第059回国会 本会議 第4号
昭和四十三年八月六日(火曜日)
   午前十時四分会議
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○議事日程 第四号
  昭和四十三年八月六日
   午前十時開議
第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 去る三日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。亀田得治君。
   〔亀田得治君登壇、拍手〕
○亀田得治君 私は、日本社会党を代表し、八月三日の総理の所信表明に関し、当面の財政・経済並びに外交・防衛に関し若干質問をいたします。
 本論に入ります前に、本日は広島に原爆が投下されて二十三年目になりますが、私は、皆さんとともに、なくなられた多くの同胞の方々に心からの冥福を祈るとともに、現存被爆者の健康と生活を守るために、また全世界から核兵器をなくするために、全力を尽くしたいと思うのであります。(拍手)
 財政・経済の分野におきましては、きわめて重要な諸問題が山積しておりますが、これらの問題を個別的に取り上げる前に、まず私はいわゆる総合予算主義に反省を求めたいと思います。
 すなわち、去月以来米価問題をめぐって非常な混乱と紛糾が起き、近く人事院の勧告が行なわれた場合においても、同様のことが起こると思われますが、このような事態が起こるそもそもの根本原因の一つは、言うまでもなく、政府のいわゆる総合予算主義にあるのであります。現在の制度のもとにおいては、米価は忠実に食管法の規定に基づいて決定さるべきものであり、その結果、食管会計に赤字を生じた場合には、政府は補正予算を編成してこの赤字を補てんする義務があります。人事院勧告が出た場合も、同様政府は勧告を完全実施する義務があり、当初予算でまかなえない場合には、当然に補正予算を組まなければなりません。法律や制度自体を改めることをしないで、予算成立後に初めて具体的に決定される未確定の問題に対し、事前に総合予算の名においてワクをはめてかかるということは、本末転倒であります。(拍手)
 さきに政府は、財政硬直化打開の第一歩として、総合予算主義を採用したのでありますが、財政の硬直化自体は、歴代自民党政府の責任であり、それを直すには、根本的に今日の財政の収入、支出全部にわたって洗い直す必要があります。しかるに、そのような抜本的な手段をとろうとせず、予算成立後の正当な理由によって必要とされる支出を、総合予算の名のもとにこれを押えるやり方は、断じて承服できません。たまたま本年度の経済成長率は政府の当初見通しを上回ることは確実であり、したがって、租税の自然増収も相当の額が期待されるのでありまして、補正予算の財源にもこと欠かないのであります。政府は、総合予算の矛盾を率直に反省し、必要なれば補正を組むとの方針に改めるべきだと思います。一体、政府は、どんな事態が起きましても、絶対に補正はしないと、こういう考えなのかどうか、総理並びに大蔵大臣の考えを承っておきたいと思います。(拍手)
 次に、米価問題について質問いたします。
 今年の生産者米価の決定が紛糾した最大の原因は、政府が日本の農民と農業について長期にわたる正しい計画を持っていないことから由来しているのでありますが、それに油を注いだのは、佐藤総理の参議院選挙中の公約であります。すなわち、総理は選挙中、農業県に参りますと、農民が満足する米価をきめるように言って回ったのでありますが、選挙が終わったとたんに態度が変わり、そのために自民党内においても大きな混乱を起こしておることは御承知のとおりであります。そのため、生産者米価の決定は、ついに臨時国会後、八月中旬までも持ち越されたのでありますが、このようなことは全く前代未聞であります。しかも総理は、米価問題があれほど紛糾していても、みずから乗り出して事態をおさめようともされなかったのでありまして、遺憾のきわみであります。選挙中の公約といい、その後の紛糾といい、また最高責任者の傍観的態度といい、国民に対して大きな不信感を与えておると言わなければなりません。(拍手)佐藤総理の所信を伺いたいと思います。
 以下、私は米価に関する重要な問題点六つを指摘しまして、主として農林大臣の所信を承りたいと存じます。
 第一に、政府と自民党間の米価に関する交渉の過程で、次々と違った案が出されたのでありますが、七月三十日の最終案はいかなる内容のものでしょうか、明らかにしていただきたい。すなわち、昨年の生産者米価に対し何%アップになるのか、出荷調整費六十億の内容、融資百二十億の内容、さらに、政府から党に対して条件として持ち出された食管制度改革に関する内容等を明らかにしてほしいと思います。なお、右の最終案は、結局交渉決裂のため白紙に戻されたものなのかどうか。この点について同日の大蔵大臣と官房長官の記者会見の記事を拝見いたしますと、相矛盾しておるところがありまするので、確かめておきたいと思います。
 次に、米は食管法によって取り扱われておるのでありますが。結局、それは政府と農民間の売買行為であります。したがって、従来続けてきた売買条件に大きく変更を加えようとする場合は、事前に、すなわち作付前にそのことが農民にわかるようにしなければなりません。そのようなことを怠っていて、作付も終わり、稲刈りが始まろうとしておるときになって一方的に重大な条件を変更し、値切るようなやり方は、農民に対しまことに不親切な仕打ちと言わなければなりません。(拍手)このような背信的、詐術的なやり方は撤回すべきものと思いますが、所信を伺います。
 第三に、政府は今回の生産者米価算定の基礎として、限界農家ではなく平均農家の生産費を目標にする方針を打ち出したことは、きわめて重大であります。すなわち政府は、農民に対して、今後は無理してまで米をつくってもらわなくてもよいと言ったことになるのであります。政府は、いままで盛んに農民に対して米の増産を求めていたのでありますから、大きな方針の転換になると思いますが、政府の考え方をこの際はっきり示していただきたいと思います。
 次に、各種農産物の家族労働報酬を比較いたしますと、米が一番高く、しかも安定しているのであります。米に比べると、畜産ははるかに低く、くだものは物によって格差が大きく、野菜も時期的に不安定であります。政府が農民に対して他の作物への転換を希望するのであれば、他の作物についても安心できる条件を整えてやらなければなりません。そのような条件を整えようともせず、いたずらに米作を圧迫し、他の作物へ追いやることは、結局農民の所得を全体として低く押えることになるのであります。もちろん日本の農業を守り、発展させるには、そのような価格政策のみにたよることはできません。日本農業の体質を強くするためには、価格政策とともに、第一に、草地をも含めて、農業適地に対し大規模な土地改良を実施すること、第二に、個人的経営規模の拡大にのみ重点を置かないで、思い切った協同化の推進によって規模の拡大を行なうことが必要だと思います。農林大臣は、今回米作農民に鉄槌を食らわせておいて、どろなわ式にあわてて総合農政ということを言い出しておりますが、しかし、その中身は明確でありません。この際あわせてその大綱をお示し願いたいと存じます。
 第五に、政府は日本における今後の米の需給をどのように見ておられるのでしょうか。また、適正な備蓄米の量をどのように計算しているのか、明らかにされたい。昨年の大豊作の原因について、たとえば、佐賀県農事試験場の発表によりますと、技術向上による寄与率が四〇%、好天候による寄与率が六〇%と言っております。まだまだ悪天候による減収を無視してかかるわけにはいかないのであります。その上、政府が今回打ち出したように、平均農家の生産費を基礎にする方針のもとでは、米の作付は将来減少すると思いますが、それでも日本に必要な米は、適正備蓄量も含めて、今後とも自給できるとの見通しを持っておるのかどうか、所見を承りたい。
 最後に、食管制度の改革についてお尋ねいたします。米が余るのであれば、それに応じた対策を考えることは当然であろうと思います。たとえば、米の生産を合理的に抑制するとか、外国米の輸入をやめて配給米は全部国内米で行なうことにするとか、あるいは学校給食用に米を使うなど、いろいろ打つ手はあると思います。しかし、そのことは、直ちに現行食管制度を後退させることに通ずるものではありません。政府も参議院選挙中、食管制度の根幹を堅持することを公約してこられたのであり、また、三日の所信表明におきましても同じことを言っておられます。一体、政府がいう食管制度の根幹とは何を意味するのか、具体的にお示しを願いたいと存じます。
 特に、七月二十四日、米価審議会は農林大臣に対する建議書の中で、「マ−ケット・メカニズムを活用する道を開く」ことをうたっております。これはどのようなことを意味しておるのでしょうか。政府買い上げ量を制限し、残りの米を自由米とする、あるいは進んで、米穀取引所の再開などまで意味しておるのでしょうか。この建議の意義並びにそれに対する農林大臣の所見を伺いたいと存じます。
 次に、公務員給与の問題について人事院総裁に三点お尋ねいたします。
 本年も八月中旬には公務員給与に関する人事院勧告が出されることになっております。こまかい数字は省略いたしますが、最近の消費者物価及び常用労働者の賃金の上昇などを考えますと、今回の勧告は八%を上回ることは必至だと思いますが、その見通しを明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、実施についてお伺いします。すなわち、政府は昭和二十三年以来一度も勧告を完全に実施したことがないのでありますが、これでは政府みずから人事院制度を破壊するものであり、まじめにつとめる公務員の生活を苦しい立場に追い詰めているのであります。今年こそはそのような不当なことが起こらないよう人事院総裁として職を賭してでも努力すべきだと考えますが、決意のほどを伺います。
 第三に、財源についてただしたいと思います。政府は、本年度の予算審議の過程では、勧告を完全に実施するために予備費をたっぷり組んだ、こういうふうに説明したのであります。もしその説明のとおりだとすれば、今年度の予備費千二百億のうちから勧告の完全実施に必要な金額を全額使用して差しつかえないと思うのであります。この点、人事院総裁だけでなく、特に大蔵大臣の見解をもあわせて承りたいと思います。
 次に、物価問題について、主として経企庁長官に四点にわたりお尋ねいたします。
 まず、政府は、本年十月より消費者米価を八%引き上げる方針のようでありますが、その場合それが消費者物価指数に及ぼす影響をどれくらいと見ておられるか。その直接の影響だけでなく、米の場合には諸物価に対する波及効果が非常に大きいのでありまして、特に後者の点についての見込みを明らかにしてほしいと思います。
 次に、本年度の物価上昇率は、政府の当初見通しは四・八%でありましたが、とてもこのような線でとめることはできないばかりでなく、人によっては七%くらいには必ずなるというのであります。その理由は、今年四月、五月、六月の全国消費者物価指数を対前年同月比で見ると、それぞれ五・二、五・九、五・六%の増となっております。東京都区部の四、五、六月の消費者物価指数を対前年同月比で見ると、それぞれ五・一、七・〇、六・〇%の増となっております。このようにすでに物価は上がってしまっておるのであります。そこへ十月から消費者米価の値上げその他が加わるのでありますから、年間で見ると必ず七%ぐらいにはなるというのであります。長官の所見を伺いたい。
 第三に、政府の消費者物価に関する統計は、勤労者の生活実態に合わないという点であります。先日、東京都で行なった世論調査によりますと、一年前に比べて物価が二〇%以上も上昇したと感じている者が五九%もおるのであります。すなわち、政府の数字は全体を平均して出されるのでありますが、その中身を分析すると、勤労大衆にとっては物価値上がりの重圧が平均以上にかかっておると思うのであります。この点に関する長官の所見を伺います。
