第046回国会 大蔵委員会 第43号
昭和三十九年六月二十六日(金曜日)
   午前十一時十七分開会
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  委員の異動
 六月二十六日
  辞任      補欠選任
   川野 三暁君  久保 勘一君
   田中 茂穂君  金丸 冨夫君
   林屋亀次郎君  長谷川 仁君
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 出席者は左のとおり。
   委員長     新谷寅三郎君
   理事
           柴田  栄君
           西川甚五郎君
           成瀬 幡治君
           渋谷 邦彦君
           天田 勝正君
   委員
           大竹平八郎君
           大谷 贇雄君
           岡崎 真一君
           金丸 冨夫君
           久保 勘一君
           栗原 祐幸君
           佐野  廣君
           鳥畠徳次郎君
           長谷川 仁君
           日高 広為君
           堀  末治君
           木村禧八郎君
           柴谷  要君
           野々山一三君
           野溝  勝君
           原島 宏治君
           鈴木 市藏君
  国務大臣
   大 蔵 大 臣 田中 角榮君
  政府委員
   大蔵政務次官  齋藤 邦吉君
   大蔵省主計民
   法規課長    相沢 英之君
   大蔵省主税局長 泉 美之松君
   大蔵省理財局長 吉岡 英一君
   大蔵省証券局長 松井 直行君
   大蔵省銀行局長 高橋 俊英君
   国税庁長官   木村 秀弘君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       坂入長太郎君
  参考人
   国民金融公庫副
   総裁      酒井 俊彦君
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  本日の会議に付した案件
○公認会計士特例試験等に関する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○国民金融公庫法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○税理士法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○たばこ販売手数料の引上げ改定に関
 する請願(第一七号)(第一八号)
 (第一九号)(第二〇号)(第一一
 七号)(第一二八号)(第一二九
 号)(第一六六号)(第一六七号)
 (第二二五号)(第二四九号)(第
 二七四号)
○引揚者在外私有財産の国家補償に関
 する請願(第一三〇号)(第四二九
 号)(第一五三八号)
○政府関係金融機関の資金増額に関す
 る請願(第一四四号)
○酒税法改正等に関する請願(第一五
 一号)
○音楽、演劇、舞踊、映画等文化的催
 物に対する入場税撤廃等に関する請
 願(第二四三号)(第二七〇号)
 (第二七一号)(第二七二号)(第
 二九五号)(第二九六号)(第二九
 七号)(第三〇八号)(第三〇九
 号)(第三一〇号)(第三一一号)
 (第三一二号)(第三三三号)(第
 三八七号)(第三八八号)(第四〇
 六号)(第四〇七号)(第四一三
 号)(第四一四号)(第四四六号)
 (第四四七号)(第九二一号)(第
 九二二号)(第九四一号)
○果実飲料の物品税撤廃に関する請願
 (第三〇一号)
○砂糖の関税、消費税に関する請願
 (第四四五号)
○砂糖の消費税、関税の減免等に関す
 る請願(第四七六号)
○農業用ガソリンに対する揮発油税及
 び地方道路税免除等に関する請願
 (第五〇〇号)
○農業協同組合に対する法人税等全面
 撤廃に関する請願(第五〇一号)
○酒類販売の免許制度存続に関する請
 願(第六一八号)(第一三七六号)
 (第一四七八号)
○ガソリン税、軽油引取税の増税反対
 に関する請願(第六三四号)
○医療法人に対する法人税等減免に関
 する請願(第六五六号)
○ガソリン税増徴反対に関する請願
 (第六八八号)(第九五九号)
○財団法人海洋博物館に対する国有財
 産譲与の立法化に関する請願(第七
 九五号)(第八七七号)
○米軍千歳基地返還予定施設及び土地
 の払下げに関する請願(第九〇一
 号)
○バナナの輸入関税引下げに関する請
 願(第九一二号)(第一〇三三号)
○労音、労演に対する不当課税取りや
 めに関する請願(第九二三号)(第
 九二四号)
○音楽、舞踊、能楽等の入場税撤廃に
 関する請願(第九二五号)(第九二
 七号)(第九二八号)(第九六一
 号)(第一〇一六号)(第一〇三二
 号)(第一一〇三号)
○日本の音楽、舞踊、演劇、映画の入
 場税撤廃等に関する請願(第九二六
 号)(第二五九九号)
○生活必需品にかけられている間接税
 の撤廃等に関する請願(第九四五
 号)(第一五三六号)
○税制改革に関する請願(第九五八
 号)(第九六七号)(第九七八号)
 (第九七九号)(第九八〇号)(第
 九九一号)(第一四一八号)(第二
 一七五号)
○入場税法第一条第一号改正に関する
 請願(第九六〇号)(第九八五号)
○入場税法第一条第一号改正等に関す
 る請願(第一〇〇七号)
○公衆浴場の健全経営維持管理のため
 の特別措置に関する請願(第一〇三
 一号)(第一〇六八号)(第一〇七
 七号)(第一〇七八号)(第一〇七
 九号)(第一一〇四号)(第一一〇
 五号)(第一一六四号)(第一一七
 九号)(第一一八〇号)(第一二一
 二号)(第一二六一号)(第一二九
 八号)(第一三七九号)(第一四一
 七号)(第一四五七号)(第一四七
 九号)(第一五五〇号)(第一五五
 一号)(第一五八二号)(第一五八
 三号)(第一六一九号)(第一六四
 一号)(第一六四二号)(第一七〇
 六号)(第二四一一号)(第二七六
 〇号)
○日本専売公社福岡県八女出張所生産
 課存置に関する請願(第一〇六三
 号)
○揮発油税、軽油引取税の増徴反対に
 関する請願(第一〇六四号)
○大衆課税の軽減等に関する請願(第
 一一五八号)
○税制の改正、民主的税務行政確立に
 関する請願(第一一六三号)(第一
 一七八号)(第一二五二号)(第一
 二八九号)(第一三五一号)(第一
 四一九号)(第一五三七号)(第一
 五八一号)(第一六九五号)(第一
 七一三号)(第一八五五号)
○税理士法の一部改正に関する請願
 (第一二五三号)
○国立学校特別会計法案反対に関する
 請願(第一二七二号)(第一三一〇
 号)(第一三一一号)
○農業用ガソリン税免税に関する請願
 (第一三六三号)
○公認会計士試験の特例に関する法律
 案反対に関する請願(第一四二〇
 号)
○戦傷病者に対する国税及び地方税の
 減免に関する請願(第一四五八号)
 (第三〇九六号)
○砂糖消費税引下げ等に関する請願
 (第一五〇三号)
○豪雪地帯における税の軽減と合理化
 に関する請願(第一六八〇号)(第
 一七三二号)
○公衆浴場業に対する所縁税等減免に
 関する請願(第一八三八号)(第一
 九二六号)(第二〇一五号)(第二
 〇三六号)(第二〇九四号)(第二
 一八六号)(第二七三六号)(第三
 一二六号)
○税理士法の一部を改正する法律案反
 対に関する請願(第一九四七号)
○税理士法の一部を改正する法律案の
 一部修正に関する請願(第二一五三
 号)(第二一五四号)(第二五一〇
 号)(第二五一一号)(第二五二五
 号)(第二五四四号)(第二五八四
 号)(第二五八九号)(第二六七六
 号)(第二七〇三号)(第二七一三
 号)(第二七五〇号)(第三〇六四
 号)(第三一〇三号)
○公認会計士特例試験等に関する法律
 案反対に関する請願(第二三一〇
 号)(第二五八三号)(第二八六〇
 号)
○減税と税制民主化に関する請願(第
 二六三三号)(第二九一一号)
○労音、労演に対する不当課税取りや
 め等に関する請願(第二七六二号)
○税法(所得税法等)改正に関する請
 願(第二九六七号)
○税金(バナナの関税)を銀行の保証
 手形で支払うことの請願(第三一九
 六号)(第三二〇八号)(第三二四
 一号)(第三二四二号)
○生鮮果実輸入関税の使途に関する請
 願(第三二〇九号)(第三二三九
 号)(第三二四〇号)
○バナナの関税率引下げに関する請願
 (第三二四三号)(第三二四四号)
○輸入生鮮果実類の簡易通関制度適用
 に関する請願(第三二四五号)(第
 三二四六号)
○委員派遣に関する件
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○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、川野三暁君が辞任ぜられ、その補欠として久保勘一君が委員に選任されました。
○委員長(新谷寅三郎君) 公認会計士特例試験等に関する法律案を議題といたします。
 本案に関し大蔵大臣より発言を求められておりますので、この際これを許します。
○国務大臣(田中角榮君) この法律を提案するまでは非常にむずかしい問題もございましたが、ここまで踏み切ったわけでございます。これが昭和四十二年三月三十一日以後に延びることになりますれば、この法律を提出した趣旨は失なわれるわけであります。すなわち、この法案を提出するまで、長い間紛争が続いていた公認会計士と計理士の問題に対して、終止符を打つという考え方に立って、相当の勇気をもってこの法案を提出いたした次第でございます。
 これによりまして、一方においては公認会計士制度も内容のふさわしいものにしなければならないということと、もう一つは、証券取引法に基づく公認会計士の持つ権限に対して計理士が多年叫んできた要望に対しては、三年間五回の特例試験を行ない、昭和四十二年三月三十一日には計理士制度は廃止し、この計理士問題に終止符を打ちたいということで、政府は深い決意をもってこの法律案の御審議を願っておるのでありまして、政治的な情勢その他によりましてだらだら延長されるようなことは将来許さるべきことではないという考え方に立っておるわけでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。御質疑のある方は御発言を願います。
○木村禧八郎君 私は、この法案を処理するにあたりまして、大蔵大臣に伺っておきたいことがあるわけです。
 この法案につきましては、この法案をめぐりまして、いろいろなデマ宣伝が行なわれたわけです。それで、またテレビ放送等を通じて、小汀利得氏と細川隆元氏との対談等を通じても、大蔵省の役人に対しましていろいろ問題があるというようなことが、たとえば大蔵省理財局塚本経済課長ですか、この塚本経済課長に対しまして、公認会計士の高木勇二氏が行政管理庁長官山村新治郎氏に対して訴願書を出しているのですね。時間がございませんから、私は全部これを読みませんけれども、この訴願書を見ますれば、もしかりにこれが事実であった場合、これは重大な問題ですよ、かりに事実であれば。また、事実でないとしたら、こういうことが訴願として提出され、またテレビ放送を通じて世間に公表されているのです。そうしてこの法案が、何かこの訴願によれば、この裏には非常に暗い陰があるような印象を受けるわけです、これが事実であるとすれば。また、事実でないとすれば、これは重大問題です。これは小汀利得氏の責任問題にもなります。したがって、この法案を取り扱うにあたりましては、これは十分に公述人を呼び、また十分に調査し、真相を確かめてやりませんと、賛成するにしても、反対するにしましても、この事実が明らかにならないと、私は大蔵委員会としましても、これは国民に対して相すまないことだと思うのです。これをあいまいにしたままこの法案を処理したのでは、私は相すまないと思うのです。大蔵大臣、この訴願の内容を御存じかどうか。そうして、これは大蔵省としても何かはっきりした態度を出さなかったら、これは重大問題ですよ。
 それは単なる、経済課長が昼間経済課員を集めてトランプに興じて賭博をしたということだけではないのです。何か金銭関係があり、料亭に行って飲食をしたとか、たとえば料亭松室で常に計理士会長平木信二氏と酒色をともにしたとか、そういうことまでずっと書いてあるのですよ。もしこれがほんとうだったら重大問題ですよ。こういうことを明らかにしないでこの法案を処理したら、これは賛成するにしても、反対するにしても、非常に不明朗なことになると思うのです。したがって、まず大蔵大臣に、これは御存じだと思うのですが、お調べになったと思うのですが、これはこの機会にはっきりさせていただきたいのです。こういうことが事実なのか、事実でないのか。
 そうして、この問題をめぐってわれわれ社会党の議員にもいろいろな文書が来ているわけですよ。全部に来ているのですよ。それで、ものすごい攻防戦になるのです。ですから、非常に判断にわれわれは迷うわけです、どっちの言い分が事実なのか。もちろん、この改正案が正しいかどうかは、われわれの自主的判断でもちろんやれるわけですが、判断に迷うというのは、事実の判断ですね、どっちが事実なのか。それから、これは世間に非常に大きな問題を投げかけているのですよ。しかも、これは個人の名前もはっきり出して、テレビ放送にまでそういうことが放送されまして、そうしてこのままこれがうやむやに葬られたとしたら、これは大蔵省としたって、大蔵省の権威にも関することですし、これはもうこの際はっきりひとつさしておいてください。そしてその真相をおわかりになったら――お調べになったと思うのです、真相を。
 それから、この改正案を提案するに至った経緯。それからここにも書いてありますが、計理士制度を昭和四十一年度までにやめるということが書いてある。これはやめるのかやめないのか、そのこともここに指摘されている。やめる前提として、非常に安易なる試験によって公認会計士にするという、そういう法案であるということが言われておるのですよね。
 そういう点がわれわれとしてははっきりしないわけですね。その点、この際やはり大蔵委員会としては明らかにしてもらわないと、この法案の処理について非常に不明朗なものが私は残るのではないかと思いますので、大蔵大臣、はっきりさせてください。
○国務大臣(田中角榮君) こまかい経緯等につきましては、ずっとやっております政府委員から答弁をせしめますが、大きな観点に立つ大蔵省の責任という面につきまして私から申し上げます。
 本件につきましては、衆議院で本法案の審議の過程におきまして、小林進議員がその訴願書の問題及びそれを引用して書かれた週刊誌等で相当こまかく御質問がございましたので、これらの経緯に対しては私からお答えをいたしております。
 まず、事実問題でございますが、その中に書かれておるような、トランプをしておって、トランプに金がかかっておるというような事実はありません。トランプを昼間休みの時間にしておったということもございましたが、もうこういうものは、休み時間といっても、国民大衆が官庁に入る場合には、もう十二時から一時までの休みだなどという時間の観念もなく入ってきて、誤解を受けるおそれもありますので、大蔵省ではトランプをやっちゃいかぬ、こういうことさえも私は強く省内に命じたわけでありますので、その訴願書に書いてあるような事実はございません。それから、その他いろいろなことも書いてありますが、そういう問題についても、そういうことがあったならばということで十分調べましたが、まあ反対のために相当いろいろな問題を誇示して書かれておるということは、私のところにも同文が来ておりますし、どこにも出したのだと思います。山村長官に出されたものに対しても、私にも連絡がございました。しかし、いずれにいたしましても、そういうことを言われたり書かれたりするようなことは将来ともあってはならないということで、綱紀粛正の立場からは将来に徹底をせしめておるわけでございます。
 公認会計士と計理士の問題につきましては、これは御承知のとおり長い懸案でございます。これが別な時期に二つの制度が発足をして、これをどう調整するかということで相当長い懸案であったわけでありますが、最終的に昭和四十二年の三月三十一日までに計理士制度を廃止するという前提で、また先ほど私が冒頭発言を求めて申しましたとおり、この問題は解決せざるを得ない問題であることは御承知のとおりでございます。両方とも完全に満足をするということまでの最終案をつくるということはむずかしくあっても、かかるものに対してはやはり何ぴとかが責任を負いながら結論を出さなければならない時期でありますので、先ほど申し上げましたとおりの状態におきましてこの案を出したわけでございます。でありますから、計理士制度というものはこれをもって終止符を打つということが根底になっておるわけでありまして、公認会計士、計理士という長い紛争に対して一つの歴史的な結論を出すものであるという考え方に立っておるわけであります。
○政府委員(吉岡英一君) この問題の経緯について御説明申し上げます。
 昭和三十六年に公認会計士審査会、まあ第三者の中立的な公正な立場にある公認会計士審査会が、公認会計士と計理士問題の調整につきまして答申を出しておられますが、その答申の骨子は、この両者の問題の調整については、計理士だけに対して論文試験をして公認会計士にすることが適当であるという趣旨の答申であったわけでございます。事務当局といたしましては、その答申のたてまえに沿って関係各界との話し合いを進めたのでございますが、計理士会はむろん賛成でございましたけれども、公認会計士協会のほうで、論文試験という安易な試験で計理士がある意味で横すべりのように公認会計士のほうに入ってくることは絶対に反対であるということで、話し合いがつきませんで、その後そのままになっておったわけでございます。
 昨年ごろから、計理士のほうで、公認会計士協会のほうの反対の意向も参酌をいたしまして、論文試験という答申の線をあきらめまして、従来行ないました特例試験と同じような程度のむずかしい試験を受けることに踏み切ろうということで、計理士会が一年間かかって各会員を納得をさせまして、計理士制度を全廃をし、ある意味で論文試験よりもはるかにむずかしいと思われます今度のような特例試験を受けることに踏み切ってまいったわけであります。そういう情勢の転回がございましたので、われわれといたしましても、この程度のことであれば公認会計士協会のほうも大体納得していただけるという前提で、この法案の作成にとりかかったわけでございます。
 そこで、公認会計士協会としては、形式的に最後まで賛成というところまでは参りませんでした。と申しますのは、やはりこの特例試験がどうも安易な試験に流れるのではないかという懸念があったようでございます。その点は、われわれも法律改正について非常に万全の注意を払ったと申しますか、たとえば法文等におきましても、本来の試験であります第三次試験と全く同じ文句を使いまして、同じ程度の水準の試験であることを期待をし、そういう試験を予想した法律改正案にいたしたわけでございます。
 そういう意味で、大体その後そういう疑念は御納得をいただけたのではないかと思っておりますが、形式的には公認会計士協会としては反対の決議をされたままになっております。ただ、その後公認会計士協会としては、非常に反対運動をする、あるいは陳情をするというようなことは一切やっておられません。ということは、われわれの判断としては、まあまあこの辺ならば御納得いただけるのではないかというふうに感じておったわけであります。
