第058回国会 予算委員会 第15号
昭和四十三年四月六日(土曜日)
   午前十時六分開会
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   委員の異動
 四月六日
    辞任         補欠選任
     大森 久司君     田村 賢作君
     塩見 俊二君     井川 伊平君
     北村  暢君     占部 秀男君
     森中 守義君     小野  明君
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  出席者は左のとおり。
    理 事
                内田 芳郎君
                北畠 教真君
                剱木 亨弘君
                近藤英一郎君
                加瀬  完君
                鶴園 哲夫君
                小平 芳平君
    委 員
                井川 伊平君
                大谷 贇雄君
                岡本  悟君
                梶原 茂嘉君
                斎藤  昇君
                櫻井 志郎君
                田村 賢作君
                土屋 義彦君
                中村喜四郎君
                船田  譲君
                増原 恵吉君
                八木 一郎君
                山本茂一郎君
                占部 秀男君
                小野  明君
                木村禧八郎君
                鈴木  強君
                田中寿美子君
                戸田 菊雄君
                羽生 三七君
                前川  旦君
                北條 雋八君
                宮崎 正義君
                中沢伊登子君
                須藤 五郎君
                石本  茂君
   国務大臣
       法 務 大 臣  赤間 文三君
       外 務 大 臣  三木 武夫君
       大 蔵 大 臣  水田三喜男君
       文 部 大 臣  灘尾 弘吉君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農 林 大 臣  西村 直己君
       通商産業大臣   椎名悦三郎君
       連 輸 大 臣  中曽根康弘君
       労 働 大 臣  小川 平二君
       建 設 大 臣  保利  茂君
       自 治 大 臣  赤澤 正道君
       国 務 大 臣  木村 俊夫君
       国 務 大 臣  増田甲子七君
       国 務 大 臣  宮澤 喜一君
   政府委員
       内閣参事官兼内
       閣総理大臣官房
       会計課長     朝日 邦夫君
       人事院総裁    佐藤 達夫君
       人事院事務総局
       給与局長     尾崎 朝夷君
       総理府総務副長
       官        八木 徹雄君
       警察庁保安局長  今竹 義一君
       警察庁交通局長  鈴木 光一君
       防衛庁長官官房
       長        島田  豊君
       経済企画庁国民
       生活局長     八塚 陽介君
       法務省刑事局長  川井 英良君
       外務省北米局長  東郷 文彦君
       外務省欧亜局長  北原 秀雄君
       外務省条約局長  佐藤 正二君
       大蔵政務次官   二木 謙吾君
       大蔵省主計局長  村上孝太郎君
       文部大臣官房会
       計課長      井内慶次郎君
       文部省大学学術
       局長       宮地  茂君
       文部省管理局長  村山 松雄君
       厚生省公衆衛生
       局長       村中 俊明君
       厚生省環境衛生
       局長       松尾 正雄君
       厚生省薬務局長  坂元貞一郎君
       農林政務次官   日高 広為君
       農林大臣官房長  桧垣徳太郎君
       農林省農政局長  森本  修君
       農林省農地局長  和田 正明君
       水産庁長官    久宗  高君
       通商産業省通商
       局長       宮沢 鉄蔵君
       通商産業省企業
       局長       熊谷 典文君
       通商産業省化学
       工業局長     吉光  久君
       特許庁長官    荒玉 義人君
       運輸省鉄道監督
       局長       増川 遼三君
       海上保安庁長官  亀山 信郎君
       労働省労政局長  松永 正男君
       建設大臣官房長  志村 清一君
       建設省道路局長  蓑輪健二郎君
       自治省行政局長  長野 士郎君
       自治省選挙局長  降矢 敬義君
       自治省財政局長  細郷 道一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        水谷 国一君
   説明員
       日本学術会議会
       長        朝永振一郎君
   参考人
       日本住宅公団総
       裁        林  敬三君
       日本道路公団副
       総裁       浅村  廉君
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  本日の会議に付した案件
○昭和四十三年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十三年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十三年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
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   〔理事剱木亨弘君委員長席に着く〕
○理事(剱木亨弘君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、北村暢君、森中守義君、大森久司君が辞任され、その補欠として占部秀男君、小野明君、田村賢作君が選任されました。
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○理事(剱木亨弘君) 昭和四十三年度一般会計予算、昭和四十三年度特別会計予算、昭和四十三年度政府関係機関予算。
 以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に続いて、宮崎君の質疑を行ないます。宮崎君。
○宮崎正義君 昨日申し上げましたように、農薬取締法の第三条の第三号と第四号を政府側で読んでいただきたいと思います。
○政府委員(森本修君) 農薬取締法の三条第三号は、「当該農薬を使用するときは、危険防止方法を講じた場合においてもなお人畜に著しい危険を及ぼすおそれがあるとき。」、それから四号は、「当該種類の農薬が、その相当の普及状態のもとに通常の方法及び数量により一般的に使用されるとした場合に、その水産動植物に対する毒性の強さ及びその毒性の相当日数にわたる持続性からみて、多くの場合、その使用に伴うと認められる水産動植物の被害が発生し、かつ、その被害が著しいものとなるおそれがあるとき。」、以上でございます。
○宮崎正義君 第三号で、いま読んでいただいたとおり、「危険防止方法を講じた場合においてもなお人畜に著しい危険を及ぼすおそれがあるとき。」となっております。現在使用されております農薬の品質を改良するように指示をされたかどうか、どのような指示を、されたならばされた、いつどんなような品目が農薬に改良されたか、お伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(森本修君) 第三号の運用状況に対するお尋ねであろうと思いますが、最近の現実のこの条文の運用状況を見てまいりますと、こういう条文が農薬取締法にあるものでございますから、製薬業者のほうからは、実際の運用上としましては、事前に新しい成分等を含んだ農薬を申請したいというふうな場合におきましては、農薬検査所なり、あるいは農林省の担当の部局に問い合わせがございます。その際に私どものほうとしましては、いろいろな事前の指導なり、あるいはこういうふうに品質を改善しないと登録がむずかしいのではないかといったようなことを注意したり、また指示をしたりというふうなことをいたしております。現実に最近におきましても、たとえばアヒダスといったような有機燐の系統の殺虫剤、あるいはイソドリンといったような有機塩素系でありますが、またサイメットといったようなもの、あるいはシュラーダンといったような新しい品質の農薬をつくりたい、あるいは販売したいという場合に、事前に話がございまして、品質の改良ができないかということを向こうに言いまして、それができないというふうなことになりまして、いま申し上げましたような品質のものについては、事前の相談のみで正規の申請に至らずといったような例が見られておる状況でございます。
○宮崎正義君 統計の上から見ましても、いまおっしゃられた程度のことでは、今日までこういうふうな人畜に大きな被害が与えられているというように実情から見まして納得できないものがあります。農林大臣は指示できるとなっているのに、なぜ指示しなかったかと私は言いたいのです。というのは、今日低毒性だといわれているものからもどんどん農薬禍というものの大きな影響を与えている。こういう観点から指示できるというのを指示をやってないじゃないか、こういうふうに思うわけですがね。
○政府委員(森本修君) ただいま申し上げましたように、こういう条文が現に存在をいたしますので、製薬の会社といたしましては事前に大事をとりまして、先ほど申し上げましたように、検査所なり、あるいは農林省の担当の部局にあらかじめ相談がまいりまして、その際に品質をこういうふうに変えられないかという意味の事前の指示ないしは注意をいたしまして、その結果、品質の改良ができないというものは自発的に製薬会社のほうが登録の申請を正規にすることをあきらめるというふうな状態になっておるわけでございまして、形式的に言いますれば、この条文による指示ではございませんけれども、この条文が現に存在をするために、そういうふうな運用上の計らいができるということで、そういう意味ではこの条文が相当農薬の被害の防止に役立っておるというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。
○宮崎正義君 それならば、四十一年のときにこの問題を取り上げましてから、パラチオンを四十三年からやめると言われますけれども、なぜ即座にやめるようなことを指示できないかと言いたいんです。
○政府委員(森本修君) この条文をまあ純形式的に運用いたしてまいりますと、パラチオンについての登録を拒否するといったような事項に該当するかどうかは疑わしいというふうに思っております。しかし、ああいった現在流通をしております農薬の中でかなり被害の程度が高い、事故発生率も多いといったようなものにつきましては、できるだけ私どもとしても代替の農薬の製造を急ぎまして、生産のほうを低毒性の農薬に転換してまいるというふうな行政指導によりまして目的を達していくということが現実的であろうと思っております。
○宮崎正義君 私の言いたいのは、毒性がひどいということがわかっていれば、なぜやめないのかということです。そして低毒性に切りかえるというけれども、じゃあ低毒性というものは、きのうも申し上げましたように、それは低毒性のものが低毒性の異質のものに重なってくれば猛毒になるということ、これはもうきのうから論じてきているわけです。低毒性だからいいというような考え方は私はおかしいと思うんです。この点どうですか。
○政府委員(森本修君) まあ御案内のように、農薬の使用といったようなことでかなり農業生産の意義なり、あるいは増大なりに貢献をしてきておるわけであります。そういう観点からいたしますと、やはり農薬の使用ということが現段階においては生産上一つの大きな意味を持っておる。で、その際に、御案内のように、できるだけ人畜なりあるいは動植物に被害を及ぼさないような形の農薬によってやっていくということが望ましいということで、私どもはパラチオンとかチップとかいったようなものを、できるだけ低毒性の農薬に切りかえていくというふうな指導をいたしております。もちろん御指摘がございましたように、低毒性といえども使用上の注意等を十分やっていただく必要があるわけでございます。まあそういう面につきましては、先般来も御説明申し上げましたようなことで、被害防止のためのいろいろな運動なり、あるいは予算措置というふうなことで対処をいたしまして、できるだけ被害の防止につとめたい、こういう考えで進んでおるわけでございます。
○宮崎正義君 できるだけということが私は気に入らないのです。人の生命をどうするかということから論すれば、できるだけということは言えないはずです。直ちにやめなきゃならないわけです。それで私はやかましく言うわけです。この点をひとつもう少しはっきりしておきたいと思うのです。
 それから、たとえば殺菌剤をやって、そのあとに今度は殺虫剤をやったという、そういうぐあいに重なっていった場合はどうなるのですか。
○政府委員(森本修君) お答えいたします。昨日も化学的な分野でございますので、参考人等から御意見も御聴取いただいたようでございますが、そういった成分が競合いたしました際に、どういう現象を起こすかということにつきましては、いろいろな農薬の種類なり、あるいはそれが一緒になる状態なりといったようなものによって違ってくると思うのであります。私もその方面の専門家ではございませんので、確たるお答えを申し上げることはできませんけれども、昨日来の論議を拝聴いたしますと、そういうふうなことではなかったかというふうに思います。
○宮崎正義君 私は専門家のその意見をよく徴して、データ等を出していただきたいと思います。
 それから次に移ってまいりますが、第四号の問題でありますが、ここの「持続性」ということばの意味の解釈をお願いしたいと思います。
○政府委員(森本修君) 御指摘がございました第四号は、主として、ごらんいただきますとわかりますように、水産動植物に対する被害の関連の条項でございます。御案内のように、農薬と水産動植物に対する被害との関係は、農薬は圃場に散布をされます。水産動植物に対する被害が発生いたしますのは、圃場からそういった農薬、主としてこれは除草剤でございますが、農薬が池なり川なりに流出をいたしまして、一定期間置いて動植物に影響を及ぼすということが通例でございます。そういう意味から持続性ということがこの条文としては一つの異なったケースから書かれておるということでございます。つまり、具体的に言いますれば、七日間というふうにこれは命令で規定されておりますから、七日以上たてばその毒性がなくなる、あるいは薄くなるというふうなものについては、この四号に該当しないというふうな運用をいたしておるわけでございます。
○宮崎正義君 昨日もお話ありましたけれども、有機塩素剤等は慢性化していくということなんです。そうすると、持続性ということは人畜には何も関係ないのですか。
○政府委員(森本修君) 持続性はもちろん人畜に関係ないわけではございません。ただ先ほど御説明申し上げましたとおりに、四号では一定の期間以上、持続性の観点から見て一定の期間たてば毒性がなくなる、あるいは稀薄になるというふうなものについては、この条文からいえば拒否の要件にはならないというふうな条項でございまして、むしろ人間等に対しましては、御案内のとおりに、残留毒性等は米あるいは野菜等に入りますと、こういった一定の期間以上たてばよろしいといったことではなしに、むしろ何といいますか、残留の期間が続きます間は被害があり得るのだというふうな前提でものごとを解釈をいたしているわけですから、そういう意味では四号のほうがある意味では限定的であるというふうにも理解できるのではないかと思っております。
○宮崎正義君 したがって、いまお話のありましたとおり、ここでこの条文を私は研究をしていただきたいと思う。人畜に被害がある、慢性化していくという観点から考えますと、ここで条文を私は改正すべきじゃないか、こういうふうにも私は考えるわけです。
○政府委員(森本修君) 先ほど来申し上げておりますように、三号の運用によりまして人畜に被害があるというふうな場合には、登録を保留するなり、品質の改良を命ずる、また品質の改良ができない場合には、登録の申請を却下するというふうな法律の構成になっておるわけでございますから、現在の通常の使用方法、あるいは通常の条件下でなし得る危険防止措置を講すれば、人畜に被害を及ぼすというふうなたてまえになっておりません。そういうことで人畜に対する被害の防止上から見て、現行の法律の適正な運用によりまして、まずまず対処できるのではないかというふうに私どもは思っておるわけでございます。
○宮崎正義君 たしか四号、水産動植物ということはわかるのですが、三号と四号とをにらみ合わせて人畜に被害あるおそれということがあるのですから、そこに条項を一項入れるべきだ、私はこう思うわけです。もう一度この点をお願いします。
○政府委員(森本修君) 先ほど来から申し上げておりますように、三号には人畜に関する条項が入っておるということで、繰り返しになりますけれども、通常の使用方法なり、あるいは一定の危険防止措置を講すれば、人畜に対する被害防止というふうなことができるたてまえに現行法はなっているわけでございますから、私どもとしては、まずまずこの規定の適正な運用で対処できると思っているわけであります。ただ、しばしばの御指摘でございますので、私どもとしても農薬による人畜に対する被害をできるだけ防止をする、極力防止をするということにつとめなければならぬことはもちろんでございますので、そういう観点から農薬行政全般について検討を深めていくということは申し上げるまでもないことでございます。
○宮崎正義君 昨日、年次別にずっと説明をしていただいたんですが、この法律は現時点における法律としてなかなか沿わない点があるわけです。というのは、二十三年ごろの殺虫剤あるいは殺菌剤等のことを基点としての法律の制定のしかたであって、今日の時点から考えてきますと、だいぶ科学の日進月歩の進みがある関係上、条文等も一応この時点に立って考え直していかなければならないんじゃないか、こういう観点で私は御意向を承っておきたいと思うんです。
○政府委員(森本修君) 御指摘のように、農薬取締法は昭和二十三年にできましたが、その後の事態の変化に即応いたしますように、二回ばかり改正をして今日に至っております。そういう関係から、先ほど来申し上げておりますように、被害防止に対してもその後の事態の変化に対する改正措置が行なわれておるものというふうに私どもは思っておりますが、なお重ねての御指摘でございますので、そういった点につきましても、十分今後研究を深めていきたいというふうに思っております。
○宮崎正義君 時間がありませんので、次へ進んでいきますけれども、昨日も上田教授が来て、いろいろ有機塩素剤のことで残留性が強いということを繰り返して言っておられましたんですが、ここで輸入業者とか、あるいは製造業者等には全部義務づけられておるように、条文を見ますとありますが、十二条の三を一度読んでいただきたいと思います。
○政府委員(森本修君) 十二条の三には、「農林大臣及び都道府県知事は、人畜又は水産動植物に有毒な農薬について、その使用に伴うと認められる人畜に対する危険又は水産動植物の被害を防止するため必要な知識の普及、その使用に関する情報の提供並びにその使用の時期及び方法の適正化に関する指導を行なうように努めるものとする。」。
○宮崎正義君 一昨々日ですか、第六十五回日本内科学会総会で、シンポジウムの公害農薬中毒の内科臨床の発表があったんですが、これはどなたか参加しておられますか。
○政府委員(森本修君) 医学的な会合でございますので、私どものほうからは参加しておりません。
○宮崎正義君 大体私は取り締まるほうの人が、やはりこういう大事な研究発表等は当然見ていかなければならないんじゃないかと思います。
 もう一つお伺いしますが、農薬禍という記録映画がありますが、これをごらんになった方おいででしょうか。
○政府委員(森本修君) 私は直接見ておりませんが、担当官は十分拝見をしておるようであります。
○宮崎正義君 その方ここにおいでですか。
○政府委員(森本修君) 現在この席におります。
○宮崎正義君 この十二条の三の「(被害の防止に関する指導等)」ということがあるのでありますから、私は十分こういう研究を積み重ねていかなければならないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。
 で、次に移ってまいりますが、今回、食品中の残留農薬禍が問題になっておりまして、食品衛生調査会が厚生省に答申をして、農薬使用に安全基準の四種類と、そして五品目を残留農薬によって示されたということは、農薬が人畜に有害であるんだということを私は実証したと、こう心得るのですが、それでよろしいでしょうか。
○政府委員(松尾正雄君) 去る三月三十日付をもちまして、ただいま御指摘のような品目及び農薬につきましての残留毒性の許容基準をきめたわけでございます。これはやはり慢性毒性というものが憂慮される、こういう観点から定めたわけでございます。
○宮崎正義君 農薬が数百種類にもわたっております。で、きめられた五品目だけでなくて、まだ野菜が大量にあるわけです。これらに対してはどうですか。
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘のように、まだたくさん農薬もございます。食品も多量にあるわけでございますが、三十九年からこの問題の実態調査等に着手してまいりまして、とりあえず、結果が出ましたものを指定をいたしたわけでございます。また、リンゴ、ブドウ、キュウリ、トマトというものを選びましたのは、主としてこれがなまで、しかも皮つきのままで食べられる公算が非常に多い食品であるということから、こういう品目を選びましたわけでございますが、さらに私どもの計画といたしましては、三十九年以来のいろんな実態調査を四十六年まで計画的に実行するようにいたしておりまして、その中では年々新しいイチゴとか、キャベツ、あるいはナシでございますとか、そういうようなものもすべて食品を追加いたし、またその中における対象になる農薬の種類も追加をするということで、逐次この調査を進めて、おるわけでございまして、この結果を得次第、順次きめてまいりたいと思います。
○宮崎正義君 許容量のことなんですが、どういうふうにチェックするんですか。
○政府委員(松尾正雄君) 許容量というのは、いわば人間が平常の摂取におきまして通常ずっとそれを食べ続けたといたしましても、まず人間の健康に害があるまい、こう考えられておる量を許容量としているわけでございます。しかしながら、すでに御承知だと存じますが、こういうような慢性毒性の許容限度というものが世界じゅうで必ずしもすべてが判明しているわけではございません。しかしながら、毒学的な立場から、人体に一日にとれる量、許容量というものが一つございます。それからまた、農薬の残留がどういう状態であるかということも考慮しなければならないと思います。それからもう一つは、これは特に成人における食品の一日の摂取量というものがどういう状態であるか、これは非常に国によっても違ってくるわけでございます。したがいまして、この三つの点を考え合わせまして、そして私どもが、たとえば食品について言えば、日本で行なわれております国民栄養調査の中で、野菜の摂取量、あるいはくだものの摂取量というものがわかっておるわけでございますから、そういうものに当てはめまして、そしてその野菜なりくだものが、たとえば今度の場合、リンゴであったといたしましたならば、そのリンゴをもってすべて野菜にかえたと、こう考えても、国際機関で定められたような許容量を越えないというような限度においてその許容量をきめると、こういうことであります。なお、そういうような国際的にも毒性の許容限度というものがきまっていない場合においては、少なくとも実態調査から見まして、現実以上によごすということはないという措置をとっているわけであります。
○宮崎正義君 チェックはどこでするのですか。
○政府委員(松尾正雄君) 先般出しました告示によりまして、十月一日からこれを適用という措置をとっておりますが、これのチェックは、食品衛生法によりまして全国の保健所、都道府県等における約五千数有名の食品衛生監視員というのがございますが、こういう方々が収去等をいたしまして、試験は都道府県の衛生研究所並びに国の衛生研究所でテストをしていく、チェックをしていく、こういうつもりでございます。
○宮崎正義君 たいへんだと思うのです。一ぺんに収去されるのですから、どんなふうにしてやるのか、私は疑問なんですが、この点をひとつもう少しなお詳細にお願いいたします。
○政府委員(松尾正雄君) 市場に大体出ておりますものを、いわば抽出法的な手法をもちましてランダムに選び出していってテストをする、こういうことでございます。
○宮崎正義君 これは私は非常に問題だと思うのです。許容量を調査するということは相当の機械力も必要だし、人力も必要なんです。それで収去されておるものは一ぺんに集荷されるわけです。そういう点から考えまして、先ほどお話がありましたように、三十九年から四十六年までの間に、ある程度のものを完成させたいということですから、これは容易ならざることだと私は思うのです。ですから、ここに大きな対策というものを講じなければならぬ。幸い、大蔵大臣もおいでになりますが、中毒センター等のことについて、どういうふうな考え方をお持ちになっておりますか。
○政府委員(坂元貞一郎君) 昨日も申し上げたかと思いますが、中毒等を含めましての毒性部門の研究は、若干、国際的に見ましてわが国は立ちおくれたような状況にあった事実はいなめないわけであります。したがいまして、政府としましても最近の実態にかんがみまして、四十三年度から二ヵ年計画をもちまして、私どものほうで所管しております国立の衛生試験所、ここに善性センターというような機構を整備していくということで、建物等の新設の予算が本年度と来年度、四十三年度と四十四年度、二カ年にわたりまして認められておるわけでありますか、これに応じまして内容的にも機構及び職員等の充実を早急にはかってまいりたい、そういうことによりまして、わが国の毒性部門の強化ということをはかってまいりたいと、かように考えております。
○宮崎正義君 いままではおやりにならなかったのですか、四十三年以前。
○政府委員(坂元貞一郎君) 三十九年から国立の衛生試験所に毒性部という機構を設けてやっておったわけでありますが、御案内のように、毒性の研究というものは各方面にまたがるわけであります。したがいまして、単に毒性部というようなものだけでなくして、医化学の関係あるいは薬理の関係、そういうものを総合的に検討しまして、初めて効果があがることに相なるのでございますので、この毒性部門の研究は三十九年以来やっておりますけれども、非常にまあ組織的に有機的になされていなかった面があるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、機構を整備しまして、薬理なりあるいは医化学なり、そういうような部門を今回つくりまして、総合的に毒性部門を研究しましてやっていく、こういうことに相なっておるわけでございます。
○宮崎正義君 私の申し上げたいのは、その中毒センターのようなものを四十二年、四十三年以前に計画を立てて、それの予算申請等の働きかけをしていなかったかどうかということなんですね。
○政府委員(坂元貞一郎君) 三十九年の毒性部新設以来、私どももそのような意見を持ちまして、財政当局等に対して厚生省的な考え方に基づきまして、予算の要求はしておったわけでございますが、今日まで実現を見なかった、こういうことでございます。
○宮崎正義君 大蔵大臣にお願いします。いまお話がありましたように、私どものこれはもう人命にかかる農薬禍という問題について、研究機関等の予算をいままで計上して削除されておるということは、すなわち、大蔵大臣もそうだし、私どもも、こうしておる問に刻々と生命をむしばまれていくようなことになるわけでございます。この点について、予算措置についてどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、予算に関しましては概算要求を各省が八月三十一日までに提出するということになっております。もし、農林省においてその必要性を強調して要求してくだされば、それは予算の審査の過程において十分考慮されると思います。
○宮崎正義君 農林省の必要性というものは欠けた、少ない、弱かったというふうに思うんですが、農林大臣いかがですか。
○国務大臣(西村直己君) 農薬禍の問題につきまして、宮崎先生大いにこれを取り上げられて、国民の生命の観点から御論議いただきましたことは、非常に私はけっこうなことだと思うのであります。と同時に、私どものほうといたしましては、生産を向上させる意味から、ともすればそれに片寄りすぎて、あるいはそういう問題をおろそかにしはせぬかという、絶えず反省を加えてまいらなければならぬと思います。そこで、厚生省でいわゆる農薬の許容量の問題を研究されまして、私のほうとしては、できる部分から、その許容量が大体決定されました部分から、すでにそれを使用者のほうに実行に移させていくと、これは今後も続けていくと同時に、今年度の予算におきましても、十分ではありませんが、安全使用のために、全国に一万名近くの防除員であるとか、あるいは末端における共同散布であるとか、そういうところで気をつけてまいる、なお、今後われわれは、法の運用におきましても、御意見がありましたように検討を続けてまいりたい、運用をもっと完備してまいりたい、検討してまいりたいと思うし、さらに予算面におきましても、今後必要がありますれば、それは大蔵省にも折衝する必要があればやってみたい、こう考えるのであります。
○宮崎正義君 必要があればではなくて、必要が重大なんですよ。この点はっきりしていただきたいと思うんです。
