がずいぶんあると思いますね。これは質問されておる丸茂委員にしても私も、聞いておっていやな気がする。そういう点は答弁の技術ですから、そこは委員長がどうこう言うことも何ですが、もう少し誠意を持って答弁をしてもらいたいと思います。
 議事進行の動議が出ましたから、これはひとつ委員長としても、きょう上げる約束は一応理事会ではしてあるんですけれども、阿具根委員からあらためて動議が出ておりますから、なお、ひとつこれは理事会のほうで検討させていただくようにしたいと思いますが、阿具根委員、よろしゅうございますか。
○阿具根登君 けっこうです。
○委員長(鈴木強君) 速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(鈴木強君) 速記を始めて。
 一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十一分休憩
   ――――・――――
   午後一時二十一分開会
○委員長(鈴木強君) これより再開いたします。小林厚生大臣。
○国務大臣(小林武治君) 午前中、この委員会で種々御質疑がありましたが、政府委員の答弁の中に、若干不十分の点もありますので、私からも注意をすることにしまして、その御趣旨につきましては、慎重に検討いたしたいと思います。
  ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) 委員の異動についてお知らせいたします。本日、小平芳平君が委員を辞任されまして、その補欠に牛田寛君が選任されました。
  ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) 午前中に引き続いて、麻薬取締法の一部を改正する法律案の質疑を行ないます。質疑のある方は、どうぞ順次御発言を願います。
○阿具根登君 修正提案者が見えないようですから、厚生省に質問いたします。
 先ほどの丸茂委員の質問に対しまして、免許の方法が非常に簡単になった、こういうことなんです。そうすると、先ほど聞いておれば、当然簡単であるべきものが簡単になっただけだ、こういうことなんですが、極端に申し上げると、この種麻薬とか覚せい剤を取り扱うならば、私は、免許の方法が簡単になるよりも、もっと複雑になるべきだと思う。そういう簡単に、いま言われたようなものであったら試験する必要はないです。そんなものは免許制度である必要はない、届け出で免許するだけでいいはずなんです。しかし、これがまかり間違った場合の害毒が非常に大きいので、特に医師とか、あるいは薬剤師とかの身分法のある方方に対してさえも免許の方法をとられている。言いかえると、簡単になれば簡単になるほど期間が短くなっていいということになるわけです。簡単なものだから一年でいいんじゃないかということになるのだと思うのです。それよりも、この種の問題であるならば、もっと私は厳重な方法で査定をされて、免許もやるかわりに、相当長期間その免許が生きるべきじゃないか、私はこう思う。先ほどの問題ならば、何か中学校の生徒の選挙みたいに、マルとバッテンを書けばいいんだというようなことを局長は言っておったが、一体どういう免許までの方法をとっておられるか、それをひとつ説明してください。
○政府委員(熊崎正夫君) 午前中の御質疑がございました際に申し上げましたことでございますが、従来の申請書の手続につきましては四点ございまして、第一点が、医師、歯科医師、あるいは薬剤師である場合の免許を証明する書面、これは皆それぞれ身分免許に基づきまして登録番号が出ておりますが、それ以外に医師の免許証を添付するということで従来やっておったわけでございます。したがいまして、免許証を申請する場合には、免許証の写しを出すという手続をとっておったわけです。それから、二番目は、禁治産者でないことを証する証明、これは法律に基づいておるわけでございますが、従来は市町村長の証明を必要とするということで、役場まで行ってその証明をとらなければならなかったわけです。それから、第三番目は、精神病者または麻薬、大麻もしくはアヘンの中毒者でないことを証する書面、診断書をつけなさいということをいたしております。それから、四番目は、法律に基づきます相対的な欠格事由に該当しないことを証明する書面をつけなければならない、こういうふうになっておったわけでございますけれども、これを、第一号の免許証につきましては、登録番号だけでよろしい。登録番号は医師、薬剤師とも一貫番号で免許証を出す場合に登録いたしおりますから、その登録番号だけを単に符号として記入すればよろしい。それから、第二点の市町村長の証明といいますのは、これは禁治産者、禁治産者でないことは大体明らかでございますから、マル・カケということで、マルとカケをつけていただく。禁治産者でないという証明は必要としない、こういうことにしましたし、また、診断書の形式等も、医師の診断書を簡単に添えるだけでよろしいというふうな形にいたしまして、私どもとしましては、先生方の御意思を体しまして、相当簡素化をしたつもりではございますけれども、しかし、これで完全だというふうにむろん私どもも考えているわけではございませんので、今後とも御意見を拝聴しながら、なお改善には努力いたすつもりではございますけれども、しかし、何ぶん免許証の交付ということになりますので、これがはがき一通とかいうような、きわめて極端に簡素化された形のものになるまではちょっと無理かとは思いますが今後とも、先ほどの丸茂先生の御趣旨その他を体しまして、なお簡素化には、いろいろ研究いたしまして、努力をいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○阿具根登君 そうしますと、これより簡素化するということになると、医師、薬剤師の免許を持っておればいいというんですな、これは。ほかに何もないんですな。そうすると、現在まで免許を取り消された実例はどれくらいあるか、理由はどういう理由か、それを更新された実例はあるか、理由がどういう理由か、その例をひとつ教えてください。
○政府委員(熊崎正夫君) 免許を取り消しますところの理由としてはいろいろあるわけでございますが、法令上、麻薬取締法上、麻薬施用者につきましての規制があるわけでございます。たとえば事故があった場合に届け出をするとか、いろいろな規制がございまして、その法令に基づきました規定に違反した場合には取り消しの対象になり得るわけでございますが、従来の取り消しのほとんどは、麻薬施用者自体が中毒になっているという場合がほとんどでございまして、やはり自己施用をするといった場合には、これは免許を簡単に出すわけにはまいりませんので、その場合にはしばしば免許取り消しということをやっているわけでございます。
○阿具根登君 そうすると、極端にいえば、医師の免状を持っている人、薬剤師の免状を持っている人そのものが中毒患者であった、こういうことなんですか。これはまたたいへんなことですね。そうすると、それが更新された例、先ほどの質問を聞いてみますと、取り消されても非常に短い期間に更新されるではないか。だから一年がいいのではないか、こういう御意見であった。それが、中毒になった方々がそんな簡単に中毒が解けるかどうか。いやしくもこういう麻薬を打って自分が中毒にでもなると、これはぼくは専門家じゃないからわかりませんよ。これを扱っただけで中毒になるなら、これは取り消します。しかし、これを自分が吸飲しなければ中毒にならぬ、飲まねば中毒患者にならぬのだというならば、そういう人には永久にこういうものはやらせんでもいいと思うのです。こういう危険なものであるから特別こういう許可を受けて、そうして不測の事態が起こらないように責任を持っておられる方が、一番詳しく知っておる御自身が中毒患者になられるなら、私はちょっとおかしいと思うのですね。で、そういう人が取り消されたとするならば、相当やはりはっきりした実例があって取り消されたと思うのです。それだけの人が、たとえば一年のうち九カ月たった、そうして取り消されて、あとの三カ月したらまた更新だから、そのときまた新しく認可を受けるのだと、こういうことがあるかどうか、その点をどうぞひとつ。私は専門家じゃないからわかりませんよ。しかし、みんな中毒になって非常に苦んでおるのが簡単になおるのかどうか、いかがですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 現在、麻薬施用者の場合に、自己施用でいわゆる違反内容として三十八年度摘発されました件数が、自己の場合には三十二件ございます。中毒者に不正施用したという場合が実は圧倒的に数が多いので、百八十件くらいございますが、中毒者に不正施用したといいますのは、これは医師の場合には、強要されたとか、だまされたとかいう場合が多いわけでございまして、これはもうほとんど問題にはなりませんけれども、自己施用の場合が、先生御指摘のように、非常に問題になるわけでございます。ただ、法令に基づきまして、いわゆる相対的な欠格事由として免許を与えないことができる場合として、法律第三条に、「違反行為があった日から二年を経過していない者」については免許を与えないということになっておりまして、この辺も一応考えた上で、免許の場合には、ただ更新だから与えるというふうな取り扱いは必ずしもやっておらないわけでございます。ただ、麻薬施用者が社会的な地位の高い医師の場合でもございますので、その辺は都道府県のほうとよく相談をして、慎重に、やるようにいたしておるわけでございます。
○阿具根登君 そうすると、先ほどの答弁とちょっと違ってきましたね。先ほどなぜ二年を三年にしないかという質問のときには、一年であれば更新に非常に都合がいいと、こういうことだったわけなんです。ところが、いまのやつでは、二年間は免許しないのだということですね。まあ質問が長くなるから、その点はあまり触れませんけれども、私はしろうとで考えるなら、そういう事態が起こった場合は、やはり何年間かくらいは――これは二年が適当か三年が適当かわかりませんよ、私はしろうとだから。しかし、そのくらいの条件はあるほうが私はいいと思うのです。ただし、先ほど言われましたような、だまされたとか脅迫を受けたとか、こういう問題は別ですよ。一番弊害の大きい、害毒の大きいということを御承知でこの専門家の方がこういうことを犯されたとする場合は、私はもうちょっと強くやるべきだと思うのです。そのかわり、この免許法というのは、これはきわめて簡単です。これはなぜ簡単かというと、医者としての身分、薬剤師としての身分を持っておられるから、それ以上強いことをする必要がないのだから、そんならなぜ一年や二年でその免許を取り上げなければいかぬか。免許は長くしてやる、しかし、不正の場合は長く許しませんぞ、それが私は筋道だと思うのです。それを一方からいわれれば都合のいいように答弁をされるけれども、これはお医者さんとか薬剤師を対象と考えておるわけじゃないのです。一般国民を対象にこの法律はつくられておるわけです。それなら、一般国民がどれが一番幸福になるだろうか、一般大衆のためにどれがいいのだということを考えれば、いやしくもお医者さんとか薬剤師とかいう、相当な学歴もあり、社会的地位の高い人にむずかしい免許とかなんか設ける必要はないから、そのかわり、それだけ世間が認めておる人が、世間一般の人さえいやがるような悪いことをしたなら、当分こんなもの許さんでもいいと思うのです。私は二年でも三年でも五年でもいいと思うのです。そういう点はっきしないから、あなた方のはうやむやになっていつもたたかれるわけなんです。
 もう一つ質問しますが、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、こういう人たちはどういう身分ですね。
○政府委員(熊崎正夫君) 大体、薬事法に基づきまして、医薬関係の輸入業者、輸出業者、製造業者等が許可をとっておりますが、そういう方々でございます。
