第055回国会 予算委員会第二分科会 第3号
昭和四十二年五月二十四日(水曜日)
   午前十時十四分開会
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   委員の異動
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     亀田 得治君     成瀬 幡治君
     岩間 正男君     須藤 五郎君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任
     成瀬 幡治君     稲葉 誠一君
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  出席者は左のとおり。
    主 査         熊谷太三郎君
    副主査         瀬谷 英行君
    委 員
                大谷 贇雄君
                小林  章君
                西郷吉之助君
                平島 敏夫君
                八木 一郎君
                稲葉 誠一君
                羽生 三七君
                藤田  進君
                黒柳  明君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       大 務 大 臣  水田三喜男君
   政府委員
       法務省刑事局長  川井 英良君
       大蔵大臣官房会
       計課長      中込 達雄君
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       大蔵省主計局次
       長        武藤謙二郎君
       大蔵省主計局次
       長        相沢 英之君
       大蔵省関税局長  谷川  宏君
       大蔵省理財局長  中尾 博之君
       大蔵省証券局長  加治木俊道君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       大蔵省国際金融
       局長       柏木 雄介君
       国税庁長官    泉 美之松君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       味村  治君
       大蔵省大臣官房
       財務調査官    近藤 道生君
       大蔵省理財局国
       債課長      大谷 邦夫君
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  本日の会議に付した案件
○昭和四十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
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○主査(熊谷太三郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を開会いたします。
 この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。
 昨二十三日、亀田得治君及び岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として成瀬幡治君及び須藤五郎君が選任されました。
 また本日、成瀬幡治君が委員を辞任され、その補欠として稲葉誠一君が選任されました。
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○主査(熊谷太三郎君) まず、昭和四十二年度総予算中、防衛庁及び外務省所管を一括して議題といたします。
 両所管につきましては、すでに質疑を行なっておりますので、これに関する質疑は終了したものと認めます。
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○主査(熊谷太三郎君) 次に、昭和四十二年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。
 なお、政府の説明は省略し、本日の会議録の末尾にこれを掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それでは質疑に入ります。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○羽生三七君 この前総括質問の際に、この公債政策からどういう時期にまたどういう条件のときに脱却できるか、という私の質問に対して、大蔵大臣は、公共事業投資が今後十年、十五年続けば、外国と同じように日本も公共事業は予算の四、五%で済むようになってこようと思う。一方税収はこれに対して多くなるから、税収と公債が徐々に置きかえられていく、こう答えられておるわけです。しかし、昨日もどこかの委員会でお答えになったようですが、大体五、六年ぐらいで公債を脱却できるかあるいは大幅に減額できるとお答えになっておるようでありますが、この五、六年と十年、十五年とではだいぶ違うわけでありますので、その辺をもう少し煮詰めてお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
○国務大臣(水田三喜男君) その点私もいろいろの人の意見も近ごろ聞いております。聞いてその点の勉強をしておりますが、いわゆる学識経験者というような人の意見も、大体共通の意見は、経済政策というものは普通各国でも五年計画というようなものをやっている。これには非常に意味があるのだ。やっぱり一つの施策をしたら五年単位ぐらいのことで計画を立て、そうしてその終わりごろにこれをいままでの総吟味をする。そして、次の新しい構想を練り直すということをやっていくのがいいことであって、長期計画というようなものはやはり不適当である。そういう意味で、各国とも五年というものが一応主要政策の一つの単位をなしておるわけで、公債政策もやはり同じようなものであって、一定の必要に迫られて公債政策というものをとった。一ぺんとると次の年との関連で急にこれをやめるというわけにはいかない。やはりある程度継続することになるが、やはり五年というぐらいがめどであって、そのときに公債政策というものは再吟味して次の構想を立てるという時期であって、もう出発した以上はやはり五年ぐらいの公債政策は継続するだろう、それ以後はやはりそこらで考えなければならぬ。そういうことをやりながら前進していけば、やはり政策上の間違いは起こらないということになるので、政府の今度とってきた政策も、実質的には、ことしは二年目ということで、あと三年間たったら、これはやっぱり考え直さなければならぬという時期で、一つの区切りの時期だということを言われるのですが、私もやはりそうであるというふうにいま思っています。と申しますのは、特に日本の場合は、各国に比べて公債の累積が非常に少ない、公債残高が非常に少ないのですから、四、五年の間、依存度を相当減らしながらやっていくという程度の公債政策には耐えられると、こういいますが、しかし、単年度の公債依存度ということにしますと、世界の各国でこんなに高い公債を年々発行している国というのはございませんので、これはこの依存度を続けるということは、これはやはり結局不可能でございますので、せっかく踏み切った公債政策ではございますが、私は五年間たったときが、この公債政策の大きな変更期ではないかというふうに考えます。
○羽生三七君 そこでその場合、減額あるいは転機を画する主たる条件は、税収増にウエートがかかるのか、あるいはまた、公共事業あるいは建設事業等の比重が減っていって、そこから減額可能の条件が起こってくるのか、どっちにウエートがかかるとお考えになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 日本の現状から見ますと、公共投資はおくれておりますし、外国のように社会資本の蓄積というものもまだ十分ではございませんので、したがって、いまの財政の中における公共投資の比重は非常に大きいのですが、これが外国並みに比重が下がるということは、そうまだ簡単にはいかないと思う。経済社会発展計画でも、四十六年までのとりあえず五カ年間の見通しでございますが、これを見た投資もやはり二十七兆というワクを示しておることから見ましても、少なくとも日本の場合は、私は公共投資の比重のかかるのは十年は相当の比重をかけないと、この均衡のある経済発展の基礎を築くということにならぬじゃないかというふうに考えますので、税収をふやすということとそういう方面が徐々に減ってくる、やはり両方の面に期待するよりしかたがないのじゃないかというふうに考えております。
○羽生三七君 そこで、この公債の依存率、依存度を下げて、だんだん下げていきたいというお考えは前から述べられておったわけですが、情勢いかんによって下げるのはこれはあたりまえの話ですが、少なくともパーセンテージをあらかじめ想定するわけにいかぬけれども、大体原則的に次の年度で前年度よりも下げていく、そういうことを予算編成の前提条件としてお考えになることはできないのですか。税収があれば下げるというのは、これはあたりまえの話で、そうでなしに、やはり四十五年あたりをめどに一つの転機を画するとするならば、いまから依存度をだんだん下げていく、それを予算編成の一つの前提の条件としていくという、そういうお考えは持つことはできませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) そういう考えのもとに、ことしは、実は当初予算に対する依存率はやはり下げたつもりでございましたが、この前答弁いたしましたように、四十一年度の実績が狂ってきましたので、それにやはり対応して、今年度も去年と同じような情勢になってくるとすれば、公債の発行額を明年度において相当調整したいというふうに考えております。来年度の問題、これはまあ簡単に予測できませんが、ことしの税収は、自然増は、私ども決して過少に見るつもりでやったわけじゃございませんが、けっこう多目に見たつもりだったのですが、経済の動きによって予想以上に経済が伸びるというようなことでございましたら、また、自然増も当初の予想よりふえないとも限りません。そういう情勢でございましたら、今度は、来年度の予算の見通しにおいてもそういう傾向は続くということでしたら、来年度は依存度については当初予算から相当考慮ができるだろうというふうにも考えられますが、これはどうも、まだ先の予想はいまのところむずかしゅうございます。
○羽生三七君 そこで、できるだけ減額して、できればやめるほうがいいというようなお考え、原則的な立場で言うまでもないのですが、そこで、最初から予定して下げる場合はとにかく、一たん発行額をきめておいて、税収増加に応じてこの国債減額をやっていくという場合、これもまあけっこうなことです、悪くありませんが、しかし、そういうことがおりおり繰り返されるならば、歳入補てん債と変わりがないことになって、いわゆる建設国債というか、歳入補てん債、赤字国債と同じことになって、建設国債の意味とだいぶ違う意味になるような気がするのですが、これはどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) それはそうはならないのじゃないかと思います。公共事業をどれだけやるかということを予算でとにかくきめるのでございますから、この公共事業は予算どおりにやる。やる場合に、その財源が公債によらなければならぬか、自然増が予想以上にあってその資金をもって所定の公共事業がやれるかという問題でございますので、自然増の多いときにそれだけ公債を切るということは少しも差しつかえないことだろうと思います。
○羽生三七君 そこは私、若干見解が違いますが、それはそれとして、それから、これもさきにこれは衆議院で……、参議院でもどなたかの御質問にお答えになったかと思うのですが、国債償還は今後約六十年かかるだろうと、こうお話しになったのですが、それは現時点で国債をストップしたときのことじゃないかと思う。今後継続してやっていった場合には、そういうことは出てこないのじゃないですか。百年とか百何十年ということになるので、六十年と言われたのはあの時点を想定した年限ではないのでしょうか。どうもこの点私よくわからないので、ひとつ説明していただきたい。
○政府委員(岩尾一君) 大臣が参議院でお答えいたしました六十年というのは、現在の国会に提案いたしております国債整理基金特別会計の繰り入れでございますが、あの際の繰り入れ率の計算といたしまして百分の一・六という数字をとっております。この百分の一・六というのがどういう計算でできておるかという説明の際に、大臣から、いわゆるいま申しましたような公債は建設公債、いわゆる公共事業、そういった国民にプラスを生むような投資資産に対するものとして出すわけでございますから、そこでそういう公共事業の効用発揮の期間、効用発揮の期間に一般財源である租税から返していくという思想をとってみたらどうか、そこで、そういう公共事業の効用を発揮する期間をどれくらいに見たらいいかということになりますと、昨年四十一年の大体の公共事業の、土地とかいろいろなものがございますが、それを平均いたしますと大体六十年くらいになりますので、そこで、六十分の一、一年ずつそういうものを効用発揮の期間に全部返すという思想に立ちますと、百分の一・六という計算ができる、こういうことを申し上げたわけであります。
○羽生三七君 どうもまだよくわからない。この減債の基金の一・六はわかりますが、そうすると、いまのは、いままでの発行についていったのが、今後発行額が累積していった場合同じことなのか、これはどういうことなのか、そこのところをもう一度。
○政府委員(岩尾一君) 公債に対します一・六の繰り入れでございますが、これは現在提案いたしておりますのは、前年度首の国債総額の全体に対しまして一・六を掛けたものを国債整理基金特別会計に繰り入れていく、こういうことをやるわけでございます。したがいまして、前年度首にあります全体の公債総額の一・六%のものを繰り入れていく、そうすると、一応公債対象の効用発揮期間には、そういうものが六十年たてば全部一般財源から返されることになるという計算になるわけですが、実際の公債の償還につきましては、先生よく御承知のように、われわれは、いま申しました定率繰り入れと、それから剰余金の二分の一、これと、それから必要に応じて予算上繰り入れるという制度、この三つでもって一般財源からの償還を行なっていきたいと考えております。なお、現実の償還のやり方につきましては、これはそのときどきの経済情勢に応じまして、借りかえ等もございましょうし、あるいは買い上げ償還もございましょうし、そういうことで実際の償還がこのとおりいくかどうかわかりませんが、計算としては、前年度首の国債総額に対する一・六というもので計算すれば、効用発揮の期間六十年には一応財源が返せるという計算になる。先生のおっしゃるように、若し公債を毎年毎年ふやしていけば繰り入れる額は、これに伴ってふえるわけです。そこで繰り入れるものはふえていく、逆にどんどん途中で返していけば、今度は計算の基礎となる公債の額が減るわけですから、繰り入れる額も減ってきて、六十年たっても返せないという計算にもなることもあります。一・六という計算自体は、この公債総額を一定といたしまして計算していくということで考えたわけでございます。
○羽生三七君 それから昨日でしたか、参議院の大蔵委員会で、国債を資金運用部で引き受けないというお話があったようですが、実はこれは先日、参議院の公聴会で、三菱銀行の田実頭取が来まして、国債の市中消化は困る、資金運用部で引き受けてもらわなければ困るということを言われましたので、私はそれじゃ政府の市中消化の原則とだいぶ違うことになるのじゃないかということを言ったことがあるのですが、そうすると、資金運用部で引き受けた場合、いまの政府が市中消化を原則とするという問題とどういう関連がありますか。
