第051回国会 大蔵委員会 第10号
昭和四十一年三月十七日(木曜日)
   午前十時三十六分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         徳永 正利君
    理 事
                青柳 秀夫君
                藤田 正明君
                成瀬 幡治君
                中尾 辰義君
    委 員
                伊藤 五郎君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                栗原 祐幸君
                木暮武太夫君
                西郷吉之助君
                日高 広為君
                木村禧八郎君
                柴谷  要君
                野溝  勝君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
                小林  章君
   政府委員
       大蔵政務次官   竹中 恒夫君
       大蔵大臣官房財
       務調査官     川村博太郎君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       大蔵省銀行局長  佐竹  浩君
       農林大臣官房長  大口 駿一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       農林省農林経済
       局金融課長    今村 宣夫君
   参考人
       日本開発銀行総
       裁        平田敬一郎君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣
 送付、予備審査)
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
 予備審査)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
 予備審査)
○物品税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
 予備審査)
○相続税法の一部を改正する法律案(内閣送付、
 予備審査)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 送付、予備審査)
○農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
 送付、予備審査)
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○委員長(徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 この際、参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 日本開発銀行法の一部を改正する法律案審査のため、本案審査中、日本開発銀行役職員の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(徳永正利君) それでは、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案の以上六案を一括して議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。竹中大蔵政務次官。
○政府委員(竹中恒夫君) ただいま議題となりました国民金融公庫法の一部を改正する法律案外五法律案について、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 最初に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は、国民金融公庫の理事の定員を一名増加し、七名とすることであります。国民金融公庫は、昭和二十四年に設立されて以来、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金を供給することにつとめてまいっているのでありまして、その貸し出し規模は、国民大衆の資金需要に対処して逐年増加し、昭和四十一年度におきましては、二千七百八十七億円の貸し出しを予定しているのであります。
 このような業務量の増大に加えて、同公庫において昭和四十一年度には特に環境衛生業種に対する融資の充実を予定している次第もあり、この際、公庫業務の円滑な運営をはかるため、理事の定員を一名増加する必要があるのであります。
 第二は、国民金融公庫の監事の権限を明確にしようとするものであります。政府といたしましては、国民金融公庫設立の目的が十分達成されるよう常に努力しているところでありますが、さらに同公庫の業務が適正かつ能率的に運営されるよう、監事が監査の結果に基づき、必要があると認める場合には意見を総裁または大蔵大臣に提出することができることとしようとするものであります。
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 次に、税法関係の五法律案について申し上げます。
 政府は、昨年八月経済の安定的成長に即応する税制のあり方とその具体化の方策について、税制調査会に諮問いたしたところでありますが、昨年末、同調査会から、最近における経済情勢の推移に応じて、現行税制につきさしあたって改正を必要とする事項について、昭和四十一年度の税制改正に関する答申が提出されました。その後、政府は、この答申を中心にさらに検討を重ねた結果、昭和四十一年度におきましては、国民生活の安定をはかるとともに、有効需要の拡大、企業の体質改善等を通じて経済の安定的成長に資することを目的として、所得税、法人税、相続税、物品税等の減税を行なうほか、当面要請される諸施策に対応する税制上の措置を講ずるため、国税において平年度約三千六十九億円の減税を行なうことといたしたのであります。今回は、これらの税制改正のための諸法案を提出した次第であります。
 まず、所得税法の一部を改正する法律案について、その大要を御説明申し上げます。
 第一は、中小所得者を中心とする所得税負担の軽減をはかっていることであります。
 すなわち、基礎控除及び配偶者控除をそれぞれ一万円引き上げるほか、扶養控除に関する年齢区分を廃止するとともに、給与所得控除について、定額控除を一万円引き上げ、また、二〇%または一〇%の控除率の適用限度額をそれぞれ十万円引き上げることとしております。
 さらに、中小企業の体質強化に資するため、専従者控除の控除限度額についても、青色申告者の場合には、年齢のいかんにかかわらず一律二十四万円に、白色申告者の場合には十五万円にそれぞれ引き上げることとしております。
 以上申し述べました諸控除の引き上げにより、所得税の課税最低限は、夫婦子供三人の標準世帯の給与所得者を例にとりますと、現在の約五十六万円が約六十三万円となるのであります。
 次に、税率につきましては、その大幅な改正が昭和三十二年以来見送られてきているため、中小所得者に適用される税率の累進度が急であると認められるところから、課税所得三百万円以下の階層に適用される税率の調整緩和をはかることといたしております。
 さらに、生命保険料控除については、全額が控除される保険料の限度額を五千円引き上げるほか、寄付金控除における控除対象限度額を所得の三〇%に引き上げることとしております。
 第二は、所得税法の整備をはかっていることであります。
 すなわち、通勤手当について、通勤に通常必要であると認められる金額を非課税とするとともに、勤労学生控除及び寄付金控除の対象範囲の拡大、予定納税を要しない予定納税基準額の限度額の引き上げ並びに更正の請求期間の延長を行なう等所要の規定の整備をはかることとしております。
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 次に、法人税法の一部を改正する法律案の内容について、その大要を御説明申し上げます。
 第一は、法人企業の内部蓄積の増加を通じてその体質の改善に資する等のため、法人税率を引き下げることとしていることであります。
 すなわち、普通法人の留保分に対する法人税率を現行の三七%から三五%に引き下げるとともに、年三百万円以下の所得に対しては、特に資本金が一億円以下の法人について、現行の三一%を三%引き下げ二八%の税率を適用することとしております。
 また、この税率の改正に準じて、協同組合等の留保分に対する税率及び清算所得に対する税率も引き下げることとしております。
 第二に、中小法人に対する税負担の軽減とその内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げることとしております。
 すなわち、同族会社の留保所得に対する課税についての控除額は、現在、所得金額の二五%または年百万円のいずれか多い金額とされているのでありますが、これを所得金額の三〇%または年百五十万円のいずれか多い金額に引き上げることとしております。
 第三は、法人税法の整備に関する改正であります。
 すなわち、損金算入のできる寄付金の範囲、更正の請求期間及び税額還付について所要の改正を行なうこととしております。
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 次に、物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず、税負担の軽減合理化について申し上げます。
 その一は課税の廃止であります。すなわち、現行課税物品は五十九品目に分類されておりますが、このうちには、最近における消費態様や企業規模の零細性等から見て課税することが適当でないと見られるに至ったものがありますので、煙火、ネオン管等九品目のほか、品目の細分として掲げられている室内装飾用品、薬きょう等につきましても課税を廃止することとしております。
 その二は税率の引き下げであります。耐久消費財等の課税物品のうち、その普及が国民の生活水準の向上と密接な関連を有するもので、かつ、その消費拡大が輸出振興に寄与すると考えられるもの等については、税負担の軽減を行なうこととし、写真機、テレビ受像機、小型乗用自動車等の十七品目について税率を引き下げることとしております。
 その三は特別措置の期限の延長であります。ステレオ装置等七物品に対しましては、国際競争力強化等の見地から暫定的に税率の軽減または非課税の措置を講じてまいりましたが、その期限の到来を迎えるにあたり、現下の経済情勢等に顧みますと、その措置を打ち切ることは適当でないと考えまして、現状のまま二年間その措置を延長することとしております。