○阿具根登君 そういう方々は、おそらく薬剤師の身分を持っておられる方方だと思うのですが、麻薬製造業者で、業者そのものは別としても、この人が薬をつくっておる、麻薬をつくっておるならば、これは薬剤師の方が中心になっておられると思うのですが、それは違うのですか。薬剤師でも何でもなくていいんですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 製造業者の場合には、大体先生御指摘のよりに、薬剤師の方がやっておられるのが多いわけであります。
○阿具根登君 こういう麻薬をつくる人が薬剤師でもなく、ただ営利にやっていいんですか。薬剤師の資格も持たずに営利でやれますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 非常に麻薬製造業者というのは、御承知のように、特定された業者しか指定をいたしておりませんが、大体薬剤師が多いし、また、薬剤師でない方が責任者の場合には、必ず管理薬剤師を持っておりますので、薬剤師の方が必ずおると、こういうことになっております。
○阿具根登君 そうすれば、一方は身分法に基づいておるから、麻薬の小売り業者、麻薬の施用者はこれはもちろんですね、麻薬の管理者もちろん。そうすると、それを製造する人も、ご本人が薬剤師でなかった場合は、薬剤師がその主任でおらなければならぬというなら、分ける理由はどこから生じてくるのですか。麻薬小売り業者はおそらく薬剤師でなければできぬのでしょう。そうすると、製造業者も薬剤師でなければできぬ。それで、一方は身分が固定しておるから、これは二年間延長してもよろしい、一方は一年間でよろしい、どういうわけでこれを分けられたか。これはひとつ衆議院の方にも御説明を願います。衆議院のほうも答えてください、あなた修正しておるんだから。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 製造業者に対して期間を延ばさなかったという点でありますが、いわゆる医師法による麻薬の取り扱い施用者、管理者その他研究者は、常にそういう業務の繁雑さその他から、やはり一年は適当でない。いろいろな議論がございます。十年とか五年とか三年とかございますけれども、そういう議論がございますけれども、一年延ばして業務を簡単にしようじゃないかということが趣旨でございます。それから、製造業者に対してはそういう規定を設けなかった点は、やはり監査その他を厳重にするという意味もございます。
○阿具根登君 どうも答弁なっておらぬようですが、ちょっと局長にももう一度質問しますが、それでは製造業者、製剤業者が違反を犯して免許を取り上げられたのが何件ございますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 従来この分で免許を取り消された例はございません。
○阿具根登君 そうすると、小宮山さんにお尋ねいたしますが、一ぺんも免許を、取り上げられるような不正をしなかった人は一年しか免許しない。百件からの免許取り消しのあった人は二年にしたというのはどういう理屈ですか。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 製造業者に対しては行政上厳重な措置をとり、また、製造上の問題もございます。ですから一年にしておったのでございます。また、お医者さんその他に対して一年を二年にしたというのは、そういう手術その他いろいろなことでその使用というものが非常に多いということで、やはり二年にしたほうがいいのじゃないか。また、その事務手続を、大ぜいの人が使う、また、製造業者のほうは非常に少ない、厚生省のほうも厳重監督するという意味において一年にしたのであります。
○阿具根登君 いいですか、あなたが間違っておるのですか、私が間違っておるのですかね。一方は監督が厳重になって、そして一件も違反がないから短かくしなければいかぬ。それは私はさか立ちしておると思うのです。一方は政府の監督が厳重にある、そしていままで一件も違反がないのだ、だからこの人は、長くしていいのだというのならばわかります。あなたが間違ってますか、私が間違ってますか。私はあなたの意見を聞いてたら、私が中毒患者になったような気がする。あなたのほうは逆です。片一方は違反があったり、免許状を取り上げられるから短かくしてやるのだというならわかります。ところが、あなたのやつは、一方ではこれだけの現実があるから二年に延ばした。ところが、一方は全然事故がないから一年で打ち切ったのだ、こうおっしゃるのは逆じゃないですか。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 私は、製造業者に対しては、少なくともいままで事故がなかったということに対してこれを長くしろという説には反対でございます。なぜかといいますと、製造業者が今後ますます厚生省によって監督され、また、設備その他の監査を受けて、やはり一年ごとに更新するのがあたりまえだと思います。しかし、お医者さんその他においては、やはり日本全国に相当数の麻薬を扱えるお医者さんがいらっしゃいます。そういう方たちが毎年更新するのではたいへんだ、やはり事務上の手続で二年にしたほうがいいのじゃないかということで二年を提案したわけなんであります。
○阿具根登君 二年の根拠は何です。あなたの議論からいけば二年どころじゃないでしょう。あなたは三年を出したでしょう。最初は自民党三年を出されたと聞いております。社会党は十年を出しておる。二年の根拠は何ですか。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 二年、三年、五年、十年と、いろいろ説がございます。しかし、現行が一年でございます。それを一挙に十年に持っていくのも非常に長過ぎるし、また、厚生省方面で監督も十分でない、そういうことで二年という、また、もし事故があった場合の問題がございますので、二年ごとに更新したらいいのではないかということで二年にいたしました。
○阿具根登君 三年はなぜ出したのです。あなた方最初は三年を出したでしょう。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 三年は出しておりません。
○阿具根登君 表面はそうでしょう。しかし、三年を出されて、そうして厚生省と相談の上二年になったのでしょう。だから、二年がいいということは理屈にならないのです。先ほどの議論を聞いておりましても、事故が起こるから二年だ、事故が起こらないから一年でなくちゃならない。一年でなくちゃならない理由の中に、厚生省の厳重な査定があるから今日まで一回も事故が起こっておりません、だから、これを長くすれば厚生省の厳重な査定がなくなるからこれは一年にするというならわかりますが、そういうものがない。厚生省は厳重な監督をしている、いままで一回も事故がない。それでは一年間ということは、同じこういう危険な麻薬の取り扱いをするのに、何か一方的な考えがひそんでいるような気がしてならない。何かがあなたのほうにあるような気がする。でなかったら、私が言うように、一方は全然事故も何も起こっていない、同じ薬剤師の免状を持っているんですよ、身分的にちゃんと保障されているんですよ。それでなんで一方は一年にしたのか、これが事故が起こって二年も三年もやらせたらどうなるかわからないから、事故が起こらないように早くこれは更新するのだというならわかりますよ、逆だからぼくは言うのです。身分法から見れば同じような身分を持っている、そうして、一方は全然事故を起こしておらなくて厚生省の監督、指揮下になる、一方は広範なところに同じような身分を持っておられる方がたくさんおるから監督の手が届かない、だからこういう事態がいつも起こっている、だから、そこは二年に延ばしてやる、どうも逆な気がしますが、そこをはっきりわかるように言ってください。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) いま御質問の点で、何か政府と私たちが話し合いできめたということでございますけれども、ここにおられる厚生大臣は全然反対でございまして、これは私たちがきめたものでございます。しかし、いまの製造業者が一年というのは、いままで事故が出ていないからこれを二年にするのがあたりまえだということでありますが、私はそういうことではないのじゃないかと思うのでございます。もし事故が出た場合にどうなるかという問題と、それから、こういう製造業者に対しては、繰り返して申し上げるようでたいへん恐縮でございますが、年々その設備に対して、また、製造に対して厚生省の厳重な監督下に置いて一年ごとに更新するのが、業者数も少ないので、しかし、麻薬の施用者とか小売り業者、管理者、研究者は非常に多数な数でございますから、そういう意味においても、やはりいろいろ先ほどから社会党の方がおっしゃいますように、十年にしたらいいじゃないかとか、五年にしたらいいじゃないかという議論がございますが、これは現行が一年でございますので、これを二年のところできめたほうがいいのじゃないかということでございます、一つのプロセスとして。
○阿具根登君 どうもあなたの話を聞いていると、何のために修正されたのかわかりませんよ、根拠もないじゃありませんか。そのくらいのことでこんな修正をしなければいかんのですか。一年が二年になってどこがどれだけ得をするのか、何がどうなんですか。あなたの答弁は私の質問の答弁になっておりませんよ。監督が少ないから、業者が少ないから、だから一年でよろしい、私は二年にせよと言っているんじゃないですよ。なぜ同じ身分の人を二つに分けにゃいかぬかということを言っているのですよ。一方はもっと簡単じゃないですか。それでは更新する場合に、厚生省が、どういう施設をすればできる、新しい施設をこうせにゃできぬといって業者を分けたことはありますか。局長にお尋ねするが、製造業者なり製剤業者に対して、毎年毎年設備はこうせにゃできないんだというようなことで、これを許可しなかったりしたことがありますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 原則として、大体麻薬輸入業者、製造業者は、先ほど小宮山先生のおっしゃったように、数は少ないのでございますけれども、更新の際には、したがいまして、従来の業者をそのまま更新を認めるという形をとっておる次第でございますが、ただ、麻薬の保管等につきまして十分慎重にやらなければなりませんので、この点を考えて保管の悪いところなんかにつきましては、場合によっては更新を認めないというふうなケースは若干あるように存じております。
○阿具根登君 そういうことは一年が二年になったからといって変わりますか。それは常識だろうと思うのです。保管の場所が悪かったから、これは保管の場所を変えなさいというようなことは常識ですよ。一年が二年になったからといってこれがどうなるものじゃないんです。どうです、そういう理屈が小宮山さん通りますか。私は一年を二年にせいと言っているのではない。同じ身分の同じ薬剤師で、片方はつくっている、片方は売っているのですよ。つくる量はちゃんときまっているはずです。その人は、いままで言われるように、不正をやろうと思ってもやれない、あなたがおっしゃるように、監督官庁の監督も厳重でしょうし、この製造業者が、自分たちが薬をたくさんつくって、ないしょにこれを横流ししたり、ボスに渡して中毒患者をつくったりするなら別ですよ。こういうものには免状も取り消すだろうし、何でもするけれども、いままでそういうことはない。そして業者数は少ないからきまっている、わずかしかおらぬ。そのわずかしかおらぬ人たち、しかも、同じ身分を持っている人に、あなたが、一年でできなければ二年でなければできぬと言う理由は成り立たぬ、何とおっしゃっても。だから、まあこれはそういう意味じゃなかったのだけれども、経過的にこうなったのだというふうな話でもあれば、私もこれは政治だから、そういうこともわかるけれども、あなたが固執されるなら固執なさい、ここで何時間でもやってみましょう。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) いま先生のおっしゃるように、そういう事態でこういうふうになっているということでございます。私、製造業者、あるいは輸入業者がそうでなければならないという理由は二度も申し上げません。ただ、いろいろな施用者、その他管理者の問題については、いろいろ覚せい剤その他の問題もございますし、また十年説、五年説、いろいろの議論もございますので、この辺がよかろうということでやったわけであります。御了承していただきたいと思います。
