第052回国会 法務委員会 第3号
昭和四十一年七月二十六日(火曜日)
   午前十時三十五分開会
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   委員の異動
 七月二十二日
    辞任         補欠選任
     安井  謙君     中村喜四郎君
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  出席者は左のとおり。
    理 事
                木島 義夫君
                松野 孝一君
                稲葉 誠一君
                山田 徹一君
    委 員
                岡村文四郎君
                斎藤  昇君
                鈴木 万平君
                中村喜四郎君
                中山 福藏君
                大森 創造君
                亀田 得治君
                藤原 道子君
                柳岡 秋夫君
   国務大臣
       法 務 大 臣  石井光次郎君
   政府委員
       法務省刑事局長  津田  實君
       林野庁長官    若林 正武君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        増本 甲吉君
   説明員
       警察庁刑事局長  日原 正雄君
       法務大臣官房経
       理部長      勝尾 鐐三君
       法務省矯正局保
       安課長      須田 寿雄君
       農林省農地局管
       理課長      斎藤 誠三君
       林野庁林政部長  木戸 四夫君
       自治省行政局行
       政課長      松浦  功君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○ベトナム中央歌舞団の日本公演のための申請中
 の手続きに対する公正裁決促進に関する請願
 (第五〇号)(第五一号)(第五二号)(第五
 三号)
○交通事犯者のみを拘禁する交通刑務所(仮称)
 創設等に関する請願(第一三六号)(第一九二
 号)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(松山刑務所における看守の汚職事件に関する
 件)
 (川崎市における医師の傷害致死事件に関
 する件)
 (那須国有林の払下げ事件に関する
 件)
 (茨城県岩井町における背任収賄告発事件
 等に関する件)
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  〔理事山田徹一君委員長席に着く〕
○理事(山田徹一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 去る二十二日、安井謙君が委員を辞任され、その補欠として中村喜四郎君が委員に選任されました。
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○理事(山田徹一君) 請願第五〇号以下五件の請願を議題といたします。
 便宜、速記を中止して審査を行ないます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(山田徹一君) 速記をつけて。
 ただいま速記を中止して協議をいたしましたとおり、以上の請願は保留とすることにいたします。
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○理事(山田徹一君) 次に、継続審査要求についておはかりいたします。
 売春防止法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中も審査を継続することとし、議長に継続審査要求書を提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(山田徹一君) 御異議ないと認めます。
 なお、要求書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと思います。
    ―――――――――――――
○理事(山田徹一君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(山田徹一君) 御異議ないと認めます。
 なお、要求書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願います。
    ―――――――――――――
○理事(山田徹一君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(山田徹一君) 御異議ないと認めます。
 なお、派遣委員の人選その他派遣の細目及び議長に提出する委員派遣承認要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(山田徹一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(山田徹一君) 速記を始めて。
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○理事(山田徹一君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、松山刑務所における看守の汚職事件に関する件等について調査を行ないます。稲葉君。
○稲葉誠一君 これは、前にも質問をしておりますし、大体のことはわかっているわけなんですけれども、その後また一人の方が自殺をされたということが、しかも拘置監の中で自殺をされたということが伝えられておりますので、どういうことで自殺されたのか、聞くところによると、その方の遺書がある、その中でいろいろ訴えられているということもあるように聞いておりますので、その間の経過をできるだけ御説明を願いたい、かように考えます。
○国務大臣(石井光次郎君) 関係局長が松山に出張いたして調べておりますが、課長をきょう連れて来ておりますので、課長から御説明申し上げます。
○説明員(須田寿雄君) 御説明申し上げます。
 さきに本年六月二十八日に松山刑務所の教育課の係長大森常市副看守長が自殺いたしましたが、このたびまた管理部の保安課の配置係長の門屋茂副看守長、この人が本年七月二十三日、当直の看守長の補佐役として前半夜勤務の当直副看守長として午前一時まで勤務いたしまして、その後、松山刑務所拘置場仮眠室において仮眠しておったのでありますが、午前五時五十八分、本人は仮眠室の窓格子に護送用の捕繩をくっつけまして、開襟シャツ、ステテコ姿で自殺しておったのであります。それを夜勤の看守が発見いたしました。
 この自殺の動機につきましては、本人の開襟シャツのポケットに入っておりました遺書、これは自殺の直前にしたためたものと思われるのでございますが、その中の大体の趣旨は、三十六年間自分はまじめにやってきたのであるが、このたび三名の看守によってこのような不祥事件を起こされたことはまことに残念だ、自分は裏切られたようである、また、これについてはまことに申しわけないというのが大体の遺書の趣旨でございます。なお、このほかに、自分はこの不祥事件には関係ないということも書いてございました。そういう趣旨の遺書を残しておったのでありますが、本人が昭和三十五年七月二十日以来配置係長として配置の責任者でありましたことから、今回の不祥事件を起こした三名の拘置場職員の配置の仕事に関して非常に重大な責任を感じたものではないかと認められるのであります。
 大体、簡単ですが、以上であります。
○稲葉誠一君 伝えられるところによりますと、この配置に関連をして、何といいますか、情実的な配置といいますか、そういうふうなものがあったというふうなことが遺書の中にあったのか、あるいは別のところで記事としてあったのか、ちょっと忘れましたが、何かそういうふうな意味のことも遺書の中に入っていたんですか。あるいは、それらのことで疑惑を持たれたことが云々というふうなこともあったわけですか。
○説明員(須田寿雄君) そういう情実的に配置をしたという趣旨のようなことは書いてなかったように報告は来ております。
○稲葉誠一君 その方が自殺をされたということとそれから検察庁の取り調べとの関係になるわけですが、検察庁の取り調べはいつどういう点に関連してあったわけですか。この人を参考人として呼ばれたように聞いておるわけですが。
○説明員(須田寿雄君) その点は、実は刑事局関係のほうからお答え申し上げることになっておったのですが、私のほうは準備いたしておりませんで申しわけございません。
○稲葉誠一君 この点は、刑事局関係を呼ぶことをちょっと連絡不十分だったんですけれども、経理部長が現地にこの前も行かれておりますし、現地に行かれたいろいろな報告については後に聞きますけれども、検察庁の取り調べの時間的な関係だとか、内容的なものとか、こういう点については、ある程度のことは、筋が違うんですけれども、経理部長のほうでおわかりになっておりますか。
○説明員(勝尾鐐三君) 私、命によりまして松山へ参りましたのは、六月二十八、九日でございます。その当時の検察庁の捜査の状況を申し上げますと、ただいま遺書の中に触れております宮岡外二名の看守と、それからその三名の看守に対する贈賄容疑での暴力団関係者七名、これが中心に捜査の対象になっておりました。したがいまして、刑務所の他の職員に対する参考人等の取り調べにつきましては、まだ入っていなかったというのが現状でございました。私、帰る際に、その後の捜査についていろいろ御意見を聞いたのでございますが、とりあえず刑事事件のほうを固める、しかる上で刑事事件の発生をめぐる原因等の関係において刑務所の職員について逐次参考人として取り調べていきたい、このように検察庁のほうで申しておられました。
 ただいま御質問のありました門屋茂につきましては、私は所管局長ではございませんが、門屋係長が自殺をする数日前に参考人として一応検察庁のほうで事情聴取をしているというように聞いております。
○稲葉誠一君 これは、事件がこういう事件ですから、検察庁としても責任があって、ある程度追及というか、真相を把握するために一生懸命やらなきやならないということでやっておられるのはわかりますけれども、この人を調べるのについて、相当きつい調べというか、何かそういうふうな調べがあったんじゃないかとも考えられるんですけれどもね。これは推測ですし、これ以上のことは私はわかりませんけれども、この門屋という人を検察庁が調べた日時と自殺した日時の関係とか、調べによって非常にショックを受けたとか、そういうような点のあれははっきりしないですか。
