第058回国会 予算委員会 第8号
昭和四十三年三月二十七日(水曜日)
   午前十時二十二分開会
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   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     山内 一郎君     柳田桃太郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         西郷吉之助君
    理 事
                北畠 教真君
                剱木 亨弘君
                近藤英一郎君
                玉置 和郎君
                内藤誉三郎君
                加瀬  完君
                鶴園 哲夫君
                小平 芳平君
    委 員
                大森 久司君
                岡本  悟君
                梶原 茂嘉君
                小林  章君
                斎藤  昇君
                櫻井 志郎君
                白井  勇君
                任田 新治君
                中村喜四郎君
                船田  譲君
                増原 恵吉君
                八木 一郎君
                柳田桃太郎君
                山本茂一郎君
                吉武 恵市君
                岡田 宗司君
                木村禧八郎君
                瀬谷 英行君
                田中寿美子君
                千葉千代世君
                戸田 菊雄君
                野上  元君
                羽生 三七君
                前川  旦君
                村田 秀三君
                森中 守義君
                北條 雋八君
                矢追 秀彦君
                片山 武夫君
                春日 正一君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   佐藤 榮作君
       法 務 大 臣  赤間 文三君
       外 務 大 臣  三木 武夫君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       文 部 大 臣  灘尾 弘吉君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農 林 大 臣  西村 直己君
       通商産業大臣   椎名悦三郎君
       運 輸 大 臣  中曽根康弘君
       郵 政 大 臣  小林 武治君
       労 働 大 臣  小川 平二君
       建 設 大 臣  保利  茂君
       自 治 大 臣  赤澤 正道君
       国 務 大 臣  木村 武雄君
       国 務 大 臣  木村 俊夫君
       国 務 大 臣  田中 龍夫君
       国 務 大 臣  鍋島 直紹君
       国 務 大 臣  増田甲子七君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣法制局長官  高辻 正巳君
       内閣法制局第一
       部長       真田 秀夫君
       総理府恩給局長  矢倉 一郎君
       防衛庁長官官房
       長        島田  豊君
       防衛庁経理局長  佐々木達夫君
       防衛庁装備局長  蒲谷 友芳君
       防衛施設庁長官  山上 信重君
       防衛施設庁施設
       部長       鐘江 士郎君
       経済企画庁調整
       局長       赤澤 璋一君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       経済企画庁総合
       計画局長     鹿野 義夫君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
       大蔵政務次官   二木 謙吾君
       大蔵省主計局長  村上孝太郎君
       大蔵省主税局長  吉國 二郎君
       大蔵省銀行局長  澄田  智君
       文部政務次官   久保田円次君
       文部省初等中等
       教育局長     天城  勲君
       文部省体育局長  赤石 清悦君
       文部省管理局長  村山 松雄君
       文化財保護委員
       会事務局長    福原 匡彦君
       厚生省医務局長  若松 栄一君
       厚生省社会局長  今村  譲君
       農林大臣官房長  桧垣徳太郎君
       農林省農林経済
       局長       大和田啓気君
       農林省農政局長  森本  修君
       農林省農地局長  和田 正明君
       農林省畜産局長  岡田 覚夫君
       農林省園芸局長  黒河内 修君
       食糧庁長官    大口 駿一君
       水産庁長官    久宗  高君
       通商産業省通商
       局長       宮沢 鉄蔵君
       運輸省船舶局長  佐藤美津雄君
       郵政大臣官房長  溝呂木 繁君
       郵政省貯金局長  鶴岡  寛君
       郵政省簡易保険
       局長       竹下 一記君
       建設省計画局長  川島  博君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       自治省行政局長  長野 士郎君
       自治省財政局長  細郷 道一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水谷 国一君
   説明員
       農林大臣官房企
       画室長      小沼  勇君
       農林省畜産局参
       事官       立川  基君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十三年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十三年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
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○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を開会いたします。
 昭和四十三年度一般会計予算、昭和四十三年度特別会計予算、昭和四十三年度政府関係機関予算。
 以上三案を一括して議題といたし、昨日に引き続きまして、総括質疑を行ないます。森中守義君。
○森中守義君 先月、それからおとつい、えびのに発生した例の地震の問題ですが、これは宮崎、鹿児島両県からすみやかに激甚地指定と同様な措置をとってほしい、こういう熾烈な要望があっておるはずです。したがって、被害の地域が局限をされておる。ついては、どうしても激甚地指定の基準に達しないということで、結論が出ていないように聞いておりますが、政府としては、どういう措置をおとりになるおつもりでしょうか。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 激甚地指定の問題が、非常に機械的に、被害規模とか何とかというふうなことでこだわりがあるように存じまするが、しかし考えてみますると、罹災されました地元の方々の御心配なり、あるいはまた御苦労というものは並みたいていのものではございません。そういうふうなことから、そういうふうな形式的なことを一応除外いたしまして、激甚地指定に準ずるような、あたたかい処置をいたしたいということで、昨夜関係各省庁全部集めまして、この二十九日に、特に技術官を中心といたします各省の調査団を現地に派遣いたすことに決定をいたしました。どうぞ御安心いただきたいと思います。その後の処置は、なおわれわれのほうで引き続き検討して、政治的に解決していきたい、かように考えております。
○森中守義君 あと予防措置の問題ですが、当初あの地震は群発性のものであって、さらに継続の可能性がある、こういうことが言われております。ところがおとついの場合には、気象庁の発表によれば、全く予期しなかった、こう言っている。したがって、そういう将来に可能性があるという場合には、当然それに対応する観測措置というものがとられていいんじゃないかと思う。どういったようなことがその後とられていたのか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 地震の現在の模様は、気象庁の報告によりますと、暫時鎮静しつつあるようです。ときどきマグニチュード四、三ぐらいの地震が起こりますが、またそれが鎮静して、それがまた今度は三、二ぐらいのがあって、また鎮静している。そういう形で、だんだん段位はこういうふうに下がりつつあります。そういう傾向が持続しておるのではないかと気象庁では見ておりますけれども、しかし将来のことは必ずしも予測できませんので、非常に注意をして事情を見守っておる状況でございます。住民の方々は、大体気象庁のいまの傾向を御信頼していただいていいのではないかと思います。
○森中守義君 防衛庁長官に機密漏洩事件の対策を伺っておきたいと思います。しばしばこの問題に対して最善の措置をとるということを言われておりましたが、具体的にどういう措置を将来の問題としておとりになるのか。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 防衛庁といたしましては、自衛隊法五十九条によりまして、自衛隊員は機密を守らなければならない。これに関する罰則もございます。この法令を励行するために、昨年以来特に注意をいたしておる次第でございます。次官その他の達しもつくりまして、いま機密書類の総点検をいたしておる次第でございます。また、防衛関係の秘密書類自身の管理につきましては、特別の注意を払っておる次第でございます。
○森中守義君 長官の答弁の限りにおきましては、意識の高揚をはかろう、こういうことのようですね。私も長官の訓令等が何回となく出されたことは知っております。しかし、この種事件が自衛隊法を守れということや、あるいは機密の防止に全力をあげろという、そういう精神面の強調、それだけで事足れりと思われますか。少なくとも、私は、長官がしばしば言明されておるのは、もっと具体的なもの、少なくとも調達の内容に言及をして、その不備があるのか、ないのか、その辺に焦点が向けられていかないと、単に精神的な高揚のみを強調したのでは、私は機密漏洩ということは防止できないのではないか、こう思う。そういう意味で、もっと具体的に、どういう視野からこの問題の取り組みをしようとするのか、もう少し詳細にお答え願いたい。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます
 調達との関係――武器調達だと思いまするが、調達との関係において、機密の漏洩を防ぐということについて特段の配慮をすることは、お説のごとく、必要でございまして、そこで、調達関係は、いまそれぞれの特命によって武器産業の会社等にそれぞれの製造を命じておるわけでございまするが、自衛隊、防衛庁のほうでつくりましたそれぞれの計画案がございます。また詳細の設計案等もございます。それは秘密書類でございまして、その秘密書類を、この方式によって製造するようにということで書類を渡す場合にも、こちらにも責任者が数人おりまして、また、担当武器製造会社等からも数人に出頭をしていただきまして、そして密室において一人一人のやりとりということはいたさないことにいたしております。一人一人のやりとりということは、とかくまたそういう機密書類がほかへ漏泄するという弊害もございまするから、そこで武器製造会社等におきましては、特別の機密なる作業室をつくり、特別の書類の保管室をつくりまして、その関係以外には厳重に漏れないというしかけでやっておる次第でございまして、特別の、ある自衛隊員が会社のある技師とか、そういうような方に渡すということは、従来ともいたさない機構にいたしておりますし、将来ともそのことを守ってまいる、また守ってまいらせる所存でございます。
○森中守義君 やはり末節の措置にとらわれ過ぎて、根幹に全然触れておりませんね。少なくとも私はそう思う。一昨日の毎日新聞に「黒い″タマ″にゆらぐ防衛庁」というキャンペーンをごらんになりましたか。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 読んでおりまするが、事実の真相は、必ずしもああいうことではないということを申し上げます。
○森中守義君 事実がすべてそうであるかどうか、私はそこまで問おうとは思いませんが、少なくとも、このキャンペーンに指摘する限りにおいては、いまの長官の答弁のようなことが私はすべてであろうと思う。機密の防衛ということも、その現象面をとらえて、それに対する措置では済みませんよ。具体的なところをお尋ねいたしましょう。いま約一兆の三次防における調達をやろうとするのに、どういう方式でその調達をおやりになるのですか。こまかく述べてください。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 三次防におきましては武器関係が一兆でございまして、それを年々で割りますというと、算術平均をいたしますというと、二千億円でございます。その二千億円をどういうふうにするか、それぞれの武器によって違うわけでございます。でございまするから、詳細なる点は政府委員から答弁させます。
○森中守義君 調達の方式、長官、調達の方式を聞いている。
○政府委員(島田豊君) 会社との契約あるいは調達の方式につきましては、これも他の官庁の場合とほぼ同じだと思いますけれども、一般競争あるいは指名競争、随意契約、こういうふうな三つの種類がございまして、それぞれの兵器の特質に応じまして契約方式をきめておるのでございます。
○森中守義君 方法は。
○政府委員(島田豊君) 一般競争の場合には、これは御承知のとおりに、各会社の間におきまして競争入札をやるわけでございますが、指名は、あらかじめその会社の実績等を勘案いたしまして指名会社をきめておりまして、その間における競争をやるということでございます。随意契約は、これは兵器の種類によりまして、特質に応じまして、その会社でなければならない、あるいはその会社に特許があるというふうな場合におきまして、その会社との個々の随意契約をやる、こういう方式でございます。
○森中守義君 私のお尋ねと答えがかみ合いません。いま少し詳細に、国内調達と輸入調達、両方に分けて、特に輸入調達の場合にはどういう方法によるか、それをもっと正確に御答弁願いたい。
○政府委員(島田豊君) 国内調達におきましては、先ほど御説明いたしましたような方式で契約いたすわけでございますが、外国からの輸入等につきましては、アメリカの有償軍事援助を受けますものにつきましては、それぞれその手続によってやりますし、それからそれ以外にも純粋の一般の輸入の形による契約がございます。
○森中守義君 いま言われる有償譲渡という、こういう表現が使われているようですが、その他の方法としてはどういう内容ですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 輸入のうち一番いま大きいといわれておるのはナイキでございまするが、ナイキとホークでございまするが、ナイキのミサイルは日本で製造いたします。これはライセンスを買ってきて製造するわけでございます。それから、ナイキ関係の通信装置並びに発射装置これはFMS−アメリカ政府から安い値段で買ってくるわけでございます。FMS買ってくるわけでございます。アメリカの純粋な援助というものは昨年をもって終結いたしたわけでございます。そこでFMSの場合には、日本政府とアメリカ政府との契約になります。それからホークでございます。これは輸入の中で一番大きなものでございます。ホークはミサイル、たま並びにランチャー、つまり発信装置それから無線装置で情報を得るほうの装置と、無線装置でそれぞれ誘導する装置とがございます。これらすべてを日本で生産することになりまするが、その前提としてライセンス生産ということがございます。そのライセンス生産をいたす場合には、日本で今度私どもが発注いたしたのは、三菱電機が七、東芝が三でございます。その関係は、防衛庁といたしましてはそれぞれ分割発注でございます。しかし、総取りまとめは三菱電機がやることになっております。そこで、三菱電機が相手方のレイセオンという会社と契約を結びまして――これは商業上の国際私法関係の法律と思っております。
 それからその前提といたしまして、ホークを開発する場合にアメリカ政府が研究開発費というものを相当使っておるから、ホークを日本で国内生産をする場合には、アメリカ政府の研究開発費というものが相当かかっておるから、ある程度日本の生産量に見合う比例的なものを払ってくれという話がございまして、これは二十七億円という金額を、昨年の十月、一週間ばかり交渉をいたしまして、財政当局にもそういうことを見てもらいましたが、二十七億円の金を日本政府からアメリカ政府へお払いする、こういうことに相なっております。これは日本政府とアメリカ政府との契約に相なるものと思います。
 大体輸入武器の大宗と申すべきものは、ナイキのランチャーとそれから通信設備でございます。それからホークのほうは、全部国産ではございまするが、ライセンスで買ってまいりまして、その図式によりまして生産をいたしますから、そのライセンス料を払うという関係が国際私法上の契約になる、こう考えております。それからナイキのたまは日本で生産いたしますけれども、これまたライセンスでございまして、そのライセンス料は日本の会社と向こうの会社との私のつまり商業上の契約ということに相なっております。
○森中守義君 MASは、これはわかる。そのほかにどういう方法で買い入れるのですか、そのお答えがありませんね。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 MASというものは、昨年度でなくなったわけでございます。すなわち、第二次防の末期でなくなりました。それで、FMSという、つまりわりあいに安い値段でアメリカ政府から買い入れる、こういうものがございまして、その大宗はいま申し上げましたナイキとホークでございます。それが約一千億円になるわけでございます。調達額全体一兆円というその一割、一千億円でございます。
 ところが、あと五百億円くらいのものをアメリカに払うということになっておりますが、これは日本で種々の武器を随契あるいは特命の――随契と特命とは同じでございますが、それから指名競争入札と一般競争入札とございまするが、まあ指名入札以上の随契等の場合に、特定の武器製造会社が武器をつくりまするが、その際に間接――政府から見れば間接でございまするが、間接に約五百億円ぐらいのものを向こうから部品として買ってまいる。このことは、その会社とそれからアメリカその他の外国の武器会社との国際私法上の契約ということに相なっております。
○森中守義君 一般契約と直接契約という、こういう方式をとっているんじゃないですか。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 契約は、防衛庁と武器製造会社との関係は三つございまして、まず第一には一般競争入札でございます。一般競争入札で落札いたしますと、その会社と防衛庁とが契約をいたします。それからその次には指名競争入札でございます、三社とか五社とかいうものを指定いたしまして、最もこれこれの武器を製造するのに適当なとこう考えた五社なら五社を指定いたしまして、五つの会社の中における競争入札でございます。それから最後には、この特定の武器をつくる能力はやはりこの会社が一番適当であろう、こういうふうに考えて特命をいたします。これが随意契約でございまして、そこで契約の形態は三つあると思います。つまり、入札までの間は、特命随意契約――特命契約、つまり随意契約。それから指名競争入札によって入札いたしたところと防衛庁が契約を結びます。それから一般競争入札、これはもう指名ということはない、だれでもかれでもこれに応じてくれというようなことでやる場合もございます。もっともこの一般競争入札というのは武器にはあまりないのでございまして、食糧とか、被服とか、あるいはくつとか、そういうような関係でございます。
○森中守義君 そこまで聞いているのじゃないのですよ。アメリカから買うときに、さっき言われた方式と、そのほかに、防衛庁が直接やる場合ですね。あるいはまた商社あるいは製造業者がアメリカの業者間にやる、こういう方式をとっちゃいないかと聞いている。国内の発注状態を聞いているのじゃない、輸入の方法はどうかと聞いていますよ。
○国務大臣(増田甲子七君) 詳細はいま装備局長から補充説明申し上げますが、日本とアメリカとの関係におきましては、RアンドDという、アメリカ政府自身が、アメリカの国防省自身が研究開発したものに対して日本政府が払うという関係、これは直接契約でございます。あとは、もうMASはなくなりましたから、FMSだけでございますから、FMSはアメリカ政府が中へ入って安く売ってやれということを特定の会社に言うわけでございまして、そこで日本政府も安く買い得ると、こういう状態でございます。そこで、ホーク、ナイキが買えそうでございますから、そのホーク、ナイキ等は日本政府とそれから日本政府の特命いたしました会社との契約でございますから、その前提をなすRアンドDという研究開発費は日本政府とアメリカ政府との契約でございます。その下のライセンス生産以下になりますというと、日本政府が日本に存在する武器産業会社との間において契約を結びます。正確には、私の部下の調達実施本部長とそれから特定の何々会社との関係におきまして商業上の契約を結ぶわけであります。あるいは民法上の契約を結ぶ、こういうわけであります。その会社がアメリカの武器製造会社と契約を結ぶ、そしてライセンスを導入してまいりまして、そのライセンスに従いまして武器を製造する、こういうわけでございます。
○政府委員(蒲谷友芳君) アメリカから武器を輸入する場合に、現在防衛庁は日本の商社を通ずる場合であって、直接にアメリカから防衛庁が輸入する場合ということはございません。
○森中守義君 要するに、一兆に近い輸入あるいは国内の調達を行なおうというのだから、特段に法律等の根拠によらないで内部規程でこういうものをやっていること自体に少し無理があるのではありませんか。
○国務大臣(増田甲子七君) 法律で何か契約せんならぬことはもちろん基礎でございますが、それは民法、商法の関係で、あとは正確に、正しく、間違いのないようにしていけばよろしいではないか、こう考えております。あなたも御存じのとおり、防衛庁といたしましては随契がわりあいに多いのでございまして、つまり特命で特定の会社にこの武器を製造するようにということを依頼する、つまりそこで契約を結びます、そういう場合がきわめて多うございまするから、その線は非常に注意を要する、また監督も厳重にする必要があるとは思っております。その金額は、おそらく、一兆をかりに一〇〇といたしまして、七〇%以上ではないかと思います。それから指名競争入札というのが残余の相当の部分でございまして、一般競争入札というのはきわめて少ないわけでございます。その率の正確なことはあとで申し上げまするが、要するに、いずれも民法上、商法上の契約で、私は特別に公法――公の法律をつくるとか、あるいは防衛庁法をつくってどうこうせんならぬことはない。防衛庁設置法なりあるいは自衛隊法に、そうやっていいという規定がございまするから、それに従ってやっておりまするが、しかしながら、製造過程において、あるいは製造の注文先の選定におきましては、きわめてきびしい、妥当なる線を出すようにという立場で臨むことは、もちろん私どもがやらなくてはならぬ線でございまして、この点は厳重に注意してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
○森中守義君 生産能力とか、あるいは機能とか、そういう関係でいわゆる随意契約が多いと思うんです。しかしながら、それらのものが七〇%を占めるということも、これは何といっても問題ですよ。大体、各省庁の調達の方式というのは、たてまえは全部競争によらねばならぬというのが私は原則だと思う。防衛庁だけ特例であるはずがない。それもありますが、そのことと、いま一つ、商社あるいはメーカーというものが介入する余地が十分にある。防衛庁との接触は、その辺ですよ、問題は。だから、商社、メーカーの側に置けば、それは明らかにコマーシャルベース。それが、機密の問題に焦点を合わしていけば、コマーシャルベースに関する機密というものが防衛の機密という、そこまで水準がずっと上げられていって、拘束を受ける。この辺の整理ということが、私は川崎一佐の問題の今後の処理の一つでなくてはならぬ、こう思うんです。ですから、最初に申し上げたように、ただ精神訓話ではだめなんです。具体的にその辺の問題をどうするかということをお尋ねしたわけですが、そこまで検討されておりますか。
○国務大臣(増田甲子七君) まず、防衛庁に随意契約が多いということはいま申し上げましたが、これは一般官庁に通ずる会計法の規定に従っておるわけでございます。ただし、事の性質上、随意契約が多い。しかしながら、会計法に従ったものでございます。そのことをまずもって申し上げます。
 それから、武器製造会社と防衛庁との間において発注をする場合に問屋が入る――まあ問屋という俗称で申し上げますが、問屋が入るということはございます。これは各宜の便宜上どうしても、私も聞いてみましたけれども、やむを得ない、またそれが取りまとめ上非常に都合がよろしいということで、従来ともやっております。これはナイキ、ホークについてもそうでございまするし、そのほかの純国内生産の武器についてもそうだそうでございますが、問屋が入って各種の取りまとめをしてくれるということのために、やむを得ないといいますか、当然そういう姿でやっておるということでございます。ただしかしながら、製造会社とそれから問屋とそれから防衛庁との関係においてやはり人手が相当かかりまするから、機密が漏れるというような危険もないわけではございません。そこで、従来とも一人対一人ということを厳重にやめさしております。一人対一人というようなことをいたしますというと、とかくほかに漏れるということになりますというと、やはり武器は、いつも申し上げておることでございますが、自動小銃といえどもその性能諸元等が侵略せんとする相手方に知られるということはやはり都合が悪いわけでございまして、やはり国民を守る上からいって性能諸元について機密のあるのは当然である、こう考えております。そこで、航空機あるいはナイキ、ホークその他につきまして中間に問屋が入りまするが、それぞれ数人の立ち会い人がおりまして、相手方も数人の立ち会い人がおりまして、それから製造元になりますというと数人あるいは相当の労務者がおるわけでございまするが、その部屋には社長、専務といえども入り得ないというふうな厳重なる――私も方々の武器製造会社を見て歩きましたけれども、この辺は関係者以外は絶対に入り得ない機密室になっておりますと、こういうことでございまして、私どもはそういうふうにすることによって機密の漏洩を防ごう、こういうことはこれから後も励行してまいるつもりでございまして、一人対一人ではわりあいに軽率に扱うということがあるというと機密が漏れますから、その点をこれから後も、ある機構によりまして、つまり数人対数人ということで、契約ができた場合には、調達実施本部へ特定の会社から数人の責任者を呼びまして、それからこちらも数人の立ち会い人がおりまして、それを手渡しをいたしまして、その書類は会社の特定の秘密室で厳重に保管いたしまして、そうしてその製造に任ずる設計のほうの関係の労務者、また一般の筋肉関係の労務者も厳重に機密を守っておる状態でございますということを申し上げておきます。
○森中守義君 長官の答弁で大筋としては理解できますが、しかしそのことがこれから先今回のような事件が再び起こり得ないという保証は現状で私はないと思う。むろん人のやることだから手違い等もありましょうけれども、もう少し発注の方式、購入の方式、この辺について整理をする必要はありませんか、最善だと思いますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 随契になる前に相当の、どの会社がいいかこの会社がいいかというようなことをつまり武器製造能力の見地から調べるという前提がございます。その前提のときには、各会社からそれぞれ見積もり書等を出します。その見積もり書を出す場合に、おそらく、その武器製造会社が外国のものであるならば、その外国の会社に行っていろいろ調べるというようなことをやりましょう。そういう場合に、一時オープンになるというような危険もそれはないわけではございませんが、われわれのほうで、技術研究本部なり、あるいは各幕僚監部の武器関係の専門家なり、調達実施本部の専門家なり、装備局の専門家なり、それから通産省の重工業局とも打ち合わせをいたしますが、その過程におきましてはもっぱら機密を守っておるわけでございまして、そこできまった書類が特定の人からある特定の第三者に渡るなんということは、そこはよくないことである、それはきわめて少ないわけでございます。今度は一つの遺憾な事例を出しまして、圧倒的多数の自衛隊員は正しくりっぱで、しかも月給だけで一たん事があれば生命を国民の保護のためになげうつ、こういう気概のもとに働いておるわけでございます。そのためにこそ、士気を緊張させるためにも、ごく少数ではございましょうが、機密漏洩だとかその他不正なものがあれば、士気がゆるんでしまう。また自衛隊の名誉も汚されまするから、自衛隊の国民から信頼を博するという立場におきましても厳重にやる。その機構なりしかけなりにつきましては、御指摘もございまするし、いまこれをもって十分とは考えておりません。研究中ではございます。もっぱら研究いたしまして……。しかし、いまのところ書類等の保管については厳重な具体的方法を講じております。お尋ねがあればお答えをいたしまするが、これをもって十全とは言いがたいとは思いまするが、しかし、ああいう遺憾な事例がたった一件起きただけでも私どもは非常に世間に対して申しわけないと思っておりまするし、圧倒的多数の自衛隊員はりっぱでございまするし、防衛庁員全体も非常にりっぱに仕事をいたしております。その将来とも仕事をりっぱにやっていくためにも、正しい仕事をするためにも、少数者が悪いことをしてはいけないという態度で私は臨んでおる次第でございます。
○森中守義君 この問題は、先ほどからお答えになっている輸入の方法なり、国内における発注の方法なり、必ずしもすっきりしませんよ。しかも、商社関係、防衛庁の関係といえば、実にこれは複雑怪奇です。そこで、いま少し整然としたものにするには、何をいつどのくらい買おうという内容じゃなくて、購入の方式、こういうものをいま少し整理するために別途の方法が考えられませんか。いまお尋ねがあれば答えてもいいと、こういうお話でしたが、何をお考えになっているんですか。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 最近次官通達を出しまして、第一にこの秘があんまり多過ぎてもこれが漏れる危険もございまするから、秘というものはむやみに、秘密書類というものはそう多くあってもいけませんし、総点検を末端に至るまでいたしております。これがまあ具体的な方法の一つでございます。それから、秘密書類あるいは極秘書類、そういうふうにきまったものは、金庫に入れっぱなしで置いてはいけない。そこで昼夜とも、少し厳重かもしれませんが、監視をいたしております。その監視をいたしておる人がまた不正なことをするというようなこともあるかもしれませんが、そこはひとつ人の信頼関係でございまして、これは自隊衛の最高司令官である総理大臣からも半年前から強い御指示がございまして、国家国民を守る自衛隊員はほんとうに国民から信頼される自衛隊員でなくちゃいけない、それは職務上の刑法百九十三条なんていう関係のことについても注意せんならぬし、また機密を守る点についても注意せんならぬし、秘密を守る点についても注意せんならぬという御指示がございましたが、私は非常にごもっともな御指示であると思いまして、これを厚く守りましていま励行中でございまするが、まあ私自身が陣頭に出まして、そして国民の信頼にそむかないように、また大多数の自衛隊員が快く仕事をしていくためにもりっぱな自衛隊にしようと、こういうわけで臨んでおるわけでございます。具体的の方法といえば、いま申し上げたごときものでございまするが、それから外国の特定の武器製造会社にこちらの商社員が見に行くと――商社が途中に介在していることはこれは事実でございまするから、その商社員が見に行く、つまり俗なことばで言えば問屋の人が見に行くと、それから製造会社が見に行くと、こういう場合におきましても、機密を守るように、大体日本政府、つまり防衛庁から、この人はだいじょうぶであるという――クリアランスと普通言っておりますが、クリアランスというまあ鑑札を出しまして、その鑑札を持って向こうに行きまして、そうして特定のホークならホークをつくっている会社のまた機密を守る部分がございまするから、その機密を守る部分と接触をいたしましてものごとを調べてまいる、こういうふうに厳重にまあいたしておる次第でございます。
○森中守義君 私が聞いているのはですね、いま言われるような防衛庁の人がてまえみそに見たんじゃやはり抜本的な改善、改革はできないんじゃないか、だからもう少し変わった次元から問題をとらえて整然とし、しかも再びこういうことが起こらないような方法はとれないのかと、こう聞いているんです。
○国務大臣(増田甲子七君) お答え申し上げます。
 いま起きております捜査中の事案等は、私はほとんどない、きわめてまれにあった事案である、遺憾な事案であると思っております。そこで、あの事案は捜査の過程でございまするから、私も法務大臣も申し上げるわけにはいかぬわけでございまするが、あの事案の捜査過程等はいずれわかりましょうから、そのことも参考にいたしまして、いまとりあえず各般の、二十四時間寝ずの番をいたすとか、いろんな措置はいたしておりまするが、一面また、機密書類があんまり多くて、何でも昔のことばで申すと軍事機密軍事機密といったようなことでもいけませんし、そのことの総点検もいたしておりまするし、各般の方面から機密が守り得るように措置をいたしております。またお知恵がございましたならば拝借いたしまして機密を守ってまいりたい。りっぱなる自衛隊ではございまするが、いよいよりっぱな自衛隊にしていく、このことについてお知恵があったならば拝借いたしたい。いませっかく検討の過程でございまするから、これですべてが抜本塞源というわけにはなかなかいきませんが、抜本塞源に近い線を出したいと思って一生懸命努力をいたしておる次第でございます。