○阿具根登君 まあいろいろ事情もおありだったと思うのですよ。事情もおありだったと思うけれども、どうしても納得できないのは、この二つに分けられたということなんです。同じ薬剤師の免状を持っておられる方々が、一方は二年だ、一方は一年、だと。これが同じ二年なら二年で――私は、それは十年を主張しておっても、十年の場合に二年になる場合もあるかもわかりません、三年になる場合もあるかもわかりません。しかし、こういう一度ハンデイがつけば、かりに二年でも短いじゃないか、来年は三年にしようというときに、こっちは二年にしかなりませんよ。そうすると、同じ身分を持っておって、同じ業者であって、一方は製造、一方は小売りのために、一方はいつもハンデイがついているということになるわけですよ。だから、何でこれは中途から分けられたのだろうかと、まあこういうことなんです。
 それで、厚生省のほうに、これは大臣にお尋ねいたしますが、私は反対しておるからということじゃないと思うのです。厚生省は反対しておれば一切意見を言わないということはあり得ぬので、議員立法をやる場合でも、十分厚生省とは相談をしてやるのです、私たちは。衆議院の小宮山さんは知りませんよ、あなたがどういうことをしてこれをおつくりになったか。私は厚生省の意見を十分取り入れて、そして一応厚生省の意見も十分聞いた上で、これでは厚生省としてはやりづらいだろう、やれないだろう、それじゃあ議員立法でやりましょうということなんです。厚生省に黙って厚生省所管の法律をぽこっと出す。厚生省は厚生省で、私はこれは反対だから知りませんということはないのです。
 それで、厚生省では、この法案について、私の意見はどうお考えになりますか。これを二つに分けたことは、少なくともいまの場合はやむを得ぬとお考えになるのか、できればこれは一本にすべきだとお考えになるのか、どうでしょう。
○国務大臣(小林武治君) 私は冒頭から修正そのものに反対だからして、意見を申しません。反対だということだけ申し上げたのです。
○阿具根登君 反対だということは、最初の五業ですか、これは賛成ですね、この一年間は賛成ですね。製造業者の一年間は賛成だ、あとの二年間は反対だと、こうなりますか。
○国務大臣(小林武治君) そうでありません。とにかく政府原案で願いたい、こういうことをはっきり言っておるのです。だからして、この区別するなんということも考えたことはありませんし……。
○阿具根登君 それでは新しくお尋ねしますが、区別するがいいと思いますか、区別しないがいいと思いますか。おそらく区別するのがいいとお思いなら、政府のいままでの、原案だったら一年間と半年ぐらいに区別されておったと思うのです。ところが、両方とも一年間だったから区別するのは反対だと思うのです。これはいかがでしょうか。
○国務大臣(小林武治君) これはもう政府原案で御了解願いたいと思います。
○阿具根登君 これはどうもしようがないですね。だから、まあ厚生大臣はなかなか口をお割りになりませんが、しかし、政府の原案は一年間であった。この一年間を二年に全部延ばすのなら反対だと、これはわかるのですね、これはわかりますよ。しかし、全部二年延ばすよりも、一方を一年として、一方を二年にしたほうがいいのか、これは二つは一緒だから、退くも進むもこれは一本のやつだとお思いになるのかということを聞いているのですよ。
○国務大臣(小林武治君) これは阿具根委員はよく御存じでいろいろ質問されておりますが、私どもは一本で出しておるということでおわかりくださると思うのです。
○阿具根登君 これでやめますが、小宮山さんどうですか。厚生省も一本であるべきだたということをはっきり言っておられるわけです。これは、原案を示されるだけでそれはわかっている。厚生省はこれを分けるべきでないからいままで一年間一本でこられたわけです。社会党も十年は言っておるけれども、片っ方五年ということはだれも言っていないのです。同じに認めている。おそらくここの方々も全部同じだと思うのです。私ら負けるかもしれぬけれども、こういう不合理なやつは、これは私は反対せぜるを得ぬのです。あなた方が一本に持ってきておられれば、また話の筋道は私はわかると思うのです。しかし、こういうだれが見ても、たとえば製造業者が考えた場合、一般国民が考えた場合、なぜ害毒のないものは短かくして、そして心配のあるものは長くするのか。だから、これは非常に問題があるけれども、あなた方がきめてこられて、意見の対立だけで進めてもしようがないから、私は、これはそういう筋の通らない法律だということをはっきり申し上げて、私の質問を終わります。
○柳岡秋夫君 先ほどからの質疑を聞いておりまして、一体この免許を与える目的というものはどこにあるのかということをまずお伺いしたいわけです。いわゆる免許ということになりますればいろいろあると思うのですけれども、いわゆる資格ですね、その取り扱う資格が適当かどうかということを見るためのというか、そういうことをひとつ調査をして、そういうものの資格に合っているものに対して免許を与える場合、あるいは麻薬の場合ですと、先ほどから言っておりますが、社会的に非常な影響の大きいものであるからというようなことになりますと、一面では、その麻薬の製造された品物を十分管理、把握のできるようにするために免許を与えるという場合もあると思う。あるいは、また、そうでなくて、取り扱いの技術の面での免許という場合もあると思うのですけれども、一体この取締法の中での免許はどういうところに重点を置いて免許制度というものをとっておられるのか、それをお聞きしたい。
○国務大臣(小林武治君) これはおっしゃるような両方の理由がありますし、麻薬というものは非常に重大な社会的に影響の大きい薬だから、常に実態について把握しなければならない。したがって、できるだけこれは取り扱いの者を限定しておくことが、だれでも扱うというふうな状態には放置できない問題でありますから、できるだけ資格その他を十分こちらが管理し得るもの、すなわち、麻薬の管理そのものが非常に大事なことであるからしてこういうふうな免許ということが必要である。したがって、輸出入等についても、一切政府の統制下に数量も何もみなきめてやっている。これは世界的にどこでも同じであります。それほど麻薬というものを重大に考えて扱っているということでございます。
○柳岡秋夫君 いまの大臣の答弁を聞きますと、私なりの感じでは、麻薬という製品に対する管理監督ですか、そこに重点があるような気がするのですが、そういうふうに解釈してよいのでございますか。
○国務大臣(小林武治君) 麻薬の保管、使用、管理、いずれについても厳重な管理をしなければ、薬の性格上、国民生活に非常な害を与えるということで、いま申すように、どの国でも同じ扱いをしております。
○柳岡秋夫君 そうしますと、私は、たとえば製造業者、あるいは卸売りとか小売りとかいう、そういういわゆる品物をつくったり、たくさん持ってこれを売るというような業者と、医師とか薬剤師とか、いわゆる施用者ですね、あるいは麻薬管理者、こういうものとは当然何らかのそこに免許の条件について差異があってもいいじゃないかというような気がするのです。というのは、医師法によれば麻薬と同じような資格条件があるわけですよ。医師になるためには、やはりこういう精神病者とか麻薬患者とか中毒者とかいうのは医師になれないということになっている。これは麻薬取締法もそういうふうになっている。したがって、医師の免許をとれば、当然麻薬取締法に規定をされておる資格要件を備えた人がやっておるわけですから、ですから、医師の免許証を持っている間は当然麻薬の管理者、施用者としての免許も私は常に並行してとられても何ら差しつかえないんじゃないか、こういうふうに感ずるのですが、それを製造業者、あるいは卸売り業者、小売り業者と同一にこういう扱いをしておるということは一体どういうことですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 柳岡先生の御意見、私もそういう御意見もあることはごもっともだと思います。しかし、現在の麻薬取締法あるいは大麻取締法、覚せい剤取締法というような、私のほうで所管をいたしております薬の関係の法律の系列におきましては、医師、薬剤師の身分免許というものと、いわゆる業務免許――身分と別に業務をやるための業務免許というふうな取り扱いを別個にいたしておりまして、身分免許を持っておるがゆえに、業務免許は、身分免許をとれば直ちに業務免許もとれるというような形にはなっていないわけでございます。なぜかと申しますと、やはり麻薬を含めまして、医薬品という法体系のもとで業務上の規制というものを、薬を取り扱う中身によりまして、あるいは構造設備を厳重にするとか、保管を厳重にするとか、あるいは記録をしっかりするとかというようないろいろな業務上の規制というものをやらなければならない。業務上の規制をやる限りにおいては、やはり免許の有効期間というものはおのずから出てくるのじゃないかということで、法体系を医師法、薬剤師法、それからその他の関係の身分法と別個な形として立案をされてきておりますので、実定法上の取り扱いに準じた取り扱いとして、私どもは業務免許の期間を短期間ということを主張いたしておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 ちょっと私まだ納得できないのですが、業務上の規制の問題と免許の問題は、私はちょっと違うような気がするのです。この取締法中に、いま局長の言われたような報告書の問題、管理の問題いろいろ規定されておりますが、これは当然取り扱い者はそういうことをしなければならないというふうに規定されておりますのでやるわけです。しかし、その麻薬を施用したり、また、管理をし得る――売ったりつくったりすることは、何か業務上の規制の問題と免許とはおのずから関係がないような気がするのです。免許は、当然ここで書かれておる精神病者、あるいはその他四項目ありますけれども、そういう四項目のいずれかに欠格していなければ免許を与えるということになっておるのですからね。したがって、私は、どうもその辺がまだ納得できないのです。一面では、厚生省は、法の中で取締員とか取締官というものをつくって、常に麻薬に対する管理の問題についての、あるいは報告の問題についても規制をして取り締まりをしておるわけですからね。ただ、麻薬を取り扱える人はこういう人だという免許のあり方であると思うのですが、したがって、業務上の規制から免許というものは、私は、即、結びつかないような気がするのですね。その辺はどうなんですか。
○政府委員(熊崎正夫君) まあいろいろ御意見ございますけれども、ただ、私どもとしましては、医師なり歯科医師なり、あるいは薬剤師としての身分というものは、これは終身上の身分でございまして、免許を取れば一生医師であり、あるいは歯科医師であり、薬剤師であるという業務ができるわけでございます。ただ、したがいまして、そういう身分免許の場合にも、事故があった場合の取り消しその他につきましては、これは先生御承知のように、たとえば医師の免許を取り消すとか、あるいは薬剤師の免許を取り消すということは、たいへんな慎重な手続を経た上で行なわなければなりませんし、また、行なうケースもきわめて少ないわけでございます。ところが、麻薬等を取り扱っておる場合の免許につきましては、これはすぐ直ちに医師、薬剤師の身分免許を持っておるがゆえに、事故があった場合には免許を取り消すということになりますと、これは身分免許を持っておる方にとっては死刑の宣告にひとしいのであります。診療行為、あるいは調剤行為というものは一切禁止される。そういうことでは、非常に麻薬の重大性もさることながら、やはり事故があった場合の免許の有効期間は短期間にして、そうして次の将来の復活を考えるということも必要ではなかろうかということで身分免許と業務免許を分けておる、こういうふうに御解釈をいただきたいと思います。
