第049回国会 予算委員会 第4号
昭和四十年八月十一日(水曜日)
   午前十一時四十八分開会
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   委員の異動
 八月十一日
    辞任         補欠選任
     多田 省吾君     宮崎 正義君
     中沢伊登子君     向井 長年君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         平島 敏夫君
    理 事
                大谷藤之助君
                二木 謙吾君
                吉江 勝保君
                米田 正文君
                亀田 得治君
                藤田  進君
                鈴木 一弘君
    委 員
                青柳 秀夫君
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                植竹 春彦君
                梶原 茂嘉君
                草葉 隆圓君
                小山邦太郎君
                木暮武太夫君
                古池 信三君
                西郷吉之助君
                笹森 順造君
                白井  勇君
                杉原 荒太君
                林田 正治君
                日高 広為君
                前田佳都男君
                増原 恵吉君
                松野 孝一君
                横山 フク君
                吉武 恵市君
                光村 甚助君
                稲葉 誠一君
                木村禧八郎君
                小林  武君
                佐多 忠隆君
                田中 寿美君
                羽生 三七君
                林  虎雄君
                藤田藤太郎君
                村田 秀三君
                矢山 有作君
                小平 芳平君
                多田 省吾君
                宮崎 正義君
                山田 徹一君
                中沢伊登子君
                向井 長年君
                春日 正一君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  石井光次郎君
       外 務 大 臣  椎名悦三郎君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  中村 梅吉君
       厚 生 大 臣  鈴木 善幸君
       農 林 大 臣  坂田 英一君
       通商産業大臣   三木 武夫君
       運 輸 大 臣  中村 寅太君
       郵 政 大 臣  郡  祐一君
       労 働 大 臣  小平 久雄君
       建 設 大 臣  瀬戸山三男君
       自 治 大 臣  永山 忠則君
       国 務 大 臣  上原 正吉君
       国 務 大 臣  福田 篤泰君
       国 務 大 臣  藤山愛一郎君
       国 務 大 臣  松野 頼三君
       国 務 大 臣  安井  謙君
   政府委員
       内閣官房長官  橋本登美三郎君
       内閣官房副長官  竹下  登君
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       高柳 忠夫君
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       人事院総裁    佐藤 達夫君
       人事院事務総局
       給与局長     瀧本 忠男君
       総理府人事局長  増子 正宏君
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
       公正取引委員会
       委員       佐久間虎雄君
       警察庁刑事局長  日原 正雄君
       防衛庁長官官房
       長        海原  治君
       防衛庁教育局長  宍戸 基男君
       経済企画庁長官
       官房長      澄田  智君
       経済企画庁調整
       局長       宮沢 鉄蔵君
       経済企画庁国民
       生活局長     中西 一郎君
       法務省刑事局長  津田  實君
       外務省アジア局
       長        後宮 虎郎君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
       日本専売公社監
       理官       半田  剛君
       大蔵省主計局長  谷村  裕君
       大蔵省主税局長  泉 美之松君
       大蔵省国有財産
       局長       松永  勇君
       大蔵省銀行局長  佐竹  浩君
       文部大臣官房長  安嶋  彌君
       文部省初等中等
       教育局長     斎藤  正君
       文部省大学学術
       局長       杉江  清君
       文部省管理局長  天城  勲君
       厚生省児童家庭
       局長       竹下 精紀君
       厚生省保険局長  熊崎 正夫君
       農林省農政局長  和田 正明君
       通商産業省重工
       業局長      川出 千速君
       運輸省航空局長  佐藤 光夫君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省職業安定
       局長       有馬 元治君
       建設省河川局長  古賀雷四郎君
       建設省道路局長 尾之内由紀夫君
       建設省住宅局長  尚   明君
       自治省行政局長  佐久間 彊君
       自治省選挙局長  長野 士郎君
       自治省財政局長  柴田  護君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        正木 千冬君
   説明員
       内閣官房内閣調
       査室長      本多 武雄君
       外務省中南米移
       住局参事官    山下 重明君
       大蔵省財務調査
       官        村井 七郎君
       文部省調査局長  蒲生 芳郎君
       日本ユネスコ国
       内委員会事務総
       長        井上孝治郎君
       厚生省社会局長  今村  譲君
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  本日の会議に付した案件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)(内閣
 提出、衆議院送付)
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○委員長(平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、向井長年君が辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。
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○委員長(平島敏夫君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 予算の執行状況に関する調査につきまして、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(平島敏夫君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 閉会中、予算の執行状況に関する調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認めます。つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等はこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する派遣委員承認要求書の作成等は、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(平島敏夫君) 昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)を議題とし、昨日に引き続き質疑を行ないます。小林武君。
○小林武君 文部大臣にお尋ねをいたしますが、私は沖繩の教育が、二十年たっても本土並みにならないということに、たいへん不満を持っておるものであります。また多くの疑問を持っております。その角度から御質問をいたしますが、今度、来年度に二十七億円を支出するというようなことが出ておりますけれども、これは事実ですか。
○国務大臣(安井謙君) 沖繩の援助につきましては、目下いろいろと検討中でございますが、確定的な問題は、何と申しましても、御承知のように日米協議委員会を通らなければきまらぬわけです。ただ教育問題その他社会福祉問題につきましても、できるだけ援助をふやしていきたいということで検討中でございます。
○小林武君 文部大臣どうなの。
○国務大臣(中村梅吉君) 沖繩の教育水準をできるだけ本土並みに近づけるようにわれわれとしては努力をしてまいるべきであると思っておりますが、現在具体的な問題は、ただいま総務長官からお答え申し上げましたように、目下いろいろな角度から慎重に検討中でございます。
○小林武君 検討中であって、まだ結論が出ていないというお話でありますが、沖繩の教育関係者から要望、陳情があったと思いますが、その際の金額はいかほどになっておりますか。
○国務大臣(安井謙君) いろいろな形で陳情が出ておりますが、大体八十億ないし九十億程度をできればほしいというような全体としての要望だと思っております。
○小林武君 これは文部大臣にもお尋ねをしたいのでありますが、できれば金を出してもらいたいなどという程度のものではないと私は確信をしております。また、そういうことをいまごろ、まあ端的なことばで帯、言わしてもらえば、本土の人間として、日本の政府としても、日本国民全体としても、言えたぎりではないと私は思う。そういう角度からひとつ申し上げますと、一体全く本土並みに沖繩に対して教育費を出した場合には、一体総額どのぐらいになりますか。
○国務大臣(中村梅吉君) 教員俸給の義務教育費国庫負担が約二十五億程度になると思います。そのほか、教科書の無償配付もありますし、まだこまかい費目がいろいろたくさんございますが、これらはそう金額的にはたいした金額にはならないように承知いたしております。
○小林武君 いささか、そろうの感があるわけでありますが、これは大臣の答弁であるからしかたがありませんけれども、私はそういう程度のものではなくて、これはわが本土並みの一つの県として考えた場合に、一体現行法のもとでどれだけの金が要るのか、この点明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(安井謙君) いま文部大臣お話しの、たとえば本土並みの義務教育費を半額の国庫負担をした場合には一十五億前後のものである、あるいは教科書の無償配付を全面的にやった場合に一億何千万円であるという計算は出ますが、その他は、たとえば学校の施設におきまして、実験室がないとか、あるいは屋内運動場が足りないとか、あるいは図書室がないとか、いろいろそういったような面でも、いまの日本の制度よりおくれている面はたしかあるわけでございます。しかし、これをいま集計して完全に幾らだというふうにはなかなか計算しにくいものじゃないかと思っております。逐次、私どもはそういうものが日本の水準に近くなっていくように、今後も努力を続けるつもりでございます。
○小林武君 そういう答弁では満足いたしません。とにかく沖繩の教員は、四ページにわたりまして詳細に日本の市町村、県に対しての国庫補助の一覧表を出しております。私は少なくとも沖繩の教育に関心を持ったら、もっと正確な数字をやはり出すべきだ。ただし、一銭一厘も間違わないようになどというようなやぼなことを私は言うものじゃない。この点は正確な数字をここで言ってもらいたい。ひとつ、それは政府委員でもだれでもいいからやらしてください。
○国務大臣(中村梅吉君) これは沖繩の関係者が最近しばしば本土へ参りまして、私どももお目にかかっておりますが、要望されておる数字金額等はわかっておりますが、これらについて、いろいろ教育水準を高めていく上に、どういう順序でやるべきか、いろいろ問題点があるわけですが、そういう点をまだ検討中でございまして、完全には煮詰まっておらない次第でございます。
 それと、もう一つは、一応簡単な考え方としては、本土で二分の一なり、三分の一なり、これだけの問題について助成をしておる、国が助成しておるから、沖繩も同様にということも、できるだけ沖繩の水準を本土並みに引き上げたい、またそうせねばならないという気持ちは十分持っておりますが、具体的にどうするかということになりますと、やはり本土は、国のほうが、各県民、市民、町村民から国税を吸い上げて、その国税を還元しておるわけでございまして、沖繩は国税を日本本土としては取っておりませんから、そういう点からも、いろいろ検討をして、財政事情ともにらみ合わせて、可能性のある問題から、また、水準を高めていく上において取捨選択をして、順序等を考えて進めていくべきであろうと思いますので、いまどうするべきか、あるいはその集計は幾らになるか、こういう御質問に対しては直ちにお答えしかねる事情にあるわけでございます。
○小林武君 委員長、ぼくはいまのような質問をしているのじゃないのです。沖繩をかりに本土並みに扱うとしたら、どのぐらいの金が要るか、こう言っている。それがわからぬというのはぼくはふしぎだと思う。少なくとも沖繩は日本の領土であって、しかも、沖繩に対しては気の毒だという感じは、これは自民党の皆さんも、政府の皆さんも、あるいはわが党も、これは重大なあれを持っている。概算で、本土並みにやったら一体幾ら金が要るかということを聞いている。いまそれをやったらアメリカにどうだとか何とか、そんなことを聞いているのじゃない。だから、そういう答弁をしてもらわないと困る。時間がないのだからここで演説をやらされたら私はたまらぬということになる。どうぞ正確な答弁をひとつしてもらいたい。むだなことを言わぬようにこっちもしているのだ。
○国務大臣(中村梅吉君) かりにおもなものを申し上げますと、本土並みの比率で、日本政府が補助をするとすれば、どのくらいになるかという概数は出ております。それで申し上げますと、義務教育の教員俸給の国庫負担額は、先ほど申し上げたように約二十五億ほどになります。それから、公立小中学校の校合整備、これらを含めますと、これが大体四十五億ぐらいに相なります。それから、理科設備は、本土並みに二分の一の補助をするとすると、約一億ぐらい、そのほか教科書の無償配布をするとすれば一億八千万くらい、こういう大体概数で目下われはつかんでおるわけでございます。
○小林武君 満足しません。この程度のことを、文部省の役人が調べておいて、回答できないというのは理屈に合わない。もう一ぺんもう少し精密な立場に立ってやってもらいたい。
○説明員(蒲生芳郎君) ただいま文部大臣からお答えいたしましたものがおもなものでございまして、そのほか沖繩のほうから、いろいろ要求なり、要望なりありますものは約三十項目以上になっております。そのうち従来まで継続して援助をしておるものもございますが、一応現時点におきまして、向こうから要請のあるものの総額をトータルいたしますと、約九十八億のものが要請されております。
○小林武君 いまのは、それでは沖繩が日本本土並みにやった場合の総額ですか。念のためにもう一ぺん。
○説明員(蒲生芳郎君) ただいま申し上げました九十八億という数字は、これは必ずしも本土並みということではございませんで、沖繩に特殊と申しますか、沖繩独自のものもございます。したがいまして、本土並みにやった場合に九十八億になるという数字じゃございません。
○小林武君 それより少なくなるか多くなるかどっちですか。
○説明員(蒲生芳郎君) これはちょっと正確に私もいま把握しておりませんけれども、大体そう違いはなかろうと思います。
○小林武君 総務長官にお尋ねしますが、これは援助費として、たとえば、二十七億の検討を始めても、これからいろいろやることについて、援助費というような考え方になっているわけでありますが、この理由はどういうわけですか。
○国務大臣(安井謙君) 二十七億という金は、援助費としていまこれを出すということで、計算や折衝を始めてみておるわけじゃございません。援助費は、御承知のとおりに毎年相当額を出しまして、それぞれの件名をあげて金額をきめていくわけでございます。今度これからの沖繩に対する援助の方向といたしましては、教育費あるいは社会保障の関係、そういうものへ相当な重点を入れていかなければなるまいということで、目下いろいろ検討中でございまして、ただいま二十七億という金は、これはもし半額を国庫負担するとすれば、そうして同時に教科書の無償配布を全面的に実施するとすれば二十七億かかるという数字でございます。
○小林武君 いまの質問で、ぼくのやつは、二十七億の数字もさることながら、援助費とした理由はどこにあるか。
○国務大臣(安井謙君) これは御承知のとおりに、いま琉球――沖繩というものはアメリカの施政権下にございまして、その中で琉球政府自体がアメリカの援助を受けながら施政をやっておるわけであります。それに対して同じ日本人である琉球人に、そういった政治上の立場は違うにいたしましても、日本人としてできるだけの援助をして、そうしてこれを日本のレベルに近いものにできるだけ引き上げていきたい、そういう形で、いまの日米間の協議の結果、そういう形であらわれておるわけでございます。
○小林武君 援助費の場合には、直接日本の国権行使をしたことにならないのか、その額は一体相手方に拘束されるようなことはないのか。
○国務大臣(安井謙君) 相手方といいますとアメリカ……。
○小林武君 アメリカ。
○国務大臣(安井謙君) これはもう完全に拘束されます。拘束されるといいますか、合意の上で援助費を出すわけでございます。ですから、アメリカとの合意がなければこれを日本が勝手に出すというわけにはまいりません。
○小林武君 文部大臣にもお尋ねいたしたいのですが、アメリカが一体援助費を多くすることに反対な理由はどこにあるのですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 目下われわれが検討しておりまする問題について、アメリカは反対しておるとは聞いておりません。
○小林武君 それでは幾ら援助費をふくらましても、筋の通ったものであるならば、これはアメリカが認めると理解してもよろしいか。
○国務大臣(中村梅吉君) それはやはり何か向こうの感情なり考えですから、私どもから測定いたしかねます。
○小林武君 一体アメリカの言いなりになっているということでもないの、だろうと思いますが、少なくとも沖繩住民のことを考えたら、そんな手ぬるいことを考えるのはちょっとおかしいと思いますが、一体沖繩の教育をりっぱにする日本人の教育をやっているのだから、日本も責任を持たなければならぬということで、アメリカと話し合ったことがございますか。
○国務大臣(安井謙君) 沖繩における教育は日本人の教育を施すという趣旨を貫徹して、アメリカもこれを認めている立場でございます。したがいまして、できるだけの協力、援助をいたしたいということになっております。
○小林武君 ぼくの言うのは、その了解をとっているかということです。日本の教育をやるということをアメリカが理解しているなら、金は幾ら出してもいいということの理解をとっているのかとっていないのか。
○国務大臣(安井謙君) これはやはり日共協議委員会で協議をしてケース、ケースできめていく問題でありまして、無制限に幾らでも出せるだけ出せと、こういうふうな形にはなっておりません。
○小林武君 文部大臣にお尋ねいたしますが、そういう問題でアメリカとの間で十分な話し合いをするとしたら、どういう機関があるわけですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 総務長官の所管と思いますが、日米協議委員会であると思います。
○小林武君 総務長官、日米協議委員会というのは何回開かれて、その中で一体どういう要求をしたか、詳細にお尋ねをいたします。
○国務大臣(安井謙君) これはいままで五回開かれておりまして、ことしになっても一回、五月でしたか六月でしたか、私の就任前に開かれております。大体承っておりますところによりますと、この日米が協議をしていわゆる佐藤・ジョンソン会談の線に沿って、日米が琉球住民に対していろいろな社会福祉的なもの、教育的なもの、産業的なものに対して援助するやり方、そういったものについての協議を重ねておるはずでございます。
○小林武君 五回もやっている割合には効果があがらないと私は判断いたします。そういうことでは一体沖繩の人たちに、両目が立つのかどうかということを考えます。それだから申し上げるのですけれども、どうでしょうか、ひとつこの際私は佐藤総理も沖繩に行かれることでありますから、私はまあ固いことは言いません、援助費であっていけないとは言わないけれども、本土並みに扱うような、いわゆる金の面での抜本的な対策を立てる意思があるのかどうか、総務長官並びに文部大臣の御意向を承りたい。
○国務大臣(安井謙君) 沖繩の住民の置かれておるお立場につきましては、私どもほんとうにできるだけいま小林委員の御趣旨のような線に引き上げていかなければならないという気持ちで努力を続けております。しかし、これを一ぺんに今日の日本と同じような状況へ引き上げていくというようなことは、いろいろな実態から見ても、必ずしも実現可能性があるとも思いません。しかし、一日も早くそういう事態へ引き上げていくような努力を今後も猛烈に続けていくつもりでおります。
○国務大臣(中村梅吉君) 先ほども申し上げましたように、つとめて教育水準を本土並みに引き上げたいということについて情熱を傾けて努力をしていきたいと思います。
○小林武君 私はひとつ、いまのような手ぬるい方策でなくて、もっと積極的にやってもらいたいと思う。二十年たっているのです。とにかく五十万のうちの四割の二十万が死んだという沖繩なんです。さんざん戦火を浴びた沖繩に政府が何をやっておったか、そしてそれでも沖繩の教育者は日本の教育を行なわなければならないと、日本人の教育をやらなければならぬということで、とにかく多くの抵抗を受けながら、がんばってそういうことを実現した。私は政府の力ではないと思う。沖繩の住民の力だと思う。それに報いるのにあまりにも私は日本本土の政府は冷淡であると考えるわけでありますが、しかし、過去を責めてわれわれがいまかれこれ言ってもしょうがない。とにかく急速に本土並みの扱いをできるような施策を立てられたいということを希望いたします。
 次に、ILO、 ユネスコの共同の教員の地位に関する勧告のことでお尋ねをいたしますが、これは一体日本の政府にこの勧告が届いたのはいつですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 私の所管いたします文部省に入手いたしましたのは五月の七、八日ごろでございます。
○小林武君 その間回答を出すまでにはどのくらいの時間があったのですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 七月十五日までに意見があったら意見を申し出るようにということでございました。ですから、五月七、八日から七月十五日までの間でございます。
○小林武君 ずいぶん長い時間があったと思うのでありますが、その間に十分この問題で手続をとりましたか。たとえば相談すべきところ、協議をすべきところ、そういうものをしたかどうかお尋ねをいたします。
○国務大臣(中村梅吉君) 内容がなかなか複雑でございますから、翻訳その他それらを事務当局が検討しておったようでございます。意見を申し出るまでには、全国の教育長協議会の意見等を聞いて、そして大体の考え方を一応申し送ったのであります。
○小林武君 教育委員長会議の総会でありますか。
○国務大臣(中村梅吉君) 全国教育長協議会の、教育長会議の幹事会の協議をいただいたわけです。
○小林武君 幹事会と相談すればいいという先方からのこれは文章でございますか。
○国務大臣(中村梅吉君) ILO及びユネスコの事務総長から文部大臣あてに送ってきた文章には――外務大臣あてに送ってきたいわゆる送り状の文章にはいろいろな方面の意見を聞くようにということが記載されておったようでございます。しかし、この勧告の草案といいますか、草案の素案といいますか、これが作成される過程の専門家会議というのには、日本から教育者団体の人が行っておりまして、当時政府側は呼びかけておりませんし、参画をいたしておりません。よその事情をその後聞きましたところが、国によっては政府代表側が専門委員として参画しておった国もあるようでございます。ですから、いろいろバラエティーな会議であったのに対して、一つの文章で各国に送ったとすれば、日本の実情としてはいわゆる教育者の、教育職員団体の代表と言えるかどうかわかりませんが、そういう道の人は最初からその起草に参画しておった。したがって、政府側だけが意見を述べる機会がなかったのですから、まあ政府側の一応の考え方を申し出ることが妥当であろうということで、そういう手続をいたしたわけでございます。
○小林武君 非常に不満でありますのは、ユネスコというものに対する見解が何か間違っているように思うのですね。これは政府機関ではありませんか。
○国務大臣(中村梅吉君) ユネスコ国内委員会というものができておりますし、その事務局も御承知のとおりでございます。しかし、そのほうに対してはそういうような会議の呼びかけはありませんし、したがって、そういう関係者も草案作成の専門家会議には出席をいたしておりません。
○小林武君 出席してないことはよくわかっております。しかしながら、外務大臣のほうに来たというのは、外務省は一つの窓口であって、これの主管は文部省ではありませんか。どうしてそういうあいまいなことを言うのですかね。
○国務大臣(中村梅吉君) そのとおりであります。
○小林武君 それならば、いまのような答弁が出るということはふしぎでございませんか。
○国務大臣(中村梅吉君) したがって、外務省を通して文部省に意見があれば申し出るようにということでありましたので、文部省としては教育長幹事会の協議の意見も聞いて、一応今後まあ先のあることでありますから、来年の一月及び十一月か何かにも、そういうこれに関連した国際会議があるようでありますので、さしあたりとりあえずの意見は、やはり意見があれば言うておくべきが筋合いであろうということで、政府としての考え方を申し送ったわけであります。
○小林武君 どうもあなたのほうでは教育長協議会の幹事会というような少数のもの、それから聞くところによると、自民党の文教部会とか何とか調査会とかいうものにはかったとも聞いている。当然あり得ることだとも想像される。しかし、同こうから言ってまいった教員組織との間には何ら行なわれてない。こういうことはひとつ反省してもらわなければいかぬと私は思う。まあこのことをやっておったのでは時間がかかりますから、一つ申し上げますが――次に進みますが、あなたのほうの回答文の中で、非常に日本の特殊性というようなことを強調された。一体あなたのほうでユネスコに加盟したときに、政府の責任でありますから、日本の国が加盟したときに、一体ユネスコの精神なりユネスコ憲章なりについて、どういう考えを持っておるのか、ユネスコ憲章をひとつ詳細に見ていただいて一々御回答いただきたい。
○国務大臣(中村梅吉君) 政府が回答といいますか、意見を述べました文章には、できるだけこういうことは各国事情の相違もあるから特殊性も考えてもらいたい、考えるべきじゃないだろうかということを申しましたが、これは一般的な問題でございまして、もう申し上げるまでもなく、各国教育の歴史や制度やあるいは水準や、その他たくさん私は特殊事情があると思うのです。そういうものに考慮を払わないで、一律にこうあるべきだという姿は適当でないだろう、こういうようにわれわれは考えております。
○小林武君 ぼくはそういう質問ばかりやっておるのじゃない。ユネスコに関する国際連合の教育科学文化機関の憲章とか、そういうものの精神をくみ取られて入られたのだろうし、ユネスコに加盟された理由も明らかでありましょうから、その点からいって、いまのような政府の考え方が正しいのかどうか。どこで合致しているのか。両者を比較して述べてもらいたい、こう言っている。
○国務大臣(中村梅吉君) ユネスコ憲章の一条一条は記憶いたしておりませんが、できるだけ各国が科学文化等について水準を一にしていこうというのが基本であると思います。したがって、このユネスコの機関がいろいろな国際的なことを検討し考えるのはけっこうでありますが、それには各国の文化の程度その他事情が違いますから、これらは十分配慮をせらるべきであろうというのが私どもの考え方です。
○小林武君 文部大臣ではどうもはっきりしませんので、政府委員がこの点について相当はっきりしたものを持っておらなければ日常の問題が処理できないと思う。政府委員から詳しく述べてもらいたい。
○説明員(井上孝治郎君) お答えいたします。
 ユネスコに日本が加盟いたしましたのは、教育、科学、文化の面におきまして、ユネスコの精神に従って、つまり平和をより進めるという国連の精神に従いまして、国際的の協力、国際的の理解を進めるという趣旨で加盟したと承知しております。ただ、文部大臣からも申し上げましたように、加盟各国それぞれ国情その他の事情が違うわけでございますから、同じ水準に向かって協力していく段階におきましては、そういういろいろな違いを相当考慮しなければならないというとは、これは当然のことと思います。
 何かお答えにならないかもしれませんが……。
○小林武君 なりません。
○説明員(井上孝治郎君) 御質問の要点をもう一度おっしゃっていただければ……。
○小林武君 ぼくがあなたに聞きたいのは、ユネスコに加盟するということは、あなたがおっしゃったように、平和を求めてやられた。このことについてはここで詳しく述べる必要もないでしょう、あなたに対して申し上げるのは、そういうたてまえに立った場合に、私といえども、国にそれぞれの一つの伝統があり、事情があることはこれは当然のことなんです。しかし、平和を求め、お互いが共通の理解に立つということになりますというと、その国々の事情の相違というものを強調していくのがねらいでは私はないと思っている。共通の理解を得られるために、さまざまの持っているところの、考えの違いとか何とかいうものを、平和の線に沿うて相互理解に立てるようなむしろ共通の広場を求めるようなのがこのユネスコの精神だと私は考えている。そういうことを強調されないで、あなたのように、いきなり文部大臣と同じようなことをおっしゃるならば、ユネスコの国内委員会というのは一体どういうことになるのか。私は、あなたはとにかく最も信頼できるユネスコの代表者と、こう思っているのに、いまのような話を聞かされるのじゃがっかりだ。大体ひとつユネスコ本来の目標を、ここではっきり文部大臣にもわかるように説明してもらいたい。そういうことの間違いを犯しているような政府の考え方をただすようなものの言い方をしてもらいたい。条約にもちゃんと書いてあるのだから。そういうことを言っているのですよ。
○説明員(井上孝治郎君) いまおっしゃいましたとおりでございまするが、私何もその国情の違いを強調するという意味で申し上げたのではなかったのでございまして、その点はことばが足りなかったと思いまするが、しかしながら、申し上げるまでもなく、加盟国の中には非常に先進国もございますし、それからいろいろな面でまだ発展途上にある国もあるわけでございます。それから教育にしましても各国それぞれの事情が違いますから、それを一律に高い水準に持っていくまでには、それぞれ国の事情の違いを考慮して妥当な方法でやっていかなければならないと、そういう意味に私申し上げたいと思うわけであります。
○小林武君 それだけですか。
○亀田得治君 関連。文部大臣がこの一つの政治的な立場に立って先だってのユネスコの勧告に対して対処されておることは、われわれは政治的な角度から見てわかるのです。しかし、ユネスコの専門的な立場で事務を扱っておられる方がそういう態度では、委員の小林君が言うまでもなくわれわれも了承できない。一体あなたは、先だってのユネスコの勧告、それに対する日本政府の意見、これはすでに発表されておる。端的にいって、どちらが一体正しいと考えておるのか。政府の意見は、国の特殊性といったようなことを強調して、基本的にはユネスコの勧告を拒否する、結論はそういうことなんでしょう。私たちはそういうふうにあれを読んでおります。が、特殊性といったようなことは、こんなことは、特に言わなくたって、いま小林委員自身も申されておるように、わかり切った活なんです。ただそういう一般論をユネスコの勧告を拒否する口実に使っておるに過ぎない。やはりユネスコの勧告を受け入れるものは受け入れて、その中で特殊性という問題を考えるということなら、これはまた一つの意味もある。また当然な点も出てくるわけであります。結論は勧告を拒否すると、こういう態度でしよう。その点、そういう大臣の言うたことをあなたがちょうちん持ちするようなことじゃなしに、もっとはっきり端的に、あなたの考え方を、ユネスコの事務総長という立場からひとつはっきり答えてもらいたい。
○説明員(井上孝治郎君) 私は文部省の一公務員でありまして、私の意見を申し上げることはあまり価値がないと思いまするけれども、しかし、お尋ぬがございましたので、私なりの考えをお答え申し上げます。
 これは、先ほどからお話がございましたように、ユネスコが世界の適当だと思う専門家を集めまして、ユネスコの立場から一つの教員の地位向上の勧告案をつくったわけでございます。同様に、ILOもILOの立場から、世界の各国の適当と認める専門家、これはILOの立場でありまするから、ユネスコと違いまするけれども、その立場で一つの案をつくりました。そして、その両方の案を両方の事務局がつけ合わせて、一つの案の案といったようなものをつくったわけでございます。それで、これは勧告案と一口に申しているのでございまするが、ほんとうの意味の勧告案というより、むしろ勧告案のもとになる案と、こういうふうなことに御理解願っていいと思うのでございます。
○小林武君 そう思ってますよ。
○説明員(井上孝治郎君) それに対して、まず各国の意見を聞いてきたわけでございます。でありまするから、それに対して、それぞれの立場からのコメントなり意見なりを出すということは、何もはばかりのないところであるばかりでなく、ユネスコの希望しているところだと承知するのであります。それで、それに対する意見を出したのでありまして、日本には日本の特殊事情があるということでございまするので、日本の特殊事情はこういうふうなことであるということを回答したまででございまして、勧告が、いま申し上げたように、案としてでき上がっている段階ではないと申しては言い過ぎでございまするけれども、しかし、勧告案を頭から拒否するというような態度であるとは、私は承知しておりません。
○小林武君 あなたが文部省の一公務員とおっしゃったところに、もう回答が何が出るかすぐわかる。しかし、あなたは、お聞きするというと、外務省出身の方で、国際舞台へ出て、こういうようなものを持っていって、あなたが堂々と胸張ってやれますか。
○説明員(井上孝治郎君) 私、外務省を離れましたので、いま私が申し上げることはいかがかと思いまするけれども、やはりそれぞれの日本の事情というのは、国際舞台で必ずしもよくわかっていない点もあるわけでございまするから、そういう点を言うのに何もはばかるところは私はないと思います。しかし、これは私の考えであります。
○小林武君 言うことがいけないということじゃないんですよ。ユネスコの精神なり、ユネスコが戦後国際連合と深いつながりを持つようになった。そういうたてまえから考えて、こういうような文書を出しているというようなことが、一体ユネスコの精神にかなっているのかどうなのか。この条約に盛られているような内容に、あなたはかなっていると考えますかどうか。その点をはっきりひとつ聞かしていただきたい。
○説明員(井上孝治郎君) ユネスコの精神にかなっているかどうかというお尋ねでございましたが、ユネスコの精神に対して先生のお考えと私と全面的に一致しているかどうか存じませんけれども、しかし国際協力と言うからには、加盟各国の立場を尊重するということは、これはあたりまえのことでございます。でありますから、日本が日本独自の立場からコメントを求められたので、ありますから、コメントをいうことが国際協力でございます。その意味でユネスコの精神に私は合致すると思います。
○小林武君 この問題で長々やっても時間がなくなりますから、文部大臣にひとつ希望いたしておきますけれども、大体日教組なり、教育団体に聞かないなんということは、ちょっと狭量だと私は思う。今後この問題について取り扱われるときには、やはり、政治家として幅の広い方だと私は思っているのだから、もう少しゆとりのある立場で、この問題を今後も討論してもらいたい、いずれこの問題はほかの場所でも十分胸襟を開いて、あなたと討論してみたいと思います。その意見はどうですか。
○国務大臣(中村梅吉君) いまの点ですか。
○小林武君 そうです。
○国務大臣(中村梅吉君) 実はこの問題について七月十五日という期限がありましたが、私どもとしましては、外務省等の協力をいただいて、よその国は一体どうだろうかということを、実はある程度観察したわけです。それによりますと、ソ連は国情が違うから、こういうものは受けつけるわけにはいかぬ、こういう態度のようです。それからカナダは各州が義務教育をやっているから各州のほうにおろす以外にないから、しばらくは出せぬということのようです。アメリカも同じように各州で義務教育をやっておりますので、似たようなことであったようで、日本として、一体七月十五日という期日をどうすべきかということについては、いろいろ考慮いたしましたが、まあ一応とにかく意見を求められたのだから、その意見を一応出しておく、将来補正するなり何なりいかようにでもできますから、いますぐにきまってしまう勧告ならば、勧告を受けるとか拒否をするとかということになりますが、まだ勧告の草案の草案程度のもののようでございますから、せっかく先方が意見を求めてきた以上は、一応こちらの考え方はこういう点にあるということを申し上げておくことがいいだろうという結論になった次第であります。
○小林武君 そのほか、今後どうするかということです。もっと国内のそれらの関係団体とよく話し合うかどうかということです。
○国務大臣(中村梅吉君) そういう点については十分検討してまいりたいと思います。ただこの問題は、冒頭に申し上げたように、日本の教育職員側のほうは、最初の国際会議に参加しているようで、そのほうの意見は相当織り込まれているのではないだろうか、したがって、同じ統一文書で送られたものでありますが、日本の立場としては、政府側の意見を言うのがよかろう。しかし、政府だけで考えるわけにはいかないから地方でそれぞれ教育の現場を担当している教育長会議の意見を聞いたらよかろう、こういうことで取り扱った次第でございます。今後の問題については検討します。
○小林武君 いまの意見についてはあまり賛成できませんが、教育長だけにやればいいという考え方は間違いだと思います。それは抜きにいたしまして、学生の就職――学生といっても大学の学生ですが――不況による大学卒業予定者の就職を打開するために、臨時就職対策協議会というものをつくった。会長は安井総理府総務便宜だというが、この協議会が発足をしてから、その後どういう経路をたどっているか、この点についての総理府総務長官の御答弁と、文部省は、一体現状がどのようになっているか説明してもらいたい。就職状態です。
