第055回国会 外務委員会 第16号
昭和四十二年七月四日(火曜日)
   午前十時五十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月四日
    辞任         補欠選任
     笹森 順造君     石井  桂君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         赤間 文三君
    理 事
                木内 四郎君
                長谷川 仁君
                増原 恵吉君
                森 元治郎君
    委 員
                石井  桂君
                佐藤 一郎君
                杉原 荒太君
                高橋  衛君
                山本 利壽君
                加藤シヅエ君
                佐多 忠隆君
                羽生 三七君
                大和 与一君
                黒柳  明君
   政府委員
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務省中南米・
       移住局長     安藤 龍一君
       水産庁次長    山中 義一君
       工業技術院長   馬場 有政君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瓜生 復男君
   説明員
       外務省欧亜局参
       事官       岡田  晃君
       外務省条約局参
       事官       高島 益郎君
       運輸大臣官房審
       議官       鈴木 珊吉君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止の
 ための国際条約の締結について承認を求めるの
 件(内閣提出、衆議院送付)
○大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約につ
 いて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
○委員長(赤間文三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の締結について承認を求めるの件
 及び
 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締結について承認を求めるの件
 以上二案件を便宜一括して議題といたします。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 これはまぐろ関係の条約とは直接の関連はないのですが、漁業関係の問題でありますから、二、三お尋ねしたいと思います。
 それはバートレット法制定による米国の漁業水域設定に伴う交渉は、五月九日合意が成立して、十二海里内におけるわが国の実績がほぼ確保されたと、こういうことですが、これは二年間の暫定取りきめでありますね。今後これを更新するたびに先細りになるようなことはないのかどうか、その点をお伺いいたしたい。
○説明員(高島益郎君) アメリカのバートレット法の制定に伴いまして日米間の漁業交渉が行なわれましたけれども、その結果は、ただいま先生の御指摘のとおり、来年の末までのいわば暫定取りきめで、一応妥結したわけです。当初わがほうといたしましては、米国の漁業水域、つまりバートレット法に基づきます十二海里の漁業水域を一応国際的に認めた上で、その中での日本の漁業実績を確保するような、かなり長期的な漁業協定というものを頭に描きまして、そういう構想で交渉を始めたわけです。しかし、そのような交渉が実は目的を達し得ませんで、やむを得ず、暫定的な取りきめとしまして、当面の、かつての日本のいままでの漁業実績を確保することを主目的にしましたそういう取りきめを結んだ次第でございます。したがいまして、この取りきめの中では、アメリカのバートレット法に基づく漁業水域というものは全然日本として国際的に認めたということになっておりません。したがって、来年末これが失効しました先の協定につきましては、またさらにわがほうとしまして漁業実績を確保することを主目的にしました協定を別個に結ばざるを得ないと考えております。したがって、これがどの程度日本の実績を確保し得るかということはもちろんこれから交渉の問題になりますので、いま直ちに、必ず確保し得ますということは確信を持って言える段階ではございません。
○羽生三七君 いま御答弁のように、またあらためて交渉をやることになると思うのですが、しかし、こういう短期間のもので将来については非常な不安心もあるので、さらに積極的な努力を要望をいたしておきます。
 それから次に、ニュージーランドとの間では六月七日交渉を妥結したわけですね。これは十二海里内のわが国の操業は今後三年半で打ち切られると、こういうことになっておるようです。わが国は一方的な漁業水域の設定は認めないという立場にあるわけですが、交渉の結果得られるものは、当座の間の実績確保にすぎないと、そう思います。したがって、その後については一方的な設定を認めたも同然の結果となるのではないかと思う。今後モーリタニアとかスペイン領のサハラ等の沿岸におけるわが国の操業実績確保についてはどういう見通しを持っているのか。これはさきのバートレット法との関連と同じような意味の問題だと思いますが、この見解を承らしていただきたい。
○説明員(高島益郎君) ニュージーランドについても、アメリカの場合と同じように、やはりニュージーランドの国内法に基づきます漁業水域をまず設定されまして、日本はまずこれに対して、一方的なそのような国内法における漁業水域の設定は認めないということで抗議をしました。その抗議をさらに国際司法裁判所の問題として提起するということまで持ち出したわけでありますが、ニュージーランドのほうで非常に妥協的な態度に出てきまして、交渉に応ずるということで、つい最近交渉いたしました。その結果まとまりましたのが、最近の協定でございます。まだ正式に発表する段階ではございませんが、この協定では、ニュージーランドの漁業水域の設定を一方的に認めるということではございませんので、日本とニュージーランドとのこの国際的な協定に基づきまして、ニュージーランドの十二海里内の漁業水域というものを、協定の中で、はっきり漁業水域ということばを使っておりませんが、実質的にはそういうものを認めたことになろうかと思います。従来この漁業水域というものは、実は領海の一方的な、非常に幅員の延長という各国の最近の傾向にかんがみまして、これとの妥協で一九五八年と一九六〇年、ジュネーブの海洋法会議で審議された一つの妥協案でございまして、領海を延長するかわりに漁業に関して沿岸国の専管的管轄権を認めようというふうな妥協も出されましたが、これはもちろん敗れましたけれども、その風潮が海洋法会議後非常にヨーロッパその他に広がりまして、現在各国でとられているわけでございます。日本としましては、羽生先生おっしゃったとおり、そういう漁業水域というものを、国際的な漁業協定をもって設定する場合には差しつかえないが、沿岸国が一方的に設定することには反対であるという態度を終始とってきております。かたがた、また漁業水域を設定しました場合にも、その内陸で従来第三国が漁業をやってきた場合に、その実績を確保するという原則をとってきております。ただ、この漁業実績を確保する場合に、必ずしも永久に漁業実績を確保されるということではありません。たとえばヨーロッパの場合ですと、十年間とか、あるいは場合によっては五年間というようなことになっております。ニュージーランドの場合につきましても、日本はこの紛争の起こりました当初五年間の実績を認めろという主張をいたした経緯がございます。その後年数もたっておりまして、この協定が発効してから三年半で――一九七〇年の暮れでございますが、これは当初日本が五年間という実績を主張しましたその経緯から考えますと、必ずしも日本の主張を譲歩したということではございませんで、日本の当初の主張どおりの結果になったものと私は考えております。スペインにつきましては、先生の御指摘のとおり、やはり同じような問題でございまして、いま日本も米国あるいはニュージーランドの協定の推移を参酌しまして、この線に沿った漁業の協定を成立したいということで苦心中であります。したがいまして、まだ現在の段階で必ず漁業実績を確保し得るということをはっきり申し得る段階ではございませんが、そういう方針で対処したいと考えております。
