第056回国会 大蔵委員会 第1号
昭和四十二年十月十三日(金曜日)
   午前十時五十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         竹中 恒夫君
    理 事
                青柳 秀夫君
                藤田 正明君
                柴谷  要君
                中尾 辰義君
    委 員
                青木 一男君
                伊藤 五郎君
                大谷 贇雄君
                小林  章君
                西郷吉之助君
                徳永 正利君
                木村禧八郎君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                野溝  勝君
                二宮 文造君
                瓜生  清君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        坂入長太郎君
   説明員
       大蔵省関税局長  武藤謙二郎君
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  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (当面の財政等に関する件)
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○委員長(竹中恒夫君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 租税及び金融等に関する調査中、当面の財政等に関する件を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
○須藤五郎君 きょう大蔵大臣の御出席がおくれるようでありますので、とりあえず大蔵大臣に対する質問は後日に譲りまして、ここに関税局長が見えていますから、関税局長に質問をいたしたいと思います。
 私は、今年の五月二十四日の予算委員会の第二分科会におきまして、時の関税局長、前任者の谷川君がおりましたとき、谷川君にベトナム写真の問題につきましていささか質問をしたわけです。そのときに、なぜ米原さんという婦人がベトナムから持ち帰った写真を税関で差し押えたかという質問をいたしましたら、谷川局長は、そのときに差し押えた理由としまして、関税定率法第二十一条の第一項第三号ですね、これによりましてその写真を差し押えたという答弁でした。そこで議論になったわけですが、あの関税定率法の第一項第三号は、風俗を害するおそれがある場合にこれを差し押えると、こういう条項になっておったと思うのです。ところが、米原さんがベトナムから持ち帰ったもの、また、丸一物産の立花さんという方が持って帰った「アメリカン・クリムス」という本は、どの点からみましても、風俗を害するおそれがあるという条項に該当するというふうにはわれわれはどうしても受け取れないのです。第一、「アメリカン・クリムス」の中に載っておるところの写真は、もうすでに日本国内において商業出版として出版されて、その本の中にも、すでにもうちゃんと出ているものなんです。それを何であらためて差し押えるかというと、やはり関税定率法第二十一条一項第三号に該当するからという答弁で、それでまあ議論をしたわけなんです。それで、議論は、まあ最後に谷川局長が、今後こういうことの起こらないように、従来も慎重審議を実はしておりましたけれども、今後は特に慎重審議をすることにいたしたいというとこで時間切れになりまして、それでまあ終わったわけなんです。ところが、私たち、あの写真は、こういう見解を持っておるわけなんです。あれを持ち帰った人も私にはっきり言っておりますが、戦争というものの非人道的な面、それから、アメリカ軍がベトナムにおいていかに残虐行為をやっておるかということを日本人に知らしたい、平和を一日も早く戦い取るために持って帰ったのだと、こういうことを持ち帰った人たちは言っておりますし、私がその写真を見たときに受けた印象もそういう印象なんです。いかにアメリカ軍が残虐な行為をベトナムでやっているか、あの写真を見ればすぐわかることなんですね、その後、最近は朝日新聞なんかでもベトナムの問題を取り上げまして、その商業新聞の中に出てきている写真でも、相当残虐な行為をやっている写真があるわけなんです。この間は、ある子供がベトコンだというので、アメリカ兵から撃ち殺されて野原に倒れている写真も出ておりました。こういうことは数えれば数えきれないほどアメリカの残虐行為というものはあるのです。それを世界に訴えて、そうしてこの戦争を一日も早く終結させるために役立てようというのが、この婦人たちの意見だったわけです。私もそれはそのとおりだと思うのです。私もそういう立場に立ちまして質問した。ところが、谷川局長は、以後こういう問題が起こらぬように慎重審議をやります、こういうことで幕がおりたわけです。その日は。ところが、最近、米原さんはじめ、丸一物産の常務の立花さんに対してこの写真が返ってきたわけなんですね。そうして立花さんの「アメリカン・クリムス」は、審議会にかけるまでの段階で、これは押えたけれども、この二十一条なるものに該当しないという理由をつけて、そうして返されてきたわけなんです。そうすると、その前に差し押えたという、詳しくここに文章がありますが、それは時間がかかりますから省略したいと思いますが、一体、前には二十一条の一項三号に該当するから差し押えたのだ、こう言っておったが、それを返したということは一体どういうふうに心境の変化を来たしたのか、そこら辺の点を少し伺っておきたいと思うのです。
