第055回国会 逓信委員会 第21号
昭和四十二年七月二十一日(金曜日)
   午後四時二十三分開会
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   委員の異動
 七月二十一日
    辞任         補欠選任
     黒柳  明君     和泉  覚君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         森中 守義君
    理 事
                植竹 春彦君
                寺尾  豊君
                西村 尚治君
                森  勝治君
    委 員
                古池 信三君
                郡  祐一君
                迫水 久常君
                白井  勇君
                新谷寅三郎君
                谷村 貞治君
                鈴木  強君
                永岡 光治君
                横川 正市君
                石本  茂君
                鈴木 市藏君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  小林 武治君
   政府委員
       郵政大臣官房長  竹下 一記君
       郵政省電波監理
       局長       浅野 賢澄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        倉沢 岩雄君
   参考人
       日本放送協会会
       長        前田 義徳君
       日本放送協会副
       会長       小野 吉郎君
       日本放送協会専
       務理事      野村 達治君
       日本放送協会専
       務理事      浅沼  博君
       日本放送協会理
       事        佐野 弘吉君
       日本放送協会総
       合企画室総務   野村 忠夫君
       日本放送協会放
       送業務局長    藤根井和夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○放送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(森中守義君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 初めに、理事打合会の結果について御報告いたします。
 本日の委員会においては、放送法の一部を改正する法律案に対する質疑を行なうことになりましたので、御了承願います。
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○委員長(森中守義君) これより議事に入ります。
 放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○鈴木強君 きのう質問が途中で終わりましたから、きょうあらためてお尋ねいたしますが、最初に、受信料の使途についてひとつお尋ねいたしますが、実は臨時放送関係法制調査会の答申の中に、受信料の使途についてということで大臣に意見が出されておりますが、それを見ますと、「受信料は、NHKの維持運営のためのものであって、これを業務外に使用すべきでないことはもちろんであるが、正常な業務運営に支障がないと認められ、放送界全般の改善向上により聴視者の利益となると認められるときは、一定の公正な条件のもとに、その施設の一部を民放にも積極的に利用させ、又は民放と共同して業務を行なうことが望ましい。」と、こういうのがございますが、これは非常に運営上むずかしい点もあろうと思いますが、せっかくの答申でありますから、この放送法の一部改正の機会に、郵政省の態度をひとつ承っておきたい、こう思うのですが。
○政府委員(浅野賢澄君) 先般御提案いたしておりました改正案におきましては、大体御趣旨の線に沿って御提案いたしておったと存じております。おそらく、この次に提案申し上げます案におきましても、そういった線になるものと考えております。
○鈴木強君 これはあれでしょうか、法律を変えなければできないというものなんでしょうか。実際には、いますでにアンテナのポールなんかの場合は、NHKと民放と一緒に建てて、そうして上に民放とNHKを載せてやっている例がございますね。私は、そういうことが一つの、経済的に見ましてもいいことだと思うのですね。ですから、それをもうすでに実行、推進されていると思うのです。ですから、私は、この答申はそういうことも含まっておるのではないかと、こう思いますね。これは三十九年九月の答申ですから、ですから私は、法律を必ずしも変えなければできないということでなくて、民間放送が非常に急速な発達をしてきておりますから、その民間放送は民間放送としての経営基盤の中でやるのは当然です。しかし、また、協会には協会の公共放送としての使命を持って国民全体を基盤にしたその中でおやりになっているのですから、これはお互いに、いい意味において牽制し合い、りっぱな番組を組んでいただいて、国民のために放送業務を行なっていくということで、これは当然なんですが、その際に、いうならば、協会は長い伝統と歴史の中で、民放より相当有利な立場で運営されていると思いますから、そういう意味で、民放側からもかねてそういう意見があったと思うのですけれども、そのほか、いろいろNHKとしてはできるだけの支援はしていると思うのです。いろいろな研究の過程においてもやっていると思いますが、私は、そういうことをさらにできるならば積極的にやったらどうかというのがこの答申にうたわれていることだと思いますから、浅野監理局長の言われるように、放送法の改正のときにはそういう趣旨を組み込んでいこうという、これも一つの方法でしょうね。明確に法制的にやるということも当然でしょうが、また、行き過ぎがありますと、何だ、おれたちの放送料を違うところに使っているじゃないか、こういう苦情もありますから、その点はやはり非常にむずかしいと思うのだが、実際にせっかく出ているし、また、現実には、そういう方向でうまくやっている面もあるわけですから、そこいらに対して、もっとNHKなり民放なりとよく話し合いをして、具体的にどうしたらいいかというような相談はしなかったのでしょうかね。
○政府委員(浅野賢澄君) ただいまおっしゃいましたアンテナの点とか、それから建物、道路、こういった面になりますと、これはNHKの財産区分の問題になってくるわけでございます。財産自体としまして明確に区分ができるならば、法解釈上は差しつかえないわけであります。現に、たとえば日立なら日立のアンテナを見ておりましても、たしか一緒にやっていると思います。建物も一緒にやっております。財産登記ができる場合には、持ち分権さえはっきりすれば差しつかえない、そういった面がございます。それからもう一う今度、おっしゃいますように、この答申にあります分でありますが、現行法上も実際、ある分についてはやっておりますし、また、相当程度はやれるんじゃないか、それは放送法の九条によりまして、「放送及びその受信の進歩発達に関し特に必要と認められる業務で郵政大臣の認可を受けたものを行なうこと。」、この項目に従いまして、ある程度は現在もやっておる、かように考えております。ただ、御指摘のように、行き過ぎになっては困る、こういった点がございますから、積極的に大きくやっていきます場合には、なお一そう法的な措置があればいいのではないかと、こういうふうに考えられるのじゃないかと考えております。
○鈴木強君 これは、小野副会長お見えになっておりますが、具体的にアンテナを建てますね、これは共同出資の形でいくのか、あるいは協会が投資して、その一部を貸せますからね、その借料として幾らか使用料を取っておるのか、その辺ちょっと教えてもらいたいと思うのです。
○参考人(小野吉郎君) 建設自体はNHKでやりまして、これの利用の面に関しまして使用料を取るという方法もあろうかと思いますが、現在までの具体的事例では、そのようなものは一件もございませんで、やはり共同の所有というような形になって、その所要の経費を案分したものを持ち寄って建設をしておるというのが実情でございます。
○鈴木強君 それから、まあ民放からもNHKはもう少しわがほうに協力体制をとってもらいたいという、まあ御希望があると思うのですね。私どももそれを聞いておるわけです。しかし、そうは言っても、なかなかむずかしいことですよとお答えはしておきますけれどもね。むずかしいだけに、なお、こう積極的に話し合いをしていくようなことが必要だと思うのです。そういう場合に、法的な問題も出てくるでしょうから、まあ、できれば郵政省が仲立ちをしてくれれば一番いいんですが、そういったふうな話は具体的にありましたでしょうかね、どうでしょうか。
○参考人(小野吉郎君) 主として建設地点の道路等の関係の経費の問題については、幾多そういう事例がございます。だんだん非常に小さい、しかも、カバレージの狭い区域に建設をいたしてまいりますので、民放によりましては、そういった地区の道路建設費まで持ったんでは、なかなか建設に踏み切れない。しかも、両方あわせて業務開始をしたほうが利便でありますことは、受信者の立場に立って当然でございますので、そういった建設促進のために、NHKが民放のほうに負担をささないで、NHKが負担してつくる事例は、もうすでにございますし、また、今後建設地点が小さくなればなるほど、そういうような面も多く出てこようかと思いますが、建物あるいは塔の関係の施設について、全額まるがかえでNHKが持つ、こういうふうな交渉を受けた事例はございません。電波局長が御答弁をいたされましたとおり、NHKといたしましては、受信者に対する面もございまして、公用負担あるいは受益者負担と申しましても、そういった受信者からの受信料で建設をいたしておりますので、民放の方面の会社組織による、そういう財産区分に属すべきものにまで経費を投入することは非常に問題だろうと思います。で、現在、そのような事例は一件もございません。また、そのような御相談にあずかったこともございません。ただ、一般論といたしまして、将来の法律改正等の関係に、民放方面からそのような面における受信料の使途の拡張あるいは明確化というような面についての御要望のあることは承っておりますが、具体的な建設の事例について、そのような申し入れを受けたことはございません。
○鈴木強君 これは大臣にちょっとお考えを承っておきたいのですが、まあ答申の趣旨は、いま申し上げたようなことです。で、やはりこのNHKと民放とは、ある意味においては非常に競合してくると思いますし、また、悪いことばでいえば、商売がたきのところがあると思うのですが、そこをやはりうまく、公共放送と民間放送とが並存していくという妙味を生かすことが大事なことだと思いますから、したがって、この答申の中に述べられているような意見というものも出てくると思うのですがね。ですから、これらについてもう少し、この民放側の意見も直接NHKには、これは言いにくいと思いますし、意見があっても差し控えている向きもあるようですから、これはひとつ郵政省がもう少しそういう意見を取り上げていただいて、そして話し合いをして円満に意見なりを生かされるような方法を考えてもらいたいと思うが、どうでしょうか。