○羽生三七君 次は、ただいま御答弁の中にもあった、このジュネーブの海洋法会議で、一九六〇年、この会議で提案されたいわゆる六・六方式及びこれに基づく一、二の漁業協定、たとえばイギリスとノールウェーの協定というようなそういう例では、外側六海里において、過去の実績いかんでは、一九七〇年までの十年間の操業が認められて、一方、昨年発効した欧州漁業条約、外側六海里で十年の実績の、これはいま外国の例で十年間の例の御指摘がありましたが、そういう十年間の実績のあった国には無期限の操業を認めている。ところが、わが国は米国をはじめとする各国との交渉で、日本の操業が認められる期間については非常にまちまちで、また短期なもので、どういう基準をもって今後この国際的な交渉に臨まれようとするのか、基本的な基準ですね、こんなにまちまち、国によって違うのですが、日本として何か基本的な考え方というものはないのでしょうか。
○政府委員(山中義一君) わが国の漁業が外国の沿岸の近くに参って漁業をやるという場合につきましての基本的な考え方が、国々によりまして、領海あるいは漁業に関する水域――領海は別といたしまして――漁業に関する水域を一方的に宣言しておりますが、わが国といたしましては、一方的の宣言はこれを認めない。話し合いの上で漁業に関しては権利を行使することについて妨げないという立場で対処する。その場合に、わが国の漁業のいままで行なっていました実績が確保されるということを第一義的なものとして対処します。
○羽生三七君 いや、それはわが国の過去に残した実績を確保するために努力されておるということはわかるのですが、それがなかなか意のごとくならないいまの現状において、その場その場のやり方でいいのかどうか、もっと基本的なものはないかということをお尋ねしているわけなのです。
 そこで、その次は、二国間交渉には限界があるということで、太平洋の沿岸諸国で十二海里の漁業水域の設定を認め合って、外側六海里についてはわが国の実績を確保するという、そういう政府の構想を伝える新聞報道があるわけです。これを外務当局は否定しているようですが、一方的に漁業水域を設定する国が急増しているのですね。この現状で、わが国は二国間交渉というものに追いまくられているのが現状だと思うのです。したがって、それは前の質問とも関連があるわけですが、政府としては世界的な趨勢を受けとめて、何か基本的な日本としての考え方を諸外国にも認めてもらうようなそういう構想というものがあるのかどうか。これはさきの質問とも関連するわけですが、ほとんど二国間交渉に追いまくられて国際的な一つの基準というものができかねている、その現状に対応してのお考えを承りたい。
○説明員(高島益郎君) お答えいたします。政府といたしまして、この漁業問題に関して一番理想的な形態は、ジュネーブの海洋法会議の第三回の会議がもし将来開かれまして、領海の幅員、さらにまた漁業水域というようなものが、必要があれば、そういう水域を認めた上での国際的な基準が設定されるということが一番理想であろうかと思うのであります。ただしかし、現在の情勢では、第二回海洋法会議以来、そのような動きは全然ございません。そういう期待を持つことはできないと思います。そこで、現在各国の領海の幅員の拡張とかあるいは漁業水域の設定に対応しまして、わが国の漁業実績を確保するために、主として二国間交渉を進めてまいっておりますが、単に二国間交渉だけでは、このような世界的な情勢に対応し得ないのではないかという観点から、外務省の事務当局内部で、多数国間で、つまりジュネーブの海洋法会議の第三回会議というところまで行きませんでも、その前の段階で、太平洋諸国なら太平洋諸国のその内部でそういう利害の調整をはかることが可能ならばそれも一つの案ではないかということで、いろいろ事務当局レベルで検討していることは事実でございます。しかしまだ、先生おっしゃったとおり、政府としての構想あるいは政府としての一つの政策というところまでは参っておりません。この考え方は、一応太平洋と申しましても、アジア地域のほかに太平洋に面します中南米諸国あるいは米国、カナダ、全部ございまして、非常に多くの国になります。これらの国々の領海の幅員に関する主張、あるいはまた漁業水域に関する主張が非常に異なっておりまして、アジア地域におきましては、フィリピンあるいはインドネシアのいわゆる群島理論と申しまして、群島全部の外側にある島を結んだ線の内部は内水であるというような宣言をいたしておりまして、その外にさらに領海を設定しておるというような状況で、非常に公海の幅が、海洋の面積が狭められているというのが現状でございます。そういう観点から、日本の漁業活動が非常に制限されておるというのが現実でございまして、こういうような各国のまちまちの主張を、何か多数国間の取りきめでもって調整できれば、日本としては日本の漁業活動上非常に幸いであるということでいろいろ検討している段階でございまして、最終的にまだそういう構想を押し進めるというところまでは参っておりません。
○羽生三七君 私は、まだこのほか、本条約のいま審議中のまぐろ関係以外の各種魚族のそれぞれについてお尋ねしたいことがあり、それの用意をしてありますが、ちょっと私自身の時間の都合もあるので、この辺でやめますけれども、相手の国があることだから、日本だけが都合いいようにすべて国際的にきまるということができるとは私も考えておらぬけれども、それにしても、事務当局だけの事務レベルだけの考え方でなしに、もっと何か政府自身としてもいまの考え方をもっとまとめて、積極的に国際的に受け入れられるような条件をつくりながら推進してもらいたいということを要望して、とりあえず質問を一応終わっておきます。
○森元治郎君 政府委員がどっか外出するらしいから、直接これに関係のない日ソ条約について一点だけ伺います。
 日ソ条約、昭和三十二年の交渉で、オホーツク海におけるサケ、マスを禁漁にしたいとソビエトが言い出して、三十二年は二つの船団しか認めない、漁獲量は一万二千トンくらい、三十三年はそれをまた減らされ一つの船団になり、漁獲量も六千五百トンくらいに減らされ、三十四年の一月の初めから禁止されて今日まで来ていると思っています。そこで、いつの間にか禁止されたままになっているのですが、これは魚族の持続的生産性という点から日ソ漁業交渉はいつも話を進めておるのですが、約十年近くにもなっている。いつの間にかソ連のオホーツク海は内海に現実に規定をされてしまっておる。これは魚が減るから規制をしていこうという立場なんですが、もともとわれわれの船があそこに既得権として入っておったわけですから、八年もたった今日、調査船団でもやらなければ、魚がふえているのか減っているのか――こういうことを私は申し入れてしかるべきじゃないかと思う。ただ、ソ連側は、大方針として日ソ均等漁獲量という大方針でどんどん太平洋にも進出をし、仙台、三陸の沖合いに来てサンマをポンプで吸い上げて漁獲もするというふうに、非常に大きく、しかもじみに押し返してきている。こういうときに、せっかくあれだけの好漁場だったんですから、黙っておらないでソビエト側に話をして、両国がひとつ減ったかふえたか、規制をすればどれだけの効果があがるかということを調べるのに絶好のチャンスだと思うんだが、政府はどういう手段をとっておるのか。ただ放置しておるのか、そこらのところの話を聞かしてもらいたいと思います。