○柳岡秋夫君 お医者さんでも、精神病者とか、あるいは麻薬の中毒患者になれば、当然免許証は取り消されるわけですが、したがって、内容として、私はいずれにしても同じようなものじゃないかというふうに思うのですが、しかし、いずれにしても、並行という意味は、医者の免許をとれば麻薬の免許はとらなくてもいいということを私は言っているのじゃなくて、一応免許はとっても、一年ごとに免許の申請をし直すということが、医者とかあるいは薬剤師にとっては必要ないんじゃないかということを言いたいわけなんですよ。製造業とか、あるいは卸売り業なんかですと、これはある程度問題はあるかもしれませんけれども、しかし、医師とか薬剤師とかというものについては、当然取締法に規定をするものと同一の内容のものが医師法の中にも規定をされて、そういうものでなければ医師の免許を与えないということにもなっておるわけですから、ですから、一年ごとに免許の更新をするということが非常に不合理のような私は気がするわけですよ。しかも、先ほどの話によりますと、この修正案は、小売り業者を含めているわけですね、二年の中には。私ら社会党としては、いま私が申し上げたような考え方に立って、麻薬施用者と麻薬管理者と、これのみの免許の更新を十年にしたらどうかという立場で修正案を出したのですが、ところが、衆議院のほうで決定された修正では、小売り業者をさらに含めているわけですね、製造、販売と。私は、この施用者上は区別するのがあたりまえのような気がするのですがね。小売り業者を二年として、卸売り業者のほうは一年にしておくというのは一体どういうことなんですか。その辺、再度ひとつ提案者のほうからお伺いをしたいと思います。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) これは先ほどいろいろ御説明申し上げましたごとく、小売り業者、施用者、管理者、研究者に二年を与えたということは、こういう方々が業務の繁雑を避けるためと、それから、もう一つ、施用者などに覚せい剤その他の法体系の問題がございます。そういう意味においてこれだけを二年にいたしたのであります。ただ、製造業者、輸入業者に対して一年にしたというのは、繰り返して申し上げますけれども、これはやはり厳重な監督と、毎年毎年更新していく業者も少ないということ、そういうことで一年に据え置いたということでございます。
○柳岡秋夫君 業務が繁雑であるから二年にするんだという理屈では、私は、免許の目的と申しますか、先ほど私が当初にお伺いした免許の目的からいって、非常におかしな理屈になると思うのですよ。そういうことでなしに、私はこう解釈をしておったんです。医師とか薬剤師とか、あるいはそのほか獣医師とか、そういうものはいわゆる医師法なんかによって一つの資格を持っておる。しかも、取締法に規定する資格と同一の内容で免許が与えられておる。ですから、こういう人たちについては、ある程度期間を延ばしてもいい、しかし、製造業、あるいは卸売り業、小売り業については、これはいわゆる品物を実際に製造しておるし、どのぐらい製造するかということも一応それは規定はされておっても、やみに製造するかもしらぬし、いわゆる製品の管理監督の面で非常に問題が多いという立場から一年の免許更新と、こういうふうに私は理解しておったわけですが、ところが、ただ、業務の繁雑上、小売り業者も二年にしたのだということになると、私はちょっと免許の目的からいって非常に不当なような気がするわけなんです。小売り業者とか、いわゆる製造販売と、この施用者、医師とか薬剤師とかいうものは、やはりそういう立場で区分をしなければいけないのではないか、こういうふうに考えるわけです。
 それで、局長にお伺いしますが、小売り業者とか卸売り業者、製造業者、ここには薬剤師というものはおられるのですか、先ほど阿具根先生のほうから質問があったかと思うのですが、ちょっと聞き漏らしましたので、再度お伺いします。
○政府委員(熊崎正夫君) 先生御指摘のそういったところには薬剤師はおるわけでございまして、先ほどの麻薬小売り業者といいますのは、これは「薬事法の規定により薬局開設の許可を受けている者」ということが第三条にも規定されておりまして、薬局を開設する場合には必ず薬剤師がおるというたてまえになっておりますので、薬剤師の身分を持っておる者が小売り業者になっておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 小売り業者はわかりましたが、製造業者のほうはどうなんですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 製造業者も、先ほどの阿具根先生の御質問で、薬剤師はおるわけでございますが、しかし、いわゆる製造ということで仕事をやっておりまして、これは医薬品の製造業者と同じような考え方に立って麻薬の製造業者という規制をいたしておるわけでございますから、薬剤師たる身分というものと、製造という業務とは、これはおのずから違うというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 麻薬元卸売り業者、この業者についてはどうなんですか。
○政府委員(熊崎正夫君) やはり薬剤師はおります。それから、性質としましては、製造業者、あるいは卸の場合には、これは流通――ただ素通りをするだけで、売るほうが主体でございますけれども、薬剤師はおりますけれども、業務の実態といいますものが製造、卸ということになりまして、いわゆる調剤というふうな身分を主体にしました薬剤師とは考え方が違うわけであります。
○柳岡秋夫君 最近非常に麻薬の事犯が増大していく傾向にあるんです。その中で、特に最近目立ってきておりますことは、医師の不正施用というものが非常に多くなってきておる、こういうことが新聞等で報ぜられておりますし、また、警察庁あたりの報告によりましても出ているわけでございますが、こういう医師の不正というような問題と、この免許を二年なり延長するという問題とはどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 私ども直接関係づけて考えておるというふうには考えておりません。
○柳岡秋夫君 提案者にお伺いしますが、いまのように、非常に医師の不正施用というものが多くなってきているわけなんですけれども、先ほど免許の目的が、厚生大臣の言われたように、麻薬の適正な管理あるいは施用、監督、そういう面でどうしてもこれは必要なんだ、こういうことを言われたわけです。それを今度の修正でさらに二年延期する、あるいはだんだんと、当面は二年だけれども、次にまた延ばしていくことも考えられるというようなわけでございますけれども、これはそうしますと、何かいまの傾向から言って、法を修正するということは逆行するような形になるのではないかと、こういうふうに思いますが、そういう点はいかがですか。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 何度も申し上げるようでございますけれども、麻薬施用者、あるいは管理者、その他小売り業者から非常に事務の繁雑がある、何とかこれをしてくれという相当の要望がございます。そういう意味において、私これもいままで一年ごとに切りかえていたものをぜひ二年にしようということで皆さん方の御賛同を衆議院で得たのでございますが、現在のそういう先生が憂えていらっしゃるような事件については、それについては罰則もございますし、また、二年になった場合に、すぐ個々の事例によって二年間停止する場合もあるでしょうし、いろいろな問題があると思うのでございますけれども、二年間という期間は、先ほども何度も申し上げましたように、やはり事務の繁雑と、また、そういう施用者自体、あるいは小売り業者も非常に前から要望していることでございますので、ぜひこれを実現したいということで提案したのでございます。
○阿具根登君 関連して、いまの簡素化の問題で質問しますが、先ほどの答弁では、身分証明の写しをつけてやらねばできなかったのに、登録番号だけでいいようになった、こういうことが一つ。それから、禁治産者は市町村長の証明が必要としなくなった。そのほか精神病者とか麻薬、アヘン中毒者でないということを証明するだけだ、こういうふうになっているわけですね。そうすると、これが繁雑だと、こうおっしゃるなら、これはまあ二番目の禁治産者はこれはわかります。それであれば医者できない、これはまあこれでいいです。しかし、身分証明というのは要るでしょう。医者であるか医者でないかわからぬから、薬剤師であるかないかわからぬから、身分証明をつけねばいかぬでしょう、これはつけねばいかぬ。そうすると、麻薬患者であるかアヘン患者であるかということは、先ほど質問の中でわかりましたように、その当事者が、その患者が多くて免許をとられる方が多いのだということなんですね。そうすると、当然これは要るわけなんです。そうすると、ほかにどうすればいいか。いまよりも簡素化をやるというのだったら、これはもう身分を保証する登録番号さえあれば全部いいという以外にないのですよ。それから、医者が薬剤師の免許をとった場合に、一切これはそのときに身分的に免許されておるのだ、それ以外にないのです。それが繁雑だから云々というのなら、それ以外にないと思うのだが、どこまでそれを繁雑だとおっしゃるのですか。
  〔委員長退席、理事高野一夫君着
  席〕
○衆議院議員(小宮山重四郎君) いまいろいろ御質問がございましたけれども、許可を与える期間が一年ということに対して、ほとんどの施用者自体はそういうことがないので、一年というものをもう一年延ばして、ぜひわれわれの事務の簡素化をはかっていただきたいという要望でございます。先生のおっしゃる面もよくわかっておりますが、二年そういう期間免許を与えて業務を遂行させるということ自体、麻薬の性質上から非常に重要なことだと思うのでございます。いままで一年というものをただ二年に延ばしたということによって相当数の手数を省けるのじゃないかということでやったのでございまして、先生よく御承知のことと思うのでございますが、何ぶんよろしくお願いします。
○阿具根登君 そうすると、極端に言えば、もうお医者さんと薬剤師、歯科医師さんは、これはその免状をとられたときに、この麻薬取り締まりの関係の免状はおりたものだとすれば、これは二年延長する意味もなくなるわけです。二年に延長せんでいいわけです。それが一点と、それから、それだけが繁雑だというなら、たとえば麻薬患者とか何とかというのは当然やらねばいかぬので、身分登録しなければいかぬので、それが繁雑だとおっしゃるなら、二年間なら繁雑でない。なぜ三年が繁雑になるのか。そうなってくると長いほどいいのか。三年でもいいし、社会党の言うように十年でもいいじゃないかということになりはしませんか。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 先生の理論もわからないわけではないのでございます。しかし、施用者、あるいは小売り業者の方々が、ぜひいまの年数を倍にしてくれという声が一番強いことでございますし、それから、十年という年月は非常に変動もございますし、その面においてやはり二年が適当だということで衆議院で可決していただいたわけでございます。
