第051回国会 大蔵委員会 第9号
昭和四十一年三月三日(木曜日)
   午後八時四十七分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         徳永 正利君
    理 事
                青柳 秀夫君
                植木 光教君
                藤田 正明君
                成瀬 幡治君
                中尾 辰義君
    委員
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                西郷吉之助君
                西田 信一君
                林屋亀次郎君
                日高 広為君
                木村禧八郎君
                柴谷  要君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                須藤 五郎君
                小林  章君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
   政府委員
       大蔵政務次官   竹中 恒夫君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
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本日の会議に付した案件
○通行税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 それでは、通行税法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○戸田菊雄君 大臣に三点だけ質問しておきます。この前、大体通行税法等の問題については、一応質疑は終わっておりますので、大臣の関係だけ、三点お尋ねしておきたいと思います。
 その第一点は、四十一年度の予算は、不況克服を重点に、戦後最大の予算を組んだわけでありますが、その歳入見積もり四兆三千百四十二億七千万ということになっているわけですが、その歳入の七四%は所得税、法人税が主体である。そういうことで、昨年のように税収の落ち込みがあったということは、景気がいいか悪いかによって相当変動があると。この点に関する見解をひとつ聞きたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 昨年は景気の異常な変動がありまして、その影響を受けまして、税収欠陥を生ずるまことに遺憾なる事態になったわけであります。あつものにこりたと、こういうわけではございませんけれども、その辺は十分注意をして予定を組んでおるわけであります。
 それで、大体の考え方は、昭和四十一年度の経済成長を年間を通じて平均七・五%、この成長速度の場合に、法人税収入、所得税収入その他の税収がどうなるかということを測定いたしまして、ただいまお話しのような数字に相なっているわけであります。非常に今度はかために見ておるというように御了解願います。
○戸田菊雄君 それでは、いま大臣から答弁があったのですけれども、昨年の不況の原因は、いろいろと報道によりますと、一つは民間の設備過剰、一つは借金過多による金利の負担、それから三番目は減価償却の増大、こういう結果に対して非常に会社への利益に対する圧迫を加えられる。これは金融界なり産業界なり、日本銀行をはじめそういう見解をとっていると思う。そういう非常に悲観的な態度を各般でもってとっているわけでありますけれども、それに対する大臣の見解を伺いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 経済界の見方に対する観測は、昨年を通じまして非常に悲観的だったわけです。しかし、昨年の十一月からちょっと調子が変わってきております。それで、鉱工業生産でいきますと、十一月、十二月、一月と続けて増加を示しておるわけであります。横ばいから増勢に転じておるわけです。また、出荷指数も、十二月を境としまして、増勢に転じておるわけであります。在庫調整も非常に順調に進んでおるような状態でありまして、諸指標が大体二月おくれなんですね。きのう企画庁で最近の指数を発表したのですが、それが一月の指数が主になっておるわけです。十二月のものもあるわけですが、そのくらいおくれるわけです。おそらく私は、まだ指数にあらわれてきておりませんけれども、二月、三月になった今日の現段階におきましても、同じ足取りを示しておるのではあるまいか。
