第051回国会 大蔵委員会 第30号
昭和四十一年六月二十七日(月曜日)
   午前十一時二十八分開会
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   委員の異動
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
      西川甚五郎君    中村喜四郎君
      木暮武太夫君    内藤誉三郎君
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  出席者は左のとおり。
    理 事
                青柳 秀夫君
                日高 広為君
                藤田 正明君
                柴谷  要君
                中尾 辰義君
    委 員
                伊藤 五郎君
                植木 光教君
                大竹平八郎君
                大谷 贇雄君
                栗原 祐幸君
                西郷吉之助君
                内藤誉三郎君
                中村喜四郎君
                西田 信一君
                林屋亀次郎君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                成瀬 幡治君
                野溝  勝君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
                小林  章君
   衆議院議員
       修正案提出者   村山 達雄君
   国務大臣
       外 務 大 臣  椎名悦三郎君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       建 設 大 臣  瀬戸山三男君
   政府委員
       外務政務次官   正示啓次郎君
       外務省アジア局
       長        小川平四郎君
       外務省経済協力
       局長       西山  昭君
       外務省国際連合
       局長事務代理   滝川 正久君
       大蔵政務次官   藤井 勝志君
       大蔵政務次官   竹中 恒夫君
       大蔵大臣官房財
       務調査官     川村博太郎君
       大蔵省主計局長  谷村  裕君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省国際金融
       局長       鈴木 秀雄君
       国税庁長官    泉 美之松君
       建設政務次官   谷垣 專一君
       建設省計画局長  志村 清一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       外務省条約局外
       務参事官     大和田 渉君
       外務省国際連合
       局外務参事官   松井佐七郎君
       農林省農林経済
       局参事官     岩下 龍一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○企業組合に対する課税の適正化に関する請願
 (第一号)(第二号)(第二八号)(第二九
 号)(第七一号)(第一二一号)(第一三八
 号)(第一六一号)(第一九一号)(第五二〇
 号)(第六一六号)(第二三五五号)
○バナナの関税率引下げに関する請願(第三号)
 (第一二八号)
○個人企業の完全給与実施に関する請願(第八一
 号)(第一一九四号)
○たばこ販売手数料引上げに関する請願(第二四
 七号)
○バナナの輸入関税すえ置に関する請願(第二六
 九号)(第二八五号)(第二八八号)(第三一
 三号)
○地方公務員の互助団体掛金を所得税法上「社会
 保険料」として取扱うことに関する請願(第二
 七四号)(第三一七号)
○畦畔の所有権に関する請願(第三一二号)
○東京拘置所跡地公共利用に関する請願(第三二
 四号)(第三二五号)(第三二六号)(第三二
 七号)(第三二八号)
○引揚者在外私有財産補償処理促進に関する請願
 (第三八四号)
○貸金営業法制定に関する請願(第八七〇号)
○阿波丸撃沈に対する賠償請求権放棄に伴う代償
 措置実行に関する請願(第九二七号)
○ゴルフ場の入会保証金制度禁止措置に関する請
 願(第一一六〇号)
○旧日本軍の爆発物による被災者に対する補償措
 置等に関する請願(第一一九五号)(第一二九
 七号)
○農村の出かせぎ者に対する税金減免に関する請
 願(第一三四七号)
○国民金融公庫の行なう戦傷病者の恩給担保融資
 額是正に関する請願(第一四九〇号)(第一五
 〇五号)(第一五八五号)(第一六一七号)
 (第一六九九号)(第一七〇〇号)(第一七一
 八号)(第一七八二号)(第一七八三号)(第
 一八五九号)(第一八六〇号)(第一八六一
 号)(第一八八三号)(第一九一〇号)(第二
 〇二一号)(第二〇三二号)(第二〇七七号)
 (第二三三六号)(第二三九六号)(第二四六
 一号)
○地震保険制度確立に関する請願(第二一一八
 号)(第二一四二号)
○戦時中の軍部前渡金に関する請願(第二一四九
 号)
○戦傷病者に対する所得税是正に関する請願(第
 二二六四号)
○公衆浴場業に対する所得税、法人税減免に関す
 る請願(第二二八七号)(第二五九八号)(第
 二六〇一号)(第二六一五号)(第二六一六
 号)(第二六六四号)(第二六七六号)(第二
 六八二号)(第二七〇九号)(第二八六六号)
○国民金融公庫環境衛生部融資に係わる公衆浴場
 業者の借入金利子に対する特別減免措置に関す
 る請願(第二二八八号)(第二五八〇号)(第
 二六〇二号)(第二六一七号)(第二六六五
 号)(第二七一〇号)(第二七五五号)(第二
 八六七号)
○土地対策のための税制改正に関する請願(第二
 三四三号)(第二三七九号)(第二三八〇号)
 (第二三八一号)(第二四二七号)(第二四二
 八号)(第二四二九号)(第二四三〇号)(第
 二四三二号)(第二四七七号)(第二四七八
 号)(第二四七九号)(第二四八〇号)(第二
 四八一号)(第二四八二号)(第二五三〇号)
 (第二五三一号)(第二五三二号)(第二五三
 三号)(第二五四二号)(第二五六〇号)(第
 二五六一号)(第二六三五号)(第二七二二
 号)(第二七三八号)(第二七五四号)(第二
 七八二号)(第二七九三号)(第二八二六号)
 (第二八六五号)(第二八七七号)(第二八七
 八号)
○平安基金積立の立法化に関する請願(第二四三
 一号)
○都市近郊農業者の農地相続税軽減に関する請願
 (第二九二一号)(第二九八八号)(第三〇一
 五号)(第三〇三九号)(第三一九六号)
○入場税軽減に関する請願(第三〇三八号)(第
 三〇七〇号)
○租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
○継続審査要求に関する件
    ―――――――――――――
  〔理事青柳秀夫君委員長席に着く〕
○理事(青柳秀夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 徳永大蔵委員長が急病のために出席できませんので、委員長から私に代理をつとめるようにとのお話がございました。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○理事(青柳秀夫君) この際、委員の異動について御報告申し上げます。
 本日、西川甚五郎君及び木暮武太夫君が委員を辞任され、その補欠として中村喜四郎君及び内藤誉三郎君が選任されました。以上でございます。
    ―――――――――――――
○理事(青柳秀夫君) 請願第一号 企業組合に対する課税の適正化に関する請願外百十七件の請願を一括して議題といたします。
 速記やめて。
  〔速記中止〕
○理事(青柳秀夫君) 速記を起こして。
 引揚者在外私有財産補償処理促進に関する請願一件、阿波丸撃沈に対する賠償請求権放棄に伴う代償措置実行に関する請願一件、地方公務員の互助団体掛金を所得税法上「社会保険料」として取扱うことに関する請願二件、東京拘置所跡地公共利用に関する請願五件、貸金営業法制定に関する請願一件、国民金融公庫環境衛生部融資に係わる公衆浴場業者の借入金利子に対する特別減免措置に関する請願八件、ゴルフ場の入会保証金制度禁止措置に関する請願一件、以上の請願は院の会議に付することを要するものにして内閣に送付いたすことを要するものと決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。よって、さように決定いたしました。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
○理事(青柳秀夫君) 次に、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 本案につきましては、去る六月二十五日、衆議院から送付され、本委員会に付託されました。
 この際、本案に対する衆議院の修正点について、衆議院議員村山達雄君の説明を聴取いたします。村山君。
○衆議院議員(村山達雄君) ただいま議題となりました修正案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 修正の案文はお手元にお配りしてありますので、朗読は省略さしていただきます。
 修正のおもな内容は次の二点であります。
 まず第一点は、長期譲渡所得に対する課税に関する修正部分でございます。御承知のように、政府の原案におきましては、今後個人が三年以上持っております土地、建物等を売ります場合に、漸次現在の二分の一課税方式を重課していこうとするものでございます。すなわち、昭和四十二年分につきましては、譲渡による利益のうち、収入金額の九割以上を占める部分につきましては全額課税、四十三年につきましては、収入金額の七割をこえる部分の超過利益に対しまして全額課税、四十四年からは収入金額の二分の一以上をこえる部分について全額課税、こういうふうに漸次強化していこうとするのでございます。このねらいといたしますところは、地価対策上二点ございまして、一つは、従来から引き続き持っております土地につきまして、できるだけ早くその売却を順次強化することによりまして、その売却を促進しようとするものでございます。もう一つは、今後個人のしろうとの人たちが公共事業等によって値上がりのある分について思惑による買いあさりを抑制しよう、こういう土地対策上二つの点をねらいまして、これらの措置を通じた土地の需給関係からいたしまして将来の土地の値上がりを押える、こういう点をねらっておるのでございます。
 衆議院におきましてこの点を検討いたしたのでございますが、土地対策上はなるほど相当有力の手段であるかもしれぬけれども、税制上はやや疑念があるというのでございます。すなわち、政府の説明によりますと、従来の土地の値上がりは、主として膨大な公共事業によって値上がりをしたものであるから、その一部を全額課税をするということによってそうたいしたことではないんじゃないか、この案によりましても、四十二年には原価の九倍以上もうかった場合のその一部について全額課税をやる、それから四十三年は原価の二倍三分以上もうかった部分についてだけ全額課税をやる、四十四年からは原価の倍以上もうかった部分について全額課税をやるというのであるから、ですから、公共事業によって値上がりしたさような超過利益のごく一部に租税をかけるということで、それほどおかしくもないんではないか、こういう議論であるわけであります。ただ、衆議院において検討いたしますと、これから買う分については、買う人はあらかじめ超過負担を予測して買うものでございますから、それほど弊害はないのでございますが、いままですでに持っている分につきましては、なるほど超過課税とはいうものの、すでに半額課税ということを前提にされている。しかも、政府のいうところの公共事業の遂行によって値上がりした部分に課税するといっているけれども、この政府原案を見ますと、そういう土地の部分はございませんで、全国ことごとく土地及び土地の上に存する権利並びに家屋について一律に適用しようとするものでございます。したがいまして、公共事業によって値上がりした分にも適用ございますが、同時に、先祖伝来持っております田畑等を売った場合に、もしこれに該当していれば、結果としてその一部は徴収されることになるならば、政府のねらっております公共事業による値上がりを調整するといっているのだが、法案からいいますと、少し過剰防衛じゃなかろうか。言ってみますと、少し政府の原案では刃が切れ過ぎまして、ガンの部分だけ剔抉すればよろしいのでございますが、なかなかそうはいきませんで、少しオーバーである、こういうことになっているのでございます。
 われわれはこれを検討いたしまして、政府の土地対策はわかりますけれども、そういう税制上若干難点もございますので、少しこの将来の売却促進、これからの買いあさり、思惑による買いあさり、これを同時に、売却は促進し、それから思惑買いは押えよう、この二点をねらっているのでございますけれども、一方は税制上そういう難点がございますので、これをあきらめまして、今度の修正案では、今後の思惑買いだけ抑制していこう、こういうねらいでできておるのでございます。したがいまして、この案文をごらんになりますとおわかりになりますように、この改正法律案が公布された以降、思惑買い、売買によって買ったものについては、今後原価の倍以上もうかった部分についてはその超過利益だけ全額課税にするという趣旨になっているわけでございます。おそらく最近におきます土地の値上がり状況を見ておりますと、相当頭打ちが来ておりますので、これから買うものに今後倍以上に値上がりするというのはほんとうに公共投資に便乗いたしまして収容地付近で買ったというような場合だけに限定されると思われるのでございます。
 なお、衆議院では一つ問題ございまして、不動産会社あるいは個人の土地の売買業者、こういう人たちがおもに思惑をやっているのだから、この人たちを差しおいて、そして個人のしろうとだけ押えるのはどうかというお話がございましたが、御案内のように、不動産会社あるいは個人の不動産売買業者はいずれも、これはその業にとりましてはたなおろし資産でございます。したがいまして、事業所得といたしまして全額課税が行なわれているわけでございます。したがいまして、それ以上かけるには法律上疑義がある。少なくとも個人については累進税率によって二分の一とはいいながら、その分は国が取っておることになりますので、それ以上、全額課税以上に取るには疑義がある。しろうとにつきましては、たまたま二分の一課税という現行の軽減税制を利用して買っている向きが相当ありますので、今回はそれだけを押えていこうという趣旨でございます。
 修正の第二点は、いわゆる二線引き畦畔の保有登記の登録税率に関する修正でございます。御承知のとおり、去る第四十八国会におきまして、大蔵委員会におきます平林委員の質問に端を発しまして、一般の農地に介在し、登記所の土地台帳の付図に二線引きの実線で示されている無地番の土地、いわゆる二線引きの畦畔が国有地であるか民有地であるかということにつきまして、大蔵委員会におきまして大いに論議されたのでございますが、その後政府におきまして検討の結果、これらのもののうち少なくとも民法上の取得時効が完成しているものについては、裁判上の時効の援用を要せず、その者の申請に基づいてこれを国有財産台帳から除却して当該申請者にその所有権を移転できる旨の取り扱いがなされることと相なった次第でございます。したがいまして、このような特殊事情を考慮して、二線引き畦畔の所有権を取得時効によって取得した場合の保存登記の登録税率につきましては、一定期間内に登記がなされました場合に限りまして千分の三に軽減しようと、これは現在の保存登記が千分の六でございますから、それよりさらに半分程度の低い税率で、その性質にかんがみまして低い負担だけをかけようと、こういうのでございます。
