第046回国会 法務委員会 第18号
昭和三十九年四月九日(木曜日)
   午前十時二十三分開会
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  委員の異動
 四月八日
  辞任      補欠選任
   山本 利壽君  鈴木 万平君
   川野 三暁君  迫水 久常君
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 出席者は左のとおり。
   委員長     中山 福藏君
   理事
           後藤 義隆君
           迫水 久常君
           稲葉 誠一君
           和泉  覚君
  委員
           植木 光教君
           大谷 贇雄君
           鈴木 一司君
           田中 啓一君
           中村 順造君
           岩間 正男君
           山高しげり君
  国務大臣
   法 務 大 臣 賀屋 興宣君
   国 務 大 臣 赤澤 正道君
   国 務 大 臣 福田 篤泰君
  政府委員
   警察庁刑事局長 日原 正雄君
   防衛庁教育局長 堀田 政孝君
   防衛庁人事局長 小幡 久男君
   防衛庁経理局長 上田 克郎君
   防衛施設庁長官 小野  裕君
   防衛施設庁総務
   部長      沼尻 元一君
   法務政務次官  天埜 良吉君
   法務省民事局長 平賀 健太君
   法務省刑事局長 竹内 壽平君
   法務省訟務局長 青木 義人君
   文部省管理局長 杉江  清君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   警察庁保安局外
   勤課長     川井 昌吉君
   防衛施設庁総務
   部施設調査官  石井市次郎君
   法務省刑事局刑
   事課長     羽山 忠弘君
   法務省刑事局参
   事官      伊藤 栄樹君
   外務省アメリカ
   局安全保障課長 山中 駿一君
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  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○民事訴訟法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (千葉県下における自衛隊員による
 暴行事件に関する件)
 (町田市における米軍機墜落事故に
 関する件)
 (選挙違反事件及び千葉工業大学の
 紛争事件等に関する件)
○刑事補償法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(中山福藏君) これより法務委員会を開会いたします。
 理事の補欠互選についておはかりいたします。
 去る四月七日、理事迫水久常君が一時委員を辞任されましたため、理事に欠員を生じておりますので、補欠互選を行ないたいと存じます。互選につきましては、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中山福藏君) 御異議ないと認め、理事に迫水久常君を指名いたします。
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○委員長(中山福藏君) 次に、民事訴訟法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
○稲葉誠一君 民事訴訟法の一部を改正する法律案、手形訴訟を認める法案ですが、以前にも、為替訴訟という名前だったと思いますが、あったわけですね。その経過はどういうんでしょうか。
○政府委員(平賀健太君) 以前に為替訴訟の制度がございまして、これは御承知のとおり旧民事訴訟法にあったわけでございます。しかし、大正十五年に現行の民事訴訟法ができました当時、現行法で十分手形事件についても審理の促進がはかられるであろうということで、旧民訴にありました為替訴訟の制度をやめたのでございます。
○稲葉誠一君 旧民訴の為替訴訟の制度というのは、実際にはほとんど利用されなかったんじゃないんですか。その利用度はどの程度でしたか。
○政府委員(平賀健太君) ただいま仰せのとおりでございまして、必ずしも利用されなかったのでございます。
○稲葉誠一君 ですから、その利用度というのは、どの程度……。
○政府委員(平賀健太君) ちょっと正確な統計を持ち合わせないのでございますが、為替訴訟制度が生きておりました最後の年度でございました昭和三年における全国地方裁判所及び全国区裁判所の第一審の証書訴訟及び為替訴訟事件の総件数として、合計三万九千件という数字があげてございます。これから見ますと、ある程度の利用はやっぱりあったわけでございます。なお、念のために通常訴訟事件の総件数は同年で三十一万七千で、約十分の一前後が為替訴訟あるいは証書訴訟であったという数字がございます。
○稲葉誠一君 それは全体の民事事件の一割ぐらいが為替訴訟の事件だったという意味ですか、手形金事件の一割ぐらいが為替訴訟であったという意味ですか。
○政府委員(平賀健太君) 全体の事件の一割という意味でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、手形金事件の中で為替訴訟でやっていたのは相当あるわけじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) ある程度ございます。
○稲葉誠一君 それはどの程度の割合であったわけですか。全体の事件ではなくて、手形金事件の中で為替訴訟が行なわれていたわけでしょう。それはどの程度あったんですか。
○政府委員(平賀健太君) その件につきましては、ちょっと資料がございませんので、あとで裁判所のほうに照会をいたしまして、もし資料があれば次回までに提出いたしたいと思います。
○稲葉誠一君 大体どの程度かわかりませんか。半分ぐらいいっていたのですか、半分までいかなかったのですか。
○政府委員(平賀健太君) 調べまして……。ちょっと見当がつきかねるのでございます。そういう資料が裁判所にあるかどうかもわかりませんが、調べてみます。
○稲葉誠一君 それは古いことですから、あまりたいした関係はないわけですけれどもね。
 そうすると、為替訴訟の制度があったんだと。それで、大正十五年に民訴ができて、民訴が施行になってからも為替訴訟の制度はしばらく継続していたわけですか。
○政府委員(平賀健太君) 新民訴が昭和四年から施行されました関係で、制定は大正十五年でございますから、そういう関係でそれまでは旧民訴で来ておったわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、新民訴が昭和四年から施行になったときに、新しい民訴になれば為替訴訟の制度はなくてもやっていけるんだということだったんですね、いまの御説明は。その理由はどういうところにあったのですか。
○政府委員(平賀健太君) これは、旧民訴にございました為替訴訟の手続というのがかなり複雑であったのも一つの原因でございます。為替訴訟で提起されました場合、これは手形その他の文書のみが証拠方法になるわけでございます。被告が争っております場合には、御承知のように留保判決ということをいたすわけでございます。そして、留保判決ということで一応手形金の請求事件についての判決がございますが、なお通常訴訟としても係属しておるという状態なのでございます。で、手続が二つこう並行して進むというような関係になるのでして、非常に複雑であったこと、これがまあ一つの原因で、必ずしも合理的でないという旧民訴にございました為替訴訟制度自体に内在する欠陥があった。それから、新民訴におきましては、新しく欠席判決の制度でございますとか、とにかく訴訟促進ということを考慮しました規定が入ったということで、新民訴でやればああいう複雑な手続の為替訴訟制度を残さなくても十分間に合うというのが当時の立法者の考えであったように思うのでございます。
 ところが、実際新民訴を運用してみまして、その後非常に裁判所の事件がふえたということもございますけれども、必ずしも新民訴の立法者が考えておったとおりには動かないということでもって、今回のような手形訴訟制度を違った形で再び取り上げるということにしたほうがよかろうということになったわけでございます。
○稲葉誠一君 もとの為替訴訟の制度と、今度のまあ手形訴訟といいますか、手形訴訟という名前を正式に使っているわけですか、それは別として、今度の民訴の――使っていますね、「手形訴訟及小切手訴訟」と。これと具体的にどこがどういうふうに違って、それから同じところもあるんですが、たとえば並行していくというような分は、今度の場合は並行をしてはいないわけですね。だけれども、異議の申し立てをすれば一般事件になるというようなこともあるわけですけれども、そこはどういうふうになるんですか。
○政府委員(平賀健太君) 根本といたしまして、極度の証拠制限を行なう。昔の為替訴訟――為替の訴という用語を使っておりましたが、為替訴訟におきましても、これは証拠方法を文書のみに限る。で、今回の案におきましても、そのたてまえは同じでございます。証拠制限が非常に大きな特色でございます。そこは大体変わっていないのでございますが、一番大きな違いは、旧民訴のときのような留保判決という形ではなしに、為替訴訟手続において終局判決をしますと、これに対して不服の手段として異議を許す。異議を申し立てれば、今度は通常訴訟に移っていくということなのでございます。旧法では、留保判決がされますと、その事件はなお裁判所に係属しておりまして、これは爾後手続と申しておりましたが、通常訴訟としてなお残っておるという考え方でございまして、ですから、二つ判決がなされまして、それぞれ控訴、上告ができるという複雑な構造に旧民訴ではなっておったのでございます。そこを改めまして、もうそういう二重構造はやめて一本の構造にしてしまう。まず手形訴訟手続で判決がされますと、不服のある者はそれに異議の申し立てをする。異議の申し立てをしますと、それを今度は通常訴訟手続でさらに審理をし直す。し直して判決をする。その判決に対して控訴、上告、上訴ができるという仕組みにいたしまして、構造を単純化したところが旧民訴の為替の訴と違うところでございます。
○稲葉誠一君 多少旧民訴と比べて複雑さが緩和されたということは言えると思いますが、異議の申し立てがあれば通常訴訟に移って、それは同一審級なんでしょう、同じ審級なんでしょう。それでは結局同じじゃないですかね。
○政府委員(平賀健太君) これは異議の申し立てをしまして通常手続に同じ審級で審理をし直すわけでございますが、手形訴訟の判決がございますと、それの仮執行の宣言がつけられますので、それで一応けりがつくわけで、原告勝訴いたしますと、手形訴訟の判決によりまして強制執行ができるわけでございます。それで異議の申し立てをして通常訴訟に移りますと、今度は証拠方法の制限が取り払われまして、詳細にさらに審理がし直されるということになるわけで、旧法とはその点がかなり違っておると思うのでございます。
○稲葉誠一君 その点はまたあとでお聞きしたいと思うのですが、手形訴訟で判決があれば、それが一次判決としてそれに対して控訴とかいうことなら非常に簡略になるということも考えられますけれども、異議で同じ審理を継続するというのでは、かえってまた複雑になってくるのじゃないかということも考えられるわけですが、これはまたあとでもう少し研究して質問したいと思います。
 そこで、昭和四年から民訴が新しくなったと。実際に、手形訴訟の場合は、欠席判決の場合が多いし、それから認諾判決なんか相当多いんじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) 現在におきましても、手形事件におきましては欠席判決がかなり多いのでございます。私ども裁判所におりました当時の経験から申しましても、稲葉先生も御経験があると思うのですが、欠席判決の事件がかなりあるのでございます。しかしながら、中にはやはりそうでない事件も相当あるのでございまして、無用の抗弁、実際調べてみるとその実がなかったという無用の抗弁なんかが提出されまして、非常に審理が延びるということがやはり少なくないのでございます。そういう関係で、こういう制度を新たに設けることが、より一そう手形・小切手事件の審理を促進し、権利者にすみやかに満足を与えるということに寄与するのではないかということでございます。
○稲葉誠一君 抗弁の話が出ましたけれども、手形の場合ならば、当然手形行為は独立なんですから、抗弁というものはきわめて制限されてくるわけでしょう。いまあなたの言われた無用の抗弁というのはどういうのですか。人的抗弁のことですか、どんな抗弁が出てくるんですか。
○政府委員(平賀健太君) 人的抗弁が大部分でございますが、抗弁が出まして証拠が提出されますと、やはり証拠調べをしなくてはなりません。それだけ審理がやはりおくれるわけでございまして、訴訟の引き延ばしという意味でそれが利用されることが少なくないのでございます。
○稲葉誠一君 人的抗弁といっても、どんな抗弁が普通出てくるんですか。手形の成立は認めるけれども、いま支払えないから、いわゆる支払い猶予の抗弁、これはほんとうの抗弁じゃないですけれども、待ってくれというようなやつが多いのじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) 現実に裁判所で出される抗弁、これはいろいろございますが、人的抗弁の範疇に属するものでございますが、たとえば手形の授受の原因になりました原因関係がないのだ、あるいはすでに弁済済みである、それからすでに原因関係につきまして発生しました債権が相殺によって消滅しておる、あるいは支払い猶予の特約があるのだとか、いろいろな抗弁が出ておるのでございます。
○稲葉誠一君 それは手形の成立を認めているわけですね。抗弁だから当然ですね。手形の成立を認めての抗弁だから、立証責任はもちろん被告側にあるのだし、一ぺん立証させれば次の機会に証人として出てくればいいし、出てこなければそこで結審できるのじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) ところが、やはり次回期日が二月、三月くらい先になるわけでございます、期日の指定が。そういう関係でそれだけやはり訴訟が延びる。それからまあ証人なんか申請いたしまして、次回期日にたまたま証人が病気であるとかいうことで、診断書をつけましてさらに延期の申し出がございますと、これは延ばさざるを得ないということになるわけで、そういうことでずるずると延びていくという例も少なくないわけでございます。
○稲葉誠一君 手形訴訟の場合に、第一回期日の指定を普通より早くするという、そういうふうなことをやっていけば、もっと手形事件というものが迅速に進むのじゃないですか。やっぱり普通の事件と同じように第一回期日の指定もおくらすから、だからおくれちゃうんじゃないですか。手形事件に限っては第一回の期日をもっと早くすることができるんじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) これは大都市の裁判所、現実には東京、大阪もたしかそういう取り扱いになっているのじゃないかと思いますが、大都市では手形部というのがございまして、もっぱら手形、小切手金の事件だけを扱う特別の部が設けられております。そういうところにおきましては、これは第一回の期日の指定なんかも早めにいたしましてやっておるので、現行法の運用においてもある程度の成果をあげておるようでございます。ところが、そうでない手形部などをつくるだけの多数の事件がない裁判所におきましては、通常事件とやっぱり込みになりますので、その中に一緒に審理をするという関係で、期日の指定なんかもやはりほかの事件並みにされるというようなことが少なくないのでございます。第一回の期日だけはこれはそういう裁判所でも早く指定するというようなところもあるかとも思いますけれども、その後の事件の審理の進行状況というのは、ほかの事件と歩調を合わせるということにどうもなりがちでありまして、必ずしも東京あるいは大阪におけるようなぐあいにはいっていないのが実情のようでございます。
○稲葉誠一君 現行法でそんなに一審の判決があるまで長くかかっているのがありますか。普通どんなのでも、たいてい半年か、あるいは長くても一年以内に判法があっているのじゃないですか、手形事件は。
○政府委員(平賀健太君) お手元に「民事訴訟法の一部を改正する法律案関係資料。」という横長いプリントがありますが、これの十ページに、手形・小切手事件の審理期間の表が出ております。一番下の欄に昭和三十七年度の例が出ておりますが、一番最後の行に手形金事件が出ております。長いのは五年をこえるものもございますが、十五日以内という短いのもございます。一番多いのは六カ月以内で、全体の二二・三%。六カ月以内というのが一番多いようでございます。しかし、一年以内、二年以内、ずっとそれ以上かかっているものもかなりあるわけでございます。
○稲葉誠一君 手形訴訟の場合、前に言った欠席判決と認諾で解決するのは第一回でそれがどれくらいありますか。三割か四割ありますか。
○政府委員(平賀健太君) 欠席判決で片づくのが大体全事件のうち二〇%が実情のようでございます。五分の一であります。
○稲葉誠一君 それは手形事件のですか。
○政府委員(平賀健太君) さようでございます。
○稲葉誠一君 それから認諾なり、それからすぐ和解ですね。認諾調書をつくるのは少ないかもしれませんけれども、すぐそこで和解に回って解決するのは二割か三割あるのじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) 認諾の件数というのはほとんどございません。一%足らずでございます。一%に満たないのでございます。和解で解決するのが二〇%ぐらいでございます。和解で片づきますというのは、手形の成立を認め、それから請求は当然全部自白するのでございますけれども、一応訴訟の上で争っているものもあるかと思います。要するに、原告側としましても、被告のほうに資力がなければ上訴してもしかたないという関係で、和解で解決する事件が相当あるように聞いております。現に、統計表の上では二〇%ぐらいあるようでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、大体手形事件の半分近くは、欠席判決なりそれから和解なり、いま日本のあれでは正式に認諾調書をつくるというのはほとんどあまりないのですけれども、そういう形で解決する場合が多いし、かりに被告のほうでいろいろ抗弁出して争っても、裁判所が釈明してみれば、それはどういう意味で争っているのかということがわかる場合が多いのですが、だから、訴訟指揮権のやり方によっては、手形事件は第一回なり第二回で半分以上片づくのではないですかね。
○政府委員(平賀健太君) 仰せのとおり、現行法の運用によりましてもこれはある程度促進ができるということは言い得ると思うのでございます。ただ、それにいたしましても、先ほど申し上げましたこの表にもございますように、一年、二年、あるいはそれ以上もかかっている事件が若干ございますし、さらに今回の改正案におきましては、手形訴訟制度というものを新たにつくりましたほかに、なお仮執行の宣言の制度につきましても若干の改正を加えておるわけでございます。現行法では仮執行の宣言は裁判所の裁量でつけられるということになっているのでございますが、今回の改正案では必ずつける。しかも無担保でつけることを原則とする。それから執行停止には、現行法では保証を積めば無条件に執行をとめてもらえるという実情でございますが、今回はこれを執行停止の要件を厳重にする。そういうような他の改正を加えまして、これはやはり手形・小切手事件の審理の促進に役立ち、権利者に急速な救済を与えることができるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○稲葉誠一君 仮執行の宣言の話が出ましたけれども、これは現在でも職権でつけられるわけでしょう。しかも手形のときはほとんど無担保で、申し立てがなくても職権で仮執行の宣言をつけているというのが実際じゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) 実際の運用におきましてはそういうところが多いのでございますが、これがやはり裁判所の裁量ということになっております関係で、必ずしもそのとおりにはなっていない場合もあるようでございます。これは法律その他ではっきりいたしまして、必ず仮執行の宣言をつけなければならない、そうして無担保を原則とするわけでございます。
○稲葉誠一君 それから手形事件で、一審で敗訴して控訴する、執行停止をとるという場合でも、ただ控訴したというだけでは執行停止を出さないで、疎明をつけさせるとか、相当多額の保証金を積まなければ執行停止を出さないのではないですか。手形事件の場合は。
○政府委員(平賀健太君) 無担保で執行停止をするというような場合はほとんどないと思いますが、担保をつければ、保証を積めば、例外なしに執行がとまるというわけであります。
○稲葉誠一君 実際は、しかし、執行停止は、手形事件で一審で敗訴したという場合は、内容にもよりますけれども、判決文を検討して執行停止を認めないのが多いんじゃないですか。
○政府委員(平賀健太君) いや、そうではございませんで、保証を立てますとこれはとまるわけでございます。現行法の規定からもそうなっております。実情は担保を積めばとめるというのが実際の運用のようであります。
○稲葉誠一君 この手形訴訟の復活ということについて、商工会議所あたりから昭和三十一年ごろからこれを復活してくれという要望が出ておりますね。それでいままで法案にならなかったのはどういうわけですか。もう七、八年かかっているわけですね。その間どういうわけでこれがならなかったのですか。そんなに手形訴訟制度が有効で早くやらなければならないというなら、もっと早く当然法案として提出されていてしかるべきだと思うんですが、八年ぐらいかかっているでしょう。
○政府委員(平賀健太君) 商工会議所方面からの要望は、ただいま御指摘のとおり、昭和三十一年ごろからあったのでございますが、これは何と申しましても民事訴訟法の大きな改正になることでございますので、私どもとしては非常に慎重に検討する必要があるということが第一でございますが、先ほどもちょっとお話がございましたように、現行法のもとでも何とかまかなえるのではないか。ことにこれは極度の証拠制限を行ないます関係で、万一の場合には被告に非常に損害を与えることになる。正当な主張をしている被告が手形判決を受けまして、仮執行の宣言付の判決が強制執行の段階で損害をこうむる場合があるわけでございまして、できることならこういう制度を、これは特例でありますから、こういう特例的な制度を設けないで、何とか現行法の運用でまかなえないかということで裁判所方面においても検討いたしてまいりました。裁判官会同なんかで検討してまいりました。それから私どもの内部ででも、この制度と同じように旧民訴の為替訴訟と同じような制度を持っております外国の制度、ドイツが典型的な例でございますが、ドイツの制度なんかも調査いたしまして、慎重に検討いたしたわけでございます。そういう関係で多少日にちがかかりましたけれども、民訴の根本的改正も今回のような案ならばだいじょうぶであるという確信を得ましたので、これを立法化するということに踏み切ったわけでございます。
○委員長(中山福藏君) ちょっと私平賀民事局長にお尋ねしておきたいんだが、いろいろ話を承っておりますと、旧民訴と現行の民訴、そして今度為替訴訟の復活と、こういうことにいろいろ御説明がありましたが、これはいろいろしぼって考えると、結局訴訟を迅速に始末をつけるというところから出発しておるように私聞こえるんですが、これはそういう意味ですか。
○政府委員(平賀健太君) これは、為替手形、約束手形、小切手というそういう手形の経済的並びに法律的性質にかんがみまして、特にこういう手形事件というものは迅速に処理する必要があるということが根本の考えでございます。もちろんこれは一般の訴訟事件の促進という声も非常に強いのでございますが、それももちろん背景にあるわけでございます。
○委員長(中山福藏君) 旧民訴の場合における為替訴訟については一長一短がありまして、いろいろ在野法曹でも検討を加えてきたわけでございますが、結局、旧民訴の為替訴訟が廃止されたというのは、あれはやっぱり一面において弊害があったということじゃなかったのでございますか。その点をちょっと確かめておきます。
○政府委員(平賀健太君) どうも、ただいま委員長の仰せられましたような意味の弊害ということは言われていないように思うのでございます。むしろ手続が非常に複雑である、二重構造的である、合理的でないというところが理由であったようでございます。
 なお、現在の裁判所について手形事件の訴訟の結果を見ますと、訴えが提起されました事件のほとんど全部、九五%までが原告勝訴なんでございます。被告勝訴の事件というのはきわめてまれなのでございまして、こういう非常に証拠制限をしました訴訟でありましても、不当な結果が出るということはまずないと言ってもいいのではないか。この点は旧民訴当時でもやっぱり同じだったと思うのでございまして、そういう意味で、義務者側保護に欠けるというようなことで敗訴になったというふうには私ども承知していないのでございます。
○稲葉誠一君 いまのお話を聞いていましても、今度の手形訴訟によって迅速な処理ができるかどうか、これはかえって逆に複雑化してくることも考えられるんじゃないかと思うんですが、これは法案の中身へはいっていって質問してくると、何といいますか、あるいは私の誤解かもしれませんが、これはあとで出てくる問題と思うんですが、何でこんなのが八カ年もかかったんですかよくわからないんですが、法制審議会にこれはかかったんですか。
○政府委員(平賀健太君) もちろんこれは法制審議会にもかけたわけでございます。
○稲葉誠一君 法制審議会にいつごろかけたんですか。どんなことがそこで議論になったんですか。
○政府委員(平賀健太君) 正式に法制審議会の民事訴訟法部会にかけましたのは昨年からでございますが、その部会にかけます前に事務的に私どもの検討があります。これはもう五、六年前から始めております。それから部会にかけますにつきましては、やはり小委員会がございますので、小委員会の検討を始めましたのは一昨年からでございます。何ぶんこれは私どもの仕事の進みがあるいはスローモーだとおしかりを受けるかもしれませんですけれども、民訴の改正となりますと、戦後できました法律の改正なんかと違いまして、全部が非常に密接な関連をいたしておりまして、一カ所改めますと影響するところが多くて、なかなか実際やってみますと、そう簡単にいかぬのでございます。
 そういうわけで、非常に時間を要しましたけれども、十分に慎重を期しまして、私どもとしては最善を尽くした次第でございます。
○稲葉誠一君 民事局でもこれだけやっているわけじゃないですから、それはおくれたってしょうがない、それだけ慎重にやるのはいいと思うんですが、法制審議会の中で、一体こういう法案をつくって手形の訴訟の迅速な処理なり判決の執行力の強化がはかれるんだと、もちろんこういう意見もあったでしょうし、それに対する批判的な意見もあったでしょうし、この条文の中でいろいろな議論があったと思うんですね。これはどういうふうな議論があったんですか、主として。
○政府委員(平賀健太君) これは法制審議会の部会におきましても総会におきましてもでございますが、こういう制度をもう一度つくるということにつきましては、反対論は全然ございませんでした。それからまた、旧民訴の手形訴訟の二重構造を改めてこういう制度に持ってくるということにつきましても、これは異存はございませんでした。大体、部会におきましても、総会におきましても、委員の皆さま方のほとんど全部の御賛成を得たと言っていいと思うのでございます。
○稲葉誠一君 法制審議会で結論を出す前に、日本弁護士連合会に諮問というか、意見を求めるというか、そういうことをやっているわけでしょう。これもやったんですか。
○政府委員(平賀健太君) それは、日本弁護士連合会にも連絡いたしまして、こちらから係官を派遣しまして説明にも上がらせましたし、また、日本弁護士連合会からは、部会におきましても総会におきましても二人あるいは三人の代表の弁護士の方が事実上日本弁護士連合会を代表いたしまして出席していただきました。
○稲葉誠一君 その法制審議会の委員というのは一年交代じゃないですか、弁護士会のほうは。
○政府委員(平賀健太君) これはいままでの例では大体毎年おかわりになるのが例のようでございますが、しかし、事柄によりましては連続して委員をつとめられる方もあるようでございます。
