第046回国会 大蔵委員会 第17号
 昭和三十九年三月十九日(木曜日)
   午前十一時二十一分開会
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  委員の異動
 三月十八日
  辞任      補欠選任
   徳永 正利君  青木 一男君
   鍋島 直紹君  田中 茂穂君
   高橋  衛君  佐野  廣君
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 出席者は左のとおり。
   委員長     新谷寅三郎君
   理事
           柴田  栄君
           西川甚五郎君
           成瀬 幡治君
           渋谷 邦彦君
           天田 勝正君
   委員
           大竹平八郎君
           栗原 祐幸君
           佐野  廣君
           津島 壽一君
           日高 広為君
           堀  末治君
           柴谷  要君
           野々山一三君
           野溝  勝君
           原島 宏治君
           鈴木 市藏君
  政府委員
   大蔵政務次官  齋藤 邦吉君
   大蔵大臣官房
   財務調査官   松井 直行君
   大蔵省主税局長 泉 美之松君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
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  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○法人税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付、予備審査)
○租税特別措置法の一部を改正する法
 律案(内閣送付、予備審査)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十八日徳永正利君、鍋島直紹君、高橋衛君が辞任され、その補欠として青木一男君、田中茂穂君、佐野廣君が選任されました。
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○委員長(新谷寅三郎君) 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上いずれも予備審査の三案を一括議題といたします。
 まず、三案につきまして、提案理由の説明を順次聴取することにいたします。齋藤大蔵政務次官。
○政府委員(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案の理由及びその概要について御説明申し上げます。
 最初に、所得税法の一部を改正する法律案について、御説明申し上げます。
 政府は、今後におけるわが国の社会、経済の進展に即応する基本的な租税制度を確立するため、一昨年税制調査会を設け、鋭意検討を加えてまいりましたが、昨年末、同調査会から、最近における経済情勢の推移に応じて、現行税制につき、さしあたって改正を必要とする事項について、昭和三十九年度の税制改正に関する臨時答申を得たのであります。その後、政府におきまして、同答申を中心にさらに検討を重ねた結果、昭和三十九年度におきましては、中小所得者に重点を置いて所得税の負担を軽減するとともに、当面要請される企業資本の充実と設備の更新を促進し、産業の国際競争力の強化に資する等のための措置を講ずることとし、国税において平年度千三百七十億円程度の減税を行なうことといたしたのであります。これらの税制改正諸法案のうち、今回、ここに、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案の内容について、その大要を御説明申し上げます。
 第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかることであります。すなわち、基礎控除を現在の十一万円から十二万円に、配偶者控除を現在の十万五千円から十一万円に、それぞれ引き上げることとするほか、五万円の扶養控除額が適用される年齢区分を、現在の十五歳以上から十三歳以上に引き下げてその範囲の拡大をはかるとともに、十三歳未満の扶養親族の扶養控除額についても、現在の二万五千円を四万円に引き上げることとしております。また、最近における給与支給額の上昇等を考慮して、専従者控除について、青色申告者の場合は、年齢二十歳以上の専従者の控除限度額を現在の十二万五千円から十五万円に、二十歳未満の専従者の控除限度額を現在の九万五千円から十二万円に、白色申告者の場合は、その専従者の控除額を現在の七万五千円から九万円に、それぞれ引き上げることとするほか、特に給与所得者の負担の現状に顧み、給与所得控除について、定額控除を現在の一万円から二万円に、控除限度額を現在の十二万円から十四万円に、それぞれ引き上げることとしております。
 以上申し述べました諸控除の引き上げにより、夫婦子三人の計五人家族の標準世帯を例にとりますと、所得税が課されない所得の限度は、給与所得者では、現在の約四十三万円までが約四十八万円までに、事業所得者のうち、青色申告者については現在の約三十九万円までが約四十三万円までに、白色申告者については現在の約三十三万円が約三十七万円までに、それぞれ引き上げられることになるのであります。
 次に、退職所得の特別控除額について、現在、在職期間の年齢区分に応じ四十歳まで三万円、四十歳超五十歳まで四万円、五十歳超五万円となっているのを、年齢区分を廃止して一律に勤務一年につき五万円とすることとし、また、生命保険料控除について、支払い保険料の全額が控除される限度額を、現在の二万五千円から二万円に、その控除の長岡の限度額を、現在の三万二千五百円から三万五千円に、それぞれ引き上げるとともに、住宅または家財について支払った損害保険料について、保険期間等が十五年未満の短期の火災保険の場合は二千円を、保険期間等が十五年以上の長期の建物更生共済等の場合は五千円を、それぞれ限度としてこれを課税所得から控除する制度を創設することとしております。
 さらに、譲渡所得等の特別控除額について、現在の十五万円の定額控除額を免税点方式を加味した方式に改め、三十万円までの所得は課税しないこととするとともに、三十万円から四十五万円までの所得についての控除額を引き上げるほか、寄付金控除制度についても、控除対象限度額を、現在の所得の一〇%から所得の二〇%に、控除額を、現在の控除対象寄付金の二〇%から三〇%に、それぞれ引き上げることとしております。
 第二に、所得税制の整備合理化措置の一環として、短期保育の資産の投機的な譲渡による所得に対する課税について、半額課税等の方式をとらないこととすること、芸能法人の受ける報酬または料金について新たに所得税の源泉徴収を行なうこととすること、勤労学生控除の対象となる勤労学生の要件のうち、合計所得の制限額を現在の二十万円から二十五万円に引き上げること、申告書の公示限度を、現在の二百万円から五百万円に引き上げること、昭和三十九年分の予定納税基準額の計算の簡素化をはかること等、所要の規定の整備をはかることといたしております。
 なお、ただいま申し上げました所得税法の一部を改正する法律案につきまして、別途、所得税法の一部を改正する法律案中修正案を提出いたしましたので、その趣旨を御説明申し上げます。
 ただいま申し上げました所得税法の一部を改正する法律案中別表第三の給与所得の所得税源泉徴収額表の一部につきまして、計算上の手違いから誤謬がありましたので、これを改めるため、この法律案の一部を修正いたしたいと存じまして、所得税法の一部を改正する法律案中修正案を提出いたした次第でございます。
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 次に、法人税法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 法人税法におきましては、中小企業者の税負担の軽減措置の一環として、普通法人の各事業年度の所得に対する法人税の軽減税率の適用限度額を現在の二百万円から三百万円に引き上げるとともに、同族会社の課税留保所得を計算する場合の控除額を、現在の所得金額の一五%と百万円とのいずれか大きい金額から所得金額の二〇%と百万円とのいずれか大きい金額に引き上げることといたしております。
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 最後に、租税特別措置法の改正について御説明申し上げます。
 政府は、昭和三十九年度税制改正の一環として、さきに提出いたしました所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案等の改正諸法案に引き続き、企業の国際競争力の強化及び自己資本の充実、資本市場の育成並びに科学技術の振興等の措置を講ずる必要があるので、ここにこの法律案を提出いたす次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その大要を申し上げます。
 第一は、輸出所得の特別控除制度は、本年三月末にその適用期限到来と同時に廃止するわけでありますが、国際収支の安定改善をはかることが緊要でありますので、この際企業の国際競争力の強化等に資するため、次の措置を講ずることとしております。
 その一は、輸出割り増し償却制度について、その適用期限を三年間延長するとともに、普通償却範囲額に輸出割合を乗じた額の八〇%に相当する額を割り増し償却の範囲額とすることとし、制度の簡素合理化をはかることとしております。
 その二は、技術輸出所得控除制度につき、その適用期限を五年間延長するとともに、取引基準にかかる控除割合を、海外への技術提供による収入金額の五〇%から七〇%に引き上げ、さらに、その適用対象に対外支払い手段を対価とするコンサルティング業務の収入及び輸出貨物の運送その他対外支払い手段を対価とする運送業務の収入を含め、この場合の取引基準にかかる控除割合は、それぞれ収入金額の二〇%又は三%とすることとしております。
  その三は、海外市場の開拓に必要な特別の支出に備えるため、昭和三十九年四月一日から五年間、商社については輸出取引額の〇・五%、製造業者については同じく一・五%相当額の損金算入を認める海外市場開拓準備金制度を創設することであります。
 なお、右の準備金にかえ、中小企業が共同して行なう市場調査費用等に充てるため、商工組合に対し輸出を行なう所属組合員が納付する賦課金でその賦課基準が当該組合員の輸出取引額の二・五%以下のものについては、これを損金に算入するとともに、その賦課金の納付を受けた商工組合についても、それに見合う中小企業海外市場開拓準備金の設定を認めることにより、その賦課金の非課税留保を認めることとしております。
 その四は、新開発地域に対する投資を促進するため、昭和三十九年四月一日から五年の間に行なわれる新開発地域に対する特定の投資について、その取得価額の二分の一相当額以下の金額の損金算入を認める海外投資損失準備金制度を創設することであります。
 第二は、企業の資本充実に資する見地から、支払い配当に対する法人税率を二八%から二六%に軽減することとしております。これに伴い、年所得三百万円以下の部分に対応する支払い配当及び特別法人の支払い配当に対する法人税率も、二四%を二二%に、二〇%を一九%に、それぞれ軽減することとしております。なお、配当受け取り株主の益金不算入割合及び配当控除割合は据え置くこととしております。
 第三は、資本市場の育成に資するため、新たに次の措置を講ずることとしております。
 その一は、証券投資信託の収益分配金について、昭和四十年三月三十一日までに支払われるものに対し、五%の税率による源泉分離課税方式を採用することであります。
 その二は、証券取引において生ずる事故についての証券業者の補償責任の明確化をはかる措置の一環として、昭和三十九年四月一日から五年の間、売買株式数を基準として一定の割合で積み立てた証券取引責任準備金の損金算入制度を創設することであります。
 第四に、科学技術の振興に資するため、次のような措置を講ずることとしております。
 その一は、現行の試験研究用機械設備等の初年度三分の一特別償却制度及び開発研究用機械設備等の初年度十分の一特別償却制度を統合して、その拡大をはかり、昭和三十九年四月一日から三年の間に取得した開発研究機械等については、初年度において取得価額の九五%相当額を償却できることとすることであります。
 その二は、鉱工業技術研究組合に対する支出金の特別償却制度について、その償却割合を、初年度において七〇%、自後二年間にそれぞれ一五%としておりますのを、初年度において
 一〇〇%償却できることとすることであります。
 その二は、重要国産技術の開発に資するため、一定の条件のもとに、国産第一号機の取得につき初年度三分の一の特別償却制度を創設することであります。
 第、五に、以上のほか、特別償却制度について次のような改正を行なうこととしております。
 その一は、住宅建設の促進に資するため、現行の新築貸し、家住宅に対する割り増し償却制度の償却割合を、昭和三十九年四月一日から三年の間に新築したものについて、現行の十割増しを二十割増しに、耐火構造のものについては二十割増しを三十割増しに、それぞれ引き上げることであります。
 その二は、工業用水法に規定する井戸から工業用水道への強制転換施設につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することであります。
 その三は、現行の重要産業用合理化機械の特別償却制度につき、その償却割合を初年度三分の一から四分の一に縮減することであります。