○説明員(勝尾鐐三君) その点について明確なことを私からお答えできないのはたいへん遺憾に思いますが、私、六月二十八、二十九日に松山へ参りました際に、高松において高検の検事長、次席並びに刑事部長にもお目にかかり、また、松山におきましても検事正、次席、主任検事に会っておりますが、その際に、高検におきましても、また松山の地検におきましても、刑務所の看守等、あるいは幹部、事件の直接捜査線上には浮かんでいない職員の取り調べにつきましては、ただいま稲葉委員から御指摘のありましたような点の内容に十分注意をして調べるということを高検のほうにおきましても現地に指示しておりますし、検事正自身もそのことを私に申しており、私もまた、帰る際に、職員の心情の安定をはかるということは事件の終息並びに所内の衆情を平穏に保つ上においてもどうしても必要なことでありますので、捜査は徹底的にやってほしいが、その調べにつきましてはいま言ったような影響等を十分配慮して捜査を行なってほしいということを希望を申しておきましたので、門屋をはじめ他の職員の取り調べにつきましては、現地の現在の刑務所長とも十分相談をして打ち合わせをした上で取り調べをしておるというように私は推測するものでございます。
○稲葉誠一君 刑事局長がおいでになったんで、十分な連絡がついてなくて恐縮ですけれども、いまお聞きしておるのは、松山の刑務所で門屋という係長の方が自殺をされたと。それで、その前に検察庁で取り調べをしておるようなわけですね。検察庁でどういう点を中心としていつ取り調べをしたのかということをお聞きしておるわけですが、それの要点は、結局、取り調べがきついというか、何といいますか、社会的な問題でもあるから、どうしても真実を把握したいという形が先走って、相当追及が激し過ぎたというようなことも加わってショックを受けてこういう事故が起きたのではないか、こう考えられるので、検察庁の門屋という人を取り調べた日時であるとか、内容であるとか、それとこれとの関係というような点について、いま経理部長が前に行ってこられたのでお聞きしたのですけれども、経理部長のそのときはだいぶ前の話ですから違いますから、刑事局長のほうでその点についてある程度のことは現地と連絡してわかっておればお答え願えればと、こう思います。
○政府委員(津田實君) 門屋副看守長は、昭和三十五年七月以来、松山刑務所の管理部保安課の配置係長の職にあった者でありますために、看守によります在監者に対する特別公務員暴行致傷事件、在監者の看守に対する公務執行妨害傷害事件簿の参考人といたしまして七月二十一日――本件の自殺がありましたのは七月二十三日でありますが、七月二十一日の午後四時ごろから約一時間半にわたりまして刑務所の中の会議室で看守の配置状況等について事情を聴取したいということでありまして、別に被疑者として取り調べたわけでもございません。これは、当時の本件問題は看守の配置等にも重要な関連がありますので、そのことを聴取したということになっております。
○稲葉誠一君 これは、あの捜査から言うと、だいぶ前からの事件なわけですね。それで、看守の配置の関係というのが一つのポイントになってくる事件なんですが、それにしてみると、この人の参考人としての取り調べが事件から見ると非常におくれているというような捜査の上から見た感じを受けるんですがね。まず最初にその点については調べがあって、それからこう捜査に入っていくのが筋ではなかったかとも考えられるのですがね。これは捜査のことですから、あまりかれこれ私は言いませんけれども、何かこういまごろになって、しかも前に起訴しているわけでしょう。起訴した後になっていまごろ調べるというのは、何かこうあれなんで、特別にいまになって調べる必要か何か特に生じたのか、その辺のところがどうもはっきりしないんですがね。
○政府委員(津田實君) これは、この事件の捜査の経過から申しますといろいろな事件があるわけですが、主として贈収賄関係が問題になっております。一番最初に端緒としましては梅崎副看守長に対する暴行事件というようなものが発生いたしまして、その後その暴行事件の関係者に対して今度は看守が暴行をしたという事件を弁護士から告発があったという事件から捜査が進んでまいってきておるわけであります。最初のうちは主として贈収賄事件の捜査をしておりましたわけでありまして、現在、在監者に対する職員の暴行事件というものにつきましては、まだ捜査中の段階であります。すでに起訴したものは、先ほど申しました贈収賄関係と、それから在監者相互間の暴行、恐喝等の事件が起訴されておるわけでありますが、職員の在監者に対する事件、それから在監者の職員に対する公務執行妨害事件というものは、現在まだ捜査中になっているわけであります。そこで、この配置関係は主としてそのほうの問題になってくるわけでありますので、この七月二十一日に最初に取り調べをした、こういうことになっております。
○稲葉誠一君 大臣にお尋ねしたいのですが、この前のときには経理部長を派遣されたわけですね。これは、経理部ですから、直接の関係はないかもわかりませんけれども、いずれにしても、大臣の特命を受けて経理部長、今度は矯正局長が、これは所管ですが、急遽松山に派遣されたわけですが、これはもちろん大臣の指示だと思いますが、どういうような御趣旨でこの前なり今度所管の局長なりを派遣されたのかということと、それからそれに関連をいたしまして、前には教育課の副看守長が自殺をされた。これは教育課ですから、受刑者のほうの刑務所で、未決には関係がないと思うんですがね、普通の場合では。いずれにいたしましても、前に大森さんという副看守長の方が自殺をされた、今度はまた門屋さんという方が自殺をされたと、こういうふうなことに関連をして、大臣としてはどういうふうにお考えになっておられ、どういうふうに今後されるというふうなことにお考えなのか。これは前にもちょっと聞いたことがありますけれども、それとはまたちょっと別な角度で、職員の自殺というふうなことから出てきた問題ですから、ちょっと変わってきているかと思いますので、所管の局長を派遣された趣旨と、これらの看守長なり副看守長の方が自殺をされたということに関連をして、どういうふうに考え、どういうふうにこれを今後矯正行政全体を指導されようとするのか、こういう点について大臣からお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(石井光次郎君) 相次いで自殺者が出たということはまことに遺憾なことで、また、そういうことを起こした御家族に対しまして御同情にたえないと思っておるわけでございます。今度矯正局長を急いで出張させて、実情をよく現場によって調べて、刑務所のその後の様子等をすっかり見聞して来るようにというのが主眼でございます。こういうことが起こりまして、一ぺん起こったことでさえ私ども非常に驚いたのでございますが、再びこういう問題か同じ所で起こったということにつきましては、ぜひこういうことが重ねて起こることのないようにしなければならないわけでございますが、それにはどういうことで起こったのかということを十分見きわめてきて、急いでその処置をしなければならぬというので局長を出したようなわけでございます。
 こちらで大体のいままでの様子から想像いたしておりますることは、この事件が起こりまして、その問題に当たった、被疑者となった者は別といたしまして、そうでない者でも、責任感と申しますか、そういうことから発して、何か非常な憂うつな心持ち、仕事の上に自分自身を何となく責めるような、自分の直接の責任ではないけれども、何か相すまぬというような心持ちで、非常な引っ込み思案的な状態になっておるのじゃないかということを非常におそれるのでございます。そういう状態でありますと、日常の矯正事業の上にも影響することが相当大きくなってくると思うのでございます。そうあってはならないわけでございますので、あるいはその処置といたしましては配置の転換等も考え、そうしてみんな仕事に熱を出して、そうして明るい気持ちで、そうしてその日その日をしっかりとみんなが手を握って協力してこの仕事をやり上げていくというような状態にしなくちゃならぬのじゃないかと、この間から私はそういうふうなことを考えつつあったわけですが、ちょうどこういう機会でございますから、よくそういう心持ちでも見て来てくれるようにということを言ってやったわけでございます。早急にいろいろな処置もいたしたい、こういうふうに考えるわけでございます。
○中山福藏君 ちょっと関連して、一点だけ、いいついでですから、法務大臣にお尋ねしたい。
 精神的に内在している下克上の風潮というものがこういう問題を惹起するのに非常に私は関連性があるように見ている。そうして、ややもするというと民主主義をはき違えて、何でもかんでも勝手にやったらいいんだ、上役なんかどうでもいいんだというような風調がとうとうとしてある官界の一部に流れていると私は見ている。それで、この原因が那辺にあったかということをひとつ法務大臣自身どうお考えになっていらっしゃいますか、これは大まかなお尋ねでありますけれども、どういうところからこういうものが発生するのだろうかというお気持ちですか、それをちょっと承っておきたい思います。
○国務大臣(石井光次郎君) この事件は、御承知のように、暴力団の関係者と看守との間に起こった問題であります。暴力団の関係者というものは一体どういうふうな情勢であるかということは御承知のとおりでございまして、暴力団という名前が示すがごとく、団体をなして力を合わせていろいろな暴力行為をやっているわけでございまして、悪いことを法にそむいたというのですぐつかまえて刑務所に入れておる。ところが、これがそれだけで済まないで、この仲間というものが外にもおるわけであります。中に入った連中の中にも何人かおる。その間の連携をしようとし、外と連携をしようとすることにいろいろな努力をしておるわけなんでございます。ところが、これを守っておりまする看守のほうは、これを分担分担でその日その日の仕事にやっておりましょうが、してどの部屋をだれがやっておるということがいつの間にかわかる。また、何人かの看守のうちには、どういう関係かで知っておる者がある。今度の場合なんか、その暴力団長と今度問題を起こして検挙された看守は小学校友だちであったというようなことである。そういうふうなことがありますると、今度、外におります家族があるいは外におります団員が誘惑する。誘惑して、聞かないと脅迫をする。一人でぽつんとしておりますと、この誘惑を退けると脅迫をし、おまえの子供をどうするぞ、おまえの家族をどうするぞと言うと、いつの間にかたばこ一本入れることくらいはいいだろうというようなことで、ついそれがこうずると、おまえはおれたちと同じ仲間じゃないかということで、ずるずると引きずり込まれるというようなことでありまして、向こうが団体で来るからこちらも団体で対抗するよりほかないので、一人で持ち切れるものではないのでありますから、中の刑務所の職員が一体となってこれに対抗する。職員だけじゃいけないんで、警察も検察官もみんなが刑務所に送ってしまえば暴力団狩りは一応終わったなどと思わないで、あとあとのことまでもみんな協力してくれなければだめじゃないか。ちょうどこういういい機会でございましたから、そういう話もこの間検事局の関係の諸君の集まりのときにもお願いをし、各地においての集まりのときにもいろいろ機会をつかまえて、次官や局長連中の集まるたびにあちらこちら話しておるようなわけでございます。そういうふうな関係にあるわけでございまして、これは暴力団対策の一環の仕事といたしましてもえらい仕事だと思いまするけれども、どうしてもこれは対抗していかなくてはならない。そうしなければ、私は暴力団狩りなどというものは声を大にしたって何にもならないと思うのでございます。そういうふうな意味において力を合わせるような方向でやっていくということでしきりに話を進めておる状態でございます。
