第048回国会 社会労働委員会 第21号
昭和四十年五月十九日(水曜日)
   午後三時三十八分開会
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   委員の異動
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     丸茂 重貞君     野本 品吉君
     亀井  光君     田中 茂穂君
 五月十九日
     野本 品吉君     丸茂 重貞君
     田中 茂穂君     亀井  光君
     鈴木 一弘君     小平 芳平君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         小柳  勇君
    理 事
                草葉 隆圓君
                丸茂 重貞君
                藤田藤太郎君
    委 員
                井川 伊平君
                亀井  光君
                川野 三暁君
                紅露 みつ君
                佐藤 芳男君
                山本  杉君
                藤原 道子君
                村尾 重雄君
                林   塩君
   衆議院議員
       修正案提出者   小沢 辰男君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  神田  博君
       労 働 大 臣  石田 博英君
   政府委員
       厚生政務次官   徳永 正利君
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       厚生省公衆衛生
       局長       若松 栄一君
       厚生省医務局次
       長        大崎  康君
       厚生省児童家庭
       局長       竹下 精紀君
       厚生省年金局長  山本 正淑君
       社会保険庁年金
       保険部長     實本 博次君
       労働大臣官房長  和田 勝美君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省労働基準
       局労災補償部長  石黒 拓爾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
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  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○精神衛生法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動についてお知らせをいたします。五月十八日、丸茂重貞君、亀井光君が委員を辞任され、その補欠として野本品吉君、田中茂穂君が選任されました。また、本日、野本品吉君、田中茂穂君、鈴木一弘君が委員を辞任され、その補欠として丸茂重貞君、亀井光君、小平芳平君がそれぞれ選任されました。
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○委員長(小柳勇君) 理事補欠互選の件を議題といたします。
 委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっております。
 つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に丸茂重貞君を指名いたします。
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○委員長(小柳勇君) 継続調査要求についておはかりいたします。
 社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成、提出の時期などにつきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(小柳勇君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間などは、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成なども、便宜、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(小柳勇君) 精神衛生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府より、本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。神田厚生大臣。
○国務大臣(神田博君) ただいま議題となりました精神衛生法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 精神衛生施策は、近年とみにその重要性を加えてまいったのでありますが、最近における向精神薬の開発等精神医学の格段の発達とも相まって、必ずしも現行精神衛生法は新しい事態に即応し得なくなってまいったのであります。したがいまして、政府といたしましても、精神障害者に関する発生予防から社会復帰までの一貫した施策をその内容とする法改正をかねがね準備中のととろ、その機運が熟してまいったため、今回精神衛生法の一部改正を行なうとするものであります。
 改正の第一点は、都道府県が精神衛生センターを設置することができることとした点であります。従前、都道府県等は、精神衛生に関する相談指導等を行なうための施設として、主として保健所に精神衛生相談所を併設していたのでありますが、この程度のものでは、とうてい現下の精神衛生施策の進展に即応するものとはいえませんので、今回、これを廃止し、別に新たに都道府県における精神衛生に関する総合的技術センターたる精神衛生センターを設けて、知識の普及、調査研究を行なうとともに、保健所が行なう精神障害者に関する訪問指導について技術援助を行なおうとするものであります。
 改正の第二点は、警察官、検察官等の精神障害者に関する申請通報制度を整備することにより、精神障害者の実態を把握し、都道府県知事が行なう入院措置に遺漏なからしめるとともに、その医療保護に万全を期することとした点であります。
 改正の第三点は、新たに緊急の場合における措置入院制度を設けた点であります。精神障害者は、その疾病の特質上、間々自傷他害の著しい症状を呈することがあり、社会公安上及び本人の医療保護のためゆゆしい問題を生じますので、都道府県知事は、精神衛生鑑定医の診察を経た上で、四十八時間を限り、これを緊急入院させ得ることとしたのであります。
 改正の第四点は、向精神薬の著しい開発等、精神医学の発達により、精神障害の程度のいかんによっては必ずしも入院治療を要せず、かえって通院による医療を施すことがきわめて効果的となった事情にかんがみ、精神障害者につき、新たにその通院に要する医療費の二分の一を公費負担することとした点であります。
 改正の第五点は、在宅精神障害者に関する訪問指導体制の充実をはかった点であります。そもそも在宅精神障害者の把握とその指導体制の整備は、精神衛生施策の展開をはかる上できわめて緊要なことでありまして、第四点の通院医療費の公費負担制度の新設と表裏一体の関係にあり、今回の法改正の主要点をなすものであります。この見地から、新たに、保健所の業務として、地域における精神障害者の訪問指導等を加え、また、保健所にもっぱら精神衛生に関する相談、指導等に当たる職員を配属し、その実をあげることとしたのであります。
 改正の第六点は、最近における施設の整備状況等にかんがみ、従来認められていた精神障害者の私宅監置制度たる保護拘束制度を廃止し、それらの患者はすべて精神病院に収容することとして、その医療保護に遺憾なきを期することとしたのであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及び改正の要点でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げます。
○委員長(小柳勇君) 次に、本案に対しましては、衆議院で修正されておりますので、この際、衆議院の修正にかかる部分について、修正案提出者、衆議院議員小沢辰男君より説明を聴取いたします。
○衆議院議員(小沢辰男君) 私は、衆議院の社会労働委員会を代表いたしまして、衆議院における精神衛生法の一部を改正する法律案に対する修正部分につき、その趣旨を御説明申し上げたいと思います。
 御承知のとおり、措置入院の関係、あるいは緊急入院の措置、あるいは外来の二分の一公費負担の今回の制度、あるいは精神衛生相談所、あるいは訪問指導等につきまして、都道府県知事は非常に大きな権限と責任を持っているわけでございますが、厚生大臣に対しましては、その諮問機関として、中央に精神衛生審議会というものがございますけれども、地方には精神衛生審議会がございませんで、今回の政府の改正案でも、この地方の精神衛生審議会の設置が規定されていなかったわけであります。そこで、この知事の権限と責任を果たす意味で、精神衛生は、特に専門的な事項も多いわけでございますので、知事の諮問機関として地方精神衛生審議会を置きたい、こういう趣旨から一部修正をいたしまして、都道府県に、精神衛生に関する事項を調査審議させるため、地方精神衛生審議会を置くこととした次第であります。