○国務大臣(中村梅吉君) まだ実態をよく把握いたしておりませんが、いろいろの角度から各方面の情報を取りつつありますが、大企業のほうは、ところによっては全然採らないという宣言をしたところもあるようですが、これはいろいろの企業経営の作戦もあって言ったことのようで、実際は制限をしているが、ある程度の人数は採るというところがあり、それから大企業が締め出したものですから、いままで人間がほしくても採れなかった中企業、あるいは小企業の堅実なもの、こういう方面は、この際でひとつできるだけ採用しようということのようでございますから、学生が希望するような大企業には、いつものように就職できないかもしれませんが、全体としてはまあまあというところまではかどっていくのじゃないか、こう思っております。内閣に安井総務長官を中心に、学生等就職対策協議会ができまして、今後これらの協力をもいただいて、学生の就職については、一そう万全を期してまいりたいと思います。
○小林武君 総務長官は発足以来どういう活動をなすっているか。
○国務大臣(安井謙君) ただいま文部大臣のお答えしましたとおり、ことしの景気の状況から見まして、来年三月に卒業する人の就職状況が思わしくないじゃないかというようなことから、この対策委員会を政府で設置したわけであります。まず第一には、各民間主要団体の代表の方々にお集まりをいただきまして、今後の学生就職の状況の実情調査をいたしますと同時に、そういう方々に対して極力採用の促進をお願いをする。それから各種団体の代表の方、それから各学校の代表の方方そういった方々との懇談会を数回今日まで続けてまいっておるような次第でございます。
○小林武君 何にも内容がないことでございますが、それではお尋ねいたしますが、求人側の代表はどんな反応を提起したか。新聞で見るというと、集まったのはいわゆる財界の大もの連中、これらの人たちがどんな約束をしたか。事実それがどんなになってあらわれているか。私は事務局がいまだに卒業生の就職状況がわからぬというのは、私はこれこそわからない。いつになったらわかるか。いまわかった程度に発表してもらいたい。そんなばかな話ありますか、どこの世界に。就職は来年の三月の卒業期までにやるんですよ。文部省盛んに調べているでしょう。大体概数どうなっているのか、何%ぐらい就職しているのか、そういうことを聞いているんですよ。出し惜しみしなさんな。答弁のし惜しみなんというのはいかぬですよ。
○政府委員(杉江清君) 現状におきます大学卒業生に対する求人状況につきまして、刻々に変化もしておりますし、全般的な見通しの確実な資料は、ただいま大臣がお話になりましたとおり、ないわけでありますけれども、有力な参考資料といたしまして、日経連で約三百社につきまして調べました求人の状況の資料がございます。それによりますと、平均いたしまして二割五分程度の求人の減の結果が出ております。その中におきましても、製造業においては特に求人減の傾向が顕著でありますが、こういうふうな資料が現在のところ将来を見通す有力な資料でございます。また各大学の、現実に会社等から現在申し込まれている状況も、おおよそこの数字を裏書きするような状況に合っておるわけであります。しかし、これはいわゆる大企業を中心とした状況でございまして、中小企業等においは必ずしもこの傾向どおりにはいっておらない。全般的な見通しとしては四十年度、本年度卒業生と比べて相当困難であろうとは考えますが、大幅な著しい困難が直ちに起こるとは現在のところ考えられないと、私ども考えております。
○小林武君 どうもおかしいね。それでまあいまの答弁に満足はしておりませんけれども、先ほどお尋ねした財界のいわゆる大もの連中と会った。この際どんな約束ができたのか。九日には中村文部大臣と日経連の代表がそのことについてさらに会談すると、そういうような予定になっているということを伝え聞いているが、そういうことがあったかどうか、その結果を知らしてもらいたい。のんきなことをおっしゃっているようだけれども、学生の立場になったり親の立場になったら、そんなのんびりしたことを言っておれない、そういう角度から御答弁いただきたい。
○国務大臣(安井謙君) 会談の結果につきまして全部を網羅したわけじゃございませんし、主要な団体あるいは主要な代表者の方々と懇談を進めておる最中で、結論は出ておりませんが、まあ部分によりますと、たとえばマスコミ方面その他については非常に採用の度合いが少ない。しかし金融部門その他については必ずしもそう減ってない。いま通算しまして大体二割から二割五分ぐらいいままでの例から減るんじゃなかろうかという、これは推定でございますが、そういう見当でありまして、私どもの立場といたしましては、個々の企業に対しましても、それぞれ団体の代表者を通じて、ことしがそういう事情だからというので皆目採らぬということじゃなくて、ひとつ長期計画を立ててもらって、人材をそれぞれ毎年度入れるという計画のもとに、できる限り採用してほしいという慫慂をしている次第でありまして、これに対して各社を全部網羅してこういうふうになったといった総括的な結論は、まだ出ているわけじゃございません。
○小林武君 文部大臣は九日にお会いになりましたか。
○国務大臣(中村梅吉君) 九日に大学卒業者の就職問題等について会見をする予定でありましたが、ちょうどその前後河野代議士の逝去がありまして、その会談は取り消してございます。
○藤田進君 そのあとどうなっていますか。
○国務大臣(中村梅吉君) そのあとは、実はいろいろ双方の支障がございまして、近くお目にかかる予定になっております。私のほうからは、経営者団体その他財界方面に対しましては、経済というものには山があるんだから、やはり人材をそろえておくということが今後の企業の健全発展の基礎なんで、やはりことしは不景気だからというので、ピークのときと違うようなはなはだしい下げ方をしないで、できるだけ人材の水準化をはかってもらいたいということを極力要請しまして、各方面かなり採らないつもりのところも若干採るようにしていただいたり、まあわれわれの要望している線は受け入れられつつあると、かように考えております。
○藤田進君 ちょっと関連して。この際労働大臣にお伺いしたいのですが、統計が何らないのに楽観説が事務当局に出てきたりするわけですが、労働省とされては雇用状況というものは的確に把握されてこなければ――労働行政の非常に大きなポイントなんですから――ならないと思う。しかし各県等に併置されている職安等を通じても、当該所管する行政自治体管内における雇用状況すら、いまもう八月で、大体使用者においても今年度、つまり新規卒業生の、来年三月の、これが確定して、あるものは学校に対してそれぞれ求人照会を依頼してきている、推薦を依頼してきているというにかかわらず、案外職安というのはそういうことをよく知っていない。どういうことなんだろうかと思うのですが、そこで、第一には、そういった雇用状況、労働力の流動といったようなことについての実態把握について、どう今後処理されるか、機構上の問題等を含めてお伺いしたい。
 第二は、いま小林委員の質疑の中心になっている、当面する雇用関係についてのこれが開拓について、安井総務長官を中心にいろいろやられてはいるように伺いますけれども、労働省自体として、昨日通産、企画両省から提示された資料によっても、鉄鋼業をはじめ、あらゆるもの、たとえば機械工業では五〇%に足りない四八、九%の稼働率ということになる。で、各県に所在する大企業においても、家庭電気等はすでに発令をしているように、帰休制度の強引な実施になりつつあります。ですから新規卒業生の、大学等を頂点として、非常に就職難ということがもう現実に出ております。七月、八月に採用試験をやっているところの状況を見ても、相当困難性がある。加えて、いま申し上げた、すでに雇用関係契約を結んでいる労働者についても、逐次人減らしということが進んできているわけです。これらについての実態をここで御発表いただき、かつ、これに対する対策について、労働大臣からの立場でひとつ御答弁いただきたい。
○国務大臣(小平久雄君) 一般的な雇用状況の推移につきましては、労働省といたしましても細心の注意をもちまして職安等を通じてこれが資料の収集等にも当たっておるわけでございます。ただ全般的な傾向、状況というものは、昨日も御答弁申し上げましたが、本年に入りましてからの雇用の伸びというものはきわめて微弱ではありますが、前年度に比べまして二%ほど増加をいたしておるわけであります。もちろんその間、求人の状況等は、昨年に比べますと大体一六%ほど減少をいたしております。にもかかわらず、いま申しますとおり、雇用の状況から申しますと二%ほど、わずかでございますが、一応上昇いたしておる、こういうことになっております。ただ何と申しましても経済界、産業界の今後の推移によりまして、どういう状況になるかは、もっぱらその産業界の状況いかんかと思いますが、目下のところでは、こういったいわゆる弱含みの状況で、産業界がこの状況であるならば、やはり同じような状況が続くのではなかろうかと、こういう判断をいたしておるわけであります。もちろん産業界がさらに悪化するというようなことでも万一ありますならば、相当の離職者も出るでありましょうから、それに備えましては、機動的にできるだけの再就職のあっせん等をつとめていきたいと、かようにいま考えておるわけであります。
 それから学校卒業者の問題でございますが、まあ直接は大学関係のお話かと存じますが、中学関係におきましては、御承知のとおり明春は今春に比べまして約十万人減少する。それから高等学校につきましては、大体明春は今春に比べまして約三十万人ふえる、こういう状況でございます。そこで中学関係におきましては、まあ今春あたりの充足率が大体二五%程度でございますから、そういう点から考えましても、これはまず心配はなかろう。また高等学校につきましては、これも今春の充足率が大体二四、幾らかのパーセントの就職率、雇用率になっておりますから、これにつきましても三十万からふえますが、大体心配はないのじゃないか。もちろんいままでのように自由に職種を選ぶというようなことは、あるいは窮屈になるかと思いますが、総体としての就職という点から申せば、そう心配はないのではなかろうか、かように存じているわけであります。大学の場合につきましては、御承知のとおり従来大学当局あるいは文部省が中心となって新卒の方の就職を心配なさっておられたわけでございますが、政府におきましても御指摘のような協議会までつくりまして、できるだけ就職を促進しようと、こういう際でありますので、労働省といたしましても積極的にこれに協力すると申しますか、労働省の立場から十分努力をいたしたい、かように考えているわけであります。大学の関係は今春に比べますと、来春の卒業者が大体一万五千くらいふえる。率にして八、六%ふえまして、全体で約十九万人ほどになると、こういうことでございます。これは就職希望者がそうなるようでございます、そこで労働省の立場としましては、さっき申しましたとおり、従来は大体学校なり文部省なりが中心でやっておったのでございますが、各職業安定所等にも連絡をつけまして、一万におきましては職場の開拓、これも職場と申しましても、まあ大企業よりもむしろ中小企業のような傾向がありまするが、その方面の職場の開拓、また学校方面に対しましても、必ずしもこの大企業ばかりに就職者が向かないように、職安のほうにも十分連絡をとり、また希望者等は申し入れてもらって、これをやっていこう、こういうかまえでいま進めているのでございます。先般も私は飯田橋の職業安定所に実際行ってみました。その間の事情も聞いてみましたが、予想以上に大学生の側からもあるいは事業所の側からも希望者がございまして、相当成績をおさめているというような報告を受けたわけであります。でありますから、この職業安定所を通じての大学卒業生の就職ということについて、できる限り努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。
○藤田進君 答弁漏れ。機構上の労働統計等の第一の質問に対して。
○国務大臣(小平久雄君) 労働統計の詳細につきましては政府委員から御答弁申し上げます。
○政府委員(有馬元治君) ただいま大臣からお答えがありましたように、大学卒につきましては、いままで安定法によりまして大学当局が無料の職業紹介事業を行なうということで、私ども積極的にはタッチしていなかったのでございます。したがいまして職安機関のいわゆる業務統計としては、文部省が集計したものを結果をいただいているというふうな状態でございまするが、私ども企業の全体の採用計画を計画的に、合理的にするために、昨年から従業員の採用計画というものを、あらかじめ出さしておいて、この場合には中学高校のみならず、大学についても調査をいたしておりますので、そういう面では若干大学の新規採用についての全国的な傾向は多少つかめておりますが、先ほども文部省の政府委員から御答弁がありましたように、七月末現在における求人の状況、就職の状況を大学を通じて文部省側が現在調査をしておりますので、その実態に応じて今後大学側あるいは企業の側に協力しながら、安定機関も全力をあげて大学生の就職問題に積極的に御協力を申し上げたい、かように考えておるわけでございます。
○小林武君 どうも皆さんの議論は楽観論であるわけでありますが、私は楽観していないのです。大学の当局の中では非常に深刻な問題として取り扱っておる。ところが、たとえば労働省のものの考えにいたしましても、職業安定局の方の意見によりますというと、ことしはとにかく中小企業は採用増になる、こう言う。しかし、大企業が採用増できないのに、中小企業が一体、採用増する理由というのがはっきりしない。たとえば中小企業の日本銀行の五月調査によるというと、中小企業の経営上の隘路はいままで人手不足だった、ところが、現在はどうであるかというと、第四位に転落して、これにかわって人件費の増加や売り上げ不振が多く訴えられておるということになっておる。中小企業というのは、いまや人を頼めるような状況でだんだんなくなるということになる。だからかかって私は、今後この不況対策を一体どうするのだ、解決できるのかどうかということにいまかかっておるような問題で、経済企画庁の方の不況下の雇用問題の展望については、これからだんだん景気がよくなるのだからちょっとの間がまんせえ、景気がよくなってからあわてて人を頼んでもだめだぞという、そういう説教をやったところで、だれが一体その説教を聞くかということです。私はそういうあいまいな不況下の雇用問題を考えておっては困ると思うのです。だからひとつ慎重に、ひとつ大いに積極的にやってもらいたいと思う。このことがひとつ皆さんにお願いをするところであります。
 それでは一つだけ最後にお尋ねいたしておきますが、なかなか政府の関係の人たちは、企画庁といえども、労働省もみんなそういう説教型だ、ところが、一体政府の雇用のほうはどういうことになっているのか、政府関係。去年はその雇用がとにかく途中でやめられて自殺した子供まで出たというような状況なんです。ことしの政府のあれはどういうことなんです。これを承りたい。
○国務大臣(安井謙君) 政府におきましては、御承知のように、まだ来年度の方針を最終決定を見ておりません。しかし、現有できる限り政府部内では人員の合理化をはかって、この定員より増加をするという方針にはならないようにという方向で考えております。しかし、現在欠員も相当数量あるわけであります。それによって新規採用がとまるというようなことじゃなかろうと思っております。
○羽生三七君 関連して一つ。いまの新規採用の問題じゃないのですが、予算が先日来論議のあるように、非常に窮屈になるということから、新規事業ですね、これに対して大蔵省としては今後どうするのか、一説によるというと、新規事業関係は補助金も大部分打ち切るような報道もあるのですが、その点だけひとつこの機会に明らかにしていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 予算が非常に窮屈になりまする際でもありまするので、国費全般につきましてその効率化、重点化、そういうことは徹底させなければいかぬと存じておりまするけれども、必要な新規事業をこれを認めないというような考えではございません。
○委員長(平島敏夫君) 一時四十分再開することとし、これにて休憩いたします。
   午後一時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時二十二分開会
○委員長(平島敏夫君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、多田省吾君が辞任され、その補欠として宮崎正義君が選任されました。
○委員長(平島敏夫君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。小林武君。
○小林武君 防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、けさのニュースで、直接、間接の侵略に備えて万一の場合の非常時立法をするという趣旨のことが報道されたわけであります。このことについては、万一の場合の法律的整備が十分でなかった、これは三矢研究によって明らかになった、したがって、今度は法令の必要が感ぜられる、その内容を具体的にしたいというのがその趣旨であります。なお、その中に一、二申し上げるというと、捕虜に対してどのようにするかとか、あるいは負傷者をどうするとか、あるいは灯火管制をする場合のこととか、こういう問題を今度の法令によって、法律整備によって行なうということである。これについては幹部会が大体一致した見解を持っていて、やがてこれは国防会議にはかりたいという、こういう大体の趣旨の報道であったわけでありますが、このことについてひとつ詳細に御説明をいただきたい。
○国務大臣(松野頼三君) 報道がどういうふうになされたか私も知りませんし、また、報道の出どころがどこかも実は正確ではありません。ただ私が申し上げたいことは、そのようなことを防衛庁及び幹部がやってはいない。また、その段階まできていない。ただここで申し上げられることは、それは事実やっておりません。三矢研究のときに法制的な不備があるではないか、その不備を整備しろというのは小委員会における一致した意見でございまして、それについて検討をするということはあり得るかもしれませんが、今日の段階では、ただいま報道されたようなものは私も存じませんし、幹部会で話したこともございません。したがって、そのようなことは防衛庁としてはやっておりません。
○小林武君 これはまことに驚き入った次第でありますが、これはけさのNHKのニュースで報道され、なお、このことについては、報道された原稿を読み上げてもらって確かめたのであります。これほどのことが、全く火のないところに煙は立たぬと言うが、火も何もないところに立った煙ですか、これは。事実間違いはございませんか。
○国務大臣(松野頼三君) 私も、実はその報道があったという話をけさの十時に聞いたんです。それで、さっそく官房長に、このような報道があったが、これは何ごとなんだという話をいたしましたところが、それは、官房長のところでももちろん存じておりませんでした。そういう意味で、三矢研究以来、部内において検討項目として入っておりますが、検討するまでの段階ではございません。なお、その報道の中に、参事官会議を開いて各幕の会議をしているという報道があったそうでありますが、これは毎年の予算であって、今日だけではありません。連日やっております。三十一日までの予算提案のために毎日これを、本日もやっております。これは予算会議でありまして、その問題は提案にもなっていません。したがって、一部の中にそういうことが、あるいはこれは総務課ですから、内局ですから、内局の中でそういう検討をしておったかもしれませんが、まだ省議にはかるとか局長にまで来るというものは、今日まで毛頭ございません。
○小林武君 ただいまの御答弁の中で、二つの点をお伺いしたいのでありますが、まだその段階に来てないという御答弁は、やがてそういうことがあり得るということなのか、あるいは内局の段階でそういうことがやられているかもわからないということは、このことはやがて、内局でそういう問題を取り扱って、やがて防衛庁全体の問題として討論する機会が生まれてくるということは、これは全然予想できないことではないということを意味しますか。
○国務大臣(松野頼三君) それもタイトルが、少し私の答弁と御質問と違います。法案整備としての検討はやるでありましょう。非常時立法ということはない。そのタイトルが違います。法案整備、法制整備ということは、これは予算編成のたびにやっております。非常時立法という法案整備はない、こういうわけでございます。
○藤田進君 防衛庁長官は、三矢研究の衆議院における予算委員会の小委員長だったと思う。ですから、詳しい説明をつけなくても、当時の模様なりその後のいきさつは御承知かと思う。どうもことばのあやで、ここのところを乗り切ろうという感じで、どうもいかぬです。その非常時立法というそういうものはないが、その他の法整備ということでは、ある。しからば、その他の法整備の内容はどういうものかということを、ここに具体的に出していただきたい。それが客観的に、国民が、なるほどこれは戦時立法、あるいはそれに備えるべきすべてであるというふうに評価するかどうかは、これはその人にまかして、よろしい。タイトルにこだわるのでなくて、中身を、あり得るとおっしゃる、いなあり得るのでなくて、もう検討しているのじゃないですか。三矢作戦、図上計画と言われるが、この中でも相当な範囲で出されている。このそれぞれについて、具体的に、さらに具体的に、これを策定されつつある、成案を持ちつつあるということにもとれるし、その辺は明確にしていただきたい。
○国務大臣(松野頼三君) 明確に申しますが、法案整備ということの中には、シビリアン・コントロールという問題もございます。予算編成の場合には部隊編成という法制もございます。その中には、非常時立法という考えで今日やってはいない。かりに言えば、動員計画において法制が整備していないではないか、これもありましょう。しかし、総体的に、今日、非常時立法ということを焦点にしぼっての法制研究はいたしておりません。したがって、草案があるじゃないか。ありません。何もございません。ただいまそういうものを検討するという程度の段階はあるかもしれません。それは職務ですから。しかし、整備されている項目があがっている、どこだ。そんなものは一切ございません。なお、三矢問題において御迷惑をかけましたけれども、この問題はあれについての法制は一つもございません。今後も考える必要は、私はほとんどないと思います。ほとんどないと言えば、またほとんどとは何だと言われますが、それは一般的に防衛庁の法制として、研究するものは今後あるかもしれませんが、非常時立法というようなしぼった範囲においては毛頭ございません。それではほかにあるじゃないか、それは、シビリアン・コントロールにおける命令系統をもっと明確にしろ、これはより以上研究する余地としてこれはあります。しかし、項目があるじゃないかと、項目は一つもございません。明確にお答え申し上げます。
○亀田得治君 何か三矢研究、三矢問題についてはもう少しもその後は具体的な関連がない、仕事の上で、というような意味のことをいまちょこっと言われた。今度の国会は非常に短期でありまして、目的も限定されておるものですから、私たちも三矢問題に再度触れる機会がなかったわけでありますが、ちょうど長官がいまそういうことを言われました機会でありますから、確かめておきたいと思うのですが、三矢問題は単なるこれは特殊なグループの者の研究というものではない、これはやはり実施に結びついたそういう計画なんだ、その計画をつくるための検討であるのだ、単なる研究ではないのだ、こういう趣旨の証言が北海道の裁判所で当時の責任者であった田中陸将からなされておる。この事実を御存じですか。
○国務大臣(松野頼三君) 田中陸将がどういう証言をしたか私は知りません。
○亀田得治君 これは新聞もすでに報道しておりまするし、私たちもこの証言の内容を十分検討いたしまして、ゆっくり時間をとって、前回の予算委長会においても、参議院としても非常に問題になった件でありますから、防衛庁長官にもお尋ねしたいと実は思っておる件なんでありますが、しかしこういう重大な問題についてマスコミが報道しておるのに、そのことを確かめてもおらぬということでははなはだ不可解だと思うのです。私はそんなことは普通あり得ないことだと思います。あれほど国会で大論争になり、大問題になったことについて、しかも長官自身が当時衆議院においては非常に重要なポストにおられたわけなんです。そんなことをまるで何か意にも介しておらぬよりなお答えでありますが、それならさっそくその間の事情を調べてもらいたい。一体、政府当局が、当時、政府責任者が国会で発言したことがほんとうなのか、あるいはこの証言がほんとうなのか。どっちかなんです。これは重大な問題です。この点をひとつ調べてはっきりお答え願いませんと、これは非常な疑惑を残したままになっておるわけです。調査してお答え願えますか。
○国務大臣(松野頼三君) 御要求ですから調査してお答えいたしますが、私が今日、防衛庁長官となり、小委員長でやってきたいままでの段階では、そういうふうなことは毛頭ございません、したがって、いまは部隊としておそらく証言したのじゃなくて、個人として証言されたのだろうと思います。したがって、もちろん調査をいたしますので、どうぞひとつその点はいずれ御報告いたしますが、三矢問題とか防衛庁に関してはどうぞひとつそういうことはないという私のことばを信じていただきたいと思います。
○亀田得治君 もちろん証人でありますから、部隊として証言するわけじゃないわけでして、証言をされたときにはすでに田中陸将は民間におりておるわけであります。したがって、当然これはその当時の実情についての証言であります。私たちとしては、これは非常に重大な問題だと実は考えております。そういうわけですから、これはひとついずれ……まあ証言があったかないかという程度のことは、こまかい論議は別として、その予算委員会が終わるまでにでもお調べ願って、お答えを願いたいと思います。わかるのじゃないですか、防衛庁から来ているなら。どうなんですか。
○国務大臣(松野頼三君) 官房長からお答え申し上げます。
○政府委員(海原治君) 先ほど亀田委員から、政府委員が国会で答弁した内容と北海道の裁判所における田中証人の証言の内容と食い違うのではないか、どちらが正しいのだ、こういう趣旨の御質問ございました。当時田中証人の証言というものが新聞に出まして、私どもも調査いたしましたが、先ほど大臣からお答えいたしましたように、政府関係者が当時国会の委員会で申し上げたことを変更する必要は一つもございません。
○亀田得治君 そういう結論だけおっしゃってもよくわからぬわけです。それで防衛庁のほうじゃ当然その田中証言の記録をとっておられると思います。ここに資料として出してください。それと、その当時、政府委員とおっしゃったが、政府委員じゃない、内閣総理大臣がお答えになっておる重要なこれは発言なんです。それとの比較を私たち厳密にこうやらなければならぬというふうに考えておるわけです。盛んにシビリアン・コントロールとかなんとかおっしゃいますが、これが根本なんです、この問題の。だからうやむやに済ませるわけじゃありません。そんな官房長が、私の判断では矛盾しておらぬ、御安心願いたい、官房長そんなことだけで済ませる問題ではございません。だからそれを資料としてひとつすでにそういうものは持っておるんだと思います、先ほどのお答えのしかたから見ますると、至急ここに出してもらいたい。
○政府委員(海原治君) 御存じのように、田中証人の発言は北海道の裁判所で行なわれたものです。したがいまして、そこにおきます資料というものは防衛庁はこれは保管いたしておりません。ただ私どもも関係がございますので私のほうの担当者を派遣いたしまして、裁判の進行を傍聴させたわけでございます。その者の報告をもとにして当時私どもは検討いたしました。その結果先ほど申しましたように、政府委員としては当時防衛局長をつとめておりました私がこの委員会で申し上げた次第でございますが、それを変更する必要はない、こういうふうに申し上げた次第でございます。なおもし法廷内の証人の証言についての資料の御要求でございましたれば、これは防衛庁の所管外でございますので、ひとつこの点は御了承を願いたいと思います。
○亀田得治君 そういう人を派遣して、そうしてその報告によりますと、こういうのは、裁判所では全部間接証拠、たいした証拠力はないわけであります。大体そういう意図を持って出かけているわけですから、田中証言というものをどういうふうな聞き方をしているか、大体想像されるわけであります。だからそういう不正確なもので国会の発言と矛盾するかどうかということをやられてもこれは結論が出ない。それでただいまのお話ですと、田中証言正確なものを持っておられぬようでありますが、はなはだ私は重大な問題、問題の重要性から見ると怠慢だと思うんです。それはなるほど裁判所と行政官庁と機構は違いますが、しかし、事きわめて重大な問題ですから、そういう資料を正確なものを取ろうと思えば幾らでも取れます。都合の悪いものはむしろ見て見ぬふりをするという態度がありありと出ているじゃありませんか。だからそういう資料を持っておらぬということのようでありますが、しからば、当時派遣をしてその人が一体どういう報告を官房長のほうにしておるのか。その報告書でもいいですから、こちらへ出してもらいたい。私たちが持っておる正確な田中証言とそれを比較して見ましょう。そうしたらいかに報告というものがずさんなものかということも、私たちまた新しい論議もがきるし、そういうところに事の真相がゆがめられていくまた機縁もあるわけであります。重大な問題です。こんな重要問題についてそういうきっちりとした証拠も入手しておらぬということははなはだ私はふに落ちないと思う。だから、ともかくその報告でもよろしい、間接的なものになりますが、その報告書をこちらへひとつ証拠として至急出してもらいたい。よろしいな。三矢問題なんて終わっておらぬのだ。
○国務大臣(松野頼三君) その報告書というものはいま手元にありませんが、いずれ調査いたします。
 ただ今日の防衛庁のあり方、かりに関係幕僚がどういう意向を持ったとしても、今日の機構、今日の立場ではそれは一つの意見であって、その計画をきめる、予算をきめるのは私なんですから、したがって、その人の意向として、そういう意向があったかもしれないけれども、きめるのはその人がきめるのではありません。われわれ内局及び各幕の連合で私がきめる制度なんです。そこにおいてその人の一言の発言というものは重要な問題としてきまるべきものではないと私はかく考えております。また、今日の制度はそうであります。前長官もおそらくそういう制度をしいたと思います。したがって、私がきめる、みんなの会議できめるのに、その一個人がどんな意見を言ってもきまるものではありません。予算はそんなもので一銭一厘でも動くものではありません。したがって研究というものはあくまでそのグループの研究であったかもしれないというのが三矢問題の結論でございますので、その証言というものはどうかと、それは私は三矢問題の重要な問題とは実はとっておりませんでした。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
○亀田得治君 何が議事進行だ。こんな重要な問題が突発的に出ていて、その論議が中途はんぱで、どうして進行するのですか。こういうことこそはっきりすべきものなんです。いま長官は、最後の決定は自分たちがするのだという意味のことをおっしゃるが、それは当然そうなんです。しかし、ある程度事態が進むと、なかなか上のブレーキもきかない。第一、こういう三矢問題といったような重大な検討がなされているのに、総理大臣が国会で社会党から指摘されるまで知らなかった。これ自身がすでにもうコントロールから、はずれている証拠なんです。だから、ああもう最後の決定はわしがやるのだからそう心配するな、そういうことを言ったって、それはあなたの主観であります。だから、そういうふうに判断できるかどうかは、いろいろな資料なり出しまして、それをみんなで客観的にやはり批判する、そういう中から私は正しい結論が出てくるものだと思うのです。だから、いまの、長官の御意見でありましたが、それは私としては了承できない、そういうことは。これは三矢問題全般について言えることですが、そこで関連でありますから、この三矢のことはまたあらためての機会にいたしまして、その程度にしておきます。
 先ほど、長官は、ともかく法的に整備しなきゃならぬものがあるし、そうして若干は検討をしておるというふうに大体私はまあ受け取っておるわけであります。
 そこで具体的にお聞きするわけですが、たとえば自衛隊法の七十六条防衛出動に関する条項、七十八条命令による治安出動の条項、こういう条項について整備しなきゃならぬものがあるということは、いま長官が言われたその整備すべきものの中に入っている意味でしょうか。
○国務大臣(松野頼三君) まだ項目はあげて拾っておりませんから、今日何も項目をあげておりませんから、入っているか、入っておらないかは私は知りません。また、そんな作業をしているとは私は思っていません。そういうものは今日私がその項目を検討しているなら、入っているとか入ってないとかお答えしますが、まだそこまでいってない段階でございますから、何にもいまのところ、入っておる入ってないは、それはまだ検討しておりません。
○光村甚助君 関連。
○委員長(平島敏夫君) 関連質問ですから、簡単に願います。
○光村甚助君 私は初めてですよ。
○委員長(平島敏夫君) いや、あなたじゃない、全体のことを言っているわけです。あなただけに注意しているんじゃありません。
○光村甚助君 小林委員の質問に、防衛庁長官はそういう問題は関知してない、こうおっしゃる。そうすると、けさのNHKのニュースはうそだったということですね。私が聞いたのは、六時のラジオのニュース、でも聞いたし、八時のテレビでも聞いている。これはおそらく七時のテレビのニュースというのは全国民が聞いていると思うんです。これがうそだとすれば、私が逓信委員会の一員として国民を惑わすような、ああいうニュースを出すということは、これは追及しなければならない。それからもしも、あなた、まあ予算編成期ですから、部隊をこっちからここへ動かすというようなことをやっているかもしれない、まあこういうことかもしれない。そういうことなら、これはNHKのテレビやあるいはラジト・ニュースでやるべき性質のものでは小さいものなんです。それをNHKが針小棒大に取り上げたのか、これはどっちなんです。
○国務大臣(松野頼三君) NHKのニュースのソースまで私も実は知りませんけれども、現実にこの前の三矢小委員会において法案整備の不備の点があるなら、それについて検討しろという、それについてのおそらく作業であろうと私は思います。したがって、どんな法案どんな条文が入っているか入ってないかということは、私自身存じませんし、またどんな研究をしているか、これもまた私存じません。したがって、それに継続して法案整備というのはいろいろあるだろうと思います。ただいま藤田委員からどんな内容といえば、シビリアン・コントロールというのは重要な法制整備の再検討の問題だということを三矢で指摘されたと、これはおそらくその大問題であろうと思いますけれども、七十六条、七十八条はどうだと、そこまでは私もまだ今日検討していない段階ですから申し上げられないということが事実でございます。したがって、NHKの放送がどういう放送で、どこをさして言ったのか、これは私の責任としては言えないと思います。
○亀田得治君 官房長に聞きますが、一体法案整備というのは具体的にどんなことをやっているんです。そういうことがなされておるだろうということを言われるんだが、内容的には大臣はよく関知しておらぬよりです。事務当局ではどういうことをやっているんです、具体的におっしゃってください。
○政府委員(海原治君) ただいまの点は、先ほど来大臣からお答えしているとおり、大臣自身は御存じございません。と申しますことは、けさ防衛庁の内部部局におきまして参事官会議を開催したのは事実でございます。これは毎週水曜日には定例参事官会議――これは事務次官以下各局長、参事官、防衛審議官等が集まりまして、いろいろ事務の手続その他を検討する会でございます。この会におきまして、先ほど大臣からも御説明がございましたが、先般の三矢小委員会、参議院におきましては当予算委員会におきまして、いろいろと三矢研究の内容につきまして、当時の大臣及び私からも御説明申し上げておりますとおり、自衛隊が動きます場合、いろいろ法令上こうしてもらいたい、ああしてもらいたいというふぐあいな点がある。そういう点につきまして今後検討していくんだということは申し上げてございます。現在防衛庁が第三次防衛力整備計画を担当の部局で検討しておる段階でございます。衆議院の三矢小委員会につきましてもそういう法令等について関係部局が案を持っているだろう、出してみろ、こういう御要求がございました。そのとき私どもはまだそういうものは持ち合わせておりませんが、これから防衛庁内部におきまして十分検討して、関係各省等とも御連絡して、今後国防会議事務局等にも御連絡したい、こういうことを実は申し上げておる次第でございます。きょうの会議はそういう法令上不備な点、将来法制上整備を要する点にどういうことがあるだろうか、そういう点の検討はどういうふうな手順でやるべきであろうかということにつきまして、事務次官以下で今後の手続の進め方についての相談をしたわけでございます。これが実際のところでございまして、けさのNHKのニュースのあとで防衛庁のクラブからも要求ございまして、私がただいま申し上げたことをクラブに説明してございます。これが実態でございまして、けさのニュースでは、何か幹部会議というと非常に幅が広くなりますけれども、私どものほうは幹部会議というのはございません。けさの会議は関係参事官会議、定例参事官会議ということでございまして、制服の諸君は一人も入っておりません。そういう会議で事務的な集まりで今後――当時三矢小委員会等におきまして問題になった法令上、今後整備を要すべき点についての検討はどのような手順でどのような手はずで、どのような部局がこれを担当してやっていこうとかいうことの打ち合わせをしたにすぎません。これが事実でございます。
○亀田得治君 最後に、それじゃもう一ぺん聞いておきますが、今後の進め方の手続を御相談なさった、こういうふうに言われました。しかし、手続というものはどんな場合だって対象がおおよそはっきりしておらなければ相談のしようがないわけなんです。これは常識的に考えたってそうでしょう。そんな空なものについて手続だけきめるということはあり得ない。したがって、きちっと確定はしておらぬかもしれぬが、おおよその対象というものは、たとえばこれ、たとえばこれといったようなことは当然これは出ておるはずであります。私はいまの答弁からみても、その中には七十六条、七十八条についての整備といったようなこともおそらく確定的な意見としては出ておらぬかもしれぬが、そういうものはやはり大まかな意味では出ているのじゃないですか。全然そういうものは出ておらぬで、ただ手続だけを御相談なさった、そんなことはあり得ないと思うのですが、そこだけをもう一ぺん答えてください。
○政府委員(海原治君) ただいま私が手続と申しましたので、そのようにおとりいただいたと思いますが、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、それほど具体的な問題でございません。私が手続と申しましたのは、たとえばこの事務につきましては官房の法制調査が取りまとめの世話をする。しかし、関係部局においてその取りまとめの前に、どういう実態についてどういう問題があるかということは、その関係部局がそれぞれあらごなしの案をつくり、それを官房のほうに送付されて、官房の法制調査官がこれをまとめる、こういう手続でございます。
 具体的な例を申しますと、自衛隊法の第百三条というものは、出動時の場合の物資の収用的な規定でございます。これに基づきまして関係政令を制定することになっておりまして、この政令はまだできておりません。そういう物資の収用とか使用ということになりますと、内局では装備局の担当ということになって、まず装備局がそういう問題について勉強して、装飾局があらごなししたものを、その官房にきたものを法制調査官のほうで取りまとめをしていただく、こういう手続をきめた、これが私の申しました手続でございます。
○小林武君 そうすると、大体火のないところに煙が立ったわけではないと私は思います。タイトルの問題は、非常事態とかなんとかいうことは抜きにしても、直接間接に日本の侵略に備えて万一の場合に限って、いまたとえばNHKの問題の中にある百三条の問題をとらえれば、災害救助法の問題もあると思うのです。そうすればこれはNHKがまるきりうそを言ったとは言えない。私の質問の中に非常事態云々があったことが違っているぐらいの話だ。こういう問題が討論されるというならば、今後ひとつ十分われわれにその内容を明らかにするような方途を講じてもらいたい。