 農業管理上の問題点と使用上の問題点についてお伺いしますが、現時点において、たとえば公害を受けて苦しんでおる人に防具だとか保険医療品、こういうものを無償配付をしていく考え方があるかどうか。それから労災保険制度になぜ農薬の被害を受けておるものを適用しなかったのか、この点についてお伺いしたい。
○国務大臣(西村直己君) まあ労災保険の問題につきましては、自走の関係の機械とか、そういうものはすでに労災の対象になっておりますが、農薬等につきましては、通常の状態において、通常の管理、通常の条件のもとにおいてというような場合におきましての事故、それ自体から被害は直接起こってまいらないようであります。あとは使用した結果、作物ができて、その中に許容量をこえて人体に蓄積されて害があるとか、そういう一般の問題としてこれは農薬禍というものを考えていく。農薬を使う、そのものからくる使用者側の労災問題というものは、低毒性のものを通常の管理で気をつけてまいりますれば、私は労災事故というものはきわめて少なくなってくるだろうと思います。
○宮崎正義君 使用者ばかりじゃない、われわれにも慢性毒性というものは影響して体内に入ってくる。その点もう一度。
○国務大臣(西村直己君) もちろん私どもは農薬を使うにあたりまして、ただいま申し上げましたように、生産だけの面でなく、これを消費していく方々の立場からも、農薬禍というものに対しては絶えず反省、検討を加えていかなければなりません。ただ厚生省としましても、その面におきまして許容量の研究あるいは指示を漸次なさっておられるわけであります。その結果から出てくるいろいろなもし公害的なものがあった場合にどうかということになりますと、これは厚生省のほうの御所管として対策を考えるべきであります。おそらく、そういうことは許容量をきめていく以上は、あり得ないように許容量をきめていかれるんではないかと思っておるのであります。
○宮崎正義君 許容量をきめたって、いままであることだから許容量をきめようということなんです。厚生大臣、このことについて。
○国務大臣(園田直君) ただいまの御質問に関連いたしまして申し上げたいと思いますが、昨日宮崎委員の御質問の中に、農薬災害について農林省と厚生省でなすり合いしているんではないか、こういうことがありましたので、それについては詳細に調査をいたしまして、十分検討いたしたいと思います。問題は取締法についての御意見がしばしば述べられましたが、それ以前の問題で私どもにおいて十分反省をして検討しなければならぬ問題がある。それはどこにあるかといいますと、農薬の指定の場合に、新規のもの、あるいは新たに輸入されたもの、これを登録し、取り締まりをするのが農林大臣の所管になっておるわけであります。そこで、私のほうでは、農林省のほうからその毒性、あるいはその他の災害について危険であると思われたものが、私のほうに分析を依頼されるわけであります。そこで私のほうの薬務局長はこれを受けて、それに対する毒性の分析の結果を何するのでありまして、したがいまして、全部私のほうに分析がくるわけではございません。したがって、いままでどのようなものを依頼されたかということは、御質問があれば、調査をして持ってまいっておりますけれども、ただ問題はそれから先でありまして、そういうわけで登録と取り締まりは農林大臣の所管であり、私のほうはそれの分析をするのが所管であるということで終わっておったところに、私のほうの重大な反省をしなければならぬ点がある。
 ということは、少なくとも人命、健康についての公害の対策、すなわち、すべての問題に対して最終の歯どめは、私のほうがみずから進んで責任を負わなければならぬ。したがって、分析を依頼されたから、その後はいいというものではなくて、長年の蓄積作用あるいは残留、あるいは人体、あるいはその他薬の製造方法等逐次変わってまいりまするから、農林省の農政局長と私のほうの薬務局長が文書で取りかわしておりまするのは、二十七年の四月に取りかわしておりますが、その先はやはり私のほうの責任であるから、責任を負うかわりに、そういう災害等については、いつでも農林省に対して私のほうが御意見を申し上げ、あるいは使用その他について、あるいは禁止であるとかあるいは保留であるとか、そういうことの農林大臣に意見が言えるような心がまえを持って、責任をみずから持たなければならぬ。将来取締法その他についての法の検討についても、その点はやらなければならぬことであって、確かにその点については反省をしなければならぬ。こういうことで残留、許容量についても、手の打ち方がおそかったということを正直におわびを申し上げます。
○宮崎正義君 私はまことに厚生大臣当を得た御回答だと思います。
 そこで通産大臣に申し上げたいのは、輸入輸出に関するこの農薬問題、どうお考えになっておりますか。
○国務大臣(椎名悦三郎君) 輸出のほうは、最近中国及びその周辺の、主として東南アジア方面に非常な農薬に対する需要が拡大してきておりますので、人体に対する毒性を十分配慮しながら輸出をはかってまいる、こういう方針でございます。
○宮崎正義君 時間がありませんので、結論のほうに入ってまいりますけれども、私が四十一年三月十六日にこの予算委員会の席上におきまして、責任の分野においては農林大臣、そして総理も明らかに、このことは場合によっては禁止もやむを得ない、非常に厳重な制限もしている、このようにもはっきり回答しております。したがいまして、いままで順を追って私はいろいろな質問をいたしました。憲法第十七条にも規定されておりますように、こういう観点の上から立てば、もっともっと私は行政官の方々も、政府の人たちも、厳重にこの問題に対して、われわれの人命をどうとうとぶか、どう粗末にするかという観点の上から立って、この法の改正を私は促す次第であります。したがいまして、私ども人間が、モルモットやサルなんかと同じように研究材料に生きながらされていたのではやり切れないということであります。私たちは生きて楽しまなければならない。わざわざ苦しんで死の道を選ぶ必要はない。人間の英知が科学を生んだのでありますが、その科学に振り回されていかなければならないようなそういう人間の弱さ、私はそういうばかさを捨てなければならないと思います。人間の尊重に深く思いをはせていかなければならないにもかかわらず、かって気ままに食物の上に毒を振りかけておいて、あとで毒があるかどうか検査するといったような農薬取締法というものは、まっこうから私は改めていかなければならない、こう思うわけであります。
 以上、私が質問をいたしましたことを要点を突き詰めてみますと、天敵の研究も、生産性の増大のためには実用化されていない、また、新農薬製造と解毒剤が同時に市販化されていない、有機塩素剤の残留毒性の慢性化防除も研究途上、低毒性農薬ならばよいといったような考え方、普通物なら毒性がないといってみたような考え方、中毒センターの設置を考慮して、急性慢性患者の保護対策もしていないような姿、文化、科学の進歩がはっきりしている時代に、二十年前の法律を改正しようとしないような行政上の無責任、また、現在までの農薬の散布中に死亡しているその人たち、また、われわれ生存している人間に被害を与えている慢性化している農薬に対する無策ぶり、また研究も、そしてまた調査機関も、技術の職員も全く数が少ない、こういう点も放任のままほうり出してあります。そういう観点から考えまして、目をベトナムに向けられることも重大であります。アメリカに向けられることも重大でありますが、しかし目を向けていくわれわれ個人のからだ、われわれの生命をどうするか。われわれの命があってあらゆることがなされるわけであります。そういう観点から考えまして、私は毒性農薬以前の高い次元に立ち返って、文明国にふさわしいような農業政策というものを、私はここから再出発していかなければならないんじゃないか、こういうふうに思うわけでありますが、各関係大臣の御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(西村直己君) 宮崎さんがずっと前の国会以来、この問題を御熱心に取り上げられまして農薬禍を説いておられる、これは私もよく存じております。また、同時に、行政としてもその間に相当の前進はしておるつもりでございます。ただ、残念ながら、農薬取締法等が、昭和二十三年でございますか、生産増強のころに、不良農薬を使わないようにという姿の中から生まれてきて、その間にもちろん二、三回、二回でございますか、改正はいたしておるわけでございます。なお、私どもは食糧増産も大事でございます。そのもとは何といっても人間のためでございますから、人間のため、人間の生命のために食糧増産がある、こういう観点であることは、もうお説当然のことであります。したがいまして、われわれとしては、法律も不断に検討を加えることは必要でありましょう。と同時に、病害虫を防除していくということも、食糧増産の向上に必要であることは、これはお認め願える。その方法をどうするか、もちろん、これは現在の薬剤によるものに対して、お説のようないろんなくふうをわれわれはこれからも行政面で進めてまいる、同時に薬剤外の方法につきましても、開発、研究を進めてまいる、こういうような考え方でまいりたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたとおりに、いろいろ反省すべき点が多いわけでありまするが、現在の農薬が、戦後飛躍的に生産増強を要求された場合に大きな役割りを果たしてきたことは事実でありまして、その後の、農林省、厚生省が連絡を密にしてやるということに、見守るということについて欠陥があったわけであります。したがいまして、農林省のほうは、生産増強のほうに意をそそがれることは当然でありまして、最後の歯どめの公害については、厚生省はもっと積極的に出たい。したがって、進んでおしかりを受ける責任も負いまするかわりに、そのかわりに、生産増強のために農薬等御使用になった場合には、御使用になったあとについても、厚生大臣がいろいろ御意見を農林大臣に申し上げることができるような方向で手続、法律等の改正を、ただいま農林大臣とも相談をいたしまして、農林大臣のほうから事務局に、私のほうからも事務局に、それぞれおろしまして、宮崎委員の貴重な御意見、速記録等も詳細検討して、その方向に向かって検討する所存でございます。
○宮崎正義君 水産庁等、私の質問を全部できませんので、御出席していただきまして、その意が達しないことを一言……。
○理事(剱木亨弘君) 以上をもちまして、宮崎君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○理事(剱木亨弘君) 次に、鈴木強君。
○鈴木強君 ジョンソン演説、ハノイ声明によって、平和解決の方向に急転換したベトナム情勢について、今日まで沈黙を守っておりましたソ連、中国、ベトコンが五日、一斉に態度を表明いたしました。中国の場合は、その考え方の基本において違っておるようでございますが、総じて言えますことは、この際、アメリカは北爆を完全に停止する、こういうことが予備交渉を成功させる前提であらねばならぬ、こういうふうにいわれていると思います。それで私はこの際、日本政府は勇断をもって国民の悲願であるベトナム戦争平和的解決のために、アメリカに対して率直に北爆停止を強力に働きかけをすべきじゃないか、こう思うのですが、大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(三木武夫君) 鈴木さんも御承知のように、ジョンソン大統領の提案が行なわれ、これに対して、アメリカが戦闘行為を停止するということを確認するという意味において、アメリカと話し合いを行なうという同意をハノイが与えた。したがって、本格的な交渉じゃないけれども、予備的な交渉が近く始まるという情勢です。その中で、この一連の北爆の問題等も話し合いが行なわれて、そして今後の平和的解決の中の北爆問題なども、両方で話し合いが行なわれるであろうという情勢ですから、われわれとしては、これは一つの話し合いが両者によって行なわれるというせっかくの機会ですから、これを契機として、ベトナム和平が実を結ぶことを願っておる。両者の話し合いがいま始まろうというときでありますから、この推移というものをしばらく見てみたいというのが、政府の態度でございます。
○鈴木強君 少し消極的でしてね。もう少しベトナム和平の問題について、あんたが言われるように、積極的にやろうという意思を表明するのには、やはりこういう具体的な問題について私はやるべきだと思うのですよ。ですから、やはり各国が見ておるときに、非常にむずかしかろうという判断のもとで、いま予備交渉が開かれるか開かれないかの段階でございましょう。ですから一歩進んで、そういう態度を示してほしいというのが、一つの私の提案なんです、あなたに対する。
○国務大臣(三木武夫君) どうでしょうか、両方が話し合おうというのですから、こういう問題、これに対してどこの政府でも、世界各国を見ても、やっぱりこれが実を結ぶようにという願いを込めてこの情勢を見守っておるのですから、日本政府が、鈴木さんの言われるようなことを、いろいろ日本政府の意思表示をこの際することが、私は適当だと思いません。やはり話し合おうと、しかも部分的北爆の停止という提案を行なったわけですからね、全面的なものではなかった。それでやはりハノイが応じて、話し合いを始めようというのですから、この推移をわれわれが見て、そして日本政府は、この和平への話し合いが実を結ぶよう、いろいろな角度からこの問題に協力していくということの態度で私はよろしい。そのことが、ベトナムの平和的解決に対する積極性を欠くとは私は思わない。やはり両方がいろいろなことを知り合った上で話し合いを始めるというのだから、この推移を一応見て、そして日本政府としてできるだけこの機会を一つの和平への機会とするために、できるだけの努力をしたいという、これだけの態度というものが、和平へ積極的でないと私は思っておりません。
○鈴木強君 どうも外務大臣の言われていることは、結局アメリカ側の立場に立つような印象を受けるわけですよ。いまあなたの言われているように、それでは具体的に交渉が成功するために、いろいろな角度からその推移を見守っていると、こういうのだが、ただ見守るだけではいけないから、この際あなたがほんとうにアメリカの立場を理解し、また日本の国民の立場を理解し、これを円満に解決しようとするならば、そういう程度のアドバイスといいますか、そういうことをやることは当然じゃないですか。そして何とか早く解決してほしいということを言ったらどうかということなんですよ。無理なことではないです。
○国務大臣(三木武夫君) 必要な場合には、アメリカに対してもアドバイスをわれわれはすることに対してちゅうちょするものではありません。しかし、いまとにかくあの提案に応じて話し合いが始まろうとしているのですから、そういうので、これはもう話し合いの、北爆問題というのは中心の問題でありますから、これを一日も早く平和的に解決しようという日本の政府の態度は、これはもう従来から変わらないんですから、必要があれば、必要に応じてアメリカに対しても率直なアドバイスを行なう考えであります。
○鈴木強君 どうも自主的な外交といいますか、そういった点に対して欠けるような気がいたしますが、まあせっかくおっしゃいますから、成功のためにあらゆる努力をしてもらいたいと思います。
 それから、けさの新聞を見ますと、アメリカ国内でベトナム反戦の運動の先頭に立っておりました米黒人連動の指導者マーチン・ルーサー・キング牧師が、四日の夜暗殺をされたということであります。まことに痛恨にたえません。私どもは心から哀悼の意を表したいと存じますが、この事件発生によって、いまアメリカ国内にはたいへんな問題が起きているように思いますが、外務省として、今日時点、どういうふうなこの問題に対する真相の報告が入っておりますか、聞かしてほしい。
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のようにキング牧師は、アメリカの単に黒人社会ばかりでなしに、アメリカの尊敬されておった黒人問題のリーダーの一人であります。われわれとしても、まことにその死去をいたむ気持ちであります。この余波が、キング牧師のああいう不幸な事件が、やはり黒人社会に動揺を与えておるようであります。ワシントン、デトロイトなどに対しては相当動揺を与えておるようでありますが、このキング牧師の死去に対する各地域の情報は、まだ入手しておりませんが、とにかく相当な衝撃をアメリカの黒人社会に与えておる。これに対して、その治安維持のための軍隊の出動なども用意されておるというようなことでございます。地域的には。
○鈴木強君 この暗殺の政治的な背景、これは特にベトナム戦争反対の先頭に立っておったというような、そういうことからの政治的な背景ですね。それからけさラジオ等の情報を聞いておりますと、ワシントンではすでに外出禁止令が出ておるとか、いまお話しのように軍隊の出動が命令されたとか、こういうふうなことがあるんですけれども、もう少し、もう電話で太平洋の海底ケーブルを通じて、日本の国内と変わらないだけの通信設備ができているはずですよ。そんななまぬるいことでなくて、もう少し真相の情報を把握できませんか。
○国務大臣(三木武夫君) ワシントンに対しては夜の外出が禁止されている、そういうことの情報は参っております。しかし、各地域の情報というものは、まだやっぱりああいう事件が起こって直後ですから、したがって、外務省としての公式の情報入手には、多少時間が私はかかると思います。
○鈴木強君 ベトナム平和のためにホノルルへ行く予定になっておりましたジョンソン大統領が、それを再度中止されている、こういうような情報は入っていないですか。
○国務大臣(三木武夫君) ジョンソン大統領のホノルル行きは、再度中止をされた模様でございます。いま入っておるのには、ワシントンは、五日午後五時半から六日午前六時半までの外出禁止令を発した、それからワシントンの市内には、付近の兵約五百名が派遣され、市民治安の維持に対処しておる、こういうふうな情報を大使館から報告を受けております。
○鈴木強君 公式な情報は情報待ちとして、外務大臣として考えられるのは、やはりアメリカ内部における黒人と白人との問題ですね。こういった問題、あるいはベトナム戦争反対の一連の運動と、ジョンソン声明との問題に対する一面からの何か不満といいますか、そういったものがこういったような事態になったというように常識的に考えられるんですけれども、この辺はいかがですか。
○国務大臣(三木武夫君) 黒人問題は、ベトナム戦争というものとの関連というよりかは、アメリカの社会が持っておる一番困難な問題の一つだと私は思います。これがベトナム戦争などで影響は受けたでしょうけれども、これはもうアメリカの歴史的な一番困難な問題である。これをどう処理するかということは、アメリカの首脳部が、いかなる政権においても、常に頭を悩ましておる問題であります。したがって、これを直ちに黒人問題を解決するという方法というものはなかなか困難です。あるいは教育とか、あるいは社会福祉とか、こういう政策を通じて、黒人の地位、生活の安定向上、そういうことで社会に溶け込んでいくような施策をしんぼう強くするよりほかにはないというだけに、いますぐ右から左に解決案があるならば、これはやはりアメリカとしてもそれを勇敢にやる用意はあると思いますが、そういう相当な計画的に時間をかけなければならぬ問題が含まれておりますから、非常に容易なものではない。だから、この事件をわれわれとしても非常に憂慮しておる。このキング牧師の暗殺事件というものは、これは非常にやっぱり大きな、どういう波紋をアメリカの社会に描いていくかということは、相当これは憂慮すべき事態であると、こう考えておる次第でございます。
○鈴木強君 ベトナム。
○国務大臣(三木武夫君) いま申したように、ベトナムというものに対して、一つのベトナム戦争反対の運動などとも関連がございましょうけれども、この黒人の問題の根というものは、ベトナム戦争以前からのやっぱり問題である。たまたまベトナム戦争というものが黒人問題に拍車をかけたということはありましょうが、ベトナムというよりアメリカの社会の中に横たわっておる最も困難な問題で、これはベトナム戦争以前からの国内における最大の課題になっていたと、こういうふうに見ております。
○鈴木強君 他に外交問題がありますが、官房長官の御都合もあるようですから、先に官房長官にお願いします。
 四月三日に福田幹事長が、自民党の選対全国代表者会議の席上で、来たるべき第八回参議院選挙の投票日が七月七日であるがごとき御発言をなさったという記事を見たんでございますが、与党と政府の間では、大体七月七日ということにきまっておるのか、内定しておるのか。
○国務大臣(木村俊夫君) 御承知のとおり、参議院の通常選挙の期日は、国会の会期と関係がございますので、政府におきましては何らまだ内定はいたしておりません。
○鈴木強君 それでは、この四月三日の幹事長の御発言というのは、一体どういう趣旨なんですか。あなたに聞いてもわからぬかもしれないが。
○国務大臣(木村俊夫君) 私はまだ七月七日の問題については党側と公式的に話し合ってもおりません。まだ党側の御意向として、新聞等を通じて承知しているということであります。
○鈴木強君 けさの新聞を見ますと、自民、社会、公明、民社ですね、それぞれ関係者が集まってお話し合いをしているということですが、こういったことについても官房長官は知らないわけですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 政府といたしましては、もちろん選挙の管理、執行に重大な影響もございますので、絶えず国会の審議の情勢について注視をしております。しかしながら、いずれ仄聞しますと、議運等を通じて国会で会期等についてのお話し合いがあり、そのお話し合いの結論を待って選挙期日等について内定をしたい、こう考えております。
○鈴木強君 これの所管は自治省だと思います。したがって、自治大臣のほうとしては、一体おおよそどういう計画で選挙をやろうとしているのか、大まかな計画を知らしてもらいたい。
○国務大臣(赤澤正道君) 法律では、国会が五月二十四日に終わりますと、おのずから計算はできるわけでして、その点は十分御承知の上で御審議願いたいと思います。私どもの考え方といたしましては、やはりできるだけ有権者各位の投票の便宜、それから選挙事務の面からいたしましても、やはり投票日は日曜日がいいのじゃないかという感覚は持っております。しかしながら、国会が延長されなければ、日にちのワクはきまっておりまするけれども、かりに延長されるような場合がありますと、それに準じてずれてくることはいままでもあるところでございますが、任期は七月の七日になっておりましたが、ですから、それまでの間で大体各党の皆さん方のお考えというものを大体類推いたしまして、各面からそういった点を考慮いたしまして一番いいという日を選ぶというので調整をいたしたい、かように考えております。
○鈴木強君 その調整の日というのは、いつですか、これを聞いている。
○国務大臣(赤澤正道君) これはまだ国民の皆さんからすれば、もうわかりきったことだから、早く日にちをきめてくれという御希望等あることはよくわかります。しかし、まだこの国会が延長になるのかならぬのか、そういったこともいまの段階では明確にいたしませんので、やはりいましばらく情勢を見た上で調整をしたい、かように考えます。
○鈴木強君 これは非常に重大な問題ですよ。与党と政府はいつでも話し合いができるわけでしょう。決定権は政府にある。天皇の認可を得て公示する。あなた方は七日だといまきめて選挙運動をどんどんやっていくのか、あるいは六月三十日になるのか、われわれ野党はわからぬわけです。そうすると、その選挙のしかたも違うわけですよ。少なくとも自民党の幹事長が自分の党の選対委員会でそういう表明をしたということは、これは重大問題なんですよ。だから、私はきょうしつつこく聞くのですよ。そうきめて、どんどん準備しているじゃないか。言わないだけです。
○国務大臣(木村俊夫君) 先ほど申し上げましたとおり、七月七日にきめたということはございません。ただ問題は、自治相がいま申し上げましたとおり、いろいろ管理、執行の準備期間がありますから、なるべく早く御内定を願いたい、かように思います。
○鈴木強君 いつごろまでにきめるのですか、その大体のことは、予定は。
○国務大臣(木村俊夫君) 衆議院選挙と違いまして、相当準備期間を必要としますので、少なくとも選挙期日の五十日前、投票日の公示前三十日というのが従来の例でございます。
○鈴木強君 きまっていないのに、なぜそんなことを言ったのですか。
○国務大臣(木村俊夫君) いま申し上げましたとおり、政府においては全然内定をしておりません。党のほうでそういう非公式な御発表がありましたことは承っております。これはまた党側のほうにも申し伝えることにいたします。
○鈴木強君 公式なものでしょう。非公式じゃないのですよ。
○理事(剱木亨弘君) 質問を続けてください。
○鈴木強君 これはちょっと質問してくれと言ったって……。
 与党には有利でしょう、いまの七日にきめて、腹の中できめているのですからね。六月三十日なのか、あるいは二十四日にきまってなるのか。そういう七日という発言が出た以上は、これは問題ですよ。だから、もっと親切に答えてもらいたい。
○加瀬完君 ちょっと関連。党では七月七日ときまっておるのですか。党の決定を持ち込まれた場合には、七月七日を断わる特別の理由がなければ、政府としても七月七日ときめると、こういう手順になりますか。
○国務大臣(木村俊夫君) これは選挙期日をまずもってきめるのでなしに、国会の会期との関係でやや自動的にきまってくる問題でありますから、まず国会の会期を国会側でおきめ願うということが前提になると思います。国会側のそういう結論を待って政府では内定したい、こう思っております。
○鈴木強君 だから、いま言ったのは、自民党ではそういうふうにきまっておるのですかということなんです。これを聞いたのです。きまって、政府のほうにそういうふうにしてくれと言って話は来ていないのかというのでしょう、加瀬委員の質問は。それを答えてくれなければ。
○国務大臣(木村俊夫君) まだ党のほうから政府のほうには何らの通知もございません。
○鈴木強君 しかし、これは非常に不公平をわれわれに与える問題ですから、これは慎重にやってもらいたいと思うのです。
 それから、それとの関連で選挙制度審議会からすでに答申がございますね。選挙活動の自由の方向に向かっての答申があると思うのですが、この公選法の改正というものはどうなっているのですか。
○国務大臣(赤澤正道君) 答申は、御案内のとおりに、大筋が示されてあるわけでございまして、こまかいことにつきましては、やはり明確には書かれておらぬわけでございますので、御案内のとおり、資金規正法もあわせていまわれわれは党との間でいろいろ問題点を煮詰めておりまして、遠からず提案することになりますが、しかしながら、なかなかまとまらないものは残しても、与野党ともに異論のないところは少なくとも早く提案いたしまして、そうして次の選挙に間に合わせたいと、かように考えております。
○鈴木強君 今回ひとつ、自治大臣、テレビによる政見放送ですね、これができるようにしていただきたいのですけれども、どうでしょうか。これは技術的にはできるのですね。郵政大臣も、できるという答弁を他の委員会でやっておりますがね。このくらいのものだけと、ほかにありますから、そういうものも含めてやっていただけませんか。
○国務大臣(赤澤正道君) 私どものほうは選挙を担当する役所といたしまして技術的にいろいろの面を検討をしております。審議会でもラジオ、テレビの放送というものをこの選挙活動に利用すべきであるという意見が非常に強く出ましたが、実際に検討いたしてみますと、たとえば東京あるいは近畿などは小さい面積の選挙区がたくさんあるものですから、たとえば衆議院のような場合には、実際問題としてなかなか放送、テレビなどを使うわけにはいかない面があるわけでございまして、いまのところテレビを選挙に使うという結論には達しておりません。
○鈴木強君 自治大臣、ちょっと勉強不足じゃないでしょうか。現に、東京とか名古屋とか大阪あたりの広域圏における放送も、ラジオでは衆議院全部やっているんですよ。だから、いまのNHKの第一放送をフルに活用すれば十分できるんですよ、これは。ですから、そういう意味における御心配はないわけですから、他にもしまずい点があればこれは明らかにしていただきたいんですが、できるならこれは、選挙制度審議会のほうでもそういう御意見もあるわけですから、ぜひひとつ私は取り入れてもらいたい、検討してもらいたい。
○国務大臣(赤澤正道君) もちろん検討しておるわけでございまして、ただ、問題になりますのは、いつでも衆議院でひっかかるわけでございます。政党本位の選挙がやれるようになりますといいけれども、まだその域まで至っておりませんし、実際問題としてテレビを数選挙区にまたがってやることは非常にむずかしい。しかし、経歴放送などは、もう現にいたしております。そこで、私どもといたしましては、少なくとも政党の放送のためにはテレビなどを活用することは最も効果的でございまするから、そういった方面でひとつ新しい道を開きたいと、かように考えまして、前向きで検討しておりまするが、個々の候補者にはなかなかこれがやれない実情にございまするので、目下、そういうことを一切含めまして活用するという面でいろいろな検討をいたしております。
○鈴木強君 この国会に出すという腹ですね。
○国務大臣(赤澤正道君) 必ず間に合わせまして議決をしていただきたい、かように考えております。
○鈴木強君 その際、戸別訪問の自由ということについてはどうなんです。
○国務大臣(赤澤正道君) 戸別訪問につきましては、選挙審議会のほうでは、いまのような陰惨な選挙をやっておる国は世界じゅうどこにもない、もう戸別訪問などは自由化の方向に踏み切るべきであるという圧倒的な御意見でございましたけれども、やはり一利一害ありますので、その審議会の答申の中にも、やはり時間だとか人数だとか制限してやるべきであるということがくっついておるわけでございまして、これをまたいろいろわれわれで党へ持ち帰って検討いたしますと、まあ甲論乙駁、議論が果てない。かりにこの戸別訪問の結論が出ませんでも、他の必要なものは自由化の方向へ向かって法案をつくりまして、ぜひ皆さんに御審議いただきたい、かように考えております。
○鈴木強君 それから官房長官、内閣の予算の中に情報調査費というものが六億円組まれておりますが、この使途は何でございますか。
○国務大臣(木村俊夫君) これは内閣におきまして、国際、国内的に情報の収集の必要がございますので、それについての費用でございます。ただし、内閣調査室においてそれをみんな取り仕切っておるわけでございます。
○鈴木強君 政府が週刊誌をつくろうという考え方を持っておるようですが、この発行については何か予算の関係で問題があるので、十二ページ立ての新聞を週刊で出そうという、これを日本広報センターのまた関係会社ですか、そこにやらせようという計画があるのでしょう。
○国務大臣(木村俊夫君) これは実は総理府の広報室の担当でございますが、総務長官ここにおりませんので……。
○鈴木強君 情報調査費からは行かないのですか。
○国務大臣(木村俊夫君) それは別のものでございます。
○鈴木強君 官房長官これ御存じないですか。