○森中守義君 今回の事件はまれに見る事件だと、こうおっしゃるけれども、私どもが知らないだけであって、まだそういうたぐいの事件が一つもないとは言い切れませんよ。だから、こういう事件を契機にですね、秘密が多過ぎるからこれを少なくしよう、したがってその対策事項をできるだけ減少すればそういうこともないんじゃないかということでは済まぬのじゃないですか。むしろ私は、長官としてはですね、なぜこういう事件が起こったのか、それをやはり組織的に、運営的にですね、どこに欠陥があったということを突きとめるのがこれはお仕事じゃないんですか。そこに考えを及ぼさずに、いま末梢をとらえて、秘密が多過ぎるから少なくしたいらいいじゃないか、商社にも厳重に勧告したらいいじゃないかというようなことでは、問題片づきませんね。少なくともこの事件を契機に何か考えるものがあったはずだ、それを私は聞かしてくれ、こう言っているんだが、ないということは、いま言われたようなことしかしていないというふうなことに受け取ってよろしいですね。
○国務大臣(増田甲子七君) 私が申し上げようとする点をどうぞ御理解願いたいと思いますが、つまり秘というものをむやみにやりますというと、かえってルーズになるということが私はあると思います、これは常識的に考えまして。でございますから、秘という必要のないものまで秘という判こをやたらに打つというようなことがないようにということは、これは一般講として私は考えてしかるべきことではないか。ことに民主主義のもとにおきましては、秘なんというものはそうやたらにべたべた押すべきではない。いまの秘の取り扱い方は、課長が起案をいたしまして、局長が秘と決裁するということに慎重にはいたしておりまするが、しかし秘の書類を総点検をいたしております。これはやっぱり機密を守る一つの前提として、具体的の私の措置としてはいい措置ではないかと思っておる次第でございます。
 それから、この川崎事案なるものに対してはどういうふうな状況であるかということは、いま司法当局で捜査中でございまして、その捜査の段階がだんだん判明いたしますというと、われわれもこういうことに手抜かっておった、ああいうところに手抜かっておったという点がわかると思います。まだ捜査中でございまするしいたしまするから、その捜査の経過を相見ましてから、それに相応する具体的措置をなおとりたいと思っております。一般に監察関係を厳重にいたしておるということで、まずもって御了解いただきたい。なお、よきお知恵があったならば拝借をいたしまして将来の私どもの指針といたしたい、こう考えておる次第でございます。
○森中守義君 この二十四日に起訴されておりますね。むろん、裁判の結果起訴事実がすべて認められて有罪になるという将来の見通しはもちろんない。やはり有罪か無罪かというのは裁判の結果によらねばならないが、少なくともこの事件について防衛庁という組織体として欠陥ないしはになうべき責任があったのじゃないか、私はそう思う。その辺についてはどうですか。すべてやってならないことをした川崎空佐だけが悪い、組織体としては何も欠陥がなかった、こういう実はお考えのようにとれる。ただ、裁判の結果、その取り調べの過程等で改善すべき点があれば改善したいと、こう言われるけれども、私は、現在の時点ではないのだ、ただ、あるとするならば秘密が多過ぎるからこれをちょっと縮小しようとか、あるいは監査を厳重にしよう、こういうことでよろしいというように長官の答弁を受け取る。時間がありませんから、この事件ばかりにかかっておるわけにいきませんけれども、私は、やはり組織体という観点から全く遺漏なかった、手ぬかりはなかったのか、そういう点をもう一回正確に答えてほしいと思いますね。
○国務大臣(増田甲子七君) 川崎事案なるものはまだ捜査中でございまして、それが司法当局によって将来どういうふうに処置されるか。司法当局といえばもちろん裁判所でございます。その結論まではわかりません。いまは検察当局、すなわち司法行政当局が捜査をしている段階でございます。また、起訴もいたしております。また、本人も強制留置になっておりまするから、その内容等はうかがい知ることはできませんが、さしあたりはわれわれは機密書類というものをうちへ持って帰るということはやめさしております。うちへ持って帰りますというと、とかくかばんから――かばんが盗まれたとか、本人に悪意がなくても、いろいろなことがあり得ますから、機密書類等は役所で研究をして、あるいはそれは深更に及ぶかもしれませんが、それで役所で管理をする、こういうしかけにいたしております。私自身が機密書類は自分のうちへ持って帰ったことはないのでございまして、そういうようなことを励行いたします。秘という書類を人に見せようという心理がちょっと私には、たとえ二十五万人のうちの一人であっても、私にはちょっとわかりかねるわけでございまして、でございまするから、まだ捜査の過程でございまするから、仮定のことはある程度――しかし司法行政当局から知らしてもらえば参考になるかと思います。私はいま誠心誠意あなたに具体策について申し上げておるわけでございまして、何ら無策ということではないということは森中さんも御了承願ったのじゃないかと私は考えております。
○森中守義君 組織体としての欠陥はどうですか。反省の中からそういうものは生まれていませんか。
○国務大臣(増田甲子七君) 防衛庁というものは一つの実力を持った組織体でございます。であるだけに、機密という関係は特に守らなくてはならない。その組織体から必然的に何か発生するものであって人力をもって防止できない、というふうに私は考えていないのでございます。そこで、とりあえずいまいたしているのは、機密書類は個人のかばんでうちへ――自分の自宅です――自宅と来往しないと、こういうしかけにしただけでもよほど私は違いはせぬかと思います。役所で見て、役所の金庫に保管をして、そうして管理人の人々がおりまするから、そうしてうちへ帰る。役所の時間が八時間かあるいは十時間になるかしれませんが、そこで勉強してやるように、うちへ帰って勉強したいという者は、ほんとうにまじめな自衛隊員あるいは役人にもございましょうが、機密書類だけはうちへ持って帰るなということを、自衛隊には特にこのごろ具体的に指示したところでございます。具体的な監査手続を何をしているかということに対して、だんだんお答えしているその一つを申し上げたわけでございます。
○森中守義君 それはですね、裁判の結果どういうことになりましょうが、さっき申し上げましたように、有罪、無罪ということはいま見通しがつきません。で、もし無罪ということになった場合、どうします。責任とりますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 森中さんにお答えいたしますが、いろいろ仮定のことはお答えしにくいわけでございまして、この際具体的に申し上げますというと、昨年来自衛隊の、世の中のことばで申せば警察隊、すなわち警務隊――司法警察官の職務をとっているものでございます。それが陸上にも航空にも海上にもございます。その航空関係、陸上関係、海上関係において、それぞれ何か悪いことがあってはいけないということで、督励して職務に励ましている次第でございまするが、たまたま偶然航空関係から被疑者が出たわけでございまして、その被疑者を告発する際には、被疑者はこれこれの書類をうかつに、適当のチャンネルを通じないで――適当の系路といえば、私が申し上げたような系路でございます。こちらも三人そろっておって、向こうの機密をつかさどる武器製造会社の者が三人いると、こういうようなのは適当なる系路でございます。適当なる系路を通じないで第三者に渡して申しわけないという書類は、本人の聞き取り書として、本人の申し立て書として私どもはとっております、警務隊長が。その警務隊長が、そういう書類をとりましたから、それを基礎にして告発したわけでございまして、裁判所で、機密の性質いかんだとか、その他いろいろな関係で有罪になるか無罪になるかわかりませんけれども、私どもはいまのところ、そういう事案があって、単なる疑いだけで告発したわけではないわけでございます。検察庁に送る前に本人の、坊間のことばで言いますというと、自白がございまして、しかもその書類――ほかに渡っておったその書類も出てまいりました、よそのほうから。そういうような具体的な証拠もございまして、警務隊として、防衛庁として、それぞれの責任者が捜査をし、聞き取り書をとり、告発をいたした次第でございます。
○森中守義君 この際、仮定のことはと言われますがね、一般的に無罪か有罪かあるいは示談かという、こういう方式じゃないのですよ。ごく限定されている。ですから、なるほど送致した事実がほんとうに正しかったかどうか、それは裁判によらなければならぬ。公平な公判の結果無罪ということになった場合、裁判では、組織体にこういう欠陥があったとか、いろいろ裁判官が調査するでしょう。そういう中で、無罪になった場合にどうするかと、この聞いているのです。なるぼど仮定と言えばそれまでのことなんですけれども、無限大に大きい仮定じゃありませんよ。だから、当然有罪か無罪かという二つしかない。無罪になった場合にどうしますか。これは私は仮定としても一通り予定される仮定じゃないかと思う。どうです。
○国務大臣(増田甲子七君) 森中さんに申し上げたいのは、私どもの告発書というのは、これはたぶん法務委員会等で私は申し上げております。それから二十四日に起訴されましたその起訴状というものは、全国民にこれは明瞭になるように新聞にも出ておりまするから、これをごらん願いたいと思います。機密書類であるこれこれ、これこれ、これこれのものを故意に漏らしていると、こういう事実がございまするし、そのあとの立法、司法、行政、三権分立の間における司法の状態までいま予想して言うようなことは申し上げにくいのでございます。
○森中守義君 おそらくこれは外務大臣かもわかりませんが、まず防衛庁長官にお尋ねしたいのは、安保五条に言う自衛権の問題ですよ。これはおのおのが個別的あるいは集団的に自衛権を発動する場合、それぞれ自衛権の解釈あるいは判断に基づいて自衛権の発動をするものか、あるいは日米両国の意思によらねばならぬのか、その辺のことをひとつ長官から正確にお答え願いたい。
○国務大臣(増田甲子七君) 自衛権というものの基礎は、私は平和条約にあると思っております。憲法九条の第一項の裏面解釈からも出てまいりまするが、平和条約にあります。その平和条約は国連憲章第五十一条を援用しているのでございまして、国連加盟の各国は、それぞれ個別的もしくは集団的自衛の権利を有する。しかしながら、安全保障理事会が適切なる手段をとれば、それはそのときに行動は停止する、こういうことでございます。そこで集団安全保障条約は、ワルシャワ安全保障条約にいたしましても、北大西洋安全保障条約にいたしましても、日米安全保障条約にいたしましても、国連憲章第五十一条が根拠である。国連に入ったのは昭和三十一年でございまするが、昭和二十六年の九月八日に調印いたしました日本と連合国との平和条約、その中に、日本は国連憲章第五十一条に基づいて個別的もしくは集団的の自衛権がある。まず第一にそういうことが書いてございます。その自衛権に基づいて、集団安全保障の取りきめを締結することができる。これを受けまして、同じ日でございますが、旧安全保障条約が締結された、こういうふうに考えております。そこで、新安保では、日本に、日本の施政権が行なわれている日本の本土に武力侵略があった場合でございまするが、これは日米が共同して防衛の事に当たると書いてございまするが、急迫不正の侵害があれば、もちろん通報はいたしまするが、個別的の自衛の固有の権利を、主権独立国家である日本は持っておるのでありまするから、瞬間的に自衛の機能を発揮してよろしい、そうして一億国民を守るべきである、こう考えております。もちろん連絡はいたします。
○森中守義君 それは個別の場合ですね。共同でやる場合は、集団自衛権の場合はどうですか。
○国務大臣(増田甲子七君) 新安保条約第五条には、共同して「共通の危険に対処する」と書いてございまするから、もちろん連絡をして防衛行動に出るわけでございます。
○森中守義君 五条で、個別にも、あるいは集団的にもという、こういうことですから、その限りにおいては私も了承します。そこで問題は、自衛権の解釈の問題ですがね。私は、いままでのアメリカが、たとえばベトナム、あるいはレバノン、こういうところにとってきた自衛権というものは相当幅が広すぎる。そういう意味で、いままで国会の答弁はもちろん必ずしもアメリカの自衛権と日本の自衛権の解釈、踏まえている基調というものが同様だとは思っておらない。したがって、その辺のアメリカの自衛権の基調、わが国の自衛権の基調というものが全く同様なものであるか、あるいは別個のものであるか、その点をひとつ詳細に聞かしてくれませんか。
○政府委員(高辻正巳君) 私、法制上の関係として一応お答え申し上げます。
 御承知のとおり、憲法九条の規定から申しまして、わが国に自衛権があるという限り、わが国の自衛の行動あるいは自衛の組織、そういうものは許されるという解釈を由来とっておりますが、憲法九条との関係で出てまいりますのは、いま申し上げましたように、わが国の自衛隊についての自衛、これはしばしば申し上げておりますように、厳密な意味での自衛というものが働いてまいる、また、その限りにおいて行動する。したがって、憲法九条の意味での自衛の範囲というものは、わが国の自衛隊について最も大きな意義を持つ、また、さように、その範囲に限定をされて行動をしなければならないということは一方にございます。それからもう一方のアメリカは、まさに集団的自衛権の一つのあらわれとして日本を守るということをやっておるわけでありますが、これも実はただいま防衛庁長官からお答えがありましたように、国連憲章の五十一条の自衛――個別的自衛あるいは集団的自衛ということで出てまいりますが、その自衛の範囲いかんという問題は、これはその軍、部隊を動かしておるアメリカの国権の発動として行なわれているわけでございますから、それはアメリカがその自衛というものの範囲を考えるということになるわけでございます。そこで、どう違うかということになると思いますが、この大きな形から申せばむろん同じと思いますけれども、アメリカはアメリカの自衛というものの考え方、これは国連憲章の自衛の範囲ということでございまして、憲法九条がそこに働くという意味ではない。大事なことは、やはりわが国の自衛隊の行動において、厳格な意味での自衛というところに局限されてその行動をする。むろん、その行動は有効適切な行動でなければいけませんが、そこが自衛隊において特に問題になる点であろうと思います。アメリカに対する関係では、自衛ということでは同じでありますが、わが国の憲法上の要請によってそこに制限が加えられるのじゃなくて、憲章五十一条のほうの自衛の範囲、これはおのずから、そう本質的な相違があるものとは思いませんが、その自衛の範囲でやるということになると思います。繰り返して申しますが、大事なことは、わが自衛隊の自衛行動の範囲、それをわが国としては厳格に守っていくべきであるということに相なるわけでございます。
○森中守義君 いま少し具体的にお尋ねしますが、アメリカの場合には先制的自衛という、こういうことがよく言われますね。わが国の場合には現実に危害を加えられた事態が発生をした場合。その辺に相当大きな隔たりがある、その点についてはどういうようにお考えでございますか。
○政府委員(高辻正巳君) お答え申し上げます。
 アメリカの場合といいますか、日本国を守る場合に限らず、ともかくも国連憲章の加盟国であるアメリカの自衛権の発動という場合につきましても、憲章の五十一条には「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」、「この憲章のいかなる規定も――害するものではない」という規定を見ればわかりますように、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には」ということになっておりますことを申し上げます。
○森中守義君 なるほど、その国連憲章がすべてを、アメリカの自衛権発動を拘束しておられる。しかし、自衛権の発動ということは、いま指摘をされた条項では全部拘束しておりませんよ。固有の自衛権の発動については適用外というわけじゃないけれども、その国の固有の権利として留保されている。したがって、アメリカが五十一条によってすべてやればいいけれども、そうじゃない。少なくともいままでアメリカがとってきた自衛権の発動ということについては、かなり大きな疑いがある。これは国際法上の通説からも非常にワクが広過ぎる、広義に解釈し過ぎる、こういう議論が絶えず展開されておるのですね。だから、私が言うのは、アメリカが留保している固有の自衛権の発動の態様と同じように日本も行くのかどうなのかと、こう聞いておるのです。それと、日本とアメリカのその辺の相違はどうですか。一例をあげれば、アメリカは先制攻撃も先制自衛もやっておるようです。日本もそれでやるのかと、こう聞いておるのです。
○政府委員(高辻正巳君) 問題は、武力攻撃が発生するに先立って先制攻撃、いわゆる先制防御といいますか、とにかくこちらから、防衛の実を全うするために、攻撃がある前にこちらから手を出すということができるかできないかという問題でございますが、これはただいまもお話しがありましたように、わが国の自衛権というものについては、要するに、外国から急迫不正な侵害があった場合に、わが国民の安全と生存を保持するというのが目的でございますので、侵害がないのにこちらから手を出す、極端な場合には、国際紛争を武力で解決するということになりましょうが、そういうことは憲法が許さない。したがって、あくまでも侵害があった場合、武力攻撃が発生した場合ということになるわけでございます。ところで、アメリカのほうは、そうは言ってもそうはいかぬじゃないかということでございますが、アメリカのほうも、先ほど申し上げましたように、国連憲章の根拠に基づて発動をするわけでございますから、それは先ほども申し上げましたことでありますが、「武力攻撃が発生した場合には」ということになります。現実の事態はそうではないではないかという仰せでございますが、これは私が答弁する限りではないと思いますが、この「武力攻撃が発生した場合」ということについてあるいは認識の相違があるのかもしれません。しかし、いずれにしましても、国連憲章そのものは武力攻撃が発生した場合にのみ集団的自衛権あるいは個別的自衛権の発動を認めておるということを、私の答弁する限りでは、そこまで申し上げる以外はございません。
○森中守義君 それでは具体的にひとつ聞きますが、プエブロ事件の場合、そのときにエンタープライズをはじめ航空母艦が三隻朝鮮海峡に回った、あるいは在日空軍は戦闘態勢に入る、まさに緊張が展開したわけですよ。ところが、この国連憲章によれば、すべて事態というものは、まず平和的に、次善の策として経済的な行動をとれと、こう書っておる。ところが、あのプエブロの事件は一体どういうものに値するかといえば、衆議院では、いや、あれはああいう戦闘配置、少なくとも作戦行動を起こそうとしたのは抑止のためであったという実は答弁があったようです。なるほど交戦状態にならなかったから、その限界でとどまってはいるでしょうけれども、あの態様というものは、抑止という解釈をすべきであるか、あるいは戦闘作戦行動というように解釈すべきか、実に私はきわどい紙一重のところにあったと思うのです。あの際に、平和交渉も何も呼びかけないで、いきなりその行動を起こしたということは、これは一体国連憲章に照らしてどうなりますか。抑止という線でとどまるのですか。自衛権発動直前にあったのです。
○政府委員(高辻正巳君) お話はプエブロを中心としたお話であると思います。少なくも言えますことは、私の知る限りにおいては、プエブロの行動そのものだということは、少なくもないのじゃないかと思います。で、ほかにどういうことをしていたのか、これは新聞等でわれわれは知るだけのことでございますが、あるいは自衛権の行使ないしは武力の行使そのものであるというふうには少なくも見られないのではないかと思います。
○森中守義君 プエブロを言うのじゃなくて、その救済に当たらんとしたエンタープライズ等のあの行動を私はさしている。プエブロそれ自体の領海侵犯を言っているのじゃない。
○政府委員(高辻正巳君) わかりました。プエブロはまあそういうことでございますが、確かにエンタープライズが出かけていったことは事実のようでございますが、これを目して、まあプエブロがあってエンタープライズが出ていったことは通常の推理から出てまいりますが、それが武力の行使を意図して出ていったものか、そうでなくて、やはり一種の、何といいますか、最もわれわれが忌むべき事態を発生せしめないための一つの手段である。まあ普通には抑止力といわれるかもしれません。そういうものであったかもしれません。これはどうも私が責任を持ってお話しするのは適当でないと思いますが、私はそのように見ております。
○森中守義君 総理にお尋ねしますが、総理はこの前お答えになったようでした。なるほど、実際戦闘行為に入らなかったわけだから、その限りにおいては、これはやはり自衛権が発動されたとは言えない。しかし、その寸前にあったことは事実ですよ。板門店の会議も何も開かないで、いきなりエンタープライズをはじめ戦闘態勢に入ったわけですからね。で、そこにまず平和的に、次には経済措置を、次に自衛権の発動というのが大体段階なんですね、憲章の定める。ところが、アメリカはそのことを省略していますよ。だから、あの展開された態度、状態というものは、抑止という解釈にとどめていいかどうか、これはまあ解釈によりましょうけれども、一般的に通念的に見て、私は抑止という限界は越えている。ただ、ボタンを押したか押さないかという、その辺だけじゃありませんか。その辺どう思われますか。これはまあ法律論でなくて、実際問題として。
○国務大臣(佐藤榮作君) これはまあ実際問題ですが、私は、エンタープライズが出かけたということ、これは抑止だと思っております。いわゆる戦闘出動の配置についた、こういうものではないように私は思います。御承知のように、あのときはプエブロが公海であろうと公海でなかろうと拿捕された、そういう事実があったわけですね。だから、その事実に対して一応自分たちも一応の何か態勢をとらざるを得ないのじゃないでしょうか。これはまあ戦闘行為そのものじゃないのですけれども、その拿捕という行為なしにああいうようにエンタープライズその他が出かけたといえば、全然事態も何もない、アメリカがアメリカ軍だけで一つの戦備配置についた、これはどういうことになりますか。あるいは威嚇行為と見るか、あるいは挑発行為と見るか、そういうように議論はあるだろうと思います。しかし、あの事件はプエブロがとにかく拿捕された、そういう事実があり、プエブロはアメリカ海軍の一隻でありますから、私はアメリカとしてそういうような抑止的態勢に出ると、これは考えられることだと、かように思います。それをただいまさらに突き進んでのお話ですが、そこまでに見ることはたいへん危険なのではないかと思います。まあ、日本の場合はこういうことはございません。これはもう日本とアメリカの相違だと、また、過去におきまして日本の領空を侵犯した、あるいはその危険があった。こういう場合にわが自衛隊が出ていく。これはもう追っ払うというだけでございまして、いわゆる戦闘行為、そういう意味で飛び立っているわけではない。スクランブルという表現をしております。その場合と同じような意味じゃないだろうかと、私はかように考えます。
○森中守義君 そうしますと、この五条の自衛権の発動の場合には、個別に自衛権が発動される場合にはこれは別、しかし、問題になるのは共同行動ですが、さっき防衛庁長官が個別的にあるいは集団的にというお話がありましたが、おそらく五条は両方をさしているでしょう。そこで、集団行動に出るという場合に、少なくともいままでの過去の実績からすれば、アメリカの自衛権の解釈は非常に拡大されている。日本は狭義に狭義に解釈をしている。そこで、集団的に行動を起こさねばならぬという事態に対する認識あるいは解釈、これは私は必ずしも自衛の条件と同じように同一ではない、こう思う。したがって、条約をたてにとってアメリカが履行を迫った、しかし、日本は、いや私どもはそういう広げた解釈をしないのだ、いやだ、こういう場合には、どうなりますか。
○国務大臣(三木武夫君) 日本が攻撃を受けた場合、これは解釈上の相違は起こってこないのですけれども、いまおそらく、御指摘の場合は、日本以外の、施政権の及ぶ領域以外でそういう事態が起こったときの場合だと思うのですが、その場合には、事前協議の条項によって、日本が日本の基地を戦闘作戦行動の基地として使うことを認めるかどうかということは、事前協議によって、もし解釈の違いがあったならば、解決するというたてまえだと私は考えております。
○森中守義君 だめですよ、外務大臣。私は五条を限定していまものを言っているじゃないですか。自衛権は五条以外に日本が発動できないのですよ。できますか。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の場合はできませんけれども、もしアメリカが極東に対して自衛権の発動という形で日本の基地を使う場合に、日本の解釈とそこにいろいろ違いがあるではないかという御懸念のようでありますから、そういう場合には事前協議の条項にかかると申し上げておるのでございます。
○森中守義君 どうもやはり納得できない。いま私が五条をとらえて言えば、いやそれは六条関係の領域外のことだ、こういう答弁ではまるっきり話が違う。五条ですよ、問題は。わが国は五条によって、自衛権の発動は領域内、つまり、領土、領海、領空に限定されるわけだから、それ以外に自衛権はないじゃないですか。その場合に、領域内で集団防衛をやらなければならぬような場合に、自衛権が食い違った場合にどうするかと、こう言っている。これは事前協議の対象じゃありませんよ。もうちょっと正確に答えてください。
○国務大臣(増田甲子七君) 外務大臣がお答えすべきかと思いますが、第五条のことは森中さん御指摘のとおりでございまして、日本の施政権の行なわれる日本の領域内に武力が行なわれた場合、すでに行なわれた場合に、こちらがそれに対する反射的行動として自衛権が発動されるわけでございまして、そういうときには、もちろん日本の領域内におけるアメリカの施設その他に対して攻撃があった場合にも、反射的の自衛権が発動するわけでございまするが、その場合には、日米共通の危険に対処する、こう書いてあることは共同防衛をするということでございます。
 それから、領域内においてアメリカだけが自衛権を発動ということがよくわからないのでございまして、日本の施政権の行なわれる日本の領域内においてアメリカの自衛権が発動して、日本の自衛権が発動しないということは何だかおかしな話で、私はそういうことはちょっと仮定できないのでございます。日本の施政権の行なわれる日本の領域内とは、領土、領空、領海だけでございます、御指摘のとおり。そこに、しかも過去――過去と言えば一秒過去でございますが、一秒過去において外部から武力行使が行なわれた場合に、日米が共通の危険に対処する、これだけでございまして、アメリカだけが何か自分で考えを起こして、そして日本の領域内においてアメリカの自衛権を行使するということはちょっとこれは法律のいろんな仮定の問題として論理を勉強するという場合にも、私は考えられないことだと思います。日本の領域内においてアメリカが自衛権を発動する、そこで、それは第六条になる、つまり、第六条は日本を基地としてアメリカ軍が日本の領域外に戦闘作戦行動をとる場合、この場合のことを第六条は規定してあるわけでございます。
○森中守義君 質問に対する把握がどうもやっぱり十分でありませんよ。要するに、五条の中で集団自衛をするという場合に、意見が必ず違う。アメリカの自衛権とわが国の自衛権はとらえ方がだいぶ違っているということを私は指摘している。異なった状態で自衛行動に出れるかどうか、もっと突き詰めて言うならば、アメリカはそれをやりたいと、こう言う、日本は、いや解釈が違う、あるいは自衛に対する認識が違う、事態に対してですね。そういう場合に、断わったときに断わり切れるかと、こう言っているのです。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の自衛権の行使は、日本の施政権の及ぶ範囲に限られておるわけです。攻撃があっても、それ以外には出ていけないわけです。これは独自の憲法の条章に従った行動しか許されない。アメリカの場合は、日本への武力攻撃があった場合であり、日本の自衛隊でないのですから、この危険に対して日本とアメリカが対処するわけであっても、アメリカは日本の施政権以外にも行ける。これはしかし、両方が一緒になって行くのではない。日本の自衛隊は憲法の範囲内で、いわゆる領海、領空以外には日本の自衛隊は行けない。だから共同でない、別々になる。アメリカは、日本が不法の攻撃を受けた場合に対して、日本の施政権の以外にもアメリカは行くことができる。それはしかし、両方が一緒になって、自衛隊と一緒に行くのではない、こういう解釈に考えております。
○森中守義君 さっき、しかし、あれですよ、防衛庁長官は、領域内では個別的に、あるいは集団的にというお話がありましたよ、食い違うじゃないですか。どっちがほんとうですか。五条では集団を許しておりますよ。
○国務大臣(増田甲子七君) 森中さんのおっしゃる趣旨が、実は私も外務大臣もつかみ得ないわけでございまして、趣旨が明瞭であれば明確にお答えいたします。
 第五条は、日米安全保障条約でございまして、集団的に共同防衛をとる体制が各条ともございませんけれども、第五条に集約されておるということは申し上げます。そこで、アメリカはそのときに、日本の防衛に、つまり、共通の危険に対処するということをしてくれるわけでございまするが、しかし、アメリカの軍隊はアメリカの憲法その他の条章に従って行動いたしまするし、日本の防衛庁、自衛隊は日本の憲法その他の自衛隊法あるいは防衛庁設置法という条章に従って行動する、でございまするから、おのずから根拠とする条文は違います。日本は日本国憲法であり防衛庁設置法であり自衛隊法でございます。アメリカはアメリカ国憲法でありアメリカ国の各種の軍隊を規律する法律に準拠して共通の危険に対処するというんですから、それは準拠するところは違うことは違いまするが、行動は大体共通の危険に対処するわけでございます。
○森中守義君 そうしますと、五条で言う集団自衛ということは、おのおの自衛権の発動の根拠はむろん違うけれども、違うものを一緒にしてやろうということじゃないんですか、その点が私はわからない。
○国務大臣(増田甲子七君) これは自衛関件と法制関係とあると思いますが、法制関係につきましては、法制局長官からお答えいたしますが、行動といたしましても、たとえばアメリカのほうは東北方へ行ってくれとか、日本の自衛隊は西方へ行くというようなことはありまするから、必ずしも両方が東北方へ行くということには限らないのでございます。
○政府委員(高辻正巳君) いろいろの問題が含まれているように思いますが、ただいまのお話に関して総合的に申せますことは、やはり安全保障条約の第五条、これが根拠でございますが、そこには「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」とここに書いてございます。これにいま御指摘の問題全部含まれていると思うわけでございますが、まず第一に、この第五条の適用上それぞれの自衛権が発動するというのは、あくまでもいずれか一方に対する武力攻撃、この場合には、わが国の施政のもとにある領域におけるいずれか一方というわけで、要するに、わが国に対する武力攻撃が加えられたと、そういう場合に共通の危険に対処するために、ということでございますので、いずれも武力攻撃が加えられない場合に、それぞれの、あるいはアメリカが行動を起こすんではないかというようなことは条約上はあり得ないわけでございます。で、その武力攻撃があったかなかったかということは、いろいろ具体的な事実に即して見るべきでありますけれども、いずれにしても、武力攻撃ということでございますから、日米の間に考え方の相違があるはずはないのでございまして、いずれにしても、武力攻撃があったという場合に、双方の国が共通して危険に対処する、その場合には自国の憲法上の規定に従って、ということでございますので、先ほど私が申し上げましたように、わが国の自衛隊についてはわが国の憲法のもとに、もしアメリカにそういうものがあればアメリカ憲法のもとに、ということになりますが、いずれにしましても、先ほど申しました国連憲章の規定がその上にかぶっておるということになります。
 それから、自衛権について、集団的自衛権と個別的自衛権というお話がございましたが、わが国で言えば、これはまさに個別的自衛権の働き、わが国が攻撃を受けた場合に、これに対処する自衛の措置でございますから、個別的自衛権ということになります。アメリカの場合には、これは法制上の説明だけのことでございますが、アメリカは自国が侵害を受けた場合に自衛の措置を講ずるんではなくて、わが国の侵害に対してアメリカが日本と一緒になって日本を防衛するというのでございますから、この大もとの根拠は何かと言えば、アメリカは集団的自衛権によってわが国を防衛するということになっておるわけです。いずれにしましても、それは法制上の説明でございまして、あらわれるところは、第五条の関係で、武力攻撃が発生した場合に、日米が共通の危険に対処するために行動する。したがって、武力攻撃がないのに一方が出ていくというようなことは安保条約上はあり得ないということでございます。
○森中守義君 そこで、もう一つの問題は六条の問題ですが、これは事前協議の前にもう一つ何かあるんじゃないですか。国連憲章三十九条による手続がとられてしかるべきじゃないかと、こう思うんですが、どうでしょうか。
○政府委員(佐藤正二君) お答えいたします。
 六条の関係とおっしゃる――事前協議というお話でございますが、おそらく戦闘作戦行動の問題だろうと思います。戦闘作戦行動へ移行する前に、三十九条の安保理の決議なり何なりをやらなくちゃならない、それはそのとおりでございます。その関係は、国連憲章として安保理の決議をとって集団的な強制行動をとるというたてまえになっております。その前に、五十一条のいわゆる自衛権の発動ということはあり得るわけでございます。したがって、その自衛権の発動が行なわれた場合には、たとえば米軍が集団自衛権の発動として戦闘作戦行動をとるというような場合には、その事前協議の問題がかかる、そういう関係になるんじゃないかと思います。
○森中守義君 大体わかりました。
 それで、いま一つ条約局長にはっきりしておきたいのは、六条の場合には、強制行動については、三十九条によらねばならぬ、そのあとで事前協議に乗ってくると、こういうことですね。
○政府委員(佐藤正二君) その事前協議と強制行動との関係は、むしろ、事前協議と直接にそういうふうに関連があるんではなくて、安保理の強制行動のとられる前に、いわゆる固有の権利としての自衛権がありますので、安保理の強制行動がとられる前に、もう自衛権の発動はあり得ると、その関係だけが関係になりますので、あとの事前協議の戦闘作戦行動の問題はそれとは別個に、アメリカがたとえば戦闘作戦行動をとる、これはあるいは集団自衛権の発動としてとるのかもしれませんが、その場合に事前協議にかける、そういう関係になるんじゃないかと思います。直接に関連があるということではないように私考えております。
○森中守義君 条約局長、六条には要するに自衛権と、さらにいま一つは強制行動、二つが入っているわけでしょう。だから私は、自衛権の場合、これはいいと言っているんです。ただし、強制行動をアメリカがとろうとする場合には、三十九条の手続を踏まねばならぬのじゃないか、こう聞いているんですがね。さっき、いやそのとおりだということだったから一応了承したんですが、いまのお話で、少しまたわからなくなった。もう少し正確にお答え願いたい。
○政府委員(佐藤正二君) 第六条は、御案内のとおり、日本における施設、区域をアメリカ軍に使用せしめる、その許容するという規定でございます。したがって、この規定が直接に、何と申しますか、武力行使と申しますか、強制行動と申しますか、そういうふうな、いわゆる、それを許した規定というふうには解釈できないわけでございます。したがって、この六条にもし関連ありといたしますれば、六条に関連しております事前協議の交換公文、事前協議の交換公文自体には、戦闘作戦行動の場合の事前協議の規定がございますから、その関係に関する限りは、強制行動との関連があると思いますが、そういう意味で私お答えいたしましたんで、その六条自体と強制行動とが直接に関連するというふうに私、解釈しておりません。