 次に、文部大臣にお尋ねをいたしますが、文部大臣は私学の振興については非常に重大な決意をされておるようでありますが、これについてはもう私は議論はし尽くされてしまったことだと思うのです。問題はどうやって解決するかということだけが残っていると、こう言ってよろしいと思うのです。で、重大なる決意を持っておられていることでありますから、ひとつこの際文部大臣の腹を割った話をしていただきたいと思うのです。私は私学振興の問題を論ずる場合には、経営の問題もやはりひとつ議論していただかなければならぬことは当然であるけれども、またそこの学生あるいは学生を出している父兄、こういうものの立場でもやはり考えていただきたいと思うのです。この二の考え方面がないというと、一体国立大学とのいろいろな問題の格差の問題が解決しない、こう考えておるわけでありますが、私は、二年間も何と言うのですか、私学の対策のいろいろな準備の段階があるようでありますが、いささか手ぬるいとさえ感じているのでありますが、この点について一体文部大臣は端的に言ってどういうことをやろうとするのか、私は私なりに意見を持っておるのでありますけれども。
○国務大臣(中村梅吉君) いま御指摘のあったような点ももちろんございますが、私学振興には問題点がたくさんあると思います。ただ、私どもとしましては、私学を振興するように国の力で助成をするのに、今日の時代は民主的な時代でございますから、つとめて学識経験者等の民主的に御研究をいただき、ことにまた私学の関係者がそれには参画していただい、そうして助成の是非というような根本論から始まって、助成が是であることは当然だと思うのですが、しからばどういう点が優先すべきか、あるいはするとして、それがどういう影響を及ぼすか、すべてにわたって私学振興調査会の研究を待ちましてその成果をできるだけ生かしていくようにつとめたい、かように存じております。
○小林武君 どうなんですか、私学振興の問題を議論する場合に、経費の問題にいきましたら、経常費をどうするかという問題が一番これは大きいのです。ここに踏み込むかどうかということが、私はもう最も重大なる問題点だと思います。ここへ手を出さないでおいて、いろいろな手立てを講じても、私はさっき言った学生の立場になって考えた場合、その父母の立場に立って考えた場合、問題の解決にはほど遠い、このように感ずるのですが、これについてのあなたのお考えはどうですか。
○国務大臣(中村梅吉君) 経営費とか経常費を国がどう補助するか、これは非常に根本論もあるだろうと思います。たとえば国民の税金の国費をもって私学の経営費まで補助をするとすれば、たとえそれがいいとしても、そうすると私学の自主的な性格等の問題も起こってきますから、私学関係の人たちにも五、六人か、四、五人は私学振興方策調査会に御参加いただいておりますが、こういう方々の御感覚も十分に述べていただいて根本的に掘り下げた上でないと、そういう経常費まで国の力で補助するのがいいか悪いかという問題は、私ども実は簡単には結論を申し上げかねる次第でございます。
○小林武君 そういう議論は、従来からも文部省の中で非常に根強いのです。そういうことを言っているうちは、端的に言えば私学問題はなかなか解決の道はつかぬ、私はこれはひとつ日本だけの問題ではありませんから、よその国のこともひとつお考えいただきたい。よその国では一体私学に対してどれくらいの支援を与えているか、日本がもしこれをやったら世界の中でたった一つの一体私学の援助策なのかどうか。私は、そうはあなたはおっしゃらないと思う。だからやはり私学の持っている特色なり建学の精神なりというものは、これはもちろんこわしてはならない。それは援助しても支配しないというような、こういうことはほかのほうでもやられておるわけでありますから、私は思い切って経常費の面に手をつけなければとにかく私学問題というものはなかなか解決つかない。私はその以前に、あなたのほうでさまざまの段階の手当てをして私学に対して考慮をいただくことはこれは非常に賛成でありますが、まずその問題に私は勇敢に取り組んでもらいたいという考え方があるわけでありますが、この点についてひとつ積極的な意見をお持ちであるかどうか。私は、新しい文部大臣でありますから、ひとつ意気込みのいいところをお見せいただきたいと思うわけであります。
 それから大蔵大臣にもひとつ御答弁をいただきたいのですが、金を出すほうがこれに出し渋りをやるというと、私学を援助をするというようなことは、これは成り立たないのでありますが、こういう点については、従来からの大蔵省の考えのようながんこなことをお考えになっておるのかどうか、ひとつ御意見を承りたい。
○国務大臣(中村梅吉君) 私としての考えを率直に申しますというと、私学が大いに発展し内容が充実するように、助成なり援助の道は講じたいと思いますが、援助するからといって、伝統ある私学あるいはそれぞれの特質を持っておる私学に対して、政府の行政力でコントロールすることは避けたい、こういう考えを持っております。ただ、そこでしからば、そういうコントロールまでには触れないということで助成をするとすれば、先ほど御指摘のように、仮定をして申しますと、私学の経営費まで助成するということになったら、一体会計検査というものは、国の行政機関あるいは関係公共機関は、会計検査院という検査機構がございますが、そういうようなことも全然無視しては、これは国民の税金を投入するわけですから、いけないことで、これらの点が非常に私は今後私学振興方策調査会として御研究を願い、十分に掘り下げて御研究をしていただきたい問題点の一つでございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 文部大臣とよく相談いたしまして、善処いたします。
○小林武君 それはもちろん、国の金を使ってそれがどこへ使われたかわからぬ。極端なことを言う方は、私学の経営の実態というのは実際わからぬといったようなことをおっしゃった文部大臣もいらっしゃる。だから私は、そういうものがうやむやになるなんていうようなことを、これは支配しないとか、統制しないとかいうことを意味してはいない。その点はまた別個の問題で、いろいろ良識ある態度が必要であると私は思うのです。しかし、何はともあれ、私学の経常費を支援する、補助するとかいうような、こういう考え方に立たないと、私学問題は解決しないと思いますので、こういう点でひとつ今後も御努力いただきたいと、このように考えるわけであります。当面御対策があるようでございますけれども、私学からもその点について率直な要望があるようでありますが、そういう点について、大体文部省としてはどういう態度をとっておいでになりましょうか。
○国務大臣(中村梅吉君) 私学関係からも助成策についていろいろ陳情等も申し入れもございますが、まだ実は文部省といたしましては予算編成の協議が十分に進行いたしておりません。実は国会終了次第、八月一ぱいまでには大蔵省へ概算要求をしなければならぬ次第でございますから、取りまとめてまいりたいと思いますが、まだその検討に入っておりませんので、どこをさしあたりどうするかということについては、いまの段階では申しかねる次第であります。
○小林武君 それでは賃金の問題について人事院総裁にお尋ねをいたしますが、勧告はいつやるつもりですか。
○政府委員(佐藤達夫君) 目下極力作業を続けております。今明日はちょっと無理かもしれませんが、今週一ぱいにはお出しできるものと考えております。
○小林武君 今週中に勧告が出るといたしまして、実施は一体いつになるわけでございましょうか。
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもはここ数年来四月調査を基礎として較差を算出し、その較差を埋めるという趣旨から五月一日に実施をお願いしてまいっておるわけであります。ことしもその筋によって勧告を行なうつもりでおります。
○小林武君 いま人事院総裁からお話がございましたように、四月末の民間賃金実態調査の上に立って勧告されるわけでありますから、当然われわれの立場からいえば四月実施というのがたてまえだと思うわけでありますけれども、いままで五月の時点でこれが実施されたということがほとんどないわけでありますから、この点について十分ひとつ今度は、実現できるような人事院の特段のやはり配慮が必要だと思うわけであります。これについてはいかがでしょう。
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもの立場から申しますと、先ほど来申しました趣旨によってぜひとも五月一日に実施していただきませんと筋が通らない、こういう立場から例年その旨のお願いを強力に続けてまいっておるわけであります。ことしもその気持ちは全然捨てておりません。ぜひ五月一日実施にお願いしたい。国会におかれましても、十分その点をひとつ御理解いただいて、そのようになるようにこの席でお願いいたしたいと存じます。
○小林武君 そこでちょっと人事院総裁にお尋ねをいたしたいのですが、実施の時期等につきましては、ただいまたいへんわが意を得たような御答弁をいただきましたが、内容が明らかでございません。従来の例からいえば、ややともすると民間の賃金比較にだけとどまっておりまして、生計費を軽視しているのではないかと思われるところがあるわけであります。たとえば、毎勤統計四月末この九・三%の物価で九・九%上昇の実態に合わせたものを出すべきが当然であると考えられるわけでございますが、今度の内容についてはそれを反映しているものかどうか、この点についてお答えを願いたいと思います。
○政府委員(佐藤達夫君) 従来、先ほど申しました官民の較差というものを基礎にいたしましてその上に勧告を申し上げているわけであります。しかしながら、その際におきましても、御承知のように、たとえば初任給をきめます際には標準生計費というものを算定いたしましてささえにしてまいっておるわけであります。その他の点においても生計費なり物価なりについては考慮を払いながら俸給表を作定してまいったわけでございまして、今回においても特にその辺については十分留意をして御勧告を申し上げたいと思っているわけであります。
○小林武君 もう一点お尋ねをいたしたいのでありますけれども、そうするというと、大体総裁の御答弁の上から、いわゆる春闘相場が今度の場合には反映されている。すなわち春闘の積み残し分を具体的に反映さしていく、またどう反映さしたかというようなことについてひとつ御答弁をお願いいたします。
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもの根本の立場から申しますというと、一年一回の調査、一年一回の勧告ということになりますので、その調査時期をずれました変動というものは実は入ってこない。これは当然のことだと思います。従来はそれでずっと徹してまいりました。ところが、いまお話に出ましたように、ことしは相当その辺の事情の変化がありまして、われわれはやはり実態をとらえるという立場からいいますというと、必ずしも従来方式だけで貫き得るかどうかという点に大きな問題を控えておるわけであります。したがいまして、それらの特殊の事情というものは当面の問題としてはある程度勘案いたしませんと、結果において非常に不合理な結果になるのじゃないかということをおそれながら、目下その辺の立場に立って作業を進めておるわけでございます。しかしながら、これは大きな目で見ますると、結局調査時期が悪いということになりそうな問題でありまして、あるいはいままでの四月調査というものがどうであるかという反省にもこれはつながりますけれども、ことしはとにかくことしとして当面の事態に一応対処する考えで臨んでおるわけであります。
○小林武君 給与担当大臣にお尋ねいたしますが、人事院勧告は、もう言うまでもなく、公務員のスト権、団結権にかわる代償措置でありますから、これを受けた政府は完全実施をすべきであると考えますが、御意見はいかがでございましょう。
○国務大臣(安井謙君) 私どもといたしましては、勧告の精神を十分尊重してその実現を期したいと思っている次第でございます。
○小林武君 尊重と完全実施とは全く同じでございますか。
○国務大臣(安井謙君) 財政その他の都合もあることと存じますが、私どもは完全実施を目標に十分の努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
○小林武君 ひとつ、やっぱり、給与担当大臣にこの際お考えをいただきたい。なお、給与担当大臣は今度のILOの問題ではいろいろと重要なお立場をまた占められておるわけでありますから、そういう点を考慮いたしますというと、いわゆるこの労働者のスト権、団結権にかわる代償措置であるという場合に、民間においては団体交渉をやって、交渉の結果出たものは、これはもう値切るわけにいかぬのです、両者の合意になった場合に。私は、人事院の結論というものは、いわば団体交渉によって生まれたこれは両者の妥結の結論だと思います。それを値切るなんというような考え方をもって政府が臨むということは、私は、これはもう労働政策としてはどうも納得がいかぬのであります。従来もずいぶんそういう例が――そういう例ばかりであります。この際ひとつ、安井給与担当大臣は、前の悪例をここらで一掃していただいて、完全実施ということにひとつ踏み切っていただきたいと思いますが、御決意はいかがでございましょうか。
○国務大臣(安井謙君) 公務員が、団体交渉、ストライキ権がなくて、第三者機関である人事院の勧告に従って給与がきめられるべきである、この御説に対しましては、私どもも全く同感でございます。したがいまして、御趣旨につきましては私どもは極力その実現をはかるわけでございます。ただ、いままでの経過等も、御承知のとおり、財政的その他の事情によって万やむを得ないという場合がいままでもあったのかと思いますが、私ども、まだ勧告が出ておりませんし、いま具体的にどうというわけにもまいりませんが、いまのお話の御趣旨は私ども全面的に賛成で、その方向で努力をいたすつもりでおります。
○小林武君 私は給与担当大臣にいやみを言うわけではございませんけれども、一体、国家公務員が五回にわたって実施時期を値切られて金額でどのくらい損をしたか、御存じでありますか。
○国務大臣(安井謙君) これは、地方公務員、国その他の関係もありましょうが、まあ五回で――一回値切ると国で大体百億以内のものじゃなかろうかと思います、月に。これはまあ大蔵大臣のほうが御専門で、私はよくわかりませんが、大体一カ月にしましてまあ百億までにはならぬ命であろうと思います。
○小林武君 時間も考慮しなきゃなりませんから、私のほうから申し上げると、国家公務員だけでも百億、五回で四百億以上五百億ぐらいのところは損をしておる。これを労働者に一体転嫁していいものなのかどうか。おまけに、損をさしておいて団結権や団体交渉権を取るなんて、こういうやり方で、私は、あんまり労働者に対して大きな口をきける立場ではないと思うんです。この点はこの際ひとつ十分お考えを願いたいわけであります。先ほども申し上げましたが、ILO八十七号批准に伴って公務員制度の審議会の発足もなされるわけでありますから、どうぞひとつ、十分この点をお考えになって、御努力をお願いいたしたいと思います。
 自治大臣にお尋ねいたしますが、地方公務員は国家公務員に準ずるという、こういうことですが、勧告実施について大臣がよほどの英断をお持ちいただかないというと、この問題もなかなかたいへんなのでありますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(永山忠則君) 国教公務員に準じてやりたいと存じます。
○小林武君 そういうことは何べんも聞いたのでありますけれども、なかなか実質が伴わない。先ほども申し上げたように、国家公務員も五百億ほどの損をさせられた、こういうわけであります。地方公務員の場合におきましてもなかなかこれはうまくいかない。財源措置をやってくれるのでなかったら、何が出ようがわれわれは知ったことではございませんというのが地方自治体の中には相当ある。でありますから、自治大臣が国家公務員に準ずるようなことをとにかくやりますとおっしゃいますならば、それらについて十分の手当てをしていただくということが必要なわけであります。そういうことで、こちらのほうは理解してよろしいですか。
○国務大臣(永山忠則君) 財源処置に対しましても、地方関係団体と相談して最善を尺くしたいと存じます。
○小林武君 大蔵大臣にお尋ねいたします。
 四十七臨時国会においては、人事院勧告の完全実施に必要な財政措置を講ずるべきであるという附帯決議が出たのでありますが、いままでの大臣のいろいろな御意見承っておると、今度こそはというような、こういうお考えでございますが、何と言っても、最後のところは大蔵大臣の決断いかんにかかっているわけでありますが、この点はどうでしょう。完全実施を大蔵大臣は保証したと考えてよろしいですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 人事院の勧告が公務員給与決定上非常に重大な意味を持つことは私もよく承知しております。まあ、勧告が出ましたならば、それをよく検討していくことはもちろんでありますが、まあ経済、財政の事情を総合的に勘案いたしまして、誠心誠意努力してみたいと、かように考えます。
○小林武君 誠心誠意はもうだいぶ聞かされたのであります。誠心誠意は、金が出てこないというと誠心誠意にならない。先ほどから申し上げておるように、五回やられて五百億の損失を――国家公務員だけでですよ――これは地方公務員のはね返りを考えるともっと上だと思います。そうなりますというと、これはやはり誠心誠意というような空手形のようなことになったことばの上だけのあれでは困る。したがって、今回に関する限り大蔵大臣は英断をもってやるというような、ひとつそういうお考えを持っていただきたい、どうでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) いままでの実施の時期につきましては、十月で長い間実施したり、また、昨年は九月でやってきましたり、まあ、いままででも時期については人事院勧告の要請にこたえ得なかったわけであります。ことしは、御承知のとおり、非常な財政難局なときであります。私も非常に苦慮しておるわけでありますが、そういう状況ではありますが、誠心誠意努力をしてみたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
○小林武君 たいへんしつこいようでありますけれども、私はやはり政府と国家公務員、地方公務員との関係というものの間においてよい労働慣行をつくるということは、これは能率の上から見ても、その他の点からながめても、これはきわめて重大なことです。そのことのためには、少なくとも最も基本になる賃金の問題について、現在の制度の中においては人事院勧告というものが完全にやはり実施されるということを保障されるような態勢ができない場合においては、私はこれはから念仏になってしまうと思う。これはひとつ大蔵大臣にとくとお考えを願いたいのです。これを考えないでやるということになりますと、皆さんもあまり好まないだろうし、どちらも好まないような事態が起こってくるわけでありますから、どうぞひとつ今度の場合においてはかなりの決意を持ってやっていただきたいということを強く要望いたす次第でございます。この点はどうでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 誠心誠意努力したい、かように御了承願います。
○小林武君 誠心誠意ということは、われわれの解釈からいえば、うそを言わぬということです。政治家は、ただし割引きがあるということなら、これはまた別でありますけれども、これはそういう意味ではなくて、大蔵大臣が責任を持って誠心誠意おやりになるということでありますから、私はこれは今回に限り心配ないものと考えてひとつ了承をいたしましょう。それでは私の質問はこれで終ります。
○委員長(平島敏夫君) 小林君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(平島敏夫君) 次に稲葉誠一君。
○稲葉誠一君 最初に、日米航空協定がいま問題になっておるわけですが、どういう点が問題点なのか、その点ちょっとお答え願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) かねてこの日米航空問題は両国の懸案の重要な一事項として扱われてまいりましたが、昨年の秋以来しばらく交渉を停止して今日に及んだのであります。先般の合同委員会の際、本格的に来たる八月十日から東京においてこの交渉を再開するという合意に達しまして、昨日からその会議を開いておるのであります。それで、ただいまの交渉が現に行なわれておることでもございまして、詳細な点に触れることはこの際としては避けたいと思いますが、わがほうとしては、かねての国民多数の念願であるニューヨーク以遠の乗り入れ権を獲得して世界一周路線を確立するという問題をはじめとして、わがほうの諸般の要求の貫徹に努力いたしまして、あくまで公正妥当な線で改定交渉を妥結させたい、さような方針のもとに今後とも努力するつもりであります。
○稲葉誠一君 これは日本にとって不平等なものであるということを外務大臣は認められるわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) きわめて均衡を失しておるということは認めます。
○稲葉誠一君 そうすると、この航空協定が廃棄になってもやむを得ないからということで、日本側の主張を押し通すという態度を堅持されるわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 廃棄、廃棄ということばをしばしば用いると、かえって効力がないように思われますので、あまりそう、これは最後の腹ですから、その腹は十分に固めて、わがほうの要求貫徹につとめたいと、こう考えております。
○稲葉誠一君 九月に国連の総会が開かれるわけですが、ここでは一体どういうような問題が問題になる、こういうふうにお考えになっておられますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) さしあたり財政の問題から――第十九回の国連総会は、ほとんど肝心な段階に来てストップして、そのまま今回に及んでおるのでございます。これも正常化に努力するということが一つの問題でございまして、現にわがほうの代表もこの問題についていろいろ努力しております。
 それから、国連の平和維持活動の強化に協力する。この問題は依然としてやはり最も重要な問題であると思われますので、ちょうど三十数カ国によって構成されたこの問題に関する特別委員会、それのメンバーにも日本はなっております。この平和維持活動の強化という問題に大いに協力するつもりでございます。
 それから、今回国連憲章の改正によりまして安保理事会の構成メンバーがふえました。アジアに一つのいすがふえたわけでございますが、日本といたしましては、卒先して立候補を宣言いたし、ほぼその当選が確保されるのではないかという現状でございますが、なお、この問題について大いに努力をいたしたいと思います。
 最後には、軍縮問題、これはただいま十八カ国から成る軍縮委員会がジュネーブにおいて開催中でございますが、この十八カ国の委員会の結論なるものが、いずれそのうち固まりまして、それが来たるべき二十回の国連総会に報告されるはずであります。その内容はほぼ核拡散防止協定あるいはまた核実験の全面停止といったような問題が最も重要な問題として取り扱われておるようで、ありますが、これらに関する結論が一応出くることが予想されております。国連の場においてこれを受けて、そしていずれその決議の趣旨に沿うた行動がとられるはずでございますが、日本といたしましては、この問題に大いに協力をしたい、こう考えております。
 おもなる問題はさしあたり以上四点であろうかと考えております。
○稲葉誠一君 ベトナムの問題あるいは中国代表権の問題が今度の国連で論議されるということについては考えておられないんですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) はっきりした議題として出てくるのは中国の代表権問題かと思います。これ、いずれ特定の国から提案されることになると思うのでありますが、これに関するわがほうの方針としては別に変わりございませんが、一般の情勢は多少前回と異なったものが出てくるのではないか、まだはっきりと申し上げる段階ではございませんが、そう思っております。
 ベトナムの問題は、どういう形で取り上げられるか、話題には一応のぼるだろうと思いますが、議題として出てくるという可能性は私は少ないのではないか、こう考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、ベトナムの問題というか、それを話し合いで解決をしろというようなことを日本が積極的に国連の場で提唱するという考えはないわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まだその段階には至っていないと考えております。
○稲葉誠一君 六月十一日の国連の軍縮委員会が、中国を含む全世界各国軍縮会議の開催を第二十回国連総会の緊急議題とするという決議を出したわけですが、これに対して日本はどういう態度をとったわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国連の軍縮十八カ国じゃなくて、国連自体の軍縮委員会において提案されましたが、日本はこれに賛成をいたしました。
○稲葉誠一君 それは中国を入れて各国の軍縮会議を開け、こういうものですか、そうではないのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) その点は必ずしも明確ではございませんが、提案の趣旨はそういうことをも含めるという精神である、こう解釈される次第であります。
○稲葉誠一君 そうするとですね、中国を含めた世界軍縮委員会の開催を次の総会の緊急議題とするという決議に日本は賛成をしておる。そうなってくると、それが総会の議題として取り上げられた場合に、当然賛成の態度をとるわけですか。それでないというと理論的に合わないと思うのですがね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) もちろんさようであります。でありますから、その際中国が国連に加盟するとしないとを問わず、とにかく世界のすべての国の軍縮会議というものを提唱して、それに日本は賛成する、こういう趣旨でございまして、加盟問題とは一応切り離して考えるわけであります。
○稲葉誠一君 いま中国の問題が出ましたので、これは通産大臣がおられるので、中国貿易の拡大についてその見通し、こういうものについて通産大臣の抱負というか、そうしたものを承わりたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 日中貿易は昨年度往復で三億二千万ドルぐらいのものでした。これが次第に伸びておりますから、四億ドルには今年は達するでありましょう。まあ、傾向として日中貿易は次第に拡大されていっておる方向である、こういうふうに考えております。
○稲葉誠一君 拡大される方向ではなくて、拡大する意図をもってその方向に進むのかということをひとつ承りたいわけです。
○国務大臣(三木武夫君) 輸出貿易、輸入も伴いますが、貿易の拡大ということは、これは中共の基本的なイデオロギーのいかんを問わず、貿易は拡大をしていきたいというのが基本方針でありますから、中共もソ連もその例外ではないということでございます。
○稲葉誠一君 いま、日本と中国との貿易を進める上に、何か障害となっておるものが日本国内にあるのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 国交が未回復である。したがって、政府間の貿易支払い協定が結ばれていない。民間の協定をごらんになっても、友好商社とか、非常にややっこしい貿易の関係になっておる。これはやはり貿易の障害であることは事実であります。
○稲葉誠一君 そうすると、こんなことを聞くのはちょっとおかしいのですけれども、過般言われておる吉田書簡とかなんとか、そういうものは別に日中の貿易に対して障害とはなっていない、こう承ってよろしいわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 国交未回復であるということからくる障害である、こういうふうに御解釈を願いたいのであります。
○稲葉誠一君 輸銀の使用問題について、これは政府の中で統一見解が確立していないのですか、あるいは確立しておるのですか。確立しておるとすれば、どういう意見が確立をしておるわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 政府の見解は確立をしております。それは、具体的な問題ごとに、自主的に輸銀を使うか使わぬかということは判断をする。これは国内問題である。他国の干渉をいれるものではなくして、純然たる国内問題として輸銀を使うか使わないかを処理したいというのが政府の一致した見解でございます。
○稲葉誠一君 しかし、その中国への長期輸出信明の供与と、こういうことに対してはアメリカは非常に反対をしているということが伝えられているのですが、それは事実ですか。
○国務大臣(三木武夫君) アメリカはいろいろな場合に日本に対する内政干渉のごときは避けたいという態度でございますから、日本が共産圏に対しての国際的な慣行に従った延べ払いなどに対して、アメリカに干渉を受けたこともないし、また、アメリカが干渉するという意図は私は持っていないことを信じます。
○藤田進君 関連して。しばしば三木通産大臣のいろいろな所見は伺っているところですが、ことに中国問題についてはかつて三木・松村といったような印象が非常に深いのですけれども、いま御発言になりました共産貿易を含めて積極的にそれの拡大に努力をしたいということのあらわれかと思われる点でお尋ぬをいたしたいのですが、いま稲葉委員の言及されました輸銀の問題であります。これは大きくニュース・バリューをもって伝えられたゆえんのものは、ことしの三月の当院本予算委員会において、当初、官房長官は、こんなものは関知しないと。しかし、翌日になって佐藤総理から、たとえ個人のものであっても吉田さんのそれは政府としては拘束を受けるという趣旨の発言があり、御承知の日立貨物船等、これが破棄されたいきさつがあるわけであります。ところが、三木さんは、拘束を受けない、私信であって拘束を受けないということであり、このことは総理も再確認をされて、初めてここにあたかも輸銀融資をこの際するかのような印象を与えたわけであります。したがって、これが関係者にとっては相当な期待を持ってきたわけですが、その点について自主的に判断をする、それは当然のことでしょうが、しからばこの輸銀融資について今後のプラント輸出その他を含めて通産大臣としてはどうお考え、これが実施について自主的に判断する際の、従来のいきさつは省略いたしますが、今度はこれを適用していきたいと。従来櫻内通産大臣もこのことはずいぶん骨を折ったことは私も認めます。しかし、閣内で一致しなかったわけですが、今度はかなり有力通産相とされてどうであろうか。
 それから第二の点は、外遊というか、方々へ行かれまして、今度もそれぞれの首悩部と会われたわけですが、フランスは御承知のように中共承認をやってのけたし、イギリスかってしかりという世界の事情等から見て、この際積極的にわが国の不況の現状、したがって輸出の振興、拡大といったようなもの等から見ても、その他の平和問題その他ありましょうが、当面所管事項だけ見ても、国交そのものが輸出貿易について大きな障害ということを是認していま発言された以上、この壁をひとつ取り除くように努力されるおつもりがあるのかないのか、この点をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 中共貿易について輸銀を使うか使わないかと、こういうことは、やはりこの場合は具体的な問題ごとに判断するとお答えするよりほかにはない。私は、プラントの中国向け輸出に対して輸銀を絶対に使わぬのだということは、これは筋道が立たないのじゃないか、しかし、中共のプラント輸出に対しては、いつも輸銀を使わんならぬというものでもないし、結局はやはり問題ごとに日本が判断をするというお答えをする以外にこの場合はお答えを申し上げることはできない、こう思うのでございます。
 第二の、これは不況対策というだけでなくて、中共は隣国でもあるし、地理的にも歴史的にも関係が深いのであります。日本はこれは接触なしに生きていくわけにはいかぬ。そういう意味で、日中の関係を改善をするということは大きな外交の方向だと私は思いますが、しかし、御承知のように、いま壁といっても、いろいろ日中の関係を改善するためにはいろいろな障害がある。これは日本ばかりの責任ではない。中国自体の現在の環境というものがなかなかその壁を打ち破れないものもあるのだ、こういうのですから、あまりせっかちに一刀両断のもとに日中関係の壁を破ることはできない。やはり時間をかけるよりほかにはない。その間、いろいろな貿易とか人間の交流を通じて関係を改善していく努力、国際問題でにわかに解決のできんときには時間をかけるということも問題解決の方法であると考えております。
○藤田進君 第一の点について端的にお飼いしますが、日立の貨物船あるいはニチボー・プラントの輸出の破棄といったようなこれまでの方針とはく今後変わったというふうに見ていいのか。具体的にプラント輸出等が出て、その際、輸銀融資をしたほうがいいということになれば、台湾その他が何と言おうともこれは輸出するということに方針は変わったと見てよいのか。
 それから第二の点は、非常に抽象的ですが、しからば、段階的積み重ね方式によって国交回復への目標を達成していきたい、そういう趣旨で人的交流その他いま指摘されたのであろうかどうであろうか。
○国務大臣(三木武夫君) いままでの日立ですか、御指摘になった問題は……。まあ契約を破棄されて、その限りにおいては問題は破棄されたので白紙になったのですから、こういう問題は、やはりそういう問題が具体化してきて判断をしないと、ただここで原則としてこうでございますと言うことは、この問題のお答えとしては私は適当でないと思います。(「具体化するためにそれが要件になっているのでしょう、前提になっている」と呼ぶ者あり)いま、一応、ああいう問題は破棄されて白紙の状態ですから、新たなる事態としてそういう問題が提起されたときに政府は自主的に判断をしたい、これをお答えするよりほかにない。いろいろなものに対してもこうだということを言い切ることは私は適当でない、こう思うのであります。
 第二番目は、これは永久に日中関係というものがいまのような状態でいいとはだれも思わないのです。しかし、障害があるわけですから、その障害が取り除かれるならば、日中の関係というものは正常な関係にいくべきことが当然であります。その間は、方向としては正常な外交関係を持つ。しかし、それには、いま藤田さんがお考えになってもたくさんな障害があるのですから、その障害が取り除かれていくという前提条件のもとに、方向として大きな将来の方向――それが五年になるか十年になるかはともかくとして、方向としては正常な外交関係を持つということが当然なことでございます。しかし、現在は障害があってそこまで日中関係を前進することはできないということが正直な日中関係の現状だと私は思います。
○稲葉誠一君 次の問題に移るわけですが、これは外務省当局にお尋ねするのですが、六月初めから南ベトナムヘ、民間機の形で、実際はアメリカ軍の輸送ということで、MATSのチャーター機ですか、これが非常に羽田を通じて行っておるということが伝えられておるのですが、これの真相というか、事実はどの程度のものなのか、お答えを願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 外務省のほうには一切さような情報は入っておりませんが、あるいは運輸省のほうで御存じなら……。ただいま運輸省のほうに連絡をとっております。(「外務省の条約局長おらぬのか」「条約局長、新聞に談話を発表しているじゃないか」「委員長、外務省の条約局長に答弁させろ」と呼ぶ者あり)
○政府委員(藤崎萬里君) 私もただいまの事実関係は承知しておりませんので、何も申し上げることはできません。
○亀田得治君 関連。条約局長がわざわざこの問題について「事前協議の対象にならない。」、こういう談話を発表しているじゃないですか。どうした。
○政府委員(藤崎萬里君) そういう談話を発表したことはございません。(笑声)
○亀田得治君 これは、局長の知らぬうちにたとえば局長のかわりにだれかが談話をかわって発表すると、そういうことがあるのですか、いままで。あるのじゃないの。きょうのこの新聞を見てください。全然ないことを、あなたの名前までちゃんと書いて、これらしいことをおっしゃっているわけでしょう。
○政府委員(藤崎萬里君) これは、事前協議の問題につきまして平素私がいろいろ従来から政府がとっております解釈について申したことを本件に関連して引用されておるのかもしれませんが、私は、先ほどから申し上げておりますように、本件に関連して何らかの談話を発表したという事実はございません。
○亀田得治君 先ほどの防衛庁の話みたいなもので、だんだん聞いておると、やはり知っておるわけなんです。民間機が米軍の輸送をしておる、こういう問題につきましては、外務省としては知っているわけでしょう。条約局長、まずそれから先にはっきりしてほしい。
○政府委員(藤崎萬里君) 私は、先ほど申し上げましたように、そういう事実が現にあるということは存じませんでした。
○亀田得治君 そういうことは普通考えられぬがね。だれか見解を求められる場合に、何かやはり問題があって、そのことについての見解というものを求めるわけですから、ただ単なる条約の解釈、こんなことは普通はない。現実の問題について条約の解釈を求めるわけです。アジア局長は少なくとも事実自体というものを知っているんだろうと思いますが、ちょっと……。
○稲葉誠一君 いま言った事実については、これはアジア局のおそらく管轄だと思うんですよ。アジア局長のほうでは知らないですか。
○政府委員(後宮虎郎君) 本省内ではこれはアメリカ局の安全保障課の所管になっているので、いま電話連絡いたしまして、すぐ係賞を呼び寄せているところであります。
○稲葉誠一君 アメリカ局はいいが、アジア局では知らないの。これはベトナムに関係するのじゃないのか。
○政府委員(後宮虎郎君) 現実に私まだ承知いたしておりませんでした。
○委員長(平島敏夫君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(平島敏夫君) 速記を起こして。
○稲葉誠一君 それでは、別のちょっと経済の問題で大蔵大臣にお伺いいたします。
 それは、国税が減収になるわけですが、それに伴って地方交付税の不足をどういうふうに措置をするのか、この点についてお尋ねしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 国税が減りますから、したがいまして地方交付税も減る理屈になるわけであります。しかし、本年度予定した額を交付税として繰り入れておきまして、そうして後日清算をする、こういうたてまえになっておるので、地方財政運営上は支障はない、かように御了承願います。
○稲葉誠一君 そうすると、あれですか、交付税特別会計の一時借り入れでまかなわせるというのとは違うのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは違います。予算にきめられたとおりに実行されると、そういうふうに御了承いただきます。
○稲葉誠一君 それによって将来地方交付税が次年度において繰り入れられたからといって減らされるということはないわけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) それは、そういう事態が起こってくるわけであります。
○稲葉誠一君 その起こってきたときに具体的にどうするのかと、こういうことと、それから三つの税に結びつけていまの制度ができているわけですね。そうすると、三税がどんどん減収になってくるわけですね、大体。そうなってくると、地方交付税はどんどん減ってくるということになるでしょう、計算上は。そうすると、地方財政というものは、非常に何といいますか窮迫してくることになるわけですね。それに対してどういう対策をとられるわけですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 今年度のところは、その関係での支障は起こらないわけです。後日は中央、地方を通じましていろいろと財政措置を講じなければならぬわけでありますので、そのときに考えると、かように御了承願います。