○国務大臣(木村俊夫君) いまお述べになりましたことは承知しております。内閣広報室でいままでいろいろ政府の政策を国民に周知徹底させるという意味におきまして、広報関係を、なおそれ以上広報の徹底をはかるために、そういう週刊誌にかわる週刊新聞と申しますか、そういうものを発行しようという計画があることだけは存じております。
○鈴木強君 その関係の人はいないでしょうかね、政府委員の方。部数等。
○国務大臣(木村俊夫君) いま私申し上げましたことについては検討中でございまして、まだ計画等は決定しておらない段階でございます。
○鈴木強君 私は、なるほど政府がおやりになっておる、いろいろなPRをしようということはわかりますし、否定はしませんが、ただ、そのやり方によってはこれは非常に問題だと思うのですよ。しかも、内容を見ますと、大体三十五万部ぐらい政府が買い上げて、全体として四十万部ぐらいを発行するということになっていますね。政府おかかえなんですね、これは。したがって、やり方によっては非常にこれは問題が起きるので、特に最近の一連の報道関係に対する問題、われわれから見ると不当介入的な問題が起きておる。私は党の不当介入調査特別委員長をしておりますけれども、具体的にテレビや何かに対する、番組みに対する介入だってかなりあるように見ておるのですよ。そういうときに、またみずから政府が発行してやるなんということは、運用のしかたによっては非常に問題が起きてくる、特にわれわれは、おそらく政府が一九七〇年の安保再改定に向けてのPRを盛んにやられると思うのですが、そういう意図があるとすればこれは絶対反対ですからね。その趣旨を説明してもらいたい。
○国務大臣(木村俊夫君) いま鈴木委員が言われましたとおり、政府の政策を徹底させるということにおいて、当然これは政府の本来の任務であろうと思っております。ただ、その際に注意しなければならぬのは、民間の報道に対して干渉あるいは統制をするということは毛頭考えておりません。
○鈴木強君 もう一つ最後に、綱紀粛正については、ちょっと時間がありませんからこれは次の機会に譲ります。ただ、最近は非常に国家公務員が執務中に職場離脱をして業者の招待ゴルフに出かけてみたり、また、ときには、某次官のように飛行機にただ乗りをして、しかも、ただ乗りしておるのに規定の旅費を取ったとか、最近目に余るのですね。日本道路公団本社が捜索を受けたり、東京地裁の執行官が収賄をやってみたり、また肝心な消費者を守る通産省の工業技術院でJISマークの許認可をめぐって役人が取り調べられたり、まことに綱紀の紊乱というものは目に余るものがある。これらの抜本対策をぜひつくってもらいたい。その問題もあとでちょっと答えてもらいたいのですが、そこで、あなたが一日の午後の記者会見で、例のジョンソン声明がありましたあと、わが国の外交、防衛の方針については、今後アメリカの措置によっていささかも変わるものではないと、こうおっしゃっておるのですが、いまでもその考え方は変わってないですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 私は政府のスポークスマンとして申し上げたので、ただ、これはもちろん、アメリカのジョンソン大統領が今回ああいう措置をいたしましたが、日本の外交方針につきまして基本は変わらないという趣旨を申し上げたわけでありまして、個々の外交政策等につきましては、その時勢に順応していろいろ変化はありましょうけれども、国の外交の基本方針はいささかも変わらない、こういう趣旨のことを申し上げたわけであります。
○鈴木強君 外務大臣。
○国務大臣(三木武夫君) 外交の基本方針ということは、日本の利益というものを世界との協調の中で守っていこうということが中心になるわけです。そういう角度から外交を見ていきたい。そういう国益を考えてみれば、平和外交というものもそこから出てくるわけであります。したがって、そういう外交上、日本外交の目ざすものがそう簡単にしょっちゅう変わるということは必要を考えておりません。しかし、適応する外交の実際的な、具体的な施策というものは、これは情勢が変わるのですから、やはりこれに適応した柔軟性のある外交をとらなければならない。基本的な方針というものは、しょっちゅう、外交は変わるべきものではない。今度のジョンソン声明、ジョンソン提案にしても、ベトナム戦争を平和的に解決しようと演説で行なったので、戦争を拡大していくというならば、これは日本の考え方に反するわけです。しかし、ハノイとの間に話し合いをして、戦争を平和的に収拾しようという提案でありますから、その提案自体は日本は歓迎する、これによって、ああいう提案が出たから日本が外交方針を変えるとか変えないとかいうものではないわけです。日本は御承知のように、これは戦争というものを日本は考えられない。よその国と対決し、戦争政策というものは日本の外交の中でない、そんなことはできるような条件にない。石油だって九九%、あるいは鉄鉱石だって九〇%、世界の平和が確保されるということで日本の産業というものは動いている。これはやはりよその国と対決する、戦争を考える外交政策というのはきわめて邪道で、そういう点で日本の国益から生まれた日本外交の方向というものはきまっているわけですから、そういう点で、戦争を平和的に解決しようというジョンソン提案は、これは歓迎すべきことであって、これを、日本がそれによって変えにゃならぬという性質のものだとは思っておりません。
○鈴木強君 あなたのほうの党の中に、新政策懇話会というのができておりますね。三木さんの派閥からも出ておられるようですが、この皆さんの意見を聞くと、日本には外交的な自主性がないと、こう断言していますね。そうして、今日ジョンソン大統領の声明以来、世界の情勢は大きく転換しておる。そういうやさきに、日本の外交方針に変わりがないなどと言っていることは、当面をごまかしているものだと、そういうふうにきびしく批判しているじゃないですか。だから、指導的な国家として、これまでの方針を再検討して善処すべきであるというのが意見のようですよ。そんなとぼけた考え方ではだめだと、こう言っているわけですね。一体、日本に自主的な外交があったのかどうなのか、まだあなたの答弁からうかがっても、ちょっと私は疑問を持っているのですけれども。
○国務大臣(三木武夫君) こういうことだと私は思いますよ。外交の基本政策というものはしょっちゅう変わるものではない。しかし、外交のこの実際、現実的な政策というものは、これは柔軟性を持たなければいけない、これは。おそらく批判としても、そういうことを中心に言っているわけで、外交の基本政策というものは、人が、よその国の大統領が声明したからといって、外交の基本政策がゆらぐというものだと、そういうものであってはならぬと考えております。しかし、現実の外交政策は、これだけ動いておるのですから、常に適応性を持たなけりゃならぬ。そういうことならば、それはわれわれとしてもやはりそのとおりだと考えるのでございます。鈴木さんは外交の自主性と、こう言われますけれども、私は自主性のない、あるいは一辺倒外交というものは大きらいなんです。どこの国でも自主性のない外交というものは私はあり得ないと思う。やはり国益を踏まえて日本の利益というものを守り、これを伸ばそうという、これは外交の鉄則ですからね。その国益というものに対して、多少考えが違いますが、そこにやはり自主性がないとか、一辺倒外交とかいうものが出てくる余地があるけれども、外交自体はどこの国でも外交に自主性を持たないで――これはやはり国あるいは国民を背景にして外交をやっているのですから、自分の国益というものを無視してよそさまの顔色を見てする外交なんということは、今日の時代にあってはならぬことで、あり得べきものでは私はないと思う。ただ、いま言ったような点で国益に対する考え方がいろいろ違って、そこにいろいろの外交の批判は出てくるけれども、外交が自主性を持つということはもう外交の鉄則である。自主性を持たない外交なんて、これは国を毒するものだと私は考えております。
○鈴木強君 基本的な方針に対するわが国の態度、これは外務大臣のおっしゃるようにわかります。だけれども、基本的な態度もそのときの国際情勢によって変革をしなければならないことがあるわけでしょう。そういう時期にいまきてないということですか。
○国務大臣(三木武夫君) 私はいまの日本が日本の外交の基本というものを根本的に変えねばならぬという時期にきてないと思います。しかし、現実の外交政策については、この世界情勢の変化に対応したやはり外交政策をとらなければならない。外交の持っておる基本的な一つの政策というものに変更をする、変更を必要とするような、そんな世界情勢の変化はきてないと私は思っております。
○鈴木強君 われわれは今日までの自民党の外交政策というものが、ほんとうに自主性を持ってやられておったかということについては、やっぱり疑義を持っているのです。ですから、もう少しアメリカさんの言いなりのままにならないで、そこに日本の独立的な、自主的な外交方針というものをほしかったと思うんですね。いままでの一連の、佐藤・ジョンソン会談以来、日本の動き方というものはかなり問題があると思う。しかし、これは時間がありませんから。
 それで、あなたのおっしゃるような現実の問題に即応して、現実外交の中で変えなければならぬという、そういう問題に対する中国との貿易の問題、これは日本が貿易を求めなければならぬ。そういう意味からいって、中国貿易の特にプラント輸出、輸銀の資金の活用、吉田書簡の問題等を含めてひとつ意見を伺いたい。
○国務大臣(三木武夫君) 吉田書簡、これは私は前から言っておるように、両国間の取りきめとか、あるいは条約とかいうものではない個人の書簡であります。これが法的な拘束力を持っているものだと思わない、この問題について。また、日中の貿易については、いま輸銀の使用に関して鈴木さんが日中貿易の中で特に言われたが、これは具体的な問題が起こったときにやはり具体的な問題として処理するということで、これを問題ごとに処理するということが一番やはり実際的であると思います。その中国との関係というものをこれは改善していこうという方向において、これからは考えていかなければならぬだろうと私は思います。これは日本の場合、いやだとか好きだとか、そんなものは別として、中国と接触なしに日本がやはり平和的に生きていくことは、それはやはり中国を無視しては考えられないのですから、しかし、お互いに、そのためには日本ばかりじゃなしに、中国もまた日本の内政を干渉しない、日本のやはり立場というものを尊重する、日本もまたそうだと思う。相互の、やはりお互い立場を尊重するという前提のもとに、日中関係というものを改善されていくべきである。そうでなければ、中国問題というものを除いてなかなかアジアの安定というものは考えられない。そういう点においては私もそのように考えておるわけでございます。
○鈴木強君 その点はよくわかりますが、そういう方針でやっていただきたいのですが、そこで、具体的に中国向けのプラント輸出の問題で輸銀の融資を使えるようにするということについては、大蔵大臣はどうなんですか、積極的にこの点については賛成ですか。
○国務大臣(水田三喜男君) 輸銀は日本の貿易推進の役割りを果たす機関でございますから、国によって扱い方を区別しない。こういう方針できております。
○鈴木強君 官房長官に、これは最後ですが、例の米軍の王子病院の問題ですが、先だって美濃部知事が府中の在日米軍司令官マッキー中将と会見しております。そうして、この王子の場所は非常にまずいので適当な場所をひとつ探してもらってぜひ閉鎖してもらいたい、こういう要請をしたやに聞いておりますが、こういう閉鎖してもらいたいという要請をマッキー中将に言いましたのに対して、マッキーさんは、適当な場所でないということは認めたようですね。しかし、行くべきところがなければちょっと困るというような御回答やに聞いておりますが、政府としては、この問題を側面的に、積極的に支持できますか、そうして具体的な問題として移転の問題について考えていただけますか。
○国務大臣(木村俊夫君) これは外務大臣からお答えしたほうが適当かと思いますが、先般、マッキー中将に美濃部さんはお会いになって、その結果を私は電話で報告を受けました。米側では必ずしもあすこは好ましくない、しかしながら、米側のほうからイニシアティブをとって言い出すべきことではないので、日本の政府で適当な代替施設をもし整えてもらえるならば移転はやぶさかでない。こういう御趣旨でございます。したがいまして、政府部内で前から同じような考えを持って寄り寄り協議しておりまして、そのマッキー中将の美濃部知事に対する回答等を勘案いたしまして、まだ政府部内で意見の具体的な一致をみておりませんが、将来なるべく早い機会に王子病院の移転を考えたい、こういう根本方針だけはきまっております。ただ、そういう段階でございますので、まだ米軍側にこれについての折衝を申し入れる時期には至っていないと考えます。
○鈴木強君 しかし、これはやはり日本政府の態度を明らかにする必要があると思うので、これは外務大臣でもけっこうですが、やはり日米合同委員会というのがあるわけでしょう。ですから、そういうところに持ち出して、お互いに話してみたらどうですか。適当でないということがわかっているわけですから。きょうも反対の運動が行なわれておりますね、しかも、あのやり方は実にひどいですよ。私はいま時間がないから、過去の経過は触れませんでしたけれども、具体的な解決の方法として、美濃部知事がこの閉鎖に対しての考え方を述べ、マッキー中将もこの基本的な問題については認められたわけですから、お互いに今後どうするかという問題については、積極的に、間髪を入れずやるべきだと思う。あのどまん中に、これから夏を控えて伝染病が起きたときにどうするかということで非常に不安を持っておりますし、ヘリコプターの騒音はかなり地元の人たちは心配している。しかも、抜き打ち的に、一方的にあすこを開設したということについては非常に憤激している。現に警視庁も警察になかなか困るということを警視総監が言ったと、そういう記事を読んでいるが、もっとそういう合同委員会に持ち込んでやる意思はないのですか。
○国務大臣(三木武夫君) 合同委員会においても、アメリカの施設というものが都心の中にあることは好ましくないという方針のもとに、ずいぶんいままで整理されたんです。わずかに残っている一つ――王子の施設というものは、その中に入るわけですが、したがって、いろいろな付近住民との間にトラブルが起こる可能性がありますから、この問題はやはり長期的には、アメリカの施設というものはできるだけ都心から移転をしてもらう、これの方針のもとでこの合同委員会の場などにおいても私どもは話し合ってまいりたいと思っております。
 ただ、今度の場合には、まあ病院のことでありますから、やはり病院というものの持っておる社会的な意味、それからどこかに移転して、そこにやはり施設を提供せんならぬという問題が起こってくる。これは、東京都の協力も得たいと思っておりますが、こういう問題は時間が相当かかるわけでありますから、政府としてもそういう方針のもとに、この問題は、代替地であるとか、そういうものに対して検討を加えたいと思っております。しかし、大衆的な暴力行為によって問題を処理しょうという、こういうやり方に対しては、われわれは、これはもう絶対に承服できないという感じをあの大衆運動には持っておるのであります。一部の学生の行動に対して、われわれは、こういうことで目的を達しようという、一つの目的のためには手段を選ばないということに対しては、これは鈴木さんも同感だと思いますよ。私は、だれもあれを支持する者はいないと思う。こういうものに対しては、与野党を通じて、秩序の維持、法の維持ということに対して、ともに協力をしてもらいたいと思っております。
○鈴木強君 これは官房長官、ひとつ美濃部さんともお会いになって、そうしてよく話し合いをしてみたらどうですか。
○国務大臣(木村俊夫君) 美濃部知事とは必要に応じていつでもお会いをするという約束ができております。しょせん、将来における代替地の選定には、都の協力を得なければならぬ問題でありますので、その方針にしたがって努力したいと思っております。
○鈴木強君 次に、小笠原協定の調印式が昨日行なわれました。これは当然のこととは言いながら、同慶にたえません。
 そこで、私は、たくさんの問題を用意しておりましたが、時間がありませんので二つだけ伺いたいと思います。その一つは、返還後の帰属ですね。これは当然東京都だと思うんですが、従来から問題になっておりましたので、もう一回ここで確認をしておく意味においてお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 小笠原の住民の帰島ができるような状況をつくるために、企画、復興、そのことについて相当やはり国が力を入れなければならぬと思いますが、帰属は東京都だと考えております。
○鈴木強君 それから、返還になりますと、当然、安保条約というものが自動的に適用されることになりますね。ただ、この際に問題になりますのは、非常に日本から離れているということ、公海上がございますね。一たん緊急有事の場合、安保条約に基づいて、米軍の行動範囲と日本の自衛隊の行動範囲というものが、どうなっていくかということが非常に心配なんですね。航路の安全、保全のために自衛隊が出動するということになりますと、公海上においてトラブルが起きる危険性が出てくる。こういう問題に対する話し合いというものはどうなっているのですか。これは外務大臣。
○国務大臣(三木武夫君) これは、地位協定によって具体的なことはこれからきめるわけです。しかし、条約に、あのアメリカのロラン局――電波監理局、これは残す約束を条約上したわけであります。今後いろいろなめんどうなことが起こったらどうなるかという問題については、これは小笠原の返還後のいろいろな防衛上の諸問題というものがいろいろ話をする必要があると思います。これは合同委員会で話し合いたいと思っております。
○鈴木強君 自衛隊は、防衛配置はきまっていますね。領土、領海、領空ですね。したがって、その以外における自衛隊の国を守るという自衛手段はできないわけでしょう。そうなりますと、当然島の中の問題とか周辺とか、そういうことになる、その航路の保全なんということについては、これはやらないわけですね。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の自衛隊は、領土、領海、領空ということですから、むろん公海においても日本人の人命とか日本人の財産とか、そういうものに対する保護は加えなきゃならぬでしょうが、日本の自衛隊の行動範囲というものは、前からも申しておるとおりに、領土、領空、領海ということであります。
○鈴木強君 少し、これは時間がありませんから、突っ込んだ質疑はまた別の機会にいたしますが、そうすると、返還されたあとに、米軍の基地というものはロランだけですか。
○国務大臣(三木武夫君) ロランだけでございます。
○鈴木強君 次に、労働大臣にお尋ねいたしますが、三公社五現業の賃金問題については、電電関係を除いて、団体交渉が決裂をし調停のほうに持ち込まれていると思います。そうしてすでにこの事情聴取もなされておりますが、去年の公労協の賃上げ問題の際に、当時の早川労働大臣を中心にして、この調停段階で有額回答を行なって解決をはかる、こういう立場に立って、かっての太田・池田会談以降の当時者能力の問題について、前向きの姿勢で問題解決のために努力をしてくれたと思うのであります。そのことは国会の労働大臣の御発言の議事録もありますが、時間の関係で私はこれを読み上げませんが、非常に一歩前進であろうとわれわれも敬意を表しておったわけであります。今回のこの春闘における公労協に対する問題も、同様な立場で労働省はやっていただけるのかどうなのか、これをお尋ねしたい。
○国務大臣(小川平二君) いまおことばにございましたように、全官公、公労協傘下の組合が、全電通を除きまして、ことごとく調停の申請をいたして、いま事情聴取が行なわれておる段階でございます。今日の制度のもとにおきましては、公共企業体の賃金をきめます場合に、生計費、民間賃金あるいは公務員の給与等を考慮してきめなければならないことになっておりますが、昨年は大体において民間賃金の動向を的確に把握できる段階にあった五月の末に調停が行なわれたというような事情もあったと存じます。今年もまた民間賃金を考慮する必要がございまするし、三公社五現業、それぞれ事情も異なっておるわけでございますが、いずれにいたしましても、調停段階で事実上事が落着したということは、従来の労使間の賃金紛争のあり方と比較いたしますると、確かにこれは一歩前進でありまするし好ましいことだと存じております。私もまた前大臣の努力を高く評価いたしておるわけでございますので、その方針で努力をしたい。同時にまた、労使両方の当事者が、互譲の精神でできるだけ調停段階で問題を煮詰めてほしいと願っておるわけであります。
○鈴木強君 運輸大臣は見えておりますか……。それでは経済企画庁長官、私鉄の定期運賃の値上げの問題が私鉄十四社から申請が出されていると思いますが、この状況をまずお知らせいただきたい。これは運輸大臣がおらぬものですから。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私鉄のほうの関係者から、国鉄の定期運賃の割引率の切り下げに伴いまして、同様な率を私鉄としても希望したいという、申請でございますか、厳格なことばを存じませんが、そういう意思表示があったように承知をいたしております。しかし、この問題については、私の承知しておりますところでは、運輸大臣が現下のいろいろの情勢を勘案されて、大所高所から判断をされる御意向のようでありまして、事実私に運輸大臣から格段の御相談がございません。もし何か早急に現状を変更するような措置をお考えとすれば御相談があるわけでございますが、どうも従来の経緯から考えまして、当分私のほうに御相談がないのではないかというふうに考えております。
○鈴木強君 運輸大臣は。
○理事(剱木亨弘君) いま呼びにやりましたが、すぐ来ます。
○鈴木強君 それではもう一つ、経済企画庁長官にお尋ねいたしますが、酒税の改正が行なわれるようでありますが、それに便乗して値上げをしようとする動きが出ておりますね。ビール、それから二級酒の場合でも一・八四リットルですか、四十円上げようとしている。それから特級酒、一級酒も二級酒程度に値上げしょうとしておりますね。増税プラス便乗値上げ、こういうことは非常にわれわれの心配しておりますように、政府が公共料金を上げれば、必ずその他の物価にそういう影響を与えるということをわれわれは言ってきているわけです。これに対して経済企画庁としては、そういった便乗値上げは一切認めないという方針でやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これらの点は厳密に申し上げますと、権限関係が必ずしもはっきりいたしておりませんが、私としては、大体鈴木委員の言われましたような線で、自分としては考えたいと思っておるわけであります。すなわち、ビールについて税金が七円近く上がるわけでございますが、その分はこれは値上げ増になるのはやむを得ないと考えますけれども、それをこえてどうこうということは、どうも私としては望ましくないと思っております。のみならず、ビールの銘柄は幾つかございますけれども、それらがみんな同じ値段であるということは、これはどういうことであろうかとも考えたりもいたしております。それからウイスキーでございますが、これは直接に正式に何も実は聞いておりませんが、間接に聞いております範囲では、増税分、あるいは増税分プラス小さなアルファを乗っけたい、かなり高級な銘柄と、増税にもかかわらず現行価格を据え置こうとしておる銘柄と、そういうふうに分けるようにメーカーのほうで考えておるらしゅうございますが、メーカーとしては、したがって増税分の一部は自分のほうの負担になるというような定価の再改定を考えているようでございますが、私は方針としては、高いほうはよろしゅうございますが、一般のものは、増税にかかわらず据え置くという態度は、ぜひそうあってほしいと考えております。問題は清酒でありますが、これは原料米が上がったということについての問題でございます。で、この辺は非常にむずかしいところであろうと思いますけれども、昔からの醸造の形態を続けておるところが実は非常に多いわけでございまして、大手のメーカーは別でございますが、何かその辺にやはり生産性向上という努力があってしかるべきではないだろうかというように考えております。いずれにいたしましても、これらの問題は権限関係が必ずしも明確でございません。私としてはそういう所見を持っております。
○鈴木強君 これは少しなまぬるいですね、経済企画庁、便乗値上げはいままで押えていくということを総理大臣も言っているんですがね。だから公共料金が上がると、必ず必然的に他の物価を誘発する、これを押えると、こう言っているわけですからね。これは認めない、少なくともある時期までは、そういう強い態度で臨めないですか。権限の問題もあるだろうけれども。
○国務大臣(宮澤喜一君) 実は、はっきり認めないという権限を持っておりませんものでございますから、遠慮して申しておるのでございますが、このぐらい申し上げておきますと、大体そのようになってくれるように考えております。
○鈴木強君 なってくれるというのですが、そうするとだいじょうぶだということですな。あなたも自信があるわけですね。そう理解していいですか、それならありがたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 切に御協力を期待しております。
○鈴木強君 御協力を期待していますということじゃ、これはだめなんです。もう少し政治力を持っているのです、政府は。理解と納得をやはりしてもらうようなことをしなければね。
○国務大臣(宮澤喜一君) いずれにいたしましても、国権の最高の場所でこういう御議論があり、こういうお答えをしておるということは、業界においても十分考えてくれることだと思っています。
○鈴木強君 それから消費者は王様だというようなことを古手メーカーは盛んに言っておだてているのですけれども、実際にはそんなことばは通用してない。私は毎日の消費生活の中で、われわれ消費者の命を脅かすような不衛生の食品や不当表示、量目の不足、こういったことによって大きな被害を受けておる。私は昨年この委員会でポッカレモンのインチキ性を明らかにいたしました。これは政府に消費者を守るという行政が非常に欠けておる。したがって、これを一段と強化してほしい、こういうことを私は強く要求いたしました。しかし、その後も一向にこの問題は消費者を守る方向に行っておらない。
 一体、最近も具体的な事実がたくさんございますが、たとえば不当表示の面につきましては、ヒラメをオヒョウといったり、ムツの子をスケソウダラといったりして、ごまかして切り身を売っておる。それから天然レモンがいっぱい入っているといううたい文句をしておりますけれども、実際にはそういうものは入っていない、うその化粧品が作られておる。それから床屋のヘアスプレーの中にも、もぐりの業者が作ったLPガスを入れた可燃性の非常に危険なものが扱われておる。それから百貨店で売っているメリヤスシャツあるいはシュミーズ、ショーツとかカーデガンとかプルオーバーとか、こういう衣類の大きさについても、SとMとしという表示がある。Mを買ったらSだったり、Lを買ったらMだったりして、これは消費者は非常に困っておる。一体、こういうサイズをきめる場合に統一した考え方がない。だから、かってに業者がきめておる。被害者はこれは消費者なんです。それからベトナムの沖でとれたフグを食ったところが、そのフグの干物で中毒を起こして死んでしまったというとんでもない問題が起きているわけです。川崎の駅前のスタンドで生ジュースを売っておる。そのジュースを調べてみたら大腸菌がたくさん入っておって不衛生きわまる。それから荒川では水増し牛乳を売って、食品衛生法違反で三十日間の営業停止を受けた。さっき言ったようなJISマークの許可認可をめぐって汚職が出てきているなんてとんでもないです。これは一体、これを取り締まる通産省なり厚生省は何をしているのですか。これらの具体的な問題に対する経過をひとつ説明をし、皆さんがとりました態度をひとつ報告してもらいたい。
○政府委員(松尾正雄君) お答えいたします。
 オヒョウをカレイとして売っているような問題の御指摘がございました。魚の名称の表示そのものにつきましては、私ども食品衛生法上の直接の対象ではございませんけれども、やはり正しい名前で売買されるということが公衆衛生の見地からもぜひ必要でございますので、農林省や公正取引委員会とも十分連絡をいたしまして、御指導をしていくという態度でございます。
 それから、ベトナム沖のフグによります中毒というお話がございましたが、この去る三月の二十三日、東京の二人の人がやはりフグの干もので軽い中毒を起こしましたが、幸いにして治癒をいたしておりますけれども、これらにつきましては、直ちに東京都におきましても、その残った製品全部の回収を終わっております。
 それから、スタンドで売られております生ジュースの中に大腸菌が入っているという問題は、これは川崎で保健所がいろいろと検査をいたしました結果発見をされたものでございまして、これらにつきましても、その生ジュースが直ちにどんどんと消費されていくわけでございますが、そういう大腸菌が入るような過程ということは、やはりどこかに不衛生な処理がある――手がよごれておりましたり、原料がよごれておるというおそれがございますので、これもすでに保健所におきまして厳重な指導が行なわれておるわけでございます。
○鈴木強君 水増し牛乳は。
○政府委員(松尾正雄君) 御指摘の、牛乳の小びんを大びんに移しまして、その中に水を割っておったというものにつきましても、すでにやはり検査の結果、食品衛生法で処分をいたしておるわけでございます。
○鈴木強君 うそつき化粧品。
○政府委員(坂元貞一郎君) 化粧品の点についてお答え申し上げます。
 レモン入り化粧品ということで販売されていた事実は、これは御指摘のとおりでございます。昨年、先生から御指摘になった時点において、私どもとしましては、業界、各都道府県等に、不正の表示をしないようにという通達なり行政指導をいたしたわけでありますが、その後半年くらいたっても依然としてまだそういう事実が残っておりますので、本年の二月、あらためまして通達を出しながら、当該メーカー――八社十六品物でございますが、この点について即刻回収を命じて、現在まで六十六万六千個回収が終わって、ほとんど大部分終わっているわけでございますが、まだ一〇〇%回収というところまで未確認の状態でございますので、現在まだ督励をいたしておる状況でございます。と同時に、また今後の問題としましても、私どものほうから各都道府県なり業界に通達を出しまして、今後このような種類の問題、たとえば天然果汁なりあるいはエキス等が含まれていると誤認されるような字句なり写真なり図案、そういうものは一切今後行なわないということについて、業界のほうにも申し合わせを、自粛要綱を作成さして、現在新規出荷のものについてはそのような基準が行なわれていると、このように考えておるわけであります。今後ともこういうたぐいの不正表示等については鋭意万全の努力をいたしたい、かように考えております。