 その四は課税の合理化であります。以上の軽減措置にあわせ、税負担の均衡をはかる等の見地から、清涼飲料の課税を従量税方式から従価税方式に改めるとともに、銃の部分品に対し新たに課税する等、課税の合理化をはかることとしております。
 なお、以上のほか、政令におきまして、課税最低限の制度及び物品の特性等による非課税の制度を設けておりますが、これにつきましても法律における減免とバランスをとりつつ、課税品目の整理及び課税最低限の新設ないしは引き上げを行なうことを予定しております。
 次に、納税手続の簡素合理化について申し上げますと、納税義務者が税務署長の承認を受けないで未納税移出のできる範囲を拡大する等手続の簡素化を中心に諸規定の整備をはかるとともに、別表に掲げてある課税物品表を見やすくするため、同種の物品ごとに区分する等の措置を講ずることとしております。
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 次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は、相続税の軽減であります。すなわち、最近における国民財産の保有及びその階層別分布の状況並びに相続税の課税人員の推移等を考慮して、相続税の課税最低限を大幅に引き上げるとともに、税率の緩和を行なおうとするものであります。
 まず、課税最低限の引き上げであります。通常の農家及び中小企業者並びに大都市近郊の勤労世帯その他の一般世帯の相続について相続税の課税が生じないようにするため、遺産にかかる基礎控除を被相続人については現行の二百五十万円から四百万円に、法定相続人一人については現行の五十万円から八十万円にそれぞれ引き上げるとともに、相続人のうちに婚姻期間が十五年をこえる配偶者がある場合には、遺産額から十五年をこえる年数一年につき二十万円、最高二百万円の特別控除を行なおうとするものであります。この結果、課税最低限は、配偶者を含めて相続人五人の標準的な相続の場合は、現行の五百万円が千万円に引き上げられることになります。
 次に、相続税の税率の緩和であります。現行の税率は昭和三十三年以来据え置かれているのでありますが、当時予想しておりました相続財産の階層分布は、その後の国民財産の増加、財産価格特に土地価格の上昇等によって、現在全く異なった姿となっているのであります。また、今後もこのような傾向はしばらく続く見込みであります。これらの点を考慮し、さらに国民の健全な財産形成に資するよう一般的に税率を緩和することといたしました。すなわち、中小財産階層の税負担の軽減に重点を置きつつ、最低税率の一〇%から最高税率の七〇%の全般にわたり、最近の財産分布の状況等に即応してその累進度を緩和しようとするものであります。
 第二は、贈与税の軽減であります。贈与税の税率につきましても、さきに述べました相続税の税率の緩和と関連して、課税価格千五百万円以下の贈与財産階層に適用される税率を引き下げることといたしました。
 また、夫婦間における財産の贈与につきまして、その贈与の実情及び老後における配偶者の生活の保障を考慮し、婚姻期間が二十五年以上の夫婦間において居住用財産の贈与が行なわれました場合の贈与税につきましては、二百万円まで課税が生じないよう贈与税の配偶者控除の制度を新たに設けようとするものであります。
 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一は、今回の税制改正において特に重視しております中小企業の体質の強化に資するための措置を講ずることであります。
 その一は、資本金一億円以下の法人について、二年間、貸し倒れ引き当て金の繰り入れ限度額を二〇%引き上げるとともに、中小商社の海外市場開拓準備金の繰り入れ率を現行の〇・五%から一%に引き上げることとし、あわせて中小企業海外市場開拓準備金制度の簡素合理化をはかることとしております。
 その二は、主務大臣の承認を受けた組合について中小企業構造改善準備金の積み立てを認め、その組合員が支出する賦課金を所得計算上必要経費または損金に算入するとともに、その組合が取得した一定の共同利用施設について特別償却をすることができることとしております。また、個人が二年以内に協業のため現物出資をした場合の譲渡所得税について、三年間の延納制度を設けることといたしております。
 その三は、中小企業近代化促進法による指定業種の割り増し償却制度ついて、その指定期限を延長するとともに、割り増し償却の対象範囲を拡大し、また、ボランタリーチェーン用倉庫について、五年間割り増し償却をすることができることとしております。
 第二は、右の諸措置に加えて、企業の体質改善を促進するためにとることとした措置であります。
 その一は、資本金一億円超の法人が、増資、内部留保の増加、借り入れ金の返済等によって二年以内に自己資本比率を向上した場合には、その向上の度合いに応じて法人税額の二%ないし一〇%に相当する税額控除を行なうこととしております。
 その二は、一定の産業に属する企業が、二年以内に主務大臣の承認した計画に従って機械設備のスクラップ化を行なった場合には、そのスクラップ化を行なった機械設備の取得価額の一〇%に相当する所得税または法人税の税額控除を認めることとしております。
 その三は、法人が二年以内に合併した場合には、合併後三年間、法人税額のうち合併によって増加した資本の割合に応じた金額の二〇%に相当する税額控除を行なうほか、合併登記の登録税を軽減することとしております。
 第三は、輸出の振興に資するため、輸出割り増し償却制度について、その割り増し率を現行の八〇%から一〇〇%に引き上げるとともに、技術等海外取引の特別控除制度の適用対象に、第一次産品の輸出収入及び外貨による旅行あっせん手数料を加える等の措置をとることとしていることであります。
 第四は、農業構造の改善に資するため、個人が農地管理事業団に対し、またはそのあっせんにより、農地等を譲渡した場合の譲渡所得税について、五十万円の特別控除を行なうとともに、農地等の生前一括贈与にかかる贈与税の合理化及び登録税の軽減を行なうこととしていることであります。
 最後に、これらの措置のほか、従業員が勤務先から有利な条件で住宅等の分譲または住宅資金の貸し付けを受けた場合の経済的利益について、所得税を課さないこととするとともに、地震保険等について準備金制度を拡張し、また、割り増し償却対象資産として特定の営業用倉庫等を追加し、さらに、航空機用揮発油等に対する揮発油税及び地方道路税の免税措置の適用期限を延長する一方、新規重要物産免税制度を廃止する等所要の措置を講ずることとしております。
 以上、国民金融公庫法の一部を改正する法律案外五法律案につきまして、提案の理由とその内容を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
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○委員長(徳永正利君) 次に、農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案、以上二案を一括して議題とし、審査を進めます。
 なお、両案につきましては、去る二月二十四日の本委員会におきまして、すでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより補足説明を聴取いたします。岩尾主計局次長。
○政府委員(岩尾一君) 農業近代化助成資金の設置に関する法律の一部を改正する法律案の提案の理由及び概要を補足して御説明申し上げます。
 農業近代化助成資金は、法律案の提案理由説明で申し上げましたように、農業協同組合等の金融機関が、農業者等に対して資本装備の高度化等農業経営の近代化をはかるため必要な長期かつ低利の施設資金を貸し付けた場合において、当該農業協同組合等に都道府県が利子補給をする経費について、国が補助する財源を確保する目的で、一般会計所属の資金として昭和三十六年度に設けられたものであります。
 同資金は、設置以来一般会計から繰り入れた累計約二百九十億円と、資金の資金運用部への預託による受け取り利子の累計約五十五億円との合計額から利子補給補助の財源として一般会計へ繰り入れた累計約五十億円を控除して、昭和四十年度末には約二百九十五億円となります。
 昭和四十一年度におきましては、租税等の経常収入のほか、公債をも発行して所要財源を調達しなければならないような財政事情にありますので、この際、過去の財源に余裕のある時代に蓄積された同資金は十億円を留保し、残余を一般会計の歳出の財源に充てるため取りくずすこととしたわけであります。すなわち、昭和四十年度末の資金見込み額約二百九十五億円と昭和四十一年度中の受け取り利子約十九億円との合計額から約定期間満了前の払い戻しを受けることによる受け取り利子還付額約二十二億円及び資金として留保する十億円を控除した約二百八十一億円を取りくずし、昭和四十一年度予算において同額を一般会計の歳入に計上いたしております。
 なお、この資金を取りくずしても農業近代化資金の融通には支障が生じないよう、従来、資金からの財源繰り入れによった利子補給補助は、一般会計の一般財源によることとして、約二十七億円を計上し、農業近代化資金の融資ワク及び融資対象を拡大するとともに、償還期間の延長等の融資条件を変更することとしています。また、今後、農業近代化資金の融通の円滑化と伸長がはかられるよう農業信用基金協会の債務保証等について新たに農業信用保険協会による保険制度を設け、基金協会の債務保証額の増大と、その履行の円滑化に要する資金を低利融資するため、保険協会に四十四億円を交付するほか、都道府県の基金協会出資の補助二億円を計上しております。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(徳永正利君) 佐竹銀行局長。
○政府委員(佐竹浩君) 日本開発銀行法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、さらに補足させていただきます。
 ただいま議題になりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 第一は、日本開発銀行の借り入れ及び外貨債券発行の限度を自己資金の三倍から四倍に引き上げることであります。
 日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されまして以来、長期資金の融通により、わが国経済の再建及び産業の開発の促進につとめてまいりましたが、昭和四十一年度におきます財政投融資計画上同行の貸し出しは二千八十億円を予定されておるのであります。
 このように、日本開発銀行につきましては、業務量の一そうの増加が見込まれているところでございますが、貸し出し等の同行の業務量は、自己資本の額と借り入れ金等の限度額、これの合計額をこえてはならない、このように定められておりますので、昭和四十一年度以降におきましては、この限度を改正する必要が生ずるのでございます。