○国務大臣(水田三喜男君) たとえば昨年を言いますというと、三百億円は資金運用部で引き受けるという予定でございましたが、年末に来まして六百五十億の国債の削減をやりましたために、その中に含まれて預金部の引き受ける三百億円は引き受けないでしまったという措置になっておるのでございますが、ことしも市中消化は幾らというふうにきめてかかっておりますので、ことしも預金部引き受け分を一応予定しておりますが、必要によってはそれをふやすこともできるというふうに考えて、要するに、市中金融をなるたけ圧迫しないようにという配慮をもって、私ども政府の資金でやるということもいたしたいと思います。
○羽生三七君 それは必要に応じてということですが、しかし、市中消化を公債発行の大前提条件ということをだいぶ伺ったのですが、結局市中消化を減らしてやるための処置に違いないのですから、だいぶ事情が違うような気がするのですが。
○国務大臣(水田三喜男君) その点は郵便局の金で、民間が貯蓄した金ですから、民間の資金を活用するということで、性質は変わらないと思います。
○羽生三七君 最近の国債が、小幅だけれども少し値が下がっておるということ、それからまた、その原因が何かということもあるでしょうが、金融市場が逼迫して都銀筋が手持ちの債券を売り急いでおる、私はしろうとですからよくわかりませんが、そういうことらしいのですけれども、今後の国債価格にそういういまの趨勢というものが影響することがないのかどうか。あるいは国債の消化に影響はないのかどうか、その辺はいかがでありますか。
○説明員(大谷邦夫君) 最近確かに都銀筋の債券売りが出ておるということでございますが、これは先行きの景気動向を見越しての、いわゆる先行きを見越しての売りでございまして、買い手は逆に先行きを見越しての買い控えでございますが、必ずしもそれが基本的なものかどうかは判断しかねると思います。そういう影響を受けまして国債も若干軟化をしておりますが、この状況でございますと、別に証券会社の市中消化には障害がございませんで、今後の市中消化にも影響があるとはわれわれまだ考えておりません。
○羽生三七君 そうすると、いまの状態では心配なくて、国債の発行条件を変えるなんということでは全然ない、そういう理解でよろしいですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところそうだと思います。
○羽生三七君 そこで、景気調整策の一環として国債の減額もあり得るということはしばしば蔵相も述べられておるわけですが、実際問題として、私は国債減額には賛成であるけれども、実際には政府支出を減らさないで、国債だけを減額しても、他方国債の減額によって浮いた金が民間に流れるので、結局それだけ設備投資に回って、実際上の調整策にはならぬのではないかという気がするのですが、それはどうお考えですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 民間の必要資金を圧迫するというところに経済の均衡発展の問題が出てまいりますのでこの公経済の需要と民間需要が競合するというような場合には、やはり政府は公債の発行を調節するというほうが本筋な行き方であって、この調整をするということは、反面国の施策を縮小するということもございましょうが、そういう情勢のときにはやはり税収というものも一方伴ってくるところでございますので、政府の施策を削減しなくてもそういうことは可能になるというような状態でありましたら、まず発行債の削減からかかって、必要な民間需要を圧迫しないという措置をとるのが本筋の行き方だろうというふうに考えます。
○羽生三七君 これはいまあらかじめお尋ねするのも少し無理な話かと思いますが、税収が相当大幅に伸びると思います、ことしは政府の予想よりも伸びると思いますが、その場合には、補正予算の必要財源以外は全部国債減額に回すと理解してよろしいのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 大体いまのところ、そういう運用をしたいつもりでおります。
○羽生三七君 それから日銀が、これは私よくわからぬ、新聞で知っただけですが、国債価格の大幅下落を防ぐために、日本証券金融から、申請の出ている証券会社に、国債流通金融を始めるというのですが、これは決定したことなんですか。
○説明員(近藤道生君) 特にそういう趣旨のための操作は行なわれていないように聞いております。
○羽生三七君 そこで、公債政策はこの程度にいたしますが、景気過熱対策が、主としてこれはいままで金融政策で行なわれていたわけですが、国債が発行されてから、この金融引き締めだけでは景気調整はなかなか困難だということで、そういうことで、財政の中に、法人税の延納の場合の利子税率の引き上げとか、あるいは特別償却の停止策、そういうものが取り入れられておるようでありますが、この調整の効果というものはどの程度のものなのか、あるいはこの利子税率をどれだけ上げれば、この法人税の収納率はどの程度にふえるのか、あるいは特別償却の停止をすればどの程度の効果があるのか、そういうことをもし検討したものがあったら承りたい。これは私もしろうとですから、よくわかりませんから。
○説明員(近藤道生君) ただいまのお尋ね、特別償却のほうはかなり影響を持つものと考えられております。
 それから利子税につきましては、むしろ金融面の繁閑に基づくものを受け身の立場でその効果を相殺するという意味におきまして、きき目があるというふうに考えております。
○羽生三七君 それは何か、額でどの程度ということは想定できないのですか。
○説明員(近藤道生君) 額でどの程度ということはございませんで、やはりそのときどきの金融情勢に応じまして、即納率の変動がおのずからございますので、その効果を相殺する方向で利子税の調整が行なわれるということになろうかと思います。
○羽生三七君 それから利潤税といいますか、新しく創設すると言われる。あれはどうですか。
○説明員(近藤道生君) ただいま仰せのございました利潤税のことにつきましては、特にフィスカルポリシーとか景気の繁閑ということとは関係なしに、むしろ恒久的な一つの税制として考えられておるように了解しております。
○羽生三七君 これは考えられておるだけで、固まっていつ実施とか、そういうことはまだないのですか。
○説明員(近藤道生君) ただいまのところ、まだそのような具体的日程は何も固まっておりません。
○羽生三七君 それからこれに関連をして、これもどこかのほかの委員会で質疑があれば省略しますが、この信ずる新聞報道では、売り上げ税を創設するということが出ておるのですが、それは蔵相の構想らしいと出ていますが、これはいかがですか。
○国務大臣(水田三喜男君) そのいきさつを言いますと、ここの、参議院の大蔵委員会で間接税と直接税の比率の問題が出まして、そのときに、いま四一と五九という比率になっておりますが、間接税の比率はもう少し上げたい。上がってもいいということを言ったことがきっかけで、衆議院のほうで、それはすぐにたばこの値上げを意味するか、どうするかという一連の質問が出ましたので、そうではないという説明の際に、将来の税制として、こういうことを一つの課題にしたい、ということは、国債をもう発行している以上、将来の償還財源という意味から、今後成長する税というような、成長税の開発ということもこの際考えなければいけない。国債の発行ということとからんで、新しい角度から、こういう勉強もする必要があると思う。それには、いまは法人税というものが一番国の税収の中枢になっておりますが、これは一定のところに来たら、斜陽的な傾向を持つものだから、そうなってくるときに、また直接税について、特に所得税については、減税の要望が国民から強い。直接税についての減税の要望は将来強くなっていくし、そのうちの法人税というものは斜陽的な性格を持つということを考えたら、たとえば売り上げ税とか、そういったようなものの考えというものを税制の中に取り入れるということも研究しなければいけない。一つのこれは研究課題だということを申しただけでありまして、そうなると、間接税の比重というものは当然上がってくるというような一連のことを言っただけでありまして、来年度からすぐ間接税に移行するなどと、そういうようなことを申したわけでは全然ございません。これは私はこれからの長い間の研究課題には十分していい問題だと思っております。
○羽生三七君 これはやはり所得税を納めない低所得者層が、そういう形で何か価格にはね返ってくる負担を背負わなければならないという問題もあって、直接税と間接税の比率をどうするかということは、今後の大きな課題だと思いますが……。
○国務大臣(水田三喜男君) そこでもう一言言っておきますと、それが何か新聞に出て、大衆課税だ、物価が上がるということを言ったようでありますが、私はそうは思いませんで、利益に税金をかけるというようなことをやっているから、利益を隠す、利益を散らすということをやって、経費を浪費するところに追い込んでおるのが、やはりいまの税制の一つの持っている欠陥だと思っております。そうじゃなくて、経済の規模において税がかかる。大きい仕事をしている人は、これは税は大きくかかるし、小さい規模の仕事をしている人は、小さな規模の売り上げ税みたいなものを払えばいいということになれば、それを払ったあとは、いかにもうけてもいい、もうけたほうが企業が堅実になりますので、そこから出てくる日本経済の全体の浪費というものがどれだけなくなってくるか、外に出されてくるかということを考えますと、これによって物価が上がるのではなくて、各段階ごとにこの税は吸収されてしまって、末端の消費価格は上がらないという結果になっていく、各段階ごとの浪費というものがみんな外に出されて、日本経済はコストの非常に低い、能率のいい、全体の産業になりゃせぬかと、こういうことも間接税の持つ一つの機能でございますので、そういう点を考えると、間接税といったら、すぐ物の値段を上げるというふうに考える考え方も間違いだと、これは十分これからみんなが研究するに値する問題だというふうに私は考えておりまして、まだ構想も何も発表しないうちに、すぐ大衆課税で、これは物価が上がるだろうというような、こんな考えは簡単に私は承知できないんです。これはゆっくり考えたいと思います。いまの問題じゃございません。
○羽生三七君 これは世界的に直接税と間接税の比率をどうするかということは、それぞれの国の事情に応じて問題があると思いますから、これはいまのような問題点があるのか、蔵相の言うように心配は全然なくて、逆に負担軽減のほうに役立つのか、その辺は私たちもよくわからぬからこれは十分研究さしていただきます。
 それから、これもきょうだかきのうの新聞に出ておりましたが、課税最低限を標準世帯百万円までと、これは四十四年に実現と、ここに出ておりますが、その場合、この前参議院の予算委員会でどなたか御質問になったが、かりに四人になった場合には年限が延びるのですか、どういうことになるのでしょうか、五人と四人の場合。
○国務大臣(水田三喜男君) これは標準家庭を五人と選ぼうと四人と選ぼうと、全然関係ないと思います。
○羽生三七君 わかりました。
 それからその場合に、若干の考え方はやはり参議院の予算委員会で述べられたと思いますが、住民税の最低限を引き上げるということは、これはどういうふうにお考えになっておりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 国税と住民税は性格が違いますので、その地域において寝起きしているものに対応する税であるという税の性格が違いますから、したがって、課税最低限が国税と同じでなければならぬというようなことは言えないと思いますが、しかし、最近の減税を見ますというと、国税のほうは順々に減税が行なわれて課税最低限が引き上げられておるというときに、地方税においては減税が行なわれておりませんので、やはりそういう意味から地方税における課税最低限の引き上げということもやはりやるべきであるという考えから、これをやる日程を一応私どもは来年度ということにしてただいま自治省を中心に検討しておる最中でございます。
○羽生三七君 それから資本自由化に対して、総理も基本的な見解述べたようですし、それから一昨日の当分科会で、私これは詳細に通産大臣に聞きましたので、基本的な問題は別として、外資審議会の代表が先日蔵相を訪問した際に、外資の基本問題はその資本力であるということで、金融再編成を通じて割り高な金利を国際水準にさや寄せできるような行政に力を入れることを要請する、こういう申し入れをしたというのですが、過熱抑制のために公定歩合を引き上げるというようなことも起こりかねない。まあすぐにはこれは日程にのぼらないでしょうが、そういうときに国際金利にさや寄せするということが私にはどうものみ込めないのですが、これは具体的にはどういうことなのか。
○国務大臣(水田三喜男君) そういう申し入れというわけではございませんでした。外資審議会もいま一応結論に近づいてきておるときでございますので、そこで中間報告の意味で小林さんが参りまして、そこで私どもに要望されましたことは、この前に貿易の自由化の問題が出てきたときもそうでしたが、一切の対策ができてしまわなければ自由化はできないのだというようなことを言っておったら、これは自由化はできない。ある程度自由化を踏み切って、それに必要な対策は並行してついていくというようなことで対処してきたために、日本の貿易自由化も出初の予定以上、九三%のところまで支障なく行くことができた。そういう過去の経験から見ましても、今度の資本自由化についてもこの対策ができなければ一切いかぬということを主張しておったら、なかなか前向きの結論が出てこない。やはり必要な自由化はするんだという腹をきめてかかって、それをきめたあとで必要な対策は足らないものはどんどんあとからそれに伴わせるようなことについて政府も相当の考えを持ってくれなければ困るということで、これは当然でございますので、必要な自由化に対する今後の対策ということはできるだけ私どももとりましょうということを言っただけでございまして、そういう具体的なものが出てきたわけじゃございません。
○羽生三七君 次に、本年度の外債発行の見通しはどうかという問題、昭和四十二年度の外債については産投、それから責任債務保証ということで予算総則の中に一億ドルですか、出ておるわけですね。これが財投計画にはなぜ入らないのか、ちょっとそれ理由が私わからないのです。
○説明員(大谷邦夫君) 御質問二つあったと思いますが、最初の外債発行の見通しでございますが、これは最近アメリカ、ヨーロッパ市場とも公定歩合の引き下げなどがありまして、金融が緩和傾向にございます。そうして慎重に情勢を見ておる段階でございます。適当な時期があれば発行したいと思っております。まだ決定的な段階には至っておりません。様子を見ておる段階であります。
 次に、世銀借款等、予算総則にワクをとりながら財投に載っけてないというのはいまお話しいたしましたように、外債発行の見通しというのは必ずしもさだかではございません。市場の状況によってできるかどうかわかりませんので、そういうものを財源に当て込んだ場合に、もしそれができなかった場合には見返りの資金調達をしなければならないということに相なります。そういうふうに不確定な財源でございますので、一応財投計画に見ておらない。一方確実になって金が入った場合にあらためて配分その他は考えたい、こういう趣旨でございます。
○羽生三七君 一応ワクだけ残しておく、こういうことですね。
○説明員(大谷邦夫君) そういうことでございます。