 ところが、ことしの三月の末になりまして、ここにございますが、「わが国の経済を護るため、国会議員各位の良識に、泣いて訴えます。日本公認会計士協会員有志一同」というパンフレットが広い範囲にわたって配られたわけでございます。これには五十数名の公認会計士が連名で連署しておられるわけでございます。そこで、われわれの接触しておりました公認会計士協会の空気とはかなり違う、こんなに反対があるのかということで、われわれ実は多少どういう事情かということを調べたわけでございます。ところが、間もなくこの五十数名の連署連名をしておられます公認会計士の方々が声明書というものをお出しになりました。あの連名はわれわれの全くあずかり知らないところである、われわれとしてはまことに心外であるから、内容について責任を負えないことはもちろん、そういうことをした覚えはないという声明書が出ました。四月の八日でございます。
 そこで、われわれとしてもどうしたことかと思っておりましたら、ただいま御指摘の高木さんという方から大蔵大臣に上申書というものが出まして、実はあのパンフレットは私一人がやったのですという上申書が出ました。その内容は、御指摘の訴願書と全く同様のものでございます。
 そこで、その内容、この法案に関係のあります重大な点をかいつまんで申し上げますと、要するにこの法律改正案は、計理士会長が計理士だけの利益のためにある特定の国会議員を動かし、その国会議員が大蔵省の一課長を動かして立案作成したものであって、全く計理士会だけのためのものであり、公認会計士の水準を落とす重大な欠陥を持った法律案であるという趣旨でございます。ところが、この点につきましては、さような事実は全然ございませんし、先ほど申し上げましたように、非常に中立的な公正な立場にあって公認会計士制度の充実発展を常時念願をしております公認会計士審査会が、すでに二年前に、今回の改正案よりはもっと計理士に有利な実は答申をしておられたわけであります。この筆法をもってしますと、公認会計士審査会というものは、全く計理士会のかいらいだということになりかねない論法でございます。実態は決してそういうふうなものではございませんので、公認会計士と計理士の調整として今度の案が最も妥当なものであると考えております。ここに書いてありますような、そういう計理士会だけのためを思ったものであるということは全然ございませんし、特定の国会議員、特定の一課長というものでこういうものができたものでは全然ございません。
 なお、御参考までに申し上げますが、この高木さんという方は、実は大蔵省の新聞記者の部屋へおいでになりまして、同じような趣旨を一時間余りにわたって説明をされたことがございます。まあ新聞社としては、大蔵省が立案している法律に対してそれだけの反対者がいろいろな説明をされたということであれば、普通の場合であれば取り上げて何か問題にされるはずだと思うのですが、どうも新聞記者の方たちは、御本人のいろいろな御説明を聞かれて、非常に特殊な人物である、これは取り上げるのはおかしいということで、全然取り上げられなかったような経過のように聞いております。
○木村禧八郎君 あまり時間をとりませんから……。大体いまの経過の御説明でわかってまいりましたが、実はわれわれのところに特に「わが国の経済を護るため日本社会党の国会議員各位に泣いて訴えます」と、社会党ということばを使ってさっきお話しのような文書が来ているわけです。そうしてこれ連名があるわけです。そうすると、もしこれが事実でない、高木某という個人がやったというのでは、これは非常なある一種の詐欺的行為ですよ。そういうふうに思われるのです。
 いまその事実が明らかにされましたが、しかも、それを今度小汀利得氏がこの投書を取り上げて、TBSで一般に、これをまたあれだけ、あれ二回取り上げたように聞いておりますね。そこで、この問題について、大蔵省としても、理財局の塚本経済課長ですか、これは個人としても非常な名誉の棄損だと思います。大蔵省としても、「この法律案成立によって唯一の利益を享ける全日本計理士会の会長平木信二氏と、塚本孝次郎とは、強い私的利害関係に連なる者であって法案立案の動機は、不純極まるものと断ぜざるを得ない」、こういうことまで書いておるのですからね、何らかの処置を私は講ずべきだと思うのです。何らかの処置を講ずれば非常にはっきりすると思うのです。これでもしいまの経過の御説明が事実だとすれば、これは社会に非常に害悪を流したものだと思う。われわれ国会議員を愚弄するもはなはだしいと思う。こんな事実無根なものを配布して、連名があって、それを個人が自分で創作したなんということになると、われわれ国会議員を侮辱するもはなはだしいです、こんなものは。そういう意味で、何か適当なはっきりした処置を私は講ぜられるが至当だと思う。これをそのまま放任して置くべきではないと思いますが、どうされますか。
○政府委員(吉岡英一君) その点につきましては、実は衆議院の審議の際に、参考人として公認会計士協会長の辻さんがいろいろな発言をされまして、この問題にも御質問がありましたので、辻さんは、公認会計士協会としては内容についてまだ賛成するに至っていないけれども、この高木さんのやったようなことは、協会としてまだ正式な態度は決定しておらないが、個人としてははなはだ不適当な方法であると言っておられます。公認会計士・協会自体としても迷惑をされておろうかと思います。われわれといたしましても、相当迷惑をこうむったという感じがいたしております。
 しかし、私どもは、もうとにかくこういういろいろな派生的な事件によって惑わされないで、この法律案を通していただくことがまず第一だというふうに考えまして、もっぱら、そのほうにはあまり措置をしないままで、この法案通過に実は全力を尽くしてまいったわけでございます。今度の問題については、なお慎重に検討して善処してまいりたいとは考えております。
○木村禧八郎君 法案の通過に努力されるということは、それは政府としては当然だと思いますけれども、それに全力をあげたもので、この善後処理についてはあまり考えなかったと言いますけれども、こんなに大蔵省として問題になっておるのを――もちろんこれはたいへんな重大な問題ですよ。単にこういうわれわれに配布したものだけなら、まだ影響の範囲はそう大きくないと思いますけれども、TBSで二回ですかやっておる。それで、週刊誌なんかも取り上げてあるでしょう。それでみんな疑惑に包まれたままですよ。先ほど経過の御説明がありましたけれども、そういうことは一般には十分まだ私は納得されていないと思います。ですから、われわれとしてはそういういろいろなデマやなんかに惑わされないで、党として慎重に検討し態度をきめるわけですけれども、しかし、社会的影響というものを考えれば、これはそのままに済ましておくべきじゃないのです。大蔵大臣、何とかしないと悪例を残しますよ。
○国務大臣(田中角榮君) 「昭和三十九年四月三日、パンフレット「わが国の経済を護るため、国会議員各位の良識に、泣いて訴えます」を、国会議員に配布したことに関する件」という上申書が、公認会計士高木勇二から大蔵大臣あてに上申書として正式に文書として出されております。この中には、たくさんの名前を出しましたけれども、事実は、他の何人にもはかることなく私一個人が全文を作成し、私一個人の判断において国会議員に配布したものであります。首謀者はただ一人の私でありますと。
 それから、パンフレット作成配布の動機につきましては、この法律の立法を阻止していただく以外に道はないと判断いたしまして、意を決して早急に右パンフレットを起案作成し、国会議員各位に配布したということでございます。
 有志の名前を利用した理由、これにつきましては、当初は私一個人の名前において作成し配付する計画でありましたが、私はいま日本公認会計士協会の副会長及び日本公認会計士政治連盟の会長の職にあります。また公認会計士特例試験法案に対する反対運動を推進しなければならない関係にあります。こういうことを推進するには、委員会や役員会の議を経ずに行動することは許されない立場にはございますけれども、右パンフレットの作成配布を役員会や委員会にはかるならば、おそらく実行不能になる公算がきわめて大でありましたので、私はそういう意味で人の名前を使って書いたのですと。
 この中に、いつ署名をしたかという問題につきましては、これは大会がありましたときに、部厚いものを出して署名してもらった。しかるところ、この大会に参加した会員は、大会出席者の署名と誤解して署名した者、あるいは原稿が長文のため内容を一読する時間的な余裕がなく普通の陳情書と解して安易に署名した者がきわめて多かった模様でございます。あるいは署名者全員がそのいずれかであったことと思います。こういうことを本人が認めておるわけであります。「よって、私は遂に、当初の策戦を変更し、協会内部の騒状を鎮撫するため、ここに本件の真相を告白するの已むなきに至ったのであります。」と、こう書いてあるのであります。
 とにかくこれだけの長い歴史を持っている問題であり、政府も勇気を持って結論を出そうというふうに公平な立場で考えまして御審議をいただいておりますので、本件の審議とは別にしまして、これだけのものを本人が上申書を出しておりますから、この問題に対して小汀先生にもこういう上申書、こういう事実が明らかにされておりますということを御説明すべきだと思いますし、何らかの手段でこういう事実に対して明らかにしなければならないとは思いますが、いま国会審議で最終段階で御審議をいただいておりますときに、こういうものを追い打ちするとか、もっと話を大きくする――まあこれだけの歴史的なものに終止符を打つときでありますから、このくらいのことがあるのかなと私は考えて、今日までその処置等に対しては慎重にという指示をいたして今日に至っておるわけでございますが、せっかくの御発言もございますし、その後の事態も十分慎重に検討して、適切な措置をとりたい、このように考えます。御理解を得たいと思います。
○木村禧八郎君 山村行政管理庁長官に出しました訴願の扱いはどういうようになるか。この内容はものすごいひどいですよ。最もひどいですね。これはどうされるか。それで、私も――この法案にもちろん関係してこういうことが起こったんですけれども、しかし、この法案とは一応別の問題として、非常に不明朗な、しかも世間を非常に騒がしておるわけですよね。混乱をさせたことに対しては、やはりけじめをはっきりぼくはさせるべきだと思うのです。させなければいけないと思うのです。そうでないと、ただいま御答弁がありましたけれども、その裏づけとしてのはっきりした措置がないと、何かやっぱりそこに、そうはいっても多少何かあったんじゃないかという疑問がやはり残りますよ。これははっきりさせるべきだと思うのですよ、一応これとは別に。これはたいへんな、もし事実に相違するとしたら、個人に対する侮辱ですしね。それはもう大蔵省だって、この法案が通るために低姿勢でやっていこう、そういう問題じゃないですよ、これは。けじめをはっきりすべきです。この点最後に伺いまして、私の質問を終わります。大蔵大臣、ちょっと。
○国務大臣(田中角榮君) 本件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、長い歴史に終止符を打つ過程においていよいよ政府も最後の腹をきめたかということで、最後の一発をやろうということが本人の真意であったようでありますから、私はこれを大いに追及するとかいうことに対しては、慎重にやりなさい、特に審議の過程においてかかるものを、本人が事実を述べ、上申書で最後に懇願をいたしますと、こういう結論がついておるわけでありますから、あえてびしびしとやらないで、もう少し慎重にやりなさいと、こういうことになっておるわけであります。
 しかし、いま御指摘になったように、これだけの事実を並べ立てられておることは名誉棄損でもあるし、行政府の威信に関する問題でもあるということは十分肝に銘じております。この公認会計士というこの問題に対して、こうして事実が明らかになっておりますし、私も、一体ほんとうにこれに書いてあるようにばくちなどしておったんなら承知しない、こういう考えで徹底的に調べたのですが、ばくちなどは絶対にしておりません。が、トランプなどをもてあそんだことがないとは言えないと、こういう事実もありますので、今度は絶対にやってはならぬ、こういうきつい処置をしておりますので、これからもひとつ十分注意もいたしますし、行政府の威信の問題に対しては綱紀の粛正も行ない、遺憾なきを期したいと思います。この案件については、先ほども申し述べましたように、慎重かつ適切な処置をとりたいというふうに考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
○天田勝正君 関連。私もいま質疑応答のあった文書は全部いただいておって、私は私なりの判断で、当人が初めに言ったこととまるで別なことを言っておられる、また連名と称する人方も、全部否定されておる、そういうことで、本来この法案の賛否をきめるのに少なくともその判断の資料にする材料にあらずという判断から、一回もこの問題を実は取り上げなかった。ただ、いま木村さんからも御指摘がありましたが、私はそのほかにいま実は考えておることがあるのです。
 それは、本来どこの国でも、まあ社会的な地位は弁護士が一番高い。日本では必ずしもそうではないようでありますけれども、とにかく高かるべきものです。それに次いでこうした公的な計理士マン、こういう計理マン、こういう人方が高かるべきであらねばならぬ。そうでなければ、会社自体の信用もまた、それに伴うて考えを変えなければならぬのですから、そういうことを考えますと、単なるこれは業者団体組織ではないのですね。つまり、インテリの団体なのです。インテリ中でもインテリの団体なのです。その副会長であり、また一方においては政治連盟の会長というような人が、こういう軽率なことをする。内容はまあ別として、軽率なことをすること自体、これはたいへんじゃないか。そのこと自体が、職業計理マンの地位を失墜する。そうなると、この機会には間に合わないとしても、将来にわたって私は別の試験方法を考えざるを得ぬではなかろうか。まるで、普通世間の人がやるからおれもやったというようなことは、この弁護士とかこうした公認会計士とかに、あるいはお医者さんとかには、許さるべきものではないのです。その法律に規定されない高い知性があればこそ、社会的地位が高いのであって、それがなくなれば、熊さん、八っつあんと何の変わりはなくなっちゃうのです。
 そういう意味で、私の聞くところによれば、英国あたりで法曹界に立つ人は、何げなしにクラブに入っておって、ほとんど別にそこに学ぶべきものはなくて、むしろ外国から留学した人ばかりが何とかいうクラブに入っておるのだそうですが、出席するのだそうですが、普通のマナーに至るまでこれは学ぶ。何げなしにマナーを学ぶところにとうとさがあるのだ、こういうことを聞いております。
 日本ではそういうわけにもいかぬとしても、社会的地位の商い人が、熊さん、八っつあんと同じような軽挙盲動する、こういうことはたいへんなことでありまして、ですから、むしろその試験の方法、試験の内容、こういうものをもう一ぺん別の角度で、学問というだけでなしに、別の角度で検討してみる必要があるのではないか、こうこれを見ながら実は当時感じたのです。今度は間に合わないと思ったから、いままで発言しませんでしたが、こういう点について大蔵当局はどうお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) まず第一点の問題の、公認会計士会というものでございますが、御承知のとおり、税理士会とかそれから弁護士会とか、法的な会ではないわけであります。これはそこに違いがございます。しかし、法定の会ではないといっても、社会的に見れば公の会でありますから、こういう問題に対しては十分ひとつまじめな、また世間の信頼をつなげるようにしていただきたい、こう思います。この問題に対しては、審議会から答申が出ております。これを法定の法人にしなければいかぬと、こういう答申が出ておりますが、なるべく自主的なという立場で、今回の改正には結論が出なかったわけであります。そうでなくても、混乱しては困ると、こういう考えで、ついに結論を出さなかったわけでありますが、御指摘ございますように、やはり答申の趣旨も十分検討しながら、何らかの結論を出さざるを得ないということでございます。
 試験の問題に対しては、確かにいろいろな問題がございますが、いまの状態から見るというと、公認会計士から入っておる方、それから学識経験者、いまの制度の上では、大体これ以上の制度はなかなか見当たらないということでやっておりますが、しかし、この制度そのものがいいのか、試験のもっと合理化、まあむずかしい試験ばかりやって、実務というものとは遠い、また学者になるような試験をやってもこれはどうにもなりませんし、そういう意味で、いまの試験委員の制度、それから試験問題を採択する場合にどうあるべきかというような問題に関しては、将来の問題として十分検討してまいりたいと思います。
○鈴木市藏君 いろいろこの問題について起きてきている原因は、日本の公認会計士が、制度としても、また個人の地位としても、企業に対して相対的な独自性を持ち得ないでいる、ここに問題があるのではないか。どうしても大企業なり、あるいは独占企業の下請機関化して、つまり投資家保護の本来の目的に沿った相対的な独自性をどうしたら発展させていくことができるか、ここに問題の中心があって、今回の法律は、一体この公認会計士の相対的独自性を強めるのに役立つのか、そうでないのかという観点が、一番大事だと思うのです。ひとり計理士の救済の問題とかというふうに問題を狭めて考えることは、私は正しくないと思う。この点について、法律改正の趣旨からいっても、当然公認会計士の社会的地位の向上ということばだけでは、私は不賛成で、当然本来の目的である投資家保護の立場に立って、企業との間に相対的な独自性を確保するということを、何らかの制度的な保障が必要な段階に来ているのではないか。この点について大蔵大臣はどういうふうにお考えになっていますか、ひとつ聞きたい。
○国務大臣(田中角榮君) あなたの言うとおりの目的を達成するための公認会計士の制度ができたわけであります。これは御承知のとおり、いままでは商法の規定に基づきまして、監査役が選任をされて、監査役の証明があればよかった。そのほかに株主権の擁護のためには、帳簿閲覧その他の法律的規定がございまして擁護しておったわけでありますが、今度は少なくとも証券取引法に基づきまして公認会計士の監査証明を経なければならぬと、こういうことになったわけでありますから、制度の上では世界先進各国のやっている制度と同じ制度をとっているわけでありますが、実情を見ますと、監査役よりも公認会計士というものは独立しておるというたてまえで、公認会計士にウエートを置いていることは事実であります。
 ところが、公認会計士というのが、実際においては、その一つの、東電なら東電という会社を一つ監査するとしたならば、あの膨大な機構を一人や二人や三人でやれるわけがないのであります。しかも、会社理事者が決算報告書をつくって、それから総会までの間の六十日間でもってやるとか、こういうことになったら、これは非常にむずかしい。むずかしいけれども、いままでの監査役というような、同じグループの中の人を監査役にやったり、取締役にやったりということよりも、制度の上で、別な立場で監査ができると、こういうことであります。これはこれらの立場からいいますと、公認会計士というのもやはり、アメリカのように何百人もスタッフを持って、そして徹底的にやると、そういうことになると、いまの報酬一件四十万円、まあ四十万円ぐらいでやれるわけがない。世銀その他から来ておるものの公認会計士的な事務を見ますと、膨大なほどのスタッフを持ってきて、日本人をてこにしながら、相当な監査をやります。同時に、自分たちが提示をした方式に全部計算をし直して出すと、こういうことさえもやっておりますから、そのかわりに一回の監査に何億も報酬を取る。こういうことであって、将来はそうなるべきだと思います。将来は、そうでなければ、公認会計士制度というものを実際に価値あらしめることはできないし、また証券取引法に基づく投資者の保護にもならぬわけですから、徐々にそうしなければならぬ。一ぺんにこうしなさいと言ったところでなかなかできるわけがないのであります。でありますから、判こだけ貸して、ちょっと決算書を見たものであったら、四十万円も高いということを言われます。それはとにかく、東電を四十万円でやれといっても、やれるものではありません。四千万も五千万も一億ももらわなければ、それはとてもやれないという事実がございますので、こういう問題に対しては、公認会計士制度を完璧にしていくことによって、私はだんだんと日本にふさわしい公認会計士制度が完備されていく、こういうふうに考えておるわけでございます。