○説明員(岡田晃君) ただいま先生の御指摘になりました点は、まことに問題の焦点をついておられるわけでございまして、昨年の十二月の終わりに、日ソ漁業条約が十カ年の有効期間が切れましたので、今年からは新しい条約期間になっておりまして、両国政府の一方のいずれかが廃棄の通告をしない限りは一年間有効であるという形の有効性のもとに現在条約が動いておるわけでございますが、この三月の条約交渉のサケ・マス漁獲量の交渉に際しまして、この問題をいかに取り上げるかということを政府部内で十分検討いたしました。それでその際に、条約期間をさらに延長すると、昨年のイシコフ漁業相の来日の際に、条約期間を延長するという問題について申し入れがございましたので、延長の代償として日本側としては、過去の実績を尊重した漁獲量というものを要求して、そして、それが認められるならば、ある程度延長してもいいんじゃないか。しかし、そういうことに全然ソ連側が応じない場合には、オホーツク海の開放という問題を取り上げるべきではないか。ときたまたま北海道の漁民から、韓国漁船の北洋漁業に関連いたしまして、オホーツク海を開放すべきであるという、漁民ばかりでなく、北海道庁からもそういう要請がございましたので、この問題、条約改定の問題とも関連いたしまして、真剣に取り組むべきであると私どもも考え、検討いたしましたが、今回の漁獲量の割り当ての際には、この問題に深入りする以前に、ソ連側としては十万八千トンという漁獲量を一応認めましたので、これに対しましてはそう強い水産庁ないしは業界の反対もございません。まあ大体豊漁年としてはこの程度の漁獲量であろうということでございましたので、一応妥結したわけでございますが、この問題は政府といたしましては、決して忘れているわけではございませんで、適当な機会に適当な方法によって、先方に強くわれわれとしてはバーゲンとして、われわれとしては正当の立場としてこの問題を要求する立場にあるものと考えております。
○森元治郎君 この日ソ漁業の特徴は、さんざん両国間で交渉をして、たくさんとれれば黙っちまうんですね。船はエンジンをかけて出たくて、北海道はじめ沿岸でごとごとやって待っている。多くとれれば言いたいことを忘れてまた来年。そうじゃなくて、私の言いたいのは、調査船を出す、調べてみようじゃないかと。一体あなたは減る減ると、あなたが沖でとるからおれの河川のサケ、マスが上がってこないんだという主張を放置しておかないで、船を入れてみるということが大事じゃないか。単なる漁獲量の問題ではなくて、一つの研究の問題として非常にいい課題ではないかと思うんですね。この点を政府は、私は穏かに、漁獲量じゃないんです、そういうことを調査し、あればとろうじゃないか、こういうふうにやるステップをとるべきだと思うんですが、その点はお考えになりますか。
○説明員(岡田晃君) 調査船の問題は、北氷洋にサケ、マスがいるかどうかということについて調査船を出して研究してみようじゃないかということでございますので、今後十分検討してみたいと思います。
○森元治郎君 ほんとうに大事で、非常におもしろい問題だと思うのですね、もしいたとなったら。とてもじゃないが、網が重くて上がらないというふうになればまた話が違うし、ただ押されるだけじゃ困るし、ただ漁獲量十一万トンとりゃいいのだ、ことしはどんなことがあっても十万割らせないというふうなことばかり言っていたのじゃだめだと、そういうことです。けっこうです。
 まぐろについて伺いますが、これから委員会ができて、この委員会が勧告を行なう場合には、締約国は異議の申し立てによって、結局アドバイスの拘束からのがれる道が開かれているのですね。ほんとうは、勧告があったら、勧告と言う以上はね、ただ言いっぱなしではなくて、変にむずかしいひどいことは言わないが、まあ、これをちゃんと道義的にやるんだよということがなくちゃいかぬと思うのだが、この条文でもう抜け道ができている。これはですね、大西洋の中小の、魚――あそこらはまあ、中小漁業だと思うがね、国々が。そういう国は、これは勧告をうまく利用して、勧告を逃げる手を使い得るし、勧告も聞かない。それから、日本は悪いことばかりやっているわけではないが、年じゅうとり過ぎているものだから、勧告があれば聞かなけりゃならない、幾ら逃げる道があっても。何かこの点がもう少し実効のあるもの、規制するというならば規制するような実効のあるものが必要ではなかったんだろうか。何か日本が罪悪感があってですね、こんな条約でも結んで、かっこうつけなければならないといったような意味で結んだのではないかと憶測もしたくなるのですね。進んで日本がこの条約を結んだという意図、それからこの勧告の拘束からのがれる道が開かれている点、御説明を願います。
○説明員(高島益郎君) この条約ができましたのは、もうかなり長い歴史がございまして、一九六三年に、ローマに本部がございます国連食糧農業機関、あそこにいろいろ水産関係の研究をしているものがございますので、そこを中心にいたしまして、大西洋における最近のまぐろに関する漁獲が非常に進みまして資源の将来が憂慮されるというような動きが関係国間にございまして、それが動機になって――もちろんその動機の一つには、日本の大西洋水域におきますまぐろ漁業の非常な伸展ということが大きな理由であったことは事実であります。そういうことが契機になりまして、六三年に、まず食糧農業機関でそういう大西洋におけるまぐろの漁業に関する一つの国際条約をつくろうというふうな動きになりまして、その後FAOを中心に二回ほど作業部会を開きまして、いろいろ条約の骨子になるというふうなものを研究いたしてまいりました。昨年ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで、この条約ができたわけでございますが、日本は、もちろん、無制限に公海で幾らでも魚をとれるというのが理想ではございましょうが、しかし、それでは魚自体がだんだん減っていくということも考えなければなりませんので、持続的漁獲が最大に保ち得るように、そういうためには国際的な制約、いろいろな規制も甘んじてこれを受ける、むしろ進んでそういう規制を日本が受けて、それによって安定した持続する漁業をやっていきたいというのが日本の意図でございます。そういうことで、昨年のブラジルの会議では、日本が積極的にいろいろの条項の制定に関しまして活動いたしまして、現在お手元にあるような条約ができたわけであります。
 この勧告につきましては、関係国が納得のいく共同規制あるいは共同調査研究をやっていきたいということで、こういう非常に、抜け道と先生おっしゃいましたが、そういうふうな道ができたわけでございますが、この抜け道である異議の申し立てにつきましては、たとえば四分の一未満の国が異議の申し立てをしたというふうな場合は、その異議の申し立てを無効であるというふうに宣言することもできる道がございまして、やはり大多数の国が賛成するような場合には、少数の一カ国か二カ国の異議申し立てによって全体がだめになるというようなことにはしないで、なるべく勧告であっても誠実に実施していくというようなたてまえになっております。日本といたしましてもそういう観点から、この勧告の規定にございますような共同規制の措置を考える場合、中心になってその共同規制の方法をいろいろ日本が提案し、かつ、それについて責任を持って将来勧告が採択された場合には実施するというふうな方針で臨むつもりであります。そういうことでございますので、この勧告は確かに文字といたしましては勧告でございますけれども、日本としてはそれからのがれるというふうな規定ではございません。その勧告の作成には責任を持って当たり、かつ、できた場合にはこれを誠実に順守していきたいという方針で臨みたいというふうに考えております。
○森元治郎君 この条約は、私はさらっと読んだだけだが、規制を必要とするかいなかを調査研究するのが主眼であって、締約国を拘束するのじゃなくて、規制すべきかどうかをまず調査研究しようじゃないかという趣旨なんですか。
○説明員(高島益郎君) 先生のおっしゃったとおり、まず第一番に大西洋地域、つまり大西洋それからカリブ海、地中海水域におきますまぐろ類の資源状況をよく調査し、その調査研究の結果、何らかの共同規制措置が必要であるという段階におきまして初めて共同規制の措置が勧告されるという段取りでございます。話によりますと、この調査研究というものは非常に時間がかかるものだそうでございまして、実際には相当急いでも四、五年はかかるということでございますので、実際にこの条約が発効し、それからさらにまた四、五年の調査研究期間を経てさらに共同規制措置が講ぜられるというのはかなり先の話になろうかと考えております。しかし、主眼が調査研究だけであってそれで終わるということではございません。調査研究の結果、やはり何らかの共同規制が必要であるというのがこの条約をつくったもとの原因でございます。したがって、共同規制というのは当然に想定されるというふうにわれわれは考えております。