○柳岡秋夫君 そうすると、衆議院におきましては、いわゆる事務の繁雑を緩和するために期間の延長をはかったということだけで、現在の麻薬事犯の傾向なり、あるいは免許の目的である麻薬に対する管理、あるいは適正な施用、そういう面についてのことは全然考慮せずに、ただ単に事務を簡素化するというか、事務も非常に繁雑であるから、これを緩和するという意味のみで修正をしたんだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) それは全然逆でございます。事務の簡素化と、このやはり能率をあげる意味においても、事務の簡素化ということはどうしても必要であると思います。しかし、その反面、麻薬に対しての取り締まりというものは、以前以上に厳重にやらなければいけないということでございます。そういう期間を延ばして事務能率をあげる、手続を簡素化していくということ、その麻薬の取り締まりとは全然別個のものだと思っております。今後やはり厚生省、関係官庁に厳重な取り締まりを私たちは要望しておるのであります。
○柳岡秋夫君 いや、その免許制度をとっているということは、厚生大臣が先ほど言われたように、非常に重要なものであるので、この取り扱いについて十分な規制をしていきたいということで免許制度というものをつくったんだ、そのために免許の更新を一年ごとにやっていくのだ、こういうのが厚生省の考えであると思うのです。それを二年にしたとすれば、当然厚生省の立場からの考えからいくと、やはりある程度取り締まりの面なり管理の面からいっても、若干後退をするような感じを受けるわけです。ですから、私は、そういう事務の簡素化という面での延長ではなくして、十分な、当然医師とか薬剤師とか、あるいは歯科医師という人が免許を受ける際に、取り締まりの法に基づく免許条件と同じ条件を持って免許を受けておるのだから、だから一回免許をもらえば、あとは何も一年ごとに更新をしなくても取り扱い上不適格なものではないのだから、不適格であれば、当然医師としての免許を取り上げられるようなかっこうになるわけですから、ですから、何も一年でなくて、二年でも三年でもいいじゃないかということで修正するのが妥当な修正の理屈ではないかというふうに思うのですが、取り締まりは、当然ここに書いてあるように、厚生省としては、取締官なり取締員によって随時立ち入り検査もできますし、あるいは製品の保管状況についての報告を求めることはできるわけですから、そういう面での、取り締まりは当然考えなければいけないが、そういう意味での修正なら私どもは納得できるのですが、ただ単に事務の繁雑なのを緩和するのだ、煩雑なのを緩和するのだというだけでは、何かこの修正の理由としては非常に弱いというふうに思うのです。
○衆議院議員(小宮山重四郎君) 先生の御説ごもっともでございます。私も事務の簡素化ということだけではございません。医療制度の一貫性とか、たとえば麻薬小売り業者などに対しても、そういう調剤の問題で医療制度の一貫性をどうしても持たせなければいけないのであって、先ほど先生がおっしゃいました麻薬小売り業者を入れたというのもそういう意味でございます。
 それから、まあいろいろ業者のほうの要望もございます。先生の御説のとおりのこともございますし、それから、事務の簡素化の問題もございます。それで、取り締まりの面については先生おっしゃるとおりでございます。ほんとうに今後とも、特に関係各庁にどしどし取り締まっていただくということなのでございます。
○柳岡秋夫君 最近非常に麻薬事犯がふえておる、こういう話でございますが、今後厚生省の改正案によりますと、取締員をわずか十五人なり十人なりの増員でございますが、これではたして十分な麻薬類の管理、監督、調査というものはできる自信があるわけですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 私ども、これでもって十分かというふうにおっしゃられますと、必ずしもあれでございますが、私どもとしましては、少ない陣営でもってできる限り取り締まりの徹底を期するということで御提案をしておるわけでございます。最近この麻薬の違反件数は、実は昨年の取締法の大改正をやりました以降、非常に犯罪が巧妙になってまいりまして、捜査には非常な苦心をいたしておるところでございますが、人員をふやしていただきまして、全能力を結集しまして、今後とも取り締まりの強化に当たってまいりたいと思っております。
○柳岡秋夫君 決意を聞きまして、十分取り締まりの強化をぜひやってもらいたいと思うのですが、非常にこの犯罪の内容が巧妙になってくればくるほど、私はもっと取り締まり体制という面でも、その犯罪の内容に即応した体制というものがとられなくちゃならぬ、こういうふうに思うのですが、そういう面から考えますと、これだけのわずかの増員では十分な取り締まりができるかどうかということを懸念するわけです。そこで、最近の医師の不正施用が非常に多いということ、しかも、これは患者から強要されて、やむなく施用するということよりも、医師の麻薬を保管する保管のしかたがまずいとか、あるいは医師がみずから施用するというような面が非常に多くなっているようなふうに思うのですが、そういう点について、医師のそういう麻薬施用に対する監督と申しますか、厚生省としてどういうような措置を行なっておるのか、お伺いしたいのであります。
  〔理事高野一夫君退席、委員長着席〕
○政府委員(熊崎正夫君) 麻薬取締法の改正が行なわれます前の三十七年に比べまして、三十八年度におきましては医師の違反事件がふえてきておることは事実でございます。大体一昨年が百八十件前後のものが、三十八年度に入りまして二百八十件程度でございますから、ふえてはおるわけでございます。これの取り締まりにつきましては、御承知のように、麻薬取締法の中で、医師の事故の届け出、あるいは麻薬施用の場合の記録等を全部法律でもって規制をするようにいたしておりまして、随時各県の麻薬課におります麻薬取締員が、これは正規麻薬でございますので、常に報告を見ながら、はたしてこれの診療所、あるいは病院において麻薬の施用が多いか少ないかということはキャッチできるわけでございます。普通の場合と違って、非常に他の診療所、病院に比べて施用量が多いといった場合には、これは何か事故があるのではなかろうかということでもって、各県の取締員が厚生省の出先であります麻薬取締官事務所と相談をしながら、そういう不審の点を逐次監査して歩くというようなことでもって取り締まりの厳重を期するという方法をとっておるのが普通の姿でございます。
○柳岡秋夫君 そこで、予算の関係になるのですが、先ほどの免許手数料というものは、国庫収入と都道府県収入と分けられておるようですが、一年間どれくらいの国庫収入があり、また、都道府県収入があるのか、それをお伺いいたします。
○政府委員(熊崎正夫君) 麻薬の取り扱い者の免許数につきましては、これは圧倒的に多いのは都道府県の免許分でございまして、大体十二万前後の数があるわけでございますが、国庫歳入に入る分はほんのわずかでございます。したがいまして、金額で申しますと、国庫歳入の分は百万前後だというふうに御承知をいただければよろしいかと思います。都道府県の手数料歳入分が総額にいたしまして六千四百万程度あるかと思います。
○柳岡秋夫君 これらの収入は、まあ一般財源として繰り入れられるのか、いわゆる厚生省の中に入るのか、その収入の内訳はどういうふうになっておるのか。
○政府委員(熊崎正夫君) 歳入歳出面につきましては、この手数料関係は特別会計でもございませんので、一般財源に歳入は繰り入れられるということになっております。
○柳岡秋夫君 そこで、今度の三十九年度の麻薬取り締まり関係予算を見ますと、麻薬取り締まり強化費として、これは二億七千万ですか、近くありますけれども、この中で施設整備費として今年度はゼロになっておるのですが、これはどうしてゼロになっておるのですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 昨年度の麻薬取り締まり関係予算が非常に大幅にふえましたのは、各項目について共通でございますけれども、特に施設関係がふえましたのは、これは従来とも麻薬取締官事務所が全国で八カ所ございます。厚生省の出先機関でございますが、この麻薬取締官事務所が終戦以来の非常にきたない木造の建物に入っておりまして、そこで鋭意仕事をやっておりましたのを、全部これを建てかえるということでもって取締官事務所の設備、建築費が一億二千万計上いたしておりまして、これでもって大体各県八カ所の従来の取締官事務所は面目を新たにするということになりましたので、今年度はこれがゼロになる、こういうことでございます。
○柳岡秋夫君 取締官事務所を全部直した、したがって、ことしは何も要らないんだと、こういうことでございますが、私どもが昨年でしたか、現地調査等に行きました場合に、たとえば自動車がほしいとか、いろいろあったわけです。そういう取締官事務所で要求をしている施設というものがすべて昨年度の予算で改善をされた、補充をされたと、こういうふうに考えていいのですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 昨年度の予算ですべてが解決いたしておるわけではございませんので、建物を含めて、一挙に全部やるということも、これはなかなか簡単にはまいりませんし、やはり計画的に今後進めていくということでもって、自動車その他取り締まり活動関係の経費は前年度より多少ふえた金額で予算化されておるわけでございます。たとえば捜査用機具等の整備費につきましては、前年度予算六千四百万のところ、三十九年度におきましては六千五百万ということで、捜査用の機具関係は、この予算でもって自動車その他いろいろな捜査用の充実を期する、こういうことに相なっておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 海外情報収集費、それから、海外麻薬情勢調査費、これが全部ゼロになりたわけですね。現在わが国はまだ麻薬の単一条約に批准をしておらない、こういうことでございますけれども、この予算が全然ないということについて、何か理由があるのですか。それとも、なくても十分各国との連携がとれると、こういうことなんですか。
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもとしましては、昨年といいますよりも、ここ数年来、何とかして海外情報の収集ということで、あるいは長期派遣をするか、あるいは駐在をさせるかというふうなことで麻薬取締官を海外に派遣したいという希望は持っておったわけでございますけれども、昨年の大改正の際の予算が大幅にふえましたときの折衝の過程におきましても、行政管理庁等とよく相談をしました結果は、警察のほうで一カ所東南アジアに置くという予算が入りまして、私のほうは昨年も海外情報次集費は入らなかったわけでございますが、なお、あきらめずに、三十九年度予算におきましても、鋭意折衝いたしましたけれども、まだ十分な結果を得られないことになっておりまして、まことに残念でございますが、今後とも、なお努力を続けたいと思っております。
 それから、情報関係につきましては、先生御承知のように、わが国の対外関係の情報は厚生省薬務局長ということになっておりまして、国連を通じまして、各国からの情報は厚生省薬務局のほうに常時入ってくるように相なっておるわけでございます。
○柳岡秋夫君 単一条約についてはどういう態度を厚生省はお持ちでございますか。
○政府委員(熊崎正夫君) 単一条約の審議の際にも、厚生省薬務局のほうからは、毎年毎年ジュネーブのほうに人を派遣いたしておりまして、単一条約の審議の際にも厚生省から人が出席いたしておるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、単一条約はなるべく早く批准するのが当然であるというふうに考えておりまして、外務省のほうと相談をいたしまして、今国会の四月下旬か、あるいは五月の初めには提案ができるというふうに外務省からは連絡を受けております。まだきまってはおりませんけれども、大体今国会に単一条約の批准案を出す、こういうふうに承っております。