 最後に、経済の高度成長の場合に若干の物価上昇があることはやむを得ないといたしましても、それは三%くらいが限度だと思うのであります。しかるに、日本経済の現状は、昭和三十六年度から四十二年度までの七カ年間の消費者物価上昇率を算術平均いたしますと五・八%であります。このように国民は長い間物価値上がりのために苦しんでいるのであります。したがって、政府は、この際十月からの消費者米価の値上げを思いとどまるか、少なくとも可処分所得の伸び率八%の限度一ぱいまで上げるのではなく、できるだけ低い線でとどめるべきではないでしょうか。物価問題の立場から経企庁長官の所見を伺いたいと存じます。
 次に外交・防衛問題に移ります。
 今回の参議院選の大きな課題は安保論争でありました。私はいまこの選挙の結果についての分析をいたしませんが、自民党がほぼ議席の現状を維持できた、それだけのことからして、安保に対する総理の考え方が、所信表明で言われましたように、国民大多数によって支持されておる、このような考えに立って高姿勢に転ずるとしたならば、これは非常な間違いをおかすものであるということであります。(拍手)
 たとえば、選挙中の六月十四、五の両日に毎日新聞が行なった世論調査を総合して言えることは、
 第一に国を守る手段としての軍事力の強化については、これを積極的に評価するものが少なく、反対に、平和外交推進など他の手段に対する評価が高まっているのであります。いわゆる平和志向型が逐次定着しつつあります。
 第二に、外交の基本姿勢として、中立ということが多くの人によって支持されております。もちろんこの中には、武装中立も非武装中立もありますが、両者を合わせますと、日米安保条約に依存しようとする者の数をはるかに上回っておるのであります。すなわち、平和志向型とともに、中立志向型が次第に定着しておることをあらわしておるのであります。
 総理はよく、外交防衛について、国民的合意の必要性を口にされますが、真の国民的合意に到達するには、為政者が自己の信念を高飛車に押しつけるだけでは不可能であります。そのような一方的なやり方は、ますます国論を分裂の方向に行かせるにすぎません。これらの点についての総理の所信をまず承りたいと存じます。(拍手)
 次に、一九七〇年における安保条約の取り扱いについて、政府はいままで公式には白紙であると説明してきたのでありますが、今回の選挙戦のさなか、六月十七日に自民党の正規の機関である船田安保調査会長は自動延長論を発表しました。この船田会長の見解は、一九七〇年問題に対する自民党の方針として理解してよいのかどうか、総理の所見を確めたいと思います。
 次に、米国のスナイダー日本部長が、ことし三月二十五日の米国下院歳出委員会対外活動小委員会において行なった証言問題についてお尋ねいたします。
 すなわち、その証言によると、「佐藤総理が当地を訪問したとき、大統領は、沖繩の返還について、何らの約束もしなかった」というのであります。ところで総理も、この問題については、従来、共同声明のみを根拠にして、「両三年のうちに返還の時期についてはっきりできる」、こういう説明をしてきたのでありますが、共同声明をそのまますなおに読む限りでは、「両三年のうちに返還の時期についてはっきりできる」ということは総理の一方的確信であって、いわゆる約束というものではないのであります。スナイダー発言はまさしくそのことをはっきりと証明したものと言わなければなりません。ところが、新聞の報ずるところによると、総理は、最近七月二十六日の首相官邸における知事会議の席上、再びこの問題に触れ、「両三年以内にめどをつけるという点は大統領も了承した」旨述べたようであります。一体、総理は、共同声明にははっきり書いてないが、この点について大統領も承認しておる、合意ができておる、こういう意味のことを言われようとしておるのかどうか、明確にしてほしいと思うのであります。(拍手)
 さらに同じ場所におけるスナイダー証言によりますと、「従来からわれわれの基本的な方針は、将来のいずれかの時点で沖繩を返還するとしても、基地をそこに維持しておきたいということであった。この二つの点は区別されるべきである」と言っております。この基地の維持とは、もちろん核を含む沖繩基地の現状維持の意味と解されます。ところが、今年七月五日、佐藤総理は、千葉県庁で記者会見を行なった際、「私どもは日米間の友好関係を基礎にして沖繩問題を話し合っていきたい、一部の野党のように、本土並みと言っていては話にならない」旨語ったのであります。このような発言は、相手の米国側から見れば、外務省の高官諸君の発言と同様、佐藤総理も核つき返還を了承しておると受け取りかねないのであります。結論的に念を押したいと思いますが、総理は、核つき返還になってもいたし方ない、腹の中ではそう考えておるのではないでしょうか。本日は原爆記念日、この日にここで核つきの沖繩返還はいかなる事態においても絶対認めない、こういうことをはっきり言い切ることはできないのでしょうか。(拍手)
 なお、沖繩問題について、つけ加えてお尋ねいたしたいことは、沖繩代表の国政参加の問題であります。今秋の沖繩主席選挙ともからんで、いろいろ情報が乱れ飛んでおりますが、次の二点、すなわち、第一に、この問題はいつごろまでに結論が出せる見通しか。第二は、国政参加の内容でありますが、完全な資格を付与することを考えているのかどうかという点についてお尋ねをいたします。
 次に、私は基地問題に触れたいと思います。
 現在、在日米軍基地で多くの事故が発生しております。騒音、放射能汚染、墜落、電波障害など、枚挙にいとまありません。その結果、板付基地をはじめ、全国的に住民及び地方自治体から基地移転の要請が出ております。しかし、この問題は移転先住民の強い反対が予想されるのであって、その解決は容易でないと思います。結局、政府としては、基地公害に悩む住民の要求を尊重するのであれば、基地の移転ではなく、端的にその撤去を求める以外に解決の方法はないと思うのでありますが、総理はどのように具体的に解決しようとしておられるか、所信を承りたい。
 この際、私は、総理に対し、戦争の原因及び米国のアジア政策について所信を伺います。
 総理はよく口では平和に徹すると言われますが、今日の戦争の原因を突きとめ、それを除くために全力を傾けるのでなければ、真に平和に徹する態度とは言われません。
 私の所見を端的に申しますと、特殊な場合は別として、今後の大きな戦争は原則として体制間の問題として持ち上がると思います。ある国が資本主義体制から社会主義体制に移行する、あるいはその逆の場合に、両体制側からの働きかけ、介入が行なわれやすいのであります。それはいつでも大戦に発展する要素を持っております。このような戦争を防止するためには、世界の各国が民族自決を絶対の原理として確認し尊重する必要があると思うのであります。この民族自決は、今日では、単なる政治上の概念、原理ではなく、国際法の中で実定法としての権利にまで成長しているのであります。民族自決がこのように権利としての国際法上の地位を獲得するに至った理由は、それが世界平和維持の上で最も大切な基礎と認められたからであります。ある民族がどのような政府をつくるか、また、どのような方法でそれをつくるのかということは、その民族にまかすべきであり、民族固有の権利であり、たとえ他国から見てそれがおもしろくない方向を目ざしているとしても、介入する権利はありません。このようなことは当然のことでありますが、この当然のことがおかされようとするところに戦争の危機が生まれるのであります。
 第二次大戦後アジアにおいて起こった戦争、すなわち、朝鮮戦争、米中紛争、ベトナム戦争は、すべて本来その民族が独自に決定すべき問題に他国が介入したことから発生したものであります。すなわち、これらの地域は、自然の成り行きにまかしておけば、その全体が社会主義国となったのでありますが、米国は軍事力を使ってこの方向をねじ曲げようと決意し、これらの民族を分断し、その一方を援助したことが、これらの地域における戦争の最大の原因であります。米国はその軍事行動を起こすためにさまざまの理由を並べ、あるいは社会主義国の侵略を宣伝し、あたかも自由を守るために犠牲を払っているように唱えるのでありますが、米国が資本主義体制維持のために、他民族の問題に介入し、民族の自決の権利を侵害していることは、客観的事実として明白と言わねばなりません。(拍手)
 昨年の総理とジョンソン大統領との共同声明において注目すべきことは、総理がこの米国のアジア政策に完全に同意していると思われることであります。総理もまた、アジアにおいて社会主義国ができることに対し、力をもってしてでも介入してよいとする米国の誤った方針に心の中でひそかに同調しているのではないでしょうか。
 しかしながら、最近、米国においても、ベトナムで手を焼いた結果だと思いますが、ようやく他国の内部問題への介入に対する反省が生まれているようであります。これは一つの前進であると思います。総理がほんとうに平和に徹するというのであれば、正しい意味で民族自決権を尊重し、米国の出過ぎたアジア政策に対し逆に忠告するとともに、日本自身としても、北京、ハノイ、平壌、これらに対する非友好的な政策を改めるべきではないかと存じますが、総理の所見を伺います。(拍手)
 最後に、都市問題につき簡単にお尋ねいたします。
 言うまでもなく、政治の目的は、究極において、国民に人間らしい生活を保障することであります。そのような立場から見る場合、いまや都市問題は一刻の猶予もできないほど緊急の課題であり、その解決がおくれれば、ついには手の施しようもなくなるでありましょう。自民党は、今次参議院選に臨むにあたり、五月二十七日、総務会の承認を取りつけ、都市政策大綱を発表したのでありますが、自民党の総裁たる総理は、これをどのように実行しようとしておられるのか、伺いたい。なかんずく、私は、第一に、これらの盛りだくさんな計画についてどこから着手されるのか、第二に、この完成には何年ぐらいかかる見通しなのか、第三に、資金量はどれくらいかかると見ておられるのか、大綱でけっこうですから説明していただきたいと存じます。
 この際、私は、自民党案を拝見し、大きな疑問を抱いた点につき一つだけ指摘し、総理の所信を伺います。すなわち、自民党案によると、都市改造の基幹的部分については、国が直接これに取り組むが、その他の大部分、たとえば、高層共同住宅、有料道路、産業関連港湾、工業用水、下水道などは、可能な限り民間開発業者に行なわせる。そして、そのために、都市改造銀行をつくり、債券の発行権を与え、国庫から利子補給も行なって、民間開発業者への資金をつくり出そうというのであります。もしこのようなやり方がとられますと、結局、それは企業の立場が優先し、企業のために好都合な都市づくりとなり、住民のための都市づくりという最も重要な点が軽視されかねないのであります。そして業界が必要以上に都市行政に介入することにもなると思うのであります。私は、都市の開発整備の主体は、今年五月二十九日、社会党発表の都市再建綱領が主張するごとく、あくまでも地方公共団体の責任とし、国がそれを援助するような方法で進めるべきだと思うのでありますが、総理の所信を伺いたい。(拍手)
 以上、私の質問は、はなはだ多岐にわたりましたが、再質問の時間もないようでありますから、それぞれ明確にお答えくださるようお願いをいたしまして、質疑を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 亀田君の御質問に答えます前に、このたびの参議院通常選挙におきまして、激烈な選挙戦を戦い抜かれ、そしてみごと当選されました各位に対し、心から祝辞を申し述べます。(拍手)同時に、敬意を表する次第であります。
 内外情勢まことに多端な際であります。私どもに課せられた責任は、まことに大、かように考えます。どうか皆さま方各位も、国民の負託にこたえるように努力されるよう、心から望んでやみません。
 そこで、亀田君のお尋ねにお答えいたしますが、補正予算を組むか組まないか。これは、詳細については大蔵大臣からお答えいたさせますが、絶対ということはないのであります。私どもが予想しないよろな事態に対しまして、必要ならば補正もあり得ると、かように私は考えております。
