第058回国会 本会議 第16号
昭和四十三年四月二十六日(金曜日)
   午前十時四分開議
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○議事日程 第十六号
  昭和四十三年四月二十六日
   午前十時開議
 第一 農地法の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 第二 国務大臣の報告に関する件(中小企業基
  本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭
  和四十三年度中小企業施策について)
 第三 千九百六十六年の満載喫水線に関する国
  際条約の締結について承認を求めるの件(衆
  議院送付)
 第四 公海に関する条約の締結について承認を
  求めるの件(衆議院送付)
 第五 沖繩島、宮古島及び石垣島相互の間にお
  ける極超短波回線による電気通信に必要な電
  気通信設備の譲与に関する法律案(内閣提
  出)
 第六 公職選挙法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第七 船舶安全法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第八 地方自治法第百五十六条第六項の規定に
  基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの
  件(衆議院送付)
 第九 総理府設置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第一〇宇宙開発委員会設置法案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第一一診療エックス線技師法の一部を改正す
  る法律案(社会労働委員長提出)
 第一二農林漁業金融公庫法及び農業信用保証
  保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
 一、故議員谷村貞治君に対し弔詞贈呈の件
 一、故議員谷村貞治君に対する追悼の辞
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。議員谷村貞治君は、去る二十日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、すでに弔詞を贈呈いたしました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は議員正四位勲二等谷村貞治君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) 久保等君から発言を求められております。この際、発言を許します。久保等君。
   〔久保等君登壇、拍手〕
○久保等君 本院議員谷村貞治君は、かねてより仙台厚生病院において御療養中のところ、そのかいもたく、去る四月二十日逝去されました。ここに私は、各位のお許しを得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼のことばをささげたいと存じます。
 谷村君は、明治二十九年三月、岩手県稗貫郡新堀村に生まれ、大正五年、神田電気学校を卒業と同時に逓信省に就職、東京中央電報局機械試験課を振り出しに、約十年間奉職、その後、志を立て民間会社に転職されましたが、自立自営の念やみがたく、ついに昭和十二年、東京蒲田区にみずからの手で新興製作所を創立し、自来今日に至る約半世紀の間、一貫してテレプリンターの独創的な技術発明開発に精進せられ、実に五十余種類の特許を得られるという輝かしい業績をあげておられるのであります。そして、この間に発明協会より功労賞を、電気通信学会より学術功績賞を、報道機関より産業文化章を、特に昭和三十三年、科学技術の功労により紫綬褒章を賜わり、また、社会事業に対する貢献により紺綬褒章を賜わる等、常に斯界における中枢的な役割りを果たされておられます。
 現在、花巻には東北一と称される近代設備を誇る大工場が日夜活動を続け、訪れる者の目をみはらせておりますことは、週刊誌等にも詳しく報じられておるとおりであります。
 また、人一倍、郷土愛に燃ゆる同君は、現に岩手県に谷村学院並びに同高等学校を設立し、多数の子女を社会に送り出し、県民一同より慈父のごとく慕われておられます。
 昭和三十四年六月、第五回参議院議員通常選挙に岩手地方区より初当選以来、二期九ヵ年の間ほとんど逓信委員として全知全能を傾けられ、その真摯な態度には、いまも同僚議員より心から尊敬の念をもって迎えられておるところであります。政務におきましては、政調通信部会副部長、東北地方開発審議会委員、裁判官訴追委員会委員等を歴任され、その功績はまことに顕著なものがありました。
 最近におけるわが国の電気通信技術の進歩発達は、まことに目ざましく、世界の驚異となってまいりましたが、世上第三の通信といわれる、いわゆるデータ通信の開発促進の分野におきましても、谷村君の功績はまことに卓越せるものがありまして、このような技術革新が叫ばれておる今日、谷村君のような人物を失うに至りましたことは、まことに惜しみても余りあるものと申さねばなりません。
 ここに生前の業績をしのび、衷心より哀悼の誠をささげ、御冥福をお祈り申し上げまして追悼のことばといたします。(拍手)
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) 日程第一、農地法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 本案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。西村農林大臣。
   〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村直己君) 農地法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 戦後の農地改革により広範に自作農が創設され、これによってわが国の農業生産力は画期的な発展を遂げ、農民の経済的、社会的地位の向上をもたらしたのみならず、戦後における日本経済の復興と繁栄に大きな寄与をしたことは、あらためて申し上げるまでもございません。農地改革諸立法を承継して制定された現行農地法は、このような農地改革の成果を維持するという社会的に大きな使命を有するものであります。
 しかしながら、ひるがえって、わが国の農業の現状を見ますと、国民経済の高度成長が農業就業人口の急速な減少と兼業化をもたらし、その過程を通じて農業生産の選択的拡大と農業機械化が進んだとはいうものの、経営規模はなお零細であり、このため、生産性の向上をはかるにもおのずから限界があることを否定し得ない実情にございます。したがいまして、農業の生産性を高め、国民食糧の安定的な供給と農業従事者の所得の増大をはかるという農政の基本目標を実現するためには、農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されるように、その流動化を促進することが肝要であり、そのためには農地制度は新しい時代の農業の要請にこたえ得るものでなければならないと考えるのでございます。
 政府といたしましては、このような観点から検討を加え、当面する課題にこたえるため農地法の改正をいたすこととした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一は、農地等の権利移動の制限についての改正であります。まず、近年における農業技術の進歩等にかんがみて、本人またはその家族がみずから農作業を行なうのであれば上限面積の制限や雇用労働力の制限を設けないこととし、また、第二種兼業農家の経営面積の上昇に照応いたしまして下限面積制限を五十アールに引き上げ、できるだけ農地が農業に専念する農家により効率的に利用されるよう配慮したのであります。
 第二に、集団的生産組織の育成と土地の効率的利用に資するため、農業生産法人の要件を実情に即して緩和することとし、その法人の役員の過半が農地の提供者であり、かつ、農作業に常時従事するものでなければならない旨の要件を課して、従来の借り入れ地面積の制限、雇用労働力の制限等は廃止することといたしております。また、農業生産法人の構成員が当該法人に農地を貸した場合には、その小作地の所有面積制限をしないこととし、農業協同組合の組合員が農業協同組合に対し農業経営の委託を行なら場合にも同様の措置をいたしております。
 第三は、小作地の所有制限についてでありますが、農業をやめて住所を他へ移した場合に、従来住んでいた市町村で所有していた農地につきましては、在村の場合と同様に小作地の所有を認めることといたしております。これは、いわゆる旧地主制の復活を意味するものではございません。他産業に従事しようとする農家が他の市町村に住所を移しやすくし、農地の効率的な利用を確保しようとするためのものであります。
 第四は、農地等の賃貸借の解約、更新拒絶等についての規制を緩和することとし、十年以上の期間の定めのある賃貸借または水田裏作の賃貸借についてその更新をしない場合、及び、およそすべての賃貸借について合意により解約する場合には、許可を要しないことといたしております。
 第五は、小作料の最高額統制制度を廃止することといたしております。これは、雇用の機会の増大した現在では、当事者の自由な契約にゆだねても戦前のような高額の小作料が発生する余地は、一般的にはないものと判断されるからであります。
 しかし、現に存する小作地につきましては、小作農の経営に急激な変化を与えることを避けるため、なお十年をこえない範囲内において政令で定める日までは小作料の統制を続けることといたしております。
 以上の改正により、他産業に従事する者がその所有する農地を農業に専念する農業者に貸しやすくなり、その結果、専業農家の規模拡大と集団的生産組織の発展が一そう促進され、土地の効率的利用に資することとなると考えるのであります。
 第六は、草地利用権設定制度の新設であります。これは、畜産物の需要の増加に対応して飼料の生産基盤の拡大強化をはかるため、未利用の里山等につきまして、市町村または農業協同組合が共同利用施設として草地造成をする必要がある場合に、それが国土資源の利用という総合的見地から妥当とされるときは、一定の手続のもとに草地利用権を設定することにつき所有者等に協議を求め、これがととのわないときには、都道府県知事の裁定を受けることができる制度であります。
 以上申し上げました趣旨に基づいて農地法を改正するにあたって、農地法の目的に土地の農業上の効率的な利用をはかるため、その利用関係を調整することを追加することといたしております。
 以上が、農地法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中村波男君。
   〔中村波男君登壇、拍手〕
○中村波男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました農地法の一部を改正する法律案に対し、基本的な問題に焦点をしぼって質問をいたしたいと思うのであります。
