第055回国会 予算委員会 第7号
昭和四十二年五月六日(土曜日)
   午前十時十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月六日
   辞任          補欠選任
    斎藤  昇君      林田悠紀夫君
    船田  譲君      任田 新治君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         新谷寅三郎君
    理 事
                白井  勇君
                西田 信一君
                日高 広為君
                平島 敏夫君
                八木 一郎君
                亀田 得治君
                小林  武君
                鈴木 一弘君
    委 員
                青柳 秀夫君
                井川 伊平君
                植竹 春彦君
                大谷 贇雄君
                梶原 茂嘉君
                小林  章君
                杉原 荒太君
                任田 新治君
                内藤誉三郎君
                林田悠紀夫君
                二木 謙吾君
                増原 恵吉君
                宮崎 正雄君
                山内 一郎君
                吉武 恵市君
                占部 秀男君
                岡田 宗司君
                北村  暢君
                小柳  勇君
                鈴木  強君
                瀬谷 英行君
                羽生 三七君
                藤田  進君
                矢山 有作君
                山本伊三郎君
                吉田忠三郎君
                黒柳  明君
                多田 省吾君
                向井 長年君
                春日 正一君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  田中伊三次君
       外 務 大 臣  三木 武夫君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       文 部 大 臣  剱木 亨弘君
       厚 生 大 臣  坊  秀男君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   菅野和太郎君
       運 輸 大 臣  大橋 武夫君
       郵 政 大 臣  小林 武治君
       労 働 大 臣  早川  崇君
       建 設 大 臣  西村 英一君
       自 治 大 臣  藤枝 泉介君
       国 務 大 臣  塚原 俊郎君
       国 務 大 臣  二階堂 進君
       国 務 大 臣  福永 健司君
       国 務 大 臣  増田甲子七君
       国 務 大 臣  松平 勇雄君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣官房副長官  木村 俊夫君
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       総理府特別地域
       連絡局長     山野 幸吉君
       公正取引委員会
       委員長      北島 武雄君
       経済企画庁調整
       局長       宮沢 鉄蔵君
       経済企画庁国民
       生活局長     中西 一郎君
       経済企画庁総合
       計画局長     鹿野 義夫君
       科学技術庁長官
       官房長      小林 貞雄君
       科学技術庁計画
       局長       梅澤 邦臣君
       法務省刑事局長  川井 英良君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省経済局長
       事務代理     鶴見 清彦君
       外務省経済協力
       局長       廣田まこと君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
       大蔵省主計局長  村上孝太郎君
       大蔵省主税局長  塩崎  潤君
       大蔵省関税局長
       事務代理     細見  卓君
       大蔵省理財局長  中尾 博之君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       大蔵省国際金融
       局長       柏木 雄介君
       国税庁長官    泉 美之松君
       農林政務次官   久保 勘一君
       農林大臣官房長  檜垣徳太郎君
       農林省園芸局長  八塚 陽介君
       食糧庁長官    大口 駿一君
       通商産業省通商
       局事務代理    原田  明君
       通商産業省貿易
       振興局長     今村  f君
       通商産業省企業
       局長       熊谷 典文君
       中小企業庁長官  影山 衛司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水谷 国一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、斎藤昇君、船田譲君が辞任され、その補欠として林田悠紀夫君、任田新治君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、
 以上三案を一括して議題といたします。
 質疑に入るに先立って、質疑順位の変更について御報告いたします。
 理事各位と協議の結果、議事の都合により、第四順位の自由民主党を第七順位に変更いたしましたので、御了承願います。
 それでは質疑を行ないます。岡田宗司君。
○岡田宗司君 私は、まず沖縄の問題からいろいろ政府の態度をお伺いしたいと思ったのでございますが、昨日の朝の朝日新聞に、アメリカの陸軍が日本物理学会主催の半導体の国際会議に資金を出して援助をしておる、こういうことが明らかにされた。これは昨年の国際会議のことでございます。ところが、朝日の調査によりますならば、単にこの国際会議一つに資金を出しただけではなくて、東大の医学部をはじめ、京大付属の花山天文台、その他非常に多くの研究機関にもそういう金を出している。これが五十七件にものぼり、現在では、その金額が四十万ドルになっているということが報道されておるのでございます。このことは、日本の学界に非常なショックを与えたようでございます。もちろん、主催者側は、これによって独立性は失われてはおらない、こうは言っておりますけれども、こういうような、一国の陸軍の金が国際会議に出されておるという事実、学会に出されておるという事実、あるいは日本のいろいろな研究機関に出されておるという事実、これは、非常に疑いの目をもって見られると思うのでございます。また、国際会議でございますので、外国からの学者も多数参加して、おそらく、こういうことが明らかにされるならば、日本で開催される国際会議に対しまして世界の学者たちの間から非常な不信の目をもって見られる、こういうことも起ころうかと思うのでございます。このことは、日本の学会が国際会議を開きます場合に、資金が足りない、政府の援助も足りない、そこで背伸びをしておるこの学会の国際会議について、外国から、しかも一国の陸軍から、そういう金を得るというようなことになったのかと思うのでございますが、今後の日本の学会等にとりまして重大な問題だろうと思う。政府は、この点について、どうお考えになるか。この問題についての総理大臣のお考えを、まず承りたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、新聞に出たという事実を私よく知りませんが、あるいは外務省が知っているか、あるいは文部省が知っているか、ひとつ聞いてみます。
○岡田宗司君 文部大臣……。
○国務大臣(剱木亨弘君) 学会の国際会議につきましては、御承知のように、いかなる学会を開催するかということにつきましては、ただいま、大体学術会議で選択し、これに対しまして、決定いたしましたものにつきましては学術会議を通じまして援助をやっておるわけでございます。具体的にお尋ねのものにつきましては、後ほど詳細に調べましてお答えをいたします。
○岡田宗司君 昨日の新聞に出ておることで、おそらく総理大臣も文部大臣も新聞はお読みになっておると思うんですけれども、まあ御存じなかったようで、まことに怠慢と言わなければならない。これは重大な問題です。これが事実かどうか、はっきりさしていただきまして、その上で、あらためて御返事を承りたいと思うのでありますが、いずれにいたしましても、この問題については、なお、他の同僚議員からも、詳しく政府の態度に対しまして質問があろうかと思いますが、あとで、この点については文部大臣から、あらためて御報告を願った上でお伺いしたい。
 次に、私は、沖縄の問題について若干……。
○小柳勇君 ちょっと関連して。
 ただいまの問題につきまして、東京大学ほか二十数校の大学に、五カ年間にわたりまして、アメリカの陸軍から研究費が出されておる。したがって、八日の私の質問までに、早急に文部省は各大学の実態を調査して、資料として提出を願います。委員長、そのようにお計らいを願います。
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまの小柳君の御要望のとおりに取り計らうことにいたします。
○岡田宗司君 それでは、総理に、沖縄の問題についての政府の基本的な考え方をお尋ねいたします。
 この問題につきましては、しばしば衆議院の沖縄問題等の特別委員会あるいは予算委員会その他において政府からも明らかにされておるようでございますけれども、私といたしましては、なお、政府の態度がはっきりしておらぬ、こう考えますので、お伺いするのであります。
 もちろん、政府としても、沖縄は当然日本に返還さるべきである、こういうお考えであろうと思います。総理が昨年沖縄を訪問されました際に、「沖縄の復帰なくしては日本の戦後は終わらない」、まことに名言をはかれております。これは、もちろん沖縄を日本に返してもらいたいということの考え方のあらわれとは思うのでございます。しかしながら、佐藤・ジョンソン大統領会談の際の共同コミュニケを見ましても、あるいはまた、佐藤総理が沖縄を訪問されたときのいろいろな佐藤総理の考え方を述べられたことから見ましても、あるいは国会等における答弁から見ましても、現在極東における脅威と緊張が続く限り沖縄は日本に返らないのだ、そして、いまはそういう交渉をする時期ではないんだと、こういう考えで貫かれております。また、返るような話のできる時期まで、その用意のために、沖縄における住民の生活水準を引き上げて、そしてその準備をするのだ、まあここに重点を置いておられるように思うのでありますが、この沖縄の返還に対する政府の基本的な考え方を明らかにしていただきたいのであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま沖縄問題の基本についてのお尋ねでございますが、御承知のように、沖縄は、これは日本の本来の領土の一部でございます。それが、さきの戦争の結果アメリカの施政下に置かれておる。このことは、沖縄島民はもちろんのこと、また日本人といたしましても、たいへん残念なことであると思っております。したがいまして、一日もすみやかに祖国復帰、これを念願しておる、また熱願しておるというのが現状でございます。しかしながら、同時に、わが国をも含めての極東の安全ということに多大の関係を持ちます沖縄でございますので、そういう点をも考慮に入れつつ、総合的に各般の面から十分交渉を持ちまして、そうして、ただいまの不幸な状態にあるこの状態を一日も早く解消するように努力する、これが政府の基本的な態度でございます。そういう意味では、十分、アメリカの協力、また理解のもとに、この話を進めていきたいと、かように念願しております。
 いずれにいたしましても、ただいま置かれておる沖縄の民生その他沖縄同胞の不幸のことを考えますと、内地との格差を埋めるように、また内政上でできるだけの援助をする、これは、施政権者であるアメリカにおきましても、わが国のこの種の態度、また要望につきましては、理解を持ってくれておりますので、本土と沖縄との一体化に、ただいまのような財政援助を通じて一そう努力し、他日日本に返ってくるその時期に備える、こういうのが、ただいまの態度でございます。したがいまして、このアメリカの施政権下にあるということと同時に、極東の安全について沖縄が果たしつつあるその役割り、これをも絶えず念頭に置いて、そうして、どうしたら一番同胞のためになるのか、同胞の福祉になるのか、こういう点を考えていきたいと、かように考えておるのでございます。
○岡田宗司君 そういたしますと、極東における脅威と緊張が続く限り、沖縄の軍事的重要性を認め、沖縄の返還について、いまアメリカに対して交渉をする、あるいはそういうことを申し出る時期ではないと、こういうふうにお考えになっておるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは、いわゆる交渉というような形よりも、話し合いの上でただいまのような事態の解消をはかるのが筋だと、かように考えております。ただいまその時期であるとか時期でないとかということでなしに、私どもの本来の念願を率直にアメリカに訴え、アメリカに考えてもらう、こういうことが望ましいのではないか。ただいま、極東の緊張が続く限りと、こういうお話をされますが、、極東の緊張、これはまた、いろいろな面で妥結の方法もあるでございましょう。これは、たとえば兵器の非常な発達というようなことも考えられますし、また、そういう事態を考慮に入れまして、これが続く限り全然見込みのないものだと、こういうようには私は考えてはおりません。
○岡田宗司君 私は、とにかく、われわれの同胞約百万がアメリカの支配下にある、日本から切り離されておるという事態、また、日本の国民といたしましても、百万の同胞がアメリカの治下に苦しんでおるのに対して、これを全く放置できない、こういうことで沖縄の返還を国民的感情としても要求しておるという事態からいたしまして、当然、政府としては常にアメリカに対して沖縄返還を要求していく、こういう立場をとるべきだと思うのであります。しかしながら、佐藤総理は、この問題につきまして、あまり積極的な姿勢は示されておらない。
 そこで、私は次にお伺いしたいんですが、一昨年総理がワシントンに行かれましてジョンソン大統領とお会いになりましたときに、沖縄の問題が出されたようであります。このことは共同コミュニケに記されておるのでありますが、今秋アメリカを訪問されて、おそらくジョンソン大統領とお会いになるだろうと思うんですが、この問題について、新しい事態のもとにおいて、沖縄の問題で返還を基調としてお話を進められるつもりであるかどうか、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、岡田君のお気持ち並びにその希望と、私どものただいまやっておりますことが全然違っておると私は思いません。私は、ときに皆さんに負けない、劣らない沖縄祖国復帰、これを実現するために最善の努力をしておるつもりでございます。したがいまして、たいへん熱意のないような判定を下されますことは、総理といたしましてまことに残念でございますから、一言その点誤解のないようにお願いしておきます。
 また、私がアメリカに出かけたらこの問題について話し合うか、こういうお尋ねでございますが、ただいままだアメリカに行くとはっきりきめておるわけではございません。もし私が出かけるようなことがあれば、日米間の一番大きな問題、これは沖縄の問題である、沖縄というのは、同時に小笠原をも含めての問題でございますから、これが一番基本的な重大な問題でございますから、こういう点について話し合うのは当然でありますし、先ほどお答えいたしましたように、あらゆる機会に総合的な観点からこの実現を期していくということを申しておるのでありますが、さらに御声援を賜わりたいとお願いをいたします。
○岡田宗司君 ただいまのお話ですと、沖縄の問題は日米間の最も重大な問題である、こういうふうに言われて、そしてこの問題については機会あるごとに話し合う、こういう態度で、もしアメリカに行かれてジョンソン大統領に会いますならば、そういう態度で臨まれる、こういうふうに解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) そのとおりでございます。
○岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、この基本的態度について、私どもどうも動揺が見られるように思うのであります。それは、総理の発言を聞いておりますというと、いわゆる全面的返還というふうにとれます。また、前の、改造前の内閣において、森さんが総務長官のときに、教育権の分離返還ということを打ち出された。これに対して総理は、積極的にそれを進めるような答弁を国会等でもなされておったわけでありますが、また、自民党の中に沖縄問題の特別委員会がありまして、その前の委員長である床次徳二さん、あるいはまた臼井莊一さん等が、いわゆる分離返還、基地から分離して返還する、これは機能別分離返還あるいは地域的分離返還、いろいろ形がございますが、そういう分離返還の考え方を持っておられる。総理はこの点はどうお考えになるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 過去におきまして、いわゆるただいま御指摘のように、機能別分離返還あるいは地域的分離返還等々の議論のあることは私よく承知しておりますが、どうもとかくこういう議論が観念論になっているのじゃないかと実は心配いたしているのであります。たとえばただいまの問題の機能的な分離返還というような問題になりますと、これはもう観念論であることは非常にはっきりしている、かように思いますし、また地域的なものにいたしましても、過去において奄美大島が返還された、こういう事例はございますけれども、この点はよほど慎重に考えないと、沖縄はただいま数百の島がある、またそれに先島等の住民もいることでございますし、その住民の立場も十分考えないと、なかなか簡単なものではないように思いますので、ただいまこういうことをも考えて、そうしてその返還の実現も早期に実現したいという、それぞれの立場においての、こういうような苦しんだ後の結論ではないだろうかと思いますので、これはむげにこれを断わるわけにもまいりませんけれども、私はただいまお答えいたしましたように、観念論にならないで、また現実の問題として実際的な可能なことで解決をしていかないと、ただ理屈だけではどうも納得しかねるのではないか、かように思っております。
○岡田宗司君 ただいまのお話を聞いておりますというと、いわゆる分離返還、段階的返還論については、大体まあ観念論的である、それでそういう方法はとらない、こういうふうに解せられるのですが、そういたしますとですね、やはり基地をも含めての全面的返還というのが解決の方法としてとらるべきであると、こういうお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 基地をも含めて全面的返還、これが一番望ましい、これはもうはっきりしていると思いますし、ただいまお話にありました段階的返還ということは一体どういうことを意味されるのか、私どもがただいま財政援助をして、そうしてあるいは教育を整備するとか、あるいは自治権を拡大するとか、あるいはまた民生の向上をはかるとか、こういうこともやはりその段階的返還、こういうことに通ずるのかどうか、そこらはちょっと私に解しかねますが、こういうことをも含めての段階的返還ということ、これは私は無視はいたしておらないつもりであります。ただ、言われるように、機能別のたとえば教育権の返還だとかあるいは地域的な返還、軍基地だけは残してその他は返還だとか、こういうことが、これは実際論ではなかなかないのじゃないかということをただいま申したのであります。しかし、現実の問題で一体化をはかる、そういう方向の努力は私はするつもりであります。これは段階的返還にも通ずるものじゃないか、かように私は考えております。
○岡田宗司君 私が段階的返還と言ったことはですね、森さんやあるいは床次さんなんかが示されました分離的返還、そうしてそれを積み重ねての返還、こういうことですね。私の意見ではない。これは森さんなりあるいは床次さんなりの意見について申し上げた。そこは誤解のないように。
 で、いま総理は、経済援助等をして、そうして経済生活における格差をなくしていく、それがこの復帰論に通ずるのだと言うけれども、私は、ただ日本が経済援助をして、それによって沖縄の住民の生活水準が上がっていっても、それ自体としてはけっこうなことでありますけれども、それ自体としてけっこうであっても、これはいわゆる返還問題にはそのまま通ずるものではない。したがって、経済援助そのものは何らこの返還の段階の問題ではない、こう考えているのです。
