第052回国会 商工委員会 第3号
昭和四十一年七月二十一日(木曜日)
   午前十時三十一分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         村上 春藏君
    理 事
                赤間 文三君
                豊田 雅孝君
                柳田桃太郎君
                近藤 信一君
    委 員
                剱木 亨弘君
                宮崎 正雄君
                吉武 恵市君
                小柳  勇君
                椿  繁夫君
                矢追 秀彦君
                高山 恒雄君
   政府委員
       科学技術庁資源
       局長       佐々木 即君
       通商産業政務次
       官        堀本 宜実君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞壽君
   説明員
       大蔵省銀行局中
       小金融課長    塚本石五郎君
       通商産業省重工
       業局次長     赤澤 璋一君
       通商産業省重工
       業局自動車課長  中村 俊夫君
       通商産業省鉱山
       局長       両角 良彦君
       工業技術院地質
       調査所長     佐藤光之助君
       中小企業庁次長  金井多喜男君
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  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (企業合併と下請問題に関する件)
 (石油天然ガスの開発に関する件)
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○委員長(村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、理事会において協議いたしました事項について報告いたします。
 本日は、企業合併と下請問題に関する件及び石油・天然ガスの開発に関する件の調査を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。
○委員長(村上春藏君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、企業合併と下請問題に関する件及び石油・天然ガスの開発に関する件について調査を行ないます。
 質疑のおありの方は順次御発言を願います。
○近藤信一君 本日は、いま委員長が言われましたように、企業合併の問題からお尋ねしたいと思うんですが、今後の経済成長あるいは資本の自由化などに対処するためには産業界の新しい体制づくりとか、また産業再編成ということがいろいろと論議されるとともに、それはすでに現実の動きとしてあらわれてきているのであります。わが国の産業が国際競争力を強化するためには、いろいろとそこに無理な問題が出てくるのでなかろうかとも思いますし、もはや、いままでのやり方では立ちいかないというふうな見方もあるわけであります。そこで経済全般の構造改革が必要であることでございますし、ことに、ここ一、二年企業の合併ということがいろいろと行政指導等においても行なわれてきておりますし、特に大手企業の合併ということが目立ってきておるのであります。しかし産業の再編成、企業の合併ということは、その実現の道程においていろいろとむずかしい問題がある。符に労働者不在の合併ということなどは、私はあり得ないというふうに考えておるわけであります。そこで、いつも合併に伴って問題になりますのは、労働問題がやはりここに出てまいりまして、そして合併が不調に終わったという例もあるわけなんです。たとえば鐘紡、東邦レーヨンの例もやはりそこに問題があるわけなんです。これは労働問題でございまするが、私は合併に伴って系列の下請企業の問題がやっかいな問題として出てくる、こういうことを以前にも指摘したことがあるのでございます。産業再編成期におけるところの中小企業対策、この中小企業対策はその重点がどうしても下請企業対策ということに移行すべきものだというふうにも感じを持っておるわけでありますが、この少数の大企業の合併によって表面的には国際競争力がついたように見えても、その裏で系列下請企業の切り捨てとか、また容赦のない整理が行なわれるならば、それは問題を中小企業問題に転嫁するだけでございますし、やはり国際競争力というにしきの御旗を振りかざして、中小企業がその犠牲にあわなければならぬというのもこの現実の問題となってきているわけなんです。
 以下私が取り上げるのは、こうした合併に伴う下請中小企業問題の一つの事例としてでございまするが、これと類似のケースは各地にあると思うし、今後も発生が予想されると思います。通産省、中小企業庁ではこれらの問題を総括して、今後の合併に伴う下請企業対策にも真剣に取り組んでもらわなければならないと思うので、ここに一つの事例として、日産、プリンス合併による下請会社の興民社の問題について関係当局にお伺いしたいのであります。
 日産、プリンスの合併覚え書き調印は昨年五月三十一日に行なわれていることは御承知のとおりであります。それ以後プリンスの下請企業の整理が徐々に行なわれ、現に倒産会社が二社発生いたしております。いままた興民社の下請会社が会社閉鎖の状況に追い込まれて、そこに働く労働者が賃金、退職金未払いと失業の危機にさらされているのであります。乗用車の自由化は昨年十月から行なわれておりましたが、この自由化を前にして、昨年の八月の十日の本商工委員会の席上で、私は、自由化を迎えるにあたって日産、トヨタというような大手だけを見た場合問題はないかもしれないが、系列中小企業の問題を処理してからでないとあとに大きな間違いが起こるのではないか、そのしわ寄せは必然的に部品の系列下請企業にかぶさってくるのではないか、この点について、いろいろの面からよく考えてやらないと、下請中小企業はたいへんなことになってくるのではないかと指摘をいたしました。この点についていま少し当局としても慎重に取り組んでほしいと要望しておいたのであります。これに対しまして、当局の川出重工業局長は、自動車工業の盛衰、今後の状況というものは、直ちに下請関係等の業界の今後の状況にも密接な関係があるわけだから、政府としては、その辺の実態をよく見きわめて慎重に処理してまいりたいと思っている、このように答弁しておられます。さらに本年になって、三月十七日の当委員会で日産、プリンスの合併に伴う労働問題が取り上げられたときにも、それに関連して私から、再度合併に伴って系列下請企業に対する措置というものが非常にむずかしい問題であり、通産省として何らかの対策を考えておられるかと、こういうことを具体的に事例をあげてお尋ねしたことがありますが、このときも川出重工業局長は、両者の合同による下請企業の調整の問題は非常にむずかしい問題であるが、伸びていく産業であるから、好ましい環境をできるだけ活用して、相当時間をかけて調整していかなければならないと答え、さらに業態により中小企業の対策に乗せられるものは乗せていく、あるいは事業のあっせん等もはかっていかなければならないと考える、このように答弁しておられるのであります。ところが、現実にはプリンスの下請ですでに倒産が二社発生し、いままた第三の興民社が閉鎖に追い込まれるというように、私が昨年から指摘してきた問題が現実に悪い結果として出てきているのであります。一体重工業局及び中小企業庁ではプリンスの下請問題について、その後どのような指導をしてこられたのか、この点について御説明を願いたいのであります。
○説明員(赤澤璋一君) 日産、プリンスの合併に伴いまして、これに関連をいたしております下請企業、特に中小企業の問題を慎重に私どもも取り扱わなければならぬというふうに考えておりまするし、また事実そのように当委員会でも御答弁をいたした次第でございます。ただいま先生から御指摘のございました具体的な案件につきまして、若干御説明をさしていただきたいと思いますが、御指摘がありましたプリンスの下請関係の二社が倒産をした、こういう御指摘がございました。本件は昨年の二月と三月に起こりました事件でございまして、私ども調べておりますところでは、この両社はいずれも特に二輪車の関係の下請企業でございまして、プリンスの自動車関係の下請部品と申しまするものは、全部の生産高の中で言いますと、わずかに一六、七%という程度のものでございます。したがいまして、まあ合併調印前に起こった問題であろうかと思います。もちろんこういうことのないように十分中小企業対策としても配慮をしてまいりたいと思っておりまするが、合併によって直ちに起きたという倒産ではないかと存じておるわけでございます。私どもこの合併に伴いまして、当然この下請関係がそれぞれ企業によって違っております。たとえば私どもの調査いたしました範四では、日産自動車のほうはいわゆる協力会あるいは協同組合等の関係で下請あるいは部品加工と申しまするか、そういうものの関係が約二百七社あるようであります。一方プリンスのほうは若干数がたくさんございまして、四百十三社というふうに私どもの調査では出てまいっております。こういうそれぞれ多数の下請会社を持っておるわけでございまするが、先般の国会でも局長から御答弁申し上げましたように、今後自動車関係といたしましては、四十年度は不況の関係もありまして伸び率が非常に落ちておりまするが、四十一年度以降は相当自動車の伸びもまた再び戻ってまいる、いわゆるこれから先成長していくという過程でございまするので、そういう伸びていく過程において、これらの関係の下請企業につきましても十分これが調整ができ、また優秀な企業がどんどん伸びていくというふうにいきたいものだということで指導してまいりたいと思っております。またこの合併に際しまして、私ども亜工業局といたしましては、両社に対しまして、従来の中小下請企業につきましては、それぞれその商権を失わせることがないように十分な配慮をしてもらいたいということを強く要望し、両社ともこれを了承いたしまして、その方針に従いまして、下請中小企業については十分な配慮をすることを約束をいたしておる次第でございます。
○説明員(金井多喜男君) ただいま重工業局のほうから御答弁のございましたように、企業の合併に伴い、そのしわ寄せが特に下請企業にいかない、悪影響を及ぼさない、商権を極力尊重するというような件につきましては、重工業局並びに関係局とも絶えずそういう点につきまして、中小企業庁としては慫慂をいたしてまいっておる次第でございます。特に率直に申し上げまして、この下請関係につきましては、御承知のように非常にいままでの中小企業庁の体制では、なかなか把握しにくい点もございましたので、御承知のとおり本年度から政府全般として、機構の拡充は行なわないというような話がございましたにもかかわらず、下請企業課をこの五月から、法律の成立を待って設置いたしまして、実は先般来、従来この中小企業庁の下請問題というのが、とかく結果的には下請法の規制を中心とする点にしか力が注がれていないというような印象を受けておりましたが、先月来中小企業政策審議会の下請小委員会を開催しまして、この際政策審議会の委員の先生方の御協力も得まして、抜本的に下請関係の実態を把握いたしまして、今後の資本自由化等を含める開放経済の中において、日本の中小企業の相当な数を占めます下請企業自体の近代化、あるいは親企業と下請企業との近代化等の実態を究明し、生産性を高めまして、下請企業と親企業との関係が今後一段といい意味で、親企業と併存できるというようなかっこうに持っていきたいと、せっかく考えておる次第でございます。
○豊田雅孝君 関連して質問しますが、大企業側――自動車メーカーでありますけれども、特に会社の名前は秘しますが、この自動車メーカーの合併に伴って、下請をそのままにしておくということはとうてい困難だ、これはもう経営責任者自身が言っておるのでありますが、いま重工業局、それとまた中小企業庁のほうからは、従来の商権を擁護をするようにという申し入れもせられておるということでありますけれども、実際問題として企業合併はやった、下請は従来どおりその営業を認めていくということは、言うべくして困難であるということをいま申すとおり言っているので、したがって申し入れ程度でこれが解決がつくというふうに思っておられるのかどうか。ことに貿易自由化はまあまあというところまで来ておるのでありますが、資本自由化を目前に控えて、今後いよいよ本格的な企業再編成、企業合併がいやおうなく促進せられるということになると、下請に対しては容易ならぬ問題が出てくる。ただ申し入れだけで小が済むというふうには、私は実際問題として考えられぬと思う。この点はどういうふうに考えられておるか、また見通し、それも単なる申し入れ程度でなく、こんなに具体的にやっているのだという点を承りたいとこう思うのであります。
○説明員(赤澤璋一君) 合併をいたしまして企業規模を大きくし、そうして国際競争力を強めていくということには、もちろん今後とも私ども強めてまいらなければならないわけでございまするが、自動車の場合には御存じのように総合組み立て工業でございまするので、当然多数の部品からこれが成り立っておる。それぞれの部品の値段あるいは部品の品質といったものが、国際的に見て競争力のあるものでないと、ただ組み立て工場、このラインだけが合理化されましても、国際競争力があるとは申せないわけであります。そういう意味から、いわゆる部品下請関係の会社と親企業である自動車メーカーとは、ほんとうに持ちつ持たれつと申しますか、そういう関係であろうかと思うわけであります。私どももこういう申し入れをいたしました以後、関係の自動車会社の幹部等とも何回か会っておりまするが、ただいま豊田先生のお話とやや似たような感触かと思いまするが、私どもの申し入れに対しましても当然これは十分配慮していかなければならぬ。合併をしたから、そのために直ちに下請を整理をするということは会社としてはいたしません。と申しますのは、合併をいたしましたからといって、合併会社がいま直ちに従来つくっておりました車種を整理をいたしまして、ある車種は今後はつくらない、こういうことになりますと、その車種にぶらさがっておりました下請加工関係のものがどうするか、ほかの車種のものに転換をするか、いろいろ問題が起きてくるわけでありますが、当面今回の合併におきましては、その調印の中にも示しておりますように、車種の整理はしないということを覚え書きではっきりと明言をいたしております。そういう関係から、いま直ちにこの下請を切り捨てるとか整理をするという方向で考えていないことは、私ども会社首脳部の言明を信用してよろしいかと思います。ただ、その際両方の首脳部の一部のものが言っておりますることは、いずれにしても、私どもまあこれらの会社の競争力を強める意味から、下請についてもやはり品質、価格の面で十分競争力のあるように指導もし、かつ要望もしたい、その過程においてその企業自身がそういうことについていけないということでもって脱落をしていく、ここまで責任を持って非常に優秀でない中小のものについてまで一〇〇%責任を持ってやるということはなかなか困難ではないだろうかというようなことを言っておることは、私どもも承知をいたしております。そういうものが出ました際に、じゃどうするかということでございまするが、もちろん中小企業庁等にもお願いをいたしまして、それぞれ所要の対策、たとえば金融上の措置あるいは機械の合理化、こういった面について当該会社から要望があれば、当然私どもその線に沿いまして、十分必要な金融措置あるいは機械合理化の面での措置、こういった面を講じてまいりたいと思いまするが、終極的にはこれは会社同士の問題であり、いかに役所が指導いたしましても、おのずから限界はあろうかと思います。昨年来、そういう意味でそれらの会社の中小企業対策を見ておりまするが、特に先ほど申し上げましたように、プリンス側の下請企業と申しますものは、数も日産に比べまして相当多いわけであります。また私どもの調べました調査票を配りましてアンケートが出てまいりましたが、その中小下請関係から見ましても、たとえばプリンスの場合には五千万円未満の中小企業、いわゆる中小企業の範疇に屈するものが、調査票の提出があった範囲内ですと、約五六%、日産の場合にはやや少なくて四七%ということでございまして、プリンスのほうにやや中小企業的な問題が重なっておろうかと思います。現在プリンスとしてどういうふうにやっておるかと申しますと、これらのもののグループ化をいませっかくやっております。ある種の機能部品をまとめまして、そうしてこれらの下請グループが一団となりまして、共同受注と申しますと少し大げさかもしれませんが、そういったかっこうで窓口チャンピオンをきめまして、そこがプリンスと折衝いたしまして、そうして注文を受けてくる。それをグループ内の企業で相談をして分け合って生産をするというような形で、せっかくいまグループ化の方向でもって脱落のないように努力をしておると承知いたしております。私どもそういう方向は、特に二百万未満の下請加工関係の工場を多数持っておりまするプリンス自動車としては、一つのやり方ではないかということで、そういう方向について私ども賛意を表しまして、その間それぞれ下請のものについて問題があれば、ただいま申し上げましたように、中小企業庁等にもお願いをいたしまして、必要な措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○豊田雅孝君 いま重工業局次長さんの答弁で、非常に苦心をせられておることは了とするのでありますが、貿易自由化よりもいよいよ資本自由化になってくれば、もっともっと深刻なことになると思うのでありまして、そういう面からも単に指導だけでいいのかどうか。ことに、これは予算を伴うというようなことになれば、指導だけでとうていしっかりしたことはできない。したがって、事前に特別措置法のごときものを用意する必要があるのではないか。これは金融、税制各面から相当の思い切った対策措置を講ずる法的根拠というものを必要とするのではないか。問題が起きて後に後手々々に従来なってきておる傾向があるのであります。今回そういうことがありますと、ほんとうにゆゆしきことになりはしないかという感をいたすのでありまして、今度こそ少し事前に――すでに事前といっても問題はいまここで論議せられておることが起きておるのでありますけれども、非常に資本自由化に対する対策としては、この際思い切った措置を法的にもされる必要があるのじゃないかということを考えるのでありまして、この点特に中小企業庁から十分に答弁をしてもらいたい。また機会を見て大臣には、もちろん重大問題でありまするので質問をしますけれども、事務当局としても最善を、しかも事前に講じていくということを考える必要があると思いますので、その点特に質問するわけであります。
