第059回国会 商工委員会 第3号
昭和四十三年十二月二日(月曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         金丸 冨夫君
    理 事
                剱木 亨弘君
                近藤英一郎君
                土屋 義彦君
                小柳  勇君
    委 員
                大谷 贇雄君
                大森 久司君
                平泉  渉君
                塩出 啓典君
                田渕 哲也君
                須藤 五郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   大平 正芳君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞寿君
   説明員
       公正取引委員会
       事務局長     柿沼幸一郎君
       科学技術庁原子
       力局長      梅澤 邦臣君
       厚生省環境衛生
       局公害課長    橋本 道夫君
       通商産業省企業
       局長       大慈弥嘉久君
       通商産業省企業
       局立地公害部長  矢島 嗣郎君
       通商産業省重工
       業局長      吉光  久君
       中小企業庁長官  乙竹 虔三君
       労働省職業訓練
       局管理課長    中田 定士君
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  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (中小企業年末金融に関する件)
 (公害防止のための環境基準に関する件)
 (資本の自由化に関する件)
 (中小企業労務者対策及び年末融資に関する件)
 (原子炉再処理工場設置問題に関する件)
 (再販売価格維持行為に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(金丸冨夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、中小企業年末金融に関する件、公害防止のための環境基準に関する件、資本の自由化に関する件、中小企業の労務者対策に関する件、再処理工場設置問題に関する件、再販売価格維持行為に関する件について質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言をお願いします。
○小柳勇君 私は第一の問題として中小企業及び零細企業の倒産状態をお聞きし、その上で年末金融の問題などについて質問いたします。
 最近の中小企業の倒産状態についてまずお伺いをいたします。ことしの春ごろに比べますと一応落ちついておるようには考えますが、最近の国際通貨不安やアメリカの政権移動などによって経済的波乱が激しいので、再び中小企業の倒産の危険が多くなってくるのではないかと考えます。したがって中小企業の最近の状態並びに倒産状態についての御報告をお願いします。
○説明員(乙竹虔三君) 中小企業の倒産でございますが、昭和三十九年それから四十年の不況期を境にいたしまして、その後一貫して増加の高水準の傾向を示しております。景気の動きと倒産の状況がちょっと離れておりまするのは、おそらく構造要因と申しますか、労働力不足等の構造的変化か中小企業にたえられなくなった、こういうことであろうと思います。さらに昨年の九月の金融引き締め措置以降は、売り掛け金の回収なり連鎖倒産など、景気の循環的要因によります倒産が急激にふえておりまして倒産が増加したわけでございます。一千万円以上の倒産件数は、昨年中は七百から八百件程度であったのでありますけれども、三月に一千件の大台に乗せ、四月、五月、六月と一千件台を維持したのでありまするが、その後減少をしておりまして、現在のところ七百ないし八百件台になっております。しかし前年度に比べますると、依然としてこれは高水準でございまするので、私たちは警戒をして状況を見守っておる次第でございます。
○小柳勇君 零細企業のほうの倒産がなかなか不明でありますが、零細企業の倒産は興信所などによって調査する以外ないのでありますけれども、中小企業の倒産のように中小企業庁で把握できるのかどうか。零細企業などの倒産なりあるいは企業の転移などについての報告を願います。
○説明員(乙竹虔三君) 御指摘のように零細企業の倒産の実態は非常につかみにくくございます。で、私たちは鋭意各通産局それから政府金融機関、特に商工中金、国民金融公庫、中小企業金融公庫の協力を得て倒産の実態をつかまえておるのでありまするが、この窓口につきましても国民金融公庫が比較的零細中小企業の実態をつかめますものの、他の面におきましてはなかなか手薄でございます。現在私たちは、これではいけないということで、今回の金融引き締め時におきましては、信用保証協会に依頼をいたしまして調査を進めますとともに、さらに商工会、商工会議所に指導員が付置してございまして、全国約五千名ございますので、この指導員を通じて調査を進めたわけでございます。ただ御指摘のように、現在まだ決して十分ではございませんので、来年度予算におきましては、負債金額一千万円以下の倒産企業の実態を把握いたしますために予算を要求し、来年度は特にこの面について重点を向けてまいりたいと考える次第であります。
○小柳勇君 いまの一千万円以下の企業の倒産についての調査ですね、予算も要求してあるようでありますけれども、具体的にもうちょっと御説明を願います。
○説明員(乙竹虔三君) 一千万円以下の倒産状況を全国一斉に漏れなく調査することは、現在のところ遺憾ながら非常に困難であると思います。したがいまして、まず初年度におきましては、一番集中しております京浜地区を対象といたしまして約五百万円の予算要求をして実態調査及び追跡調査をいたしたいというふうに考えております。
○小柳勇君 それは来年度やるだけでなくて、これから継続して零細企業の倒産なり経営実態について調査する、このように理解してよろしゅうございますか。
○説明員(乙竹虔三君) さようでございます。
○小柳勇君 先般中小企業政策審議会において中小企業基本問題について篠原委員会からの答申が出ておりますが、これで経済的合理主義の追求をスローガンとしておりますために、実際は零細企業を切り捨てるのではないかという心配がございます。零細企業切り捨て論が出ませんようにわれわれは対策を考えていかなければなりませんが、政府の方針は零細企業の切り捨てを考えておるのかどうか、お伺いしておきます。
○説明員(乙竹虔三君) 先般出しました中小企業政策審議会企画小委員会の篠原専門委員会報告におきまして中小企業政策におきます合理性の追求が強調されておるのでございますが、合理性の追求は、私の考えでは零細の切り捨てではない。逆に申しますと、小規模零細層をほんとうに生かしていくためには、むしろ経済合理性を零細小規模層に持たせることこそ、長い目においてこの零細小規模層を繁栄せしめる道であるというふうに考えます。ただ零細小規模層におきましては、経済人としての能力において足らない点が多々ございます。帳簿のつけ方から情報の収集から、あるいは集めました情報の判断におきましても、これは不十分でございまするので、政府は特にこの点に対して補完と申しますか、支援をいたしまして、指導なり助成なりに遺憾なきを期し、特にあたたかい配慮をして、そしてその上で小規模零細層に経済人として競争力を持たせることが必要である。これが委員会の方向でございますし、私もこれで正しいというふうに思います。繰り返して申し上げますが、決して切り捨てではございませんので、むしろ零細小規模層を長く繁栄せしめるためには、政府が補完した上で経済的な競争力を持たしていくことが必要である、こういうことをねらっておる次第であります。
○小柳勇君 これは少しとっぴになりますけれども、私の地元の事務所のほうで、県や市及び商工団体と連絡をとりながら中小企業、零細企業のお世話をしているわけです、決算、経理あるいは金融など。ところが、その若い諸君が、この間討論会をやりまして、結論的に申しますのは、中小企業の親方さん、零細企業の親方さんが、ただ届け出さえすれば商売ができるから、ほとんど経理能力なり経営能力がない。このことが倒産なり企業不振、大企業と中小企業の経営の懸隔が著しくなる大きな原因である。したがって、商売をやろうと届け出するときに、何か担当機関でテストをするとか、あるいはこれこれはぜひ知らなければならぬというような最小限度のものを教えて許可する、あるいは届け出を受けるというような体制はできないか。幼稚園の入学さえ両親を呼んで試験するではないかと。たとえば三人なり五人なり人を使って商売しようとする人が、全然帳簿を見る能力もないし経営能力もない。そういう者にただ届け出だけで商売させるからつとまらぬのだと。この点で、何かもう商売始めるときに、親方さんはこれこれのことをぜひ知らなければならぬというような、そういうものを国としては義務づけなければならぬのではないか、また指導しなければならぬのではないか。これはもう全部が討論した結論なんですが、こういうものについてお考えになっていることがございますか。
○説明員(乙竹虔三君) 先生御指摘の点、われわれも痛感をしておるポイントでございます。痛感をしておりますポイントと申しますのは、商売、企業を開始いたしますために、これを制限といいますか資格審査をするという方向で考えますのは、これは現行憲法ないし経済体制上非常に無理があると思うのでございまするけれども、何と申しますか、技術もなく――この技術というのは生産の技術のみならず企業としての経営技術――能力もなく、すぐ開業をする。中小企業が、従来、特に零細企業が特定の技術も持たずして開業できたのは、これはつまり安い賃金で仕事をする、大企業と格差がある賃金で仕事ができた、この面が一つと、第二は、経営主が猛烈に働いて、そして対抗力を得たと、この二つで零細業が開業をしてすぐ商売ができると思ったのであると思いますけれども、世の中はすっかりいま変わっておるわけでございまして、チーフ・レーバーを競争の余力にしたり、あるいは経営者が特定の技術なくして、働くだけで競争力を得ようということは無理であるということを周知徹底させることが絶対に必要である。すなわち、規模が小さくても技術――広い意味での技術――を備えなければ太刀打ちできないということを周知させることが絶対に必要であるという方面におきまして、私たち、いろいろな広報手段を通じまして、ラジオでございますとかテレビでございますとか、いろいろの普及手段を通じまして、新規開業のためには技術が必要である、経営者としての特段の能力が必要であるということの普及徹底方をしておる次第でございます。
○小柳勇君 人を何人か使い、あるいは国の低利の金を借りまして企業をやる以上は、責任があるわけですね。責任があるが、証拠書類を集めなければならぬことさえ知らない。もちろん帳簿の記入もわからない。そういうことで企業をやっていること自体が問題であるという、このあとの、近代化促進法など論ずる前の問題を、非常にいま真剣に私のほうの若い連中なんか討議しているわけです。したがって、いま高遠な理想をおっしゃいますけれども、それよりももっと手近かな過程で、それを許可するときに――制限はできないでしょう、憲法上。ただ、許可された場合には、講習会を月に何回受けよとか、あるいは年間に何回受けよとか、これこれのことについてはぜひしようとか、こういうことのPRは、これはできやせぬかと思うのですが、その点についてのお考えを聞いておきたい。
○説明員(乙竹虔三君) 先ほど答弁に具体策が欠けたのでございますが、さしあたり私たち商工会ないし商工会議所に付置しておりますいわゆる指導員制度、指導員制度こそこういうためにある制度であると思います。したがいまして、まず先生御指摘の、税務署に出す帳面すら整備できておらないというのが現状でございますので、この記帳指導員と申しておりますが、来年度は記帳指導員の非常に大幅な増員要求、ことしも実は増員要求したのでありますけれども、来年は増員要求をしております。この達成を期するほかに、一般の経営指導に当たらせますために、この指導員制度を大いに拡充してまいりたいということとともに、この商工会、商工会議所におきまして、先生いま御指摘のような、商売とは決して甘いものではないのだということと、これこれの商売にはこれこれの能力、技術は最小限度必要なんだという啓蒙普及の徹底方をはかってまいりたいと考えている次第であります。
○小柳勇君 その指導員が公的な指導員だけでなくて、たとえば私の事務所だけでも十四名の優秀な先生おりますけれども、そういう民間人を指導員に仕立て、あるいは認可するとか、若干の電車賃をやって、中小企業庁の仕事を援助させるというような具体的な方策ございませんか。
○説明員(乙竹虔三君) さしあたり先ほど申し上げました指導員は、各市町村に置かれております指導員制度、これを政府が補助するというかっこうにしておるのでありますけれども、
  〔委員長退席、理事剱木亨弘君着席〕