 で、過日衆議院の沖縄問題等特別委員会で、西風君の質問に対しまして外務大臣がお答えをしております。これは日米協議委員会等では返還の問題は取り上げられないであろう、この問題は両国の首脳部のいわゆる高級会談で取り上げらるべき問題であると。私もそう思います。そういうふうなことであるとするならば、これはもう明らかに総理大臣及び外務大臣の任務であろう。したがいまして、この点について常に総理大臣なり外務大臣なりは、沖縄問題解決についての基本的姿勢というものをいつも国民に明示し、特に沖縄住民にはっきりさしておく必要があろうと思うのであります。ところが、いまのお話のように、この問題についてはかなりあいまいな点が多いことを私は遺憾に思うのでありますが、特に私は、二月の初めでしたが、沖縄の返還問題について外務事務次官から言われました、国際情勢が今日のままであっても、国民の大部分が沖縄の基地をアメリカ軍に自由に使わすということであるならば、全面返還も可能であろうという発言をされて、たいへんな波紋を呼んだのであります。政府は、この問題についてその後しばしばいろいろな解釈をして、いわば否認のような形を示しておるのでございますが、この点を明らかにしていただきたいと思う。総理は、この基地の、特にこの核基地を含む沖縄の返還について、下田次官が発言をされたような、アメリカ軍に基地をいままでどおり自由に使わして、その他の部分の返還をはかる、こういう態度はおとりにならない、こういうふうにお考えになっておるのですか、その点を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 下田君の発言は、あるいは、いまの実情においてはできない、こういう意味のことを申したのではないかと思います。軍基地として自由に使えるということは許される状況ではないということが前提だろうと思いますので、そこらに無理なところがあるんではないかと思います。私はただいままで、日本の状態について、いわゆる自由を守り平和に徹する、その考え方から防衛的な自衛力は持ちますけれども、それより以上に持たない、さらにまた近代兵器にいたしましても、そういういわゆる核兵器などは持ち込まない、また持ち込みを許さない、こういうことを実は申しておるのであります。こういう状態のもとにおいて、それじゃ日本の安全が確保できるか。だが、それではできないから、日米安全保障条約でいまこれの安全確保をしておるのだ。この点が、しばしば御指摘になりますように、日本はそれではアメリカの核のかさの下におるのか、こういうふうな話になるわけであります。
 ところで、ただいまの沖縄が今日極東の平和維持のために果たしておる役割りが大きい、これは一体どういうことなのか。これはしばしば指摘されておりますように、軍基地、そういうものが役立っておるのだと思います。これはもう岡田君も百も御承知だと思います。そういう状態を、返還後において、祖国復帰後において、そういうものがいかに扱われるか、これは日本国民がきめなければならないことである。私ども政府も与党ももちろんでありまするが、野党の諸君も真剣にわが国の安全確保のためにどういう方法が一番いいのか、それを考えられる。先ほど来たびたび申しますように、沖縄の果たしておる役割りということを絶えず念頭に置きつつ沖縄の返還をわれわれ考えるんだと申しましたのはこの点であります。そういう点を十分考えられまして、そうして結論が出ない限りこれは困ると。しかし、その結論を出すのはひとり政府ばかりでは私はないと思う。これは日本国民全体、沖縄住民の同胞も一緒にして、そうしてその結論を出すべきであると、かように私は考えておるのでありまして、その点がただいま沖縄問題解決の一番むずかしい点である。今後どういうようにこれと取り組んでいくか、これが私どもに課せられた仕事だと、かように思っております。これはただいま申し上げるように、政府だけの問題ではございません。日本国民に課せられた課題だと、かように私は考えておるのであります。
○岡田宗司君 いままでの総理の答弁を聞いておりますというと、自民党の内部から出ました分離返還論については大体、観念論的である、実現性がないというふうに受け取れる、また下田次官の発言につきましては、大体否定的なものであるという見解をとられておるようであります。そういたしますと、私どもはやはり沖縄は全面的返還でなければならないというのが総理のお考えのように思うのでありますが、この全面的返還ということになりますというと、非常にむずかしい問題が含まれておることは私どもよく承知しておりますが、しかし、総理としてはそういう態度でアメリカ側に対して常に臨まれるのかどうか、この沖縄の返還の問題についてアメリカ側に臨まれる態度というのは、常に全面的な返還、こういう態度でいかれるのであるかどうか、その点、端的にお答えを願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、あらゆる機会に、総合的に返還の実現を期すると、こういう態度でアメリカと十分話し合うつもりでございます。
○藤田進君 関連して。総理にお伺いいたしますが、当院本会議でも代表質問にお答えになりましたように、全面返還だということで、その後両院を通ずる予算委員会等でもしばしば言明されてはまいりましたが、特にいまの岡田委員の質疑に対する御答弁からいたしますと、極東の情勢、あるいは平和、軍事事情、こういうものとのからみ合わせで、返還が許されると主観的に総理自身も思ったときには、これは積極的に返還を迫るが、そうでないときは極東の情勢云々によって日本の安全を守るためにといったような、核兵器は持ち込まないというようないろんなものから見て、結局これを煮詰めてみますと、沖縄の返還というものはアジアの情勢と関連を持つものであって、これと無関係に、単独に、機会あるごとにおっしゃっても返還を要求するほうがやぼなんだといいますか、これは無理なんだと、こう聞こえるわけであります。その点をこの際明確にしていただきませんと、一面国民は、政府みずから返還に熱意を持ち、極東の情勢云々は言われているけれども、これとは無関係に返還を迫ってくれるのだろう、両院も特別委員会を持った昨今であると、こう私はこの模様を知らない者は理解すると思うので、はたしてそれでいいのかといえば、どうも聞いてみますと、極東の軍事情勢その他将来の平和、これを考えると、返還というものは、そういま無関係に主張はできないとも聞こえる。これ以上重複して申しませんが、その点が、無関係で返してもらいたいとおっしゃるのか、いや、そうではない、何か大きなものがうしろについていて、返還返還と言わなければこれは国民感情から受けない、だから返還返還と言っているけれども、実際にはそれは無理なんだと、こう聞こえてならない。これは無関係におやりになるのか、極東の情勢云々というのはきわめて主観的なものであり、なかなか、アメリカに今度おいでになるそうですが、平和がまだまだいまだしだなあということで終わるんじゃないかと思うんで、これではここで幾ら議論しても意味がないと思うんですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) ここで幾ら議論しても意味ないと、かようにお考えなら、おやめになったらいいと思います。私は、そうではない。私はそういうことではないと思います。こういう事柄は大いに議論しなければならない問題だと私は思います。ただいま申し上げますように、極東の安全保障と全然関係のないことはございません。これはたえず念頭に置いて、そして祖国復帰を考えなければなりません。しかし、その極東の安全保障というものは、今後の発展のしかたではいかようにでもなるものじゃないかと私は思います。ただいま言うように、極東の緊張は絶対に続くのだ、かようにお考えか、あるいはまた、陸上基地を絶対に持たなければならないのか、そういう問題もあるわけであります。この沖縄基地にかわるようなりっぱなものができるという、そういう問題もあるのでございますから、ただいま言われるように、もう極東の安全保障と関連がある、だからもう議論はしたってしようがないのだ、こういうようにあきらめるべきものじゃない、私はかように思っております。だから、その点は十分、これから必ずしも議論しないという藤田君のお話じゃないだろう、大いに議論は詰めたいが、しかし極東の安全保障、そのことは、国際の情勢が変わらない限り、これはもう絶対的にいまの状態が変わらないのか、こういうことに、もし議論を詰めればなるのじゃないかと思いますので、私は必ずしもそうは思わないのです。情勢が変わりましても、今後の兵器の発達等によれば、これは軍基地、陸上基地を他に変えるような方法もあるんじゃないだろうか、また、他の場所に持っていくような方法も考えられるだろう、いろいろなことがあるのでございますから、そう簡単にあきらめる必要はないように思います。
○藤田進君 これは岡田委員も、聞いていて、この問題で非常に時間をとっておられるわけで、私ども質問する側は、明確なあれが出てこないと、どうしても自分の質問時間を終わっちまって、それを総理が待っていて答弁しているとは思えないが、思える節もあるが、そこでお伺いしますが、関連して入れなければこれは明らかにならないのですよ。あなたがおっしゃっていること、もうずっと就任以来聞きますが、これは前内閣もそうでしたが、機会あるごとに沖縄の返還といったようなことはきまり文句になっているのです。なっていますが、ところが、必ず忘れないように、いまの日本の安全というか、極東の平和といいますかね、これはつきものなんですね。ですから、基地がどっかに変わるかもしれない、つまり核戦略体制になり、アメリカの周辺戦略以来、日本に軍司令部もなくなってきたんですからね、いまハワイにいるでしょう。こんなことは百も承知しています。いますが、いま議論を四十二年度予算に関連してやっているのですから、百年先どうなりますかと、そんなことをいま議論しているとは私は思わない。ここ当面、沖縄の同胞が復帰を叫んでいるのだから、これを受けて日本政府はやってもらいたいという、野党は野党なりの立場から、外交権はあんたにあるのですから、そこで事態を明確にしながら、今後の方策について迫っていくというのが、これは沖縄問題の論争だと思う。だとすれば、私がいま申し上げたことに対する答弁ですけれども、仮定の上で、かりに基地が沖縄から去ってどこかに変わるかもしれない、いや、そう君は言うけれども、極東の平和が全然保てないとか、そういうときが来ないというのがおかしいので、それは来るかもしれない、そういうものが仮定ではあるが、来た暁にはひとつ本腰を入れて返してもらうけれども、そうでなければ返してもらえないと聞こえてならない。だからはっきりと端的に聞けば、そういう極東の平和その他、これは無関係に沖縄は返してもらいたいのだ、それが総理としても念願であり決意なんだ、こう言えるのか。やはり極東の平和問題がくっついていて、この見通しというものは、いつの日かはっきりしたものがない、こう見えるのですね、その辺はっきりしてもらいたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) よほどはっきりものを申したつもりですが、おわかりじゃないようです。私は沖縄の祖国復帰は、これは日本国民の念願でございます。また、沖縄同胞の念願でもあります。私、総理といたしまして、この国民の念願達成について、もちろん考えないわけではありません。しかし同時に、総理といたしまして、わが国の安全保障、これをまず第一に考えます。そういう点でこの問題と取り組む、かように申しておるのであります。
○岡田宗司君 この問題については、他の機会、沖縄問題等特別委員会で、さらに詳しくお話を伺いたいと思っております。
 次に、サンフランシスコ条約によりまして、日本は沖縄における施政権を全部アメリカに渡したわけでございますが、いわゆる潜在主権というものが残っているといわれる。このレジデュアル・ソベレンティというのですか、この意味でございますが、これは政府のほうでもってはっきりどういう意味かということを明らかにしたことは一ぺんもないのでございます。この点をひとつ明らかにしていただきたい。アメリカ側においても、政府としては明らかにしておらないが、アメリカ側においては、多少いろいろの機会にこの点について意見が述べられておる。政府の考え方をひとつお尋ねしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 潜在主権ということばに一つの国際的な定義があるというわけではないのです。しかし、沖縄に対しては、日本が根源的な領土権を持っておる。したがって、それを潜在主権があると言っているのですが、それはどういう点に一つの潜在主権としての権能を持っているかといえば、一つには、沖縄に住んでいる住民が日本国籍を持っておる。もう一つは、もしアメリカがこの沖縄を処分しようというときには、平和条約第三条による信託統治、これをしない限りは、沖縄の処分について日本の同意を要する。さらにもう一つは、沖縄の統治、施政権の行使については、日本の意向ができるだけ反映できるように、アメリカは日本と協議をする、こういうようなものもやはり日本が潜在主権を持っておる効果だと思う。もう一つは、アメリカが施政権を放棄した場合には、当然に日本の主権が顕在化する、機械的に。これが潜在主権の持っている一つの効果であります。いまのような効果を持ちながら、領土権に対する根源的な日本が主権を持っておるということが潜在主権の考え方だと思っております。
○岡田宗司君 一九六二年のプライス法修正法案に関する報告、これはアメリカの下院の軍事委員会で一九六二年五月十六日に発表されたものであるが、そこにアメリカ側の解釈というのが出ておるのでございますが、その中にこういうことが書いてある。「この字句は国際法上は不正確であり、いわゆるニューダム・イウス・ソベラニタチスという概念を反映したもののようである。これは主権に対する形式的な権原の一種以外の何物でもなく、日本に対し、真の主権を行使するいかなる権利をも与えていない。あからさまにいえば、琉球に関し日本が保持しているのはアメリカが沖縄を含む琉球をいかなる第三者にも引き渡さないと期待する権利だといえよう。」――まことにあわれなものであります。さらに同じ下院の軍事委員会の法律顧問のフィリップ・W・テハレーという人がガビン下院議員に送った書簡の中にも同じようなことが言われております。この潜在主機の結果として日本が持っていると言うことのできるものは、ただアメリカが沖縄を含む琉球列島をいかなる第三者にも譲渡しないことを期待する権利だけである。これではいま三木外相が説明されたことと非常に大きな食い違いがあるように思う。三木外相の言われました解釈によりますと、日本側には、対人主権と領土主権と分けますと、領土主権は残っていると、こう解せられるのでありますが、アメリカ側の見解によりますと、領土主権は残っておらぬ。この点についてアメリカ側と討議せられたことがあるのかどうか、そうしてこの問題について日本とアメリカ側の間に何らかの合意を見た事実があるのかどうか、その点を明らかにしてください。
○国務大臣(三木武夫君) 私がやはり根源的な領土主権と解釈すべきだという、根源的という意味をつけたのも、すっきりした主権だとはいえない。しかしその中に掲げました条件は、これは普通の、そういう潜在的といいますか、根源的な主権を持ってなければ行使できない権原であります。いま私が四つばかりあげたものです。そういうことにおいて、これはアメリカが施政権を持っておっても、日本が潜在主権を持っておるという事実の効果が、いま私があげたような中にあらわれておりますから、これがアメリカがいろいろ説明をしておっても、アメリカの説明が、私がいま申したようなことを否定しておるとは考えていないのでございます。
○岡田宗司君 否定していないと言われますけれども、差異のあることは明白です。何が潜在か、何が残っておるかという点で非常に違うので、この点について一体、法制局長官は同じだとお考えになっているのか、違うとお考えになっているのか、お伺いしたい。
○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。
 潜在主権とは何かということでございますが、潜在主権ということば自身が平和条約にあるわけでございませんで、いずれにしましても、平和条約三条できめられた沖縄の地位、それをどういう地位であるかということを、まあ一言にして潜在主権があると、こういう説明をしておるわけであることは御承知のとおりでございますので、要するに問題は、平和条約第三条のもとで沖縄はどういう地位にあるかということが問題の焦点である、これは間違いないところです。そういう意味で沖縄の地位を考えてみますと、とにかく平和条約では、わが国の従来の領域につきまして、他国に、これを何といいますか、放棄をしたといういろいろな領域がございますが、沖縄はまさにその領域とは違いまして、アメリカ合衆国が行政、立法及び司法の諸権を行使する、いわゆる施政権を行使するということになっておるわけでございます。したがって、放棄をした領域といかなる点が違うかというのが、さらに煮詰まった問題に相なるわけでございます。そう考えてみますと、やはり先ほど外務大臣が仰せになりましたように、少なくもその領土はわが国とは離れているわけではない、そこにおける住民はわが国民である、また平和条約に合衆国はしばられておるわけでございますから、それに反して領土の処分、沖縄の処分をすることはできない、あるいはアメリカが施政権をなくせば、それは当然に本然のわが領域になるというような、いろいろな効果が出てまいると思います。したがってアメリカの例をお引きになりましたが、それはやはり一つの説明、一部の説明であることはむろんでございますが、いま申し上げたような、放棄された領域と、そうでない沖縄の地位と、それを比較してみますと、いま申したようなことは必然的な結果として出てまいると思います。したがって、御質問の趣旨は、アメリカ側のいま御指摘のものと、それからただいま御説明したものとが違うか違わないかということでございましたが、すべてを尽くして申せば結局同じことになるというふうに考えるわけでございます。
○岡田宗司君 私は同じと考えないのですが、いまあなたと議論してもしようがないので、これはまた他の機会に明らかにしていただきたいと思います。
 いま三木外務大臣の御説明のうちに、いわゆる領土主権は日本に残っておる、根源的主権と言われたのですが、それは残っておる。そうして沖縄の住民は日本の国籍を持つと、こういうことを言われた。これは明らかにはっきりさせておいていただかなければならぬと思うのです。最近のアメリカ側との交渉によりまして、つまり沖縄の人々が沖縄から一歩出まして外国へ参りますときには、日本の旅券を持つ、そして日本の出先の外交機関の保護を受けておる、こういうことで、明らかに日本国籍を持っておるということは明らかにざれるわけであります。しかし、はたして沖縄における住民の諸君に明確な日本の国籍があるのかどうか、その点お伺いしたい。それはどういうふうにお考えになっておるか。
○国務大臣(三木武夫君) 法律問題でありますから、条約局長からお答えいたさせます。
○政府委員(藤崎萬里君) 日本国籍を持っております。
○岡田宗司君 それならば、それは初めから明らかなことであって、アメリカ側と解釈の食い違いがないならば、アメリカ側が、さきに、つまり今度の交渉で、沖縄の住民の諸君が外国に行かれる場合に、日本の旅券で行かれる前に、リュウキュウアン、こういうことで身分証明書で出かけていって、ほうぼうで拒否された。これは明らかにアメリカ側は、沖縄の住民に日本国籍を認めておらなかったことではないか。今回は、交渉によりまして、外に行く場合は認めるけれども、沖縄の内部における、沖縄に住んでおる人々に対して、はたして日本国籍をアメリカ側が認めておるのかどうか、その点お伺いしたい。
○政府委員(藤崎萬里君) 沖縄住民の出域を認める、そして出域の場合にどういう文書を持参させる、そういうことはすべてアメリカが持っておる施政権の内容としてアメリカがきめ得ることでございます。現に沖縄に居住しておる者にももちろん日本国籍がございます。
○岡田宗司君 あなたは沖縄に住んでおる人にも日本国籍がございますと言っているけれども、現にいままでアメリカ側は、それは施政権の作用か何かしらないけれども、リュウキュウアンという、日本の国籍を認めてない態度をとってきた。いま、沖縄における日本の住民諸君が日本の国籍を認められておるといたしますならば、もっとその点はすべてについて明らかでなければならぬはずだ。ところが、それが明らかでないから問題が起こったと思うのです。で、この沖縄の住民諸君が現在でも日本の国籍を持っておる、しかしながらアメリカの施政権下にあるというのと、アメリカがその施政権の作用として沖縄におる住民の日本国籍についてやはりこれを事実上認めておらない、外に出た場合にだけそれを認めるようにしたというのとは、非常に違うと思う。その点もう一度念を押しておきたいのですが、どういうふうな御解釈ですか。
○政府委員(藤崎萬里君) 沖縄住民が沖縄にとどまっておる限りは、国籍の問題が表面に出てくることはないわけでございます。日本政府とアメリカ政府との間で沖縄住民の国籍の問題について何ら意見の相違があったことはないのでございまして、両方とも初めから日本国民であるという前提でものごとは考えておるわけでございます。
○岡田宗司君 それはおかしいですよ。そんなことを向こう側ではっきりと認めておったのなら、リュウキュウアンということばなんか使わなかったはずでしょう。それを使っておるというのは、認めておらなかった証拠じゃないですか。どうですか。積極的な証明がありますか。日本国籍を認めておるという積極的な証明がありますか。
○政府委員(藤崎萬里君) リュウキュウアンというのは、国籍として琉球国籍というものがあるという意味じゃないのでございまして、便宜、持たせる書類に沖縄の出身者であるということを示す意味の表示でございます。それが何か日本国籍を失ったことを意味するわけじゃないわけでございます。
○岡田宗司君 それじゃ、あるということの証明はアメリカ側でしておりますか。
○政府委員(藤崎萬里君) 手元に資料がございませんが、一番法律的に権威のあるものとしては、どこかの裁判所の判決があったと記憶しております。