○稲葉誠一君 こればかりじゃないですけれども、この前、日弁連と話し合いをしたときに、日弁連のほうでは、借地借家の問題でも、それから商法の関係ですか、ああいうふうに日弁連に諮問というのか意見を求めるのが、法制審議会の最終総会ですか、そのちょっと前に意見を求められて、ほとんど十分に中で審議する余裕もないんだということを言っておった。で、法務省側が日弁連に対して、何というか、日弁連を重要視していないというか、法案についての下相談とか、意見を求めるやり方が、きわめて、何といいますか短月日というか十分な余裕をおかないでやるので非常に困っているんだということを盛んに言っておりました。これはこの法案かどうかは別として、そういう事実があるのかないのか、これはあなたのほうでよく調べてくれませんか
 それで、もう一つ入っていくんですけれども、手形が不渡りになった場合に刑事罰を付するんだ、そういうようなことを、大蔵大臣がこの前閣議で言ったのかどこかで言ったのか、言っておりましたね。そういうふうな考え方については、法務省に対して相談があったのか、あるいは、法務省としてはどんなふうな考え方を持っているわけですか。
○政府委員(平賀健太君) 手形不渡りの場合の刑罰の問題につきましては、大蔵省の事務当局のほうからもちょっと私ども連絡を受けまして、私どももこれは新聞でも知っておりましたので、この問題も検討を実はいたしたのでございます。十分な検討はいたしておりませんが、それから外国の資料なんかも少し集めたのでございますが、どうもこれは本質から申しますと、手形の不渡りというのは実質は債務不履行なのでございまして、不渡りという事実をもって直ちに刑罰ということは、これは少し行き過ぎでございます。まあ外国の立法例なんかを見ましても、アメリカの制度なんかを見ますと、手形上の義務者なんかに挙証責任を負わせるような制度があるようであります。これとても、日本の刑罰制度のたてまえから言うと必ずしも合理的ではないのでございまして、一応検討しましたのでございますけれども、これはちょっと無理ではないかというふうに私どもは考えておる次第でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、いまの大蔵大臣が不渡り手形には刑事罰をつけたほうがいいとかいう発言をしたというようなことは、これは法務省に全然相談がなくて発言したんですか。田中さんのことだから、あっちこっちで放言したかもしれませんけれども。
○政府委員(平賀健太君) その点につきましては、私どもは何も伺っていないのでございます。
○稲葉誠一君 きょうは、この程度にしておきます。
○委員長(中山福藏君) 本案の質疑は、一応この程度にとどめます。
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○委員長(中山福藏君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 まず、千葉県下における自衛隊員による暴行事件に関する件について調査を行ないます。
○岩間正男君 国家公安委員長の出席を要求してきょうで三回目にようやく出席を願ったのですが、この際お聞きしたいのは、千葉県の下総基地におきまして自衛隊の集団暴行事件があった、そのために市民が二人傷を負った、ことに一人は全然関係のない者まで暴行傷害を受けた、こういう事件があるわけです。それで、いままでの経緯について当委員会としても二回にわたってただしてきたわけですが、その中で警察との関係でぜひ明らかにしておかなくちゃならない問題があるので、国家公安委員長に伺ってこの問題を明確にしておきたい、こう思うんです。
 第一にお聞きするのは、十三日に自衛隊から当方で捜査するという通告を受けて、十八日まで警察は何もしなかった、そして十八日になって引き渡しを受けた、それで捜査を開始したということがこの委員会で明らかになったわけでありますが、そのとき、これは警察が要求してそういうふうに引き渡しが行なわれたのか、あるいは自衛隊のほうの考えで引き渡しが行なわれたのか、この点を――だれか来ておりますか、警察の関係は。国家公安委員長はさきのほうはおそらく御存じないでしょうからね、まだ就任されてから……。
○国務大臣(赤澤正道君) 私、先般新任されました国家公安委員長の赤澤でございます。当委員会に私初めて出席いたすわけですが、ライシャワー大使のああいう事件がありましてとっさにかわりましたので、まあ大臣というのは初めてでもありますし、いろいろ不なれな点があると思いまするけれども、御協力を得て職務を完全に果たしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
 ただいまの御質問ですが、実は私もこの事件をきのう聞きまして、私はこの公安委員会というものについてそう深く研究もしておらなかったわけですが、事実その辞令をもらって、うかつな話ですけれども、なかなか責任の重いことを感じまして、委員長は警察当局というものとまた公安委員というものとどういう関係にあるのかといったようなこと等につきましていろいろ研究もいたしてみたわけであります。やはり公安委員会そのものを外に向かって代表いたすことになりますので、言うまでもなく、ただいまの御質問等について私御答弁申し上げる責任があるわけであります。ただ、具体的なことを十分つまびらかにいたしておりませんので、見当が違うかもしれませんが、しかし、大体犯罪捜査面について協力するという協定をつくっておりまして、私こういうものの存在を知りませんでしたけれども、あわてて研究をしてみたわけでございます。その協定の内容についての御質問と私察しますわけですが、刑事局長もいま来ると思いますが、私ただいま申しましたように十分な知識なくしての答弁ですから、まことに申しわけないと思いますが、具体的にはいましばらくお待ちをいただきたいと思います。ここに答弁要旨というものも書いてもらっておりますけれども、それすら読んでおらないわけでございますが、しかし、刑事局長が参りましてから御質問がどんどんはかどってまいりますれば、また私の責任でお答えしていかなければならぬものがあると思いますので、ちょっと御猶予を願いたいと思います。
○委員長(中山福藏君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(中山福藏君) 速記をつけて。
○岩間正男君 ちょっと刑事局長、質問の要点を言うから……。公安委員長は事情がよくわからないので、あなたにお聞きしますが、この前の下総の問題ですが、十三日にこちらで調べるからというので自衛隊から通告を受けて、十八日に引き渡したわけですね。その引き渡しは警察が要求して引き渡したのか、自衛隊の意思によって引き渡したのか、この点をお聞きしたい。この点はどうなっておりますか。
○政府委員(日原正雄君) 当時の状況は私もはっきりとは記憶しておりませんが、防衛庁側からこっちに事件を渡す旨の連絡があったと思います。
○岩間正男君 そこのところは警察としてもはっきりさしておく必要がある。非常にこれは問題は重要な問題を含んでいるんです。というのは、自衛隊のほうではこの協定書というものを非常に彼らの都合のいいように解釈して、そうして、もしも県会や国会で問題にならなかったらこのまま自衛隊がうやむやにしてしまうかもしれない問題だった。ところが、これの与える影響は、地方の地域の住民に対しては非常に重大な関係を持つわけです。警察は何をしているんだろうということが非常に問題になります。そういう点から、私は今後の問題を処理するためには原則的な立場というものを明らかにしておかないというと非常にたいへんだというふうに思うんですが、いま言ったような事実をだいいち刑事局長が知っておられない。それからまた、いまの御答弁では、大体自衛隊のほうの意思でもって渡したんだ、こういうことになりますと、一体一般市民の人権を守るという警察の任務というものはどういうことになるか。それまでは何もほとんど調査も何もしていなかった。ところが、この協定書によってこれは最初調べたというのでありましょうけれども、問題の本質は、よく追及してみるというと、私はこの協定書の適用というものは、ただし書きの適用を受けるべき問題じゃないんじゃないか。自衛隊員が市民とけんかをして傷害を受けた、そうして仕返しのために今度は十四人の巡察隊をつくって今度はその当人並びにそばにいた人を引っぱり出してそこでなぐってけがをさした、こういう問題なんです。しかも、その中には関係のない第三者がいるんですね。これに傷を負わした。そういうような暴行傷害事件です。したがって、当然警察権を発動して、この問題を警察の立場からはっきり調査を進めるのが当然だと思うんです。協定第二項の適用などというなまやさしいこういうことで、しかもこれは原則としてはっきり「自衛隊の施設外で行なわれた犯罪は、警察官が捜査を行なうものとする。」とあって、ただし書きはそこに云々とあって、何か秘密保持とか規律維持とかに直接関係のある犯罪については警務官がやるんだ、こういうことを言っている。ところが、問題はそうじゃない。これは一般市民の傷害事件の問題です。だから、自衛隊なるがゆえに警察がこの問題を等閑に付したということは、私は今後の運営の上において非常に重要な問題と思いますが、これは国家公安委員長の御判断を伺いたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(赤澤正道君) 具体的な事情をつまびらかにしないで申し上げるのもいかがかと思いますが、大体の私の感覚について申し上げてみたいと思います。
 私も長い間赤紙で応召いたしまして軍隊におったものですが、昔は、やっぱり軍の規律保持、また体面の問題もありますし、軍法会議にかかるような事件は、民間で起きた事件よりはるかに重かったものであります。しかし、いまの自衛隊というのは当時の軍隊と違うわけでございまするが、しかしながら、中には、そういう軍規ということばは当たりませんけれども、しかし規律保持のためにはやはり警務官というものがありまして、やっぱり自衛隊の体面ということもありますし、現在でも、こういう事件が起こりました場合には、一般民間のものより、外のものよりもはるかに峻烈な態度で臨んでおるんじゃないかということは想像されますが、これは想像でございます。
 しかし、いま岩間委員が御指摘になりましたことですが、どういう場合に犯罪の捜査を自衛隊の警務官がやるか、警察がやるかということにつきましては、協定で明確に区分ができておるはずでございますし、ちょっと耳にいたしましたところでは、施設外で民間との間にいざこざを起こした暴行事件のようでございます。そのときに警察官がどういう処置をとったか、私もつまびらかにいたしませんが、しかしながら、ここに暴行傷害という事実があったわけでございまするので、やはりいずれにいたしましても自衛隊の警務官と警察官とは連絡を密にして、そうして住民に対するいろいろ非難をこうむらぬためにも適切な措置をとることは当然両方に責任があろうかと思いますが、個々のこまかいことがどういうような話し合いになっておったものか、これは私よく存じませんので、刑事局長のほうからお聞き取りを願います。
○政府委員(日原正雄君) この事件は、警察として当然当初から認知すべきだったというふうに言われればそれまでの話なのでございますが、一応この前お話しいたしましたとおり、一番最初の連絡は、隊内でけんかしたらしいので自分のほうで処理しますからという簡単な連絡だけでございまして、一般民間人が関与しておる、あるいは民間人の傷害事件も入っておるというような詳しい事情の連絡がなかったがために、単なる隊員同士のけんかというふうに即断をいたしまして、自衛隊のほうで当初捜査がなされたわけのようでございます。
 なお、一般民間人の被害者のほうからも警察に親告がなかったということで警察としてこの事件を知らなかった実情にあるわけでございます。
○岩間正男君 どうもいまの御答弁ではたいへんだと思うんです。まず警察が知らなかった。これだけの大きな問題が起こっておって、しかも全然無関係の一般市民まで傷害を受けた、こういう事件に対して、警察権を発動しないで、それで自衛隊から次の日に通告を受けた、それに対して今度は関心も持たないで、そのままに約一週間ほったらかして、今度は自衛隊のほうで騒ぎが大きくなったので、ぐあいが悪いので、これは警察に渡さなくちゃならないというので。警察へ渡された、それからこの問題を調べる、こういうことでは警察権というものは一体どういうことになるのか。私は、だから、この協定があるからというようなことですが、この協定は適用されないんじゃないかと思いますが、どうでしょう。一般市民に暴行傷害を与えたこの事実に対して、すぐに警察権を同時に発動して取り調べをする、人権擁護の立場からこれはやるのは当然だ。これは軍隊の規律維持とか機密保持とかそういうことを口実にしておりますが、原則としてこの第二項というのは、施設外で起こった問題については、あくまで警察が調査を行なうものだ、捜査を行なうものだということを明記しているんです。したがって、この第二項の原則のほうが生かされなきゃならないんです。そういう点からいうと、いまのようなあいまいな御答弁では非常にまずいと思うのですが、この点はこれは十分委員長も調査されて、具体的な問題についてタッチしていただいて、私はこれは適用すべきものじゃない、こういう段階では。この適用というものは、これはもう違法的なものだ、こういうふうに考えますけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(赤澤正道君) 私、御質問の趣旨もよくわかりますし、そのとおりだと思うのです。ただ、あとで調べてみなければわかりませんが、やはり警察当局のほうではかなり遠慮があるんじゃないか。遠慮ということが一番いけないと思うのでして、結局こういうふうにどっちが責任を持つのかわからぬような不明確なことにしておけば、ここにいま御指摘のような問題が必ず起こってくるわけでございまするので、今後は明確にいたしますが、いまの問題につきましては、いましばらく検討の時間をいただきたいと存じます。
○岩間正男君 これは、国原公安委員会としても検討されて当委員会に見解を出していただきたい。これは委員長からも要求しておいていただきたいと思うのです。
 いまの御答弁の中にもありましたけれども、自衛隊員なるがゆえに特別扱いをするというこういう気風が警察の中に残っているんじゃないか。これはいわば戦前ではそういうことはあった。しかし、いまの自衛隊と警察の関係というのはそういうことであってはいけないんじゃないか。これはさっき御答弁がありました。私もそう思うのですが、こういう点はどうでしょう。ことにいなかの警察なんかの場合は自衛隊様々で、これが優先的で、そして何かその前に頭が上がらない、そういうことで、しかもその及ぶところは一般の市民の人権が侵害されるという事態が起こる。これはゆゆしい問題だと思うのですが、これはどうですか。刑事局長はどう考えますか。
○政府委員(日原正雄君) 警察としては、いろいろお話でございますが、私は、当初からこの事件の内容をもう少し知っておりましたならば、当然当初から捜査をすべきであったというふうに考えます。ただ、先ほども申しましたとおり、隊員同士のけんかというふうに判断したところに、多少即断したところに誤りがあったのではないかと考えます。
○岩間正男君 これは当時の警察の配置はどうなっておりますか。下総基地における警察官は何人くらいおる。大体少しぼんやりし過ぎているね。どうなんですか、配置はわかりませんか。
○政府委員(日原正雄君) 柏警察署の配置でございますか。
○岩間正男君 管轄です。そこの警察は柏警察でしょう。相当警察官があるわけでしょう。当時はどうなっておるんですか。
○政府委員(日原正雄君) 当時、現場付近にはおらなかったようであります。
○岩間正男君 私は、このような軍の優先の考えというものが実は米軍から一つ来ているんじゃないか。占領政策で、しかも継続して基地が持たれ、現在は米軍と日本の人民との間にいざこざが絶えませんよ。至るところで起こっております。そういう場合に、警察がはっきりした立場で日本の国民の人権を守るという立場からこの問題を処断していないという例はたくさんあるんです。指摘されておる。非常に人民の疑惑になり不満になっておる。そういうものが同時にまた自衛隊にも延長されて、そのままあとをひいておるのじゃないかと考えますけれども、この点はいかがですか。
○国務大臣(赤澤正道君) 先ほど申しましたとおりに、そういうことが残っておるということはまことに遺憾なことだと思います。自衛隊員であれ、やはりこういう違法な犯罪がありました場合には、警察の責任において処置すべきものだと考えますし、それは公安委員会におきましても検討いたしまして明確にいたしたいと考えます。
○岩間正男君 次にお伺いしたいのは、米軍と国家公安委員会の間に何かこういう協定ですね、自衛隊のような協定、何かございますか、米軍との間に。
○国務大臣(赤澤正道君) まだ新任早早でそこまで知りませんが、私はないと判断いたしますけれども、よくわかりませんので、事務当局から説明いたさせます。
○政府委員(日原正雄君) 公安委員会との間にはございません。
○岩間正男君 そうすると、何か日米合同委員会を通じてそういうものはないですか。
○政府委員(日原正雄君) 法務省所管の関係でございますように聞いております。
○岩間正男君 防衛庁長官は来ないでしょうから、日米合同委員会関係で法務省との何かありますか、警察と米軍との間の協定、こういう問題が起こった場合の。これは法務省の刑事局長いかがですか。
○政府委員(竹内壽平君) 日米合同委員会の刑事分科委員会の仕事は私のほうのところでいたしております。民事分科委員会の関係は民事局のほうで取り扱っております。いまお尋ねの点はどういう点でございましたか、まことに失礼でございますが聞き漏らしましたので……。
○岩間正男君 米軍とそれから日本の一般市民との間にいざこざを起こす、けんかをやるとかなんとか。そういう場合に、施設内の場合には、これはもちろん米軍で調べるということになっている。施設外の場合、そういう協定、取りきめというものはどういうふうになっておるか。ここでいま自衛隊とそれから警察の、国家公安委員会との間には協定はあるんですよ。こういうものがなければ、問題を処理するのには非常にぐあいが悪いと思うんですが、刑事分科委員会のほうはどうなっておりますか。
○政府委員(竹内壽平君) 刑事分科委員会の関係におきましては、事件の処理につきまして地位協定の第十七条の関係で合意事項として取りきめをいたしております。その手続によって処理することになっております。
○岩間正男君 いま書類をお持ちでないでしょうけれども、その大綱はわかりますか、施設外の場合はどうなっているか。
○政府委員(竹内壽平君) 資料を持っておりませんので、私の理解を申し上げますと、施設外のいざこざの場合、それが米軍人あるいは軍属の行為であります場合に、その行為が犯罪を構成するという場合におきまして、その裁判権の取り扱いをきめておるわけで、もしその米軍の軍人の行為が公務の執行中に行なわれたものであるということになりますと、裁判権は米軍側に行く、そうでないと認められます場合にはわがほうに来るというこの十七条の規定に基づきまして、それではそれをどういうふうにして判定するかという点についての手続を通告をし、そしてその書類を検事正あてに出す、検事正から向こうへ犯罪通知をするといったような規定をこまかく申し合わせておるわけでございます。
○岩間正男君 そうすると、なんですか、日米合同委員会の刑事分科委員会、その中にずっと何条かきめてありますね、五十何条、あの中に入っていると、こういうことですか。そのほかにもっと合意書かなんかの細目はないですか。細目協定がきっとなければいまの問題は解決つかぬと思いますが、いかがです。
○政府委員(竹内壽平君) これは合意書がございまして、その要旨といいますか、これは先般の安保条約御審議の際に外務省から国会にお示しをしておるはずでございます。
○岩間正男君 あれだけですな。
○政府委員(竹内壽平君) 私どもの持っておりますのはそれだけでございます。
○岩間正男君 そうすると、警察との関係ですね。裁判権の前提として捜査権の問題ですが、この捜査権なんかの明確なる取りきめはないと見ていいのですか。つまり警察と自衛隊の間にはあるわけですね。このくらいのものがなければ、私は非常にあいまいになる根源だと思いますが、ないのですか。
○政府委員(竹内壽平君) それは、捜査の点につきましても合意事項の中に含まれておりまして、施設内で起こった場合の犯罪、施設外で起こった場合の犯罪、日本の官憲がどこまで追及できるかというような問題等もその合意事項の中に規定してございまして、一般原則としては確立しておるわけであります。
○岩間正男君 じゃ、その点はもっとこれは資料か何かでいただくことにして、最後に、防衛庁長官もお見えになっていますから、国家公安委員長にお伺いしたいのでありますが、今度の原町田の問題、あのときに国家公安委員会としてはどういう一体発動をしたのか、処置をとったのか。私は原町田の問題を単に防衛関係とか外務関係にまかしておくという立場では、これは国家公安委員会の任務はつとまらないと考えるんです。したがって、今度の事件が起こった場合にどういう一体処置をとられたか、この点をお伺いしたいと思います。――原町田の爆破事件、米軍のU8機の爆破事件が起こりましたね。あれで四人が死に、二十六人が重軽傷を負った、こういう事件が起こったんです。地域の住民にとってはこれは重大な問題です。当然これは国家公安委員会としてこれに対する関心を持たないとするならおかしいと思うんです。
○政府委員(日原正雄君) 四月五日の米軍用機の墜落事故の状況、これにつきまして申し上げます……。
○岩間正男君 いや、そういう内容はわかっているんです。そうじゃなく、国家公安委員会として、いかなるこれに対する処置をとったかということを聞いておるんです。この問題は国家公安委員会は無関係なのか。これは、単にその当地の警察にまかしておくとか、あるいは自衛隊関係にまかせるとか、それからいろいろな問題について日米合同委員会にまかせるとか、そういう形だけでは日本国民の基本的権利を守るという――あれだけの大きな衝撃を与えた事件です。したがって、国家公安委員会が当然国民の権利を守る、生命財産を守る、そういう立場からこれに対して私は当然の発動がなされなきゃならないものだ。そうでなけりゃ、国家公安委員会の権威などというものは、これは国民を守るということにならぬのです。重大問題なんです。だから、それに対してどういう関心を持たれ、どういう処置をとられたか、あるいは調査を進めたとか、そういうことはこれはなされなきゃならない問題だと考えるのですが、これに対してどういうふうにお考えになったか。ただノホホンとして何も知らない、われ関せずでいたのかどうか、このことが問題なんです。どうなんですか。それはもう公安委員長でなくちゃわからないんでしょう。公安委員長はどういうふうにあのとき御処置になったか。全然もう無関係でしたか。そこが問題ですよ。
○国務大臣(赤澤正道君) 無関係であるとはもちろん考えておりませんが、実は私も、まだ警察でいろいろ調べておるのであります、現地でですね。その報告も最終的なものを聞いておらぬ状態ですし、公安委員会でも、ただいま開いているのを中座して私こっちへ参ったわけですが、当然警察庁としての報告は公安委員会であろうかと考えるわけでございます。決してこの問題についてそうなおざりにしておるわけではございません。ただ、この委員会でもおそらく初めて御説明する準備をして来ておるようでございますから、私はまだつまびらかにいたしておりませんが、処置はいたします。
○岩間正男君 それじゃ、いまわかりましたが、この問題が起こると同時に、私はこれは単に原町田だけの問題じゃなくて、日本の国民の人権にとっては非常に重大な問題であるから、当然これは積極的な発動をすべきだというふうに考えるわけです。それから問題は、今後この問題について国家公安委員会としてはそれではどういうふうに処置をとられるお考えか。その御決意をお伺いしておきます。つまり、日本の国民の人権を守る立場から、当然国家公安委員会がこれを発動して、実情を聴取する、警察をして捜査させる、そして、それに対していろいろな処置が必要であれば、それはとる、こういうような御決意ですか。どうですか、そこはどうします。
○国務大臣(赤澤正道君) その点でしたら、もちろんいまアメリカと日本側とで合同していろいろ原因その他調査しておる段階であると思うわけでして、やはりそういう形で進めてもいかなきゃなりませんし、また、公安委員会としては警察の問題として事態を究明いたすつもりでございます。
○岩間正男君 まあ共同調査やられて、しかし、そこにまかしておくということでなくて、当然日本の国民の人権を守るという立場から国家公安委員会がつくられておる。その目的からいいまして、当然これは自主的に発動しさらに当然の任務を遂行される、そういうことが当然だろうと思いますが、どうもいまの御答弁で、いままでは関心を持っていられない、それから今後の態度についても、合同調査にまかせる、合同委員会にまかせるというかっこうだけじゃ私はまずい。国家公安委員会でも、当然のこれに対する日本国民の権利を守るという立場から、独自の見解なり、これに対する判断なり、そういうものを明確に出すということが私は必要だと思いますが、この点はいかがでしょう。これは防衛庁長官も見えられていますし、稲葉委員からも質問があり、私もやりたいと思っているのですが、問題を究明していく上に非常に大切な、前提条件にもなると思う。今度は警察の態度についてもやはりこれは問題になるんですが、そういう点からお聞きしたので、お答えございませんか。決意はしかしはっきり述べてください。
○国務大臣(赤澤正道君) 御案内のとおり、公安委員会というものは定期的に毎週開いておるわけでございまして、このために緊急な公安委員会の開催まではいたしませんけれども、いま申しましたとおりに、いま開いております最中でございまして、きょうはあいさつをしてすぐこちらへ抜けて参りました次第でございます。で、御承知のとおりに、公安委員長というのは、外に対しては公安委員会を代表いたしますが、結局五名の委員でこういった扱いはきめられる。政治的にはもちろん中立な立場でございますので、いまちょうど委員諸君もおられると思いますが、こういったことも警察庁から報告もあったでありましょうし、その態度でおそらく委員諸君の間で御検討にも相なっておると思います。
○岩間正男君 緊急にこの問題で公安委員会が会合を開くということのお考えはないですか。私は米軍の起こした事故だからといって、先ほど実は国家公安委員長が答弁された、つまり、軍優先、そうして軍の前に何か卑下する態度がある。そういう態度が実は国家公安委員会の中にあるような感じがするのですが、これは当然、これだけの重大な問題です。そうしたら国家公安委員会をお開きになっても差しつかえないと思うのですが、いかがでしょうか、この点は。
○国務大臣(赤澤正道君) 同じことを申し上げるようで恐縮ですけれども、いまの時間実は開いておりまして……
○岩間正男君 この問題でですか。
○国務大臣(赤澤正道君) この問題と特に指摘しなくとも毎週開いておるわけですから、警察庁のまず報告を待って公安委員会としての一つの判断をするわけでございますので、そういうこともやはりこの会議の席上では行なわれておると思います。
○岩間正男君 ライシャワー大使が刺された事件、この問題では緊急に公安委員会が開かれました。しかし、これは日本の国民の人命が四人も失われた。それから二十六人が重軽傷で、いまだに床に伏しておる。しかもこれは米軍の軍事行動の中で起こった問題です。この問題について公安委員会がほんとうに人民の立場をとるなら、私は緊急に公安委員会を開いても少しも差しつかえない問題のように思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(赤澤正道君) あの事故がありました直後に開かなくとも、先ほどから申しますとおり、毎週やっておるわけでございますので、定例の会議で私はこういった問題は処理できると思っております。
○委員長(中山福藏君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○委員長(中山福藏君) それじゃ、速記を起こして。稲葉君。
○稲葉誠一君 五日の午後にアメリカ軍のジェット機が町田市の繁華街に突っ込んで多くの死傷者を出した事件、これについては、きのう本会議で私どもの党の岡田宗司氏が哀悼の意を表して、そうして質問したわけなんですが、それに関連していろいろお聞きしたいと思います。
 いままでに在日米軍機の墜落事故がどの程度あったのか、これに対して、被害をいろいろ与えておるようですが、私どもの調べでは、昭和二十四年の一月八日のB29の西宮の工場墜落、それからずっといろいろあるわけですが、これらのいままでの例と、その原因がどこにあったのかということ、それからそれについてアメリカ軍の乗務員なり何なりの責任がどのようにとられているのか、いままでどういうふうに処罰されているとか、いろいろあると思いますが、その責任はどういうふうになっているのか、それからそれに対する補償はどういうようになっているのか、これをちょっと最初に概略お聞きしたい、こういうように思います。
○国務大臣(福田篤泰君) 五日の町田市における米軍ジェット機の墜落、まことに遺憾なことであります。私どもも心から被害者の方々に弔意と同情の意をささげておる次第でございます。