○鈴木市藏君 そこで、相対的独自性というのは、私は国内における企業だけじゃないと思うんです。要するに外資が入っている日本の企業に対しても同様だと思うんですよ。特に最近は外資の入った会社には、特に世銀関係では向こうから来ておって会計検査をやっております。聞くところによると、東芝でもやっているらしい。東芝なんかではゼネラル・エレクトリック、ウエスチング・ハウスという世界的な競争会社があることは明らか。ところが、こういうアメリカの公認会計士が入ってきて数カ月にわたって微細に会計検査を行なうわけですね。おそらく平重役や日本の銀行より以上に精密に東芝なら東芝の実態を探り当てていく、そうしてどんな製品が今度つくられるのか、どういうところから金を借りておるのか、どうやるのかという会社の全貌はすっかりつかまれるわけです。私はえぐった言い方をすれば、高度の産業スパイの役割りも果たすだろうと思うんです。ですから、日本の企業がやはりどうしてもそういう意味からいって真に自主性を持つためには、この公認会計士制度が同時に外国のそれと対しても相対的な独自性を持って、自主性を持って、日本の企業に関するところの会計は外国の公認会計士の口ばしは入れさせない、われわれ自身がやるんだという、こういう自主性と相対性を持つようにしていかなければならない、ここを言っているんです。そのために、私はやっぱり世銀借款の条件じゃないと思いますし、外資の条件じゃないと思いますので、こういう点について外国のつまり公認会計士がのこのこ日本に出てきて大手を振って日本の企業を調べるといったようなことに対しては、政府もひとつ相当決意を持ってやるようにしてもらわないといけない。これをひとつ、自主性と相対的独自性をしっかりと今後の指導方針の中に入れていただきたい。
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○成瀬幡治君 私は、本法律案に対しまして賛成をいたします。
 もともとこの法律案は、三十六年の公認会計士審査会の答申が大体においてそのまま盛り込まれておるという点は私たちも認めます。他面、こうした審査会が設けられたところが、いつもの例によりますと、大体政府は自分の都合のいいところだけとって形式的な審査会の答申を受けておるというようなものが過去の実例であったんですけれども、今回はそうしたものではなくて、大体において取り入れられておるという点に、われわれはまず第一に賛成の理由を見るものでございます。
 それから、いままで計理土間の問題は、一応この法律案がと申しますか、会計業務に関しまして公認会計士制度が昭和二十三年にできまして、そしてそのときに計理士法を廃止する。しかし、それに関しては二十九年の七月までに十一回特別試験等を行なって、もうこれで解決されたんだ、こういうことになっておったんですけれども、その特別試験には、御案内のとおり、計理士のほかにこうした会計業務等に関連をされておる学識のあるお方等も試験に受かられるというようなことで、しかし、それが昭和二十九年の七月で打ち切られた。そして現に計理士というものが、その後も存続と申しましょうか、変な形で残ったわけですが、今回は政府のほうもきつい決意のもとに、しかし計理士会とは十分納得のしで、昭和四十二年の三月三十一日までに、向こう三カ年間に五回の特例試験を行なう。しかも、これは計理士だけを対象だ。しかも、その試験内容等は、あくまでも、片一方では大衆の零細な投資を保護育成する、そういう立場において公認会計士というものができておるわけですから、そういうこと等に対しても本末を転倒せずにやるんだというような点も、いろいろと試験制度その他において配慮されておるようであるから、そういう点に関しまして、まず第一に計理士会との間の問題がこれによってピリオドを打たれるという、こういう意味合いにおいて、われわれは二つ目の賛成の理由として申し上げたわけでございます。
 しかし、この法律案に関しましては、ただいま木村委員、あるいは天田委員、その前に野溝委員等から指摘された、いかがわしい文書等も出ております。そこで、この処理の問題に関して、いろいろ大臣の御答弁を聞きますと、適切な処置をする、こうおっしゃいます。慎重な配慮とおっしゃいますけれども、何らかの処置をされないということは、逆にいえば、高木何がしというものに、個人的に開き直られたら困るんだというような弱みがなきにしもあらずということになると思う。ですから、私は、適切な処置ということは、何らかの処置があるということをわれわれは期待をし、当然そうあってしかるべきだ。煙は立ったけれども、そこには何らくさいものはなかった、こういうことが完全に行なわれるものと、こういうことを前提にして実は賛成をするわけでございます。
 そうして、しかも、この法律案を審議する過程におきまして、自由民主党、社会党、民社党、あるいは公明会等から、次の共同提案になるところの附帯決議を付して実は賛成するわけでございます。そこで、念のために附帯決議案を朗読を申し上げます。
   公認会計士特例試験等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  公認会計士制度に対する社会的要請にかんがみ、政府は、昭和三十六年三月十五日の公認会計士審査会の答申を尊重し、公認会計士の業務の拡大と活用について一層の配慮を払うとともに、公認会計士協会と十分な意思の疎通を図り、公認会計士の地位と監査水準の質的向上を図るよう努力すべきである。
  右決議する。
 この附帯決議案を付して、賛成討論を終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。公認会計士特例試験等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(新谷寅三郎君) 多数を認めます。よって、本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 次に、討論中に述べられた成瀬君提出の附帯決議案を問題に供します。成瀬君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(新谷寅三郎君) 多数と認めます。よって、成瀬君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し発言を求められておりますので、この際これを許します。田中大蔵大臣。
○国務大臣(田中角榮君) 公認会計士の本法の審議中に御発言がございました問題につきましては、先ほど申し上げましたとおり、慎重かつ適切な処置をとりたいと存じます。また、この附帯決議につきましては、決議の趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
○委員長(新谷寅三郎君) なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行ないます。御質疑のある方は順次御発言を願います。
○成瀬幡治君 国民金融公庫関係の方がお見えになっておると思いますが、まず最初にお聞きいたします。
 これはこの委員会でもどなたかから発言があったかと思いますが、生業資金を貸す場合に、事業計画書はもちろんこれは出さなくちゃならぬと思いますが、根本は、返済がされるということも大きな条件になる。そこで、かりにこの法律案が通ったときと通らないときの根本的な違いはどこにございますか。
○参考人(酒井俊彦君) 法案が通りました場合には、二十億の出資をいただきまして、その財源の範囲内において御承知の農地被買収者に対する貸し付けをいたします。その場合に一般の貸し付けとどこが違うかと申しますと、結局五十万以下の金額につきましては金利を年六分五厘、据え置き期間を一年つけるということでございまして、その他につきましては、一般の普通貸し付けと同じような審査をいたします。それ以上特別に、普通貸し付け以上に何らかの措置を講じて、返済が怪しくても貸す、こういうことではございません。
 もちろん、私どもは政府機関でございますから、一般の金融機関のように厳重な担保は要しません。保証人で原則としてけっこうでございます。百万円をこえますと、原則として担保をいただきますけれども、保証人でけっこうでございますし、それも困難な場合には、保証協会の保証でもけっこうであるというような、条件が一般の金融よりも非常に楽になっておることは事実でございますが、これは何も農地被買収者に対する貸し付けだけに限ったことではございませんで、一般の貸し付けと同様でございます。
○成瀬幡治君 問題は、地主のお方で、土地を供出と申しますか、買収をされて、生活困窮の者が出てきた、そういう人たちが生業をやる場合に金を貸してもらいたいのだ、こういうわけです。ところが、いまお聞きしますと、問題はその貸し付けを受けられるかどうかというところがポイントなんですね。それには何ら特典がないんだとあなたがおっしゃるように、だれが行ったって百万円以下は保証人ですよ、百万以上借りれば担保になる。何ら私は違いがないと思う。おっしゃるように、確かに金利の点で五十万円以下は六分五厘にする、大体国金の利率は九分八厘程度になるわけですが。ですから、問題は、いま生活に困っておるいろいろな人たちが云々する場合に、特別にそういう人たちに金を貸すのだ、こういうことはないわけですね。そこを私は明確にしてもらわぬといかぬと思うのです。
○参考人(酒井俊彦君) 生業資金でございますから、非常に大きなものはいたしませんけれども、生業に関する小口事業資金ということに限定されております。法律の十八条にも明記されておりまするように、生活困窮者に対する救済であってはならないということは、限定されております。金融でございますから、もちろん救済という意味でやるわけではございません。したがって、生活困窮者というその程度でございますが、いわゆる社会保障を受けなくちゃならないような、そういう生活困窮者というものを対象にしておるのではございませんで、一般の庶民の小口事業資金であると、かように解釈しておりまして、審査の方法等につきましては、普通貸し付けと別段変わったことは考えておりません。おっしゃるように金利と据え置き期間を置くというような点において、金融をいたしておるわけでございます。
○成瀬幡治君 まず、この法律案が通ったら、何か被買収者の方たちが、生活困難の方たちが、何か国金からすぐにお金が貸してもらえるかのごとく幻想を持ってみえるわけなんですよ。ところが、いま副総裁が言われたように、その貸し付けは何ら差別がないわけなんです。借りたい人だったらだれでも行って国民金融公庫を利用できるわけなんですよ、この法律があるなしにかかわらず。ただ違っておるところは、副総裁が指摘されるように、五十万円以下は一年間の据え置きを置いて、そして利子が二、三分違う、五十万円以下の場合。ただその違いなんですね。ところが、いま言ったように、被買収者はこれがあったら何かできるのだという幻想を持っておられるのでありますが、その幻想は間違っておられるということはおわかりでしょうか。大体そういうことを予定してこの法律案をお出しになっている。被買収者を救済するのだ、そういう趣旨じゃなくてお出しになっているのじゃないかと、逆にも受け取れるわけですが、どうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほど酒井副総裁から申し上げたとおりでございます。五十万円以下は六分五厘、それから一年据え置き。その原資は、よそから使ったと言われては困るから、一般会計から出資をする、こういうことであります。これは被買収者であって他の金融機関から生業資金を借りられないという人に対してワクを設けよう、こういうことにすぎないのであります。
○成瀬幡治君 大臣は何か十二時半までだというお話でありますから、あと十五分くらいございますが、大臣にお尋ねしておきたいと思いますが、昨日、あるいはその前の御答弁等も、なぜこういう法律案を出したかという点について、先取得権を認めなかったために転売等が起こったからということ、もう一つは、安い値段で当時御協力を願ったのだからやるというような、あるいは利得税を課せばよかったけれどもようやらなかった、そんなことをおっしゃったような……。問題は二つに理由はしぼられるように思います。そこで、しかし、農地解放が行なわれたということの価値は、日本の民主主義を大きく確立したということとも、あるいは当時の食糧事情の非常に困難なものを克服する上において私は大きな成果があったというふうにも、われわれは解釈をしておるわけでございます。そこで、あなたは安い値段だ安い値段だ、こう言われるが、値段のことについて一言お聞きしたいのですが、あの当時何の算定をしたら適正な当時値段であったというふうにお考えになっているのか。昨日も野溝委員から、あのときにはいままで高い小作料を取ったのだからそれを引いてもいいんじゃないかという、そういう意見もあったことは確かだ。しかし、あなたが安い安いと、こうおっしゃるなら、当時適正値段を算定する上におけるところの基礎資料というものは、こういうものとこういうものとこういうもので算定をしておったらこういう問題は起こらなかったであろう、こういう逆にいえば問題が出てくると思いますから、そこで、あなたが当時安い値段だとおっしゃるならば、当時適正な値段というものは何と何と何とを基礎にして算定をすればよかったのだ、こういうことになると思いますから、その点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) あまり私は安い値段だというところにウエートを置いておりません。これは何かのお間違いのようです。そうではない。それは三百円とか七百円とか、最高でも九百円、こういうことで売買をされたわけであります。これも一ぺんに現金を払わないで、証券で払ったというわけでございまして、もうその期限が来るまでに急速なインフレでもってただに近い金額になってしまったということは、農地を解放された皆さんが言っているので、私はそう考えておるわけではないのでございます。私は、最高裁判所判例をそのまま政府として支持をいたしております。こういうまあいろいろな問題はあるでありましょうが、これに対してはちゃんと代価は払われたという原則に立っている。
 ただ、自作農維持創設ということで自作農をつくるためにこれを解放しておきながら、昭和二十九年に法律を改正しまして、これを他に転用してもよろしい。そのときにはその何百倍になっておったというところに、当然自作農を創設するために解放したのだから、自作農以外に転売するなら地主に返す、こういう法律があれば一番よかったのですが、そうでなく、救済のほうは全然考えないで、ばんと他に売ってもよろしい。しかも、それは目の前で非常に高く売れておるわけであります。そういうものに対して政府が何らかの補償もしくは報償をしてくれない場合には、民主主義でございますから、議員さんにでもよくお願いをして、議員立法をしてもひとつ売買利得税を取ろう、その税金をもとにして農地被買収者に還元をしてもらおうというような動きがあったことは御承知のとおりなんです。また、そういうことでいま大阪周辺等で争われているものが相当件数あるわけであります。こういうことは結局、民族の中で争いを起こすと、こういうことはよろしくないことであって、財源というもの、いわゆる売買利得税などを取ることはできないと、こういうことであります。しかも、現在法律をつくって取るということにした場合、早く売ってしまったものはこれはどうなるかといったら、不利益は遡及できないわけでありますから、これはどう考えてもどうもそういうことをするのはむずかしい。
 では、政府が解放するといって買っておりながら、政府が解放しないで現在そのまま何かに使っておるというのも一あるから、せめてそれを売って返したらどうかと。それだけでも当時の地主に返したらどうかと。自作農維持創設に使っておらぬじゃないか、こう言うのですが、それも返そうと思っても、その上に家が建っておったり、また人が小作をしておったり、なかなかそう返せないのです。いままで解放したもので、政府が持っておった人たちにだけ返して、おらなかった大多数の人に返さぬとなると、そこに不公平が起きる。なかなかどう考えてもむずかしき問題であります。
 その意味で、より高い立場から静かにものを考えたときに、まあひとつ農地報償をやるか、もしくは工藤調査会の答申にもございましたように、せめて生業資金を貸せるような道を講ぜよというような答申をいただいておりますので、答申に対しては尊重をする政府でございますので、それを尊重してひとつ国民金融公庫法の改正案を出したと、こういう事情でございます。
○成瀬幡治君 大臣、あなたのおっしゃった安い値段のほうは影が消えちゃって、これは理由から落ちました。私がお聞きしていますと、先取特権の問題がどうもあるようです。とするならば、使っておられたのは問題にならない、こういうことなんですよ。いま現に、小作の人が解放を受けて、その人が農地そのものに使っておられれば、問題はないということになる。理由として、先取特権は。他に転売したというところに問題があるとするならば、それだけに限定をされるということでよろしゅうございますか。
○国務大臣(田中角榮君) そういう問題だけじゃございません。いろいろな問題があるわけであります。この問題はひとつ、いまの国会に農地報償法案なるものを出しておりますから。この所管は総理府の総務長官がお答えをすることになっております。でございますので、それはひとつ総務長官がまた機会を見て、政府を代表して御説明を申し上げると思います。
 私がいま申し上げておりますのは、昭和三十七年の五月に工藤調査会から、政府は金融措置を講ぜよと、こういう答申がございましたので、この答申に沿って国民金融公庫法の改正案を三十七年から出して今日まで御審議をいただいておると、こういうことでございますので、付上御了解いただきたいと思います。
○成瀬幡治君 あなたは――あの法律案は二十三日の日に提案をされたようでございます。しかし、まだ委員会等に付託されておりませんからね。これは付託されれば、当然この法律案を審議する上においては、委員会に総務長官等の御出席を願い、また池田総理等の出席もお願いして審議をせなきゃならぬと思いますけれども、しかし、全然この法律案と無関係というのじゃないのです。もうすでに片一方では大部なものが出ております。お金にしてみましても、たいへんなものが出てきているわけです。そこで、閣僚の国務大臣の一員として、私は、こういう問題について当然、それはおれの責任じゃない、知らぬよということでなくて、そういうときは国務大臣としてのあなたは肩書きがあるわけでありますから、御答弁を願わなければならないと思うわけでございます。