 その四は、現行の探鉱用機械設備の特別償却制度につき、その償却割合を初年度九〇%から初年度九五%に引き上げることであります。
 第六に、海運業再建整備に伴う措置の一環として、船舶の減価償却に関し、運輸大臣の承認を受けた整備計画の実施中は、船舶についての償却不足額の打ち切りを行なわないこととするほか、その整備計画に基づく合併等に際しては、償却不足額の引き継ぎを認めることとしております。
 第七は、協同組合に対する課税の特例といたしまして、農業協同組合、漁業協同組合、事業協同組合、事業協同小組合及び商工組合等のうち、一定の要件に該当するものに対しては、留保金が出資の四るの一に達するまでは、昭和三十九年四月一日から五年の間に終了する各事業年度における留保所得の二分の一について、法人税を課さないこととする制度を創設することとしております。
 第八に、森林組合が森林組合合併助成法に基づいて合併した場合には、現行の資産の評価益分の清算所得に対する課税の繰り延べ措置のほか、新たに被合併組合の積み立て金からなる部分の清算所得につき非課税とする措置を講ずることとしております。
 第九は、医療法人に対する課税の特例として、医療法人のうち、その事業が公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的な運営がなされるものとして大蔵大臣の承認するものについては、その所得に対する法人税率を、現行年二百万円超三八%、年二百万円以下三三%から、一律に二八%に軽減することとしております。
 第十は、石油資源開発株式会社の昭和三十四年三月期及び昭和三十五年三月期の欠損金については、その繰り越し控除できる期間を、五年から八年に延長することとしております。
 第十一は、法人の交際費の損金不算入制度の改正であります。すなわち、この制度の適用期限をさらに三年間延長するとともに、最近における交際費支出の状況に顧み、その控除額を、現在の年三百万円と資本金額等の千分の一との合計額から年四百万円と資本金額等の千分の二・五との合計額に引き上げるとともに、損金不算入割合を二〇%から三〇%に引き上げることとしております。
 第十二は、開墾地等の農業所得及び土地改良事業施行地の後作所得に対する所得税の免税措置について、その適用期限を三年間延長するとともに、適用対象農産物の整理合理化をはかることとしております。
 第十三は、贈与税の課税の特例でありますが、農業を経営する個人が推定相続人に農地を贈与してその農業経営を行なわせる場合には、一定の条件のもとに、贈与税の納期限の延長を認めるとともに、その後相続があったときには、その農地を相続財歴に含めて相続税を課することとし、贈与税との調整をはかることとしております。
 第十四は、ブドウ糖の消費促進をはかるため、一定の規格のブドウ糖混和糖水については、砂糖消費税の税率を一キログラム当たり十二円から七円に軽減することとしております。
 第十五は、昭和三十八年度末に期限の到来する特別措置のうち、特定のものについての期限の延長であります。すなわち、航空機の通行税の軽減措置については一年、増資登記に対する登録税の軽減措置、農地の交換による所有権取得登記及び開拓農地の取得登記に対する登録税の特別措置等については三年と、それぞれその適用期限を延長することといたしております。
 最後に、商法改正に伴う規定の整備をはかるほか、最近における石油化学工業の進展に即応するため、石油化学製品の製造のための用途に消費される揮発油に対する免税規定等の整備合理化をはかることとしております。
 以上が所得税法の一部を改正する法律案外二法律案の提案の理由及びその大要を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして提案理由の説明は終わりました。
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○委員長(新谷寅三郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
  所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、以上三案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
 なお、この日時及び人選等については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(新谷寅三郎君) それでは、引き続きまして、三案につきまして補足説明を聴取いたします。松井財務調査官。
○政府委員(松井直行君) 政務次官から提案理由の説明がございました所得税法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。
 まず、課税最低限の引き上げでございますが、最近の生計費の動向等をも考慮いたしまして、十二条にございます基礎控除一万円、十一条の九にございます配偶者控除、十一条の十にございます十三歳未満の扶養親族の控除を、それぞれ五千円引き上げることにしております。このほかに、年齢別に栄養の摂取量、ひいては生計費等から検討を加えました結果、五万円の扶養控除が適用されております年齢区分を、現在の十五歳以上から十三歳以上というふうに引き下げまして、その範囲の拡大をはかることにいたしております。また、最近におきます同族法人の給与の支給額の動向、それから農家におきます家族労働報酬等をしんしゃくいたしまして、十一条の二にございます専従者控除につきまして、青色申告者の場合にはその限度額を二万五千円、白色申告者の場合には一万五千円引き上げるということにいたしております。特に九条一項の五号でございますかにございます給与所得者の負担の軽減をはかる目的をもちまして、給与所得控除につきまして、主として低額所得者に恩典が参ります定額控除一万円引き上げ、さらに昭和三十二年以来ずっと据え置きになっております控除の最高限度額を二万円引き上げるということにいたしております。
 次に、給与所得者優遇の一環でございますが、最近におきまする退職者の退職後の実情等を考慮いたしまして、退職所得の負担の軽減をはかり、かつまた、制度の簡素化をはかるという目的で、現在在職時の年齢区分によりまして三万、四万、五万と三本立ての特別控除がございますが、これを年齢区分を廃しまして、一律に勤務年限一年について五万円を特別控除いたします。九条一項の六号でございます。
 それからまた、生命保険料控除につきまして、保険料の全額控除の対象になっております限度額が三十二年以来据え置かれております。最近におきまする生命保険の契約状況、控除の実績等を勘案いたしまして、全額控除の対象となります限度の一万五千円を二万円に引き上げるということにいたしております。その結果、控除の最高限度額は、現在の三万二千五百円から三万五千円に引き上げるということになります。
 さらに、今回新たに、全く新たに加わった事項でございますが、十一条の八に損害保険料控除という制度を創設いたすことにしておりますが、これは、国民生活の安定、住宅事情の緩和をはかる等の見地から、まだ外国にその例を見ておりません損害保険料控除という制度を新たに設けることにしております。住宅、家財等につきまして支払われました損害保険料につきまして、保険期間が十五年未満の通常の火災保険等の場合は二千円、保険期間を十五年以上の長期でございます建物更生共済等の場合は五千円を、それぞれ限度として、これを課税所得から控除する制度を創設することとしております。なお、長期の建物更生共済等の十五年かつ五千円というこの事項は、衆議院におきまして一部修正される模様になっております。
 このほか、諸控除の引き上げといたしましては、譲渡所得等の特別控除額と帯付金控除の引き上げ、この二つがございますが、まず譲渡所得等の特別控除につきましては、これが昭和二十八年以来ずっと据え置かれておりますことと、最近におきまする譲渡所得等の実態を勘案いたしまして、これを引き上げることにいたしておりますが、本来譲渡所得等の特別控除という制度は、あまりにも小さいものは追及しないというところに趣旨がございますので、金額、かいかに多くなっても、すべてこれを適用するということがいろいろ問題がございますので、特別控除額の引き上げの機会に、一部免税点方式を加味いたしまして、譲渡所得が三十万円以下のときには非課税にするということにいたしております。なお、十五万という現行の恩典は、やはり既得権といたしまして、高額者にも残す必要がございますので、四十五万以上は十五万ということにいたしまして、三十万の免税点と四十五万以上の十五万との間の調整をとる必要上、譲渡所得が三十万円をこえまして四十五万未満の場合は、六十万からその譲渡した所得等の金額を控除した金額を特別控除額として引くということにいたしております。
 次に、寄付金控除制度でございますが、最近の寄付金控除の適用状況をいろいろしんしゃくいたしまして、控除対象の限度額を現在は所得の一〇%ということになっておりますが、これを二〇%に、控除額を、現在の控除対象になりました寄付金の二〇%ということでございますが、これを三〇%に引き上げるということにいたしております。
 なお、所得税制の整理合理化の一環といたしまして、次の措置を講ずることにいたしております。
 第一は、保育期間が三年未満の短期保有の資産の譲渡による所得につきまして、現在半額課税または五分五葉方式というものがございますが、こうした短期の投機的な取引によって生じた所得と見られるものにつきましては、こういう半額課税制度にはよらないで全額課税をしたいということでございます。
 その二は、芸能法人が受けます報酬、料金につきまして、源泉徴収の制度を新たに実施する見地から、個人が受けます場合と同様に、一〇%の税率によって源泉徴収を行なうということにしたわけでございます。
 その三は、法人の利益処分等による賞与で支払いが遅延しているものにつきましては、現在すでに配当所得等について行なっております所得と同様に、支払いが確定した日から一年を経過した日において源泉徴収を行なうものとするということでございます。
 その四は、勤労学生の要件であります二十万円を二十五万円に引き上げる。これは政務次官の御説明のとおりでございます。
 第五は、競走馬などの資金収入と、それから競走馬を売却いたしますときの損益通算の問題でございますが、現在は、主として個人の趣味もしくは娯楽のための行為あるいは生活に通常必要でない資産にかかります所得の計算上生じました損失は、他の所得との通算は一切これを認めないということにいたしておりますが、競走馬が獲得します賞金収入と競走馬を売却したときの収入とは、両方とも競走馬から生じた収入でありますので、これを一体と見て、一方に損失があり他方に利益があれば通算をやろうというのであります。
 その六は、支払い調書に関する規定の整備でありますが、不動席所得及び譲渡所得課税の充実を期し、かつ、その円滑化をはかる意味から、従来法人だけが提出いたしておりました不動産の使用料及び不動産の譲り受け対価の支払い調書を、今回不動産業者である個人についても提出させることにいたします。それから、不動産のあっせんにかかる調書を新たに不動産業者に提出させるということにいたします。
 その七は、申告書の公示限度でございますが、昭和三十二年以来据え置かれておりますために、最近の所得水準も非常に上がってまいっておりますので、これを反映いたしまして、公示対象者が非常にふえております。これを二百万円から五百万円に引き上げるということでございます。
 最後に、改正法の施行に伴います経過措置でございますが、昭和三十九年分の予定納税基準額、これは御承知のように、三十八年度の確定申告しました納税者につきましては、その三分の一を七月と一月に払うという、この予定納税額の基準額というものの計算がございますが、従来、新しい税法の改正がありますと、各人ごとに新しい控除額を適用して計算をし直すということにしておったのでございます。これが非常に繁雑でございましたので、手続を合理化するという見地から、「昭和三十九年分の予定納税基準額算出のための控除額表」というものを作成いたしまして、簡単に改算後の税額が求められるというふうに、所要の規定の整備をはかったわけでございます。
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 次は、特別措置法の一部を改正する法律案につきましての政務次官の提案理由につけ加えて御説明申し上げます。趣旨説明が事項別になっておりますので、事項別に従って御説明申し上げます。
 第一は、国際競争力の強化に関する問題でございます。
 その一は、輸出割り増し償却制度でございます。個人関係は措置法の十三条の二、法人関係は四十六条のだ条文がございますが、適用期限は四十二年三月三十一日まで三年間延長をするとともに、かつ、制度を大幅に拡充いたしまして、普通償却範囲額に輸出割合――輸出割合といいますのは、総収入金額の中に輸出収入金額が占める割合でございますが、輸出割合を乗じた額の八〇%に相当する額を割り増し償却の範囲額とするということでございます。この場合に、輸出割合の計算の基礎になります輸出収入金額は前年の実績によって算定するということにいたしまして、従来よりも制度が簡素化、合理化されることになります。
 その二は、技術輸出所得控除制度でございますが、個人は二十一条、法人は五十八条にございます。これも適用期限を昭和四十四年三月三十一日まで五年間延長いたしますが、まず工業所有権などの譲渡とか提供による収入につきましては、取引基準にかかる控除の割合は、収入金額の現行五〇%から七〇%に引き上げます。それから第二は、コンサルティングの業務によります収入というものが、新しい業務になってまいっておりますので、この業務収入を新しく控除対象に加えまして、取引基準にかかる控除の割合は、その収入金額の二〇%ということにいたします。次に、輸出貨物の運送その他の運送による収入金額につきましては、取引基準にかかわる控除割合は、これを三%とする。なお、この場合の所得基準は、これらの運送収入にかかる所得金額の八〇%を据え置くこととする。これはガット関係でいろいろ問題がございまして、輸出所得控除を全面的に廃止する方針でございますが、運送収入等につきましては、ガット違反にならないということで、かつまた、業態の再建整備の必要性ということも考えまして、この部分だけは残っておるのでございます。