 御質問の点でありますが、ごく大ざっぱに御報告申し上げますと、昭和二十七年四月から昭和三十八年の十二月までに基地周辺のしかも死傷を伴いました事故件数は三十四件であります。死者が二十、負傷者が三十三名であります。それ以外に、基地周辺以外のところでごく少数の事故が発生いたしております。死傷を伴わない事故も相当ございまして、そのつど私どもは米軍側に強く申し入れ、その原因につきましても探究いたしまして、それ以後の事故防止について万端の措置を強く要請いたしておるのが事実でございます。もちろん補償その他は規定に従いましていままで支払っておりますが、これは昨日の本会議でもお答えしましたとおり、これを機会に、数年来あまりにも低いという批判のありました補償基準につきましては、ぜひこの際改正いたしたい。御案内のとおり、いままでは労災法あるいは公災法を基準にいたしておりますので、最高が一応百五十万という低い額で押えられておる。何とかしてこれをホフマン方式も取り入れまして相当大幅にこの際改正いたしたい。閣議でも正式に了承を受けまして、目下具体的に大蔵省その他と折衝中でございます。
 なお、細部にわたりましては、政府委員から報告いたさせます。
○稲葉誠一君 補償の問題は、これはあとからお聞きするので、問題をそこにばかり持っていかないで、前に、じゃなぜこういうふうな事故が起きたのか。その原因は一体どこにあるのか。原因があれば、それについてアメリカ側でその搭乗員なり何なりについての責任がどのように追及されてきたのか。あるいは処罰されているのもあるし、いろいろあるでしょうけれども、それがどうなっておるのか。それを知りたいわけです。日本側にはそれが全然わからないのだというなら、これはわからないという答えしかないと思いますけれども、わからないなら一体その原因はどこにあるのかということがあとで出てくるのですけれども、どういうわけでそういうふうにたくさんの事故が起きておるのか。原因、責任はどうなっておるのか。
○国務大臣(福田篤泰君) いままでの事故の原因は、大別してパイロットの過失または機体の故障というのが大体のカテゴリーのようでございます。もちろん、その原因につきましては、そのつどケース・バイ・ケースで報告も受けておるわけでありますが、ちょうど二年前に日米合同委員会の下部機構として事故分科委員会がつくられました。それ以来は相当合同調査的な形がとられるようになりまして、今回の事件につきましても、事故発生後直ちに七日の日に第一回を開きまして、いまの御質問のような原因の探究あるいはそのこまかい点につきましてすでにアメリカ側に申し入れて、合同委員会に勧告するという一応の決定をして、今後はっきりするまでは何回でも開かして事実を究明いたしたいと思います。
 なお、細部にわたりましては、政府委員から詳しく数字をあげてお答えさせたいと思います。
○政府委員(小野裕君) 事故の発生、あるいはこれに対する処理等の仕事は、合同委員会のほうに報告され、あるいは検討されるわけでございますが、合同委員会の関係の資料はもっぱら外務省のほうにございますので、私のほうとしてはそちらから御連絡いただくのでございますけれども、ただいま手元に実は持ちませんので、まことに恐縮に存じます。最近、いま大臣が申されましたように、二年ほど前からは合同委員会の下部に事故分科委員会が設けられまして、その首席の委員として私どものほうの職員が参加するようになりましたので、まあ最近二カ年くらいのことについては詳しいようでございますが、以前のことにつきましては、まことに申しわけございませんけれども、いま正確にお答えすることをきょうはお許しいただきたいと思います。
○稲葉誠一君 それでは、きょうでなくてもいいですけれども、いままでのアメリカ軍の飛行機が墜落して日本の国民に与えたいろいろな被害、この原因がどこにあったかということを、具体的な日時、場所、被害等に応じてその原因を明らかにしたものの表をこの次に出していただきたいと、こう思うわけです。
 いま私が聞いた中でも、大臣はパイロットの過失によるものもあると言われた。だけども、私が聞いたのは、その原因と責任と補償と三つの問題を聞いたわけです。補償の問題はあとにすると言っているんですけれども、それではそのパイロットの過失によったとするならば、その人は現実にどういう責任を負い、どういう処罰を受けたかということを聞いても、これは防衛庁長官答えないですね。これはわからないんですか、答えるとまずいのですか。
○政府委員(小野裕君) 搭乗者と申しますか、あるいは責任者と申しますか、こういうものの処罰等の問題その他の措置につきまして、詳細のことについて逐一私のほうでは承知するというようなシステムになっておりませんものですから、その点につきまして特に重大な事件等につきましてはもちろん話題になりますけれども、全般的には承知いたしておりません。しかし、この点につきましては、外務省並びに米軍司令部のほうと連絡をとりまして、必要な資料は差し出したいと、こう思います。
○稲葉誠一君 責任者はどういうふうな処置を受けたかということは承知するシステムになっていないというのですが、これは外務省にもわからないわけですか。そういう意味ですか。
○国務大臣(福田篤泰君) 飛行機事故の所管事務という一つの形になると思うのですが、これはその発生した態様によりましていろいろ違いまして、たとえば通信関係は郵政省、あるいは航空法に関係するものは運輸省でありますとか、いろいろこまかい点、また刑事事件を伴うものは法務省と分かれておりますが、防衛庁としての窓口といいますか、担当、責任ある分野は、地位協定十八条に伴う請求の義務に関する分でございます。したがいまして、対米関係では安保条約の規定に基づきまして外務省が総括的な一つの窓口になっております。
 いままでの御質問の点につきましては、外務省から資料を総括して取りまとめまして表にして差し上げたいと思います。
○稲葉誠一君 いままでアメリカのパイロットなり何なりが過失をして日本の国民に被害を与えたということのその結果は、外務省に一体連絡があるのですか、ないのですか。
○政府委員(小野裕君) 特に確かめたわけではございませんけれども、合同委員会といたしましては全般的に所管をいたしておるわけでございまして、各主管省がそれぞれ分担している以外のことは外務省の所管、こういうことになるわけでございまして、そういうふうなルートにおいて通報と申しますか連絡と申しまするか、そうした処置、結果というようなものについても、もし連絡があるとすれば外務省である、このように私は考えております。
○稲葉誠一君 防衛庁長官、施設庁長官が言うのは、もし連絡があるとすれば外務省だなんて言うんですね。きわめてあいまいなんですね。これはアメリカ軍の公務として犯した事件だとすれば、アメリカ軍が処分するわけですね。これは安保条約でそうです。その結果は日本側には全然連絡がないんですか、あるんですか。これは答えは二つしかないと思うんですよ。防衛庁としてはあるのだかないのだかわからないというのですか。
○国務大臣(福田篤泰君) これは常識的に申しましても当然私は通報を受けるべきであると思います。また、ある場合によっては、今後の事故を防止するためにも、向こうが来なければ通報は求めるべきだと私は考えます。したがって、いままでのことにつきまして外務省に、具体的に法務省関係もあると思いますが、さっそく調べまして、いままでのことで関係官がもし万一こちらが通報を受けてないとか、あるいはこっちがそれを要請をすることを怠ったというような例があった場合には、私は厳重に注意いたします。
○稲葉誠一君 そうすると、いままでたくさん事故がありましたね、米軍機の。これは一体どういう原因で事故が起きたのか、あるいはその責任はどういうふうにアメリカの人がとったのか、これに対して防衛庁としてはアメリカ軍に対してなり何なりに要求なり追及なりしたことはない、こういうことですか。
○政府委員(小野裕君) 防衛庁並びに防衛施設庁といたしましては、直接にどういう処分をしたかというようなことを追及することはございません。ただ、先ほど申し上げましたように、合同委員会の下部機構としての事故分科委員会がございますので、このときに責任という問題についていろいろ論議がございますので、そういう際にはそういう処置の結果を承知することは当然ございます。それも最近の委員会でございまして、それ以前のことについては私ども直接には関係がないわけでございます。
○稲葉誠一君 二年前に合同委員会の事故分科委員会ができたと言いましたね。これはいつできましたのかいまお聞きするわけですが、その後に起きているのについては、去年の五月十六日のB57ジェット機が埼玉県の毛呂病院に落ちて患者がなくなりましたね。あれは事故分科委員会ができてから後の事故だと思うんですがね。そうなると、事故分科委員会の中で、あなた方は、この埼玉の病院のことはどういう原因で起きて、そうしてアメリカの軍人なり何なりがどういうふうな責任をとったのか、当然わかっているんじゃないですか。いまあなたの言われるような事故分科委員会のできる前のことなら、これは防衛庁としてはわからないというのもこれは一つの考え方でもあると思うんですけれども、できてから後の事故については当然防衛庁としてはわかって、その原因なり責任なりを追及していなければおかしいと思うんですが、これは一体どうやっているわけですか。
○政府委員(小野裕君) 分科委員会ができましてから事故も相当起こっているわけでございますが、ただ、その分科委員会に取り上げられる事件と取り上げられない事件とがございます。それはそのときどきの事故の状況によるわけでございますが、そういうことで分科委員会は今回の事故が六回目でございますが、ただいまお尋ねの埼玉県の毛呂山町の病院に落ちました事件につきましては、あの原因についてはパイロットには責任はないという判定になりまして、これはいわゆる処罰というようなものはついておりません。
○稲葉誠一君 そうすると、六回目というんですけれども、今度の町田の事件を入れて六回目ですか。それをずっと最初のところからちょっと説明してくれませんか。それと、なぜ埼玉県の去年の五月十六日のこの病院の事件は事故分科委員会で取り上げられなかったんですか。
○政府委員(小野裕君) 埼玉県の事件は、分科委員会で十分検討いたした事件でございます。
 それからこれも申しわけないのでございますが、六回につきましては、そのつど生じた問題は検討されたわけでございますが、まことに恐縮でございますけれども、私並びに現在首席委員をしております石井調査官がまだ就任する前のことが大部分でございまして、この点については最終的記録はすべて合同委員会にございます。そういう意味で、私どもにも写しはあるかと思うのでございますが、いままで勉強しておりませんので……。
○稲葉誠一君 これはあなたのほうとしてもぼくはいろいろ立場があると思うんですよ。立場はよくわかります。だから、ここで明らかにしたくないという考え方があるんだと思うんですけれども、六回というのは、日米合同委員会の事故分科委員会ができてから六回ですか、今度のは入らないわけですか。
○政府委員(小野裕君) 今回が六件目でございます。
○稲葉誠一君 入って六件目。そうすると、それはあなたのほうとして石井という人が首席として出ているんですか、ずっと六回全部。あるいは六回出ていなくても、これはどこの主管なんですか、防衛庁の。それはよくわかりませんけれども、その六回――今度のはまだ結論は出ませんけれども、五回の間の事故の詳細を、どういうのが取り上げられ、どういうのが取り上げられなかったかということをあとで表として出していただきたいと思いますが、結論としていままでの五回の中ではいずれも原因ははっきりしたのですか。あるいは、アメリカの搭乗員というか、それらの責任はすべて不可抗力だからないのだという結論になったのですか。そのくらいは記憶していらっしゃるのじゃないですか。調べればすぐわかるのじゃないですか。
○政府委員(小野裕君) 実は、ただいま申し上げました事故分科委員会には私のほうの調査官が首席の委員として出ておりますが、これもこの委員会が始まりましてから一年くらいたちまして就任をしておりますので、前半の関係は実は本人が出席しておりません。
 それから、この仕事が、大体先ほど大臣からもお話がございましたように、事故の取り扱いというのが主務庁としてどこであるかということが従来はっきりしなかった点もありまして、私のほうとしては防衛施設庁あるいは従来の調達庁の所管といたしましては補償という仕事が職務なのであります。ですから、補償に関連してやはり事故等の原因というものも知りたいというのは当然でございます。そういう意味で、しかも一応米軍との関係が補償の仕事との関係で緊密な関係もございまして、私のほうから首席委員が出ておるわけであります。しかしながら、この取りまとめあるいは報告とか勧告をどう処理するとかは、これは合同委員会でございまして、合同委員会の事務局は外務省でございます。そういう意味で、戻りまして資料を調べればまた御説明もできますが、ただいまのところ承知しておりませんので、お許し願いたいと思います。
○稲葉誠一君 取り扱いの主管がはっきりしないというけれども、取り扱いの主管は外務省なんですか。いま石井という人は首席調査官かなんかで出ているというのですけれども、この人が出てから一年たったというんでしょう。これは合同委員会の事故委員会ができてから前半はいなくても、後半は出ているわけですから、後半だけでも、原因がどこにあって、その責任がどうなったかということがわかるのじゃないですか。
○政府委員(小野裕君) まことにどうもちぐはぐなことを申し上げて恐縮でございますが、委員会が始まりましたのは三十八年の一月が正式の発足でありまして、まだ一年半足らずでございます。その前からこれを発足させるということのいろいろな検討がございまして、少し長かったように申し上げましたけれども、三十八年の一月でございまして、その後の始まってから首席委員をしておりますのが石井調査官でございますが、出席した石井君がただいま出席しておりますので、石井君からその後の経過を申し上げます。
○岩間正男君 どういう身分の人ですか。
○政府委員(小野裕君) 防衛施設庁の総務部の施設調査官という立場の人でございます。
○説明員(石井市次郎君) 三十八年の一月に合同委員会の事故分科委員会が発足いたしました。一年かかりまして発足になったわけでございます。したがいまして、三十七年の一月からこれを設立すべく努力しておったということでございます。三十八年一月から、今回の事故のために去る七日に会合いたしましたが、それまでに六回会合したということでございます。その間、会合ではなくて、連絡あたりは、向こう側の議長と数回続けておるということでございます。
○稲葉誠一君 その六回というのは、今度は施設庁長官の言うのと違うんですが、これは食い違いはいいですが、六回会合した中で、私の言うのは、どういうふうな事故があったのか、その事故についての原因がどういうようなものであり、責任はどういうふうになったのかということを聞いておるんです。六回というのはみんな違う事故ですか。一つの事故について六回あったという意味ですか、六件あったという意味ですか、はっきりしないんですがね。
○説明員(石井市次郎君) 六件ということではございません。六回でございましたが、一つの件で二回会合したという場合もございます。大きな事故といたしましては水戸対地射爆撃場におきます誤射事件が第一回開催当時でございます。それが第一回の会合でございまして、その後芦屋周辺におきますすところの誤射事件、毛呂病院に墜落いたしましたところの事件、そのようなものが大きな事件でございます。今回で第六回の会合を開いたということでございます。
○稲葉誠一君 それはちょっと横にそれちゃいますから、話をもとに戻したいんですが、誤射事件というのは一体どういう事件であったかということはきょうのあれでありませんから、あとで書面ででも出していただけばいいんですが、そこで、いま防衛庁長官の言われたのは、事故分科委員会ができた、できたのだけれども、これは合同調査的な形をとるんだ、こういうふうないまあなた言われましたね。正直にあなた言われたと思いますが、合同調査的な形というのは一体何ですか、合同調査とは違うんですか。
○国務大臣(福田篤泰君) 形というのは、正確な意味の合同調査ではないということであります。七日に開きまして、報告を受けまして、日米間で合計七名担当者が出まして相当突っ込んだ議論をいたしまして、数時間にわたっていろいろと討議を重ねて、数点にわたってこまかい具体的な掘り下げをする問題を取り上げております。これはすべて当然の問題点ということになりまして合同委員会に勧告しようという結論を得た。したがいまして、正式に言えば公務中の米軍の行為につきましては、これは御承知のとおり第一次裁判権はアメリカでございますから、最初からわれわれが調査権があるということは言えないと思うのでありますが、少なくとも七日の分科委員会の討議並びに調査の方法は、私の受けた報告では、お互いに協力し合って議論し、また原因の究明に当たっていると、こういう感じを受けております。
○稲葉誠一君 そうすると、名前は合同調査という名前だけれども、実際にはそこまでは行けないんだということになるわけですか。だから、日本側の調査の限界というものがあるというふうにお考えですか。だから、直接飛行機に乗っていた何という人ですか、アメリカの軍人なり何なりを日本側が呼んで調べる、調べるというか、強制力を用いて調べるわけじゃありませんけれども、そういうようなことはいままでやったことがないんですか、またできないんですか。
○政府委員(小野裕君) お尋ねの点につきましては、たとえばそのパイロットを呼んで調べて話を聞くというようなことはできないたてまえになっております。
○稲葉誠一君 それは強制力を用いて聞くことはできないかもしれませんけれども、任意に来てくれと言うなり、あるいはこっちから行って調べなければ、合同調査ということにはさっぱりならないんじゃないですか。名前は合同調査だけれども、向こうが全部調べていて、日本はそれにくっついて歩いて――くっついて歩いてというのは、ことばが悪いが、その程度じゃないですか。実際にいままでにたくさんの事故があったが、日本側がアメリカの搭乗員なり何なりをこっちから行くなりあるいは来てもらったりして任意に調査をしたというようなことはないんですか。できないということですか。できないということがどこかに書いてありますか。できないという法的根拠はどこにあるんですか。
○政府委員(小野裕君) この事故分科委員会の性格と申しますか態様でございますが、これは重大な事故の発生にあたりまして、その原因を追及し、究明し、それに今後再発を防止するために必要な措置というものを検討して、これを合同委員会に勧告する、報告する、こういう形になるわけでございます。
 ところで、その調査のやり方でございますが、問題点というものを、これはもちろんこちらの要求でつくらせた委員会でございますから、こちらのほうとしては、こういうような点、こういうような点、いろいろ問題を提起するわけであります。それに対して米側委員のほうからそれぞれ説明がある、あるいは資料の提出があるという形でございます。ところが、事故の原因そのものの調査その他につきましては、あくまでもこれはやはり米軍部内の問題でございまして、これがたとえば刑事事件の関連というような問題になればこれはまた別の角度から別の機関においてお扱いになるかもしれませんけれども、私どもの段階におきましては、刑事事件というものは別の問題といたしまして、その事故の原因をはっきりさせる、納得のいくまで米側委員の説明を聞く、必要によりましてそれの取り調べなり調査をいたしました部隊の責任者の出席を求めて説明を聞くという、その段階まではいたしますけれども、本人を呼んでいわゆる尋問的な調査をするというそこまではいたさない。先方は応じない。こういうことになっております。
○稲葉誠一君 原因を究明しようとしても、本人が出てこないし、それからアメリカのほうでは軍事上のいろいろな機密があるのだからそれ以上のことは言えないということを言われれば、それでおしまいですか。
○政府委員(小野裕君) ただいまお示しの軍事上の機密というような問題があれば、これは取り扱いは非常に慎重になると思います。あるいは言えないというようなこともあり得るかもしれませんけれども、軍事上の機密を離れまして、たとえば信用上の問題であるとか、あるいは威信の問題であるとか、こういうようなことで何かを隠すというようなことがあれば、これはあくまでも追及して、こちらの納得のいくような、最後はたとえば原因が不明だという結論になるといたしましても、不明ではない、ここに問題があるのじゃないか、この点はどうか、ここはついたか、ここは調べたかというようにして、それでもどうしてもわからないとなればいたしかたがない。こういうことで、できるだけこまかく追及をする、先方の解明を求めるというやり方で協議をしておるわけでございます。
○稲葉誠一君 日本側が主導権を握って調査ができないというその法律的根拠はどこにあるわけですか。裁判権が公務員の場合向こうにあることはわかります。裁判権があることと、調査――捜査ということばは使いませんよ、調査ということばを使いますが――調査ができるできないということは別個の問題じゃないですか。どこに書いてありますか。あなたに言わせるというと、向こうの説明を聞いたんだ、こっちは不審があるんだ、追及していっても結局はっきりしなければいたしかたがないんだというふうに聞こえるわけです。日本側が主導権を握ってやれないのだということは、一体どこにあるんですか。何か法律に書いてありますか。
○政府委員(小野裕君) 米軍部内のいわゆる機密保持あるいは統制あるいは管理監督という権限でございまして、こちらが強制するということは、やはり根拠がないわけでございます。
○稲葉誠一君 米軍の中の機密の問題なら、これは一種の治外法権みたいなものですけれども、日本の国民に対して被害を与えたという場合に、その委員会を開いても、原因の究明についてある限度しかやれないんだ、それ以上のことはできないというのでは、これは全く真相はわからないのじゃないですか。おかしいじゃないですか、この行き方は。もっと日本が徹底的に調べられるだけのものを当然要求していいんだと私は思うんですが、それはいまの安保条約の中ではできないわけですか。向こうはこういうふうに調べてこういう結論だったんだと。なるほどそれについてはこういう疑問があるとか何とかと言っても、また向こうで説明しますわね、それで終わりになっちゃうわけですね、結局。
○政府委員(小野裕君) 端的に申しますればそういうことになるわけでございますが、そういうことを少しでも疑問を残さないように――当たってもわからなければしかたがない。しかし、少しでも解明できる点があればついていく、こういうことでございます。
○稲葉誠一君 法務省にお聞きしたいんですが、あのとき検事が二人来ましたね。あれは何なんですか、法律的にいうと。
○政府委員(竹内壽平君) 今回の町田市の事件で検事が参りましたのは……
○稲葉誠一君 二人来ましたね。
○政府委員(竹内壽平君) 参りました。できるだけの証拠の収集と申しますかでそういう措置を講じたわけでございます。これはこれがほんとうの刑事事件になるかどうか、もし刑事事件になった場合に証拠が散逸しておってはその職務を遂行できませんので、できるだけの手当てをしていく。その間にわがほうの調査から何らかの犯罪の嫌疑があるというようなことでありますならば、犯罪通報をしなければなりません。そういう関係で、その一種の予備的な調査と申しますか、その前段階的な調査として参ったものと理解しております。
○稲葉誠一君 しかし、あの場合は、アメリカ軍の公務上の事故であるということはもう当初からはっきりしておるわけじゃないですか、検察庁にとっては。そうなれば、裁判権がないということはわかるわけでしょう。それでも検事が二人行っておるというのは、ここのところはどういうことですか。裁判権がなくてもこの程度の捜査はできるという見解なんじゃないですか。あすこへあの二人が行ったのは、現場検証に行ったんですか、正式な。あるいは実況見分で行ったんですか。あれは何で行ったのですか、どうもはっきりしませんね。
○政府委員(竹内壽平君) 現場検証その他をやりますのには法律の手続に従ってやらなければなりませんので、令状を持って行ったと私は思います。しかし、事柄の性質は公務中の事故であるということは推定はできるかもしれませんが、そういうことで手をこまねいているべき性質のものではないと私は考えます。したがいまして、公務中のものと向こうが言ってくるかもしれないが、言ってきた場合に、なるほどと、こういうことでこちらが納得がいくようになるかどうかということを調査しておく必要があるわけでございますので、そういうわけで検事が派遣された、現場に行ったんだと、こういうふうに考えております。
○稲葉誠一君 私は検事が行ったということはあたりまえだと思いますが、そうすると、令状を持って行ったのかどうか、これはあとで調べてくれませんか。
 そうすると、たとえ公務だということがわかっておった場合でも、あれですか、検察官としての捜査はどの程度までできるわけですか。まだ公務であるかないかわからないわけでしょう、推定はできるかもしれないけれども。そうなれば、その搭乗員を検察官が調べることもできるんじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) その議論の前に、一つこういう問題があろうかと思うのでございます。この十七条の中へ入ってくるいわゆる裁判権の問題が論議される以前の問題としまして、正当な軍の行動と、こういうふうになってまいりますと、十七条の問題じゃない、それ以前の問題なんですね、そういう場合もあり得るわけでございます。それから軍の正当な軍事行動から逸脱して搭乗員、構成員の個々の行為として評価をするのが相当だという場合に、はじめてこの十七条の問題になってまいります。そうして十七条の問題になってまいりました場合に、もし公務中の作為・不作為であるということになりますと、向こう側が一定の手続を踏んで第一次裁判権を主張するわけでございます。そうなってはじめて裁判権が向こうにいく、こういう過程があると思います。
 そこで、検察官は、そのいずれの場合にも対応できるような態勢でまず初動活動をするということは、私はなすべきことだと、かように考えているわけでございます。しかしながら、もしこれが軍の正当な行動だということになりますと、手を引かなければなりません。それから軍の行動を逸脱しておるということになりました場合でも、さらに先ほど御指摘のありましたように公務執行中だということになると、裁判権は向こうに行く。それまでの間はできるだけわがほうの意見を固めるために必要な資料の収集ということはしておくべきでありますし、そうやってこそはじめてわがほうの意見も述べ得るわけであります。向こうが公務執行中であるという意見を持ってきても、それに対して反駁をする材料を持たなければならんわけです、もし反駁をするならばですね。そういうためにも必要な資料を収集しておく必要がある、かように考えるわけであります。
 したがって、性格といたしましては、いま出ていったのは捜査それ自体であるかどうかということになりますと、私は前段階的な調査であるというふうに考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、初動活動が大事だということは、これは捜査というか何というか、第一原則なわけですね。そのときにそれがどういう状態であるかということを調べるためには、まず乗っていた本人によく聞かなければわからないのじゃないですか。いままでの事情というものを日本の検事は調べることはできないわけですか。強制捜査じゃないですよ、任意でも調べることができないわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) 理論としてできないという筋合ではないと思いますけれども、当該事件に即しましてわがほうでも聞いてみたいという場合はあると思うのでございます。そういうときは私は聞くことはできると思うのでございますが、それには裁判権がこちら側にあるという見通しのもとに立って、よく軍当局とも話し合って捜査につきましては相互に共同して協力しなければならんということになっておりますので、その辺はよく事情を尽くしてやるべきことだと私は考えております。この町田の事件につきましては、当面落ちた現場からどういうことがわかるであろうかというようなことで現場に臨み、まず検証ということになったと思うのであります。
○稲葉誠一君 いまの点は、いろいろ法律的に議論があるところですが、私は不可解に思いますのは、事故分科委員会というのは、七日に初めて開かれたんですね。七日の午後二時からこの事件についての事故分科委員会というのが。これはどうですか。
○政府委員(小野裕君) お示しのとおりでございまして、七日の午後二時に府中の米軍司令部で会議をいたしまして、出席者は、わがほうから七名、先方から九名であります。これの開会につきましては、事故の起きました即夜、私のほうと外務省のほうと連絡いたしまして、合同委員会の立場からこの分科委員会を至急開催するようにという申し入れをいたしました。先方は先方の関係者の参集の都合ということから、七日の午後ということになったわけでございます。
○稲葉誠一君 事故の分科委員会で事故の原因が初めて追及されるのが筋合いだと、こう思うんですが、そうじゃないんですか。