 次に、米価の紛争につきまして、いろいろ自民党の事柄ではありますが、御心配くださいましてありがとうございます。私は、今日まで、この米価そのものは、たいへん大事なものでございますから、これが適正にきまるということ、これを心から望んでおります。しかし、わが党におきましては、できるだけ各方面の意見を聴取いたします。そういう意味におきまして、ある程度時間がかかったということはやむを得なかったと思います。しかし、私自身が、もうそろそろ取りまとめに出るべき時期だと、かように考えておりますので、これは収穫期ももう間近に迫っておりますから、さような意味から、できるだけ早く解決するつもりでございます。しばらく時間をかしていただきたい。
 私の選挙中における言動につきまして、いろいろその責任をいかにするかというような御批判がございますけれども、私は、農村、またそれぞれの生産者の方々におきましても納得のいくような米価をつくる、かようなことは申しました。これは、そういう意味で私どもせっかくただいま努力しておる最中でございます。御猶予をいただきたい。
 次に、外交、防衛、この問題についていろいろの御批判がありました。今度の参議院選挙は一九七〇年、もうこれを間近に控えておりますので、外交、防衛、この問題を各党において取り上げた。そして国民に対しましての御理解を求める、こういう立場で各党が戦ったと思います。私も全国を遊説いたしまして、日本の安全を確保する、こういう意味から日米安保体制、これを基調といたしまして自衛力を整備して、自由を守り平和に徹する、こういうことを国民にも説いてまいりました。その結果が今日のような選挙の結果としてあらわれたのであります。私は、この意味におきまして、国民から信頼を受けている、かような強い確信を得ている次第であります。(拍手)
 申すまでもなく、私も、社会党の主張する非武装中立論あるいは安保の段階的解消論、または駐留なき安保あるいは武装中立等々の、こういうような各党の主張、これらの各党の主張に対しまして、それぞれある程度の支持があることは承知しております。しかしながら、議会民主制のもとにおいて、わが党は国民から多数の支持を与えられたのでありますから、私は、今後信念を持って――これは別に高姿勢ではありません――信念を持って現在の基本政策を推進してまいりますが、施政全般に対する国民の批判には、率直に、謙虚に耳を傾ける考えであります。なお、わが党は、一九七〇年以降も日米安保体制を堅持する方針であります。その方法につきましては、今後国民世論の動向を見きわめながら、慎重に決定する考えであります。自民党安全保障調査会の船田君の自動延長論は、いまの段階ではまだ党議決定には至っておりません。はっきり申し上げます。
 次に、スナイダー発言につきましていろいろの誤解もあるようでありますが、これは、昨年の日米会談の成果につきましては、共同声明にも見られるとおりでありまして、その共同声明以上のものも、またそれと反するようなことももちろんございません。だから共同声明そのものだ、かように御理解をいただきたい。前国会以来しばしばもう申し上げたんでございますから、私は重ねて申し上げる要はないと思いますけれども、スナイダー発言につきまして一部において誤解があるようであります。しかし、このスナイダー発言の後に、米国務省当局の再三にわたる説明ぶりや、ラスク国務長官が日本人記者と会見した内容などが伝えられておる今日でありますので、もはや誤解はないと思います。もちろんジョンソン大統領と私との間に確約があると、そういうようなものではありません。しかし、ジョンソン大統領と私が会談をしたその会談を通じて、私が両三年以内にめどをつけ得ると確信をしたのであります。これははっきり申し上げておきます。したがいまして、今日におきましても、私の確信には、いささかの変わりはありません。
 次に、本土並みでは話にならないという千葉市での記者会見、これを引用されまして私の真意をお尋ねでございます。私は、沖繩の祖国復帰を早期に実現するためには、日米関係の友好と信頼の基礎に立ってこそ、初めてこの困難な外交交渉がなし遂げられるものだという点を強調しているのであります。沖繩の基地が日本を含むアジアの平和と安全に重大な役割りを果たしているこの現実を無視して、一方的に無条件即時返還を唱えてみましても、実際的にこの問題を解決することができないのは明らかであります。沖繩の早期返還を一番熱望しているのは、二十年余りも他国の支配下にある沖繩百万の同胞であります。私は、この点におきましては、本土のわれわれとの間に、との心情の点に相当の開きがあるように思います。私は、これらの人々のこの心情を思うとき、まず早期返還を実現することこそ、われわれの責務であると考えるのであります。(拍手)
 日米共同声明に基づく沖繩問題に関する継続協議は、すでに第一回の会合を開きましたが、今後回を重ねるにつれて、当地のあり方など核心に触れてまいると思いますが、基地のあり方についての私の考え方は、ただいまのところ依然白紙であります。この点は誤解のないようにお願いいたします。
 次に、沖繩の国政参加の問題についてのお尋ねであります。沖繩及びその住民の国政参加の問題につきましては、去る七月一日の第十四回日米協議委員会におきまして、その早期実現を米側に求めました。しかし、その時点において米側から明確な回答は得ておりません。政府としては本土との一体化を推進するという観点から、国内法上の問題などを検討するとともに、米側とも引さ続き交渉を継続して、その実況をはかる考えであります。
 なお、沖繩住民を国政に参加させるについて、その資格や権限をどうするかということにつきましては、今後米側と十分協議いたしてまいりますが、できるだけ沖繩住民の要望を反映させるようにしたいものだと、かように考えております。お尋ねになりました時期等につきましても、ただいませっかく交渉中でございますから、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
 次に、基地の問題につきましていろいろお話がありましたが、亀田君のお話を総合いたしまして結論を出してみますると、基地をなくせば基地紛争はなくなるのじゃないか、そのことに尽きると思う。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりだと言われますけれども、ここが社会党と私どもと違うところでありますが、その点をよく考えていただきたいと思います。御承知のように、私どもは日米安全保障条約のもとにおいて、わが国の安全を確保するというのであります。これは所信表明でもはっきり申しましたように、アメリカがこの日本を防衛してくれる、日本は基地、施設を提供する、その相互の義務があるわけであります。社会党のごとく、最初から日米安全保障体制を否定しておられると、これはもちろん基地があるのがおかしいので、そういうことで、基地をなくせば基地紛争はなくなるというこのお話には私は納得がいきません。同一の基本に立って議論をしようではありませんか。そのことが大事でございます。
 しかし、わが国の急激な都市化現象がございますし、そうして米軍基地が大都市周辺に多くあることなどがからみ合いまして、ともすると摩擦が起こっておるのであります。また起こりやすいのであります。政府といたしましては、基地周辺住民に生活上の不安や危惧を与えないように、十分この上とも配慮してまいるつもりであります。
 次に、民族自決について、また米国の武力干渉をやめろ、やめさせよ、こういう御主張でございます。私は、この点におきましてもやや誤解があるのではないかと思います。アメリカ自身がアジアの地域につきまして領土的野心を持っておらない、これは私どもはっきり知っておるのであります。したがいまして、何らか領土的野心を持っておるような見方、そのことから出ておる議論、これはなかなか私も賛成いたしかねるのであります。さような意味ではないと、かように言われますならばたいへんけっこうなことでありまして、アメリカの領土的野心のないことをはっきり理解するなら私も社会党のためにも喜ぶのでありますが、ベトナムへの軍事介入につきましては、北からの南への浸透を防止するために、南ベトナム政府の要請に基づいて兵力を投入したのがそもそもの始まりであります。いわゆる侵略行為そのものというわけではありません。その結果、今日パリにおいて、米国と北ベトナムとの間に和平を導くための会談が開始されております。私は、アジアの平和なくして日本の平和はあり得ない、この信念のもとに、公正にして永続的な平和が一日も早くもたらされることを心から念願しており、このようなわが国の態度を米国政府に伝えるとともに、内外に明らかにしているところであります。ただいまハノイや北鮮や中共に対して非友好的な態度だ、かように言われましたが、私は、いずれの国とも仲よくする、そうして平和に徹する。このことはしばしば申し上げております。その点ははっきりいたしておきまして、非友好的な国があるとは私は考えておりません。
 最後に、自民党の都市政策の大綱についてたいへん御勉強いただいておると思いまして、私もありがたく感謝いたしますが、この自民党の都市政策大綱、これは国土全体を都市政策の対象としてとらえ、長期的な観点から都市及び土地政策並びに地方開発のあるべき姿について幾つかの提案を行なっております。そして、その方法として、政府や地方自治体だけの力でなく、土地所有者なども含めた市民参加の形でこれを行なうべきだとしております。政府といたしましても、その基本的方向は適切であると考えますので、今後提案された内容をいかに具体化するかということについては、これから考えてまいりたいと思います。したがいまして、どこから、また何年かかるか、資金量は幾らか等のお尋ねがございましたが、それらはこれからの問題でございます。御了承願います。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田三喜男君) 既定の一般会計もしくは特別会計に少しぐらい赤字が出ても自然増収でこれを埋めればいいじゃないか、予算の補正をすればいいじゃないか、にもかかわらず、総合予算主義という名のもとに経費の増加を押えることには承服できない、こういうお話でございましたが、こういうような考え方を一切やめて、過去の慣行を改めようとしたのが今回の予算編成方針でございます。御承知のように、昭和三十年代は日本経済が成長期でございましたので、年度の途中において予算を補正する財源が得られました。しかし、昭和四十年代は、三十年代と違った、そう大きい高率の成長を期待することができませんので、今後、年度の途中で大きい補正要因を片づけるという自然増収は期待されませんので、今回もう一切考えられ得る財源を全部見積もって、そうして各経費間の優先度をきめ、この均衡をとって、当初予算の中で、経費を適正に配分するという措置をとったのが総合予算主義でございまして、したがって、食管会計で申しますというと、あらかじめ二千四百十五億円というものを食管会計に繰り入れておく、また、公務員給与の問題も、勧告を予想しまして、千二百億円の予備費を当初予算の中でもう予定しておくというような措置をとって編成したのが今回の予算でございます。したがって、政府としましては、補正財源を必要としないような形でいろいろの問題を処理したいと、こういうふうに考えております。
 それから自然増収が、ことしは非常に多いことが期待されるというようなことをさっきおっしゃられましたが、ついでですから申し上げますが、まだ年度が発足して三カ月でございますので、はっきりとつかめませんが、六月末現在で言いますというと、税収は一兆七十九億円で、予算に対する収入歩合は二一・五%、これは昨年同期の収入歩合に比べますと、本年度はまだ〇・四%税のとり方が少ないという状態でございますので、いまの状態において、ことしは自然増収が非常に多く期待されると、こういう状態にはなっておりませんので、これも御参考ながら御報告いたしたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣西村直己君登壇、拍手〕
○国務大臣(西村直己君) 米の上げ幅等につきまして、あるいはそれの付帯的な事柄につきまして、亀田議員から説明せよというお話がございました。そこで、政府といたしましては、すでに御存じのとおり米価審議会を開きまして、政府の参考試算案を提示をして、これに対する答申はもらっております。ただその間におきまして、政府は最終的に責任をもってきめる場合に、政府与党の問におきまして十分に意見を調整せねばなりません。また総理からも各方面の意見を徴せと――、こういう意味で、その間に調整をはかっております。その間におきまして各般の意見は出ましたが、まだこれは固まっている段階ではございませんので、この上げ幅、その他につきましては、ただいまの段階では御報告する段階ではございません。ただ、すみやかに食管法の規定に従いまして、これを最終決定いたしたい考えでございます。