 農業基本法制定以来満七ヵ年たった今日、わが日本農業の現状を見てみますと、食糧自給率の年々の低下、裏作放棄の増大、農業労働力の減少などの質の低下は言わずもがな、政策がかねと太鼓で推奨した機械化も選択的拡大も、予期した成果をあげ得なかったのであります。しかるに政府は、農業労働力の他産業への流出と兼業化は進んではいるが、反面、農業の生産も伸びたとか、農業所得の伸びは勤労世帯の賃金を上回っているとか太平楽を並べ、また、経済を効率化するには農業人口の減るのが望ましいなどと強弁をしている裏では、政府のとっている経済合理主義の犠牲として多くの農民が転落し、その逆に、これらを通じて独占資本はますます太り、つまり本来平等に享受すべき人間の幸福の問題を、単に難民救済の形でしか考えていないのであります。(拍手)その結果として農民が生きるために抵抗しているのが、出かせぎを含む兼業の増大、農地の非流動性、請負耕作、裏作放棄など、寒心にたえない事態を引き起こしているのであります。しかるに本年度予算には、これに対応する何ら目ぼしい施策がなく、逆に、独占資本にとっては安上がりの自立農家育成による農業再編成の施策がメジロ押しであり、また中立米審の任命、さらに食管制度をなしくずしに間接統制へ移行させようとする一連の動きを見ても、そのことは明らかであります。
 私の質問の第一点を要約すれば、佐藤総理は、日本農業の現状をどう考え、いままでの基本法農政が実効をあげ得なかった責任をどう感じていられるのか。さらに、真に農民の側に立った農政を展開するために、あらためて農政を再検討する考えがないかなど、農政の基本的な姿勢について、まずお伺いをいたすものであります。
 質問の第二点は、真に進めるべき構造政策は何かということであります。
 政府は、農地制度の改正を構造政策の最重点にあげておりますが、私は、農地法の改正をもって、政府の企図している農地の流動には大きな期待をかけられないと考えているのであります。その理由は、農地が値上がりしたための財産としての保有、社会保障及び離農後の雇用条件の劣悪などによる自己保険的な農地保有という傾向が強く出ていることが指摘できるのであります。今日の地価の値上がりは、政府が国民経済全体の問題だとして逃げ、手をつけなかった政治責任は追及されるべきであり、自縄自縛と言わざるを得ないのであります。
 そこでただしておきたいのは、農地価格には自作の収益価格と、都市化や、やみ小作的かつ限界収益的な請負耕作などによって形成された時価とがあり、その開きがはなはだしく大きくなっていることは否定できない事実であります。真に農民的構造政策として農地価格を考えますならば、この差を調整する施策が用意されなければならないと思うのであります。これに対する方策を農林大臣から明らかにしていただきたいのであります。さきに触れました社会保障の重要な一環である農民年金制度については、昨年一月の総選挙に佐藤総理がその実現を公約され、最近では福田幹事長より四十四年実施の言明がなされているのであります。ところが農林省と厚生省には意見の食い違いがあり、その調整は難航するのではないかともいわれており、いずれにしても年金制度は綿密な設計を要する制度であるだけに、はたして四十四年度に実施ができるのか、佐藤総理に確認をいたしておきたいと思うのであります。
 農民年金制度実施の運動が日増しに熾烈さを加えていることは、先刻御承知のとおりであります。とは言うものの、厚生省、農林省案を調整し、ざらに相当の財政負担を要する制度であるだけに、四十四年度実施に踏み切るには、時間的にも総理の政治的決断を要する重大な問題だと私は考えるのであります。巷間、政府の公約の公は、公の公にあらず、口約束の口であり、佐藤榮作は榮作にあらず無策であるなどと、(拍手)一国の総理に対し、はなはだ非礼な批判がなされておるのであります。特に、参議院選挙を控えての福田発言でありますだけに、佐藤総理の口から、本議場を通じて、政府の方針を明らかにされるよう要求いたすものであります。
 また、農民は、形の上では経営者と労働者を兼ねており、その所得は被用者よりも低いことは、政府も認められるところでありましょう。しかるに、わが国の社会保障制度は被用者を前提にして組み立てられておりますために、農民に対する社会保障制度の一環としての農民年金制度創設が日程にのぼってきておるのであます。したがって、農民年金の名に値する内容を持たなければ意味がないのであり、そのことが農地の流動化のてことなり、構造改善推進の要件であると考えまして、強く要望し、総理並びに農林大臣の所見をただす次第であります。
 質問の第三点は、今回の改正案の性格についてであります。
 この法案によれば、権利取得適格農家の下限面積を三十アールから五十アールに引き上げて、零細農民を法律的に締め出そうといたしておることであります。五十アール未満農家は全農家の三七%を占めているということを、私は重視いたしておるのであります。
 今回の改正で、小作統制を大幅に緩和して、耕作権を著しく不安定なものにしたことを自覚してか、御了寧にも農業委員会による和解の仲介制度を設けております。さらに未墾地買収制度を改悪し、きわめて微温的な草地利用権の制度を設けようとしております。政府が農地の流動化に焦点をしぼり過ぎたことにより、私は、一体だれのための法改正かと疑いたくなるのであります。すなわち、広範に一般化した請負耕作に着目し、これをいわば合法化して農地の流動化を促そうとしておりますが、賃貸借規制というおりの中の居ごこちを多少よくしてみても、おりの外で育った請負耕作というトラを、おりの中に追い込むことは、絶対に不可能であることを知ってもらいたいのであります。ざらにその副作用として、たとえば農地法改正のうわさが広まっただけで土地改良費の地主、小作人の負担関係に影響が出るなど、すでにいろいろな面に悪い影を落とし始めております。一体、実効の全くあがらない農地信託制度を設け、毎年二千万ないし三千万円の国費を浪費したことも、さることながら、今日までやみ小作的な請負耕作を放任し、兼業農家の財産的保有の傾向を助長しておいて、これを追認するようなことは、行政の怠慢以外の何ものでもない。このような行政運営にほおかぶりをしたままで反農民的な立法を行なうことは、農村の反動化を助長し、貧農切り捨てを激化する以外の何ものでもないと断ぜざるを得ません。この点からも、政府は、農地行政のあり方を根本的に再検討し、出直すことを考えるべきでございます。
 質問の第四は、自作農主義についてであります。
 御承知のように、法第一条の目的には自作農主義が高く掲げられておりますが、今回の改正案では、土地利用の効率化がつけ加えられただけであります。自作農主義とは、耕作者、つまり自分の責任で経営管理し、自分の労働で耕作する農民が農地を所有する形を理想とするものであります。しかるに改正案は、権利取得適格農家の上限面積と雇用労働力の制限を撤廃したのでありますが、このことは、資本主義的農業経営の存在を法律上認めたことであり、法第一条の自作農主義と著しく矛盾するもので、もちろん現在のわが国には、経営者と労働者に分解した資本主義農業の傾向は、まだ一般化してはおらないのでありますけれども、フランスの農業史等を顧みるまでもなく、このような改正は、下限面積制限の引き上げとともに、一部富農層の農業企業者への上昇、貧農の賃労働者への転落といろ構図を如実に示したものであります。最近の農業の情勢を見ますと、戦前の高率小作料にひけをとらないやみ小作的請負が、米作地帯のあちこちに出現していることを聞くにつけ、私は耕作者の立場を尊重した自作農主義を後退させてはならないと考えますがゆえに、農林大臣の見解を伺う次第であります。
 質問の第五は、小作統制の緩和についてであります。
 政府は、小作料の最高額を統制する制度を廃止し、小作料が異常に高い場合には農業委員会が勧告することにしております。しかし、請負耕作における事例として、粗収入七万円、地主の取り分四万円、つまり小作料率が六割になんなんとする例があり、また平場地帯では反当三俵、四俵の例はざらにあると言われ、これをかりに反収十俵とすれば、小作料率は三割ないし四割であります。このような現実を前にして、やみ小作的な請負耕作を幾ら法律上禁止しても、その実効はあがらないという批判がすでに出ており、さらに十年以上の賃貸借の引き上げや、合意解約は無条件でできる道を開きましたが、これを監視する今日の農業委員会の体質では多くを期待することは無理であり、農地転用にからむスキャンダルや、やみ小作の横行を見れば明白であります。このような実情からも、寄生地主が発生する素地が全くないとは言い切れないのであり、また不在地主を認めたことによって、小地主による高率小作料再現の危険さえ、はらんでいるのであります。このことは、小作統制の緩和は地価を押し上げ、耕作者の地位を不安定にさせるばかりか、土地改良等の長期投資を萎縮させ、高額小作料にあえぐ戦前の貧困の悪循境を引き起こさないかと危惧いたしまして、大臣のすなおな見解を伺いますとともに、小作料が値上げされれば、それを米価に織り込むことは当然だと考えますので、あわせて見解をお示しいただきたいのであります。
 今回の農地法改正の主軸が個別経営の拡大に置いたことの誤りを、さきに私は指摘したのでありますが、農基法七ヵ年の現状から見て、技術的にも、資金的にも、わが党が主張している共同経営の形をとらざるを得ないことは明白であるのに、政府が性こりもなく自立農家育成に固執していることは、本末転倒であり、いやがる馬に水を飲ます愚を繰り返すものだと断ぜざるを得ないのであります。また、私は、農業の本質は自然との戦いであると考えており、そのためには、個別農家をその地域で横に組むような戦列態勢を築いてこそ、自然との戦いが可能になると信じている一人であります。このことは、技術が進歩し、高度化すればするほど必要であり、たとえば政府の奨励する大型機械を入れ、生産を上げ、しかも採算をとるために、個別経営ではすでに壁にぶつかっていることは幾多の事例が物語っているところであります。私の言いたいのは、政府が自然改造に手を抜き、小手先だけの個別農家育成政策をとってきたところに、「減る農民、減らぬ農家」という矛盾を今日露呈するに至ったと私は考えているのであります。要するに、地域全体の農業を押し上げるための社会資本の投下、特に農地の基盤整備は全額国庫負担とすべきであり、農民の所得を保障しながら、真の農民のための構造政策をこれまた進めるべきであり、そのためには安上がりを期待すべきでないと考えるのであります。この点に関し、財政をあずかる大蔵大臣の見解を伺いたいのであります。
 以上、私は六つの問題にしぼって質問いたしましたが、今回の農地法改正はわが農業の将来に大きな影響を与えるものであり、それだけに、だれのために、何の目的で行なうかを、深い洞察をもって検討しなければならないのであります。政府におかれても、場当たり的なことでなく、誠意をもって答弁されることを希望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 中村君にお答えいたします。
 政府の農業の基本的政策は、たびたび申し上げましたので、もう誤解はないかと思っておりますが、この際に、産業としての農業を確立するということが一つでございます。また、それによりまして農業従事者の福祉向上をはかっていくというのでございます。御承知のように、生産性が低い、そういう状態では産業としての確立はできません。したがいまして、生産性を高めること、また、食糧の安定供給をはかりますこと、その意味で、必要な生産政策あるいは構造政策、同時に価格政策を推進しておるわけであります。ただいままで、兼業農家もふえてまいりましたが、専業農家も漸次整備されてまいりました。私どものねらいの、いわゆる産業としての農業、との確立もできつつあるように思っております。
 ところで、わが国農業の基本的な弱点は、私が申し上げるまでもなく、零細農業、零細な土地の保有、こういうところにあると思います。したがいまして、構造改善におきましても、特にこの点に注意、留意をいたしまして、そうして今回の農地法改正法案も出して、この零細土地保有、この意味のものに利用効率をあげるような対策をとろうというのであります。私は、これによりまして、体質の強い農業、近代化のできた農業をぜひともつくりたい、かように考えております。