○国務大臣(小林武治君) いまの問題、大きく見て、国家的に見て二重投資をすべきでない、同じようなものを、二つアンテナを建てるとか、そういうことをすべきでない、そういうのが根本の方針でなければならぬ。二重投資などのむだなことをすべきでない。したがって、いまのような場合においては、やっぱりお互いに協力するということが必要であり、また、われわれが必要と認める場合にはさようなあっせんをすることがよかろう、こういうふうに考えます。
○鈴木強君 その点はそれでけっこうです。
 それから、きのうの、途中でやめましたUとFMの免許のこれからの方針について、基本的な考え方をぜひ伺っておきたいと思いますが、おそらく電波法と放送法というものは次の国会に御提案になるだろうと思います。そこで、従来の郵政省の考え方からいたしますと、やはり過去の経験にかんがみ、放送法、電波法が通った後、根本的なUを含めた、あるいはFMを含めた免許の基本方針というものをおきめになってやるほうがいいだろうと、こういう判断は一般的にあると思いますね。ただ、大臣も心配されているように、遺憾ながら現実には両方がこの国会に提案できなかったわけですから、少なくとも、次の通常国会以降になる、こういうことになりますと、一面、宝の持ちぐされになる点、あるいは、そうでなくても、現に難視聴地域とかFMに対してかなり長い間待たされている国民の気持ちからすると、ある程度大臣の意見も理解する人がいると思うのですね。そこで、そういう微妙な経過の中でおやりになるわけですから、あまりUの場合でも根本的な問題までずっとやってまいりますと、放送法との関係で問題が出てくるでしょうし、そのやり方が非常にむずかしいと思うのですね。きのうお伺いしますと、たとえばUの場合ですと、従来から問題になっていた地域、それに、ある程度一県一放送局しかないような二十五の地域がございますが、そのうち、ある県については複数化していくというような、それを親局としてのUを実用化していく、免許していく、そういうふうなニュアンスにとれたのですが、その辺については、もう少し大臣のお考え方を聞いておきたい。かように理解していいですか。
○国務大臣(小林武治君) これはまあお話のように、いままで、放送法が根本的に改正できたらひとつやりましょうということでだんだん延び延びになってきておるが、それができないで、このまままたできるまで待っていることが適当か、ある程度措置をするのが適当かと、この一つの政治的判断によるわけでありますが、これは私は、従来から長い間懸案になっていたものは、もうそれを待たないでやるほうがよかろう、こういう政治的判断をしたのです。しかし、原則的にいえば、やっぱりそういうものができてから全般的にやるほうが私は適当であろうと、こういうふうに思うから、まあ妙なことばでいえば、できるだけその範囲を限局をして、限定をしてやるのがよいのじゃないか、こういうふうなことで、いま鈴木委員のおっしゃったようなことでこの際はいく、しかし、ある程度全体計画を持たなければ、全体の基本計画を持たなければ、一種の御都合主義になるから、そうでなくて、ある程度の基本計画を持って、将来にわたる長期計画を持って、その一部を実施する、こういうふうな考え方がよかろうと思っております。
○鈴木強君 二十五社の諸君から強い要望を大臣もこれはごらんになっていると思いますが、確かに二十五社の諸君がおっしゃっているように、放送法、電波法の改正と不可分だというふうに考えていることは事実だと思うのですね。これはわれわれもそういうふうに言われてきたわけです。いままでFをなぜやらぬかというと、いや放送法の答申があってから改正だと、大阪とか北九州とか名古屋あたりの問題については、ある程度それはニュアンスは違いましたが、基本的には不可分の関係だ、こういうふうに実は考えておったと思います。ですから、そのことを二十五社は非常に強く主張しているのです。ところが、大臣の今度の新聞等に発表された御意見等からして、大臣が放送法、電波法が改正できない段階においていまのようにやることが国民のためにいいだろうという御解釈に対して、これは反対しているわけですね。だから、そういうふうなむずかしい面があるので、相互乗り入れ等によってやりなさいという答申もあるのですから、二十五社の人たちはそれを確信してやっておるわけでありまして、この二十五社の諸君は非常に大臣の発言に対しては反発を感じているように思うわけですがね。ですから、従来、北九州、名古屋、こういうような地区で新局免許もやむを得ない、何かそこに考えなければならないのじゃないかという、緊急地域については、ある程度わかるのですね。ところが、そうでない民放二十五社の中からある程度複数化していくということになりますと、かなりの反発が出ると思うのですね。この辺のかね合いをどういうふうに大臣とらえていかれるのですか。かね合いが非常にむずかしいと思うのです、私は。
○国務大臣(小林武治君) 私はいまの反対とかいうものに必ずしも納得しない。これはたとえば、いまの独占企業に対して影響があるであろう、こういうふうな観点から多く出ているのじゃないかと私は推察をしております。しかし、地方民としましては、放送の格差をなくすためにどうしても数局にしてもらいたいということは、これは日本全体の希望であって、これをほんとうに反対するものはあるいは二十五社がおもになるのじゃないかとさえ私は思っております。さようなわけでありまして、ただ放送法ができるまで待つというのはその期限を延ばしてもらいたいというところに観点がありはせぬかなどという邪推まで私はしておるわけでありまするからして、いまのようなことについては、私は必ずしもそれに従う必要ない、こういうふうに考えております。
○鈴木強君 そこで、大臣のお考え方もわかるのです。わかりますが、たとえば二十五社の中で、現在のテレビの普及状況ですね、人口から見たところの普及台数等見ますと、一番トップが静岡ですね、二百九十一万の人口に対してテレビの普及台数が五十七万でトップです。それから順序にいうと、新潟、長野、福島、山口、岡山、鹿児島、熊本、長崎、これが大体Aクラスですね、五十七万から二十七万、その次が愛媛が二十四万で、Bクラスの一番下が二十万で富山、Cクラスが石川県の十九万、それから鳥取の十万、もっとも、これは資料が私のは古いのです。古いけれどもそういう状態になっていると思うのです。やがて、ことしは再免の時期ですから、十一月までには、おそらく各社の経営実態というもの、収支等についても郵政省はつかんでいると思うのです。やはり大臣のおっしゃったように、一つは確かに、いま単独で経営している諸君からすれば、競争相手が出てくるのですから、ですから、自分の経営基盤というものが非常に侵害されるというか、経営が困難になるかという点の心配があると思うのです。ですから、その県の実情とか産業の発達の状態だとか、いろいろ勘案してみて、最低二局になってもお互いに競争していったら両立できるという、そういう確信の持てるところと、二つつくったらもうそれはたいへんだというところがあると思うのです。実際問題として、そこらのことを一体どこでつかむかといいますと、やはり経営実態というものをつかんでみなければわからぬわけでしょう。ですから、そういうことは私たちも心配しているんですよ。社会党で、この改正案のときにわれわれも討議いたしましたが、原則として二局と、こういうことをうたったんですが、二局つくって共倒れになっても困るわけですよ。たとえば12チャンネルなんかいい例でして、チャンネルがあったからこれに与えた、しかし、いま係争になっておりますが、実際、赤字赤字が累積をして、もう科学技術教育としての性格なんというのは全くなくしているんですね。われわれも非常に寒心にたえないのです。何回かこれ取り上げているんだが、残念ながら、純科学放送としての価値はない。最近はもうナイターやって、その間にコマーシャルを流しているような、そういう状態にまで来ているわけです。ですから、これらの判断というものは非常にむずかしいと思うのです。大臣のおっしゃることもわかるが、国民は一体そういう実情について、いや、二つにすることが利益だと、こう言いましても、それはそのとおりでしょう。そのとおりだが、一面には、その経営を考えないとできないのですから、その点、大臣が自信を持って、二十五の中でどことどことやるとおっしゃるなら、そういうことを具体的に国民の前に示さなければやはりいかぬと思うのですね。そういう御用意はあるのですか。
○国務大臣(小林武治君) 鈴木委員はよく御存じの上でいろいろお尋ねになっておりますが、私の意図も大体御存じの上だから、もうそれで大体御了承いただけると思いますが、いまおっしゃるようなことは当然なことでありまして、せっかく民放を許しておるのに、その民放が立ち行かないようなところへいろいろなことをまた考えるなんということはあり得ない。おっしゃるようなことは当然考えて、そうして、われわれ当局としてもそういうことは自信を持ってやるのだと、こういうふうに申し上げておきます。
○鈴木強君 ですから、おそらく、これは最近の経営の実態というのは、配当か何かが幾らかあるというような、そういう程度しかわからないのですか。まだ各社の、ここにあります二十五社の経営というものはつかみ得ないでしょう、いまの段階、どうでしょう。
○国務大臣(小林武治君) これは一番よく知っているのは、業者自身がみな仲間でよく知っておりますよ、どこがどうということは。われわれもむろんこれから調べるし、ある程度の資料は持っておりますが、自分たちの同業者が一番よくわかっております。自然にそういううわさが世間に一ぱい出ております。しかしながら、われわれもむろん資料を持って、表向きのものだけでなくて、われわれは、配当を幾らしているか、普通の届け出はありますが、それ以上のものを持つであろうし、また持つべきだ、こういうことで、何もただ一つの要素だけを問題にするのじゃなくて、各般の要素を総合勘案してきめる、こういうことになっております。
○鈴木強君 いや、総合勘案してきめるのは当然でしょう。当然でしょうが、私は質問をしているのですから、具体的に二十五社の中には、たとえば静岡にしても、信越放送にしても、この陳情の中には署名をしておるわけですね。ですから、われわれが見ると、たとえば静岡、新潟、長野あるいは福島等は、テレビの普及率も他の県に比べるとかなり優位になっております。進んでおりますから、そこらの経営実態というのは一体どうだろうかという心配があるわけです。ですから、あなたの言うように、二つつくってもだいじょうぶだという、業者がよく知っているというのだが、相手の業者はだいじょうぶだと、こうおっしゃるでしょう。一方では、いや、このようにまだ早いのだと、こうおっしゃっているわけなんだから、そこで、要するに、国民から見ると、二つつくったときに、東京のようなこんなマンモスの一千万もあるところに現に12チャンネルがあるじゃないですか。やってみたけれども、何というのかな、この十一月はまさか再免もできないだろうと思うんだが、とにかく、日本にああいったへんちくりんな12チャンネルという大事な一つのチャンネルが、目的からはずれたものが現存しているんですから、いろんなことをやっぱり心配しますよ。だから、われわれは、十二月、年内にやるとおっしゃるから、そういう点は明確に国民にも、これこれこういうふうな経営基盤でやって、かりに二つつくってもだいじょうぶだということを明らかにすることがやっぱり必要でしょう。そうしなければわかりませんよ、あんた、一般の国民には。だから、私はいま現在その経営がわかっておりますかと。だから、配当率が幾らくらいのところはわかっておって、実際収入がどの程度であって、どの程度の収益をあげているかということは、おそらくまだつかんでおらないんじゃないかと思うんですが、そういうことが一体いつつかめて、その経営基盤が確実に把握されて、自信を持って免許していくというような、そういう段取りにならなければならぬわけでしょう。だから、そういう点、なければしょうがない、私が聞いてみても、つかんでいなければ。そういうことを聞いている。浅野さん事務当局だからわかっているでしょとう。