 それから次に、作付等が終わった後において、今回の政府の価格の計算方式というものが農民に不利益になっているのじゃないか。言いかえれば、買い入れ条件を大幅に変えたのではないかという御質問でございますが、御存じのとおり、生産者米価は食糧管理法の規定に基づきまして、生産費及び物価その他の経済事情をしんしゃくし、米穀の再生産を旨とすることをもって、これできめろと、このとおり私どもはやるのであります。したがって、最近までとりましたところの生産費及び所得補償方式の考え方、これはとっております。また積み上げ計算方式、これもとっておるのであります。ただ御存じのとおり、最近の需給が著しく緩和をしておることも、また御存じのとおりでございまして、そこで、一部原価性の少ない要素を除くとか、適正限界を、生産農家に対する影響を最小限度にとどめるように、そういうような多少の手直しは、したことはいたしておりますが、基本的には何ら従来の方式を変えたものではないということであります。
 それから、需給の関係から、米の需要量、適正備蓄量等についてお話がございましたが、適正備蓄量と申しますか、現在の需給の状況を簡単に申し上げますと、国民の食生活の内容、消費構造が大きく変化していることは御存じのとおりであります。したがって、人口はふえております、工業用のものは多少増加していますけれども、一人当たりの米の消費量は少しずつ減っております。昭和四十一年度をとりましても千二百五十万トン、昭和四十二年度の米作は千四百五十万トン、相当な豊作であります。そこで、今年度の出来秋における持ち越しが二百六十五万トン。ということは、精米トンでありますから、玄米に直しますと三百万トンという、大きな、史上初めてのものであります。今年度はどうかというと、ただいまの状況であれば、一部では豊作といわれ、少なくとも私どもの役所の専門家筋でも、平年作よりは落ちない――というと、千三百万トンはとれる。消費のほうは千二百五十万トンでありますから、来年度におきましても、出来秋には百万トン足らず、さらに古米持ち越しがふえる。そうすると、大都市においては、五カ月、六カ月も古米を食べなければ、二回もつゆを越すような米ができる。非常に古米処理という問題は大きな問題でございます。そこで、多少の需給の緩和というものを考えながら米価算定をいたし、同時に総合予算主義のもとでありますと、消費者の負担する面も考えますというと、そこにも需給緩和という状況を反映させなければならぬという状況に立っているわけであります。したがって、これだけの持ち越し量を持っておりますれば、もう備蓄量としては相当なものであります。通常のランニングストックを考えますれば六十万トンあれば大体よいのでありまして、四十一年から四十二年にかけましても、六十万トンの米を消化するにも大体五月まで古米はかかったわけでありますから、大体六十万トンのランニングストック、五十万トンの精米があるという状況下において、しかも生産農民の立場を考えつつ適正米価をきめたいというのが私どもの考えであります。
 それから、これだけのものがふえたなら外米輸入をやめたらどうか。御存じのとおり、最近では外米輸入は差し控えております。最近では、四十二会計年度の数字を申しますと、アメリカの一万トン、スペイン二万トン、タイ二万トン、台湾五万トン、中国が十六万トン、計二十六万トン。中共貿易の打開のために十六万トンを中共から入れておるのであります。
 それから学校給食等に回したらどうかという御意見、これも貴重な意見ではありますが、はたしてそれが、パンを米にかえることによって全体の消費の促進になるか、また非常に人件費、施設費等も要する。大体その量は推計十九万トンというのでありますから、これだけの膨大な持ち越し量に対しては大きな変化はないのでありますが、しかし、貴重な御意見でありますから、これらは検討をいたしてまいりたいと考えております。
 次に、食管の問題でございます。食管制度は、二十年にわたりまして、生産者、消費者、また国民経済の中に根をはやしております。また、今日まで国民の食糧を、米を中心に安定供給した、非常に意義があるのでありますから、私どももこれを非常に慎重に扱わなければならぬ。しかし同時に、これだけの需給緩和の中におきまして、しかも食管会計は二千四百億円前後の赤字をかかえて、もし逆ざやがひどくなりますれば、三千億、四千億になる。農林省全体の予算六千億の中で、三八%は食管会計の赤字で暮らしておるような状況下に立っておりますときに、はたして今日の食管が現状のままでいいかというと、何らかの、農民のためにも、消費者のためにも、よい意味で前進があってしかるべきだ。そこで、根本的な食管の姿勢はくずさない中で前進を求めたい、そのための検討を開始したいと言っておるのでありまして、直ちに今日の米価にこれが反映するわけではございません。
 なお、同時に、総合農政という問題が出ておりますが、もちろん米は日本の主食の王座でございます。大事な点ではあります。しかし、同時に国民の食生活が米だけではなく、畜産、くだもの、野菜その他に非常に変わってまいり、特に動物性たん白質を非常に求めてきており、そのために非常に外貨が使われておる状況にかんがみますと、私どもは農業基本法の本来の精神にある選択的拡大というものをやり得るような形において、やはり農政の転換をはかっていくべきだと思うのであります。そういう意味で、構造改善のために農地法の改正、あるいはその他一連の法律を国会ですでに御審議を願いつつありますが、同時に、生産対策、価格対策、流通対策等、諸般の施策を総合的にやってまいりたい。もちろん農業は一日や一年で解決するものではありません。また、農民の立場も、しし営々としてその生産基盤を守っておるが、私どもは直すものは直すと同時に、必要なる国家投資は農林大臣としては大いに財政当局に求めつつ、総合農政を展開したいという考えであることを、この機会に申し上げたいと思うのであります。
 以上をもってお答えにいたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、総合予算主義をとりますと、いろいろむずかしい問題も出てまいりますし、米価にいたしましても、従来の方式を踏襲すれば平穏であったかと思いますけれども、しかし、やはり困難を回避しないで正面から取り組んで打開をするというところに前進があるのではないか、急激な変革を望んでいるのではございませんけれども、根本的にそういう態度でものを考えておるということについて御理解を賜わりたいと思うのでございます。
 米価と消費者物価の関係でございますけれども、米の配給米のウエートが一万分の大体五百でございます。配給以外の米、それから外食などを加えますと、一万分の八百くらいになりますので、したがって、一%上昇いたしますと、消費者物価に与える影響は〇・〇五ないし〇・〇八でありまして、これが年度のちょうど半分の中途からでありますと、その半分になるわけでございます。しかし、それは算術上の話であって、実際はなかなかそれではとどまらないではないかと言われますことは、そのとおりでありまして、たとえば、どのくらいであるかというお尋ねでございましたが、昨年十月に消費者米価を上げましたときには、食糧だけでたしか二ポイントくらいの影響が出ておるわけでございます。今年度の場合はまだ上げ幅がきまっておりませんのと、それから、たとえば、古米をどのように処理するかというようなこともきまっておりませんので、確たることをただいま数字で申し上げることができません。
 それから次に、消費者物価の影響は勤労世帯に非常に強くあらわれるではないかと言われることは、そのとおりでございまして、所得によりましてエンゲル係数が違いますので、当然そういうことがございます。ただ、これは物価指数としては、あくまで一つのものでなければなりませんので、亀田議員の言われますようなことは、やはり生計費指数の問題になってくるかと思います。そういう問題がございますので、本年、先ごろ公にいたしました国民生活白書でも、その間の分析を多少いたしておるわけでございます。
 それから、かりに消費者米価を上げるとして、可処分所得の上限一ぱいにするようなことは適当でないという御指摘に対しましては、ごもっともだと思います。極力そういう努力をいたしたいと思っております。(拍手)
   〔政府委員佐藤達夫君登壇、拍手〕
○政府委員(佐藤達夫君) 給与勧告についての御質問に対してお答え申し上げます。本年におきまする民間給与の一般的な動向につきましては、昨年を上回る上昇傾向が見られることは事実でございます。御承知のとおりに、例年人事院が勧告の基礎としておりますのは官民給与の格差でございまして、したがって、これは公務員側の変動に当然反映されるということになるわけでございます。さて、これがどのような数字になりますか、私どもといたしましては、さきに人事院の行ないました大規模、周到な調査に基づきまして、目下精密に算定中でございます。その結果は、勧告の際、正式の御報告として提出いたしたいと考えております。
 それから次に、完全実施のことにお触れになりましたが、申すまでもないことでございまして、給与勧告の完全実施ということは、私どもの年来の悲願でございます。したがいまして、勧告の暁におきましては、本年はまた、さらに一そう力を入れまして、この悲願の達成のために努力したい決意でおります。
 それから、それに関連して、財源のお話が出ましたけれども、以上のことから申しまして、財政上この実施のために万全の御措置をお願いしなければならぬことは当然のことでございます。いずれ、また、勧告の際におきましては、関係各方面の深甚なる御配慮をお願いしたいと思います。国会の絶大なる御支援もお願いしておきたいと思います。
    ―――――――――――――
○議長(重宗雄三君) 多田省吾君。
   〔多田省吾君登壇、拍手〕
○多田省吾君 私は、公明党を代表いたしまして、去る八月三日に行なわれました総理の所信表明演説に対し、内外の重要な問題を取り上げ、総理の明確なお考えをお聞きしたいと存じます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 初めに私は、総理の所信表明が、きわめて高姿勢、しかも抽象論で、国民の聞きたい具体策を示すことができなかったことを、きわめて残念に思うものでございます。総理は、自民党が国民大多数の支持と理解を得たと言われましたが、事実は前回より二議席減少し、全国区の得票率も〇・五%減って、半数を切る四六・二%であったことを、よもや御存じないわけでもありますまい。(拍手)しかも、物価は上がり、増税では苦しみ、住宅難はつのる、生産者米価はまだきまらない。日通汚職は起こる、交通災害や安保公害は増大する、外交は相変わらずのアメリカ追随、かくて、佐藤内閣に対する国民の不信感はつのる一方であることを知るべきであります。(拍手)そして総理の言われる経済発展も、決して政府・与党の力ではなくして、国民の勤勉のたまものであり、政府の無為無策、汚職腐敗によって、国民の多くの方々は二重構造の社会体制下、生活難にあえいでいるのが実情なのであります。
 最初に、外交、安保問題について質問いたします。
 第一に、核軍縮に関してであります。先ほどもお話がございましたごとく、本日、八月六日は広島に原爆が投下され、二十万のとうとき生命を失った第二十三回原爆記念日であります。核兵器は、人類の悲願をよそに、ますます保有量が増大し、米中対決や第三次世界大戦の危機と地球滅亡の危険を大きくはらんでおります。人類は、ダモクレスの核の剣のもとに、おののいているのであります。すでに米ソ両国の核兵器保有量のみでも四万五千メガトンに達し、これは人類三十五億、一人当たり十三トンの爆弾に相当し、一人を何百回もオーバー・キルできる量であり、しかもなお、核兵器の製造に狂奔するとは実に悲しむべき現状であります。核抑止論とか、恐怖の均衡というような核戦略論は、はかないごまかしであり、このような核の均衡は、何かのはずみで、また錯覚や誤算で、たちまち破れ去る危険性に満ち満ちていることは、ABMの開発、地球弾道兵器開発、さらに水爆搭載のB52のたび重なる事故等によっても、容易に理解できるところでありましょう。