 次に、農民年金についてのお尋ねがございました。農民年金は、ただいま関係省におきましていろいろ研究しております。検討しております。同時にまた、党におきましても熱心にこれと取り組んでおります。最近の福田幹事長の発言は、かような情勢を背景にしての発言だと、私はかように思っておりますが、お話にもありましたように、農民年金は、これまでのわが国の年金制度そのものがいわゆる被用者中心の社会保障制度であったと思いますので、農民や自営者、自営業者などには、やや十分の考慮が払われていないという点があるのでありますから、この際に、制度として十分整備するために、国民年金審議会におきまして十分検討していただいて、そうして制度として均衡のとれたものをつくりたいと、かように思っております。できるだけ早くそういうように成案を得たい、かように考えております。四十四年度にはたして成案を得られますか、私どもは今日この席で申し上げるわけにはまいりませんけれども、しかし、国民年金審議会もその結論を急いでおられますから、そうすれば、できるだけこれに間に合わすようにいたしたいものだと思っております。(拍手)
   〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村直己君) 総理から基本の問題をお話がありましたが、特に少し補足さしていただきます。
 もちろん申し上げるまでもなく、農政の基本は、国民の食糧の安定的供給と、そしてそれに従って自給度を少しでも高めてまいる、同時に農業の従事者、関係者の所得向上、生活環境の改善と、こういったところをねらいにしてまいっております。そこで、農業基本法ができまして、その線でいろいろな施策は打っております。で、もちろん農政におきましては幾多の問題がございます。ただ、じゃ、これが全然とまっておったかと申しますと、御存じのとおり、農業の比較生産性につきましても、農業の生産におきましても、伸びる面もあります。特に農業生産は毎年二・三%ぐらいでございますが、四十一年のごときは大体八%ぐらい伸びているということは、わりあいに伸びているほうになるのであります。しかし、もちろん需要が強うございますから、自給率がまだまだ足りない面もございますから、今後いろいろ施策をしていかなきゃならない。
 そこで、農業の前進の中におきまして、今回、農地法の改正というものも一つ出しておりますが、これのみをもって農政が前進できるとは考えておりません。土地のいわゆる、先ほどお話しがありましたように、規模が零細である、したがって、生産規模の拡大という意味では、土地の効率的利用、これは専業農家も兼業農家も含めまして、これは必要でございます。これで農地法の改正による土地の流動化を促進してまいりたいというのが、政府側の念願でございます。
 もちろんそれ以外に、言いかえますれば、農用地の開発整備、いわゆる基盤整備、開拓、開発、こういうことも必要でございましょうし、機械化あるいは経営技術のいろいろな改善普及のこともございますし、それから協業のためのいろいろな集団的な生産組織も必要でございますし、ただいま当院で御審議願っております。資金面からくる総合資金制の活用というようなもの、あわせまして農村全体を振興していくために、農業生産を、、いわゆる全村的にあるいは集団的に、環境的に押し上げるための農村振興地域整備に関する法律案も国会で御審議願うわけであります。
 さらには、農村におきまして、社会環境としての社会保障制度がおくれている。これらも、農民年金制度を含めまして、医療保険その他を含めまして押し上げて、いわゆる全体的に、総合的に推進してまいる、こういう中での農地の制度の改革、こういうふうに御了承をいただきたいのでございます。
 そこで、農地法の今回の改正におきまして、一つの御懸念は、自作農主義の後退ではないか、こういう御趣旨のように承ったのでありますが、これは、あくまで農地法は自作農主義というものが基本理念である。これはあくまでも今回の改正にあたっても、この基本の考え方を後退させる考えは全然ございません。ただ、御承知のとおり、最近の農業技術の進歩とか、社会経済事情の変化にかんがみまして、現在の農地をよりよいように、より生産の高い、効率的に利用されるようにどうしたらいいか、それをいろいろくふう検討しました結果、農地法の目的を達成する意味から申しましても、現在の農地法の中にざらに流動化の要素を加える、こういう意味で、賃借権のいわゆる緩和であるとか、あるいは親子二代にわたっての、ある一定の限度においての農業をやっておった人が、他町村へ出た場合の不在地主制度を、一代限りの相続人までという限度において、一定の限度の不在地主制を認めるとか、それから最高小作料をはずすとか、あるいは酪農の関係から、里山に対する新しい利用権の設定とか、新しい農業にうまくマッチするように、農地なり農用地を活用するような趣旨から、農地法を改正しておるという、点を御了承を願いたいのであります。
 それから、いま一つ、この小作料の問題がやはり相当出てまいって、これによって戦前のように、小作料値上げによるいろんな貧農といいますものに対しての悪循環を起こしやせぬか、貧困の悪循環を起こしやせぬか、あるいはこれが地価に影響しやせぬか、あるいはその他、長期投資に、小作料を自由にすることによって影響を与えやせぬかと、いろいろの趣旨のそういう意味からの御質問のように承ったのでありますが、現在ありますところのこの小作料、現行の小作料については、十年をめどに、これについてはそのまま据え置くということでありますが、新しくこれからやるような場合におきましての小作料につきまして、最高統制額をはずしてまいる。この場合に小作料が上がるのではないかという御心配でありますが、現在は社会経済状態がかなり変わりまして、雇用の機会が非常に多いと思います。むしろ、農村から労働力が流出して困るというぐらいの時代でございますだけに、私は、これは自由の形に置きましても、小作料というものがやたらに高くなって、耕作者を苦しめるというようなことはない。もちろん、その間におきまして、あるいは減額の請求権であるとか、あるいは農業委員会から勧告をするとか、あるいは農業委員会で標準の小作料をつくるとか、そういうような面もこの法案の中に加えてあるわけであります。
 それから、農地の価格に影響しやせぬか。農地の価格も、一部の地域は、確かに農業以外の非常に財産的な価値から、あるいは投機目的に利用されまして上がっているところもありますが、原則としては、やはり農地の生産力とか農産物価格によってきまってまいると思うのでありますから、この不耕作目的の農地取得を認めないこの法案は、したがって、小作料の統制の廃止が、直ちに耕作を目的とする農地の価格の上昇に結びつくというようには考えていないのであります。
 それから土地所有者の不当な要求によって、耕作地の返還をしいられはぜぬか。言いかえれば、耕作権というものが非常に不安定になりはぜぬかと言いますが、これは、十年以上たって、そうして合意のもとにおいて、双方が合意というような場合でございます。合意で返還する場合におきましても、耕作者の行なったいわゆる土地改良、その他の投資については、有益費の償還を受けることができるように、長期投資のものとしては考えておりますし、重ねて申し上げますが、今回の農地法の改正による小作料の統制廃止は、さしあたり、新たに耕作地となる農地についてのみ適用されますから、当分の間は、生産者米価に大きく影響するような小作料水準の上昇は認められない、こういうふうな考え方でございます。
 それからもう一つ、最後にお話が出ました、自立農家だけを政府はやるのではないかとおっしゃいますが、私どもは、自立農家も、これは農村の中核でございますから、いろいろこれの育成につとめますが、同時に、協業助長、兼業に対する協業助長による生産効率、また、土地基盤の規模拡大と申しますか、そういうこともあわせながら、日本農政の基盤というものを固め、農政の前進をはかってまいる、こういう趣旨でございます。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) いわゆる農家所得の向上をはかるというよりは、農業所得の増大をはかることが農政の基本であると考えます。そのためには、御指摘のように、何といっても、農業の基盤整備事業、農業構造の改善事業、この二つを促進することが一番必要であると存じます。で、本年度は、その二つの仕事を中心として、千八百十億円の予算を計上いたしました。昨年の千六百五十三億円に比べて、百五十七億円という非常に大きい増額をはかって、財源の重点配分に努力した次第でございますが、今後もこの二つの仕事は格段の推進をはかりたいと思います。その場合に、財政になかなか限りがございますので、補助率を高率にして地域が少なくなるのがいいのか、日本の現状から見ましたら、いまのような比率でなるたけ地域を多くするために予算の増額をはかるほうが先かというような問題については、今後十分検討したいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君) 宮崎正義君。
   〔宮崎正義君登壇、拍手〕
○宮崎正義君 私は、公明党を代表して、ただいまの法律案について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 構造政策の基本方針を軸に、現行農地法の改正により、近代的な自立農家の育成と農業の経営規模拡大をはかるため、改正するものと思います。しかしながら、現農地法の基本的な考え方に大きな欠陥があり、それがわが国の農業の生産性、企業的経営を阻害し、やみ小作、請負耕作等で農業経営を混乱させ、発展させ得なかったことは、抜本的な再検討を怠っていた政府の無策ぶりの責任であると、きびしく追及するものであります。しかも、その改正の内容は、大農擁護の一方的なものであり、かつての旧地主のごとき寄生地主の復活の危険性もうかがわれるのでありますが、この点、総理大臣並びに農林大臣の御所見をまずお伺いいたします。
 次に、具体的に幾つかの問題点についてお伺いいたします。
 まず第一に、政府は農地流動化の促進と土地利用の効率化を目的として農地法の改正をはかろうとしていますが、はたして経営規模が拡大され、生産力が増大するか、きわめて疑問を持つものでありますが、政府はその点いかがお考えでしょうか、その見込みについてお伺いいたします。
 第二に、小作料についてでありますが、農業委員会が各区域の小作料の標準額をきめるということでありますが、その標準額はどのような要因をもとにしてきめられるのでしょうか。もし標準額をきめてしまうと、それ以下の小作料も一斉にその標準額まで引き上げられる危険性もありますが、その点いかがでありましょうか。また、高水準で小作料が決定されると、借り手側の借り入れ意欲を喪失させるのではないかと危惧するものでありますが、この点について御所見を伺いたいと思うのであります。
 さらに、小作料の引き上げが米価を引き上げる要因となり、ざらに諸物価の引き上げにもはね返ってくる危険性があると考えられますが、大蔵大臣の所見をお伺いいたします。第三に、賃貸借についての制限であります。当事者間で定められた十年以上の定期賃貸借の更新を拒絶することが認められるようになっています。しかるに、十年という契約で打ち切られることになりますと、近年拡大化されている果樹農業や永年作物農業では、生産上の支障を来たすことは火を見るより明らかであります。俗に「桃栗三年、柿八年」といわれているように、果樹類では順調な価格収益をあげるまでには十年ではとうてい不可能であります。また、地主と借り手との同意解約についても、過去に見られたように、同意といっても、封建性の強い農山村地域などでは、借り手側が何も知らないうちに地主の不当な圧力によって同意させられる危険性が十分にあると考えられます。この点いかがでしょうか、農林大臣にお伺いいたします。