○政府委員(浅野賢澄君) 決算期ごとに各社の収支状況をとっておりますのと、それから再免許にあたりましては、今月中に全社の収支状況を把握できるように相なるわけでございます。大臣申し上げましたように、そういったものをもとにいたしまして、地方におきます経済力その他の資料を中心に、総合的な判断を下すようになると、かように考えております。
○鈴木強君 決算期ごとのはわかっているんですか。
○政府委員(浅野賢澄君) 決算期ごとに提出するようにいたしております。ただし、これは簡単なものでございますが。
○鈴木強君 それらについて、一番最近のひとつ決算の状況を教えてください。静岡、新潟、長野、福島、山口、岡山、鹿児島、熊本、長崎、これだけね。
○政府委員(浅野賢澄君) 前期決算の資料をまとめましたものを準備いたしております。
○鈴木強君 いや、準備いたしておりますなんて、わかっていたら、そこであんた教えてくださいよ。
○政府委員(浅野賢澄君) どういうふうに申し上げましたらよろしゅうございましょうか。
○鈴木強君 まあ収入、支出、決算と、こう出てきますね、ですから、その期の利潤がどの程度あるか、配当がどの程度あるか、そういうことでいいです、簡単に配当率でもいいし。
○政府委員(浅野賢澄君) 平均の配当率は大体一〇%ないし一二%の間に落ちつくものと思われます。若干、その間におきまして、記念配当を二分程度プラスしてあるのはありますが、それで、テレビ、ラジオ兼営社におきましては、一社だけ無配のところがあります。あとは全社配当を一〇%以上いたしております。それからテレビ単営社も同様であります。ラジオ単営社におきましては、十三社のうちで無配が七社であります。
 以上でございます。
○鈴木強君 これは浅野さん、収入、支出、それから当期利益金というものですね、わかっているわけですか。そうしたら、静岡、新潟、長野だけ教えてください。
○政府委員(浅野賢澄君) 静岡は四十年の十月から四十一年九月までの間の決算でありますが、静岡が収益二十二億であります。それで、当期利益金が二億六千万、配当一五%、こういう状況であります。それから次が新潟。新潟がこれは二番目になります、収益状況から見まして。一番が静岡、二番が新潟になりますが、新潟が十七億五千万円、当期利益が、これは一年間で二億三千万、配当が一三%、下期のほうに記念配当二%プラスしております。それから信越が三番になりますが、十五億七千万、この問におきます利益が二億五千万、配当が一二%ですが、上期のほうに記念配当三%、計一五%。なお、申し忘れましたが、静岡の場合に、下期のほうに記念配当二%いたしておりますから、一七%に相なります。
 以上でございます。
○鈴木強君 それはわかりました。恐縮ですが、あと二十五社、福島から鳥取までのひとつ収支を、いまのバランスを、あとで資料出してくれませんか。
○政府委員(浅野賢澄君) わかりました。
○鈴木強君 そこで、もう一つ私は大臣に承っておきたいのですが、これは非常に長い懸案なんですが、大阪の在阪四社、毎日、朝日、関西、読売、この四社が、やはりこれも大臣に陳情書を提出しているように聞いておりますが、ここでは難視聴地域の救済ということで、強く割り当てを要求しておったわけでございまして、親局を追加置局するということについては反対のようでした。これは歴代大臣が何回も何回も現地に行かれた方もあるし、新聞、テレビ、ラジオをにぎわした問題なんですが、すでに中継局の設置等についても、かなり具体的な調査を進めて、技術的にも可能だということで、相当に資金も準備されて、中継局の計画を立てておられるようですがね、やはり難視聴地域の一環として、積極的にこの四社が動いておったようですが、これに対して中継局用のUをぜひ認めてもらいたいという意見があるわけですよ。こういったものについては、もう一つ大阪にUの親局をつくるという方針でいくのか、あるいは、いまある四つの中継局を整備してやって、各県のたいへん難視聴地域になって不満であるものを解消をしてやるのか。実際にUをこれから実用化していく場合に、その辺についてはどういうふうにしていくのですか。
○国務大臣(小林武治君) まだいずれともきめておりません。
○鈴木強君 これはいつごろにきまる予定ですか。
○国務大臣(小林武治君) これもやはり年内ということを申し上げておるから、そういうことになろうと思います。
○鈴木強君 それで、このUの実用化の方向に向かって準備を進めておられるようですが、いま電波技術審議会に郵政大臣が諮問した幾つかの問題があると思いますが、すでにこの技術的な問題について、チャンネルプラン策定用のオールチャンネル受信機の望ましい電気的特性について、これが一つ。それからNHKの徳島の実験局については、調査報告書が出ていると思うのです。それからもう一つは、大都市の減衰特性、この三つについては、すでに技術委員会のほうで結論が出ているというふうに聞いているのですが、その点はいかがでございますか。
○政府委員(浅野賢澄君) 徳島における実験の結果につきましては、六月三十日にNHKから提出を受けております。これを、いまおっしゃいましたチャンネルプラン作成のオールチャンネルの受像機の研究答申と、それから大都市減衰状況の調査報告、これを取りまとめまして、去る十七日に技術審議会の委員会におきまして一応の検討を終わっております。ごく近々に技術審議会の総会が行なわれまして、これに対する答申をいただく予定になっております。目下その答申作成中であると思います。
○鈴木強君 これは委員会のほうでおやりになっていることですから、あなたのほうで直接云々は言えないと思いますが、大体答申案がまとまっているというお話ですから、そのいきさつ等については、少なくともこれは監理局長はよく御存じだと思うのです。そこで、いまここで資料を出してくれと言っても、おそらく、まだ総会にかからない段階ですからどうかと思いますので、私もそのことは差し控えますが、いずれ、この総会が近々に持たれるでしょう。で、いま総括的な考えを伺いたいのですが、大体答申の目的というものは一〇〇%達しておられると、こういうふうに総括的には考えてよろしいのですか、まとまった答申というものは。
○政府委員(浅野賢澄君) ただいま印刷中であろうと思いますが、取りまとめの結果を印刷にいまかけておるということを聞いております。
 それから徳島の結果につきまして、手元に持っております報告で見てみますと、お話のように、非常によい結果を――徳島だけを見てみました場合に、これは正規の報告をいただいておりますから申し上げられますが、徳島の実験の結果につきましては、非常によい結果が出てまいっております。当初予定いたしました計算上の線よりもよいくらいの結果になっております。それで、あと受像機の面、それから大都市減衰の面、これも当初予定いたしましたよりもよい結果が出てまいっております。したがいまして、これらをあわせました結果は、おそらく期待するような内容になるのではないかというふうに想像いたしております。
○鈴木強君 それはけっこうでした。大体あれでしょうか、二十六日ごろに総会を持たれるような話もあるようですが、日取りはまだきまっておりませんか。
○政府委員(浅野賢澄君) 大体二十六日というふうに私のほうは聞いております。
○鈴木強君 そこで、その答申が出てまいりますと、基本路線が大きく準備できるわけですね。おそらく、そのあとは省令の改正を含めた基本方針の作成というものが急がれると思いますが、また続いてチャンネルプラン、それからUV混在というようなことが一応おぜん立てができて、それから今度は、いま私が質問したような懸案事項を含めて一体どうしていくか、中継局、親局にどういうふうに持っていくかという、そういう一貫したプランの中で話が進んでいくのかどうか。
 そこで私は、臨時国会があさってから開かれるという話があるので、そうなれば、ここでいま聞かなくてもいいが、あるいは、そうでなくて済むと、しばらく国会も開かれないのですから、私はそういう意味において、これはたいへん基本的な大事な点ですから、少し大臣にもこの際、考え方だけはぜひ聞いておきたい。そういう趣旨でお尋ねしますが、まず、この臨時放送関係法制調査会の答申の中の「放送用電波使用の基本方針」という中に、非常に含蓄のある意見が出ているのですが、まず第一点、この点は大臣どうですか、「割当可能な周波数がある以上、」――こういう割り当て可能な周波数がある、いわゆるUというものがあるわけですが、「申請があればこれをただちに割り当てなければならないかのような現行法の表現は不適当であって、教育、文化、経済等の公益的見地から、計画を定め、これに基づき、国として必要と認めたもののみに使用を許し、他は将来の必要のため留保すべきものである旨法律上明らかにすることが適当であると認める。」と、こういうふうに述べているわけですが、これは法律との関係ですから、必ずしも私はこのことをやれと、こういうわけではないのだが、おおよそ、従来の現行法律の中でやるわけですから――やる場合でも、こういった法律の中でやる場合に、こういう精神をやはりくんでおやりになるのかどうかということですね、これをひとつ聞きたいのです。
○国務大臣(小林武治君) 精神をくんでやったほうがいいと思います。
○鈴木強君 NHKのテレビの普及についてですが、おそらく、徳島がUによって実用化されていくということになると思いますが、その場合に、これからNHKにUが入っていく場合に、この答申の中にも述べているように、NHKが全国あまねくサービスを提供していくという、そういう放送法の精神からいいまして、総合の場合、あるいは教育の場合、テレビ放送がこのUの導入によって完全にカバレージできるという体制をまず第一番につくることだと思うのですが、こういう点については、従来もやっているのですが、今回の実用化、本格的に実用化していくというような場合に、その点が少なくともおろそかになるようなことはないでしょうか。従来より以上に、これは、中継局の場合は、おそらくなるのではないでしょうか。難視聴地域の場合、これははっきりやるということが言えるのですか。
○政府委員(浅野賢澄君) 現在この法律のたてまえ上、あまねく放送が受信できるようにしなければならない、こういうふうに相なっておりますので、現在におきましても、第二次局、微小局、こういった小さい局に完全にこたえるように波の分配をいたしております。すでに御存じのように、UHF帯におきましても、相当もう局ができておりまして、全部で二百数十局あったと思いますが、民放、NHKを入れまして、すでにUの小さな局が相当数置かれておりまして、大体御趣旨の点に沿う形になっておるものと、かように考えております。
○鈴木強君 それから東京なんかの場合ですね、いま第一、第三、第四、第六、第八、第十、第十二と、こう七つありますね。なお、これにUの親局をつくっていくというような、認可していくというような、そういうふうなことはどうでしょう。
○政府委員(浅野賢澄君) この問題につきましては、先ほど来お話しのように、やはり根本的な計画の問題に入ってくるのではないかと思います。したがいまして、法律が通るといたしました暁、根本的なUの使用権、こういったものの中に入るべきじゃないかと考えます。当面はその点につきましては考えることにならないのではないかと考えております。
