第052回国会 予算委員会 第3号
昭和四十一年七月二十一日(木曜日)
   午前十時二十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石原幹市郎君
    理 事
                小沢久太郎君
                大谷藤之助君
                小山邦太郎君
                西郷吉之助君
                柳田桃太郎君
                白井  勇君
                西田 信一君
                亀田 得治君
                小林  武君
                鈴木 一弘君
    委 員
                青柳 秀夫君
                赤間 文三君
                井川 伊平君
                植竹 春彦君
                梶原 茂嘉君
                北畠 教真君
                古池 信三君
                櫻井 志郎君
                塩見 俊二君
                杉原 荒太君
                日高 広為君
                平島 敏夫君
                船田  讓君
                増原 恵古君
                松野 孝一君
                吉武 恵市君
                稲葉 誠一君
                木村禧八郎君
                佐多 忠隆君
                鈴木  強君
                田中寿美子君
                羽生 三七君
                林  虎雄君
                藤田藤太郎君
                村田 秀三君
                矢山 有作君
                渡辺 勘吉君
                小平 芳平君
                多田 省吾君
                宮崎 正義君
                瓜生  清君
                春日 正一君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  石井光次郎君
       外 務 大 臣  椎名悦三郎君
       大 蔵 大 臣  福田 赳夫君
       文 部 大 臣  中村 梅吉君
       厚 生 大 臣  鈴木 善幸君
       農 林 大 臣  坂田 英一君
       運 輸 大 臣  中村 寅太君
       郵 政 大 臣  郡  祐一君
       労 働 大 臣  小平 久雄君
       建 設 大 臣  瀬戸山三男君
       自 治 大 臣  永山 忠則君
       国 務 大 臣 橋本登美三郎君
       国 務 大 臣  福田 篤泰君
       国 務 大 臣  藤山愛一郎君
       国 務 大 臣  松野 頼三君
       国 務 大 臣  安井  謙君
   政府委員
       内閣官房副長官  竹下  登君
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       北海道開発庁総
       務監理官     小熊  清君
       防衛庁防衛局長  島田  豊君
       防衛庁教育局長  中井 亮一君
       防衛庁経理局長  大村 筆雄君
       防衛庁装備局長  國井  眞君
       経済企画庁国民
       生活局長     中西 一郎君
       法務省民事局長  新谷 正夫君
       法務省刑事局長  津田  實君
       法務省入国管理
       局長       八木 正男君
       外務省アジア局
       長        小川平四郎君
       外務省北米局長  安川  壯君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
       大蔵政務次官   竹中 恒夫君
       大蔵省主計局長  谷村  裕君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省理財局長  中尾 博之君
       文部省体育局長  赤石 清悦君
       厚生省環境衛生
       局長       舘林 宣夫君
       厚生省医務局長  若松 栄一君
       厚生省児童家庭
       局長       竹下 精紀君
       農林政務次官   後藤 義隆君
       農林大臣官房長  大口 駿一君
       農林省農政局長  和田 正明君
       農林省農地局長  大和田啓気君
       食糧庁長官    武田 誠三君
       林野庁長官    若林 正武君
       水産庁長官    丹羽雅次郎君
       通商産業省通商
       局長       山崎 隆造君
       通商産業省貿易
       振興局長     今村  f君
       通商産業省企業
       局長       熊谷 典文君
       通商産業省重工
       業局長      高島 節男君
       中小企業庁長官  影山 衛司君
       運輸省航空局長  堀  武夫君
       海上保安庁長官  佐藤 光夫君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省職業安定
       局長       有馬 元治君
       建設省河川局長  古賀雷四郎君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       建設省住宅局長  三橋 信一君
       自治省選挙局長  降矢 敬義君
       自治省財政局長  細郷 道一君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   寺田 治郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        火谷 国一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○予算の執行状況に関する調査
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(石原幹市郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
 昨日に続き質疑を行ないます。宮崎正義君。
○宮崎正義君 今回の北朝鮮技術者の入国をめぐって韓国が報復処置をとっているようですが、このことについて、まず総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど、北鮮技術者の入国ということをきめた、このことにつきまして、韓国側におきましていろいろ考えておるといいますか、対策を立てておるという、こういう新聞報道は見ました。しかし、まだ私自身報告は受けておりません。今日お答えする段階で、新聞の報道、それを材料にしてお答えすることはいかがかと思います。私、まだ報告を受けておらない。
○宮崎正義君 新聞報道をたよるのでなくて、見通し等についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 見通し等につきまして――この問題は韓国政府が多大の関心を持っておる問題である、これだけは事前から十分承知しているところであります。そういう意味で、韓国側の非常な深い関心はある。同時にまた、日本が日本政府として独自の立場で決定するものでもある。その間に誤解のないように願いたいと思いまして、本国政府にも日本のとる処置について事前に話をしておるような次第であります。また、金大使も、その間にありまして、韓国政府の考え方並びに日本国内における実情等についても、よく承知しながら、その間を、両国の親善関係をそこなわないようにせっかく努力中でございます。私どもも、この問題はこの問題として、在来からの友好親善関係、それをそこなうのでない、これはたびたびはっきり申しております。将来の見通しと、こういうことについて、これは見通しを申し上げるよりも、われわれの努力するその方向をこの際お答えする、こういうふうにいたしたいと思います。
○宮崎正義君 韓国との条約を締結する前に、いろいろ論議されておりまする際に、総理からよく言われました北朝鮮に対する考え方は、ケース・バイ・ケースでいくということをよく言われておりましたのですが、こういう点にのっとっての上の総理のお考えであったのかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今回の処置は、いままで外務当局からもお答えいたしましたように、長い間の懸案でございます。その長い間の懸案に終止符を打つ、これが今回とりました処置でございます。ただいま言われる今後の問題としての方針というものとは関係がない、かように御了承を願いたいと思います。
○宮崎正義君 外務大臣にお伺いいたしますが、昨日金大使との四十分間にわたる会談をなさったということが報じられておりますが、この内容について国民に詳細に報告をしていただきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 金大使が一昨日でしたか、とりあえず本国の招きによって、指令によって帰りました。一日おいて昨日帰ってきたので、向こうの状況を詳細説明しておりました。そして、別に本国から訓令というようなものを持って帰ったわけじゃないけれども、きわめて重大な関心を持たざるを得ない。できることならば、これを再検討してもらえないかという話がございましたから、これはもう一切できない相談であるということを話しまして、るる、この問題の経過について繰り返し説明をした。それが大体の経過でございます。
○宮崎正義君 いまの御答弁だと、再検討していただきたいという程度のことであるというのですが、私のお尋ねしたのは、詳細にということを申し上げたんですが、もろ少し詳しく御説明願いたいと存じます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 具体的にどうこうということは、これはどろも国際間の折衝でございまして、ほとんどそういう具体的な問題については、各国ともお互いに了解を与えない限りこれを公表することは控えておるのが慣例でございます。いま申し上げた範囲内の具体的な問題、結局、向こうのいろいろな首脳部と会った状況、あるいは数人の首脳部が会合したその席上の状況等は詳細に報告されました。結局はいま申し上げた再検討はできないかということでございます。これははっきりとお断わりいたしました。そういうことであります。
○宮崎正義君 新聞の報道等で云々されるという最初の総理のお話ありましたけれども、私どもとすれば、情報等が唯一のたよりとするものは、報道機関によってよりないと思うのでありますが、伝えられるところによりますと、ソウルの地検が日本商社に対して全面捜査を指示したと言われている。これは重大な問題じゃなかろうかと思いますし、内政干渉等にもなるのじゃなかろうか。この点についてどう外務大臣は考えられていますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本商社に対する――ちょっといま御質問の内容がはっきりしませんでしたが、日本の商社に対する韓国大使の工作という……
○宮崎正義君 ソウルの地検が日本商社に対して全面的な捜査を指示したと、そういうふうに十九日の日に発令されているということを報道されているのですよ。それに対して、今後内政干渉になっていくのじゃないか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ソウルにおける日本商社の活動に対しては、別に圧力を加えたとかあるいは引き揚げを要請するとかいうことはないようでございます。ただ、いろいろ面会の申し込みなんかあった場合に、忙しいからという理由でなかなか会えないというような状況がぼつぼつあらわれているようなことを風説には聞いております。昨日、金大使との話にはそういう表立った問題としてこれを取り扱っておるというようなことはないようでございます。
○鈴木一弘君 関連して。外務大臣にちょっとお伺いしたいのですが、きのうの金大使との会談の際に、そういうような何となく報復措置をとるような、とっているようなことが流れているわけですけれども、その点については、外務大臣のほうからは、抗議のような形では大使のほうには言ったのでございますか、その辺のところをちょっと。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日本商社に対する報復措置ということは、私の昨日の会談で承知する限りにおいては、特別にとられてなかったように思われます。それから渡航の問題についても、別にそれを阻止するというような指令が出ておる模様でもございません。ただ、受け付けてはおるけれども、敏速にこれを処理するというようなことはややスピードが落ちておるのじゃないかというような気配がするだけでございます。これも、あるいは新聞にどういう報道があったか、一々記憶しておりませんが、報復措置としてこの問題が取り上げられたということも、言っておられるところは判然といたしておりません。
○宮崎正義君 いま大臣の御答弁ですが、事実はもっと深刻じゃなかろうかと思うのですが、というのは、韓国の政府高官筋が、日本政府の態度が変わらなかったら強行措置をさらに続けていく、そして第二の段階としては、日本の漁船の取り締まり等も厳重にやっていくんだというようなことも言っているのじゃないか。また、さらに、駐日大使の本国の召還等も断行していくのじゃないか。これぐらいまでの韓国の高官筋は腹をきめているというふうに言われているのですが、この点についてもきのうの会談等では、どういう点の話し合いができているのか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 現実的に私は申し上げているのでありまして、今後この問題をめぐってどういうふうに形勢が変化するかということにつきましては、これは非常な注目を持ってこれを見守っておる状況でございまして、どういうことが行なわれるか、われわれは簡単に予想をすべきでない、また、そういう的確な材料もございません。いま御指摘になりましたようなことは、いろいろな観測としてそういう説が流れておるという程度のものであって、的確に信用をするにはまだ足りない、こう考えております。
○宮崎正義君 相当韓国のほうが強行な態度で臨んでいるということはよくわかると思うのですが、このまま安易な考え方でいきますと、先ほど申し上げましたような第二段階、第三段階あたりに考えていかれている韓国側のことから考えていきますと、おそろしいことばで言えば、国交断絶のような形に追い込んでいくみたいなきらいも考えられるわけでありますが、あくまでも、外務大臣が言われましたように、既定方針は変えていかないんだと言って金大使に断わられたという、この線をあくまでもくずさないでいっていただきたいということと、さらにもう一つは、こうした問題を初心どおりにいくということは、諸外国に対する外交方針としても、この自主外交はあくまでも貫いていくべきだ、こう考えるわけでありますが、この点について外務大臣と総理に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは、ここで申し上げるまでもなく、これは金大使に対してはっきりと、再考の余地はないということを言明いたしました。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、ただいまお尋ねがありましたように、一国が決心した事柄、そんな問題が変わるようなことではいけないと思います。ただ、私どもが今後気をつけなければならないのは、日韓間の親善関係、これは増進するという方向であらゆる努力をしてまいるつもりでございます。誤解あるいは疑惑を残さないようにいたしたい、かように思っております。
○宮崎正義君 この入国査証の問題等の発給停止等をめぐって、予定されておった体育の競技大会等も出場しないというような、間違った考え方じゃなかろうかと思うのですが、こういう点について外務大臣から、どういうふうにこういう問題は向こうは考えているか、また、外務大臣としての考え方も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは競技団体間の問題でございまして、政府は特にこれに深く関与しているわけではございません。何か都合で出場を見合わせるということがあり得ることなんで、これは私は、それ自体に理由があるものと考えて、政府がこれに介入しようとは考えておりません、
○宮崎正義君 総理の言われる、あくまでも親善を続けていかれるという面におきましても、こういう問題はやはり国民は率直に、いま外務大臣の言われる、また総理の言われるような親善という、あくまでも国際親善と言われる面からいくと、国民は相当疑惑を持つのじゃなかろうか、こう思うわけですが、この点についてもはっきりすべきじゃないかと思うのですが、この点について総理から。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 実はただいま競技会、運動の競技会、こういうものがどういうことか、私実は知らなかったものですから、外務大臣にただいま聞いたのであります。高等学校の野球の競技会、こういうようなことですから、こういうことは、両国関係の親善を増す上において開催されることはたいへん望ましいことだと、かように思いますので、これがどういうわけでストップされたのか、よく気をつけてみる必要はあると思います。ただいま御指摘になったとおりだと私も思います。
○宮崎正義君 ベトナムの問題について少し伺ってみたいと思いますが、申し上げるまでもなく、アメリカの北爆が強化されたということで、逆に、北ベトナムを平和会議のテーブルに引き出すためだと言ってアメリカは北爆を決行しているということですが、これが逆な結果になっていることはいまさら申し上げるまでもないと思うのですが、十七日のホー大統領のアピール、ソ連、中国の態度から見ても、また、現在の拡大された戦局から見ても、聖域爆撃は北ベトナムを全く硬化さしているというふうに言わざるを得ないのでありますが、この問題等について、総理の今日まで言われてきていること、それが国民に与えた効果というものがどうなっているか、総理のお考えを伺ってみたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) この点につきましては、いままで社会党の諸君のお尋ねにも答えたのでございますから、もうよくわかっていただいているかと思います。わが国の行き方は、国際紛争は必ず平和的に武力を用いないで解決する、これが憲法の基本的な態度であります。この点では新しき憲法のもとに政治をいたしております私どもも、また公明党の諸君も、また社会党の諸君も、その理想を探り、そうしてそれを実現する、こういうことに非常な関心があることだと思っております。
 その立場からこの問題を見ますると、ただいまのベトナム紛争、これが続く、さらに爆撃の範囲が、目標がだんだんふえていく、こういうような事柄については、ほんとうにたえられない状況だと思います。そこで、一日もすみやかに紛争が和平への道をたどるように、そして真の平和を招来するように、お互いのそれぞれの立場における行きがかりもあるだろうが、ひとつ冷静にそこらを考えて、ぜひ話し合いの場につくように、こういうことをしばしば申しておるのであります。これが空疎なものだ、こういうような批判がないでもございません。しかし人類の悲願である平和的解決、これを一つの理想にしておるわが国民といたしましては、最もとうといことだ、私はかように考えております。そういう意味で今日までも努力してまいったのであります。
 ところで、これは両当事者にはそれぞれの言い分がある。まず米軍、これにつきましては、南ベトナムにおけるベトコン、いわゆる破壊活動、これを北から援助するから、その援助の力を弱める、こういう意味で、おれのほうは爆撃が必要なんだ、こういうことを説明をしておる。また北側からは、さような意味で爆撃をする、だんだん爆撃の目標を拡大する、これでは本格的にわれわれも徹底的な抗戦を叫ばざるを得ない、当然だ、こういうようないまの行きがかりだと、かように私は思います。私が今日まで探ったところでは、米国は話し合いに応ずるということを申しております。したがいまして、これは北からの浸透がないなら、これは自分たちも話をし、そしてこれをやめることにちっともやぶさかではない。心から願っておるものは平和だ、かような言い方をしております。また北側は、まだこれらの点については、和平をするのには四つの条件がある、必要なんだ。その条件をのんでくれなければ、和平に応ずるわけにはいかない。われわれは徹底的に最後の勝利を確信している、こういって呼号をしておるのが、いまの現状だと思います。
 そこで、私どもはいままでいろいろ努力はしてまいりましたが、どうもチャンスがまだ到来しておらない。今日幾ら話し合いの場をつくりなさい、こう申しましても、お互いがその気持ちにならないと、それはできることじゃありません。それがいわゆるチャンスが、まだ機が熟しておらない、こういう状況だと思います。イギリスにおきましても、またカナダにおきましても、あるいはジュネーブ会議の開催をいわれたり、あるいはこういうような和平会議を東京で持ったらどうか、こういうような人まで出ておりますが、しかし、まだそこまでチャンスが来ていない、まだ時期が到来しておらない、かように今日考えて、まことに残念に思っているような次第であります。
○宮崎正義君 確かに総理の言われる点もわかるんでありますが、機が熟していないということが何よりのうらみだというふうに伺っておるわけですが、今回、グロムイコ外相が日本に参ります。これなんかは大きな和平工作に対する一大転換期じゃなかろうか。で、お話がありましたように、ウィルソン英首相が訪ソして、やや失敗のような形というふうに見受けられるんですが、そういうふうなこと等、いま総理が言われた、今日までの経過を十分に考慮の上で、このチャンスをのがすことなく、私は強力な和平工作への話し合いというものを進めていくと、それにはちょっといまお話もありましたけれども、公明党が常に主張しております米、中、ソ、南北のベトナムの当事者の方たちを東京へ招聘して、世界平和維持会議、それを開くように方向づけていくことが、世界に大きく寄与していく日本の立場の大事な転換期なんじゃないか、こういう点について総理に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) あらゆる機会をとらえて和平を進めるど、これは私どもがやり得る唯一の方法であり、最善の方法だ、かように考えております。したがいまして、御指摘にありましたように、グロムイコ外相が近く訪日する。その際はたいへんいいチャンスだ、かように私どもも思っておりますので、わが国のかねての主張、これを率直に、また簡明に相手方に披露いたしまして、協力を求めるつもりであります。ソ連におきましても、ウィルソン英首相が出かけたばかりであります。なかなかジュネーブ会議開催等についても協力は得なかった。しかし、一致はしなかったが、非常に有意義であったと、こういう表現をウィルソン自身がしております。そういうところから見ますると、お互いに意見を交換し、そうしてそういう和平への機運を醸成する、これはどうしてもしなきゃならぬことだ、かように思いますので、今日直ちに効果がある、かようには私もまだ見ておりませんが、話すことは十分誠意を持って話したいと思います。
 また、公明党の主張されたという、東京においての和平会議を開け、これなども、アメリカの一部におきましても同様の議論をするものがあります。私は、私自身外国に出かけて、総理みずからが和平への努力をしろと、こういう御要望もございますが、同時にまただだいま言われるように、日本自身が、そういう時期が到来すれば、東京でそういうことを開く、こういうようなことにつきましても、もちろん望ましいことでありますから、開くことに協力することにやぶさかでない、こういうことははっきり言えるのでございます。
○宮崎正義君 いま総理のお話にありました訪ソの問題でありますが、新聞等の報道でまたいうわけですが、外遊より内遊へと、佐藤総理は重点を置きかえられているのじゃないか、こういうふうに報じられておりますが、その内面はどうでありますかわかりませんが、ソ連の北方領土問題が強硬なために、日本側の主張が通らないという点から、これは行ってもむだじゃなかろうかというような考え方が総理の中にあるとすれば、これはいけないと思うんですが、この点どうなんでございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 一番重大な問題が、御指摘になりましたように、北方領土の問題だと。これは日本民族の宿願だと申しますか、南における沖縄、それは条約によって云々だが、北のほうは条約もない、そういう状況でございますから、たいへんな国民の関心事であります。固有の領土を一日も早く返せと、これは国民の宿願だと、私、かように思っております。歴代内閣も、これが実現するように努力してまいりました。ことに前内閣池田首相の書簡、これはいまなお伝えられているとおりでございます。しかし、この問題は、これが解決できないからソ連には行かないという、そういうような問題とはこれは違います。ソ連に出かけてこの問題が解決すれば、こんなうれしいことはありませんけれども、この問題はそう一朝一夕にはなかなか片づかないんじゃないか。私どもさような見方をしております。しかし、日ソ間には幾多の懸案事項がございます。これに準ずる問題があるのでありますから、そういう懸案事項を一つ一つ解決していくこと、これもぜひとも必要だと思います。ことに私が申し上げたいのは、いずれの国とも親善関係を結ぶ、仲よくしていく、そういう立場で日本のあり方をよく理解してもらう。そういうことでその懸案事項を解決する。そのためには、やはりあらゆる機会をつかまえて出かけるもいいし、また、遠来のお客さんが来た際に、当方の考え方を率直に披露するもよろしいし、とにかく積極的に、長い問題の解決ですから、そうあせらず、しかし、この問題と真剣に力強く取り組んで解決したい、これが私のいまの考えであります。