しかし商工会、商工会議所はもちろん、民間の専門家、このごろは非常に能率指導事業と申しますが、いわゆるコンサルタント事業が盛んでございまして、専門家も多いことでございますので、この人たちの、この制度の支援を受けるということも制度上可能でございまするし、さらに府県の連合会には診断指導員制度がございまして、この診断指導におきましては、これは主として民間のエキスパートの援助を受けるというような態勢になっております。ただ、政府ないしこの商工会、商工会議所がやっております診断指導事業と、先生御指摘の民間のコンサルタント事業と、この間の有機的な連係をはかる、政府サイドから見ればこの活用をはかるということは非常に必要であるというふうに考えますので、実は先ほど御指摘のいわゆる通称篠原委員会と言っております政策審議会の企画小委員会におきましては、本年度具体政策の見直しをやっておりますが、その第一発に指導事業を取り上げまして、これの能率的な再編成と申しますが、これを現在勉強している次第でございます。
○小柳勇君 商工会議所などにあります指導員は、商工会議所におりまして、相談に来る人たちにだけ答えるわけであります。それでは相談に行くひまがないのです。中小企業、零細企業の親方さんたちは、商売に精一ぱいであります。相談に行くより、もっと走り回らなければならぬものですから。実際には少なくとも町を歩いて、その商店に頭を突っ込んで、その実態に触れて、これはどうですかと。そうしますと、五分でも十分でも大きな成果が上がります。したがって町に出て、民間のコンサルタントをもっと活用してもらいたいというのが一つ。
 それから社会保険労務士法が成立いたしまして、来年の三月から施行されるわけであります。社会保険労務士法というのは、健康保険なり失業保険なり、あるいは労災保険も、今後五人以下の事業所は強制適用になりますわけでありますから、いままでの関係者を国家試験をやりましてその資格を与える、御存じのとおりでありますが、これで社会党といたしましても、全国相当数の者が社会保険労務士法によって国家認定される。その人たちは各家へ行くわけです。各商店へ入るわけです。そうして一人で三十軒なり五十軒なりを担当して保険業務の事務代行をやらしておる。このような人は、労災保険をやりますと、その労働者の賃金状態を見なければなりませんし、収支もわからなければなりませんから、そういう人こそもうちょっとこれを教育しましたら、経営指導についてもしろうとさんよりも十分な力を持つわけです。そういう人たちに対しましても中小企業庁としては若干の手当をやるなどいたしましてこの実際面を指導する。そういたしますと、さっき私は冒頭に申し上げましたように、何にも知らないで事業を始めた人たちが急速度にいろいろなことを覚えていくのではないかと思いますが、いますぐ具体的に答弁を求めても無理だと思いますけれども、来年の三月から施行になりますから、中小企業庁でも具体的に御検討くださいまして、こういう人を国家的に十分利用できる方向で具体策を立ててもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(乙竹虔三君) ありがとうございます。私たちもさっそく労働省とも連絡をとりまして極力国家の制度の相互活用、そういう見地もございますから、また私たちのほうは非常に手不足でございます、指導員も五千名しかおらない、四百十万の中小企業者数に比べてごくわずかな数字でございますので、極力各方面の制度の活用をはからせていただきたい、勉強いたします。
  〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕
○小柳勇君 次は年末金融でありますが、もうすでに年末金融については対策を立てておられるようでありますが、中小企業に対する年末金融の具体策について御発表を願いたいと思います。
○説明員(乙竹虔三君) 十一月の初めにきめたのでございますが、中小企業金融公庫、国民金融公庫それから商工中金の下期の貸し出し規模は千百六十五億円に拡大をいたしまして、回収金等の自己手当を除きますと七百六十億円の資金が不足いたしますので、これは財政資金で追加投入をはかることにいたしました。その結果、三機関の貸し出し計画は七千五百九十六億円が最初の計画でございますので、これと合わせまして八千七百六十一億円となりまして、決して十分な金額とは思えませんけれども、さしあたり年末を越すために必要な資金手当をしたものと考えております。
○小柳勇君 政府系三機関のほかに民間の金融機関に対してどのような対策を立てられたかお聞ききいたします。
○説明員(乙竹虔三君) 民間の金融機関は、これは政府の直接のコントロール下にはないわけでございますが、毎年大蔵省から全国銀行、相互銀行、信用金庫に対しまして、年末の十月−十二月でございますが、貸し出し目標額を示しまして、これは三者と相談の上でございますが、この年末目標額を毎年きめるわけでございます。四十二年度は一兆九百億円であったのでありますが、四十三年度は一兆二千億円の目標額をきめまして、目標額につきましては各銀行の協会を通じまして周知徹底方をはかり、また協会でもこれに対して協力をすることを大蔵省に約束しておる次第であります。
○小柳勇君 ただいまの報告につきましては、私のほうでも資料をいただいておりますから、具体的な問題については質問を省略いたします。ただ、信用補完の問題をお尋ねしておきたいと思うのですが、一般金融機関が貸し出せるかどうかは、信用保証のワクの拡大と密接に関係いたします。全国銀行協会連合会でも信用保険公庫に対する融資基金の大幅増額を要望し、保険料率、保証料率の引き下げを強く要望しておりますが、これに対して政府はどんな手を打っておるか、お伺いいたします。
○説明員(乙竹虔三君) 御指摘のように中小企業者、特に信用の欠けます零細小規模層が市中金融を受けますためには、信用補完をする必要がございまするので、これは各地の信用保証協会が保証することによってこれを行なっておるわけでありまするが、保証協会のバックになります国家信用を与えております保険公庫に対しまして融資基金を政府がつぎ込むことによりましてこの融資基金が信用保証協会を通じまして地方銀行等の中小企業金融機関に預託されまして、これが先生御指摘のように中小企業者に対しまして市中金融機関が貸し出しをするもとになっておるわけであります。現在約五百億円の融資基金が出ておりまするけれども、本年これを七十億円追加をいたしまして、来年度はさらにこれの大幅な追加をいたしたいということで現在予算案に計上をしておるわけでございます。これが第一点でございますが、先生御指摘の保証料率の引き下げ、それから保険料率の引き下げでございます。零細層が保証を受けますについてのその負担は、極力低くある必要がございまして、私たちも累年この引き下げに努力をしてきたわけでございます。現在もさらにこの料率の引き下げをはかってまいりたいのでございます。ところが実は昨年から保証協会が代位弁債をいたします、その代位弁債額が非常にふえております。代位弁債と申しますのは、保証を受けました中小企業者が金融機関に弁債ができませんと、金融機関に対して保証協会が弁債の代位をする。その場合には保険事故になりますので、保証協会が保険公庫に対して保険金の支払い請求をするということになるわけでございますが、昨年、保険金支払いが激増をいたしまして、実は、従来蓄積されておりました保険公庫の準備基金をほとんど全部食ってしまっておるような状況でございます。目下のところ、私たちはこの保険公庫及び信用保証協会の財的な基礎をどうして維持するかということについて腐心をしておる次第でございまして、したがいまして、目下のところ保証料率ないし保険料率の引き下げは非常に困難な状況でございます。ただ、しかし各県の保証協会に対しましては各府県また金融機関も出捐金――これは出資金に当たるわけでございまするが――出捐金等の努力をしておりまするので、保証協会の財務内容が改善をされまするならば、保証料率の引き下げも可能である、こういう方向で現在努力をしておる次第でございます。
○小柳勇君 可能であれば引き下げるのは当然でありまして、保険金を食っておる、ほとんど金がないというようなことでありますから、いまの説明はわかりましたけれども、引き下げないという理由で金融機関が金の貸し出しを渋るようなことがないかと思って心配しておるわけですが、その点についてはいかがですか。
○説明員(乙竹虔三君) 保証料の引き下げが行なわれませんでも、金融機関のほうの金融貸し出しにはさしたる影響はない。ただ問題は、この保証を受けます中小業者、すなわちこれは銀行から金を借りる人でございまするが、これの資金コストが上がるという意味で、中小業者、特に零細業者の収支が改善されない、ここに問題があると思います。
○小柳勇君 信用補完制度につきまして、まだ不十分だと私は思います。地方公共団体も鋭意前向きで検討しておりますけれども、なかなかそこまでいきません。それはさっき申しましたように、中小企業の親方さん方の責任もございましょう。したがって両々相待って、両方で信用できるようにしなければならぬのでありますから、中小企業、零細企業の親方さんの教育も十分にやってもらう、その上で信用補完制度をもっと強化してもらう、こういう方向でひとつ検討願います。
 次は歩積み両建ての問題、これは年々問題になる問題でありますけれども、歯がゆいくらい銀行が搾取しておるわけです。金を借りますと、一割なり二割なり天引きで預金させる、これでほんとうに銀行に対して憎しみすら持つという情勢がありますが、これに対して現在どういうふうに把握されておられるか。なおあまり露骨なものについては、罰則でも考えなければならぬと思うが、行政指導をいかにやっておられるかお聞きしておきたい。
○説明員(乙竹虔三君) 歩積み両建て預金につきましては、私たち中小企業庁から強く大蔵省にも要請をいたしました。大蔵省から数次にわたりまして非常に強い通達が出ていることは先生御承知のとおりと存じます。なお、毎年五月とそれから十一月の月末には、この自粛対象の預金の額等を大蔵省に報告をさせるということで、いわゆる拘束性預金の比率、これは貸し出しに対しまして、債務者預金がどのくらいあるか、拘束性預金がどのくらいあるか、さらに金利措置済みの拘束性預金がどのくらいあるかというような報告も取って、大蔵省は定期的に検査をしておりますとともに、私たち聞いておりますところによりますと、銀行検査、しかもこれは相当抜き打ちの銀行検査を歩積み拘束を目的にやっておられるようであります。先生御指摘のような、金を借りました場合に即座に一部を預金させる、これは一番悪質なやつでありまして、大蔵省は絶対にこれはしてはならぬということで禁止しておるのでありまするが、かりにこういうものが検査で発見されますると、相当強い行政指導によります処罰と申しますか、われわれ聞いているところによりますと、担当責任重役の減俸という措置を講じておる、これはときどきあるようでありまして、それほど大蔵省としては、一生懸命にやっておるようでありますが、何ぶんにも一面におきましては、金融機関が実質的な金利水準を上げたい、一面には信用の少ない中小業者の信用を補完したいという面で、歩積み両建て制度が、改善はされておりまするけれども、私たちも非常に歯がゆく思っておるのでありますが、著しくこの改善の進歩のあとが出てこないという状況でございます。
○小柳勇君 いままでも相当指導しておられることも承知しておりますけれども、もう一度ひとつ大蔵省さんも皆さんも、この歩積み両建ての問題については警告を発し、目に余るような理不尽なことがなされないように、対策を立ててもらいたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(乙竹虔三君) いままでも努力いたしましたが、今後もこの問題非常に大事ございますので、せっかく努力をいたします。
○小柳勇君 最後の問題は広報活動の充実の問題でありますが、おたくに聞いてみますと、商工会議所辺までは中小企業庁からパンフレットとかあるいは指導要綱などがいっておるようでありますが、これでもわずか。さっき申し上げましたように商工会議所は人が少ないから、きました書類はちゃんと持っておって、持ってはおりましょうが、それが中小企業なり零細企業なり商店にPRされるとは思えぬのです。ずっと商店回ってみまして、たとえば年末金融の問題にいたしましても、いまの歩積み両建ての銀行に対する指導の態勢にいたしましても、ほとんど知らないのですね。親方さんたちはほとんど知らないのですよ。ただ何らかの機会に、私ども街頭演説したり、あるいは座談会などやりますと、そんなことですかと。極端に言いますと、国民金融公庫の使い方すら知らぬのですね。たとえば無担保無保証の五十万円の金融すらほとんど知らないようなことで、これはびっくりしますものね、そんなこと話しますと。そういうことでありますから、皆さんのこんなりっぱな施策がありますが、これがほとんど知られていないという真相です。したがって商工会議所までは書面は落ちておるようでありまするが、それから先のPR活動なり、指導要綱の周知徹底などについて、いま一段の努力が必要ではないか。ことに年末などは、もう金融で飛び回って、おそらく商工会議所等の連絡もないのではないかと思いますが、この点について、いままでずっと私質問しましたような点について、できればなるべく早く長官の考えを企業体に知らせたい。それには一体どうしたらいいか、具体的な案がないか、あるいは今後の方針についての御見解を聞いておきたいと思います。