○説明員(武藤謙二郎君) ただいまの御質問にお答えいたします。
 従来からの経緯を少し申し上げたほうがいいかと思いますので、立花さんの件につきまして、これは税関では、先ほど須藤先生がおっしゃられましたような関税定率法の二十一条の一項三号に該当すると考えまして、一度そういう通知を出しました。これは輸入をさせることができないということになるわけでございます。そうしましたところ、東京税関長に異議の申し出がございましたので、そこで、これは法律上の手続に従いまして輸入映画等審議会を開催いたしまして、それで、輸入映画等審議会を開催した結果、これは該当しないという答申が出てまいりました。したがいまして、関税局としても、先ほど先生がおっしゃられたようなこともくみまして、今後方針を従来よりも非常に緩和いたしました。
 それから、米原さんの件につきましては、これはそういう新しい方針が輸入映画等審議会で出ましたので、東京税関長に返すようにということをお伝えしたわけでございます。また御質問ございましたら詳細御説明いたします。
○須藤五郎君 そうすると、前に差し押えたことが行き過ぎであった、間違いであったからお返しすることにしたと、こういう意味なんですか。
○説明員(武藤謙二郎君) この残虐という関係ではなかなか判断がむずかしいところもございますけれども、先生のお話になったような点も考えまして、また、輸入映画等審議会でも、従来は押えていたようなもの、輸入をとめていたようなものを今度は輸入させるという方針になりましたので、その方針に沿って私どもも従来よりも緩和した方針をこれから適用する、そういうことにいたしたわけでございます。
○須藤五郎君 その立花さんに写真を返したのには、返す理由が付されて返ってきておるんですね。その理由はどういうふうになっておりますか。
○説明員(武藤謙二郎君) それは二十一条の第一項の第三号に該当しないと、こういうことでございます。
○須藤五郎君 それは審議会の意見だったわけですか、どこの意見なのですか。
○説明員(武藤謙二郎君) これは輸入映画等審議会を開きまして、そこで検討した結果、該当しないという結論が出ました。で、こういう結論が出るについては、先生が先ほどおっしゃったような点を審議会で十分考慮して、従来の方針とは違っております。それで新しい決定を出されたのだと思います。立花さんの件は審議会に一ぺんかけたわけですが、従来、審議会が出していたような方針に比べると、非常に緩和された方針を出した、こういうことでございます。
○須藤五郎君 そうすると、米原さんに返した写真ですね、これは都合四枚ですか八枚ですか、持ち帰られたそのうちの半分はまあ通関を認めたが、あとの半分は通関を認めなくて差し押えたわけですね。そして、それが審議会にかけられたわけですね。審議会においてもこの写真は返らなかったわけですね。それはどういう理由ですか。
○説明員(武藤謙二郎君) 米原さんの件は立花さんの件よりも先に問題になっておりまして、それで、これも経過を申しますと、初めこれは昨年の十月でございますが、税関のほうで定率法の二十一条の一項三号に該当するという通知をいたしました。で、その後異議の申し出がございました。そこで、輸入映画等審議会を開きまして、そこで四組八枚が問題になったわけでございますが、そのうちで二組四枚は該当しない、で、ちょうど半分になりますが、二組の四枚は該当する、こういう答申が出たわけでございます。そこで、その答申に基づきまして東京税関長が通知をいたしたわけですが、その後、御承知のように、先ほど申し上げましたが、この審議会は昨年の十二月でございます。ところが、立花さんの件に関しまして、ことしの七月になりまして新しい方針が出ましたので、したがいまして、この方針に照らせば米原さんの件も返すのが適当であるということでございますので、それで東京税関長から返す、こういう措置をとったわけでございます。
○須藤五郎君 これは、その立花さんの請求に関して返還する場合には、ちゃんと理由が付されておるわけですね。なぜ返すかという理由が付されておるわけです。ところが、米原さんのものをとにかく審議会が一応差し押えて、そのとき返すと言ってよこしたけれども、審議会は断固として返さなかった。ところで、突如として税関から返した。その返す理由は何ら明示されていないんです。本人たちはもちろん当然返すべきものが返ってきたと思っておりますけれども、何の理由も付されないので、何の理由で突如として税関から返したかわからないのですよ。何の理由で返したのですか。