○宮崎正義君 あとでまたいまの問題はもう少し解れてみたいと思いますが、それに関連していきまして、安全操業の件につきましてお伺いしたいのですが、三月十六日の予算委員会で、この席上で、沿海州の沖で日本漁船が強制撤去を命じられた、そのことについて、そのときの回答は、公式にいろいろ打診してみる、そして、その結果を報告するというお話なんですが、その後外務大臣はどのような調査をなさったか。
○国務大臣(坂田英一君) 沿海州沖における漁船の退去の問題につきまして、そのつど外交ルートを通じまして抗議をいたしておるのでありますが、ソ連としては軍事演習等の理由を回答しておるわけであります。今後も漁業に支障を来たさぬように交渉してまいりたい、かように存じております。
○宮崎正義君 演習等と言いますけれども、いつのときに、いっそれが演習であったのか、もっと詳細に伺いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) その程度のことを承っておるのでございまして、その、いつ幾日、どの演習で、どういうふうでどうという問題はわかりませんのでございます。
○宮崎正義君 私は、そういうことはもってのほかだと思うのです。とんでもない発言だと思うのです。国民の生死にかかわること、生活の重大問題にかかわる問題を、その程度の、いまおっしゃられたような程度の調べ方ということは、私は大臣としての御答弁を疑うわけですが、この点もう少し姿勢を正して御回答願いたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 外交ルートを通じて交渉いたしておるので、それに対して軍事演習ということでございまして、どういうことだという内容については答えがないわけでございます。
○宮崎正義君 十二海里のその中に入って撤去を命じられるなら別としても、全然そういう関係のないところでも撤去を命じられて、航海の自由を束縛されているというような事件が、私の承知しているところでずいぶんあるわけです。ですから伺っているわけですから、それに対する一つ一つの回答を願いたいということです。
○国務大臣(坂田英一君) これは先ほど申したとおりに、軍事演習という一本で話がきておるのでございまして、私どもといたしましては、そのつど抗議をいたしておるわけでございます。返答は常に軍事演習ということで進められておるのが現状でございます。
○宮崎正義君 じゃ、そのつどという、そのつどを聞かしていただきたい。
○国務大臣(坂田英一君) 今年の一月に入りまして、この関係から合手捕一件、退去通告が三十六件ございます。そういう問題がございまして、それらに対して、この通告あるいは傘捕事件という点につきまして、わがほうとしてはこれらに対して、ソ連に対する抗議を申し込んでおるという実情でございます。
○宮崎正義君 いまお話が二回ぐらいしかありませんが、もっとあるはずです。詳細に調べて御回答願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは回数というよりもほとんど同じようにこれは軍事演習である、その内容は言えない、こういうことでございまして、それだけではどうも解釈――それ以上立ち入ることができないという状況でありまして、強硬にその点は外交ルートを通じてわがほうも主張をしております。
 なお、領海の問題については、ほとんど大多数の国が三海里説をとっておる。これを十二海里領海説というのは、これは承認できない、こういう点をわが国としては強硬に主張しておるところでありまして、今後ともこの問題はあくまでわれわれの主張を貫徹するように努力をいたしてまいりたいと、こう考えております。
○鈴木一弘君 ちょっと関連して……。いまの御答弁を聞いていて、ぜひ聞きたいと思うことは、その拿捕された漁船の船員等は一体どこにおるのか。それからあとの経過はどうなったのか。いま一つは、韓国の場合にはたった一隻連行されたといってもあれだけの強硬な態度を政府はおとりになっている。ところが、ソ連の場合には、退去させられ、あるいは拿捕というようなことがあっても、非常に弱いような感じを受ける。対米追従というが、対ソ追従外交みたいな感じをわれわれ受けるわけでありますが、その点が非常に情けないような感じを受ける。いま一つは、軍事演習ということが理由だということでありますが、それなら、前もって、軍事演習があるとか、この地域に入ってはならぬとか、そういうふうな通告等はこちらにはされておらないのか。また、そういうルートをおつけになろうとしていないのか。その三点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) 拿捕されたのは一隻でございます。これはいま早急に返還されるべく要請をいたしておるわけでございます。
 それから退去命令のやつは、先ほど申しましたように、三十六件、一月にあるわけであります。これも退去命令に従ってその漁船としては退去しておるわけであります。これらの問題も、先ほど外務大臣からお話ししたように、外交ルートを通じて進めてまいりたい、こう考えております。
 拿捕船については、亀長生産部長からお答えを申し上げます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいま領事条約はほとんど結論が出ておりません。数日ならずして、グロムイコ外相が見えますので、外相の滞在中に正式調印が行なわれることになっております。それによりますと、従来、漁船を拿捕しても一体拿捕されたのかされないのか。されたとすれば、一体どういうところに連れていかれておるのか、ほとんど雲をつかむような話でございまして、今度の領事条約で拿捕した場合には、十日以内にその内容を詳細通報するという義務を負うことになるわけでありますが、この問題には十分間に合うというわけにはまいりませんでしたけれども、今後の問題はかようなことによって、はっきりその解決方法につきましても、いま進められておるということになるわけであります。御参考のために申し上げます。
○宮崎正義君 参考のために聞いておるわけじゃありませんが、現実をつかんでいなくて、何が手を打つことができるかということなんですが、今日までの何十回となく繰り返されておることを承知しないで私は交渉することはできないと思うのです。この点まず先ほど申し上げましたように、日数とそれからどのくらいあったかということ、ことしだけでけっこうですから、去年なりおととしなんか言ったって張り合いがありませんから、ことしの今日の時点に至るまでどのくらいあったかということをはっきり国民の前に、こういうふうに沿海州の沖合いではこういう事件があったのだ、政府はこのようにソ連に対しての厳重抗議を申し出ておるのだということを明確にしていただきたい、そのために私は伺っておるわけなんです。
○国務大臣(坂田英一君) 先ほどもお答え申し上げましたように、本年から拿捕が一隻、それから退去命令は三十六件でございます。これは先ほど申したとおりでございます。
 それからこの漁船の拿捕は、この漁業水域の関係で拿捕されたのであるか、あるいは演習関係からきた拿捕であるか、その点はまだ明瞭になっておりません。
 それから場所等は沿海州の湾内であるとは思いまするけれども、その点についても明瞭ではありません。大体さようなことでございます。
○宮崎正義君 まことに遺憾だと思うのであります。非常に私ども冒涜されておるような感じを受けるわけです。私は私なりに調べたものがあります。それを申し上げていきますと、このことで相当時間がたちますので、このことはこれ以上申し上げても明確な御回答ができませんので、次に進んでいきたいと思います。
 いま外務大臣が言われました領海十二海里の件についてでありますが、多くの国は三海里説を言っておるというようなお話がありましたけれども、それは私は逆だと思うのです。どんどん十二海里に変更され、それを国際法化していこうとしておる段階であります。こういう時点において、しかもいまの私の申し上げました強制退去等は全部十二海里以外のところでやられておるわけですから、そういう点について、十二海里以内なら別としても、十二海里以外ということを申し上げておるわけですけれども、その点についても場所等も私は私なりに調べであります。ですから、もう少し北方安全操業というものに対して政府は真剣な態度で臨んでいかなければならないと思うのであります。これに従事している漁民の方々は私たちの食生活を真剣に命がけで守っているわけであります。そういう観点の上に立っても、もう一度外務大臣に強硬な外交方針というものを打ち出してもらいたい。しかもイシコフ漁相が見えたときにもどういうふうなこの問題について話し合いをしたかということを農林大臣とともに伺っておきます。
○国務大臣(椎名悦三郎君) イシコフ漁業相からはもっと広範な範囲についての御回答が得られることを期待したのでありますが、予想に反してわれわれの期待は実現しなかったわけであります。結局これは領土問題に関連するので、漁業相としての権限を越える、われわれ以上の上の段階においてこの問題の解決をはかってもらいたい、こういうことで、結局いわばグロムイコ外相来訪の際に譲りたい、こういうふうな意見のようでございました。そこで御指摘のとおり、北方の海域において操業しておる漁民のきわめて不安定な状態、これを除去するために今回の機会を最大限に活用したい、こう考えております。先ほど三海里説をとるのはむしろ少なくて、十二海里説が国際化しつつあるというふうなお話でありますが、まだそこまではいっておりません。それから十二海里といってもこれは領海という意味じゃなしに専管水域ということで取り扱われておるのが普通でございます。これは単独でそういう宣言をしてそれが実行されるものではなくして、二国間の関係において専管水域を認め合う、こういうことでございますので、これは領海問題とは違っている。いずれにいたしましても、これは今回のグロムイコ外相の来訪を機会に十分にこれらの問題を解決するようにできるだけの努力をしたいと考えております。
○宮崎正義君 赤城試案を再度持ち出す御意思はありますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 今度のイシコフ漁業相の見えたときにおいても、北方全体の安全操業について話し合い、意見の交換をいたしたことは外務大臣のお話のとおりでございます。特に具体的な問題といたしまして、領土問題その他のことを抜きにしても、現実の問題としてこの歯舞、色丹の安全操業、いわゆる漁業の問題については、特にこれを中心にしていろいろまた意見の交換をいたしたわけでございまするけれども、イシコフ漁業相の滞在中においては結論を得ることが遺憾ながらできなかったおり、引き続いて両国においてこの問題を話し合いをしようということに相なって別れたわけでございますが、今度グロムイコ外相が見えるわけでございますから、この問題については特に話し合いを進めてまいりたい、かように存じておる次第であります。
○宮崎正義君 赤城試案は……。
○国務大臣(坂田英一君) したがって、いま申しました赤城試案、いわゆる色丹、歯舞等の問題を、これも具体的に進め得るように特に話を進めてまいりたいということをつけ加えて申し上げます。
○宮崎正義君 私は赤城試案は大幅なこれは譲歩をしておるということを十分相手に認めさせなければならないという点を特に念を押しておきたいと思うのですが、この点について御回答願いたいと思います。
○国務大臣(椎名悦三郎君) いま農林大臣からお話を申し上げました歯舞、色丹の、これを中心とする海域、これが赤城試案でございます。今回イシコフ漁業相の回答の内容は、そのうちのまたごく小部分、それでは解決になりません、赤城試案はもちろん問題にしたいと考えております。
○宮崎正義君 イシコフ漁業相が来日しましたときにソ連の漁船の日本寄港、漁獲物の大挙輸入を日本に求めてきたということははっきりしておりますが、このような政治と経済をからませて向こうはきておりますが、グロムイコ外相が来日したときにはわが国においてはどういうふうな、これらの問題についてわがほうの主張をどう展開していくかということを答えていただきたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) イシコフ漁業相が参りましたときに話が出ましたのは、ごく簡単でございましたが、日本の漁港への寄港問題が出たわけでございます。それから漁獲物の輸入をどうするかといったような、そういうその問題には全然触れておりません。それから寄港の問題につきましては、日本のいろいろの沿岸漁業の問題その他を考えまして、私といたしましては非常にこれは認めることは困難である、かように存じておるわけでございます。
○宮崎正義君 外務大臣、グロムイコ外相との……。外務大臣。
○委員長(石原幹市郎君) じゃ宮崎君もう一度。時間に入れませんから……。
○宮崎正義君 グロムイコ外相が見えますね、そのときにわがほうの言い分がうんとあるわけですが、向こうが、イシコフ漁業相が見えたときの問題以上の、政治、経済等に結びつけた日本の主張というものの考え方がどういうふうな考え方を持っておられるかということです。
○国務大臣(椎名悦三郎君) これは水上のことばかりでなしに、空のこともあるいは陸上のこともいろいろな問題にこれは関連するわけでありますが、御質問の趣旨は水上の北方海域の問題と考えまするので、これはもちろん赤城試案に盛られておる歯舞、色丹を中心とする海域のみならず、広く北方海域の安全操業と申しますか、安全航行と申しますか、現在の状態はどこでどういう落とし穴があるかわからないというような状況、いわば薄氷を踏むような状況で日本人があの海域で働いておる、こういう状況では両国の親善友好を高めるというゆえんでない、逆行するにしても高めるゆえんでは絶対あり得ないと、そういうふうに考えますので、それらの問題はひろく取り上げまして交渉してみたい、こう考えております。
○宮崎正義君 いま外務大臣のおっしゃったこと、私は大きく期待しておきます。
 日本の北洋漁業の操業等につきまして、日米加ソ、この日本を入れまして関係諸国が漁業問題等についての会議といいますか、打ち合わせ会といいますか、将来に対する北洋漁業のあり方等について開催をする意思があるかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(坂田英一君) この日米加のいわゆる漁業条約と日ソ漁業条約の問題を一緒にするということについては、現在は考えておりません。と申しますのは、日ソ漁業条約、サケ・マスの件につきましては、イシコフ漁業相もともどもにこの問題を話をいたしましたわけでございますが、両国の資源の問題といい、また全体の利用関係からいたしまして、非常に有効でありましたので、これらの問題を続けてまいりたいということの相互の意思表示がございました。細則にわたってさらに近く話し合いをいたすことに相なっておるようなわけでございます。
 それから、日米加の漁業の問題につきましては、これまたサケ・マスその他の問題に関連することは同じわけでございまするが、地域も違いまするし、いろいろの点において違いまするわけで、なお、これらについては、やはり私どもとしては、資源保護を中心にしたいわゆる条約に直してまいりたいということを考えておりまするので、これも三回にわたって日米加との間の話し合いがいたされておるので、これまた最近四回目の話し合いを進めるということに、この前の京都における日米閣僚懇談会においても話し合いをいたしておるようなわけで、さような方向で進む考えでおります。
○宮崎正義君 北方安全操業につきましては、三月十六日に総理もこのようにお答えになっております。厳重に話をつけるようにしていくというふうにもおっしゃられておりますが、一月の椎名外務大臣が訪ソしたときに、南千島一括の返還方式を強く望むというお考えで行きまして、今日に至るもその話は、総理のお話等伺ってみても、相当困難な様相下に置かれているということを勘案しまして、それに従事している漁民の立場、日本国民全体のような立場、日本国のような立場に立って、さらに総理の今後に対する御見解を明確にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど来椎名、坂田両大臣からお答えいたしましたように、北方においては私どもがいろいろの問題を日ソ間に持っております。その中でも、ただいま御指摘になりました安全操業、この問題を早急に解決する。ことにこれは零細漁民も非常に関係する漁業でございますから、そういう意味におきまして、零細漁民救済という観点にも立ち、同時に、両国間のこの問題を根本的に解決する、こういう強い要望のあることをよく承知しておりますので、これにこたえる覚悟でございます。先ほど来お話がありましたように、漁場も歯舞、色丹水域を一つの漁場とし、また、オホーツク海内側においても漁場もあるし、また樺太、稚内間の水域、これもしばしば問題を起こしておるところであります。また、先ほど来御意見を述べられた沿海州の漁場、これまた一つの問題のある漁場でございます。それで、過日イシコフ漁業相が参りました際には、まず根本の問題で理解していただきたいことは、しばしば日本の漁船が傘捕される、その理由がスパイ行為だと、こういうような話をしばしば受ける、しかし、戦後の日本はかつてのような膨張政策は一切とっておらない、また物事をきめるにしましても、過去のようなきめ方でなくて、もう平和の手段、武力を用いないですべてを話し合っていこう、こういうことでありますので、その基本的態度の認識、これをぜひ深めていただきたい。ともすればスパイ行為云々が出てくるが、さような卑劣な行為は一切しない。この点は天地神明に誓って言えることで、堂々たる態度で話し合いをするということ、武力を用いない、国際紛争は一切武力を用いない。こういう崇高なる考え方でおるので、いまの漁業あるいは漁船を使ってスパイ行為をするなどはとんでもないことで、さようなことはあり得ない。どうか十二分にこの基本的態度を認識し、しかる上でただいまの安全操業ということについてのくふうをしてほしい。かような基本的態度を実は述べたのであります。私は、先ほど来赤城試案云々が出ておるが、赤城試案の程度で満足ができない、こう言われる気持ちもわかりますが、その赤城試案すらただいま行なわれない。これはまことに残念な次第でございます。ことに漁業条約も期限が到来するという今日でありますので、その漁業条約の継続についてもくふうしていかなきゃならないし、比較的このほうは両国の間に意見の相違はあまりないようであります。が同時に、安全操業の問題になりますと、これが領土権の問題にからんだり、あるいはまただだいま申すように、国防上あるいはその国の安全というような点にも関係する。これがソ連例の説明であります。そういう点でなかなかむずかしい問題はあります。しかし、せっかく鞭撻を受けた今日でございまするし、まただいへんいいチャンスにグロムベコ外相も来日されますので、こういう機会にこそ当方の主張を端的に率直に述べる。そうして日本の真の行き方、真のあり方について理解を深めていただくならば、今日までの交渉、これもむずかしいことだが必ずしも悲観ばかりしなくても済むのじゃないか。かように思っておるような次第でございます。
○宮崎正義君 別に角度を変えていきますが、ウィルソン英首相がポンド防衛対策として緊急対策の発表をいたしましたが、このことについて大蔵大臣から伺っておきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) まだけさの新聞で緊急対策の問題程度で詳細のことは承知しておりませんが、イギリスは国際収支がこの二、三年だんだんと悪化しておるわけで、その結果、ポンド不安というものが国際金融界の間で生まれてきておったわけであります。いずれ労働党政府は、相当シビアーな政策をとらざるを得ないだろう、こういうふうに予測され、先般公定歩合の引き上げというようなことをやった。問題は、英国の国際収支をどういうふうに改善するか、こういうことでありますが、そういう面からいたしますと、財政面の緊縮政策、それから物価政策というようなことに考えが向いてくる。これは自然なことではないかと思います。ただ、詳細にただいま承知しておりませんので、今後どういう措置をとりますか、その推移は十分注目してまいりたい、かように考えております。
○宮崎正義君 私が申し上げることもありませんので、ポンドはいま世界の基軸通貨であるということは承知の上なんでありまして、わが国の今度、それによっての貿易の影響等をどういうふうに考えておるのですか。
○国務大臣(福田赳夫君) 貿易面から見ますると、英国のわが日本の貿易におけるウエートは、そう大きなものじゃございません。英蘭銀行が公定歩合の引き上げをする、そういう措置に伴いましての影響は、ほとんどないくらいであります。まあ、しかし、英国の措置が世界の金融市場にどういう影響を及ぼすか、こういう問題があるわけであります。特に、アメリカにどういう影響を及ぼすか、こういうことでございまするが、もしアメリカが英国に追随して公定歩合の引き上げが行なわれるというようなことになる、そういう場合には、英国のポンド防衛措置としての公定歩合引き上げ、これの価値は非常に減殺をされるわけであります。アメリカ政府がどういう態度をとるか、これは微妙なものがあるだろう、こういうふうに見ております。もしアメリカで、そういう英国の高金利に追随する措置がとられるということになりますと、これはアメリカとわが日本との関係にかんがみまして、影響はなしとしません。しかし、さしたる――非常に大きな影響があるかというと、わが日本の国際収支の状況から見まして、たとえばユーロ・ダラーがアメリカのほうに行くというようなことが多少ありましても、これは日本の国際収支にそう大きな心配事ではございません。昨年のごときは、輸出超過が二十億ドルにも及ぶ、こういうような状態であり、ことしもそこまで行きますかどうかわかりませんが、同じ良好な状態が続いておるわけであります。いささかも、わが日本の経済自体から本質的な心配はない。しかし、とにかく国際経済が何がしかの影響があるのですから、その推移につきましては注意してまいりたい、かように考えております。
○宮崎正義君 この問題、物価等の問題についてもう少し詳しくやっていく予定なんですが、時間の関係等ございますので、あとでこの関係は時間があればもう少し詳細に、日本の物価等の問題についても、関連してお伺いしたいと思うのですが、時間の都合で次の問題に移っていきたいと思います。
 政府は、重要施策方針として、一世帯一住宅を打ち出して、今日まで総理大臣もお考えになってきておりますが、現時点におけるその計画に対する成果といいますか、また、今後における見通し等について、総理大臣並びに建設大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 御承知のとおり、わが国の住宅事情は、まだまだ非常に不満足な状態でございます。前国会でもしばしば申し上げたわけでありますが、政府といたしましては、従来にもましてこの国民の居住及び居住環境を整備しなければならない、こういうことで、先般住宅計画法も国会で御通過を願い、さらにそれに基づいて、四十一年度を起点として四十五年度までの第一次の住宅建設五カ年計画を目下準備いたしております。それは、前に申し上げているわけでありますが、五カ年間に六百七十万戸の住宅を充足したい。このうち、いわゆる公団、公庫等の政府の資金でやります政府施策住宅を二百六十万戸ぜひ充足したい。こういう計画を進めて、四十一年度は、先般の国会でも申し上げましたような施策を講じているわけであります。これは、計画はさようでありますが、なかなかたいへんな大事業であると、率直に私どもは感じているわけでございます。しかも、戸数のみならず、居住の水準と申しますか、規模の増大も、一挙にはまいりませんけれども、漸次これを改善していくという構想を進めなければならない、こういうことで進めておりますから、政府の第一の課題として、今後、この計画の実現に邁進していく、これが現在の私どもの態度でございます。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま建設大臣がお答えいたしましたから、あまりつけ加えることはないのでありますが、私、国民生活を充実させ、向上させ、そうしてしあわせの生活、これを政治の目標にしておりますので、そういう観点でものごとを見ておりますが、いわゆる国民生活が衣食住、この三つで表現される。その衣、食、これはとにかく戦後よほど改善されてりっぱになったと私思います。これも、まだまだという点が議論され、物価等の問題になりますと、ずいぶん苦労しなければならないのですけれども、それにいたしましても、量的にはまず相当改善された、かように思っております。ところが、住の生活になってみますと、これは全般的にまだまだ先進工業国に比べましてたいへん見劣りがする。だから、住の生活をどうしても先進工業国並みに高める。これは非常な政府も意欲を示し、また、国民の協力も得ていると、かように思います。ところで、そういう意味で取り組んでいる、その上もう一つ困難ならしめているものが、戦後の都市集中の傾向が激化しつつあることであります。これを地方に分散する、あるいは地方産業都市、あるいは工業特別地区、あるいは低開発といいますか、おくれているところを伸ばすという、そういうような施策もまんべんなく国内においてとっておりますけれども、しかし、しばらくの間はこの都市集中の傾向は続くだろう、かように思いますので、都市再開発ということが必要になってきている。その面から、一番根幹として都市再開発の中心をなすもの、これは住宅の問題である。もちろん、その他の水にも問題があり、上下水道の問題があり、交通の問題があり、あるいは学校の問題があり等々ございますけれども、とにかく、住宅を中心にしてこの都市再開発を進めていく。これが刻下の、ただいまの重大施策の柱だと、かように思っておりますので、そういう意味でこれとまつ正面から取り組んでいるというのがただいまの住宅政策の問題でもございます。御了承いただきたいと思います。