○森元治郎君 この条約の積極的プラスの理由、日本が積極的に入った理由をもう一回――提案補足説明もあったけれども、魚の専門屋さんも来ておられるのだろうが、そっちのほうからひとつ積極的理由を聞かしてもらいたい。
○政府委員(山中義一君) 水産のほうの立場から申し上げます。
 大西洋におきまするまぐろのおもな漁獲を行なっております国の名前を御参考までに申し上げますと、これは最近の昭和四十年の国別の漁獲量でございますが、大西洋全体で二十二万六千三百トン、そのうち――ただしこれはカジキマグロとかサメ類というようなものを除いております――純粋のまぐろでございます。日本が一番多くて十二万七千二百トン、それから次がスペインの四万三千百トンであります。フランスが二万五千百トン。それからポルトガルが一万一千八百トン。それからアンゴラが八千四百トン。こういうぐあいで、日本が六〇%近くを占めております。日本の大西洋に出ました歴史は十年くらいで、まぐろ漁業が進出いたしましたのは過去十年くらいでございますが、この二、三年一隻の船の一鉢――まぐろは、はえなわと申しまして、長い道なわから針が何本かついておりまして、それにえさをつけてとるしかけでございますが、その釣獲率――ある一定の長さの針にひっかかる率というようなものもやや減ってきておる。これは最初の進出した当時に比べましてやや資源が枯渇してきておる。これが、先ほどのお話しの持続的最大漁獲量に達したか達しないかという点につきましては、何ともまだ申し上げられないわけでございますけれども、初めのころよりは若干確かに減ってきておるということは言える。したがいまして、日本が一番多くとっておる。その漁獲率に対しまして各国は、しかも、私が先ほど申し上げました国はおもなものだけを申し上げましてそれくらいでございましたけれども、国の数自体といたしましては、まだ千トン台あるいは百トン台というようなものもたくさんございまして、実に多い国になっております。二十数カ国くらいがこれを利用しておる。日本がその六〇%近くを利用しておる。このような場合には、やはり日本としてはこのような漁獲を末長く続けていくということが漁業の上においてはきわめて有利なことであるということであって、これを末長く一定の秩序のもとに利用していくというのが望ましい姿である。そういうような意味合いにおきまして、この漁業条約に卒先参加してこれを採択したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○森元治郎君 どうも積極的な理由という感じもあまり御説明からは感じないのだけれども、そもそもはこれはどこの国とどこの国が集まってこういうものをやろうということで始められたのですか。
○政府委員(山中義一君) 初めはFAOの主催でございますが、これに参加の積極的な意向を表明いたしましたのがアメリカ、ブラジル、スペイン、フランス、ポルトガル、アンゴラ、韓国――日本ももちろん入っておりますが、これらが大西洋のまぐろ漁業を行なっております国々でございます。
○森元治郎君 条約ということになると、もっとどこかひっかかりができるのが条約だと思うのだが、こういうものは共同宣言ぐらいで済まないものですかな。どうです、高島参事官。
○説明員(高島益郎君) やはり共同の調査研究のためには、必要な国際的な機関を設けてその予算の範囲内でいろいろな事業をしなければなりませんし、また、さらに将来共同規制措置を考えるということになりますと、当然国際的な一つの組織のもとでなければ有効な国際的規制ができない。現に日米加の漁業条約あるいは日ソ漁業条約の例にございますように、国際的な規制をする場合には、どうしても国際的な組織のもとで一つの規制措置を定めなければ有効に実施し得ないというふうなことで、この大西洋におきますまぐろ漁業につきまして将来の共同規制ということを考えます場合には、どうしてもそういう観点から国際的な条約の実施が必要であるというふうに私は考えます。
○森元治郎君 きわめてふわっとした条約で、趣旨はきわめてけっこうだと思うけれども、ふわっとした条約だ。
 ところで、これの九条の3の説明をしてくださいませんか、「国際的取締りの制度を設ける」というこの説明を。
○説明員(高島益郎君) 九条の3項は、まず「この条約の規定の適用を確保するために適切かつ有効な措置をとる目的で相互に協力をする」ということを、さらに将来「条約区域に適用する国際的取締りの制度を設ける」ということと、二つ書いてございます。で、これは先ほど申しました調査研究の結果何らかの共同規制が必要であるということになった場合に、その共同規制を取り締まるための一つの国際的な制度であります。したがって、共同規制の内容といたしまして、魚種とかあるいは漁獲高のいろいろな制限等が定められました場合に、これに対する違反を取り締まる一つの制度であります。この制度の内容といたしましては、もちろんこの九条3項には何ら規定しておりませんので、現在どういう形のものができるかということは考えていませんが、一般的に申しますと、あるいはまた、この条約の交渉の過程からのいろいろな議論から推定いたしますと、もし違反があった場合には、その違反の船に対して実際に臨検して違反の事実を確かめる、そうしてそれに対してその船の属する国に違反の事実を通知し、そうしてその違反のあった船の属する国が、その違反に対して将来条約のもとで定められます何らかの罰則と申しますかそういうものを適用する。つまり旗国主義でもって取り締まりの内容を実施をしていくということが考えられるかと思います。現実に日本の場合、日米加条約、あるいは日ソ漁業条約のもとでは、そういう取り締まりの制度のもとで、単に臨検等で、日本の漁船の場合ですと、日本のもとでその違反に対して何らかの処罰をするというのがせいぜいのところでございまして、それ以上にきびしい国際的取り締まり制度というものは、現在の漁業条約のもとでは考えられないというふうに私ども考えております。したがって、この条約のもとでも、将来何らかの取り締まりの制度ができました場合に、せいぜいその程度のものであろうかと考えております。
○森元治郎君 制度というのはどういうふうな意味なんですか、制度。
○説明員(高島益郎君) これは原文ではシステムということでございまして、特にむずかしい内容のものでございませんで、取り締まりの一つの方法というふうなものと考えて差しつかえなかろうかと考えております。特別に厳重な機構というふうなものでもございません。取り締まりに関する一つの方法という程度のものであろうと思います。
○森元治郎君 これはシステムという場合、制度という翻訳はあまりいい翻訳じゃないような気がするのだが、ところで十三条の1「新たな義務を含まない改正」、「新たな義務を含む改正」というのがありますね、これはこの国会で承認したとして、この条約の本文を訂正する以上は、これは手段として国会の承認を要するというふうになるのですか。
○説明員(高島益郎君) 「新たな義務を含まない改正」は、この第十三条によりまして、締約国の四分の三の受諾があれば、その三十日後に発効する、すべての締約国について発効するということになっております。これはよくほかの国際条約でもある例でございますが、非常に軽度な改正でございまして、何ら締約国に新たな義務を課するものでない場合は、四分の一の加盟国については特別に受諾の措置をとらなくても、全加盟国を拘束するという趣旨のものでございます。したがって、もちろん日本といたしましては、そういう「新たな義務を含まない改正」につきましても国会に提出する、国会の承認を得た後受諾するということになろうかと思います。もし万一、国会の承認の手続を経ない間に四分の三の国が受諾をいたしますと、三十日後には自動的に改正の効果が発効するわけでありまして、日本が国会の承認を得て受諾しない前に発効するという事態が考えられないことはございません。