○説明員(武藤謙二郎君) これは該当しないからお返ししますと、こういうことでございます。
○須藤五郎君 そうすると何ですか、審議会は該当するとして差し押えたんでしょう。それで、その次に該当しないといって送り返した。おかしいじゃないですか。
○説明員(武藤謙二郎君) その点をもう少し御説明しますと、米原さんの件については、昨年の十二月に輸入映画等審議会がございました。昨年でございます。で、そのときは二枚四組が該当する、これは米原さんの分でございます。その後いろんな点を御考慮されたと思いますが、今年立花さんの件につきまして、ことしの七月に輸入映画等審議会が、これは該当しないという方針を打ち出されました。で、この米原さんの件について昨年十二月に行なった決定と、それから、立花さんの件についてことし行なった決定、この間には違いがございます。米原さんのときには現在の方針に比べると相当きびしい方針で、その方針でもって審議会は二枚四組はだめだ、こういうことになったわけでございます。その後、立花さんの件につきまして、よろしいということになりまして、したがいまして、その新しい方針に従いますと、米原さんの二枚四組も当然これは非該当ということになるわけでございます。したがいまして、米原さんの件につきましては、新しい輸入映画等審議会の方針に基づきまして、非該当ということでお返ししますということにしたわけでございます。
○須藤五郎君 それならば、当然米原さんにあとの写真をお返しするときには、そういう理由を付して返すべきものだと思うのです。ところが、何ら理由を付してないんですよ。前には審議会が、それは差し押えるべきものだという決定になったから差し押えた。その後情勢が変わった。そういう情勢の変わったことは一般の人は知らないのです。だれも知らないのです。ただ関税局内か大蔵省内においてそういう情勢の変化がきた、だから今度返した。それならば、前に差し押えたことは間違いでございました。しかし、その後情勢が変化しましたから、この際お返ししますという理由を付して返すべきだ。ところが、これには何も書いてない。「昭和四十一年十二月二十八日付東総第九四号の通知にかかる案件については、今般その通関が認められることとなりましたので通知します。」と、「今般その通関が認められる」と、「なお、上記案件にかかる写真四枚は羽田税関支署を通じてお受けとり下さい。」、何ら理由を書いてないんです、いきさつは。これじゃ受け取るものはわからないじゃないですか。国民はわからないですよ、これでは。どこでどういうふうにその大蔵省内の方針が変わったのか、どういうふうに変わったのか、その変わり方、変わったいきさつ、そういうものをやはり国民に明らかにしなければいけないですよ。そうでなければわれわれはわからない。これから外国から物を持って帰る人はたくさんあるでしょうが、その人たちにわからないじゃないですか。どういうのか、その点もう一ぺん答えてください。何で理由を明記しないんですか、これに。
○説明員(武藤謙二郎君) 従来とも、こういう場合に、一々どういうふうに変わったからこれはこういうことに扱ったんだという理由を明記しておりませんので、慣例どおりやったというだけのことでございます。
○須藤五郎君 そんなことじゃいかん。それじゃ立花さんに返すときは何で理由をつけたのか。立花さんに返すときに理由をつけて、米原さんに返すときに理由をつけないのはどうわけですか。
○説明員(武藤謙二郎君) 時間がかかりますようですから、とりあえず御答弁申し上げますが、立花さんにお返しするときに、輸入映画等審議会へかけて、そこでこれは非該当という御説明をしましたので、そういうことでお返ししますというその事実を書いたと思います。それから、米原さんの場合には、おっしゃるように、あるいはその輸入映画等審議会で立花さんの件が通ったから、その方針に従って今度これをお返しするということを書いておけば御納得がいったのかと思いますけれども、これは従来の例どおり、輸入映画等審議会を新しく開いたわけじゃございませんので、ただ該当しないことになったと、そう簡潔に書いただけでございます。
○須藤五郎君 そういう説明ではわれわれ納得できないのです。片方には理由をつけて返して、片方には、その後情勢の変化がきたが、その情勢の変化が皆さんの立場では外に言いにくい、言いづらいと、だから特にそういう情勢の変化を来たしたことを隠すために、理由を付さないで、ただ取りに来てくださいという一片の通知でこれを済ましてしまった。しかし、そういう変化がきたのは、何か省内に大きな変化がなくちゃならぬはずです。それを、あんたたち隠そう隠そうとするからそういうことになってしまうんですよ。そういうことは隠しちゃいけないんでね、一般大衆に全部知らせなきゃいけないんです。
 委員長、これから本論に入るんですが、時間がもう少しほしいんですよ。ちょっとお断わりしておきます。
 私はもっとこの点をずっとこまかく追及していく中でその問題を出したいと思う。私が聞くところによると、その情勢の変化は八月一日の通達だと思うのです。大蔵省が部外秘で一つの通達を出しておるわけなんですよ。どうですか、その事実は認めますか、八月一日の通達は。