○国務大臣(水田三喜男君) ちょっと途中で、羽生さんのさっきの御質問に対して誤解があると存じますので、もう一ぺん申し上げますが、さっきの課税最低限の問題、いままで一応五人の標準世帯ということを中心に課税最低限を幾らにするということをやってきましたが、何で五人の世帯を標準世帯とするかという問題が出たときに、前にお答えしましたように、最近の統計では一世帯標準は四人というのですから、四人世帯を標準世帯としてもいいということを申しました。今度の場合も四人世帯でどうだということを言ってもいいのですが、しかし、従来から五人世帯で幾らということにしてありますので、いまでも五人世帯を標準世帯として私どもはいろいろなことを言っているわけでございますが、だから四人世帯といえば保税最低限というのは百万じゃなくて、これは狂ってきます。狂ってきますが、一応五人世帯として課税最低限を百万円というのは目標を四十五年ということでございまして、それを昨日はいろいろ御質問がございまして、もっと早くできないかということでございます。私どももきのう答えたのはこういうことでございます。この間の選挙のときから与党のうちにおいては、四十四年が目標にできないかということで、これは私どもと一緒に研究しました。ことに佐藤総理も四十四年の実現を希望するということで、私どももいろいろ作業をしましたが、これを四十四年までにやるとしますというと、その財源がなかなか大きい。かりに四十五年までにやるとしましても四千何百億円という財源が必要だし、その間における自然増の総合計を見ても二兆四、五千億円ということになりますと、二〇%くらいの減税の幅に毎年平均なるということになろうと思いますが、過去の減税を見ますと、自然増に対する減税の幅は一五、六%が過去の平均でございますので、これが二〇何%、二〇%から三〇%の間の減税ということになりますと、減税としては相当大幅な減税になる。しかも所得税だけでそうですから来年以後自由化の問題がございますし、どのくらい他の減税をしなけりゃならぬという事情にならぬとも限らぬということを考えますと、四十五年なら何とか一応努力できるとしても、四十四年に実現するというのはむずかしいかもしれぬ。むずかしいことを公約してできなかったらたいへんだから、用心をして四十五年ということで、私どもはどこから言ってきても四十五年一点張りできて、いまでも変わっておりません。しかし、きのう野党と自民党の共同の決議で、結局可及的すみやかにと言った意味はどうだということですから、私どもの考えは、この約束はまだくずしませんが、気持ちはできるだけ早くということを考えておると言いましたら、よし四十四年にきまったというようなことできょうの新聞に出たのですが、いきさつはそうでございますから、この際またあらためて発言しておきます。約束はいたしませんが、もうそういう考えでとにかく努力いたします。
○羽生三七君 それはまあ事のはずみでそうなったにしても、とにかくできるだけそれは早い機会に実現することを要望しておきますが、四人になってもその内容が先ほどお話しのように変わりはないんですね。幾らかずれるということはないんですか。それは全然変わりありませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) いまのところは五人世帯で百万ということですから、四人ということを基準にしたら百万じゃございません。これは四人になりますと九十万前後の目標になると思います。
○羽生三七君 そうすると、九十万前後になるし、それを百万とするなら四十五年が四十六年になるというようなことが起こるかもしれないんですね、そういうことですね、要するに。
○国務大臣(水田三喜男君) そういうことでございます。
○羽生三七君 それから、承認を得ている金利平衡税の一億ドルの免税ワクは、これはことしも続いておるわけですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 続いております。
○羽生三七君 それから、次に御承知のケネディ・ラウンドで、まあ一応先日の宮澤長官の出張で、一応会議が妥結したわけですが、その結果、穀物協定に直接の小麦援助を規定することはまずなくなって、ワク外になったことは一応の成果といわれていますが、しかし、一昨日も質問してみると、この協定文作成の過程で、なかなか本質は変わらないけれども、いろいろめんどうなことが起こると思うのですが、まあそれはそれとして、日本の五%、千四百何十万ですか、幾らになりましたかね、あれは、千四百五十万ぐらいですね、そういうことになってきた場合、それからもう一つは、国際小麦協定で、小麦の価格帯が変わりますから、上がるんですから、その場合、ここに額も一ブッシェル、一ドル七十三セントと、こうきまったようですが、この場合に、いま実勢と、この協定できまったのとではだいぶ差があるけれども、しかし、実際問題として、そういう国際価格帯の下限が上がった場合には、相当影響が出てくると思うのです。それは、実際にいますぐは影響がないにしても、やはり将来うどんとか、国内のいわゆる小麦製品、それに影響があるし、それから食管に――ほぼこれが百億の黒字を示しておるのでしょう、小麦のこれは輸入差益金ですか、それも減ることになって、これは若干予算に影響があると思うんですが、その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 現に政府が買ってる小麦の値段は、今度の協定の最下限よりずっと高いところで買ってるんですから、今度の協定が直接影響するということはございません。
○羽生三七君 いますぐではないがということですが、しかし、私はこれは全体として、必ず私は若干の影響が出てくると思いますが、それで今年中くらいは、それじゃうどんとかそんなものに影響するようなことはもう全然ないと見てよろしいですか。
○国務大臣(水田三喜男君) ないと見ていいと思います。
○羽生三七君 それじゃあ、あとは本会議のあとで、もうちょっとありますから。
○主査(熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○主査(熊谷太三郎君) 速記をつけて。
 大蔵大臣、本会議出席のため、再開は午後零時十分からとし、暫時休憩いたします。
   午前十一時七分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時三十七分開会
○主査(熊谷太三郎君) ただいまから予算委員会第二分科会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和四十二年度総予算中、大蔵省所管を議題といたします。質疑のおありになる方は、順次御発言願います。
○羽生三七君 午前中、売り上げ税創設問題で大臣の意見を伺いまして、大体の考え方を承ったわけですが、その中で大臣は、これは非常に役立つというお考えで、これは物価の値上げにもならぬし、むしろ経済に役立つというお話でしたが、軽く承っておったけれども、実はこの問題が出てからにわか勉強をちょっとやったんですが、それによると、だいぶ大臣のお考えと外国の例とでは違うんじゃないかという私は理解をしております。つまり売り上げ税の場合は、最初のメーカーから最終段階の消費者に入るまでに、各段階ごとに税がかかってくる、これは相当なものになると思います。ところが、そういうやり方ではいけないということで、EECでは本年の二月九日に理事会を開いて、一九七〇年――昭和四十五年ですね、それまでに全部これを付加価値税に切りかえるという決定をしておるようです。ですから、この売り上げ税と付加価値税とを大臣は混同されておるんではないかという問題。
 それから、ドイツでは、日常商品とか食料品については、一般にかかっている税率の一〇%、これを軽減または全廃すると、そういうことにするようです。で、結局、大臣のお考えのような売り上げ税の創設をするというと、物価が上がるだけでなしに、弱小企業の輸出競争力が非常に弱まってくる。逆に今度は付加価値税に直せば、これは欧州の例ですが、ある意味では輸出の促進にもなるし、決して価格の引き上げにはならぬ、これが欧州における、特にEECにおける例のようであります。ですからこれは十分御検討願わないと、先ほどのお話のような、単なる売り上げ税の創設では、問題が全然逆になるという理解を、私のにわか勉強ですけれども、しておるわけです。したがって、先ほどの御答弁のようなことだというと、問題は非常に重大だと思いますので、いま私の申したことも参考にしていただいて、もう一度ひとつお考えを承らせていただきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 先ほど申しましたように、一ぺん税制調査会で取り上げられたことはございますが、いま、議題ではなくなっておる。
 それから、この種のことについては、戦後売り上げ高税というようなものを実施して、これが失敗しておりますので、あの方式とまた混同されておるというような問題もございますし、なかなか簡単な問題ではございませんが、しかし、全く再検討に値しない問題であるかどうかということについて、課題を出したというだけの意味でございまして、これを論議いたしますと、何かこの問題を中心に私どもが取り組み始めているような印象を与えますので、この問題はこの程度でごかんべん願いたいと思います。
○羽生三七君 それは現実に問題になっていないことならばそれでいいんですけれども、先ほど御披瀝になった考え方は、これは物価の値上げに全然ならぬ、経済発展に役立つということを中心にお考えをお述べになったので、それではいまの西欧、特にEECあたりが、それでは全然だめだということで、新たに一九七〇年を目途として全面的な切りかえを、つまり売り上げ税をやめて付加価値税に切りかえようとする。ドイツもまた食料品と、一般日常物資については、いまの一〇%課税を軽減または全廃するという、そういう方法で考えておる。輸出の場合にも先ほどのようなお考えでいくならば輸出を阻害する。ところが、純然たる付加価値税になれば弱小企業は圧迫することにもならぬし、輸出の促進になるというように、私のにわか勉強では理解しておるので、それはひとつ十分御研究を願って、先ほどのようなことで、いま問題になっておらぬにしても、作業を進められると問題になりますので、これは要望をいたしておきます。
 それから次に、総理大臣の対外援助を計画的に行ない得るようにするために予算に一定のワクをつくりたいというようなお考えをもっておられるようでありますが、そういうお考えはおもちなのかどうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 対外援助については、これから各国の要望も非常に出てくる情勢になりますので、これに対処する方法として、従来のように、輸銀及び海外経済協力基金、そのケースケースによって対処する方法をやっているということでは、なかなか今後円滑にいかない問題が出るかもしれないということから、これについての今後の対処のしかたを、ここで検討する必要がありはしないかということが、いま政府部内にもそういう意見が出てきておりますので、私どもも今後この問題の検討に入りたいと考えておるところでございますが、一切その具体案はいまのところもっておりません。
○羽生三七君 実は先日、宮澤企画庁長官にもお尋ねしたのですが、たとえば今後、日本がケネディ・ラウンドの次の段階にくる南北問題に対処するような場合、その場合にインド飢饉緊急援助六千万ドル、これはおそらく日本は割り当てられたワクの中に入ると思うのですが、たとえば東南アジア農業開発基金、これは一億ドルかまだはっきりしておりませんが、そういうようなものとか、あるいは今度インドネシアに出す六千万ドルのうちの、かりに食糧関係のものがあるならば、それとか、一体そういうものはどうなるのか、ワク内なのか、全然ワク外のものなのか、そういうこともあるし、ひとついろいろな問題点があるかもしれません、今後。特に来年二月、この問題の会議がアジアで開かれる場合には、かなり強く南北問題が、プレビッシュ報告に関連してかなり強く出されると思いますので、これに対する対処のしかたというのは一応固めておかなければいけないのじゃないかと、こう思うわけです。そこで、かりに一定のワクをつくるという場合には国民所得の一%という問題とはどういう関連になるのでございましょう。
○国務大臣(水田三喜男君) 援助の形の中にはいろいろございまして、円借款という形の援助もございますし、そうではなくて単純な延べ払い援助というものもございますし、援助のしかたはたくさんございます。今度のインドネシアとの交渉におきましても、いわゆるグラントで、政府から貸すのじゃなくて、保証で提供するという援助のしかたもございます。こういうものも全部集めて、大体日本の東南アジアに対する援助、国民所得の一%ということが要望されており、また、私どももある程度の援助を将来日本で考えるという、もう約束もしておって、現在のところを見ますと、そういうものを全部集めて〇・七%前後のところへきているということでございますが、一切そういうものを全部含めてでございますが、そのうちで、たとえば輸銀で処理できて、一般会計に負わない援助のしかたもございますし、やはりたとえば利子補給をするということによって、一般会計からの利子補給をしてやらなければ、この援助ができないものも出てきましょうし、ですから、一%が全部財政負担にそのままなるということはございません。
○羽生三七君 一番、一%をかりに達成する場合に、大体いまの〇・七%から一%にはどのくらいの期間を――二、三年ですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 一%で、国民総生産が動かないと簡単かもしれませんが、金額は毎年私どもは援助の金額は上げられると思いますが、一方その所得がやはり上がってきてから、その一%ということは、やはり相当きつい負担であって、完全に一%実現ということは、やはりある程度ひまがかかることと思います。
○羽生三七君 一応二、三年とか、三、四年とかいうめどはつかぬということですか。
○国務大臣(水田三喜男君) いま四十年で四億八千万円ドルぐらいいっておりましたから、去年は五億をこしておると思いますし、ことしは相当のことになると思いますし、金額はふえますが、一方国民所得もふえますから、その一%に完全にするというまでにはやはり相当時間かかると思います。
○羽生三七君 そこで、実は先日蔵相もお聞きになったと思いますが、予算の総括だか、一般質問の際に、どなたかの質問に答えられた三木外相は、海外経済協力基金ですか、あれを中心にして、今後の対外援助を考えたい。こういうふうに言っておいでになりましたのですが、実は、これは先日も外相にも要望をしておいたのですが、この基金を、私、必ずしも勉強しておるわけじゃないけれども、この基金の性格からいって低利長期でしょう。それで返済を当て込むにしても、普通の、他基金のようにペイするような性格のものではないですね。そうすると、もし外務大臣のお考えのように、これを中心にしていくということになるとこれ自身の基金というものについて、相当大きな一般会計からの繰り込みをしょっちゅうしなければ目的が達せられないようになるのじゃないかと思うんです。外務省の政府委員の方がそのためにぜひ基金法の改正をしてもらいたいという発言をきのうでしたか、しておりましたが、それはともかくとして、この基金の性格からして、もし、外相のお考えのように、これを中心に今後の対外援助をお考えになるとすれば、いろいろの問題点があるのではないか。私の海外経済協力基金法の理解が足りなければ別ですが、私のような理解のしかただとすれば、相当やはりいろいろと問題があるのではないか。私は、低開発国援助に反対するわけではありませんが、できるだけやはり日本の国情に応じた協力をせぬならぬと思いますけれども、やはりはたしてこれを中心にして、これ一本とは言わないでしょうが、これを中心に、はたして今後の運営ができるかどうか、若干の疑問があるんですが。
○国務大臣(水田三喜男君) 私もそのとおりだと思います。で、政府借款といっても、実質はこの品物を長期に延べ払いで売るというものが多いのでございますから、そうすると、実質は延べ払い輸出で、現在これを輸出入銀行が扱かっておるということですから、政府の援助であっても、輸出入銀行を従来どおり使ってやることのほうが実際的であるというようなこともございますので、対外援助は全部税金をもって入れたこの機関を使わなければいけないというような運営のしかたについては非常に問題があろうと思います。