○説明員(乙竹虔三君) 中小企業政策を担当してみまして、これは私の先人もみなそれで非常に苦労をしたのだと思いますけれども、対象が非常に多い。四百十万、しかも毎年十万ずつふえているというふうな中小企業者を対象の政策でございまするので、御指摘のように、お前ら幾らいい政策を数多く考えても、それが四百万の中小企業者に浸透しなければ意味がないではないかというおしかりは、実はほんとうに私たちは身にしみると申しますか、ごもっともと申しますか、痛感をしております。いろいろ、ない知恵をしぼっておりまして、実はたとえば中小企業振興事業団は新聞を発行しておりまするし、また中小企業庁も相当多量の印刷物を頒布しております。それのみならず、活字以外にラジオも非常に使っておりまするし、またテレビも毎週中小企業の時間があり、私なども実は毎月、長官アワーというふうなことで訴えておるわけでありまするが、何を言いましてもなかなか浸透しない。特に中小企業の上の部と申しますか、の方々は、比較的そういう注意も払っていただけるのでありますけれども、下のほうといいますか、零細な方々はお払いにならないというより、むしろお払いになるだけの時間もないくらいに仕事に追われている、こういうことでございまするので、私たちといたしましては、何とかこの浸透をさらにがんばっていきたい。それがためには、やはりどうも商工会議所制度を拡充していくということは絶対に必要でございまするが、それとともに、中小業者の組織化がどうしても必要であって、地域別に、ないしは同業別に束にして組織化をはかっていって、組織を通じて政策浸透をはかり、また組織を通じて中小企業者の政府に対する要請にこたえていくという対策が必要であるということで考えておる次第であります。
 なお、この問題が中小企業の具体的施策としては最重要であると思いまするので、いま政策の全般的な見直しに着手したわけでございます。その第一次着手として、先ほど申し上げましたように、いわゆる篠原委員会においてもとり上げられたということになっております。しかしこれは非常にむずかしいのでございますので、今後ともこの面につきまして各方面のいいお知恵を拝借しながら努力をしてまいりたいと思っております。
○小柳勇君 以上で中小企業の問題を終わりまして、次は公害の問題に入ります。
 次は公害の問題でありますが、公害対策基本法の第九条あるいは今度成立いたしました大気汚染防止法、その他を中心に質問してまいりますが、厚生省がせっかく環境基準についての、あるいは三月の環境基準についての答申を受けてこれを実施しようとするけれども、財界なりあるいは経営者団体はあまり条件がきびしいということで非常な抵抗をしておる。ところが公害は日に増しひどくなりまして、これによる身体に対する影響もたいへんなものであるという報道がなされておるような次第であります。したがって、まず厚生省に生活環境基準審議会の答申が出て、これをどのように把握し、これの実施のために努力をしてこられたか、今日までの経過をお聞きしたいと思います。
○説明員(橋本道夫君) 初めにちょっと申し上げて、おあやまりしなければなりませんが、公害部長、どうしても連絡つきませんで、公害課長かわりに答弁いたします。よろしくお願いいたします。
 七月十五日に厚生省に設置されました生活環境審議会の答申を得ましてから、まずさっそく通産省のほうと話をいたしまして、担当のほうからもこまかな資料を提供し、私のほうからも通産省の公害部の方にお話を申し上げました。それから、この全国の資料を環境基準の案そのものに合わせまして全部照合し、どの地点が狂っておるか、どういうぐあいに狂っておるかということをすべて明らかにいたしております。それ以降、通産省のほうで経団連のモデルコンビナートの結果が出てから詳しく打ち合わせをしたいという御要望がありましたので、モデルコンビナートの算出の結果が出されるまで通産省とは一応それ以降は連絡をいたしておりませんでした。経団連のモデルコンビナートの試算が出まして、それに基づきましての意見ということにつきましては、通産省の方とも若干意見を交換いたしましたし、経団連のモデルコンビナートの専門委員長さんあるいは経団連の公害対策特別委員長さんとも私ども詳細な論議をいたしております。その後、通産省のほうとお話も申し上げ、通産省の各局のほうにも厚生省のほうからも出向きまして、すべて詳細なお話をいたしております。通産省側から、産業界において特によく説明をしてほしいというような御要望のある向きには、私どもが参りまして、大阪のほうまで参りまして、こまかな説明をいたしております。で、大気汚染防止法の施行に入りますまでに、ぜひともこれを実現したいということでございましたが、通産省の中でもいろいろと御論議になり、最終のところ大気汚染防止法施行の約一週間前でございましたか、通産省内でもその幹部会議で、このようなことに対して産業界を説得するというような記事が新聞にあらわれまし先ので、通産省の課長に電話で照会をしたところ、そのような意向であるということを確認いたしておりますので、できるだけ早期に、できれば年内あるいは来年初頭には何とかこれを、基準を設定いたしたいということで、現在各省の説明をすべて終わっております。
○小柳勇君 厚生省、もう一つ大気汚染防止法は昨日から施行されておるのであるが、その内容とするものですね、形はできたけれども、内容とするものについてはまだ行使できておらない。このことを確認していいのですね。
○説明員(橋本道夫君) 十二月一日から大気汚染防止法は施行に入りましたので、大気汚染防止法は、あるいはいま小柳先生御指摘なさった面でまだすぐ行使できないのが四条二項の政令で定める汚染の限度という事項のみでございます。そのほかの点につきましては、すべて直ちに施行に入るというような態勢で現在臨んでおります。
○小柳勇君 大気汚染防止法はその汚染防止というのが一番中心でございますが、具体的にはそのために法律を改正しておるのですから、それがないのは、実際仏つくって魂入らぬという法律が施行されてきたということ、そのためにきょうぼくは特にこの質問をしているわけです。実はこの法律施行の前、先月と思いましたけれども、自民党の大会などの関係で、きょうまで延びてきた。したがって、これがきょうも少し早過ぎた。大臣がいないので残念ですけれども、きょう質問をしているわけですから、そういう意味で御答弁願います。
 少し具体的に聞いておきます。特に亜硫酸ガスの環境基準が答申されて、初めの答申から、厚生省でも小委員会の案から、総会の案で後退し、これがまた総会から通産省、財界のほうで相当抵抗があって、後退しておるという。亜硫酸ガスの環境基準について、諸外国に比べてうんときびしいものであるかどうか。それから、現在日本のこのスモッグが多い空とか、現在の空をどうしようとしているのか。現状を認めながら、もうこれ以上にやるなというのか、あるいはこの東京やあるいは北九州にも、このひどい空をどうしようとする環境基準であるか。その環境基準に対して、あともう経済団体とか、抵抗しているものが一そういうことはあとで質問しますから、諸外国に比べてうんときびしいのであるかどうかというのと、現在の日本の空に対してどのくらいの基準であるか。この二点について御説明願います。
○説明員(橋本道夫君) まず第一問の御質問でございますが、諸外国と比べてみることは、実際上いろいろの困難が伴っております。法律の定義から異なりますし、それにその基準によって行なわれる措置の内容がおのおの違いますので、正確に比較することは無理でございますが、できるだけの努力をもって比べた結果から申しますと、私どもの判断では、中等度のきびしさのものであって、著しくきびしいものでもなければ、著しくゆるいものでもないというように考えております。
 それから第二番目の、現在の空をどのようにするつもりであるかという御意見でございますが、この点につきましては、生活環境審議会の環境基準の専門小委員会から閾濃度というものが出されまして、一時間が〇・一PPM、二十四時間平均値〇・〇五PPM、できるだけこのような条件を実現するようにというような御要望を受けましたので、私ども従来数年間にわたりまして実施しましたこの調査研究あるいは従来厚生省並びに通産省が対外的に公表してきた研究会、それらのすべてに基づきまして実施可能な目標というものを算出した結果出してきたものでございまして、そこにあります汚染の状態は、現在の東京、大阪の高汚染地帯は、これは解消していくということでございます。汚染レベルで申しますと、中等度汚染地帯よりもややましな程度の汚染状態に直していこうということでございます。前提には今後都市化、広域化が進むということを頭に置いております。
○小柳勇君 わかりました。現在京浜、京阪あるいは北九州などの汚染でも中程度のものだと、この環境基準の答申だと承っておるわけです。そのようなものすら経済団体、財界がきびし過ぎるということで反対しているということは、一体どういうものでしょうか。通産省の公害関係からお聞きいたします。
○説明員(矢島嗣郎君) 最初に通産省の現在の問題から申し上げまして、それから必要に応じまして、それについて産業界がどういうことを言って、それがどれだけむちゃなことを言っているか。どれだけかってなことを言っているかというようなお話を申し上げたらいいのじゃないかと思います。
 先生御指摘のように厚生省の環境基準、厚生省の案が七月にできまして、それから、産業界がいろいろの反対陳情を出しておるわけですが、その間には非常な隔たりがある。しかも非常に対立している。こういう状況にございましたわけで、はなはだわれわれとしては遺憾にたえないことだと思います。通産省としては、人の健康の保護をはかるという見地から行なわれたこの厚生省の案は、生活環境審議会の答申に基づいておるわけで、これをできるだけ尊重しなきゃならぬ。そのように考えておるわけでございます。したがいまして産業界の意見がそういうことであっても、何とかしてこれを収拾して、産業界に対しても必要な説得を続けて、これをまとめる、早い機会にまとめるということにしなければならぬと考えておるわけでございます。
 以上が通産省の考え方で、すでにそういう頑強な産業界に対しての説得を一部始めているという、かような状況でございます。
 そこで、先生の御質問の焦点で、一体、産業界はどういうことなんだということですが、それは、一つ、二つの例を引いて申し上げるとわかるのではないかと思うのです。まあ今回のこの環境基準というものは、亜硫酸ガスの環境基準でありまして、したがいまして、亜硫酸ガスの濃度をできるだけ低くすればいい。亜硫酸ガスのもとは重油の硫黄分であるということは申すまでもないわけですが、したがいまして、問題は、重油の硫黄分をできるだけ早く下げていく。通産省においても、重油の供給計画というものがあるわけですが、その年次供給計画において、重油のエキス分、硫黄分をできるだけ早く下げていくということが大事なわけですが、その問題が解決すると、この環境基準の問題のポイントが出てくるわけで、相当その改善によって環境基準の問題も解決の方向に向かうわけです。たとえばその点をとってみますと、業界は四十四年度末に一・七%で、それ以降は一・七%を特に改善する見通しを持たないと、こういうわけです。で、そういうことでは、ちょっとこの環境基準の問題を解決するわけにまいらぬので、その四十四年度末一・七%でとどまっていないで、それから、逐年その硫黄分を減らしていく努力をすると同時に、それを前提にしてこの問題と取り組むということにしなければならぬと思うわけです。われわれとしては、でき得れば、その現在の重油脱硫の技術的になし得る限界――これはいろいろいわれておりますが、たとえば一・二%であれば、できるだけ早い機会にその一・二に近づけるという努力をしなければならぬのですけれども、業界は、とても技術的にそう簡単にはまいらぬということで、依然として一・七程度にすると、こういうようなことを言っているわけです。そういう点が、われわれから見ると非常に歯がゆい、あるいは、非常にもの足らない、かように感ずるわけでございます。
 具体例でもって先生の御質問にお答えをしたわけでございます。
○小柳勇君 通産省としては、厚生省の環境基準については厚生省の示した案どおり、とにかく、できるだけ早く実施したいということであるということはわかりました。
 ところが、財界のほうでは、重油中の硫黄分を、厚生省としては、四十六年操業から一・五ないし一・六に引き下げたいと考えておるけれども、経団連としては五年後も一・七%以下はどうしてもいかぬと言っている。この具体的な話はいまわかりました。そこで、この理由は、いろいろあると思いますけれども、金の問題であるのかということが一つですね。それから硫黄分をうんと取りますというと、現在出ている硫黄の鉱山などはもうやらぬでもいい、脱硫硫黄だけで日本には硫黄が余るのではないかというような意見もある。それから、ほかの装置がめんどうくさいとかありましょうが、金の問題とすれば、脱硫装置に対して政府が金を援助するとか、あるいは低利資金を融資するとかというような方法がある。あるいは研究費については、もっと国がこれは出さなければならぬでしょうけれども、ただ、基本的に脱硫装置がうんと働いて、硫黄分がもう硫黄鉱山が要らぬくらいに出てまいったら困るというような、そういうものがあるとすると、また考え方は別になってくると思うのですけれども、一体、理由は何でしょう。
○説明員(矢島嗣郎君) 先生、いま技術的な問題なのか経済的な問題なのか、あるいは第三番目の副産物の問題なのか、そういう御質問でございますが、私はこの三つ全部あるのじゃないかと考えます。それがいいかどうかは別といたしまして、彼らの言い分はおそらくこの三つの問題を全部含めて言っているのじゃないか、かように考えます。具体的に申し上げますと、技術的な問題でございますが、たとえばいまの具体例で重油の脱硫ということに関しては、現に技術導入でもってある程度やっているわけでございます。しかしながら、技術導入では大部分がいわば間接脱硫でございまして、いま脱硫率も低いので十分じゃない。やはり直接脱硫――直接脱硫も技術導入で一社くらいやっておりますけれども、必ずしもこれだけでいいとは限らぬ。やはり国産技術の開発ということが大切で、これは通産省の工業技術院の大型プロジェクトということでやっておりますが、国産技術が完成するのは四十六年ということで、だいぶ先になるわけでございますので、そういう点からいいまして、やはり技術的に問題があるというのはある程度言えるのではなかろうかと思うのです。