 この点に関して具体的に御説明いたしますと、日本開発銀行の昭和四十一年度における新規の貸し付け予定額といたしましては二千八十億円でございますが、一方既往の貸し付けにかかわる回収金がございまして、これは八百七億円でございます。したがいまして、それを差し引いたところが年度間における貸し付けの純増額になるわけでございますが、それは千二百七十三億円というふうに見込まれておるわけでございます。また、新規の債務保証の予定額といたしましては四百二十億円でございますが、一方保証関係の消滅する分がございまして、これが百五十一億円でございます。したがって、差し引き保証の純増は二百六十九億円と、かようなふうに予想されるのでございます。すなわち、昭和四十一年度における日本開発銀行の業務量の純増は、貸し付け及び債務保証合計で千五百四十二億円と相なるわけでございます。これを、四十年度末における同行の貸し付けにかかわる貸し付け残高見込み、これが九千九百四十八億円、債務保証の残高見込みが千三百四十八億円、合わせて一兆一千二百九十六億円ということに相なりますので、この分に四十一年度中におけるさらに増加分、これを加えますというと、四十一年度末における貸し付け並びに債務保証の残高というものが一兆二千八百三十八億円というふうに実は見込まれるわけでございます。
 ところが、これに対しまして現行法の規定による開発銀行のつまり業務量の最高限度額でございますが、その限度額は、自己資本の金額が二千九百七十億円ございます。それと、その自己資本の三倍に相当する借り入れ限度額、これが八千九百十億円。そこで、その合計相当額といたしますと、一兆一千八百八十億円でございます。したがって、四十一年度におきましては、この二千八十億円の貸し付け及びその他の債務保証を実行しようと思いますと、そこで限度額において九百五十八億円だけ実はワクをはみ出す、足りなくなるということに実はなるわけでございます。
 したがいまして、この際、同行の借り入れ金の限度を自己資本の三倍というものから四倍に引き上げまして、これによりまして業務量の限度の拡大をはかり、同行の業務の円滑な運営を期そうと、かように考えておる次第でございます。
 第二は、日本開発銀行の監事の権限を明確にしようとするものでございます。
 すなわち、監事が監査の結果に基づきまして必要があると認める場合には意見を総裁または大蔵大臣に提出することができるように、その権限を明確にいたしますとともに、日本開発銀行が法律の規定により大蔵大臣に提出する財務諸表等に監事の意見を付さなければならないということにいたそうとするものでございます。
 以上をもちまして補足説明といたします。
○委員長(徳永正利君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
○委員長(徳永正利君) 速記起こして。
 それでは、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
○野溝勝君 近代化資金に関連してちょっとお伺いしたいと思うんですが、私は農林省関係の方に多くお聞きしたいと思います。
 これについては農業基本法にさかのぼって私はいろいろとこまかいことを聞き、近代化に対する一つの施策として現状がどうなっているかということをよくお聞きしたいのでございますが、これもまあ時間の関係もありますから、そういうこまかいことはなるべく省略したいと思います。ただ、近代化資金が公債発行による財政事情によりましてかような法案が出たと思うのでございますが、しかし、一応私は、近代化そのものがたとえば経営上に、あるいは土地改良等の施策の上に、一体どういうふうに現在行なわれているか。具体的にいえば、農業基本法に基づく農業構造改善事業の融資は一地区平均一億一千万円、それに関連し、融資補助額等が相当に出ているわけです。そしてその間に近代化のための助成、融資等の資金が出ているわけで、こういう地区にどういうふうに一体行なわれたのか。最初十カ年の三カ年計画で、一年に三百地区ですね、それがどういうふうに一体今日この計画の完了の度合いが進んでいるか、そんなようなことも参考になるのでございますから、この際お聞きしておきたいと思うのです。こういうことを聞くのは、やはり近代化資金の運用との間に関係がありますからね。
○政府委員(大口駿一君) ただいまお尋ねの農業構造改善事業の問題につきましては、私ちょっと直接の所管でございませんので、詳細な数字を申し上げてお答えすることはちょっとできないのでございますが……
○野溝勝君 よし、それは資料で。
○政府委員(大口駿一君) 資料で御提出いたしますが、構造改善業事を開始以来すでに両三年を経ておりまして、この構造改善事業の効果につきましてはいろいろ御批判もいただいております。そこで、昨年の秋に農林省といたしましては、ある程度構造改善事業開始以来の、緒についた段階ということを考えまして、地方でどういう受け取り方をしているかという調査もいたしたのでありますが、もちろん全部が全部非常にこちらが言ったとおりうまくいっているということではございませんけれども、おおむね構造改善事業開始以来実施地域におきましては、相当急速に近代化が進む機運が醸成されているというふうなことでございますが、ただ、構造改善事業実施の現在までの実績、それから今後の計画等の数字につきましては、後刻担当のほうから資料をもって提出いたしたいと思います。
○野溝勝君 あなたのおっしゃるとおり、なかなか政府統計ではこの計画になるべく沿ったようなところが多いような、またそういう印象をなるべく与えるようなお話をされておりますがね、なかなかうまくいっておらぬのですね。それで、私はまあ一つの山形の例をあげれば、余目とか鶴岡というようなパイロット地域がありますが、その地域でさえなかなかうまくいっていないと思うのです。私は特に東北などではこういうパイロット地区などは成功に至っているのじゃないかと思ったのですが、案外ですね。そういう点、私は全部が全部と言いません、そういうところもあるのでしてね。ところが、この方面にかような近代化資金がどういうように具体的にそのパイロット地区ならパイロット地区、一つの地区に行なわれておるか、その内容などについても一々、一つずつのパイロット地区なりあるいはその他の構造改善地域について、内容的にも、ほんとうは各県にわたって一つずつこまかくお聞きしたいと思いますが、それも意地悪くなるような印象を与えてもいかぬから、それらもなるべく、官房長、わかるように資料で参考に出しておいていただくように、関係当局と話しておいてください。
○政府委員(大口駿一君) わかりました。
○野溝勝君 それから、私お聞きしたいのは、今度のこの法案は、直接的にはこれは例の外為会計のインベントリー・ファイナンス取りくずしと同じことだ、ざっくばらんに申せば。むずかしいことはちょこちょこ言ってあるけれども、それと同じことでしてね。それで、ただ心配なのは、実際に府県の利子補給を国が補助するということであったのです、前回まではね。今度は、これはなくなってしまうわけだ。そのかわり一般会計にとっておるから心配ないと、こういうわけです。が、具体的には府県との関係はどういうようにやるのですか。その関係がわからないので、それをちょっとお話をしてもらっておかぬと、府県の心配に対してわれわれはお答えするわけにいかぬので、それをひとつ農林当局でも大蔵当局でもお答え願いたいと思います。
○政府委員(岩尾一君) 農業近代化資金の取りくずしに伴いまして、近代化融資がどうなるかというお話でございますが、農業近代化資金の、先ほど申されました府県に対します補助といいますのは、従来系統資金を利用いたしまして融資をしております場合、利子を安くいたしまして、その利子の安くなった差額の半分を都道府県が利子補給をするわけでございますが、その半分を国が補助するということでやっておったわけでございますが、その方法は今後も変わりません。ただ、その補助いたします場合の財源がどこになるかということでございます。それを従来は一般会計から特別に、三十六年には三十億、三十七年には五十六億というふうに金を別に積みまして、それを資金運用部に預けまして、そうしますと資金運用部のほうから利子が出まして、その利子をいま申しました補助のほうにまた一般会計に繰り入れて出していくという形をとっておったわけでございます。
 それを今度は、その資金を取りくずしますが、十億円は残すわけでございますけれども、取りくずしますが、府県に対します補助のほうはストレートに一般会計のほうから、都道府県が出します利子補給の半額を従来と同じように一般会計から出していくということで、ちょうど四十年度がその補助額が二十二億円くらいじゃなかったかと思いますが、四十一年度は二十七億円の分を一般会計のほうから補助するということになりますので、現実にその補助をもらわれる都道府県としては何ら従来とは変わらない、ただ出しようが変わってくるというととでございます。
○野溝勝君 財政が変わってきたからこういう処置をとるというのでございますが、国債を発行したから勢いこういう措置をとらざるを得なくなったというように私は印象を受けておるわけですが、国債財政政策をとったからといって、この問題に関してはこんなことをしなくてもいいと思うのだが、あまり手がこんでおるのだが、何かありゃせぬですか。私が思うのは、農林中金のコールマネー、あれが思うようにいかなかったから、その裏があってこんなオペレーションをやっておりゃせぬか、はらを悪くいえばそういうことも想像するのですが、その間の事情について話していただきたい。
○政府委員(岩尾一君) 先生のいま申されました農林中金等の関係は一切ございません。これをいたしました理由は、従来利子補給の補助でございますから、どこで金を出してもいいわけでございます。しかし、御承知のように高度成長下で自然増収がかなりあり、財政にゆとりのありましたときには、その税金の金というものを別途積み立てておいて、その利子を利用して利子補給の補助を行なう、こういうことをやっておったわけでございます。ところが、いま申しました公債発行と関係があると申しますのは、公債発行をしなくちゃならぬような財政事情になったということと関係があるわけでございます。ということは、税収が非常に少なくなって、国としての経常財源というものを確保することがむずかしくなってきた。そういう情勢でございますので、従来一種の貯金といいますか、インベントリーとして積み立てておいた金を、この財政状況の苦しいときにくずさしていただいて財源に使いたい。しかし、制度の目的である利子補給の補助というものは従来と同じように、むしろ従来よりは拡大をしていきたい、こういう趣旨でございます。決して他意はございません。
○野溝勝君 しかし、経費の捻出の方法としては、これはあまり合理的じゃない。いまのような自然増収さえ全く問題にならぬような財政状態であるから、これは特別処置だ、ざっくばらんにいえば。だから、正規のものじゃない。だけれども、そんなこまかいことを言ったってしかたがないから言わないけれども、これがために県または利子補給を受ける農家との間に農業経営の上に支障を来たさぬように、農林当局も大蔵当局も十分ひとつ配慮を希望して、私はこの問題については打ち切ります。
