第055回国会 予算委員会 第20号
昭和四十二年五月二十六日(金曜日)
   午前十時二十二分開会
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   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     吉田忠三郎君     中村 波男君
     多田 省吾君     矢追 秀彦君
     高山 恒雄君     向井 長年君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         新谷寅三郎君
    理 事
                白井  勇君
                西田 信一君
                日高 広為君
                平島 敏夫君
                八木 一郎君
                亀田 得治君
                小林  武君
                鈴木 一弘君
    委 員
                青柳 秀夫君
                井川 伊平君
                大谷 贇雄君
                岡本  悟君
                梶原 茂嘉君
                熊谷太三郎君
                小林  章君
                小山邦太郎君
                西郷吉之助君
                任田 新治君
                内藤誉三郎君
                林田悠紀夫君
                二木 謙吾君
                船田  譲君
                増原 恵吉君
                宮崎 正雄君
                山下 春江君
                吉江 勝保君
                吉武 恵市君
                占部 秀男君
                岡田 宗司君
                北村  暢君
                小柳  勇君
                鈴木  強君
                瀬谷 英行君
                中村 波男君
                羽生 三七君
                藤田  進君
                矢山 有作君
                山本伊三郎君
                黒柳  明君
                小平 芳平君
                多田 省吾君
                矢追 秀彦君
                高山 恒雄君
                向井 長年君
                春日 正一君
                林   塩君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  田中伊三次君
       外 務 大 臣  三木 武夫君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       文 部 大 臣  剱木 亨弘君
       厚 生 大 臣  坊  秀男君
       農 林 大 臣  倉石 忠雄君
       通商産業大臣   菅野和太郎君
       運 輸 大 臣  大橋 武夫君
       郵 政 大 臣  小林 武治君
       労 働 大 臣  早川  崇君
       建 設 大 臣  西村 英一君
       自 治 大 臣  藤枝 泉介君
       国 務 大 臣  塚原 俊郎君
       国 務 大 臣  二階堂 進君
       国 務 大 臣  福永 健司君
       国 務 大 臣  増田甲子七君
       国 務 大 臣  松平 勇雄君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣官房副長官  木村 俊夫君
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議  高柳 忠夫君
       室長
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       人事院総裁    佐藤 達夫君
       人事院事務局給
       与局長      尾崎 朝夷君
       公正取引委員会
       委員長      北島 武雄君
       警察庁交通局長  鈴木 光一君
       行政管理庁行政
       管理局長     大国  彰君
       行政管理庁行政
       監察局長     稲木  進君
       北海道開発庁総
       務監理官     小熊  清君
       防衛庁長官官房
       長        海原  治君
       防衛庁防衛局長  島田  豊君
       防衛庁装備局長  國井  眞君
       経済企画庁調整
       局長       宮沢 鉄蔵君
       経済企画庁国民
       生活局長     中西 一郎君
       経済企画庁総合
       計画局長     鹿野 義夫君
       経済企画庁総合
       開発局長     加納 治郎君
       法務省刑事局長  川井 英良君
       法務省入国管理
       局長       中川  進君
       外務政務次官   田中 榮一君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省経済局長  加藤 匡夫君
       外務省経済協力
       局長       廣田しげる君
       外務省条約局長  藤崎 萬里君
       大蔵省主計局長  村上孝太郎君
       文部省体育局長  赤石 清悦君
       文部省管理局長  宮地  茂君
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       厚生大臣官房会
       計課長      高木  玄君
       厚生省公衆衛生
       局長       中原龍之助君
       厚生省医務局長  若松 栄一君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       厚生省社会局長  今村  譲君
       厚生省援護局長  実本 博次君
       農林大臣官房長  檜垣徳太郎君
       農林大臣官房予
       算課長     大河原太一郎君
       農林省農地局長  和田 正明君
       農林省蚕糸局長  石田  朗君
       食糧庁長官    大口 駿一君
       林野庁長官    若林 正武君
       通商産業省通商
       局長       山崎 隆造君
       通商産業省企業
       局長       熊谷 典文君
       通商産業省繊維
       雑貨局長     乙竹 虔三君
       運輸省鉄道監督
       局長       増川 遼三君
       海上保安庁次長  井上  弘君
       建設大臣官房長  鶴海良一郎君
       建設省計画局長  志村 清一君
       建設省都市局長  竹内 藤男君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       自治省行政局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水谷 国一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、鈴木一弘君の質疑を行ないます。鈴木君。
○鈴木一弘君 初めに、これは自治大臣にちょっとお伺いしておきたいのですが、昨日、政治資金規正法の自治省案が自民党に提示をされた。私どもとしては、五年後に個人の献金に限るというようなことが載っていないから、はなはだ不満ではございますけれども、かなり後退したものと思っても、この点で了解できるんじゃないかと思っていますが、これ以上、自民党との折衝において政府側としては後退をしないかどうか、後退をしてもらいたくないわけでありますけれども、その点についてひとつ。
○国務大臣(藤枝泉介君) 新聞に報道されましたのは、大体私どもが描いておりまする構想でございます。それで、あの構想が、私は今回の答申を尊重した線であると存じております。私はあくまでその答申尊重の線でああした構想がいいのではないかと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 これは総理であり総裁である総理にお伺いしたいのですが、この自治省案に自民党側ではかなり不満もあるかもわかりませんが、いまの自治大臣の答弁からすると、これが答申を尊重した線である、かなりわれわれは後退したと思っておりますが、不満ではあるけれども、その線は守ってもらいたい、どのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま、これは重大な問題ではございますが、主務大臣に大体まかしておる立場にございます。いま藤枝君がお答えしたように、自分たちは、尊重した線、これで原案を作成した、こういうように申しておりますので、私は政府側として、党の了承をとりつけるようにあらゆる努力をしたい、かように考えております。
○鈴木一弘君 昨日の質問等でもかなり出ましたけれども、ここで新しく自治省案が出たところでお伺いしておきたいのですが、今月中に国会提出がないと、成立が非常に困難になるんじゃないか、私はそういう感じを受けてならないわけですが、今月中というお約束はできるかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私、昨日も、誠意を持ってできるだけ早くと、かように申しました。しかし、なかなか今月中という日にちを切ってお約束するということには、まだちょっといきかねておりますけれども、とにかく誠意を持ってできるだけ早く、こういう立場でございますので、この点を御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 自治大臣と大蔵大臣にお伺いしたいのですが、この税の優遇措置が答申にも盛られているのです。ですが、個人の献金そのほかについて税の優遇措置を講ずるということになりますと、二人ないし三人で脱税行為として政党をつくって、自分の金をお互いにその党へ入れたという形で税の優遇措置を受けるということができるようになってくる。政党法がない今日、これをやるということは、非常な私は盲点になる。脱税の一つの合法的な手段をつくる心配があると思うのですが、その点、税の優遇措置は答申にはあるとしても、さらに慎重にやらなければいけないのじゃないか、自治大臣と大蔵大臣からひとつお願いしたい。
○国務大臣(藤枝泉介君) 答申には個人のした献金の税の優遇措置等のことを考えろということでございます。しかし、いまお述べになりましたように、政党の定義等が相当ルーズでありますと、いろいろ弊害もあろうかと存じます。私どもといたしましては、政党という定義は、この政治資金規正法の中でも相当きびしく定義をいたしたいと存じております。税の優遇措置については、答申の線に沿って、いろいろ大蔵省で御考慮をいただいておるところでございますが、なかなかむずかしい点はあるように存じております。
○国務大臣(水田三喜男君) おっしゃられるような問題もございますので検討しておる最中で、まだ結論が出ておりません。
○鈴木一弘君 この政治資金規正法の改正案が出るときには、所得税法あるいは相続税法、それから法人税法の改正案も同時に提出をすると、こういうことをこの間大蔵大臣から答弁をいただいたのですけれども、それは間違いございませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ結論が出ていないくらいですから、そういうお答えをしたことはございません。
○鈴木一弘君 例の政治家の所得云々、そのほかの問題について、いま申し上げました……。選挙時の献金について、選挙資金にかわるものは、現在所得税法では免税になっておりますけれども、そういうものについて、一体期日をいつにするかというようなことは、法を改正しなければならぬし、政治資金規正法、公選法等の改正のときに同時に出したいという意向だったのですが、そうすると、これは税は税として、政治資金規正法の改正だけが先に走って、税の改正、いわゆる税の優遇というものは、ずっとあと回しになる、こう理解してよろしいですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 規正法の中でそういう規制をするのか、別に税法として結論を出すのか、これもまだ方針がきまっておりません。
○鈴木一弘君 政治資金規正法については、その程度にしておきます。
 次に、再版価格維持契約についてお伺いしておきたいのですが、公取委員長は、前回ここで総括質疑を行ないましたときに、現在適用除外を行なっているもの、それについてはそのまま認めると言っているわけです。ところが、一方で原則としては禁止するという答弁もしている。私はそれでは穴抜けの状況だと思うのですけれども、すでに言われているように、全適用品目、いままで適用しております品目を、適用除外品目を残すということになれば、法として独立するという意味がなくなってくるんではないかと思うのです。新しい再販価格維持契約法をつくる意味がないんではないかと思いますが、その点はどうですか。
○政府委員(北島武雄君) 私は、現在指定しておる商品がそのまま残ると、こう申し上げておるわけではございません。ただし法律のたてまえといたしましては、法律の施行の際に、旧法によって指定されておった商品は経過的にそのままいくという考え方でございます。ただし、これから法の施行までに時間もございます。その間におきまして、現在認めておる指定品目につきましても、内容の再検討を行ないたいと、こう考えておるわけでございます。その上で適正な品目にいたしました上で新法に載らせる、こういう考えでございますので、決して新しい再販法をつくる意味がないということではございません。ことに今度の、ただいま考えております再販規制法案の、まあ一番の考えの骨子といたしましては、やはり公開登録制度というところにあろうかと思います。再販売価格維持契約関係のものは、現在届け出ございますが、その内容については一般の閲覧に供するということは現行法ではございません。やはりこれをやっぱり消費者の監視の目にさらし、それからメーカーもお互いに自粛するという体制をとらせることが、やはり最も効果的な再販の規制の方法ではないか、これには現行法ではできなかったのでございます。それからまた、現在再販売価格維持行為というものもいろいろございまして、これが必らずしも現在の不公正な取引方法の禁止の中で全部まかなわれるかというと必らずしも疑問の分もある。その間の範囲を明確にする、こういうふうに思ったのであります。
○鈴木一弘君 はっきり言えば、現在の再販がある程度消費者に影響を与えているから、どうしても独立法としなければならないということから出発したんだと思いますが、何となく、伝えられていた公正取引委員会の態度が、私は軟化してきたように思う。これは通産、厚生、農林の各大臣にお伺いしたいんですが、物価引き下げについては一体どうお考えになっているか。その一つは競争の原理を尊重していくのか、あるいは完全競争という立場をとるのか、それから再販について、これは禁止すべきと思っているのか、やるべきと思っているのか、あるいは現在の再販価格、今度の改正について何か新しい品目を加えたい、こういうように活動をしているのではないか、そういう便乗をやろうとしているのではないか、こういうおそれがあるわけでありますが、この三点について三大臣から伺いたいと思います。
○国務大臣(菅野和太郎君) お尋ねの第一の物価については、競争の原則によるかどうかということでございますが、いまの日本の経済事情のもとにおきましては、物価は需要供給の原則によってきめるということで進んでいきたいと思っております。それから再販制度ということにつきましては、いま公正取引委員長からお話がありましたが、いま公正取引委員会におきましてこの規制を強化するということについていろいろと成案中だということを聞いております。最終案についてはまだ承っておりませんが、しかし、通産省といたしましては、この規制を強化するという、その趣旨については賛成でありまして、協力したい、こう考えておる次第であります。
○国務大臣(坊秀男君) 厚生省といたしましては、再販に関係のあるものは、主として医薬品でございますが、医薬品を公正妥当なる競争によってやっていくということが、これはもう最も大事なことであろうと思います。ただ、まあ医薬品の特殊な性質上不当なる競争が行なわれまして、非常に不当廉売が行なわれますと、その品質が低下するということもございますので、ある点においては再販価格というものによってさようなことのないようにしていくということも大事なことでございます。今日公取におきまして再販価格について検討が加えられておりますので、その公取の検討と並行いたしまして、厚生省といたしましても慎重にこれの検討をしてまいりたい。ただ、今後これを強化していこうとか、あるいは品目を加えていこうなどといったような考えは持っておりません。
○国務大臣(倉石忠雄君) 農林物資につきましては、ただいま再販の関係のものはございません。
○鈴木一弘君 再販のものはございませんという話だったんですが、厚生省では医薬品、化粧品が現在再販になっております。それについて少しでも指定品目からはずされるのを何とか防止したいということでもって話をしている。農林省では主食を原料とするものについてはこれを再販の中に入れてもらいたいということをいっているんじゃないですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 米は御承知のような食管法で特別の段階をつけて価格をきめておりますので、その問題はただいま起こっておりません。
○鈴木一弘君 主食を原料とする加工品についてのことです。その点についてはどうなんですか。入れてないんですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 主食を原料とするものもいまさようなことになっておりません。
○鈴木一弘君 前回のここでの公取委員長の答弁では、圧力はかかっていない、陳情はあるけれどもと言ったんでありますけれども、各省からはかなり強力に骨抜きをさせようという動きがあるんじゃないかと思うのです。いま各省からの答弁もいただいたのですが、実態はどうなんですか。その辺の事情を少し伺わせていただきたい。
○政府委員(北島武雄君) 法案につきましてはただいま法制局で鋭意審議せられつつあるわけでありまして、その案がきまりまして、おそらく各省として最終的な御意見があればお申し出があると、こう考えておりますが、ただいままでのところ各省から圧力がましいことば絶対にございませんから。
○鈴木一弘君 現在の独禁法の二十四条の二の再販価格維持契約のところにも、これをやる場合について指定をしてはいけないというのがある。それは自由な競争が行なわれているということや、一般消費者により日常使用されるものである、そういう場合でなければいけない、こうなっているわけですが、はっきり言いまして、自由競争をすでに阻害されているものがあるんじゃないか。たとえば化粧品あるいは医薬品等の中身を見ましても、すでに市場支配率が七〇%をこえているというものがかなりの分量あると思われるわけです。そういうものについてもこの自由競争という原理を守ろうとしている独禁法あるいは今回つくろうとしている法律の扱い、それをそのまま新しく法をつくる際にそのままずっと続けていくんですか。ここのところであらためて整理をして、シェアの大きいものについてはそれは取り除くという作業をなさるのかどうか。
○政府委員(北島武雄君) ただいま考えております法案の内容でも、やはり指定する場合には自由な競争が行なわれることが要点でございますので、現在指定しております高品につきましても、はたしてお話のように、自由競争が行なわれておるかどうか、いろいろ問題のあるものもございますので、これは今後十分検討いたしまして、法の施行までに一ぺん整理する、こういうことを考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 これは最終の詰めでこの間も総理にお伺いしたわけでありますが、総理としては自由競争というものをできるだけ尊重していきたいという話だった。伺うところでは何となく圧力がかかってきている、各省からの要求もあり、法が成立するまでに曲がってくるのじゃないか、このままでいけば、むしろ現在のままのほうがいいのじゃないかという意見さえ出るようになってきているわけです。その点についてどういう御決意ですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま圧力が加わる、圧力が加わると言われますが、ただいまの民主主義、民主政治のもとにおきまして、それぞれが意見を述べることはもちろんあると思います。そういうものはいわゆる圧力だと私は思っておりません。そこで政府の基本的態度、これは一体何か、ただいま公取委員長が申しますように、どこまでも自由競争、そのたてまえだ、自由主義のたてまえだ、このたてまえを貫いていく。そういう場合に摩擦相克がないようにする、これは政治的な力だ、かように私は思っております。したがいまして、一方的にこれを非難することは当たらない。本来の主義、主張を貫く、そしてそれを実施する場合に、摩擦相克をなくしていく、政治的にも十分配慮するということでございます。
○鈴木一弘君 いまので、摩擦相克をなくして政治的に配慮するはけっこうですけれども、今回出るのは消費者にとっては最大のものでありますし、佐藤内閣にとっても物価としての法律の最初ということにな、ると私は思うのです。そうなると、あまり業者あるいは利益団体の側に摩擦のないようにということも無理じゃないかと思うのです。ある程度無理を覚悟でやらなければならない。それを円満に、何とか円満にということになれば、まるっきり骨抜きになるんじゃないかというおそれがあるのです。その点。
○国務大臣(佐藤榮作君) 大体の政治姿勢は私は貫いてまいりますが、ただいま申し上げるような態度で貫いてまいりますけれども、しかし、具体的な問題について一体どういうように扱うか、そういうときには、ただいまもお話がありますように、私どもの筋を通す、その立場からものごとの軽重の度合いも考えなければなりませんし、これはやはりただいま御指摘になりましたように、物価の安定、これは私どもの使命だとかように考えると、その方向で勇断を持ってこれに当たる、こういうことでございます。どうかそういう点ではあまり御心配なさらないように、また、今日も特別な実情の十分の調査、聴取はいたしますけれども、いわゆる圧力に屈する、あるいは利害で事をきめる、こういうようなことはいたしません。
○鈴木一弘君 総理がそう言われるのでそのまま信じていきたいんですが、いまの内閣の物価に対する姿勢というのを見ると、いわゆる商品取引所がありましても、値幅がきめられてしまう。そして自由価格というものが形成されてこない。また一方では、再販でもってきめられてくる。あるいはいろんないわゆる価格維持の法律が出てきて、そうなると、自由競争をたてまえとすると、この前総理が話されたんですが、それとは大きく後退しているような感じがする。一方で物価の安定を、消費者を守らなければならない、そういうことを言いながら、他方では経済の基本である自由経済よりもむしろそういうような価格というものを硬直さした経済というものを望んでおられるように見受けられてしかたがない。その点もう一度念のためにはっきり伺っておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 自由競争はたいへんけっこうだと、かように私ども思いますが、しかし、しばしば過当競争というようなことばで表現される自由競争がございます。こういうものはその領域を逸脱しておる。こういうものについて政府はやはり行政的な指導をしなければならぬ。これまた鈴木君の言われるのも、何も自由競争だから全部を放任しておけとか、こういうことじゃないと思うのです。そこに行政上の良識の問題が一つあるとかように思っております。ひとつ御了承いただきたいと思います。私はいま言われる、鈴木君の言う本来の姿、それを否定しておるものではございません。しかし、ただいま申し上げましたような極端な場合もございますから、私どもが完全な自由競争、そういう方向にはなかなか行きかねる、これは御了承いただきたいと思います。
○鈴木一弘君 この論議はまたあらためてやりたいと思います。
 次に時間もありませんので、公団、公庫の問題について再び伺いたいんですが、臨調答申のあとで、四十年度には公害防止事業団など三つつくった。四十一年度にはありませんでしたけれども、四十二年度になると、外貿埠頭公団、環境衛生金融公庫など五つが新設をされる。この公団の設立にあたって説明を承ると、四十年度の場合は、臨調答申が予算編成に間に合わなかったというような説明だった。四十一年度はとにかくその答申に沿って新設をしなかったようでありますが、四十二年度になりますと、今度はその反動だろうと思いますが、五つもできた。四十二年度のごときは臨調の答申は完全に忘れたというような顔をしているように受け取れるんですが、この答申が出たらばこれを尊重いたしますというのが政府のずっと言ってきたことだ。ところが、これが提出されて、昨日もありましたが、二カ年半たった現在ではどうか。公団、公庫の問題一つ取り上げても、いま申し上げたように、政府みずから臨調答申の権威を傷つけて、その精神に沿わないようにやっているとしか感じられないんですが、総理はどうなんですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 昨日もお答えをいたしたのですが、臨調の答申というのは基本的なものであり、また、非常に広範にわたっている。そういうことで全部が短期間のうちに片づかないものでございます。ただいま言われますように、公社、公団等の整理統合、これを基本的な態度といたしまして、それを堅持いたしております。現に昨年は一切公社、公団は新設しない、こういう、ずいぶん時勢の要望はございましたけれども、それを貫いたつもりであります。しかし、今年になってまいりますと、情勢の変化もございますし、その対応しての一つの行政機構、行政機構としての公社、公団等の要望、それに沿うことが望ましい状況だ、かように実は思ったのであります。しかし、簡単に、単純に数をふやす、こういうことはよくないということで、既存の公社、公団、これの整理とあわせてできるだけその方向で新らしいものをくふうしていこう、かようなことで、今回やや数がふえておりまして、そのために基本的に臨調の答申を無視しているのじゃないか、あるいは軽視しているのじゃないかというような誤解をあるいは疑惑を受けている、かように思っております。しかし、基本的な線ではどこまでも私は臨調の線を守っている、また、それをはずれないように一そう努力するつもりであります。最初に申しましたように、基本的であり、広範にわたりますので、ただいま行管においていろいろの問題を検討しております。その場合に行管にまかすことなく、私自身が行管のうしろだてになりまして、そうして臨調の答申を実施に移していく、こういう方向で努力する、お約束いたします。
○鈴木一弘君 行管のうしろだてになって強力にやっていくということばでありますから、期待をかけたいと思います。
 行管長官、行政改革を推進しなければならないのは行管長官の役目だと思いますが、この二年半の間、答申提出後どのような改革がなされたか、その実行された内容と、それをはばんでいる最大の要因は何か、この二つをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(松平勇雄君) 臨調の答申が出てから以来今日までどういったことを実行に移したかという御質問でございますが、いろいろやったわけでございますが、一つずつ申し上げますと、まず、行政監理委員会の設置をいたしました。第二に、閣僚協議会の整理、活用と、審議会等の整理をいたしました。第三が消費者行政の改善のため、経済企画庁に国民生活局を設置いたしました。第四は、青少年の行政の改善のため、総理府に青少年局を設置いたしました。第五が、大蔵省国有財産局の臨時貴金属処理部を廃止いたしました。六が、文部省の調査局を文化局に改組いたしました。七が、労働省労働基準局に労災防止対策部を設置いたしました。八が、通産省の軽工業局及び繊維局を化学工業局及び繊維雑貨局に改組いたしました。九が、許認可等の整理、これにつきましては、すでに臨調指摘事項の約四〇%を実施いたしましたが、さらに今国会に関係法案を提出いたしておりますが、それが可決されますれば大体五三%ぐらいは整理できることになっております。それから第十は、事務運営の改善をいたしました。それから第十一には、日本蚕繭事業団と日本輸出生糸保管株式会社を統合いたしまして日本蚕糸事業団といたしました。それから十二に、鉄道建設公団に対する政府出資額の増額、これは臨調の答申に、政府出資を増額してもう少し強力に仕事ができるようにしろという答申がございましたので、三十八年度は五億円でございましたが、逐年増加いたしまして、四十二年度では八十八億に増加いたしております。十三は、農地開発機械公団に対する国営農地開発事業の大幅委託をやっております。十四は、本年度高速増殖炉の開発を行なう事業団を設置するにあたり、原子燃料公社を吸収し、動力炉・核燃料開発事業団とする、これは今国会において審議を願っておるものでございます。以上が大体今日までやりました概要でございます。
 それから臨調の答申が思うように進んでいない原因はどうかというようなお尋ねでございますが、これは行政各部における権限意識、または現状維持への強い執着があるということは事実でございまして、いわゆる割拠主義と申しますか、そういったことが非常に災いをなしておる。第二には、一般的に個々の具体的な問題についてしばしば大局的な見地に立つ態度に欠ける向きがあるわけでございます。第三には、各種団体がそれを助長していること等が臨調あるいは行政監理委員会等において指摘されておりますが、私もそのように考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 非常な抵抗が多いということですから、それだけに総理が多大のうしろだてになってといっても大きな決意を持っていかなければならない、そういうところだと思うのです。私は公団、公庫のようなものは全然新設するな、そういうことを言っているわけじゃないのですが、しかし、一方で行政に要求されている内容も変わってくる、それに従って対応して能率的な行政機構をつくっていく、これはもう当然なことだと思うのです。旧態依然たるままでいつまでも役に立たなくなった機関をかかえている、死んだ子供をかかえているような状態でもしかたがない。それで新設を急ぐよりもまず無用の機関の整理、そういうことをはっきりやっていかないと、これは新設すればするだけ大世帯になるだけでなく、能率も悪くなるということになるわけでありますから、そういう時代の要請にできるだけマッチせよ、マッチしないものは整理統合しょう、これはただ臨調の答申に沿って行管がやるということじゃなくて、先ほど答弁にもありましたけれども、政府みずから強く私はやっていただきたいと思うのです。その点は総理に再び御決意のほどを伺いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの鈴木君のお説に私も全面的に賛成でございます。これはなかなかお話にもありましたように、勇気を要する問題でございますし、外部的な支援もぜひお願いしなければならないと思います。政府は責任を持ってこの問題と真剣に取り組んでまいるつもりでおります。
○鈴木一弘君 いま、積極的に真剣にということですが、公団、公庫の整理統合については積極的におやりになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま申し上げましたように、私はその趣旨に賛成でございます。だから賛成だというその立場においてこの問題と取り組むつもりでおります。