○羽生三七君 これは外相はおそろしくこれに固着して、これを中心にお考えになっているようですから、この間の問題は大いにひとつ御検討いただきたいと思います。
 それから次に、インドネシアの六千万ドル援助ですね、緊急援助六千万ドル、これはどういう扱い方をするかということはまだ未定だというお話がありましたが、先方の希望する年利三%ないし三・五%、これで決定する公算が強いように聞いておるわけです。そうすると、全体の金利を下げるためには、結局贈与分を相当多くしなければ金利低下にならないわけです。ですから、贈与をして金利を下げるとすれば、これは一般会計から出さなければならないのではないか。その場合の処理方法はどうするのか、何かそれ以外に方法があるのかどうか、これをひとつ。
○国務大臣(水田三喜男君) 実質金利をどうするか、年限の条件をどうするかという問題はこれからの折衝でございまして、いまのところは援助のワク一切を入れて本年度六千万ドルにするというこの点をきめただけでございまして、条件はこれから折り合いをつけるということでございまして、まだ、具体的なものは一つもきまっておりません。
○羽生三七君 それで緊急援助と言いながらこんな状態でずっといるというのはどうもおかしな話だと思うんです。これはインドネシアの経済の現状からかりに六千万ドル援助していって役立つのかどうか、その辺もちょっと聞かせてもらいたい。これはむしろ外務省に聞くことですが……。
○国務大臣(水田三喜男君) 緊急援助ということばは今日必ずしも使っておりません。問題は今年度におけるインドネシアの外貨問題を関係国でどう助けるかということでございますので、かりに援助がきまったにしても、向こうの言うことは、先般の会合では年末前後に金の具体的な処置をしてくれればいいという感触も見られましたので、そういう意味で、緊急にどうこうというのではなくて、今年度における外貨全体の解決についての関係者の援助対策ということでございます。
○羽生三七君 まだきまってないということですが、贈与分で金利をうんと下げるという場合には、当然一般会計から出すような場合、これは補正の重要な問題の一つになるわけですね。
○政府委員(相沢英之君) 贈与分がどの程度になるか、それから、それをいつ支出するかということは、今後インドネシアとの交渉によってきめることでございますので、その贈与分を出す時期によっては、あるいは補正になるかもしれませんけれども、まあ来年度でいいということになれば、来年度予算になる、それも今後の交渉次第だと思っております。
○羽生三七君 社会党の方にまだ御発言のあれがありますので、この一問だけで終わりたいと思いますが、こまかいことは全部割愛して、最後に、佐藤内閣が社会開発ということを金看板にしていたわけです。ところが、その範囲がどこまでかということについてはいろいろ問題点があると思いますけれども、少なくとも四十二年度予算に関する限りは、社会開発関係の所要経費がほとんど軒並みに伸び率が鈍化しておる。文教及び科学振興費、これはもう四十一年度の一四・四%に対して一四・九%、これは伸びております。ところが、そのほかの社会保障関係費あるいは公共事業費、中小企業、特に農林水産構造改善対策費等、これは軒並み伸び率が鈍化しておる。しかもこれは所得倍増計画及び中期経済計画、この四十一年から四十五年までの全体の平均伸び率と比較してみても、同じことがいえるんです。ですから、そういう意味でやはり私は社会開発を相当な大きな看板にしながら、予算の内容で見る限りは、どうも佐藤さんの言われることと予算の現実とはだいぶ食い違っておると思う。これは質問というよりも一種の、私、重大な警告というか、疑問点ですが、お考えがあれば、承って、私の質問をこれで終わります。
○政府委員(岩尾一君) 御質問の社会開発というのをどういう範囲にとるかということが一つの問題でございます。御指摘になりました社会保障、文教その他農業関係いろいろあると思いますが、社会保障につきましては、一般会計の予算の伸びだけでこの対策というものが非常に鈍化しておる、あるいはおくれておる、あるいは力を注いでいないというふうにはなかなかいえないのでございまして、実際のこの施策の中身がいろいろあると思います。たとえば今回の社会保障予算の伸びが若干従来の伸びよりも低いのでございますが、一五%だったかと思いますが、その程度の伸びでありますのは、これはたとえば結核・精神等の措置入院等の経費というものが従来の予算に入れておりますもので、本年度分が若干カバーできるというところで削減いたしました点と、御承知のように、結核が非常に減っておりますので、そのためにやる経費が少なくて済んだ。一方また、従来伸びておりました中には、先生も御承知のような社会保険関係についてかなり多額な国庫負担をしておったのをある程度暫定対策ということで国会に御提案いたしておりますような措置によりまして、そういうようなものも解消さしていきたいということから、予算額自体は減りますけれども、そういう仕事についてはできるだけ伸ばしていくということで見ておりますので、個々にいろいろお話があれば、御説明申し上げたいと思いますけれども、この予算の伸びだけで御判断をいただくというのは、やはりちょっと早計ではないか。やはり中身のほうをよく見ていただきたい、かように考えております。
○羽生三七君 中身ももちろん大事だけれども、特に最初の四十一年度スタートのときに、前にはあまりなかったものをつけたから、その次にはうんとふえるかというと、必ずしもそうはいかぬ。その点の違いもあると思いますから、一がいには言えませんが、しかし、特に農業構造改善事業対策、あるいは中小企業もそうですが、中身もあるけれども、これはあまりにも差があり過ぎると思うので、私の疑問を提起して、私の質問をこれで終わることにいたします。
○稲葉誠一君 時間の関係で要点だけお聞きしますが、東京銀行が江商に貸し付けた貸し付け金のうち三十七億円の債権を切り捨てたわけですね。この経過は、どの程度大蔵省のほうで把握しておられるでしょうか。
○政府委員(澄田智君) ただいま御指摘のように、三十七億の債権の切り捨てということになったわけでございますが、この経緯につきましては、兼松と江商の合併問題が始まりましたころから、合併問題の推移等をときどき東京銀行のほうから連絡がございました。しかし、その段階におきましては、江商の損失が締めてどのくらいになるかということもまだわかっておりませんし、いろいろ合併交渉の推移もございまして、確定的な数字はやはり合併がきまり、そうして合併契約ができ、本年の三月の決算を締めた後に連絡がありまして、そうしてその損失の処理ということにあたっていろいろ損失を埋めまして、なお最終的に三十七億分につきましては、その損失を東京銀行においてこれを償却する、こういう形で埋める、こういうことになりまして、東京銀行の決算の内容等の連絡を受けておる次第でございます。
○稲葉誠一君 江商に対する銀行の貸し付けは、東京銀行のほかにも神戸銀行だとか、大和銀行とか、北海道拓殖とか、いろいろあるわけでしょう。そういうところは非常に少ない段階で手を引いちゃったわけですね。手を引いたということが当たっているかどうかは別として、東京銀行は全額でどのくらいの金を江商に貸したのですか。
○政府委員(澄田智君) 貸し付けておりました金はいろんな段階で動いておるのは当然でございますが、最終的に合併して新会社に引き継がれた際の東京銀行の融資額といたしましては、百三十四億円ということに相なっております。
○稲葉誠一君 ほかの銀行はあまり貸さなかったでしょう。大体十七億くらいですか、そこら辺で手を引いちゃったのに、東京銀行が江商に対してどうしてそんな巨額な金を貸して、そして三十七億円という債権の切り捨てをせざるを得ないような段階になぜ至ったかというわけですね。ここに問題があると思いますがね。途中のある段階で当然気がついて、もう貸し付けなどを控えるということは考えられてよかったのではないか、こう思うのですがね、その点はどういうふうに把握されるわけですか。
○政府委員(澄田智君) 江商に対しまする東京銀行の関係は、これは非常に古く、江商が今回のようなことになりました原因の朝鮮事変の以後で、江商が損を出したというころからずっとさかのぼっておる問題でございます。で、いまお話のありましたほかの銀行は、これは東京銀行などと比べますと、従来から今回のような損失の処理というようになるまでにおきましても非常に貸し付けておりますが、金額において非常な差がございます。東京銀行は従来から、非常にメーンの銀行といたしまして、大部分の貸し付けを引き受けてきておったという、そういう関係もございます。そうして江商の建て直しについてはかねがね東京銀行としては力を入れてきた。まあそれが事志と違って結局合併せざるを得なくなった。こういうようなことで、そうしてその間に累積してきた資金不足というようなものもやはり結局最終的には東京銀行で見ざるを得なくなってきた。ほかの銀行は、そういう場合になりますと、やはりそれ以上は貸さないというようなことになってきても、東京銀行は江商をつぶすわけにもいかず、最終的には江商の処置が今回のような形で結末をつけるそこの段階までは最小限度の必要な資金は見ていかなければならない。こういうことであったろうと思うわけでございます。
○稲葉誠一君 そうすると、三十七億円の債権を切り捨てざるを得なくなったということは、東京銀行としては、どうなんですか、不当な貸し付けと言えるのか、言えないのか。まあ不当という概念にもいろいろありますけれどもね。あるいはその金を貸し付けておきながら、それに対する管理体制というようなそういうようなものが不十分であったのか。そういうようなことがいろいろありますね。そこはどういうふうに考えられるのですか。
○政府委員(澄田智君) 結果的には、三十七億切り捨てということになる間において、非常に長い期間があったわけであります。その間の東京銀行の江商に対する貸し付けの態度ないしは貸し付けた債権の管理という面においては、まあその間の経緯において十分でなかったというような問題もあり得ると思うわけでございます。ただ、東京銀行としては、まあその間いろいろ商況、経済状況、あるいは江商の経営のしかた、あるいは外国における相場、いろいろなものが動いている。そういうところで何とか江商を建て直したい、初めは江商独自で建て直したい、こういうようなことで、東京銀行としても江商を支援してきた。こういうこともありまして、そうしてその間、すべて東京銀行のやったことが間違いがなかったかというと、それは必ずしもそうは言いかねるという問題はありますけれども、一生懸命江商の建て直しをやりたい。こういうことでやってきた。それが最終的にはやはり自力建て直しということはいかなくして、合併。そうしてその合併の際に過去の損失をすべて整理して、そうしてきれいになって合併する。こういうことでもって三十七億というものが出てきた、こう考えております。
○稲葉誠一君 江商の前の社長は、あれでしょう、河野一郎さんの娘さんがお嫁にいっているのでしょう。これは関係がないかもしれませんけれどもね。それで、重政誠之さんが再三にわたって東京銀行に行っていますね。それで融資をしてくれということを東京銀行に要請しているのじゃないですか、重政さんが。これは前の銀行局長は、私が前に決算委員会で質問したときに、よく調べるということで、あとで調べまして、ぼくの部屋に来て言ったことですけれども、これはあるいは融資の要請なのか、あるいは違ったことで行ったのかもしれませんけれども、この重政誠之さんがこの中に入って活躍していることは間違いないわけですね、この点はどうですか。
○政府委員(澄田智君) 私は具体的にどういうふうな程度にどんなことがあったかということは承知いたしていないわけでありますが、前に先生からも御質問もあり、前任者のときに調べたということも承知をいたしております。ただそれが融資とどういう関係があるかとか、そういうことはわかりませんし、私もそうそれ以上のことはちょっと申し上げかねる次第でございます。
○稲葉誠一君 そうすると、東京銀行が江商に対して百三十四億でしょう、最終的には。そのほかにも信用供与のワクをいろいろあれすると、三百億をこえているといわれているが、それに対する担保というものはしっかり取ってあったんですか、そこのところはどんなふうに把握しておるのですか。
○政府委員(澄田智君) われわれの立場といたしまして、金融機関の担保の徴求状況を信用検査のおり等にそういうものを把握することもあるわけでありますが、これは一般的には金融機関がそれぞれ債権の確保の見地でやっているということで、特に具体的内容は承知いたしていないわけであります。ただ東京銀行は江商につきましては、今度の合併等の経緯でわれわれが多少聞いておりますようなところから見ましても、担保については十分取れるものは取るということで、あらゆる江商所有の不動産というものにも担保をつけておったようでございますし、担保について、何しろまあ最終的に非常な損失を出したわけでございますから、そういうことにより担保の不完全ということはあるといたしましても、担保の徴求について東銀の立場としての努力はいたしておるものと、かように存じております。
○稲葉誠一君 江商が国有林払い下げを受けた栃木県那須で三福という会社がありますね、これは重政さんが会長をやっていた会社、そこに多額の融資をしているわけですね。そして三福の国有林の払い下げの土地を担保に取っているわけでしょう、これは重政さんが会長をやっていた会社ですよ、そういう土地も東銀のほうでは担保に取っているのですか、江商から。
○政府委員(澄田智君) 確実なことは存じませんが、東銀の江商に対する手形の割引等の根抵当の一部に入っている、かように承知いたしております。
○稲葉誠一君 これは法律的に、商法の中でこういうように貸し付けのときに、将来十分な回収ができないかもわからないというふうな考え方、あるいはかりにそうでなくても、その点について過失があって、貸し付けをして、債権が回収できなくなったという場合に、取締役なりなんなりは、その当該会社なりなんなりに対してどういう商法上の責任を負うことになるのですか、これは法務省の方来ておられれば、民事上、刑事上責任があると思いますが。
○説明員(味村治君) お答えいたします。取締役は会社に対しまして忠実にこの職務を執行するという義務を負っておりますから、したがいまして、その義務に違反いたしますというと、それによりまして会社に与えました損害について損害賠償の責任を負わなければならないわけでございます。ただ、会社の行為と申しますものは、非常に経済的な行為でございまして、経済情勢の推移によりましていろいろむずかしい問題がございますので、過失が成立するかいなかということは事実問題としてはたいへん検討を要する問題かと存じております。
○稲葉誠一君 だけど、貸し付けをして、非常に業績不振な会社に貸し付けをして、三十七億というようなばく大な金が取れなくなってしまったということになれば、当然その間の貸し付けに過失がそこにあったと推定されるのは、普通の場合は当然過ぎるくらい当然になってくるのではないですか。それは経済界の事情で、当然回収できると思っておったら、がらっと状態が変わってしまった、予測できない状態が起きてきたということになるとしょうがないですが、本件のような場合に、三十七億もの債権が切り捨てられるということになってきて、東京銀行としては一体どういう責任を負ったんですか。堀江さんがやめるとかやめないとか話はありましたが、そこはどうなっているのですか。
○政府委員(澄田智君) 東京銀行といたしましては、御指摘のように、三十七億という例の少ない巨額な債権の処理をせざるを得なくなった、こういうことでありまして、これは非常に銀行にとっては重大な事態でございます。したがって、銀行としては、十分責任も感じ、今回の処理にあたっては、仄聞いたしておるところでありますが、会長が、現会長が今度辞任する予定と、こういうふうに聞いておりますが、これも事柄の実態としては、やはり今回の責任を感じての処置という意味もありますし、かねがね長く江商との関係を実際に処理をしてきた副頭取も、やはり辞任するというようなことになるようでございます。そのほか内部体制等においても、今後こんなことが二度あってはたいへんでございます。あらゆる意味で東銀としては体制を整備する、それからそれ以外に、直接関係が比較的少ないと申しますか、そういうふうな役員等についても、その賞与を辞退するというようなことも考えられておるというように聞いております。とにかく重大な事態に対しては、十分東銀としてはそういう点をはっきりさせておきたいと、こういうふうな態度で臨んでおるようでございます。