○成瀬幡治君 官房長に伺いますが、いま野溝委員も触れられましたが、一体、農業の近代化について近代化資金というものが果たしてきた役割りですね、いろいろな所得倍増計画に基ずく農業の近代化のプランが提示されておったわけです。それが実効があるといえばある。ないといえばない。計画が非常に狂っておるということは政府自身もお認めになっておるだろうし、農林省もそういうことはよく御存じのはずだと思うが、どういうところに――こういう近代化資金等を設けられたのもその一翼だろうと思うのですけれども、どういうふうに評価しておみえになるのか。行き詰まった――官房長にお答え願うというのは非常におかしいかもしれませんけれども、農業政策全体の中において近代化資金というものをどういうふうに位置づけしておみえになるか、そういうようなことについてお伺いしたい。
○政府委員(大口駿一君) いまのお尋ねの直接の答えになるかどうか、ちょっとあれですが、農業の近代化ということばでわれわれ理解をいたしておりますることは、御承知のように、日本の農業の特徴でありまする非常に零細経営であるというところを規模を拡大するとか、あるいは機械化をして労働生産性を高めるとか、いろいろそういうものを総合的にやることによりまして、農業経営全体の生産性を高めるということを総称して、農業の近代化と申しておるのではなかろうかと私ども理解をいたしておるわけでございます。
 したがいまして、この近代化資金の運用というものは、農業の近代化にとって非常に大きな役割りを果たしておることはもちろん否定はいたしませんけれども、やはり農業政策全体、たとえば構造改善事業でありまするとか、あるいは機械化の推進でありまするとか、あるいは土地基盤整備ということで土地の生産性を高めるとか、あらゆる農業政策全体を総合いたしまして、また、できました農産物の価格安定というようなものもやはり、農業所得の向上という見地からすれば、農業近代化の一翼をになっておるということも申されようと思うのです。したがいまして、農林省全体といたしましては、すべての施策を農業の近代化ということに集中してやっておるといっても過言ではないのではないかと思っておるわけでございまするので、その中で農業近代化資金がになう部分がどれだけで、近代化資金が設けられてからどれだけの役割りなり効果をもたらしたかということを、分離をして測定をするということはなかなかむずかしいと思うのです。そこで先ほどちょっとお触れになりましたように、農業についての、日本経済全体についていろいろ中期経済計画でありまするとか、いろいろな計画が時の推移に従って設けられ、御承知のように、最近の経済の変調に伴いまして中期経済計画も一応御破算にして練り直すということになっておるわけでありまするが、もちろん中期経済計画の中には、その中における農業の成長をどのくらい見込むかとか、あるいは近代化がどの程度進むかということを一応の指標として含んでおることはもちろんでございますが、農林省といたしましては、別途に――もちろん関連はありますが、別途に農業基本法に基づきまして長期の見通しを立てるということを義務づけられておりまするので、この農産物の需要と生産の長期見通しというものを昭和三十七年に発表いたしまして、十年間の農業のいろいろな長期の見通しを立てて公表をいたしたのでありまするが、最近の経済の高度成長並びにその後に参りました経済の不況等の影響から、一体この長期見通しで立てた目標がその後の推移でどういうことになっておるかということを、実は昨年の暮れに再検討をいたしまして、中間検討ということで発表いたした次第でございます。
 この内容を詳細に申し上げることは、この際ちょっと差し控えさしていただきますけれども、当時の農林省の考え方といたしましては、経済の状態の推移がまだちょっと見通しが不確定であるということから、あえて中間検討ということにいたしたのでありまするが、中期経済計画も御破算にして新しい計画を練り直すという段階になりますれば、また新しい観点に立ちまして長期の見通しを立ててやっていかなければならないというふうに思っております。
 それから、毎年の農業の成長その他の実態を示しますために、農業基本法に基づきまして農業白書、年次報告というものを国会にも御報告をいたしておりまして、すでに昭和四十年の年次報告は国会にも御提出いたしておりまするが、その中に、生産性向上の足取りがどうであるとか、あるいは農業の就業構造がどう変わってきておるかとか、詳細に申し述べられておりますので、もし御質問があれば、その内容について詳細に触れたいと思いますけれども、そういうことで、農林省としては絶えず農林行政全体の効果が全体としてどういう数値にあらわれておるかという測定はいたしておるわけでございますが、ただいまの近代化資金の部分だけを抜き出して、その効果がどうであるかとか、そのになうべき分野がどうであるかということは、ちょっと私のほうでは分析をしておりませんので、そのように御理解をいただきたいと思います。
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(徳永正利君) 速記を始めて。
○成瀬幡治君 年次報告等のことにつきましては私ども承知しておるわけですが、少なくとも中期経済計画が御破算になったとか、あるいは高度成長政策がどうだとか、いろいろなことを言いますけれども、報告書の数字は別として、概括的にいって、期待したほど格差の是正ができなかった。やはり何といったって所得水準は相変わらず低いのじゃないかということは事実だと思います。そこで、次の手を、そういう現状ならばやってみようとして計画を立てていろいろ努力した、しかし所期の目的を達成することはできなかった。それならば、どういう対策を次に立てるかということが仕事だと思います。あなた方の責任だと思います。それに対して、それじゃその中で何と何がささえになっておるのか。私は、その中で農業近代化資金というのは一つの柱にされていると思います。そのことが近代化資金だけに限っていえば、それがどれだけの貢献をしてきたのか、今後貢献をさせようとすれば、どこがネックになっておるからどうしなくちゃならぬかという方針が出てこなければならないと思うのです。それを、何もやっておらぬからそれは知りませんでは、前に進みようがないのだが、もう少し真剣に取り組んでおるという姿勢の御答弁はできませんか。
○野溝勝君 関連して。成瀬委員の言ったことは非常に……。従来のことは私はこまかいことを言わないのですけれども、実際の農業基本法のうちの柱は、基盤整備とやはり近代化資金です。ですから、この問題については、ただ近代化資金の法律の一部改正ぐらいでこれの答弁をするということだけでなくて、その基本法の柱です。ですから、それだけに私は農業全体について真剣に取り組んだ御意見をやはり出してもらいたいと思っておったのです。
 それから、なお申し上げますが、実際、農業所得の水準というものは低いのだ。昭和三十年度は九百六十三億円、三十九年度は、これは三・五倍になって、三千三百六十億円。しかし、農林関係費と一般会計歳出の割合というものは八・一〇%ですから、どうしても所得水準はまるで低いのですよ。だから、それだけに今後基盤整備と近代化資金によって農業基本法の柱として構造改善等をはかっていくとしても、もうすでに実績はあがっておるわけですから、そういう点についてわれわれは非常に不安があるわけです。ですから、具体的にどうやっていくかというようなことを、次の課題というものをやはり答えておいてもらわぬと、困るのです。
 それから、年次報告をしたとか、あるいは農業白書というものを出したとかいうけれども、まあ実際あの農業白書なんというものは、マスコミでずいぶん批判しておるとおり暫定的なものでございまして、問題にならないのでございます。しかし、あれもいい。一つの年次報告書として見てよろしい。けれども、そんなことでなかなか今後やっていけるものじゃないのでございまして、これによってもっと一歩前進した考え方ですね、こういう方針でやっていきたいと思うというようなことを、この際聞いておきたいと、こう思うのです。
○説明員(今村宣夫君) 農業近代化のために農業金融が果たすべき役割りはますます重要となってきてまいっておりますことは先生の申されるとおりで、私たちも考えておる次第でございます。そのために、まず農業金融の一番大きな柱は、御承知のとおり農林漁業金融公庫の資金でございます。農林漁業金融公庫は、政府の財政資金をもちまして、主として構造改善でありますとか、あるいは土地改良その他の基盤整備、あるいは経営の維持安定というところに重点を指向いたしまして、毎年相当額の融資を行なってきているわけであります。融資額が三十九年度は千七十億でございますが、四十年度は千二百四十億、四十一年度は千四百二十億予定いたしておるわけでございます。そのように公庫資金につきましてもできるだけその融資額の拡大をはかりまして、基盤整備その他につきまして十分資金の手当てができるようにいたしておりますと同時に、御存じのとおり、三十八年、三十九年と二年にわたりまして、公庫資金の融資条件の改善をはかってまいっております。現在、公庫資金のうちの相当部分が三分五厘の利率で、二十年あるいは二十五年という非常に長期低利の資金を供給しているわけでございます。
 一方、農業近代化資金でございますが、農業近代化資金と公庫資金あわせまして、農業の経営の近代化のために融資してまいったわけでありますが、これの融資額も逐年拡大してまいっておりまして、三十六年には三百億でございましたが、三十七年には五百億、三十八年には五百二十億、三十九年六百億、四十年には七百億の融資額を予定いたしておるわけでございます。
 この融資の内容につきましても逐年改善をはかってまいったのでありますが、特に来年度におきましては、農業近代化資金の整備拡充ということを私たちは行ないたいと考えておりまして、農業経営の安定的発展をはかりますために、従来近代化資金につきましては、農舎であるとか畜舎、あるいは農機具でありますとか、そういったような主として施設に着目いたしまして融資を行なってきたわけでありますが、畜産経営でありますとか果樹経営というような、将来の農業の計画的拡大を指向する経営におきましては、非常に長期の、果実を収得するまでに相当長期を要するという観点から、そういう施設と密着するような、中期的な運転資金と申しておるわけでございますが、たとえば果樹の育成資金でありますとか、あるいは搾乳牛でありますとか繁殖肉牛等の育成に要する資金を、近代化資金の融資対象として加えることといたしておるわけでございます。さらに、基準金利の引き下げに伴いまして、金利も、個人施設については六分五厘でありましたものを六分に、共同利用施設につきましては七分五厘を七分に引き下げるということを考えておるわけでございます。さらにまた、果樹植栽資金、育成資金につきましては、償還期限の据え置き期間の延長をはかりますと同時に、農村の環境整備という観点に立ちまして、近代化資金をその部面においても活用する。たとえば利用施設でありますとか、あるいは放送施設、簡易水道といった部面にも近代化資金を活用いたしますと同時に、そのような資金を近代化資金の対象といたします関係上、償還期限もいままで最高十五年でありましたものを二十年に延ばすというようにいたしまして、近代化資金の内容につきまして整備をいたしますと同時に、この金が農家に円滑に流れるということをはかりますために、現在ございます保証制度を整備いたしまして、中央に保険協会をつくって、現在各都道府県にございます保証基金協会が行なっている債務保証の保険を行なう、こういうことを考えておるわけでございます。このよろな法案を現在提案をいたしておるわけでございまして、近代化資金についてもますます整備をはかって農家の資金需要にこたえていきたい、このように考えておる次第でございます。