○佐多忠隆君 油のこの条約の署名のところに、「受諾を条件として」というのと「批准を条件として」というのがありますが、これはどう違うのですか、受諾と批准。
○説明員(高島益郎君) 国際機関にあるいは国際条約に加入いたします場合に、よく受諾、批准、承認という三つのことばがございまして、それぞれ各国、国内法上のたてまえから、ある国は承認を条件とする、ある国は批准を条件とする、ある国は受諾を条件とするというふうにいろいろございます。これは各国の手続にまかせられておりまして、憲法上、あるいはその国のいろいろな条約に関する取り扱い上の慣習によっていろいろな差があろうかと思います。一般的に申しますと、批准というのは非常に重い形式の国内手続、それからその次に重いのが受諾、それから三番目に承認というのがございますが、これは聞くところによりますと、フランスの、特に国内手続上そういうことばがあるのだそうでございます。そういう大体順序で、国内手続の重さの度合いを示すことばとして、これは使われておるように考えております。日本の場合には、受諾を条件として署名いたしております。これは批准というふうな国内手続をとらずに、受諾によってこの条約に入る意思を示したものでありまして、順序からいたしますと、必ずしも国内上の手続による批准の手続を経ないでこの条約に加入するということを示したものでございます。
○佐多忠隆君 批准と受諾というのは、日本の場合においてはどう違うのですか。はっきりしないのだが、正確に……。
○説明員(高島益郎君) 批准の場合ですと、憲法の規定によりまして批准書を作成し、これに天皇の認証を得て正式に文書としましてその条約に加入する手続をとるということでございますが、受諾の場合は、そのような手続は憲法上規定してございませんので、別個、受諾の文書を作成いたしまして、これを国際機関に提出するということになる次第でございます。したがって、これに対しまして特別に天皇の認証を求めるということはございません。そういう形式的な差がございます。
○佐多忠隆君 そうすると、受諾の場合は、国会もそれを認める必要はないのですか。政府だけでいいのですか。その点はどうなんですか。
○説明員(高島益郎君) 批准につきましても、受諾につきもしても、すべてこれは政府が行なう行為でございまして、その前の段階で国会の御承認をいただくということになっております。したがって受諾するか、あるいは批准するか、あるいは承認するかというふうな手続につきましては、政府の権限であろうかと思います。
○佐多忠隆君 一九五四年会議には日本が参加をして署名したわけですね。それでもって受諾はしてないのですか、どうなんですか。
○説明員(高島益郎君) 今回御承認を得た後、受諾をいたそうかというふうに考えておる次第でございます。
○佐多忠隆君 そうすると、国会が通ってあれすれば、それは受諾ということになるのですか、批准ということになるのですか。
○説明員(高島益郎君) 国会の御承認をいただきました後に、政府としまして受諾の手続をとってこの条約に参加する次第であります。
○佐多忠隆君 受諾ですね。そうすると、一九六二年に条約改正の会議をやっておりますね。それに対する日本の態度はどういうことなんですか。
○説明員(高島益郎君) 一九六二年に原条約に対します改正が行なわれました。その改正条約は一九五四の原条約に対する改正でございまして、現在では、この改正された条約がお手元にございますこの条約でございます。したがって、このお手元にございます条約の中には、もちろん最切の原条約の部分もございますけれども、それ以外に、改正された部分あるいは改正された条項を入れてあるわけであります。現在、これから新しく受諾してこの条約に加入する場合には、改正された条約に参加するというかっこうになるのでございまして、もとの条約だけに入り、じゃまた一九六二年に改正された条約そのものにはまた別個に入るということでございませんので、改正された一九五四年の条約というものに入るというたてまえでございます。
○佐多忠隆君 その改正条約の場合には、オブザーバーとして参加をしておるわけでしょうが、その場合には署名はしてないわけなんですか、どうなんですか。
○説明員(高島益郎君) 六二年のロンドンでの第二回の――第二回と申しますか、条約改正会議には日本はもちろんオブザーバーとして参加いたしております。参加いたしまして、この条約の改正文書をまとめて会議全体の成果を一つの文書にいたしました議定書、これにはオブザーバーとして署名いたしております。しかし、それは会議の成果そのものに対する一つの署名でございまして、その結果採択されました改正条約そのものには署名いたしておりません。したがって、日本といたしましていままで署名いたしました条約の分といたしましては、この五四年の原条約だけでございます。
○佐多忠隆君 この第二条に、捕鯨作業従事船舶、海軍艦艇等には適用除外にしているということがあげてありますが、これはどういう意味で適用除外になっているのですか。
○説明員(鈴木珊吉君) お答え申し上げます。捕鯨の適用除外でございますけれども、これにつきましては、捕鯨業に現在従事しているという船舶でございまして、これは捕鯨のキャッチャーボートに捕鯨作業中に母船から油を補給するわけでございます。燃料油を補給するわけでございます。それで、そのために母船がおりますのですけれども、その場合に、補給を終えまして母船のタンクがございますけれども、油タンク、それを洗いまして、その中にとれたえものを入れるという現合が多うございます。したがいまして、捕鯨作業中に母船がそのタンクを洗いました汚水が出るわけでございます。そういったものまで排出禁止をするということは、捕鯨作業に非常な支障を来たすのではないか、また、そういうところには、そういうよごれた汚水を受け入れる施設もございませんので、これについては適用を除外するという趣旨でございます。
○佐多忠隆君 軍艦は、艦艇は。
○説明員(高島益郎君) 海軍艦艇につきましては、この条約交渉の過程におきまして、この第九条の第5項に、実は、この各船舶に備えつけます油記録簿について、その船が外国へ行った場合、その外国の官憲が自由に検査できるという規定がございまして、そういうふうな観点から、海軍艦艇についてはそういうことを許すのは適当でないというふうな理由で、海軍艦艇につきましては特に除外いたしました。ただし、第二条第2項にございますとおり、除外いたしましても、「合理的かつ実行可能な限り、」適用するようにしなければならないということでございまして、必ずしも除外したからといって、全然適用除外されて油を流しっぱなしということではございませんで、できる限り各国政府が、海軍艦艇につきましても、実施し得る限りにおいては油の排出について規制すべきであるということになっております。
○佐多忠隆君 それから、附属書Aについてでございますが、その中で、一般的に、全般的に禁止区域として、それから(2)に、「次の海域」では云々として、ずっと特掲してるあるのですが、その(2)をずっと特掲した特別な理由はどういうところにあるのですか。
○説明員(高島益郎君) これは潮流その他のいろいろの諸事情によりまして、油を船が排出いたしました場合、その及ぼす被害の度合いは各国まちまちでございまして、原則としましては、距岸五十海里を禁止区域とすれば一応の被害は防げる。しかし、国によってとても五十海里では十分に公害からその国の安全を守り得ないというふうな国がございまして、そういう国につきましては、それぞれの国の主張に基づいて、条約の結果、例外的に禁止する区域が設定されたわけでございます。特に一九五四年の第一回会議には、英国がこの会議を招集しましてできたわけでございますけれども、英国は非常にそういう害を痛切に感じておりまして、英国の近海はほとんど全面的に禁止海域になっております。これは日本と違いまして、潮流その他の理由で油の排出による被害の大きい国は、そういう国の主張に基づいてこういう例外措置を認めたということでございます。
○佐多忠隆君 同じ意味で、それじゃ太平洋の日本海域にも何か特掲する必要はなかったのですか。