○岡田宗司君 その判決は、おそらくハワイにおける裁判所の判決だろうと思う。これは沖縄の人がハワイへ行きまして、そして向こうで旅券等を提出しなかった場合に裁判が起こったことで、これは何と言うんですか、沖縄の人はアメリカ人でないという判決を下しただけで、日本人だという判決は何もしていない。そんなことじゃ私は納得できない。もっとはっきりしてもらいたい。この点は、いずれもう少しあなたのほうでも調べていただいて、そして、それは他の委員会、沖縄問題等の特別委員会で明らかにするので、ここでこれ以上は追及はいたしません。これはやはり沖縄における日本人の立場というものについて、私は非常に重大な問題を含んでおると思うのであります。明らかにしていただきたいと思います。
 それから……。
○亀田得治君 議事進行について。
 いまの資料の問題ですが、質問者のちゃんと予定の質問時間があるわけです。まだほかに質問が重要なやつが残っておる。同じことをああいう質疑を続けられると非常に迷惑する。だから、要するに日本人として日本国籍を認めておるというふうな言い方をしているわけですから、それに対する積極的な裏づけとなるものを資料として出してもらいたい、これを要求しておきます。出せますな。そういう主張をしている以上は、空に言うておるわけではないんですから、これは外務大臣に念を押してください。
○委員長(新谷寅三郎君) 資料要求のことですから、あとで理事会で協議の上、資料要求をしたいと思います。
○亀田得治君 ここでもうそれがはっきりしませんと、岡田さんまた何か言わなければならぬ。アメリカが沖縄の住民を日本国籍を持つものと認めておると、こうはっきり言われるわけだから、それに対する根拠となるもの、これをひとつ資料として出してほしい。これは外務大臣に念を押しておきます。
○国務大臣(三木武夫君) 私も日本国民であることを疑ってもいないわけで、何かその根拠というものはできるだけ提出をできるように努力をいたします。
○岡田宗司君 この問題はさらに他日に残しまして、次に、しばらく前の予算委員会で私は関連質問で申し上げたのでありますが、沖縄におけるアメリカ軍の沖縄住民に対するいろいろな人権じゅうりん的な事件が非常に多い。アメリカの軍人、軍属、その家族に対しましては全然裁判権がない。逮捕することもできないし、それから、もちろん捜査もできない、日本人に加えられました危害、そういうものについてアメリカ側で裁判をしても、その裁判の結果も発表されない。これに対してこちら側でもってどうすることもできないような、いわば切り捨てごめんの状態が続いておる。アメリカは沖縄において民主主義民主主義と言って、盛んに民主主義のショーウインドにするのだというようなことも言っているんですけれども、ショーウインドどころの騒ぎじゃない。むしろ切り捨てごめん的なショーウインドみたいになっているんですが、それに対して、過日の委員会で、総理は、この問題について、アメリカ側に対してものを申すようなことを言われたのでありますけれども、これについて次の日米協議委員会でこの問題を取り上げて、そうして沖縄住民の安寧の問題ですから、これはジョンソン会談においてもこの問題を話されて、共同コミュニケにも、両者が沖縄住民の安寧について努力をするということを言われているんですから、この問題をどうするのか、今後の日米協議委員会でこの問題を取り上げて解決を促進されるのかどうか、ひとつお伺いしておきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 最近私も日本弁護士連合会調査団の報告も見ているわけでございます。これは行政命令の第十二条でしたか、他の民主主義諸国と同じようなやはり住民の自由を守らなければならぬということの規定もございますし、また、今日の時世からいっても当然なことでございますから、こういう実際にかんがみて日米協議委員会においても問題といたしますばかりでなしに、外交ルートを通じても、沖縄住民の人権の保護というものに対しては関心と努力を向けていきたいと考えております。
○岡田宗司君 沖縄問題につきましては、なお詳しくいろいろお伺いしなければならぬことはございますけれども、他の機会に譲りまして、次に、いま差し迫って日本側として態度を決定しなければならぬケネディラウンドに対する日本側の態度についてお伺いをしたいと思います。
 このいわゆるケネディラウンドなるものが、故ケネディ大統領によって提唱されましたときに非常に大きな期待があった。しかし、五年経ました今日、なおこれが折衝に難航をきわめている。そうしてそのいろいろな点からも期待どおりのものではなくなったように思われるのでございます。しかし、最後の段階にまいりまして、日本としても宮澤経済企画庁長官を派遣して、そうしてこの問題の最後の態度をおきめになって、あるいは調印をされるようになるものかと思いますが、われわれこの交渉の過程において非常におかしなことがたくさんあると思います。一つは、例の穀物協定に関することでありまして、これは穀物輸出国、特にそのうちで中心になっているアメリカがこの問題を提起した形になっておりますが、とにかく低開発国に対しての食糧援助のために、これは生産国が余っているものを出すのは当然でありますけれども、しかし、この日本だの、あるいは欧州諸国のような場合には、アメリカその他の輸出国からこれを一定量買い上げてそれをやらなければならない、この影響というものは非常に日本にとりましても大きいのでありますが、その点について、一体そういう提案がどういう形でなされ、そして、もしそれが行なわれるとしたら、日本の穀物の輸入等について、あるいは日本の財政負担等についてどういうことになるのか、さらに、また、そういうような不合理な、たとえば日本のような多量の穀物を輸入している国がそういうようなものを買い入れてよその国へただやるということでなく、何かほかの方法でこの食糧不足の国々を援助できる方法があるのではないかと思うのですが、そういう点についてまず明らかにしていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) ケネディラウンドの交渉は、岡田さんも御指摘のように、大詰めにきて穀物協定というものが大問題になっておるわけです。われわれも岡田さんと同じように、穀物協定の中に定額食糧援助というものを盛り込むことは筋道が立たないのではないかということで反対をし続けておるわけでございます。しかし、必ずしも今日の状態で日本の主張が通っておるというわけではないのであります。その他鉄鋼、綿製品の関税等の問題もございますし、そういうことで本日総理大臣の指示で、八日の日に宮澤長官がジュネーブに出向きまして、閣僚レベルの最後の会議に臨むことになっております。そこで問題を集中的に解決しようということで、日本もケネディラウンドの交渉の妥結に対しては日本としても賛成の立場をとり、また、それによって日本の貿易の拡大均衡をはかりたいとは思っておりますが、できるだけこのケネディラウンドが国民の納得のいくような形で妥結をする必要がある、そういうことで宮澤長官を派遣することにして、最後の交渉を政府はいたすことになった次第でございます。
○岡田宗司君 いまのお話を聞いておりますと、この穀物協定の問題ですが、これはもう日本側として、やはりいろいろ反対はしてきたけれども、受諾しなければならない情勢にあるのか、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) まだ私は、政府としてはどうしても受諾しなければならぬ状態だとは思っていない。これから宮澤君が参りますのも、最後にもっといろいろ交渉する余地があるという判断のもとに行くわけでありますから、もうこれは方法がないというような判断のもとに宮澤君は参るのではないのでございます。
○岡田宗司君 伝えられるところによりますというと、外国から穀物を買い入れてそれを与える、こういう方法でなくて、日本側から、あるいは農機具なり、あるいは肥料なり、そのほかの低開発国の農業を振興するに役立つものを援助するという方法へこれを置きかえていこうということがあるのですが、そういうことは認められる可能性があるか。たとえば欧州の他の諸国においても同じような考え方を持ってアメリカ等の輸出国に対して交渉をする、そういう状況にあるのかどうか、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 現在のところ、日本は食糧援助はやろう、しかし、その協定の中にこれを盛り込むことはたてまえが違うんではないかという主張を続けておるわけでありますので、いま食糧のかわりに農機具とか肥料とかをやるというふうな代案を考えて宮澤君が交渉に臨むのではないのであります。日本の主張をあくまで貫きたい、こういうことで参るのでございまして、いまはそういうことを考えて参る段階ではないのでございます。
○岡田宗司君 そうすると、穀物協定に盛る盛らないの問題ですか。盛らないで、食糧を買い入れて援助をする、こういう形式の問題になっているのですか。もしそうであっても、私は、アメリカ等の余剰農産物を買い入れて与えるということが及ぼす日本の穀物輸入その他の面についての影響は、そうだとすれば非常に大きいと思うのですが、この点、農林大臣どうお考えになりますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 御承知のように、穀物協定の中にいろいろございますが、国内政策に対する約束、それから価格帯の大幅な引き上げ、輸入の保証、それからただいまお話しになっております低開発国に対する援助、で、私どものほうといたしましては、日本は大輸入国でありますからして、そういう輸入国である国が、輸入国として小麦をたくさん輸入して、それを低開発国にケネディラウンドの協定のワク内としてこれを援助するということは筋が通らないということで、ただいま外務大臣が申し上げているように、反対をいたしておるわけであります。したがって、ただいまここで外務大臣のおことばが足りなかったかもしれませんけれども、ケネディラウンドの中でわれわれは低開発国に穀物による援助を与えるということを言っておるわけではないのでありまして、日本が東南アジアの諸国等について援助をいたす考えを持っておることは世界各国ともよく承知いたしてあるとおりであります。昨年の暮れに行ないました農業開発会議もその目的であります。しかし、その目的は食糧を与えるということではなくして、こういう低開発国が自主的に農業を開発して、そして自立的経済を維持できるための基礎づくりに技術的その他の援助をしてやろうという考えなのでありますから、そういうことでわがほうは東南アジアに対する援助を十分やろうといたしておるわけでありますからして、何もこの際大輸入国である国が食料を輸入して、これを輸出国と同じように低開発国にそのものを援助するということは、われわれは反対である、こういう態度をとっておるわけであります。
○岡田宗司君 外務大臣と農林大臣の答弁、えらい大きな食い違いがある。つまり外務大臣の場合は穀物協定の中にそういうことを盛り込まない。しかし、穀物は買って食糧援助をするということは認めておるように受け取れる。しかし、農林大臣のお答えでは、そのこと自体が問題で、それに対する反対というような考え方です。まあこれじゃ宮澤さんもお困りだろうと思うのですけれども、しかし、どっちがほんとうなんですか。
○国務大臣(三木武夫君) それは違いはないのです。穀物協定の中で食糧援助ということではないので、必要に応じてインドなんかにも緊急の食糧援助を行なうという約束をしたわけであります。日本が自主的に、必要な場合に食糧援助を、これは必要があるという場合には一切行なわぬというのではないのであります。われわれはインドなんかにもやったような例もありまして、しかし、その食糧援助というものを穀物協定の中で義務づけるということについては反対である。しかし、日本の自主的な判断によって、食糧の援助を絶対にやらぬというわけではない、必要に応じてやる。しかし、穀物協定の中でそれを義務づけられることが困るというのが主張でございますから、農林大臣との間に意見の食い違いはないと思っております。
○岡田宗司君 当然われわれは毎年毎年買うことを義務づけられて、それに基づいて莫大な負担もするし、それに基づいてアメリカの余剰農産物もだんだんなくなって小麦の価格も高くなり、高い小麦を買わされるということは、まことに日本にとって不利である。したがいまして、単にインドのような場合に穀物を買って援助をすることもやむを得ないことでありましょうけれども、しかし、そういうことを原則とされるということには、あくまでもこれは国民の立場からも反対しなければならぬことだと思います。
 さらにもう一つは、だんだん日本とアメリカとの間の話し合いが変わってきて、どうも日本品に対する関税の引き下げの問題についてはいろいろむずかしい問題が出てきておる。特にいわゆる八項目の条件といいますか、そういうものを提示されておるのでありますが、あの八項目の条件がいれられないとすると、かなり日本からアメリカへ行っておる品物に対する関税の引き下げということは通らないことになるように聞いております。一体、この八項目とは何か、もし八項目がいれられない場合に日本の対米輸出に対してどういうような影響が及んでくるのか、それらの点をひとつ明らかにしていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 政府委員から説明させます。
○政府委員(鶴見清彦君) ただいまの御質問の点でございまするが、先月の末に、アメリカが、そのときの段階におきまする各国との折衝の結果ということにまとめまして、ただいま御指摘がございました八項目のいろいろな条件をつけまして、今後アメリカが交渉する基礎になる提案と申しますか、それを出したわけでございます。この八項目全部につきましては、日本に直接関係のないこともございますので、日本に直接に関係のある点につきましてだけ簡単に御説明申し上げますが、一つは、穀物協定が成立するということが条件になっております。また、各国が、アメリカ側がいろいろと要請しておりまするオファーといいますか、提案というものについて、それを基礎に応じてしてもらいたいということ、それからあと、特にEECとの関係等につきましては、化学製品についてアメリカとイギリスとの間の話し合いがつくということ、あるいは、アメリカがEEC諸国に対して要求しておりまするその他の農産物についてのEEC側の態度が歩み寄ってくるというようなことを大体改訂条件としておるわけであります。
 それで、そういったような条件が通りましたような場合には、アメリカといたしましては、当初出してまいりましたオファーよりは若干引いたもので、それによって、何といいますか、妥結に努力をすると。その引いてまいった結果といたしましては、すでに先生も御存じのように、最近伝えられておりまするたとえば鉄鋼の問題、あるいは綿製品の問題、当初はアメリカはこれを五年間に五〇%引き下げるという態度であったわけでございますが、日本との関係というよりは、むしろ鉄鋼につきましてはイギリスとの関係から、綿製品の問題につきましてはEECとの関係という観点から、イギリスあるいはEEC諸国が十分なオファーをしてこないために、引き下げ率を少し下げざるを得ない。完全に五〇%は下げないという状況になってまいっておるわけでございまして、そういう意味におきましては、日本の対米鉄鋼、あるいは対米綿製品輸出というものは、相当大きなウェートを占めておるわけでございます。その面におきましては、かなり深刻な若干の影響があるというふうに考えるわけでございます。ただ、アメリカ側といたしましても、最終的な形があまり小さな形にならないということを希望いたしておりますし、私ども日本側の政府の代表団といたしましても、できるだけ日本の対米輸出に影響がないように、したがいまして、アメリカが当初オファーしてきましたものから大きく後退しないように、そういう努力を現在続けているわけでございます。
○岡田宗司君 最初の期待とはだいぶ変わってきたということは言えると思うのですが、総括的に見て、一体、このケネディラウンドがもし失敗に終わった場合には、どういう影響を及ぼすか。たとえば、そのために保護貿易主義が強くなって、関税引き上げ競争が行なわれるような結果がくるのか、あるいは、ケネディラウンドが失敗に終わっても、なお各国間において相互間のいろいろな交渉が過められていくのか、あるいは、これがまあ曲がりなりにも通りました場合に、それによって利益が得られるのか、さらに、その後あらためてなお各国間の、たとえば日本とアメリカとの間の個別的な折衝をさらに続けなければならぬのか、そこいらの点を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) もしケネディラウンドの交渉が御破算になるということになれば、当然にやはり保護貿易主義的な傾向を助長することになる。そうして、関税の問題も、これは二国間の交渉によらなければならなくなる。全体として見た場合に、日本の場合を考えた場合に、私はこれは非常に計算がむずかしいと思う。このケネディラウンドができた場合には、 いままで輸出できなかった品物が輸出できる場合もあるでしょう、関税が下がってくるわけですから。そういうことで、電子計算的な計算というものは非常にむずかしいけれども、工業品の輸出国である日本とすれば、関税が引き下げられてくることによって、輸出の増進、あるいはまた、従来国際競争力を持たなかった産業も持つものがあって、全体としてはプラスである、貿易の拡大均衡に役立つという判断でケネディラウンドの妥結を日本は希望しておるのが日本の立場でございます。
○岡田宗司君 時間がないので、次の問題に移りますが、資本の自由化の問題です。これもまあ政府としてはもうぎりぎりの段階で回答を出さなければならぬ状況にあるが、いまだに最終的な決定ができておらぬ。しかし、だんだんまあ煮詰まってきておるが、この資本の自由化に対する政府の基本的態度、並びに直接投資に対するいろいろな分類をやってそれに制限を付していく、その問題についての考え方、そういうものをまずお聞かせ願いたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) 資本の自由化につきましては、積極的に前向きに進みたいというのが根本の方針であります。が、しかしながら、資本を自由化することによって影響される点も決して少なくない。したがって、その影響されるという点をいまいろいろと研究いたしておるのであります。で、影響されないような程度で自由化したいということで考えております。
 そこで、自由化の方式といたしましては、自由化は、たとえば直接投資の場合には五〇%までは自由化を認めると。しかし、こちらの自由化を認めていいという産業、これは許可制にするというようなことでいま作業中なのでありまして、最後的な決定はまだいたしておりません。これは、いずれ外資委員会なりにかけましてそこで最後的に決定したいと、こう考えております。
○岡田宗司君 いわゆるA、B、Cの三段階に分けるというのと、二つに分けるというのとある。これは大体においてどっちがとられるのですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) まあ最初は、A、BCということで、Aは一〇〇%自由化を認めようというようなことで、A、B、Cというように考えておったのでありますが、いまは、大体二つに分けまして、五〇%以内であれば自由化を許そうと。五〇%以内でも自由化を容易に認めることはできないものということで許可制にするかせぬかということで二つに分けようということでなにしておりますが、五〇%以上でもそれは認めていいというものは考えてもいいのじゃないかということで、大体二種類に分けていま審議中なのであります。二種類にするか、A、B、Cの三つにするかということの最後的な決定はまだいたしておりません。
○岡田宗司君 なかなか自由化の認められない業種といいますか産業、そいつはかなりあると思うのですが、それはいま最後の段階ではどういうものに限られておりますか。そしてまた、この個別審査をやる機関、それはどういう機関においてその個別審査をやるのか。
 それから、そういうために法律の改正をやらなければならぬものが多いと思うのですが、どういう法律をどういうふうに改正しなければならないのか。
 それから、特に日本の国内にある、つまり向こうの人が国内で持っておる円でいろいろ株式を取得したりなどをして、たとえばその五〇%のパーセンテージ以上のものを持ち、ある会社を支配するというような事態も考えられるが、そういうものをどうやって防いでいくのか、脱法行為というか、抜け道というものも数あると思うのでありますが、それらの点についての対策はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 五〇%以内で許可制にするほうが多いと思っております。自由にするよりも、許可制にするほうが多いと思っておりますが、そこで、問題は、こちらの国内対策としましては、産業構造の改善、体質改善をやって自由化にたえ得るように日本の産業を育てるということが根本問題であって、したがって、これは三年先になれば自由化しても競争力を持つぞというときには許可してもいい、いまは許可しては困るというようなことで、まず、問題は、国内態勢をいかにするかということが先決問題だと思っておるのであります。そこで、競争にたえ得られないものは許可してはいかぬという態度をとっておるのであります。
 そこで、いまお話しの最後のお尋ねの件の円でということは、これも実は心配いたしておるので、それも何かこれを防止する法律か何かつくらなければならないのじゃないかということで、それはいま私どものほうでも検討いたしております。そういうことの脱法行為と申しますか、ないようにしたいと、こう考えておるのであります。
 それから自由化に対していろいろ法制的な態度をとっておるかというお話でありますが、これは、たとえば独占禁止法の関係などでもし防げる――向こうの資本の、何といいますか、資本力によって日本の産業を混乱さすような場合には、あるいは独占禁止法によってこれをとめるとかいうようなことも考えられると思います。それからまた、こちらの体質を改善するという意味において、ことに中小企業が影響されると思いますから、中小企業の近代化というようなことを考えまして、今回、中小企業の振興事業団というものを設けましてそうしてこっちの体質改善をやるというふうなこと、あるいは、繊維産業などの構造改善もその一つのあらわれですが、それによって外国との競争力を増すというようなことで、いろいろとそういう点については対策を講じて、今回の国会にも法律案を出しておりまするし、また、予算の御審議もお願いしておる次第であります。したがいまして、自由化に対しては向こうのじゅうりんにまかさぬように考えてこちらの自由化を進めていきたいという態度でいろいろいま検討中でありますから、さようひとつ御承知を願いたいと思います。