○宮崎正義君 いま総理のお話を伺いまして心強い感じがしますが、このたび都議会から意見書が二点について出されておりますが、都は、私が言うまでもなく、地方自治体のまあ代表団体としての意見書じゃなかろうかと、二、う私は思うわけですが、この出されました意見書に対して各大臣方の御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 今年の七月六日の都議会で住宅問題について議会の議決がなされまして、それを私どものほうにも意見書として出してきております。その内容は、まあ宮崎さんからお話がありませんでしたから簡単に私のほうから申し上げますけれども、第一は第一種、第二種のいわゆる公営住宅の入居基準、いま二万、三万というふうにしておりますが、それが現在の社会生活の状況では低過ぎやしないか、これをもっと公営住宅に入る人の入居資格の収入基準を上げることが必要じゃないかというのが第一点です。そのほかに、またこれは東京ばかりじゃありません。いまお話しのとおりに、住宅を建てるについては地方負担が非常に大きい。これがなかなか困難をしておる。これは前国会でも当委員会を通じてしばしば御議論になりまして、私も十分その点は承知しておるわけでありますが、特に東京都においては地価の問題等がなかなか困難な状況がありますから、したがって、建築単価の基準をもっと引き上げるべきではないか、同時に、都営住宅の現在二分の一国庫補助の補助率をもっと上げるべきであろうと、こういう点があります。それからもう一つといたしましては、起債等のワクを大幅にふやすべきである、それから地価対策の確立等をはかってもらいたい、こういうことが趣旨であります。私どもの考えといたしましては、この入居基準の収入基準を引き上げるという問題について、従来からも、検討と申しますか、考えてはおりますが、ところが、現状においてはまだまだその段階に至らないというのが率直な私どもの見解でございます。と申しますのは、公営住宅というのは、申し上げるまでもなく、いわゆる収入の低い方々に何とか早く住宅を充足したい、こういうことでありますが、残念ながら、先ほども申し上げましたように、まだまだ住宅が充足する段階になっておらない。政府が努力するといいましても、なかなかこれはたいへんな金と土地を要する問題でありますから一挙にいかない。これに最大の重点を置いて住宅政策を進めますけれども、まだまだ東京においては四十倍の申し込みがあるというような状況でありますから、まだやはりいわゆる低所得者の人に優先的と言うけれども、なかなか当たらないじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、優先的に入ってもらうシェアを大きくしておく必要がある、こういう考え方でありますので、まだいわゆる入居収入基準を引き上げる段階には至らない、こういう判断をしておりますが、これは漸次検討をすべき問題であろうと思っております。
 それから国庫補助を二分の一を引き上げろということは、地方負担の問題はわかりますけれども、まだまだ現在の日本の財政状況、国民経済の状況ではそこまではまだ踏み切れない。まあ率直な考え方でございます。これは国及び地方、同じく住民のために居住を与えるという基礎的な考え方で地元の御協力を願おうという基本的な態度である。ただ、これは前の国会でもしばしば御議論になりましたように、基準単価が低い、あるいは建築単価、特に用地費については地方負担が多いじゃないか、これはしごくもつともであります。毎年少しずつ改善しておりますが、特に四十年度から四十一年度に移ります予算では、大蔵省にも申し上げておりますけれども、なかなか一挙にはできませんから、少なくともこの超過負担を建築単価については二年で解消したいということを大蔵大臣に申し上げておるわけであります。私どもも、もちろん二年と言わずにできるだけ早くこの超過負担を解消したい。用地費については平均一五%の引き上げをいたしました。東京はなかなか平均一五%では間に合いませんから、特に東京都に対する用地費については二五%の基準の引き上げをいたしております。しかし、実情からいいますと、これは坪単価が一万三千円ということになりますから、なかなか東京で一万三千円という土地は用意できない。ここに東京都としての大きな悩みがあるという状況でありますが、これはもちろん、今後その点には政府としては全力をあげてできるだけ住宅の建ちやすいような国家財政の措置をしなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
 土地対策については、まあしばしば今日まで申し上げておりますが、何しろできるだけ国及び地方公共団体は大量に住宅造成をすべきだ。従来までやっておりましたけれども、なかなか従来のテンポでは間に合わない。先ほど申しました政府施策の二百六十万戸及び民間住宅の四百万戸というのも従来のような考え方ではとうてい間に合いませんから、これは全力をあげて、あらゆる施策を総合して進めなければならない。これはおっしゃるとおりであります。
 地価対策については、総合政策をしなければならないということを従来申し上げておりました。前国会でもその一つの手段として土地収用法の改正あるいは税制の改正をお願いしておりますが、残念ながらまだ今国会継続しておるわけであります。この席をかりて恐縮でありますが、ぜひ御協力を願って、そういう手段の推進をはかりたいということが私どものこの東京都の議決に対する考え方でございます。
○国務大臣(永山忠則君) 東京都の関係の自治省に関するものにつきましては、標準建設費の引き上げ、すなわち超過負担の解消の関係でございますが、これは建設大臣が申しましたとおりでございまして、まだまだ、ことし六十五億、住宅関係では引き上げを受けましたけれども、きわめて不十分でございます。ことに用地に関しては建設大臣の申しましたとおりでございますので、これが解消には全力をあげたいと存じております。ことにこの標準の関係を引き上げる際において地方関係団体にも申しておるんですが、標準価格を引き上げるというよりは、量を多くしたいというような考え方がないでもないのでございますが、第一義的にどうしても適正標準価格を堅持して、そうして量を多くするという方向に地方も予算要求し、各省もそういう方向でいっていただくように特にお願いをいたして解消に全力をあげたいと存じております。
 また起債のワクでございますが、これは東京都は二〇%でございましたが、本年度から九〇%に引き上げていくことにいたしておりますので、十分起債は――特別関係の起債でございますので、今後も引き上げに対して全力をあげたいと考えておる次第でございます。
 なお、交付公債の関係につきましても、四十年度は東京都は二十五億三千万円交付公債を出しておりますが、大いにこれを活用いたしまして土地の先行投資ができるように認めたいと考えておる次第でございます。
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対する意見書は三点でありますが、第一点は、国庫補助金の増額の問題であります。標準建設費を引き上げよということでございますが、これは、本年度の当初予算におきまして、知事会の要請もあったその一項目で、要請に従って修正をしたものを御審議をいただいたわけであります。それから補助率の引き下げを行なえと、こういう話でありますが、これは他のいろいろな事業に対する補助率との均衡がありますので、困難かと思います。
 それから第二点は起債の増ワクの問題でありますが、ただいま自治大臣からお答え申し上げたとおりであります。
 それから第三点は地価対策のことでありますが、これは建設大臣からお答えいたしたとおりに私は考えております。
○宮崎正義君 それぞれお答え願った大臣方にこまかくお話しをしていきたいと思うんですが、委員長が先ほど時間だ時間だとおっしゃられたので……
○委員長(石原幹市郎君) いや、あなたに言うたわけじゃないんです。(笑声)持ち時間があるんだから……。
○宮崎正義君 いや、私のほうは聞くほうですから、ゆっくり聞いていきたいと思うのであります。御答弁によってはまた相当長くなると思います。
 建設大臣の親切なお話がございましたけれども、地価対策に対する問題が重をなしているということがそれぞれ各大臣方のお話にもありますように、地価対策に対しまして、都心にあります老朽平家住宅が、これはかなりの土地のスペースを持っておりまして、あき地を持っておるわけであります。このあき地ばかりでなくて、老朽平家住宅というものを、中高層の堅固な建物にかえていくという方針はおありかどうか、この点を伺っておきます。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど総理からも全般的な問題として都市の再開発ということばが出ておりましたが、いわゆる過密を唱えられております日本の東京都とかその他大都市、狭いわが国の領土の中で、きわめて平面的に使っておるということは、土地利用の面からきわめて不経済であるし、同時に、地価の高騰にもなるし、ひいては環境が悪くなる。また、交通問題もからんでくる。こういう問題がありますから、できるだけ私どもは都市の高度化をはかりたい。これは念願にいたしております。でありますから、あるいは都市改造法その他の法律を今日まで御制定願って、各種の手段を講じておりますが、御承知のとおりきわめて土地の所有関係が細分化されており、利害関係がきわめて複雑である。そういうことで、思うにまかせないというのが実情であります。東京都内でも、御承知であろうと思いますが、数カ所にそういう実験をやっておりますが、これを行ないますについても非常な困難が伴う。こういうことでありますから、私どもは、もう少しこういうものを経験を生かして、別の観点から高度化する相当強力な措置を講じなければならないのじゃないか。かような結論を出しておるわけじゃございませんが、これはやはり住民の皆さんがこういう状態ではみんなのために不利益だと、こういうことをよく御理解願って御協力願わないと、なかなか一片の法律だけでは間に合いませんから、慎重に検討を要することでありますが、いまおっしゃったように、平均にして一・数階というような東京都その他の利用度というものは、これは改善しなくちゃならない。これには、個人個人にそうやりなさいと言っても、資金が伴いません。また、利害関係が錯綜しておる。こういうことでありますから、欧米等の例もありますことを参考にしながら、また、わが国の実情に合うような手段、方法をぜひ考え出したい、これが現状でございます。
 ただ、よく土地開発、再開発といわれますけれども、いまの日本の住宅の逼迫状況からいいますと、土地の再開発でこの問題は解決するとは思いません。ですから、やはり再開発以外に、大量の土地を造成し、そこに新たな住宅をつくる。これはやっぱり並行するという考え方でいかなければ、何か再開発というとすぐそれが解消するような議論をなさる方がありますが、これは再開発して狭い道路で高度の家を建てるということはきわめて不適当であります。再開発の場合には、公園、広場等、相当な空閑地をつくるということがねらいでありますので、これで一挙に住宅関係まで解決するというようには、世間でおっしゃるようにはいかないということをつけ加えておきたいと思います。
○宮崎正義君 いま諸外国のお話がちょっと出ましたのですが、確かに、イギリスにおいても、アメリカにおいても、フランスにおきましても、特に国家住宅法、都市計画開発法等をつくられて、活発な近代美観の面においても、また、住生活を完全にしていく面におきましても、どんどん施行されているわけです。日本におきましても、いまお話が建設大臣からもありましたように、土地の問題等を考えましても、日本の都市については特別な法律をつくって、こういうふうに都市計画は将来はされるべきであるということについて総理にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど建設大臣が答え、また、私が基本的な政府の態度というものを申し上げました。御了承をいただけたんだと思います。これから先にさらにそれを掘り下げてどういうような結論を出していくか。ただ戸数をふやすとか大きなアパートをつくるとか、そんな問題じゃなしに、いまのような基本的にどういうような方法をとるか、これはもっと検討しなければ、この機会に結論を申し上げるわけにはまいりません。
 前国会におきましても土地収用法やあるいは事業認定等御審議をいただいた、これあたりもそれの一助にしたいと、かように実は思って審議をお願いしたのであります。これもまだ成立しておりません。しかし、全般の問題を考えまして、さらに検討をして具体化し、いずれ御審議をいただくようにいたしたいものと思っております。
○宮崎正義君 次に、国際空港の点について少しお伺いしたいと思います。
 新国際空港については三里塚が決定されましたが、その間候補地が二転三転して決定を見ておるようです。この二転三転された対象になった地元民の精神的、物質的な損害というものは、これは大きなものだと思うのです。こういうことが二転三転しているというようなことをさせるのは、やはり私は政府の無計画さがそうさせたんじゃないか、こう思うわけです。もちろん、航空管制上の問題だとか、技術的問題等、最初から周到な計画等を立て調査研究が行なわれていったならば、そのたびに国民を惑わしていくようなことはなかったのだと思うのですが、今度の新しく選ばれたところも地元民の相当数の反対の声があるわけです。成田市以外においても反対決議等をされておるのですが、こういう点について、新国際空港をどうなさっていこうとしているか、まず基本的に総理から御説明願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 国際空港建設をめぐりましていろいろの批判があり、また、住民に影響を与えた、そういう意味でまず冒頭において政府反省しろ、こういうことを御指摘になりましたが、全くそのとおりであります。しかし、国際空港の必要性、これは各界各層の人も認めておるようであります。今日の羽田ではもう早晩といわなくとも、四、五年の後には行き詰まる、近代的な航空路、これこそは交通の最上の機関である、こういう意味でぜひともこれを整備しなければならぬ、この点ではみんな御異存はないのでありますし、また、政府におきましても、住民に与える影響をできるだけ少なくする、そういう意味でいろいろの地域について調査をいたしたわけであります。また、農地をつぶさなくて済むとか、あるいは立ちのきの戸数が少ないとか、いろいろな観点からも調べたのでありますが、同時にまた、空港そのものの持つ性質からも特別な要請があるわけであります。申し上げるまでもなく、いまの羽田空港に非常に近いところでは困る、
  〔委員長退席、理事小沢久太郎君着席〕
空の管制上ぶつからないようなその場所だとか、こういうのでもございます。そういう点も十分考えて、有力な二、三の候補があったわけです。そのうちで、一時は富里地区にしなければならないのじゃないか、政府もそういうほとんどまあ内定というような形で現地調査もいろいろ進めていった。しかし、これはいかにも現地の住民の反対も非常に強いし、また、農地等をつぶすことも非常に大きいし、特に移転等も非常に多数にのぼると、こういうことでありますので、これは政府としてもこれを特にやるということはこれは少し無理ではないか、こういう意味で、十分考えた結果、今度は、国有地や県有地を主体にし、比較的農地をつぶすことも少なく、また、移転等も少なくて済む地域、しかもそれが航空路として空の管制から見ましても支障がないと、こういう地区がただいまの三里塚と、こういうことになりまして、これならばひとっここに第二空港をつくる、こういうことで進めようと。そうして、ぜひとも住民その他関係の方々の協力を得るというそういうたてまえで、よく説明もし、同時にまた、苦痛とされる点等、これに対する対策等もよく話し合って、そしてりっぱな空港を建設しようと、かようにただいま決意いたしたわけで、空港公団も近く発足する、こういう運びになったのであります。御指摘のように、一部におきまして反対がございますが、ただいま、その反対等につきましても、よく国家的要請を説明すると同時に、また、これらの方々に対する損失、損害等の補償につきましても万全を期する、こういうようなことで、具体的対策をいろいろくふうしておる際でございます。
○多田省吾君 関連。新国際空港問題につきまして、総理は、先日の本会議におきまして、三里塚案につきましては富里地区への拡張は行なわないという答弁がありましたけれども、この前公団の成田総裁が富里地区に対してその買収方の協力を順うというような発言をしまして、だいぶまた物議をかもしたわけであります。この総裁と総理の見解が違っておるのかどうか、それに対してどういう指導をされたのか。
 それからもう一点は、まあだれが考えても三里塚案は一つの暫定案であって、四、五年先はこれじゃ小さい。まあジェット旅客機の大型化に伴って、国家的見地から、もっと大きな恒久的な大空港をつくる必要があるということは、これは当然でございますけれども、それに関連してどのような対策を立てておられるのか。霞ケ浦につきましても、中村運輸大臣が就任なさったときに、何ですか、五百万円ばかり捨て金のつもりで霞ケ浦を再調査したけれども、技術的にも無理だという、まあそういうお話もありましたが、霞ケ浦案等をもう一回調査するつもりはないか。それから九十九里浜等の埋め立て案等のお考えはないか。
 その二点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 成田総裁候補と申しますか、ただいま私どもが大体予定しておる成田君が、記者会見をして、ただいま言われますように、非常に大きな話をしたのであります。私ども、本会議で御説明いたしましたように、今回の空港は、在来の規模を縮小いたしまして、そうして大体半分くらいのところでこの要請にこたえようとして発足しようとしたのでありますから、富里地区、これには拡大しませんと、こういう答弁をはっきりした政府の考え方を本会議で説明したばかりであります。しかし、それらの事情を全然知らない成田君が、いろいろ聞かれまして、ことにもっと大きいものをつくったらどうですかというような話があって、それは大きいことはたいへん賛成だという意味で、これが可能であるかのように錯覚をして、ずいぶん話を先走ったことをいたした、かように後ほどになりまして私のところへ来て弁明をいたしております。ただいま、政府は、さような考え方はございませんので、また、この機会に重ねて富里地区には拡大はいたしませんということをはっきり申し上げておきます。
 それから候補地といたしまして、ただいまもう一度、霞ケ浦を調べないかと、こういう話、あるいは九十九里浜の埋め立て等も考えないか、こういうお尋ねであります。私は、今回の国際空港を決定するまでに、霞ケ浦の埋め立てについての調査が不十分だとは思っておりません。また、木更津沖あるいは九十九里沖等の埋め立て計画につきましても、すべてが調査済みであります。また、その他にも、国内におきましても各地を遠くは浜松から北は北海道にまでいろいろ調査を進めたのでございます。ただいま御指摘になりましたような点が新しいものでないことをこの際申し上げまして、実はすでに調査済みでありますということでお答えをしたいと思います。しかし、今後さらに技術だって進歩するだろうから、そんなに五年先あるいは十年先にもうそれは五年前に調査済みだと、こう言ってしまうということはどうかと思いますけれども、現在の技術をもってしては私はどうも困難さを感じます。非常に多額な費用を投ずるならともかくも、不適当だと、かように実は思っておるのであります。ただいま、三里塚空港、これが最も適しておる、かように思いますので、せっかくの御提案でございますが、それらのことは調査済みだと、かように御了承いただきたいと思います。
○宮崎正義君 いま多田君からもお話がありましたように、また、総理からもお話がありましたように、縮小されたということなんですが、申し上げるまでもなく、最初は、滑走路四千メートル級の大型を二本やるとか、あるいは三千六百メーターのものを一本やるとか、二千五百メーター等をやって、五本ぐらい富里ではやっていくというような計画が、今度は、四千メーター一本ぐらい、二千五百メーター一本ぐらいに縮小されたということになるわけでありますが、これはもう明らかにSST機の時代になってくれば、さっそく新国際空港では間に合わないということになってくるわけです。この点についてどういうふうにお考えになっておるか、重ねて伺ってみたいと思います。
○国務大臣(中村寅太君) 三里塚飛行場につきましては、いろいろ言われていますように、大体四千メーター、それから二千五百ないし二千七百ぐらい、それから風向きの変わった場合用として三千メーターぐらいの滑走路をつくりたいという考え方でございますが、これとあわせまして現在の羽田空港を整備強化いたしまして、両々相まって大体間に合わしていけるという考え方の上に立っておる次第でございます。
○宮崎正義君 大蔵大臣にお伺いしますが、
  〔理事小沢久太郎君退席、委員長着席〕
この建設費はどのぐらい見込んでおられるのでございましょうか。
○国務大臣(福田赳夫君) まだ公団も発足いたさない段階でございまして、どのくらいの建設費になりますか……。
○宮崎正義君 およそ……。
○国務大臣(福田赳夫君) およそもまだわからないんです。道路の問題とかいろいろありますので。御了承願います。
○宮崎正義君 私の申し上げたいことは、五年後には少なくともSST機の時代になってくれば、せっかく建設費を投じても、五年後にだめになっていくような行き方ということは、これは大いに国民は目をみはっているわけでありますので、この点申し上げたくて大蔵大臣になったわけですが、この点についても大蔵大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと聞き漏らしてまことに恐縮だったんですが、超音速の時代を迎えますので、空港の整備というものは、これはもうほんとうに真剣に取り組んでいかなければならぬと思います。そういう見地から、ひとり富里の国際空港ばかりでない、あるいは大阪の国際空港とかあるいは北海道の空港でありますとかがいま東京空港の補助的な役割りをしておる。そういうような点も考えまして、これらをあわせて一括して空港の整備というようなものを考えていかなければならぬ、かように考えます。
○宮崎正義君 いま大蔵大臣からもちょっとお話が出ましたけれども、北海道の話が出ましたので、その辺に移っていきたいと思いますが、御存じのように、第十一回のオリンピック冬季大会が、一九七二年でございますか、札幌市を中心にして開催されていくわけであります。その国際空港としてどのような構想があるのか。自民党内で空港建設地について食い違いがあるように伺っているんですが、この点についてどういうふうになっているのでしょうか、総理大臣からお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中村寅太君) 私からお答えさしていただきます。
 北海道の国際空港の問題につきましては、いろいろ諸方にも意見があるようでございますが、近く迫ってまいります冬季オリンピック等の開催等とも関連をいたしますし、さらに現在の千歳空港が自衛隊と民間航空と共同で使用しておりますので、いろいろ双方とも不便を感じているような向きもございますので、国際的な冬季オリンピックを迎える機会に、民間機と自衛隊機と別々の飛行場を考えたらどうかというような意見等が起こってまいっておりますので、関係各省庁とよく協議をして、今後どういう方向で持っていくかということについて検討を加えておる段階でございます。
○宮崎正義君 総理大臣、自民党内で話のこう食い違いがあるような点について……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 自民党と私のほう政府との間に食い違いがあると、こういうお話ですが、私まだそういうことをはっきりと認識しておりません。いずれそういうものは一緒になるだろうと、かように御了承いただきたいと思います。
○宮崎正義君 せんだって中村運輸大臣が行かれたときに、札幌周辺を建設地としていくんだというようなお話があった。その前に、川島自民党副総裁が、千歳を拡張して、そうしてそこをそうするんだというようなお話があった。防衛庁のほうでは、自衛隊の専用にしていきたいんだと。いずれにしましても、川島自民党副総裁が千歳を拡大していく、運輸大臣が行かれてから今度は札幌周辺にした建設地を考えていくというようなお話の食い違いがあったわけです。こういう点について、どちらをとってよろしいのか、その点をお伺いします。
○国務大臣(中村寅太君) 千歳を拡張して国際空港にしたいとか、あるいは札幌につくりたいとか、そのほかいろいろ地元にも意見があるようでございますが、政府ではそういう場所をきめるというまだ段階まで話がいっておらぬのでございまして、千歳のいまの飛行場で自衛隊と民間機と共同で使っておるのをどうするかということをまず話し合っていく。その後、飛行場については地元等の意見等も考え合わせまして検討したいと思っています。川島副総裁は千歳周辺にあれを拡張して国際空港にということを言われたとかということをこれを新聞記事で私も見たわけでございます。私は札幌につくるというようなことを申したのではございません。札幌も周辺につくってもらいたいという意向がある、それから千歳は千歳空港を拡張してそうしてこれを民間空港にしたいという意向がある、そのほか北海道の各地にも意見があるようでございますが、そういう意見があるが、それをいまきめる段階にはまだいっておらぬと、こういうことを申し上げたわけでございます。党内の食い違いは全然ございません。
○宮崎正義君 川島副総裁と運輸大臣の言われているようなことが地元に与える影響というのは非常に多いわけなんですが、いまお話を伺いまして、これからだということなんでございますが、そこで、確かに一九七二年というとだいぶ遠い先のようなことに思われるわけですが、御存じのように、北海道は一年のうち半分しか工事ができない。そういう観点からいきますと、六年が三年になるわけです。三年になるとすれば、この施設をつくるにしましても、いまの国際空港をつくっていくにいたしましても、三年間でやっていくような行き方をしなければならないという立場の上から考えていかなかったならば、今回のオリンピック冬季大会を催すまでの段階に至らないのじゃないか、こう私は心配するわけですが、この点についてどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(中村寅太君) 北海道のいま考えられるような場所につきましては、反対意見等がきわめて少ないように考えられますので、政府のほうで地元等と打ち合わせまして方針をきめますれば、私は十分間に合うように進められるものと、かように考えておる次第でございます。
○宮崎正義君 そのおことばを信じて期待しておきます。念のためにもう一度申し上げておきますが、冬期間は仕事ができないということでございます。
 それから文部大臣にもお伺いをしておきますが、スキーのノルディックのジャンプ等の施設は、大体地元の計画等を御存じだと思うのでありますが、こまかいことを伺いたいのですが、時間がありませんからやむを得ませんのですが、一つのそういう施設の工事をやるにしても三年は要するということになっているわけです。この三年間かかるというのをいまからやっていくようでなければ、これは間に合わないと思う。それでまた、土地の問題にいたしましても、国立公園等が予定されて、考え方として地元にあるわけですが、こういう点につきましての開拓にいたしましても三年しかない。しかも雪がいまだにあるところでやるので、そこでやらなければ冬季オリンピックなんかできない。特殊事情を考えられた上でなければ私はこれは進められない、こう思うわけですが、こういう点について、少なくともオリンピックの開催される一年前は、各国の選手あるいはその関係者が集まって、そして前の年に実際の予行演習をやるようじゃなければならぬと思うのですが、……。