○稲葉誠一君 大蔵大臣にお聞きしたいのですが、資本取引の自由化が進み、貿易の自由化が進んだ中で、これは横浜正金銀行から発展したものですが、外国為替専門銀行というものが、はたしてどれだけの必要性があるのかということなんです。後進国にはあるけれども、先進国には外国為替専門銀行はないのだと聞くのですが、東銀のあり方そのもの、これはどういうふうにしていったらいいとお考えなんでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 為替専門銀行をつくるときに、すでにこの問題は非常に論議されて、民間銀行は要らぬという意見もありましたし、私どもはやはり専門銀行をこの際つくることはいいことであるということで、賛成のほうが多くて、審議会も結論としては賛成ということになって、この法律をつくったと、こういういきさつから見ましても、私は一応できた以上はこの専門銀行を通じてこれを育成していくことがいいんじゃないかというようなことで、政府も相当他の為替銀行よりはこのほうに優遇を与える措置をとって今日まで来ました。で、取り扱い高も二十億ドルというようなところまで、来ましたので、今度は自由化とか、こういうものを前に控えてこの機関の重要性というものもさらに出てきておるというふうに私は考えております。
○稲葉誠一君 昭和二十九年に為替専門銀行としてできたわけでしょう。そのときの経済状態といまの経済状態は非常に変わってきて、資本自由化が進んできた中で、為替専門銀行というのは特段にまた必要になってくるのですか。ちょっとそこのところがよくわからないのですが、むしろ逆じゃないかという議論もあると思うのですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(澄田智君) その点につきましては、資本自由化と直接関係と申しますよりは、資本自由化が進められまして外資系の企業が進出をしてくると、そうなりますと、一つは外国銀行の活動、ことに対内――日本にあります店舗の活動というようなものも非常に活発化してくると、こういうふうなことが予想されるわけでございます。そういうような場合に備えまして、為替専門銀行として世界各地と為替の取引の網を持っており、そして外国為替取引において経験と機構というような意味でもって強い専門銀行というものがあることは、外銀との関係等においてはやはりこれはどうしても必要、いままでよりはさらにその必要度が高まっていく、こういうような面は、これは当然あるわけでございます。
○稲葉誠一君 この点については時間がありませんから別の機会にあれしなくちゃいけませんけれども、東京銀行のいまの江商に対してのばく大な融資で三十七億円の債権切り捨てが出てきたという裏にはどうしても政治的な一つの、何といいますか、圧力というと語弊があるかもわかりませんけれども、いろいろな動きが如実にぼくは感じられるような気がするのですよ。重政さんが東京銀行に何回も行っているというのも、また何しに行ったのかわかりませんけれども、あの江商の代理人として行ったに違いない。そこのところはぼくは非常に疑問があると思いますけれども、いずれにしても、この問題はこの程度にします。
 別の問題で、粉飾決算で公認会計士がずいぶん処分されたのがありますね。この概要は、これは時間の関係があるものですから資料として出していただければいいので、大体のことだけ説明してくれませんか。
○政府委員(加治木俊道君) この間、十二月二十八日付をもちまして、それまで重点的に審査してまいりましたが、大蔵省として粉飾の疑いがあるという情報を得ておる者についてのみでございますが、審査が終わりましたので、それに対して、内容に応じて公認会計士の処分をいたしたわけでございます。そのときの処分、その以前のずっと古い処分もありますけれども、そのときの処分の内容は全体で十六名でございます。いずれも業務停止でございますが、三カ月というのが十二名、二カ月の者が二名、一カ月の者が二名、大体三カ月を原則としていたしたのであります。時の状況等を考えまして処分の程度としてはかなり緩和して、三カ月を中心に考えてこういう結果になっております。
○稲葉誠一君 公認会計士だけが処分されて会社側は何らの商法上なりなんなりの責任を負わないというのはちょっとわからないのですが、そこはどうなっているのですか。公認会計士が単独でそういう粉飾決算をやったという見解なんですか。そんなことないんじゃないですか。
○政府委員(加治木俊道君) 粉飾、粉飾ということばは適当かどうかはわかりませんが、不適正な経理処理、それ自体は会社が行なったものでございますが、それをそのまま認めたというところに、それを適正であると、不適正であるにもかかわらずこれを適正であるという証明をしたというのが公認会計士の責任でございます。しかし、不適正な処理自体は会社がやったものでございますが、残念ながら、まあ戦後、いわば日本の企業は再出発したような状況で経営者にかなりの負担がかかっておる状況で、相当過大な借り入れ金でもって企業を経営していかなければならない。外国企業へのキャッチアップの過程で相当の危険も覚悟して経営の衝に当たらざるを得ない。その過程で発生した事態で、会社側としては自己の信用を傷つけたくない、実質的にはやがて回復して株主に返すつもりでおるというようなことで、経理内容を適正に表示すること自体が株主に対する責任だという自覚が十分でなかったと思います。これはたいへん遺憾なことでございますが、そう風潮の中でわれわれが審査の結果かなりの会社について問題がある、これは御承知のとおり、不正があるということであれば証取法上も告発しなければなりませんし、商法上の違反の問題もあるわけでございますけれども、経済状態全体の微妙なときでございましたし、社会経済に与える影響等を考えますと、むしろこの際としては、問題ではあろうけれども、会社側に自発的にまず整理させる、こういう措置をあのときはとったのであります。したがって、会社からは自発的な訂正報告書を出させております。すべて自発的な処理ということで処置いたしましたので、告発等の措置に訴えなかったのは、まあ当時の状況から考えればやむを得なかった措置ではないかと、かように考えておる次第でございます。
○稲葉誠一君 粉飾決算の場合に、これは法務省、刑事でも民事でもね、粉飾決算はいろいろ内容はあると思うのですけれども、利益を非常に過小に見積もる場合と逆な場合とがありますね、タコ配なんかの場合でね。そういう場合の会社役員の刑事責任というものはどういうふうになっておりますか、どういう場合にどういう刑事責任が発生するのですか。
○政府委員(川井英良君) いま突然の御質問ですので……。
○稲葉誠一君 突然かな、私、前もって……。
○政府委員(川井英良君) この御質問じゃなくて、何かほかの御質問の通知がありましたので、考えておりませんでしたので、もう少し研究させていただいた上で答弁させていただきたいと思います。
○稲葉誠一君 突然かな。ちょっとぼくの連絡が悪かったと思うのですが、これは河井信太郎氏なんか、あれは専門でしょう、会社犯罪の。資本主義の三悪というのは、脱税と選挙違反と会社犯罪、この三つが資本主義の三悪というのでしょう。会社犯罪についての研究というか、実際もっとやらなければいかぬわけですけれどもね。粉飾決算や何かの場合には、それは特別背任の場合もあるし、いろいろな商法上の場合もあると思います。焦げつき債の場合あるでしょうし、そうした場合にも全く検察庁なりなんなり熱意がないじゃないですか。それはいま加治木さんが言われたように、いわば経済の微妙な状態なんだ、そういうふうに言われると、まるで日本の経済が混乱するからというようなことで、そして粉飾決算なんかあったって小さなことだからというので、さっぱり手をつけないのじゃないですか。そうして労働組合なんかビラ張り一枚やれば取っつかまえてきて何かぎゅうぎゅうやるでしょう。それはおかしいですね。資本主義経済の基本に触れるような問題で、その根底をゆるがすようなことであると、これは検察庁にしろ警察にしろ手をつけないわけですよ、たいへんな大きな影響があるということは。そうじゃないものならばぎゅうぎゅうやられる。だから結局現在の社会経済というものを維持するのは検察庁なり警察だというふうにだれだってとっちゃうわけですね。話が横にそれましたからもとへ戻しますけれども、どういう場合に粉飾決算というものは犯罪になるのか、これは研究してもらいたいのと、ぼくは前にも通告したことがあるのですけれども、公認会計士だけ、それだけ処分を受けているのです、業務停止三カ月からね、会社はいろいろありますよ。公認会計士だけでやれた筋合いのものじゃないわけですよ。会社の不実の決算の記載があって、それをそのまま認めたということだけですから、基本は会社役員の、会社犯罪なわけですよ。こういうようなものは当然、告発があろうとなかろうと、できるはずですよ、これは。特捜部なんかの仕事ですからね。それは河井信太郎氏なんか大得意なんだから、そういうことは。そういうほうはちっともやらないんですね。やらないで、ほかのことばかりやっているわけですけれども、それもちょっと言い過ぎかもわからぬけれども、ですから、どういうんですか、基本的な姿勢がぼくはおかしいと思いますけれども、いまここでそれを論議してもあれですからやめますけれどもね。そうすると、粉飾決算のような場合に、どういう場合にどういう犯罪が成立するのか、これをよく研究しておいてくださいませんか。
 それから、いま公認会計士が処分されたと。そのときに、その会社の名前はぼくもわかっていますけれども、ここで言いませんけれども、その会社が一体犯罪が成立するのかしないのか、これは告発がなければやらないのか、検察庁としてはなくても当然やるべきものはやるのか、ここら辺のことをぼくはよく研究しておいてもらいたいと、こう思うのですよ。
○政府委員(川井英良君) いわゆる粉飾決算といわれるものについても、いろいろ態様があろうと思いますので、多くは刑法の特別背任、あるいは刑法の横領罪になる場合もあろうかと思いますけれども、かような事件につきまして、ただいま全くやってないような御趣旨のようにもとれるようなおしかりがございましたけれども、これは数は必ずしも多くはありませんけれども、決して全然検察庁がやってないわけではありませんで、過去の事例の中から拾いましても、粉飾決算をめぐっての刑事事件というのは、実はかなり処理の数字があるわけでございます。いま具体的には数字を持ってまいっておりませんけれども、特に東京地検の特捜部におきましては、この種の事件をめぐってかなりの苦労をしているわけでございまして、ただ問題は、大体このいまの刑事訴訟法から申しまして、検察庁は第二次の捜査機関というふうに規定づけられてまいりましたので、あまり検察庁が率先いたしまして先に出て捜査権を振り回すというのはいかがなものだろうかということで、主として警察からの送致事件を受けて捜査をするというのが大体のたてまえになってきておりますけれども、いま仰せがありましたような趣旨の事件で、特に法律の研究なり、あるいは当てはめなり、あるいは事態の洞察なりというふうなことが検察官でなければ適当でないと、こういうふうに検察庁が思いましたような事案につきましては、必ずしも正式の告発ないしは告訴を待たずして特捜部が手をつけてやったというような事件もあるわけでございますので、ひとつその辺のところは御了承賜わりたいと思います。
○稲葉誠一君 時間の関係で、私は質問、約束を守ってこれで終わりますが、いまここで問題になったようなことは、もっともっと別の委員会で追及しなくちゃいけないことと考えますし、それから公認会計士が、これはぼくは名前出しても出さなくてもいいと思うのです、大蔵省ね。だから、どういう会社で、どういうふうなことで公認会計士が処分されたのかということが一つと、それに基づいて会社はその後どういうように経理を直してきたかということですね、これを資料として私は出していただきたいと、こう思うのですね。それは、個人名などをあげることはかえっていろいろあれだということならば、その点についてのある程度の配慮は、これはしていただいても私はいいと思うのです。それを出していただきたい、こう思うのです。
 それから、現実にそういうような会社の中で、会社としてはちっとも悪くないんだという見解があるのですね。事実関係をそのまま明らかにすべきではないのだと、明らかにしたらかえって逆になるから、ある程度の隠蔽というか、そういうのは会社の自衛上当然なことなのだという考え方もあって、それでとにかく経理関係というのは事実と違うのはあたりまえだという考え方をとっていますね、ある一部の会社は。この問題になった会社の中でも、そういうのがあるのですよ。だから、そういう点も非常にぼくは問題だと思うのですけれども、いま言った資料は、これは資料として整理して私は出していただきたいと、こう思うのですがね。
○政府委員(加治木俊道君) はたして御要望の線に全く沿うような資料が出されますかどうか、人名、会社名を資料として出すことには、いずれ御相談をさしていただきまして、また適当に資料をつくりたいと思います。会社がどういう措置をとったかということでございますが、証券取引法上は、私のほうで所管いたしております証取法上は、訂正報告書――まあ自発的処置でございますから、みずから訂正をして報告書を出しております。こういう措置をとったわけでございます。その後、処分を受けた公認会計士との監査契約は取り消しまして、新たな公認会計士を選びまして、しかも監査の日数等は、従来の監査よりはるかに充実した、大体日数等五〇%増し程度の監査を続けると、こういうような措置をとっております。内部的に会社側の重役がどのような商法上あるいは道義上の責任をとるか、これは自発的な措置ということでございますので、われわれとしては自主的な処理にまかしております。それぞれしかるべき処置をとったところもございます。公認会計士のほうは、いわば特別監督関係でございますので、あれは行政処分でございます。いわゆるこれはわれわれ、内部の処理ということで、一見したところ非常に片手落ちのような感じがするのでございますけれども、やむを得ない措置じゃなかったかと思います。
○瀬谷英行君 公労協の闘争に関連してお伺いしたいのですが、仲裁裁定が出たという場合に、一体どのくらいの財源を必要とするのか、その財源措置をどのように行なうつもりか。もちろん、仲裁裁定は尊重し、実行するということであろうと思いますけれども、そういう前提に立っての財源措置等をお伺いしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) ちょっといま数字を持っておりませんので、もう少しお待ち願います。
○瀬谷英行君 じゃ、その問題はあとにいたしまして、在外財産の問題についてお尋ねしたいと思います。
 先般の予算委員会で、在外財産の問題でいろいろ質問をいたしましたが、まだそのときは決定をしておらなかったようにお聞きをしたのでありますが、その後伝え聞くところによりますと、自民党の党内で話がまとまった、しかもその話の内容は、二千数億にのぼり、一歳のものにまで適用するといった内容になっているということでありますけれども、これらの問題に対して、大蔵大臣としてはどのような方針で対処されるつもりなのか、見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) まだ党の正式な案ではなくて、一部議員の案として示されたものであることは承知しております。しかし、これはいわゆる審議会の答申の線に沿った案というわけにはまいりませんので、この答申の線からそれている点が非常に多うございますので、一応それらを参考に検討はしながら、いま政府案をまとめようということで骨を折っている最中でございますが、まだ結論を得ておりません。