○稲葉誠一君 経理部長がこれに関連して現地に行かれていろいろ視察をされて、その結果上申されているわけですが、どういう点を視察されて、どういう点を改善すべきものとして上申されたのか、それを受けて法務大臣としてはその経理部長の視察した結果の上申をどのように実行していこうとされるのか、具体的なことについて経理部長のほうからまず報告を願って、それから大臣のほうでそれを受けてどういうふうに実現をされるのか、こういう点について簡略にお答え願いたいと思います。
○説明員(勝尾鐐三君) 私、経理部長でございますが、大臣から出張を命ぜられました際には、経理部長としての所管であります施設面に改善あるいは不足な点がなかったか、そのほかに、刑務所の人事管理面において問題点がなかったか、さらに刑務所の行刑運営の画において問題がなかったか、大きく申しますとこの三点について調査の命を受けたものでございます。
 最初に、私の所管の面から申し上げますと、松山刑務所の施設でございますが、これは大正十三年につくられた施設でございます。しこうしまして、戦時中焼失いたしまして、昭和二十三年から焼失した土台の上に当時の粗悪な素材でもって現在の施設がつくられている。したがいまして、庁舎あるいは舎房等の配置がきわめて雑然としているということが大きな問題点でございました。この点につきましては、刑務所の敷地も約一万坪足らずでございますので、できたならば近郊に適当な敷地を求めて移転の上改築をするのが最もよろしいのではないかと思いましたが、この点についてまたいろいろ問題点を検討する必要があると思いますが、そのほか目につきましたのは、御承知のように、事務をとっております庁舎区域のほかに、舎房等の規律を保持します保安事務所というのが保安区域内にございます。その保安事務所に、保安の所長の次の責任者でありまする管理部長の執務室がなくて、庁舎のほうに設けられている。この点につきましては、やはり保安の事務的な最高責任者である管理部長の部屋は保安区域の保安事務所の中にあるべきであるという結論に達しましたので、その点をまず大臣に御報告を申し上げまして、指示を得まして、ただちに技官を派遣いたしまして保安区域の保安事務所の中に管理部長の執務室を増築するという措置をまずとったわけでございます。なお、拘置監を見ましたところ、いま言ったような粗悪な素材でつくられている関係上、一階の舎房の天井と二階の舎房の床板と、これがすき間だらけと言うと少し表現が強違ぎるのでございますが、要するに、すき間があると言ってもいいような舎房が幾つかございましたので、これも、御報告の上、直ちに技官を派遣いたしましてモルタル等に改造をしたような次第でございます。
 それから次に人事管理の面でございますが、これは私の短期間の調査でございますので、断定的な結論を下すことは自信がないのでございますが、所内規律の中心でありまする保安系統の人事配置に問題があるのではなかろうか。すなわち、所長、管理部長、保安課長、保安課長補佐、さらに担当の看守、この保安系統の人事配置の面に一つ問題があるのではなかろうか。それからさらにもう一つ、四国全体の問題といたしまして、御承知のように、高松の矯正管区というのは、高松、松山、高知、徳島という四県の施設を持っているわけであります。そうして、人事の実情を私必ずしもつまびらかではございませんが、現地において聞きますと、やはり管理部長以下の人事の異動がこの四つの四国の管内だけでえてしてぐるぐる回りになる傾向があったのではないか。したがいまして、管理部長等の幹部クラスの異動については、他の管区との間にも異動を実施して新しい気風を高松の矯正管区内に送り込む必要があるのではなかろうか、その点についてなお検討をする必要があるということを大臣に御報告申し上げております。
 それから行刑運営の面でございますが、先ほど中山先生から下克上の風潮がないかという御趣旨の御質問があったように思いましたが、私の短期間の調査では、下克上という問題よりも、ただいま大臣が御説明ございましたように、所長以下幹部並びに第一線の担当看守が打って一丸となって所内の運営に当たるという、その団結の点において欠けるところがあったのではないか。その原因の一つとして感じましたことは、上級幹部と第一線の看守との間のパイプが閉ざされていたのではなかろうか。なぜどういうところで閉ざされていたかという点についてはなお検討を要する点がございますが、第一線の看守、さらに上級の所長、管理部長を含めまして、刑務所の職員全体の研修と申しますか、要するに能力の充実向上をはかることがどうしても必要である。特に勤務自体が閉鎖的な勤務でございますので、よほどしっかりした信念と識見を持って行刑に当たらないと、どうしても孤独的になり、暗い気持ちになりやすいということが勤務の性質上避けられないんじゃないかと思いますので、それを一つは研修の強化という面から補強をしていく。一つは、そういう勤務自体が暗い、精神的な負担の重い勤務に従事している刑務所職員に対して、もう少しきめのこまかい待遇改善と申しますか、これを検討いたしたい。たとえば、施設の整備をはかっていく、あるいは宿舎の充実をはかっていくといったような、きめのこまかい待遇改善をする必要があるのではないか。
 おおむね以上のような点を大臣に御報告申し上げたような次第でございます。
○稲葉誠一君 いまの点については大臣から一括してお答えを願いたいと思うんですけれども、それに関連をして、この松山の刑務所長の人が、こういう事件があるのがわからなくて、そして京都の刑務所長にまあ通俗的に言えば栄転したわけですね。これはその栄転したのけしからんということではなくて、それをどうしろという意味ではございませんけれども、一体刑務所長の成績がいいとか悪いとかということをきめるのに何を標準にしてきめているかというと、結局、この松山の場合も、大井の作業場というのがあって、そこで造船をやっているわけですね。そこで作業収入が非常にあがるわけです。作業収入をあげると、その刑務所長の成績がいいと、こういうことになって、そこで評定されるという一つの傾向が法務省全体の中にあるんじゃないですか。これがぼくは問題だと思うんです。矯正局長がいま松山へ行っていますから、帰って来てから聞かないとわからないかもわかりませんけれども、作業収入をあげるほうに重点を置いて、それがうんとあがれば成績がいいという形になるんですね。それだもんで、具体的な保安の問題とか、そういう点についての実態把握がおろそかになってくる、そういう一つの刑務所行政の問題点があると私は思うんですよ。こういう点を含めて大臣から何かお考えというか、お答えをお願いしたいと、こう思います。
○国務大臣(石井光次郎君) 経理部長からお答え申し上げました三つの点でございますが、大体そのとおりでございます。
 施設の面は、松山の例をとりますと、大体においてこのごろ古い建物から新しい建物にだんだんと改めつつあるのでございますが、非常に古い部門に属する刑務所でございまして、いろんな点において不完全なものがあり、部屋の配置等においても不備なものがあったようで、それがついまあなれっこになってと申しますか、よそから批判的に見ると不十分であったというようなことがわかりました。今度そういうのを施設をやりまして改めて、今後もこういう問題はどこの方面に向かっても気をつけて見たいと思っているわけでございます。
 人事の面につきましては、いま話がありましたように、四国一帯だけでついやるというような傾向にどうしてもなりやすいものでございますけれども、これはどうしても新しい空気を入れて、そうしてそこに何か新しい力を盛り上げるということがこういう仕事には特に必要だと、私もあっちこっち見ながらいつも思うのでございます。と申しますのは、古い人たちだけ、そしてなれた人たちだけでやれば、自然なれている仕事はうまくいくということも言えるようでありまするが、何となくそこにはだれていく風習、そこにはすき間もできてくるおそれがあるのでございます。清新な空気を入れて、そしてだれようとする人事をだれさせぬようにするというような気持ちで、今後はもっと広い範囲で人事の交流を考えるということをいたしたいと思っているわけでございます。
 いまのその人事のついでに、京都に前の松山の刑務所長が栄転したのじゃないかと。これは先ごろも予算委員会で稲葉君のお尋ねがあったのでございますが、別にこれは特に栄転さしたというより、まあ順繰りみたいなことで、この人は非常に古い方でございまして、刑務所長を何カ所もつとめた人でございまして、まあ更迭するとすればこのくらいなところに行ってもいい人だというくらいな心持ちでことしの三月に転任をいたした、こういうわけであったわけでございます。そういうふうなことでございましたが、それはとにかくといたしまして、そういう人たちの転任についても、成績を見る場合に、作業の成績が非常に大きく見られるのじゃないかという問題でございますが、作業の成績も、一方から考えますと、作業をきちんとやるということは、そこに入っている人たちに仕事をよく覚えさせるということにもなっている、その結果だとも言えるわけでございまして、成績の悪いよりもいいほうがいいことは申すまでもないことでございますけれども、それだけで刑務所長の仕事が評価されるということは、いまおっしゃったとおり、それだけではちょっとおかしいと私も思うのでございます。これも考課をきめる一つにはなりましょうけれども、それだけではなく、もっと高い目から、はたして矯正の仕事がりっぱに行なわれているかどうか、そこの全体の動きをそれを指導している力のありさまをよく見て転任の状況等はきめるべきものであるということを私も考えるのでございます。そういう気持ちでこれから先はなおさらひとつ気をつけてよく見るように、機械的に動かす、年限が来たから順応だけで動かすというようなことだけでなしに、もっともっと一人一人について気をつけて見ていくというような心がけも、やがてそういうことが各刑務所というものに対する注意が中央からも行き届いているということにもなるわけでございますので、気をつけていきたいと思っております。
 それが三つの問題で、全体の問題といたしまして、私は、刑務所に働いている人たちの問題は、さっきちょっと触れましたけれども、どうもああいうところを見ますと、規律正しくきちんとして、全体的によく動いているように見えますが、何か実は一人一人が孤独的なような感じがしてならない。これは私だけじゃないかと思っておりましたが、そういうふうな感じを持つ人が法務省内でもこの際いろいろ話してみると非常に多いようであります。これは刑務所のまわりにみな看守の人たちの宿命も設けてあります。全体の看守の八割強の人たちには宿舎も与えてあるわけでございます。自然、勤務の関係上、刑務所の近所に集団的におる。そういう人たちがつき合うのだから、自然仲よくなる、公私ともに一体となって非常にうまくいったところも私はあると思うのでありますが、これが世間から離れておるというような状態で、勤務状態にもよりましてなかなか世間づき合いがうといというようなこと、それからその中ではばらばらに勤務状態かある――家は並んでおる、家族はつき合っておりますけれども、勤務状態であまり一緒になることがないというようなこと等から、どうも孤独的になるような傾向があるのじゃないか。これをもっとなごやかに一体になるように、休みのとき等は一緒になってやる、集団的に農園をやったり豚を飼ったりいろいろなことをやっておられるのを見るのでありますが、もっと明るい生活が私生活に盛り上がると、彼らの勤務にもよくなるのじゃないか。そういうふうなことにももっとできるだけの力になってあげたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