○説明員(武藤謙二郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、七月に輸入映画等審議会で、新しい、従来よりも緩和された方針が打ち出されました。で、この方針に従いまして、八月になりまして新しい通達を出しました。
○須藤五郎君 これまでの方針とどういう点が変わったんですか。
○説明員(武藤謙二郎君) 現在の新しい方針について御説明申しますと、いま問題になっておりますところは残虐の関係でございます。この残虐の関係についての現在扱っております方針ということはこういうことでございます。まず、個々の写真などの物品につきましては、その写真などが人体の損壊行為等を表現した実写場面で、一見して見る者の目をそむかせるほど嫌悪の情を催させるものであり、かつ、文字等により明確に残虐行為をあおり、そそのかしているもの以外は、関税定率法二十一条第一項三号に規定する風俗を害すべき物品に該当しないものとして取り扱うということでございます。それから、先ほどのは個々の写真でございますが、そのほかに、映画、書籍にも写真が含まれているものが。ございますので、書籍の中の写真が含まれているものだけでございますが、これにつきましても同じような扱いになっております。ただ、商業用の映画につきましては、その社会的影響が大きいので、その全部または相当部分が残虐場面を取り扱ったものである場合には、特に残虐行為をあおり、そそのかすことがなくても、風俗を害すべき物品に該当するものとして扱う、こういうことでございまして、それでもなおその扱いに疑義あるという場合には本省に相談する、こういうことで今後は御心配のようなことはたぶんなくなるだろうと私は期待しております。おそらくこれですと、残虐ということで税関で輸入をとめるということはほとんどないのじゃないかと思っております。
○須藤五郎君 そういうふうにあなたのほうで情勢が変化したというならば、その文書は一般に出してみんなに周知さして、そうして国会にも一つの資料としてそれを提出すべきものだと思うのですが、出したらどうですか、国会へその通達なるものを。
○説明員(武藤謙二郎君) いまここで御説明したとおりの内容でございますので、それで御了承願えませんでしょうか。
○須藤五郎君 あなたが説明したとおりのものならなぜ出せない、出したらどうですか。出したほうがはっきりしていい。それは出すべきです。
○説明員(武藤謙二郎君) この問題は少しデリケートなところがございまして、御承知のように、関税局としては、税関の非常にたくさんの職員の仕事に対する士気というようなものも考慮しないといけないという点もございまして、それで従来こういうものは差し押えでございませんで、輸入をとめていたものを、それをいいんだということにしまして、それは実行上監督者は知っておりますから、八月以降はそういうものは輸入がとまるということは起こっておらないはずでございますが、それをさらに若い職員まで全部にわかに教えるということはいかがかということで、これはお出ししないでいたわけでございますが、委員会におきましてどうしてもそれをいま提出せいということをおきめになれば、私どもはお出しいたします。
○須藤五郎君 私は委員会としてその文書を提出さしてもらいたいのですよ。第一、若い者にそういうことを知らしてはいかぬということはどうしてですか。方針が変わったということを若い者に知らさなければいかぬ。知らさなければ同じことを繰り返すわけですよ。これは明らかにして、省内の税関の若い者に知らすと同時に、国会議員に知らさなければいけない。一般の人たちに知らさなければいけない。それでなければ同じことが繰り返される。あなたは省内にどういうような方法でそれを知らしたのですか。
○説明員(武藤謙二郎君) これは先生御心配のようなことはないようになっております。と申しますのは、末端の職員が、これは残虐に当たるのじゃないかという懸念を持ちますときには上司に相談することになっております。それで、上司のほうにはこの方針は十分に徹底しておりますので、したがいまして、先生御心配のような懸念はないことになっております。それから、具体的な例で、いままでに比べて残虐行為に関しては扱いが非常に緩和されているということは、そういうことで若い職員も大体感づいておると思います。必ず上司に相談する、上司はちゃんとこれは心得ておりまして新しい方針を適用していくということでございますので、先生御懸念のようなことはございません。
○須藤五郎君 そんな若い者が大体感づいていることを国会議員にひた隠しすることはおかしいですよ。それは国会軽視じゃないですか。何で国会議員をそんなに軽視するのですか。国会には知らしていない、ちゃんとすべきものですよ、そんなこと隠す理由は何にもない。若い者の士気に関するということは一体どういうことですか。
○説明員(武藤謙二郎君) 内容はただいま申し上げたとおりでございまして、別に国会で、あるいは委員会で秘密にするという必要はないと思います。それから、若い職員の士気という問題、士気ということばが適当かどうか存じませんが、これはなかなかデリケートなことがございまして、自分たちがこれまでやっていた仕事に、相当今度のは、御承知のように、残虐に関しては方向転換でございます。そうしますと、それがいままでやってきたことが今度は変わってしまうのだということで、仕事に対して懐疑的になるというようなことでは困る、これは非常にデリケートなところでございますので、なかなかお話しても納得していただけないとたいへん残念なのでございますが、そういうデリケートな話がございますのでこれまでこういう扱いをしてきたのでございます。