 何とぞ本院におきましても御賛同を賜わりますようお願い申し上げて、趣旨の説明を終わります。
○委員長(小柳勇君) 本案につきましては、一応提案理由と修正案の説明聴取にとどめます。
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○委員長(小柳勇君) 労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、本案に対し、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○藤田藤太郎君 労災補償というのは、きのうから私は質問をしてまいりましたが、昨日から新しい省令というものをお出しになって、これを少し読ましていただいたわけでありますけれども、計画の前進の方向が出ているわけですが、もう少しきめのこまかいものでないと、なかなかこれだけでは身につかないのではないか、私はそう思うのです。これは概念は少し変えてありますけれども、個々の具体的な指示というものが欠けているのじゃないか、私はそう思うのでありますが、これは、この基準を労働災害防止部会で審議され、基準審議会で確認されたものがつけ加わるともう少し具体的なものになるのかどうか、その辺が、審議会ののところは技術的な法改正やその他の問題だけで、行政上の指導はこれだけなのか、これでは舌足らずではないか、私たちが皆さん方と了解した点とは非常に大きな差異があるのではないかという気がするわけですが、そこらの点はどうなっていくか、ちょっとお聞かせをいただきたい。
○政府委員(村上茂利君) 計画をさらに具体化する点については、二つの方法があろうかと存じます。すなわち、一方においては、労働基準審議会で御審議をいただいております安全管理者、それから、指導員、安全委員会等で具体的な内容が固まりましたならば、御指摘の計画の中で不確定な部分をさらにそれによって補てんするということでございます。審議会の結論が出次第、その計画の内容をさらに充実し、補てんするというのが一つでございます。
 それから、第二の方法は、この計画は全国的な計画でございますが、都道府県ごとに地方労働基準局に置かれております地方労働基準審議会に付議いたしまして、都道府県ごとの同様な災害防止実施計画を作成させるという手段を講じておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 大体その審議会の結論はいつじぶんになりますか。
○政府委員(村上茂利君) 安全管理制度、これは指導員も全部ひっくるめまして、安全管理制度につきましては、おおむね実態調査的な審議は終わっておりまして、あとは規則改正を行なうとすればどうするかという問題にいまさしかかっておるところでございます。したがいまして、そう遠くはない機会に結論が出るのではないかと存じておる次第でございます。労働省の事務的都合から申しましても、昭和四十一年度予算編成の時期がだんだん近づいてまいっておりますので、そうあまり長引くことになりますと、そういった予算編成等にも支障を来たしますので、適当な機会に結論が出ることを期待いたしておるような次第でございます。
○藤田藤太郎君 そこで、労働災害が起きた場合の責任体制、たとえば賠償責任の問題を雇用主の賠償責任だと、まあ具体的に、経済的には雇用主だけが掛金をして、政府が突っかい棒をしてやっているわけで、経済的な面においては、雇用主が賠償責任を国の施策の中でやっているということになるのですけれども、精神的な面の責任体制というものが少し足らないような気がするわけですが、その点は今後どういうふうにしていかれるおつもりですか。
○政府委員(村上茂利君) これも大きく分けて二つの方法があると存じますが、一つは、国民的な場でとらえまして、この問題に対する関心をさらに高揚するということでございます。その点につきましては、従来、安全週間、労働衛生週間を実施いたしております。それと関連いたしまして、安全大会、衛生大会を実施いたしておりますが、それを今後どのようにさらに盛り上げていくかという問題がございますが、昨年設立されました中央労働災害防止協会が、本年度は安全大会、衛生大会の主体となりまして、これを従来の方式からさらに大きく盛り上げますために、安全大会は東京都において、労働衛生大会は大阪においてというように、従来よりもさらに拡大した形で空気を盛り上げていこう、こういう計画を持っております。しこうして、安全大会、衛生大会のやり方そのものにつきまして、どうしたらさらに盛り上げがなされるかという点につきましても、審議会でいろいろまた御意見を伺っておるような次第でございます。
 それから、第二の方法といたしましては、事業主の責任感をさらに高める方法としまして、いま申しました全国的な場においての問題とは別に、特に災害の多い業種につきまして事業主の関心を高める必要があると存じまして、災害多発業種について、新設されました労働災害防止協会を中心にし、港湾荷役、建設、陸上貨物取り扱い事業、林業、鉱山等につきましては、新たに結成せられましたこの協会を中心にいたしまして、さらに安全意識の高揚をはかりたいと考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 その責任体制、特に多発産業のの災害防止も、一面は責任を感じてもらわなければいかぬのですが、一面においては、これが再び起こらぬようにする施策の問題に関連していると思うのですが、その関連した施策の問題等については、やはりそこで働いている労働者の意見がどういう形で取り入れられるか、そこらの点を聞かしていただきたい。
○政府委員(村上茂利君) ただいま私が申し上げましたことと関連いたしまして申し上げますと、労働災害防止協会におきましては、国会の修正の御意見がございまして、参与制度を設けることにいたしたわけでございます。協会は、発足以来、半年とちょっとしかたっておりませんので、実は、この参与につきましても、人選にやや手間どっておりますが、労働省といたしましては、労働団体から参与を御推薦願いまして、できるだけ早く参与の任命を行なう、それによって具体的な労働側の意思をお伺いする場を早く設けたいというふうに考えておる次第でございます。
 なお、諸施策のうちで、法律命令以外に、行政上のいろいろな方策がございます。特にその問題は地方においていろいろ問題があるわけでございますので、地方には、地方労働基準審議会の中に労働災害防止部会というものを常設したということも申し上げたのでありますが、地方ごとの具体的なケースにつきましては、その地方労働基準審議会の部会で活発に御検討をいただくということにお願いしたいと考えております。
 なお、さらには、安全指導員の中に労働側の経験者も加えまして事業上の指導に当たることになると存じまするが、そのときに、どのような事業にどのような方法で巡回し、指導するかという点につきましても、地方ごとに、地方労働基準審議会の労働災害防止部会でそういった指導計画をつくっていただきまして実施いたしたいと、かように考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 だんだんと詳しくなってきたわけですが、私は、中央の部会、地方の部会けっこうですが、具体的には、やはり職場で働いて、はだで感じている人の意見というものも入らないといけないのじゃないか。だから、私は昨日も少し質問しましたが、大企業には労働災害委員会というようなかっこうのものがある。下のほうから広めようという、そういうところにやはり労働災害防止の基本があるのじゃないか。これがフィフティ・フィフティ、単に数のフィフティでなしに、人命尊重、安全第一主義、むろん生産もやるわけですから、そこらでやはり対等の立場でものが言えるような環境の中でこれが取り組まれる、それがやはり地方の部会、中央の部会にきて、労災協会には労働者が参与で参加しておりますから、そういう縦の線というものが一番下からずっと組織的に、それも単に数の問題ばかりじゃなしに、どなたにも遠慮とか圧力が加わらない状態でその審議、提案が行なわれるということは、口で言いやすいのですけれども、これが一番大事な問題じゃなかろうかという気がするわけです。まあいろいろ公開の席上で例をあげると支障するところがありますから、私は申し上げませんけれども、そこが一番労働災害の大事なところではないか。だから、そこらの指導をぜひひとつしていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。
 それから、順次ひとつお尋ねをしていきたいのでありますが、第一の、全面適用の実施というのは、昭和四十二年に大体その目標を立てられているということは何回も聞くわけでありますが、調査研究の結果、そういうものはできるだけ早くしてもらいたいのでありますが、大体いまの見通しで、いつじぶんから実施できそうか、または、あわせて、その全面適用ということになると、強制適用というものを意味するのだと私は思うわけでありますけれども、その強制適用というものが、また、かごから水が漏れるようなかっこうでは、どうもやはり問題が残るのでありますから、いま労働省が考えておられるこの全面適用の時期と、それから、具体的にかごから水が漏れないようなかっこうでおやりになる構想をもうお持ちだと思いますから、ひとつお話を願いたい。