 それから次に経済的な問題ですが、これはわれわれはあまりこの考え方に組みしないわけですけれども、やはり経済的な問題もそれはある程度あるだろうと、たとえば重油脱硫につきましては、バーレル当り二十万円と俗にいわれているわけですから、四万バーレルやるとすれば八十億円というようなことでありまして、相当程度の資金量が要るわけでございます。それに対してわれわれとしては必ずしも十分ではないのでございますけれども、来年度の財投の通産省の要求の最重点といたしましては、石油会社の重油脱硫装置に対する特利、特ワク、六・五%の特利をとりまして、そうして百何億円かの特ワクをつくるということを最重点で要求しておりますので、そういう点で、かりに経済的な問題があるとしても、ある程度この助成策でもってこれに対処したい、かように考えております。
 それから第三番目の先生御指摘の副産物の問題、これも問題がないとはいえないわけでございまして、副産物というとなま硫黄だけではなくて、あるいは硫安ができる場合もある。あるいは硫酸ができる場合ということで、副産物いろいろあると思いますが、特にやはりなま硫黄は、日本の硫黄鉱山の現状からして、硫黄ができますと、現在の日本の国産の硫黄は要らない。三十万トン程度出ておりますけれども、三十万トンぐらいは現在の脱硫計画を推進すればすぐ三十万トンぐらいできるという問題があることはあるのであります。しかし、われわれとしてはそういう副産物の問題は副産物の問題として、たとえば硫黄は全部これを輸出に向けるというようなことをいろいろ考えまして、別途解決していかなければならぬ問題ではないかと考えておるわけです。いずれにしても、問題としては三つあることはあるということでございますが、それをそれぞれ詰めていって解決していかなければならないのじゃないかと、かように考えております。
○小柳勇君 公害に対して金がかかり過ぎるというような意見ですけれども、現在、まあこれは概算でいいのですけれども、そういう大企業が、大手の企業が公害排除のために一体何%ぐらい資金を投入しているのでしょうか。
○説明員(矢島嗣郎君) この公害防止対策に対して企業がでのくらい投入するかという問題は、十分な調査、完全な調査は行なわれておりませんが、私の手元にサンプル的に主要企業のものがございますが、電力につきましては大体四・七ないし五%ということです。総設備投資額のうちに占める公害防止のあれは、最近の例ですと四・七ないし五%。鉄鋼について見ますと五・七ないし六%ぐらい。石油となりますと、先ほども申し上げました重油脱硫装置というものが非常に金を食うわけでございまして、これは現に直接の重油脱硫装置をやっている会社だけについてみますというと、三五%ぐらいになっておるという、非常に高い率を示しております。これは重油脱硫装置というのはいま始まったばかりなものですから、特にこういう三〇%をこえるような高い比率が出てくるのであります。それから電力などもこれは大体四・七ないし五%くらいと言いましたけれども、これは何といいますか、主として高煙突。煙突ですから煙突なんというのは五、六億円くらいのものですからそれほど大きくないんですが、後ほど申し上げたいと思いますけれども排煙脱硫というものがあるわけで、これはやっぱりこの排煙脱硫をやりますととても五%程度のものでは済まなくなるのではないかと、かように考えております。
○小柳勇君 いま聞きましたその資料ですけれども、どういう資料ですか。いまそのパーセント出されましたね、どういう資料ですか、どういう統計による資料でしょう。
○説明員(矢島嗣郎君) ちょっと先生の御質問に直ちに答えられるかどうかわかりませんけれども、総設備投資額に対する公害防止施設の投資額でございますが、その根拠は会社から直接聞いたやつでございまして、そういう統計の公式な統計はございません。
○小柳勇君 少し数字が大き過ぎるような気がするので、私どものほうでも調査しておりますけれども、とてもそんな投資していないんですよ、いままでは。諸外国の例はどんなですか。
○説明員(矢島嗣郎君) 諸外国の例につきましては私どもとして正確に把握しておりませんけれども、たとえば都留先生の「現代資本主義と公害」というような本によりますと、五%というふうに出ております。ただこの外国の設備投資額の比率の場合に、外国におきましては土地代をどういうふうに見ているかということが問題でございまして、日本と外国と比べますというと土地代のあれが全然違いまして、日本はきわめて高い、外国は非常に低いということで、投資額の分母の中に土地が入っているか入っていないかということで計算が違いますので、直ちに比較するわけにはまいらぬと思いますが、そういう本では五%ということを言われております。
○小柳勇君 私のほうの調査の資料は二%程度になっておりまして、現在鉄鋼、電力などの大手数十社の統計によって、この二、三年の間に若干出ておりますから、まあよくなにして三%くらいになりましょうか。しかし諸外国に比べましてもほとんどまだ少ないし、それからさっき厚生省から言われたモデルコンビナートができなければ、最終的に財界などの結論が出ない。したがって環境基準の亜硫酸ガスの基準もきまらぬという話がありましたけれども、いまの設備投資にこの公害防止に対する考え方なり投資の比率なりから考えて、モデルコンビナートの計画ができて、公害問題まで結論出るのはいつごろでしょう、通産省から答弁を求めます。
○説明員(矢島嗣郎君) 先ほどモデルコンビナートの話が出ましたが、モデルコンビナートの問題だけではなくて、もう一ついまさっき私が問題にしました脱硫計画の問題、脱硫計画の問題は重油の脱硫のほかに主として電力会社にお願いしなければならぬ排煙脱硫という問題があるわけでありまして、全部重油の脱硫をして、それでもってきれいにできればいいわけでございますが、重油の需要が二倍三倍とふえてまいりますので、どうしても重油脱硫だけではまいらぬわけで、電力会社等は早急に現在研究している排煙脱硫の研究を終えまして、実用化していただかないと……。こういう排煙脱硫の問題もある。そういうモデルコンビナートの問題もあるでしょうし、重油脱硫の問題もあるでしょうし、あるいは電力会社に対する排煙脱硫の実施化という問題も大事な問題であると思います。そういう問題を早急に一つ一つ詰めて説得しまして、できるだけ早い機会にこの環境基準をきめたいと思います。
○小柳勇君 時間がありませんから、最後の問題についての質問は次の機会に譲りますが、いずれにしましても急いでいる問題です。大気汚染防止法はすでに施行されている。その中が何にもない、仏つくって魂が入っていないわけですから、これはあとは通産省の努力に待つ以外にないと思いますけれども、経団連などは、それは金出すほうですから抵抗するのは当然でありましょうが、これに金の問題なり研究体制の問題なり、その他副産物の問題による抵抗もありましょうが、それはそれとして、企業転換などを考えてもらわなきゃならぬ。人体に悪い影響を与えるということが調査の結果わかっておりながら、企業優先のためにこの環境基準の実施がおくれるということはこれは許せないと思うのです。これは大臣の決意を聞かなければなりませんが、早い機会に大臣にもう一回このことを質問して大臣の決意を聞きたいと思いますけれども、関係当局としてこの産業界の説得を早急にされるように希望しておきたいと思います。あと具体的な数字の問題もありますから、これはまた次の機会に少し御意見を聞かしてもらいたいと思うのです。以上でこの公害問題についての質問を終わります。
 あと、資本自由化の問題、資本自由化の問題については、もう方々で論議されておりますが、大きな基本的な問題を質問しておきたいと思いますが、第二次資本自由化の問題も急がれておりまするが、政府としてはどのようなスケジュールで第二次資本自由化のリストをつくろうとされておるかお聞きいたします。
○説明員(大慈弥嘉久君) お答えいたします。第二次の資本自由化の進め方につきましては、十月の外資の審議会でも検討されまして、こういうことでやっていこうという方針が一応きめられております。それによりますと、わが国の資本自由化は、第一次の自由化が御承知のとおり昨年の七月にスタートをしたばかりでございますので、今回は自由化のワク組みと申しますか、制度は変えない。たとえば新設会社と既存の会社の株式の取得等は区別をする。それから自由化の業種につきましても一〇〇%まで外資が入ってよろしいという業種と五〇%までであれば自由であるという業種に分かれておりますが、そういうやり方も今回は変えないということになっておりまして、もっぱら自由化の業種を選ぶということに力を置こうと、こういうことになっております。来年の二月ごろを目途にしまして業種の選定をしようと、その場合に、業種でございますが、五〇対五〇の合弁会社を自動的に認可をする業種と、それは第一類の業種といっておりますが、その第一類の業種をふやすことを中心にしてやっていこうと、こういうことでございます。そういうことで現在これは通産省だけでなくて各省で業種の選定の作業をせっかく行なっているという状況にございます。
○小柳勇君 各省間の業種別表示はいつごろ大体できるのか、それから最終的に自由化の決定されるのはいつごろになりましょうか。
○説明員(大慈弥嘉久君) 二月の初めごろを目標に外資審議会としては答申をしたい、それに間に合わせるように各省も作業をやろう、こういう大筋だけでございますが、私のほうは役所の部内における検討ももちろん大いに進めておりますが、業界ないし団体のほうにもそれぞれ検討をお願いしまして、経団連なり商工会議所なりそれぞれの検討がようやく七、八分終わったところでございます。その辺の意見もおいおい出てまいりますし、今月から一月にかけましてまあ山場といいますか、相当各業種別にしっかり詰める必要があろうと考えております。
○小柳勇君 アメリカの大統領選挙でニクソンが当選したのですが、そのアメリカの大統領のかわることによる風当たりといいましょうか、日本に対する要請といいましょうか、そういうもの。それから欧州のほうでまた少しごたごたしておりますけれども、OECDなどからの要請など、諸外国が日本の資本自由化に対して要請している声。そういうものについての見解を聞いておきたいと思います。
○説明員(大慈弥嘉久君) これは先生御指摘のとおりでございまして、かねてからOECDにおいて日本の自由化大いに急げということはたびたび指摘をされております。それからアメリカとの間におきましても日米の経済合同委員会、各閣僚が出席をされるわけですが、その場所でもそうでございますし、それ以外にも機会のあるたびに資本の自由化は大いにやってほしいという意向がございます。それから財界等につきましても財界の方々がアメリカ等に行かれましたときに、日本の資本の自由化は急げという話をたびたび聞いてこられまして、特に現在はアメリカの政権もかわりまして輸入制限の運動等が懸念をされておる、そういうときに、そういうことを防ぐという意味からいいましても日本の資本の自由化はやるべきであるというふうな考えをいろいろ伺うわけでございます。しかし私どもとしましては、もともと資本の自由化は前向きにやるということはきめておりますが、同時に、国内産業に対する影響も考えまして漸進的に慎重なところはなお慎重にやらなければならないという態度でございまして、既定の方針に沿いまして、先ほどから申し上げましたようなスケジュールでやりたいと、こう考えております。
○小柳勇君 適当な時期に参考人に来てもらって聞きたいと思っておりますけれども、通産省としてキャッチしている財界などの御意向ですね、大手産業とか貿易商社あるいは中小企業など、いわゆる財界、産業界の考えについての、大づかみでよろしゅうございますが、いまキャッチしておられる点についての御報告を承っておきたいと思うのです。
○説明員(大慈弥嘉久君) 業界の意見といたしましては、経団連が、過去、一ヵ月ちょっとでございますが、ずっと業界別にヒヤリングをいたしまして、その状況が一番御質問の線に合うかと思いますが、いままで出ておりますところでは、今回第二次で自由化してもよろしいという業種はたいへん少ないという状況でございます。家庭用の電気器具であるとか通信機械とか一部の産業機械等で、自分の業界はやってもよろしいという意見も出たようでございますが、大体ほとんどの業界は業界自体の希望としましては、この次に延ばしてほしい、あるいは四十六年度末までにかなりの業種について自由化するというのが政府の方針でございますが、四十六年度末まで延ばしてほしいというふうな業種が相当多いような状況でございます。で、まあ各業種につきまして自分の業種ということになりますと、どうしてもそういうことになりかねないとは思いますが、企業の大きさが全く違うのだとか、それからブランドが向こうのほうが有名で名前が通っている、あるいは技術の力に差があるというような理由、それぞれもっともな理由を並べながら、まあ自分の業界はかんべんしてほしいというような感じが一般でございます。しかしその点はよく業界自体の状況も今後聞きまして、その程度の問題、度合いの問題というのを検討しなければならない、こう思っております。
○小柳勇君 政府の方針としては、第二次、第三次までは今日のリストでいくけれども、ネガティブなものについては、第四次になったらもう自由化できないものにしよう。それは昭和四十六年である。この大体の方針はきまっておるのでしょう。
○説明員(大慈弥嘉久君) 御指摘のとおりでございまして、資本の自由化は一年ないし二年の間隔をおいてやろうということが昨年の閣議できまっておりますから、それでいきますと、四十六年度の末といいますと、ちょうど年明けからまる三年でございます。その間に一回入れますと、第三次、その次が、第四次が最終ということになります。ネガリストにするのはどうせ最後であろう、こういうふうにいっておりますが、これはまだ政府として確定ということではございません。大体まあ外資審議会のフリートーキングといいますか、皆さんの御意見を伺っても、まあそこら辺の感じであろうという程度のところでいまはおさまっております。