○鈴木一弘君 そうすると、一体いつごろまでにその整理統合のめどをつけるか、目標がなくては実施はこれは不可能でありますし、空論になってしまいますが、予算委員会の審議の際には大体整理もいたします、統合いたしますということをたびたび言われるわけでありますが、国会が終わると、もとのもくあみになって、いつの間にか新設はあるけれども整理はない、こういう結果が次の予算委員会に出てくる。そこでひとつおよそのことでけっこうでございますが、いつごろまでにやるということが言えますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはなかなかむずかしいお尋ねでございます。しかし、いま誠意を持ってやるということを申しました。もう一つこの場合に考えなければならないのは、やはり離職者の処置の問題もあります。したがいまして、構想は練ってでき上がりまして何々公団をやめる、かように申しましても、すぐそれで人の整理まで問題が片づくわけでもございません。したがって、それは時期的なものもそれぞれのものによりまして考えていかなければならぬ、かように思っております。いま、もうすでに私どもが考えておるものがないわけではございませんけれど、そういうものがややおくれているのはただいま言うような点にもあるのでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、明年度の予算審議の際には、これこれの合理化を行なった、これだけの整理統合等があったということは内閣の責任としてこの委員会に報告というものがなされると、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 強い御要望だと思いますので、政府もまたその線において実現を期するようにこの上とも努力するつもりであります。
○鈴木一弘君 公団、公庫の整理統合に対しては、監督官庁になっている各省の反対が強くていつも途中で挫折をする。人事や金の面がつながっているからだと思いますけれども、そこで臨調の答申に出ている十八でございましたか、指摘をされておりますが、その具体的なものについて各大臣にここでどういうふうになさるか、いつまでにどうするか、答申どおりにするかということを伺っておきたいのです。これは農林大臣、それから北海道開発庁、運輸大臣、郵政大臣、――いらっしゃらなければいるところだけでけっこうです。――行政、科学技術庁、それをお伺いいたします。
○国務大臣(倉石忠雄君) ただいま総理大臣からのお話もございましたように、私どもといたしましては、行政を簡素化することはぜひ必要である、そういうたてまえでできる限り臨調の答申の趣旨に沿いたいと思っております。ただしかし、御存じのように、臨調ではそれぞれの機関をもっていろいろ勉強をされたとは思いますが、私ども当該事業団をあずかっておる立場から申しますというと、技術的にこういう答申の趣旨は一体どういうことであろうかというふうな疑問も出てくる面が多々あるわけでありまして、たとえばいま農林省の関係について御指摘のありました魚価安定基金という、これは理事長というのは、沿岸漁業のきわめて零細な人たちが集まっておる全漁連でありますが、その全漁連の会長が無報酬で理事長を兼ねております。取り扱っておる対象は多獲性魚でありまして、その主たるものはサンマであります。最近はこういうものについては不漁でございますからして、あまり活動いたしておらないようでありますが、零細な漁民はこの魚価安定基金があることによって非常に安心感を持っていままでもやってまいっております。臨調の答申の中にはこれと畜産振興事業団を一緒にしたらどうだという意見がありますが、私は行管も臨調の趣旨に沿うていろいろお話がありますが、そういう点は掘り下げて技術的研究をされたらどうかと思っております。魚価安定基金の行なう使命と豚をやっておる畜産振興事業団の事業を一体一緒にしてどのような成果があがるかということもしろうとでもわかることであります。したがって、そういうことについては、私のほうは鋭意臨調の専門家とも意見を交換いたしておる最中であります。で、しかも、これに関係のあります零細なる漁民の要望、零細なる畜産家の要望等も加えまして、この二つのことについては、いま鋭意臨調と協議をいたしておる最中でございます。技術的に見れば非常に困難であることは臨調もよく理解をし始めておる模様であります。
 蚕糸事業団について申し上げます。蚕糸事業団はいまここで行管長官からお話のありました蚕繭事業団と、もう一つ生糸関係のものを臨調の趣旨を尊重して一緒にいたしまして蚕糸事業団ができました。衆議院、参議院の農林水産委員会における委員諸公の論戦を聞いておりますというと、最近の繊維産業に対する全体の国民の要望、それから国際関係における需要の増強等によって蚕糸業というもの、ことに繭及び生糸業についてはその拡大生産をなぜしないかという熱烈な要望のある今日であります。私は化学繊維が発達してきました数年前の当時と今日の日本の状況とは非常に違っておることは業者でなくてもよく理解できることだと思います。したがって、この蚕糸事業団もいま申しましたように、当初は臨調の趣旨に沿うて二つのものを一つにいたしましたが、輸出等にも非常に力を入れてやっていこうというときでございますので、このことにつきましては、本年の予算でもさらに十億円の追加をしていただきまして、輸出生糸を取り扱う事業を広げるような状態になっておりますので、これらにつきましてもやはりただいまそういう事情、実際の状況について臨調と話し合っております。
 もう一つは、愛知用水公団でありますが、愛知用水公団は愛知用水公団法によりますれば、木曽川水系の水利は愛知用水公団がするということにもなっておりますが、やはり水資源公団と一緒にすることがいいというのが臨調の答申でございます。そこで私どもは、その趣旨はよくわかるのでございますが、地元の岐阜、愛知、三重三県知事及び三県の国会議員さんたちは、愛知用水公団のきめこまかないままでの事業に非常な執着を覚えておられますというようなことも考慮しながら、このことにつきましては、いま非常に何と申しますか、フランクな気持ちで臨調の趣旨を尊重しながらこの事業をどのように解決すべきであるかということについて鋭意部内においても研究をいたしておる最中でございます。
 森林開発公団につきましては、これもやはり御承知のように、民間の保安林等を保護育成いたしていくことが非常に必要であることはもう御承知のとおりでございます。そういうことから、あの答申がありまして後、森林公団の事業内容というものが著しい変化を生じておりまして、このことも臨調はよく御理解になったようでございますが、これらのことについてはなるべく臨調の答申の趣旨に沿うたてまえで技術的にどのようにしたらいいかということについて、私どものほうで鋭意検討をいたしておる、なるべく趣旨に沿うように善処いたしたいと、こう思っておりますが、森林開発公団については御承知のように、臨調はこういうものはやめろということは言っていないのであります。事業内容をもっと改善拡大すべきだということでございます。
 以上、お尋ねのことを申し上げました。
○国務大臣(坊秀男君) 公団公庫の整理につきましては、ただいま総理大臣、行管長官から総論的なお話がございまして、鈴木委員からも何でもかんでもやめてしまえという趣旨ではないというおことばも承ったのでございますが、さような御意見もよく胸に体しまして、私のほうといたしましては、臨調で爼上に乗っておりますのは医療金融公庫であるように承っておりますが、医療金融公庫について申し上げます。
 医療金融公庫は、昭和三十五年に国の医療機関整備方針に即して私的医療機関の整備、機能の向上をはかり、公的医療機関の整備と相まって国民の医療を確保しようとして設立されまして、今日まで一貫して医療機関の適正配置、特殊高度医療機関の整備につとめ、その効果はきわめて大きなものがございました。医療機関は公たると私たるとを問わず、ともに公共的な仕事をしておるのでございまして、その整備のために要する融資は、特に国の医療行政と直結したものであるとともに、医療機関の特殊性を考慮した政策的配慮のもとに行なわれる必要がございます。したがって、医療金融公庫は、私といたしましては、今後ともぜひ必要であると、かように考えております。今後におきましても御承知のとおり、この医療の需要は増大していく一方でございますし、他面におきまして医学、医術の発達に伴いまして速いテンポで特殊高度化していくものと考えられますときに、この医療需要に対応するために医療機関の適正配置、医療施設の近代化、高度化のためにさらに医療金融の充実、拡大をはかっていかなければならないということは否認できがたいことだと思っております。
 そこで、今日まで医療金融公庫は、三十五年に発足以来昭和四十一年度までの間に八百三十六億五千万円の貸し付けを行ない、千百六十八病院、三千二百十二診療所を新設いたしましたほか、二千三百八病院、三千百七十一診療所の近代化に寄与してまいっております。貸し付け金の回収はきわめて順調に行なわれておりまして、四十一年末までの回収額は百四十三億三千万円と相なっております。なお貸し付け金の中には焦げつきは全然ございません。今日要望額に対して充足しておりますのは約半分程度しかないと、こういうものでございまして、私どもといたしましては、今後の日本の国の医療の将来ということも考えてみまして、医療公庫というものは存続をさせていかなければならないものであると、かように考えております。
○国務大臣(二階堂進君) 北海道地下資源開発株式会社の運営につきましては、十年にもなりますけれども、赤字の累積でございまして、臨調の答申も赤字の累積を早く解消して、そして自主探鉱に持っていって再建策を考えろ、こういう御指摘であるようでございますが、この会社御承知のとおり、一面国策的な会社でもありますし、また、北海道の未開発地帯に対しまして探鉱等の仕事をやっておりました関係、また技術者のふなれあるいは新しい機械等を取り入れたこと等によります技術者の未熟練な面等もありまして、思うように黒字の経営になっていなかったことばまことに遺憾に存じます。三十九年、四十年は多少黒字が出ましたが、四十一年度におきましてはまた赤字が予想されておるような状態でございます。そこで、この会社は何も黒字を出さなければならないという性格の会社でもなかろうと私は思っておりますが、今後は首脳部の一部の刷新を行ないまして、また、自主探鉱等あるいは深掘り等の本来の仕事にも主力を注ぐようにいたしております。また、経営の面につきましても厳粛な気持ちで臨んでもらうようにいたしております。大体向こう二年の間において経営が立ち直るような再建計画も立てまして、臨調から再び指摘されないような方向に会社の内容を持っていく決意でございます。
○国務大臣(小林武治君) 郵政省関係では、郵便募金管理会を中央共同募金に一緒にしたらどうか、こういうお話でありますが、募金管理会の募金そのものは御承知のように、郵便切手に付加された寄付金で特別なものでありまして、しかもその資金が共同募金は単なる社会福祉事業と、こういうふうに限定されておりますが、郵便募金のほうはガン対策とか小児麻痺とかあるいは原爆治療とかあるいは南方同胞援護とかいろいろのことをやっておりますので、その目的が共同募金会とは非常に異なっておる、こういうことでありますし、しかもこれらの寄付金を配分したところに対しては監査等のこともやっておるということで、共同募金に合併してもあまり経済的あるいは能率的な運営が期待できない、こういうことで、この面については行政管理庁もかなり御理解をされつつあるようでありまするので、その辺の御事情をひとつ御了解願いたいと思っております。
○鈴木一弘君 まだそのほかにもございますけれども、ざっと伺ってみても、ほとんどは公団、公社の整理ができないという状態であります。総理からは先ほど決意のほどで何とか期待ができるような話があったのですが、これだと臨調の答申の実行どころか、まるきり期待が持てないということになるのです。それを排除してもおやりになると、このようにお約束していただけますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いろいろお尋ねになりましたが、全部が納得がいくそれぞれの存立の趣旨を了承なさると、これは整理ができないことになります。私が整理すると申しましても、そう暴力をふるうわけじゃございません。しかし、やはり何とか整理しよう、効率をあげようという方向でものごとを考えていけば、何かまた結論は変わってくるのじゃないか、私はかように見ておるのです。ただいまいろいろな問題が議論されております。それぞれが必要があるからこそ設立を許された、かように思っております。今度はこれを整理の方向に向かう、いかにむずかしいかということはよくわかると思います。したがって、政府においても不断の努力が必要だし、また、各方面の協力がなければできないというのは、こういう点でございます。私は別な観点から効率をあげよう、こういう観点に立ってみれば、やはり整理の方向でものごとを考えるべきだ、かように思っております。
○鈴木一弘君 時間が非常になくなりましたので、この程度にしておきますが、最後に、防衛庁の関係で伺っておきたいんですが、国防会議は国防の基本計画、防衛計画の大綱を決定することになっておりますが、基本計画はありますが、防衛計画は策定されているのかどうか。あったら示していただきたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 鈴木委員にお答えいたします。
 防衛計画は策定されておりますが、事柄の性質上機密にわたりますから、遺憾ながら申し上げかねる次第でございます。毎年策定されていることは事実でございます。
○鈴木一弘君 毎年策定されているということでありますが、それでは私は一つそこで伺いたいんですが、防衛出動やった場合ですね、仮定の問題ではありません、実際に国防会議で決定することになっているわけですから。その防衛出動の際に、現在では戦車は緊急自動車に入っていないと思うんです。それはどうなっておりますか。もし緊急自動車に入っていないとなれば、赤信号の場合に、あるいは横断歩道等では一時停止をしなければならぬ。
○国務大臣(増田甲子七君) 御指摘のとおり、いまのところは入っておりませんが、緊急の際には適当な措置をとって、例外の措置をとっていただくように目下検討中でございます。
○鈴木一弘君 その例外の措置というのは法的な措置なんでしょうか、何でしょうか。
○国務大臣(増田甲子七君) 道交法が法律でございまするから、法律以上のものが必要である。こう考えておる次第でございます。もっとも法律をつくって、詳細なことは政令に委任するということも考えられるわけでございます。
○政府委員(島田豊君) 補足して申し上げますが、戦車そのものは道交法による一般の車両でございまして、これについては特例はございません。緊急自動車としての指定もございませんが、道交法の規定によりまして、緊急自動車により誘導される車両につきましては、緊急自動車と同じような取り扱いを受けるということになっておりますので、自衛隊の使用します緊急自動車により誘導される戦車というものにつきましては、その特例を認められる、こういうことになると思います。
○鈴木一弘君 自衛隊の緊急自動車あるいはそうでなければパトカーで誘導してもらわなければ通れないということの答弁になるわけですね。
 法以上のものをということを言われた。それで、私は非常に心配なので伺っておきたいんですが、前回の三矢のときでございますが、いろいろな答弁がなされた。その中で国家総動員体制は、総動員法のようなものは必要でないけれども、そういう体制はどうしてもとらなければならない、こういうことを政府側の海原政府委員から答弁があるわけでありますが、その体制というものについてはどういうように考えておりますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 総動員体制というようなことばは使いたくないのでございまして、各般の措置がとられまして、それで防衛出動の目的を達成するようにいたしたい、こういうことを防衛庁長官としてはこの際申し上げておきます。そこで、各般の措置というものは、政府の、あるいは諸機関の、あるいは府県市町村の、あるいは一般民衆の御協力を得る、こういうようなことでございまするから、それにつきましては、引き続いて検討中であるということを申し上げておきます。
○鈴木一弘君 その各般のことについて引き続き検討中である、民間の協力も得なければならないということになりますと、言えば、はっきり申し上げれば、戦争中のような立法ではないにしても、何らかの体制整備というものをやらなければならない。そういう不安が一つの三矢研究のようなものを私は生んだんだろうと思うのです。幼稚な、いわゆる戦争中の法規だけを目途にしたような考え方が出てくる。いろいろな法律に関連してくると思うのであります。その辺については、ただ研究整備だけで、いつまでもいつまでも時間を費していく。国民はその点非常な関心も持ち、不安も持っておるわけです。そういうことは絶対あり得ないから、防衛庁として、また政府としては、そのような国家総動員のようなものは考えない、こういうことであれば私は納得しますけれども、どうなんです。
○国務大臣(増田甲子七君) 昔のような国家総動員といったようなものは考えておりません。自衛隊法には、出動した場合には収用すると、物資収用を願うと、あるいは他人の土地を通るというようなことがございます。そういう場合には、政令をもってそれを定むということになっておりまして、その政令について目下研究中でございます。
○鈴木一弘君 一つだけ……。私はこれは総理にもお伺いしておきたいのですが、スクランブル――緊急発進をした場合ですが、あの場合に現在では、いままでの政府の答弁によれば、刑法による正当防衛しかない。そうすると、発砲されたら発砲するということでありますけれども、全部これが正当防衛であるかないかというときは、そこに乗っている搭乗員一人の判断にまかせる以外なくなってくる、緊急の場合には。そうなりますと、一国の運命というものがたった一人の肩にかかってしまう、第一線の人に。非常な私は危険があると思います。その点については今後どういうふうに考えておるのか。ただ刑法の整備だけということで終わらせるのか、あるいは退避を命じても向こうが入ってくるというときにはやるのか、そういうことをどうするか。これは今後の外交上なり国防上なりの大きな問題になると思うのですが、その点について。
○国務大臣(佐藤榮作君) 非常なレア・ケースというか、まれな事態をお考えになって、これはたいへんだという、それからの進め方の論理のように実は思うのです。しかし私は、いまの正当防衛というようなものは、これはもう常識的にきまるものですし、また、特に防衛体制をとらなきゃならぬとか、こういうような事態については、そうその唐突に事態が起こるわけでもございません。ただいまいろいろの場合を想定して御心配になることは、もちろん、これ必要なことだと思いますけれど、私は、いまお話しになるような事態は起こらないものだと、かように考えます。
○鈴木一弘君 じゃ、やめます。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で鈴木君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、藤田進君の質疑を行ないます。藤田君。
○藤田進君 いよいよ予算の総括も本日をもちまして大詰めになりましたが、あらかじめ通告をいたしましたもの以外に、最終日でもありますので、質疑にわたると思いますが、お答えをいただきたいと思います。
 まず最初に外務大臣にお聞きいたしますが、今朝来報道されております極東の軍事情勢を中心に日米安保協議会の専門委員会、これはかつて大平・ライシャワー会談で保留されていたと私は了解いたしておりますが、いずれにしても、そういうものが今回東京において開かれるということになり、その内容も若干報道されております。この性格並びに日米間に協議せられる議題等を全貌を明らかにしていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) マクノートンという国防次官補が極東視察の一環として日本に来たと、それからバーガーという国務次官補代理が政策委員会――日米の政策の懇談会に出席をしたと、こういう機会に、日本・極東全般の政治あるいは安全に関する諸問題、安全保障に関する諸問題について日米両方で懇談会を開いたということでございます。これは定期的ということではなくして、そういう人が来た機会に、外務次官、防衛庁の次官が出席をしたわけですが、日米安保条約という条約によって日本防衛の責任もアメリカは持っておるわけですから、日本・極東全般にわたる安全保障に関する情勢を懇談するということは、これは必要なことだと思っております。そういうことで、ちょうどそういう機会があったので懇談会を開いたということで、これが定期的にこういう会議を開こうという考えはございません。
○藤田進君 まあ、たまたま見えたということになりますと、本来の要務は何であったのでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 国防次官補ですからね、こういう極東情勢が非常に動いておるときでもあるから、まあ、極東全般の情勢視察というところで日本へやってきたということで、要務といっても、ああいう国防次官というのはしょっちゅう方々動いておるわけでありますから、ことに極東の情勢というものはこういう動いておるときであるだけに、そうやって日本に来るような場合も、特別な意味は私はないと思います。
○藤田進君 どうもこの秘密外交というか、たまたま来たので、じゃひとつきょうあす会おうかというようにはこの態勢から見て思えないのです。いま二人の名をあげられましたが、ほかに相当多数の当事者が会合されているわけであります。この点はもう少し出席者について明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 出席者については政府委員から説明しますが、これは実はたいした意味は持ちようがないのですね、日本の場合は。ベトナムがどうなろうとも、日本は厳重なやはり憲法の制約も受けて、そういう軍事的に日本が深入りするようなそういう話には――いろいろ御心配になった御質問と思いますが、そうたいした相談をする会は開きようがないのですね、日本は。ただしかし、日本の安全保障というものに対しては、これは重要な関心を持たなければなりませんから、こういう会議を開いて、そうしていろいろと話し合うということは、これはそのことは非常に何か深い話ができておるのではないかというように御心配なされたとするならば、そういう性質の会議ではない。しかし、出席している人間については、政府委員から申し上げることにいたします。
○政府委員(東郷文彦君) 出席いたしましたのは、ただいま大臣からお話しのありましたマクノートン国防次官補、それから国務省から先ほどのバーガー、これは国務次官補代理でございます。国務省からスナイダーという日本部長、それから政策企画、つまり長期的計画企画委員会担当をしておりますイェーガーという人、あとハワイの太平洋軍司令部から将官が来ております。
○藤田進君 名前は。
○政府委員(東郷文彦君) 名前は朝日新聞に出ておるとおりでございます。(笑声)ハッチンとか、ハッチンソンとか……国務省からまだ防衛外交面を担当しておる担当官のワイスという人、もう一人原子力関係の担当でありますスコット・ジョージ、大体これらの者が参加しております。
○藤田進君 まだ漏れているな。
○政府委員(東郷文彦君) 漏れているのがありましたら……。
○藤田進君 じゃあ、朝日新聞読んでくれ、それを。
○政府委員(東郷文彦君) ちょっと朝日新聞を取ってまいりますから――アメリカ側は、先ほどジョンソン大使を忘れておりました。まずジョンソン大使、マクノートン安全保障問題担当国防次官補、マッキー在日米軍司令官、バーガー国務省東アジア・太平洋地域担当次官補代理、イェーガー同政策企画副委員長、ワイス同総合政策、政治軍事問題部長、スナイダー同束アジア・太平洋局日本部長、スコット・ジョージ同原子力・航空宇宙問題部長、ハルペリン同次官補――同次官補と申しますのはマクノートンのことでございますが――次官補補佐官、以上でございます。
○藤田進君 わがほうは。
○政府委員(東郷文彦君) わがほうは、外務次官、防衛次官、外務省から私と担当の課長、事務的補佐といたしまして担当課長、防衛庁は防衛次官、官房長、渉外参事官、統幕議長、これらでございます。
○藤田進君 そこに出たついでに……。そうすると、朝日新聞の今朝の記事は、一面トップ全面そのとおり。あなたいま、名前とともにそのとおりであると承認いたしますか。
○政府委員(東郷文彦君) 出席者に関する名前はそのとおりで、ございます。ただ、その全部がそのとおりということは……、出席者だけについてはそのとおりでございます。内容について多少書いてございますが、それはそのとおりであるとは申しかねます。
○藤田進君 じゃ、どこがどういうふうに違うか、詳しく説明してもらいたい。
○政府委員(東郷文彦君) 先ほど大臣から申し上げましたように、マクノートン次官補が参りましたときに、外務省及び防衛庁の者が非公式懇談をいたしましたわけでございますが、さような非公式のものでございますので、その内容を一々申し上げることは御容赦願いたいと存じます。(笑声)たとえばここにございます軍事専門委員会というようなものではございません。
○藤田進君 初めからずっと行を追うて言うてくれ。
○政府委員(東郷文彦君) まだこれ、私全部詳しく読んでおりませんので、一通り読ましていただきます。(笑声)
○藤田進君 ちょっと読んでくれ。――読む間に、総理は事前にこのことを協議を受けられて承諾を与えられたものでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 全然さようなことはございません。
○藤田進君 知らなかった。外相はこのことはむろん御承知で、そのとりなしについては了承を与えたということですか。なぜ総理に相談しなかった、これだけの重大なことを。
○国務大臣(三木武夫君) 私は、この会議を重大な会議だととっていないのです。しょっちゅう外国から次官補程度の人は来ますから、それがいろいろ会議を開く場合があるわけで、事後にはいろいろ、そのあとで重要な問題があれば総理に御報告を当然しなければなりませんが、事前には私限りで処理するような案件というものは一ぱいあるわけでございます。その中の一つでございます。
○藤田進君 声を小さくしたからって事の重大性が小さくなるわけではないです。(笑声)これは認識不足です。
 では、お伺いしますが、この種のものがこれだけの構成で従来どの程度開かれている、また、今後このような会議が、もうたまたま来なければ開かないというように聞こえるわけです。先走ってそれほど重要ではない、あるかないか聞いてないですが、非常に今度は先回りされているところが怪しい点が多いです。
○国務大臣(三木武夫君) そんなに、予算の総括質問のさなかに開くのですから、こういうふうないろんな御論議を呼ぶことは明らかです。こういう環境の中に開こうというのですから、そんなに秘密で用意するような会議でないことはむろん明らかでございます。ただ、日本とアメリカとの関係は安保条約があるのですから、私はひんぱんにいろいろ開いていいと思う。それはあまりたまにしか開かぬと、いかにも意味があるようで、そういう機会があればいろいろ話し合って、防衛の責任を負うておるということは、たいへんなコミットですから、そういうことで、そういう機会があるたびにいろいろ話し合ってみるという必要は私はあると思うのでございます。そういうことで、特別に裏の何か意味があるんだと藤田さんがお考えになったら、それは少し思い過ごしで、まあ、こういう安保条約の結んでおる国としては、しょっちゅうこういう会議を開いていいんだと私は考えているので、特別な意味はないと申し上げて、これは事実でございます。
○藤田進君 防衛庁長官にお伺いしますが、事務次官等、いわゆるきのうも言われたシビリアン・コントロールの中枢の方がきのうもきょうもということになるわけですが、防衛庁長官はどういう任務を与え、どういうものを相談しろということでこの会議に出席せしめたか。また、先方からどういう話し合いをしたいということだったのか、詳細に明らかにしていただきたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 一般的にはアメリカからちょいちょいやってきまして、われわれの部下とちょいちょい話をする、そういう会議でございまして、連絡の会議でございます。新聞に伝えられるところで修正を要する点は、日米安保協議委員会というものは、これは岸−ハーター交換公文の上からでき上がっておる正式の会議でございます。その会議はあまり簡単であって要領を得ないからその下の専門委員会を開くんだというこの記事は、誤りでございます。その内容は、そこはひとつ政府側として修正を皆さまに申し上げるわけで、別段新聞社に申し上げるわけでありませんが、そういうわけでございます。そこで日米安保条約体制でございまするからちょいちょい、同こうの幕僚が来ればこちらの幕僚と相談をする、同こうの次官補以下が来ればこちらの次官補以下が相談をするということは包括的にあるわけでございまして、一々大臣あるいは総理大臣等に御了承を得て、はしの上げ下げまで指揮を受けなくてはならぬというわけではない、こういう意味のものでございます。そこで、藤田さんに特に御了承願いたいのは、日米安保協議委員会の下部機構としての専門委員会ではないという点だけを明瞭に申し上げておきます。
○藤田進君 会議録にはどういう名称としてこれが表現されますか、防衛庁長官。
○国務大臣(増田甲子七君) これは懇談会だと思いますが。
○藤田進君 無責任じゃないですか。あなたは国防関係の防衛庁長官として、いやしくも両国間の代表が会って協議をするそれが何という性格のものか、懇談会だろうと思うくらいのことじゃ、これはけしからんですよ。はっきりしなさい。
○国務大臣(増田甲子七君) とにかく、向こうでいろいろ極東の情勢を話したらしいのですけれども、まだ私も報告を受けておりませんし、その報告のことは、いまアメリカ局長が内容は御容赦願いたいと言いましたけれども、私どもは御容赦願うほどの内容をまだ聞いていないのでございまして、その内容がもし機密にわたることであるならば、私も御容赦を願って、(笑声)そしてお答えしかねる分も当然……、しかしながら、ちょいちょいわれわれの部下が向こうの部下と話し合うということは、日米安保体制上むしろしかるべきことである、職務上当然のことである、一々われわれが知っていなくては無責任とは私は考えていないのでございます。
○藤田進君 いやしくもアメリカ側の大使がこれに参加し、わがほうも、防衛庁においては事務次官、外務省もそれぞれの高官が参加して両国間で懇談にしろ何にしろ協議がなされるということが職務上の問題であり、それを所属の長官が何ら知らないということではこれは過ごされません。待ちますので、事情を聞いて御答弁いただきたい。
 それから外務省もう読んだろう。
○政府委員(東郷文彦君) 熟読いたしましたが、この記事に対しましては、ただいま両大臣から御説明ありましたところに、どうもそれ以上つけ加えることはございません。
○藤田進君 両大臣に関係ないよ。この朝日新聞に出たとおりだというので、それは出席者だけだと、そのあとはどうなっておるか。全部認めるわけにいかない。しからばどの点がどう違うか、じゃ読んでみろというのだから、その内容を明らかにしなさい。朝日新聞が議論の基礎になっておる。あなたがしたのだから。
○政府委員(東郷文彦君) この記事の中には、この日米安保委員会の下部機構であるかないか、あるいは将来定期的に開くか開かないかというようなことに関する解釈が、あるいは観測、判断が入っておりますが、それらの件につきましては、その下部機構というものではない、あるいは将来定期的に開くという性質のものでもない、こういうことでございます。
○藤田進君 それから話の内容、ずっと初めから言ってごらん。ベトナムの問題も検討したろう。
○政府委員(東郷文彦君) 内容につきましては、極東及び世界の軍事情勢について、主として向こうの話を聞いたということでございます。
○藤田進君 まだ足りない。北米局長、何べんも言っておるように、初めからどこが違うのか、二点、専門委ではないという点を含めればようやく三点が違うということになった。そのほか、朝日新聞を議論の基礎にあなたが引き出してきたのだから、朝日新聞に出ておるとおりだと、ところが違うところもあるのだな、やっぱり。出席者以外にそれはどういうふうに違うかと言ったところが、いまの三点だったのだが、そのほかたくさん出ている。協議委で1から3まで問題になって、それについては、1はベトナムの軍事情勢とアメリカの政策、それから一九七〇年の日米安保条約の再検討を迎える国内の動向、これはあなたのほうで話した。それから日本の防衛上の問題点、こういうものが中心になっておる。これは単なる観測記事とは見えない、これは。