○瀬谷英行君 大体もう輪郭ははっきりしてきているのじゃないかという気がするのであります。しかし、ここで問題にしなければならぬことは、答申そのものでは法律上の補償の義務はないのだというふうに言っておりますけれども、道義的にはやはり戦争犠牲者に対する補償の義務というものは国家としてはあるのじゃないか、こういう気がするわけであります。しかし、実際問題として、戦争犠牲者に対する補償をまんべんなく不公平なことなしに行なうということはきわめて困難なことであるから、可能な限りの方法でもって行なわざるを得ないという制約が出てくると思うのであります。そこで、戦争犠牲者というのは引き揚げ者には限らないんではないかという立場をやはりとらざるを得ない。もし引き揚げ者にだけそれを支給をして、引き揚げ者ならざる戦争犠牲者――これはいろいろあると思うのです、戦災によって家屋を焼失した者もあるし、あるいはまた広島、長崎等において原爆投下をされ、今日に至るまで白血病で困っておるという人だってたくさんおる。大なり小なり戦争犠牲者の数というものは、今日国内には多数残っておると思うのでありますが、それらの戦争犠牲者と引き揚げ者との間につり合いをとるということが必要になってくると思うのでありますが、これはどういう形でもってつり合いをとるおつもりなのか、これは一番基本になる問題でございますから、大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) いわゆる戦争の犠牲者についての補償措置、援護措置というものは、過去たくさんやってまいりました。それらの措置との権衡をとることがやはり一番必要だと考えまして、私どもも、今回のこの引き揚げ者問題につきましては、いま一番重点を置いておるのは、この均衡をとった措置をしたいということでございます。戦災者につきましては戦後補償をやったことがございますし、遺家族に対しての補償もございますし、あるいはその他戦争処理についてのいろいろの措置をとっておりますので、農地補償の問題も同様でございますが、これら過去のいろんな施策全部との均衡をとりたい。したがって、そういう意味から見ますと、いまいろいろ諸方面から要望されておる案とかというものは、やはりそういう観点から見て不適当だと私どもは考えておりますので、均衡をほんとうにとって、国民がそれならと納得する政府案をつくりたいということを考えております。
○瀬谷英行君 不適当ということは、先般来新聞等において伝えられているような、自民党の一部の人たちが成案を得た二千数億といったような内容のことをさしておるのでありますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は金額は問題にしておりません。この措置の筋の問題でございまして、こういう措置をとるんだという、その措置が従来の措置と均衡を得ておる、これは適当だ、適正であると考えた、その措置によって計算した額が最後に幾らになるかということは、これはもう別の問題でございまして、全体これくらいの額を出したいという額のことからこの問題の検討をするという態度はいまのところとっておりません。こういうことをするのが適切だといって、それによって計算された額が幾らになりますか、多くなろうと少なくなろうと、問題は措置の妥当性ということにあろうと思いますので、したがって、そういう意味から見ますと、二千五百億、六百億という金額を私は問題にしておりません。あの中身が答申の線に沿っていないと言われるところが非常に多うございますので、その点でああいう案には簡単に政府としてのめないという立場でいま検討しておるところでございます。
○瀬谷英行君 戦争犠牲者に対していろいろな措置が講ぜられておるというようなお話もありましたけれども、組織をつくって声をあげた者に何らかの措置は講ぜられるが、泣き寝入りをしている者はもうすでにうっちゃらかしになってそれっきりになる、そういうきらいがあるのではないかという気がするのであります。だから、いまさら戦前の地位とか財産というものを調べようと思っても、調べようがないと思うのですね。現在の時点でもって措置する以外に方法がないんじゃないかと思うのです。そうなれば、社会保障的な見地に立って、戦争犠牲者で困っておる者に財政の許す限りにおいて交付金を支給するとか、何らかの援助の手を差しのべるということを考えるのが、一番公正、妥当な方法ということになるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは、たとえば遺家族の問題から、農地解放者に対する問題から、やはり社会保障制度の精神によって、生活力の弱い人を助ける、そうでない人には特別の措置をしなくてもいいというような思想は、しばしば各所で論議されましたが、実際問題としてはなかなかむずかしいことでございまして、みな犠牲を受けた者はひとしく同じ犠牲を受けているという事態に着目して、一定の補償をすることがやはり解決の道であるというふうに考えまして、私どもはこの方針で過去の措置をやってきましたので、ここへきますというと、やはり引き揚げて苦労された、海外で基礎を失ってこられたという人に対しては、たとえば世帯別にみんなこういうふうにするとかいうように一律に――現在の生活状態だけによってこれをきめるというような措置はやっぱり実際問題としてむずかしいと、私はむしろ一律的にみなそういう事実に着目した解決策をとるのがいいんじゃないかというふうにいまのところは考えています。
○瀬谷英行君 そういうことになるとですね、一歳、二歳の子供にまで財産の補償をするということは、これは筋が通らなくなってくるんじゃないかという気がするんですね。いろんな人があると思うんです、引き揚げてきた人の中には。財産ふいにした人もある。そのかわりに、借金をしょって首の回らなかった人だっているわけです。借金をしょっていた人も、財産をふいにした人と同じようにその交付金を支給するということになる。一歳、二歳の子供にとって財産があったかということになる。これは財産があるというふうに認定をすることが無理です。一歳、二歳の子供の財産といえば、おもちゃかおしゃぶりぐらいのものです。そういうものに対してまで補償しなければならぬというのは、これは国民の納得する線ではないと思うんです。だから、やはり第三者をして納得さすような方法を講ずるとすれば、一歳の子供でもかまわないと、外地にいて引き揚げてきたということであれは無条件で交付金が支給できるのだということにするのは、公平ということにはならないのじゃないかという気がするのでありますが、これは先ほど、いま伝えられている自民党の中で練られた案に対して必ずしも賛同するのじゃないという意見がありましたから、その中で、お答えに含まれておるのかどうかわかりませんが、その点についてもお伺いしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 内地におった子供が親と一緒に疎開したというようなものと、たまたま外地にいて子供が親と一緒にこちらへ帰ったものというものは、やはり全く同じことでございまして、この小さい子供というものについての補償ということはなかなか国民の納得を得られるやり方じゃないと、私どももそう考えております。ですから、結局家族を引き連れて苦労されたこの世帯主中心というようなことでやはり補償の道を考えるということが一番実情に即したことじゃないかというようなことで、いろいろいまそういう意見の調整を私どもやっている最中でございます。
○瀬谷英行君 要するに、先般自民党の党内でもってある程度の成案を得たというのは、合格点には達していない。したがって、これはもう練り直しという段階であって、政府として、ではどうしたらよろしいか、これが原案であるというのはまだ固まっていない、こういうことになるのですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 与党の一部から示された案を参考にしていま検討しているということでございますが、あの案は、さっき申しましたように、審議会の答申の線に沿っていないところが非常に多いということを考えながら、私どもは、いま政府案のかために入っておるということでございます。
○瀬谷英行君 先ほどの質問に戻りますけれども、わかりましたか、公労協との関係……。
○国務大臣(水田三喜男君) いますぐ参ります。
○瀬谷英行君 大臣から最初にお伺いしたいと思うのでありますが、仲裁裁定は尊重し、実施するということがお約束できますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 仲裁裁定が出ました場合には、従来からも政府は尊重して実現につとめてまいりましたが、今回も同じでございます。
○瀬谷英行君 そのための必要な財源、その財政措置といったようなことを……。
○政府委員(武藤謙二郎君) 御承知のようにまだ裁定が出ておりませんけれども、たぶん御質問は、国鉄が新聞に出ておりますように五千円を上回る金額ということにかりになった場合に、幾らぐらい財源が要るかということだと思いますが、そういたしますと、三百億をちょっと上回る金額になると思います。
○瀬谷英行君 国鉄だけではないのでありますけれども、全体のことを私は質問したわけでありますが、だから、そのことをわかるようでしたら、テレビでもって数字が、公労委の裁定ということでいろいろ出てきたわけです。だから、すでに計算をされていると思ったから私は質問した。
○政府委員(武藤謙二郎君) 失礼いたしました。全体で申しますと、六百七十五億ぐらいになると思います。
○瀬谷英行君 そこで裁定を実施をするということになると、相当人件費は当初の予算とは狂ってくるわけでありますけれども、今後の財政上の措置というものは、なかなかむずかしくなってくると思うのです。特に国鉄の場合は、先般の予算委員会でも質問をいたしましたけれども、借金の利息だけでもって動きがとれないというふうな不健全な財政状態になっているということでありますから、これらの問題をどのように打開をするかということについて、大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(武藤謙二郎君) 目下予算を御審議願っておる段階でございますけれども、かりに将来仲裁裁定が出た場合に、どういうふうにして措置するかという御質問でございますけれども、その段階になりまして、どういうふうに措置するかということは、これはごく試算でございますけれども、正確にそのときに金額が出たところで計算をして、それで考えたい、そう思っております。
 それからお話がございました、特に国鉄についてはいろいろむずかしい問題があるんじゃないか。御承知のように、国鉄の経営の根本問題、これは非常にむずかしいことになっております。これは、われわれいま関係者が集まって事務的に検討しておるんでございますが、非常にむずかしい問題である。そこで、それは四十三年度までに、四十三年度の予算までに何とかどうするかということを結論を出すということで、目下鋭意いろいろと材料を集めて研究していると、そういう段階でございます。
○藤田進君 先ほどの、引揚者の団体から要求があり、これはいま政治問題になっておりますが、これは基本的には、大蔵大臣は、いま腹づもりとしては一律主義というふうに聞えたわけですが、これはいわゆる在外資産の補償、政府は報償とか――農地もそうでしたが、その辺のプリンシプルは、どういうお考えからこれに手当てをするか、報償というか補償というか、その基本的な考え方、そしてそれからこれを報償するということになるか。これは政府にその補償の義務あり、社会党の場合は、平和条約その他から見て補償の義務あり、しかし、これが他の戦争犠牲者等々から見て、やはりバランスということも必要でありましょうし、真に引揚者の皆さんで犠牲の大きい人等には、それぞれ筋を通した手厚い補償というものが必要になってくると思うんです。
 で、私どもあとで二十六日に総括でやりたいと思っておりますが、たとえば運動しようにもなかなか運動のできない人道問題になっている原爆被害者ですね、これは待っておれないから、広島県は今後県単独の予算を出しまして、それで援護の一助としたい、病院に行きたいけれども、失対に働きに出なければ生活ができない、生活のために働きにいくと病院に治療にいけない、こういう人が非常に多いのです。しかも広島、長崎だけでなくて、各県にはやはり相当分散をしているのですね。そういうものもやはり考え合わせますと、
 〔主査退席、副主査着席〕
これからお伺いすることが非常に重要になってくる。その第一点は、いまの基本的な在外資産に対する報償、補償、いろいろ議論されておりますが、これに対する大蔵大臣の考え方。それから第二点は、これで戦後処理は打ち切り、この間のテレビ討論を聞いてみても、与党あるいは政府はそういう御発言のように思います。総理大臣もそういうことを先般衆議院の予算委員会でやっております、あとは社会保障だと。しかしいま申し上げた、これは原爆被害者の一例ですが、これが社会保障の一環としてできるということは、おそらく不可能なことじゃないだろうかと思うんですね。その点で、これが戦後の引き揚げ者団体の要求にかかる在外資産の報償ないし補償ですね、これでもってもう最後、打ち切り、あとは社会保障と、こうおっしゃるのか。だんだん議論を詰めていくと、必ずしもこれで打ち切りではないのだということにも、先般のどうもテレビ討論会ではなったように私も聞いていましてね、大蔵大臣は、国の財政を所管する国務大臣として、どういうお考えなんでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) まあ在外財産についての補償の法律義務はないと、こういうことは審議会でもはっきりいたしましたし、財産損害と区別されるその他の損害の特異性というところから、これに一定の交付公債を出すという、特別な交付金を与えるという措置が妥当であるというのが答申の趣旨でございますが、私どももこの答申の趣旨に沿った措置をとりたいということで、いま検討しているわけでございますが、
 〔副主査退席、主査着席〕
先ほど一律主義ということがございましたが、一律主義という意味は、現在引き揚げてこられて、内地における生活が非常にいいから、その人ははぶくとか何とかというのじゃなくて、引き揚げてきたという事実に対して、そういうものを問わないで、一律的に一定の交付金を出すというやり方がいいだろうということが一つでございまして、そのことを言っておるのでございまして、その世帯にはいろいろ差別がございましょうし、それによって若干の差別を個々につけるとか何とかという問題は、これはまあ別の問題として、私どもはやはり合わせていま検討しておるところでございますが、そういう意味の一律主義、どの世帯もみんな同じに無差別で一律というふうなことをいま考えておるわけでもございません。
 それから、この措置が終わったら、また次のいろいろな問題が出るだろうというようなことでございますが、大体戦後の処置は、私は、この問題の解決をもって終わるというふうに考えております。で、いろいろの要望があっても、年がたつことによって、要望が変化してきたり、いろいろするものでございますが、政治問題として長く尾を引いて残るというような問題は、やはり政治問題として片づける必要があるというふうに私どもは考えておりますが、戦後におけるいろんな問題、決してこれは根を絶たないと思われる政治問題については、全部今日まで解決してきましたが、今日に至りますというと、長い間政治問題としていろいろ発展してきたこの問題は、やはりこれを全然処置を考えないということによって済ませられる問題ではないというふうに考えますので、私はこれが政治問題として解決を要するものと認める以上は、これはあまりあとまで尾を引かせないで、早期に解決するほうがいい解決ができるというふうに考えて、今度は政府はこの問題をここで解決してしまいたいと、そういうつもりでいま取り組んでおるところでございます。