○政府委員(小野裕君) 初めてと申しますが、これはその委員会をいつ開くかということによって時間の前後というものがございますが、この事故の原因調査の本体は、米軍自体の内部の問題として、これはどこの部隊でも同様でございます。日本の自衛隊でありましても同様でございまして、事故が起きますれば、すぐ事故の原因を究明する、対策を考える、これは当然のことでありまして、しかも権限と責任がそれぞれの部隊にあるわけでございます。そういうような調査と申しますか、あるいは監察と申しますか、こうした活動は部隊自身の仕事でございますが、それを私どもは側面からその状況を聞きながら、納得のいくそういうような調査をしておるかどうか追及をしておる、そういうような形になるわけでありまして、今度の場合は、もちろん米軍といたしましては即時調査を始めたわけでございまして、この調査の結果を第一回の七日の委員会にもわかりました範囲を報告されておる。こちらからは、質問の点についてさらにこの点を確かめておいてくれというような話、あるいは合同委員会に対しまして、こういう問題についてこの際大きく考えようじゃないかというようなことを主張している、こういうことでございます。
○稲葉誠一君 私の言うのは、七日におくれたということを言っているのじゃないんです。その前の日の六日に在日米軍司令部のスポークスマンと称する者が、だれか知りませんが、これがこういう発表をしているわけです。「今回の事故は、いままでの調査によると飛行機が操縦不能となり、操縦士が墜落地点を選ぶ余裕はなかった。操縦士としてはパラシュート降下するほかはなかったと思われる。」、六日にアメリカ軍のスポークスマンはこういうふうに発表しているわけです。七日から合同委員会が始まってそこで正式に追及するというなら、その前の日にこういってアメリカ軍は正式にこんなふうに発表しているわけです。おかしいじゃないですか。この正式の発表をただ認めろ、そのために形だけ合同委員会を開いただけじゃないんですか。五日の午後何時かの事件ですね、それを六日にこんなに早くアメリカ軍が発表した。その点について、防衛庁側は、一体どういう根拠でアメリカ軍がいま私が読んだようなことを発表したのかどうか、これを追及したことがありますか。アメリカがこんなに早く「今回の事故は、いままでの調査によると飛行機が操縦不能となり、操縦士が墜落地点を選ぶ余裕はなかった。操縦士としてはパラシュート降下するよりほかはなかったと思われる。」と、こういうふうに発表しておるのですが、そういうことについてあなたのほうで追及したことがないんですか。
○政府委員(小野裕君) その記事は私ども新聞では見ましたが、正式の発表であるかどうかわかりませんが、一応そういうような発表を見ました。これにつきましては、適当であるかないかということはいろいろ判断の道があると思いますが、私どもとしましては、そういう発表があったというようなこともございましたので、それを裏づける説明を求める、これがやはり委員会の立場ではないか、こういうように考えております。
○稲葉誠一君 私の言うのは、五日の午後に起きた事故をそんなに早くアメリカ軍がこういう結論を出して発表できるんですか。どうやってこれはアメリカが調べたんですかね。その点はあなた方のいろいろお話を聞いていれば、この委員会でいろいろ追及するんだと言いますが、なぜどういう根拠でこういう結論をそんなに早く、七日の正式の委員会の前に出したのか、追及したことがあるんですか、ないんですか。
○政府委員(小野裕君) 追及はいたしておりません。そのような発表が適当であるかないか、あるいは根拠があるかないか、こうした点については私どももわかりませんが、先方も「思われる。」というような一つの想像ではないかと思うのでございますが、ただ、それにいたしましても、なぜそういう見解を持ったかということについては、この説明を求めておる、そうしてさらに次回の委員会で問題点をさらに煮詰める、こういうことになっておるわけであります。
○稲葉誠一君 そうすると、七日の委員会で、アメリカからいま私が読んだようなことの説明はあったんですか。
○政府委員(小野裕君) 正確なところは、当日出席しました石井調査官から申し上げたいと思います。
○説明員(石井市次郎君) ただいまのことにつきましてお答え申し上げますが、新聞紙上にあったことにつきましては、私は読んでおりません。ただし、現地に参りましたときにそのようなことを聞きました。非公式にはそれらしいというような想像を私も聞いております。しかし、正確には事故委員会でその点を追及いたしております。
○稲葉誠一君 そうすると、防衛庁が追及するのか、外務省が追及するのか、どこが追及するのかわかりませんが、何を追及しているんですか、事故委員会で。防衛庁長官、あなた方としては何を追及しているんですか。ただどういう原因だけではなくて、いろいろこまかいデータがあったでしょう。何を追及しているんですか。
○説明員(石井市次郎君) 追及いたします点は、そのときどのようにして起こったか、すなわち、事故の前後の、特に前の飛行機の状態はどうであったかというようなことを追及いたしております。
○稲葉誠一君 だから、その追及というのは、アメリカ側が調べてきたことを発表するんでしょう。それについて疑問を聞く程度と、こういうことでしょう。直接アメリカに言ってどうだこうだといってやるわけじゃないですね。これはさっきから言っておる程度でしょうね、念を押しますけれども。
○説明員(石井市次郎君) そのとおりでございます。
○稲葉誠一君 そこで、きのう岡田さんが質問した中で、大臣は答えなかったのですが、おりるときに無電かなんかで連絡したようであって、おりたとたんにアメリカのヘリコプターが来てそれをすぐ連れていったと、こういうことを言っておりますね。そうすると、それだけの無配連絡をするだけの時間的余裕があったのではないかというようなことを言っておりましたが、これは岡田さんが現地に行って調べた結果だと思いますけれども、あれはどうなんですか。そういう事実はあるんですか。
○国務大臣(福田篤泰君) その点は非常に大事な実はポイントで、一体パイロットが地上の被害を局限するための努力をしたかどうか、これは御承知のように教典その他のいろいろの点から訓練をいたしております。そこで、具体的に私も確かめなければならないと思って米軍に聞きましたが、これはまだ中間的で、まだ報告するのは早いかもしれませんが、御質問でありますので、中間的に御報告いたします。
 パイロットがどのようにして救出されたか具体的にひとつ調べてくれといって、その結果でありますが、僚機――これはちょうど二機飛んでおりまして、ランデブーと申しまして二機編成で飛んでおったわけですが、飛行場付近で一時お互いに見失いまして、やっと遭遇したときに一機がきりもみ状態にはいったようでございます。そこで、いまの点でありますが、僚機から厚木基地に無電連絡をした。厚木基地は、直ちに、同基地所属でそのときたまたまその付近を訓練飛行中のヘリコプターがあった、それに無電連絡をした。これが十六時三十三分。その命によって、ヘリコプターが、これは事故現場の化方の所――麦畑らしいのでありますが、事故の搭乗員が着地した地点に着陸いたしまして十六時三十八分助けまして、厚木基地に運んだのが十六時四十四分。そこで救急車に移して同基地内の米軍病院に収容した。それが昨日はいりました中間的な報告のものであります。
 そこで、私どもの聞いた一つは、事故を起こした飛行機から基地に通知があったのではないかということですが、これは全然ない。これはいま言ったように遭遇して僚機が墜落するのを見たものでありますから、基地に連絡した。そこで、ちょうどその付近を訓練中の、スカイ・ダイビングと言っておりますが、どういう訓練か知りませんが、直ちにその訓練をしておる最中のヘリコプターに連絡しまして、これがたまたま近所におりまして、すぐ麦畑におりて助けたと、それが真相のようであります。
○稲葉誠一君 そうすると、アメリカ軍の、どういう状態になったときに機体放棄していいかということの何かあるそうですね。これは指導要領と言うらしいですね。私たちが聞いたところでは、三千三百メートル以下の高度できりもみ状態になったときは機体放棄していいというようなことがあるということですが、自衛隊の場合と機体放棄の場合が違うのだというふうなことも言われているんですが、そこはどうなんですか。アメリカ軍の指導要領というのはどうなっているんですか。自衛隊にもそういう指導要領があるわけなんでしょう。
○国務大臣(福田篤泰君) 自衛隊のほうには、航空法七十五条、自衛隊法百七十条の規定に準じて通達を出しております。これでこまかく規定をされております。この自衛隊の通達は米軍をモデルにしたものでありまして、米軍にはT・Oと申しまして、テクニカル・オーダーという内容のもののようでございまして、これを各機種に応じてそれぞれマニュエル――教範を出しまして、それに明示し、それに基づいて訓練をしておる、こういうことを聞いております。
○稲葉誠一君 それは抽象的ですが、具体的にたとえば高度の問題だとか、機体を放棄してパラシュートでおりる場合の規定が自衛隊ではそれじゃどういうように通達されておるわけですか。アメリカ軍ではどういうように通達されておるわけですか。
○政府委員(堀田政孝君) お答え申し上げます。
 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、航空法第七十五条、それとともに自衛隊法第百七条の五項、これを受けまして、航空自衛隊技術指令書、管理運用規則という二つが出ております。なお、各航空機ごとに、いま長官がテクニカル・オーダーと申しましたが、略称T・Oと申します指示が出ております。
 なお、ただいま稲葉委員のお尋ねの緊急脱出に関します指導につきましては、別個の通達が出ております。
○稲葉誠一君 その内容が自衛隊の内容とアメリカ軍の内容と違うという点は……。
○政府委員(堀田政孝君) 自衛隊のほうのやつを読んでみます。「ジェット機からの緊急脱出に関する指導について」、これは三項目ございまして、一番大事なところが第三項で、「緊急脱出の場合には、なし得る限り地上または水上の人員または物件に対する被害を局限するよう処置するものとする。」と義務づけております。
 それから、T・O、先ほど申しましたテクニカル・オーダーでございますが、これは非常に長いのでございますけれども、F86Fにつきましては、「脱出と不時着」の場合はこういうような要領でなければならないというふうに規定いたしております。たとえば、「パイロットが当該機によって充分な模擬不時着の演練をした者であること。」それから「最低八〇〇〇フィートの長さを有する、不時着準備の整った、又は指定された地域に不時着すること。」というような拘束をいたしております。なお、低高度で脱出する場合にはこれこれしかじかといったような規制をいたしております。
○稲葉誠一君 アメリカ軍のほうはどうですか。
○政府委員(堀田政孝君) 米軍のほうは準備いたしておりません。
○稲葉誠一君 そういうふうな緊急脱出というんですか、アメリカ軍でも指導要領というのはあるそうですね。機体放棄の場合のそれは防衛庁の側ではまだ入手していないんですか。あればそれを説明していただきたい。
○政府委員(堀田政孝君) 私ここに準備いたしておりません。自衛隊のほうは持ってまいりましたが、米軍のほうはT・Oを持っております。
○稲葉誠一君 そうすると、防衛庁長官、大体のことはわかりませんか。今度のこの事件は、アメリカ軍の緊急脱出がどういう状態で行なわれ、それがどういう評価をされるかということが一番ポイントになるわけですよね。自衛隊の脱出しかきょう準備していないのはおかしいんですが、どうなっておるんですか。
○説明員(石井市次郎君) 米軍の場合は、ただいま堀田局長から申されたと全く同様でございます。ただし、高度につきましては飛行機ごとに違うわけでございます。今回の事故を起こしましたような高速の飛行機では、一万フィート以下で操縦不能におちいった場合――これは滑空ができない場合でございます。きりもみにはいる、こういうような状態でございますが、一万フィート以下で操縦不能となったときには飛行機を放棄するということになっております。ただし回復の見込みが考えられる場合には、極力それを避けなければならない。で、地上におきますところの損害を防止するということにつきましては、先ほど堀田局長から申されましたとおりでございます。
○稲葉誠一君 この点につきましては、これは争いですけれども、いまここで論議しても結論の出ることじゃありませんけれども、もっと詳細な調査が行なわれなければあれですけれども、これは付近に森林や田畑がたくさんあって、何も市街地であれしなくても、森林や田畑のほうへ行けるような、秒速との関係から見てもその程度の余裕はあったと考えられるかどうか、その点はいまの段階ではまだわからないのですか。その点が一つ。
 もう一つ、補償の問題を詳しく聞きたかったんですが、長官がいなくなってからあとで聞きますが、きのう、防衛庁長官は、補償の問題は独立採算でやるということを言われたですね。きのう本会議で言ったでしょう。
○国務大臣(福田篤泰君) 議事録では違います。いまお答えします。
○稲葉誠一君 いや、何か独立採算で補償をきめるなんて言うから、おかしなことを言うと思ったんですが、その点はどうなんですか。
○国務大臣(福田篤泰君) 第一点の問題は、まだ調査中ですから、断定するのはどうかと思いますが、いままでの中間報告的な報告を聞いておりますと、スピン――きりもみ状態に入ってしまった、瞬間的に。こういう報告を受けております。しかし、これを裏づけるにはパイロットからの十分な供述も必要でありますし、まだ断定するには早いのであります。
 第二の点でありますが、私も答弁中にやじがありまして実はふしぎに思いましたが、議事録をごらんになればわかりますが、こういう意味であります。いままでは、御承知のとおり労災法、公災法を基準にしまして、日当千五百円の千日分というのが最高のワクでございまして、百五十万円でございます。これではあまりにも低い。数年来これは引き上げの議論があったから、この機会にぜひとも引き上げの実現を相当大幅に上げたい。たとえば、例といたしまして、独立採算制をとっておる鉄道、公社などは約三百万くらい出せるようであるから、われわれとしても何とかしてこの際大蔵省とも折衝して、ホフマン方式も取り入れて大幅に値上げしたい、こう言ったわけでありまして、ちょっと私も実は戸惑った。これが正確なことであります。議事録にもそう載っております。
○稲葉誠一君 私も変なことを言うなと思ったんです。
 それならば、一点だけお聞きしておきますが、補償の問題で補償金額がきまったのは、昭和二十七年五月十六日の閣議決定ですか、最終決定は。
○政府委員(小野裕君) 最初の閣議決定できまりましたのは、当時調達庁の……
○稲葉誠一君 いや、現在の金額が。
○政府委員(小野裕君) 現在の金額は三十一年五月一日以降に変わっております。
○政府委員(上田克郎君) 少し補足いたしますと、御承知のように、施設庁のほうは自衛隊の賠償規則を引用しておりますので、ただいま施設庁長官が申されました三十一年の五月と申しますのは、陸上自衛隊の損害賠償規則の達が出た日付でございます。海上、航空それぞれの自衛隊は、海上は陸上と同時に出ておりますが、航空自衛隊は発足がおくれました関係だと思いますが、三十二年の十月に達を出しおります。この三者は内容は同じでございます。
○稲葉誠一君 いま私が言った昭和二十七年五月十六日の閣議決定で、米軍機の墜落などで市民が死んだ場合は最高百五十万円、こういうふうにきまっておったんじゃないですか。別表があるんじゃないんですか。
○政府委員(小野裕君) 最初に閣議決定でその基準が定まりましたのは、いまお話しのとおり、当時の調達庁関係で米軍の関係を受けたものでございまして、その後、改正と申しますか、一方においては自衛隊のそうした場合における補償というものを大体調達庁の当時の米軍関係のその線に沿うように定められ、さらにその後に行政協定から地位協定に変わりましたあとは、今度は地位協定によりまして、米軍関係の請求権の補償という問題は大体自衛隊の例によるというふうにまた改まっております。現在では、米軍に対する補償の基準は、自衛隊において行なわれる補償の基準と同じものをとる、こういう形になっております。そういう変化といいますか、変更といいますか、そういう過程がございます。
○稲葉誠一君 その変化はいいんですけれども、変化というのは、金額の変化じゃないのじゃないですか。金額が百五十万円という金額にきまったのは、いま私が言った昭和二十七年五月十六日の閣議決定じゃないですかと聞いているんです。その変化というのは、金額の変化ですか、最高限の変化ですか。
○政府委員(沼尻元一君) 昭和二十七年には、当時行政協定ができまして、十八条で請求権に関する件がきまりましたので、それを受けまして民事特別法ができ、それに対応して補償基準というものを設けたわけでございますが、三十一年にさらにこれを改正して、二十七年には他によるべき基準がございませんでしたので、労災法というようなものを参考としてつくられたわけでございますが、三十一年に改正いたしましたのは、遺族補償とか、あるいは負傷した場合における療養補償、休業補償その他若干の、いまここではっきり記憶しておりませんけれども、それが二十七年の基準に比べて多少の変更をしたように記憶しております。詳細は私どの程度に改正したか覚えておりませんけれども、そういう変化があったように記憶しております。
○稲葉誠一君 私、最後に質問しますけれども、いまの補償額の変化、だいぶ聞いておるんだけれども、答えがあっちこっち行っておってはっきりしないんですが、私が聞いておるのは、最高百五十万円の補償が支払われるたてまえになったのはいつなのか、それがいままで変わっていないわけですけれども、その最終的なのはいつ変わったと、こう聞いているわけですが、その間の変化があれば、あとで表かなにかで出してくれませんか。
 そこで、きょう私の最後の質問は、防衛庁としては、アメリカ軍の飛行機が市街地、密集地を飛ばぬように、航路変更を勧告するというようなことが、これは閣議できまったのか防衛庁できまったのか知りませんが、それがきまったのかどうか、それを合同委員会の中で出して、どういうふうに防衛庁側あるいは日本政府としてはアメリカ軍に強く要請をしておったのか。それから今後再びこういうふうな事故が起きないようにどうするのか。日本の政府として、防衛庁として、そういう点をまとめて最後に私の質問としてはお聞きしたいと思うわけです。
○国務大臣(福田篤泰君) 事故の発生いたしましたのは五日でありますが、翌日私はフェルト太平洋軍総司令官並びにハンナ公使にお会いいたしました。昼と夜お会いいたしました。ちょうど会うにはいい機会と思いましたから、この際抜本的な対策を立てたい。死傷を伴う件数が毎年約三件ぐらいに上るのですが、これは国民に対する不安感の重大性を考えても、まずとりあえず人口稠密地帯の基地周辺の上を飛ばない方法はないだろうか。軍事上、機密上どうしても不可能な場合に、最小限度に、地上の事故があった場合に被害を局限化し得る具体的な対策はどうあるべきか。とりあえず二点を私は申し入れをいたしました。これはその翌日七日の分科委員会でも当然取り上げられ、幸い町田と厚木との間は十二キロでありますが、いろいろ具体的な報告を受けますと、町田市街ははずれておるようであります。しかし、私はそれだけでは困りますので、これは単なる厚木基地だけの問題ではない、全国の基地にも大きな直接の関係がありますので、この点は強くわがほうの基本線としていまの二点を具体的に申し上げました。米側も原則的に承諾いたしました。日米合同委員会に勧告するということになりました。おそらくこれから専門家を動員いたしまして具体的に検討される、そういう段階じゃないかと存じます。
○岩間正男君 まず、第一に資料を要求したいのですが、事故分科委員会の構成、構成メンバー、それから性格、権能、それから何を扱うのか、いままで会議を持たれてどういうことを話したか、この資料をひとつほしいと思います。
 第二の資料は、いまの、航空機を離脱するにあたっての心得ですね。これは日本の国内法がありますね、一つは。それから自衛隊のそういう規定、それから米軍の規定、このものをこれは明確にしたものを出してほしいと思うんです。
 そういう中で防衛庁長官にちょっととだけお伺いしたいのですが、とにかくだれが考えても、現地の町田の人たちは、米兵はパラシュートでとにかく助かった。それなのに、関係もないところの無辜の日本人が四人死んだ、二十六人は重軽傷を負っている。国民感情からいって、これは絶対に許されない問題だと思うんです。これは、この処置いかんによって非常に重大問題になる。米軍のとにかく作戦が優先して、その結果国民にこのような被害を連続与えている、こういう問題に対して徹底的にこの事故を追及するというような事態がなかなかできないで、そういう点で、先ほど稲葉委員からも質問された離脱の問題というのは、私はやはり今度の問題を決定する一つのポイントになると思う。刑事裁判権で米軍が裁判権を持つということは、これは決定されたのかどうかが第一。決定されたのですか、まだ決定する前なのか。決定する前であったら、これについてここんところは非常にポイントになると思うんですけれども、大体五千フィートの高空で機体を放棄してしまっているんだが、パラシュートは百五十メートルの低空でも開く。五十メートルでも開く。その間には非常に余裕が――余裕といっても、それほど時間的にはないかもしらぬけれども、これは当然なさねばならない問題じゃないかというふうに思うんです。この問題を一体もっと徹底的に追及したのかどうか。それからせめて民家を避けて、たんぼに機体を向けるようなそういう方法というものは当然とらるべきだと思う。
 それから日本の航空法は自衛隊に適用されているんですか、されていないんですか、七十五条。そうしてそれは、米軍は日本の国内法に対しては全然関係がないのか。国内法はじゅうりんされて、もう米軍の軍事優先で一切まかなっているのか。この点は非常にポイントとして必要だと思う。七十五条では、航空機に急迫の危難が生じた場合には、地上の人、物件に対する危難防止について必要な手段を尽くしたあとでなければ機長は機を去ってはならない――これが自衛隊に適用されているのかどうか。米軍に適用されているかどうか。日米合同委員会のこの地位協定の結果、国内法というのは、これはもうじゅうりんされてもかまわないのかどうか。この点はどういうふうになっておりますか、お伺いしたいと思います。先に資料の問題を……。
○国務大臣(福田篤泰君) 御要求の資料は整えて提出いたします。
 第二のパイロットの問題は、これは中間報告的に向こうから入りましたものを、少し早いと思いますが、御質問がありましたのでお答えいたしました。最終的にきまるまで、軽率な答弁はいたしたくないと思います。
 第三の航空法七十五条、これは、自衛隊は、先ほど申したとおり、適用いたします。米軍には直接適用はありません。ただ、国際慣行それから先ほど申しましたT・Oの関係、こういう点で規制されております。
 こまかい点は政府委員から……。
○岩間正男君 もう一点お伺いします。
 そうすると、これは日米合意書、その一つの母法になる地位協定、さらに大きな一番大もとの安保条約になるわけですけれども、少なくともこの合意書の合意条項というものは、日本人民には非常に好ましくない。われわれの生命財産を守る立場から考えれば、非常に絶えず危害を与えている。そういう一つの根拠になるわけですが、国内法尊重の意向というものについて、日米合同委員会で問題にする可能性は十分ある問題だと思う。この問題は等閑に付することはできない。この点はどうです。国内法を完全に無視するという形で現在行なわれているこういう離脱の方法というものは、今後、先ほどの航路を変えるという問題とあわせて、私はこの点を徹底させることが非常に重要だというふうに思いますけれどもいかがでしょう、長官の考え方は。
○国務大臣(福田篤泰君) いまの点は、国際間の慣行でありまして、外務省ないしは国内的には法務省、そういう方面に御検討を御質問を願いたいと思います。
○岩間正男君 しかし、それは防衛庁長官としても、いまの問題は、これは今後米軍との関係で重要でしょう。ことにあなたは日米合同委員会の協議委員会の委員でしょう、自衛隊長官は。そういう立場からいったら、自衛隊長官だけではありません、協議委員会の委員なんです。最高レベルの、トップクラスの、安保条約の中ではそういう位置に立っている方です。だから、いまのような問題を法務省がやれ何だ――法務省は事務的にあとでやればいいんです。基本的問題としてどうお考えになるか、この点をお伺いしたい。
 それからもう一つ、刑事裁判権は、はっきり今度の事件は米軍にあるということを決定されたのか、この二点をお伺いしたい。
○国務大臣(福田篤泰君) この点は、私の立場において、やはり主務大臣である外務大臣に私の意見は申し述べたいと思います。
 第二の点は、これは目下調査中でございまして、私の立場からは申し上げられません。
○岩間正男君 まだ未決定でしょうね。
○委員長(中山福藏君) 本件に関する調査は一応この程度にとどめまして、暫時休憩いたします。
   午後雰時五十八分休憩
   ――――・――――
   午後二時十二分開会
○委員長(中山福藏君) 委員会を再会いたします。
 休憩前に引き続き、町田市における米軍機墜落事故に関する件について調査を行ないます。
○岩間正男君 当日の状況並びに警察、警察庁の処置がどうであったかということからお聞きしたいと思うんですが、あの日は、警察は、いつ通知を受けて、それからこれに対してどんな処置をしたか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(日原正雄君) 十六時二十八分ごろ、町田警察署に在署中の警察官二名が署の裏庭で作業中に、南東上空で異様な音響とともに落下傘らしい白い物体が浮かんで、航空機らしいものが急降下の状態で墜落をしていったのを認めたので、直ちに初動体制に入ったわけでございます。で、刑事課長以下十六名が、十六時三十五分に現場に到着をいたしまして、死傷者の救護活動に全力をあげるとともに、交通規制に当たった。それから機動隊一個分隊の派遣要請を行なった。それから緊急招集によって参集した署員三十二名が、地元消防団約三十名の応援を得て、救護活動に当たった。十六時五十分ごろに、米軍並びに憲兵十二名が現場に到着いたしております。それから十七時十五分ごろ、第一自動車警ら隊の目黒分駐署から十三名が現場に到着をいたしております。それから十八時ごろには、新たに要請を行ないました機動隊一個中隊六十三名が現場に到着いたしました。それから十八時十五分ごろ、現場鑑識班が到着いたしました。それから現場検証までの間、一応現場保存、これは米軍憲兵十二名と町田署員が行なったわけでございます。
 それから四月六日に、捜査一課員それから町田署の刑事課員が、これは大規模な事件のために、現場検証前に、おのおの事故発生直前の目撃者の発見と、関係者の取り調べに当たりました。同日の午後、捜査一課員が検証に立会をいたしております。
 それから四月七日は、前日に引き続きまして、目撃者の発見、それから所轄署員は関係者の取り調べに当たって、事件の実態把握につとめております。それから鑑識課員、科学検査所員、これは引き続いて現場の検証活動に当たっておる状況でございます。
○岩間正男君 警察がかけつけたときは、すでに米軍が来ていて、二重の縄を張っていたというんですが、これは事実とどうですか。
○説明員(川井昌吉君) 外勤課長でございます。ただいまの件につきましてお答え申し上げます。
 米軍が現地に行きましたのは、十六時五十分でございます。警察のほうが現場に到着をいたしましたのは十六時三十五分ごろでありますので、警察のほうが米軍より先に現地に到着をいたしました。
 米軍の十二名の内訳でございますが、そのうち五名が憲兵、これはカービン銃を持った制服の警備隊でございます。あとの七名は、初めから作業服を着ておったと思います。それで、この五名が警察官と一緒になって付近の警戒に当たった。あとの七名の作業服を着た米軍ですが、これは主として飛行機の残骸の発掘にこれも警察と共同で当たっておるという状況でございます。特に米軍が縄を張ったかという点でございますけれども、そういう点は聞いておりません。
○岩間正男君 私たちの手にした情報とは違うんですが、先に米軍が行って、もう二重の縄を張ってしまった、そこへ警察がかけつけたということになっておりますがね。その点は調べたですか、どうですか。
○説明員(川井昌吉君) そこはもちろん現場は町田署員が主としてやっておりますので、町田署からの報告でございますが、報告のとおりとすれば、申し上げたとおりであります。
○岩間正男君 もう一度その点についてこれはさらに調査してほしいと思います。
 そのときに、これは警察の任務ですが、米軍とどういう交渉をして、どんな役割りを警察はになったのか、ここはどうです。
○説明員(川井昌吉君) 米軍と日本側の警察の仕事の分担と申しますかの関係でございますが、これにつきましては、実は両者の合意に基づく取りきめがございます。それによりますと、事故現場の措置につきまして、そのおもな点を申しますと、日米合同の責任者によって必要な共同管理を行なうというのが第一点でございます。