○委員長(石原幹市郎君) 念のために申し上げますが、時間がまいりました。
○宮崎正義君 この点についてもよろしく御回答を願いたいと思います。
○国務大臣(中村梅吉君) まだ組織委員会が御承知のとおり発足いたしませんのでありますが、J
OCあるいは札幌等関係者の間では、おそくも主要の競技場は、特にジャンプ競技のところなどは昭和四十五年までにはひとつ完成をするようにしてもらいたい。そして、若干その施設を活用しまして、相当選手がホームグランドとして練習するためにそこで訓練のできるようにすることが、このオリンピックに備えるゆえんであるという意見が強力にございます。私もまことにごもっともだと思います。また、北海道は特殊の寒冷地帯でありますから、そういう工事の期間等のこともにらみ合って、今後、関係方面で議を練って進めることが必要であろうと、私どもも実はさように考えておる次第でございます。
○宮崎正義君 予定された時間がまいりましたので、せっかく予定しておりました質問等も省略しなければならない残念なことになってしまいましたけれども、関係各大臣の方々の質問に当たられなかった大臣方にまことに恐縮でございますが、長い時間ありがとうございました。
○委員長(石原幹市郎君) 宮崎君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(石原幹市郎君) 次に、稲葉誠一君。
 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(石原幹市郎君) 速記を起こして。
○稲葉誠一君 総理にお尋ねをいたしますが、ベトナム戦争が拡大をしても日本が戦争に巻き込まれないということの根拠がいろいろ説明されておりますが、どこにあるのかひとつ御説明願いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) これもいままでたびたびお答えしておるように思います。稲葉君はよく御承知だと思いますが、わが国が積極的に戦争に参加する考えのないこと、これは御承知のとおりでございます。また、わが国が戦争に積極的に参加することは私自身もしませんが、また、国民もそれを許さない、かように思っておりますから、その点は御心配がないと思います。ただ問題は、わが国が戦争に巻き込まれる、あるいはこの国をだれかが攻撃をする、こういう場合においてのみ巻き込まれる云々が出てくるのであります。日本の国は積極的に戦争をしない、戦争に参加しない、国民もそれを許さない。そういう場合に、日本が今度は攻撃されたら一体どうなるのか、そういう問題でございます。私は今日、日本が攻撃されるということ、そういう危険は実はないように思っております。しばしば説をなすものは、日米安全保障条約、これが戦争に巻き込まれる一つのものなんだ、だから、日米安全保障条約を破棄しろ、そういうものを持っちゃいかない、こういう議論をされますが、私は歴史から申しましても、今日まで日米安全保障条約があるから日本が戦争に巻き込まれた、そういう経験はございません。また、今後もさような発展は実はない、むしろ、それよりも私は日本を攻撃する、あるいは沖縄を攻撃する、こういうような考え方を持つ国がもしありとすれば、アメリカがいかなる攻撃に対しても――日本が攻撃されるならば、いかなる攻撃に対してもアメリカは日米安全保障条約の義務を果たすと、かように申しております。この点から見て、日本を攻撃するということは、とりもなおさずアメリカと戦う、こういう決意をしないとそういう事態もあり得ないと思います。私はただいまのアメリカの持つ軍事力、これこそは戦争抑止力だと、かように思いますので、ただいま申し上げるような大それた国はないのだ、かように信じておるわけであります。
○稲葉誠一君 いま言われたアメリカの戦争抑止力というのは具体的には何をいうのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはそれぞれまあいわれておりますが、日本のような、国際紛争は平和の手段だと、こういうことで解決するという国もありますが、しかし、いままでは平和が維持されておるのは力のバランス、こういうようにいわれております。ただいま言っておるアメリカの力というものがそういう場合に抑止力になる、かように御了承いただきたい。
○稲葉誠一君 だから、そのアメリカの力というのは具体的に何なんですかと、こう聞いておるわけですよ。
○国務大臣(松野頼三君) アメリカの今日の体制、ことに日米間における戦力とその協調体制でございます。
○稲葉誠一君 外務省の四月十六日の日米安保条約の問題点についてという統一見解ではっきり言ってるじゃないですか。外務大臣どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 戦争抑止力とは、われわれはアメリカの持っている総合戦力そのものをさしている、こう思っております。
○稲葉誠一君 外務省の統一見解、だれが書いたんですか、その内容を説明してください。総合戦力でなくて、ちゃんと三つに分けて説明してるでしょう。
○政府委員(安川壯君) アメリカの戦争抑止力は何かということでございますならば、ただいま外務大臣から御答弁がありましたように、アメリカの持っておる総合的な軍事力ということになります。
○稲葉誠一君 総合的なことではなくて、この外務省が出した文書によると、大陸間弾道弾とポラリス潜水艦と核装備した戦略爆撃機によって構成されていると、こう書いてあるでしょう、三つにね。その三つはどこにどれだけあるんですか。それがわからなくちゃ戦争抑止力というものの実態がわからないでしょうが。外務大臣から答えてください。
○政府委員(安川壯君) アメリカの総合戦力の中に核戦力を含むことは当然でございまして、もし日本に対する核攻撃が何によって抑制されておるかと言えば、やはりその主体をなすものはアメリカの核報復力であると思います。核報復力がどこにあるかというお尋ねでございますが、核報復力の主たるものは、外務省で発表いたしました文書にもございますように、主たるものは長距離大陸間誘導弾、ポラリス潜水艦、それから核装備をしました戦略爆撃機というものが主体をなしておると思います。これらはどこにあるかというお尋ねでございますが、私はどこに幾つあるかというところまでは承知しておりませんけれども、一般的に申しますならば、大陸間誘導弾は米本土に配置されておりますし、ポラリス潜水艦は大西洋並びに太平洋に配置されておりますし、さらにB52は、私は全部承知しておりませんが、太平洋地域で申しますならば、グアム島に本拠を置いていると、こういうふうに承知しております。
○稲葉誠一君 いま言った三つのものは沖縄にはあるんですか。
○政府委員(安川壯君) 沖縄を根拠地としているということは言えないと思いますが、過去の事実を申しますならば、沖縄に台風避難で来まして、その後、爆撃に出動したという例が一回だけあると承知しております。
○稲葉誠一君 ベトナム戦争が拡大した場合に、アメリカの戦争抑止力で日本が戦争に巻き込まれない、これは総理が言われてるんですけれども、外務大臣は六月一日の衆議院外務委員会で自民党の鯨岡という人の問いに対しては、そういうことは言ってないんじゃないですか。攻撃を受けることはあり得ると、そういうことを言ってるじゃないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それはそれだまの程度、それだまの程度はあるいはあるかもしれない、こういうふうに言ったわけです。
○稲葉誠一君 それだまがどういう場合に日本にくることがあり得るのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) それはそれだまを撃つほうの主観によるわけでありまして、大体それだまは撃つべきものではないと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、日米安保体制というものはあるけれども、絶対的にそれによってその国が安全で、危険は全くないというようなものではない、そういうことは言えるわけですね。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 絶対に安全であるということは言えない場合があるということ、そういうことも覚悟しなければならぬ、こう考えております。しかし、それを避けるために日米安全保障条約を廃棄するということは、これはもう何十倍、何百倍の危険にさらされることになるということを、その場合に答えておきました。
○稲葉誠一君 そうすると、日米安保条約があっても絶対的でないということは認められた。そういうことになってまいりますと、具体的にどういう場合にそれが安全でないということになるのですか、もう一つ説明を願いたいと思うのですが。
○国務大臣(椎名悦三郎君) あまり合理的な御回答は申し上げにくいと思いますが、それだまと言うのが一番適切なお答えだと思います。とにかく攻撃する側の誤算、あるいは誤信、そういうものによって生ずる場合もあり得る、こういうふうに考えてお答えしたわけであります。
○稲葉誠一君 それは日本に軍事基地があるからですね。そう考えてよろしいわけでしょう。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 軍事基地がない場合でもいろいろな誤解、誤信からこういうことが起こり得る、起こり得ないとは言えない、いまの国際情勢から申しまして。
○稲葉誠一君 日本に軍事基地がない場合に、じゃあどうして日本にそういうような攻撃が加わる可能性があるのですか、そんなこと考えられるのですか、常識で。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 考えられぬようなことがしばしば起こるからであります。
○稲葉誠一君 これは総理にお尋ねしますけれども、そうしますと、日本に軍事基地がなくなったら日本の安全に対する危険を増すことにならざるを得ない、こう外務省の文書では言うのですがね。その根拠はどこにあるのですか。総理に、基本的なことだから。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外務省からお答えさせます。
○政府委員(安川壯君) 外務省の見解の中に述べましたことは、一般論として申したのでありまして、具体的にどういう事旗においてどういう時点において日本に攻撃が行なわれるかというところまで論じたわけではございません。しかし、一般論として申しますならば、世界情勢というものはどう変わるかわからないのでございまして、また、周囲の国の意図というものも、将来いかなる場合にも攻撃しないということは予測することはできないわけでございまして、そういう一般論としまして論じますならば、軍事基地がある場合と、ない場合と、どちらに攻撃の危険性が多いかと言えば、明らかにない場合のほうが多いという見解を述べたのでございまして、具体的にどこの国がどういう状態になったら攻撃するというところを論じたわけではないのでございます。
○稲葉誠一君 軍事基地がないほうが攻撃を受けやすいと言うのですか、その根拠はどこにあるのですか。
○政府委員(安川壯君) それは繰り返して申しますけれども、現在の国際情勢におきましては、そういうふうに考えることは国際的な常識であると承知しております。
○稲葉誠一君 そういう常識と言われても、ぼくは納得できないから、それじゃその常識というのを、私の頭悪いのかもわかりませんけれども、国民も理解してないかもわかりませんから、わかりやすく、これは総理から、段階を追ってひとつ説明してくれませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 軍事基地があるほうが攻撃されやすいか、軍事基地を設けたらそういうことがないのか、いろいろ御議論が出ているようです。私どもが知っておる歴史、それから、たとえば欧州における局外中立、永世中立というか、あるいは永久的に中立を守る、もうそういう国が、全然それでは攻撃を受けないで今日まで来たか、やっぱり戦争に巻き込まれ、やっぱり攻撃を受けている。そうすると、やっぱり一部でいわれるように、その国の安全はみずからの国民の力によって守る、こういう方向のほうがもっと話がわかりいいんじゃないか、私は思うのですよ。これはそういうことが言える。ただ、そういう場合に、それじゃ日本は非常な兵力を持つのか、かようなお尋ねがあるかもわかりません。しかし、私は平和憲法を守っておる、そしてこの平和憲法のもとにおいて自衛力を、いわゆる国力、国情に応じた自衛力を持って、そうしてこの国の安全を確保しようとする、しかし、一国だけで安全を確保することはできない、そういう場合において、日米安全保障条約のもとにおいて、ただいまこの国の安全を確保しておりますと、これははっきり国民に対しても言えることなんです。世論も大多数のものはやはり現状においてはこういうものが必要だ、こういう方向のように最近の世論調査もちゃんと出しております。まただだいまくどく申しますが、過去の歴史は、中立主義、いわゆる無防備、そういう形のものが戦争に巻き込まれたということは、欧州の例には幾つもございます。それらの点をひとつ御了承いただきたい。
○稲葉誠一君 これは基本的な問題になって、ここで論議しても、時間の関係がありますから別の問題からまた入っていくわけですが、そうすると、いま日本は、このベトナム戦争といいますかね、これにどういうふうにどの程度協力をしてるんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ベトナム紛争、これに協力しておる、こういう言い方をされますが、私どもは自由主義陣営であるということ、これはもう見のがせない事実であります。そういう意味で協力だと言われるかもわかりません。しかし、私はそうじゃない、いずれの国とも仲よくする、また、一日も早くこの種の紛争がなくなることが望ましい。また、紛争をなくすることについてあらゆる努力をしますと、しばしば申し上げております。したがいまして、ただいまの協力云々、これは積極的協力云々、これは全然ない、かように御了承いただきたい。
○稲葉誠一君 そうすると、日本としてその協力については限界があると、こういうふうに承ってよろしいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 限界があるというのはどういうことですか。別に時間に入れぬでもいいですが、お尋ねがちょっとわかりかねるのです。
○稲葉誠一君 だから日本はベトナムに対して積極的には協力してないというんでしょう。消極的に協力してるのかどうかわかりませんけれどもね。いろんな憲法上であるとか、あるいは日本の平和主義という問題から見ても、ベトナム戦争というか、紛争というか、それに対しての協力の限界というものは当然そこにあるわけでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はその限界ということばはよくわかりませんけれども、あるいは御疑問は、日米安全保障条約がベトナム紛争への協力、その事実じゃないか、こういう御指摘かと思いますが、しかし、日米安全保障条約は、わが国の安全確保のためにこれは防衛的な条約であることは、しばしば申し上げたとおりであります。ただいまこの日米安全保障条約とは関係なしにこのベトナム紛争が起きている、これもおわかりだと思います。したがいまして、ただいま言われる限界云々はどういう意味か、私ちょっと理解しかねるのであります。
○稲葉誠一君 ベトナム戦争というか、それに対して、いわゆる特需の増大というか、そういう形が、いま通産大臣おられないからあとにしますが、いずれにいたしましても、物品税の免除とか、輸出承認の不要とか、こういう形で協力していることは事実なんでしょう。協力といえるかどうかは別として、これは協力になるのじゃないですか、とすれば、その根拠はどこになるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま御指摘になりましたような点が協力といえるかどうか、これは別といたしまして、日本は、日米安全保障条約、その上の義務は十分果たしていく考えでございます。
○稲葉誠一君 だから安保条約からいえば、ベトナムはいわゆる極東外だということははっきりしているわけですね。ベトナムで起きたことが日本の安全に関係があるというからこそ安保条約の六条の適用問題は起きてくるわけでしょう。そうなってくるのじゃないですか。そうでしょう。だから六条の、日本の安全とベトナム戦争がいまどういう具体的な関係があるのですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日米安全保障条約は極東の安全の問題、日本の安全の問題、両方にまたがっている。それで極東の地域がフィリピン以北と、こうなっておりまして、しかし、それに近接する地域で起こった問題がやはり極東の平和と安全に関係のある場合には、日米安全保障条約も働く、こういう立場に立っております。でありますから、ただいまのベトナムに起こっている事件は、極東の安全と平和に重大な関係を、影響を与えている、こういう解釈をいたしております。
○稲葉誠一君 私の聞いているのは、ベトナムの紛争が、いま日本の安全にどういう関係があるのかと、こう聞いているのです。日本の安全に関係があって初めて安保条約の六条による問題は出てくるんでしょう。日本の安全とどういう関係があるのかと聞いている。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 極東及び日本の安全、極東の平和と安全は、すなわち、日本の平和と安全に重大な関連をもっている、こういう意味で、日本の平和と安全に関連がある、こういうことがいえると思います。
○稲葉誠一君 だから具体的に聞いているのです。具体的に、ベトナム戦争が現在の段階で極東のどこにどういうような安全に対して影響があるのか。日本の安全にどういう影響があるかということを聞いているのです。一般論ではないのです。
○政府委員(安川壯君) ベトナムの情勢がどういうふうに日本の安全に関係があるかというお尋ねでございますが、安保条約でいっておりますことは、何も直ちに日本に直接的に戦火が及んでくる場合を想定しているのじゃないのでございまして、一般的にやはりベトナム情勢の推移というものが極東全体の将来の平和と安全に影響があるということは、これはまぎれもない事実であろうと思います。そのことを安保条約はいっているわけであります。
○稲葉誠一君 どうも答えがこっちの言うことに答えていない。聞いていないわけです。ベトナム戦争がいまの日本の安全と関係があって初めて安保条約の六条の適用によって特需の場合、物品税の免除や何かが考えられてくるのじゃないですか。日本の安全と関係がなくて、そういうふうな安保条約の六条を適用するということは、拡大解釈ではないですか。だれが見たってそういうふうにちやんと書いてあるじゃないですか、条文に。そういうふうに考えられませんか。
○政府委員(安川壯君) もしベトナム情勢というものが、日本を含めました極東の安全に全然影響がないということでありますならば、何も日本政府が平和解決を叫ぶ必要はないわけでございまして、安全に関係があると考えればこそ、政府としても一日も早く平和解決をしたいと、また、これは国民全体の気持ちであると思うのです。そういう国民の全体が不安を抱くということが即安保条約にいいますところの日本や極東の安全に影響があるという事実そのものであると了解いたします。
○稲葉誠一君 だから、いいですか、いまの答えによれば、日本の安全に関係があるということは、ベトナム戦争は将来、場合によっては日本にも波及するおそれがあるということを認めておることになるんじゃないですか。そういうことを考えていることじゃないですか。だからこそ六条の適用ということが起きてくるんじゃないですか。それはそうなってきますよね。だれが考えてもそうなるんじゃないですか。それはどこに原因があるかといえば、安保条約に関係があるということになるじゃないですか。だから安保条約があることによって、それだまか何かしらぬけれども、日本の戦争に巻き込まれることもあり得るんだということを外務大臣がちゃんと答弁しておることになるんじゃないですか。これは論理じゃないですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 平和と安全が現実の戦火というものと不可分に結びついておるものではない。その影響がいろいろな意味において波動する場合が、やはり平和と安全が脅威されておるということになると思います。
○稲葉誠一君 それじゃあね、問題を変えますけれども、じゃあアメリカがベトナムで北爆をやっておるその根拠ですね、それを日本の政府はどこに求めて考えておるわけですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 南ベトナムが北の支配に服することをがえんじない、すなわち共産主義政権に従属することを欲しないというのが南の政権及び国民でございまして、これが実力をもってその政治的独立が脅かされており、これを独力で防ぎ切れないから、アメリカに頼んで加勢してもらっている、こういう組み立てであると考えております。
○稲葉誠一君 もう少し条約的に説明してください。それは通俗論だ、いまのは。
○政府委員(藤崎萬里君) アメリカが現在とっております軍事行動の法律的な根拠といたしましては、国際連合憲章第五十一条、集団的自衛権でございます。
○稲葉誠一君 じゃあ国連憲章五十一条を読んで、それとベトナムの現実、それからアメリカのとった行動、それを当てはめて説明をしてください。
○政府委員(藤崎萬里君) 「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の国有の権利を害するものではない。」、こうあるわけであります。そのあとにも続きますが、根本は、ここにありますように、自衛権というものは一般国際法に基づく国家の固有の権利である。したがって、この国際連合憲章によって創設されたものではないわけでございます。どこの国でもことごとく自衛権はあるわけでございます。その自衛権を行使する主体としては国ということになっておりますが、いまのように、いまのベトナムのように、一つの国家であるべきものが実際上二つの政権のもとに分かれておるような場合には、これは武力を行使してはいけない。それにもかかわらず侵略があったら自衛権を行使してもよろしい。そういう関係においては国家と国家の関係に準じて考えるべきものであるということは、これは朝鮮動乱の際北鮮が南鮮に攻め入ったときに、これを侵略と国連が断定しましたが、それ以来確立した国際の常識であると考えます。
○稲葉誠一君 それはあとのほうの説明でしょう。前のほうの説明しなきゃだめですよ。あとのほうの説明ばかりしている。――いやこの国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合に限っているのでしょう。南ベトナムは国連加盟国じゃないじゃないですか。そこら辺のところを説明を抜きにしちゃだめですよ。
○政府委員(藤崎萬里君) 国連加盟国とここに書いてございますのは、これは国際連合憲章であるから国連加盟国と書いておるのであって、これは何も国連加盟国以外の国が自衛権を持つことを否定する意味じゃもちろんないわけであります。したがって、先ほど私は、この自衛権というものは国際連合憲章が創設したものじゃなくて、すべての国に備わっておるものだ。その意味は「固有の権利」とわざわざ書いてあることからもわかるし、また「権利を害するものではない。」と、つまりこの憲章のほかの規定をそういうふうに解釈してはならない。ほんとうのその根は一般国際法にあるということが五十一条の条文の書き方にも明らかにされておるわけであります。
○稲葉誠一君 総理は、その国連憲章五十一条の精神によってアメリカがやっていると、こう言っているのですよね。国連憲章の五十一条はそのまま適用されるのじゃないでしょう。そこのところはどうなんですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 政治論は別としまして、法律論としてはそのままの適用と考えてよろしいと思います。
○稲葉誠一君 そうすると、南ベトナムは国連加盟国じゃないし、それからアメリカに対する武力攻撃というものも現実には出てないわけですね。そうすると、五十一条は正面からいうとこの適用ないわけじゃないですか。
○政府委員(藤崎萬里君) アメリカ合衆国は国連の加盟国でございますから、どこにおける軍事行動についても国際連合憲章の制約を受けるわけでありまして、アメリカの行動についてのお尋ねでございましたから、これはアメリカのこの五十一条に基づく集団的自衛権の行使である、かように御説明したわけでございます。
○稲葉誠一君 いや、ぼくの言うのは、この条文は、国連加盟国に対して武力攻撃が発生した場合と、はっきり書いてあるでしょう。どういう国連加盟国に対してどういう武力攻撃が発生したのですか。それを明らかにしなければいかぬのじゃないですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 五十一条は、国際連合憲章の中に書いてございますので、国際連合加盟国としては、自分が攻撃を受けた場合でもこういうように行動しなくちゃいけないぞと、すぐ報告しなくちゃいけないと、それで安全保障理事会がこういう適当な行動をとったらすぐやめないといけない。こういうふうな規定のし方になっておるわけでございます。国際連合としましては、国際連合加盟国でないものにこういうような制約をつけるわけにはいかないわけであります。これは国際連合憲章であるからここに「加盟国」とあるのは当然でございまして、だからといって、それではほかの国には自衛権がないのか。ほかの国は武力攻撃を受けたら受けっぱなしにしなくちゃいけないのかというと、そうではなくて、これは一般国際法上国家には自衛権がある。それを否定するものではないということを申し上げておるわけであります。
○稲葉誠一君 非常に議論はぼくはおかしいと思うのですが、ほかの問題に入らなきゃなりませんからあれしますが、それじゃ国際法上自衛権を行使できる場合はどういう場合なんですか。その条件があるでしょう。それを説明してください。
○政府委員(藤崎萬里君) 外部から違法な武力攻撃を受けまして、それに対して、それ以外に自己を防衛するに手段がないときに行使する武力でございます。これが従来からいわれる自衛権で、国際連合憲章のことばでいえば個別的自衛権ということになるわけでございます。そういうものを助けるための軍事行動も国際連合憲章では許されているのでございます。これは集団的自衛権ということばで呼ばれているわけでございます。