○須藤五郎君 関連。野溝委員も近代化の現状という問題について質問されたと思うのですが、これは近代化資金が今日の農村にどういう影響を与えておるかという点を質問されたと思うのです。それで、成瀬委員も近代化資金の果たした役割りについて質問をしていらっしゃると思うのですが、私たちも近代化資金がほんとうに農村の建設にはたして役立っているのかどうかという点に大きな疑問を持つわけなんです。近代化資金で日本の農村はどれだけ救われたのか、そういう点に皆さんやはり疑問を持っていらっしゃると思うのです。これの質問に答えるためにはもっと具体的に答えていただかぬというと、私たちは判断ができないわけですよ。
 それで、今日の構造改善事業、この実態をもっと具体的に説明してください。私たちが今日農村を歩いてみて、この農村が近代化資金によって決して救われているというふうに考えられないのです。非常なまた逆の面がたくさん農村にあらわれているわけです。だから、この近代化資金の果たしてきた実際の実態について、もっと具体的にひとつ説明してくれませんか。
○説明員(今村宣夫君) 先ほども官房長からお答えいたしましたように、農業近代化のためにはもろもろの施策を講ずる必要があるわけでございまして、金融もその一翼をになうこと、まあそのとおりでございますが、金融につきましても、先ほど申し上げましたように、公庫資金、あるいは近代化資金、あるいは改良資金というふうにございまして、その中の近代化資金を抜き出しまして農業の近代化にどの程度役に立ったかということを測定いたしますことは非常にむずかしいことでございまして、私たちも従来からもそういう目で検討し、また今後も検討してまいらなければならぬとは思っておりますが、資金効果の測定ということはまず非常にむずかしいと同時に、近代化の中においてそれがいかなる役割りを果たしたかということを測定いたしますことが、またさらにむずかしいという状況にあるわけでございます。
 そこで、ただ一つ申せますことは、一つは、先ほども申し上げましたように、公庫資金は主として構造改善でありますとか、基盤整備という点に重点を指向しておりますが、近代化資金は、その融資対象等をごらんいただけばわかると思うのでございますけれども、主として個人の経営の資本装備の高度化、あるいは共同利用施設として、それを融資をしてまいるという点に重点があるわけでございます。現在、近代化資金の融資残高は約千五百億に近くなっております。それだけの金は、早く申しますと、従来農協の貸し出しておりました長期資金の二五%を占めておるわけでございまして、農協を通じて出されております。長期資金の二五%を占めておるということは、三十五年から始まりました近代化資金としては相当なウエートを占めておるわけでございまして、そこにどういうふうに効果があったかという御質問に対してはなはだお答えが不十分で申しわけございませんが、以上のような次第でございます。
○須藤五郎君 あなたたちの答えは、金を幾ら融資したとかなんとかいうそういう答えで、その融資した金がどういうふうに使われてどういうふうに日本の農村をよくしているか、構造改善に幾ら金を出した、この構造改革の中でどういう面が成功してどういう面が失敗しているとか、そういう具体的なことを私たちは聞きたいと思うのですよ。幾ら融資して幾ら残金があるかというような、そんなことを私たちは聞いているわけじゃないのですよ。この近代化の成果というものを、それを聞きたいわけなんです。それは答えられないのですか。
○柴谷要君 私は、きょうの参議院の大蔵に出席されておる農林省の関係者はいまの答弁ぐらいしかできない立場の人たちだと思う。たとえば金融課長であるとか、それから農林省の経済局参事官であるとかいうようなことで。ところが、衆議院の大蔵委員会には農林経済局長、農政局長、畜産局長、園芸局長と、みんな局長がずらって出て、農業近代化資金の運用の面について、たとえば食肉の問題はどうなったとか、具体的な事例をずっと説明をされて、委員諸君にある程度、納得したかどうか知らぬが、その説明がある程度行き届いている。ところが、きょうのあなた方の説明では、やはり近代化資金がどう使われてどうなって、どれだけ国のために貢献をしておったかという実績がわからぬ、これでは。だから、きょうは、委員長、これは正直なところを申し上げて、役不足だということを言うわけじゃないのです。あなた方は職責は職責としてあるけれども、われわれの聞きたいところの答弁の肝心な人が来ておらぬ。こういう点で、農林省に対してはたいへん不満の意を表明して、きょうはそういう意味において、この農業近代化資金の問題については質問を終わって次回に回わす、そうしてついては日本開発銀行のほうに入ると、こういうふうにしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。そして次にひとつ本物をそろえてやりましょう。(「役に立たぬ」と呼ぶ者あり)役に立たぬ、そうです。
○成瀬幡治君 柴谷君からの議事進行について、それでいいと思いますが、それではついでに私は次の問題にからんで準備をしておいていただきたいと思いますが、何といったって、うしろ向きといいますか、運用その他については何ら支障がないと言うけれども、資金の取りくずしなんですからね、うしろ向きということです。ですから、不安を与えてはいけないから、制度を維持するための目的かどうか知らぬけれども、そういうことを対外的にもPRする必要上、十億を残したといえばそれまでかも知れませんけれども、何にしてもうしろ向きなんです。ですから、積極的に――農業近代化資金に限って、何といったってこれは農協の系統資金なんですから、金利が高いわけです。もっと借りやすくして、しかも金利が安くなければならぬ。簡単にいえば、国家間の問題でいえば低開発国と見ていいわけです、農業は。それに対して、企業に対してはばく大な金を長期低利で貸して、いろいろな面でも優遇しておるわけです。それと比較したときに、あまりにも農業に対してはみすぼらしいじゃないかということが言いたいわけです。ですから、そういうことについて積極面で、これではどうもうしろ向きだということに受け取られることに対して、農林省もこれはいやいや納得した以上は、積極的にこういうことについての姿勢はこうなんだ、施策はあるんだというようなことについて質問をしたいと思いますから、そういうようなことについて今後用意をしてきて、私は御答弁願えればいいと思いますから、宿題として出しておきます。
○政府委員(大口駿一君) 今後の御質問の際に、それぞれ専門の局長が参りまして具体的な問題については御答弁をいたしますが、先ほど私がお答えをいたしましたいろいろな農業の数字の問題を省略いたしましたが、農林省として農業の現状をどう認識しているかという点について、一言だけ触れさしていただきたいと思います。
 先ほど来諸先生が御心配になっておりまするように、農業の近代化は非常に進んで、生産性が向上したとは申しまするものの、白書にも明らかになっておりまするとおり、農業と他の産業との比較生産性は、数字の上ではごくわずか改善したように見えるのでありますけれども、これは実は他の産業の成長が非常に高かったというのが急に足踏みをしたという結果、急に比較生産性の数字が縮まったように見えるのでありまして、われわれは、農業の問題といたしましては、他の産業の成長に伴って就労人口が異常な速度で流出をしておる。しかも、その流出をした労働人口というものは大部分通勤であるために、農業人口の減少を伴わないために兼業農家が非常にふえておる。したがって、農業全体の農家構成が専業農家がわずか二割台に落ち込んでおるという問題等は、農業の行政を所管いたしますわれわれといたしましてはきわめて深刻な事態というふうに認識をしておるわけであります。
 それから、もう一つは、農業の生産というものが最近必ずしも需要に追いつかない。すなわち、高度成長に伴いまして、国民の食生活が非常に変わってまいりまして、農産物の需要というものが急速にわれわれのいわば予想以上に伸びておるのにかかわらず、農業生産は必ずしもこれに追いつかない。ことに畜産の振興に伴いまして、えさの需要が非常に伸びておるということで、輸入農産物の数量がきわめて急速な角度に伸びておるというような問題等は、今後の農業政策を進めていきます場合にわれわれに与えられた非常に大きな課題であり、われわれは農業の将来について非常に深刻な認識を持っておるのであります。そこで、予算面におきましても、また金融の面におきましても、これらの事態の認識の上に立って今後の農業の政策を進めていく心がまえでいることをつけ加えさせていただきたいと思います。
○委員長(徳永正利君) まことに委員長の不手ぎわで、政府委員の重要な方がおいでにならぬのはまことに申しわけないと思います。次回は必ず、官房長もせっかく見えておりますので、必ず要求政府委員を出席させることにいたしたいと思います。
 それから、いまの政府委員でいいですか。
○日高広為君 ちょっと関連して質問いたしますが、実は私おくれてまいりまして失礼いたしました、予算委員会との関係において……。
 一点だけお伺いしたいと思いますが、農業近代化資金の問題につきましては非常にけっこうなことでございますが、これと関連して技術導入資金というものがありますね。それはどういうふうな技術で、どういうものを対象として出しておるのか。
○政府委員(大口駿一君) 改良資金の技術資金のことでございますか。
○日高広為君 農業技術の導入資金というものがあるでしょう。金融課長でけっこうです。
○説明員(今村宣夫君) おそらく御質問の資金は農業改良資金だろうと思います。
○日高広為君 そうです。
○説明員(今村宣夫君) 改良資金は、御存じのとおり、新しい技術を導入いたします場合に、無利子の金を都道府県から融資をするということでございます。種類としましては三種類。一つは、主として新しい技術を導入します場合の資金、それからもう一つは、生活改善の関係で、たとえば共同炊事場とかなんとか、そういうような共同利用の施設のもの、それからもう一つは、後継者育成の資金というものがございますが、大体期限が五年程度でございます。利子は無利子。詳しい資金の種類の内容につきましては、農政局のほうの担当になっておりますので、後刻資料を差し上げまして御説明申し上げたいと思います。