○政府委員(熊谷典文君) 通産省関係につきましては、いわゆる試買検査というのをずっとやっております。問題がありましたらば、業者に厳重に警告し、改善の結果を確認する、こういう形をとっております。
 先ほど御指摘の百貨店のL、M、S表示の問題でございますが、御指摘のように、百貨店で違っておるのが従来の実情でございまして、非常に消費者に迷惑をかけているということがございましたので、最近この問題を百貨店協会に研究させまして、三月二十五日に政府としてこれを取り上げまして、現在規格はきまりましたので、メーカーなり卸の団体、百貨店、スーパー等を指導いたしまして、統一するようにこまかい指導を行なっておる段階でございます。
 また、エアゾールの問題を御指摘になりましたが、この点も好ましくないものがございましたので、業界に対して厳重な警告をいたしますと同時に、この四月末までに改善計画を文書で提出するように要請をいたしております。それを見まして、それが守られるようにチェックをしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○鈴木強君 JISマーク汚職の問題。
○国務大臣(椎名悦三郎君) JISマークの検定にあたりましては、十分慎重にこれを実行しておりますが、たまたま先般これに関連して汚職の疑いをもって検挙された者がありますことは、まことに世間に対して申しわけない、結局は官吏の心がまえの問題でありますから、それに重点を置いて今後官紀の粛正をはかってまいりたいと思います。
○鈴木強君 厚生大臣もそうですし、通産大臣もそうですが、これは消費者を守るという、そのことは、文字どおり消費者を守るのであって、業者を守るのじゃない。いまの消費行政というのは、どうかすると業者、メーカーに有利なように抜け道をつくってある。抜本的な改正とその対策を立てるべきじゃないですか、どうでしょうね。
○国務大臣(園田直君) ただいま申し上げました中で、表示の問題は、これは公正取引委員会が不当表示については取り締まることになっております。私のほうではやはり消費者の健康と生命を守るという点に重点を置いてやっておりますが、やはり手続上、厚生省は立ち入り検査、摘出検査等はやっておりますが、すべて都道府県知事に委任をして、その出先の保健所が主としてやっておるわけであります。しかし、消費者保護基本法ができますれば、それに基づいて、さらにこれに基づくいろいろな制度を検討しなければならないと、こういうふうに考えております。
○鈴木強君 厚生大臣、こういうものがあなたわかりますか、これ。ここにちょっと来てください。これはどれが医薬品で、どれがドリンクだかわかりますか、当てて入てください。大臣見なければだめだ、わかりますか、これ。どれがドリンク剤かわからぬでしょう。薬と似ているでしょう。わからぬね、どれがどれだかわかるか。
○国務大臣(園田直君) 残念ながら非常にまぎらわしくてわかりません。
○政府委員(坂元貞一郎君) いま品物を並べられましたもの、いわゆる医薬品として承認を受けておるものと、それから食品として、清涼飲料水として発売、市販されているものと、両方あるわけであります。確かに従来は外形等が一般の消費者の方の誤認を受けるような外形等になっておりますが、ことしの四月一日から医薬品は医薬品としての表示を包装なり何なりにするようにはっきり明示させるような措置をするということが第一点、それから販売方法なり広告方法について、医薬品と清涼飲料水が誤認されるような方法はとれないというようなことについて――そのことは、小売り薬局等の店頭において医薬品たるドリンク剤とそうでない清涼飲料水が同じ同一のステッカー等において販売されておりますので、こういうような販売方法も四月一日からやめさせるということで業界を指導し、四月一日以前は確かに御指摘のような状況にあったわけでございますが、つい先日の四月一日以降はかような形で両者の区別をする、こういうふうなかっこうにいたしているわけでございます。ただ、その表示の中身等についてまだ若干問題がございますので、いま表示の方法等について検討を重ねているわけでございますが、清涼飲料水のほうでたとえば薬効――薬としての効能的な表示をするようなことがありますならば、これは無許可医薬品として今後取り締まるというようなことをいたしたいと思っていま案をつくりつつある段階でございますので、いずれ早急に、この両者の区別は厳密に区別しながら、販売方法、広告方法等を含めまして、両者の姿勢を正していくようにいたしたい、かように考えているわけでございます。
○鈴木強君 実際ですね、大臣もわからないとおっしゃったんだけれども、実際わからないですよ、これは。同じようなびんで同じような広告をしていますからね こっちがドリンクで、こっちが薬なんだから。しかも、薬会社がやっているのだから、これまたね。そういう大衆をごまかすようなこういうものが出回るということは、問題ですよこれは。だから、そんな厚生省、なまやさしいことじゃなくて、なまぬるいことでなくて、びんを変えるとか、何かその方法を変えるとか、そこまで抜本的にやらなければだめですよ、これは。
○国務大臣(園田直君) 申しわけないことながら、ただいま聞かれて判別がつきませんでした。ただわかることは、今度の税制の問題で、いわゆる医薬品といっておったドリンク剤の税制の適用が問題だったわけであります。そこで、その際、医薬品であるならば、テレビその他の広告の方法を清涼飲料水とは違うような方法でやれということや、あるいは売る場所を薬屋以外で売ってはならぬなどということをして、指令をいままでどおりしたわけでございます。ところが、やはりいままでどおりに各所で売ったほうが売れるので、わざとまぎらわしいことを覚悟でやったものだということだけはわかりますが、まあただいま見せられて判別がつかなくて、非常にしゃくにさわりましたから、そのしゃくにさわったことは徹底的に業者に向かって指導していきたいと、かように考えております。
○鈴木強君 非常によろしい。それでひとつやつ
 てもらいたい。
 それから、時間がないから、次に警察庁のほうにお伺いしますが、現在ライフル銃とダイナマイトなどの火薬類の保管状況というものはどうなつ
 ておりますかね。
○国務大臣(赤澤正道君) 先般ライフル魔の事件なんかがありましたので、特にこの三月は厳重に検査をいたしまして、いま実は猟銃が全部で国内に五十五万丁ありますが、その中で約三万丁がライ
 フルでございまして、これはやはり所持の目的は、狩猟に使う、また害鳥獣の駆除に使う、また競技用と申しますか、趣味の射的、この三つでございますが、調べてみますと、いわゆる眠り銃といっておりますけれども、使用目的の判然としないものなどがありまして、こういうものは許可を取り消すとか、いろいろ処理をいたしまして、最近非常に厳重にやっております。それから、特に実包などは、販売業者、またその譲り受け、譲り渡し、不法所持などにつきましては、いろいろ手を加えまして、ああいう誤りがないことを期して努力をいたしております。
 ダイナマイトにつきましても、その他爆発物につきましては、同様でございます。
○鈴木強君 その次に、交通戦争の防止策ですが、特にこの四月からは小学校一年生の学童が通学をなさる。その場合に、非常に心配しているんですが、現在までの学童の死亡率というのは、年間を通じてどのくらいあるんでしょうか。特に今回対策を立てておったら、その対策を聞かしてほしい。
○国務大臣(赤澤正道君) 最近、残念なことには、交通関係の事故、特に死傷が非常に多くなりまして、ことにことしになりましてから激増の傾向にありまして、ことしは八十万台にのぼるんじゃないかという気がいたします。昨年は六十七万名でございましたが、その中にはかわいそうなことに学庭の事故が相当あるわけでございまして、その数を申し上げますと、昭和四十二年度が交通事故全部の死者が一万三千六百十八名でございます。子供の場合は、幼児が、死者が一千九十七名、負傷者が四万六千四百二十四名、小学生の場合が、死者が三百五名、負傷した者が一万九千九百三十五名、これは一年生から三年生まででございます。小学生の上級のほうが、死者が百五十九名、負傷者が二万三百五十六名、それから中学生が、死者が百七十七名で、負傷した者が一万一千四百三十九名、合計いたしまして、なくなった人が一千七百三十八名、負傷者が八万八千百五十四名となっておりますが、これは昭和四十二年度でございまして、昭和四十一年が全部で七万七千八百十三名から見ますと、かなりふえております。子供の場合は、まあこれは慰めですけれども、絶対量はふえておりまするけれども、総対的には最近は少し減っておるという状況でございます。
○鈴木強君 安全対策。
○国務大臣(赤澤正道君) 安全対策といたしましては、ずいぶん国費をさきまして、まずその学童などにつきましては、施設面では通園通学の道路、これに最近三年計画で万全を期す手配をいたしておりますが、いずれにいたしましても、この交通安全面で講じます国費が、たしか私の記憶では六百億円にもなっております。そういたしますと、これは、与党、野党ということでなくて、いまそれぞれ特別委員会では、委員長には野党の先生をお願いいたしまして、超党派でいろんな研究をいたしております。その交通安全のために投ぜられまする国費というものも何も与党がやっておるということでなくて、これだけの巨額の費用を使います上におきましては、やはりみんなで知恵をしぼって、一人でも事故をなくすという道を選ばなきゃならぬと考えておりますが、しかし、今日の段階で、われわれもいろいろ検討を加えまして、これは警察その他加えまして、ずいぶん意を用いてやっておるつもりでございます。
○鈴木強君 ぜひこの学童の対策については特に意を用いていただきたいと思います。
 時間がありませんから次に移ります。
 建設省のほうに伺いたいんですが、団地サービス会社というのは、設立の趣旨は何でございますか。
○参考人(林敬三君) 住宅公団の林でございます。団地サービスは昭和三十六年にできた会社でございますが、公団法に基づきまして、団地の居住者のための利便施設及び居住環境の維持などに関する業務をやるためにつくったものでございます。で、いろいろと公団にかわりまして、こまごまとした行き届いた管理業務をやること、それから託児所、駐車場その他のいろいろな施設をやる、あるいは日用品の販売を居住者のためにやる、あるいは居住者が入りますとき、出ますとき、いろいろとそれについての補修を行ないますとか、そういうようなことをいたすためにつくったものでございます。
○鈴木強君 幾つあるのですか、こういうものは。
○参考人(林敬三君) 会社は一つでございます。ただ、これが東京、それから名古屋、大阪、福岡、それぞれに支店がございます。
○鈴木強君 出資金は幾らですか。
○参考人(林敬三君) 出資は、現在三億六千万円でございます。なお、加えて申しますれば、出資金の三分の二は公団が出資をいたしております。残りの三分の一は銀行、生命保険会社及び損害保険会社が出資をいたしております。
○鈴木強君 その銀行、生保、損保の出資額は幾らですか。
○参考人(林敬三君) 出資は、公団が二億四千万円、それから銀行、が四千八百万円、生命保険会社が三千六百万円、大体そういうことでございます。
○鈴木強君 役員の名前と前歴はどうなっておりますか。
○参考人(林敬三君) 役員は、取締役の会長は太田辯次郎という方でございまして、東邦生命保険会社の社長が現職でございまして、こちらを兼務しておられます。それから代表取締役の専務といたしまして秦重徳氏がおられます。それからそのほか――名前も全部申しますか。
○鈴木強君 ええ。
○参考人(林敬三君) 大体この取締役と、それから監査役とおりますわけでございますが、十余名おりまして、そして……。
○鈴木強君 じゃ、それは資料で出してください。委員長、資料いいですね。
○理事(剱木亨弘君) じゃ資料で出してください。
○参考人(林敬三君) 資料で提出いたします。
○鈴木強君 それから四十一年度の収支決算書というのはどういうふうになっておりますか。
○参考人(林敬三君) 四十一年度の決算におきましては、総収入が二十六億二千六百万円でございます。そうして、総費用が二十六億三百万円、純利益二千三百万円でございまして、六分の配当をいたしております。
○鈴木強君 公団が出している出資の分にもその配当はついているわけですね。
○参考人(林敬三君) さようでございます。
○鈴木強君 公団の住宅に住まっている方々が非常にいま問題にいたしておりますのは、この団地サービスの運営と、次の共益金というのがございますが、この共益金というのは一体どういうものでしょうか。
○参考人(林敬三君) 共益金と申しますのは、団地の中の共用で使います電気料、水道料、ゴミの処理の費用、芝生、樹木の手入れの費用、清掃費など、居住者の共通の利益をはかるために使うための費用でございます。
○鈴木強君 これはどうして家賃の中に入れられなかったのでしょうか。
○参考人(林敬三君) 家賃の中に入れませんのは、共益費と申しますのは、いま申しましたように、団地の中の共益部分の維持管理をする費用でございます。それから、家賃は賃貸借契約に基づきまして住居として専用いたします。その専用する部分に対する対価ということでございますので、全体に対する共用する施設に使いますのと、それから個人が専用いたしますのと、その性格が違いますので、区分いたしております。
○鈴木強君 建設大臣、この共益金について、何か矛盾があるとは考えませんでしょうか、と同時に、いまの団地サービス会社の運営について適当と認めておりますか。
○国務大臣(保利茂君) 共益金につきましては、私も少しいろいろ聞いて調べておりますが、こういうやり方かなあという程度で、しかし、問題をつかんで是正するべきことがあれば是正しなければならぬ。もう少し調べさしていただきたいと思います。
○鈴木強君 団地サービスのほうはわかりますか。
○国務大臣(保利茂君) 団地サービスはいま総裁がお答えいたしておりますように、全体の団地の環境を保持管理してまいります上に、非常に役立っておるのじゃないかというふうに、私はそう理解をいたしておりますけれども、もう少しこれは合わせて私調べさしてもらいたいと思っております。
○鈴木強君 最近この共益費の値上げをしたのですね。どのくらい上げたのでしょうか。もし団地別にわかったら教えてもらいたいのですが、一つ一つやって何だったら、資料をあとで出してもらいたい。
○参考人(林敬三君) 個々の団地別の資料をいま持っておりませんので、これは後ほどお届けをいたしたいと存じますが、全体の団地が五百六ございます。その中で六十四の団地につきましては、この昭和四十三年の四月から共益費を値上げするということが決定いたしました。これは人件費、物件費の上昇でどうしても赤字になるところでございますので、五百六のうち、六十四団地決定をいたしました。なお、未決定のところが数カ所ございます。それから、なお二十団地につきましては、それだけの費用はもう節約してもいけるという見込みが立ちまして、値下げを行なった、こういうような状態でございます。
○鈴木強君 この値上げは、どこでだれがどうしてきめるのですか。
○参考人(林敬三君) この決定は賃貸借契約書によりまして公団で決定することになっております。しかしながら、実施にあたっては説明会などを開きまして、共益金の使途について十分に居住者に説明をいたした上でいたすようにいたしております。
○鈴木強君 われわれが聞くところによると、非常に引き上げについて居住者は反対をしているのですが、それはいま建設大臣もちょっと触れられましたように、性格があいまいで納得できないと言っているんですね。入るときには契約条項の中にそういうことのあることは確かにそのとおりだと思いますが、実際の共益費の値上げに対して大部分の方々がたいへん反対をし不満を持っているということは、やはり団地サービスの運営なり共益費のきめ方等について、使い方等について問題があると思いますが、そういう点で、総裁として何か問題点についてお考えはあるのでしょうか。
○参考人(林敬三君) 先ほど申し上げましたように、団地全体の一つの維持管理ということについて、共通部分について一定の水準を維持していくというためにこれを出していただいて、そして、その団地ごとに結局計算を分けまして、そしてそれぞれの団地で一定の水準を維持していただくということをいたしておるわけでございます。それでさっき申しましたように、五百六団地がありますけれども、大多数ほとんど全部がこの共益費というものについては、大乗的見地からは御納得いただいておる。みんなできれいに団地を維持して一応やっていくというためにはこの程度のものはやむを得ないということで、御納得して出していただいておると存じます。ただ、やはりそれぞれの方、いろいろな意見がございますし、また、こちらも省みてふできであるというようなところなきにしもあらずと存じます。しかし、だんだんとこれが公団が年をとってまいりますにつれて、この方面はよくなっていっていると私ども思うのでございます。それで、もちろんたえず注意をしていかないと、至らない面もあると思うのでありますが。それから、団地に入っていらっしゃる方のいろいろ御意向は、それは安くて済むなら安いほうがいいということは、これは皆さん言われる。それは人間の常だと、当然だと思うのです。それからまた、安く済むものをまたよけいいただいたらこれは申しわけないことだ。そんなことはいけないと思うのでございます。ただ、こう言いますと、団地をつくりました初めの一年というものは、いろいろなものに維持管理で要りまして赤字になる。二年目がとんとんになってくる。団地をつくった初めはわりにきれいにこれはいくのです。二年目がとんとん、三年目になると赤字になる。いろいろな諸物価が上がったりして、四年目くらいになると少しづつ上げていかなければならないというところが多いようでございます。いろいろ御批判もあり、注意して絶えず反省をしていかなければなりませんですが、たとえば赤羽の団地あたりを例にとりますと、たいへんきれいにやっている。これは、ほかの主体であるところの団地よりも住宅公団のは非常にきれいに共益費を有効に使ってやっているということをほめられる場合が相当あるような次第でございます。なお、気をつけてやってまいりたいと思います。
○鈴木強君 問題は、やはり居住者との話し合いといいますか、対話といいますか、理解と納得を得るような努力に欠けているのじゃないですか。大体団地サービスの会社にしても、会長がどこかの会社の社長をして、片手間にやっているような、そんなものじゃ何で団地サービスをつくったか意味がないでしょう。そういう点に欠けているところがあると私は思うのです。もっと自治会なんかとよく話し合う決意がないのですか。そういうところにやっぱり根本問題がある。
○参考人(林敬三君) 団地サービスの会長さんは、出資をまたたくさん出していただく必要、いろいろな関連ございまして、そして、それがまた運営がよくいくようにという点もあり、民間のまたセンスも入れていただくということで、民間の方が会長になっていただいておるのでありますが、専務は純粋の専務でございまして、そして秦専務なかなかにやっているのでございます。できました当初の一年余りというものは赤字で、こういうものは初めは赤字に三年間なると言われますが、それを一年間で食いとめて、そしてあとまあ細々ながらプラスのほうが出るようにしてやって、逐次充実をしていっているという状況にあります。これは、団地にせっかく入った方が快い国民生活を営んでいただくというためのサービス機関でございますから、その精神に徹して今後一そうつとめるように私のほうも努力いたしたいと存じます。
○鈴木強君 これは私はまだ非常に問題がある。だから、もっとやりたいのですが、時間がありませんから、家賃のきめ方あるいは空家家賃の問題、公益費の性格、使い方ですね、まあすべて問題が残っておりますので、これは他の建設委員会、あるいは分科会等に譲らしていただきます。
 それから、時間がありませんから、最後にまとめて質問をいたしますが、第一は、電子計算機の納入をめぐる汚職事件というのがございます。これは国税庁までこの問題が発展をしておる。これは重大問題だと思います。ですから、私は非常にこの電子計算機の納入に対する基本的な考え方に誤りがあるという意見なんです。いま取り調べを受けている段階ですから、私は取り調べの推移を見守ってまたさらにやりますが、一体どうしてこういうような汚職が出てきたのか、その経過については、ぜひひとつこれは伺っておきたい。
 それから道路公団のほうにも伺いたいのですが、たとえばこれは一つの問題ですけれども、東名高速道路の工事中に、神奈川県の山北町川西地区というところで落石事故が発生して御殿場線が二時間ストップした、こういう問題がありますが、これは事故発生の原因とか会社名等も知らしてほしいのですが、一体この保安の問題についてどういうふうにやっておられるかですね。それから、名神の高速道路で中央分離帯が大破したという問題が京都市内で三月二十五日に起こっている。こういった問題についても、もう少し、科学の粋を集めてやっておる高速自動車道の中でこういう問題が次々に出てきているということは非常に残念に思いますが、これらの問題についてもひとつ対策を教えてほしい。
 それから最後に、中央自動車道の路線決定の中で、特に甲府市内を通る路線については、南、北回りで長い論争が行なわれておりましたが、大体県側の意見もまとまったようです。建設省としてはこの整備計画の変更についてどういうふうな結論を出して判断しているのか、これをひとつ承りたい。
 それから運輸大臣に、先ほど保留になっております私鉄の十四社の通学・通勤定期の値上げについてはどういうふうな申請が来ているのか、これに対して大臣としては値上げを認めないという確たる考え方で臨んでほしいのですが、そういう考え方をひとつ承って私は終わります。
○国務大臣(保利茂君) 中央自動車道の甲府付近の路線については、地元のほうでかなりやかましいむずかしい議論もあったようであります。だんだん地元の御意見もまとまっているようで、すでに路線は決定しておりますけれども、どちらにしても、地元の御協力をいただかぬでやれる仕事じゃございませんから、ひとつ積極的に地元の御協力を得やすいほうに処してまいりたいという気持ちでおります。
○鈴木強君 知事には……。
○国務大臣(保利茂君) まだ伺っておりません。
○参考人(浅村廉君) 私日本道路公団の浅村でございます。
 ただいまお話がございましたとおり、日本道路公団におきまして、電子計算機の使用に関する汚職の容疑で職員が取り調べを受けるという不祥事態を起こしましたことにつきまして、まことに申しわけなく存じております。深くおわびを申し上げる次第でございます。今後かようなことの起こらないように、内部のいろいろな問題をさらに検討いたしまして、十分に体制を整え、なお、監査等も徹底的に行ないまして、不祥事態を再び繰り返すことのないようにいたしたいと、一同覚悟を新たにいたしておる次第でございます。おわび申し上げます。
 この電子計算機を道路公団が導入するということを考えましたのは、実は名神高速道路におきまして、昭和三十八年七月以来、通行料金及び通行台数を正確かつ能率的に集計、分類し、さらに、料金徴収業務が的確に行なわれておるかどうかということを監督するというような働きも行ないますので、現地の管理局に電子計算機を設置して今日に至っておるわけでございます。この電子計算機は、当時最も適性を持つとされました米国製のレミントン社のUSSC九〇という機械を使ってまいったので――これは借り上げてございます。購入ではございません、借り上げましてやってまいったのでありますが、その後、名神高速道路の交通量も逐次増加いたし、なお、東名高速道路、あるいはまた、中央高速道路の供用の開始等がございまして、これに備えるために、もっと性能の高い大型の電子計算機を用いなければならない必要に迫られてまいりましたので、昭和四十年十月からその検討に入ったわけでございます。これもあまり、普通の業務のやり方でやりますと、とかく問題が発生するおそれがあるのではないかということを私ども当時から心配をいたしまして、公団部内に別に機種の選定に関する委員会を設けまして、それにかけまして、合議制でこの問題を処理をいたしまして、当時、国内の六社からいろいろなカタログその他提供のございましたもの、あるいは、いろいろな資料等によりまして詳細比較検討をいたしまして、最後に、日立の製作にかかわるHITAC四〇一〇というものが最も適性を持つものであるということを決定いたしたわけでございます。その間におきまして、職員の不心得により忌まわしい事件があったんではないかというような疑いをこうむることになりまして、まことに残念であったと存じます。
○鈴木強君 東京に置けば、一宮のほうは要らなくなるのに、なぜ一宮のを、外国製を国内に切りかえたんですか。そんなことやるからおかしい。
○参考人(浅村廉君) その点でございますが、一宮に管理局がございまして、先ほど申し上げましたレミントン・ユニバックの外国製の機械を借り入れておりました。それは一年契約で毎年更新をしてやってまいったわけでございます。ところが、いま申し上げましたように、東名高速道路その他大きな高速道路が開通いたしますので、もっと大型なものを用いるということから、いま申しました四〇一〇というものを東京管理局――川崎に設けますが、東京管理局に設置をする、そこで将来全部のものを一括して一元的に管理をする、こういう考え方できめたわけでございます。しかしながら、そこに移行いたしますまでに、まだなかなかいろいろな――これは電気の関係の機械でございまして、いろいろむずかしい設備もございます。それをいきなり一挙に切りかえるというわけにまいりません。しかも、この機械の操作につきましては、相当に職員が習熟いたさなければなりませんので、たまたま四〇一〇をきめました時期が、このレミントンから借りております機械の借り入れの期限にも相当いたしましたので、その機会に、四〇一〇よりやや小型の三〇一〇というものを一応、これは同じ性質のものでございますが、やや小型のものでございます。これをその機械のかわりに設置をいたしまして、そして、やがて四〇一〇に移行する準備と申しますか、移行段階における一つの経過的な措置といたしまして設けたというわけでございます。
 さようなわけでございまして、まことに道路公団一同、今回の件につきましては残念であったと思っておりますが、機種の選定等につきましては、別にこれに影響されることはございません。きわめて綿密に検討の結果きめておるものでございますので、そのとおり実施をいたしまして、別に綱紀粛正につきましては、すでに総裁から強く職員にも指示をいたしましたが、機構等におきましても、なお今後検討を加えまして、再びかような事態を起こさないようにいたしてまいりたいと存じます。
 それからもう一つの問題は、東名高速道路の工事現場におきまして落石事故があった点についての御指摘でございます。東名高速道路の山北地区――御殿場に近い山北地区は、非常に地形の峻険なところでございまして、御殿場線が走り、道路は狭く、非常に山が迫っております。そこに東名高速道路の工事を現在いたしておるわけでございますが、先般、三月十八日に、工事中の現場から石が転落いたしまして、列車を約一時間五十分ストップさせたということを私どもは承知いたしまして、非常に驚いたわけでございます。かような工事の安全管理につきましては、もちろん、発注者側であります道路公団といたしましても、十分に検討いたし、受注者である業者に常に注意をいたしております。なお、現場のパトロール等も十分に指示をいたしまして、監督者のほうでも行ないますけれども、業者のほうで手落ちのないようにということを指示をいたしておったのでありますが、それにもかかわらず、かような事態を起こしたということは、まことに遺憾千万でございます。もちろん、危険な個所でありますので、防護さくを業者は設置をいたしておりました。私どもは一応それでよいものと考えておったのでございますが、結局、まあ、そういうようなことが起こりましたので、措置といたしましては、まず、その直後、一週間工事をストップさせまして、その間、安全施設に遺憾の点がないかどうか、改良すべき点があるのではないかということを詳細に検討いたし、まず、これでだいじょうぶであるという自信を双方持ちましたので、まあ一週間後に工事にかからしたわけでございます。のみならず、他にかようなところがありはしないかということで、私どもでもいろいろと調べまして、そして一応危険はないということで、ただいま工事を続行いたしておるわけでございます。
 で、私どもといたしましては、今後施工監督を一そう強化すること、それから、これでその検討を終えるわけじゃなく、類似事故発生の危険があると思われる個所につきましては、転石の除去あるいは落石防止さくの増設等をなお行なう必要があるのではないかというようなことも引き続き検討をいたしております。その他安全施設の強化につきまして、できる限り意を用いまして、再びこのようなことを起こさないようにいたしたいという考えでおります。
 それから、最後にもう一点お尋ねがございました名神高速道路の橋梁部分の中央分離帯に事故が起こったということでございますが、これは実は三月の二十五日、道路公団で管理をいたしております名神高速道路の京都の付近の山科地区におきまして、無免許のトラックが走っておりまして、それがハンドルを切りそこないまして、ちょうどこれが道路をまたぐ橋の上でございました。ハンドルをとられまして、オートガードという防護さくがございますが、それを突き破って外に飛び出して、ちょうど橋と橋との間に厚さ五センチの。ピアノ線を入れたコンクリート板が張ってございます、その上に落ちまして、そして、それを突き破って下に、まあ落ちはしませんでしたけれども、ほとんど落ちかかるというような事態が発生したわけでございます。この点は、私どもといたしましてはかように考えております。と申しますのは、名神高速道路を設計いたしました当時、かような橋梁であるとか、高架橋であるとかいうものは方々にございますが、これはすべてそのへりに、ただいま申し上げましたオートガード、車がぶつかるとはね返って、内側にはね返るという施設を設けまして、そうして、それで事故を防ぐという設計でやっておるわけでございます。このオートガードは、ドイツの有名な高速道路アウトバーンにおいても、そのような目的で使用されております。デンマークあるいはドイツ等の特許品でございまして、名神高速道路においては、従来これで相当事故を防いでおります。そういうことでやってまいりましたので、私どもは、設計上の手落ちは別になかったものと思いますけれども、しかし、かようなことがまた起こるといけませんので、危険な場所には、たとえば道路をまたぐような場所には、下に網を張るとか、何か道路側としては少し行き過ぎるくらいの注意を払いまして防止いたしたいと思っております。
 以上でございます。
○国務大臣(中曽根康弘君) おそくなりまして失礼いたしました。成田空港の条件派との調印式をやっておりましたので、遅刻いたしました。
 私鉄の大手十四社から四月一日付で各陸運局に対して、定期券値上げの申請が提出されました。ばらばらではございますが、平均しまして三七%程度の値上げの申請でございます。しかしながら、私鉄は国鉄とは、財政、経営の基礎が違いますし、また、物価政策の面も考慮いたしまして、四十三年度中は引き上げを認めない方針であります。
○理事(剱木亨弘君) 以上をもちまして鈴木君の質疑は終了いたしました。
 午後二時まで休憩いたします。