○稲葉誠一君 大臣にもう一点だけお尋ねして、大臣関係は終わりにしますけれども、あまり立ち入ったことをお伺いして恐縮かと思うのですけれども、松山の刑務所の場合でも構外作業をやっているわけですね。作業中心というよりも、作業収入を中心として考えていると言っていいわけなんですね。構外作業で造船をやっているわけですが、そこでいろいろ働かせると、収入が刑務所の中に入ってくるわけですね。その収入をあげるというほうに重点を置いて刑務所の運営が行なわれているきらいがあるわけなんです。そうして、その作業収入があがってくると、その金は法務省から大蔵省に入るわけですけれども、それがうんとあがってくると、結局その刑務所長としては成績がよくなったということになるわけです。そっちのほうを中心にやってしまう傾向が非常にあるように考えられるんですね。これはぼくはあまり立ち入ったこまかいことをお尋ねするのはやめますけれども、どうもそういうふうな気がするんですよ。ですから、作業収入をあげるという点について十分何か考えなければいけないのじゃないか、こう考えるわけですが、これは経理部長にお尋ねしますけれども、経理部長としてもあるいは所管外かもわかりませんけれども、あまり詳しいことは言いづらいかもわかりませんけれども、松山に行かれてそういう点についてどういう点のことを感ぜられたのか、簡略にこれはお答えを願いたいと、こう思います。
○説明員(勝尾鐐三君) はたしてお答えになるかどうかわかりませんが、御承知の松山刑務所の大井造船所の構外作業というのは、極端に言えば世界的に有名な開放施設だといわれておるものでございます。したがいまして、私このたび調査に参りました際も、大井作業場の成績をあげるために本所等の運営に支障が起きているようなことはないだろうかということを率直に申し上げますと私も調査の際に一つのポイントとして調査をしたわけでございます。しかしながら、この点につきましては、現地の現在の所長、幹部、並びに昨年の三月まで松山刑務所の管理部長で現在高知刑務所の総務部長をやっておりますが、さらに昨年の三月まで松山刑務所の保安課長をやっていて現在徳島刑務所の保安課長をやっておりますが、この二人に松山の帰途に寄りまして大井作業場と今度の松山刑務所の事件との関連の有無につきまして意見を聞きましたところ、これは両人とも言下に否定をいたしておりました。したがいまして、大井作業場に力を入れ過ぎたために今度の事件が起きたのではないかという因果関係につきましては、私といたしましては肯定的な答えをすることはできないというのが現状でございます。
 そこで、刑務所の運営が作業に中心を置き過ぎて行なわれているのじゃないかという問題につきましては、数年前まで私主計課長等をやっておりました際に、若干作業に力を入れ過ぎるのじゃないかという感じを持ったことはございますが、現在におきましては大蔵省のほうもやかましく作業収入をあげるということも申しておりませんし、法務省といたしましても、作業というのはどこまでもこれは付随的なものであって、刑務所の運営は、矯正と改過遷善、そのために力を注いでいく、そのために動いておると私は現在のところ認識いたしておりますが、刑務作業に重点を置き過ぎるということについては問題かあると思いますので、私の立場からもその点は十分注意をしてまいりたいと、このように考えております。
○稲葉誠一君 矯正局長が松山に行っておられますから、帰って来られないとこまかい点はわかりませんから、この程度にしておきますが、ただ、もう一点、直接関係はございませんけれども、矯正行政の中で、たとえば松山の拘置監の問題も出ましたけれども、未決の定員と、実人員ですね、入っている者との関係が非常にでこぼこなわけですね。あちこちで非常に違うわけですよ。だから、たとえばきょう現在ならきょう現在で全国の拘置所をいろいろ定員と実際人員との統計を一ぺん全国のをとってみたらいいと思うんですが、ひとつやってもらいたい。なぜかというと、たとえばぼくの近所の小幡町の拘置所というのがあるんですが、きのうぼくは行ってきたんですが、定員が六十六名で、入っているのが百十八名。倍でもないけれども、約倍近く入っているわけですね。雑居が十二あって、これは女の人が二つあります。ですから、男の雑居が十です。独居が二十あるんですけれども、独居だって、それなもんですから独居用に一人入っているのじゃない。独居の中へ三人か四人入っておる。聞くところによると、平の拘置所、これは平事件のあった関係があってそれがそのまま残っているのかもしれませんけれども、定員が百五名です。あそこは、間違っているかもわかりませんが、百五名で、実際入っているのは三十名くらいしか入ってないと、こういうんですね。どうかわかりませんよ。実際調べていただけばわかるんですが、こういう点なんかも前のままのアンバランスが是正されておらないということもあるし、それから刑務所にしても五部制のところと二部制のところとあるでしょう。東京近辺は五部制、東京からちょっと離れると二部制。しかも、定員は、五部制のところよりも二部制のところのほうが実際にはたくさん入っている。千名以上入っているわけでしょう。五部制のほうは少ししか入ってないところもありますね。ところが、受刑者のほうが少ししか入っていないところのほうが職員が多くて、たくさん受刑者の入っているところのほうが職員が少ない。そんなようなことも現実にあるわけですよね。こういう点なんかは、もっとしっかりとした形で整備しなければいかんと、こう思いますけれども、これはきょうの直接の問題じゃありませんから、別のときに、矯正局長が帰って来られてまたあれでしょうから、よく資料を整えておいてくれませんか。平の場合なんか極端なんですよね。これは平事件があって急にふやして、そのままになっているのだと思いますけれども、そういう点なんかありますから、よく調べていただきたい、こういうふうに思います。
 それから、これは人事関係の人がいるところで聞くのが一番いいんですけれども、刑務所の看守の人は、あれですか、大臣いまちょっとはずしていますけれども、年次休暇をとらない人も非常に多いそうですね。二十年間年次休暇をとらない人がいるんですよ、一日も。そういうのを鉄の人、鉄人だと言っているんですがね。それで、あれですか、勤続の表彰をするときに、年次休暇を一日でもとっているというと勤続表彰に入らないのですか、法務省では。まあこれはきょうでなくてもいいですけれども、いずれゆっくり聞きますがね。こんなばかな話はないわけですよね。権利として認められている年次休暇をとると表彰しないというんですよね。二十年間一日も年次有給休暇をとらない人がいますね。それで表彰された。刑務所の中で、あの人は鉄の人だとみな話している。鉄人とあだながあるなんて話しておりますが、そういうことは近代的な面から見てあり得ない、こう思うんですがね。――いや、きょうでなくていいですよ。きょうでなくてもいいけれども、ゆっくりあなたのほうで調べておいてくれませんか。ぼくのほうも、よく看守の人と会いますから、実態調査をぼくはやっているし、いろいろなことを聞くので、古いしきたりみたいなものがそのままに残っていて、全体もう少し変えなければいかぬじゃないかと考えますから、徐々にやりますから、きょうはこの程度にこの問題はしておきます。
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○稲葉誠一君 次の川崎市におけるお医者さんによって子供さんが亡くなったという事件についてお聞きするわけですが、これはまず事実関係だけきょうは時間の関係で聞きますから、警察のほうで、この事件を業務上過失致死で検察庁に送ったわけですか。送ったとすれば、どういう事実関係でどういう容疑で送ったのか、その点をちょっとお知らせ願いたいと、こう思います。
○説明員(日原正雄君) この事件は、山出絢子という小児科の医師でございますが、以前から治療していた被害者土屋誠(九カ月)、これを診察いたしまして肺炎の疑いありと認定して、その炎症を押えるために、ことしの三月の十八日午前十時ころ、診察室で三共製薬の製品のタオシン一個を水にぬらして服用させようとしたが、服用をいやがるので、頬や鼻をおさえ、水とともに口内に入れ服用させたところ、同錠剤が咽頭部に嵌入して窒息死に至らしめた、こういう事実関係でございます。
 それで、この事件につきましては、警察として、医師として業務上必要な注意義務を慮ったものというふうに認定をいたしまして、業務上過失致死罪によりまして五月二十一日横浜地検に送致をいたしたわけでございます。
○稲葉誠一君 どういう点が医者としての業務上注意義務があって、それを慮ったという警察の容疑というか、認定で送検したわけですか。そこら辺のところを差しつかえない範囲でもう少し説明を願いたいと、こう思うのですが。
○説明員(日原正雄君) 実は、問題は、過失ありや否やという点が問題なわけでございます。また、被疑者にもいろいろそこに弁解する点があるわけでございます。この点が論争の内容になりますので、いままだ地検で未処理の状況でございますので、結論が出ますまで差し控えさせていただきたいと思います。
○稲葉誠一君 それはわかりますけれども、警察は少なくとも業務上過失致死ということで送ったわけでしょう。そういうことは間違いないわけですね。となれば、それだけの容疑ということの認定は警察なりにしたわけでしょう。そのことだけは間違いないと。具体的な内容はいま言えないというなら、それはぼくは捜査のことですから、それ以上聞きませんけれども、少なくとも警察としては、まああとは検察庁にまかせようという気持ちで送ったのか、あるいは、やはり業務上過失致死としての確信かあって送ったのか、この点はどうなんですか。
○説明員(日原正雄君) 警察としては、業務上過失ありという確信を持っております。その内容についてちょっと申し上げるのははばかるのでございますが、まあそういう状況でその薬じゃなければならなかったかどうかという問題、ほかに服用させるような錠剤がなかったかどうかという問題、あるいは、飲ませるときの状況が無理にそういう形で飲ませなきゃならぬような状態にあったかどうかという点が問題になるわけで、その点で私どもは医師として注意しさえすれば防げたという観点を持っているわけでございます。
○稲葉誠一君 法務省のほうにお尋ねするわけですけれども、それについて法務省の見解をぼくは聞くわけじゃなくて、国会でそういうことを聞くのは多々議論があるところですから、そうじゃなくて、その事件が送られてからの今日までの取り調べの経過ですね、それはどういうふうになっているのか、全然調べていないのか、あるいは調べてあるのか、こういう点だけの経過だけをちょっと説明願いたいと思います。
○政府委員(津田實君) ただいま警察のほうからお話がありましたように、これは五月二十一日に横浜地検の川崎支部で受理いたしております。で、送致当時は死因鑑定書がまだ完成しておりませんでしたので、死因鑑定書の作成を急いでもらっておったわけですが、七月十九日に死因鑑定書は検察庁に来ております。