○森中守義君 交換公文で、いわゆる事前協議というのが非常に明確になっております。六条の本体では、私の解釈が悪いのかもわからぬけれども、少なくともアメリカが固有の自衛権を発動する場合、いま一つの状態としては、三十九条の規定に該当するではないかという、つまり、警察行動というのか、あるいは強制行動というのか、そういうものが併存するのじゃないか、こう聞いている。したがって、併存する場合には、後者の警察行動あるいは強制行動と言うべきかどうかわからぬけれども、そのことについては、国連憲章三十九条の手続をとらねばならぬのじゃないか、こういう質問なんですがね。
○政府委員(佐藤正二君) 六条は、御承知のとおり、たびたび申し上げておるのでございますが、アメリカ軍に施設、区域を使わせるということであります。その施設、区域の使用の態様といたしまして、三十九条の――三十九条は勧告の規定でございますが、いわゆる強制行動の勧告が行なわれた場合に、米軍がその第六条の規定を使ってその施設を使用する、そういう事態はあり得ると思います。ただし、その場合には、国連自体の行動になりますのでございますから、したがって、アメリカの軍としてじゃなくて、国連のいわゆる活動としての使用という形になるだろうと思います。
○森中守義君 そうすると、この六条というのは、あくまでもいわゆる三十九条の手続は要らない、こういうことですね。国連憲章とは関係ない。
○政府委員(佐藤正二君) 要らない、そういう場合もあると申し上げているわけでございますけれども、施設の使用の態様といたしましてでございますね、三十九条の勧告が行なわれて、アメリカが、たとえば、全く仮定の問題でございますが、日本の近辺で何かの紛争が起こった、それで、いわゆる国連の活動として各国に勧告が行なわれた、強制行動の勧告が行なわれたというような場合に、施設がそれで使用されるということはあり得ると思います。
○森中守義君 その場合には、三十九条によらねばならないということですね。
○委員長(西郷吉之助君) それでは、午前の審議は、中途でございますが、この程度にいたし、午後一時再開いたします。
 これにて休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時、二十四分開会
○委員長(西郷吉之助君) ただいまより予算委員会を再開いたします。
 午前に引き続きまして質疑を行ないます。森中守義君。
○森中守義君 総理にお尋ねいたしますが、最近、沖繩基地問題研究会というものをおつくりになりましたね。これはどういうものですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩問題懇談会。この前、私が昨年ワシントンへ出かけます前に民間のそういう団体ができまして、いろいろ私の相談相手、また私にいろいろ建言をしてくれる、そういうものでございます。
○森中守義君 懇談会の下部機構として研究会ができているのじゃないんですか。これには、総理、官房長官が了承を与えられて、官房長官が出席されているということがいわれておりますが。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのは沖繩問題懇談会のお尋ねかと思って、そのとおりにお答えしたのですが、下部機構に研究会があるということは私は存じません。ただいまの研究会は、懇談会、あるいは懇談会の中で何か専門によってそれぞれ検討さしているということはあるかもわかりませんが、そこまで私はタッチしておりません。
○森中守義君 おそらく新聞の誤報ではないと思うんですけれどもね。二月の十八日の各紙ですよ。これによれば、懇談会の下部機構に――それはいま総理の言われるようにどういう性質のものであるかが実は疑問だから聞いているんですが、要するに、懇談会の下に沖繩基地問題研究会というものができた、これは総理が了承されて、官房長官がその会合に出席をされているということが伝えられている。しかも、その内容では、来年の春ぐらいまでに報告書を出したい、そのことが返還交渉の目鼻をつけるのだというような意味合いで出ているんですよ。おそらく誤報じゃない、各紙一斉に出しているのですからね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩問題は、御承知のように、財政問題もありますし、金融問題もあるし、産業問題もあります。また同時に防衛問題もあるし、それぞれ専門家の連中の集まりでございます。したがいまして、ただいま言われるような、その一部のものを抽出して検討しているということもあるのではないか、かように私も想像します。
○森中守義君 そうしますと、そのこと自体は了承されていないが、懇談会がそういう各分野に分かれていろんな会合等を積み上げる、したがって、言いかえるならば、沖繩返還の具体的な交渉の作業に入った、こういうように理解をしていいですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまのその部会、専門部会ができましても、総会にかけて、そうして沖繩問題懇談会が一応取り上げる、その上に私のところへ持ってくる、かように私は承知しております。したがって、ただいま沖繩問題懇談会がそういう作業をしている、いろいろ検討している、これは、私の意を受けてそういう選考を始めたと、かように言われると、ややそこに開きがあるかと思います。しかし、沖繩問題懇談会を最初に考えましたのは、沖繩の祖国復帰を実現するために民間の団体をして十分協力させよう、こういう意味の問題でございますから、これらが、沖繩問題懇談会が、ただいまのような具体的問題を取り上げて検討する、これはまあ当然のことである、また私の望むところでもあると、かように御理解をいただけばいいと思います。
○森中守義君 あとで、研究会については官房長官が見えたときにお尋ねしますが、総理の言われる両三年、物理的に、これはもうある程度、両三年ということはわかるのですが、いままで全く白紙であるというお答えが続いてきているわけです。で、しかしながら、中身が何かの形で集積されていかないと、なかなか容易じゃなかろう。したがって、正確にいつということまでは申しませんけれども、少なくとも、どういう段取りのもとに返還交渉の内容を詰めていかれるのか、しかもその時期はおおよそいつごろなのか、まあこの辺のことを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、私昨年アメリカへ参りまして、いろいろ米政府と相談をして、そのときに、とにかく沖繩の祖国復帰、そのめどを早くつける、ただいまの状態では祖国復帰のそのめども立たない、こういう状態だと……。これにはまあいろいろな事情もございます。ただいまのような国際情勢下において、祖国復帰がすぐ右から左に実現すると、こういうことも考えていない。アメリカ自身にも、いろいろの準備その他の都合もあるだろう。また、ちょうど、大統領の選挙もありますし、まあいろいろな問題がそこにございますので、それらのことを勘案しながらできるだけ話を詰めていく、で、これが沖繩同胞の念願でもあるし、また、日本国民としても一日も早く祖国復帰を念願しておる、祈っておる、そういう立場に立って両国政府がこの問題の実現にひとつ協力してほしい、こういう話をしたについて、アメリカ側も、日本国民の願いはよく理解するところだ、かように申して、そうして返還ということを実現するについての長期的な継続的な協議をしよう、こういう共同コミュニケが出たわけです。これは御承知のとおりであります。そうして、皆さんからも、もうすでに、昨年の十月でありますか、それから半年たっているじゃないか、政府は何をしているんだ、こういうおしかりか、あるいは鞭撻か、これを受けておるのがいまの実情であります。私どもはそれに答えまして、いろいろ皆さんから鞭撻をいただいておることはたいへんうれしいことだけれども、ただいま申すように、それぞれの立場もあり、いますぐその話に取り組めないような事情もある。私自身がいつまでも白紙であるというわけでもない。これも早く結論を出すということ、そういうことについては、私自身が責任の立場にあるものですから、みずからこれと真剣に取り組まなければならない。そのためには、経済の問題等について、いまの日米琉諮問委員会ができて、本土との一体化をはかっておる。もうすでに高瀬諮問委員が任命されております。そのほうの努力は着々と続けております。
 しかし、一方で、この沖繩における米軍基地のあり方、これにつきましては、現状において十分把握をいたしておりませんし、また、これについての今後の変化、そういうこともアメリカと十分話し合ってみる必要があるのじゃないか、かように実は方向を皆さん方にお示しして、しかる上で私どもの態度がきまるのだ、こういうようなお話をしております。だから、ただいま、そういう方向だというもんですから、あるいは基地の態様によっては国民の意思を聞くのかどうかというようなお尋ねまで実は受けております。しかし、これは皆さまのお気持ちはわかりますけれども、たいへん先ばしった、急いだ話のように思いますので、質問のように思えますので、それらの点については誤解のないように、ただいまの状態は、私は白紙でございます、かように答えておる。しかし、私が白紙だからといって、私が何にもしないで、ただ傍観しているとか、こういうものでないことだけは御了承をぜひともいただきたいのです。しかし、さらに突き進んで、どんな態度でアメリカと交渉するんだ、かように言われると、ただいままだ結論を得ていない。したがって、私は白紙だ、かようにお答えせざるを得ない、こういう状況でございます。
○森中守義君 総理のように、あまり先ばしっていろいろ聞くなと言われると、これは何のために私どもは仕事しているかわかりませんから、それは総理、少々言い過ぎですよ。しかし、そういうことはともかくとしまして……。
○国務大臣(佐藤榮作君) 聞くなとは言わない。お気持ちはよくわかる。
○森中守義君 それはいいですが、ただ私ども非常に印象に深く残っているのは、昨年の一月十九日ですね、衆議院の選挙のときに、滋賀県の大津に行かれた。ここでの記者会見、いまでも有名なんですが、大津談話、ここで実は沖繩問題が正式に総理から国民に知らされたわけですよ。要するに、三つの問題を出された。東南アジア訪問、アメリカ訪問、沖繩の一括返還、これですね。実はその直後に当時の福永官房長官が記者会見をしている。総理のあの言明というのは心当たりがある、こういうことを言われた。ですから、私ども当時のあの印象をいまなお忘れられないのは、かなり具体的だろう。しかも、その直前にラスク国務長官が日本に来ている。だから、その辺に、総理に少なくともアメリカ側から何かの意思表示があったのか、示唆があったのか、それは私どもいまでもやっぱり踏まえている。ですから、何にもないのだ、ないのだ、こう言われても、それが非常にむずかしいということであれば、たたみかけて聞くのもどうかと思いますけれども、もう少し具体的に聞かしてください。官房長官の談話の趣旨等もですね。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私が祖国復帰についてただいま白紙だと申しましたのは、アメリカと交渉するその具体的な方法が、まだ、ただいまきまっておらないということでございます。しかし、その前にいわゆる大津談話というものが出ておる――あのときに非常に国内で議論のありましたのは、施政権の部分的返還という問題があった。あるいはその一部を切り離して返還ができるかのような意見、議論が盛んに行なわれていた。教育問題だけでもひとつ祖国へ復帰さしたらどうか、こういうのが実現できるかのように言われていた。この考え方は私自身賛成しないのでございまして、当時は、私の内閣のもとにおいての意見でありますから、もっと統一したものが国民としては望ましかったろうと思います。しかし、これは、私の内閣のもとにおいて森大臣がそういう発言をしていた、そうしてそういう方向でいろいろ努力をしていた。しかし、私考えるのに、これは森君のその考え方も閣議に、はかっておりませんが、しかし、どうもそれが進み過ぎているように思い、また、それをいざ実現しようとなると困難に必ずぶつかる、かように私考えまして、私自身が、総理という立場から、この返還問題は全面返還でなければ十分意味をなさないんだ、そういうことで、行き方を実は明示したつもりでございます。その当時に、返還の方向へ踏み切ったいわゆる大津談話というものが出されておりますから、その方向で私どもは努力している。これが、その後沖繩問題懇談会ができ、沖繩問題懇談会の意向も十分確かめて、さらに私がワシントンに出かけてその線で交渉した、一括返還の方向で努力している、というのが現状でございます。その方向、いわゆる祖国復帰の方向というものがこれではっきりした。
 そのときに、同時に、南方の領土、その地域には、沖繩と小笠原と二つある。小笠原のほうは、軍事基地といたしまして、ほとんど沖繩に比べるような問題もございませんので、このほうは、返還、祖国復帰がわりあいに早く実現するだろう、かような見通しをしておりましたが、案の定、ワシントンへ出かけてみると、このほうはたいへんスムーズにいった。ただいま、外務大臣のほう、外務省と米ジョンソン大使との間にいろいろ折衝を続けておりますから、いずれ協定ができ上がり、皆さん方の御審議をいただく、そういう段階にこぎつけるだろう、かように私思っております。しかし、沖繩のほうの住民百万が言うようにこの沖繩問題はそう簡単ではございません。これが祖国復帰するためには、私どもが、政治、経済、社会の全面にわたってその準備をしなければならない問題がございます。それをただいま取りかかっておるという段階でありますから、ただいま、ただ祖国復帰、それを実現すればいいじゃないかというだけでは済まないようであります。また、アメリカ側にはアメリカの考え方もございましょうから、その辺もよく聞いて、そうして、もちろん日本の考え方がございますが、それにしても一方的だけの話でこの問題を片づけるというわけにいかないんじゃないか。そこは、相互の理解と協力のもとにおいて実現すべき問題である、かように考えて、政府はなお慎重な態度をとっておるというのが現状でございます。
○森中守義君 そこで、もう一つ進んでお尋ねしておきたいのは、総理の最近の国会におけるお答えというものは、少なくとも基地問題ということが一つのかなめをなしておる。そうなりますと、これはやはり安保と関係ないものとしては理解されません。そうなれば、四十五年の六月二十三日には安保の問題を処理しなくてはならない。一体、沖繩の問題と安保の問題を分離して処理されようというのか、あるいは同時に解決されようというのか。どうしても、ものの考えとして、分離されたものとしては考えられません。すでに自民党の中には長期固定化論があり、自動延長論があり、むろん私どもは無条件全面返還、こういうことですからね、こういうものとのかね合いにおいて、一体、沖繩と安保は別個の処理なのか、同時のものであるか、その点が一つ。その答えが出れば、大体両三年というめどは、もう、中一年しかないわけだから、ある程度、むずかしくたたみかけはしませんけれども、おおむね理解はできる。その点いかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日米安全保障条約は安全保障条約の問題、沖繩の祖国復帰は祖国復帰の問題、これは理論的にははっきり別々の問題でございます。たが、私がこの際に申し上げたいのは、日米安全保障条約は締結してからの最初の十年がいま来ようとしております。これは、最初の十年を経過するそのときには、一方の国が通告すればこれが変えられるというか、そういう状況になるわけであります。しかして、沖繩の問題については、沖繩の同胞の気持ちに私どもが重点を置けば、これはもう一日も早く祖国に復帰したい、異民族の施政権下にあることには耐えられない、その気持ちは率直に私ども考えるべきだと思います。したがいまして、ただいまのように関連がない問題でございますが、私が昨年アリメカに行って話をしたジョンソン大統領との話では、いかにも両三年のうちに祖国復帰のめどをつける、何だか少し間が抜けているんじゃないか、これは沖繩の同胞の気持ちを率直に表現したものではないじゃないかというおしかりを実は受けております。そういうことを考えると、この沖繩問題については私どもがあらゆる努力をして、できるだけ早目にそういうめどをつける、そういう方向の交渉をすべきものと、かように私自身は受け取っております。したがって、この沖繩問題は沖繩問題として処理をし、そして日米安全保障条約、そのほうは、締結してから後の最初の十年が来たのだ、そういうときに考えればいいことだと、かように私は思っております。
○森中守義君 そういうおそらくお答えだろうという予定はしておりますけれども、しかし両三年ということをくずさない限り、期間として、やっぱり安保と季節的には符合するということが一つ。それと、なるほど形式的には、安保と沖繩、それは別個なものですよ。しかしながら、これは形式的には片づかない。どうしても、総理がよく言われる日本の安全保障、しかも、今日の沖繩における米国の基地の展開というものを考えると、これは分離されたものじゃない、こう私は思うのです。しかし、それは否定をされればしかたがないことなんですが、結論として、それじゃ時期は、両三年ということは、もうあまり重視すべきものじゃない、こういうふうに言われたおつもりですか、それとも、いや両三年ということはいまなお時間としては踏まえているんだ、こういうことなんでしょうか、どうですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 森中君、大体私の気持ちをわかってくだすったかと思いますが、いまの両三年というのは、私は、さっき申しますように、沖繩の同胞の気持ちに十分ウエートを置いて、その理解をして、そして政府がアリメカと交渉しなければならない問題だと、かよう考えております。したがいまして、今日、もう昨年から半年たったじゃないか、両三年がもうそれだけ短縮されたんじゃないかというような話もございますけれども、私は、そういうような数学的な問題じゃなしに、もっと率直に沖繩同胞の気持ちを理解して、そしてあらゆる努力をすべきじゃないか、かように私は思っております。
○森中守義君 さっきの懇談会ですね。これの問題ですが、少なくとも政府が対米交渉に当たられる積み上げとしてはいろいろなものが必要だと、それで、この懇談会というものは総理の諮問機関と、こうなっているわけですが、対米交渉に臨む際には、この懇談会にどうすればいいかという諮問をされますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 沖繩問題懇談会は、ただいま言われるように、諮問するとか、どうこういうような形をとっておりませんが、絶えず私に対しまして沖繩問題懇談会それ自身が働きかけております。この点では、大浜君が会長でございますし、御承知のように、大浜君は沖繩の出身でもございます。そういう意味で、たいへん沖繩の同胞の気持ちをよく知っておりますし、また事情にも明るい、そういう意味から、できるだけ早く実現したいと政府のほうでも考えておるけれども、さらにそれを鞭撻するというような意味から材料をそろえてくれる、こういうことをやってくれております。もちろん、その材料だけで政府が動くというものではございませんが、しかし、これはそういう意味ではたいへん役立っておるように思っております。
○森中守義君 そこで沖繩の問題は、いままで何べんも言われたように、あの基地の状態等からして、ベトナムの問題とやはり無関係のものとは考えられません。最近、ウエストモーランド援助軍司令官が解任されたようですね。きょうあたりは、また朝鮮戦争に使ったたいへんな軍艦を持っていく、こういうこともあるようですが、一体ベトナムはどうなりますか。少なくとも日本政府としては、あの戦局の展望というものはお持ちだと思う。そのことがやっぱり沖繩に戻ってくるのだ。政府としては、これから先のベトナムですね、戦局の展開はどうなるか、その判断をひとつ御披露願っておきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) まあ、日本政府のベトナム問題の将来についての見通しを立てましても、あまり役立たないかと思いますけれども、私どもがベトナムに一日も早く和平が来るように心から願っておる、それにはいまも変わりございません。ところで、大体旧正月を迎える前までは、比較的その方向にいくのじゃないだろうか、ともかく南北両ベトナム間において話し合いも始まるのじゃないだろうか、こういうような実は希望的な期待もございました、率直に申して。しかし、旧正月、いわゆるテト反攻とでも申しますか、全面的な反攻、これによりまして、なかなか、南北両ベトナム間において話を始めるというのは、まだまだ、いまだしという感を実は深くしております。私は、かようなことが長く続いては、民族の不幸この上もない、かように思いますし、さらに戦火の拡大等を心配すれば、それは何としても一日も早く両者が話し合いに入るべきだと、かように思いますが、それにつきましても、それぞれの両国のうしろには大国が控えておりますから、こういう大国も世界の平和のためにほんとうに胸襟を開いて話し合うという態度であってほしい、かように思います。私どもも、いろいろあらゆる機会に、この和平への努力、あるいは協力、そういうことのできる方法はとってまいっておりますけれども、しかし、何と申しましても、米ソ中、それらの国々がベトナム戦争の背後にある、そういう強国の力、これがやっぱり和平のその方向に積極的に動くことが望ましい、そういう意味におきましても、私どもあらゆる機会に、アメリカにも話ができますし、また、ソ連にも話ができる立場ですから、そういうような努力をしておるような次第であります。
○森中守義君 具体的に戦局がどう展開するかということはなかなか判断がむずかしいと思う。しかしながら、結論として沖繩問題と重要な関係がある、そういう相関性において両三年というものが固定してくるのか、あるいはそれはくずれるか、その辺の見解についてはいかがですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、両三年の間に沖繩返還のめどをつけるという、それには大体間に合うのではないだろうか、いわゆる国際情勢の変化というものはある程度ございましょうけれども、それには相当期待をかけたもの、希望的な期待というものもございましょうけれども、私は、それにはさして問題がないのじゃないか。また、その間において科学技術の進歩なども、この問題を決定するのにいい方向に、役立つ方向に発達が働くのではないだろうか。また、国論にいたしましても、世論の動向なども、そういう意味では両三年たてば鎮静するのではないだろうか、かように実は思っておる次第でございます。私は、いずれにいたしましても、一番不幸な状況は、沖繩返還問題をめぐり与野党ただいま意見を異にしておる、そういう状態がたいへんな不幸ではないだろうか、かように実は思うのであります。この点におきまして、私どもは、日米間の理解と協力のもとにおいてこれを実現しようとしておるという立場でございますが、その方向に、もしも国論が協力願えれば、私たいへん沖繩問題を解決する上におきましても都合のよいことではないだろうか、役立つのではないだろうか。しかし、ただいまの状況のようなもとにおきましては、これはなかなか一党――政府だけの願いであって、まだそこまでいっておらないのございますから、たいへん残念なことに思います。しかし、両三年たてば、きっとこの話し合いのつくめどが、祖国復帰の話し合いがつく、そういうめどをつけ得る、かように私は考えております。ただいまこういう状況におきましても、この私の考え方には変わりはございません。
○森中守義君 さっきの懇談会の諮問の問題も一通りわかりました。それとベトナムの問題等に関係のあることもわかりました。そこで対米交渉にいつ臨むのか、内容はどういうものか、その辺の政府の時期程度のことはお示しになっもいいのではないだろうか。いま総理は、国論が分かれておる、与野党が一致しないと、こうおっしゃる。それは確かにそのとおり、しかしこの問題をイデオロギーの問題として一面ではとらえると同時に、それはやっぱり国民的な合意ということが総理の言われるように必要でしょう。それには率直にいまこういう状況にある、総理はこう考えておるということを、かなり大胆に、しかも率直にお述べになることが、少なくとも合意に接近をしていく一つの方法じゃありませんか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の考え方がきまれば、野党の諸君にも御協力を得るようにそういうことでお願いすると考えますけれども、ただいままだ白紙でございまして、いわゆる白紙、ただいまの状況がそういう状況でございますから、野党の諸君にもまだ御協力を求めるような話しかけをしておらないような現状でございます。
○森中守義君 たいへん執念深いようですが、具体的にどういうまとめをされますか、どんな取りまとめを。
○国務大臣(三木武夫君) これはまずいきなり総理大臣というわけにもいかないんで、それで外務大臣の手元で――外務大臣と大使との間に話し合いが始まっていくと思います。そこで、いま小笠原をやっておるものですから、これが大体片づきますれば沖繩の問題というものが協議に入る。そのときに一体どういう問題から――いろいろ解決しなければならぬ問題が沖繩問題はたくさんありますが、こういう問題を拾い上げてみて、どういう順序で協議をしていくかというものを第一回の会議で話し合ってみたいと思っております。いまいろいろお話のあった沖繩問題懇談会でも、経済面から行政面財政面、いろいろ検討されておりますが、基地の問題もありましょうし、沖繩がやっぱり二十何年もああいうアメリカの支配にあったわけですから、これは日本の秩序に復するというのはたいへんな問題が私はあると思います。この問題を全部拾い上げて、どういう問題から話し合いを進めていこうかということを、アメリカとの協議のときにきめて、そうしてそういう順序に従ってやるということになると思います。
○森中守義君 どうも総裁候補の候補者らしい人を無視してはなはだ失敬しました。そこで外務大臣、琉球諮問委員会、ここもこれに関係をしますか。
○国務大臣(三木武夫君) これは総理大臣の諮問機関でありますから、したがって非常に――この沖繩問題の諮問の委員会はなかなかいい検討を加えられておりますから、これは日米の協議の場合に参考になることも私は多いと思う。これが協議に何も入ってくるわけじゃありませんよ、この問題。ただそこの成果というものは、協議をする場合に日本政府の参考にいろいろなることが多かろう、こういうことでございます。
○森中守義君 どうもこれ以上いろいろ申し上げてもお答えがないようですが、進んで申し上げますがね。四十五年の安保はどうされるつもりですか、自動延長、長期固定化、こういういろいろ意見があるようです。むろん私ども固有の意見がある。これをひとつお答え願っておきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 日米安全保障体制こ、れは今後も引き続いて堅持する、こういう政府の方針をきめております。そこで一体どんな形をとるのか、こういうお尋ねでございますが、これはまだきめておりません。いまからきめてかかる筋のものでもないように思います。この体制だけは堅持したい、かように考えております。どういう形をとるか、きめておりません。
○森中守義君 党論がまとまっていないというんですね、意見がまとまっていない。それで総理個人としてはどう思われるか、総理の見解としてはどういう道を選ぶおつもりですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) いまちょっと党論がと、党できめるわけではございません。政府自身が、私自身がまだきめてないという状況でございます。
○森中守義君 ある程度こういうことはやっぱり私はきめて――なるほど最終的な決定はないでしょう。しかし調査会ができて、それで報告も出ているわけですからね。そうむやみに幾つも幾つも方法があるとも思えない。要約すれば長期固定化か、あるいは自動延長か、この二つじゃないですか、政府のほうがおとりになろうとする方法は。どちらを選ぼうとされるのか、その辺のことぐらいはお答えになってもいいんじゃないですか。
○国務大臣(佐藤榮作君) その辺ぐらいのことはとおっしゃるのは、どの辺ぐらいのことか、私にもわかりませんが、先ほど来申し上げておりますように、いまの日米安全保障体制、これは堅持したいと、また堅持すると、かように申しておりますが、その形をどういうふうにするか、まだきめてない。これは私自身の、政府の考え方でもございますので、これはそのままひとつお受け取りいただきたい。
○森中守義君 その場合、やはり国民への意思を問う必要がある、これはこの前の沖繩問題も一緒ですよ。だから一体、予想される長期固定化あるいは自動延長、あるいは全面的な廃棄、そういう国民の意思を問う必要があると思うのです。それをおやりになりますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 安全保障条約で国民の意思を問う必要があるというのも、森中君の御意見だと思うのです。私はその必要はないんじゃないだろうかと思います。国民の大多数は、この日米安全保障条約のもとで安全が確保され、経済的な繁栄の道をたどることができた、かように思う。大多数の者が安全保障体制、これを支持している、かように私どもは確信をしております。これは過去の数回の選挙等を通じましても絶対の支持があるゆえんはここにあると私は考えております。
○森中守義君 どうも総理のそれは少し思い過ごしのように私は思う。しかし、やはり国論が分かれているという先ほどの御指摘もあったし、やはり将来の安全というのは非常に重要な問題ですよ。むしろ進んで国民の意思を私は問うべきだと思う。しかし、それはやはりおやりにならないということであればいたしかたありませんが、しかし納得できないような状態で、しかも政府のひとりよがりなことでこういう条約を結び、あるいは延長するということは、非常に危険だと私は思います。お答えは一緒かわかりませんが、そういうことで、この問題をもう一回お尋ねしておきたいと思う。
○国務大臣(佐藤榮作君) 政府は当然国民に信を問う事柄であれば国民の信を問うべきが政府のあり方だと、私はかように思います。しかし、具体的に安全保障条約の問題で国民に信を問うか、かようなお尋ねでございますから、この問題については、もうたびたびの選挙を通じて国民の意思ははっきりしておりますから、私はこの問題で国民の信を問わなければならない、かように思いません。この点については森中君と意見が相違しております。かようにはっきり申し上げておきます。
○森中守義君 先般の十八カ国軍縮委員会で決定をされて、やがて国連の討議に付されんとする核拡散防止条約、これに対する日本政府の態度はきまりましたか。
○国務大臣(三木武夫君) 相当日本の主張が取り入れられておるわけです。草案に対しては。したがって、最初の米ソ案よりも今度の最終案のほうが改善になっておる余地はございます。しかしながら、政府は核戦争の防止に役立つという意味において、その精神には賛成をしておりますが、いままだ出たばかりに、日本政府がすぐにこれに対して調印するというようなことを言う必要はない。これは国連に出まして、国連でいろいろ討議をされた場合に、より公正な条約を結ぶということについては、調印の時期まで努力をすべきだと、調印されるまでの間には時間がありますからその間、国連などにおいて努力をすべきだと考えておりますので、条約の趣旨には賛成でありますけれども、これは日本政府は、その条約にどういう態度をとるかということは、最終的にいまここで日本政府が意思表示をする必要はないと考えております。
○森中守義君 十八カ国の中の非核保有国では、ほとんど例外なく不満が表明されている。九月に予定される非核保有国会議まで国連の結論を延長しよう、こういう話もあるようですね。ということは、いま外務大臣が言われるように、日本と同じ立場に立って不満であるということだと思う。そこで一体これら非核保有国と――もちろんわが国もそうなんですから、こういうメンバー国の一人として同調されますか、あるいは独自の立場をおとりになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) これは同調といいますか、国連の場というものは、いろいろ協議をする場面が出てくるでありましょうから、必要があれば一緒になってすることもあるし、また日本が独自でやる場合もある。初めからもう核、非核保有国が一緒になって、そうして共同動作をとろうという考えはございません。
○森中守義君 先ほど、少なくとも満足ではない、こういうお話でしたが、具体的にどういう点がわが国にとってはさらに満たされねばならない問題点でしょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 非常に最初の案よりはよくなっておることは事実で、日本が、五年ごとに再検討するように、こういう条項を取り入れられておるわけです、日本が強く主張して。だから、われわれが最初から言っておるのは、核軍縮に対する明確な意思表示、平和利用に対しての保障、あるいはまた査察に対しては非核保有国も核保有国も区別をしないようにしなければいかぬ。それからまた、非同盟諸国のような、集団安全保障条約体制に入っていない国の安全保障については、必ずしも条約の中に入れる必要があるとは考えないけれども、国連決議等を通じて明確にそういう不安をできるだけなくして、多数国がこの条約に参加しなければ、たいへんたくさんの国が、条約に加盟しない国ができるようなことであっては、条約の目的を達成しにくいというわけでありますから、いまのような線に沿うて、できるだけ改善をされることは賛成であります。いま、日本政府が特に重要と考えている点について、国連を通じて改善されることには賛成であるし、したがって、また多数の国々がこの条約に参加するということも必要である。こういう審議を通じてよりベターな条約になり、多数の国々が参加するという状態も、これはわれわれとしてにらみ合わして考えなければいけない。そういうことで、最終的な意思表示というものはいまはしない、趣旨は賛成である、こういうことでございます。
○森中守義君 概念としてはわかります。具体的にお尋ねしますが、核兵器の保有国が、他の国への移動、あるいは禁止、これらのことが条約の中にさらに強いものとして入れておきたいというようなふうにはお考えになりませんか。
○国務大臣(三木武夫君) 各国の安全保障政策というものは、国の中で最も重要な政策の一つでありますから、条約の中に、核兵器を持ち込んではいけぬというようなことにすることになれば、あるいはNATO諸国にしても、ワルシャワ同盟の諸国にしても、これはやはり核兵器を持ち込んでおるわけでありますから、この条約の中に、そういう一国の安全保障政策の基本に触れるようなことを条約の中に入れることは、条約の加盟国を非常に限られたものにするから、それはできないであろう。この条約の中にそういう条項を入れて縛ることはできないであろうと考えております。
○森中守義君 私はその辺が一番問題だと思う。なるほど、条約の体系上の問題もありましょうけれども、核拡散防止条約の、少なくとも日本がねらわねばならぬ点はそこだと思うんですよ。第一、十八カ国委員会に入っていない。全然日本は意思表示していないじゃありませんか。だから、条約の中にそれをどう入れていくのか、もし入れられないならば、他に何か方法があるのか。しかし、少なくともものの考え方として、これはどうなんですかと、こう聞いている。だから私は、条約の体系のことについてはこまかく知りませんけれども、少なくとも核拡散防止条約が、そういう趣旨のもとに、軍縮の方向を目ざしている限り、こういうふうな問題は入れられても差しつかえないんじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) これは核兵器の開発をして、核兵器の保有国がたくさんふえていくことを防いでいこうというのですから、いわゆる核兵器を、その国の安全保障政策として核兵器を持ち込む、これが絶対に必要だと考えておる国々もあるわけですから、日本は持ち込まない、そういうことが必要だと考える国もあるのですから、それをこの条約で持ち込んではいけないということになれば、そうすれば、そう考えておる国々はこの条約に入ってこられませんから、だからこの条約の中に核兵器の持ち込みというものを禁止するというところまで、そういう効果までこの条約に持たそうということになってくると、この条約が成立が困難になると考えております。