○鈴木強君 将来Uの存在が当然出てくると思うのですが、たとえばNHKの場合に、VならVで総合放送をやるとか、あるいは教育はUならUでやるというようなことに、いまの段階で技術的に考えてみても、これは不可能ですね。
○政府委員(浅野賢澄君) 考え方としては当然考えられますし、技術的にも可能であります。可能でありますが、今回、Uを親局に使うようになりますと、四百七十メガから上のほうを開放していくわけになります。そういった場合には、やっぱり日本全体のプランと一緒にこの問題は考えるべきじゃないかと、かように考えております。
○鈴木強君 NHKのさっきの難視聴地域の解消に対して、Uを中継局にどんどん使っていくということ、これはわかりました。この大阪在阪四社の問題も含まれると思いますが、民放に対するそういった配慮ということは、これはどうなんですか。
○政府委員(浅野賢澄君) 民放につきましても、難視聴区域の解消につきまして、すでに百数十局、Uの局はたしか置かれておると思います。したがいまして、基幹ルートまたはいまお話しの、もし東京であるといたしますと、これは全体的な計画と一緒に考えるべき問題じゃないかと、かように考えております。
○鈴木強君 これは短い時間でとうてい論議を尽くすことはできないと思います。何か五時半までに終わるようにということでありますから、いずれまた私の意見も申し上げたい、また、考え方も聞きたいと思いますが、おおよそ基本的な問題については伺いました。
 そこで、やはり何といっても電波放送法の改正後に日本の放送行政というものをちゃんと整備して、その中でスタートしてもらいたいというのは、これはやっぱり強い国民の希望であるし、われわれもそう思っています。いまでもその基本線だけは曲げることはできない、ここまで来たわけですから。ただし、諸般の情勢から解決しなければならぬ問題があると思いますから、そういう問題について、せっかく実験をされた結果、実用化よろしいということが、技術的にも実際問題としても、全体的にそういう体制が出てくれば、これも私はやむを得ないと思いますし、そういうことは一つの原則論の上に立って当面おやりになることについて、私たちはわかりますが、やはり昭和三十二年ころの第一次チャンネルプランのころのことを考えてみましても、非常に免許をするかしないかということになりますと、問題があると思うのです。ですから、私は、放送行政委員会というものをつくって、ほんとうに正しい放送というものが日本に実現できるようにやりなさいというこの趣旨は、非常に大事な私は意見だと思いまして、非常に傾聴をし、尊敬しているのでございますが、そういう中で、当面のやむを得ない緊急問題としておやりになるのですから、どうかひとつ、やったことによって再び世間から非難を受け、そのことが今後の日本の放送業界の中にいろんな問題を起こすようなことがあっても困るわけですから、その点は賢明な郵政省ですから、私ども申し上げるのは失礼かと思いますが、まあ老婆心ながら申し上げておきますれば、そういう点を十分にひとつ配慮していただいてやっていただくということをお願いしたいと思います。
 それから、大臣よくおっしゃるように、こういうことはよくみなと相談して、やはり英知を集めて、衆知を集めてやるべきだと、やはりガラス張り論です。大臣のよくおっしゃる、そういうことは私もっともだと思います。ですから、それぞれの党にも政策審議会もあるわけですから、これはどうしても大臣の秘密事項で、大臣の判断でやらなければならぬということはそのとおりだと思いますから、それ以外のもので相談のできる点は各党にもぜひ御相談なすって、いい面は私たちとしても大いに賛成したいと思いますので、また、われわれから見ても、どうもどうかという点は、率直に私たちの考え方として一応出さしていただいて、その上で、大臣の行政権の発動によってやることになると思いますから、そういったことについては、ぜひひとつ腹蔵のない御意見を聞かしてもらいたいと思うのですが、それはどうでしょう。
○国務大臣(小林武治君) 御趣旨はよく了承いたしました。
○鈴木強君 それからもう一つ、私はうっかりしちゃったのですが、FMのほうですね、これはUと同じように年内におやりになるというのですが、非常にたくさん申請もありますし、すでにおそきに失するという批判もあるのですが、さらばといって、なかなかむずかしいので、U、V、FM、AMと非常にむずかしいことだと思いますが、これは大体免許方針に対する作業はかなり進んでいるのですか。衆議院のほうの逓信委員会でも、郵政大臣が、音楽を含むFM放送の本免許について検討中であるとおっしゃっているし、いろいろわれわれが部内の新聞等を拝見してみますと、浅野監理局長は、大臣からそういうお言いつけがあって、すみやかに結論を出すように努力していると、御意見を発表されておりますのは、これは一体、おおよそのめどでいいですから、作業はいつごろできるでしょう。年内にやれるという、そういう自信を持っておやりになるのですか。
○政府委員(浅野賢澄君) FMの問題は、非常にこれは技術的な面、実際の波の幅の面、それから内容の面、いろんな面で非常にむずかしい問題をかかえているわけです。理想的に考えるならば、中波とのかね合いの問題で、混信対策等を中心に、できるだけすみやかに解決を要する問題ではございますが、何ぶんにも、問題を含んでおりますだけに、なお、考えをまとめますには時間を要すると考えます。ただし、これも相当長い間実験局も持っておりますし、いつまでも放置するわけにはまいりません。テレビに引き続きまして検討をするよう、私どもも指示を受けました、その線に沿っていま検討をいたしております。
○鈴木強君 これはあまり突っ込んで、まだそういう段階では意見も聞けないと思いますから、やはり問題は、チャンネルというか、どの程度の可能周波数が  電波があるかということが一つでしょうね。それからもう一つは、都市と地方とのバランスをどういうふうにとっていくかということもあるし、もう一つは、いま私申し上げたような、FMというものとAMと将来どういうふうにからめてやっていくか、そういう基本的なものがあると思いますから、おそらく、そういうような点を中心にして、これから具体的に御検討、これからと言うが、いまやられておると思うのですが、これは浅野さん、おおよそ、こういった問題はいつごろをめどにやっておられるか。年内にと、こういうような意向のようですからね、逆算していけば、十一月、十月、九月、八月、それしかないのですけれども、どの辺の時期を目標にして結論を出すようにやっておるのでございますか。その点は聞かしてもらいたいと思うのですがね。
○国務大臣(小林武治君) これは長い間の懸案でありますから、大体、めどをつけて、そして、そのめどに向かって努力をすると、検討すると、こういうことでなければ進まない。したがって、私も年内にひとつできるようにと、こういうことでいまいろいろ検討してもらっておりますが、実際問題として、あるいはできないかもしれない。できないかもしれぬが、そういうふうなことで、ひとつ急いで、また慎重にやってもらいたいと、こういうことを指示をしておる、こういうことでございます。そういうわけで、じゃ、はたして必ずできるかということになれば、そこまでいま答えができないと、こういうことでございます。
○鈴木強君 そうですが。そのニュアンスの点ですからね。私は、もう大体大臣こう踏み切っちゃって、年内に必ずやるという御所信で仕事をされておると思ったのですが、そうでもなくて、仕事をやってみた上で、無理であれば見送っていいと、こういうふうな程度なんですか。
○国務大臣(小林武治君) これはもうやっぱりやりたいと、こういうつもりで頼んでおりますが、結果的にはどうなるか、これはむろんいろいろむずかしい問題がありますから、検討がそこまで十分進むかどうかということについては、まだ確信はない、こういうことでございます。
○鈴木強君 これは浅野さん、技術委員会のほうで技術的な検討を――ステレオ方式か、そうでないかとやってきましたね、あの結論はもう出たでしょう。だいじょうぶだという、その技術的な検討は済んでいるわけだから、さっき私申し上げたような点を検討する一つのものさしといいますか、基礎が出てくると、方針が出てくるということになるのじゃないですか。
○政府委員(浅野賢澄君) 答申にもございますように、SCA業務とか、いろいろ使い方等、相当問題点も残っておるわけであります。同時に、FMを主として使ってまいります対象等につきましても、これは議論の点が非常に多いわけでございます。かといいまして、一方、混信対策等につきましても、これまた重要なる波ということになりましょうし、一方、音声放送に残されました最後の波でありますだけに、はたしてこれは従来どおりの混信対策のみに使っていいのか、むしろ、この特性を生かして、時にステレオ方式によりまする面から、一番向いている音楽に使っていくか、さらに、このところ問題が多い教育、教養という面にも、文化的な面にもまた配慮していくとか、いろいろそういった考え方の面につきましても、まだ問題は多々あると、そういった面で、目下勉強をいたしておる段階でございます。
○鈴木強君 これはやはりむずかしい問題は確かにありますよ。もっと、マスコミ独占の排除という問題もかなり強く出ているわけですから、そういったことに対する省の考え方は大体わかっているわけですよ。歴代大臣がその趣旨に賛成していますから、そういった問題も残りますが、やはりおやりになるならおやりになるで、確固たる信念を持って、そして一つの目標を設定し、それに向かって省をあげて懸案問題を解決していくという体制がなければこれはできませんよ。だめですよ。ぼくはそう思うのですよ。西崎氏が桜の花が咲けばと言ったのは、もう七、八年も前です。三月ごろ、そういうことを言っておいて、まだ今日までたなざらしになっておるということは、ほんとうに私は日本の電波行政何たるか、と言われたってしょうがないでしょう。ただ、あなた方は、三十九年に答申が出ましたから放送法、電波法の改正をするのでございますと、こう言って、錦の御旗にして延ばしてきたのですよ。実際いったら、こんなだらしない行政はないですよ。だから、大臣も積極的にやろうという気持ちになられるのはよくわかるので、だから、私は、放送法、電波法が改正になれば、それはベターですよ、よりベターであるけれども、これはやっぱりガラス張りの中でやる気になってやれば、ほんとうにできないこともないであろう、もう少し私はやるならやるらしく、ぴしっとした姿勢でやってほしいのですがね。非常な暑いときですし、いろいろ皆さんもたいへんでしょうから、そういうことは多くを言ってもなかなか受けとめてもらえないと思いますけれどもね。まあひとつやるならやるらしく、もう少しきちっとした体制をつくってやってほしいということを私は意見として申し上げておきます。
 最後に二つだけ簡単に質問して終わりますが、先般NHKが世界宇宙テレビなま中継をやられました。これは十四カ国が参加をして、二十四カ国で受信に一億七千万台のテレビが動員された、たいへんな、四億の人たちが見たというのでございますが、今度また四号があがりますね、近く太平洋上に。そうしますと、ますます放送をやるための条件がよくなってくるのですが、そこで、NHKとしては、これからこの宇宙衛星を使ってのこのような放送番組というものはどんな計画を持っておられるか。それから金がかなりかかると思うのですけれども、その中継料なんかについても、せんだってのやつはどのくらいかかったのでございましょうか。その点をひとつ。