○政府委員(村上茂利君) 御指摘のように、五人未満の零細事業所に対する完全適用は強制適用を意味するものでございます。方向としましては、できるだけ早く実施をしたいという観点から、昭和四十一年度実施を目標としておるわけでございますが、その実施にあたりましては、労働行政としては失業保険、他に社会保険もございまするので、そういった関連した保険と平仄を合わせまして五人未満の適用を処理していきたいと考えておるわけであります。で、その場合には、適用の問題、保険料徴収の問題、技術的に多々問題があろうかと存じまするが、私どもといたしましては、そういった各問題点につきまして完全実施がすみやかに実現できますように、事柄によりましては、すでに技術的な検討を開始しておるような次第でございます。しかし、その間、実質的にできるだけ零細企業にも保険の適用拡大をする必要がありますので、任意加入ではありますんけれども、できるだけ包括的に加入させる、集団的に加入させるという考え方、つまり保険事務組合を設立させるとか、そういったいろいろな手段を用いまして、任意適用形式ではありますが、実質的に全面適用に持っていきたい、かように考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 そこで、今度のこの労災改正案にあるわけですが、特別加入でなしに、たとえば旅館の従業員とかサービス事業の従業員とかいう、いままで任意加入ですね、ああいうのまで強制適用の形に入るのかどうか、ちょっと御意見を聞かしてください。
○政府委員(石黒拓爾君) 私どもの考えております全面適用というのは、旅館の従業員でありましても、基準法の適用を受ける者はすべて労災保険に加入させるようにいたしたいと考えております。
○藤田藤太郎君 そういたしますと、まあ五人以上のサービス――第三次産業であろうと、すべて入る。それに合わして五人以下の適用にこれは入っていくわけですから、特にそれ以上いま構想の中で任意適用というグループはどういうことが想定されますか。
○政府委員(石黒拓爾君) 全面適用が実現いたしますまでの間に任意適用を推進いたします、その主たる対象という……。
○藤田藤太郎君 いやいや、そうじゃなしに、全面適用をしたときに残るのはどういうのがありますか、残らなくて全部入りますか、あらゆるところのものが全部入りますか。そのときに特に残るような対象はどういうことになりますか、残るとすればですよ。
○政府委員(石黒拓爾君) 失礼いたしました。全面適用の場合には、理想を申しますれば、およそ賃金労働者はすべて入れたいと存じますが、現在研究いたしましておるところ、どうしても立法技術的に落ちるんじゃないかと思いますのは、ふだんは労働者じゃなくて、盆暮れなどにアルバイトで行く、それも大工場にアルバイトで行く者ならつかめると思いますが、個人商店なんかに大売り出しのときだけ、めいの大学生がアルバイトに来たというようなのまではちょっとつかみがねるんじゃなかろうかと思っております。それ以外は全部つかまえたいと思います。
○藤田藤太郎君 そこで、特にいま問題になっている一酸化炭素の中毒者ですね、私たちは一酸化炭素の中毒者に対する特別援護措置法をやったわけですが、なかなか医学の中でも判定が非常に困難な、むずかしい問題を含んでいるわけです。それでいて機能が相当麻痺しているという結果におちいっているというのがいまの一酸化炭素の中毒者だと思うのです。こういった方々の職業指導、再就職、再出発への援護、それから、まああわせて、こういった方々の中毒症の強い人の介護をする人がぜひ必要なんですが、三池のなんかを見ましても、介護手当てをどう援護してあげるかというような問題、それから、もう一つは、一酸化炭素の先ほども申し上げました賠償責任、これは精神的にも物質的にもそうなんですが、責任のたてまえからいって、一酸化炭素中毒になった方々への身分保障の問題、要するに解雇制限の問題、こういう問題について労働省はどうお考えになっているか。
○政府委員(石黒拓爾君) 一酸化炭素中毒者につきましては三井、三池の大事故を契機といたしまして、非常に世間の注目も浴びましたし、それから、私ども、従来、研究不足、あるいは手当ての行き届かなかった点もあったということも気がついた次第でございまして、これに対する保護の万全を期するよう、鋭意努力はいたしている次第でございます。一酸化炭素に限らず、一般に神経障害の病状につきましては、治療も非常にむずかしゅうございますし、補償につきましても、なかなか基準をつけがたいわけでございます。第一に、治療の面につきましては、御承知のごとく、大牟田の労災療養所におきまして、九州の九州大学、熊本大学、久留米大学の三大学の専門家に常時御指導いただきまして、初期的治療からリハビリテーションまでやっておる。これもまたあまり経験のないことでございますので、きまった方程式どおりに逐次やっていくということよりは、毎日毎日その実情を検討して、必要な手を次々と研究しては打っていくというような方式をいたしているわけでございます。この一酸化炭素中港症の者に対する職場復帰の問題につきましては、大体におきまして、現在の見通しにおいては、長期給付に移るまで、すなわち、基準法上の解雇制限が解けるまで療養を続けなければならない人はごく少数である。一年ないし二年の間におおむね症状を固定するものというふうに考えられております。したがいまして、症状を固定して、労働に耐え得る者は当然に復職いたすことに相なると存じますが、さらに、これらの者に対する適職の開発というようなことも、医療委員会と連絡をとりながら検討をいたしております。
 それから、不幸にして後遺症を残した方々に対する補償の問題でございますが、現行の補償におきましては、労災の障害等級表の一級、三級、七級、八級、十二級、十四級、精神神経障害はこう六つの段階に分かれているわけでございますが、その段階の区分けのしかたが、たとえば著しい障害を残し、終身労務に服することができない者、あるいは軽易な労務のほか服することができない者とかいうような抽象的な表現に相なっておりまして、それを大ぜいの患者に適用する場合にどこが境目になるかということが、これがはなはだわれわれもうかつでございましたけれども、精神病院、あるいは神経専門の医者といえども、判定に苦しむ点があるようでございます。したがいまして、この点につきましては、三池の患者の問題を契機といたしまして、現行の障害等級に従って区分をさらに明確に、きめのこまかいものにするという作業を専門の学者によってやっていただくことにいたしまして、おおむね人選も進んでおりまして、近々発足できるというふうに考えております。それから、さらに、基本的には現行の十四の障害等級のうち、この六つの級の当てはめ方が妥当であるかどうかという根本問題につきましては、同じく、ただいま作業中の障害等級表の全面的な改定の一環として検討いたしたいと存じておりますが、とりあえずのところ、現在の八級の神経障害につきましては、法律改正案が成立いたしました際には、できるだけ早い機会に七級に格上げするという措置が必要であるというふうに考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 それから、その補償給付が今度年金化になったことは私は賛成なんで、その努力について敬意を表しますが、ただ、まあ年金に一ペんになったために、労働者の感情としては、一ペんになかなか割り切れないものを持っていると私は思う。そこで、たとえば遺族補償の場合、千日分が四百日分ですか、一括払いになるわけですが、前払いみたいなかっこうになる。まああとのほうは四百日分になるわけですが、これでは少しどうも遺族補償の四百日分は少ないような気もするわけですが、労働者側としてはもっと大きい要求をしていると思います。これについて、こういう結論が出た経過について、われわれが理解できる説明をひとつしていただきたい。
○政府委員(石黒拓爾君) 遺族年金の一括前払いの件でございますが、これは労災保険審議会におきましてもずいぶん御議論が多かった点でご、ざいまして、審議会の答申におきましては、おおむね三百日分――三百日分というのは、遺族補償年金の受給権者が一人しかいない場合の三年分というのの計算でございます。まあおおむね三百日分強程度のものではどうかというのが一応の審議会の御答申でございましたが、その際、労働者側委員から、どうもこれは少な過ぎる、もっとふやせという希望条件もつけられておったような次第でございまして、私どものほうで検討いたしまして、妻一人の場合の三年分ということではなくて、平均家族数が三・八人でございますので、三・八人に対応する年金の三年分という計算をいたしましたら、約四百日というのが出ましたので、その数をとったわけでございます。三年分というのをとりましたのは、従来の一時金というものが六年分というふうに一応いわれておるわけでございます。これが年金化されることによりまして、一生出るわけでございます。従来のものが年金化によって一般的に非常に得になる、得になるから一時金がゼロになっても理屈はいいみたいですが、それでは実際は気の毒だ、六年分の半分くらいはせめて出したらどうだというようなところに審議会の御着想があったように理解いたしております。
○藤田藤太郎君 たとえば、そうしますと、その遺族年金の千日分が四百日分一時金が出るわけですが、平均寿命から考えて、千日分と年金化していく原資との関係はどういうぐあいにお考えですか。
○政府委員(石黒拓爾君) 一生の間にもらう年金額の平均値を利息計算で現在の値段に還元して計算いたしますと、現在の二倍強という数に相なります。