   午後一時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十一分開会
   〔理事剱木亨弘君委員長席に着く〕
○理事(剱木亨弘君) 予算委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、質疑を行ないます。占部秀男君。
○占部秀男君 まず最初に、朝鮮大学校の認可についての問題で、新文部大臣にひとつお伺いしたい。
 前国会であったと思うんですが、この問題で私が当時の剱木大臣にお伺いをしたときに、政府としては、朝鮮大学校を認可するということ自体には好ましくない、そのままでは。しかし、私学審議会でいま答申を練っておるんだから、その結果について知事がきめるということになるので、それで文部省としては、まあいわば見送っておるんだと、こういうような答弁がありましたが、そうした点については、いまでも文部省の方針といいますか、態度といいますか、変わりはございませんか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 前の剱木大臣がお答え申し上げましたとおりであって、いまも別に変わりはございません。
○占部秀男君 ところで、御存じのように、きのう答申が都知事のほうに渡されたわけでありますが、十一項目にわたって一応意見は述べられておるんでありますけれども、認可すべきかどうか、こういう点については触れてないんでありまして、結局、知事の裁量にまかされておる、こういうことになっておると思うんであります。そこで、知事は初めからこれを認可したいという考え方で、これはもう世間的にも発表しておりますし、その問題を審議会にはかったわけであります。したがって、この知事の裁量であるということになると、おそらく認可するという形に出てくると思うんですが、その場合に、文部省としては、当然これを了承する、こういうことになると思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 昨日の都の審議会の答申の内容につきましては、本日都のほうから事務的な連絡は受けたわけであります。大体、まあ新聞に出ておったようなものと存じますが、いろいろ問題点を指摘しておるわけでございますので、その問題点について、都知事とせられましても十分検討なさる問題ではないかと、さように考えております。したがって、都知事のお気持ちがどちらにあるか、現在存じませんけれども、その答申を尊重せられまして十分な検討を加えられることになるのではないか、さように存じております。それ以上のことをいま私から申し上げるわけにはまいりません。
○占部秀男君 結局、この問題で大臣は都知事とお会いになる、そして、この問題についての話し合いといいますかね、了解し合うために、まあ会うというようなことはないんでありますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題については占部さんもよく御承知と思いますけれども、前に、文部省としましては、一度拒否してほしいということを都のほうに申し入れてあるわけでございます。その当時、都のほうで、都知事としては審議会に諮問をして、その答申を受けた後にというふうなお心持ちの御返事があったように伺っておるのであります。したがって、今回答申も出たことでございますので、いずれ都のほうから何ぶんのまた御連絡なり、お話し合いがあるものと実は私は期待いたしております。
○占部秀男君 いままでの経過についてはいまさら言うまでもないんですが、大臣が期待をしても、東京都のほうで大臣のほうへ何ぶんのことを言って来ずに知事がこれを許可すると、こういうことになった場合には、大臣はどういうふうな態度に出られますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 問題がきわめて重要な問題でもございますし、都知事も十分御検討なさることと思うのでありますが、それだけに私は、知事さんのほうで、文部省の従来の意向というふうなこともよく御承知のことと思います。したがって、知事さんがそういうことにおかまいなしに御決定になるというふうなことは、まずなかろうと、こういうふうに私は考えておるわけでございます。
○占部秀男君 大臣は、まずなかろうと言われるんですけれども、文部省と都知事との間の考え方は全く相反しておるわけです。いわば対立的な考え方になっておるんです。そこで、まあなかろうというだけでは、この問題は決着つかぬと思う。問題の急所は、都知事が許可をするなり、あるいは許可をしないなり、都知事が今度は裁量しなければならぬ、その裁量をすんなりと文部省として認めるかどうか、こういう問題だろうと思うんです。この基本的な問題について、大臣としての見解を承りたい。
○国務大臣(灘尾弘吉君) この各種学校として認めることは適当でないという文部省の従来の考え方は知事さんもよく御承知だろうと思うんです。また、この答申についてもいろいろ知事さんとしては検討せらるべき問題が多々あると私は思うのでございます。したがって、そういうことはおかまいなしに、知事さんがすぐに、最初にこう考えておったからこうするのだというふうなことは、まさかなさらぬと私は思うのであります。十分時間をかけて御検討をなさる問題だと、そのように考えておる次第であります。その過程におきまして、かつて文部省も希望いたしておることでありますので、文部省に対して何かのお話があるものと、かように期待いたしておる次第であります。いま知事さんがどういう心境にいらっしゃるかということは私どもよく承知しておりませんが、この答申を受けられた上で十分御検討なさる心境にあられるんじゃなかろうかと思います。
○占部秀男君 これは二つの問題点があるんですよ。一つは、この朝鮮大学校を認可するかどうか、そのことがいいか悪いかという問題が一つあるんですが、もう一つは、認可するかどうかということは現行法のもとでは知事の所管事項になっておるんですね。それを何か、文部省の方針でもって制約をされると、こういうことになると非常に大きな問題になってくるんです。そこで私は、この点については念を入れておるんですが、したがって、大臣じゃなくても、事務当局でけっこうでありますが、一応お伺いしたいのは、この私学審議会の答申に基づいて許可をする、あるいは許可をしない、これは、都なり府県なりの知事の固有の責任の範囲の問題であるというふうに、私は、地方自治法の二条あるいは別表第三の規定からして考えるのですが、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 各種学校の認可の権限は、法律によって知事に認められている権限であります。それは明らかであります。それをかれこれ申し上げるわけではございませんが、同時にまた、文部省としましては、そういう権限に基づいて知事がいろいろ措置をなさる、こういう問題について少なくとも指導助言の立場は持っていると、かように思うのでありまして、全然、文部省がそういう問題について意見を述べる余地がないものとは私は思っておりません。ただ、繰り返して申し上げるようでございますが、いま答申を受けたばかりの知事さんでありますので、十分御検討になる時間というものも必要じゃないかと思うのです。その際に、知事が認可した場合にどうするとか、こうするとか、文部省がどうだとかというふうなことを、いま私がかれこれ申し上げることもいかがであろうか、文部省の従来の方針というものは東京都もよく御承知のことであります。それを総合して勘案せられるであろう、かように私は考えております。
○占部秀男君 従来の文部省の指導方針が、私たちに言わせれば、ちょっとおかしいから問題が起こっている、行政ぺースで都知事にまかしておけば問題は起こっていないのです。だから私はこういう質問をしているのです。そこで、文部省が指導あるいは助言、そういうようなことができると、これはもうもちろん地方自治法の二百四十五条に明らかになっているのですから、私はそれを否定するものではないのです。それはやっていいと思うのです。しかし、急所の点は、この朝鮮大学校を認可するかどうかという問題は、いろいろな点についてのいろいろな議論はあるとしても、結局は都知事が認可権を持っている、これに対しては政府といえども干渉はできないのだ、ただし、助言はできるだろうし、あるいはそうしてくれというふうに頼むこともできるだろうけれども、しかし、これはもう政府としても、裁量するその内容については干渉することができない、これは明らかだろうと思う。私はそこを言っているのです。その点はいま明確にして置いてもらわぬと、それでなくても文部省が干渉しているとかなんとかといって問題が起こっているときですから、したがって、答申がおりた以上、その答申の内容が、知事の裁量によって認可するか認可しないかをきめろ、こういう答申なんですから、知事がそれを受けて認可しようとしまいと、それは知事の裁量の問題としてその行為が終わったときには当然文部省がそれを了承する、これはもう、いまの法律上は私はたてまえじゃないかと思う。それを私は言っているのです。念のために、もう一度お願いします。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 知事が今後どういうふうにせられるか、これは私どもうかがい知ることができないのでありますから、知事とせられましても、この答申の趣旨というものは十分御検討の上で判断をせられるであろう、かように存ずる次第であります。なおまた、知事が認可権を持っていることは、これは間違いのない事実であります。そのことが立法的にいいか悪いか別として、現行法上は、持っていることは明らかな事実であります。知事が、何がなんでも認可をする、こうおっしゃればそれまでの話だと私は思うのでありますけれども、しかし、お互いに教育行政を担当しておる中央・地方の関係でありますから、ただ法律でおれがかってにやりゃいいのだとか、そういうようなことは、そういう関係は実はあまりおもしろい関係とも思いません。やはり、お互いによく話し合う機会があってもいいのじゃないか、かように思いますので、私は、ここでそういうことは、あまり、ただ法律の立場で突き詰めた議論をすることはどうであろうかと、こういうような気持ちがいたしますので、先ほど来のようなお答えを申し上げておる次第であります。
○占部秀男君 大臣のお気持ちも決してわからないわけではないのでありますが、突き詰めた話をいまこういう席上でするのがどうかと、そういう気持ちも、私もある程度は大臣の立場として了解はできます。しかし、問題が長い間の問題であって、これほど世間を騒がした問題であって、しかも政府の方針と知事の方針とが全く相反しておる問題であって、世間はこれを非常に注目しておるのですよ。したがって、私学審議会からの答申がおりた以上は、やはりはっきりさせるのが、国民の疑惑に対して私たちが解く、われわれ国会議員としての責任であると、かように考えて質問したのですが、そこで、いま大臣の言われた答弁の中で、知事が許可をしてしまえばそれまでですがと、何かどうも、ちょっとあまり歯切れのよくない答弁であったのですが、結局、「それまでですが」ということは、知事が許可してしまえば、文部省はたとえ反対の気持ちは持っていても、それはそのままに了承するのだ、こういう意味に私は受け取りたいと思うのです。というのは、この問題は知事の固有の権限であって、例の機関委任のような、総理大臣がこれを変更させるとか、代執行を命ずるとか、あるいはまた、場合によったら知事の罷免まで持っていこうというような問題とは、性格がまるっきり違っておると思う。そこで、やはりそういう点は明確にしておいてもらわぬといかぬと思うので、あなたがいま言われた、それはそれまでですがという言い方は、ちょっとどうも文部大臣としては歯切れの悪い、何かどうもはっきりしない答弁なんで、それはまあ、やはり知事がやった以上は、それは現行法の上では了承せざるを得ないのだと、そのくらいは、はっきりぼくは言ってもらいたいと思う。重ねてお願いします。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 知事がやりました処分が不適当であると、このように考えましたときには、政府としましても、まだいろいろなすべき道はあろうかと思いますけれども、私は、こういうふうな問題をそういう姿で争い、そういう姿で解決するということは、あまり好ましい姿とは思いません。従来からも、いわゆる朝鮮人学校というものが各種学校として幾らか認められておるものもございます。それについて格別文部省としましては特別の措置はとっておりません。こういうふうな問題について、そういう姿で中央・地方が何か対立したような形で問題をこじらしてしまうということは私の望むところじゃないので、したがって、私はまあ先ほど来あまり積極的な発言をいたしておらぬのです。ただ、文部省の方針も御承知のはずだと、答申の内容についても十分御検討なさるであろう、その上で十分知事さんがお考えになって、そうして文部省とうまく話し合いをしていただければ、そこにまたおのずから適当な解決口もあろうというくらいな、実は心持ちでおるのであります。あまり、権限がどうとか、何がどうだとかいうふうなことで問題を取り扱うということは、なるべく私としては避けたいと思っております。
○占部秀男君 私も、争って解決をするような姿は好ましくないと思うのです。やはり、中央と地方とは、そんな、相反して対立するような、そういう姿はもちろん出してもらいたくないと思うのです。ただ問題は、あなたの文部省のほうで、認可を見合わせてもらいたいというような申し入れとか、あるいは次官通達が出ていなければ、大臣のいま言われたところで私は納得してこの質問を終わるのですけれども、その前に、知事が認可するかしないか、あるいは私学審議会からの答申がない前に文部省として次官通達を出したり、申し入れを東京都にしておるのです。それは、法律の問題をこえた一種の政治的な動きですよ。そういう問題が、世間から見られれば、これは文部省が圧力をかけたというように見られることは明らかなんです。そこで、私は、この問題はあとくされのないようにしてもらいたいというので、そういう質問をしたわけです。重ねてそういう点について文部大臣に御回答を願いたい。法は法として守っていくのだと言っていただければそれでいいのです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先年出しました文部省のいわゆる次官通達なるものは、私は別に問題はないと思っております。文部省として教育行政上の方針としてこれを地方に示しておるわけでございますので、この方針については、地方の諸君もひとつ尊重してもらいたいものだと思っておるようなわけです。現在問題になっております朝鮮大学校の認可の問題につきましても、われわれとしましては、知事さんの権限だというので、知事さんがどういうふうにお考えになるか存じませんけれども、私どもの希望としましては、やはり文部省の方針というものを十分尊重していただきたい。同時にまた、この答申の内容等を見ますと、いろいろ問題点がある、そういう問題についても慎重に御検討を願って善処していただきたい。これは私どもの希望でございます。
○占部秀男君 じゃこの問題はこれで終わりたいと思います。いずれにしても、いま大臣の答弁の中で、これはわれわれの希望であると、知事が許可をしてしまえば、それはもうそれまでですということで私も了解したいと思います。
 次の問題は、小笠原の返還協定の問題で二、三お伺いをしたいのでありますが、言うまでもなく調印ができたわけであります。そこで午前中に同僚の鈴木委員からも質問があったと思うのでありますが、重複がありましたらお許しを願いたいと思います。
 そこで、まず第一に外務大臣にというか、あるいは官房長官でもけっこうなんですが、お伺いをしたいのですけれども、これはむしろ官房長官のほうかもしれませんが、前国会で国の直轄の問題が出て、私も外務大臣とこの問題でやり合ったんですが、政府は東京都に帰属をさせるのだと、こういうふうに閣議できまったというふうに聞いております。そこで、この東京都に帰属をするその日の問題なんですけれども、これは発効したと同時に、法的な手続はなくても、そのまま東京都に帰属されるということになるんですか、どうですか、その点をひとつお伺いしたい。
○国務大臣(三木武夫君) 私は発効の日だと考えておるんですけれども、そういうほうの何は内閣官房長官でもおったほうがいいですけれども、私は発効の日だと考えております。
○理事(剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○理事(剱木亨弘君) 速記を始めてください。
○国務大臣(赤澤正道君) 特別法をかりなくても、発効の日に当然東京都に帰属するわけでございます。
○占部秀男君 それからこの協定は、言うまでもなく、平和条約の第三条の規定についての取り扱いに関連した取りきめになっておると思うのですが、平和条約は四十八カ国の多数国間の条約であります。それが日本とアメリカとの間の二国間協定で変更するということは、これは外交上、国際慣習といいますか、あるいはそういう上から認められておることなんでありますかどうか、この点お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 奄美大島のときにもこの先例がありまして、だからアメリカの考え方によって返還はできるという根拠、解釈の上にわれわれは立っておるわけでございます。
○占部秀男君 その場合に、平和条約そのものは四十八カ国の条約、調印しておるのですから、調印をした国からもし異議が出るような場合ですね、これはどういうふうになるんでありますか、それが一つと、また、その場合に、政府のほうはどういう態度をとるか、この二つをお聞きしておきたい。
○政府委員(佐藤正二君) これは前の奄美の協定の場合にも先例があるわけでございますが、平和条約の三条は、アメリカに権利を与えたものでございます。したがって、その権利を持っているものが、その権利を放棄するという形になりましたときに、その形で、日本には潜在主権がございますものですから、それで日本に返ってくる、そういう解釈でわれわれはやってまいりましたし、今後もやっていくつもりでございますが、まあ全然異議を言う権利がほかの国にないと、そういうことは言えないと思いますが、現在のところ、そういう事態が起こっておりませんし、今後も起こらないと、私は考えております。
○占部秀男君 まあ今後起こるか起こらないかは仮定の問題ですから、きょうはこれ以上は申し上げません。
 そこで、この協定は奄美の場合と同じように、いわばアメリカの基地つき返還という形になっているわけです。この協定の第三条で、ロラン局ですか、「通信施設用地(ロラン局)」、これがそのまま認められておると、こういうことになっておるのですが、この協定では、基地の目的がはっきりして書かれておるのですね。通信――まあこれは読んでみると明らかなように、「合衆国軍隊が現に利用している硫黄島及び南鳥島における通信施設用地」と、こういうふうにはっきりしているわけですね。そこで将来、他の軍事的な目的に変更されるようなことは、おそらくこの協定に従ってないと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(三木武夫君) われわれもないと考えております。
○占部秀男君 そのないという点は、今度残されたロラン局というもの、これが今後安保条約等の取りきめによって規律されるとしてあるわけですね。そうなると安保条約の中の考え方としても、変更されるということはまずあり得ないと、かように考えていいわけですか。
○国務大臣(三木武夫君) 安保条約の地位協定によって具体的な施設、区域というものを渡すという取りきめがなされる、具体的な取りきめがなされるわけですから、そのたてまえとしては、いろいろそういう必要があったときに、アメリカ側から要請するという場合は、これは否定していないでしょうね、安保条約地位協定で。しかし、今度の場合は、小笠原のロラン局、これを別の目的にといっても、あれはまあ電波監理局とでもいうわけですかね、そういうことですから、ほかの目的にこれを変えて、そうしてあそこを使うという場合はわれわれは考えてないのでございます。
○占部秀男君 私もそうなることを期待しておるのですが、考えてなくても、いまの、安保の規定からして、アメリカのほうから変更を要請される場合も否定はできないということになると思うのですが、もし要請されるというような場合には、これは随時協議か何か知りませんけれども、対象にこれはなってくるんじゃないかというふうに私は考えるのですが、その点を具体的にひとつ御回答願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) この返還協定の中に目的を明示してありますから、これを変えるときには、日米の協議が始まって、日本の同意がなければこれはできませんから、われわれはいまのところ同意ということは考えておりませんから、これは変わることはないとお考えになってけっこうでございます。
○占部秀男君 ぼくもいま、目的が規定されておるのでそういう聞き方をしたわけなんですけれども、それでは政府としては変える意思はない、こういうふうにはっきり言っていいですね。
 それからもう一つ、このロラン局に関連する問題ですが、言うまでもなく、沿岸警備隊がこれを何といいますか、警備といいますか、管理といいますか、それをしているわけですが、ところで、アメリカの沿岸警備隊というのは、これはたしかアメリカの運輸省の所管になっておると思うのです。で、この平和条約そのものは、あるいはまた安保の規定そのものも、アメリカの陸海空軍ですね、の行動、施設、そういうものについての規定をしているわけですから、したがって、どうもこの安保条約に関連をして、あるいはまた、この平和条約に関連をした協定を結ぶ場合に、アメリカの運輸省所管の沿岸警備隊の管理する範囲のものまで規定するということになると、これは平和条約あるいは安保条約のたてまえそのものと幾らか違ってきたような範囲の問題までここで協定をされたというように、どうもわれわれは考えるのですけれども、この点はいかがでございますか。
○国務大臣(増田甲子七君) 占部さんにお答え申し上げます。
 ここに合衆国軍隊というように規定してございます、協定には。そこで合衆国軍隊の組織並びに機能に関する法律というものがアメリカ合衆国にございまして、これが制定公布されたのは一九五六年の八月十日でございます。両院を通ったわけでございます、アメリカの。そこで、アメリカにおける軍隊とは、アーミー――陸軍、ネイビー――海軍、エアフォース――空軍、マリンコアーズ――これは海兵隊でございます、海兵隊並びにコーストガードをいう、これがアメリカ合衆国の軍隊でございます。すなわち協定にいわゆる合衆国軍隊は、この法律に律せられた範囲でございまして、その所管が運輸省でございましょうとも、合衆国のアームドフォーセス、すなわち軍隊に属するわけでございます。
○占部秀男君 次にですね、この奄美大島の場合の協定を私今度の協定と比べてちょっと調べてみたのですが、この中で特に感じることは、付属文書が今度はないわけですね。で、奄美の場合には交換公文というものがあって、この極東の防衛及び安全と特異の関係を有するからその島、南西諸島その他の防衛の関係を保全し強化するために、アメリカが必要と認めて要求する場合にはこれは特別に考慮をするんだと、こういうことが交換公文ではうたわれておるわけです。ところが、今度はそれがついていないのですね。これは、ついていないということは、何かやはり事情の変化があったのか。あるいはまた、返ってくる小笠原に特殊な事情が、小笠原に奄美と違った事情があったのか、その点をひとつ知らせていただきたいと思うのであります。
○国務大臣(三木武夫君) まあこれは安保条約がカバーするのですからね。私、奄美のときの経過をよく調べてはいませんけれども、実際は、必要がないと言えば必要がないのじゃなかったんでしょうかね、奄美の場合。そういうものでカバーするから、特にそういう交換公文は必要としないと、今度も初めから何も問題になりませんでした、今度の場合。
○占部秀男君 次に、今度の協定の中の第五条が中心の問題ですが、この小笠原が返った場合に、島民が住まえるようにするためには、いろいろな復興計画をしなきゃならないわけです。この復興計画は、奄美の場合の前例もあるのですが、どういうことを考えておられるのか。これは自治大臣の所管かもしりませんが、具体的にひとつ構想を知らしていただきたいと思います。
○国務大臣(赤澤正道君) これは総理府で所管をいたしておりますが、とりあえずは、ほとんど日本人もおらぬわけでございまするので、臨時措置法でとりあえずの手当てをいたしまして、復興計画を立てますためには、まだこれから精密な調査も必要でございますし、その段階で、復興計画をもととしてまた特殊立法をつくることになると思います。
○占部秀男君 その場合に、たしか奄美のときは五カ年か、また継続したから十カ年ぐらいやったんじゃないかと思うのですが、特に復興計画に伴う公共事業関係を中心として、たしかあの場合には九割近い国の負担、そしてわずかばかりの、つまり鹿児島県ですか、それの負担と、こういうぐあいでやってきたと思うのですが、この点はいかがでございますか。特に――まあちょっと時間があれですから、特に東京都の場合は富裕団体ということになっておりますね。今度は東京都へ返ってくる。その場合に、たとえば義務教育費の半額国庫負担の問題でも、あるいはいろいろな補助単価の問題でも、東京都は特に富裕団体だからといって、他府県よりも少なくされておるのですね。そういうようなことがあると、これは非常に大きな問題になるので、やはり小笠原の復興計画なんですから、奄美と同じように、国が相当な額をもってやるような方向でやってもらわぬとどうにもならぬので、そういう点をひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(赤澤正道君) 小笠原と奄美大島とはよほど事情が違うわけですが、いずれにしても、かりに東京都へ帰属する場合に、東京都が富裕団体だからといって、東京都のいまの財政でとても小笠原諸島の復興ができるわけのものではないわけでございまして、だから最初その憂慮から出ましたことが、天領だとか、いろいろなことが出たわけでございます。しかし、それはやはり私は正しい考え方は、まず東京都に帰属さして、その上で国が復興計画を立てていくわけでございまするので、結果的にはやはり小笠原の復興は、計画を立ててみなければわかりませんけれども、ほとんどはやっぱり国庫の力をかりてやることになると、かように考えております。
○占部秀男君 念のためですが、いつごろこの復興計画をつくり上げるというめどでいまやっておりますか。
○国務大臣(赤澤正道君) 調査の結果を待たなければわかりませんけれども、少なくとも、今秋ごろまでにはあらかた復興計画を立てなければならぬようになるのじゃないかと考えております。
○占部秀男君 ちょっとね、人事院総裁来ておられますか。
○理事(剱木亨弘君) 来ておられます。
○占部秀男君 次に、私は、今度の予算の中の予備費に関連して、給与費の問題について簡単にお伺いしたいのです。
 これは、この委員会の中でも、同僚の木村議員、田中議員からすでにいろいろな質問がありますから、私は重複を避けて端的にお伺いをしたいのでありますが、今度はこの予備費の中に――予備費といっても、千二百億の予備費の中と、地方財政計画の中の一般行政費として八百五十億ですか、いずれもその中から給与の引き上げのいわば財源的なものを見ているのだと、こういうことなんでありますが、どうも外から見ていると、大蔵大臣は、総合予算主義ということで補正予算の要因を残さないようにしたいと、こういう考え方でやられておるということなんで、どうもその額の中に、ワクにはめ込まれるような感じがしてならないのです。そこで、前にも木村議員あるいは田中議員からの質問がありましたが、私は端的にお伺いしますけれども、この国家公務員の分も、地方公務員の分も、いまのような予算の予備費あるいは地財計画の一般行政費、こうした中で十分まかなえるものだと、こういうふうに考えてこういう組み方をされておるのかどうか、この点を大蔵大臣と自治大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) この予備費の中で対処し得るものというふうに考えております。
○国務大臣(赤澤正道君) 地方財政計画の中には手術費などという便利なものはございませんので、しかし当然起こり得べき事態というものを予想いたしまして、御指摘のとおりに、現年災の応急手当と、またこの給与改定に伴うものを見越しまして、金額はいずれであるか、災害のほうも、給与のほうも、確定はいたしておりませんけれども、しかしこれを包括計上いたしております。一般行政経費の中に計上いたしております。
○占部秀男君 結局、大蔵大臣も、自治大臣も、一応対処できるものとして考えてこういう計上のし方をしたと、対処するということばの中にはいろいろな内容があるわけです。つまり、計上したもののワクの中で対処する場合もあるし、それからそのワク以上に金がかかる場合には、それ以上のものをつけ加えて対処する場合もあるわけです。率直に言って、こういうような組み方をしたからには、当てずっぽうで私は組んでおるわけじゃないと思うので、そういう点についての扱い方を両大臣にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) 予備費を充実させるためには、節約とか、いろいろなことをやりました。また、例年の補正予算のときには、事務費の計算とか、いろいろなものが入っておりましたが、できるだけ、こういうときでございますから、当初予算の中で計上し得るものは計上してみるということにしておきましたので、この千二百億円の予備費というものは、従来の予備費よりも相当充実していることは間違いないと思います。もう一つは、税収はもう目一ぱいに本年度私どもは盛ってございますので、中途においておそらく予算補正をやるような余裕というものは実際問題としてはないんじゃないかということを考えておりますので、したがって、予備費を従来よりは充実するという必要が出て、そのとおりやったものでございますから、予見されないいろんなことがありましても、この範囲内において私どもは処理することに努力したいというふうに考えております。
○国務大臣(赤澤正道君) 国家公務員の場合も当然人事院の決定を尊重なさることと思いますし、また地方公務員の場合は国に準ずるという仕組みになっておるわけでございまして、まあ結果的にどうなるかということはいま申し上げる段階ではございませんけれども、いずれ国家公務員のほうがきまります際に、私どもといたしましてもそれに準ずる処置をいたしたいと、かように考えております。