○小柳勇君 中小企業及び流通部門の資本自由化というものが問題であろうといわれております。中小企業、特に下請産業など小さい企業は、外資にさらされるととうてい競争やっていけぬだろうということで、若干危機意識もあるようでありまするが、中小企業の資本自由化につきましては、特に考慮しなければならぬことだと思います。それから技術部門の資本自由化につきましても相当問題がありましょうが、これらの問題についての見解を聞いておきたい。
○説明員(大慈弥嘉久君) 中小企業と流通関係につきましては、先生御指摘のとおりでございまして、影響が最も大きいのではないかと、こういうことで昨年の七月に行ないました第一次の自由化につきましては、たいへん慎重な態度をとりまして、ほとんどが見送りとされております。そういうことで本質的に中小企業なり流通関係については、慎重な態度が必要であろうとは思いますが、四十六年度の末にはかなりの業種についてやろうというのが基本的な方針で、いずれはぶつかっていかなければならない問題だということで、今回の第二次の自由化につきましては、中小企業ないし流通関係については検討の対象にする、こういうことにしております。中小企業であるがために自由化の対象にしない、こういうことではなしに、一応自由化できるかどうか検討の対象にする、こういうことでございます。ただし中小企業について問題があることはこれは当然でございます。慎重な態度で漸進的にやっていくということが必要なことは申すまでもないわけでございます。で、中小企業につきましては、特にどうして競争力をつけるか、構造改善を行なうか、そういう施策と相待って実施をしていくことが必要であろうかと思います。また流通関係につきましても、私のほうにございます流通に関する審議会でこの問題もいろいろ検討しておりますが、できるだけ輸入のほうといいますか、波打ち際のほうから内部のほうに及ぼしていくというようなことでいったらどうか。それからまあ単品を扱うものと総合的に商品をたくさん扱うというようなものとでいけば、単品を扱うところから自由化に近づくのが妥当ではないかというふうな、大まかな方針だけはいまいろいろ検討しておりますが、具体的に適用する場合には、やはり中小企業と並びまして、流通関係についても慎重な態度で漸進的にいく必要があると考えております。
○小柳勇君 具体的な問題ですけれども、たとえば自動車産業などが資本自由化を渋っておりまするというと、輸入制限などによって貿易上圧迫を加えるというようなことはないのか、こういう心配をするわけですが、これは具体的な例ですけれども、資本自由化に対して産業界のほうでもほんとうに前向きだといいましても、まだいま積極的ではないようですが、そのことによって日本の産業というものが報復措置をやられるのではないか、そういうことも懸念するのですけれども、その点はいかがですか。
○説明員(弥嘉大慈久君) 外国に市場の開放を要求するということが、これは輸出振興のため一番大切なことの一つでございますが、そういう点からいって、わが方もまた窓を開いていくということは当然といいますか、行なわなければならないことだと思います。現在のアメリカの輸入制限の運動なるものを阻止するためにも、日本のほうも資本だけではなくて、輸入制限品目というのがいま問題になっておりますが、物の自由化についても大いに窓を開けと、こういう話がまいっておることは御承知のとおりでございます。具体的に自動車をあけないと、どんな品目が輸入制限をされるとか、そういうふうな直接的なことはないと思います。一般的な問題としては自由化できるものはわがほうも窓を開いていくということが大切だと思います。
○小柳勇君 資本自由化の問題も大きな問題でありまして、それは政策的なものもありますから、大臣に別途の機会に具体的には質問いたしますが、大ざっぱな事務当局の方針については大体了承いたしました。あと基本的な政府の施策は別途の機会に大臣に御質問いたしますが、いまの自動車の産業のことを言いましたので、自動車産業のことで、少し時間の許すところ、二、三分質問していきたいと思うのですけれども、いまの、米国が日本の自動車の輸入を制限しておるのではないか、あるいは制限する危険がないか、こういうことを心配しているのですけれども、いかがですか。
○説明員(吉光久君) 日本で自動車の資本自由化を認めない場合、アメリカで日本の自動車の輸入を制限する動きはないであろうか、こういう御懸念であろうかと思うわけでありますが、私ども承知いたしております限りにおきましては、アメリカの自動車業界で日本の自動車の輸入を制限しよう、こういう動きは現在のところ感じられません。むしろ、積極的に日本が門戸を開放するということを、これは自由貿易主義の立場から強調いたしておるというふうに承知をいたしております。
○小柳勇君 現在の自動車産業の情勢について、少し小さい問題から大きい問題にいきますけれども、販売は頭打ち、生産は上がりますが、販売は頭打ちしているようですが、通産省の指導方針では、聞くところによると、二系列化構想をもって自動車産業界を指導しておるようなことも聞いておりますけれども、自動車産業の生産、販売の現状及びこれに対する通産省の指導方針などについてお伺いいたします。
○説明員(吉光久君) 先生御承知のように、自動車産業は近年急速に発展してまいったわけでございます。伸び方から申しましても、トラック、バス等含めまして、生産台数はすでにアメリカに次いで第二位、もちろんアメリカと大きな格差はございますけれども、第二位。ただし、乗用車だけでながめました場合には、乗用車だけの生産台数で四十二年を例にとりますと、世界第六位という状況でございます。トラック、バス等を含めまして第二位。ただ、乗用車の中におきましても、実は三百六十CC以下のいわゆる小型車、軽量車と申しますか、軽量車種が非常に大きなウエートを占めております。全体の乗用車の二五%は軽量車で占められているという状況でございます。まだ構造的に相当弱い面を内包しておるかと思います。ともあれ、全体の生産水準自身は相当の伸び率で伸びてまいっているのが現状ではないかと思うわけでございます。ところが、輸出の面につきましても相当数の伸びを示しておりますけれども、生産比率にいたしましても、日本の乗用車の場合一六%程度でございます。これはドイツが五〇%あるいはフランス、イタリアあるいはイギリス、それらの国々が三〇%前後という数字に比べますと、まだまだ輸出依存度は小さい、こういう状況でございます。
 ともあれ、こういうふうなことを前提にいたしまして、先ほどお話しございましたように、系列論というようなお話がございましたけれども、必ずしも二系列と申し上げているわけじゃないのでございますけれども、何ぶんにも自動車の生産主体が非常に数多うございます。したがいまして、これらを何らかの形で集約化し、適正な量産規模をはかってもらうということがまず第一に生産面において必要なんではないだろうか。そういう意味から合併あるいはまた業務提携を含む広い範囲での生産体制の集約化ということがまず第一に必要なことであろうかと思うわけでございます。
 と同時に、第二は、やはり自動車産業は非常に広範な部品産業から成り立っておりますので、したがいまして、部品産業に対します積極的な振興育成策をはかってまいる必要があるだろうというのが第二でございまして、と同時に、先ほど御指摘ございましたように、まだ流通販売体制におきまして、幾多の弱点を持っております。その流通販売体制につきまして、徹底的な近代化を促進してまいるということが第三の柱になろうかと思うわけでございます。
 以上三つの施策を準備いたしまして現在自動車産業の行政に当たっているわけでございます。
○小柳勇君 時間がまいりましたから、質問は次の機会にいたします。
○委員長(金丸冨夫君) この際、大平通商産業大臣が御出席になりまして発言を求められておりますので、これを許します。
○国務大臣(大平正芳君) 今度通産行政の担当を命ぜられました大平正芳でございます。
 本日は、ごあいさつを申し上げる機会を与えられましたことを委員長並びに委員各位に厚くお礼を申し上げます。
 私は、通産行政を担当いたしますのは初めてでございまして、全くのしろうとでございます。しかるに、今日の内外の経済の問題はたいへんむずかしい問題が山積いたしているように拝察するのでございます。従来の経験、手法をもってしては解決ができないような数々の問題があるようにも思いますし、また、時代の進展に取り残されました部面に傷あとがたくさん残っているようにも思われるのでございまして、そういった面につきましては、これから鋭意勉強をいたしまして、国会にお願いすべきものを用意いたしまして、皆さんの御審議をわずらわすようにいたしたい決意でございます。
 なにさましろうとでございますので、この上とも十分の御指導と御鞭撻をお願いする次第でございます。(拍手)
○委員長(金丸冨夫君) 本日は就任早々でございますので、大臣御多忙と存じますので、いろいろ委員各位からの質疑も山積いたしておりますけれども、次の機会に譲りまして、本日は御退席願ってよろしゅうございます。
    ―――――――――――――
○塩出啓典君 私は、現在中小企業と大企業の二重構造、そういうような点が非常に問題になっているわけでございますが、そういう点に対する対策として、一つは中小企業の技術向上に対する問題点、そういう点につきまして、中小企業庁長官並びに関係者に御質問したいと思います。そして続きまして、職業訓練の問題につきまして労働省関係の方についてお聞きしたい、そう思う次第であります。
 まず第一点でございますが、中小企業に対する援助はいろいろそういう金融的な援助もございますが、それとともに中小企業の技術を向上さし、体質を改善していく、そういうことがもうそれ以上に大切ではないかと思うわけであります。そういう点につきまして中小企業庁としての現在のおもなる施策について教えていただきたいと思います。
○説明員(乙竹虔三君) 先生御指摘のとおり中小企業の体質を強化いたしますためには、技術の対策が特に大事であるということで、中小企業政策審議会の企画小委員会の篠原委員会報告においても非常に強く特に強調されたものでございます。考え方は、従来の中小企業は安い労働力、豊富な労働力と過当競争から出る死にもの狂いの競争で生きてきたのであるけれども、これからは大企業並みの労賃を当然支払っていかなければならず、かつ世界の先進国と競争をしていかなければならない。そうなると、問題は豊富な労働力、安い労働力に依存をして競争力を生み出しておったのではいけないのであって、他の面、すなわち一番大事なのは技術の競争力、ここで競争をしていかなければならないという点を指摘しておるわけであります。従来中小企業庁といたしましても、技術対策につきましては種々の施策を講じたわけでございまするけれども、何せ四百十万という非常に多数の中小企業相手の向上対策でございまするので、施策のやり方についてはなかなかむずかしい点があるわけであります。まず一番大事なのは、府県を使いましてというか、府県が中小企業者の技術を向上するこの区県の技術対策に対しまして、政府が補助をいたしますといいますか、後援をするという立場の技術の助成対策があるわけであります。その中の小さな一部門といいますか、その小分けといたしましては、まず公設試験研究機関、これは産地に置かれております府県立の試験研究機関及び各府県庁の所在地等に置かれております総合的な試験研究機関でありまするが、この試験研究機関に対します助成措置でございます。全国百六十六余もございますので、これは相当末端まで、特に産地の技術対策としては有効な対策でございます。それからなおこの試験研究機関を中小企業界に開放をしまして、開放試験室と申しておりまするけれども、こういうことによります対策も講じております。
 次に、政府が直接試験研究に対しまして助成措置を講じておりますやり方といたしましては、公設の試験研究機関の研究テーマの中で特に国として助成をすべきものであるという項目をテーマ別に取り上げております。さらにまた国立の試験研究機関におきましても、必要なテーマにおいてこれを特に進めるというテーマ別な技術の促進の対策をとっております。これは公設ないしは国立の試験研究機関みずからが行ないます研究開発に対します助成措置でございます。
 第三の方策といたしまして、民間の中小企業者が行なっております技術開発試験研究に対します助成措置でございまして、その一つといたしましては補助金制度がございます。これは業界の希望、要請がございました場合に、それを審査いたしまして、助成すべきものにつきましては必要な補助金を交付するというかっこうの助成の方法をとっております。これは個別の業者に対します助成措置でございますが、集団的に業界がまとまりまして共同の試験研究をするということは非常に能率的でございますので、本年度から特に強くこの方策を取り上げることといたしまして、本年度印刷と玩具は業界側が所要経費の二分の一、政府が二分の一ということで共同しての研究施設をつくる。こういう制度が発足いたしましたが、さらに来年度はこの方策を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 なお、以上申し上げましたところまでは中小企業庁がじかにやっております措置でございまするが、さらに重要な研究、あるいは重要な研究がすでに実用化になった場合に、実用化に対して必要な融資等の措置、これは工業技術院並びに開銀等で種々の制度がございまするが、これにおきましても中小企業の技術開発を進めますよう重点的に制度を活用している次第であります。