 第四に、小作地の所有制限の緩和についてでありますが、不在村となりましても、在村の場合と同じく、北海道が四ヘクタール、都府県では一ヘクタールまで小作地の所有を認めることになっております。かつてのような小作料に寄生して生活する地主はなくなると思われますが、しかし、一つの制度が認められますと、長い間には次第にくずれていき、多くの不在地主が発生する危険性が十分にあると思われます。この点について御所見を承りたいと思うのであります。
 第五に、紛争の和解の仲介制度についてでありますが、農業委員会が、農地の利用関係の紛争について当事者から申請があったときには、その紛争の和解を行なうことになっています。ところが、農業委員会は構造改善政策を推進する立場であるため、兼業農家や零細農家が不利に追いやられるようになり、紛争の和解が困難になる可能性があるものと思います。また、和解や仲介が成立しないときはいかなる対策を施すのか。さらに、このように農業委員会は今回の改正案ではその権限が大幅に強化されることになりますが、これらの点について農林大臣はいかなる御見解をお持ちでしょうか。
 第六に、総合的農業対策の問題であります。わが国農業の近代化をはかるには、農地法改正という、いわば小手先だけのっけ焼き刃的なものではならないと思うのであります。したがって、その成果は期待することができません。他の諸施策、すなわち、農地価格の問題や離農対策問題などを総合的に推進していかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、農地価格の問題も、価格の上昇で農地取得を困難にしている現状であります。四十二年の調査報告によりますと、水田の場合、普通田十アール当たり全国平均二十三万九千円となっており、四十一年の調査に比べ一〇・八%という上昇ぶりであります。都市周辺の農地価格はさらにはなはだしく、所有者も農地を生産手段としないで財産視している傾向である。地域によっては休田地や荒らしづくりをしているところも多く、農地生産効率は大幅に低下しているのであります。総理大臣及び農林大臣はこの現状をどのように打開しようとしているのでありましょうか、具体的に御説明をお願いいたします。
 また、離農対策の問題にしましても、農地を売って離農しようと希望しても、離農後の生活が不安なために踏み切れない農家もたくさんあるといわれております。特に中高年齢層の不安が大きいといわれております。離農年金制度や職業あっせん、職業補導施設等を充実させねばならないと思いますが、どうお考えでありますか。また、離農したくて毛借金の返済ができないために離農できない者も多くあります。特に開拓地や冷害を受ける東北、北海道地方は顕著であります。これらに対しては政府の責任で補償するといろ特別措置を講ずべきであると思うが、これらの離農対策問題に対して総理並びに農林大臣の所見をお伺いいたします。
 さらに、資金制度の充実をはからねばならないと思うのであります。四十三年度予算において、伸びる農家は伸ばせるために制度化される総合資金制度が二十億円程度しか予算措置されておりません。これは農林公庫資金千八百億円や近代化資金一千億円と比べてみると、いかに少額であるかは明瞭でありますが、しかしながら、この資金制度は、ごく一部の農家のための制度資金であります。借財の中で日本農業を背負っている自立農家でないものは約九〇%あり、これら農家の人々にこそ、十分に行き渡る制度金融の措置が必要と思うのであります。この点について大蔵大臣の所見をお伺いいたします。最後に、総理大臣にお伺いいたしますが、国土の総合利用計画の中でわが国の一六・二%を占めている農地の発展策と、日本の農業の将来について御所見を伺いまして、私の質問を終わりといたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 先ほども社会党の中村君にお答えいたしましたように、今回のこの農地法の改正は、申し上げるまでもなく、土地の利用効率をあげようというところがねらいであります。そうして産業としての農業をここに確立しようというのが、私どもの考え方であります。どういたしましても、生産性が低いと、産業としての自立性がない、そういうところに問題があるように思いますので、今回の改正も、その線でただいま計画をいたしたのであります。したがいまして、いわゆる大農擁護、大農中心だとか、あるいは旧地主の復活をねらっているとか、さようなものではございません。どうか御理解をいただきたいと思います。
 また、農地の流動化や土地の値段、地価の問題でございますが、幾ら零細な土地と申しましても、農業者といたしましては、その土地を所有し、そうして地価の変動等に対応したいと、いう、これが本来の姿だと思います。そこで、どうも零細な土地は荒れるにまかすというような状態におちいりやすい。土地の利用の面からも、これはたいへんむだなことだと、かように考えますので、所有のままで賃貸借ができるような道を開く。そうすれば農民の方の気持ちにも沿うし、同時にまた、土地の利用も十分果たせる、かように思って、今回の改正を計画したのであります。十分委員会等におきまして、審議を尽くしていただきたいと思います。
 さらに、日本の農業がこれからどうなるかというお尋ねでございますが、私は先ほども答えたように、産業としての農業をつくる、同時に、食糧の安定供給をはかっていく、かように考えると、この耕地が狭くても、今日の農業の近代化あるいは機械化等によりまして生産性をあげていけば、十分産業としての農業、これは考え得る、かように私考えますので、農林省を中心にいたしまして、そういう方向でさらに諸施策を進めてまいるつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村直己君) 御質問の第一は、農地の流動化を促進して、はたして生産力が増進するか、こういう点だと思うのでございます。そこでお答え申し上げますが、農地を所有しておる農家、これが、たとえば、今日ではわりあいに雇用の機会が増大して、他産業に自発的に出ていく方もあるわけであります。そういう場合に、だれか一人留守番を置いて、荒らしづくりで持っておるというよりは、むしろ、農業をやろうという、専念する農家等にこれを貸し与える、もちろん、これに対しましては、耕作者の立場というものをよく考えたいろいろな方法もとってあるわけでありますが、いずれにしても、貸し与えることによって生産性の高い農業に土地が利用されていく、こういうことになれば、当然私は農業生産性の向上というものには役に立つのではないかという意味で、今回のこういう趣旨の改正をいたしておるのであります。
 それから標準小作料というもの、言いかえれば小作料の最高を取っ払うけれども、農業委員会等で標準小作料をつくる、その要因でございますが、これにつきましては、大体標準額は通常の農業経営が行なわれたとした場合における生産量、生産物の価格、生産費等を参酌しまして、耕作者の経営の安定ができるということを旨として、農業委員会が標準小作料をきめるのであります。これはあくまでも基準でありまして、これについては耕作者の経営を圧迫することがないように、十分これに対しましては指導をいたしてまいる考えでございます。
 それから先ほどの御質問に出、また前の中村さんの御質問にも出ましたが、いろいろ高水準の小作料になりはせぬか、そうすると米価、諸物価に――と言いますが、今回の新しく小作地になる農地について適用されてくるのでありまして、当分の間従来の小作料というものについては据え置きで、新しく小作地になったものから始めてまいりますから、直ちにこれが生産者米価その他には影響しないというふうに考えております。
 賃貸借の制度でありますが、これはたとえば、果樹園等を御心配なさるのではないかと思いますが、十年以上となっておりますから、長いものでは二十年から三十年のかりに賃貸借というものがある場合には、その期間というものは期間満了までは問題ないし、期間が満了したときには知事の認可を受けなくてもよいが、当然に更新の拒絶が行なわれるというものではないのでありまして、賃貸借は十年でただ一斉に打ち切ると、こういう趣旨の法ではございません。
 それから耕作者の立場が弱められはしないかという御心配を持っておられますが、これは今日の社会情勢のもとにおいて、土地を持っておる人に圧迫されて解約されてしまうというようなことはないし、また、それらについては、法改正ができましたときには十分この趣旨も徹底してまいりますし、また今日は戦前とは違った社会情勢でございますから、そういう心配も考えておらないのでございます。
 なお、農業委員会の権限につきましてちょっとお触れになっておりますが、農業委員会につきまして、許可権限に今度新しく属させましたことは、法律で明らかな基準で裁量の余地がないようにさせておりますから、心配はないと思います。和解の仲介は従来から事実上農業委員会でやっておるのを、今度は法律で整備したものでありますから、これによって農業委員会が非常に権限が強くなったり、権限が土地の流動化について強過ぎると、こういうようことはないと私は考えるのであります。
 それから農地法の改正でなく、いろいろの手を打っていかなければならぬということは当然でございます。ことに離農の場合におきまする中高年齢層の方々、それから負債がある場合にどうするかとか、いろいろの問題を御指摘になりましたが、私もその点につきましては、今後十分検討していかなければならぬ。と同時に、特に職業補導、職業あっせん、職業訓練、いろいろな環境の変化に伴うところの用意というものは、そういう事態が起こっていくにつれまして、農林省だけの問題ではなく、関係省とも十分打ち合わせながら、職業の円滑な転換というものを考えてまいりたいと思うのであります。
 大体私に質問のありましたものは以上の点だと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) お答えいたします。
 まず、小作料の引き上げが生産者米価の引き上げとなって、諸物価の上昇を促すことにならないかという御質問でございましたが、今回の農地法の改正による小作料の統制の廃止ということは、さしあたり新たに小作地となる農地についてのみ適用されることになっておりますので、当分の間は生産者米価に大きい影響を与えるような小作料水準の上昇というようなものは見られないことと考えております。
 次は、総合資金制度についてのお尋ねでございましたが、農業金融制度は最近非常に拡大されておりまして、農業者の一般的な資金需要については、おおむね現行制度で資金需要を満たしておるというふうに考えられますが、今回の総合資金制度は、従来のような一般的な資金制度、ばらばらにいろいろな各種の資金を借り集めなければならないというような制度によっては対処できないような総合的な資金需要のみを対象とするということになっておりまして、本年度とりあえず二十億のワクで出発したものでございますので、これがもし非常に需要が多い、そうしてこの実績もいいというようなことでございましたら、来年度から大きい拡大も考えたい、本年度の実績を見てから今後の措置を考えたいというふうに考えております。
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
○議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣の報告に関する件(中小企業基本法に基づく昭和四十二年度年次報告及び昭和四十三年度中小企業施策について)。
 通商産業大臣から発言を求められております。発言を許します。椎名通商産業大臣。
