第051回国会 大蔵委員会 第7号
昭和四十一年二月二十四日(木曜日)
   午前十時三十八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     黒木 利克君     大谷 贇雄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         徳永 正利君
    理 事
                青柳 秀夫君
                植木 光教君
                藤田 正明君
                成瀬 幡治君
                中尾 辰義君
    委 員
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                栗原 祐幸君
                木暮武太夫君
                西郷吉之助君
                西川甚五郎君
                西田 信一君
                林屋亀次郎君
                日高 広為君
                木村禧八郎君
                柴谷  要君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                野溝  勝君
                北條  浩君
                瓜生  清君
                小林  章君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   竹中 恒夫君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省理財局長  中尾 博之君
       大蔵省銀行局長  佐竹  浩君
       大蔵省国際金融
       局長       鈴木 秀雄君
       国税庁長官    泉 美之松君
       通商産業省軽工
       業局長      伊藤 三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
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  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (当面の財政及び金融等に関する件)
○農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付、予備審査)
○日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
 送付、予備審査)
○都市開発資金融通特別会計法案(内閣送付、予
 備審査)
○災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に
 関する法律の一部を改正する法律(内閣送付、
 予備審査)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内
 閣送付、予備審査)
○通行税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
 予備審査)
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○委員長(徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二月十六日、黒木利克君が委員を辞任され、その補欠として大谷贇雄君が委員に選任されました。
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○委員長(徳永正利君) それでは、租税及び金融等に関する件を議題とし、調査を進めます。
 当面の財政及び金融等に関する件につき、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
○国務大臣(福田赳夫君) 今後における財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において明らかにしたところでありますが、本委員会において関係法律案の御審議をお願いするにあたり、重ねて所信の一端を申し述べ、御参考に供したいと存じます。
 わが国経済は、いま二つの問題に当面しております。それは、不況の打開と安定成長路線の確立であります。
 この二つの問題を同時に解決していかなければならない財政金融政策が、今後指針とすべき原則は、次の三つであると考えます。
 第一は、経済の安定的な成長を確保することであり、第二は、経済各部門の均衡のとれた発展を期することであり、第三は、家庭と企業を通ずる蓄積の強化に資することであります。そして物価の安定と国際収支の均衡が、経済成長の基本的な条件であることは申すまでもないところであります。
 政府は、財政金融政策のこの役割りを遺憾なく発揮せしめるため、ここに公債政策を導入し、これを主軸として、財政金融政策の新たな展開をはかろうとするものであります。
 まず、経済の安定的な成長の確保であります。
 今後における政策の目標が、景気変動の振幅をできるだけ小さくし、経済社会の均衡を確保し得る範囲内で、高い成長を達成することに置かれるべきことは申すまでもないところであります。
 しかしながら、今日のような供給力超過の経済の基調のもとにおいて、経済成長の要因を企業の投資活動の盛り上がりに期待することは困難であります。当面の不況脱出のためにはもとより、その後においても、しばらくは、経済の望ましい成長を確保していくためには、財政面から有効需要の拡大をはかっていくことが必要であると考えます。
 もとより、財政の運営にあたりましては、国民経済全体としての均衡を維持し、その規模及び内容を経済の動向に応じた適正なものとすることが基本でなければなりません。今後の成長の過程において、民間の経済活動が活発化し、経済全体の行き過ぎが生ずるおそれのある場合には、公債の発行額を圧縮する等の措置をとるほか、年度の途中においても、予算の弾力的執行、公債発行の調節を行ない、適切な金融政策の運用と相まって、弾力的に対処していく考えであります。
 次に、経済各部門の均衡のとれた発展の実現であります。
 今後わが国経済の新たな発展を期するためには、この際、政策の重点を、経済社会の各部門、各分野に見られる不均衡の是正に置かなければならないと考えます。
 すなわち、まず、民間設備投資の規模を適正な水準に維持する一方、立ちおくれの著しい道路、港湾等の社会資本を充実し、住宅を建設し、生活環境施設を整備していく必要があります。また、農林漁業や中小企業の近代化をはかり、あるいは後進地域の開発を進める等、わが国経済の中の格差を解消していくことも必要であります。
 第三に、家庭と企業を通ずる蓄積の強化であります。
 家庭と企業の蓄積は、経済の持続的な成長の過程において、着実な努力を積み重ねることによって、初めて実り得るものでありますが、財政金融政策も、そのための条件を整えることを通じて、これが実現に寄与すべきものであると考えます。
 ゆとりある家庭を築くためには、経済の安定的な成長の上に、所得水準の着実な上昇をはかることが基本でなければなりません。そしてこれとともに、租税負担の軽減合理化、社会保障制度の充実、さらには住宅や生活環境施設の整備等を通ずる国民生活の場の改善につとめていくことが必要であります。
 また、企業の蓄積の強化をはかるためには、企業の適正な投資水準の維持、社会資本の充実等を通じて生産効率を高め、収益力を向上させることが基本でありますが、これとともに資本市場、特に公社債市場の育成整備、企業の税負担の軽減合理化を行なっていくべきであると考えます。
 物価の安定と国際収支の均衡は、経済成長を進める際に、常に留意されるべき基本的な条件であります。
 わが国の卸売り物価は、長期にわたって安定しておりますが、消費者物価の上昇は、今日の最も大きな問題の一つになっております。私は、この際、決意を新たにして、物価問題と真剣に取り組んでまいる所存であります。
 次に、今後のわが国の国際収支の目標は、貿易収支の黒字によって貿易外収支と資本収支の赤字を埋めながら、経済規模の拡大に応じた外貨準備の漸増をはかるということでなければならないと考えます。わが国としては、今後とも、進んで国際流動性の強化につとめるとともに、輸出の拡大に一そうの努力を傾注する必要があります。
 今回の予算の編成におきましては、以上申し述べました財政金融政策運営の基本的な考え方にのっとり、その健全性を確保しつつ、積極的に有効需要の拡大をはかることを主眼といたしました。
 第一の特色は、戦後初めて本格的な公債政策を導入したことであります。七千三百億円の公債の発行は、財政法の原則に基づき、その対象を公共事業費等に限定するとともに、市中消化によることといたしております。
 第二は、有効需要の喚起をはかるため、財政規模を積極的に拡大したことであります。一般会計予算及び財政投融資計画の伸びは、昭和四十年度に比し、それぞれ一七・九%及び二五・一%となっており、また国民総生産に対する政府の財貨サービス購入の割合は、戦後最高の二三・二%と見込まれます。
 第三は、画期的な大幅減税を行なったことであります。
 第四は、財源の重点的配分であります。すなわち、予算及び財政投融資計画を通じて、住宅、生活環境施設等の飛躍的な拡充をはじめ、社会保障の充実、社会資本の整備、低生産性部門の近代化、物価対策の強化等の重点諸施策を積極的に展開いたしました。その反面、一般行政費の節減合理化につとめ、機構の拡大や定員の増加を抑制する等、財政体質の改善を推進することといたしました。
 次に、税制改正の大綱について申し上げます。
 昭和四十一年度におきましては、さきに申し述べました基本的な考え方にのっとり、また特に当面の経済情勢に対処し、国税、地方税を通じ、平年度三千六百億円に達する戦後最大の額の減税を実施することといたしました。
 そのおもな内容について申し述べますと、まず、所得税におきましては、中小所得者の負担軽減に重点を置き、平年度総額一千五百億円に及ぶ減税を行なうことといたしました。すなわち、給与所得者の標準世帯で年収六十三万円程度までは所得税がかからないよう、諸控除の引き上げを行なうとともに、中堅所得層以下に適用される税率を大幅に緩和することといたしております。
 次に、企業に対する課税につきましては、その体質改善を促進するための措置を講ずることといたしました。すなわち、法人の留保所得に対する税率を二%引き下げ、建物の耐用年数を短縮することにより、企業の内部留保充実に資することといたしましたほか、資本構成改善の促進、合併の助成、スクラップ化の促進等の諸措置を講じているのであります。
 さらに、今回の企業減税の特色は、中小企業の体質強化に特段の配慮を加え、専従者控除の大幅な引き上げ、中小法人の税率の特別な引き下げ、同族会社の留保所得課税の軽減等、中小企業の実情に即した大幅な軽減措置を実施することといたしたことであります。
 このほか、相続税、物品税につきましても、国民の適正な財産形成と健全な消費需要の喚起に資するため、負担の軽減合理化をはかることといたしました。