 なお、その被疑者につきましては、七月二十日の日に取り調べを一応いたしております。
 なお、本件につきましては、やはりこの薬の投与方法、まあ種類、量ももちろんですが、投与方法、投与のしかたが被害者の死亡との間に因果関係があるかどうかという問題が中心になるわけでありまして、その点はいずれにいたしましても将来慎重な鑑定を要するところと思いますので、なお捜査に日時を要するというふうに考えております。
○稲葉誠一君 その点については、検察庁に移っているわけですから、検察庁で慎重にしかも厳正によく調べていただきたいと思います。えてしてこういう事件は、率直に言いますと、何といいますか、むずかしいというか、お医者さんにやはりその鑑定を頼む場合があるわけですわね。そうすると、お医者さんは、お医者さん同士の一種の仁義というものがあって、なかなかほんとうのことを言わないとか、あるいは、お医者さんをかばうわけですからね。こういう点で捜査としては率直に言ってぼくもむずかしい点があるかとも思いますけれども、しかし、これは検事は熱意を持ってやれば事実の真相というものは把握できるわけですが、えてして、こういう事件になってくると、何といいますか、まあ手数がかかるといいますかね、というようなことで手を抜くきらいが実務で現にあるわけです。こういう事件をやっても事件としては一件ですから、それより簡単な事件をたくさん、やったほうが件数がふえるから、どうしても簡単な事件をやっちゃって、こういうむずかしい事件はあと回しにしちゃったりするということになるわけですが、これはぼくが質問するというのであわてて検事のほうで調べたのかと思うんですけれども、いずれにしましても、そういう点について厳正にしかも早急に調べていただきたいと、こういうふうに考えます。私は子供をなくされた親御さんの気持ちというものを御婦人にお会いしましてもう十分お聞き取りしましたが、事実をどうしてもはっきりさして厳正な判断を仰ぎたいということを言っておられるわけですから、そういう点で、検察庁のほうでも慎重にしかも早急に厳正に調べていただきたい、こういうことを要望しておきます。
 厚生省のほうもお呼びしておきましたが、いまの段階ではちょっとまだお答えなり何なりを願える段階ではないようですから、その点は遠慮しまして、この問題はきょうはこの程度にさしていだだきます。
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○稲葉誠一君 決算委員会で問題になっておりまする那須の国有林の払い下げの問題、これをいろいろお聞きしておるわけですが、きょうは、その中で、事実関係がどうもはっきりしない点が多いものですから、事実関係を確かめるという程度の質問だけをしたいと、こういうふうに考えております。
 一つは、この交換の承認が三十九年の三月三十一日と四十年の七月七日、二つあったわけですね。これは明らかになりまして、それから三十八年の六月から十月までに現地調査を最初の交換ではしているわけですね。あとの交換のほうでは三十九年六月から十月までに現地調査をされておる。これの参加者であるとか、どういう調査をしたのか、こういう点がきょうわかっておればお答え願いたいし、きょうそこまでぼくもちょっとこまかく言っておらないから、あるいはおわかりでなければ、あとで書面で出していただいてもけっこうです。
○政府委員(若林正武君) 後ほど書面で提出させていただきたいと思います。
○稲葉誠一君 どうもこの前の答えもはっきりしないのですが、三十八年六月から十月まで現地調査をのべつまくなしにやったわけじゃないと思うんです。何回くらいやったのか、だれが行って、何を調査したのか。それから三十九年の六月から十月までの間に現地調査とありますから、書面でもいいからあとで出していただきたい。
 それからこれは通知しておいたつもりですが、三十八年の十一月に国有林野管理審議会というのが開かれて、この交換承認に関連して開かれておるようですが、それの日時だとか、場所だとか、だれが出席をして、どういうことを審議会にかけたのか、それから二回目の交換というものも含めて一緒にこれはやってしまったのか、そこら辺のところがどうもはっきりしないのですが、そこはどういうことになっていますか。
○政府委員(若林正武君) これは三十八年の十一月に開催いたしました。国有林野の管理審議会というものは三十九年の七月に正式に発足をいたしたのでございますが、その以前管理協議会ということで同じような性格のものを置いておったわけでございますが、この事案につきましては管理協議会において審議を願ったわけでございます。開催いたしましたのは、昭和三十八年の十一月十三日でございます。
 出席者は、委員二十名全員でございます。委員の顔ぶれを申し上げますと、具体的な名前はもし必要でございましたら後ほど書面で提出いたしたいと思いますが、官公庁代表六名、地方公共団体四名、学識経験者十名から構成されております。この二十名の委員は全員出席をいたしております。
 それから当日上程いたしました案件は、農業構造の改善等のための国有林町の活用について、これが三件でございます。それから交換につきまして五件、以上八件が当日審議を願っておるわけであります。
 そこで、この那須の国有林の交換の問題に関連いたしましては、これは一括いたしまして審議を願っております。審議の経過につきまして簡単に申し上げますと、農業構造の改善及び一般的な国有林野の解放問題に大体質疑が集中いたしました。したがいまして、交換の事案につきましては特別な意見あるいは質疑というものはなかったのでございます。ただ、学識経験者側の委員の新潟大学の農学部長榎本善一郎氏から、大要次のような発言がございました。栃木県と新潟県と異なる県に所在するものを交換するということは、県によって利、不利というふうなことがあるのではなかろうかというふうな質疑があったのでございまするが、これに対しまして、営林局の総務部長のほうで、次のような回答をいたしております。適正な価格で交換をされ、単に国有林野の所在地が変わるのみで、特に利、不利というふうな問題はございません、ちなみに、議案に計上いたしました受け財産は民間会社所有のもので、県に直接関係はございません、了承と、こういうふうなことで当日の協議会は終了いたしております。
○稲葉誠一君 二十名の中で、栃木県側からはだれが出ておりますか。出席した者全部についてはあとで資料として出していただきたいと思うのですが、栃木県側からはだれが出ておりますか。
○政府委員(若林正武君) 栃木県側からは、知事の代理といたしまして林務部長梅田三樹男が出席いたしております。
○稲葉誠一君 梅田さんというのは、北見に行って、それから熊本の営林局長になった人ですね。わかりましたが、彼からは別に発言はなかったですか。
○政府委員(若林正武君) 発言はございませんでした。
○稲葉誠一君 交換五件というのは、これは前橋官林局管内のみですか、それとも全国的なものという意味ですか。
○政府委員(若林正武君) これは協議会が各局単位に局長の諮問機関として設定されておりますので、これは官林局管内だけの分でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、交換ということの意味がちょっとはっきりしないのですが、交換は何か二件ぐらいしかないような話がいままであったのですけれども、大きいのが二件ぐらいという意味ですか。絶えず交換というものが行なわれておるわけですか。払い下げとは違うわけでしょう。
○政府委員(若林正武君) 二件というお話でございますと、これは大きい規模のものだけでございます。
○稲葉誠一君 だから、それに基づいて三十九年の一月に評価調書を作成したわけですね。三十九年の一月に評価調書を作成したというのは、どういう経過によって評価調書を作成したというのですか。これは前橋営林局から大田原の営林署を通じて評価を依頼されるのがほんとうは筋じゃないかと、こう思うのですけれども、このときは大田原の営林署を通じないで直接前橋営林局から各四つの銀行へ文書か何かで行ったんじゃないですか。その銀行は現実に現地に行って見たのですか。どうもその辺のところがはっきりしないのですがね。前もって営林局との間に話し合いがついていて、このくらいに評価してくれという何か話があって、そこら辺のところで文書上でいわゆる評価したのじゃないかというようなことも言われているのですけれどもね。そこら辺のところはどうなのか、はっきりしませんか。
○説明員(木戸四夫君) 評価の点は、営林署を通じないで営林局が直接やるのが通例でございます。営林局の権限になっておりますので、営林局が直接銀行等に依頼をしたわけでございます。
 それから現実に調査するかしないかという問題があるわけでございますけれども、地元の銀行でございますと、あの山だということになりますと、もう実際にそこに行かなくてもわかる場合は現地に行かない場合もあり得るわけでございます。
○稲葉誠一君 それはわかったわけですけれども、この場合に現地に行ったのか行かなかったのかはわかりませんか。ぼくの言うのは、営林局と銀行側と前もって打ち合わせをしておいて、書面で大体この程度にしておいてくれという話があったのじゃないですか。だから、現地に行かないでやったのじゃないですか。現地に行かないということもあり得ることはあり得ますけれども、それはそれとして、この場合は現地へ行かないで鑑定したのかどうかということが一つと、それから前もってこの程度の値段ということの打ち合わせが営林局と銀行――四つの銀行でしょう、の間で話し合いがあって鑑定したのかどうか、この二つの点ですがね。
○説明員(木戸四夫君) 不動産研究所では現地に行ったと聞いております。そして、地元の銀行では現地に行かなかったようでございます。
 それから第二点の営林局と銀行の間で前もって打ち合わせしたというような事実はないようでございます。
○稲葉誠一君 不動産研究所は現地に行ったというけれども、不動産研究所には頼まなかったの、じゃないですか。頼んだんですか。
○説明員(木戸四夫君) 第一回の交換をやる際には不動産研究所で評価をしていただきまして、それをもとにいたしましてさらに財務局で評価をしてもらっておるわけでございます。
○稲葉誠一君 不動産研究所というのは、勧業銀行が前は勧業銀行自身としてやっていたのだけれども、それだと何かいろいろな弊害があるとか何とかいうので、不動産研究所というものを別につくってやっているというあの不動産研究所のことなんですか。あるいは、別のことなんですか。
○説明員(木戸四夫君) 先生のおっしゃった不動産研究所でございます。
○稲葉誠一君 第二回目のときの評価調書の作成は、これは、あれですか、どういうふうにしてやったのですか、そうすると。
○説明員(木戸四夫君) 銀行四カ所でございます。
○稲葉誠一君 第二回目は、四十年の一月に財務局が協議して、四十年の二月に林野庁が上申し、そうして四十年の七月七日に交換承認になったと、こういうふうな経過になっているわけですね。第一回のほうは大蔵省との協議は三十九年の三月に協議してすぐ交換承認されているのに、第二回目は林野庁が上申してから五カ月以上も承認までかかっているのですけれども、これは何か特別な理由があるのですか。――いまわからなければ、あとでもいいですよ。
○説明員(木戸四夫君) 第二回目の際は、大蔵省が年度末で非常に忙しかったというような、こういう関係で事務的におくれたことになったわけでございます。