 昭和四十一年度の予算が相当大幅になっております。この大幅な予算を上半期に支出を重点的にやっていこう、こういう考えを持っておりますが、おそらくこの景気上昇の勢いというものが非常に、四十一年度の上半期、つまり四月以降に同じ勢いで、つながっていくのではあるまいか。また、そうさせなければいかぬ、こういうふうに見ております。経済界一般のムードは、大体不況はもう底入れをした、もう大丈夫だ、こういうふうな変化を示しておるようであります。観察しております。
○戸田菊雄君 それじゃ、端的に聞きますけれども、四十一年度の減税の性格は何か、この点について。
○国務大臣(福田赳夫君) 四十一年度減税は、中央、地方を通じて三千六百億円やりまするが、そういう大幅な減税でありますだけに、内容も多々あるのでありまして、まあ所得税のごときは、これは個人の蓄積に貢献すると同時に、あわせて消費を喚起し、景気の回復に貢献しようと、こういう性格を持っております。また、物品税の減税は、これは消費刺激、それから物価に貢献しようと、こういう性格を持っておるわけであります。それから、企業減税は、不況が長引きましたので、中小企業は特に困窮しておるということで、中小企業減税を中心とし、中小企業対策という性格を持つと同時に、中小企業の内部留保の充実ということをねらっております。それから、企業減税のその他の部面ですね、これは主として体質改善、当面しておる政府の問題は、不況の克服と同時に、この不況の克服の過程を通じまして経済の安定化をはかるということにあるわけでありまして、そういう観点から一般企業にわたりまして内部留保を充実し、今後景気の変動がありましてもこれに耐え得るという態勢を整えしめるためであります。それから、相続税がありましたが、相続税は個人の資産形成、みんなに財産を持っていただくと、こういう趣旨を持っておるものであります。
○戸田菊雄君 最後に一点だけ聞きたいと思うのですが、正確な議事録は見ておりませんけれども、衆議院の大蔵委員会におきまして、いわばこの衆議院の大蔵委員会の附帯決議というのがあると思うのです。昭和三十七年三月九日でありますけれども、衆議院大蔵委員会で岡田修一委員、自民党の方から次のような附帯決議を付する動議が出されて、採決の結果、「通行税については、現在の旅行目的その他諸般の状勢にかんがみ、政府において近い将来にこれが存廃について検討すべきである。」、このことについて大臣は、ごく近い時期にこれは検討いたします、こういう回答をしておるわけでありますが、その点について。
○国務大臣(福田赳夫君) 今日の通行税は、昔の通行税と違いまして、一等あるいは特等というクラスにのみ課税をされておるものでありまして、今日のような税体系のもとにおいてはやむを得ざるのではあるまいかというふうに考えております。しかし、これに対するずいぶん御批判等もありますが、そういうことを考慮に置きまして、税制はいずれまた再検討し改正を行なう時期があろうと思います。そういう時期には通行税もあわせて再検討したい、こういうふうに申し上げたのですが、その考えは今日も変わりはございません。
○柴谷要君 私は一問だけ。すでに運輸委員会が討論に入ったそうですから、国鉄運賃値上げが決定してこの問題が通りませんと、たいへんなことになりますから、簡単にやります。
 日本国有鉄道の資料によりますと、諸外国における通行税というのは、西ドイツがかかっておるだけで、ほかはかかっておらぬ。非課税なんです。それで、大体西ドイツの鉄道状況というのは、国家的に非常に鉄道に対して助成ということを行なっておる。日本とはまるっきり違う。これは鉄道諮問委員会で検討してみたのでありますが、まさしく国有鉄道らしい運営を西独はしておるわけです。ところが、日本の国鉄はそうではなくて、企業努力にまかせっぱなしというのが実態で、権能は政府にある、こういうような実態なんです、将来こういう悪税を大蔵大臣の時代に非課税にする、こういう御決意があるかどうか、これが一つ。
 それから、もう一つは、国鉄の通行税とはちょっと関係がないですけれども、固定資産税をかけている、あるいは地方自治体に負担金をかけておる。こういうべらぼうな国有鉄道なんというのがあるかどうか。公共企業体なんというあいまいなものがあるかどうか。こういうことを考えますと、もう少し政府は現状の国鉄に対して理解を深めて、もっとよりいい国鉄にするように努力してもらいたいということを要望すると同時に、前段の問題についてお答えをいただいて、私の質問を終わります。
○国務大臣(福田赳夫君) 通行税につきましては、わが国におきましては非常に議論がある。その廃止論につきましても、私もその理由につきましては了解ができるのです。しかし、存続論につきましても、日本の通行税が特殊の階層のみに負担していただくという点におきまして、私は御理解が届くのじゃないか、こういうふうに思いますが、諸外国のこういう傾向等も参酌し、ただいま戸田委員にお答え申し上げましたように、税制の改正をいたすそういう際には検討をいたしてみたい、結論を得たい、さように考えております。
○委員長(徳永正利君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