○森中守義君 その点に、ずいぶん私の考えとは隔たりがあります。
 そこで、いま一つその問題に関連する問題として、少なくとも軍縮ということが一つの根拠になっている以上、私はそれは入れるべきだと思う。同時に、中国の問題がこの問題で一体どういう関係を及ぼすのか、逆な効果になりゃしませんか。それで一体世界の軍縮というものが達せられるかどうか、核の拡散を防止するという目的が達せられるかどうか、中国の問題に対してはどうお考えになりますか。
○国務大臣(三木武夫君) この核兵器による世界戦争を防止するということが最大の課題ですね、人類の。これほど大きな問題はないわけです。したがって、こういうふうなことについて、こういう核兵器の諸問題について、中共なども国際的に協力するという、こういうことになれば、非常に人類は安心すると思うのです。まだ実際しかし、いろいろな問題があって、そうはいきませんから、中国はこの条約に入りますまい。この核拡散防止条約には入らぬという意思表示をしておりますから、結果的にも入らぬことになると思う。したがって、非常にこの条約は不完全であります。みな核兵器を持っている国が入って、そして核軍縮の約束をして、そういうことになれば一番完全でありますが、しかし入らぬというわけでありますから、これはどうにもならない。それなら、中共が入ってこないから、したがって、不完全だから、こういう条約というものを、野放し、なくして、そして第六、第七、第八の核兵器保有国がふえてもいいかどうかという、ここはやはり各国の判断と選択の問題になってくる。この条約は、完全なものではないのです、すでに。中国も入らぬ、フランスも入らぬと言う。それでも、中国やフランスが入らぬから、もうみな核兵器は次々につくる国がふえることはやむを得ないと見るか、不完全であっても、ここでこれ以上の核兵器の保有国をふやさないためにすることがベターである、か、これは各国の判断と選択によると考えております。
○森中守義君 要するに、日本の場合には、他の非核保有国とほぼ同調の態勢でいくのか、あるいは米ソの線に近づいていくのか、この辺はどうですか。
○国務大臣(三木武夫君) これは趣旨には日本は賛成である、不完全であっても、核兵器を持つ国が次々にふえていくことは核戦争の危険を増大する、これが日本政府の判断であります。したがって、この条約が日本の主張に照らしてできるだけ公正な条約になるように、国連の場を通じて――軍縮委員会のメンバーじゃないですから、それでもこの核拡散防止条約については、メンバーではございませんでしたが、非常に努力をしたわけです、直接に。アメリカにも、ソ連にも、私どもこの問題で数回直接に、フォスター軍縮長官とか、ラスク長官、グロムイコ外相などとも会って話したこともございますし、努力はしたのですけれども、メンバーじゃないですから、国連はメンバーでありますから、国連の場を通じて、日本の主張に照らして公正な条約ができるように努力する。どちらに近づいていくというよりは、もう少し主体的に日本の意見を中心にものを考えていきたいと、こう考えております。
○森中守義君 外務大臣、いよいよ国連の舞台に臨むには、政府の統一された見解というものがまとまりますね。もしそういうことが、先ほど言われるように、この条約それ自体が非常に不備であり、不満である。ついては、日本がかくかくのことが満たされなければという、いわば条件つきというかどうかわかりませんけれども、日本にはこういう意見がある、そういうものがいれるかどうかといういま可能性もないんですね。そうなると、最終的に条約が完全に確立をしたときまでむしろわが国は態度を留保したほうがいいんじゃないですか。
○国務大臣(三木武夫君) 最初に申し上げるように、早くそんなにいますぐに日本の態度というものを表明する必要はない、趣旨には賛成である。こういう条約が不完全であっても、やはりできることが核戦争防止のために役立つというのが基本的の立場で、反対の立場ではないわけです。したがって、こういう趣旨に立って、できるだけ公正な条約ができるように努力をする。最終的に賛成かどうかということは、国会の御批准も得なければなりませんし、また政府の最終的な態度を、いまここで条約の素案が出たばかりに、すぐ政府が態度を表明する必要はないと考えております。
○森中守義君 外務大臣、それは少しやっぱり形式的過ぎますよ。ここで、時間がありませんからね、その議論をしてもしかたがないけれども、この核拡散防止条約ほど重要なものはありませんよ。それに、いまでき上ったばかりだからまだ態度をきめていない、そんなばかな話はないですよ。私は、むしろ進んで十八カ国軍縮委員会に参加の機会をとらえる必要もあろうし、あるいは九月に予定されるという非核保有国会議のその結論が出るまでむしろ国連の決定、審議というものはとめてもいいんじゃないか、そのくらいのわが国の姿勢がほしい、こういうように思う。これはひとつ、非常に重要なことですから、総理、外務大臣おのおのからお答えをいただきたいと思う。
○国務大臣(三木武夫君) 最初に申し上げておりますように、この条約は核戦争防止に役立つものである、趣旨に賛成である、これが基本的な立場です。この条約そのものに、いまここにすぐに賛成ということを言わなくても、国連でいろいろ話し合って、修正の余地もあるんですから、そういうときに態度を言ってもいいではないか、それから、国連の審議をとめるという――とめる必要は私はない。これはやはり国連は、時間をかけて、この重要な条約というものですから、皆が衆知を集めて、できるだけ公正な条約ができ上がるように努力するので、審議ストップを日本からかける必要はないと考えております。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま三木君のお答えしたのが、政府の方針でございます。しかし、皆さん方のこの審議を通じての御意見も、政府としてはもちろん参考に取り入れるつもりでございます。
○委員長(西郷吉之助君) 森中君、時間が参りました。
 以上をもちまして森中守義君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 続いて村田秀三君。
○村田秀三君 私は、主として農業問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、昨年の暮れに財政制度審議会が食管制度問題に触れて答申をいたしました。その答申について大蔵大臣はどのような考え方をお持ちになられるか、お伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 財政制度審議会は、昨年暮れの報告におきまして、食管会計繰り入れについては、「年度途中における米価の改定等の事情の変化があっても、これにより補正財源を必要としない方式を確立すべきである。」、こういうのが審議会の答申でございます。これは、予算編成のあり方、また食管特別会計の現状から見まして、私どもは適切な意見だというふうに存じましたので、この答申にのっとって本年度の予算編成をいたしたという次第でございます。
○村田秀三君 ただいまの大臣の答弁によりますと、食管会計の健全化のために年度途中の補正は行なわないようにと、単にこれだけの御趣旨のようでございますけれども、それ以外に何かしらの考え方をお持ちになったのではありませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) 補正財源を必要としないこの方式の確立ということでございますので、まず私どもの考えましたことは、いままでの食管の会計の推移を見まするというと、この昭和四十二年度は、政府の買い上げ米が非常な数量に達した、非常な数量の買い上げをしたときでございますので、このときの赤字が二千四百十五億円に達している。こういう事実をまず見まして、これを年度途中で補正しようとしても財源を見込めませんので、年度の初めにおいて少なくともこの金額は当初に計上しておく、そうしてそのあとは生産者米価、消費者米価の関係を正常な関係にするような方途をこれは関係者において考究してもらう、こういうことによって補正自体をなくして対処し得るような措置を講じたいというのが私どもの考え方でございます。
○村田秀三君 財政制度審議会の答申によりますると、単に、期の途中で補正を組むということではなくて、最初から財源を用意しろという、そういうことの意味よりも、「消費者米価の引上げによって、赤字を拡大させない方式を確立しなければならない。さらに、今後の問題としては、食糧管理制度の根本的検討とあいまって、現在ある過大な赤字を漸次解消していくよう、生産者米価と消費者米価との価格関係の正常化をはかる必要がある。」、こう言っておるわけでございますから、単に見込み数量を当初予算に盛り込むということばかりではなくて、何かしらの検討を加えたと私は思うのでありますが、そういうことはございませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは食管制度の運用のしかたを相当ここで改善を要するということもはっきりしておりますし、また両米価の関係の正常化をはからなければならぬということも従来の懸案でございますし、こういう問題については、今後、たとえば米価審議会というようなものもございますし、そういうものとの相談によってしかるべき合理的な方策を十分考えていただくということがむろん前提になっております。
○村田秀三君 各方面あるいは米価審議会等の意見も聞くということでありますけれども、当時の新聞報道によりますると、大蔵省構想というのが発表になっております。「間接統制を考慮」、「支持価格で買い入れ」、「消費者米価に上限」、こういう表現でありまして、その内容はまことに、今日の食管法を越えて、きわめて重大な態度を決定したと、ここには報道されております。しかも、農林省と折衝を開始したとも言っておるわけでありますから、いま大臣がおっしゃっておることは、何か隠しておる点があるやに私は思うのでありますが、そういうことはございませんか。
○国務大臣(水田三喜男君) それはございません。まだ、こういう形で米価をきめるというようなことも、政府の方針としては、当時きめておりません。
○村田秀三君 それでは、すなおにただいまの大臣の答弁を認めたいと思います。
 そこで、一月に入りまして、いま衆議院段階でも問題になり、今日いまもって解決を見ておらないところの新しい米価審議会委員の任命、この任命にあたって、当時の倉石農相は、「いろいろと制度的な検討もしていただき」、こういうことばをはいておるわけであります。そうしますと、大蔵省として先ほどの態度決定はないにせよ、大蔵省が考える財政硬直化の打解のための一つの方策というものを受けて立って、農林大臣が新しい米価審議会委員を任命したように考えられるわけでありますが、その点はどうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) この予算をきめるときには、農林大臣と私どもは当然いろいろの御相談をしました。そうして、さっき申しましたように、当初予算においてこれだけの金額を計上しておくと、あとの両米価のこの関係の正常化というようなものは農林省が責任を持っていろいろ今後考える――方針はきまっておりませんでしたが、考えると、考えることについてはまた相談する。この米価審議会というようなものの構成についても、自分に考えがあるというようなことできまったことは確かでございます。それだけの話です。
○村田秀三君 それでは農林大臣にお伺いをいたしますが、農林大臣は、倉石農相にとってかわって農相に就任をいたしました直後、記者会見をいたしました。「食管制度について、制度の根幹を堅持し、法の改正はしない」と言明なさいましたが、その考え今日も変わりありませんか。
○国務大臣(西村直己君) 世上食管制度そのものについても議論があることは伺っておりますが、私といたしましては、就任以来、今日の食管制度の根幹というものはやはり維持をしてまいりたいと、ただ食管制度の運用改善、こういう運用につきましてはいろいろ考えていきたい、根幹は堅持したい、こういう考えでございます。
○村田秀三君 この「根幹を堅持し」ということばに、いろいろ含みがあるような感じがいたします。何かしら運用面で考慮して、いわゆる財政制度審議会の意向を受くるような感じを私どもは持つわけでありますが、重ねてお伺いをいたしますが、今日の食管制度、今日の態様、これはあくまでも変更を加えない、こう理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(西村直己君) 御存じのとおり、食管制度におきましては、先生御存じのとおり、三条、四条で、たとえば生産者米価、政府買い入れ米価は再生産確保、それから消費者米価は消費者の家計費というものを中心にする、ただしそれらは無関係で全然きめられるわけでもない、物価その他の経済状況を勘案しながらということでその中でやっていく、そういうような基本は守りながらやっていくということでございますけれども、運用におきましては、いろいろな不正常な部分も今日現実に起こっておることも事実でございますから、そういうものを解消していくといいますか、正常化していくということもむしろ食管制度のためになる、こんなふうな考えでございます。
○村田秀三君 問題点を解消するということはどういうことでありますか。
○国務大臣(西村直己君) はっきり申しますと、一つの生産者の価格がきまっておりますが、同時に今度は、政府の売り渡し価格に対しまして消費者価格とのバランスが十分物価その他を勘案してとれておるかどうか、そういうようなことも今後十分検討を加える余地はある、こういう意味でございます。
○村田秀三君 そうしますと、先般制度審議会の会長が当委員会でいろいろと考え方を述べたわけでありますが、その際に、生産者米価と消費者米価のスライド制を採用しなさい、こういうことを言っておりますが、農相のお考えはどうですか。
○国務大臣(西村直己君) 米価審議会会長というおことばがありましたが、それでなくて、財政制度審議会の会長ではありませんか。小林さんでしょう。
○村田秀三君 はい、そうです。
○国務大臣(西村直己君) これは財政制度の立場から私見として一つのお考えをこの間お述べになっておるわけであります。財政制度審議会そのものが全体としてどういうお考えをお出しになるかは今後の検討でございましょう。私どもも、生産者米価というものがきまる、同時に、食管法に基づいて生産者米価がきまる、食管法に基づいて消費者米価がきまる、そういう場合において、総合予算制度をとっておった場合に、スライドということばはよく出てまいりますが、この間も申し上げましたように、食管会計というものは単に価格だけでございませんで、その間における数量あるいはその他の多くの要素がございます、食管会計は御存じのとおり。それらを勘案しながらやってまいりますから、この間も申し上げましたように、ただ機械的なスライド、こういうようなことではないとお考えいただきたいと思います。
○村田秀三君 何かこういろいろと含みのある発言とも感じられるわけでありますが、いずれにしろ、いわゆる食管会計、食管制度を守るのだという農相の考え方として私は了解したいと思います。
 そこで、米価審議会の委員の任命にあたってこれまた紛糾を続けておるわけでありますが、衆議院予算委員会における農相のことばもありますが、どのように始末をつけるつもりでありますか。
○国務大臣(西村直己君) 村田さん御存じのように、私の前任の倉石農林大臣によりまして米審委員が発令になりました。私そのあとを受けまして、問題はいろいろその発令につきまして御意見がありましたことは私も十分承知をいたしております。そこで、衆議院の予算委員会等の経過も多くは述べませんが、私といたしまして、ああいう経過をたどりましたことは、おそらく従来の米価審議会がなかなか利害が対立して答申が出ない、こういうような形からああいう発言が出た。私どももこれをすなおに受け取りました。しかし同時に、当時国会におきまして各党の間でもって米審の構成についてはひとつ十分相談し合いたいというお話でございますので、私としましても、国会がそういう御意見であれば、その結果を待ち、それを十分見きわめながら米審構成なり、そういうことを扱ってまいりたい、こんな考えを申し上げたのであります。
○村田秀三君 そうしますと、この三十一日までの間に党と党の話し合いが持たれ、そして解決をしたいというような動きがあるということを私は聞いておるわけでありますが、農相の考え方とは別に、党と党の間で結論が出ればそのまま、たとえば任命がえをするという結論が出れば任命がえをするということに理解できますか。
○国務大臣(西村直己君) 私も、とにかくこれは農林省設置法に基づく米価その他主要食糧の価格決定の基本に関しての諮問機関でございますから、早くこれが動きだすことも大事なことだと思いますが、同時に、国会を通して各党間でお話し合いをせられるというのでございますから、十分その結果を見詰めた上で構成なり運用なり考えてまいりたい、こういうのがいまの私の態度であります。
○村田秀三君 その問題は、いまここでは結論が出ないと思います。
 次の問題に移りますが、先ほど大蔵大臣も言っておられましたけれども、いわゆる財政制度審議会の答申の具体化については米価審議会の意見なども参酌しと、こういうことばがございました。農林大臣も新しい米価審議会に、制度の改正も含めて期待を持っていたようでありますけれども、私は、米価審議会にいわゆる法律改正であるとか、あるいはその他の食管制度に関する制度改革の意見を出し得るのかどうかということに非常に疑問を持っているわけでありますが、その点はどうお考えでございますか。
○国務大臣(西村直己君) 米価審議会というものは、農林省設置法に基づきまして、米その他主要食糧と申しますか、それの価格の、ちょっとことばが違うと悪いのでございますが、正確に表現できないかもしれませんが、主要食糧の価格の基本を決定する、この諮問を政府はいたすわけであります。したがって、各委員はそれぞれ自由な立場で御意見はやられると思いますが、政府のほうとしてはそういう態度で臨んでまいりたい、価格決定の基本を御諮問申し上げると、こういうふうに私のほうは法律どおりやってまいりたいということであります。
○村田秀三君 これは、倉石農相が米価審議会に期待するその根拠について私ども考えてみたわけです。そうしますと、設置法の中における表現と、米価審議会施行規則でありますか、その内容の表現が――米価審議会令ですね、その第一条の表現が若干変わっておるわけでありますから、おそらく倉石農相はこれに根拠を置いて制度の改正等についてもいろいろと意見を求めたと、そう言ったのではないかと思いますが、しかし私は、設置法の内容からすれば、いわゆる制度の改善等について米価審議会が意見を出すということはこれは越権であると、こう考えております。そういう理解をとって差しつかえないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(西村直己君) ここで法律論を申し上げるわけではありませんが、正確にここに手元に入りましたから申し上げますが、米価審議会は農林省設置法に基づきまして「米価その他主要食糧の価格の決定に関する基本事項を調査審議する」、これに従って私たちとしては審議会の運営、諮問その他をやってまいりたいと、こういう考えでございます。
○村田秀三君 そうすると、食管法の改正だとか、制度的な改正に対する意見は聴取しないと、こう理解してよろしいですね。
○国務大臣(西村直己君) これは私のほうは、この諮問機関の性格というものはこういう性格でございますから、政府としてはそれでいく。ただまあ各人が自由に論議をなさるということは、これはまた各人の立場でございますが、われわれ政府としては、諮問機関に対してはこの法律に従って諮問をしていく、こういう精神でございます。
○村田秀三君 それでは、非常にこの問題については農民、生産者、また私ども自体も非常に大きな関心を持っておるわけでありますから、十分いわゆる意見を、話し合いの経過を尊重するということでありますから、私どもの期待するような結果があらわれますように強く要望をしておきたいと思います。
 次いで食管会計の内容に若干触れたいと思いますが、四十二年度及び四十三年度の食管会計への繰り入れ分のその金額と内容について大蔵大臣にお伺いします。
○国務大臣(水田三喜男君) 食管会計への繰り入れば二千四百十五億円でございます。
○村田秀三君 その内容も聞きたいわけでありますが、数字的におわかりにならなければ、政府委員でもよろしゅうございます。
○政府委員(村上孝太郎君) 内容とおっしゃいますのは、食管会計のそれぞれの勘定の赤字、黒字の問題でございますか。
○村田秀三君 その内容について知りたいわけです。つまり、国内米の売買差損、あるいは政府経費の内容、そういうものであります。
○政府委員(大口駿一君) 四十二年の食管会計への繰り入れの内容と四十三年度予算とを通して申し上げますが、まず、四十二年度の実行見込みといたしましては、国内米管理勘定において、売買差損が千三百五十二億、経費千七十七億、合計二千四百二十九億、国内麦管理勘定、売買差損が百九十六億、経費が五十九億、合わして二百五十五億、輸入食糧管理勘定におきましては、売買の益が二百九十三億、経費が七十八億、差し引きいたしまして二百十五億の益と、これらを通算いたしますと二千四百六十九億の損、これが四十二年度の実行見込みでございます。
 同じ順序で四十三年度を申し上げます。国内米管理勘定、売買差損千百一億、経費千百九十四億、計二千二百九十五億、国内麦売買差損百九十七億、経費六十三億、計二百六十億、輸入食糧管理勘定、売買差益二百二十三億、経費八十三億、差し引き百四十億の益、これらを相殺いたしまして、合計二千四百十五億の損、これが四十三年度予算の内容でございます。
○村田秀三君 ただいま聞きました四十二年度の繰り入れ分、これは過般の四十二年度の補正予算の中の繰り入れ分であって、そうして、それ以降に買い付けた数量がたいへん増大しておる、こういうことを聞いておるわけでありますが、四十二年度の末の買い入れ見込み、これはいかほどになりますか。
○政府委員(大口駿一君) 四十二年産米の最終の買い入れ数量は、まだ確定はいたしませんが、大体九百八十二万トン程度には達するのではなかろうかと考えております。
 それから、先ほど申し上げました数字は、確かに御指摘のように四十三年度予算編成をいたしまする時点において、四十二年度の損益を推定をいたした数字でございまして、最終的には決算で明らかになる数字とは多少の出入りがあるかと思いまするが、そのような性格の数字であることを御理解いただきたいと思います。
○村田秀三君 多少の出入りがあるということでありますが、その数量と、それから金額、そうしてそれはどの部分で処理をするのか、これをお伺いしておきたい。
○政府委員(大口駿一君) 先ほど申しました四十二年度の見込みの損益の内容と、最終的にきまりまする決算の内容とで違います可能性のありまするものは、国内米買い入れ数量の増加に伴う分の損失増の問題でございまするが、他方、経費の関係で、たとえば金利、保管料、輸送賃、その他が最終的に締めた場合にどういうことになるか、ことに金利の場合は国庫余裕金の繰りかえ使用の点がどの程度になるかという問題ともからんでおりまするので、それらの要素が彼此勘案をされて、最終的に予算の範囲内でおさまるかどうかということで決算が行なわれると考えております。
○村田秀三君 四十二年度繰り入れの二千四百十五億は九百五十二万トンの損益だと聞いておりますが、そういたしますると、いわゆる四十二年度に買い付ける九百八十二万トンとの差額、このいわゆる損益の処理をどうするのか、こういうことを聞いておるわけです。
○政府委員(大口駿一君) お答えいたします。
 御指摘になりましたように、予算を編成いたしましたときの四十二年産米の買い入れ見込み数量と、現在われわれが持っておりまする最終的な数量との間に開きがございまするので、先ほど申し上げましたように、その数量増の面では損失増加要因が考えられるわけでありまするが、先ほどもお答えをいたしましたように、他方、経費の面で、はたして節減がどの程度できるかということとの勘案で最終的な締めが行なわれると思っておりまするので、いま、現時点において最終的な決算の数字を項目別にこまかく申し上げるだけの計算がまだ行なわれておりませんが、私どもは、四十二会計年度末においては、食管会計はそれほど大きな狂いなく決算に持ち込めるというふうに考えております。
○村田秀三君 そうしますと、この損益金、いわゆる赤が出るわけでありますが、その赤は、四十二年度の補正を組まなくてもこれは解消できる、こう理解してよろしいわけですね。
 そこで、一つお伺いしたいわけでありますが、いわゆるこの赤の解消というのは、これは単年度で行なうことが原則になっておるのかどうか。これはまあ、しろうとくさい質問をするわけでありますが、そういうことであるかどうかをお伺いしたいと思います。
○政府委員(大口駿一君) お答えします。
 食管特別会計には国内米管理勘定、国内麦管理勘定、輸入食糧管理勘定のほかに、調整資金という勘定を持っておりまして、これらの各勘定に生じまする損益を調整勘定で一括して処理をして、単年度中に赤字繰り越しにならないような処理をするというのが、いままでの原則でございます。
○村田秀三君 その原則は将来も踏襲をすると、もちろん、そういうことに理解してよろしゅうございますね。
○政府委員(大口駿一君) 私からお答えすべき問題かどうかは存じませんが、私はそのように理解いたしております。
○村田秀三君 そこで農林大臣にお伺いをいたしますが、四十三年度の買い付け見込み数量八百五万トン、この数字は前年度の豊作と言われた年の比較にはなりませんけれども、八百五万トンに押えることができるとお考えでありますか。
○国務大臣(西村直己君) お尋ねの四十三年度の食管特別会計におきまして国内産米の買い入れが八百五万トン、これが妥当であるかどうかという御質問だと思います。昨年といいますか、四十二年度は異常豊作、したがって、最高の買い入れをやったわけでありますが、それに対しまして、まあ私どもとしては、過去の二年間でございますが、これ以前の四十一年でございますか、大体その辺の数字をとらえて妥当な数字とまあ一応考えて、八百五万トンという数量をとっておるわけでございます。それから、かりに年度途中におきまして国内米の買い入れ数量が予算で見込みました数量、すなわち八百五万トンより増加した場合には、国内米の買い入れ数量が食管会計の損益に重要な影響を及ぼす要因になる、これはもう確かにそのとおりでありますが、そのすべてではない。さっきお話もちょっと食糧庁長官から出ておったようでありますが、損益を及ぼす要因のいろいろな動向を、全体を配慮しながら食管の運営を考える、そうすれば、年度途中で予算編成を必要としない、数量も妥当と考えております。それからあとは、多少の動きがありましても、全体的に配慮して補正を組むのを避けてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○村田秀三君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、かりに八百五万トンと見込んで多少の増減、たとえば数量の増加あるいは生産者価格の引き上げがあったとしても、これを予算のうちで解決したいとする気持ちはわかりますが、しかし、これは昨年のようにことしもまた豊作にならないとは限らないし、なったほうがよろしいと思います。その場合に、かりに百万トン増加したと仮定をいたしますると、これは予備費の一千五百億食い込んでしまうことは間違いないわけでありますが、その際でも、これは補正は組まない、こういうお考えでありますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 一般会計のほうにおきましては、いろいろの問題が起こりましても、これはいま準備しております食管会計の予備費の中で解決したいというのが私どもの考え方でございます。
○村田秀三君 私はその辺がわからないわけなんです。まあ仮定の問題でありますけれども、少なくとも、これは予見しがたい状態というものが当然予想されるわけでありますから、その際にどうしても補正を組まないという考え方が私には理解できないわけでありますが、その点をひとつ納得のできるように説明をしてもらいたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、この大きい補正要因を残して当初予算を組むというやり方、こういう慣行を排除しようということから、今度いわゆる総合予算主義という予算編成をやったのでございますから、したがって、補正予算を組まないで対処するというために、予備費の充実をはかっている、こういう立場でございますから、これはよほどのことがございましても、この範囲内で私どもは対処したいという考えは当然だろうと思います。
 ただ、よく質問されますが、それでは、大災害でも起こって、とても計上してある予備費で対処できないような事態が起こったらどうだということでございますが、こういう大きい予見できないような問題が出て予備費で対処できないというような事態になれば、これは組みかえ等によって補正予算ということもあり得るだろう、これは、そういうことは考えますが、そうでなく普通の場合でございましたら、いま相当充実されているこの予備費をもって対処するというのが私たちの方針でございます。
○村田秀三君 いま大災害のことを言いましたが、これは大豊作のこともあり得るわけですね、去年のように。その場合には、一千五百億では当然足りない。しかも、予算総則十一条の弾力条項を適用したとしても、これは買い入れ数量は増加されるかもしれませんが、しかし、損益の部分は、これは当然補正で見なくてはならないと私は理解するわけでございますが、したがいまして、どうしても補正を組まないのだという考え方が了解できないわけでございますが、大災害は組むけれども、米価の問題では組まないというこの考えがわからない。若干なりともあり得るのだという答弁なら、私はそれをもって了承いたします。どうでありますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 両米価の正常化によって対処するということが、やはり今後の食管問題の解決のこれが中心であろうと私は思います。したがって、昭和四十三年度の産米がどうなるかといういろいろな予想とからみ合わせて、これを、当然この会計を運用する主管官庁がいろいろの考慮を払ってくれる、補正しなくても済む方式を確立してもらえるものと私はいま信じている次第でございます。
○村田秀三君 総理大臣にお伺いいたしますが、閣議の話し合いの内容もあるから、大蔵大臣もなかなか答弁しにくい。しかし、この問題は、理論上補正はあり得ると理解しないと、予算全体をこれをもってよしとするわけにはまいらないわけでございます。その努力はすべきだけれども、しかし、どうしても満たない場合には、そのときになって考えなければならい事態にもなるわけでございますから、その場合にどうするのか、総理の見解を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 補正はあり得ないということはわからないとおっしゃいますが、私のほうにおきまして何とか補正をするのだと言わせようということが、私にはわからない。せっかく予算編成のこういう改善をしようというときですから、これは当初予算にやはり予定し得るものを盛って、補正をやらないように、みんなで運営しようじゃないかというのがほんとうで、それをやりたくないためにこういう予算を組んでいるのですから、何とか補正するのだするのだということを言えということのほうが、少し無理じゃございませんか。
○村田秀三君 その考え方に立つと、これはもう生産者米価は上げないのだ、消費者米価は上げるのだ、ここに来てしまうわけですが、どうですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 私はそうきまったことではないと思います。これは生産者米価も上がることもございましょうし、それに伴って消費者米価を上げるという事態が起こることも予想されますし、補正をしないからと言って、もう生産者米価は上げないことにきめたなんという、そういう性質のものじゃございません。
○鶴園哲夫君 関連。いまの大蔵大臣に対しまして村田委員が質問していますのは、私が聞いておりますと、総合予算主義で補正予算は組みたくないのだ、組まないのだというお話なんだけれども、それが非常に不安定じゃないか、はなはだしく不安定な実情の上に立って組まないというふうに見ておるわけですね。だから言わせようというのじゃなくて、非常に不安定じゃないか、組まないということが。こういうことじゃないかと思うのですよ。ですから、いま村田委員が出しましたように、四十二年度のときには七百七十五万トン米を買うという話になっておったわけですね、予算を組みますときは。もちろん、これは補正予算を組んでもいいというたてまえだから、七百七十五万トンという数字はラフな数字であったということは間違いないと思うのですが、しかし、実際は、大豊作だと言っても、九百八十二万トンという、約二百万トン以上の、よけい米を買わなければならないことになったわけでしょう。来年を考えました場合に、今度の米を考えた場合に、これは百万や百五十万トンというものが、いまの予定している八百五万トンよりふえるということがあるのじゃないかという話ですね。百万トンふえますと、これは三百億という赤字が出るでしょう、百万トンよけい買わなければならぬということになりますとね、赤字が出るわけなんです。それから、まあ、これから問題にされるかどうか知りませんが、村田委員が問題にされるかどうか知りませんが、いまの、ことしの十一月になって二百四十万トンですね、米が、古米を持ち越すことになるわけですね。そうすると、この二百四十万トンの古米をこれは三カ月持たなければならぬと思うのですが、この値段を下げなければならぬということだって起こるのじゃないかということもあるでしょう。あるいは二百四十万トンという米を倉庫にこれから持っておくわけですが、十一月以降、これはおそらく食糧庁としては、こんな米を保管したくはないと思うのですよ。物理的にこれは必ず品質は下がる。中には使えなくなる米も出てくる。これは十万トンという米を、もし使えなくなってこれをのり回すということになりますと、百三十億くらいの赤字になるのです。どういう要件をとってみても、たとえば二%、三%、まあ、何ですね、質が落ちる。これは物理的に質が落ちるわけですから、米屋さんのほうは値段を下げてくれ下げてくれ、盛んに言っているのです。いまから言っているのです、ことしの十一月のことを。そうしますと、ぼくがちょっと計算してみますと、かりに若干値下げをしただけでも、二百億円やそこらの赤字になるわけです。それから、先ほど質問しましたが、ちょっと長くなりますけれども、ね、生産者米価をお上げになるでしょう。これは上げなければならぬでしょう、労賃も上がってまいりますから。労賃が圧倒的ですからね。労賃、どんどん上がってまいりますから、まあ生産者米価を上げるでしょう。消費者米価を上げざるを得ない。上げないとこれはたいへんですね。もし生産者米価をかりに一〇%上げた、スライドということで消費者米価を一〇%上げたというふうにいたしましても、これはたいへんな赤字、二百六十億の赤字でしょう。同じ比率で上げてみても、生産者米価を一〇%上げて、消費者米価を一〇%上げたとしても、二百六十億という赤字でしょう。だから、この補正予算を組まないということが、非常に不安定な要素の上に立っておるのではないか。食管法というのは、よく天下のざる法だと言われるのだが、総合予算主義というのは、はなはだ、ざるじゃないかという感じをみな持つわけです。それを聞いておられるわけですよ。そういう点について、農林大臣なり大蔵大臣の答弁をもう一つやっておいていただきたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 未確定の要素を持っておるということは、これは事実でございますが、そのために、たとえば今度当初予算の中で一番最初の繰り入れ額をどう見るかというようなことも当然問題でございますが、九百何十万トンという買い入れはいままでは異常でございまして、異常の量でございますので、その異常の量のときに生じたまた最高のいわゆる赤字、過去における食管の最高の赤字というものを、この赤字が困ると言って半分に下げて、そうして食管に繰り入れを、当初予算の繰り入れをやるというようなことでしたら、これはまた、おっしゃられるようないろいろの問題がございましょうが、これほどの買い入れはないだろうという見込みで、いままでの買い入れで、正常の場合の買い入れの最高がやはり八百五万トンでございます。その辺をとっておいて、そうして、かってない異常な買い入れのときの赤字というものを当初予算に準備しておくということによって、今後、米価のあり方について、これは私がどうこう言いません、農林省において必要な機関の相談を受けたり、いろいろなことをして今後きめるべき問題でございますので、そういう前提において、いろいろきめていただくということになりましたら、それは未確定の要素はたくさんございます、が、同時に、いい要素のほうも考えられますし、まあ、そこらでいくことが至当ではないかというふうに考えておるわけでございまして、必ずしも私は最初の入れ方が少いので、だからもう赤字が出ることがきまり切っておるじゃないかというふうなことも想像できないことだろうと思います。