○説明員(鈴木珊吉君) お答え申し上げます。わが国の実情は、ただいま国内関係法案を提案出いたしておりまして国会の御審議をいただいております。その案によりますと、条約の原則どおり、日本の沿岸から五十海里を禁止区域にしております。これは一応現在のところは五十海里の区域を限定しておきますれば、それ以上延ばさなくても、油が流れ出てくることは、はっきりはわかりませんが、心配はないのではないか。ただし、これにつきましては、将来とも海上保安庁等によりまして、潮流の関係あるいは風の関係等で五十海里以上の油が沿岸に流れ込むということもあり得ることもございますので、そういうことが調査の結果わかりましたならば、場合によりまして、国内法を改正いたしまして、五十海里以上も日本の沿岸につきましては規制区域にするという手段を法律上考えているわけでございます。現実的には五十海里でやっている次第でございます。
○佐多忠隆君 この条約は一九五四年に署名をしているのですが、それから十年以上も受諾をしなかったその理由はどういうところにあるのですか。
○説明員(鈴木珊吉君) 日本の場合だけを申し上げますと、島国でございまして、欧州あるいは米州と違って、国が地続きでございませんということ、特に欧州は北海、地中海におきましては、そういった油が出た場合にたまるということがございます。そういった関係で、日本は島国で潮流が早いということで、欧米各国に比べますと、それほどの被害はないということでございます。
 しかしながら、近年特にタンカーがふえてまいりまして、ときどき随所に湾内で、特に小型船でございますが、国内般でございますけれども、そういった油を流して汚濁の被害が出ておりますので、公害問題として社会問題化しておりますので、この際条約を批准しますとともに、国内法を制定するというわけでございます。
 それで、特に西欧並みにすぐに条約を批准するという必要性がなかったということでございます。だから国内事情でございますけれども、ただし日本の般舶といたしましては、現在特に遠洋区域に行っております外航般舶におきましては、たとえば油を外に出さないような流出防止装置とか、そういった装置をつけておりますし、また、そういう締約国海域に入りますときには、日本は締約国ではございませんけれども、やはり禁止区域外に油を捨てて入っていくということを、実際そういう外航船はやっておりますので、対外的には問題は起こしていなかったわけでございます。そういうような事情で、最近になって、特にこういった国内法と関係もございますので、この条約を批准するという形になっておるわけでございます。
○佐多忠隆君 日本は陸地続きの国と違って島国であり、四面海に取り巻かれているのであるから、その必要性からいって、イギリスとほとんど違わないくらいに必要なんで、それをなぜこんなにおくらせたのかということがよくわからないのですが、おそらくそれとの関連があると思いますから、もう一つ尋ねておきたいのは、この条約の実施に必要な国内法の整備体制というものはどういうふうになっておりますか。
○説明員(鈴木珊吉君) 条約の実施につきましては、まず沿岸五十流里以内で船舶は油を排出してはならぬという原則をとっております。それから、排出を禁止する以上は、そういった廃油類を捨てる場所、施設がなければならないということで、そういう廃油の受け入れ施設というものを三カ年計画で整備していくというふうに考えております。
 その内容を申し上げますと、まず国内船につきましては、主として油を積む港でございます。石油精製基地がある港から始めまして、大体三十港ぐらいの港につきまして港湾管理者、つまり都道府県、市町村でございますけれども、港湾管理者にそういう廃油の受け入れ処理施設をつくらせます。この場合には、やはり地方財政の事情もございますので、国庫から半分補助する。国庫から半分補助いたしまして、そういうものをつくらせまして、国内船は寄っていって廃油を捨てるということにいたしております。それから大きなタンカーでございますけれども、日本へはイランから、ペルシア湾から大部分持ってまいりますけれども、そういった船が日本へ来て油を揚げるときには、別に汚水を流すわけじゃございません。これは積む場合に流すわけでございます。ですから、外国のタンカーが日本でバラストを排出する心配はないのでございますけれども、日本でたとえば修理するとかあるいは定期検査等行ないます場合に、その場合には造船所付近でもってやはりタンクをクリーニング――洗います。その際に非常に大量な汚水が出るわけでございます。そういったものにつきましては、港湾管理者ではなしに、船舶修理港におきましては造船所等の出資会社、つまり民間でそういった廃油のクリーニング汚水を受け入れるとともに、そういう廃油処理をするという事業を民間事業として法律上認めております。これは許可制等によりまして監督いたしますけれども、そういうところでそういう施設を民間でやらせまして、そういう大型タンカーの廃油受け入れを行なわせる。これにつきましては、現在東京湾とかあるいは大阪、明石とか、瀬戸内、西九州、そういった大造船所のあります基地には関係造船会社が出資いたしまして、そういうタンク・クリーニング施設をつくらせまして、現在東京湾に一つできておりますけれども、全国六カ所ぐらい逐次つくらせまして、そこでそういった修理する船のクリーニング汚水の受け入れ施設をつくらせる。これにつきましては、私どもといたしましては、一つの公害協力事業でございますので、低利長期融資、開銀の公害のワクから低利の融資をする次第でございます。それからまた、そういうものにつきましては、地方税法上の減免措置もやはり法律上考えております。
 それからなおそれ以外に、たとえば石油精製会社等が内航タンカーで油を運ばせますので、その場合に、石油精製会社が自分で自分の精製工場に出入りいたします内航タンカーの廃油処理施設を自家用につくるということも法律上認めております。これは特にたとえば和歌山とか、福山とか、そういった石油精製工場がございますところでは、油を積みますときに、いままで積んでおったいわゆるバラスト水を流しますと大量に汚水が出る。したがって、そういう石油業者にも御協力いただきまして、そういうところにも自家用の廃油処理施設をつくるということも考えております。
 般舶につきましても条約がございますけれども、やはり国内法におきましてビルジ等が船外へ出ないように油水分離器というような、そういった機器を般舶に備えつけることを義務にしておりまして、これはたいした金額のものではございませんけれども、特に内航小型タンカー等につきましては相当経済上苦しいということもございますので、これにつきましては、船舶整備公団というものがございます。そこで低利の融資をさせまして、そういった油水分離器のビルジ防除装置をつけるように助成いたすという体制をとっております。大体以上のような体制で条約の義務の履行をやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
○佐多忠隆君 この条約に違反した場合に、何か国際的な規制なり何かがあるのかどうか。それから、国内的にはどういうこれに違反した場合に制裁があるのか。
○説明員(高島益郎君) この違反の場合の処置につきましては、第十条に規定がございまして、この規定にございますとおり、違反については、違反を発見した国がその違反船の属する国に対して違反の事実を直ちに通知し、そうしてその通知を受けた違反の船の属する国の政府は、これに対しまして適当な司法的手続をとるということになっております。この司法的手続をとる際の基準といたしましては、現在別途国内法の制定手続を進めておりますが、その中に十分な罰則の規定がございます。その罰則はすべて第十条の規定に基づいているわけであります。
○佐多忠隆君 その国内法をもう少し詳しく。
○説明員(鈴木珊吉君) 国内の罰則につきましては、何ぴとも船舶から油ないし油性物資を排出してはならない。これに対する違反といたしまして罰則がございます。これは三カ月以下の懲役と、それから十万円以下の罰金ということで罰則を考えている次第でございます。
○佐多忠隆君 これは五四年の条約を署名してから十年以上も受諾をしなかったというのは、いまのそういう国内措置なり何なりが十分に整っていなかったので、それを待ってようやく受諾に至ったというような事情があるのかどうか。そういうこととは無関係でもっと別な事情があったのか。その辺の事情はどういうことでございますか。