○占部秀男君 いま大蔵大臣は、範囲内で処理するというように努力したいと、かように言われておるんですが、そこが非常に私はあいまいな問題点だと思うんです。たとえば地方公務員の場合に、八百五十億が災害と給与と両方でやられておるわけですね。そして、前年度はたしか七百億以上のぼくは引き上げの額じゃなかったと思う。ちょっとそれを計算をしただけでも、八百五十億で一体足りるのか。災害が全くなきゃいいですよ。ところが、災害もおそらくあるんじゃないかと思うんで、そういうことから考えると、この総合予算主義ですか、あり方は、やっぱりその範囲内で何か押えていこうというような考え方のほうが強いような感じを私は持つんですが、その点は両大臣ともどういうようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(水田三喜男君) 災害も、これはあらかじめどのくらいの災害か予見できないものでございますし、人事院の勧告も私どもには予見できないというものでございますので、これが両方どういうふうに重なってくるかということも予見できない。したがって、でき得る節約そのほかで、やり得る努力をして、この予備費の充実をはかっておるものでございますから、普通の場合でございましたら私は十分対処できるんじゃないか、いままでの経験から見ましても対処できるのじゃないかというふうに考えております。
○国務大臣(赤澤正道君) その時点で適切な措置をとりたいと考えております。
○占部秀男君 予算も組んだばかりですから、おそらく大臣としての答弁も、こういうあり方ですから、私はむしろこの際、大臣よりも人事院総裁のほうが大事だと思うんですね。いま私の質疑応答の中で明らかなように、一千二百億の予備費のワクと、八百五十億の地財計画の中に一般行政費のワクがあって、そのワクに給与費だけじゃなくて地財計画の場合は災害が入っている。千二百億の予備費の場合には、米価その他の問題も入っておるということを聞いております。そこで、人事院総裁としては、このワクにとらわれないでひとつ人事院勧告をつくり上げるということが私は大事じゃないか。これもやっぱり一つの第一段階としてはもとになるのじゃないかと思うんです。法律は、言うまでもなく、四月の民間給与ですか、これを基準として格差のないようにしていこうという趣旨なんですけれども、したがってこのワクというものは考えずに人事院勧告をするんだ、これがなければ公正な勧告というわけにはいかぬと思うんですが、その点は人事院総裁としてはどういうお考えですか。
○政府委員(佐藤達夫君) ワクと考えましても、千二百億というワクでございまして、千二百億あればというようなことにもなりかねないのであります。私どもは、そういう意味から申しましても、これはワクというふうには感じておりません。いまおことばにありましたように、私どもとしては、従来どおりやはり官民の格差を四月現在の調査でとらえまして、そうしてこの間に格差がございますれば、これはぜひ民間が高ければ民間に追いつかしていただきたい、この方針は今後も堅持してまいりますつもりでございます。したがいまして、千二百億のワクの中でまかなえるか、まかなえないか、これはふたをあけてみなければわかりませんけれども、万一まかなえないようなことになりかねないということであれば、私どもとしては依然として完全実施をあくまでも念願しておるわけでありますから、これはこれとして、その方向の努力を大いにやらねばなるまいという気持ちでおるわけでございます。
○占部秀男君 いまの総裁の答弁を聞いていますと、この予備費に組んだ給与の引き上げ分、地財計画に盛った給与の引き上げ分、これの性格が一番問題になってくると思うのです。私は、この性格がいわば公務員給与の一種の事実上の調整の基金である、こういう考え方なわけですね。基金が足りないときにはプラスをすればいいのだし、余ったときにはとっておけばいいのだ、こういうことになる。したがって、私はそこのところに性格の置き方を政府としては考えているのではないかと思うのですが、この点、大蔵大臣とそれから自治大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(水田三喜男君) まあたびたび言っておりますように、人事院勧告を拘束するものではないと私どもは考えていますし、また人事院総裁もそう思っていないので、独自の立場で勧告するのだと言っておりますから、それで勧告してもらえばいいのじゃないかと私は考えております。
○国務大臣(赤澤正道君) 災害と一緒に包括計上しておりますけれども、まあ何せ災害の多い国ですから、国じゅうがたいへんな災害にあうこともあるかもしれませんし、また経済だって非常な激変が絶対ないとは言えません。しかしまあ、比較をいたしてみまするならば、大体経済の伸びぐあいや景気の先き行きなどもほぼ検討がつかぬわけでもありませんし、また毎年の例も長年あるわけでございますので、大体このぐらいな見当ということはつけておるわけでございます。まあたいへんな激変のない限りは、ほほ人事院の勧告――ここで予想してははなはだ悪いですけれども、大体いろいろな要素を勘案いたしまして見込んだ計画を包括計上している次第でございます。
○占部秀男君 どうもこの問題は、何回言ってもそれ以上は水かけ論になるようですから、ここで切ります。
 で、最後に一つだけ、赤澤自治大臣に定年制の問題でお聞きしたいのです。いまこの法律が出されておりますけれども、私は自治大臣がこれを出してきたということ自体に非常に不満を持っている。というのは、いま国会の中では、大臣も御存じのように、地方公務員共済組合法の問題で、おととしスライドの――大ワク的でありますけれども、規定を改正しました。そしていま衆議院を中心に、スライド制の具体的なこまかい点についての検討をしようというので、かかっておるわけです。少なくとも、現在のこの公務員がなぜ定年制に反対するか。これにはいろいろな問題がありますけれども、結局、いまやめてしまって年金をもらっても、物価が上がって三年もたてば半分になってしまう、これでは食えないからというのがまあ大きな理由の一つなんです。少なくとも、スライド制の問題にも結着をつけて、そして定年制をどうかということを出されてくるのだったら、まあわれわれはそれでも反対ですけれども、問題は一つの筋です。ところが、それをせずに、やめるほうだけやめさせようというようなやり方は、ぼくはむごいのではないか。これは労務管理の上からいっても、地方公務員はこれで承知できるなんてことを考えること自体が、私は大臣の考えはどうかしているのではないかと思うのですが、一体どういう考え方でこの定年制を出されたのか、それをお聞きしたい。
○国務大臣(赤澤正道君) これは決して自治大臣の考え方でも何でもありませんので、やはりいま主権者は国民であり、地域住民であるわけであります。その地域住民、国民の考え方というものを私たちはいま心にかけておるわけでございます。実態は、占部さんも御承知のとおり、地方行政の責任者になりますと、なかなかこういう道を開いておかないと内部の新陳代謝が行なわれないで困るわけでございまして、そのために定年制を条例できめても決して違法になるのではない。離職の道をここに一つ開くということだけでありまして、それから先はそれぞれ条例にゆだねるという方法をとっておるわけでございまして、御案内のとおりに、地方団体によりましては――国家公務員の場合はわりに年齢的に問題はないのでありますけれども、地方団体の場合は、七十歳に近いような人をたくさんかかえておって非常に困っておるので、いくら肩たたきをやっても、応じなければどうにもならぬ。それで非常に困っておる団体も多いわけでございまするので、やはり無理のないところで個々に定年制を必要となさる向きは条例で定めて、そしてそれには、いろいろな再雇用の措置だとか、またただいまも御指摘になりました将来の生活面等もいろいろ考慮いたしまして、この問題につきましては前向きに解決しなければならぬ、そのまあ一つのきっかけとしてこの道を開くということでございます。
○占部秀男君 時間もないですから、一つだけいまの点聞き返させてもらって終わります。
 いま大臣のお話で、離職の道を開くだけで、あとは条例にまかせる。そうなると、念のために伺っておきますが、かりに法案が通ったという場合に、条例をつくってもよければつくらなくてもいいし、それから条例の中でいろいろな基準があると思うのですが、年齢基準とかその他、これは地方団体にまかせるんだと、こういうことでありますか、その点を。
○国務大臣(赤澤正道君) そのとおりでございます。
○理事(剱木亨弘君) 以上をもちまして占部君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○理事(剱木亨弘君) 次に、小野明君。
○小野明君 私は、主として教育の問題に関しまして若干お尋ねをしてみたいと思うのであります。
 憲法、教育基本法によりまして、わが国が民主的で文化的な国家を建設する、そういった中で世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示したと思うのであります。この理想の実現と申しますか、根本においては、私は、教育の政府権力の支配、これを排さなければならぬと考えるものであります。この立場を踏まえまして国が学問の自由を保障しあるいは研究を尊重する。そうした中で学術の振興をはかることが不可決であろうかと思うのであります。しかるに、わが国の現状というものは、学問研究が軽んぜられつつある傾向にあります。あるいはまた、この振興策につきましてもきわめて不十分と言わなければならぬ点が見受けられるのであります。そういったことのために種々望ましくない事態が発生しつつあるのでありまして、私は本日はそれらの若干の問題について伺いたいと思うのであります。
 まず、文部省の大学局の予算の中に科学研究費というのがございます。この配分につきまして、日本学術会議と文部省学術審議会との間に紛争があったやに聞くのであります。その紛争の原因並びに経過について文部大臣にお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) お答えいたします。科学研究費の配分について文部省と学術会議との間に紛争があったというようなお尋ねでございますけれども、私ども格別紛争というような性質のものはあったとは思いません。ただ、この研究費の配分につきまして四十三年度分からやり方を、文部省としましては学術審議会の答申を得て、それにのっとりまして改善をしたい、その改善した方式をもって学術会議の御協力を求めたわけでございますけれども、不幸にして今日まで意見が一致いたしませんので、とりあえず四十三年度の配分につきましては、審議会の答申に基づいた方式を文部省が協力を得られないままに進めていかなければならない状態になっておるということでして、特に紛争というふうな性格のものではないと思います。配分方法についての意見が残念ながら一致しないで御協力をいまだ得るに至らない、このような状態であるというふうに御承知を願いたいと思います。その詳細につきましては大学学術局長からお答えさせることにいたします。
○政府委員(宮地茂君) お尋ねの件につきましては、いま大臣から総括的なお答えがございましたが、多少経緯につきましてある程度申し上げたいと思います。
 で、学術審議会に、文部省といたしましては科学研究費の補助金の運用上の改善策につきまして諮問いたしました。この諮問いたしましたのは、これは長い間懸案になっておりました科学研究費の種目、たとえて申しますと、総合研究とか機関研究とか、各個研究、試験研究、まあこういったかっこうになっておるのですが、その実態が必ずしもねらいとするような実態になってない。したがって、せっかく配分いたします経費を、もう少しこの種目を整理し、本来の種目に該当する経費を出すようにしたらよいではないか、こういったような点。それから、そういう種目に基づきまして科学研究費を配分いたしますために、申請者の申請内容について審査をするわけでございますが、その審査の人数とか手続、こういったようなものに不備欠陥があったのでこれを改善したい。こういうことで御諮問申し上げ御答申をいただいた次第でございます。その答申は、昨年十二月一日に答申をいただきましたが、その答申に至るまでの間に中間報告が学術審議会から出されまして、その中間報告をもとに学術審議会のほうと学術会議とでいろいろ御協議もされました。ところが、答申後、四十二年の十二月二十日でございますが、学術会議から文部大臣に申し入れがございまして、審査委員の推薦選考方式のやり方については、歴史的経緯から見て根本的な疑義があるということと、推薦を文部省から学術会議に求めるとすれば、四十三年度も前年どおりの方式で推薦したいという御回答がございました。そこで、これは後ほど朝永会長もお見えになるそうでございますが、朝永会長から文部大臣に申し入れたことについて十分話し合いをしたいというお話もございまして、私のほうとしましては、学術会議の研究費委員会の委員長さん及び幹事の方々と御懇談もいたしました。ところが、今年の一月二十五日に学術会議の運営審議会、これは最高の執行機関のような性格の会でございますが、こちらのほうで審議をされまして、その結果、やはり文部省に、審査委員の候補者の推薦は四十三年度はしないというふうに決定されたというふうに私のほうは聞きましたので、新聞等で拝見しましたので、私の名前で一月二十九日に正式に推薦をしていただきたいということを学術会議に御依頼いたしました。ところが、二月七日に、やはり審査委員の推薦方式を改めることについては、学術会議としては関係の学会や協会といろいろ連絡し十分審議を尽くす必要があるので、四十三年度は時間的にも間に合わないから推薦ができないという御回答をいただきました。その後、学術審議会の会長をしておられます茅誠司先生が、学術審議会の答申に基づいて文部省がやろうとすることに対して学術会議のほうから難色がある、それではわが国の学問の発達にも支障があるということで御心配になられまして、いわゆる茅提案といったような一種の調停案的なものが出されまして、学術会議の御推薦を求めたわけですが、二月二十六日にそれも受け入れられませんで、とにかく四十三年度の学術会議からの委員推薦は辞退をするということになりまして、そこで文部省といたしましては、一方におきまして新しい方式で、すでに研究者から研究費の申請も受けつけておりますし、先般その締め切りもいたしました。一刻も早く研究者に科学研究費を交付する必要がございます。そういったようなことから、やむを得ず文部省独自で四十三年度は委員を選考するということになったわけでございます。もちろん、経過がそういうことでございますが、その間、別に伝えられるように、お互いにけんかをするとか対立をするとかいうことではなくて、私ども見解の相違であろうと思いますが、四十四年度以後でもこの答申の趣旨に沿って学術会議のほうから委員の推薦をするということであれば、そのことを一応期待をしておるということでございまして、伝えられるほど対立とか、けんかとかいうことではなく、以上申しましたような経緯で進んできておる次第でございます。
○小野明君 伝えられるような対立、けんかではないと、紛争ではないと、こういうふうにおっしゃるのであります。しかし、いまの御説明を承っておりますというと、学術会議のほうは委員の推薦を辞退をする、こういった辞退を受けまして、文部省としては、四十三年度に関しては独自でやる。こういう姿を見てみますと、やはりこれはよほど深刻な対立というふうに私ども受け取らざるを得ないのであります。そこで、従来審査委員の推薦なりあるいは研究費の配分の基本方針につきましては日本学術会議の意向を聞いていた、それを今度から変更をいたしまして、学術審議会に諮問をした、科学研究費の配分について諮問をしたという意図、これがまず私は問題ではなかろうかと思うのであります。でありますから、日本学術会議に聞いていたものを文部省の学術審議会に聞いた、この辺の真の意図というものは那辺にあるのか、これを文部大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 科学研究費の配分は、御承知のように、文部省の行なうことでございます。その配分に関していろいろ検討を要するものがあるというので、文部省の諮問機関である学術審議会に検討を求めて、その御答申をいただいたわけでございます。その答申を尊重いたしまして、文部省としましては研究費の配分の仕事をやってまいろうと思いまして、学術会議のほうの御協力を従来同様に求めたわけでございます。遺憾ながら、学術会議のほうでは、その配分方法につきましていろいろ御意見があるのではないかと存じますけれども、本年は御協力を得るに至らなかったということでございますが、事柄が文部省の責任において処理すべきことでございますので、やむを得ずことしのところは独自の立場で事を進めざるを得なくなった、こういうふうなことでございます。問題はその配分のやり方というところにあるわけでございますので、私は配分の基本の問題についてかれこれ相違があるものとも実は思っておりません。要は方法論の問題だと思っております。その方法につきまして、従来との差異というようなことを局長から御説明申し上げさせます。
○政府委員(宮地茂君) 従来から文部省で科学研究費を配分いたします場合には、学術会議から審査委員の推薦を求めるということが一つでございました。それから審査の大綱、審査の基本的な考え方、大筋につきまして意見を求めるということで、直接審査をいたしますのは、推薦された委員がやるということになっております。従来は学術奨励審議会というのがございまして、これは文部大臣の諮問機関で、現在の学術審議会になります前身でございますが、その学術奨励審議会の委員として学術会議から推薦された人は科学研究費の配分の審査に当たったということでございまして、形式的には学術奨励審議会で研究費の配分の審査をしたものでございます。ただ、その奨励審議会の委員、まあ専門委員等ですが、そういう人人は学術会議から推薦された人であったということで、ちょっと形式と実質が違うのですが、で、したがいまして、今回の場合も、学術審議会の中に科学研究費配分の分科会を設けまして、学術会議から推薦されてこられた方は、その学術審議会の科学研究費配分分科会の専門委員になっていただく、そういう考えでおります。したがいまして、従来のやり方と今度のやり方がそういう意味で違っておるわけじゃございません。繰り返しますと、従来は学術会議に科学研究費の配分をやってもらっておった、今度はそうじゃなくて、学術審議会に科学研究費の配分をやってもらう、そういうことになったわけではございません。
○小野明君 大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですが、どうも従来日本学術会議、これがやっておった研究費の配分について、どうも研究の本質にかかわるような批判といいますか、反省というものがいままでの答弁ではうかがわれないのであります。そこで、この研究費の配分といいますのは、学問研究の自由、こういう基本的な事柄であると思います。そこで、審査委員の選任、あるいは配分の基本方針というものにつきましては、通常の今回おやりになろうとしておる行政ベースのものと異なってしかるべきではないのか、このように考えるわけであります。今回日本学術会議と縁を切ってそういった行政ベースによる配分ということをお考えになることは、教育に対する、あるいは研究に対する官僚支配の強化、そういった疑惑を持たざるを得ないのでありますが、その点に対して答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 科学研究費の配分について、従来と今回と、私はその性格において変化はないと思っております。これは申すまでもなく、文部省で配分すべき性質のものでございますが、その配分について審査を願う方々を学術会議から御推薦を願っておるということでございます。どこまでも文部大臣の責任において配分すべき性質のものでございます。その性格は、従来も今度も、私は、変わりはないと、そのように考えておる次第であります。今回は、審査委員の御推薦を願うという点においても学術会議にお願いをしよう、こう思ってやりましたわけでございますが、その審査の方式について従来とやり方が変わってきたとか、あるいはその審査を担当していただく人の数が従来よりもよほどふえてきた、こういう点には違いありますけれども、結局は、文部大臣の責任においてこの科学研究費の配分がなされるものであるということにつきましては、性格上の私は変化はないものと考えます。
○小野明君 まあ、性格的に変化がない、こう強弁をされるのでありますけれども、私は大きな変化だと思うのであります。というのは、今回諮問をいたしまして答申を得た、これが学術審議会からの答申である。学術審議会というのは文部大臣の任命によるものであります。本質的に日本学術会議とは異なっておると思うのであります。すべての研究分野の調和を保っていく、あるいは自由な基礎研究の振興をはかる、こういった本来の目的に沿うためには、すべての科学者の民主的な代表である日本学術会議の意見こそ、私はさらに尊重さるべきではないかと思うのであります。この点を再度御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 仰せのとおりに、日本学術会議と学術審議会とは、私はその性格を異にすると思うんであります。日本学術会議は、法律にも示しておりますように、日本の科学の最高水準の方々の選挙によってでき上がっておる組織でございまして、これは文部省その他各省の関係とは別の独立した地位を持っておられると思うんであります。学術審議会は、文部大臣がその責任において行ないます行政の上に御協力を願う意味において、学術審議会というものが文部省の所管の審議会としてできておる、そういう点においては、両者その成り立ちを異にしておるもので、われわれ、もちろん学術会議の御意見なり勧告なり、こういうふうなものは十分尊重はいたしますけれども、これは文部大臣の諮問機関でも何でもないわけであります。御意見については、十分尊重したいと考えておりますけれども、この両者の性格は違っておる、このように考えております。
○小野明君 この日本学術会議と学術審議会との間に話し合いが行なわれたようであります、この問題に関してですね。その経過並びに結論があれば説明をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学術審議会の中にも学術会議のメンバーの方もたくさんいらっしゃるわけで、事実上はいろいろ御連絡があったと思いますが、学術会議と、それから文部省ないしは学術審議会との間の御連絡なり接触なりということにつきましては、先ほど局長も簡単に申し上げたと思いますが、あらためて局長から御説明をいたさせます。
○政府委員(宮地茂君) 一番最初に、この学術会議と、学術会議のほうからの委員の推薦についてお尋ねがありましたときに、今日までの話し合いの概要を御説明いたしましたが、重ねての御質問でございますので、かいつまんで申し上げます。
 学術会議からの、この審査委員の推薦あるいは選考方式の内容については、従来の歴史的経過から見て、根本的な疑義があると、また、四十三年度の審査委員については、従来の方式で推薦したいと、性急な実施は控えてほしいという申し入れがございます。これにつきましては、ことしの一月に、これは朝永会長も文部省へおいでになられましたが、事実上この問題をやっておるのは学術会議の研究費委員会のほうであるからというお話がございまして、そちらと十分話してほしいという御要望がございましたのに基づいて、研究費委員会の事務長さん、あるいは幹事さん等とお話し合いをいたしました。そのほかにも、非公式に今日まで数回お話し合いをいたしたところでございます。
 また、学術審議会は、これは文部大臣の諮問機関でございますが、先ほど申し上げましたように、学術審議会で文部省としては考え方を述べた結果、いろいろ文部省の考えるところも十分考えた上で、審議会の会長としての茅先生が、直接文部省とではございませんが、文部大臣の諮問機関の会長の茅先生が朝永先生とも数回この問題について話し合っております。
○小野明君 結論が出ておれば――話し合いを持たれておるというのですが、結論が出ておれば説明をいただきたい、こういうふうに質問をいたしておりますから、その点を聞きたいと思います。
○政府委員(宮地茂君) 結論と申しますか、最終の段階での学術会議の御言い分と、文部省の言い分とを申し上げたいと思います。
 学術審議会のほうとしては、先ほど申しました、昨年十二月二十日に学術会議の会長から文部大臣に申し出られましたように、この改善策の、審査委員の推薦については、学会なり協会なりと十分連絡をとり、また、学術会議としても相当な検討を要する、したがって、四十三年度の委員の推薦はできない、これが学術会議の結論でございます。
 で、私のほうといたしましては、先ほど申し上げましたように、予算も五十億ついておりますし、これは今度の新しい方式によって配分するということが前提での予算でもございますし、また一方には、研究費の配分を受けるために申請者が申請をしてきており、すでに締め切っております。一刻も早くこれらの研究者に研究費を配分する必要があります。ところで、学術会議のほうでは、先ほどのようなお立場でございますので、やむを得ず、文部省としては、四十三年度は文部省の独自の考えで審査委員を選考いたします。ただ、来年度以降については、科学研究費補助金の運用上の改善について学術審議会が答申されたその趣旨に沿って御推薦されることを期待しております。こういうのが文部省の最後の結論でございます。
○小野明君 学術会議の朝永会長がお見えのようでありますから、若干お尋ねをいたしたいと思うのであります。
 本日はどうもありがとうございました。常々学術会議の活動につきましては敬意を表しておるものであります。そこで、いま若干、会長もお聞きでありますように、科学研究費の配分につきまして、経緯並びに文部省の見解というものをお尋ねをいたしておったところであります。そこで、今回の科学研究費の配分につきまして、学術審議会の答申につきまして、あるいは配分全体の問題につきまして、どういった御意見をお持ちであるのか、学術会議としての御意見をお尋ねをいたしたいと思うのであります。
○説明員(朝永振一郎君) ただいま御質問がございました科学研究費の配分の経緯につきまして、学術会議はどういうふうに考えるか、あるいは、もっと一般的に、今度の審議会の答申について限らず、この問題を一般的にどういうふうに考えておるかという御質問だったと思います。で、そのお答えに意見を申し上げる前に、やはりちょっと経緯を、学術会議側から見た問題の経過を御説明しながら、こちら側の見解を述べさしていただくことがよろしいかと思いますので、そういうふうにさせていただきます。科学研究費の非常に古い歴史のことは省略いたしまして、今度の問題が出てまいりましたこと、これはある程度文部省のほうですでに御説明をしたと思うのでありますけれども、その辺からお話し申し上げたいと思います。
 科学研究費の問題、いままでよりのやり方を何とか改善する必要があるのではないかというお考えで、文部省は、学術審議会ができます前に、学術奨励審議会という時代から、この問題を取り上げようとしておられました。学術会議といたしましても、科学研究費の問題がすべてうまくいったとは思っておりませんで、寄り寄りどうしたらいいかという問題を考えていたわけでございます。ただ、学術会議といたしましては、現在の科研費の運用上の改善というような、そういう観点からでなくて、もっと根本的なことから考える必要がある、そういうふうに思っていたわけでございます。それについては、またあとで述べさせていただきます。
 で、学術審議会ができましてから、そこで運用上の改善という点でいろいろ検討しておられました。その間に、学術会議のほうも、学術会議の中に科学研究費委員会という常置委員会がございまして、そこの委員長とか幹事の方が何回か呼ばれまして、学術会議の考えを述べさしていただいたわけでございます。そして昨年の暮れに中間報告というのが、一応学術審議会の科学研究費に関する特別委員会でおまとめになりまして、そして学術審議会の総会に報告されました。これが学術会議のほうに参りまして、中間段階でとにかく意見があったら述べろということでございましたので、いろいろ一応中間報告を基礎にいたしまして、先ほど、根本的な問題にはここでは触れないで、意見を述べたわけでございます。で、この意見のあるものは取り入れられまして、そして最終的な文部大臣に対する答申の中に盛り込まれたわけでございますけれども、学術会議で最も基本的な問題であると考えました点は、ついに学術会議の考えが盛り込まれていなかった、そういう実態でございました。
 で、それはどういう点かと申しますと、審査のやり方につきまして、いままで慣行がございました。その慣行は、先ほども申しましたように、根本的な観点からいえば、いろいろもっとすっきりしたものにする必要があると思われますけれども、一応現在の段階ではこの慣行が一番いいのだというふうに学術会議はいままで考えてまいりました。これからもそういうふうに考えたいというわけでございますが、この学術審議会の答申によりますと、いままでの慣行としてやってきたやり方を大幅に変えようとした点でございます。
 で、もう少し内容を詳しく申しますと、いままでは毎年文部省が科学研究費の配分の基本的な方針、それから、次の年度にどれぐらいの科学研究補助金が必要であると考えるかという点、それから、審査をする委員の推薦と、この三つのことを毎年日本学術会議に聞いてきたわけでございます。これはもちろん、法律に基づく諮問ではないと思いますのですが、とにかく学術会議の意見を聞いてきた。そうして基本的な配分の方針、これはかなり具体的な内容にわたって学術会議が答えました。それから、審査委員の候補者の推薦につきましては、定足数のほぼ倍程度推薦いたしまして、ただし、そのときに順位をつける、そうして、この順位を尊重していただく、そういう慣行になっておりました。で、配分の基本方針につきましても、科研費――科学研究費はいろいろなカテゴリーがございますが、それぞれにどれくらいぐらいというような点にまで、学術会議の研究費委員会で審議いたしまして、そうして、これを文部省にお答えしていたわけでございます。それがいままでの慣行でございますが、今度審議会の答申されました新しいやり方はどういうことかと申しますと、まず、予算の科学研究費の配分の基本方針につきましては、これは学術審議会で審議する、ただし、学術会議の意見は聞くということになっております。
 それから二番目の、二番目と申しますか、審査委員の点につきましては、これは学術会議に候補者の推薦を求めるということにはなっております。なっておりますが、今度の審査委員の構成がいままでと変わりまして、審査を二段階で行なう。第一段階は大体いわゆるレフェリーという制度でございますが、ある基準、審議会で考えました基準に基づいて評点をつけるという作業を第一段の審査委員がやる。その評点をもとにして実質的な決定を行なうのが、第二段の審査委員が行なう、こういうことになります。