 その三は、海外市場開拓準備金制度でございますが、個人は二十条、法人は五十四条に規定がございます。これは海外市場開拓のために特別に必要とする将来の支出に備えまして、昭和三十九年四月一日から昭和四十四年三月三十一日までの五年間におきまして、それぞれその前年の輸出取引額の一・五%、商社につきましては〇・五%相当額の損金算入を認めるということにすることでございます。なお、海外市場開拓準備金勘定に繰り入れられました金額は、そのあくる年から五年間に均等に分割して益金に算入するということになっておりますので、毎期の繰り入れ額のおよそ大体三倍が最高になる計算でございます。いま申し上げました準備金にかえまして、中小企業者につきましては、まあ各自がそれぞれの企業の内部に留保してかってに市場開拓をやるというよりも、共同してやったほうが一そう有効であるという場合がございますので、商工組合に対しまして輸出を行ないます組合員が納付する賦課金で、その賦課の基準が組合員の輸出取引額の二・五%以下のものについては、これを組合員の所得の計算上損金に算入する。普通の場合は、各企業の内部に積む場合は、先ほど申しました一・五%でございますが、中小企業の場合は、二・五%以下のものにつきましては損金算入。一方賦課金の納付を受けました商工組合につきましても、賦課金に見合います中小企業海外市場開拓準備金勘定というものの積み立てを承認することにいたしております。なお、この繰り入れ金額につきましても、繰り入れ後五年間に分割して益金に算入するということは、先ほど申し上げたのと同様でございます。
 その四は、海外投資損失準備金制度、これは新たに五十六条で設けられた制度でございますが、新開発地域――ありていに申せば低開発国でございますが、新開発地域に対しまする投資を促進するために、三十九年四月一日から四十四年三月三十一日までの間に行なわれます新開発地域に対しまする投資といたしまして、新開発地域法人――これは新開発地域内で事業を営む事業法人でございますが、御存じのように、南米等につきましては、日本の大きな会社が工場を直接つくるということは許されず、現地の民族資本と合同した合弁会社という制度をとることが多いわけでございますので、そうした新開発地域の事業法人に対する株式の出資で一〇%以上持つということになった場合、あるいは、海外投資法人と申しまして、こういう新開発地域法人に投資することをもっぱら目的としております内地にできた法人、たとえばウジミナスというようなものでございますと、その株式で一%以上保有するというようなことになった場合には、この取得価額の五〇%相当額以下の金額を損金算入として認めるという海外投資損失準備金制度というものを新たに設けました。なお、海外投資損失準備金勘定に繰り入れました金額は、繰り入れ後五年間据え置きまして、六年目から五年間かかって均等に分割して益金に算入するということでございます。すでにドイツにこの制度がございます。
 第二は、企業資本の充実のための措置でございます。特別措置法四十二条にございます。
 企業の資本充実に資するため、法人の所得のうち配当の支払いに充てる部分の金額に対する法人税率の軽減でございます。普通法人については、現在年所得三百万円超が現行二八%を二六%に、年所得三百万円以下のものが現行二四%を二二%に、それから協同組合等の特別法人につきましては現行二〇%を一九%にいたす制度であります。なお、現行配当部分の税率は低下されております。
 第三は、資本市場の育成に関する問題でございます。
 その一は、証券投資信託の収益分配金に関してでございます。これは措置法の八条の二にございます。これは昭和三十九年四月一日から昭和四十年三月三十一日までの間に支払いを受けるべき証券投資信託の収益分配金、これはユニットもオープンも一緒でございますが、そういう収益の分配金につきましては五%の税率によって源泉分離課税を行なうものでございます。
 その二は、証券取引責任準備金、これも全く新しく創設される制度でありまして、措置法五十七条にございます。これは証券取引において生じましたお客さんと証券業者との間の事故につきまして、証券業者の補償責任というものを明確にいたします。これは証券業協会を中心にいたしまして、第三者を加えてこういう裁定機関を設けるという制度を一方においてはかるということにいたしておりますので、税法もそれに合わせまして、お客さんの保護をはかる措置といたしまして、この証券業者が三十九年の四月一日から四十四年三月三十一日までの五年間に、その売買株式数を基準といたしまして、証券取引責任準備金というものを設けた場合には、これの損金算入を認めるということでございますが、毎期の繰り入れ限度額は、売買株式数を三銭に乗じた金額、一株三銭でございます。それから、累積限度額は、毎期期末に証券取引責任準備金の預託金といたしまして、これは証券業協会に積むことになっておりますが、その積んだ額か、あるいはその事業年度及び前二年以内の事業年度のうち売買株式数の最も多い事業年度掛ける十銭、これのいずれか低いほうを最低限度ということにいたします。もう一ぺん申し上げますと、毎期の繰り入れば三銭掛ける売買株式数、それから最高限度はその事業年度とその前二年以内の事業年度のうち最も株の出来高の多かった事業年度の株式数を十銭に掛ける、それを最高限度とするということでございます。なお、証券業者は証券事故によります損出が現に生じましたときには、むろんこの準備金勘定から取りくずして益金に入れるということに相なります。なお、証券業者の各企業の手元にこういう形で特別な勘定を設定させます関係上、一方におきまして、現在、証券取引所に違約損失補償準備金と申しまして、その会員間の違約に備えるための準備金がございますが、この積み増しは当分停止するということにいたしております。これにかえまして、証券業者の各企業の手元へ証券取引責任準備金というものを積まそうというわけでございます。
 第四は、科学技術の振興の問題でございます。
 その一は、開発研究用機械等の特別償却、これは所得税関係では十二条、法人税では四十四条でございます。現在、主務大臣の承認を受けました試験研究用機械設備につきましては、その取得しました最初の年度に三分の一の特別償却、承認でないただ通知だけがあった開発機械設備につきましては、初年度に取得額の十分の一という特別償却をつけることにいたしますが、これを一緒にしてその措置の拡大をはかるとともに、三十九年四月一日から四十二年三月三十一日までの三年間に新たに取得いたしましたこれらの機械設備につきましては、初年度取得価額の九五%相当額を償却できるということにいたします。
 その三は、鉱工業技術研究組合に対する支出金、所得十八条、法人は五十二条でございます。これは政務次官の御説明どおりでございます。
 その三は、重要国産技術の開発、これは法人関係は四十三条でございますが、重要国産技術の開発に資するために、非常に大型でありまして、その製造に高度な生産技術が必要であり、かつたいへんな費用を要するという機械につきましては、メーカーも、それから新たに注文して初めて設置する企業家のほうにおきましても、いろいろな不安と危険がございます関係上、かつまた、国家技術の奨励という意味から、この法人税法施行地におきまして最初に製造着手されるもの、これはいわゆる国産一号機と言っておりますが、この国産一号機を取得した場合には、初年度取得額の三分の一の特別償却を認めようというものでございます。
○成瀬幡治君 もう一ぺん説明してください。よくわからないので……。
○政府委員(松井直行君) これはこういう機械の秘類を考えております。大型で、かつ非常に高価な機械でございまして、その製作技術を開発するのか非常に緊要である。それで、需要者の注文がなければつくらない。結局発注があってから生産する機械である。それから、国産機械が開発されない場合には、同じような性能の機械が海外から輸入される以外に方法がないというような機械。現在どんな機械があるかと申しますと、いまのところは連続圧延機、それから遊星圧延機、それから非常に大きな超大型の工作機械、大体そういうようなものがいま考えられております。需要者の発注がなければできない、注文生産にたよる以外に方法がない、こういう機械設備につきましては、その第一号機について特別償却を承認しようというものでございます。
 第五は、その他の特別償却でございます。
 その一は、貸し家住宅の特別償却につきましては、これは個人が十四条、法人は四十七条にございます。これも政務次官からの御説明のとおりでございます。
 その二は、工業用水道施設の特別償却、これは個人は十一条、法人は四十三条に規定がございます。これは工業用水法による規制を受けます井戸から強制的に工業用水道へ転換させられたという場合、こういう強制転換の施設であるというところに着目いたしまして、初年度に取得価額の三分の一の特別償却を認めようということでございます。
 その二は、重要産業用合理化機械の特別償却、これは個人は十一条、法人は四十三条に現在ございますが、現在、重要産業用合理化機械の特別償却の割合は取得価額の三分の一となっておりますが、これを四分の一に圧縮しようというものでございまして、趣旨は、今度は一般的に耐用年数を圧縮いたしますほかに、こうした特別措置は投資促進をはかるという、そのインセンティブをねらったものでございますが、一般的に耐用年数が圧縮されるということと、三分の一というインセンティブが幾分過小でないかという考え方から、これを三分の一を四分の一に圧縮しようというものでございます。
 その四は、探鉱用機械設備の特別償却、これは現在九〇%、これを九五%まで。というのは、これは残存価額現在一〇%、それを五%まで償却しようというものに歩調を合わせまして、初年度でもう大部分全額償却に近いものをやらせようというものでございます。
 第六は、海運再建の整備関係でございます。措置法五十二条の二にございます。これは海運業再建整備に伴う措置の一環といたしまして、船の減価償却に関しまして、運輸大臣の承認を受けました整備計画の実施中は、償却不足額の打ち切り――これは現在普通は五年間で打ち切られることになっておりますが、この打ち切りをやらないとするほか、整備計画に基づきます合併があった場合には、特に被合併会社が持っております償却不足額の引き継ぎを認める。いまは被合併会社が持っている償却不足額引き継ぎは認めておりませんが、海運再建整備に伴う措置の一環として、特にこういう措置をとろうというものでございます。
 第七は、農業協同組合などの助成、これは全く新しいものでございますが、これは六十一条にございます。農業協同組合、それから漁業協同組合、事業協同組合、それから事業協同小組合、それから商工組合、並びにこれらの連合会のうちに一定の要件に該当する――これは主として員外利用の制限を考えておりますが――に対して、一定要件に該当するものにつきましては、組合の留保金の累積額が出資金の四分の一に達するまでは、昭和三十九年四月一日から昭和四十四年三月三十一日までの間に終了します各事業年度におきまして、新たにその年に留保いたしました金額の二分の一に相当する金額につきましては、法人税法上損金に計算するということでございます。
 なお、この規定によって損金に算入いたしました留保金額を、その後三年内に分配しましたときには、この分配に相当する金額は当然益金に上がるということでございます。
 第八は、森林組合の合併の助成、これは六十六条の三にございます。森林組合合併助成法に基づきまして合併した森林組合につきまして、現在認められております資産の評価益分の清算所得に対する課税の繰り延べ措置のほかに、新たに、この被合併組合が持っております積み立て金からなる部分の清算所得につきましても非課税にしようということでございます。
 第九は、医療法人に対する助成でございます。第六十七条の二でございます。これも、全く新しい措置でございますが、財団法人である医療法人とか、あるいは社団でございましてもこの医療法人で持ち分がないもの、そういうもののうち、その事業が非常に公益の増進に著しく寄与し、かつ公的な運営がされておるというふうに大蔵大臣が認めましたものにつきましては、その法人税率を、現在二百万超が三八%、二百万以下が三三%でございますが、普通の公益法人並みに、一律にこれを二八%に軽減しようというものでございます。現在、じゃ、医療法人のうちどういうものを選ぶかという基準につきましては、現在特別措置法の四十条に、譲渡所得税を非課税にするという条文がございますが、そのときにつくりました基準を一つの目安として考えております。
 第十は、石油資源開発株式会社の欠損金の問題でございます。これは六十六条の十にございます。青色申告を提出します法人の欠損金は、翌事業年度から五年間の繰り越し控除というものが認められるというようになっておりますが、特に石油資源開発株式会社の昭和三十四年三月期、三十五年三月期において非常に大きな損失が生じておりますので、これらの損失金につきましては、その翌事業年度から八年間の特別に繰り越し控除を認めようとするものでございます。
 第十一は、交際費の損金算入、これは六十二条でございます。これを幾分締めようというのでございます。で、法人の交際費の規制措置につきましては、これは昭和三十九年三月三十一日までに開始する事業年度ということになっておりますが、これをさらに三年間延長ということが第一。第二に、最近の交際費の支出の状況にかんがみまして、控除限度額、現在年三百万円と資本金額の千分の一との合計額ということになっておりますのを、年四百万と資本金額の千分の下五との合計額に引き上げるとともに、この控除限度額をこえて支出いたしました交際費のうち、損金に算入しないとしておりますいまの二割を三割に上げようというわけでございます。この基準額の引き上げは主として中小企業に有利に働きますし、損金に算入しない割合を二〇から三〇に引き上げるということは、大企業に相当影響があろうかと思います。