○藤田進君 二問目はどうした。これで打ち切りなのか。まあ全部解決してきたということから見ますと、もうあとはこれで知らぬのじゃないか。原爆被害者の例もあげたんですがね。それは……。
○国務大臣(水田三喜男君) 原爆の被害者に対する問題というようなものは、これはいままでいろいろな予算措置で取り扱って、だんだんに強化してきましたが、このやり方が足らぬということでございましたら、これはこういう問題とは別個に、これが個々に対策立てられる問題でございまするから、こういう問題を全部打ち切ろうというふうには考えておりません。
○藤田進君 須藤さんもなかなか熱心な問題を持っておるようですから、残念ですけれどもここらで……。
○須藤五郎君 大臣、時間がないようですから、私も簡潔に質問しますが、あなたのほうも簡潔に御答弁をしていただきたいと思います。
 私は、去る五月十一日、大阪地方裁判所で出されました岡田禎勝君の無罪の判決に関しまして、大蔵大臣に若干質問をいたしたいと思います。
 大臣は、推計課税をすることは、所得税法第百五十六条で認められているから違法ではないと、こうおっしゃるかもわかりませんが、しかし、憲法八十四条の租税法定主義の精神及び申告納税制度の原則からいうならば、推計課税は憲法違反だと、こう言わなければならないと思います。われわれはそう考えておりますが、しかし、きょうは時間がありませんからその論議はきょうはしません。また後日あらためて論議をいたしたいと思っております。
 さて、大阪地裁の松浦裁判長は、判決文の中で、標準率、効率が課税標準をきめるために現実に使われている以上、これらを納税者である国民に秘密にすることは、租税法定主義の精神に反するものと考えておると、こういう意味のことを判決の中で述べられておるのです。このことは、標準率、効率が実際の課税に際して使用されておるということを、裁判所みずから認めておることでありますし、また憲法八十四条の租税法定主義の精神に反するということである。この判決について、大蔵大臣はどういうふうな所見を持っていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。――大蔵大臣の所見を求めておる。泉さんに対してはまた後ほど質問がありますから、大蔵大臣どうぞ。
○国務大臣(水田三喜男君) この標準率表とか効率表というものは、申告額の適否を判断するためのいわば目安であって、あるいは記帳がなされていないものなどについて、その所得を把握するための一つの推計材料というような、推計の資料として国税庁が使っておったものということでございまして、いま法定主義と言われますが、これによって全部課税をしているというものではございませんで、そういう目安の一つの資料であるということでございますので、これを公表した場合の税務行政上の影響というものは、支障というものは非常にあると思います。
 で、これが公表されれば、この申告者にとっては、大体これによって課税がきまるということを考えて、そうしていろいろな記帳の操作等も行なわれるというようなこともございますし、いろいろな支障のある、これは内部だけの目安であるというものを公表するということは、これはなかなかこちらとして見たら、非常に支障のあることであり、公表してもらっては困るものだというふうに私は考えております。
○須藤五郎君 そうすると、大臣は、あれによって課税をしていないと、部内参考だと、そういう御意見のように私はいま受け取ったわけですが、それならば、それによって課税してないなら、単なる参考資料になるわけですね。私は出すべきだと思うのですよ。出して、われわれはこれを参考にして、そうして課税をしておりますということを公にするほうが、私は正しいと思うのです。皆さんが納税者にひた隠しにしておりますところの「四十一年所得税事務実施要領」なるものが私の手元にありますよ。これは抜粋ではありますけれどもね、東京国税局が四十一年十一月七日日付で発行しました「直審秘第三十一号外五課合同通達」、これには注がついておりまして、「四十二年中はマル秘である。四十二年十二月三十一日限りマル秘を解除する。」という注がついているものです。それは、私の手元にあるのはそれの抜粋にすぎませんが、しかし、この抜粋の中を見ましても、原本の六ページに、「効率係数の作成及び活用」という条項がありまして、「効率係数を適用することによりおおむねの推計所得が算出できると考えられる種目について効率係数を作成の上概況調査等を通じ、いわゆる均衡試算的な考え方を導入して潜在所得者の発見、潜在高額者の抽出及び調査対象の選定に資するなど効果的な活用をはかることとした。」そうして注で、「効率係数は六大都市及びこれに準ずると認められる市街地を管轄する署においてこれらの地域に所在するものを対象として活用をはかるものとし、これら以外の署の管轄地域又は上記以外の地域に所在するものについてはこれを参考とする。」、こういうふうになっております。ここに、大都市に対してはこれを活用する、それから、それ以外の地域に所在するものについてはこれを参考とする、こういうように二通りことばが使われている。ここでいう「活用」というのはどういう意味なんですか。「活用」と「参考」というふうに分けているのはどういうことなんですか。
○政府委員(泉美之松君) その通達で言っておりまする効率係数というのは、いわゆる効率表のことでございまして、たとえば、それぞれの業種におきまして従業員数であるとか、あるいは散髪屋でありますれば設備の台数、そういったものを基準といたしましてまあ一台当たりあるいは従業員一人当たりの売り上げはどの程度にあるのがその業界の通常の姿であるという効率表を使いまして、そこにありますように、従来六大都市におきましてはどうも新規の所得者の把握が必ずしも十分にできておりませんので、その効率表を使って新規所得者の把握を十分に行なう、それと同時に、従来私どものほうでは高額所得者というのを七十万――これは全国基準でございまして、東京、大阪といった大都市におきましてはこれは八十万に上げておるわけでございますが、高額所得者と低額所得者とに分けまして、高額所得者につきまして調査の重点を指向する、こういうことにいたしておるわけでありますが、その高額所得者であるかどうかという判定のときに、この効率表を使って、それから出てくる所得のほうから見て高額所得者に入るべき者がそういうふうになっていないことがあるから、そういうふうに効率表を活用しなさい。そうして、実際の所得はこの効率表だけできまるわけじゃありませんで調査しなければいけないわけでありますが、一つの目安として効率表を使って新規所得者なりあるいは高額所得者の発見につとめなさい。こういうことを言っておるのであります。で、六大都市以外におきましては、従来の課税の実績からいたしますと、新規所得者の発見がそれほどできにくくはなくて、まあ御承知のように、いなかの税務署ではわりあいそういった点についてうまくいっておりますので、これは参考程度にとどめなさい、こういう通達になっておるわけでございます。
○須藤五郎君 そうするとね、さっき大蔵大臣は、これは参考資料だとおっしゃったのですがね、単なる参考資料でないということになってくるわけですよ。やはりこの表を利用するということなんでしょう。利用してそうして所得を決定して、それで裁判所の決定に従えというふうに一方的に押しつけていこう、その資料としてこれがなっておるということじゃないのですか。なぜそんなら、「活用」と「参考」と、こういうふうに二通りに分けなければならないのですか。
○政府委員(泉美之松君) いま申し上げましたように、効率表は、それを用いまして従業員数とか設備台数あるいは在庫品等の多寡からいたしましておよその所得を推定して、従来納税者になっていない場合にこれを納税者のほうに持ち込む、あるいは高額者になっていない場合に高額者のほうに持ち込むという見当をつけるための資料で、そういう意味では、その資料として使っておることはたしかでございますが、しかし、それですぐ所得をきめているわけではございません。納税者をそういうふうに選択する基準として一つ使って、その後所得を調べまして、実際の納税者としてあるいは高額所得者として把握していく、こういうことになるものであります。「活用」、「参考」は、いま申し上げましたように、六大都市ではそういった新規所得者の発見なりあるいは高額所得者の把握につきましてあまり十分に行なわれておりませんので、それを正確に行なう意味で効率表を活用しなさいということを言っておるのでありまして、しかし、六大都市以外の税務署でございますと、まあ、いなかではわりあいこの所得者というものの把握ができやすくなっておりますので、それほどの、効率表でやらなければならぬほどの必要はないから参考程度にしておけばよい、こういうことでございます。
○須藤五郎君 あのね、税金というものはね、納税者の納得で私は取るべきものだ、納めてもらうべきものだと思うのですよ。一方的に税務署がこうこうだと言って押しつけてですよ、納税者が納得しない税金をもぎ取るようにして取るべき性質のものじゃないと思うのですよ、私。それじゃ納税者が税務署の更正決定に不服で異議申し立てを行なう、行政不服審査法の定めるところによりまして国税局長に審査請求を請求する。その場合にあなたたちは一体どういうことをしておるのか。こういう不服審査を要求したときには、その人の納得のいくように説明をして、そうして納得させなければいかぬと思うのですね。それがあなたたちのつとめだと思う。ところが、税務署が納税者に示すのは、その場合に納税者の申告書と税務署のはじいた税額、これだけしか示さない。何の誠意も見せていないのです。こういう更正決定の額になったのは、皆さん、どうしてこういう更正決定がされたかその根拠、事実関係は何も説明をしていないのですよ。ここに私は一つの訴えを持っております。それは鎌倉市小町二丁目、株式会社藤屋商事代表斎藤喜一郎さんです。これは昨年の六月です。六月十日に藤沢税務署長にそういう点で質問書を出しておるのです。この人は、更正決定を受けたがどう考えてもそれは不当であるというわけですね。だから、自分たちの意見を聞いてくれと、こう言って税務署へ行っているわけですよ。ところが、署長は門を閉ざし会わないのです。絶対会わないのです。説明一つしない。そんな不誠意な行為が認められていいものでしょうか、どうでしょうか。だから、この人はわざわざ質問書をつくって、そうして書類で税務署長に質問を出した。ところが、この質問書に対する答弁も来ないのです。そうして裁判所が更正決定をいたしましたということしか言わない。こちらの言い分を聞こうともしないし、説明しようともしないのです。これではね、あまりにひど過ぎる。私は、納税者の立場に立ちまして、こういう態度はいかぬと思うのです。税務署のとるべき態度じゃないと思う。どうしても納税者が納得のいくように説明すると同時に、その根拠、どうして税務署がその数字を出してきたかという根拠を私は明確に示すべきだと思う。それでないと納税者は納得しませんよ。そうでしょう。ここに一つの例があるんです。こういうふうな税務署の行為は、私はこれは行政不服審査法二十二条、二十三条違反である。また、納税者の納得のいく資料を示さないのは、税務署が、いま申しましたように、あなたたちはこれは単なる参考資料であると答弁しておりますけれども、税務署は標準率、効率表を実際に使用しておる。だから出せないのではないだろうか。もし、そうでないというならば、この席上に効率表、標準率を全部ひとつここに出してください。どうですか、出せますか。
○政府委員(泉美之松君) いまお話しの鎌倉市の納税者の方の具体的事案につきましては、事実関係をいろいろ調べたいと思いますが、須藤委員御承知のように、所得税法あるいは法人税法におきましては、青色申告をいたしております場合には、その青色申告の場合の更正決定につきましては、更正決定の理由を付記するということになっております。したがいまして、そのお方が青色申告をなさっておられたかどうかということが問題になるわけでございます。青色申告でなくて、白色申告の場合におきましては、更正決定の理由付記ということは法律上の義務になっておりません。しかし、もちろん、そうだからといって、租税というものは納税者の納得を得て納税してもらうのがいいわけでありますから、理由付記が法律的な義務になっておらないからといって、相手方からそれに対して再調査の請求があった場合には、その再調査の請求におきまして相手方の言い分をよく聞いて、それに対して税務署としてはどういうふうな判断をするということを通知する、そうして相手方の納得を得るようにするというのが望ましいわけであります。その再調査の請求に対する税務署長の決定に対しましてさらに異議がある場合におきましては、国税局長に対しまして審査の請求をしてまいるということになるわけでございまして、具体的な事例でございますので、それについてどういうふうなことであったかということを十分調査いたしたいと思います。いずれにいたしましても、納税者に対して税務署はできるだけ親切にやっていく、納得をさせていくということが大切なことはおっしゃるとおりでございますので、私どもといたしましては、そういうような気持ちでやっておる次第でございます。
 それから、そういう場合に標準率表、効率表を出しなさいということでございますが、これは私どもとしては秘密にいたしておりますので、裁判所に対しても、そのものの提出はできないということを申し上げておるのでありまして、したがいまして、当委員会におきましてもそれを提出することはお許しを願いたいのであります。
○須藤五郎君 不服審査法二十二条、二十三条は、そういう訴えがあった場合は、その理由を明らかにして説明をしなければならぬ。そういう根拠を示さなければならぬという条項があるわけですよ。それが現在はされていないんですよ。国税庁長官はそんなことを言っておりますけれども、今日、地方の税務署に行って税務署長に面会を申し入れたら門前払いですよ、ほとんどがどうしても会わないですよ。そういう事実をあなたが知って、そうしてあなたがいま言ったことを実際やろうとするならば、全国の税務署に、納税者が署長に面会を申し込んだら、十分に会って、納税者の納得のいくように説明をしなさい、そういう指示をする必要があると私は思う。第一に、二十二条、二十三条、この不服審査法にちゃんと明らかになっておることすらも今日の税務署はやらない。そうして一方的に課税をしたものを納税者に押しつけておる。これが今日の状態なんです。あなたが出せないという理由を、国会にも出さぬし、それから裁判所にも出さない、こういうふうにいま言いましたが、ここにすべて出すなという通達が行っておるんですね。あなたのほうで、「昭和三十九年一月、直審、秘、総、一ほか十以下合同通達」、この中に、「国税関係処分に対する不服申し立てに関し、行政不服審査法及び国税通則法の運用上留意すべき事項。通達の運用について、第三十三条関係、税務執行上の機密に触れるため閲覧させないことについて正常な理由がある場合とは、たとえば次のようなものである。」と、こうありまして、税務署の課税に関するほとんどの文書を閲覧させないこととしておるのであります。この中に標準率、効率表も入っておるわけなんですね。これはこの二十二条、二十三条、三十三条の精神ですね、それと違ってくるんじゃないですか。いま申しましたすべての根拠を示すということに、こういう通達自体が違反しているんじゃないですか、憲法違反じゃないですか、こういうことは。
○政府委員(泉美之松君) まず最初に、納税者が税務署へ行っても税務署長が会わないというようなお話でございますが、これは普通の状態でありますれば税務署長がお会いするわけでありますが、集団で押しかけられるというようなことがありますと、秩序維持の問題などもありまして、その場では税務署長はお会いしない、そうして別の機会に、そんな集団でなしに、人数を限ってお会いする、こういう処置をとっておるところでありまして、全く税務署長が会わないということはいたしておらないはずであります。