○政府委員(東郷文彦君) ただいまお聞きになりましたところは、この前の日米安保委員会に関する部分であると存じますが、それで記事によりますれば、それを引き継いでさらに軍事面の専門的話をしたと、こういう記事になっておると存じます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、これはこの安保委員会の下部機構あるいは小委員会というようなものでやったわけではございませんので、したがいまして、その点は正確ではないと存じます。先ほど申し上げましたように、主として極東及び世界の軍事情勢について向こうの話を一般的に聞いたと、こういうことでございます。
○藤田進君 第二日目は。ずっと書いてある。第二日目はどうなっておる。
○政府委員(東郷文彦君) 引き続き同じ問題について二日やったわけでございます。
○藤田進君 で、どういう話が出たのか説明してもらいたい。
○政府委員(東郷文彦君) その点は、先ほど申し上げましたように、そういう非公式の懇談でありますし、相手方との了解もありますので、一々どう話したという点は御容赦願いたいと存じます。
○亀田得治君 役所の費用でやっている会議でしょう。あんたらが私費で非公式にお茶を飲みながら聞いておるという、そんなものじゃないでしょう。しかも二日間もかけて。二日間で合計何時間です。はっきりしてください。それと中身。中身についてその要点だけでもここで明確に報告しなさいよ。報告を断わるという理由は成り立ちませんよ。相手方とそういう約束をしたと言うかもしれぬが、そんなことは一方的な約束ですよ、皆さんの。国会でしゃべらないためにわざとそういう約束をする。そんな約束は必要がないことでしょう、第一。何も語らないと、そんなばかなことはないですよ。二日間の時間と中身、ちゃんと項目的にやってください。それと会議の性格ですね。名称ですか。藤田委員から盛んにお聞きになっている名称はどういう名称なんです。何となく集まるというわけにはいかぬでしょう。大使なりあるいは米軍の責任者がおるわけでしょう。そこら辺もはっきりしてください。何でも機密に関するからごかんべん願いたい、そう一言さえ言えば通るのだ、そんな簡単に考えられちゃ困るのですよ。機密なら機密、なぜ機密か、その周辺まではちゃんと説明をして、これからはこうなるからこうだというふうなことでなければ、そんな包括的に軍に関係あることはすべて答えないのだ、そういうことじゃだめですよ。もっと、あなた直接会議に行ってわかっているわけでしょう。大臣はわからぬのだよ、これは。わからぬ者に聞いたってだめだ。あなた自身がわかっておるのだから、ここでしゃべりなさいよ。――いや、外務大臣、知らぬでしょう。中身を知らぬで、そんな、口先がじょうずだからごまかしちゃだめだ。
○国務大臣(三木武夫君) いや、亀田さん、こういうことだと思いますよ。会議に何か秘密があるからというのではなしに、(「あるから言わないのだ」と呼ぶ者あり)こういう会議というものは、全部内容を――いろいろ国際会議の場合でも話し合って、その内容というものは発表しないという会議もたくさんあるのです。それは何も秘密なことがあって国民にそれを隠そうというような意図でなくして、国際会議の性質としてそういうものがあるのですね。(「影響が大きいから」と呼ぶ者あり)影響はないのですけれども、これを全部このことをすぐ話をするというようなことが――何かそのことによって、話をすることに制約を受けるようなことはいけない。ざっくばらんに話し合うためには、この話というものはこれを外に全部発表するということをしないようにしようという会議がたくさんあります。そういうことで、この会議もそういう話し合いでやっておるのでしょうから、ここでほんとうはみな申し上げたら御安心いくでしょうが、(「安心がいかないから」と呼ぶ者あり)だから、そういう国際的な約束のもとでやった会議は、やはりそれは守るべきだと思います。そうして名前は格別ついてないので、やはり日米両国の国防、国務ですね、こちらのほうは外務、防衛庁の幹部の情報交換会とでも、しいて名前をつければつけられるでしょうが、会議録もつくらぬのです、これは。だから、固定の名前をつけておるわけではないのであります。特に名前をつけて、会議録もちゃんとつくるというものでもない。ことに申し上げておきたいのは、この会議から政府の政策についての何らかの決定というものがもたらされるものではない。お互いの情報を交換してということだけで、このことが政府の政策決定に影響を与える会議というふうにはおとりくださらぬようにすれば、この会議というものはそんなに重要な会議でないということも御理解願えると、そういうことでございます。(「時間は」と呼ぶ者あり)次官がおっても政策決定をする会議ではない。極東情勢に対しても情報を、情勢を……(「所要時間」と呼ぶ者あり)四時間だそうでございます。そういうことで、非常に何かこれに特別な意味がほんとうはないのですよ。ほんとうにあるわけないのですから、日本に……。
○藤田進君 だから、発表したらいいのですよ、それほど影響も何もないものであれば。発表ができないからそこに問題がある。この間同じ朝日の、京都で行なった新聞関係の会議でも、これはガラスばりでしたよ。国際会議ですよ、民間の。発表しなさいよ。
○国務大臣(三木武夫君) それは私は、こういう会議というものはできるだけ発表がいいと思っている。しかし、約束して、これはもうこの会議はこれはやはり発表しないようにするということで出発した会議は、いかに藤田さんに責められても、この約束を破ってここにいろいろ言うということはどうも国際慣例に反すると思います。しかし、このことによって何か隠された内容があるというふうなことは全然ありません。日本でそんなことはないですよ。隠された内容というようなことはできるはずはない、日本では。
○藤田進君 それを隠しておるから……。外務省、どこが違うのか、そこからいこう、それじゃ。どこが違うか。だって新聞にも出ているじゃありませんか、出席者までこれは。新聞に出ていた。これは正確にきちんと合っているのだ。これを読んでくれというぐらいだ。内容になればあいまいなんだ。どこが違うとも言えないのだ。新聞に出ているのはどこが違うのか、それぐらい言いなさいよ。東郷北米局長でいいですよ、出席したのだから。
○委員長(新谷寅三郎君) 外務省のほうからは他に答弁はありませんか。
○政府委員(東郷文彦君) ありません。
○藤田進君 朝日新聞を見てくれと言うから見たのだよ。その出席者の名簿ははっきり合っていたのだ。それ以外がどうなっているのか聞いているのだ。それ以外は。
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめて。
 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記を始めてください。
○国務大臣(三木武夫君) この会議が、まあ一口に言えば勉強会というような会議ですから、いろいろ議題をこしらえてそれで話を詰めるというような会議でもなかったので、一々拾い上げて、議題があった正式の会議ならば、藤田さんの言われるように、項目を言えと言えば、それはごもっともだと思いますが、そういう勉強会的性格ですから、項目といえば、極東全般の軍事、政治情勢、向こうも話をするし、日本からも知っていることは言ったという――私はまだ報告を受けていないのです。いまここで問題になりましたので、どういう話かということを問い合わしたら、そういうことについてお互いにまあ勉強したということでありますから、議題をつくって何と何とをやるという会議の性質ではなかったものですから、だから、非公式だし議事録もつくらぬという会議ですから、まあ、そういう全般のいろいろな話が出てくるでしょう、極東の軍事、政治情勢ですから。そういうふうにどうかこの会議の性格をおとりを騒いだいと思います。
○藤田進君 いや、それはごまかしでね、極東の軍事情勢その他外交全般についてというベトナムも入るのですか。ベトナムの情勢についての見解……。
○国務大臣(三木武夫君) 聞いておりませんけれどもね、当然極東情勢の中には、それは話の中にベトナム問題も触れるだろう、当然のことだろうと私も思います。
○藤田進君 じゃ、出席者から聞こう。
○政府委員(東郷文彦君) ただいま外務大臣から申されましたことに私からつけ加えることございません。
○藤田進君 そんな横着な答弁でどうするんだ。外相はまだ聞いていないと言うんだ。おそらくこうだろうと言う。どうなんだ。正確に答えてもらいたい。聞いていない人から答弁受けたって意味ないから、ぼくは出席者に聞いているんだ。
○政府委員(東郷文彦君) いま私、ここで大臣に申し上げたわけでございます。
○藤田進君 何と申し上げた。何と申し上げたの。何と申し上げたのか。そんなことぼくら聞こえてないよ。出席者から聞くのですよ。
○国務大臣(三木武夫君) 私が言ったことを、こういう、ここで……
○藤田進君 まだ報告を受けていないと言ったでしょうが、あなた。議事録を見てください。報告は受けていないがこうだ、そんな前提があって、報告を受けていないけれどもそうだろうという想像を聞いているのじゃないのです。出席した人がいるのだから。何と報告したの、それじゃ。片っ方、報告受けてないと言ったのだ、いま。
○国務大臣(三木武夫君) いま私が言ったのは、ここへ東郷北米局長を呼んで、こういうことだということで、詳細の内容については報告を受けていないというので、議題にしたことはいまここで私が聞いて、この、東郷君の言ったのは、外務大臣が答えたとおりでございますということを、まあことばは足らなかったでありましょうが、そういう意味のことをお答えしたのでございます。
○藤田進君 局長、まだ詳細報告してないのだろう。報告してないのだから……
○亀田得治君 委員長、議事進行。これは、単にこの場だけじゃなしに、ともかく国会の審議を制約するような前例をつくっていくということは非常に考えなきゃいかぬと思うのです。局長あたりの者がいろいろなことを知っておって、そうして国会の正規の審議の場で一切それを語らない、こういうばかげたことは了承できませんよ、事柄のいかんにかかわらず。そんな、極東全般の軍事政治情勢ぐらい、こんなことはこのメンバーさえ見れば大体わかることで、何もそんなことを聞いているわけじゃないのです。また、そういうことが、項目だけでも、項目ぐらいは言うていいじゃないか。これは、だれでも、常識です。そこで、いま理事会やりましても、総理もおそらく横で聞いておられて、その点にはうなずいておられたように私は感じるのです。ところが、その項目のとり方の問題、あなたがおっしゃったのは、あんなものは項目のうちに入りませんよ。項目といえば、それじゃ極東全般の軍事政治情勢、その中で、一つ、ベトナム、一つ、中国と、こういうふうにあなた区分けがあるはずですね。それについてさらに何を、どういうことがあったのだと、そこまで藤田委員が言うておるわけじゃないでしょう。せめてそれくらいはわれわれとして知る権利があるのです。そんなあなた、外務省の局長くらいの者が知っておってわれわれがわかぬというのは、そんなことは公になった以上は引き下がるわけにいかぬですよ。だから、たとえばいまベトナムのことは入っておったかと、こう出ておるわけですね。だから、そんなことを一つ一つ言わないで、その内訳の項目、まあ、こまかく分けだせばこれは切りがありませんが、こっちは何もそんな意地の悪いことを言っておるわけじゃない。大まかな項目ですね、その中身の。五つなり十なりちゃんとあるはずですよ。四時間もやっていて、だらだらと何もあとも先もなしと、そんなばかげた話はない。それをおっしゃってください。そうしてもらわなければ、これは進めようがないじゃないですか。
○藤田進君 あなた、大臣の次が行って話し合っているのでしょう。勉強会なんてふざけたことは言いなさんなよ、勉勉会なんて。いまさら勉強しなければやれないようではどうするのですか。
○国務大臣(三木武夫君) この項目といえば、極東、日本の安全を中心にして極東の全般ですから、いろんな、ベトナムの問題も当然に話が出ると思いますよ、だけれども、中心はやはり日本の安全というものを中心にして極東全般の話でしょうから、いろんな話は出るけれども、それを一々こう分析的な議題のような会議ではむろんないわけですから、いろんな日本を中心とする安全保障の問題について、内外の情勢というものを話し合ったというので、一々こう項目別の会議でないですからね。そういうことで、まあわれわれが考えられるような問題というのは、みなその会議の中で当然出ると思いますよ。しかし、内容はですね、これはやはり国際会議では、非公式で内容は発表しないという会議は、亀田さん、たくさんあるのですよ、内容についてはね。これを全部内容を発表せよということは……。
○亀田得治君 全部とは言うてない。
○国務大臣(三木武夫君) 項目はいま言ったような日本を中心とする極東全般の軍事政治情勢についてお互いの意見を交換した。それは当然その中にはベトナム問題も、こういう極東情勢でしょうから、出ることは当然だと私は思います。内容は申し上げられない。しかし、項目はいま言ったようなことで、ベトナムといういま御質問でございますが、ベトナムもむろん極東情勢の中にはいろいろ話が行なわれることは当然のことだと私は考えます。
○委員長(新谷寅三郎君) 藤田君、進めてください。
○藤田進君 進行せいじゃない、詰まってしまって……。まだ詳しい事情を、報告を聞いていない人が、何か詳しい話をするし、詳しい話を知っている者ががんとしてそこへすわっている。そんな質疑応答の態度がありますか。
○委員長(新谷寅三郎君) ちょっとお待ちください。それでは藤田君の質疑を続けてください。
○藤田進君 どうなりました、いまの。
○委員長(新谷寅三郎君) いまの問題は、理事諸君と相談をいたしましたが、昼の休憩時間がありますから、その間、外務大臣も関係局長から意見を聞かれて、状況を聞かれて、あらためて休憩後再開のときに外務省から何らかの答弁をしてもらうということで進行することになりましたので、質疑を続けていただきます。
○藤田進君 その点了承いたしますが、こっちの持ち時間の都合もありますから、委員長においてはそれらの配慮をお願いいたします。
 それでは次に小笠原返還につきまして、おととい外務大臣は分科会におきまして、私も同席をし、かなり積極的、明確な御答弁があったわけです。要するに、沖繩よりは事情も違う。したがって、これとは切り離して、墓参の措置も済んだことだし、島民の帰島も含め、これが返還について積極的な努力をしたいと、こういう御答弁がございました。総理の御所見を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私の名前を藤田さんお出しになったから、私から答えたほうがいいと思うのですが、この沖繩と小笠原とは事情が違いますね。なぜかといったら、引き揚げてまだ帰れてないのですから。施政権の返還を政府は沖繩と小笠原を別々にして要求するという、そんな政府は方針を立てておるわけではないですよ。しかし、事情が違いますからね、沖繩と小笠原帰島と。帰りたいという人がまだ帰れない、墓参だけですから、そういうこの帰島についても積極的に努力してみたいと思っております。そうして、やがてそういうものが出れば施政権の返還ということに、これは一気にそこへ行かなければ、帰島ということも一つの過程としては考えられる過程で、これを別々に、沖繩と小笠原を別々というのでなしに、これは両方並んで沖繩、小笠原というものは解決していきたいという方針でありますが、沖繩と事情が、皆引き揚げておるという事情があるので、それを何か帰すような努力ができないかということでするということで、両方別々の施政権の返還をやるという方針を私はお答えしておるわけではないのであります。
○藤田進君 言い直しましたな、今度。
○瀬谷英行君 関連。この間の分科会で外務大臣の答弁を聞いた印象では、沖繩と小笠原の問題について事情が違うのだから、だから、もしこの日米の友好関係というのが、外務大臣の言うように、対等の立場に立つ友好関係ならば、事情の違う小笠原についてはこれの返還を求めるということは可能なことじゃないのか、そういう努力はできないのかという意味の質問に対して、まず島民の帰島と。墓参に次いで島民の帰島をはかる。それから返還についてもこれは積極的に取り組みたいというふうに私は聞いたわけなんです。だから、何か日にちがたつにつれて内容が後退をするように聞こえるわけです。それからきのうの新聞等によると、アメリカ側は沖繩も小笠原も返還できないということを言っておるのです。それから問題になったいまの会議の第二日においても、新聞に出ておりますけれども、沖繩並びに小笠原についての返還あるいは戦略的価値等についても話し合いが行なわれる模様と書いてある。いま局長は、言うことはできない、御容赦を願いたいと、こう言ったけれども、新聞にはちゃんと出ている。そこまで話をするようになっている。にもかかわらず、この小笠原の問題については国会では一切言えない、あるいはまた、話をしてもまことに要領を得ないようなことしか報告されないということでは、われわれとしてはなはだ残念でたまらない。だからこの機会に外務大臣からもっと意欲的な答弁というものを私は期待したいと思いますし、この問題について政府としてもっと積極的に取り組む気持ちがあるのか、ないのか、このことについては私は総理から御答弁願いたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 小笠原問題は、過日も私発言いたしました。また、小笠原問題の墓参等については最初から関係しておりますし、ただいま外務大臣からお答えいたしましたように、過日も指摘したことであります、沖繩は同胞があそこに住んでおりますけれども、小笠原については、同胞の一部だけは帰った、しかしながら大部分は帰れない、帰島ができておらない、こういう事情にありますから、まず墓参、帰島を許す、こういうことが本来の筋だ、かように考え、この問題と取り組んでいく、それはただ南の沖繩、小笠原の問題だけでなしに、さらに北方の領土もわれわれ考えていかなきゃならない、こういうことを三つに分けてお話をしたのでございます。これは私どもの戦後処理の問題として当然やらなければならない重大な課題でございます。
○藤田進君 これは二十四日に、反射的にアメリカのスポークスマンが、小笠原の返還はできないと、外務大臣が参議院の予算分科会で言ったけれども、こうなってきたらすぐ腰がくだけてしまって、いまのように何やらそんなことは言ったことがないようなことに聞こえるんですが、これは水かけ論になりますから、後刻休憩時間に速記録を調べて、その上でまた質疑を続けたいと思います。
 地域開発一連のものについてお伺いをいたしますが、まず最初には関連いたします自治大臣。先般四十二年四月十七日、これは自民党の都市政策調査会に説明された資料を昨日実はもらいまして、この要点とするところをお聞きしたいわけですが、自治省としてここまでの意見を持たれるということは、非常にりっぱだと思うのです、中身は別として。まず、この言わんとするところをお示しいただきたい。
○国務大臣(藤枝泉介君) 都市問題に対しまして、基本的にはもう大都市への人口、産業の集中は抑止すべきものである。そうして地方の開発拠点の育成に努力をするということが基本であろう。しかし、大都市への人口、産業の集中の底力と申しますか、それはまだ根強いものがございますから、やはりある程度の大都市の再開発はやらなければならないが、それは必要の限度にとどめて、その余力は地方の拠点都市の開発に充てるべきではないかということを基本といたしておるわけでございます。
○藤田進君 建設並びに企画、それぞれの方針を聞きたい。
○国務大臣(西村英一君) 国、公共団体を通じまして、国土開発の基本方針は、やはり均衡ある国土の発展をはかるという意味で、いま自治大臣もおっしゃいましたように、大都市へ人口、産業がむやみやたらに押しかけるということは、やはり基本政策としては、これはできるだけ防止しなければならぬと思っております。したがいまして、まあ政府としても、早くから、やはり産業都市あるいは工業の特別地域等の法律もあって、その方策をとってきたわけでございます。しかしながら、一方におきまして、やはり全然この人口の移動がとまるというものではございません。したがいまして、現在の都市全体を見ますると、やはり現在のままにしておけないということでありますから、既成の市街地その他大都市の周辺におきましては、やはりそれ相応の政策をもって臨む。したがいまして、私の建設省といたしましては、都市の再開発をはかるとか、あるいはまた都市の利用計画等につきましてもできるだけやらなければならぬ、かように考えておるものでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 藤田委員よく御承知のように、やはり問題は二つあるわけでございまして、私ども全国総合開発計画の観点から申しますと、できるだけ人口なりあるいは資本の蓄積なりが分散をすることが望ましいということは、もうこの十年近く考え、また申しておるわけであります。しかしながら、今日まで実際の事実について見ますと、私どものそういう希望にもかかわらず、なお人口及び資本が大都市に集中する傾向は今日も続いております。それが違う方向に転じ始めたという徴候は、残念ながら今日までのところ傾向が続くのではないだろうか。一つはやはり経済の持っております論理というものがそういうものであるかと思いますが、したがいまして、片方で、ただいま建設大臣の言われましたように、都市計画法の改正であるとか、あるいは都市再開発であるとか、首都圏その他の整備であるとかいうことに力を注がざるを得ないのでありますが、他方で、新産都市でありますとか、工業整備特別地域でありますとか、あるいは低開発に対する工業誘致の優遇措置でありますとか、これはすべて先行投資的な性格を持っておるわけでございますが、そういうことによって人口なり資本なりの動きをそちらのほうへ誘導しよう、こういうことにつとめておるわけでございます。今日までのところ、しかし趨勢は、なおやはり都市圏に人口、資本が集中するという傾向がまだやんでおらないように見ておるわけでございます。
○藤田進君 じゃ、まあこの三者が中心ですが、聞きますが、自治省の都市政策調査会の説明資料、これはかなり膨大ですけれども、このプリンシプルというものについては、建設並びに企画庁も異存がないのですか、違うところがあるのでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大筋におきまして異存はございません。
○藤田進君 建設どうです。
○国務大臣(西村英一君) 私も同じく異存はありません。ただ、自治省のおっしゃいましたことは、やはり都市化対策――都市化対策と都市対策はやはりおのずからそこで分けて考えるべきじゃないか。なるべく都市に集中しないようにという考え方、したがいまして、そのためには、私のほうの公共事業の配分にいたしましても、どちらかというと、新産都市とか、あるいは工業特別都市というようなものに力を置いておるのでございます。また、国土幹線自動車道もやはり地方開発のためにやるのでございます。しかしまた私は、一方、都市対策もやらなければならぬ、こう言ってところ対策を立てなければならぬという、自治省の考えに私はまっこうから反対する、そういうものじゃないというつもりでございます。
○藤田進君 総理にお伺いします。お聞きのように、若干ニュアンスが違うんです。私も実はずいぶん詳しく調べてみましたが、ことばで端的に言えばそういうことになりましょうが、総理はどういうようにお考えでしょうか。池田内閣時代は、新産と中核地方都市をつくり、続いては工特法その他、たくさん法律はあります。あるけれども、これを中核にして都市の過密化を防いでいこう、あるいは首都においては、一時、皇居の移転説、あるいは文教衛星都市、筑波山ろく、ここまで話も進んでいったわけですけれども、実は佐藤内閣になってから、めぼしい、そういった地域開発におけるポジションをどこに考えるかということが出ないまま、各省若干のニュアンスの違いのままで今日に至っていると思います。総理とされて、社会開発、同時に地域開発、あるいは諸般の格差の是正等々から見て、政策の基本はいまの論争の中でどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまは、当面しております問題は、片一方で過密都市、また地方において人口流失その他による過疎の状態が出ている。こういうことで、非常に不均衡でございます。しかし、政治から申せば、都市も地方も通じてこれはまんべんなくしあわせである、こういう社会をつくることが望ましい。また、それに努力すること、これは当然であります。そういう意味から、それぞれの具体的な問題と取り組んであるわけであります。池田内閣時分の新産都市、あるいは工業整備特別地域、あるいはまた低開発地域に対する開発計画を進めるとか、こういうようなこともございます。まあそれによって過密都市のほうは自然に解消するように思ったかもわかりません。しかし、その時分もやはり、過大都市、過密都市対策を忘れておるわけじゃありません。ところが、企画庁でいろいろ計画をとってみますと、現在の状態は望ましくないこと、これは非常にはっきりしているのであります。しかしどうも、都市化の傾向はしばらく続くというふうに見ざるを得ない。そこで、ただいま問題になっておりますのが、都市の再開発、同時に地方における各種産業を起こすこと、あるいは工場の誘致の問題であるとか、その場合に、もっと具体的に言えば、筑波山ろくのような都市ができれば、いまのような過密を防止することにもなるのじゃないか。さらにそれが発展すると、あるいは行政区域、あるいは経済区域、産業区域、こういうものがもっと分かれてもいいのじゃないか、こういうような議論にまで――これは議論ですが、そういう議論にまで実は発展するのであります。
 そこで、政府がいまこの問題と取り組んでいて、一体どういうようにしたらいいのか。その一つの方法として、土地の利用計画というものが考えられない。そうして、土地の利用計画を考えて、土地自身の地価の安定も考えるが、同時にその利用区分によって土地が整備される。そういうことで、いまの過密、過疎対策、これにも取り組み得るのじゃないだろうかというようなことを考えるわけであります。
 ただいま問題とされましたように、都市再開発法が言われるかと思うと、都市計画法が言われる。そこらには、いかにも二つのものがやや違ったものであるかのようにもとれるのでありますけれども、これは私は別に矛盾はしてない。また、それぞれのものが必要なように実は思うのであります。さらにまた、公害防止基本法などができてまいりますと、これもやはり、今後の産業のあり方、あるいは過大都市のあり方等にも一つの制限になる、かように私は思っておりますので、あらゆる施策を総合的に遂行することによって、ただいまのような国内の開発、均衡のとれた開発へ進んでいきたい、かように私は考えております。
○藤田進君 防衛庁長官どうですか、防衛上どうあるべきか。
○国務大臣(増田甲子七君) 私は、防衛上ということはあまり考えたことはないのでございますが、国会議員としては種々考えるのでございますが。すなわち、あまり格差をつくってはいけない、ことに過密というものはよくないから、これを整備するようにということは、前から非常に努力をいたしております。防衛上の見地から、過密になった場合はどうかこうかということは、いま御指摘を受けましたけれども、まだそこまでは、日本の防衛力も整っておりませんし、考えたこともないわけでございます。
○藤田進君 総理にお伺いしますが、これは先刻御承知だと思いますが、いまのままの政策をお続けになりましても、過密都市の解消ということは、これは不可能だと思います。やはり農村地帯では挙家離村が続いておりますし、何と申しましても、東京、あるいは大阪、北九州、こういうふうに殺到してくることになるわけです。とすれば、これに対する、過密を排除するということになれば、抜本的な対策を講じ、緊急対策としての都市政策というものはあるとしても、わが国土の総合開発ということになれば、諸般の政策というものを、いま言われました均衡あるという意味からすれば、地方都市というものを十分考えていかなければならないのじゃないか。これは四十三年度予算あたりからはもっと変わった形が出していただけるかどうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま藤田君から御指摘になりますように、私がまたお答えいたしましたように、ただいまの状態、これは望ましくないのだけれども、この傾向はしばらく続くだろう。そこで、積極的にこの傾向を防ぎあるいは是正していくような政策をとる。この傾向というのは、都市化の傾向であります。とにかく都市化の傾向が進んでいる。これを何か変えて、地方に分散するようにしなければならない。それが、ただいま御指摘になったとおりであります、よほど画期的な考え方でないと、これは全体としての開発計画には乗りにくいのじゃないか。私はそれをたいへんに心配し、党におきましてもこの開発計画と取り組んでおりますが、しかし、これからの政治は、ただいまのところに一つ問題があるのだ、私はかように考えておりますから、これが一、二年のうちにその方向が明示されるとは思いませんけれども、ぜひともこれを基本的な問題として取り組んでいかなければならぬ、かように私は思います。
○藤田進君 建設大臣にお伺いしますが、以上のこの地域開発等と密接不可分の関係を持ってここに登場いたしておりますのが、いわゆる本州−四国の架橋問題で、これは相当政治問題になってくると予想されます。これが日本土木学会に委嘱され、これが報告を求められておりますが、これらについての架橋問題に関する経過並びに現状をお伺いいたします。
○国務大臣(西村英一君) 建設省といたしまして、この本州−四国架橋につきまして、道路公団とともに土木学会に研究委託をいたしまして以来、ちょうど五年半になります。去る五月の十九日に、その本州四国連絡橋技術調査委員会の報告は最終的にまとまったわけでございます。
 この調査会におきましては、もっぱら技術的な問題につきましての調査をいたしたわけでございます。それぞれのルートにつきまして詳しい膨大な報告があるわけでございます。しかし、これらのどのルートをとりましても、実に世界的規模の大工事であるわけでございます。私たちのほうは、この報告を受けましてから、これは技術上の報告でございますから、それに基づきまして、今後各ルートに対します建設費、あるいは工事期間、そういうようなものをこれから一々計算をしていかなければならぬと思っております。しかし、そのことだけですぐルートがきまるわけではございません。これはルート決定につきましてはまだ最終的に考えはまとまっておりませんけれども、もちろん、関係閣僚に御相談することはもちろんでございまするが、やはり民間ベースにおきましてもいろいろなこの協議機関をつくる――これはまだ総理にもお話はいたしておりませんが、そういうような方法をもちましてなるべくそれを詰めていきたい、かように考えておるものでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をとめて。
 〔速記中止〕
○委員長(新谷寅三郎君) 速記をつけて。
 藤田君の質疑の途中でありますが、都合により、午後二時三十分再開することにいたしまして、休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十七分開会
○委員長(新谷寅三郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、多田省吾君が辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 午前に引き続き、藤田進君の質疑を行なうのでありますが、まず、留保になっております三木外務大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(三木武夫君) 午前中に藤田委員から御質問のあった点についてお答えをいたします。
 今回、マクノートン米国防次官補の訪日を機会に、今月二十五日、二十六日の両日にわたり、外務省及び防衛庁の少数担当者とマクノートン次官補、ジョンソン大使等との懇談が行なわれました。この懇談は非公式なもので、特に議題を設けたものではなく、したがって、結論めいたものを出す趣旨の会議でもありませんでした。しかし、極東の軍事・政治情勢全般についての情報交換を行なったのでありますから、極東の話の中には、ベトナムの情勢、沖繩の役割り、中共の問題が当然その話に出たことは事実でございます。
○藤田進君 会議の性格並びにその内容については、一応の御答弁がございましたので、その点了承いたしますが、ただ懸念をいたしますのは、いま御承知のように、ベトナムの戦争は次第に拡大深刻化いたしまして、わが日本としても対岸の火災視するわけにいかない。よって、佐藤内閣は、外相を含めて、これが一日も早く平和になるように努力をしたいというその趣旨から見ますと、いささかアメリカとの関係におけるかかる会議は、世界のそれぞれの立場にあろうとも、必ずしも適当であるとは、私これを評価いたさないわけであります。