○稲葉誠一君 アメリカが北爆をしていることを日本は結局、安保条約によって支持しているわけですから、そうすれば、アメリカのやっておることの根拠というものを日本もはっきりつかんでいかなきゃならないわけですよ。そうすると、自衛権というのは、いま言ったことは、相手方の攻撃が不法であるということ、それからそれに対する反撃が相当であるということ、緊急やむを得ずしてほかの手段がとれなかったという場合、この三つのことが条件になっているわけですね、いま一つ抜かしたけれども、その三つの条件について、それじゃアメリカのとった行動をこのベトナムの紛争に合わせて説明をしてください。日本はこれを支持してるんだから……。
○政府委員(藤崎萬里君) 本来ならば、直ちに安全保障理事会が平和回復のための手続をとるべきたてまえになっており、そういうふうに第五十一条は予想しておるわけでございますが、御存じのとおり、アメリカが一九六四年八月、初めて集団的自衛権を行使して、公海上で武力を使用しましたときに、安保理事会にそのことを五十一条に基づいて報告したわけでございますが、安保理事会がその問題を取り上げまして、両方の言い分を聞くために南北両ベトナムを招請したところが、南のほうは応じましたけれども、北がこの招請を拒絶した、そこで、安保理事会としては実質的な審議に入ることができない、したがって、また当然適当な、この五十一条で予想しておるような「国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動」をとることもできなかった。そこで、この憲章の予想しているところではないかもしれませんが、自衛権の行使というものがいままでも続けられておるということでございます。
○稲葉誠一君 そういう論議をしていくと時間がもったいないですから、総理にお聞きいたしますが、あなたは平和に徹するということばを盛んに言われるわけですね。そうすると、平和に徹するということでいままで具体的にどういう行動をあなたはされてこられたのか、今後も平和に徹するということでどういう行動をこのベトナムの問題に関連してとられるのか、これをお聞きしたいと思うのです。
○国務大臣(佐藤榮作君) ベトナム紛争の平和的解決としていままで何をしたかと、こういうお尋ねでございます。私はあらゆる機会をつかんで、そうしてわが国の主張――とにかく話し合いに入りなさいと、そしていずれにしても撃ち方やめだと、話し合いにお入りなさいと、こういうことをいま呼びかけているのが実情でございます。あらゆる機会をとらえてと申しまするのは、国会の場におきましても私の考え方をはっきりさしておりますし、また、椎名君がモスクワを訪問した際に、また、特使を派遣いたしました際に、また、アメリカからラスク長官、また、それ以前にハリマン特使その他が見えました際にも、ただいまのような点を率直に申し上げてきているわけでございます。
○稲葉誠一君 じゃあ将来……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今後とも同じような考え方で、あらゆる機会に私どもの主張を十分理解していただくように説得をするつもりでございます。
○稲葉誠一君 どうも聞いていると、今後具体的に何をするのかさっぱりわからないですね。ベトナム戦争が拡大してきた場合に、日本にそれが波及して、日本の安全に問題が起きることも考えられるということなんですから、一体、具体的に一つの構想を持って、どうやってこの場に乗り出すなり何なりして――乗り出すという時期なりにいろいろ問題があるかとも思いますけれども、具体的にどういう構想で一体何をしようとしているのか、それを国民は聞きたがっているんでしょう。それをただ、あらゆる機会にと言ったって、何のことだかわからないじゃないですか。もう少し具体的にぴしっとしたものが出ないわけですか。そういう点が出ないから、失礼なことばだけれども、あなたの人気が上がらないというか、そういうことになるわけですね。(笑声)いまのは失礼だけれどもね。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはやや御無理な注文じゃないかと思います。私が一方の相手方だ、当事者だと、こういう意味なら、ただいまのようにちゃんとはっきりしたことはとれます。それは平和に徹した行き方をとれるわけです。しかし、私は当事者じゃございません。このことははっきり……、何だかお話を聞いていて、そうして責任を追及されると、いかにも当事者であるかのような印象をどっかで持つかわかりませんけれども、私は当事者じゃないんだと、それだけははっきりしていただきたい。また、みずからがこの戦争の渦中に投ずるという考え方を持ってないんだと、したがって、戦争をみずからするというようなことはございません。国民もそれは誤解はないと思います。で、そういうことでございますから、わが国のこの態度、これはやっぱり相手の国が十分理解してくれなきゃ困る。今日まで私どもの考え方をアメリカ側は幸いにして理解をしてくれております。アメリカ側は話し合いに入ることも、また、そういう時期が来れば、自分たちが平和を望んでおる、このことにつきましても何ら疑いはないのであります。しかし、まだまだ北側やその他の諸国におきましては、いろいうの見方をしておりますから、あるいは講和四条件その他のことが言われておる、こういう事柄が、ただいまの話し合いに入る、それをふさいでおる、かように私は考えております。
○稲葉誠一君 何もあなたが戦争の当事者だということをぼくは言っているわけじゃなくて、極東の平和に大きく関係があり、それが日本の安全に関係があると言われるから、ぼくは聞いているわけです。関係がないと言うのなら、そんなことをぼくは聞かないんですよ。関係があると言うから、それじゃどういうふうにして進んでいくのかということを聞いているわけですよね。アメリカが理解してくれたというと、日本の立場を、日本の言っていることをアメリカが理解してくれたんですか。アメリカの言っていることを日本が理解したと、こう言うんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) アメリカも心から平和を望んでおります。
○稲葉誠一君 平和を望んでおるなら、それじゃアメリカの北爆によってかえって戦火が拡大する危険性があるわけですからね。そうするとあなたは、アメリカの北爆ということをラスクなり何なりに対して、アメリカが平和を望んでおるのならそういうことはやめられたらどうですか、こういうふうなことを言われたことはないんですか。たいへん差し出がましいっていうか、中に入った質問で恐縮ですけれども。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、北爆だけが戦争を激化しているものだと、かように思っておりません。したがいまして、アメリカも爆撃をやめることができるように、そういうふうに北側の援助が全然行なわれない、破壊分子に対する北側の援助がやむ、こういう状態を心から願っておるわけです。そういうことであれば、話し合いに応ずることはいつでもすると、アメリカは言っておるわけです。だから、この点を、北側におきましても在来の行き方にとらわれないでこの際に話し合いに応ずると、こういうことになったらいかがですか、私はそのことをはっきり言っておるわけです。別に稲葉君が北側だと私は申すわけじゃありませんよ。(笑声)けれども、ただいまの状況は、やはり北側において徹底抗戦だとかいうようなことが言われておる。そこらに問題もあるのじゃないか、北を爆撃するのもけしからぬ、同時に、徹底抗戦を叫ぶのもいかがかと私は思う。とにかく話し合いに入る、そういう機運に向いておらない、こういうことがまことに残念でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、北を爆撃するのもけしからぬというお話があったんですが、そういうように承ってよろしいんですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、全然理由なしに北を爆撃するというようなことがあってはならぬ、かように思っております。
○稲葉誠一君 どうもはっきりしませんけれども、そうすると、ラスクならラスクに対して、ラスクと呼び捨てにしちゃ悪いかもわからぬけれども、ラスク長官ですか、に対して総理は、日本国民はこれに対してどういうふうに考えているんだと、だから、どういうふうにアメリカもしてほしいという話をされたわけですか。されたとすれば、その内容を明らかにされたほうがあなたのためにもかえってぼくはいいんじゃないかと、こう思うのですがね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私はラスク長官と、アジアの平和、ことにベトナム紛争がいかにしたら一日も早く平和になるか、こういうことで話し合いをいたしました。それについて、それぞれの立場においてそれぞれの意見はございますけれども、その詳細は一々は申し上げません。しかし、結論として申し上げることは、平和を招来するその努力をぜひとも払っていただきたい、そういうことは率直に申したわけであります。
○稲葉誠一君 それに対する答えはどうだったのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 答えは、もちろんアメリカは平和を望んでおるということでございます。
○稲葉誠一君 平和を望んでおるから、だからどうするというのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) だから、いま申し上げるように、相手方もそのつもりになってくれれば話し合いができるということであります。
○稲葉誠一君 そうすると、アメリカ側としては、自分のほうは正しいんだと、相手が悪いんだと、日本もそういうふうに考えておると、結局こういうことですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どちらがいい、どちらが悪いときめてかかることは、話をまとめようとする側から申すと、ただいまは適当な時期ではないだろう。私は、そういうような行きがかりをとにかく捨てて、話し合いの場につきなさいと申し上げておる。その点了承していただきたい。
○稲葉誠一君 話し合いの場につきなさいということをどこに対して言っているのですか。アメリカに対してだけですか、ソ連に対してだけ、そのほかのところには言ってないわけですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 北ベトナムに私直接申し上げるような機会がございません。しかし、間接的には十分わかっておると思います。
○稲葉誠一君 間接的に北ベトナムに対してあなたの意思というものを伝えたことがあるわけですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 横山特使を使い、同時に、また、報道関係でこの議論は全部報道されております。
○亀田得治君 ちょっといまのに関連して。重要なポイントについての質疑応答がなかなかうまくかみ合わないようですが、しかも、非常に大事な点ですが、アメリカも、佐藤総理の考えも、北爆を六月二十九日強化したと、こういうことによって押えつけて、そうして話し合いの場に引き出していこう、こういう考えであったんでしょう、この北爆強化の直後には。その考えが非常にこれは問題なんです。あとの処理について。単に南のほうへの浸透とか何とかいろいろなことを言われますが、ともかく現実に起きておる北爆の強化というものは、これは北を話し合いの場に出させるに役立つと、こういう立場でアメリカは考えたようですね。その点、ラスク長官とお会いになったときにいろいろお話も聞かれたと思うのですが、その点が一つわれわれ知りたいところ。
 それから、佐藤総理も、当時はそのような考え方に同調していたんじゃないですか。おそらく現在もそうかもしれませんが、その点はどうなんでしょう、考え方として。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、いまどういう意向でアメリカが北爆を再開し、しかも、ハノイ近郊の爆撃をしたか、こういうものをはっきりアメリカ側から、こういう意図だ、他を押えつけるためにこういうことをやったんだと、こういうような話は聞いておりません。私どもが想像するところでは、とにかく北からのベトコンに対する援助の力を弱める、こういう意味で軍需品、軍事施設の爆撃が行なわれたのだと、かように私は理解しておるだけであります。いわゆる何といいますか、押えつけてどうこうしようと、こういう考え方かどうか、それは私どもも知りません。私は、ただ、いま申し上げまするように、北からの援助する戦力、それを弱めようとするための爆撃だと、かように理解しております。
○亀田得治君 そこで、総理は絶えずそういうふうに言われるわけですが、ジョンソン大統領は、六月二十九日の北爆の拡大の後に、非常に楽観的な見方を出したわけなんですね。その後、これはマクナマラ長官その他から、むしろそういう状態ではないというふうに直されておりますが、しかし、直後においてはそういう考え方がはっきりとこれは出ていたわけなんです。ところが、ちょうどそういう空気の中でラスク長官が来日されまして、ただいまのお答えを聞きますと、十分その点についての意見等が聞かれておらぬようでありますが、あなたが七月七日の夕食会、ラスク長官を招いて官邸でおやりになりましたね。その際のあなたのごあいさつがあります。で、私、「毎日」の翌日の朝刊で見て、どうも佐藤総理少し変なことを言われるじゃないかと思いまして、あなたの原稿を官邸からもらったわけなんです。私がその「毎日」の記事で注目して点がむしろ原稿にはないんです。したがって、これは佐藤さんが自分の考えで、そうして直接筆をとってそこを書き加えて読まれたのではないかというふうに感ずる点が一点あるわけなんです。非常に重要なことなんです。その部分だけちょっと新聞の記事のとおりを言います。原稿にはない。読みますよ。あなたが演説されたわけですから覚えておられると思いますが、「ベトナム平和を望むものの一人として、ベトナムの事態に好転のきざしがみられることを喜ぶとともに、」云々と、この前後いろいろあるわけですが、特にこのことを挿入されておるわけなんです。これは私は当時の佐藤さんの主観だと思います。これがおそらく当時ジョンソンも、北爆の強化によって北のほうは腰を折って、そうして初めて話し合いの場に出てくるものだ、こういうふうな意味の楽観論を述べていたそれと軌を一にするものだというふうに私は理解しておるのですがね。そういう考え方で話し合いをやれやれといっておっても、これは私は成功しない。成功しないどころじゃなしに、あなたが求める話し合いとは逆の方向に行きますよ(逆の方向に。それで、私はこれは非常に重要なあなたの発言だと思って注意していたわけですが、いっかの機会にこれは確かめなければならぬと思っていたのですが、昨日はまあ時間の都合もあってできない。ただいまはまた同じような問題でおやりになっておるので、この際、この夕食会のあなたの特に挿入された考え方、これをひとつ御説明願いたい。現状では佐藤さんも、あれはどうもちょっと言い過ぎだと、あの当時の楽観的な見方はその後の状態では間違ったということはいま思っておると思うが、その当時、そういう考えを持っておるということは、基本的にはアメリカもあなたも、ともかく力で押えつけてこの話し合いの場に持っていこうという考えを持っておるということに通ずるわけでして、私はこれを非常に危惧しておるわけです。どうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、その北爆についての考えではございません。最近のベトコンの活動等がよほど冷静に帰しつつある、あるいは南のベトコンの掃討は非常に戦果があがっておる、こういうことをしばしば聞いておりますので、そういう意味のことがその中に出ておるのであります。
○亀田得治君 佐藤さん、そう言われますけれども、あなた北爆の強化によってそれが一体いかになるのか、これがあなた世界注視の問題なんでしょう。だから、だれが見てもそのことをさしておるというふうにこれはとれるじゃないですか。それじゃあなたは北爆を強化して、そうしてそれによって、力によって話し合いの場に引き出していこうというふうな考え方はないんですか、初めから。
○国務大臣(佐藤榮作君) 北爆を強化して、そうして話し合いの場に引き出すというふうな考えは持っておりません。また、この北爆の効果自身が、私がラスク長官と夕食をとったときに直ちに出てきておるような状況ではございません。私がそこに一般的に挿入いたしましたことは、ことしになりましてからのベトコンの活動そのものがよほど変わってきておるということを申したのであります。これは全然そのとおりでありますから、さように御理解をいただきたい。私がしゃべったことだし、私がこうして申し上げておりますので、それ以外にはございません。
 それから、もう一つ私はこの際お願いしたいのは、これはどうしても当事者というのはいろいろな議論が出てくると思うのです。ことに北からの徹底抗戦が叫ばれるとか、最後の勝利を確信するとか、こういうふうないろいろな話が出ておりますが、しかし、昨日も議論されましたように、また、写真等でもちゃんと紹介されましたように、農民あるいはその他の商売に従事しておる者、これは非常に困難な状況だと思います。この紛争のために、もう民族、国民の生活がほんとうに破壊されておると思います。こういうときこそ平静に、また、冷静にものごとを考え、そうして話し合いの場において十二分に自分たちの主張を述べる、そうして相手方をやっぱり世論の支持のもとに説得すると、こういう努力が私は望ましいと思います、私どもも平和に徹する考え方、また、いまの憲法の命じておりますのも、私がただいま御説明するような気持ちじゃないかと思います。これは社会党の方も、平和に徹した憲法、その立場においてものごとをやっぱり判断されると私とあまり変らないんじゃないか、かように私は思っております。
○鈴木強君 関連。私は本会議のときに質問したのですが、ハノイ、ハイフォンの聖域を爆撃したときに、日本政府は、これは官房長官談話と外務省の情文局長談話で支持するということを明らかにしましたね。いま聞いてみますと、どういうためにハノイ、ハイフォンを攻撃したのか、よく聞いておらぬし、わからぬ、こう総理はおっしゃる。そうであるならば、聞いていないし、わからないのに、どうして聖域の爆撃について日本政府は消極的であったけれども支持したか、これは矛盾があると思うのですね、それが一つ。
 もう一つは、総理のおっしゃるように、ホー・チ・ミンが徹底抗戦を声明しました。それから、一方、先般の日米経済委員会の中でちょっと一部の新聞に出ておった記事でありますが、アメリカは世界の世論が反対しても、聖域爆撃の拡大ですか、というような気持ちは変わらない、やるんだという一部に記事が出たことは私は覚えておる。そうしますと、あなたのおっしゃるように、これは徹底抗戦を叫び、また、徹底的に北爆を強化するということになると平和解決はできないわけですから、きのうも総理がおっしゃったように、撃ち方やめ、両方ともそういう中において平和への糸口をつかまなければならぬと思うのです。そういう意味かういうと、日本政府が聖域爆撃を知らないで支持したということは、どうしても国民として納得できませんから私はここで発言の機会をいただいたのです。お答え願います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ハノイ付近の石油貯蔵庫を爆撃した際に、政府自身が声明し、また、外務省からも意見が発表された。それがただいま言われますように、この行為はやむを得ない、爆撃はやむを得ないものだと、こういうことを一つ申した。同時に、爆撃が拡大しないようにと、こういうこともはっきり申しております。で、ただいま一つだけを御披露になりますと、いかにも拡大について政府は賛成しておるかのようにとれますけれども、そうじゃない。これがただいま申し上げるように、軍事施設に対する限定された爆撃だ、かように考えるとやむを得ない。しかし、爆撃は拡大されることは困るから、早くそれはひとつ拡大しないように、こういう二つのことを同時に声明した、かように思っております。これは私自身がどういうように書こうかというので、相談を受けておりますから、はっきり覚えておるわけです。
 それから、第二の問題、アメリカが、国際世論がどう言おうと、徹底抗戦だと、こう言ったという記事が一部に出ている。これはもうそのとおりであります。しかし、私は必ずしもそれが真意だとは思いません。とにかく当事者自身は、アメリカにつきましても北側につきましても、時に冷静さを失いがちだ、かように思いますので、それこそ私どものように、直接の関係者でない者がこういう際にこそ平静に、冷静に行くべき道を示すのがわれわれのつとめじゃなかろうか、かように思います。
○稲葉誠一君 平静に、冷静にはいいんですけれども、平静に、冷静にということで結局何もしないというんでは意味がないでしょう。どうもそういうふうな危険性があなたのやっていることにあるような感じがするんですけれども、別の質問に入りますから、どうぞ食事でもしてください。別の質問は、いわゆる政治の姿勢、綱紀の粛正の問題ですが、またあとから聞きます。
 最初に法務大臣ですが、これは松山の刑務所の問題、あるいは大阪の法務局、あるいは入管の問題等、法務省に一連の不正事件が起きておる。あるいは警察のほうも北海道の警察の問題なり、あるいはピストルでいろいろな事件を引き起こしておる、こういうようなことが起きておりますから、まず概略を法務省と、それから国家公安委員会から説明を願って、その原因なり対策なり、こういうような問題について概略説明を願いたい、こう思います。
○国務大臣(石井光次郎君) 松山の刑務所の事件は、まことに近来にない不詳事件であります。はなはだ申しわけないと思っております。刑務所の中に働いておりまする看守が、外のほうの暴力団関係の者と、中に入っておりまする暴力団の者との間の連係をはかり、その間にいろいろな不正事件が行なわれておったことがある問題のために発覚いたしまして、これを機会にずっと調べあげておる最中でございます。近く大体の調べは済んで、それから先はどれだけ発展するかということは、もう大体ここらで発展性は終わりかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、刑務所内におきましていろいろなおもしろくないことが行なわれたということ。それから、大阪の法務局の不正事件というのは、数年前にやめました男が登記用の古い印紙を盗み出しまして、二百数十万円の印紙を盗み出して、それを本年に及んでそいつの一部を使おうとして発覚をいたしたという問題、これに関連いたしまして、法務省の役人が収賄をいたしたという問題でございます。また、入管関係の問題は、これも大阪に起こった問題でございますが、韓国人の不正入国者に対しまして特別な取り扱いをして、これに対して特別な取り扱いの報酬として金をもらったというような事件が相次いで起こりました。こういうふうなことが法を守るべき法務省内において相次いで起こったということは、まことに申しわけないことでございまして、かねて綱紀粛正、特に法務省としては一番こういう点に力を入れなくちゃならぬというので、あらゆる機会に、あらゆる会合の場合にこの問題は一番に取り上げて、必ずこのことを伝え、そして下のほうにまでも行き渡るように話をしてもらって、各局長連中がいろいろ地方へ回り、あるいはほかの会合を催すときにも、そういう問題については十分な注意をいたしておったのにもかかわらず、こういう問題が起こるということは、まことに申しわけないことでございます。その原因はどこにあるかということをいろいろ考えますると、いろいろ私のほうに手抜かりな点もある。設備の上であるとか、あるいは待遇の上であるとか、いろいろな面においてもっといろいろすべきであった、また、これからずっと先そういうことをして、それを直すべきでないかという点もあるわけでございますが、一番肝心なものは心持ちをしっかりと据えることでございます。そういう問題をしっかりとやっていくことができなかったということは、はなはだ申しわけないと思っておるようなわけでございます。ただいま各関係の向きと個々の問題についていろいろと研究し、その実施に移そうと努力中でございます。また、予算に関連するような問題につきましては、この次の予算にできるだけのことを事情を具して話を進めたいと考えておるわけでございます。
○国務大臣(永山忠則君) 北海道の関係は、網走署の交通係の巡査による運転免許試験に関する収賄事件でございます。これは徴戒免職をいたして、そうして刑事処分は私文書偽造、収賄で送致の予定でおります。さらに釧路署の看守係巡査の収賄事件でございます。これも懲戒免職で、刑事処分をいま収賄として送られております。また、室蘭署の留置人の集団逃走事件でございます。この関係者は停職をいたしております。
 さらに、札幌北署の警部補の印鑑盗用事件、これは諭旨免職をいたしております。刑事処分を送致いたしておるのでございます。これは大体北海道の事件でございまして、さらに、その他では熊本でホステスと心中をいたした事件。それから、千葉では、やはり拳銃で厭世自殺をいたした事件。奈良県では収賄事件がございまして、最近の事犯としてはこれらの点でございます。これに対しましては、北海道の関係は、北海道警察本部長に戒告、北海道警察本部警務部長に戒告、北海道の警察の釧路方面本部長は国家公安委員会の訓戒をいたしております。さらに、釧路方面、釧路警察署長に対しては減給をいたしております。札幌の方面、室蘭の警察署長に対しましても減俸をいたしているのであります。これは国家公安委員会でそういう処分をいたしましたが、北海道で処分いたしているものは、警視が七名、警部が二名、補が四名、巡査部長が四名、巡査が六名、一般職員が一名、計二十九名――北海道だけでやっているのは二十四名、国家公安委員会で五名というものが最近規律違反で処分をいたしている事例でございます。
○稲葉誠一君 永山さんのような非常にりっぱな国家公安委員長がおられるのに、どうして警察官がそういうふうな事件をよく起こすんですかね。
○国務大臣(永山忠則君) 一般には、この免職関係も、昭和四十年の一月と五月では十人でございました。四十一年の関係は七人でございまして、停職は昭和四十年の一月から五月までは十二名で、四十一年は九名でございますから、一般的には事犯が非常に多くなっているということではないのでございますが、北海道が特にこういう状態になっておりますことについては、その原因がどこにありますかを、いま北海道の警察本部に、その内容と原因、結果等を十分調査をし、それに対してどういうように対処するかということをいま検討を命じているのでございます。