 地方税につきましても、住民負担の軽減をはかるため、住民税及び料理飲食等消費税の減税を行なうことといたしました。また、固定資産税及び都市計画税の課税につき、負担の均衡化、合理化を進めることといたしております。
 昨年の夏以来、政府は、財政面から景気回復の歩みを促進するため、一連の景気対策を講じ、さらに年末には、公債発行を含む補正予算の成立を見たのであります。これらの施策は、まさにその実効をあらわそうとしております。
 こうした局面において、公債政策を主軸として、緊要な財政需要にこたえつつ、他方大幅な減税を断行することにより、積極的に有効需要の拡大をはかろうとする昭和四十一年度予算が登場するのであります。そして、政府は、予算の執行にあたっては、できるだけこれを上半期に繰り上げて実施し、これが景気の回復により効果的に機能するよう、全力を傾ける所存であります。
 他方、金融面におきましても、引き続き、金融政策の適切な運用を通じて、緩和基調を維持し、経済の順調な拡大に支障のないようつとめてまいる所存であります。
 私は、このような財政金融政策の運営によって、わが国経済は、昭和四十一年度を通じて、着実な回復過程を歩み、新たな発展への一歩を踏み出すに至るものと確信いたします。
 以上、今後の財政金融政策の基本的な考え方について申し述べました。私は、ここに、安定、均衡、蓄積の三つの目標を掲げて、金融政策との緊密な連係のもとに、今日財政に課せられた使命を遺憾なく果たし、国民の期待と国家の要請にこたえる決意であります。
 なお、本国会において今後御審議を願うべく予定しております大蔵省関係の法律案等は、昭和四十一年度予算に関連するもの二十一件を含め二十五件でありまして、そのうちの二十三件について本委員会の御審議を願うことになるものと存じております。何とぞよろしく御審議のほどをお願いする次第であります。
○委員長(徳永正利君) 御質疑のある方は順次御発言を願います。
○野溝勝君 ただいま大蔵大臣から所信表明がございました。いままでに衆議院におきましても、参議院におきましても、相当論議がかわされてきたのでございます。相当煮詰まった論議がございました。大体問題点というのは一応論議されたと思うのです。そこで、きょうは時間もあまりございませんから、詳細にわたって質問をすることは避けます。さて、四十年度の予算案はいわゆる大型景気対策予算とかいわれております。それはそれといたしまして、問題は何といっても公債政策によるインフレ懸念、あるいは減税問題、それから国際収支ですね。国際収支の動向について、政府は非常に楽観しておるようであるけれども、私どもはこれを問題点としておるところであります。それから、物価問題、物価安定対策、これらが大きな柱だと思うのですね。きょうは時間もございませんから、私は国際収支の問題に限ってあなたからひとつお聞きしておきたい、こういうふうに思うわけです。
 何といっても、国債政策下の財政運営で特に国際収支と物価、これが重要な基本条件であることは申すまでもありません。まず、政府の四十一年度の経済見通しは非常に甘いと思うのですよ、私どもからいうと。と申すのは、経済的な合理性に欠けていて、政治的だと思う。すなわち、四十一年度の国民総年産の伸び率は七・五%、物価上昇率は、消費者物価が五・五%、卸売り物価は〇・七%、国際収支の黒字が四億ドル。四十年度見通しにおきましては、国民総生産の伸びは二・七、それから物価上昇率は、消費者物価が七・七、卸売り物価は〇・八%、国際収支は四十年度は二億ドルの黒字でしたな。そこで、新年度見通しのとおりいくとするならば、景気対策を打ち出している政府としては、四十一年度は三十九年度以下の成長に押えずに、一〇%以上の伸びをはかればいいのではないかと思われるわけです。常識的にそうなる。政府の態度は矛盾しているように思うのですよ。この点、大蔵大臣から見解をひとつお伺いしたいと思うわけです。
○国務大臣(福田赳夫君) 国際収支の問題につきましては、私は悲観はいたしておるわけでもなし、また楽観もいたしておるわけでもない。しかし、野溝さんの言われるように、これは非常に重大視をしておる。経済政策運営の上におきまして何が何でも片時も忘れてならぬことは、私は国際収支の問題である、こういうふうな基本的な考え方を持っておるわけです。
 それで、その見方が楽観に過ぎるのではあるまいかというようなお話でございます。率直に申し上げますと、貿易収支の問題、これにつきましては、事務段階の議論におきましては、もっと黒字が出るのじゃないかという意見が実は多かったのです。しかし、いろいろ判断して、手がたいほうがよかろうということで、ただいま経済計画の資料としてお示しいたしておるような、輸出は九十四億ドル、輸入は七十六億ドル、こういうことに結着をいたしておるわけなんです。過程におきましては、輸出はもっと多いというような説もあったのですが、とにかく九十四億ドル程度、これはことしはどのくらいになりましょうか、三十九年に比べますと、二二・三%の輸出の伸びになる。それを大体一〇%程度の伸びに押えての数字でありまして、相当手がたいところではあるまいか、そういうふうに見ておるわけでございます。
 輸入は、ことしは七十億ドル前後というふうに見られるわけでありますが、これを七十六億と、こう見る。一割にはなりませんけれども、一割近い増加を見込んでおる。これも私は手がたい見方じゃないか。
 そうしますと、経常収支において十八億ドルの黒字になり、半分程度貿易外で食われると見ましても、経常収支は九億ドルの黒字になる、こういうふうに見まするときに、資本収支五億ドルのマイナスだ、こう見ると、どうしても四億ドルは残っちゃう、こういうことになるわけでありますが、私はいま大体二十億ドルという外貨を保有しておるわが日本の現状に満足しない。これをだんだんとふやしていく必要がある。ことにこの二十億ドルというのがここ数カ年横ばいで来ておる。その間わが国の経済は非常に伸びた。貿易量もたいへんな躍進をいたしておるわけです。それなのに、外貨準備といいますか、外資の手持ちが二十億ドルだ。これは私は少な過ぎるというふうに考えますので、これを漸増をいたしていくという考え方をいたしておるわけです。
 それで、いま国民の消費は一一%程度伸びる、または民間投資は横ばいである、政府の財政はただいま申し上げましたような拡大をするという状況下において、七・五%の総成長と、こういうふうに見ておるわけでありまして、これは計画上そういうふうになってくるわけであります。
 それに見合って、いまお話は、輸入を七十六億ドルと見ることが適切であるかどうかという御判断でございますが、ただいま申し上げましたように、ことしは七十億ドル程度、国民総生産は七・五%伸びる、そういう際に七十六億、一割近い増加を見込むということは、手がたいといいましても、水増してあるというような――水増しというか、過小であるというような御批判はよもや受けまい、こういうふうに考えておる次第であります。
○野溝勝君 私はここで大臣とこまかく一問一答をやることは、私の持ち時間から許されません。ですから、そういう点につきましては後日に……。大臣の時間が午前中であるというわけになっておりますので、そうすると、われわれの持ち分の配分時間もありますので、掘り下げての質疑はできませんけれども、特に私考えてみるのですが、たびたびこういう国会における論議の中で最も残念なのは、他山の石として反省をし、答えるということでなくて、何でも政府のつくった方針をしゃにむに押し通す、主張するということは、どうも問題があとに残るので遺憾だと思う。
 ちょっと話がそれるが、ここで大事なことだから触れておきたいと思う。それは公債政策と金融関係についての日銀総裁の意向であります。四十一年度は二兆数千億という膨大な公社債が発行されますが、御承知のとおり、一月十六日の生産性本部のゼミでの講演の中で、宇佐美総裁は、買い切りオペ、無条件オペレーションを実施するということを言われておる。そして一月二十日、金融団体協議会の講演では、発行後一定期間を経た国債は、これを日銀が買い取る用意があるということを言っている。さらに一月二十八日、日銀は市中銀行に対して六百億の緊急貸し出しをしました。また、昨二十三日の記者会見でどういうことを言ったか。発行後一年以内の国債担保貸し付け実施の意向を示しておるのですね。これは説明をすればいろいろと合理化する説明をされるでしょうが、こうなれば、民間資金圧迫、オーバーローン、財政法第五条の空文化等、重大です。今回の公債政策によって膨大なもうけをするのは都市銀行で、同じ銀行でも相互銀行以下は商売にならない。庶民階級などは実際に何の恩恵もない。ますます物価高に泣かされる。そのことから見て非常にこの点についても敏感なんです。だから、こんな点もあるので、これは政府と日銀とは別だといえばそれはまた考えさせられますけれども、しかし、行政府の諸君が往々にしてどうも他山の石に対する反省の念がないのですね。
 私は池田総理のときもずいぶんこの委員会でそう言ったんですよ。あなたは高度経済成長だといって、まるで長年高度経済成長が続くようなことを言うけれども、それはうっかりするととんでもないことになる。十分反省して、ケインズの方式等についても、少しゆとりがあったら積み立てをしていかなければならない、ゆとりが永久に続くのだということで、設備拡張にあるいは成長方面にどんどん振り向けていくという政策は考えなさい、こう言ったことがあるのです。ところが、今日、私の見通しが当たったということではないですよ、ないですが、事実はそういう状態になっていますね。だから、こういう点は、福田大臣も物価と景気刺激の間にはさまって容易でないと思うが、あなたはこれでどういう踏み切りをするか、非常に私は関心を持って見ておるが、国民だからただ見ておるというだけでなくて、特に福田大臣にこういう点を私は強く要望しておくわけです。
 さて、いまあなたが経済的見通しについては、貿易方面から見て、その他のあれから見て、心配はないというふうに言われていますが、私は、実際いまのアメリカがドル防衛政策を強くとっている以上は、国際収支のうち特に貿易を高く評価しておりますが、私はだんだんと下降期にありはせぬかと思うのですが、この点、あなたの見通しでございますけれども、どう思いますか。いままでのようにもっと伸びるつもりで見通しを立てておりますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 最近国際収支、特に貿易の状況が大きな流れとしては変わってきておるのです。つまり、一昨年の中ごろまで日本の貿易の形というものが輸入超過、これは四年半そういう状態が続いたわけであります。大体その輸入超過の数字は二十億ドルくらい総計でなりますか、それを、主としてこれはアメリカでございますが、アメリカからの借り入れ金をもって埋めて外貨保有高というものを維持してきたわけであります。ところが、一昨年の夏ごろから様相が変わってまいりまして、輸出が伸びる傾向が顕著になり、これは国内の不況とうらはらをなしておると思いますが、貿易収支は今度は黒字基調に転じてきておるわけです。昨年はそういう状態がずっと続いてきておる。その黒字基調も相当の幅のものでありまして、まあ見通すところによりますと、四十年という年は十五億ドルくらいの黒字になる。非常な大変化が来たわけであります。それにもかかわらず、外貨の保有高というものはふえていない、横ばいだ。つまり、日本の外貨の内容が非常に堅実になっておることを示すわけだと思います。その様子は、私は貿易、輸出の鈍化ということはありまするが、まだ四十一年という年においては基調的に変わるところはあるまい、こういうふうに見ておるわけであります。