 以上のような諸施策がございまするが、小柳先生からも御指摘がございましたが、幾ら政府がいいことを考えましても、この施策の周知徹底方が大事でございまして、この点ははなはだまだ十分ではないのでありますけれども、府県を通じまして、あるいは試験研究機関を通じて、あるいは技術の巡回指導員という制度を通じまして中小企業者の現場まで施策の浸透方をはかりますとともに、さらに技術情報あるいは技術シリーズ、こういうふうな活字媒体によります普及まで考えているわけであります。
 最後に、技術者の研修制度でございまするが、これは都道府県ないしは政令によります指定都市、あるいはこれらの指定する法人の行ないます技術者の研修制度に対しまして中小企業庁として所要の助成措置を講じている次第であります。
 以上、簡単でございますが概略御紹介いたしました。
○塩出啓典君 いまの施策についていろいろお聞きしたいと思いますが、開放試験室というのが八カ所ほど本年設けられておりますが、これの利用状況なんかどのようになっておりますか。
○説明員(乙竹虔三君) 開放試験室は毎年七ないし八カ所設けられまして、三十九年度から四十三年度まで三十七県設けられております。大体産地中心に設けられているわけでありますけれども、これは試験室によりまして利用するのが多いところ少ないところがあります。大体少ないところでも五十、多いところでは五百企業が継続的にこれを使うというふうなことで、非常にこれは活用をされておる制度でございます。
○塩出啓典君 それで、先ほどもいろいろ話が出ましたように、そういうたとえば開放試験室あるいはまた巡回技術指導、そういうものをやっても、それを大いに活用していこうという、そういう中小企業者の熱意がなければ、なかなかそういう点もうまくいかないのじゃないか。先ほどもお話がありましたように、全国で四百万以上の企業があるわけでありますが、そういう点で、活用されている面が非常にごく一部である、そういう点を心配するわけでありますが、そういう点について、今後どのような対策を立てておるか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(乙竹虔三君) 具体的な制度といたしましては、府県を通じます技術指導員によります巡回指導あるいは公設試験研究機関において行ないますいろいろの技術講習でございまするとか、こういうふうな指導、こういうものの数をふやしていく、ないしは補助金額をふやしていくという具体施策は、来年度大いに予算におきまして拡充をはかってまいりたいと思うのでございまするが、こういう個々的な施策の数をふやしますことも大事でございますけれども、それよりも一番私大事だと思いますのは、最初に申し上げました中小企業者の競争力の根源が労働力ないし労働時間の延長と申しますか、こういうものにあるのではなくして、技術のレベルを上げるというところに競争力の根源があるということを知ってもらうということが一番大事であると思います。したがいまして、そういう意味におきまして、中小企業者に対しまして、そういう方面の宣伝、広報活動、これを重点的に行なってまいりたいとともに、また大企業、これは下請関係でございまするが、大企業関係がどういうふうなかっこうで中小企業者を使っていくのか、その協力を求めていくのか、この辺のビヘービアも非常に大事でございまするので、大企業を通じます中小企業の技術向上というふうな方向の施策も考えてまいりたいと思う次第でございます。
○塩出啓典君 それで、先ほど共同研究施設につきまして、今年度は玩具とそれから印刷が取り上げられた、そのように報告がございましたが、これはもう現在研究施設はだいぶ建設される途上にいまあるわけですか。
○説明員(乙竹虔三君) 本年度の資金支出になりますので、目下建設途上であるという状態でございます。
○塩出啓典君 この前、商工委員会の視察で北九州の八幡製鉄に参りましたけれども、そのときに、非常に北九州地区の技術協力研修会というのが中心になりまして、技能センターをつくろう、そういうような動きのあることを現地で聞いてまいったわけでございますが、そのように下から盛り上がる空気が非常に大事である。そういう点で、こういう技能センターのような設備に対しては、どんどん政府も大いに援助していかなければならない、そのように考えておるわけであります。そういう点で、今年は印刷と玩具だけであったわけでありますが、現在そのような要望がほかの業界にも出ているかどうか、また、それに対して中小企業庁といたしましては、来年度はどの程度にふやす方針であるか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(乙竹虔三君) あとのほうの御質問ありました、まず共同研究所の来年度のわれわれの希望でございますけれども、意見がまとまり、体制の固まりました業界といたしまして、塗料、作業工具がございまするので、これは明年度予算要求をいたしました。今後とも業界の意見がまとまり、必要性の認められるものについては、この制度は先刻申し上げましたように、われわれとして大いに広げてまいりたい。明後年以降の問題として広げてまいりたいと思っておるわけであります。
 最初の先生の御質問の、北九州の技術開発センターの動きでございまするが、私たちも承知をしております。ただ現在のところ、現行制度に少し乗りにくい点もございまして、これは北九州の数県を通じますブロックが固まって、しかも業種もいろいろの業種が入りましてやろうという、非常に性質はいいあれでございますけれども、対象が一府県内に限りませんし、また業種も単純でございませんので、現行の制度に乗りにくい。しかし方向は、非常にこれはけっこうな方向でございますので、前向きで私たち考えてまいりたい。ただ、さしあたり中小企業の施設改善費の補助金が共同研究に活用されまするので、そういう面で御協力はできるかと思うのであります。
○塩出啓典君 それで、先ほどの、そういう政府の技術的な援助、そういうものをやはり一つ一つの個々の中小企業者に徹底をして、そうして先ほど話がありましたように、今後の中小企業の競争力は技術レベルの向上でなければならない、そういう点を徹底していくわけでありますが、そういう点におきまして、たとえば一軒一軒の中小企業の経営者に対して、そういう点の指導徹底というものをどんどんなされていかなければならぬと思うのでありますが、そういう点は、いまただ集めての巡回指導ではなくして、こっちから乗り込んでいく、そういう点がほしいと思うわけでありますが、その点はいまどうなっておりますか。
○説明員(乙竹虔三君) これは実は全国ネットワークのラジオ、テレビ等を通じまして、機会あるごとにこれからの競争力の根源は技術レベル、技術開発力にあるのだという考え方の普及徹底をまずはかっておりまするが、さらに商工会議所、商工会を通じまして、政府作成の資料等の領布をはかったり、あるいは講習会等を開催いたしまして呼びかけをするというふうなことも考えておるわけであります。さらに来年度におきましては、海外の状況等をすみやかに知らせて刺激をすると申しますか、指導をすることも有効であろうかと存じまするので、ジェトロと中小企業振興事業団とを結びまして、振興事業団に現在情報室というのがありますが、これを情報部に格上げをいたしまして、一般の経営情報のみならず、特に技術情報につきましては諸外国の情報をここに集積し、判断をいたしまして、所要の情報につきましては振興事業団から府県にございます総合指導所、ここに流しまして、総合指導所から中小企業の各組織に流す、こういうふうな方向も考えておる次第であります。
○塩出啓典君 それで、そういうパンフレットを配ったり、また講習会を開いても、なかなかやはりどれを取り入れていいか、そういうようなことは、なかなか中小企業の現在の体制では無理じゃないか。そういう点で、実際にこちらが行って、そうしてやはり現状を見て、そしてその仕事に対して、やはりこういう問題があるのだ、だからこういうふうにひとつ利用したらどうだ。そういう点で、もっともっとそういう点に力を入れていかなければ、せっかくつくった施設も生かされないのじゃないか。そういう点を、これはもちろん予算のかかることではございますが、やはり中小企業の根本的な体質改善のためには、もっともっとそういう点を強力にしていかなければならない、そのように私は思うわけでありますが、そういう点のお考え、どうですか。
○説明員(乙竹虔三君) 先ほど少し御答弁が不明確であったのであります。実は現在でも工場現場に出向きまして、技術指導するという制度がございまして、これは公設の試験研究機関、すなわち府県立の試験研究機関が主でありますが、ここでチームを編成いたしまして、これは学者でありますとか、大企業、中小企業のすぐれた技術者の方でありますとか、学識経験者であるとか、こういう方の応援も得まして、それからさらに、この公設試験研究機関の技術職員の方々が中核になりまして、チームによって工場現場の指導を各県で実はやっておるわけであります。これは出かけていって技術指導するわけでありますけれども、さらにこういう制度も来年拡充してまいりたいと思います。なお、技術指導員という制度、これはお客さまがおいでになるのを待っておるだけではございませんので、一人一人の活動でありまするが、中小工場に出向いて技術指導するということはやっておるわけであります。ただ、何といいましても四百万からの中小企業者でございまするので、ほんとうに先生御指摘のように工場現場に出向いて指導をはかることが一番いいのでございますけれども、なかなかそこまで手が回りかねる。したがいまして、国としてはどうしても一カ所に集めて技術指導をするとか、あるいは中小企業の組織、すなわち組合リーダーを集めて、リーダーに対して技術指導をして、リーダーを通じて組合員に対して周知徹底をはかる、こういうふうなやり方によってやはり重点的に考えざるを得ない。そうでないと、やはりカバレージと申しますか、それがどうしても低くなる、こういうふうなことだろうと思います。
○塩出啓典君 それでは次に、労働省関係にお聞きしたいと思いますが、最近一般的に、特に技能労働力が非常に大量に足りない、そういうことがだいぶ前からいわれておるわけであります。特に、中小企業にはそれが著しいといわれておりますが、現在、大体そういう技能労働者がどの程度不足しておるのか。またその原因はどこにあるのか。またその対策はどのように考えておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(中田定士君) 技能労働者の不足の状況は、御指摘がございましたように、ここ数年間極度に不足状況が高まってまいっております。毎年私どものほうで調査をいたしておるのでございますが、昨年の六月調査いたしましたところによりますと、百五十七万人の不足に相なっております。なお不足率は一八%というような状況でございます。この不足の状況を企業規模別に見てまいりますと、五人から二十九人の事業所におきまして六十八万余人でございます。三十人から九十九人のところが四十七万一千余人、百人から四百九十九人のところが三十一万一千余人、五百人から九百九十九人のところが四万五千余人、千人以上が六万一千余人、端数は省略いたしましたが、百五十七万人の不足に相なっております。この資料からうかがえますことは、中小特に零細企業におきまして極度の不足があるということでございます。
 私どもの職業訓練の関係といたしましては、このような不足がもう数年来続いておりますので、職業訓練を飛躍的に拡大してまいるような方向のことを実は考えておるわけでございます。近く国会に職業訓練法の抜本的な改正を提案いたしまして御審議をわずらわしたいと、こう考えておりますが、特に中小企業の訓練に関連いたします部分は、基本的にやはり中小企業の経営者の皆さんが共同して訓練を実施したり、あるいは御自身で企業の中で訓練していだたく、そういった訓練に対して体系を整備するような方向に持ってまいりたい。政府といたしましても御協力を申し上げたい。特に関係の面についてみますと、現在は必ずしも訓練を実施する組織ができておりませんので、その組織をつくっていただくような方向の施策を考えております。例といたしましては、職業訓練法人でございますけれども、従前、いわば実施体制が不明確なために政府の財政援助も必ずしも十分ではございませんでしたし、また企業が、実施されるにあたりまして資金の拠出等なかなか十分に行き渡らなかった点もございまするので、そういう実施体制を整備することにまず第一番に力を注ぐ。
 それから、これは相関連することでございますけれども、財政援助を飛躍的に強化してまいりたい。これは予算と関連いたしますが、私どものほうで現在助成しておりますところは、御承知かと存じますが、平均千六百円程度でございますので、きわめて零細でございますから、もっと思い切って大幅な援助をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
 第三の問題は、やはり実施をするにあたりまして、中小企業の経営者の皆さんが訓練施設に一番困っておられますので、訓練施設をつくって利用に供するということを考えております。また自主的におつくりになるものにつきまして財政的な援助をいたしたいということも考えております。
 さらに第四番目の問題といたしましては、現在、公共の職業訓練施設が全国に約四百ございますけれども、その施設に可能な限り中小企業に働いておられる若い皆さんを受け入れしまして、一部基礎的な訓練を行なう、いわば産訓一体と称しておりますが、そういった訓練の実施体制をつくってまいりたい、かように考えております。