○岡田宗司君 日本の自由化に対しましては、OECDのほうでも非常な関心を持って、おそらく勧告もそれが含まれるでありましょう。それからアメリカのほうからは直接ずいぶんな圧力がかかってきているように思いますが、イギリスのほうでも資本家団体のほうから日本の自由化を要求する声が強くなってきておる。こういうような状況で、いまあなたが言われた程度で向こう側がはたして満足をするかどうか、もっと強い圧力が特にアメリカの自動車産業等からかかってくるのではないかと、そういうことが心配される。そして、また、日本側としてそれに対処していくだけの準備というものがあるのかないのか。甘く考えていて、いまあなたの言われた程度で済むんではないかということであるならば、私はこれは重大な問題が起こってくると思うのであります。資本の自由化については、EEC諸国がかなり多くの経験を持っております。特にフランスにおきましては、自動車産業、あるいは食料品産業その他において相当アメリカ資本によって侵食をされ、これはフランスの経済にかなり重大な影響を持つようになったので、米仏間のいろいろな関係の悪化の一つの原因にもなっておると聞いております。それらの点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 政府としてこの自由化の対策がきまりますと、OECDのほうへ通告をいたしまして、そしてその上でまた折衝があるわけでありまして、私たちのいまの考え方でいけば、大体了承を得るのじゃないかというように考えておりますが、しかし、お話しのとおり、そう甘く考えてもいかないと、こう考えております。しかし、問題は、やはり日本の産業の維持発展ということが基本でありますからして、そういう立場から、できるだけ日本の立場を了解するようにしたいと、こう考えております。
 それからなお、お話しのとおり、フランスや何かでそういう問題が起こりましたが、フランスもまたそれについてはいろいろと対策を講じておるようでありますが、私は、日本といたしましても、ヨーロッパの今日までの体験をわれわれもこれをかがみといたしまして、したがって、日本もヨーロッパと同じようにアメリカの資本のばっこと申しますか、そういうことをやらさないようにひとつ考えていきたいと、こう考えておる次第であります。
○岡田宗司君 OECDのほうに、こちらから、何というのですか、通告というのですか、あるいはこちらの案を提示する。そうして、OECDでそれを認められたという場合に、まあアメリカも
○ECDに入っている国であります。したがって、その場合には、アメリカからの圧力というものがなくなるのか。それとも、OECDが日本側の提案を認めて、日本側としてはそういうふうにやっていった場合に、アメリカ側はさらに圧力をかけてくる見込みであるのか。私は、どうも、OECDが日本側の提案を認めたとしても、アメリカ側は別に圧力をかけてくるというふうに考えておるのですけれども、その点はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(菅野和太郎君) アメリカ側はOECDの有力なメンバーでありますからして、したがって、OECDが了解さえすれば、アメリカももちろん了解したというふうに解釈してよいと思います。
○岡田宗司君 どうも、いまの御答弁では、少し甘過ぎるように思うのです。私は、やはり一番問題になるのは、ヨーロッパ等の資本の圧力ではなくて、アメリカの資本の圧力であると思います。その強さにおいても抜群であります。また、日本との関係から見ても、入ってきやすい資本であるし、また、入ってくるならば相当大きな力を持ち得るものです。そこいらを考えますというと、単にOECDが認めたからというだけでなくて、これは政府ももちろんですけれども、産業界においても、このアメリカ資本の支配というものに対しては相当な考えをもって対処しなければならぬ。それはひとつ政府のほうでも十分にお考えを持っていただきたい。
 時間がないのでこれをもって私の質問を終わります。
○鈴木強君 議事進行。いまの関連して……。これから予算委員会が続いていくのですが、われわれは経済問題を特に重点に宮澤企画庁長官に質問をしようとしているわけですね。ところが、先ほどのお話ですと、ケネディ・ラウンドの交渉に行かれるそうです。そこで、議事進行に関連してちょっと私はお尋ねしておきたいのですが、代理はだれがなさるのか、それからいつまで不在になるのか、実際にこの委員会に出席していただくのはいつなのか、それをひとつ官房長官から……。
 それからもう一つ、宮澤さんせっかく行われるわけですから、この際、非常に大事な任務を帯びて行かれるわけですが、少しくその心境を聞かしてください。
○委員長(新谷寅三郎君) 福永官房長官。
○国務大臣(福永健司君) 宮澤国務大臣に行っていただくようにきめたのでございますが、ただいま一応八日から十七日まで、こういうように予定をいたしております。
 ただし、向こうの会議の進捗状況等にかんがみまして、できるだけ間に合う限りにおいて国会のほうへ出席した後に伺うということで、場合によっては九日出発も考えておるわけでございます。従来の経過にかんがみまして、わりあいにあの会議がおくれがちで、そこでいま申し上げました十七日までに終わればいいがとこう念願いたしておるのでございますが、それから先のことはまだ十七日以後にも延びるであろうとまでは考えておりません次第であります。
 そこで、この不在中の代理につきましては、実はきょうはまだちょっと申し上げるの早過ぎるというタイミングでございまして、現実に出かけられるときにと思っておるのでございますが、従来の関連等もございまして、おおむね仕事上のつながり等のあるような閣僚にお願いすることに決定する所存でございますが、もしいまどうしてもということでございましたら、総理大臣と打ち合わせをいたしましていま申し上げてもいいのでございますが、まだ正式に実はきめておりません。月曜日にと思っておった次第でございますが、いずれにいたしましても、ただいまお話しのような点で支障のあることのないように措置いたしたいと考えておる次第でございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 宮澤経済企画庁長官。
○国務大臣(宮澤喜一君) 過日来、この問題につきましては当委員会でもいろいろ御論議がございまして、その御趣旨はよく承っております。かりに交渉に当たることになりますれば、その御趣旨は十分に体しまして交渉いたしたいと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして岡田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、鈴木一弘君の質疑に入ります。鈴木君。
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して若干質問いたしたいと思います。
 初めに、総理に、これは政治姿勢についてお伺いしたいと思いますが、総理は施政方針演説の中で、「道義に貫かれた議会民主主義体制の確立こそ、わが国繁栄の基礎」である、そのように言われて、さらに、「政治に携わる者が、全国民の代表者たるにふさわしい道義感のもとに行動することを期待する」と。いずれにしましても、先年来の黒い霧事件そのほかのことがありまして、それに対してかなり率直な反省が感じられるわけでありますが、この政治的、道義的に正々堂々となさろうとしていらっしゃるというのは、一体どのようになさろうとしていらっしゃるのか、その点から伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはこの前も御説明いたしたのでございますが、私は、国民のための政治を行なう、そういう意味で、ただいま国民からまず第一に要望されていること、至上命令とも言うべきもの、これは政治の浄化である、かように思います。したがいまして、そういう点に特に力を入れたい。そうして政策を忠実に、公約実行を忠実に、国民の福祉向上のために努力する決意でございます。
○鈴木一弘君 政治の浄化をなさるということでありますが、四月七日の日に、共和製糖事件については捜査終了ということになったわけです。これについてでありますが、国民の側から見ると、やはり多くの声は、大山鳴動してネズミ一匹じゃないか、あるいはしりすぼみのような感じがしてならない、どういうことが言われている。検事正の談話等を見ましても、刑事責任の範囲では終わったと思いますけれども、しかし、刑事的な責任はなくなったとしても、政治的あるいは道義的責任というものは当然これはあるわけであります。これはかなり明確にしていかなければ、国民の間における政治不信、そのほかについても、あるいは検察不信というような問題についての不信感というものは取り除くことができない。これはかなり明確にしなければならないと思います。
 そこで、これは法務大臣にちょっとその前にお伺いしておきたいのですが、法務大臣は、三月三十日のこの予算委員会におきまして、共和製糖事件のちょうど捜査の中途であったと思いますが、その国会答弁の中で、国会議員数十人をすでに取り調べているということをはっきり言われた。そうして、そのうち数人に疑惑があるということも述べられて、いずれこれを、善良なる議員の皆さんが御迷惑をなさることのないように徹底的に判断いたしました結果を究明してこれを公表したい、はっきり公表したいということを述べられているわけでありますが、起訴となるとかならないとかということを別といたしまして、起訴とならないけれども、調べられたところの議員の氏名あるいは関係者の氏名というものは、これは公表することが、現在のようなこのような大きな問題になり、国民からも疑惑の念をかなりかけられている問題だけに、その氏名を公表することが道義上私は必要だと思う。政治的にも私は必要だと思いますが、特に道義上必要だと思うのでありますが、どう考えられているか。公表なさらないということは、言いかえれば、国民が検察を信頼しなくなるというおそれがある。検察を信頼しなくなったときには法の秩序は保てない。そういうおそれが非常にあるわけです。それだけに、名前の公表というものをこれは国会答弁でもはっきりなさっているだけに明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(田中伊三次君) 捜査の結果を公表したいということを確かに申し上げたことでございます。そこで幾らか誤解があるのではないかと思いますが、捜査の結果、いま仰せのような金銭の授受の額及び氏名等を公表するというふうに申し上げた趣旨ではないのでございます。これは捜査の秘密に属しない限度において捜査の結果は公表するという意味を申し上げておるので、そういう趣旨におとりいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 そうすると、捜査の秘密上できないということは、いえば、これからの公判を進めていく場合、それから証拠を固める場合、そういうものに対して非常に証拠隠滅の心配がある。あるいは公判を正確に維持することは困難だからその氏名は公表できない、そういうことなんですか。
○国務大臣(田中伊三次君) もう一つおことば以外に意味がございます。それは、関係者の名誉を傷つけないようにするということ、これは法律の精神であり、明文がございますので、そういう二つの意味で……。
○鈴木一弘君 関係者の名誉云々ということが出てまいりましたのですが、ここで私は総理にお伺いしておきたいのですが、道義上、政治上の責任ということは、刑事的な責任あるいは捜査上の責任とは全然別のものです。そうすると、いやしくも疑惑をもたれた、疑惑をもたれたけれども、捜査の結果白であった、心配がない、刑事的な責任がない、こうこうこういう人を疑われたけれども白であったということは、公表しても差しつかえないだろう。また、それを言うことが政治的な責任であり、道義的な責任をはっきりしたということになると思うのでございます。その点いかがでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、この事件が進行中、特に総理といたしまして、検察当局の捜査に関与しない、これにタッチすることはいろいろな誤解を受ける、かように思いますし、正しい検察当局の捜査、それにゆだねるのが至当だと、かように実は考えて、この事態にどういう人が関係しているか、その他のことは私は全然知りません。しかし、ただいまの公表すべきではないかという抽象的な一般的なお話について、私お答えしてみたいと思いますが、政治道義の高揚、これはもちろん国民のそれぞれがきめることといたしましても、まずみずからの自己反省が最も必要ではないか、かように私は思います。ことに、ただいま法務大臣からお答えしておりますように、やはり名誉は尊重しなくちゃならない。あるいは、いいことならばこれは積極的に進めてもよろしゅうございますけれども、どうもあまり好ましくないこと、それはその人だけの問題にしておいたほうが、いわゆる名誉その他にも関係しなくていいのではないか、かように私は思います。したがいまして、ただいま公表、そういう事態には、どうも私は賛成しかねる、こういう考えでございます。
○鈴木一弘君 これは私のほうで公表しろといっても、なかなかされぬだろうということは想像しておりましたけれども、しかし、国民の側から見ると、その本人の名誉云々よりも、国の政治それ自体の姿勢ということが非常に問題だろうと思います。そういう点で道義上はっきりしてほしい、これは最後に要望だけしておきます。そうしておかないと、検察に対する信頼というものまでも最後に失われるというおそれが出てくる。
 次に、四十二年度のいわゆる公債、国債発行について伺っておきたいのですが、景気上昇の年とことしはいわれております。それで、総理御自身も、予想以上の経済の拡大であり、上昇基調は根強いものがあるということは、施政方針演説でも述べられている。そこで、本年度は租税及び印紙収入を見ましても、その自然増収が石炭特別会計の振りかえ分を含めても六千五百五十億ある、かように見込まれております。しかし、この政府の見込みは少なくないのか、最近の経済動向から見ても、これはあまりにも少なきに過ぎるのではないかというようなことがいわれておりますし、そこで、このような多くの自然増が見込まれているにかかわらず、どうして八千億円もの国債を発行しなければならなかったのか、その点についてまずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 先般この予算委員会でもお答えしたと存じますが、国の必要な財政需要を満たすために、税収だけによるか、あるいは国民の蓄積を公債の形で復興経済に移転して、そうして、それをもって財政需要に応ずるかということを考えて、一昨年から公債政策に踏み切ったことは御承知のとおりでございます。本年度は景気が非常にいい、相当に税収が望めるということははっきりしておりますが、しかし、税収見込みの限度を私どもは相当今度は思い切って見たつもりでございます。七千三百億円以上の自然増を見てございますが、これも従来の見方からみたら、相当、二〇・五%の税収増ということですから、多目に見ているつもりでございますが、それをもっていまの必要財政需要を支弁できるかと申しますというと、これはなかなかできない。立ちおくれた社会資本の充実とか、いま急務とされているものに対処するために、やはり公債政策はことしも続けなければならぬ。しかも、その額は、依存度は昨年より落とすという方針で、額をいろいろ検討を私どもはいたしまして、結局減税をしなくて済むという状態でございましたら、公債はもう少し減らすことは可能であったと思いますが、私どもは、いまの状態から見て、所得税はもう一歩大きい減税をする必要があるというふうに考えましたので、その分が若干公債にしわ寄せされたことは確かでございますが、そういう意味で今年度の公債が大体民間資金を圧迫しないで済むということと、経済の伸び方に見合った不均衡なものではないという結論から八千億円という額を決定いたしました。これも御承知だと思いますが、去年の十二月の見通しからいいまして、私どもは八千二百億円ぐらい、民間の市中消化は七千九百億円ぐらいが至当だという見通しで、一応予算編成の大ワクをきめてあったのでございますが、選挙後、情勢がまた少し変わってまいりまして、税の四十一年度の自然増収のあり方から見まして、私どもはさらに昨年の見通しの公債発行額を削減して、八千億にきめた、こういうようないきさつから見ましても、不当にこの発行額は多くきめたというふうに私どもは考えておりません。
○鈴木一弘君 いま七千三百億の自然増、そのうち減税をやりましたから六千五百五十億ぐらいしかないわけですね。それから見ても思うのですが、いま依存度は減らしてきているというお話であった。確かに四十一年度は景気がよくなったならば、そのときには国債を減らしたり、償還のことを考えるということをはっきりと政府側は答弁をなさっている。ところが、四十二年度は昨年当初に対して七百億を増額しているわけです。ところが、四十一年度の分を見ますと、七千三百億の国債発行のうち、六百五十億円を減額いたしているわけです。そうすると、六百五十億減額して七百億増加したということは、千三百五十億円四十一年度に比べて増額しているわけです。そうなると、依存度も変わってくるのじゃないか、それよりもだから詰めなければならぬ、こういうことになりませんか、現在の八千億より減らさなければならないということになりませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) 当初予算同士の比較をいたしますと、御承知のように、昨年は公債依存度が一七%、本年度は一六%ということでございまして、依存度は減っておりますが、四十一年度の実績が、いま申しましたように、国債が六百五十億円少なくて済むという事態になりましたので、この公債の依存度は実績から見ますと一五・四%ということになっておりますので、それから見ますというと、本年度の一六%が依存度が高いという事実は出てきたことは事実でございます。したがって、今後の運営において、私どもはできるだけこの依存度を下げるという方針で運営していままできたんですから、四十一年度もああいうふうな運営をやった以上、これは四十二年度においても同様な経済運営をやって税収が非常に伸びてきたという事態になりましたら、優先的に公債の発行額を減らすというようなことにしたいと思っております。
○鈴木一弘君 税収が伸びてきたらば、依存度を減らしてくる、四十二年度の実績を減らすということですけれども、伸びてこないときには依存度は減らさないということですね、そうなりますと。
○国務大臣(水田三喜男君) すでに予算の御審議を願っておるときでございますので、税収がこれは伸びないという事態になりましたら、この政府の必要施策をする経費というものはそう削減できませんので、やはり予定どおりの公債を出さなきゃならぬということになろうと思いますが、いまの状態では、経済が非常によくなってまいりましたので、若干公債を減らせるような運営が先に行ってできるんじゃないかというふうに私は考えております。
○鈴木一弘君 政府が、私は見ていて思うのは、結局、当初で千三百五十億円昨年の実績に比べて国債が増加したということは、これは健全的均衡財政というものに回復していこうという努力を全く放棄した、今後は国債を抱いた財政、それを理想としているんではないか、このように思うわけです。で、なぜ健全的均衡財政に向かって努力をなさろうとしなかったのか、もし真剣に健全均衡財政に臨もうとするならば、当然編成時のとき、先ほどお話がありましたけれども、総選挙後の税の状況から見ていて、これは減らさなきゃならぬということで八千億に切ったということでありますが、当然さらにこれができたんではないかと考えられるわけです。本来ならば、本年度はすでに三千億とか四千億とかあるいは五千億とかというように昨年度の規模よりも絶対値において減らしてきたと、そういうことならば、健全均衡財政に回復する努力だというふうに思われるのですけれども、ただいまの御答弁からだけ見ると、どう見てもそのような努力が考えられない。これは国債を抱いたままの財政というものを今後永久に続けたいということなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 最初の税収の自然増の見通しは、御承知のように、七千百億でございましたが、情勢を見て、税収の見込みを二百億円上げて国債のほうを切ったというふうに、私どもはもう今度の予算編成におきましてはその点を十分頭に入れて編成したものでございまして、国債についてそう漫然たる運営をするつもりでは最初からございませんで、そのことはさっき申しましたように、国債発行額を政府自身として変えたということでも政府の態度ははっきりしているだろうと思います。
○鈴木一弘君 それでは四十六年度は一体どのくらいお考えになる予定ですか。経済社会発展計画そのほか計画があることでもありますから当然のことでもありますけれども、われわれとしてみれば、ずるずる何となく国債が自然にふえてしまっていくということになれば、非常な心配を持つわけです。そうすると、四十六年には一体どのくらいになるというふうにお考えになりますか、四十六年度。
○国務大臣(水田三喜男君) これはむずかしい問題でございまして、何年先というものの公債の発行額というものは私ども予定できません。経済計画の中でも公債発行についての考え方は示しておりましても、この発行額について触れていないということも、事実上これは見通せない問題であるからでございます。で、経済の伸び方、それによる税収の上がり方、また政府が政策的にどれだけの減税をするか、あるいは必要施策を政府はどういうふうに比重を考えていくかというものと、全部はらむ問題でございますので、これをあらかじめ金額的に予定するということはできないことでございますので、昭和四十六年度の公債発行額というようなものも、これは私ども予定しておりません。