○日高広為君 わかりました。
 そこで、大体この三つの問題があるということを聞いておりますが、実はたばこ耕作者の技術導入につきましては、それは専売公社の管轄なんですね。ところが、こういう制度金融になりますと、農林省にお願いしなければならぬ。したがって、制度金融の場合におきましても、やはり中央のほう、国のほうで、これはたばこの近代化資金に対しまして、あるいは改良資金として、どういうふうに使うべきであるかという資金ワクをきめていただきますと、非常にこれは運用しやすい。と申しますのは、いまの金は農協を通じますと、農協は非常に成績が悪いがたばこ耕作の組合はいい。ところが、農協が成績が悪いために、それをつなぐことができない。したがって、私は常に申し上げておりますが、そういうものについては、個々のたばこ耕作組合はりっぱな組合である。しかしながら、これは金融制度はできない。そこで、その場合に、当該専売公社の出張所がこれを証明することによって、これは貸し付けてもよろしゅうございますというような証明なり、もちろん制度としては金融制度はできないが、その場合に、特別ワクで農協を通じてやるという、このような便法も私はあってしかるべきじゃないかと考えておるわけであります。それが第一点。
 第二点といたしましては、新しい技術というものにつきまして、農林省が考えている技術と、専売公社がたばこのために考えている新しい技術というのは、ちょっと見解が違う場合がある。そこで、そういうものにつきましては、やはり専売公社のほうで新しい技術であるということの考え方を明らかにしたものについては、私は改良資金をこれは使ってもいいのではなかろうかというよろな気持ちがいたしますから、それについて具体的に、この次まででけっこうでございますから、ひとつ資料を提出していただきまして、それに対する解明をしていただきたいと思います。以上でございます。
○委員長(徳永正利君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
○成瀬幡治君 開発銀行関係でお尋ねをしたいと思いますが、開発銀行が今度の倒産関係やいろんなことにからんで被害をこうむつたというようなことがございましょうか、この不況関係の中で。
○参考人(平田敬一郎君) 従来の貸し付け先で何件か、数件、いまお話しのケースがあったように思います。いまちょっと資料を調べましてお答えいたします。
 開発銀行の融資先で倒産したり、あるいは会社更生法の適用の申請を行なった会社は、三十九年度が十二社でございます。それから、四十年度が九社でございまして、合計二十一社ほどになっておりまして、これらの会社に対する四十年十二月末の貸し付け残高が、二十一社で合計十七億六千五百万円でございます。
○成瀬幡治君 まあ三十九年、四十年の問題でございますから、若干その中には経過はございますが、どんなようなふうになっておるのか。非常にあなたのほうでこれはとても困った問題だというようなものを、二十一社の中から一つの事例として貸し付け先の会社の名前を出してもいいでしょう。ですから、こうなっちゃって、実はとても見込みがなさそうだというのがありましたら、承りたいと思います。
○参考人(平田敬一郎君) 大体業種別に御参考までに申し上げますが、やはり今度の不況で一番どうも影響をじかに受けまして、しかも資金を調達するに困ったり仕事が減少しまして、倒産あるいは更生法の適用を受けるのやむなきに至りましたのは、やはり機械工業が一番多いようでございます。この二十一社のうち十四社は機械工業でございます。造船業も機械工業に準ずるかもしれませんが、中小の造船業二社、その他は若干いろんな業種に分かれておりますが、まあやはり機械工業でございますね。開発銀行は、御承知のとおり、機械工業につきましては機械工業振興法というのができまして、あの趣旨に即しまして、実は大きな企業よりもむしろ中堅企業――小ということばは除きたいのですが、中企業に過去数年来だいぶ融資いたしまして、機械工業の近代化等には相当寄与したつもりでございますが、一面におきましては、やはりその中に経営その他うまくいかないものが出てきまして、今回の不況のあおりを受けまして、いま申し上げましたような状態になっておるのが多いというのが、概括的に申し上げて一番一般的に顕著な現象と見ております。
○成瀬幡治君 倒産とか会社更生法を申請したということになりますれば、これは表に出ておるのですから、まあほんとにまるまるいかれてしまった、またいかれそうなんだというようなところが、大体わかったところがありますれば、私はこの際会在名をあげていただいて御報告いただきたいと思うのです。
○参考人(平田敬一郎君) 個別的に申し上げますのは、よく調査した上でないと差し控えたいと思いますが、それぞれ一般的にはいま申し上げましたような事例によりまして、倒産または更生の余儀なきに至ったのが多いのでございますが、私どもその原因の調査もよくそれぞれいまやっておりまするし、それから、特に重要なのは、その後における債権の確保に遺憾なきを期するという角度で、そういったような会社につきましては、更生法の適用を受けるに至りました会社は管財人ができましてそれぞれやっておりますので、そこと連絡をとりまして、債権確保に遺憾なきを期することで万全のことをいたしております。そうでなくて破産あるいは倒産の余儀なきに至ったものにつきましては、それぞれ個別に銀行からも実情を調べまして、できるだけ残存債権の確保につとめるようにいたしたいと思っておる次第でございまして、内容はだいぶ種類が違いますので、例と申されましても、そのような一般的な債権確保につきまして、開発銀行としまして万全の措置を講ずるということを、総裁としましてかたく申し上げまして、お答えにさしていただきたいと思う次第でございます。
○成瀬幡治君 なかなか総裁慎重で、私のほうと若干ズレがありまして……。ですが、総裁の立場も私もわからぬことはないわけですから、私は別の機会に、こういう公的な機会を離れて、少なくとも協調融資等もあると思います、そういったときの債権確保をどうするのか、いろいろな問題があるのでございますので、実はそういうような点について話を進めたいと、こう思っていま伺っておったわけですけれども、そういう点について、現時点ではまだ結論が出ていない、何とか言ってもあなたはそう言うだろうと思いますから、これは何ともしようがないから、そのことはこれでとめますけれども、しかし、私たち少なくともこういう問題については、債権確保の問題等については、あなたがおっしゃるように万全の措置ということについては当然なことですから、これは当然なことです。それじゃ、協調融資の場合どうなるのだ。いろいろな意見があるのですが、まあそのことは次の機会に譲りたいと思います。
 次にお尋ねしたいと思いますのは、非常に経済の発展というのですかに協力されるといえばそれまででしょうが、政策的にもいろいろの貸し付け等があるわけですから、開銀融資というものは、いままでもずいぶん慎重の上に私は慎重を重ねて御運営になったのに、単に政策的に、たとえば機械振興法ができたからその被害が十四社あるのだと、こうおっしゃるが、他のものについては、そういうような政策的なものも加味されるけれども、なおそのために慎重の上にも慎重に貸し付けをされたのですから、それが単に一般的な不況で倒れてしまったということは、少し開銀融資先としては調査が不十分だったと、少し何か残念なような気がするわけです。もしそういうことについて何か究明をされた、あるいは分析をされて、ここのところがどうも間違っておったのだというのがあれば、お聞かせ願えないでしょうか。
○参考人(平田敬一郎君) 実はお話のように、開発銀行は政府資金でございますので、私ども受け付けにあたりまして、まず趣旨が即応しているかどうか、それから事業の計画がおおむねよろしいかどうかを見て、受け付けるかどうかを慎重な態度でまずきめることにいたしております。その際に、各省の推薦と申しますか、意見などもよく聞きましてきめるということにいたしております。
 それから、その次が審査という手続を経ることになっておりまして、審査には最も実は開発銀行としては力を入れておりまして、有能なというか、ほかの職員が有能でないわけじゃございませんが、審査に適格な職員を本店、支店を通じまして、相当多数実は配置いたしまして、各計画につきまして、会社全体のことを調べまして、その上で、審査の報告に基づいて、最後に営業部と審査部が相談しましてきめる。重要な案件につきましては、役員会議等でよく審議しましてきめるという手続を実はとっておる次第でございますが、この審査の際に一番問題なのは、やはり私ども行って見まして、そのときはいいけれども、将来の見通しがどうなるかということにつきまして、実は一番頭を悩ますことが多いわけでございます。で、そういう点につきましても、一般的な状況等につきましては、もちろん関係各省の意見も聞きますし、それから市中の金融機関等の見方も聞きまして、最後は、大体私どものところといたしましては、開発銀行の結論を出す場合には、市中の金融機関、協調融資でございますので、市中の資金がはたしてつくかつかぬか、そこまで見定めまして、その上で融資決定をするという実は慎重な態度をとっておるのでございます。
 それで、最近、御承知のとおり、地方開発というのをやりまして、これは率直に申しまして、中企業がだいぶ範囲が広くなっておりますが、特にそういうものにつきまして、私ども大企業と同じと言っちゃ言い過ぎですけれども、頭で実は審査をして、一時、たいへん開銀の審査はうるさいとかいって非難と申しますか、どうももう少し何とかならぬかという声もあったのですけれども、ただ審査だけは、ゆるめるとえらい結果になるので、ゆるめることはできないというので、実は一貫してやっておるわけであります。しかし、その中でも、どうしてもこれは人間が調べ、人間が判断することでございまするので、やはり全部が全部全然無傷な企業だけを結果において選んでやったということまで私自信を持って申し上げますと、かえって申し上げ過ぎになるかと思いますので、まあそういうことを最小限度にとどめて、しかも融資の目的に即応するような結果を得るのにどうすればいいかということが、実は私ども銀行の当事者として日夜一番苦心しているところであるということは申し上げさしていただきたいと思います。
 やはり私、お話のとおり、単に不況だけで会社がつぶれるというものじゃないと思います。やはり将来の経営の見通しが甘かったとか、あるいは現在まだ十分な体制になっていないのに少し手を広げ過ぎたとか、急ぎ過ぎたとか、そういったいろいろな原因が実はございまして、そういう点につきましては、私どもも十分そのようなこともさらに参考にいたしまして、将来ともますます正確を得るようにつとめたい。