 そこで、話をもう一ぺんもとへ戻しますが、あなたがより高いところだとか静かだとか、まことにりっぱな形容詞を使われますが、そういう形容詞で事を解決するのでなくて、やはり理論的にわれわれはものを処していかなくちゃならぬ。そこで、もう一ぺんくどいようですが伺いますが、先取特権というところにこだわられるなら、特別な理由を見つけられようとするなら、転売をしたものだけが対象になるんじゃないかと。そういうことにならないということは、どうも幾らあなたが、静かにとおっしゃっても、より高いとおっしゃっても、高かったり静かだったりじゃわかりませんから、これはやはり説明をしていただかなければならぬと思います。ですから、どうしてもそれに理由がある、第一のしかも重大な理由があるとおっしゃるなら、その点はやっぱり説明をしていただきたい。
○国務大臣(田中角榮君) 農地解放という問題につきましては、もう私が申し上げるまでもなく、いろいろな問題がございます。これはメモ・ケースのものであったとか、しかもそれが非常に急激なものでありましたので、その自作農維持創設ということがあまり徹底をしないで、相当出先といいますか、当時の農地委員会が独断的にやったとか、もうこれは追放令と同じことなんだと。まあ、いろいろな問題がございます。それと不在地主というものの定義、この中には制度の上で、A村の出身の教員がA村でなくてB村、A村以外に勤務する、これは公平の原則ということでそういうことがあったわけです。そのときに、わずか隣村に勤務をしておったがゆえに、不在地主として取り扱われた。その中には、とにかくある地域に対しては、御承知のとおり農業施設ということでもって家まで解放した。それで、最も大きいのは、二百六万人、百八十八万町歩のうち五二%は五反未満の零細なものなんです。これはそのまま自作農なんです。それでもなお足りない、反別面積は。これは大多数が、戦争に行っておって、応召でもって帰ってこない、そういう事実がありながら、不在地主として判断された。社会的にいろいろ問題が存在していることは世間周知の事実であります。そういう問題がございます。
 その上なお、現金で直ちに払わなかった。それが現金化されたときには、もうほとんど非常に低い価値であった。いろいろな問題があって非常に……
○成瀬幡治君 安い価値は、もうあんた理由から消えたんですよ。
○国務大臣(田中角榮君) まあそのいろいろな理由があるということをあなたも御存じでありますから、そういうことも申し上げているのであります。でありますから、農地補償をしなさいという動きがあったわけであります。しかし、これは最高裁の判例に基づきまして補償問題は消えて、政府もその後何回か予備費を使ったり、また調査費をつけて検討した結果、今日のように報償法案を提出しようというところで国会の審議にゆだねているわけであります。
 その前に、これはもう国民金融公庫法というものは、三十七年の五月に出た俗にいう工藤調査会でもって、やるべし、こういう結論に基づいて出したものが今日まで来ている、こういうことであります。ですから、この国民金融庫法につきましては、もう理由も何も、ただ工藤調査会の答申どおり出しましたと、こういうことでございます。あとの農地報償という問題は、この国民金融公庫法とはしいて関係はございません。また、その農地報償もいかなる理由で出したかということで、政府の統一見解もまだきまっておりませんが、これは国会の御審議のときまでに十分統一見解も出し、もっとなぜ政府が報償するのかということは明確に御答弁申し上げられるような段階にいたします。御了解を願います。
○成瀬幡治君 熱心に御答弁いただくわけですが、どうも何だかよく内容がわからなくて困るわけですが、大臣がまあ時間が来たらと思うようなことで、しっかりわかりませんですがね。
 あなたね、五反未満の云々と言うけれども、メモランダムには御案内のとおり四反でしたね。それをいろいろと折衝して、大体八反まで、これを四反を八反にしたということで、そういうメモランダムがあったということも承知しておりますが、そのメモランダムの中には、四反だったということはわれわれも承知しておるわけですから、それを八反にいろいろ折衝してそれを引き上げたのですが、何か五反未満が五二%もあってかわいそうだとおっしゃいますが、そういうことは、アンバランスは、他にもわれわれはきのうも指摘したようにあるわけです。
 たとえば銀座の立ちのきをやった、前を取られちゃったために商売もできなくて、引っ越さざるを得なくなっちゃって、住む家がなくなっちゃって、盛大にやっていたところがやれなくなって、裏長屋におった人が正面に出ちゃって、一等地になっちゃって、そこで盛大にやっているという、そういうアンバランスが出ておる。それも道路拡張というひとつの公共の福祉のためには涙をのんでいただかなければならぬ、こういうところではないか。それでは、こういう人はどうするかと言ったら、それは社会通念として、そういうものに対してはやらぬじゃないか、こういうようなことをあなたもおっしゃっておるし、われわれもそれを認めておる。とするなら、どう考えてみても、理由はやはり先取特権にしぼられてくるように私は理解するのです。
 あなたはどうも、そうじゃない、それは不在地主の解釈がどうだとか、応召の者だとか、この間のときは戦犯がどうだとかおっしゃるけれども、巣鴨の戦犯には恩給が通算され、ソ連に抑留された者に対しては恩給通算もないわけだ。こういうばかなことを自民党政府がやっておる。だから、賀屋さんたちは恩給通算された。ところが、何も知らずに応召して、ソ連に抑留されて、シベリアに抑留された者は恩給通算も何もないというような、こういう不合理なことを平気でやってきた政府なんです。それが今回またおやりになる。
 しかも、片一方では今度は、工藤調査会が云々だからそれは工藤調査会だと。農地補償のことはやっていかぬということを工藤調査会は答申しておるのですよ。あなたは都合のいいほうは引っぱって、都合の悪いほうのことはやらぬという、こういう二足のげたというのですか、あまり器用なことをやられては、わしらは困る。筋を通すなら筋を通すで通さなければならない。これは工藤調査会というなら、国の農地補償は一切やらぬ、こういうことになってきて初めて私は筋が通ってくると思うのですが、どうですか、これは。
○国務大臣(田中角榮君) 「なお、農地改革が被買収者に与えた心理的影響が強く残っていることは調査の結果からも明らかとなっているが、それにしても、巨額な金銭を被買収者に交付することは諸般の情勢上適当でないとする見解が多かった。ただ意見の相異がある状況にかんがみ、これについての本調査会の結論を差し控える。」、こういう答申でございます。でございますから、何も私は必要なものを、調子のいいものだけ引っぱって調子の悪いものはやらない、こういう考え方は絶対ございません。国会の権威に対しては非常にまじめな立場で答弁しておりますから、どうぞ国民金融公庫法のほうにしぼっていただきまして、農地被買収者の問題は、これから大議論になると思いますので、そのときまで十分勉強しまして、明確にお答えをできるようにいたしておきたいと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) それでは、午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十五分休憩
   ――――・――――
   午後二時九分開会
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから委員会を再開いたします。
 税理士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより本案の質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○堀末治君 お尋ねいたします。今度のこの税理士法の改正は非常に大きい問題だと思うのですが、私自身非常にどうかと思う点は、つまり税務職員としておった人が二十年ないし二十五年にはほとんど無試験で資格をもらえるのですね。そういうことになっているでしょう。二十年ないし二十五年おった人は無試験で税理士の資格を。そうでないですか。これはどうなっておりますか。
○政府委員(泉美之松君) お答えいたします。従来の制度は、税務職員につきましては、所得税、法人税の事務を担当いたしております者は十年、それ以外の職務を担当いたしております者は十五年たちますと、税法の免除の制度があったわけでございます。それから、国税におきまして二十年、地方税におきまして二十五年以上つとめておりますと、特別試験の制度があったわけでございます。今度の改正におきましては、一般試験の十年ないし十五年の場合の試験免除の制度をやめまして、そのかわり、国税の職員でございますと二十年、地方税の職員でございますと二十五年以上つとめておりまして、さらに管理職的な地位に五年以上つとめておったという者につきましては、簿記及び財務諸表につきまして口頭試問による試験を受けまして、その結果税理士となる資格があると認められる者につきまして、認定によって資格を与える、こういう制度になっておるのでございます。
○堀末治君 そうすると、二十年ないし二十五年おったのは、要するに、特別試験ですね、普通の一般の人と同じようなやり方をしない試験だ、そういう意味ですか。
○政府委員(泉美之松君) ただいま申し上げました簿記及び財務諸表に関する口頭試問を特別試験というふうに申しますれば、そういうことで一般の人の試験とは別のコースをとるわけでございます。そういう意味では特別試験と言えるかと存じますが、従来特別試験と言ったものとは内容が違っております。その点はことばの使い方でございますが、一般試験を受ける人とは違った試験という意味では特別の試験と申してよいかと存じます。
○堀末治君 その試験のその問題等、あるいはしかた等は、やはり一般に受ける人と同じようなケース、形式をとるのですか、やり方をとるのですか。
○政府委員(泉美之松君) 一般試験の場合におきましては、予備試験と本試験とがございまして、その本試験の中にさらに一次試験と二次試験とに分かれておりますが、いま申し上げました税務職員で二十年あるいは二十五年の経歴を持っておって、さらに管理職的地位に五年以上おった者につきましては、口頭試問でございます。筆記試験でないという点に違いがあるわけでございます。
○堀末治君 そうすると、特別試験というのは、二十年ないし二十五年の人は口頭試問だけですね。
○政府委員(泉美之松君) さようでございます。
○堀末治君 これは私のいままでの経験からいうと、この法を施行してからでなければほんとをいうとわからないと思いますけれども、実際は直税を二十年、二十五年やった人ならば、これはかなり直税はわかるかと思いますけれども、実際、失礼だけれども、間税だけやった人は直税の関係のほうは明るくないですね。大体いまの大蔵省の諸君は直税は直税、間税は間税として別に養成してきているのですね。最近はそうなっているんじゃないですか。
○政府委員(泉美之松君) 税務職員の仕事を、なるほどお話のように直税、間税、あるいは徴収、こういうふうに大きな系統がございますが、しかし、最近におきましては、どれか一つ直税なら直税さえ知っておればいいというふうにはまいりません。世の中がだんだん複雑になってまいりまして、間接税を担当いたしておりましても、財務諸表がわからないと必ずしも間接税の課税にあたって十分でない。そういった点がございますので、いまの制度といたしましては、できるだけ直税、間税、それから徴収、それぞれの仕事を相当長い期間分担してやっていく、そうしてどれか一つだけしか知らないというような職員でなしに、全部のことがわかるような職員を養成する、こういうふうにやっておるのでございます。
○堀末治君 最近の御連中のことは私もあまりよく知りませんのですけれども、私の古い経験からいうと、失礼だけれども、いままでの直税の人はなかなか間税のことはわからない。間税の人は直税のことはわからない、実際いうと。同じ二十年、二十五年を経験しても、間税ばかりで育った人など、どうせ試験をしましようけれども、なかなか試験は満足に受けられるものじゃないと思うのです、いままでの私の知っておる経験からいうと、間税のお方々はね。だから、そういうことを、はたしていま言われたとおり、こういう制度をやっていいかどうかということを非常に思うわけです。
 しかも、ここに私のところにこういうパンフレットが来ておる。このパンフレットは、どっちかというと、わが党の衆議院議員の人がわざわざくれた。要するに、「一般試験合格者三%の中には、税法三科目を免除された税務職員が多数含まれており、」ということで、わざわざこのパンフレットが私のところに届けてある。しかも、税法をやった人なんです。わざわざこういうものをくれておるのです。どうもこの人方も私と同じような、そういう疑問を持ちながらも、どうせきめたことだからというので、やむを得ず賛成してよこしたということじゃないかという私は疑問を持つのです。いかがですか、一体。
 それから、こういうことがありますが、ここにいろいろあるのですが、「一般に理解されているよりも極めて厳しい試験であります。大学卒後、相当な実務経歴のある者で六、七年の激しい勉強を必要とします。昨年の例ですと、三十人に一人約三%の競争率、一万八千名受験老中、全五科目同時合格者はわずかの二名であります。しかるに税務職員に対しては、この試験の外に、九〇%合格という形ばかりの特別試験を当分の間として施行しています。」、こういうようなことを言ってきておる。私はいまこれを見たばかりですから、この内容はよくわかりませんけれども、私の知っているいままでの税務署の方々の間税、直税などということから考えるというと、最近は、いまおっしゃるように、そういうような養成といいますか、訓練のしかたをしておるか知りませんけれども、要するに、もとの間税の職員だというと、ほとんど直税のことはわからないのですね、実際は。そういうことですから、この九〇%という中にそういう方々が多数おるということになると、この税理士というものの資格にとって非常に大きな欠陥が出ると思うのです。
 ことに、そうでなくても、中小企業あたりが、要するに税金攻勢にはほんとうにおびえておる。これは中小企業の連中の要するに帳簿がへたな点にもありますけれども、要するに税務署の調べ方も、まあ緻密だといえば緻密だけれども、言いようによっては少しきびし過ぎると私は思う。私も現に、私自身はやっておりませんけれども、私のあずかっておる会社でも三つばかりいつもやっているけれども、私は遠慮なしに理論闘争せいと言っておりますが、やるものは熱心にやっておるが、いくじのないものは押されて、こんなものまで交際費に認められないのかと言ってやる。私、一々そんなことは申しておりませんけれども、その職員にはそう言っておるのです、実際いうと。これはいずれ来年は要するに法人税等の改正もありましょうから、そのときは私も、要するに交際費などについては、もう少しあなた方の御意見は聞こうとは思っておりますけれども、これらに対しても非常に私はきびしい。そういうようなわけですから、この中小企業の諸君は、とにかくにも、いま言ったとおり税務の検査というものにほんとうにおびえ切っているのですよ。それですから、よほど、行く職員の人も、その下情に通じた、親切な人でなければならないし、同時にまた、その人方が頼む、たとえば税理士でも、よくそれらの事情に通じて、そして税務署と円満に話もしてやってくれる人でないというと、ほんとうにいま言ったとおり、税務行政は満足にはいかないと、私はかように思う。ことに、こういうように、いま言ったとおり、一般の税理士を志す人が少なくなって、要するに大蔵省上がり、税務署出身の人ばかり多く出るということは、私は税務行政が決してよくいくゆえんではないと思う。そこで私はこういうことを尋ねている。
 せっかくわが党がこれに賛成してよこした案ですから、あまりしつこく尋ねたくないのですけれども、どうも今度の案には少し、あなたさん、こう言うては失礼だけれども、税務官僚なりあるいは大蔵官僚の勢力を広げるために、独美的につくったような感じを私は受ける。
○国務大臣(田中角榮君) これは御指摘でございましたが、大蔵省の官僚だけでつくったものではございません。これは特に私が大蔵省に参りましてから、いままでのこれらの問題を十分検討し、外国の例も見まして、それから日本の国税庁の職員、いわゆる徴税機構の中の職員が、一体世界先進国と比べて恵まれておるのか、どうか。また、処遇という問題だけではなく、現実に職を離れた後にどういう待遇があるのか。また、どういう資格を認定され、どういう技術的なレベルにこれを評価しているのか、というような問題を全部検討いたしました。その後答申がございまして、税制調査会の答申がございましたので、これらの問題に対して、私はただ税制調査会につきましては、私も参りまして、徴税機構に携わる人たちの問題の答申を願うということで答申を得たわけでございますから、これはもう主税局の人たちが中心となってこれをまとめたというだけのものではないのでございます。
 それから、まああなたは御専門で、事実に基づいていろいろ御指摘されておりますが、税理士制度の将来というものが、徴税機構と納税者の間に入って、より円満に納税が行なわれるようにということをこいねがって、まあ税理士の制度ができておるわけであります。ところが、御承知の法人の数だけでも七十万から八十万というところでございますが、税理士の数そのものから考えましても、そう多い数ではございません。でありますから、実際において税理士の皆さんが業務を代理してやったり、いろんなことができないというために、まあ民商問題が起きたり、いろんな問題が起こるわけでございまして、私は、税理士というものは制度として非常に発達してくることによって、国民の利益を守れるという考え方に立っておるわけであります。
 それから、国税庁の職員が今度の改正案でいろいろな資格を得るということでありますが、これはアメリカでも、西ドイツなどでは全く自動的に税理士になるような制度になっております。今日のこの法改正をしまして、一体何人ぐらいその資格者になるのかということになりますと、数は非常に少ないものであります。これもあとから事務当局からお答えをいたしますが、何百人というようなものしか何年間の間になれないというくらいなものでありまして、これをもって国税庁につとめた職員は全部やろうとか、それから地方公共団体につとめました税関係の人たちが非常に大幅に税理士になれる、というような状態ではないわけであります。
○堀末治君 これね、いまの大臣の答弁でだいぶわかりますけれども、しかし、まあいまお聞きすれば、米国もそうだし、西ドイツあたりもそうだ。それは他国のことはけっこうでしょう。しかし、必ずしもアメリカにあるから、ドイツにあるから、そのとおりに日本はまねてもいいということではない。ことに日本は、どちらかと申しますと、最近は人手不足で騒いでおりますけれども、しかし、一時は、要するにずいぶん就職難で騒いだ時代もあるのです。したがって、こういう方面に職を求めようという行年もずいぶん多いわけですね。せっかく勉強したはいいが、要するに大蔵官僚のほうが頭にどんどん行っちゃって、自分らが取り残されるということになっていったのでは、まことに不公平千万だと思う。そういうことに対して大臣は十分にお考え願いましたかね。
○国務大臣(田中角榮君) 十分考えました。これはもう国税庁の職員とかいろいろな人たちがたくさん税理士になるということで、いままでの税理士そのものの事業が制約されるというようなことがあるのか。それはそうではなく、絶対量が少ないというのは御承知のとおりであります。でありますから、それを国税庁や税務署が法規裁量という意味で、公平に事実の探求をやるということになりますと、それに対して、税理士というものに対してあまり頼めない人たちもいろいろあるわけであります。これはやはり税理士というものが徴税機構と納税者の間に入ってより円満にやろうということになれば、医者のようにいつでもかけ込める、いつでも相談できる、こういうことが制度上あるべきであります。しかし、現在はそういう状態にあるかというと、そういう状態にまでははなはだ遠い状態であります。