 それから事故現場の措置につきましての日本側の責任者は、所轄の警察署長またはそれの代理者というのが第二点であります。
 それから第三点といたしまして、立ち入り制限区域への米軍要員以外の者の立ち入りは、日本側の責任者がこれを決定する、これが第三点でございます。
 それから第四点としまして、見物人の整理は、原則として日本側警察官によって行なう。で、米軍、米兵は日本側の行なう整理を援助する。
 これは、両者の合意による取りきめがございまして、日本側は日本側の警察庁からそれぞれの下部組織、米軍のほうは米軍の系統で下部組織に同様趣旨の通達が三十三年の十一月十日に出ております。今回の警備につきましても、その合意に基づいてやっておるわけでございまして、結局、事故現場につきましては、両者の共同管理ということになっておるわけでございます。
○岩間正男君 これは何ですか。合意書によるのですか。三十三年十一月十日の合意書、そこできめられたもので、現在も安保改定されてもそのまま継続になっておるんですか。
○説明員(川井昌吉君) これはそのまま生きておるというふうに解釈をしております。で、警察庁といたしましては、三十三年十一月十日付で下部のほうにそういう趣旨の通達を流しておるわけでございます。
○岩間正男君 この合意書は相当大部なものになりますか、どうですか。どんなものです。
○説明員(川井昌吉君) 条文にしまして七カ条、ただ、一カ条ごとに相当詳細な項がございますが、条文的には七カ条でございます。
○岩間正男君 これは資料として出してほしいと思います。
 そうすると、当日の警察の出動というものは、こういう合意書の結果、その場のいろんな整理をしたり、それから共同管理をして、その事態を収拾するというだけのものだったのですか。これは刑法上の過失傷害が起こっているのかどうか、そういう観点から現場を調査するという考えがこのときあったんですか、ないんですか。
○説明員(川井昌吉君) ただいま申し上げましたのは、いわゆる現場措置についての合意でございますので、現場措置と申しますと、死傷者の救護、それから現場の保存、現場の交通につきましてのいわゆる雑踏整理、こういうふうな措置となりますので、この合意の内容につきましてはその点をきめたのでございまして、捜査につきましてはまた別に取り扱いがあるかと思います。
○岩間正男君 そうすると、事後処理だけの問題で行っていて、この問題を警察の立場から刑法上の過失傷害のようなのがあるかどうかという点からの調査をする考えというのは全然なかったのですか。これはいかがですか。
○政府委員(日原正雄君) 先ほども申し上げましたように、即座に町田署の刑事課員も現場にかけつけ、その後また本庁の捜査一課員、鑑識課員等もかけつけまして、もちろん最初には救護活動がございまするけれども、現場検証、あるいは目撃者の発見、あるいは機体の部分の資料の収集というようなこともやっておるわけでございます。
○岩間正男君 そのような同時にやっているそれは、刑法上の過失傷害に該当するかどうかというそういう角度から取り調べたのですか。
○政府委員(日原正雄君) 考えられます犯罪としては、業務上の過失致死傷なり業務上失火という疑いはあるということは言えると思います。
○岩間正男君 そうすると、その二つですね。一つは合意書による事後処理の場合と、それから警察はこの事態に対して刑法上のそういう犯罪を構成するかどうか、この二つの点からいまのような措置をとったと、こう考えていいですか。――そういう場合に、二重になわ張りをしておったというんですが、その内側には日本の警察を入れなかったと、こういうことを言われておりますけれども、これはどうですか。
○説明員(川井昌吉君) その点は聞いておりません。なおよく調査をしてみたいと思いますが、現在のところは報告を受けておりません。
○岩間正男君 これは、現場の目撃者が目撃して非常に問題にしている。なぜ一体日本の警察は立ち入りができなかったんだろう、そういう事実があるんです。
 そうしますと、こういうことはどうなんです。米軍がなわ張りをして、先ほど立ち入り禁止の問題については署長が決定してということがありましたが、この場合にはそれが行なわれなかった、こういうふうに見ていいのですか。
○説明員(川井昌吉君) その点も報告にはございませんので、後刻調査をしてお答えいたしたいと思います。
○岩間正男君 肝心なところはそういうことなんで、私がさっきからお聞きしている点は、向こうの報告だけでは事態を明らかにすることはできない。ところが、現場で国民が非常に疑惑を持っていたりするのは、いまのようなところなんです。事実上どうなんですか。いまのような立ち入りを米軍が制限するということはできるのですか。署長がちゃんときめて立ち入りをやる、そういうことをきめる権利があると先ほどありましたね。ところが、実際は、内側には入れなかった。こういう事態が起こったとすれば、これはどうなんですか、いまの合意書に違反している、こういうふうに考えていいですか、どうですか。
○説明員(川井昌吉君) 合意書には、先ほど申し上げましたように共同で管理するという表現でうたってございます。したがって、米軍だけに権利がある、あるいは日本側だけに権利があるということは申せないと思います。
○岩間正男君 この点は、これは共同管理ではないですね。米軍の考え方で、そして米軍のそういう一つの圧力で日本の警官も入れなかった。現場の人はたくさん見ているんです。この点については、やはり警察権の合意書によるそういう当然の権利さえも行使できなかった、こういう事態がある。それなのに、日本の自衛隊があそこに二、三人入っている。これだけは入っていた。警察を入れないのに、自衛隊だけ入れたというのはどうもおかしい。現地の人は盛んに言っているんですが、これはどうですか。これも警察では報告はないんですか。
○説明員(川井昌吉君) その点はわれわれ聞いておりません、現在のところ。
○岩間正男君 これも調べてほしいと思います。
 次にお伺いしますが、これは竹内さんにお伺いしますが、東京地方検察庁の検事二人が現場に派遣された。これは先ほどありましたね。いつですか、そしてどんな任務を持ってあそこに行って、何をやったんですか。
○政府委員(竹内壽平君) 当日の夜七時のテレビ放送でございますか、それで検事はこの事故を知りまして、直ちに所轄警察と連絡をとりました結果、検証はその翌日の六日の朝からやろうということに打ち合わせができたそうでございます。翌六日の十時に検事が派遣されまして、警察官、検事、それから関係機関の方なども立ち会いまして、共同で現場検証をいたしておるのでございます。
 その目的は、先ほどもお答え申し上げましたように、現場の検事といたしましては、この事件がどう処理されるかということは一応頭からはずしまして、とりあえず証拠を収集して、かつ、これがもし事件ということになりますならば、手おくれにならないように処置をしていきたい、こういう考えであったようでございまして、これを捜査という面から見ますと、犯罪と疑うに足る相当の理由があって着手したのでなくて、その事前段階の調査、こういうふうに性格を考えたらいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○岩間正男君 警察や警察庁の処置をいろいろお伺いしたんですが、その中で、やはり私たち非常にここで注目しなければならないのは、米軍があの現場では相当気ままにふるまった。いかにもMPがのさばっているという感じです。現地の人が、これに対して、どうもふざけておる、こういう感じを非常に強く持った怒りをあの現場でぶちまけている。こういう点から考えまして、この問題をやはり最初からもう米軍の刑事裁判権は向こうにあるんだ、公務中だ、こういうような一つの予定観念の上に立って行動をするということは、これは非常にまずいというふうに思うんです。だから、これはあくまで警察なり検察が日本人の基本的権利を守るという立場から当然法の命ずるところによって権威をもってこれに対処するという態度が非常に重要だったと思うんですが、そういう感じが非常に大衆の間には映っていないという点に問題があると思うんですが、どう思いますか。米軍の前で検察や警察の人たちの態度というものは、非常に卑屈だった。対等の態度というようには映らなかった。何か卑屈な感じを与えたというのは、非常に国民感情に対する影響としてまずいと思うんですね。安保改定が四年前に問題になって、安保改定は日米対等の立場に立つということを盛んに宣伝した。ところが、少しも実際の行動の上では対等ではない。しかも、日本側が重大な被害を受けている問題です。だから、これは当然国民の利益を代表する立場から堂々とその権利を主張して、そしてこれに対していやしくも仮借しないという態度を米軍に対して示すという基本的態度を米軍に示すのが望ましいと思うが、大臣がいないのでなにだが、その点はいかがですか、警察のほうは。
○政府委員(日原正雄君) 私どもの基本的な考え方としては、確かに第一次裁判権が米軍側にあることにはなろうかとは思いますが、しかし、第一次裁判権の有無にかかわらず捜査はできるわけでございます。もちろんそれには強制捜査の面においていろいろな制約がございますけれども、当然われわれとしては捜査しなければならない。この事件につきましては共同捜査をするというたてまえで進んでおるわけであります。一般に与える印象がいかにも腰が弱かったというような印象を受けられたようでございますが、私どもの立場としてはもちろん共同捜査をやっていくという考え方でおるわけでございます。
○岩間正男君 竹内刑事局長にお伺いしますが、裁判権については、先ほどの私の質問に対しては、まだ決定されていないと。当然そうであろうと思うのです。これはもっと調査を進めない限りは、これは結論が出ない。あくまでもこの問題は国民の基本的権利を守るという立場から当然検察を発動しなければならないことだと思うんですが、基本的にはどういうふうに考えておりますか。
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのとおりでございまして、被害者が日本人側でございますし、事故の真相をはっきりさせる、そして法の定める措置を進めていくということが基本的な考え方であります。したがいまして、先ほどもちょっと触れたのでございますが、この案件が刑事事件の範疇に入ります事故でございますならば、これは刑事事件として取り扱う。それから先は地位協定の定める手続に従いまして進めていくわけでございまして、その間に、私どもの気持におきましては、人権を保護していくという考え方に少しも変わりはございません。
○岩間正男君 当然こうなると、一つは、裁判権の所在の問題がいかにももう明らかなようなふうなことが言われておりますけれども、これはそう簡単にはいかない問題です。そういう点から言いますと、合同委員会の刑事分科会ですね、これを私は開くべきだと思う。先ほど事故分科委員会がすでに七日に開いたという話がありましたが、事故委員会だけでは裁判権の問題はむろん明らかになりません。当然そう思いますけれども、だから早急にそのような刑事分科委員会の開催を要求すべきだと思うが、いかがですか。
○政府委員(竹内壽平君) すでに昨日委員会の開催を申し入れまして、明日開くことにいたしております。
○岩間正男君 そこで、公務の問題が非常に問題になるんですね。それで、たとえば公務であるかどうかということの範疇の問題ですね、これについて内容的にいろいろ検討しなくちゃならぬということが一つあるわけですが、これは公務であるという通告を向こうから受けることになるんですか。それによって日本側に反論する何かあれば反論する、そうして、そこで議論をして、最終決定はどういうふうなかっこうになるのか、その手続は。米軍側に刑事裁判権があるのだということが最終的に決定されるまでの手続きですね。
 それから刑事分科会に法務省を代表してだれが参加しておりますか。
○政府委員(竹内壽平君) 刑事分科会の日本側の委員長は、刑事局の総務課長の地位にある者がつくことになっております。現在は辻辰三郎がその委員長でございますが、辻課長は、先般人事課長に転補いたしましたが、手続上は総務課長はまだ決定いたしておりませんので、引き続き辻課長が委員長の立場に立っております。
 それからこの手続きでございますけれども、先ほどもありましたように、これには二つ問題がございますが、軍の正当な活動、軍行動と申しますか、そういうものであります場合には、これは刑事の範疇に入らない事項でございます。これであるかどうかということが一つ問題でございます。それから外面は軍の行動のように見えましても、やはり行為そのものは構成員の個人の行動として評価するのが相当だという案件になりますと、それでは業務上の過失があったかどうかという問題になってくるわけでございますが、その場合にはじめて裁判権の問題が起こってくると思うのでございます。
 いま、このあとのほうの場合と想定いたしまして手続を申し上げますと、わがほうで事故発生の通告を軍当局にいたしますると、軍のほうでは、それが公務中の作為・不作為の行為であるという通知また認定を向こう側から日本側に持ち込んでまいりまして、これは裁判権が競合する場合でございますが、もしそういう主張をしてくる場合には、裁判権は軍側のほうへ移ることになります。その場合に、日本側が、もし、そうではあろうけれども、日本側の調査の結果によれば、公務の執行中の作為・不作為とは認めがたいという反論を提出することもできるわけでございます。そこで、もし意見が一致しない場合にはどうなるかということになりますと、それから先はやはり合同委員会の席で論議をすることになりますし、さらには日米間の外交交渉によって問題を解決するということになるのではないか。実例といたしましては、合同委員会まで持ち込む段階で話し合いがつきまして日本側に裁判権をとった例もございます。
○岩間正男君 今度の問題は、先ほど稲葉委員からも追究されて、私も若干触れたんでありますけれども、アメリカの航空機離脱のそういう規則、それから日本の国内法、それから実態としては五千フィートの高空ですでにパラシュートを開いて離脱をやった、こういう点が非常に大きな問題となると思うんですが、こういう点についての調査を現在検察庁はどの程度進めているのか、これに対するいろいろな所見もあるだろうと思うんですが、これはいかがですか。
○政府委員(日原正雄君) 航空機離脱の関係というお話でございますが、私どものほうは目撃者その他重軽症者などについて一応取り調べをいたしておりますが、操縦士そのものについては当たっておりません。現在の段階では、まだ目撃者のほうの調査に重点を置いて調査いたしておる段階でございます。
○岩間正男君 これは操縦士を調べる権利が当然ある、警察ではそういうお考えのもとにいまの御答弁ですか。
○政府委員(日原正雄君) 強制的に調べる権限はないと思います。ただ、任意の問題としては調べることもできると考えております。ただ、調べる必要があるかどうかという問題については、これはまた別個な問題で、まだ結論を下しておりません。
○岩間正男君 これは当然国民の世論からいえば、任意の捜査権があれば発動すべきだというふうに思いますけれども、米軍にそれを要求する、そういうお考えはございませんか。
○政府委員(日原正雄君) 少なくとも現在操縦士は入院中であるようでございますし、またいまの現場におけるいろいろな調査の模様を見てからきめたいと考えております。
○岩間正男君 これはことに東京都で起こった問題ですよ。東京都だからどうだこうだというわけじゃないけれども、しかし、いやしくも首都の中で起こった問題、ほかの例がたくさんありますけれども、こういう問題についてて、実は非常にいままで何といいますか、ほんとうに当然主張すべき権利も主張されていない。そういう点、日本側はいつでも卑屈な態度で、結局は米軍の決定したものに従っていくのでありまして、そういう方向がとられた事例はたくさんあげることができる。
 そういう中で、これは単にわれわれが考えておるだけじゃない。アメリカ側でそういうことを問題にしている事例がある。昨年の十一月二十六日米上院軍事小委員会におけるベンジャミン・フォーマン米国防省弁護士と米陸軍法務官ホッドソン代将の報告、この報告によると、「世界各地における米駐留軍の地位に関する条約並びに協定の実施状況」という中で、裁判権を日本側が放棄し過ぎるということを述べています。いままで件数の九〇%以上を放棄している。第一次裁判権が日本側にあるものでも、このような状態である。これでは、米軍犯罪についてきわめて甘い態度を日本側がとっておるということを、ほかならないアメリカの軍の関係の法務官が指摘しておるということは、私は非常に重大だと思うんです。こういう点からいえば、今度の問題のごときは、私は当然これに対して日本の国民の立場を守り、そしてこれに対して厳重な態度をもって臨むべきだというように考えるのですけれども、これはどうでしょう、その用意がありますか。今度の問題をどうですか。
○政府委員(竹内壽平君) 今度の事件についてどういう態度をとるかということでございましたが、これは先ほどお答え申し上げたとおり、あくまでも厳正な態度で私どもとしては臨んでいくように要望しているところでございます。ところで、いま御指摘のありましたアメリカの上院における討論の模様でございますが、当時新聞にもそういう記事が出ましたので、私どもも重大関心を持って見ているのでございます。また、その後、外務省を通じてどういう意見を実際に述べたのかというようなところも調査をして、また米軍当局に対しましても意見を聴取してきているのでございますが、この点につきましてはいろいろ事情があるようでございます。
 まず、非常に軽く扱われているという点につきましては、これはアメリカと日本の検察制度が違うことから起因しているのでありまして、御承知のようにアメリカでは法定起訴主義をとっております。したがいまして、犯罪の認められます者につきましては、全部裁判所によって身柄を拘束するという態度をとっておりますし、日本では検察官のところでスクリーンにかけるという態度をとっております。起訴猶予処分というようなものを考慮の外に置いているところが一つ問題でございます。私どもが重いか軽いかということは、日本の犯罪の処理と比べて重いか軽いかということを従来バランスをとって運用してきているつもりでございます。
 それからもう一つは、なぜかようなことを議論したかという点でございますが、これは私どもの考えておりますところでは、先般――軍人、軍属の家族につきましてこれも軍事裁判に付し得る、管轄権を持っているということに従来なっておったのでございますが、アメリカの最高裁判所によりまして、陪審員制度が軍事裁判にはないという理由で、家族については軍事裁判でやることはアメリカ憲法に違反するという結論を出しているのでございます。そのために、海外におります軍人軍属の家族の犯罪に対しましては、これは国内法でやれるものは別といたしまして、国内法でやれない事件につきましては、一々アメリカへ持っていってアメリカで裁判をしなければならない。これが軍の士気にも大きな影響を与えるので、その立法的な措置を考えてほしいということがこの演説の動機になっているやに聞くのでありまして、その間日本の法制等に対する十分な理解の上に立っていなかった点が見受けられるのでございます。
○岩間正男君 いまの証明がありましたが、これは日本の国民がそう言っているんですが、それと符節を合わせたようなこういうようなアメリカの法務官の見解があるんです。これは竹内さんの立場としてはそれについていろいろいまのような説明をなされるかもしれませんが、現在の安保体制下における米軍優先、それから米軍のいろいろな犯罪行為が等閑に付されているという現実は、これはいまの御説明で消えるものじゃないと思います。そういう点から、やはりはっきりした態度を要請したいと思うんです。
 そこで、その次にお聞きしたいと思うのですけれども共同調査の問題です。これは、先ほど、共同調査を事故分科会でやるということが決定されて、犯罪の原因それから責任というものの追及についてこちら側の意見だけを出したということでありますけれども、これはどうなんですか。これは資料を先ほど要求したんですが、権能はどこまであるんですか。この事故分科会というものの権能です。
○政府委員(小野裕君) 事故分科会でございますが、犯罪云々というようなことがございましたのは、これは関係ございません。単純に事故の原因の追及でございますが、権能といたしましてはその両者の構成メンバーがそれぞれ質問並びに説明あるいは要望、そういうような討議をいたしまして、一つの一致した結論が出れば一致した結論を、また両者の見解が一致しない場合には両者の見解をあわせていずれも合同委員会に報告をしまして、合同委員会において採決されるか、あるいは重ねて討議されるか、こういうふうに持っていく、そういう権限を持っております。
○岩間正男君 具体的にどうですか。七日のこの分科会で日本側はどういうことを主張し、米側はこれに対しどういう答弁があったか、概要でいいですから。
○政府委員(小野裕君) 七日の委員会には、こちらに出席しております石井調査官が出席しておりまするが、大体出席いたします前に、きょうの会議ではこういう点を中心にして議論、検討してくるようにということで一応の目標を与えておりますが、その一つは、何といっても事故の原因を追及することでありまするから、いままでにわかった事情、いろんな経過、その事故の起こるに至るまでの諸般の事情、それから事故が起こりましてからのいろいろな措置、あるいはさらに米軍側において調べが進んでいることがあるならばその内容、こういうような点について十分に聞きまして、疑問の点があればそれをただすというふうな点であります。これが第一点であります。
 さらにいま一つは、当然これに関連して事情が明らかになるならば、それに伴ういろいろな対案、対策、事故防止のための対策というものが出てまいりましょうが、それが出る前の段階におきましても、とりあえず並行的に都市の上空の飛行ということについてのいろいろな問題をこの際検討するように、これがどういう事情で町田のまん中に落ちたのかというようなことでございますが、結局飛行経路の問題にもからまってくるわけであります。事故そのものを避ける方法として根本的な問題がございますけれども、あわせてその飛行経路というものについて改善する余地があるかどうか、この問題についてもこの委員会で十分検討するようにと、そういう申し入れをするようにと、こういうことで私どものほうの委員は出席したわけでございます。
 そういうような方向に従っていろいろと協議をかわして第一回は終わったわけでございます。
○岩間正男君 それはパイロットを調べる権利はこの共同調査の中にはないんだというようなさっきお話でしたな。どうなんですか。
○政府委員(小野裕君) パイロットを調べるという問題でございますが、もとより先ほどのお尋ねにありましたいわゆる刑事責任の問題に関連して調べるということは全然ございません。ただ、事故の原因をはっきりさせるためにどうかということになりますれば、これは当然に米軍側でパイロット自身についていろいろ事情を徴し、取り調べ等をいたしておるわけであります。その細部の事情についてその席上で説明、報告を求め、その本人の申し出等について不審の点があるならば、さらにただしてもらうように申し入れをいたします。そういうような形で、直接に本人をその委員会に出頭させるという、いわゆる査問委員会のような形の仕事はいたしておりません。
○岩間正男君 これは、共同調査をやって、それで意見の不一致ということもあり得るでしょう。こういう場合にはどういう処理をしておるんですか。
○政府委員(小野裕君) 先ほど申し上げましたように、意見の不一致がありました場合には、それぞれの違った意見をそれぞれあわせまして合同委員会に報告をいたしまして、合同委員会のほうでさらに検討審議してもらう、こういうことになるわけであります。
○岩間正男君 航路変更のこれは申し出をしたんですね。
○政府委員(小野裕君) はっきりこのコースを飛ばないようにという申し出はいたしておりません。ただ、どうしてもこのコースを通らなければならないものかどうか、これを変える余地があるかどうか、この点について十分慎重に検討するようにということを申し入れたわけであります。
○岩間正男君 これは、はっきり申し入れることは、どうなんです、この委員会の権能、任務としてはどうなんです。
○政府委員(小野裕君) 飛行機の航行するコースというものをどうきめるかということは、飛行場との関係、つまり自分が離発着する飛行場との関係、あるいはその他近接の飛行場との関係、その他いろいろなそうした全体的な事情を考えなければなりません。また、飛行機の機種そのものによりまして、あるいは速度その他の関係でございますが、こういうものによりましてそのコースというものは考えなければならぬわけでありまして、しかも、それは大もとから申しますならば、日本全体の航空に関連する問題でございます。そういうようなことから、いろいろなところを総合検討しなければ、にわかに決断は出せないわけでございまして、ただこのままその上を飛ぶなということを言うことは困難でございまして、もし変えるということができるならば変えるようにしたいと、こういう意味の申し出をしたわけであります。
○岩間正男君 あなたはいろいろな条件を出して、向こうのことをおもんばかったような答弁なんですが、やはり国民のこの事件に関する、それからいままでのたくさんの事故に対する感情というものをはっきりつかまなければならぬと思うんです。これは米軍側でもこれについて考慮する余地があるというようなことを言っておるようですけれども、もっとやはりこういう点は強く主張する、そういうなには持っているんでしょうな。
○政府委員(小野裕君) 私どもそういう問題を提起いたしましたのは、できるだけ都市の上空を避けさせたい、それがそういう方向で処理したいという希望を持って、その可能性がないかどうか、考えられないかということを言っておるわけであります。
○岩間正男君 もう一つお聞きしたいのは、これはどうです、日本の国内法、航空法七十五条ですが、こういうものの適用というものは、これはいままでも国会の論議の中でしばしば問題になったわけです。日米合同委員会の合意書が国内法に優先するのかどうか、これは非常に論議のあるところですけれども、少なくとも常識的に見ても、当然私はこの七十五条ぐらいの国内法を守るという立場に米軍が立っていない限り、日本に基地を置いてやっているなどということは非常に問題になると思う。それから日米対等だなどということを安保の再改定のときうたっておりながら、全然そういうことでなく、全くこれは第五空軍の戦略方式によって全部きめられておる。そこからこれは一切がきていて、そうして日本の国内法などというものは完全にじゅうりんされておる。これはいままでたくさん例があります。この前、横浜の軍需物資の荷揚げの問題のときも日本の国内法がじゅうりんされておる問題を私は指摘したことがありますけれども、今度の場合なんかどうです、こういう点についてあなたたちはどういう立場をとるのか、これはどうでしょうか。
○政府委員(小野裕君) 一般に米軍航空機の国内における飛行、航行ということにつきましては、これは日本側機関としては運輸省航空局の所管でございまして、航空管制あるいは航空の各種の条件というものにつきまして、米軍と航空局のほうのお話し合いというものがあるわけでございます。私ども一般的に存じておりますことは、日本の航空法も、これは国際的な慣行でありいろいろの基準になっておるそのルールに従って一応きめられたものであり、万国共通の性格を持っておる。そういう意味におきまして、アメリカの場合も日本の場合も、同じような注意をし、同じような規制をしておるというように承知しております。ただ、軍用機という形におきまして、あるいは民間航空と同じでない点もあると思いますけれども、それも世界各国の軍用機については大体同じようなまた歩調でやっておるものと思います。そういう意味で、米軍の飛行機が日本の上空におきましてかってなふるまいをしておるということはないと私は考えます。
 ただ、根本的にはこれらの問題は航空局のほうで御所管の問題でございますので、これ以上申し上げられません。
○岩間正男君 あなたは実態を御承知なくてそんなことを言っているのか、知っておられて言っているのか。それはなるほど米軍の日本の空の管理権というのは数年前に一応日本に移されたということになっておる。しかし、これが絶えず極東空軍の支配、そういうものの中に従属させられているんです、依然として。だから、国際的に通用しているそういう立場から日本の国内法ができておるなどと言っていますけれども、これはほとんど守られていない。そうでしょう。しかも、これは平時の場合だってそうです。何か問題が起こってくると、キューバのような問題が起こってくるというと、空の管制という権利は極東空軍の中でしっかり握ってしまっているでしょう。そういう実態というものは、いまのような御説明なら、これは私は明らかにすることはできないと思う。これはしかしあなたと議論してもしかたがない問題ですけれども、そういう点が最初からもう予定観念になっているので、そしていまのような当然日本の国内法を守るという立場を貫くことができなければこれはまずいんじゃないか。