○説明員(金井多喜男君) ただいまの豊田先生のおっしゃいます下請関係について法制化をやって、もっと根本的に下請企業全般について助成なり金融なりあるいは税制等について思い切った措置をなすべきではないかという点でございますけれども、その辺につきましては、まず第一に法制化の問題は、御承知のとおりただいま下請企業について親企業との関係において助成的なものは下請法だけでございます。そのような点につきまして、実は中小企業政策審議会において昨年も相当長い間時間をかけまして検討していただいた次第でございますけれども、要するに法律をつくるとなりますると、かりにもしそれが対親企業との関係でいま以上に何らかの法的な、ある意味におきまして下請企業保護というようなかっこうで規制措置を行なうという点については、非常に批判的な意見がございまして、昨年の夏に答申をいただきましたけれども、そこではそういうことは結論として出なかったわけでございます。この点につきましては、私どものほうは法的にまで規制するという点については問題もありましょうけれども、実際問題として、もう少し親企業と中小企業との間が単に手形取引の血だけでなくて、円滑にいくというようなことについては、指導なりあるいは業界自身の話し合いの場というものにおいてやっていかなければならない、このように目下は考えておる次第でございまして、たとえば下請企業振興協会を政府が補助金を出してつくるとか、あるいは業界のほうに下請の企業の協議会を設置するというようなことを慫慂しておる次第でございます。
 第二に、助成の問題についてでございますが、これは問題は二つに分かれようかと思います。一つは、いわゆる親企業に対する下請企業という面で、何らかの独立した助成を考えるかどうか、第二番はこれは中小企業全体の問題でございまして、先ほど先生からもお話のございましたように、今後資金の自由化を含めて一段とより完ぺきな開放経済体制下に入りますると、これは中小企業のみならず日本の巨大企業につきましても、より一そうの合理化を徹底して、生産性を高めるという必要が生じてまいるわけでございますが、中小企業におきましては、その必要度が一段と必要なことは申すまでもなかろうかと存じます。そういうような点につきましては、かねがね中小企業の近代化、高度化というようなことを中心に、国会の先生方の御協力も得まして、中小企業予算につきましては、通産省予算の中でもわりあい顕著な伸び率を示しておるわけでございますけれども、実のところただいま通商産業省といたしまして予算の作業編成をやっておりますが、うちの大臣からも中小企業対策について、この際中小企業庁は思い切って、そういう開放経済に突入するための大きな考え方から、思い切った予算を編成するようにというような指示も得ておりまして、目下作業中でございます。根本的には、私どものほうとしては目下の段階におきましては、法的に云々という点につきましては、今後なお検討さしていただくことにいたしたいと思いますが、予算的な面におきまして思い切った助成措置というものにつきましては、ひとつ積極的に進めてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
○豊田雅孝君 いま主として金井次長からは一般の下請問題についての対策として答弁せられたのでありますが、私の主としてねらっておるところは、貿易自由化、特に資本自由化に伴う大企業の産業再編成、大企業の企業合併、これに伴う下請の不測の被害、これについての特別措置を法的に考えるべきじゃないか、こういう点に重点を置いて質問しておるのであります。というのは、予算は指導行政の面からも相当要求せられるでありましょうけれども、法的措置を講ずるその背景があるなしによって予算の獲得にも非常に影響があることは言うまでもなく御承知のとおりであります。ことに税金関係においては、法的根拠がないものについての特別の税制的考慮というものは、われわれ税制調査会に関係しまして、従来から悪戦苦闘してきておるのですけれども、なかなか容易でない。むしろ法的構成を背景にしておるということならば、初めてそこで相当思い切った税制措置も講じ得るというのが現状であります。そういう血から、予算の獲得についても、また税制関係についても相当思い切った措置が必要であろうということならば、一そう特別措置法的なものが必要になってくるのではないだろうか。しかも中小企業の下請それ自体から発生した内部的要因でなくて、大企業の国際的競争力強化という見地からくる大がかりな産業再編成、それに伴う企業の徹底的な合併、これによる中小企業のあおりというものは、これはもう非常な大きな台風に農業などが対策を徹底的に講ずる、また講じてきておる、それと比較せられてしかるべきものだと思うのでありまして、そういう面から一般の下請の問題についてももちろんいろいろ施策を必要としますけれども、この際として、特に国際競争力強化のためのやむを得ざる大企業再編成に伴う中小企業下請に対する特別措置を徹底的にやるがためには、法的措置が必要なんじゃないかということを考えておるものでありまして、この点について事務当局からはこれ以上答弁してもらうのも困難かと思いますが、予算編成期でありますので、急速に、特に三木通産大臣にこの点を私から強調しておったということを進言せられ、またそれに対応する研究を早急にしてもらいたいというふうに考えるのでありますが、その気持ちについてだけ答弁しておいてもらえばけっこうです。
○説明員(金井多喜男君) ただいまの豊田先生の御意見につきましては、私どもひとつ中で関係局によく相談いたしまして、また大臣にもこの本日の御意向をよくお伝えいたしまして、ひとつ慎重に研究させていただきたい、このように思います。
○近藤信一君 先ほど赤澤次長が御答弁の中でも言っておられますように、国際競争力という問題に非常にウエートが置かれておる。私が先ほど申し上げましたように、いわゆる開放経済体制下において、国際競争力ということをにしきの御旗として、そうして企業の合併等が行政指導で行なわれておる。その場合にやはり犠牲に供されるのは中小企業であり、そこに働く労働者である。したがって、これは私ども本委員会でもしばしば申し上げておりまするように、まず企業の合併ということの前提としては、労働者不存ということは考えられない、まず労働問題ということを劈頭考えて企業合併の行政指導というものがなされなければならぬと私どもはしばしば申し上げておるのです。特に次長も言っておられましたように、プリンスの場合にはほとんどが、部品そのものが下請工場に依存してきておる。したがって四百社も下請がある。特に三多摩地区だけで百社に及ぶところの下請工場を持っておる。しかもこの三多摩地区におけるところの下請工場というものは非常に小さな、五人、十人という下請工場から始まっておりますし、しかも労働組合がない弱小の企業というものが大部分を占めておる。特に日産とプリンスの合併に端を発しまして、今日プリンスの従業員はいわゆる労働組合が二つに分裂し、しかもいわゆる法廷に持ち込まれているというような今日状況でもあるわけであります。労働組合がしっかりしている工場においてすらそういう結果を招いている、労働組合のない工場はおもにこれは泣き寝入りの姿で、いままでの合併問題を見ましても、そういう結末がつけられている。今度の場合、特に三多摩地区に弱小の下請が百社もございまして、そうしてしかもそれが自然に離れていき、自然につぶれていくような形というものがとられてきている。従来本委員会でいろいろと倒産問題を取り上げまして、当局にもその対策について私どもがお尋ねし、また対策を協議してまいりました。従来の関係は、倒産関連会社のいわゆる下請問題で、それに対しましては当局はいろいろと手だてを講じて対策を立てられてきている。しかし今度の場合には、倒産による、下請企業の問題でなく、現に合併による下請企業へのこの反響ということになってきているわけなんです。このことは私が先ほど申し上げましたように、いわゆる下請企業の対策というものを十分考えていかなければ、やがてこういう問題が起きるであろうということを私は半年なり一年前にこのことを申し上げておいたわけなんであります。ところが、現実に今日そういう問題がぼつぼつ出てきている。このことは先ほど来次長、中小企業庁からも御答弁がございましたけれども、ただそれはしきたりの対策だけであって、いわゆるやがてこうなるであろうという上に立っての対策というものが私は十分でなかったのじゃないか、またそういうことをあなたのほうとしては今日まで具体的に進めてこられなかったのじゃないかと私は思うのですが、この点はどうですか。
○説明員(赤澤璋一君) 先ほども御答弁申し上げましたように、プリンスの場合には確かに中小のウエートが非常に高いわけでありまして、従業員の人数にいたしましても五十人未満というふうな下請企業が相当多数プリンスの下請加工業者として配置をされている、その点はただいま先生の御指摘のとおりであろうかと思います。で、合併という非常に大きな、企業にとりましては画期的なことをいたすわけでございまするが、先ほど来申し上げましたように、プリンス自動車あるいは日産自動車にいたしましても、合併によりまして車種の整理をしないという約束をいたしておりますので、従来の車種をそのまま製造販売する、これは合併によって車種を整理するということになりますと、整理をする車種を持っている会社にとってはたいへんな損失を招くわけであります。その車種が相当数地方のディーラーに行き渡っておりますので、今後もうそれを生産しないのだということになれば、それについての売れ行きはばったりとまってしまい、あとの部品の動きはどうなるかということで相当な損失を受けるという点もあり、当面合併をいたしまして、すぐ車種の整理をするということはこれは企業としてもできない相談であろうかと思います。そういう意味合いから従来の車種をつくるために必要な部品、これを製造いたしておりまするところの下請の企業、こういったものが、やはり今後の自動車の売れ行きの伸びというものの中でますます合理化を進めていき、また生産活動を拡大をしていく、こういう環境にあるかと思うわけであります。
 ただ、具体的な例といたしましては、プリンス自動車につきましては、いま申し上げましたように五十人未満の従業員を持つ工場を多数抱えております。私どもが調査いたしましただけでも七十数社の数が一応調査の結果あらわれております。こういったような企業が多数ございますので、会社といたしましてもこれら一々について今後やっていく、めんどうを見ていくというよりも、これをグループ化して一つの部品ごとを体系的にまとめまして、そこが代表選手をきめて共同受注をする、お互いの間でその間相談をし、あるいは今後の品質なりコストの向上につきましても、お互いに相談をして親企業と協議をしていくというような体制をせっかく進めておるわけでありまして、私どもその間調査をし、もしその間におきまして政府として必要な措置があれば、いつでも手を差し伸べるという体制でもって進んでおるわけでございます。自動車の場合は総合組み立て工業でございまするので、当然これらの部品自体がますます国際競争力を持つことが重要な課題でもございますので、私どもそういった方向に沿いまして、特に五十人未満とかあるいは百万円未満といったようなほんとうに零細と申しますか、中小のものができるだけお互いに寄り集まり、相互の間に十分な協調の体制のもとに今後の合理化が進めていかれますように、なお一そう努力をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○説明員(金井多喜男君) 合併による中小企業への波及につきましては、まあ先ほど来重工業局次長、私も申し上げておる次第でございますけれども、その節私申し上げましたように、合併というものによっての波及、中小企業、下請企業に対する波及というものについては、行政指導として極力阻止いたし、業権を尊重してもらうように親企業のほうで考えていただかなければいけませんけれども、先ほど豊田先生のお話もございましたように、大きな観点から見ますると、そこにすべての下請企業が従来の関係そのままでやっていけるということもなかなか実際問題としてはむずかしい点があろうかと思うのでございます。そういった点からも下請企業につきましては、単にそれが親企業対手企業の、家庭でいう親子の愛情というようなものだけでもなかなか日進月歩の技術の革新なら近代化の進展というものからいって、無理からぬ点もあろうかと思いますので、そういった点から下請企業につきまして、下請企業自体の近代化、合理化を一そう進めまして、生産性を高めて、親企業がつくるよりも、あるいは従来の系列外の企業がつくるよりも、従来の系列にあった下請企業のやるほうが実際に親企業としてのメリットも大きいというようなかっこうに持っていくということも、これまた非常に必要ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
○近藤信一君 私どもは、委員会でこういう問題で質問をするからということになり、あわてて調査する、こういうふうなことでは私はいけないと思います。現に問題になっておりますところのプリンスの下請工場である興民社、これはやはり六月二十日付けをもって、生産の七〇%以上を占める発注を一方的に打ち切りの通告を出してきた、こういうことでこの興民社はいま倒産の一歩手前というところにあるわけですね。やはりいま次長が占われましたように、なるほどそのグループ化の問題も若干そういう話はあって、一応は進めてきたけれども、十分な発注がある。興民社の場合にはプリンス全盛時代には百名近い従業員がいたわけなんです。ところが、だんだんだんだんと単価は引き下げられ、仕事は減らされるということで、現在では三十名くらい人が減ってきておるわけであります。真綿で首を締めるような今日のやり方なんですね。これでは私は中小企業として、下請け企業として、これは当然倒産の方向へ押しやられるというふうに思う。やはりこういうふうなことを私は当局としては常日ごろ調査し、そうしてそれに対するところの対策というものを立てていかなければならぬじゃないかと思うんです。あなたは生産の七〇%以上発注を一方的に打ち切ったということを把握しておられますか。この点どうですか。
○説明員(赤澤璋一君) ただいま御指摘のございました具体的な事例でございまするが、私どもで承知をいたしておりますところによりますると、この会社はプリンスのクラッチハウジングの何と申しまするか、加工をしておる会社でございます。これは従来プリンスとの間では継続的な売買契約を結んでおりまして、いわば長期の体制でプリンス自動車との間に下請の契約を結んでおる会社でございます。同時に親企業である自動車会社から機械の貸与も受けまして、そうして材料の支給も受け、そうして生産、加工をしておるという会社でございます。したがって、親企業としても機械も貸し、そうして部品の材料も供給しということであり、したがって長期にわたって継続売買契約もしておる。いわば本来の意味における何といいますか、傘下下請企業ということで、非常につながりの深い会社であると思うわけであります。これが今日のようなことになりましたには、いろんな理由があったかと思うわけでございまするが、私ども調査いたしておりますところによりますると、昨年の三月、つまり合併の調印をいたします二カ月前にこの会社で労働争議が行なわれました。で、プリンスといたしましては、このクラッチハウジングは非常に重要な部品の一部でございますので、これの供給がとだえるということになりますると、非常に問題がございまするので、従来ここに発注をいたしておりましたもののうちで、乗用車の分については自分の会社で内製をする、そうしてトラック分について従来から引き続き受注をしてもらいたいということで、機械貸与をそのまま継続し、また引き続き継続的な売買契約も取り消すことなく今日まで及んでおると承知をいたしております。ところが、本年の三月末に至りまして、この会社が親企業である自動車会社に対しまして五百数十万円の未払い金がたまった。これを払ってくれない、こういうことでありまするので、実は親会社といたしましては、グループ化を進めておるわけでありまするけれども、こういう非常な膨大な未払い金を持っておる会社でもありまするので、そのグループの内部に入れることはどうかという問題もあって、ちゅうちょをいたしておったというような事情のようであります。