○塩出啓典君 先ほどのそういう職業訓練の問題でございますが、わが国は、いわゆる卒業後の職業訓練というものが非常に欧米諸国に比べてはるかにおくれておる。学校を出てそういう養成、訓練を受ける者が非常に少ない、かようにいわれておるわけでございますが、これは西ドイツ等と比較して、日本の場合、大体どの程度の人が職業訓練を受けておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(中田定士君) 各先進工業国と申しますか、比較的進んだ国の状況とわが国の状況を対比してみますと、西ドイツにおきましては、見習い工のうち、義務教育を修了しました段階で見習い工になった方々、見習い工の中に占める義務教育修了者の割合でございますが、男八〇%、女五五%となっております。これは一九六四年度のILO関係の資料でございます。それからさらに、スイスと比較しますと、スイスの場合は、同様に男七〇%、女五〇%でございます。それに対しまして、わが国の場合には、男女計におきまして一二%であります。
○塩出啓典君 非常にそのように低いわけでございますが、これに対しては、やはり職業訓練に対する、特に中小企業に対しては国がもっともっと援助しなければできぬではないか。まあそういう点で、今年度の職業訓練、いわゆる企業内職業訓練に対する援助も、一人千六百円である。そうして、この前いろいろお聞きしましたところが、そういう共同の職業訓練を利用しているのは、わずか四万ぐらいの事業所しか利用してない。全体では、四百十万の事業所がありながら、そういう職業訓練をやっているのはわずか四万である。そういうように非常に少ない。しかも今年度の予算は、一人千六百円、一億一千三百万でございますが、やはりこの職業訓練に対しても、もっと強力にあらゆる企業に、中小企業まで徹底するように増額すべきだ、そのように思うわけでございますが、今後どういう方向に持っていくつもりか、その点をお聞きしたいと思います。
○説明員(中田定士君) 中小企業の職業訓練の振興策につきましては、先ほど大体要旨を申し上げました。
 なお予算的な問題につきましては、今後政府間、政府部内におきまして十分話し合いをいたしまして、御指摘のような方向で職業訓練に対する、特に事業内共同職業訓練――中小企業が対象でありますが――それの振興のための財政援助を強化していただきたいと、私どもはそう考えております。
○塩出啓典君 いまのところ来年度の計画は幾らになっておりますか、予算要求は。
○説明員(中田定士君) 政府案の段階におきましては、本年の千六百円に対するものが一万六百円の要求をいたしております。さらに、先ほど申し上げました事業内の訓練を推進していただくために、職業訓練法人をつくっていただく。その際に、その法人に対する若干の助成を予定して予算要求をいたしております。
○塩出啓典君 それでは時間がありませんので、要点だけお聞きしたいと思いますが、日本の国は技能オリンピックでも非常に優秀な成績が示されておるわけでありますが、
  〔委員長退席、理事近藤英一郎君着席〕
しかし最近の青少年は、むしろ技能労働者になるよりもホワイトカラーになる、そういうような機運が非常に強い、そういうことをきわめて私どもは残念に思うわけでございますが、まずそういう点、一つは教育の問題、また一つはそういう技能者に対する待遇の問題、そういうような点が私は問題になるんじゃないかと思いますが、そういう点、特に労働省として現在のそういう教育に対して、これはまた産業界にとっても非常に大事じゃないかと思いますが、どういう考えを持っているのか、そういう点をお聞きしたいと思います。
○説明員(中田定士君) 技能につきましては、やはり若いうちに訓練したほうがいいと、私どもはそう考えております。現在の義務教育が十五歳で終わるようになっておりますが、私ども訓練関係の専門家――と申しましてはたいへん恐縮でありますが――技術的な面を担当しておる者どもといたしましては、十五歳ではすでにおそいと、こういうことを言っております。そこで可能な限り学校教育の段階におきまして技術、技能に関する教育を取り入れていただきたい、特に後期の中等教育の段階におきましては、思い切って技能教育を取り入れられることが望ましいではないか、私どもは事務的にそう考えております。しかしまあ学校教育の内容につきましては、私ども直接関与できないところでございますが、行政府の間におきましては、十分話し合いを進めておる段階でございます。その一つの例といたしまして、学校教育法四十五条の二の定時制、通信制高等学校との連係措置も現在とられておりますが、さらにそれを拡大し、学校教育の中身におきましても技能教育がなされることが望ましいのではないかと思っております。そういたしますと、若いうちに技能を身につけられまして、そうして産業界にそれぞれ就職されるわけでございますけれども、その際に、たいへん私率直に申し上げますと、産業界としましても、もっとブルーカラーを尊重していただきたい。能力ある人たち、技能を持っている人たちを、ホワイトカラーと劣らないような処遇をしていただきたいと私どもは考えておるのでございます。そのことは経営者の皆さんがブルーカラーを尊重するという基本に立たれれば、比較的簡単に済むことではないかと思うのでございますけれども、現在の企業の中におきましては、学歴中心に賃金が決定をされておりますので、そのあたりを能力中心に賃金がきまるような方向に進めていただくことが必要ではないかと、私どもはそう考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 いまのその件につきまして、わが国のそういう技能検定試験というのがございますが、いろいろ新聞等で調査する限りでは、日本においては、わずか五十六種の技能検定制度しかない、アメリカでは千、あるいはスイス等では五百以上も検定制度がある、そうしてしかもその技能検定制度に通った人の、その技能的な評価が労働者の賃金や待遇に実際に結びついておるわけでありますが、日本の国はそういうような面が非常に少ない、採用する場合にも、いま言ったような学歴等が中心になって、本人のそういう技能力というものは採用の評価の基準にあまりなっていない、そういう点をやはり強力に改めていかなければならないのではないか、そのように思うわけでありますが、具体的にはやはり今後どういう方針でやっていくのか、ただそういうことを言うだけでは実際に実践はむずかしいと思うわけでありますが、そういう点、どのように考えておるのか、お聞きしたいと思います。
○説明員(中田定士君) 技能検定の諸外国の状況につきましては先生御指摘のとおりでございます。現在わが国で行なわれております技能検定は六十六職種について行なわれております。私どもといたしましては、大体ここ数年のうちに二百程度までには拡大してまいりたいと思っております。御指摘ございましたこの検定と賃金その他の労働条件との結びつきの問題でございますけれども、わが国にはなかなかむずかしい問題がございまして、歴史的にもヨーロッパその他の国とは違っておりますので、将来の方向としましては、私ども十分検討してまいるつもりでございますが、とりあえずのところは検定合格者の賃金の実態を調査いたしまして、それを公表することといたしたいと考えております。この公表の結果、たとえば機械旋盤作業の技能士におきましては、規模別にどういった規模の企業においてはどの程度の処遇をしておるということが一応明らかになるわけでございますので、とりあえず理解を深めてまいりたい、こう思っております。
 さらに御指摘ございました実施体制につきましては、現在国と都道府県、それから一部の産業界におきまして御協力をいただいて実施をいたしておるわけでございますけれども、この点につきましても、将来制度改正の段階におきまして十分検討し、また御審議を賜わりたい、こう思っております。
○塩出啓典君 それでは最後に、最近中学校、高等学校を卒業して就職した人が、就職後短期間の間に非常に転職をする、そういうことが非常に問題になっております。この問題はやはりそういう本人の家族にとっても、また産業界にとっても大きな損失である、そのように思うわけでありますが、こういう問題に対しては労働省はどのような見解を持っておるのか、その対策なり見解なりをお聞きしたいと思います。
○説明員(中田定士君) 学卒の就職後一、二年たって転職率が非常に高い、御指摘のとおりでございます。そこで、将来就職後の職業補導、アフターケアを十分進めてまいる、基本的にはそこに尽きると思うのでありますが、職業安定機関等積極的に力を注ぎまして、そういう就職後の補導相談等を強力に進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
○塩出啓典君 いまその問題につきまして、就職後のアフターケアという問題もございますが、私は一つは、やはり現在の小学校、中学校、高等学校の学校教育というものが、いずれも上級学校への通過過程のような傾向がある。むしろどの段階においても、この青年はいかなる職業に適性であるか、またその能力によってどういう進路がいいか、また職業決定にはどういう職業に決定すべきか、そういう点に対してほとんど現在の教育というものが無責任と言えるような状態にあるのじゃないかと思うわけであります。そういう点で、何の準備もなしに職業生活に入る結果のあらわれであると、私はそう思うわけでありますが、そういう点につきまして、先ほども、教育はこれは文部省のやることである、そういうような考えもあるかもしれませんが、しかし、その教育いかんが産業界に及ぼす影響は非常に大きい。そういう点でもっともっとそういう点の話し合いをし、また産業界の意見も取り入れていくべきではないか、そのように私は考えるわけでございますが、そういう点はどうでございましょう。
○説明員(中田定士君) 学校教育の中で進学指導が行なわれておるようでありますが、そのことは直接私どもの仕事ではございませんので、私どもが行なっております職業指導について申し上げますと、職業安定機関におきましては、本人の身体的あるいは知能的なものからどのような職種が向くであろうか助言をいたしております。職業指導官というような職業を配置いたしまして、助言をいたしております。もちろんこれは職業選択の自由が憲法により保障されておるわけでございますので、また職安法でも保障されておりますから、本人の希望を無視することはないのでございますが、むしろ本人に対しまして、このような職種が向くのではないかという助言を行なっておる実情でございます。それから、訓練に入ってくる若い学卒につきましては、十分安定機関とも協力をいたしまして、どのような職種が向くであろうか、その適職を選定しまして訓練を行ない、そうして就職の確保をはかり、あわせて労働条件の面も配慮をいたしておるつもりでございます。学校教育の段階の問題は、私どもの所管でございませんので、説明は省略させていただきたいと思います。
○塩出啓典君 最後に、その件でございますが、一応その産業界のそういう意見、全然学校教育というものとそれから卒業後の職業訓練、そういうものは全然無関連であってはならぬと思うわけですが、そういう点のやっぱり話し合いというか、そういうのはもっと進めていくべきじゃないかと思うのですけれども、そういうのは現在なされていないわけですか。
○説明員(中田定士君) そういった学校教育の場におきます職業指導、学校を出ました段階の職業指導、そういったことについては事務的には話し合いはいたしておりますけれども、いまだこのような方向で実施をするというような結論は出ておりません。
○理事(近藤英一郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○理事(近藤英一郎君) それでは速記をつけて。
○須藤五郎君 原子力局長最近東海村の研究所にいろいろな問題が起こっておると思うのですが、その問題についてあなたはよくつかんでいらっしゃるでしょうか、どうでしょうか。
○説明員(梅澤邦臣君) 私はこの二十二日付で原子力局長になりましたが、その後勉強いたしておりまして、できるだけのことはつかむように努力をいたしております。
○須藤五郎君 東海村の動燃再処理工場設置反対請願署名で所員が反対署名に署名をしたということで、いま問題を起こしておるようなんですが、そのいきさつ御存じでしょうか。知っておったらちょっと報告していただきたいと思います。
○説明員(梅澤邦臣君) いまの御質問の請願の件でございますが、この件については承知いたしております。これは請願がございまして、原研のほうでその請願の内容がございましたということに対しまして、やはり原研の今後の運営の問題に関しまして、やはり実態をよく把握しておいたほうがいいということで調査をいたしたということを存じております。
○須藤五郎君 この署名のそもそもの起こりは、こういういきさつなんですよ。ことしの八月の二十七日に、東海村の動燃反対請願のために東海村周辺の民主団体の代表が大ぜい来られまして、私が科学技術庁へ御案内をいたしました。そのときに原子力委員会の代表の方と会ったわけですが、そのときにその代表の方はこういうことを話されたんです。住民の反対があれば、反対を押し切ってまで動燃の建設はやらない、こういうふうに答えられました。そこで、その代表たちは、それではわれわれは住民の意思を確かめるために、ひとつ再処理工場建設反対の署名をとろうじゃないか、署名をとれば住民の意思というものがはっきりわかるからというので、それから反対署名に全力を注がれたわけなんです。それでありますから、東海村の原研につとめている人も東海村の住民でありますから、だから平和委員会の方がずっと村を一軒ずつ歩いて、そして署名を求めた。これがいきさつなんですね。