 第十二は、開墾地等の農業所得の免税、二十四条、二十五条にございます。政務次官の御説明のとおりでございます。
 第十三は、農地等の生前贈与に対する特例でございます。これは七十条の四です。これは全く新しい措置でございます。これは農業を営んでおります個人が、昭和三十九年一月から五年の間に、そのむすこの一人に農地を贈与して、自分のあとを継いで農耕に従事さそうという場合でございますが、この場合には贈与税の納期限を延長します。で、おやじさんが死にまして、いよいよ相続の開始ということになるので、贈与税の納期限を延長しようというものでございます。で、この贈与税は、相続の開始がありましたときには、贈与を受けました農地を相続財産に含めて、今度は相続税を課税いたしますので、その相続税の税額から、さきのずっと納税の延期をいたしております贈与税額を控除するというのでございます。で、控除できない贈与税が残りますときには、それは還付するという趣旨で、結局相続税として精算課税をしようということでございます。
 第十四は、ブドウ糖の消費促進、九十一条で、現在この砂糖類の製造場内で非課税品でありますブドウ糖を混和した糖水を製造いたした場合には、その全量に対しまして、これは糖水として一キログラム十二円という税率が適用されておりますが、ブドウ糖の消費促進というものをはかる見地から、税務署長の承認を受けました製造場で製造した一定規格のブドウ糖混和糖水につきましては、他の砂糖類に比し不利とならないように、一キログラム当たり七円という低い税率を適用しようとするものであります。
 あとは、政務次官の説明にございました特別措置のうちの期限延長に関するものが数件ございます。
 以上で終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で補足説明は終わりました。
 それでは、これより三案を一括して質疑に入ります。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○天田勝正君 その前に、資料要求がございますが、よろしゅうございますか。
○委員長(新谷寅三郎君) どうぞ。
○天田勝正君 それは、たいへんな膨大なことでありまして、そこで、私はまず資料要求したいと思います。
 今度の三法ともに、減税になった分、それから特別措置法については、増税ということばは当たりませんけれども、現行より多少ふえるもの、いろいろあります。そこで、税制調査会ではすでに減税は各項目ことに――項目ごとというのは、ほかの資料でも法人税なら法人税というのがありまするから、そうではなく、各項目ごとに説明された項目に基づいて、現行で取れば幾ら、今回の改正で幾らというものはあると思うのですが、あればさっそくひとつ出していただきたい。それから、交際費のことはしょっちゅう問題になるのですが、これが外国の主要な、たくさんほどいいけれども、主要国におけるこの交際費の点についてはどうなっているかという表、これもあろうと思いますから、お願いします。それから、さっき大型、高価、こう言われて、一つの例だけをあげられたのですけれども、それは幾らか似たようなもので、これは入れないのだというものがあると思うのです。たとえば、第一号機と、こうおっしゃるけれども、発電機なんかはだんだん大型化して、一号機といえばのべつ一号機だということが実は言える、それも注文がなければつくりゃせぬのみならず、とても高価なんだ。いままで十七万五千キロが大型で高価だ、この次は二十五万キロ、その次は三十万キロができる。いつだっても注文を受けて製造するし、同時に高価だ、いつも一号機だ、こういうものは含めるのか、含めないのか、そういう資料もあると思います。
 それから、もう一つの資料は、今度償却年限を圧縮するというのですけれども、しからば圧縮したのからでもいいけれども、できれば現行の普通の償却と、今度圧縮するのが全部一律じゃないと思う、どうせ機械によって違える、こういうことなんですから、それとの一覧表。それがないと、今度は、割り増し償却といっても、何ぼの割り増しになるのか、実際的なものは検討しがたいと思うのでそういうふうに願いたい。
 それから、これは説明のうち、パーセントでいまあらわしているものもあれば、何割――何割なるものは、日本語のあいまいさもあるのですが、パーセントにあらわせば二〇〇%とも読み縛るし、二〇%とも読み得る。これは通常語の分ということばと、利息の場合の割という場合、どっちも分は分、割は割で、それが一般のことばでいえば分と解釈してもいいようになっている。そういうあいまいじゃなく、統一して二十割なら二十割とは一体、ほんとうは二〇〇%をあらわすのか、はっきりしてもらいたいと思うのです。最後の部分はいま答弁してもいいですよ。
○成瀬幡治君 それにからんで、今度火災保険控除を創設するわけですが、火災保険は保険料率を私は最近ずっと下げてきていると思うんですよ。それから、益金ですね、益金をどういうふうに処分しているか。あるいは地方自治体に対して何らかの寄付をしているのか、そういうふうなことについて、大蔵とは直接関係はなく、地方行政との関係になりますか、少なくともこういう火災保険控除を創設されるのですから、そういう資料がほしいと思います。
○政府委員(齋藤邦吉君) 先ほどの資料提出につきましては、できるだけすみやかに提出いたしたいと思います。
○鈴木市藏君 同じく資料要求に関連するのですけれども、租税特別措置法の適用を受けているすべての項目、それが期限がなければない、あるいは何カ年なら何カ年、今度新設するのと、先ほどの天田さんの資料とあわせて全貌がつかめるように出してもらいたいと思います。
○天田勝正君 なお申し上げておきますが、今度の審議期間がまことにないのに、野党の協力ぶりたるや、おそらく日本歴史始まって以来のことだろうと思う。そういうことから、資料はすみやかに出していただきませんと、実際困りますので、これは冗談でなく委員長のほうからも注意していただきたい。
○柴谷要君 租税三法は衆議院の通過を見ない前に本格的、審議に入るというのは、これまた野党の絶大な協力あればこそできるわけであります。歴史始まって以来のことだと思うのであります。その三法の質問に入ります前に、重大な問題を三点だけ御質問申し上げておきます。
 まず第一点は、先ほど所得税法の提案説明が終わる直後に、「昭和三十九年
 一月二十九日提出した所得税法の一部を改正する法律案中別紙のとおり修正することについて、国会法第五十九条の規定に基づき、本日衆議院に対し要求をしたから通知をいたします。」、こういう書面を見た。それに対するごく簡単なお話を伺いたい。この内容についてまず伺っておきたい。このようにぎょうぎょうしく扱わなくてもよかったのではないかという感じを持たないわけではない。それだけにこの質問をいたしますので、この経緯について全員にわかるようにひとつ克明に御説明願いたい。
○政府委員(齋藤邦吉君) 今回所得税法の改正法律案を提案いたしていたのでございますが、すでに御承知のように、所得税法の改正案の別表につきまして、電子計算機の操作上の手違いがございましたので、しかも手違いによって間違いを起こしました誤謬の部分が相当広範囲に実は及んでおりましたので、今回国会法の手続に従いまして修正の提案をいたしたような次第でございます。
○柴谷要君 人でなくて電子計算機が誤謬をおかして、それが活字にそのまま出ている、こういうことですから、これは責める筋合いのものではないと思うんですけれども、こういう手続をしない前に簡単にこれは処理できなかったものであるかどうか、これについて政府の見解をただしておきたいと思います。
○政府委員(齋藤邦吉君) こうした手違いを生じましたことはまことに遺憾でございまして、申しわけないと考えておるような次第でございます。率直に申しまして、こういう電子計算機の操作上、別表においてそうした間違いを起こしましたので、できることなら正誤というふうな考え方も実はあったのでございますけれども、その誤謬の範囲が相当広くわたっておりましたので、今回先ほど申し上げましたような手続をとることにいたした次第でございます。どうかあしからず御了承賜わりたいと思う次第でございます。
○柴谷要君 内容がわかりましたから、くどくど申し上げようと思いませんが、そのことがひいては衆議院の大蔵委員会の審議の過程において相当空費したのではないかと私は思うんです。一体、衆議院は、一月二十九日に法案が提出されて、何日間この税三法について審議を続けたか、延べ時間にして何時間か、一体通過の見通しはいつか、これを政府の立場からひとつ御説明をいただきたい。
○政府委員(齋藤邦吉君) この三法につきましては、衆議院におきまして相当長時間の御審議を経ておると存じておりますが、延べ時間の詳細な時間につきましては、またあらためて調べましてお答えを申し上げたい、かように考えておる次第でございます。
 この誤謬がありましたために、衆議院のほうの、審議が多少時間がおくれましたことは、ほんとうに政府としても申しわけない、先ほども申し上げましたように申しわけないと思っておるような次第でございます。承りますと、本日中に衆議院の大蔵委員会において採決が行なわれるのではないだろうかというふうに承っておる次第でございます。
○柴谷要君 政府の責任において審議の過程にむだがあった、そのことが参議院にしわ寄せされてくるということは、参議院としては非常に迷惑だと思うわけです。それで、この法律は四月一日から施行するということになっているのだけれども、四月一日以前に国会を通過しないと効力が出ない。その場合に、一体どういう不都合が生ずるのか、これをまず伺っておきたいと思う不都合な点について御答弁願います。
○政府委員(松井直行君) 今回の誤謬につきましては、まことに申しわけないことに相なりまして、深くおわび申し上げたいと思います。
 御存じのとおり、所得税法は、年税額として、最後に確定申告をいたす場合と、それから月給だけの場合も年末調整ということでそこで調整いたしますので、実は年税額としては変わりはないということに相なるわけでございますが、この別表の月額表、日額表と申しますのは、税法の本法にあります基礎控除とか税率とかというものを適用いたしましても、すぐには出てこないものでございます。これは源泉徴収義務者が毎月月給を払うときに月給の高に応じて何%取れ、取ったものを翌月十日までに政府に納付すべしという、源泉徴収義務者の租税債務と申しますか、その額は実はこの表によって初めて確定するということに相なるのでありますので、たとえ年末におきまして調整ないし確定申告で調整がつきますと申しましても、月額の確定、あるいは日雇い労務者等におきまして誤りますと、もはやあとで修正がきかないということに相なるわけでございます。したがって、この四月一日から、特に日雇い労務者等につきましては、これが実施いたされませんと、正確な金額による日々の源泉徴収額も確定しないということに相なるわけでございますので、これも含めまして、ぜひこれは四月一日から実施するということが必要なわけでございます。
○柴谷要君 それほど重大な法律案であるということも承知しておりますが、そこで政府側に特に強く要摂しておきたいと思いますことは、この法律案をめぐって質疑討論がかわされるわけでありますが、この質疑の際に、右の御質問に対しては後日お答えをいたしますなんということのないように、いいですか、後日お答えいたします、調査の上答弁いたしますなんということでは、これは審議時間が短いのですから、四月一日からどうしても施行したいというあなた方の気持ちがあるならば、後日に答弁を譲りますなんということを言ったのでは、一ぺんでもあればだめだ、こういうふうに強く念を押しておきます。いいですか、私が質問をした場合に、その問題につきましては、大蔵省に戻って調査をするとか、あるいは記録を読んできてから答弁しますなんということを言ったのでは、時間的にもうありませんから――衆議院の審議がおくれたというのは、政府の失態でおくれたということを明言されたのですから、それでしわ寄せが参議院に来たのですから、参議院で質問した場合に、明快に答えられ、スムーズな審議ができれば、皆さんの要望しているような状態が生まれてくると。しかし、答弁が、先ほど申し上げたようなことが一ぺんでもあればだめだ、こういうふうに御認識を願って、本件審議にあたってはひとつやっていきたいと思いますので、ぜひそのように御配慮いただきたいと思います。
 本日は本論に入る時間もございませんので、以上の前提に立つものをひとつしっかりお願いをいたしまして、きょうは質問を終わります。
○政府委員(齋藤邦吉君) 今回の税法二改正に伴いまして誤謬をおかしまして、非常に御迷惑をおかけいたしまして、まことに申しわけないと思います。野党の皆さま方の非常な御協力をいただいて感謝をいたしている次第でございますが、私どもも大いに勉強いたしまして、御要望に沿うようにいたしたいと思います。
○政府委員(松井直行君) 委員長、発言をお許しいただけますか。
○委員長(新谷寅三郎君) どうぞ。
○政府委員(松井直行君) 資料の御提出の若干のいま御希望を拝聴いたしまして、これはもうできるだけ早い機会に御提出申し上げたいと思いますが、先ほどおっしゃったように、ほんとうに、衆議院の審議過程におきましてとっさに資料の要求がございまして、それをつくるのに非常におくれる、それを基礎にしての論議がおくれるということが多分にございますので、できるだけ早く、基本的な資料で、かつそれに基づいて討論をおやりになるという場合には、なるべく早目にひとつわれわれにということを特にお願い申し上げておきます。われわれは全機関を動員しまして、御趣旨に沿う資料をできるだけ早く提出して申し上げたいという気持ちでおりますので、ひとつお力添えをお願いしたいと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 先刻各委員から要求されました資料は、この次の委員会には必ず提出せられるようにお願いをいたしておきます。