 それから浅野さんに最後に一つ。これは委員の皆さんに直接関係がないので恐縮ですけれども、実は例のベルボーイの問題ですけれども、ほかに機会がありませんからここでお許しいただきたいと思いますが、幸い、郡前大臣もいられますけれども、確かに延び延びになっておりまして、予算に計上したものがついにできなかったというようないきさつもあります。その後いろいろ検討してもらっておりますが、もう大体実験も、今度こそ、いろいろどうこうした中で実験が済んで結論が出ておると思いますがね。ですから、これはいつごろスタート、実用化できるのでございますか。そういう点と、二つだけ聞かしてもらいたい。
○国務大臣(小林武治君) いまのあとの点はもうだいぶ見当もついておるし、なるべく早い機会に発足させたいと、かように考えます。
○鈴木強君 いつですか、ちょっと言ってください。
○政府委員(浅野賢澄君) 大臣からも早くやれというように指示を受けておりまして、私どもも急いでおりますし、実は局内においては一応結論は出したわけであります。出したわけでありますが、私も連日国会に来ておりまして、あとのまとめようがない状況であります。それで、いま若干心配いたしておりますのは、あれによりましてテレビの像に若干障害が入るわけであります。この点の数のとり方におきまして、なお一まつの不安がある。その補償の方法と補償の数、こういった面につきまして少し心配点がありますので、国会が終わり次第、私も、もしあとで文句を言われると困りますから、その数の段階をもう少し確かめてまとめを完了いたしたい、かように考えております。国会が済み次第、この点につきましては、即刻やらにゃいけないと思っております。それから、それ以降におきまして省令の改正をいたすつもりであります。
○鈴木強君 第一でしょう、第一チャンネルでしょう、障害を受けるというのは。だから、それが、いまの実験をやってみますと、多少出てくる。しかし、もう一回実験してみなければ許可できないということではないと思いますけれどもね。ただ技術的に何か検討を加えていけば、できるようなことになるのだと思いますけれどもね。もう一回実験をしなければならぬという判断ではないでしょう、あなたも。だから、その点を明らかにすることと、まあ国会、きょう終わるか、あさってまた始まるかわかりませんが、いずれにしても、そうすると、九月か、おそくも十月ごろにはやれると、こう判断していていいですね。
○政府委員(浅野賢澄君) 実験の必要はもうございません。ただ、その実験のデータをよく分析をする、ちょっともう一ペん見直してみる。数につきまして、NHK側の意見を、もう一度集まってもらいまして確かめてみる、こういうことじゃないかと思います。それが終わりまして、あとは省令改正でありますから、大体御趣旨の線でいいんじゃないかと思いますが、それはそのときになりませんと……。
○参考人(野村達治君) 先ほどの世界中継のことにつきましてお答え申し上げます。
 先日行ないましたものは、ヨーロッパ放送連合が中心になりまして、NHKもそれに参加したわけでございますが、これの場合の宇宙中継の費用につきましては、ヨーロッパ側は受信者比例ということを持ち出してきておりますが、これはいろいろ折衝いたしまして、日本の場合は時間も必ずしも非常にいい時間でないというようなことを申し出まして、ほぼ八百万円ぐらいの費用に落ちつくことに大体なっております。まだ最終的にはきまっておりません。
 なお、この放送は朝の四時からやりましたのですが、その後、夜の七時半から再びやりまして、国民の皆さまには十分見ていただくようにしておりまして、ほば五〇%以上の方々がごらんになったという調査結果も出てきております。
 それからもう一点は、これからの宇宙中継の計画でございますが、四十二年度でほぼ二十回の宇宙中継を行なうということを考えて予算に組み、実際に計画を進めておるわけでございます。ただ、これは現在のインテルサットを使ってやりますと、これはほぼ一万数千ドルというような費用を必要といたしますので、これはアメリカとの問でやりましたときには、そのぐらいの費用でございましたので、そういう点から制限を受けまして、あまり多数回行なうということはなかなかむずかしいわけでございます。
○鈴木強君 この夏季に、せんだって番組を拝見させていたださましたら、三分間ぐらいでニュースか何かの時間に組み込んで世界各国から中継によって何か放送するというようなことでございましたが、あれは別にして二十回ということなんですか。
○参考人(野村達治君) あれも入れまして二十回でございます。あれを一回として勘定しております。
○鈴木市藏君 いま出されているこの放送法の一部改正の法案それ自体に対して若干質問したいというように思います。
 この法案を提出する前に、電波監理審議会の諮問を必要としたのではなかろうかというように思うのですが、これは諮問されたのでございますか。
○政府委員(浅野賢澄君) 法律でございますので、電波監理審議会に諮問する必要はございません。
○鈴木市藏君 しかし、このことがもたらす――電波監理審議会に諮問しなければならないと規定されている条文がございますね、放送法の中で。あの条文の精神からいって、それは法律の改正には違いないけれども、あの諮問事項の主要なものの中に含まれる性質のものだというふうに考えますので、いままでこの経験からいったって、当然とういうものは事前に電波監理審議会に諮問して、その答申を待つというのが普通の行き方じゃないかと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(浅野賢澄君) 必要的諮問事項ではございませんが、御趣旨の線に従いまして、審議会の先生方にはよく御説明してございまして、了承を得ております。
○鈴木市藏君 そこで、どういう説明なり何なりの中で、この委員会として、あるいは委員個人として、どういう意見が集約されましたか。集中的に出されておりますか。
○政府委員(浅野賢澄君) この受信料乙の廃止わの問題につきましては、ここ数年間出てまいった問題でございまして、そのつど審議会には報告をいたしておりまして、その点、私ども、電波監理審議会に対しましては、必要的諮問事項であれ、任意的であれ、その以外におきましても、常々詳細よく御説明、御報告いたしております。本件の経緯につきましては、非常によく委員の先生方御承知であります。したがいまして、今回の案につきましては、特にさしたる御意見もなく御了解をいただいております。
○鈴木市藏君 電波監理審議会へ諮問をかけなければならないというのは、放送法の四十三条でしたかね。
○政府委員(浅野賢澄君) 四十八条でございます。
○鈴木市藏君 つまり、これは解釈の相違かもしれませんけれども、やっぱり四十八条に従うと、かぐかくの条件のある場合には電波監理審議会に諮問して、その議決を尊重して措置しなければならないということが、放送法の四十八条でちゃんと条文がございますので、やはりこういういわば乙契約全廃といったような問題については、当然この審議会の諮問を必要とする。法改正だから要らないという私はたてまえにはならないのじゃないかと思いますが、どうして諮問を発しないのか、この点について、その理由がわからない。政治的理由がわからない。当然やったっていいし、法改正だからといってこれを諮問しても少しも間違いじゃないのに、どうしてこういうような重要な一つの法改正について、正式な諮問をしなかったのか。この点のところがどうも納得がいかない。納得のいくいまの御説明じゃなかったと思います、ただいまの御答弁では。どういう理由でしょう。
○政府委員(浅野賢澄君) 審議会に対しまして諮問をすべき事項は、これはしなければならないというものを書いてあるわけでございますが、特にこの四十八条に書いております分は、三十二条から出てまいっております。三十二条の「受信契約及び受信料」、このうちで郵政大臣の認可を要するもの、この点につきまして、認可をする前に審議会の御意見を承ると、こういう形でこれは出ておる分でございます。受信料そのものにつきましては、特に審議会を法律事項におきましてわずらわさないということになっておりますが、私どもといたしましては、いま御意見の趣旨と全く同じ立場におきまして、これは丁重に御説明いたしておるわけでございます。したがいまして、結果においては全く同じことではないかと、かように思います。
○鈴木市藏君 いや、ぼくは、これはやっぱりあなたたちの手続省略ということだというように思いますよ。これはやっぱりはっきりちゃんと四十八条の精神は尊重さるべきもので、それを、その手続を省略して、同趣旨のものだったというふうに言いのがれをするということは、私は、こういう制度がなければないで別です。ある以上、やっぱりやるべきじゃなかったか、これは手落ちだったと、はっきりぼくはそういうふうに思うのです。この点では思いますけれども、それでなければ意味がないんじゃないですか。たとえば、私は聞きますけれども、甲とか乙とかという契約でしょう。乙というのは全廃するのですから、乙がなくなるのですから、とすれば、非常にこれはやっぱり質的な変化を伴う改正なんですから――量的なものでさえも諮問はしているわけです。いわんや、質的な変化の場合に諮問を発しないというばかなことはないじゃないか。だから、当然これに諮問を発すべき性質のものであったにもかかわらず、どういう事情でこの審議会の諮問を素通りさせたのかという、この辺のところがどうも納得のいく御説明ではないように思うのです。
○政府委員(浅野賢澄君) 審議会にかけます場合は、郵政大臣の専決事項を主体にしてこれはかけておるわけでございます。それで、法律改正の問題になりますと、国会の場におきまして御審議いただくわけでございますから、審議会とはその点が違っていると思います。審議会が、行政委員会でありますとこれは別でありますが、これは諮問委員会になっております。大体、郵政大臣が行ない得る範囲におきましてこれをかける、こういうたてまえになります。ただ、御趣旨の点も十分私どもも考えておりますから、特に丁重に審議会には御意見を承っておる、かように考えております。
○鈴木市藏君 しかし、まあ、いままでいろいろ出されてくる諸法律の場合でも、何々審議会とか何々諮問委員会とかいうものの答申を待って法改正というものを行なったということは枚挙にいとまのない事実でありますから、必ずしも私はこれは抵触するものではない。民主的な運営という意味からいって、四十八条の精神を生かしても決して抵触するものではないというふうに考えて、そういう解釈をしているわけです。
 そこで、今回のこの改正の性格なんですけれども、この改正の性格というものは、つまり、受信者側のほうから出た要求に基づくものだというふうにも考えられるのですね。これは質問しておきたいと思いますけれども、すでにもう社会政策的な見地から受信料を免除しなければならないと、そういうふうな立場でとられた処置ですね、処置はもうかなりのところまでいっているのじゃないですか。実際上はどのくらいいっているのです。たとえば生活困窮者とか重症度心身障害者からこれは受信料を免除しているというようなものがございますね。それを社会政策的な見地からいった場合に、どの程度までいっておるわけですか。
○政府委員(浅野賢澄君) 御趣旨の線の分につきましては、大体いままで免除をいたしておる……。
○鈴木市藏君 大体一〇〇%近く……。
○政府委員(浅野賢澄君) いや、一〇〇%にはなりませんが。
○鈴木市藏君 どのくらい……。
○政府委員(浅野賢澄君) おおむねだと思います。