 そこで、この会社についての再建計画と申しまするか、今後の支払い計画を含む再建計画について何度かこの会社から具体的な計画の提示を求めたようでありまするが、ごく最近私ども聞いたところでは、まだ親会社に対しまして、この下請企業から十分なる再建計画の提示がないまま、銀行から融資が打ち切られた、こういう事情で現在六月下旬から組合としてはストライキ状態に入った。いよいよ部品の供給が行なわれない、こういうことで実は親企業としても非常に困った状態に立ち至った、こういうふうに承知をいたしております。
○近藤信一君 いま次長の答弁されましたように、いわゆる独占のいつもとっておる手段というものはそういうところにあるのだ。やはり合併の条件に対しましても、あそこの工場はストライキをやったからあそこの工場はよくないとか、常にそういうものが一つの合併の際のときの条件みたいなことになっている場合もあるわけなんです。いまトヨタにおきましては、月産五万台を目標にしており、また、それに負けないということで日産もやっておる。特に日産とプリンスの合併によって生じておる問題は、主として労働問題がその裏にかもし出されてきておるととも、これは次長御承知のとおりと思うのですが、そういうふうに、思わしくないからあそこはグループに入れない、そういうことであれば、ますますそこの下請というものは窮地に陥ることは当然でございますし、またそういうことで合併後にこの下請をかかえておったのでは、うちのほうまでその労働四題が波及するというふうな御心配が親企業にあったかどうかは私は知りませんけれども、われわれが推測すると、そういうことが反面考えられるわけなんです。それが一つの条件になってくるようにも私どもは思うのです。そういうことは私は企業の合併に対して実際思わしくないことじゃないか、そういうことがあっては私はならないと思うのです。あくまでも労使慣行というものは、その企業と労働者の問題であって、企業の合併にまでそれを及ぼすということは私は好ましくないと思う。そうなれば、下請の企業というものは少しも親会社に向かっての発言権というものはない。親会社の言うがままに常になっていなければならぬということにもなってくるのじゃないかというふうに思うのです。やはり当局としては、この不況下におけるところの対策として、特にそれが考えられなければならぬことは中小企業の下請企業の問題であるわけです。そのためにいろいろと法律も改正をし、また金融措置に対してもわれわれが本委員会でしばしば審議をしてきておることは次長も御承知のとおりと思うのです。やはり私はこうした下請企業に対するあたたかい手をもって、そうして何らかの指導ということを講じてやらなければ、下請企業というものが今度ここにあらわれましたように、やはりよそへ身売りするというふうな結果が出てくる。そうして自然倒産という結果にもなってくる。親会社がこの下請企業はあまり好ましくないということになれば、最も敏感である金融業界は、これに対してすぐ資金力の面でまたすぐ規制してくることも事実でございますが、あなたのほうはすでにこういう問題についていろいろと考えておられると思うのですけれども、あなた方の目の届かないところでこういう問題が毎日起こっておる。こういうことが現実であろうと私は思うのですが、今度の興民社の問題に対しましても、わずか三十名の従業員でございますけれども、ここだけで私は終わるというふうには考えておらない。これをきっかけとしてさらに次々と下請の倒産というものが出てくるのじゃないかというふうに私は心配するのですが、いま次長も認めておられますように、五十名以下の弱小の中小企業が七十九社もあるということでございまするから、これらに対するところの対策として、いまあなたのほうは何らかの具体的なものを持っておられるかどうか、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
○説明員(赤澤璋一君) 具体的な御指摘の例につきましては、私どもも小さな企業でございますけれども、いわゆるクラッチハウジングの切削加工をしておる会社でございます。親企業といいますか、この部品の供給を受けておる側から申しますると、もちろん労働問題とか、そういう問題もありましょうけれども、実際の生産の過程において、継続的に順調にこの部品が納入をされるということがやはり一番大事な条件ではなかろうかと思うわけであります。そういう意味から機械も貸与し、また、機械も貸与しておる関係上継続的な売買契約と申しますか、下請加工契約を結んでおる。これはあくまで長期にわたって部品が順調に流れてくるということを念願いたしまして、親会社としては相当力を入れたやり方であろうかと思うわけであります。ただ、それがいろんな事情から、その下請企業自体の問題から、継続的な部品の納入はないような状態になってくる、こういうことになれば、やはり一時期におきましては、当該会社に発注いたしておりましたものをやむを得ず自分のところの親会社の内製に切りかえていく――一部のものを事実切りかえて様子を見ておったわけであります。現在でも、先ほど四百数十万円と申しましたが、一部のものは返済をされまして、なお三百数十万円の代金が親会社のほうには未払いになっておるわけでありますので、親会社といたしましては、これらのものは、このまま会社が倒産いたしますれば焦げつきのものになってまいります。そういう意味合いから、何とかこれを再建をいたしまして、場合によってはかつて内製に切りかえたものを出してもいい、もう一ぺん発注し直してもいいという意思表示もしたやに聞いておるわけでありますが、遺憾ながら今日ではそういうことが行なわれないままに、何と申しますか、無期限ストという形のストに突入するに至ったということでございます。たいへん私ども遺憾な事態が発生したものだと存じております。お示しのように自動車の下請加工関係につきましては、資本金が小さく、従業員も五十人未満というものが多数ございますので、私どもといたしましては、これらの親企業に対しまして、これらのグループ化を進める一方、もし、かりにグループ化の段階で何らかの事故が起こり、そして脱落せざるを得ないというようなものがあれば、直ちに事前に私どものほうに通告をしてもらいまして、その通告を受け、事態をよく調査をいたしまして、こういったようなデッドロックに乗り上げない前に、できるだけ必要な措置が可能ならば、中小企業庁等にも御支援を願いまして、必要な措置を講じてまいるような仕組みを考えてまいりたいと考えております。
○椿繁夫君 赤澤さんはいまの三多摩の興民社とプリンスの関係について、一面だけしか見ておられない。去年五月三十一日に通産大臣が中に入られて、日産と両社の合併をあっせんされた際に、通産省から、合併にあたってはかくかくのことを注意すべきである、それから合併については、日産の二に対してプリンスは一の株式の割合をもって合併すべきであるというふうなことが出されている。その際に、私は一ぺんお尋ねしたいのですが、下請あるいは代理店等について、この合併が特別な動揺を起こさないように配慮すべきであるというふうなことを特にあなたのほうから出しておられると思うのです。それを一ぺん文書をお持ちでしたらちょっと読んでもらって、その後、一体通産省の合併あっせんの際に出された条件というものが、どういうふうにプリンスなり日産において尊重されておるかということをまず明らかにしてもらいたい。
○説明員(赤澤璋一君) 昨年の五月にこの両社の調印が行なわれたわけでございまするが、通産省といたしまして、文書をもってかくかくの点の配慮をすべきであるというような申し入れを両社に対していたしたという事実は私承知をいたしておりません。ただ、両者の合併調印の覚え書き――実はきょうそれを持ってまいっておりませんが、覚え書きの中に、ただいま先生が御指摘になりましたような趣旨の条項があったかと承知をいたしております。下請の関係につきましては、先ほども近藤委員から御質問がございましたのでお答えをいたしたわけでございまするが、こうした合併に伴いまして下請加工関係の中小企業が整理をされる、そして従来の商権を失うということがありますると非常な混乱を招き動揺が起こるわけでございまするので、そういうことのないように、脱落者が出ないようになお一そう前向きの姿勢でこれらの商権の確保については特段の、配慮をしてもらいたい、この点につきましては、昨年の秋、私どもの重工業局から両会社の首脳部に強硬な申し入れをいたしました。その後の事態を見守っておるわけでございまするが、従来まで私どもの承知いたしておりまするところでは、プリンスのほうがむしろ問題が多く、そしてただいま申し上げましたとおり、グループ化という一つの措置をとる、そのグループ化の範囲内でお互いに脱落者が出ないように今後の合理化を進めていくという対策を講じておるように存じております。
 なお、先ほどもお答え申し上げましたように、今後こういった問題が起きます可能性もなしとはいたしませんので、できるだけ事前に私どものほうに通告をしてもらい、事前の通告を受けた上で十分実態を調査をいたしまして、所要の措置を講じてまいるような仕組みをつくってまいりたいと考えております。
○椿繁夫君 この興民社にプリンスに対して合併の二カ月前にストライキが起こって、重要な部品の納入に、支障を来たすようなことがあってはいけないというので、このプリンスから興民社に対する発注量というものが漸減をして、それだけなら、なるほどとこううなずけるのでありますが、ことしの八月一日の両社の正式合併調印を控え、三月期の決算がやはり合併の重要な基礎になるだろうということは考えられます。そこで、日産のプリンスに対するやり方というものをずっとこの一年間振り返って見ますと、両社で連絡委員会というものを選んで、合併に関する話し合いというものが進む前に、プリンスの職場の中に動揺を起こさせ、そしてその、正常な生産活動というものが行なわれないような方策がとられてきておる。それは会社と会社との合併条件の相談の前に、まず労働者の組織する組合を一つにするというところに重点が置かれた合併条件、合併交渉というものが進んできておるのであります。そのことのために、プリンスはこの一年間は、前年と生産を比較してみますと非常な生産の低下になっておることは、私、数字を持ちませんけれども、これは明らかであります。それが三月期の決算になって大赤字を出しておるのじゃないかということが思われます。そういうことがこの下請けのほうに反映いたしまして、いわゆる下請に対する発注量というものが激減してきておることが、興民社の経営上の大きな赤字を出した原因になっておる、こういうふうに私は考えます。そのことはちゃんと近く棚印される合併条件のほうにも反映してきておりまして、通産省でごあっせんの際、二対一でありましたものが二・五対一ということに、この一年間の間に合併条件というものが非常に変わってきておる。それはこの一年間の生産というものを落として合併をすることが、日産のために吸収をするために好都合だと考えてやられたのではないかと、こう一般経済界ではいわれておるのであります。そういうプリンスの生産の減退ということが下請に対する発注量の激減になってきておる。それが興民社の大きな赤字の原因になっているというふうに私は考えます。それはひとつお考えになって、今後の対策をお考えにならないと間違うように思います。これについて重工業局の所感を求めます。
○説明員(赤澤璋一君) 日産、プリンスという非常に巨大な企業の合併ということで、日本の今後のこういった問題の処理につきまして一つのテストケースと申しますか、最初の事態であると思います。昨年の合併の調印の際には二対一――とりあえず二対一ということで、なお合併の時点において最終的にその点をきめようという覚書になっておりましたことは、先生の御承知のとおりでございます。その後の推移でございますが、昨年度は御存じのように不況でございまして、乗用車はもちろん、トラックの面におきましても相当伸び率が鈍化をいたしております。これは自動車工業全般が鈍化をいたしております。たとえば日産で見ましても、乗用車の伸び率から見ますると、三十九年度が前年に対しまして一三三%の伸びであったのに対して、四十年度はわずかに一〇二%、ほぼ横ばい、こういう状態になっております。プリンスの場合は、前年が百四十数%ということで伸びておるのに対しまして、四十年度は一〇〇%を少し切った形、前年度よりも落ちておる。一方トラックのほうは、むしろプリンスの場合には、前年に対して一〇二%ということで少し伸びておりますが、いずれにしても生産全体からいえば、不況の大きなあおりを食って、自動車工業全部が全体的に調子が悪いということがいえるわけでございます。そういう意味から、いまのお話では特に日産側が合併条件をよくする意味で何らか工作があったのではないかというようなお話もございましたが、私ども、その辺につきましては、まだ十分そういうふうな事情であるかどうか承知をいたしておりません。ただお互いに今後一体になっていく会社でございますので、合併後にいろいろなしこりを残していくということは、合併後の新会社の運営についていろいろと問題を残すことにもなるわけでございますので、私どもの聞いております両社の首脳部の気持ちからいえば、非常に一年間むしろ実態をお互いによく知り合う、これはいわば結婚前の交際のようなものでございますから、裏も表も十分知り合ってその上で、正式に結婚しようということでありますので、相手方に対して特段の何らかのそういう措置を講じ、そうして目先有利にするということは今後の新会社の運営が思いやられるということでありますので、そういう点はお互いの忌憚のない意見の交換、あるいは今後予想される新会社の運営について、裏も表もさらけ出した討議がこの一年間引き続き行なわれてきた、かように考えておるところであります。
 興民社の問題につきましては、いま申し上げましたように、特に合併によって特別なあおりを食ったというのではなくて、私どもとしては、自動車業界全部のそういったような停滞、さらに加えて、その当該会社自身にもいろいろ問題があったのではないか、その結果三百数十万円の債務を背負い込み、さらには、継続的な部品の納入ができなくなった、こういうような事態が重なってきたのではないか、かように考えておる次第であります。
 しかし、いずれにいたしましても、こういった下請は中小ないしは零細の企業でございますので、今後とも、先ほどお答え申し上げましたように十分事前に情報を得、連絡を得、そうして慎重な措置を講じてまいりたいと考えております。
○椿繁夫君 貿易の自由化に対処いたしまして、自動車産業が国際競争力をつけるために、生産規模というものを一定の国際水準にまで引き上げていかなければならぬ、そういうことのために通産省もあっせんされたと思います。今後、自動車産業だけにとどまらず、企業の集中合併というものをあっせんしていかれる御方針のように承わっております。自動車産業だけではなく工作機械においても、その他いろいろな繊維産業におきましても、そういう御方針を通産省は持っておられることを承知いたしております。
 そこで、今後のなんとして申し上げたいが、日産、プリンスの場合は、昨年の六月一日以来合併の話が進んで、八月一日に正式に調印がなされるようでありますが、いまだに両社の労働条件といいますか、償金の水準といいますか、そういうものを一体どういうふうにするのかという話がついていない。プリンスに長年つとめておった人の退職手当というのは一体どこが払うのか、旧プリンスが払うのか、それとも合併した新会社が勤続年限その他一切を継承してこの責任を取るのかというようなことさえも現時点においてまだ解決していない。話も行なわれていない。それで会社が八月一日に合併して新発足するという企業合併で、なるほど会社の財産、重役の配置というものが重要であることは言うまでもありませんが、何としても八千人からの従業員のいる会社を合併する場合には、一番先にこれは片づけなければならぬ問題ではないか。これは重工業局に言うのは筋でないかもわかりませんが、労働者などにお話しするのがこれは筋かと思いますけれども、将来企業合併を促進され、しかも国際競争力をつける、その水準にまで生産規模というものを高めていく必要がある、こういう見地で合併のあっせんをされますときには、深く立ち入ってどうこうということまではあなたのほうも行政指導はむずかしいと思いますが、従業員の問題、あるいは下請の問題、代理店の問題などがおろそかにされて、資本だけの、設備だけの、あるいは重役の顔ぶれだけの考慮によって合併が進められるというのでは、せっかく入れものはできましても、当局が期待されるような生産を上げていく、国際競争力をつけるということにはほど遠いものになろうかと、こう思いますので、そういう点を十分に注意をした合併あっせん指導というものが行なわれなければ、今回のようなことをどこでも繰り返すようなことになるということを警告しておきたいと思います。