○国務大臣(西村直己君) 八百五万トンという数量自体が妥当であるかという問題も一つ大きな問題になろうと思いまするが、ただ、昨年は四十二年産米が九百八十何万トン以上豊作、それを除きましたところの昭和四十一年度最高八百六万トン、それにほぼ近い八百五万トン、最高のものをとっております。それから、昨年度でございますか、二千四百十五億円ですか、これもいわゆる赤字の補正の大きなものを取り上げて用意はしておる。それから、まあ食管会計の中で具体的に生産者米価、消費者米価はどうきまるか、これは今後の問題で、先ほど来申し上げたような状況の中でやっていかなければなりませんが、同時に、金利その他の扱いということにつきましても、各方面において金利なども、いろいろな、やり方によっては多少の余裕というものを生み出すことによって、いかなる場合にも補正を組まないでいくというような政府の態度の中で、総合予算と申しますか、補正しないのだ、こういう姿勢になったわけだ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
○村田秀三君 どうも同じ問題やりとりいたしておりましても、時間ばかりたちますから、私はこの辺でやめますが、いずれにいたしましても、これはそのときになって何らかの措置をするというようなことになりかねないと考えておるわけであります。したがって、いまここでそのものずばり補正もあり得るというような答弁はなさらなくても、やはりそのときには当然考えるという態度を持っていていただきたいということを強く要望いたしたいと思います。
 次に、農政全般について御質問をしたいと思いますが、農林大臣にお伺いいたしますが、食糧需給表、これは私は四十年度の需給表は見ましたが、それ以降、おつくりになっておりますか。
○国務大臣(西村直己君) 需給率の表は、もちろん最近出しました農業白書の中にも載っていますが、差し上げておきます。
○村田秀三君 私が申し上げておりますのは、詳細に、カロリー計算も含めた食糧需給表ですね。これは政府委員の方でもけっこうでございます。
○国務大臣(西村直己君) 政府委員からお答えいたさせます。企画室長でございます。
○説明員(小沼勇君) 昭和三十八年度に栄養審議会が答申しております昭和四十五年の食糧構成基準に対しまして、現在、昭和四十年の実績がございますが、カロリーでは二千百八十四カロリーで九五%を満たしております。また、蛋白質では七一・三グラムでございまして、これは一日一人当たりでございますが、九五・一%程度を満たしておるという状況でございます。
○村田秀三君 私は内容を聞いておるのではないんで、四十年以降四十三年の間につくっておりますかと聞いているわけです。
○説明員(小沼勇君) ちょっと質問の趣旨をとりかねたのでございますが。
○村田秀三君 その食糧の需給表ですね、これはカロリー計算もして、計画表があるわけですよ。いま、私、手元に四十年のをちょっと忘れましたが、そういうものをつくっておるかということです。
○説明員(小沼勇君) お答え申し上げます。
 それはつくっておりませんで、食糧需給表べースでつくっておるわけでございます。
○村田秀三君 その需給表がありますか。
○説明員(小沼勇君) 需給表は四十一年のはできております。
○村田秀三君 四十一年の資料あれば、後ほどいただきたいと思いますが、ことしの秋に、いわゆる昭和三十七年に策定をされましたところの農産物の需要と生産の長期見通し、これの改定をやるやに聞いておるわけでありますが、その内容をお伺いしたいと思います。農林大臣から。
○国務大臣(西村直己君) 申し上げるまでもなく、食糧の需要、それに対して供給も、相当変化を遂げつつあります。環境の変化があるのであります。で、だたいま政府では、重要農産物につきまして、需要と生産の長期見通しは、昭和三十七年にこれを行なっておるわけであります。これは御指摘のとおりでありますが、これを公表いたしまして、そうして、それは御存じのように、農業基本法に基づきまして、十年後の需要と生産の見通しを行なったものでありますが、それからその後、需要の動向について見当はつけておりますが、まあ、いま、農業をめぐるいろいろな情勢というものが非常に変わりつつありまして、需要の内容も高度化をしておる、そうして増大をしておる。生産側におきましても、技術の変化、経済情勢、社会情勢、こういうものに変化がありますので、この長期見通しというものを、何と申しますか、内部では検討をいたしておりますが、まだ公にする段階ではないわけでございますが、検討を続けておるというのが現状でございます。
○村田秀三君 検討をして手直しをする必要がある、したがって、ことしの秋を目途におつくりになるということを聞いておりますが、そうですね。
○国務大臣(西村直己君) できるだけ、私どものほうも、状況の変化に応じた長期見通しを持つことは、これはもう当然のことでありますから、できるだけそういう線で努力をしてまいりたい、こういう考えております。
○村田秀三君 努力をするじゃなくて、つくるかつくらないのかと聞いておるわけです。
○国務大臣(西村直己君) まあ、これは率直に申しますが、一つの正確なものをできるだけやはり、見通しでありましても、正確なものを積み上げてまいりたいという意味から、いま、事務当局といいますか、担当の者の意見も徴しましたのですが、できるだけ急ぎたい、ただ、必ず国会を通してつくりますとお約束するには、もう少し私のほうへ時間をかしていただきたいと正直に申し上げたいと思います。できるだけ急ぐ努力をしたい、こういうことでございます。
○村田秀三君 大臣、勘違いしてもらっては困るわけですが、何もそれを国会に出せというような言い方をしているわけじゃありません。その三十七年の長期見通しが現行と合わなくなっている面があるので、これを改定するための作業をしておる、秋ごろには出したいと私は聞いておるわけでございますから、出すことに努力をするということですね。
○国務大臣(西村直己君) ええ。
○村田秀三君 そこでお伺いいたしますが、実は農林省のこの考え方が新聞の報道に出たことがございます。その新聞記事、私いまここに持っておりませんが、その記事を見ますと、いままでの需給見通しという表現ではなく、一歩突っ込んで需給計画これをつくるのだということが言われておるわけであります。したがって、どういう内容、どのように踏み込んだ考え方をし、どれだけのものをつくるのかと私は実は期待をしておるわけでありますから、その考え方を聞きたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) お答えいたします。
 私、その新聞記事は見ておりませんが、私のほうの考えておりますのは、まあ計画というものにはぴったりは該当しないと思います。できるだけやはり、見通しでありましても、正確を期するという意味では、いろいろな角度からやってまいりますが、それをもって一つの計画的なものにして、それで一つの農業というものの見通しをきっちりワクヘはめてしまっていこう、こういうような考え方の計画ではない、こう考えております。
○村田秀三君 重ねて聞きますが、いままでの見通しと違って、一歩踏み込んで計画にするという、ここのところが、私は相当なみなみならぬ決意を感ずるわけでありますので、その作成の考え方をひとつお示しを願いたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) まあ計画ということばに当てはまるかしらぬが、従来と変わりますのは、単なる客観的な見通し以上に、それに対する一つの指針と申しますか、政策的態度と申しますか、そういうものをあわせてやってまいりたい、こういう考えでございます。
○村田秀三君 まあ私はこの新聞報道を見まして非常に期待をしておるわけなんであります。まことにけっこうなことである。
 そこで、ただ、その新聞報道を見ますと、内容的に言いますと、選択的拡大路線を再編成するというような見方、あるいは必要によっては需要誘導策も講ずる、こういう表現等もあるわけであります。おそらく大臣はおわかりにならないかもしれませんが、政府委員で知っている方がありましたら、御答弁いただきたい。
○説明員(小沼勇君) お答え申し上げます。
 現在、政府内におきまして検討をいたしております一つの考え方でございますが、単なる需給の見通しということだけではなくて、需要の伸びに対応させて生産をどういうふうに展開していくかということにつきまして、いわば食糧政策としての考え方を明確にしていきたいということで現在作業しておるところでございます。
○村田秀三君 先ほどと同じことを言うわけでありますが、その中における選択的拡大路線の再編成、それから必要によっては需要誘導策も講ずる、これは新聞が書いておるわけでありますからどうかわかりませんが、そういう考え方をお持ちであるとすれば、その内容ですね、どういうことをするのか、選択的――拡大路線あるいは需要誘導策、こういうことについてお伺いしたいと思います。
○説明員(小沼勇君) お答え申し上げます。
 現在の食糧の需要が非常に急速に伸びておりますが、その中で持に動物性のたん白質等も急速に需要が上がってまいっております。そういう中で御承知のとおり畜産物の、あるいは飼料の輸入等もばく大な量に上がりつつありますが、単に現在の需要の方法、そのものだけに即応して生産を対応させていったらいいのか、あるいは栄養的な観点を含めて、もう一度日本の人々の食べる食糧の構成について再検討しながら、それに対応させて需要の方向についても検討し、それに生産を対応さしていくという、そういう方向も含めて検討すべきではないかというふうに考えておるわけでございます。
○村田秀三君 これ以上いろいろ伺っても、まだ検討の段階では無理だろうと思いますので、この需給計画については深く申しません。ただ、単なる見通しではなくて、需要の伸びに対応して生産対策を立てるということ、このことだけは単にカロリー計算をして動物たん白質が幾らであるから牛を何頭、豚を何頭ということばかりでなくて、その牛や豚がいわゆる飼料を含めてどういう規模で、どうやって生産するかという点なども含めて、私は検討していただきたいと思います。これは希望をいたしておきます。
 それから選択的拡大であるとか、需要の誘導ということ、これは最近豚が多くて牛が少ないというようなことから見て、何かしら疑いも持つわけでありますが、まあこれは善意に考えておきます。明らかになりましてからいろいろとお伺いしたいと思いますが、それと関連をするわけでありますが、これは農林大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、最近の農産物の輸入の状況についてひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) 農産物の輸入の状況、概況を申し上げまして、細部はあるいは政府委員のほうからお答え申し上げるかもしれませんが、食料、飼料を中心とした農産物の輸入は、昭和四十二年度におきまして二十三億五千万ドルでございます。これは総輸入の約二〇%というくらいのステータスを占めております。農産物の輸入は、したがって最近は相当増加しておると申し上げていいと思います。もちろん農業生産の増強につきましては、政府も非常に努力いたしてまいっております。また今後もやってまいるつもりでございますが、国民の消費生活の向上による需要の増加が著しく、農産物の国内供給がこれとじょうずに見合っていないというような点もまだありまして、輸入の増加を見ておるのが現状でございます。
 なお、この内部につきまして、ちょっと政府委員から御説明を加えさしたいと思います。
○政府委員(大和田啓気君) 農産物全体の輸入額は、いま農林大臣から申し上げましたように二十三億五千万ドル強でございますが、その中で主要な品目を申し上げますと、小麦でございます、これが約三億八百万ドルでございます。ついで大豆、これが二億七千二百万ドル、トウモロコシが二億七千百万ドル、マイロ一億六千百万ドル、以下砂糖、米等が主要な農産物の輸入品目でございます。
○村田秀三君 政府委員でもけっこうですが、いまいろいろとお示しいただきました数字、これは国内の需要に見合って自給率はどの程度になっておりますか。
○説明員(小沼勇君) お答え申し上げます。
 濃厚飼料全体では自給率は四〇%でございます。そのえさを使っております肉類では八八%、鶏卵では一〇〇%、牛乳乳製品では八〇%という状況になっております。
○村田秀三君 この輸入農産物、これは年々増大の傾向にあるわけです。国際収支に非常に悪影響を及ぼしておるというようなことが言われておるわけであります。最近は特に注目を集めておるようでありますが、この収支を改善するといいますか、国内経済に悪影響を与えない程度の農産物の輸入額というのはどの程度に押さえることができるのか、検討しておる資料等がありましたならば、ひとつお伺いをしてみたいと思います。通産大臣あるいは経企庁長官でもけっこうでございます。
○国務大臣(西村直己君) 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、もちろんわれわれとしては食糧をできるだけ自給率を高めるという立場から努力してまいりまして、一方におきまして、貿易の自由化のたてまえから、政府の直管に入る以外のもので相当に自由に入ってくるものもございます。国民の嗜好も変わってきて、消費生活も上がってきております。しかしこれが妥当であるかというと、大体われわれのほうとしては需要も伸びますし、質も上がってまいります。したがって、生産は上げておりますが、たいていこの程度でいくならば、これを無理に押えなきゃならぬという意味での研究をしなきゃならぬ段階ではないという意味で、われわれのほうとしてはそういう意味の押えるような研究はしていない、こういう意味でございます。ただし、たとえば飼料のごときにつきましては、これはできるだけ飼料の転換をはかっていくという意味で草食にかえていくとか、あるいは少なくとも麦を増産して粗飼料をふやしていくとか、そういう努力は品目別にはやっておるわけでございます。
○村田秀三君 経企庁長官はどうお考えになられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる農産物、広い意味で申しまして一番私ども困っておりますのは木材でございます。これは非常に年々輸入がふえてまいりまして、価格も上がってまいります。国内における林道整備であるとかあるいは植林であるとか、林道整備が非常に必要だと思いますので、これはしかしなかなか思うようにまいりませんが、木材のことは非常に困っておりますので、飼料につきましては、いま農林大臣の言われましたようなことで考えていくべきであろうと思っております。
 それから私ども経済社会発展計画では、一応四十六年の自給率というようなものを考えておるのでございますけれども、その中で一番自給率の少ない、低いのはやはり麦でございます。それから濃厚餌料でございます。まあ国内で対策の打つべきものはやっぱり打っていくべきであろう。先ほど農林省から言われましたように二十三億ドル、これはたしか木材を含んでいない数字でございますから、相当大きいのでございます。やはり計画的に回収していく必要があると思います。
○村田秀三君 私も経済のことはあまり詳しく存じませんが、農産物の輸入の限界といいますか、これはまあ輸出額の六、七倍程度に押える必要があるのだ、こういうような話も聞いたことがございますが、いかがでございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) まあ私どもそういうことをあまり研究しておりませんのでよく存じません。それからもう一つ先ほど申し上げようと思って申し落しましたが、もう一つの問題は自由化の問題が御承知のようにあるわけでございまして、いわゆるこの酪農に属しますもの、肉からミルク等、チーズ、バター等に至るまで、まだ自由化をいたしておりません。それからでん粉類も自由化をいたしておりません。これはおのおの国内産業との関係でございますが、もし私ども、この自由化を考えておるわけではございませんけれども、実はここらは現実には押えぎみにまだ運営されておるというのが実情だろうと思うのですが、潜在的には相当大きな輸入になり得るので、やはり国内の対策が必要であるというふうに考えております。
○村田秀三君 それでは農林大臣にお伺いいたしますが、まあ最近における大家畜の飼養頭数の推移といいますか、まあわかり切ったことを聞くようでございますけれども、一応ひとつお伺いをしてみたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) まあ肉用、それから乳用、それから豚、これらについて御説明をしたいのでありますが、肉用牛、これの飼養でございますが、まあ農業の機械化、化学肥料の発達、労働力の流通、こんなことが原因になりまして、飼養頭数はしばらくの間減少傾向を続けてまいっておるのでございます。それで三十九年から四十年、四十一年にいたしましては、年率一五%程度の減少を示している。要するに減ってきたわけでございます、肉牛につきましては。しかしその後、まあ政府のほうにおきましても、肉用牛の振興政策というのを非常にとりましたものですから、四十一年がいま手元にあります資料によると百五十七万頭、百五十七万七千頭ですか、それから四十二年が百五十五万二千頭、この辺にまあ詰まりつつあって、最近は少しいろんな資料から見ますと、飼養頭数がやや増加傾向である、こういうふうに政府としては判断をいたしております。それから乳用牛のほうでございますが、これは三十七年から三十八年までは年率一〇%以上伸びている。で、三十九年ごろからは零細飼養しておる農家の脱落、牛肉価格が高くなったために屠殺が増加し、それで停滞した。四十一年、四十二年に百三十万頭台で推移をしましたが、最近乳価が上がってきている。酪農振興施策も政府のほうでやりまして、これが浸透しておるということも刺激になりまして、育成牛が増加しまして、屠殺は減ってきております。乳用牛の飼養頭数の伸びがまあ回復の傾向にあると、こう見ております。
 それから次は豚でございますが、豚の飼育頭数と屠殺頭数は、三、四年の周期でこの増減を繰り返しておりますが、大きな傾向としましては、全体に豚につきましては増大しておる。飼養頭数は四十二年二月現在が五百九十七万五千頭というふうに私のほうの資料でございます。
○村田秀三君 まあ四十二年以降のこと、ふえつつあるような話も聞きましたが、この肉用牛あるいは乳用牛――豚は激増しておるが、肉牛は激減しておるという表現をしてもよろしいわけですが、この原因といいますか事由といいますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) 肉牛につきましては、御存じのとおり先ほど申し上げましたように、採算が合わないとか、それから従来役牛であったものが機械化されたために、ずっと労働力の不足その他もありまして減ってきた。こういうようなことだろうと私どもは考えております。
○村田秀三君 役牛が低下したのはわかりますが、採算が合わないということばがありましたが、採算が合わない理由は何ですか。
○説明員(立川基君) お答え申し上げますが、肉用牛の飼育につきまして、なかなか採算が合わないという点が問題でございますけれども、一番基本の問題は、現在の状況からいたしますと、多頭飼育がまだ十分に行なわれてない。平均的に申しますと、一・五頭ないし二頭というような飼育が現在の形態でございますので、この点が一番基本の理由ではないかと思うわけです。それ以外に多頭飼育をやっていきます場合に、飼料の問題なりその他いろいろの問題がございますけれども、これに対しては先ほど大臣からお話がございましたように、総合対策で地方における草資源を栽培していくとか、あるいは家畜導入につきまして、政府から約三万頭を考えておりますけれども、そういうふうな導入に対する補助事業を行なうとか、そういうふうな措置によりまして、農家の手取りないし採算を向上させていきたい、そういうふうに考えております。
○村田秀三君 この減少は率直に申し上げまして、飼料の問題だと思いますが、農業白書、農林省がおつくりになったものを見ましても、いわゆる生産費コストの一番低いランクというのは、内地においては六、七頭、そして自給率が二八%程度、北海道では二十頭規模でこれは自給率が四〇%、この程度のところが一番生産費が安いという報告がなされておるわけであります。そうしますと、いわゆる飼料――粗飼料、濃厚飼料も含めて、飼料の自給度を高めることによってですね、これは畜産というものはもうかるものだというような考え方を持つことができるのでないかと、単純に考えるわけでありますが、そうお考えになりませんか。
○国務大臣(西村直己君) 私も飼料の問題が一つあると思うのです。もう一つは、それから動力関係と申しましたが、結局経済化多頭飼育でございますね。そういったようなことによる動力を近代的に効率的に使用できるような方法、もう一つは飼料につきましてはもちろん濃厚飼料その他輸入飼料の面もありますが、われわれとしてはいろいろな施策を予算面からも法律面からも含めまして、そうして草地の改良とか、そういった面からのいわゆるお説のような飼料自給度を高めてまいりたい。この施策は進めてまいりたいと考えております。
○村田秀三君 いろいろ理由がありましょうが、どう考えてみても報告書にはそうあらわれておるわけです、率直に言って。そうしますと、いわゆる大家畜の振興政策と対応して、今日とられている土地十カ年計画の草地造成なり飼料作物の生産規模というものが対応しておるのかいないのか、ということを私は聞きたい。
○国務大臣(西村直己君) 本年度の予算によりましても、またいろいろこれは御意見のあるところでございますが、農地法の改正、あるいはその他いろんな面から考えまして、草地の改良事業、あるいは草地をつくり上げていく、そして飼料を提供するというような面では、私どもは今後も努力をしてまいりたいと思っております。
○村田秀三君 答弁は不満でございます。まあ努力しておることは認めますが、私はその増殖計画と飼料の生産がぴたっと一致しておるのかいないのかと、こういうことを聞いているわけですから。
 まあしかし、それはさておきまして、次に移りますが、今年度の予算に麦作対策として三億四千四百六十二万円組まれております。さらに昨年も組まれた。四十一年では予備費で組まれておる。こう考えてみますと、書かれておるものは私は読みましたけれども、先ほどの麦の輸入問題と関係して、いわゆる麦作体制に踏み切ったと、こう理解してよろしいですか。
○国務大臣(西村直己君) 麦につきましても、われわれとしては予算面等で多少のことはやっておるわけであります。特に裏作をもっと効率化するとか、契約栽培をさせるとか、こういうようなところから推進をしてまいりたいと、こう思っております。
○村田秀三君 あまり麦の輸入が多いので、これからひとつ輸入しなくても済むように考えて対策を立て、その体制を確立するために予算化しているのかということを聞いておるのです。
○国務大臣(西村直己君) まあ、もちろん御意見のような気持ちでやっておるわけであります。
○村田秀三君 次に、米の問題でありますが、私は別に、その米が余ったから制限せよ、買い入れ制限をせよというふうにとられては困ります。しかしながら、最近の傾向を見ますと、昨年はともかくといたしまして、耕地面積、つまり畑も含めて、水田は毎年増大をしておる、米の生産も逐年これは増加をしておる、こういうことでありますが、米の生産額は適正なる数値というのをどこに求めればいいかということを聞きたいわけです。
○国務大臣(西村直己君) ちょっと、政府委員からお答えいたします。
○政府委員(桧垣徳太郎君) お答えをいたします。
 米の生産の目標の数値をどこに求めるかということは、今後の米の国内総需要がどういうふうに変化するかということと関連をするのでございますが、農林省といたしましては、原材料の特殊な米の用途は別にいたしまして、国内の需要量は国内産の米をもってまかなうという考え方で、それを目標にいたしたいというふうに考えております。
○村田秀三君 私は、いま米の買い入れ制限をしろなどとは毛頭申し上げませんが、このままでいま生産が推移いたしますると、これは結果的に在庫が毎年増加を続ける傾向になっていくという心配もございます。その心配と合わせて、最近の食管制度を云々する状態の中では、いわゆる米はあり余っているのじゃないか、したがって食管制度を取りはずしてもいいのではないかというような意見が出てくるような気がしてしかたがないわけです。そうしますと、結果的に米の自由販売がなされる、加州米をどっと入れていわゆる米の値下がりを策す、たんぼには草が生える、こういうような形が再びとられるとするならば、これはたいへんな問題でありますから、したがって、いわゆる日本の米の備蓄量というものはどの程度が適切であるか、耕地規模はどの程度であれば適切であるかということを、私はほんとうのところ知りたいわけです。
 しかし、お答えが出ないから、質問はこれでとどめますけれども、私が申し上げたいことは、いずれにいたしましても、先ほどの需給計画の問題でありますが、農林大臣は、これは計画というものではなく見通しであるというような言い方をした。政府委員は計画ということを申しておりました。結局、この日本の農業は需要に見合って、その需要は厚生省が嗜好動向など出すようであります。またカロリーの計算までするようであります。それに合わせて、需要に見合うところの生産計画を立てて、その生産に要する費用は相当国が補助をしなければならないのではないか、こういう考え方を持っておるわけでありますから、私自身の気持ちといたしましては、いわゆる農業の需給計画がどのようなものかはいま明らかでないにせよ、きちっとしたものをつくっていただきたいという希望を持っておるわけです。いかがでございますか。
○国務大臣(西村直己君) 最初の問題にも関連いたしますが、先ほど御質問の御趣旨がちょっととれなかったものですから、政府委員からお答えさせましたが、米の需給の問題でございますが、これは御存じのとおり、世界全体と申しますか、アジア地域における食糧の逼迫という状況もその前提にございます。それから、日本の人口増加という問題もございますし、個々の消費は多少減りましても、人口の増加という問題もございます。それらを十分勘案いたしまして、そうして私どもといたしましては、自給率はいま九五%でございますけれども、国内産によって自給をしていくという傾向はできるだけまだ高めてまいりたい。ただ、村田さんおっしゃるように、水田つくっちゃあつぶすとか、あるいは生産限界を越えるようなところに水田をつくっていくというようなことは、極力避けていかなければならぬと私は考えております。
 それから、備蓄米と申しますか、手持ち米でございますね、これはなかなかむずかしい問題でございまして、ちょうど私らが食管制度というものに対してきわめて取り扱いを慎重に考えると同じように、手持ち米の操作というものは自然条件にもかなり影響されるものでございます。しかも、今日は生産性のいろいろな面の向上がございます。技術も進歩しておりますけれども、一方におきまして災害だとか、干害だとか、あるいは台風だとか、いろいろの自然条件というものを勘案しなければならぬ作物でもございます。したがって今年の持ち越しのような、二百三十五万トンというのはかなり大量でありますけれども、これが、また少し、ぐっと下がるというと、需給操作上なかなかこれで窮屈にもなるという不安もありまして、私らとしては食管制度のもとで安定供給というものを続けられるということを絶えず念願しながらやってまいりたい、こんな気持ちでございます。
○村田秀三君 総理にお伺いしたいと思ったわけでありますが……。
○鶴園哲夫君 関連。先ほど村田委員が、農産物の需給の長期見通しに関連しまして質問しましたですね。それに対しまして若干の答弁があったんですが、農業基本法でいう場合は、需給の長期見通しということになっておるわけですが、そのタイプはすでに示されておるわけですね、長期見通しのタイプは。先ほどの話を聞きますと、いま農林省の内部で検討しておられるのは、政策的な態度あるいは指針というものを含めて、言うならば計画的な需要、農産物需給の計画というようなものをつくるというふうにとれたんですけれどもね。それから、経済企画庁長官は、農産物の輸入に関連をしまして、木材の輸入が非常に激増してきた、たいへん心配をしていると。そこで、そういうものを含めて計画的に進めていかなきゃならぬという、また計画的というようなことばを使われるのでちょっと気になっているんですがね。ですから、どうも農林大臣の考えていることと事務当局のやっていることの間に食い違いがある。これはまあ農林省内部で、事務当局でやっていることですから、大臣と食い違ったっていまのところ何ともないと思いますが、ただ、村田委員が質問しておりますように、政府としては農産物について自給度というものをきめられるんですか。いま自給度というものはないわけでしょう、どの程度の自給にしようという。米なり麦なり、あるいは酪農製品なり、いろんなものについてどの程度に自給にしていきたいというような考え方は全然ないわけでしょう。まあ単なる見通しはあったとしましても、そういう政策的な意図を含めた、政策というか態度を含めたそういう計画というものは、あるいは見通しというものはないわけでしょう。今度はそれをつくろうと言われるのかどうかですね、それをひとつ、つくるために努力されておられるということなんですが、はっきりさせていただきたい。
○政府委員(桧垣徳太郎君) お答えをいたします。
 農産物の需給及び生産の長期見通しにつきましては、御指摘にございましたように、農業基本法第八条の規定に明記をされておるところでございます。で、昭和三十七年に農林省が十カ年の長期見通しを立てて公表いたしたのでございますが、その後、いろいろな生産の事情、需給の事情等も経済事情の変化等で狂いが出ておりますので、私どもとしては、それの改定のための作業をただいまやっておるのでございます。で、この基本法にいう長期見通しでは、御案内のように、いわゆる単純見通しの問題でございますが、ただ、私ども農林行政を担当する者としては、単なる長期見通しということのほかに、なし得れば政策的な方向としての指針になるようなものが得られないであろうかということを検討いたしておる次第でございます。
 で、自給度の問題につきましては、大臣からもお答えがあったと思いますが、昭和四十一年度の総合自給率が価格基準によりまして八一%ということで、年々若干ずつの低下をいたしておるのでございまして、私どもが長期の見通しと、さらにそれについての政策的意欲、政策的可能性というようなものを織り込んだ基本方向というものが見出されますならば、ある程度自給度についての見通しも立ち、また自給度を目標にする政策の展開というようなことも可能になるのではないだろうかということでございます。現段階でどういう自給度を目標にしておるかという数値については、ただいま申し上げられる段階じゃないのでございます。
○委員長(西郷吉之助君) もう一問ね、鶴園君。
○鶴園哲夫君 どうも関連で恐縮ですけれども、いま官房長が答弁しましたね。そういうことで、農林大臣、いいんですか。ですから、いま官房長が答えましたのは、つまり政策的な態度というもの、あるいは指針というものを含めまして、ある程度自給率というものをきめると。私は、そうしないというと、農業政策は具体的には展開できないと思っているのですよ。ところが、どうやらいまの官房長の説明ですと、自給率をめどに、自給率をきめるという、そういう方向だというふうに理解するのですがね。大臣、そういう方向でお進めになりますか。
○国務大臣(西村直己君) 先ほど、米につきましても、また国内産による自給度を上げたい、国内産で国民食糧をまかないたい、こういうふうに申し上げましたように、いろいろな主要食糧につきまして自給度を上げなきゃならぬものがございます。また、自給度がすでに一〇〇%、十分あるものもございます、鶏であるとか鶏卵であるとか。したがって、それらは数値として、計画としてこの目標をぴしゃっと数字的にはじくということは、他のいろいろな条件が出てくると思います。だから、そこまでは詰めませんけれども、それらを一つのめどにした政策的な態度と申しますか、そこに努力をしていこうというようなものをひとつ研究して、できるだけ早く出してみたい、こういう気持ちなんでございます。
○村田秀三君 総理大臣にお伺いいたしますけれども、それはいま鶴園委員もいろいろと言っておりました。私の先ほどのやりとりは総理も聞いておられると思いますが、私は農林省がいわゆる需給計画をつくる態度を持っておることに対して敬意を表したいと思うわけです。そこで、この計画ということばを非常に総理大臣は、実は一昨年私が総理大臣にこの問題で質問した際に、資本主義自由経済であるから、計画経済はとらない、こういうような答弁をいただいた記憶があるわけなんです。しかし、事農業問題に関しては、もはやもうあまりにもアンバランスの状態がひどい、こう理解せざるを得ない。そこで、どうしても自給率をきちっときめて、そうしていわゆる供給する態勢を、つまり生産態勢をつくる。生産態勢をつくるために、いわゆる国は相当なこれに適当するところの助成をする、こういう考え方に立たない限りは、今日農業の危機とか言われております、ないしは農政の危機というような言い方をされておりますが、問題の解決にはならないと思うわけでありますけれども、御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまお述べになりましたその方向というか、そういうものがやっぱりなければ、農業の近代化、あるいは農業を近代産業として生産性のあるものにするとか、あるいは農業従事者の福祉向上をはかるように申しまして念仏に終わるだろう。御指摘になったとおりだと思います。
 私は、農林当局が計画ということをずいぶん使うことを避けておる、かように思いますけれども、しばしば言われるように、農業の構造改善という点も、構造改善もでたらめに何らの目標なしにやる、こういうものじゃないと思います。これは先ほど来皆さんが御指摘になったとおりでありますから、また零細農業、これはもうやめるのだといったときに、どれくらいの規模が適当かというようなことも、やっぱり採算性のとれる産業に、近代産業にそれを育成するというのが目標だと思います。ただ、非常に困ると思いますのは、多角経営もございますし、また米麦中心の農業だけでもない、こういうことでございますから、食糧として見た場合に、さらに飼料を含め、あるいは水産物まで念頭に置く、これはたいへんな問題だろうと思います。一つ一つほぐしてお尋ねになれば、いま一応農林省でもある程度の計画を持って目標達成の問題をつかんでおるだろうと思いますが、そういうものを御説明申し上げれば納得がいくんじゃないかと思います。私はいまのものの考え方は私とそれから農林当局と、別に変わっているのじゃございませんし、この点では大筋はちゃんと合っている、かように思っております。