○政府委員(齋藤邦吉君) 承知いたしました。
○委員長(新谷寅三郎君) 一時半まで休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
   ――――・――――
   午後二時十一分開会
○委員長(新谷寅三郎君) 委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、三法律案に対する質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
○成瀬幡治君 最初に、これはまあいろいろな問題等あったと思いますけれども、税制調査会の答申と、それから今度の税法改正との違っておる点ですね、実はまあこういう点について私らも申し上げても差しつかえないと思いますけれども、調査室では一応御調査願って、私らも実はそれなりの資料はいただいたわけでありますけれども、この際、税制調査会ではこういうふうに改正をしたほうがいいであろう、それに対して今度の改正案は若干違った点があったのですから、その違った点を御説明願うとともに、それはまあこういうような観点に立って税制調査会の答申案どおりではなかったのだ、それにはそれ相当の理由があると思いますから、そういうような点について、元来ならば大蔵大臣等から承らなければならない問題かと存じますけれども、一応御担当のほうから御説明を事務的にひとつ承りたい。
○政府委員(松井直行君) 政府の税制改正案と税制調査会の臨時答申の改正案との相違点について申し上げます。項目を分けまして、税制調査会の答申にはございますが政府の改正案では実施しなかったものと、それから答申にはございませんでしたが政府で取り入れましたものとに分けて、お話し申し上げます。
 答申事項で実施しなかったものの第一番目は、給与所得控除の引き上げであります。で、現行一万円の定額控除を二万円に引き上げるというのは一緒でございますが、この最高限度の現在の十二万円を十五万円に上げるという税制調査会の案に対しまして、政府案はこれを十四万円に限定し、一万円だけちびっております。これが大きな相違でございまして、平年度九十四億円の減税幅の減少ということに相なっております。減税幅が圧縮になっております。
 これは所得税一般の減税、ことに中小所得層に対する減税ということにつきましては、政府も税制調査会もその方針には変わりはございません。したがって、この定額控除、それからその上の二〇%を控除するあたり、こういう低いところにつきましては答申どおり実施いたしておるのでございますが、一般的な所得税のうち、特に給与所得につきまして一そうの軽減をはかる必要があるということにつきましても、両方の間で相違はなかったのでございますが、第一の理由は、財源全般につきまして、社会保障、公共投資等非常に大きな歳出の要請がありますうちに、一方、減税のワクというものも、これも限定がございまして、答申のないものまで特別措置として実施する等の必要がございまして、まず財源全般から制限があったということが第一番でございます。給与所得控除の優遇については異論はないんですが、定額の一万円は、下は引き上げるが、上のほうで一ぺんに三万円になるということにつきましては、やはり低額所得層の優遇を優先的にやろうということについては実現をいたしておるつもりでございます。ただ、まあ上のほうにつきまして削減をせられたのは、いま申しました財源の関係ということを申し上げる以外に方法はないと思います。
 次は、航空機に対する通行税の減税でございますが、税制調査会では廃止、政府案ではこれをさらに延長する。これによって平年度十三億の減税ということに相なりますが、これは日進月歩の航空事業につきまして、まだ経営基盤が弱い。で、世界各国におきましても、いずれも航空機産業というものに対する助成が行なわれておる。特に日本の場合には弱いというような理由もございまして、さらに延長するということになったわけでございます。
 以上が答申のうちで実施しなかったものでございますが、答申にない事項で新たに創設いたしましたものは、第一番目に損害保険料控除の創設でございます。本来損害保険料の払い込みは、税を払いました後の可処分所得の範囲内でこういうものは支払うべきものであるという従来のわれわれのたてまえでございましたが、やはり大きな広い目で見まして、住宅とか家財等の維持ということも社会保障充実の一環としてせひ必要だという観点に立ちまして、いままでなかったものがここに一つ入ったわけでございます。したがって、従来生命保険料控除というものが一種の社会保障であり、かつ長期蓄積の優遇という線もございましたが、この損害保険料控除は、そのうちやはり一般的な広い意味の社会保障の充実という趣旨にのっとったものと考えます。
 それから、第二番目は、配当軽課措置の拡充でございます。これは配当に充てます部分に対応する法人税を軽減するという措置でございまして、従来三八%であったものを四分の一軽減して、配当に充てた分について法人税は二八%という措置をとっております。この趣旨は、企業の配当を促進いたしまして、配当した部分については内部留保を厚くするということ、それから軽減された結果、一般の投資家に流れました配当についても自由な資本市場を通じましてさらに必要な方面に投資される機会を与える、こういう意味におきまして、資本市場の充実を通じまして企業の自己資本の充実をはかろう、こういう要請が非常に従来からも強いのですが、さらにそれを一そう拡充するという意味におきまして、これも財源の関係もございまして、二%でございますが、一そう広げるという方向に参ったわけでございます。これにつきましては、税制調査会等におきまして、はたしてこれが企業の自己資本充実に役に立つものかどうかにつきまして、まだ厳密な分析も十分行なわれていないという段階でございまして、税制調査会におきましては、まだ結論を出していないので、思い切ってこれを拡充するというふうにはいたしておりませんが、すでにその制度自身すでにドイツの例をならいまして、資本市場の育成と企業資本の充実という策の一つとして試験的にとったものでありまして、その方面はきまっておるものでございますので、一そうこれを拡充しようとしたわけでございます。
 それから、減税額を申し上げませんでしたが、損害保険料控除で、平年度十四億円、初年度十億円でございます。それから、第二番目の配当軽課措置は、平年度九十九億円、それから初年度三十億の減税でございます。
 それから、第三番目に、証券投資信託の収益分配金の分離課税でございます。御存じのとおり、一般の国民の蓄積資金が企業に回ります過程に、領金という形で銀行を通じて市場へ回る方法と、資本市場を通じまして株式とかあるいは社債という形で企業に資金が回るという二道ございますが、現在この預金の利子につきましても分離課税という制度がある。これが有利な制度で、資本市場に金が集まるよりもむしろ金融機関に金が集まり過ぎておるという非難が――非難といいますか、風評がございます。したがって、資本市場育成をやろうという必要性を主張する側からは、領金の利子とのそうした乖離を修正して、この際株式の配当等につきましても分離課税という方向で両者の均衡をとるべしという強い主張のあったことは、皆さん御存じのとおりだろうと思いますが、何分配当の所得のある階層は非常に高い階層でありますし、勤労所得に比べまして資産所得というものの担税力の大きさというものも考えますときには、どうしても総合課税制度をとっております現在の所得税の体制下におきましては、配当までも分離課税にするわけにはいかない。しかしながら、資本市場の育成という要請もよくわかります。それから、少額貯蓄者の育成、貯蓄の奨励という必要性もよくわかるわけでございまして、したがって、証券投資信託が普通の株式投資と違いまして、非常に零細な投資階層の投資対象であるという点に着目いたしまして、先ほど述べました政策の要請にこたえまして、投資信託の収益分配金のみについて分離課税に踏み切ることに相なったわけでございます。これによりまして、減税額が平年度八億円、初年度六億円でございます。
 それから、四番目は、新築貸し家住宅の特別償却の引き上げ。これはおそらく事項が、政府の税制調査会のときにはあまり具体的な論議になっていなかったがゆえに入っていなかったと思いますが、これにつきましては、おそらく税調も賛成であっただろうと思われるものでございます。
 それから、五番目に、農協等の特別法人の課税の改正の問題でありますが、これも具体的には政府の税調の討論の際になかった問題であります。これは、中小企業、それから農業等につきましては、すでに基本法においてこれが育成、発展のために政府が特段の措置をとる必要があるというふうに相なっておりますので、そうした中小企業あるいは農企業等が組織いたしますそういう組合等につきまして、その内部留保の充実を一そうはかることが、あわせてそうした中小企業とかあるいは農業等の企業の育成に資するものであるという観点から、この措置が新たに採用されたものでございます。
 それから、六番目が国産第一号機の特別償却でございますが、これは少し申し上げましたとおり、新技術の開発でございまして、ほうっておきますと外国から輸入する以外に方法がないという大型の機械につきまして、ある程度危険をおかしてまでも国内で開発しようというものでございますので、技術開発の促進に資するという意味におきまして、かつまたそれに伴う危険をも保障するという意味におきまして、この特別償却制度が新たに加わったわけでございます。
 それから、医療法人につきましては、これは税制調査会でも論議になっていなかったものでございますが、そもそも、医療法人ができましたときに、個人経営の、医者であるよりも、むしろそうした医療施設を拡充し、保存し、次の代にわたりまして十分な施設を拡充しながら継続していけるという、そうした医療施設の充実というところに観点を置きまして医療法人という制度ができたわけでございますが、この中には特に全く個人の企業と変わらないものもございますが、その組織とか運営等におきましてまさに純粋の公益法人並みに扱っていいという法人もございますので、そうした特殊な性格を持ちました一部の医療法人につきまして法人税法上の税率の優遇をしようというものでございます。
 それから、八番目が生前贈与の農地にかかる贈与税の納期の延長。これは農家の次の世代への農業経営のバトン渡しを非常にスムーズにやろうということと、最近それに伴いまして生前すでに長男あるいは次男、だれか特定の将来の農業経営を引き継ぐ者に贈与が行なわれるという習慣もおいおい起こってまいりましたので、農家の税負担を軽減し調整する意味におきまして、実際の相続があるときまで贈与税の課税を延期するという方法をもって、こうした農業経営の充実に資していこうというものでございます。
 以上がおもなる項目でございます。
○成瀬幡治君 わかりましたが、最初答申案になかったものを、あなたのほうで創設なりあるいはされたものの減税額はどのくらいになりますですか。
○政府委員(松井直行君) 平年度で申し上げます。損害保険料控除十四億円……。
○成瀬幡治君 それは聞きました。
○政府委員(松井直行君) それから、配当が九十九億、証券投資信託が八億……。
○成瀬幡治君 それ聞きました。
○政府委員(松井直行君) それから、新築貸し家住宅の特別償却の引き上げ七億、それから特別法人の課税の改正が五億、それから国産一号機と医療法人に対する税率の軽減、これは非常に僅少であろうというので、一億にもならないだろうというので、特に減税額としてあげておりません。一応、ゼロ、ゼロと見込んでおります。それから、農地の生前贈与税の納期限の延長、これが一億でございます。合計、平年度で百三十四億円……。
○成瀬幡治君 ちょっと待ってください。森林と農協と一緒にしてというのは……。
○政府委員(松井直行君) 森林組合の合併でございますか。あれも僅少でございますので、ここでは計上いたしておりません。
○成瀬幡治君 それから、航空機の通行税の廃止、これは平年度十三億……。
○政府委員(松井直行君) 平年度十三億、初年度十二億でございます。
○成瀬幡治君 そうしますと、いま御説明を承っておって、答申案で検討中なんだけれども、結論は出ていなかったけれども、大体調査会の方向もそれらしくあるからというので、見込んでおやりになったのが、配当課税の措置が一つ、それから農地の生前贈与、この二点ですか。税制調査会で討論はしておった……。
○政府委員(松井直行君) 農地の気前贈与の問題は、実は税制調査会の段階でまだ論議される段階には至っておらなかった問題でございます。従来から特別措置として問題があり、かつ実施はされておりますが、まだまだ基本的問題があるといわれておったのが、この配当軽課措置の拡充の問題でございます。
○成瀬幡治君 そうしますと、新しくおやりになったものは、項目にして十ぐらいあるでしょうかね。こういうようなもので税制調査会の討論と申しますか、検討の議題に上がらなかったというものは、唐突として大蔵省のほうで必要であろうと、あるいは自民党の政調会等で検討されて必要であろうという形で出てきたものでしょうか。どうして出てきたのか。
○政府委員(松井直行君) いまおあげになりました十近い事項のうち、保険料控除、これはすでに税制調査会が臨時答申を出します前に論議の対象にはなっておりました。それから、配当軽課はいま申し上げたとおり。それから、証券投資信託は、先ほど御説明申し上げましたとおりに、配当全般の問題として分離すべきかどうかという
 ことで討論されておりました。あとは取り立てて論議の対象になっておらなかったと思います。
○成瀬幡治君 そうすると、その残りのほうのもので新しく創設されたものは、大蔵省なりがこれは必要であるというのでおやりになったのか。その理由は別として、税制調査会等で討論検討は実はしておらないものが出てきたのだと、こういうふうに了解していいわけですか。
○政府委員(松井直行君) その中で新築貸し家住宅、この住宅政策に即応いたしますものは、議題として取り上げておれば、当然税調も私は賛成したものだろうと思います。