 続いて外務大臣にお伺いいたしますが、ウ・タント事務総長が近く来日ということでございますが、ウ・タント事務総長との間における外交上の諸案件の話し合いもあろうかと思いますが、これらについてお答えいただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) ウ・タント事務総長が、特にベトナムの早期平和的解決に日夜奔走をしておることは、高くわれわれも評価し、敬意を表しておる次第でございます。日本は、いま藤田さんがお話しになりましたけれども、日本の政府もまた、ウ・タント事務総長に劣らず、一日も早くベトナムに平和が来るような努力をやってきたし、今後もやろうというのが政府の基本的態度でございますので、ウ・タント事務総長の来日の機会にいろいろベトナムの問題を中心にして話をしたいという期待をいたしておる次第でございます。
○藤田進君 せっかく来日される機会に、佐藤自由民主党総裁はもちろんのこと、全党派党首が打ちそろってウタソト事務総長にも会い、ベトナム問題の解決のためにわが日本の真意を伝え、さらにウ・タント事務総長のこの上の努力を促し、ベトナムのこの戦火が一日も早く解決するように――そういう手だての一環として、各党党首が一堂に会して事務総長に会うということについてのお取りなしがいただけるかどうか。
○国務大臣(三木武夫君) 各党の党首が打ちそろってというのは、これは、政府は政府のいろんな立場もございましょうし、そういうことですから、打ちそろってというわけにもまいりますまいが、各党首がウ・タント事務総長に会われることは、きわめて有益であると考えております。
○藤田進君 ですから、この問題に関する限り、論争の表面に出ている事柄は、各党各派、ベトナムの戦火が一日も早くおさまるように、平和になるようにということでは、これは一致していると思うのです、表面は。だとすれば、三木さんも超党派外交というようなことで、核拡散防止がまず手始めといったようなことを言っておられましたが、第二弾として、こういうことは有意義なものじゃないでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) だから、各党首が会われることは、私は有益だと思いますが、打ちそろってという……。無理に藤田さんも、みなが打ちそろって会うということに、おこだわりをされないで、各党の党首が、みなそれぞれの立場から会うようにということが実際的じゃないでしょうか。みなそろわなければいかぬというものじゃないでしょうし、各党首が会って、いろいろベトナムの平和ということをみな望んでおるのですから、話をすることは非常にけっこうだ、それがそろっていかなければいかぬぞという理屈は、私は必ずしもないんじゃないか。
○藤田進君 そろって行けない――ニュアンスの違いがあるとすれば、これはやむを得ないと思いますが、私は、正直に、ほんとうにエスカレートを食いとめていこうということで一致するならば、これこそ、一緒になってというところに意義を見出したいと思ったんですけれども、それはそれとして、外務大臣、所用があるようですから、次に移ります。あとで他の閣僚には質疑を続けますが……。
 いわゆるケネディ・ラウンドの交渉が一段落をいたしました。まだその実体をわれわれ十分つかんでおりませんが、これはまた、使いをされた宮澤国務大臣から詳しく聞きたいと思います。
 さて、伝えられるようなものだといたしましても、まだ、関税が一括五〇%に下げられたようでもないようです。今後に残されているようにも思う。同時に、アメリカの国内政策ないし立法等における障壁というものが、政策的にも相当ございますね。特に、ここ数年というものは非常にきつくなってきている。これはやはり、ケネディ・ラウンドの精神とするところからしても、一日も早く互恵平等というか、これを取り除くことが必要ではないだろうか。これは経済外交の面で特に力を入れると言われる外相におかれても、今後のプロセス並びに見通しについて、この際明らかにしていただきたい。
○国務大臣(三木武夫君) 御指摘のように、関税外の非関税障壁というものに対しては、われわれも藤田君と同じような考えを持っている。これは貿易自由の原則にそむくではないか。絶えず対米の折衝の対象になってきているわけでございます。
 そこで、現在、日米間には三つの問題点があるわけでございます。
 一つは、関税評価制度であります。これは、四百二条A項の規定と、アメリカン・セリング・プライス・システムの二つにより、関税の評価の基準というものが非常に実際の輸入価格よりも高い基準になっているわけであります。この四百二条A項については、アメリカは、今年の末か来年の夏ごろまでにはこれを廃止しようという意向を持っているわけであります。それからまた、セリング・プライスの制度については、アメリカの政府は二年以内にこれを廃止しようと――これは国会の手続きが要るようでありますけれども、国会の承認を得てという条件のもとで、政府は二年以内にこれを廃棄しようという意思表示を、ケネディ・ラウンドで行なったわけであります。
 それからまた、反ダンピング法、これについては、国際コードで反ダンピングの規約を設けようというので、アメリカの持っている反ダンピング法というのが国際コードのアンチ・ダンピング法にかわるわけでありまして、これもまた、ケネディ・ラウンドを通じて話がついているものでございます。
 もう一つ問題は、バイ・アメリカンですね。アメリカの物の価格と価格の差がなければアメリカの物を買わなければならないというバイ・アメリカン法ですね。これについては、ケネディ・ラウンドで実際大きな進展がなかったわけであります。大きな進展がなくて、今度OECD等の場において、この問題は将来の問題として検討されることになっておりますので、われわれは、日米交渉の場においてこの問題は強く、こういう差別をする貿易の制度に対しては、アメリカの反省を求めたいと考えております。
○藤田進君 外相の分科会における答弁の速記は、ここに全部手に入っております。これを読みますと、沖繩とは趣旨が異なっているし、軍事施設はあるけれども、やはり小笠原の返還のためにこの際特段の効力をしたいということで、全体からいたしますと、沖繩よりは、当面の問題として、これは切り離した形での積極的交渉ということで結ばれているように思います。そうなっておりますので、けさの御答弁と若干食い違いが生ずるようでございますが、これを訂正をなさるのかどうか。これは簡単ですから目を通していただいてもけっこうだと思う。
○国務大臣(三木武夫君) 私も速記録を見たのでございますが、政府の方針として、小笠原と沖繩とを別に切り離して一つずつ施政権の返還を要求するという答弁はしていないのです。ただしかし、小笠原と沖繩とはいろいろ事情も違っておるので、まず帰島、そして施政権の返還を求めるつもりでございますというので、その答弁のニュアンスというものは、切り離すようなニュアンスを与えるようなものがあったかもしれませんが、ここで言っておることは、切り離してやるということではないのであります。だからこれは、施政権の返還は全般のものとして考えるけれども、小笠原は少し事情も違うようだし、――第一、日本人があすこに一人も住んでいないという事情も違いますから、沖繩と全然同条件ともいえないので、この問題は帰島から施政権の返還についても今後積極的に取り組んでいきたいということを申したので、政府の方針が切り離すというような方針をきめたわけではない。しかしあらゆる可能性というものを施政権の返還については探究したいと思っておりますから、いろんな場合を考えて努力をしたいと思っておりますが、初めから切り離してやる方針だということを、この私の発言の中に表明したものではない。それはもう、あらゆる可能性を考えてみたい、事情も違うからということで、はっきりした政府の方針を打ち出したものではないので、この答弁を私はいささかも変更いたす考えはございません。
○藤田進君 まあ日本語の欠点が出ているんだろうと思うんですが、これはまあ前後の質疑等から見て、あのことが国内にもかなり高く評価されている。したがってアメリカにも反映し、これが反射してきたわけですけれども、一向に沖繩と分離という趣旨がないとすれば、それほどの評価もなかったと思います。したがいまして外相がそう言われましても、受ける者としてはそう受けないだろう。
 で、しからば、同時一括ということになりましても、御承知のように、沖繩における与党である民主党は、施政権と基地をこれを切り離して、施政権の返還ということの態度を表明いたしておりますことは、御承知のとおりです。そういう一つの説なり、実際の政治の上においても、現に沖繩の現地がそういうことを言っております。この沖繩における事情がかように明確になりました現時点において、日本政府はこれとの関連において、どういう態度でおいきになりましょうか。まず外相の答弁をお伺いいたします。
○国務大臣(三木武夫君) 私も昨日ですか、沖繩立法院の論議が行なわれたことは、新聞紙上で承知したのであります。その論議は、一つの論点として、沖繩の基地を自由使用を認めて、そして以外の施政権の返還を求めたらどうか。そうでなければ、極東の情勢が安定するまでということになれば、いつのことかわからぬというような発言がなされたように新聞の報道では報じておるわけでございますが、しかしそういう考えは私はあり得ると思います。そういう一つの考えとしてあり得る。ただ、政府は、そういうふうにこう基地を分離する考えでなしに、全体の施政権の返還が何とかできないだろうかということが、いま政府が努力をしておる方向であって、そのいま言ったような、そういう考え方も、これは一つのあり得る考えだとは思いますが、政府はその考え方を採用してはおりません。全般の施政権を何とか返す方法はないかということが、努力をしていこうという方向でございますが、いまも申したような案もあり得るだろうとは思います。
○藤田進君 これをまあ肯定するということは、現実、事実問題としてあるというよりも、そういう方法論も一応是認しながらというふうに受けとるわけで、要するに全面一括返還ということをたてまえとして交渉――これをきらわれますが、協議なり折衝をするが、しかし場合によれば、いまのような基地と分離した施政権返還ということもあり得るでしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 意見としてあり得るということです、意見として。そういう考え、意見を持っておる人も私はあると思います、意見としてあり得るので。しかし政府は、いまのところ、そういう考え方で沖繩の施政権返還を考えてないが、確かに意見としてはそういう意見はあり得るという考え方は持って、その点では、意見があるということを申し上げております。
○瀬谷英行君 そうすると、可能性としてはどちらがあるかという問題に触れてもらいたいと思います。そうでないと、われわれとしてもちょっと問題を把握しにくいと思います。施政権返還の問題と関連して、さっきの小笠原にもちょっと触れますけれども、施政権の返還要求をするならば、小笠原の場合もまず島民の帰島、それから返還、こういう段階を追って返還について努力をするという意味の御答弁がありました。私の先般の質問は、沖繩の返還について、その前にここの予算委員会でいろいろ論議されましたけれども、そのときの沖繩の施政権返還についてのいろいろな難問、制約といったようなものをやはりあげられました。そういう理由によって沖繩の施政権返還がむずかしいということになるならば、それは小笠原には当てはまらないことじゃないかということを言ったわけであります。それなら、なぜ――小笠原のほうは沖繩とは条件が違うのだと、返せるものを返さないというのはおかしいじゃないかということを言ったわけなんです。だから、これは政府としては、分離をして考えるということは、これは沖繩の住民にとって非常に問題でありましょうから軽々しく言えないかもしれないけれども、可能性は一体、沖繩の場合でも小笠原の場合でも、どこに可能性があるのか。その可能性があるならば、そこから手をつけていくという順序を経て、重点もそこに置くべきじゃないかということを、こちらのほうで質問をしたくなるわけであります。だから、いまの沖繩の施政権返還についての方法論としては、どういうところに可能性があるのか。あるいはまた、小笠原の返還問題あるいは帰島の問題について可能性があるのかどうか。それから、今後折衝をして、これを積極的に推進をするという意向が政府としてあるのかどうか、これもあわせてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) この可能性という問題につきましては、これはアメリカと政府の態度は、何かこう力で押していくというような態度ではない。われわれは日米の協議を通じて、両方が満足するような条件というものを発見して、この問題を解決していこうというのが、いまの政府の基本的態度でございますから、ただこちらのほうとしても、いろいろ可能性というものを探究しておく必要があると思いますが、これはやはりいろいろな場合において日米の話し合いをしなければ、ただこちらの希望的な観測だけでは、この問題は、国民に対しても非常な、何というのか、将来の見通しに対して誤った見通しを与えることは私はよくない。慎重でなくてはなりませんので、あらゆる可能性をわれわれ自身も検討しながら、日米の協議を通じて、どういう方法が――施政権の返還に一歩でも近づける方法があるだろうかということを探究してまいりたいと思いますので、この席上でどちらが可能性があるのだということは、とても日本だけの立場では私は申し上げられる問題ではないと思うのでございます。
○藤田進君 ところがですね、総理もこの予算委員会で、たまたままあ大浜さんも行っておることだしということでしたが――もう帰って来ましたがね。外相には第二分科会で私が、大浜さん帰って来たと――積極的な日本の青写真をもう出す時期だというむしろ見解であった。実は私も、あす会うことになっているから、十分聞いてみたいということでしたが、お会いになったと思いますが、あの趣旨からすれば、いまの御答弁のように、どこともなく案が出てくるのではなくて、わがほうの積極的なやはり案をもってですね、アメリカにおける国内事情はかなり熟しておるようなふうに大浜さんは言っておるのですが、そういう時期ですから、もっと日本の外務大臣として、積極的にこれが返還に対しての取り組みというものが必要ではないだろうか。それには現地の沖繩立法院の問答にもあったように、これも一つの考えだ、考えだが採用するしないは触れておりません。したがって積極的青写真、プランというものを持つ必要があるのじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の政府としても、あらゆる可能性というものを検討することが必要だと思います。これは、ただ施政権の返還というだけでは、なかなか問題は前進しませんから、小さいことでもいいと思うのです。施政権の返還に向かって一歩でも前進することは何でも解決したらいいと思いますから、やはり具体的にいろいろ政府が可能性について検討を加えて、案を持つということは、藤田さんのおっしゃるとおりだと思います。大浜さんも、そういう意味で、日本もいろいろ検討してもらいたいという希望が強かったというお話でしたが、沖繩、小笠原問題を解決するためにアメリカの機が熟しておるという判断については、私にはそういうことは大浜さんは申しませんでした。去年よりも関心が高まっているという感じであったと言われましたが、まさに解決の機が熟したというふうには、アメリカの世論を観察していないようでございます。
○藤田進君 総理にお伺いいたしますが、沖繩における民主党等の、基地とは分離して施政権の返還ということが真剣に提起されていることは御承知かと思います。そういう事態があってもなお全面返還ということで、あくまでもわが方はアメリカに対して交渉というか、話をするということになりますか。そういう一つの事情が――進展というか、後退というか、現地の事情変わってきた。同胞諸君の意見の集約とも言えないかもしれませんが、一応、立法院ではそういうことになっておる。とすれば、これとの関連において、ここ当面の外交について、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩の立法院でどんな議論が行なわれましたか、まだ新聞程度でございまするので、確たる中身はわかりません。しかし、沖繩の、あるいはまた小笠原の問題でも差しつかえないのですが、祖国復帰、これはもう、あらゆる角度から、また非常に根気強く取り組むべき問題でございます。これも、藤田君も御承知のように、祖国復帰、これを念願しておると同時に、沖繩が極東の安全平和に果たしておるその役割り、これを無視はできないだろう、こういう意味から、軍事基地が要るのだ、こういうような結論になっております。その二つを矛盾なく解決する方法がどこにあるか、かように私どもは考えておるのであります。今度沖繩問題懇談会を私のもとにひとつ置こう、私自身が直接そういう各界の意見を聞こう、かように心がけておるのでありますが、その際に、全面返還一つだけだと、かような窮屈な話はするわけではございません。いずれにいたしましても、祖国復帰が実現する方法、これは、どんな方法があろうかと、ひとつ考えてもらいたいと思うのです。私、一部復帰、たとえば施政権の一部を返還することのほうが非常に容易であるとか、あるいは、いまのような軍基地とその他の場所を切り離して考えることが容易だと、こういうような考え方も一部にあるようです。一部にあるようですが、これは、実際問題としてそういうような可能性というものが、これ切り離したから楽だと、こういうようなものでは私はないように思うのです。だから、各方面、各界の意見をとにかく聞いて、そうして国の考え方をやはりまとめて、そうして長い懸案事項、しかも日本の国運、とまで申しませんが、命運に関するような大問題なんですね。それにいろいろな意見があって、そうしてまだ帰一していない。こういうことはたいへん私残念に思いますので、今度は、そういう意味でも、国の考え方を統一できるようなことをぜひともしたい、かように私思うので、いまの沖繩問題懇談会、これを私自身のもとに置いて、そうして各界の意見を徴しよう、かように私決意したのでございます。
 大浜君が、最近アメリカに参りまして、アメリカでも沖繩問題に関心がいろいろ深まっておる、こういうような記者会見をされて、新聞記事にはそういうように出ております。私はしかし、アメリカというよりもわが国自身の問題だと、かように思いますので、わが国のほうがこういう問題について、もっと積極的に考え方が帰一できるなら、統一できるなら、それにこしたことはないと思います。そういうものを背景にして、なかなか困難な問題ですが、私が私の果たすべき役割りを果たしていきたい、かように実は思うのであります。
 ただいまのお話についても、沖繩並びに小笠原の問題については私もたびたびお答えをいたしております。そこで、ただいまそれじゃどういう考え方かと、こう言われると、全面返還、またその全面返還が実現するまで相当かかるだろう、かように考えられるのであります。その間に、沖繩の同胞が一歩でも内地と一体化ができるように、そういう処置をとりたいというので、いま財政的援助などいろいろやり、また行政的にもくふうをしておるというような現状でございます。でありますから、この沖繩の問題は、もちろん政府が責任を持って処理すべきことではございますが、やはり日本国民全体がどういう姿勢で取り組むか、こういうことでないと、これはなかなか実現するものじゃないと思います。ただこの問題の解決をアメリカの考え方だけにたよるというわけにはいかない、かように私考えて、たいへん苦心しておる問題でございます。
○藤田進君 今度、総理のもとに沖繩問題の委員会を置くということですが、これは総理を長とするものか、あるいは総理のもとに法制上置くのか、私的に置くのか、その内容等について、もっと詳しく御発表いただきませんと、この評価は非常にむずかしいと思うのです。どうも大浜君にまかしておくと、かってなことを言うから、わしのもとに置いて手綱を持たないとほんとうに返す方向になってしまうというふうにもとれるわけです。
○国務大臣(佐藤榮作君) いま、法制上の問題まで私は考えておりません。ただ、いま総務長官のもとにこれが置かれております。それをさらに私の規模で取り上げよう、かように実は考えておるのであります。
○藤田進君 いま、一言にして言えば、前向きに返還への日程をさらに進めていく方途として総理のもとに強力なものを置こう、こう考えてよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、絶えずこれは前向きでなければならないと思いますが、しかし、それにいたしましても、各界の意見を十分聞くことが必要だ。いまの懇談会はそういう役割りを果たすものであり、この懇談会がこれを推進するものではございません。これは私自身が推進する責任があるので、私が各界の協力を得る、こういう意味で各界の意見を徴するものを持つ、かように御理解をいただきます。
○鈴木強君 ほかに機会がないもんですから、総理にちょっとこのとき聞きたいのだが、この沖繩の全面返還については、いまお話のとおり非常にむずかしい。先般来の御答弁によりますと、極東のこういう情勢が続いている限りにおいては、もう日本のほうから沖繩を返してくれ、こういうことはなかなか言いづらいのだ、政府としてですね。そういうふうにとれるわけですね。ですから、われわれは、政府の姿勢として、全日本国民と沖繩の人たちが一日も早く返してもらいたいというその熱意を、悲願を一日も早く達成できるように、積極的にあらゆる機会を通じてやってもらいたい、これが沖繩の人たち、われわれの願いなんですね。それにはいろいろな困難のあることはよくわかります。ですから、そういう政府の姿勢そのものが、何かこう現段階においては、もうそれも言えないのだというふうに受けとられるのですね。その辺のかまえを私はひとつぜひ聞きたいのです。
 それからもう一つは、昨年のこの委員会で非常に問題になりました自衛隊の沖繩への派兵の問題ですね。この問題について、衆議院のほうで、総理は民社党の永末君の、これは仮定の質問だったと思いますが、沖繩の近くに日の丸をつけた沖繩の船がおります、その近くに海上自衛隊がおる、敵から攻撃をその日の丸をつけた船が受けた、そのときこれを守る、それから陸上に対して同時にやられたときにはこれを守ると、こういうようなニュアンスの、私、議事録を見ましたけれども、誤解を受けるようなニュアンスでした。四日間も五日間もこの委員会がストップをして、総理の統一解釈をいただいて問題が解決したわけですね。そのことは総理もお触れになっておるのです、議事録見ますと。最後のほうに気にかかるのは、そのときにはやはり守らなきゃならぬでしょうねと、そういうのがついておりましたから、そうすると、またもとへ戻ったのではないかと思うわけです。ですから、その辺はひとつこの機会に明確にしておいていただきたい。
 もう一つお尋ねしたいのは、非常にわれわれが沖繩を何か見捨てるような印象にとられても困るわけですよ、同じ員本人ですから。われわれは全面返還によって、日本の、文字どおり国民として領土の中に平和な生活をしてもらいたい、こういう気持ちを持っているわけですから、そういう意味においてやはり早く返してもらいたい。そうすれば、そういうトラブルも起こらぬではないか、こういうわけですから、その点も理解していただいてお答えいただきたいのですが、実は一昨年、あなたが沖繩訪問をされたときに、当時、ワトソン高等弁務官との間に何か約束がされたのではないかというような話が伝わりました。私はそれをよくわかりませんからお聞きしたいのですが、沖繩を極東の安全と防衛のために最大のやはり軍事基地として認めざるを得ないだろう、そして、同時に日本が沖繩を防衛する任務をやはり持って、アメリカとともにやるのだというような趣旨のお話し合いがされたとかということを聞くのですけれども、こういうことはどうでしょう、この前、私は外務大臣に聞いたのですけれども、それは知らぬというので、この機会に総理に伺っておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) この沖繩の祖国復帰の問題、これはいま鈴木君からお話がありますが、社会党の考え方と私どもの考え方には一つの相違点があるのではないか、重大なる相違点が。したがって、その重大な相違点からただいまのようないろいろのお尋ねを引き起こすようになるのではないか、かように思います。たとえば沖繩の返還という場合に、全面返還を私ども心から願う、そのほかに、同時に沖繩が果たしておる、極東の平和維持のために果たしておる役割り、これは無視できない、こういうことを私は申しておりますが、社会党の方はそれをそうだとは言われないだろうと私は思うのです。この言われないところに問題が一つあるわけです。でありますから、これは基本的には社会党と私どもがいろいろ議論していく必要がありますけれども、これをいまこの席で皆さんが納得するほど議論を詰めるわけにはいかない、また時間がないと思います。また、議論をいたしましても、これは党の基本的あり方ですから絶対に賛成されないだろうと思います。私どもも日米安全保障条約、この体制をこれは当然だ、国の安全を確保するためには当然だと、かように考えておりますが、日米安全保障条約そのものを否定しておられる社会党の立場なら、沖繩の軍基地というそんなものを考える必要ない、こういうことになっておると思うのです。したがいまして、ただいまの点からスタートするとなかなか意見は一致しない、かように私は思います。私どもは沖繩の果たしておる役割りも同時に考えていかなきゃならない、そこにむずかしさがあるわけであります。
 次に、派兵の問題に触れられましたが、派兵の問題はわが国の憲法で、これ問題なしに、いまのまた自衛隊法から申しましても、これはもう解決済みでございます。それは幾ら民族的感情が許すとか許さないとか言いましても、法制上そんなことはできない、これはもうはっきりしております。ですから御了承いただきたいと思います。
 それから、ワトソンと私が妥結しました際に、別に約束はございません。何も約束はございません。これだけははっきりしておきたいと思います。
 まあ、大体以上のように、基本的な考え方は相違しておりますから御了承をいただきたい。御了承というのは、私の答弁をこの程度で終わらしていただきたい。
○鈴木強君 もう一つ。
○委員長(新谷寅三郎君) 簡単に願います。
○鈴木強君 いま総理大臣、前段の全面返還に対する基本的な考え方については違うと思うんです、確かに。ただ、私、沖繩問題の特別委員会を国会につくったり、いろいろ政府も苦労されていると思うんですが、どうも最近の姿勢というものが、もう沖繩に関する限りはアメリカに対してものが言えないような印象を私たちは受けるんですよ。そんならもう特別委員会も何も持っていたところでむだじゃないですか。ですから、その辺の政府の姿勢を聞いているわけですから、やはり全面返還をあくまでも推進するんだというき然たる態度を掲げつつ、そういう諸般のむずかしい問題に対しての解決をやっていくというならわかるんだけれども、受け取る感じが、どうも沖繩に関する限りはアメリカさんにものが言えませんと、こういうようなふうにとれますよ。その辺をひとつはっきりしていただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) そういう御懸念でしたら言えぬことはございません。だからこそ財政的援助もことしは百三億までふやしています。だから、私どもが同胞としての一体感、これを話しすることにちっとも私どもは遠慮はいりません。また、祖国復帰について、祖国復帰を実現するためにこれこれのことをやろう、また、これができなければ一体感の実があがらないんだと、こういうことを申すのに何らはばかるところはありません。潜在主権はあるんですよ。その潜在主権を否定するようなそんな日本政府じゃない。これはひとつご了承いただきたいと思います。
○羽生三七君 一つ関連して簡単に。いまの問題について、総理、こういうことはどうでしょうか。そんなことはあり得ざることであろうと思いますが、かりにアメリカは沖繩を返してももうよろしいと、そんなことはあり得ざることですが、ところが、いまの総理の御発言でいくと、極東の平和と安全のために、また日本の安全を守るために、いま沖繩の果たしている役割りは重要であるから、そうすると、何か日本のほうが困るような印象をちょっと受けるのですが、アメリカが返すというなら喜んで返還を受けると、そう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩をアメリカが返すという、そういう場合に、極東の平和と安全確保、これはしばしばこの席でも申しましたように、これから先、国際情勢も変わるだろうが、同時に兵器などもどんどん変わるだろう、そうすると、この軍基地というものがもっと他の場所であっても同じ効果になるだろう、こういうことを私自身申しております。したがいまして、アメリカが返そうという、それを断わるようなことはございません。御安心ください。
○藤田進君 いや、これは、極東の平和と脅威とかいったようなものと返還と別々に話をしますと、なかなかそれぞれ筋の通ったこと言われますが、これは二律背反の議論でして、一緒にしますと、この間、関連で、意味がないと言ったか、意味があるとあなた言ったんだけれども、国民の願望だ。施政方針演説を何べん読んでも、椿会長の質疑にも一括返還と再度立たれたわけですね。ところが、極東の平和とだれが見てもというんですが、だれ一人これ異存があれば返してもらうわけにいかないということなんで、国民――われわれとしては、一体どこに重点、真意があるだろうかという疑いを持つからいまのような意見も出るだろうと思うんです。
 さて、この辺でひとつ国内問題、休憩前に、地域開発並びに本州−四国架橋問題に移りたいと思います。建設省事務当局、技術当局でけっこうですが、一体どういうものができるのか、新聞等によるサスペンションブリッジのサイドビューを見ますと、しごく簡単のように見えますが、このデータを見ると、大体明石−鳴門あたりで、どうでしょう、百七、八十メートルくらい、タワーのトップのメーンロープが乗るサドルのあたりの高さになると二百メートル近くになるんじゃないだろうか。それから宇野−高松その他ずっと見ましても、相当高いものができるようです。尾道−今治にしても七、八十メートルでしょうか。それからメーンロープの大きさは一体どんなものだろうか、詳しいことは聞きたいけれども時間がないと思うんで、われわれが聞いてどんなものができるかということをまず聞いてみたい。
○国務大臣(西村英一君) 先ほども申しましたように、世界的な規模のものでございまして、いま道路局長が見えておりますから、道路局長から説明さしていただきます。
○政府委員(蓑輪健二郎君) お答えいたします。五月十九日に土本学会の本州・四国の橋梁調査委員会でまとめました案によりますと、Aルート神戸−鳴門につきましては、橋梁が海を渡る延長が大体六キロ六百ございまして、そのうち二つの三径間のつり橋をかけるようになっております。その三径間のつり橋の一番大きな支間長が千五百十四メートルになりまして、それが基礎をつくります場合に、水深が五十メートルのところで、さらに根入れを三十五ないし四十メートルぐらい入れなきゃならないというような結果になっております。なおBルートの宇野−高松につきましては……。
○藤田進君 それはもう同じことです。新聞に出ているから、それは要らないです。水面から上、全然まだ出てないね。水面から上がどのくらいで、そうすると全体で幾らになるか。
○政府委員(蓑輪健二郎君) 水面から上につきましては、これは今後、航路との問題でどのくらいのクリアランスをとらなきゃならないかという問題になると思いますが、大体われわれが考えておりますのは、ほぼ五十メートル前後ではないかというふうに考えております。
○藤田進君 水面から上と言っても路面までの高さ、つまり下を船が通るだろうから、そのクリアランスが五十メートルというなら――まあどの橋もそれはそうだろうね。それから上が径間によってまた違うでしょう、サドルの高さは違ってくるでしょう。千五百、千百ぐらいの違いがあるんですからね。そうすると、全体としては水面からあれが五十メートル、その上が、メーンロープが乗るサドルまでが一体どのくらい、合わせてどうなるか。
○政府委員(蓑輪健二郎君) 実はそのこまかいディメンションにつきましては、まだ学会から正式の報告を受けておりませんので、ちょっといまのところわかりかねるような状況でございます。
○藤田進君 ロープの大きさもわからない。
○政府委員(蓑輪健二郎君) ロープの大きさその他についてもまだ私は承知しておりません。
○藤田進君 それは建設省に幹事として出ているかですね。実はきょう青木さんでしたか、来ていただく予定が出張中でだめになったわけですが、相当長期にわたり、しかも、私の見たところではかなり力学計算等もして、そうして可能、不可能をきめられたように思う、若干はったりもあるように思うけれども。ですから、そういう点はまだ計算がなってないというのでは、結論として可能であるか不可能であるかということは、これは出ないと思う。日本の産業、工業力がどの程度どうだ、そういう製品がどうなる、かなり詳しいものができておるに違いない。そうでなければこの結論が導かれるはずがないんですから。あなたでなくてもわかった人があればその人に聞きたいんです。