○村田秀三君 それではその問題は終わりまして、次にこれまた農林大臣にお伺いいたしますが、農地法の改正、これに関連する幾つかの法案を出される準備をしておるようでありますが、その目的は何でありますか。
○国務大臣(西村直己君) 農地法の改正は、御存じのとおり、農地が現在自作にまかされておりますけれども、いろいろこの二十年の経過を見、一方におきまして、農村におきまして土地が零細化しておると、そして、しかもそのために農業の近代化がおくれておる。兼業農家がふえる傾向にある。そこで農地を少し拡大化する。それには流動化をはからなきゃならない。したがって、それに関するところの農地法の大きな目的を阻害しない範囲におきまして、あるいは農協への経営委託であるとか、あるいは賃貸借に対する規制をゆるめるとか、最高小作料の統制緩和とか、そういうような面の改正をいたしまして、今国会で御審議を願うべく準備を進めておるのでございます。
○村田秀三君 農地法をそう阻害をしないでいわゆる農地の流動化をはかるというような言い方でございますが、今度の改正の要点というのは、農地の賃貸借を容易にするというのに私は相当な中心が置かれておると思います。そうしますと、農地法のいわゆる根本といいますか、創設されましたところの目的というのは、いわゆる農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認め、いわゆる農地法が規定をされたということと、相当やはり食い違いができると思います。そうしますと、政府はいわゆるこの自作農主義といいますか、農基法でいうところの自立農家、これを放棄したということに理解できますかどうですか。
○国務大臣(西村直己君) 私どもは農地解放と申しますか、農地改革の大目的というものはあくまでも尊重してまいり、その中で農地のできれば流動化をはかって近代農家、いわゆる採算の合う農家をつくりあげていくにはどうしたらいいかということで、かつて御存じのとおり、農地管理事業団というものを考えたりしまして、たしか国会で御審議を願いましたが、十分な御賛成をいただけないで審議未了に終わったと思います。そこで農林当局としてくふうをこらしまして、農地改革の目的の中で調整のとれる方法としてのひとつとして自作農に対して賃貸借の緩和というもを考えてまいりたい、したがって農地法の改正は、私も細部は政府委員から御説明申し上げてもいいのでありますが、不在地主の問題等が出てまいりますから、それの当事者とその後継者ぐらいまでに限るという限度を置きまして賃貸借の方向を認めておる、だれでもが、金出せば農地を買い取っておいて、貸して、農地の上に賃貸料であぐらをかくというようなものではないわけでございます。そういうふうにひとつ御了解願いたいと思うのであります。
○森中守義君 関連。
○委員長(西郷吉之助君) 関連は簡単に。
○森中守義君 農林大臣にこの際ちょっと伺っておきますがね。二十三年のときに政府が買い上げた、何といいますか、開拓財産というのか、そういう不用地ですね、これがまだ全然整理されていないようです。したがって、全国でどのくらい現在遊休状態にある面積、それからいつごろにそれを処理しようとするのか。どうも非常に大きな問題で全部取っておきながら、もとの所有者に返そうともしない。処理もしようともしない。まことにこれは国家経済という観点から言ってもゆゆしい問題だ。全部でどのくらい取っておるか、処理したのがどれくらいか、未処理のものがどれくらいか、これだけひとつ御説明願っておきたいと思う。
○国務大臣(西村直己君) 農地解放の際に国の手元に残った国有地の例の問題だと思うのでございます。そこで、それの問題につきまして、所有者に耕地を返すべきであるという御論議がございました。ただしかし、当時の時価で返すことはまた社会常識に反するじゃないかという逆の論も出た、大きな問題でございます。したがって、これは世間から御納得のいただける方法で、しかも国家国民のために有用に解決をしなきゃならぬと、こういうところになっております。そこで、正確な数字はいま政府委員の農地局長から御報告させますが、たしか、現在六百万町歩ぐらいの中で三百万町歩ぐらいは――私の記憶が違うと申しわけありませんが、(「三百万といったら農地全部じゃないか。」「そんなことないよ。」と呼ぶ者あり)いや、半分ぐらいのものはすでに農耕地として返しておるのじゃないかと思うのです。少なくとも残っているものにつきましては、これをどう処分するかということにつきましては、もしその所有者に返さないという方法をとるとすれば、公共的な目的をどうするか。その場合に、どういう法制をつくるかということでいま検討しておるというのが現状でございます。ちょっと数字的には誤りがあるかもしれませんから、政府委員から、資料ございませんので。
○政府委員(和田正明君) ただいまお尋ねの件は、開拓の未墾地買収のことをおっしゃったのだと思いますが、四十一年末の数字でございますが、現在国有で保有をいたしておりますのは、十八万七千五百二十二ヘクタールでございます。そのうち、すでに入植者あるいはは増反者に貸し付けをいたしまして、近い将来売り渡しをする予定のものが二万二千八百十ヘクタール、それから農業用の道路、水路等の敷地にいたしましたものが三万九千二百八十四ヘクタール、そのほかに、まだ貸し付け等いたしておりませんものが約十二万五千ヘクタールほどございますが、これらにつきましての具体的な処理方針をどうするかというふうなお尋ねでございましたが、なお、これらの中から、たとえば草地の造成とか、地元の要求等で、開墾をいたしまして農地にするような必要性のあるもの等もございますので、そういう地元との関連等も考えました上で、最終的な処理をきめたいというふうに思っております。
○森中守義君 委員長。
○委員長(西郷吉之助君) もうあなたは済んだばかりじゃないですか。村田君。
○村田秀三君 いいですか。じゃ。たいへん最近は請負耕作というものが増大をしておる、こういうことでありますが、その実態をひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(和田正明君) 請負の実態はどうなっておるかというお話でございますが、一般に請負と呼ばれておりますものは、非常に幅が広い性質のものでございまして、実質的な賃貸借、むしろ農地法の不法行為と申しますか、脱法行為に該当するものもございますし、それから部分的な農作業を共同化をいたすような形のものもございますわけであります。私どもとしては、先ほど大臣もお答え申しましたような、農地法の改正というようなことを考えます場合に、主として問題にいたしておりますのは、実質的なやみ小作と申しますか、脱法行為的な、全面的な請負、本人自身は経営の主体性を持たないような形で、請負をさせておる相手が実質上の経営者である、そういう形態のものが相当発生をしておること、それをなるべく法秩序の中でおさめていきたいというふうに考えておるわけでございますが、本質的にそういうものがやみであり、脱法行為でございますので、正確な戸数とか、面積とかあるいは請負料がどうなっているかということを統計的に把握することはたいへん困難でございますので、御了承いただきたいと思います。
○村田秀三君 いま請負耕作は非常にやみであり、認められておらないものであるからという御答弁でございますが、私どもが聞いておる限りは、これが非常にふえておる、しかもやみ小作料はいわゆる農地法の改正が新聞報道されたとたんにつり上げられているという話を私は知っております。したがってこの農地法の改正は、いわゆるやってはいけないそのことがむしろいわゆる農地法の改正は、農地の流動化という表現を大臣はいたしましたけれども、これは農地の所有権の移動ではなくて、耕作権の移動、それに基づく経営規模の拡大、こういうふうにつながっていくように私は思います。そうしますと、いわゆるこの請負耕作なるものが、あるいはやみ小作なるものが急騰いたしまして、いわゆる農地法の創設の精神というものからそういうものが相当曲げられると私は考えるわけでありますが、どのように対処するお考えですか。
○政府委員(和田正明君) 御承知のように、農地改革では当時小作地でございましたものを政府が強制買収して売り渡しをいたしたのでございますが、それ以後すでに相当の年限を経過いたしましたので、諸般の経済事情が変わっておりますから、売り渡しを受けた当時の小作農の経営形態をそのまま固定して考えるということは、現在の事情の中では適当ではないというふうに考える必要があろうかと思います。それから農地はそれ自体御承知のように不動産でございますから、それ自体が資産的な傾向を持っておりまして、最近の内地における年間の自作地の売買面積は約四万ヘクタールくらいでございますが、これは戦前の昭和八年ないし十年ごろの数字に比べましても、むしろ売買の数字は少ない、そういう実情でございます。私どもとしてはそういう自作地としての売買されますものにつきましても当然それが売られましたあとでも、より効率的に利用されていくということを期待いたすわけでございますが、それ以外にある一定の条件の中で賃貸借でより効率的に利用したい人のための利用に供される、そういう方向をあわせて考えることも決して農地改革の精神を踏みにじるものではないというふうに考えているわけでございます。先ほど農林大臣もお答えを申し上げましたように、現在の経営規模の中堅層以上の農家、これは大部分が自作農でございますが、それらの農家が今後伸びていくというふうに考えます場合に、それに何がしかの賃貸借による借地をつけ加えて、経営規模を広げましても、それはやはり本質的には自作農ということの質を変えるものではない、そういうふうに考えて農地法の改正案を検討いたしたものでございます。
○村田秀三君 この改正によっていわゆる自作農が今日九%ということが言われておりますが、その自作農、自立経営農家、これが何%ふえると見込んでいるわけでありますか、何年後にはどの程度になる――まあ昨年の経済の長期見通しによりますると、四十六年を大体目途としているようでありますから、四十六年を対象といたしまして、どの程度考えているわけですか。
○国務大臣(西村直己君) なかなかむずかしい問題ではありますが、具体的にすぐというわけにまいりませんけれども、目標としては総生産のなるべく半分近く自立農家へ持っていけるような心持ちでいきたいと思います。
○村田秀三君 四十六年に自立経営農家を半分程度に持っていきたい、これは大きな問題だろうと私は思います。まじめな御答弁であるかどうか伺いたい。
○政府委員(桧垣徳太郎君) 大臣からお答え申し上げましたように、自立農家の戸数の割合をどういうふうに持っていくかということは、なかなかむずかしい問題で、計測もむずかしいのでございますが、大臣が申しましたのは、大体今後十年間ぐらいに現在二七、八%の自立農家の生産のシェアを全体の総生産の半分程度をになえるような姿に持っていくことが農政としては目標として望ましいということを申し上げたのでございます。
○村田秀三君 先ほど大臣は、四十六年には大体農家戸数の半分、いまの官房長の話は、それは十年間で二七、八%、これはほんとうに官房長の答弁も私は党内で討議をして農地法の改正、関連する法案の改正、そして施策によって、そこまでいわゆる自立経営農家を高めていくという論議が真剣になされておったのか、私は疑わしいと思います。確信ありますか。
○国務大臣(西村直己君) 私が答弁足りなかったかもしれませんが、総生産におきまして十年くらいの目標で自立農家というものを半分くらいまでにあげてまいりたい。いまがたしか九%でございますね。そういうのを目標にしてまいりたい、こういうことでございます。それから、なお、農地法改正の論議の過程におきましても、とにかく日本の農業の零細であり、自立性が薄いということにつきましては、やはりわれわれとしては農地法を流動化の形で改正することによって、少なくとも自立の方向へ推進はできると、こういう結果ああいう法案の改正をお願いした次第でございます。
○村田秀三君 いずれ機会を見て委員会等で詳しくひとつお聞きをいたしますが、先ほど私も聞き違いをいたしました。確かに自立経営農家で半分の生産に引き上げたいということであれば、まあどのような内容のものを考えておるかということはすぐにわかるわけでございます。いずれにいたしましても、いまのお話を聞きますると、これはやっぱり将来の投資というものがなされておらない。つまり何かをやらなければならないからそこへ一つ農地法の改正を出したんだという行き当たりばったりの考え方しか受け取ることができないのです、これは。まあいずれこれは後日やります。
 そこで、まだいろいろと問題が残っておりますけれども、最後にお伺いをいたします。
 これは全然角度は違いますが、問題が別でございますが、政府は国土開発幹線自動車道路建設法によって現在東北自動車道路を建設いたしております。これは何も東北自動車道路にのみ関係をする問題ではありませんが、この建設をめぐって地元のいわゆる地権者・農民と自治体が非常に対立をいたしております。そしてそれを納得させる意味で、つまり土地の問題を解決するために、端的に申し上げますると、農地の土地改良、この関連事業の採択は農林省は無条件で採択をするということにしています。しかしなかなか農民はそれを承知しない。自治体は苦しまぎれに、農林省が出すところの四割五分の補助率に上積みして二割五分つまり構造改善並みの補助をしましょうという約束をしておるわけです。そうしますと、国の事業をするために県が相当な犠牲をこうむるという、今日超過負担の問題が大きな問題になっているわけでありますけれども、そういう問題がある。これに対してどのようにお考えになるのか、これは建設大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(保利茂君) たいへん大きな高速自動車の道路計画に取り組んでおりまして、関係の地域開発と国全体の経済の交流を発展させていくための大きな計画でございますが、しかしながら地域の開発発展のためとも申しますけれども、やはりその地元地元の御理解をいただかないとなかなか円滑に事業を遂行してまいることができないわけでございます。したがって、事業遂行にあたりましては、できるだけ施工者と県との接触を密にしまして、用地の確保等につきましては県にお世話をいただいて、そして地元の方々、土地を提供される方々等の生活に影響する、そういう場合には行き届いたお世話をできるようにするためにも県のお世話になるということが大事であろうということで、委託契約を、協定を結びましてお世話をいただいているわけであります。東北自動車道などにつきましても二本松−郡山の間にたいへん複雑な事情もあるようでございます。細心の注意を払っておりまして、できるだけ県当局と道路公団との間に円滑に事態が進みまするように気をつけておるわけであります。いずれにしましても土地改良事業を行なったり、あるいはインターチェンジを起点とする県道等の施設が公共事業、関連公共が持たれるわけでございますから、どうしても県のお世話をいただく、県との密接な関係をもって地域住民の方々に、特に土地を出していただく住民の方々に不測の損害を与えないように重々配慮していかなければならぬということを考えてやっておるようなわけでございます。
○委員長(西郷吉之助君) 村田君、時間がまいりました。
○村田秀三君 時間のないところまことに恐縮ですが、その答弁いろいろいただきましたが、まことに簡単な答弁でけっこうであるわけです。つまり関連する農地の土地改良事業、それをやる際に農林省は無条件に採択はするけれども、四割五分の補助きり出ない。県は用地買収のために、地権者を納得させるために県費を二割五分上積みして、七割のいわゆる補助率を出すからひとつ土地を売ってほしい、こういう形になっておるわけでありますから、まあ平たく申し上げますると、これは農林省の農地局長とも話をいたしましたが、非常に県に迷惑をかけるわけにはいくまいから、特別交付税等によって処置をするように交渉をする、こういうような話等もありましたので、どのように考えるのか。これはまあ自治省、自治大臣等にも聞いてみたいと思うわけであります。
○国務大臣(赤澤正道君) 御指摘のとおりにやむを得ず地方団体でかさ上げ補助などをいたしております。その場合やはり道路のことですから一つの地方公共団体に片寄る場合もありますし、また財政規模から考えて過重な負担になり得ることも考えられますので、そういう場合にはよく実情を調べまして財政負担を多少でも軽めるような措置について検討してまいります。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして村田秀三君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(西郷吉之助君) 次いで千葉千代世君。
○千葉千代世君 私は教育の諸問題のうち、現場で混乱を起こしている教育内容に関する件や、財政、行政の面から過密対策、父母負担の激増、給食問題を含めて、並びに私学振興、文化財の保護等を取り上げ、さらに国家公務員の恩給増額等について質問したいと思っております。
 総務長官にまずお尋ねいたします。去る三月二十五日に出された恩給審議会答申の恩給の調整方法について説明していただきたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 御案内のとおりに、恩給審議会は、過去二年間にわたりまして、非常によく御研究をいただき、また、御審査を賜わりまして、その間には中間報告、中間答申も出たのでございます。去る先般の答申にあたりまして、その根本をなしております問題は、二条ノ二の調整規定の運用の問題、これが今回の答申の私は中心をなすものである。なお、また、各方面からいろいろと御要望がございました約六十数項目にわたります内容につきましても、一々詳細に検討されまして、明確な結論を出していただいております。大体今回の御答申は、その調整規定を中心といたしましたものである、かように考えております。
○千葉千代世君 調整規定の骨子。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、調整規定と申しますのは、いわゆるスライド制でございますが、その中におきましても、特に物価水準を取り上げられまして、消費者物価が五%以上の変動を来たすときには何らかの措置を講じなければならない。同時に、また、公務員の給与との相関関係も、それも一応は検討をされておる次第でございます。この五%の問題をお取り上げになったのは、ちょうど人事院の勧告が、やはり物価水準、消費者物価、そういうようなものの五%というのと同じ私は考え方に立っておると思います。五%の消費者物価の変動ということは、どうしてもやはり全体の改定を必要とする段階であるということを明確に指示せられたものである、かように考えております。
○千葉千代世君 人事院の公務員の給与のスライドの根拠は、消費者物価だけではなくて、民間給与その他違うのです。この五%の根拠をいまおっしゃったのですが、先般来からの予算編成の過程で政府は物価の上昇率を四・八%と見たと、こういう経済企画庁長官のお話があったわけなんです。しかし、政府の統計を見てきましても、十年間に大体六〇%上がっているわけです。現行でも五・五%から六%、こういうようになっております。ところが、国民生活の実際はそれよりもずっと高くて、九・九%から一〇%、こうなっていますというと、五%の押え方はたいへん低いと思いますけれども、これについては論議はかわされませんでしたか。
○国務大臣(田中龍夫君) この五%の上昇率の問題につきましての審議会におきまするただいま御質問のいろいろな論議の点につきましては、担当の局長からお答えさせていただきたいと思います。
○政府委員(矢倉一郎君) お答え申し上げます。
 審議会でいわゆるスライド規定と称せられます恩給の調整をどういうふうにするかという点についていろいろな論議がかわされたわけでございますが、御承知のように、二条ノ二には、物価と、それから公務員の給与と、もう一つは国民の生活水準という三つの柱が明文で出ておりまして、その他の諸事情もあわせて著しい変動があった場合というふうに規定されておりますが、審議会といたしましては、明文で出ている物価と公務員給与と国民の生活水準をどのように考えればいいであろうか、この点についていろいろな論議をかわされたわけでありますが、どうしても恩給としては、やはり生活の面において物価の上昇の穴埋めを最低の条件としてやってまいらなければなるまい、こういうことで、ただいま申し上げましたような消費者物価の条件を不可欠の要件として考えよう。そこで、不可欠の要件として考えます場合に、それではどれだけの基準ということを明確にしておかなければなるまい。そこで、明確にするにあたりましては、この恩給が、かつては公務員であったということに一応の着目をいたしまして、そこで、公務員給与につきましては、御指摘のように、一つには、いわゆる生計費、それから、もう一つには、いわゆる民間の給与、こういうものを調査して、五%以上の改善を要する場合には人事院において勧告する、こういうことに相なっておりますので、そこで、恩給も、かつて公務員であった人たちの退職した方々についての問題でございますので、そこで、その他の、たとえば厚生年金とか、その他のいろいろな調整規定がございますが、やはり公務員給与の五%によりどころを求めるということが適切であろう、かようなところから、いわゆる著しい物価の変動ということを五%という基準で押えようという論議に相なったわけでございます。したがって、審議会の答申の趣旨は、この物価についての基準を公務員給与に求めるとか、その他のいろいろな考え方をとって計算してみたけれども、やはり五%という公務員給与のそれに一応のよりどころを求めることが適切であろう、かようなことで五%をきめられたわけでございます。
○千葉千代世君 公務員の給与ベースと恩給年額の格差がたいへんひどいと思うのです。その状況はどのようになっておりましょうか。
○政府委員(矢倉一郎君) お答え申し上げます。
 公務員給与につきましては、現在は四万七千円という程度になっております。ところが、恩給につきましては、いわゆる水準という考え方をとっておりませんので、現在は二万円水準の何割増しというふうなことになっておりますので、相互の水準比較ということはございません。
○千葉千代世君 この差が開いてきたのはいつごろからであったかということと、時期と額のズレについて質問したいと思います。
○政府委員(矢倉一郎君) 大体基準になります年は、昭和三十六年が一応の開いてきた年のように考えられます。したがって、水準という点はございませんが、恩給といわゆる公務員の給与とがほぼ一致した時期が三十六年、かように考えられようかと思います。
○千葉千代世君 違うと思うのですが、もう一ぺん調べて答えてください。
○政府委員(矢倉一郎君) ただいま申し上げました点は、ベースという考え方でまいりますと、いわゆる昭和四十年に二万円の二割増しという形で行ないましたので、その意味では恩給といわゆる公務員給与との一致した時期ということで昭和三十六年ということを申し上げたわけでございます。
○千葉千代世君 これは違うのです。私は底上げをしていただきたいので、それを聞きたいためにこの根拠を伺っているわけです。これはおたくのほうの資料を見たらあるのですね。違うんです。
○政府委員(矢倉一郎君) 実は恩給とこの公務員給与のベースとがいろいろ変化を続けてきておりますが、昭和二十六年には一万円ベースでございましたのが、二十七年に一万二千円、二十九年一万五千円というふうに上がってまいりまして、恩給のベースは、旧来は公務員給与のベースを追いながらまいりましたのですが、したがって、いわゆる二万円が公務員については三十四年になっておりますけれども、恩給につきましてはいわゆる三十六年のときの給与が一つの基準になります。したがって、改定されて出てまいりましたのは昭和三十七年でございまするが、したがって、三十六年のベースと公務員の給与のベースとが一致した時期だと、かように申し上げたわけでございます。
○千葉千代世君 くどいようですが、二十六年の公務員給与の一万円ベースは、恩給では、恩給の仮定俸給といいますとベースということばは当たらないかもしれませんが、一万円でちょうど時期も額も合致しているわけなんですね。ところが、その後見ていきますというと、三十四年の十月が公務員が二万円、それから恩給の仮定俸給のほうが二万円となって、これは三十七年十月に実施されて一致しているわけです。時期と額にズレが出てきて、だんだんひどくなっています。現在の公務員給与ベースの四万七千円に対して大体何十%の開きがあるかということを答えていただきたい。
○政府委員(矢倉一郎君) もしも恩給につきましていまどれくらいのベースになっているかという点でございますと、恩給につきましては、高いほうで約二万一千円程度になっていようかと思います。したがって公務員給与が四万七千円がございますので、そういった意味で、もしベースとそれをお考えになるようでございますと、現在の時点においては三万一千円と四万七千円、かようになろうかと存じます。
○千葉千代世君 そこで、四十三年度の予算の中の三十五億は、恩給法二条ノ二の調整規定を満たしていないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(矢倉一郎君) お答え申し上げます。
 実は恩給法二条ノ二の調整規定につきましては、先ほど総務長官のお答えを申し上げましたとおり、恩給審議会の答申によって運用してまいる、かようになっておりましたので、したがって、今回提出されております三十五億の予算につきましては、昭和四十二年の恩給増額をいたしたことの修正増額の形で計上されておりまして、したがって、調整規定の運用そのものとは考えておらないわけがございます。
○千葉千代世君 各国の恩給のスライドの実例をあげてください。簡単でけっこうですが。
○政府委員(矢倉一郎君) お答え申し上げます。
 アメリカは、大体消費者物価によってスライドしてまいります。この方法は、大体三%値上がりをいたしました場合、これが三カ月続きますと、その一番高いところをもってスライドしている。それから、イギリスは大体やはり消費者物価によって調整する。それからドイツ、フランスの場合は、これは公務員給与に基準を求めて調整してまいります。
○千葉千代世君 そうすると、答申の中の公務員給与のスライド、あるいは物価スライド云々と言われたのですが、私は公務員の退職者でございますので、公務員の給与にスライドすべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(矢倉一郎君) 審議会といたしましては、公務員給与につきましてもどうしていけばいいかということがいろいろ御検討されたようでございますが、やはり公務員給与についてはいろいろな内容を持っておりまして、直ちに基準とすることには問題がある。そこで必要な不可欠の要件として物価を調整基準とされたようでございます。
○千葉千代世君 たとえばいまのような政府の押え方でいきますと四・八%だと、こういっています。そうするとこれは上がらないことになりますね。物価が五%上がれば自動的に上げると、こう答申されていますから。そうすると、来年またかりに四・八%、かりにですよ、四・八%上がったとします。そうすると九・六%というものは来年自動的に上げるわけでございますか、ことし見送って。
○政府委員(矢倉一郎君) お答え申し上げます。
 審議会の答申のしかたといたしましては、ことしの四・八、来年の四・八というものがもし二年間に継続的に上昇いたします場合には、それを考慮するということに相なろうかと存じます。
○千葉千代世君 考慮ではなくて、九・六%は上げるということでなければ自動的ということばではないわけなんですが。
○政府委員(矢倉一郎君) お答え申し上げます。
 審議会の答申は、一応調整の基準として物価を取り上げておりますが。これはやはり財政との関係もございますので、したがって、そういう自動スライドというよりは、このやり方は半自動的スライド方式ではなかろうかと、かように考えます。
○千葉千代世君 経済的にいって大蔵大臣に聞くことが別にあるんです。あなたは審議会の答申を受けてそのままを答えてもらえばいいんです。
○政府委員(矢倉一郎君) ただ、審議会の模様がでございますが、この答申のしかたとしては、いま申し上げましたように、半自動方式をとろうというふうな考え方をおとりになったようでございますのでさようお答え申し上げたわけでございます。
○千葉千代世君 ここで物価の上昇率の論争は省きますけれども、宮澤経済企画庁長官と大蔵大臣に伺いますけれど、やっぱり通貨の安定の保証がなければ、どんなにいいものをつくってもこれは追いついていかないわけなんです。ですから、このスライドする背景の、たとえば経済の計画、通貨の安定について、やっぱりこれは審議会の意見を尊重して、それに沿っていくという考えがありますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 通貨の価値は、やはり裏返していえば、結局消費者物価の問題になるわけでございますから、やはり生産性の低いものの生産性を上げていって、そうしてなるべく人手を食わないように、生産性を上げるように、そういうことが私ども通貨価値の維持ということの一番本筋であろうと思っております。そういうふうに今後もやっていきたいと考えます。
○国務大臣(水田三喜男君) 通貨の安定ということが土台になるべきものでございまして、これが不安定である限りは、どんな制度をつくってもこれは安定いたしませんので、基本的な問題だと思っております。
○千葉千代世君 そこで、底上にげついて伺いますけれども、これは総務長官に伺います。いま国家公務員、あるいは地方公務員でおやめになっておる方々が、教員の方も九十歳ぐらいの方、聞いてみますとたいへん低いわけなんです。額が低い上に、今度は物価が上がっていきますから、このスライドを適用しても、元がうんと低いんですから、これはもうどうにもならないんです。そこで、底上げについて抜本的に考えていく用意はないかというのです。
○国務大臣(田中龍夫君) 退職時の給与が低く、しかも、奉職年限の低い方々と、その後の社会情勢の変動でおやめになった方々との間には、お説のとおり、非常な格差が出ておる場合もございます。ことに一万円以下といったような顕著な例もございますのでそういうふうな問題につきまして、数次にわたりまして改定を行なってまいったわけでございます。今回の審議会の答申をいただきました中におきましても、今後改むべきものがたくさんございます。われわれとしましては、その答申を尊重いたしまして、今後また一そうの努力を払ってまいりたいと、かように考えております。
○千葉千代世君 普通まあ審議会の答申を尊重してもらいたいというのが常識かもしれませんが、私、この中で一点、物価の上昇率のことについてたいへん不安があるし、不満でもありますし、考えは違いますけれども、これは総理大臣に伺いますが、この物価の上昇率を低く押えた、今度は実際は高いと、これをもう一ぺんちゃんときちっとすなおに考え直して、その裏づけによった答申ですね、答申を手直しするにしてもいいほうに手直しすると、こういうふうなことでこれを実施していくという用意がございますか。そういう意味で尊重してもらう。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、出ましたその答申につきまして、政府といたしましてはいつでもこれを改善したい。特に恩給扶助料等、永年国家に奉仕をされました方々に対しまする問題とか、さらに、年金の問題等、これから今後全力を傾けてまいるつもりでございます。もちろん、政府といたしましては、ただいまの御指摘のいいほうに向かいまして全力を傾けて努力をいたすことをここにあらためて申し上げておきます。
○千葉千代世君 問題をかえて文部大臣にお尋ねいたします。これは、先般、義務制である中学校の卒業式に行きましたところ、中学校の廊下にこれが張られてあって、「アメリカ第七艦隊」と書いて写真がずうっとべトナムへ行く様子が全部ありますが、「世界通信教材科学ニュース」といいますが、これは教育の場において義務制の中学校でどういうニュース価値があるとお思いでしょうか。それから大臣はこれは御存じでいらっしゃいましょうか。こういうのがひんぴんとして現場に流れているわけなんです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、いまお示しになりましたものは承知いたしておりません。ただそういうふうなものが学校に配られておるのが、学校のほうが求めておるのか、その辺のこともよく存じませんけれども、学校としましては、そういうものを掲示場にかける以上は、やはり教育的配慮をもってやっていることと存じております。
○千葉千代世君 大臣、ちょっとこれをごらんいただきたい。あなたの見解を聞いているんですから。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、この写真を見ただけでは、別にそれが支障を生ずるものとは考えません。このような写真は新聞にもたくさん載っておることでありますから、学校にそういうようなものが――おそらくこれ一枚を買っているわけでもないと思いますけれども、継続的におそらく買っているのじゃないかと想像いたしますけれども、これをかけたからといって、それで直ちにどうというふうなことでもないのじゃないかと思います。
○千葉千代世君 ちょうど、太平洋戦争の最中に、航空兵が少なくなって、その募集のビラが各学校に配られて、そして一人でも多く志願するようと一生懸命配った記憶があるわけなんです。ちょうどそれと同じような、その内容をごらんいただきますとわかりますけれども、義務制のちょうど中学三年の卒業生たちが進路をきめる場合に興味をひくような、いわゆる科学ということばに寄せて、アメリカの軍事力がいかに偉大だかということを、ベトナム戦争にどっから発進してどう行っていかに優位を示しているかということがずうっと写真づきでもって解説されているわけなんです。そうすると、教育基本法にありますいわゆる平和を希望するということと相反しないかということを心配します。先般来の加瀬委員からの質疑の中で、大臣並びに総理大臣も、重ねて憲法を守るとおっしゃったんですが、その点について食い違いしませんか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お示しになりましたものは、どこの発行かはよく存じませんけれども、おそらく継続的にこの種のものを教材として発行しておる。それを各学校で――各学校といいますか、適当と考えて買ってきておるというようなものじゃないかと思いますが、これだけをかけたというものではないと思います。ただ、私は、写真そのもの、つまりアメリカの第七艦隊、これはたまたま写真が載っておるようでございますけれども、それだけかれこれと判断すべきものではない。また、学校としては、当然、この種のものをかけますときに、一つの教育的配慮のもとになさなければならぬ。そういうものを伴わないで、ただ漫然とかけるというふうなことでは、私は学校としては注意が足りないという気がしないわけでもないわけであります。たまたまこれが掲示せられておるということだけでかれこれ判断するのはいかがであろうか。要は、その学校のそういう教材に対する取り扱いのやり方が問題になってくるのではないかと思います。一がいに何とも言えませんけれども、これをかけておる、その事実だけでかつての大東亜戦争を想像せられる必要もないのじゃないかと思います。
○千葉千代世君 それを見た子供たちが、うちに帰ってきて、ぼくは防衛大学へ入って、今度は戦争の先になってやるんだということをお母さんに言って、お母さんが何でと言ったら、このことを言っているんです。時間がないから省略いたしますが。