 私どもは、この際、核大国、すなわちアメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国の核五大国の最高首脳会議を開いて、核兵器全廃、通常兵器全廃の話し合いをすべきことを、わが日本より全世界に提唱し、人災というべき核兵器全廃のために、人類の英知を信じて主張すべきであると思いますが、佐藤総理はこのようなお考えをお持ちでございますか。
 ドル防衛や金問題等の世界的経済危機に対しては、十カ国蔵相会議を開いて対策を協議している以上、私どもは人類の英知を信じ、人類を救うための核大国の最高首脳会議が開かれないわけはないことを絶対に確信するものであります。すでにソ連において全面軍縮を唱え、中国においても核兵器全廃の首脳会議を唱えておりますが、核軍縮のイニシアチブは、原爆の唯一の被爆国であり、平和憲法を誇るわが日本より、いまこそ強くとるべきであると思いますが、核軍縮を言われ、また平和に徹するといつも言われる佐藤総理の明らかなお考えをお尋ねしたいと存ずるのでございます。
 第二に、沖繩問題についてでありますが、去る七月十三日に米下院歳出委員会が発表した秘密聴聞会の議事録によると、スナイダー国務省日本部長は、昨秋の佐藤・ジョンソン会談において「ジョンソン大統領は沖繩返還については具体的な約束はなかった」と言明をしているのであります。さらには、行政権の返還と基地の返還とを区別することが重要で、基地返還は考慮の対象になっていないこと、また、将来沖繩を返還しても、基地は保持するのが米国の基本政策であると、きわめて注目される証言がなされたのでありますが、総理は、このスナイダー証言について、率直にどのように受けとめたか、お伺いしたいと思うのでございます。
 また、総理は、昨年の日米首脳会談後、沖繩返還については、「両三年でめどをつける」ことを強調してまいりましたが、スナイダー証言は明らかに否定をしているし、昨日の答弁でも、総理は「信念はゆるがない」と繰り返すのみでありますが、あくまでもこれは総理の一方的な推測、一方的な決意のみではありませんか。総理は、沖繩基地の取り扱いについて白紙の立場を示してきたわけでありますが、参院選中の千葉においての記者会見でも、「基地の実情がわからない現在、本土並みの基地でというような返還論では話が進まない」と発表しており、これは核基地つきを容認したことばとも受け取れますが、非核三原則をまっこうから黙殺するものであります。また、核抜き返還を強く要望している国内世論に対して、総理の明らかな御答弁を伺いたい。
 また、国政参加の早期実現に対して、総理は沖繩代表団の方々に水をさすような発言をされておりますが、総理の真意をお尋ねいたします。
 第三に、総理は、北方領土の返還はいまだに解決の手がかりをつかんでいないと言われましたが、政府は、北方領土の返還にはきわめて冷淡、不熱心であり、全くこの面におきましては対ソ屈従外交と言わざるを得ないのであります。
 日本固有の領海内でわが国の漁船のいわれなき拿捕は相変わらず続き、先日は、北海道博覧会で国後、択捉、歯舞、色丹をソ連領土として塗りつぶした地図さえ展示されて、物議をかもしたのであります。国後、択捉、歯舞、色丹島はわが日本固有の領土であり、即時全面返還を要求すべきであります。また、クリル・アイランズは、サンフランシスコ平和条約によって、現在はいずれの国も保持できぬのでありますから、歴史的、経済的に最も関連の深い日本に返還するか、または国際連合管理地域として、日本によって管理することを決定してもらうよう、日米ソ三国交渉によって要請すべきであると思いますが、総理の今後の決然たる御決意と具体的方策をお聞きしたいと思います。
 第四に、日米安保条約に関し、すでに態度を決定する段階に来ておりますが、参議院選直前の各種の世調調査の結果は、安保の長期固定化や、即時廃棄や、また安保改定には賛成者がきわめて少なく、安保の段階的解消に圧倒的な賛同が集中したのであります。(拍手)
 わが公明党は、一九七〇年代の早期に段階的解消をはかり、それまで安保の形骸化、空洞化の一環として本年中に米軍基地の総点検を終了し、戦争に巻き込まれるおそれのある基地や、隣接都市に害をもたらす基地から順次返還を求めるべきであると主張しております。そして、世論の大勢もこれを支持しておるのであります。
 総理は、六月五日の岩手の記者会見で、都市近郊の米軍基地は再検討する必要があると述べておられるが、いま問題になっている板付基地、横田・厚木基地、また王子野戦病院、さらに上瀬谷通信基地等について、具体的にいかなるお考えを持っておられるかお尋ねいたします。
 また、木村官房長官は、同じく六月五日の外人記者会見で、「在日米軍基地は日本の安全保障の絶対的条件ではなく、それが後退するのが望ましい」と強調しましたが、総理はこの発言を全面的に認められるかどうか、お伺いしたい。
 第五に、中国の承認及び国連加盟に関して質問いたします。
 ベトナム和平会談が行なわれている今日、世界の最大の焦点は中国問題であると言えましょう。国連の安全保障常任理事国五カ国のうち、すでにイギリス、フランス、ソ連は中国を承認し、残るのはアメリカ一国のみであり、さらにアジア・太平洋諸国のうち、カナダも来年春に中国を承認するだろうと予想されております。われわれは、七億の中国民衆と歴史的、文化的に深いきずながあり、また、隣国として友好関係を結び、平和条約を早期締結することは、世界の現状に照らし、まことに重大な前進であると言わねばなりません。しかも、国民の世論や野党は申すに及ばず、与党内にも中国承認、国連加盟、また吉田書簡破棄等を支持する有力な意見があるのでございます。しかるに政府は、重要であるからという詭弁を弄して重要事項指定方式を固執し、中国の国連加盟を実質的に阻止し続けてまいりました。さらに、一九六六年以来、朝鮮問題決議に対しても共同提案国となり、中国敵視政策を続けておりますが、この秋の国連総会においては、重要事項指定方式及び朝鮮問題決議に対しては反対すべきであると考えますが、総理の明確な御見解をお伺いいたします。
 外交問題の最後といたしまして、三木外務大臣に、ASPAC、なかんずくベトナム復興の国際協力基金の設置について今後の見通しをお尋ねいたします。
 次に、内政問題の第一点といたしまして、米価決定に際し、総理は選挙中から、生産者米価は党がきめると、利益誘導のごとき発言をされ、しかも、党内の対立と混乱によって、米価の決定は臨時国会後に持ち越されております。これは佐藤内閣の農業政策の貧困とリーダーシップの欠除を示すものであります。さらに大蔵当局は、現行食管制度の改革をはかると明言しておりますが、これは政府みずからの農業政策の失敗を国民に転嫁しようとするものであります。総理の食管制度に対する明確な態度をお伺いしたい。
 次に、政府は、総合予算主義のたてまえとして、米価の引き上げを直ちに消費者米価の引き上げにスライドして赤字を補てんしようとしておりますが、財政硬直化を理由に、食管会計の赤字分を国民消費者に肩がわりさせようとしているのは、明らかに責任回避であり、二重価格制をたてまえとする食管法に違反する失政と言わざるを得ません。したがって、すみやかに総合予算主義を廃して補正予算を組み、消費者米価へのスライドを阻止し、さらに公務員給与の人事院勧告完全実施をはかるべきであると思いますが、総理の見解を承りたい。
 第二に、物価問題について質問いたします。
 農林大臣は十月一日より大幅な消費者米価の値上げを明言し、すでに四月からは国鉄定期運賃、五月からは酒、たばこの大幅な値上げとともに、これが他物価に波及し、消費者物価の上昇率はもはや四・八%以内では押えられない見通しとなっております。さらに、地方タクシーの値上げも考えられております。四十四年度からは電話料、国立学校授業料、私鉄の定期運賃等、政府主導型の公共料金の値上げがメジロ押しにはかられているのであります。私どもは、このような公共料金値上げは当然最低一年間は凍結すべきであり、特に四十二年度で二百二十六億の黒字を出した電話料金は、値上げは急ぐ必要がないのではないかと考えますが、総理の前向きの御答弁をお願いいたします。
 第三に、社会保障について若干お伺いいたします。
 総理は昨日の答弁において、わが国の社会保障は先進諸国に比べて、いまだ貧困であると申されております。私は、その中でも特に宿願の児童手当においては、開発途上国よりなお一そう劣っていることを申し上げざるを得ないのであります。すでに児童手当は六十二カ国において実施され、かの戦火に苦しむ南ベトナム、北ベトナム、あるいはカンボジア等においても、すでに実施されているのであります。次の新時代を背負う子供さん方は国の宝であり、すこやかに育ち、賢明な指導者に成長することは国民全体の心からの願いなのであります。総理は、先年から昭和四十三年度より実施すると約束しながら、ついにその公約はむざんにも踏みにじられたのであります。財源がないと申しますけれども、造船会社に対する利子補給や大会社の税優遇措置等は数千億円にも及んでおります。また、汚職、不正は毎年数千億に及んでおります。さらに、政治を汚す会社の政治献金等も数百億円に達しております。開発途上国でもやっている児童手当が、国民総生産世界第三位といわれるわが国でどうして実施できないわけがございましょうか。
 わが公明党におきましては、すでに前国会に、一人月三千円の児童手当法案を提出いたしております。厚生省でも生計調査等を行なって、児童手当の必要性を調査済みのようでありますが、総理及び厚生大臣から明確な政府案を具体的に、そして実施時期を含めて御回答願いたいのであります。
 第四に、政治資金規制の改善強化について、総理の誠意ある御答弁を伺いたいのであります。
 政治家と金の悪因縁、特定の利益に結びついた政界の汚職問題については、今回の日通事件において、またまた嫌悪すべき政治家の醜関係が明らかにされました。このような、いつまでも続く忌まわしい事件によって、国民の政治不信感は全く耐えがたいまでになっていることは、総理も当然認めなければなりますまい。しかるに、政府の政党的感覚と与党自民党は、この問題について一向に誠意を示さず、政治資金規正法の改正案は廃案と骨抜きを繰り返して、今日まで無為に経過した責任はまことに重大であります。通常選挙後のこの国会は、公約実現の場、少なくともその基本方針を明らかにすべきであるにもかかわらず、総理は、さきの所信表明においても具体的な方策を何ら示さなかったのであります。
○副議長(安井謙君) もう時間です。
○多田省吾君(続) 総理が、六月二十五日、甲府において「改正案の内容は、国民感情を考えて十分練る」と言われたことは、どういう内容で、現在でもそのように考えておられるのかどうか。考えておられるなら、日通のような国と契約のある特定の会社からは寄金は一切受け取らないということぐらい内外に宣明すべきではありませんか。また、政府や党には、さきの骨抜き案をそのまま次の通常国会に提出すると言っている責任者があるようだが、総理の決意はどうなのか、重ねてお伺いしたい。
 総理はさきの所信表明の終わりに、ますます清潔な政治に徹しと言っておられるが、それが真実の総理の決意であるならば、日通から金をもらった四十数人の議員名を国民の疑惑を解くために当然発表すべきであると思いますが、総理の信念をお伺いしたい。また、答申尊重の政治資金規正法の改正案の提出時期を明確にすべきであると思うが、重ねてお答えいただきたい。
 最近もまた、京阪神土地事件、磐梯急行倒産事件でその不正が政界にも波及するのではないかといわれております。もしここで災いの根本を断ち切らなければ、さらに第二の共和製糖事件、第二のLPG汚職事件、第二の日通事件が起こることは目に見えていると断言してはばからぬものであります。