○政府委員(蓑輪健二郎君) つり橋のケーブルの大きさにつきましては、実はいろいろどういう鋼材を使うかによって計算はしておりますが、現在、私ここに資料を持って来ておりませんので、後刻、資料で提出させていただきたいと思います。
○藤田進君 運輸大臣に聞きますが、瀬戸内海は御承知のように相当最近衝突事故だとか、海上交通事故というのが非常に多いんです。このそれぞれのルート周辺につきまして、この架橋なる暁においては、どういう防護手段なり、あるいはいま言われていた、水面から上五十メートルというんですが、運輸省はどういうふうにお考えでしょう。それら一切を含めてお答えいただきたい。
○国務大臣(大橋武夫君) ただいま道路局長からもお答えを申し上げましたとおり、実は土木学会からの正式の報告書がまだ印刷されて手元へまいっておらないものでございますから、詳細、設計についてこれを精査する段階になっておらないのでございますが、運輸省といたしましては、これらの設計が手に入り次第、海上保安庁におきまして船舶の航行の安全を保持する方法について具体的に調べてまいるつもりでございます。いずれにいたしましても、いままでなかった橋ができ、ことに橋脚というものができるわけでございますから、いままでよりはそれだけ航行にあたっては注意をしなければならない。ことに濃霧等の場合においては一段と注意をする必要があるわけでございまして、これがためには、場合によりましては航行の規制であるとか、あるいはまた航路標識の設定であるとか、そういった点も必要と相なると思いますが、これらの点につきまして、詳細は設計書を精査いたしました上、必ず適切な措置を講ずることにいたしまして、万全の安全策を立てたいと思っております。
○藤田進君 建設大臣にお伺いしますが、これは一体、同時に全部か、あるいはそのうち一つか、これを架橋するんですか、しないんですか。するとすれば、これからどういう作業――いま聞いた範囲では実際の設計、たとえばまだ地震あるいは風圧、そういうものについては最終結論が出ていないように思う。ですから、もっと詳しい実設計というものをなさり、そうしてこれが工費がどうなる、開発効果がどうなる、あるいは経済効果がどういうふうになっていくとか、そういうものができて、しかる後、比較対照せられ、広範な政策の上でどうするかということになるんじゃないだろうかと思うのですが、どういうプロセスでお考えでしょうか。
○国務大臣(西村英一君) いま技術調査会から出たものは、やはり設計の問題、それから工法の問題、いろいろ非常に大部な材料であります。いま道路局長も、海面上の高さというようなものもいろいろありまして、それがちゃんと書いたものもあるわけですけれども、数字を覚えていないんだろうと思います。いずれにいたしましても、私のほうは技術的な一応調査ができておるんですから、その調査に基づきまして今後は建設費をはじき出さなければならぬ。それには材料がどれだけ要る、鉄鋼はどれだけ要る、セメントはどれだけ要る。この工法でやればケーソン――非常にケーソンが長いし、あるいは海流がひどいというようなことで、普通の工法ではいかぬようでございます。ケーソンを動かす場合にも普通のケーソンではいけないようです。まだ実験すべきものがたくさんあるのであります。しかしながら、まあ建設費と工期をはじき出さなければならぬ、かように思っております。しこうして、それと並行に、それだけではこのルートの決定をするわけにいきませんので、ルートの決定に対しましては、やはり開発効果とか、あるいは経済効果とか、あるいはさいぜんも運輸省のお答えになりましたような運航の障害、あるいはまた鉄道の可動橋をかけた場合に経済的効果はどうなのか、こういうようなことについてさらに検討しなければならぬ。しかし、とりあえず建設省といたしましては、建設費と工期という点につきまして、これは独自でデータが出ておりますからやれますから、その点から進めてまいりたいと、かように考えておるのでございます。
○藤田進君 それで、あなたがきめるのか、まだ何か委員会つくるとかなんとか……。
○国務大臣(西村英一君) その建設費とか工期は、これは委員会つくる必要ありません。建設省でやれます。また、中には実験をしなければならぬものがある。ルートの決定につきましては、やはりこれは閣僚ベースで協議会をつくるとか、あるいはそれだけでいかなければ審議会をつくっていろいろなものの審議を願う。この点につきましては、まだ閣内で相談をしておらないのでございます。総理にもまだお話ししていないのであります。いずれ考えまして、これらの点につきましては政府として決定をお願いして進みたい、かように考えておるのですが、大体建設費と工期の点については、まあ三、四カ月でこれははじき出せるんじゃないか、計算ができるんじゃないかというような気持ちはいまいたしておる次第でございます。
○藤田進君 すでに相当の調査費も使っているわけですが、これはここまでまいりましたが、あとはかなり地元と決定に至るまでの間における動きというものが、非常に必要以上に激しくなるんじゃないだろうか、ルートをめぐってですね。したがって、これは各党の中でもそれぞれ地域事情、感情もありましょうし、数の多いものが勝ちだというようなことになり、まあ最後に総理判断になるかもしらぬが、これとてもやはりいろいろ、総裁選挙も控えておったりすると、そう簡単にいかなかったり、こう考えてみると、一体どうなるんだろう。これ何が何でも架橋は既定方針、やるのか、まずその辺から。場合によったらやめるかもしれないというものなのか。で、やめるならいざ知らず、やるとすれば総理はどういう方法でこれは決定するのが正しいと思われますか、お伺いしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいままでのところは、能、不能というか、そういう意味の中間報告を得たと、かように私いま聞いておりますが、いずれにしても、橋はみんなできる、可能だと。ただ、これから、いま建設大臣がお答えいたしましたように、工期はどうなるか、あるいはどれだけの工事費を必要とするか、さらにまたでき上がった後にその効用は一体どうだとか、こういうふうな点をきめて、そして最終的にどこにするかということを決定するわけであります。これはいままでのところ、それぞれ関係者が多いし、政治的な運動が非常に活発になるだろう、こういうふうに御心配のようですが、私はむしろ逆に、この問題が非常に画期的な大事業である、そういう意味から、だんだん世間は落ちついて、そして良識のある方向できめらるべきだと、こういうような落ちつきを示しているんじゃないか。まあ四国の関係者などはみんなそういういま言い方をしてきております。したがいまして、こういう問題は、ただ単にいわゆる運動いかんによってきまる、こういうようなものじゃない、かように思いますので、ぜひともこういうような画期的な大工事、これはひとつ厳正に、そういうことに迷わされることなしに、りっぱな結論を出したい、かように私は思っております。
 そこで、ただいま、政府が結論出しますのに、先ほど建設大臣がお答えしたように、関係閣僚だけできめて事足りるか、さらにもっと広範な、議会を設けてそうして結論を出すか、そういうような最善の方法を考える、こういうことでございますから、いましばらくその結論の出し方についてはもっと案を練りたい、かように思っております。
○藤田進君 国土総合開発等の所掌である企画庁長官の考えをこの際聞いておきたい。きめ方なり、あるいはその必要性。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま総理が言われましたように、能、不能ということについて、ほぼ結論が出るに近い段階であります。そうして建設大臣が言われましたように、今度はもう少しこまかい、技術的な可能性及び金額、時期、これらはいずれにしても客観的に出てくることであろうと思います。
 それからあとでございますが、私ども国土総合開発の見地から申しますと、おのずから、どれにした場合にどのような開発の効果があるかということを、これは速急に検討をすることになると思います。もちろん、各省と共同の上でいたすことになるわけであります。その場合に、幾つか考えるべきことがあると思います。
 一つは、どの地方の開発効果を主として考えるかということであります。たとえば四国の一部であるのか、四国の全部であるのか、あるいは九州までを考えるのか、また、本州の山陽、また、ことによったら山陰までの波及効果を考えるかといったような、地域の問題があると思います。
 その次に、どのような開発効果を考えるかということがあると思うのでございます。つまり、二次産業を中心に考えるか、あるいは一次産業も含めて、その人口の集中過疎といったようなことまで考えるのか、それが第二だと思います。
 それから第三には、どの程度の、何年ぐらいまであとの開発効率を考えるかということ、これもその年次の切り方によってだいぶん変わってくると思います。
 それから第四には、おそらくは、この何本かの候補の中で一本を採択して、そうしてその余のものは全然採択しないのであるか、あるいは年次を追ってだんだんに採択していくのであるかといったようなことについての結論のいかんによっても、開発効果の判定は違うと思うんでございます。
 ですから、それらの調査は客観的に、これは各省一緒になりまして、これはもう時間さえかけるとできると思いますが、最終的にはその三つ、四つの基準のどれをとるかということになれば、やはり私は政治上の、あるいは政策上の決断なり決定が要るだろう、こう考えておるわけでございます。したがって、そのために、先ほど建設大臣の言われましたように、政治の総合的なレベルにおける決断が要るだろうということは、私もそのように考えております。
○藤田進君 自治大臣は先ほど来質疑応答いたしましたように、広範な地域開発構想を持っているわけですが、このセンスからすればどういうようにお考えになりますか。
○国務大臣(藤枝泉介君) 四国地方の地域開発が、この本四架橋によって非常に促進されるということは歓迎すべきことだと思います。それを決定するのは、先ほど来各大臣がお話しになって、お答えいたしたとおりだと思います。私自身の考え方からすれば、やはり単一のルートでいくのは――むしろ多いほうがいいという感じを持っておるわけでございます。
○藤田進君 建設大臣、まあ三月くらいかかればいろんなデータの計算できるという。最終的にそういうルート決定というのは、おおよそでいいです、おおよそ昭和何年の何月ごろ、あるいは竣工はいつごろ、つまり工期はいつまでかかるか、そういうめどをお知らせいただきたい。
○国務大臣(西村英一君) ルート決定がいつごろになるかということは、ちょっとめどとしても、いろいろその組織をつくっていってきめるのですから、ちょっと言いがたいんですがね。ただ、きまってからどのくらいかかるかということならば、やっぱり十二、三年かかるんじゃないかしらんと思いますが、それはもう私ここで、あれは十二年かかると言ったじゃないかと責められても困りますけれどもね。実はいま関門がことしから着手することになっております。その径間は若戸大橋の二倍でございまして、七百メーターでございます。これがことしかかりまして、昭和四十七年には何とかしたいということで、いま努力をいたしておるのでございます。したがいまして、その規模から考えますと、いずれも径間が千メートルないし千五百メートルということでございますから、大ざっぱにルートがきまってやはり十二、三年と、こういうことでございます。実際問題になりますれば、ルートがきまれば新たに実施計画が、たいへんこれは日にちをまたとると思います。きまったらすぐかかれるというようなそんな簡単な橋ではないようでありまして、ことに藤田さんもすでに御承知のとおりに、慎重にやらなければならぬということは、日本の地理的条件が非常に悪いのであります。台風、地震の関係で、慎重な考慮をしないと軽々しくかかれないと思います。
 それから、ちょっと道路局長から話がありましたが、海上クリアランスは六十五メートルにするということでございます。
○藤田進君 ルート決定まで。
○国務大臣(西村英一君) ルート決定までの日にちは言えませんが、ルート決定ということがいつごろまでにということは明言できない。いろいろな組織を通じてやらなければならぬ、こういうことを言っておるわけです。
○藤田進君 だから、夢のかけ橋というのかもしれないが。(笑声)
 次に、私学振興関係につきまして文部大臣にお伺いしますが、調査会の中間答申があり、その答申を待ってということで、どうも審議会が逃げ込む場所になってしまっておりますが、昭和四十三年度から抜本的な経常費を含む私学振興方策というものを期待してよろしいのか、現時点における調査会の経過なり今後の見通しについてお伺いします。
○国務大臣(剱木亨弘君) 調査会の審議は、御承知のように六月の末日ということになっておりまして、ただいま非常な御勉強で、結論を出すということに非常にまあ努力されておりますが、また、審議の内容につきましては、調査会に御一任しておりますので、結論についていまから予想はできないのでございますが、しかし、この結論が永久的な意味におきまする抜本策になるか、あるいはその現時点において考えられる最高の案になるか、その点はまだ明確な見通しはついていない状況でございます。
○藤田進君 これは総理の地元の中国新聞に詳しい私学関係のデータが出ております。「絵で見る解説」という、ことしの三月二十二日。これで見ますと、四年制の大学で、初年度の納入金が文科系で国立の場合が二万六千二百二十円。これは四十二年、ことしのです。私立になりますと、十六万四千円、たいへんな開き。それで、医科、歯科になると、約二十倍、私学と国立で。こういうような表も出ている。こういう大きな差でいきますと、私学に出している父兄負担というものが、いわゆる二重負担になる。これは何としても解消しなければなりませんし、四十二年度は百六十八万一千九百名の中で入学許可が二十万八千、約八倍ということで、入学率がですね。入学志望者の数というのが八倍になっております、入学者との割合。こう考えますと、私学そのものは、これは早急に何とか対策を立てなければ、学費あるいは授業料、入学金並びに授業料等、学生ないし父兄負担に非常な大きな部分をかけることになる。文部大臣とされて私学振興方策について、審議会の答申を待つまでもなく具体案を持つべきだと思うのです。
○国務大臣(剱木亨弘君) 私学振興の問題につきましては、私自身といたしましては、就任以来、私の非常に大きな課題といたしまして振興に努力をしてまいる決意でやっておるわけでございますが、まず昨年の中間報告につきましては、その中間報告に沿いましてできるだけの予算的措置を講じたわけでございます。それで、私どもはこの最終答申を実はただいま待っておるのでございますが、いま藤田委員のおっしゃるとおり、私学がわが国の教育の相当の大部分を分担いたしております現状において、国立と私学との間の父兄負担の格差がきわめて大き過ぎる、この状況は何とかして是正されなければならないと存じます。
 ただ、その私学調査会におきまする論議の状況は、直接には私は聞いておりませんけれども、その論議の中で相当、国立の場合の学生生徒の負担分があまりに低過ぎるじゃないか、私学のほうが高過ぎるという問題と、国立のほうが低過ぎるという問題が、相当強く論議されておるようでございます。しかし、事のいかんを問いませず、私学のほうにおきましては、すでにもう学生からの納入金といたしましては、一定の限界点に来ておると思うのでございまして、できるだけこの父兄負担を上げないという意味におきましても、抜本的な私学振興策を講じたい、そういう覚悟で現在おるわけでございます。
○藤田進君 変なことを言うじゃないですか。官学のほうが安いので、私学のほうが当然のようにおっしゃるのですが、そうなんですか。
○国務大臣(剱木亨弘君) ただいま申し上げましたのは、調査会におけるそういう議論があるということを申し上げたのでございます。ただ、適正授業料の問題になりますと、これはいろいろな議論があるようでございまして、この私学調査会におきましてもこういう問題につきまして、非常にむずかしゅうございますので、いろいろ議論があるということだけは聞いておるのでございます。
○藤田進君 文部大臣どうお考えかということをただしているのですよ。剱木文部大臣に、調査会の何を言うておるかということは聞いていない。それはここに書いたのたくさん持っているのですから。
○国務大臣(剱木亨弘君) 私としては、私学の授業料については、すでに限界に来ておる、これ以上高くすることは非常に困ると、こう考えております。
○藤田進君 どうも福田幹事長が、大蔵官僚けしからぬと言ったとか、けさの新聞に見るのですが、福田さんはどこの出身か知らないが、大蔵省がどうも金出さないと、私学については。これはなるほど大蔵省は官学出身が多いですね。どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) 四十二年度を見ましても、いままでに比べて私学への予算は相当強化しております。それで、財政投融資を入れれば三百億円以上の措置をしておりますが、問題は、明治以来の一つの伝統の問題がございまして、国民の教育というものは国及び地方公共団体の義務というようなことから日本の教育が出発しましたために、私学に教育をまかせるということについていろいろいきさつがございましたが、結局国、公共団体の世話にならないで責任をもって教育するというところで、私学への許可をしたといういきさつがありますので、私学もいままで、そういうところから援助を受けないということが私学の特色をこわさない原因だということで、設立者も受け取らなかった。文部省行政もやっぱり、私学というものは国民の寄付そのほかによって経営されるものであって、財政を国におんぶしないということをもって許した一つの制度であるというふうに見た、この伝統が、今日までやってきましたが、最近になってそうはいきませんで、やはり技術者の養成を必要とするというようないろんな、経済成長の問題にからんで、この重要な仕事を国にかわってやるのが私学のやはり一つの任務であるということから、私学への補助ということを初めて制度的にも今度踏み切って、年々そういう方向できて、本年度も特に私学の医学系統の設備の設置、研究についての補助というようなことをやってまいりましたが、この程度でいいかどうかということについて、いま審議会が根本的にこれを検討して答申をしようということになっておりますので、本年度は中間報告に基づいて私学への振興助成を私どもやりましたが、来年度からはこの答申によって、私学の振興をまた別に考えたい、こういう態度でございます。
○藤田進君 いや、中間報告によるものは、普遍的なこれは援助政策になっていないのです、内容は省略しますが。そこで相も変わらず審議会で討議されるわけですが、審議会の答申それさえも、あまり期待するものは私学関係者としては出てこないのじゃないかと思われるが、さらに大蔵省、大蔵大臣でこれが実施について非常な削減をするといったようなことも考えられるので、答申が出ました暁は、これは六月末に出るということになっておるようですが、これをそのまま四十三年度予算には現実に予算化するというふうに期待してよろしゅうございますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 答申を見てから十分研究いたします。
○藤田進君 多かったら削るという意味ですか。答申は尊重するというのじゃない……。
○国務大臣(水田三喜男君) たとえば経常費の補助というような問題がもし出ますとしますというと、まだ公立学校にもそういう方法をとっていないという問題がございますし、本年度、寄付金――私学への寄付についてのいろいろ改正をいたしましたが、どんどん寄付を募集できるような道をいま開きましたので、そういうものとからんで、学校ごとにばらばらになっている、そういう千差万別の経理状態をどういうふうに統一して、そこへ経常費の補助をやれる筋ができてくるかというような、まだ研究課題がたくさんございますので、どういう答申があるかわかりませんが、それいかんによって私どもは合理的なことを考えたい、こう思う次第でございます。
○藤田進君 文部大臣、どうですか。いまのでいいですか。全然お手はないですか、あなたのほうは。
○国務大臣(剱木亨弘君) 文部大臣としましては、もちろん調査会に諮問いたしておりまして、その調査会の結論を尊重いたしまして、できるだけ忠実に予算化してまいりたいと存じます。その点につきましては、なおまたこれは政府部内で大蔵省とのいろいろ話し合いを進めてまいりますけれども、基本的立場としましては答申の線に沿いまして努力をしてまいりたいと思います。
○藤田進君 総理、お聞きのとおりで、閣内さっぱり、あっち向き、こっち向きになってしまっているのですが、総理としてこの際、やはりせめて答申を、諮問されていることですから、これを尊重すると、答申がどんなものが出るかわからないですが、それほどおそろしいものは出ないですよ。これはわれわれが期待できないようなものです。大蔵省のきげんを見ながらおそらくおそるおそる出すということじゃないでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの私学関係の入学金あるいは授業料その他にいたしましても、たいへん父兄負担が大きい。これはもうほんとうに限度に来ていると私思いますし、限度以上というほうが至当かと思います。そういう意味で、ただいま審議会に諮問しておると、こういう状況であります。もちろん答申が出てきたら、いまここでいろいろな議論をいたしておりますけれども、答申は尊重するというのがいつもの私ども政府の基本的な方針、これには私どもその方針を守らなきゃならぬ、かように思っておりますし、また審議会の方々も、せっかく諮問してくだすったのだから、答申しても答申どおりするやらわからぬということではこれはたいへんだと思います。お願いする以上十分趣旨を尊重してまいりたい、かように思っております。
○藤田進君 総務長官に伺いますが、いま審議会ですが、審議会についての予算問題で家庭生活問題審議会、これはあなたのほうの所掌ですが、これが今度審議会の会長の知らない間に五百万円アップして、これは同じような問題を研究している野田卯一さん、この間総裁選挙に立たれた方ですが、ある人がやっているこの研究所とか何とかそれに、五百万円行くようになっているそうですが、これが発覚して、いやどこへ行くかわからないとか、いろいろなことがいわれておりますが、しかし磯村英一さんの談話等から見ても、この正規の生活指針の何ら参考にはならない、それは答申の時期が違うのですから。こういうことは一体どうしてですか。また、大蔵省としても、行管等やかましく言っているさなかに、一挙に六倍というか、五百万円、いままで百万円足らずであったのを。審議会の経費はふえていく。しかも当該審議会会長以下が知らないというようなことは、これは許されないんじゃないか、ほかにもこういう部類のものがあるんじゃないかということさえいわれているが……。
○国務大臣(塚原俊郎君) 家庭生活問題審議会が、この間法律の御審議を願って一年延期いたしましたことは御承知のとおりでございますが、重要な家庭問題を扱うのでございますから、ことしの三月末までに答申をいただきたかったのでありますが、問題の複雑性から考えて磯村会長、氏家副会長等がぜひ一年間の延期を願いたい、また強い御要請が委員の間からも私のところにもまいりましたので、そういうお願いをしたわけでございます。
 そこで今日まで何をやっておったかということになりますと、この間もこの席で申し上げたと思いますが、言うならば、総論をやっておった、今度各論に入ったわけですが、家庭生活におけるところの生活環境の問題、あるいは技術の問題、教育の問題、さらには福祉の向上という各論に入っていくわけでございます。したがって、委員一人一人がこれらの問題について十分なる調査をなし得る余裕があればいいのですが、そういうことになりますると、どうしてもそういった調査を委託しなければならないという面が出てまいっていると私は考えております。それがすなわち五百九十八万という予算になったと私は解釈いたしておりますが、いまこの予算はこの国会で御審議を願っておりますから、これがもしお認め願えるならば磯村さんのやっております家庭生活問題審議会の御審議を待ってこの部門についてはどこにお願いしたい、この部門についてはどこにお願いしたい、という、おそらく御要請が出てくると私は考えております。あるいは家庭生活問題を扱う外郭団体もあるでしょう、あるいは社会学を中心とした、家政学を中心とした各学校等もあるでしょう、そういったものに委託するための費用であって、決していま藤田委員がおあげになった特定の人のためのものとは私は全然考えておりません。
○藤田進君 そうすると、そう言わざるを得なくなったわけですが、野田さんのところはがっかりするでしょう。そこで答申は、磯村さんのほうは少なくとも十二月にはしなければならない、これから委託調査されるとかりにすれば。六月以降でこれが間に合いますか、全然そんなものは参考にならないと磯村さんは言っているが……。
○国務大臣(塚原俊郎君) 予算がもう間もなく通ると思いますが、予算が通らなければ、これについての使途をはっきりすることはできないことは御承知いただけると思うのです。予算が通りますならば、磯村さんをヘッドとするこの審議会で直ちに先ほどから申しております各論についてのいろいろな御審議の、おそらく四部門ないし五部門に分かれた実質的な調査が私は始まると考えております。
 そこでどこにどういうものをたのむかということがきまるわけでありまするから、まだまだ半年以上もありまするから、そういったそれぞれ権威のある機関でありまするから、間に合わないということは私はないと思う。また間に合わないということがあってはならない。それはそのつど私からも強くお願いを申し上げるつもりでありまして、その点は十分なる関心を払いつつ、また監督しなければならないと考えております。
○藤田進君 磯村さんのほうにも相談してこの予算要求ということになったのですか。磯村さんはこの予算全然知らなかった……。
○国務大臣(塚原俊郎君) 磯村さんは、私非常に親しい方であり、学校も先輩であり、しょっちゅうお目にかかっておりまするが、その重要性ということについては、いろいろ私も伺っておる。しかし、どれだけの予算がほしいということをあの方は言う方じゃございませんし、私のところもたくさんあるもんですから、実際こまかいところまではこれは私どもは目を通しておりません。これははっきり申し上げます。しかし、磯村さんがそういう不愉快なことを申し述べているということは私にはわからないのですがね。私にでもどんどん言ってくだされば、そういうこともあったかもしれぬが、ただ新聞にそういう談話がありましたのを私は拝見いたしました。繰り返して申しまするけれども、その使途につきましては、磯村さんをヘッドとする審議会の主体性を信じつつ、そこがきめた線に従ってやりまするから、どうぞ御安心を願いたいと思います。
○藤田進君 相談しなかったのですか、したのですか。予算要求のとき磯村さんが五百万ふやしてくれと言ったのですか。ここで見ると全然知らなかった……。
○国務大臣(塚原俊郎君) 藤田委員も御承知のように、予算折衝は大体事務ベースでいくのもあるし、局長ベースでいくのもあるし、次官ベースでいくのもあるし、大臣折衝でいくのもありまするが、これはその下のほうといっては語弊があるかもしれぬけれども、事務ベースできまったものでございまして、それで私はその当時五百九十八万ということは存じ上げないということを申し上げておるのでございます。
○藤田進君 大臣も知らなかったのですか。主計局長、この五百万は率からいけばたいへんなことですが、審議会でふえているのは何と何ですか。
○政府委員(村上孝太郎君) お答え申し上げます。
 総額七百六十四万八千円の中で公聴会、調査費、審議会運営費等が二百六十四万八千円でありまして、調査研究委託費が五百万円、こういうふうに要求がございましたが、われわれのほうはそれを査定いたしまして、調査研究委託費五百万円と、その他の、先ほど申し上げました運営費等々で九十八万九千円、五百九十八万九千円の決定をいたしたのであります。
○藤田進君 ほかの審議会は、いろいろな行政審議会があるでしょう、こんなにふえたのはどことどこかというのです。
○政府委員(村上孝太郎君) 委員会各種ございまして、おおむねふえているものも、現状維持のものも相当たくさんあると思いますが、審議会は、先ほどの質問にもございましたように、たくさんございますので、その例をいま探してこいとおっしゃれば至急探して御報告申し上げます。
○藤田進君 探してください。つまり、百が足らず、九十八万九千円だったものが五百万にふえているわけでしょう。そういう部類がほかにどんなものがあるのですか。
○委員長(新谷寅三郎君) いまの答弁は留保して、他の質疑に入ってください。
○藤田進君 それじゃ、厚生大臣、原爆被爆者の援護については、逐年これが強化してきたというのですが、今度引揚者に対する補償というか、報償というか、この問題が問題になり、いわゆる戦後処理についてはまだほかにもあろうかとも思いますが、原爆被爆者の実態について詳細にひとつ御説明いただきたい。
○国務大臣(坊秀男君) 原爆被爆者の今日の実態を申し上げます。
 昭和四十一年九月三十日塩花の被爆者健康手帳交付者数は、特別被爆者二十三万四千八百六十九名、一般被爆者五万八千三百七名で、合計二十九万三千一百七十六名となっております。健康診断の実施状況は昭和四十年度で、一般検査延べ二十一万百六十三件、精密検査延べ三万三千二百五十七件であります。医療の給付の状況は、認定疾病については、昭和四十一年九月三十日現在で認定患者の累計数四千六十五名、昭和四十一年度の受診件数七千八百六十件、医療費八千二百五十三万五千円、一般疾病については、昭和四十一年度の受診件数百二十四万七千五百四十一件、医療費二十三億九百八十六万七千円となっております。
 そこで厚生省といたしましては、ただいま被爆者につきまして被爆者の数、分布状況、性、年齢権威、被爆状況、健康診断の受診状況、就業状況、配偶関係などにつきまして実態調査をいたしておりますが、本年の二月にその一部がまとまったということでございまして、さらに今日鋭意調査を続けておるということでございます。
○藤田進君 厚生大臣、何か実態調査の報告がとにかく非常におくれるということが最近いわれているのですね。その調査を待って援護についての措置をするという政府の答弁がしばしば行なわれたわけですが、その辺のめどはどうなっておりますか。
○国務大臣(坊秀男君) 原爆被爆者対策につきましては、国会の決議というものもございますし、その対策につきましては、政府といたしまして現に努力を重ねておる次第でございます。そういうようなわけで、今日その、実態を把握いたしまして、その上に何らかの措置を考えるということでございまして、いま鋭意この調査を進めておる。特にこの調査がおくれておる――確かにそれは、こういうことは早ければ早いほどよろしいのでございましょうけれども、これを精細につかまえていくべく努力をしておるところでございますが、結局、ことしの秋ぐらいにこの全体の調査がまとまる、こういう段階でございます。
○藤田進君 四十三年度予算に間に合いますか。
○国務大臣(坊秀男君) いかなる対策を立てるかということが先決でございますけれども、そういうことはしばらくおきまして、四十三年度予算と申しますと、例年予算の要求は、八月三十一日でもって、普通の場合、原則としてそれが締め切りになっておりますけれども、いろいろな政策の中でなかなかそこまでで片のつかないものもありまして、私はそういったようなことで、原則としては八月三十一日でございますけれども、いろんな政策について、これをやらなければならぬというものは、これは八月三十一日で、完全にそこから先はだめだということではないように理解をいたしております。
○藤田進君 それは菅原通済さんの三悪なんというのは、ずいぶんあとで予算きまったりしているわけです。その各県でどういうふうな分布状況か、特別、一般の合計でいいですから、事務当局で、ひとつ一般と特別と合わせて、各県どんなにいるのか。
○政府委員(中原龍之助君) 昭和四十一年九月三十日現在といたしまして、各県別と申しましても、全部の県いまここにありませんが、広島県、広島市、長崎県、長崎市、その他……。
○藤田進君 広島のことは知っているよ、私は。北海道からずっと、よその県はどうなっているかということだよ。
○政府委員(中原龍之助君) まことに申しわけございませんけれども、現在手元に各県別の資料は持ってきておりません。ただ、参考までに広島県、広島市、長崎県と長崎市、その他の都道府県というふうにひっくるめたものについては現在手持ちがございます。一応その数字をあげさしていただきます。
○藤田進君 きのう実態について詳しい資料を持ってくるように言ってあるでしょう。