 何とぞすみやかに御審議の上、御賛成あらんことをお願い申し上げます。
○理事(青柳秀夫君) それでは、ただいまより本法律案に対する質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○柴谷要君 きょうは国会最終日、最終日に提案なさる修正案の説明を聞いてみましても、十分な検討はできない。この法律は、建設にかかっております土地収用法と関連を相持っておるということは御承知のとおりであります。もし建設のほうで土地収用法を可決することがなかったとした場合に、この法律を上げても無意味じゃないか、こう思うのです。そういう点から、審議する時間もなし、衆議院で修正された内容についても十分な検討をする期間もない、また、参議院自体これまた修正の意思も持っておるんでありますので、村山君への質問は避けたいと思いますが、遺憾ながら今次国会はおあきらめを願いたい、こういうことを特に私は理事として申し上げておきたいと思う。こういうばかげたことが審議できるはずがありません。
 委員長、私は、もう時間もありませんし、昼食ですから、ほかに私以上に真剣な人があって、質問をして上げたいという人がおありならば、御質問なさってもけっこうだと思います。私は、この法律案はそのような取り扱いをいたしたいと、こういうことを申し上げて、質問ならざる意見を述べて終わりたいと思います。
○理事(青柳秀夫君) 他に御質疑のおありの方はお述べを願います。
○植木光教君 本案をいま上げるか上げないかということは、これからあとの問題にしまして、ちょっと一、二点質問をいたします。
 いま衆議院での修正案についての御説明を伺いましたが、修正をしたのは思惑買いを抑制するのが大きなねらいだと、こういうお話でありました。この点についてはよくわかりますが、こういう修正をしましても、いま政府が進めている住宅政策の五カ年計画の六百七十万戸、そのうちの大部分、六割以上民間に依存しているという状況なのでありますが、その際に、こういうふうに将来税率を高くしていくのだということになりますと、思惑買いは防止できても、ほんとうに住宅を建てようと、これから住宅建設を進めていく上にあたって売り手がちゅうちょする、あるいはまた、売る際には重課分を地価に上積みして、かえって地価が高くなるというおそれがないのかどうかということを、まずひとつお聞きをしておきたい。
 それから、もう一つは、居住用財産の買いかえの問題ですが、これも衆議院で問題になったというように聞いておりますけれども、その辺のところ、どういう点がどういうふうに問題になったのか、そうしてまた、これについての修正意見も非常に強かったということでありますけれども、どうして衆議院の段階では修正をせられなかったのであるか、その辺のことも聞いておきたいと思います。
○衆議院議員(村山達雄君) まず、前段のほうで、売り惜しみによって、今度は新しく実需で住宅を買う人が非常に困りゃしないか、こういうお話でありますが、ここにありますのは、今後買う人が売る場合の話でございます。しかも、長期譲渡所得でございますから、今後買いまして三年以内に売りますれば、この改正とは関係ございません。現行法でも全額課税になるわけでございます。で、半額課税の利点を利用いたしまして、四年目以降に売る分について買いあさりを押えようというわけでございます。したがいまして、全体の実需に対する土地の供給というのは、ほとんど大部分が今日持っている人が売るわけでございますで、これを重課いたしましても影響はほとんどないというふうに見ているわけでございます。
 それから、衆議院段階における買いかえの議論でございます。これは二つの問題があるわけでございます。一つは、住宅を売った場合に買いかえができる人と、それから売りっぱなしの人との課税のバランスの問題でございます。もう一つは、住宅を売って買いかえる人と、それから事業用の土地、建物を売ってほかに代地を求めた場合の事業用資産の買いかえとのバランス、この二つが問題になったわけでございます。
 で、住宅につきましては、いま買いかえできる人につきましては、これは全部課税留保をいたしまして、それで売った土地、家屋の原価をそのまま引き継ぎまして、買いかえた土地、家屋を将来売った場合に、最終的に売り放した場合、そのときに初めて税金を徴収するという制度であるわけでございます。ただ、この場合、売却価格に金を足しまして、より大きな家を買うのが多くの例でございます。一方、売りっぱなしの人というのはどういうことになるかというと、ほとんど大部分の人は、働き手が死んでしまって、未亡人と子供がいままで住んでおった家をとても維持できませんものですから、これを売ってそれで借家住まいをする、こういう場合でございます。この住宅の買いかえの場合、なるほどその課税は将来に留保するということを言っておるのでございますが、われわれ実務的に見てみますと、ほとんどこれは言うべくして行ないがたいわけでございます。たとえば東京の家を売っていなかに買いかえる、そのときに東京のもと売った家の原価が幾らであるかというようなことは、いなかではとてもトレースできないわけでございます。したがって、事実上は永久免税になっておる。これが一つの問題でございます。ところが、今度は、売りっぱなしで借家住まいをする人は、現行法でいいますと、三十万円しか控除が認められないのでございます。で、そこの不均衡が、片方は永久免税、片方は、だんだん没落していく家庭は、三十万円控除の二分の一課税でもってきびしく課税される、ここの均衡をとろうというのが、今度の趣旨であったわけでございます。
 衆議院で問題になりましたのは、それは一応わかるにしても、事業用資産との買いかえのバランスはどうなるのか、こういう問題だったと思います。将来、と申しますのは、二年後になりますと、事業用資産の買いかえの期限の特例の時点が参ります。今度個人の住宅用資産の買いかえを廃止するということは、やがて事業用資産の買いかえも個人については廃止する意図があるのではないか、こういうことを衆議院段階では憶測しておったのでございます。われわれの見るところ、反対理由は主としてその点にあったと思うのでございます。しかし、今度住宅用の買いかえを廃止して、九百万円の控除一本にいたしまして、没落階級とそうでない階級とのバランスをとろうといたしましたのは、その住宅の買いかえの原価の引き継ぎということが事実上できないで、片方は永久免税になっておる、ここにねらいを置いておるわけでございます。そうだとすると、事業用資産については、これは当然すべて営業帳簿に記録されるわけでございます。したがって、買いかえ制度を存置いたしましても、将来かわりに買った資産を売れば法律の目的とする趣旨は貫けるわけでございます。したがいまして、われわれは事業用資産についてはおそらく二年後はこれが存置されるのではなかろうか、こういうことも思っております。したがって、この際としては、住宅用資産の没落階級とだんだん繁栄する階級との譲渡所得のバランスをとれば足りるのではないか。反対の意見は、事業用資産についてまで個人については将来廃止されるのではないか、こういう懸念、あるいは少なくともそのときまでこの改正を待ってもいいじゃないか、こういうのが主たる論拠だと、こういうふうにわれわれは推察しておるわけでございます。
○植木光教君 大蔵省にお伺いをいたしますが、いまのお話の事業用財産の買いかえ制度について、居住用財産がこういう扱いになってくると、将来事業用財産についても当然同じ考え方が適用されるのではないかというような意見がありますね。ですから、その点についての見通しをお聞きしたい。
 もう一つは、建設省のほうにお伺いしたいのですが、これから過密都市対策をやっていかなければならない、都市再開発もやっていかなければならないわけなんですが、その際に居住用財産の買いかえの制度の改正というものが障害にならないのかどうか、その点について御確信があるのかどうかということについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(塩崎潤君) ただいまの植木先生の御質問は、村山先生にもなされました居住用財産の買いかえの廃止、これとの関連において事業用財産の買いかえ制度がどうなるかという御質問でございます。居住用財産につきましては、改正の経緯は、ただいま村山先生の言われたことが相当大きな原因でございます。なお、私どもはさらにまた土地対策といたしましても、この買いかえ制度が、買いかえという誘因によりまして大きな土地を買っていく、不用の土地を買っていく、こういうようなことも、はたして土地対策として適当であるかどうかということ、こういうことが考えられるわけでございます。さらにまた、村山先生のおっしゃいましたように、買いかえ制度は零細な家を売る者に対しましても複雑な手続を要求するものでございます。さらにまた、私は不必要な資産を維持できない方が小さな家に移っていくこともまた、現在の土地の需要を少なくする意味におきまして、土地の供給をまた逆に大きくする意味におきまして効果のあることではないか、こう考えて御提案申し上げておるわけでございます。
 そういった意味で買いかえ制度の、今度は居住用財産につきまして九五%までは、ほとんどむずかしい買いかえといわなくとも、免税のままで新しい家が買える。そのときに売りましても、新しい取得価額といいますか、新しい時価で譲渡所得の計算ができる。非常に常識に合った制度が実現されるのではないか、こんな意味で買いかえ制度は土地対策の一環としても見ていきたい、こういうように考えております。
 しからば、次は、事業用財産の買いかえはどうなるかという問題でございます。私は居住用財産と事業用財産とは性格的にも違ったものだと思います。その点は村山先生も御指摘のように、一つの企業財産の基礎といたしまして帳簿にも確実に記載され、さらにまた将来それが売られたときはどうなるかということがはっきりするんではないかというお話でございます。さらにまた、政策的に考えましても、中小企業団地あるいは首都圏からの拡張困難な都市の再開発の政策にあわせまして、中小企業者が郊外に出て土地を持つということも政策的に現在奨励されておる段階でございます。その点は任意に、しかもまた大きな家について自由に居住財産を買っていく場合とは相当違った社会の要請が事業用財産については現在あるように見受けられるわけでございます。
 さらにもう一つの角度は、事業用財産につきましては、この買いかえ制度を廃止するかどうかということは、期限の到来の際に今後慎重に検討すべき問題だと思いますが、私はやはり居住用財産のような九百万円という控除で、事業用財産についてこれを見返りの制度を設けることはなかなかむずかしいのではないか。事業用財産につきましては、おそらく適正なる金額というものはむずかしかろうと思うんでございます。そんなような意味で、私は事業用財産についてはより政策的に見ましても、買いかえ制度を存続する可能性は十分認められる。これはいずれも期限が来るわけでございますから、その際の検討にゆだねられるわけでございますが、居住用財産とは違った意味で私は合理的な根拠があろうかと思うんでございます。もちろん、事業用財産のうちでも、ときどき言われておりますのは、都市周辺のゴルフ場がだんだん住宅地に変わっていく。また、大きな金を受け取ったときに、どこかで不用と思われるようなものまで土地を買っていくというようなことも言われておるようでございますが、そのあたりはどういたしますか、研究問題でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、中小企業団地あるいは首都圏整備、こんなようなことを考えると、居住用財産と違った意図の存続理由、合理的な根拠が認められるのではないか、かように私は考えております。
○政府委員(谷垣專一君) 過密都市対策との関係において買いかえがどういう影響があるか、あるいは悪い影響があるのではないか、こういう御質問かと思いますが、この都市再開発の関係いたしております法律では、たとえば住宅地区改良法あるいは市街地の改造法というような法律の適用があるわけでございます。これは御存じのように、土地収用法の適用がございますので、したがいまして、御指摘のような問題は、土地収用法の適用という形で問題はないと私たちは考えております。それから、そういう適用のない、たとえば工場あるいは先ほど申されましたような商店等の場合どうだという議論は、これは先ほどの事業用財産の問題でございますので、この買いかえの問題とは、先ほど来の御意見で御理解願えたと思いますが、関係がないと、こういうことになるかと思います。
 現在の税制の問題を抜きにいたしましても、問題になりますのは、たとえば都内でかりに二百坪なら二百坪の土地を売ったりいたしました場合には、土地単価は非常に高い状況でございます。したがって、これを値上がりの激しい郊外の土地を買ってやります場合に、そのままの代金をそちらに投入いたしますというと、これは数百坪、二百坪以上のあるいは五百坪、六百坪というような土地が対象になるわけです。そういうことで五百坪、六百坪の土地が住宅用地として不適当だというわけではございませんけれども、しかしながら、郊外の土地値上がりの急激な今日の現状から申しまして、ある程度の居住用財産として使われる土地は限度があってしかるべきじゃないかという考え方が、土地問題のほうから申しますとあるわけでございます。これは決して居住用の土地を制限するという意味ではございませんけれども、しかし、買いかえの場合にそれに無制限に税をかけないという形はいかがなものであろうかということで、先ほど来のお話の九百万という限度をつけて、買いかえの全然無税だということを改めよう、こういう考え方でございますので、御指摘の都市再開発という大きな仕事の場合にこれが支障になるとは考えておりません。むしろ地価全体の上昇率をこれでとめていく、こういう効果があるというふうに私たちは考えておる次第でございます。
○理事(青柳秀夫君) ほかに御質問はございませんか。
 それでは、暫時休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後七時三十三分開会
  〔理事青柳秀夫君委員長席に着く〕
○理事(青柳秀夫君) 休憩前に引き続き、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○成瀬幡治君 まあ地価の値上がりというのが物価全体の張本人という、ことばは悪いですけれども、何にしても物価のことを最近議論するなら地価のことを議論しなければならない。この地価が一番問題である。そこでですね、農地法というのがございまして、働く農民でなければ農地は保有することはできない。ただし、それは地主等の保有は認めましたけれども、原則として働く農民でなければ農地は持つことはできない、こういう思想があって、そうしてああいう農地改革というものが行なわれてきたわけですか、したがって、普通の何というのですか、土地を対象にして金もうけをするという、そういうことも片一方ではあるわけですが、これは農地法等と相反する思想から出ておると思うのです。