 それから、この機会に自動車課長もおいでですからお尋ねをいたしますが、興民社は何千万かの負債を持っているようですが、あそこの地域の信用組合から借りておる金利は一体何ぼだと、こういう点を私は機会あるごとに聞いてみましたら、日歩三銭の金融を受けている、それから次長は、日産とプリンスは合併しても車種の変更整理など行なわないということがたてまえで、いま合併が進められておりますが、開発銀行の体制金融の余っておる四十何億かの融資を、今度の合併に伴って整備資金として融資を申し入れておる。通産省は、これはよかろうというので中小企業開発銀行のほうへお取り次ぎに昨年の暮れになっておるはずであります。こういう開発銀行の金利は私は何ぼか知りませんけれども、六分五厘くらいじゃないかとこう思います。一方では、下請のこういうのが日歩三銭の金利でなにをやっていて、そうして片一方では、車種の整理も変更も行なわないということを当局に言いながら、整備資金として四十何億の融資を開発銀行に求め、通産省がそれをお取り次ぎになった。どういうことの整備資金のために必要だという計画が出ておりますか、これを伺います。
 それから大蔵省、中小金融課長ですから御存じないかとも思いますけれども、これは非常に中小企業金融と、こういう大きな会社の合併の際の体制金融ですか、四十数億の金まだ出ていないと思いますが、あれはその後どうなっておりますか。ちょっとこれに関連して双方にお尋ねをいたします。
○政府委員(堀本宜実君) これは私からお答えのできる部分とお答えできない部分とがございますが、通産省としての決意といいますか、先ほど来近藤先生、豊田先生、椿先生等から、今後の日本の産業の基盤が転機に立っている。国際競争力の強化を今後はかっていかなければならないためには、合併、提携いろいろな産業再編成が行なわれるであろう。その上になおかつ近く実施されるであろうと思われまする資本の自由化等も、再編成に一そうの圧力というか、拍車をかけることになる。それによって企業の合併を行なう場合に、労働問題あるいは従業員等の処遇、下請並びに代理店に対する考え方等の諸問題を当然考えなければならないと思うのでございます。これは当然なことであると思うのであります。そこで、これらの問題は主として通産省だけの問題ではなくて、労働省とも、ともに協調した考え方で進まなければならぬ。今後日本の産業における重要な大きな課題であるというふうに考えられますので、先般労働省と協議の会の第一回を行なったわけであります。まだ具体的に案はできておらないのでございますが、いろいろその事前に、これは繊維業界にもございます。鉄鋼業界にも最近いろいろな問題がございます。また、事前に必要に応じて数次協議会、協調をしていくということの申し合わせを第一回、つい先般でございますが、行なったところでございまして、今後は、御指摘になりました労働問題、労働者に対する諸問題の解決が合併の中に十分規定をされ、それによって発足をするということのために努力を続けていきたいというような考え方に現在立っておるわけでございます。なお一そうの注意を行なってまいりたい、かように思います。
 なお先般、先ほど豊田先生から、そういうものに対する全般的な法的に指導のできるような形のものをつくってはどうかということでございました。中小企業庁のほうからお答えをしたわけでございますが、今後なお一そうの検討を進めてまいりたい、かように思います。
 ただいまの椿先生のお話にかかわりまする開銀資金、体制金融に関する問題は、係のほうからお答えを申し上げたいと思います。
○説明員(中村俊夫君) 日産、プリンスの合併に伴います体制金融につきましてお答えいたします。
 昨年の十二月末に開銀に対しまして、四十億の体制金融を推薦をいたしました。ただいま手元に詳細な資料を持っておりませんので、一々お答えをいたしかねますけれども、この趣旨は、合併後の両社の、乗用車の量産体制に寄与する設備の拡張、新設というものについて、開銀の融資でもって援助をいたすわけでございますが、一例を申し上げますと、日産本社工場に、鶴見に、鋳造、鍛造工場等を拡張しておりますが、現在プリンスのほうでは、そういった鋳造、鍛造のようないわゆる塑形材部門が若干不十分でございますので、これを拡張することにいたしまして、合併後の新日産の乗用車の量産に寄与する、あるいは村山のプリンスの一乗用車工場の拡張でございますが、これは日産のほうはいま追浜がほとんど一ぱいでございまして、今後拡張いたしますには、なかなか敷地の点等から困難がある。村山のほうはまだ余裕がございますので、これを拡張することによって将来の新日産の乗用車の量産設備に寄与できる、あるいは村山にテストコースがございますが――日産は現在横浜にあります、非常に小さいものでございますけれども。新しく至急栃木県のほうに新しいテストコースをつくりたいという希望があって、土地まで手配をしておったのでございますけれども、村山のプリンスのテストコースを拡充することによりまして、これが新日産として十分活用できる、こういうようなことで具体的な例を一、二あげましたけれども、合併後の新日産の乗用車の量産体制に寄与する設備ということで、総設備投資計画の中から約二百億強を私のほうで引き抜きまして、それに対して大体二割程度開銀の体制金融でもって融資をしたい、実際には二割になりません、一六、七%になるかもしれませんが、推薦をいたしております。
 なお、金利につきましては、開発銀行の通常金利八分四厘でございます。
○説明員(塚本石五郎君) ただいま御質問のございました開銀の体制金融につきましては、実は私所管外でございまして、全く承知しておらぬわけでございます。通産省のほうから御答弁申し上げたことで御勘弁願いたいと存じます。
○近藤信一君 ちょっと議事通行について。議事の運営についてちょっと申し上げるのですが、鉱山局長や工業技術院長にきょうはお越し願ってあとでちょっと質問しなければならぬと思うので、当局側としても要点のみひとつ簡単に答弁していただいて、もうちょっと進行を早めていただきたいと思うので、この点をお願いします。
○椿繁夫君 通産省のほうは、乗用車の生産を高めるための整備計画というものを添えて、日産あるいはプリンスから出してきておるので、これは適当だと思って大蔵省を通じて開銀のほうに回したということですね。
○説明員(中村俊夫君) 大蔵省は通じておりません。直接開銀に推薦をいたしております。
○椿繁夫君 そこで、中小金融課長が大蔵者からおいでになっておりますが、所管外でその後それがどうなっておるかということについて御承知ない、これは無理ないと思います。いま即答は求めませんが、銀行局長なり、開銀当局にちょっと御調査をいただいて、最も近い機会にひとつ御答弁をいただきたいと思います。先ほど重工業局の次長さんは、特にプリンスは下請が多いので車種の変更も整理も行なわないと、こう言っているわけだし、昨年の合併の条件ができました六月以後、日産もプリンスも特に設備の内容が変わっておるようにも承っておりませんので、これまでの部品下請というものがそう激減しておるとは考えられません。一般的な不況あるいは受注減ということによる下請への発注量の減ということは、これは認めなければなりますまいが、しかし、そんなに激減しておるとは考えられません。にもかかわらず、この合併の問題を機会にして、百近い下請企業、しかも六千人をこえる従業員がこれはおるわけで、これをひとつグループ化を進める、部品別に。そうしてそこが代表者をつくって共同の責任において納入をするというような体制をつくろうとしておるので、これを指導しておるということですが、私はやっぱりそれが必要だと思います。特に中小企業庁は、重工が言われるのは、会社がそういう方針を持っておるということを言われておるにすぎない。中小企業庁はそういうことを指導されるのがお役目じゃないかと、こう私は思うのです。ことに親企業の集中合併だけで、競争力とか生産力のなにというものは高まるものじゃないのでして、下請企業がこれにマッチするような体制が整備されて初めて、部品工場と総合組み立て工場というものとがマッチしていくことになろうかと、こう思うのです。ですから、中小企業庁はそういうところに指導の重点を置かれるべきじゃないか。下請協同組合というものも法的に組織することができるようになっております。そこで、金融とかあるいは税制とかというめんどうを見ることだけに重点を置かないで、組織をやっぱりつくって中小企業の近代化の方向を順次たどうしていくという指導が必要ではないか。そのためには工場団地をあっせんしてあげるとか、あるいは共同設備を持つための融資の心配をしてあげるとかというようなことが私は望ましいと思う。そういうものがついてまいりませんと、ほんとうの中小企業を守ってあげるということにならぬように思います。この間の白書を見ておりますと、一年間で六千件からの倒産が報告されております。月五百件であります、この傾向は一般的な不況だということで見のがすにしては、あまりにも今度の日産、プリンスの合併に伴う三多摩地区における下請企業の危機状態というものは、一定の地域にかたまっておりますのみならず、非常に資本力の弱い、設備の点においても非常に立ちおくれておる企業を持っておりますだけに、その方面の指導に特に重点を置かれる必要があると思うんですが、重工だけにまかしておいちゃいけませんよ。重工業局は、会社に聞いて、会社がこうやっておりますという話だけで、実際のそれを推進される仕事はあなたのほうのお役目じゃないかと、こう思います。その下請企業の組織化について、どういう熱意を持っておられますか。
○説明員(金井多喜男君) 全く椿先生のおっしゃるとおりであります。特に、ただいま御指摘もございましたが、本年に入りましても景気は二月ごろから中小企業は上向きを示しておるわけでございますが、倒産の状態は先月あたりも五百件をこす状況でございまして、おっしゃるとおり、不景気というものだけに結びつけて中小企業あるいは下請の問題は解決できないと思っております。それで、ただいまお話しのように、親企業と下請企業との間をグループ化して取り持つということにつきましては、かねがね努力をいたしてまいっておるつもりでございますけれども、現実にはそれがいま直ちに効果をあらわしたというようには中小企業全般の統計の上からは察知できません。私ども今後とも御趣旨をよく尊重いたしまして、一段と努力していきたいと、このように思っております。
○椿繁夫君 一般的な御方針としてはそれでもいい。いま日産とプリンスの合併に関連をして、下請企業に対する特に強い圧力がかかっている具体的な例を先ほどから申し上げている、しかも、三多摩地区においては百社近いものがいまや倒産の危機に瀕しておる、この問題についてどういうふうにお考えになりますか。一般的な問題ではありません。
○説明員(金井多喜男君) もちろんこの企業合併に伴う下請企業のグループ化の問題につきましては、お説のとおり、重工業局だけにまかしておくというようなつもりはございませんでしたけれども、今後とも一段とその点につきましては、私ども意を配りまして早急に御趣旨に沿うようなことに運びたいと思います。
○椿繁夫君 さっそく三多摩地区の状態を御調査の上、下請企業の組織化、それに対する救済対策について相談をするということのお約束はできますか。
○説明員(金井多喜男君) さっそく私どものほうはそういう調査をやって、できるだけ早い機会に何らかの形で、少なくとも先生にはよく御報告申し上げたい、このように思います。
○近藤信一君 時間もあまりございませんので、簡単に御質問いたします。
 大蔵省から中小金融課長が来ておられますので、一点お尋ねするのですが、興民社が従来の取引銀行でございましたところの日本相互、それから都民銀行の八王子支店、この二つの取引銀行が、興民社が営業不振だ、こういう理由で昨年融資の打ち切りをやったわけであります。その後会社は新しく多摩中央信用金庫に肩がわりをいたしました。これは昨年の九月からでございますが、中小企業としては、中小企業金融は、相互銀行だとかこういう信用金庫がもっぱら取引銀行としては一番の頼みとするところであるのです。それが打ち切りをしてきた。特に今度の多摩信用金庫は、近く大蔵省から監査があるから、この監査をおそれて本年の六月になってから取引を、融資を打ち切りしてきたわけなんであります。で、大蔵省としては、下請企業がこういう状態、いわゆる倒産の状態にあるときに金融を打ち切られたらますますこれはたよるところがないと思うのですが、そういうものに対して、あなたのほうの監査というものは一律に行なっておられるのか。それでなければ私はこの多摩信用金庫が監査をおそれて打ち切ってきたというふうなことは考えられないわけでございますが、こういう点は、あなたのほうはこういう工場に対して配慮するというようなことは考えておられませんですか。
○説明員(塚本石五郎君) この多摩信用金庫と興民社――金融機関が中小企業全般に対して、あたたかい気持ちで融資に当たるということは、そういうことはかねがねいろいろな機会にも申しておりまして指導をしております。具体的な本件の例につきましては、いま先生から御指摘がございましたが、日本相互銀行、それから都民銀行の立川支店において取引がございました。昨年の八月、債務者であります興民社のほうから、今度多摩信出金庫のほうでめんどうを見てもらうことになったから肩がわりをお願いしたい、そういうふうな申し出があって、かねがね、おそらく業況が思わしくないという点で日本相互銀行なり都民銀行も深くこれ以上めんどうを見るという気持ちはなかったかもわかりません。たまたまそういう申し出がありましたもので、多摩信用金庫のほうに肩がわりをしたというふうに聞いております。多摩信用金庫におきましては、これは地元の信用金庫でございまして、これは地元の中小企業であります興民社に対しまして、ほかの相互銀行なり都民銀行にかわってめんどうを見るということになった気持ちはよくわかるわけでございます。それで昨年の八月に約千五百万の証書貸し付けをしまして、それでいま申し上げましたほかの二つの銀行なりそのほかの貸し出し残と合わせまして、それと肩がわるという意味で千五百万を出した。この返済条件が本年の二月から、昨年の八月に貸しましたので本年の二月から毎月三十万円ずつ返済してもらうということになっておりましたのですが、本年の二月になってからも一回も入金がない、そのまま延滞になっておる、そういうふうな状況でございます。信用金庫といたしましては、あたたかい気持ちでめんどうを見るということをかねがね申しておるのですが、何ぶんにもその債務者の状況が、ただいまるる御説明がございましたように、受注が減っておる、労働争議も頻発しておって労使間がうまくいっておらない、企業それ自体が、中小企業の当の社長自体が再建の意欲がないようにも私ども聞いております。そういうようなことになりますると、何ぼ金融でめんどうを見るといいましてもこれは限度があるわけでございまして、要は、いまるる御説明がありましたように、やはりまず受注なりあるいは生産がりっぱに行なわれて、あるいは組織づくりといいますか、の体制が整備されて金融をつけても十分立ち直っていける、そういうふうな前提がありませんと、これは信用金庫も預金者の金でありますから、むやみにつぎ込むわけにもまいらない、そういうような状況で、現在のところは融資の打ち切りを申したということは聞いておりませんが、現在二月以降延滞になっておるので困っておるというふうな状況でございます。
 大蔵省の検査について、これは実は一昨年の、三十九年の一月に検査しております。で、いまの興民社との取引はその後からの取引でございますので、それ以前については何ら問題が出ておりませんので、その当時の検査では何ら指摘しておりませんが、普通信用金庫の検査は、おおむね一年から二年くらいの周期で行なわれるのが例でございます。現在、三十九年一月以降検査いたしておりません。あるいはその興民社のほうへ近くおそらくあるだろう、よその例から見るとおそらくそろそろ検査があるのではないか、そうしたときに不良債権ということで指摘されては困るから、そういうふうな名目で融資を打ち切りたいのだというようなことの口実に使っておるのじゃないかという点もあるのではないかと私推測するわけでございますが、いやしくも、前半申し上げましたように、あたたかい気持ちでひとつよくめんどうを見てもらいたいということは基本方針として変わっておりません。個々の具体的な事例に当たってみますと、本件の場合につきましては、特に返済が滞っておる。そういうものに対してさらに貸し増しを指導するということは、これはなかなかむずかしい問題かと思っております。
○近藤信一君 今度の興民社の倒産のきめ手となったのは、やはり私は金融をとめられた、この多摩信用金庫から融資を打ち切られた、ここに一番大きな問題があるのじゃないかというふうに思うのであります。しかも、先ほど椿委員から言われましたように、聞くところによると、三銭の利息を払っておる、こういうようなことでいま負債がどれだけあるかというと、二千万くらいだというふうに私聞いておるのですが、そういう小さな金額で、しかも頼みとするところの中小企業金融の金庫あたりからそういう融資のあれを打ち切られたということになると、これは決定的な打撃を受けて倒産することは当然だと思うのであります。そこで、昨年の暮れに無担保無保証で信用保証をする際の限度を五十万円まで引き上げた、それから臨時法でもやはり無担保で、信用保証を行なって二百万円まで無担保で借りられる制度をつくったわけなんです。これらの金融措置は、今回の興民社の場合にも働いてしかるべきだと私思うのでございますが、そういう処置がとられたのかどうか、この点どうですか。
○説明員(金井多喜男君) 御指摘のとおり、信用を円滑にするための補完制度といたしまして、国は中小企業保険公庫を設置し、また従来都道府県並びに五市に県単位または市単位の信用保証協会というものがあるわけでございます。そこでもって、ただいま先生御指摘の無担保保証あるいは無担保無保証の制度が設けられておるわけでございますけれども、この無担保無保証の制度の運用につきましては、実際にその工場あるいは企業等の存置いたしまする当該都道府県あるいは当該市の信用保証協会が、その企業が企業意欲が旺盛であって、事業計画が適切であって、しかも担保の能力は乏しいけれども、まず見てだいじょうぶであろうというような企業に、自己の責任と意思でもって貸しておる制度でございます。したがいまして、この無担保無保証の制度をそのまま適用するかどうかという点につきましては、東京都の信用保証協会のその辺に対する見解いかんによるわけでございます。