 そういう基調の中で対米貿易が一体どうなるか、これも例外ではないのであります。対米輸出入の状態を見ておると、これもその全体の動きと同じ傾向を示しておるわけであります。
 ただ、アメリカの経済が一体今後どうなるか、こういう問題でありますが、アメリカで日本の輸出の伸びを受け入れる態勢が持続するかどうかという問題、これは世界的な規模においてきまる問題で、私ども的確にこれを予測するということはできない。しかし、アメリカも景気の持続政策というものを非常に精力的にとっておりまするので、そう大きな変化はないのじゃないか、そういうふうに見ております。したがって、四十年のような伸びはなかなか困難でありましょうが、しかし、相当の伸びを期待していいのではあるまいか、そういうことで国際収支の見通し等も立てておる、こういうわけであります。しかし、アメリカは何といっても日本の輸出の市場としては最大のものでありますので、その動きについては今後も十分注視しながら臨んでいきたい、かように考えております。
○野溝勝君 確かに日本の外貨準備は二十億ドル台でありますが、しかし、これも十四億ドルあたりから見れば外貨保有量が伸びたということは私はけっこうだと思います。しかし、内容的に問題です。同時に、国際的な経済環境、金融環境というものがなかなかむずかしい事態にあるということを私は強く感じてもらわなければならぬと思うんですよ。なかなか利子平衡税どころの問題じゃない。実際ドル防衛が非常に強化されてくると見なければならぬと思うんです。また、ベトナムの予算から見ても、アメリカの六百何十億の国防予算から見ても、金利引き上げは必至で、容易なことじゃないですよ、大臣。ほんとうに日本にとってむずかしい事態になってくると思うんです。それだから、こういうことについて十分な注意をしていかなければならぬと思うんですよ。
 それで、確かに保有ドルがふえたことはけっこうだ。しかし、これはフランスでさえ五十億ドル、イタリアでさえも四十億ドルの外貨を持っておるんですからね。なかなかこれで楽観はできないと思う。そこで、特に国際収支の面から見ても、貿易の面でこれが特徴的な成長を示しておるというふうに言われますけれども、資本収支には重大な問題があります。長期資本の受け入れが進んでおらぬということ、それから短期資本の流出が非常に大きいことです。まあ、こういう点ですね。長期資本は返済期に入って、借り入れ金の返済が非常にふえておりますね、身をもって大臣が経験されておるとおり。加えて欧米の金利高、それから資本市場の逼迫で新規のインパクトローン、それから外債発行、これがほとんど思うようにいかない。大臣も心配されていると思いますが、開銀債を除いては、あとの外債はほとんどだめですね。まあこういう状態ですね。
 それで、結局は支払い超過が続いておる。それから、短期資本はすでに一昨年の夏ごろから赤字基調になっている。その原因は御承知のとおり、まあユーロダラーの流出である。内外金利差の縮小で、取り入れ意欲が非常に弱まってきている。ドル防衛強化で、市場資金量がぐっと減ってきた。BAレートは五・一二五%でしょう。日本のユーロダラー取り入れ規制金利は五・六二五%、国内コール無条件もの五・八四%。だから、ユーロダラー問題はたいしたことではないでしょう。しかし、重大なのは内外金利差の大きい貿易金融面であり、これが短資流出の最大原因である。そうすると、この点を是正することと、大臣のお話のとおり、最後は貿易の問題、輸出の一そうの増進にかかってくるわけです。これが一つの大きな柱になると思うのです。貿易金融面で輸入ユーザンスは伸び悩み、円金融へ切りかえる傾向が出てきまして、日本側供与の輸出ユーザンス増大とまって、短期資本の流出が非常に大きくなってきています。こういう総合的な見地から見て、また貿易の柱であるところの対米貿易関係についても、ドル防衛の関係で、あるいはいろいろの資金規制の関係で、容易でなくなると思うのです。
 私は、これからの日本の国際収支の安定をはかるということについて非常に心配しているという点を申し述べておるのです。これは私見ですな。この考えに対しては大蔵大臣はどういうように考えられますかね。私の見解が違っているでしょうか。もし大体私の見解どおりだというならば、それに対して、対応策としてこういうことを考えているということをひとつお述べ願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 国際収支ということについて、わが国全体として割合に無関心な傾向がある。私はこれは非常に残念なことだというふうに考えておりまして、国際収支の問題を私は国の経済の動きの最後にして最大の指標として見詰めていかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。そういう意味で国際収支を非常に重視しているわけであります。
 さて、その短期資本が流出する、これは野溝さんのおっしゃるようにそうは心配していないのです。いまは貿易並びに貿易外、つまり経常収支が黒字である。ところが、資本収支において赤字になる結果、その黒字幅が消されておるという現状です。これが一昨年の夏以前の状態は逆でありまして、貿易、貿易外、つまり経常収支は赤字である、それを借り入れ金でまかなった、こういう状態。これが手のひらを返すような変わり方をしておる。その全体の姿というものは、私は非常に堅実な方向に行っておる、こういうふうに見るわけであります。
 ただ、資本収支の中でも、私は長期安定外資というものは大いにこれを歓迎したい、こういう考え方を持っているわけであります。つまり、わが国としては外貨保有高をふやさなければならぬ、ふやすべきだ、こういうふうに考えると同時に、後進国に対してもこれからだんだんとその要請にこたえるという活動をしなきゃならぬ。それには外貨を入手するということを考えなければならぬが、それは短資ではいかぬ。やはり長期資金でなければいかぬ。長期資金の導入につきましては、最大限の努力をしていきたいと思うのです。短期資金につきましては、いわゆるユーロダラーというようなものが日本にも相当あったようでありますが、これは大体においてもう出尽くしたようなかっこうになってきております。そういうものの心配はありませんが、その他の短期資金につきましてもこれが大幅に減るのだ、急激に減るのだというようなことがあると、これは私は手を打ち、警戒をしていかなければならぬが、これが少しばかりの減少があるというような程度のことである限りにおきましては、そう心配をすることはないと、こういうふうに考えておるわけであります。
 国際収支を重視せよという野溝さんの御意見は、全く私は同感であります。この上とも注意していきたい、かように考えております。
○木村禧八郎君 関連ですから簡単に御質問いたしますが、ただいま大蔵大臣から野溝委員の質問に対しての、国際収支の問題について十分関心を持っているというお話がありましたが、ここで問題なのは、大蔵大臣も言われましたが、従来は貿易収支の赤字を資本収支の黒字、これで埋めてきた。それが変化して、最近では資本収支の赤字を貿易収支の黒字で埋めるようになった。そこで、今後もし貿易収支のこれまでの非常に大幅な黒字に基調的な変化が生じた場合には、重大問題だと思うのですね。資本収支の赤字を貿易収支で埋めてきたのですから、そういう基調がずっと続けば、大蔵大臣の言うように、これは堅実であるということになるのですよ。ところが、最近非常に輸出に重大な基調的変化が生じていると私は思うのです。これのまあ解釈のいかんが非常に問題だと思うのです。
 たとえば具体的に申しますと、なるほど四十年は非常に輸出はふえました。しかし、四十年を月別に見ますと、非常な変化があるわけですよ。つまり、通関統計で見ますと、一−二月は前年比は四〇%上回っているのです。三−九月にかけても三〇%前後のハイベースなんですけれども、十月になると一挙に一二%増に落ちているのです、前年比が。それから、十一月が一四%増、十二月が八%増になっているのです。ですから、四十年全体でとってみると非常なハイベースの対前年度増になっていますけれども、月別に見ると非常に下期になると落ちている。もしこの輸出の増加の減退ですね、増加率の減退が今後ずっと続くと、これが一つの基調的変化になると、これは重大問題だと思うのです。そこで、四十年の非常な輸出増加、これは異常なものであったのか。それに比べて最近の伸びが鈍化する、これは正常なのか。異常であったから正常に返るのか。あるいは最近になっての伸び率が鈍化しているのが、これが今後もさらにどんどん伸び率が鈍化してくるのか。
 そこで、伺いたいのは、認証のほうの統計ですね、これは先行きを示しますから、認証統計でその後一月、二月あるいは三月と先行きはどうなんですか、前年同期比の伸び率は。私は落ちていると思います。そう思わなくても、もしこれが基調的変化だとなると、私は非常に重大な問題が起こってくると思うのです。資本収支の赤字を貿易収支の黒字で埋めるように転換した。ところが、輸出の基調にそういう重大変化が起こってきておると、もう現に私は起きておると思うのですが、その解釈が問題ですけれども、そうなると今後重大だ。
 それからさらに、世界貿易についても、世界貿易は鈍化しておりますよ、伸び率が。ずっと鈍化しております。たとえば六四年の世界輸出の前年同期比が一二・一%の伸び率だ。それが六五年度は七・二%くらいに落ちている。非常に落ちております。さらに、特に日本の輸出としましては、東南アジアとかアフリカですね、そういう方面への輸出が非常に減ってきております。いろいろな事情で、外貨事情とかその他で減ってきております。また、鉄鋼輸出も非常に減ってきておるのだ。非観論ばかりあげて何ですが、そういう点でその点非常に重大だと思いますが、認証で今後のあれを前年同期比を、比率を見ると、基調的な変化かどうか、これは重大な問題だと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 昨四十年は、年はとにかく、上半期は三〇%伸びておる。これは異常な伸びで、これが続くということになればたいへんうれしいことなんですが、そう期待するのは甘いと思っておったのです。下半期になると、お話のように鈍化しております。これは鉄鋼ストライキですね、アメリカの。これの関係、それから多少鉄鋼輸出で日本が乱売というか、そういうような傾向があるというので、アメリカとの間にトラブルがあった。これは御承知だと思います。そういうようなことが響いてきておるというふうに思います。それから、ことしの一、二月になりますと、またちょっと低調になっておるのですが、これは海運ストの響きですね、日本の。これも相当あるようでございます。しかし、全体として、私は日本の貿易が昨年の上半期のように三〇%伸びるというような状況が続くとは思いません。ことし全体とすれば、大体輸出の伸びは、三十九年に比べましてまあ二〇%というところになるのじゃないかと思いますが、これが鈍化いたしましても、いろいろ積み上げ方式で見てみましても、あるいはマクロの見方をしてみましても、一〇%内外の伸びということに見て、そう甘い見方ではない。四十一年度です。そういうふうに考え、これを経済計画の基本として取り上げておる、こういうわけなんであります。
○野溝勝君 それで、時間がございませんから、結論に進むのですが、貿易の見通しなぞについても、私は大いに意見を出して、あなたの意見を詳細に聞きたいと思いますけれども、いま言ったように時間の関係から省きます。