○須藤五郎君 そんなことは何ら理由にならないです。デリケートだ、一体税関は、これまでおまえらはそういうものをせいぜい摘発せい、どんどんやれとこれまで言ってきたんです。それをこういう方針が変わったから、これからは気をつけろということは士気に関すると、おかしいじゃないですか。正しい方向へ立ち戻らせることが何で士気に関するのでしょうか。あなたたちの税関に対する考え方がそういう考え方だから税関では苦慮するわけです。あなたはどうしても出さないというのなら、ぼくが提出しましょう、ここにありますから。
 「関第三四八五号、昭和四二年八月一日、大蔵
 省関税局長 谷川  宏
 関税定率法第二十一条第一項第三号の適用につ
 いて
 関税定率法第二十一条第一項第三号に規定する輸入禁制品については、その取扱いにつき慎重を期してきたところであるが、今後とも、その取扱いに一層の慎重を期するため、同号に規定する輸入禁制品のうち、いわゆる「残虐表現物品」の認定基準を下記のとおり定めたので、昭和四十二年八月一日以降、これにより処理することとされたい。
 なお、具体的案件の認定に関し、疑義のある場合は、当局の意見を求められたい。
    記
 次の一から3までに掲げる物品は、関税定率法第二十一条第一項第三号該当物品とする。
 なお、2及び3の物品について、1の(1)の要件に該当する部分を輸入者が除去する場合には、その通関を認めても差支えない。
 1、個々の写真等の物品で、次の要件のいずれにも該当するもの。
 (1) 人体の損壊行為(以下「残虐行為」という。)又は損壊された人体の状態を表現した実写場面で一見して見る者の目をそむけさせる程嫌悪の情をもよおさせるものであること
 (2) 残虐行為をあおりそそのかすものであること
 (注) あおりそそのかすかどうかの認定は、単なる推測でなく、あおりそそのかす旨が文字等により明確に表現されていることを要する。
 2、映画(テレビ用フイルムを含む。3において同じ。)、書籍(写真が含まれているものに限る。)等で、当該映画、書籍等の一部が上記1の(1)の要件に該当するものであり、かつ、作品全体として残虐行為をあおりそそのかすもの。
 3、商業用のものである等その性格からみて社会的影響力の特に大きい映画(上記2に掲げるものを除く。)で、その作品の全部又は相当部分が残虐場面を取り扱ったものであり、かつ、その一部が上記1の(1)の要件に該当するもの。」これが八月一日に出した通達の全文だと思います。間違いありませんね。
○説明員(武藤謙二郎君) そのとおりでございます。
○須藤五郎君 こういうものを私の手からここに提出して、それを認めさせるということは好ましいことじゃないのです、こんなことは。しかし、ある日、あるところから、わからぬ人からぼくのところへこれを郵送してきたわけなんです。これを私のところへ郵送してきたとすれば、もうすでにこれは世間に出ているはずなんです。こういう世間に出ている問題を何で国会にひた隠しにしなければならないかということです。これは国会軽視じゃないですか。私のところへこれを送ってきた人がある。あるということは、ぼくのところだけじゃないのです。ほかのところにも出ているはずなんです。あなたに発表しろ、国会に提出しろと言ったってあなたが提出しないと言うから、ぼくは最後の手段として、ぼくの手からこれを提出しなければならぬような羽目になるのです。こういうことは好ましいことじゃないのです。だから、いまからでもおそくないから、委員長、もうこういうものはちゃんと出ているのですよ。皆さんにその資料が手渡るように、大蔵省から資料として当委員会へ提出するようにお取り計らいを私はお願いしておきたいと思うのです。委員長が取り計らわなくても計っても、こういうものはもう明らかにされているのです。だから、この際、やはり委員会としてもそれは大蔵省に求めて、委員会の権威を高めるためにも私は提出さしたほうがいいと思うのです。
○委員長(竹中恒夫君) お答えします。
 理事会でよく検討いたしまして、その必要があれば出すようにいたします。必要がなければいたしません。質問を続けていただきます。
○須藤五郎君 そうすると、これで最初の通達と変わった点は、あなたのほうのいわゆる考え方が変わったという重大な点は、ここでいくとどこに該当するのですか。
○説明員(武藤謙二郎君) 一番大事な点は、先ほど申しましたように、個々の写真等の物品で申しますと、残虐行為をあおりそそのかすものである、しかも、そのあおりそそのかすということの認定が、単純な推測ではなくて、文字等ではっきりしているものだけだ、こういうことにいたしたわけです。ここが一番大事なところだと思います。