○成瀬幡治君 しかし、取り上げていなかった……。
○政府委員(松井直行君) まだ具体的問題として議題にはなっておりませんでした。あとの国産一号とか、あるいは農地の生前贈与という問題は、その後に新たに各方面から新しい要請として起こってきた問題でありまして、時間的に税調の審議を経る機会がなかったものと理解しております。
○成瀬幡治君 まあこういう政治的な問題があなたにいろいろなことを聞くというのもおかしいのですが、私は、唐突として出てきた、そういうものじゃなくて、やはり大蔵省自身としては、相当それなりには、出てきたからきょうあすにでもやるというような、そういう軽率なことをおやりになるとは思っていない。たとえば国産一号機の問題なんかでも、その話題が一カ月前に出たから、それを取り入れてやったという、そういうことじゃなくて、私は大蔵省自身としては相当長年月にわたって各方面とも連絡をとりながら検討しておみえになったものだと思うんです。そうでなくて、いや、そうじゃないのだ、ぽんと出てきたんだということになると、少しまた議論が別になるわけですが、そこで唐突として出たということも、あるいは出ているかもしれませんが、正直なところを言って。しかし、そうは言えぬだろうと思うが……。
 そこで、こういうふうにお尋ねしておきたいと思うんです。なぜこういうような問題について税制調査会に討論を付託されなかったと申しましょうか、議題としてこういうようなものも一応検討してくれないかというふうに注文をされなかったのか。せっかく税制調査会というものをつくって、ここでいろいろな問題を討論をしてもらって、そうしてその答申を得て厳重に措置をするということは、しばしば大臣なり、あるいは総理等からも、減税問題についてはそういうふうにして慎重に取り扱っている、こういっておみえになるのですけれども、なぜそういうものが付託されなかったのかというところに疑問がある。
○政府委員(松井直行君) この項目の中で、すでに減収額か大きい項目――減収額が大きいから重要だとは申し上げませんが、非常に重要な項目であると考えられます損害保険料とか、配当軽課とか、あるいは投資信託の分配金の分離課税、こういう問題も、もうすでに前から一般社会におきましていろいろ問題になっておった点でありますので、税制調査会としても、むろん各委員ともよく知っておりますが、まあ肯定的に一歩前進しようという結論を特に明記しなかったという意味であろうと思います。で、新築貸し家住宅の償却の引き上げとか、あるいは国産一号機の特別償却の創設のような問題、こうした住宅政策あるいは国産技術開発等の問題につきましては、おそらく、特に国産一号機というのは、その後の通産省等からの要請でのほってきた問題であろうと思いますが、減収額から申してもあまり大きくないことでもおわかりになりますように、項目としてはわりあいに小さいということ、それから新しいということで論議されなかっただけでございまして、おそらく論議されておれば肯定的な答えが出たものだろうと思います。農地の生前贈与についても同じようなことが言えると思います。
 全然新規だと私どもいまここで考えられますものは、この特別法人の課税を改正する問題、それから医療法人に対する税率の軽減、これは正直申しまして非常におくれまして、税制調査会の答申もとっくに済んだあとで新たに起こってきた問題でございます。
○成瀬幡治君 もう一つですね、明らかにしておきたい点は、農協等の留保所得の課税の特例ですね、これは全然――まあ大きいのは五億と新築家屋の住宅に対する償却の七億ですが、住宅政策だとおっしゃるなら、これはわかると思うのです。農協の留保所得のほうは、これは全然なかったですか。あとの特定医療法人とかの問題は少額のことで、そうこだわる必要はないのですが、これが五億ありますから、これはどういうことですか。
○政府委員(松井直行君) 事実をありのままに申し上げます。税制調査会の答申が出ます段階では、ほかからの要請も、したがって税制調査会の場におきます論議もなかったものでございます。
○成瀬幡治君 私のほうの党としては、大体柴谷君がいろいろなことをお尋ねすることになっておりますから、私は少し技術的なことで、ちょっとこまかい点でお聞きしようかと思いますけれども、この芸能法人における報酬または料金ですね、これは今度所得税の源泉徴収を行なうというのですが、具体的にどうやっておやりになるのですか。そのつどおやりになるのですか。
○政府委員(松井直行君) 御存じのように、芸能法人の、個人の才能が中心であって個人プレートでありながら、それが法人組織をとっている芸能法人がございます。それから、何々劇団とかなんとかいう名前をとっておるものがありますが、法人税の申告状況等をいろいろ見てみますと、必ずしも適正な申告をしておるようには見えない。したがって、たとえばNHKなり、あるいはラジオ会社なり、あるいは民間のテレビ放送会社なりがそうした民間の芸能法人に出演を依頼いたしまして、出演料を払うというときに、支払いのつどそこで一応源泉課税をやろうというわけでございまして、その支払いのつど支払い者が源泉徴収義務者になって払うというわけでございます。
○成瀬幡治君 あなたが例にとられるNHKだとかラジオというものは、私たちにもわかるわけですね。ところが、興行者がたとえば何々劇団ということで申し込んで、ある興行会社というのですか、そういうのがしっかりしたところならいいけれども、そういっては何ですけれども、どういう表現をしたらいいかわかりませんけれども、やみというのはおかしいですけれども、そういうようなところで多分にその興行があるのじゃないですか、地方で、あるいは都市で。そういうようなところでそういう税の徴収をやらせることができるものですか。
○政府委員(松井直行君) その演芸をやります勧進元といいますか、現在におきましてもしっかりした勧進元が芸能人を引っぱってきて演劇をやるというのが普通でございまして、その人が源泉徴収するときに払う相手方が一体個人なのか法人なのかによりまして、源泉徴収したりしなかったりするという非常に不便があるというのが一つございます。現にそうした芸能人を引っぱってくる勧進元である興行者は、現在におきましても源泉徴収をやっておるという実績もございますので、むしろ今後は支払いを受ける者が法人であろうと個人であろうと全部源泉徴収をするのだとなったほうが明確でございますので執行上も一そううまくいくのではないかと、こう考えております。
○成瀬幡治君 私は遊興飲食税というのは非常に疑問があるわけですよ。私が疑問でなくても、あなたたちでもこの遊興飲食税のことについては御存じだ。そういうような形になりはしないか。いわゆる興行主が税は取ったというけれども、あなたのほうには納めないという。そういういろいろなことがありはしないかという点を心配して、お尋ねしておるわけです。
○政府委員(松井直行君) この興行主の源泉徴収義務者としての義務につきましては、現在もやっておるのでございますので、やはり税務署等におきまして、そうした源泉徴収義務者に対する監査を一そう徹底してやるということでもって全うできる問題じゃないかと思います。
○成瀬幡治君 普通、所得税の源泉徴収は大体九八%とかいっておられますが、こういうことに関してはやはり一〇〇%いくものですか。こういう徴税のことについて自信があってこういう改正をされたのか。その辺のところがぼくもよくわからないんですよ。興行主から、あなたもいまおっしゃったように義務があって、いままでもやっておるとおっしゃっておりますけれども、どうもその辺のところ、納得ができないところがある。
○政府委員(松井直行君) 御心配の筋はよく理解できるところでございますが、むしろ私たちが心配なのは、芸能法人に泡沫的なものが多いわけでございまして、その興業主のほうは芸能法人とはまた違うと。その泡沫的存在である芸能法人のほうに課税が徹底して行なわれないという心配があるというところに、重点を置いておるわけでございます。
○成瀬幡治君 そうすると、芸能法人というんですか、これは届け出がなくて、クラブとかいろいろなものがあると思うのですが、たとえば夜おでん屋を流してくる、あれも芸能法人になっておる。私はよく知りませんよ、ああいうものわかりませんから。ああいうのでも芸能法人と認定するわけですか。あるいは最近いわれることは、料亭などに入るのに、芸者さんじゃなくて、何々クラブといったようなことで派遣されて、同じようなことをやる、そういう組織があるということも聞いておる。そういうようなものも芸能法人と認定をするわけですか。
○政府委員(松井直行君) 現在、個人の資格で源泉徴収を受けております対象が、映画演劇の俳優、映画監督、楽士というようなものでございますので、そういうものを雇用してサービスを提供することを事業の内容にしておる法人というわけでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめて。
  〔午後二時四十九分速記中止〕
  〔午後三時八分速記開始〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を起こしてください。
○成瀬幡治君 私は、この芸能法人から受ける報酬または料金についての新たな所得税の源泉徴収を行なおうとしておるわけですが、これについてはどのぐらい税収を見積もっておるのでございますか。
○政府委員(泉美之松君) これは、従来源泉徴収のやり方について、個人と芸能法人に属する場合とで源泉徴収のやり方が違って、源泉徴収をするとしないという差があったために、源泉徴収事務上困るということから、こういうふうに規定を直すものでございまして、これによって増収をはかるという性質のものではございませんで、これによる増収見込み金額は予算に計上いたしておりません。
○成瀬幡治君 そうすると、大体減税額等をお尋ねしてお答え願ったわけですが、減税になるほうで譲渡所得ですね、いままでの三十万円を四十五万円までに引き上げられた、これはどのくらい見積もっておりますか、これのための減税。それから寄附金、それから短期投資のもの、それから勤労学生。
○政府委員(泉美之松君) 譲渡所得関係におきましては、減収と増収と二つあるわけでございます。いままでの控除額の十五万円を三十万円を免税点として、三十万円から四十五万円までの控除額を引き上げることによります減収額は十億円、それから三年未満の保有の譲渡による所得の二分の一課税をしないことによる増収、これが六億円、差し引きいたしまして四億というのがこの減収計算として出ておるわけでございます。
○成瀬幡治君 そう言ずに。寄付金の控除額を引き上げましたね、それは幾らになりますか。
○政府委員(泉美之松君) それはこれから申し上げます。寄付金の控除が、控除額の引き上げによりまして二億円減収になります。勤労学生の場合は、いままで所得二十万円を限度としておりましたのを、最近の所得の増加から見まして二十五万円にしたというので、これによる減収はきわめて少額でございますので、計上いたしておりません。
○成瀬幡治君 ブドウ糖の混和というのは、これはどういうものなのか。砂糖消費税の軽減のところですよ。
○政府委員(泉美之松君) これは最近農林省でいろいろ検討いたしまして、こうしたらどうかという案が出てまいったのは、従来ようかんであるとか菓子なんかを製造する場合に砂糖を使用いたします。これをいまのやり方は、一たん砂糖を精製糖の形に結晶させまして、それをようかんとかそういった菓子をつくる工場へ行ってまた溶かしまして、そうして菓子の原料として使っているわけでございます。しかし、これははなはだむだなことでございまして、精製糖にまで持っていかないで、どろどろの姿で持っていって砂糖として菓子の原料に使えばいいわけであります。そこで、そういう形でいくならば、その砂糖の中にブドウ糖をまぜたほうが砂糖だけの甘さでなしにブドウ糖の果実的な甘味が加わるということからいたしまして、そういう溶糖の姿にしておけばブドウ糖もその上にまぜて使うことができて、同時にそれは農民がイモをつくってブドウ糖にするという点から見て、農業政策上も好ましいという点からいたしまして、今度それを租税特別措置法でそういうブドウ糖と砂糖とを混合したものに対する砂糖消費税の税率を、これは従来の砂糖消費税の考え方でございますと精糖基準で出ておりますので、そういうふうに溶かしました場合におきましても税率がかなり高いのでございますが、そういった場合に、ブドウ糖は本来砂糖の課税対象にならないものでございます。それと本来の砂糖になるものとが加わっておるわけでございます。農林省の研究によりますと、そういった場合にブドウ糖を何%混入したら一番いいか、これは実験をいたしたわけでございます。実験をいたしますと、ブドウ糖を四三%程度入れると、ちょうどいいような味のものになる。そういうことから考えますと、ブドウ糖部分に課税すべきではないのでありますから、そこで蔗糖の分に対してだけ課税するということからいたしまして、本来十二円のものに対して七円課税するということにすれば、ちょうどブドウ糖部分には課税しないで本来の砂糖部分に課税するということになります。そうしようというのが今回の改正案の内容になっておるのであります。
○成瀬幡治君 そうすると、減税じゃないのですね。
○政府委員(泉美之松君) 減税ですよ。ほうっておけば十二円取られるわけです。十二円取るのはひどいですよ。ほうっておけば十二円になる。
○成瀬幡治君 四三%が七円に当たるわけですね。
○政府委員(泉美之松君) いや、四三%は取らないわけですから、五十何%ぐらいです。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めて。
○成瀬幡治君 社会保険診療の関係について全然説明がないが、この点について。これは答申案と関係ございませんか。