 そこで、片一方ではいま申しましたような、そういう農地法というもののああいう土地に対する考え方がある。土地の売買によって利益を得るというようなこと――生産のきかないものである。たとえばここにあるコップは生産がきくのだから、こういうものはそれは利潤の対象にしてもいいだろう。あるいは万年筆は生産がきくのだから、利潤の対象にしてもいい。しかし、土地というものは生産がきかぬじゃないか。なるほどそれは埋め立て等もあるかもしれませんけれども、とにかく生産のきかないものである。だから、こういうものを利潤の対象にすることはいかがなものであろうか、こういう考え方もあるわけです。ですから、地価対策の問題を議論する場合には、この基本的なものを議論しなければならないと思うのですが、当面、地価対策として、今回のこういう改正案が出たわけですが、そういう根本的な問題の考え方といいますか、地価を利潤対象にして、売買によって、値上がりによって利潤対象にすることの可否、いわゆる資本主義国家だからやむを得ぬよと、こういうことでは私は済まされない問題だと思っておりますが、そういうことについてはどういうふうにお考えになっているのか。これは建設か大蔵か、私はどちらか知りませんが、お答えを願いたい。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 土地の問題あるいは地価の問題を考えます場合に、私ども提案いたしておりますそれと一連の関連があります。あるいはこれの前提になっている土地収用法の改正、この基本的な考え方はどこにあるかといいますと、できるだけ簡略に恐縮でありますが申し上げますが、いま成瀬さんのお話のとおりな思想に基づいていると御理解願いたい。といいますのは、これはなかなかいまの日本の現状というものを前提にいたしますと、必ずしも簡単に国民一般の皆さんが理解されるとは思いませんけれども、しかし、いまお話しのように物価の問題あるいは生活の問題、これを深刻に掘り下げてみますと、私どもはこの際土地というものと人間の関係というものをもう一度振り返って深刻に考える段階に来ている。特に日本の場合は、まあこれは日本ばかりでなく、どこでもそうでありますけれども、今日物価の問題その他言われておりまして、いわゆる地価の上昇のために国民全般が何となく割り切れないものを持っている。しかも、経済の問題が非常に論議されておりますが、その根底を洗ってみますと、コストの底上げがおおむね地価の問題にかかってくる。国民生活――私ども住宅政策をいろいろ御批判を受けながらも強力に進めたいといたしておりますが、この問題の根底もやはり土地と地価の問題にかかってくる。こまかく申し上げる必要はないと思いますけれども、そういう次第でありまして、そこで土地と人間との関係をもう少し深刻に考えなければならない。特に日本の場合においてさようである。諸外国のことはこの際申し上げませんが。
 そういう意味において、いまおっしゃったように、憲法は御承知のように私有財産権を認めております。私どももそれを認めておるわけでございます。いろいろ御意見がありますけれども、これが正しいという立場に立っております。その際、いわゆる私有財産権、物に対する私有財産権を考えます場合に、土地の私有財産権とその他の私有財産権と同じようなレベルで評価し、同じようなレベルで考えるということは根本的に誤りがある。こういう基礎的な考えであります。といいますのは、いまコップの例あるいは万年筆の例をあげられましたが、土地はもう、申し上げるまでもなく、これは別につくりあげることもできない、移動することもできません。しかも、この土地を離れて人間はあらゆる活動をすることができない。この土地の上に政治も経済も文化も、すべての人間の諸活動というものは土地の上に限られておる。というと、今日やや疑問があるかもしれませんけれども、私は限られておると言っても過言でないと思っております。しかも、これはもう限られておる。いまお話しのように、土地を得られないからほかに生活の基盤ができるというしろものとは違います。なお、コップの例で、このコップは自分には手に入らないからということになりますと、ほかのコップ、あるいはコップがなければ茶わんでもよろしい、非常な妙な例を出しますけれども、そういうことができますけれども、土地はそうはまいらない。こういう意味において、土地は人間の諸活動の源泉として、この活動の母体として利用すべきものである、私どもそういう考え方に立っておるわけでございます。
 そこで、他の選択のできる財物の使用、利用と、人間のかってに選択のできない土地との扱いというものは、やはり憲法なり私有財産権においても、これは社会公共性と申しますか、日本民族のためには角度を変えた考え方で対処すべきである、こういう考え方が私ども正しいものである。ここまで深刻に考えまして、その土地というもので、これを切り売りして利益の財源になる、こういう考え方は間違いだ。
 農地のお話がありましたが、いわゆる農地改革、これはきわめてけっこうな措置であったと思います。これは農業生産によって生産力をあげる、それによって農業を営むための土地であるということで、私は農業改革、農地改革があった。その配分された農地によって、それを切り売りして利益を得るために配分されたものでないと私ども確信して疑いません。
 ところが、率直に申し上げて、土地所有権の考え方が必ずしも明確じゃなかった。それに対する取り扱いが必ずしもわが国において明確でなかった。それが今日の混乱を来たしておる。この問題の解決はそう簡単なものじゃありませんけれども、この際、私どもはやはり土地と人間というもののきわめて密接な関係、この解明に当たるべきであろう、そうしなければ諸問題の基本的な解決はなかなか進まない、こういう考え方に立っておるということを申し上げておきたいと思います。
○成瀬幡治君 むしろ建設大臣というよりも国務大臣としてお尋ねしたほうがいいと思いますが、いま申しましたように、大臣も指摘されたように、だれが何と言ったって、コストが上がる、地価が上がっちまって、工場などに例をとりましても、機械設備よりも土地のほうが高いわけです。だから、それはコストにはね返ってくる。そこで、地価のその問題を何としても抜本的にこの際何とかせなければ、私はチャンスがなくなるだろうと思います。そういうときに、せっかくいろんなことがございまして、今回の改正をお出しになったのですが、そうしますと、そういう問題は、今回の土地収用法を提案される前に、前提としていろんな議論をされたと思いますが、そういうような抜本的なことに対しての何らかの処置を、まあ近い将来、たとえば来年とかあるいは再来年ごろには、何とかそういう立法措置を講ぜられるようなお気持ちはございませんか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いまお話しのように、土地というものの性格、それからしたがって土地の利用という問題について根本的な方向づけをすべきであると思います。けれども、土地と人間との関係はあまりに密接である。しかも、従来わが国で民法が施行せられまして土地私有権制度というものが、まだ百年足らずであります。そこにほんとうの解明なくして民法が施行されて、そうして今日の混乱を来たしておると私は判断をいたしておりますが、それにもかかわらず、しかし実社会というものは御承知のとおりになっておりまするから、これを一刀両断に解決するということは、これはきわめて社会に混乱を来たし、また国民の皆さまが理解を一朝一夕に持つというわけにはいかない。そういうことも前提に置いて、私どもはやはり政治としてはやや現実に即した方向をとらなければならぬ、そうして順次改善をしなければならない、かような考え方でおります。
 そこで、私はさっき端的に土地の性格というものを申し上げましたが、そういうものを基本にした土地制度、こういうものを立てて、それから地価問題に取り組む、これが順序であろうと思います。それが正しい行き方であろうと思います。しかし、成瀬さんも御理解できると思いますが、これはそう短日月にはできない。できるだけ早いことが国民全体のために利益になると思います。けれども、実際の社会は違った方向で来ておりまするから、そう短兵急にいかない。けれども、現在の地価上昇の問題――多くの公共事業を現にやっておりますし、さらに拡大してやろうと私どもいろいろ計画を立てております。問題の住宅政策を、いろいろ御批判を受けておりますけれども、政府は真剣にこれに取り組もうといたしております。すべて地価の問題にかかっておる。そういう意味で、基本的な政策を立てることはこれは順次したいと思いますが、地価あるいは土地対策は総合的な政策をとらなければ、一片の法律でできないと思います。
 そこで、それはそれとして、これはできるだけ早く衆知を集めて、しかも国民の理解を受けてやらなければなりませんが、当面緊急な課題をやはり解決しながらいかなければならない。これが当委員会にお願いしておりますこの税制の改正の問題、あるいは別の委員会でかかっております土地収用法の改正の問題でございます。これも私は率直にいって、これで万全だとは思っておりません。しかし、国民の御理解を得ながらいくということになりますると、漸次理解を得ながらその本筋に乗っていかなければならないと、こういう考え方で、なまぬるいと御批評を受けております。後退をしておるという御批判もよく承っておりますけれども、そうかといって独善的にやるわけにもまいりませんから、いろいろ御批判をされて、そうして御理解を得ておる部分だけから実行していきたい、こういうことであります。
 私どもが特にいまの国会で、いろいろ国会審議のまだ問題がありますけれども、この問題を特にお願いしたいのは、この前進をぜひ助けてもらいたい。これはいまの内閣の問題だけじゃございません。私は社会党さんも同じお考えであろうと思いますが、これは国民の今日より将来にかけて――これを今日じゃ少し手おくれであります。手おくれでありますけれども、しかし、今日以後これを前進させる必要がある、一日も早いほうがよろしい、こういう強い信念で皆さんに御協力を頼んでおるわけでありまするから、やや不満足な点があり、あるいは足らない点があるということは大いに御指摘してもらってけっこうでありますけれども、御理解を願いたいと、こういうことでございます。
○成瀬幡治君 まあものには順序があり、そうして一挙にいろいろなことができないということも、私たちもわかります。しかし、政府がいま申されたような土地の問題、地価の問題について非常に苦慮されておるということも、私もわかります。しかし、とするなら、政府が非常に音頭をとって、少なくとも土地は利潤対象になりませんよという、そういう思想が国民の間に広がるように、あるいは起きてくるように、私はいろいろの機会をとらえて、PRをされるということも、政府の一番大きな仕事であろうと思います。したがって、先ほどは、二、三年後にそれではそういうような法律を、抜本的なことをと、こういうことを申しましたけれども、その前にはそういう大きな仕事があると思いますから、そういうようなことについては抜け目なく今後おやりになるものと期待をいたしまして、その問題はそれまでにいたします。
 次に、先ほど大臣が指摘されましたけれども、いわゆる憲法二十九条との関係でございますが、いわゆる公共の福祉というもの、この基準というものは、何でも公共の福祉なんだ、政府のやることは全部公共の福祉なんだ、こういうふうに割り切られておられるのか。その基準というものは、どこに置いておられるのか。政府のやる仕事が全部公共の福祉だ、こういうふうに割り切られるのか。公共の福祉とは何だというようなことについて、定義といってはおかしいけれども、そういうことについてあなたのほうの基準としておられるものは何なのか、お示し願いたい。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 公共のためであるとか、あるいは公共の福祉のためということは、憲法にも数カ点書いてあります。しかし、公共のためとか、あるいは公共の福祉のためということについて、法律上定義したものはございません。そこで、これは、定義的に申し上げることは、率直に申し上げてきわめて困難でございます。ただしかし、私どもが公共のためとか、あるいは公共の福祉のためと申し上げるときには、社会大衆のため、国民大衆のため、幅広く国民の利益になるものと多くの人々が判断される事業である、かように考えておるわけでございます。
○成瀬幡治君 いや、私も抽象的には大臣のおことばに反駁はいたしません。しかし、だれがそれでは――多数の者がそう判断すると、こう言われるが、私も間々、地方公共団体なら地方公共団体、あるいは政府のやることが全部公共のことであって、何というのですか、私は民間なんかでも実は宅地の造成という問題は、やはりほんとうをいえば公共の福祉だと思います。いわゆる第二十九条でいっても、そこまで拡大解釈をするかという議論があるかもしれぬが、いわゆる公共の福祉ということは、政府がやったことがなるのか、そうじゃなくて、またほかにもそういうものがあるのかないのか、というところをお聞きしておるわけです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 国なり地方公共団体がやることが必ず公共の福祉であることは、これは通じないものであると思います。まあ政府と申しますか、これはいわゆる国民一般のこと、あるいは地方公共団体でありますれば、その地方公共団体住民一般のこと、こういうことになりますから、おおむね公共のためにやるということが多いと思います。けれども、それが直ちに公共のため、という定義には私はならないと思う。いま御指摘のとおりに、たとえば、いわゆる民間の私鉄の企業でありましても、あるいはガス事業でありましても、あるいは電気事業であっても、その他もありますが、これはいわゆる民間の一面は営利企業でありますけれども、その企業の性格上、多くはやはり国民大衆のための仕事をやっている。こういう場合に、やはり公共性といいますか、公共のためという、レッテルというとおかしなことばでありますが、定義をつけられる。
 と同時に、社会公共のためとか、あるいは公共の福祉というような概念は、私はやはり時代の進展と申しますか、あるいは社会の変転と申しますか、それによって変化を来たすものであると思います。一例を申し上げますと、たとえば公共事業ということで土地の収用等を認めております。収用法でも逐次改正されておりますが、先年一番問題になりましたのは、個人の住宅について、一体これが公共性があるものかどうか、非常に議論になったことがございます。前には、失礼でありますけれども、社会党さんのほうあたりは、そういうものは公共性はない。個人の住まいであるということであって、最後に個人の財産になるものだ、したがってこれは公共性はない。社会党さんのみならず、一般の法律家もそうであった時代がございます。けれども、私どもは、住宅というものは基礎的な公共性のあるものであると。これは私の個人的な見解であります。これは全部通用するとは思いません。そういう私は考えを持っておりますが、住宅というものは、住まいというものが安定しなければ、すべての文化なり経済なりの活動というものは安定しない、こう考えておりますが、前に収用法の改正をいたします場合に――いま御承知のとおり、五十戸以上の団地については公共性を認めるということで収用法を適用することになりました。やはりそういうふうに、何が一体公共的なものであるか、これはやはりそのときの社会の事情、必要性、大衆の希望するところ、こういうことで逐次変遷を来たすものである。また変遷をしなければならないものである。かように――私先ほど申し上げたのは、そういうところにあるわけでありますが、いまや私は、住宅問題などは最高の公共性のある時代に入った、かように判断をいたしております。
 そこで、現在のところは、国なり地方公共団体等が施行する住宅団地等について公共性を認めておりますが、しかし、私は、現在の日本の社会では、まだまだそこまで通用しないと思い、遠慮をいたしておりますが、民間の団地造成、民間の住宅建築、これは今日の段階では非常に公共性の高いものであろうという判断をいたしております。
 ただ問題は、公共性を認める場合においては、公共性と個人の利潤というものとの調和が必要である。さっき電気事業あるいはガス事業と申しましたが、これはやはり公共性のほうにウエートを置いている。したがって、そういうものは、何と申しますか、電車賃、電気料金その他に国家的な規制を加えなければならない。利益はあがりほうだいだというわけにはいかない、住宅団地の民間造成等も、私はもうぼつぼつその段階に来ていると判断いたしておりますが、しかし、まだまだうかつには社会には通用しないであろうという考えを現在私は持っている、こういうことであります。