○藤田藤太郎君 そこで、長期療養傷病者は今度二百四十日が給付になって、療養の現物給付を受ける人は二百十九日ですか、そういう場合に、たとえば二百四十日もらっている人があとで病気になって療養を要するというようなことになったときには、これはどういうことになりましょうかね。ちょっと困る条件が出てきはせぬかと思うのですが、これは年度によっても外少違ってくると思いますが、たとえば二百四十日もらっている人は、もう医療給付、療養費を大体要しない人というぐあい、それから、療養費の併給を受ける人が二百十九日ですか、そうすると、二百四十日もらっている人が療養の必要が出たというようなときはどうなるのか。
○政府委員(石黒拓爾君) 御指摘のごとく、現在、通院の長期傷病患者は二百四十日分の年金を受けて、その中から療養費を自弁しておるわけでございまして、療養費の額は、平均値でとりますと、三十七、八日分に相当するわけでございますので、おおむね二百日の生活費プラス療養費ということに相なっております。これが二百十九日に年金が上がりますので、平均的な方は従来よりも幾分か楽になるということに相なるわけでございますが、藤田先生の御指摘になりましたように、療養はあまり要しない、そこで二百四十日分のほとんどを生活費に充てている、あるいは、本来は要するのだけれども、生活が苦しいから、療養のほうを三回行くところを一回にしてしまって、二百四十日分で生活しているという方が相当数おられることは事実でございます。こういう方々は、やはり二百四十日分を生活費に回したいからいままでの制度がいいんだという御希望をお持ちの方につきましては、当分の間、附則の第十五条の後段の規定によりまして、二百四十日分従来どおりの年金を差し上げましょう。しかし、療養費はつまり自分持ち、従来どおりですよと、従来より悪くなる方はないようにいたしたいということで、まず、悪くなる方はなくしておいて、ところが、その方が療養費を節約して食いしろに回しておったけれども、やはりこれはもっと病院に通わなければいかぬということに相なりました場合に、御希望があって入院治療が必要であるというような事態になりましたときは、いつでも希望に沿って、新制度、すなわち、二百十九日プラス療養費全額というふうに再び乗りかわることを認めるように運用いたしたいというように考えております。
○藤田藤太郎君 それから、先ほど重度身体障害者、特に一酸化炭素の問題を取り上げたのですけれども、この後遺症のできた人の離職ですね、これがいま一番大事な問題だと思うのです。残存労働力が残っているのが少ない、それでいて補償だけでは食べられない、年金だけでは食べられない。だから、私は、やはり年金で生活保障するものと、それから、残存労働力と並行して、前収補償というようなかっこうのものが事業所で行なわれていいのではないか。ですから、賠償責任の問題をぼくは一番最初に言ったのですけれども、そういう処置をやはりとってあげなければいかぬのではないか、そこらあたりの労働省の考えはどうですか。
○政府委員(石黒拓爾君) 前収補償の点につきましては、これは現在のかなり流動的な労働経済情勢のもとにおきましては、この前収補償ということは、かなり技術的な困難もあるかと存じます。私どもといたしましては、障害が残った場合には労働能力は低下する、その分は年金をもってカバーするというのがたてまえでございます。しかし、残存した労働能力があるけれども、それが活用できない、つまり人並みよりも三割方能力は落ちるけれども、その能力に応じた仕事さえ与えてくれればそれでかせげる、それと年金とで食える、こういうふうになるべきところが、そういう雇用の機会に恵まれないということであっては困る、あるいは職場に帰りましても、そういうふうな残存能力を使用主が活用してくれないと非常に不幸なことになるわけです。かりに金だけはかなりもらいましても、みずからの労働によって社会に貢献しつつ生活しているのだという状態から、社会の廃人ということになるのは人間的にも不幸なことであるというふうに考えまして、年金化とうらはらをなす絶対に必要な要件というものは、そういう障害者に対する職業訓練、それから、残存能力活用のための雇用機会の開発ということであろうということで、病院在院当時からリハビリテーションをいたしまして、そうして作業施設等をつくる、また、身体障害者職業訓練施設を拡充するというような、各種の手段が並行しなければならないものである。そういう手段が年金とうらはらをなしてうまく動くならば、御心配のごとき事態は避けられるのじゃないかということで、昨年以来、これはいずれも法律を要しない予算措置で済むことでございますので、労災保険からも相当な金を出し、職業安定局、職業訓練局の協力を得まして、そういう障害者に対する訓練及び雇用の開発ということに努力をいたしておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 いや、その努力はけっこうなんですが、私の申し上げておるのは、リハビリテーション、作業療法というぐあいに、アフターケアというぐあいに進んでいって、今度は残存能力をどこで生かすかということになってくると、御承知のとおり、九州では殺到率が四であるし、けがした人でも。四十過ぎた人なら、これまた健全なからだを持った人でも殺到率が一〇以上になるわけです。そうすると、労働省がいかに力を入れられても、就職の機会というものはまずまず望まれないのではないか。ですから、私が言っているのは、そういう災害を受けた人は、同じ企業の中で配置転換その他で解雇の制限的なことをやはりやっていくように義務づけなければいかぬのじゃないか。だから、何も後遺症のある人に前収の賃金一〇〇%を払えというわけじゃないけれども、年金と、残存能力が生産に転化するその収入と合わして前収が得られるような処置というものをやろうとすれば、最大限、まず、いままで災害前に働いていた企業がそこで責任を持つとうい態勢が生まれてこなければ、いかに職業訓練や何かをおやりになっても、受け入れ態勢は、おそらく今日の技術労働者が足らぬとかいいましても、特殊な殺到率の低いところで就業しているならまだ幾らか機会があるとしても、たとえば地下鉱山とか、地域にある産業なんか、木材とか採石とか、そういう事業になりますと都会の周辺にないわけですから、そういう人の何かの処置を私は講ずべきではないか、こう思うのです。それをお尋ねしておるのですが、どうですか。
○政府委員(村上茂利君) 御指摘の問題については、一つの考え方として私どもは十分理解できるのでありますが、三十五年に労災保険法の改正をいたしました際に、労働基準法の解雇制限と関連いたしまして、打ち切り補償を支払った場合の解雇制限を解くという労働基準法十九条の問題に関連いたしまして、これが年金化されて補償が完全になったならば、諸外国のように、十九条的な解雇制限というのは、むしろ撤廃すべきじゃないかという理論も実はあったのでございます。そこで、先生が御指摘のように、一酸化炭素中毒のみならず、外形的な身体障害者につきましても同様な問題ができてくるわけでございますので、施策の方向を考えますときに、欧米諸国等で現在とっておりますようなものを頭に描きつつ前進させる方向をとるべきではないか、こういう着想に立ちまして、今後、障害等級表の不ぐあいによりまして、受けるべき年金が受けられないものについては、障害等級表そのものを改めまして、それに相応した給付内容の改善を将来考えるというのが一つであると同時に、リハビリテーション施設というものの考え方を拡大しまして、本年度長野県に新設しますような、主としてトレーニングをやりつつ、精密機械の組み立てを事業場からの一定の注文をとりまして行なう。そこには賃金的な収入も得る道があるわけでございまして、残存能力がそれだけ活用されて、働くことによって賃金を得る。それと障害補償費の額を合わせますと、ほぼ一〇〇%に近いような所得を確保することができるのではないかというような考えもあるわけでございまして、ただいま後段の点を労災補償部長は申し上げたような次第でございまして、立法的に解雇制限をするとか、使用者に再雇用義務を課すとかいう点については、なお私ども慎重に検討する必要があろうと思いますけれども、欧米でとっておりますような形で、リハビリテーションとか職場復帰について、もっともっと充実すべきであるという点については、私どももそのような方向で努力さしていただきたいと考えております。
○藤田藤太郎君 それは非常に大事な問題なんです。そこで、一時金が年金化していくに応じて、やはり片一方では労働力が不足しているといいながら、実態はそうでない、余っている。こんな潜在的な要素全体を顕在化しなければならぬ。そうして年金化をして所得保障でやっていくというコースがここへ出てくるわけでありますから、だから、そういう点は十二分にひとつ検討していただいて、そうしていまのような処置、外国のようにクラフトユニオンのような関係で、そのかわりに非常に補償が高い。日本もそこまで到達しなければなりませんが、補償の限界ではこのこと自身も考えなければいかぬし、一つの面では労災賠償責任の関係、精神的にも物質的にも関係があっていまのような議論が出てくるわけですから、それもぜひひとつ十分に検討をしていただきたい、こう思うわけです。