 最後に、参議院の選挙制度の改善についての基本方針をお尋ねしたい。地方区の定数不均衡につきましては、去る三十七年の第六回通常選挙執行後、不均衡に基づく選挙の効力が最高裁にまで争われた事例もあり、いまやきわめて著しいものとなっております。有権者の一票の価値は、四十年の国勢調査人口について見ましても、東京は鳥取の五分の一以下となっているのであります。これについて総理は参議院予算委員会等においてしばしば前から善処を約束したにもかかわらず、少しも進展を見ておりません。選挙制度審議会は、参議院の選挙制度については中断されたままとなっておりますが、すみやかに第六次の審議会を再開し、第二院の機能を高めるために改善策を講ずるお考えはないか。もしあるとするならば、第六次選挙制度審議会再開の時期をお伺いしたい。事務当局は再開の予定はいまだ立っていないと言っておりますけれども、総理の責任ある御答弁をお願いいたします。
 以上、具体的かつ責任ある総理の御回答をお願いいたしまして、私の代表質問とさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 多田君にお答えいたします。
 選挙後私がたいへん高姿勢だと御批判でございます。もちろん、この選挙の結果は、各党としてもすでに審判が下ったのでありますから、その結果は尊重しなければなりません。また、政治を担当する者は高姿勢であってもならないと思います。したがいまして、謙虚に各界の御意見を聞くという、そういう姿勢であるべきだと思います。私は別に高姿勢ではございませんから、その点で、ただいまの点は誤解があるようですから、これを解いておきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 そこで、お答えいたしますが、まず第一に、きょうは八月六日、各党とも同じように悲しい記念日についての感想を述べております。私どもはきょうという日を迎えるに際しましても、核兵器をつくらない、持たない、持ち込みを許さない、この核兵器についての考え方、これは私は間違いではないと思います。いろいろだだいま御意見を述べられましたが、すでに核兵器についてただいまのような、つくらない、持たない、持ち込みを許さない、もうこのことはすでにお約束いたしておりますので、その点では誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 ところで、この核を持っておる国、これはたいへんな国があるわけであります。私どものような、核について非常な憎しみを感ずる、その立場に立つと、何らか理解しかねるような問題があるわけであります。私が申すまでもなく、御承知のように、米ソ、核の保有国の強大なる米ソ二国が核拡散防止条約、これを提案した。しかしながら、これに参加しない核の保有国がある、かような状態であります。私どもは今後、核兵器をなくする、これにつきましてはたゆみない、また絶えざる努力をしなければならない、かように思います。
 公明党におきましては、核を保有しておる各国の会議を招集したらどうかというようなお話を前国会のときから提案されておられます。しかし、私は、ただいまのような現状を考えます際に、私どもは核兵器を憎む、しかしながら、せっかくその種の会議を招集いたしましても、これは成果があがらないのではないか、かように私思いますので、ただいま核兵器についての各国の考え方、ここに一つの共通点を見出すように今後とも努力していかなければならない、かように私は思っております。
 次に、スナイダー発言について。スナイダー発言、それが沖繩の基地に関する問題があるのだ、それをいかに評価するか、こういうお尋ねであります。私どもは、この沖繩の早期返還を心から願っております。しかしながら、この基地についてはまだ私どもの考え方は白紙だと、先ほどもお答えしたとおりであります。したがいまして、スナイダーがどういうことを言おうが、ただいま米政府の、あるいは大統領あるいはラスク長官等の意見として、直ちにこれを評価することはいかがかと、かように私は思います。私どもはできるだけこの早期返還で実現するようにこの上とも努力してまいるつもりでありまして、この点では、先ほど亀田君にお答えしたので、この点は省略さしていただきます。
 ところで、沖繩返還の構想、早期返還、早期返還と言いますが、その構想は一体どうなるのか、これは申すまでもなく、私どもは日米関係の友好と信頼の基礎に立って、そうして話し合いの上で、この祖国復帰を実現しようとするのであります。一部のように、ただ無条件即時返還、かように力で申しましても、ただいまの状態では、その方法は、祖国復帰、これを実現するゆえんではないと私どもは考えております。
 具体的には、この日米共同声明に基づきまして、今後、継続的に協議をするということによりまして結論を出すつもりであります。継続協議は、もう第一回がすでに五月二十七日に行なわれまして、私どもは、この継続協議がすでにその緒について、これに成果をあらしめるべく一そうの努力をするつもりであります。
 今日までのところ、ただいま基地がどうあるかということが一番の問題だと思いますけれども、この核つき基地だとか、核は認めないとか、こういうような点が問題になっておると思いますけれども、先ほども何度も繰り返して申すようですが、基地につきましては、ただいま私は白紙の状態であります。このことが核つき基地を許すのだ、かような結論にはなっておりませんから、誤解のないように、白紙だというそのまま、ことばどおりひとつ信頼していただきたいと思っております。
 次は、北方領土の問題について、どうも後退しておるのではないか、かようなお話がありました、また、具体的に全然北方領土の問題については取り組んでいないのではないか、かようなおしかりを受けました。ただいままでのところ、北方領土の解決については、何らの手がかりがないと所信表明でも申し上げましたとおり、残念ながらそのとおりの事実であります。私どもは、こういうことにつきましても、各党の協力を得まして、ぜひとも北方領土の返還、これを実現しなければならない、私はかように思いますので、どうか今後とも御協力のほどをお願いいたします。
 今回の選挙に際しましても、私が北方領土問題を解決したい、かように演説をいたしましたが、直ちにソ連のイズヴェスチャ紙では、もう北方領土問題は解決しているじゃないか、佐藤総理は何を言っている、かような反論が出ております。私どもは、よほど決心をいたしまして、そうして固い決意のもとにこの問題の解決と取り組まなければならない、かように私は思っております。
 次に、安保の段階的解消、基地の総点検についてお話がございました。これは公明党のかねての御主張であります。公明党も支持を得られた、こういう意味におきまして、私は公明党についてもお喜びを申し上げますけれども、私は、それより以上に、わが党の安全保障体制を堅持するというこの態度につきましては、より多くの支持を得たのでございますから、これまた公明党の方も認めていただきたい、かように思います。私はただいまの点につきまして申し上げたいのですが、この段階的解消という、その点については、私も過去の経過はさようになっておる、かように思います。安全保障体制がつくられたその当時におきましては、基地の数約二千八百余あった。それが今日は約二十分の一、百四十八くらいに下がっております。それだけ数は滅っております。これはあるいはこの段階的解消ということにもなろうかと思います。で、今日の基地のあり方につきましても、絶えずこれを点検していかなきゃならないと思います。先ほども申し上げましたように、米軍基地は大都市の付近にこれがある。申すまでもなく、日本の都市化が急速に行なわれておりますので、どうしても地域住民との間に問題が起こりやすいのであります。そういう意味におきまして、この基地のあり方につきましては、さらにこれをよく双方におきまして相談し合うことが必要ではないかと思います。公明党におきましては、基地の総点検をいち早く始められたということでありますが、私は、日米間において、基地のあり方等につきましても、さらに協議を遂げるよう、すでに事務当局に命令をしておるような次第であります。これまた御協力をお願いいたしておきます。
 次に、中共の承認あるいは国連加盟の問題についてのお尋ねがありました。私は、申し上げるまでもなく、今日まで中共との間に国としての正式の国交がないことをまことに残念に思っております。しかしながら、今日までとってきたわが国の外交態度、これは私は間違いはなかったように思うのであります。今日の状態におきまして、わが国の外交方針を変えなければならないような変化があったかどうかという問題であります。この一年におきましても、その間にわがほうの方針を変えなければならないような変化は、実はないように思っております。したがいまして、今日もなお従前同様、この中共との間におきましては、政経分離の形において、民間の貿易、文化の交流等をするつもりでございます。それより以上の変化はありません。国連加盟の問題にいたしましても、これも特に今回取り上げて態度を変えなければならないような事態があるか、かように調べてみますると、そういうような問題はございません。したがいまして、国連の加盟の問題は、もちろんこれは重要問題であります。三分の二以上の同意を要する問題だと、かように私は考えております。これをただいま変更するような考え方はございません。
 次に、食管会計と生産者米価の問題についてお話をいたします。食管会計の問題は、農政全般の中できわめて大きな比重を占めているのみでなく、農業生産、農業経済、消費者家計にも広く根をおろし、国民経済全体とも関連が深い重要な問題であるので、慎重な態度でもって取り扱うべきことは言うまでもありませんが、最近の需給動向に対応した総合農政推進の一環として、国民経済的な広い視野に立って所要の改善を行なうよう、検討に着手すべき時期にきたものと考えております。生産者米価につきましては、食管法の精神によることはもちろんでありますが、本年は特に最近の米穀の需給事情を考慮し、また、生産者米価と消費者米価の関連の正常化をはかり、総合予算主義を貫き得る米価をめざして、これを適正に改正する所存であります。
 ところで、総合予算主義、これを堅持しないで補正予算を組んで、消費者米価についても、さらにまた、人事院勧告についてもこれを完全実施できるようにしろ、こういう御意見のようでございました。私は、この総合予算主義をとりました際に、先ほど大蔵大臣からお答えいたしましたように、米価や人事院勧告等は一応将来あるものだと、かように考え、しかし、それが幾らの金額になるかということは考えておりません。しかし、おそらく千二百億の予備費をとっておれば、これらの事柄はまかない得るのではないか、かように一応予算を組んだのであります。したがいまして、ただいま補正予算を直ちに組む、かようには申しません。人事院勧告はこれを尊重するという政府のかねての態度には変わりがございませんから、人事院勧告がありました上で、この予算でこれをまかない得るかどうか十分検討すればいい、かように考えております。米価につきましては、私どもはこれから決定するのでありますが、ただいま申し上げるように、非常に多額の繰り入れが計上されておりますから、その範囲内でまかなうようにいたしたい、かように考えております。
 次に、公共料金と物価との関係についていろいろ御意見を述べられました。もちろん、公共料金は、ただいまの消費者米価をも含めて、これは慎重に取り扱わなければなりませんし、また、物価の問題にもこれらは重大なる影響を及ぼしがちでありますから、公共料金をもしどうしても上げなければならないというような場合がありましても、その上げ幅をできるだけ小さくして、そうして他の物価に影響のないようにできるだけの注意をしなければならないと、かように考えております。ことに、私どもが物価の値上げの目標を四・八と、かようにいたしておりますが、四・八はなかなかむずかしいのではないだろうか、かように思っておりますので、公共料金の値上げ幅等につきましては、これらのことをも勘案いたしまして、国民の生活に圧迫を加えないように最善の努力をはかるつもりでございます。
 次に、児童手当の問題についてお話がございました。(「電話はどうした」と呼ぶ者あり)電話の問題は、ただいままだ政府の意見は決定されておりません。これから十分ただいまのような基本方針でこれをきめる方針であります。
 次に、児童手当の問題についてお尋ねがございました。これは厚生大臣から後に詳しく説明いたさせますが、私どもは、児童手当懇談会、これの意見が早くまとまることをただいま待っておる状況でございます。詳細は厚生大臣からお聞きいただきましょう。