 また、国家公安委員会並びに警察庁といたしましては、一般的に北海道関係は規律が十分でない、綱紀が粛正されていないのではないかということを憂慮いたしているのでございまして、厳重な処分はいたしたのでございますが、処分のみでは解決するものではございませんからして、よく監督指導に当たる者と警察官とが家族的な融和、一致していくような方向で指導をよくやる。したがいまして、やはり指導者の責任を明らかにするという指導者教育に力を入れなければならないというふうに考えているのであります。
 なお、やはり待遇の関係におきましても、住宅問題等、まだ三割五分ぐらいしか住宅が供与されておりませんから、これらに対しても待機宿舎、いわゆる独身関係の待機宿舎や、あるいは家族宿舎、独身寮、こういうものに対しても本年からさらに三カ年計画で予算を要求いたしまして、勤務以外の場所においても家庭的に、あるいは一般的に教養の確立をはかるというような方向で協力をしなければならないというように考えているのでございます。
 なお、管区警察学校、あるいは警察大学等の教養の点につきましても、十分これを契機としまして、もっともっと指導面あるいは教育面に対して十分ひとつ検討を続けて、これを契機に新しく再検討を進めたいと考えておる次第であります。
○稲葉誠一君 法務大臣にお尋ねするのですが、松山の刑務所で看守の人たちがあれだけ贈収賄やいろいろな事件起こしたわけですね。ところが、松山の刑務所長が京都の刑務所長に栄転したわけですけれども、これはどういうわけですか。
○国務大臣(石井光次郎君) 松山の前の刑務所長が三月に京都に転任した。これは定期異動でございます。
○稲葉誠一君 大栄転でしょう。
○国務大臣(石井光次郎君) しかし、俸給等は変わっておりませんですけれども、場所はよくなった。これは一月ごろから配置等をいろいろ考えまして、相当長い人でございまして、今度来年か、再来年定年になるくらいの人で、別にこういう問題をだれも予想だもしなかったわけでございます。京都に行くわけでございますが、いまになってはなはだ申しわけなかったと思っております。三月のころには何にも考えもなく、ただ一般の異動の場合として考えて、その人たちの能力、経験その他を考えて異動させたということでございます。
○稲葉誠一君 個人のことをかれこれ言うのでございませんから、誤解されると、その人が気の毒ですけれども、結局そういうような事件があるということが、どうしてわからなかったかということですよね。ぼくはいろいろな詳しいことを知っていますけれども、ここで言いませんけれども、一つは管区というものは、高松なら高松にあるわけですね。四国の管区があったって具体的に何をしているのかわからないので、いま管区制度というものは必要ないのじゃないですか。そこら辺のところはどういうふうに考えておられるのでしょうか。
 それが一つと、それから刑務所の看守の人をいうのは、夜勤が多いものですから勤務状態が苛酷なわけですから、労働組合もつくれませんから、いろいろな条件についての声が上へ届かないわけで、気の毒な条件もあるわけですね。きびしくするところはきびしくしなければなりませんけれども、そういう入の待遇ということについても、十分考えてあげなければいけないと思うのですが、この二点だけちょっとお尋ねしておきます。
○国務大臣(石井光次郎君) 看守の生活は、御承知のように非常な特殊的な生活でございまして、家庭生活からが、刑務所の回りに宿舎をだいぶもらっておりまして、その近辺に集団的におる。交際もその範囲に限定されておる。勤務は非常に長い時間やって、そうしてあくる日また休むというような非常に不規則というか、偏したような勤務状態であって、同僚の間の連携と申しますか、一緒になって仕事をする関係の連携等も非常にうまくいってない。孤独的といいますか、仕事の上で非常に孤独的なものがあるというように私は思います。今度の松山の場合なんかというのは、いろいろなことを聞くと、一番先に考えることは、暴力団の連中がいろんなことをやったわけですが、内と外の暴力団が、中にも暴力団がおれば、外にももと暴力団であったか、またたまごみたいなものであったかしらぬが、そういうものがおって、連携をとっていろいろやる。誘惑をし、それを聞かなければ脅迫をするというようなことで看守に攻めてくる。看守はひとりぼっち、それでいつの間にか誘惑聞かなければ、脅迫されるというようなもので、つい気の弱い人は引きずられていくというようなこともあるので、向こうが力でくるならば、こちらも力で固まっていなければ自分のことも守れない。一番大事なことは、私は、集団的に、看守というものは仕事の上にも、私の上にも非常に近所に住んでいるのでありますから、それがもう少し交わりをよくするような方法、これをもう少しわれわれのほうでも力を入れてやって、何とか私生活の上からうるおいを持たせ、そうして交わりをよくし、仕事の上にもよくなるようにしてやるということが一番大事なことじゃないか。幸いに給与その他は、御承知のように、ほかのほうから比べますと、わりあいによくしてもらっておりまするし、いろいろな設備等も五カ年計画ということで――非常に不愉快な環境の中で仕事をすることが多いものでございまするから、三十七年度から五カ年計画でいろいろなことをやって、大体ことしで一通りいろいろな設備等もまずはあんまりひどいところはないような状態になりつつあるのであります。そういうようなことを少しよくやってやりたい、こういうふうに考えております。
○稲葉誠一君 これはたいへん失礼なことをお聞きして恐縮ですけれども、だから、この問題で次官や局長を戒告ですか、何か処分したわけですね。それはそれとして、やはり世間では最高責任者は、石井大臣ですから、あなただと考えるわけですよ。あなた自身の責任というと語弊があるけれども、これはどうなんでしょうか。ちょっと変なことを言って恐縮ですけれども、御自分でお考えになられると思うのですけれども、下のほうだけ処分しちゃって自分のほうはまあ、まあまあということじゃこれはなかなか納得しないのじゃないですか。
○国務大臣(石井光次郎君) この問題は、参議院でございましたか、衆議院でございましたか、さきに申し上げたように、私が私自身で善処いたします。ということを申し上げておるわけであります。
○稲葉誠一君 きのう小林章氏の問題が出たわけですけれども、これは総理をお願いします。これはこういうふうに検察庁のやり方に対して疑惑があるといいますかね、これは素朴な疑惑ですね。当然起訴すべきではなかったか、こういうような疑惑まである。検案審査会でああいう意見を出したときには、これは検察庁としてはむしろ裁判所の公正な判断を仰ぐ、こういう態度に出て、それにまかせるという形で起訴をする、公判に回す、こういう態度をとることが、やはり検察庁というか法務省といいますか、国民の信頼を得るゆえんだ、こうぼくは考えるのですが、そういう考え方はもちろんあるわけですね。ですから、証拠の関係とか、いろいろ法律的にありますけれども、やはりこういう場合には、裁判所に公正な判断を求めるため起訴に踏み切るべきだ、こういうふうに私も考えるのですがね。この点については法務大臣としてはいかがお考えなんでしょうか。
○国務大臣(石井光次郎君) 小林君の場合に、検察審査会からいろいろ問題が出てきた。これは御承知のとおり、私がきのうお答え申し上げたように、検察庁において、地検におきまして、これは慎重に審議をして起訴すべきかどうかということをすべきがこれは当然のことである、こう私は考えております。ただいまのは一つの御提案でございますが、そういうことでありますると、審査会から出たものは、一応検察庁ではたよりないのだから、お前らのやったことも一応はわかるが、それから先はもう一ぺん裁判所に回せということになると、みんな訴えなければならぬということにもなるような結論にもなるわけでございます。この問題だけをそうしろとおっしゃるのかもわかりません。これはまず地検において慎重に考えてしかるべきだというふうに考えております。
○委員長(石原幹市郎君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(石原幹市郎君) それじゃ速記をつけて。
○稲葉誠一君 きのうもちょっと問題に小林章氏のことが出たわけですけれども、これはあまり差し出がましいことを言うのはあれだと思うのですけれども、結局あれだけ世論が高まっていろいろ非難が出ているのですね。ですから、これは自民党の総裁として内容に決して干渉するわけじゃございませんけれども、あの方を呼んでやはり善処を要望するというのが、これはやはり国民大衆への一つの、何といいますか、義務ではないか、道義ではないかというふうに考えるのですけれども、決して内容に干渉するつもりはございませんけれども、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま稲葉君から一つの御提案がございました。また本人自身もえりを正して以後は反省している、こういうことを申しておるようでございます。これはたいへんな問題だし、また平素清潔な政治または公明な選挙、これを実現するように努力しておりまする私としても、今度の事柄についてはたいへん残念に思っております。先ほど来、また昨日も、きょうも、これについての御批判をいただいたのでありますが、十分反省するつもりでおります。
○稲葉誠一君 そこで、清潔な政治だとか政治の姿勢を正すということを言われるわけでしょう。これは当然なことなんですけれども、具体的にそれではどういうことなんで、どういうことを総理としてはしようとお考えになっているのか、そういう点をやはり国民の前にはっきり示さないと、ぼくはやはり政治の正しいあり方ではないと、こう思うのですが、その点はいかがです。具体的に、いまの問題にこだわるわけじゃなくてですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) この基本的な態度なり物の考え方、これは理解していただいていると思いますが、やはりこれを具体的にいかにするか。言われておりますいわゆる信賞必罰といいますか、そういう考え方をもっとはっきりして、そうして公務員全般がやはり公の奉仕者である、その使命に徹するように仕向けなければならないと、かように存じます。
○稲葉誠一君 小林さんの問題という意味で言ったわけじゃなくて、言われている清潔な政治とかそういうふうなものは具体的にどういうものなんだ、そういう意味のことを聞いているわけですよ。
○国務大臣(佐藤榮作君) なかなかむずかしい問題です。具体的に一々やれと言われましても。私は私自身が範を示すようにいたしておるつもりです。
○稲葉誠一君 そこで、政治の姿勢を示すための基本は、もちろん各種選挙だけれども、それはもっと根本なものはあれですね、総理大臣を選ぶための選挙ということになると、結局自由民主党の総裁選挙、これがもう基本問題であるわけですね。ここでしっかりした政治の姿勢というものが正されなければ、国民というものが議会政治なり何なりに対して不信を持ってきざるを得ないわけですね。総理大臣もそうお考えになると思います。ところが、黒金さんの公判廷における証言などを見ますと、非常に総裁選挙に金がかかっておる。これは政治の最高の秘密なので、答えたくないと言われておるのですが、総裁選挙に一体なぜそんなに金がかかるのか。これは差し出がましい意味ではなくて、国民はやはりしっかりそこを政治を正してもらいたいと思っているわけですから、ぼくらもよくわからないのです。どういうふうにして金がかかるのでしょうか。またそういうあり方はいいことなのでしょうか。悪ければどうやって直していったらいいでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま総裁選挙に非常に金がかかると、こういうお話でございますが、私はさように考えておりません。私自身直接立候補をし、またその後総裁にもなりましたが、そんな金がかかったと、かように思っておりません。
○稲葉誠一君 いや、あなたのときはかからなかったかもしれませんけれども、そうすると将来も、その基本ですからねこれは。黒金君が言うところでは、二十億ぐらいかかったと言われるけれども、これはまあうそだと、一割ぐらいかかったと言う。二億ぐらいかかった。池田さんの総裁選挙のときに。こうはつきり言っているわけです。そうすると、佐藤さんのときに全然かからなかったというのも常識的におかしな話で、私はあなたの党の内部のことに干渉するつもりはございませんよ。けれども、自由民主党の総裁選挙が現実には総理大臣を争う選挙だ。それに莫大な金がかかって、何だかんだと言われているのです。それが政治に対する不信の一番の根元なわけですから、そこをしっかり正さなければ、清潔な政治もへったくれもないわけですよね。だから新たな総裁選挙にかりに相手方にだれが出るか知りませんけれども、そういう場合には絶対に清潔な政治をやるのだ、変なことはやらないのだということをやはり私は国民の前にはっきり約束していただかなければ困ると思うのですがね。
○国務大臣(佐藤榮作君) この十二月で総裁の任期がまいりますから、どうしてもいまの党則では選挙をしなければならない。ただいま言われるようにその選挙に金がかかる、また何々党の委員長もずいぶん莫大な金を使うというようなうわさが流れております。そういうことはとにかくいいことではありません。これは政党といたしまして、そういううわさが立つことは、私は望ましいことではないと思っております。清潔な政治の範をみずからたれる、こういうことで進みたいと思っております。
○稲葉誠一君 そういうふうにぜひお願いしたいと思って、私どもとしてもしっかり監視しております。
 そこで別のことでございますが、この前起きた黒磯で農業用水路の工事で地元民の方が犠牲になられた。これはあそこの土地改良区の管理による用水路の復旧作業中に起きたものなので、この災害のことについてはいろいろ土地改良事業の実施をめぐる問題点があるわけです。被災農民に対する補償というような問題を含めて、最初に農林大臣からこれに対する御所見を承わっておきたい。あわせて那須野力原地区の総合土地改良事業計画をどうやって早く進めるか、このことについてもお答えを願いたい、こう思います。
○国務大臣(坂田英一君) 黒磯の隧道に関する土地改良の問題について、非常にたくさんの犠牲者を出しましたことについて、非常に衷心から哀悼の意を表しておる次第でございます。これに関しまして補償、労災補償等の問題等、全般的にわたって気づいた点を簡単にひとつ申してくれという御質問のように思うのでございますが、そこで抜かる点もあるかもしれませんが、きわめて簡単にその点を申し上げておきたいと思います。
 まず、労災補償に関する関連しての問題でございますが……。
○稲葉誠一君 それは労働省のほうから聞くからいいです。
○国務大臣(坂田英一君) そうですが。そういう点についてもこれは考えてまいりたいと思っております。今度の場合は、土地改良組合でやるということは、将来はこういう大きなものを組合でやるという事業はない。これはずっと以前の事業でございます。ですから、将来としてこういうものはないのです。ただ管理とかあるいは維持をしてまいるときに簡単な作業という問題はあろうと思いますが、こういう大きな問題は将来起こり得ない、あり得ないと大体思っております。そういうふうな情勢にあることを申し上げておきたいと思うのでございます。
 それからこういう点につきまして、現在の補償関係について私も非常に――労働省の関係でございますが、やはり関心が非常に強いのでございまして、これらの問題はいずれ監督庁において問題が大体の結果が調査された上において、私も労働大臣と十分話し合いをいたしていきたいと、かように存じておるわけでございます。
 それから現在の営農関係でございますが、この営農関係は非常にやはり二十五人もおもな人がなくなっておりますので、その営農関係については、現在県のほうが中心になりまして、改良普及所が中心でこれらの営農を進めるようにいま努力はいたしております。私農林省といたしましても、県の要請によりまして、たとえば機械を貸すとか、いろいろの点がありますので、そういう点でできるだけのことをお手伝いを申し上げなければならぬと、かように存じておるわけでございます。
 それから最後の総合開発の問題でございますが、これは非常に大きなパイロット事業でございまして、全体で九十億、農業関係だけでも八十億、こういう大きなものでございます。これについては四十一年度から実際の設計をいたすことに相なっておりまするけれども、これにつきましては早急に、こういう問題もありますので、早く実施、実行に移す点についても努力を進めてまいりたいと、かように存じておるわけでございます。
 それから今度の場合は確かに非常に不注意といえば不注意だと思います。発電機の何を持ち込んでやりましたわけでございまして、たいへんこれはいわば不注意なことでございまして、さらに私どもとしてもこれらのことが二度と起こらぬように、十四日にも十分全国にわたってこういうことのないようにという通達を発しまして、それからまた関係官庁とも相提携して、かようなことの再び起こらぬことに十分の注意を払っていくということに進めておるわけでございます。
 なお、落ちた点がありましたらまた後ほど……。
○稲葉誠一君 労働大臣にお尋ねするわけですが、この場合の労災保険で補償するというふうなことを当然――こまかい理屈はいろいろあるとしても、当然考えていいはずだと、こういうふうに考えるわけで、これは非常にこの地区の遺族の方々や町民やその他の方も要望しているわけですから、この点について労働大臣としてはどういうふうにお考えなのか、これは補償の方向にぜひ進んでいただきたい、こういうふうに思うわけですが……。
○国務大臣(小平久雄君) 今回の事件の罹災者につきましては、私どもも何とか救済の措置をとってやりたい、こういう気持ちは十分持っているわけであります。ただ、お話しの労働災害補償保険を適用するかどうかという問題につきましては、先般も本会議で御答弁申し上げましたように、まず罹災された農民の方々が谷黒組と労働関係があったのかなかったのか、どうもその辺のところが実はぎわめて不明確なのであります。労働関係があるということを前提にしてこの保険の適用があるということは先生御承知のとおりでございます。したがいまして、その事実関係を目下鋭意慎重にしかも詳細に調査をいたしておるところでございますので、その結果を待ちまして結論を出したい、それまでしばらくお待ちを願いたいと考えておるわけであります。
○稲葉誠一君 私もこの現場へ二回行ったのですが、大臣も行かれたと思うのですが、この谷黒組というのが、工事の受注について、労災保険に入っておるから災害が起こったときの補償はだいじょうぶなんだと、土地改良区に行って説明したと、こういうふうに私も聞いたわけです。ですから、結局被災農民の方の雇用主というのは谷黒組だと、こう考えていいのじゃないですか。
○国務大臣(小平久雄君) その点につきまして、当局でいままで知り得たところでは、災害のありました前々日の六日に土地改良区の自治会があって、その際に労災の話が出た。しこうして、金子と申しましたか、書記の人がそのことを谷黒組に伝えたらば、いま先生お話のように、労災はだいじょうぶだというふうに返事があったやに聞いておることも事実であります。しかし、一方農民の側においては、一体谷黒組が請負者としてはっきりしていたのかどうなのか、谷黒組に雇われるものなのかどうか、一体賃金は幾らなのか、そういうことは一切少なくもはっきりは知らない。そういう状況で、従来のならわしに従ってあの仕事に出ておった。こういうふうな事情にあるようでございますので、単に谷黒組がだいじょうぶだと言ったというだけでは、はたしてこの労働関係があったのだと、どうもそう急にそれだけで断定するということもいかがなものであろうかと、こういう考えをいま持っておるわけです。いずれにしてもさっき申しましたとおり、それらの事情も十分調査をいたすつもりでおります。
○稲葉誠一君 総理にお尋ねしたいわけですけれども、総理はかねがね人間尊重というようなことを言われておられるわけですね。それは当然なことだと思いますが、七月十四日の本会議でも、この災害の跡始末については国としてもできるだけのことを考えていく、と答弁されたわけです。結局、農林省あるいは自治省、労働省、これらの各省にまたがっておる問題だと、こう思いますけれども、これらを指揮というか督励をして、具体的に国としてもできるだけのことをぜひこれは考えていただきたい。でないと、遺族の方はほんとうにこれは困っておられるわけですし、そういうふうなことで、国としてもできるだけのことを考えていくということを、具体的に今後生かしていただきたい、こういうふうに考えるわけですが、この点についてお答えをいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今日いろいろ各省関係官のところを督励をいたしておりまして、ただいまの具体的な御要望に対しまして私も最善を尽くして善処するつもりでおります。
○委員長(石原幹市郎君) 念のために、時間がきておるようですから……。
○稲葉誠一君 そこで、いまの人間尊重ということに関連するのですが、社会開発ということの具体的なものの考え方はある程度わかったような気もするのですが、社会開発社会開発と言いながら、実際は大都市中心であるとか、あるいは独占資本ということばがあなた方いやならば、大資本でも何でもいいですけれども、あるいは産業資本でもいいですけれども、そういうところが中心になって社会開発が行なわれて、農山村であるとか、日の目を見ないところ、そういうところの社会開発というものが非党におくれるかっこうになるわけですね、どうしても。そして、結局人間尊重人間尊重と言いながら、こういうふうな事件が起きてくる、この事件に限らず。ですから、具体的に人間尊重ということを言われるならば、それを明年度以降なり、本年度なり、どのような形で事業の中に、あるいは予算の中に生かしていかれたか、あまりこまかい点はいいが、その点について総理と厚生大臣からお話をぜひお願いしたい。
 厚生大臣については、いろいろ肢体不自由児の問題、あるいは言語の障害児の問題、視聴覚障害児の問題、心臓病の子供の問題とか、これらの問題についても概略今後どういうふうにしたいのかというようなことについてお話をお願いしたいと思います。
 ぼくは、時間があれですから、これで終わりますから、ちゃんと……。大臣心配しないでもいいですから……。
○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねでございますが、社会開発、これは私が提唱したとかように申していいと思いますが、その後の政治が足らないのじゃないかという御批判もございます。私は今後政治の部門で、いずれもみな大事でございますが、やはり社会開発に撤することが必要ではないか、かように実は考えておるわけであります。ただいま言われますように、社会開発は各部門、産業部門もまた各地方、それらのものが均衡がとれて発展することがこれが何よりも望ましいことであります。しかし、現状におきましては、やはりあらゆる施策をいたしましても、どうも都市集中の形にならざるを得ない、これも実情でございます。そういうような意味で、現状をこのままでよろしいというわけではございません。そういう意味の是正の措置ももちろん心がけてまいりますが、力の入れ方も、この現実を無視できない状況にある、これをひとつ御了承いただきたいと思います。
 また、御指摘になりましたように中小規模産業等について、特に生産性の面からも経済開発の面で、中小企業やあるいは農業等の育成強化、これが一つの課題であります。これはただ単に経済開発と見ないで、これはいわゆる社会開発の部門として取り上げられ、一緒にしてお考えいただいていいことじゃないかと思います。なかなかむずかしい議論もございますが、大企業だけに奉仕する問題でない、この点を重ねて御披露いたしまして、むしろ金はあまりかからない、日の目を見ないいわゆる谷間の人たちに対する暖い救いの手を差し伸べること、これが一番私はいい方法じゃないか、かように思う次第でございまして、その具体的な問題等につきましては、厚生大臣からお答えいたしますが、なお十分注意してまいるつもりでございますから、この上とも御鞭撻をお願いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま総理から、社会開発につきましての基本的な考えにつきまして御答弁申し上げたわけでございますが、その裏づけといたしまして、厚生省といたしましては、まず第一には医療保険制度につきまして、国民に対して適正な医療の給付ができまするように医療制度の総合的かつ抜本的な改善策をぜひ講じたい、かように考えております。また、所得保障としての年金制度の充実につきましては、昨年の厚生年金、今年の国民年金の改正等によりまして、いわゆる一万円年金の実現をはかり、一万円国民年金の制度を今回拡充をいたしたのでありますが、今後におきましても、福祉年金等の面に対しまして、さらに一そうの改善をはかりたいとかように考えておるわけであります。
 なお、経済の発展に取り残されましたところの低所得の方々や、あるいは老人とか、あるいは疾病、あるいは心身の障害というようなハンディキャップを背負っておりますところの気の毒な方々に対するところの社会福祉施設の整備拡充、こういう面につきましても、特段の努力を払っていきたいと考えておるわけであります。その他環境施設の整備ということが特に大切になってまいっておりますので、公害対策その他の環境施設の整備につきましても力を入れてまいる所存でございます。
○稲葉誠一君 いま言った四つのやつ、肢体不自由児と言語の障害と視聴覚と心臓病のあれを……。
○国務大臣(鈴木善幸君) なお、具体的に肢体不自由児等の問題につきましてもお尋ねがあったわけでございますが、これにつきましては、御承知のように昭和四十一年度に全国十一カ所五百二十ベッドの国立の収容施設を整備をいたしますと同時に、今後昭和四十五年までに計画的にこれを整備してまいりまして、少なくとも五千床の収容施設を整備をしたい。また、在宅の療育指導につきましては、児童相談、あるいはまた特別扶養手当制度の今回改善をいたしたのでありますが、今後ともこういう介護費の充実、あるいは支給範囲の拡充、所得制限の緩和、こういう面につきましても特に力を入れていきたいと思っております。
 また、先天性の心臓病の子供さんの育成医療の面につきましては、今日まで決して十分予算的な措置が講じられておりません。この面につきましては、来年度におきましては特に力を入れてやってまいりたいと、かように存じます。
○委員長(石原幹市郎君) 稲葉君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(石原幹市郎君) 次に瓜生清君。
○瓜生清君 私は、質問に入る前に政府側に若干の要請をしたいと思います。
 それは、わが党に与えられました質問の時間がわずか十分でありますから、一つの問題について残念ながら深く突っ込んだ質疑を展開できませんので、ごく簡単に数項目にわたって質問いたしますから、詳しくお答えを願いたいということをお頼み申し上げておきます。
 まず、大蔵委員会との関連がございますから、大蔵大臣に御質問をいたします。