○藤田藤太郎君 いま麻薬の問題は非常にやかましいときだが、量が減ったり違反が減ったとは考えられない。最近の麻薬の入ってくる道しるべ、それから、どういうルートで麻薬が国内に入ってくるか、そうして売買されているか、そういう大筋の一つのルートと現実の問題をひとつ話をしていただきたい。
○政府委員(熊崎正夫君) 藤田先生御指摘の密輸といいますのは、おそらくヘロインだろうと思いますが、ヘロイン関係の密輸の状況は、船舶と飛行機が主体だということになっておりまして、船舶、飛行機を通じまして、東南アジアから香港経由でくるのが大部分であるというふうに、私どもも従来の実績にかんがみまして、そういう方面に重点を置いて取り締まりの強化をはかっておるわけでございますが、ただ、最近、昨年の大改正以来、取り締まりが厳重になりましたために、実際の違反件数といいますか、そういったものは昨年以降激減をいたしておりまして、これは日本に麻薬がなくなったということじゃございませんけれども、非常に取り締まりの網の目をくぐって犯罪が巧妙になってきているということが推測されるわけでございます。それで、しばしば私どもも承るところでございますが、暴力団組織を通じて入っているとかいうふうな話も聞いておりますけれども、最近におきましては、ヘロインがなくなりましたために、主として麻薬施用者等を訪れまして施用を強要したり、あるいは患者と偽って、つまり医療患者と偽ってモルヒネの注射を医者に打ってもらうというふうな事態が相当ふえているというふうに私どもは連絡を受けているわけでございます。
○藤田藤太郎君 私は、麻薬の問題で前々から心配しておったのは、麻薬というのは、主として暴力団を中心としたルートから入っているというのが問題点でありました。だから、主としてこの麻薬事件の発生については、不良環境地帯を中心に行なわれている。だんだんと取り締まりも強化されてきて、みんなの協力もあって、そういう所で具象的な事犯が起きないということになってくると、今後はどうもそういう問題はビジネス・センターあたりだけで取引がされるような心配が私は前からしている。そういうことがあるのか、こういうところなかなか調べにくいと思うのです。私は、どうもそういうところに移行していやせぬかという気がするわけです。そういうところに目をつけたことがあるかどうか。
○政府委員(熊崎正夫君) 私どもも、先生御指摘のように、最近麻薬事犯といいますものが、いわゆる釜ケ崎とか、あるいは横浜の黄金町とか、そういった地区以外のところで巧妙に取引が行なわれているのじゃないかという想像をいたしておりますし、また、取り締まりの方針も、従来主としてその辺を重点にしておりました取り締まりを根本的に変えていかなければならぬというふうな考えのもとに、寄り寄り相談をいたしているわけでございます。したがいまして、その方面からの情報のキャッチ、入手ということにつきましては、非常に現在苦心をいたしているところでございますが、ただ、的確にどこの場所でどういうふうな形で動いたという証拠をつかむことがなかなかむずかしいわけでございまして、たまたま証拠をつかんでも、証拠をつかんだときには、すでにそれらしき者が海外に飛び出しておったというふうな後手の場合もあるわけでございまして、その辺は取り締まり態勢といいますものは、今後相手がそういうふうな組織をもってくる限りにおいては、こちらのほうも、より知能犯に対しまする厳重な取り締まり態勢を再検討しなければならぬということで検討いたしておるところでございます。
○藤田藤太郎君 そこで、これはだんだん皆さんの質疑で、問題点は、これは平生のときでもやれるわけですけれども、最近の海外の麻薬事犯の状況というものはどういうぐあいになっておりますか。これもこの際聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(熊崎正夫君) 海外の麻薬事犯の状況につきましては、ときどき新聞紙上に出た情報程度を私ども承っておるわけでございまして、必ずしも的確に最近は把握するような状態にはなっておらないのでございますが、先生御承知のように、本年に入りまして、国連の極東麻薬会議というものを一月の下旬から二月にわたりましてやりまして、そこで今後とも相互の麻薬の密輸その他につきましての連絡をよくしようということで申し合わせもできておりますので、今後とも、なるべく情報を取り合うようにして努力をいたしたいと思っております。
 なお、具体的な事犯につきましては、麻薬参与官もおりますので、御質問があればお答えいたしたいと思います。
○藤田藤太郎君 いや、私が心配をしているのは、麻薬の犯罪をまあこの前はきびしくした、罰則をきびしくした、罰則をきびしくしただけではおさまる問題ではない。だから、だんだんといま出ているところを押えれば、ほかのほうに出てくるという心配をしているわけです。麻薬問題に熱心な人からちょくちょく情報をわれわれ入れてもらうわけですけれども、厚生省がそういう意味から今度増員されることはわれわれも賛成です。大いにきびしくやってもらいたいのだが、その網の目が漏れて、違うところに漏れてくるような感じ、こういうものはやはり国際性が私はあると思うのですよ。国際的なその動きにマッチしたような動きを全然無視して、日本は日本だということだけでは済まされない問題を多分にこの事犯の問題は含んでいるということですから、いずれまたこの問題については行政の中で問題を明らかにしたいと思いますけれども、そういう点もやはりもっとしっかり取り組んでもらわなければいかぬのじゃないか、こういう感じがいたしますから、ぜひこれだけは強くひとつ要請をしておきます。
 私は関連の質問ですから、これでやめます。
○村尾重雄君 衆議院の修正案による第五条の麻薬取締法の免許を、関係業者並びに関係者を一年に有効期間をしぼったという点について、ひとつ理由を簡単にお聞きしたいと思う。
○国務大臣(小林武治君) これは午前中申し上げたように、厚生省が関与して修正したのでないのです。
○村尾重雄君 いや、修正案じゃないのです。この第五条の精神を聞いているのです、一年にしぼった。
○国務大臣(小林武治君) これは、この法律自体が昭和二十八年に成立したのでありまするが、こういうふうに初めから、これは一年になっておりますが、要するに、麻薬というものが非常に大事なものだ、したがって、一度まあ免許をしても、とにかく毎年何といいますか、反省させるというか、気をつけさせるとか、そういうことでですね、まあこれで免許更改するのだと、そのつど非常にこの問題の重要性というものについて使用者その他も気をつけてくださると、こういうことで、取り締まりをできるだけ厳重にしようということでまあ一年にしたのでありますが、それじゃ一年がいいか二年がいいか、実際問題として、ある程度検討の問題でして、科学的に割り切って、そうしてこれがいいんだというふうなことは、もう的確な御返事を申し上げることは、これはきわめて困難であります。
○村尾重雄君 ごく簡単だから、いましばらく御答弁いただきたいと思うのです。
 いろいろお話があったように、まあ麻薬の麻薬禍を根本的に取り締まるためには、やみルートでありますとか、あるいはやみ製造業者でありますとか、あるいは販売のやみルートを根本的に取り締まることが基本的な問題だと思います。しかし、この条項の中に「一年」と免許期間を有効にされたこれらの関係業者、特に末端の麻薬常習犯と接触される部面の方々の免許を一年にされたということは、やはり大なり小なり、また、違反者から考えれば非常に枝葉の問題か知りませんが、常習者と直接関係される方々にあやまちのないようにということがねらいだったと、私はこう思うのです。そういう点で、まあ衆議院の修正案の提案者なり、私は、大体この免許の延長論ということに賛意を表しかねるものなんですけれども、しかし、衆議院で各派の話し合いで麻薬の小売り業者、施用者、管理者及び麻薬研究者の免許を二年に延長されたということが、こうしたあやまちを犯す人たちに少し軽い、その機会を与えるような結果にならないかということを憂えるのです。この点、まあ私、先ほどから伺っていると、どうも厚生省政府委員の答弁が非常に政治的な感じを受けるのです。この点きっぱりしたひとつこの修正案に対する考え方を、この際、採決の前にお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) これは前から申し上げておるように、私はお話のような感もありますので、私は延長の修正には賛成できませんと、こういうことをはっきり申し上げておきます。
○藤田藤太郎君 厚生大臣にお尋ねしますが、この衆議院の決議のときに皆さん方まあ出られたわけですけれども、こういう修正がなされた、この修正がいろいろの形で出てきたよって立っている原因は何か。それから、そういうことと、厚生省の行政上の問題があると思うのです。こういう形でまあ修正が多数で衆議院からこちらへきたわけでありますけれども、ただ反対だといっても、法律として通れば行政の中で実施しなきゃならぬと、私はそういうことだと思うのです。ですから、態度は明らかに反対であるという態度を明らかにされることは、厚生行政として今日までの事態としては、意思はそれで私はいいと思うのですけれども、しかし、こういう形で、この最後にあらわれた修正案そのものの問題はともかくといたしまして、こういう修正事項が出てきた内容について私も相当意見がありますけれども、まあ皆さん質疑をされたからやめますけれども、これは行政上最も正しいという方向を私はここでどうこうとは申しませんけれども、行政上の麻薬事件取り扱い――製造、販売、施用の問題を含めて、私は、厚生省はここでどうきまるかわかりませんけれども、よって立ってきたいろいろの意見に対して、厚生省はかくあるべきだということを、私は、この法律論議が結末をつけるわけでありますけれども、その上に立って、いますぐあすというわけには、法の成立した以上は言えないにしても、行政上の立場だけは、やはり自信をもって社労委員会並びに国民の前にやっぱり訴えるというき然たる態度を持っていただきたい。これだけはわれわれも、やはりかくかくの理由によってかくかくの行政が必要なんだということだけは私はやってもらいたいと思う。私の思い過ごしかもしれませんけれども、一年、三年、十年というようなかっこうで案が出たときに二年というような案が出てきたということには、私は、厚生省の諸君も何らかの意見を言わされていると思うのです。何らかの意見をこの案がまとまったときには、分類の問題についても、私は、厚生省の諸君は言わされていると思うのです、大臣はともかくとして。ですから、そういう面も因果関係としてこれは続いているわけですから、そういう面も含んで、やはり行政上これが必要だということだけはきちっとしていただきたい。これを私は最後に申し上げておきたい。
○国務大臣(小林武治君) これは私ども、やっぱり麻薬の取り締まりというものは、できるだけ慎重に、厳重に扱わなければならぬという、こういう立場から、私も、いまのこの際、倉卒の間に「二年」に変えられたということにつきましては、私は非常に残念に思います。しかし、もしそういう事態が出れば、私ども心配をなくするために、行政当局としては、取り締まり、保管その他について万全を期せねばならぬと、こういうふうに考えております。
 なお、こういうふうな修正ができたいろいろの事情につきましては、私もよく存じておりますが、これはこの席で申し上げるべきことでない。ただ、こういう事態が生ずれば、生じた事態に対応するだけの行政措置を十分とらなければならぬと、かように考えております。
○高野一夫君 私は、この際、麻薬取締法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたしたいと思います。