 でありますから、私は、公認会計士でも、税理士でも、制度も確立され、優秀な人材が資格を得られて、そうして納税者と国税庁の間に入って納税者の代理をして、遺憾なき円満な納税が行なわれるとしたならば、私は、税理士制度というものはむろん拡充すべきが当然である、またそうなければならぬ。そうなれば、私は、国税庁自身が行ったり税務署が行ったりして、税務料が来たというだけでもってもう頭が痛くなるというようなことがなくなるので、それをなくすには、媒体というか、税理士の制度を拡充していかなければならぬわけであります。
 でありますから、今度の法改正をお願いしておるわけでありまして、必ずしもこの制度をつくりましても、先ほど申し上げたとおり、実際に税理士になる人はどのくらいあるか、あるいはまた有資格者はどのくらいあるかというと、そう変わりはないのでありまして、五カ年間で何百名あるかないかというような状態でありますので、国税庁の職員を全部税理士にしようというようなことでは全然ないわけであります。
○堀末治君 いまのお話、わかりますけれどもね。これは何ですか、同じ日本の官庁がいろいろありますが、こういうような、要するに官庁職員で、一極の特権ということばが当たるかどうか、一種のいい権利がもらえるようなかっこうになるのですが、他にそういうところがありますか。
○政府委員(泉美之松君) まあいわゆる士のつく自由職業につきまして、その仕事に長く経験を有しておった者が資格を得るという制度といたしましては、御承知のとおり、弁護士、計理士、行政書士、司法書士、弁理士、そういったようにそれぞれ士のつく自由職業についておる者があります。
○堀末治君 主としていまあげたのは法務関係ですね。法務関係が多いですな。
○政府委員(泉美之松君) 行政書士とか、それから公証人――公証人は法務関係でございますが、そのほか土地家屋調査士、そういった方もありまして、必ずしも法務関係だけではございません。
○堀末治君 私はけちなことを言うようですけれども、実際いうと、これは民間の会社なんかにつとめて、二十年ないし二十五年でやめて、退職手当はもらいますけれども、あとの職業につく要するに権利というか、特権をもらってやめるなんというのは、ほとんどないわけですね。おそらく官庁の中でも、ごく少ないでしょう。これはどうも、しかもやめるときになってくるというと、これはけちなことを言うようですけれども、退職手当、それにもっていって恩給の要するに特典があるわけです。
 民間の会社はどうかというと、退職手当は少し多いかもしれないが、要するに恩給などの制度があるのは、それこそ夜明けの昂ぐらいで、ほとんどない。これだって、その会社が隆々としているときは出せるけれども、今日のように、万一大きな会社でばたばたと倒れるときは、出せっこない。
 それでありますから、どうもそういう点においてもすこぶる、いま言ったように、何といいますか、特権というか、特別扱いをされるというようなことはないという私は気がするのですが、いかがですか。けちな考え方でしょうか。
○国務大臣(田中角榮君) まあ、けちな考えということではございません。これはもう大いに御検討を願わなければならないことでございますが、もう一歩進めて、税理士制度というものは何のために必要なのか、こういうことになれば、先ほど申し上げたとおりであります。そうすると、税理士となるに必要な人、また税理士として適当な人、その学力、その実務に対して適格者であるかないか、こういうことでありますから、だから、国税庁の職員とか税務関係に携わった人に特権を与えるという考え方の角度からではなく、いわゆる二十年も二十五年もその専門の仕事をやった人が税理士としての実際の適格者であるかないか、こういう判断で考えていただくことが正しい見方たと思います。
 そうすると、世界の例を見るまでもなく、私は、特に税務署なでにおった人は民間人になりますと、 いままでやったことが、これはもうもう少し魂を入れかえてやらなければならぬ、特にこういう気持ちになりますから、私は、資格があるかないか、適性を持っているかどうかということからいえば、適性に対しては問題ない、こういう考え方で、現行の制度もそうなっておりますし、これに対して管理職の規定を設けましたりいろいろなことをやったので、私はこれがもういまいろいろ税理士に非常に影響があるとか、また将来とんでもなく多数が自動的に生まれるのだとか、制度自身を根本的に破壊するものだとか、そういうものではないわけでございますから、事情をひとつ御了解をいただきたい。
○堀末治君 大臣の答弁としてはわかるのですよ。おそらく大臣が税務官僚であったら、それはこれよりもっとりっぱなやり方をするだろうと思うが、実際なかなかそうはいかないのが、われわれそれをよく知っておるから聞いているのですが、その点はこのくらいでやめましょう。
 それから、ただもう一つ、ぜひこの点だけを聞いてほしいという陳情を受けているのですが、この新旧対照表の中の六ページに「予備試験の免除」というところの四の中に、「前三号に該当する者のほか、本試験を受けるのに相当な一般的学力を有するものとして大蔵省令で定める者」、こういうのがあるのですが、これはいままでどおりの定め方をしますか、何とか改正しますか。
○政府委員(泉美之松君) 今度予備試験の免除を受ける資格のある者を大蔵省令で定めることになっておりますが、これはもちろん従前第八条の試験科目の免除制度がございましたが、それとはやや違うのでございまして、予備試験は申し上げるまでもなく本試験を受けるに相当な一般的学力を有するかどうかを判定することになっておりますので、その見地から、そういう判定を要しないような人は、ここにまあ例示としては、大学の卒業者であるとか、旧高等学校の高等科の卒業者である、こういったものがございますので、それと関連してきめることになるわけでございますが、たとえて申し上げますと、省令の中できめようといたしておりますものは、税理士業務の補助に従事した期間が五年以上であるとか、あるいは旧士官学校を卒業した者であるとか、あるいは…満洲国にあった建国大学を卒業した者である、こういった方が予備試験免除者に該当するということになるわけでありまして、現在の八条の試験科目の免除者とはやや違ったものになるわけでございます。
○堀末治君 これは私は商工会議所から陳情を受けておるわけですが、あそこでやっておる検定試験の簿記一級合格者に対しても、いままでは同じような扱いをしておるわけですが、ぜひ同様の扱いをしていただきたいということをこの機会に強く当局に要呈してほしいという陳情を受けておりますが、これは商工会議所は熱心にやっておりますから、やはりこういう要するに制度というか、やり方は助長するのがいいと思いますから、ぜひこれは希望を入れてくださるように、ひとつお願いをしておきます。
○政府委員(泉美之松君) この予備試験は、先ほど申し上げましたように、従来は受験資格を限定いたしまして、一定の受験資格を有する者でないと試験を受けることができないということになっておりまして、その中にいまお話しのように商工会議所で簿記あるいは珠算の検定をいたしておりまして、それに合格した人というのが入っておったわけでありますけれども、今回の試験制度はそういうふうに受験資格を限定いたしませんで、だれでも試験を受けることができる、こういう制度にいたしまして、ただ予備試験と本試験を受けなければならぬ、しかし予備試験については、先ほど申し上げましたように、大学の卒業者であるとかあるいはまあ相当の教養を認められるような人については必要がないということにいたしておるのでございます。その意味からいたしますと、いままでの簿記あるいは珠算の検定試験に合格した人ということは、これはなるほど珠算や簿記につきましては十分の知識経験があると思いますけれども、一般教養という面から見た場合とはやや違う角度になろうかと思います。したがって、そういう人々を試験免除をするというのははたして適当であるかどうか、問題ではないかと思うのでございます。
○堀末治君 よくこれは検討してやっていただくことを希望いたしておきます。
○成瀬幡治君 いまの堀委員のことに関連してくるわけですが、これは歴史的に見ますと、暫定措置として最初御案内のとおりたしか五年でしたね。それが当分の間となりましたね。それから三年ですか二年ですか、三年ですね、あくまでも暫定措置として出発したのが横すべり試験ですね。それが今度恒久化になってくるわけですが、この暫定で出発したのが既得権としてここへ出てきたという説明なんですね。今度のあなたのほうの提案理由の説明を見ますと、既得権ということばが使ってある。これは私の読み違いですか。あるいは違うかもしれませんけれども、大体そういうものの考え方になっておる。
 そこで、評定という歴史的な出発なんですね。そういうときば、あくまでも暫定というものは、途中でなくなるという大前提のもとに出発したものです。暫定というのはそういうものじゃないですか。まあその原則から伺っておきたい。大蔵省は暫定でやるということは常に恒久をやるという前提になるのか。暫定というものはあくまでも暫定で、その次は廃止をするという前提に立っておるのか。便宜的な暫定ということもあると思いますけれども、しかし、暫定ということに対してはあくまでも次にはやめますというのが基、本的には大原則だと思いますが、こういう点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(田中角榮君) それはこの改正法案の根本的な問題でございます。暫定ということはあくまでも暫定であって、これは整理さるべきだと、こういうことでありますが、そうではなく、税理士法につきましては、御承知のとおり、二十六年に施行されたのでありますが、その後なかなか最終的なものができなかったわけであります。でありますから、その後、実情に即しながら最終的なもの、より合理的なものをつくるべし、こういうことで、三十六年に国会の附帯決議があったわけでありまして、今後三カ年間のうちに決定的なものにしなければならない、こういう附帯決議がございます。そういう意味で、いままでの経験、またいままでの状況等を十分検討いたしまして、附帯決議の線に沿って、いよいよ答申も得て、最終的なものを御審議を願うということでございますので、法律があって、中に暫定的にというようなことよりも、税理士制度そのものを完ぺきにするために、附帯決議はより完ぺきなものを三年間でつくるべしと、これにこたえて本法の改正案を提案しておるわけであります。
○成瀬幡治君 この大前提のことは議論になりますから、解釈はあなたのほうでも都合のいいように解釈すると思います。しかし、もともと五年にするということは、五年できっぱり目安がつくということで、五年で切って暫定的に法にしたと思うのです。ところが、大蔵省の怠慢によって、暫定を延ばしてくれということで、五年が「当分の間」になった。当分の間当分の間で、苦しまぎれのひったへが三年で、三年のうちに何とかするからと。そこで、今日恒久にするということでおやりになったのが、いままでの大蔵省の怠慢の蓄積の結果がここへ寄ってきたものだと思う。
 それでは、なぜそういうふうにしたのかというようなことについて、いろいろありますが、私は三十六年の改正のときに、村山主税局長、当時の担当の政府委員の答弁は、これを一体存続させるのか、今後の検討の方向としてどうするかということについて、「今後特別試験を暫定的に残していただきたい。――まあそれは絶対に残さなければならぬというふうなことは、まだ今のところ非常に疑問がある。そこで、将来は改正の方向にいかざるを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。」というようなことで、この特別試験だけは何とかひとつ延ばしてくれろと、こういう趣旨だと思うのです。いま堀委員も、意見としては、何か特例、特別なことなんだから、そういうような特権めいたことは、他のバランスから好ましいことがないじゃないか、だから、やめたほうがむしろいいじゃないかというような御意見、それに対して外国の例の話があったけれども、外国のことは別として、国内では司法書士やあるいは家屋調査員なんていう人があるというようなお話がございました。これは、私は司法書士になりましょうなんて思って一生懸命勉強しておる人があるのかないのか、税理士はありますけれども、こういう人はあるのか。私はひとつ家屋調査員になりたいと思って向こうはち巻きで試験勉強をやる、そういうような人がおられるのかどうかというと、私はそういう人を見ると、少し税理士というものとは違うと思うのです。だから、これだからこうこうなんだという答えは、いきなり出してくるわけにはいかぬじゃないかと考えますが、いやいや、これはあくまでもそうなんだ、他にこういう例があるかといえば、こういう例があります、だからこうなんですよと、こういうものの言い方になってくると思うのですが、そうじゃなくて、私は、税理士というのは税の代理業務に対する特権を付与するということが税理士なんですね。そういうことがしばしば答申案にも出ている。その特権を得るために長くつとめておったら特権が得られるということはどうも好ましい方向じゃないじゃないか。試験制度というものは、そんなら無意味になってくるじゃないか。私は試験万能を言うわけじゃない。試験制度というものがあるじゃないか、だから、これは特例試験で、審査会がOKと言えばそれでいいんだ、前は試験があった、今度は試験がない、審査でパスすればいい。ですから、そういうような点からいくと、拡大をされていくという点について、どうも納得がいかないわけです。
 私の言わんとする趣旨は、どうも横すべりしたというのは、何か特権を付与することになってまずい。しかし、その特権を与えたほうがより税務行政にプラスになる、このような税務が大衆の納税の意欲をも高める、納税が非常に公平にスムーズにいくのだという積極的な理由を見つけることに困難じゃないか、そういう立場に立つのですが、どうですか。
○国務大臣(田中角榮君) この試験をするのは、試験を全部するのであります。ただ、試験の中に免除科目が、現行制度でもそれぞれあるわけであります。それを恒久的なものに、最終的なものにしたいということにすぎないわけであります。
 二つ議論がありますが、一つは資格法。資格法に対して、ある程度専門職におった者に相当大幅な免除をして資格を容易に取らせるというのはよくないじゃないか、こういう議論ですが、これは私はいままでいろいろなこの種の法律を知っておりますが、そういうことではないと思います。ある資格を取る場合には、全然学校も出ておらぬ、それから何もしておらないけれども、実務の経験もないけれども、試験によって資格を取るというやり方、大学を出た場合にはどれだけ免除する、大学院を出た場合はどれだけ免除する、こういうものがございます。インターンをやった者はただ。この種のものには、あらゆるものがそうなっておるのです。建築士もそのとおりであります。一級、二級とありますが、二級建築士は実際の設計業務等に十年間なら十年間従事をした者は二級を免許し、試験のときはこれだけ免除する。これは看護婦試験でもそうです。医者の試験もそのとおりです。ですから、こういう制度そのものの中には、むしろ、専門の業務に従事をしたものの内容、期間等によって、試験制度を全免するというのではありませんが、少なくとも法律をつくるときは経過措置をして、三カ年間はこれだけ認めるとか、また一級の受験資格はないが二級に対してはこういう特例を認めると、各種のものに全部ある。ですから、私は、必ずしも現行の制度、改正案の制度が全く税務署職員だけに特権を与えるものだというふうには考えておらない。
 先ほども堀先生に申し上げたとおり、第一の問題は、税理士が必要である、税理士制度というものは必要であるということを考えられたときに、この税理士としての資格を与えるにふさわしい人が税務職員でないのか、こういう問題にしぼられると思う。私はその場合には、これは当然、十年も二十年も管理職をやったその道の専門家でありますから、税理士の資格を与えてもけっこう差しつかえない実力を有するというふうな認定はできると思うのです。その意味において、商法とか税法とか、そういうものを免除する。最後に口頭試問を行なったり人物試験を行なったり、試験によって登用することは、私はそういう意味では、世界的にもやっておりますし、また国内においてもこの種の法律、資格法というものは、ほとんどそういう救済の道がある、こういうふうに私は、税理士制度にだけなぜ実務者を反対しなければならぬか、これは私はすなおな考え方で、ほかのものと比べて平仄を合わせてみても間違ってはおらぬし、当然税理士制度というものの中にこれらの道を開いていいものだ、もっといえば、開くに少しおそ過ぎたというふうに私は考えておるのであります。
○成瀬幡治君 あなたは看護婦を例にとられましたが、それは一つの理屈だと思う。看護婦さんは看護婦の試験を通って、それから何年という。建築士も一応二級なら二級を取ってそのあとの話です。これはそうじゃなくて、実務に完全に従事している。悪い例をいえば、運転手の助手をやっていて二十年たったら今度は運転手になれるというようなもので、全然違うのですから、徴税に当たって、しかも間税と直税と分けて、堀委員が指摘していたように、大蔵省の税務行政のあり方というものをなるたけ能率化するためにいろいろな意味合いにおいて区分している。ですから、そういうところから来ると少し違うのじゃないか。それは例を引かれると、われわれのほうもあなたのほうが納得されるような例を引いて一つ一つ反駁していきますよ。
 ですから、どう考えてみても、 スタートからして暫定的に何かやられる――私は、その大蔵に働いている人たちが非常に税務のことに明るくなられるということはわかりますよ。わかりますが、しかし、だからといって、こういう特別なものを与える必要はないんじゃないか、それなら、私はいろいろなことがあると思うのですよ。いろいろなことにみんなそういうことをやっていく方向のほうが正しい方向なんだ。しかし、逆にいえば、本来試験制度というものが一つの大きな眼目になっていると思うのです。医者なんかにしましても、インターン――昔は大学を出たらすぐなれた。今度はそうじゃなくて、試験に合格しなければ免許してもらえぬというように、むしろ試験制度のような方向に国内の方向は沿っているのです。それを何か減らしていくという方向がこのものにはあるように思えるが、そうではないですかということです。
 しかも、税務というものは、いまも申し上げましたように、一つの大きな特権じゃないですか。税務行政をやるということは、特権階級といってはおかしいですが、特権的な一つの職業人をつくることなんです。違いましょうか。
○国務大臣(田中角榮君) 何か国税庁の職員というのは無試験でなれるのだ、こういうふうなお考えですが、そうじゃないのです。試験をやるのです。試験はやるのですが、御承知のとおり、この種の試験には、大学院を出た者は試験を受けなくても資格はありますとか、いろいろなものがございます。しかし、この種の試験制度の中には、大学院を出た者がインターンをやってその後自動的に与えられる資格であっても、インターンをやった者は試験の中で実務だけは免除するとか、それから看護婦の試験でも同じことであります。看護婦試験をやる場合には、看護婦助手として一定規模以上の病院に何年間勤務をした者はこういう実務試験は免除すると、こういう制度はいまの制度にはだいぶ取り入れられているのであります。ですから、税理士の試験においても何年以上勤めておる、それからこういう有資格者は税法の試験は免除するとかいろいろなものがあって、最後に口頭試問というようなものでやりますと。
 先ほどお通し願いました公認会計士の中でも、口頭試問制度を入れろということで衆議院で修正になりました。人物や口頭でもっていろいろな試験をするということも――ただ書く試験だけではない。しかも、書くよりも応用力というものが必要であるから、税法なども備えなさい。口頭試問というのは、ただ人物を見るだけの、小学校に入るような口頭試問じゃなくて、口頭による試験でありますから、そのようないろいろな専門的なものを試験をするということでありますから、税務署の職員などは全く試験を免除されたものだというのでなく、当然受けても、毎日毎日二十年も使っておる税法などは免除しても、試験をやっても通るのはあたりまえだという認定に立つものでございますから、全く別の制度を採用するという考え方ではないわけでございます。