 そこで、貿易関係について、国際収支についてあなたは楽観しているように思えるのでございますが、特需というものが大体あなたの考えの中には入っておるのではないですかね。
○国務大臣(福田赳夫君) 特需というのは、使い方の意味によります。つまり、特需と一般にいわれておりますのは、在日米軍が日本におって物資、労務を調達する、これがまあ特需であります。これはここ数カ年大体三億ドル程度でありまして、これが今日の時点で見てみまして、特に増加するという傾向はございませんです。よくベトナムがああいう事態なもんだから、特需がふえるんじゃないかというような見方を言う人がありますが、それは在日米軍の物資、役務の調達という面には数字的にはあらわれてきておりません。
 ただ、こういうことは私はあると思う。ありますのは、アメリカがともかく百億ドルの金を投じてベトナムで行動しておる。それには物資が要るわけであります。しかも、それが軍需物資である。で、アメリカの産業が、ある部分が軍需産業に転換をしておる。民需物資がそれだけ制約を受けるというような状況があって、わが日本の輸出に影響してくる。いまこういう面がないではない。しかし、これは区別も何もできませんものですから、数字には示しがたい問題でありますが、そういう傾向はある程度あるんじゃないかというふうに見ております。
○野溝勝君 まあ率直に大臣に御答弁願いましたが、これはきょうこの場でなくてもけっこうでございますが、いずれ議会でも問題になると思うのです。まあ問題になるということは、聞いてみたいという点で問題になると思うのです。というのは、アメリカでは御承知のとおり国防費総額が六百五億ドルですね。このうちに米軍の倍増計画が百億ドルあります。兵器関係四十四億四千七百万ドル、人員増強の面で二十五億ドル。ですから、このうち一割くらいは日本に調達あるいは貿易、どういう形か知りませんけれども、特需として出てくるんじゃないか。大臣はここら辺をひとつ大体めどに置いて、楽観しておるんじゃないか、こういううがった説さえもあるわけなんです。ですから、私はお伺いしたいんでございますが、いずれこの問題については後刻またお聞きしたいと思まいすから、いまからひとつ御調査をしておいていただきたい、こう思います。
 次に、私は、質問よりは特に意見を述べておきたいんですが、輸出が非常に好調であると大臣は言われております。一年前までは日本の国際収支の構造は経常収支の赤字を資本収支の黒字でカバーしてきた、しかし今日は違う、まあ貿易が非常に好転して、だから経常収支の黒字が資本収支の赤字をカバーしている、逆だ、こう言われておりますが、私は輸出環境から見て、欧州共同市場、あるいはアメリカの現在の動き、あるいはOECDの加盟諸国等の動き、そういう点から見て、先ほど木村委員も言われたように、なかなかいままでのような輸出基調の維持は通り一ぺんにはいかないものがあると私は見ておるんです。そこで、この資本収支の赤字が減る、そして総合収支が黒字で、それが長く続くというような見通しはどうですかね。また池田さんの高度経済成長と同じように間違っちゃいかぬから、ここら辺は十分注意していかれるよう強く希望して、私の質問を終わりたいと思います。
 なお、御承知のごとく、自民党政府の国債政策、低金利政策、金利の自由化の方向と矛盾する対策もとらざるを得ないような事態に当面しておると思ので、ここら辺の財政経済政策については十分検討し、慎重に対処していただきたい。これはまあ他党のことでございますが、私から意見を述べておきたいと思います。
○木村禧八郎君 ちょっと、簡単にしておきますから。
 さっき野溝委員の質問の中で、宇佐美日銀総裁が、きのう、国債の貸し出し担保、オペの対象でなく貸し出しの場合ですよ、それを一年以内においてもあれを担保として貸し出しをすることを考慮するようなことが新聞に出ているのですが、大蔵大臣、それはどうなんですか。いままで日銀の規約では、オペの対象には一年以内できませんね。ところが、貸し出しについてはできるのですか。また、そういうことを大蔵大臣は認めるのですか、それは。
○国務大臣(福田赳夫君) これは宇佐美総裁がどう言ったか、まだ聞いておらないのですが、新聞でけさ見て知った、その程度でございますが、基本的にはこういうことなんです。国債を今度多量に出すことになりますが、その国債はオペレーションの対象にいたします。また、貸し出しの対象にもいたします。ただ、オペレーションに使うことが主でありまして、貸し出しという場合は、まあ金融政策上非常に限られた場合に限定しよう、こういうふうな考え方、基本的な考え方です。ただ、当面、この一年間の金融状況を見通した場合におきまして、オペレーションの対象として、新規に出す国債は、この一年間にその対象として国債を使うという事態はないだろう、こういう見解を持っております。そういうことを日銀総裁は言っておられるのではないか、かように存じます。私も、この一年間は、大体――大体ですよ、おおむね一年間は、国債をオペレーションの対象にすることはないだろう、こういうふうに考えております。
○木村禧八郎君 いや、そのオペではなく、貸し出しの担保です。
○国務大臣(福田赳夫君) 貸し出しはもとより、これはもとから、先ほど申し上げましたように、非常に制限的にやっていく、こういう考えであります。
○木村禧八郎君 いや、ちょっとそこのところは……。一年間貸し出しについては、オペのようにやはり貸し出しの担保にならぬという内規があるのですか。オペと貸し出しの場合は、はっきり区別されているのかどうか、そこのところが……。
○政府委員(佐竹浩君) 非常に技術的なことでございますから、私からお答えいたします。
 これは日銀の内規といたしましては、もう先生御指摘のように、オペレーションの場合に限って、発行一年未満のもの、もしくは償還一年前のもの、それは対象外とするということでございますが、貸し出しの担保の場合には、決して、何も制限はございません、従来から。
○木村禧八郎君 ないでしょう。だから、そこが問題なんだ。
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
○柴谷要君 私は、ちょっと古い問題でございますけれども、本院の決算委員会で昨年十二月二十五日に、大蔵大臣の部下である政務次官と通商産業省の軽工業局長が立ち会い人となって、マルマンという会社に特別融資をされたという問題が決算委員会の問題になった。この問題は、むしろ、決算委員会の問題というよりも、すでに大蔵委員会の問題という場になってまいりましたので、問題を提起された委員と話し合いをして、本委員会に問題を移したわけです。
 そこで、本日、二、三問題をお尋ねをして明らかにして、問題の解決に当たっていきたい、こういうふうな観点から質問を展開するわけでありますが、マルマン融資の問題について大臣はどの程度御承知になっておられるか、ひとつその範囲をお聞かせいただきたいと思うのです。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はほとんど存じません。ただ、決算委員会等でいろいろ話があるということだけは承知しております。
○柴谷要君 大臣はよう知らないようでありますが、実は決算委員会には佐藤総理も出まして、この経緯についてはまことに遺憾であるという御答弁をなさっておられましたのですが、概略申し上げますというと、マルマンという会社が動くデパートを経営しておる。たいへん景気が悪くて、一時は非常に困難な状態になり、職員の給料すら遅配、欠配が行なわれるというようなことで、労働省も調査をされることになったのです。
 そこで、銀行融資を受けることによって立ち直りをはかろうということで、当時マルマンの社長が、どういういきさつか知りませんけれども、大蔵政務次官でありまする藤井さんのもとに相談に来られた。藤井さんは関係の監督官庁である通産省の軽工業局長のところにも相談に行かれたように、私は決算委員会の討議の中から承知をするわけであります。そうしているうちに、銀行は四行でありますけれども、大和、三和、東海、それに勧銀ですか、四行を大蔵政務次官の部屋に集めて、そこを舞台に四行からマルマンに対して相当な額の融資を行なわしめた。そのときに取りかわした誓約書の中に、大蔵政務次官藤井何がし、軽工業局長伊藤何がし、こういうふうに公職名を使った名前で、つまり融資をさしておる。
 これに対して、決算委員会で一番問題になったのは、一体融資額に対する担保権というものが十分設定されておるのかどうかというのが、まず第一に疑問の点でございます。これを銀行局長からでもけっこうですから、まず第一に明らかにしていただきたいと思います。
 それから、第二には、このようなできごとが事実行なわれてよいものであるかどうか。個人で銀行の融資のあっせんをしている方はずいぶんあると思います。私はそれらを問題にするわけではありませんけれども、政務次官の部屋を使い、しかも、誓約書の中に政務次官何がし、通産省軽工業局長何がしと列記をして、そうしてその銀行融資をさしておる、こういうような事例が他にあるのかないのか。私は、非常に疑問を国民に投げ与えております問題だけに、この点もひとつ明らかにしてもらいたい。と同時に、これは一政務次官、一軽工業局長の問題だけではなしに、やろうとすれば、大蔵省の局長さんなどはすぐそういうことはできる。まあ藤井政務次官がやられたことでありますから、これは竹中政務次官もやる気ならすぐできるということになる。竹中さんはそういう御心境になられるかどうか、これをまずつけ加えて……。参議院出身でございますだけに、もし間違いをされては困りますから、この機会にお尋ねをしておきたいと、こう思うわけです。
 それから、実は四行がぜひそうしてくれと言うから肩書きを入れたのだという藤井政務次官の答弁が参議院の決算委員会で行なわれておりますけれども、これはその場のがれのことばのように私は思うのです、その場のがれのことばのように。そういうことから、どうしても四行を参考人に呼べ、こういうことなんですけれども、この銀行関係を参考人に呼ぶということは、軽々には私は呼べないと思う。いかに委員会の権限をもっていたしましても、私はあまりに、非常に重大な問題だと思いますので、慎重を期さなければならぬ、こう私は考えておる。そういう点から、いま伺いたいのは、まず四行を集めて政務次官室でこういうことをやったことがいいのか悪いのか、これからはこういうことは大蔵大臣としては厳に慎ませる、こういうふうなお考えをお持ちになっておられるのかどうか、これをひとつ大臣並びに関係者にお尋ねをしておきたい、こう思うわけです。
○政府委員(佐竹浩君) まず、担保の点からお答え申し上げます。
 このマルマンに対しまして四行の協調融資、これが大体約四億二千万円ということでございますが、そのうち最近において実行済みになりましたものが約三億七千万円でございます。このほかに、協調融資以前において関係銀行からの従来の融資も実はございます。それらの既往の融資並びに今回の協調融資分もすべて含めまして、それらに対する担保の状況を調査いたしました。その結果、これは不動産あるいは工場、機械設備、その他担保は十分取っておるということを私ども確認いたしております。
○国務大臣(福田赳夫君) 私はこのいきさつは承知しないのですが、国会で問題になっておる、こういうので報告は詳細に受けております。たぶんこの問題になっております誓約書の取りかわしは、昨年の暮れごろかと思うのです。あのころの大蔵省の中の雰囲気は、中小企業の倒産指数というものが依然として高い。ことに十二月のごときは六百件もある。そういうことを何とかして早く改善をいたしたい、こういうことで精一ぱいの努力をしておる、そういう時期であったわけであります。そういう雰囲気の中で藤井政務次官がマルマンの問題の相談を受け、政務次官といたしますと、これはほおっておけないと、こういう気持ちになられた。これは大蔵省の中の雰囲気から自然なことだったと思うのです。