 まず、その案文を朗読いたします。御承知のとおりに、衆議院送付の原案では、三十九年四月一日から施行ということに相なっておりまするが、すでに時期も失しておりまするので、これを公布の日から施行することに修正せざるを得ない次第でございます。
 以上、よろしくお願いいたします。
○委員長(鈴木強君) ただいま提出されました高野一夫委員提出の修正案について、御質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もなければ、修正案に対する質疑はないと認めます。
 それでは、修正案並びに原案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。麻薬取締法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 まず、高野一夫委員提出の修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 挙手多数と認めます。よって、高野一夫委員提出の修正案は可決せられました。
 次に、ただいまの修正にかかる部分を除いた衆議院送付の原案全部を問題に供します。修正にかかる部分を除く原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(鈴木強君) 挙手多数と認めます。よって修正にかかる部分を除く原案は可決されました。
 以上をもって麻薬取締法の一部を改正する法律案は、多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鈴木強君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(鈴木強君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。
 質疑の通告がありますので、これを許します。林塩君。
○林塩君 私は、この間の常岡病院の焼死に対しまして、それに関連する問題として、少し厚生省にお聞きしたいと思います。厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、この問題が起こってまいりました理由というのが、木造家屋とか、それから、いろいろな人員の不足で起こってきているというふうに書いております。それにつきまして、看護婦不足であるからこの問題が起こったのだというふうなことも出ております。それから、また、その他いろいろなことが原因だと思うのでありますけれども、私の調べましたところでは、もちろんこの病院は看護婦が非常に不足をしております。もう医療法も守られていないばかりか、驚くべき状態であったのでありますが、こういう病院がなぜ存在しているかというようなことは別といたしまして、病院の火災は将来とも免れないのではないかというふうに私ども思います。で、それに対しまして、厚生省は、医務局長通知をもって、こういうことが各都道府県知事に対して厳重に指示を出した、こう出ております。病院の消火施設の点検とか、日常の避難訓練など、各病院に対する医療監視を厳重にするように指示した、こういうふうになっておるわけでございますが、私は、これを予防の面に少し力を入れてもらえないかということでございます。
 それで、看護婦の不足対策ももちろん大事でございますけれども、三十七年から二年間に、病院の事故によって焼け死んだ人が三十一人もある。それから、この十年間に相当多数の焼死がございます。全国六千五百の病院のうちで、国立で六割、それから市立、民間の病院で当局から非常に注意を受けておるものが四割ある、こういう状態でございます。この病院の火事がいつ起こっておるかということを統計的に見てみますと、夜が多いわけです。それで、夜どこで起こっているかといいますと、病室では起こっておらない、人のいる所では起こっておりません。そうして、たいていの火災が外来で起こっております。それから、廊下で起こっておるとか、あるいはその他少し見回りをよくしさえすれば、あるいは予防ができたのではないかと思うような場所に起こっているわけでございますので、こういう点で病院管理上の問題として、少し医師がいなかった、看護婦がいなかったという問題だけでなくて考えられないかということを申し上げたいわけでございます。それで、病室で起こりましたボヤは、すぐ人がおりますから消しております。そう大事に至っておらない。そういう意味で、病院というところは一体医師と看護婦だけの責任であろうかということを思うわけでございます。それで、ただでさえ不足な医師と看護婦でございますが、他の職員はどういうふうな業務をしているか。夜の見回りというのはほんとうにしているだろうかということを聞いてみましたところが、やはりそういうふうな点についてわりあいに抜けているのじゃないか。それで、これからも起こり得るということを予想いたしまして、できるだけ人命尊重の意味から、病院管理の面で何か対策があるのじゃないか、こう考えますもので、ひとつこの点につきまして、御当局の御指導の方針、それから、また、予防についての対策等について御意見がございましたら伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) このほどの火事は、特に看護婦が少ないからというふうな問題ではありません。当日も看護婦としては三人おった、こういうことでありまして、時間がちょうど一種の境目の時間であって、しかも、一番の大きな原因は、木造の老朽の病院で、しかも、避難の廊下とか、あるいは階段とか、こういうものについても非常に欠けるものがあった。それから、なお、病人を収容するについても、そういう重傷患者を出口でないところに置いたというふうな管理上のいろいろの欠陥があったようでありまして、お話のように、これは看護婦が不足とか医者が不足とかということで火事が出るというふうにはわれわれも考えておりません。それで、一番の問題は、すでに戦争前後のこういう老朽の木造部分を全国的に改造しなければならぬ時期に来ているので、私どもも、衆議院でこの問題を非常にやかましく言われまして、いままでわれわれはここを直したいというのを受動的にやっておったのでありますが、全国的にひとつこっちから積極的に老朽の病院等を調べて、そしてこれを耐火建築にする。そのために医療金融公庫なり、あるいは厚生年金等を積極的に利用する、活用する、こういうような方法をとるということで、いまの病院の調査等につきましても、事務当局にそういうふうな積極的な指示をいたしまして、まず何より大事なことは、要するに耐火建築にするということが一番根本的な問題であります。
 それから、もう一つの問題は、病院管理の精神面でございまして、病院の責任者というものはこれについて十分責任をとる。そして、一応どこの病院でも、この部分はだれが火災責任者だという札が出ておるが、やはり心がまえが相当ゆるんでおることがあるのじゃないか。厚生省といたしましても、火事場どろなわみたいに、ああいう事件があればすぐその通牒を出すというようなことは、これは醜態で、ふだんから十分注意しておくべきだ。事務当局に言わせれば十分注意してあった。あったのだが、こういう事態があってさらに注意した、こういうことを申しておりますが、火災そのものにつきましては、病院管理者というものがありまして、医師、看護婦にかかわらず、事務要員が相当おりますし、また、守衛等の建物管理の直接の責任をとっておる者がおりますので、こういう方々の十分ひとつ反省を求めて、ふだんからして火災については神経質過ぎるくらい注意してもらわなければならぬ、こういうことで、私どもは、いま建物の問題と、病院の管理者の精神面の反省というものが非常に大事なことで、そういう面をさらに強調いたしたい、かように考えております。
○林塩君 それは非常に大事なことだと思うのですが、そういうふうに厚生省の御当局では考えられておりましても、実際の面ではなかなかそういうふうにならないということが問題であろうと思います。今回もいろいろそういう通達が出ましたものですから、各病院でいろいろ看護婦が非常に夜起きているのであるから、看護婦が注意をしなければいけないということだけで、夜起きている看護婦だけが責任者のように当局から言われている。管理自体は病院の管理だというふうにわかっておりましても、夜勤をしているのは看護婦であるという感覚と、それから、巡視したりするそういう人員があまり十分にとられていないということでございます。それで、看護婦の状態はお調べになったかと思いますけれども、私もこういう看護対策と関連いたしまして、病院と看護問題は大きな問題がございますので、一応調べてみました。大臣は、ここの病院では看護婦は不足していなかったと、こういうふうにおっしゃいますけれども、ほんとうを言いますと非常な不足なんです。それで百六十何人これは収容ができます。年間毎日平均百五十八病床が使われているというふうな状態、それに看護婦が二十八名、看護要員として二十八名、おそるべきことに、この看護要員といいましても、看護婦は九名、それから、准看護婦が何名かございまして、あとはみんな補助者でございます。どうしてこういう病院を認可したかというところに問題があると思う。医療監視があるはずなんでございますが、この医療監視が年に一回しかなされていないというような状態でございます。これでよく患者さん方は安心して入院ができていたということで、これでは、かりにいろいろな事故、火災でなく、事故が起こりましたとしても、ほんとうにたいへんであろう。これで患者さんは守られているのだろうかということで、私は身の毛がよだつような気持ちがいたしましたので、その実態をちょっと申し上げてみたいと思います。
 大体一つの病棟に看護婦が一名、あるいは助手が三名ぐらいしかおりません。それで、いま申し上げましたように、全体の数が百六十床でございますから、もう医療法の最低の線で四十名いなければいけないのに、それが二十八名しかおりません。そうしてこの二十八名の内訳でございますが、免許のある看護婦が九名、准看護婦が七名、それからあと助手、この助手はほんとうにおばさん程度のものであろうと思うのですが、それが十二名おります。それで医療監視がなされておりまして、最近にこういうことが出されております。看護関係者が十四名不足であるので、早急に充実をはかるようにというふうに出してあったそうでございます。それで、それに対して何の罰則もない、そのまま行なわれているというような状態でございます。おそらく他の職員にしても十分な人はいなかったと思います。看護関係者について十四名も不足をしております。そこへもってきて、他の職員がおそらく夜の見回りなんかはほとんどできていなかったのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。こういう実態を、都道府県にその権限があるとしても、やはりつかんで何らかの指導がなされませんと、火災事故などが病院を中心にして起こるのではないかという心配があるわけでございます。それで、そういう国立病院その他はまだいいとしまして、こういうような病院についての指導をどこがなされるかということなんでございますが、医療監視の人がこれの忠告を出しましてもそのままになっているという状態はどういうわけなんでございましょうか、それもひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) この当日は、そのときは四人かおって、いま看護婦、准看を入れて、全体としてはお話のように足りないのです。だからこれはそういう注意も出ているわけであります。それで、私は、たとえばこの病院に対しまして避難訓練なんかしたかというと、したこともない、こういうふうなこともいわれておりまして、保健所の監視と申しますか、監督が非常に不十分であったと、こういうふうに思うのでありまして、そのほかにもこのような例がおそらくたくさんあろうと思うのでありまして、病院に対する監督、保健所なりの監督がさらに私は適正でなけりゃならぬと、こういうふうに思って、そういう注意はいたしております。それで、たとえばいま現にもう病床数に比べて医師の数が少ないから休業しなければならないとか、入院患者の制限をしようとか、こういうふうな制限も現にいたしておるのでありまして、あまりひどいものに対しては、そういうふうな手段もやっぱりとらざるを得ないと思っておりまして、要するに、保健所がこれらの病院に対する監督というものをもう少しひとつ厳重にしたらどうかというお話のような、いわば野放しのような状態のものがまだ相当にあることはわれわれも知っておりますので、注意をいたしたいと、かように考えております。したがいまして、看護婦、あるいは医師が不当に不足する場合には、もう入院患者を制限するというふうな問題も出てくると、こういうふうに思います。