 率直に申しまして、実はこの融資にあたりまして、増資の条件をくっつける会社が相当ございます。増資の条件等につきましても、期限を示さないでやる場合もあるのですが、私は最近、期限を示さない増資条件というものは意味がないから、必ず、一年先でもいいから、何年何月までに幾ら増資してほしいといったようなことを条件にして、それから経営者の内容といたしましても、特に経理に明るいのを入れてほしいとか、あるいはそういった事業の運営をされるマネージャーとしてふさわしい人を入れてほしいとか、だれということは中央機関でございますから差し控えることにいたしておりますが、そういったことにつきましても、できるだけ事前に配慮しながら、融資の目的が結果的に達成できるように実はたいへんつとめておりますということを申し上げさしていただきたいと思います。
 どうも、それにもかかわらず、先ほど申し上げましたように、やっぱりこの際こういうことに相なりまして、まことに恐縮でございますが、銀行局長が全体の銀行の状況も御存じなので、開銀と一般の銀行との関連なんかについてはお聞き願ったほうがいいかと思いますが、市中さんよりも私ども少なくとも慎重な態度で、融資に当たってはより慎重な態度で臨むという気持ちで臨んでおりますことだけはつけ加えさしていただきたいと思う次第でございます。
○成瀬幡治君 これは調査室からいただいた資料なんですけれども、あなたのほうの貸し出し計画、資金計画というので、いまお話の中に出てきた特定機械振興法に基づくところの貸し付けが半額に減らされている。ですから、あるいは硫安関係が私どもも少なくなった事情ということもわからぬわけでもないのですが、一応この計画で、大体、たとえば電力関係は二百億でいいとか、海運は七百七十三億、こういうふうに出されておりますけれども、この当初計画はどういうような積み上げ――もちろん積み上げ方式でやっているのでしょうけれども、どういうような形でこういう数字を策定しているのでございましょうか。
○参考人(平田敬一郎君) 資金の各年度の計画につきましては、いま御指摘のとおり、いろいろな業種によって実は若干ワクの制約なり資金積み上げのやり方が変わっております。たとえば電力みたいなものになりますと、大体翌年度の工事計画というような、何をやるかがわかっておりまして、それに基づきまして積み上げしまして、大蔵省の主として理財局でございますが、各省と私どもの銀行から説明しまして、理財局でワクをきめてもらうということになっております。
 それから、海運のほうも、御存じのとおり、大体これは運輸省が年次の造船計画と申しますかを立てまして、私どもそれを見て、もちろん意見は言いますが、多過ぎるとか少な過ぎるとかということは言いますけれども、それをもとにしまして、これはまあ資金の積算の基礎を明らかにしまして、来年度の所要資金量を出しまして、そして大蔵省と話しまして、各年度の資金ワクがきまる。ただ、全体としての問題でございますけれども、これは年度計画でございますので、年度の途中で情勢の変化等によって変わることがございますれば、変わるときは変わったときで、その理由を説明して変えていくということになります。
 それから、石炭は、やはりこれは積み上げとまでいきませんが、大体過去の年々の計数、それからおおよその積み上げ、そういったようなことをきめまして、事前にきめておる。最近の例によりますと、石炭対策の追加等がありまして、年度の途中で追加になっている例が多うございます。
 それから、地域開発では、これは率直に申し上げまして、件数も非常に多い。それから対象地域も多いので、中に若干事前にわかっているのもございます。私ども毎年融資期待額の調査というのを九月ごろやりまして、それを資料といたしまして、その期待額はワクよりはるかに多いのでございますが、そういうものをもとにしまして、どの程度の資金を必要とするというので要求いたしております。ただ、これは相当そういった大ワクでございますので、最後の開発銀行の所要資金いかん、それから地域開発にどの程度重点を置くかといったようなことで、これは最後に率直に申し上げまして総括的にワクがきまっていく。
 さらに、この三つの業種は、従来の沿革もありまして、特に大きいし、それからそのワク内においてできるだけ確保していこうというので、予算の説明書にもたしか特掲として載せていただいているかと思います。それ以外のものは、実は私ども資金計画として政府との間に一応の年度初めにワクをそれぞれ設けておるわけでございますけれども、予算の説明書にまでは載せないで、その他一般ということで分かれております。ただ、実際問題としましては、たとえばきっき言った特定機械でございますね、これは金利を少し安くいたしておるんですが、こういうものは年度初めにおよその概括できめていく。それから、体制金融も、まだ実ははっきりしないものもございますので、石油化学等は比較的わりあいにはっきりしているようでございますが、それ以外のものははっきりいたしませんが、これは概括的に一定の額できめておるということでございます。その他、その中には、さっき言いましたように、相当事前に予想されて確実なもので、どっちかと申しますと設備投資でございますので、そういうものが相当多数ございますが、しかし、まだ企業の計画も未確定のものもございますわけでございます。まあその業種によって違いますけれども、できるだけ要請に沿って、しかも全体の資金の配分という点からもふさわしいというところをねらいまして、財投に予算がきまると同時に、この資金の計画も年々政府との間にきめてもらいまして、それで開発銀行は実行していく。一般のほうのワクにつきましては、これは予算でございませんで、資金の計画でございますので、年度の途中で情勢の変化があったような場合は若干増減さしておりますが、ほとんど最初にきまりましたワクをなるべく尊重しまして、その中で効率的な運用をはかっていくという方針で進んでおる次第でございます。
○成瀬幡治君 海運が、私はずっとやっていきますと、おそらく何年か先には開銀融資の半分を占めるということが、大体頭の中に描かれると思うんです。しかも、国際収支の中でいえば、貿易外収支で運賃の確保というものは大きな問題になっております。一つの国策であるということはわかるんですが、四十年度の当初計画と実積の見込み違いというものは、相当な幅があるわけなんですね。しかも、運輸省がこういうことについて、私はこれこそ運輸省が力を入れて計画を進めてやってきたものが、ここでこれだけの差が出たというのはどういうようないきさつがございますか。
○参考人(平田敬一郎君) 四十年度では、当初計画で千六百七十七億計画しておりましたのが、実積見込みは二千四十億円程度に相なるわけでございます。その中で変わりましたのは、電力はほぼ同じです。それから海運が、実は五百七十三億見ておりましたのが八百九十億程度になってきた。その中で新造船が五百六十億円……
○成瀬幡治君 新造船が……。
○参考人(平田敬一郎君) 新造船ですね。これがいわゆる新聞紙等で計画造船と称せられるものでございますが、五百六十一億が八百八十一億円……
○成瀬幡治君 八百八十一億円……。
○参考人(平田敬一郎君) はあ。当初の建造計画はたしか百五十万トンだったのが百八十万トンに、トン数がひとつふえましたのと、それから御承知のとおり、実は昨年来の景気対策という一環に取り入れられまして、事業が確実に進むものに、計画が進むものについては、政府の資金をずらさないで、計画どおり融資をしたほうがいいということが例の景気対策の一環として入りましたので、私どももそれに即応いたしまして、実は工事計画が進捗するに応じて、すく資金を出し――早く渡しておりませんが、少なくとも若干資金を出すのをおくらすということをしないでやってもらおうということになりまして、実は船がふえた以上に資金量がふえたと、こういうのが四十年度の実情でございます。
 で、私の見たところ、大体やはり最近の建造は順調に進んでおりまして、その結果がこういう結果になったのじゃないか。造船業は下請とか関連産業が非常に多うございますので、私は、昨年の景気対策の中でも実は一番早く実行に移したその一つではなかろうかと思っているのでございますが、そういう事情もありまして、四十年度、実は大幅に資金が最初よりも変わってきた、こういうことに相なっておる次第でございます。
○成瀬幡治君 私は、いまの景気対策だとあなたがおっしゃればそれまでですけれども、われわれはやっぱりベトナム関係のそういうような動きというようなものも無関心ではおれないわけです。まあそういうようなことについてはここで議論するべき問題ではございませんから、省略して、あなたの説明で、景気対策でこうなったのだというなら、それはそれとして了承したいと思いますが、とにかくそういうような点については若干疑点があると思います。
 次に、あなたのことばで、体制金融ということばが出てきました。体制金融というのが、何か法律用語に基づくところのそういうものでしょうか。なぜこういうことを申し上げるかというと、私たちは特定産業振興法というものがかつて通産省から提案されて、それはつぶれたわけですね。で、成立していないわけです。いま成立しておらない。そういうときに、予算としては体制金融というような項目があって、そして予算計上がされてきて、今日残がある。そして四十一年度にも、新規追加予算に計上されておる。しかし、そういうような背景がありますから、あなたも体制金融ということばを使われる以上、一度あらたまってこれはお聞きいたしたいと思いますが、体制金融ということばがどういうところに基づいておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(佐竹浩君) まあ先生もよく御承知のように、この体制金融ということばは、決して法律上あるわけではございません。まあいわゆると申しますか、俗にそういうことばが使われておるというだけでございますが、ただ、しいて求めますと、御承知のように政府関係機関の資金運用につきましては、毎年経済企画庁が提案をいたしまして、その政府資金の運用基本方針というものは実は閣議の決定を経ておるわけでございます。その閣議決定に基づきまして、それぞれの機関の監督官庁からその機関に対まして、その運用方針を実は通達をいたしておるということがございます、その閣議決定の文章中に、この開発銀行の重点項目というものが実は四項目あげられておるわけでございます。その四項目のうちに、一つとしまして、「国際競争力強化のための産業設備の近代化」というものがございまして、そのあとへ続いて、「合理化と国内産業体制の整備」ということばがあるわけでございます。それを受けまして、この基本方針を受けて、いわば各論的にこれをまたさらに明らかにしておりますところに、「国内産業体制の整備」という標題のもとで、この「産業体制を整備して早急に国際競争力を強化する必要がある石油化学工業……乗用車工業及び特殊鋼工業について」、云々というようなことばが出てくるわけでございます。したがって、「国内産業体制の整備」ということばはございますけれども、体制金融なる用語は、実は法令その他にもございませんし、いわば俗な、つまりいわば耳なれたことばというふうな、新聞紙上にもちらちらございますし、その程度の意味と御理解いただいていいかと思いますが……。