○近藤信一君 プリンスの下請工場への統制が非常に強化されて、絶対の命令権を持つようになってきておるようでもございますが、これまで以上に部品の単価の引き下げということが行なわれておる。たとえばプリンスは毎年二回単価の引き下げを行なってきておりますし、これが三回になり、引き下げ幅というものが数倍になってきた、こういうふうにもいわれております。下請会社の受注一回の減少に対しましても、政府はいろいろと配慮されて、そして下請振興協会をつくるように指導されてきておると、また、下請のあっせんなどを実施していっておられるわけなんですが、このことにつきましては、もうすでに愛知県にはこういう機関が生まれ、東京においてはまだこれが発足していないのかどうか。そして、もし、これが発足するということになりますれば、一体いつごろであるか、こういうふうなことであなたのほうがいま把握しておられる点がございましたならば、ひとつお伺いしておきたい。特にこれは下請保護政策というたてまえからあなたのほうは指導しておられるわけでございますから、この点はいかがですか。
○説明員(金井多喜男君) 下請企業の振興につきまして、下請振興協会をつくることにいたしまして、東京都につきましては、政府の四十一年度の予算におきまして応分の助成措置をすることにいたしまして、東京都にその発足をできるだけ早くやるようにかねがね要請しておる次第でございます。率直に申しまして、東京都の現在までの状況といたしましては、東京都の外郭団体の整理等について、都議会でいろいろ問題がございまして、そんな関係でややおくれておりますが、この八月一日には何とか発足できる、こういうような見通しになっております。
○近藤信一君 最後に私は、下請発注が親会社の一方的な意思によりまして、これは簡単に打ち切られていく、こういうことでございまするならば、下請にとってははなはだこれは危険なことになるんじゃないかと私は思うのです。そこで私どもは、親企業の一定継続期間の発注義務というのを課してもよいではないか、こういうふうにも思うわけでございます。こういう点について、御当局としてはどのように考えておられるのか。私は、先ほど椿委員も言っておられましたように、中小企業の現状というものは非常にもう逼迫した問題でございまするから、こういう点について、やはり通産省としては十分前向きの姿勢でこの対策を立てて、そうして中小企業の倒産というものを防止していかなきゃならぬ、こういうふうにも思います。したがいまして、今後生ずる中小企業の倒産に対する対策を十分ひとつ政府でも御配慮して、そうして倒産のないような方法を講じていただきたいと、こういうこともあわせて希望しておく次第であります。
○説明員(金井多喜男君) 開放経済に突入するためには、大企業も含めていわゆる企業の近代化をやって、いい品物をしかも生産性を高めまして生産するということに、国際的にも国内的にも日一日となっていくことは、御承知のとおりであります。下請企業について、私ども中小企業庁の行政に携わる者といたしましては、けさほど来いろいろと先生方からお話のありましたように、根本的にはできるだけ下請企業というものを保護してまいりたいという考え方ははっきり持っているわけでございます。その場合に、ただいま先生からお話しのように、下請企業者を保護するために親企業者に対して、何らかの行政的なかっこうで、あるいは法制的なかっこうで、下請企業者への継続発注の義務を課するということはいろいろの問題があろうかと思います。たとえば第一番に、下請企業者というものも、やはり親企業が合理化を迫られ、しかも国際商品としての利益を得るには、やはり近代化という問題を親企業と同じように受ける必要があろうかと思います。その場合に、継続発注というようなことを無理して行ないますと、下請企業の企業努力をかえって阻害いたしまして、そこに中小企業全般としても、かねがね政府としては近代化、合理化あるいは生産性の向上というような政策から問題があるわけでございます。また、親企業自体がそういう継続発注を法制的に約束されておりましても、景気その他の関係で生産をどうしても低めなければならないようなときにも、また大きな問題があるわけでございます。そんなような観点からも、これの法制化につきましては、相当慎重を要するのではなかろうかと思います。ただ、さりとて、きょうになってあしたからの注文をやめたとか、あるいは来月からは予告なしにストップというようなことでは、これは下請企業はどこかの仕事をやらなければなりませんので、その辺について下請企業を保護する必要があろうかと思います。そういうような点から、法制化というようなかっこうではなくして、親企業と子企業の話し合いでもやって、やはり実質的には、親企業から下請企業への発注については、継続発注の長期化というような制度、あるいは予約制度というような制度は好ましかろうと思います。そういった点につきましては、私どもいつも業種別、部品別等につきましては、親企業との間に下請企業の協議会等を設けまして、そういった話し合いを親企業と子企業との協調の場において解決してまいるのが一番適切ではなかろうか、こんなふうに考えまして、目下そういう方向で指導している次第でございます。
○高山恒雄君 ちょっと関連。私は時間があればもっとほかの問題も聞きたいのですけれども、いまの発注の問題ですがね、次長の答弁では、私はちょっと現実にマッチしてないというような気がするんですよ。この発注が一番問題であって、もう最近の倒産の実例をあげればきりがございませんが、予告どころか、もう簡単にその発注を打ち切るわけですね。したがって、しからば下請にさせる場合はどういう検討をするかというと、金融面から、あるいはまた機械面からあらゆる調査をして下請に決定するわけです。今度打ち切る場合は、予告なしにこれを打ち切るというのが現状だと思うのですね。そうしますと、普通の運転資金を持っている会社にいたしましても、結果的には新しい企業を自分が求めて、下請としてまたやっていこうという場合に、これは六カ月あるいは一年もかかる。そうして減産されるに従って運転資金を使い込んでしまう。これが一番倒産の原因なんですよ。
 それからもう一つは、その新しい切りかえをやりましたときに、規格品というものはなかなかできない、これがまた六カ月かかる。こういう不況の時代に、一年以上不安定な状態で中小企業というものはもつものじゃない。私はこの根本を中小企業庁としては考えていただかなければ、いまの御答弁のような形で、高度化を中小企業もともにしていかなくちゃならぬ、このことは理屈はわかります。しかし、できないという情勢はだれがつくっているかというと、政治の政策にもあるわけです。たとえば昭和三十九年における金融の引き締め等において、中小企業がせっかく近代化しようと思ってもできなかったんですね。それからずっと不況が続いておる。こういう事態をほんとうに考えていただいて、現在整理されつつあるこの下請に対する施策としては、私は法制化すべきだ。法律化すべきだということは、やっぱり発注を打ち切る場合の義務を負うべきだ。たとえば六カ月間の予告期間をおくとか、あるいは一年間の予告期間をおく、こういうことは当然中小企業庁として私は考えるべきだと思うのです。そうでないと、先ほど椿委員がおっしゃったように、金利は三銭だ、金利の問題でも、言えばきりないですが、保証協会の信用を受けるということになれば五厘取られます。最近は四厘ということになっておりますけれども、平均して中小企業の金利は二銭九厘、大企業の金利は二銭二毛、もうここで九厘なり八厘五毛というものは頭から違っておるのですね。それだから、いかに中小企業に対する金融処置をやろうとおっしゃっても、私は下請に対する一つの法制化をする、こういう態度が中小企業庁にあってしかるべきだ。そうでもなくちゃ、日本の中小企業はもっていかないと、私はこう思うのですが、それに対して、中小企業庁はいままでのような考え方で、責任も負わせない、義務も負わせない、高度化するからその高度化についていかなければ打ち切られてもやむを得ない、こういう態度じゃ前向きの姿じゃないと思うのだが、次長どうお考えになりますか。
○説明員(金井多喜男君) どうも私の答弁が、私はただいま高山先生の御趣旨に沿うような答弁をしたかのごとくに思っておりましたが、語尾不明瞭にして、その点再び同じ御質問を受けたわけでございますけれども、私、近藤先生の御質問に対してお答えいたしたいことは、いわゆる継続発注の義務を課するということになりますと、ただいま高山先生御指摘のように法制化する、こういうことであろうかと思います。しかしながら、その法制化につきましては、下請企業の合理化あるいは親企業の合理化というものが阻害される要因も出てまいりまして、今度は日本の大企業中小企業を含めた。根本的な開放経済体制への移行について問題があろうかと思います。そういった点で、法制化という点には問題があるわけでございますが、実際問題として、その取引の条件として、行政指導によってそのようなふうに持っていくという努力は、これは当然やるべきであろう、このように考えておる次第でございます。そういった点から、親企業と下請企業につきまして、話し合いの場といたしまして、下請協議会というものの設置を業種別にするように、昨年来指導しておるわけでございます。
 この法制化の点についてもう少しつけ加えさしていただきますると、実はそういった意見もかねがねございまして、昨年の夏までに中小企業政策審議会の下請小委員会において、いろいろと検討もお願いしたわけでございます。大かたの御意見として、法制化という点については、もう少しく慎重に考える必要があるのではなかろうか、こういった点で、組織化というものを中心に指導というものを積極的に推進して、結果においては法制化と同じような効果をもたらすように努力すべきであるというような意味の結論にとどまった次第でございます。
○矢追秀彦君 時間の関係上簡単に集約して質問をいたしますが、私が質問をいたしますのは、最近非常に世界的に注目を浴びてまいりました大陸だな鉱物資源の開発についてであります。日本の国は、特に非常に資源が乏しいと言われておりますが、この大陸だなの中に、相当の石油をはじめとして砂鉄、また天然ガス等が埋蔵されておるということがいろいろの調査の結果、言われているわけです。この大陸だなをはじめとして、いわゆる海底資源、この開発について、通産省としては現在どのような活動をやっておられるか、今後どのような方向で進むおつもりか、まずそれをお聞きしたいと思う。
○説明員(両角良彦君) ただいまお話のございましたように、大陸だなの開発、特に鉱物資源、石油、天然ガス等を中心としました鉱物資源の開発につきましては、最近の探鉱技術及び開発技術の非常な進歩を反映いたしまして、きわめて有望な方向に向かいつつあると承知しております。かような傾向を受けまして、各国におきましても、それぞれ海底資源の開発に磁極的に乗り出しておる次第でございますが、わが国におきましても、関係企業は、石油資源開発ないしは出光興産等きわめて積極的な気がまえをもって、この日本海方面の大陸だなの開発に乗り出そうといたしておる次第でございまして、政府といたしましても、かような傾向というものについて、極力これを助成、援助をいたしますとともに、技術的にも、地質調査所を中心としまして所要の協力をいたす所存でございます。
○矢追秀彦君 いま協力をすると言われましたが、もう少し具体的に、特にまず私の場合、いま石油にしぼって、特に石油が日本ではもう世界一の輸入国と言われておりまして、ほとんど九〇%近くが中近東から輸入しておる。これに対して、日本海においても現在も相当取られておりますけれども、まだまだ東シナ海全般を見渡しますと、まだ相当あると言われているわけです。特に石油にしぼりまして、現在どのようにこの海底油田の問題、これを通産省として行なわれているか、まずお聞きしたい。
○説明員(両角良彦君) 現段階におきます海底油田の開発もしくは探鉱事業は、目下石油資源開発会社におきまして、秋田、新潟県海域におきまして「白竜号」をもって探鉱を行なっている次第でございます。これにつきましては、政府は石油資源開発会社に対しまして所要の出資を行なって、当該事業の援助をいたしておる次第でございます。なお今後は、新たにかような海底油田の探鉱もしくは開発に必要な新しい設備、特に「白竜号」を大規模化いたしたような設備をも、石油資源開発会社等に保有をさせまして、一そう積極的な開発体制を整えてまいりたい。そのために必要な財政的な措置も、十分前向きに検討してまいりたいと考えております。
○矢追秀彦君 総合エネルギー調査会の中の石油部会の活動でありますが、最近この海底油田のことについては、どのような答申なり何なりがあれば教えてください。
○説明員(両角良彦君) 総合エネルギー調査会の石油部会は、今日まで数回会合を重ねまして、主としてわが国の石油業の自主性の確保、それに必要な方策といたしましての海外もしくは国内の石油もしくは天然ガス油田の積極的な開発、そのような点を中心に論議を進めている次第でございますが、まだ最終的な調査会としての、あるいは石油部会としての結論を得るに至っておりません。目下慎重検討中でございます。
○矢追秀彦君 これは新聞でありますが、四月の日経新聞、少し古い新聞ですが、この中に「同部会では開発原油の比率は三〇%を最低限として五〇%程度まで引き上げるべきだとの意見も強く、これらを含めて検討したうえ、同調査会としては九月ごろ中間答申を耕して四十二年度からの石油行政に反映させようとしている。」、この原油の比率ですが、五〇%ぐらいまで引き上げようという意見が出ているわけですが、現状としてそこまでの可能性があるのかどうか、その見通しをお伺いしたいと思います。
○説明員(両角良彦君) わが国企業の手によりまする原油の開発並びに採掘が、わが国の総使用原油の三割にまで、もしくは五割にまで高めることが可能かどうかという点につきましては、われわれは高めたいという希望を持ちまして、それに必要な各種の施策を講じてまいる所存でございまするが、それが現実にいかなる時点において可能となるかということは、今後の努力にかかわることと考えております。
○矢追秀彦君 科学技術庁からお見えになっておりますのでお伺いいたしますが、日本のまわり、特に日本海近くの、東シナ海を含めまして、その原油をいまの五〇%に引き上げたいというに足りるだけの埋蔵量があると見ておりますか。現在の調査段階並びに予想をお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐々木即君) 私ども、御承知のように、この一月の二十五日に資源調査会の報告ということで、大陸だなの資源開発に対する現状に関する報告というものを提出をされましたわけでありますが、その間そこに至りますまでに、可能な限りでのデータの整備等をいたしましたけれども、一体今後、いま仰せの点でどのくらいの見込みがあるのか、そこら辺まではいまの段階では予測をするということは不可能でございます。
○矢追秀彦君 その現在の調査技術でありますけれども、かなりいま進んできたというお話もありましたし、まだまだ力を入れていけば、特に現在の電子技術も発達しておりますし、特にいろいろな技術の発達によって、探査においてもまだまだできると思うんですけれども、いまわかりかねると言われましたけれども、実際具体的に科学技術庁なら科学技術庁としてどのように今後調査を進めていくか、いま「白竜号」の話も出ましたけれども、もう少し具体的に、やはり私は大事な問題ですから、お願いしたいと思います。
○政府委員(佐々木即君) 冒頭に先生仰せになりましたように、石油資源の問題は、非常に今後とも重要性を増しておりますわけでございまして、その意味から、私どもがタッチいたしましたゆえんのものも、大体将来の予測、世界全体から見て五百七十億キロリットルぐらいの埋蔵量の資源があるわけでございます。そのうち、海底の埋蔵量がほぼ一五%、八十五億五千万キロリットルというような数字が出ております。当然これはいま仰せのように世界の傾向といたしまして、大陸だなのほうに調査を及ぼしていかなければならない、全体としてもそういう傾向にあるわけでございまして、見通しとして、世界全体と申すのははなはだ恐縮でございますが、大陸だな面積二千七百五十万平方キロの一七%、四百六十万、平方キロといったようなところが、おそらくそういった対象として取り上げられるのではなかろうかということでございまして、当然日本の近海にあります大陸だなでも、こういった資源の保存が予想される地域に対しまして、今後そういったような基本的な調査を進めていくということが望ましいわけでございます。現在、現実に日本の近海、古い資料でございますが、そういった地域の中のほぼ三、四〇%しかまだ調査が進んでおらないといったようなデータがありまして、今後できるだけひとつこの方面に基本的な資源保存量の調査をするということが望ましい、こういうことが一つ根っこにあるわけでございます。ただそれを進めていくと申しましても、これは一企業にまかせるというような内容ではございません。今後のあるべき方向としてこの報告で出ておりますのは、鉱物資源の探査というものを船舶、航空機とかいったものを用いて精度の高いものをつくっていく、こういうことがある。また、別途この探査技術と申しますか、これも最近は物理探査の面で非常に技術も進んでまいりました。精度の高いものも今後一そう開発されていく見込みもある、日本の技術をもってするならば。そういう点で今後ひとつ進めていけば、こういう方面でさらに一そうの試掘の進展が進められるだろう。あるいはまた試掘をいたしますにいたしましても、海面からの遠隔操作によりまして高圧の油、ガス等の層にも耐えられるような鉱物の海底仕上げ法というものを技術として確立していく、あるいはこういった技術的なものをさらに開発していくならば、いっていただいて、そして全体として石油資源の保存量というものを明らかにし、かつ実際にそれを掘り上げる見込みのある精度の高いところを見きわめていくという方向で、ひとつ関係各界の御協力、御研究をいただきたいといったことを、資源調査会として整理いたしまして、これを皆さんにお願いしているというのが現段階でございまして、そういったものの積み上げの中から、いま先生のおっしゃるようなものが出てくるのじゃないかと思います。いま現実に地質調査所等の部門から、今日の保存量が求められればしあわせだと思います。私どもといたしましては、そういった方面に問題を提起する限りでとどまっております。