○稲葉誠一君 栃木県のほうでは、交換が行なわれるまでは全然その話も何もなかった、知らなかったと、こう言っておるんです。交換があって初めてわかったんだと、こういうふうに言っておるんですよ。これはまあ県会の議事録もありますけれども、これはちょっと食い違っているのですけれども、これはまた別なことにいたします。
 それで、この前の決算委員会で、田中長官ですか、こういうふうに答えているのですが、「標高七百メーター以下は牧場で、七百メーター以上は観光用地、それから森林公園などに開発をしたいと思うから、国有林の譲与を願いたいというような要望があったというような話を聞いております。」と、これは県からこういう話があったというふうに聞いておるというふうに、まあそういうような質問に対する答えであるのですが、この点について林野庁のほうで調べたことがありますか。県から何か林野庁に対してこういうふうな意味の要望なり何なりがあったのですか。
○政府委員(若林正武君) 県のほうから具体的に正規の文書等で要請があったということではございません。県のほうの一般的な構想といたしまして、先生がただいまお話しのございましたような点につきまして、県と営林局との間で畜産、観光その他いろいろな打ち合わせ会を随時持っておりますが、そういった会合の際に県のほうからそういうふうな話が出たという事実はございます。
○稲葉誠一君 それは、もう少し具体的に、いつ、だれが出席して、どういう話があったのか、これはいま明らかになればいいし、いまでなければあとからでもいいですけれども、明らかにしてもらいたい。これは非常に重要な問題になってきているのですが、いつごろの話ですか。これはいまわかりますか。
○政府委員(若林正武君) 具体的な点につきましては、後ほどまた書面で提出させていただきたいと思います。
○稲葉誠一君 具体的な話は資料としてあとから出してもらいたいと、こう思うんですが、そうすると、いま言った県からの要望というのは、これは本件の交換承認の以前の話ですか。この点はまだいまの段階ではわかりませんか。
○政府委員(若林正武君) 県のほうの意向は、これは一般論としてそういうふうな意向が出されておったわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、この国有林を譲与願いたいというのは、県に譲与してくれという意味なんですか。そこら辺はまだはっきりしないのですか。そこのところよくわかりませんが、わからなければわからないで調べてからでけっこうですがね。
○政府委員(若林正武君) これは、特に県にということではないと思います。一般的に畜産なり観光なりその他の面に利用させてほしいと、こういうふうに理解いたしております。
○稲葉誠一君 それでは、その点のことについては、具体的にそういうふうな話があった日時であるとか、場所とか、出席者はだれであったかとか、そういう点を明らかにしてもらいたいと、こう思います。
 それからこの前問題にちょっとなりました、営林局が貸していた牧野を民間から返させて、そうしてそれを美福のほうへ払い下げたと、こういうふうなことが言われているわけですが、この点についてこの前決算委員会で質問したこともあるんですが、これに関連してそれに反対をした人がやめたという話がある。ぼくが調べた範囲では、やめたのは定年になったのでやめたんだという話も聞いたんですが、その人はなかなか硬骨漢で、言うことを聞かなかったんだという説もありますけれども、いずれにしても、何か民間が借りていたものを、期間が来たのかどうかは別として、一たん営林局に返させて、そうしてそれを売り渡したと、交換したという事実はあるのですか。
○政府委員(若林正武君) 本件の渡し地付近には、三十三年の五月以来、三カ所に放牧共用林野というものを設定してまいっております。面積は、約七十八ヘクタール、五十六ヘクタール、三十三ヘクタールの三カ所でございます。いま先生の御指摘になりましたのはそのうちの一カ所であろうかと思いますが、これら三カ所の共有林につきましては、この付近で昭和二十七年の十月に牧野といたしまして所属がえをいたしました個所の開拓農民が規模の拡大の要請をしてまいったのでございます。そこで、昭和三十三年の五月にこれに応じまして放牧共有林野というものを設定いたしたのでございますが、ただいま申し上げました所属がえ地は昭和三十六年にはすでに牧野としての使用というものがなくなっておるのでございまして、したがいまして、その付属地的な存在という放牧共有林野も現実には必要性がなくなってまいったのでございます。たまたま昭和三十八年の四月に放牧共有林野の契約更新の時期にも当たっておりまして、その時点で相手方と十分話し合いをいたしまして、更新をしないということにいたしたのでございまして、強制的に返地をさせたというふうな事実はございません。
○稲葉誠一君 更新しないことになったというんですけれども、なった、それを一たん国へ返したわけですな。それを今度美福のほうへ払い下げたのですか。そこはどうなっているんですか。
○政府委員(若林正武君) 交換をいたしましたものの中に入っておるわけでございます。
○稲葉誠一君 きょうはこの程度にして、あれしますけれども、どうもその点が私の聞いた範囲とは違うんですよね。農民のほうとしてはもっとこれをずっと引き続いて使っていたかったんだということを言ったところが、営林局の人が来て、説得したかどうか知りませんけれども、とにかく返せと言う。現実に返して、それを営林局のほうで国で使っているんならこれはそれでも話がわかるんですが、返ったものが、さあ今度は美福のほうの交換の中に入っちゃっていますからね。だから、ここら辺のところで非常な疑惑が生まれてきて、私の聞いたのとではだいぶ違うので、実は現地に行って調べるつもりでしたが、黒磯のほうで二十五名の方の事故がありましたので、そちらのほうへ行きましたものですから、こちらの調べが私もまだ十分ついておらないんです。やめた営林署の管理課長というのは、農民が返したくないのだと。ところが、営林局のほうでは、もう営林局長の長又氏が美禰との間で話がついていて、そしてそれを返せというように圧力をかけた。それにたまたま硬骨漢であった大田原営林署のある課長が反対したというので、そこでやめたと、これはまあ定年でやめたということにもなっておるようなんですけれども、定年でやめても嘱託という制度があるところなんですけれども、いずれにしてもそういうようなことが伝えられておる。しかも、美禰のほうから前橋の営林局長が選挙に出るときに手ぬぐいだけでも二万本か三万本つくってもらったという話があるんですね。
 まあいろいろな話もあるけれども、前もって、農民から取り上げて返してもらう、返してもらったらそれを交換の中に入れると、こういう話があって、それを前提として含みとして農民のほうに説得したと。農民のほうは、役所から言われれば強く反対できたいというのでどうも返したらしい形跡があるんです。ぼくは現地へ行って農民の人とよく話し合って事情を聞いてみたいと思いますが、いずれにしてもこういう点があります。
 その他の点のことについては、時間の関係がありますから、きょうはこの程度にしておいて、また、私のほうも、事実関係をよく調べるなり、いま私が要求した資料を文書で出していただけば、ことに国有林野管理協議会ですか、この前は審議会と言われました、まあどっちでもいいですけれども、それのときの出席者名簿等とか、交換五件の具体的な表題といいますかね、そういうようなものを出していただいたり、現地へは調査に一体だれがどういうふうに行ったのかと、こういうふうなことも明らかにしていただくということをお願いしておいて、私のきょうの質問はこれで終わります。
    ―――――――――――――
○理事(山田徹一君) 次に、茨城県岩井町における背任収賄告発事件等に関する件について調査を行ないます。中村君。
○中村喜四郎君 私は、去る六月十日、それから六月の二十四日、七月の二十一日、この三日間にわたって衆議院の法務委員会に取り上げられ、衆議院の坂本委員、畑委員、落合寛茂委員、志賀義雄委員との間にそれぞれ法務省、自治省、農林省との間に質疑が繰り返された問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、この問題は、茨城県の岩井町の町長の吉原三郎という町長が、この四月の四日に選挙が行なわれ、当選された。その町長の選挙違反問題、並びに岩井町が岩井町に企業開発のために工場誘致をしまして、その中で大阪に本社を置く聯合紙器という段ボール工場の利根川工場、すなわち岩井町に誘致される利根川工場、この工場誘致にからんで役場が公金を不当支出したということ、及び収賄があったと、こういう問題で町の刷新議員連盟及び刷新協議会という代表者から、選挙が行なわれる前、すなわち、三月二十八日の告示でございますが、二十四日に検察庁及び警察のほうに告発された問題に関しての内容でございますが、この間の選挙違反の問題等につきましては、すでに警察のほうで取り調べが終わりまして、書類は検事局に送られて、検事局の段階になっておるわけでございます。収賄等の問題につきましても、すでに調査が開始されておるようでございますが、私は、その主体となるところの岩井町役場が公金を不法支出をした、背任横領をしたという問題につきましてお尋ねをしぼって続けたいと思うのでございます。
 その前に、私は、この問題が起きたいわゆるバックグラウンドというものを検討せねばならないと思うのでございます。先ほど申しましたように、三月の二十八日の選挙告示前に、二十四日に告発され、しかも刷新協議会、刷新議員連盟の人たちが約一週間にわたって臨時新聞を出して、吉原三郎のような悪い町長をわれわれ町民は出してはならないというようなことを書いて全戸に配り、さらに一週間にわたって町内を宣伝カーを繰り出して吉原排斥をして回ったのであります。そうした中で選挙が行なわれたわけでございます。
 先般の衆議院の三回にわたる質問のそれぞれの質疑者の内容を見ますと、具体的な事実が比較的検討なされずに、感情的なものの見方、考え方で質問が提起されておるように私には愚考されるわけでございます。たとえば、町長吉原三郎というのは、非常に独裁的な町長である。ヒットラーの「マイン・カンプ」――「わが闘争」を主体として信条として町政をやっているのだ。町の議会の意思を無視して独裁的に町政を進め、常に議会に圧力を加えて予算執行等もしている人物だ。また、警察に対しましては、警察後援会等をつくって町費から支出をしておって、警察は自分の力によってどうにもなるのだというようなことを豪語をしたり、おれを警察は取り締まれないのだという意味のことばが質問の中にことさらに織り込まれ、このような性格の町長を当局はきびしく追及せよというような内容が衆議院の質問の中で繰り返されておるわけでございます。