○木村禧八郎君 ちょっと関連。これまで、三税が増収になった場合ですね、これはやはりあとで調整して、その増収になった分に対して二八・九%ですか、それをまた交付するのでしょう。ですから、減った場合に、これは減るのはあたりまえでしょう。それを支障がないというのはおかしいと思う。財政法で所得税と法人税と酒税のこのパーセンテージがちゃんときまっているわけですから、ですから、それが変わらないというのは財政法上おかしいと思うんです。増収になった場合、これはよけい次年度では調整するんですよね。だから、減る場合には減るでしょう。ですから、財政法上はどういうふうになるのか、それが変わらないというのはおかしいと思うのです。もちろん、減れば、地方財政は困るから、その措置をしなければならぬと思いますが、その財政法上支障がないというのは私はおかしいと思う。
○国務大臣(福田赳夫君) 財政法によってきめられた額が、これが予算化されておるわけです。その予算化されておるものがそのまま実行されるわけであります。したがいまして、今年度におきまして、国のほうで法人税の減少があるという際におきましては、減少がありましても予算にきめられた額が執行されると、こういうたてまえになっております。
○木村禧八郎君 もう一点、簡単ですから。
○委員長(平島敏夫君) 簡単にお願いします。
○木村禧八郎君 じゃ、なぜ地財法でそういう率というものをきめるのかですね。それでは、ふえるときはどうなんですか。ふえたときは、あとで増収になれば、増収分はやはりあとで追加するわけでしょう。ですから、私は制度上それはおかしいと思うんですよ。あとでいろんな予算措置をすることはわかりますけれども、三税の何%ということがきまっているから、その三税が減れば当然減るのがあたりまえで、三税がふえればまたふえて予算措置をしているのですから、当初予算に組んで、当初予算の税収見積もりをもとにしているんですよ。ところが、当初予算税収見積もりが減ってくれば、これは当然減ってくるのはあたりまえじゃないですか。その点、どうも説明がよくわからない。
○国務大臣(福田赳夫君) その法律上の関係は、主計局長がお話しします。
○政府委員(谷村裕君) 法規の関係にわたりますので、御説明を申し上げたいと思います。交付税法の考え方によりますと、御指摘のとおり、法人税、所得税、酒税、それぞれの収入見込み額の二九、何%というものを交付税として交付することにいたしておりまして、その関係をどう増減がありました際に調整するかということは、これは通例でありますと大体ふえるほうでございますので、それで補正をいたしまして、三税の増収を立てました際は、その際に増額をその率に従っていたしております。これは御承知のとおりであります。そして、さらに税収が予定以上にあがって決算上出ました際には、それを翌翌年度までにまた交付することにいたしまして、その次年度以降において交付税を出すときに調整する。しかし、また税収が減ってしまったような場合にはどうであったか。この場合には、次年度以降において交付する交付税交付金のうちからそれを差し引くということをやってまいりました。御指摘の点は、今回補正によって三税の減を立てるという事態が起こりましたときに、当初見込み額が変更に相なる。変更になるから、したがって、当初組んでおりました交付税交付金の額も減らすべきであるか、それともそれを減らさないで当初予算どおりにそのほうはみておいて後日において清算すべきであるか、こういう問題で、初めての事例でございます。そこで、私どもは、率直に申しますと、この辺の扱いについては、法律上当然三税の収入見込み額を変えるのであるから、減すべきであるという考え方も一つ出てまいります。それからもう一つの考え方としては、三税の当初の見込み額をそのままに交付税の交付額としておいて、後日に税のほうの、税収見込みのほうの補正はいたしますが、交付税のほうの交付金それ自身の額は変えないということができるのかどうか、そういう点について目下正直に申し上げますとまだ検討しておるところでございますが、大臣に対する私どもの説明が必ずしも十分でなかったと思いますので、この点に関してはもう少し時間をかしていただきたいと存じます。
○木村禧八郎君 地方財政にとって重大なんですよ。
○稲葉誠一君 そうすると、いずれにしても、国税が減収になっても、交付税その他について地方自治体に迷惑をかけるようなことはしない、こういうように承ってよろしいわけですね。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま主計局長からお話がありましたように、当年度において清算しちゃうか、あるいは後日清算するか、こういう二つの道が残されておるのでありまするが、当年度においてこれを清算しょうといたしましても、これはなかなか無理じゃないか、こういう感じを持っております。そういう感じを卒直に申し上げたわけなんですが、これは法制上の問題でありますから、なおよく検討さしていただきます。
○羽生三七君 簡単に、いまの問題と関連して、公債を発行した場合、市中消化がなかなか困難といわれるような現状で、国債との関係で地方債が圧迫されて地方財政が困難になってくることはないですか。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのお話につきましては、過日も申し上げたのですが、公債を発行する場合におきましては、資金の配分と申しますか、貯蓄が一体どういうふうに配分されているかということをよく見きわめて、公債を発行いたしましても地方債や社債やそういう方面に支障がない、適正に配分が行なわれるという方向できめていきたいと思います。
○稲葉誠一君 日韓の問題に入るのですが、まず最初に聞きたいのは、日本と韓国とで基本条約その他で解釈で一体食い違いであるのかないのか、これから承っておきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) しばしばお答えしておるとおり、合意された条約の成文につきましては、一字一句すべて完全に両国の責任ある当事者間において合意されておるので、その点については一点の疑いもないはずでございます。ただ、それをどういうふうに解釈するか、解釈のしよう仕方について必ずしも成文の正確なる意味を伝えておらないやに新聞等で承知するのでございますが、これは解釈の問題で、また、韓国国内において行なわれている問題でございますし、まだ有効に条約が成立した段階でもございませんので、これに介入することはいがかと、こう思います。成文の解釈としては、あるいは交換公文、合意議事録、そういったような付属文書もございまして、それらとにらみ合わせてそうして当然妥当な解釈がそこに生まれてくるのであります。われわれはその一点をかたく守っていきたい、こう考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、あなたが条約の文章なりなんなりで確認したものと、韓国の政府が韓国の国会なりその他公文書等で発表しておるものと違いがあるのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 条約の解釈は、テキスト、あるいは交換公文、合意議事録、そういったようなものによって解釈されるものとわれわれは考えております。もし両者の解釈に食い違いがあってそして国の利益が阻害されるというような場合におきましては、その解釈上の違いを調整するための新しい手段がとられるものと考えております。
○稲葉誠一君 そうすると、いままで外務省が資料を出したですね。それをいただいたでしょう。それによって、たとえば、韓国の管轄権の問題、あるいは李ラインの問題、あるいは竹島の問題、その他いろいろ言っていますね。それが日本のあなたが言っていることと同じことなんだと、韓国の国会で言っていることもあなたがここで言っていることもちっとも違わないんだと、こういうように承っていいのですか。それならばそういうふうにずっと質問していきますし、違うなら違うという形で質問していきますが……。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まだ権威のある文章を入手しておりませんが、どうも違っておるように考えられます。
○稲葉誠一君 それじゃ、一九四八年十二月十二日の決議百九十五の(III)、これをいつも引用されるわけですが、これができた経緯ですね、これをひとつ詳細に御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 国連総会決議百九十五の(III)、これはいまお話しのとおり、一九四八年の十二月十二日に採択されまして、朝鮮人民の大部分が居住する部分に対して有効な支配と管轄権を及ぼす政府が設立されたこと、その次に、この政府は国連監視下に行なわれた自由選挙に基づくものであること、第三に、この政府が朝鮮における唯一のこの種の政府であることをうたった後に、関係諸国がこの政府と関係を樹立するにあたってはこのことを考慮に入れるべきであるということを勧告すると、こういう趣旨の決議でございます。それで、日韓基本条約第三条におきましてこの国連決議百九十五の(III)を明示いたしまして、そして、韓国政府がこういうものである、その管轄権も具体的にこういう政府の管轄権であるということを確認しておるのでございます。したがって、これと違ったもし解釈をしているとすれば、それは条約の成文の正しい解釈ではないのではないかと私は考えております。
○稲葉誠一君 あなたのは国連総会の決議を読んだのでしょう。決議を読んでくれとぼくは言っているのじゃないですよ。その決議が出てきた経緯を聞いているのですよ。それが重大でしょう。この場合にはどういうわけでこの決議が出てきたのか、その経緯ですよ。臨時委員会というものはまず何か、そこら辺から説明してくれませんか。
○政府委員(藤崎萬里君) 朝鮮問題につきましては、米ソ間で終戦直後から交渉を重ねておりましたけれども、一向合意に達し得ませんでしたので、アメリカが一九四七年に国連総会に問題を提起しました。四七年には国連総会では、全朝鮮の選挙を行なう、これを監察するために、いま仰せのように、臨時朝鮮委員会というのを設けてこれが監察するということを決議したわけでございますが、これがいよいよ現地に行きましたら、北鮮側はそれが入ることを拒絶しました。そこで、やむを得ず一九四八年になりまして、この臨時朝鮮委員会が入れるところだけで自由選挙を行なうという新たな決議を国連でいたしました。この決議に基づいて、いまの南鮮部分だけの選挙が行なわれて、そして大韓民国政府が樹立されたるわけで、その大韓民国政府が樹立された後に、同じ年に例の国連総会決議でこの大韓民国政府は、国連の方針にのっとってできたものだから、今後、諸外国がこれと外交関係を持つ場合には、このことを念頭に入れるようにという勧告の決議ができたわけでございます。
○稲葉誠一君 臨時委員会が監察し協議し得た地域、これはどこですか。いま説明を聞いたですけれども、もう一ぺん答えてください。念を押しておきます。
○政府委員(藤崎萬里君) この決議では、朝鮮人の大部分が居住している地域というぐあいに表現しておりますが、もっと具体的に言えば、そのときは三十八度線以南でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、朝鮮人民の大多数が居住している朝鮮の部分、こういうようなことは三十八度線以南の南鮮地域のことに限られておると、こう当然承ってよろしいわけですね。そこに政府ができておると、こういう認定であると、こう承ってよろしいわけですな。
○政府委員(藤崎萬里君) そのとおりでございます。
○藤田進君 大臣もそうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 条約局長からお答えしたとおりであります。
○稲葉誠一君 そうすると、もう一つお聞きするのは、国連は、一体、国家だとか、政府だとかを承認する権限というものを持っているんですか。どうですか、外務大臣。
○政府委員(藤崎萬里君) 国際連合は国家と国家の間で行なわれる国家の承認とかいう行為をすることにはなっておりません。
○稲葉誠一君 そうすると、資料としていただいた韓日会談白書、韓国政府から出たもの。これによると、「大韓民国の領土は憲法第三条に明示されているごとく、韓半島全域と付属島嶼で、これが日本との関係において韓日間の基本関係条約のために制約されることもないことは明白である。」と、こういうふうにはっきり言っていますね。これとの関係は一体どうなるのですか。
○政府委員(藤崎萬里君) この国連決議には大韓民国の領土という観念は用いられておらないのでございます。私、その白書のことに直接批判するのはいかがかと思いますが、とにかく国連決議に関する限りは、私が申し上げたとおりでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、緯国側がいっておる、あるいはここでいう管轄権、管轄権ということばを使いますね、これは一体どういうものなんですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 決議では有効な支配と管轄権という表現になっておりますが、これは現実に施政を行なっておる、そういう何といいますか、単にどういう意見があるとか、主張をしておるというような関係じゃなくて、現実に施政を行なっておる、有効な支配が行なわれているという関係を表現することばだろうと存じます。
○稲葉誠一君 そうすると、国連の決議なり、あるいは今度の日韓の基本条約、これでは韓国の主権の問題には全然触れてないわけですね。
○政府委員(藤崎萬里君) 国連決議をそのまま引用して、その趣旨にのっとってやるということでございます。国連決議はその主権とか領土権とかいうようなことには触れておりませんので、したがって、この条約でもその点には触れておらないということになります。
○藤田進君 委員長、ちょっと。それは条約局長は衝に当たられたわけで、朝鮮の人というのはそんなにうそを言う人じゃないといままで私ども思っておったのだが、管轄権については全韓半島と書いてあるのですよ、韓日白書等を見ても。交渉の最終的に煮詰まった段階において少なくともそういった官轄――三十八度線の北も一緒だと言っておるのですね。もうみんな韓半島は全部。したがって、北朝鮮との日本の接触はあり得ないのだという、そういうことについて、あなたのいまの答弁は全く韓国の言っておるのがうそのように聞こえる。そういう念押しはしてあるのですか、ないのですか。これだけじゃない。きのうのT総理の答弁を見ると、竹島には当然専官水域が伴うのだ、これはたいへんなことじゃないですか。そういうことについて逐一ちゃんとお互いに煮詰めて、そうして調印というものがなされたものじゃないのですか、どうなんですか。こんな誤解というか、かってな解釈があまりにも基本的な問題でできるような、そういうあいまいなうちに、つい唐突の間に調印してしまった。そういうものなんですか、どうなんですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 私は交渉に直接参画いたしておりませんが、いずれにいたしましても、交渉の経緯についてここで直接言及することはいかがかと思いますが、とにかくできた文言についてごらんになっていただけば、私が申し上げていることが条約の正しい解釈であるということは御理解いただけるかと思います。
○藤田進君 立会っておる椎名さん、念押ししなかったんですか。あなたほどの方がそんなことをやっている。どうだったんですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは十分に両当局の間で責任を持って討議して合意した問題でありまして、これの解釈はいま条約局長から申し上げたとおりでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、外務省がくれた「資料25」というのがあるでしょう、これは韓国の外務部のアジア局長、この「基本条約とはなにか」というところで、「したがって、われわれと基本条約を締結した以上今後日本は、北朝鮮と外交関係を樹立できるとか、領事関係を樹立できるとかいった道は完全に封鎖されている。」、こういうことは何かこれは勘違いか何かですな。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 条約の解釈の問題ですから条約局長から申し上げます。
○政府委員(藤崎萬里君) 日本が今度外交関係を樹立するにつきましては、国連決議の趣旨にのっとってやるわけでございまして、現在、世界の数十カ国が大韓民国と外交関係を持っておりますが、これと全く同じベースに日本は今後立つことになるわけでございます。北鮮の問題についてはこの条約では全然触れておらないのでございます。いまのそのほかのほうとの、政権との関係を樹立することについての問題は、ほかの分裂国家の場合と同じでございまして、それぞれの政府が全体の、自分が政府であるというたてまえをとっておると、両方と国交を持つわけにはいかないというのは、これはどこでも共通の、世界各国同じことでございます。唯一の例外は、ドイツとソ連の間にあるわけでございます。これはソ連が東ドイツと外交関係を持っておる上に、なお一万数千人の捕虜をソ連から引き取るという政治的な理由がありましたので、西独が東独と並んで、ソ連と外交関係を持つことをがえんじたので、これが唯一の例外で、一般にそういうことは行なわれない。これは今度基本条約というものを結ぶ結果じゃないわけでございます。
○稲葉誠一君 私の聞いているのは、あなた、いろいろ言われたのはわかりますが、私が言った、いま読んだところは、韓国はこう言っておるけれども、日本側としては、それは承服しがたいところなんだと、韓国側が何か感違いか何かして――ぼくはわざと感違いということばを使ったのですよ。相当考えて使ったわけですよ。しているんじゃないかと、こう言ったら、すなおにそれに答えたらどうですか。
○政府委員(藤崎萬里君) その韓国側の言っていることと離れまして、とにかく第三条の結果として、そういうことになるだんという解釈論でございましたら、その解釈は間違っておるということでございます。
○稲葉誠一君 その次の一九五〇年十月七日の、第五回の国連総会の決議、これはどういうふうなものですか。
○政府委員(藤崎萬里君) この決議は、その後に朝鮮動乱というものが起こりましたので、そういう一九四八年の決議を確認しつつ新しい事態に適応して、今後、国連総会としては、こういうふうにすべきだという趣旨をあらためて述べたものである、そういうものでございます。
○稲葉誠一君 その国連軍としては、どういうことをするのだということですよ。もう少し詳しく説明してくれませんか。これは非常に重要な決議になるのですよ。
○政府委員(藤崎萬里君) 国連軍は前記の目的を達成するために必要な限度以外は、朝鮮のいずれの部分にも残留してはならないことという一項がある。その前記の目的というのは、全朝鮮にわたって安定した状態を確保するために、すべての適当な措置をとること、選挙の施行を含むすべての制憲的行為が主権国朝鮮における統一した独立の民主的政府を樹立するために、国際連合の賛助のもとに行なわれること、こういうことでございます。
○稲葉誠一君 それは書いたのをあなた読んでいるのでしょう。そこでですね、全朝鮮にわたって安定した状態を確保するために、すべての適当な措置をとることというのは、結局、国連軍が三十八度線を突破してもいいということを認めている決議じゃないですか、これ。そうとれるでしょう。
○政府委員(藤崎萬里君) そういうふうに解釈することも可能かと思いますが、文字に忠実に読めば、とにかく国際連合の行為を制限するという趣旨で書いてあるわけでございます。
○稲葉誠一君 制限をするというのはあとのほうで、初めのほうは三十八度線突破を認めたものなんじゃないですか。外務省から出たものにちゃんと書いてありますよ。これは前田君の書いたものですよ。「朝鮮事変の経緯」というものだ。外務省で出したものだ。そういうふうにすなおにとったらどうですか。
○政府委員(藤崎萬里君) その突破することをこの総会決議が初めて認めるとか、そういう趣旨じゃないと思います。これはあくまでも国際連合総会としましては、国際連合軍というものはこういう目的のためにのみ残留することができるのだという、制限的な趣旨で書かれたものである。例の軍事行動のほうは、御存じのように安全保障理事会の決議に基づいて、安全保障理事会の指揮、監督のもとに行なわれておるわけでございますので、総会がそれに容啄するという趣旨ではないのでございます。
○稲葉誠一君 それはこの外務省で書いた「朝鮮事変の経緯」という本と違う解釈ですよ。そういうふうに前田君の書いたものは言っていませんよ。そこでこの決議を受けて一九六三年十二月十三日に第十八回の国連総会の決議がありましたね。それにいまのものもちゃんと援用してあるでしょう。ですから日本は三十八度線を突破するということに賛成の決議をその後しているのじゃないですか、それに加わっているのじゃないですか、国連軍が。そう解釈できるのじゃないですか。
○政府委員(藤崎萬里君) できた決議について、政治的な観点から実体的に見てそういうことになるということを解釈することも可能かと思いますけれども、私が申し上げているのは、純粋に法律的な立場からいうと、こういうことになるというふうな趣旨で申し上げておるわけでございます。
○稲葉誠一君 いまのは非常にむずかしい問題であって、ぼくは日韓会談の一つの面を摘出する非常に大きなポイントになってくると思うのです、これが将来の。それはあとであれしますが。――ロバート・マーフィー、これは朝鮮戦争のときにアメリカの日本大使だったですね、この人の、「軍人の中の外交官」という本がここににあるわけですよ。これを見ると、朝鮮戦争のときに日本人の船舶と鉄道の専門家たちは、彼ら自身の熟練した部下とともに朝鮮に行って、アメリカ並びに国連の司令部のもとで働いた、これは極秘のことだった。しかし、連合車軍隊は、この朝鮮をよく知っている日本人専門家たち数千名の援助がなかったならば、朝鮮に残留するのにとても困難な目にあったことであろうと、こうロバート・マーフィーがはっきり言っておるのですね、これで。だから、朝鮮戦争のときにこの決議に基づいたかどうかは別として、日本のこの船舶や鉄道の専門家が数千名行って国連軍を助けて、その結果としてまあ国連軍は勝ったと、こういうことをはっきりマーフィーは言っているのじゃないですか。こういう事実はあるのですか、どうですか。調べたことありますか、外務省なりあるいは防衛庁なり、どこかで。どうなんですか、これは。まさかロバート・マーフィーがうそ言うことはないと思うのですよ、ぼくは。これが日韓会談のあとの軍事的な面の根本的な出発点になってくるのだと思うのですよ。こういう点はどうなんですかね、この事実は。
○政府委員(藤崎萬里君) その事実関係、私存じませんので、調べまして後刻お答え申し上げます。
○稲葉誠一君 じゃ重要な問題ですからね。調べるまでちょっと待ちたいのですが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 朝鮮事変の間に、日本の民間人が徴用されて、そして軍の輸送等のために協力したという事実につきましては、おそらくあったろうと、こう思われます。それは占領政治下における現象でございますから、ただ、しかし、それが何日、どれくらいの人員がどういう作業に従事したというようなことにつきましては、ただいま調べております。
○稲葉誠一君 韓国にある韓国軍とこのアメリカの関係、ことに国連軍との関係はどういうふうになっているのですか。
○政府委員(後宮虎郎君) 韓国の国軍は国連軍司令官のもとに、この指揮系統のもとに入りまして、国連軍の一構成部分になっているわけです。
○稲葉誠一君 国連軍の統帥権というものはどこにあるのですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 国連からアメリカ合衆国政府に統合司令部をつくるように頼んだわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、事実上はアメリカ軍である国連軍に対して、日本の自衛隊がどのように憲法上の範囲内で協力ということができることになるのですか。
○国務大臣(松野頼三君) ちょっと質問の趣旨がわかりませんので……。
○稲葉誠一君 韓国に国連軍がいるでしょう。それに対して日本の自衛隊が、日本の憲法の許す範囲で国連協力ということがどの程度できるのか、全然できないのか。
○国務大臣(松野頼三君) ただいま韓国におります国連軍に日本の自衛隊は協力いたしておりません。
○稲葉誠一君 そうすると、いわゆるその海外派兵というのは、具体的にはどういうことを言うのですか。海外派兵ということの定義。
○国務大臣(松野頼三君) 部隊として国外に実力をもって派遣されるというのが海外派兵だと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、沖繩へ行くことは、これは海外派兵になるのですか、ならないのですか。
○国務大臣(松野頼三君) 部隊として武力をもってその目的のためにまいるときには、沖繩に対しても海外派兵と同一義でございます。
○稲葉誠一君 日本の自衛隊がここ数年間沖繩へどの程度行ってますか。
○国務大臣(松野頼三君) 昭和二十七年以来一千百名でございます。
  〔委員長退席、理事吉江勝保君着席〕
○稲葉誠一君 その年度別のあれと、その目的を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(松野頼三君) 昭和二十七年講和発効後、三十二年に六名、三十三年二十六名、三十四年十六名、三十五年四十五名、三十六年四十八名、三十七年五十九名、三十八年七十八名、三十九年六百五十一名、四十年百七十七名、合わせて千百名。
○稲葉誠一君 目的。
○国務大臣(松野頼三君) これは主としてほとんどの問題が教育です。したがって、部隊という武力じゃなしに、あるものは視察、あるものは歴史的な教育、防衛研修所の卒業のための訓練、訓練といいますか、まあ防衛研修所の卒業のときにおける海外における最後の卒業記念の支度、そういうものがほとんどで、部隊として行ったことは一ぺんもございません。
○稲葉誠一君 そうすると、かりに沖繩が攻撃をされたという場合、その場合に日本の自衛隊は沖繩へは行けないわけですか。沖繩が攻撃された場合、あるところからそれを助けるために日本の自衛隊は沖繩へは行けないのですか。
○国務大臣(松野頼三君) 今日の安保条約においては沖繩に対する攻撃を直ちに日本の攻撃とは認められません。
○稲葉誠一君 しかし、昭和四十年の五月三十一日には、佐藤総理大臣は勝間田さんの質問に対して、そのときに日本の自衛隊を直ちに派遣するとかどうとかいうことについては結論を出したわけじゃないのだ、保留にしておいてもらいたいのだと、こう言っていますね。そのことと、あなたの言うこととは違うのじゃないですか。
○国務大臣(松野頼三君) これは安保制定当時、御承知のように多数の議論がございまして、岸総理大臣からいろいろ御答弁があっております。したがって、直ちに日本と同じように自衛隊が出動するのではない。したがって、今日の場合も、旅券を持って、海外渡航許可を持ってただいまの千百名も行っております。
○稲葉誠一君 そうじゃなくて、攻撃された場合に自衛隊が出動するかどうかということについては結論は出ていないのだと、こう言っているのじゃないですか、佐藤さんは。
○国務大臣(松野頼三君) 合意議事録がありますので、これは外務省の条約局から答弁させます。
○政府委員(藤崎萬里君) 相互防衛の関係からして、沖繩は条約第五条で、日本の施政権のもとに現在ありませんので、いわゆる武力攻撃が外部から加えられた場合に、日本、アメリカがそれぞれすぐこれに対処するために行動するという地域の中に入っておらないわけでございます。そこで、それじゃ全然安保条約と無縁の地域になっては、まあ国民感情の点もございますし、いけないということで、安保条約のときに合意議事録ができまして、これでは、日本のそういう沖繩に危険がある場合には日米間で協議を行なう。日本のほうは島民の福祉のためにできる限りのことをする。合衆国のほうは福祉のみならず防衛のため必要な措置をとる、そういうふうに分担がきまっておるわけでございます。
○稲葉誠一君 問題をちょっと戻しますが、日韓に戻しますが、現在韓国の航空機が、一部が国連機ということで日本の民間会社で修理をしておると、こういうことがあるのですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 私は存じませんが、おそらく通産省の所管と思いますので、調べて、後刻御返事します。
○稲葉誠一君 ちょっと問題があちこちいったので整理しますが、そうすると、日本と韓国との共同演習ということは、これは許されないのですか。
○国務大臣(松野頼三君) 今日考えてもおりません。計画もごございません。
○稲葉誠一君 そうすると、いままで日本とアメリカとで、海上あるいは航空で合同演習をやっていますね。それは何年に何回くらいやったのですか。
○国務大臣(松野頼三君) 正確なものは、何年と古いのはありませんが、政府委員から答弁させます。
○政府委員(宍戸基男君) 三十九年度から申し上げますと、三十九年度に実施いたしました海上自衛隊と米海軍との共同演習は三回ございます。その概要を申し上げますと、第一回目は、七月中旬に約一週間、佐世保から函館に至る日本海沿岸でやっております。それから第二回目は、七月中旬に一日間、東京湾南方でやっております。それから第三回目は、九月から十月にかけて三日間、本州の南方洋上でやっております。それから本年に入りまして、六月下旬に約一週間、佐世保から函館に至る日本海沿岸でやっております。それから航空自衛隊におきまして、三十九年度で全航空自衛隊が十一月、中部航空方面隊が五月、北部航空方面隊が十一月、部隊はちょっと違いますけれども、合計三回やっております。四十年度におきまして四月に一回やっております。なお、本年秋にも同程度の演習をやる予定になっております。大体以上でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、それはいわゆる自由陣営の結集というか、そういうふうなことのために、それが行なわれるということになっておるわけですか。
○国務大臣(松野頼三君) ただいま、日米間の問題については、安保条約の精神、安保条約の条項によってやっております。
○稲葉誠一君 外務大臣にお尋ねをするわけですが、そうすると、日韓の条約を結ぶということは、自由陣営の結束の強化といいますか、そういうふうなことに役立つために結んだということもいえるわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 直接の日韓国交正常化は、そういうことを一切考えておりません。ひたすら歴史的あるいは文化的な関係を考慮し、そうして、現在のきわめて不自然な状態を正常化する、こういう趣旨においてこの会談が推進されたのでございまして、この日韓条約の妥結の結果がどういう方面に利益し、どういう方面に公益を与えるかというようなことは、これは結果として、あるいはそういうことになるのかもしらぬけれども、一切のそういう特殊な効果をねらったものではございません。
○稲葉誠一君 これは外務大臣なりあるいは防衛庁長官に聞くのがいいと思いますが、前にお話をした、だんだん回り回ってきましたが、韓国にいる国連軍、これに日本の自衛隊なり何なりが協力する、それで、軍事行動はできない、軍事行動はできないとしても、たとえば、あとの治安を守るための治安行動、いわゆる警察行動であるとか、その他の考えられることであれば、これはできるわけですか。
○国務大臣(松野頼三君) よく国連軍に対する日本の自衛隊の参加問題は、いろいろ議論がございます。
 端的に分解していくならば、戦闘行為、これはできない。第二番目、調停行為、これならどうか。平和委員会的な委員会、これに参加していただく。
 こういう三つの大きな分類が、私は自衛国連軍というものの解釈がある、現実に行なわれるものは。ただ、平和を守る調停委員会というものも、国連軍としての使命の中にあります。
 この三つのうち、どれがいいか悪いかということは、常々議論されておる。
 第一は、これは問題になりません。日本の憲法から問題にならない。
 第二、第三の問題についての議論は、学説及びわれわれの中にもいろいろ議論があります。それから、平和を守るための調停委員、武力を用いないものであります。これは武力を用いないが、現実には各国から連合部隊というものが出て、その平和路線を監視するというものも、国連軍という中に現実に出てまいります。そういうときに、どれがいいかということは、いろいろこれは議論があることで、まだこれは研究課題で、当面われわれは、いろいろな学説を参考にしながら研究をしているだけで、現実問題として日韓問題にこれが当てはまるとは私どもは考えておりません。
○稲葉誠一君 しかし、国連に加盟している以上、国連軍が韓国にあるというならば、それに対して協力を求められる。どういうような、いま協力を求められることが考えられるのでしょうか、日本全体に対して。外務大臣に、日本全体に対して。自衛隊に対しては、これは防衛庁長官から答えていただいて……。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本政府として、国連軍から一体どういう協力の要請が考えられるかという趣旨の御質問だと思いますが、私どもはいま、そういったような問題を、急にあなたから提起されて驚いておるような始末です。まだ何も考えておりません。
○稲葉誠一君 そんなことないでしょう。前から問題になっているじゃないですか、国連軍にどの程度協力できるかということは、日本の大きな問題として。これは外務省、どうなんですか。条約局でも、あるいはアジア局でも……。これは椎名さんがあまりよく知らないだけじゃないのかな、知らないと言っちゃ悪いけれども。それは当然前から研究されていることですよ。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 問題を韓国という舞台に限定してお考えのようでございますが、国連軍国連軍の行動に関して日本の協力を求めるというの、はサイプラスとか、ああいう国連軍という形で平和維持のために出兵をする、そのときの経費負担を日本が国連から要請されて、これを払っておるという現状でございますが、韓国に舞台を限定して、さて、どういうことを日本政府が協力を要請されるかということにつきましては、あまりただいまの状況では考えられない問題だと思うのでありますが、よくまあひとつ研究してみます。
○稲葉誠一君 いまソウル発のAPの共同として入ったものだというのですが、十日の夜韓国の丁一権首相が韓国の日韓批准特別委員会で、もし北鮮が戦争を再開した場合、日本は韓国を援助するため韓国に駐在している国連軍に参加するかもしれないと、次のように述べた、日本は国連加盟国なので、もし共産主義の侵略が再開されるなら直ちにこれに対応するため、韓国に駐在している国連軍の指揮のもとで日本軍は活躍するはずだと私は信じている、東南アジアの軍事同盟については、日本はいまの憲法を改めない限りこのような同盟を結成することはできないと思う、韓国の丁一権はこのように述べたと。これはまあいまソウル発のAPが入ってきたのですが、そこで問題になるのは、いわゆる東南アジア軍事同盟――東北アジア軍事同盟のことかな。とにかくいずれにしても東北アジアの軍事同盟ということ、その結成に入るには、日本の憲法のあれがあってできないけれども、韓国にある国連軍というものに対しての協力という形で事実上軍事行動ができるんじゃないかということが考えられている、だから何もNEATOの結成なんということは必要じゃないじゃないか、すでにNEATOは韓国にある国連軍に対するいわゆる協力という形の中で、NEATOが事実上結成をされているのだ、こういう見方もあるのですよ、事実として。それはそれとして、いままあこういうふうなことが言われてきた。そうすると、あなたはこういうようなことはどうなんですか、全くあり得ないことなんだと、こういうふうにお考えなんですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) そういう非常事態を想定しての御質問でありますが、もちろん日本としては憲法あくまで順守して、憲法の許す範囲と許さざる範囲とを明確に区別して、そうして行動をとるということになると思います。
○藤田進君 委員長、関連。
 非常にあいまいにまわりぐとく御答弁なさるから、国民は非常に心配、今度の日韓条約に関連してあまりにも食い違いが大きい。ここにいま入ったソウルからの電報によれば、読み上げたように、北朝鮮軍が南に入ってくるということになれば、日本は国連軍に参加してこれが援助をするのだと、こう信じているのだと、韓国の首相が国会に対し答弁をしていることは、これは否定できないのです。そのようなことが日本政府で考えられているのか、いないのかということを、外務大臣を通じて御答弁をいただきたいということなんですから、このようなことはあり得ない、そういう全く考えはないとかあるとか、はっきりしてください。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 少なくとも軍事行動に協力するということは、憲法のたてまえ上あり得ないと私は考えております。
○稲葉誠一君 国連軍に対して日本の自衛隊なら自衛隊、あるいは自衛隊以外のものが日本の憲法の中で、どの程度協力ができるのか。これは非常に今後の大きな課題だと思うので、これは政府の中でしっかり研究をして、ぼくは、この次の国会までの間に答えてほしいと思うのですよ。これは非常に大きな問題になってくると思うのです。たとえば自衛隊という部隊としては行動できないというのでしょう。部隊ではなくて、じゃ個人として参加をして、そうして国連軍に入るということならば、それは認めるわけですか、あるいは認めざるを得ない、あるいは日本の政府の関与外だ、こういうようなことになってくるわけですね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 平和維持機能の強化の重要な部門として、国連軍とか、あるいは国連待機軍とかというようなことが提唱されていることは御承知のとおりであります。これらの問題に関連して、日本が加盟国として、しかも現在の憲法のたてまえのもとにどの程度までこれに協力し得るかということは、御指摘のとおり非常に大きな問題でありまして、これは相当真剣に日本としても研究して、統一見解をつくっておくのが適当であろうかと存じます。よく問題の内容を了解いたしましたので部内でさような事柄の研究に入りたいと、こう考えております。
○稲葉誠一君 自由陣営の結果ということも、日韓会談の一つの、大きな目的といいますが、副次目的だとすれば、アメリカが日韓会談に対していろいろ希望を述べている、あるいは援助をしているということも考えられるわけですね。アメリカは日韓会談に対してどの程度日本に対して希望を述べたのですか、ぼくは干渉と言いませんよ、希望を述べたでしょうか、あるいは韓国に対してどういうふうにしたのでしょうか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私に関する限りは、アメリカの顧問あるいは大使館の人々とたえず接触をしておりますが、ただのひとことも、日韓会談についての希望とか要望とかというようなものを聞いたおぼえはございませんし、また外務省全体としても、そういったような要望を受けたことはないと、私は確信しております。
○稲葉誠一君 だけれども、日韓会談は、ダレスが中へ入って始めたわけでしょう、その後アメリカが中に入って、そうしてこの請求権問題なんかアメリカが中に入って、解決したのじゃないですか、日本の対韓請求権の問題。その間の経緯をじゃ明らかにしてください。アメリカがどういうふうに、対韓請求権を日本が放棄した場合の問題を提起した場合の平和条約の四条b項の問題、あれに関連して、どういうふうにアメリカが中に入って来たのか、関与して来たのか、明らかにしてくれませんか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いま申し上げるとおり一心の……。
○稲葉誠一君 いまの具体的に四条b項の問題に関連して……。
○国務大臣(椎名悦三郎君) その問題につきましては、私就任以前の問題から起こっている問題でありますから、政府委員をして答弁させます。