○鈴木一弘君 それでは一体、今後の国債発行のルールをどういうふうになさろうとなさるんですか。依存度を年々減らしていくのか、絶対金額というものを減らしていくのか、その辺のところはどうなんでしょう。
○国務大臣(水田三喜男君) これは、依存度を減らしていくということはもうはっきりした方針でございますが、絶対額を減らせるかどうかということも、またこれは経済情勢のあり方によってきめるべきもの。私どもはいま何のために公債を出すかと申しますと、おくれた社会資本をここで急速に整備して経済の全体的な均衡をはかろうという目的でやっているものでございまして、これは建設公債――公共事業に限るということになっておりますので、この公債によってつくられる資産というものは、国民経済に長きにわたって役立つ、こういう性質のものでございますので、これを公債ということでやっても、国民全体の経済と均衡がとれている限りは、そう公債発行は心配する必要はないということでございますので、その経済情勢によって、依存率はむろん減らしますが、絶対額を減らせるときもありましょうし減らせないときもありましょうし、この運営はひとえに今後の経済情勢の変化によるものだろうと考えております。
○鈴木一弘君 これは非常に重要な問題だと思うのですが、いままでずっと、戦後ほとんどが均衡財政あるいは超均衡財政というようなかっこうをとってきたわけです。それが四十年度の終わりから国債というものが導入されてきて、ここで赤字財政に変化したわけであります。それをいつかは回復しなければならぬときがあるだろうと思う。ただいたずらに、依存度を減らしていきます、しかし景気の動向、経済の動向でどうなるかわからない。そういうルールだけでは、これから先、やむを得ない場合には、いままで減らしてきたけれども、依存度を急激に三〇%に引き上げなければならなくなった、こういうことも考えられるわけです。これは総理、非常に大きな問題だと思うのですが、将来の財政圧迫ということも考えますと、これは国債発行についてのルール、国債に依存をする財政のルールというものをはっきりといまのうちにおきめになっておかなければならない。それはどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) そういう御心配をなくするために、公債発行と同時に、今度御承知のように減債制度を政府はつくることにいたしました。この減債制度をつくって一般会計から定率の繰り入れをするということによって公債発行はおのずから節度を持ってくるということになろうかと思います。特にこれを多く発行するというようなことでございましたら、これは財政を非常に拘束するということで、その場合には政府は発行をおのずからやめなければ一般会計が運営し切れぬというようなことにもなりますので、この減債制度を置くということによってめちゃな公債の発行はできないということがまず一つでございます。それから、まあ日本の終戦後のあの混乱したインフレを終息させたのは、何といってもいわゆるドッジ・ラインの政策によって可能になったんだと考えております。ドッジ政策の特徴は、借金をしない、その年の経費はその年の税収でやるんだと、こういうはっきりした線でございますが、これによって今日まで私どもはやってきて日本の経済をここまで持ってきましたが、しかし、これは相当きつい超均衡政策であって、これをやっていたために、やはり反面日本の公共事業がおくれてきたということはいなめないところだろうと思います。今後何十年も国力を発揮するという資産をつくるためには、その年の金で、税収でやるということはやはり無理であって、長きにわたって一般会計が返せる金を国民の蓄積の中から借りてやるという主義を、政策をそろそろ取り入れてもいいころというときに昭和四十年度の不況にぶつかって、不況回復という策からも、あわせてこの公債政策が踏み切られたといういきさつから考えますというと、この資本のおくれを取り戻す期間ある程度公債は私は続けていいのじゃないか。そして、たとえば外国のように、もう公共事業費の一般会計に占める率が四%、五%と非常に軽くなってきたときには、もう公債の発行はどんどん切っていける時期が来ますし、しばらく公債政策を続けるうちに私は事実上公債を大きく切っていくことが可能であるというふうに考えておりますので、そう御心配はないだろうと思います。
○鈴木一弘君 先日のここでの大蔵大臣の答弁は、公債発行を恒久化するとは考えないということを言われたわけです。はっきりそう申された。ところが、いまのお話を聞いていると、当分の間続ける。しかも、その当分の間を見てまいりますと、四十一年度から四十二年度までの増加発行の比率は絶対数で約一割と、こう押えられるわけです、四十一年、四十二年の間を見ますと。それを今後四十六年まで毎年一割ずつ増加をしていったと見ると、五兆六千億円というような累積の数字になってくる。これは建設公債に限ってもそうなる。四十年度来の国債の合計の累積額が六千八百億現在ある。これは赤字国債の千九百七十億を含んでなっているわけです。そうすると、これは二年後の四十二年には八千億になってまいりますし、さらに六カ年後の四十六年には国債の累積額が実に八倍以上になるというふうに思われます、四十六年。これは非常に容易ならざるもの、現在の国債発行額の八倍以上になってくる。そういうようになってくるということになってもこれは問題ないと思うわけですか。そういうような恒久的なふうに考えているか。当分というのはいつまでなんでしょう。ただ、現在のように二〇%をこえている公共投資の率が四%程度に減るまでということですか。一体それはいつごろをめどにやっていらっしゃいますか。それがはっきりしないと国債の前途、わが国の財政の前途というものは歩きようがないのじゃないかと思うのです。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は企画庁でされたあの計画の中に見込まれている公共投資というあれだけの金額が投資されるというあとは、相当日本の一般会計に対する公共事業費の比率が私は変わってくるのじゃないかというふうに考えます。したがって、やはり国債を発行しだした以上は、相当額の、国家が出す期間はやはりあと四、五年、五、六年というものは続くと思いますが、それ以後は公債の依存度というものは相当少なくなるというふうに私は見通しております。
○鈴木一弘君 私の申し上げているのは、いま一つは、単年度の国債発行額が一兆円近くになるときが来る。それをこえて、しかも累積額が五兆円、六兆円ということになってくると、そういう事態になっても財政上は何も問題がないんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 依存度を下げるということは、厳密にやっておる限りは、そう私は問題が出てこないんじゃないかと思います。一兆円もし国債を発行しなければならぬというような時期には、そのときの予算規模というものは相当大きいものになってくるでしょうし、それだけ国の経済の実態というものは伸びてきているときでございますので、それとの見合いにおきましたら、私はそう心配はない。しかも、減債制度を持っておるということでございますから、問題は依存度を下げるということだけ守ること、それから、やはり公共事業に限る、建設公債に限るということと、市中消化と、これをもう鉄則にしてやる限りは、私は心配はないんじゃないかと思っております。
○鈴木一弘君 そのほかに利払いの問題、及び国債の償還基金への組み入れの問題が出てくるわけです。四十六年度の、私のほうで先ほどの率で計算していくと、利払いだけでも四十六年度には三千六百四十九億円、それから、いわゆる償還基金への組み入れ額が百分の一・六になっています。それから見ると、それが八百九十八億、合わせると四千五百億、四千六百億というようになってくる。こうなると、これはもう小回りのきかないという財政になってこないのか。その点が非常な心配なわけです。当然、いまここで国債を論議しているわけでありますが、国債を抱いた財政を政府のほうでやるからには、またその運営をはかっていくからには、将来についてまでの検討というものが全部なされなければならない。いまのところだけでしのげばいいというものじゃないだろう。今後、五年後あるいは三年後どうなるであろうかということ、そこでその国債費といわれるいわゆる利払い、あるいは償還財源の問題でありますけれども、この合計額というのは一体どの程度までが許されるのか、一般会計の中に占める割合というものはどの程度まで許容されるのか、一体限界というものはどうお考えなのか、この程度に押えなければ困る、この程度にしなければ財政を圧迫すると、いろいろあるだろうと思いますが、そのお考えは政府にはおありなんでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところその基準ははっきり持っておりませんが、さっき申しましたように、一般会計から減債基金に繰り入れるということは、予算の先取りをもうするということでございますので、先取りをされることによって財政運営が非常に拘束されて困るという事態になるといたしますというと、これはもう公債を発行できない。それ以上発行してはならぬというときでございますので、この経済と、国家財政との見合いにおいて公債はおのずからそこで発行を拘束されるという作用を減債制度自身が持ってくることになりますので、この制度を置くことによって、そういう意味の懸念は相当なくなってくるのじゃないかと思います。
○鈴木一弘君 そういうブレーキの面もあるかもしれませんけれども、逆に、今度は国債費が非常に膨大になってきた、一般会計の一割にもなる、そういう日も遠くないんです、このままで行きますと。伸び率の最高なんですから。各支出の中では、四十二年度で最高の支出を国債費で出している。それだけの比率を出しております。そういう最大の伸びを示しているのですから、いまの答弁のとおりならばいいんですけれども、拘束されるのじゃなくて、逆に国債を抱いたために、その財政を維持するための国債というものを発行しなければならぬことにはならないのですか。そのおそれは絶対にありませんか。また、そういう国債は心配はありませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) その心配があるようならこれはたいへんでございますが、そういう心配はございません。
○鈴木一弘君 これは総理にお伺いしたいのですが、国債を抱いた財政を維持するための国債発行というものは将来絶対行なわないということは、ここでお約束できるでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま大蔵大臣のお答えしたとおりでございます。
○鈴木一弘君 大蔵大臣の答弁は、そういうことはないということだったのです。やる、やらないじゃなくて、そういう事態にはならないだろうということだったのです。だろうでありますから、実際問題が、そういうことが実際に行なわれるか行なわれないかまだわからないわけです。絶対に行なわないということじゃないです。国債のために国民は非常な苦しみを受けなきゃならぬし、インフレを招かなきゃならぬ。その点について、絶対行なわないという約束をしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、先ほど鈴木君と水田君の質疑を聞いておりまして、公債発行は何か不健全財政、こういうような立場で鈴木君はお尋ねになっているんじゃないか。超均衡予算とは私は申しません。しかしながら、この公債を発行した場合に不健全だということになる場合と、健全性を保ち得る場合と、これはもうはっきりあるのであります。今日公債を発行する場合に、これがただいまのように総予算に対する依存度の問題もありますが、これは同時に時の経済情勢に対応して適正な規模である、それでまたただいま発行しておりますように建設公債に限る、市中消化のできる範囲、こういうことで、ただいまのように社会資本のおくれておる、そういうものをひとつ急速に整備していこう、こういう立場で組んでおります予算は、これは私は不健全というわけじゃない。また、政府自身も、その健全性を確保することについて絶えず注意しておるわけであります。先ほど来お尋ねにもありましたが、税収がふえればこの公債は減らすのか、こういうようなお話まで出ております。やはり政府が流動的に対処する、こういうことで、健全性を維持する、こういうことに主眼を置くといいますか、十分注意するつもりでございます。したがいまして、公債を発行する――一部で、非常なあぶない、またかもし出しやすい弊害の点を大きく取り上げまして、これが不健全だと、かようにきめてかかると、これは私どものいま扱っている財政の基本的構想と相いれないものであります。したがいまして、私ども、ただいまのように、御指摘になりますように、健全性を維持し、そして公債を発行した結果おちいりやすい安易な予算を組むというようなことを避けて、ただいまその将来の償還なり、また非常な財政上の負担になる、こういうようなことについて十分気をつけてまいりますから、ただいま大蔵大臣が答えたように、さような心配はないのだ、かように申しておるわけであります。私は今日、この健全性を維持する、このことを皆さま方にお約束し、同時にまた、社会資本の立ちおくれ、これを財政の面で整備していく、そうして経済成長に対応する社会開発を行なうように、財政的にもそういうことをすべきだ、かように確信いたしておりますので、ただいまのような点、いろいろ起こる弊害、またその心配というものについて政府が十分注意するということを申し上げてお答えといたしたいと思います。
○鈴木一弘君 ただいまの答弁で、心配の点は慎重に注意をするというお話だったのですが、そこでひとつこれは大蔵大臣に伺いたいのですが、いま申し上げたように、国債費がこれからの財政運営の私は圧迫要因になるというふうに心配するわけですが、その国債償還の費用が、前年度初めの国債総額の百分の一・六というものを定率繰り入れをするというようになっています。その百分の一・六ということで計算すると、国債の償還がまあ最長六十二年ちょっとということになるわけです、これ計算しますと。ところが、国債は七年国債ということになっておるわけです。一方では七年国債ということになっておりながら、他方で百分の一・六の六十二年という定率繰り入れということになりますと、これは事実は半永久的な国債というようなことに扱っているのじゃないか。ほんとうに七年で償還しようとなさるならば、この繰り入れ率というものを引き上げる必要があるのではないか。たとえば建設国債でつくられておる道路、この場合も、その耐用年数も六十年あるいは六十二年ということになるのか。まさかそう長くは持てない者もあるでしょう。そうなりますと、こういう定率償還のやり方では、国債それ自体の信用というものも落とすということにならないか。そこで、その六十年という気の遠くなるような償還方式、これを再検討する必要はないかどうか。そのほかに一般会計上云々、決算上の剰余金の二分の一云々という繰り入れをやることになっておりますけれども、純粋に百分の一・六のところだけを見るといまのような心配が出てくる。その点についてのお考えはどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 国債の償還の年限というものと――減債制度において、公債全般の管理に見合い資産の耐用年数をどう見ていくか、その期間に全部積み立てをして減債できるような措置を講ずるというこの年限と、これは全く別なものだと私は考えております。で、公債見合いの資産の耐用年数ですが、大体各国の制度を見ましても、一応鉄筋コンクリートとか、そのほかの公共事業の施設というものは、耐用年数五十年ぐらいに見るのがこれは普通でございます。で、日本の場合は、この国債によって調達した資金でこれを出資金にする、貸し付け金にするというものと土地のような不動産にするというものが二割ぐらいを占めておりますので、これはもう恒久財産であって永久に効果を発揮する、こういう財産が少なくとも二割は入っておりますので、そこらをならして六十年はこの公債によってできた資産は国民経済に利益をもたらしているというふうに見ていいのじゃないかというところから、私どもは六十年をめどにして、したがって積み立て率を一・六ということにしたのでございます。過去の日本において減債制度をとっておったときは、これは御承知のように、一万分の百十六というので、大体八十六年という計算で過去の積み立てを行なっておりましたが、私どもは今度の減債制度では六十年というふうに見てこの積み立てをするということにいたしました。で、現に公債によってできた資産が生きておる、りっぱに働いておるというのが六十年もある間に、一方公債の発行のほうの償還期限というものは、これはそのときどきの市場の情勢によって変化する――七年ものでなければ消化できないとか、十年の公債を出しても消化するとか、いろんなそのときの経済事情によって、金融事情によって期限がきめられるものでございますから、それを七年間で全部積み立てでなさなければならぬという理由はございませんで、これは借りかえをやって得た資金で返済してもちっとも差しつかえないものでございます。したがって、これを何回か繰り返しているうちに、税収の増、そうして減債基金の中に繰り入れられる金がふえますし、それからこの一応期限がきたときに国が全部返済できるということは支障のないように回っていくものでございますので、六十年ということで私どもは少しも差しつかえないのじゃないか。アメリカあたりでは百年ぐらいの期限を見ておるようでございますが、六十年なら堅実な期限じゃないかと考えております。
○鈴木一弘君 公債償還期限については、いま七年を十年にするか、十五年にするか、そのときの事情によると言うのですが、外国の例を見ると、五十年とか三十年とかで、七年というような短いものはないわけです。いま大蔵大臣はアメリカのいわゆる百年の期限のことを言われておりましたけれども、実際はおよそ五十年ものというようなものがあるわけですね。そういうところから見ると、私が非常に心配なのは、いま実際には、これは七年という期限を延ばすか、そうでなければ片方をさらに六十年というふうに詰めてくる必要があるんじゃないかというふうに考えるわけです。それから、さらに再び借りかえるということを言われました。そうしますと、これは新たにそこで再び公債を借りかえのために発行するということですね。それでよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 借りかえをすれば、一方に新しい債務を生むことになりますが、古い債務はそういうことによって償還されるのですから、決済されるということで、公債の残高には変わりないということになります。
○鈴木一弘君 そこで、これは総理に伺いたいんですが、私がいままでの質疑応答から感じることは、何となく安易に建設国債という政策が幅をきかしてきていると、そういう感じを受けてしかたがないのです。国債費に対しても、これを何%程度に一般会計の中に押えるべきかということも、そういうルールもありませんし、これから国債をどういうように減らしていこうかというようなルールもないと、そういうことになりますと、めくらめっぽうで進んでいるような感じを受けるわけです。そういう安易な膨張――非常に高い国債に対する依存度、あるいは残高の累増、あるいは国債費の増加、いずれにしても容易ならないものだと思うんです。まず四十二年度が現在出されておりますから、四十三年度の予算の編成のときには、この点を非常に慎重に検討して、将来の不安というもののないようにしていく、あるいはルールをきちっと立てる、こういうことが必要だろうと思うのです。その点についての総理のお考えを伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは鈴木君と十分懇談する要があるように思いますが、公債発行は、御指摘のように、借金であると、これは間違いございません。たとえば、戦後ドッジラインを死守した、守ったと、こういう際にも、一部に公債発行論が出ておった記憶を思い起こすのでございます。こういう際は、まず経済というものを、力がないんだから、それを力を持つようにする、そのために借金をすることが非常な心配がある、だからまずみずからの力をひとつ養え、こういうことが非常に強かったと思うのであります。それから、私自身、当時党の幹事長をしておりましたから、ドッジさんに直接会って、一切こういう借金を禁止されるとたいへんだ、むしろ経済が破壊する、これはたいへんだということで、いろいろ借金政策も進言し、それを交渉の一つといたしました。しかし、当時はどうしてもそれを納得してくれない。借金能力ないんだと、こういうことで。これをお互いの私企業の場合に当てはめてみましても、まず自己資本で経営をする、これはたいへん堅実な行き方だ。しかしながら、いつまでも自己資本にだけ限ると――力がついた場合に、そういうような自己資本だけに限るというと、非常に窮屈な思いをする、発展することも差し控えなきゃならぬ、こういうことになるのであって、私は必ずしも借金――本来は借金というものをみずからやるべきじゃない、また安易な借金をしちゃいかぬということを申しますが、国家財政におきましても、私企業におきましても、借金し得る能力を持つ、こういうような事態にあるかどうかということが一つの問題だと思います。これをただいま、今日の政府、国力、このものを考えてみますると、戦後の非常な努力が報いられて、まず日本の国力が充実してきた、経済界も立ち直ってきた、そこらに一つの借金能力ができた、かように実は私は思うのであります。したがいまして、本来借金などはよくないのだと、それを全部毛ぎらいをしてしまって、一切それをやらない、そうしてみずからの歳入――税負担で全部まかなう、これはやや現状においては窮屈なんじゃないか、かように私は思うのであります。しかし、先ほど来いろいろ御指摘になりましたように、公債を発行いたしますと、何といいましても安易に公債を発行することになりがちです。また同時に、公債発行が持ついろいろな弊害というものも十分考えなきゃならないのでございます。したがいまして先ほど来のような議論が展開されたと、私かように考えておりますので、来年度予算編成にあたりましては、これらの点も十分念頭に置きまして、そうして適正な予算を編成するということに注意したい、かように思います。