○鈴木市藏君 おおむね……。そうすると、別に乙契約受信者のほうから出た撤廃の要求だというふうに考えられませんかね、この数字から見まして。それでまた、ラジオ放送のほう、つまり、まあ能動的にその仕事を中心にやっておられる、つまり、放送局のほうから、いわゆるNHKのほうからのイニシアチブによって出た法案でもない、ここが問題だという気がするのです。ですから、この法案の性格というものは、一にかかって、政治的な性格を持つ、何らかの政治的なねらいを持つといったらいいでしょうか、そういう意図から出た法案だと、性格がきわめてどうも解せないという気がするのです。それはどういうところに理由があるでしょうか。だから、たとえば津案の説明のときにありましたね。放送の発展の云々というようなことがありましたけれども、ああいうばく然とした法案の説明の理由づけでなくて、何か、しかるべき理由がなければ、質の変化を伴う改正ですから、理由づけが、要するに、理論づけがはっきりしてない、こういう印象を受けるわけです。この点どうでしょう。
○政府委員(浅野賢澄君) これがこつ然として出てまいりますと、御意見の御趣旨のようなことになるかと存じますが、決してこれは政治的な問題というのではない。衆議院、参議院両方の委員会におきましても、三十八年以来、毎年何回か、廃止してはどうかという各面からの御意見をいただいておるわけでございます。したがいまして、そういった面がやはり一番の考え方の主体になっておる、かように考えております。これによりまして、受信料の考え方、性格を変えるというのでもない。ただ、取り方につきまして若干単純化されてまいったと、これだけの差だと、かように考えております。
○鈴木市藏君 つまり、いままで取ったものを取らなくするのと、いままでは取らなかったものを今度新しく取るというのは、質の変化ですよ。量の変化じゃない。いままで一〇〇%取ったものを九〇%にするとかなんとかいう量の変化と違うのですよ、安いとか高いとかという。質の変化なんです。だから、質の変化には、質の変化に伴うような理由づけがなければならない。その理由づけがきわめて不明確じゃありませんか。社会政策的な見地から見れば、あなたのさっきおっしゃったように、ほとんど一〇〇%近く取っていない、こういう状況ですから、全廃をするということの積極的な意義というものはどうしても出てこない、この改正案の説明からは。だから、これは政治的なねらい、政治的な意図以外にはないのじゃないか、こういうふうに解釈せざるを得ないのです。そうでしょう。あなたはしかし大臣じゃないから、あなたを責めたってしょうがないと思うのだけれども、ぼくはそうだと思うのですよ。そうならそうだといって、はっきり言って、それでいいかどうか、それでどうかということでものごとを判断しないで、政治的理由から出発した乙契約全廃であるにもかかわらず、あたかも、そうでないかのように言いくるめるということは、やっぱりよくないのじゃないか。はっきり私は、そうならそうだというふうに御答弁になったほうがいいんじゃないか、わかりやすいのじゃないか。この点しかし、あなたに質問したってしょうがない、大臣でないのですから。これほんとうに、この法案は政治的な法案ですよ。だから、ちょっと事務当局じゃ無理じゃないかと思いますけれどもね。ここにだから危険性があるというのです、ぼくは。大臣がいませんから、若干これに伴う意見を言いますけれども、だから、これは一見して単純でよかろうではないかというふうに考えられる法案ですけれども、こういう政治的意図を持ってやられていくということが、やがて私は、放送全体の中に政治権力の介入を許す大きなこれは道を開くものの一歩になるというように思いますよ。必然性がないのです。なぜ全廃しなければならないという必然性が、社会政策的な見地からもなければ、あるいはまた、放送法、放送協会等の立場からも出てこない。いうなれば、政治的な意図以外にない。これを許すと、ことはきわめて簡単なようであって、一見国民の利益になるように見えるけれども、長い目で見てみると、これはやはり放送界そのものに政治権力の介入を許す大きな一歩を開くことになる。私はこの意味で、これは非常に重要な問題だというように考える。しかし、当事者がいないので、大臣がいないので、答弁のしょうがなくて困ると思うのですがね。まあ法案の立案に当たったのでしょうから――まあ浅野さんの意見を聞いてみても、しかし、これはうまくないな、実際……。
○政府委員(浅野賢澄君) 重ねて申し上げまして恐縮でございますが、まあこれ、実は三十八年以来何回も出てまいっておったことであります。決してそういった政治的な面から出てまいったものではない、こう考えます。特に法律で書いておりますのは「受信設備を設置した者」というふうにしておりまして、結局、それから先の問題につきまして、いままで甲とか乙とかいっておったのでございますが、法律で書いております先の問題につきましては、やはりそのときの時代時代によって考えていくべき問題ではないか、世帯というとらえ方につきましても、やはり時代時代によって変わっていってしかるべきであろう、こういった面から、この際また、ポータブルの受信機というものが非常にふえてまいった、こういった面から、やはり受信料を取ってまいります場合の単純化、受信料に対する考え方の単純化、こういったものがやはり基本をなしておる、かように考えていただきたいと思います。
○鈴木市藏君 これは見解の相違の一番分かれるところかもしれません。しかし、これやはり法案の性格がどういうものであるかということを明らかにしておくことが非常に重要なことだと思いますので、しかし、あなたに御答弁を求めるのは無理かと思いますから、私はこの問題については、あときっと大臣が来るでしょうから、質問は保留しておきます。委員長、いいかね。
○委員長(森中守義君) いいですよ。
○鈴木市藏君 いまの質問は浅野さんに答えてくれと言っても無理なんで、大臣が来たときにもう一度やることにして、次に移ります。
 これはNHKのほうにも聞きたい点なんですけれども、つまり、これはもし私の考え違いであったならば、ひとつ訂正するにやぶさかでないと思いますが、いま自動車がもうすごくふえて、約一千万台といわれている。この自動車の中に備えつけられているいわゆるカーラジオというのは、実態は一体どのくらいの台数に当たりますか。
○参考人(佐野弘吉君) ただいまの御指摘の点につきましては、大体、ラジオの受信セットの設置可能の台数を三百万強と見ております。
○鈴木市藏君 それは郵政当局も大体同じくらいに押えておられますか。
○政府委員(浅野賢澄君) 私どものほうは、実際の状況を把握いたしておりません。NHKから報告を、その数字を聞いております。
○鈴木市藏君 これはやはり実際の数字でかなりつかんでいると思われるのは、むしろ、やっぱり運輸省の陸運局だろうと思いますけれども、運輸省の陸運局では約七割だといっているのですね。だから、一千万台の自動車のうち、七〇%はいわゆるカーラジオをもうすでにつけておる、こういっておりますが、これをもし受信料として正確に取るとすれば、これはそれなりのやっぱり新しい財源になると思いますが、この点についても十分に、これはまあさらにまた、将来も伸びる問題ですし、この点のところ、どういうふうに論議をされて結論が出たのか、この全廃論に踏み切る結論が出たのか、その辺の事情をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(浅野賢澄君) 前回も申し上げましたが、自動車からラジオ受信料を取るようにいたしましたのは昭和二十五年でありますか、もう二十年近い前でございまして、当時におきましては、自動車一台の値段も二、三百万以上、相当高いものであったわけであります。一方、私どもの家というものは当時ははるかに安かった、こういった面から、問題はやっぱり世帯というもののとらえ方に帰着するのではないかと、かように考えております。放送法上は「受信設備を設置した者」、こういうふうに相なっておりまして、「設置した者」の見方を世帯として見たわけであります。その世帯のとり方に、当時におきましては、自分たちの住んでおる部屋よりも、自動車のほうがはるかにぜいたくな、別荘以上である、こういった面から、これは別建てとして取るようにいたしたものと考えております。ことに、この昨今のように自動車が大衆化してまいりまして、みな月賦で数十万円の車を買うような段階になってまいりますと、世帯の中にこれを入れて考えたほうが実情に合うのではないか、一部屋を持つよりも自動車を持つほうが大衆的であるというふうに相なっておる現状でもございますので、そういった実情に合うように、今回、自動車につきましては、世帯の中に入れるといった意味で、受信料をいただく対象としない、こういうふうにいたした次第でございます。
○鈴木市藏君 しかし、このカーラジオが今後ますますこれは普及していくだろうと思いますが、こういうものをその人が、つまり、自動車を持っている人が世帯主であって、そこにはすでにテレビがあるものだという、そういう仮定の上に立った議論ですね、おたくのいまの議論は。しかし、ものごとをきめる場合に、そういう仮定の議論で私はこういうような法律が出てくるということはないのじゃないかと、これはあとでの、きっと言いわけに、つまり、考えついた議論じゃないかというように思うのですよ。当然受信設備のあるところがら取るというのはたてまえなんですからね、この放送法からいえば。ですから、別にその世帯から取るということはどこにも書いてないんですから、受信設備のあるところから契約をして取るということになっているんですから、当然このカーラジオはそういう意味で当然取るべきものだ。まして、あなた、それは移動しているんですから、移動する世帯なんというものは、はなはだ、とても夢物語りですから、法律の場合、やっぱり法改正の場合に私は理由にはならぬじゃないか。そして、ここの財源ですよ、この財源をもっと有効に使う必要がある。私なんかは毎回言っているように、NHKの合唱団であるとか、あるいはまた、劇団であるとかいうふうなものは、非常に安い金で使われておる。だから、こういう有力な財源があって、そして、それを用いるならば、そういうつまり低い賃金、低い出演料でやっぱり満足しなければならない、まあいわば強制されているような方たちを幾らかでもやっぱり救っていくという意味からいっても、将来さらにこれが財源として伸びる可能性のあるものまで切って捨ててしまうということは、私は必ずしも、こういうことによってNHKの財源が窮屈になるなどという、そういう意味じゃないんですよ。そういう意味じゃないんですけれども、やはり将来に向かって物質的な基礎を危うくするという意味の一つにはなるんだと思うんですね。ですから、こういう将来性のある、その展望のある、そしてまた、取ろうとすれば、私は決してカーラジオを捕捉してこの聴取料を徴収するということは困難なことじゃないと思う。やり方いかんによってはできることですから、たとえば、その車検のときに、必ず料金を払ったかどうかというその証明書がなければ、車検証を発行しないというようなやり方だって、なきにしもあらずですよ。やろうと思えばできることですから。しかも、確実に捕捉できる方法があって、しかも、有力なそういう意味では正当な資金源になるべきものを切って捨てるという場合の説明として、いまの電波局長の、車も世帯の一つとしてみなすという説明は、とてもそれは首肯できる理由にはならぬじゃないかというふうに思うんですよ。その辺の考え方について、ひとつ当事者の放送協会のほうはどうお考えであるか、お聞かせ願いたい。