 それから、いまお話しの通達で、そういった標準率、効率表は再調査の請求があった場合におきましても閲覧させないということにいたしておりますことは事実でございます。しかし、私どもは、先ほど申し上げましたように、標準率、効率表はわれわれが納税者の所得の申告についてその適用を検討するための一つの目安としておるものでございまして、それに基づいて直ちに課税を行なうという性質のものではございません。したがって、そうしたものを閲覧させなくても、そのほかの課税資料によって納税者は何によって更正されたか、あるいは決定されたかということがわかるような仕組みになっておるわけでありますから、別段、標準率、効率表はお見せしなくても、憲法違反といったようになることとは思っておりません。元来御承知のとおり、所得というものは、その所得者自身が一番よくわかっておるはずのものであります。したがって、正しい所得の申告をしていただくということが前提になって現在の租税制度ができ上がっておるわけであります。まず正しい申告をしていただく。したがって、税務署の効率表あるいは標準率表というのを当てにしないで、みずから正しい所得の申告をしていただく、これが正しい税務のあり方である、このように思っております。
○須藤五郎君 国税庁長官、あなたの言うように税務行政がなされておるなら、私が何もここに立って、納税君を代表して質問する必要はないですよ。実際はそういう状態にないんです。税務署が一方的に否定した金額を納税者に押しつけておるんです。そうして、その理由を聞きに言っても、説明もしないし、会おうともしない。そうして強引に税金を取り立てる。こういうことを税務署がやっておるから、だから納税者は腹が立ってしかたがないんです。だから大勢で押しかけるというようなこともときには起こってくるんです。何も、税務署がほんとにちゃんとした態度をとっておるならば、そういうことは起こらなくて済むことなんです。それをあなたたちの責任だと言わなければなりませんよ。まだまだたくさん質問があるのですけれども、しかし、大臣が帰られるのをあちらの大蔵委員会で非常に出席を急がれているようでありますから、私は最後に一つ大臣に聞いていただきたいことを申し上げたいと思うのです。以上、私は若干質問してきましたが、政府との議論の中で明らかになった点が二、三あると思うのです。冒頭に私は推計課税は憲法違反であると言いましたが、政府はこの推計課税を擁護しているのです。この推計課税を推し進めるために、大阪地方裁判所さえ租税法定主義の精神に反すると言ってそういう判決をしている。標準率、効率表を使って、事実上課税し大衆収奪をおし進めてきた。また、現在もそれをやろうとしていると言わなければならない。この推計課税、この標準率、効率表によりまして、どんなに納税者の人権が不当に踏みにじられ、国民大衆のささやかな財産が収奪されてきたか、大蔵大臣は知っていらっしゃるのかどうか。ここに一つの例があります。簡単に申しますが、名古屋の中区向田町の福岡茂さんというクリーニング屋さんです。このクリーニング屋さんは青色申告なんですよ。青色申告でありながら、昭和四十一年九月十三日、名古屋国税局の中税務署の調査官中野三郎ほか税務職員二名がクリーニング屋に押しかけて、福岡さんの店をたずねて洗濯の物干し場、アイロン台、洗い場、製品配達だな、あらゆるところを物色して、そうしてこの福岡さんを調べ上げたわけです。これは三日にわたっているわけですが、福岡さんはとうとうノイローゼになってしまった。しまいには税務署の質問に答えることすらできないようなノイローゼになってしまった。それでもやめようとしない。それで福岡さんはとうとう家を飛び出しまして、そうして十一月十二日、長良川の下流千本松原で水死体となって発見をされたわけです。こういう残酷な税行政ってありますか。弱い者いじめですよ。ここまでやってはいかぬ。ところが、こういうことは一例にすぎぬ。一例ではない。まだほかにも例があるのです。例を出せと言えば例を出しますが、時間がありませんからこれでやめますが、こんなことが実はされているのです。これは大臣一体どういうことでしょうか。こういう徴税がやられておって、そうして、納税者が満足して、納得して納税をするというふうに大臣は考えることができますか。一方で納税者の人権がこのように踏みにじられ、納税者の財産が不当に収奪されながら、他方では、税務署の強大な権力と行政によりまして、税務署員の汚職、腐敗、これが無数に発生しているのです。それも私はここに資料を持っておりますが、時間がありませんから、その資料を出すことは見合わせますが、これが現在の税務行政の実態なんです。大臣、これは国会としても国民としても許すことのできないものだろうと私は考えます。したがって、私は大蔵大臣に次の四点について、要求をしたいのですよ。聞いてみてください。
 まず第一に、憲法違反の推計課税、質問検査権の行使を直ちにやめ、また、この推計課税、質問検査権を税法から削除することです。それが第一です。
 第二は、標準率、効率表を公開し、納税者である国民の批判を受けるべきであるということ、これが第二です。
 第三は、憲法違反の推計課税標準率、効率表によりまして課税され、質問検査権によって人件をじゅうりんされ、その結果、現在争われておりますところの事件につきましては、納税者の正当な異議申し立てを認めるべきである、それが第三です。
 第四は、推計課税標準率、効率表によって課税しました税額はすべて無効であり、直ちに納税者に返し、本来の申告納税制度による正当な手続によりまして納税者の納得の上で税額を確定すべきである。この四点を私は大臣によく聞いていただいて、この四点につきまして私は大臣に要求をいたします。これで私の大臣に対する質問は終わります。非常に時間のないために不十分な質問に終わりましたが、いずれまた大臣に対する質問は大蔵委員会におきましてゆっくりすることとしまして、本日は大臣に対する質問はこの程度に終わりまして、続きまして谷川税関局長に対しまして少し質問をしたいと、こういうふうに考えます。
 この間の丸一物産株式会社という会社の代表取締役立花敬造さんという方がベトナムから帰ってこられたのですよ。そのときに、資料としてアメリカン・クライムズ云々というこういう本を持ってきて……あなたも持っておるのですか。税関がいけないと言って拒否した本をあなたが持っているのか。私はこれは送ってきたのです。どこからともわからぬところから送ってきたのです。送り先は私にはわからないのだけれども。これが取り上げられてしまったのです。それで不当だと言って訴えておるのです。私のところにも訴えて見えたのです。私がこれを見ると、どこが税関で取り上げなければならぬものか、一向にわからないのです。どこを見てもそういうものじゃないのです。それはアメリカがベトナムにおいてやっておるところの残忍な写真はありますよ。それは私は差し押えすべき性質のものじゃないと思うのですよ。これが発行された目的、持ち帰った目的は、戦争というものがいかに残忍なものであるか、だから平和でなくちゃならないのだ、そういうことを訴えるための資料としてこれは持ち帰られたものなんです。それを税関が差し押えてしまうということは、逆に言えば、日本の税関はアメリカの残虐行為に対しまして積極的に協力しようという意図でそういうことをやるのですか。そうじゃないでしょう。当然こういうものは通すべきものなんです、無条件に。また、ここに「歴史の告発書」という日本で出版された本があるのですよ。もうすでに市販されておるのです。この中にあるのと同じ写真がずっと入っておるわけなんですね。これが市販されて、何で税関でとめられなければならないのですか。おかしいじゃないですか。谷川さんはどういうように考えられるのですか。これをどうしようというのですか。
○政府委員(谷川宏君) ただいま御指摘になりました書籍でございますが、その中に関税定率法第二十一条によって輸入禁制品とすべき写真が入っておりまするので、法律の定めるところによりまして輸入の許可をしないことにいたしたわけであります。
○須藤五郎君 それじゃどれが、どこがそれに触れるのです、どこが。
○政府委員(谷川宏君) 具体的にどこがということをこの席で申し上げるのは適当でないと思いますが、東京税関長におきまして詳細内容を検討いたしまして、この書籍の中にありまする写真の若干のものにつきまして輸入禁制品に該当するということで、輸入の許可をしなかったものであります。
○須藤五郎君 以前もある婦人団体がベトナムへ行って、そうして写真を八枚持って帰った。そうしたら、その八枚のうち四枚押えてしまって返さないのですね。そうして婦人団体が審査会にかけたわけですね。審査会にかけて、そうして審査会の結果、その半分また返してよこした。そうしてその写真を見ると、何も私たちが見て風俗を害するものに該当する写真は一枚もないですよ。先ほども申しましたように、この婦人団体もこの写真を持って帰ったのは、戦争というものはこういう残酷なものであるということを国民に訴えると同時に、アメリカ帝国主義がいかに残忍な行為をベトナムでやっているかということを国民に訴え、そうして平和の方向に持っていかなければならぬ、こういうことで持って帰られたのです。それが、アメリカ兵がその写真のそばに立っているから、これをそのまま出したらアメリカに申しわけがないとか、残忍な行為をやっているアメリカに気がねして、こういうほんとうの平和のために役立つ写真を税関で押えて返さぬというのは、一体どういうことですか。谷川局長もそんな気持ちで押えているのですか。率直に答えなさい、率直に。
○政府委員(谷川宏君) 関税定率法の第二十一条に規定しておりまする風俗を害する物品の中には、通常わいせつなもののみならず、極端に残虐性を持っているものを含むと従来解釈されておるわけであります。極端に残虐性を持っているものとは何かということが問題になるのでありまするが、健全な常識を持っておる人が一見いたしまして、目をあけてずっと見ておれないような非常に残虐な写真等がこれに該当するものと考えるわけであります。が、しかし、健全な常識を持った人が判断するといたしましても、多少、人によってその判断に狂いが生ずる場合もあろうかと思いまするので、そういうことがないように、従来ともこの問題の処理につきましては慎重の上にも慎重を期すように指示しておりまするが、たまたま税関当局の判断と輸入許可申請人の判断とが食い違うような場合におきましては、そういう場合を予想いたしまして、法律は輸入映画等審議会というものを設けまして、そこで異議の申請を受け付ける。社会常識を持った学識経験者、学識のある人たちの判断を仰いで、その結論を考慮いたしまして税関長が処理をするというたてまえになっておるわけであります。この問題につきましては、従来、国会におきましてもしばしば論議されてきたところでございますが、今国会におきましても、衆議院の大蔵委員会で長時間にわたりまして論議されました。そういう論議の過程を十分に考慮いたしまして、今後とも私どもは慎重の上にも慎重を期してこの問題の処理に当たるつもりでございます。
○須藤五郎君 あなたは関税定率法二十一条に言われている風俗を害するという条項をたてにとってそういう答弁をしますけれども、日本の人が見てもだれ一人風俗を害するというようなことを感じた人はいないのですよ。もし、それがあなたの良識とするならばおかしいと思うのですよ。あなた自身もそうは考えていないと思うのですよ。こういう本が市販されて、そうしてどんどんと買われているわけなんですよね。私はこれを見てどこにも風俗を害する点はないと思うのですよ。私、くどく申し上げますが、この写真を持ち返った人のねらい、それからこの写真の内容、こういうことを風俗を害するとかなんとかいうことで処置すべきものでないと思う。第一、私はあの関税定率法二十一条ですか、あれ自体が私は疑義があるのですよ。われわれが今日憲法で思想の発表の自由というものが認められているわけなんです。写真は一つの思想の発表なんですよ。だから、あれをたてにとって、広く解釈して、こういうものまで取り締まるというのは絶対おかしいですよ。もっと別の方向にあなたたちの考えを持っていってもらわないと解決しない問題ですよ。おそらくこういう決定をいつまでもあなたたちが続けるならば、大きな社会問題になると同時に、私は裁判ざたが起こってくると思うのですよ。この前、婦人団体から審査会に対しまして全部返せという要求書が出されているわけなんです。ところが、婦人団体にいまだに何らの回答がない。だから、婦人団体が、こういう問題はもっと民主的に大衆団体の代表も交えて、単なる審査会だけでなく、あれは官製の審査会ですから、民主的な審査会と言うことはできませんよ。だから、もっと大衆団体の代表も交えて民主的に審議したらどうだ、こういう意見を持っている。それと同時に、税関長の処置、これまでやってきたものも含めて前の処置、これを直ちに撤回して持ち主に返すべきであるという意見を私のところに訴えてきております。そうしない限り、やはり裁判に持ち込まれて裁判所で争われるという結果が起こってくると思うのですよ。だから、その前にあなたのほうで適切な処置をとることが私は必要だと思うのですが、谷川さんはどういうような処置を今後とっていこうとするのか。今日までやってきたことを今後またずっと続けていこうというお考えですか。あなたたちはどういうお考えを持っておりますか。そこの考えをひとつ聞かせてください。
○政府委員(谷川宏君) 須藤委員の御意見は御意見として前々から承っておるわけでございますが、私どもは必ずしもそう考えないわけでございます。憲法に違反するかどうかということにつきましても、憲法二十一条の表現の自由の規定は、同じ憲法の十二条、十三条にございますように、「公共の福祉に反しない限り」という制約があるものであると考えまするので、この関税定率法二十一条の輸入禁制品が、もしこういうような風俗を害するものがどんどん日本に入ってきた場合に、外国と社会事情、社会情勢等が違いますし、ものの考え方が一致していないこの日本の国に、風俗を害するものが入ってくることを前提といたしまして、これの輸入を禁止するというのがこの規定の趣旨であるわけであります。しかし、先ほど来申しましたように、この輸入禁止をするかどうかということは非常に重要でございますので、慎重の上にも慎重を期す必要があると考えて、従来ともそういう方針で処理してまいったわけでございますが、また輸入映画等審議会の構成は、私ども及ぶ限りこの道の権威者を集め、また一般社会常識を持ったりっぱな方々を網羅いたしまして、そうして公正妥当な判断を仰ぐことにしておるわけであります。で、そういうような手は尽くしておりますけれども、従来の事案につきましていろいろ争いがあることも事実でございまするので、今後こういう争いが起こらないように、さらに十分検討いたしまして、この判断の基準等につきましても、十分慎重に検討すると同時に、二十一条違反であるかどうかという判断をする場合にも、担当者が十分に念を入れて慎重にやっていくという方向でこの問題の解決に当たりたいと、こういうふうに考えます。
○須藤五郎君 最後に……。そうすると、いまお話を聞いておりますと、従来とった態度が必ずしも妥当でないと思う節もあるから、今後はより一そう慎重にも慎重に検討していこう、前向きの姿勢でこの問題を解決していこうと、こういうふうな意見と私は受け取ったのですが、そうですが。
○政府委員(谷川宏君) 従来とも慎重に処理してまいったわけでございますが、すなわち、私どもこの問題判断する場合に、思想的な偏見等は一切これを排除いたしまして、そのもの自体が法律に言うところの風俗を害するものであるかどうかということを神さまの心を体しながら、神の心になって判断をしてきた、純粋な判断をしてきたわけでございますので、今後とも一そうそういう点に気をつけて紛争が生じないように善処してまいりたいと、こう思います。
○主査(熊谷太三郎君) それでは、以上をもちまして大蔵省所管に関する質疑は終了したものと認めます。
 なお、これをもちまして、本分科会の担当事項であります昭和四十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省所管に対する質疑は終了いたしました。
 これをもって本分科会の審査を終了いたします。
  なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 それではこれにて散会いたします。
   午後二時五十三分散会
     ―――――・―――――