○説明員(鈴木珊吉君) 特に別の事情はございませんのでございますが、もちろん国内体制でそういったような整備をするのは相当金がかかりますし、それから船主といたしましても、相当な船主経済上の犠牲を受ける。特に国内的には、油を捨てに行くために、たとえば迂回して行く。そのために稼動率が落ちる。油をただ捨てるわけじゃない。料金を払わなければならない。船主経済上も多少問題があったと思いますので、やはり全般的に言いまして、公害ということが最近叫ばれるという社会情勢に応じまして、最近になって実施するに至ったということだと思います。
○加藤シヅエ君 関連して。いまいろいろと答弁伺っておりまして、私も佐多委員と大体重複する点が多いので、私の質問はなるべく簡単にいたしたいと思いますけれども、この条約がこんなに早くに締結されていて、そうして日本がいままで非常に問題が起こる可能性を多分に持っているにもかかわらず、いままでこの条約に対して全くほおかぶりであって、しかも、三十一カ国が当事国になっているという、名前があげられている国々の中では、日本よりももっと産業開発の程度で後進性の高い国もたくさん入っている。日本は造船世界一を誇り、商船のトン数においても世界第五位にあるというようなことを片方で誇りながら、こういうような条約をこんなに長くほうっておくということは、これはもう非常に怠慢であると私は思います。そうして、ようやくこの節公害とかいうような社会問題化したので、これ以上ほおかぶりを続けられないというようなことで、ようやく腰を上げたというふうに受け取られるのでございます。こういうようなことがあるというようなことは、英国なんかがいち早くこういうことについては敏感に感じた。そのとき英国が非常にこういうことについて被害を受ける程度が多くて、日本は非常に少ない、あるいはほとんどないというようなことで、日本が非常におくれたというようなおことばがちょっとあったように思いますけれども、私、それは非常に間違っておるのだと思います。それは英国その他早くこの条約に加盟した国々は、こういうことについて非常に敏感にその重要性を感じたから早く条約を批准したのであって、取り上げたのであって、日本は非常な被害があるにもかかわらず、一方で被害を受けておる人があるにもかかわらず、条約をいつまでもこうやってほうっておいた。これはまさしく非常にたいへんな怠慢であると私は思います。こういうことは、外務省がいつまでもこうやってほうっておけばいつまでもほうっておけるものなのか。それとも産業優先が日本の政府のいままでの方針でございますから、こういうような条約を批准しようというような動きがあったことに対して、いや国内法がそろっていないとか準備がどうだとか、そういうようなことを運輸省あるいは通産省その他からそういうような文句があるので、いつまでもこうやってほうっておおきになったのか、その間の事情はどういうことになっておるのか説明していただきたいと思います。
○説明員(高島益郎君) 確かに先生の御指摘のとおり、この条約ができたのは一九五四年でだいぶ時間がたっております。ただ、私どものほうでいままでほおかぶりをしてきたということは決してございませんで、いろいろこの条約を誠実に実施するためには国内体制の整備ということが不可欠な事情にございますので、外務省といたしましては運輸省と常々協議を重ねながらこの条約の批准促進のためにいろいろ努力してまいって、今回やっとその実現を見るに至ったというのが実情でございまして、決して長い間われわれのほうで放置しておいたということではございません。その点は事情を御了承いただきたいと思います。先ほど運輸省のほうから御説明ございましたとおり、非常にこの条約を実施をするためには国内的な体制の整備、特に予算面でございますけれども、手続が必要でございまして、その整備のためにこのように時間をとったというのが実情でございます。なお、英国なんかの場合と違いまして、日本につきまして英国の場合ほどは非常に緊急な公害が当時、つまり一九五四年の当時はまだ感じられていなかったということは事実であろうかと思います。そういうふうなことも背景にあったことは事実でございますけれども、主たる理由は、国内体制の整備に非常に時間がかかったというのが実情でございます。
○加藤シヅエ君 なお国内法についてもっと詳しく伺わなくちゃなりませんけれども、私は産業公害対策特別委員にもなっておりますから、あちらでも審議中でございますから、あちらで詳しく伺います。
 いま高島参事官の御答弁の中で、その間いろいろ折衝したとおっしゃいますけれども、十年もかかって折衝するなんていうことは、これはちょっと私信じられません。確かにこれはほうっておおきになったし、また、片方ではお金がかかるとか国内のいろいろな事情ですべてが産業優先というようなことでこの法律が批准されないまま犠牲になってきた。そういうようなことがあるということは、これはやはり外務省の責任であって、これは国際的にも日本の信用の問題でもございますから、もっと今後強くこんなことは早く批准されるべきだということを申されるべきだと思いますが、私はこのことを強く外務当局に要望いたしまして今日の質問は終わっておきます。
○杉原荒太君 私の関連しての質問というのは、五四年のそのときの時点からずっとそれ以後の点を見ただけじゃなくて、それ以前においてこれを何とか取り締まっていくというような問題はずいぶん前に国際的に問題にされたんですね。これは自分が実は一番初めに若いころ扱った問題だからよく記憶しておりますけれども、ワシントンの大使館にいたころだったが、一番初めはそういうことをたしかイギリスがそのとき主催で日本にも招請状が来て、そのとき澤田さんがたしか出られて、私もその下働きをしておったから知っておるんです。それだから、いまから言うと、私の若かりしころだから、まだ二十三、四のことでずいぶん前のことですが、そのとき以来の問題で、私も実はこれに非常に関心をそれ以来持っておったんだが、署名どころか、ああいう国際的コントロールすることに対しては日本は非常に消極的だったんですよ。そして何か外務省自体がやはりいろいろな船主とか経済的負担力が足りぬとかあったかもしれませんけれども、しかし、非常に疑問に思っておった。鈴木審議官、どこの方か知りませんけれども、これは外務省にそういう実情聞いてもほんとうは無理かもしれません。これは淡泊にいままでの事実を事実として述べられれば私は納得するんですよ。実際日本はこの問題が国際的になっていながらおそろしく消極的だったんですよ。さっきの話を聞いておりますと、船主側などが非常に経済的負担が高くつくとか、そういうことが主たる原因だと言うが、ぼくはその主たる原因が何なのか、事実を詳しく言わぬでもいいから聞きたいんですよ。その真実を言いなさいよ。だれでも疑問に思いますよ。簡単でいいです。
○説明員(鈴木珊吉君) 船主経済の問題はあったと思います。けれども、そういった諸般の問題からおくれたことは事実でございます。そういった点でやっとここまで参いりましたが、まことに怠慢でございましたことは事実でございます。
○森元治郎君 それじゃ、私が最後だと思いますけれども、一つだけ、関係政府委員をお待たせいたしましたが、海水からきれいな水を取り出すということ、これは海水汚濁との関連も若干あるかと思いますが、日照りでいつも騒いでおるこの際、また将来の大きな問題だと思うんですが、そういう科学的な仕事はもう各国で進められているんでしょう。どのくらいの将来見通しがあるのか。海水塩分の少ないものは簡単に真水になるのか、こういうものは無理なのか、お金はどのくらいかかるのか、各国の発達状況と日本の現在やっていることなどを一括して要領よく教えてください。
○政府委員(馬場有政君) 御質問の点について簡単に申し上げます。
 まず日本の状況でございます。わが国におきましては、将来のことを考えますと、非常に水の心配があるわけでございます。そこで、現在までどういうことをやっているかと申しますと、工業技術院の東京工業試験所におきましては、水を海水からつくるということにつきまして、冷凍法、あるいは蒸発法あるいは逆浸透法、これは技術的な問題でございますので、内容については省略いたしますが、こういった方法の基礎的な問題からいろいろな研究を現在進めておるわけでございます。