○参考人(佐野弘吉君) カーラジオの問題でございますが、電波局長がお答えをいたしましたように、今日、先ほど鈴木先生御自身が触れられましたように、一千万台というふうに自動車の台数が急激に伸びてまいりました。ただ、この一千万台のうち、五百万台ほどは貨物でございますので、まだ一般乗用車というものがこの一千万台の非常に多くのパーセンテージを占めておるわけではございませんが、しかし、今日あるいはこれから先五年、十年を展望いたしましても、一般家庭用の自動車の普及というものが想像以上のものがあり、したがって、これをもっていわゆる普及大衆化と言えるんではないかと思うんでございます。で、先ほど契約甲の問題と関連しての御指摘でもございますが、私ども、現実に営業的立場からいいましても、設置場所ごとにこれまで世帯は一単位ということで、台数のいかんを問わず一単位の契約にしてございますが、ただ、自動車は別の設置場所ということで二つの契約という形態をとってまいっておりますが、現実的には徴収上のいろいろな問題が発生をいたしております。先ほど来御指摘のように、事実、三百万強と目せられますカーラジオの普及の中で、率直に申して、今日現在で五十万台の契約というような数字にとどまっておりますことは、言いかえますれば、一部徴収困難、非常にやっかいだというような点もございます。あれこれ勘案いたしまして、今日、法律の精神でこの契約の廃止という方向に向かわれたことに対して、協会といたしましても、もとより法律上の改正でございますから、法律を順守するわけでございますが、実態論から申しましても、私ども、すべてを申し上げておるわけではございませんが、一、二引例したような点からも、今日この方向に進むことに決して異論のないというような考えに立っております。
○鈴木市藏君 もう一つ、この問題と関連して心配するのは、このラジオ放送の独自性というものが失われていく危険がないかどうかという問題です。つまり、契約が全廃されるんですから、放送協会としての、ラジオ放送自身の持っている独自性というものは、一体どこでだれがどういう形で今後は保障していくのか。その辺どうなんですか。
○政府委員(浅野賢澄君) 今回これによりまして取る対象からはずれますものは、ラジオのうちのごく一部であります。ラジオはやはり二千万世帯大半からラジオ受信料をちょうだいしていることに相なっております。結局、現在いただいております三百三十円というものは、テレビもラジオも全部入っておるわけであります。したがいまして、その三百三十円の中にラジオの分が幾らになりますか、これは別といたしまして、かりに三、四十円といたしましても、八十億近いお金というものはその中に含まれておるわけであります。ラジオに、音声に使っておりますお金、百億余り、百十数億、こういったものにある程度近いものが入っておるわけでありまして、決してこれによりましてラジオ放送を軽視するとか、それからラジオに対して考えを変えたとか、こういったことは全くないのであります。現在のこの改正によりましても、受信料そのものの中には、テレビもラジオも全部入っておるという考えは全く同じでございます。その点は特に御指摘のようなことにはならないものと考えております。
○鈴木市藏君 つまり、この私の言っているのは、テレビの中に含まれているラジオを言っているんじゃないのです。ラジオ放送だけの独自性、これもあるでしょう。ラジオ放送としての独自的な分野というものはあるはずですが、テレビと一緒に流すということだけじゃないわけです。ラジオ放送はラジオ放送としての独自性というやつは今日まであったわけですから、これが契約が全廃された場合に一体どうなるかということを聞いておるんです。
○政府委員(浅野賢澄君) 当初この法律ができましたころは、ラジオだけでございました。それ以降、放送界の進歩とともに、テレビが加わり、FMが加わり、さらにそれももうステレオ、各般に広くなってまいっておるわけであります。テレビにいたしましても、白黒からカラーが出ております。その品種ごとにそれぞれ取りますことは、きわめて困難でありまして、特に、税金としてでなしに、聴視料という一種の負担として取ります場合におきましては、とにもかくにも、NHKの放送を聞くということによってとらえないと、とらえ方が非常にむずかしくなってきておる。やはり単純化して合理化もし、そして国民全体で全世帯でNHKを育てていこうと、こういった面から、見ておる時間、見ておる幅、こういったものは度外視して、お互い分担をしていく、こういった一種の負担金ではないか、かように考えております。これはやはり放送の複雑化、進歩と一緒に出てまいった一種の現象であろうと、かように考えます。御了承いただきます。
○鈴木市藏君 御了承はいいですけれども、やはり物質的な根拠のないところからは、どうしても責任の所在というものが不明確になっていくものですよ。これは、ですから、ラジオ受信に関する限りは、乙契約というものを全廃するということになりますると、どうしてもラジオ放送自身の独自の番組とか独自の内容とかいうものはやはり変化をしてこざるを得ないのではないか。そう言っちゃなんですけれども、二番せんじ、三番せんじ、あるいはNHK自身としては、ラジオ放送それ自身の独自性というものを重視していかなくなる。物質的な根拠がなくなっちゃうわけですから、それは免れないと思うんですよ。あらゆる問題がそうだというふうに見て差しつかえないと思うんです。ですから、テレビと一緒に流すラジオ、それはそうでしょうけれども、要するに、ラジオだけで受信をするという側から見たら、明らかにやっぱり内容の低下が免れない、必ずそうなるであろうという危険を感じざるを得ないわけですがね、この保証はどういうふうなことによってカバーしていこうと考えられるのか。だから、ラジオ受信料を全廃するということと同時にラジオ受信機はなくなってしまうというのなら、これはあなたの言うとおりかもしれませんけれども、しかし、ラジオ受信機はあるわけですから、そのラジオ受信機によって受信をするほうの側としてみたら、聴取料を払わないことによって、契約が全然ないということによって、それはいわばその放送の内容の責任の所在というものがどういう、だれが持つのか、そういう点がこの物質的な根拠がなくなるとともに、やはり非常に希薄になっていく。これはしたがって、NHK自身のやるラジオ放送の独自性というものは今後やっぱり失われていく方向へ向いていく危険が非常に多い。今回のこの改正案はそれをどうしてカバーをするかということを聞いているわけなんです。で、あなたの御説明だけでなくて、これはひとつ放送局のほうからも、ぜひこの辺のところは御答弁を願う必要がある問題だと思いますが。
○参考人(前田義徳君) ただいま御指摘の点は、われわれもこの放送法の一部改正と相まって戒心しなければならない点だと考えております。私どもといたしましては、やはりNHKは全国民の放送であるというたてまえを堅持しながら、ただいま御指摘のラジオの放送について、単に番組のみならず、サービスの点についても、あるいは技術関係、あるいは、その他あらゆる問題について、私どもとしては万全の対策を立てながら、従来どおりの考え方を一そう前進させて、全国民の放送としての責務を果たすという点で、それをゆがめないようにしてまいりたいと、このように考えております。
○鈴木市藏君 その考え方はいまお説のとおりだろうと思います。しかし、それを保証する物質的なものがないんじゃないか。乙契約の全廃によって、ここでそれを保証しそのいま会長がおっしゃったような方針を貫いていく、カバーする実際上の指示というものは、どこで命じられるのですか。いやおうなしにこれはしわ寄せられてくるというふうにしか考えられないのです。この点どうでございましょうか。
○参考人(前田義徳君) その点は、ただいま申し上げましたように、やはりNHKを運営する私ども自身がその点に特別に配慮を払うべきであるというように考えており、実際上も、そういう場合において、われわれの放送を聞いてくださる単独ラジオ聴取者に対しては、従来の精神でまいりたい、こういうわけでございます。
○鈴木市藏君 これは私はこの改正案の持っておるやっぱり一番大きな一つの盲点というか、これはおそらく、このラジオ放送、ラジオ単独の放送はほとんど民間のコマーシャルの分野に移っていく危険を感じるわけですね。こういう形をとっていけば、そういう意味からいっても、やっぱり内容の低下ということは考えられてくるわけですけれども、そこでもう一つ、この財源を失うことによってしわ寄せが来る。いま会長がおっしゃったように、ラジオ独自の放送については従前と同じような、やっぱり万全の処置を講じていくということになりますが、財源の裏づけがないということになってくると、どこかへしわ寄せが来るのは、これはものごとを考える場合に常識だと思います。そのしわ寄せが一番弱いところにいく危険がある。先ほどちょっと、まだ会長がお見えにならなかったときに申し上げたように、特にNHKの劇団であるとか、それから合唱団であるとか、そういったつまり出演回数の契約を結んでおる弱い立場の芸能人に対して、そういうところへしわ寄せがいく危険がなきにしもあらずということを非常に心配するわけです。ですから、万全の処置をとるということは、そのことによっていささかもそういう弱いところへしわが寄ってくるということはないという、はっきりとした御答弁がいただけるかどうか。
 それから、先ほどちょっと申しましたように、ラジオの公共性がやっぱり民間のコマーシャルに重点が移っていく、今後非常に大きくなるという見通しについての考え方ですね。二つの点について。
○参考人(前田義徳君) 繰り返して申し上げるようでありますが、われわれ、国民の放送をあずかる者の考え方としては、放送の種類のいかんを問わず、また、放送の種類と関係する聴視料制度のいかんを問わず、われわれとしては、その波に適したものを全力をあげて放送するということを私は深く期しているわけでございます。この意味において、私どもとしては、経営全体から、従来の方針がゆがむということはあり得ないし、また、ゆがましてはいけないという考え方を持っているわけであります。で、これは具体的な問題と関連するというお気持ちの御質問かと考えますが、それらについても、従来の考え方をくずすことはあり得ないというお約束を申し上げたいと思います。
○委員長(森中守義君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
○委員長(森中守義君) 速記を起こして。
○鈴木市藏君 そこで、さっき大臣ちょっとお見えにならなかったときに質問を一点だけ保留しておるのがあるのです。
 それは、私の質問の内容は、今回の放送法改正の理由づけは非常に不明確だ。これは単に量的な変化ではなくて、やっぱり質的な変化の問題だ、いままで取ったものを取らなくなる、あるいは、いままで取らなかったものを取るといったような問題は、事の大小とか、あるいは高い低いとかいうものと違って、やっぱり明らかに質の変化を呼んでいる。そういう意味で、この質の変化を呼ぶに至った理由というものは一体どこにあるであろうか。それは放送協会のほうからのイニシアチブによってこの改正が出たということは考えられない。先ほど電波監理委員会に諮問したかということについても、諮問をしてないという実情から見ましても、放送協会のほうから積極的に出された意見でもなければ、それからラジオ単独の聴取者の側から出た要求でもないことは、すでに社会政策的な意味からいうならば、ラジオ聴取料の免除はほぼ一〇〇%に近いところまでいっている、こういうことから考えてみますと、今度の法改正というもののただ一つの出された根拠というものは、政治的なねらい以外にないんではないか、その政治的なねらいは何であるかということを先ほど御質問を申し上げたのですが、ちょうど大臣が中座されておりましたので、この質問を保留しております。いろいろ事務当局のほうではそうではないんだということで事務的にお答えをいただいたのですけれども、やはりこれははっきりと政治の問題として、政治的なねらいを持った法案として出したのだということをはっきりとさしたほうが、いい悪いは判断をいたしますが、ものごとを進めていく上にかえってあいまいさがなくていいのではないか、こういうふうに御質問を申し上げているわけでございます。したがって、その政治的な意図というものは一体どこにあるのかということをお聞きしたい。