○須藤五郎君 関連。いま、大臣、住宅の公共性ということを非常に言われたと思うのですよ。それほど住宅の公共性ということを口になさるなら、住宅から固定資産税を取るのはやめたらどうですか。だってね、公共性のあるものは、固定資産税を取っておらぬ建物はたくさんあるでしょう。NHKの建物とか、例をあげればいろいろなものがたくさんあると思うのですよ。だから、そういう意味でなら、あなた、高度の公共性を認めると言っていらっしゃるのですから、だったら、個人の住宅の固定資産税なんか、同じように公共性を認めるのなら、廃止なすったらどうでしょうか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 須藤先生のお話もわからないわけじゃございませんけれども、私は先ほどお断わりしておりますように、いま私はそういうことが正しいのじゃないかと思いますけれども、個人的に。しかし、まだまだ社会に通用する段階ではないのでないか。私はこういうことを申し上げておるわけでありますけれども、そういう時代があってしかるべきだと私は思っております。しかし、まだ現在の段階はそこまで一般に来ていないのじゃないか、こういうことを申し上げておるわけであります。
○須藤五郎君 もう一点、今度は大蔵大臣、一点ですが、いま建設大臣はいろいろ高邁な御意見を述べられたと思う。そしてやはり自分はそう思うと言っていらっしゃる。大蔵大臣もそういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、建設大臣がいま述べられたことを、一言で土地は商品ではない、こうおっしゃっているが、私はその言い方には語弊があると思います。思いますが、大体の考え方は私は同じなんです。つまり、普通の商品ではない、こういうふうに言いたい、正確には。土地は、お話がありましたように、生産できるものじゃない。一億国民みんなが活用しなければならぬものです。そういう意味におきまして、私は生産がどんどんできるという普通の商品とはこれは違う、そういう違った考え方をすべきである、こういうふうに考えております。
○成瀬幡治君 土地の高度利用ということにからんで大蔵大臣にお尋ねしておきますけれども、国有地というものは非常に活用されなければならぬものです。活用を。たとえば、自治体が公園をつくるというのは、これは確かにいいことです。しかし、文字どおりそれが公園でなくて、それがいずくんぞ知らぬ、大人の遊び場になってしまうというようなことがある。そこで、国有財産の払い下げにつきましては、用途指定を明確にすることになっております。個人の場合は。とかくルーズになりがちなのは、地方自治体等が払い下げを受ける場合などが私はルーズじゃないかと思っているのですが、そういう土地の高度活用に関連して、いわゆる国有財産の土地ですよ、土地の、国有地というものの活用というようなことについてはどういうふうに基本的にお考えですか。ただ地方自治体が払い下げてくれと言ったので、ああそうか、それではひとつ待ってやろうじゃないか、あるいは個人が払い下げてくれ、それまではさら地にして草ぼうぼうとしておいてけっこうだというようなふうにして、何というか、買い手がつくというまで待っておればいいというような考え方なのかどうか。土地がいま非常に窮屈になっている。そういうようなことについて、積極的に国有の土地を活用させるというか、そういうことについて、ただことばだけでは私は済まされない問題と思う。むしろ積極的な姿勢があるならば、それに対しての計画を今後立てていかれなければならぬ問題だと思います。そういうことに対する一応の方向をお示し願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、国有地に限らずすべての日本の国土全体につきまして、土地利用計画というものが必要であるというふうに考えます。これは非常にむずかしい問題であるが、真剣に取り組んでいかなければならぬ問題と思います。そういうふうに考えますが、国有地をどうするかという問題も、ほんとうにこれに適正に取り組むというためには、土地利用計画というものが必要である。それに立って国有地に対する基本的な考え方をきめていく、そういうふうに考えております。国有地だからこれを払い下げなどをいたして財源調達に役立てようというような安易な考え方では私はいかぬと思います。特に国有地は非常に、今度これからできるであろう土地の利用計画にあたりましては、国で自由になる財産であるというたてまえから、大事な立場にあるわけです。利用計画を運用する上において根幹をなす手段、こういうふうに考えますので、利用、処分につきましてはきわめて慎重でなければならぬ。そういうふうに基本的には考えております。
○成瀬幡治君 まだ利用計画もいろいろなものが、方向はそういう方向でいくが、しかし特にいろいろなこともあるでしょう。事がさように進まないから、目下はまあ開店休業と言っては悪いですけれども、待っておるというふうに受け取れるわけです。しかし、いま大臣が具体的に御答弁になっておるように、土地の利用というものは抜本的に考えて、そしてそれから国全体で考える、そういう中で国有地の、これは操作が非常にスムーズにいくだろう。だから、それまでは国有財産に対しては積極的なことはやらずに、国全体のものが立っておればその中でやっていくということならば、ひとつ国の国土総合開発として、あるいは高度な土地利用計画というものを積極的に進めていかなければならぬ。そうでないと、たとえばAの土地で工場が誘致されて公害を起こした。住民が非常に迷惑をする。もうぼつぼつお互いにわれわれは過去のいろいろなことについて反省を加えて、これはこういう工場誘致などをやる場合にはまずかったぞというようなことは行政面から押えていって、そしてほんとうに適当な、適地と申しますか、適地に工場が建っていく、少なくとも公害などは起こさないような、そういう土地の利用をしていかなければならぬと思うのです。もう二度と、私はほかのところはわかりませんけれども、四日市などはほんとうに住民を無視した形になってしまった。しかし、あれをやるときはだれでも反対しないで、むしろ四日市の発展になるだろうと、お互いに善意で皆やった。ところが、結果はそういうことになってしまった。こういうことになるから、もう私たちはぼつぼつここら辺で、お互いに経験を積んだ、もう今度は二度とそういうことは繰り返さないぞという、そういう工業、何というんですか、工場等を適正配置して、土地の高度利用ということが考えられてしかるべき時に来ておる。だから、政府も私は早急にそういうことについては万全の政策を立てていただくということを御要望申し上げて、次の質問に進みます。
 今度の公共事業等いろいろおやりになっておって、そしてネックがやってきた。そうしたら、いままでの土地収用法等に基づいていろいろなことをやったのでありますけれども、これが若干地価の引き上げとかいろいろなことになってしまって、ネックになってしまったということに非常にぶつかられて、今度こういう改正をおやりになったと、こう思っておりますが、一体公共土木と称されるそういう土地なり港湾なり河川等のいろいろなことをおやりになる上において、ほんとうにこの土地はこれはおれのものだから売らないのだといってがんばって、いままで道路やあるいは港湾、何というんですか、学校計画なんかあまり問題でないが、政府が公共土木と称せられるもので係争で長くかかってやったというのが、たとえばどのくらいあるのですか。
○政府委員(志村清一君) 公共事業のための用地取得に関しましていろいろ問題がある場合があるわけでございますが、お互いに話し合いがつきません場合には、土地収用法の事業認定を受けまして、土地収用委員会の裁決を求めるわけでございます。そういう事業認定を受けた件数でございますが、最近におきましては年間おおむね四百件程度でございます。そのほか土地収用法における事業認定と同様の効果を持っております都市計画事業決定というのが約五百件ございますので、合わせますと約千件程度、年間千件程度が事業認定の手続を経ておると、かように考えてよかろうかと思います。
○成瀬幡治君 あなたのほうがそういう手続をされる前から、交渉に入られると思うのですね。そうして結論が出るまでにはどのくらい実際はかかっておるのですか。
○政府委員(志村清一君) 案件によりましていろいろあるわけでございますが、非常に手続がスピーディーに行なわれます場合には、比較的短期間に結論が出ております。しかしながら、事業認定を受けまして、その後裁決申請が出ましても、裁決そのものがたいへん長い時間がかかっておる。一年をこす、あるいは二年近くなるという特異の事例も中にはございます。
○成瀬幡治君 まあ大体はそうすると一年ぐらいが普通であって、そして二年をこすというようなのは非常に珍しいと、こういうふうに了解していいものなのか。一年から大体二年までの間が多いわけなんですか。
○政府委員(志村清一君) 現行法によります場合には、おおむね二百七十日くらいかかっております。
○成瀬幡治君 そうすると、大体一年未満ということになりますね。そして係争になる一番大きな理由は、いわゆる値段の問題だと了解していいわけですか。
○政府委員(志村清一君) 争いのあります分はおおむね値段が多うございますが、同時に、事業認定そのものにつきまして、まあ道路をここにつけるべきでないというような御議論のある場合も若干ございます。
○成瀬幡治君 ぼくは、今回の改正の提案は、いろいろな理由はございますが、最大のねらいというのは、やはり公共事業等がスムーズに行なわれていくことが非常に好ましいと、そういう点に立って立案されておる。それは一番問題になるのは何かというと、やっぱりここに道路をつけると、こういったときに、いやそこはやめてくれというような話もあるだろうけれども、最終的には金で解決をせなくちゃならぬということになっておる、こう思っておるわけです。だから、こういうものをお出しになって、いろいろとごねを押えるためにいろいろなことをされておる、こう理解する。それで、だから今度はあんまりごねたって、ごね得は今度はさせぬぞよというような点もあると思っていますが、非常に極端なことをお尋ねして悪いのですけれども、ごねられて、あなたのほうが大体ここら辺のところは地価としては坪一万円くらいで買えるだろうと思っておったところが、いやそうじゃなくて、ぐうんと上がっちゃって、三万、四万、五万円にもなっちゃったというような、最高の、とんでもない値段に落ちついてしまったというようなのはどのくらいのところなんですか。最悪の例をひとつ例示してもらいたい。
○政府委員(志村清一君) ちょっと具体的の例は私ここで例示できないのでございますが、ただ、従来は道路も鉄道も何もなかった。でございますから、その土地も荒れ地みたいなものでございまして、坪千円はしないというような個所に、道路なり鉄道ができることによって数万円の価格を生んだというような事例はございます。
○成瀬幡治君 それじゃ、こういうような例はございませんでしょうか。たとえば道路を一本通しますね。そうしますと、土地を売る人はたとえば坪一万円で売ったと。しかし、その付近の地価は、ために二万円とか三万円にこう上がりますね。そういうようなことについて何か相互扶助的に助け合われて、そこで道路を通すことを村で了承しようじゃないか、あるいは町として了承しようじゃないか、そのかわり君のところは運が悪くてかかって土地が小さくなった、しかし、そのことによってわれわれの受ける恩典があったのだから、何かそれに対して報いようじゃないかというような話が行なわれて、何か道路がうまくつくとかというようなそういう例はございませんか。
○政府委員(志村清一君) 先生の御質問の意図に合致するかどうか存じませんが、ある道路をつくるということによってその辺が十分な市街化できるということが予見される場合に、道路敷地を含めまして相当地域において土地区画整理事業を行なう、そしてお互いに道路敷とかというものを供出し合いまして、区画整理事業によって道路敷を出すというような事例もないことはございません。
○成瀬幡治君 建設省としてですね、行政指導やられるのに、ここに道路をつけますよ、だからあなたのところもこれだけの土地にかかったのだから、これはあなたのほうが何と言っても土地収用法の対象で取り上げてしまいますよというやり方か、いや、ここに道路が一本つくと大体潤うじゃないか、したがってかかった人はお気の毒だけれども、あなたのほうでめんどうを見てやりなさい、かからなかったところは潤うじゃないかということで、土地の買収等について働きかけをしておられるのか。かかった人だけを対象にしてお進めになっているのか。その辺はどうなんですか、どちらが中心でおやりになっていますか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) まあやはり係官といいますか、用地の係でありますが、必ずしも同一ですとは申し上げられないと思います。けれども、たとえば道路をつくります。あるいは拡張する、あるいは一番適当なのは河川改修の堤防をつける、川を広げる、こういう場合でありますが、特に河川改修などいたします場合に、御承知のように、申し上げるまでもないと思いますけれども、最近は農地の交換分合等によって集団化されておりまして、しかも河川の位置はきまっておりますから、その堤防をつくる、あるいは川幅を広げるというところは、そこは全部かかって、ほかの人は単に利益を得るだけだ、こういう事例がきわめて多いわけであります。これはもちろんそういう地域社会の人々の御理解を得なければ簡単にいきませんけれども、そういう場合には、農家で集団化された農地を全部取られるということになりますと、これは銭金ではなかなか解決できない場合がしばしばあります。そういうときには、私どもが承知いたしております例では、もちろんその河川改修なり堤防築造によって利益を受ける範囲は広範にわたりますから、そういう人々の御協力を願って、できるだけ少しずつ農地をさいて、そしてあとの農業が、その土地を提供した特定の人が農業を営めるようにしてあげよう、ここまでやはり心配をするわけでありまして、それが普通であります。道路の拡張の場合もやはり店舗が多うございますから、どうしてもその周辺におらなければならない。そういう場合には広いところはある程度譲り合ってでもやってもらおう、ここまで努力するわけであります。けれども、なかなか御理解得られない場合がありますから、ほかにかえ地をつけてあっせんをして移転をしてもらう、こういうことももちろんあります。ただ金で解決すればいいというそう簡単なものではなかなかない。これが実情でございます。
○成瀬幡治君 これはぼくは雑誌等で知っておる、しかも週刊誌で知ったわけですけれども、たとえばダム建設が予定されますね。発表が出ますね。そうすると、そこへバラックを建てて補償金目当ての人がおる。それが驚くべきことには五十軒も六十軒もあるというようなことで非常に困ったことだということになっておりますが、こういうことに対してはほんとうにそういう悪知恵のある者がもうかって、そして損するのはだれが損するかというと、国民全体の負担になるわけです。どんなときでもこういうことが許されておるように出ているわけです。こういうことについてはどういうことになっているんですか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) そういうことが、どこでもというわけではございませんけれども、よくあるわけであります。ダムをつくるということが大体きまると、いままで植えてなかったいろいろな木を植えたり、あるいは小屋をつくったりして、これがさっき申し上げましたように補償は裁定時の時価ということになりますから、事業が始まるということになりまして、場合によっては三年もかかることがあります。その間に、いろんな所作をされて、そしてそれを評価して補償せいという、私どもから見ると非常に悪質だと思いますけれども、そういう事態で非常に混乱をする。