 ただ、いま御指摘のように、マルマンと四行との間で誓約書が取りかわされ、それの立ち会い人として大蔵政務次官何がしという署名をいたしますとか、あるいはそういう誓約書の交換が大蔵政務次官室で行なわれるというようなことは、私は適当でなかったと思います。ただ、そういう雰囲気のもとで非常に熱情をこめてやったことで、思い過ぎてそういう行き過ぎになったと、かように存じますが、今後こういうことはないように厳重にひとつ気をつけてまいりたい、かように考えます。
○政府委員(竹中恒夫君) ただいま柴谷先生から同僚議員として非常に御心配していただきまする意味においての御質問、いま私どもの大臣が御答弁申し上げましたように、あるいはまた先般決算委員会で大森委員に対する御答弁にもございましたが、こうした事柄につきまして肩書きづきでもってやるということにはいささか行き過ぎの感があるということ、並びに公務員なり政治家の立場におきましては、たとえ動機がよく、あるいは当然不正なことでないということでありましても、いささかでも疑惑や不信を招くような行動は、厳に政治家として公務員として慎むべきであるということを御答弁なさり、なおこういうことは前例としないという御答弁があったことは御承知のとおりでございまして、全く私も同感でございまして、そういうようなことがもし将来あるといたしましても、私の立場では厳に慎んで、そういう行為なり要請を受けましても拒否いたしたい、かように考えておりますので、さよう御承知願いたいと思います。
○柴谷要君 私の疑問と思っております点を鮮明していただきましたので、質問はそんなに長くしないで終わりたいと思いますが、いま一、二点伺っておきたいと思いますのは、担保物件は十分これは明確になりました。これは決算委員会ではなかなか担保物件の問題を言わなかったものでございますから、何か不正融資のような印象を与えたことは遺憾だと思いました。そこで本委員会に移していただいて本問題が明確になって、たいへんけっこうだと思います。ところが、これは大蔵省の関係の立場の方の御意見でありますが、通産省の伊藤軽工業局長もお見えになっていると思いますけれども、伊藤さんの見解をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
 この事の起こりは、マルマンの社長と通商産業大臣が縁故関係にあるというのが事の起こり、この融資問題が始まったといううわさが出ている。それだけに軽工業局長の公職名を使っての捺印ということはたいへんな問題だと思いますので、やはり大蔵省と同様の考え方、将来にわたってそういうようなことは厳に慎むという見解であるのかどうか、伺っておきたいと思います。
○政府委員(伊藤三郎君) マルマンの融資のあっせんをいたしました経緯をごく簡単に申し上げますと、一昨年マルマンがいわゆる動くデパートというのを始めまして、それによって経営が不振におちいったわけでございます。一方、従来やっておりましたガスライター、時計バンドの事業は順調にまいっておったわけでありますが、動くデパートの影響を受けまして、全般が不振になったわけでございます。昨年の夏ごろの状況といたしますと、もしマルマンの経営が行き詰まりますと、当時前払い割賦として受け取っております二億五千万円、それに対する一万人の小口債権者に非常な迷惑を及ぼす、あるいは関連の下請事業者、あるいは従業員にもそういう影響があるということで、銀行のほうに融資について配慮を要請したわけであります。銀行のほうで判断をして慎重に考えてもらいたいという趣旨で依頼したわけであります。
 これにつきましては、三木通産大臣と片山社長との個人的な関係を云々されるうわさも聞いておりますが、これは三木通産大臣が参議院の決算委員会でこの点について、自分は何ら個人的な関係はないということを明言されております。それについて大森議員もその席で納得されたと思うのであります。そういう趣旨で大臣と片山社長とは何ら個人的な関係はございませんと私は確信いたしております。
 また、私がこの立ち会い人になることにつきまして、上司の承認を得たというふうに答えておりますが、その状況を申しますと、何ぶんああいうふうに新聞にも賃金不払いで大きく取り扱われている事件でございますので、その後四行の協調融資で再建できる態勢になったという事情を事務次官、通産大臣に報告いたしました。そのときあわせて、立ち会い人になるということを銀行のほうから要請されている、その内容を見ればたいしたことはないので立ち会い人になりますという趣旨を申し上げたわけでありまして、別段、大臣の指示によってなったわけではございません。
 そういう事情でございますが、融資のあっせんあるいは受注のあっせん等につきまして、通産省としていろいろ努力をしてまいっておりますし、特に昨年来各通産局に不況対策のための相談所も設けていろいろやっておる次第でございます。そういう趣旨で、金融のあっせんということは当然の業務と考えております。ただし、立ち会い人になりまして、そういう署名捺印をしたという行為・につきましては、私も、総理のおことばもあり、反省をいたしておりまして、今後そういうことのないように注意いたしてまいりたいと思います。
○柴谷要君 最後の質問になると思いますが、私の望んでおりますとおりの御答弁をいただいたので、満足でございます。ただ、マルマンがその後動くデパートをやめて本業に立ち返って、融資を受けた上で真剣に立ち直りを策しておるようでありますが、うわさによるというと、だいぶ成果をあげつつある、こういううわさでございますが、軽工業局長なりあるいは銀行局長は、その事実をおつかみになっておられるかどうか、知っておられましたら、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤三郎君) 株式会社マルマンの状況でございますが、売り上げは昨年の十月以降予定の線に乗っております。大体十二月で立ち直ったというふうに見られるわけでございます。ただ、売り上げ金の回収でございますが、十月――十二月はやや停滞をしたようでございますが、本年に入ってからは正常に復しておるというふうに聞いておりまして、順調に再建が進んでおるというふうに考えております。
○柴谷要君 決算委員会で長い議論をして、こまかい事情を十分知っておるだけに、私もこの問題を憂慮しておりましたけれども、問題が深入りをするに従って、決算委員会の問題ではなしに、これは大蔵の問題である、こういうふうに判断をいたしましたので、同僚議員とお話し合いをし、移していただきましたが、疑問点が明白になりまして、御答弁をいただいたことですっきりいたしましたので、本委員会では私は以上をもってこの問題を終わりたい、こう思います。
 しかしながら、これから倒産、あるいは不況のためにいろいろ困難をきわめておる中小企業もあると思いますので、どうかひとつこれらの皆さんにも厚い気持ちを、マルマンに与えたような気持ちをもって、ひとつ倒産あるいは不況の対策をやっていただきますように御努力をしていただきたいということを要望して、質問を終わります。
○中尾辰義君 大臣にお伺いいたしますが、四十年度の税収の見込みは二千五百九十億円減、そういうことでそれに相応するだけの赤字公債を発行する段階になったわけでありますが、その後の情勢を考えてみますというと、企業倒産がまだ依然として続いておりますが、税収が増高してきて、それで二千五百九十億円よりか二百億円ばかり減るんじゃないか、こういうようなことを報じられておるわけですが、その間の事情をどういうふうにおつかみになっておられるか、大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 異例の措置といたしまして、四十年度では歳入補てんのための公債を出すということにいたしたわけですが、そういう異例な措置をとるだけに、この税収の落ち込みの額がどうなるであろうかということにつきましては、その検討に非常に慎重を期したわけであります。二千五百九十億円という結論になったわけなんでありますが、その後の状況を見ておりますと、まあ堅実に見積もっただけありまして、それを割るというような事態はいま想像はできないのであります。
 ただいまの時点で見てみますと、租税の徴収率は前の年よりも幾らかよくなってきておるというような状況ですが、なぜよくなってきたかということを考えてみますと、いまはまあ低金利でありますもんですから、延納しておりまして二銭の日歩を取られるというよりは、二銭以下で金融機関から借りて納税したほうがいいんだというふうに考える会社が多くなってきたという事情があるんじゃないか。それともう一つは、昨年の十月にビールの値上げをいたしたわけです。そういうようなこともありまして、酒税の収入が多少ふえてきた。そんなようなことが大きな原因じゃないか、そう見ております。
 しかし、その二つの理由のいずれもが、まだ三月になってどういうふうな動きを示すか、これはちょっと見当つかないような状況でございます。年度を通じてどういう結論の数字が出てまいりますか、まだ予断を許さざる状況というふうに考えまして、注目をしておるところでございます。
○中尾辰義君 結局、まあ企業が急によくなったというわけでもないし、高い利子税を払うよりか、金融が緩和になりましたので、銀行から金を借りてそれで即納したほうが歩がいい、こういうわけですね。そうしますと、大体その中で、税項目の別に見ますと、どういうような税金がふえているか、それを伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) そういう結果、法人税と酒消費税、酒税ですね、このほうがふえておるわけです。
○中尾辰義君 私が申し上げたいのは、大臣のおっしゃったことも、それはまあ一面から考えますと信頼できぬこともないのですが、年度末になりますし、かつまた何しろ国が二千五百九十億円という国民から借金をするわけですから、どうしても税務署あたりの、ことに第一線の税務署員あたりに徴税のハッパがかかっているのではないか、こういうような気配もするわけですね。その辺のところを私もきょうお伺いしてみたいわけですが、それに対して大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) そういうことを言う人があるんですが、そういうことは一切いたしておりません。かえって、今日は非常な不況な時期であり、ことに不況が長引くものですから、中小企業なんかは困窮しておるだろうというようなことで、徴税には気をつけて懇切丁寧にやるということの心がけは用いますが、この際特に強化して財源の落ち込みをカバーしようというようなやり方は一切やっておりません。いろいろ言う人がありますが、すべてこれは誤解に基づくものであります。さように考えていただきたい。
○中尾辰義君 これは税務署の関係だけでなしに、委員会等における大臣の答弁と末端の態度とは、大体異なっているということはよくある。当局の責任者はよくおっしゃる。ところが、実際において第一線は、あなたがおっしゃったとおりいっていない。これは大蔵関係、税務署関係だけではございませんで、やはり警察あたりなんかもよくあることです。