○鈴木一弘君 それから、税について伺いたいのですが、夫婦子供三人の給与所得者、これがいわゆる標準世帯と、こう言われておりますが、その課税最低限が今回七十四万円に引き上がったわけです。で、私が伺いたいのは、なぜ標準世帯というのは夫婦子供三人という五人世帯にしているのかということです。
○国務大臣(水田三喜男君) 所得税の課税最低限を公表するときに、例示的に夫婦と子供三人の五人世帯というふうになっておりますが、これは総理府の統計局でやっております家計調査報告、それから国勢調査、この二つから見ますというと、当時大体五人が平均世帯の人員であった。四・九八人とかいうふうに五人がちょっと切れるのですが、大体五人ということから、これを例示的に示す場合に五人家族を標準世帯としていままで発表しておったということでございますが、最近の統計を見ますと、平均世帯人員が大体四人に近くなっているということでございますから、標準世帯を四人として例示するということも差しつかえございませんが、従来から五人世帯を標準世帯として例示しておりますので、税の負担が重くなったか軽くなったかというようなものを皆さんが比較されたりする場合にも、この基準を狂わせることがかえって不便じゃないか、ぐあいが悪いのじゃないかということで、まだ依然としてそうやっておりますが、最近の実情から見ましたら、平均世帯人員が四人に近いということでしたら、今後これを標準世帯として採用していいんじゃないかというふうにも考えておりますが、これは私どものほうでは、いろいろこれから御意見を聞いて、そうしてきめようということで、まだ今回は五人世帯を標準世帯としておりますが、これはほんとうは四人にするほうが実情に合うことじゃないかと私自身も考えております。
○鈴木一弘君 これは厚生省のほうでは、生活保護の水準が上がったか下がったかというその基準、そういうものについては東京都の一級地の標準世帯というのを使っておるわけです。ところが、その東京都の一級地の標準世帯というのは四人世帯である。片方の厚生省では四人世帯を使っている。それで、四十二年度には一三・五%引き上げたというふうに厚生省ではいっておられる、生活保護人員を。そう片一方ではいっておる。大蔵省のほうでは五人世帯をもって標準世帯である。そういう減税のよりどころ、一つの基準というふうにいっておるわけですが、いまの大蔵大臣の答弁のように、現実には、現在は四十年の国勢調査でも四人ちょっといっている。このままでいくというと、四十五年あたりには三・何人ということになってくる。そこで世帯規模が毎年のように小さくなってきているということを認めれば、いま大臣がそうしていいんじゃないかというふうに考えられているようでありますが、実際に厚生省のほうでは四人でやっているのであれば、その実情に合わせて四人にして、政府の統一見解というものをつくったらいいじゃないか、そういう標準世帯についての統一というものをぜひなされてほしいと思うのです。総理はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま厚生省と大蔵省で違うということ、理解しかねるというお話ですし、また将来だんだん家族構成も変わってくるだろう、こういうことですが、私は、そういまの状態をどこまでもがんばらなければならぬとは思いません。ただいまも大蔵大臣のお答えしておるように、変えてもいいんだと、かように申しておりますから、これをどこまでもがんばり通すのだと、こういうようなものでは私はないと思います。実情に即してきめたらいい。また、役所の間でそれぞれが違っていてもおかしいから、なるべく統一したほうがいい、かように思います。
○鈴木一弘君 大蔵省が毎年予算審議の資料として私どもに出している「租税及び印紙収入予算の説明」、そういうものの中から、平均扶養人員というものを見ると、四十二年度は、源泉所得税は、現行の〇・八一から〇・八〇人である。あるいは申告所得についても、一・七二の現行を一・七〇にしたと、そういうようになっているわけです。その意味はどういう意味なんですか。これは扶養親族は少ないというように考えておられるのでしょうか。
○政府委員(塩崎潤君) お答え申し上げます。
 いま先生のおっしゃいましたように、源泉所得者の平均扶養人員は〇・八人、営業者の扶養人員は一・八人、こんなような状況でございます。これに基礎控除を加えますと、源泉所得者では一・八人、二人世帯ということになります。営業者ならば、一人加えますと約三人、これは現実の世帯と申しますよりは、課税単位が現在所得の稼得単位になっておりますので、生活単位とは違った課税になっております。たとえば扶養人員の中でも所得が五万円をこしますと、独立の納税者のほうになります。こんなような関係で納税者のうらの扶養人員は非常に少なくなっている、こういう点が一つございますし、源泉所得者は御案内のように、非常に独身者の納税者が多いために、平均するとこのようなことでございます。
○鈴木一弘君 ですから、税の見積り方式として使われているのは、いまのような源泉所得については一・八人ということで、家族構成でいえば二人を切っているわけです。申告所得についても、とにかく三人を切っているわけです。一・八人、営業で一・八人ということ、本人を入れて二・八人ということですから、三人を切っている。こういうように見ると、税の見積もりのときには、そういう数字で勘案しておられて、減税として公表されるときには、標準四人というようになるというのは、そうすると、所得税の場合に片一方は二人を切っているというのに、標準五人世帯というふうになってくると、これはどういうことなんですか。そういうところに非常に私は何だかごまかされているような感じを受けるのじゃないかと思うのですが。
○政府委員(塩崎潤君) お答え申し上げます。
 現実の平均世帯人員というのは、先ほど大蔵大臣が御答弁申し上げましたように、国勢調査の結果、平均的には四・〇八人、家計調査は四・一人でございます。しかしながら、現在二千万人の納税者を、所得税方式に計算いたしますれば、いま申し上げました〇・八人と一・八人、こんなような結果になるわけでございます。
○鈴木一弘君 大蔵大臣にこまかいことを伺ってもしようがありませんので、大きく伺いたいのですが、前に、昭和四十五年ですか、もっと前に標準世帯で百万円までの減税をやると申されたのです。それは政府としても発表になっている。それでは、その百万円の減税というのは、標準四人世帯でやるというように、ここであらためて理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 標準五人世帯で百万円の所得を課税最低限にするということでございまして、四人世帯、これを標準世帯として何万円まで税をかけないかということになると、計算が今度はまた変わってまいります。
○鈴木一弘君 そりゃ変わるのはわかっております。変わるのはわかっておりますが、実情に合っていないわけです。実情は、いま答弁がありました四・〇八人をもって標準世帯にしているわけですから、現実に合わないということは、標準五人世帯で百万円ということは、一人あげ底分ができているわけです。一人は抜いてあるわけです。一人抜いたものをもっているということは、標準世帯といわれれば、国民のほうは、自分のうちはと、だれでも思うわけです。四人家族でも、わが家は百万円の減税になると思うわけです。それを、実際にはあげ底であったということになると、実情とあまりにも合わない。ですから、そこのところで標準世帯の再検討をするということと、いま一つには、何と言っても百万円の減税というのも、標準世帯四人でもってすると、そういうように計算のし直し、やり直しを、ここではっきりすべきだと思うのですが、その点いかがでしょう。総理はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも私はしろうとでよくわかりませんが、しかし、ただいま言われるように、だんだん実情が変化しておりますから、これはもう一度よく大蔵当局と、計算してみるように、そうして、五人世帯ということに必ずしもがんばらない、四人が実情になったのならば、四人世帯で計算してみるのも必要ではないかと、かように思います。
○鈴木一弘君 次に、同じ税についてでありますけれども、個人、法人の、政治家個人に対する政治献金の課税、この問題についてもう一度伺いたいのですが、たとえば国税庁から、この「所得の種類と計算について」、あるいは国会議員全部に、参議院、衆議院の会計課から、それについての国税庁に対して回答を求めたのがきております。それによりますと、「国会議員等が政治活動のために個人、法人等から受ける政治資金も、原則として、雑所得にかかる収入金額」になる。そうありますけれども、「原則として、」というのはどういうものでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) この問題は、またあとから私の意見は述べますが、一応国税庁からお答え申し上げます。
○政府委員(泉美之松君) お答えいたします。
 政治家の方が歳費以外にいろいろな所得を得ておられます。これは、現在は鈴木委員御承知のとおり所得税は、所得の種類を十種類に区分いたしております。そのうら定型的な配当所得とか利子所得であるとか、あるいは事業所得、給与所得、譲渡所得といったものは比較的わかりやすいのでございますが、それ以外の雑所得というもの、結局そのほかのものをすべて雑所得と、こういたしておるものですから、はなはだわかりにくいという点になるのでございますが、私ども、四十一年分の所得につきまして申告書を提出していただくにつきまして、いろいろ検討をいたしました結果、従来とかく政治家の方が、個人、法人から政治献金を受けられる場合、法人から受けたものは、これは一時の所得だ、あるいは個人から受けたものは、これは贈与だといったような観念が強く支配しておられたと思うのであります。しかし、よく考えてみますと、個人、法人から献金される中には、純粋な意味で一時の所得あるいは贈与と見るべきものもございましょうけれども、しかし、そういった献金に伴って、人的役務の提供を要する場合も相当あるだろう。そういたしますと、そうした人的役務の提供を伴う場合には、これは雑所得である、このように考えまして、従来の考え方を明確にする意味で原則としては雑所得になります、しかし、一時所得あるいは純粋の贈与というべき性質のものもあることはあります、こういう意味で申し上げたのであります。
○鈴木一弘君 どうも最後のほうのことばがよくわからなかったのですけれども、ことごとく個人、法人から受ける政治資金は雑所得に入れるのですか入れないのですか。
○政府委員(泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、個人または法人から政治家の方がお受けになるものは、大部分の場合が雑所得であります。しかし、中には純粋の意味の番付あるいは純粋の意味の贈与といったものがありますので、その分につきましては、法人から得ましたものは一時所得、個人から得ましたものは贈与、こういうふうに考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、ことごとく雑所得なり一時所得なり贈与所得の中に全部入るということですね。そうなりますと、そこで、今度は雑所得となれば、これを必要経費としてある程度経費というものを控除することになっております。その必要経費の中に政治活動のために使用した費用、たとえば、もっぱら政治活動のために使用する事務所の減価償却費、秘書の給料、政見発表のための会場費などは必要経費になるけれども、住宅の取得や借り入れのための支出、家事的な費用の支出、その他私的な支出は必要経費にならない、こうあるわけです。まあ言いかえれば、これは公的な政治活動に支出した場合には課税されないけれども、いわゆる必要経費として考えられるけれども、私的資産が形成されたり、私的な消費に向けられた場合には課税されるということは、それははっきりと大蔵大臣つかんでおられますか、全部の議員について。
○政府委員(泉美之松君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたので、若干漏れていたと申しますか、鈴木委員は、政治家の方が、個人または法人から得られたものは、雑所得なり一時所得なりあるいは贈与ということになってしまうというようなお話でございましたが、ただ、現在の所得税法及び相続税法に非課税規定がございます。これは所得税法のほうにおきましては、法人から公職の候補者が選挙運動に関して取得して、公職選挙法の規定によって届け出たものは非課税にする、同じく贈与税におきまして、個人から公職の候補者が受けた選挙運動に関して取得したもので、同じく公職選挙法で届け出たものは贈与税を非課税にする、こういう規定になっております。その非課税規定に該当するものは、収入になりましても、これは所得にはならないということでございます。
 それからいまお尋ねの、非常に抽象的に申し上げますれば、お話のように、公の政治活動に伴って支出いたしましたものは必要経費になるが、しかし、私的財産の形成に充てられたもの、あるいは私的の消費に充てられたものは必要経費になりません。したがって、収入のうちから、そういう私的財産の形成なり私的消費に充てられたものに対しましては、所得税を課税するということになるわけでございます。これにつきましては、四十一年分の所得税の申告につきまして、そういうふうに申告をお出しいただくようにお願いしたわけでございまして、そういうふうに申告をしていただいたものと思っております。しかし、それがどの程度把握されておるかということになりますと、私どもなお今後調査してみなければならない面があろうかと存じております。
○鈴木一弘君 これは疑惑があれば、国税庁長官、査察も行ないますか。
○政府委員(泉美之松君) 御承知のように、査察の運営につきましては、その脱税額が相当多額であり、かつ脱税の内容が悪質であるというものに限っております。したがいまして、そういうものに該当する場合には、査察対象になることがありましょうけれども、おそらく政治家の場合に、そのようなものに該当するものはないと思っております。
○鈴木一弘君 大蔵大臣に伺いますけれども、結局私が申し上げたいのは、たびたびここで国会対策費等が問題になったことがあります。そういう国会対策費が出される、確かに政治資金規正法に基づいて出された収支報告書は、党の幹事長そのほかの方々が受け取っておられるから、これは問題にならない。それから先にいった場合にそれが個人に渡ったということになる。その場合の課税についての問題があるのでありますけれども、これを正確に今後は――四十一年度については出たと思うと議員の常識を信用されておる。先ほども総理は政治家個人が自粛をして厳正にやってもらう以外にないと言われた。厳正にやっていくのに、ただの一片の通知だけでいいのかどうか、これをはっきりとやったかどうかということを見ていく必要があるんじゃないか、その辺の決意またはそれに対してどうなさる気か、その点をお伺いしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) いま国税庁長官が言われたのがこの問題に対する原則だと考えますが、いま国会議員はそういう雑所得が皆さまほとんど大体ない状態だと私は思っております。したがって、その申告があまり出ておりませんので、必要経費の問題もいろいろ問題になっていないというのが過去の実情だと思います。ところが、今度公職選挙法と関連して政治資金の規制の問題が出てきますと、政党が献金を受けるかわりに個人も受ける、受ける場合には限度がどうとかいうようないろいろなことがきめられるということになりますと、今後国会議員もこういう雑所得がこれからは出てくるというふうに予想されなければならぬと思います。そうしますというと、問題になりますのは、何が必要経費であるか、公的私的の区別というようなものの基準をはっきりと持たないと、これは対処できない。基準を持つ場合に、そちらの所得は必要経費を認められるが、もしそういう雑所得のなかった人は、本来の給与所得の中で実際には政党の会費を納めようと、党費を納めようと何をしようと必要経費としては認められないで引かれないということになりますと、そこに課税のいろいろな不公平の問題も出てくるということになりますので、私はこれは公職者がこういう政治献金というようなものを今後受けるのが全体の趨勢になるということでしたら、これに対応する税制の改正が必要じゃないか。はっきりした制度を考えなきゃいかぬというふうに考えます。そこで一つの、これはまあ試案で、全然いま、たとえば役所の中で問題になっておることではございませんが、議員間の中でいろいろ研究された意見がございますが、それには、公職者は、自分の個人会計というものと公職会計とでもいうべきものを峻別して、各人に二つずつ持たせる。そうして一方、ほかから献金というような形で受け入れをしたら、その受け入れの中から秘書の費用を払うとかなんとか、こういうものを払う分には、これは公職者に必要な経費とみなすというようなことで、そちらの会計で全部処理して、個人会計とは別にする。その会計の中から、個人の収入のほうへ入ったものは個人所得としてこれはもう課税されるが、そういう別の会計をつくるというようなことが、何か改善策を、合理化を考えたらよかろうという意見も、いろいろ衆参両院からも私のところへ来ておりますので、こういうものを中心に、この政治資金の規正法が国会で今回新たに通過するというようなときを機会に、この問題についても、私どもはもう少し掘り下げた検討をしてみたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 いま一つは、これは前回もこの委員会で私から大蔵大臣に伺ったのでありますが、いま国税庁長官から答弁のあった、選挙に関するところの収入というものがありますね、支出に使われる……。その場合には課税をされないということに所得税法ではっきりなっています。ですが、選挙に関するといっても、選挙期間になってからなのか、いわゆる公示になってから後なのか、その以前なのか。あるいは改選から改選までの中間なのか。その辺になるとあいまいもことしているわけです。その期限をどうしようということで質問したときに、大臣は、この期限についても検討したいということを言われたんですが、どのような検討の結果がございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、いま申しましたような、選挙のときの非課税の問題ということよりも、いまの問題がございますので、こういうものをひっくるめてこれは一ぺん検討し直さなきゃならぬというふうに考えておりますので、その問題だけのことではいま検討しておりません。
○鈴木一弘君 期限を詰めるという、期限を限定したいというような、そういう考えはないのですか、限定するという……。
○国務大臣(水田三喜男君) たとえば陣中見舞いというような形で持ってきたものは、いまの選挙に関する資金として非課税でいいというふうに取り扱っておりますので、自然に、こんな一年前とか二年前のものを選挙に関する費用というふうに見るわけにはまいりません。したがって、これは一定の線を引くことはできると思いますが、それよりも、いま言った公職者に対する政治献金の取り扱い方全体を考えますれば、その中にそういう問題は適当に解決できるのじゃないかというふうに考えております。
○鈴木一弘君 次に、物価に移りたいのですが、総選挙の際に、物価安定を佐藤内閣が看板にしておられた。ところが、四十二年度の予算編成のときには、逆に物価上昇をそそのかすというような感じを受けております。で、物価安定の名案が見当たらない。それだけではなくて、十月から米価は一四・四%引き上げる、あるいは医療保険料率も千分の六五から七二に上がる、また本人負担の薬剤あるいは初診料の引き上げなどを行なおうと、こういうふうになさっているようでありますけれども、いま国民の大多数が物価高に呻吟しておるのが現状だと思う。実情はそうだと思う。それについて総理はどうお考えになっているか。また、経企長官はどうお考えになっているか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 四十一年度は、全国の平均の消費者物価は四・七%、政府の見通しを多少低目に終わったわけでございます。それで四十二年度は、四・五%というやや努力目標を含めまして目標を立てております。基本的にはやはりこの十年近くの非常に急速な高度成長が、国民経済の各分野がそれに十分対応できなかったというところに消費者物価の上昇の原因があると思いますので、したがって、その各分野にわたって対策を立てていく、基本的にはやはり生産性の低い部門に対してどのようにして生産性を上げていってもらうか、あるいは流通に問題がないか、あるいは土地についても問題がないか、個別に問題をやはり一つずつ片づけていく、ただ高度成長に対して経済の各分野がにわかに即応できなかったところが問題の根幹でございますので、即効薬というものはやはりない。したがって、長いこと時間をかけて忍耐強くこの問題に対処していかなければならない。四・七%にいたしましても、あるいは四・五%にいたしましても、なお消費者物価としてはかなり高い成長であることは否定できませんので、長期的には昭和四十六年ころにはまず三%程度におさめていきたい、これは経済社会発展計画の目標でございます。それでもなお必ずしも十分とは申せません。忍耐強く長い努力を続けていくという心がまえが最も大切だと考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま宮澤君から詳細にお答えいたしましたので、私は短く申しますが、この四十二年度の予算編成、これにあたりまして物価を刺激するような方向にある、こういうお話ですが、ただいま四十一年度の総物価の締めくくり、これが四・七%、これで物価が安定したというわけではございませんが、大体五%を予定したのが四・七%、さらに、しばしば議論されます卸売り物価、これなども、最近これはまだ一カ月かそこらのことでありますから、全体を云々するわけにはまいりませんが、これもやや下降というか、横ばいよりも弱含みになってきた。これなどもいまの予算編成の際にただいまのような現象が出てきたということは、私は、予算自身が刺激的な予算でないのだ、かように御了承いただきたいと思います。もしこれが刺激的なものであれば、予算編成途中におきましてもっと物価ははね上がるかと思います。また総体としてはそれでよろしいが、消費者米価はそのうち上げるのではないか、あるいは医療費等も上がるんじゃないか、こういう御指摘もございますが、これらの問題は大体予算編成当時に予見されたような事態でございますので、これらの問題がありましても、ただいまの物価に対する政府の態度、これは今日までのところ好感を持たれておるんじゃないだろうかと思います。