○須藤五郎君 そこの点をもう少し具体的に述べてほしいのですが、写真を見れば、それがあおりそそのかすものでないということは、この間の写真は全部それに該当するわけですね。それに該当するから返されたわけでしょう、それに該当するから。だから、今度八月一日に出した通達の一項の三号に該当いたしませんからこの写真はお返ししますと、こういうようにはっきり理由を書けば文句ないので、ただ何もなしに写真を受け取りに来てくださいというような通知だけでやるから間違える。ところが、あなたたちが言いたくないのはここだと思うのです。それじゃ文字というのはどういう文字があったら悪いのですか。
○説明員(武藤謙二郎君) さて、その残虐行為をあおりそそのかす文字の具体的な例はどうかということを聞かれますと非常に答えにくいのでございますが、非常に簡単に申しますと、おそらく最初のほうのほかに、残虐行為を文字等で明確に表現してあおりそそのかすというものはほとんどないのじゃないか、そういうふうに考えております。
○須藤五郎君 私ら、あの写真見てアメリカの残虐行為はすぐわかりますよ。アメリカというやつはひどいやつだ、こんなむちゃをやっていやがる、これでは世界じゅうからアメリカはきらわれる、にくまれるのは当然じゃないかと。しかも、こういうことをやっているんだから、ベトナム戦争を一日も早くやめさせなきやならぬ、そのためにはアメリカを追い出さなきゃならぬ、そういう気持ちを持つ。これは別に扇動のものじゃないでしょう。そういうことが、かりにアメリカ兵はかかる残虐行為をベトナム戦線でやっておる。そういうことが字句で書いてあったらどうなんですか。それはいけないんですか。
○説明員(武藤謙二郎君) こういうことをやっているという事実だけでは残虐行為をあおりそそのかすということにはならぬと思います。また、こういうことをやるのがよくないんだという趣旨でございますと、それはもちろんあおりそそのかすの反対だと思っております。
○須藤五郎君 そうすると、これが、かりにアメリカの出版物であって、アメリカ兵はベトナム戦線においてかかる勇気ある戦闘をやっておるんだという字が書いてあって、それでベトナムの兵隊にああいう残虐な行為をやっておる写真が出た場合は、それは扇動になるんですか。
○説明員(武藤謙二郎君) かかる勇敢なることをやっているんだから、そういうことをやれというようなことはどうも一ほとんど考えられないことでございますが、万一にもそういうことでそういうものが印刷物になったりなんかするということはほとんど考えられませんが、ですから、全く架空の話だと思います、が、先ほど先生がおっしゃられましたように、残虐行為をやめたいという趣旨であるということになりますと、輸入をとめるというのとは全く反対のことでございますから、したがって、全然問題はないと、こう思っております。ですから、この残虐行為をあおる……。
○委員長(竹中恒夫君) 須藤委員に申し上げます。先ほどの理事会の約束でございますので、一問だけ簡単にお願いします。
○須藤五郎君 これでやめます。(2)をここに入れたのはどういうことを想定して入れられたんですか。
○説明員(武藤謙二郎君) それは前のほうの「損壊行為」とか「損壊された人体の状態を表現した実写場面で一見して見る者の目をそむけさせる程嫌悪の情をもよおさせるもの」というだけですと、それがどういう意図でできているかということはここには入りません。こういうもので、それで見た人が嫌悪の情を催す、こういうことですと、これだけではどういう意図でそれができているかということは関係ございません。そこで、そういう意図も考えて該当するかどうか……。
○須藤五郎君 そうすると、ベトナムの写真などは念頭に置いたものでないと、要するに、戦争写真などというものは念頭に置いたものじゃないというふうに判断していいんですか。戦争の写真で、ベトナム戦線でこれに該当するものはわれわれとしては考えられないんですよ。
○説明員(武藤謙二郎君) 先ほどから先生おっしゃっておられますが、この残虐行為をやめたいという意図でできているようなものですと、これに該当するということはないだろうと私は思っております。
○柴谷要君 大臣には、閣議、大蔵委員会、これから引き続き、十二時から内閣委員会となかなか御多忙のようでありますから、簡潔にお聞きいたしたいと思いますので、わからなければわからない、やるならやる、やらないならやらない、こういうふうにひとつ明確にお答えいただきたいと思います。と申し上げますのは、ほかでもありませんが、私どもが一番注目をいたしておりまする人事院の勧告の問題でございます。これは政府のほうでも、口を開きますと、人事院の勧告は完全に実施をいたします、このようにおっしゃっておられるわけですが、閣議で完全実施ということにはならなかったわけです。多少は時日がおくれておる。これが非常に公務員並びに地方公務員なり公営企業の職員等に対する不満の原因になっておるわけですが、一ぺん大臣のお力で完全実施をして喜ばしてやってもらいたい、こういう意味でこれから二、言質問いたしたいと思います。
 まず、第一に、政府は六人委員会によって勧告を現在検討されておると思うのですが、その勧告に対する態度がいまどのように進行しておるか、それを簡単にひとつお伺いしておきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) いわゆる六人委員会は、勧告の内容についてまず検討いたしまして、そこでいわゆる都市手当というものについての議論が出ておりまして、この議論についてのまだ結論は得ておりませんが、いずれにいたしましても、人事院の勧告は尊重するというたてまえで、これをどう実現するかということを、最後は政府部内できめなければならぬというふうに考えております。