   〔議長退席、副議長着席〕
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(椎名悦三郎君) 中小企業基本法第八条に基づまして、先般政府が国会に提出いたしました「昭和四十二年度中小企業の動向に関する年次報告」及び「昭和四十三年度において講じようとする中小企業施策」の概要を御説明いたします。
 御承知のように、昭和四十一年に回復から上昇に向かったわが国経済の基調は、四十二年においても引き続き上昇過程をたどり、中小企業の生産流通活動は活発化し、設備投資も旺盛に行なわれました。この間、労働力需給は逼迫の度を増し、中小企業の賃金も引き続き上昇しましたが、事業活動が活発であったため、収益はかなり好転しております。しかし、中小企業をめぐる経済環境の変動がめまぐるしいだけに、これに十分適応できない企業もあって、景気上昇にもかかわらず企業倒産は増加しております。
  一方、長期的に見ますと、人手不足と賃金上昇は、これまで豊富な労働力に依存してきた中小企業の経営に大きな問題を投げかけており、また、技術進歩や大量生産、大量消費の進展などの環境変化に対して、中小企業者の一そうの適応、努力が必要となっております。
 また、国際環境も大きく変動しており、特に、わが国中小企業製品と発展途上国製品との競合が激化してきていますが、現在問題となっている特恵関税制度が実現すれば、この傾向はさらに拍車をかけられることとなりましょう。さらに、資本取引の自由化の進展に伴い、わが国の中小企業も欧米企業との一そうきびしい競争に直面するものと予想されます。
 政府といたしましては、このような状況に対処して、四十二年度においては、協業化、共同化を中心とした中小企業の構造改善を推進するとともに、設備、技術、経営、労働面における中小企業の体質強化及び金融、税制面、その他中小企業をめぐる事業環境の整備に重点を置いて施策を講じました。その際、経営基盤の弱い小規模企業の体質改善には、特にきめのこまかい配慮を払っております。
 四十三年度においては、前述したようなきびしい経済環境の変化の中で中小企業が自主的に最大限の努力を行ない、その近代化をはかっていくために、中小企業の体質強化と構造改善のための諸施策を一そう強力に推進することとしておりますが、一方四十三年に入ってさらに強化された景気調整策によって中小企業の近代化努力が阻害されないよう、中小企業金融についても特段の配慮を行なっております。
 まず第一に、協業化、共同化を中心とする中小企業の構造改善を一そう強力に推進するため、中小企業振興事業団の業務を拡充するほか、業界がその自主性と責任に基づき構造改善計画を策定する場合には、中小企業振興事業団資金等の優先的確保、高率割り増し償却制度の適用を行なうとともに、協業化推進のための組織である協業組合についてその設立を推進することといたしております。
 第二に、中小企業の経営管理の合理化、技術水準の向上をはかるため、全国各都道府県に総合指導所を設置するとともに、国、都道府県、中小企業者が一体となってこれに当たるよう体制を整備いたします。
 第三に、中小企業における労働力の確保とその質の向上、従業員の福祉の増進等のための労働対策を推進するほか、中小企業に対する需要の増大に資するため、輸出の振興及び官公需受注機会の確保をはかることといたしております。
 また、中小企業団体の組織に関する法律等の適正な運用により、過当競争の防止をはかるほか、下請企業については、下請代金支払遅延等防止法の運用強化と下請振興協会の活用により、下請取引の適正化と受注の確保につとめる所存であります。
 第四に、小規模企業対策につきましては、経営改善普及事業を充実するため、これを担当する商工会、商工会議所の指導員等の待遇改善を行なってその資質の向上につとめるとともに、設備近代化資金及び信用補完制度等の活用を通じ、設備の近代化と金融の円滑化をはかることといたしております。
 また、小規模企業共済制度の普及につとめるほか、地方税における家族専従者控除の引き上げ等により税負担の軽減をはかる所存であります。
 第五に、流通部門の近代化のため、中小企業振興事業団による助成を強化するとともに、国民金融公庫等に流通近代化のための特別貸し付け制度を創設することといたしております。
 第六に、資本取引の自由化に対処して中小企業に対する情報サービスを強化するため、日本貿易振興会及び中小企業振興事業団の体制を整備することといたしております。
 第七に、金融引き締め措置が中小企業にしわ寄せざれるのを防止するとともに、中小企業の近代化、企業体質の強化をはかるためには、中小企業に対する資金の円滑な供給を確保することが緊要でありますが、このため、政府関係中小企業金融三機関に対する財政資金を大幅に投入し、貸し付け規模の拡大をはかるとともに、信用補完制度を整備して民間資金による中小企業向け融資の増加をはかる所存であります。
 以上のほか、中小企業の近代化を促進するため、税制面においても諸制度の延長、改善等を行なうこととしております。
 以上、「昭和四十二年度中小企業の動向に関する年次報告」及び「昭和四十三年度において講じようとする中小企業施策」について、その概要を御説明した次第であります。(拍手)
○副議長(河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。竹田現照君。
   〔竹田現照君登壇、拍手〕
○竹田現照君 私は、日本社会党を代表して、ただいま報告のありました「昭和四十二年度中小企業の動向に関する年次報告」について、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 中小企業基本法第八条に基づいて提出されましたこの年次報告は、最近における中小企業の動向を、生産、輸出、設備投資、金融、労働力等の各方面から克明に分析されておりますことは例年のとおりでありますが、今回は、わが国経済の国際化に伴う諸問題に触れ、発展途上国の追い上げと先進国の特恵供与、資本自由化の中小企業に与える影響について分析を加えており、中小企業をめぐる国際環境はきびしさを増してきていることを指摘しているのであります。この点、従来の年次報告が、国内経済問題を解明することだけにとどまっていたことと比較して、新たに国際化時代の問題を取り上げて解明したことは、評価されてよいと思います。さらに、国際競争に勝てない中小企業は、転廃業、あるいは産地ぐるみの転換の必要性があることを示唆していることは注目に値することであります。しかしながら、年次報告というものの性格かもしれませんが、事情を克明に分析し、説明するにしても、国民が、とり一わけ中小企業者が最も知りたがっているところの、これからの中小企業はどうなるのであろうか、政府は政策を遂行するにあたっていかなるビジョンに立っているのかという点については、全く触れていないのであります。したがって、私は、以下、年次報告の示している事実に基づいて、政府の真意をただしてみたいと思うのであります。
 まず、第一点は、構造変動の荒浪の中で、中小企業者は絶えずその生産、売り上げを伸ばしてきたにもかかわらず、中小企業全体としての地位は若干の低下を余儀なくされてきたという事実であります。もちろんそのような事実の中には、年次報告も認めておりますように、中小企業から大企業へ成長したものもあって、そのために中小企業の地位低下となったこともありますが、問題は、こうして成長できるものはよいが、成長できないものの分野が漸次相対的に狭くなってくるということであります。年次報告によっても、中小企業だけがやっているような業種、言ってみれば、大企業の見向きもしないような業種の成長度はきわめて低いこと、大企業は成長度の高い業種に参入し、そのものの伸び率が高いということであり、商業においてもこの傾向はほぼ同様で、店舗の大型化が一般化しているということが指摘されています。そして、一方に中小企業の収益率を見ますと、非常に能率のよいものもあるかわりに、非常に悪いものもありまして、大企業よりも、そのぱらつきがはなはだしく、その平均では大企業の平均よりも低いということになっています。したがって、中には中小企業が隆々として栄え、またたく間に中堅企業、大企業へと成長するものもある反面に、簡単に没落してしまうものもまた多いのであります。その間隙に新しい中小企業が開業して過当競争を引き起こす、このような姿が今日の現状であります。要するに、多く生まれ、多く没落し、きわめて少数が成長発展していくというのが、全体としての中小企業の姿ではないかと思います。欧米などの中小企業は、全体の企業数に占める地位が日本ほど高くないということもありましょうが、大企業との間の生産性、格差等もわが国ほどではなく、かなり落ちついた形で活動しているようであります。日本の中小企業の姿は、その数が多過ぎるためなのか、欧米並みに割合が減ってくるまで不安動揺を続けなければならないのか。そうして、欧米並みの形に持っていくことを政策の目標とするのか。要するに、中小企業のビジョンとも言うべきものについて、総理の御見解を承りたいのであります。
 次に、年次報告は、発展途上国の追い上げ、資本自由化による欧米先進国との競争激化ということを、「南と北からのはさみ撃ち」という表現を用い、この「国際化時代への新たな適応と脱皮をせまられている。」と述べています。しかし、その適応と脱皮はいかにすべきか、具体的説明は逃げているのであります。年次報告は、すべての対策を中小企業の近代化を促進するという点にゆだね、中小企業の共同化、協業化、構造の高度化、技術開発力の強化につとめると言っておりますが、それで足りるのかどうか。もちろん、近代化を進めることに国をあげて強力に実施するならば、あるいは可能かもしれませんが、本年度予算だけを見ましても、はたして何年かかって可能なのか、はなはだ疑問と言わざるを得ません。問題は差し迫っています。資本自由化にしても、中小企業業種については、内外情勢の急激な変化のない限り、四十六年度末までに自由化を実施することになっているのであります。いまの国際情勢は急激な変化でもあると言えますが、それでも予定どおり四十六年度末までに中小企業業種も自由化するのかどうか、そのスケジュールは一体どんなものであるのか、総理のお考えを伺います。
 また、先月末に、国連貿易開発会議総会は、特恵問題について全会一致で決議が採択され、いよいよ一九七〇年をめどに実施することになりましたが、それまでの間に、低開発国の製品と競合関係にあるわが国の製品に与える打撃を幾ぶんでも少なくするため、例外品目をふやすことについて、どのように交渉を進めていくお考えであるのか。また、わが国でも、低開発国からの輸入品に特恵を供与するとすれば、国内の同種製品メーカーにとっては痛手となりますので、わが国市場に混乱を生ぜさせないよう、緊急関税で措置する用意があるのかどうか、この点も総理のお考えを伺っておきたいのであります。