 米軍がこういう立場に立っていたら、今度のような事故、これは起こすことはできるでしょうかな。どうでしょう、一体。そうでしょう。危難防止に必要なる手段を尽くしたあとでなければ機長は機を去ってはいけない、こう言っているでしょう。これは尽くしたって言えますか。五千フィートの高度で自分だけはパラシュートでおりてしまった。あとはどうなれ、野となれ山となれじゃないですか。それが民間の繁華街に突っ込んで、そうしてあんな被害を起こしているでしょう。これは最善を尽くしたなどということは絶対言えないですよ。したがって、これは今度の要求の中に航路変更と同時にこの問題というものは十分取り上げられて、そうしてこの合同委員会でも主張されなければならない問題だと考えますけれども、どうですか。
○政府委員(小野裕君) 事故発生の原因がどこにあるかはっきりしない現在におきまして、このパイロットのとった行動が適当であったかなかったか、こういうことについては何とも申し上げるわけにまいりません。
○岩間正男君 きょうは、外務大臣、防衛庁長官、法務大臣も出ていないのですから、そこまであなたを追及するのは無理な点もあると思うんですけれども、しかし、当の衝に当たる立場として、いまのような国民の要求というものをはっきり踏まえて、そういう立場に立つということは、これは非常に重要だというふうに考えます。原因追及にあたっては、今後ほんとうに日米対等の立場でこの問題を共同調査するという態度を貫かなきゃならないと思うんですが、どうも先ほどからの御説明を聞きますというと、非常にたよりない、おぼつかないような感じがする。
 大体、いまの防衛施設庁というのは調達庁から移ってきたんですけれども、この調達庁の問題でいままで私は何回も国会の中で質問してきました。そういう場合に、いつでも日本の立場を貫く、国民の立場を貫くということが欠けているのが根本的な特徴ですよ。そうして、ほとんどこれはアメリカのきめたプラン、そういうものを合理化するために会議を開いて、そうしてその上に立って判を押してきたというのがこの調達庁なんかの立場じゃなかったのか。いわばもう米軍の御用承り機関である。こういう存在、そういうことでは非常に私はまずいと思う。事故防止委員会などというものがあれば、国民は、すべてここで共同の調査をやるんだ、徹底的にやはり対等な立場でこれをやるんだ、だからおそらく真相は究明されるだろう、こういうような期待を一応持っていますよ。ところが、実態は先ほどから稲葉委員が質問され、また私もここで二、三質問してみて、非常におぼつかない感じを持つんですね。この点、あなたを責めてもしかたがない面もあると思いますが、しかし、当の責任者としては、明確なそういう立場に立つべきだと思いますがな。しかし、これは返答を求めても無理かもしれません。
 次に、現場検証をやったんですが、これに参加した人たちはどういう人たちですか。いままでやったのは、日米の現場検証、これも合同調査の一部に入っているんですか。これはどういう構成メンバーで現場検証をやったんですか。
○政府委員(日原正雄君) 私どものほうの刑事課員、捜査一課員、それから検事さん、米軍側合同でやったわけでございます。
○岩間正男君 その中で、あの晩、水がわくというのでエンジンをも埋めてしまった。これは今後このままにするんですか。再検証をやってこれを掘り出して事故原因を追及するという方法を当然とらなければほんとうの原因はわからないと考えているんですが、この問題はどうですか。この問題は非常に国民は疑惑を持っているんですよ。土をかけてしまって、証拠隠滅じゃないかという感じを持っているんですよ。
○政府委員(日原正雄君) エンジンの関係でございますが、六日の午後一時二十分から部品などの検証に当たりまして、原因を究明するために地下に埋没したエンジンの発掘作業にかかったわけでございますが、相当深く埋没して、簡単に発掘できなかった。しかし、全力をかけて発掘を行なったのでございますが、午後六時半になりましてもエンジンの底の部分が露出してこない。
  〔委員長退席、理事後藤義隆君着席〕
 そして、エンジンを掘り出すためには、なお十数メートルの深さまで掘さくしなければならないという状況にありました。それから、かりに掘さくいたしましても、おそらく数トンと想像されるわけでございますが、このエンジンを掘さく位置から地上まで引き上げるには、現在の日本の機械では非常にばく大な経費と労力を必要とする。さらに、それ以上に進んで掘さくするためには、付近住家の倒壊の危険が存するということが予測されましたので、これは地元民の要望もございまして、警察と地元民代表とが協議をいたしまして、作業を一時中断したわけでございます。その上でさらに関係者がもう一ぺん情勢を検討いたしたのでございますが、その結果は、発掘が困難なことが一そう顕著になりましたので、作業を中止いたしまして、七日に埋没をいたしたものでございます。
○岩間正男君 これは、再検証などというそういう必要が出ないんですか。
○政府委員(日原正雄君) 現在の状況から申しますと、付近の住家をこわしてそうして掘さくを進めていくということで、もちろん水も出る状況にあったのでございますが、そういう困難をおかしてやると、非常にばく大な経費も要りますし、付近の消防団長をはじめ住民の要望もございまして、現在のところではこの掘さくを断念せざるを得ないような状況でございます。
○岩間正男君 このエンジンの埋没とともに事件の真相も埋没といったかっこうになっては、非常にまずいと思いますですね。エンジンを埋没して事件の真相を究明できるというそういう判断の根拠はどこにあるんですか。
○政府委員(日原正雄君) もちろんエンジンが発掘できればいいわけでございますが、ただいまそういうような状況で非常に発掘が困難である。それ以外の部品の状況によって判断をするよりいたし方がないという現状でございます。
○岩間正男君 そうすると、どうもそこのところにやっぱり納得のいかないものがあるんです。場合によっては再検証で発掘を必要とする事態も起こり得る、そういう可能性があるわけですね。どうなんです。それをもう断定的に埋没しきってしまうと、こういう態度ですか。
○政府委員(日原正雄君) 物理的には不可能ということではないわけでございます。ただ、現在の状況から申しますと、そういう地元との関係、それから掘さくが非常に困難であるという関係からして、現在のところでは見込みが薄いということでございます。
○岩間正男君 その点、いろいろこの問題を究明するということは、単に町田のこの事件だけの問題ではない。今後の日本国民の生命と財産、安全を守る上に重要な課題なんです。これは簡単に軽々しく埋没しおおせる問題ではない、こういう意見を持ちます。この点をつけ加えておきたい。
 次にお聞きしたいのは、米軍の事故防止に対するいろいろな規則があると思うのです。これはさっきも航空機の離脱の問題についての資料はこれを提出を要求して出してもらうようになるんですから、その結果詳しく質問したいと思うんですが、どうです、六日付の新聞によりますと、米空軍には安全飛行を守るため航空基準というのがあって、各部隊ともこの基準に沿って飛行任務についていると、そういうことを報じている。その航空基準の(2)に、チーフ・ディレクター・オブ・セーフティとして、フライティング・セーフティ、グラウンド・セーフティ、ミサイル・セーフティ、ニュー・クリアー、レポートなどと、飛行中安全、地上安全、ミサイル安全、核兵器、それから報告と、こう五項目が示されている。その中のフライティング・セーフティには、日本の航空法七十五条のような規定がないし、まして住宅密集地帯への墜落を避けるということも指示していない。こういうことは明らかだと思うんです。一番ここで問題になっているのは、搭乗員の安全、米兵の事故に対する恐怖心をやわらげること、それに兵器、軍用機の秘密保持、こういうものが非常な重要なことになっているわけです。つまり軍事優先ですよ、これは。そうして、ほんとうに国民の生命、安全を守るということは第二、第三になっている。こういうところが今度の事故を起こし、また、いままで何回かにわたって事故を起こしながら依然として改まらない。
  〔理事後藤義隆君退席、委員長着席〕
池田総理は、そのたびに、今後は再び繰り返さないということを国会の答弁で何回も繰り返されている。こういうような事態がいまの日本の姿です。
 こういうような点から考えるというと、私は、米軍の安全条項というものについて、当然これは日本の安全を守る立場から協議の題目になると思うんですが、こういう課題について今度の合同委員会で取り上げる用意があるのかどうか、この点はいかがです。今度の事件が起こってから、こんなことは問題になっていますか、なっていませんか、お聞きしたい。
○説明員(山中駿一君) 昨日開かれました事故分科委員会の報告を日米合同委員会で受け取りましてから、その報告の内容その他を検討した上で、その必要があればそのような検討をするということになると思います。
○岩間正男君 その中で私は特に指摘しなくちゃならないのは、米軍が常時核兵器を積んで飛行しているという問題です。安全航空基準の中のさっきのニュー・クリアーですか、核兵器の項目を見ましょう。そうすると、こういうことを書いているんです。安全審査要目というのがあって、これには、第一に、特殊兵器貯蔵所、集積所は、必ず第一級制限地域に指定されているか。第二に、核兵器積みおろしの場所は、(一般米兵を含む)無資格者から見えないようになっているか。第三に、飛行機に積むミサイルに近づくことのできる人間の数は、必ず最小限に制限されているか。第四に、核兵器貯蔵所の照明は囲いに向かって外側を照らし、侵入者を直ちに発見できるようになっているか。第五に、鉄条網でつくった囲いの高さは八フィート以上あるか。鉄条網の針金は九番ゲージ以上で、網の目は二平方インチより狭くなっているか。こういうようなことで核兵器の貯蔵についていろいろ安全性を強調している。そういう中で、しかもこの第五空軍というのは、日本本土、沖縄、南朝鮮に駐留する部隊で、その元締めである司令部は東京都内にある。そうしてしかも、その空軍の主力戦闘機は、今度横田に強制配備されておるF105です。
 こういうふうになりますというと、私は今度の航空事故というものは、国民の生命、安全を守る立場から考えたら、幸いにしてあれは核兵器を積んでいなかったのでありますが、常時核兵器を積んで飛行しておるという体制、そういう体制をこれはとりつつある。そういう事態が明らかになるわけですね。そういう点からいうと、これは実に平和の問題としてゆるがせにできない問題なんです。こういう点から、今度の町田の問題を、災いを転じて再びこういうものを繰り返さないというそういう保障を確立しなくちゃならない。しかし、これを確立するためには、軍事基地をこのままに置いて、それからいまの安保条約下の地位協定というものでがんじがらめに縛られている。そういう体制の中でこれを確立することは非常に困難な問題だ。まあここで論議する問題としては非常に大き過ぎる問題でしょうけれども、どうです。私は、地位協定、それからそれに基づくところの日米合同委員会、それから分科会なんかの性格、権態、そういうもので二、三指摘してきたわけでありますけれども、こういう点に安保条約そのものの持っている反人民性がはっきりあるんだというふうに考えられる。安保条約そのものの体制の中からこういう事態が起こってきている。これは非常に重大だというふうに思うんですけれども、これはだれに御答弁願っても無理でしょうが、私はこの点を強調しておきたいと思う。
 最後に、補償の問題ですが、これはアメリカの場合どうなっているのか、調査がございますか。日本の場合を今度三百万に改正したい、ホフマン方式をとりたい、そういうようなことを、きのうの本会議でも、先ほどの稲葉委員の質問にも、防衛庁長官が述べられた。しかし、アメリカの場合はどうなんでしょう。これについて調査がございますか。これは事故分科委員会のほうで当然調査されておって、まあ補償の問題が実はあなたたちの一番当面の問題なんです。そのために実は事故調査をやっている。ここのところがほんとうの任務のように思っているわけですね、あなたたちは。それはございますか。アメリカの資料がございますか。
○政府委員(小野裕君) 残念でございますが、アメリカの正確な資料を持ち合わしておりません。
 なお、分科委員会では補償の問題には触れないことになっております。
○岩間正男君 そうすると、これはどこで触れられますか。日米委員会で……。
○政府委員(小野裕君) これは防衛施設庁の事務として執行いたします。
○岩間正男君 この資料がほしいんですが、これはどこに要求したらいいかな。施設庁長官ですかな。施設庁長官にこれは要求したいんですが、この資料をひとつ明らかにしてもらいたい。
○政府委員(小野裕君) ただいま岩間委員のお尋ねは、日本の補償規定でございますか、あるいはアメリカのことをおっしゃっているのでございますか。もう一度……。
○岩間正男君 アメリカのものです。日本の補償規定もございましたら出していただいて、アメリカのものと対比してみたいんです、どういうふうなことになっているか。
○政府委員(沼尻元一君) この現在の補償の体系が、新安保条約第六条に基づく地位協定の十八条で、こういう際に払われる補償というものは日本国の自衛隊の行動から生ずる請求権に関する日本国の法令に従って解決されるということに相なっておりますので、私たちとしては、補償金が多いか少ないかということはもっぱら国内問題であるということから、現在の基準が低きに失するというようなことから検討しているわけでございまして、そういった点から、もっぱら国内的な問題であるということから、外国のそういう補償例ということは調べていないわけでございます。
○岩間正男君 これは参考資料としてそういうものをお持ちにならないというのは、どうも――だからそこのところがいつも防衛施設庁の性格が問題になってくるところですよ。全くそんなことを調べてさえもぐあいが悪いんですか。当然調べておいて、日本のいま置かれている立場というものはどういうものだかぐらいの概観をしていなければ、あなたたちがものを主張するといったって主張できませんよ、そういうことなら。だから、それなら当然アメリカはどうなっているか、これは米軍に要求してもいいです、外務省を通じてですよ。そして、向こうの軍用機における民間の被害の場合の補償はどうなっているか、こういうものを参考資料として持っているということは当然だと思いますがね。そういう視野に立たないで補償問題を解決するといったって、どうしてもできないんじゃないか。だから、百五十万でどうだとかいうことで何年も据え置いている。物価指数はどんどん上がって、当時の何倍かになっている。そういうときに、今度はそれを倍にするんだ、ホフマン方式でやっていくんだなどということで、いかにも今度の問題が補償問題にすりかえられてごまかされてしまう、そういうのが従来の例だと思うんです。こんななまやさしい問題じゃないです、補償の問題というのは。同時にこれは日本人の人権を守る。それから、こういうような補償をやれば、結局これはたいへんな損害だということで、こういうことを繰り返さない、そういうような作用を持つところに補償の意味というものはあるんです。死んだ人に線香代をあげる、そういうことだけの意味じゃない。そんな消極的なものじゃない、補償の意味というものは。事故を繰り返さない。そのためには、こういう被害を起こした者に、精神的、肉体的、経済的にも苦痛を与える、そういうことはあっていいはずど。そういうことではじめて人権というものは守られる。そういう立場に立っていないのですか、あなたたち。だから、アメリカのそんな場合の実態を参考までに調べておくということは、当然これは防衛施設庁のあなたたちの任務だと思うんですが、それはないんですか。どうなんです。
○政府委員(沼尻元一君) 米軍関係の補償案件は、自衛隊の行動から生ずる請求権に関する法令によって処理されるということになっておりますので、実は、防衛本庁のほうでは、現在財務当局と交渉中なわけでございますが、それがきまりますと、これが私たちのほうに自動的に適用になる。そういう関係にございまして、そちらのほうの協議しておる当事者におきまして、アメリカのみならず、諸外国の例等も参考にしたいということで現在いろいろ聞いておるということに承っております。
○岩間正男君 まあ聞いておるそういう情報でいいです。そういうものは、もう聞けばわかることでしょう。外務省を通じて向こうのそういうアメリカの様子を聞いてもいいし、それから二、三のそういう例があるでしょうヨーロッパあたりの。そういうものを出してもらえませんかな、資料として。これは聞けばすぐ入りますよ。いままであなたたちこれを調べていられないというのは、どうも私はほんとうに補償問題を担当する立場としてはぐあいが悪いのじゃないかというふうに思うんですがね。これはぜひ出していただいて、こういう関連でまた私たち新たな角度からこの補償の問題を扱ってみたいと思います。
 先ほど御質問が出ましたけれども、その中で、昨年五月の毛呂病院の場合、死者一人に重軽傷者十九人ですか、これは総額幾らですか、これはそこに資料がありますか。
○説明員(石井市次郎君) 昨年毛呂の事件におきまして、死亡者に対しましては百五万四千八百五十六円を支払いました。
○岩間正男君 これは全部で総額幾らになります。十九人そのほか……。
○説明員(石井市次郎君) 重傷者三名、軽傷者二十八名、これは別々に申し上げます。重傷者三名に対しまして二十五万八千五百十八円、軽傷者二十八人に対しまして十三万二千二百七十五円、この三つが全体の人身被害でございます。
○岩間正男君 非常にこれは安いわけですね。今度改定をして倍になるということですが、百五十万というのは最高なんでしょう。最高で、実際百五十万なんかもらっている人はないので、みんなそれ以下だ。
 それから家屋の補償の場合は、新しい建築費の半分ですか、半分しか出さないのですか、補償は。そういうことになっていますね。これはどういう根拠なんですか。
○政府委員(沼尻元一君) 人身被害で死亡者に対しまして現在までに出している最高額は、百八十一万まで出しております。
 それから財産のほうは、これは実際受けた損害額を補償するというたてまえになっております。
○岩間正男君 建築費はどうです、新しく建て直したものは。
○政府委員(沼尻元一君) これは時価から経過年数等を考えて支払うということになっております。
○岩間正男君 全額を補償するのですか。そういうたてまえですか。
○政府委員(沼尻元一君) 受けた損害の全部を補償するといろたてまえでございます。
○岩間正男君 それじゃ、委員長、先ほどから要求した資料を出していただいて、それからできれば今度はやはり外務大臣と条約局長が必要だと思うんです。そういうことを要求して、私はは終わります。
○委員長(中山福藏君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(中山福藏君) 速記を起こして。
○稲葉誠一君 いま補償の問題が出ていたので、ついでと言っちゃ語弊がありますが、補償と慰謝料と見舞い金と三つあるわけでしょう。これはどういうふうに違うわけですか。
○政府委員(沼尻元一君) 死亡した場合と傷害を受けた場合と二つに分けますと、死亡した場合には、遺族に対する補償、葬祭料ということに相なります。それから傷害を受けた場合には、療養に要する補償、休業補償、それから障害があとに残る場合には障害補償という三つに分かれております。
○稲葉誠一君 私の言う意味がよくあなたのほうに理解されなかったと思うのですが、補償の場合には公務中の事故ですか。これが補償で、公務外の事故の場合は慰謝料、こういうふうな形にしているのじゃないでしょうか。
○政府委員(沼尻元一君) さようでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、補償の場合ですね、アメリカが四分の三払って、日本は四分の一払うわけでしょう。これは今度の場合もそういうふうになるのかどうかは別として、どうしてアメリカ軍の行為だけによって事故が起きた本件のような、町田市の事故なんか日本人の側に何ら過失がない、その場合にもどうして日本側が四分の一負担しなければならないのですか、どうもそこのところがわからないんですがね。
○政府委員(沼尻元一君) これは地位協定でそのようにきめられておるわけでございますが、私たちとしてはそのようにきまった経緯を憶測するということになりますが、公務上の場合には日本側が二五%持つ、公務外の場合は全部米側が持つ。まあ公務上の場合は、米駐留軍というのが日本におることが条約上の義務履行という立場から日本におることで、そういう意味から日本側も応分の負担をするということではなかろうかというふうに推察いたしております。
○稲葉誠一君 これは時間がもうおそいから、あとであれしますが、それから見舞い金というのは、話がうまくつかない場合や何かに特にこういう名前で出すんですか。
○政府委員(沼尻元一君) さようでございます。
○稲葉誠一君 そこで、補償金額、慰謝料の金額を査定するときに、日本側で案をつくって金額を出して、そしてアメリカ側にこれを提示するのでしょう。
○政府委員(沼尻元一君) さようでございます。
○稲葉誠一君 その場合に、日本側の査定した金額とアメリカ側が出す金額と非常に違うのじゃないですか。日本側の出した金額が普通半分ぐらいか六割ぐらい削られるのが多いんじゃないですか。
○政府委員(沼尻元一君) さような例はあまり聞いておりません。
○稲葉誠一君 いままで日本側で査定して出した金額とそれからアメリカ側でその結果として払ったものとの違いのある例は相当あるはずです。これは調べてごらんなさい。これは私どもの得ているのでも例もずいぶんありますけれども、それはものの考え方が違うんじゃないですか。
  〔委員長退席、理事後藤義隆君着席〕
アメリカ側のほうでは、日本側にも過失があったというので、過失相殺という面を強く主張するために、日本の出した金額を査定の中でアメリカがのまないで減らされるんじゃないですか。具体的にそういうふうにやっているのじゃないですか。どうですか、よく相談してごらんなさい。
○政府委員(沼尻元一君) 日本側が出した案をアメリカが非常に辛い削り方をするというようなことは私は聞いておりません。
○稲葉誠一君 それじゃ、いままでの補償している金額で、日本側の査定した金額と、アメリカ側のそれをのんだ一覧表を出してごらんなさい。きょうでなくていいですから。私の聞いた範囲では、違うと聞いているんですがね。
 それからもう一つ重要な争点になっているのは、日本の場合には、精神的な損害を主張する場合の慰謝料――不法行為ですから、それは非常に加わるわけです。アメリカは、そういうのは全然認めない行き方をとる。だから、金額の差異もそこに出てくるのだ、こう聞いているんですが、その点はどうですか。
○政府委員(沼尻元一君) そういう慰謝料と申しますか、精神上の補償というものは、米側としては、日本の自衛隊員が与えた事故と同様に取り扱いますということで、別に何と申しますか、私たちとしては自衛隊に関する補償に従って計算した額を持っていくならば、それに対して、まあ地位協定上そういう建前になっておりますので、米側としてとやかく言うというようなことはございません。
○稲葉誠一君 それは私の聞いているのとちょっと違いますけれども、これは私も調べてみましょう。
 そこで、もう一つの問題は、たとえば最高百五十万円なんだけれども、実際は百万円、こういうことは非常に少ないんだ。定収入のない主婦の場合には最高でも四十万円、子供の場合は二十五万円、これが実際の例だと、こう聞いているんですが、そうですが、大体。
○政府委員(沼尻元一君) さようでございます。
○稲葉誠一君 それから、けがの場合、治療雑費を払うわけでしょう。その場合でも、新しい薬とか高貴薬の使用はいけないとかいうことになっておって、治療雑費というのは入院の場合は一日百円以内なんだと、こういうふうにきまっているんですか。
○政府委員(沼尻元一君) 新薬とか高貴薬という場合は、医者が必要と認めた場合は扱っているということに相なっております。それから雑費は百円、そのとおりでございます。
○稲葉誠一君 そこら辺のところの補償の金額が非常に少ないし、それから全体として何といいますか、もっと再検討しなきゃならない点がたくさんあると、こういうふうに考えるのですが、最高額だけじゃなくて、これはもう十分考えなくちゃいけないことだと思うんです。
 それからこれは法務省にお尋ねするのですが、さっきも出ていましたね、アメリカの軍人なり何なりが日本で事件を起こした場合の起訴率が非常に低いという話ですね。これは事実低いわけですが、これについていまちょっと聞きたいと思うんですが、その前に、アメリカの軍人が基地外で事件を起こした場合には、逮捕はできるわけですか、日本の警察官なり何なりが。
○政府委員(竹内壽平君) そのとおり、できます。
○稲葉誠一君 現行犯の場合は、それは常人逮捕でだれでもできるわけですね。それが基地の中へ入っちゃった場合、この場合は逮捕はできるのですか、できないのですか。現行犯でない場合は、準現行犯なら話は別かもわかりませんが、これはどうなっているんですか。
○政府委員(竹内壽平君) 詳しく申し上げるとめんどうでございますが、要点だけ申し上げますと、一定の条件のもとではできるわけであります。
○稲葉誠一君 一定の条件というのは、きょうは時間がありませんから、別のときにしますけれども、原則としては、基地の特別捜査部というのがあるでしょう、OSIというやつがね。それが逮捕することになっていて、日本の警察官なんかは逮捕できないのが原則じゃないですか、基地に入ってしまった場合は。
○政府委員(竹内壽平君) 原則としては、向こう側にまかせるという形になります。で、日本側の警官が入って行って逮捕できる場合も、例外的に認められています。
○稲葉誠一君 その例外というのは、どういう場合ですか。現行犯の場合ですか。
○政府委員(竹内壽平君) 条文を持っておりませんのでよくわかりませんが、犯人を追尾して行って中に入った場合ですね、そういうときに許される、こういうことであります。
○稲葉誠一君 それは、犯人を追尾していくときは、現行犯なり準現行犯の場合でしょう。これは当然常人だってできるわけじゃないですか、警察官じゃなくたって。そうじゃなくて、一般の場合はOSIというのがあって、そこに協力してつかまえてもらうんだけれども、かりにOISがつかまえた場合には、地位協定によって日本側に引き渡しは受けられないことになっているのじゃないですか。地位協定の第十七条5の(c)です。
○政府委員(竹内壽平君) いまの点でございますが、向こう側が身柄を拘束しております場合は、向こう側に置いておく。ところが、しかし、それは公訴提起までのことでございまして、公訴提起後におきましては、引き渡しを求めて、こちら側で引き取ることもできます。
○稲葉誠一君 基地外で事件を起こして、それは追尾していけば別ですけれども、かりに向こうへ追尾して行っても、向こうへ入っちゃう。そうすると、アメリカのOSIの特別捜査部がつかまえる。つかまえて日本にそれを引き渡すのが原則じゃないわけでしょう。向こうで調べが済むと放しちゃうのじゃないですか、身柄を。だから、放しちゃうから、みんなアメリカ人がつかまっても軍隊に帰っちゃうんじゃないですか。日本へは渡さないのでしょう。
○政府委員(竹内壽平君) さようなことはないのでございまして、向こうでかってに放してしまうなんというようなことはないわけでございます。なるほど、向こうの手中にあるときに向こうに身柄を拘束するということになっておりますが、これは向こうが日本と話し合いでそういう処置をするというだけでございまして、かってに釈放したりなんかすることは許されないわけで、責任を持っていかなければならぬ、こういうことだろうと思います。何となれば、もし公訴を提起したあとに引き渡しを求められた場合に、引き渡しに応ずることができぬというようなことであれば、協定違反になりますし、それは国と国との問題になってくるわけで、さようなことはないと私は思います。
○稲葉誠一君 刑事局長はないと言うけれども、実際にはOSIがつかまえた場合に身柄引き渡しを受けられないというのが地位協定第十七条5の(c)に書いてあるのではないですか。結局、OSIの取り調べが終わると、日本に引き渡しをしなければならない義務はないわけでしょう。釈放してしまってもかまわぬわけでしょう。道義的な問題は別として。
○説明員(羽山忠弘君) 起訴いたしました被疑者は、日本国の当局によって……
○稲葉誠一君 起訴前の話です。起訴してしまえば別ですよ。起訴前の話です。逮捕の場合の段階です。
○政府委員(竹内壽平君) これは身柄を確保して置くということであって、たとえば留置場に入れておかなければならぬというような制限はないと思います。
○稲葉誠一君 だから、私が言うのは、身柄を確保しておくというのは法律的な義務かどうかということと、アメリカ軍がOSIが身柄を確保しておったものを日本の警察なり何なりに引き渡さなければならない義務があるかどうかというんです。義務はないらしいですよ。ですから、結局基地の中に入っちゃうと、向こうはつかまえて調べるけれども、ある程度調べるとそのまま釈放して、元の軍隊に入れちゃうわけですよ。帰しちゃうわけですよ。だから、日本側としては手の打ちようがないというのが現実の状態ではないかというんです。起訴したのは別ですよ。