 御承知のように新潟県を中心とした豪雨による災害、それから本年八月には恒例の人事院勧告が出されると思うわけでありますが、これに対する補正予算を組まれる時期はいつごろになるのか、それをお尋ねいたします。
○国務大臣(福田赳夫君) 御指摘のように人事院の勧告が八月にはあるであろうと予想されます。また、米価の関係が出てきておるわけであります。それに災害――いまの程度でありますと災害はまあそう金を必要とする状態ではありませんが、しかし、今後災害がどういうふうになるかというようなことを考えますると、かなりの補正要因というものが出てきておるわけです。これに対する財源としては、ただいま予備費を六百億ばかり持っておる、こういう状態でございますが、これではとうてい足らないのであります。今後の税収がどうなるかというようなこともよく見定めまして補正予算を編成いたしたい。まあその時期でございまするが、いま臨時国会という予定もございませんが、もしそういう事態でなければ、これは次の通常国会である、かように御了承願いたいと思います。
○瓜生清君 いま米価の問題が出ましたが、生産者米価はああいうふうな形できまりましたけれども、消費者米価を値上げするかしないかということにつきましては、値上げをしないという含みで、しかも当分の間というような、まあ裏の事情があるわけです。そこで、大蔵大臣に率直に聞きたいんですけれども、一体消費者米価に対してそれを決定する、値上げする、しないについては、まあ大蔵省の意向というものが私の過去の経験では相当大きく左右すると思うのですけれども、消費者米価に対する考え方について、大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(福田赳夫君) 消費者米価を決定しますにあたりまして、検討すべき問題点は、一つは、物価政策の関係であります。今後物価がどういう推移をたどるだろうか、それに対して消費者米価がどういう位置づけになるか、こういうような検討であります。それからもう一つは、国民のふところぐあいと申しますか、生計費の状態がどういうふうになっていくだろうか、これに対して消費者米価の関係いかん、それからもう一つの問題は財政との関係であります。
  〔委員長退席、理事小沢久太郎君着席〕
 で、前の二つの要因から申し上げますると、消費者米価はこれは値上げしないほうがいいんです。ところが、財政の関係からいいますると、これは今度の生産者米価の決定によって七百億円の一般会計負担と、こういうことになるわけであります。ただいま御指摘のように、本年度の補正予算の編成も非常にむずかしい状態ぞある。来年度になりますると、その状態がまた尾を引くと、こういうことになります関係上、この第三点である財政の状況もこれはもう非常に大きな顧慮すべき要因である、こういうふうに考えております。いずれ、そういうような状態が今後どういうふうな状況になっていくか、その推移を見まして慎重に検討して結論を出したい、かように考えております。
○瓜生清君 昨年の公務員給与の改定に伴う財源増、それからいま大臣が御指摘になりました消費者米価が値上がりすることによって必要な資金が約七百十五億円ですか、それを合わしただけでも千億円以上の新しい財源が要ると算術計算されるわけです。それをいまの現段階の見通しで、自然増収というようなことで消化し切れるのかどうか、大臣の見通しを聞きたい。
○国務大臣(福田赳夫君) お話しのように千億をこえる補正要因が出てくると思います。それに対して財源はただいまは予備費だけである、こういう状態でございますが、税収が一体どうなるか、まだ年度早々の間でありまして、その実績をもとにして今年度の税収がどうなるであろうか、予測困難な状態でございますが、まあ予定を、昨年のような状態で落ち込むことは万々あるまいと、こういうふうに見ておるのです。しかし、上回りがどのくらいの規模になるか、多少のことはあるかもしれませんけれども、それは一にかかって今後の経済がどういうふうに推移していくかということになるだろうと思うのです。それらを十分見定めた上で補正を検討しなければならない、さように存じておる次第でございます。
○瓜生清君 昨年より財源が落ち込むことはないというお話でありますけれども、そういたしますと、もしも税収というものが不足した場合に、今後の補正予算では、昨年と同じように公債というものを発行してその財源に充てるという考え方があるのかないのか、お聞かせ願いたい。
○国務大臣(福田赳夫君) 税収が落ち込むとは考えておりません。ただいま申し上げたとおりであります。昨年のような落ち込みはことしはなかろう、こういうふうに見通しておりますが、補正の要請の財源として公債を発行すると、こういうことは考えておりません。そういうことは少しも考えない。今後もそういうことはいたしません。
○瓜生清君 そうしますと、大臣、公債を去年のように発行せずして、いま言いました食管会計、それから公務員のベースアップということがかりに差し引きゼロという形で処理されても、私は、いまの状態からいきますと、どうも消費者米価ですね、これを上げなければ、大臣がいま予測していられるような形にならないのではないかという気がするわけです。
 そこで、今日の時点におきましては、米代を上げない――上げないと言っておられますけれども、どうもその根拠が、いまは値上げしないけれども近い将来上げなければもたないのではないかという事態が来るような気がするわけでありますが、先のことを聞いてもなかなか的確な答弁はできないと思いますけれども、そこの点をもう少し明確にひとつ考え方を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(福田赳夫君) 今後の税収の推移、そういうものをよく検討いたしまして補正はきめなければならない、そういうように考えております。
 消費者米価をどうするか。先ほど申し上げたとおりでありまして、物価の上昇いかん、生計費の上昇いかん、それから国庫財政をどうやって是正するか、この三つを基礎にいたしまして結論を出す。今日ではそうお答えするほかはないのであります。
○瓜生清君 そうすると、三つの推移いかんによっては消費者米価が上がると、こういうこともあり得るということですね。
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま上げるということは考えておりませんけれども、今後、その三つの点から慎重に検討して、結論を出す、こういうことでございます。
○瓜生清君 次は総理にお尋ねをいたします。
 ずいぶん昨日から論議がありまして、総理も聞きあきたというようなことかもしれませんけれども、ベトナムの和平問題について、総理の考え方を聞きたいと思うんです。
 私の判断では、先般、アメリカの北爆、さらに北ベトナムの米人捕虜の処遇の問題、徹底抗戦のアピール、そういうようなものから、現在のベトナム戦争というものは非常に、何といいますか、危険な状態に、いわゆる最終的などうもわれわれは好ましからざる、全面的な戦争のような、そういうものに発展する可能性があるというふうに受け取られるのですが、総理は現状をどういうふうに見ておられますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま言われますように、ベトナムの紛争が現段階において非常に激化しておる。これを私も認めることにやぶさかでございません。しかし、ただいま言われるように、これが全面戦争への危険性を持っている、まあこれはプロバブルな変化がどうあるだろう、こういう議論は別といたしまして、真剣に――いわゆるそういう拡大の危険性がある、こう判断するのはいかがかと思います。だからこそ、私たちがこの席で申し上げておりますように、当事者としては、なかなか激しやすい、平静な気持ちで事態を判断しにくいだろうけれども、こういうときこそ、おか目八目ではございませんが、そばから見ている者、そういう者が忠告する必要があるのではないだろうか、こういう意味で、どうかひとつ冷静な判断をされて、そうしていきがかりにとらわれることなしに、話し合いに応ずるようにしてほしいと、かように私は念願しております。
○瓜生清君 冒頭に言いましたように、私、深い討論をする時間がございませんので、いまの総理の考え方は若干私は違いますけれども……。
 そこで、総理は、ウ・タント国連事務総長のいわゆる和平のための三原則があるわけでありますけれども、これに対して支持をされるのかどうか、考え方を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 外務当局がいるとたいへん間違いなしに説明してくれるだろうと思ったのですが、いまいませんから、ただいま法制局長官からも聞き取ったところであります。ウ・タント事務総長の発言のこの内容は、なお私どもがもう少し確かめてみたい点もございます。しかし、とにかく、全面的に話し合いの方向へ行こうと、これについては私どもがかねてから申しておるのと同様だと、かように思います。ただ、このウ・タント発言が、北爆の停止それのみを大きく取り上げた、こういうところのものではどうもなさそうに思いますので、この辺が十分確かめられれば一そう明確になると、かように思います。
○瓜生清君 一昨日の衆議院予算委員会で、わが党の小平議員の質問に対して、政府が、ベトナム和平に対して積極的な行動をとるのにやぶさかでない、という発言をされたわけですが、それは現在も変わりありませんか。お伺いします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の考え方は終始変わってはおりません。いい考え方があればさらに各党とともにこの問題の平和への道をさがすのにやぶさかではないことをつけ加えておきます。
○瓜生清君 そこで私は、先ほどから各委員の方が指摘されたように、ベトナムの和平について総理が平和的解決をはかるのだ、それに徹するのだと言って、具体的な内容というものがなかなか出てこないわけです。そこで私、そういう問題を追及しておりますと時間がなくなるので、私どもは、いまのベトナム戦争というものは破局的な方向に一歩一歩近づきつつある。したがって、この際、日本政府として相当思い切った、何といいますか、和平工作のようなものをされる必要があるのじゃないか、その討論は抜きにしまして。私はここに一つの提言を総理にして見たいと思うのです。
 それは、この際日本政府が、ベトナム近辺の関係諸国並びに非同盟諸国に日本政府を代表し得る特使を派遣して、和平の働きかけを実行すべきだ、こう思うのです。
 第二に、その内容、目的は、とりあえず交戦当事者国間の一時休戦、それから、その間における関係諸国による交戦当事者国双方の難民救済、いわゆる戦争によって被災した者をいかにして救うかという問題、ことばをかえますと、赤十字的業務、こういうものをわれわれはそういう国々に協力を求めて、そういったことを一つの足がかりにしながら、とりあえず、いまのエスカレートしたものを、昨年のクリスマスですか、そういうときもああいうことが実際可能であったわけでありますから、それに似たような措置を緊急にとるべきじゃないかという気がするわけであります。そこで私は、佐藤総理がそういうことをおやりになって、たとえ失敗をしても、私どもその成果のいかんにかかわらず、日本としてはそれくらいの姿勢を示すべき時期に来ているのじゃないか、そのことが万が一われわれの意図せざる結果になりましても佐藤政府としてはこれこれこれだけの努力をしているんだという、そういうことが国民の中に強く何というかアッピールをして、悪い結果であっても政府の行動に対して賛同の意を表するというような、そういうことが起こってくるんじゃないかと思うのですが、この私の提言に対しまして総理のお考え方を聞きたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、ベトナム紛争の平和への糸口を見つける、こういう意味で御提案がありました。私も、そういう御提案がほんとに実を結んでくれればたいへんけっこうだと、かように思います。十分政府におきましても検討いたしますし、問題はこれが――そういうことは全然問題なしに考えろ、こういう意味かと思いますが、やはりチャンスといいますか、一つの機会がそういう方向でないときにやることはいかがかと思いますしあるいは議論すれば、それだからこそ失敗してもいいじゃないか、とにかくこういう道をとれ、こういう御提案かとも思いますけれども、政治家といたしまして、十分効果のあがる時期、十分成果のあがる時期にそういうものを取り上げていきたい、かように思いますので、在来の考え方でおり、同時にまた今後の流動するものに対しまして、ただいまの御提案のあったことも参考にする、こういうことで取り組んでまいる考えでおります。
○瓜生清君 時間がないのでそれに対する反論を加えられないのが残念でありますが、私は総理に一言お願いしておきたいと思いますことは、ベトナム問題にしても、あるいは中国の問題にしても、日本の将来を決する、あるい影響のあるきわめて大きな問題だと思うのですけれども、こういうような国際情勢が激動しておる時期にありましては、何といっても前向きの姿勢で、あるときには、どう言いますか、泥をひっかぶるくらいな、そういう気魄と信念を持って事を処するに当たっていただきたい。そういう姿を見て初めて国民は納得するのではないか、このことを私は自分の意見として申し上げておきたいと思います。
 時間がありませんから、最後に質問いたします。郵政大臣にお伺いしますが、電電公社の経営は、これは四十五年以降になると、加入者債券の返済が一挙に千数百億円くらいになると思うのです。それから四十二、三年ころから私どもの聞いている範囲内では経営傾向というものが赤字に転化するようなきざしがあるんじゃないか。事実かどうか知りませんけれども、そういう情勢の中で、昨年九月、電信電話調査会ですか、ここの報告によれば、電話の設備料を二万円に上げる、それから……。
○理事(小沢久太郎君) 瓜生君、時間が超過しましたから、簡単に願います。
○瓜生清君 電話料金の値上げが必要だと、こういうことを言っておられるのですけれども、いまの相次いで公共料金が値上がりになった中で、電信電話代の値上げについてどういうふうなお考え方を持っておられるのか、そのことを最後に質問いたします。
○国務大臣(郡祐一君) 現在加入電話八百五十万くらい四十一年度末でできますが、その場合でも積滞は約二百万近くになるという状況で、需要が非常に多うございます。したがいまして、今後おっしゃるように需要が非常に多くなる。それに対する資金をどうするかという問題があります。それから、それに伴って収支の均衡をいかにしてはかるか。御指摘にもありました債務の償還も次第に大きい額になってまいります。そういう状態でありますから、公社といたしましてどのような形にして収支の均衡をはかるかということをただいま公社案を研究いたしております。政府に対して公社案の提示を待って、政府としてはよく研究をいたそうと思っております。ただいまのところ、いかなる形で収支のバランスをとるかということは、公社自身がまだ結論を得ておりません。公社の結論を持ってまいりまして政府に説明に参りましたときに、十分政府として諸般の状況を参酌して検討いたしたいと思っております。
○瓜生清君 悪かったら上げるんですか。
○国務大臣(郡祐一君) 公社が現に検討いたしておりまする案というものがいかなる形をとるかということは、料金にいくか、財投等の形でいくか、そういう点についてはただいま検討しておる状態でございます。結論にはまだしばらくひまがかかることと思います。
○理事(小沢久太郎君) 瓜生君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○理事(小沢久太郎君) 次は春日正一君。
○春日正一君 アメリカのハノイ、ハイフォンに対する爆撃がその後都市、道路、水路などの無差別爆撃にまで発展しております。これはベトナムの人民に対する残虐な侵略の拡大であるし、同時に社会主義体制に対する正面からの攻撃であります。これはアジアと世界の平和に対する新たな挑戦だと思います。これに対して世界の多くの国々が非難し、イギリスのウィルソン首相すら、支持しない、こういうふうに言っております。わが国でも、これに対する非難、抗議というものが国民の間に高まっております。ところで、政府は、これもやむを得ない行為だと言って、ハノイ、ハイフォン爆撃を肯定するような態度を表明しております。
 そこで総理に質問しますけれども、政府はハノイ、ハイフォン爆撃に始まったこの新しい事態を、これの成り行きをどのように判断しておられるのか、これをひとつ聞きたい。
 もう一つは、政府がこれまでと同じように、あくまでアメリカのベトナム侵略を支持し続けるつもりなのかどうか、支持しないとはっきり言うべきときに来ているのじゃないか、この点総理の考え方を伺います。
  〔理事小沢久太郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへん残念なことですが、春日君と立場が違っておりますので、結論もそれぞれ違うようであります。私は、ハノイ近郊のいわゆる石油貯蔵庫、これを爆撃したことについて、政府としてすでに声明も出しております。いまその考え方を変えるつもりはございません、
 私はこの場合に特に誤解のないように願いたいのは、なるほどいままでも爆撃をしなかったハノイ付近に爆撃の手が伸びた、こういうことはいかにも非常に拡大したかのように一方で見られます。しかし、過去におきましても中共との国境付近にまで爆撃の手が伸びたことは、御承知のとおりであります。したがって、このハノイよりも遠隔の地まで行ったのだ。しかし、そういう場合にいつも、軍事施設、軍需物資の集散、そういうもの、いわゆる北からの支援を弱めるような爆撃の効果をねらったのだ、これだけは私ども今回の爆撃におきましても言えるように思うのであります。したがって、ハノイ付近を爆撃したことは新しいけれども、爆撃の質的にはどうもいままでと変わりないように思う。もともと戦争自身が望ましいことではないのだし、したがって、ベトナム紛争が一日も早く平和になるように念願しておる者から見て、こういうように爆撃が質的な変化はないにしろ拡大されたことは、まことに残念に思います。だけれども、できるだけ平和を早く招来すると、そういう木筋の努力が払われることを心から願っておる、こういう意味で声明等もすでに出したのでございます。したがいまして、ただいまその考え方を変えるつもりはございません。
○春日正一君 総理は、質的に新しい発展はない、必ず広がるというような心配はないというふうに言われますけれども、戦争というものは相手があるものですから、これまでの経過を見ても、一九五四年には南ベトナムにアメリカの軍事顧問というものは二百七十人おった。現在ではアメリカ軍が二十七万五千人、韓国その他の軍隊を入れると三十万以上も行っておる。こういうふうに広がっておるわけであります。それから、六五年二月の北爆を始めたときには、ホー・チ・ミン・ルートをたたくのだということが主要な理由として言われた。主として二十度線以南のほうをやるんだというふうに言われていた。それが現在では、ハノイ、ハイフォンだけでなくて、ベトナムのさまざまな都市、道路、堤防その他、とにかく戦力ということになれば、国民生活のあらゆる面が近代戦において戦力になるわけです。そういうものに対する残虐な爆撃がやられておる。これはベトナム人民共和国が国際監視委員会にそのつど抗議し、申し入れている。そういう状態に広がっておりますこの経過を見れば、アメリカがベトナムに干渉してベトナム人民の反撃を受けて負けて、それで拡大して、また負けて拡大する、この経過をずっと繰り返してきてここまで来ておる。だとするならば、今度のハノイ、ハイフォンの爆撃が失敗してさらに拡大しなければならぬ羽目に追い込まれるという可能性というものは非常に大きいと思う。その点で、いままでと変わらないというような見方でのんびりしておられたのでは、国民として困るんじゃないか、その点どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、別にのんびりしておるわけでもございませんが、春日君からのんびりしては困るとこう言ってしかられましたけれども、私はとにかくこのベトナム紛争そのものがよくない、どうしましても。だから、紛争自身をどうしてとめるか――一つ一つの行為、この爆撃はけしからぬとか、どうもこの無幸の人が死んだからけしからぬ、あるいはどうも道路を爆撃したのがけしからぬ、こういうことでなしに、戦争、この紛争自身がけしからぬとなぜ言ってくださらないか。だから、そういう意味で、この紛争をとめるということ、これが私のけさほど、また昨日も議論した点であります。私は、共産党といえども、平和ということを望んでいらっしゃるのだと思う。だからこそいろいろの行為についての御批判もあるのだろうと思います。行為についての御批判をおやめなさいとは私申しません。もっと全体としてその起こるところのもの、これは紛争自身なんです。紛争をどうしたらとめるか、これをひとつ考えるということでありたいと、かように思います。
○春日正一君 総理は根本の紛争の起こる原因ということを言いますけれども、まあその原因について私は何回も総理に言ってきたと思うのです。ベトナム戦争の根本原因というものは、アメリカがベトナムの内政に干渉してベトナムを侵略しておる、これが原因ですよ。したがって、差し迫ったこの侵略戦争の拡大の危険を阻止するというためには、アメリカが北爆をやめて南ベトナムから米軍と一切の外国軍隊を撤退させる、そうしてベトナムのことはベトナムの人民の処理にまかせる、これ以外にないと思います。この点では、民族の自決の権利、先ほどもここで議論になりましたけれども、自衛の権利というものは固有のものだと言われている。アメリカがベトナムに入っているので、ベトナム人がアメリカに行っているのではない、これは明白なことです。こういう外国軍隊に占領されておる国の国民がどんな不幸なのか、どんなに熱心に独立を求めるかということは、総理も沖縄へ行って日本の同胞に聞いてみてきたと思う、アメリカ軍の占領下、沖縄の県民がどんなに祖国復帰を願っておるか、この気持ちがわかるならば、ベトナム人民の気持ちもわからなければならぬはずだ。ところが総理は、アメリカが侵略しているのじゃなくて、ベトナムがベトナムを侵略しているというような妙な論理を立てるから、沖縄の同胞のこともわからぬ、米軍宿舎へ逃げるということになってしまう。そこのところを、これ私は何回でも言いますよ。問題はここにある。それ以外にない。だから、総理がほんとうに平和を願っておる、そうして事態そのものでなくて、原因を解決するというなら、この立場から、アメリカのベトナム侵略に対する一切の協力、こういうものをやめて、北爆の停止、米軍の撤退、これを要求しなければならぬというふうに考えますけれども、どうですか、総理。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど、戦争には相手があるということばを言われました。また私も戦争には相手があると。申し上げるまでもなく、ジュネーブ会議――ジュネーブ会議で何とかしろ、このかつてのジュネーブ会議はどういうことであったか。これはやはり、ベトナム民族が二つの権威を持っておるということを前提としたというか、認めざるを得ない。そういうもとにおいての平和をいろいろ計画したということが、これがベトナム問題の発端といいますか、発端だったと思います。したがって、先ほどもいろいろ議論がありましたけれども、南ベトナムあるいは北、こういうものが現実にあるのですね、権威として。だからこそ、これは世界各国から見ましても、南ベトナムを承認している国が六十カ国以上ある。また、北ベトナムを承認している国も三十近くある。こういうような現実なんです。で、私はただいま申し上げるように、この権威を認めないで、ただいま言われる上うに権威を認めないで、これはもうベトナム民族がきめることだ、ベトナム民族の中の問題だ、それに入ってくるのはけしからぬ、こう言って春日君は言われますが、これはやはり同一民族ではあるが二つの権威のあることを認めざるを得ないのではないですか、これが国際的ないまの見方なのです。だからこそ、南ベトナムを承認している国あり、北ベトナムを承認している国があるのです。そこで、その前提に立って、南ベトナムの中に破壊分子がある。その破壊分子というものに対して、南ベトナムがいろいろ力をもって、またいろいろな点で国民の理解を得るような方法をとっている、これが現在の南ベトナムじゃないか。それを、国内における破壊分子に対して北側から応援する。そこで、先ほど午前中議論があったように、自衛権の問題がある。その自衛権に基づいてアメリカの協力を願って、アメリカが出てきた、こういうのがいまの現状じゃございませんか。だから、あまり実情を無視して、そうして一方的な議論だけしないで、これはやはり冷静に現状を見る。それだけのことがあって初めて解決の道が見つかるのではないか、かように思います。
○春日正一君 総理の言い分には、初めにごまかしがあるのです。ジュネーブ協定で確かに二つ、南北に分かれたけれども、固定化するというのではなくて、二年以内に選挙をやって統一するという条項があったはずです。それをアメリカがやらせなかったのです。そこに問題がある。そこで、この議論はこのくらいにしておいて、椎名外相はラスク国務長官との共同記者会見で、今度の会議では、広い問題について話し合った、その結果、ラスク長官の言うように、共通の基盤は動かぬことを確認した、こう言っています。共通の基盤とはどういうものですか、具体的に。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 共通の基盤はいろいろあるでしょうが、日米安保条約の体制も共通の基盤と言えるかもしれません。
○春日正一君 非常にあっさり逃げたのですけれども、ベトナム問題に対する政府の態度、答弁からしても、佐藤内閣の東南アジア政策というものが、ベトナム侵略戦争を中心とするアメリカの東南アジア政策と基本的に共通の基盤に立っておるということだと思うのですけれども、どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかく、世界に非常に貧困な国と、それから富裕な国と分かれておって、そして貧困な国を、これを育成しないで放置しておくということになると、ますます国と国との貧富の開きが広がっていって、そうして世界の平和というものに非常な災いを増大することになる、であるからして、これは他人のことでなしに、お互いのこれは平和と繁栄のためにほうっておけない問題だというのが南北問題でありまして、国連においてもこれを取り上げられておって、そして、これに対して先進国が、それぞれの立場においてあらゆる努力をしておることは御承知のとおりであります。東南アジアにおいて、こういう観点から、日本とアメリカとは全く同じ考えだ、そして、お互いに力を合わせて東南アジアの繁栄を築き上げていこう、こういったような考え方を持っております。これはやはり共通の基盤であります。