 次に、倒産問題についてであります。企業の倒産は、このところふえ続けており、昨年の企業倒産件数は八千百九十二件と史上最高を記録しております。これは、ことしに入ってからも依然として衰えを見せず、一月七百五件、二月九百十四件、三月にはついに千百九十六件と、過去にその例を見ない倒産件数を数えるに至ったのであります。しかも、これは、東京商工興信所の調査による負債総額一千万円以上の企業だけのものでありますから、統計に載らないこれ以下の倒産を加えるならば、さらにおびただしい件数にのぼることでありましょう。倒産の原因としては、企業内部の要因が複雑にからみ合っているようでありますが、過大な設備投資、販売不振、売り掛け金回収難、労働力不足、他社倒産の余波などがあげられていますが、構造的な要因が横たわっており、それに金融引き締め措置による要因が重なり合っていると、年次報告は指摘しております。したがって、中小企業を取り巻くこれら構造的要因を究明し、一つ一つ解決していかなければ、おそらく倒産件数は減少しないでありましょう。政府は、この増加の一途をたどる企業倒産に対し、いかなる具体策を用意されているのか。また、倒産問題で最近重視しなければならないのは、大口倒産が始まったことであります。三月の平均負債額は七千三百三十七万円、そうして負債総額十億円をこえるものが十一件も発生しております。これら大会社の倒産がありますと、その下請会社等の連鎖倒産が誘発され、財界は恐慌状態を呈するわけでありますが、これに対し、政府は、信用保険制度の中の倒産関連保険を適用して、関連倒産の防止につとめております。しかし、私は、たとえ十億円の負債を持つような比較的大会社に関連する中小企業でなくとも、親会社の倒産のために、中小企業が不渡り手形をつかんで倒産することは防ぐべきであると考えるのでありますが、この十億円という限度をもっと引き下げるべきだという論が出ておりますが、これらの点について、通産大臣、大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
 また、最近の金融情勢を見ますと、昨年来いわれました中小企業の三月危機は一応回避でき得たといたしましても、五、六月危機は依然として残っております。四月から六月、日銀の窓口規制を強化し、さらに七月以降もそれを継続するということでありますから、市中銀行は、ますます選別融資をきびしく行なうようになって、中小企業の金繰りは困難となってくると思われますが、これに対し、政府関係中小企業三金融機関からの貸し出しを上期に重点的に行なう用意をお持ちなのかどうか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
 次に、転廃業対策についてお尋ねをいたします。
 中小企業の構造改善は、原則的にいえば、その属する業種内での体質改善をはかることが望ましいと思うのでありますが、その業種全体が国際的にも、国内的にも過当競争であるとか、不況であるとかいう場合には、一部の企業については、思い切った業種の転換や廃業も必要でありましょう。昨年の織物業に対する構造改善措置については、このような転廃業に対する手が打たれたのであります。しかし、わが国の中小企業経営者には、一国一城のあるじだという意識が強く、転廃業をみずから進んで行なう勇気が乏しいのであります。この点から見ても、織物業のように産地ぐるみの構造改善施策を国が積極的に援助する体制であれば、まだ転廃業はやりやすいのでありますが、年次報告の中でも産地ぐるみ転換の必要を示唆しておりますから、織物業以外の業種の転廃業については、どのように考えておられるのか。
 また、年次報告では、低開発国の追い上げにより業種の転換も必要だと、初めて転換問題を取り上げておりますが、どのような方法でやるのか、どういう対策を講ずるのか、具体的には何ら触れていないのでありますが、この点についても御見解をお示しいただきたいと思います。
 次に、一般に零細企業といわれる下層部に対する具体策についてであります。政府の中小企業対策の重点は、中小企業の上層部、または中堅企業に向けられているのが現実であります。たとえば中小企業投資育成会社が投資している企業などは、優等生中の優等生企業であります。このような企業はほうっておいても成長していくのでありますが、さらにこれを第二部株式市場に上場でき得るようになるまで育成しようというのでありますから、これらの中堅企業はますます力がつき、生産力も高まってくる反面、同種の製品をつくっている他の中小企業に犠牲をしいる結果とはならないでしょうか。一つの企業が国の資金により育成され、成長したことによって、他の中小企業が没落の運命をたどるという。この矛盾をどう解決しようとするのか。特に、零細企業との格差がますます拡大することは必然的に多くなり、近代化政策に乗り得ない数多くの零細企業は整理、転廃業を余儀なくされるおそれが生ずるのでありますが、これらの対策はどのように進められるお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
 最後に、最近、産業界では資本の自由化に対処して、国際競争力の強化のため、大企業の合併が盛んに行なわれようとしております。日産、プリンスの合併をはじめ川崎グループ三社の合併調印、旧王子系三社も合併の方針を明らかにし、さらに八幡、富士両社の合併など、企業のマンモス化傾向は強まりますが、通産大臣はこれを歓迎しているようであります。大企業がかくして独占的地位をますます強化をし、価格支配を行なうようになると、中小企業や関連事業、ひいては消費者に大きな不利益を与えることになりますが、公正取引委員会は、従来国内市場に三〇%以上のシェアを持つようになることは好ましくないとしておりましたが、最近の動きはまさにそれに該当すると思うのでありますが、いかがでしょう。また、このような合併が行なわれる場合、しばしば見られることは、従来の下請企業に対する選別強化であります。二次下請に落とされたり、あるいは切り捨てられるものも出るのであります。たとえ系列に残されたといたしましても、以前にもまして単価の切り下げを要求されたり、一定の単価を押しつけられたりすることが起こり得る懸念が出てまいりますが、大企業の合併に伴う中小企業への影響について、実態をどのように把握されておられるのか、また、金融引き締めのため、大企業は自己の資金繰りを有利にするため、下請企業に対する支払いをおくらせる方法をとっているために、下請代金支払遅延防止法があるにもかかわらず、支払い条件にはますます下請企業にとって悪化しているのが実情であります。これらの点について、通産大臣、公正取引委員長はどのようなお考えなのか承りたいのであります。
 何はともあれ、さきに述べましたように政府の大企業偏重の経済政策の中で、中小企業は四苦八苦の状況であることは間違いがありません。しかし、われわれの日常生活は中小企業を抜きにしては考えられません。したがって、金融、設備、技術、労働力等々、政府の政策支援も、単に二階から目薬程度の形ばかりのものではなく、国民経済的な立場から強力な中小企業対策を打ち立てることが緊急の課題であることを申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 竹田君にお答えいたします。
 中小企業白書におきまして、中小企業の実態は比較的よく述べられたとおほめをいただきまして、たいへん恐縮に存じております。ところで、この中小企業の目標、そのビジョンは一体何かというお尋ねであります。私が申し上げるまでもなく、ただいまも御指摘になりましたように、わが国の中小企業はその事務所数におきまして、第一次産業を除き、おそらく九九%以上になっているだろうと思います。また、従業員数も全体の八割を占めている、かように考えますし、また、製造業の出荷額等から見ましても約半分、したがいまして、わが国の経済構造上これはたいへんな役割りをはたしている、これを無視することはできません。また、欧米におきましても同じような地位、働きを中小企業がはたしているようでございます。ただ問題になりますのは、お話にもありましたように、大企業と中小企業を比べた場合に、わが国の場合と欧米の場合とたいへんな差があるのであります。わが国の場合は、その生産性も低いし技術水準もまた大企業に劣っている。さらに資金調達力などになると、これはたいへんな開きがある。しかし、欧米におきましては、こういうような差があまりございません、これが一般に言えることではないかと思います。
 さらにまた、現状自身は一体どうかといいますと、御指摘になりましたように、今度は労働力の不足にただいま困っている、あるいは資本の自由化がどんどん進んでおる、さらにまた開発途上国からの突き上げもある、いわば弱体である上に、現状自身は中小企業が一つの転機に当面しておる、かようにも考えるのであります。扱っておる製品自身が高度化、高級化あるいは多様化、これも要求されておるというようなのが実情でございますから、この際に、在来からとってまいりました中小企業の近代化、これを積極的に進めまして、この際にこそ、生産性も高め、また、体質の改善もはかって、そうして欧米の中小企業と同じように、その体質の改善をはかる、また、製品の高級化をはかって技術水準も高めるということでありたいと思います。
 今後の問題におきましても、ただいま事業所数について御批判がございましたが、事業所数もおそらく減るでございましょうが、しかし、産業界に占むるその地位には変わりはない、今後におきましても、中小企業に期待するものは非常に大きい。これがわが国の産業の実態だと思いますので、政府自身が中小企業の近代化に力を入れると同時に、関係の方々も積極的にこの構造改善に協力する、自立する、そういう方向で検討していただきたいと思います。そうして政府が適当なる助成方策も考えてまいるつもりであります。
 そこで、ただいまも御指摘になりましたように、今後も中小企業が果たす役割りが大きい、かように考えますと、いわゆる資本の自由化に対してどういうように政府は考えるか、というお尋ねに答えなければならないと思います。私どもは基本的に考えれば、資本の自由化はわが国産業の発展に寄与するものだ、かように考えておりますから、その意味では、資本の自由化に賛成でございます。しかしながら、産業の実態に十分配慮いたしまして、これに対応する資本の自由化、これを認めるのでなければ、わが国の産業はたいへんな困難な状態になるし、ことに中小企業はただいま育成強化の段階でございますから、一そうその影響をこうむるだろうと思います。要は、資本自由化を進める場合においては、一そうその実態を把握して、それに対応して適当なる措置をとっていくということでなければならないと思います。
 さらにまた、特恵問題についてお触れになりましたが、特恵関税の問題は、わが国の場合は、輸入だけではなく、輸出の場合におきましても、これが問題になると思います。したがいまして、輸入輸出両面において、この特恵問題は重要なる意義を持つものであります。したがって、私どもはその例外品目の取り扱い方について、これも産業の実態に合うようにくふうしなければならないと思います。さらにまた、これが欧米先進国のいわゆる負担の公平というだけで、私どもも右へならえするわけにいかない、わが国の実態に即した主張を例外品目の設定についてもすべきだ、かように考えております。また、たいへん御心配のようでしたが、緊急関税措置等の問題につきましても、これは当然のことでありますから、機動的にさような点を発動する、さような考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(椎名悦三郎君) 第一に、倒産問題についての御質問でございましたが、御承知のとおり、過当競争と人手不足、したがって、人件費の上昇といったような構造的要因のほかに、販売の売り上げの不振、伸び悩み、あるいは代金の回収困難等の短期的な要因も加わりまして、未曾有の倒産を見ておる状況でございます。政府といたしましては、いわゆる政府関係の三金融機関の貸し付けの拡大をはかりまして、また一方、下請対策の強化等をいたしまして、当面のこれの防止にあたってまいっておりますが、基本的には何といっても、中小企業の体質改善、そのための近代化施策、あるいは構造改善といったようなことが大事でございますので、当面の問題は当面の問題とし、施策として基本的にはこの方面に力を入れてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