○政府委員(竹内壽平君) 身柄の問題につきましては仰せのとおりだと思いますけれども、それじゃ調べが全然日本側でできないかといいますと、それは調べをすることができる、これはそうなっております。
○稲葉誠一君 そのことに関連して、あなたのところに検事で河上和雄君という検事がいるでしょう。八王子にいたでしょう。この人は、こういう渉外関係の事件を八王子でやっていたんですね。この人の書いたものがありますね。よく読んでいただきたい思といます。私はそれに関連してこの次に質問いたしますから。
 もう一つお聞きしたいのは、これは警察庁と法務省に調べていただきたいと思うんですが、東京の基地のある町の警察署というのは、どことどこですか。それで、その町の警察のことで東大の潮見俊隆さんが書いていることです。「法律時報」の一月号の「基地をめぐる法律問題」というところで書いているんですが、たとえば、昭和三十八年一月から十月までに発生したその町での駐留軍軍人の刑法犯が九十六件ある。それで、四十八件、九十一名が送検されたのだが、起訴された者は一件二名、これは強姦ですね――にすぎないのだ、こういうふうに書いているわけです。それで、刑法犯九十六件という中に、屋内の強盗傷人が一件、屋外の強盗傷人が二件、屋外強盗が一件、強姦二件、暴行五件、傷害十三件、屋内盗十三件、屋外盗四件、詐欺一件、賭博一件、その他五十三件となっているんですが、それで私が疑問に思いますのは、強盗傷人が屋内と屋外で三件あるわけですね。これは起訴されていないというふうに言っているわけですよ。強盗傷人ならば懲役七年ですからね、法定刑の最低限が。これが検察庁に送られて起訴されていないというのはおかしいと思うんですが、これはどこの警察署ということは書いてないですが、東京のある基地のある町の警察署の実情ということが書いてあるんですが、これはどこだか警察のほうでも調べてくれませんか、この次までに。
 それから法務省の竹内さん、いま私が言ったように、刑法犯九十六件のうち四十八件、九十一名が送検されたが、起訴されたのは一件二名強姦だけというんですが、これによると強盗傷人が三件ある。強盗傷人というのは七年以上ですね。これなんかも不起訴になっているらしいですね。ちょっと理解に苦しむんですね。強盗傷人が不起訴になっているというのはおかしいですね。これらをよく調べてほしいですね。警察と連絡をとって、どういうふうな事情で、強盗傷人ばかりでなくて、強盗もありますから、これは不起訴になったのかどうなっちゃったのか、これは潮見さんが書いておりますから、ちょっとよく調べてもらいたいと思います。あとは、そういう結果を見てからまたよく質問いたしたいと思います。
○理事(後藤義隆君) 本件はこの程度にとどめます。
   ―――――――――――
○理事(後藤義隆君) 次に、千葉工業大学の紛争事件に関する件について調査を行ないます。
○稲葉誠一君 質問の通告は、千葉の工業大学の事件というふうになっておるかもわかりませんが、これにからむ千葉の知事選挙なり東京都の知事選挙なり全体を含めての事件としてお聞きするわけですが、もう時間がおそいものですから、きょうは要点だけにしたいと思います。
 検察官が冒頭陳述書というものを提出するわけですね、法廷では。これはどういうふうなものなんですか。検事としては確信をもって提出しているわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) 御承知のように、検察官としましては、冒頭陳述書で示した事実をこれから法廷で証拠によって証明をしようという宣言でございます。
○稲葉誠一君 ですから、検察庁としては、これはもうあたりまえのことですけれども、冒頭陳述書に書いてあることは十分な証拠があってこれを書き、そして公判廷で発表しているんだと、こう承ってよろしいわけですね。あたりまえのことですけれども。
○政府委員(竹内壽平君) 検察官といたしましては、そういう考えで発表しておるものと考えております。
○稲葉誠一君 それで、「松崎長作外二十九名に対する公記号偽造、公職選挙法違反等被告事件冒頭陳述書」というもの、これはこの前ほんの一部いただき、それでは足りないものですから、私のほうで相当余部をとったわけです。これでこの前から私がいろいろ聞いているんですが、肥後亨と川島正次郎さんとの関係が前々から問題になっているわけです。私が前の予算委員会で追及したときにも、川島さんは、肥後とは別にどうという……ちょっとした知り合いなんだと、こういうふうなことを言っていたんですが、この「冒頭陳述書」を見ると、第五章の第一節の第一のおしまいころを見ますと、松崎と肥後との関係を書いたところがありますが、わかりますか。そうすると、そこの中では、川島正次郎が肥後と親しいことを知って、そして松崎が肥後に接近していったということを書いてありますね。
○説明員(羽山忠弘君) おそれいりますが、何ページでございましょうか。
○稲葉誠一君 ページはちょっとわからないんですが、第五章のところですか、「肥後亨の選挙運動」というところがあるでしょう。
○説明員(羽山忠弘君) 第五章の最初のところをいまあけておるのですが……。
○稲葉誠一君 第一節の第一の終わりころです。
○説明員(羽山忠弘君) 見ております。
○稲葉誠一君 「川島正次郎君が肥後と親しいことを知り」云々ということを書いてありますね。
○説明員(羽山忠弘君) 書いてございます。
○稲葉誠一君 これはやはりあれですか、証拠によって川島正次郎氏が肥後と親しいということを認定したわけですね、検察庁としては。
○政府委員(竹内壽平君) そこの言い方がなかなかむずかしいのでございますが、認定したのではなくて、認定をできるということを裁判所に訴えておるのでございます。
○稲葉誠一君 認定ということばが、これはことば使いが裁判所が使うことばかもわかりませんが、検察庁としてそういうふうに証拠で認めたことなんですね。これはもうあたりまえのことなんですね。
 第二のところで「肥後と根本との関係」をずっと書いてありますが、この中で、「肥後が川島の意を体して、同人を同大学の理事長に就任させるため各般の行動に出たことがはじまりで、」と、こう書いてありますね、第二のところに。
○説明員(羽山忠弘君) 書いてございます。
○稲葉誠一君 これは川島さんがいままで言ったことと違うわけですね。きょう、川島さんの言ったことの調書を持ってきませんけれども、川島正次郎氏は肥後なんてほとんど知らないようなことを言っていたが、これはずいぶん違ってくるわけですね。
 それから第二の終わりころのところをあけてくれませんか。「昭和三十六年の秋頃、肥後が公職選挙法違反で、府中刑務所に」入っていたことがある。そのときに川島正次郎の秘書官の「根本は、川島の代理として刑務所に面会に行ったこともあった。」と、こう書いてありますね。
○説明員(羽山忠弘君) 書いてございます。
○稲葉誠一君 書いてあることを一々確かめても始まりませんが、時間ばかりかかってしようがありませんけれども、一応確かめるだけ確かめちゃいますが、第三節の「千葉県知事選挙における選挙運動」の二のところで、「肥後は、」云々、「国務大臣であった川島正次郎に対し、」云々して、「川島からも松崎長作と相談して加納のため選挙運動を行うよう依頼され」たんだと、こう書いてあることは間違いないわけですね。
○説明員(羽山忠弘君) 間違いございません。
○稲葉誠一君 あとのあれがあるから一々確かめているわけですが、それから肥後亨と知事選挙のことで松崎やなんかが集まっていわゆる十原則ということをきめた。きめたときに、いまの第三節の四の(3)の「肥後の選挙運動資金は、自民党関係から松崎を通じて支給される。」と、こうありますね。
○説明員(羽山忠弘君) そのとおりでございます。
○稲葉誠一君 それから(9)のところで、「肥後に関して違反事件が起きた際は、松崎、三沢等に責任を及ぼさず、肥後において単独解決する。」という、こういう「十原則の基本的事項」というのが、肥後亨や自民党の書記ですか何かの間で取りかわされたんだ。結局、いえば、その金は自民党から出て、そして選挙違反が起きたときに肥後が全部責任を負うんだ、ほかの者には関係を及ぼさないんだという十原則がここで取りきめられたということが、検察官の主張として、証拠により認定すべき事実としてここに掲げられていることは間違いありませんね。
○説明員(羽山忠弘君) (3)の「肥後の選挙運動資金は、自民党関係から松崎を通じて支給される。」というのはまさに書いてございますが、「自民党関係から」をどういうふうに解釈するかは問題でありまして、自民党の公式の金として支給するかどうか、そこはこの意味はまた別の問題だと思うのでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、その意味はどういうふうに解釈するんですか。
○説明員(羽山忠弘君) これは検事がどういう趣旨で立証しようとしているのか、私はちょっと承知いたしておらないのでございます。
○稲葉誠一君 それから最後の、最後というか、六の選挙が終わってからのことです。ずっとおしまいのころ、六の選挙が終わってから、肥後は川島さんのところへ、成功したんだから謝礼金をくれといって請求に行っているわけでしょう。そのときに、根本が大都工業株式会社の小川耕一という社長に電話して、あと始末に百万円都合してくれと、こう言ったので、それで結局小川という人のところへ行って百万円を持ってきてそれを川島さんの秘書官室で肥後に渡したと、こう書いてありますね。
○説明員(羽山忠弘君) 川島さんのところへ百万円請求したというふうには書いてないように思います。
○稲葉誠一君 「川島国務大臣秘書室に根本を訪ねて、功労金の催促をした。」と、こういうわけですな。川島さんに直接じゃなくて、根本に功労金の催促をしたと、こう書いてあるんですね。
○説明員(羽山忠弘君) さようでございます。
○稲葉誠一君 それから第四節の、今度は「東京都知事選挙」になるんですが、そこの一のところのまん中辺ですか、三月上旬ごろに、川島正次郎氏から、東さんを応援してくれという依頼を肥後が受けたんだ、それで肥後はこれを承諾したんだと、こういうふうに書いてありますな。
○説明員(羽山忠弘君) さようでございます。
○稲葉誠一君 私がこれを確かめたのは、いままで川島正次郎氏の言っているのとずいぶん違うというふうに私は思うわけです。で、こういう点がどういうふうに違うかということ、それから川島さんが国会の中で言ったことが非常にうそが多いということ、こういうようなことは、きょうここで明らかにする時間はありませんけれども、私は、これが正しいものだとすれば、あの人は国会でうそ言っていることになると思うんですよ。これは今後確かめていきたいと、こう思うんです。
 そこで、別の問題なんですが、これは文部省の方も来ておられるんですが、この千葉の工業大学に関連をして何か学校に紛争が起きた、そういうことで、ある人から文部省に対して――これは何だったか法律がありますね、学校法人紛争の調停等に関する法律の第三条、これに基づく調停委員に調停をさしてくれという申し出があったことはあるわけですか。
○政府委員(杉江清君) ございます。
○稲葉誠一君 そこで、これは裁判があって、文部省側が調停を行なわせないという処分をしたことが、取り消しになったわけです。しかし、これは確定しているわけじゃありませんから、だからこの内容をかれこれ言うわけじゃなくて、私の聞きたいのは、そういう調停が申し立てられたときに、文部省は一体どういう調査をしたんですか。最終結論は、調停しないということになったんですけれども、調査はどういうふうにしたんですか。
○政府委員(杉江清君) 当人にしばしば来ていただきまして、いろいろその言い分をよく承ったのであります。そのほか、これに関連いたします千葉地裁の判決等をも調査いたしました。その他の事情について私どもとしてできるだけ調査をいたしましたが、現地調査等のことはいたしておりません。
○稲葉誠一君 私が聞きたいのは、それは当人を呼んで調べたり、また書面を見るのはいいんですが、こういう調停が文部省に対して出ていたときに、だれとだれとに会って、そして具体的な事実を文部省としては確かめたのかということを聞きたいわけですよ。どこまでの手を打って、事実関係を確かめたのかというんです。
○政府委員(杉江清君) ただいま申し上げましたように、会ったのは坂本だけでございまして、その他の事件関係者には会っておりません。
○稲葉誠一君 それじゃ、あなた、この事件の内容はどういう内容であって、それを調停委員会に付すことが正しいか正しくないかということはわからないんじゃないですか。
○政府委員(杉江清君) 私どもは、坂本の言うところ、主張そのものから、その調停法の調停に付する要件に該当しない、こういう判断をしたわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、文部省がした判断は、どういう根拠ですか。
○政府委員(杉江清君) この学校法人紛争の調停等に関する法律は、当事者の申し出によってこれは発動されるたてまえになっておるわけです。その当事者の申し出を聞きましたところ、それはその要件に該当しない、こういうふうに判断したわけでありまして、この法のたてまえからそれをもって足りると私ども考えたわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、当事者適格というか、当事者ではないという判断をしたわけですね、文部省としては。だけれども、これは、東京地裁の判決としては、その点は誤りであるといって、文部省の言い分なり法務省の訟務局の言い分は却下されているわけですね。だから、どこかに食い違いというか、その間の判断の違いが出てきたわけですね。坂本なら坂本という人がここにいう当事者であるかどうかということをもっと調べる方法は、当然あったのじゃないですか。現実に判決で、一審判決にしても、文部省側の言い分が破られているわけでしょう。
○政府委員(杉江清君) 私どもは、坂本氏の言うところを十分検討いたしました結果、そのような判断に至ったのでありますが、その場合、その判断を助けましたのは、千葉地裁の判決の本人の辞任が脅迫に基づくものではないのだという判決、これはかなり有力な資料になっておったわけでございます。そうしてそういうふうな判決をも参考にしながら、当人の言うところ、それによって判断して差しつかえない、こう考えたわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、この調停の法律の内容に入る前に、いわゆる門前払いというか、当事者でないということですべてをやったわけですか。具体的な内容に入るところまでいかなかったんだ、こういうわけになるんですか。
○政府委員(杉江清君) もちろん、学校が正常な管理運営をなされているかどうか等については、これは私どものほうで承知しておる限りのことを判断の資料といたしたわけであります。
○稲葉誠一君 学校の紛争があるかないかというようなことは、しかし、今度の裁判所の判決の中では相当詳細に調べて、紛争があったんだという認定をしていますね、第一審は。そうすると、文部省の認定と違うわけです。それは、違うことは幾らでもあり得るわけです。裁判ですから、違うことはあり得るのはいいんですが、そこのところで、何と何を調べたのですか、紛争があるかないかということについては。私の聞きたいのは、肥後亨が何か文書を偽造して川島さんを大学の学長にしたということは、前々から争いになっておったし、今度の判決ではそれが認定されていますね。そのことについて、川島さんに会うなりなんなりして、あるいはその大学の理事者と称する者に会うなりなんなりして確かめるということはしなかったのですか。
○政府委員(杉江清君) 私どもの判断の重要な基礎は、坂本には当事者適格がないということ、まあ法的に言うならば、それのみをもってもこの要件を欠くと考えたわけでありますが、その他正常な管理運営が行なわれていないかどうかの判断については、私どもは、この調停に付するということのための正常な管理運営が行なわれていないという事実はかなり重大なものであることを必要とする、こういう判断の上に立って、そのような重大な、不正常な管理運営は行なわれていないということは、当時の学校運営の状態から明らかである、こういうように判断したわけでございます。
○稲葉誠一君 そういう判断は、文部省だけでしたわけですか。法務省の訟務局にはまだその当時関係なかったかもしれませんが、法務省と相談をするとか何とかということはしたわけですか、しなかったんですか。
○政府委員(杉江清君) 文部省だけでいたしました。
○稲葉誠一君 ところが、まあ一審判決にしろ、その文部省側の主張は、全面的に、当事者の問題、紛争の問題、これがくつがえったわけですね。そうすると、あれですか、現在はこれをどういうふうにしたらいいというふうに考えているわけですか。というのは、これは時限立法でしょう。いつ切れるんでしたっけ。もうすぐ切れるんですか、この法律は。
○政府委員(杉江清君) 五月一日をもってこの法律の効力は切れます。
○稲葉誠一君 現在、少なくとも一審でそういう判決があって、文部省側の主張がくつがえったわけですね。それで、裁判所側の勧告で緊急理事会を開いて、そうして何とか和解の方法をしろというふうなことを言っているわけですね。そうすると、あれですか、文部省側では、、一審でああいう判決があったんだから、これをほうっておくんじゃなくして、何らかの形で、まあ何といいますか、中へ入って解決をするとか、あるいはこの調停に付すとか、こういうふうな考え方はいまのところないわけですか。
○政府委員(杉江清君) 判決の内容をよく検討いたしまして、控訴するかどうかについて法務省と今後御相談してまいりたいと考えております。
○稲葉誠一君 いや、控訴するかしないかということを国会で聞いたって、それは無理な話ですよね。それは裁判の問題なんだから、あなた方がきめることなんです。そうじゃなくて、私の言うのは、いまそういうふうな学校の紛争というものがあって、それがこの調停法に該当するものだというふうなことが一応出てきたわけですね。その段階において、早急にあなた方が中へ立って、文部省側もタッチして、この紛争というものを円満に解決をするという行き方をとる考えはないのかと、こう聞いているわけです。
○政府委員(杉江清君) 現在のところまだどういう措置をとるかは検討中でございますが、現在のところ中に入る考えはございません。
○稲葉誠一君 この法律は、あれですか、名城大学のごたごたのときにできた法律なんですか。名城大学の場合だけに何といいますか限定するという意味だったんですか。必ずしもそうでもないんですか。
○政府委員(杉江清君) 法律ができた以上、法律の趣旨は当然限定する趣旨ではないと考えますが、ただ、立法過程においては、これはみだりに発動すべきものじゃないんだ、名城大学のようなあのようなあまりにも明白な不正常の管理運営がなされている事件に対してのみ適用すべきだという主張がかなりあり、その趣旨には賛成であるという大臣の答弁もあるような次第でございます。
○稲葉誠一君 私がお聞きしたいのは、そうすると、当事者の問題はわかりましたけれども、たとえば学長になっている川島さんの資格の問題等について、川島さんなりあるいは他の理事という人に会って事実を確かめるということはしなかったんだと、こういうふうなわけですね、結論的にはね。しなかったということについては、いまあなたのほうが言われたのは、この調停法のいう当事者にこれは該当しないんだ、すでに身分を失っているというふうに判断したからだ、こういうことですね。
○政府委員(杉江清君) それと同時に、明白な不正常な管理運営がなされておるということはないという判断がそれに加わっております。
 なお、現在の理事が無権限であるかどうかということは、これは一方裁判で争われていることであります。これについて行政官庁が直ちに調査しても、それは十分な調査はできないという判断も加わったわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、当事者の問題は別として、運営が正常であるかどうかということについて、文部省側としては調べはしたわけですね。調べたけれども、明白で著しいものとは言えないという結論だったわけですね。この結論を出すについては、その大学の学長である川島さんなら川島さんに会ってその間の前後の事情というものを確かめなければわからないのではないですか。そういうことをしなかったというのは、これはやはり相手が相手だからやりにくいからしなかったということに勘ぐられるわけですが、川島さんに会ってその間の事情はどうなんだということを確かめたらよかったのではないですか。
○政府委員(杉江清君) 学校法人紛争の調停等に関する法律を適用するかどうかということは、やはり総体的にその学校がどういうふうな状況にあるか、そしてまた、それが調停に適するかどうかというような判断も当然加わるのだと思うのです。個々のある理事が有効に選出されたかどうかとかその他法的の問題の個々に立ち入って調査しても、これはなかなか行政庁としては的確なところはつかみにくい。それ自体が一方裁判所に係属されている事件である。そういうふうなことから、その個々に立ち入ることなく、総体としてこれは調停に付すべき事件であるかどうか、こういう判断をせざるを得なかったのであります。そして、その際に、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、本人は当事者の適格を持っていない、したがって、役員相互の間における紛争に基づく正常な管理運営がなされていないという事実はないと、かように考えたわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、あれですか、文部省としては、私立学校だから、原則として私立学校の自治にまかせるのであって、そこに深く関与すべきではないんだ――確かに一つの考え方だと思いますが、そういうふうな考え方をとっておるのと、現に裁判で争われている場合には調停の活用というかそれはないのだというふうなことが基本的な考えなんですか。
○政府委員(杉江清君) それとは違います。前段の私立学校についてほその自主性をできるだけ尊重していくと、こういう基本的立場は常に維持していきたいと、かように考えているわけでございます。しかし、後段の趣旨は、それはそうではなくして、たとえば名城大学のように訴訟事件になっているものが数十件に達している、そして個々の訴訟によっては、一部分の解決ははかられても、全体の解決はとうてい期待できない、もはや裁判では総体的な全体的な解決はむずかしいと、こういう判断がとられる場合には、これはこの法律による調停に適する事件だと思うのであります。しかし、この千葉工大の場合は、むしろ争点は現在の理事が権限があるかどうか、あるいは坂本氏の辞任が有効であるか無効であるか、あるいは脅迫に基づいたものであるかどうかというような点にしぼられてくるのでありまして、それらについてこれを調停の対象にし、具体的に事件の内容を行政庁が審理しようとしてもむずかしいと、こういう判断が加わるのであります。そこで、また繰り返しますけれども、その当事者の言い分そのものを、当事者というよりも、申し出人の坂本氏の言い分を聞きましたところ、それでは調停法の調停の対象にすることは適当でないと、こういう判断をしたのであります。
○稲葉誠一君 同じことを話していても、くどい話になりますから、私のほうもきょうはそれ以上詳しく聞きません、時間の関係もありますから。あなたの話を聞いていますと、結論的に、これは何かむずかしいことなんだから、だから逆にもとへ戻ってきて、そして本人の当事者の適格というかそういうふうなものを否定したのだ、そういう形で解決したほうが便利というかあとくされがないというふうにしてやったというふうに何かとれるんです。名城大学の場合だって非常にむずかしいわけですが、名城大学の場合よりもっとむずかしかったのじゃないですか。だから、そっちのほうで調停をやるのならば、本件でも調停をやったほうがかえって解決がやりよかったんじゃないですか。たくさんの訴訟や告発や仮処分が起きていたのじゃないですか、この事件でも。
○政府委員(杉江清君) 私どもは、事件の総体は、名城大学のほうがはるかに複雑であり、そして個々の裁判の結果を待ったんではとうてい解決し得ないという見通しが明らかである場合でかなり大きな差があると考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、本件の場合は個々の裁判の結果を見れば問題は解決するんだ、こういうふうにあなたのほうではとったわけですか。
○政府委員(杉江清君) 必ずしもそう言えないかもしれませんけれども、ただ、私どもとしては、当事者の適格がないということ、それからその他その紛争によって正常な管理運営が行なわれていないという事実はない、こういうふうに判断して、この要件を充足しない、こういうふうに考えたわけであります。そのほかにいろんなことを申し上げましたが、それはそういう判断の背景をなす考え方を申し上げたわけであります。
○稲葉誠一君 私の疑問に思いますのは、これを文部省が調停のほうに回さなかったということは、この学校で、川島さんが理事長になっておるそれが偽造だ、肥後亨の偽造によって浮き上がったものだとかなんとかいうことが争いになっておる。今度の東京地裁の判決では、肥後亨の偽造というか、権限なくして理事会を開いた結果なんだと一応結論が出ているわけです。そういうふうなことや何かがあって、それで遠慮か何かして紛争を調停に回さないほうがいいという考え方が支配して、それで結局却下するのにどこへ問題を持っていったらいいか。そうすると、一番いいのは当事者の適格問題でいったら一番形式論理が立っていいじゃないかということで当事者適格の問題に持っていったんじゃないかというふうに、ちょっと勘ぐれば考えられるわけです。だから、あなたの言うように当事者適格の問題で却下したというのなら、紛争があろうがなかろうが、その紛争がどういう紛争であろうが、関係ないわけです。いわゆる門前払いだから、紛争とかなんとかいうところに入らないで、当事者適格の問題ならそこで話がつくわけです。それを当事者適格の問題のようなことを言うかと思うと、今度は内容の問題がそれほど複雑でないとかいうふうに言い出すから、これは話が変じゃないかというふうにこっちは考えてくるわけです。こっちも少しひねくれているかもわかりませんけれども、そういうふうに考えるわけです。だから、だれかから別に圧力がかかったわけじゃないんですか。
○政府委員(杉江清君) そういうことじゃ毛頭ありません。形式論的にいえば、要件を充足しないということなんであります。ただ、そういう判断をする上において、基本の考え方として、私どもは、この事件はいま調停に付しても、その当事者なる者は、現在の理事とそして坂本氏でしょう、そういう形でやってそれが一体どういうことになるかということを考えますと、調停のあり方として結局それは無権限であるかどうかということの一点にしぼられてきてしまって、その全体をどう解決するかということには必ずしも役立たない。説明が不十分でありますけれども、結局、調停にまとまらない事件だという判断を総体的にしているということをつけ加えておるわけであります。
○稲葉誠一君 もうこれはいつまでやっても同じですし、アイスクリームも出てきたからやめますが、あなたのお話を聞いていると、ぼくは、何といいますかね、形式要件と実質要件とがごっちゃになっているように考えられるわけでよ。形式要件で却下したというなら、話はまたつくと思うんですよ。それを実質的な要件まで入っていってそれを具備していないということを言われて、結局もとへ戻ってきて形式要件のほうへくるから、どうもそこら辺のところがおかしい、どっかから圧力がかかってやらないほうがいいという話が出てやらなかったのじゃないかということで勘ぐりといえば勘ぐりが出てくるんですが、これはいまのあなたの言われたような意味でそうでないというなら、これはいまここで押し問答してもしようがないから、この程度できょうはやめておきますが、これはもう少し判決がどうなるか、これは確定してみないというと、こちらのほうとしてもそれ以上のことを強く言えませんから、まだ未確定な状態ですから、一応この程度でやめておきます。
○理事(後藤義隆君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(後藤義隆君) 速記をつけて。
 本件の調査は、一応この程度といたします。
   ―――――――――――
○理事(後藤義隆君) 次に、刑事補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
○稲葉誠一君 刑事補償法の問題ですが、これは大臣、旧法の刑事補償法と新法の刑事補償法とそこでいろいろの面で違いがあると思うんですが、基本的に刑事補償の請求権というものの考え方は違うのですか。
○国務大臣(賀屋興宣君) 大体同じ趣旨でできていると思います。
○稲葉誠一君 そんなことはないですよ。これは違うのじゃないですか。昭和六年に旧法ができたんでしょう。当時帝国議会で、あのときの司法大臣は渡辺千冬でしょう、あの人が言っているのは、請求権がないと言っておりますよ。それは国家としては賠償する義務もないし、補償する義務もないんだ、こういうふうに言っているんですよ。新法になって変わったのじゃないですか。