○成瀬幡治君 私は、社会党を代表いたしまして、本法律案に反対をいたします。
 第一は、今回の改正によりまして、二等寝台の上中下が、六百円、七百円、八百円であったのを、二百円ずつ上げて八百円、九百円、千円になる。千円になって税金がかかるのだから、たいへんですから、減税をします、善政ですよと言っているが、問題は、その前の二百円上げたところに問題があるということを申し上げたいのが第一でございます。
 二つ目に申し上げたい点は、福田さんは、地方、中央通じて三千六百億の減税をした、あるいはしばしば有史以来の大減税をしたということを御宣伝になっております。初年度二千五十八億減税をされるわけです。そのうちに二億のこの通行税の減税も入っておるわけですが、しかし、あなたのほうのお出しになった昭和四十一年度に公共料金を値上げすることによって、それだけこれのはね返りでまた物価が上がって、国民負担の増にどれだけなるかは別として、米の引上げ、あるいは国鉄、私鉄、郵便、健保、国民年金、あるいは国民保険、そういうものを、いわゆる公共料金と称するものを引き上げられる額がどれだけあるかと申しますと、三千四百六十億あるわけでございます。そこで、有史以来の減税をおやりになったわけですが、国民の負担の側から見ますと、差し引きすれば千四百億も国民は増になるわけでございます。先ほどもちょっと述べましたけれども、こういう公共料金を引き上げられるということによって、物価にはね返えることは当然でございます。そういうことから考えればたいへんな実は国民負担になって、生活の安定と申しますか、そういうようなものを守る側から見れば非常に問題があるという点が、二つ目に申し上げておきたい点でございます。
 三つ目に申し上げたい点は、消費税としての通行税の問題でございます。本委員会におきましても、しばしば各国もやっておるではないかというような御意見もございました。しかし、そういう税を取っておるところは、やはり国がそういう企業に対して責任を負うて、相当な援助をしておるということは事実でございます。そういうことをやらずに、そういうことは別として、税金を取ることだけに目を向けて、取って、いいのだというこういう議論はわれわれも了承することもできませんし、米英伊等は非課税にしております。
 私どもが反対する根本的な理由は、通行税というものは廃止すべきであるという立場に立って、本法律案に反対をいたします。
 以上であります。
○藤田正明君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。
 本案は、日本国有鉄道の運賃及び料金の改定に伴い、鉄道等の二等の寝台料金等の課税最低限を引き上げようとするものでありますが、通行税の体系論はさておき、現実にこの措置がない限り国鉄の二等寝台利用乗客に不利になることは明らかであり、反対すべき何らの理由も考えられないのであります。かかる意味におきまして、賛成せざるを得ないものであります。
 簡単でありますが、討論といたします。
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、通行税法の一部を改正する法律案に反対します。
 そもそも通行税は、昭和十五年四月、戦費調達の一環として創設された戦時立法による悪税であります。かかる性格を持つ通行税が、今日なお存在していること自体が問題であり、ましてや、国税収入に占める通行税の比率はわずか〇・三%であるなら、なおさら直ちに廃止すべきものであります。
 しかるに、政府は、本税の廃止を頑強に否定していますが、政府の意図は、公債発行による財政規模の幾何級数的膨張、将来にわたる重税の人民押しつけをはかるために、この通行税を残し、将来拡大して使用しようとするものにほかなりません。また、再び侵略戦争があるならば、直ちに通行税をいつでも使えるようにしておこうという意図があると断ぜざるを得ません。もしないというならば、すでに存在価値の少ないかかる悪法は直ちに廃止すべきであります。
 また、政府は二等寝台券の非課税の限度を四百円引き上げることを人民大衆のためになるかのように言っておりますが、国鉄料金自体を大幅に上げておいて、何で人民大衆の利益になるでしょうか。政府のやり方は全くのごまかしであります。しかも、通行税全体では国鉄料金値上げで九億円もの増収になるのであり、政府の言い分は全くのぺてんだと言わなければなりません。
 わが党は所得税を中心とする高度累進課税こそ人民大衆の利益に最も適合した税体系だと考えておりすべての間接税に逆進性の性格のため廃止を主張しています。かかる意味において、本法案に反対するとともに、通行税の廃止を強く要求して、私の討論を終わります。
○委員長(徳永正利君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。通行税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて散会いたします。
   午後九時六分散会