○政府委員(中原龍之助君) 参考までに一応申し上げますけれど、広島県、これが特別被爆者が五万三千七百一名、その他の被爆者、一般被爆者でございますが、これが七千二十名、計六万七百二十一名、それから、広島市が、特別被爆者が八万三千十名、それから、その他の被爆者が一万一千五百五十一名、合計九万四千五百六十一名、それから、長崎県でございます。県は特別被爆者が一万三千百四名、その他の被爆者が四千五十二名、計一万七千百五十六名、長崎市、これは特別被爆者が四万九千七百九十九名、その他の被爆者が三万九十九名、計七万九千八百九十八名、その他の都道府県、これを一応ひっくるめましたのが、特別被爆者が三万五千二百五十五名、その他の被爆者が五千五百八十五名、計四万八百四十名、総計が二十九万三千百七十六名でございます。
○政府委員(村上孝太郎君) 先ほど御質問の審議会関係の経費でありますが、ことし非常に経費のふえたものがあるかということで、私記憶いたしておりませんでして申しわけございませんでしたが、その後調べましたのは、これは全部というわけじゃございませんけれども、二、三の増加の非常に大きな審議会を申し上げますと、同和対策協議会が、四十一年度におきまして百五十万が、四十二年度におきましては千百八十九万五千円と、一千万円余りの実態調査費をつけました関係で非常にふくれあがっております。それから、公務員制度審議会が、四十一年度は六百五十万五千円でございましたけれども、それが外国旅費その他を含めまして、四十二年度におきましては約五百万増の一千百十四万八千円というふうに、その仕事の必要に応じて非常にふえておるのもございます。
○藤田進君 そういうふうに、いまの同和対策、公務員審は、これはまだ少ないくらいですよ。これは筋が通っている。だけれども、野田さんのところへ持って行くやつがぽこっとふえているから、だれが見たってこれはおかしい。
 そこで、大蔵並びに総理大臣にお伺いしますが、原爆被爆者というのは、確かに金にも票にもこれはなかなかなりませんよ。病院に行っている人が多い、そういうところにはなかなか予算とか救済の手が差し伸べられない。私は実態調査してまいっておりますが、失対労務者になるとか、そうして原爆古老といっておりますが、身寄りがないんですね、ほとんど、私ども知っているのがずいぶん原爆病院で死んで、次に見舞いに行ったときにはもういないというようなこととなんですよ。これはもう統計に出ております。これに対して何とか早急にやってもらわなければならぬということで、地元、被災を受けました広島県は、今回乏しい県費を二千万余、わずかではあるが、出しまして、病院に行くときの交通費、それから、仕事をする場合には、その企業に対して若干の補助ですね、というようなことをやって、何とかこの上は国のほうでという呼び水的なものをやっているわけです。そこで、これはもう非常に急ぐ問題、引揚者の問題で、これで戦後処理は終わるのだというふうなこともいわれ、あとは社会保障制度でといわれておるが、原爆被爆者に対して行き届くような社会保障制度というものはおそらく不可能でしょう。したがって、この上どうするのか、本年秋に答申がなるということですが、四十三年度では、これはもうこういう実に気の毒な人道問題の人々に対して何とかしなければならない時期じゃないだろうかと思いますので、その具体的な構想をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) この原爆被爆者につきまして、医療に関する特別法をつくって処理しましたために、そのほかについては一般の社会保障制度に従う。たとえば生活保護者にしましても、一般と区別しないという措置をとっておりまして、特別法によって、本年は二十八億でございますが、二十八億円の予算を計上しているというようなことで、そのほかの特別の措置はとらないで、一般社会保障の制度に従うということになっておりますが、問題は、いま厚生省が実態調査をするということで、現在調査中でございますので、この実態は来年度の予算までには私は間に合うと思っております。
○国務大臣(佐藤榮作君) 藤田君は、この現在やっておることはもう御承知の上でただいまのお尋ねだと思います。政府も、現在やっていることで十分だと思っておるわけじゃございません。だからこそいま実態調査しようということで、この実態調査が来月の六月ぐらいに終わるのじゃないかと思っておりますが……。
○藤田進君 この秋と言った。
○国務大臣(佐藤榮作君) そうですが、この秋には終わるということでございますが、十分この実態を把握いたしまして、そうしてこれに対する対策を立てる、かようにいたしたいと考えております。
○藤田進君 それでは次の問題、防衛庁長官。
○委員長(新谷寅三郎君) 防衛庁長官が来ますまで質問をやってくれますか。
○藤田進君 交通対策はきのう亀田委員から相当にやりまして、前進するとは思いますが、これを見ますと、説明すると時間がかかるが、大体当を得ていないですよ。たとえば道路標識しかり、自動車のうしろへ乗って眠っているような人たちがああいうことをきめるのですから、日本の場合は。ろくなことになっていないですよ、これは。なってないです。道路標識が左にあったり右にあったり、一貫性がないでしょう。これでは実際のオーナーなり、どうにもならないです。ことに運転手をいじめる刑罰主義でいったからといって、これで事故が決して防げません。絶対に防げない。したがって、施設ということが非常に重要だと思うのです。たとえば端的に申しますと、冬など非常に困るのはアスファルトの黒い舗装です。あれで黒いオーバーを着てひょいと夜出られると、いまのライトのあれでは、とっさの状態でわかりません。そういうこまかい対策というものは全然ゼロですね。バスも交差点の横断歩道の手前でとまるでしょう。なぜ交差点から向こうへ渡ってとめないのか、横断歩道がバスの前にあるものですから、うしろから尾行して前に出る車はとても困るのです。バス会社はガソリンが余分に要るからとてもできないという話を聞くのです。あれは。これは一例です。そうしてさらに、たとえば例をあげますと、総理はウウッと通るのですから、あまりないでしょうが、玉川線なんか、たとえば東京で、あんなの地下鉄にすることになっているのにやらないんですよ、東急が。そのためにたいへんなことですよ、いま国道三号線が開通して。あれはどんどんやらせるべきです。どうなっておりますか、運輸大臣。
○国務大臣(大橋武夫君) 御指摘の新玉川線は、運輸省並びに建設省の手続は四十年の六月に終わっております。その竣工期限は四十三年の三月末ということに相なっておるのでございますが、御承知のように、この線路は、現在首都高速道路公団で計画中であります高速道路三号線の路線と全く一致している部分がございます。渋谷から三軒茶屋までございます。で、この間におきましては両者の工事を同時に行なう必要がございまするので、現在東急と高速道路公団との間でその協議をいたしておりますが、首都高速道路の三号線の渋谷以遠の工事につきましては、本年度設計に着手するという段取りに相なっておるのでございまして、その後に工事を実施するという段取りに相なりますから、したがって、現在のテンポでいきますると、昭和四十三年三月末という竣工期限はややおくれまして、四十五年度まで工事にかかるであろう、こういう見通しでございます。当局といたしましては建設省とも連絡をとりまして、できるだけ早く工事を進められるように努力をしたいと思います。
○藤田進君 建設省どうですか。いまのは構造的にもっと配慮すべきじゃないですか。交通機関、道路ですね。それから、いまバスの例示をしましたが、あれは運輸省じゃないですか。バス停なんか、あれは困るですよ。
○国務大臣(西村英一君) 道路標識につきましては、道路法、道交法等によっていまきめられておるのでございます。御指摘のように、道路標識の標示のしかたは一定の方法でやっておりまするが、その大きさとか、あるいは掲示する場所、そういうようなもの、あるいは夜間に対する指示というようなものに対しては、非常にやはり改良しなければならぬ点があるのじゃないかと思っておりますが、もちろんこれは交通の安全施設の三カ年計画には相当に入っておりますけれども、そのやり方の点につきましては、御指摘のように、改善しなければならぬと私は思っておる次第でございます。今後やはり交通事故防止の点からいきまして、これからひとつ改善していきたい、かように考えておる次第でございます。
○藤田進君 防衛庁長官に重要な問題があったわけですが、雲隠れで、まことに残念のまま時間がたちました。農林大臣には、どうも出席いただきましたが、時間がございません。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で藤田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、高山恒雄君の質疑を行ないます。高山君。
○高山恒雄君 総理にお伺いしたいのでございまますが、この四十一年度から四十二年にかけて、非常に、毛製品、あるいは、また、綿製品に対する各国の輸入制限というものが現実に出ておるのですが、これはどういう要因からこういう事態になっておるのか、まずこの各国の輸入制限、これをひとつお聞きしたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) 先進国においては日本の繊維の輸入制限をやっております。たとえばアメリカなど、それは国内の繊維産業に対する打撃からして輸入の制限、あるいは西ドイツ、あるいはその他欧州でもそれをやっておりますが、そこで、これに対しては、大体ガットの精神から申しますると、これはもう違反しておるのでありまして、これは二国間で交渉を続けるよりしかたがないので、実は二国間の交渉でやっておる次第であります。それから、未開発国で日本の繊維製品の輸入制限をやっておりますのは、これは片貿易の関係、それから、自国における繊維産業の発達、それを保護する意味で、また、国際収支の関係や何かで日本の繊維製品の輸入の制限をやっておりますが、それに対しましては、日本では一次産品の輸入のことについて今後は特別の配慮をいたす必要がございまするし、また、円借款の供与によりまして今後経済協力などをやりまして日本の繊維製品を買うてもらうというような対策を講じておる次第であります。
○高山恒雄君 後進国の輸入制限という理由はわかるのですが、これは総理にお聞きしたいのです。実態は私も資料を持っておりますからわかっておりますが、もっと経済外交に対する強力な姿勢が政府として必要ではないか。ただいまの報告にありましたように、先進国の西独、フランス、イタリー、スウェーデン、ルーマニア、こういうところの――制限は、これは日本の経済外交の腰の弱さではないかと、こういうふうにとらざるを得ないのです。これに対して総理はどうお考えになるか。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ経済外交の腰の弱さと、一がいにそうも言えないと思います。御承知のように、いま通産大臣がお答えいたしましたように、各国とも双方が貿易を拡大している。その場合に、均衡のある拡大、そういうことを絶えず心がけております。そういう意味で、自国が非常に受け取り勘定が少なくて支払いが多いと、いわゆる国際バランスがとれないと、こういうような国におきましては、それぞれバランスをとるという意味でいろいろな制限を設けておるし、また、自国産業を特に育成強化しなきゃならないというような場合には、特別な保護的な処置をとっておる。しかし、保護的な処置をある国がとれば、同時に日本産業におきましても日本がこれに対抗するような処置をとるということでありますので、いわゆるガットの精神、あるいは貿易拡大、自由貿易の精神から申しますと、必ずしも理論は通らないということになるわけでございます。いま、ケネディーラウンドにいたしましても、そういうような地域質材あるいは保護貿易、そういうことを脱して、そういうことにのみ片寄らないような考え方で貿易を拡大すべきではないかというのが今日の精神でありますから、そういう意味で、二国間の交渉はそれぞれしていく。また、多国間の会議場におきましても、ただいま申し上げるような立場で主張するわけであります。これはまあ一がいにどうも経済外交の腰が弱いからこうなったんだと、かようにきめつけられないように、実際の場合にどの程度に自国産業の立場に立って主張しておるか、どうか見ていただきたいと思います。
○高山恒雄君 池田内閣当時よりもうんと規制が激しいから、佐藤内閣の経済外交は弱体化になったと、こう思うんです。それでなければけっこうですが。
 特に聞きたいのは、米国の上院議員で、ホーリング議員が、昭和三十六年から四十一年までの六年間の平均輸入以外は合繊、毛とも輸入を制限するということを提案しておるのです。この問題は、詳細なことはどうなっているか、政府はどういうこれに対する態度を持っているのか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 一議員からそういう提案がなされていることは承知いたしておりますが、しかし、その議員の提案は、米国国会においても、まあ現在のところではその提案を重要視してないように伺っておるのであります。したがいまして、この問題は、われわれのほうといたしましては、まあできるだけ手を尽くして、提案されないように努力をいたしておる次第であります。
○高山恒雄君 それは一人ですけれども、日本としてはそれは防止することができると、こういう立場ですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) いまの米国の国会内の情勢から言うと、まあ楽観していいのではないかと、こう考えております。
○高山恒雄君 厚生省では健保のいわゆる医療制度の根本的な改革をやりたい、こういう話を聞くのですが、これに対して総理は実際問題として根本的な対策をもう来年でもやる予定があるのかどうか、総理の意見をひとつ聞いておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 健康保険、また、そればかりじゃございません、社会保障全般として、体系的にも、また総合的にも、ずいぶんくふうすべき問題が多いと思います。ことに、ただいま当面しておる健康保険の問題につきましては、これは当座の問題としても何とかしなければならない、そういう赤字に悩んでおりますから、この問題が解決すれば、その後において、これを応急的な対策ばかりでなく、基本的な根本的な問題としてこれと取り組まなければならないと、かように考えておりますが、これは早ければ早いほどいいのでございます。したがいまして、本年御審議をいただいております応急的な対策、これが皆さまの賛成を得て、しかる上で根本的問題に取り組んで、そうしてできれば来年度からでもそれを実施に移していく。これも全部ではございませんが、段階的に実施していくと、こういうことでありたいと思います。
○高山恒雄君 いま出しておられるのは、被保険者だけの犠牲によって糊塗的な立場でやろうと、こうおっしゃるのです。これでは満足がいかないから、一体、来年でも根本的なものをやるということを総理はここで確言すべきじゃないかと私は思うんですね。被保険者だけが犠牲になって、いつやるともしれない抜本的な対策というものは口だけでごまかしてもらっては困ると思うのです。それをはっきり私は総理のなにから聞きたいんです。この点はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお答えしたのでございますが、そういうのが、ただ被保険者だけの責任において処理されるとか、あるいは一方的に国だけが処理するとか、あるいはまた、医療担当者だけが負担するとか、そういうものでなくて、やっぱり根本対策といえば全部ががまんのいくような処置にしなければならないことでございますし、また、全部の関係者の協力を得るように、そういう処置をとらなければならぬと、かように思います。ただそろばんだけでこれで黒になったからいいじゃないか、こういうものじゃないと思います。
○高山恒雄君 段階的というその意見をお聞きすると、根本的な対策にならないんですね。今度出されている問題は、被保険者の犠牲における改正だと私は思うのです。それを、また今度は答申をやる、しかもそれを段階的にやるということになると、抜本的な改正にならないんですよ。その点が非常に疑義が多いんですね。もう一度、その点、総理から確固たるひとつ答弁が願いたいですね。
○国務大臣(坊秀男君) 総理がお答えする前に、私からちょっと申し上げます。
 今度の緊急対策というものは、被保険者だけの犠牲においてと、こうおっしゃいますけれども、今度の財政対策は被保険者だけの犠牲ではありません。まず、第一に、赤字を補てんいたしますために、国が前年度の予算より五割をふやしまして、百五十億から二百二十五億というふうに、これは赤字を補てんするためでございますが、それから保険料率を引き上げますということは、これはもちろん被保険者にもかかってきますけれども、事業者が折半主義でございますから、事業者もこれの犠牲になるということごございます。それからまた、患者ですね、患者にも一部負担をしてもらうと、こういうようなことでございまして、保険に関係する関係者がそれぞれひとつごしんぼう願いたい、こういうことなので、被保険者だけに全部しわを寄せると、こういうことではございませんので、そこのところをひとつ御理解をお願い申し上げたい。
 それからなお、今度の対策というものは、このままでいきますと、政管健保というものは赤字のために支払い遅延が生ずるかもしれない。すなわち、健保が崩壊、くずれてくるというようなこともございまするので、とにかくこれを応急にしのがなければならないということで緊急対策を御審議をお願いしようと、こういうことになったのでございまして、しこうして、この緊急対策をいつまでも続けていくなどという気持ちは毛頭ございませんので、四十三年度を目途といたしまして、それでその保険の根本的の立て直しをやっていこうと、こういうことでございまするので、今議会におきましてこの緊急対策を御審議願って成立することとなりますれば、とにかく一時をしのいで、そしてもう即刻抜本対策を打ち立てていくというふうに努力をしてまいりたい、かように考えておるのでございまして、抜本対策を実現する上におきましても、とにかく現事態を応急に措置をするというためにも、今度の緊急的な財政対策が必要だということで今度の対策を立てたわけでございますので、どうぞそこの点を御了承願いたいと思います。
 補足を申し上げますが、抜本対策ということはたいへん大きな仕事でございまして、この抜本対策全部を四十三年度にやってしまえとおっしゃることは、もう何十階のビルディングを一ぺんに建てろと、こういうようなことと同じようなことだと私は思います。そこで、四十三年度におきましては、そこから年次計画と申しますか、段階的に抜本対策を実施してまいると、こういう方針でございます。
○高山恒雄君 時間がありませんから、他の問題に移りますが、ILOの百三号条約ですが、これは母性保護についていろいろ定められておりますが、日本の国内法に定める基準との間には多少の開きがございます。したがって、この具体的な問題でちょっとひとつ発表願いたいと思います。事務局でけっこうです。――厚生省、です。
○国務大臣(早川崇君) 百三号条約で――これはまあ労働省も関係いたしておりますから申し上げますが、一番ひっかかるのは、子供を産んだ場合の医療保険が、ILO、百三号では報酬の三分の二となっております。保険によりますと六〇%ということになっております。ILO百三号条約にそこが適合いたしませんので、まだ批准をいたしておらないという実情でございます。
○高山恒雄君 それを改正する意思はありませんか、厚生大臣。
○国務大臣(坊秀男君) 高山委員御承知のとおりであります。ILO百三号条約は、母性保護の内容を持った条約でございまして、分べんに関する給付といたしまして医療給付と出産手当金を定めております。分べんに関する医療給付については、この条約は、助産婦または医師による産前のこと、それから分べん及び産後の手当、並びに必要がある場合の入院を要求しております。ところが、わが国の現行の健康保険法におきましては、分べんに関する医療給付は、異常分べんの場合だけに限定いたしまして、一般には分べん費の定額支給を行なうということとしておりますので、この点で批准上の問題があろう。それからまた、出産手当金についても、条約に定める要件は従前所得の三分の二としておりますのに、標準報酬の六〇%としておるわが国の健康保険法では、ここにも若干の問題があるだろうと思いますが、そこで、こういったようなことを改めないかと、こういうことでございますが、私どもは、先ほど申し上げました抜本改正の一つの問題としてこれを取り上げまして、そうして考えてまいりたいと、かように考えております。
○高山恒雄君 ただいまの厚生大臣の話では、当然その格差を是正して批准をすると、こういうことを確認してもよろしいですか。
○国務大臣(坊秀男君) ともかく、いろいろな保険には問題がございますので、そういったような問題を総合的に取り上げまして、抜本改正の際にこれを検討してまいりたいと、こういうわけでございます。
○高山恒雄君 これは意見になりますけれども、三分の二にするのには、日本の場合はわずかの修正だと私は考えているのです。したがって、保険料を上げるということの反面には、こういうものを婦人の母性保護のために、大臣、早急にやってもらうべきだと、こう思うんですよ。ほうっておくものはぱっとほうって、国際的な批准になかなかしない、とるものだけは先にとって保険の抜本的な改正をやるというようなことでなくて、やっぱりそういうものも急いでやるべきだと思うのですが、総理はどうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 高山君の御意見、十分拝聴いたしておきます。
○高山恒雄君 通産大臣に聞きたいのですが、今回、綿スフの紡機、織機に対しては、政府としては改善措置をとられると。これはけっこうです。そこで、それ以外の縫製あるいは染織加工、こういう問題は、もう一つ困難だと思うんですよ。これをやる意思があるのかないのか、大臣に……。
○国務大臣(菅野和太郎君) 今回の特別措置法では、まず紡績と織布業に手をつけたのであります。染織とか二次加工とかいうようなことは、もちろん考えなきゃならぬと思っておりますが、まず基本的な紡績と織機についての臨時措置をとりまして、そうして、いまの染織、また二次加工というような問題は、次にひとつ考えてみたいと、こういうふうに存じております。
○高山恒雄君 次にするではちょっとわからないんですが、おっつけこれが終われば、三年、五年計画でやるというのですか。これが終わればすぐやるんだと、こういう考えですか。
○国務大臣(菅野和太郎君) 紡績と織機の特別措置がうまくいけばすぐかかりたいと、こう存じております。
○高山恒雄君 もう一つ通産大臣に聞きたいのですが、綿スフ相場がめちゃくちゃに高騰しているのですが、これにはいろいろ原因があると思うんですよ。私は、第一の問題として、二万錘以下のほんとうに零細企業的な紡機が、人手不足で生産できない状態におちいっている。これは、一体、通産省はどういう対策を持っているのか、労働省はこれに対してどういう考えを持っているのか、お聞きしたい。
○国務大臣(菅野和太郎君) お説のとおり、繊維産業におきましても、労力の不足ということが問題になっておるのであります。したがいまして、生産高が減っておる。それがひいては綿糸高ということになっておると思っております。そこで、労力の不足ということを考えまして今度の特別措置を考えたのでありまして、今度の特別措置を実施することによって合理化して、そうしてまた、労力をできるだけ集約するところの生産方法に変えるという方針でありますからして、したがいまして、労力の不足に対応するように考えておりますから、この特別措置法が、実施されれば、私は、いま申し上げましたとおり、労力の問題の解決もできると思いまするし、また、この点については、労働省のほうからもいろいろまた御助力をお願いしなければならぬと思っておりますが、同時に、この綿糸高の問題も、いまお話がありましたが、これは多少、相場、仕手関係ではないかと思っておるのでありまして、私は、この問題はしばらくすれば、綿糸はいまは高くなっておるますけれども、やがて下がるという見通しをいたしている次第でございます。
○国務大臣(早川崇君) 繊維産業の労働問題はたいへん深刻でございますが、今度の構造改善の臨時措置法によりまして、四十二年度は一万八千八百三十人減少するわけでございます。ところが、リタイアースが、要するに、これはやめていく人が三万四千四百人、ございます。差し引き四十二年度も一万五千五百七十人というこれは女子職員――男子は、むしろ、出入りによりましてリタイアーが少ないものですから二千人以上、むしろ、過剰になりますけれども、こういう問題をかかえておるわけでございます。したがって、この問題は、主として若年労働力の問題でございますが、特に繊維産業の場合には、いままで中卒ばかりに頼っておったのですね。ですから、これは、やはり高卒の女子労働者の採用ということも考えなければなりません。そういう観点から、今回、産業別雇用会議の第一陣といたしまして繊維産業雇用会議を設置いたしまして、そういった中卒から高卒に変えていくとか、あるいは構造改善事業によるいわゆる転業とか、そういった問題を労働省並びに使用主、労働組合三者構成によりまして発足させまして、この要請にこたえたい、かように考えております。
○高山恒雄君 労働不足による倒産が出るという見方をせざるを得ないのですが、それでなくても昨年六千数百件の倒産がありました。ことしは、それに倍した倒産が出るのではないかという危険性があるんだが、労働大臣はこれはどうお考えになっておるか、通産大臣もひとつ御回答を願いたい。
○国務大臣(早川崇君) 最近の日銀の調査によりますと、中小企業の大きい不安の要素は人手不足と人件費の高騰だというように調査されておるわけであります。また、六千件のうち、四百数十件はいわゆる繊維産業の倒産であることは数字の示すところでございます。しかし、この問題は、これは日本全体の大きい雇用問題でありまして、御承知のように、学卒の新規労働力が、本年は百六十万人ほど雇用に入るのでありますが、いまのままの状態で進みますと、四十五年度には百十七万人という四十万人以上も減ってくるわけです。他方、この消耗の補てんだけでも、二百万人近い労働力が要る。こういう深刻な事態に立ち至っておるわけでございます。で、これを打開するには、やはり国全体として、もうちょっと中両年にうんと働いてもらわなくてはならない。これはもちろんだぶついておる。十年後には五百万人もふえるのでありますから、そこで定年制の延長とか、官庁における中高年の雇用率の設定とか、あるいは今回新たに中高年の方々の中小企業の就職を促進するために住宅確保奨励金という制度を、月四千円差し上げまして設けましたし、あるいは転職給付金一万八千円、いろいろ方法を構じておるわけでありまして、同時に中高年の活用とともにまた婦人の活用もしなければならない。また、いわゆる不完全就業者というものはたいへん多い。出稼ぎとかそういった人たちを総合的に考えて、そうして人手不足に対処していかなければなりません。特に中小企業の場合にはそういう若年労働力だけに頼らないで、中高年、婦人ということも考えるとともに、やはり根本は、生産性を高める努力をして、人手をできるだけ効率的に使う、こういう総合対策でなければ、一中小企業だけでのこの人手不足は解消いたしませんので、労働省といたしましては、そういった総合的な雇用対策基本計画を設定をいたしまして、目下、努力をいたしておるというのが実情でございます。
○国務大臣(菅野和太郎君) 労働力の不足につきましては、いま労働大臣から詳細にお話がありましたが、それにつけ加えまして、要するに、中小企業などできるだけ近代化をしまして、労力を少なくするような生産設備にするということ、それで労力に対する需要を減らしていくということで、われわれは考えなければならぬ、こう存じております。また同時に、労働力を少なくするという意味化におきまして、協業化運動というようなことをやって、そうしてできるだけ労力の需要を少なくしていきたい。そうすることによって労力の不足による倒産というようなことの原因を除きたい、こう考えておる次第であります。
○高山恒雄君 どうも話がてんでまとまりのない回答を、返答をされているわけですがね。実際問題として私は、さっき転職の問題と厚生やそういう問題をどうするかと言ったら、これは意思はわからぬですね、さっきの回答では。ところがいま現実に人が足らぬでつぶれるという事態に対処して、実際、通産省も労働省も大した計画がないじゃないですか。この点は非常に大きな問題だと思うのです。厚生省、労働省、通産省がもっとこういう問題に取り組んで、しかも日本の保育園はどうですか、世界各国に比べて、全くこれはなっていないですよ。幼稚園ですらまだ一〇%のところがあるじゃありませんか。こういう問題を放っておいて、ここでいいかげんな回答をいただくということには、非常に大臣としてもっと計画性のある回答を私はしてもらいたいと思うのです。
○国務大臣(菅野和太郎君) 倒産に対する対策というお話であれば、またそれについて私はお答えしますが、労力の不足による対策というお話であったからそういうことを私は御返事をしたわけであります。
 中小企業の倒産に対する対策といたしましては、これは本会議でもたびたび申し上げましたとおり、いまの労力の不足という問題がありますし、資金が足らないという問題がありまするし、そうして一方では新しい生産の、景気がよくなったにもかかわらず、中小企業全体が生産がおくれているというようなこともありますので、そういう意味で中小企業の振興事業団というものをつくりましたし、また繊維関係については、繊維の特別措置法もつくったし、というようなことで、いろいろ対策を講じてやっておるのであります。
 そのほか具体的な例といたしましては、倒産の場合も用意して、あるいは関連事業の倒産というようなことによって、中小企業が倒産するというような危険がある場合には、特別の信用を供与するとかというようなことで、それぞれ対策を講じて、倒産者等の数を減らすように努力いたしておるのであります。
○高山恒雄君 これは総理に聞きたいのですがね。先ほど私が申しましたように、三省の責任というものは非常にこれは重大な問題だと思うのです、日本の産業防衛の意味からも。労働者のまた社会的な生活の安定をはかるにしても重大な問題だと思うのです。それがことしの保育園の設置にあたって、わずか政府は百万円、地方自治体が七十万円、それでやりなさいということでしょう。この間もだいぶ私は委員会で問題にしておりますけれども、そうすると労働省は何をやっておるかというと、勝手に託児所をつくりなさい、その反面には二百四十万くらいの長期融資をしますよ、これは全く支離滅裂じゃございませんか、大臣。こういう問題は産業面からいっても、あるいはまた労働問題の確保の問題からいっても、もっと計画性があってしかるべきじゃないかというのが私の意見です。総理はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 労働力一つの問題をとりましても、総合的に、計画を持たないと、この問題が解決されない。国政全般が総合的な観点に立って、そうして調整とらない限りうまくいかない。私は皆さん方からしばしば聞く話でも、片一方で減税をしろと言われるかと思うと、やっぱり片一方で財政支出をふやすようなお話をどんどんされる、こういうところにも問題があるわけでございます。でございますから、私はそれを責めるわけじゃありません。しかし、それぞれの持ち場においてそれぞれの立場から要求されること、それを自然におさめて、そうして調整をとる、これが政府のやり方でございます。各部門から見ますと、ずいぶん御不満、また不満足なものだと、かようであろうと思いますけれども、政府そのものといたしましては、入ってくるもの、さらにそれを支出するもの、そこらにあんばいをとって実は行政、政治をいたしておるわけであります。ただいまお話になりますように、すべてが総合約で同時に計画的でなければならぬ、それはもうお説のとおりでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 高山君、時間がありませんから、いま一問だけにしていただきます。
○高山恒雄君 労働大臣に聞きたいです。非常に退社率が多いと、さっき大臣がおっしゃったように、三万数千人の者が毎年やめる。職業選択の自由という問題、職安を通じてもっと検討する必要があるのじゃないかと思うのですが、この点はどうお考えになっておりますか。