 そこで、現場が混乱しているというのは、これを廊下や講堂に張ってある学校と、張ってない学校で、張ってない学校は、そこの校長さんや職員が、いままでたびたびこういう問題があるけれども、みんな話し合ってやめていると。ところが、そうでないところは、校長さんの権限で、たいへん勇ましい校長さんがやっていると、こういうふうに分かれている。いわゆる教育の現場で混乱を生じていることもあなたは平気なんですか。差しつかえないわけですか。内容については、言う権限は文部省はないかもしれませんけれども。
○国務大臣(灘尾弘吉君) これは「教材科学ニュース」ということになっております。ニュース的なものを写真にとって配っておるのだろうと思うのです。したがって、どこまでもニュースとして取り扱われるものと存じますが、先ほども申しましたように、やはり送ってくるからすぐそれをかけるというふうな単純なことではなくて……。
○千葉千代世君 お金を出して買っている。そこに定価が下に書いてあるでしょう。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ですから、いろいろなものが送られてくるだろうと思うのであります。この一つだけをとらえて買うとか買わぬとかという問題でもなかろうと思うのでありますが、ただ、掲示をするかしないかということについては十分な教育的配慮をもってやることが望ましいと、このように私は考えております。
○千葉千代世君 それでは、文部大臣は効果があるというように解釈してよろしいですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 効果があるとかないとかという判断は私ここでしようとは思いませんけれども……。
○千葉千代世君 ずるいですよ。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほど来申しておりますように、この種の写真によるニュースを掲示して子供に見せるということが、一がいに悪いことだとは思わないのであります。いい写真もあるに違いないです、送ってくるものの中に。したがって、そこらに学校長なり教員の諸君の配慮があって、それは不適当だ、こう考える場合にはかけないようにせられたらいいと思うのです。そういうふうな考え方をいたしております。
○加瀬完君 ちょっと関連をして。教具教材並びに教育資料の展示頒布ということについては、文部省も県教委も非常に神経をとがらして、ただ学校の選択だけにはまかせておらないわけですね。したがって、そのものが妥当か妥当でないかというのは別にしても、十二分な考慮を払うように文部省も県教委も指示をしておるわけでありますから、慎重な検討の上に展示をすべきである、あるいは児童、生徒に展覧をさすべきであるとはお考えになりませんか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ものの考え方としては、おっしゃるとおりだと思っております。
○千葉千代世君 総理大臣は、いまこれをごらんになりましたけれども、文部大臣の御意見と同じでしょうか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私も、文部大臣と同じように考えております。
○千葉千代世君 そうすると、これは解釈のしようによって何を配ってもいい、野放しということになりますね。いい環境を整えるという文部省の教育行政の方針と合致しているというように文部大臣はお話しになっていますね。そういうふうに解釈してよろしいですか、かまわないというんならば。野放し状態でもいいということですね、結局。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省はむやみに干渉はいたしませんけれども、目に余るものがあればもちろん指導助言ができるわけでありますから、御注意することもあろうかと思います。ただ、あなたがお取り上げになりましたその一枚の紙をもってかれこれということを申し上げることもどうだろうかと、このようなことを先ほど来申し上げているわけであります。
○千葉千代世君 まだ資料がございますが、時間の関係で委員会に譲ります。
 次に、郵政大臣それから大蔵大臣に伺いますが、子供保険局と子供銀行についてでございますが、教育費の父母負担の増額にたいへんたえかねているという弱みにつけ込んで、最近、各地方の郵便局長と市長と教育長が連名で簡易保険の勧誘を各学校にやって入学記念に入りなさい、七%のリベートをあげますと。それは、教材費が四%あるいは、学校によって使い方があるけれども、研究費にしてもいいと、こういうふうにずっと合同で配られているのを御存じでしょうか。まず、郵政大臣に伺います。
○国務大臣(小林武治君) そういうような事実があります。子供保険局と、こういうようなものが全国で三百近くあります。
○千葉千代世君 その実情と、募集目標と目的と。
○国務大臣(小林武治君) 実は、簡易保険におきましては、団体加入というのがありまして、団体で入ると、百分の七という保険料の割引があるのでありますが、学校のPTA等が、あるいは子供が加入して団体で加入することによって七%のいまの割引がある、こういうことがありまして、これらが学校で利用されておると、こういうふうな事実がありますが、これは実は学校がおやりになっておるのじゃなくて、PTAがおやりになっておって、そこの団体に割引があって、その割引を学校に寄付する等によって学校の教材その他に活用されておると、こういう事実がございます。
○千葉千代世君 PTAで一括加入、十五人以上これを勧誘したものは、一つの団体として届ければ、PTAの会費と一緒に持ってくるわけですね。そうしますと、PTAの会費を預かっている先生方が、子供が一緒に持ってきますから、それを今度はPTAに渡すわけですね、そういうことになりますね。
○国務大臣(小林武治君) 団体そのものはPTAがおやりになっておって、先生がお世話をしてくださるところもあります。お手伝いをしてくださるところもありますが、その割引というものは団体にされると。そして、団体にその収入があるから、その収入を学校に寄付されて利用されておると、こういう実情でございます。
○千葉千代世君 全国でどのくらい入っていますか。
○国務大臣(小林武治君) 現在、人数にしまして約四万人ぐらいの方がそれに入っておられる。
○千葉千代世君 契約がですね。
○国務大臣(小林武治君) ええ、契約が四万件か五万件、こういうふうになっております。正確な数字はまたあとで申し上げます。
○千葉千代世君 そうすると、これは子供保険局という名前について文部大臣はどのようにお考えになりますか。これは子供のやっているところもあるわけなんですよ。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、実は、子供保険局なるものがあるということをよく知りませんでした。政府委員にはわかっておるかもしれませんから、政府委員からお答えいたします。
○政府委員(天城勲君) いまのお話は、郵政大臣からお話がございましたように、PTAの団体加入の問題でございまして、よく言われております子供銀行のような子供の学習活動という意味での子供保険局というものはございません。
○千葉千代世君 そこで、この。パンフレットを見ますと、これは北九州市長、北九州市教育長、門司区長、門司港郵便局長の連名で出された中に、「お子さまの将来のために」という文章のまた説明があって、このお金がみんなのためになるんだということが一ぱい書いてある。「びっくりする程かかる大学の学資」から始まって、お金がないために退学する学生が七割五分もあるからお前さんこれに入れと。「ものをいう学歴、高額所得者を調べて見るとその九割までは高等教育を受けております」と、これがある。そこで親は夢中になって入って、これにつられたということで、まあ時間がありませんけれども、私は教育の機会均等、その持っている特性を生かさしていって、その子供のフルに最大限に能力の活用をしていくという立場で考えていった場合に、こういう文句を教育の現場に堂々と配られて、子供がかわいい親御さんをつるという、このことは、教育の現場を郵政大臣は何と心得ていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(小林武治君) これは、形の上ではPTAの好意的の御協力をいただいておると、こういうことでありまして、私どもはこれを強要申し上げておるというわけではありません。いま申したように、全国に三百近くの子供保険局と称するものがあって、契約はいま四万二千件ぐらいあると、こういうことでございます。保険は、実は、簡易保険の積立金というものが、いまは小中学校の校舎建設等に重点を置きまして、そこへ地方団体はみな起債の形でもって融資をする、この金が現在約一千億円あるそうでありまして、全国四万校の中の二〇%から三〇%くらいはこのお金で学校ができておると、こういうことで、学校においても、地方団体においても、簡易保険というものに非常な親しみを持っておるというか、そういうことで、そしてこの募集等にも協力をされておると、こういう実情でございます。
○千葉千代世君 「地方還元融資による小学校の増築」云々ということも書かれておりますけれども、わざわざ赤字を使って、「ものをいう学歴」から始まってこういうおどかしでもってつらなければならないというこのやり方について、教育の現場の先生方はたいへん半強制的加入になっているわけです。別に強制ではないわけですね。それで、名目はPTAだと言っていますけれども、実際は子供がやっているところもあるわけです、子供保険局という名ですからね。それで競っているわけです。そういう意味で、これは、子供銀行と一括しまして後ほどまた御意見を伺います。
 それから大蔵大臣に伺いますが、子供銀行の実施状況について伺いたい。
○国務大臣(水田三喜男君) 日本銀行が金融機関を通じて調査したところによりますというと、昨年の六月現在でありますが、子供銀行を設立している学校数が一万一千七百二十六校、子供銀行に預金している学童、生徒数が三百六十三万九千人、それから子供銀行の預金残高が昨年の六月で二百一億六千七百万円ということになっております。
○千葉千代世君 この子供銀行の貯蓄目標はどのくらいでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) これは目標は立てておりません。
○千葉千代世君 毎年表彰されておりますけれども、何か表彰基準があるでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 表彰基準はございます。これは、私も二回免状を出して表彰いたしましたが、その大蔵省で表彰しておる選定基準は、大体次のとおりでございます。
 まず、学校教育に位置づけられている子供銀行で、他の教育活動とつり合いがとれており、かつ、学校としても優秀であること。このことだけ発達しておっても、ほかのほうの教育活動とつり合いがとれていないというのは選定基準からはずれるということになります。それから児童、生徒の生活の場と結びついて、その能力に相応した実質的かつ計画的な貯蓄実践が行なわれているということ。それから貯蓄総額及び貯蓄者個々の貯蓄額の高を論ずることなく――多い少ないじゃなくて――事務の取り扱い方法が無理がなく、しかも厳正に行なわれているということ。それからもう一つは、昭和四十一年五月十三日付で、これは大蔵省と文部省から各都道府県知事それから教育長に子供銀行についての運営のしかたとかいろんなものを出しておりますが、この通達にのってその運営が適切であるものということが基準の中に加わっております。
 大体こういうことで選考されたものについて毎年表彰を行なっているということでございます。
○千葉千代世君 そうすると、文部大臣に伺いますが、この通達は、教育の特別活動というような面でとらえた通達でしょうか、どんなでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 子供銀行は、それが児童、生徒の自主的、自発的な活動であると、そういうような場合には、特別教育活動と、そういうふうにみておるわけであります。また、主として学校が計画して実施するような場合には、これは学校の行事というふうなことで位置づけられているように承知いたしております。学校の実情によりまして各学校で運営する、そういうふうに行なわれております。
○千葉千代世君 この貯蓄の目標額はないと言っておりますが、日本の国民全体がたいへん貯蓄を盛んに、まあ収入に比べて一番世界各国で多いわけですね。大体、年間の貯蓄の目標額はどのくらいでしょうか、子供でなくて、大体。
○国務大臣(水田三喜男君) ことしはまだきめておりませんが、四十二年度七兆二千億円です。
○千葉千代世君 そうすると、子供銀行に対しても貯蓄目標があるわけでしょう。でなければ、ことしはだんだん貯蓄の高が減ってきたと、一時たいへんはやったけれども、幾ら表彰してもだんだん減ってくるのはどういうわけだと、督励でされておると聞いたんですけれども、表彰するについては、目標額を達したとか達してないかという何か少しは基準もあるのじゃないでしょうか。
○国務大臣(水田三喜男君) 目標はきめておりません。と申しますのは、子供が家庭に帰ってだれそれはこれだけ貯蓄しているから自分もしたいとかというような、これは目標をきめますと非常に弊害が多いということから、この貯蓄目標はきめないことにしています。
○千葉千代世君 そこで、自主的な云々ということがさっき言われたわけです、特別活動の中でですね。ほんとうに自主的であるならば、親の収入によって子供の生活は限定されるわけです。子供には収入はないわけです。まあ、お年玉をもらったり、あるいはアルバイトしたり、いろいろありますが、ここで言う義務制の子供に対して言いますと、ほうぼうからいただいたお金とかいろいろあるわけですから、それは郵便局へ貯金のしかたとかいう指導の方法はあるわけなんです。学校でこれをやりますとどんな弊害が起きているかということを文部大臣は把握していらっしゃいますか。通達ということをおっしゃったんですが、学校教育法の施行規則の改定でもってどんどん施行規則を改定していって、今度は中にないものは通達一本出してどんどこどんどこやっていくわけですね。そうすると、現場では、これを受けてたいへん困るわけなんです。いわゆる教員の雑務というものがどんなにふえっていっているか。子供銀行について、どんな帳簿を出して、どんな整理をして、どういうあれをするという基準を見ていきますというと、これはたいへんな事務量になっていくわけです。そういう意味が、どのように把握していらっしゃいますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 子供銀行の趣旨は先ほど来お話のありましたとおりでございまして、これはやはり子供の教育上効果のあるものとして認めておるわけでございます。文部省としましては、決して無理なことをやってもらおうというふうなつもりは毛頭ございません。したがって、私どもとしましては、少なくとも私は、それが教育の場において非常に弊害があるとか、学校の教師がそのために非常な負担を受けておるとかいうようなことになりますと、これは無理ということになるのではないか。したがって、無理にならぬ範囲において適当にやってもらいたいというのが私どもの気持ちでございます。もし、また、まずい点がありましたら、御教示を願えればありがたいと思います。
○千葉千代世君 これは、困っているうちの子供がたいへん差別感を持っているということがたくさん出てきたわけなんです。子供銀行ですから、学校で子供が自主的に高学年が運営しているところ、もちろん生先が指導するわけですが、その中で、先生がつける問題で、貯金の元帳、現金出納簿、金品受払簿、利子配分、子供銀行日誌等、ずっとありますけれども、そういうふうな中に、子供たちのやる分と先生の指導部面とずっと分けてあるんです。そうすると、子供が今度貯金をしに行く場合には、困るうちの子供はできないわけなんです。そうすると、そうっと前の日に先生がお金を渡して、また子供が貯金をしに行くとかという、私から言わせればたいへんかわいそうなようなやり方をしなければならないように追い込まれているということもあるわけです。いろいろ考えてみますと、これは自主的に実施していくという精神が失われて、あそこが表彰されたと、今度は校長の成績争いになっていくというようなことがあるわけですね。それを非常に私は憂えているわけですが、その点についてやっぱり文部大臣は適切な指導をしながらやっていただきたいと思うのです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) いまお話しになりましたような状態というものは、私どもも期待しておるところではございません。したがって、無理な、あるいはまた、よその学校と競争するとか、学校の校長さんの名誉心を満足するとか、こういうことでこの仕事が扱われるということはいかにも残念なことだと思っております。よくまた注意いたさせたいと思っております。
○千葉千代世君 学校では、貯蓄額を学級別に毎月棒線のグラフで公開したり、できない子供の立場の配慮がなかったためにたいへん困っている実例もたくさんありますが、これは省略します。
 最後に、私、これは大蔵大臣に伺いたいのですが、このように子供たちが貯金します。そうすると、子供たちが貯金をして、さあおろすときになったときに、物価が上がっておって、お金の価値が減っていくわけでしょう。(笑声)そうでしょう、笑いごとじゃない、ほんとうなんですよ。一生懸命子供は金勘定して数学的に教えるわけです、数学でね。これだけお金にしたらこれだけになったと、こうなりましょう。そうすると、やっぱり青少年に希望を持たせ、夢を持たせるという国の政策というものね、これはまあそういうことばでありませんけれども、やっぱり希望を与えていくというようなしかたの中でやっていかなければならないと思うのです。ですから、一つの問題をやる場合には、よく――教育的な配慮を欠いてやられたのでは郵政省でも困るし、それから銀行のほうでも、貯金すればいいいい、それは財政投融資がうんともうかった、今度はこっちやる、あっちやるで、その配分でやるというのはこれはいけないと思うのです。私、私学振興のところで伺いたいと思っておりますけれども、たとえば子供が貯金したものが財投に、私学振興のほうにどういったか、あるいはさっきの地方起債のほうにどういったかというと、地方起債のほうにいったもので学校を建てる場合にどういう隘路があったかということも、やっぱりその隘路は全然説明されないでもって、みんなも社会のために協力しているんだと、いいことずくめで言ってしまって、ぶつかったときには、じゃ、これはどうするかということも全然一緒になって考える余地もないような場に追い込まれているわけなんです。そういう意味で、特別活動についても、各省が協力しながらやっていくという必要を痛感しているわけです、そういう点について。文部大臣は、たとえば学校敷地その他について、このビラにありますように、「還元融資で役に立ちます」と、こうありましたときに、ああそれはけっこうだと、だからあなたもおやんなさいというようにやっぱりこれすすめますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) どうも御質問のなにがよく聞き取れなかったのですが、もう一度ひとつ。
○千葉千代世君 保険にたくさん加入しますね、あるいは銀行に貯金しますね。そうすると、これは大蔵省のほうの資金運用部へいきますね、金融の政策の中で財政投融資へいくでしょう。そうすると、今度は地方のほうで、保険の場合にはこういうふうにビラに、これ学校の用地なんかにするために還元して使いますと、だからたいへんいいことだということが書かれているわけなんです。ですからね、たいへん教育的だと、その面だけをとらえていらっしゃるんじゃないですかって、その裏をごらんになっていないんじゃないですかって、さっきのような問題を申し上げたわけです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、この簡易保険の制度というものは、もちろんりっぱな制度であり、維持していかなければならぬ制度であると思うのであります。そういう意味におきまして、国民が簡易保険を利用する、あるいはまた簡易保険の趣旨を普及するということは、決して無意味じゃないと思う。そういう簡易保険の趣旨というようなものを普及いたします際に、それがあるいは還元融資の形で行なわれる、こういうようなことをよく説明することも決してむだではないと考えております。いまの学校用地と簡易保険と直ちに結びつけて説明することが適当であるかどうか、これはわかりませんけれども、しかし、簡易保険にみな加入することによって自身も利益を得るし、また一般もそれによって利益を受ける、こういうふうな性質のものでありますから、その趣旨を説明するというふうなことは、これは決してむだではないと存じております。その意味におきましては、そういう趣旨を大いに説明して簡易保険を利用する人がふえるということは好ましいことじゃないかと考えております。
○千葉千代世君 特別活動という面で、これは農業高校あたりにかなり例がございますのですが、たとえばその実習したお金を配分するわけなんです。これは熊本県の農業高校ですけれども、大体十二校あるとします。その実習して得たお金が一億にのぼっていると。そうすると一校当たり約一千万円に当たるわけですけれども、この総額の還元金は、県から約八〇%くるわけです、これは県によっては違いますけれども、熊本の例で申しますと。そうすると、校長の成績争いのために、豚がよければ豚をうんと飼ってもうけよう、鶏がよければ鶏をうんと飼ってもうけようという、教育本来の、生産と教育と結びついた正常な段階から離れて、いろいろな設備費用が足りないために、片寄っていく傾向が多いと思うのですけれども、文部省ではそういう点をどのように指導していらっしゃいますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 政府委員からお答え申し上げます。
○政府委員(天城勲君) 農業高等学校における生産の収益を学校に配分いたしまして実習の振興をはかるという政策はとっております。いま御指摘のように、生産競争になって教育の目的を阻害しないようにということは、私たち一番気をつけているところでございまして、ただかせぎ高によって学校の実習の成績がきまるというようなことのないようにいろいろ指導をいたしております。
○千葉千代世君 次は、教育費の父母負担の件でお尋ねいたしますが、家計簿から支出する教育費が年々ふえていくということが問題になっておりますが、この教育費について税金の控除の対象にする考えはないかということを伺いたいのですが。
○国務大臣(水田三喜男君) いわゆる教育費控除の問題でございますが、税制調査会でもこの問題を議論していただいておりますが、いままでのところは、やはり早く百万円まで課税最低限を引き上げるということを急ぐべきであると、基礎控除を引き上げることをやはり急ぐべきであるという意見が圧倒的に強うございます。そうして今度は、教育控除というような特別控除制を置くことといまある扶養控除との関係が議論されておりますが、たとえば、いま小学校、中学校、高等学校で児童生徒一人当たりどれくらい父兄負担がかかっておるか。これは文部省の調査でございますが、小学校が、これは昭和四十年度で一万五千五百円、中学校が二万円、高等学校が四万四千円、これが大体父兄負担ということになっておりますというと、この教育控除をこういう段階的にいろいろ考えるというようなことをするのか、そうじゃなくて、やはり扶養控除というものをもう少し大幅に上げるというようなことによってやったほうが合理的じゃないかというような、そういう問題が論議されておりまして、まだ結論がついていないというのが実情でございますが、私は、やはり基本的控除を引き上げることを急ぐほうがいいというふうに私自身は考えております。
○千葉千代世君 先ほどの保険の勧誘にも書かれているとおり、たいへん教育費が多いと。そういう中で、免税点についても、百万円まで云々とおっしゃったのですけれども、家計の中で占める教育費というものはやはり特別に取り出して税をかけていくべきじゃないかという、こういう要望を付して、次の問題に移りたいと思っております。
 父母負担の中で最近目立って多く取られる中で、プールの建設費というのが、全国にございますのですけれども、文部省のほうでは水泳を奨励しておって、プールの建設の補助費というものを組んでいらっしゃるわけなんですが、いま実態はどのようになっていらっしゃいましょうか。
○政府委員(赤石清悦君) お答えいたします。
 プールの設置希望が非常に多うございます。数年前から国庫補助金を計上いたしております。しかし、非常に希望が多うございますので、毎年その予算配賦のとき困難を来たしておりますが、現況を申しますと、大体二十五メータープール、国費を百二十万程度補助して、全体の数字が六、七百校になっております。ただ、自力建築もございますので、現在いま正確に覚えておりませんが、概数、小中学校のうちで設置率が三〇%程度になっているのじゃなかろうかと存じております。二十五メートルプールでございますと、まちまちでございますが、七、八百万円から一千万円程度かかるようになっております。もっともこれは、子供かわいさのために、最低限度のものからいろいろつけ足しもございますから、さようなものをつけ加えて一千万円程度になっております。
○千葉千代世君 そうしますと、地元のたいへん超過負担になっていることと、それから地元って、地方自治体のでございますね、これは自治大臣にお尋ねする約束ではなかったんですが、おわかりでしたら答えていただけませんか。
○国務大臣(赤澤正道君) 超過負担の疑いのある事業につきましては、全部を洗って超過負担があるかないか精査をいたしておりまして、とりあえずは、今年度は六つの事業につきまして抜き出してやったわけでございます。しかし、大蔵省との約束では、全部洗い出しまして超過負担を解消すると、至急に解消するということになっておりまするので、その場合は今後の調査になると思います。
○加瀬完君 ちょっと関連。自治大臣に伺いますが、いまのプールの問題とか、学校の敷地に対する寄付とか、あるいは学校の備品に対する寄付というものは、超過負担の調査の対象になっておらないです。しかも、これは地方財政法二十八条の二項かで、自治省の説明によれば、違法行為だという説明をしておりますね。しかし、違法行為が当然のように行なわれておって全然チェックされておらない。そうじゃありませんか。
○国務大臣(赤澤正道君) 超過負担もあれば、税外負担もあるようでございますけれども、事務当局をして答えさせます。
○政府委員(細郷道一君) 一般的な超過負担については、先ほど大臣が申し上げましたとおり、三年計画で解消していくのであります。しかし、いわゆる負担金でない奨励的な補助金によりますものについては、法律上の超過負担という問題は出てまいりません。ただ、実際にかかる経費と補助対象の基本額との間には差がある、その分はできるだけ埋めるようにしたいというのが、一般的な希望でございます。私どもプールの建設については、地方負担について起債等を認めることによって、できるだけ急激なる地元負担を避けるようにいたしたい、こういう方向でやっております。
○加瀬完君 それから局長、地方財政的違反だと自治省が認めておることがさっぱり守られておらない。
○政府委員(細郷道一君) 地方財政的には、御承知のように訓示的な規定のものもございまして、必ずしもすぐそのままが違法になるかどうかということについては、個々のケースについて見てまいらないといけないと思います。
○千葉千代世君 先ほど大体三〇%の設置率だということをおっしゃったわけですが、この三〇%の設置率の中で地元負担――国からのあれはわかってますけど、地元負担の中で父母が寄付したのはどのくらいの率になっているとお考えでしょうか。概略でけっこうです。
○政府委員(赤石清悦君) お答えいたします。
 一般の父兄にどの程度負担をかけておるか、これは詳細に調べてみないとわかりませんが、非常に父兄自身の希望が多うございますので、やはりある程度父兄が積極的に負担するからつくってくれと、こういったのもございますので、ある程度父兄が負担しているということは了承いたしております。ただ正確な数につきましては、ちょっといま持ち合わせておりませんので、またあとで……。
○千葉千代世君 大体いま私が調べたところでは、多いところ少ないところ合わせて三千円平均、半ば強制的に町内でこれは集められているわけなのです。それでたいへん困りまして、ある市で、二つばかりの市でございますけれども、もう去年からは市の費用で予算に組みまして、そしてずっと計画をしているというところも出てきたわけです。ですから、過重な負担にならないようなやはり建設計画と、それに見合った地方への指導が適切に行なわれていなければならないと思うのですが、今後そういう方面でやはり努力していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) そういう方面につきましては、私どもはやはりどこまでも無理のない仕事をしてもらいたいと思っております。まあざっくばらんに申し上げますと、非常に御注文が多い。と同時に、それに見合うだけの予算がないということも言えるかと思うのでございます。いずれにいたしましても、先ほど例にあげられましたように、市なら市、町村なら町村でちゃんとした計画をたてて、それに対し適正な補助がいくようにありたいものだと存じております。地方に対しましては、やはり無理な計画、ことに父兄がそのために非常に困るというふうな計画を持ってこないように努力してもらいたい、そういう意味の指導をやらしてまいりたいと思っております。
○千葉千代世君 次に、やはり父母負担の激増の中で、給食費が年々ふえるという心配を持っているわけです。現実に方々の県でふえて困っておるわけです。二人、三人通っておりますところでは、とても払い切れないという現状が出てきているわけです。私は教科書の無償が四十三年度で終わっていく、義務制について。そうしたら今度の予算で、今度、四十四年度ではありますが、今度は、この次には、学校給食の無償に取り組むべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学校給食の無償ということになりますと、きわめて遠大と申しますか、雄大なお話だと、そのように思うのです。十分御承知のことでありますけれども、現在文部省としましては、完全給食の実施を目ざして事務的な施設あるいは人的な要員、こういうふうなものを整備してきておるところでございます。まだまだ完成するまでにはほど遠しというような状況でございます。そういうことでございますので、これをもし全国的にいま無償の原則を立ててやるというふうなことは、なかなか容易ならぬことだと思うのでございまして、ただ、これもまた千葉さんよく御承知のことと思いますが、現在、文部省にあります保健体育の審議会でこの学校給食の問題について全面的に検討いたしておるところでございます。なるべく早く結論をいただきまして、これを十分検討して実施に移していきたいということでありますから、給食制度全般にわたっての再検討をいたしておるところでございます。その結論を待っているところでございますので、できるだけすみやかにいわゆる完全給食を全面的に実施されるというところに持っていきたい。その場合に、これに対する国の助成のあり方をどうするかというところが、いまお話しの無償というところにつながってくるんじゃないかと思います。十分検討してみたいと思います。
○千葉千代世君 いま大臣のおっしゃいました保健体育審議会で審議中だということを伺いましたが、その諮問内容の骨子は何でしたでしょうか。その答申の時期を、なるべく早いうちとおっしゃったんですが、もう三年以上かかっているんじゃございませんか。大体いつごろの見通しなんでしょうか、答申の時期、それから審議の経過がある程度わかりましたら教えていただきたいと思うんですが。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま申しましたように、学校給食制度全般につきまして検討を加えるということで御検討を願っておるわけでありますが、諮問の事項は「学校給食の社会的使命と学校教育の中における位置づけ。」、「学校給食の実施に関する義務教育諸学校の設置者、都道府県および国の任務。」、「学校給食関係職員の職務内容、職制等。」、それから「学校給食に要する経費の負担区分および保護者負担の軽減方策。」、「学校給食用物資の供給体制の整備。」「それから、大学の教員養成課程の教育課程における学校給食の取り扱い。」、まあこういうふうに給食制度全般にわたっての検討をお願いしておるわけでありますが、大体ことしの六月ごろには結論をいただきたいものと、このようなつもりで御進行を願っております。
○千葉千代世君 いまの、なるべく早い機会に答申をしていただいて、そしてその答申が出てみないとわからないことですけれども、その答申がまあ無償にいく方向を示しているとしたならば、総理大臣は、これは責任をもって実施していくお考えですか。言っていただけますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 答申の趣旨は尊重してまいります。
○千葉千代世君 現在の学校給食費の中で父母の負担は大体平均どのくらいでしょうか。
○政府委員(赤石清悦君) お答えいたします。
 昨年の――毎年五月現在で調査いたしておりますが――昭和四十二年五月現在におきまして、全国の平均でございますけれども、小学校で三十八円二銭、中学校で四十六円三十五銭となっております。ただ県によりましてやはり高い低いの差がございますが、いま申しましたのは全国の平均でございます。
○千葉千代世君 いまの数字はたいへん低いようなんですが、これは県によっても違いましょうし、それから都市と農村でもたいへん違うようですけれども、だんだん物価が値上がりしますというと、この負担の率も上がってくるわけなんですが、政府のほうでは今度の予算の中で小麦粉、脱脂粉乳、牛乳等の補助を組んでもらっているわけなんですけれども、これはだんだん値上がりしていく傾向にあるように思いますけれども、いかがでしょう。値上がりはしないかどうか。
○政府委員(赤石清悦君) 御指摘のように学校給食費はパンとミルクとおかずでございます。で、パンの小麦粉は大体そんなに値上がりいたしませんが、若干加工賃が値上がりいたします。それからミルクは御承知のように安い脱脂粉乳から国内産の牛乳をいま奨励いたしております。牛乳は、やはりどういたしましても脱脂粉乳より高くなります。それからおかずでございますが、学校給食費で一番金額的にパーセントを占めますおかずは、やっぱり一般食材料費が値上がりいたします。そこで、どうしても学校給食費は例年七、八%から一〇%程度上がっておるわけでございます。つまり、牛乳の使用する割合が高くなることと、やはり一般食材料が他の物価よりやはりどうしても高上がりであるということと、やはり父兄の気持ちからいたしますと、栄養のいいものを食べさせたい、こういう心理状態もございます。さような点で、やはり値上がりいたしております。
○千葉千代世君 脱脂粉乳から生牛乳へ転換していくと、こういう中で、生牛乳については、これは農林のほうでしょうから。しかし、文部省のほうとしても要求額ですね、去年よりことしふえて予算に組まれているわけなんですけれども、文部省としては、やはり最終的に生牛乳がどのくらい必要というお考えなのか、それが農林関係と食管のほうとどういう話し合いになっているのか、おわかりの点をお教えいただきたいと思います。
○政府委員(赤石清悦君) 私からお答えいたします。
 これは農林省所管でございますが、この所要数量は、私どものほうで農林省にお願いいたしておりますので、私がかわってお答えいたしますが、ことし昭和四十二年度百三十万石を国庫の補助対象といたしておりますが、昭和四十三年度で百六十万石になっております。全部行きわたるといたしますと、三百三十万石必要となる、こういう計算を現在いたしております。
○千葉千代世君 それは現在の時点で、定時制高校までを含めた必要量でございますか。
○政府委員(赤石清悦君) 御指摘のとおり定時制高校も入っております。