○政府委員(藤崎萬里君) 四条b項は、合衆国政府、具体的には対韓米軍が日本の財産を処理したその効果に関しまして、日本側は、財産はかりに処分されても、その対価に対する請求権はあるはずだという立場をとっておったのでありますが……。
○稲葉誠一君 もう少し詳しく……。
○政府委員(藤崎萬里君) このアメリカの軍令の解釈としまして、その対価に対する請求権も全くない、没収であるというアメリカ政府の解釈であったわけであります。日韓間ではこの点について、初めの間日本はアメリカ合衆国の解釈に同意いたしておりませんでしたけれども、たしか三十四年の暮でございましたか……。
○稲葉誠一君 十二月三十一日。
○政府委員(藤崎萬里君) アメリカのとっていた解釈に日本も同意するということになりまして、それで一応、理論上は請求権の問題について一つの大きな問題が解決されたわけでございますけれども、しかし、それですぐ財産請求権の問題がスムーズに解決されていたかというと、そうじゃございませんで、結局いろいろ法律上立証の問題になってくるというと、なかなか一々の財産請求権をそろばんに入れておったんじゃ解決ができない、そういうことで、ほかのやり方で、経済協力それの随伴的効果として財産請求権の問題は解決されたことにするという、例の大平・金の話し合いができたわけでございます。これに至るまでにはまたいろいろな紆余曲折を経たわけでございまして、それはアメリカ側の解釈の直接の結果としてそうなったというわけではないのでございます。
○稲葉誠一君 そういう、まん中をはしょっちゃって、おしまいのほうのことばかり詳しく言ってちゃいけないですよ。軍令三十三号によってベストされたんでしょう、ベストされたものを李承晩政権にトランスファーされて、そして李承晩政権ができたんじゃないですか。それを日本は平和条約によって認めたわけでしょう、だから日本の対韓請求権というものはそこで放棄させられたと、しかしながら、放棄されたけれどもまだ権利は残っているのだと、こういう考え方で日本は久保田発言があったんじゃないですか、それを韓国がアメリカに頼んで、アメリカが中へ入ってきて、韓国と日本との間に立ってアメリカが解釈を示したんじゃないですか、それによって日本の対韓請求権というものの結末をつけたんじゃないですか。そのかわりとして、韓国は日本に対する請求権を要求する場合に、日本が放棄しているのだから、アメリカが中へ立ってそれをしんしゃくすると、こういうことにきたんじゃないですか、その間の経緯をもう少し詳しく説明しなくちゃいけませんよ、まん中はしょっちゃって、都合のいいところだけ説明するからいかぬ。
○政府委員(藤崎萬里君) 結局請求権の問題が片づくのに何が一番重要な契機であったかという評価の問題だと思いますが、アメリカの解釈をとったことによって日本と韓国の立場が理論的な点で歩み寄ったことは事実でございますが、それが転機になって問題が解決したということじゃなしに、大平・金の了解によって、つまり財産請求権の問題として、第四条のa項で解決するというのじゃなくて、別の政治的な解決によったわけでございますので、米国の解釈をとったということがこういう結論に到達した直接の原因ではなかったわけでございます。
○稲葉誠一君 いまの点は、きょうは時間がありませんから、資料に基づいていずれ秋九月か十月にゆっくりやりますが、あなたの言うのは、ほんとうに大事なところをごまかしているんですよね、アメリカが中へ立った文書がちゃんとあるじゃないですか、だめだ、そういうことを言っていちゃ。
 それはそれとして、これは韓国の国会の議事録ですよ、第四十八回国会速記録、大韓民国、中を開いてみると、韓国語ですけれども、ときどき漢文が入っているから大体読めますけれども、これは外務省じゃないようなことを言ったけれども、これはぼくの手にあるのだから、どこかで出ているわけですが、これは別として、これもまたこの次ゆっくりやりますけれども、たとえばこの中で、二月二十七日に例の姜文奉という議員が質問しているわけですね、その答弁が、李東元のが出ているのですが、これはやっぱりアメリカが中へ入って、日韓も積極的に推進しているのだということを質問しているわけですね、いろいろな問題が出てきますよ、日本と韓国との間の軍事協調の問題について、アメリカが案を示して、そしてそれによって日本と韓国との間に合意ができたのだということも言っている。これに対して李東元が、そうだとも違うんだとも答えていないんですが、それはいずれあとでやりますが、その中でやっぱり李東元が答えているのは、アメリカは韓日国交正常化がはかられることを政策的に後援したし、また国家的に側面から希望してきました、こういうふうにはっきり言っているんですよ、アメリカが。李東元がこういうふうに答えているわけですよ。だからアメリカが韓国だけ後援したんじゃなくて、日韓会談を進めるために日本のほうにも、それは希望かどうかしらぬけれども、積極的な働きかけがあったというのは、もう常識じゃないですか。やっぱり日本の主権のために認めにくいというなら、これは話は別ですけれども、事実なんじゃないですか、働きかけがあったことは、いろいろな面で。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 働きかけというようなものは、私は感じたことがありません。ただ日韓会談の成功を祈るというぐらいの話は聞いたことがあります。ああやれ、こうやれ、早くやれとか、そういったような、そういうこっちの行動を促進するようなことは何にも聞きません。
○稲葉誠一君 これは内閣官房内閣調査室で出した調査月報です、ことしの七月号、これは外務省の人が書いたんだと思うんですがね、「日韓交渉の経緯について」というのが書いてある。これ内閣の調査月報ですよ。これは外務省の人が書いたんでしょう。こういうふうに言っていますよ、はっきり。「このように、日韓交渉は、日・韓・米三国にとって必要不可欠な問題であるばかりでなく、日韓両国の背後に、米国という影の演出者が終始動いていたのも以上のような背景があったからと言うことができよう。」はっきり言っていますよ、アメリカが影の演出者だということをはっきり言っているんです。ぼくは日本のために言いたくないけれども、これは外務省の人が書いたんじゃないですか。調査月報見てごらんなさいよ、書いてあるから。アメリカという「日韓両国の背後に、米国という影の演出者が終始動いていた」と、はっきり言っていますよ。あなたの言うのと違いますよ。これは名前は書いてある、T・Nと書いてある、イニシアルだ、T・Nと書いてある、だれだ、だれだなんというとこれは悪いかもしれないけれども、この人は正直ですよ、これはどうなんです、書いたことは事実でしょう。外務省の人が書いたことも間違いないでしょう。ちょっと見てくれませんか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) T・Nなんか見たってどうにもならぬ。(笑声)
 そういうことは、私自身に関する限りはもうありませんでした、そんな影の演出なんという、そんなものじゃない。全然日本の独自の行動でこの問題は妥結に達したのであります。
○亀田得治君 これは今月の七月号ですが……。(「ことしだよ」と呼ぶ者あり)答弁が変だからこっちまで変になる。(笑声)
 それで、これは全く外務大臣と違ったことがここに書かれております。日韓問題の重要なさなかに、まさか外務省の人が事実に反することをことさらに、こうわれわれにわかるように書いて配布するはずがない。私はたいへんこれは重要なことだと思いますので。一体このT・Nという執筆者はだれなのか、外務省の人がたくさんおりますが、ひとつ明らかにしてほしい。
○政府委員(後宮虎郎君) T・Mでございますか。
○稲葉誠一君 T・Nだよ、これ見てよ。
○政府委員(後宮虎郎君) 目下のところ心当たりがございませんが、調査いたしまして御返答いたします。
○亀田得治君 これはもちろん外務省の費用で出されているものでしょう、どこの所管なんです。内閣ですか。内閣調査室の関係者ちょっと呼んでくれませんか。この調査月報の関係のよくわかる人、調査室長かだれか。
○理事(吉江勝保君) いま呼ばせますから……。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(吉江勝保君) 速記を起こして。
○亀田得治君 じゃ最後に回します。
○稲葉誠一君 では、李ラインの問題ですね、これは椎名さんが答えられておるのは、八月十日に亀田さんの関連に対して、李ラインの問題につきましてもいろいろ――当局というのは韓国側らしいですが、当局の説明にも食い違いを生じておるようであります。こう言っていますね、どういう点が食い違いを生じているのでしょうか。速記録を取って見ていいですよ、あなたが言っておるのですよ、食い違いを生じておると。
○国務大臣(椎名悦三郎君) こっちの了解と向こうの国会において答弁しておる内容と食い違っておるという点ですか。(笑声)その点はわれわれが……
○稲葉誠一君 いやいや、そういう意味じゃなくて、韓国のほうの説明にも食い違いを生じておるのだ、こういうのです。韓国の説明自体の中で食い違いを生じておるのだと。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 何べんも国会で李ラインの問題をしゃべったり、あるいは一般に李ラインの問題についてPRしたり、そういったようなことが断片的にわれわれのほうに入ってきておりますので、それが町がたち回を重ねるに従って必ずしも一貫しておらないということを、概括的に私は述べたのでございます。それを一々いま、どういう点どういう点ということを申し上げるのには、だいぶ日もたっておりますし、いまここでは詳細にわたって申し上げることはできないのでありますが、とにかくだんだん詰まってきて、そして元――ウォンというのですか、前農林部長、いま無任所大臣でありますが、その人と、それから李外務部長官の最近の国会におけるたしか答えだと思いますが、そういうものによりますと、これは日本に対して主権線ではない、こういうことを言っておるのであります。われわれの李ラインにする見解は、これは初めから存在しない、その存在しないという認識のもとにわれわれ立っておりますから、あたかも存在しておったかのごとく李ラインを撤廃する、こういうことは言えない。そこで、十二海里の漁業専管水域というものをお互いに認め、それから専管水域以外の水域に関しましては共同規制区域、そういうものを認める、そして共同規制区域内におきましては日韓両国の漁船が自由に安全操業ができる、ただし、魚族資源保護のために漁獲最なりあるいは隻数なり、そういうものについての一定の制限をお互いに守ろうじゃないか、制限を侵すおそれのあるような場合の取り締まりとはその漁船の所属国の取り締まりを受ける。でありますから、日本の漁船が韓国の取り締まりを受ける、韓国の漁船が日本の取り締まりを受けるということでなしに、いわゆる旗国主義で、その漁船の属する国の取り締まりを受ける、こういうような取りきめをいたしておりまして、そうして公海の自由というものは、特別にこの条約でうたわない限りにおいてはもう一切公海の自由という原則を守るのだ、こういうことにちゃんと書いてあります。これを正確に解釈する限りにおいては、もはや李ラインなどというようなものはもう存在しなくなった、こういうことにわれわれは了解をいたしておるわけであります。
 でありますから、それに何か加えてまぎらわしいようなもし説明を先方でやっておるとすれば、それは私は正しい解釈ではない。こういったような問題は、いずれ条約が効力を発してまいりますと、直接日本の利害に関係する問題でありますから、なおそういう段階において解釈上の違いがあるというような場合には、これは重大な問題として、さらに折衝して、いずれかにはっきりときめなければならぬと、こう考えておりますが、ただいまはそういう段階ではない。
○稲葉誠一君 日韓で条約を結ぶ前に、韓国の中でたとえば李ラインに対していろいろ意見が違っている、そういうようなことならあり得ることだと思うのですが、条約を締結した後になお李ラインに対する韓国側の、あなたが言われているのは八月十日に韓国自身の考え方もまだきまっておらないようだと、こういうふうに私どもは考えておりますと、こう言っておるのですね。おかしいんじゃないかと思うのです。条約締結前ならいいが、条約を締結した後にまだ李ラインに対して韓国の考え方がきまっておらないようだということをあなたが言っておるのですからね。ちょっと考えられないのですよ。はっきりきまって、確かめて条約を結んだというなら、話はまた別ですけれども、条約を結んだ後に、なおかつ韓国側では李ラインに対する考え方がはっきりしていないのですか。きまっていないのですか。あなた言っておられるのですね。その点だけでいいです。おかしいと思わないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 条約の正文は現存しておりますから、それの正解はどれであるかということはおのずからわかると思います。しかし、韓国側でいろいろ新聞雑誌等で伝えられているいろいろな場合の、李ラインに対する説明のしかたが必ずしも一致しておらぬ、一貫しておらぬ、こういうことを私はさして、そのことを話したわけであります。
○稲葉誠一君 そうすると、まあいろいろ議論があるとしても、そうすると、韓国で批准がかりに今度行なわれなかったとした場合に、日本ではなおかつ、あれですか、批准を国会に求める考え方なんですか。その点はどうなんですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 重大な仮定を置いた御質問でございますが、われわれは、韓国において批准されるものと確信しております。
○稲葉誠一君 そうすると、韓国が先に批准することが前提だと、こう承ってよろしいですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 前提というような、そういう四角ばったものの考え方じゃない、まあ向こうのほうが批准をお急ぎになっておる。こっちはこっちの都合があって少しおくれるというまでだと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、結局、まあ批准は向こうが先にいまやるるのだ、それが終わってからこっちはこっちだと、軽くいうとそういうことになるわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まあ終わるのを待っているというわけでもないと思います。これは国会のいろいろな御都合だと思いますが、とにかくあとになりそうだ、こういうような状況でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、この日韓に関連して、国内法ですね、国内法の整備というか、それはどういうふうにやられるわけですか。どの程度のものが必要なわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 政府委員をしてお答えさせます。
○政府委員(藤崎萬里君) まだ各省それぞれで検討中でございまして、はっきりした方針は固まっておりません。
○稲葉誠一君 はっきりした方針が固まっていないではなくてね、具体的にどういうこととどういうことが考えられるかというのですよ。五日に次官会議やったんじゃないですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 今後の進め方について打ち合せのようなことはいたしておるわけでございます。まあ当然に必要と考えられるのは、法的地位、これが一番大きなものでございます。ほかに請求権、財産の関係でも法律ができるだろうと思います。その他につきましてはまだ検討中でございまして、法律が必要かどうかもまだはっきりした結論が出ていないような状況でございます。
○稲葉誠一君 一つ重要なのは、いま李ラインの問題に関連して漁業水域に関する問題ね、これは一体その法律が必要だという解釈なんですか、この点どうなんですか。
○政府委員(藤崎萬里君) これは農林省の血管でございますので、そちらのほうから答弁していただきたいと思います。
○稲葉誠一君 じゃ、まあそれはあとの問題でいいでしょう。
 そうすると、これは大蔵大臣に関係することなんですがね、例の清算勘定がありますね、韓国の日本に対する。あれなどの支払い関係はどういうふうな形でやるわけですか。――わかりますか、意味が。
○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員をして答弁させます。
○政府委員(谷村裕君) お答え申し上げます。
 全体として、オープンアカウントが四千五百七十三万ドル残っております。これを十年間で向こうは支払うということで、まあ一年間均当に割りふれば四百五十七万三千ドルずつ支払うという形になると思います。
○稲葉誠一君 それはどこへ行くのですか、予算書で。
○政府委員(谷村裕君) これは日本の政府の外国為替資金特別会計、これが持っている勘定でございますから、そちらのほうに支払うということでございます。
○木村禧八郎君 関連。ただいまの韓国との清算勘定につきましては、この補正とも関係があるわけですね。今度のこの四十年度の補正予算第一号は、御承知のよりに、IMFとそれから国際開発銀行に対する出資の増加ですね。これを、財源処置としては、一つは日銀の十三トンの金の評価がえ、もう一つは外為会計のインベントリーの取りくずしですね、百六十一億。いまの問題は、韓国の清算勘定の問題は、いまの外為の会計とそれは関連があるわけです。
 そこで、この際、その補正その関連で伺っておきたいのですが、外為のいまの資産の運用状況はどうなっているか。大体これまで、前の外国資金勘定から受け継いだ分、それから一般会計からインベントリーをずっとやりましてですね、そうして前の受け継いだ資金と、それからインベントリーの資金は、これは利息がつかぬわけですね。利息がつかない。無利息の資金であります。そのほかに、外為証券を大体五分八厘くらいで発行しているのですね。そうして運用しているわけですよ。そうしますと、今度の補正でも、インベントリーを百六十一億、まあ取りくずしますと、無利息の運用資金はそれだけ減ってくるわけですね。減ってくるわけです。また、韓国との勘定ですね、これにつきまして、これを外為のほうにこの資金もし支払いできないということになってまいりますと、
  〔理事吉江勝保君退席、委員長着席〕
この無利息の運用資金はますます少なくなる。そういうので、今回すでに百六十二億ですね、無利息のインベントリーの金が、これが今度はいまのIMF及び国際開発銀行出資金に振り向けられますから、少なくなる。その結果、今後の外為の運用状況は一体どうなるのか。四十年度は大体十三億の利益計上されておりますけれども、そうしたら、無利息の運用資金がだんだん減ってくる。そういうことになりますと、外為証券の発行がふえてくる。そうしますと、それは五分八厘でしょう。ところが、他の運用のほうは、これはあとで詳細に――ちょっとこの際、補正に関連しますから、詳しく運用状況を報告してもらいたいのですけれども、これは外貨をアメリカにドル預金したり、あるいはドル証券として運用していますが、非常に利率は安いわけです。大体四分ぐらいですね、平均して四分ぐらいの運用を、やっておいて、そうして外為証券は、これは五九分八厘ですか、そういう高い利息で、この金を借りて運用しているということになりますから、そこに今後の外為の運用に相当な問題が起こってくる。そこで、今回、外為から百六十一億ですね、財源処置をする結果、今後の外為の運用はどういうふうになるか、この点ひとつ詳細に報告していただきたいし、この予算委員会ではこの補正についてのそうした内容についての質問は十分まだ出されておりませんので、この際その点について、その運用状況、それから今後どういうようなこれが運用になっていくか、その点について報告をしていただきたいと思います。
○説明員(村井七郎君) 技術的な数字的なことにわたりますので、私からお答えいたします。
 木村先生のおっしゃるように、百六十一億円のインベントリーを今回取りくずしますので、その収入減、予想しておりましたよりも三億円ばかり収入減となるのは御指摘のとおりでございます。これは先生もおっしゃいましたように、本年度は十三億円ばかり利益を見込んでおりますので、それで大体まかなえる。
 将来の問題でございますが、日韓のオープンの残高処理といたしましては、四千五百万ドルは十年間にわたりまして支払われる。そのときに、原則は外貨で支払われるということが原則になっております。外貨で支払われております限りは、それは外為資産といたしまして結局運用されますので、それを外貨の収益ということでそりたいした減収ということにはならないと思いますが、万が一、韓国から支払いがございませんと、その分だけは例の無償から差し引くということに相なりますので、そのときはまた外為会計としては収入が悪化するという問題が起こりますのは先生の御指摘のとおりでございますが、そのときにどう対処していくかということはこれからの問題として検討してまいる、必ずしも、インベントリーな取りくずしますか、どういう措置を講じますか、これは目下大蔵省内で検討中でございます。したがいまして、今回のIMFの出資と同じように、インベントリーを必ず取りくずすということを決定しておるわけでもございませんし、いわんや原則として向こうが外貨を払ってくるということがたてまえでございますので、今後その間を慎重に検討いたしまして、その財源措置を考究してまいりたい、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 それがいまのお話ですと、必ずしも外貨で必ず払うという、どうもその十分な保証もないように受け取れるわけですよ。もし払わない場合はインベントリーの取りくずしになるというお話がありましたが、その前に伺っておきたいのですが、いまの韓国のいわゆる焦げつき債権ですね、これは円にして百六十四億ぐらい、それは外為の資産の中に入っているわけですか。一応資産としては入っているのですか。
○説明員(村井七郎君) 入っております。
○木村禧八郎君 それでですね、いまの外為の中で、この無利息で運用している資金ですよ、これはインベントリーと、それからその他に分けまして、どのくらいあるか。それから、それと外為証券で運用しているのがありますね。その平均の利回りと、それから運用の利息、運用利益、これはドル預金としてどのくらいやっているか、これは全部、外為関係だけでいいです。日本銀行の勘定等もありますが、全体としては外為に関してどのくらいドル預金をし、あるいはまた。ボンド償金等があるかもしれませんが、どのくらい預金して、それがどのくらいの金利であって、ドル証券の運用はどのくらいであるか。そうした運用の状況と、それから資金コスト、さっき言いましたが、それを詳しく御報告願いたいと思います。
○説明員(村井七郎君) 外国為替資金特別会計のコストのない資金といいますのは、いわゆるインベントリーと、それからそのほか貿易特別会計からの引き継ぎ、司令部からの引き継ぎ等がございまして、結局二千二百七十四億円ございましたが、インドネシアの関係の六百三十七億というものを、これは権債を放棄いたしましたので、それを差し引きまして千六百三十七億円というふうに相なっております。
 これをどういうふうに運用しているかということが問題でございますが、いまのところはいろいろ動いておりますが、私たち大体四十年度末には五千億円の資産をもって運用するというふうに考えております。現在も大体これに近いようなかっこうになっております。これは御承知のように、外貨と円と、いろいろそのときによりまして、国際収支の動向によりまして変形してまいりますが、全体の資産といたしましては五千億内外というかっこうで運用してまいるわけでございます。その場合に、外為証券、これはさっき先生もおっしゃいましたように、一銭五厘五毛、五分八厘近いもので運用しております外為証券が約三千億円を占めておりまして、そのほかいまの千六百三十七億円、それから積み立て金、これは利益金でございますが、そういったものが約三百億円ございまして、合計いたしまして、やはり五千億円というものが資産として運用されている。これに見合います外貨はいま約三千二百億、三千億円見当ございます。外貨を円換算いたしましてその程度でございます。あとはオープンあるいは円というもので運用しているわけでございます。
 外貨は、先生もおっしゃいましたように、外国銀行等に対します預金及び財務省証券というようなかっこうで運用されているわけでございます。預金につきましては、定期その他四分あるいは四分以上という金利で、当座を除きまして、極力効率的な運用をはかっておりますし、それから財務省証券は平均いたしまして三分六厘強という平均の利回りで運用されております。
○委員長(平島敏夫君) 木村君に御注意を申し上げますが、関連質問でありますから、なるべく簡単にお願いいたします。
○木村禧八郎君 簡単にしますが、しかし、外為の関係は、この予算に頂後側係があるから、もうちょっと…。もう簡単にします。
 要するに、インベントリーとして残る分は幾らになるか。さっき千六百三十七億というお話がありましたが、この千六百三十七億は、これは貿易特別会計から引き継いだ分だと思うんですね。インベントリーのほうは千二百五十億であって、それにインドネシアの債券の切り捨て六百三十七億、すると六百十三億になると思うんですね。そのうち今度のまた百六十一億をこれからまた引かなければならぬと思うんですね。そうすると四百億幾らにすぎなくなるんじゃないか、そう思います。
 それと、今後またインベントリーを取りくずしてまいりますと、そういう無利息の運用資金がだんだん減ってくるわけですよ。そこで今後の外為会計の運用としましては、外為証券を五分八厘でこれを発行して、それで、外国に運用しているのは、これはいまどこの銀行にどれだけということは聞きませんでしたが、われわれの調査では、アメリカに七億七千万ドルも預金しているわけです。預金及び証券ですね。その預金が四分、これは当座預金はゼロですね、無利息、定期預金が四分、そして証券が三分六厘でしょう。ものすごい逆ざやですよ。そうしてまた、日本の政府がアメリカの銀行に預金して、そのドルをまた高い金利で、五分以上で借りているのですよ、日本の為替銀行が。こういう運用になっているのですよ。こういうような運用のしかたでいいかどうか、これが非常に問題じゃないかと思うのですよ。ですから、この機会に、今後無利息のインベントリーの資金がだんだんなくなってくる、そういう条件のもとで、こういう運用のしかたをしていっていいのかどうか。今後私は外為会計は赤になるのではないか、こう思うわけです。今後の状況を見なければなりませんけれども、現時点で、この補正百六十一億、無利息のインベントリーを取りくずすと三億利益が減るということを言われたでしょう。そういう事態が今後ますます多くなってくると思うのです。インベントリーは取りくずす公算が多くなるのです、今後も。ですから、それをどういうふうに今後運用をやっていくのか。これは重要な問題であると思うのです。その点を伺っているわけなんです。
○説明員(村井七郎君) 簡明にお答えいたします。
 先生もおっしゃるとおり、外為会計の採算の限度という観点から、インベントリーの取りくずしというものは当然限度があるわけでございます。もちろん、このほかに外為会計の趣旨等からいって、何でもかんでもインベントリーを取りくずせるというものではございませんが、採算面からも限度がある点は先生も御指摘のとおりと思います。したがいまして、先ほども申し上げましたが、採算面その他の状況を勘案して、今度の韓国債権というものをどういうふうに扱っていくかということを、これからやはり結論をだんだん出していかなくちゃいかぬということでございます。
○木村禧八郎君 最後に、韓国の債権の問題です。それがあいまいなんですよ。いまのお話を聞きますと、どういうふうにしていくか、これから非常に重要な問題ですと言うだけでしょう。それだけではわれわれ納得できない。それだから、その前段に外為の運用の状況について聞いたのですよ。ですから、それをどういうふうにしていくかということをもっとはっきり答弁してください。
○説明員(村井七郎君) いまのところは、向こうが払ってくるということが原則になっておりますのは協定面からも御承知のとおりでございますので、まずそれを前提といたしまして、万が一払ってこなかったらどうするかという点は、これはそのときの状況、外為会計の状況、一般財政の状況等を勘案して結論を出したいと思っております。これ以上目下はっきり、結論を出せとおっしゃるのは、お気持ちはわかりますが、ちょっと答弁がしかねる点でございます。
○稲葉誠一君 全国区の小林派だとか、岡村派だとか、その他もありますが、そういうようなものが選挙違反の捜査の状況が現存どうなっているか、こういう点をひとつ説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(津田實君) ただいまお尋ねの点でございますが、去る七月四日施行されました今次の参議院議員通常選挙における選挙違反の取り締まりは、現在なお進行中でありまして、まだ最終的な結果を明らかにする段階ではございませんが、選挙施行後二十六日を経過いたしました七月三十日現在の集計によりますと、全国の事犯は、検察庁受理におきまして一万六百三人でございます。
 そこで、お尋ねの小林章派の問題といたしましては、日本専売公社の地方局、支局、出張研の職員が、その地位に伴う影響力を利用いたしまして、全国区候補者小林章のために選挙運動を行なったという、公務員等の地位利用の事犯を中心とする全国的な規模にわたる選挙違反であります。現在、これらの違反につきましては、東京、山形等三十一都道府県におきまして、各検察庁において個々の違反事件の実体はもとより、これに関連いたしました資金関係等についても鋭意捜査を進めている次第であります。
 八月九日までに法務省に入りました結果報告によりますと、小林派の違反事件で検察庁が受理いたしました人員は、公社職員が二百十五人、その他が百三十二人、合計三百四十七人となっております。それらの違反の態様といたしましては、公務員等の地位利用違反、事前運動、文書違反、戸別訪問、供応、買収等の多岐にわたっておりますが、そのほか、証拠隠滅の関係の被疑者も含まれております。なお、右人員中公社職員関係の相当数の者は、逮捕勾留の上取り調べを受けているのが現状であります。これまでの報告によりますと、すでに東京、水戸、山口、山形の各地方検察庁におきまして、十三人を公務員等の地位利用及び解前運動で公判請求をいたしている次第であります。
 次に、お尋ねの岡村文四郎派の選挙違反でありますが、これは全国共済農業協同組合連合会長である岡村文四郎候補のため、同連合会の幹部役職員が主体となり、全国農業協同組合中央会、全国販売農業協同組合連合会等の関係団体及びこれらの傘下の各種団体の役職員等をまじえまして行なわれたものでありまして、買収、文書違反、戸別訪問等の各種事犯が検挙されております。これらの違反事件につきましては、東京等十七地方検察庁において鋭意捜索を進めておりまして、次第にその全貌が明らかにされつつあります。
 八月九日までに法務省に入りました報告によりますれば、同派の違反事件で検察庁が受理いたしました人員は、全国共済農業協同組合連合会をはじめ農業協同組合関係職員八十八人を含め百十三人でありまして、そのうち川十六人は身柄を拘束しているのであります。その内訳は、買収六十四人、戸別訪問三人、文書違反四十六人となっております。なお、これまでの報告によりますれば、東京、水戸及び札幌の各地方検察庁において、十二人を買収または文書違反で起訴いたしている次第であります。
○稲葉誠一君 国家公安委員長、法務大臣がいないから、いまの代表的な二つの全国区の選挙違反、これらについては徹底的に追及して捜査を遂げるということについてのあなたの決意というか、何かそういうようなものをはっきりお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(永山忠則君) 厳正公平に、徹底的に、やるについては捜査を進める考えでございます。
○稲葉誠一君 吹原産業の事件について、その後は、どういうふうにいまなっていますか。
○政府委員(津田實君) いわゆる吹原産業事件に関しましては、東京地方検察庁におきまして、昭和四十年四月二十三日から同年七月十九日までの間に、吹原弘宜、森脇将光、株式会社森協文庫平本一方、大和銀行京橋支店元支店長東郷隆次郎及び元支店長代理木村元を詐欺、私文書偽造、同行使、恐喝未遂、法人税法違反、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反及び商法違反の罪によりまして、それぞれ東京地方裁判所に起訴しております。また、株式会社森脇文庫社員松田節に対する出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反事件を、東京区検察庁に移送の上、本年八月十日同区検察庁は松田を右犯罪により東京簡易裁判所に起訴し、略式命令を請求をいたしまして、川口略式命令の発布があった次第であります。
 以上がその概略でありますが、この関係の起訴事実につきましては、非常に内容がたくさんありますので一々申し上げることができませんが、まず吹原関係につきましては、三菱銀行関係、東洋精糖関係、朝日土地関係、伊藤忠商事関係の詐欺罪による起訴、このうち伊藤忠商事関係を除きましては吹原、森脇の共謀になるものであります。それから商法違反、特別背任の件につきましては、吹原弘宣、東郷隆次郎、木村元、これは先ほど申しました大和銀行の関係でありますが、それの特別背任につきましてそれぞれ公判請求をいたしております。なお、目下捜査関係におきましては、吹原に対しまする四件の告訴事件がございますので、その事件を目下捜査中であります。これが現状でありますが、もし御必要であれば具体的の公訴事実について申し上げます。
○稲葉誠一君 朝日土地の関係について、吹原が言った文句……。
○政府委員(津田實君) ただいま申し上げました中に、詐欺罪で朝日土地興業株式会社関係は、七月十二日、詐欺罪で吹原、森脇の共謀による詐欺、額面十三億二千五百万円の約束手形、時価約七億二千万円の株式を騙取したという事実に基づいて公訴が提起されました。
○稲葉誠一君 言った文句、吹原が言った文句、詐欺の事実はどんなことをいったのですか、要点だけ。
○政府委員(津田實君) 森脇及び吹原は共謀の上、吹原において一流上場会社、有名人等から、真実は森協文庫に交付するのにかかわらず、これを秘して、金融機関より融資が受けられるようあっせんするとの口実のもとに、約束手形、担保物件などを騙取した上、これを森脇文庫の吹原に対する巨額のこげつき債券の元利支払いなどとして森脇に交付し、同人はこれを善意の第三者を装って領得するとともに、吹原の資金繰りを容易ならしめようという企てのもとにおきまして、吹原は昭和三十九年八月下旬、吹原産業株式会社におきまして、朝日土地興業株式会社常務取締役丹沢利晃及び同代表取締役丹沢善利に対し、池田派の政界実力者の工作によって、銀行に数十億円の融資のワクを持っているが、自分の会社の業態から優良な手形が入手できないために、右の融資ワクを十分に利用できず、ワクが余っているので、信用の厚い一流会社にこれを流用していただきたいというような趣旨であります。
○稲葉誠一君 そこで、別のことを聞くのですが、いま国有財産の払い下げでいろいろ問題になっていますが、どういう事件とどういう事件が問題になっておるか、ちょっと御説明を簡略に願いたいのですが。
○政府委員(松永勇君) 国有財産の払い下げにつきましては、有効かつ適正を期するように努力しているところでございますが、次のような二、三の事例について問題となっておるものがございます。今後はこのような問題は免じないように慎重を期したいと考えておるのでございますが、その二、三について申し上げますと、まず、社会福祉法人楽石社の売買契約違反の事件でございます。
○稲葉誠一君 それはいいや、わかった。それから……。
○政府委員(松永勇君) 次がニューエンパイヤモーター株式会社への問題、いわゆる虎の門小公園の事件でございます。これは国とエンパイヤとの間で係争中でございましたが、裁判上の和解ができまして、それに基づきまして昭和三十八年十月一日に相手方と売買契約を締結しました。その後、三十八年十月十日、相手方は商号を変更し、三十九年五月、さらに合併契約によって新会社となりました。
○稲葉誠一君 何ていう会社。
○政府委員(松永勇君) その会社は、現在は朝日土地興業株式会社でございますが、このために売り払いの相手方が実質的には変わってきて、契約条項に違反したのではないかという問題でございます。本件につきましては、売り払いは、裁判上の和解というまあ特殊な争いの、長い間の争いの解決方法をはかったものでございます。その相方が商号変更あるいは合併ということによって変わっていったのでございますが、これは契約条項に違反したというふうには認められないのでございまして、当時こういう事態は予想はしておりませんでしたが、法律上適法な措置によって会社が合併等のことを行なっております。
 第三は、東洋プライウッドヘの売り払いの問題でございます。
○稲葉誠一君 あとは件名だけでいい。
○政府委員(松永勇君) 国の売り払いの問題としては、そういう問題がいろいろ問題として指摘されておりますが、現在売り払い処分はしていませんが、懸案の問題として問題となっているものがございます。
 その一つに、新宿区若松町所在の国有財産、これはもと旧陸軍経理学校のあと地でございますが、その土地約二千四百坪は、終戦後同胞援護会東京支部牛込支会支会長に貸しつけておりました。その貸しつけが一部東京都に転貸になっているというの整理ついてないではないかというような問題がございます。
 次がサイエンスランドの問題で、前国会においてもいろいろと論議のあった問題でございます。これもまだ現在未処分の状態でございます。
 大体問題とされているような事案は、以上のようなものでございます。
○稲葉誠一君 いまの問題で、朝日土地興業というのがエンパイアや何とかで、現在どの程度の財産をそこに持っておるわけですか、虎の門のところへ。それはわかりませんか、大ざっぱに言って。
○政府委員(松永勇君) 土地の坪数は約千百坪でございます。
○稲葉誠一君 幾らくらいだね。いま評価すると幾らくらいになるのですか。
○政府委員(松永勇君) 現在の評価額はよくわかりませんが、売り払った当時の価格としては坪当たり百万ということでございます。
○稲葉誠一君 百万で買ったのでしょう、国が。
○政府委員(松永勇君) 国の売り払い価格でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、その会社は現在どの程度のこの土地で利益を得たか、どの程度のこれの評価によって財産を持っておるかということを聞きたいわけですけれども、それはほかのところで、決算委員会でやっていることですから、これ以上ここで聞きません。
 そこで、いま問題となっている朝日土地興業という会社ですね、これは吹原から詐欺をされておるわけですね。吹原が池田派の政界実力者の工作によって、銀行に数十億円の融資ワクを持っているからというようなことを言って引っかかって八億ばかり取られた。この点は被害者ですね。今度は虎の門のほうじゃ利益を得ているらしいのですが、これはあなたのほうは知らないかもわからぬけれども、法務大臣なり何なりどうですか。朝日土地興業会社というのは、自民党の副総裁の川島正次郎さんが事実上関係をしてやっておる会社でしょう。これはもう公知の事実でしょう。これはぼくは東京地検で調べた。吹原事件を調べた検事から聞いておるのですから、もう間違いないですよ、これは。そうでしょう、公知の事実でしょう。あなた方がもう御存じのことじゃないですか。朝日土地というのは川島さんが関係しておる会社じゃないですか。そのとおりでしょう。
○国務大臣(石井光次郎君) 私存じませんので、刑事局長から申し上げます。
○政府委員(津田實君) そのような点は、私はただいま承知いたしておりません。
○委員長(平島敏夫君) 稲葉君。運輸大臣が来ております。
○藤田進君 関連。いまの速記録も――承知していると言ったのか承知していないと言ったのか。承知していないということと、そういう関係があるということとないということとはっきりしなければ――あるならある、ないならない。おれは知らないということでしょう。不知ということでしょう、あなたの言っておることは。
○稲葉誠一君 という話は聞いておるけれども、真偽のほどはわからない。こういうのならまだいいよね。
○政府委員(津田實君) ただいまお尋ねのような事実が捜査の対象になっておるかどうかわかっておりませんし、捜査の対象になったとしましても、私は現在承知しておりません。どうであったか知りませんということでございます。