○矢追秀彦君 いま言われました開発のいろいろな機構とかそういうものを望ましいということを言われましたですが、もっともっとこういうものは強力に進めなければいけないと思いますが、科学技術庁としても、また特に通産省が主になると思いますが、具体的にいま言われたような機構についての考え方ですね、通産省としては技術庁と提携するいかなる努力をしているかということをお伺いします。特に石油については、ほとんどアメリカを中心とした、この間からも新聞に出ております。開発においてもやはりスタンダードのあれが出ているわけですが、結局日本の政府として、通産省としてこういったことに何かあまりイニシアチブをとってやっていないように思うわけです。むしろ、どうも民間依存、日本の現在の大体全般のあり方が、民間企業に依存している傾向が強いわけでありますが、石油とか石炭とか、こういう基本産業はもっと国がやらなければいけないと思います。さっきのお話から伺いましても、こういう新聞に出ておるのを見ましても、何か通産省は横から見ていると言ったら、ちょっとオーバーかもしれませんけれども、もう少しこれに対してはっきりした線を打ち出してもいいんじゃないか。民間でやっているのは非常にけっこうで、融資をしていると言われましたが、その点、外国はもっとやっているわけです。アメリカあたりでは、税制の優遇措置もやっておりますし、またフランスにしても、イタリアにしても、西ドイツにしても、やはり国家としてかなりこれに対して強力な助成案を持ってやっているわけです。そういったことから比べて、現在の日本の政府のあり方というのは非常に弱いのじゃないか、こう考えますが、その点はいかがでしょうか。
○説明員(両角良彦君) ただいま御指摘がございましたように、特にわが国におきましては、これから石油の開発、これも国内だけではなくして、大陸だな並びに海外におきまする石油の開発を積極的に進めることが必要であるというふうに私どもも考えております。このために政府といたしましても、従来石油資源開発会社を中心といたしまして各種の助成をいたしてまいった次第でございまするが、今後とも一そう飛躍的にかような開発体制を強化する意味におきまして、目下新しい石油開発のための組織とその方策とを慎重に検討いたしておる次第でございます。したがいまして私どもといたしましては、新年度からは新しい構想のもとに、組織的にも機構的にも、石油の開発を積極的に推進できるような準備を進めたいと考えております。
○矢追秀彦君 特に海底資源の開発となりますと、相当資金が必要なわけですが、この資金の問題をどういうふうに持っていかれるか。国家予算との関係から、いま新年度からと言われましたので、相当いろいろ構想を練られていると思いますけれども、まず資金の問題が、一番最初に横たわる大きな問題だと思いますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。国でどれくらい出してやるべきであるか。さっき融資していると言われましたが、そうでなくして、今後の開発についての資金面の問題、民間に現在依存しているパーセントをどのくらいに持っていくか、そういったものがありましたらひとつ。
○説明員(両角良彦君) 御承知のように、石油の探鉱、試掘の段階につきましては、きわめて危険性が高いために、資金は民間企業で調達いたすことがたいへん困難でございます。さような意味から、政府といたしましては昭和四十年度につきましては、石油資源開発会社に対しまして七億円、昭和四十一年度につきましては二十億円の出資をいたしまして、この出資を各地点におきまする石油の探鉱、試掘の費用に役人をいたしてまいっておる次第でございます。開発に関する費用は、一応金融ベースに乗る費用でございますので、これは主として開発を行なっております企業が、輸出入銀行その他の金融機関から調達をいたして開発を行なっておる次第でございます。
○矢追秀彦君 次に問題となるのは、もし日本で石油が出た場合、日本の石油産業が――採油業と精製業ですね、この二つに別れておるわけです。こういったところにおいて問題が出てこないだろうか。要するに原油を引き取る問題についてですね。そういった問題についてどのようにお考えですか。もし将来相当出てきた場合、内部からくる問題、それをどう調整していくか、その点お伺いします。
○説明員(両角良彦君) 御指摘のとおり、現在わが国で輸入されておりまする原油の約八割はひもつきと言われております。したがいまして、今後海外で原油開発を行ない、あるいは大陸だなで有望な油田が発見されました場合に、これを十分に引き取り得る態勢が国内であるかどうかという点は、きわめて重要な点でございますが、まさにさような自主性のある引き取り態勢というものをこれから確立いたしまするために、今後各石油精製会社の外国企業との契約、あるいは国内における民族系企業育成というようなものを中心に引き取りの弾力性を高めていく。自主的な引き取り態勢を確立しようということが、石油政策の基本的な課題になっておるかと考えまして、さような方向で努力をしてまいりたいと考えます。
○矢追秀彦君 日本の近海にある石油は、非常にいいと言われておるのですが、実際、硫黄分が少ない、公害も非常に少ないと言われておりますが、その点について地質調査所のほうでもいいですし、工業技術院でもどちらでもけっこうですが、もし詳しいことがわかっておりますれば教えていただきたい。
○説明員(佐藤光之助君) 日本の大陸だなにおきます石油につきましては、いわゆる新しい第三期層の中に石油が含まれております。日本の石油の質につきましては、いま先生の御指摘のように非常に良好な質でございます。しかしながら、従来その規模におきましては、外国の海外の油田に比べますと、比較的その規模の点につきましては、非常に大きな規模というものは期待しにくいということは言われております。しかしながら、この規模の点につきましてもいわゆる新潟、山形、秋田この地域の産地から離れるに従いまして、ある程度の日本沿岸におきましても、そのある規模の油田は期待されるのではないか、いわゆる産地から離れました場合に、比較的良好な油田が期待できるんではないか、こういうふうに思っております。それからもう一つ、これは中共の大陸だなといいますか、中共のほうからの大陸だなの続きになるのでございますが、いわゆる東シナ海におきまして比較的大陸だなが非常に広く発達しております。すなわち、九州から台湾を結ぶ線、この線におきまして、地質学的な学問の上から言いますと石油を含むと考えられる新しい第三期層が存在するのではないか、こういうことは従来考えられたわけですが、最近におきましてその地域の東シナ海におきまして、はっきりした新しい第三期層の岩石をキャッチすることができたわけでございます。この岩石は最近沖繩等におきまして見つかっております天然ガスあるいは台湾の西部にあります油田の地層、こういうような天然ガスとかいわゆる石油の地層等が、同じ時代のものと考えられております。この東シナ海のものがいますぐ開発ということは、いろいろこれから検討することが必要と思いますけれども、学問上から言いますと、東シナ海のほうにそういう油田の胚胎する可能性が考えられるようになってきたわけでございます。現在、地質調査所におきましては、沖繩の地域の天然ガスの調査研究をやっております。こういうような資料を通じ、あるいは台湾におきます油田の資料をいろいろ台湾政府とも交換いたしまして、そういう台湾の資料と、それから従来かつて日本がやりました中共の大陸の沿岸地帯における地質学的資料、そういうものを総合いたしまして、今後東シナ海の問題について、どういうふうに取っ組んでいくべきかということを、いま検討しておるところでございます。
○矢追秀彦君 いまの東シナ海の開発について、通産省はどのようにお考えになっているか、現在はどういうふうになっているか、今後どういうようにされるか、特に公海になっているわけですが、その場合の実際これは先に調査したほうが非常に有利になるという条約がありますが、ちょっと詳しく私知らないのですが、この点どういうふうにお考えになっておりますか。
○説明員(両角良彦君) 大陸だなに関しまする国際条約がございますが、わが国はこれにはまだ参加をいたしておらないと承知いたしておりまするが、国際慣例上、いわゆるその国の領土に属する大陸だなの開発権というものは、当該国がこれを持っておるというふうに了解されております。ただし東シナ海の場合につきましては、これは私ども国際法上いかに扱うべきかという点については、法律的な検討はまだいたしておりません。むしろ問題は、さような地域の開発が公海におきまして行なわれ得る程度に、いわゆる深い地点の探鉱が可能になるかどうかという技術的な面に、より多く問題があろうかと思いまして、さような技術開発が進められるに応じまして、東シナ海方面における海洋探鉱の問題を具体的に検討してまいりたいと考えます。
○矢追秀彦君 これはぜひいまの国際法の上からも検討して、早急にやられたほうがいいんじゃないかと思います。
 それともう一つ実際に海底資源の開発は非常に費用がかかる。こういったかなりの埋蔵量と比べて実際採算が合うのかどうか、その点の見通しですね。いま現在行なわれておりますね、一部では日本の場合。実際長期に投資をして、もちろん埋蔵量が幾らあるかによって変わってきますけれども、大体日本のまわりがあまり採算の合わないものであれば、やっても損といえば損ですし、その点はどういうふうになっているのか、現在の調査段階。
○説明員(両角良彦君) 西欧におきまする実績等に徴しますれば、相当量の油田もしくはガス田が賦存いたします際には、海洋開発も十分採算に乗るものと考えますが、わが国の場合、それがいかなる程度であろうかという点につきましては、実際の開発が行なわれる段階になりませんと、はっきり申し上げられないと思います。
○矢追秀彦君 石油の問題と関連しまして砂鉄ですが、これもかなりあると言われておりますが、砂鉄の開発については、どのようになっているか、どのようにお考えになっているか大陸だなの砂鉄について。
○説明員(両角良彦君) かりに大陸だなにおきまして、砂鉄の採掘が十分採算ベースに乗るというふうな見通しがつくと仮定いたしましたら、さような場合のわが国の貫重なる鉱産資源でございまするから、積極的な、開発に対しましては、十分前向きで検討さしていただきたいと考えます。
○矢追秀彦君 いまあまりやられていないわけですか、現在は。
○説明員(両角良彦君) 現在は承知いたしておりません。
○矢追秀彦君 この砂鉄の探査技術もかなり進歩しておるようでありまして、非常に安くできるのもあると聞いておりますので、ぜひこういった砂鉄をはじめとしてその他相当まだあるわけですが、やはり海底資源をもう少し日本の国としてもっと目を向けて、さっきも言われましたけれども、石油をはじめとして海底資源全般にわたって、そういった組織をつくってぜひやっていただきたいと、このように考えますので、それに対する今後の考え方をお伺いして、まだまだいろいろあるのですけれども、時間の関係上、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
○近藤信一君 わが国の地下資源開発ということは、非常に重要問題として相当いろいろと通産省でも御努力をしておられるわけであります。特にそのために石油資源開発株式会社、北海道地下資源開発株式会社、さらに金属鉱物促進事業団と、このように地下資源開発のためにいろいろと会社がつくられ、さらに事業団がつくられて御努力をしておられるわけであります。その他、帝国石油株式会社においても、地下資源開発のためにいろいろと努力をしておられる。わが国におきましては石炭の産地としては九州、北海道、常磐等に限られておるわけでありまするが、石炭を除く石油、天然ガス、この両方にわたりましては、これらの地下資源関係の組織を中心として、いろいろとわが国の各地においてそれぞれいろいろな研究を進めておられる。ちょうど十年ほど前だったと思うのですが、たしか帝国石油が全国各地に地震探鉱をやって、石油資源または天然ガスがどれほどの埋蔵率があるかということを調査されたというふうに聞いておりますし、また地震探鉱によって石油、天然ガスというこの埋蔵量を調査しておられる。特に通産省の工業技術院におかれましては、優秀な技術者をそろえて、これら地質調査等についても進めてきておられます。ちょうど私が聞きました点から申し上げまするならば、このわが愛知県におきまして、やはり三河の地区、それから知多半島、さらに海部郡南部地区等においても、帝国石油が地震探鉱をやって調査をされた。しかし、この地区には天然ガスも、石油はもちろんのことでございまするが、一般需要に供する埋蔵率というものはないんだ。こういう結論が出されまして、その地区の資源開発に対しては帝石としては、これは中止した、このように私、聞いておるのです。
 そこで地質調査所長にお伺いするわけでございまするが、いま私が申し上げました愛知県の地区の点について、さらにその他の地区において、一体現在どのようないわゆる埋蔵率といいますか、そういうものが存在しておるか。もしおわかりでございましたならば、この点御説明を伺っておきたいと思います。
○説明員(佐藤光之助君) 日本におきまして地下資源の問題につきましての歴史は、まず最初の段階として地表にあらわれているものから開発すると、こういうようなことからまず発生をしたわけでございます。しかしながら、人間の目の届く範囲の資源がだんだん枯渇してまいりますと、どうしても地下に潜在している資源をさがす、こういうような段階に進んでいくわけでございます。そういうような地下の資源をさがす方法といたしまして、ただいま先生がお話しの、こういうたとえば地震探鉱とか、あるいは重力の探鉱とか、あるいは空中からいろいろ調査いたします空中探査その他の方法が用いられているわけでございます。それで、その中でいま御指摘のありました石油及び天然ガスでございますが、この種類の国内資源につきましては、一応石油につきましては年間七十万トンの石油と、それから天然ガスにつきましては十数億立米の天然ガスというものを年間産出しております。それで現在日本全体といたしましてわかっております量といいますと、一年間に採掘いたします量の数倍程度の量しか現在のところわかっておりません。この名古屋の中部地方の濃尾平野を中心とする地域につきましては、現在のところ天然ガスその他につきましてはこれを経済的に開発することがいますぐできるというような埋蔵量は把握してはおりません。しかしながら、いろいろ探査技術が進歩するにつれまして、将来この地区があるいはそういう資源が埋蔵されておるということになると、こういうことも探査技術の進歩によりまして次第にわかっていくものであると考えております。
○近藤信一君 私が聞いておる点も、いま所長が言われましたように、中部地区においては一般需要に供するほどのあれはないのだ、こういうふうなことも聞いておるわけでございます。ところが、通産省の鉱山局では、こうした帝石が地震探鉱をいたしましてあきらめた後において、この愛知県の海部南部地区に対しましてこれの調査の依頼をされておる。これは本来の筋からいきますると、やはり地震探鉱をして一応の見通しをつけて、その上においてボーリングをやるというのが従来の方法じゃないかと私思うのです。ところが、そうした地震探鉱をやって、これはもうだめだということであきらめて、帝石がボーリングもやらなかったところへもっていきまして、昭和三十四年だと思うのですが、名古屋通産局の鉱山部長が名古屋大業理学部の教授の松沢勲氏に天然ガスの試掘に対する調査を依頼した。これは当時大谷天然ガス株式会社というこの会社が、将来ここで天然ガスのいわゆる発掘に対していろいろとやっていこう、こういうことであったように聞いております。そのときにも松沢教授は、この地区では実用化されるような天然ガスというものは埋蔵していないのである、こういう結論を出されたそうでございます。しかし一ぺんボーリングをやってみたらどうかというふうなことで、大谷天然ガス株式会社が約一千メートルほどボーリングした。ところが、御承知のように、昭和三十四年に伊勢湾台風、これは最初調査しましたのは、愛知県でなく、三重県の長島地区であります。その長高地区にまずボーリングを入れた。そうして一千メートルほど掘りましたところに、ちょうど伊勢湾台風が来て、御承知のように、日本で一番低い地域といわれている長局地区は、ついに伊勢湾台風によりましてあの地区一体が水浸しになった。大谷天然ガス株式会社は工事しておりました工事人が死亡した。ついに再起不能というふうな結果になって、このときに放棄した形になっております。ここの大谷社長も命からがら逃げ出したというふうなこともあったわけでございます。