○政府委員(泉美之松君) 税制調査会の答申におきましては、現在の租税特例措置のうち廃止すべきものといたしまして四つあげておるわけでございます。一つは、米穀の予約減税の点でございます。それから、いま一つは、社会保険診療報酬に対する特別の経費率として七二という経費率をきめております、この点。それから、いま一つは、航空機の乗客に対する通行税でございます。それから、いま一つは、開墾地の農業所得及び土地改良事業のあと作所得に対する免税でございます。この四つの租税特別措置につきましては廃止する。もちろん、このほかに輸出所得控除を、廃止する、これは当然入っておりますが、そういうことに答申いたしておるのでございます。
 このうち航空機の乗客に対する通行税につきましては答申があったのでございますが、現段階におきましては、まだ航空機会社が赤字の状況にございます。で、まあ本来、交通機関として航空機と汽車とを比べました場合には、ややおかしい点があるのでございますけれども、この制度が航空機会社か発達早々にあるという状況にかんがみまして、それの助成的意味を含めて通行税を軽減するという措置をとっておりますので、これは答申にはございましたけれども、政府案におきましては一年延長ということにいたしてございます。
 それから、開墾農地の農業所得及び土地改良事業のあと作所得の点につきましては、実はこの適用対象が比較的少ないということから、租税特別措置としてあまり意味がないではないかということから廃止するようにという答申があったのでございますが、農業ということの性質上、今後開墾もし、土地改良もやっていかなければならないときに、いまそういった免税制度をはずすのは適当でないということからいたしまして、三年間延長することにいたしております。
 それから、社会保険の診療報酬につきましては、これはもう成瀬委員御承知のとおり、これが議員提出の法律で修正されて今日に至っておるということからいたしまして、政府としましてはそれを直すことにいろいろ問題がございますので、国会方面といろいろ相談するということになっておりますが、今回の改正におきましては、その相談か成立いたしませんでしたので、今回の改正の中では取り上げるに至っておりません。
 それから、米穀の予約減税の問題につきましては、三十八年産米につきましては、去る二月早々御審議をお願いしたと思うのでございます。一応それで片づけまして、本年産米の米の予約減税をどうするかということにつきましては、米価の問題がこの六月ごろ問題になると思いますので、その際検討いたしたい、かように考えておるのでございます。
○成瀬幡治君 先ほど、政治的な問題を抜きにして、答申案と今回改正されたものとについてずれておる点をずっと松井さんから承りました。これは事務的にあくまでも承ったわけです。政治的な問題になれば大臣ということにもなるかと考えますけれども、私は一つ一つそれにはそれなりの理由があっておやりになったと思うわけです。そこで、項目別にいえば、たくさんありますから、時間の関係もございましょうし、どうせそういうような点については一括して大臣にもお尋ねしなければならない問題だと考えますから、あなたの判断で、これはこういう特段の理由があったのだということは、たとえば税制調査会にも実は付議をしておらないものでここに出てきた問題があると思うわけですから、そういうようなものをあなたのほうで適宜抽出をされて御説明が願いたい。
○政府委員(泉美之松君) なかなかむずかしい問題でございますが、私どもか平素税制度調査会の各委員の方々と接触いたしておりまして、委員の方々の考え方もある程度承知いたしておるつもりでございますが、その考え方から申し上げますと、今回行ないました租税特別措置のうち、新築貸し家住宅の特別償却割合の引き上げ、それから国産一号機の特別償却制度の創設、この二つは、税制調査会に審議にかけますならば、おそらく御賛成になっていただけただろうと思っております。
 それから、生前贈与の農地にかかる贈与税の納期の延長につきましては、実はこれは税制調査会におはかりいたしまして、一たんは答申内容に入っておったのであります。ところが、この問題については、農業政策としてこういう方向に進むということの決定が先にあるべきであって、税制のほうから先に事をきめるのはいかがであろうか。したがって、政府が農業政策として今後、農地、農業の後継者を育成していくために農地の生前贈与を認めるのだという政策を打ち出して、それに従ってやっていくならばけっこうではないか。したがって、税制調査会として先に打ち出すのではなくて、もしそういう政府の政策がとられるならば、税制調査会としては、税法整備の問題としてそういうことをやってもよろしいという了解づきで、実は答申事項には入っておりませんけれども、税制調査会としてはそういう趣旨で特に入れなかっただけの問題でございまして、やろうとすれば、それは税法整備の問題としてやりなさいという御発言もあったのでありまして、税制調査会はその問題について反対の御意向ではなかったと考えております。
 それから、それ以外の特別措置になりますと、損害保険料控除につきましては、一部の委員からこれをやったらどうだという意見がございましたけれども、審議を十分に尽くす余裕がございませんでしたので、答申事項に入っておりません。これは税制調査会にはかれは、おそらく賛成の力と反対の方と二通りの意見が出たんではなかろうかと思っております。それ以外の配当軽課措置の拡充、証券投資信託の収益分配金の分離課税、それから農業協同組合等特別法人に対する法人税の法人の所得を留保した場合の留保の二分の一に対して法人税を課税しないということ、特定の医療法人に対する税率を軽減すること、これについては税制調査会におはかりしませんでしたけれども、税制調査会は反対と思っております。
○成瀬幡治君 あなたがおっしゃったように、はかれば反対かもしれない、あるいは半々の意見だというようなこともいろいろあると思いますけれども、それをあえておやりになった。この損害保険控除の問題は、私も資料要求をいたしましたから、その場合にひとつ議論しようと思っておりますが、この際特定医療法人の問題なんかは非常に少額の問題ですから、あまり問題にする必要はないと思うが、農協のあなたのおっしゃる留保所得、これをおやりになったというのは、どういう判断でおやりになったのですか。
○政府委員(泉美之松君) この問題につきましては、成瀬委員御承知のとおりだと思いますが、長い間の経緯があるわけでございまして、以前こういった農業協同組合、あるいは漁業協同組合、中小企業協同組合におきましては、戦後経済状態の変遷によりましてそういった協同組合の経営が円滑にいかないので、非常な赤字を生じたときがあったわけでございます。そこで、その再建整備をはかるということからいたしまして、再建整備をはかる場合には、出資の四分の一に達するまでは留保した所得の全額に対して法人税を課税しないという法律の規定が租税特別措置法の中に現在もあるわけでございます。それでやっておったわけでございます。ところが、大体昭和三十六年ごろから、そういった意味での再建整備を終了することになりまして、そういった法人に対して法人税がフルにかかることになったわけでございます。ところが、再建整備を終わったものもあるし、まだ一部には再建整備をやっているのもあるわけでございますが、その状況を見ますと、再建整備を終わったといっても、やっと終わったというだけで、まだその内部留保は十分でなく、出資の四分の一に達しない組合が相当多いわけでございます。そこで今回、御承知のとおり、所得倍増計画の推進にあたりまして、とかく農業及び中小企業のほうがそれに立ちおくれがちである。したがって、農業及び中小企業の近代化を促進するために、そういったものの組織する協同組合を強化する必要があるということか主張されておるわけでございまして、その強化をはかる意味におきまして、そういう協同組合の内部留保をもっと強固にしていこう。そして協同組合を堅実な形に持っていきたいということになりまして、そこで従来再建整備の場合にだけそういう特例を設けておったのでございますが、再建整備の段階でなくても何らかの特例を設けたらどうかということになりまして、そういう点からいたしますと、出資の四分の一に達するまでは従来と同じだけれども、今度は留保した額の全額でなしに留保した額の半額だけ法人税を課税しないという形にして、再建整備の間のバランスをはかりながら、いま申しましたような農業協同組合などの内部留保を強固にして、組合としての活動が活発にできるようにしようという趣旨で、そういうふうに制度を設けるという提案をいたしておるのでございます。
○成瀬幡治君 説明はわかりますのですけれども、大体その再建整備で現にあなたは残っておると、こうおっしゃいますけれども、再建整備の適用を受けて、ほんとういえば優遇されたわけなんですが、それで再建整備をしたものの上に、今度は上積みでこれだけ優遇されようとする特別な理由は、なるほど所得倍増政策等で底辺でなかなか困難なところであるから、そういうものを勘案しながら、その格差是正というような意味合いでやったんだ、こういうことで、わかりますが、それじゃこれに対してあなたは税制調査会にはかったらたぶん反論があるだろう、こうおっしゃる。反論の根拠は、どういう点であなたはその反論が多いだろうと予想されたわけですか。
○政府委員(泉美之松君) これはまあ再建整備という事柄からいま特例を設けておるのでございますので、それ以上に再建整備といったような特別の事情がなくて、農協を強化すればいいじゃないかという、それは一つの政策でありましょうけれども、そういう点からいえば、ひとり農協とか漁業協同組合であるとか、中小企業協同組合とかだけでなしに、強化をはからなければならないものがほかにもあるのじゃなかろうか、そういう意見が税制調査会に出て、そういう何か特別の、再建整備というような特別の事情がない限りそういう特別措置をやたらにふやすべきじゃないというのが税制調査会の考えでありますから、おそらく私は反対されたろうと推測しておるのであります。
○成瀬幡治君 この租税特別措置法全体に対しての私は議論にもなってくると思いますが、大蔵省としては、現時点においては租税特別措置法の拡充もやむを得ないじゃないか、拡大していくこともやむを得ないじゃないか、非常にアンバランスのものがあるならばやむを得ないじゃないかというような、そういう措置で対処しておみえになると思いますが、そういう中で、農協にしても、あるいは漁業協同組合にしろ、事業協同組合にしろ、商工組合でもいいですが、別途に、これにからんで何かほかにこういうものに対して優遇措置ですか、税法外に何か優遇措置がとられておりましょうか。あなたは税のことしか知らぬとおっしゃるかもしれませんが、そうでなしに、政策面でこういうものを何か優遇しておる措置がとられておりますか。とられておらないとすると、あなたのおっしゃることもわかるような気もする。あるいは逆にいえば、とられておるからこそ税も優遇されておる、あるいはとられておらぬから税だけせめてやったんだと、こういうことになると、他との関係はどうなるか。
○政府委員(泉美之松君) その点になると、はなはだむずかしいし、私は税のことより存じないのでありますが、たしか金融の面におきましては、農業協同組合を通じて金融をする場合、農林中央金庫から農民に直接は貸さないけれども、農業協同組合を経由して農民が金融を受けることができるというふうになっておるはずでございまして、そういった金融面におきましては、こういう協同組合を通ずる金融というのは相当行なわれておると思います。それから、農産物の販売とか農業の資材の購入とかいう点につきましては、これは協同組合を通じてやっておることは御承知のとおりであります。それは特別といえるかどうかわかりませんけれども、いずれにしても、協同組合を通じてそういう活動は相当行なわれていると思います。
○成瀬幡治君 石油資源の開発ですね、これは欠損続きだと思いますけれども、しかし、どのくらい欠損があって、これはどうにもならぬものなんですか。
○政府委員(泉美之松君) 石油資源開発株式会社は、昭和三十年から事業を開始しておるわけでございますが、御承知のとおり、この会社はわが国の乏しい石油資源を探鉱してやっていくということからいたしまして、三十年から三十四年まではずっと欠損続きでございます。それが三十五年から若干利益を出してまいっておるのでございます。しかし、過去の繰り越し欠損がございますので、現在のところもちろんまだ繰り越し欠損で所得は消えてしまっておるのでございますが、今度二期分につきまして、繰り越し欠損が五年で限られておりますのを八年まで繰り越し欠損を認めるということにいたしますと、昭和四十二年度から繰り越し欠損が消えて利益が計上されるということになってくるわけでございます。
 で、欠損の額、これも会社経営上の欠損と税務のほうで認める欠損の額と多少違いますので、税務のほうで認めている欠損だけ申し上げたいと存じますが、三十四年度の欠損が八億九千六百七十七万二千円。そこで、今度の措置によって欠損の繰り越しをされるものは、この二十四年度の欠損の八億九千六百七十七万二千円のうち、すでに利益で引かれたものが二億六千七百四万円ございまして、したがって繰り越しておりますのは六億二千九百七十三万二千円、これと、それから三十五年度分の欠損が十三億二千二百七万八千円ございますが、そのうちすでに利益で差し引かれましたのが四億三千三百九十三万八千円ございまして、残りが八億八千八百十四万円ございます。この両者合計いたしました、八億八千八百十四万円と六億二千九百七十三万二千円と合計いたしました金額が、この特例によってなお繰り越される、繰り越し欠損として見られるという金額になるわけでございまして、その金額は十五億千七百八十七万二千円でございます。
○成瀬幡治君 そうしますと、いまの利潤率からいきまして、八年間延長をしていけば、これで大体欠損残は消えてしまう、そして健全な会社になることができるのだと、大体こういう目標で八年と設定されたわけですか。
○政府委員(泉美之松君) さようでございます。現在の収益状況からいたしますと、五年の繰り越しというのを八年繰り越しという特例を設けることによって、昭和四十二年度からは繰り越し欠損なしに収益をそのまま全額課税してもいいという状態になるわけでございます。