 それから、通勤途上における災害に対して業務災害を認定しなければならぬ今日にきているのではないかと私は思うわけであります。たとえば東京の中心地に来るにあたりまして、電車、バス、地下鉄、全くすし詰めで、命がけで通勤をしているわけです。そこで、体力が消耗する、けがをするのですね。それは出勤も退勤も同じ条件だと私は思うわけです。交通事情のこのような中で、これは単に東京ばかりじゃなしに、大都市はほとんどそういうかっこうにいまなりつつある。道路を歩けば交通機関――道路上の自動車その他の災害を受ける。こういうときにそれじゃどうするか、かわいそうだなということだけで終わっちゃう、私の災害で終わってしまう。片一方では、国民全体の生活、経済向上のための原動力であります労働者が、そういう形で通勤時においては業務上災害に入らない、こういうことでは、私は少し行政の足らない面があるのではないか。この根本的なこれからの考え方を大臣にも聞きたいし、具体的に皆さん方のいろいろの問題点をあげていただきたいと、私はそう思うのです。
○政府委員(村上茂利君) 結論的に申しますと、通勤途上の災害の扱いにつきましては、労災保険審議会にはかりまして、さらに問題を詰めていきたいと考えておりますが、いま直ちに交通災害につきまして労災保険の中に取り入れないという点については、理論上、財政上、その他諸点にわたりまして問題があろうかと存ずるわけであります。すなわち、交通事故を使用者の無過失賠償責任の上に成り立つ労災保険で全部カバーするのかどうか。交通機関にも、いろいろな諸法規により、責任があるわけでございますので、その責任の所在をいずれに求めるかという点について、ある程度割り切らざるを得ない。そして、また、使用者のみの責任とすることなくして、他にも負担者を求めて、労災保険が完全な無過失賠償責任の上に成り立つ災害補償保険よりも、むしろ社会保険的なものに接近する過程において、諸外国の立法例では、法律で通勤途上の災害を明らかに規定しておる、こういう経過をたどっておるように私ども理解いたしておりますので、交通機関をあずかっておるものの責任と使用者の責任をどう調和するかといった点につきまして、いま少しく理論的な究明をさせていただきたい。そして、そのことが損失をてん補する場合の費用の負担の問題に関連してくることでございますので、方向としては、通勤途上の災害を何とかして補償したいというのが私どもの基本的な考え方でありますが、ただいま申しましたように、理論上及びそれと関連して負担の問題がございますので、この問題はさらに労災保険審議会に諮問いたしまして、詰めていきたいと考えておるような次第でございます。
○委員長(小柳勇君) 大臣、さっきの質問に関連して、通勤に対して、公務員並びに会社では、いま通勤手当というのを出しておりますね。退勤も同じような意味ですよ、仕事を終わって家に帰る。通勤並びに退勤のときの傷害に対する補償については、労働者の中で熱烈なる要請があるわけですが、大臣の御見解を聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) いま基準局長がお答えをいたしたのでありますが、とにかく、何かの方法で補償しなければならぬ。これはもう基本的な態度であります。ただ、この労災保険のみで補償すべきであるか、これは先ほどから申しましたように、事業者の無過失賠償責任を肩がわりする性質のものでありますから、それだけでやることはどうかということに問題が一つございますのと、それから、私は、私だけでもあるまいかと思います、すべての人々が共通の感じを持っておられるのじゃないかと思うのでありますけれども、特に交通事故等に対する人命保障の制度というものが日本では手ぬるい。しかも、義務的な負担をさせておる金額も非常に低い。そういうものをそのままにしておいて、そうして労災保険で補償するということになると、いよいよ交通関係の責任感というものを阻害して、いわゆる交通戦争による被害の減少というものにも役立たないのじゃないか。私は、やはり加害者の責任というものをもっと明確にし、もっと現実的に、しかも、単に保険だけにたよるのではなくして、加害者は、それと同時に、自分もそれだけの責任を負わなきゃならぬという制度を確立するとともに、実際冒頭に申しましたように、何かの方法で必ず補償するということにやってまいりたい、こう考えておるのであります。補償自体が、それをわれわれの方だけでやりますると先ほどから申しましたようなことになることをおそれる。そちらのほうの整理と相まってやってまいりたい。具体策は審議会で御検討をいただきたいと、こう考えております。
○藤田藤太郎君 ぼくは、大臣、いまの基準局長とあなたのお話の二つを聞いて、国家社会責任という問題には触れられないわけですね。交通機関がどうだとか、労災だけじゃどうだとか、たとえば住居との関係でこれは処理できるわけです、簡単に一音で言うと。通勤のあれだとか煩瑣さというものは、住居と働く場所の関係で処理ができるわけですから、たとえばそういう処理は国家施策としていまやるならやるという方向が、国家の経済計画や生産場の建設計画と住居との関係で処理ができるわけですが、それがいつまでたってもできないということになると、労働者としては何とかしてくれというのは、これは当然の要求なんです。だから、研究をいたしますという程度だけでは、いま交通事故の賠償の問題があげられましたが、これも皆さん方の勘案の中の一つでありましょう。しかし、肝心なところは、その働く場所と住んでいるところとの関係で大筋は解消していく問題ですから、そこらの計画がどうできるかどうか、単に東京の都心に事務所を集中しておって、いま直ちにあしたから変えるというわけにはいかないでしょうけれども、将来への展望について、たとえば社宅とか住宅を工場の周辺に集中するとか、外国の計画を私だいぶ見てきましたけれども、たいていそういう工場をこしらえれば、その周囲に住宅を建設すると、こういうぐあいにして、からだも楽だし、災害も受けないというような方向が、私の見てきたところの多くの国がそういう方式をとられているわけであります。だから、そこらを勘案をして将来はひとつ進めていただくわけでありますけれども、さしあたって今日の現状を数字であらわしただけで一年先や三年先や、そこらで解消するものではないわけですから、そこらの問題は、何とか労災一本でそれができないと言い切れない面も私はあると思う、労災でやったらいいじゃないかと言い切れる要素も持っていると私は思う。一面から見て、いろいろ交通機関とか何とかいうお話も出ますけれども、それは検討する要素の中の一つでありますけれども、そこらはそういう議論がだいぶ議論されてるんですけれども、なかなか前に進まない、具体的に。だから、私は、やはりそのことも重要な要素として大体どのくらいの目標で検討しようじゃないかということをひとつ大臣から聞いておきたい。
○国務大臣(石田博英君) 住宅の距離の問題これは御指摘のとおり、確かに大きな要素でありまして、実は一昨日、私が就任いたしましたときから提唱してまいりました勤労者財産造成政策の説明の際にも、この住宅問題、特に輸送という問題を勘案した住宅問題を考究したいということを申し述べたのでありますが、また、けさ過密都市対策と交通難をおもな議題といたします経済閣僚懇談会がございまして、そこでも具体的な施策について検討を行ないました。本日の夕刊あたりでその内容が明らかになるだろうと思います。むろんそういう施策を進めてまいらなければならないと存じます。特に東京にしろ大阪にしろ、いわゆる旧市内というところにおいてさえも、平均して二階建てになっていない。これは愚かな話でありまして、都心部を二階建てにもしないでおいて、遠くから運んで、その輸送力増強を騒いで、しかも、そのために犠牲者がふえるというのでありますから、まことに愚かな話であります。そういうものの対策を急がなければならぬのはむろんであります。それは御指摘のように、短日月にできるものでなければ、よしんばそういうものができたからといって、この問題が完全に解消するものでもありません。したがって、通退勤時について補償というものを考えなければならぬことは言うまでもないことでありまして、私は、あとう限り、すみやかに何かの方法で補償しなければならない。ただ労災保険というものだけで補償させるという性格のものではないのじゃないだろうか。私は、やはり交通を担当しておる者の責任、それから、特に最近は無責任な個人の行動によって受ける例が非常に多いのであります。そういうものの責任体制を確立することとにらみ合わせながら、すみやかにやってまいりたい、こう考えておる次第であります。
○藤田藤太郎君 すみやかにということですから、大臣の御意見を尊重しておきますけれども、すみやかということばが、ほんとうにすみやかにやれるように、やはりこの次に聞いてもすみやかということにならぬようにぜひお願いしておきたい、私はそう思います。こまかい問題も一つ二つ加えますけれども、たとえば給付日額の問題が不適当な場合には省令で定める、こうなっているわけですけれども、これは具体的にどういうことですか。
○政府委員(石黒拓爾君) 改正案におきまして、給付日額は労働基準法の平均賃金を引っぱってくるという原則でありますが、それによりがたい場合は労働省令による。よりがたい場合は大ざっぱにいって二種類ありまして、第一は、どういう事情か知らないけれども、べらぼうに賃金が低過ぎるという人が間々あるわけでございます。労災は社会保障ではございませんけれども、ある一定限よりもあまり下回ったのでは、これは療養のための休業補償の機能を果たさないじゃないかという場合がございます。そういう場合には最小限の額は補償いたしたい。いわゆる最低補償額といったようなものを策定いたしたいと考えております。これがよりがたい場合の第一でございます。