○成瀬幡治君 管理職にあった者は特に口頭試問ですね、そうでない者は実務の若干の試験があるようですが、口頭試験は、これはなかなか物的証拠が残らないわけなんですね。簡単にいえば物的証拠が。他のものは少なくとも、筆記試験等がやられれば物的証拠が残るわけです。田中さんが試験委員で、わしが受験して、かりにできなくても、あなたの好意によって百点満点になり得ることがあるわけです。他からこれは非難するわけにはいかないわけですが、まあそういうふうにいうと、試験委員は公平だとおっしゃるかもしれませんけれども、そこが一つのこの制度における大きな抜け道なんですね。ですから、試験はやるとおっしゃるけれども、またなるほどそのとおりになっておる。しかし口頭試験だけというところに、私たちは、問題もございましょうが、しかし、前のものよりも今度のほうがゆるやかになっているのじゃないかという点を、われわれは疑問に思うわけです。むしろ逆に、現行法よりも縮小されたとかなんとかということならば、私は何と申しますか、時代の方向に進んでおると思うが、むしろ逆にさおさしておるような、拡大されるというところにわれわれはなかなか納得しかねるところがあるわけです。ですから、そうじゃない、現行法よりも縮めたんだよと。そうじゃなくて、実際広げたんでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) これは、いままでの試験というのは、われわれが小学校や中学校でやったように、詰め込んでおいて試験でもってきめる、こういうはかり方でございましたが、このごろはそうじゃなく、だんだんと、○をつけろ、×をつけろ、線を引け、こういうふうに大学の試験までそうなってきた。その上に、なお専門的なものである一定のものは、ただ頭の中に詰め込んでいくというような問題でなく、応用力は一体どうか、参考書を持ち込んでよろしい――公認会計士の試験でも、税法やその他全部会場へ備えるべきだ。というのは、全部税法を頭に入れておる人はいないと思う。ですから、そういうふうにだんだんと試験というものは変わってきておる。ですから、いま申し上げたように、口頭による試験というものの中で――これはわれわれが昔の観念で、顔を見てよさそうだと、こういうことじゃない。人間試験じゃないわけであります。ですから、ほんとうに税法やその他に対していろいろ新しい角度における口頭試験という中でやろう、こういうことでありますから、今度の、午前中に通った公認会計士の試験の中にも口頭試験を入れなさい、筆記試験に重点を置いちゃいけない、こういう修正でもって、私たちもそのとおりでございますと、こう言っておるのでありますから、口頭試験という表現でも、われわれが考えるような昔の、人間の顔を見るのだと、こういうことではないわけでありまして、これはその中で技術的な問題もいろいろな試験が出るわけでありますので、試験制度の中にいわば新しい道を開いた、大体こういうものはこういう制度になっていくのだろう、こういうふうに考えておるのであります。
○成瀬幡治君 十八歳の少女と言っちゃいかぬですけれども、娘さんが税理士試験にパスされたという話も承りました。はたしてこれが完全に実務ができるかというと、これはやはり筆記試験万能という欠点を片一方であらわしておると思う。だから、口頭試問がいいのだという結論にはなるものじゃないと思うのです。あなたは、公認会計士で口頭試問を入れるようになったと言いますけれども、あれは筆記試験もやり口頭試問もやり、論文もやる、いろいろなことで、そうした総合判断をしていくのだ、こういうところに試験の弊害というものを少なくすると申しましょうか、筆記だけで、ただ単に暗記だけがいいのじゃないのだという点を加味して、そういう意味で修正したのです。口頭試問がいいから入れたというわけじゃない。筆記だけじゃ足らぬじゃないか、だから口頭試問を入れなさいと。ところが、こっちは口頭試問だけでいこうと、こういうわけです。だから、さっき申し上げましたように、広げたのじゃないか、現行法よりも拡大されておるのじゃないか、こう言うのです。それをなぜ拡大しなければならないのか、逆な方向じゃないか、こうわしらは主張したいのですがね。まあ水かけ論みたいなことになってしまうが。
○国務大臣(田中角榮君) 事が税務代理業でございますから、だから、大学を出まして商法を専攻した人は商法を免除する、それから大学の先生で経済を教えておる人には経済を免除する、大学院を出まして経済学博士になった者にはこういうものを免除する、こういうふうになっておるわけです。これは税でございますから、税法を毎日読んで適正な運営をしてきて、しかも二十年もそういう管理職をやった人、まあそういう人は国会でも呼び出されるような人であります。そういう人が――事は別じゃないのです。何もほかのことをやろうというのじゃない。弁護士試験に特例を開こうというのじゃないのです。税務を十年、二十年とやってきた人が税理士になろう、徴税機構と国民の間に入って、国民の税法を守ってやろう、円満な納税制度をつくろう、こういうのでありますから、私は、税の専門なところに二十年も二十五年もおった人は、当然税法を預ければ何でも書けると思うのです。そういう人たちに対して免除の幅を大きくする。しかし、技術的には非常に優秀であるが、どうも人間に欠けるところはないかとか、そういう意味で新しい口頭試験を行なって人物試験も行ない、いろいろなものをやる。
 こういう制度は、ただ大学の先生に免除しているものを、当然二十年も毎日やっておる人には税に関する専門的なものは免除しよう、こういう制度をとっても、私はそういうことによって問題は全然ない。私は、それよりも、自動的認定制度をとったっていいんでないかとさえ――それは税理士法の中で、大学へそういう資格を与えられるということで入った人に対して、やっぱりまた救済法、救済の道をつくったわけですが、国税庁に入るときには、国税庁の設置法の中に、国税庁の職員でかくかくの人間に対しては税理士法第何条の規定にかかわらず税理士となることができると、こういう制度のほうが私ははっきりしているのでないかとさえ考えたのです。
 で、アメリカの例も、各国の例も、全部見たわけでありますが、しかし、原町は試験という制度は守るべきだ、こういうことで税理士法の改正をお願いしたわけでありますので、私はいまの状態でこれは不当なものである、えらい特権を与えるものであるというふうには考えておりません。
○成瀬幡治君 私は大臣の御答弁は納得したわけじゃございませんが、次に、こういう横すべりをされた人がやられる場合には、担当の業務は、その前に前任でやっておみえになったことに対して、前には期間制限がございましたね、一年でしたか。今度それを二年に改正されたわけですね。一年とか二年という期間を設けられた理由はどういうわけですか。
○政府委員(泉美之松君) このかつて公務員でありましたものが税理士となって業務を行なう場合に、在職中占めていた職の所掌に属するような事件を税理士となっても取り扱えるということになりますと、これは在職中に、まあ将来税理士開業ということを目当てとして行政をゆがめるようなことが行なわれると適当でない。したがって、そういう意味で離職前一年間に占めておったそういう仕事に関連した税理士の事件を扱うわけにいかないという禁止規定になっておったわけであります。それを、従来は離職後一年間扱えないということになっておりましたのを、その制限を強化いたしまして、今度の改正では二年間は扱えない、こういうことにいたしまして、在職中そういった将来税理士開業というようなことを予定していわば変なことが行なわれることを防ごう、こういう趣旨でございます。
○成瀬幡治君 非常に巧妙な答弁でございましてね、在任中悪いことをしちゃいかぬ。なってから、今度はつながりができるわけですね。何といったって、同僚の人たちがやはり役所においでになると思う。そういうことは全然考えていませんか、そういうことについては全然配慮しておられぬわけですか。
○政府委員(泉美之松君) お話のように、税理士等を開業した後に税務署に、税理士としていろいろな仕事がございますので、おいでになります。その場合に、まあ税務職員は方々の税務署を回っておりますから、かつて自分のつとめておった当時の部下とかいったものと接触を持つようなことがもちろん起きます。その点につきましては、しかし、これはやはり国家公務員としてどういうふうにあるべきか、また税理士としてそういったかつての部下などを誘惑などしちゃいけないとか、これはやはり心がけの問題であろうと思うのでございます。もちろん、国税庁といたしましては、そういったことのために、かつて上司であった、あるいはかつて部下であったというようなことのために、税務行政がゆがめられないように配慮は十分いたしております。
○成瀬幡治君 配慮するとおっしゃるけれども、どういう点で配慮されるのか。ことばは非常にきれいでりっぱなことばなんですよ、配慮されるということは。私たちは、そういうつながりがあって、これがとかくいろいろなことになりはしないか。現にどういう人が一番よく仕事を取っているか。はやるということばを使ってはたいへん失礼かもしれませんが、お客さんがよく寄ってくるかというと、私は昔税務署におりました、私は国税庁につとめておった、国税局につとめておった、あるいは何々税務署につとめておったというのは、なかなか評判がいいわけなんです。それはなぜかというと、顔のほうにウエートがあると思います。あなたのほうは、顔じゃなく力のほうにウエートがあると思われるかもしれませんけれども、利用する側からいえば完全に顔なんです。そういうことについて、いや、そういうことはない――適当に配慮しておりますということばだけでは済まされない。事実はそうなんです。現実としてこうじゃないか。ですから、横すべりになったって、国税庁の職員をやっておったものが税理士になることはまかりならぬと私は言うわけではないのです。しかし、現実はいま申し上げましたように、そういう人が簡単になれる、なったらはやる。はやるということばは表現が適当でございませんけれども、なかなか有力な税理士におなりになるという点について、何か私はそこに筋が引かれる。なるほど、いまは二年間物品税に携わった者は物品税のことについてはやってはいかぬよという制限はあるかもしれませんが、たとえば、もっといえば、ある東京の何々税務署におったというような、そこにたとえば三年おったとか、年限が長ければとかく顔もあるわけです。ですから、そういうところの税務の代行はできませんよとかなんとかいう制限と申しましょうか、そういうようなものが私は必要じゃなかろうか。片一方ではこういうことがもし認められるとすれば、片一方では何かそういう制限というようなものが必要じゃないか、それが適切な処置と申しますか、適切な指導じゃなかろうかと思うのですが、そういう点についてはどうでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) そういう問題はいろいろ議論されております。高級公務員の立候補禁止と、こういう問題をやっておるのですが、憲法の問題なんかで、なかなかそれはむずかしい問題であるということは御承知のとおりでございます。これは税理士などということよりも、建設、農林、大蔵等におった人がどかどかと出ていく、そういうことになったら、税理士などというものではございません。これは個人の当選を得せしむるために何でもやられては困るということで、相当長いこと検討しておりますが、なかなかむずかしい問題でございます。
 私は、税理士が国税庁や税務署におって、はやるかということに対しては、これは見解でございますが、いろいろな例もありますけれども、私はそうは簡単に思わないのです。これは御承知のとおり、裁判官や検事をやっておりますと、みな弁護士になりますが、裁判官や検事上がりの弁護士がはやらぬことは御承知のとおりであります。だから、中には特定にはやる方もありますけれども、これは弁護士も同じことなんです。国民の全くの権利義務のたいへんな問題であります。しかし、これに対してでも、何も裁判官や検事、検事正が――新潟の検事正をやっていた者が新潟でもって弁護士を開業する、これでみんないくかというと、なかなかいかないのです。だから、そういう問題が必ずしもはやると。しかも何か税理士の場合には腕がいいと相当ごまかせるのだというようなことであるならば別でありますが、税は御承知のとおり法定主義でありますし、税の執行に対しては、全く法規裁量で、法規裁量があまりに法規裁量一点ばりでありますために、中小企業や納税者は困っておる。ですから、専門に税法を読める人が、それはまだ通則法によってこういう問題もあるんですよ、こういうことによれば金は戻ってくるんですよ。こういうことも無制限に戻せるわけではない。無制限にまけちゃやれない。しかし、そういう制度のもとにおいて、私はちょうど弁護士が国民と裁判との間に、中に入るように、納税者と徴税事務というものがより円満にいくために設けられたのが税理士でありますから、どうも国税庁や税務署の職員がやれば非常にこれがはやって、いままでおられる税理士の方が困る、こういうことは考えません。
 それから、先ほど申し上げたとおり七十万、八十万の法人があるわけであります。ところが、法人だけじゃなく、個人でも税理士に相談したい。ところが、いい税理士がおらぬのです。いい税理士がおらぬと言っちゃ悪いけれども、近くに税理士がおらぬということは、これは国民のためにもまずいのです。やはり税理士というものはおって、われわれがちょっと隣に行けば税務の相談ができるということこそ必要だというふうに考えるのです。
 ですから、私はそういう意味で、国税庁、税務署の職員とか、地方公共団体の税務をやっておった専門家が試験でもって技術的な問題を免除されてなっても、いま御指摘になるような弊害が起こる、こういうことはないだろう。私はいままでも、試験を受けて入った人が相当裕福になったという話も聞いておりませんし、そういうことに対しては、特にこの法律でも通りましたら、本法によって、国税庁もしくは税務署の職員であった人間に対してはへんぱな行動をしてはいかぬ、こういうことを通達を出させるくらいなことばいたします。
○成瀬幡治君 あなたは、税理士の話をしたら、国会議員の選挙、弁護士や検事の話をされた。弁護士さんや検事の問題は、これはあなた御案内のとおり、裁判で争う問題であって、そんな当事者間で解決したり、窓口折衝で事が解決する問題じゃないのですよ。高級公務員の立候補の問題とこれとを一緒にされて、こうだからこうだと言われるのはちょっと飛躍し過ぎます。これを一緒に考えられるということは次元が違うと思うのです。
 そこで、今度は角度を変えて、これをあなたのほうは組合弾圧に利用されておりはしないかという点でございます。ということは、おまえ、いいぐあいにやっておかぬと課長にせぬよ、専門職にせぬよ、口頭試問は商法を形式にやるのだから、だからおまえはあまりいろいろなことをやるなよ、というようなことに非常に利用しているのじゃないか。そんなことはしておらぬよ、こうおっしゃるかもしれない。また、おっしゃらざるを得ぬだろうと思う。しかし、私は大きな一つの労働政策上も、これが一本のいわゆる国税労組に対するところの柱になっておるのじゃないかというふうに見るわけです。ですから、そうじゃないにしろ、誤解を与えることだけは確かだと思うのです。だから、誤解を与えるようなことはとるべきじゃないのです。賢明な田中大蔵大臣のやることじゃない。誤解を与えるようなことは賢明じゃございません。ですから、これはそういう意味合いからもちょっとおかしい。あなたは使っておらぬ、こう言われるかもしれませんが、また使っておるとは言えぬと思います。しかし、現実にはそうじゃないのです。今日国税労組がいろいろ分断されておるという点は御案内のとおりだと思いますから、それはこういうことがあるから、これが底流をなしておる。それが根本的なただ一つの原因でそうなっておるのじゃないか、こう申し上げたいのです。この点についてはどうですか。
○国務大臣(田中角榮君) それは君がこういう答弁をするだろうという前置きで御質問いただいておりますが、どうもそういうわけじゃございませんが、いずれにしても、そんなことに使うということは絶対考えておりません。過去も、現在も、将来も絶対ありません。これは明らかであります。これは国税庁の職員がどうだというような話とこの問題とは全然別であります。これは答申が出まして、答申が出ましてからわれわれが検討したわけでございますから、そういった国税庁の職員団体との中の問題、これは全然別であります。
 私は、そういう問題よりも、先ほどから申し上げておりますように、税でもって専門にやってきた国税庁の職員が、ある期間勉強して、ある期間努力をした経験を持った者が、相当程度大幅に試験を免除される。これは受ければ当然通るだろう、こういう考え方に立っておるのでありますから、二十年も国税庁の職員をやって、しかも管理職をやったような人が、一体、全部何でも試験をしなければ、現行制度でもなんでも試験しなければ税理士の資格はないのだ、税理士には不適格なのだということは、私たちは前提的にそうではないという考え方に立っておるのであります。私はしいてあなたのことばをそのまま取って、あなたと同じ考え方に立ったとしても、まあ国税庁に入った人は、いままでも法規裁量で、自分は自由裁量は一つもない、悪口を言われほうだい、まあ泊めてももらえない、求められることのみ多くて与えられることのない国税庁の職員が、とにかくわしも二十年勉強すれば少なくとも税理士になり得るという希望を持つだろうということは言い得ますが、私どもはそれ以外には何も政治的な意図とか、国税庁の職員をどうしようとか――またどうされる職員ではありません。そういう考え方は全然持っていないのであります。世界各国でもやっておるのでありますが、こういうことを国税庁の職員が、この法律がもし通れば、もう一歩進んで、しいていえば、わしも税理士になれるのだから、税理士になるような考えで勉強しようということで、あまり法規裁量一点ばりでなく多少やわらかみが出るだろうということは考えられるかもしれませんが、悪い方向には考えておりません。
○柴谷要君 関連して。国税庁の職員は、採用になりますと、月給をいただいて、それで将来自分は何年で大体定年になるから、何年までつとめようということで、鋭意努力されているのが国税庁の職員であると思います。やめられるときには所定の退職金をいただいて、そうしてそれから自分が進むべき道は、いずれにつとめようが、あるいは試験を受けて何になろうが、こういうことが社会通念でなかろうか。そうなりますと、在任期間の二十五年あるいは三十年、こういう年数は恩給なり年金なりで支給されるわけであります。私はそれで官庁につとめた人たちは従来であれば満足していると思うのです。それを一般と違った試験をやって税理士の免許を付与しようというのは、これは私は特権が与えられると、こう見るのですが、これは特権と見ませんか、その点だけひとつ明確にしておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 特権といいますか、私はそんな考えでいままで考えたことはなかったわけであります。国税庁の職員を何年やったから税理士の資格を無条件で与えられるというような特権ではなく、資格試験であります。税理士になる資格を認定する場合、先ほども言ったとおり、大学を出た場合には何を免除する、大学院を出た場合には何を免除する、こういうことが現行制度の中に厳然としてあるわけであります。その意味において、国税庁の職員、また税務署の職員、地方公共団体で税務について専門職を二十年もやってきた、しかもその上管理職としてりっぱな事績を残してきている、こういう諸君を、ただかまわず全部一律に試験をすべきだということになれば、大学を出た人にも商法の免除をする必要はない、一切がっさい試験でいくべきでなかろうか、こういう考え方には立っておらぬわけであります。これはやはり税法をもととして、国民と徴税機構の中に入って、より円満な納税を行なおうというのでありますから、その専門の職として長い間研さんを積んできたこれらの諸君に、試験制度の中で技術的な面、当然勉強してやってきた技術面だけを免除しても、まあ免除ということは特権といえばそうかもしれませんが、そういうことなら、大学の先生にも商法や経済の免除という特権が与えられておるわけです。そういう意味で、国税庁の職員やなんかに特別の特権を与えるというようなものではない、だろうと思います。