 それから、内容とは別に、いつまでさかのぼれるかという問題でございますが、これはただいま財源の見通しが十分でないので、もう少しこれがはっきりするまでこの問題は決定できないというようなことで、すでに二、三回の委員会は開きましたが、私のほうの見通しがつくまで一時、委員会を待ってもらっておる。十六日にまた開きますが、それまでは、いまのところ、見通しの関係から、開いても議論は進まないというのがいまの状態でございます。
○柴谷要君 そうしますと、今日の段階ではまだ財源の見通しが立たないので、人事院の勧告は五月からということになっておりますが、五月から実施するということはここでは言えない、こういうふうにわれわれは理解をしたわけであります。十六日の六人委員会で協議決定したい、協議をするという予定になっておりますが、十六日といえばあと三日後でございます。そうしますというと、大体大蔵省としては、財源の見通しについてはいろいろ各方面の手をわずらわして調査をしておると思うのですが、一体、税の自然増収というものはどのくらいあるようなお見通しでございますか。それについて、ひとつ担当者からでもけっこうですから、お答えをいただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) まず、八月の末までの租税の収入の実績は一兆五千九百億、予算に対する収入ぐあいが四一・八%ということでございまして、前年同期の収入ぐあいに対して一・九、その程度しかいまのところ上回っていないという実情でございますが、いろいろな調整を加えますと、実際は一・四の上昇ということでございまして、この点から見ますと、もう自然増収は、そう昨年に比べてたいしたことはない。この傾向から見込まれますことは、いまのところ、せいぜい二千億円前後の増収ということでございますが、これにプラスされるものは、結局九月決算の結果ということでございまして、この結果どれだけの税収が見込まれるかという、この見通しをつかまないと今年度の補正予算の財源まで全然つかめないということになりますので、何としてもこの九月決算の動向を把握することが先でございますので、とりあえず大企業に対してこの十五日から調査をする、そうしますと大体の傾向がわかってくると思いますので、それによって私どもは政府の方針をきめたいというふうに考えております。この前、衆議院でも私はお話しをいたしましたが、かりに三千億円自然増が見込まれるとしますというと、約一千億円が地方交付税になってしまいますので、補正財源になるものは二千億円前後ということになりますが、二千億円前後では、食管と、すでに公債を削減しておりますので、この二つだけでもう終わってしまう。他のもろもろの補正需要というものが処理できないことになりますので、私どもとしましては、三千億円程度の自然増では補正予算を組めない。何とかそれ以上、四千億近い増収が見込めないかということで非常にいま苦慮しておるところでございますが、遺憾ながら、きょうまでの税の収入のぐあいではそれだけの金額が実際において見込めないというのが実情でございまして、もう少し時間をかしていただかないと九月決算の結果がわかりませんので、いまのところ、そういう意味で、どうするという政府の方針がいまきまらないというのが実情でございます。
○柴谷要君 まあ大臣はまじめな人で、うそを言わないという定評のある人ですから、大臣のおっしゃるとおり私は聞いておきたいと思うのですが、そのお話は、過日公務員の代表の皆さんと、それから国会の議員のまあ先輩、同僚諸君と一緒に大臣にお会いしたときにお尋ねしたことと同じなんでありますね。実は十五日までに自然増収の状態を調べて、その上に立って六人委員会で決定をしたい、こういう御意思のようでありましたが、ただいまの御発言によりますと、十五日ごろから大企業を調べる、こういうことになりますというと、これはまた相当おくれる、こういうふうに思うわけです。ここで私は大臣と別に論争しようとは思いませんけれども、年度当初、自然増収は七千億をこえるんじゃないか、ことしの見通しはですね。だから、かなり好調にいけるというような状態で私どもは聞かされていたような気がするのです。ところが、最近になったら非常に少額な見積もりにおちいってきた。というのは、何か人事院の勧告をどうも五月までさかのぼって実施をさせられたんじゃかなわぬから、その自然増収の額を少なくこう言いふらしているというふうな、何か錯覚を私最近起こしておる。そんなことはないとは思いますが、そのようなことであるとするならば、かりに人事院の勧告を八月なり、あるいは七月なりから実施してみても、結果的にはあとで幾ら自然増収があったかということがわかるのですから、ですから、そういうごまかしはしないとは思いますけれども、こういう政府の態度としては、ひとつできるだけ早く自然増収の見通しをお立てになって、そしてこの人事院勧告を、先ほど大臣のおっしゃられたように、完全に実施をするという線でひとつ御協議を願いたい、こう思うわけですが、重ねてまあお尋ねをするようでありますけれども、その点をぜひひとつお願いしたいと思う。