 また、専売公社を主といたしまして、このほうは、製塩技術、塩をつくるということをもとにいたしまして、蒸気圧縮法、あるいは多重効用かん、こういったような方法を研究しておったわけでございます。で、もちろん、塩をつくりますときには水を蒸発いたしますので、当然淡水が出てくるわけでございます。研究の状況は、こういった状況でございます。
 それから、現在それではどういうふうなことが日本国内で実際に行なわれておるかという状況でございますが、御承知の九州の崎戸島におきましては崎戸製塩というのがございます。これは年間三万トンの塩を、蒸気圧縮法と多重効用蒸発、この両方を結合いたしました方法でやっておるわけでございますが、その際に、一日に二千七百立方メートルの真水が出ておるわけでございます。それをその崎戸島の島の人たちに供給をいたしております。
 それから香川県でございますが、香川県でも同様に塩をつくりますときに出ます水をつくって、これを町民に――これは仁尾町というところでございますが、そこで夏に六百トン、それから冬には二百トンの水を、一日に、町民に供給をいたしております。
 その他、いろいろ、主として塩をつくりますときの副産物の水を供給する、あるいは自家用に使うというようなことが行なわれております。
 また、笹倉機械製作所というのがございますが、そこには私のほうで昭和四十年度に研究の補助金を出しておりますが、この方法が相当の成果をあげましたので、石川島播磨と組みまして、その装置をクウート地区に輸出をいたしております。で、これが値段がどのぐらいでできているかというのは、それぞれのあれははっきりいたしませんが、輸出いたしましたものにつきましては、大体、燃料代をただといたしますと、一立方メートル四十円程度でございます。これは一日に九千トン水をつくりますもの四基、つまり三万六千トンの水をつくるという装置でございます。それから、その建設費は大体三十五億でございますが、そのうちの約三分の一が純粋の造水装置に使われておる、水をつくるのに使われておるという状況でございます。そのほか、小型のものでございますと、先ほど申しました程度のものでございますと、大体、造水費は一立方メートル当たり五十円から百円、その程度となっておるわけでございます。
 それから各国の状況でございますが、一番最近の状況を申し上げますと、本年の五月二十三日からワシントンで、平和のための水利用会議という国際的な会議がございました。そこで、世界各国から六千人ぐらいの人が集まりまして、工業用水あるいは生活用水の増加に伴う水不足、それから、未開地の利用をはかるための水の取得、こういった二点を大きな問題といたしまして議論がされたわけでございます。で、現在世界各国で見ますと、規模は小そうございますが、多数の淡水化の装置がございます。アメリカでございますとか、ソ連、あるいはクウェート、イスラエル、こういったところに各地に建設されておるわけでございます。これらは、特別な立地条件、すなわち、燃料が非常に安い――石油産地でございますと、天然ガスがほとんど放出されっぱなしになっておるというような状況でございますので、こういった燃料が非常に安いところ、あるいはまた、試験的にこういった装置をつくるというようなことで行なわれっおるわけでございます。で、各国の技術の水準から申しますと、アメリカが最も進んでおります。すでに一九五〇年に内務省に塩水局というのが設けられまして、以来、将来の水不足というものに備えまして安価で水を供給しようという考えから、塩を含んでおります水から真水をつくるという技術の確立に努力をいたしておるわけでございます。そういうような状況で、現在、アメリカでは相当大規模な試験工場がつくられておるわけでございまして、年間の予算も二千万ドルというようなことでこの仕事が進められておるというわけでございます。で、わが国におきまして今後どういうふうな方向をとっていこうかということにつきましては、こういうような状況でございますので、私どもといたしましては、相当大量に水を供給するという技術の確立をはかろうということで、現在いろいろな試験研究を実施しております。目標は、現在の日本の総平均の水の値段は一立方メートル当たり三十二円前後でございますが、そういう値段でつくることを目標に現在いろいろな研究をやっておるわけでございます。
○森元治郎君 それで、簡単に言えば、当分それでもってたんぼの水が足りないのを埋めることはできないのかどうか。たとえば、私は茨城県ですが、涸沼という潮入りのところがある。百姓が大騒ぎして、これが真水になればなあということを言われたので、それじゃおれが聞いてやると、それでいま聞いたわけなんですけれども、切実な問題なんですよ。あそこは潮入りの沼ですから、潮が薄けりゃということで、これは一立方メートル一円ぐらいでいくのかな、二円ぐらいでいくのかな、そんなものを聞いてみようと思ったのだが、当分それは問題にならないのですか。たんぼに流せるだけのことは、お金の点、燃料も入りますが、当分望みなしか、何年後かには幾らでもあれが真水になるのだというようなビジョンがあるのか、それだけ、簡単でいいから。
○委員長(赤間文三君) 結論だけひとつ。
○政府委員(馬場有政君) 結論だけ申し上げますと、一円ではとても……。(笑声)
○森 元治郎君 いや、たとえばだよ。
○委員長(赤間文三君) 田中政務次官から発言を許します。
○政府委員(田中榮一君) ただいま、加藤委員、佐多委員、杉原委員から御質問がございました、海水の汚濁防止に関する条約の批准が一九五四年からもう足かけ十二年間まだ批准に至っておらぬのはもってのほかだ、政府の怠慢じゃないかというおしかりのことばがあったのでございますが、本件につきましては、従来しばしば国会におきましても、なぜ早く批准せぬかというような議論が行なわれておったのでございまして、そのつど、政府としましては、国内体制を十分整えました上でできるだけ早く批准をいたしたいと、こういうように実はお答えしておったのでございますが、昨年の臨時国会に際しまして、公害防止の特別委員会、これは衆議院でございましたが、その席上で、やはり猛烈に、ただいま三先生から仰せのあったような猛烈な、政府に対して、早く批准をしたらどうか、国内体制を整えろという御要請がございまして、その際政府としましては、次期通常国会に必ず批准案を提案いたします、それから必要な予算措置も講ずるようにいたします、さらにまた、関係法案等の提案をいたす準備を必ず進めますので、御了承を願いたということで実は御了承願った次第でございまして、その線に沿うて、今回通常国会を契機といたしまして、必要なる措置を講じたわけでございまして、この点たいへんおくれた点につきましてはまことに申しわけないのでございますが、政府といたしましては、ようやくここまでこぎつけた点につきましてひとつ御了承願いたいと存ずる次第でございます。今後もまたいろいろ御意見を承りまして、皆さまの御協力を賜わりたいと思っておりますので、何とぞ御了承を願いたいと思います。
    ―――――――――――――
○委員長(赤間文三君) この際、委員の異動について御報告を申し上げます。
 本日付をもちまして笹森順造君が委員を辞任され、石井桂君がその補欠として選任をされました。
    ―――――――――――――
○委員長(赤間文三君) 他に御発言もなければ、二案件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
 別に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 千九百五十四年の油による海水の汚濁の防止のための国際条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 次に、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(赤間文三君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。
 なお、二案件に関し本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(赤間文三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後零時二十三分散会