○柴谷要君 特別の特権ではないけれども、特別の権利であることには間違いないと思う。そこで、私は、それをつくろうとするにはそれ相応の理由がなくてはならない。いままで理由をちっとも言っておらない。要はそこじゃないかと思うのですよ。今日法人の数にしてみれば、数多くの法人がある。まあ手近に優秀な税理士さんがいない、だから員数的にももう少しふやさなけりゃならぬ。さりとて経験のないような人が、ただ試験だけで税理士の免状を与えてやらせようとしても効果はあがらぬ。だから、実務に明るい人たちを、試験だけ受けて合格するような立場の者とは違って、経験もあるから、この人たちに特権ではあるけれども与えて、そうして税理士の数をふやし、りっぱな行政を行なわせたい、こういう気持ちで今回の法律案を制定をいたしました、本委員会はよろしく頼みますと、こういう説明をすればわかる。ところが、それを言わないで、たいへん言いのがれ的なことばかり言っておるからだめなんですよ。私の言ったとおりでしょう、大臣。そうでしょう。それをはっきり言ったらいいじゃないですか。そういうことになると、また問題が出てくるけれども。そうじゃないですか。事実がそうじゃないですか。そこを強く押してこなければ、それは納得をするのになかなか時間がかかりますよ。
 そこで、私はこの機会に、普通試験で合格者が非常に少ない、しかし税務署の職員の皆さんが合格率が高い、こういうことは税に明るいからだと私は思いますよ。しかし、それだけで、結果が出たからそれですべてだということは言えないと思うのですよ。そうですね。これはまありっぱな方々ですから、よく御承知だと思うのですけれども。この法律案が出されて、そして私どももいつになく、関係の非常に深いものですから、勉強もさせていただいたわけなんです。法律というのはやはり国民全体が見て納得のいく線、これが一番私は大事だと思う。だから、きのうも申し上げましたけれども、反対者も最後には納得をされて、そして国会であの修正をしたらば、公認会計士法などは円満に国会を通過すると、こういう情勢なんです。ところが、税理士法は遺憾ながら参議院の審議の時間がない。そのために、反対派の諸君を十分納得をさせて、そしてあの公認会計士法のごときりっぱな法律案として国会を通過させるには時間が足りない、余すところ数時間でございますから。でありますので、これは十分な議論を、これから時間のある限りいたしますけれども、政府としては今期国会で成立させるということにあまりきゅうきゅうとならないで、ひとつ再考されることが望ましいのじゃないかということで、関連質問ですから私は終わっておきますが、あともっとこまかい点について、後ほど同僚議員が終わったあとでお尋ねをしたいと思いますので、あらかじめ政府の決意をひとつ固めていただくように、前もって申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 非常に示唆に富まれた、私が申し上げたいようなことを明確に御発言ありまして、まことにありがとうございました。まあそういうことも大きな理由でございます。
 衆議院で本件に対しては御審議をいただいたわけでありますが、大体衆議院の審議の過程を簡単に申し上げますと、衆議院の焦点は、税理士に対しての、税理士法の改正に対して御了解をいただいたわけでありますが、最後に問題になりましたのは、税理士の懲戒という問題でございます。この問題に対して、国税庁とそれから納税者の間に入って、納税者の利益を守り、円満な納税を確立するという税理士に、懲戒は国税庁長官が行なうということはどうも釈然としない。その意味で、大蔵大臣がこれを行なうというふうに直してはどうかという御意見がございました。これがこの問題の一番大きな問題だろう。将来の問題としても大きな問題だろう。しかし、これもいまの法律で御承知の監督権というようなものが全部、法制上国税庁長官にありますので、これも全部一挙に直してしまうということはなかなかむずかしいということをるる申し述べましたら、附帯事項として、この懲戒の問題だけが非常に大きな問題であろうと思うから、これに対しては早急に大蔵大臣は検討して善処すること、こういうことになりました。
 私も、これはよくわかることでございますし、また懲戒という問題に対しては特に慎重を期さなければならぬ身分の問題でもありますので、これが御用税理士というようなものになっては将来の日本の税理士制度の発展のためにも問題になります。その意味で、私も検討、善処を約してまいったわけでございますので、まあ、大蔵省の職員とかそういうものに対しては、他の法律にも免除のものがございますし、この中にも経験者に対する免除という制度がございますので、そういう問題をひとつ比較されたり、また世界の例もございますので、そう時間が長くかかるという問題でもないと思います。また、この一番大きな懲戒の問題に対しては、いま申しましたように、私もすみやかに検討して成案を得たいという考えでありますので、念のために申し上げますが、御了解を得たいと思います。
○木村禧八郎君 これまで堀委員、成瀬委員等から、また柴谷委員からも、いろいろ御質疑ありましたが、これはずいぶんいろいろな点で問題もあり、議論もあるわけです。たとえば、いまの懲戒の問題につきましても、大蔵大臣は善処すると言われましたが、かりにこの法案が通りますと、いままでは懲戒したとき裁判になりますね。裁判になった場合に、まだ裁判の結論が出ないうちは営業は停止されないんですね。ところが、今度は停止されるでしょう、すぐに。その問題はどう処理されるのですか。この法案が通ってからというそういうことは、法律で規定するのですから、処理できないでしょう。
○国務大臣(田中角榮君) これは御承知のとおり、いままでは国税庁長官が処分をしたわけであります。そのかわりに裁判の確定まではやれたということであります。ところが、今度は国税庁長官だけでやってはいかぬということで、懲戒審査会を設けまして、これを懲戒審査会の議を経てでなければきめられない、こういうことにいたしたわけでございますので――懲戒審査会の議を経てということでありましたが、議決に基づいてと、こういうことにいたしましたので、いままでのように国税庁長官だけがやれるというようなことになっておらない。慎重を期したわけでございます。
 しかし、なお附帯事項もありますので、これはまあ懲戒などをするときには、法制上は国税庁長官となっておっても、大蔵大臣に必ず報告することというようなことにやるつもりでありますから、非常に慎重になった、こういうふうに考えておるわけであります。
○木村禧八郎君 その点は慎重になるとしてもですよ、それでこの懲戒がきまって裁判になりますね、裁判ですよ。いままではこの裁判の結論が出るまでは営業は停止されないでしょう。ところが、今度は停止されるのですよ。ただ、その懲戒が慎重になるならぬの問題じゃないですよ。懲戒がされてからの問題ですよ。非常に違ってくるでしょう。これは非常な大きな違いですよ。その点が非常な大きな違いですから、それを大蔵大臣、善処できますか。
○国務大臣(田中角榮君) これはいままで裁判の確定を待たなければならなかったというところに問題があったと思うのです、現行法に。これは行政処分でありますから、そういう事実が明らかになって、裁判の確定という国民の権利義務に関する最終確定が得られなくても、その資格を停止せしむることは他にもたくさんやっているわけです。国家公務員が起訴をせられた場合、免職にはなりませんが休職処分にしなければいかぬ。これはあらゆることがそうなっておるのでありまして、いままでの税理士法が、その裁判の確定を待つまでは営業をやれる。そのかわりに、確定を待った場合には、直ちに国税庁長官がやれる。こういう体制だったものを逆にしまして、国税庁長官は、非常にむずかしい問題でありますし、また裁判確定前に行政処分を行なうわけですから、審議会の議決に基づいて、第三者構成、第三者の議決に基づいてでなければやれないと、こういうふうにしたわけでありますから、その点からお考えになっても、合理性、合理的になったと、こう考えております。
○木村禧八郎君 それは重大ですよ。それは審議会で懲戒の結論が出てからの問題を問題にしているのですがね。いままでと逆になるわけですから。もしそこですぐに行政処分で営業停止になった、それでかりに裁判に勝っても二年なり三年なり経過するでしょう。そうしたら、今度は商売を再開するといったって、それは非常に困難になるんじゃないかと言うのです。その点が非常に大きく変わってくる点ですよ。現行法と非常に違う、逆になるわけですからね。その点ばしかし、善処すると言ったって、善処できないのですよ、法律がそうなっているのですから。
 ただ、大蔵大臣が善処するというのは、懲戒される場合の審査会ですかね、それがいままでよりは慎重になると、こういうお話であって、懲戒が行なわれた後においては、いままでの逆になるわけですから、まず行政処分が行なわれてしまう。裁判が確定する前にですよ。そうしたら、これは実際問題にしてずいぶん大きな変化じゃないですか。
○国務大臣(田中角榮君) 確かに御指摘のとおり変化ではあります。変化ではありますが、そのほうが合理的だと、こういう考えに立っておるわけです。公認会計士法も行政処分に対してはこの改正案と同じくなっているわけであります。税理士法だけが、現行法では裁判の確定を待たないうちは行政処分の効果が発生しないということになっておったわけでありますから、だから、今度の改正で常識的になったと、こういう考えであります。
○木村禧八郎君 大蔵大臣は、この問題を説明する場合に、ほかのケースをいろいろ引用されるのですが、外国の事例も引用される、それから公認会計士とかあるいは「士」のつくものというけれど、それはちょっと比較できないのですよ、これは。税務行政というようなものは国家の財政の権力作用ですからね。これは一番重要なものだ。ほかのものとちょっと比較できないのですね。だから、へたにすると、懲戒がいま言ったように非常に厳格になる。懲戒されるとすぐに行政処分の営業停止されるということになるでしょう。非常に厳重になると、さっき大蔵大臣がちょっと言われたように、御用税理士が出てくる可能性があるのですよ。ですから、そういう点と関連して衆議院でも非常に問題になりましたいわゆる飯塚事件、大蔵大臣はずいぶんその点については御答弁なすったわけでしょう。そうなると、いわゆる御用税理士というものが出てきてしまって、そしてこれまで大蔵大臣が、税務を長く担当した人が税理士になることは非常にいいのであって問題ない、問題ないということを言われておるのですがね、それがほかの職種と違うのですよ、この税務関係の職種は。
 いま言ったように、いままでは徴税する立場にあったのでしょう。権力作用の権力者の立場にあったのですよ。取る者の立場にあった。そして今度はそういう立場にあって、取られるほうの納税者の擁護の立場になると。そういうときにですよ、懲戒というものを頭に置くと、なるべく税務署に対して納税者を守るより、納税者の十分に利益を擁護する立場にならないで、むしろ、いや、これ以上はとてもそれは無理だと、大体税務署に都合のいい程度で納得させると。ほんとうに納税者の立場に立って、税務署といろんな法規なり慣例なりに基づいて徹底的に納税者を擁護する立場に立ちにくくなると思うんですよ。ですから、いわゆるいみじくも大蔵大臣さっき言われましたけれども、御用税理士ということばを使われたでしょう。御用税理士になっちゃたいへんです。御用税理士になる危険性が多分にあるのですよ。
 それが長く税務を担当しておったでしょう。そうすると、さっき成瀬委員も言われましたが、技術的にいままでの税務の仕事にたんのうである。それは税金を取る技術にたんのうであったのですよ。そうでしょう。じゃ、それは完全な税理士とは言えない。税理士になれば、今度は会計の問題も知っていなければならぬですよ。単に税金を取るだけじゃないわけですから。経理、会計というものも十分知っていなければならぬ。そういう知識があるかないか。ないと言っては失礼ですが、そういう勉強をしている方もあるでしょう。しかし、いままでは税金を取ることばかり一生懸命考えておったわけでしょう。十年一日のごとくやっておったんですから。また、いまの税務行政では人員が足りないでしょう。ですから、会計の勉強をする余裕が一体あるかということですよ。大臣は、問題ないじゃないか、問題ないじゃないかと言っても、立場が全然違ってくるんですからね。いままでは取るほうばかり。どうして取るか、どうして納税者に納得させるかということで、あるいは強く出たり、あるいはやわらかく出たり、だましたり、いろいろして、そうしていわゆる、何と言うんですかね、納税しやすいようにしようとして努力していた。第一線の税務官吏の方々は非常にいまの劣悪な条件のもとで御苦労と思うんですが、いまの条件のもとでは私はそういうほかの勉強をすることもなかなか困難ではないかと思う。そうすると大蔵大臣の言われたように、いままで長い間税務に従事しておったのだから税理士として問題ないじゃないかと、こういうふうに一〇〇%資格があるように言われるけれども、そこにはやはり問題があるのじゃないかと思います、その点では。
 税理士となると、単に税法だけに明るいだけじゃいけないわけですよ。会計のことも経理のことも十分――それから会計、経理だけではないですよ。一般の経済情勢なり、経済のいろいろな実態なり、あるいは金融のことも、いろいろなことも知っていなければならぬですよ。ですから、税務を長く担当しておったから、もう問題ない、文句ないと言われましたけれどもね、必ずしもそうじゃない。まだまだたくさんありますけれども、まずその点。外国の例等についてもこれまた問題がありますが、まだ五、六時間質問ありますから……(笑声)
○政府委員(泉美之松君) 木村委員からお話がございましたが、税務職員は、まあ木村委員がおっしゃったことばをそのまま使うのがいいかどうか問題でございますけれども、税金を取るという場合に、単に税法を知っているだけでは税金は取れないのでございまして、もちろん会計、経理のことをよく知っておらなければ税金は取れないわけでございますので、そういった意味では、いままで税務官吏を長くやり管理職的地位におった者が、税理士となって、税理士としての仕事をやっていく上において不十分であるとは私どもは考えないのでございます。現に昨年、税理士法の改正に関連いたしまして、実態調査をいたしました。納税者の方に、自分が税理士に頼んでいる人についていろいろお話を伺ったこともあるのでございます。そういった記録があるのでございますが、それによりますと、納税者の方は異口同音に、税務職長出芽の税理士に依頼しているが、ある人は、非常に親切だ、ある人は、非常に責任感が強いというようなことを言っておりまして、結局はその人がりっぱであれば、必ずしも税務職員出身だからどうこうということはないということを、納税者の方が言っておられます。そういったことから見ましても、税務職員出身者だから資格が、ないということでは私はないと思います。
○木村禧八郎君 私はそういうことを言っているんじゃないですよ、それは誤解がないように。大蔵大臣は、税務を長く担当していたことが、それが税理士としての資格としては一〇〇%いいんじゃないかと言うから、言うのであって、それは税務を長く担当している方の中にも経理に明るい人もおられるでしょう。また、明るくない人もおられないとは言えません。しかし、実際問題として――これは実際問題ですよ、いま徴税をやっていて、どうして税を取るかということを専門にやるわけであって、それにも経理とか会計の、まあ法人税係とかは特にそういうことを知っていなければならないでしょうけれども、納税者の立場というよりも、むしろ取るほうの側におったわけです。ですから、立場はまた反対の立場になるわけです。いままで権力行政の側にある。権力者の側にある。今度は税金を取られるほうの立場に立つわけですね。
 これは検事をやっていて弁護士になるという場合と同じで――同じではない。私は税金の場合には同じと考えていないんですよ。これは国家財政の中で、警察と税金というものが権力の一番の中心なんです。だって、税金というものは強制徴収です。一方的です。まあ税法に基づいてやるわけですけれども、強制徴収です。だから、権力の一番のあらわれです。これは大蔵大臣が何と言おうと、そのとおりなんです。警察と税金というものは権力の一番――ですから、今度は反対の立場に立つのですから、その場合に、先ほど成瀬委員が指摘されましたが、全部の人がそうとは私は言いません。もちろん税務を担当されている人以外の方でりっぱな方もおられるでしょうし、りっぱでない人もおられましょう。また、税務職員にも、りっぱな方もおりますし、そうでない方もおられるかもしれません。だから、その点は人の問題で、それは税務官吏であるからどうこうという問題とは別の問題になります。人の問題になると思うのですね。
 しかし、税務を長く担当している場合、いろいろ技術以外に、何といっても、長い間そういう仕事を担当しておりますと、いろいろコネクションができるわけですね。ですから、税務官吏は異動が非常に激しい。しょっちゅう異動させるでしょう。なぜ異動させますか。転勤が非常に激しいということは、なぜですか。これはあまり緊密な関係ができて、そこに不正や何かが行なわれてはいけないと、そういうこともあって、よその省よりも転勤度数が非常に多い。そういうことがある。
 それからまた、今度改正して、いままでは税務職員であって、かりに税理士になった場合、いままで担当してきた職種については二年間それを取り扱うことができないというように改正する趣旨は、どこにあるかというのですよ。どこにあるか。それはやはりそういう弊害がありはしないかということをおもんばかるからですよ。そうなんです。ですから、全然ないとは言えないのであって、そういう可能性が非常にあるのではないか。
 それからまた、かりにこの法律が通ります。そうすると、今度は逆に、事前に、在職中そういう税理士になったときのことを考える、こういうこともあり得ないとは言えないじゃないですか。長い間でしょう。五年、十年の間に、自分がやめて、今度税理士になったときのことを考えて、納税者に接する。将来お得意さんになるということも考える。そういう弊害も予想されないことはありませんよ。