ただ、いま私どもに伝わってくる声の中に、公務員の給与の問題は非常に重要である、まあ人数も多い、これを五月にさかのぼって実施をすることは、現在財政の硬直化に拍車をかけるようなものであるから、そうさかのぼって支給することはできないというようなうわさも流れてきておるわけです。これは非常に間違った意見の流れ方ではないかと思うのでありますが、そのようなことはないとは思いますけれども、この点いかがでございましょうか。二問についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) そういうことは絶対ございません。私どもは、むしろこの完全実施をするのにはどういう人事院の勧告のあり方を要望するのがいいかというところまでいま研究しておるところでございまして、期の途中で補正予算によって実施せいと言われるために、財源の都合というものが出てきて完全実施ができないというのがこれまでのことでございますので、このやり方を変えれば完全実施の方法があるだろうということで、いまその問題は私ども研究しておりますし、ぜひ、少なくとも来年、再来年のうちにはこの問題の解決を私どもはしたいと思っております。今後の問題は、ですから、財政硬直とかいうようなこととは無関係で、財源があるならできるだけ人事院勧告を尊重したいという趣旨から、いま政府部内でいろいろ相談はしておるのすが、何としても、いま申したのが実際でございまして、ことに引き締め政策というものをとりました以上は、来年の一月――三月ごろまでの税収の見通しも、従来とは若干違った見通しを立てなければならぬかもしれませんし、そこらの検討は大蔵省の中で、主税局も実際において見通しの把握にいま苦心しているというところでございます。おっしゃられるとおり、これはうそを言ってもあとからすぐ一年の間にはわかることですから、私どももそうへまをやりたくなくて、ほんとうの実情をつかみたいと、いま苦心しておるところでございます。
○柴谷要君 確かにうそを言ってもあとでわかることですから、うそは言わないし、特に大蔵大臣はうそを言わない人の筆頭だと、こういうふうにいま私どもは信じております。その点は安心をしておりますが、さりとて、どうもいまの情勢の中で各六人委員会の大臣の方々に個々に面接しまするというと、私は五月から実施をするようにいま努力中だと、こういういいことを言っていただいているわけです、二、三の閣僚の方が。そうかと思うと、六人委員会へいくというと、また違ったことを言っておるような話も聞かれるわけです。そこへいくというと、大蔵大臣というものは財源を握っている関係上、なかなかしぶい。だから、大蔵大臣を陥落させることによって、五月実施はできるのだ、ことに大蔵大臣はまじめな人であるから、大臣を陥落させることによって五月実施をことしこそということでわれわれも考えているわけなんですが、そこで、大臣はこのような情勢をよく把握をされて、財源の見通しを立てた上で最終的な決定をしたい、こうおっしゃるのですが、十五日から御調査になり、いままでやっていると思いますが、十五日からまたあらためて新しい調査を始め、そうしてその結論が出て、その上で決定ということになりますというと、時間的に、どう見ても総理が外遊からお帰りになってからでないというとその決定の段階に至らないように思うわけであります。かつて大臣は、公務員の賃金問題は重要な問題であるから、総理が不在のときにきめるのは好ましいことではない、こうおっしゃっておりましたが、やはりそのお気持ちにお変わりはございませんですか、その点をひとつお聞かせを願いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 私は事実上そういうふうになるのじゃないかと思っております。総理が出発のときに、帰ってくるまでにはこの財源の見通しをはっきりつけておくというふうに私は言いましたが、結局十五日から調査しますと、やはり大ざっぱな見通しをつけられるのが総理の帰ってくる前後に事実上なるのじゃないかというふうに考えています。
○柴谷要君 時間の関係で、それじゃひとつ最後の一問にしますが、ぜひひとつ調査を早急に完了されて、できるだけひとつ人事院の勧告は勧告どおりに実施をしていただきたいというふうにぜひお願いをいたしたいと思う。これに伴って、公共企業体等では、労使慣行によって団体交渉で四月から完全に実施しているわけです。ところが国家公務員、地方公務員、公営企業職員が、いつも人事院勧告で政府決定の九月実施なら九月実施ということで実施をされておるということは、まことに気の毒だと私も思う。こういうことを考えますときに、ぜひ大臣の言われたように、勧告どおりに実施をしたいと、こういうお気持ちのある大臣でございますから、ぜひひとつ御努力をいただきたいということをお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(竹中恒夫君) 別に御発言もないようですから、本件に関する質疑は、本日はこの程度にいたします。
 それでは、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十一分散会