○林塩君 それで、私は、なぜこういうふうに病院で人が足りなくなるかという原因なんですが、入院料にあると思います。それで、いま申しましたように、病院に人が非常に足りない、巡視の人たちもおそらくいないと思う。それから、それに対して労働条件が非常に悪い、労働条件といいますと、給与が非常に悪い、そのために夜勤をすることをわりあいにみんな好みません。しかたがないので夜勤している。看護婦の問題は、これはもう業務上しようがないからということになっておりますけれども、夜勤者に対しての手当が十分にできないというようなことから起こってくる問題でないかと思います。それで、こういう病院は診療所と違いまして、やはり診療報酬なんかの査定のときに、病院としての何らかの考慮が必要じゃないかと考えます。それで、一応入院時基本診療料というのが三百六十円、これがどういうふうに査定されてあるのかわかりませんが、そういうところから人件費がうまく出てこない、それで夜勤者に対する手当もうまくいかない、それから、そこへもってきていろんな雑費もかさむというようなことから、極度に人を減らしているんじゃないかと考えます。そういうために、夜つとめている看護婦にいろんな状態が――看護婦と患者へのしわ寄せにおいて病院診療はなされておるといわれるほどの状態になってきているということなんでございます。それで、くどいようでございますけれども、看護婦が夜勤をしている状態でございますが、この病院におきましても、当時三交代ができないために、これは当直制でございます。当直制でございますので、だれも看護婦がいないで、そして患者は捨てておかれたというような状態なんです。で、これだけの人数といたしましたら、三交代はとてもできません。それで寝当直といいますか、寝ていたわけでございます。そこへもってきて事務所には人がいない、見回っていない。火事が起こったけれども、だれもそれをそこへ行くまで知らなかったというような状態がこの病院では起こっております。それで、これはまあ特別でございますれけども、そうでございませんでも看護婦の数が非常に少ないものですから、夜勤はしょっちゅう回ってくる。この夜勤がたくさん回ってくる状態を見てみますと、おそるべき状態、全般といたしまして。で、ほとんど看護婦が夜勤がいやだ、ほとほといやになった。それで、もう人間性の破壊を来たすような状態だというようなことも訴えております。この病院については、一応いないままに済んでいますから、寝ていたわけです。寝ざるを得ないと思います。そういう状態なんですが、まあ夜勤をしているのはいつも看護婦で、しかも、その夜勤が一カ月に十五日、二十日もあるということなんでございます。で、こういうふうに夜勤をしております看護婦の仕事は、患者を見て回っているというわけで、別に何もしないでいるというわけではございません。六十床に一人しか夜勤看護婦がいないという状態です。よく院長さんなんかに伺ってみますと、夜一体患者さんはどうしているかということを知らない院長さんが多い。それから、病院の事務の方々も、夜どんなことが起こっているかということも知らない人が多いわけです。知っているのは看護婦ですが、その状態はたいへんな状態でありますので、もうそういう状態ではやり切れないということから看護婦がどんどんやめていくというような状態があるわけなんですが、こういう苦しい夜勤をしていて、そして責任もあるその看護婦の看護業務に対して病院が非常に理解がないということ、夜勤には夜勤の仕事があるわけでございますけれども、先ほど言いましたように、通牒を出されましたら、それは夜勤をしておる看護婦の責任だから、あちらも見て回れ、こちらも見て回れと、すぐそういうことが病院管理者から言われる、看護婦が集められまして、夜勤看護婦気をつけろ、火事が起こったときに気をつけろと、こういうことが言われる。こういうふうなことで、たいへん病院管理上の私は大きな問題であろうと思います。夜も患者さんはいるのですから、その夜のことを忘れて病院管理がなされていると思うのです。でありますので、入院料がそれに関連しておるとすれば、病院というところの特殊性を考えられて、そして十分に人が採れますように、そうして病院に勤務する人たちが夜も十分に働けるような人員を採られるというようなことに立って入院料が査定されるべきが当然じゃないかと、こういうふうに思いますのですが、大臣の御見解はいかがでしょう。それから、医務局長も来られましたので、医務局長が出されましたこれに対しまして、そういうこと、が起こっているということでありますが、先ほど大臣にも申し上げたのでありますが、予防面に対して何も処置が出ていないということ、ただ消火器の点検だとか、あるいは避難訓練をやっておけと、こういうようなことだけではたして済むことかどうかということなんでございますが、実態を御存じでしょうか。また、それに対してどう対処されようとなさいますか、それを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) これはお話のとおりで、実は私も一昨日名古屋の国立病院に参いりましたが、ほかの方のお話はいいから、看護婦さんのお話だけ聞かせてほしいということで、いろいろと実情をお聞きしてまいりまして、いまの夜勤のお話なども切実な問題であります。国立病院等におきましては、私は、次の機会には夜勤料等も相当引き上げたいと、こういうふうに考えております。それから、保険の関係におきましても、むろん人件費等にしわ寄せがならぬように入院料等の計算もすべきだと、私は原則的にはあなたのおっしゃるとおりにいたしたいと、かように考えております。
○林塩君 医務局長さんのお流しになりましたこの通牒に対しまして、予防面についてもう少し何か対策をすべきであるというような御見解で指導なさる御意見でありますかどうか、伺いたいと思います。
○政府委員(尾崎嘉篤君) まず、この通牒でございますが、この事件が出まして初めて出したわけでございませんで、昭和三十年に一回火災防止に対して出しており、三十七年にも都道府県の衛生部長あてに出しておる、こういうような状態で、数次、また、国立病院等に関しましては毎年注意をしておる、こういうような状態でございますが、今度も続けて三つ、四つと、こういうふうにあったものですから、ことに患者さんの犠牲もあったことで、われわれさらに一そう注意を喚起したいと、こういうことで出したわけでございます。それがいまお話のように、看護婦さんのほうにだけ言われておるというふうなことは、ちょっとわれわれの意図したことは違った形に、もしそうなっておればなっておりまして、特に火災の場合は、病棟もございますが、病棟以外の炊事場だとか診療室、検査室というような所から出る場合がかなり多いのでございまして、そういうような所は病院の管理者のほう、事務当局の宿直のほうなどが見て回って注意をするということも私は必要ではないかと思うわけでございますが、そういう方面にも十分注意しておるものだと思います。
 なお、いまお話の予防面につきましては、できるだけ、先ほど大臣のお話がありましたように、耐火の建物にするようにというふうな点で、これは通牒の一番最後のところに書いてございますが、「建物構造については、できる限り耐火または簡易耐火にするよう指導すること。やむを得ず木造としているような医療施設については、重症患者、乳幼児等、できるだけ避難に便利な場所に収容するよう指導すること。」こういうふうなことを指導しておりますが、さらにわれわれも実例の具体的な研究をいたしまして指導の徹低をはかっていきたい、こう思うわけでございます。
○林塩君 それで、国立の病院というふうなことを言われましたが、医務局としては国立病院だけが対象でなく、やっぱり国立病院のほうが少ないのです。そして民間の病院のほうが多い。それから、最も悪い状態は民間の病院に多いというようなこともぜひお考えをいただきたいわけです。それで、まあ都道府県に通諜をお出しになっておりますので、それでいいというふうにお考えにならないで、もう少しこまかく病院の実態というものをつかんでいただきたい、こういうふうにいま大臣にも申し上げたのですが、それについていかがでしょう。
○政府委員(尾崎嘉篤君) まあ国立病院のことを申しましたのは、これが第一に自分たちが直接的に持っておる病院だということで触れましただけでございまして、病院の数からいいますれば一般病院が多い。これは御指摘のとおりでございます。それにつきましては、先ほど申しましたように、三十年、三十七年と、すでに都道府県知事を通じまして、いろいろ注意を喚起しておるわけでございます。われわれも、いま大臣のお話がございましたように、耐火にするとか、または危険なものは直さすとかいうふうな点を、積極的にこちらからも衛生当局を通じて指摘さし、どんどん改善をさしていく。また、そのほか避難訓練等々も、ただ言いっぱなしではなく、実際にもう少し技術的な面にも入ってやっていくようにいまから改めていきたい、こういうように思うわけでございます。
○林塩君 もう一点伺っておきたいと思いますが、病院というところの特殊性ということがどの法律にも書いてないということ、それで、医療法によりますと、「「病院」とは、」というふうに、病院と診療所が一緒になっている。そこで何をしているかというときに、診療業務を行なうということだけ書いてありまして、病人を守るところである、あるいは病人の命について保障するとか、そういうふうなことが何も出ておらないために、何かそこに、先ほど、厚生大臣もおっしゃいましたが、病院自体が、病院の管理者並びに病院の全部の人たちが、自分たちが人の命を守るべきそういう責任を持っているんだというような、そういう感覚は出てきていないように考えるわけです。そして、直接患者を守っておりますところの看護婦だけが、何かそういうものを全部引き受けて、そしてあくせくやっているような感じがするのです。それについて、病院なり何なりに、病院の一つの法律とかいうものをつくられる御意図はないでしょうか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小林武治君) ただいまのことはひとつよく検討しまして、私は、お話のことはみんなの責任でやるべきだと思いますので、適当に処置いたしたいと思います。
○林塩君 ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。というのは、再々起こってきます災害、それから、火災のときだけではございませんで、病院の中の事故も相当ございます。病院というところは集団で人がいるところで、診療所とはおのずから違うわけでございます。それから、また、相当複雑ないろんなものを持っております。病院管理をやはりちゃんとしていくとすれば、根本的に病院のあり方というものがはっきりと法的にもうたい出されなければ、やはりいつまでたっても内容はよくならないのではないか、こういうふうに考えますので、ひとつその辺できるだけ早い機会に当局は御検討願いたいと思います。
 以上でございます。
○委員長(鈴木強君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十五分散会
   ――――・――――