 そこで、天然ガスの試掘に対しましては、これは石油資源もそうでございますが、通産省としてやはり補助金が出されているはずだと思います。一体このときの補助金はいかほど出されているのか、この点をまず局長にお尋ねいたします。
○説明員(両角良彦君) ただいま御指摘のございました愛知県におきまする天然ガスの探鉱補助金というものの交付につきましては、数字的に申し上げますと、昭和三十四年度の八百メートルの試掘につきまして二百六十万円余り、それから昭和三十四年度の長島の試掘に対しまして三百十七万円余り、それから昭和三十八年度の同じくこの長島地区の試掘に対しまして四百五十万円、以上の交付実績を持っております。
○近藤信一君 いま、三十四年に二百六十万円、もう一つ三百十七万円、それから三十八年になってさらに四百五十万円を補助金として出しておられる。ところが、一体三十四年に伊勢湾台風でやられて一応放棄したような形になっていたにもかかわらず、またまたその昭和三十八年に松沢教授に対して名古屋通産局の鉱山部長が天然ガスの試掘に対してもう一ぺん協力してくれないかという要請をしておられる。私は、帝石が地震探鉱の結果、一般需要に供するほどの埋蔵率はないといって一応の結論を出されたところに、三十四年にそういうあなたのほうで試掘をやられている。そうして伊勢湾台風でこの工事現場というものがすっかり荒されてしまっている。また、三十八年になってさらにもう一ぺんやりたいということでやられた。当時松沢教授は、天然ガスはそんなた期待する埋蔵率はない、お湯は出るであろうということは前のときにもそれを言っておられるのです。天然ガスが出ないという一応の見通しのあるところへ、どうしてまた三十八年になってあなたのほうはこれに再度補助金を出してまでこれをやらなければならなかったか。結果的には、天然ガスは出ずして、ガス変じて湯となり、長島温泉という温泉がその後できたわけなんです。私はこの点非常に不可解だと思うのです。三十四年に一ぺんやってみて、そしてだめだった。三十八年に千五百メートル掘って、ガスが出ないでお湯が出てきた。私は、通産省が天然ガスという目的のもとに補助金というものを出されておる、その天然ガスがないということがわかりながら、さらに補助金を出してガス変じてお湯となった、こういう点は私は非常に納得がいかないわけでございますが、一体この点はあなたのほうはどういうふうに把握をしておられるのか。その後、鉱山局長は何代もかわりまして、当時のことは両角局長は実際には御承知ないと思うのでございまするけれども、その点はひとつ明らかにしていただきたいのであります。
○説明員(両角良彦君) 昭和三十四年度の試掘につきましては、実はその試掘計画が一千メートルという深さまでのボーリングを前提とした計画であったわけでございます。したがいまして、実績は、昭和三十四年度、知多郡におきまして八百メートル並びに三重県の桑名におきまして六百八十メートルの試掘が行なわれておりますが、それだけをもってして当該地区におきます天然ガスの保存状況について決定的な結論を下すわけにはまいらないということから、新たに石油及び可燃性天然ガス審議会にはかりまして、各専門の先生方の意見をも徴しました結果、昭和三十八年度に至りまして千五百メートルの試掘を行なうということで長島の試掘計画に補助金を交付した、かように承知をいたしております。
○近藤信一君 さらに私が不可解なことは、この最初の目的はやはり天然ガスということで工事を進めてきた。ところが、ガスが出なくしてお湯が出てまいりました。この工事人は大谷天然ガス株式会社でございました。そこで、ガスが出ずにお湯が出ましたので、長島温泉開発株式会社という会社がここにできまして、ガスのかわりにひとつ温泉で開発しようじゃないかということで、あのたんぼの中に長島温泉が開発されたわけなんです。そこで、その際に大谷天然、ガス株式会社は、この権利といいますか、これを三億円で売却しておるわけなんです。三億円でこの権利を売却して、大谷社長は、長島温泉開発株式会社に一億円の出資をしておるわけであります。そういう政府が補助金を出してガス開発に努力した結果、ガスが出なくしてお湯が出てきた。そこで、長島温泉開発株式会社という一つの営利会社をつくって、工事に当たりました大谷天然ガス株式会社は国から二分の一の補助をいただいて、そうしてこれを三億円で売ったというふうに私聞いておるんです。これは私は、あなたのほうが最初補助金を出されたというのは、天然ガスをあすこで当てるために補助金を出された、それが天然ガスでなくして温泉であった。これは今度個人のものになって、これが三億円で売られておる。私はまことにこれは不可解だと思うんですが、この点はどうですか。
○説明員(両角良彦君) 御承知のとおり、通常天然ガスの試掘のための補助金を交付いたしまする場合には、補助金を交付いたしました結果当該ボーリングによりまして天然ガスが出なかった場合には、これを返却する必要はないたてまえに一般的にはなっておるわけでございますが、たまたま長島の場合には天然ガス以外の利益を伴う発見がこれに伴ったということに相なりましたために、ただいま先生の御指摘のようなことになった次第でございます。
 そこで、当時の補助金の交付規定では、天然ガス以外の発見が行なわれまして、それによりまして何らかの利益があがりました場合でも、それは補助金を返納しなければならないということとは結びつけた条件になっておりませんので、これが返還を求めることも不可能であったわけでございまするが、その後この長島のケースを検討いたしました結果、今後天然ガスの探鉱補助金を交付いたしまして、ボーリングが行なわれて、天然ガス以外の発見があって、それによって利益が生じた場合には、当該補助金を返戻するように新しい補助金の交付条件というものを昭和四十年度から設定をすることにいたしております。現在それによって運用いたしておる次第でございます。しかしながら、この交付規定の改正は長島のケースに遡及して適用することができないために、ただいま御指摘のようなことになっておる次第でございます。
○近藤信一君 悪く解釈いたしますると、大谷天然ガス株式会社は、これはもうガスが出ないんだけれども、ひとつガスのかわりに温泉掘ってもうけてやろう、こういうふうに考えて、目的は天然ガスだということで補助金を申請をして補助金をとっている。最初からそんなものガスが出ないことは大谷天然ガス株式会社は私は知っていると思うんですよ。帝石が放棄したくらいでございますから、私はこのことは十分把握しておると思う。ところが、あの地区におきましては、御承知のように、温泉というふうなものはありません。そこで、天然ガスのかわりに温泉を掘った、そうして天然ガスだということで国から二分の一の補助金をとっていた。ところが、温泉が出てまいりまして、いまではあの地区は温泉ブームでわいている。そして不可解なことは、大谷社長は三億円で売ってそうして一億円を長島温泉株式会社に投資し、あとの二億円でさらにその現在の長島温泉の近くの名四国道のわきにさらに温泉を二本掘ってやっておる。こういうことをあわせ考えました場合に、私は最初からこれは温泉が目的でやったんじゃないか、こういうふうに考えられるわけなんです。これは私悪意に考えますると、そういうことが言えるわけなんです。ところが、悪意でなくて、現にいまそういう方向に進んでおりますことを見ますると、最初から目的は温泉にあったんじゃないかと私は思うのです。いま局長は、昭和四十年からはそういう場合には補助金を返還するようにと、利益があった場合には返還するようにということに改められたと言われまするけれども、これはもうおそい。私は、あの地区に温泉ができたということはいいことかもしれません。それがために、御承知のように、中部財界はこぞってこの長島温泉に対して投資をしておる。東海銀行を先頭にして、あの地区の財界はみんなあそこに投資をしておる。そうして、いま温泉ブームでわいておる。一体この事実をあなたはどういうふうに見ておられますか。いわゆる私は目的が違っておれば、これは最初からこんなことは通産省としても知っておられると思うのです。あそこで天然ガスなんか出るなんてことは、あなたのほうとしても私は考えておられなかったんじゃないかと思うのです。それに、天然ガスだという申請があっただけで、簡単に補助金を出し、合わせて一千万という金をあそこに投資しておられる。まことに私としては不可解な問題だと思うのです。この点どうです。
○説明員(両角良彦君) 結果的にはまことに先生ただいま御指摘のとおりでございまするが、天然ガスの補助金を交付いたすにあたりましては、先ほど申し上げましたように、石油及び可燃性天然ガス審議会の審議によりまして、専門家各位の慎重な検討の結果、当該濃尾平野の東海地区における天然ガスの試掘は有益であり、かつ可能性があるという判断に基づきまして交付をいたした次第でございます。たまたま申請当事者の意図が那辺にあったかということは別にいたしまして、審議会側といたしましてはさような地質調査の見地からも判断して有望と認めまして、これを適確な方法として推薦をされ、それに基づきまして、当省といたしまして補助金を交付した次第でございまして、交付そのものの経過につきましては正当に行なわれたと私どもは考えておる次第でございます。
○近藤信一君 このことをいくら鉱山局に追及しても、これはもう制限がないことでございますが、それがためにいま長島地区、さらに木曽川を一本隔てました愛知県の海部南部、蟹江、飛鳥、この地方は温泉ブームでわき立っておる。そうして、長島で温泉が出るなら愛知県だって温泉が出るだろうということで、あの地区では非常にたくさんの温泉の取水の申請というものが県に出されておる。これの許可というものは地方自治体でやるわけでございますから、あなたのほうに関係はないと思いまするが、これが県の温泉審議会で審議されて、そうして愛知県においてはこれが今日になっても許可にならないままに保留にされておるのです。天然ガスの鉱区の設定の申請が愛知県でなされておるのか、それとも温泉ということで出されておるのか。先ほど私が申しましたように、悪意に解釈すれば、四十年からは改正になったから、これは補助金は返還しなければならぬのでございまするが、天然ガスの鉱区ということで申請されておるか、この点どうですか。
○説明員(両角良彦君) 御指摘のございました地域につきましては、現在石油、可燃性天然ガスを目的といたしまする鉱業権の設定の出願が三十五件行なわれております。この出願につきましては、鉱業法の規定に基づきまして愛知県知事に協議をいたした次第でございますが、当該地域における鉱業権の設定は、地盤沈下その他公益上支障があるという回答がございまして、現在のところ鉱業権の設定にまで至っておらない状況でございます。
○近藤信一君 いま承りますれば、これは天然ガスを目的とした鉱業権の設定の申請が三十五件なされておる――いずれもこれ天然ガスということを目的として鉱業権の設定を申請しておるわけです。温泉ということではまだ出ておりませんか、この点どうです。これはあなたのほうの所管ではないから、はっきりわかりませんかもしれませんが。
○説明員(両角良彦君) 温泉法によりまする許可の申請が何件当該地区に出ておりますか、つまびらかにいたしません。
○近藤信一君 いまこの三十五件鉱業権の設定申請というものが出されておりますが、これは蟹江と飛跡の両地区でこの申請がなされておると思うのです。現在までこの鉱区設定の許可はしていないといまあなた屡言われました。その理由として、地盤沈下の問題がある。そこで、地盤沈下の問題は、御承知のように、あの地区は相当前から問題があったが、特に長島、蟹江、飛島というところにおいては、ここ数年というものは地盤沈下の進度といいますか、そういう現象というものは私は出てきていないと思うのです。そこで、あなたのほうが地盤沈下を理由として今日までこれが鉱、凶設定の申請が許可されていないと言うのですが、これは単に地盤沈下だけということが理由になっているのかどうか、もしその後ここ十年来の地盤沈下の状況というものがおわかりでございますれば、通産省並びに工業技術院のほうからこの点説明が願いたいと思います。
○説明員(佐藤光之助君) 地盤沈下につきましては、従来この濃尾平野地域につきましては、全体的の地盤沈下の、傾向というものが認められていたわけでございます。実は、これは少し古い資料でございますが、昭和三十年から三十五年までの五年間に大体年平均八。七ミリくらいの地盤沈下、それから三十五年から三十六年にかけまして二センチ、それから一二十六年から三十七年にかけて四センチ、それから三十七年から三十八年にかけて五センチないし五・九センチと、地盤沈下が急速に進んでおります。それから一番最近のデータは、三十九年の二月から四十年の二月でございますが、これは大体いま五ないし六センチの年間の地盤沈下を生じております。ただいま申しましたのはいわゆる蟹江地区でございます。で、それに相当します長島の地区におきましては、一番新しいデータの三十九年から四十年の二月、この一年間に、場所によって違いますけれども、四センチないし八センチの地盤沈下をいたしております。
○近藤信一君 私は、やはりあの地区の地盤沈下というものは、温泉をあれしたからという現象じゃないと思うんですね。私はちょうど名古屋の庄内川の河口で生まれたんですが、いまから四十年も前のあの河口というものは、非常に河床が高くて、そして干潮になればずっと、干上がったものであります。ところが、いまではあの付近一帯ずっと沈下しておること、これは私よく知っておるんです。ここ四十年間ほどの間に、相当、名古屋の南部、港地区におきましては、やはりそういうふうに沈下しておることは事実なんです。そこで、あの付近一帯の地盤沈下というものは、そういうふうに自然に、ずっと毎年毎年、いま御説明がございましたように、自然に沈下してきておる。で、鉱区を設定したからということで、これが一体どれだけの影響があるかどうか。もし将来あの地区が、いま温泉ブームでわき立っておって、今後、先ほど申し上げましたように、その申請が許可になった場合に、一体どういう現象が起こってくるか。これはいろいろと学説的に、あの地区の学者等も温泉審議会においてはいろいろと議論をしておられるが、いわゆる技術院の地質調査所長として、今後の見通し、こういうふうなものについてあなたの御所見があれば承っておきたいと思います。
○説明員(佐藤光之助君) いま申し上げました地盤沈下の原因につきましては、これはもちろん蟹江地区におきましては、深い温泉ボーリングあるいはガスボーリングというものは実施されておりませんので、現在の地盤沈下というものは比較的浅い層からの地下水のくみ上げが原因であるのであろうと、こういうことが考えられるわけでございます。そういう一つの原因と、それからもう一つは、この辺の地殻全体がある運動をしている。したがって、地域的な大きな運動ということと、いま申しました浅い層からの地下水のくみ上げによりまして地盤沈下が起きているのだろうと、こういうふうに考えられるわけでございます。それで、この地区で、もし深い層、すなわち千メートル以上の深い層からさらに大量の水あるいは温泉水をくみ上げました場合には、この地域を構成しております地質の性質ということから考えますと、この地盤沈下が加速されるおそれは非常にあると思います。で、この問題につきましては、私のほうでかつて非常に苦い経験をしているわけでございます。これは、御承知の例の新潟の地盤沈下――新潟におきまして水溶性ガスのくみ上げに伴いまして著しい地盤沈下を生じたということは、これは皆さんよく御承知のことと思います。で、私の地質調査所といたしまして考えておりますこととしましては、この地盤沈下の量がどのくらいになるかということを決定的にこれをきめることはむずかしい問題でございますけれども、新潟地、区におきます従来の研究結果から考えますと、ただいま申し上げましたような地盤沈下の量が深層の開発に伴いましてある程度加速されるのではないかということを心配しているわけでございます。
○近藤信一君 鉱山局長にお尋ねするわけでありますが、一応あの地区において、特に長島で天然ガスの試錐ということでいままでやってこられましたわけでございまするが、そこで天然ガスが出なくなった。そこでこの点は、天然ガスの問題はあなたのほうでもうあきらめたかどうか。もしあきらめたとするならば、いま出ておりまするところの三十五件の天然、ガスの鉱業権の設定の申請というものは、これはもう明らかにむだなものであると思うのです。もう天然ガスは出ないのだから、そんなことはあきらめなさいと言って、あなたのほうはそのことを地元に、名古屋通産局に通達することもできるであろうし、それがいつまでも何か出るがごとく出ないがごとくの態度を示しておりますると、現在は三十五件でございまするけれども、さらに多くの鉱区設定の申請がなされるというふうな危険も私はなきにしもあらずだと、こう思うのです。この点はいかがですか。
○説明員(両角良彦君) 御承知のように、鉱業権の設定は先願主義によっておりまして、申請が出されますと、関係都道府県知事と協議をいたしまして、協議が整い次第、当該申請に対しましては先、願順序に基づきまして鉱業権を設定をいたすことになっております。したがいまして、当該申請者が当該申請区域に鉱物の存在を確信し、もしくはその可能性を前提として申請をしてまいる限り、国の権威をもって存在しないという断定を下して鉱業権の設定を拒否するというたてまえにはなっておらない次第でございます。したがいまして、本件申請につきましても、愛知県知事との協議が将来整うならば、それを前提として鉱業権の設定をいたすことになろうかと思います。しかしながら、天然ガスの試掘補助金の問題は全く別個の問題といたしまして、天然ガスの審議会にかけまして検討さしていただくことになろうかと思います。