○国務大臣(賀屋興宣君) 旧法を取り違えて、改正以前のものと今度の改正とどっちかと、そういう意味かと思ったものですから……。
○稲葉誠一君 ああ、そうですが、改正前……。
○国務大臣(賀屋興宣君) つまり、現行法ですね。
○稲葉誠一君 そういう意味ですか。それは私のことばの言い方が悪かったのかもしれませんが、別にひっかけようと思って聞いたわけではありませんが、私の言うのは、旧刑事補償法と新刑事補償法とは違うのじゃないですかと……。
○国務大臣(賀屋興宣君) 現行法と改正法、ともに憲法四十条を基本にしておるわけですが、いま仰せの旧法のほうはその時代にはそういうものもございませんし、基本は違っておると申してよろしいかと思います。
○稲葉誠一君 ことばのあやですけれども、改正法といっても、別に改正しているわけではない。ただ金額を上げただけではないですか。改正法、改正法と言うと、何か少しちょっと違うのじゃないですか。それはまあいいですけれどね。
 そこで私の聞きたいのは、前の刑事補償法ですね、これは一日五円以内だったわけでしょう。五円以内というのは、いつからいつまで五円以内というのが続いたわけですか。
○政府委員(竹内壽平君) この五円以内が続きましたのは、現行法ができました昭和二十五年までたしか続いたと思います。
○稲葉誠一君 いつからですか。昭和六年からですか。
○政府委員(竹内壽平君) 昭和六年から昭和二十五年まででございます。
○稲葉誠一君 その間に罰金額の引き上げがあったのじゃないですか。そこはどうなっておりますか。
○政府委員(竹内壽平君) 罰金額は、御承知のように、臨時措置法によりまして引き上げがございましたが、これは昭和二十四年でございますかの改正で刑法犯につきましては大体五十倍、これに準じた扱いになっております。
○稲葉誠一君 そうすると、罰金額だけ先に引き上げちゃったわけですね。それで、刑事補償法の金額の最高金額というものは、それと同時に引き上げなかったわけですか。罰金と刑事補償とは違うといえば違いますがね。
○政府委員(竹内壽平君) これは、当時、罰金を引き上げると同時に、憲法に先ほど大臣から仰せになりましたような四十条の規定が新たに設けられてきましたので、この憲法の規定を踏んまえた法律にする必要があるということで当時提案をされたのでございますが、審議の都合で流れまして、二十五年に成立したというふうに承知いたしております。
○稲葉誠一君 最初にこの法案を出したときには、刑事補償は無罪に限定していたわけですか、法案を出したときには。
○説明員(伊藤栄樹君) 現行法はさようではございません。
○稲葉誠一君 いや、法案を出したときですよ。
○説明員(伊藤栄樹君) さようでございます。
○稲葉誠一君 あとから挿入されたんじゃないですか、衆議院と参議院で。
○説明員(伊藤栄樹君) あとから挿入されました条は、二十五条の関係が一部挿入されているわけでございます。
○稲葉誠一君 最初法案を出したときには、無罪に限定していたのじゃなかったですか。あとで、公訴の取り消しや、あるいは公訴の棄却とか、免訴の場合が入ったのじゃないですか。入ったというのは、衆議院と参議院で挿入したのじゃありませんか。
○説明員(伊藤栄樹君) さようではございません。
○稲葉誠一君 そうですが。そうすると、公訴の取り消しの場合などはどうなっているんですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 公訴の取り消しは対象になっておりません。
○稲葉誠一君 共同正犯の場合に、片方が死亡してしまった。片方の無罪が確定した。一方は死亡したから公訴棄却ですね。そういう場合はどうなんですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 御質問の趣旨を正確に理解しなかったかもしれませんが、公訴棄却になりました場合には第二十五条の適用がございますので、その者も、もし最後まで審判を受けたとするならば無罪となったと認められる場合においては、補償の対象となるわけでございます。
○稲葉誠一君 いまの二十五条というのは、法案を国会へ提案されたときにあったんですか。私の調べた範囲では、何かちょっとあとから挿入されたように聞いたんですがね。ちょっと私の勘違いかもしれませんが……。
○説明員(伊藤栄樹君) 第二十五条というのは、第六回国会におきます審議の過程で参議院で挿入されたわけであります。
○稲葉誠一君 それから衆議院でも挿入されたのがあったんじゃないですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 衆議院で修正されました点も若干ございます。たとえば典型的なのは、――数点でございますが、典型的な点を申し上げますと、第四条の死刑の執行に対する補償の場合につきまして、現行法の第四条第三項のただし書きでございますが、現行法は「本人の死亡によって生じた財産上の損失」となっておりますが、原案は「現に生じた」云々となっておった、その「現に」が削られましたというような修正が若干ございます。
○稲葉誠一君 普通犯で、特別犯じゃないもので、それで検挙されて起訴されるものと不起訴になるものとありますね、もちろん。そうすると、不起訴の場合に、嫌疑なしあるいは罪とならず――罪とならずというのはあんまりないと思いますが、嫌疑なしのほうが多いですね。こういうような場合は、いまどの程度ありますか。これはどうなっているのですか、これに対する補償関係は。
○説明員(伊藤栄樹君) 最近、検察庁におきます不起訴裁定の主文の区分が若干変わっておりますが、お尋ねの嫌疑なしあるいは罪とならずというものを大体昨年以前のことだと理解いたしまして申し上げますが、御承知のように、嫌疑なしということで不起訴にいたしますものは、嫌疑が不十分であるのと、全く嫌疑がないものと、言いかえますと、ことばが悪うございますが、灰色のものと白いものということが言えると思いますが、全く嫌疑のないもの、これに対しましては、被疑者補償規程と申します昭和三十二年の法務大臣訓令に基づきまして、請求または職権によって補償をいたしております。
○稲葉誠一君 そうすると、いまは不起訴の理由には何と何があるんですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 従前の不起訴区分を先ほど御説明申し上げましたが、その嫌疑なしを二つに分けまして、嫌疑不十分というのと嫌疑なしというのに分けております。
○稲葉誠一君 嫌疑不十分と嫌疑なしだけじゃなくて、いろいろな不起訴裁定のあれがあるでしょう。判こ押すわけですね。それはどういうのがあるんですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 相当たくさんございまして、私も全部を覚えておりませんが、代表的なものを申し上げますと、起訴猶予、嫌疑不十分、嫌疑なし、罪とならず、裁判権なし、親告罪の告訴欠缺、告発欠缺、刑事未成年等々でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、いまの嫌疑なしのものだけが被疑者の補償規程、訓令一号に該当するわけですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 現在、嫌疑なしという裁定をいたしますものの多くは、もし身柄の拘束が前提となっておれば補償の対象となろうと思いますが、これだけには限りませんで、たとえば罪とならずというのもございます。それからその他刑事未成年の場合でございますとか、裁判権なしという場合でございますとか、その中にも全く明白に無実であるという場合もあり得ることでございますから、主文によって機械的に補償の対象を定めるということは困難かと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、嫌疑不十分という裁定の場合には、もうこれは被疑者の補償規程には入らないと、こういうわけですか。
○説明員(伊藤栄樹君) おおむねそのようなことになろうかと存じます。
○稲葉誠一君 おおむねというのはどういうことですか。
○説明員(伊藤栄樹君) たとえば、例をあげますと、非常に被害金額の小さい財産犯でございまして、告訴にかかるような事件で、告訴の取り下げがあったような場合に、最後まで調べないで処分してしまう場合も運用上はございますわけで、その嫌疑不十分と一応裁定したものにつきましてあとで請求が出てまいりまして調べた結果、これはとことんまで調べれば嫌疑なしあるいは罪とならずであったと思われる場合が考えられるわけでございますが、さような場合には補償の対象になるわけでございます。
○稲葉誠一君 これはこの法案に直接関係ない、その前の段階の話になっちゃうわけですが、嫌疑不十分であるとか嫌疑なしとかということの裁定がはたして厳格にされているかどうかということですね。これは竹内さん御存じだと思うんですが、いろいろな関係で、そのときのぐあいで、検察官の恣意――と言っては語弊がありますけれども、そのときの感じ方や何かで相当左右されているのじゃないですか、現実問題としては。もう一つの関係は、これは法務大臣は御存じないと思いますが、警察に対する関係があるわけですね。警察の送ってきた事件を嫌疑なしとか嫌疑不十分にしてしまうと、警察のほうでは文句を言うわけですよ。あまりいい顔をしないんです。あの検事はだめだ、腰が弱いと言うんですよ。それだから、しようがなしに、嫌疑なしで当然はねるべきものでも、いわゆる起訴猶予という形ではねる場合があるわけです。ぼくなんかそれをやってきたわけだけれども、そういうことがあるわけですね、実際問題として。いまでもそれをやっているんじゃないですか、相当。だから、不起訴裁定の主文の認定というのは、厳格な裁判の無罪判決だとかああいうような形での証拠による認定じゃなくて、ある程度幅のあるもので実際行なわれているんじゃないですか。
○政府委員(竹内壽平君) 仰せの、主文が乱れているのじゃないかという御疑念でございますが、私、戦後の運用を見てまいりますと、多少御指摘のような点がうかがえないでもいい。しかし、これは非常に大事なことでございまして、検事が刑事政策的な権限を与えられております以上は、これを忠実にやってこそはじめてその目的を果たすものでございまして、その点が乱れるということは、検察の運営上よろしくない、かように考えます。その乱れるもとが警察に対するメンツとかいろいろあるかもしれませんが、そういう点じゃなくて、この嫌疑なしという主文のところに私は非常に疑問を感じておりましたので、これが嫌疑をもっと捜査すればいずれかにはっきりする。起訴猶予になるか嫌疑なしになるかわからない状態でありますけれども、事件の処理をおさめるのが妥当だという場合もあると思いますから、その中間的な状態のものを嫌疑なしに従来入れておったか、嫌疑ありつまり起訴猶予のほうに入れておったかというところが分明を欠いておったと思うのです。そこで、嫌疑なしを二つに分けて、嫌疑不十分と嫌疑なしということにすることによりまして、起訴猶予と嫌疑なしとの関係をはっきりさせていく、こういう処置をとったわけであります。実際問題としてそういう問題があるかと思いますが、それはできるだけないようにして明かにしていきたいと思います。
 それから補償の問題になってまいりますと、主文だけできめておるのじゃございませんで、記録を検討いたしまして、主文と実体とが合うかどうかということを検討した上で、補償を許すかどうかをきめる、こういうふうに手続としてはいたしております。
○稲葉誠一君 そうすると、現在、これは統計で見ればわかると思うんですが、警察から送ってきた事件で、嫌疑不十分だとか嫌疑なしになるのはどの程度。パーセンテージがあるわけですか。これは事件によって違いますね。罪とならずというのはほとんどないと思いますね。たとえば業務上過失なんかの場合はわりあい多いとか、いろいろあると思いますが、どの程度になっておりますか。これは統計でどうなっておりますか。
○政府委員(竹内壽平君) 統計をここに持っておりませんので、正確には申し上げかねるのでございますが、一二、三%、一五%以下のものが警察から送ってきた事件の中で嫌疑不十分あるいは嫌疑なしという裁定を受けておると思います。従来の運用としましては、できるだけ検挙したものはもちろん全部、微罪を除きましては送るたてまえでございます。ところが、警察のほうとしましては、検察庁へ送っても嫌疑なしという措置を受けますことは警察にとっては不名誉なことというような考え方もありましょう。したがいまして、すでにかなりしぼって持ってくるというような面もうかがわれますので、嫌疑なしの処分を受けたからといって警察が黒星になるというふうには私どもは考えておりません。おりませんが、そういうような傾向も多少私は見えるように思います。そのことが、かなり送致事件というものが中身が昔よりは厳選されているというか、捜査が行き届いているという点が最近の傾向として見受けられる。その数的にあらわれたものが嫌疑なしの処分を受ける数字が低くなってきているということでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、被疑者の場合には、実際に請求するというのはほとんど少ないわけですね。これは統計がありますけれども、期間も短いし、そうないわけでしょう。実際にこれを払う場合には、どういうふうに認定して払うわけですか、だれがやるんですか、これは。
○説明員(伊藤栄樹君) 被疑者補償規程の第五条にございますが、「公訴を提起したい処分をした検察官の所属する検察庁の検察官が行う。」ということで、事実上は検事正のもとで行なっております。
○稲葉誠一君 それは、金額はどの程度ですか。同じですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 金額は、現在は「一日四百円以下」となっておりますが、刑事補償法のほうが御審議の結果千円以下ということになりますと、それに歩調を合わせて改正をいたしたいというふうに考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、いまのは、「四百円以下」で、下限はないわけですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 下限はございませんが、その運用にあたりましては、刑事補償法の定めております二百円以上四百円以下、このワク内でつとめてやるようにということで運用いたしておりまして、現実の事例といたしましては、大体上限あるいはこれに近いところで補償いたしております。
○稲葉誠一君 そこで、いま現行のものが二百円から四百円なわけですが、これの出てきた根拠がどこにあるのかということはいまここで論議しているわけじゃないんですけれども、今度の改正案で四百円から千円になるわけですが、それは現在のものを基準としてやっているわけですから、現在の二百円――四百円というものが妥当か妥当でないかを一応論議しないと結論が出ない、こう思うんですが、これはどういう数字から出てくるんですか。何かはっきりした根拠はあまりないようなことを言っているのじゃないですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 仰せのように、まさにこれが基準になったというきめ手とでも言うような明快な基準は必ずしもなかったようにうかがえるのでございますが、一応の考え方としては、昭和二十五年当時の考え方といたしましては、まず従前の旧刑事補償法、憲法四十条の規定のない時代の刑事補償法の金額の一日五円以内ということをまず基礎に置きまして、その上に立ちまして、現行法制定当時の賃金あるいは物価、さらには刑事訴訟手続における証人日当、これらのことを勘案して出しているようでございます。具体的に申しますと、当時、平均賃金が三百五十円あるいは四百五十円といったところであったこと等を一応考慮いたしまして、その時点に立ちまして、どの程度の金額を支払えば一応の補償はなされたと言い得るかという常識的考慮で定められた、こういう経過になっているように承知しております。
○稲葉誠一君 賃金と物価の、昭和七年ですか六年ですか、それと昭和二十五年ですか、これとの比較からいくと、賃金は、たとえば昭和七年から見ると百五十倍になっている、物価は約二百倍になっているという計算が、ある人の計算によると出てくるわけです。そうすると、当然そのころもうすでに五円の百五十倍ないし五円の二百倍、七百五十円から千円のところへいかなければいけなかったのじゃないかという考え方も相当あるんですがね。だから、二百円――四百円ということ自身がすでにもう基準として低かったのじゃないですか。
○説明員(伊藤栄樹君) ただいま御指摘のような資料というものを私ども実はよく承知しておらないわけでございますが、昭和六年当時のたとえば証人日当を見てみますと、二円以内という時代、それからその後しばらくしまして五円以内ということになっております。そういった証人とかあるいは鑑定人、翻訳人、通訳人、こういったものをずっと大観してみました上で、それにさらに賃金、物価というようなものの昭和二十五年当時のものを一応考慮いたしまして、そうして常識的に定められたというように承知しております。
○稲葉誠一君 いま証人日当が出ましたけれども、証人日当は、昭和六年の二円以内からどういうふうに変化してきたんですか。あるいは調停委員の日当にしろ、それから鑑定人――鑑定人はちょっと違いますから、これは別ですが、通訳人などもありますね。その変化はどういうふうになってきているのか、それとこの刑事補償法の金額との対比がどうなっておるのか、これを何か表があれば出していただきたい。
○説明員(伊藤栄樹君) お手元にすでに差し上げてございます縦長の「参考資料」という印刷物がございますが、それの第7表というところに一応私どもの関知しております分だけをあげてございます。詳細はそれをごらんいただきたいと存じますが、大正十年証人日当二円以内から始まりまして、現在昭和三十七年の法改正によります千円以内というところまで表にしてお出ししてあるわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、いまは証人日当は三百円以内からぐっと一ぺんに千円以内になったわけですね。ほとんどみんな、検察審査会の証人でも千円以内ですね。それと、刑事補償で拘禁されていた者の苦痛ですね、いろいろな面での。これが同じだというのはちょっとおかしいのじゃないですか。
○説明員(伊藤栄樹君) この金額の点につきましてはいろいろ考え方もあろうかと存じますが、一応昭和二十五年当時から現在までの物価あるいは賃金の上昇状況その他の経済状況等も今度考慮に入れておるわけでございますが、それでまいりますと四百円以上八百円以下というような数字が出るわけでございますが、御指摘のように証人日当が千円ということになっておりますことも考慮いたしまして、御審議願っております法律案におきましては上限を千円というふうにしてあるわけでございます。
○稲葉誠一君 調停委員の日当なんかいまどうなっておりますか。この前は七百円でしたね。
○説明員(伊藤栄樹君) そのように承知しておりますが、刑事の証人の日当につきましては、国会における附帯決議がございましたような事情もございまして、昭和三十七年に一挙に三倍以上に引き上げられた、こういう事情にございます。
○稲葉誠一君 いまよく聞こえなかったんですが、国会の附帯決議で引き上がったというのは、何ですか、証人の日当ですか。
○説明員(伊藤栄樹君) さようであります。第三十八国会で証人の日当に関する附帯決議がございまして、その御意思を尊重して一挙に引き上げたという事情になっております。
○稲葉誠一君 そうすると、いままでの附帯決議で証人日当が引き上げられたということになれば、刑事補償の問題でこれはすでに衆議院では附帯決議がついておるのじゃないですか。
○説明員(伊藤栄樹君) お説のとおりでございます。
○稲葉誠一君 衆議院での附帯決議というのはどんなものでした。
○説明員(伊藤栄樹君) ただいま正確には読み上げたいと存じますが、今後の経済情勢の変動に応じて次の引き上げを考慮すべきである、こういう御趣旨であったと思います。
○稲葉誠一君 法務大臣、いまお聞きのように、これは衆議院でも附帯決議でもっと今後の状況に応じては上げろというふうなことが出ているわけですね。実際に拘禁されて非常な苦痛を得て無罪になった者が千円以内というのは、これはちょっと割り切れないことなんで、将来この問題についてこれを引き上げることに、刑事補償の金額ですね、引き上げることに大臣として十分な努力をされるかどうか、この点をちょっと承りたいと思います。
○国務大臣(賀屋興宣君) これは普通の給与とは違いますが、給与にいたしましても、何が適正かということにはずいぶんいろいろな角度から議論がある。そこで、経済情勢の変動、収入、物価の変動等によりまして上げる場合には、一応現行のものを基準にいたしまして考えるのが普通でございます。ただ、その現行のものが著しく高過ぎるか低過ぎるか、こういうようなことが明らかな場合には、むろんそれは考慮すべきと思います。そうでない場合は、一応現行のものを基準にしてするのが妥当な普通の処置だと思うのであります。
 それで、二百円−四百円というのは大体十数年来実行されておりました。それで、いま政府委員が御説明いたしましたように、物価、貨幣価値、同町に収入の面の賃金等をしんしゃくいたしますと、昭和二十五年から大体倍という係数が出るわけであります。それで、二百円−四百円を四百円−八百円にしましたことは一応私も審議の途中において妥当だと思います。ただ、最高限を、証人の日当等の関係もあり、むしろ八百円を千円に上げたわけでございますから、その意味におきまして適当なりと考えた次第でございます。
 それで、昭和二十五年のときに正しかったかどうか。これもいろいろ議論の余地はあろうと思いますが、私はそのときの事情をほんとうはよく存じませんが、罰金が大体戦前の五十倍になっておる。そうすると、戦前の五円というのが、二百円−四百円でありますと、四十倍ないし八十倍でございます。これもどっちかというと罰金の引き上げよりやや引き上げが幾らか強い。一応前のものがかりによるべき基準とすれば、大体よろしいのじゃないかというふうに今度の引き上げのことについて検討する場合に思った次第でございます。
 それで、今後、経済情勢の変化、一般の賃金と申しますか収入基準の増加、また物価その他の増加につきましては、これはいままでよりはもう少し反応を敏速にいたしまして時勢に応ずるように引き上げていくべきものだとただいま感じておりまして、その意味におきましては十何年も置かれたのは少し長いのじゃないかという感じをいたしております。そのつもりで今後は努力いたします。
○理事(後藤義隆君) ちょっとこの点について簡単にお聞きしますが、第四条の死刑執行による補償について従来の五十万円を百万円に引き上げることはいいと思うのですが、百万でもなお少ないんじゃないですか。死刑を執行されて百万円だけでは私は何か非常に少ないような感じがするんですが、その点についてどうですか。
○政府委員(竹内壽平君) 仰せのように、死刑が執行されてしまって、あとから無実のものであったというような場合に、その慰謝料的な意味の補償がわずか百万円でいいかどうかということにつきましては、私どもも実は疑問がないわけではございません。
  〔理事後藤義隆君退席、委員長着席〕
おそらくこの前身でませんました現行法の五十万円を考えます場合にも、五十万円が相当であったかどうかということは、もちろん何人も正確に答えるととはできなかったろうと思うのでございますが、いろいろ御審議の結果、常識的なといいますか、それにプラスいたしまして、先ほどもちょっと改正点のところで申し上げましたが、それに加えまして証明のできた財産上の損害をもそれにプラスして百万円、その範囲内で補償するということによりまして、この辺でよかろうというのがこの前の現行法のときの改正の考えであったと思うのでございます。その基本になりますところにやはり正確なものがございませんので、今回の改正におきましては、五十万を倍にして百万円にすれば事が足りるという考えではございませんけれども、一応全般的に二倍という線を出しましたので、死刑の分につきましても二倍として百万円、こういうことにいたしたわけでございまして、この点につきましては、私どもはこれで一応まかなえるのじゃないかという考えをいたしております。
○後藤義隆君 それからいまの四条の三項ですが、これは一応百万円というのは、財産上の損害を除いた以外のものだというようなふうに見えるわけですが、いまのは三項ですが、四条の一項は、財産上の損害も含めていまの金額を言うのか、あるいは財産上の損害は別か、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(竹内壽平君) 四条の一項は、精神上の慰謝料的なものと財産上の損害と両方を含めましたものとして定型化して、きまった定額の補償額をきめておるというふうに思っております。したがいまして、二百円−四百円という現行法の規定、これの中には、逆に申しますれば、物心両面の損害を賠償してやろうという考えでございます。これに対しまして、三項の死刑の場合には精神的な慰謝料だけであるということは、そこへつけ加えられました「本人の死亡によって生じた財産上の損失額が証明された場合には、補償金の額は、その損失額に五十万円を加算した」と、こう書きましたために、この五十万円のほうは財産上の損害以外の損害、つまり精神上の損害だけに、慰謝料的なものだけになる、こういうふうに解釈をせざるを得ないわけでございます。その点、一項と三項とは補償の内容の意味が違っておると理解しております。
○後藤義隆君 そこで、四条の第一項の場合に、これは改正されれば一日千円ということになるわけですが、実際上の財産上の損害だけでも千円以上ということが明らかに認められるような場合に、千円だけでもって打ち切ることは適当でないのじゃないかというふうに考えられるのですが、その点はどうですか。
○政府委員(竹内壽平君) そういう場合もあろうかと思いますが、国が一つのきまった額として補償をするという場合には、その人々、個人個人の事情によりまして、ある人はもっと大きな損害もありましょうし、ある人はもっと小さい損害にとどまる場合もあろうかと思いますが、そういうものを引っくるめまして一つのきまった額で補償する、これがこの法律の性格からくる一つの額のきめ方であろうと思います。したがいまして、人によりまして損害の証明があったといたしましても、その部分についてプラスして補償するということは刑事補償の性格から申しまして適当でない。こういうことで、この線で定型化して、これだけに限定して考えるという思想のもとにこの法案はできているのであります。
○後藤義隆君 四条の一項と国家賠償の規定との関係はどうなりますか。
○政府委員(竹内壽平君) 国家賠償と刑事補償とは、競合して適用を見る場合があるのでございます。この刑事補償のほうは、それに携わりました公務員等が故意、過失何ら問うところなく、いやしくもこういうふうな拘禁を受けました者が無罪と同じような結果を招来しました場合には、これに対して国が補償をするという制度でございます。それから国家賠償のほうは、その公務員が公務の遂行の過程におきまして故意または過失があった場合に、国がその公務員のやった行為に対して補償をする、これが国家賠償でございます。
 したがって、公務員にしてもし故意または過失があって刑事補償の規定しておりますような無実の結果があとで証明されたという場合には、刑事補償としても補償されますし、国家賠償としても補償されます。しかし、両者の間、二重に補償するという趣旨ではございませんで、刑事補償のほうが多ければ国家賠償のほうは棄却になりますし、国家賠償のほうが大きくなれば刑事補償をした分を差し引きましたものが支給される、こういうことで、両者の関係は競合し、かつ金額におきましては両方やるということでなくて、差し引いてやるという趣旨でございます。
○後藤義隆君 外国のほうでは、こういうふうな刑事補償の関係は大体どういうふうになっておりますか。
○説明員(伊藤栄樹君) お手元へ参っているのではないかと思いますが、「刑事補償に関する各国立法例」という刷り物を差し上げてございますが、アメリカ、フランス、ドイツ、オーストリア、ハンガリアの典型的な五カ国につきまして一応調査をいたしてございますが、詳細は省略いたしますが、わが国におきます刑事補償は、その範囲におきましてこれらの諸国に比べますと最も広い部類に属するのではないかというふうに存じます。
○後藤義隆君 それから、いただいた資料の第10表ですね、ここにありますように、無罪の確定した事件に対する割合において補償を請求した人員が非常に少ないようですが、どういう関係ですか。
○説明員(伊藤栄樹君) 無罪の言い渡しを受けました、あるいは確定いたしました人員の中には、訴訟手続中に身柄の拘束を受けていない者が相当あるわけでございます。それらの者につきましては請求がございません。また、中には、身柄の拘束を受けましてもわずかな期間であるとかというようなことであるために請求をしない方もあるのじゃないかと存ぜられます。
○委員長(中山福藏君) 本案の質疑は一応この程度にとどめまして、本日はこれをもって散会いたします。
   午後五時九分散会