○国務大臣(小林武治君) 政治的意図ということがどういうことか、いろいろこれはとり方がありますが、いわゆる私、率直に申しまして、まあこういうことが政治的と御判断になれば、あるいは政治的かもしれないが、すなわち、あらゆる面において国民負担を減らすということは歓迎すべき事態である、一方、NHKの経営自体からいけば、これが、このごろはほとんどラジオとテレビというものが合わさった状態になってきた。かねてから、テレビが六五%ぐらいカバレージを持つようになれば、もうラジオ単独はやめてもいいというふうな説も、かねてから行なわれておったのでありまするし、また、この委員会において、ラジオは取らぬでよかろう、こういうふうなことばもいただいた、原案としてあったということでございまして、要するに、これが減らすということがNHKの経営にどういう影響があるか、これを考える場合に、経営に大きな支障がなければ、こういうめんどうなものはもう取らないことにすることによって、幾ぶんでも全体として国民の負担も減るんではないか、こういうことであります。現在においては、前に申すように、わずかに全収入の一%にもならない、こういうようなものをめんどうな方法でもって徴収をしておる。前からお話しのように、これは徴収費が、経費が徴収額の半分にも及ぶ、こういうことが言われている。また、カーラジオにしても三百万台もあるのに、まだ五、六十万台しか取れないというのは、取れぬだけのいろいろのめんどうがあるから取れない。だから、そんなものを取らぬでいいものなら、経営にそう大きな支障がないものなら、やめたほうがいいだろうということであって、それを政治的意図と解するならば政治的意図と申しまするか、そういうことであって、他意はない、こういうふうに私は考えております。それで、カーラジオももっと取れというようなことを前々からお話があったそうでありまするが、なかなかこれは成績があがらない。また、一般の徴収費も、いまのように収入額の半分も徴収費に要するというのは、おそらく、ほかの料金にはあるまい。そういう非能率のものはこの際やめても差しつかえないのではないか。しかも、ラジオとテレビが重なってくる。さっきからラジオをやめると言いますが、私は、ラジオ単独はやめますが、放送そのものに対する料金はいただく、放送受信料というものはいただくということになりますから、ラジオを取らないんだというような考えでなくて、NHK全体の放送に対する受信料をいただくのだ、こういう考え方になれば差しつかえないんじゃないか、こういうふうに思います。変な意味における政治的意図というものは全然ない、こういうことを申し上げておきたいと思います。
○鈴木市藏君 これはこの間、与党の議員のほうからこの問題について質問があって、そういう大ざっぱな説明ではおさまらない面が出てくるよという意味の質問がありましたので、私も重複を避けますから、これ以上この問題を追及しませんけれども、やはり一つの企業体が、こういう公共性を持った企業体がやっておる仕事でありまするから、どうしてもその企業体自身の公的な立場に立つ意見が先行されて出ていくということがたてまえ上必要だというふうに考えているわけなんですけれども、今回はむしろ上からの、まあ政策上の意図といいますか、そういう面から出てきたという点で、私はむしろ、これは一見国民の負担をできるだけ軽減するとか、少なくするとかいう面と、いい面ばかりではなくて、こういうことが一つの放送に対する政府の干渉を誘発していく大きな道を開くことになる、歴史的にそうなるというその危険を私は指摘しないわけにはいかないわけです。
 時間がありませんので、最後に、この問題と直接関係はありませんけれども、先般来当委員会でも質問をいたしましておきました、つまり、日本芸能員労働組合のその後の問題の処理に対して、NHKの側としての前進の態度が示されるかどうか、何らかの意味で、当委員会でも希望いたしましたような話し合いが、団体交渉といったような、そういうかた苦しいことでなく、また、雇用問題といったようなことも一応抜きにしまして、とにかく、待遇の問題を中心にした話し合いが行なわれるような方向に前進をしたものかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
○参考人(浅沼博君) 現在、日芸労とは、前回お答え申し上げましたように、地区ごとに話し合いを進めております。現に大阪におきましても二回の話し合いということを聞いております。
○鈴木市藏君 つまり、この前の当委員会において若干問題が深められた形における進展の状況をお聞きしているのでありまして、地区ごとの、地域ごとの話から一歩を進めて、やはり放送協会として責任を持った形で中央でも話し合いに応ずるような姿勢をやはりとるべきではないかという強い希望も出されて、当委員会の速記録にも載っていることだと思いますが、その方向にお進みになるという気持ちはお持ちになっておらないのですか。
○参考人(浅沼博君) 協会といたしましては、回数出演契約に関する問題につきましては、いままでどおりの話し合いを進めていきたいというふうに存じております。
○鈴木市藏君 もう当委員会は時間がないので、きょうは最終日というような関係で、私はこの問題について詳しく触れる材料をたくさん持っているのですけれども、きょうは質問をやめざるを得ない。非常に残念だと思いますが、この前の当委員会において、この労働慣行の問題について、日本放送協会はむしろこの面においてもやはり公共にふさわしいような立場で、前向きの姿勢でやはりこの問題を解決してもらいたいという強い希望を表明しておきましたが、聞くところによると、かえってその後の協会側の姿勢は以前よりも硬化をしたというようにさえ聞いておりますし、また、第二組合的な性格を持つものさえ育成をして、切りくずしをやっているというようなうわささえ耳にしているような状況ですから、当委員会でるる質問をし、考慮を願ったにもかかわらず、事態がどうも逆の方向に進んでいるということは、いささか国会の論議に対するNHKの姿勢の基本問題に関してどうかという感じもいたしますので、この辺、最後にひとつ会長の答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○参考人(前田義徳君) ただいま先生の御発言で、前回よりも逆にNHKの態度が硬化しているやに伝えられるということでありますが、この点については、さようなことはございません。御承知のように、芸能という点からいいますと、やはり私どもといたしましては、一定の技量ということが一番重要視されるわけで、この点について生活権という問題とからみ合っていると思います。生活権の問題についても、これは回数制度をどうするかによって、われわれとしても、でき得る限りの努力をいたしたいと思いますけれども、同時に、そのことは、相互関係に立って技能の向上ということを相手側も考えていただく必要がある、とのように従来からも申し上げているわけでありまして、しかも、この方々はそれぞれの地区における主としてローカル放送との関係で存在するわけでございますので、そういう意味では、やはりその地区のわれわれの責任者との話し合いを持って、われわれとしてはその動向を判断いたしたい、このように考えているわけでございまして、決して御質問以後にわれわれの態度がまた別になったということはないことを申し上げておきたいと思います。
○委員長(森中守義君) 暫次休憩いたします。
   午後六時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後九時二十四分開会
○委員長(森中守義君) 休憩前に引き続き、逓信委員会を開会いたします。
 御質疑のある方は、順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○鈴木市藏君 私は、この放送法の一部改正案に反対します。おそらくは、衆参両院を通じてただ
 一人の反対者となるかと思いますので、この際、その理由を明らかにしたいと考えます。
 反対理由の第一は、この法案が一見、国民の利益に合致するかのように見えますが、実際はそうではありません。現在、生活困窮者、身体障害者等に対するラジオ受信料免除という社会政策的な意味での料金の免除は、すでに一〇〇%近くに達しております。私は、社会政策的な意味での受信料免除のワクを拡大するものであれば、反対するものではもちろんありません。むしろ、テレビ料金の減免を含めてそのワクを拡大すべきだと考えています。しかし、この法案の内容、すなわち、契約乙の全廃ということは、これとは全く似て非なるものであります。今日、ラジオのみの受信者は、主として数百万台に及ぶカーラジオであり、ホテルその他のラジオであります。なぜ、これのみの料金を全廃しなければならないのか、その正当な理由は、質疑を通じても全く見当たりません。しかも、一方では、甲料金、すなわち、テレビとだき合わせの場合のラジオ受信料は据え置かれるという不公平を生んでおります。これは明らかに矛盾であります。
 反対理由の第二は、この法案を提出するに至った政治的意図と法案の性格についてであります。初めは、選挙中佐藤首相をはじめ政府・自民党幹部の思いつきに端を発した人気取り政策でありましたが、いまではこの法案は、それ自身NHKに対する政治権力の干渉という形をとってくるようになっております。今回の改正案の危険な性格が感じられます。すなわち、受信料全体についての運命を政治権力が左右するという道を開くことになります。それを通じて、放送番組に対しても権力のにらみが強くなり、NHKの全面的な政治権力への屈服が避けられなくなる道を開くものと思われます。
 反対理由の第三は、乙料金の全廃によって、ラジオ放送の独自性がそこなわれ、内容、番組の低下を免れないと思うのであります。NHKが責任を持つラジオのみの契約者はこの改正案によってなくなるのでありまするから、これは放送上大きな質的変化を招来することになると思います。そしてラジオ放送独自の公共性は次第に失われ、コマーシャルを主とする放送にその席を譲らざるを得なくなるでありましょう。こうしてこの改正案によるしわ寄せは必ず弱いところに集中し、芸能人、楽団員などの地位に一そう不安を呼ばないかと心配する次第であります。従来、NHKはこれらの芸能人をきわめて冷遇してきました。その集中的あらわれが、日芸労に対する頑迷きわまる態度であります。一例をあげますならば、ラジオの基本出演料が五カ年間全く据え置かれているという事実から見て、改正案はこれらの弱い芸能人たちに一そうしわ寄せられる心配を持たざるを得ません。
 以上の理由によって、私はこの法案に反対をします。
○委員長(森中守義君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 放送法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(森中守義君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(森中守義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○国務大臣(小林武治君) ただいま放送法改正案の御可決いただきまして、まことにありがとうございます。
 審議の際、あるいは討論の際御注意がありましたことは、十分今後の参考とし、反省の資といたしたいと、かように考えます。ありがとうございました。
○委員長(森中守義君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後九時二十九分散会