 それから、第二は、最低補償額よりはなるほど上回っている。したがって、普通の基準法の有給休暇なんかの算定基礎としての平均賃金ならば基準法どおりでよろしいけれども、たとえばじん肺、脊損のような長期患者について、三年も四年も入院しているという場合に、そういう一時的な変則的な事情によって妙な賃金になっているのをほうっておくのはおかしいじゃないか。具体的に申しますと、一番よく引かれます例は、けい肺の場合には、管理四になる場合に、労働能力が衰えているから、しかも、休みがちであるから平均賃金が非常に安くなっておるという場合がございます。そういう場合には、管理三になる以前、一人前に働いておった時期の賃金をとってそれを給付基礎日額のほうに持ってくるという措置が必要じゃなかろうか、そういうような最低補償額を上回る場合でも、著しく不合理な場合の手直し、こういう二つの種類を考えておるわけであります。
○委員長(小柳勇君) 大臣、前の問題に関連するのですが、自分の責任による脊損病患者が労災病院なんかに入った場合、公的なものと非常な差があるのですから、以前から何とか補償できないかという要求があるのですが、お考えなり、その後の具体的な措置があれば見解をお聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(石田博英君) その問題は、最低賃金額とか、あるいは失業保険の給付額、そういうものを参考にしながら審議会にはかって考えたいと思っております。
○藤田藤太郎君 昭和三十五年の法改正の際に、本委員会が行ないました附帯決議の内容なんでございますけれども、このことが三つ、四つあると思うのです。たとえば住宅その他の福利施設の確保とか、遺族年金制の採用とか、また、けい肺とか脊損患者の打ち切り補償になって、災害補償が打ち切られて、特別保護法等の適用を受けていないような者に療養を継続し得るような処置を講じられないか、また、長期傷病者補償を受ける者のうち、生活困難な者に生活資金の融資の有効適切な方法の研究、それから、きのうも少し触れましたが、職業病についての検討というような附帯決議があるのですが、このような処置を今度の改正以後どうしていくか、ちょっと聞いておきたい。
○政府委員(石黒拓爾君) 三十五年、法の改正に関する附帯決議につきましては、第一が、長期傷病補償を受ける者については住宅その他の福利施設の確保等につき関係機関において配慮せられたいことということでございまして、この点につきましては、長期傷病者に対する諏訪の作業施設というのが、それは独身者だけの宅地施設プラス労働施設ということに相なっているわけでございます。今後この種の施設を逐次広げていきたい。この種と申しますのは作業施設と住宅施設とくっつける場合、離れる場合、いろいろございますが、これをできるだけ広げるようにいたしたいというふうに考えております。第二番目に遺族年金制でありまして、これは今回の改正案に盛り込んだわけであります。それから、三番目が、過去に打ち切り補償を受けて長期傷病者補償の恩恵に浴しない者を何とかしろということでございました。これは労働福祉事業団に特別に基金を設けまして、その基金におきまして、援護措置といたしまして、療養をその金でみるということをいたしているわけでございます。今後この措置のさらに拡充強化につとめたいと考えております。それから、長期傷病者補償を受ける者のうち、生活困難な者に対して生活資金の融資について有効適切なる方策を考究する、これも福祉事業団に設けております援護資金の運用によりまして、金融公庫から金を借りた場合の利子を事業団の金で補給するという措置を講じております。それから、職業病につきましては、これはこの附帯決議がなされまして以後におきまして、ニトログリコールとか、それから二硫化炭素とか、そのほか各種の職業病の認定基準、予防基準というものを逐次出しまして、現在も引き続き作業中でございます。今回、衆議院におきましても再び同様の附帯決議がなされましたので、その趣旨を十分くみまして、今後さらに努力いたしたいと思います。
○藤田藤太郎君 いまのお話の、たとえばけい肺とか脊損の方々で、打ち切られて援護を受けられていない方々ですね、これは福祉事業団というのは労働福祉事業団のことだと思うのですが、その人々を何とか今度の年金化の中に入れるわけにはいかぬのですか。私は、やはり法律が順次改正されて前進していくなら、これは入れてあげないと、何か前にけがした人はもうほったらかし、新しい制度ができたらそこから出発するのだ、これは普通の制度なんかですと積み立て方式、厚年には積み立て方式とか何とかあって、もう順次これを吸収していくわけです。それ以前に労働災害を受けた人たちが、同じけがをした人がない、それから以後新しいけがをした人だけがもらっていくというのは理屈に合わぬように思いますが、その点はどうですか。
○政府委員(村上茂利君) 気持ちにおいては私たちも同感なんでございますが、三十五年、法の改正のときにいろいろ私どもも努力いたしたわけでありますが、法の遡及適用の問題に関連いたしまして、なかなか原則を曲げがたいというところから、援護金を支給する、それも労働福祉事業団を通じてやる、実質的に何とかカバーしたいというので現行の制度をとっておるわけであります。今回の改正にあたりましても、同様な点について私どもも配慮してみたのでありますけれども、法律のたてまえ論としてなかなかむずかしい問題がございまして、過去におけると同様な問題、これは御承知のように、けい肺等特別措置法をつくり、それが臨時措置法に改正されたときにも問題になり、三十五年、法改正のときにも問題に相なったわけでありますが、なかなか法適用の問題から非常にむずかしい問題があるということで今日に及んでおるわけであります。先ほど労災補償部長が御答弁申し上げましたように、援護金制度をさらに拡充しようというのが私どもの基本的考えでありまして、そういった人数についても、そうたくさんはおらない、ほぼつかみ得るような状態にありますので、金額的にはそう多額のものではないのでございます。そこで、そういった過去において犠牲となられ、そうして法改正の恩典にも浴さないという人という点につきましては、さらにそういった漏れのある人を明確に把握しまして、そうして援護金制度によって措置してまいりたいと考えておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 そこで、いま援護金とおっしゃいましたが、援護金というのは大体年金と同じような額になりますか。気持ちの上では同じだけれども、近づきたいというのだけれども、援護金という名目は、これは法律のたてまえから年金ということがむずかしければ、援護金というかっこうで労働福祉事業団を通じて支給するというのだから、だから、その支給の額は、おおむねいま年金で支給しているようなところに見合ったものをあげないと、援護金というのだから、これは私も詳しいことは知らぬけれども、つかみ金で援護金ですよ、これ、つかみ金の内容は千円でも一万円でも。これというやはり一つの基準に基づたようなものがあってほしいのだけれども、いろいろ法制上の問題があるなら、年金と見合うような額にまで援護金をやはり支給してあげる、そんなたくさんな数じゃないでしょう。だから、その配慮ですね、これはひとつ大臣どうですか、これは何とか特別な配慮をするというようなわけにはまいりませんか。
○国務大臣(石田博英君) 御趣旨やお気持ちは全く同感であります。ただ、法律上のたてまえが一つあり、もう一つには、やはり打ち切り補償をすでにやっておるという事実があります。そういうものと勘案をしながら、いわゆる援護金の内容を充実させるように努力をしたいと、こう思います。
○藤田藤太郎君 それじゃあ一年先には、大体年金と同じような額が支給されているのだという言辞を聞くことを期待して、この辺でやめておきましょう。
 そこで、もう一つの問題は、職業病の問題ですけれども、きのうもう少し議論して、これはなかなか議論をしかけると尽きないわけですが、これは職業病の予防ですね、結局作業のコントロールの指導、これは非常に大事だと私は思うわけです。これがどんどんふえていくと思うのです。これは万全を期していただきたいと私は思っておりますが、先ほども少しお話がありましたが、職業病の補償の問題もそうですが、今日起きているキー・パンチャーとか難聴とか、ああいう職業病を見ていると、どうも作業コントロールをしたら食いとめられるという気が私はしているのです。だから、そういう指導をやはり積極的にやっていただきたい。ただ、できたから補償さえしておけば行政は済むのだというものの考え方では、労災というのは私は減らないと思う。だから、そういうことはひとつぜひやっていただきたいと、こう思うわけです。
 それから、林野庁の白ろう病の問題ですね、その後の扱いはどうなっているか。それから、たとえばその社会保障との調整事項というのは、だんだん社会保障が進むにつれて、労働災害の問題も社会保障との関連というものが非常に出てくると思うのです。だから、私たちは、片っ方は労働行政であるけれども、社会保障省というようなものをつくって、総合的に国民生活と保険を守りながら保障をしていくというような角度が一番いいと思うけれども、それは一ぺんにいまどうこうなりませんけれども、そういう形で大体そういうことをやっている国が多いですね。社会保障を一本で扱っている国が多いと私は思う。だから、そういう意味からいって、そういう調整を今後どういうぐあいにやっておいでになるのか。それから、いま一番先に申し上げました林野庁の白ろう病ですね、林業の。まあこの間、大臣おるときに議論があったわけですが、この措置はどういうぐあいに基準局が処置されたか、あのときのことをあわせて聞いておきたい。