 そこで、国税庁長官に私はお伺いしたいんですが、これは新年度の国税庁の予算になりますが、総額が五百七十四億円ばかりになっておりますね。昨年度よりかなりふえておりますが、新年度は国税庁はどのような税務行政を展開していくのか、その点についてお伺いしたい。
○政府委員(泉美之松君) お話のとおり、四十一年度予算としてただいま御提出いたしておりまする予算案によりますと、国税庁の予算は五百七十四億でございまして、前年度の五百十億に比べまして六十四億増加いたしております。もっとも、そのうち四十七億は公務員のベースアップに基づく人件費の増加でございます。
 そこで、お尋ねの、四十一年度におきまして税務行政をいかにやっていくかという点でございますが、税務行政と申しますのは、御承知のとおり長い間の伝統ででき上がっておるものでございまして、税法の執行を適正に行なうということが中心でございまして、特に年によって目立った変わり方をするということではございません。
 ただ、私どもが配意いたしております点を申し上げてみますと、まず第一は、御承知のとおり近年経済発展が著しいために、課税対象が大都市に集中する傾向が見えております。ところが、徴税事務に従事いたしまする税務職員の配置が必ずしもそれに伴っておらないという点が見受けられますので、大都市に職員を集中する、したがって予算もそういう方面に重点を置いて支出する、これに努力いたしたいと思っております。
 それから、これは実は先ほど申し上げました五百七十四億の予算に入っておらないわけでございますが、税務職員の職場の環境をよくする。それと同時に、職員が住宅不足で困っておりますので、そういった点につきまして、職員の住宅についても充実をはかっていく。こういう点につきまして、官庁営繕費あるいは公務員宿舎費の増額をお願いいたしまして、これによって、環境を整備し、同時に職員が住居を持って安心して仕事に従事できるように努力いたしたいと考えております。
 それから、先ほどのことにつながるわけでございますけれども、大都市にそういう税務職員の充実をはかるという意味で、東京国税局と福岡国税局におきまして税務署の分割を行なうというようなことによって、大都市とそうでない地域との間におきまして、職員が手薄であるかどうかということによって課税の間に不公平、不権衡が起きることのないように配意いたしたい、かように考えております。
 それから、いま一つは、本年二月から電子計算機を導入いたしまして、内部事務はできるだけその電子計算機によりまして計算を行なって、内部事務をできるだけ省略をして、少ない人員で外部の実際の調査に従事するということに努力いたしたいと、かような方法を考えておるわけでございます。
○中尾辰義君 それで、まあ本年度のこの予算を見ますというと、税務署の専門官が一千三百名ふえておりますね。それから、東京と福岡に税務署を各一署ずつふやす、それから調査体制の拡充強化、このようにいろいろあるわけですが、あなたのおっしゃったように、これは税務業務が非常に繁雑になってきたのでこういうふうにしたのだとおっしゃるわけですが、都市に徴税を集中強化するのじゃないか、このような見方もしているわけですけれどもね。これはまあ徴税強化の前ぶれであろうと。しかも、税務署の第一線の職員あたりも、われわれは納税者から非常に鬼のように見られておって、今後の徴税攻勢ということも考えられ、また嘆いているような話も出ているわけですが、そういう点について、長官からはっきりした言明をお願いしたいと、こういうわけです。
○政府委員(泉美之松君) おことばではございますが、私どもが課税対象が多くなっている大都市に税務職員を集中したいと申しますのは、むしろ、全国的に見ますと、地方局及びその管下の税務署に比べまして、そういう大都市の局署の課税が徹底しておらないために、地方局と大都市局との間に課税上不権衡が見られるきらいがありますので、そういうことのないようにいたしたいというのでございます。それによりますと、もちろん、大都市局におきまして従来課税漏れになっている面がございますれば、その面は充実することになると思いますけれども、特に大都市局だけ目当てに徴税強化をしよう、こういう趣旨ではございません。むしろ全国的な課税の公平をはかる措置、このように考えているのでございます。
○中尾辰義君 それで、いま国税庁のほうで全国的に徴税のためにいわゆる業種別の集中調査をおやりになっていらっしゃるように伺っているわけですが、この業種別の集中調査というのはどういう目的に、何のために、どのような方法でおやりになるのか、その点について伺いたい。
○政府委員(泉美之松君) おことばではございますが、国税庁といたしまして、業種別に重点調査をやるということはいたしておりません。ただ、東京国税局におきまして、一昨年からでございますが、米屋さんを調査いたしましたところ、御承知のとおり昭和三十七年以降米の配給制度につきまして特選米とかいうような制度ができました関係で、特選米に一般米をこめて販売するとか、あるいは配給辞退米が出ました場合にそれを流して収入に計上しないというようなことをしているという事例が見つかりましたので、これはひとり東京国税局だけの現象ではないだろう、そういう米屋さんの多い地域において同じようなことが行なわれているおそれがあるからということで、国税庁から東京国税局の事例を基礎にいたしまして、各局で実態を調査するようにということはいたしました。したがって、それに基づきまして昨年大阪国税局あるいは名古屋国税局管内におきまして、そういった調査は行なわれました。それから、同じく昨年から東京国税局管内でそば屋を調査いたしましたところ、その売り上げ脱漏があった。それを調査するには、そば粉の仕入れから調査するのが効果的であるというようなことが判明いたしましたので、東京国税局ではそば屋の調査をやるというようなことを行なっておりますが、それ以外に特に業種別に重点的に全国一斉に調査するというようなことはいたしておりません
○中尾辰義君 いまの段階では、東京、大阪、名古屋の国税局あたりで米穀の販売業者あるいはそば屋までやっている、こういうことですが、将来またそれをだんだんと広げていって調査を集中される、こういう心配もするわけです。そこで、あなたのほうでお調べになるのはそれは当然かと思いますけれども、ただ一部のものを、かりにそば屋ならそば屋の一部のものを調査をして、調査の結果いろいろな問題点が出てきた、それを今度は残りのそば屋に、おまえのところもこういうような間違いがあるのじゃないか、だからこのように修正をせよ、このように強要されておる、こういう声があるわけです。これは私、陳情を受けまして、御参考までに読んでみたいと思います。これは東京都内のそば屋さんであります。
 いままでは業者の自主申告をそのまま認められてきた。それが今回は税務署が業者の申告を全然認めず、たとえば約三十倍の利益とみなし、したがって三十倍の課税額を宣告してきている。しかも、それを自主的に修正申告するよう何回も強請しておる。この人の場合は三十八年度までさかのぼって、三十八年度が利益金が七万五千七十円、それが今度は二百三十一万九千円にせよ、三十九年度が六万九千四百四十五円、これを百九十七万三千円に修正をせよ、そして四十年度の分は申告は九万九千二百八十四円になっておりますが、これはいまからやるだろうと思いますけれども、このように三十倍も膨大な額に修正せよ、こういうわけですね。もしこれに応じない場合には、税務署は徹底調査をして更正決定をする、こう言っている。もし更正決定をしたならば、重加算税を免れないと脅迫をされる。修正申告をしたならば重加算税はかけないとも言っている。そのため、同業者仲間の七割以上の人がおそれをなして、税務署の言うとおりに修正強制額に近い自主修正申告を出してしまっている。今回の課税は三年間分さかのぼって調査の対象になっている。このため、業者の申告額と税務署の修正要請額の差が一そう膨大になってしまっている。前年度だけの分を調査の対象にするんなら、業者も幾らかうなずける。なぜ今回は三年前にもさかのぼって調査の対象にするのか、こんなことはかつてなかったことである、こういうように一部の業者からも書いてきておる。これは全部そのとおり受け取れなくても、やはり私はある程度相当強化されているのではないか、こういうふうに考えているわけです。
 また、大蔵当局の面から考えても、来年度は三千億の減税、史上最大である、このように宣伝をしていらっしゃるけれども、やはりどれほど自然増収が出るか、それもまだはっきりしていない。ある程度やはり徴税も取れるところは取らなければならない、こういうことで、それが自然とハッパがかかっているのではないか、このように思うのですね。ですから、きょうは大臣も来ていらっしゃるものですから、特にこういうきめのこまかい点を大臣のお耳に入れておこう、こういうわけで私が申し上げているわけです。大臣だって殿上人みたいに、そんなものは知らない、こういうことじゃ私は困ると思うわけですね。ですから、国税庁長官は、そんなばかなことはない、こうおっしゃるかもしれませんが、現実においてやっているのだから、もしあれば、あるいはあなたの監督不十分じゃないか、こういうことになるのじゃないか。その辺のところの大臣並びに長官の弁明のことばを私はきょうは聞いておきたい。
○国務大臣(福田赳夫君) そば屋の話はよく承知しております。ずいぶん陳情を受けた案件であります。私は、いまお読み上げのことで、三年さかのぼるということですが、いろいろ長官が心を使いまして、そういうふうな遡及はいたしておりません。あれは二年分の遡及で、三年まではしておらないのです。大体、そば屋のほうの組合との話はついております。しかし、一般的に申し上げまして、徴税攻勢というがごときことは一切やっておりません。やっておりませんけれども、業種別にいろいろの調査をするということは、これはもうどうしてもあることなんです。これは一般的に全国的にということはありませんけれども、各局の管内ごとに、どこでこういう問題があったが、その同じ事例が他の店でないだろうかというような調査は、これは当然すべきところであります。しないというと、また会計検査院あたりから国税庁のほうは締めつけられることになるわけであります。しかし、これはその辺が国税庁の税務執行のむずかしいところでございますが、なるべく波風の立たないように、しかも皆が公平に納税をしていただけるように、この上とも努力をしていきたい、かように考えております。
○政府委員(泉美之松君) お話のように、そば屋につきまして、昨年、東京国税局で四月に小石川と四谷の両税務署の管内におきまして調査いたしましたところ、そば屋の中に著しい不正計算をしているものがあるということがわかりまして、その結果いろいろ調査を行なったわけでございますが、私どもは特にこういう税収不足だから徴税強化を行なうというようなことはいたしておりませんけれども、私どもは税法の定めるところに従って執行いたしてまいりますので、やはり納税者の方がその所得の適正な申告を出していただくということが望ましいわけでございまして、その申告が適正でない場合には税法の規定によりまして三年間更正ができることになっております。
 ただ、本件につきましては、まあ従来から個人につきましては三年前にまでさかのぼって更正するということをできるだけ控えております関係上から、このそば屋さんの中でも申告の状況はいろいろ違っております。不正計算の激しいものもございますれば、そうでないものもございます。そこで、そういう点を勘案いたしまして、不正計算の著しいものにつきましては三十八年分にまでさかのぼる、そうでないものにつきましてはそこまではさかのぼらない、こういうふうな配慮をいたして、修正申告を懲悪をいたしたのであります。