○稲葉誠一君 ぼくは川島さんが調べられたとか、そんなことを言っておるのじゃないのですよ。朝日土地興業というものは川島さんがいろいろ関係をしておる会社だろう、これは公知の事実ではないか。現に東京地検のある人もはっきりそういうことをぼくに言っておるということを言っているまでの話です。その点については、事件として言っておるわけじゃありませんから、それはまたいずれ別な形で調べがだんだんできてくると思います。
 運輸大臣がおいでになったんですか――そこで、さっき聞いた、羽田に民間機という形で米軍の輸送機がベトナムに向けてたくさん行っているというこの事実、この事実についてはあなたのほうでどの程度知っておられますか。
○国務大臣(中村寅太君) お答えいたします。
 地位協定第五条第一項の規定によって、米軍によってチャーターされる米国民間機はわが国の飛行場にいつでも着陸することができることになっておりますので、来ておるものと思います。
○稲葉誠一君 いや、そんなことを聞いていないよ。どの程度来ているかというのですよ。
○亀田得治君 そういう条約なり協定の解釈を聞いているんじゃない。ベトナムに関して非常な関心がいま高まっておるときである。そういうときに民間機と称して事実上軍隊が送られる、こういうことを私たちは重大視しておるわけなんです。そういう点について、運輸大臣は、この羽田の飛行場なり、そういう関係のところにつきまして事実を把握しておるかどうか。しておるとしたらどういう状況かということを説明を求めておるわけです。質問者の時間がもう制約されてきておりますので、もっとはっきり答えてもらいたい。
○国務大臣(中村寅太君) 政府委員から答えさせます。
○政府委員(佐藤光夫君) 地位協定第五条第一項によりましてMATSの契約しておる航空機の羽田の離発着は月間異同がございますが、おおむね五十機ないし七十五機程度が離発着をいたしております。
○稲葉誠一君 その月別、もう少し詳しく資料言ってください。いまMATSって何です、これは。
○政府委員(佐藤光夫君) MATSと申しますのは、米軍の軍事輸送部隊、この軍事輸送部隊によって契約をされて使われておる飛行機でございますが、これが月別に申し上げますと、三十九年六月が七十三機、七月七十五機、八月七十五機、こういうような数字、十二月五十五機、最近におきます機数は、本年五月四十五機、六月五十九機、こういうような数字でございます。
○稲葉誠一君 それはどこからどこへ行くの。
○政府委員(佐藤光夫君) この詳細な行き先その他につきましては、私のほうでは一応機数を把握してございますが、必要があれば、飛行計画によりまして、計画上の行き先その他は調査をすることは可能でございます。
○稲葉誠一君 何、計画書、計画書って何。
○政府委員(佐藤光夫君) 飛行計画による行き先その他の調査は可能でございます。
○稲葉誠一君 それはできるのですか。どこでわかるの、それは。
○政府委員(佐藤光夫君) 私どものほうの羽田の航空交通管制を担当しておるところで調査は可能でございます。
○亀田得治君 あとのところをはっきり説明さしてください、目的を。
○政府委員(佐藤光夫君) 飛行計画による行き先、特にベトナムについての御質疑と思いますので、それを申し上げますと、最近七月において一機、六月二機、それから前は一月までございません。そういう状況でございます。月間の数字でございます。八月はまだ集計いたしておりません。
○稲葉誠一君 どんな飛行機なの、これは。そうすると、どんなものを運んでいるんですか、まずそれが一つ。
○政府委員(佐藤光夫君) 私のほうで把握しておりますのは、米軍のこれは羽田に入りますのは技術着陸でございますので、給油のために入るということで、輸送内容等については直接調査をする状態にございません。主として聞いておりますところでは、米軍の用いる軍需品の輸送でございます。
○亀田得治君 ちょっとただいまの答えで多少ふに落ちない点があるわけですが、一つは、相当多数MATSによる輸送がなされた、その数字は報告があった。ところが、行き先につきまして、べトナムというものが一機とか二機とか、非常にわずかな数字言われた。それは間違いありませんか。一機とか二機とか、そのほかのものはそれでは一体目的地はどこなんですか。
○政府委員(佐藤光夫君) 私のほうで把握しております数字は、NATS契約会社から提出される仕向け地の数字でございます。したがいまして、この数字はわれわれのほうの調査では正確であると考えます。ただ仕向け地――最初の着陸地を選びますので、わが国を出てからどこに向かうかということは、われわれは航空交通管制上の見地からしか把握しておりませんので、そういう状態はわれわれにはわかりません。
○稲葉誠一君 航空法にも、民間機は運輸大臣の許可なく軍需品を運んではならない、この規定との関係はどうなんですか。
○政府委員(佐藤光夫君) 御指摘の点は、民間機一般に関する航空法の規定でございますが、ただいま申し上げますのは地位協定に基づく輸送でございますので、御承知のように、地位協定の航空輸送については、航空法の適用は直接ないわけでございます。
○亀田得治君 外務大臣に一つ確かめますが、こういう形で事実上大量の兵員なりあるいは兵器なり軍需物資、こういうものが運ばれている。それでもこの安保条約の関係でいたし方ないんだ、こういう見解ですか。外務大臣、これをよく考えてひとつ答弁してください。
 それから、もう一つ、先ほど室長を呼んでおいたわけですが、もう来ておるはずでありますが、今年の七月の調査月報、この中で「日韓交渉の経緯について」という論文が載せられておるわけですが、ここに「(T・N)」、こういう署名で出されておるわけです。この署名者の実体をここで御説明願いたいと思います。二つです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 安保条約の関係で事前協議の対象となるのは、たびたび申し上げるように、三点にしぼられておりまして、これ以外の問題につきましては、別に何らの制約がございません。
 それから「(T・N)」という署名は何ぴとを指すかということでございますが、内閣のほうから係官が来ておりますから、どうぞそちらのほうから。
○説明員(本多武雄君) ただいまお尋ねがございました調査月報の本年の七月号、この中に「日韓交渉の経緯について」という題目のもとに「(T・N)」というイニシアルの人物が寄稿いたしておりますけれども、これはT・N氏がタッチしたのではございますけれども、一つのグループで検討したものでございます。従来、だれが書いたかということにつきましては公開をいたしておりませんし、また、いたすつもりはございません。
○稲葉誠一君 その調査月報は日韓会談の特集号ですね、七月号は。そうでしょう。どういう意図で特集号を出すようになったのですか。
○説明員(本多武雄君) この調査月報は、これは内閣調査室の各室員がいろいろ作業をいたしておりますその過程で取りまとめました執務資料でございまして、希望に応じまして関係官庁等にお配りしておりますが、当面、日韓問題が非常に焦点にのぼっておりますので、この日韓問題のいろいろな点につきまして関係官庁のほうに執務の資料にしていただきたいと思いまして編集したものでございます。
○亀田得治君 T・Nという方だけで書いたのじゃなしに、何かグループとして協同討議などをおやりになっていて、その文章をおまとめになった、そういうふうにちょっと聞こえたわけですが、そう理解していいわけですか。
○説明員(本多武雄君) これは現実にはT・N氏が執筆いたしました。それを二、三人のグループで討議してまとめたものでございます。
○稲葉誠一君 そういう討議を経ておるとすれば、かなり何といいますか、価値の高いものというふうにだんだんなってくるわけですが、その二、三名というのは一体名前を明らかにせぬことにしておるとおっしゃるわけですが、これは国会に対してもできないわけですか。これは国費でおやりになっておるのでしょう、この仕事は。一体その二、三名というのは室の中の所属の人ですか、外務省とか、そういうところから借りてきたり、そういうこともするわけですか。どういうことですか。
○説明員(本多武雄君) これを書きましたのか……。
○稲葉誠一君 どこの人――外務省の人ですか。
○説明員(本多武雄君) いや、これは内閣調査室の固有の人でございます。
○稲葉誠一君 その次の論文を見てごらんなさい。その次の人は法務省だよ。これはぼくの知っている人が書いたのだから。
○説明員(本多武雄君) 当室員が直接執筆しますのが原則でございますけれども、問題によりましては関係の各省の方に執筆していただく、あるいは私のほうでいろいろ仕事を委託しております団体の方にお願いいたしますそうしてその内容を一応内閣調査室で検討いたしまして収録するという場合もございます。
○稲葉誠一君 そうすると、いまのは内閣調査室で内容を検討してこれは出したものですね。
○説明員(本多武雄君) 実は、この調査月報の一ページの目次の終わりに小さい字でお断わりしてあるわけであります。「本誌集録の論文は当室員の作業過程における一応の取りまとめであってその内容は必ずしも内閣調査室としての公式な見解ではありません」、こういうふうにお断わりしておるわけでありまして、作業の、何といいますか、過程におきますところの一応の取りまとめでございまして、内閣調査室の見解でもございませんし、ましてや政府の見解でもございません。
○亀田得治君 答弁漏れ。どうして明らかにしないのか。
○藤田進君 国会にも出せないのか、法的根拠をあわせて。
○説明員(本多武雄君) これは明らかにしたくございません。いままでもその例がございませんし、その室員の名前をここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○亀田得治君 それはあなたはこの文章を書きました執筆者を明らかにできない。そんなことは普通ではない、いわんや公費でおやりになっている仕事について、国会で質問されてもそれを明らかにできない、そんなことはちょっと筋が通らないと思う。委員長どう思う。委員長はそんなことに賛同されるわけがない、もっと明らかになさいよ。
○藤田進君 所管大臣から答弁いただきましょう。そんな文書があるのですか、国会にも明らかにされないし、国の機関で名前も明らかにできなし……。
○説明員(本多武雄君) いままでの慣例でございますし、それほどこれは権威のあるというものでもございませんし、それで、これを明らかにいたしますには、一応上司に御相談したいと思いますので、私ただいまここでこれを明らかにすることにつきましては、上司の御了解を得たいと思います。
○藤田進君 これは重要視しますよ。出せないのだ、そうですかということでは、これがあなたの言うように慣例になってしまう。三矢研究でもとうとう出したのですからね。これはもうあなたそんなことで――所管大臣どうです、所管大臣がいるだろう、総理大臣なら総理大臣でもいいですよ。
○委員長(平島敏夫君) この問題はあとで処理することにいたします。この場で処理せぬでも、あとで処理ずる場合もあります。
○説明員(本多武雄君) 後刻相談いたしまして…。
○亀田得治君 委員長、それを明らかにさせてください。討論に入るまでに明らかにすることを要求しておくよ、討論に入るまでに。必ずしもこっちは知らなければならない問題でもないけれども、明らかにできぬという、そんなばかなことはない。委員長、よろしいか、討論に入るまでに明らかにして……。
○委員長(平島敏夫君) 討論までに御報告願います。
 稲葉君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(平島敏夫君) 次に、小平芳平君。
○小平芳平君 初めに外務大臣に、日本の移住政策について一点だけお尋ねいたしたいのです。
 日本のいまの移住政策が非常に無責任な移住政策であったということが、つい最近二、三日前の新聞の夕刊の片すみでありますが、「夢破れ二家族帰る」、「ブラジルから農業移民」という見出しで出ております。このブラジルのプナウ移住地というところに昭和三十四年に十家族で農業移住をした。そのうちの二家族が、何とも募集要綱で内地で聞いていたことと現地の移住地の状況とは違い過ぎる、とてもこれではどうにもならないということで二家族が引き揚げ、それがまだ横浜港に入ったまま船の中にいる、そういうような状況がこの新聞に出ているわけであります。この問題として、内地にいるときの募集では、稲作も年二回収穫ができるとか、あるいは沖積土で非常に農業に適しているとかというふうに、うまいことを言われて、実際にブラジルへ行ってみると、それこそ雨期が半年も続く、お米は十アール当たり一俵しかとれない、サトイモやイモの葉を食べ続けてきた、こういうような状態で、とうとう引き揚げざるを得なかった。こういうような点は非常に無責任なやり方じゃありませんか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答えいたします。
 この問題のプナウ移住地は、ナタール市の南方のピウン移住地の実績に刺激を受けたリオ・グランデ・ド・ノルテ州が、ナタール市への果物、野菜等の供給源としようとこれを企図いたしまして、私有地を買収して日本の移住者を導入すべく計画した、こういうことから始まっておるのであります。これに対し、政府は、昭和三十三年三月実地調査を行ないまして募集要領を作成したのであります。この募集要領に基づきまして海協連があっせん送り出しをしたのであります。移住者は、昭和三十四年十月から三十五年十二月にかけて、計十三戸、七十七名移住をいたしました。このうち、本年八月二戸が国援法の適用を受けて帰国をいたしました。内地での宣伝と現地の実情の差があまりにもあり過ぎるとの御指摘でございましたが、募集要領におきましては、たとえば耕地は砂質土壌で、肥沃とはいえないというようなことを明示してありまして、必ずしもいいところだけを宣伝しておるというわけではなかったのであります。また、海外移住事業団が調査したところよにりますと、このプナウ移住者の九戸は、昭和三十九年一月から十二月までに、生産費等をすべてこれを控除いたしまして、平均の純益十一万円をあげておる。こういう報告がございました。なお、この点につきましては、外務省から農業専門家をまじえた調査団を本年の六月末から二カ月間の予定をもって北部及び中部ブラジルへ派遣をしております。そこで、この前記二家族が帰国を希望した際に海協連が阻止したという事実はどうかという点でございますが、海協連または事業団としては、移住者がせっかくはるばる永住の目的をもって渡航した以上は、現地においてぜひ成功させたいという考えを持つのは当然でありまして、こういう考えから二家族に対して、いまのところが気に入らなければどこか現地で転地をしたらどうか、あるいは転職をしたらどうか、こういうことを極力あっせんしたことが誤解を生んだのではないかと考えられます。で、この二家族とも日本においては農業の経験は持っておりません。これをつけ加えて申し上げます。もし海協連職員の態度が十分親切でないために何か二家族と感情的な対立を起こしたとすれば、このことは行き過ぎでございますから、深く自戒しなければならないと考えております。
 なお、移住者の意思に反して現地にとどまることを強要することが不当であるのは言うまでもございませんが、抽象的に申しまして、たとえば移住者が雇用契約を結んで、一定期間の労働を約束した場合は、契約順守の義務は存在すると考えます。戦後邦人移住者が入植した移住地で、北及び中部ブラジルの広範な地域にわたって散在しているブラジル国連邦または州移民地に対しましては、いままで必ずしも十分な援護がなされていたとは決して言えませんので、現在、先ほど申し上げた調査団を派遣中であり、その調査結果に基づきまして本的な対策を行ないたいという所存であります。
 なお、帰国二家族は、プナウ移住地内で三回も耕作地をかえながら、いずれも営農に失敗をし、他地区への転住あっせんなども拒絶して、また、現地調査団の派遣と、その結果を待って抜本的な対策を実施する予定であるということを知りながら、自分の意思によって、国援法の援護を申請して帰国したものでございますから、これについては、特別の援護措置を講ずる必要はもはやないものと考えております。
○小平芳平君 まことに詳しい御答弁でありましたが、一つは、内地でもって募集したその内容と現地の実情がどの程度合っているかという、これは本人の持っていた写真ですが、なるほど、こんな砂漠みたいなところでは米はとれそうもないです。それは調査団はいつ帰るんですか。それから調査団の結論はいつ出るわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 政府委員から答弁させます。
○説明員(山下重明君) 調査団は六月の初めにまして、八月の末に帰ってきますので、そのあとで十分討議して、必要なものは転住するし、また残りたい者は残るということで、現在働いておられる大体十家族前後の人ですが、この人たちが十分満足して働けるように取り計らっていきたいと考えております。
○小平芳平君 それで、いまの参事官ですか、政府委員の答弁だと、よく検討するようにおっしゃるし、それから大臣は、特別の援護措置は必要ないようにおっしゃったんですが、それはどうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 私の申し上げましたのは、二家族に対して、これ以上援護措置をする必要はないのではないか、それから山下参事官の申し上げた対策というのは、この移住地全般に対する、特に中北部のブラジル地方の移住地に対して、結論に基づいては抜本的な援護措置を講ずることになるかもしれぬ、こういうことでございまして、対象がおのずから別でございますから、誤解のないようにお願いいたします。
○小平芳平君 ですから、このプナウ移住地もブラジルの中北部になるわけですから、やはり実情をよく調べて、かつてはドミニカの例もあるわけですから、そういうような外地まで、遠いブラジルまで行っておりながら、そういうように引き揚げざるを得ないというそういう実情、または、こういう砂漠みたいなところで米がとれるかどうかという、そういう実情をよく検討して、調査して、そしてそれなりの結論を出し、援護措置を講ずべきものは援護措置を講ずるようにしていただきたいと思う。また、今後ドミニカのような二の舞いを繰り返さないように、責任のある移住政策を立てていっていただきたいと思いますが、いかがです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 御指摘の点は、全く同感でございますので、さよういたしたいと思います。
○小平芳平君 次に、選挙についてお尋ねします。
 総理をはじめ、政治姿勢を正すとよく言われますが、先ほどの報告にもありましたように、今回の参議院選挙を通じても、非常な悪質違反がたくさん出ている。で、初めに選挙法そのものの検討についてお尋ねいたしますが、第三次選挙制度審議会は八月で任期が切れますが、第四次はどのようにして、いつごろ出発し、どのような見込みでしょうか。
○国務大臣(永山忠則君) 第四次は、引き続いて第三次をお願いしている人を再任をしまして、引き続いてお願いいたしたいと考えております。
○小平芳平君 それで、それはもうきまっているわけですか。
○国務大臣(永山忠則君) そういう方針でございます。
○小平芳平君 で、この審議会の経過が、小選挙区制を中心にしていま非常にそれが問題になっているわけですが、それで、小選挙区制にすれば金がかからない選挙ができる、政党が近代化できる、そういうようなことをよく聞きますが、実際問題としては、金がかかるか、あるいは政党が近代化するか、そういうことは小選挙区制とは関係のないことではありませんか。
○国務大臣(永山忠則君) 政党選挙等のすべてを総合いたしまして、金のかからない、違反の出ないような選挙をすることが望ましいのでございます。
○小平芳平君 ですから、それは選挙区制とは関係がないわけでしょう。
○国務大臣(永山忠則君) 総合的に関連して検討すべき問題だと考えております。
○小平芳平君 総合的にとおしやいますがね、選挙区制を変えることと、そのことがすぐ金がかからない、そのことが政治の腐敗を防ぐ、そういうふうにはならない。大選挙区制でも金がかかる人はかかる。小選挙区制でも政党が腐敗すれば腐敗するのです。
○国務大臣(永山忠則君) そのとおりでございますので、区割り制並びに政党選挙すべてが総合されて初めて目的を達するものであると考えるのでございます。
○鈴木一弘君 関連。自治大臣にちょっと伺っておきたいのですが、第三次選挙制度審議会のメンバーがそのまま第四次の選挙制度審議会のメンバーに継続していく、そういう方針をおきめになられたようです。なぜそういうふうに継続させていくか。どう考えても小選挙区制推進論者がほとんどであるというメンバーがそのまま残っておるわけです。これは明らかに、政府の方針として小選挙区制というものを答申させたい、それを念願としている。そういう何か目的があってメンバーを継続さしているんではないか。第一次から第二次に移るとき、二次から第三次に移るときには、メンバーの入れかえがあったわけであります。今回はわざと入れかえがなかった。中途はんぱで、答申出せるまでにいかなかったからということが一つの理由になっているだろうと思いますが、それだけではないだろう、小選挙区制をどうしても行ないたいということで継続さしているのではないか。その辺の見解を一つと、選挙区だけでは腐敗選挙というものは当然正すことはできないわけでありますが、それを小選挙区にした場合に、正せるという証拠があるのかないのか。その辺の確信が政府におありになって、こういうメンバーを継続させていくのか、その二つの点について伺いたい。
○国務大臣(永山忠則君) メンバーは、一年にわたりまして検討を続けておるのでございます。この八月の任期までには結論を出しかねる情勢でございますので、鋭意検討をいたしました旧来の考え方を、やはり続いて結論を出してもらうようにすることが好ましいと考えておる次第でございます。
 なお、政府といたしましては、小選挙区にするためにメンバーを変えないというような考え方は毛頭ございません。全く選挙制度は今日民主主義の根幹でございますので、きわめて公平にあらゆる面から総合して適正なる措置をしていただきたいことを念願といたしておるものでございます。したがいまして、なおこの委員会では、小選挙区制、単純小選挙区制を論ずる者、さらに小選挙区比例代表を主張いたす者、また、中選挙区制限連記制を強く主張する者、並びに比例代表を主張する者と、種々意見が分かれておるのでございまして、公平な立場で民主主義を守るために真剣なる検討が続けられておるのでございますので、メンバーをそのままお願いいたしたいと考えるのであります。
 なお、小選挙区それ自体のみで違反のない、金のかからぬ選挙ができると考えられません。あらゆるものを総合して検討を願うことが好ましいのであります。
○鈴木一弘君 関連。いまの答弁で、一年間かかっても答申が出せないようだから、やむを得ずもう一回ということです。考えてみると、能力がないので一年間で答申が出なかったのじゃないか。その能力のないのを再び継続させる必要はないのじゃないか。入れかえる必要はありませんか。
 それから毛頭小選挙区制についてはお考えになっていないということでありますが、これは政府としては、そういうものは、小選挙区制はたとえあったとしても提案するというような、そういう考えは答申が出てもないということを言われておるわけですね。
○国務大臣(永山忠則君) ただいまの委員はきわめて有能の人でございますので、引き続いてお願いをいたしておる次第でございます。答申が出ましたら、それを尊重いたして、ぜひ皆さん方に相談をいたしたいと考えるものでございます。
○小平芳平君 大臣、いま選挙制度は大事だから、きわめて公平にあらゆる面から総合してというふうにおっしゃいますが、いまの審議会のメンバーが、いま鈴木委員の言われたような批判がある。はたしてきわめて公平であるか、あらゆる面から総合されているか、そういう点について相当の疑問を持っている人がいる。これは事実じゃありませんか。
○国務大臣(永山忠則君) あらゆる点で検討を続けていただいておりまして、非常に信頼をされる人であると信じております。
○小平芳平君 批判はないですか。
○国務大臣(永山忠則君) いろいろ、言う点はあるかもしれませんが、総合いたしまして、最も適正な人物であると考えております。
○小平芳平君 批判があるくらいのことを、大臣、御存じにならなければだめですよ、それじゃ……。それから、過去にも選挙区制を改正するたびに、いろいろと提案理由の説明をしておりますが、たとえば昭和二十二年の第九十二回の議会では、現行の中選挙区制の成立したときですが、小選挙区だと情実と買収の投票が多くなる、大選挙だと費用がかかり過ぎる、こういうふうに提案説明をしているわけです。また、昭和四年、第五十六回議会では、小選挙区への還元を主張する改正案では、大選挙区だと金がかかると困ると言っている。また、大正八年の第四十一回議会では、大選挙区制を実施したときです。このときには、もしかりに小選挙区にして有権者の数が少なければ少ないほど選挙の腐敗を助成し、誘致するに好都合であるということはいかなる人であろうとも疑問を抱くことができないという、こういう提案説明をしているわけですね。また、大正八年に小選挙区制を政府が提案したときには、大選挙区だと選挙運動費用がかかって困る、こういうふうに提案説明をしているわけです。したがって、先ほど来申し上げるように、選挙区制を変えたところで、それで金のかからない選挙ができる、政党の近代化ができるなんというのは本末転倒で、金のかからない選挙、政党の近代化、自分の政党を近代化したいから法律を変えるなんということは本末転倒じゃありませんか。
○国務大臣(永山忠則君) それらの点はすべて審議会で、あらゆる角度で流儀を続けられておるところでございまして、区割りの関係、それと選挙制に移行する関係を総合されて、正しい選挙を行ないたいという議論が行なわれておる次第でございます。
○小平芳平君 自治大臣は、さっき選挙区制と金のかかるかからないとは関係ないとおっしゃったが、それ、いいですね。
○国務大臣(永山忠則君) 総合関連性を持っておるものでございます。もしもそういうように受け取られておりますれば、そうではございません。区制の関係とすべて関連をいたしております。
○小平芳平君 それではこれは、選挙区制の問題は、大臣の答弁は要領を得ないです、結局。小選挙区制を提案するときには、大選挙区だと金がかかると言っていた。それを過去に提案するときに、大選挙区制を提案するときには、小選挙区になると買収やそういう情実がからむと言っていたわけですよ。そういう点について、どうですか。
○国務大臣(永山忠則君) 区制の問題については、いろいろ議論がございますので、政党選挙、その他あらゆるものを総合いたしまして、正しい選挙をやろうということでございます。
○小平芳平君 たいへん要領を得ないですが、次に、選挙公報について、選挙公報は、選挙制度審議会でも公報を廃止するような意見がだいぶ出ていたようにもお聞きしておりますし、外国でもほとんど選挙公報というような例は少ないようであります。で、いずれにしても、この選挙公報に、選挙にあるいは政策に直接関係のない個人の単なる誹謗だとか、特定の団体の単なる誹謗なんかを、悪口なんかを掲載して一軒一軒配って歩くというのは、非常に考えものじゃありませんか。これは検討する必要がありませんか。
○国務大臣(永山忠則君) ただいまの点は検討をする必要があると考えますので、選挙制度審議会に十分検討を願いたいと考えております。
○小平芳平君 次に、先ほど報告されていた専売公社等の選挙違反についてお尋ねいたしますが、初めに、大蔵大臣にお尋ねしますが、専売公社の中から二百十五人の選挙違反者を出したように先ほど報告がありましたが、これでは専売公社自体の業務が円滑にいくでしょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 多数の違反者を出しまして、これが事務執行に影響があってはならぬというようにいま非常に苦慮しておるわけでございますが、臨時応急の措置を講じまして、なるべく事務に支障のないように善処するつもりでおります。
○小平芳平君 それで大蔵大臣は、専売公社に対して大蔵大臣が監督をする必要があるときは、業務の命令を出すとか、あるいは公社の役員を解任することができる、こういうように非常に大蔵大臣が専売公社法では責任があるように思われますが、大蔵大臣としてはどんな責任を感じられますか。
○国務大臣(福田赳夫君) お説のとおり、大蔵大臣は専売公社に対して監督の責任があるわけであります。こういう事態が起こり、世間を騒がしたことにつきましては、まことに遺憾に存じております。そういうことに基づきまして、何よりもまず専売公社の仕事が円滑に進まなければならぬ、そういうために努力をいたしております。また、専売公社においてかようなことが反復して起こるというようなことがないように措置をしなければならぬ、かように考えております。
○小平芳平君 業務を支障がないようにとおっしゃる意味、それは四万人からの従業員の中で相当の幹部クラスが二百五十人も選挙違反を起こして、これでおしまいかどうかもまだわからないでしょうから、こういう状態で業務が円滑にいくとしたら、よほど専売公社というのはふだんから人が余っているかみたいに見られちゃう。ですから、したがって業務が非常に支障があるのは当然じゃないかと思うのですが、そういう点について、大蔵大臣としては、公務員が地位を利用して選挙運動をやったとか、あるいは相当の買収をしたとか、そういう点について、もっと大蔵大臣としての具体的な処置、責任、そういうものを明らかにしていただきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 今回の事件の刑事上の責任につきましては、ただいま捜査中でございまするから、捜査の結果を待たなければ全貌はわからない。これは刑事当局を通じて責任が明らかにされるわけです。しかし、私どもは専売公社の行政運営の監督に当たっておるわけでございます。そういうような意味合いからいたしまして、行政上の問題というものはまたおのずから別にある、こういうふうに考えておるわけであります。そういう点につきましては、私も慎重にただいま考えておるわけであります。
○小平芳平君 非常に国民は疑いを持っておりますから、不満を持っておりますから、単なる慎重なお考えだけでなくて、そういう責任を明らかにしていくことが、佐藤総理の言う、政治の姿勢を正す道だと思います。
 それから、自治大臣にお尋ねしますが、こういうように公務員が、一専売公社だけでも二百何人の違反者を出す。あまりにも選挙そのものが残酷な感じがいたしませんか。第一これらの人たちは将来性も、将来の生活をどうするか、自分の一生涯がどうなるか、家族はどうなるか、そういう点から考えても、選挙制度そのものを、たとえば高級公務員の立候補を制限するとか、当然そういうことが検討されてしかるべきじゃありませんか。
○国務大臣(永山忠則君) 高級公務員の立候補制限等の問題に関しましては、憲法上の問題もございますし、さらに、公務員の範囲の問題等もございますし、これとは必ずしも関連はしませんが、泡沫候補の立候補問題等もございまして、今後、お説のようにきわめて遺憾なことでございますので、選挙制度審議会で十分検討をしてもらい、なお、選挙制度審議会には皆さん方の代表も特別委員で出ておられますので、十分御意見を拝聴いたしまして、将来こういうことが起きないように最善を尽くしたいと考えておる次第でございます。
○小平芳平君 それから、農林大臣に、先ほど御報告のあった農共連ですか、全共連ですか、同じような趣旨で――ちょっと趣旨は違うかもしれませんが、農林大臣としては、こうした農業共済組合というものを主体にしたこういうところで、そういう大々的な買収違反が起きるなんてことに対しての責任はありませんか。
○国務大臣(坂田英一君) ただいま御質問の全国共済組合の選挙違反の件でありまするが、私も非常に遺憾に存じておる次第でございます。何も、個人的にやったことであるということを言われておるのでありますが、全共連で八人、その他を入れて四十三名ぐらい、現在司直の手において調査されております。調査の結果を待って考えてまいりたいと思うのでありますが、この事業の運営その他につきましては、遺憾のないように手配を極力立ててまいりたい、かように存じておる次第であります。
○小平芳平君 それで、この点は、この全共連そのものも、いま大蔵大臣が言われたような業務の運営の支障は起きませんか、これだけの大騒動をしておりながら。
○国務大臣(坂田英一君) 全共連のほうでは八人ばかりの関係になっておりまするので、できる限り、この前も責任者を呼びまして、このために仕事が行き詰らぬように十分やっていくようにということを特別に注意をいたしております。
○小平芳平君 それから、その全共連の問題ではないですけれども、よく農協の役員が、選挙になると農協のほうでいろいろな指示をしたり、また、農協の言うとおりの選挙活動をしないと、肥料の配給やあるいは融資の便宜をはからないぞとか、そういう戸がよくいなかへ行くと起きるのです。そういうような農協の組織というものが、選挙にそういうように動かされることがもしあったら、農業協同組合法の精神にまことに反すると思いますがいかがですか。
○国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、農協のほうとしましては、農協の指令云々というよりも、個人的に動く場合が多いのでございまして、まことに申しにくいことですが、私どもも反対を受けたりするようなことがあって、個人的に動くやつはいかんともすることができませんが、農林大臣としては、農協はきわめて中立に進むべきものであることを、私もよくそれは信じておる次第です。またそういうほうに指導申し上げていきたいと思います。
○小平芳平君 それで次は、時間の関係で身体障害者の福祉について厚生大臣にお尋ねしますが、現在日本の経済が大きく成長発展した、ところが社会福祉というものが非常に立ちおくれている。それで大企業とかデパートとかサービス業には、どんどん従業員は集まるけれども、こうした身体福祉事業のようなところへは、なかなか従業員も職員も確保できない。必要欠くべからざる職員にさえこと欠く、それは待遇が悪いから、そういうような点が非常に目立っていると思います。したがって、身体障害者に対するあたたかい政治、思いやりの政治というものを根本にして、そこで私が第一にお尋ねしたいことは、現行の身体障害者福祉法がありますが、これを改正して、第一に国及び地方公共団体が責任をもってこれをやっていくというような、児童福祉法にあるような規定を入れて、それでそういう施策をやっていくおつもりはありませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 身体障害者の更生援護施策につきましては、ただいまお話がございましたように、身体障害者福祉法に基づいて、これを行なっております。いろいろの施設に収容いたしますとか、あるいは健康診査をいたしますとか、いろいろの更生援護をやっておるわけであります。なおまた、そのほかに厚生年金法に基づきまして障害年金を交付する、また国民年金法によりまして障害福祉年金を交付する、できるだけあらゆる角度からこのお気の毒な方々の更生援護を進めていきたい。今後私はこの身体障害者あるいは精神薄弱者、重症心身障害者、こういう方々の更生援護は、政府としても重点施策として力を入れてまいりたいと考えております。
○小平芳平君 それで身体障害者の手帳の交付を受けている人がどのくらい、またこれに対する国の予算はどのくらいか、ちょっとお尋ねしておきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 数字にわたりますので、専務当局からお答えさせます。
○説明員(今村譲君) お答え申し上げます。
 身体障害者の全数は九十五万人、そのうちで十八歳以下のいわゆる児童といいますか、それが十二万一千人、それから十八歳以上のものが八十二万九千人、こういう数字に相なっております。それで帳をすでにもらっておりますのは約百万人ということは、実はちょっと数が多過ぎるのでありますが、これは死亡してまだ返ってこないというふうなのが、未整理の分が若干ありますが、いままで全部出しましたのは、総計で百方、それから予算にいたしまして十八歳以上のおとなのものが身体障害者福祉法ということでございますが、これは四十年度の予算におきましては約十五億、これは国の施設の経営、あるいは都道府県に対する補助金、そういうふうなものでございます。児童局関係はちょっといま詳しい数字を持っておりませんが、相当、そのぐらいの数字よりもうちょっと上じゃないかと思います。
○小平芳平君 ですから、いま厚生大臣が非常に力を入れてやるとおっしゃいましたが、実際には百万人こういう障害者の手帳交付をされている人に対して、予算といえば十五億程度のものであります。したがって、私が先ほど申し上げたように、児童福祉法そのものを改正して、地方公共団体あるいは国がしっかりめんどうを見るとか、あるいは医療保障や所得保障をやっていくと、国が責任を持ってやっていくというような改正についての御意見を承りたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたような更生援護の施策をさらに強化してまいりますほかに、身体障害者審議会でいま御審議を願っておりますので、御指摘のような必要なる法律の改正等もやってまいりたいと考えます。
○小平芳平君 それからまあいろいろ問題がありますが、先ほどの局長の御答弁の中にもあった、身体障害者を十八歳で切ることです。十八歳以下とそれ以上の成人というふうに分けての施策というものが現在行なわれているわけですが、少なくともこれ分けてやるからには、施設が十八歳になると出ていかなきゃならないという問題が起きるわけです。これが非常にみんな悩みになっておりますが、分けてやっていくからには、施設を併設していくという点を重点的にやっていかなきゃならないと思いますがいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のような問題がございまして、いろいろ検討を進めております。これには子供の施設と成人の施設、この横の連絡を緊密にとりまして、そして子供の施設を出る年齢に達した者は成人の施設にすぐに入れるようにするということも一つの方法でございます。また、ただいまの法規のもとにおきましても、満二十歳まで二年間は入所を延長するというような措置も講じておるわけです。さらに精神薄弱者につきましては、国立の施設におきましては、年齢の制限を撤廃をするというようなことをいたしておりまして、御指摘のように支障の来たさないように漸次改善をしてまいりたいかように考えております。
○小平芳平君 それから次に、労働省のほうで職業訓練をし、また就職のあっせんをなさるわけですが、これは労働省のほうでやっていらっしゃる現状について初め御説明願いたい。
○国務大臣(小平久雄君) 身体障害者の職業訓練につきましては、全国で各ブロックごとに特別の身体障害者のための職業訓練所を設けまして、その徹底を期しておるわけでございます。
○小平芳平君 どのぐらいの人が就職しそれから賃金はどのぐらい、定着率はどうか、そういうことをお尋ねいたします。
○国務大臣(小平久雄君) 身体障害者の雇用促進につきましては、御承知のとおり、三十五年に身体障害者雇用促進法ができまして、もっぱらこの法の適正な運用によりまして、その目的を果たすべく努力をいたしておるのでございますが、三十五年に法が施行されましてから四十年の三月、つまり本年の三月までに職安へ就職の申し込みをいたしました者が六万五千九百五十一人に及んでおります。そのうち職安を通じまして就職いたしました者が三万七千二百十九人、こういうことに相なっております。その達成率は五六・四%こういう実績に相なっております。なお、これを官庁及び民間の別にして見まするというと、四十年三月末におきまして、今年三月末におきまして、官公庁における身体障害者の就職者は、一万五千五百人ほどに及んでおります。その雇用率は一・四八%こういうことに相なっておりまして、全体としては法定の雇用率に達しておるのであります。また百人以上の者を使用しておりまする民間の事業所の身障者の雇用状況でありますが、これは昨年の十月一日現在の調べになっておりますが、総体で七万人余になっております。全体としての雇用率も、これも全体としましては法定の基準に達しておるのであります。
 なお、国の行政機関あるいは三公社等におきましては、昨年特に身体障害者の雇用につきまして申し合わせをいたしまして、これが促進に当たっておりまするし、地方公共団体につきましては、国の行政機関に準じてやはり極力身障者を採用していただく、こういうことで指導いたしております。なお、民間につきましても、百人以上の工場、事業場等におきまして、いまだ法定雇用率に達せぬと、こういうところに対しましては、身障者雇い入れの計画をつくってもらう、これをもとにいたしまして雇用の促進をはかっておるのであります。