 なお、私は、選挙中におつくりいたしました物価安定推進会議、これは私のもとにいま各省とも総合的な対策をとると、こういうことで取り組んでおりますので、具体的な問題等につきましても、ただいまの公共料金、消費者米価、あるいは医療費等は別といたしまして、一般の物価の動向についても適切なる指示、これはできるように実はいま努力しております。問題は、物価の問題は総体といたしましてこれほどやかましくなってきておりますし、また、その個々の問題、たとえば管理価格の問題だとか、あるいは地価の問題であるとか、あるいはその他販売方式等につきましても、個々に具体的な問題としてこれと取り組む態度であります。また流通機構の整備等も特別にくふうされておりますし、また、金融の面におきましても、物価を安定する方向に、中小企業等の近代化等の生産性向上への金融等は特に注意するつもりでありますし、また、先ほど来お話しのありましたように、税制の問題にいたしましても、やはり物価に関連する、かように考えますので、総合的な施策が何といってもこれは必要だと、かように思いますので、なお適切なる注意をいたしまして、そうして国民の要望するような物価安定への方向に一そうの努力をするつもりでございます。
○鈴木一弘君 物価安定推進会議のことについてはあとで伺いたいんですが、米の問題、米価だけを見ましても、四十年が一四・八%の値上げ、四十一年が八・六、そうしてことしの十月から予定されておるのが一四・四%、これはもう三十九年から比べますと、すでに四五・三%という値上げをしておるわけです。つまり、米の値段は五割上がった、そうなりますと、これが国民生活を圧迫しないということは、これはとうてい言えないと思います。総理御自身は、一体消費者米価というのはどの程度まで上げればだいじょうぶなのか、これ以上になったらば国民生活を圧迫するのじゃないか、そういうようなめどというのはおありなんですか。それとも、そのときどきの食管会計の赤字に伴って消費者米価をこうしよう、ああしようとおきめになっておるのか、その辺のところはどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 消費者米価を上げないで済めばこれにこしたことはございません。また、御指摘のように、これを税で全部まかなえ、幾らになっても、というようなことは、食管会計の赤字、それを全部税で負担しろ、こういうことも実は限度があると思います。また一方から見まして、国民の所得は現状のままなのか、こういうことを考えますと、やはり国民の所得もある程度伸びていっております。だから、そういう意味で負担は可能な範囲、そういうのはおのずからきまるわけであります。したがいまして、私ども国民の所得の実体ともにらみ合わせて、また食管会計の置かれておる特殊事情等も考慮し、また、税収等も考え、そういうふうに適当な価格をきめる、こういうことにするつもりでございます。
○鈴木一弘君 適当なところをきめるというのは、一四・四と予定されておる数字より下がるということですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはもう鈴木君御承知のように、米価決定をいたします際に、政府だけで実はきまるわけではございません。ただいま予算の御審議はいただいておりますけれども、一応予算上で見積もりしたのでございますが、最終的には米価審議会にかけましてきめるわけでございます。そういう際に、諸般の事情等を勘案して適当にきまる、かように御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 それから次に、消費者物価の中に占める物価の上昇の寄与率がございますけれども、食糧費がいままでは寄与率の中で最高のものを占めておるわけです。過半数をこえておるわけです。四十二年度一四・四%十月から上がるとなると、米のいわゆる物価上昇に対する寄与率は何%くらいになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 米の配給米のウェートが四九〇何がしで一万分の五百をちょっと切ったところでございます。したがって、一四・四%といたしますと、ほぼ〇・七になりまして、それがかりに十月から施行されるといたしますと、半年分でございますから〇・三五になる、計算上はそういうことになると思います。
○鈴木一弘君 ですから、まあ年度を通じていえば、七%程度ということになるわけですね。年度を通じてというか、十月から上がるということですから、半分だから、三・五と。それでやみ米を入れたらどうなりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 〇・三五。で、やみ米を入れるときの試算でございますが、これは過去にいろいろな場合がございまして、必ずしも明確でないんであります。ことに最近になりますと、やみ米の値段が新しい消費者米価に従って動くよりは、むしろ生産者価格に従って動くほうが多いものでございますから、配給米の価格の改定がやみ米を引きずる度合いというものは最近かなり落ちておるというふうに見ております。数字の上では、先ほど米のウエートが四九〇何がしと申し上げましたが、やみ――非配給米をどこまで入れますかによりますけれども、入れ方によっては六百と七百との間ぐらいになるわけでございます。ただ引きずられて動く度合いというのが、このごろ昔のようでございませんので、ちょっと確かな計算を申し上げかねる。先ほど申し上げましたのは配給米だけであろうという御指摘であれば、それはそのとおりでございます。
○鈴木一弘君 消費者米価については、食管会計の赤字を一般会計で始末する、そうして消費者米価が値上げにならない、そういうことに血税を使うということは有効ということにはならないか、これは少なくとも三年前に臨時行政調査会が、乱立している公団・公庫を統合整理するようにと、このように勧告をしているわけです。ところが、四十二年度の予算では、疑惑を持たれている公団・公庫の新設ということがなされておるわけです。国民からも非難を受けている。それに比べれば、私は消費者米価については値上げをしないで、一般会計で始末をしたというほうがよろしいんじゃないか。そのほうがなお善政だと思う、公団・公庫を乱立させるよりも。と思うんでございますけれども、その点については総理はどうお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 一四・四%の値上げを予想しても、千二百億をこすということでございます。すでに当初予算において千二百億円以上の穴埋めをしておりますから、もし値上げをしないということになりますと、二千四百億円以上の一般会計の負担ということになりますので、これは明らかに食管制度の趣旨にも反する、また国の財政としてもこれは耐えられない問題でございますので、私どもは半分程度負担するかわりに、あとの半分――その半分というのは、ちょうど、国がこれによってもうけるわけではございません、いまの政府の買い入れを売り渡しの逆ざやを解消する程度の値上げというものは国民に引き受けてもらって当然じゃないかという考えから、一四・四%ということを一応のめどにしているわけでございまして、これを全部一般会計で持つということは、これは最も不適当なことだろうと考えます。
○鈴木一弘君 食管法では、はっきりと、消費者米価については、家計費及び物価その他の経済事情を勘案して、ということがあります。そうして消費者の家計を安定させるということにある。先ほども経企庁長官の答弁では、四・五%といっても、消費者物価については、これは決して低くはない、高いもんだという、そういう見解、答弁がなされた。それから見ると、いまの御答弁のように、生産者米価との逆ざやがあるから、財政負担力ということから見て、その改定がどうしても消費者米価についてはやらなければならぬ、そういうように言われておることと非常な矛盾があるわけです。いまの食管法の条文とは。その点はどうなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 食糧を自由にしなくて、特にこういう制度を置いたということは、沿革的に見ますれば、国民に食糧を確保させるということから来た制度でございます。したがって、生産者米価がきまればこの会計は赤字を出さぬ範囲において消費者米価をきめるということから出発した制度でございますが、途中からこの機能も若干変わってきまして、社会保障的な意味をこの機構が持ってきたということは、これはやむを得ないこととは思っておりますが、これは本来の制度の目的じゃない。したがって、国費において出せるだけ負担するかわりに、国民にも当然このくらいは負担してもらって至当ではないかという程度のものは負担してもらうのが、むしろこの制度運営の原則だというふうに私は考えているわけです。ですから、せめて逆ざやを解消するという程度のものは国民に負担してもらうということのほうが、むしろ私は正しいのじゃないかとすら思っております。
○鈴木一弘君 そうすると、逆ざやを解消する程度のものは負担してほしいということになりますと、食管法の中には、財政負担力のために消費者米価を定めよということは一つも書いてないわけです。食管法を改正しようというのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いまの食管法に明確にこういうふうには書いてございませんが、さっき話したような沿革的なところから、この制度の運営はいままでそうやってきた、それが途中から少し機能を変えるということにしまして、この家計の云々ということになったのですが、経済が成長すれば、当然各家庭でも若干収入が増加するというふうに考えますので、それを考えながら生産者米価に見合った消費者米価をきめる、家計の余裕を圧迫しない範囲において負担してもらうというのが、いまの現行法の書き方でございますが、したがって、国民所得というものは現在明らかにふえておりますし、その範囲内でそれを勘案しながら逆ざやを解消する程度の負担はしてもらいたいということで、私は、この程度の国民の負担力というものは当然国民の中にもあるというふうに考えております。
○鈴木一弘君 だから、食管法の趣旨といえば、この条文に書かれているところでしょう。条文に書かれているところから見れば、財政負担力云々はない。食管法にはないけれども、逆ざやは持ってもらわなければ困るということになるわけです。と言えば、食管法は不適当だという政府の見解なんですかと私は聞いている。
○国務大臣(水田三喜男君) いま食管法を急に変えるということは、国民生活になかなか大きく響く問題でございますので、簡単にこの食管法がいじれるとは思っておりません。しかし、この食管法のあり方がいいか悪いかは、私は根本的に検討すべきものであるというふうに考えています。個人の能力、資力がみんな違う、生活力も違うものに一律に全部補助金を出すというような制度が一番経済の効率をなくする制度だということが言われておりますので、財政運営の上から見ても、こういう形じゃなくて、むしろ余裕のある人から税を取って、余裕のない人へいかに補助するかという社会保障制度を拡充するという方向でいくのがほんとうだと思いますが、それをたまたま、できておるこの食管制度というものにその機能をある程度持たせようという形でいま運営しておりますので、その範囲においては私はやむを得ないと思っておりますが、本来なら、これはそういう意味で、いい人にも、生活余力のない人にも、一律に同じ値段にして国の一般会計から補助するというやり方は、私はあまり効率のあるやり方ではないというふうに考えております。
○鈴木一弘君 所得に応じてということになりますと、水田大臣の考えでは、段階的な米価を所得に応じてつくるというふうに聞こえてくるのですが、そんな変な話になってくるのですが、まさか、そういう意味じゃないと思うのですが、そういうことなんですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これはいろいろくふうする問題が、くふうすべき問題がこの制度にはたくさんあると私は思っております。合理的にやはり米価を改善していきたいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 つまり、現在の食管法の精神にはのっとって米価の決定はできないということが、消費者米価についてははっきり言えるわけですね。そこで、いままでの経緯云々のほうをおもに言われたのですから、それならば、いままでのおもな経過から考えていっても、それでは、生産者米価と消費者米価とを同時決定をするということはどうなんですか、これはなさるのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) これはなかなかむずかしい問題だと思います。ということは、もとのような食管制度であって、この会計で赤字を出さないで食糧を要するに確保することを、国民に確保さすことを目的とするという機能のほうが強かったときには、同時決定もできると思います。しかし、いま言われたように、この制度がすでに社会保障的な意味を現に持ってきているという以上は、生産者米価を決定するということは、所得方式によって一応きめるにしても、しからば、今度は消費者米価をどうきめるかという問題はすぐにこれとつながらない問題が出ておりますので、同時決定というものはなかなか実際上は私はむずかしい問題だと思っております。
○鈴木一弘君 総理は、一月四日の伊勢での記者会見の際に、物価対策はまだ不十分であるけれども、消費者米価は生産者米価と同時にきめるので、それまでは上げないことになったということを、伊勢での記者会見で言っておられます。それといまの水田大蔵大臣の答弁とは矛盾する。そのときは一月四日でありますから、これは総選挙用の発言なんでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま困難だと申しましたが、ほんとうを言いましたら、一緒にきめるのが私はいいのじゃないかというふうに考えております。(「うそを言っている」と呼ぶ者あり)いや、うそではなくて、ほんとうはそれがいいと思いますが、実際問題としてそれはむずかしいだろう。実際問題としてむずかしいだろうということで、ほんとうは生産者米価をきめるときに消費者米価は審議会を通してきめるのがいいということであります。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま大蔵大臣がお答えしたのが実際的なんです。物価懇談会ですか、この物懇では、ただいま言うように、生産者米価と消費者米価を同時にきめろ、こういう勧告をしております。これが私が伊勢で発言したうちに出てきておると思っております。しかし、先ほど来お話がありますように、生産者米価は、ただいまの予約制度のたてまえから、これは大体七月時分にきめる、かように思いますし、また、消費者米価は予算では十月ということにしておりますが、そのできるだけ新しいデータをつかまえる、そうして消費者の家計に及ぼす影響等も十分考えて、それで初めて消費者米価をきめるのでございますから、本来の理論的に言えば、消費者米価、生産者米価同時決定が理屈ではございますけれども、現実の問題としては、これは少なくともことしは一緒にきめるわけにはいかない。この点を御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 そうすると、総理が同時決定をするというふうに言われたのは、これは物懇の答申があったからそれをそのまま言っただけだということになるわけですか。それじゃ、いまの御答弁とは大きな違いがありますね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 物懇の一つの勧告というものと、それからもう一つは、この三月までの年度内、四十一年度までは、これは消費者米価は上げない、こういうことがございます。今度生産者米価が決定されるまでは上がらないという、そういう点に重点を置いた考え方でございましたので、私は当時のこと、十分記憶はしておりません。理論的に、先ほど言うように、物懇の勧告、これを尊重するということであります。当時の現実としては、生産者米価が決定される以前に消費者米価をきめることはないと、こういうことに重点を置いたと、かように思っております。したがいまして、今日予算の御審議をいただくにあたって、四十二年度予算に消費者米価をいかに見積もるかと、これが当時ですよ、七月だとか、あるいは八月だとか、九月だとか、こういう議論がいろいろございました。ただいま御審議をいただいているのは十月でございますし、とうなってくると、一そう、米価審議会に諮問するにいたしましても、新しい米価で決定する必要がございますから、ことしはいずれにいたしましても一緒にはできません。
○鈴木一弘君 国民は、こういう記者会見で総理が発言されたのは非常に責任をもって発言されたと思っておりますから、期待を持っているわけです。ですから、ことしは同時決定だと、だれもそう思っておったわけです。それが急にぐるぐるっとここでまあ変更ということになってくると、これはやはり総理大臣としての責任がこれは重要だと思うのです。一応国民に対して、一月同時決定をしたいということを言っておきながら、変更するとなると、国民の間には動揺が出てきます。その責任については、どういうようにお感じでございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもも、総理の言うことだけじゃなくて、私どもも同時決定ができたらいいということで、一応その方針で検討はしました。ところが、やはり現実問題としては無理だということに私どもはなったわけでございますが、いつも生産者米価を決定するときに問題になるのは、財政当局が財政の理由で不当に米価を下げているのじゃないかというようなことが、この疑いが始終米価決定のときに問題になりましたので、私どもは、米価は米価としてあるべき姿で決定する、これに財政の都合でどうこうするのじゃないのだということで、いつも説明してやってきましたが、消費者米価と生産者米価を一緒に同じときにきめるということになりますと、消費者米価は上がらないほうがいいことにこれはきまっておりますが、そうしますと、それとからんだきめ方というものは、ますます生産者米価を政治的に圧迫しているのだというような疑いを持たせる問題も出てきますし、これは一緒にきめるということは、誤解も起こしますし、事実上困難だろうということから、私どもは時期をずらさせるということを考えたのですが、本来はやはり同時決定するほうがいいのだろうというふうに、私どもはいまでもそう考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の責任追及なんで、ただいまの大蔵大臣の答弁では、もちろん御不満だと思いますが、私は、まあ当時の経過はあまり記憶いたしておりません。おりませんが、むしろ同時決定をするということが――同時であるよりも、今回のようなきめ方のはうが消費者にむしろ幸いするのじゃないだろうか。私はむしろ、生産者米価を決定し、同時に生産者米価が高くなるという、そういうことが予想される際でございますから、この消費者米価をそれに随伴してきめるという、そういうときでないほうがかえっていいのじゃないか、かように思いますので、私は、まあ消費者にはかえって、今日申し上げるような新しい数字で、そうして消費者の生活実態を十分把握するというか、そのほうがむしろ望ましい形じゃないかと、かように思っておるわけでございます。ただいまの答弁の形は違いますけれども、むしろ消費者の実態に合う方向だと、かように思って、お許しを得たいと思います。
○鈴木一弘君 つまり、まあ同時決定でないほうがいいというようなかっこうになってしまったわけであります。生活者米価について、現在いまの算定方式どおりというわけではない、つまり、生産費所得補償方式どおりには決定を現在されていないわけです。いろいろな名義の政治的な加算がなされている、これが米価体系そのものをかなりゆがめていると思うのでありますが、少なくとも、算定方式によらない加算について、その上積みについては、これは整理する、あるいは少なくしていく、それが物懇の答申にも応ずることだろうと思うのでありますけれども、それについては、どういうお考えですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 算定の方式につきましては、昨年もそうでございますが、生産費の補償ということを主眼といたしましたいわゆる指数化方式をとったのでありますが、それに若干の補正が加わりまして、百五十キロ当たり三百九十円でありますが、そういうことで昨年は決定いたしたわけでありますが、今年の決定にあたりましては、もちろん米審の御意見を聞きながらきめるわけでありますが、合理的な方法できめてまいりたいと、こう思っております。
○鈴木一弘君 それから物価問題全体について、これは総理にお伺いしたいのでありますが、どうも私が見ていて、物価問題懇談会、まずこれが解散をしたわけであります。また、物価安定推進会議ができた、その前にも閣僚会議が行なわれた。たびたびそういう会議、懇談会等がつくられてきているわけですが、それをつくれば物価問題が解決するかのような錯覚を与えているような感じです。しかも、いままでいろいろな調査会そのほかの答申を見てみましても、どうも総理のほうは、都合のいいことだけを実行して、都合の悪いことは答申を尊重しないという癖があるように思う。物懇の提案については、これを本気になって実行していくかどうか、また、そのような会議をつくって、いたずらに国民的に空虚な安心感だけを与えるというような行き方は改めていただきたい、その点についてはどうです。