 ですから、これはいろいろな場合があるわけですね。それは大蔵大臣、弊害は弊害として、やはり認めなければいけないと思うんですよ。それは、そういうことを予想するからこそ、二年間は同一業種の担当をさせないというのです。そればもう認めていることなんですよ、弊害は。しょっちゅう転勤させるということもですね。ですから、その点をあまりに、この法案を通すために、弊害があるのに、また実際に常識から考えて予想されるのに、いや、そういうものはない、そういうものはない、そういう立場で、それは法案を通す戦術としてやっておられるのか。これは運用する場合に、これは問題だと思う。実際ほんとうを考えてみれば、そういう弊害があるのだ、そういうふうに考えておられるのだったら、率直に認むべきであって、そうしてそれを前提として、そういう弊害が全く起こらぬように措置するのが当然です。もしほんとうにここでさっき大蔵大臣が言われているように弊害がない、こういうふうにお考えになっている、本気になっているとしたら、これは問題だと思う。あとで問題が起こる。ですから、そういう弊害は、やはり率直にお認めになる必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(田中角榮君) 弊害があってはならぬし、ないということは断じられないのでありますから、法律上、二年間やってはならない、こういうことであります。これはしかし、弊害があるほうにウエートを置けば、一年やっちゃいかぬということになるでしょうが、それはやはり問題であります。でありますから、こういう制度は、資格法でありますから、二年間やっちゃいかぬ、こういうことであります。大体今度の高級公務員の立候補ということですが、これは五年間ぐらいは立候補しちゃいかぬというふうにしたらどうか、国会でもそういう議論がありましたように。これは徴税の任についた人は、職にあった者は、その後税に関係のある仕事はやってはならない、こういうことになったら、これは全くたいへんな問題であります。まあまあ二年間ということでいいじゃないか、こういうことであります。あなたが三年ぐらいは必要、こういうことになれば、いろいろな見方の相違でありますが、少なくとも二年間という余裕を与えたということは、万全の配慮をしたことであります。
○木村禧八郎君 さっき外国の例を引かれましたが、私は外国と日本の場合とはやはりかなり違う面があると思うのですよ。税法自体、それから実際の税負担の実態ですよ、そういうことも含めて、やはり違うのであって、日本の場合は、大臣御存じのように、現状は戦前に比べ、諸外国に比べ税負担は著しく重い、非常に。また、所得税だって、非常に大衆的の課税になってまいっておるのですよ。そういう実態のもとで税務を担当しておる人の場合と――外国では取られるという感じはないのですよ。外国では税金を納める、日本では何か税金を取られるという感じです。そこに非常に……。納めるという税制のもとでいろいろ税務行政を行なっている税務担当の者と、それから日本では取られるというそういう立場において税務行政を担当している人とは、非常に違うのじゃないですか。
 それで、ですから、今度税理士になった場合はどういう仕事がほんとうの仕事なのか、これはよく御存じでしょう。私はここではっきり申しませんが、いかにして税金が安くなるかという仕事をやるのですよ。そうですよ。それがほんとうなんですよ。ただ、それはいまの税法上、それからもちろんこの法律に基づいて、納税者が税法のことはあまり知識がない、あるいはいろいろな通達行政が出てきますね。通達はわからぬですよ。法律なんか通ったって、実際の人は通達はわからぬ、ほとんど。ところが、税務を担当している方は通達までもよく御存じなわけですよ。実際の税務行政というのは、税金というのは、通達行政ですよね。実際は通達行政です。だから、その通達というのをよく知っていないと、われわれ国会でこうやって税法なんか大きな顔して審議していますけれども、ほんとは税のことなんかわからないのと同じかもしれませんね、ほかの同僚の方は別でしょうけれども。ぼくなんか実際に通達の内容わからない。ほんとうに実態はよくわからぬですよ。ですから、そういう納税者はもちろんそうですよ。だけれども、そのいまの法律なり通達に基づいて、そしていかにいまの税金が安く納められるかと、そういうような手続なりあるいは記帳なり、そういうことを指導してやったりするのが、これがまあ税理士のお客さんに対するサービス、そういうことだと思うんですがね。
 だから、そういう場合に、長い間税務を担当していましたから、そういう取るほうの裏の裏までよく知っているわけですよね。だから、今度は取られるほうの側に回ったときに、そこに税法なり税務なり、あるいはその他の知識以外に、さっき成瀬委員も言われました長い間の同僚で、おい、これ適当に頼むぞというようなことで処理されるようなことがないかどうか。あると私は断定しませんがね、実際それを見ているわけじゃないんですから。そういう可能性はあるんじゃないか。もちろん、こういう委員会で大蔵大臣なり大蔵省の当局の人が、そうかもしれませんなんて言えないんですよ。もうあくまでも表面は税法に基づき正しく税金は徴収していますと言わざるを得ない。言わなかったらたいへんなことになるんです。しかし、実際はそうじゃない。だから、そこに問題があるんですよ。
○国務大臣(田中角榮君) 非常にもののわかった御発言でございますが、税理士というものは脱税相談係ではないのであります。これは納税者と徴税機構との間に入りまして、納税者の利益を守りながら円満な納税を行なおう、こういうことであります。しかも、日本はアメリカなどと違いまして自由裁量ということはないわけであります。租税法定主義であり、法規裁量でありますから、その面において通達もたくさん出るということであります。でありますから、税理士が納税者の代理をする場合には、これはまあ一般的な言い方でいうと、税金を安く、少なくと言うかもしれませんが、それは当然制度上納むべきものを、専門的に脱税を指導するわけではないのであります。これは現行制度というものはこういうことになっておる、しかし、国税通則法によってこういうふうに延納もできるのだ、災害が出た場合にこういうこともできるのですと、しかもあなたは前には黒字で納税したが、その後災害にあったために当然税金の返還をされるのだと、こういうことが、いつでも国会でも問題になりますが、取るときはびっしり取るが、返すときは向こうから言ってこなければ返さないのだと、こういうことがないようにするのが税理士の役目であります。
 ですから、そういう意味において、私は、無制限に、国民の利益を守るために脱税を指導したり、やるわけがない。しかし、法律がむずかしいとか、法律で除外例を設けておっても、実際に国民に恩恵があまねく行き渡らないと、こういうことに対して専門的知識を持つ人が代理行為を行なう。でありますから、私は、税務署に長い間おった人が脱税をするといったら、これは言語道断であります。こういうことであったら法律に触れるわけでありますが、そうでなくて、税理士として納税者の利益を守って円満な納税制度を確立していくためには、不適格者ではない、適格者だと、こういう考え方であります。でありますから、よその国のように、顔でまけられるかというような制度になってはいないのでありますから、やはり現行制度を、法制を前提にしてひとつ御議論をいただければ、まあそういう問題は、不適格者か適格者かということにしぼられて、適格者だということになると思います。
 それから、二年も三年も税務署におった、しかも署長でやっていた人は、部下に顔がきくだろう、大体そんなところだと思ったのですが、大蔵省に行ってみると、全く事は違います。一ぺん出てしまうと、法律は曲げられません。私は特に予算編成のときに、前の大蔵省の出身者、一例を申し上げますと、正示啓次郎代議士と主計局の主計官等と議論をした。これはもう非常に、私は考えてもたいへんな問題であります。伊勢湾台風でもって三重県は非常に高い補助率だ。同じ堤防の続きであって、和歌山県に入れば三分の一になってしまう。一体これで政治になるのかと、こういう議論を延々何時間もやっておりましたが、ついに主計局は護らなかった。私はなかなかしっかりしておるなと思ったのですが、案外そういう問題で、前職がどうであったから法律をうんとゆがめておるということは、まあ比較的少ないのじゃないか、またそうあるべきだ、こういうような前提を持っておるわけであります。
○木村禧八郎君 私は全部の、大部分の税務官吏の人がそういうことであるということは、これは私は決してそう言っておるのじゃないのです。それは侮辱するものですよ、ほんとうにまじめに一生懸命にやっておるそういう人たちを。しかし、そうじゃない。そういうおそれがあるということですね。それば結局、納税者にも悪い影響を与えるわけですから、そういうことが結局は。ですから、私は全体としてそういう危険があるということを言っておるのではない。しかし、そういうさっき言った弊害なり可能性があるということを頭に置かなければならないのじゃないかということを私は言っておるわけですから、その点はそんな極論をしておるわけじゃないですからね。
 それから、脱税ということを大蔵大臣言われましたが、私はそういうことばを使っていないのです。節税と言ったほうがいいかもしらぬ。脱税ということは、これは法律違反ですからね、脱税というのは。税理士の人が脱税を指導しておる、それが業務であるというのは、これは不適当なことばです。ですから、私は脱税ということばを一つも使っておりません。節税ですか、いまの許された法律の範囲内でどういうふうにして不当に税金を納めないようにするかということなんですが、それがさつき成瀬委員も質問しましたように、顔による、いままでのいろいろなコネクションによる弊害が起こる危険があるんではないかということを言っておるのですが、その点は大蔵大臣、やはりそういう可能性があるということは、これはお認めになると思いますが。だから、そういう点については十分に善処するということは当然言われなければならぬと思うのです。
 大蔵大臣は、いままでですと、全部合理化しちゃって、一〇〇%も弊害がないのだと、こういうふうに言われるから、われわれは、そういうものではないのだと。実際をこれはよく御存じのわけですよ。大蔵大臣も実業畑のほうの出身ですから、前はずいぶん税金で、いまでも苦しんでおられるのかどうか知りませんが、そういう立場でしょう。だから、すいも甘いも非常によく知っておられるのですから、実情をよく御存じのわけですよ、おそらく。ですから、そういう弊害も十分に御認識になってほしいということを私は言っておるのです。そうじゃないですか。そういう点については……。
○国務大臣(田中角榮君) いまの御質問には先ほどお答えをいたしております。まあそういう弊害があってはならない。しかし、それが絶無であるということは言えませんから、できるだけの措置をしなければならぬ。その意味で、法律のほうでは二年間やってはならないという制度をつくったわけであります。でありますから、二年間を三年間にしたほうがいいという議論があるかもしれませんが、現在一年であるものを倍の二年にしたということで、これらの問題に対しては適切なる措置ができるだろう、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 それから、さっきの懲戒に関連しまして、衆議院でもずいぶん論議されたと思うんですが、飯塚事件というのがあったですね。税理士のことですよ。この問題については、やはりこの際経緯を明らかにしておく必要があると思うんです。これは衆議院で取り上げられましたけれども、本委員会としても一応――さっき大蔵大臣は御用税理士になるようではいかぬと言われたんですが、しかし、ああいう飯塚事件みたいなもの、ああいう事件が起こってくると、そういうことが懸念されるわけですよ。ですから、あの真相をやはりわれわれは知っておく必要があると思うんです。ですから、本来ならば飯塚という人もここへ呼んで、そういう人からも実際意見を聞く必要もあると思うんです。いままで大蔵委員会でも問題になりましたので、この経緯につきまして国税庁長官でけっこうですが、わかっている範囲においてこれを御説明していただきたいと思うんです。
○政府委員(木村秀弘君) 飯塚事件につきましては、あらゆる方面から……
○木村禧八郎君 ちょっと、国税庁長官、飯塚事件そのものを御存じない方もありますので、そういうことが皆さんにわかりやすいように……。
○政府委員(木村秀弘君) いろいろなパンフレットが出ておりまして、そのために誤解を与えておる面も相当あると思います。私たちが取り扱いました飯塚事件なるものを簡単に申し上げますと、関東信越局の鹿沼税務署の管内に、名前が出ましたので申し上げますが、飯塚税理士さんがおられまして、大体九十人くらいの使用人を使って、関与先が六百社くらい、相当大きな規模の税理士であります。そこで、一昨年関東信越局で税務の調査をしておりました。法人の調査をしておりました際に、主として三点、その第一点はいわゆる別段賞与といわれるものであります。第二は旅費、日当、第三は従業員報酬、この水増しの経理が発見されたわけであります。
 別段賞与と申しますのは、簡単に申しますと、盆暮れの賞与以外に、利益が出たという理由でもって従業員に対して賞与を出す。そしてその出した賞与は直ちに借り入れ金として会社が借り入れる。したがって、従業員には現金は渡らぬわけであります。その借り入れの期間というものが五年ないし十年という非常に長期の期間でありまして、これは普通の法人でいういわゆる社内預金というものではございませんで、その期間は出せない、こういう種類のものであります。
 そこで、私たちは別段、賞与そのものが違法である、これが脱税だということを言っておるのではありませんが、深く調査をいたしました結果は、そういう別段賞与という特異の経理方法を使って、実は従業員自身は何も金をもらっていない。会社自身もそういう賞与を支給する意思がなかったんだ。それからまた、従業員自身ももらったという感じを持っておらないのであります。したがって、また、それをその会社にそっくり預け入れるという意識も何も持っていないわけであります。そういうものがあらわれてきましたので、これはやはり経理の方式としては適法な方式をとっているが、その内実は脱税である、こういうことが調査の結果判明したわけであります。
 それから、旅費、日当につきましても、私たちは大体旅費、日当というのは実費弁償的な性格を持っている、こういう考えに立っておるのでありますけれども、しかし、まあこの役員の日当で非常に高いものがある。鹿沼からたとえば日光あるいは東京都内でもって日当五千円出している、あるいは三千円出している。しかも一方、これに比較して従業員は二百円とか三百円。こういう日当が非常に異常な高額な日当であり、それをいろいろ調査をしていきますというと、実際に出張しておらないのに、それが出張したことになっている。
 それから、第三番目の従業員の報酬水増しでございますが、これも事業年度が終了後に、前の事業年度にさかのぼって従業員の報酬を増額したということの形式を整えております。それから、なおよく調べてみますというと、月々の支給後もそういうふうに訂正されておる。しかしながら、実際において調査しました結果は、従業員はそれはもらっていない、こういう事実を発見したわけであります。
 したがって、税務当局といたしましては、主としてこの三点について確証も得ましたので、飯塚税理士並びにその指導的な使用人四人を告発をいたしました。その結果、地方検察庁で取り調べを受けまして、この四人の直接指導に当たった従業員につきましては、法人税法の証拠隠滅並びに脱税の教唆で起訴をいたしております。現在四回目の公判が終わった段階でございまして、われわれといたしましては、この裁判の結果を現在注目しておる、こういうことでございます。
○木村禧八郎君 このかりに法律が通りますと、今度飯塚税理士というのは懲戒を受けるということになりますか。
○政府委員(木村秀弘君) 私は、この法律が通過いたしますか、あるいは通過いたさないか知りませんが、現行法のもとにおきましても同じだろうと思います。やはり脱税を教唆あるいは指導したということになれば、これは懲戒よりも現在は刑事事件になっておりますので、裁判の結果どうなりますか、有罪であるということになれば、当然そういう処置になると思います。それからまた、事態がはっきりしてきた場合には、現行法のもとにおいても懲戒処分という規定がございますから、これは懲戒には関係ないと思います。
○木村禧八郎君 現行の場合、懲戒処分になっても別に営業には裁判の結果がはっきりするまでは差しつかえないわけですね。ところが、この法律がかりに通った場合ですね、懲戒に付された場合、懲戒審査会にかかるわけですね。かかって、そこで結論が出ると、裁判の結果いかんにかかわらず、行政処分に付せられるわけですね。そういうことになりますか。
○政府委員(木村秀弘君) 先ほど大臣から御答弁をいたしましたように、懲戒審査会が設けられて、審査会の構成は大体税理士会と学識経験者、役所関係、三分の一ずつの構成に予定されておりますけれども、そういう審査会の議決に基づいて行政処分をし、行政処分が行なわれれば即時に効果が発生をいたします。しかしながら、もしその国税庁の処分に不服がある、異議があるという場合におきましては、御承知のように、行政不服審査法の規定あるいは行政事件訴訟法の規定によりまして、国税庁長官または裁判所に対して執行停止の申し立てができるわけでございます。それによって国税庁で再調査をいたして、それが適当でないということになれば、執行を停止する。あるいはそれでもなお不服ということになれば、行政事件訴訟法によって裁判所が執行停止の決定をすれば、そこで停止をする、そういう法的な手続がとられない限りは処分と同時に効果が発生する、こういうことになろうかと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 暫時休憩いたします。
   午後四時十二分休憩
   ――――・――――
   午後十一時二十四分開会
○委員長(新谷寅三郎君) 委員会を再開いたします。
 委員の異動について報告いたします。
 田中茂穂君及び林屋亀次郎君が辞任せられ、その補欠として金丸冨夫君及び長谷川仁君が選任せられました。
  ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○佐野廣君 この際、本案の質疑を終局し……(「委員長」「委員長」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)討論……(発言する者多し)に入られんことの動議を提出いたします。(「委員長」「委員長」「賛成」と呼ぶ者あり)
○委員長(新谷寅三郎君) お静かに願います。静粛に願います。(「質疑が残っているじゃないですか」と呼ぶ者あり)
 暫時休憩いたします。
   午後十一時二十五分休憩
   ――――・――――
   午後十一時二十九分開会
○委員長(新谷寅三郎君) 委員会を再開いたします。
 理事会における協議の結果に基づき、この際、継続審査要求についておはかりいたします。
 国民金融公庫法の一部を改正する法律案及び税理士法の一部を改正する法律案の審査を閉会中も継続することとし、議長に提出すべき要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 継続調査要求についておはかりいたします。
 租税及び金融等に関する調査を、閉会中もなお継続して行なうこととし、本院規則第五十三条により議長に提出すべき要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 本委員会付託の請願百七十五件を、便宜一括議題といたします。
 本件につきましては、さきに各派一名あての委員の方にお集まりを願いまして、その取り扱いについて御協議を願ったのでありますが、その結果が委員長の手元に提出されております。
 その内容はお手元に配付いたしました資料のとおりであります。
 時間の関係上朗読を省略いたしますが、十八項目四十三件の請願を採択することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、報告書の作成等は委員長に御一任願いたいと存じます。
  ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) この際、委員派遣に関しおはかりいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その方法、手続等、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十一時三十一分散会
   ――――・――――