 修正申告の慫慂につきましては、そば屋の同業組合を通じましてそういうことをいたしておるのでありまして、それぞれ修正申告をしないならば重加算税を打つというようなことは申し上げておらないはずでございますけれども、そういうことがもしあるといたしますれば、はなはだ遺憾なことに存じます。そういうことのないように私どもとしては指導いたしておるわけでございます。
 それから、先ほどお話しの三十倍の利益というのは、もし事実であるとしますれば、それはよほど不正計算の激しい事例だと思いますので、三十八年にさかのぼることもやむを得ないかと思うのでございます。
○中尾辰義君 まあそれは三十倍といいましても、あんまりひどいように思うわけですが、そこで、今後、先ほども申し上げました集中的な業種別の指導ということも、各税務署あるいは国税局あたりでも考えておるし、また行なわれるように私は思うわけです。大体調査が行なわれ、また行なわれようとするようなものを長官も御存じかと思うのですが、ありましたら、それをひとつ。
○政府委員(泉美之松君) 先ほども申し上げましたように、国税庁といたしましては、特にどの業種に重点を置いて調査するというような指令は出しておりません。ただ、各局で調査した中で、全国的に普遍的に存在すると認められるような場合におきましては、ある局の調査の結果を参考までに各国税局に通知いたしまして、ある局でこういう業者を調査したところこういう手口をもって脱税が行なわれておる、したがって、他の国税局におきましてもそういう点について同じような手口で脱税が行なわれていはしないか、十分調査するようにという指示はいたしておりますが、それ以外に、特に毎年どういう業種に重点を置いて調査するというようなことはいたしておりません。
 ただ、私どもが最近課税の権衡から見まして脱漏があるのではないかということから特に心がけている点を申し上げますと、昨年の森脇文庫の脱税事件以来、特に高額所得者の中で申告が適正でないものがおるのではないかということからいたしまして、各国税局でそういう高額所得者の中で特に申告成績のかんばしくないと思われる人につきましては、各国税局に特別の資料調査班を設けまして調査を充実するようにということと、それからいま一つは、最近相当華美なマンションなんかが多いわけでございますが、そこに住んでおられる人の所得の実態はどうなっておるか、そのマンションの部屋が贈与されているのではないか、あるいはそこに住んで生計を維持していくためには相当の所得がないといけないはずだが、その所得はどうなっておるか、こういった点には特に気をつけて調査を行なうようにというような指示はいたしております。それ以外におきまして、特にどういう業種についてというような指示はいたしておりません。
○中尾辰義君 あなた、そういうことが、計画もないとおっしゃいますが、私がいろいろ調べてみましたところ、税務署単位あるいは国税局単位で調査がされておるように思うわけです。たとえば東京の神田の税務署においては、集中調査の対象になっておるのが青物市場の仲買い人、多摩川の税務署においては大蔵政務次官と同じ職業の歯科医、それから武蔵府中署におきましては競馬関係者、名古屋におきましては、尾鷲署におきまして漁業協同組合員、中村中川署におきましては運送業、今度は国税局関係にまいりますと、東京国税局が自動車販売業に喫茶店、それに石油製品の製造販売業、大阪国税局のほうは自動車教習所、それに信用金庫、農業協同組合、レコード販売業、名古屋の国税局はクリーニング業、さらに全国的な販売組織をもっているヤクルト業者等もやり玉にあがっておるようでありますから、これはどういうことですか。
○政府委員(泉美之松君) これは私どものほうといたしまして所得税の調査をやっていきます場合におきまして、各納税者ごとに実額調査を全部行なうことができませんので、その収入を調査いたしまして、その収入に対して普通ならば利益率は幾らぐらいのものであるという標準率というものを適用して計算する方法をとっておるわけでございますが、その場合に標準率を調べるために特に各国税局ごとに、どういう国税局はその業種の多いところ、したがって、たとえば東京でありますれば自動車販売とか喫茶店がほかの局に比べて多いわけでございますから、そういうものについての標準率を調べてくれ、そうしてこれを持ち寄りまして、国税庁で全国的に権衡をとって標準率をきめていくということをいたしておるわけでございます。したがって、それがそれぞれ各税務署に参りまして、お話のように武蔵府中税務署で競馬についての調査があるということは、あそこに競馬場があるから、それに関連する業種についての調査はあそこの税務署が担当しやすいから、こういうことでございまして、それぞれその特殊な業種の多いところで調査すると、こういうことになるわけでございます。
 それから、ヤクルトの場合は、これは私、申し忘れましたが、ヤクルトの販売形態は非常に複雑になっておりまして、ヤクルト本社のほかに全国にいろんな個人、法人がその販売をいたしておりまして、そこに法人税の申告あるいは所得税の申告につきまして、本社との連絡不十分のためにかなりの申告しておらない金額が見つかりました。これにつきましては、その申告額の著しく低いものにつきましては実額調査をいたします。そうでないものにつきましては、修正申告の慫慂を行なうということにいたしたのでございます。これは実は昨年のことでございます。
○中尾辰義君 ですから、善意に解しますと、あなたの答弁のようにも思うのですが、実際はなかなかあなたがいまおっしゃったようにいかない。そこに問題があるのでありますから、私も当委員会で取り上げたわけです。ですから、一部のものを調査をして、それをまた全体的に当てはめて、おまえのところもこういうような点が漏れておるじゃないかと、こういうことで強要をされておる。そこに問題があるので、ですから、これは大臣にもお願いしておきたいのですが、どうかひとつ申告納税の趣旨に反しないように民主的にひとつやっていただきたい。ただ税収不足なんだから、公債も発行しなきゃならぬし、税務署のほうも少し気合いかけてやれという、こういうようなことはおっしゃっていないかと思うが、現実においてはそういうことがあらわれておりますから、私は、大臣にも同席していただいて、先ほどから言っておるわけでありますから、ひとつこの点を今後考慮して、ぜひとも民主的にやっていただきたい、このように要望いたしまして、終わります。
○木村禧八郎君 簡単に最後に伺いますが、先ほどの日本銀行の公債担保貸し付けの問題ですね、大臣の御答弁は中途はんぱのように終わりましたから、はっきりもう一度確認しておきたいんですが、政府委員の答弁では、オペの場合は、オペレーションの対象としては、発行後一年間オペの対象にならぬ。また、償還期限一年以内のものはオペの対象にならないとはっきりしております。しかし、貸し出しの場合は制限がないということですね。そうなると、それだからこそ日本銀行総裁は、このオペのことを言っておるのではなくて、貸し出しのことを言っておる。ですから、公債が日銀の適格担保として、貸し出し担保にして持ってきたって対象にならないということになると、これはもう公債の流通性に欠けるところがあるということになるのであります。これは非常な問題だと思うんです。ですから、その点は大蔵大臣、どうなんですか。一年以内でも担保なら貸し付けるということなんですか。そういうことを日銀さんでも言っているわけなんです。日銀の総裁も、発行後一年以内の、四十一年度の公債について。それを担保として認めるのか。
 それから、もう一つは――一どきに質問しておきます、時間がありませんから。四十年の二千五百九十億、あの公債引き受けについて、地方銀行とかその他の証券会社等、引き受けの割り当てはきつ過ぎる、もっとゆるめてもらいたいという要望があるように新聞に出ておりますね。市中銀行のほうによけい引き受けてもらいたい。そのかわり市中銀行のほうは、オペの対象として一年間これが対象にならないというのではなくて、半年ぐらいにそれを縮めてもらいたいとか、あるいは預託制を採用してもらいたい。公債発行で政府が引き揚げた資金を銀行に預託する、そういうことですね、国債の管理に関することになってくるかもしれませんが、そういう点について伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一の日銀の国債の扱いですね、これは先ほど申し上げたとおりなんです。つまり、貸し出しは、特定の限られた場合にのみオペレーションに準じて行なうということになる。第二は、今度出す公債はオペレーションの対象にも、貸し出しの対象にもいたします。ただし、オペレーションにつきましては、これは銀行局長から申し上げましたように、一年は対象にしないという日銀の内規がありますものですから、その内規を改正する意思はいまのところはない。したがって、もうきちっとこれはその内規どおり、オペレーションの対象にならない、こういうことです。貸し出しにつきましては、そういう内規がありません。ありませんが、実際の貸し出し政策の運用として、新規国債は一年間はこれを貸し出しの担保として取らない運営をしていこうという、こういうことであります。
○木村禧八郎君 運営で、貸し出しもオペと同じように、一年間は担保として貸し出しの対象にしないということですね。それじゃその場合、いま市中銀行はこの国債以外に日銀の担保となり得るものをたくさん持っているわけでしょう。電力債も持っておる、政保債も持っておる。したがって、当年度に発行した国債以外のものを持っていけば、担保として貸し出しを受けるわけです。そうでしょう。そういう場合どうなんですか、実質的にはそういう……。
○国務大臣(福田赳夫君) これはお説のとおり、たくさんいろんな証券、質ぐさを持っております。それを持っていって担保貸し出しを受けることは可能なんです。
 で、私は、新規国債といえども、一年を待たずして貸し出しの対象にする、あるいはオペレーションの対象にする、これは一向差しつかえないと思うんです。ないと思うんだが、いろいろ心配する向きもありますもんですから、そういうことをせぬでも、他に担保、それからオペレーションの対象になんかなるものがありますから、まあ新国債をオペレーションの対象とし、貸し出しの担保とする必要はないもんですから、先ほど申し上げましたような方針をとるということを申し上げておるわけなんです。
 オペレーションというのは、何も買うばかりじゃないんです。売ることもあるんです。担保にしたって、その金を返してもらえばその国債を返すんですから、しょっちゅう出入りはあり得るもんで、結局それが日本銀行の通貨の増発につながるかどうかということが問題なんですが、そこを見ていただきたい。担保の品物がどうであるかとか、あるいはオペレーションの対象がどうであるとかいうことは、これは私は枝葉末節の問題である。しかし、いろいろ議論があるもんですから、まあそういう誤解はないほうがよろしゅうございますから、そういうふうな方針をとっておるわけですから。私は、そうじゃなくて、通貨が増発するかしないか、これがかなめである、かように考えております。
○木村禧八郎君 私も同じ考えなんですよ。では、当年度に発行する国債を日銀のオペの対象としたり貸し出しの担保としたりすることによって通貨が増発されるから、けしからぬ、けしからぬという議論はナンセンスだと思っているんですよ。ほかに銀行は幾らでも担保は持っているわけなんですからね。それを持っていけば貸し出しを受けるんですからね。ですから、一応一年以内に担保としてオペの対象にしないとか、貸し付けの対象にしないといったって、それによって通貨の増発を防げるわけではないと思うんですよ。すでに持っている政保債なり電力債を持っていけば、通貨は膨張になるんです。