○成瀬幡治君 たくさんほかにも、須藤さんも、大竹さんも質問があるようですから、あまりくどくどしいことはやめておきますが、いままで大体私は開銀から出される項目は、電力、海運とか、いろいろなふうに区分していろいろ出されているわけですが、「その他」というのも大きな柱になって、資金量からいえば大きな柱になっておりますが、何かこう特定な産業をあれこれと指定していきまして、そして株でいえば推奨株みたいなもので、そして推奨株で証券会社がめちゃくちゃになってしまった。どうも国策という美名に名をかりて少しうまくやり過ぎるように思うわけです。なるほど国際競争力をつけるとか、関連産業が非常に多いから非常に大事な問題だということも私は理屈だと思うのですが、いま現にこういうことで体制金融という俗語で呼ばれておるものについて、もうすでに貸し出しを完了したものがございますか。
○政府委員(佐竹浩君) これは大体三十八年度から実は姿をあらわしておるわけでございます。三十八年度に実行が二十五億円でございます。三十九年度にはこれが実行で三十五億円でございます。四十年度は実はまだ締まっておりませんから、進行中。なお、内訳を申しますと、三十八年度に二十五億と申しましたけれども、その中で乗用車工業はゼロでございます。全然出ておりません。それから、石油化学で十五億、特殊鋼で十億、こういう内訳になっております。それから、三十九年度の三十五億と先ほど申しました内訳は、乗用車工業ゼロです。出ておりません。それから、石油化学で二十五億、それから特殊鋼で十億、そこまでが実行でございます。四十年度は一応計画として五十億円を予定しているわけですが、その内訳としては、乗用車工業はございませんが、石油化学で四十億、特殊鋼で十億というのが現状でございます。
○成瀬幡治君 私は希望でございますから、こういうことについての御答弁は求めないのです。希望だけ申し上げます。
 少なくとも俗語で呼ばれる体制金融というようなことについては、それは国策上必要だろうということはわかりますが、少なくとも国会で大論争があって、そして法律は実はなくなったけれども、実質的にこう受けていくということは、いわゆる議会民主主義のルールにはずれたやり方だと思うのです。これは議会を否定して、独善的なことなんですよ。法律はないのだけれども、実際は金のほうでやっているということなんです。こういうことは私は非常に残念だと思うのです。ですから、俗語で呼ばれる体制金融の貸し出しについては非常に慎重であってほしい。元来ならばやめてほしいと思っています。しかも、そういう中で、特にまたこの中で問題を個々に掘り下げていけば、たとえばこのことが合理化を強要することによって労使間の紛争というようなものが巻き起こることもあるわけです。少なくとも政府資金でございますから、そういうような紛争があるようなところについては、少なくとも解決があった後に貸し出しをするというようなことぐらいは私はしていただかなければならぬと思う。根本理念でいうならば、実はそういうことはやめてほしいと思うのですけれども、三十八年に実行として二十五億があるじゃないか、三十九年にも実績が出てしまった、まあほんとうにこれは無届けで婚姻しちゃって私生児が生まれちゃったわけです。そういうわけですから、非常に私はこういう問題については残念だと思います。ということを繰り返し申し上げるとともに、労使間の紛争のあるようなところについては、体制金融については十分配慮して運営していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
○大竹平八郎君 ごく簡単に一、二点お尋ねいたしたいのですが、最近の海運界の立ち直り、これは御承知のとおり根本的に合理化という問題が中心になるわけですが、しかし、その合理化を推進した指導力というものは、やはり何といっても私は開発銀行にあると思う。そういう意味で、ゼロから出発した海運界が今日のような体制になったということについての開発銀行の使命というものは、非常に高く私は評価しなければならぬと思うのです。それだけでなく、今後ますます海運界としましては開発銀行にたよる面が非常に多いと思うのであります。
 そこで、これは計画ではないと思うのですが、計画造船すべてのことは基本的には一応運輸省がおぜん立てをして、そうして各船会社と交渉し、そうしてあなたのところと金融関係について相談する、おそらくそういう経路だろうと思うのですけれども、ここで特にひとつ総裁の御意見を伺い、かつ私が痛感をしていることで希望いたしますことは、最近の東南アジアの旅行の状況なんです。私どもいろいろな関係で始終香港とか台湾とか東南アジアに行くのですが、日本の観光客――観光といってもこのごろはどこの国でも一つの国策ですから、レジャーといえども国策なんですから。ところが、非常に日本人がどこでも多いんですね。この間私ちょっと十日ばかり前に香港に行きましても、どこに行っても、日本の団体で埋まっているんですな。調査いたしますと、アメリカに次いで数の上からいうと日本人が多い。消費の点からいえばはるかに、日本の消費癖が出まして、アメリカよりも多い。これは本来の日航だけを使っているなら、これはともかくなんですが、日航といっても輸送力に限度がありますので、結局外国の飛行機が非常に多いと思うのです。これはパーセンテージとしても非常に多いと思うのですね。今後ますますそういう点が多くなっていくと思うのです。それから、台湾に行きましてもそうです。どこに行きましても、日本人の団体に会うのです。そういう意味からして、海運界にも相当ないま要望があるのですが、適当な客船ですね、いわゆる観光客船と申しましょうか、すでに商船三井が南米の移民船を改良してこしらえているようにも聞いておりますけれども、あんな大きな必要はないわけです。たとえば、きのう新聞に出ておりましたが、ソ連船が日本の団体客を乗せて、そして香港に行って七万円というような記事を読みましたが、片道か往復か知りませんけれども、非常に安くあがるわけです。そういう意味で、私は少なくとも今後ますますふえるであろうと想像されるこういった日本の東南アジアに行く観光客等に対する適当な客船を、もうぼつぼつつくっていい時期に来ているのではないか、こう思うのですが、これは海運界の各会社十分そういう意向を私は持っていると思う。しかし、これは乱造されても非常に困るわけです。過当競争になっても困るわけなんですが、こういう点についていま計画が進められておるか、あるいはまた総裁としても将来そういう問題についてはひとつ考えてみよう、あるいはそういう話があったらば相談にも乗ってみよう、こういう御意向があるかどうか、ひとつこの際承りたい。
○参考人(平田敬一郎君) 海運の事情にたいへんお詳しいような御質問でございますが、私ども観光客船の問題も、たしか二、三年前でしたか、三、四年前でしたか、一ぺん話題にのぼりまして、運輸省とも話し合ってみたことがございます。その当時は、あるいは場合によっては計画ができるかといったような話もございましたが、どうもやはりそろばんをはじいてみますと、よほど政府から強い援助がなければ、開発銀行の六分五厘の融資だけでは、とてもそろばんに合わないんじゃないかというので、たしか取りやめになって今日に至っておるようでございます。もっとも、その当時、いまお話しのように、日本の近海というよりも、もう少し遠方の、本式の、最近横浜港に着いております例の客船にまでいかないにしても、あれに近いようなものを考えていたようでございまして、まあそこに無理があったのかもしれぬと思いますが、そういうことを記憶しております。
 それから、いま御指摘の、実は移民船を客船に改装しまして、昨年来運航しているのですが、ちょうど私、二、三日前、社長に会って状況を聞きましたところが、意外にいいという報告を実は受けております。やはり日本人だけでなく、外人も相当乗るらしいですね。あれがもしもハワイ、アメリカ本土間まで自由にお客を取れれば、たいへんなものだけれども、そこまでできないところが問題で、あとは非常に利用状況がよろしいという報告を受けまして、まだ数学的な実態がどうなるか、そこまで検討しておるわけではございませんが、三月過ぎましたら、その辺の資料も取って検討してみたいと思います。これも実は相当多額の融資をいたしておりますので、多大の関心を持っておるわけでございます。
 なお、最後にお話しの、もう少し近回りの客船はどうかということでございますが、これは一つの着想かと思いますけれども、まだ私、実はその話は初耳でございまして、あるいはどこかで検討しているかもしれません。そういうところがございましたら、また話でも承りましていきたいと思います。
 どうも世界的に、一体客船がどうなるか、だいぶ問題が多いようでございます。イギリスでも、一昨年でしたか、巨大な客船をつくるかつくらないか、これは大問題になりまして、どうもその後の様子を聞いておりませんが、相当大きな政府の援助が要るというので、少し計画を変えたらしく聞いている次第でございますので、客船の問題は、航空機の問題と関連して、どういう地域にどの程度の料金ならばどのくらいのファンクションを営み得るか、その辺をよく検討してきめないと、先ほどございましたけれども、そろばんがとれるかとれないか、まあむずかしいものの一つであるということで、私どもいろいろ意見がございましたら、十分検討させていただきたいと思う次第でございます。
○大竹平八郎君 数から申しますと、香港は大体一カ月平均日本人だけ六千人なんです。昨年の実績は、おそらく七万人を突破しているんですね。それから、いま一つ、私は、東南アジア向け客船ということは、中華民国――台湾ですね。これは御承知のとおり、戦前の日本人は四十二、三万人ですね。それでも高砂丸をはじめとして三ばいの船がいつも超満員で往復した時代というものがあるわけです。あそこにいる千二百五十万人の台湾人自体というものは、いま政府が出国が非常にきびしいわけです。しかし、これは台湾の経済というものは、御存じのとおり、いま東南アジアでは日本に次いで豊かな経済になっている。したがって、政治のいろいろな問題も緩和されてきて、出国という問題も、そう遠からずして自由に出入りができるようなときがくるのではないか。そうなりますと、日本に対してあれだけの親近感を持った民族というのは、これは総裁も御存じだと思いますが、世界にないわけです。これは借金をしても一ぺん日本に行ってみたいという声は、どこに行っても全土に満ちているわけです。さらにこれが、解禁というと極端なことばですけれども、これが解除されるというようなことになったら、これは私は当時の、戦前の四十万人の日本人が行ったり来たりしていたときと違って、千何万人の中の幾ら動くか知れませんけれども、これは二はいや三ばいの大型客船を持っていても定期ができるのじゃないかというようにも、私ども考えたわけですから、そういうことも頭に置いていただいて、ひとつ御検討願いたい。
○委員長(徳永正利君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
  本日は、これにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
     ―――――・―――――