 倒産関連のこの保証の特例の発動に関して、ただいま都会地においては十億、地方においては五億という基準を置いておりますが、御指摘のとおり、どうもこれでは十分でございませんので、この基準をもっと引き下げまして、そして、あおりをいやしくも食わないように十分な対策につとめてまいりたい。ただいまその基準の問題については考究中でございます。
 それから、五、六月危機の対策といたしましては、四十三年度の政府関係機関三金融機関、これに対する資金ワクの配分は、予算全体の規模に比して非常に優遇されておりますが、さらに、この第一四半期における配分につきましては、大蔵省と連絡協議をいたしまして、これに相当重点的な配分をいたす考えでございます。なお、第二四半期以後の問題については、情勢を見まして、適宜これに対処してまいりたい、かような考え方でございます。
 それから転廃業の問題でございますが、労働集約的な繊維あるいは雑貨等の中小企業は、労働力の不足と、今度は人件費の上昇、これにまず攻められて、悩んでおります。外からは、今度は低開発国がだんだん繊維、雑貨等に進出してまいりまして、それの追い上げを食って、これまた困っておる。それへ持ってきて、御指摘のとおり、最近は特恵関税の問題が非常にやかましくなってまいりました。これをやはり容認してまいらなければならぬ情勢にございます。非常に内外二重の、非常な苦況におちいっておるのでございますが、これらのものは、いわゆる産地産業といいまして、一カ所に集中的に固まっておるのが多いのでございます。でありまするから、いろいろな、これにまた、外部からより困難な事情が加わるということになると、非常な苦況に見舞われるのみならず、社会問題すらその地方において起こる、こういうような状況にあります。われわれとしては、非常な関心を持ってこの対策にあらゆる努力を払っておるわけでございますが、対策といたしましては、まず何より生産性の向上が必要でございますが、それとともに、より高級な、高級品にだんだん進んでいくという、いわゆる構造改善の問題が緊要であろうと考えますが、さらに、それでは間に合わない、どうしても、高級品に進むというようなことよりも、もう全部他産業に転換しなきゃならぬのではないかというようなところまで、もしも事態が切迫した場合には、これは大問題でございますが、ただいま中小企業政策審議会に、これらの問題を想定しまして、具体的に諮問をいたしております。われわれとしては、なるべく早く答申を得まして対策を講じていきたいと、かように考えておる次第でございます。
 零細企業に対する問題については、まことに適切な御指摘がございました。政府といたしましては、商工会、主として地方商工会に経営指導員を配置しておりますが、これらの指導員の素質を向上することに全力を注ぐと同時に、これらの指導員によって、きめのこまかい指導をするように今後進めてまいりたいと思うのであります。これら、整理あるいは転廃業をしようとする場合には、これらの制度を十分に活用いたしまして、有益な分野へ転業をはかるとかいったような指導あっせんを進めてまいりたい、これには、現在小規模企業の共済制度がございますので、これらの普及強化をはかりまして、こういう方面の指導に遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
 なお、最近、大企業の合併がだんだん行なわれてきておりますが、私は、この問題に関しては、今日の資本自由化、そうして国際的に非常に舞台が広くなった今日においては好ましい傾向である、しかし、問題がなくはない、ただ、大体において好ましい傾向である、こういうような意見を出しておりまして、すべてこの問題を無条件によろしいというような考え方は、まだ保留してあるのでございます。それで、いま三〇%以上にシェアがふくれた場合にはもう危険信号ではないかというような当局の意向であったが、まさにこれをこえておる、これに関してどう考えるかというお話でございました。これは、そろそろ警戒しなければならぬという一つの線であるということは私も認めますが、今日、すでに申し上げたように、国際間の経済の障壁というものはほとんど取り払われて、そうして非常に舞台が広くなって、競争がいよいよ激化しようとしておる状況下においては、やはりこの状況に即して国際競争力というものを強靱にするという備えもまた必要である、かように思うのであります。それで、結局、これは二律背反の問題ではなしに、国内の独占的な地位を乱用してはいかぬ。しかし、そうかと言って、三〇%以上に大型化してはいかぬと、こういうのではなくて、大型化は大型化、独占力は独占力、それを十分に両方に気を配って、そして弊害のないようにするということであれば、私は必ずしも大型化というものを避けるべきではない、かように考える次第でございます。なお、とかく独占力にあぐらをかいてわがままする傾向がまあ出てくる可能性もある。そういう点に関しては十分の監督をいたしまして、その権限を持っておる委員会はもちろんのこと、私どもといたしましても、さようなことのないように十分に指導してまいりたいと考えております。
 それから、下請企業に対する支払い遅延等を防止する制度がございますが、それらの点に関しましては十分にこの制度を活用いたしまして、御心配のないようにしたいと思います。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) 私への御質問は、もう通産大臣からお答えになったようでございます。すなわち、特例発動のための指定基準を引き下げろということについては、通産大臣お答えのとおり、いま関係者で検討中でございます。
 それから政府関係機関の金融の問題でございますが、御承知のように本年は、政府関係三金融機関の貸し出し計画の規模は七千六百億円、昨年より一割九分ふえておりますが、その資金を特に四月−六月の第一四半期に重点的に配分したいということで、昨年の実績に比べて二割八分、約三割の増額をはかる予定になっております。引き続いて第二四半期につきましては、経済情勢を見まして、必要とあれば弾力的な配分をしたいと、こういうふうに考えております。(拍手)
   〔政府委員山田精一君登壇、拍手〕
○政府委員(山田精一君) お答えを申し上げます。
 第一にお尋ねのございました国際競争力強化のための合併の問題でございますが、企業の合併に対しましては、独占禁止法は、それが一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合及び不公正な取引方法によるものである場合には、これを禁止いたしておる次第でございます。公正取引委員会としては、従来とも多くの企業合併につきまして、この規定に違反するかいなかの判断をいたしまするにあたって、合併会社の市場占拠率、それから競争会社の競争力、取引の相手方の経済力、新規業者の参入の難易、代替品の有無、その他競争に与えまする事情を総合的に判断をしてまいりました次第でございます。今後出てまいりまするような事案につきましても、御指摘のような弊害の出ませんように、ただいま申し上げました基準によって厳正に、また、慎重に判断をいたしてまいるつもりでござ、います。
 それから、第二にお尋ねのございました下請企業に対する影響でございますが、親企業の合併にとどまらず、先刻来御指摘のございました金融引き締めの影響出てまいりまするので、それらの下請業者に対して不公正な取引方法が行なわれませんように、特に、下請代金の支払い遅延の問題につきましては、当委員会といたしましては、調査対象をふやしまして、また、新しい業種も調査対象といたしまするほか、下請取引改善協力者――下請事業者の利益を代表いたしまする諸団体など、民間の協力も得まして、下請代金支払遅延等防止法に基づきます検査、監査体制を一そう強化いたしまして、きびしく監視をいたしてまいる所存でございます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) これにて質疑の通告者の発言は終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第一二、千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約の締結について承認を求めるの件。
 日程第四、公海に関する条約の締結について承認を求めるの件。
  (いずれも衆議院送付)
 以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長三木與吉郎君。
   〔三木與吉郎君登壇、拍手〕
○三木與吉郎君 ただいま議題となりました条約二案件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約は、海上における人命と財産の安全を確保するため、国際海運に従事する船舶の積載限度を画一的に規律するとともに、この積載限度を守って航行する締約国の船舶に対しては、他の締約国の港湾内における取り締まり検査をほとんど免除することを定めたものでありまして、実質的には一九三〇年の国際満載喫水線条約にかわるものであります。
    ―――――――――――――
 次に、公海に関する条約は、公海に関する慣習国際法を法典化したものでありまして、公海の自由、船舶と旗国との関係、沿岸国の追跡権、海賊の取り締まり等に関する規定が設けられております。
    ―――――――――――――
 委員会におきましては、慎重審議、特に、公海上空を飛行する自由及び公海漁業の自由と現実の航空上及び漁業上の諸問題、沖繩船舶の旗の問題等につきまして、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 四月二十五日、討論採決の結果、両件は、いずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 両件全部を問題に供します。両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第五、沖繩島、宮古島及び石垣島相互の間における極超短波回線による電気通信に必要な電気通信設備の譲与に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。沖繩及び北方問題等に関する特別委員長伊藤五郎君。
   〔伊藤五郎君登壇、拍手〕
○伊藤五郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、沖繩及び北方問題等に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 沖繩島、宮古島及び石垣島相互の間の電信電話事情の改善につきましては、かねてから、これら地域の住民はもとより、琉球政府から強い要望がありましたが、本法律案は、この要請にこたえるため、日本政府が、沖繩援助対策の一環として、昭和四十二年度予算及び昭和四十三年度予算合計六億七千七百二十九万三千円をもって、これら地域相互の間の電気通信に必要な設備を設置し、これを琉球電信電話公社に対し譲与することができることとしようとするものであります。
 委員会におきましては、沖繩の電気通信事情等について、熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
 四月二十四日採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第六、公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する特別委員長柳田桃太郎君。
   〔柳田桃太郎君登壇、拍手〕