 それから、大蔵大臣の民間消化というのはしり抜けですよ。そういう意味で質問しているんです。しり抜けでしょう。
 それから、さっき言った第二のほうは、大蔵大臣答弁していないですよ。四十年度の割り当てについて、地方銀行とか証券業者はきついと、だから割り当てを軽くしてくれ、こう言っているんでしょう。割り当てを軽くするかわりに、市銀のほうは多くしてくれ。市銀のほうは割り当てを多くされれば、オペの対象にして、一年は無理だから半年にしてくれ、あるいは預託制にしてくれ、こう言っておる。逆ざやのところなんか、日銀がこれは担保で貸し付けてくれなければ損するでしょう。ですから、どうしても担保として貸し出しする。そうすれば日銀が五分四厘七毛で金を借りて、六分八厘の利息をもらって、逆にもうかるんですよ。そういうことをやっているんですよ。そんなら、もうけさせるくらいなら、最初から日銀に引き受けさせちゃったほうが中間に利潤を与えないで済むんですよ。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年度の国債につきまして、地方銀行筋で窮屈だというふうに言っているという話ですが、そういうことは私は聞いておりません。地方銀行が、窮屈であった、今後はああいう率の引き受けは緩和してもらいたいというような要望は、私は聞いておりませんです。ただ、聞いておりますのは、証券筋で少し足りなかったと、少しふやしてくれと、こういうことは……。(笑声)
 それから、公債のかわり金ですね、これを手元に少し置いてくれぬかということは、その要望はあることは聞いております。おりますが、これは非常に困難な問題だ、こういうふうにお答えしております。
○木村禧八郎君 さっきのしり抜けの点は。
○国務大臣(福田赳夫君) しり抜けという議論がありますが、これは……
○木村禧八郎君 そのとおりでしょう。
○国務大臣(福田赳夫君) つまりこの公債の運用が、その結果全体として日本銀行の通貨の増発にならない。これは経済成長に伴って通貨量がふえる、これはもう当然のことですが、そののりを越えて通貨の増発にならない、これができるかできないかという問題なんであります。あなたが、それを見きわめもしないうちにしりが抜けるとか抜けないと言うのは、少しせっかち過ぎる、かように思います。
○委員長(徳永正利君) 他に御質疑もなければ、本件に関する調査は、本日のところこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(徳永正利君) 次に、農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、都市開発資金融通特別会計法案、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件、及び通行税法の一部を改正する法律案、以上の六案件を一括して議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。竹中政務次官。
○政府委員(竹中恒夫君) ただいま議題となりました農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案外五件について、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 最初に、農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 農業近代化助成資金は、農業協同組合等が農業者等に対して資本装備の高度化等農業経営の近代化をはかるため必要な長期かつ低利の施設資金を貸し付けた場合において、当該農業協同組合等に都道府県が利子補給を行なうのに要する経費を国が補助するために必要な財源を確保する目的で、一般会計所属の資金として昭和三十六年度に設けられたものであります。
 この資金には一般会計からの繰り入れ金及びこれを資金運用部に預託することにより生ずる利子をもって充て、その利子のうちから利子補給補助に必要な金額を一般会計に繰り入れて支出してまいりました。
 昭和四十年度末の資金額は約二百九十五億円となる見込みでありますが、昭和四十一年度におきましては、公債をも発行して所要の財源を調達しなければならないような財政事情でありますので、十億円を留保した上、その残余を一般会計の歳出の財源に充てるため取りくずすことといたしたわけであります。
 以上が、この法律案を提出する理由及びその内容であります。
 なお、農業近代化資金の利子補給補助につきましては、一般会計の一般財源により十分これを確保し、今後の農業近代化資金の融通に支障がないよう措置することといたしております。
 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は日本開発銀行の借り入れ及び外貨債券発行の限度を自己資本の三倍から四倍に引き上げることであります。
 日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されて以来、長期資金の融通によりわが国経済の再建及び産業の開発の促進につとめてまいっているのでありますが、昭和四十一年度の財政投融資計画において同行の貸し出しは二千八十億円と予定されております。
 このように、日本開発銀行につきましては、業務量の一そうの増加が見込まれているところでありますが、貸し出し等の同行の業務量は、自己資本の額と借り入れ金等の限度額との合計額をこえてはならないことと定められておりますので、昭和四十一年度以降におきましては、この限度を改正する必要が生ずるのであります。
 したがいまして、この際同行の借り入れ金等の限度を自己資本の三倍から四倍に引き上げ、これにより、業務量の限度の拡大を行ない、同行の業務の円滑な運営をはかろうとするものであります。
 第二は、日本開発銀行の監事の権限を明確にしようとするものであります。すなわち、監事が監査の結果に基づき必要があると認める場合には、意見を総裁または大蔵大臣に提出することができるよう、その権限を明確にするとともに、日本開発銀行が法律の規定により大蔵大臣に提出する財務諸表等に監事の意見を付さなければならないこととしようとするものであります。
    ―――――――――――――
 次に、都市開発資金融通特別会計法案について申し上げます。
 政府におきましては、人口集中の著しい大都市において、その生活環境が近年とみに悪化し、将来にわたり一そうの過密化が予想される情勢にかんがみ、地方公共団体が、これら大都市から移転する工場等のあと地または都市計画上主要な道路、公園等の公共施設の用地を、あらかじめ適時に取得することに資するため、その買い取りに必要な資金を長期かつ低利で貸し付け、もって都市機能の維持及び増進に寄与することとし、別途、今国会に都市開発資金の貸し付けに関する法律案を提案して御審議をお願いいたしております。
 この都市開発資金の貸し付けに関する法律に基づく地方公共団体に対する国の貸し付けに関しましては、その収支を明確にするため一般会計と区分して経理することが必要でありますので、ここに都市開発資金融通特別会計法案を提案することといたした次第であります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、この特別会計は、工場等のあと地または都市計画上主要な道路、公園等の用地の買い取りを行なう地方公共団体に対する国の貸し付けに関する総理を行なうことを目的とするもので、建設大臣が管理することとしております。
 第二に、この会計の歳入は、一般会計からの繰り入れ金、借り入れ金、貸し付け金の償還金及び利子並びに付属雑収入とし、歳出は、貸し付け金、借り入れ金の償還金及び利子、一時借り入れ金の利子、事務取り扱い費並びに付属諸費としております。
 なお、昭和四十一年度においては、一般会計からの繰り入れ金五億円及び資金運用部からの借り入れ金十億円、計十五億円をもって貸し付け金に充てる予定であります。
 このほか、この会計の予算及び決算その他必要な事項を定めるとともに、この会計の設置に伴って必要な関係規定の整備を行なうことといたしております。
    ―――――――――――――
 次に、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における所得水準の上昇及び所得階級区分の異動並びに課税最低限の引き上げ等に伴い、所得税の減免及び源泉徴収所得税の徴収猶予を受けることができる災害被害者の所得限度額の引き上げをはかろうとするものであります。
 すなわち、住宅、家財について甚大な被害のあった者について、所得税の全部が免除される者の所得限度額を五十万円から百万円に、所得税が二分の一に軽減される者の所得限度額を八十万円から百五十万円に、所得税が四分の一軽減される者の所得限度額を百二十万円から二百万円に、それぞれ引き上げることとするとともに、源泉徴収所得税の徴収猶予を受けることができる者の所得限度額についても百二十万円から二百万円に引き上げることとしております。
    ―――――――――――――
 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。
 最近における経済の発展は大都市において特に著しく、この間の事情を反映して、都会地税務署の管内の納税者及び課税物件等は年々増加してまいりますとともに、これらの税務署の事務量、人員ともに過大となり、税務指導等納税者に対するサービスの面及び事務管理の面で支障を生じようとしております。
 このような事情に対処して、東京国税局において、大森税務署の管轄区域を分割して、大田区の西北部の地域を管轄する雪谷税務署を設置し、また、福岡国税局において、福岡税務署の管轄区域を分割して、福岡市の西部、糸島郡及び早良郡を管轄する西福岡税務署を設置し、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかろうとするものであります。
    ―――――――――――――
 最後に、通行税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 政府は、さきに国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を提案し、日本国有鉄道の運賃の改定について御審議を願っている次第でありますが、これとの関連におきまして、日本国有鉄道の寝台等の料金につきましても改定が行なわれる予定となっております。この改定が行なわれました場合には、現行の通行税法の規定のままでありますと、汽車等の二等の寝台料金の一部が新たに課税されることになります。御承知のように、これまでは、一般大衆が主として利用する二等の寝台料金を非課税とするよう、課税最低限の金額が定められているのであります。
 そこで、この法律案は、寝台料金の課税最低限を引き上げまして、従来どおり、汽車等の二等の寝台料金を非課税としようとするものであります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願いいたします。
○委員長(徳永正利君) これにて提案理由の説明は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十一分散会
     ―――――・―――――