○政府委員(村上茂利君) 白ろう病につきましては、前にも申し上げたと存じますが、一般の労働者につきましては、労働基準法施行規則第三十五条の第十一号の規定によりまして補償を行なうということでございます。たまたま林野庁の職員につきましては、別途人事院規則によって定められておるということからしまして、適用関係が一般の労働者と違う関係があるわけでございますが、林野庁におきましては、人事院と折衝して、職業病として別表に掲記するように努力をしておるというふうに私どもは聞いておる次第でございます。
 なお、労災保険の適用につきましても、立木伐採を行なう事業主では零細規模のものがかなりございますので、労災保険の適用との関係において問題がございまするけれども、今後この法案が成立いたしましたならば、特別加入その他の方式もあるわけでございます。単に労働者のみならず、零細な事業主みずからが、かかる白ろう病につきましても特別加入方式を用いまして補償するという方向に進みたいと考えておるわけでございます。
 社会保障との調整問題につきましては、今回の法案作成におきましても一番困難を感じましたことの一つでございます。と申しますのは、厚生年金保険法のほかに共済制度が幾つもございまして、この調整につきましては、あまりにも調整を要する年金とか共済制度が多いことに私どもも事務的に先ほど問題を感じたわけでございます。将来、社会保障がどういう機構で扱われるべきかということにつきましては、私どもの答弁の範囲をこえておるかと存じまするけれども、諸外国の例を見ましても、これが被用者保険なら被用者保険というふうに、一括しておるものでございますと、かなり調整がすっきりするのでございますが、同一の業務上の負傷、疾病について労災保険と厚生年金保険と両方の保険で調整するという、比較的他に例の少ないような制度の立て方になっておるというような基本的な問題がございまするので、労働省側から、にわかにそういった関連社会保険との調整をいかにするかという点について、かなり問題があろうかと存じます。しかしながら、本法案におきましては、附則の第四十四条におきまして、他の社会保険等との調整をなすべきことを明記しておりますので、ただいま藤田先生御指摘のような問題につきましても、私どもは、問題は問題として意識しつつも、附則第四十四条の調整規定の精神にのっとりまして、政府部内におきまして今後調整の努力をいたしたいと考えております。
○委員長(小柳勇君) いまの前の藤田委員の質問に関連して、白ろう病のやつの適用が、労働省だからはっきり言えないかもしれないけれども、障害等級の適用を引き上げたように聞いているのだけれども、どうなんですか。
○政府委員(村上茂利君) ただいま委員長御指摘のとおり、この法律が成立しました後に労災保険審議会にはかりまして、労災保険法施行規則の改正をいたしたいと存じます。その際、等級表で、従来、八等級に属しておりましたものを七等級に引き上げるように改正いたしたいと考えております。
○藤田藤太郎君 特別加入のところについてお尋ねをしたいのですが、特別加入の中には、たとえば農林漁業に従事する人とか個人タクシーとか、こういうのは入っていますか。
○政府委員(石黒拓爾君) 特別加入のうち、一番はっきりしておりますのは、従来から入っておりますというか、運用上、入っていると同様な扱いをされておりました土建業の人たちでございます。これは当然入っております。それから、農林漁業のうち、林業と漁業につきましては、雇用労働者は、五人未満に至るまで、全部従来適用と相なっておるわけであります。で、零細漁民と漁業労働者の差異というのは、実際はほとんどないわけでございまして、従来から、その辺は法律上あまりはっきり区別がついておって非常に気の毒であると思っておりますので、林業、漁業につきましては、技術的にはさしたる困難がございませんので、御希望がありますれば、できるだけ取り入れるようにいたしたいと思います。
 それから、個人タクシーは、これは全く新しく起こった問題でございますけれども、技術的に申しまして、さほどむずかしい問題はないんじゃないかというふろに考えておりますので、法律成立後、個人タクシーの団体、あるいは関係官庁からお話がありました場合には検討させていただきますけれども、これも大体取り入れられるのではなかろうかと、詳しいことは私存じませんけれども、そういうふうにいまのところ考えております。
 それから、農業につきましては、これは労働省の一番弱い点でございまして、非常に知識が乏しゅうございますので、農林省及び農業関係の諸団体とこれからお打ち合わせをするということで、われわれの能力でカバーできる範囲から逐次受けとめて、そしてそれをこなしながら、次第に広げるような措置を講じたいというふうに考えております。
○藤田藤太郎君 そうすると、大体農業と漁業ですね、問題は。それで、いまのお話を聞いていると、大体いけそうだと、そこらあたりは。しかし、農民ですね、大臣は、いつもというのじゃないけれども、これまでに、農民の機械を使う事故だけをやる、そこから順次農林省と皆さんの意見を聞いてやるという、石黒さんのいまのお話はそう理解していいのかどうか。さしあたり、農民が機械を使って災害を受けることは、これはほとんどなかろう。その他の問題については順次相談して広げていくという大臣のいままでのことばをそういうぐあいに聞いた。それは確認あとからしてください。
 それから、個人タクシーの連合会、協同組合、これは事務組合的にやれる問題ですから、これはやれると、こういうぐあいに返事を聞いたということでいいですか、ちょっと大臣。
○国務大臣(石田博英君) 機械を使っているものだけ、あるいは機械によって受けたけがだけということは申し上げたつもりはないのでありまして、この問題、特に農業の従事者の特別加入を認めるといたしました大きな一つの動機は何かと申しますと、最近、農業における機械の導入によってそういう事故が非常に多く発生をしてきておる。それに対して何か処置をとらなければならぬ。本来ならば、私どもの行政対象は被用者でありますから、被用者でない農民は農林省でお考えをいただくべき性質のものではありますけれども、しかしながら、にわかにそれもできないとするならば、われわれのほうであとう限り受けとめていかなければならぬのではないか。それをどの程度どこからやっていくかということは、これから農林省及び農業団体と協議をしていきたい、こう思っておるのでありまして、必ずしも機械に限る、こう考えてはおりません。ただ、二つその際において考慮しなければならぬことがあると思うのです。一つは、われわれが労災保険を適用いたします業種は、厳重な罰則を伴った安全規則を守っていただいておるのであります。ところが、農業の場合は、機械の定全規則もありませんし、いわゆるそういう指導がない。だから、やはり農林省においてぜひそういうような指導を一面においてやってもらうということが必要であろう。それから、もう一つは、何と申しましても、本体は被用者に対する保険でございます。事業主の無過失賠償責任を肩がわりしてやっていく保険でございますから、それ以上、それよりもなお手厚くするわけにいかないのであります。そういう二つのワクの中で関係団体と考究して処置していきたい、こう思っております。
○藤田藤太郎君 たとえば特別加入という欄は、この条文を見ていれば、大体厚生省の気持ちというのは、とにかく筋肉、からだを使って労働するものは全部入れようという精神だと私は見ているから、そこで、農業の問題についても、いまの大臣の発言は、どうもこの前と少し違うようだが、どうも困ったことになりおる。少なくとも、この前は、機械化の分だけはまず適用して順次拡大するのだと、こういうようなお話でしたが、ちょっと……。
○国務大臣(石田博英君) 同じことです。もう一ペん言い直しますか。
○藤田藤太郎君 そこで、いいです。それならもう一ぺん言ってもらったら、なおはっきりすると思うのだが、特別加入というのは、派出婦であるとか、私は、いろいろそういう作業をされる方があると思うのです。そういう方はやっぱり事務組合をつくって、労働省の出先その他がつくって指導されれば、大体加入さしていくのだ、こういうことで理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(石田博英君) 私の申し上げましたのは、最初に、機械労働者だけに、機械を使っている事故だけに適用して、それから順次持っていくという、「だけ」ということは、必ずしもそうは考えておらないのであります。話し合いがつけば、そのほかのものもあるいは研究し、具体的になればそのほかのものも最初から考えられる場合もあるだろう、こういう意味のことを申し上げたので、それだけということは違うということを御了承願いたい。
 それから、行政責任の対象は、たとえばそれがどうあろうと、やはり働いている人たちが不幸な事故にあった場合の補償をするという気がまえでやっております。ただ、この農業に対する問題は、非常に普及してまいりますと膨大な数になります。膨大な数になった場合には、これはやはり賃金や業態がいろいろ違うのでありますから、そういうときにはまた他の別の制度でやらなければならぬということが起こってくるかもしれないと思いますが、現在のところはここで受けとめられるだけは受けとめていきたい、こう思っております。
○藤田藤太郎君 どうも私の聞き間違いであったようです。それならなおいいことだと私は思うのです。いまの特別加入の概念について……。
○政府委員(石黒拓爾君) 特別加入の対象者といたしましては、御指摘のごとく、実態上、労働者と同じように働いておるし、また、いつ労働者に変わるかもわからないような人もあるようですし、けがも一緒にするというような人を取り入れたいということです。ただ、行政能力に限界がございますので、何でもかんでも一ぺんに入れるわけにいかないと存じます。できるだけ広くやりたいとは考えております。