○国務大臣(早川崇君) これはたいへん基本的な問題でございまして、日本の憲法は職業選択の自由を保障いたしておるわけでございます。高山先生の御指摘は、繊維産業のような輸出の大宗をなす産業に楽に婦人の若年労働力がくるように何らかの方法がないかという御意見が背後にあると思いまするが、自由民主主義の労働政策からいいますと、お前ここへ行けと、ほかの求人をシャットアウトするというわけにはいかないわけでございます。そこで考えられるのは、せいぜいイギリスで選択的雇用の、税金の面におきまして、重要な産業に行く場合には税金を会社がまけてやるとか、労働者が得するとか、選択雇用税の制度がございまするが、これとてもイギリスにおいて成功しておらないのが現状でございます。そこで、労働省としては、この制約のもとで考え得ることは、たとえばレジャー産業とか、あるいはゴルフのキャディとか、いわゆるそういったレジャー産業へ若年労働力を、行っちゃいけないとは申しませんが、職業安定所の窓口におきましては、繊維産業とか製造業とか中小企業とか、そういう求人に対しては特にひとつ力を入れて配慮すると。そういう配慮をするということがせいぜいの現在の限度であることを御了承賜わりたいと存じます。したがって、繊維産業につきましても他産業に先がけまして労働省、使用者、労働組合、三者構成による雇用会議を設けようと、かように考えておるのも、そういった趣旨から出ておるということを御理解いただきたいと思います。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で高山君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、春日正一君の質疑を行ないます。春日君。
○春日正一君 締めくくりの意味で幾つかの問題を総理にお聞きしたいのですが、初めに在外財産の補償問題について、これは新聞を見ますと、まあごく近いうちに政府が最終決定するというようなことが言われておりますけれども、戦争犠牲者として特別に打撃を受けた者ということになれば、引き揚げ者だけではないと思います。戦死者もおれば、戦災者もおれば、あるいは原爆の被爆者、戦争未亡人、未帰還者、あるいは学徒動員その他でいろいろ犠牲を受けた人たちがたくさんおる。そういうときに、この戦争犠牲者だけ差しおいて在外財産の補償だけを行なうということは、これはどう考えたって筋の通らないことであります。国民の間でも非常に批判のあるところだと思いますけれども、その点について総理に見解をお聞きしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 在外資産問題だけを片づけて、その他はほっておくというのだったらただいまおっしゃるとおりです。しかし、今回とろうという処置はさようなものではございません。
○春日正一君 その他に対してはどういう処置をおとりになる考えですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 今日まで必要な処置はそれぞれとられてまいりました。
○春日正一君 引き揚げ者を含めて、戦争犠牲者の中には、現在では一応生活は確立されたという人もおるし、今日でもなお非常に困難な生活をしている人もおる。それがほんとに、確立しているというけれども、救済されていませんよ。たとえば原爆被災者の問題でも、あるいは町へ行ってみれば、戦争未亡人だとか何だとか、非常にそういう人たちたくさんおります。そういう意味でいえで、一切の戦争犠牲者の生活困難について、社会保障制度の一環として、国家が完全に保障するというたてまえで救済をやっていくべきであって、引き揚げ者だから、うんともうけてきた者も、ひどい目にあっている者も、とにかく一律に救ってやるというようなことは筋が通らん。私の言うとおりな方向でやるべきじゃないかこう思うのですが、どうですか、その点は。
○国務大臣(佐藤榮作君) いずれ在外資産の補償の問題は、御審議をいただくことでございますから、その御審議の際に、ただいまのような御意見で十分御審議をいただきたいと思います。
○春日正一君 それじゃ次に入りますけれども、総理は、施政方針演説で、社会の主体は人間である。経済の繁栄は人間の尊厳と社会の福祉に奉仕するものでなければならない、非常にりっぱな演説をされたわけですけれども、実際には、経済の発展が労働者や、農民や、中小企業家など、多数の国民に、新しい困難、不幸な事態をもたらしておる、そうして全体として見れば大資本がますます有利になるし、力をふるっていく。政府の施策を見ても、大資本の繁栄、発展ということを中心に据えて、これに付随するものとして労働者や、農民や、中小企業の問題を考えておる。今度の予算を見てもそうなっておる気がするのです。その点どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) これは春日君とだいぶ意見が違うようですが、私どもはいわゆる全国民的視野に立って、そうして全部の国民がしあわせになるようにと、こういうのが政治の目標でございます。特定の階層だけを相手にはしておらぬと、それを十分御理解いただきたい。
○春日正一君 そうなってないから問題なんですね。たとえば朝日訴訟、この間判決があったのですけれども、朝日訴訟について、総理の所感といいますか、感想といいますか、首相としてどう受けとめたか、それをお聞きしたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) かねて政府が主張したと同じような判決をいただいた、かように思って満足しております。
○春日正一君 それではいまの生活保護基準で人間らしい生活ができると思うか。たとえばこの間も聞きましたけれども、六十歳以上の老人、男が一日百三十二円ですね。女だと百十円で一日食べていく、こういうことになっている。質問しても、政府の役人でも、厚生大臣でも、これでできるんだと、はっきりも言わぬけれども、できないとも言わぬ。実際生活問題として、これだけで生きていけといえるのか。特に私つけ加えたいことは、老人ですよ。六十歳以上特別低くされている。国のために社会のために働いて、年とってきて、そうして社会的いろいろな事情で生活保護を受けなければならなくなった人を、百十円で生きていけということはずいぶん残酷な話じゃないですか。それで政府はあの朝日訴訟で勝ったといって喜んでおられるのですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 朝日裁判で勝ったといって喜んでおるわけじゃございません。これはひとつ私は、政府は喜んでおるというわけじゃございません。その点は誤解のないように願います。ただしかし、かねての主張どおりでございますから満足しておると、かように答えた。そこで、ただいまの春日君の御指摘のように、現状の社会保障制度、これは所得保障をはじめ全部がこれで十分か、こういうお話になりますと、これは私どもがまだまださらにさらに努力しなければならぬと、かように私は思っておりますので、そういう点が私の人間尊重の理論にも合致するのでございます。で、これはやはりそれぞれの発展段階の問題がございますので、それを一部つかまえて、けしからぬ、そういう御批判はそれは御自由ですけれども、それで人間尊重といっておるけれどもとんでもない方向だということはややことばが過ぎやしないか、かように思います。
○春日正一君 それでは別な部面でお聞きしますけれども、たとえば今度農民の失業保険ですね、日雇いの、これを打ち切っていくという方向で法律をお出しになっている。だけれども農民が長期の出かせぎに出なければならないようになったということは、農民の責任じゃなくて政府の農業政策の責任ですよ。そういう人たちの失業保険の打ち切りというものは、この不幸な農民にさらに追い打ちをかける、出かせぎに出なければならぬような不幸、それに追い打ちをかけるような結果になると思います。で、一体政府はそうやって打ち切ってこういう出かせぎ農民をどこへ持っていこうとするのか、たとえばそれを思い切って百姓をやめさせちゃって、労働者専業でやれというのか、あるいは農民として立て直らせるというのか、どっちにするのか、総理の基本的な考え方を聞きたい。
○国務大臣(早川崇君) 季節農民の打ち切りというのはとんでもない間違いでございまして、打ち切るのではございません。現に五十八万人季節労務者が働いておりまするが、これは毎年冬場繰り返す失業、予期した失業、季節的な失業、これは本来保険じゃないのでございます。しかしながら、わが党政府はこの五十八万人をわずか八億の年間保険料にもかかわらず、三百億円の保険金を払ってそれらの人の生活を守ってきておるわけでございます。今回の改正におきましてもこの既得権を尊重していくというのでございます。また新規のそういう季節労務に入られる方も、三十五歳以上の人は従来どおりの、そういった非常に不公平な保険ですけれども、ほかの勤労者にとりましては不公平ですけれども、四十倍近い保険金を払うということを認めていこう、それから三十五歳以下の若い人に対しましても、家族持ちの人は、扶養家族を持っている人は、これは冬場帰って、また仕事は何ぼでもそれは東京、大阪にあるのですけれども、それならそちらに行けということは気の毒でありますから、これらの人に対しましてもいま申しました三十数倍の保険金を差し上げる、ただし、それ以外のひとり者の青年については、これはいま人手不足で非常に仕事があるわけでございます。そこで一年目、二年目は従来どおりのその厚い保険金を差し上げますけれども、三年目からはその半額の保険金でごかんべん願いたい。それでも保険金は保険料の十数倍もらうわけでございます。その間、数年雇用とか、あるいはほかに仕事はたくさんあるのですから、職業紹介をしていくとか、いろいろな方途を講じまして、これらの人たちに対して厚い措置を講ずると、これが今回の失業保険の改正でございまするし、また、五人未満の勤労者の全面適用という勤労者のための改正でございますから、農民の失業保険を打ち切るというのは全然法案を御理解たまわらない御意見だということを申し添えておきます。
○春日正一君 しかし、初めは全面的に打ち切ると話が出て、反対が強かったからまあ既得権を侵さない、これから先はだんだん打ち切っていくのだ、だから反対が起こるわけでしょう。双手をあげて賛成するということに、実際もらう人たちはなっていない。
 そこで、日本の農業を発展さしていくという意味からいけば、やはり農民に地元で働ける仕事、これを与えて農業や農村の状態を改善させる、そういうものと一体としてこれは解決していかなきゃならないと思うのですけれども、そういう点は政府はどう考えていますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 農業、いわゆる専業農家の育成もいたしまして農業所得をふやすことも当然でありまするが、同時に、農家所得をふやす、そういう事柄がやっぱり農村対策として必要だ、かように考えておりますので、ただいま言われますように、地元で就業の機会を得るような、そういうような仕組みをだんだん政府も進めていくということであります。
○春日正一君 もう一つ、健康保険が変えられていろいろ初診料ふえるとか、あるいは掛け金が上がるとか、薬剤が、もらえば金かかるということになっておりますけれども、これとか、こういうものは社会保障制度拡充という政府の言明ですね、これに明らかに逆行するものだということになるが、これはどうなのですか。
○国務大臣(坊秀男君) 今度の御審議を願うこの財政対策でございますが、政管健保及び船員の、これはこのままでおりますと、赤字がどんどんふえていきまして、われわれにとって非常に大事な社会保険の制度が、これがどうもぶっこわれそうになってくる。そこで、どうしても先生の言われるように、これはいまの社会保険制度、医療保険制度というものは根本的に立て直さにゃならぬということは、これは私どももよく心得ておりまして、それをやろうと決意をいたしておりますけれども、それを、着手する前にこの制度がこわれてしまいますとどうにもならない。そこで、応急的に臨時的にこの急場をしのぐというために、保険に関係しておるいろいろの、政府、事業者もそれから被保険者も、みんなでひとつこの赤字を補てんして切り抜けていってもらいたい、こういうようなことで今度のこの対策を立てたわけでございまして、いずれにいたしましてもこの保険制度というものはもう根本的な立て直しをやろうというふうに決意をいたしておるのでございます。
○春日正一君 この変更で、政府の資料でも五百二十億ぐらい増徴になる。しかも、初診料とか薬料とか、そういうものは取られますけれども、特に問題になるのは、薬代一日一剤について十五円払わなければならぬ、この問題ですよ。こうなると、いままで健保の本人はとにかく掛け金さえかけておればいつでも医者にかかれたものが、金がなければもうかかれなくなる、こういうことになると、明らかに保険制度を質的に変えるものなのです。非常に大きな後退を来たす。赤字でどうにもならぬからという、たが締めるというけれども、保険制度をこれほど後退させる方向でそれをやるべきじゃないだろう。そう思いますけれどもどうですか、これは。
○国務大臣(坊秀男君) 赤字を補てんいたしますために抜本対策をやれば別のことでございます。ところが、いまの制度のままでこの赤字を補てんするということになりますと、現在の健康保険制度は御承知のとおり保険方式をとっております。そうすると、この赤字を補てんするためには、保険方式でもってやっておるものに赤字ができたんだから、そこで簡単にいきますれば料率を上げる、こういう保険方式でございまするから、そういうことにならざるを得ない。だけれども、料率だけを上げてこれを切り抜けていくということになれば、現在私どもが予定しておりますのは七%上げて千分の七十二、こういうことにしておりますけれども、これはおそらくこれのみでやっていきまするならば八十幾つということになろうと思います。これはどうもまことに不適当な行き方である。そこで、被保険者の中には病気になって現実に給付を受ける方と、それで受けない方とがある。給付を受ける方に対して受けない方がみんな集まって、これは保険制度でございますから、全部みんなが集まって保険料率でやっていくということも一つの行き方でございますけれども、病気になって現実に給付を受けるという力にもこれはひとつがまんをしていただきたいということで、一部負担ですね、初診時の一部負担、入院時の一部負担、それからどうせお医者にかかりますると薬をいただきますから、その薬の一部負担というようなものを、現実にお医者にかかるという人がこれは一部負担をしてもらう、いままでも入院時の一部負担それから初診時の一部負担というものがこれはいままでもあるわけでございますが、それならばそれに全部かけてしまいますと、これもまたたいへんな金額になります。そこで、これを分けまして、どうせお医者にかかるならば薬ももらうんだ、現実にその患者は薬ももらう、その薬をもらう人に一日一剤、一日わずか――わずかというとしかられるかもしれませんけれども、ともかく十五円負担をしていただく、十五円以下の場合には、未満の場合にはこれは負担をしていただかない、こういう制度をとったわけでございまして、どうぞひとつ御了承を願いたいと思います。
○春日正一君 一日十五円といいますけれども、これは長い病気になったり、二回、三回もらうようになれば、労働者にとっては相当な負担です。特に下積み労働者にとっては、月五百円、千円というような薬代は相当生活に響いてくる。そのために薬をもらいに行かなくなるというようなことにさえなってくる。こういう状態を考えれば、それはいまの保険の論理で、病気の人に少し背負ってもらう、病気になったら労働者が一番不幸な状態なんですよ。私どもの経験でも一生懸命貯金しておいても、病気を一月、二月やればたいがいなくなってしまうのです。そういうことになるわけです。そういうものに負担をかけるのじゃなく、当然政府が赤字を補てんする、そうして抜本対策もやるということでなければならぬと思います。
 そこで、結論を言いますけれども、総理はさっき、大資本だけ考えていない、国民のためを考えておるというふうに言われたけれども、いまあげた幾つかの社会保障、健康保険、失業保険それから生活保護の問題、そういうものを考えてみてもやっぱり本気でやっていないし、金を出していない。日本が世界の三番目になるとか四番目になるとかいって、経済が成長しておるというのに、先ほどの話を聞いても、国際条約さえ批准できないような水準にある、これは決して自慢することじゃない。独占資本だけが世界の三番目になったって、国民の状態というのは世界の二十何番目だということになれば、政府のやってきたこと、やっておることが大資本の繁栄、すなわち国民の繁栄と、こういう間違った考えでやってきたんだ、そういうことになると思います。この点を私指摘して、質問を終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で、春日君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、林塩君の質疑を行ないます。林君。
○林塩君 私は、国民の健康の保持増進並びに福祉の増進に関連いたしまして、精神衛生に関連する問題、ことに精神障害者の問題、それからまた、それに関連する若干の質問をいたします。
 最近頻発しますところの交通事故対策に対しまして、運転手の免許の問題が出ております。そしてまた、これが精神病であるとかどうかということで、たいへん精神障害者にとってはあまりいいことではないわけでございます。しかし、三十九年でございましたか、いわゆるライシャワー事件がございました。それ以来この精神障害者の問題が、一応社会にクローズアップされました。精神衛生法も改善になりましたが、その後その精神衛生法の改善が、どんなに精神障害者に対して幸いになったか、またその後日本の精神障害者の状態というようなものにつきまして、厚生大臣に伺いたいのでございますが、どのような状態でございますか、お答えいただきたい。
○国務大臣(坊秀男君) 現在、精神衛生関係の予算は、金額におきまして医療費が大部分を占めております。しかし、御意見のとおり、精神障害対策としては、非常にこれは、今日の事態におきましては重大視してまいらなければならない、そうういような事態がだんだんとこれは私は激化してまいっておると思います。
 そこで、昭和四十年の精神衛生法改正によりまして、各都道府県に精神衛生センターを設置しまして、精神衛生に関する技術的中枢機関とするとともに、保健所に精神衛生相談員を配置いたしまして、精神衛生に関する相談に応じ、また在宅精神障害者の訪問指導を行なうなど、地域対策の充実につとめるとともに、通院による医療に対しまして、公費負担を行なうなどという施策をとっております。
○林塩君 厚生大臣にお伺いしたいのですが、では、現在どのくらい全国に精神障害者があるか、そうしてどのくらい治療を要するかというようなことについて、お答えいただきます。
○国務大臣(坊秀男君) 数字の調べにつきましては、事務当局からお答え申させます。
○政府委員(中原龍之助君) 精神障害者の数、こういうものにつきましては、昭和三十八年に精神衛生実態調査を行ないまして、そのときの調査の結果によりますと、推計数で百二十四万人の精神障害者がある。そういたしまして、そのうちの内訳として精神病が五十七万人、精神薄弱が四十万人、その他が二十七万人、こういうふうな数字が出ております。なおこの数字の中で、それでは収容を要する者がどのくらいおるかということでございますと、いわゆる入院とか、その他の施設に入って治療を受ける必要があるという者については三十五万人おる。このうち精神病院に入院を要する者は二十八万人おる。大体この内訳といたしまして精神病は二十一万人、それから精神薄弱は三万人その他が四万人おる、こういうような数字を出しております。これに対しまして、従来いわゆる精神病院のベッド数というものが不足しておるということでありましたので、その精神病床の増床がはかられまして、年々、最近は一万五千ベッドから二万近くのベッド数が増加しております。したがいましてそのベッド数によりますと、昭和四十一年の十二月末になりますと、十九万一千百五十床のベッドになっております。入院患者数につきましては、これが約二十万近くという形になっておるわけであります。こうなりますと、二十八万の収容数がおるにもかかわらずこれだけであるということになりますが、この数は一応推計数でございまして、全部その患者を的確に把握していない数字でございます。そのうちの大部分が、現在は収容されておるという状態でございますが、なお若干やはり不足しておるということであります。それから精神衛生対策といたしましては、これは患者を入院して治療するというばかりが主体ではございませんで、早く発見をして早く治療をするという施策をはかるというようなことで通院の医療制度、いわゆる通院医療に対する半額の公費負担という制度もそこに設けられ、また、できるだけ軽い者につきましては、在宅におきましても、家族とともにできるだけそれを治療をしていくという形で、保健所に精神衛生相談員を設置して指導をしていく、あるいはまた技術的なセンターとして、指導のセンターといたしましては、精神衛生センターの新設をはかるということで、これは精神衛生法改正以来初めて精神衛生センターができたのであります。現在まで約十六カ所ございます。
○林塩君 数はそのくらい多いのでございますが、私の調べましたところでは、なかなか全部が収容されていないというのが現状でございます。それから収容されていなくても、家庭にあってそうして家族の保護を受けている人がかなりございます。ところで、精神病患者さんに関しましては、特に家族の非常に負担になっているということでございます。百二十四万の患者さんに対して家族一人としましても、二、三人としましてもそれを持っている家族については非常な負担でございます。経済的な負担はもちろんでございますけれども、精神的の負担というものは大きなものでございますが、総理は常に明るい社会、明るい家庭ということをモットーにして、これが社会開発の根本思想であるというふうにおっしゃっていらっしゃいますが、この日本におきますところのそれを、家族を含めましての対策、この精神衛生問題に対しまするところの対策がいまのままでいいかどうかということでございますが、それについて総理の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) この気の毒な方々に対しまして、ことに健康な家族の方々が、いま御指摘になりました精神的さらにまた経済的負担がたいへんだ、現状におけるこの事態、これは私もほんとうに同情禁じがたいものがございます。ただいま政府におきましてもいろいろ処置をとっております。先ほど詳細に説明いたしましたが、ベッド数をふやすとか、その他の手当て等も試みておるようでございます。私は何といっても、こういう事柄について社会的な理解がないと、こういう対策はむずかしいのじゃないか、一口に精神障害者、かように申しますが、精薄の連中と同時に精神障害者、この二つはたいへん気の毒な状態にある。これを社会的理解のもとにこれらに適当な待遇を与えることができれば、社会人としてりっぱに独立できるはずだと、かように私は思いますので、こういう点にもさらに今後ともくふうしていくべきものと、かように思います。御指摘のとおりに考えております。
○林塩君 総理のそういう御意見でございますれば、将来ともこの問題につきましては、総理の政治姿勢でもございますので、十分に御努力をいただきたいと思うのでございます。これは私の意見でございます。
 さて、そういう精神障害者を今日では、決してそのまま収容して、そして病院に入院さしておけばいいという問題ではなくて、精神医学の進歩に伴いましてなおり得るのであります。で、早期治療、早期社会復帰というようなことを言っておりますが、そういう意味におきまして、そういうことについての対策を何か考えておられますかどうか、伺いたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 御説のとおり、とにかく病気というものは、早期の治療を目的としていかなければならない。特に私は精神病というものはそういう必要があるものだと、かように考えます。そこで、林先生もよく御存じのことと思いますけれども、早期治療をしていくためには、いまもおっしゃられたように、家庭にあってその病院に行くとか、そういったようなときでない精神病の治療というものは、私は一家そろってこれを精神的によく介抱する、それからまた指導するというその家だけの問題ではない、この家に対しまして周囲が非常に偏見を持って見る、あるいはその家族の人が周囲に対して遠慮とか、あるいはコンプレックスとかといったようなことがあってはならない。そういったようなことからかんがみまして、この間も林先生もおいでになったか、精神病の父兄の方々が一緒に一堂に集まって、そして会合をやっていろいろなお互いにレポートを書くとか、あるいは将来の方針を立てて話し合うとかといったようなことだとか、そういうような方面にも大いに力を入れまして、家庭において早期にこれをなおしていくということなど非常に大事な問題だと思いまして、厚生省といたしましても、そういう方向にも力を入れている次第であります。
○林塩君 私はやはり病気でございますので、専門医のこれは治療が必要だと思うのでございます。そのためにより質の高いといいますか、内容的にも非常に充実したところの精神病院が必要だと思うのでございます。しかし四十二年度の精神衛生に関するところの予算を見てみますと、昨年よりもことしのほうが、たとえば精神病院の施設整備補助金なんかたいへん減っております。決して前向きではないということでございますが、これはどういうことでございますか。伺いたいと思います。
○国務大臣(坊秀男君) 事務当局から御説明いたさせます。
○政府委員(中原龍之助君) 精神衛生の予算につきまして、これは昨年よりも四十二年度はふえているのでございます。しかし、その中でいま先生がおっしゃられました病床数の問題がございますが、これはこの病床数よりも、むしろその病院の施設をちゃんとつくるということで単価を上げて、そして医療整備をはかるという形で、そういうことになって、いわゆる病床数がふえたような形になっておるのでございます。それからそのほかの、いわゆる先生先ほどちょっとお話しになったと思うんですけれども、通院の費用につきましても、これは実際に合わせて予算というものが今度は組まれました。したがいまして、これに対して、いわゆる治療をする人数その他につきましては、全部変わっておりません。
○林塩君 その御答弁ではちょっと満足ができませんのですが、私はこのように感じております。幾ら病床つくってみても、そこで働く医療人員が足りないとか、たとえば医師が足りない、それから看護者が足りないとか、専門のそれが足らないからということで、いつも建物だけはつくりましても、内容がそろわないからといって空床になっていることが多いので、それを見越してことしは少ないのじゃないかと、こう考えました。それについては、一応また資料をお出しいただきまして、将来このようなことのないように、前向きに予算をとっていただきたいと思うのでございます、ぜひ必要でございますから。
 それからそれに関連いたしまして申し上げますが、精神科は特別の専門中の専門でございますが、それに対して治療に当たる医師とかあるいは看護従事者、そういう人たちの補充の問題につきまして、何か対策がございますか、伺いたい。
○国務大臣(坊秀男君) おっしゃられたように、医療施設ができましても、その従事員というものが少ないと、せっかくこれつくっても、画竜点睛を欠く結果になってしまうということでございまするので、医療従事員、精神病専門のお医者さん、それからこれに伴う介護人、看護婦といったようなものをできるだけ充実をさしていくために、予算上のいろいろな措置を講じておる次第でございます。
○林塩君 時間がありませんので先へ急ぎますが、家族の人たちの非常な苦しみは、社会の精神障害者に対するところの偏見でございます。この偏見を直しますのにどうしたらいいかということにつきまして、予防法を一緒に兼ねまして厚生省としてどのような御対策をお持ちでございますか、お伺いいたします。
○国務大臣(坊秀男君) 先ほど申し上げましたとおりに、精神病をかかえておる家族が陰うつになったり、あるいは世間から白眼視されたり、そういったようなことがあるということが一番いけないというようなことで、たとえば厚生省といたしましては、精神衛生普及運動として全国精神衛生大会、精神障害者家族連合会大会等のそういったような行事を通じて、精神病をかかえておる家族、そのうちができるだけ朗かに、友だちがあるからというような同病相隣れむといったようなことではございませんけれども、お互いが同甘共苦と申しますか、そういったような気持ちになってもらうということも、一つの大事なことだと思いまして、そういう方面にも力を入れて、家族ができるだけ明朗になってもらうということを考えておる次第でございます。
○林塩君 家族がたいへんに苦しんでおりますので、それについて、国としてどういうふうにしていったらいいかということが大事だと思うのでございます。精神病を持っております家族については、結婚とかあるいはその他の問題、それからまたその子供を、精神障害者を置いて死なれないと言って親はたいへんに苦しんでいる状態、そういうことを含めまして、もう少し積極的にその問題に取り組んでいただきたい。ただ家族だけにまかしておくのでなくて、社会活動としてそういうことは将来ともお願いをしたいと思います。なお、この要望について、どういうふうにお考えになっておりますか、伺いたい。
○政府委員(中原龍之助君) お答えいたします。
 その家族に対する問題と、それから患者に対する問題、これをひっくるめまして、私どもといたしましてば、精神病患者の社会復帰といいますか、その人たちがいわゆる環境に適応して働き得るようになるというための努力といたしまして、精神衛生相談員というものを保健所に設置して、その家の訪問指導を行なうとか、あるいはまた、精神衛生センターを順次設置していって、その技術的な細部――ことに、これは指導員に対する非常にきめこまかいことをやはりいろいろ教えなければなりませんので、そういう指導員に対する指導ばかりじゃなくて、そういう地域社会の人々に対する一つの指導ということを行なっていくと、そういう方面にいま予算が出ているわけでございます。
○林塩君 じゃあ、その予算はどこでそれをとってやりますか、ひとつ伺いたいと思います。ただ抽象的な観念論だけでなくて、それを具体的にするために、予算はどのようにとってあるか。精神衛生の保健対策費を見ましても、そういうことが盛られておらないんですが、将来盛っていく意向がおありかどうか、伺いたい。
○政府委員(中原龍之助君) お答えいたします。
 たとえば、いまの先生がお話しになりましたそういう患者の家族なり何か訪問してやる、そういうためのいわめる費用と申しますのは、これは保健所の職員でありますので、保健所の費用として保健所の中に計上しておるのでございますし、それから精神衛生センターの施設の費用というのは、精神衛生法関係係の予算に計上してございます。
○林塩君 たいへんむずかしい問題と思いますけれども、これは明るい社会をつくる、それから家族が安心するというような意味で、国全体として、もう少し具体的な総合対策が必要だと思うのでございますが、そういうことに対しまして総理の将来の御計画がありましたら、ばく然としたものでもけっこうでございますから、お示し願います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 十分ひとつ、この問題も前向きで検討するように事務当局に命ずることにいたします。
○林塩君 それから、私の意見でございますけれども、精神障害者といいますと、いままで病気でないみたいな取り扱いを受けておりました。これが非常に社会を暗くし、精神障害者を精神的に苦しめていると思うのでございますが、これも病気の一環として取り扱うというようなことで、健康教育の中にぜひ入れてもらいたいということでございます。社会的偏見をとりますために、これはおとなになってからこういうことを言いましても、なかなかそれが徹底いたしませんが、健康教育の一環として、また、明るい社会をつくるために、みんなでこういうことを取り扱って、もっと社会的に考えていこうという意味におきましての教育であろうと思うのでございますが、この方面につきましての文部大臣の御意見を伺いたいと思うのでございます。
○国務大臣(剱木亨弘君) 教育の対象と考えます場合におきましては、大体精薄児の問題になってくると思います。精薄児の教育につきましては、もちろん、特別の教育対象として考えますけれども、精薄児を健康な児童に育て上げるということをやはり目標にして育てなければなりません。でございますから、学校の中におきまして、他の子供たちが精薄児に対しまして偏見を持つということは、極力これはなくするようにいたすように、たとえば保健体育の中におきまして、中学校、高等学校等の教育内容におきましても、十分子供たちにそういう気持ちを持たして、精薄児を普通の人間に育て上げていくということが、あくまでこの教育の目的でなければならぬということで、教育上の考慮をいたしておるわけでございます。
○委員長(新谷寅三郎君) 林君、時間がなくなりましたから、それでおやめください。