 それから定着率のことでありますが、はなはだ遺憾なことに実は身障者の定着率、特にこれについての調査はいままでないようであります。したがって、今後これは早急にやりたいと思いますが、遺憾ながらいままでございません。ただ勤務年限等を見まするというと、一般の方よりもむしろ良好であるというような数字もあるようでございますので、そういう点から見まするというと、さほど悪くないのではなかろうかという実は感をいだかされているわけでございます。いずれにいたしましても、正確な調べがいまございませんので、これは早急に調べてみたいと思っております。
 なお、賃金につきましては、これも御承知のとおり、職場内の訓練手当など等も支給するたてまえに相なっておりますので、一般の者に比べまして、そう別段低いとは存じませんが、この点は詳細は政府職員より答弁いたさせます。
○小平芳平君 いやいいです。ただ時間が私もないので、総括的にお尋ねしますが、いま労働大臣が御説明のように、まあ数字はそう出ているでしょうが、実際問題は賃金が低いのです。身体障害者だからといって、職場ではばかにされたり、非常に下積みにされて不幸な人が多いと思うのです。したがって、いま厚生大臣にもう一つお尋ねしたいことは、職業訓練から治療から一貫してりっぱな社会人になっていけるような、そういう構想について。また大蔵大臣にお尋ねしたいことは、民間会社で身障者を雇用するような場合の優遇措置について。現状でも少々ありますが、もっとそれを拡大していく考えがないかどうか、それだけお尋ねします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 身体障害者の職業訓練さらに社会復帰の問題は非常に大切な問題だと、こう存じております。そこで、今後におきましては、身体障害者の授産施設の拡充、さらに将来はぜひコロニーのようなものをつくりまして、そして能力に応じて仕事ができまするように、また生活につきましても、国もこれをめんどうを見ながら、そして働きながら生活ができますように指導してまいりたいと考えます。
○国務大臣(福田赳夫君) 身体障害者に対しましては、現在税法でできる面におきましては、まあ精一ぱいのことをやっておるというふうに存じておるわけですが、所得税につきましては、納税義務者またはその扶養親族などが身体障害者である場合の税負担の調整のための障害者控除の制度が設けられております。また、法人税につきましても、公益法人の収益事業の課税につきまして、身体障害者がその収益事業に従事する者の総数の半分以上を占め、かつ、その事業が身体障害者の生活の保護に寄与しているものにつきましては課税をしないというような特別措置を講じておるわけでございます。これをさらに広げたらというようなお話かと思うのでございまするが、この限度以上に広げますと、税制の横のつり合いとか、あるいは理論とか、いろいろの障害につき当たるわけであり出して、なお慎重に考えてみますけれども、そうたやすい問題ではないということを御承知願いたいと思います。
○小平芳平君 いまの優遇措置について労働大臣から、どのようなお考えか。
○国務大臣(小平久雄君) 税法上の優遇措置につきましては、大蔵大臣から御答弁のとおりでございますが、符に就職等につきましては、中高年令者に対しまする優遇措置と同じ方途を現に講じておるわけでございます。
○小平芳平君 まだまだ出荷年令層の、あるいは炭鉱離職者の人たちの優遇措置のように、もっともっとあたたかい施策というものが必要だと思うのです。
 で、もう一つ、郵政大臣に、これはこの前もお尋ねしたのですが、即時払いの終身年金に戦前に不具廃疾、寡婦、要するにかたわの人、そういう人がかけたわけですが、しかし現在は、親はかたわの子供のために全財産を国に託して死んだのに、現在では月に一円とか月に百円とか、そういうものしかもらえない。こういう点についての配慮はいかがですか。このときは郵政審議会で審議するようなこともおっしゃっておりましたが。
○国務大臣(郡祐一君) 確かに仰せのとおり戦前等の少額年金、これはまことにお気の毒な状態でございます。そしていま御指摘の郵政審議会の審議でも、何とか運用範囲を拡張できないだろうか、自主運用ができないだろうか、こういうことによって少しでも魅力のある年金にできないだろうか。ただ何ぶんにも任意年金という性質からまいりまして、物価にスライドしてふえていくような運用の資金を持っていればよろしゅうございますけれども、資金の制約を受けまするので、どの程度の魅力のある年金に改めることができるかということは、私自身希望しながら非常に心配をいたしております。しかし、御指摘の不具廃疾者、当時のことばで廃疾者ということばを使っておりましたこれらの方に対する年金として、何とか少額年金であっても、国民年金は国民年金なりに努力をいたしたい。これは御指摘の審議会でも考えてくれております。しかし、私は結局社会保障的な救済のしかたによって、身障者の期待に沿うていくという以外に方法はないんじゃないかと思います。
○小平芳平君 農地報償のように何千億なんてかかる話ではないと思うのです。ですから、もう少し、郵政省だけの範囲内で考える余地がなければ、社会保障なら社会保障のほうへ郵政省のほうから働きかけてでも、一日も早く結論を出していただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(郡祐一君) 私もただいま申しましたような意味合いで、審議会のように運用そのものを考えていく、何かプラス・アルファをつけ得るか。しかし、それ以上に国の財政自身でこういうものをやはり考えてほしいという主張は、今後も強く続けてまいりたいと思っております。
○小平芳平君 あと時間がないので、建設大臣に最後にお尋ねしますが、道路行政についてですが、人命の尊重というものを交通炎全対策として第一に考えてやっていかなければならない。これは当然のことでありますが、そのための設備の拡充、国庫補助の拡充というものが、それこそいまから四、五年前に比べたら相当建設省でも力を入れてやっている現状ではありますが、まだまだたとえば街路の照明灯とか、ガードレールとか、横断歩道橋とか、こういう点についてもっともっと、少なくとも国道については心配ないぞというふうな対策を立てていかなければならないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いまお話しのとおりに考えております。現在道路五カ年計画でも、いわゆる交通事故防止の施設に相当力を入れておるつもりでありますけれども、既設の道路あるいは地方道、こういうものにつきましては、非常に不十分な点がございます。したがって仰せのガードレールあるいは照明灯、あるいは歩道あるいは歩道橋あるいは信号機、これはまあ警察関係でありますが、道路網の一環として積極的に進めていくように、いま計画を進めておりますから御了承いただきたいと思います。
○藤田進君 関連して。最も私同感な小平君の御質問の点について関連してお伺いしたいのですが、これは国家公安委員長をはじめ建設大臣、関係大臣にぜひ一つ実行してもらいたいと思うので御答弁いただきたい。実は河野さんの建設大臣のときに、本予算委員会の分科会で交通局長も呼びやりまして、オリンピック直前であったわけですが、六億かけてひとつ道路標識もやり直そうということになり、かなりこまかい、これは自民党の野本品吉議員も被害者の一人として指摘され、何とか実行しようということでしたが、国民には、こまかいようでも交通関係についてはもう日常目の前に、ぶら下がっている危険な問題なんです。
 そこで私は具体的に提案をしたいのですが、いまどうも取り締まり当局、まあ警察ですね、いわゆるおまわりさんが違反者をつくっている。私はいつも言うんです。ちょうどいなかで山にウサギを取るためにわなをかけておいて、朝行ってみたら、かかっておるかなあと思って行ってみて、引っかかっておればたいへん喜んで、かかっているわいと――全くこれと同じなんです。東京都内のあなた信号機なんか見てごらんなさい。広い道路で左にあるかと思えば右にあったり、直進禁止だというようなことが右の端のほうにあって、運転者はゴーストップの赤か青かをまず見る。そういうまちまちなことである。そうして私がさらに言いたいのは、この交通事故防止をしないような、交通事故を起こすようなやり方、たとえば路線バスですね、横断歩道がバスの停留所の前に必ずあるんです。東京都内見てごらんなさい。どこの国道でも、運転する者は、バスの前を横断する人があるかないか、たいへんな神経を使うんです。同時に子供たちは、バスの前で隠れたところから飛び出て横断しようとするんですね。横断歩道では、横断しようとする者があるときは、新道交法では一時停止をしなければならない。なぜ横断歩道はバスのうしろにしないんですか。そうしてさらにラッシュアワーで困るのは、バス停留所で――切符売場の関係もあるんでしょう、農村なんかでは。あろうが、狭い道路で二車線で上りと下りのバスが相対峙してとまっているじゃないですか。どこでもそうです。ですから上り下りのあとに続く一般のトラックその他の乗用車は、バスがとまるたびにとまっていかなければならない。これを追い越そうとするところに事故が起きるんですね。このように指摘すれば数限りないです。さきおととい私は広島から自分で運転して東京までやってきてみた。浜松あるいは静岡と、さらに小田原と見てごらんなさい。初めてのところはみんな迷うんです。道路標識がなってないですよね。これをなぜ直さないのかと、もう常に言っているんです。こういうこまかいことのようではあるが、真剣にやらなければだめです。第一、当分が運転ができて、その実地的な経験のある者が行政をやっていない、日本は。建設大臣は自分でやれますか――やれない。交通局長どうだろう――自分もやれない。こんなところに、陰に隠れていてそうして違反者が出てくれば喜んで摘発するという、切符制度でね、現在。全部とは言わないが、そういう非常に質の低下したおまわりさんも相当ある。こういうような全体を直していかなければなりません。私は具体的にいま時間がないので、関連ですから一部を申し上げたのですが、どうですか、これを検討して何とか面してくれますか。
○国務大臣(永山忠則君) お説のように警察の取り締まりは、違反者をつくるというようなことは断じてせないようにせなければならぬと思っております。国民に愛される警察になりたいのでございます。したがいまして取り締まり等も、一般に公開して違反を取り締まるという公開取り締まりのようなことをやっておるのでございます。
 なお、一番大きな問題は、何といっても教育でございます。基本的に教育はこれは文部大臣の所管でございますが、社会全体の正義を、道義感を強く植えつけねばなりません。関連いたしまして交通道徳教育には全力をあげていきたいと考えておるのであります。それにはいわゆる取り締まり主義ではいけないのであります。違反者を出さないようにするために民間協力を待つ必要がございます。したがいまして、交通安全協会等の民間諸団体の高度な協力を求めまして、違反のないようにやるということに力強く持っていきたいと考えておるのであります。
 なお、交通事故防止の徹底をはかるための緊急対策をいま鋭意検討いたしまして、建設大臣といま協議をいたしまして、交通安全施設の整備を三カ年間緊急にこれを確立をいたして、そうして補助のかさ上げをする、あるいは自治省といたしましては起債等を大幅にみるようにいたしまして、先刻仰せになりましたところの信号の関係あるいは道路標式の関係と、これは警察の所管でございます。建設省の所管は御存じのようにガードレールあるいは横断歩道また歩道橋その他の諸種の関係を三カ年間に全部整備をいたしまして、これらの事故を防ぐ方向にいきたい。
 なお、運転者の関係におきましては、再教育に力を入れんとするものでございます。それには違反者は免許を取り上げられたときに再教育をいたしまして、それによって免許の再交付をするというような方向に向かって鋭意努力を続けておりまして、ただいまのような点に対しては十分注意をいたして万全を期したいと考えておる次第でございます。
○小平芳平君 ひとつ要領よく答弁をお願いしたいのですが、建設大臣は別に時間ないわけじゃありませんから、ひとつもう少し具体策を、建設大臣、具体的にいまいろいろやるようにおっしゃいましたが、街路照明なりあるいは横断歩道橋なり、実際問題、横断歩道橋と言ってもこれは建設省がやった分というものはそんなにたくさんないのですよ。実際には市なんかで地方団体が芳しい中の財政からつくった歩道橋のほうがはるかに多いんじゃないかと思うのですが、そういうような点を積極的にやるとすれば、どういう点をどんなふうに積極的にやっていくか、単なる説明じゃなくて、中身のある具体策をはっきり示していただきたい。現状としては、たとえば岐阜県の中津川なんというところでは人命尊重の信号灯どころではなくて、道路がくずれて人が死んでいるのですから、できたての道路が擁壁かこわれてその下になって自動車に乗っていた人がペしゃんこになって死んでしまう。国道のところでそんな事故が起きている。そういう意味から言っても人命尊重のためにどういう施策をしていくか。また国家公安委員長のいまのお話はよくわかりますが、たとえば軽い精神病ですね。軽度の精神異常で脳波テストをすればわかるのに、それをしないで免許証を発行したために交通事故を起こしたとか、あるいは片手の人、まるきり片手を窓から外に出して運転しているのですが、あるいはラジオをがんがんかけて、つんぼでも運転ができるかと思うくらいラジオをがんがんかけてやっておる人もあるのですが、そんなような点はいかがですか。以上、二点について。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 例の歩道橋のお話でありましたが、歩道橋はこれは国から道路として助成をしてやっておりますので、その点御理解願いたいと思います。歩道橋といいますのは、御承知のように相当道幅の広いところ、しかも自動車交通のひんぱんで、なかなかいわゆる普通の横断歩道では危険だ、そういうところを選んでやっておるわけであります。けれども大都市等においては、なかなか御承知のとおり商店街のじゃまになるかっこうになりますので、必ずしも場所的に希望されないところもありますが、人命尊重のためにこれをできるだけ逐次整備していこうと、こういうことでいまお話しのように三カ年計画等を立ててやろう、こういうことでございます。
○国務大臣(永山忠則君) 精神病者に対しましては、道路交通法の第八十八条の規定によりまして運転免許を与えないことにはなっておるのでございますが、ところがその当該者を最初認定するのには、なかなか困難な情勢がございますので、潜在的な精神病者を排除するために、すべての運転免許の申請に対して精神的、医学的検査を実施するということは、実際は望ましいのですけれども、事実上においてはなかなか困難でございます。したがいまして、来年度予算におきましては都道府県警察に適性検査センターを設けまして、そしてそれらの疑いのある者はよく検査を進めていきたいと考えております。なお、最近は道路交通法の第百二条に定める臨時適性検査を積極的に行なうように努力をするように指示をいたしておる次第でございます。なお、ハンドルは正規に持って運転するように指導いたしておるのでございますが、指導なお不十分でございます。お説のよりに十分指導を徹底させたいと考えておる次第でございます。ラジオ放送を聞きながら自動車を運転ずるということは、運転者の精神状態によくない影響を与えるのではないかというように一応は考えられますけれども、現存までにこれが直接原因となって重大事故が発生した事例は認められておらぬのでございます。また、交通情報の周知あるいは安全運転の広報等を内容とする番組は、ドライバーの聴取者も非常に多いのでございまして、所期の効果をあげているのではないかと考えております。ラジオを聞くことは長距離トラックの運転手等、心身ともに単調なる状態に陥りやすい者にとりましては、適当な刺激となるものと考えられておるのであります。したがいましてこれらに対し特に規制を加える必要があるかどうかについては、お説ございましたけれども、なお十分ひとつ検討を続けてみたいと思うのでございます。
○委員長(平島敏夫君) 小平君の質疑は終了いたしました。
 この際、先刻の稲葉君の質疑に関し本多内閣調査室長から発言を求められておりまするので、これを許します。本多調査室長。
○説明員(本多武雄君) 先ほどお尋ねございました調査月報七月分の「日韓交渉の経緯について」という論文の執筆者は、世界政経調査会の調査員の野原敏弘でございます。この者が執筆いたしましたけれども、調査室員がこれを一応点検いたしております。
○委員長(平島敏夫君) 次に、中沢伊登子君。
○中沢伊登子君 まず、文部大臣にお尋ねをいたします。
 最近の青少年の非行化は大きな社会問題となっておりまして、子供を持っているおとうさん、おかあさんは、非常に悩みのたねでございます。このことにつきまして、先ごろの佐藤総理大臣の演説の中には触れておられませんでしたけれども、新しい文部大臣のお考え、御抱負を伺いたいと思います。
○国務大臣(中村梅吉君) 青少年の非行化防止ということは世界的に重要な問題で、特に日本の現状としては大事な問題でございます。これはいろいろな要素がありますので、教育の問題もあり、家庭教育の問題もあり、社会教育の問題もありいたしますが、文部省といたしましては、それらの諸般の施策を総合的に進めてまいりますが、特に最近、母親学級というようなものを奨励いたしまして、やはり母の立場から子供を悪い方向に向けさせないようにすることは非常に大事なことだと思って、私も力を注いでまいりたいと思っております。
○中沢伊登子君 いまの御答弁でございますが、青少年が非行化していく原因は、もっといろいろな角度からながめなければならないと思います。私どもが考えておりますのは、中央、地方、いろいろなところで青少年問題協議会とか、いろいろな機関が青少年の善導を目ざして、そういう非行化をしないようにしているはずでございますけれども、そういう機関があるかと思いますと、片一方では、おとなですら目をそむけなければならないような映画の広告、看板の乱立、あるいは、おそらくきのう大阪から陳情に来られたと思いますけれども、映画の深夜興行、あるいはトルコぶろ、釣り堀、ボーリング、そういったようなものが非常に野放しになっておると思いますが、こりいうことについてどうお考えでございますか。
○国務大臣(中村梅吉君) 社会環境として、非常にいま御指摘の点は大事な点だと思います。特に、映画あるいは映画の広告等、いろいろ私どもは指摘をされますしいたしますが、日本の現状としては、表現の自由を尊重いたしまして、政府機関としては、これを規制する道はないのであります。自主的に映画会社、映画関係者に映倫の組織をつくっていただいてやっておりますが、天は私ども現在、来年度予算編成を通して考えておりますことは、そういう悪いものについては悪いと指摘をすることもそうですが、もっと青少年の徳育を高めるために裨益するようないい方面の映画、こういうようなものについて何か社会的に奨励する道はないかということで、いいほうを奨励すれば、自然に悪いほうは消されますから、そういう反対論法でこれをたわめていく道はないかと思いまして、目下、予算編成に関連して研究をいたしておる段階でございます。
○中沢伊登子君 いい方面の施設をいろいろつくってくださることは非常にありがたいと思いますけれども、これは、この間の地方行政委員会の風俗営業等に関する調査小委員会の会議録の中をごらんになりますと、非常な勢いでいろいろなそういった悪い方画の、トルコぶろとか、映画の深夜興行とか、そういうものが押えることができないほど、どんどんなされているということが、これに出ております。しかも、それをおっしゃったのは今竹警察庁の保安局長でございますけれども、もはや、これは警察の手ではなかなか押えることが不可能である。そこで、何とかこれを法律を改正して、ほんとうにきつくこういったことを取り締まっていただきたい。こういうことが非常に私どもの要望でございますが、これについては、いかがお考えでありますか。
○国務大臣(中村梅吉君) 御指摘のような点につきましては、私どもとしては、もっと地方自治団体で、全国ではいろいろ地方の事情も違いますから、条例等を設けまして、深夜営業とか、若い者や子供さんたちに悪影響を及ぼすような深夜営業とか、あるいは、あまり目につくような営業方針に対しては、何か規制する道を講じていただきたいということを熱望いたしておりますが、やはり今日の時勢でございますから、各関係機関とも思うようには行きかねておるというのが現状ではないかと思います。どうかひとつ世論を盛り上げていただいて、私ども、青少年の非行化防止の目的達成に都合のいいような社会環境ができることを心から期待し、望んでおる次第でございます。
○中沢伊登子君 世論の盛り上がりだけでは、もはやこの問題は解決しないと思います。おとついも、ここに東京の東部からのトルコぶろに対する要望書が出ておりますけれども、非常にこのようにみんなが困っているのですから、何とかこれは法律を改正する意思はございませんでしょうか。
○国務大臣(中村梅吉君) 私も実はまだこのトルコぶろ等が何の法律でできているかよく存じませんが、ひとつ関係方面と協議いたしまして、法律改正等もできれば、ぜひひとつ進めていただきたいと、われわれも推進いたしたいと考えます。
○中沢伊登子君 それでは、時間が非常に切迫をいたしておりますので、次の問題に移りたいと思いますが、最近、物価高で子供を持つ各家庭で一番の悩みの種は、教育費の問題でございます。教育費、先ほども私学のことでいろいろ御質問がありましたけれども、もう審議会に諮問をするとか、コントロールするとか、いろいろなそういり問題ではなしに、もうきょう、あすが非常に各家庭では困っている状態でございます。そこで、憲法に保障されている義務教育の無償ということは、何とかいつ完全実施ができるか、大体見通しを伺いたい。
○国務大臣(中村梅吉君) 義務教育の無償ということは、大体義務教育から授業料を取らないということ、これが観念的に、原則的にいままで考えられてきたところでございますが、さらに、文部省といたしましては、義務教育の教科書等、これは無償にいたしまして父兄の負担を軽減いたしたいということで、御承知のとおり、義務教育の教科書の無償配付を年次計画を立てまして実行しつつある段階でございます。その他に父兄の負担としましては、最近はいろいろ進学競争などが過度になってまいりまして、そういう進学準備のための、本来でない経費負担などがあるようでございます。しかし、これらについては、個人事情、個個の事情によって生ずるので、一般的にどうもなかなか判断しにくいもんですから、今後、父兄の負担を軽減し、あるいは実現するような方向に向かいまして、私ども研究をし、御期待のような方向に進めてまいりたいと思っております。
○中沢伊登子君 それでは、大蔵大臣に一つお尋ねをいたします。私どもは非常に教育費の問題の過重に悩んでおりますけれども、もしも可能ならば、私立の中学校、高等学校、大学あるいは義務教育の給食費、あるいは教材費、税外負担、そういったものを生命保険の保険料が税金の控除の対象になっておりますが、教育費をそういうふうな控除の対象になさるお考えはないでしょうか。そういうことをお考えになったかどうか。
○国務大臣(福田赳夫君) 税金につきましては、これはまあ所得一般として考慮するということが適切であるという見地で、特別に何の費用と、いまお話しの教育費はどうとかというような考えはいまとってないです。
○中沢伊登子君 しかし、公立の学校があまりに少ないので、みんないま競って、私立でもどこでもということで子供を教育をいたしております。そういう方たちの父兄負担というのは非常に大きいですから、何とかこういうことをお考えをいただきたいと要望いたしておきます。
 それから厚生大臣に一言お尋ねをいたします。先ほどの小平さんの質問と重複することを避けますけれども、十九歳以上の身体障害者は一応施設を出なければならない、こういうことになっておったと思いますが、そういうお子さんに対する施設の数が非常に少ないために、あるいは、お姉さんが十九歳以上で帰されたために、妹がせっかく都会で働いているのに、そのお姉さんの世話をするために、わざわざ職業をやめて家庭に帰らなければならないというような状態にございます。こういうことについて、どうお考えですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども小平さんの御質問にお答えいたしたいのでありますが、十八歳以上になりました精薄児あるいは身体障害児、これは一応出なければならぬことになっておるのでありますが、今度はおとなの施設をできるだけ早く整備拡充をいたしまして、そうして横の連絡を緊密にとって、すぐに収容ができまするようにしてまいりたいと考えております。なお、ただいまのところは、事情によりましては二十歳まで収容を延長するという道も開かれております。また、国立の精薄施設におきましては、年齢の制限を撤廃をいたしております。今後、御趣旨のように努力をしてまいりたいと思います。
○中沢伊登子君 こういう施設の一日の食費はどれくらいか、お考えになってみたことはございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府委員から答えさせます。
○政府委員(竹下精紀君) 子供の施設につきましては、飲食費の日額は百三十二円でございます。
○中沢伊登子君 百三十二円と申しますと、一カ月に約四千円でございますが、実は私も四千円の、ある施設を知っておるわけですが、そこには人の善意の持ち寄りということでなければ、とうてい一日のカロリーが足りません。そうして食べるものが非常に足りません。そのために、なおるべきものがなおらないと、私はこう考えておりますが、もう少しこういう人の施設の食費を値上げするお考えはございませんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国民生活全般の向上及び経済の動向を考えながら、改善策を今後進めてまいりたいと思います。
○中沢伊登子君 じゃ最後に、もう一つだけ建設大臣にお尋ねをいたします。現在お金を出せば衣類とか食べるものは相当出回っておりますが、一番困っている問題は、やっぱり住宅の問題でございます。ことに景気刺激策として住宅建設が一番いいということは、政府がこの間おっしゃっているとおりでございますが、建設大臣の抱負を伺いたい。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 住宅が非常に緊急な課題であるということは、いまお話のとおりでございます。政府といたしましても、いま衣食が十分とは言いませんけれども、相当程度に回復をいたしておる。問題は住宅が相当不足いたしておる。御承知だと思いますが、住宅用地調査というものを建設省でやっております。三十三年の十月の調査に基づきまして、その当時の調査と、それからその後の人口移動等をいろいろ勘案いたしまして、三十九年から四十五年まで、七百八十万戸を目標に立て、これが世間で言われております一世帯一住宅、昭和四十五年までにはどうしても住宅を充足する、こういう計画で進めておるわけであります。これはなかなか資金の要ることであります。また、用地が御承知のとおりの土地の問題等困難がありますが、最大の課題ということで努力をしてまいっておるわけであります。
 ところが、五年目の昭和三十八年の十月の住宅調査によりますと、御承知のとおりに、経済の発展、社会情勢の変化等がございまして、その計画では間に合わないという状態が、三十八年の調査によってだんだん明らかになってまいりました。そこで、七百八十万戸ということは、相当改めなければならない。と言いますのは、御承知のとおりに、最近の社会情勢の傾向といたしまして、いわゆる世帯の分離ということが非常に強くなっております。若夫婦と申しますか、若夫婦でなくても新家庭、そういう人々は、従来の日本の社会と違いまして、独立した住まいを持ちたい。独立ということは必ずしも一軒家ということではありませんけれども、われわれの住まいを持ちたい、いわゆる別居したい、そういう傾向が非常に強いわけでありますが、それがあるいは、さっき申し上げました住宅調査によりますと、戸数を相当にふやさなければならない、こういう事態でありまして、まだ最終的な計算が出ておりませんけれども、昭和四十一年から計画いたしまして、四十五年を目途といたしますと、今日三十九年、四十年努力いたしましたあとに、なお七百五十万戸くらいの住宅を充足しなければ、いわゆる一世帯一住宅の目標は達せられない、こういう実情が明らかになっておる。したがって、政府といたしましては、今後四十五年までにはどうしてもその目標を達成したい。実は、きょうの内閣委員会でも皆さんからいろいろ御意見が出たのが、それをもっと繰り上げて、場合によったら、三カ年くらいで目標を達成したらどうかという御意見であったのです。これは一年たりとも早いにこしたことはございません。けれども、土地の問題、財政の問題がございますから、私どもといたしましては、少なくとも四十五年くらいまでにはその目標を達成したい、かような考え方で最善の努力をいたしたい、こういうことであります。
○中沢伊登子君 その最善の努力をしてくださる住宅は、どういう住宅をお建てになるおつもりでございますか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) どういう住宅と申しましても、御承知のとおり、この前のいわゆる七カ年七百八十万戸、それが昭和三十九年から四十五年までであります。そのときは、いわゆる政府施策の住宅、公営住宅あるいは住宅公団による賃貸住宅、あるいは分譲住宅、あるいは金融公庫による個人の住宅、あるいはまた分譲住宅、こういうものを合わせましたのが政府施策の住宅でありますが、七百六十万戸のうちに三百万戸以上をいわゆる国の施策の住宅を建てる、こういう計画で、その他は御承知のとおりに、民間の個人あるいは会社等が実際それだけの、ずっと過去の統計から推計いたしまして、そういう建設能力がありますので、そういう考え方できておりますが、しかし、いまの状況を見ますと、公営住宅などという――はなはだ失礼でありますけれども、比較的収入の少ない方々に住宅をどうしても早く供給しなければならない。これじゃ、いままでよりももっといわゆる政府施策住宅というものに戸数を多くし力を入れなければならない、こういう考え方で、今後四十五年までの計画を立てたい、かように思っておるわけであります。
○委員長(平島敏夫君) 御注意申し上げますが、時間が一もう一ぱいになっておりますので……。
○中沢伊登子君 もう一点だけ。私が申し上げましたのは、いま新婚者向けの住宅が格別足りない。もしも二万八千円くらいの月給をもらっている人がお嫁さんをもらいますと、まず住宅の、畳一畳千円くらいが相場でございますので、六畳一間借りましても、それでは生活かできなくなってくる。こういうことで、何とか新婚者向けの低家賃の住宅を、どんどん建ててほしい、そうして若い人たちに希望のある生活をさしていきたい、こういうことを私は考えておりますが、何とか低家賃の新婚者向けの住宅を早く建ててほしい。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど申し上げましたように、最近の傾向、世帯分離の傾向が非常に多いということは、新婚あるいは新婚間もない子供一人というような方々の住宅要求が非常に強いということであります。いまお話しのとおりでありますから、できるだけそういう方面にも努力をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○委員長(平島敏夫君) 中沢君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(平島敏夫君) 次に、春日正一君。
○春日正一君 政府が現在深刻な不況の状態のもとで、高度経済成長政策のひずみがある、それを直すのだと言っておるのですが、そのひずみというのは一体何をさしているのか、どういうものをいっているのか、ひとつ藤山長官にお聞きしたい。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 高度成長の中で同じようにすべてが成長してまいりますれば、ひずみは出ない。あるいは、いままでおくれておったところがより成長して、成長の高いところが若干足踏みしていくというようなことで、バランスのとれた成長ができていけば、ひずみはできたいと思いますが、過去において非常に成長力のあった事業が非常に伸びていくということになりますと、事業間にもそれぞれ格差が出てまいります。また同時に、非常に産業が伸びる、しかし、輸送力がこれについていけないというようなことで、道路とか、あるいは港湾とかというような問題がおくれていくというようなことで、輸送力がついてまいりませんと、これがやはりひずみになってくる、こういうようなことで、各方面にそういうひずみと申しますか、ゆがみと申しますか、そういうものが出てきつつあるのが現状じゃないか。ですから、われわれは、できるだけ安定成長という形を、そういうことを取り戻していくことのできるような形において成長さしていく、こういうことが望ましいことだ、こういうふうに理解しております。
○春日正一君 日本経済がここのところ急速に伸びている中で、独占資本がうんと肥え太って国民が貧乏した。これが、日本の国民の多くの人が見ておる高度成長政策の一番大きなひずみじゃないか、国民はみなそう見ている。そこのところはどうですか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 必ずしも独占資本だけが伸びているというわけではないと思いますので、その点はもしそういう点がありますれば、私どもと考えが違うんじゃないかと思います。
○春日正一君 高度成長政策というものを池田内閣がやり始めたときに、安保条約による日米経済協力、これをたてまえにして国際経済体制への適応、それから戦略的産業部門での国際競争力の強化ということで、貿易為替の自由化とか、重化学工業の急速な拡大、こういうような問題を中心にして独占資本の高度成長をはかる、これが中心だったと思うのです。そうして、そのために、租税特別措置だとか、あるいは大量な国家資金の投入というようなことが行なわれて、企業の合理化、農業と中小企業の近代化、あるいは独占物価と公共料金の引き上げというような政策がやられてきた。その結果、勤労人民に対する搾取と収奪、これが非常に大規模に行なわれ、たとえば、こういう結果、資本金百億円以上の大企業が、これは製造工業四十五社平均ですけれども、六〇年から六四年の間に二・六三倍資本金がふえているし、利潤も大幅にふえている。ところが、労働省の調べでも、この期間、労働者の実質賃金は九五・一先ということで下がっている。これは厳然たる事実ですよ。農民も何つくっても引き合わぬというような状態になっている。それから、中小、零細企業でも、非常に経営が困難になっている。倒産が高い水準で続いている。それから国民全体についていえば、物価値上がりが続いて生活が非常に圧迫されている。こういう事実をお認めにならないのかどうか。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 基幹産業等におきまして資本金が多くなったから、それで、お話しのような、国民が搾取されているというふうには私ども考えないので、国民の生活自体も、それはいろいろ生活の向上にでこぼこはございましょうけれども、今日まででも収入が上がってくる傾向にございますし、それから生活内容も向上しつつあるのであって、全然それがなかったというようには見ておらぬのでございます。
○春日正一君 そうすると、私のいま言ったような事実はたいしたことじゃないというふうに考えておられるのですか、政府は。
○国務大臣(藤山愛一郎君) こういう成長の過程の中で、それは国民の各階層の中にもいろいろな立場の人がございますから、非常に苦しいような状態におちいっている人もないとは申しかねますけれども、しかし、国民全体として何か非常に搾取されておる、全部が貧乏になっちゃったと、大資本家だけが太っちゃったのだと、今日、事業会社そのものも必ずしも昔のようなことでなしに、大衆が株を、いわゆる民主化で持っておって、そうして経営されているものが多いのでございますから、それだけで私は春日さんと同じような考え方ではないのは、これはやむを得ぬことかもしれませんが、そう思う次第でございます。
○春日正一君 つまり、国民不在のひずみ論というか、経済観ですよ。経済という問題の土台に国民が生きていくという問題が一番あるわけです。それを全然考えないでやっているから、結局、いまやろうとしている安定成長政策といっても、高度成長政策をまあ幾らか手直しして、根本は引き継いで景気刺激策をやる。その結果、労働者に対して合理化をやれと、あるいは中小企業、農業の近代化だといって取りつぶしていくというようなことがやられていく。だから、こういうことをすれば、ひずみなんというものじゃないですよ。この人民の窮迫と大資本家の太っていくという問題が、資本主義経済の根本的な矛盾なんだから、そこをほんとうに踏んまえてかからなけりゃ、この問題は、一瞬それはちょっと景気が出るかもしらぬけれども、もっと矛盾は深刻になる。そこを私は言っている。それで、もう議論したってしょうがないから、具体的なあれを聞きますけれども、いま言ったような事実を踏んまえて、政府が独占物価と公共料金を引き下げて国民生活を安定させる。それから貿易為替の自由化、こういうのはやめちゃって、農業、石炭その他の犠牲産業を保護する。それから労働者の賃金を大幅に引き上げて労働時間を短縮する。それから農民六割切り捨ての近代化政策、これをやめて、農産物価格の補償制度その他によって農民の経営と生活を安定させる。それから大幅な減税、長期の低利融資などによって中小零細企業を安定させる。それから国と資本家の負担によって社会保障を拡大する。特に、健康保険の掛け金の引き上げと、薬代の半額負担を含む健保の改悪をやめる。失対の賃金を八百円に引き上げる。あるいは生活保護基準を二倍に引き上げて適用のワクを広げるというような問題、こういう人民の切実な要求を実現すべきであると、やらなきゃならぬと思うんだけれども、これを政府がやる気があるかどうか、関係大臣それぞれの答弁を求めます。
○国務大臣(藤山愛一郎君) 公共料金の問題につきましては、われわれも公共料金そのものができるだけ低目に押えられることは望ましいことでございます。が、しかし、今日の状況から申しまして、それぞれの主体における経営内容等を見まして、そして今後ますます公共的な輸送機関その他の整備が行なわれるということも、これまた国民のために必要なんでございますから、そういう面とも勘案しまして、これらの問題に対処していくつもりでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 社会保険の充実の問題につきましては、いろいろ政府としても努力をいたしておりますが、ただいま社会保険審議会、社会保障制度審議会に諮問いたしまして御検討願っておりますので、その答申を尊重して改善をはかってまいりたいと、かように考えております。
 なお、年金、所得保障の面でありますが、年金制度につきましても、先般の国会で、厚生年金を一万円年金にいたしたわけであります。国民年金につきましても、これに見合って次の国会でぜひ給付内容等の改善をはかりたい、このように考えております。
 また、生活保護の問題でありますが、この生活保護は、国民生活の最低を保障するという非常に大切な制度でございますので、その内容の向上に特に留意をいたしております。今年度も一二%向上をさしておるのであります。今後もさらに努力をしてまいりたいと考えております。
○春日正一君 ちょっと。私さっき聞いたのは、健康保険のいまの問題になっている内容を悪くする、つまり、保険の掛け金を上げる、本人でも半額薬代を負担するという、悪くするということをやるのかやめるのかと、そこを聞いているのです。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは私、社会保険審議会、社会保障制度審議会に出まして、そして、その点につきましては、神田厚生大臣当時、諮問をしておるのでありますが、その諮問案には固執いたしません。よりベターな案をおつくりになり、また答申いただいた場合には、それを尊重して政府としては努力してまいる、このような方針でおります。
○国務大臣(小平久雄君) 失対事業の賃金を八百円にしないか、こういう御質問かと思いますが、御承知のとおり、失対事業の賃金は、同一地区におきまする同種作業に支払われる民間の賃金を主として支払う。その間、また決定にあたりましては、失対事業賃金審議会の意見を聞いてきめる、こういうぐあいに法律の規定がなっておりまして、この法律に従って、四十年度の失対賃金は五百六十一円七十銭、こうきめられております。これは昨年度に比べますと二・九%の増加、こういうことになっておりますので、いまこれを八百円に上げるという考えはございません。