○近藤信一君 地下資源開発ではこれは失敗をしたわけでございまするが、地下資源開発の目的でやったところが温泉が出てきたと、そこで地下資源開発は失敗だが、地域開発の点からいくとこれは成功だと思うのです。というのは、あの地帯一帯は農漁村地区でございまして、特に蟹江、飛島地区はいわゆる名古屋港のいろいろな整備に伴いまして漁場というものがほとんど狭められておる。それがゆえに、今度はガス転じて温泉ということでいろいろと申請がなされておる。聞くところによると、蟹江町は町営による申請まで何かしておるというふうにも聞いておるわけでありますが、そうすると、地下資源開発で失敗して地域開発のほうで一つの成功を見たということに相なろうかとも思うわけでございますが、地域開発に対していろいろと今後どう発展していくか、この点見通しというものは、私しろうとでございまするからわかりませんが、それがためにいわゆる中部の財界は非常にこの開発事業に対して力を入れておる、こういうことも私聞いております。そうして温泉ブームにわき立っておる。私が聞くところによりますると、この温泉の申請がいまなされておりまして、温泉審議会にもいろいろとかかっておるわけでございまするが、なかなかその後の許可というものが出ない、それをめぐりまして黒いうわさもあの地区には流れておるのであります。こういうことを早く解決してやらなければ、うわさはうわさを生んでいろいろな方面に発展していくことも、従来のいろいろな点から考えましても、私は非常に危険が伴うのじゃないかと思う。こういう点は通産省としても、地元通産局と十分連絡をとって、そして間違いのない指導ということでやらなければいけないのじゃないかと思うのですが、この点はいかがです。
○説明員(両角良彦君) お話にございましたように、鉱業権の設定につきましては、通産局長とも十分連絡をとりまして、誤りなきを期したいと考えておりまするが、温泉自体を目的としまする許可申請の取り扱いにつきましては、通産局長の所管外でございますので、私どもとしては、現地における良識ある解決を期待いたしたいと考えます。
○近藤信一君 それから地質調査所というのが名古屋にございますね、駐在員事務所。この地質調査所名古屋駐在員事務所の所長はいま大塚さんがやっておられると私聞いております。そこで、いまあの地区に東放企業株式会社という会社がございまして、何か温泉をボーリングして自噴をした、この源泉バルブを大塚所長がひそかにとめたというふうな――自噴しておる源泉バルブをとめた、こういうことを私聞いておるわけでございまするが、そういう人の所有である温泉の源泉バルブを地質調査所名古屋駐在員事務所の所長がこれをとめるという権限は、一体何に基づいてなされたのか、この点はいかがですか。
○説明員(佐藤光之助君) 地質調査所におきましては、従来から濃美平野におきまして、この平野地域の地質の研究ということを実施してまいっております。そういうような研究の結果につきましては、特に駐在員事務所におきましても、一般の質問に応じて、いろいろそういう地域開発という問題について御相談に応じておる、こういうことは、各企業あるいは民間に対しましても、同様に私のほうの出先の一つの仕事としてやっております、相談業務として。もう一つの問題は、やはりそういう地域開発の問題に関連いたしまして、地方庁である県のほうで、比較的地質の専門家がおりませんので、そういう県のほうの技術の相談あるいは技術指導ということを従来やっております。もう一つは、これは民間のほうからはっきりした依頼によりまして、私のほうの特殊の技術を用いていろいろ依頼に応じますこと、こういうことは通産省にあります受託調査制度という規定がございますので、その規定に従ってやっております。
 ただいま御指摘の、東放企業に対するバルブをうちの大塚が締めた云々という問題につきましては、私としましていま思っておりますのは、地域開発の問題について大塚所長が、その地域の開発について相談を受ける場合には、こういうふうにおやりなさいというような相談に応ずるということは、おそらくうちの出先として実施しておると思います。
 それからもう一つの問題は、そういういま申し上げました地盤沈下等の問題もございますので、県のほうでそういう井戸につきましていろいろなテストを行ないまして、その材料を今後の地域開発の基礎資料にしたいと、そういう希望がございまして、そういう問題に対しまして大塚所長がいろいろ相談に乗って協力していると、こういうことも考えられております。
 で、普通ああいう温泉等の井戸におきまして、掘さく後その揚水試験を行なうということ、それからバルブをとめて圧力を測定すること、その圧力の変化を測定すること、こういうことは、その井戸のキャパシティーを推定する上の資料にもなりますし、それから今後温泉を開発するような場合に、温泉の井戸の間隔をどのくらいの距離にしたらよいか、そういう推定を行ないます場合の基礎資料となるものと考えております。したがいまして、現在の新しい技術におきましては、こういう井戸を閉鎖しましてその圧力をはかるということは、当然新しい技術としてはそれは伴ってくるものである、こういうふうに考えております。
 で、私その非常にこまかい点はあれでございますけれども、そういうバルブを締めるというようなこと、これは当然県のほうと業者のほうとの話し合いによりまして、それについて、うちの所員が技術的に協力して頭脳をかし、あるいは立ち会ったというふうに思います。
○近藤信一君 いまの御答弁の中でも言われておりますように、いろいろ相談された場合にその相談に乗る、そういう指導に当たられるというのが、私は地質調査駐在員としての任務だと思うのであります。それが二月の十九日――二月といえば相当日が短いときでございまして、しかも、午後九時ごろ夜陰に乗じて大塚氏が源泉バルブをとめた。私は、個人の所有のものであるから、もしそういういま答弁されたような危険性というものがあるならば、その会社自体にそのことを言い伝えて、そうして、かくかくの事情だ、こういう危険性を伴うものであるからバルブは一時おとめなさいと言って指導すべきだと私は思うんです。それが、みずからの手によってバルブをひねって自噴する源泉をとめたというところに問題があるということで、いま、あの地区においては、これは何か裏に黒いものがあるんじゃないか。もし愛知県において温泉が出たということになれば、申請も次々となされて、川一本隔てた地区でございまするから、この地区の地域開発のために蟹江町全体が動いておるように、非常に温泉熱にあおられて、いろいろな企業家が進出してくる。そういたしますと、いま、隣の三重県の長島地区に温泉があるのですが、これに投資をしているのは、もっぱら愛知県側、名古屋の財界なんです。愛知県側で温泉が出るならば、このほうがさびれてしまう、お客はほとんど名古屋から行くわけでございますから、どうせ行くなら愛知県側に行こうということになって、もう長島へ行かないことになる。そういたしますと、ここに投資している財界が非常に困る。財界がけつ押しをしているのが愛知県の知事でございますから、その知事が先頭になって許可に対しては反対をしておる、こういうふうなことが地元では言われているわけなんであります。そういう黒いうわさが現在流布されておる、そのことを私は心配するのであります。大塚氏が駐在員として権力を持っておる、その権力を行使したということになれば、私はこれは行き過ぎじゃなかろうか。実際、そういう危険が伴って、そうして、いけないというものであるならば、その会社自体に勧告をする、こういうことが私は役所としてやるべきことではないか、こういうふうに思うのですが、この点はどうですか。
○説明員(佐藤光之助君) ただいまの尾張温良の井戸につきまして、夜陰に乗じてバルブをとめたというお話でございますが、この件につきましては、現在いろいろ検討されております。地盤沈下その他のこともございまして、会社の東放企業でございますか、東放企業からの希望もあり、それから、私のほうの出先の研究者の立場から、地盤沈下その他のことを考えまして、そういうデータをとっておくことが必要である、それで、この締めましたことにつきましては、会社も合意しておりますし、その締める場合には、東放企業の社員が締めたわけでございます。それで、その井戸を締めて圧力の変化をはかったという次第でございまして、その後、この井戸におきましては、さらに、くみ上げ試験、それから、ある程度のくみ上げ、それから、さらにまた、その圧力の測定、そういうことを繰り返して現在テスト中でございます。私、その他のいまいろいろのうわさということにつきましては、ちょっとお答えいたしかねるわけでございますけれども、その事情、夜から朝にかけてやったといいますことは、会社のほうの要請によりまして、その瞬間にやってくれということで、夜の九時から次の日の朝までそういう圧力測定をやったわけです。
○近藤信一君 このことは私は、しかも、大塚氏は温泉審議会の審議委員の一人なんですね、そうでしょう。審議会の委員なんです。審議会の委員の大塚氏が、いま所長は夜から朝にかけてというような話ですが、二月十九日の午後九時なんです。これは時間まではっきりしている。行ってバルブをとめた。あなたのほうにはどういう報告が来ておるか知りませんけれども、現地でははっきりしている。また、このことについて新聞記者からいろいろと意見を求められて本人はこう言っている――「今は何も語りたくない、バルブをとめたのは圧力等の試験のため」と一応バルブをとめたことを認めており、問題の審議会でも、金光委員が「密閉十時間後における圧は……」と発言している云々と書いてあるのですが、大塚氏自身が認めておる。ところが、一方において業者がどう言っておるかというと、業者のほうではこう言っておる――セメンテーションが悪いと大塚氏にケナされている掘さく業者の東海さく泉株式会社名古屋支店では、「完成したというものの、セメントが固まりきっていない時点でバルブを締められると圧で鉄管をまいたセメントが破損し、冷たい地下水が入りこんで折角の温泉がダメになる危険性もある。それを冒してあんなことした上でセメンテーションをどうこう批判されたのでは……」と、業者としてはたまらないというふうなことを業者は言っておられるのですね。そうすると、ここに見解がちょっと違うわけですね、大塚さんと業者との。この点はどうですか。
○説明員(佐藤光之助君) 私、大塚のほうから報告を受けていることによりますと、二月の九日から十四日までの六日間、さく泉業者によりましていろいろなテストが行なわれております。すなわち、揚水試験とか種々のテストが行なわれております。したがいまして、ただいまお話しのようなことのテストについて、その圧力の測定について、もし問題があるとすれば、それ以前に業者によって行なわれております揚水試験あるいは種々の段階の試験というものが当然行なうことは危険であると思われるのでございます。それで、その後、二月十二日には、愛知県の衛生研究所がこの温泉の成分につきまして化学的な調査をやっております。それで、御指摘の圧力測定につきましては、二月の十九日の夜でございます、九時ごろから東放企業の社員と一緒に協力してもらって、その井戸をふさぎまして、密閉圧の測定をいたして、次の二月二十日の十一時まで、その圧力の変化の測定をやっております。
○近藤信一君 それからもう一つですね、審議会の中でも、大塚さんとそれから松沢委員と、この間には大きな意見の相違というものがある。この審議会の議事録の中にも、これははっきりと出ておる。その中の一部分を取り上げて申し上げますならば、大塚委員は、「尾張温泉はセメンテーションが完璧とはいえない。地盤沈下の問題であるが、同地区のセロファン会社の大量揚水により現に地盤沈下がみられている。尾張温泉の自噴二〇〇−二五〇トンでは、地盤沈下には直接影響ないように思われる。しかし、透水系数の算定が未だ終わっていない。一日四〇〇トンくめば干渉半径も一キロ−二キロとなるおそれがあると思われる。有効層厚は三八・四メートルである。自噴圧は一。五ぐらいであるが、セメンテーションの不備で一・三程度である。メタンガスが七。三パーセント含まれて一おり、経済的には成り立たないが、しかし期待量はある。ガスを無視したくみ上げはいけない。四−五パーセントとなると保安上も警報にかかる。」と、こういうふうに言っておるし、松沢委員はこの点、三つの点をあげて反駁しておられる。一つとしては、「地盤沈下の件=深部の地下水のくみ上げは沈下には影響しない。宿命的な地盤沈下である。地盤沈下に影響するのは沖積層」――マイナス四十から五十メートルということだそうですが、「沖積層のうちの泥質層である。蟹江飛鳥では自然に地層収縮して沈下するものである。」
 二番目が、「この地区は温泉といっても地下水であり、マグマとは異るものである。マグマは火山に関係があるが、地下水型は地熱によるものであり、地下水が徐々に移動すると地熱で暖められる。海部地区は地熱で暖められているものであり頻繁にくみ上げると暖まる余裕がなくなる。従って大量にくみ上げると温度低下をきたす。しかしこの地方はかなり量があるからある程度くみ上げてもよい。」
 三、「干渉の距離=はっきりいって判らぬが、米国では自由面地下水の実験例で均質な地層で半径八〇〇−一〇〇〇フィート離れると地下水面の影響が少なくなると報告されている。三〇〇メートルとみて、海部地区の場合、六〇〇メートルの距離ということになる。しかし海部地区は均質な地層でない被圧地下水であり、しかも地質は泥質層、粘土層が重なり地下水の状況が複雑である。間隙率、透水圧等で定められるが、現状では判明しないといった方が早い。理論的に仮定しても明確にならない。井戸を堀って観察する方法がよい。数百メートル離れていれば影響はないと思われる。」
 こういうふうに全く対立した意見になっていますね。こういうふうに考えてみると、私はどちらの意見が正しいか、それはわかりませんが、審議会の委員の中で、松沢さんの意見に賛成をしておられるのが、その他学者等が中心であるわけなんです。財界は、これは大塚さんのほうの御意見に従っておられるようでございますけれども、こういうふうに審議会でもいろいろと議論されて、いま問題になっておるわけなんです。やはりこういう点、この審議会でもいろいろと意見が分かれて議論されておる。そこへ、先ほど私が申しましたように、大塚氏がみずからの手によって源泉バルブをとめたということが、またこれに拍車をかけておるというふうにも私は思うのであります。そういう点を考えますると、せっかくあの地区の開発をしようとして努力をしておられる方々に対しては、非常に迷惑なことでもあろうし、いろいろと財界のそういう対立面といいますか、そういうふうなことで、大塚氏がこれに利用されておるというふうなことでございますならば、私はまことに残念なことだと思うし、こういう点は、私は役人としては相当慎重にやらなければならぬ問題だと思うのであります。それが私から言わせれば、若干その点が軽率でなかったかと思うのです。あなたのほうとしては、そういうことはない、大塚のほうが最も正しいのだというふうな判断をされるのかもしれませんけれども、やはりこういうことがいろいろとあとを引き、これは県で許可することでございまするから、本行としては関係がないことでございまするけれども、やはり、そういうことでいろいろと紛糾しておるということは私は好ましくないと思う。どうせ許可できるものならば、早いこと、そういう地盤沈下の問題などについても結論を出して、そうして地域開発のほうに寄与されなければならぬじゃないかと私は思うのであります。御承知のように、先ほど私申し上げましたように、特にあの蟹江地区は農漁村の地区でございまして、そうして伊勢湾の整備によりまして、蟹江地区の漁業というものはほとんど漁場が失われた、そうして零細な農業に一部は依存しておる、専業の漁民は職場を失って転業せねばならぬという今日の現状なんです。そこへ温泉が開発されて、地域開発のために寄与するということであるならば、これに対するところの国としてはあたたかい手を差し伸べて、そうして、あの地域の住民のためにも私は寄与してやらなければならぬと思うのです。もう時間もたいへんおそいから、私はこの質問はこの純度に終わりまするけれども、やはり、そういう点から、あなたのほうとしても、現地と十分に連絡をとり、そういう行き過ぎのないように御監督していただきたい、このことを私、要望いたします。
○説明員(佐藤光之助君) 私のほうの地質調査所と申しますところは、ことに、その出先につきましては、各地区の地域開発の尖兵となって皆さまのお役に立つということが非常な使命だと考えております。いろいろいま先生からお話を伺いまして、私としましては、うちの出光の者が、いわゆる学問上の考え方から、いろいろ地盤沈下のことその他を心配いたしまして、いろいろ意見を申し上げたということと思います。この点につきまして、いろいろ地元におきまして誤解を生みましたことを深くおわび申し上げます。私としましては、その現在掘られました井戸につきまして、現在テスト中でございますので、その結果が一日も早く出てまいりまして、その結果をもととして科学的な判断を下して、一日も早く地域開発にこの温泉が貢献されることを期待しておるわけでございます。
○委員長(村上春藏君) 他に御発言もなければ、本調査はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十七分散会