○藤田藤太郎君 もうちょっと、この際、聞いておきたいのですが、たとえば給付制限、事業主の責任で給付制限を廃止する、今度の法律で。ところが、労働者が故意または重大な過失によって事故が発生したときは、あとに書いておりますが、ここがわからない。「正当な理由がなくて療養に関する指示に従わない」ときというのはわかるけれども、前段がよくわからない。労働者が故意または重大な過失によって事故が発生したとき、それから、その労働災害保険事務組合に対して報奨金を給付するというのはどういうかっこうのものをやるのか、えらいこまかいことですまんけれども。
 それから、もう二つ三つ聞いておきますが、これは年金の審査の事務増大がだいぶできてきやせぬか。いまでも七十三万もあるわけだから、いまの労働保険審査会審査官で処理ができるんですかね。私はこの前のときに、そんなんじゃどうにもならぬのじゃないかということを申し上げた。ただ形式で判を押すだけで終わっているんじゃないかということを申し上げたが、そこらは、ひとつ地方の集約と中央で決定する段階との関係で、いまの審査官で事務がそれでできるのか、そこらあたりもひとつ、作業全体が拡大していくわけですから、それもお聞きしたいと思います。
 それから「中小規模事業主の故意若しくは重大な過失によって生じたものであるとき、又は保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行なわないことができることとすること。」、それから、これはまた別の項ですが、「当該団体が保険料の納付を怠った期間中に生じた事故については、保険給付の全部又は一部を」云々と、こう書いてある。これは個人親方の場合で、個人が出さないということになる、こういうことも考えなければならぬことだと思うけれども、その中小規模事業主というかっこうになると、使っている業もあると思うのだが、そういうところがやった場合、さきでは使用者が出さないときには労働者には給付するという、そういう事由のときは廃止してやるということになっておったのだが、ここへくるとまた「全部又は一部」云々と書いてある。この前段のやっといまの二つのやつとは何を対象にしてこういう法律を作成しているのか。さしあたりその点、だいぶ数が多くなりましたが……。
○政府委員(石黒拓爾君) 第一点は、労働者に対する支給制限で、故意または重過失により負傷、疾病したときの給付制限でございまして、故意、これはもう問題にならないわけでございます。重過失と申しますのは、たとえば足場があぶないからそこへ登ってはいかぬと言われてとめられているにもかかわらず登ったというような場合、非常に明々白々たる重大な過失があったという場合には、これはある程度支給を制限をするのはやむを得ないんじゃなかろうかというふうに考えております。従来ともこの規定はございまして、労働者の場合には非常にひどい重過失の場合に限るし、また、たとえば死亡しちゃったというような場合には支給制限はしないというような運用をしておりまして、従来よりも労働者に不利なようになることはないというふうに考えております。
 それから、第二点、事務組合に対する報奨金につきましては、これは現在、保険の事務組合というのは失業保険についてございます。事務組合が保険料を集めて役所に納める、その成績が非常によかったときには何%かを割り戻しするというような制度がございます。そういった制度は労災のほうでもまねをいたしたい、さらに、できるならば、事務組合が非常に努力した結果、災害率がその組合員について非常に減ったという場合にも、たいした金は出せませんですけれども、志し程度の報奨金を差し上げるようにいたしたいと考えております。
 それから、審査会審査官についてでありますが、審査会につきましては、昨年、国会の御審議によりまして定数が倍に相なっておりますので、審査会のほうの能力はまずまずと存じております。ただ、参与の数が昨年ふえておりませんために、参与の方がわずかの手当で非常に御多忙でございますので、今年参与の数も二倍にする、これは地方まで全部含めてですが、そういうような措置を講じた次第でございます。
○藤田藤太郎君 ちょっとそこのところで、その事務局員が官房の事務局員であったので、私はだいぶこの前文句を言ったのだが、独立してやらなければならぬのが、官房機構のもとにおる職員が出向みたいな形で審査会の事務をやっているということは改めるべきであるということで、改めるということになっていましたが、どうなっておりますか、ちょっといまのところを……。
○政府委員(石黒拓爾君) 独立の官制上の審査会事務局というものをつくるのが筋であろうと考えますけれども、それには機構としては非常に小さな事務機構でございます。実際の運営におきましては、形式上、身分は官房に置いてございますけれども、内部限りの事務室長を置きまして、その手元で統括しておりまして、業務の内容には一切干渉いたさないようにいたしてございます。さらに、これを官制上の事務室というふうにいたすべく、今後も引き続き努力をいたしたいと思います。
○藤田藤太郎君 それは大臣、いまの審査会というのは独立行政審査会でしょう。行政審査会の事務局が官房の職員がちょっと出先で内職しているというようなかっこうじゃ、私は、これでいいのですかね。これは少し独立した事務局構成を、中労委とか、たとえば公労委とか、事務局構成をして、責任者がやはり統括して行政委員会の任務を果たしていくわけですから、ちょっとこれは何ですけれども、話が出ましたから、ちょっとそれを。
○国務大臣(石田博英君) 将来、御指摘のように、独立性を高めるように措置をしたいと思います。
○藤田藤太郎君 もう一つ聞いておきたいと思うのですが、この法律で国庫補助を高めるというような文言があると思うのです。国庫条項の一番最後ですか、「国庫は、予算の範囲内において、労働者災害補償保険事業に要する費用の一部を補助することができる」、こうなっておるわけですが、労災保険のいまの会計はメリット制で、非常に苦労されて業務をされていると私も理解しているところでありますが、私は、どういうところに今後国庫の負担を高めていこうとされるのか、事務費だけは国庫負担だったと思いますが、それに対してこれはまた全体の問題として私はけっこうだと思いますけれども、どういう点に国庫の負担を高めていこうとしておられるか、ちょっと聞いておきたい。
○政府委員(石黒拓爾君) 現在の労災におきまする国庫負担は、御承知のごとく、長期傷病者に対する給付の、けい肺については四分の三、脊障については二分の一というような率が定められておりまして、それ以外には一切国庫の負担をいただいておらないわけでございますが、今回の改正案につきましては、労災補償事業全般に対して国庫負担が出せる。したがって、給付費、事務費双方に補助金がいただけるようなたてまえに改めたわけでございます。労災の趣旨といたしまして、できることならば、使用者の無過失賠償責任ということに根拠を置いておりますので、全額使用者からの保険料によってまかなって、国庫に御迷惑をおかけしたくないから、国庫からいただいた金は、すなわち、勤労者を含めての税金でございますので、私どもといたしましては、国庫からあまり多額の補助金をいただくのは、かえって労災の性格上よろしくないのではないかという考えを持っております。今回の補助金の立て方を変えましたのは、近い将来におきまして中小零細企業がたくさん入ってくる、この人たちに保険料率等において差別するということはよろしくないと考えておりますが、しかし、実際はそれだけではなかなかまかなえない点もあるのじゃないか。そういう場合に、こういう立て方をしておけば、表面には出ずに、実際上はそちらの方々のほうがカバーできるということも考えておるわけでございます。
○藤田藤太郎君 スライド制の問題というものは、これはまたいつもこういう問題には問題になるわけです。そこで、事務的なものは石黒さんや基準局長からお聞きしたいのですが、これはやはり所得保障の関係が非常に関係があるので、経済全体の中で、石田労働大臣は、このスライドというものはいまたしか二〇%、これはたいへんなことで、二〇%のスライドというのはちょっと考えられないことじゃないかと私は思うのです。本来を言えば、いまはエスカレーター方式に大体なっているのでしょう。外国の社会保障なんかを見ると、経済の成長に応じて、ずっとスライディング・システムがみんな置かれているわけです。非常にこまかい状態で置かれているわけで、だから、二〇%のスライドというのはどうもおかしいのではないか。どれだけ譲っても、一〇%のスライドはどうしてもしなければならぬ、私はそう思うのです。そのスライドしていく根本的な考え方を労働大臣かき聞きたいし、具体的なことは事務当局からひとつ聞きたい。
○国務大臣(石田博英君) 正直に申しまして、予算折衝のときは一〇%にしよと思って努力いたしました。ただ、他の社会保障制度との関連において今回この法律案のようになったのであります。しかし、勤労者の生活の実質的保障という見地から考えますと、二〇%というのは幅が広いと思って、今後とも改善に努力したいと存じております。
○委員長(小柳勇君) 本案に対する質疑は、一応この程度にとどめます。
 暫時休憩いたします。
   午後五時二十三分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
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