 それからもう一つは、これもまあ御承知だと思いますけれども、あるいは道路をつくる、一応この辺だということになりますと、その周辺の広範な土地を買い占めて特別な補償をもらおう、こういう方々があるわけでありますが、私どもはそれは正当ではない、これをチェックしなければならないという大きなねらいが今度の収用法の改正でもあるということをぜひ御理解を願いたいと思います。
○成瀬幡治君 いやいや、今度のこの改正ではそういう問題には触れていないわけでしょう。これによってそういう、悪質ということばを使えるものかどうか、あるいは非常に知恵がある人というのですか、そういう人たちを、この法律が通ることによってそういう人をこれで防げるというものじゃないと思います。そういうものに対して何か別途考慮されておるわけですか。
○政府委員(志村清一君) この事業は公共性のある事業であるということを認定する、事業認定でございます。事業認定を行ないました後におきましては、その起業地内の土地におきまして形質変更等を加えるときには地方公共団体の長の許可を得なければならぬというふうなことにいたしております。現行法では、それが土地細目の公告の時点以降でございますので、だいぶ仕事が進んでからのことになりますが、それを事業認定時にさかのぼらせるという改正措置をいたしております。
○成瀬幡治君 知恵のある人は、あなたのほうが測量をして、もちろん事業認定なんかじゃなくて、あなたの方がもう計画を立てる前の第一次測量ぐらいのときには、ここら辺はどうのというようなことをして、これは一、二年先なのか、あるいは三年先になるのかというようなことは、特に今回の法律で規制して、ここまではこれでだめになる。先にやるだけだと思うのですよ、投資ですから、あの人たちにとれば。そういうものを抜本的に私は防がなければならぬと思うのです。そういうことは許されることじゃないと思うのです。ですから、どうせ法律をつくられるなら、そういうようなところまで予測されることなんですからね、これはあなたのほうでも予測されることは気づいておみえになると思う。ですから、ここまでなぜおやりにならないかということがちょっとわかりかねるんです。
○政府委員(志村清一君) ダム事業にいたしましても、道路事業にいたしましても、その事業が完全にオーソライズされまして、土地収用法の対象事業になり得るという時点はやはり事業認定の時期でございます。さような意味におきまして、事業認定の時期を一つの分岐点にいたして構成を改正案として整えたわけでございますが、先ほどから先生のおっしゃっておられるように、バラックを建てまして、そこに住んでいるからということで移転料の請求とか、あるいはそこで簡単な営業をやっているので営業補償の請求とかというふうな問題が出てまいるかと思いますが、それらにつきましては、現実に移転料がどのぐらいかかるか、あるいは営業補償を従来どの程度の営業が完全に行なわれていたかというようなこと等まで十分把握をいたしまして、その分に応じた補償をいたしますので、いたずらに大きな補償を要求いたしましても、それほど大きな補償が得られないというかっこうになろうかと存じます。
○成瀬幡治君 ぼくは、事業認定後のことはいいのですよ。そうでなくて、あなたのほうがよく測量をおやりになると、ここら辺のところにダムができそうだ、これは何年か先だろう、いやこっちが適地だ、あっちが適地だといううわさが流れて、大体これが当たるんです。だから、そこに行って住まわないバラックを建ててしまうのですよ。だから、私は事業認定前からでもそういうほんとうに住まいじゃなくて、それは半年に一ぺんとか、極端になると一年に一ぺんぐらいしか行かない者もあるかもしれぬ。とにかくそういうような、住まいだと称しても実際住まいじゃないものもある。そういうものはほんとうの住まいじゃないのだから、相手が住まいだと言ったって、そうじゃない。おまえがバラックを金もうけのためにつくったのだ、君がそういうことをやったのだから君の損だよと、損害で済まされてしまうのが、どうも争っているとうるさいから、ちょっと出そうじゃないかと出しておみえになるから、そのことがやまっていないと思う。それはなぜかというと、そのことに対するいままで厳然たるものさしがないからそういうことになっておるのじゃないか。だから、この際そういうようなことについても、何らかの私は筋でぴしっと押えられるような措置を講ぜられるのが適当だと思いますが、どうです。
○政府委員(志村清一君) 先生のおっしゃられたとおり、いまバラック程度のものでたいへん不当な高い補償金を要求いたします場合におきましても、当該バラックの移転料なり営業補償の実態から見まして、そんな不当な補償に対しては応じないというたてまえを従来からも考えておりますので、今後も堅持していく必要があろうかと思います。
 また、同時に、先ほど説明を落としましたが、河川法には河川予定地制限令というのがございまして、あらかじめその河川予定地に指定いたしますと制限等ができます。その制限令をなるべく早い機会にかけますと、それらの形質変更等に対しましては許可を必要といたします。その辺でチェックが可能かと考えております。
○成瀬幡治君 道路を非常に熱心につくられるということはわれわれも非常にいいことだと思いますけれどもね、いま普通は、大体ぼくらの承知しているのは、どちらかというと、田、畑ですか、そういうようなものが案外適正な値段というのですかね、まあここら辺ならと思う値段になるのですが、何というのですかな、山などをやられるのが案外むしろ値がいいと思っているのです。そうしてどういうかっこうになるかというと、道路をつくると、まず山のところが先に買収ができて、それから宅地のほうに入ってくるような順序になっている。大体あなたのほうが適正な値段と称せられるのは、時価と申しましょうか、時価の何割増ぐらいを大体普通予定されておるのですか。
○政府委員(志村清一君) 土地収用法におきましても、時価の判断を基準にいたしておりますので、時価によって買うというたてまえになっております。
○成瀬幡治君 いや、時価なら私もそう抵抗を感じないのですよ。時価に抵抗は感じませんが、ところが、ああ、なるほど国だ、えらい値段で買ったわいと思うようなところが、全国的なことは知りませんよ、自分の選挙区ぐらいのことしか知りませんが、相当値がいいと思っているのです。あなたはここでは時価だと、こうおっしゃるが、時価じゃないのですよ。私が承知しているのは時価の何倍かなんですよ。もしそういうふうに高く買ったら、だれの責任なんです。
○政府委員(志村清一君) 私ども実は直接土地を買収する担当じゃございませんものですから、直接の買収についてはそう具体的に存じておりませんが、ただ、従来は、お話し合いをいたしましても、お話し合いの結論がつかない。やむを得ず土地収用委員会の裁決を申請する。そういたしますと、相当裁決に時間がかかる。先ほど申し上げましたような半年あるいは一年ずれるというような問題等があるわけでありまして、さような場合にやはり裁決時の価格でございますから、一年前に買った値段と、一年後の値段と、やはり相当な開きができるわけでございます。そういったことから、土地を買収するにあたりまして、最終的な裁決を得られるのは一年後だろうから、一年後ぐらいの値段を目安にしてあらかじめ買っておくというようなことを聞いた事例もございます。さような場合には、いわば収用法のたてまえが裁決時原則でありますために、非常に段階が出てくる。その段階を平らにするために、最初から高く買ってしまうというような事例もあったかに聞いておりますが、詳細については存じておりません。
○成瀬幡治君 あまりこまかい話をしてもいけないと思うのですが、私は、しかし、だれかが非常に不当に高い値で買ったとするならば、責任の所在というものを明らかにして、これは高く買い過ぎたと、処罰された例はないと私は思うのです。ようやったと。むしろおまえ行って、そうだろうけれども、早う買ってこいというようなところに一つの問題点があるだろうということだけを申し上げておきます。
 次に、千二百万円の特別控除というのがございますが、これは一体いろいろなことあるけれども、こういうあなた方の想定された千二百万円という数字というものは何を基礎にして出てきたのでしょうか。
○政府委員(塩崎潤君) 税法でございますので、私から御説明申し上げます。
 現在、収用法によりまして自己の意思によらないで収用された場合には、譲渡所得に対します軽減方式が若干ございます。大きく申し上げまして、一つは特別控除でございます。特別控除は、特定公共事業につきましては七百万円でございます。特定公共事業以外の部分につきましては、十五万円から三十万円を控除いたします。そしてその控除した残りの譲渡所得金額につきまして、普通の譲渡所得と同じ分を入れますと四分の一課税、こういった体制になっております。もう一つ宥恕する方式は、換地処分で土地のような財産をもらう場合には取得価格の引き継ぎというかっこうで、その際には譲渡所得税を取らないというような形で、強制的な収用の場合の救済策を講じておるわけでございます。
 そこで、今般収用法が改正になりまして、収用法の適用を受ける方々の犠牲がこれまでに比べますれば、先ほど来御論議のあるように多くなるわけでございます。そこで、何らかの形でこれを救済をさらに進める必要があるということで考えたわけでございます。そこで、まず第一には、特定公共事業とその他の公共事業との区別をやめるほうが、収用法全般の改正の機会でもあり、これまでの執行の状況におきましても、特定公共事業に属するか、あるいはまた特定公共事業の周辺地区等の関係から見まして、非常にアンバランスもあり、また納税者の方々から不平不満もあり、公共事業の施行者からも特定公共事業並みに扱ってくれという声が高かったのでございます。そんな意味で、まず最初に私どもが頭に参りましたのは、特定公共事業とその他の公共事業の区別を撤回して一本にする。そこで七百万ということも考えられるわけでございます。しかし、七百万では今回の改正案のような収用法の犠牲が大きくなりますと、これはひとつもう少し範囲を広げる必要があるであろう、こういうふうに考えたわけでございます。そこで、居住用財産その他のバランスもございますが、まあ千二百万円まで広げれば、大体八四、五%の、収用を受ける方々は課税からはずれてまいる、こういうようなところを一つの目安にいたしまして、千二百万、こういうことにいたしたわけでございます。もちろん、その間の経過におきまして、居住用財産の九百万円、これとのバランスもとりながら考えた経緯はございます。
○成瀬幡治君 いままで、あなたのほうで、八四、五%という大体数字を示されたわけですけれども、たくさんだというのは何億だという人もあるだろうと思うのですが、それに、いままで最高のものだというのはどのくらいの例がございますか。
○政府委員(塩崎潤君) これは個人の事例が多いわけでございます。しかし、収用法の適用を受けるのは、個人、法人ともにございまして、法人となれば何億という方もございます。いま申し上げました主として個人について申し上げますと、何億という数字は現在のところ持っておりませんが、その方々は大部分換地あるいはその他の資産の買いかえによりまして、足切りあるいは価格の引き継ぎという形で譲渡所得税あるいは法人税の課税は延期されておる、こんなようなかっこうになっておると思います。
○成瀬幡治君 千二百万円というのは、私は特別な意味があるとは思わないわけです。ただ、大づかみにいって、ああ、こういうことにあったのだから、ほとんどの人が非課税になったらいいんじゃないかという、そういう立場に立って、逆算された数字だろうと、こう思っております。あなたのほうでいえば、逆に八四、五%くらいまで押えているんでしょう。あとの一五%か一四%くらいは、まあたくさん持っているから、あまり非課税の人ばかりできても困るという大体数字に押えられたというふうに了解していいものですか。
○政府委員(塩崎潤君) 先ほど来申し上げておりますように、すでに現在特定公共事業につきましては七百万という線がございまして、それが沿革的な大きな根拠の一つでもあります。七百万にいたしますと、六八%程度が非課税になります。先ほど来申しましたような考え方から、これを千二百万円にしようということの御提案でございます。
○成瀬幡治君 これは、法人、個人同じですね。
○政府委員(塩崎潤君) 法人も、このほうが得ならば選択もできることになっております。
○成瀬幡治君 ひとつ最後にお尋ねしますが、前に、居住用の財産を売って、そして買いますね、同じ額だけ買った場合は無税になるという法律がありますね。これは何か時限立法だったと記憶しておりますが、いまから二年くらい前に施行されました。それと今度の改正で、やはり居住用財産の問題、その関係はどういうことになりますか。
○政府委員(塩崎潤君) 二年ほど前に施行されましたのは、事業用財産、法人の企業用財産の買いかえの制度でございます。居住用財産につきましては、古くと申しますか、昭和二十七年からございまして、事業用財産のほうにつきまして時限立法となっております。
○植木光教君 居住用財産の譲渡所得課税について、けさほど質問いたしましたが、さらにもう少し詳しくお聞きしたいと思いますが、今度の特別控除制度というのは非常にいい制度だと思うのでありますが、これは土地収用法の改正とは特別に関係がないと思うのですが、この点についていかがですか。
○政府委員(塩崎潤君) 居住用財産の買いかえ制度につきましての廃止の見返りとしての特別控除制度は、収用法との関係はございません。
○植木光教君 そうしますと、この改正案の適用が四十三年一月一日以後ということになっておりますが、どうしてこういう善政は直ちに適用するという措置をとられなかったのか。
○政府委員(塩崎潤君) 先ほども申し上げましたように、買いかえ制度は相当古くから施行されておりまして、これが居住用財産についての流動性の一つの目安ともなっております。これを一挙に廃止いたしますと、これを目当てに種々の計画を立てられた方に迷惑がこうむる、そんなことも考えますと、二年ぐらいの期間を置いて施行したほうがよかろう、こういった考え方でございます。
○植木光教君 いまの御説明は、その買いかえ交換の特例を廃止するということで二年後の適用にしたんだということでありますけれども、特別控除制度というものはそれと切り離して直ちに適用ができないのかどうか。
○政府委員(塩崎潤君) 先ほど来、午前中にも申し上げましたが、まあ確かに特別控除制度によりまして、土地を買おうが買うまいが、居住用財産について流動性を増すという考え方は、私は一つの住宅政策、土地政策の方向にマッチした方向だと思います。しかしながら、この制度は、特別控除制度は同時に譲渡所得課税の根本にもからむものでありまして、これだけ先に施行いたしまして、その他の財産につきまして買いかえ制度を残すと、おそらく木に竹をついだような制度になろうかと思います。そんなような意味で、やはり保証をとりまして、譲渡所得につきまして一定の金額をこえる方々については買いかえの制度を廃止して、若干の税金は納めていただくことになりますけれども、その他の方々につきましては、全般的に九五%の人方につきましては、土地を買おうが買いまいが、大部分の方々はむずかしい買いかえというような制度の適用を受けなくても免税というかっこうのほうが自然であろう、かように考えておる次第でございます。
○植木光教君 二年後の適用ということになりますと、九百万円という控除額というものは低いんじゃないかという考え方もあるわけですね。その九百万円という額を決定せられた理由をお伺いしたい。
○政府委員(塩崎潤君) 先ほど申し上げましたけれども、買いかえ制度にかえまして、相当大きな控除金額によりまして、土地の流動性を増そうという考え方でございます。一つの根拠は、どのあたりまで非課税にするかという目安でございますが、私どもは九五%の居住用財産につきましての譲渡件数を非課税にすれば足りるということで九百万円にした。また、もう一つの根拠といたしましては、収用の場合にはどの程度のものが非課税になるか。今回は千二百万円の御提案を申し上げておる次第でございます。それも一つの目安といたしまして、九百万円にいたした、こういう関係でございます。