○春日正一君 ワクはどうなんですか、失対のワクを広げるというのですか。
○国務大臣(小平久雄君) いまこれを広げるという考えはございません。
○春日正一君 それから農林大臣。
○国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、農民の内容を六制にするとかというような考えは持っておりません。でき得るだけ基本法の趣旨によりまして近代化を進めているのでありますけれども、農業のほうはなかなかひまが要りますので、やはりその間、価格政策も重視してまいります。そればかりでなしに、小さな農業や面積であっても、非常にそれを喜んで生きたいという人、あるいは米の単作地帯なんかありますから、こういうところにはプラス・アルファをつけていきたい、そういうことは結局、地方開発等とも関連させて、そうしてまいります。プラス・アルファは畜産もありましょうし、園芸もありましょう。なお、ときによりますと、兼業――いわゆる開発による兼業もあると思います。そういったようなことで、でき得る限り充実をはかってまいりたい、かように考えております。
○春日正一君 価格補償政策をやるかどうかということを聞いておるのですがね。
○国務大臣(坂田英一君) ただいま聞き落としましたが、何でしたか。
○春日正一君 農産物の価格補償制度をやる気があるかどうかということですね。
○国務大臣(坂田英一君) もちろん、それもいま申しましたように、近代化がそう早く行きかねるというのが農業の特色でありますから、価格政策はどんどんとやっていきたい。米のごときは、やはり生産費及び所得補償方式によってやっておるわけでありますが、それは品物によっていろいろとやり方が違ってまいります。しかし、この価格政策だけにたよっていくということは、これはよくないのでございますから、両々相まって進めてまいりたい。
○春日正一君 それでは、あと中小企業の問題、通産大臣ですか。
○国務大臣(三木武夫君) 資本主義が変貌を遂げて、資本と経営は分離されるし、また、資本は大衆化されておるのですから、一切の企業経営者を独占資本なりと断じて、いかにも人民の敵であるというような所論には、根本的に見解を異にするものでございます。
○委員長(平島敏夫君) 春日君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(平島敏夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま中沢伊登子君が辞任され、向井長年君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(平島敏夫君) 次に、市川房枝君。
○市川房枝君 農林大臣にまず生鮮食料品の物価並びに供給の問題について一、二伺いたいと思います。
 佐藤内閣の唯一の具体的な物価対策として提案されました食料品の総合小売市場管理会法案が前国会で審議未了となったことは、生鮮食料品の物価荷で困っております私ども一般消費者には全く了解に苦しむところでございます。どういう理由で流れたのか、農林大臣からお伺いします。
○国務大臣(坂田英一君) お答えいたしますが、食料品総合小売市場管理会法案という長い名でございますが、これは経過を申しますと、四十六国会に提出いたしました。政府提出でありまして、衆議院で通過いたしたのでありますが、参議院へ参りまして、これが継続審議に移っております。それから四十七臨時国会でありますが、この臨時国会においても参議院で再び審議未了となり、継続審議にまたなっております。その後四十八国会におきまして、参議院ではようやく通過はいたしましたが、非常に日がほとんど終わる時分でございまして、これは衆議院に回りましたときには時間切れ等のために廃案になっております。こういう実態でございます。で、私どもといたしましては、昭和三十八年の七月の閣議決定によりまして、生鮮食料品についての流通機構の改善要綱というものをつくりまして、それに基づいて進んでおったのでありまして、小売り段階においても合理化をはかっていきたい、その合理化の一環としてこの法案を出したわけでございます。結局、いろいろとこの審議の途上におきましてもだんだんと反対が強くなりました。初めはそうでもなかったのでありますが、そのうちに、参議院でございましたが、公聴会におきましても、経験者あるいは消費者の代表と見られる参考人の方は大賛成でありましたが、あるいはその小売り商の一部例外的な賛成もありましたが、ほとんど全部の小売りの代表の参考人の方々は全部反対でございました。なお、この議院外においても非常な反対運動が強く相なってまいりました。その反対の一番大きなのは小売り商、小売り団体がやはり一番反対が強うございました。反対の理由と申しますのは、小売りの段階においてこれを合理化しても、全体のほんの一部をやってみたって効果ないんじゃないかという理由が一つ、それからして管理会でやっておるスーパーマーケット式なところへ入る小売り商はごくわずかであるからして、多数の小売り商はかえって犠牲になってだめじゃないか、こういう反対の論拠が一つ、それから一つは官僚統制になりはしないかという問題、それからもう一つは集荷団体が直接大都市へ品物を持ってきて安く売るというようなことがあるとすると、小売り商を非常に圧迫しないかといったような反対があったように思われます。そういうようなことでだんだん反対が大きくなって、最後にこれが廃案ということになったわけでございます。われわれとしては、どうしても流通機構の改善という点から、小売り段階の合理化というものをやはりやらなければならぬということを実は考えているものであって、非常に遺憾に存じておる一人でございます。
○市川房枝君 まあ、いまの経過も私も存じ上げておるわけでございますが、私どもから見ると、ちょうど参議院選挙を控えての小売り商や中政連なんかの反対に出会ったので、未組織である一般消費者を無視して、そうしてぶん流してしまったのだ、ときがなかったのではなかったというふうに考えられて非常に私ども一は不満でございます。これは農林省としても提案しながら、そういう見通しを誤ったといいますか、もっといい案をつくらなかったという責任もあるのじゃないかと思うのですが、これはある程度修正してまたお出しになるお考えでしょうかどうでしょうか。
○国務大臣(坂田英一君) お答え申し上げます。別に私はえらい悪い案だとは実は思っていないのでありますが、名前が何か管理会とかいって非常にごついですね。官僚統制のように思われるということが一つの大きな反対であったように思うんです。これは内容は決してそうでないので、スーパーマーケットを、そこへ包容するところの建物や設備をつくるということ、そのために管理会を置いて、そして国と東京都が一緒になって何をやろうということでございますから、そこで中へ入った人々が運営していくことであるので何も官僚統制ではない、それから何もほかのものを連れてくるのじゃなしに、その近辺の小売り商を連れてそこへ入り込んで、そしてお互いにやろうという構想でございますから、そう悪くはないと思うのでありますけれども、どうも宣伝というか、PRが足らなかったのじゃないかということも思いまするし、またこういうことはやはり考えていきたいと思うのは、小売り商は、合理化することはいいけれども、非常に犠牲をしいるのじゃないかという疑問があったのではないかと思う。そういう点がありますので、私どもとしては、さらにその点を反省をし、学識経験者、あるいは消費者の多数の人々、そういう人々とよくこれはひとつもう一ぺん相談していくべきではないか。そうして小売り商自身がこれをやっていく、こういう体制をとっていかざるを得ぬのじゃないかというようなことを考えて、目下検討中でございます。
○市川房枝君 農林大臣、そのほかに野菜を消費者に豊富に、しかもできるだく安く提供するための具体的な計画、何かおありになりますか、それを伺います。
○国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、都市の関係と農村の関係の連係も一考えていかなければならぬと思いますが、私はやはり生鮮食料品の問題は非常に重要だと思います。要するに、消費物価の変動を見ても、やはり生鮮食料品が非常に大きい。特に野菜がそうである、こう思います。そういう意味において、小売り過程における合理化も必要であり、それからして、卸の面、市場の強化、現在も市場等においてはやはり設備の拡大強化をはかっていく、市場内における取引の合理化をはかっていく、手数料もある程度合理化していくという、いろいろの問題があるのであります。また、わりあい価段の割りに重いものであり、かさばったものでありますので、輸送及びその荷づくり関係についてはこれは一応いままでも相当検討を加えておりますが、なおさらこれは考えて、また施策を講ずる必要があると思います。
 もう一つの大きな問題は、現在の都市近郊は蔬菜のいわゆる集散蔬菜地が破壊されております。たとえば練馬大根なんかいま一つもありません。こういうぐあいに都市膨張の結果として近郊蔬菜というものの産地が破壊されております。これがだんだんといま育成されておるのでありますが、私どもとしては数年来から心に入れておりまするのは、いわゆる指定産地を東京向けの指定産地、あるいは大阪向けの指定産地、あるいは名古屋向けの指定産地というので大都市向けの指定産地を育成してまいりたいと、こう思います。現にやっておるのでありますが、その品目ないし産地の数等も漸次拡大していきたい、こう思います。いままでは二〇%ぐらいそれによっておるのでありますが、せめて五〇%それで補うところまで持っていきたい、こう思います。それからそれだけでは非常に困るのでありますから、でき過ぎたら非常に困るという問題がありますので、需給の協議会というものを十分生かしていきたい、現にやっておりますが、さらにそれらの仕事をふやしていきたいと、こう思います。それのみならず、もう一つの現在自主的に基金を設けて、非常に暴落したときにこれを防いでいくという制度がやられておるのでありますが、この制度をさらに拡充強化していきたい、こういうようなことで生産の面から、それからそれを今度は単にそれだけでなしに、出荷の面についても十分の施策を講じていく。なお、さらに産地に対して近代化して、いわゆる水田ならばかんがい排水をうんと力を入れておると同じことに、畑地の蔬菜地帯においてはスプリング・スプレヤーみたいな文化的なものをひとつやって経営の改善等を十分にやっていく、こういうようなことをあわせてやっていきたいという念願を持っておる次第です。
○市川房枝君 いま大臣のお話の野菜の指定産地あるいは安定資金の問題の制度がまあ二、三年前からあることは承知しておるんですが、何だかあまり恩恵を受けてないような気がするんです。今度農林省のほうでこれを拡大なさるようなことを新聞で見たんですが、これは少し予算をたくさんつけて、ぜひこれを、さっきお話の五〇%といいますか、あるいはもっとこういう土地から供給される、そうすればなくて困る、あるいはないために高くなるということも防ぎ得るんじゃないかと思いますから、それをひとつぜひお願いをしたいと思います。
 それからもう一つ伺いたいのは、主婦農家に対しての対策の問題でございますが、農村においては専業農家あるいは兼業農家を通じて主婦農家がずいぶん多くなっております。三十七年の調査で六〇%を占めているといいますから、現在ではもっとふえていると思うのであります。主婦は言うまでもなく田畑で働いたほかに育児や家庭の労働がありますので、健康もそこねて半数は病気一歩手前の農夫症というのにかかっているといわれておるんですが、農林省はこういう主婦農家に対しての特別な対策というものがいままで何にもできてないと、こう私どもは見ておるのですけれども、何かおありになったら知らしていただきたい。
○国務大臣(坂田英一君) いまお話のとおりに、主婦農家の主婦は農業経営の面においても男子とそう違わぬのみならず、よげいに働くぐらいでございます。そこへ、まあ育児があり家事があるわけでございますから、御指摘のとおりこの問題は非常に大きな問題であることは言うまでもないと思います。そういう意味から、農林省も何もやっていないというわけでもないんでございまするが、一つは、これはやっぱり経営に相当女子も加わっておるのでございますから、機械化とか、あるいは労力を省いても生産が減らないという意味で省力経営をやっていこうということで、現在は大体男ならば一年に経営のために千九百九十幾つかでありましたが、現在は千五百幾らまで省力になっておる、御婦人のほうも千五百五十七でございます。御婦人のほうが少し多うございます。そういうことで、一つは経営の合理化をはかっておることは、これは主婦のためだけではないですけれども、相当きいておる。それから御存じのとおりに生活改善事業をやっております。それで女の方で生活改善普及員を全国に普及いたしておるわけでございますが、これは非常な功績を残しておるように思うんです。はでではございませんけれども、台所の改善とか、あるいは流しの改善とか、あるいは寝室の改善とか、いろいろな物質的でなしに生活内部の改善といったようなことについて非常に努力を払いつつあることは、これは相当のものであると思います。したがいまして、私どもとしては、この生活改善普及員等の充実と、そしてその働くときの機動力ですね、ただ足でぐるぐる歩いておるんじゃ時間がありませんから機動力を盛んにしていくというようなことについて努力を払ってまいりたい。なお、最近農山漁村生活センターというこれはえらいハイカラな名でございますが、これが全体で三十五ぐらいこしらえて、そこへ主婦の生活改善の模型みたいなものをつくりましてやっておる。これは三十八年からやっておる。それから三十九年から今度は資金によるいわゆる太陽熱を利用することとか、いわゆる何とかガスの問題とか、地下倉庫の問題、それは低利資金を貸し付けてやるとか、こういう問題もやっている。それから最近は健康状態をよくするために特別の施策を講じております。お医者さんと生活改善普及員と農家と一緒になって、健康を十分みて、そしてその日常生活でそれをどういうふうにやるかということをずっと見ます。二十七カ所あります。一カ所五十人ずつ見て、それをうまく結論を得ますと、よその地帯にもそれを普及するといったようないろいろなことをやっておるわけでございます。
○市川房枝君 いま大臣のおっしゃった生活改憲普及員のいることも私承知しているんですけれども、四千戸に一人の当てなんですよ。それで一体指導なんかできやしないといいますか、あるいはいまお話のセンターなんというものもあるんですけれども、たった五十や三十あったって大したことはないですし、だから生活改善のことはやるにはやっているのだけれども、それと私はさっきの経営の合理化というか、営農の方面とこれは別々になっちゃっている。だから主婦農家の場合にはそれは別じゃ困るのであって、両方が総合的でなくちゃ困る。だから主婦だということの認識のもとに経営の合理化といいますか、農業経営の指導、そして生活の指導と、私は両方しなきゃならないと思う。その点の考慮がちっとも払われていないということを実は申し上げたいわけなんです。だから、現状のままでいきますと、私は婦人たちは健康をそこねて倒れる者も出てくるだろうし、子供たちの中からやっぱり非行青少年のような者も出てくるかもしれない。それから農村は荒廃をすることになるかもしれないし、この問題の重大性ということを考えてくだすって、その問題に対しての特別な何か調査なり施策を考えるような方策をしていただきたい。そして四十年度の予算においてそういうものに対する手当てをしていただきたい。相当に思い切った予算の手当てをしていただかなければならないんじゃないか。いろんな農林省の統計なんか見ましても、全然主婦ということを意識していないような統計になっている。そういうことを私は考えるわけでございます。
 最後に、自治大臣にちょっと一つお伺いしたいんですが、先般の参議院の選挙に際しまして、明るく正しい選挙運動をなさいましたんですが、このために使われた国費の内訳と、その金額に相当するだけの一体効果があがったかどうか。ずいぶん選挙違反もあったことは、先ほどからもいろいろお話があったわけでございますが、 この国費、つまり国民の税金が私は生きなくては困る、むだになったのでは相済まぬと思いますが、その点自治大臣から御意見を伺いたい。
○国務大臣(永山忠則君) 明るく正しい選挙運動を推進をいたしましたり、さらに選挙管理委員会の指導をいただき、またマスコミ方面の全面協力等がございましたにもかかわりませず、十分でなかったという点については遺憾でございます。大体どういう方面にどう使ったかという詳細は、必要に応じては事務当局から説明を申させますが、約六億の費用を投じまして、そのうちいまの運動方面は約二億数千万円であると思うのでございます。また広報宣伝車、あるいはポスター、横断幕、あらゆる点で明るい正しい選挙運動を強調をいたしましたわけでございます。しかし、きわめて十分であるという答弁をなしかねておるのでございます。したがいまして、今後はどうしても民間側の協力を得なければいけないのでございますから、今後も選挙管理委員会、あるいは明るく正しい選挙推進協議会、あるいはマスコミ、その他の皆さん方の御協力を得まして、この運動を強く展開をいたしたい。さらにまた、選挙制度の面も根本的にこれを検討いたしまして、選挙制度審議会ですでに検討をいたしております。その答申を待ちまして、必ず明るい正しい選挙をするように抜本的にやりたい、こういうように考えておる次第でございます。
○委員長(平島敏夫君) 市川君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして質疑通告者の発言は全部終了いたしました。よって質疑は終了したものと認めます。
 十分間休憩いたします。
   午後八時一五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後九時二十八分開会
○委員長(平島敏夫君) ただいまから予算委員会を再会いたします。
 休憩前に引き続き、昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)を議題といたします。
 先刻質疑を終了いたしましたので、これより討論に入ります。通告がございますので、順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。藤田進君。
○藤田進君 私に、日本社会党を代表いたしまして、昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)に対し反対の討論を行なうものであります。
 第一の理由は、この補正予算自体は、一見きわめて事務的、手続的なもののように思われるのでありますが、しかし、このたびの国際通貨基金の増資は、基本的には、現在国際経済が当面する最も重大な問題であるところの国際通貨機構問題の一環であるということを銘記する必要があるのであります。この認識を欠除して、今回の補正予算を、ただ国際通貨基金の増資に伴う事務的、手続的な予算措置にすぎないとして簡単に片づけることは断じてできないのであります。
 現在の国際通貨機構については、大別して、現状維持論と改革論の二つがあり、改革論については、各国からさまざまの提案がなされておりますが、この問題をめぐっての最も顕著な対立が米仏の意見の相違にあることは周知のとおりであります。現在の国際通貨機構、すなわちIMF体制は、アメリカの国内通貨であるドルを国際通貨に擬制し、そのドルによって国際流動性を供給するという制度でありますが、この制度は、国際流動性の増加がアメリカの国際収支の赤字によってのみ供給されなければならず、さればといって、アメリカの国際収支の赤字が続けば、今度はドル自体の信用が脅かされ、結局、ドルを機軸とするIMF体制そのものの動揺が避けられないという致命的な欠陥を持っているのであります。かつてドル不足に悩まされた世界経済は、次にはドル不安に脅かされ、いまやアメリカはドル防衛に必死となっているのであります。今回のIMFの増資もまた、ドル防御の一環と言えるでありましょう。もし、このドル防衛が成功して、アメリカの国際収支が急速に改善されていくということになりますと、今度は再びドル不足となって、国際流動性に対して強いデフレ効果を及ぼさざるを得ないのでありまして、ここに、現在のIMF体制の救いがたいジレンマが存在するのであります。
 今回のIMFの増資は、要するに、現在の国際通貨制度に変更を加えることなしに、IMF体制の強化によって国際流動性の増強をはかろうとするものであって、アメリカの主唱する現状維持、IMF強化、ドル体制強化の方向に沿うたものであります。このように、この問題の本質は、あくまでも国際通貨機構をどのような方向に持っていくかという大きな問題の一環であるということを忘れてはなりません。
 しかるに、政府には、この国際通貨機構の改革問題について、何らの定見もなければ具体案もないのでありまして、わが国経済に重大な関係のあるこの根本的な問題について、わが国独自の明確な見解なしに、ただ漫然と無定見、無方針に、国際通貨基金の増資に同調し、ただ事務的、手続的にそのための予算措置を行なうという政府のやり方は、不見識もはなはだしいと言わなければなりません。このような不見識なやり方に対しては、わが党は断じて賛成するわけにはまいらないのであります。
 次に、反対の題二の理由は、国際通貨基金の機能に関連したものであります。国際通貨基金は、国際収支の一時的不均衡を是正するために必要な対外決済手段を供与することによって、国際通貨制度の安定と世界貿易の拡大をねらったものであり、同時に加盟国は、これによって、国内均衡を破壊することなしに国際収支の均衡を回復し得るという便宜と、そしてまた安心感とを与えられているのであります。わが国は、過去において四回もIMFから資金の融通を受けておるのでありますが、いずれも、景気過熱のため国際収支の危機を招き、応急措置として国際通貨基金の便宜を利用したのであります。国際収支の危機に際して、国際通貨基金の融資を受けてその危機を切り抜けるということは、そのこと自体についての論議は別として、ただ、国際収支が悪化しても、国際通貨基金を利用すれば、いつでも危機を切り抜けられるという安心感のもとに放漫な財政金融政策をとるがごときことは、もとより言語道断と言わなければならないのであります。わが国内閣の高度成長政策によってもたらされた国際収支の危機に備えて、常に国際通貨基金が利用されたという事実は否定すべくもないのであります。かくて、国際通貨基金の援護を頼みとしつつ、野方図な高度成長政策を続けた結果が、設備投資の累増による供給力の過度の増大をもたらし、ついに今日の惨たんたる経済不況を招来するに至ったのであります。
 政府は、不況対策として、すでに歳出や財政投融資の繰り上げ支出、歳出留保の解除、財政投融資計画の追加、政府関係中小企業向け金融機関の金利の引き下げ等のほか、長期対策として公債の発行と大幅減税を行なうとの方針を決定したのでありますが、特にこの際公債発行に踏み切ったことは、わが国財政政策の注目すべき大転換であります。政府は、経済が異常に落ち込んでいる現在の時点で公債を発行し、そのしりが日銀に回って、日銀の追加信用が若干出てもインフレにはならないと言い、また、将来の長期政策としての公債発行については、企業や家計の蓄積にたよるようにするとの方針を明らかにしているが、公債発行についてのこの程度の態度、方針では、とうてい公債発行の有効な歯どめとなり得ないことは明らかであって、現内閣のもとでは、当面はともかく、やがて、とめどのない公債発行からインフレを引き起こす公算がきわめて大きいと断ぜざるを得ないのであります。
 今回の国際通貨基金の増資によって、わが国の同基金からの借り入れ能力も大幅に増加することが、すでに述べましたように、過去において高度成長政策のしりぬぐいを、国際通貨基金から借り入れてやったように、今後わが国外貨の第二線準備の充実を頼んで、放漫な財政政策、野方図な公債政策をとるようなことがあれば、取り返しのつかない事態になることは必至であります。
 現在の時点で、わが国の国際収支は一応安定しておるので、ありますが、すでに輸出の伸びの鈍化傾向や、資本収支悪化の徴候が見られており、手放しの楽観は許されないのであります。もし、国際通貨基金からの借り入れ能力の増大をよいことにいたしまして、放漫な財政政策を続け、国際収支の危機に見舞われた場合には、現在の深刻な構造的不況のため、さらに引き締め政策をとることも不可能となって、進退両難のデッドロックにおちいらざるを得ないわけであります。高度成長政策に関する過去の経験は、このような懸念が必ずしも杞憂に終わらない危険性のきわめて強いことを教えているのであります。
 第三の理由は、今日必要欠くことのできない緊急な予算措置を講じていないということであります。御承知のように、今回の補正予算は、国際通貨基金と国際復興開発銀行の増資に伴う予算措置を行なっているばかりでありますが、そのほかにも、当面緊急に予算措置を必要とする要因は、きわめて多いのであります。
 第一には、すでに三十九年度補正予算で当然措置すべきであった三十九年度の義務的経費の補てんが、いまだになされていないのであります。たとえば、義務教育費国庫負担金、国民健康保険助成費、失業保険費負担金、生活保護費、その他各種の社会保障等の義務的経費の未補てん分が、今日に至るも未措置のままに放置されて、地方財政の重大な負担となっており、その額は少なくとも三、四百億の多きにのぼるはずであります。当面直ちに予算措置を必要とするものは、単にそれのみではありません。政府は、本月二日、第五回経済政策会議において当面の物価対策をきめ、そのために必要な予算措置を講ずる方針を明らかにしておりますが、そもそも物価問題につきましては、昨年十一月、現内閣成立以来、最重要使命であるといたしまして、佐藤総理は最も真剣にこの問題に取り組むことをしばしば国会で言明したばかりでなく、本年一月の閣議でも、物価安定のための総合対策を決定したことは、なお記憶に新しいところであります。にもかかわらず、その後の物価問題に対して何一つ有効な手を打つことをせず、消費者物価は上がりほうだい、最近における消費者物価の上昇率というものは前年同期に比べまして。四月は九・六%、五月は七・四%というように、ものすごい上昇を続けている現状であります。このため、総理府統計局の五月の家計調査の結果によりましても、都市勤労者世帯の実収入は、物価の上昇が大きく響き、実質では、前年同月に比べて三・六%も低下し、また、消費支出も前年同月を二・六%下回っておりまして、政府発表の統計数字そのものが、国民の生活水準の低下というゆゆしい事態を最もあからさまに示しているところであります。もし政府に、真剣な物価問題に取り組む熱意があるならば、当然、一月に閣議決定した物価安定のための総合対策に基づき、具体的な諸施策を立案した上で、今度の補正予算の中に必要な諸経費を計上していなければならないのであります。いかに政府が物価対策に無誠意であるかということを最も雄弁に物語っているといわなければなりません。
 補正予算の編成については、もとより財源の問題があることは当然であります。しかしながら、今日の財源難は、昨年十一月における三十九年度補正予算編成当時からすでに予想されていたところであり、また、当時すでに池田内閣による同度成長政策の反動期に入り、わが国経済が需要超過の高圧経済から供給力過剰の低圧経済に変形し、戦後いまだかってない構造的大不況に見舞われつつあったことも明らかであったのであります。政府としては、当然、いち早く財源対策並びに不況対策を確立し、補正予算を編成すべき時期には、もっと、まともな補正予算を編成すべきであって、今回の補正予算のごとき、ただIMFと世界銀行増資問題のみを処理すればこと足れりとして、当初予算作成後に生じた事由に基、つき特に緊急となった経費を計上することを全然怠っているのであります。これは、今日最も緊急を要する重大な国内問題の処理を全くないがしろにしたものであって、このような片手落ちで不備ずさんな補正予算に対しては、とうてい賛成するわけにはまいらないのであります。
 以上三つの理由をあげて、ここに反対いたすものであります。終わります。(拍手)
○委員長(平島敏夫君) 米里正文君。
○米田正文君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)に対し賛成の意を表明するものであります。
 今回の補正予算は、国際通貨基金に対しまして二億二千五百万ドル、また国際復興開発銀行、いわゆる世界銀行に対しまして一億六百六十万ドルの追加出資を行なうことを内容とするものであります。
 国際通貨基金と世界銀行とは、御承知のとおり、一九四四年のブレトン・ウッズ協定に基づいて設置された国際通貨機構でありまして、国際通貨基金は、為替の安定、平価切り下げ競争の防止、為替及び通商制限の廃止などを目標として、貿易その他平常の金融取引に必要な短期資金の融通をはかる機構でありますし、また世界銀行は、戦災国の復興と後進国の開発のために長期資金の供給を目的といたしております。これらの機関が、戦後における世界経済の安定、後進国の開発に寄与したところはきわめて大なるものがあります。たとえば、IMFは、一九四九年から一九六三年までの十六年間に、総額六十九億ドルにのぼる短期融資を行ないまして、加盟諸国の国際収支の赤字を救い、国際通貨体制の混乱を回避することができたのであります。また、世界銀行の本年六月末日における融資残高と貸し出し決定額の合計は約六十億ドルにのぼっておりまして、後進国の開発に大きく貢献をしております。そのうちで、わが国への融資額は約六億四千万ドルで、世界銀行総融資額の一割をこえており、それがわが国の社会資本の充実、基礎産業の建設に大きな援助となっていることは御承知のとおりであります。
 もっとも、国際通貨制度につきましては、近年いろいろと改革の提案がなされております。フランスのドゴール大統領が提唱した金本位制への復帰のごときは、最もドラスティックな改革案でありましょう。これについては賛否こもごもありますし、その他の改革案とともに、今後十分な検討を必要とするでありましょう。しかし、いずれにしましても、この種の国際通貨機構を強化改善する必要は叫ばれましても、その存在の必要性そのものを否定する見解は見られないのであります。
 今回の補正予算に反対する野党の諸君の論旨を要約いたしますと、この国際通貨機構は、わが国をドルとポンドに従属させるものであると断定をし、わが国は断固として、ドル依存から脱却をし、経済自立の道に転換すべきであると主張しております。これは、この種の国際通貨機構が、国際金融と世界経済の安定、後進国の開発に果たす大きな役割りを無視し、ひいてその存在の必要性そのものすら否定しようとするものであり、また、自由経済圏に属するわが国をして、国際金融の面で全く孤立におとしいれようとする主張でありまして、われわれの断じてくみし得ないところであります。
 昨年秋、東京に開かれました国際通貨基金第十九回総会は、当面の強化策として、加盟各国の割り当て額の増額に関する方針を決定いたしました。これは、国際通貨制度の根本的改革とは、なおほど遠いものではありますが、しかし、この制度を強化する当面の対策として、それなりに効果的であることを認めなければなりません。
 このたびの増資によりまして、IMFへのわが国の出資額は七億二千五百万ドルとなりますが、これに伴いまして、わが国がIMFから無条件で借り入れることのできるワク、いわゆるゴールド・トランシュは二億ドルから二億五千六百万ドルに増加いたします。また、比較的容易に引き出し得る第一クレジット・トランシュも、現在の一億二千五百万ドルから一億八千百万ドルに増加をいたします。すなわち、わが国が起こり得べき国際収支の赤字に対処するために、IMFから比較的ゆるやかな条件で融資を受けられる金額は、現在の三億二千五百万ドルから四億三千七百万ドルに増加をいたします。このことは、わが国の国際収支が著しい逆調におちいった場合に、そのささえを一そう強固にするものであります。
 また、世界銀行に対する出資額の増大は、直接に資金引き出しワクの拡大を伴うものではありませんが、しかし、低開発国に対する資金援助の役割りが大きくなりつつある現在、この面におけるわが国の発言力を高め、技術協力などの面でもわが国の活動分野が拡大するという効果を持つものでありまして、南北問題における南と北のかけ橋としてのわが国の役割りの増大が期待せられるのであります。
 今回の補正予算界の歳入の面におきまして、野党の諸君は、外為資金の取りくずしは、輸出入に伴り資金操作に困難を生ずるであろうとか、あるいは円資金が枯渇をし、外為証券を発行して日銀から円資金を調達せざるを得ない羽目におちいり、インフレと通貨増発を刺激する要因となると主張しております。しかし、この議論は全くの杞憂であります。円資金が底をついて、外為証券を日銀に引き受けさせるというような事態は、今回の百六十一億円程度の取りくずしによっては決して生ずるものではないということは、大蔵当局の説明によって、われわれが十分に納得できるところであります。
 なお、野党側の主張として、今回の予算補正にあたりまして、政府は不況対策の経費、食管赤字の補てん、災害対策費等をなぜ計上しなかったかを問題とされておるようでありますが、政府は当面の必要経費は既定予算の中でまかない得て、災害等に対しましては十分の措置をとっておるところであります。
 不況対策につきましては、財政投融資ワクの大幅拡大、市中金利の引き下げなどを主といたしまして、金融手段によるものでありまして、いま直ちに予算の補正を要するものではありません。政府は、公債政策を導入し、画期的な景気浮揚政策をとらんとしておるのでありまして、その効果は、すでに株価の上昇に認められるように、財界に安心感を与えておることは明らかであります。この信頼感の回復の上に実需が加わり、金融も緩和に向かいますから、本年末ごろには、経済は安定基調に戻るとと考えられます。第二次補正予算の問題は、このような正常な情勢において、また明年度歳出需要の見通しのついた暁において、合理的に編成をされるべきものと存ずるのであります。
 以上、各般の事情を考慮いたしますならば、IMFと世界銀行の増資に関連する今回の補正予算は自宜に適した措置であるとして、われわれはこれに賛意を表するものであります。
 これをもって私の賛成討論といたします。(拍手)
○委員長(平島敏夫君) 鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の大きな理由としては、第一に、ドルを中心とした国際流動性が件検討の必要に迫られ、国際流動性強化に対する考え方が各国かさまざまざまにでてきております。しかるに、わが国のこれに対する態度も確立されていない、このような今日において、今回の増資に安易に応じることは大きな問題を残すからであります。
 第二の理由は、その補正の財源として、外為会計のインベントリーの取りくずしを行なっていることであります。これも、財源不足の状況下において、今後さらにこのようなことを安易に行なう糸口となり、いたずらな財政膨張を招きやすくなることであります。さらに、このようなインベントリーの取りくずしは、当然、外為会計の採算を悪化させ、将来同会計の運用を困難にさせるおそれがあるからであります。
 第三の理由は、かりにIMF関係の補正を行なうことを認めたといたしましても、現存国内に山積している深刻な不況に対する対策、中小企業に対する対策、農業、消費者物価、国民健康保険財政の赤字対策等々、何ら今回の補正予算に措置がなされていないからであります。緊急度合いを忘れたのではないか、このように思われるからであります。
 最後に、いままでの高度成長政策の行き過ぎの結果、空前の不況を招き、そのために大幅な歳入欠陥が避けられなくなり、本委員会での答弁に見るように、二千億円の税収不足、補正要因を加えれば四千億円にのぼる財源不足を招いております。すべてこれ政府の責任であり、一般会計から必要以上に有効需要を喚起する方策をかねがねとってきた大企業中心政策の失敗であると言えます。
 以上の理由から、公明党としては、今回の補正に反対せざるを得ないのであります。
 以上をもって討論にかえます。(拍手)
○委員長(平島敏夫君) 向井長年君。
○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府提出の昭和四十年度補正予算(第1号)に反対の意向を表明いたすものであります。
 第一の理由は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行に対する出資増額に伴う歳入補正について、政府案によれば、日銀保有の金の帳簿価格の再評価とインベントリーの一部取りくずしによる、いわゆる無理やり節段の結果、臨時的な収入に依存しようとしております。すでに大蔵省筋からは、本年度の租税収入は約一千七百億円程度の減収を見込まれております。また、政府は、財源調達にからむ公債発行は、昭和四十三年度までは絶対に行なわないと言いながら、幾変転の末、遂に年度内に全額日銀引き受けの赤字公債を発行するに至っております。これは、いかに政府の経済見通しがいいかげんなものであもかということを証拠立てておるのであります。今回の国際通貨基金の増資払い込みのような、あらかじめ歳出すべき時期がはっきりしている案件についてかような歳入補正に対しましては、残念ながら賛成することはできません。
 反対の第二の理由は、歳出補正で重要であり、緊急な不況対策予算を何一つ計上していない点であります。歳入補正で財源難ならば、行政事務費の節減、急を要しない事業予算の実施繰り延べ等、既定歳出予算の組みかえを行なうべきであって、政府は、このような点について何らの配慮もいたしていないのであります。まことに政治判断の貧困、政治努力の怠慢と言うのほかはありません。
 今回の補正予算編成において、不況対策、物価対策上の経費を何ら計上できなかった理由は、大企業の経営危機に突き上げられて、公債を発行して景気を刺激、回復をしていくという政府の政策動揺の結果であります。
 いまや、九月の各社決算期を迎えまして、企業倒産が増加しております。倒産の半分は金繰りによるもので、本年一月から二月にかけて中小企業倒産が激増したのと同様の現象が起こっております。したがって、歳出補正として、中小企業向け救済対策費及び財政融資の計上、国民健康保険の赤字補てんに伴う国民負担の増加の防止、かつまた、全国的な冷害、豪雨被害による農業災害に対する復旧対策費の計上等、最小限二千億程度の歳出補正が緊急に必要だと断定いたすのであります。私は、これが今国会の課題でなければならねと思います。したがって、これすら計上できない補正予算案に対しましては、わが党は反対の意向を明らかにいたしまして、私の討論を終わります。
○委員長(平島敏夫君) 春日正一君。
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、本予算案に次の理由で反対するものであります。
 第一に、いま、日本経済は深刻な不況におちいっております。これは、高度経済成長政策をはじめ、歴代自民党政府が対米従属のもとで独占資本の復活強化をはかり、日本に軍国主義と帝国主義を復活する政策を追求してきたことに根本の原因があります。このような政治のもとで、日本人民の生活があらゆる面にわたって困難になっています。物価高と重税、低賃金と労働強化、農業と中小企業の経営の困難、社会保障制度の行き詰まりなど、緊急に解決しなければならない問題が山積しております。にもかかわらず、政府・自民党は、みずからつくり出した経済困難を、対米従属と独占資本奉仕の立場から、人民の犠牲によって切り抜けようとしております。IMFと世銀への出資増額も、そのような政策の一還であります。
 第二に、IMFと世銀へ総額千百九十億円を年内に出資をすることは、アメリカのドル危機を救済し、日本の独占資本もまたこれに便乗し、対外進出に乗り出そうとするのがねらいであります。このような反人民的、反民族的な立場では、今日の経済不況は決して解決することはできません。日本共産党は、これらの資金を、当面する国民の生活難を解決するために使うべきであると考えます。また、日本経済の対米従属を断ち切り、自主的、平和的発展の道を選ぶべきであります。
 以上の立場から、日本共産党は、本予算案に反対するものであります。
○委員長(平島敏夫君) 上をもちまして、討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって討論は終回したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)を問題に供します。本案を衆議院送付どおり可決することに賛成の方は起立を願います。
  〔賛成者起立〕
○委員長(平島敏夫君) 起立多数と認めます。よって本案は、衆議院送付どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平島敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後十時三分散会