○柳田桃太郎君 ただいま議題となりました法律案は、永久選挙人名簿の運用の実情にかんがみ、新有権者等の選挙権行使の確保を期するため、登録回数年二回となっているものを年四回に改めるとともに、選挙運動については、公営ポスター掲示場に掲示する選挙運動用ポスターと個人演説会告知用ポスターとを、あわせて作成し掲示することができること、立ち会い演説会においては、候補者は他の候補者の代理演説ができないものとすること、確認団体の選挙期間中の政治活動用ポスターについては、参議院議員の選挙においても、特定の候補者の氏名またはその氏名が類推されるような事項を記載しない限り、所属候補者の選挙運動のために使用することができるようにすること等を内容とするものでありまして、名簿登録については六月一日から、その他の改正は次の通常選挙から施行しようとするものであります。
 特別委員会においては、熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。以上、御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第七、船舶安全法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長谷口慶吉君。
   〔谷口慶吉君登壇、拍手〕
○谷口慶吉君 本法律案は、千九百六十六年の満載喫水線に関する国際条約の受諾に対応するとともに、船舶の安全性の向上をはかるため、満載喫水線を標示しなければならない船舶、及び無線設備を施設しなければならない船舶の範囲を拡大しようとするものであります。
 委員会におきましては、船舶安全性確保の方策について各般の質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第八、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事植木光教君。
   〔植木光教君登壇、拍手〕
○植木光教君 ただいま議題となりました「地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件」は、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかるため、札幌国税局に札幌西税務署を、名古屋国税局に千種税務署を設置することについて、国会の承認を求めようとするものであります。
 委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 質疑を終了し、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本件全部を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第九、総理府設置法の一部を改正する法律案。
 日程第十、宇宙開発委員会設置法案。
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長井川伊平君。
   〔井川伊平君登壇、拍手〕
○井川伊平君 ただいま議題となりました二法案について、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、総理府設置法の一部を改正する法律案の内容は、第一に、日本政府南方連絡事務所の所掌事務に、沖繩におけるアメリカ合衆国の政府機関との協議に関する事務を加え、これに伴い、同事務所の名称を日本政府沖繩事務所と改めること、
 第二に、すでに設置期限の経過した同和対策協議会を昭和四十五年三月末日まで再び設置すること、等であります。
 委員会におきましては、協議に関する事務の内容と日米琉諮問委員会の任務との関係、沖繩と本土との一体化についての諸問題、同和問題の実情と対策等について、質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終局し、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
 次に、宇宙開発委員会設置法案は、宇宙開発審議会の第四号答申の趣旨に基づき提案されたものでありまして、その要旨は、
 第一に、宇宙開発に関する国の施策の総合的かつ計画的な推進と、その民主的な運営に資するため、総理府に宇宙開発委員会を設置すること、
 第二に、この委員会の所掌事務は、宇宙開発に関する重要な政策、関係行政機関の事務の総合調整・経費の見積もり、研究者・技術者の育成等に関する事項について、企画し、審議し、決定し、その決定に基づき内閣総理大臣に対して意見を述べること、
 第三に、この委員会は、委員長及び委員四名をもって組織し、委員長は科学技術庁長官たる国務大臣をもって充て、委員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命すること、等であります。
 なお、本法案は、衆議院において、委員の任命方法を国会の同意事項とすること等の修正が行なわれております。
 委員会におきましては、この委員会の性格、宇宙開発の一元化に関する諸問題、わが国の人工衛星の開発状況と今後の見通し等について、質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して八田委員より、「宇宙基本法の早期立法化及び宇宙開発委員会委員の常勤化について、政府の善処方を要望する」旨の、自民、社会、公明、民社各党共同提案にかかる附帯決議を付して本法案に賛成する旨の発言がありました。
 討論を終局し、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定し、また、附帯決議案も全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 なお、本決議に対し、鍋島科学技術庁長官より、「その趣旨を体し、全力をあげて努力する」旨の発言がありました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、総理府設置法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 次に、宇宙開発委員会設置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第十一、診療エックス線技師法の一部を改正する法律案(社会労働委員長提出)を議題といたします。
 まず、提出者の趣旨説明を求めます。社会労働委員長山本伊三郎君
   〔山木伊三郎君登壇、拍手〕
○山本伊三郎君 ただいま議題とされました「診療エックス線技師法の一部を改正する法律案」は、社会労働委員会における慎重な協議を経て、委員会提出法案といたしたものであります。よって提出者として、その趣旨説明を申し上げます。
 現在、放射線医療の分野における医師の協力者として、診療エックス線技師の制度が設けられております。その身分を規制する「診療エックス線技師法」が制定されましたのは昭和二十六年でありました。当時は、医療の重点が結核の防遇、撲滅に注がれていた時期でありまして、その診断に必要なエックス線装置が広く病院、診療所を通じて設置利用されていたのであります。したがって、医療協力者としての診療エックス線技師の資格も、当時の二十万ないし三十万ボルトのエネルギーを操作する知識技能を基準として考慮設定されたのでありました。
 その後、今日まで十七年の時日が経過する間に、放射線医学は目ざましい進歩を続けたのであります。
 エックス線にあっては、法制定当時には予想されなかったほどに高度のエネルギー発生装置が開発されたほか、人体への照射方法にも大幅な改良が加えられました。また、人工ラジオアイソトープの量産に基づいて大量のコバルト六〇など、ガンマ線源の利用が普及するに至りました。
 さらに、原子力の開発によって、ガンマ線のほかべータ線、アルファ線、中性子線など、いろいろな種類の放射線源が医療分野に活用されるに至ったのであります。このような放射線医療の進歩に即するためには、医療協力者の側においてもその資質を高めていく必要があると考えられるのであります。しかるところ、わが国の診療設備を有する医療機関には、病院のほかに数多くの診療所が存在するという多様性があります。そのため、新しく開発されてきた放射線発生装置が従前の装置にとってかわるには、なお若干の時日を要するのが現実の事態であります。このことは、医療協力者の資格についても二つの要請が並行するということになってまいります。すなわち、一面において、進歩向上した装置の取り扱いに適応する体制を設ける必要があると同時に、他面において、従前の装置に対応する技術者の需要にも応ずる体制が現実には必要であるということであります。
 この二つの要請を調整するため、現在の診療エックス線技師の制度は一応そのまま存置することとし、新しく現行制度により修習課程を一年延長して、高校卒業後三年の修習課程による診療放射線技師の制度を創設することといたしました。そして、新設の診療放射線技師は医療用放射線のすべてに関する医療協力者とし、従来の診療エックス線技師は、百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線に関する医療協力者とすることにいたします。
 このように二本建ての制度をつくることとはいたしますが、放射線医療の推移を洞察するときは、高度の資質を有する放射線技師のほうに今後の養成目標の重点が置かるべきであります。したがって、その養成目標がおそくとも七年以内で、しかもできるだけ早い時期に達成されるよう、政府の努力義務を明記することといたしました。また、現存のエックス線技師をして放射線技師たらしめるための教育及び試験についても、特別の配慮をすることにいたしているのであります。
 以上、この法律案の趣旨説明を申し上げました。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
○副議長(河野謙三君) 日程第十二、農林漁業金融公庫法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長和田鶴一君。
   〔和田鶴一君登壇、拍手〕
○和田鶴一君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、第一に、農業における自立経営の育成をはかるため、農林漁業金融公庫に、農業経営の改善に必要な総合施設資金の貸し付けを行なわせるとともに、当該資金を借り受けた農業者の必要とする運転資金の債務保証等について、農業信用保険協会が保険を行なうことができることとし、第二に、農畜水産物の卸売り市場施設等の整備改善をはかるため、農林漁業金融公庫に卸売り市場近代化資金の貸し付けを行なわせようとするものであります。
 委員会におきましては、まず、総合資金の性格、構造政策と総合資金の貸し付け方針、融資対象農業者、運転資金の融通、融資協議会、農業融資コンサルタント、担保保証の改善等について、また、卸売り市場近代化資金については、中央卸売り市場及び地方市場の整備、合理化計画、卸売り市場の法制化、市場の実情と指導方針等、諸般の問題について質疑を行なうとともに、参考人の意見をも徴する等、慎重な審査が行なわれました。
 質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて達田委員より、自民、社会、公明三党共同の附帯決議案が提案され、これもまた全会一致をもって委員会の決議とすることに決定されました。
 右御報告いたします。(拍手)
○副議長(河野謙三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○副議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会