○植木光教君 さっきの御説明にもありましたけれども、買いかえ交換の特例の廃止というものを二カ年後ということに――二カ年後といいますか、四十三年一月一日に適用すると。これをどうして一年または三年、あるいは五年というふうにしないのか。二年後という数字をきめた根拠をもう少し説明をいただきたい。
○政府委員(塩崎潤君) 二年がいいか悪いか、これは御論議のあるところでございます。先ほど申し上げましたように、種々の計画を考えますれば、二年程度の余裕を置いたほうがよかろうということも一つの考え方であると申しましたが、さらにまた、事業用資産の買いかえも大体来年の三月ごろに期限が参りますので、これらも考え合わせまして、ひとつ二年という期限をお願い申し上げておる次第でございます。
○植木光教君 村山議員にお伺いいたしますけれども、衆議院の段階で、第三十条の三を修正をせられまして、共有物の分割その他の政令で定める事由により取得したものを除きましたね。長期譲渡所得の課税の特例について。ところが、このいまの居住用財産の譲渡所得の課税の場合も、居住用財産の譲渡所得の場合も、こういう特別の事由というものはあり得ないかどうか。何か論議せられましたか。
○衆議院議員(村山達雄君) 格別衆議院段階ではその問題は論議されておりませんが、長期譲渡所得の今度の改正は任意的な思惑買いを押えようというわけでございます。現在の住宅居住用財産の買いかえも、これはもう任意であろうがあるいは強制であろうが、何でもよろしいわけでございまして、譲渡所得を発生、その身がわりとして新たに買えばいいわけでございます。おのずからその目的とするところが違いますので、特に居住用買いかえの場合にははずす必要はない。かりに強制収用でもって取られた場合に、その身がわりでやってもよろしいわけでありますし、ですから、特にはずす必要はないということでございます。
○植木光教君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、いま主税局長からもいろいろお話を伺いましたが、この特別控除制度をできるだけ早い機会にやるべきである。また、この九百万円ではなしに、もっと控除額を引き上げるべきだ。あるいはまた買いかえ交換の特例を廃止する時期についてもいろいろ問題がある。こういう点について、大臣の御所見と同時に、これから四十三年一月一日以降に適用されるわけでありますけれども、その間に、かえってこの改正を行なうためにいろいろ障害が起きてくるというような場合には、これをもう一度再検討せられる考えがあるかどうか、お聞きいたしておきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 土地に対する課税は土地政策と関係がありまするし、非常にこれはむずかしい問題のように考えるのであります。今回の改正につきましても、いろいろ御論議のあるところを承っておりますが、これはひとつやってみよう、やってみて、もしこれで不都合がある、土地政策、価格政策の見地から不都合があるという際には、また再検討しなければならぬ、これはもちろんであります。まあ、こだわった考え方は持っておりません。
○植木光教君 建設大臣、けさほど谷垣政務次官から、この特例の廃止によって都市再開発に支障を来たすようなことはないかという質問をいたしましたところ、まあない、それは土地収用法その他市街地造成法ですか、そういうものによってやるのだから、ないのだという御答弁があったわけです。公共団体が都市再開発をやるというときには確かにそういう法律の適用によってできると思いますけれども、これから先過密都市対策なんかをやるときには、ただ公共団体の手だけじゃなしに、いまの住宅政策についても民間の企業の協力を得ていると同じように、民間企業の協力を得なければならぬ場合も起こると思うのですね。そういう点について心配はないかどうか。また、何かそういう点考慮して特別の立法を将来行なわれるお考えがあるのかどうか、そういう点について。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 地価対策の問題で、土地収用法、これだけで満足ではありませんけれども、一つの手段として改正を考えまして、そのほかに税制であるとか、先ほど来お話がありまするように土地の利用計画あるいは市街地の高度利用を総合的にやらなければなりません。なかなか一本調子ではまいらないと、私どもさように考えております。
 そこで、まあ土地収用法の改正に伴う一部面としてこの税制の改正を大蔵省で検討してもらいました。その際、いろいろ議論になりましたのは、いまお話しのようなことももちろん議論になっております。こういうように買いかえの制度というものを、従来のように全然放任していくということでないと売りおしみが起こるんじゃないか、こういう議論も立案の途中にはたくさんありました。全然ないかというと、全然ないとは私ども言い切れないところがあります。けれども、一番の問題は、これは一挙には解決しませんけれども、やはり先ほど来議論になりましたように、土地の概念と、それから地価安定の将来をずっと見た大きな線で進んでいきたい。多少の不都合と申しますか、突き当たり、これは相当の改革でありますから、あることはこれは当然覚悟しなければならぬ。しかし、それが一面いわゆる住宅政策とのかね合いで、非常に支障を来たすのじゃないか、こういう御議論もありますが、ざっくばらんにいうと、やってみなければわからないということであります。非常な支障を来たしていくかどうかということは今後の問題にいたしたい。いまの、先ほど来議論になりましたように、九百万円がいいのか千二百万円がいいのか、これはなかなか議論のあるところでありましょうけれども、進めてみまして、万全であるとは思いません。いずれにいたしましても、順次実際に実効をあげ得るかどうか。しかも、一番のねらいは土地によって特別の利益を得ないような方向で、しかも他の政策とマッチするような状態に持っていくという大きな線で、その線に乗せていきたい。いま大蔵大臣言われましたが、もし非常な支障があれば、あるいはまた不満足な点があれば、順次検討して補足していくべきである、かような考え方でございます。
○中村喜四郎君 建設大臣にお伺いをします。今度の改正で、七百万円の特別控除が千二百万円になった。非常に恩典であることはよくわかるわけですが、この土地を収用する場合に、評価価格の問題が非常に問題になってくるわけです。評価価格が低くて、しかも千二百万円の控除があって、さらに長期に持っておったものが結局には四分の一の課税対象ということ、これはほとんど課税対象にはならないような恩典であろうと。
 問題は、私は事業認定する際の区域の問題が一番問題になってくると思う。そして区域内の人たちが正直者がばかをみたという形が当然区域内の人に起きてくるわけです。そのためにこの税制の改正が行なわれるわけですが、私は先ほど成瀬委員がお話しのように、この土地収用法を高度に活用するためには、その周囲の地域に対して用途指定という道も、この際考えておく必要があるのではなかろうか。用途指定の問題は、自治体の議会の了承を得て、大臣がこれを認定する形になっておるわけですが、この用途指定をしないと、いままで私どもが関係した事例から見ると、結局はここは畑として残したいのだ、ここは山として残したいのだ、こういう地域住民の要望から区域が狭められたり、そしてあとになると、それを売ってしまうという事例が数多くあったわけです。したがって、私はこの際、用途指定の道を相当政府では考えて、地方自治体にアドバイスする必要があると思うんですが、この点いかがですか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど成瀬さんの御意見の中にもありましたように、土地政策、地価対策の根本解決は、やっぱり土地の利用計画、いまの用途指定ということにも通ずるといいますか、それをしないと、本物にはならないと思います。ただ、それは急速に間に合わないから、まず現に今日ただいま起こっておる問題についての対策を先に講じようと、こういうことでまあこういうことを御審議をお願いしておるわけでありますが、もちろん、用途の指定と申しますか、土地の利用区分というものをできるだけすみやかに確立する、これが一番大事な点であろうと思います。
 ただ、余談でありますけれども、非常に問題なのは、いまのわが国で農業政策をどうすべきかと、したがって農地というものは、主食あるいはその他でどの地域にどのくらい確保しなければならないか、この問題との取っ組みでありますから、都市周辺をわりあいに早くやりたいと思って、いまいろいろ準備を進めておりますけれども、全国的にこれをやるということになると、なかなかそれは簡単なものでないと、こういうことを考えながら、私どもはいま専門家に検討をゆだねておる、こういうことでございます。
    ―――――――――――――
○理事(青柳秀夫君) それでは、この際、継続調査要求についておはかりいたします。
 租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○理事(青柳秀夫君) 次に、委員派遣要求についておはかりいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等を便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○理事(青柳秀夫君) 次に、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案の以上二案を一括して議題とし、審査を進めます。
 御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○柴谷要君 私は、アジア開発銀行の設立について大蔵大臣並びに関係者に御質問をいたしたいと思います。まず最初に、アジア開銀の設立は政治的意図に基づくものではなく、アジア極東地域における経済成長、経済協力を助長し、これらの諸国の経済開発の促進に寄与するという純粋な経済目的によるものだとの説明が、これまで繰り返してなされてまいったのであります。この観点から見まするのに、社会主義国の参加がないことがすでに政治的意図を持っているものではないかという見解がいわれておるのでありますが、この点についての所見をまず承りたいと思うものであります。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの御指摘の点につきましては、過日も申し上げたんですが、この法の発想は国際連合のエカフェにあるわけであります。つまりエカフェに所属しておる国が主体になりましてこういう構想をつくり上げた、こういうところにあるわけなんであります。したがいまして、エカフェに属しない国ですね、国際連合に属しない国につきましては、今回はこれが参加ということに相ならなかった。国際連合に参加しない国はどういう国だといいますると、これはなかなか参加しない国に問題がある国であります。つまり、この一番の顕著なものは中共でございまするが、これは御承知のように、台湾の国民政府との間に非常にむずかしい問題があり、この問題がなければ中共の国連加盟なんてすぐこれは実現するものだと思いますが、同様の問題がこのアジア開銀にもそのまま入ってくるというような状態とお考えくださっていいかと思うんであります。そういうようなことで、国連に加盟しない国につきましては、今回は参加をお呼びかけしなかったと、かように相なったものでございます。
○柴谷要君 すでに設立されている二つの地域開発銀行としての米州開発銀行、アフリカ開発銀行に比較をしてですね、アジア開銀の特色は、出資額の六〇%以上を域内国が持つことによって銀行のアジア的性格の確保をはかっていくという点であると。域外先進国である資本輸出国から政治色のない多額の資金を導入することは必ずしもこれは必要ではないが、エカフェの域外加盟国の中には現にソ連も名を連ねている。このソ連が、またエカフェ加盟国ではないがアジア極東地域の社会主義国が参加の申し入れをしてきた場合に、どのように扱うことになっているのか。
 それからまた、もう一つは、インドネシアが今後参加の意思を表明するようなことになった場合に、一体これをどう処遇しようとして考えているのか。インドネシアは、御承知のとおり、国連脱退という状態をかもしたのでありますけれども、最近は政情が変わって、再び復帰をするような形勢にもなりつつあるようにわれわれは新聞紙上で見るわけです。こうなってまいりますというと、ここにまあインドネシアの問題が生まれてくるのではないか、こう考えますが、この二点についてひとつ御見解をお示しをいただきたいと思います。
○説明員(大和田渉君) ソ連がエカフェの加盟国であることは御指摘のとおりでございます。ただ、現在までのところ、ソ連はこの協定に参加するという意思を表明しておりません。ソ連が参加しない理由として、最近デリーで行なわれましたエカフェ総会でソ連が申しておりますのは、銀行の運営は域内国にゆだねるべきである、先進国は資金を援助するにとどめるべきではあるまいかということの意見を述べまして、エカフェ銀行の設立には反対はしない、ただし自分は入らないという態度を表明しております。
 それから、先生御指摘の、もしソ連が社会主義諸国を加盟国に推薦してきたらどうするかという点でございますが、その点は、協定で申しますと第三条に規定がございます。もしその国がエカフェの加盟国であります場合、あるいはエカフェの加盟国ではないがエカフェの地域内の国である場合、もしくは地域外の先進国であって国際連合あるいはその専門機関の加盟国である場合に対しては、第三条一項に規定がございますが、開放される。つまり、加盟資格が認められているわけでございます。したがいまして、そのような国をソ連が推薦してまいりました場合には、第三条二項によって、「総務の総数の三分の二以上の多数であって加盟国の総投票権数の四分の三以上を代表するものによる賛成の表決」で、銀行が定める条件に従って加盟が認められる、こういうふうになっております。
 インドネシアの場合でございますが、御指摘のように、いま国連に復帰するという話が出ておりますが、さらにエカフェにもという話は、実は非公式でございますが、エカフェの事務局長がすでにインドネシアと接触しているということも承知しております。で、その場合に、インドネシアの場合には、やはりただいま申し上げました第三条二項の規定によりまして、銀行の定める条件で、三分の二、四分の三の多数の賛成によって加盟が認められる、こういうことになると思います。
○柴谷要君 アジア開銀の使命からして、銀行は単に資金の供給を行なうだけではなく、融資のために開発計画の策定、基礎調査、計画立案者の訓練養成等をあわせて行なう、低開発国の経済開発を本格的に正しい軌道に乗せるための努力が必要なはずであります。ただ、換言すれば、単に資金の供給だけではなくて、頭脳の供給ということも考えなければならない。域内先進国のわが国としては、どのような心づもりでこれを、何といいますか、リードしながら進もうとして考えているのか、その点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのであります。
○政府委員(鈴木秀雄君) ただいま御指摘のとおり、アジアにおきまして開発がおくれております一つの理由としては、適当な開発計画がないということでございまして、この点につきましては、銀行としても、目下検討中の機構等につきましてもそういった配慮をいたしまして、十分なそういう技術要員あるいは経済に関する要員等も雇うということを考えておるようでございます。したがって、日本人がそういったものに採用される場合ということは相当多くあり得るのではないか、こういうふうに考えております。