 そこで、問題は、私は個人的な問題を取り上げるわけではございませんが、吉原町長という人は、二十八歳で町長になり、五回も町長に当選している。しかも、この問題、事件の中心である三十七、八年当時、町をあげて、町を発展させるために工場誘致をしようという、全町一体となってやっているときで、全議会の推薦と全町民の支持で無競争で町長に当選したという事実、しかも二十六年に当選して以来十六年間今日まで納税成績が一〇〇%であるという事実、二十八年当時には国税庁より納税成績全国第一位の表彰を受けており、また、自治大臣がみずから岩井町に行きその実態調査まで行なっているような実績のある町長であります。さらには、十六年間の町長の在任中に八代の議長が生まれているわけでございまするが、その七人の議長が野党から出ているのでございまして、こういう町議会の姿勢の中で、私どもがちょっと類推いたしましても、独断専行で町政を運営することがはたして可能であるか否かは、おのずから判断できることと存じます。しかも、岩井町の議会は、自治省でお調べになりますとわかりますけれども、議会の定例会は自治法で年四回ということがきまっておるにもかかわらず、年に十二回も開いておる。月に一回ずつの割りで会議が持たれているのであります。おそらく県下最高の議会開会数を示していることと思います。そうして、議案等の審議の際にも、事前に議会と十分協議して案件をまとめて提案されているのであります。このような姿勢の中で町と議会が進められてきたというこの姿を一応頭に入れておいて御判断をいただきたいと思います。
 そこで、次の問題を私はお尋ねいたしたいと思うのでございます。
 問題は、昭和三十五年に、大阪の工場を主体とする段ボールの会社すなわち聯合紙器株式会社というのが岩井町に工場進出をしようとしていた当時にさかのぼります。その当時は、茨城県は非常におくれた県で、全国四十七県のうちで四十六番目のおくれた県なので、茨城県では県をあげて工場誘致をしようということを一生懸命やったわけでございます。当時、私は茨城県の工場誘致関係を担当するところの古都圏整備の特別委員長をいたしておりましたので、その間の事情はよく存じ上げているわけでございます。茨城県では、企業誘致のために、県で工場誘致条例というものをつくったわけでございます。それは、資本金二億円以上、従業員三百人以上の工場が進出した場合には、その投下資本等に応じてこれに対して県は特別の助成措置をするという条例を制定したのであります。たとえば、投下資本五億円以下の場合には、千分の五に該当する県費を支出して助成をはかり、県外からの企業進出を奨励しようとしたのであります。その他、工場側の利便と福利厚生をもはかろうという工場誘致条例をつくったわけでございます。よその県の企業誘致条例では、進出工場に、その事業税の三年分に該当するものを奨励金として出すという県条例を定めている県もあるのでございます。この茨城県が定めた工場誘致の条例に見ならって、茨城県下の市町村では、水戸市をはじめ四十二カ町村がそれぞれの工場誘致条例をつくって、県の態勢に即応して多くの町村や市は工場誘致のために一生懸命に努力を重ねていたのでございます。市町村でできた工場誘致条例は、投下資本五百万円以下で従業員二十人以上というようにその範疇は下げましたけれども、県の企業誘致条例のねらいの精神と同様に、その町村の誘致条例に基づいて、固定資産税を免税したり、幅利厚生施設や道路はつくってあげましょうというふうな優遇措置で工場誘致を各町村が競ってやったわけでございます。
 たまたま、岩井町でも、段ボール工場を呼ぶために、大阪に工場のある先ほど申しました聯合紙器に町長をはじめ議会の代表者が行ってこれの折衝をしたわけでございます。当時、聯合紙器は、岐阜の水の豊富な長良川の附近に移りたいという動きがありました。豊富な水があるということが聯合紙器段ボール工場にとっては最大の要件なのであります。そこに着目して岩井町が大阪に乗り込んで企業誘致をはかったのであります。岩井町は、利根川に画し、豊富な水もあり、山林も安いから、ぜひ来ていただきたいと、数字をあげて何回も交渉に当たったわけです。茨城県知事もこのために大阪に行ったはずでございます。条件としては水を与えることが最大の条件で、工場が必要とする水はどのくらい必要かというと、生まれ出るこの工場では、一秒間〇・四トン、ドラムかんで二本、一昼夜で三万四千トン、この程度の水量はどうしても必要だ。その水はどこから取るか。岩井町には国営の鵠戸沼土地改良区というのがありますが、その面積は約五百町歩余、千六百人の組合員がいる。この土地改良区が利根川から取り入れて用水に使用している水量のうち相当量の残水があるはずだから、この残水を工場側に割り当てることによって工場側の要望を満たすことができるのではなかろうか、こういうことで、実は、町長はじめ、工場を誘致するため議会でこの問題が検討されたわけです。先ほど私が申しましたように、当時私は県議会の中の首都圏特別委員長をやっておりました関係上、議会から私は招かれまして岩井町に行き、議会の全員協議会の席上で、工場誘致条例をつくって工場を誘致したがよろしいか、工場に補助金を出して工場を誘致したのがよろしいか、どちらが町のためになるかを例をあげて説明したため、議会においても真剣に検討されたわけでございます。各県あるいは各町村では誘致条例をつくって税の減免措置を講じて工場を誘致したけれども、岩井町の場合には、来る工場は二十億円以上の投下資本の大きな工場だから、これに他町村のように固定資産税等を免除したのではたくさんの恩典を与え過ぎることになる。むしろ、岩井町の将来の財政のために、工場側から税金は規定どおり徴収して、そのかわり工場には水その他の利便をはかってやるのが町のためにもなり、会社も喜ぶだろうというように議論は進んでいったのであります。水の条件は絶対的に確保してやろうということで議会はまとまったわけでございます。したがって、工場誘致条例をつくらずに、町の議会で議決をして助成をしてしようということにまとまったわけでございます。
 そこで、水の問題は非常にむずかしい問題でございまして、上流栗橋から最下流の波崎まで三十六里の間に利根川の豊富な水は流れておっても、埼玉県、千葉県側は利根の水をいろいろな方面に使用され、正当な取水権も持っておったが、茨城県側には一滴の水も取る権利が昔からなかったわけです。この鵠戸沼の土地改良区が水を使用し得たのも、旧来の、いままでの慣行、すなわち慣行水利権によって水を利根川から導入し得たわけなんです。この水を正式に導入するためには、どうしても権利が土地改良区になければならないというので、茨城県と土地改良区側、町長及び議会代表とが農林省をたずねまして、取水権をぜひ土地改良区に与えてくれと要請した。ところが、当時、河川法の改正があって、水の問題か非常に問題であったので、許可されなかった。しかし、取水権認可のうち知事の権限で一トン以下すなわち〇・九九トンまでは水を取ってよろしいという法の解釈をたてに利用して、知事の認可ということで千葉県知事、埼玉県知事側に茨城県知事が働きかけて合意を得、建設省にお願いして、〇・九九トンの水の権利を土地改良区は獲得し得たわけです。土地改良区では、利根川から流入する水を常時使っているわけじゃございません。夏場に稲が水を欲しているときに用水、かんがいに水を使うわけで、その時期以外は余っておるわけです。そうして、農林省と検討した結果、〇・四トンまでは土地改良区の営農上に差しつかえないから、この水を町にすなわち工場側に分けてあげよう、分けてもよろしいのじゃないかという県知事からの正式な意見書が農林省に出された。農林省が実情調査の結果、よろしいということになり、鵠戸沼土地改良区に移った水の権利のうち、どのような割合と方法で聯合紙器に割り当てるかということで議会代表及び町長が県庁に行き、知事、農地部長、当時県会の首都圏整備委員長であった私もそれに同席、協議したのであります。そうして、水の問題について合意に達して、水については会社側に十分これを配慮しよう、こういうふうな経緯から工場誘致ができたわけであります。
 ここで問題点となりますのは、土地改良区の水の権利のうち〇、四トンの残水を与えることにより聯合紙器工場が来るのだから、他の町村の誘致条件と異なって、水を不便なく工場に提供することが工場進出の条件であり、岩井町としての工場に対する助成措置の基本であるという考え方で、御承知のように、聯合紙器工場が新井町に誘致されて今日まで、町は助成措置として約二千二百万円の助成をしたわけであります。もちろん、それは水確保を基本とした助成措置でありますが、反面、聯合紙器からの税金が岩井町役場に幾ら入ったかと概算してみますと、一億三千万円の税金が固定資産税その他で入っておるわけであります。そうしてみますと、その当町議会の人たちや町長の考えた助成策というのは町の将来のために非常に先を見た明敏賢明な措置ではなかっただろうか。今日、その問題が、営利会社に助成措置をするのはもってのほかだというふうな考え方が一部にわいてきたことがそもそもの今次事件の一原因であることも間違いないのであります。
 したがって、私はここで自治省にお尋ねしたいのは、以上のように、議会のほうでも、水の問題が工場誘致の条件であり、町の力によって水源を確保するという一致した考え方のもとに聯合紙器を誘致し、聯合紙器に対して町役場が積極的に助成措置をすべしと町と議会が合意をされて、工場誘致条例設定なくして助成したことが、これが不法支出であるかどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
○説明員(松浦功君) 私ども地方課を通じて調査いたしたところによりますれば、聯合紙器の誘致に伴って助成措置をとりましたのは、予算として議会の議決を経ているものでありまして、したがって、工場誘致条例があってやったか、なくてやったかということは関係がなくて、そのこと自体は決して不法支出であるとは考えておりません。
○中村喜四郎君 そこで、水を与えて工場誘致をするために、町役場と聯合紙器との間で覚え書が取りかわされておった。それが、この間の衆議院における質問要項の内容では、隠された覚え書だと、ひそかにやった覚え書だというふうに問題になっておるのでありますが、この覚え書は会社と町役場との間に取りかわされた覚え書だということは自治省では調べてありますかどうですか、ちょっとお伺いいたします。
○説明員(松浦功君) 地方課を通じて調査をいたしまして私どもも承知をいたしております。
○中村喜四郎君 そうしますと、そこで鵠戸沼の土地改良区と会社とが契約した契約書類があるわけでございます。それについては、聯合紙器会社と土地改良区との間に契約が取りかわされて、〇・四トン、三万六千トンの水を出しましょう、低地排水その他の施設につきもしては会社が負担しましょう、こういうふうな契約書が取りかわされて、当時の県の出先機関である境土地改良事務所長の上好秀雄君と、県議会の首都圏整備特別委員長であった中村喜四郎と、そうして吉原町長が立会人となって覚え書が取りかわされたわけですが、この覚え書について御承知ですか。どうですか。
○説明員(松浦功君) 承知をいたしております。
○中村喜四郎君 そうしますと、あの覚え書によって改良区に対しまして町が助成をするということ、このことが法的に違法であるかどうか、お尋ねしたい。
○説明員(松浦功君) 先ほど来申し上げておりますように、議会の議決を経て正式に予算として成立をいたしましたものの中からどこに助成をするかということは、地方公共団体の意思によるものでございます。そういう観点から考えますならば、助成をしたこと自体は不法支出であるという考え方は当たらないと存じます。
○中村喜四郎君 議会が議決して支出したものといままでの調査では認めますか。
○説明員(松浦功君) 地方課を通じて調査いたしました範囲では、さように心得ております。
○中村喜四郎君 それから衆議院の法務委員会で、聯合紙器と町役場の両者から鵠戸沼土地改良区ではお金を取った事実があるかどうかという問題が取り上げられまして、これに対します答弁が、まだ私ども聞いておりませんが、これはどうなんですか、二重取りの事実がありや否や。