 その両方合わせました審査委員の――話がたいへんこまかくなって恐縮ですけれども、ちょっとしんぼうして開いていただきたいと思うのですが、定足数が四百人、そのうちで第二審査、つまり、実質的な決定を行なう第二審査委員の定足数が五十ないし六十、そういうことになっております。学術会議に聞いてまいりますのは、これを合わせた四百人の定足数の一倍半ないし二倍ということでございますから、約六百名なり八百名、学術会議から推薦すると、で、その中から実質的に決定に当たる、つまり非常に重要な役をいたします第二段審査のつまり五十人ないし六十人というのを審議会で、あるいは文部省で審議会に相談して選考する、そういうことになったわけでございます。そういうわけで、学術会議として非常に大事な役をすると思いますところの第二段審査委員にどういう方にお願いしたいということを、学術会議が発言するようにはなっていないわけでございます。で、この点が学術会議としては非常にいままでと本質的に違う点であるというふうに考えております。で、文部省の、あるいは、審議会におきまして説明されましたところによりますと、これは私のいままでの慣行をなぜ変えるのかという質問にお答えがあったわけですが、このいままでのやり方は責任の所在が非常にはっきりしない。で、この予算を適正に配分する責任は文部省にある。それからそれは、かつ文部省から諮問を受けた学術審議会にあるのであるから、そういう以上は文部省の任命権と申しますか、あるいは審議会の自主的な審議を拘束するようなことは困るのだ、そういう御説明でありました。で、これに対して学術会議はどういうふうに考えたかと申しますと、この審査委員を一段、二段に分けるということはこれはけっこうである。で、実はいままでも非公式にそういうやり方をしている学問分野――これは学問分野によって非常に性格か違いますが、必要と考えられる学問分野では、非公式にそういうことをやっていたわけでございます。それをちゃんと公式なものにするということは賛成である。しかしながら、第二段審査委員というのはたいへん大事な仕事をされるわけでありますので、この六百人ないし八百人の委員候補者を学術会議が推薦して、その中から非常に大切だと思う第二段審査の五十ないし六十人の選考が学術会議の手から離れてしまうということはたいへんに困ることであるというふうに考えたわけでございます。
 その理由をちょっと申し上げますが、文部大臣が適正な予算配分の責任を持たれるということは、これは持っておられるということは当然なことでございますが、しかし、この適正という意味は、私ども考えますのに、やはり学問の進歩に一番ふさわしい配分が行なわれるということであると思うのであります。そういうふうに考えますと、適正な配分を大臣が行なわれますためには、広く学者の意向が反映される必要があるというふうに私どもは考えたわけでございます。で、この科学研究費というのは何のために設けられたかと申しますと、いわゆる経常研究費というのを大学等においてはいただいているわけでございますけれども、学問を進めるについて、現在学問の性格あるいはその研究の方法等が非常に変わってまいりました。これはまた日進月歩と申しますか、非常に急速に変わりつつある。そういう場合に、画一的に一人当たり幾らと配分されます経常研究費では、どうしてもやれないようないろいろな問題が出てまいります。その経常研究費でやれない点を補うのが科学研究費である、そういうふうに私どもは考えておりますし、いままでもそういう考えをとって学術会議が文部省に協力してきたわけでございます。ところが、そういうふうになりますと、予算をどう配分するかという基本方針、あるいはどういうふうに配分するかという審査、選考、それはそういう学問の性格がいろいろございます。それから研究の方法もいろいろございます。そういう非常にバラエティーの多いいろいろなものがあるということをよく知っている現場の研究者の方々、これの希望をよくくみ上げて初めて適正な結論が出せると、そういうふうになってくるかと思うのでございます。で、現在まで、過去において学術会談が委員の推薦を行なう場合には、そういう考慮から広く学界に対しまして適当と考える方々を推薦していただき、しかし、それをそのままではいけないので、学術会議として、いろいろそれぞれの部会あるいは委員会あるいは研究連絡委員会等の御意見も聞きながら調整いたしまして、そして文部省に推薦すると、そういうやり方をしておりました。そして学術会議の推薦を尊重していただく、そういうやり方をしていたわけでございます。おそらく今度の新しい方式におきましても、審議会の答申は、審査委員の候補者は、先ほど申しました六百ないし八百の候補者は学術会議に推薦してもらうということを言っておられるのは、やはり同じような事情をお考えになったことであろうと思うのでございますが、しかし、先ほど申しましたように、学術会議が定数四百に対しまして、六百ないし八百の推薦をすると、そしてその中から非常に重要な役をしますところの五十ないし六十の第二段審査の委員をその中のだれにするかということは、もはや学術会議は関与できないと、これは文部省が審議会に相談して、そこでやるのだというそういうことになったわけでございます。で、もちろん私どもはそういう選考をおやりになる学術審議会には非常に有能なあるいは識見の高い学者が大ぜいおられますわけですから、そこで間違った選び方をされるとは思いたくないのでございますけれども、そうであるからといって、学術会議が六百ないし八百の候補者を推薦するというだけで、そこから先、非常に重要な第二段審査委員の五十人をどなたにするかということは白紙のまま文部省あるいは審議会におまかせすると、そういうことで学術会議が日本の科学者を代表するという責任を全うすることがはたしてできるであろうか、これが私どもの考えであったわけでございます。
 そういうわけで、学術会議は文部大臣に申し入れをいたしまして、先ほど宮地局長が申されましたような趣旨でございますが、この学術審議会の答申については、いろいろ問題点があると思うので、特に審査委員の選考方法についてそれでいいのかという点で、根本的な疑義を持たざるを得ない。「審査委員の推せん方法については、日本学術会議発足の当初から、日本の学術の正しい進展のために、最も有効であると考えられる慣行をつくってきたのであり、それを大幅に改変することは、極めて大きな影響を日本の学術の研究全体に及ぼすことになると考えます。本会議としては、改めて、従来の経緯を振り返り、歴史的にも現在の方式の成立の意義を検討し今後の在り方についての意見をとりまとめたいと考えますので、政府においてもその点を考慮し、あまりに性急に新しい方式を実施されぬよう希望します。」と、こういう申し入れをしたわけでございます。したがいまして、四十三年度については、これは非常に急ぐこともありましょうし、従来どおりの方式によって推薦を行ないたい。で、将来どうするかということについては、学術会議の中でも十分検討いたしますし、それから審議会の先生方とも十分に意見の交換をして、さらにこれは非常に全国の科学者が関心を持っておることでございますので、そういう科学者、研究者も納得できるようなそういう最善の方式が見つかって、それが採用されることを期待、すると、こういう申し入れをしたわけでございます。しかし、この申し入れは、文部省のほうは文部省の事情で四十三年度からやはり新しい方式を、実施したいということでございまして、そういうわけだから、協力して新しい方式によって委員の推薦をしてほしいと、そういう文書が学術会議のほうにまいりました。学術会議といたしましては、さらに考えたわけでございますけれども、とにかく先ほど申した文部大臣あての昨年の十二月の終わりころ――十二月二十日でございます、そのときの疑義があるということ、早急な実施は避けてほしいということ、その見解を変えるような新しい事態も出ておりませんし、その考え方を変える必要はない、あるいは変えないほうがいいという――その段階で考えまして、それに対してお答えをいたしました。つまりこの前十二月二十日に大臣あてに申し入れましたあの線でやはり学術会議はいきたいのだという返事をいたしました。
 それで、もう少し詳しく申しますと、推薦の御依頼がありましたけれども、科学研究費補助金の運用上の改善策について、昨年文部大臣あてに申し入れましたとおり、審査委員の推薦方法の改革については、関係学・協会とも連絡協議の上、本会議として十分審議を尽くす必要があると考える、したがって、たいへん遺憾ながら御希望に応じて推薦を行なうことができない、そういう返事をいたしました。、実際学術会議というところは、こういう重大な問題はすべて総会にかけなければならない、そういうたてまえになっております。ただ、毎月運営審議会というのがございまして、ここでそういう総会と総会の間で出てきたいろいろな問題について処理することもございますけれども、それは学術会議が総会を開きましたならば、おそらく追認が得られるだろうという、そういうことが明らかな問題について運営審議委員会は権限を総会から委譲されている。しかし、この問題は、やはり大臣あてに申し入れましたように、学・協会ともよく意見を聞き、そうして本会議として十分審議を尽くす必要がある、そういう重大な問題であるというふうに考えるので、やはり前の大臣申し入れを変えることはできない、そういう考え方をしたわけでございます。そこで学術会議として、審議会のほうの茅先生ともお目にかかって、こういう考え方をいたしました事情を、学術会議の考え方あるいはそういう会議運営の習慣等を説明いたしましたのですが、茅先生たいへん心配されまして、この審議会はすでに答申を出して、これが文部省に行ってしまっているわけですから、これをどういうふうに実施するかということは、もう審議会の手を離れて文部省が考えてきまることであるけれども、何とか学術会議も納得するようなことはできないだろうかというので、いろいろ骨をおられまして、そうして茅先生は、審議会の会長としてできることで何とか話をつける方法はないかというので、非常に苦心されたと思うんですけれども、一つの線をお出しになりました。それはこの学術会議が委員を推薦する場合に、定足数を上回る、大体一倍半ないし二倍ということになっておりますが、それに順位をつけて出してけっこうだ、それから特に第二段審査委員として、この人になってほしいという第二段審査委員として推薦したいという人については、その旨を付記して提示していただいてけっこうだ、それで学術審議会としては、その定足数を上回る候補者の中から実際お願いする委員を選考するわけですが、あるいは特に第二段審査委員を選考するその場合に、学術会議の推薦は審議会の会長としても推薦するつもりである、そういう考え方を示されたわけでございます。
 そこで、学術会議といたしましては、いろいろ運営、審議会等あるいはそれぞれの部会でこれを検討していただきまして、しかしながら、先ほど申しましたように、学術会議のたてまえとしては総会を通す必要があるということ、それからもう一つは、茅さんがこういう考え方をされましたのが、先ほどの学術会議の基本的な考え方、特に学会との――まあ文部省の責任云々ということのほかに、こういう問題については学会の考えをよくくみ上げる必要がある。そのために私どもはその重要な第二審査を、これをおまかせできないんだと、そういう学術会議の基本的な考え方をはたしてお認めいただいたのであるかどうか。まあそういうことに疑問、つまりたいへん混乱したのでまあ収拾するために考えられたものであるのか、あるいは学術会議の基本的な考え方をもっともであるというふうにお考えいただいたのか、そういうふうな点がなお不明瞭である。
 それからさらに、非常に文部省で急いでおられるわけですが、実はいままで審査委員の専門分野の割り振り、これを改善しなければならない点が非常にあるわけでございます。新しいいろいろ学問分野が出てまいりまして、これを変える必要があるということは学術会議でもかねがね考えておりまして、それから学術審議会でもそういうことは考えられたわけですが、その検討は後の検討に待つと、まだその点結論が出ていない、後の検討に待つというまあそういう状態になっています。これは非常に大事な点で、学会等も非常にいままでない学問分野ができまして新しい学会ができてきたり、あるいは新しい学会ができなくても、学者のほうからこういう専門分野も一つの特殊な独主な分野として考えてほしいというような希望がしょっちゅう学術会議に来ているわけでございます。そういう点が検討をまだ十分していない。そういう問題が残されているままに四十三年度から新しい方式でやるというのでは、ほんとうに良心的に考えた専門委員を推薦することはできないんじゃないかと、そういうふうな御意見がございます。
 それからまた、いずれにせよ、いまさら新しい方式をやるとすれば非常におくれてしまうのではなかろうか。そういう点から考えまして、やはり学術会議としては、どうも、なぜ四十三年度から、そういうまだ検討し残された問題もあるし、それから学術会議としても疑義があると言っているものを、どうもせいてやるという、やらねばならぬというその理由が納得いかないという考え方、これは茅さんのお考えをそこまで考えてくださるなら受け入れてもいいじゃないかという御意見の方も学術会議の中にかなりあったわけでございますけれども、そういう方々もいろいろな点から考えて、四十三年度はどうしてもできないと。まあそう言うから、いろいろと検討すべき点が残っているにもかかわらず、それでは茅さんがそこまでおっしゃるんなら学術会議の希望をかなり入れられたと見てよろしい。つまり順位をつけてよろしい、第二段審査でそれとして推薦してよろしいと。それで、それを尊重するとすれば、これは学術会議の考え方を相当入れたものだからいいのではないかと考えられた方々も、やはりもうこういうたいへんおくれてしまった段階では、いままでのやり方でやるんならとにかく、それが一番常識的な線ではなかろうかと、そういうことでございました。
 まあそういういろいろな考えの方があったわけでございますが、まあそういうわけで、今度の総会では、これを非常に十分に審議して、四十四年度以降何とかいい線を出すようにしようではないか、そういうことで、とにかく今回茅先生のそういう御提案があったことはたいへん御努力は尊敬をする、敬意を表しますけれども、どうも学術会議としては四十三年度にどうしてそんなに新しい方式をやらなくちゃならないかという理由がよくのみ込めない。学会に協力を頼むとすれば、その理由をよく説明して、そうして学会の協力を得なければ学術会議としても推薦のしょうがないわけでありますけれども、どうも説得力のある理由が見出だすことができない。そういうわけで、せっかくの茅さんのそういう案を、お出しいただいたことは敬意を表するけれども、やはりお受けいたしかねる、そういう返事を茅先生あてにしたわけでございます。その考え方が茅さんから文部省に伝えられまして、先ほど局長がおっしゃいましたようなことになった。大体いままでの事情はそういうことでございます。それから学術会議の基本的な考え方もよくおわかりかと思うのであります。
 それで、最後に、今度の審査の問題、運用上の改善というような問題でなしに、もっと根本的な観点から学術会議はどういう考え方をしているか、そういうことがあったら知りたいということでございますので、申し上げますが、これは学術審議会の答申の中にも前文に書いてございますが、この問題はただ科研費だけ切り離して解決される問題ではない、国の研究に対する研究投資と申しますか、研究に関する予算全体の問題、つまり大学に経常研究費というのがございますし、それから私立大学で非常に希望いたしておりますのは、私立大学における研究の補助金、それから学術会議が非常に重要な構想として科学研究基金という制度をつくってほしいという勧告をしておりますが、そのほかいろいろございますが、そういう国の研究投資全体の問題として解決しなければとても解決はないということを学術審議会でも言っておられる。学術会議はその点全く同感でございまして、いま科学研究費がいろいろ総花的に分けられるとかいろいろな批判がございます。これはかつて終戦直後あるいは終戦後何年かの間よりはよほど改善されていると思いますが、そういう御批判は確かにあり得ると思います。これを今度のこの運用上の改善というやり方で選考の方法を変えましても、私思いますのに、要するに、経常研究費というものが非常に不十分であるということから、結局科研費本来の性格というものが曲げられまして、一部経常研究費に代用するというようなことになってしまうのではないか。またそうなってはいけないといって、経常研究費が大きくならないで、いままでのようで、ほんとうに日本の学術が振興されるであろうかということにたいへん疑問がある。いままで科学研究費がいろいろ総花であるとか、分けてしまってあとそれがどれくらい成果があがったか、さっぱりわからぬという御批判がしばしばあるのです。
 しかしながら、いままでのようなそういう非常に御批判の多い配分でありましても、実際基礎科学というものは効果があったかどうかということを目に見ることは非常にむずかしいのでございます。そういうわけで、目に見えて、まあちょっと失言いたししますが、目に見えて大蔵省の方を納得させるようなことはなかなかむずかしい点がございます。しかしながら、そういう目に見える成果がなくても――なくてもといってはいけないのですけれども、一見ないように見えましても、科学研究費がこれまでつとめてきた役割りは非常に大きいと私は思っております。で、科学者、学者たちも、場合によっては経常研究費の不足を補うというような曲がった形で使われたかもしれないけれども、これがなかったら、日本の学問は戦後どういうことであったろうか。そういう点で、これは必ずしもマイナスとは言えない、むしろプラスの面が非常にあったということを十分に皆さん方に考えていただきたいということでございます。しかしながら……。
○小野明君 すみませんが、簡略に。また尋ねますから。
○説明員(朝永振一郎君) それじゃ、簡略に。どうも大学の先生というのは悪い癖で、あまりできのよくない学生ばかりしょっちゅう相手にしていますから、こういうことになりますが。
 それで、学術会議は実は国の研究投資について五カ年計画という形で勧告したことがございます。それをごらんいただければ、もう――簡略にということですから説明いたしませんが、特にその中に基金という制度を設けろということも言っておりますので、まあそれほど遠大なことまでいくのはむずかしいかと思いますけれども、やはりこの問題を研究投資全体の問題として私ども真剣にもっと取っ組んでいきたい、そういうふうに思っております。
 どうもたいへん、先生方をできの悪い学生にたとえまして申しわけございませんでしたが、お許しいただきたいと思います。
○小野明君 文部大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど大臣は、従来とあまり変化はないんだ、こういう御説明でありまして、いまの朝永会長の御意見によりますと、今回のおとりになろうとしておる配分の方法というのは従来と本質的に異なっておる、研究の本質にかかわる変え方をなさろうとしておるのだ、こういう御見解であったと思うのであります。そこで、大臣に、さほど変化はないとお考えになる、朝永会長は本質的に変化しておると、こういうふうに言われるのでありますが、その辺の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) どうも朝永先生と並べていろいろお聞き願いますと、なかなかやりにくいところがあるのでございますが、ただ、私の申しましたのは、科学研究費というものは文部行政の一環として行なっておるものでございます。したがって、これは行政の分野において文部省が科学の奨励のためにあるいは振興のために使っておる経費、この性格は変わりはないわけであります。それを配分するについての方法論上の問題であるというふうに私は考えておりますのと、基本的に今度の措置をとったために科学研究費というものの性格が変わってきた、あるいは配分の性格が変わった、そういうふうには私は考えないということを申し上げたわけでございます。ただ、文部省としましては、この配分について、従来の配分のやり方を改善したい、こういう見地から配分の方法を改めていきたい、それをもってひとつ学術会議のほうにも御協力いただきたいということを申しておるわけであります。本質的に見ましたときに、私どもは性格が変わったものというふうには考えておりません。
○小野明君 文部大臣、問題は、従来は朝永会長の御説明ではっきりいたしたのでありますけれども、いわゆる第二次審査員の問題、これが日本学術会議の意向によってほぼきめられておったということ、今回はこれが大ワクの推薦である。そうなりますと、学術会議の意向というものは全然反映されない。そういった五百ないし六百の大きなワク内でしか意向が入らないということで、そこに私は本質的な違いがあると思うのであります。その点はいかがですか。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 従来といえども、審査をお願いする方は文部省から実はお願いをいたしておるわけであります。そういう意味におきましては、今度も同じことでございます。ただ、従来は学術会議の御推薦になりました人がそのままに任命せられるというふうな、これは実際上の問題でございまして、たてまえ上の問題から申しますというと、やはり文部省として選考して任命するというたてまえにおいては私は変わりはないと思うのであります。そういう性格のものだと思うのであります。実際上の問題として、学術会議の御推薦になりました方を文部省として任命してきておるという、これは事実の問題でございます。その点において、今度の審査をお願いする方々に対する任命のしかたが変わってきておる、これは事実であります。それが文部省としましてはこの科研費を配分する上において改善であると考えて実はやっておりますようなわけであります。
○小野明君 水かけ問答論議になってもしかたがないのでありますけれども、日本学術会議としては、いま大臣もお聞きのような見解をお持ちになっておられるわけであります。今回早急に事を運ぶために学術会議の意向、これは学界の意向、日本の内外の科学者の代表という性格づけをされておるのでありますが、こういった重大な学問研究を代表する方々の意見を却下してしまう、こういう結果を招来をするのでありますが、この辺について再度検討を願う余地はないものかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私どもが、先ほども申しましたように、今回の配分につきましても学術会議の御協力をいただきたい、こう存じましてお願いをしましたわけでございますが、不幸にして学術会議のほうにおかれましては、先ほど朝永先生のおっしゃったような御意見がある。そこで、合意に達することが今年度はできなかったということでございます。文部省としましては、学術会議は学術会議のお考えもありお立場もあろうと思うのであります。同時に、この研究費を配分する責任の衝に当たっておる文部省としましては、また文部省としての考え方もあるわけでございます。従来のやり方を、これは第三者が御批判になればいろいろ御批判はあろうと思いますが、文部省としましては、従来のやり方を今回のようなやり方によって改善が少なくともできる、こういうつもりで事を進めてまいりましたようなことでございます。また、事務的なことを申し上げてはなはだ恐縮でございますけれども、その考えのもとに明年度の予算も編成せられておるようなわけでございますので、私どもとしましては、われわれがやらんと信ずるところによってこの予算の配分をやらしていただきたいと、こう思っておるわけでございます。残念ながら学術会議との間に合意に達することができなかったことを遺憾といたしますけれども、今年度は少なくともこの方式によってやらしていただきませんというと、もはや時間的にも制約もございますので、文部省のほうもまたできるだけ努力いたしまして適正な配分をいたしてまいりたい、このように考えております。
 ただ、この問題につきましては、もとより絶対の問題とは思っておりません。したがって、学術会議には学術会議としてまたいろいろお考えもあり、御検討の結果あるいは私どものほうに意見をお出しいただく、勧告いただくというふうなこともあり得るかと思うのでございます。そういうふうな問題につきまして、将来の問題としまして私どもとしましては、われわれの現に行政上の必要から持っておりますところの諮問機関である学術審議会におかれましてもおそらく今後もいろいろ御検討なさることと思いますし、また学術会議のほうにおかれましてもいろいろ御意見をお出しになる場合もあろうと思います。そういう問題につきましては、もとより文部省としましては十分今後の配分上の参考としてまいるという心がまえだけは持っておるつもりでございます。かように申し上げておきます。
○加瀬完君 関連。なぜいままでの方法をここで急に変えなければならなかったかという理由を御説明いただきたいのであります。
 それから、文部省の諮問機関の学術審議会なんかにかけていまのような方法をとろうとするようでございますが、最高の権威は審議会よりもむしろ学術会議のほうでございますから、従来そのほうにまかせておったならば、それで文部省から見て方法が悪いというならば、学術会議自体にもう少し御注文を申し上げて方法を変えてもらうという方法をとってはなぜ悪いのか。この二点をひとつ伺います。
○政府委員(宮地茂君) なぜ改善するかということですが、実はこれは長年の問題になっておりまして、先ほど来朝永学術会議の会長のお話の一部にもそのことがございましたが、実は現在科学研究費の種目というものは、あまり詳細申しますと長くなりますから一、二例を引きますが、たとえば総合研究、機関研究、各個研究、試験研究、まあこういったような分類になっております。
 ところで、総合研究といいますものは大ぜいの人がいわゆる一体となって研究をするという性格のものでございますが、長年の間にそれが各人の各個研究の単なる集合体にすぎないといったような実態になっておるものもございますし、また総合的に研究をするために研究連絡、いわゆる研究をする研究自身ではございませんで、総合研究のための個人がお互いに連絡をするといったようなものも含まれておるというようなことで、それではいけないので、総合研究は各個研究の集合体ではない、あるいは連絡的なことは一応純粋の研究とは分野を異にするから、研究費の種目としても分けようとか、あるいは機関研究と申すのがございますが、これは大学なり研究所、こういった機関で研究するわけです。その場合に、文部省では設備費の予算要求をしておったところが、それが落ちた。そこで今度は、この機関研究費のほうに申請をしてくるというようなことで、機関研究の中には、単に高額な設備や図書の購入、こういうことを主眼としたようなものも入ってくるといったようなことで、その他省略いたしますが、種目の編成ということと、本質的にこういった研究にこそ研究費は配分すべきであるといったようないろいろな反省がございまして、種目の改善をする必要があるということが一点でございます。
 それから、これは朝永先生も一部おっしゃっておられましたが、従来大体百名余りの方でこの審査をしていただいておったわけです。ところで、学問の分野は非常に多うございまして、私もよく専門のことはわかりませんが、百数十の分野に分けられる。それを百二十名前後の方がその審査に当たりますと、極端にいいますと、一人の人が申請された研究内容を判断いたしまして、それでよいとか悪いとかが決定する、いわゆる研究費がもらえるかもらえないかは、一人の人が見ればそれできまっていく、これはぐあいが悪うございますので、人数をふやしまして、たとえば一つの申請に対して三人の方が見ていく、たとえば一人の人が五点満点で五段階で点数をつけて、それを三人が点数をつけて平均値を出していくというふうにするほうが、一人の人で判断するよりもよいであろう。それから、点数が出てまいりましても、次に、それをただ点数だけでなくて、横の並び等を検討するために二段審査をする必要があるであろう。それぞれの人が採点しただけできめるのではなくて、合議体で二段審査をする必要があるであろう、こういったようなことで、これはある程度学術会議でもそのこと自身には異論がないというところまで話し合いは進んでおります。で、こういったようなことは改めるのにそう時間のかかることでもございませんし、先ほど来朝永先生は、その他たとえば学問の科研費を配る場合の専門分野あるいは専門分化といったような分け方をしておるわけですが、その辺も改変する必要がある、いろいろ関連するから、ただその点だけを改善するのはもっと全体の改善を検討した後にやってもよいではないかというお話でございましたが、私どもは、関連するその他を改善する必要はございますが、いま申し上げましたようなことだけでも、これはみんなが指摘しておることですから、早くまずい点は直して何ら差しつかえないであろう、こういうようなことから、来年度は、こまかくなりますが、予算的にも従来百二、三十名の人の予算、まあ謝金等でございますが、そういうものを今度は四百名につきましてそういう説明で予算もついておりますし――ついておるというのは失礼でございますが、予算の御審議を現在いただいておりますが、そういったようなことで、私どもとしましては、いろいろ改善すべきことはございましょうが、審議会の御答申ではそういうふうにだれも納得のする問題、いままで言われ続けてきた問題を直そうじゃないかということでございますので、その点はぜひ早く直したい。
 ただ、学術会議のほうでおっしゃいますのは、せんじ詰めますと、委員の数とか構成とかいうよりも、二段方式もある程度お認めになっておられますので、最後には……。
○加瀬完君 学術会議の御態度じゃなくて、私の質問に答えてください。
○政府委員(宮地茂君) はい。それで、そういうことでございますので、まあ順位をつけるつけないという問題は残りますが、推薦された方で、推薦されない人を委員に任命しょうというわけじゃございませんので、これもそういう方式で来年度から配分をいたしたい、こう考えたわけでございます。
○小野明君 局長を相手にしてもしかたがないのですけれども、大臣ですね、再度のこれはお尋ねになりますけれども、日本学術会議がやっておったやり方に批判がある、だから学術審議会に変えた、こういう場合に、学術会議のやっておられた方法について決定的な批判あるいは研究の本質に関する批判、こういうものが私にはどうも腹に落ちないわけです。この点を大臣から再度私は御説明をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学術会議がやっておったとおっしゃるのでありますが、これは文部省がやっておったことでございます。その点はひとつ誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。もののたてまえはそういうことになっておるわけでございます。学術会議が研究費の配分をなさる機関ではないのでございます。文部省がいたすのであります。その点にもし誤解があっては私はいかぬと思うのです。
 そのやり方について、先ほど来局長も説明しておりますように、いろいろ改善の意見もございますので、それを取り入れて今回改善をしたいということで予算の御審議もお願い申し上げておるようなわけでございます。
○小野明君 もう少し。大臣が初めに言われたように、これは文部省の、あるいは大学局の科学研究費でありますから、そういった形は何度もおっしゃらなくてもわかっておるわけであります。主体的にそういった中で、文部省がおやりになる中で、日本学術会議というものが非常に重要な役割りを果たしてきたことは大臣もお認めになるだろうと思うのです。それを今回は大幅に変えまして、学術審議会に諮問した。だから、従来の日本学術会議を、実質的には日本学術会議がやられておったのでありますけれども、それを今回のように実質的な手段、方法を変えなければならない理由はどこにあるのかと、それをお尋ねをしておるわけです。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 前々からのいろいろ御意見があった問題でございますので、それに対する改善の意見がまとまりましたので、これを、実施いたしたいと、こういうわけでございます。