○成瀬幡治君 そのためには、私は相当、どう言ったらいいですか、活発にこの会社が活動をしなくちゃならぬというわけですが、そういうような資金手当てというようなものが十分できておるわけですか。実際は何か保護されておりますか。
○政府委員(泉美之松君) これは私もそれほど詳しくは存じませんけれども、財政投融資で毎年その開発資金を見ているのでございまして、したがいまして、そういう資金的なあんどうは十分はかられておると考えております。また、事実、先ほど申し上げましたように、三十五年以降は利益を計上いたしておるのでございますが、何ぶんにも過去の欠損が非常に大きいために繰り越しされているために、利益が出ましても、欠損の繰り越しのために法人税を納めないという状態が続いているわけでございます。まあこういった国策的な見地から設けられた会社でございますので、繰り越し欠損のために会社が困る状態を見のがすのもどうかということから、欠損の繰り越しについて特例を設けて、きれいにした姿でやっていただこうという考えになっているわけでございます。
 御参考までに申し上げますと、財政投融資では、三十八年度十四億円、三十九年度は七億円で、出資と公募債借り入れ金と両方でめんどうを見ております。
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめ
 て。
   〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始め
 て。
○大竹平八郎君 ちょっと伺いますが、これはあるいは大蔵省にお伺いをするよりは通産省の問題になるかもしれませんが、例の二十八年以来創設されている特別輸出控除制度ですね、これは非常に輸出振興に大きな役に立ったことは御承知のとおりですが、これは私のある知り合いの会社が利益を四億円あげた、そうしてよく計算をしてみると、その四億円のうちの一億八千万円というものは輸出控除のおかげだった。これは一つの例なんですが、そういうようなわけで、この輸出控除の問題が非常に輸出全体に大きな貢献をした。ところが、今度ガットの規定に抵触をするということと、それからいやでもおうでもこの三月にはほうっておけば、時限法のようなものですから、これは廃止になるのは当然なんで、これを廃止することについて、これは後段にたくさん新しい輸出振興の個別にいろいろなものがありますけれども、ガットの規定に抵触するという、これは禁止条項にはないと思うのですがね、抵触するというのはどの程度なんですか。
○政府委員(泉美之松君) ガットの十六条の第四項にこういう規定があるのでございます。各締約国は自国の産品の輸出について、それが国内において提供される価格より、より安くするための補助金は支出しない、こういう趣旨の規定があるわけであります。そこで、その輸出補助金とは何ぞやということが従来から問題とされまして、この輸出補助金というのは、いわゆる歳出面で支出するところの輸出補助金はもちろんであるけれども、直接税を減免することも輸出補助金に該当するんだというのが国際的な解釈になっておるわけであります。そこで、その直接税の減免とはしからば何をいうかということになりますと、これは実は確定した解釈はきまっておりません。したがって、わが国の輸出所得控除がはたして十六条四項のいわゆる輸出補助金に該当してやめるべきであるかどうかということにつきましては、公式のガットとの席上では問題になったことはないのでございます。ただ非公式に、フランス及びイギリスから、日本の輸出所得控除はガット十六条の輸出補助金に該当すると自分らは考える、したがって、もしその制度を今後も続けていくならば、自分らには自分らの考えがあるといったような非公式な発言がされまして、同時に、わが国の輸出所得控除制度が昭和二十八年ですかに設けられたときに、模範となりましたドイツの輸出所得控除の制度が、OECDにおきまして、これは輸出補助金であって、OECD各国としてドイツがそういう制度をとることは輸出の妨害になるから困るという抗議が出まして、ドイツはやめさせられた経緯があるのであります。そういう点からいたしますと、それにならってできております日本の輸出所得控除も、やはり同じようなことと考えられざるを得ないわけでございまして、そういった各般の事情から考えまして、また昨年、わが国がイギリスと通商航海条約を締結いたしました際、その点が問題になりまして、大平外務大臣から、この日本の輸出所得控除は来年三月、つまり三十九年の三月の適用期限到来とともに廃止する意向であるという旨をイギリスの外務大臣に書簡をもって知らせておるというような経緯もございまして、この制度は廃止するのが適当であろう。
 しかしながら、輸出振興ということが、現在の国際収支がきわめてデリケートな状態にありますわが国としましては、輸出の振興は今後とも努力いたさなければなりません。そういった点から、ガット規定に反しない範囲において輸出振興のための制度を税制上も設けるべきではないかということになりまして、ガットの規定に反しないものとして検討して立案したのが、今回の四つの新しい制度でございます。
 このうち、輸出特別償却の制度は、これは多少趣旨は違いますが、フランスにもある制度でございます。それから、これはもちろん直接税の減免ではございませんで、直接税の課税の繰り延べ措置でございます。したがって、ガットの規定には触れないという解釈になります。
 その次の、技術輸出所得控除の拡張存続という点につきましては、ガットの十六条の規定は、その補助金をエクスポート・オブ・プロダクトということになっております。いわゆる生産品の輸出に対してということになっておるわけであります。ところが、技術、いわゆる特許権であるとかノーハウであるとかいったようなものは、いわゆるプロダクトではなしに、むしろ資本と考えられるのが普通でございまして、したがって、こういった技術輸出の内容になるものは、いわゆるプロダクトとしてガット十六条四項の規定の対象にならない。むしろ各国はそういった技術輸出は歓迎すると。それによって国内産業が興ることを歓迎するという意味合いにおきまして、そういったものについてはむしろ喜んで受け入れたいということでありますので、これはガット十六条四項に該当しない。
 それから、その次の海外市場開拓準備金、これはまあ実はオーストラリアでやった実績があるわけでございます。もっともオーストラリアはガットの適用上はわが国と同様B宣言国でありまして、まだA宣言国になっておりませんので、しかしこの制度は先ほど申し上げましたように、やはり直接税の減免ではなくて、課税の繰り延べ、特定の海外市場開拓費を支出するために備えて一定の準備金を積み立てておいて、そういう特定の支出が起きたときに取りくずして使うという点で、課税の繰り延べでございまして、これによって税負担が永久に免税になるというものではございません。そういう意味ではガットの規定に触れないという解釈になるわけであります。
 それから、新開発地域に対する投資損失準備金の制度は、これは実はドイツにある制度でございまして、今回の立案にあたりましても、ドイツの制度を参考にいたしたのでございます。これはもちろん低開発国の開発促進と国際協力の一環として各国が低開発地域の開発促進のために努力しておるわけでございます。そういうことと結びついておる制度でございまして、さらに課税の繰り延べ措置でありまして、いわゆる直接税の減免を行なうものではございません。やはりガットの規定に触れない、こういう解釈でわれわれはおるわけでございます。
 こういう点からいたしますと、かりにガットにおきまして問題になろうことがございましょうとも、ガットの現在の十六条四項の解釈としては、こういう解釈は有効に成立すると考えておるのでございます。
○成瀬幡治君 それに関連して一言だけ。試算表をあなたのほうにつくっていただきたいのですが、なるほど輸出特別控除で大体百四億の減税になるとおっしゃるのですが、私が非常に心配しておるのは、私のほうもひとつ試算表をつくってみたいと思いますが、この間も大蔵大臣にも申し上げておいたんですが、今度は普通資産償却になるわけですね。で、そういう場合に、中小企業の人は、たとえばぼくが承知しておる一つの会社の例をとりますと、大体輸出総額が四億ある。輸出オンリーである。そうすると、三千二百万円の――そこが利潤が約一割と踏めば四千万円ですが、四千万円の八割が輸出控除の恩典に浴しているのですね。ですから四、八、三千二百万円あった。今度そういうところの普通資産がどのくらいあるかということがひとつ問題になるわけですが、大体私らが踏んでみても、一億から二億くらいの資産しかない。これが資産償却をされる場合に、大体十五年ないし十七年のものだと思うのです、ずっと計算をしてみますと。かりに一億の資産があってやりますと、輸出オンリーだけでやれば非常に今度は償却が少なくなる。そこで、中小企業の――総額としては百五億も百四億もあるのだから、非常に何か輸出振興に役立っておるように見えますけれども、中小企業が持っておる普通資産償却から試算をしてみますと、私は中小企業の人たちの輸出恩典になっていないのじゃないか、そういう立場をとるわけです。いや、そうじゃないのだ、輸出産業に当たっておる人たちは非常に資産が多いのだ、だから、これでやればこういうふうになるのだ、というところまで検討をして私はおやりになっておると思うのです。でないとすると、大資本と申しましょうか、大きな固定資産を持っておる人たちはこの恩典にうんと浴して、そのしわ寄せが全部中小企業にぶっかぶってくる。いままでとえらい違いになってくるんじゃないかということを心配しておるわけです。ですから、その点はどうなっておるのかという点を、これは試算表を出してもらいたいし、説明がしてもらいたい。
○政府委員(泉美之松君) お話の点は、あとで試算表としてお目にかけたいと思いますが、今回の措置は、従来の輸出所得控除制度にかえて設けましたすべてを合わせて考えていただかないと、輸出特別償却だけでそれをカバーしようというわけにはなかなか参らないと思うのでございます。海外市場開拓準備金――中小企業の場合には、新開発地域に対する投資損失準備金を設けることはおそらくなかろうと思う。技術輸出もはたしてあるかどうかわかりませんが、おそらく輸出特別償却と海外市場開拓準備金、この両方が当然適用になります。この両方合わせたところでごらんいただかないとうまくないと思います。いろいろ私ども検討いたしましたが、確かにお話のとおり、設備をたくさん持っておるところは特別償却によって受ける恩典が多うございます。これはお説のとおりでございます。しかし、それの場合におきましても、輸出割合が多ければ大きいだけ特典を受けるわけでございまして、いかにたくさん設備を持っておりましても、全製品のうち輸出する割合が少ないと、たいして特典は受けないのでございます。したがって、輸出をたくさんしておりまする中小企業におきましては、かなりの特典になる計算になっております。
 それから、市場開拓準備金のほうは、まあいわばわれわれ税制の立場から参りますと、実は利益留保の準備金という色彩が強いのでございまして、その点から、これを設けることにつきましては、私どもとしましてはずいぶん何と申しますか、慎重に検討したのでございますが、先ほど成瀬委員のお話のように、従来の輸出所得控除はいわゆる中小企業、輸出を行ないます中小企業にとって相当の特典であったわけでございます。ところが、いま申し上げました特別償却とかあるいは技術輸出所得控除であるとか、あるいは新開発地域に対する投資損失準備金だけでは、とうていそういった中小企業を救うことが十分できないという判断のもとに、利益留保の準備金という色彩で、税制上はどうもあまりかんばしくないのでございますけれども、特別の意味で市場開拓準備金を設けないと中小企業が困るだろうということからいたしまして、この制度を設けたのでございます。
 さらに、中小企業の場合には、各個が積み立てるよりも、組合なんかをつくって積み立てておいて、組合として一体的に活動したほうがより有効にいくのではないかということからいたしまして、普通の場合ならメーカーは一五%のやつを、中小企業が商工組合などをつくりました場合におきましては、その限度を二五まで引き上げましてやれるようにしようというようなことまで考えたのでございます。そういう意味で中小企業のためには相当努力いたしたのでございます。
○成瀬幡治君 これは私はきょうここで議論をしようと実は思っていないわけです。というのは、こういうことか問題だと思うのですよ。たとえば、いままで輸出の大部分を占めでおったのが中小企業じゃないかと思う。したがって、恩典に浴しておったのも中小企業の人たちが輸出控除の恩典を受けた。これが今度は固定資産のほうに振りかわってまいりますから、固定資産というものが非常に中小企業の人たちは少ないじゃないか。たとえば、タイルをつくっておる人たちがどれだけの固定資産を持っておるか、あるいはナイフやフォークをつくる人たちがどれだけのそれじゃ設備をもってやっておったかといえば、非常に問題であって、やっぱり労力だけであって、家屋も土地も借り家で借りたりしてやっておって、そうして輸出をかせいでおった人が多いじゃないか。それが何かこの資産のほうだけに乗りかわって、これがやっぱり中心になるのですよ。それで、こう輸出ドライブ策になるとするならば、たいへんなことになりはしないか。数字はなるほど百四億と出ておったり、あるいは海外市場調査費のほうが百十四億と出ておるけれども、なかなか容易なものじゃないのじゃないか。
 そういうことで、そこでひとつお願いしたい点は、あなたのほうもひとつ試算はじいてみて、そうじゃないのだと、やはりあまり現状と変わっていないということになれば、この次ひとつこの問題についてはあらためて、私のほうも試算表を出しながら議論してみたいと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 本日の審議はこの程度にいたしまして、次回は二十四日午前十時に委員会を開くことにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会