 それから、アジア開銀は、融資のみならず、技術の援助もいたします。この援助については若干の制限的な規定がございますが、技術援助もするということになっております。したがいまして、以上のようなことで、私どもはこの銀行ができました際には、いままで以上にアジアの開発計画が整備され、経済開発が促進される、こういうふうに考えている次第であります。
○柴谷要君 アジア開銀に域内の大口出資国として参加する日本としては、一体どんな利益があるのか、どんな不利益があるのか、この点をひとつお聞かせ願いたい。
○政府委員(鈴木秀雄君) まあ広く大きく申せば、アジア及び極東の開発ができるということでございますが、要するにアジアがいままでおくれております。開発によりまして、アジアの国民所得が上がる、したがってアジアという国が購買力もふえる、したがって日本に対する貿易等についても、それに従いまして日本の輸出等もふえてくる、こういう面があろうかと思います。また、日本は二億ドルの出資はいたしますが、いろいろな開発に必要とします日本の機械であるとか、そういったようなもの、こういったものも提供し得るという点もあろうかと思います。
 まあ不利益な点と申しますれば、私どもはさしてそういうものはわかりませんのですが、ただ、こういった二億ドルという財政負担をするというのが、不利益というか、要するにお金を使うということで不利益かと思いますが、しかし、それに余りある利益があると私どもは考えております。
○柴谷要君 国民所得の一%に当たる出資がなされる、こういうことが不利益である、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(鈴木秀雄君) ちょっと御質問の意味がわかりませんが、国民所得の一%に相当する計算にいたしますときには、アジア開銀の出資も含まれるわけでございまして、そういった意味の不利益というものはございません。ただ、総体に財政負担が伴うということを、まあ不利益ということばが適切かどうかわかりませんが、要するにお金がかかるという、俗にいうとそういうことでございます。私の申し上げましたのは、一%の計算をする際にはこの金額は当然含まれる、こういった性質のものでございます。
○柴谷要君 このアジア開発銀行が発足をしてまいりますと、アジア、極東地域の後進国が経済開発や民生安定などのために要求する物資が大体予想されると思う。わが国にとって、これら物資の輸出を通じて、具体的にどのような産業分野に影響があるのか。その点をどうお考えになっておられるのか。これに日本がばく大な出資をし、後進国がこの資金を利用して、たとえば日本に必要な物資の要求をしてくる。日本はこれに充足をさせるために、産業分野が分担をして、そうして満たしてやる、こういうことになるんですが、一体どういうものが日本の産業分野に重大な影響を与えてくるのか、いまから想像つく範囲の点について教えていただきたい。そういうことで、現在日本が輸出をしておるこの輸出の面がこの開発銀行発足に伴って相当変わった形のものになってくるのではないか、こう想定される部面もあるように思われますので、この点については詳しくひとつ説明をしてもらいたい、こう思うわけです。
○政府委員(鈴木秀雄君) 前段の御質疑でございますが、従来のアジアとの関係で、通常貿易で申しますれば、いわゆる生活必需品のようなものが出ていたわけでございますが、それ以外に延べ払いあるいは円借款等によりまして、プラントであるとか、そういったようなものが出ていたわけでありますが、今後アジア開銀が取り上げる事業としていかなるものがあるかということは、銀行の任務等に書いてございますが、いずれも抽象的なものでございまして、現実に銀行が発足いたしましてから、総裁及び理事会がこういったものをきめていくということになろうかと思います。もちろん、当然考えられますものは、やはり食糧の自給度の低い国に対しては農業に対する開発計画もあろうかと思いますが、何ぶんにも十億ドルという金のうち使える金がその半分以下ということになるわけでございますから、そういった非常に大きなプロジェクトをはたしてやれるかどうかということは問題でございます。むしろ地域内の諸加盟国が低開発国に対して重点的にやっていく、こういうことであろうかと思いますから、したがいまして、もちろん日本の従来の二国間におけるそういった延べ払い輸出とか、そういったものを私どもは削る意思は毛頭ございませんで、日本の出資及び諸外国の出資と合わせて、日本がもしそういったものについての輸出競争力があるならば延べ払い輸出等によってそういった国にだんだんと物資が行く、こういうことになろうかと思います。
 そういったものが日本にどういう影響があるかということでございますが、これは後進国がだんだん発展してくる段階におきましては、第一次的には農業あるいは軽工業といったようなものができてくるわけでございますが、しかし、これはアジア開銀が発足するしないにせよ、そういった国が成長をなす場合には、いずれにせよ当然たどるべき道でございますから、私どもはそういったことによって日本に対する影響が多いというふうには考えておりません。
 それから、第二の点でございますが、これから日本がどんどんこういったものに参加していくということによって、日本が出資以上に、あるいは場合によっては日本の輸出といいますか、延べ払い輸出等が、いままでやっておりましたような形態のものでございますが、別にそれが減るというわけではございませんが、それにましてそういったものがふえていく、こういうふうに考えておるわけでございまして、いずれにせよ、日本がこういったものに出資し、あるいはアジア開銀ができるということによって私どもはその国の国民所得が上がり、日本は貿易立国でございますから、そういったものを通じて日本の国民所得なり国民の経済成長がはかれる、こういうふうに考えている次第でございます。
○柴谷要君 ちょっとものの考え方が甘いのじゃないかと思いますので、次の質問をいたしたいと思います。
 銀行の業務は、貸し付け、株式投資、保証、技術援助などであるが、貸し付け業務の中心は、域内経済の調和ある発展に貢献する通信であるとか、農業、鉱工業などの分野における開発計画に対する貸し付けがおもなものであると思います。しかし、貸し付けであるから、元本や利子の返済能力が要求されることは当然なんです。この協定の第十四条七項にもこの趣旨の規定がうたわれております。しかしながら、対象は後進国であることからして、実際上は回収不能、いわゆる焦げつきという事態が私は起きるのではないか。こういう点が一体どう考えられておるか、協定の作成過程でどのような検討がなされておるのか、ひとつこの点の説明をしていただきたいと思います。当然、元本や利子の返済能力というものが規定をされてくる。これに基づいて日本としては後進国の求めに応じて後進国に対していろいろなものを輸出をする。しかし、それが焦げつきになったということになれば、日本の貿易が発展をするなどという甘い考え方には立ち至らないと、まあこう考えますので、今日まで検討された内容についてひとつつまびらかにしていただきたい、こう思うわけです。
○政府委員(鈴木秀雄君) この銀行の発足します段階におきまして、この銀行の貸し付けを、通常のソフトローンといいますか、非常に貸し付け期限の長い、また利率の低いものにするかどうかということにつきまして、非常に議論のあったことは事実でございます。アメリカ等はそういったものを多くしたほうがいいのではないかという議論もしておりました。しかし、後進国側の希望は、むしろ限られた資金であるから、ある程度の回転率がなければ全部に回らないという考え方を強く主張いたしまして、その結果、先ほど先生のお読みになりました十四条の七項というような規定ができておるわけでございます。したがいまして、貸し付けについては、現在世界的な規模でやっております世界銀行のように、非常にその償還計画を十分に考えてやっていこう、こういう考え方を一般的にとっておるわけです。ただし、それだけではやはり後進国の需要を満たし得ないということで、払い込み済み資本の一〇%までは特別基金として留保して、これは条件を非常に甘くしてやっていこう、こういう考え方でおります。したがいまして、貸し付けについて、もちろん時々刻々世の中は変わりますものですから、その貸し付け段階で償還確実だと思っても返らない事態がないとは、私はここで断言するわけではございませんが、銀行の運営としては、あくまでもそういった償還確実ということを主眼においていきたい、こういうふうに考えておるのが現実の規定でございます。
 それから、銀行が、先ほど私が申し上げましたように、十億ドルの約半分しか金がないといいますのは、十億ドルのうち五億ドルというものは請求払い資本と申しまして、もし今後銀行が社債等を発行する場合に、その請求払い資本の範囲内で発行する。したがって、もし社債権者が貸し付けが不能によって社債が償還できないというような場合には、その請求払い資本を各加盟国に請求いたしまして、それで返還するというような担保を取っておるわけでございます。したがいまして、議論の過程におきましてはそういった議論もございましたが、やはり現実の後進国の状況としてこれだけの金を有効に使いたいということで、償還確実な世銀タイプのローンを主として考えておるというのが現実でございます。
○柴谷要君 アジア開発銀行を設立するその協定を見ると、この種機関の業務としてははなはだ体系的でない。たとえば銀行の行なう業務に関しては第十一条が中心になっているけれども、このほかに第十二条とか第十四条とか第二十一条等に関係条文が散見されている。また、今日まで審議を重ねても、一向にその業務の構想や将来の展望というものについて具体的な話が聞けていない。銀行設立についてはここ数年来準備が進められてきたと聞いているのでありますけれども、一体政府は――大口出資国なんです。日本は。この銀行創設の計画または協定案の作成に果たした役割りというものは、非常に大きいものがあると私は思う。その中において、一体どういう具体的な役割りを果たしてきたのか、ひとつ説明を願いたい。これは数年来かかってでき上がったものだと思うのでありますけれども、どうもあまり芳しいものではないというふうに私は考えますが、この点についてひとつ御説明を願いたい。
○政府委員(鈴木秀雄君) 銀行が第一回に正式に持ち上げられましたのは一九六三年の十月のマニラの第一回アジア経済協力閣僚会議でございまして、これには日本から当時の板垣駐比大使が出席されております。この決議の内容は、アジア開銀の設立の方途を検討するため、政府代表者または専門家の特別会議を早急に開くようエカフェ事務局長に要請する旨の議決が採決されたわけでございます。この決議に従いまして、一九六四年の十月からバンコクで専門家グループというのが発足いたしまして、これには日本から渡辺武氏が専門家ということで出席しております。これの報告は、アジア開銀の具体的構想に関する報告をエカフェ事務局長に提出したわけでございます。その後、六五年の三月にウエリントンで第二十一回のエカフェ総会がございまして、朝海外務省顧問が首席代表として出まして、その決議によりまして、九カの政府任命の専門家諮問委員会を設置して、アジア開銀の設立の推進に当たる旨の決議を採択されたわけでございます。この決議に従いまして、同年の六月から八月にバンコクにおきまして、専門家諮問委員会というのが九カ国から任命されました。それには、先進国としては日本のみが参加いたしまして、渡辺武大蔵省顧問が代表、それから前国際金融局長でございました渡辺誠氏が代表代理としてこの専門家諮問委員会に参加いたしまして、銀行の協定草案を起草したわけでございます。その後、一九六五年十月の末から十一月の初めにかけまして、政府代表者準備委員会というのがバンコクで開かれまして、これは専門家委員会以外の、全体に外国でもって入りたいと、こういったような国を網羅いたしましてやったわけでございますが、これには牛場審議官と私が代表として参加いたしました。それからが、御存じのマニラにおきます。一九六五年の十一月末から十二月の第二回アジア経済閣僚会議がございまして、藤山全権が銀行設立協定の署名をいたしたわけでございます。したがいまして、日本としてはこういった長い問におきまして積極的に専門家等を出しまして、この準備をいたしたわけでございます。
 それから、まあいま先生が非常に内容がばく然としているではないかというお話でございますが、この銀行の設立の過程において、ある程度やはり業務を実際に行なう総裁並びに理事という、あるいは総務会、そういったようなものについて、自由な今後の、これは永久の協定でございますから、自由に運用できる余地というものを残すということで、ある意味では限定的に進むことを書きますと、その後の運用を害するという考え方で、その点が、協定だけ読んではっきりしていないというのはまさしく、銀行の自主性といいますか、そういったものを考えて、今後変転する情勢に応じてこういったものを運営していこう、こういう考え方から出ておるわけでございまして、しかし、いずれにしても最小限の必要な規定というのは、私どもの考えでは盛られていると、こういうふうに考えている次第でございます。
○柴谷要君 それは確かに、体系的でないと私は指摘をいたしましたが、一応言うべきことは言っている、こういうことになると思う。しかし、日本が大口の出資国であるから、どういう役割りを果たしてきたのだ、それについて聞きたかったわけです。
 それは次にしまして、アジア開発銀行の創設は、低開発国に対する経済援助の一方策であるが、その業務は無償供与ではない。銀行としての資金計画なり損益収支について、一応大まかな見込みを立てているはずであると私は思う。わが国は大口資本の参加国であり、有力な総裁候補を擁して、加盟国としては重要な地位を占めることになっている。そこで、ひとつ、銀行発足後二、三カ年後の資金需給の見込みなり、収支採算等について政府はどのように今日考えられておられるか、この点をひとつ承らせてもらいたいと思う。総裁はすでにきめられておられる。そうなると、二、三年くらいの先の見通しを考えておられると思うのですが、その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
○政府委員(鈴木秀雄君) 収支計算におきましては、もちろん私ども大口の出資者でございますから、そういったものについて考えております。
 それから、現在アジア開銀の諮問委員会、設立準備委員会というものがございまして、これにも日本が参加しておりまして、その下に事務局というのがございまして、その事務局にも、日本から私どもの局におりました課長が一名出向してやっております。もちろん、この銀行の所得――何といいますか、利益計算というものは十分に考えなければならないということはまことにお説のとおりでございまして、人間を雇う雇い方、あるいは月給のきめ方、こういったものについて、現在綿密に計算しているわけでございます。そうして、そういうことのないようにいたしております。収入としては、当初もちろん貸し付けが始まります前には、各国の払い込み資本がございますので、それを運用していく。それから、貸し付けが起こればそういった利子を払っていく。こういったようなことで考えておりまして、まだ準備の段階でございますから、確定的な数字というのを申し上げることはできませんが、一案によりますれば、たとえば、職員は百五十人くらい初年度に雇って、二百名くらい二年目に雇う、こういうようなことで、収支を、資本金がふえるに従って収支がよくなるのでございますから、そういう最初は非常に小さなかっこうといいますか、経済的なかっこうでやっていこう、こういうふうに考えていますが、数字としてまだ確定的な収支貸借表が二、三年のものができておるわけじゃございませんで、これは今後こういった給与水準その他の点が全部きまりましてから、そういったものを御報告できる段階になると、こういうふうに考えております。
○戸田菊雄君 時間もございませんから、関連して二点ばかり伺いたいのです。