 次に、政治資金規制の問題につきまして、御意見を交えてのお尋ねであります。私が申し上げるまでもなく、政界の浄化、これは私どもがあらゆる努力を払ってこれを実現しなければならない、国民の信頼を得るように政治体制をつくらなければならない、かように考えております。そういう意味で、これはずいぶん御批判はございましたが、一歩でも政界の浄化に役立つならばと、かように考えまして、前国会におきまして政治資金規正法を提案いたしました。しかしながら、不幸にいたしましてこれができ上がらなかった。私は、一歩でも前進することが望ましいのではないか、今日もさような考え方を持っている次第であります。しかし、この苦い審議の経過にかんがみまして、次の提案につきましてもさらに想を練って御提案するつもりであります。
 また、日通の献金を受けた連中の名前をこの際に公表しろと、こういうお話でありますが、日通から献金を受けた議員については、捜査の結果、犯罪とは認められない、かような事柄でございます。犯罪と認められないそれらの取り調べを受けた人、あるいは参考人として聞かれた人、そういう名前を公表しろということ、これは穏当ではないのではないだろうか、私はかように考えますので、これは発表する考えはございません。
 以上、簡単でございましたが、お答えをいたします。(「答弁漏れ」「参議院地方区はどうした」と呼ぶ者あり)
 たいへん申しわけございません。選挙制度についてもお尋ねがありました。答弁漏れであります。
 御承知のように、この第五次選挙制度審議会におきましても、参議院の選挙制度について検討を願ったのでありますが、しかし、時間の関係等で答申を得るに至らなかった、そういう経緯がございます。今回は、地方区につきまして特にアンバランスがあるのではないか、かような御意見が出ております。私も確かにアンバランスがあると思います。これを一体どういうようにしたらいいか、いま選挙が終わったばかりであります。今後これをできるだけ早い機会に、いかにこのアンバランスを是正すべきか、選挙制度審議会にそれらの点についてどういうように諮問するか等々も考えるべき事柄である、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
○国務大臣(三木武夫君) 多田君は、ASPACとベトナム戦後の国際協力基金について御質問でありましたので、お答えをいたします。
 ASPAC――アジア太平洋閣僚会議は、七月三十日から三日間、豪州のキャンベラで開催されましたことは御承知のとおりであります。ASPACというこの会議の性格は、軍事同盟、あるいは反共同盟に発展をしたり、あるいはまた、他国あるいは他国のグループに対して敵対行動を持つような、そういう結合体であってはならないということであります。したがって、域内のどの国でも参加を希望する国は歓迎をする、これが一つ。もう一つは、もし適当なASPACの共同事業というものがあるならば取り上げるけれども、しかし、ASPACは、域内における外務大臣の会議でありますから。自由な討議を通じて――いろんな立場は違っても自由な論議を通じて、理解の増進と地域協力の基盤を拡大するというところに重点を置く会議であります。こういう性格が――三回目になりますが、会を重ねてこういう健全な性格が定着をした、こう言ってよろしいと思うのであります。
 明年の大会を日本が引き受けることになりました。主催国になるわけであります。ASPACの健全な発展のために寄与してまいりたいと考えております。
 次に、国際協力基金については、ベトナム戦後という問題はこれは大問題であります。長期間にわたって戦争の被害を受けた南ベトナム、あるいはその他の国々に対して、戦後の復興、開発のために国際的に協力をするということは当然だと考えております。この趣旨が、ASPACの共同声明の中にも、その必要性というものが強調されたのであります。おそらく、何らかの国際的な基金のようなものができて協力する形をとられることが好ましいと思っております。したがって、日本の政府としても、各国の意向を徴したり、あるいはみずからの検討も加えてはおりますが、まだ、いつどういう形でベトナムの戦争というものが収拾されるかということが明白でありませんので、この国際協力基金の具体的な結論には達していないのでございます。その必要性を認めている日本も協力すべきである、こういう考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
○国務大臣(園田直君) 総理から申されましたとおり、児童手当懇談会で制度の具体的構想を検討中でございますから、すみやかに結論を得て、できるだけ明年度から実施したいと、せっかく努力をいたしておるところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(安井謙君) 中沢伊登子君。
   〔中沢伊登子君登壇、拍手〕
○中沢伊登子君 私は、民主社会党を代表いたしまして、国民生活を防衛し、その安定向上をはかる立場から、佐藤内閣に質問を行ないたいと思います。
 質問に先立ちまして、一点だけ政府に猛省を促すとともに、あらためて政府の積極的な姿勢を求めてやまない点がございます。それは、今回の臨時国会をして参議院選挙公約実行の国会にすべきであるという私どもの要求を無視し、わずか十日間の会期にして、しかも実質審議を避けようとする政府の態度でございます。本臨時国会の意義は、ただ単に院の構成を決定するだけでなく、いかにして参議院選挙の公約を実行に移すかということでありまして、国民も最もこのことを期待していたところであります。しかるに政府は、木臨時国会をして、かかる性格、運営に至らしめたことをきびしく反省するとともに、国民に対し謙虚にわびるべきだと思うのでございます。
 以上の点をまず指摘し、今後の政府の姿勢改善を強く要求して質問に入ります。
 第一は、沖繩返還問題であります。
 佐藤首相は、日米首脳会談以来、画二年内に返還のめどがつくかのごとき印象を国民に与えてきましたが、われわれは、その根拠が不明であり、はなはだ疑わしきものとして指摘してまいりました。ところが、最近のスナイダー証言によって、アメリカは沖繩の返還について何の約束もしなかったことが明らかにされました。その後、アメリカ国務省の発表等があって、事の釈明がなされたとはいえ、国民が持つ疑問の本質は解消されていないのであります。政府は、この事実に基づき、この際、国民に対し率直に陳謝するとともに、新たなる努力を重ねることが当然であると考えますが、総理の御所信を伺いたいのでございます。
 なお、沖繩同胞の悲願である国政参加の問題についても一言もお触れにならなかったのはなぜでございますか、お答えを願いたいと存じます。
 質問の第二点は、在日米軍基地問題であります。
 最近の九州大学米機墜落事件、王子野戦病院問題、佐世保港での原潜汚染事件等々のいわゆる基地問題は、直接国民の平穏な生活を破壊する新たな脅威となっているのでございます。このように深刻化する米軍基地問題は、いまや日米関係の根本的再検討を迫る緊急の課題となっていると申さねばなりません。しかるに政府は、板付や王子の移転問題でも明らかなように、国民の要求に沿って根本的に解決する姿勢を示さず、もっぱらケース・バイ・ケースで問題を処理しようとしておりますが、そのような小手先細工では、基地問題の解決を望むことはでき得ないのみならず、ますますどろ沼の中に落ち込む以外の何ものでもありません。私は、このような在日米軍の存在は、もはや日米相互不信の増大に拍車をかけるのみであって、これを放置することは、とりもなおさず日米双方にとって不幸な事態であると確信いたします。
 私は以上の見地から、根本策としては、米国との友好関係を維持しつつも、基地提供の根拠たる日米安保条約を改定することが絶対の条件であると考えるのであります。したがって 一九七〇年の安保改定期には、米軍の撤退と米軍基地の撤去を実現するための駐留なき安保に改定すべきであります。同時に、当面の問題解決の方途としては、市日米軍基地の整理縮小、特に都市周辺都基地の縮小移転、使用制限を日米合同委員会において強く主張するほか、外交ルートを通じ米国政府に対し強力に折衝し実現すべきであると思いますが、これらに対する総理の御所信を伺いたいのでございます。
 次に、内政問題について何をおいても第一にお伺いをいたしたいのは、政治資金規正法の厳正な改正をどう進めようと考えておられるのでしょうか、ということでございます。さきの日通事件に関連して衆参両院の議員がそれぞれ逮捕されたように、政界の汚職腐敗はあとを断たないのであります。これでは国民の政治不信をますます深め、極点に追いやるのみと憂慮されるのでありますが、この際、総理は自民党の最高責任者として、われわれ野党が主張しておりますように、第五次選挙制度調査会の答申案どおりの法改正に御賛同なされる御意思はないのですか、御答弁を伺いたいのであります。
 次にお尋ねしたいのは、物価問題についてであります。
 政府はすでに酒、たばこ、国鉄定期代等を引き上げ、国民に多大の負担を負わしめておりますが、いままた四年連続して消費者米価の値上げをはかろうとしております。私は、一般国民、特に低所得者に非常な負担をしいる消費者米価の値上げには、断固として反対をするものでございます。政府によりますと、生産者米価との末端逆ざやを解消し、総合予算主義の原則のもとに、今年度八%の消費者米価引き上げが必要であるとしておりますが、この説明には全く納得がいきません。本来、財政運用の手段であるべき総合予算主義が目的化し、最も重要な目的である物価安定が、総合予算主義のための手段と化している現状は、まさに国民生活を無視した政治の貧困そのものであるとしか言いようがありません。いまや国民にとっては、官僚行政あっても民を思う政治なしと言わざるを得ないのであります。
 そこでお答えいただきたい第一点は、総合予算三義を守ることと、消費者物価の安定のどちらを重要と考えておられるのですか。
 第二点は、景気の現状を考慮し、税収の伸びが見込まれる現在、なおかつ総合予算主義を堅持されようとするのですか。われわれは当然補正予算を組み、社会保障の充実、物価並びに国民生活の安定策を強化すべきだと考えるのでありますが、この点はいかがでございますか。
 第三点は、消費者米価をかりに八%も引き上げたとしまして、ことしの物価上昇率を四・八%以内でおさめるというのは、公約といっていいほどの確信でございましたが、すでにオーバーぎみでありますが、その見通しはいかがですか。もしオーバーした場合、どのような政治責任をとられる覚悟でございますか。国民はこれまた裏切られた思いでございます。
 これらの諸点について、総理大臣並びに関係閣僚から明快な御答弁をお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 昨年の九月の景気引き締め以来、そのしわ寄せを受けた中小企業の倒産件数は、増大の一途でありまして、すでに今年六カ月間で五千九百六十六件を数え、昨年に比べ、実に五七%の激増ぶりでございます。同時にこの景気引き締めの結果は、健全な中小企業の資金繰りをも悪化させ、近代化の基礎であります設備投資、協業化をも停滞させ、大企業との格差をますます拡大させております。しかし、最近の国際収支が改善の方向にあること脅して、景気引き締め緩和が当然のこととして取りざたされておりますが、その結果は、大企業が優先的に恩恵を受けることが、常にならわしとなっております。つまり、中小企業は不況のあおりはまつ先に受け、景気の恩恵はあと回としなって推移してきております。私はこの際、政府の積極的施策によってこれを逆転させ、景気上昇の恩恵をいち早く中小企業に与えるよう要求するものでございます。そしてこれを可能ならしむるため、政府系三金融機関に対し、最低一千億以上の財政融資を早急に行なうよう要求いたします。総理並びに通産大臣の率直な御見解を伺いたいのであります。
 また、最近の中小企業問題で特に注意されなければならないのは、労働力の不足問題であります。労働力不足倒産の名も聞かれるように、いまや深刻な問題であります。労働政策の面からもこれに対処する必要があることは言を待ちません。さらに倒産中小企業及びそれに近い状態の中小企業労働者に対する保護行政を特に強化する必要があるにもかかわらず、いまだ見るべきものがないのははなはだ遺憾でございます。