 また、誤解のないようにお願いしたいと思いますが、私ども決して日本学術会議を軽視しておるわけでもなんでもございません。学術会議は日本の学術の権威者の集まったきわめて大切な団体であるということはよく承知いたしております。この科学研究費の配分の方式に関しましては、いろいろ従来問題のありました点をこの際ある程度改善しょうというのが今回の案だ、こういうふうにひとつ御了解いただきたいと思います。
○小野明君 総理府総務副長官お見えですね。これは学術会議のほうから「学術審議会に関する申合わせ」ということで総理府のほうに申し入れがあっていると思います、学術会議の第四十九回の総会の申し合わせということで。この点御承知でしょうか。この経緯について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(八木徹雄君) お答えいたします。
 昨年の秋の学術会議の総会であった話だと思うのでございますけれども、そのときの話は、学術会議の任務というものと文部省の諮問機関である審議会の任務というものの中にいろいろ重複する部分があるのではないか、そういうことで学術会議の総会の席上でそれらの点について文部大臣にその点を調整するように申し入れをすべきであるという決議がなされた、こういうふうに聞いております。総理府なりあるいは総理大臣のところへその点について申し入れがあったという事実はございません。
○小野明君 朝永会長にお尋ねをいたしたいと思いますが、この学術審議会と日本学術会議との間に任務が重複をすると、こういった意見が出されておるのであります。これは申し合わせがされておるのですね。この点の処理はどういうふうになさっておられるのか、あるいはその結果どうだったのか、お尋ねをしたいと思います。
○説明員(朝永振一郎君) お答えいたします。
 この問題、実は学術審議会ができまして、そのときにその席上私から、これは前の学術奨励審議会の中に基本方策特別委員会というのができましたときにも申し上げたのですけれども、この審議会ができまして、審議会令というのがございまして、ここに、審議会のいろいろ役目が書いてございます。それと学術会議法の中に学術会議の役目が書いてございますが、これは読みようによっては重複する部分があるように読めるのではなかろうか。それで、しかしながら実際違った面ももちろんあるわけでございますので、その点を少し審議会で検討するように――私は学術会議の会長で、審議会に必ず出るというたてまえじゃないのでございますけれども、学術顧問というのでいつも出席させていただいているので、顧問の資格において、学術会議と審議会との間に仕事の上で混乱が起こらないように、両方の性格の違い、あるいは同じ問題を審議するにしても立場が違った観点から審議するのだというようなこともあるかと思うのですが、そこをはっきりしておく必要があるということを申し上げたことがございます。しかし、その後いろいろなそういう全般的なことを審議するひまが審議会のほうでございませんで、いろいろ先ほどの科研費の問題であるとか、そのほかいろいろ例の素粒子研究所の問題とか、早急に答えを出さなければならない問題がございましたものですから、その審議が延び延びになっていたわけでございます。
 それで、この問題はやはりこの審議会でお考えいただくことも必要だけれども、文部省のほうでも学術会議とよく話し合っていただきたい、そういうことでこの申し合わせというのが総会で提案されまして、それが可決されました。それはいま総理府の副長官から御説明がございましたが、政府にこれを申し入れるという決議ではございません。その議案は、「学術審議会に関し会長は、下記によって処置するものとする。」、つまり会長にこうしろということを総会で決議した、そういうことでございます。それをちょっと読んでみますと、「学術審議会令による学術審議会の任務と、日本学術会議法による本会議の任務とが重複するように思われる点があるので、このことについての両者の見解を明確化するため、速かに協議するよう文部大臣に申入れること。」、こういう決議がされましたので、会長としては、「下記によって処置するものとする。」となっておりますので、これは文部省のほうにこういう決議がされましたので協議する機会をつくってほしいと、そういうことを文部省にお願いいたしまして、その結果、たしか十一月だと思いますが、十一月になりまして、文部省の宮地大学学術局長、それから渋谷審議官、それから学術会議側から何名かの、私と江上副会長、それからそのほかの方々参りまして、いろいろ話し合いをしたわけでございます。で、そのときにやはりこの審議会で扱う問題は大体三つぐらいあるだろうという説明を文部省でございました。つまり学術会議からいろいろ政府に勧告したことで、文部省がそれを実施しようという場合に、やはりこれを行政的にこなすために、いろいろ行政にわりあい近い立場で相談する機関がほしい、それを審議会にお願いするんだと。それから個々の大学のいろいろな講座の増とかそういうふうなことについては、大学から直接文部省にそういう要求をするわけでございまして、必ずしも学術会議を経由するとはなっておりませんので、そういうものはやはりそれぞれの大学で自分のところの講座あるいは施設あるいは研究所というような問題、希望があったときに、やはりこの審議会に相談してきめていきたいと。それからもう一つは、文部省独自でやはりやりたいことがあるとき、そういうことは二の審議会――まあ問題によっては学術会議の意見も聞くと、しかし問題によってはこの審議会に相談する。まあそういうふうな御説明であったように記憶しております。しかしこれ、そういうふうに簡単に公式的に言えないような面もありますので、それはケース・バイ・ケースで運用のほうでよく考える必要があるというふうな話がそのときにやはり両方から出まして、この運用の問題につきましてはやはり審議会の先生方と学術会議のしかるべき者と十分懇談する、話し合いをする必要があるということになったわけでございます。で、実は私と審議会の茅会長とはこういう問題でやはり意見を交換したことがございます。しかしなお、さらにもう少し、審議会の会長だけでなくって、何人かの方と、学術会議側も会長だけでなくって、何人かの方と懇談する機会を近く持ちたいと思っておりまして、茅会長にはその日時等を打ち合わせてやっていこう、そういうことになっております。大体いまの問題はこういう経過になっております。よろしゅうございますか。
○小野明君 はい。会長、再度ですね、さらにお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど茅会長と朝永会長がお会いになられて、いわゆる茅私案なるものが、この科学研究費について、配分について出されたと、こういうお話でございました。そこで、いわゆる茅私案なるものを日本学術会議としては最終的にどう理解といいますか、どう受けとめられておるか、それをひとつ御説明いただきたいと思います。
○説明員(朝永振一郎君) その点先ほどもちょっと触れたというふうに記憶するんでございますけれども、あの茅私案が出ましたときに、私は、これはとにかく学術会議の運営審議会というのがありますから、そこでどういうふうにそれを受け取るか、相談しますということで別れました。その後、運営審議会だけでなくて、やはり学術会議に部が七つございまして、ちょうど年度末で部会がずらっと開かれる予定になっておりましたので、部会でその部の会員の先生方の意見もよく聞いて、その上で学術会議の見解をまとめようと、そういう手続をとったわけでございます。その結果、茅さんのお考えのように、順位をつけてよろしい、それから第二段審査委員にしてほしいという人はその旨を書いて指名してくださいと、そうすれば審議会がそれを審議するときには学術会議のそういう希望を尊重すると、そういうふうにおっしゃったことは、そのこと自体は学術会議が審議会の中間報告に対して、審査方法に対して学術会議の意見として言った、申し上げたことをそっくり審議会はいれようということに読めるわけでございます。そういうわけで、ここまで茅さんが考えたんならこの線で協力して四十三年度とにかく委員の推薦をやろうという御意見の方もありましたし、それから、それはそうであるけれども、学術会議がそういう推薦方法を中間報告に対する批判として申し入れたその精神――先ほどから申し上げ、少し長く話しておしかりいただいたわけですが、基本的な考え方に審議会がそれをもっともだと考えてこういう線か出てきたのであるかどうかまだわからないと、まず事態を収拾するということのためにこういう提案をしたのであって、必ずしも学術会議の非常に根本的に大事な点だと考えるその精神をもっともだと思うということであろうかどうか、そういうふうな点どうももう少し確かめる必要があるのではなかろうか。それからもう一つは、技術的にいろいろ――その点はいいとしましても、この文部省から言ってきました、あるいは審議会でお考え――なお検討し残されていると言われた審査委員の専門の分け方とかですね、これがまあどっちかというとたいへんずさんではなかろうかというような御批判で、これはとにかくそういうずさんと考えられるものを学会に協力を求めることはちょっとむずかしいのじゃないかというようなお考え、それから、それをやりましてもこれは非常に時間がかかるであろう、そういうふうなことでとにかく四十二年度やはりこれでけっこうですとはいえないんじゃないか、そういういろいろな御意見ございまして、結局これはやはり総会で審議する必要がある。それからその前にですね、去年の十二月の二十日に文部大臣に申し入れました中に、学会等の意見もよく聞いて、そして妥当な線を見つけたいと言っておりまして、ある意味では学会に対してそういうことをやる約束した形になっております。で、やはり学術会議の必ず基本的な先ほどの考え方に立つ以上は、やはり学・協会の意向をよくくみ上げて万事やっていくというのが基本にあるわけでございますから、そういう手続もとる必要がある。実は近く学・協会の役員の先生方にお集まりいただいて学術会議と学・協会の方々と懇談をするという計画をしております。大体この茅先生の御提案に対するわれわれの考え方はそういう状態でございます。
○小野明君 文部大垣にお尋ねをいたします。
 学術会議が学術審議会との間に任務が重複する点があると、こういう意向であることは御承知であったと思うのです。そこで、学術審議会と日本学術会議が対立をするような運営にもっていかれたのでは困るのであって、大臣も積極的にこの間の十分な提携連絡といいますか、重複をしないような配慮というものが必要ではなかろうかと思うのであります。その点をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学術会議と学術審議会と、取り扱う問題が同じようなこともずいぶんあろうかと思います。そういう場合に、これが対立するというふうなことは、もとより私どもの望むところじゃございません。よく連絡し合って、適正な結論をぜひ出していただきたいものと思うものでございます。ただ、申すまでもないことでございますけれども、学術会議とそれから学術審議会とは、若干性格が違うと私は思っております。学術会議はわれわれとむしろ独立した一つの科学者の方々の集まりである、日本の学術界における最高の組織である、こう申し上げてよろしいと思いますが、別に文部省の諮問機関であるとかなんとかいうような性格のものでない。権威を持ってりっぱな意見をお立てになって、政府に対して、あるいは勧告せられるなり意見を申し出られるなり、御努力を願う性格の団体だと思っております。学術審議会は、文部省の行政を進めていく上において必要な事項について相談にのっていただく仕組みの審議会であります。その間に性格は多少違っておると思いますけれども、検討する、あるいは御審議を願う問題については、いろいろ同じような問題を御審議願うということもあろうかと思います。そういう場合に、先ほど申しましたようにできるだけ双方が緊密な連絡のもとに、りっぱな結論が出てくるように、私どもとしても当然望まなければならぬことだと思っております。
 なお、学術審議会のメンバーの中には、学術会議の有力な方々もいらっしゃいますし、同時に先ほど来お名前も出ておりました茅先生にしましても、また朝永先生にしましても、いずれも文部省の学術顧問という立場にいらっしゃるのでございます。私は、これらの有力な諸先生方の御協力によりまして、いま小野さんのおっしゃるような関係はうまくいかなければいかぬと私としましてもそういう点については十分留意をしてまいりたいと存じます。
○小野明君 どうも副長官にお尋ねしたいと思うのですが、あなたのほうの所管でありますけれども、最近の政府のやり方を見ておりますと、この日本学術会議が政府に対しましてちょいちょい耳の痛い声明とか申し入れを行なうと、そういうことから、この日本学術会議の当初の設立の趣旨に反しまして、弱体化、無力化をはかっておるのではないか、こういう感じがいたすのであります。この点について、まずお尋ねをしておきます。
○政府委員(八木徹雄君) 学術会議を尊重しないというのは、ちょっとそういうことはないと私は思うのでございますけれども、ただ先ほど来の大臣と会長との話を聞いてみておって思うのでありますが、学術会議の本来の任務というものがこれがいろいろと、政府の諮問機関ではない、あくまでも自主的な団体である。そうしてその目的とするところは、やはり学術に関する最高の権威を持っている集団である、こういうことだと思うのであります。そういう意味において、政府としましては、学術会議の自主性というものをどこまでも尊重しなければならない。自主的な活動というものに対して、その助成の道を講じていかなければならない。同時に政府はその学術会議に対して諮問することができるし、学術会議は政府に対して建議することができる、こうなっているわけであります。
 そこで、ここ数年の間の学術会議における活動というものをながめた場合に、政府側に諮問する条項があまり多くないではないかという御批判があるいにあるかもわかりません。しかしながら学術会議が建議してきたものにつきましては、総理府としましては、総理大臣を議長とする科学技術会議というものにおはかりをして、そうしてそれぞれの省にこれを移し植えていくということは誠意をもってやっているわけでございますから、そういう意味において、この問題の科学研究費の配分問題について、その扱いがどうであるからこうだというような、私はやはりそれは日本の科学技術行政を推進していく上に一つの大きなポイントではありましょうけれども、しかし学術会議の本来の任務からいえば、そういうことではなくて、もっと高い立場に立って建議がなされ諮問に答えると、そういう姿であるべきである。そういうことに対して政府はいささかもこれを軽視しているということはない、こういうふうに言っていいのではなかろうか、こう思うのでございます。
○小野明君 いまの一つのお話の中で、科学技術会議の設置という問題があります。私はこれも日本学術会議の無力化をはかる一つの方策ではないかと、こう見ておるわけです。
 いま一つの問題は、日本学術会議から、この予算の大幅増額についてという要望が出ておりますね。御承知ですか。これによりますと、この予算の伸び率、国家予算の伸び率ですね、その伸び率に比較いたしましてその半分にも達しない。しかもいろんな会合にあって、学術会議の方が出張される場合、視察をされる場合には、手弁当の場合が多い。あるいは旅費につきましては、減額旅費、二等旅費が出されることが多い。こういうふうに、きわめて予算の上から見ましても学術会議を冷遇しておる。こういうことがこの四十九回の学術会議の総会においても、副長官、御承知であろうと思いますが、事実としてあげられておるわけです。これらについての御見解をいただきたいと思うのであります。
○政府委員(八木徹雄君) 御指摘のとおり、いわゆる学術会議のほうから、たとえば国内旅費であるとか、あるいは外国旅費であるとかいうものを大幅にふやして、その学術交流というものが積極的に円滑になっていくようにしてほしいという要請がある。その後伸び率が必ずしも十分ではない。そういうことは、やはりある程度認めなければならぬ、そんなことはありませんというわけにはまいりません。しかしながら、まあ財政硬直化という中であって、非常にこの種の経常経費的なものの取りにくい中で、ことしもある程度伸ばしておる、不十分であるが伸ばしておる。われわれは、今後とも学術会議が本来の任務を遂行するために必要な、そういうことについては当然やはり努力していかなければならぬと思いますので、少ないところはおわびを申し上げますけれども、一そう努力をしてまいりたいと思います。
 なお、学術会議としては、前々から学術会議の庁舎というものの充実というお話がございました。このことにつきましては、今年度四十三年度からこれに対して着手をし、四十四年度には完成をするということで、大体学術会議側の、大満足というわけにはいきませんですが、喜んでいただける程度のことはできておるということでございます。そのことによってすべてが終わったのではございませんが、一つ一つ問題を片づけて、本来の任務が遂行できるように、今後とも努力をしてまいりたい、こう考えております。
○小野明君 科学技術会議の設置ということ、それの答弁が抜けていますよ。
○政府委員(八木徹雄君) 科学技術会議というのと学術会議とは、設立の本来の目的、性格が私違うと思うのです。学術会議は、御案内のとおり学術会議法で設定されたのでありますけれども、自主的な学者の集団である、こういう性格のものである。先ほど言ったように諮問を受け、あるいは建議をし、あるいは国際交流をやるという、そういう日本の科学学術に対するいわゆる最高権威の機関である。科学技術会議のほうは、まあいうならば各省の調整ということが中心でございます。どちらが低いとか高いとかというわけにはまいりませんけれども、その調整機能ということのほうに重点があるということでありますから、だから、そのことによって学術会議の本来の任務というものがそこなわれる、そういうことはあり得べきことではありませんし、またそういうことを意図しておるものでは全然ございません。
○小野明君 副長官はそのように言われますけれども、たとえば文部省におきましても、学術審議会に大幅な権限を委譲する、あるいは科学技術会議の新たなそういった――設置、連絡調整機関とはいいますものの、日本学術会議の果たしてきた役割りをかなり牽制するものになっておることは事実であります。そういった立場から、私はいまのような日本学術会議の換骨奪胎といいますか、無力化、こういうものを政府がはかっておるのではないか、こういう質問を申し上げておるわけであります。いま副長官の説明を聞きますと、決してそういうことではないということをおっしゃるようでありますけれども、いま庁舎の問題が出ましたが、その他予算の旧跡につきましても、あるいは日本学術会議は、科学技術基本法、これに対しても意見を述べていると思うのであります。こういった問題等について、再度副長官の答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(八木徹雄君) 科学技術基本法に対する答弁、私がやるよりも文部大臣がやるか、科学技術庁長官がやるほうがいいと思うのでおりますけれども、私が的確にお答えするというわけにもまいりませんけれども、問題は科学技術基本法の自然科学というものを中心に自然科学でやるのだ、大学における研究というものを除外するのだということが、それがやはり学術会議側では不満である。学術会議のほうでは、すべてを網羅して人文、社会、自然と全部の調和のとれた上にやるべきである、こういう言い方に対して、政府側のほうが科学技術基本法というものの性格上、網羅するということを、決して否定するものではないけれども、そのことによって焦点がぼやけ、そのことによって振興自体が総花的になってうまくいかない場合もあり得るということもあると思うのでありますけれども、そういうことであろうと思いますけれども、人文と自然とどう分離したというところが不満である、こういう意味の発言を学術会議側はしておる。これに対してどれがいいかということは、これから国会に出てくることでございますから、国会で十分ひとつ御審議をなさっていただいていいのではなかろうか、総理府の立場に立ってはそう申し上げるよりほかにないと思います。
○小野明君 日本学術会議の予算の問題。
○政府委員(八木徹雄君) 学術会議の予算の問題は、先ほど申しましたように、経常費的なものについて、庁舎はできたけれども経常費の中でもまだ不十分な点は、私は率直に認めたわけであります。あれで完ぺきだとは言っていない、今後とも努力をすると、こう申し上げておるわけであります。
○小野明君 朝永会長に再度お尋ねをいたしておきたいと思うのですが、いま副長官は、学術会議が要望されておる予算の問題について、先ほどのような答弁をされたわけであります。これについての御要望と、なお科学技術基本法についても、若干、副長官が触れられたわけでありますが、あわせて簡略にこの問題に対する御態度を御説明をいただきたいと思うのであります。
○説明員(朝永振一郎君) まず予算の件でございますけれども、これはいま副長官御自身も、これは十分だとは決して思っていないとおっしゃいましたけれども、私から十分であると言ったら、たいへんおかしなことになると思うのですが、私はおそらく副長官以上に十分でないと思っているというのが、ほんとうだろうと思います。しかし、副長官も、これはこれからの、もっと学術会議で任務が満足に行なわれるように努力したいとおっしゃいましたので、私はこのおことばをぜひやっていただきたい。おそらく政府の中には――このうしろに大蔵大臣がおられるのですけれども、副長官あるいは総務長官といえども、思うようにならないことがたくさんおありになるのだと思いますので、しかし努力すると言ってくださいましたので、私どもはそれを注目していようと思っております。それから学術会議としましても、昔より非常に仕事がふえてきております。そういう点をもう少し検討いたしまして、その新経費などを、そういう仕事がふえてきた時代において、どれくらい最小限度必要かというようなことを、もう少し煮詰めてみようということをいま考えております。
 それから基本法の問題ですが、これはきょう実はその問題について御質問があるということを予期しておりませんでしたので、資料等何も持っておりませんけれども、これは先日科学技術会議の本会議がございまして、そのときにも申し上げたわけなんですが、学術会議といたしましては、これはきょうは簡単に申し上げて、また別の機会があれば詳しく申し上げますが、学術会議といたしましては、人文、社会−自然科学だけではなくて人文、社会もあわせて相談してやってほしいと申し上げたこともございますが、それも非常に大事なことだと私は思っております。しかし大学における研究をはずしまして、大体今度の法案は科学技術という対象を非常に狭く限って、大学の研究及び人文、社会科学は除くということになっております。それではたしてほんとうに日本の学問、科学技術、つまり基礎的なものから応用的な面にかけて、あるいは人文、社会科学も非常に大事な、大切なことになっておりますので、はたしてほんとうの振興ができるであろうか。かりに対象を狭い科学技術、つまり産業的な意味の科学技術に限るといたしましても、はたして大学の研究を除外した基本法でそういう狭い科学技術の振興ができるであろうかという疑問を非常に持っております。大学におけるような基礎的な、すぐきき目があらわれないような研究があってこそ狭い意味の科学技術も盛んになるだろうと思います。それを対象からはずした法律では、狭い意味の科学技術を盛んにすることすらできないのじゃなかろうか、ほんとうの意味ではできないのじゃなかろうか、そういう見解を持っております。
○小野明君 文部大臣にお尋ねいたしますが、昨年の第五十五国会で問題になりましたアメリカの陸軍極東研究開発局、これからの大学等に対します研究資金の援助、こういった問題が生じたわけでありますが、これもやっぱりひっきょうするところ、いま朝永会長が述べられたのでありますが、経常研究費が非常に少ない、だからわが国科学の発達については、この科学研究費用のところが大きいと、こういうお話があったわけであります。こういった研究費の貧困、こういう点に基因するところが私は大きいと思うのでありますが、この米軍資金の受け入れについて、その後どういった措置をとられたのか、その内容、成果について伺いたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 文部省といたしましては、そのような種類の研究費の受け入れ等につきまして、取り扱いを改善をいたしたつもりでございますが、詳細は局長からお聞き取りを願いたいと思います。
○政府委員(宮地茂君) 実はアメリカ陸軍からわが国の大学の学者等に研究費が来ておりますが、これは私どものほうといたしましては、そういったたぐいのものを、いわゆる奨学寄付金というものと、いわゆる委託によってこちらが受託をするという受託研究費、こういうふうに分けておりますが、アメリカ陸軍のものは、いわゆる向こうから委託を受けたのではなくて、こちらに寄付金としてもらったものであるというふうに考えております。まあしかしそれにしましても、きわめてその内容、実態がよく似通っておりますので、それぞれ受託研究費につきましても奨学寄付金にしましても、これはいわゆるひもつきにならないように、大学の学者が研究いたしますのは、これは人からこういう研究せよということで研究するわけではございませんで、自発的に自主的に研究をするわけでございます。ただ、その過程において委託をされて自分の研究にも都合がよいといったような場合に、その委託を受けるわけですが、寄付金におきましては、なおさら自分の研究に共鳴してくれて金を寄付してくれるというものを使用するわけであります。ところで、これが従来経理上、会計上、まあとかく大学の先生方は学問には御熱心ですが、そういった事務的な面にうといので、外部から金をもらいます場合に、寄付金あるいは委託、その性格も十分詮議をされることがなくこれを受けられるというような場合がありますが、また、もらった金をともかく正当に使いさえすればよいということで使っていられる。したがって、大学として寄付金なり研究費をどの程度受けておるかというような調査をいたしましても、大学を通していわゆる公費として歳入歳出に組まれていないというようなことから、いろいろ調査にも手間がかかりますし、またその後の、万一不祥事が起きましたような場合にもぐあいが悪いわけでございます。そういったような観点から、昨年秋この問題につきまして文部省から厳重な通達を出しまして、基本は、公費として受け入れあるいは支出をされるように。したがって文部省としては受託研究費なり奨学寄付金を大学の特別会計に組みまして、公費として受け入れ、公費として支出する、そういう方法をとりました。また、この問題につきましていわゆるひもつきのような形になることは、これは特許権の問題その他いろいろございますが、そういったようなものについては受け入れないようにといったような注意をし、同時に、そういう受け入れについてのこまかい、これは文部省令なり訓令で出しておりますが、会計経理上の規定を改正いたした次第でございます。
○小野明君 いまの御説明をお聞きいたしますと、経理上手続を明確にした、これは当然のことでありましょう。しかし私がお尋ねいたしておりますのは、そういったことではなくて、米軍からの資金はひもつきでなければ受け入れてよろしいか、日本物理学会が先ほどの総会で米軍資金については返還をするということをきめられたようでありますが、大臣、どうですか、ひもつきでなければ受け入れると、こういったことなんですか、大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、米軍と申し上げましたが、何とかという局の名前になっておりますけれども、それから参ります資金について、大学の研究その他の上で差しつかえないものについては別に受け入れて支障がないと思っております。ただ問題は、われわれが気をつけなければならぬと思いますことは、その研究が一体何であるかというふうなことについて、これは私の気持ちを率直に申し上げます。それがいわば、何といいますか、軍の仕事に対する援助であるとか、こういうふうな性質のものでありますれば、これは私は受け入れるべきでない、このように考えておる次第であります。先ほど局長の御説明いたしました取り扱いの手続につきましても、外国からの寄付金その他の受け入れにつきましては文部大臣と相談するようにというふうにいたしておりますのも、その点について十分文部省としても注意をしてまいらなければならぬ、こういう趣旨からでございます。
○小野明君 大臣、日本物理学会が二、三日前の総会で米軍資金についてはこれを返還するという態度をきめられたようであります。こういった学者の良心を生かすためにも、もちろんこの問題に関しましては、学術会議の声明もあるわけでありますが、研究費の少なさというものが、いろんな弊害を生み出してきておると思うのであります。そこで、この研究費の不足に対しまして、これが日本の学問研究をゆがめる原因にもなっておりますから、この辺に対する御決意を伺いたいと思うのであります。
○国務大臣(灘尾弘吉君) ここに大蔵大臣もいらっしゃいますが、文部省の立場から申せば、もっともっと研究費は増額していただきたい、こういう気持ちは十分持っております。また、年々乏しい中からも、研究費については増額はしてまいったと思いますが、今後ともにこの点につきましては、御協力を得てぜひ努力してまいりたいと思います。
○小野明君 最後に、大蔵大臣にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(水田三喜男君) ものには、なかなか十分ということはないと思いますが、今年度は、御承知のように研究費、昨年からも問題がございますので、私どもは相当予算の強化をしたつもりでございます。特に、あそこにおられます朝永さん、昔から、頭のいい人は説明が短くて、頭の悪い人は長いと言われていますが、さすがに朝永さんで、大蔵省へ説明に来たときは、実に簡単でよく話がわかりましたので、朝永さんから申し出られた基礎研究の費用だなんていうものは、相当思い切ってことしはわれわれ盛ったつもりでございます。今後もわかりやすい、ほんとうに説明するのでしたら、主計局もわれわれも十分理解いたしますので、今年度に引き続いて、来年からもこの研究費の増額について十分考えたいと思います。
○小野明君 終わります。
○理事(剱木亨弘君) 以上をもちまして小野君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明後八日午前十時開会ということといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十二分散会
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