○国務大臣(佐藤榮作君) 各種審議会等について答申を尊重する、これはもう間違いなしなことでございます。今回いわゆる物懇から物価安定推進会議に切りかえた、これはやはり経済企画庁だけでは十分じゃないようであります。総理みずからが陣頭に立って総合的な施策を行なうという意味でこの推進会議は必要だと、かように私どもは考えたのであります。また、いわゆる物価懇談会、閣僚懇談会等におきましてはもちろん、この物価安定推進会議で取り上げられた事項について、これをさらに実施に移す、こういう段階で各閣僚の協力を得る、こういうことがねらいであります。で、私がとやかく申すまでもなく、鈴木君も御承知のように、物価問題のむずかしさ、これは一体どこにあるか、私どもは統制経済をしているわけじゃありませんし、また、いわゆる計画経済でもございません。この自由経済のもとにおいて物価を安定さす、あるいはまた、それを低位に保つ、そのために、何といいましても、各界各層の協力を得なければならぬ、これはもう労使双方の協力を得ることはもちろんでありますが、もっと消費者の立場、消費者を守るという立場で政府も施策をし、また、一般の国民の関心もそこへ集中しなければならないのでございます。したがいまして、ただいまの経済政策のもとにおいて政府のなし得ること、これはおのずから限度がございます。ただいまのような各種の会議を設け、そうして各界の協力を求める、こういう態度で初めて物価の安定ができるのじゃないだろうか、かように実は考えているのであります。もちろん、政府がなすべき、あるいは金融税制の問題、あるいは集荷集配における流通機構の整備、あるいは卸売り市場の云々等々の施策は、政府自身がやりますけれども、しかしどうも隔靴掻痒の感はいたします。いわゆるきめ手というものは、最終的に自由経済のもとにおいては、各界の協力以外にはないのでありますから、そういう点で政府のやっておりますことが、御指摘のようにやや手ぬるいのではないか、どうして物価を固定するようなことができないのか、少なくとも公共料金等については、思い切ってそれをやったらどうか、こういうふうな御意見まで実は出るのだと思います。私はただいまの経済の状況全体から見まして、いわゆる政府がそういうドラスティックな手をとる、そういう段階ではないように思っております。ただいまの状況のもとにおいては、各界各層の協力を第一に考える、もちろんこれに対応する政府の基本的な施策は必要でございます。
 またこの際に申し上げますが、先ほども申したのですが、いま消費者米価の問題が議論になりました。ちょうどこれと同じようなウエートを持つものに、地価対策の問題があります。これについては積極的に政府もいろいろくふうしておりますが、これも各界の協力によりまして、この国会では土地の取得等については成案を得るようにいたしたい、かように思っております。
○鈴木一弘君 各界の協力を得て政府もしている、それに対して積極的な姿勢がなければならぬということは、よくわかります。それでは、物価問題懇談会が昨年の六月に再販売価格維持制度の改善について答申をして、ところがそれにかかわらず一年間もその実行を見なかった、その理由は何でしょうか。
○政府委員(北島武雄君) 再販売価格維持契約の問題につきまして、昨年物価問題懇談会で御勧告があったのでありますが、これより先に公正取引委員会といたしましては、すでに昨年の二月に、その当時まで公正取引委員会が再販売価格維持契約を認めておりました九品目につきまして検討を行ないました。とりあえず三品目について削除し、一品目についてはその内容を大幅に縮めました。それからまた、昨年の七月には再販売価格維持契約の成立届け出規則について、従来非常に不十分でありましたのを、実態の把握ができるように改正いたしました。あとは実は法案の問題になるわけであります。現在の、ただいままでの実施をいたしましたところは、公正取引委員会の告示なりあるいはまた行政手段でできるものだけをいたした。ところが、まだもっと法律の改正がなければ実はできないものがあるのであります。こういう点につきまして慎重に検討いたしました結果、最近公正取引委員会自体といたしましては一応の案を見まして、目下法制局で審議中でございます。それからまた関係各省とも打ち合わせすることになっております。なお、つけ加えて申しますと、ただいま法制局で審議中でございまして、この審議が済み、各省との打ち合わせが済み次第、この国会において御提案の上御審議願いたい、こう考えております。
○鈴木一弘君 ところが、独禁法からはずれて再販売価格の特別の法律ができるわけでありますが、その場合にいわゆる禁止ということになっていくのか、ただ規制が強化されていくのか、どちらなんでしょう。
○政府委員(北島武雄君) 現在再販売価格維持契約というのは、一応ティピカルなかっこうにおきましては、小売り値を指定して売るという場合ですね、そうしてそれを守らなかった場合には荷どめをするというようなことをする制度があります。これは実は独占禁止法の不公正な取引競争の一つの態様に当たるものといままで考えております。いわゆる不当拘束条件つき取引と考えております。ただし、独占禁止法の二十四条の二で特別に著作物と見た公正取引委員会が指定する商品につきましては、この適用除外ということで認めておるわけです。ただ、よく内容を検討いたしますと、この現在の再販売価格維持行為というものは、単に契約だけにとどまらない、実際の行為の場合には多々ある。はたしてどの範囲まで現在の不公正な取引競争に当てはまるのかという点については、明確を欠く部門がございます。こういう点については、はっきり再販売価格維持行為については、こういうものはいけないのだということを厳格に範囲を規定いたしまして、これを原則として禁止いたします。それとともに、ただ現行認めております著作物と、それからまた公正取引委員会が特に指定する商品については、適用除外を認める、こういうかっこうをとります。ただし、公正取引委員会が指定する商品につきましては、指定だけで現在は実行できるわけでありますが、指定の上に、さらに登録なり届け出なりをいたしまして、その際に、事前に内容を審査いたします。その内容が一般消費者の利益を不当に害するとか、あるいはまた再販売価格維持行為に必要な限度を越えているというものでございましたら、これは当然不当と認めます。そういうたてまえをとりまして、そしてまた登録いたしました登録後は、一般の閲覧に供するということによりまして、消費者の監視のもとに置き、それからまたメーカーの自粛にも待つ、そういうふうな体制をとります。それからまた実行後におきましても、実施状況の報告をとりまして、もしそれが登録のワクに当てはまらない場合は、登録を取り消す、こういうものが現在の私どもの考えている構想でございます。
○鈴木一弘君 現在再販制度が、業者にとってはかなり利潤を得る上においては万々歳なものです。消費者にとってみれば、いわゆる不公正競争ということで、たいへんな値上げという感じをどうしても受けなければならない、スーパーあたりにも、再販制度ができているものは、スーパーマーケットにおろさないという被害を出しております。そこで現在公正取引委員会のほうでつかんでらっしゃる再販制度を実施しているのもあります。しかし、それ以外に適用除外を受けていない、いわゆる類似行為といいますか、その双方について一体どのくらいの売上げというものが予想されているのですか。
○政府委員(北島武雄君) お話しのように、法律で認めております以外に、類似行為が相当行なわれておるように私ども考えております。ただ、その範囲が非常にあいまいでございまして、明確にやはり現在も独占禁止法に違反するものもございますれば、あるいはまた、どうもそこまでもいかないのではないかと思われるものもあるわけでございます。しかし、こういうもの一切がっさいひっくるめてどの程度の小売り商品について行なわれているかということを、昨年一ぺん試算してみたことがあるのです。現在公正取引委員会の認めておる商品では、たしか五千五百億円程度のものと、去年夏あたりの推計でございますが、そう考えております。ただこのほかに、メーカーの再販売価格維持行為とはいえないまでも、再販売価格維持が行なわれやすい、希望価格とか推奨価格とか、こういうものまで入れますと、一兆数千億になるだろう、そんなふうに考えます。そのうちのどんな部分が独禁法違反かどうかと、非常に厳格に言いまして範囲の明確を欠くものがあるわけでございます。
○鈴木一弘君 いずれにしても再販の場合には、販売店の次から次につくっていくということについても阻害を与えているし、消費者に対しても、かなりの強い物価に対しての圧迫になってくるわけです。ところが、いまのだけを聞いておりますと、公取の案では指定商品についてはリベートを禁止するとか、あるいはその分だけ再販売価格を引き下げるとか、そういうことについてはおやりになってないようです。またスーパーマーケットなどで、合理化が進んで一定の販売形態になっているものがありますが、それについて再販価格の値幅を設けて、その間の競争をやらそうというふうになっている、そういうふうにやろうということについても、これを行なわない。そうなると、本格的に再販について消費者を守ろうという感じがしないわけでありますけれども、その点はどうなんでしょうか。
○政府委員(北島武雄君) 私どもは、ただいま考えております線は、大体物価問題懇談会の勧告の線に沿っているものと考えております。ただ御指摘になりましたように、リベートを再販売価格維持契約を認めるについては禁止したらどうかという御提案がございました。これにつきましては、実はリベートの禁止というのは、商行為の問題でありまして、全体値引きと一応は考えられる。それは販売業者に卸す価格とそれからリベートの価格を差し引きまして、そこでほんとうの卸価格になると、こう考えるわけでございます。そういうことを全体として判断いたしまして、それが不当であれば、不当に一般消費者の利益を害する場合に当てはまるのではないか、こんなふうな考え方をいたします。ただ、商行為としてやっております現在のリベートを禁止するという法律的手段はいかがかと、こんなふうな考えがするわけで、あえてその措置はただいまのところ考えておらないわけです。ただ全体としてそういうような一般消費者の利益を不当に害するような大きな値幅になるというようなことになりますと、これは登録拒否の原因になる、こんなふうに考えております。
 それからスーパーマーケットあるいはボランタリーチェーンに対して値幅を認めたらどうか、これは実行問題でありまして、法的規制としては、考えてみても実は非常に規制するのがむずかしい。ですから、実行問題としてやはり考えていくしかないのではないか。むしろ法律で規制するとなると、こういうものについては、一体どのくらいまで下げさせたらいいかということになります。こういうふうなことになりますと、非常に一般の取引の内容にもタッチしなければなりませんし、これは法律事項としては適当ではない、こんなふうに考えて、あえて物価問題懇談会の御勧告の線から、その分だけは除いたわけであります。
○鈴木一弘君 いずれにしても、これは中小企業そのほかにもずいぶん関係してくる問題で非常にむずかしいことはわかりますが、かなり政治的圧力というものもあったんではないかということさえ言われている。物懇の勧告よりも少し下がってきたということでは、ほんとうに消費者を守れるかどうか、その点で総理はどうお考えでしょうか。
○政府委員(北島武雄君) ただいま、何か圧力があったんじゃないかというお話ですが、そういうことは全然ございません。もちろん陳情はございます。ございますが、私、圧力と感じたことは一向ございませんから、どうぞあしからず。
○国務大臣(佐藤榮作君) いずれ御審議をいただくのでございますから、その御審議をいただく際に、消費者にはたしてこれが利益するかどうか、十分ひとつ御検討いただきたいと思います。私はまず第一に適正なる競争というか、それによる価格決定、これは望ましいことだと、かように思っております。しかし、ただいまのは不当競争であることは確かですが、その不当競争でも、とにかく消費者とすれば安いものさえ入ればいいんだと、こういうような考え方もございましょうから、十分御審議の際によくお考えをいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 時間がありませんので、中小企業問題に移りたいんですが、昨年の二月二日の本会議で総理が、中小企業の倒産が増加しているのは非常に遺憾である、産業の安定成長目ざして進んでいきたい。そこで、そういう倒産問題、この点についてはしばらく時間をかしていただけば、必ず政府の政策の効果があがるということを述べられているわけでありますが、その、しばらく時間をかしてくれとは、一体どのぐらいの時間なのか。現在一年二カ月たっておりますけれども、今日、倒産の件数が増加しているというのは、これは政府の施策が間違っていたということなのか、それとも時間がまだまだ不足だということなんでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん私が申しましたのは、経済が基本的な健全成長、そういう方向へ向かえば、この種の倒産その他の不幸は減るだろうと、こういうことをねらったのであります。また、構造的な問題だと、こういうことも言われておりますので、生産性が上がるというようなことによって、やはりこれも倒産が減るということにもなるのでございます。それから最近の中小企業対策の詳細については、通産大臣からお聞き取りいただきたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) お話しのとおり、中小企業の倒産者の数がふえておりますけれども、しかしその倒産額、金額にしてはふえていないのでありまして、そこで問題は、どうして倒産者数がふえてきたかという問題でありますが、一つは労力の不足などによって経営が困難になってきたというようなもの、あるいはまた最近経済はよくなってきたのでありますが、中小企業ではこの生産の向上ができなかったところが多いというようなこと、そういうような理由、それから一つは金利の関係、多額の金を借りておったとかというようなことで倒産数がふえてきたのでありますが、いま総理の言われたとおり、経済状態がだんだんとよくなっておりますので、したがいまして、私は今後におきましては、倒産数は減るという見通しをいたしております。
○鈴木一弘君 通産大臣のそういうことばでありますけれども、ここで私は強調しておきたいのは、零細業者の場合には三十万、五十万の金で飛び回っているわけです。政府関係の金融機関からも借りられない、結局高利金融にたよらなければならない。こういう結局政策不足といいますか、そういうような政治の貧困で倒れているのが多いわけです。ところが通産大臣は、昨年十二月二十三日に経済閣僚懇談会がありましたそのあとの記者会見で、こういうことを言いました。最近の倒産を見ると、倒れるべくして倒れたものが多い。町の金融業者から高利の金を借りたあげく経営が破綻してほうり出したものに対しては、政策的には手の打ちようがない、こう言っている。これははっきり言えば通産大臣は、いわゆる零細業者がやむを得ず高利金融にたよった、そういうようなものについては、これをしようがない、そういうものに対しての手の打ちようがないということは、そういうものはわれわれは見捨てる。だれもそんな高利の金融を好きこのんで借りるものはいない。それをやむを得ず高利の金を借りなければならないように追い込んだということは、これは明らかに政府のほうの失策だと思うわけです。ところが大臣の記者会見の話では、そういうものには手の打ちようがない、まあしかたがない、つぶれてくれというように受け取れるわけでありますが、どうなのですか。そんな不用意なことば言われたのですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) そういうようなことは決して言うておりません。また当時の新聞記事をごらんになっても、そういうような記事は出ていないので、ただ小新聞にそういうような記事が出ておったのであります。私は決してそんなことは言うておりません。私の言うたことばを全部そのまま解釈していただけば、決してそういうような無謀なことは私は言っておりません。中にはそういう高利で借りて倒れた人があるからまことに気の毒だ、そういう人に対してはできるだけ政府は無担保信用、そういうものをひとつ利用するように指導してあげなければならないのではないかということを言っているのであります。せっかくそういう制度がありましても、知らぬ人がたくさんおります。金利も安くしておりますけれども、また政府の金融機関を利用しない人もありますから、できるだけそういうように指導していくべきではないかということを、当時私は言ったのであります。
○鈴木一弘君 中小企業の金融制度改変についてでありますけれども、金融制度調査会で三つの試案が出ております。現在金融制度調査会の部会でこの審議は続けられているのですが、答申はこれはいつごろになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところでは、答申はことしの秋以降になるという見込みでございます。
○鈴木一弘君 いまの試案から見ると、中小企業専門の機関をつくれ、あるいは中小企業銀行をつくれというような、いろんな案が出ているわけでありますが、そういうような制度の改変というのは、非常に重要な問題です。いままで、かつて銀行集中が行なわれた、そうして一県一行主義というようなふうに整理されてきた。従来は中小企業や地元産業と密接な関係を持っていた地元の銀行が、大銀行である県の中央銀行の支店になって結局は預金集めにだけ狂奔する、集めた預金が本店へ送られて大企業へ融資されたという例は枚挙にいとまがない。そこで、このような答申、試案から見ても、合併などを促進するということになると思いますが、それは悪いこととは言えないけれども、その中小企業の要望を忘れたものになってはいけない、その点に十分の用意があるかどうか、これについては通産大臣からも、今回のいわゆる改変についてはどうお考えになるか、特に先ほど申し上げた零細企業金融については、今回にはほとんど考えられていない、試案の中で。それについてはどういうふうに思っていらっしゃるか。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ調査会の論議の段階でございまして、まだきまってないという状態でございますので、秋ごろ答申を待って慎重に考えたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) 金融制度調査会のことについては私は全然聞いておりませんが、問題はやはり零細企業の金融をもう少し円滑にするということを重点として今後の中小企業金融を考えていかなければならぬ。できるだけ安い金を使ってもらうということで、われわれのほうとしてはそういう方針でひとつ金融制度の改正をやってもらいたい、こう存じておる次第であります。
○鈴木一弘君 いずれにしてもまだよくおわかりになっていないようでありますが、大蔵大臣、あなたのほうでほとんど銀行は全部押さえるわけでありますから、そのときに中小企業金融について中小企業側の要望を入れておかないと、結局この答申によって中小企業向け銀行をつくったり、あるいは地方銀行そのものを合併するとか何とかいう試案も出ているわけです。それにのっとっていったり、中小企業専門の機関をつくる、それがいつの間にか大銀行あるいはただの金集めに終わるような銀行になって、中小企業に、再び地場産業等にお金が出ていかないということになりかねない。その辺についてはどうお考えなのかということです。
○国務大臣(水田三喜男君) それは当然に中小企業の金融に役立つ、中小企業のための金融機関という色彩の強いものにしなければいけませんので、これは実際にこの答申案が出まして、金融機関を統合するとか、新しくつくるとかいうようなことをやるときには、私どもは十分慎重に考えていくつもりでございますので、まだいろいろ問題がございまして、この問題、結論がつくのはまだ相当ひまがかかるのではないかと思います。
○羽生三七君 実は先ほど鈴木委員から公取関係について御質問ありましたが、ちょうど委員長がおられるので、資料の問題でお尋ねします。
 実は私、かなり以前に、今度の予算委員会の質問に先立って、ビッグビジネスの最近数年間における生産性の向上と価格に対する影響及び利潤等について調査を依頼いたしましたが、人手が足りないということで、満足な資料を提出していただくことがついにできませんでした。ほんとうに人員が不足してできないのかどうか。公取委員長からひとつ御説明いただきたい。
○政府委員(北島武雄君) どういう資料でございますか、私は実は聞いておりませんが、おそらく事務局のほうで承りまして、現在のところではそういう資料はできかねるということで御連絡申し上げたのではないかと存じております。
○羽生三七君 どうしてできかねるのですか。
○政府委員(北島武雄君) 御趣旨の内容がどの程度のものか、すでにいままで企業集中の状態を調べたものがございます。これは生産の集中で調べたものもございます。資本集中で調べたものもございます。新たにこういうかっこうでこれを調べてほしい、こういう御要求でなかったか、あるいは私その内容を存じておりませんので、ただいまここでお答えするのは適当でないかもしれませんが、おそらく事務局としては、現在のところちょっとそういう資料は整えかねると、こういうことでなかったかと思います。
○羽生三七君 一般的な抽象的なものはございます。すべて平均的なものは。そうでなしに、特定の大企業についての調査を依頼したのでありますが、それはついに未提出であります。これは約三、四週間前に余裕をおいて御注文申し上げたのであります。
○政府委員(北島武雄君) 帰りまして事情をよく調べまして御連絡申し上げます。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして鈴木君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明後八日午後二時開会することといたしまして、本日は、これをもって散会いたします。
   午後二時十六分散会