 第一点は、外務大臣にお伺いしたいのですけれども、一つは、アジア開発銀行が発足をして、授権資本なりあるいは融資方法というものなり、これから具体的な措置として出てくるわけです。その場合に、私はおとといもるるとしてお尋ねして、いろいろお答えを願ったのでありますが、まだまだ了解しがたい。いずれこまかいことはこの次の機会あたりに聞いていきたいと思いますが、そういう出資形態の中で、どうしてもやっぱりメコン委員会加盟の四カ国ですね、カンボジア、ラオス、南ベトナム、タイ国と、こういった関係にどうしても援助体制というものは集中的にいくと思う。これは具体的に各種委員会の内容を見てもそうだと思う。また、実際的な計画の内容を見ましても、そういうことになっていると思う。そこで問題は、そういう方向でいきますと、これと関連をして、何としてもいまの南ベトナムにおける戦局の動向、こういう問題について非常に私は関心を持ってくると思う。
 私はベトナムに行っていろいろと実地に見聞をいたしました。少なくとも南ベトナム境界線以南の関係につきまして、千四百万の人口がある。この人口の中で一千百二十万というのが、大体解放民族戦線側に掌握されている。残されたわずかの三百万、その程度が南ベトナムのグエン・カオ・キ配下に入っている、こういう状況。この南半分の五分の四が解放民族戦線に占領されておる。アメリカは、まさしく大海の孤島に駐留しておるというのが実態なんです。こういう実態でいきますと、一面は政治闘争が、グエン・カオ・キに対して仏教徒を中心にして各市民が立ち上がる。そうしますと、いままでアメリカとしては、全体の戦争形態というものが特殊戦争形態、言ってみればグエン・カオ・キ政権を前面に押し立てて支援するというかっこうでやってきた。それが局地戦争の段階に入っているというのが実態です。アメリカが直接戦わなければいけない、こういう戦局動向になっている。そういうことになりますと、一体南ベトナムの趨勢はどうなるのか。この辺の動向が少なくとも十分な判断と適切な資料に基づいてわれわれが判断をしておかないと、このアジア開発銀行について、あるいは国連ペースの東南アジア開発構想、こういうものから来る日本の投資形態というものも私は容易ならざる事態になるのではないか、まあこういうふうに考えるわけです。その辺の問題について、実は外務大臣の考え方を明確にお聞かせを願いたい。防衛庁の方もおられたら、含めてひとつどういう判断をされているか、あるいは現地の事情はどういうことになるか、この辺の事情についてひとつお聞かせを願いたい。
 第二点の問題は、少なくとも経済援助開発ということでやっていくとすれば、あの辺一体は、何といっても九割が農業国である。農業の開発なくして国家の復興というものはないということが私の判断です。そういうことになりますと、たとえば一例ですけれども、カンボジアの実態は、年間予算は六十一億リアルです。大体一リアルが七十円と換算されるそうでありますが。そういうことでいきますと、農村の復興対策として一七%、これは復興だけに向けられているのですね。これだけではとても足らない。ですから、いまのあの辺一帯の農村の稲作というものは大体、季節を利用して田を植えてとっている。だから、わずか一反歩から五俵ぐらいしかとれない。これはもみです。そういうことになりますと、それでも全体としては食糧が豊富な状況になっているわけでありますから、こういう状態でありますと、農耕技術であるとか、そういう開発の状況、こういう問題について具体的な諸措置――ラオスにいたしましても、カンボジアにしても、あるいは南ベトナムにしても、すべて共通性を持っているわけです。
 こういうことに対して、一体農林省としては今後そういう農業部面から来る経済援助姿勢というものがどういうふうにとられているか。あるいは開発銀行等について具体的な措置は、どうしてもやはり私はそこに土台を置かなければならない。いろいろ契約はあります。ダム建設とか、あるいは道路補修であるとか建設であるとか、各種にわたってはおりますけれども、そういう問題について、何といっても私は根本は農業開発だ。この部面について、農林省は一体経済開発、特に東南アジア諸国に向けてのそういう融資形態を含めて、具体的にどういう計画をお持ちになっておるのか、この辺について一言お聞かせを願いたい。
○国務大臣(椎名悦三郎君) まず初めに、南ベトナムの戦局の動向と融資の関係は非常に関係がある、こういうお話でございます。ベトコンの支配している地区が全体の五分の四ということが当たっているかどうか。これは私もそれについて批判を申し上げることは避けます。いずれにしましても、戦争が行なわれているということから、落ちついた投資行為がなかなか計画的に行なわれない。でありますから、そういうことはなるべく避けて、そうしてそういう戦乱のちまたから離れて計画的にプロジェクトが行なわれるというような地区でなければやはり適当ではない、こう考えますから、なるべくそういうところは避けなければならない、こう考えております。
 なお、農林省に対する御質問は、農林省から……。
○説明員(岩下龍一君) 農林省といたしましては、いままで東南アジアに対しましては、技術援助を中心といたしまして、東南アジアに対します農業関係の専門家の派遣、並びに東南アジアからの研修員の受け入れ、さらに農業の技術協力センターの設置等の援助を行なってきております。東南アジアにおきましては、経済発展の基盤をなすものが農業である。しかも、その農業たるや、一、二の国は食糧がなお輸出国でございますが、全般として見ますと、食糧にいたしましても、東南アジア全体といたしますと約六百万トンの不足の現状でございます。しかも、東南アジア諸国は人口増加率が高く、最近増加率三%をこえる国が数多くあるわけでございますが、食糧生産の増加率は必ずしもそれに及ばず、たとえばある計算等によりますと、一九七五年度には食糧は現在の約二倍近くを必要とするであろう、その後はさらに大幅な生産が必要であろうというような状況でございます。したがいまして、農林省といたしましては、東南アジアに対します援助は、農業増産に対する援助ということを主眼として推進していきたいと思っております。
 東南アジアの農業の現状は、申すまでもございませんが、人口の七〇%以上が農民でございます。しかも、その国民所得に占めるウエートは五〇ないし六〇%。また、輸出額の相当部分も農産物で占められております。
 で、農林省が考えております援助には二通りございます。私がただいま申し上げました技術援助、さらに資本援助があるわけでございます。しかし、いずれも金は、これは農林省予算ということになっておりませんが、これからの援助は、資本援助と技術援助を一体といたしまして、特に技術援助につきましては、ただいま申し上げましたような措置をさらに拡充していく。また、センターも、これはアジア諸国には十三カ所ございますが、東南アジアにはただいまカンボジアに二カ所、さらにラオスに一カ所設立しようとしておりますが、これらをさらに検討いたしまして、このセンターが、地域に応じまして、展示的機能、あるいは現地の農民訓練的機能、あるいは現地におきます作物栽培の適応、これを試験場で行なうというような機能を持たせまして、エクステンションあるいは技術指導を強化していきたいと思いますが、同時に、資本援助につきましては、東南アジアは、ただいまも先生からお話がございましたように、大部分がモンスーン地帯に属しまして、雨季と乾季がございますが、米の生産は雨季のみに集中されております。ところが、水を統制いたしまして、かんがい事業を実施いたしまして水を統制していく、さらに、それに応じて肥料を投下していく、またいま申し上げましたようなエクステンションを行なっていくということになりますれば、日本同様二度の米がとれる。さらに、生産も増加するわけでございます。こういうところに着目いたしまして、まず水の統制ということが最も重要な事業であると思われますが、ただいまお話にございましたアジア開銀あるいは世銀等が大規模なこういうかんがい事業に融資するということが期待されるわけでございますから、農林省といたしましては、そういう大規模事業の効果がさらに具体的に発揮できます営農にし、末端事業の要するにインフラ・ストラクチュアの改善に特に力を入れたい、こう考えております。また、それの改善と同時に、さらに先ほど申しました技術を一体として入れていくというようなことを考えております。さらに資金等の関係もありますし、また東南アジアは地域によりまして非常に事態が段階的でございまして、俗にいう東南アジアには神武から明治までの段階がある、こういうふうな話もございまして、地域の具体的なものを考えまして、そこに重点的に施策を実施していきたい、こう考えております。
○大竹平八郎君 外務省に一点お尋ねいたしたいのですが、アジア銀行の問題は、これはもう多年各国から要望せられた問題で、まことに私ども事宜を得たものである、こう考えております。
 そこで、一点お尋ねいたしたいのは、一九六四年にジュネーブにおいてたしか百六十四カ国ですか、国連貿易開発会議というものが開かれたわけです。これの目的は、後進国の第一次産品というものが、全体に非常に不振になってきた、これを何とかしなければならぬというのが当時の会議の焦点だったと思うのです。そこで、その問題について、世界銀行にこれを研究さしたらどうかということで、世界銀行が大きな構想のもとに保証融資構想というのですか、そういうような立場に立って構想を練られたということを私ども聞いております。そしてまた、五カ年間約五億ドルという出資のもとにこの構想を実現するということに当時なったわけでありますが、その後、この世界銀行の構想というものはどうなっておるのか、この点をひとつ外務省からお答え願いたいと思います。
○説明員(松井佐七郎君) お答え申し上げます。
 いま先生の御指摘のとおり、一九六四年に第一回のUNCTADの会議が開催されましたが、その会議の過程におきまして、第三委員会におきまして、これは第一委員会とも関係がございますが、低開発国の経済発展の資金の大柱ともいうべき低開発国の一次産品の輸出が頭打ちになっておる、その価格は変動するのみならず、先進国との貿易の関係において、交易条件の悪化において輸出収益が低下しておる、これに対しまして、先進国から急いで購入すべき資本財の値段がどんどん上がっている、こういうふうな関係から、低開発国の国際収支が急速に悪化しておる。そのために低開発国の経済発展というものは常に動揺と不安のもとにさらされておる。これに対してどうすべきかというような観点からいろんな議論が展開されましたが、そのうちの有力な意見は、いま、先生のおっしゃったような保証融資の構想でございます。
 保証融資の構想の内容は、低開発国の正常なる合理的なる輸出の見通しが、低開発国の関与せざる理由によって不測の変動があった場合には、その範囲において経済開発計画というものはディスラプトされる。これを救済するために先進国がある程度金を出し合って、一種の経済開発計画の保証をする保険のようなものをつくったらどうか。そのために具体案を世界銀行にひとつ措置を依頼したわけであります。最近のUNCTADの会議におきましては、その報告が出てまいりました。その要点は、大体五カ年間における低開発国の経済発展の見通しをつけまして、貿易の収支、それを立てまして、その中で一次産品なり製品がどれくらい輸出できるか、そういうふうな見通しを立てまして、それの実施のために租税計画をどうするか、あるいは国内の企業努力をどうするかということを世界銀行と相談いたしましてやっておられるが、もしそれが何かの理由でその低開発国の努力にかかわらず収益が減った場合には、先進国はその分だけ金を見てやろう。しかし、第一義的には低開発国の補助金はあるいはIMFのドローイングと力を活用し、その足りない分だけ補てんしようということで、年間三億ドルか四億ドルの金でやっていけるのじゃないかということの案が出ておりましたが、低開発国の中からは非常にこれを急いでくれと言いましたけれども、いろいろ先進国におきましても国際収支の問題等があるので、十五カ国の加盟国政府の専門家にまかせまして、さらに検討を続けることになっております。簡単でございますが……。
○柴谷要君 平常な日にちならゆっくりやってもいいのだが、きょうは何だと思っているか。国会の最終日じゃないか。もっと明確な答弁をしろよ。簡潔に答弁をしろよ。私の質問で終わりだ。いいですか。そんなだらだらした質問なんか聞いているひまがありませんよ。
 一体この法律が通らなかったらどういう損失が日本国にあるのか、それから答えてもらいたい、明確に。
○国務大臣(福田赳夫君) これはるる御説明いたしましたようないきさつを経て、今日まで持ってこられたものです。しかも、マニラ会議におきましては、わが国は協定に署名をしておる。そういうような状態で、今国会でこれが成立しなかった、承認されなかったということに相なりますと、国際信義、ことにわが国のアジア諸国に対する信義が著しく棄損される、こういうふうに考えるわけであります。わが国は、この銀行につきましては、本店が東京であるべきだという主張をいたしましたが、これは通らなかった。今日わが日本人である渡辺武君が総裁であるべきだというふうに考えまして、すでに立候補を表明しておるわけであまりす。そういういきさつになっておりますが、そういうことがまた実現するかしないかにも大きな影響があろうかと、こういうふうに思っております。何とかして国会最終日の今夕で成立せられるように御協力くださることを、切にお願い申し上げます。
○柴谷要君 それほど重要な法律案であるならば、政府はもっと慎重に扱うべきですよ。いいですか。衆議院の審議の段階で、自民党の幹事長ともあるべき者が、国会の通過ができなかったら臨時国会でやります。こういうようなことを、見通しの立たない早くのうちからしゃべっているのです。それと同時に、衆議院で便々だらりと何日日にちを費やしてきたのですか。参議院の審議権を放棄するような状態まで追い込んできたのじゃないですか。それで持ち込んできて、最終の段階において、日本にはこれだけの損失があるから上げてくれ、こういうことだけで衆参両院の問題を片づけようたって、そうはいきませんよ。私は与えられた任務に向かって専心をしてきたつもりです。自民党とは性格が違う社会党としては、この法律案については慎重に審議したいということで、実は連日やってきたんじゃないですか。努力をしてきた。それに対していまのような便々とした答弁をして、しかも、衆議院における審議の状態はどういうことですか。私はそれで政府に誠意がある、そうは考えられない。もう少し考えてもらわぬと、野党のわれわれの立場だってあるんです。われわれだって、むやみに通さないとか反対だという立場をとっているのじゃない。国民の前に堂々と所信の披瀝できるようにわれわれは国会の中で戦ってきた。最後までこれはやるつもりできた。しかし、いまのような状態なり、衆議院の審議の状態、これはあげて政府の責任ですよ。これは今晩上がらないとしても、あえて社会党の責任とは言えませんよ。これだけは明確に申し上げておきたい。以上をもって私は終わります。
○理事(青柳秀夫君) 暫時休憩いたします。
   午後九時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後十一時三十五分開会
  〔理事青柳秀夫君委員長席に着く〕
○理事(青柳秀夫君) それじゃ、ただいまから開会いたします。
 この際、継続審査要求についておはかりいたします。
 アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(青柳秀夫君) 速記をつけて。
    ―――――――――――――
○理事(青柳秀夫君) それでは、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することにし、本院規則第五十三条により継続審査要求書を議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(青柳秀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後十一時三十八分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
     ―――――・―――――