○説明員(松浦功君) 衆議院の委員会では、そういう事実は私どもの調査をした範囲ではございませんという答弁をいたしております。
○中村喜四郎君 農林省のほうにひとつお尋ねします。
 土地改良区と聯合紙器との間に取りかわされた契約の一日三万六千トンの取水量の問題ですが、これが五万トンに変更された云々という質問が繰り返されたが、これに対する調査はいかがですか。
○説明員(斎藤誠三君) 調査はいたしましたが、そうした事実はないとのことでございます。
○中村喜四郎君 この問題については、当時の契約立会人である私がよく存じ上げておるわけでございますけれども、農林省からの許可は、あくまで浅水であって、余った水であって、余らなかった場合、すなわち土地改良区が水を全部必要のときには、聯合紙器に対しては水一滴も与えない、そのかわり、そういう水がれ時に対処して聯合紙器では還流装置をつくって水を還元利用しなさい、そしてさらには夏場の水がれ時の急場には深井戸をつくりなさいというような了解のもとに三万六千トンの水が了承され、しかも、潮を調べる検潮器というのまで、これは日本では初めてでございますが、利根川から水が入ってくるときに、YP幾らのときにこの水が上限であるからこれ以上水は配分できないという指標を機場に知らせる検潮器の設備までしてあるわけです。これは、検潮器を約三百万聯合紙器から支出されておるわけでございますが、この水の取り入れというのは、皆さん方は現場に行って見なければわかりませんが、ポンプ・アップして水を揚げるのではなく、利根川の流れている流れの水を自然に流し込む、そしてその水を流し入れ得るキャパシティーが一秒間に一トンということなんです。したがって、この間に町役場あるいは工場側が土地改良区に契約の実施事項に基づいて年間百七十万円の電気代を払ったというのも、ポンプ・アップのための電気代ではなくて、水が大かぶりしたりなんかして排水等のために使う際のポンプ・アップの電気料であるということも、これも事実として私は農林省のほうでも承知しておると思うんですが、それらの検潮器の問題、この水の権利の問題等に関して、土地改良区のほうから農林省のほうに苦情が出たことがあるかどうか、それをひとつお伺いしたいと思います。
○説明員(斎藤誠三君) 苦情が出たことはございません。
○中村喜四郎君 そうしますと、刑事局にお伺いしたいのですが、この間の衆議院の質問として取り上げられた警察後援会等の費用を四十年度に二百八十万円も出たがゆえに、警察に対してはおれは力を持っているのだということを吉原町長が豪語しておるがごときことであるが、こういう町長に対しては断固取り締まるようにという質問に対して、刑事局長のほうでは、この金は町役場から支出されたものであって、町民全体から支出されたものであって、町長個人からでない云々というような答弁があったはずでございますが、この岩井町に限らず、全国の町村では、従前においては、警察の装備等が十分でないために、オートバイの費用とか、あるいは防犯協会とか交通安全協会等に町役場、県が助成しております。現に、現在でも、各県とも交通安全協会等に対しては議会の議決を経て支出しておるわけです。二百八十万という金は、これは町の財産である駐在所等の補修、修理等に支出されたものであって、決して選挙前になってこれが支出されたものでないことは、お調べになれば十分わかるはずでございます。同じころに、法務省の所管である岩井支部の登記所修改築等におきましては、国の支出として当然取り上げるべき六百何万という金が町役場によって支出され、修理が加えられている。あるいは、農林省の食糧事務所の補修改修等も、国でやるべき性質のものが町でもってこれを支出しているというような事例のごとく、警察所管の駐在所の修理のために町費三百八十万という公金が、不当的にあるいは選挙目当てとかのために支出されたものでないということは明瞭なんでございますが、これらの点についてひとつ刑事局長の御意見を承りたい、所感を承りたいと思うのでございます。
○説明員(日原正雄君) 警察の費用は、国並びに都道府県ということに原則的にはなっておりますが、従来からのいきさつもありまして、駐在所、派出所等の土地、建物について、地方の公共団体、市町村が持っておるものもございますし、また、その修繕費等につきまして、これも無償で使用しておる。警察の立場からすると、できるだけ都道府県費あるいは国費で出すべきだとは思いまするが、全体の費用からしてなかなかそこまで手が回らないというような事情もありまして、地元の市町村がそういう修繕費、あるいはオートバイを買って貸し与える、その修繕費もまた負担するというようなところが間々あるように考えておるのでございまして、そういう意味から申しまして、私は、岩井町が特別そういう点でよその町村と違った措置をとっておるとは思わないのであります。ただ、われわれとしては、できるだけ将来とも地元になるべく負担をかけないで、原則どおり国費なり都道府県費なりでやっていきたいということは考えておりまするけれども、現在までのところでは、やむを得ず地元の市町村にある程度の御負担を願っておるような状況でございます。
○中村喜四郎君 それでは、自治省と農林省のほうに、もう少し、役場と聯合紙器とにおいて取りかわされた覚え書、及び工場側と土地改良区に取りかわされた覚え書等についてさらにお尋ねしたいのでございますが、土地改良区と会社とに結ばれた覚え書の内容は、電気料とか低地排水路とか排水機場の施設及びこれらの復旧工事、更新等に対する経費のうち、地元負担金の二分の一を負担するというような内容がその主たる内容でございますが、二千二百万に及ぶ公金が議会の議決を経て支出された内容というものは、年間百七十万平均の電気代、及び低地排水路、排水機場等の施設に振り向けられたものであって、この間、聯合紙器においては、使った水を土地改良区に流すことは汚水公害等が起きるからという理由で、約七千万の金をかけて直接に利根川に水を流したわけです。この当時、聯合紙器においても、県におきましても、県の農事試験場でも、この水を利根川に三万六千トンも流してしまうのはもったいなものだ、この水は無害であるか有害であるかということを調べるために、汽車とトラックで大阪工場で使っている水をドラムかんで持ってきて、茨城県の農事試験場でこれをテストしましたところが、これは無害である、使ってもよろしいと、こういう結果が出ましたので、一部では畑地かんがい用にその水を使おうという考えが起きたわけでございますけれども、土地改良区としては、もしも天候その他の条件によって稲等が枯れた場合でも、この工場の汚水のために稲が枯れたんだというような誤解と農民の不安が起きるのではないか。そのような場合には、この無害のための施設は役場でやってほしいという聯合紙器からの要韻があったけれども、町役場のほうでは、汚水処理施設は水を引く条件ではないから、この施設は当然会社が施設すべきだという立場から、町長は、先ほど申しましたように、会社の要望を退け、聯合紙器が七千万の金をかけて利根川に流出させたわけでございます。
 さらに、サンドポンプ船というのがありますけれども、これは問題の、いま問題点になっているところでございますけれども、先ほど私が申し上げましたように、ポンプアップして水を土地改良区に導入するのでなくて、自然に流れる水を土地改良区に持っていくために導水路が必要なんですが利根川の河床が年々上昇して、毎年毎年水の入る場所が変化したり、なくなってしまうので、土地改良区の農民たちは年間約千名近い人たちが出動してスコップやその他の道具を使用して水の入る道をつくっておったわけです。こういう手掘り作業ではまことに能率があがらないから、工場が来たついでに工場側にこの水を導入させよう、町でやっていただきたいという地元農民の要望がいれられまして、サンドポンプ船というものが取り入れられたわけです。そうして、水を遠くから持ってきて、取水路をつくって改良区の中に水を入れることを努力したわけでございます。サンドポンプ船でございますから、当然これは技術者でなければならない。役場の職員がするわけにはいかない。さればといって工場の人がそれを直ちに操縦することもできない。こういうような状況で、一つの淡淡会社が止まれたわけです。これらに要する費用は約二千万円に及びますが、これらも、覚え書によりますと町が支出すべきものでしょうが、会社にこれを負担せしめたのであります。
 こういう状況から判断して総括的に見ますと、町役場からの助成金が二千余万円で、反対に工場から入る税収は一億五千万、低く見ても一億三千万にのぼり、そしてこれからも年間五千万以上が見込まれ、工場が来ることによって町役場が受ける利益と、町が支出をした助成措置費用とを差引計算しました場合には、他町村の工場誘致条例と、山石井町役場がとった今度の措置は、おのずから利害得失の判断ができることと私は思うのでありますが、この点に対しまして、特に農林省のほうの立場から、この点の水の問題すなわち導入のことについて、各地区の農民が非常に苦慮しておった過去の実情と比較して、サンドポンプ船の導入により農民が受けた利益を勘案して、町の措置及び工場側の協力等に対して農林省としてはどんな判断をなされますか、非常にばくとした御質問で、お答えにくいかと思いますが、所感を承りたいと思います。
○説明員(斎藤誠三君) 三十六年の九月十三日にできました会社と土地改良区との契約に基づきまして、ただいま先生のおっしゃるようないろいろ具体的な事項がきまっておるわけでございます。また、別途、サンドポンプについての九月十三日の契約に基づく別途の措置としまして、サンドポンプ等の購入についての契約もあるわけでございます。そうした条項の実施につきまして調査いたしました結果、土地改良区といたしましては、いずれもこうした条項が完全に実施されておりますし、また、農業水利の面から見ましても何ら異常がない状態で現在運営されているものと考えております。
○中村喜四郎君 後刻大森委員から質問が出されると思いますから、私は質問の概要だけをただいま申し上げたわけでございます。この問題は、私は大森委員とも話し合ったわけですが、客観的な事実、具体的な事象を十分観察して、これに対する自治省は自治省として町に十分な指導を加え、そうしてまた、農林省は、もし誤りあれば、農林省自体で土地改良区に県を通じてでも十分な指導をお願いしたいと思うのでございます。
 いままで繰り返された衆議院の質問の内容等を見ますと、少しく感情的な問題、あるいはゆがめられた姿において論議され、しかも、以前において工場誘致のために一生懸命に町長とともに動いた議員さん等が、今度は刷新議員連盟の一員となって、逆に、私は知らなかった、私は知らなかったというように変化し、町長が議会に知らせず、秘密裏に契約し助成したのだと変化したのであります。したがいまして、私は、事の真相を調べるためには、法務委員会の理事会等で十分御審議いただきまして、当の責任者である岩井町長吉原三郎君を証人に呼んで十分に真相をただして、是は是、非は非として地方自治体の誤りなき運営と助言とを期待したいと思うのでございます。これは後刻理事さん等で十分御協議の上お取り計らいを願えればと思うのでございます。
 以上で私の質問を終わります。
○理事(山田徹一君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会