○春日正一君 昨年四月のジョンソンのボルティモアの演説、ことし二月のホノルル会議の宣言と声明で明らかなように、アメリカの東南アジア経済援助政策、ベトナム侵略を中心とした侵略と戦争の政策と不可分一体のものであるということは疑う余地がありません。ジョンソンは七月十二日の演説で、日韓条約の締結と日本の対外援助の問題に触れて、これは米国の南ベトナム防衛の背後で形成されつつある新しいアジアである、こういうふうに言っております。また、ラスクは、日米貿易経済合同委員会のあいさつで、日本がとったイニシアチブ、この地域的経済協力を促す重要な役割りを果たしてきた、こう言っております。日本が主催した東南アジア開発閣僚会議、ソウルで開かれたアジア太平洋閣僚会議への参加、あるいは近く予定されている東南アジア農業会議、あるいはアジア開発銀行の設立、その他佐藤内閣の東南アジア政策は、結局のところ、アメリカ帝国主義の東南アジア侵略政策、この弱点を補強するものであって、これによって、アメリカのめしたの同盟者として、日本の独占資本が東南アジアへ進出をはかろうという、こういうものであると思います。日米貿易経済合同委員会で、このような共通の目的と利益に基づいて、日米両国の果たす役割りが話し合われたのではないか、この点どうですか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) どうも、あなたの所論を聞いているというと、慈善事業が何かどろぼうの行為にいつの間にか変わっているようなふうに聞こえるのです。全然同感できません。
○春日正一君  「慈善は偽善」ということばがありますからね。
 そこで、政府は、東南アジアを中心とする経済援助に、近い将来、国民所得の一%を出す、こう約束をしているけれども、現在、国民の多数が高物価と低所得に苦しんでおります。朝日訴訟にも見られるように、社会保障が全く不十分である、貧困者は悲惨な状態にあります。最近の集中豪雨で、新潟、九州、関東などで大きな災害を引き起こしています。しかも、災害の復旧がきわめて不十分なために、被害が年々累積しています。政府の、外国の農産物の輸入、低米価政策の結果、農業経営の困難が深まって、農民の八割までが、農業だけでは生きていけないというふうになっています。農業生産も停滞しております。だから、米価に対する農民の要求がどんなに切実であるかということは、総理も、ことしの米価闘争で身にしみて体験されたと思います。ところが、政府は、このような国民多数の苦しみ、そこからにじみ出てくる……
○委員長(石原幹市郎君) 念のために申し上げます。
 春日君、時間が来ております。急いでください。
○春日正一君 これを放置しながら、なぜ、アメリカの侵略と戦争の政策に結びついた東南アジア開発計画のために多額の資金を投入しなければならないのか、これが国民が一番不審に思っている、不安に思っておる点であります。それは、アメリカと日本の独占資本の要求にこたえるものであっても、決して人民の利益にこたえるものではないと思うのです。こういう政治はやるべきではないと思うのですけれども、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、春日君から指摘されるまでもなく、日本の総理でございます。したがいまして、国民の生活を充実さし、これを向上さすことに責任があるのでございます。そういう意味におきまして、国内に非常な多額の出費を要する際に、外国、特に東南アジア諸地域に対して、直ちに、国民所得の一%に達するものを出すという、そういうような暴挙はするつもりはございません。しかしながら、私どもが考えるのに、日本が東洋先進国の一員として、東南アジア諸地域と連帯的に繁栄の道をたどろうとしておるそういう際に、先進国たる日本が果たすべき役割りはこれまたあるのでございます。そういう意味において、DACでも決議いたしました国民所得の一%、その程度は発展途上の国に援助したらどうか、こういうような決議がされておりますので、これをやはり実施するように努力していく、これが今日の考え方であります。いま直ちに一%にのぼるこの援助をする、こういうのではございません。できるだけ早い機会にこれを実現しようとしております。この点を御了承いただきたいのであります。
○委員長(石原幹市郎君) 一分も超過しておりますから。
○春日正一君 それでは国民が納得できないと思います。しかし、時間ないから私これで打ち切ります。
○委員長(石原幹市郎君) 春日君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(石原幹市郎君) 次に、市川房枝君。
○市川房枝君 総理は、いままでしばしば、政治の姿勢を正すとおっしゃっており、きのうもきょうむ、清潔な政治、正しい選挙の実現に努力したいとおっしゃっておりまして、総裁選挙で金が非常に要った、しかし自分はそれは使わない、身をもって範を示すということをおっしゃいまして、私はたいへんうれしく拝聴をいたしました。ぜひ、それを実行をしていただきたいと思います。そういう総理のお立場から見ますと、どうも、きのうから問題になっております小林さんの事件に対する総理の立場は、あまりはっきりしていないのです。なぜ小林議員を除名をなさらなかったのか、あるいは、検察審査会にかかっていることがはっきりしておるのに、自民党への復帰をお認めになったのか、そうして、復党を認めた直後に審査会から起訴すべしとの議決があったのは残念であったなどとおっしゃっておったんですが、こういうことでは、このおことばはどうも信用ができないというのが、私は国民の一般の感情だと思いますけれども、総理の御感想を伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小林君についていろいろの御批判がございます。私は、そういう点は一部国民の支持もある、かように思いますし、また、一部国民からは、小林君を弁護する、あるいは援助する者もあります。離党までしてえりを正している、そういう状態のもとにある小林君を、いつまでも復党させない、これはずいぶん情味の通わない総裁じゃないか、こういうような非難もございます。そういうような両々相まつといいますか、反対的な意見もあることも、市川君も御承知願いたいのであります。私は、そういう観点に立ちまして、もうすでに相当の期間反省もし自粛もしている、かような立場から、実は復党を許したのであります。しかし、ちょうどその時期に、検察審査会が結論を出して、そしてまた、この問題がいろいろ議論を呼んでおります。しかして、小林君も、問題のこの審査会の答申といいますか、これについては、えりを正して自分も反省をする、そして最後にどういう検察当局の断が下るか、それを待つと、かように申して、一切の批判は避けております。こういう点はやっぱり幾ぶんか同情ができるように市川君も考えていただきたいと思います。私は、この種の事柄についての批判があり、そういう事柄が全体の政治を明朗にし明らかにする、そういう意味で非常に役立っておる、かように思っておりまして、たいへんよそごとのような言い方をしてすみませんが、確かにこれは、世論の批判というものを私どもが冷静にまた反省し、えりを正して聞くというその態度であることも、つけ加えさしていただきたいと思います。
○市川房枝君 総理は非常に小林さんに対する同情のあれもあるとおっしゃいました。私も個人的にはそう同情なくもないのですけれども、しかし、政治をされいにする、選挙をされいにするという立場からは、私は、泣いて馬謖を切るということばもあり、総理のお耳には一般の国民の声は通じなくて、周囲の自民党の方々の御意見がどうも通じているようで、はなはだ残念に思うのです。けさの新聞の各社の論説をごらんになったかと思いますが、全部が起訴すべし、そうして法の公正な裁きを受くべし、国民の前に示すべしというのが、みんなの意見だったのですが、その点、総理と私の考えが違うということであれば、これはやむを得ないわけでございますけれども、もう一ぺん御意見伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま市川君の言われるように、泣いて馬謖を切るということばもちやんとあります。また、これと同時に、罪を憎んで人を憎まずということばもあります。それらのものを勘案して政治家たる私が処理する、そうして、その批判も受ける、そうして人情を通すこともやはり一つの行き方ではないか、かように思うのであります。
○市川房枝君 検察審査会について最高裁から伺いたいと思いましたが、時間がないので簡単に伺おうと思います。
 審査会が議決をしてから、検察庁はどれくらいの間に決定をしているのでしょうか。それから、無視するなり、あるいは起訴するなりの、検察庁のこれは権限ですけれども、その際は、はっきりとその理由をつけて一般に発表があるはずだと思いますけれども、そういう点についてちょっと伺いたいのです。
○最高裁判所長官代理者(寺田治郎君) ただいま市川委員からお尋ねのございました問題は、検察審査会が議決をしてから、検査庁で処分をされるまでに、どれくらいの期間があるかということでございますが、これはそれぞれの事件によっていろいろ差があるようでございまして、また別々の機関の問題でございますので、一種の審理期間的な意味にもなりません関係で、そういう意味での明確な統計はとっていない次第でございます。
 それから次に、検察庁のほうで適宜な処分をされました場合に、これを公表されるかどうかという問題でございますが、これは主として検察庁のほうでおやりになる問題であろうと判断をいたしているわけでございます。検察、審査会のほうにも大体御連絡はいただいておりますけれども、公表という問題は、検察庁のほうでそれはお考えになる問題であろうかと心得ている次第でございます。
○市川房枝君 この問題は国民が非常な関心を持っておりますので、はっきりと、そうして、いつ一体この決定をするのかということを待っておりますから、これは検察庁の問題ですけれども、なるべく早い機会に、はっきりしていただきたいと思っております。
 次に、明るく正しい選挙運動、これは自治省の所管であったと思うのですが、多額の国費を使っていてくださるわけですが、それでいて、昨年の参議院の選挙においては、小林はじめ多数の悪質な選挙違反が出ております。本年は衆議院の総選挙並びに統一地方選挙もあるはずでございますが、自治省はどんな計画を持っておいでになりますか、予算も含めて御説明願いたいと思います。
○国務大臣(永山忠則君) 常時選挙の啓発費といたしまして、予算は四億五千三百万円程度でございます。そうして自治省が直接使用する金は一億五百万円、その内容は各種の印刷物、放送委託費等でございます。また、都道府県及び市町村のこの各種の啓発事業に対する補助金が約二億六千八百万円でございます。これは都道府県に対しては二分の一補助であり、市町村の行なうものに対しては三分の二補助でございますから、事業費総額は四億五千三百万円になっております。その他公明選挙連盟等の団体啓発事業の委託費として八千万円を予算化いたしておるのでございます。この運動方法といたしましては、公明選挙連盟が中核となりまして、そうして運動自体は、明るく正しい選挙推進全国協議会を中央に設けまして、都道府県、市町村に各この協議会の支部を設けまして、なお、この明るく正しい選挙運動を推進する推進員が四十万ほどいまおりますので、その推進員もさらに強化して、これらの運動体は婦人、青年、各種の職域団体並びに地域団体と連絡をいたしまして、違反のない、金のかからない、しかも、出たい人よりは出したい人というような考え方で、国民の全組織によって、明るく正しい運動を進めていきたいというふうに鋭意努力をいたしておる次第でございます。
○市川房枝君 自治省はじめ各選挙管理委員会の努力は認めますけれども、しかし、明るく正しい選挙のための国費がだんだんふえていって、そうして選挙違反はだんだんこれもふえていくということでは、税金の私はむだづかいになっている、効果があるようならいいけれども、むしろ、この運動なんかやめちゃったほうがいいんじゃないかということさえ私は思っております。総理はどうですか、この点何とお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはどうも短気を起こして、成績があがらぬからこの辺でやめてしまえということじゃなくて、やはりこれは根気強く、また、絶えず引き続きこのことをやらないと十分効果があがらない、私、かように思います。したがいまして、とにかく短気を起こさないで、また、一心に、みんなが真剣になってそういう方向に行く、こういうことが望ましいので、一人だけが悪いわけでもないのですから、全体が協力してその姿勢を正す、こういう方向に協力しなけれれば十分成果があがらないだろうと思います。
○市川房枝君 この運動の対象は国民大衆であって、候補者なんかに対しての運動は全く行なわれていませんね。自治大臣、そうじゃございませんか。
○国務大臣(永山忠則君) 国民みずからが民主主義に徹して正しい行動をするということが運動の目標でございます。
○市川房枝君 総理、私は、一般国民よりも、政党及び候補者自身がその気にならなければ、明るく正しい選挙なんかは絶対にできない、こう思います。当選するためには人殺し以外は何をやってもいいというような指導を、ある党でなさったことを知っておるのですけれども、いかがですか、それは。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、市川君の言われることも一理あると思います。とにかく、政党自身が、また候補者自身が、ただいま言われるように、みずから身を正していかないと、これは浄化されないことだ、かように私は思います。人を責める前に、みずからが姿勢を正していくことが望ましいことだと思います。
○市川房枝君 そこで私、総理に、来たる総選挙に際して注文があるのです。第一番に、人格のりっぱな、有能な、いい候補者を党で公認していただきたい。ひどい選挙違反なんかやった人は公認しないようにしていただきたい。それから第二には、選挙費用をなるべく使わないようにする。法定選挙費用以内であげるようにするように。これは、財界が政治献金をしないようにしてもらわないといけないと思うのですが、この問題。第三には、ひどい選挙違反をやったら、当選しても除名をするということを最初からはっきりしておいていただくようにしていただきたい。これは地方選挙も同様に願いたいのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま三点あげられましたが、それぞれ、もっともな筋でございます。私も党で幹事長を二回いたしました。その二回の際に、公認をするという場合に、過去の経歴その他を十分審査いたしまして、そうして、ただ単に立候補したいから公認するというだけではなしに、公認して選挙民に推薦するにふさわしい人、こういうような選考をいたした経験もございますし、また、党もあらゆる機会にそういう方向で行きたい、かように思っております。とかく選挙につきましては、他の一般の犯罪は非常に厳格に考えるが、どうも選挙法違反、これが時に形式犯である場合もございますので、一概になかなかいかない。純然たる形式的なものは、これはどうも除外してしかるべきではないかというような意見が、正直に申してございます。それらの点も堪案しながら、いまの第一のお話を伺って参考にしたいと思います。
 第二の点は、これは何と申しましても選挙は資金、金は法定費用の中で使う、かようにしなければならないと思っております。私も前回の選挙で、ほんとうに厳重にいたしまして、法定の費用のそのうちで、一ぱいでなくて、さらにそれを切り詰めて選挙ができた、かように思います。これなどは、特に私どもがいろいろ批判を受けている、かように考えるがゆえに、みずから選挙に際して、選挙違反あるいは法定額を越しての選挙というようなことがあってはほんとうに申しわけがないというので、特に事務当局を督励して、そうしてただいま申し上げるような成績をあげた、かように思います。今後とも各方面におきまして、ぜひともそういうように努力してもらいたいと思います。
 また、第三の問題に、当選をしても入党をさすな、あるいは除名しろ、こういうようなお話がございます。このようなことも、過去におきましても、すでに経験済みでございますし、そのときの模様によりまして厳正にとっていくという処置をしたい、かように思っております。この際に申し上げておきます。
○市川房枝君 去る四月二十二日の朝日新聞紙上に発表されました「佐藤内閣をどうみる」という世論調査の結果は、総理にとってはかなりショックであったろうと推察いたしますが、私にとっても、これはショックでございました。それは、昨年の八月には三二%あった婦人の佐藤内閣の支持率が、この四月には二二%に下がっておる。逆に、支持しないという票が一九%から二三%にふえておるわけです。この理由として新聞は、物価を高くした佐藤内閣に対する婦人の反感がこういうふうにあらわれたのだろうと、こう書いておりましたけれども、総理はどういうふうにお考えになりますか。私は、総理の小林事件なんかに対する政治姿勢に対しての不満というものもこの中に入っているだろうと思うのですが、御感想を伺います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 朝日新聞の世論調査並びに毎日新聞の世論調査、また、二カ月ごとに行ないます時事の世論調査、それぞれがそれぞれの表を出しております。したがいまして、私は、世論調査が現在のデータだけでこれは非常に正確なものだ、かようには思いません。と申しますのは、朝日・毎日でこういっても私どもが見る時事のほうだと三八、九%の支持がある、こういう状況でございますので、これは必ずしも、二八%になった、二九%になったと、こういつて非常にあわてることはないと思います。しかしながら、何といいましても、政治、この動向、世論の動き、これはやはり、この種の調査によって動向を感ずるのでありますから、私は、軽視したり無視したりすべきじゃない、ことにましてや、有力なる新聞の世論調査でありますから、こういう事柄が私の内閣にとって反省の貴重なる資料になる、かように考えておりますので、今後とも努力をするつもりであります。
○市川房枝君 いまの台所をあずかっております主婦たちの心配は、消費者米価がまた高くなるのではないかということでございます。総理は、消費者米価についてははっきりしたことをおっしゃっておりませんので、みんなやきもきして、選挙が済んだら、きっとまた上がるんだろう、来年も元日からまた上がるのじゃないかということを心配していると思うのですが、もし、いまのような状態で物価の問題が主婦たちの頭にありますると、次の選挙で婦人の投票がやはり下がるのじゃないか。それでも困るでしょう。
○国務大臣(佐藤榮作君) 婦人の支持票が下がる、支持が得られないという、これはもうたいへんなことでございまして、これはぜひとも支持を得るように努力いたします。
 ただいま消費者米価は一体どうなるか、こういうお尋ねでございます。これはもう、たびたび各大臣からもお答えいたしましたが、基本的には上げたくない、その気持ちだけは率直に披露してこれは間違いない。しかし、気持ちだけで米価と取り組むわけにいかない。皆さん方おっしゃるでしょう。そこで、当分の間上げないということを申した。当分とは一体いつまでなのか、こういうような、さらに追及でございます。これもしかし、当分は当分でございますから、いま、いついつまでと、こういうことは申しません。しかし、とにかく、その「当分」が長い期間であるようにと、これは主婦だけの願いでもなく、総理である私も心から願っておる次第でございます。ただ、かように申しましても、現実の数字がはっきりいたしておりますので、食管特別会計におきまして二千億に近い赤字が出る。そして、これはやはり国民の負担においてその帳じりを片づけなければならない。特別会計だろうが一般会計だろうが、いずれにいたしましても、これは結局は国民の負担でございます。そういうことを考えますと、いつのときから、どういう方法になるか、消費者米価もこのままでいいとは言えないことになる。ただ、その場合におきましても、私は、生計費に及ぼす影響がまことに甚大でありますし、また、一般諸物価を刺激する、そういう悪影響等もございますので、この消費者米価の決定につきましては、慎重の上にも慎重を期して皆さま方の御要望に沿うように、また、家計の非常な負担にならないように、そういうようなくふうをしたい、かように思っております。
○市川房枝君 総理は、この国会が終了いたしますと、内閣の改造をなさる予定と承知しておりますが、その際、婦人の閣僚をお考えになっておいでになりますかどうか。池田総理のときには二人婦人大臣を任命されたのですが、佐藤総理になってから、まだ一人も出ていないのであります。もっとも、私どもは、女ならばだれでもいいというのではなくて、人格才能ともりっぱな、私ども婦人が誇りとすることのできるような方をひとつ任命していただきたい。いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御意見として十分伺っておきます。
○市川房枝君 総理は、この一月二十二日の自民党の全国大会で、自由民主党婦人憲章草案というものが決定されたこと御存じでございましょうね。私どもは、政府与党である自由民主党の婦人憲章は政府の婦人に対する考え方を示すものであり、その内容は政府の施策としてやがて取り上げられるだろうという意味で注目しております。ところが、この婦人憲章ではどうもはっきりしないのですが、総理は、婦人憲章及びこの婦人対策、こういうものについてどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほどからお話がありますように、とにかくわが日の本は婦人を無視しては政治はできません。(笑声)これはどこの国でも同じことだと思います。冗談ではございませんが、この人口、国民構成から見ましても、その半ば以上である婦人を無視して仕事はできない。また、私が平素考えております。いわゆる次の世代をになう国民の育成、こういうような点から見ましても、それに果たされる婦人の役割りというものはまことに大事だと、かように思います。まあ、そのほかにも、いろいろ婦人に頭を下げなきゃならない点が多いのでございますけれども、私は、それらの点を特に大きく見ておりますので、ただいまの婦人の地位の向上、また、婦人がしあわせになることが同時にお互いがしあわせになることだと、かように考えますので、知恵の足らない点は皆さま方のお知恵も拝借いたしまして最善を尽くすように努力をする考えであります。
○市川房枝君 佐藤内閣の婦人対策の一つとして、昨年度から総理府に家庭生活問題審議会と婦人問題連絡会議というものが設けられております。もっとも、予算はたった四十万円、二十万円ということでありますが、予定どおりこれが進められているのかどうか。連絡会議のほうは初めとはだいぶ違ったものになっておるようで、そんなら私どは必要がないと実は考えますが、総務長官から、現状及び将来についてお伺いいたします。
○国務大臣(安井謙君) 連絡会議のほうは、これは前長官、臼井長官のころに市川先生からもいろいろ御進言があったというふうに思っております。婦人問題は各省に関係がございます。それの連絡調整の仕事でございますから、これは着実に各関係省の機関を集めてやっておるような次第でございます。
 なお、家庭生活問題審議会のほうもお問いでございましたか。――審議会のほうにつきましては、昨年九月から磯村教授が会長になられまして、いま鋭意家庭婦人の問題についての御審議を願っている。これは、いま世論調査を終わりまして、そうして、いずれ近く答申をいただく。それによって、さらに政府は積極化してやるという予定にしております。
 なお、連絡会議のほうで予算が二十万とか四十万と申しますが、これは連絡会議で参考人を呼ぶ場合の費用で、あと費用はかからぬわけであります。実際は、各省関係で、現在婦人の関係につきましては、集計しますと約四十億程度の、直接婦人に対するいろんな施策のための予算を組んでおるような次第でございます。
○委員長(石原幹市郎君) 市川君に申し上げます。時間が来ておりますから。
○市川房枝君 最後に一つだけ、ちょっと簡単なものを伺ってやめたいと思います。
 いま総理府総務長官おっしゃったのですが、家庭生活問題審議会というのは二年の任期で、今年度で終わりますね。
○国務大臣(安井謙君) 来年三月ですか、三月ごろまでに答申が出ます。
○市川房枝君 それで、その審議会の家庭生活に関する何らかの資料としての、いま世論調査とおっしゃいましたけれども、あれは広報室の予算で世論調査をしたので、そんな資料では、的確な、ほんとうの対策は立たないと私は思うのです。それで、婦人や母親なんかの現在置かれている実情と現実というものは、ずいぶんこれは変わってきておるのであって、その正確な現実の把握ということが非常に大事なんだ。だから、そのために相当の予算をもって、そうして、ちょうどアメリカのケネディ大統領がやりましたような調査が行なえたらどうだろうか。そういうことをひとつお考えをいただきたいと思うのですが、これは、総務長官ですか、総理ですか、どっちかから、ちょっと簡単にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(安井謙君) 審議会では相当意欲的な御審議を願っておりますし、この世論調査も相当信頼度の置けるものを時間かけてやっていただいております。また、さらに必要に応じましては、審議会御自身からもそういう必要という御要望があれば、政府としてまた考えたいと思います。
○委員長(石原幹市郎君) 市川君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、質疑通告者の発言は全部終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(石原幹市郎君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 予算の執行状況に関する調査につきましては、会期中に調査を完了することは困難でありまするので、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
C委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成、提出時期等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(石原幹市郎君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 閉会中、予算の執行状況に関する調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石原幹市郎君) 御異議ないと認め、よう決定いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
   午後三時三十九分散会