 これら二点について関係大臣の御所信を承りたいのでございます。
 最後に、私はこの際、社会保障政策について質問を申し上げます。
 ゆりかごから墓場までを理想として、充実した社会保障の道を講ずることが、およそ近代国家にとって不可欠の資格条件だと思うのでありますが、わが国の場合は老齢保障、医療制度をはじめとして、いずれにおいても制度間格差及び部門問の不均衡がはなはだしく、さらに全体として給付水準が低いのであります。しかも各種事故における生活保障も何ら見るべきものがありません。したがって、社会保障本来の目的である所得再配分機能を十分に発揮しておりません。特に疾病、障害、老齢、事故と、理由のいかんを問わず、労働能力を失った方々に対する医療はもちろん、所得保障まで水準を底上げすることが緊要と考えます。これと同時に、各種保障制度と保険制度の再調整、制度の合理的な統合、体系化及びこれらを推進するための国、地方公共団体の責務の明確化、行政組織の整備、一元化等等、国政においてなすべきことはまことに多いのであります。
 そこで、この偉大な事業の方向づけと推進をはかるためには、どうしても社会保障基本法のごときものを設ける必要があると信ずるものでありますが、幸い、わが国の総生産は世界第三位にランクされるところまで発展をいたしました。しかしながら、その繁栄の中にあって、制度としての社会保障に頼らなければならない方々の数が増加しつつあることもまた事実であります。私はこの際、社会保障基本法に基づき、国民の権利としてその恵沢を富ましめ、近代福祉国家の理想を現実のものとすることが、政治の要諦と信ずるがゆえに、この提案をするものでございます。首相並びに厚生大臣に、法案の準備も含めて御所信のほどを承りたいのでございます。
 以上をもちまして、民主社会党を代表しての私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 中沢君にお答えいたします。
 今回の臨時国会につきまして、いろいろ御意見がおありのようでございますが、私どもは議運を通じまして、今回は、この臨時国会は選挙後の国会、したがって、参議院の構成を主にする、かような意味で短期間の国会を主張したのであります。しかし、各党におきまして、議運を中心にしてこれらの点が十分審議されたと思います。また今後もさようにあってしかるべきだと思います。したがいまして、ただいまの中沢君の御意見は御意見として伺っておきます。
 次に、スナイダー証言についてのいろいろのお尋ねでございます。この件につきましては、先ほど社会党の亀田君、さらに公明党の多田君に対しまして詳しく説明いたしましたので、これは省略させていただきます。
 次に、基地の問題につき米軍の撤退と安保改定の問題、主として民社党の駐留なき安保、かような観点からお話を進められました。しかし、私はおよそ一国の安全を確保するためには、相応の国民的負担と国を守を国民の気概が必要であるということは、これはもう古今東西の歴史を問わず、すべて変わらない一つの真理である、かように今日も考えております。したがいまして、せっかくの御意見ではありますが、私どもはやや考え方は変わっております。日米安全保障条約、そのもとに日本の安全を確保しようというのが私どもの考え方であります。また、そういう意味で、基地を提供する、また米軍は日本の安全を確保する、かような条約上の関係にあること、これを国民に十分認識していただきたいと思いますればこそ、所信表明でも、この点に触れたのであります。私は、この駐留なき安保、かようなことができれば、これも一つのけっこうなことではあろうと思います。しかしながら、どうも今日の国際状態から見まして、国民の生命、財産をあずかる最高の責任者として、私自身はこの駐留なき安保に踏み切るわけにもまいりません。今日の日米安保体制こそ、現在の国際情勢の現実のもとでは、最も適切な方途である、わが国の安全を確保するに適切な方途である、かように私は確信しておる次第であります。したがいまして、基地問題につきましても、このような観点から国民の理解を得たい、かように私は念願をいたしております。ただし、基地周辺の住民に不安を与えない、また、生活を圧迫することのないように、政府はこの上とも努力してまいるつもりであります。これらの点につきましては、さきに多田君にお答えしたとおりであります。
 また、この基地の縮小、実際的使用等について、今度は外交ルートでやれ、こういう新しい御提案でございますが、私は、現在の基地のあり方等につきましては、防衛庁等におきましても事務的にいろいろ折衝いたしております。調査の上、そうしてそれが必要があれば、ただいま御指摘になりましたような点にも発展して、十分基地等が、国民のいたずらに不安ということにならないように努力するつもりであります。
 次に、政治資金規正法についてお話がありました。これも先ほどお答えしたのでございますが、私どもは、政界の浄化を一歩でも前進して、そうして政界の浄化に寄与したい、かように考えまして、前国会におきましても、政治資金規正法を提案いたしたのであります。しかし、改正案が各党の協力を得ることができなかった、まことに私は残念に思っております。そこで、第五次答申案そのものを出せというようなお話がございます。第五次答申案に近いものを出しまして、それが成立をしなかった前々国会の経験もあります。私は、前回の経験等もございますので、これらのことを勘案いたしまして、とにかく成案を得なければ、これが、ただ、いたずらに議論だけに終わるということになりますので、ぜひとも一歩でも前進する、かような方向で、実際的に可能な問題として、ひとつ取り組んでみたい、かように思っております。
 次に、総合予算主義と消費者物価の抑制政策、このどちらを一体とるのかというお尋ねでございますが、総合予算主義と消費者物価とは、これは相反するものではございません。二つともが、これは並行してその目的を達することができる、かように考えますので、消費者物価を犠牲にして総合予算主義を貫く、こういうものでないことを御理解いただきたいと思います。
 また、先ほども申しましたように、総合予算主義というものも、予算編成の際に考えられる、そのもとにおいての予備費の使用等が考えられるというそのワク内で処理するものでございますが、われわれが予想しないような事態に対しましては、もちろん総合予算主義、これだけにこだわるつもりではございませんから、これも誤解のないようにお願いいたします。
 消費者米価を引き上げることは絶対反対だ、かように言われますけれども、この消費者米価は、生産者米価との関連の正常化の見地、これは必要でございますし、また、総合予算主義のたてまえを貫く必要もあります。消費者家計の許容する範囲内で、消費者米価の引きしげを行なうということは、万やむを得ないものであると、かように私どもは考えております。したがいまして、ただいまの状態では、先ほどもお答えいたしたのでありますが、補正予算を組むつもりはありませんし、また、公務員の給与等がそのうち出てまいりましても、これまた補正予算を組むような考えはございません。
 次に、消費者の米価を上げれば物価に影響があるだろう、物価は一体どうしてくれるんだ、かようなお話でございます。確かに消費者の米価を上げれば物価に影響はあります。したがいまして、私どもは非常にこの点を心配しておる。できるだけ物価を、皆さんに申し上げている四・八、物価の上げ幅この辺というこの目標、この目標と考え合わせまして、これから消費者米価を取り扱うにつきましても、これに大きな影響のないようにいたしたいものだと、かように実は考えております。しかし、なかなかこれはただいままだ決定を見ておりませんので、どういう結果になりますか、これはむずかしいことだと、かように思っております。
 次に、中小企業にまず、景気がよくなったら、その恩恵を与えよというお話でございます。これは通産大臣からお答えいたさせますが、私どもは、この力の弱い中小企業につきましては、特にあらゆる機会に十分配慮したい、こういう考え方で、中小企業への助成、さらにまたその救済等につきましては、万全の措置をとっておるつもりであります。詳細は通産大臣からお聞き取りいただきたいと思います。
 労働時間についてのお尋ねもございましたが、これまた、中小企業は労働力にたいへん困っておるのが現状であります。中小企業が設備の近代化をはかって生産性を向上することはもちろん必要であります。同時にまた、魅力ある職場、こういうことで、労働条件の改善や労働者福祉の向上をはかる、こういうことに中小企業者も努力していただきたい。そうして、私どもは、また別の方面から、この中小企業の労働力の不足、これを補うように各種の援助、指導をいたすつもりであります。
 最後に、社会保障基本法制定についての御提案でございます。これも後ほど厚生大臣からお答えさせたいと思いますが、私も、ただいまのような御提案があった以上、十分ひとつ内容等につきましても検討してみたい、かように思っております。
 以上、お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
○国務大臣(水田甚喜男君) 総合予算主義と物価との関係というお尋ねでございましたが、財政の放漫とかあるいは破綻というものは、そのままインフレに通ずるものでございまして、貨幣価値の下落は即物価の上昇でございますので、したがって、財政の体質を健全化して、そうして通貨価値の安定をはかろうとする総合予算主義というものは、むしろ、あらゆる物価対策の基礎をなすものであり、前提要件であるというふうに考えます。したがって、御質問のように、財政の赤字をほかの形で埋めて、そうして予算の編成方針をくずすというような方向こそが将来の物価を非常に不安定にする方法であって、やはりこの予算の編成方針をきりつと守るということが私は物価対策の基礎であるというふうに考えます。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎岩登壇、拍手〕
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答えいたします。
 中小企業の問題につきましては、昨年の引き締めを起点といたしまして、これの対策に相出の意を用いてまいりました。今年度に入りまして、いわゆる政府の三機関への融資でございますが、七千五百九十六億、これは前年比一九%の増額でご
ざいまして、過去十年間における最高の資金量でございました。この使い方については、第一・四半期を中心に、上期に重点を置きましてまいっておることは御承知のとおりでございまして、いろいろ事前に、これは非常な難関であるということ
を言われておりましたけれども、相当の実績をあげてきておると、かように考えております。近く引き締め緩和になると思いますが、これ以上先行きが悪化するということは考えられないのでありまして、いまお話がございました引き締め緩和の
好影響を率先して中小企業に及ぼすべきであるということは、まことに御趣旨はごもっともでございますが、われわれはこの緩和に際しましても、中小企業が大企業におくれをとるというようなことのないように十分に配慮してまいるつもりでお
ります。このために特別の融資を増加するということについては、はたしてその必要があるかどうか、状況を十分に見守った上で、これに対して善処したいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 わが国の社会保障は、制度については、先ほど多田議員から質問の出ました児童手当の制度ができれば、一応整ったことになるわけでありますが、内容につきましては、減額年金、給付制度の未成熟等、いろいろ原因がありまして、水準の低いこと、あるいは各部門の間にいろいろ問題があることは御指摘のとおりであります。いろいろ困難な問題もありまするが、社会情勢の必然性に応じて、極力その内容の上昇及び各部門――行政組織の調整等、極力進めてまいりたいと考えます。
 なお、御提案の基本法の制定については慎重に検討する所存でございます。(拍手)
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十九分散会