○林塩君 もう一問だけ、最後に大蔵大臣にお願いいたしますが、この方面の予算がともすると、なかなか具体的になってまいりませんために、それから生産的なものでございませんために、削られやすい傾向がございます。それにつきまして、これはいま何か積極的な対策をつくることによりまして、将来かえって、その一人の患者を何のなすこともなく精神病院の中に入れ込むよりも、もっと積極的な対策をしていきますことによって、その人を救うことにもなり、それから同時にまた、それに要する費用をただ捨ててしまわないというようなことにおきまして、大きな問題でございますので、大蔵大臣といたしましては、この方面の予算に惜しみなくというわけにもいきませんでしょうけれども、積極的な御配慮をお願いしたいと思うわけでございますが、御意見お伺いしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 主務大臣の要請によりまして、今年度は精神障害者の予算は、総額二百二十億をこした予算の計上になっておりますが、なお慎重に十分考えてまいります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で林君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 次に、亀田君の残余の質疑を行ないます。亀田君。
○亀田得治君 昨日に引き続きまして、いわゆる対象国、仮想敵国の有無、この点につきましての防衛庁長官の明確なお答えをお願いしたいと思います。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 御指摘の、中山元海上幕僚長等の発言について検討したところ、穏当を欠く点が認められたことはまことに遺憾であり、今後かかることのないよう十分注意したいと思います。
 なお、日本政府ないし防衛庁としては、従来から特定の国を敵視する意図を有しておりませんし、仮想敵国なるものを考えたこともなければ、かかる用語を使用したこともありません。また、対象国という誤解を招くような用語を使用しないよう、部内に指示をいたしました。
○亀田得治君 ただいまの防衛庁長官のお答え、総理もお認めになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私も同感でございます。同じ意見でございます。
○亀田得治君 長官と総理の答弁には、必ずしも、こう釈然としないものがあるわけですが、一応ただいまのところは、この程度で質問をとどめておきたいと思います。そこで一問だけ、重要な問題につきまして最後に一つお尋ねをしたいと思います。
 それは、この国会で、いわゆる学者、研究者の諸君が、米軍から、きわめて不明朗な手続で研究費を受け取る、こういったような問題がこの委員会で相当論議の対象になりました。その後、マスコミ等によって見ますると、学者、研究者の中にも、自発的にそういう問題について反省をすると、こういう空気が出てきておるようでありまして、われわれとしても、これは非常にいいことだと、十分ここで論議をした成果というものが出てきておると、こう考えるわけです。
 ただ問題は、そういうふうなことが起きてきた一つの大きな原因、一つですよ、全部とは言いませんが、一つの大きな原因は、やはり国として学者、研究者に対する扱い、ここにやはり問題があるというふうに考えるわけであります。
 時間がありませんから、たくさんの問題を申し上げるわけじゃありません。昨日、国立大学協会の会長である大河内東大教授から、文部省それから人事院、大蔵大臣、この三者に対しまして、国立大学教官の給与の改善という問題につきまして、相当熱意のこもった要請をされたようであります。いろいろ実態調査の結果などもつけて出されておるようでありますが、たとえば、二十代の教官の年間給与平均四十三万八千円、こういうことが出ておりますが、しかし、その中で、自分の研究の負担のために月平均一万円、月給の約二七%、こういうものをみんなが研究のために使っておるようであります。こういう状態で、ほうっておけば、なかなかすぐれた研究者がそういう機関に残らない。民間に出るとか、あるいは外国に行ってしまうとか、こういうことになる。大学に残っておりましても、同時にアルバイトをするとか、そういうことで補う。当然これは研究の本来の仕事そのものに、相当やはり能率が響くと思うのです。この要望書の中では、いまにして根本的な改善をはからなければ、将来憂うべき事態になる、非常に強いことばで訴えておられるようであります。そうして、その改善策として、とりあえず、たとえば、現在の初任給が約二万五千円程度でありますが、少なくとも月一万円も研究のために出しておるんですから、初任給を三万五千円、これくらいにしてもらわないと、一般の大学卒業者とも合わないわけですね。たとえばとして、そういうことも指摘されております。どうか、これに対して、まず文部大臣、その要請書の中身をもう少し具体的にひとつ御披露願いたいことと、文部大臣自身としては、どのような感想を持たれたか。引き続いて人事院総裁、大蔵大臣からも、その感想を聞かしてもらいたい。それから最後に、総理大臣からも御意見を述べてもらいたい。
 せんだって、二十四日、私テレビを見ておりますと、総理が作家の遠藤さん、それから永井教授、三人とそういう問題について、いろいろ懇談をされておるのをちょうど聞きました。総理も非常に得るところがあったということで、その際、いろいろ感想を述べておられました。それらも含めて、総理のこの問題に対する御見解を承りたいと思います。
 これで質問やめますから、再質問せぬでもいいように、ひとつ御丁寧によろしくお願いしたい。
○国務大臣(剱木亨弘君) 昨日、国立大学協会を代表しまして大河内東大学長から、ただいま申されました給与改善に関する要望書を受け取りました。内容に関しまする詳細について、ただいまこれから申し上げる時間もございませんが、なお、この詳細につきましては、十分検討さしていただきますけれども、ただいま亀田委員の申されましたように、国立大学の教官の給与につきましては、私ども戦後、できるだけ戦前の給与のランクまで持っていきたいと、今日までその努力を続けてまいりましたが仰せのとおり、まだきわめて不十分であるということは、私、率直に認めざるを得ぬと思います。特に大学研究者の中におきまして、初任給の話がございましたが、この学問の研究の段階におきまして、いわゆる教授、助教授というふうになってまいります前に、助手とかいうふうな状態において就職をいたしますそのときが、一番研究面におきましても、また、自分で勉強しなければならぬ時期でございまして、相当多くの自己出費の研究費を必要とするわけでございます。でございますから、特に初任給におきましては、これは大学の学者においては、私は特別の何か給与体系を考えていただかなければならぬと考えておりますし、この点につきましては、私どもとしまして、人事院の勧告を受ける時期が近づいておりますので、人事院総裁にも――人事院にもとくとよく御相談申し上げまして、また、単に初任給だけの問題でなしに、学者としてのいろいろな今後の給与体系につきまして、十分私どもは研究をしてまいりたいと存じております。
○政府委員(佐藤榮作君) 昨日でありましたか、要望書をちょうだいいたしましたのてすが、その基本的な考え方、事の重要性についての認識は、実は私どもと全く同じでございまして、さればこそ、私どもも、従来の、実績をごらんいただければ、これは数字ではっきりわかるのでありますけれども、一般行政職の人に比べますと、よほど意欲的な改善を加えているつもりでございます。ただし、これで十分だとはわれわれも毛頭思っておりませんから、御趣旨に沿いまして、さらに、できるだけのことをやってまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(水田三喜男君) 人事院の管轄事項でもございますので、勧告の出された段階において措置することを検討いたします。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、最近の傾向から申しまして、頭脳投資ということが言われたり、あるいは落ちついて研究しないという、あるいは民間のほうが待遇がよろしいからそちらへ行くとか、いろいろおもしろくないようなお話も聞きますが、しかも、その科学技術、これを向上させないと、その国の国力の伸展にも影響するたいへん重大な問題でありますから、そこで、いま人事院総裁がお答えいたしましたように、一般給与としての一般職とは別な取り扱い方をしている、これが十分だとば絶対に申しませんということでありますから、それらについてさらに検討も加えられることだと思います。
 ところで、私は、最も学者の方々の気にしておられるのが、研究の自由並びに研究がもっと広範に行なわれるように、あるいは自分の考えが研究に徹することができるように、こういうことではないだろうか、こういうように考えますので、しばしば、その研究施設の問題が、大蔵省で問題が取り上げられた。ことしなどは、たいへん大きな問題で素粒子の研究なども非常に多額のものを要するが、ひとつやろうということで、この設備について整備をはかっております。しかし、どうも研究題目が与えられて、そうして、その研究費そのものを出すような仕組みにまだどうもなっていないんじゃないか。私はむしろ給与の問題が、いま言われますように、一般職と非常な差ができるということ、これは必ずしも一般職の方々も満足なされぬだろうと思う。むしろ、研究が自由に行なわれる、そういう意味のものがもっと整備されることが望ましいのではないだろうか。その二つをあわして十分学者の諸君の期待に沿うような、程度は十分でないにいたしましても、そういう方向でこの問題を研究したい、かように思っております。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上で亀田君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) この際委員の異動について御報告いたします。
 ただいま高山恒雄君、吉田忠三郎君が辞任され、その補欠として向井長年君、中村波男君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして、締めくくりの総括質疑通告者の発言は全部終了いたしました。総予算三案の質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
○委員長(新谷寅三郎君) それではこれより三案の討論に入ります。通告がございますので順次発言を許します。賛否を明らかにしてお述べを願います。亀田得治君。(拍手)
○亀田得治君 私は、日本社会党を代表して、昭和四十二年度予算三案に対し反対するものであります。
 詳細な討論は本会議に譲ることとして、以下七点について反対の理由を要約して申し述べたいと思います。
 第一の理由は、四十二年度の予算の性格が、政府が言うように経済に対して中立的ではなく、したがって、それは四十二年度の経済に対して適正な、予算ではないということであります。
 第二の理由は、政府の公債政策は明らかに財政法第四条に違反しているという点であります。財政法第四条によれば、たとえ公共事業といえども、公債でまかなうのは例外的な措置なのでありますが、政府は公共事業の名のもとに公債発行を恒久化しておるのであります。
 反対の第三の理由は、正規の公債償還計画を国会に提出していないという点であります。これは昭和四十一年度の予算につきましても申したことでありますが、政府が出しているものは、ただ借りたものは返すという一片の意思表示にすぎないのであって、とうていこういうものを合法的な償還計画とは言えないと思うのであります。
 反対の第四の理由は、減税額があまりにも少ないことであります。標準五人世帯、年収百万円までを無税にするということは、もはや今日では世間の常識でありますが、政府案では、わずかに七十一万円にしかなっておりません。
 反対の第五の理由は、当面最大の課題である物価の安定につきまして、十分有効な対策が講じられていないばかりでなく、かえって反対に消費者米価などをはじめ値上げを計画しているということであります。
 反対の第六の理由は、住宅、公害、交通安全対策に関する予算措置がきわめて少ないことであります。政府は財源を言うのでありますが、他方で行政上のむだを省くことについて、真剣に取り組もうともしていないのであって、全く言いわけにはならないと思うのであります。
 最後に反対の第七の理由は、佐藤内閣は池田内閣の政策を批判して、社会開発を標榜して生まれながら、それは口先だけであります。試みに社会開発関連主要経費の対前年度増加率を当初予算ベースで調べてみると、その伸び率は池田内閣よりもはるかに劣っておるのであります。特に本年度予算は昨年度よりも低いのであります。全く看板に偽りありと言わなければなりません。要するに、佐藤内閣の本質が国民大衆には目を向けず、大資本、大企業の立場に重点を置いているところがら出てくるものと言わなければなりません。
 以上をもって反対討論といたします。(拍手)
○委員長(新谷寅三郎君) 日高広為君。
○日高広為君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十二年度一般会計予算外二案に対し、賛成の意を表するものであります。
 昨年来、わが国の経済は不況を克服いたしまして、目ざましい回復をみせ、いまや順調に上昇の軌道をたどりつつあります。私は、わが国経済の底力を再認識いたしますとともに、この不況克服に大きく寄与いたしました政府の積極的な財政政策を高く評価するものであります。
 四十二年度における財政運営の課題は、現下の経済情勢をいかにして持続的な安定成長の路線に導くかにあるのであります。最近の経済情勢を見ますると、その拡大基調にはきわめて根強いものがあり、民間経済界の動向いかんによっては、再び景気の行き過ぎを生じるおそれなしとしないのであります。したがって、昭和四十二年度におきましては、財政が景気に対して刺激を与えることを避け、慎重な態度をもって臨むことが、特に必要であると思うのであります。公債政策を導入した新しい財政政策は、好況期の経済に有効適切に対処して、はじめて真の意味のフィスカル・ポリシーと言えるのであります。
 他方、わが国経済が均衡のとれた発展を遂げ、福祉国家の実現をはかっていくためには、住宅対策をはじめといたしまして、低所得者に対する施策の充実等、社会開発の推進、立ちおくれておりますところの社会資本の充実、石炭等の産業対策、中小企業、農林水産業等の低生産性部門の近代化、さらには物価安定のための施策の推進等、財政の果たすべき役割りはきわめて大きく、これらの施策の遂行は一日もゆるがせにできないのであります。これら財政本来の役割りと景気に対する補整的役割りとは、財政が同時に果たさなければならないものであります。この要請にこたえられることこそ財政の使命であるといわなければなりません。政府が提出いたしました四十二年度予算は、わが国経済が当面しているこれらの問題に積極的に取り組み、よく各般の要請にこたえていると思うのであります。
 まず第一に、予算の規模と公債の発行額を抑制しておりますことは、景気に対する財政の中立的な立場を示すものであり、現下の経済動向に即応した適切な措置であると申せましょう。特に公債の発行額について、予算編成方針できめた額をさらに、その後の情勢により減額いたしましたことは、財政の弾力的運営についての政府の強い決意を示すものとして、まことに心強いものがあります。公債の発行については、前年度の額を上回っている点のみをとらえ、景気を刺激するものであるという主張が野党の諸君の間に見られたのでありますが、これは公債を景気対策の道具としてしか見ない誤った考えであります。経済情勢とバランスのとれた規模の公債を発行して、社会資本の整備等の施策を進めていきますことは、決してインフレにつながるものではありません。要は、全体としての財政規模が適正な水準にあり、公債発行が市中の資金需給からみまして、無理のない範囲におさまっているかいなかによるのであります。
 この意味で、四十二年度予算において予定しております八千億円の公債は、経済情勢にマッチした適正なものと思うのであります。なお、四十二年度における公債依存度は、前年度のそれを下回り、一六%となっておりまして、このように公債財源に対する依存度の低下をはかっていることは、財政の健全なあり方を示すものであって、まことに適切な施策であると思うのであります。
 第二に、予算に盛られました各種の施策につきましては、景気に対する配慮から、その財源に制約があったにもかかわらず、よく国民の要請にこえていると思うのであります。特に、住宅対策や交通安全対策等、人間尊重の施策を進める上におきまして、当面緊要な経費を思い切って増額いたしておりますことは、この予算案の大きな特色であります。
 このほか、社会資本の着実な整備、文教、科学技術の振興、農林漁業、中小企業の近代化、貿易の振興等々、その充実には見るべきものがあり、重要施策の遂行について、政府の努力のあとがうかがわれるのであります。これによりまして国民の福祉の向上は一そう前進するものと確信する次第であります。
 次に、減税について申し述べたいと思います。昨年政府は、平年度三千億円にのぼる画期的な減税を行なったのでありますが、さらに、四十二年度におきまして、所得税のみで平年度千二百億円、全体で千五百五十億円の減税を行なっております。これによりまして、夫婦子供三人の給与所得者の課税最低限は一挙に十万円以上も引き上げられ、七十四万円弱となったのであります。これはいまだかってない大きな引き上げであります。本年度のような財政事情のもとでこのような大きな減税を行なわれましたことは、政府並びに与党がいかに国民負担の軽減に努力しているかの証左であります。
 次に、当面緊要な問題でありますところの物価の抑制について申し上げます。物価対策として何よりも重要なことは、財政が総需要を刺激しないことであります。その意味で景気に対し中立的な立場に立っている四十二年度予算案は、物価対策としましても適切なものでありますが、このほか中小企業、農林漁業の近代化等、構造的な問題の解決のための施策や流通対策等の施策について、その充実がはかられているのであります。
 私は、物価問題の解決には、その根源を断ための施策を根気よく積み重ねていくことが必要であると考えます。今後とも政府が一そうの熱意をもちまして、物価安定の施策を推進することを期待してやまないものでありますが、同時に、私は、政府のみでなく、国民の側においてもこの問題の解決に真剣に取り組む必要があると考えます。特に総理も言明しているように、賃金と生産性、賃金と物価の関係というような基本的な問題についても真剣に考えるべき時期にきていると考えるのであります。
 最後に、私は政府並びに各方面に対しまして次の点を要望したいと思います。すでに申し述べましたごとく、わが国経済の動向は必ずしも手放しの楽観はできないと思うのであります。しかしながら、政府においては、常に経済の成り行きを注視して、財政金融政策の弾力的な運営をはかり、経済が過度に拡大し、過熱のおそれが生ずる場合には、機を失せず、これが予防のための適切な措置を講ずる必要があります。なお、この場合、自然増収が生ずるときには、公債発行の縮減に充てるべきことはもちろんであります。しかしながら、この点については、審議の過程において、予算執行に当たり、事情の許す限り、公債の減額を行なうという政府の言明がありましたので、それを信頼するものであります。また、民間経済界においても、過当な設備競争に走り、再び景気過熱の事態を招くようなことのないよう切に希望してやみません。
 以上申し述べまして、本案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
○委員長(新谷寅三郎君) 鈴木一弘君。
○鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、昭和四十二年度一般会計予算外二予算に対し、反対の討論を行なうものであります。まず、反対の第一の理由は、予算の性格についてでありますが、政府の提唱しているフィスカル・ポリシーがすでに破綻を来たしていることであります。すなわち、昨年度の国債政策の算入に際して、政府はフィスカル・ポリシー、すなわち財政の景気政策的運用を強調し、これによって巨額の国債発行を合理化し、これこそが財政のあるべき姿であると主張したのであります。しかし、ここで申し上げたいのは、不況対策のために財政を膨張させることは容易でありますが、それのみがフィスカル・ポリシーでは断じてありません。景気上昇、あるいは景気過熱のおそれがある場合に、財政が景気に対し鎮静的機能を果たさなければ、フィスカル・ポリシーは完結しないのであります。四十二年度は佐藤総理の三回の組閣の中で初めておとずれた好況あるいは景気過熱の見通しすら考えられる年であります。したがって、当然積極的な国債の減額が行なわれてしかるべきであるにかかわらず、昨年度を大幅に上回る八千億円の国債を発行することになっております。政府は、四十二年度国債発行の理由としてフィスカル・ポリシーだけが財政の役目ではない、実は財政には財政本来の任務があると主張しておりますが、これは、どう割り引いてみても日本的主張であり、理論であるというほかはなく、その実体は、財政膨張政策ないしは国債政策を合理化しようという口実であり、一時的便法にすぎないのであります。
 さらに、明年度以降の財政も、一般会計の各種支出項目の硬直化現象、多くの長期計画、さらに第三次防の発足等による財政負担の大幅拡大などから見て、国債政策をてことした財政膨張政策はますます強まり、国債への依存度は強くなるとも弱められるとは考えられないのであります。このように、わずか二カ年にして、わが国の国債政策は財政構造の中に定着し、固定化して、近い将来に「国債を抱いた財政」から脱却することは不可能になったのであります。
 一時の応急的な措置としてでなく、恒久化した国債は、財政法第四条ただし書きの規定により発行する国債とは全く異質のものであり、財政法で認められた国債とは言いがたいのであります。こうした財政運営の憲法ともいうべき財政法で認められない性格を持つ多額の国債発行を内容とした四十二年度予算を認めるわけにはまいりません。
 また、国債が組み込まれた財政の問題点として、国債の累積と国債費の増高があります。現在の財政膨張政策のメカニズムのもとでは、国債は加速度的に累増し、数年にして五兆円を突破し、必ずや国債政策維持のために国債を発行することになるであろうことは火を見るより明らかであります。さらに、国債費が四十二年度は対前年比一三五・九%増という主要経費中最大の伸びを示したのでありますが、この趨勢から見て、近い将来一般会計の一割を国債費にさかなければならないということが確実に予想されるのであります。政府は、国債の累積と国債費の増高対策として、今年度から新減債制度を発足させたから心配ないと放言しているのでありますが、質疑の過程で明らかになりましたように、この低率償還のやり方では、償還の機能は少なく、結局、国債の借りかえという借金の自転車操業と雪だるま式累増の危険性がいよいよ強く感じられるのであります。わが党が国債発行の当初から主張したごとく国家の借金はインフレを招くという危険性が杞憂でなかったことが早くも実証されたのであります。
 以上述べましたように、四十二年度の財政は、国債をてこにした安易な膨張政策がとられた結果、フィスカル・ポリシーは破綻し、結局はインフレ必至の性格を持つに至ったものであり、わが党の断じて認めることのできない予算であります。
 反対の第二の理由は、減税についてであります。税の自然増収は七千三百五十億円にのぼるというのに対し、四十二年度予算における減税は、初年度千百三億円と最近になく小幅であり、大衆減税にはほど遠いといわざるを得ない。減税も物価の上昇によって効果は少なく税負担の急速な増加を調整する程度にすぎない。租税特別措置の廃止などの問題もなまぬるく、税負担の公平を欠くものといわざるを得ない。
 反対の第三の理由は、物価上昇予算であることであります。十月から消費者米価の一四・四%の値上げを見込み、健康保険料を千分の六十五から千分の七十二に引き上げるなどの法案もあるのであります。これに対し、中央卸売り市場の整備など流通対策については、はなはだ不十分であり、他方では公団を増設し臨時行政制度調査会の答申を無視し、国費の乱費をはかるに至っては国民本位の予算とはいえないのであります。かかる本予算三案は、国民生活無視の景気刺激予算であるという点から、わが党は反対を表明するものであります。(拍手)
○委員長(新谷寅三郎君) 向井長年君。
○向井長年君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和四十二年度予算三案に反対の討論を行ないます。
 申すまでもなく財政が景気安定的要素として働くためには、景気浮揚だけではなく景気の鎮静にもその機能を発揮しなければなりません。今年度の経済は、すでに明らかのように、自律的成長段階に入り、過熱のおそれありと判断されております。したがって、財政の景気調整政策の首尾一貫した運営をはかるためには、当然財政の姿は引き締め基調に転ずべきであります。
 以上の観点から、私の反対第一の理由は、本予算案が景気を刺激するような大型予算であり、景気過熱を助長するおそれがあるからであります。現下の日本経済は、一見景気が回復したかに見えますが、その実まことに微妙に変化しつつあります。消費者物価は依然上昇を続け、民間設備投資は過当競争を再燃し、早晩景気過熱、過剰生産の危機をはらんでおります。ところが、本予算案は、これらの欠陥を是正する有効な方策を何ら持ち合わせていないのであります。政府は、この予算案が景気に対し中立警戒型だといっておりますが、昨年と今年の経済の実態は全く異なっているのであります。私は、政府がこのような認識を改めない限り、再び深刻な不況を誘発するおそれありと憂慮いたすものであります。
 反対の第二の理由は、財政の基本原則を無視した国債の大幅発行についてであります。今年の経済は、すでに指摘したように、昨年とは大きく基調を異にしております。しかるに政府は、昨年を上回る八千億円の公債発行を予定しておるのであります。このように財政政策を無視した大幅な公債発行は、必然的に買いオペを通じ、実質的には日銀引き受けと同じ結果になり、日銀券増発、物価上昇に拍車をかけることは疑うことのできない事実であります。
 反対の第三の理由は、政府が選挙中、国民に公約した政策を無視し、物価抑制、住宅建設、地価抑制、減税、公害、交通対策、社会保障等について積極的姿勢を失っていることであります。とりわけ、消費者米価、健康保険料等公共料金の値上げは、もろもろの物価に波及するものとしてきびしく批判されなければなりません。また減税についても、今年度はわずか八百六億程度にとどまり、予算に対する割合は、戦後最低となっております。政府は、このことについて財源不足を口実にしておりますが、利子配当の優遇措置の全廃に努力しようとしておりません。さらにまた、住宅政策についても、その経費はわずか全予算の一・三%であります。一世帯一住宅の夢はほど遠いものとなっております。
 最後に私が反対する理由は、政府の行政節度に欠ける点であります。公債発行以前の予算においては、自然増収の伸びに制約されておりましたが、一たん国儀が発行されると、この制約がなくなり、とめどもなく予算を膨張させるものであります。したがって、これをチェックする方法は、きびしい行政節度によるほかありません。ところが本年度の予算案では、五つの公団公社がむぞうさに新設されるなど、行政努力について何ら考慮も払われておりません。私は、このような予算案をそのまま容認することはできません。
 以上の理由によりまして、私は本案に反対の意向を表明いたしまして討論を終わります。
○委員長(新谷寅三郎君) 春日正一君。
○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の昭和四十二年度予算三案に対して反対の態度を表明するものであります。
 これらの予算案の基本的な特徴は、第三次防衛力整備計画の発足と軍国主義の復活強化、資本自由化に対応する独占資本の国際競争力の強化と、産業再編成、侵略的な対外進出政策の強化を重要な柱として編成されていることであります。
 第一に、政府は、この予算案において、総額二兆三千四百億円をこえる第三次防衛力整備計画を発足させているが、これは、本委員会の審議でも明らかにされたように、核ミサイル化を含む自衛隊の装備の拡充と国産化、政治、経済、社会など国民生活のすべての分野にわたる有事即応体制つくりを目ざすものであって、軍国主義の復活を一段と危険な段階に推し進めるものであります。日米安保条約によって、アメリカの極東侵略体制に深く組み入れられているわが国の軍国主義化と自衛隊の拡充は、膨大な軍事費による人民の負担と民主主義のじゅうりんをもたらすだけでなく、アメリカ帝国主義の極東における侵略戦争にわが国を引き入れる危険を増大するものであります。
 わが党は、憲法に反する自衛隊を増強し、小選挙区制と憲法改悪を目ざす軍国主義復活の政策に反対するものであります。
 第二に、低開発国への経済援助、輸出入銀行資金その他海外進出費が大幅に増額されているのがこの予算案のきわ立った特徴であります。これは、佐藤内閣がジョンソンの十億ドル計画などに示されたアメリカの侵略的な東南アジア開発計画に進んで協力しながら、独占資本の帝国主義的な対外進出を推し進め、大東亜共栄圏の再現を目ざす侵略的な野望に基づくものであって、三次防による軍国主義復活と表裏一体をなすものであります。
 第三に、この予算案は、人民から取り上げ、独占資本のために使うというきわめて反人民的なものであります。
 歳入においては、一般会計八千億円、政府保証債五千百億円の公債発行、税の自然増収七千三百五十億円、消費者米価と健康保険料の引き上げ約千八、百億円などが含まれているが、これらは直接、間接に人民に対する収奪を強めるものであります。
 歳出においては、二兆三千億円にのぼる公共事業費の大部分を高速道路や港湾の建設その他独占資本のための産業基盤づくり、軍国主義復活の経済的基礎づくりに投入しています。
 政府の宣伝する減税は、実質八百三億円と、最近五年間の最低であります。これに反して、試験研究費や減価償却、海外交際費など、大資本に対する減免税の特典は新たに強められています。
 政府は、このような財政、経済政策をてことして、関税一括引き下げや資本自由化に対応する産業の再編成、国際競争力の強化を推進するというが、それは、わが国経済にたいするアメリカ資本の侵入と支配を一そう強め、これと結びついた独占資本を急送に集中強化するものであります。この結果、農民と中小商工業者は、アメリカと日本の独占資本による二重の重圧のもとに置かれ、その経営と生活は一そう困難になり、零落させられます。また、労働者は、企業合併による首切り、配置転換、労働条件の引き下げなどを含む新たな合理化に苦しめられることになります。これらは、すでに始まっています。しかも、この予算案に盛られている政府の労働対策は、炭鉱と繊維産業の合理化、労働力流動化政策などに見られるように、労働者に対する新たな合理化攻勢を推進するものであります。また、農業近代化、中小企業の近代化、流動機構の近代化に関する予算は、苦境にあえぐ農民と中小、零細企業家の大多数を救済するものではなく、かえってこれを整理し、淘汰することを促進するものであります。
 この予算には、生活保護基準と失対賃金の若干の引き上げ、身体障害者対策、交通安全対策など国民生活に関する費目の若干の増額が行なわれていますが、それは選挙のための人気取りにすぎず、何ら本質的な改善をもたらすものではありません。むしろ社会保障制度を根底から破壊する失業保険法や健康保険法の改悪によって、勤労人民に与える打撃が決定的に大きいのであります。
 さらに、大都市における深刻な住宅難の解消や交通公害対策、年々増加する教育費父母負担の軽減や青少年のための文化体育施設、働く婦人のための保育施設や老人、身体障害者の福祉施設の増設など人民の差し迫った要求は全く放置され、その根本的な対策は何も示されていません。
 以上で明らかなように、昭和四十二年度予算三案は、一握りの独占資本の利益のために、勤労人民に対する搾取と収奪を強め、アメリカ帝国主義への従属のもとで、軍国主義を復活させ、帝国主義的な対外進出の野望を遂げようとする独占資本と佐藤内閣、自民党の政策を、飛躍的に強めるためのものであって、日本の真の独立と平和、民主主義と生活の向上を願う勤労人民の利益に全く反するものであります。したがって、わが党は、このような予算案に絶体に反対するものであります。
○委員長(新谷寅三郎君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。よってっ総予算三案の討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより三案の採決を行ないます。
 昭和四十二年度一般会計予算、昭和四十二年度特別会計予算、昭和四十二年度政府関係機関予算、以上三案全部を問題に供します。
 三案を原案どおり可決することに賛成の方の起立を願います。
 〔賛成者起立〕
○委員長(新谷寅三郎君) 起立多数と認めます。よって、三案は、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき三案の報告書につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(新谷寅三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後六時四十八分散会