○千葉千代世君 そうしますと、まだ答申が出てみなければわかりませんけれども、まあ定時制だけではなくて普及さしていきたいとなりますと、これは補助を幾らするかしないかは別としても、必要量というものは膨大なものになりますけれども、どのように把握していらっしゃいますか。
○政府委員(赤石清悦君) この供給の問題につきましては、農林省から御答弁あるほうがいいと思いますが、私どもと始終連絡をとらしていただいております関係から申しますと、学校給食はきわめて重要である、そのうちでこの国内産牛乳はきわめて重要であるし、全力をあげてこの需要に対してこたえていきたい、こういうことでございますので、私どもとしては、この所要数量は、農林省方面で御確保いただけるものと信用いたしております。
○千葉千代世君 この学校給食で、僻地の問題でございますが、三級以上の高度僻地には、学校のパン、ミルク等が無償の処置がとられたわけですが、これは一級、二級の僻地の学校まで広げるお考えはありませんでしょうか。
○政府委員(赤石清悦君) お答えいたします。
 御承知のように、僻地の学校給食の役割りはきわめて重くて、非常に関係者によって喜ばれております。したがいまして、現在は三級以上になっておりますけれども、一級、二級まで広げてほしいという御要望があることは伺っております。ただやはり財源その他の関係で、まず私どもといたしましては高度僻地の三級以上につきまして、パン、ミルクのほかに、やはりそういうものを、添加物をまず食べていただくような措置をとることのほうが急務であろう、こういうふうな考えで、そういうことが完了いたしました後に、一級、二級の問題は新たに取り上げていきたい、かように考えております。しかし若干手間がかかるのではなかろうかと考えております。
○千葉千代世君 やはり早急に三級地に続いて一、二級の問題ですね、これは僻地の総合的な計画の中で、すべての点でこれがおくれているわけなんです。特に給食については、子供の発育盛りでございまするから、特にその点を考慮してもらいたいと思っております。
 次に給食の関係の中で、学校栄養士というのがございますが、この学校栄養士は、現在全国にどのくらい配置されて、これに対する国庫補助はどのくらいあるか。
○政府委員(赤石清悦君) お答えいたします。
 学校栄養士は、大体教育委員会と、小学校、中学校、それから共同調理場、その他、こういうふうにいろいろ分かれまして配置されております。教育委員会関係は一千百八十二名、小学校千七百六十一名、中学校二百八十四名、共同調理場は七百九十五名、その他が四百三十七名、合わせまして四千四百五十九名現在学校栄養士が配置されております。
○千葉千代世君 この身分と待遇は。
○政府委員(赤石清悦君) 身分につきましては、この制度は、最近起こった問題でございますので、必ずしもまだ安定した段階に立っているとは申し上げにくいので、今後この身分につきましても、私どもとしても十分に検討を進めたいと思っております。待遇につきましては、御承知と思いますが、この四千四百五十九名のうち千五百八十二名、御承知と思いますが、共同調理場と大規模小、中学校に配属される者について、二分の一の国庫補助をいたしておるわけでございます。その補助金の算定基礎といたしまして、できるだけ実情に合わせようということで、医療職の四等級一号俸相当の給与ベースで補助金を出しているところでございます。まだ最近始めたばかりでございますので、全国的な平均につきましては、ほかの一般教職員に比べますと若干劣るといった感じがあるかもしれませんが、しかし、十分今後この点についても検討してまいりたいと思っております。
○千葉千代世君 身分の点については、考慮しているとおっしゃったのですが、具体的にはこの身分を学校教育法の中に位置づけるのか、あるいは各自治体の中に職員として位置づけるのか、どういうふうな構想を持っていらっしゃいますか。
○政府委員(赤石清悦君) 学校教育上の一つの職員でございますので、将来学校教育法の法体系の中でどのように位置づけるかにつきましても、検討をしてまいりたいと思いますが、先ほど大臣申されました保健体育審議会あたりにおきましても、この問題取り上げられると思いますので、さような審議会の審議状況等もにらみ合わせまして、今後十分検討いたしたいと存じております。
○千葉千代世君 次に、文化財の保護について伺いたいのですが、行政機関の簡素化のためという名目によって、文部省のほうで文化庁あるいは文化局とか、いわゆる文化財保護委員会を改組していくということを伺ったのですが、その辺についてお答えいただきたいと思うのです。
○政府委員(福原匡彦君) お答え申し上げます。
 ちょうど文部大臣退席されましたので、私、文化財保護委員会の事務局長でございますので、文化財保護委員会を廃止することになりましたいきさつにつきましては、私からはあるいは妥当でないのかもしれませんけれども、お答え申し上げたいと思います。これは文部省といたしまして一局削減ということを実施いたしますのに、文部省の内局といたしまして文化局がございます。これは現代の芸術文化の振興ということを担当いたしております。文化財保護委員会のほうは、伝統文化の保護ということを中心としてやっておりまして、その文化の保護振興という面で裏表の関係にもなりますので、これを統合いたしまして、そういうことを一局削減の措置に関連いたしまして、ただいま法案にそれをあげているわけでございます。文化財保護委員会が、昭和二十五年に行政委員会として発足いたしました。で、すでに十数年を経てまいっておるわけでございまして、もちろん、その長所はございます。行政委員会でございますので、中立性といったものから、これをこの機会に廃止するということについていかがか、というような御質疑だと思いますけれども、その保護委員会、行政委員会としての長所というものをできるだけ生かしながら、しかも文部大臣の責任の中に入りまして、その文化財保護の行政を強化していく、文化財保護の面からいたしますれば、そういう趣旨でこの文化庁というものが構想されておる、こういうふうに承知しておるわけでございます。
○千葉千代世君 文化財保護に対するやはり基本的な考えを伺いたいと思います。
○政府委員(福原匡彦君) お答え申し上げます。
 文化財保護につきまして私どもの考えておりますのは、わが国の古来からの伝統文化、これはわが国の精神をつちかってきたものでございます。この点を最近の開発その他の風潮の中におきまして、とかく無視されるという面がございます。この点につきまして、私どもとしては現在一番憂慮しておるわけでございますけれども、その中にありまして重要なもの、価値の高いものにつきまして、できるだけそれを守りたい、これを文化財保護の中心の課題にしておるわけでございます。
○千葉千代世君 いままでの文化財保護委員会ですね、これを設置した理由を先ほど述べられたわけなんですが、政治的な勢力の介入を極力避けて、そうしてまあ中立性を守っていく。そうして、その国の文化の水準を高めていくという重大な使命を持って発足して、運営しておったわけですが、ただ単に一省一局削減とか、そういう波の中にこれがもまれていくということについては、私はたいへん問題があると思います。いま伺いました基本的な態度を貫いていくためには、はたしてこの改組が妥当であるかどうかということについては、私、疑わしいと思うのです。そこで文部大臣に伺いますが、文化財保護審議会を置くということですけれども、この審議会の構成とか、あるいは選任基準があったら示していただきたいと思います。
○政府委員(福原匡彦君) お答え申し上げます。
 文部大臣退席しておりますので、私から新しい文化庁になりました後の諮問機関として、文化財保護審議会というものを予定しておりますが、この文化財保護審議会の構想につきましてお答え申し上げます。文化財保護審議会につきましては、現在の文化財保護委員会の長所というものを、できるだけそのまま使いたいと思っております。したがいまして、その構成につきましても、ほとんど同じ表現をしているわけでございます。五人の審議会の委員ということで、広く文化的に識見の高い方から選ばれる。いままでは行政委員会でございましたので、国会の御承認を得て選任されておりましたけれども、まあその点が内閣の承認ということに変わりますけれども、それ以外の点につきましては、いままで実際に委員会を行なっております程度の回数、一週間一回以上集まりまして慎重に審議をされておられますけれども、そういった形をそのまま残していきたい。そういたしまして文化庁長官、あるいは文部大臣の決定いたします事項について、重要事項につきましてはその文化財保護審議会の議を経なければならない、こういうことをうたっておるわけでございます。
○千葉千代世君 文化財保護の基本的態度について、総理大臣にお答えいただきたい。
○国務大臣(佐藤榮作君) 文化財保護の基本的な政府の態度、先ほど文化財保護委員会の事務局長が説明したとおりでございます。
○千葉千代世君 いわゆる官庁組織になってしまうわけですが、そうすれば、文化財保護に関して行政実務本位に偏重されやすいのじゃないかという心配があるわけです。この文化財保護委員会ができるそもそもの議員立法でずっとできたわけですが、そのときの精神の中立性の維持が困難になる心配があるわけです。これに対する対し方はどのようにしていらっしゃいますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) このたび機構簡素化いたしましても、ただいま御指摘になりましたような点について十分注意してまいるつもりであります。
○千葉千代世君 文化財専門の審議会が廃止されれば、この専門のスタッフはどこに所属されますか。
○国務大臣(木村武雄君) 日本の文化の特徴は、非常に古いこととそれから断層のないことであります。日本の非常に文化の特長だと思います。そうした古い断層のない文化をこれから維持していくためには、やはり行政を一元化したほうがよろしい。いままでは文化局と文化財保護委員会と二つに分かれておりましたけれども、それを一本にいたしまして、文化行政というものを統一してりっぱな日本の文化をこれから保存していこうと、こういう考えで今度の統一を考えたのでありまして、どうかその点は御了承してくださるようにお願い申し上げます。
○千葉千代世君 文化財専門の審議会が廃止されると、どこに所属されるのですか、そのスタッフは。
○国務大臣(木村武雄君) それは文化庁の中に新たに改組して吸収されるようになっております。文化庁です。
○千葉千代世君 それはわかっておりますけれども、このスタッフもそこに吸収されるわけですか。
○国務大臣(木村武雄君) その中に改組して吸収いたします。
○政府委員(福原匡彦君) 文化財保護委員会あるいは文化財保護審議会、いろいろ名前が似ておりますので、木村行政管理庁長官ちょっとお間違いになったようでございますけれども、これは文化財保護委員会の現在の専門審議会の委員はどこに所属するかという御質問だと思います。現在の専門審議会のスタッフは、今度新たに設けられます文化財保護審議会という諮問機関の中の専門委員として配属されます。
○千葉千代世君 最近経済成長がだんだん進んでいって、過密地帯が続出したわけなのですが、道路とか鉄道とか住宅とか工場、そういうふうな地帯の中でいわゆる史跡の保存がだんだんおかされていっているわけなのですが、藤原宮跡でしたか、その指定地の北部には、内裏があったと推定されていますが、これは文教委員会で再三答弁されたわけですが、その後の発掘調査の状況のごく概略でけっこうですが、知らせていただきたいと思います。
○政府委員(福原匡彦君) お答えいたします。
 藤原宮跡につきましては、昨年実はバイパスが通るというので、たいへん心配しながら発掘調査を続けておりました。そのうちにバイパスのほうが、少し発掘調査の結果を見てからその路線を考えるということになりまして、発掘調査を続けている最中でございますけれども、いまのところ昨年からことしにかけてやっております段階では、旧内裏の北限並びに東限がまだはっきりしない状況でございますので、さらに調査を続行するつもりでございます。
○千葉千代世君 最近の奈良国立文化財研究所の発掘調査によれば、これは平城宮跡が従来考えられていた方八町の正方形ではなくて、東に張り出した部分があったことが判明されたと聞いておりますけれども、発掘調査の状況はやはりそうなっておりますか。
○政府委員(福原匡彦君) 平城宮跡につきましては、ただいま御指摘のように昨年の春までの調査によりまして、ちょうどバイパス路線が通るという予定、これは文化財保護委員会としても一たんは了承を与えた路線でございますけれども、平城宮跡の東側に密着した部分、これが発掘調査をいたしておりますうちに、そこが奈良時代の東一坊大路の予定だったのでございますが、その四分の一程度まで道路がありまして、それから北の部分には道路がないということがわかりました。しかも、その道路が東に曲がっておりまして、その道路に沿って宮城を示す築地が出てまいりました。それで、これは平城宮跡として考えられていたものが東側に張り出しているんじゃないか、こういう推定がされるに至りまして、その後、その東側に張り出していると推定される部分を掘り続けておりましたところが、昨年の暮れからことしの一月にかけまして、ちょうど方八丁の東側二百五十メートルぐらいの地点に、その東南端が出てまいりました。そこまで築地が大体続いている様子でございます。そのために東側にはっきり張り出していることがわかり、しかも、その東南端まで出たということでございますけれども、その中に緑釉あるいは三彩のかわらなどが出土いたしております。この緑釉あるいは三彩のかわらというのは、いままで平城宮跡方八丁の中を掘っております限りは、出土しておりません。したがいまして、これは歴史の上に見えております東院玉殿のあとである、稱徳天皇のお住いになられた東院玉殿のあとであろうということが推定されるに至りました。この時点におきまして、私どもさらに発掘調査を続けてまいりますけれども、道路が通りますことにつきまして、現在は建設省と交渉を重ねて路線を何とか変えていただきたいということで、現在話を進めているところでございます。
○千葉千代世君 いまその平城宮跡のところの東に張り出した部分、それを完全に近いものであれば、特別史跡として追加指定すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。藤原宮跡も同じです。
○政府委員(福原匡彦君) これは現在東南隅が確認された段階でございまして、将来その北側がどこまでかというようなことを確認いたしました上は、これは平城宮跡といたしましては、これが前の方八丁に続いているものでございますので、当然同じような扱いとして特別史跡に将来は指定されるべきものと思います。藤原宮跡についてもはっきりいたしました上で、そういうことを検討する時期がくると思います。
○千葉千代世君 総理大臣にお尋ねいたしますが、建設省が計画中の橿原バイパス及び奈良バイパスの予定路線が、両宮跡を分断すると聞いているわけなんです。図面でずっと見ましたところが、やはりそういうふうになっているわけです。この貴重な両宮跡の保存のために、バイパスの予定路線の変更について、建設大臣に相談といいますか、指示すべきだと考えますが、率直な御意見を伺いたいのです。それから、建設大臣もそれを変更する意思があるかどうか。
○国務大臣(保利茂君) お答えいたします。
 たいへん大事な宮跡でございますから、そういうところがこわされないように、長くりっぱに保存されるようにしなければならぬ。地元のほうではバイパス予定路線をやれという御意見も非常に強くあるわけでございますけれども、しかし、長い将来を考えてみますと、これはやっぱり考えなきゃいかんのじゃないか。幸いに大森議員が奈良県の御出身であります。御心配をかけて何とか路線の変更をいたしたいと、かように考えております。
○千葉千代世君 路線の変更をするというように思ってよろしゅうございますね。
○国務大臣(保利茂君) ただいまの路線を強行することは、適当ではなかろうと思っております。
○千葉千代世君 次に、私学振興対策について伺います。大学生急増の波をかぶって教育の危機を乗り越えたのは、私学の働きがたいへん大きいと思っております。しかし、私学の財政はたいへん逼迫して、その経営が日増しに困難になってきている実情であります。わが国の高等教育あるいは後期中等教育の充実をはかるためには、ヨーロッパ先進諸国のように私学振興の抜本的な対策が必要と思いますが、総理大臣はどのように思われますか。
○国務大臣(佐藤榮作君) 私も同感でございます。
○千葉千代世君 私学に在学する大学生及び高校生は、全体の大体何%ぐらいになっておりましょうか。
○政府委員(村山松雄君) 私立学校に在籍いたします学生、生徒、児童、幼児全体で約一七%でございます。うち大学は約七割、幼稚園が約八割、それから高等学校が三割、義務教育段階の学校はずっと少なくなっております。
○千葉千代世君 この十年間に私学は校地や校舎等の施設の拡張をどの程度行なって、その費用総額はどれくらいか。
○政府委員(村山松雄君) その点につきましては、正確な数字がございませんのではっきりは申せませんが、現在私学の負債の総額が約二千五百億円ぐらいになっております。この負債というのは、大体校地、校舎の拡充等のための臨時費に充てるのが例でございますので、少なくともその程度以上の費用を投じて施設の拡充をやっておるということは、大ざっぱに推定してよろしかろうと思います。
○千葉千代世君 やっぱり私立大学の学生数は、全体の七五%を数えているわけですね、全体の大学生の。建物とかそれから費用、それから私立高校と学生数、このパーセンテージから、それから支出費用ずっと見ていきますと、たいへんな支出になっているわけなんです。
 そこで私学における学生納付金ですが、その上昇の状態ですが、今年度のはまだわかっていないでしょうが、昨年度のはどんなふうになっておりましょうか、学生納付金、大学だけでけっこうです。一覧表でもいいし、おもなところでもけっこうです。
○政府委員(村山松雄君) 四十二年度の私立学校の学生の納付金でありますが、授業料にいたしまして大学が平均七万七千円、それから短期大学が五万三千三百円、それから高等学校が三万六千円ということになっております。四十三年度は、やはり一割程度上がるのではないかと思われます。蛇足でございますが、国立と比較いたしますと、国立は大学で一万二千円、短期大学で九千六百円、それから公立の高等学校が九千四百円でありますので、私学のほうが相当高くなっております。
○千葉千代世君 いまの私学の納付金は、どれを押えたんでしょうか。
○政府委員(村山松雄君) いわゆる授業料というものを申し上げております。
○千葉千代世君 それでは授業料のほかに、施設の整備費とか、あるいは拡充費とか何かで寄付が強制されておるわけですね。それはどのくらいですか。
○政府委員(村山松雄君) 四十二年度の学生納付金でありますが、私立大学で授業料が約七万七千円でありまして、入学金の平均が四万八千円、それから施設拡充費、これは建物等に充てる費用でありますが、これが五万六千円、それから維持費とかその他名目がはっきりしませんものを合計いたしまして、学生納付金の合計が約二十万円ということになっております。
○千葉千代世君 私の資料とたいへん相違しておりますが、個々のケースですからこれは省略して後の問題にしますが、とにかく、学生もたいへん納付金が多いので苦しむし、親も苦しむ。学校自体の運営も危機に瀕しておるわけなんです。今度の予算の中に補助金として幾ら組んでありますか。
○政府委員(村山松雄君) 補助金だけ純計したものがございませんので、補助金、負担金それから奨励金いろいろ合計いたしまして、文部省所管で約百十五億円程度のものが計上されております。なお、そのほかに私立学校振興会を通じます貸し出し金といたしまして財政投融資が二百五十五億円計上されております。
○千葉千代世君 この財投のお金あるいは補助金、それから教育研究費の補助金の三十億をまぜてですが、ことし創設した分ですが、これらの配分の基準は一体どこに置いていますか。
○政府委員(村山松雄君) 財政投融資は私立学校振興会を通じまして、主として建物の建設のための資金として貸し出されるわけであります。それから、その他はおおむね物件費の補助金でありますが、補助金につきましてはそれぞれ補助基準を立てて、その目的にかなうような配分方法を講じます。今回新しく計上されております三十億の経常的教育研究資につきましては、これは新規の補助金でございますので、目下、私立学校側の意見も十分聴取し、補助基準を立案中でございますが、たいへん大まかな考え方といたしましては、私立大学の学部、学科の系統に応じまして、文科系と理科系、それから、それをさらに大学院があるかないかで四つの区分を設けまして、教員一人当たりのある金額をきめ、それに昭和四十二年現在の私立大学のいわゆる本務教員数、これは助手以上の教員全部をおしなべて頭数で計算するわけでありますが、この教員の数を先ほど申しました金額に掛けたものを基準といたします。それが基準でありまして、あと、こまかくこの補助金の目的を達成するようにくふうするわけでありますが、たとえば、この補助金は、自主的によくやっておる私立大学に対してその教育研究効果をさらに高めるというのが趣旨でございますので、たとえば、新設の大学につきましては、いわゆる四年たって、学年進行が終わって、自立体制に入ったものを考え、それから古い大学であって、たとえば、財政的に全く破綻を来たして、たとえて申しますと、不渡り手形を出して銀行取引を停止されておる、それから、大学自体の運営が正常を欠いて、補助対象としてはきわめて不適当と考えられるというようなものは補助対象から除くというようなくふうをこらして、補助基準を立てて実施いたしたい、かように考えております。
○千葉千代世君 いまのは幾つの大学でわけるのですか、これは。
○政府委員(村山松雄君) 私立大学の経常的教育研究費補助金でございますが、これは考え方といたしましては四年制の私立大学を全部を対象といたします。ただ、除外例といたしまして、先ほど御説明申し上げました新設大学であって学年進行が終わらないところとか、あるいは大学の運営が正常を欠いて補助対象として不適当なものというようなものは個別的に審査をいたしまして補助の対象から除くというぐあいに考えております。
○千葉千代世君 いまの私立大学の研究費でございますが、この補助金の三十億にしましてもまだ基準がきまっていないと、結局どんぶり勘定ではないかという心配をしているわけなんです。しかも学部の云々ということを言ったのですが、それは学校のいろんな運営によって格差があるわけです。だから単に機械的にものを処していったのではこれは解決されないと思うのです。
 それからもう一つ、私学の総負債額です、二千何百億とおっしゃったのですが、この利子が一体年々どのくらいかかると思うか。
 それからもう一つは、財政投融資でもってお金を借りても払うのにたいへんなんですね、利子と混ぜて。倒れる大学がかなり出てきたわけなんですが、それについてどのように考えているか。
○政府委員(村山松雄君) 学校法人負債につきましては、一番低利なものは私立学校振興会を通ずる貸し出し金でありまして、これは五分五厘ないし六分五厘でございます。その他は大体市中金融機関等からの借り入れ金でございますので一概には申せませんが、少なくともそれ以上の金利は負担されていると思います。
 で、学校法人の収支の中で負債償還金がどれだけあるかということにつきましては新しい資料がございませんので、はっきりはいたしておりません。なお、年々さらに負債がふえている。その状況は、大体百億程度負債がふえているようでございますが、それがある意味では一つは臨時費であり、一つはやはり負債償還のためにまた負債を重ねるというようなこともあろうかと思います。
○千葉千代世君 問題があまり多いのですが、さっき担当の委員会に譲れという声もあったんですが、その点はよくわかりますが、やはりこれは基本でございますのでちょっとしんぼうしてください。
 この授業料一つ取ってみましても、私立大学と国立大学と比較してみても、ずいぶん差があります。ですから、これは私立でも、国立でもそれを考えないで――文部省ははだかになって、一体大学生一人が学校に行くためには、どのくらいの学費が要るのだろうかということを、一人当たりの標準学費というものを確立して、指導して、そうして私立に対する補助、国立に対してはどうだという基本的なものを打ち出すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。総理大臣に伺います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 最近の大学の学費はたいへん多額にのぼっている。そして、ただいま国立あるいは自治体等でつくっております公立のものと、それから私学との間に非常な差がある。私学の場合は、その負担にたえられない。しかも私学が大学教育に果たしている役割りは、先ほど来お示しになりましたように、たいへん重要な役割りを果たしております。したがいまして、学校の経営の面からも、またその学校に入って教育を受ける青年諸君のため、あるいは父兄のためにも、もっと適正な教育費というものを考えて、それの指導をするのがいいだろう。しかし何といいましても、ただいま私学の経営は非常に困難な状態でありますので、先ほどもお話のように、倒れていく学校がある。したがって、おそまきだという批判はございますが、私学、私立学校の振興方策の審議会を設けて、まあ今年などもわずかながらもそういう意味の援助、補助を出すというように、今回の予算もなっております。今後ともその審議会を通じまして、そうして基本的な問題を十分取り組んでいくという態度でありたいと、かように思っております。なお、ただいまは文部大臣、おりませんけれども、私よく質疑のありましたこれらの点については文部大臣とも話し合って、今後ともさらに努力してまいるつもりでございます。
○千葉千代世君 次に、過密対策、いわゆる社会増によって学校の用地の買収がたいへん困難しているということについて伺いたいのですが、人口の、大都市の集中化に伴ってその周囲がまたたいへん込んできたわけです。それでその混雑の中で教育上に及ぼす影響がいろいろな形で出ているわけですけれども、特に教育上の被害について財政的にどのような問題が生じているかについて述べていただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤榮作君) 学校を新しく建築する場合にその土地を選ぶ、選択するということ、これはたいへんな問題だと思っております。ただいままで都市の中心に私立大学がそれぞれございまするが、拡張する土地をその場所で求めることはただいま非常に困難であります。困難だというばかりでなく、金額的にも非常な出費を要する、かように思います。しからば郊外に出ていけばいいかと、かように申しますと、郊外に出ていくと、学生のアルバイトあるいは先生方のアルバイト等からも非常な制約を受ける、あるいは通勤に不便である、まあいろいろな問題があるようでございます。しかし、いずれにいたしましても、これは思い切って郊外に適当な場所を選んで、そうして、そういうところにりっぱな学園都市をつくるように進める、私はそういう意味で進めるという考え方でございます。学校当局もそういう方向で選ばれるように、ただいま期待し、希望しているような次第でございます。
○千葉千代世君 建設大臣に伺いますけれども、現在地方公共団体に対して用地の取得費について国庫補助を行なっているのはどういう事情でありますか。
○国務大臣(保利茂君) 公営住宅の、地方公共団体に対する公営住宅の用地の取得の補助はいたしております。それから住宅公団が団地を開発しますとき、三十三ヘクタール以上あるいは住宅戸数千戸以上のものをつくる場合には住宅公団で学校を建てる、そうして地方公共団体の財政事情によりまして三年ないし十年でお返しをしていただくというような措置を取っております。
○千葉千代世君 公団ができますと、その周辺に建て売り住宅が続々できるわけです。そうして急にまた子供がふえていくのです。そうしますというと、学校がまた必要になってくる。そうすると地方自治体が順ぐり順ぐり困っていくわけです。そこで文部省は学校用地の取得費に対する補助金制度の創設等については真剣に取り組むべきだと考えておりますか、そういう点について大蔵大臣とか文部大臣はどのように考えていますか。大蔵大臣でよろしゅうございます。今その制度がないのです。
○国務大臣(水田三喜男君) この都市の社会上、地域の場所によって非常に地価も違いますし、いろいろ違いますから、補助という形になると非常に不公平、不均衡な問題を起こしますので、やはり、これは起債を許可する、起債によってめんどうを見るということが一番いいんではないかというふうに考えて、いま、そういう方向でやっております。
○加瀬完君 それ、やめてください。女性が質問しているのにうしろのほうでやじっていてですね、そんな不謹慎なことでは質問は続けられない。(「散会散会」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
○委員長(西郷吉之助君) 静粛に――静粛にお願いします。
 千葉さん、質疑を続行してください。
○千葉千代世君 私は時間を考えて、一生懸命資料をはしょってやっているんですけれどね。
○委員長(西郷吉之助君) 千葉さん、ひとつ、継続してお願いします。
○国務大臣(赤澤正道君) 起債のことですので、私の所管ですからお答えいたします。
 最近、非常に人口の移動が激しくて、過密地帯と申しても中にはスプロール地域などもできてきておるわけでありまして、この学校を急に一つの区域につくらなきゃならぬということが、あっちこっち、点々、起こっております。一番困っておりますのはその用地の問題ですが、これは、地方債計画外にワク外債を設けまして、それぞれ措置をいたしておりまするけれども、ただ、やはり長期低利の資金でありませんと地方団体は困ります。そこで、今年度は十億円だけ国の資金を使うことにいたしたわけでございまするけれども、やはり、こういった区域がどんどんふえてまいりまするので、長期低利の資金をもっと将来は確保しなければならぬ、かように考えております。
○千葉千代世君 まあ四十二年度に十億円で四十三年度に二十億円の地方債計画があるのですが、全国でこの学校用地の買収費が年間約二百億にのぼっているわけなんです。そのために地方では財源が枯渇して非常に困っているわけです。この間参議院の文教委員会に埼玉県の福岡という所から陳情があって、それを視察したのですが、そこでは四十三年度の予算案が八億九千万円で、その六割に当たる約五億三千万円が教育費で、そのうち用地買収費が四億円計上してありますが、私ども見たところでは、その学校を買わなきゃならないという所を見してもらったのですが、坪八万円で七千坪を全部買うというと五億六千万円になると、こういうふうになっているのです。そうすると、これはもうお手上げになってしまうのです。そこで、補助率の引き上げとか、あるいは起債のワクの拡大とか利子補給の実施とかって、そういう特別の財政上の処置を考えてほしいという陳情があったわけです。私は文教委員会でこれを取り上げて詳しく報告するわけですけれども、やはりこれは一文教委員会とか文部大臣の問題ではなくて、国がやはりこの地方起債については自治大臣とか、あるいはこの起債のもとに対しては大蔵大臣とか、さらに総理大臣が本腰をあげなければ、幾ら言ってもこれは地方財政は崩壊してしまうわけなんです。そういう意味でこれを伺いますけれども、これらに対して一体どういうふうな起債のワクにしても、これは短期間ではだめなんだと、八年、九年ではだめだと、二十年、三十年の長期にしてほしいとか、こういうふうな要望があるのですが、そういう点についてはどのような対策を考えられますか。
○国務大臣(赤澤正道君) このワク外債は縁故債ですから、大体七年でございますが、これでは非常に短かいわけなんです。そこで、私、先ほど長期低利の運用資金をできるだけ大幅に取り入れたいということを申し上げたわけでございます。先ほどちょっと利子補給のことにお触れになりました。もちろん検討の対象にはいたしておりますけれども、こういう起債の利子を国で補給いたしますことは検討いたしましても、事実上困難でございます。そこで私どもといたしましては縁故債であれ――縁故債でいま七年というような利率も比較的高いものですから、そういった国の資金を導入する措置につきましていろいろ努力を重ねておる最中でございます。
○千葉千代世君 これは早急に抜本的な対策を立てないと解決していかないと思うのです。
 そこで伺いますけれども、この人口の流動化と申しましょうか、過密になるところがあれば、またたいへん過疎になるところがあるわけです。この増加の県あるいは減少の県、大体どんな状態になっているか把握しておりますところを答えていただきたい。
○政府委員(村山松雄君) 文部省のほうで把握しているところを御説明申し上げます。
 昭和四十年の国勢調査によりますと、四十六都道府県の中で人口が増加しましたものが二十一県、それから人口が減りましたものが二十五県でございます。増加率の高い県を申し上げますと、神奈川、埼玉、大阪、千葉、愛知の県でございます。減少率の高い県といたしましては島根、佐賀、長崎、鹿児島、高知などがあげられます。
○千葉千代世君 そうすると、いまのお答えのように、増加の県が二十一、減少の県が二十五なわけなのです。そうすると、しかも東京、大阪、神奈川ずっと周辺に押すな押すなで密集してくるわけなんです。そうするとこういうことが際限なく起こってくるわけです。さればといって、予想していま用地を買っておくほどのお金もないと、こういう状態の中で、これは地方財政計画と国のこの計画とがびしっと合わさっていっていないというと、地方が全部かぶっていくというような実情になってくるんじゃなかろうか。同じ埼玉県でも、これは最近できた団地として福岡よりも新しいのですけれども、子供のふえる率としていま七歳児が二百五十名だと、四歳児は七百人だと、零歳児は千二百人と、こういうふうにどんどんふえていきますから、しかも学校が足りないから順々にふやしていこうとなると用地がたいへんな率で上がっていってしまって、こんなふうに数えていくと、千葉県に幾つ、神奈川県に幾つ、東京でも町田周辺からいって、これはもうたいへんな数字になっていくわけです。ですからこれは日本の教育行政の大事な柱として、社会増による、これは国の責任で産業構造、いわゆる経済成長ということをいうならば、計画経済の中でぴしゃっとやはり、何といいますか、計画的に教育、あるいは保健所、それから病院ですね。そういう健康を守ること、教育を行なうこと等々をしっかりと計画的に繰り込んでいかなきゃならないと思うのです。さっき団地の造成について、公団が受け持つ学校の分をおっしゃったのですが、これもお金を返していかなきゃならないわけです。返せないところはどのくらいいまありますか、全部返しておりますか。
○国務大臣(保利茂君) 中学校にしろ小学校の建築にしろ、文部省の補助金を償還の第一にしていただきまして、それからこのあと、できれば三年、財政状況によりましては十年ぐらいのうちに返していただくというようにして、そういうふうに運営をいたしておるわけでございます、十分ではないかもしれませんが。
○千葉千代世君 最後に一つ。そこで、さっき私立大学の負債の総額についても伺ったのですが、財投で借りても利子が高くてとてもだめだというのですね。ですから、やはり長期債の中で利子の補給とかそういう面について考えられますか、大蔵大臣。
○国務大臣(水田三喜男君) たとえば、私学の問題でも、非常に高い金利のところはこの借りかえをしていいということで、これは七分の利子でございますが、それ以上のものはこれによって借りかえられるというようなことで、そういう便宜をはかっておりますが、利子補給ということは実際上の問題として困難だと思います。
○委員長(西郷吉之助君) 以上をもちまして千葉君の質疑は終了いたしました。
 総括質疑は今日で終了の予定でございましたが、多少ずれましたので、明二十八日午前十時より総括質疑を続行いたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十一分散会
     ―――――・―――――
三月二十六日予備審査のため、本委員会に左の案件を付託された。
 一、昭和四十三年度一般会計暫定予算
 一、昭和四十三年度特別会計暫定予算
 一、昭和四十三年度政府関係機関暫定予算