 ところが、この署名がけしからぬということで、理事長が十一月の五日に訓示を出したわけですね。その訓示の内容がここにありますが、「わが国の原子力関発利用の推進に当って、所の担うべき使命の重大さはここに改めていうまでもない。職員等は一致協力して成果をあげ国民の付託に応うべきことは日ごろ訓示してきたところである。一方動力炉・核燃料開発事業団の行なう動力炉開発計画はもとより再処理事業についても所が積極的に協力することについては、再三にわたり言明されており、職員等は十分熟知しているところでもある。しかるに原子力開発利用の途上において起る種々の問題について、これら所の方針に反する行動をとった者があることは誠に遺憾である。この際、職員等は特に所の担うべき使命と職員等ひとりひとりの責任の重大さを深く認識し、厳に軽率な行動を慎しむよう注意せられたい。」こういう訓示を出しておるのです。私たち、この訓示は妥当な訓示だと思わないのですが、どうですか。局長はどういうふうに考えられますか。
○説明員(梅澤邦臣君) 原研は動力炉・燃料開発の事業団とともに、再処理の問題等いろいろ研究を進めておりまして、実際に原研がいま原子力に関する中心母体となっております。したがいましてその原研で行なっておられます皆さん方に、十分その使命と申しますか、そういった点を把握しておいていただいて進めていくことが、一般に対しましても非常に大切なことであろうということから、全般を含めまして理事長がこれにつきましての訓示をおやりになった、こういうふうに理解いたしております。
○須藤五郎君 あのね、原研は原子力を研究するところですよ。研究することはこの所の職員の任務であるかもしらぬ。研究を怠ればですよ。しかしほかに、要するに科学技術庁の代表すらも、国民が反対するその反対を押し切ってまで動燃は建設しないということを言っているのですね。それと同時に、鍋島科学技術庁長官もたびたび今日あのアメリカの爆撃の基地があるそういう状態で、この動燃を建設することは好ましいことじゃない、そういうことも言っているわけですよ。水戸の射爆場の問題です。あの問題が解決しないと、ああいうことは好ましいことじゃないと言っている。この時点において、職員が平和委員会の署名に応じて署名したことが、どうしてけしからぬことなんです。平和を好み、そういう危険な状態を好まない人間ならばだれでも署名していいじゃないですか。研究を怠れば文句を言いなさいよ。研究じゃないのです。そういうことに対して反対署名しているのでしょう。今日の段階でそういうことをやることは、あそこへ動燃をつくることは適当でないという見解のもとにやっていることでしょう。それを何で理事長が好ましくないから慎めなんという出しゃばったことを言うのですか。
○説明員(梅澤邦臣君) やはり原研の理事長には監督その他の任務がございます。その関係から、やはり原研の使命というものを考えまして原研の職員たちの方々に慎重に扱っていただきたいということで、今度訓示をされたというふうに考えております。
○須藤五郎君 原研の使命はそういうところにないのですよ。原研の使命は、原子力を研究することですよ。それが原研の使命じゃないですか。何もああいう現状のもとにおいてそうして動燃をつくることに協力することが原研の使命じゃないですよ。ああいう危険な状態で動燃をつくってどういうことになりますか。あぶないじゃないですか。だから、みんな住民が反対をしているでしょう。だから署名をとっているのですよ。その住民の署名に原研の職員が署名したって、どうして文句を言う必要があるのです。そんなことは当然のことじゃないですか。それはむしろ私から言ったら、原研の職員は職務を忠実に履行したと、こう私は思いますよ。あなたたちの解釈は逆じゃないですか。それではぼくはいかぬと思う。しかもそのあとが問題なんです。特に私は今月は人権月間ですからこの人権の問題を言いたいのですが、
  〔理事近藤英一郎君退席、委員長着席〕
そのあと、この署名をした人を一々課長や室長が呼び出して調べているのですよ。その資料は、直接どこからとったのですか。署名をした本人たちの署名というものは、スパイを使ってとったのですか。
○説明員(梅澤邦臣君) 原研側が、今度の請願書の署名があるということを聞きまして、これに基づきましてやはり実態を把握しておいたほうがいいということで調査したことは知っておりますが、それをどういう手続でどうとったかということは、現在私承知いたしておりません。
○須藤五郎君 これは村役場へ出した署名簿なんです。原研へ出した署名簿じゃないのです。それが原研の手に入るということは、何か特別の手段を弄さないと手に入らないものなんですよ。それじゃ原研はスパイを放ってこの署名簿を手に入れた、こういうことになります。どこから手に入れたかわからないじゃ、スパイを放ったと言われてもしかたがないじゃないですか。はっきりしなさい。だれがこれを原研へ持っていったのです。出所を明らかにしてもらいたいのです。
○説明員(梅澤邦臣君) これは原研のほうで、やはり実態把握ということで御調査されましたので、私のほうでいまのどういうふうなとり方をしたというところまでこまかく存じておりませんので、その点、御了承いただきたいと思います。
○須藤五郎君 原子力局長を責めても無理だと思うのです。そこで私は、やはりこの問題は東海村の原研の理事長に来てもらって、当事者としてこの問題は答えていただく必要があると思いますので、どうぞ小柳理事にもお願いしておきますが、この次の委員会にこの理事長を呼んで、この点明らかにしていきたいと思うのです。
 そこで、その問題は追及しても無理ですからやめますが、いまおっしゃったように、この調査の目的は一体何の目的で調査をなすったのですか。
○説明員(梅澤邦臣君) 先ほど申し上げましたように、原子力研究所はやはり研究をやっております。しかし、研究をやります場合には、やはり将来の目的その他も考えながら皆さん専門家が研究されていると思います。したがいまして、その研究をおやりになる方々にも十分慎重なる態度でいていただきたいという考え方でございます。その関係から、今度の実態を、やはりこういう問題があった場合に対しまして実態を調査するということでいたしまして、それを今後どういうふうに、たとえば処分するとか、そういうことは全然考えていないということで進めていただくと理解いたしております。
○須藤五郎君 それはね、処分をしたらたいへんですよ。処分はしないからこういうことをやってもいいということだったら問題ですよ。私たちは憲法において思想、言条の自由はちゃんと保障されているんです。それはやはりこの署名した人たちがね、どういう考えでやったか、どういう考えを持っているかということを調べるために、その事情を把握するためにあなた方調査したのでしょう。そうなれば、思想の調査じゃないですか。思想調査ということは、やってはならないことになっていますよ。それを原研の人たちがやったということはどういうことです。これは憲法に反することじゃないですか。私はきょうあらためて憲法論議やるというようなことは考えていませんよ。そんなことやったら時間がとても足りませんから、そういうところまで考えていませんけれども、何のためにこの事情を把握しなければならぬ。それはやはり、そこの原研の勤務員が原子力に対してどういうふうに考えているか、やはりそういう思想、これの調査やったんじゃないですか。何の調査ですか。
○説明員(梅澤邦臣君) 原研の使命に基づきまして、やはりこういう再処理の問題等の研究をやっているのはこういう考えで研究をやっているのだと、それから、こういう研究がこういうためのものであるということを、研究者皆さん方、それから所員の人が皆さんわかっていただくということを念願しての調査と、そういうふうに私は理解いたしております。
○須藤五郎君 そんならね、ことさらこの署名した人だけ調査する必要ないでしょう。そういうことならば、それは原研の職員全般の問題じゃないですか。それならわれわれは憲法で特別扱いされてはいかぬということになっているんです、こういうことでね。ところがいま調べたのは、署名した人だけ調べているんじゃないですか。それは一体どこですか。何で署名した人だけ調べるのです。ほかの人調べないで、何で署名した人だけ調べる。おかしいじゃないですか。
○説明員(梅澤邦臣君) 私も署名した人だけ調べたか、その点はよく明確に存じておりませんが、ただし、先ほど先生おっしゃいました原研の全所員に出したということは、やはり所員の皆さん方に全部知っていただきたいという願いのもとにしたのだ、こう存じております。
○須藤五郎君 こういうふうにほんとうを知らない人がいて私は議論するのは不本意なんですよ。私はちゃんと原研の労働組合からも話を聞いておるのです。その署名をした人だけ呼んでいるんですよ。ほかの人は呼ばれてないのです。そうしてこういうことを言っているんです。署名した職員をね、課長あるいは室長が一人一人別個に呼んでいるんですよ。そうしてどういうふうに言うているか。おまえは署名をした、しかしそれは積極的に署名したのかどうか。強制されて署名したのかどうか。どんな考えで署名したのか。何となく署名をしてしまったのか。こういうふうに項目をあげて質問されているんですよ。これでは全く思想調査と言われてもしかたがないじゃないですか。こういうことをあなた、御存じでしょうか。
○説明員(梅澤邦臣君) 先生もおっしゃいましたような質問のしかたと申しますか、こういうものについては、現在ここで私、存じておりません。
○須藤五郎君 調査したその根拠もわからぬ。署名簿をどこから、だれが署名したかというその証拠をつかんだ道もわからぬ。そうしてどういう調査をしたかもわからぬ。こういうことではね、きょう私は原子力局長に対する質問、これ以上してもむだなんであります。でありますから、原研に対する質問はこれで終わります。
 それで、理事長を呼んでいただいて、この点をあらためてやりたい。私たちが見るところでは、思想調査であり、組合員の弾圧のためである、こういうことがはっきり私は言えると思うのです。あらためて私は理事長に質問することにしまして、この問題はここで打ち切っておきます。
 御苦労さんでした。
 それじゃ公取に質問続けます。
 最初に私の意見を少し申し上げておきたいと思うのです。公取は、独禁法によれば専属告発権を用い、行政不服審査法の適用除外となっており、独禁法違反事件については絶対的な権限を持っておる、こういうふうに私は聞いております。したがって大資本の独禁法違反によって現実に被害を受けておる零細商工業者や消費者が、被害の救済を受けようと思っても、公取が動いてくれないとどうすることもできません。また、公取に文句を言う道さえも封じられております。公取はそれほど重大な責任と地位にあることを認識して答弁をしていただきたい。
 独禁法によりますると、七十三条で、法違反があると思料するときは検事総長に告発しなければならない、こうあります。ところが、今日までこの条項を発動した例はほとんどないように思っておりますが、それは何で発動しないのか、告発の事例が何件あるか、その点を伺っておきたいと思います。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいま御指摘のように、告発の事例は私はないように記憶をいたしております。
○須藤五郎君 何でないのかということです。
○説明員(柿沼幸一郎君) 独占禁止法は、非常に広範な分野につきまして非常に広範な権限を与えられておるわけでございまして、この法律の具体的な運用は、そのときどきに所定の手続で任命されております五名の委員の合議でもって決定するということで、この広範な権限の運用に遺憾なきを期しておるわけでございます。で、この告発の条項を発動するというような案件が至らなかったという委員会の判断によるものだというふうに考えております。
○須藤五郎君 その判断に問題があると思うんですね。せっかく独占禁止法がありながら、やはり公取の姿勢そのものが独占資本擁護の立場にあって、そしてほんとうの独占禁止法の立場に立ってないと、こういうことが言えるんじゃないかと思うんです。だから、せっかくあってもその法が生きて使われてない、そのために発動した例がない、こういうことではなかろうかと思うんです。もちろんわれわれは、中小零細業者が、大資本が原材料と販売市場を支配しているもとで、過酷な税収奪に苦しみながら、自己防衛するために、法知識も持たないままやむを得ず行なう共同行為について、これをきびしくやりなさい、こういうことを私は言っているんではないんです。しかし、今日まで大資本が行なってきました法違反事件は、公取が相当摘発しておると思うんですね。摘発はしておりますよね。これに対して一罰百戒の態度をとってこなかったことこそは、独禁法のいう「国民経済の民主的で健全な発達を促進する」ということにならないのではありませんか。こういうことで実際に独禁法の目的というものは達せられるのかどうかという点ですね。
○説明員(柿沼幸一郎君) 公正取引委員会は昨年でちょうど二十年になるわけでございますけれども、その間の独占禁止法の運用につきましては、各方面から各種の御批判がございます。運用が強過ぎるという御批判もございますれば、ただいま御指摘のように、運用が弱過ぎるというような御批判もあるわけでございますけれども、私、公正取引委員会の職員であるためかもしれませんけれども、やはりそれなりに、二十年の戦後の歴史に独占禁止法が意義を持ってきたというふうに私は考えております。
○須藤五郎君 最近私のところに、大阪の新日本薬剤師会大阪支部、ここから一つの文書が届きました。そうして文書が届きましたから、実は私は大阪まで行って、一般の市民にも会い、婦人たちにも会い、そしてこの人たちにも会って帰ってきたわけです。この訴えの内容をここでちょっと簡単に申しますが、育児用粉ミルクのヤミ再販について九月三十日に公正取引委員会は審決を下した。森永商事、明治商事、和光堂の三社に対して販売店に対する拘束条件づき取引をやめるよう命じました。しかしながら大阪における粉ミルク販売状況は、この審決を全く無視し、依然としてヤミ再販を実施しているのが実情です。すなわち森永、明治、雪印、和光堂の四乳業会社は、飯野、丹平、小林、松枝等十三社の卸問屋と育児用粉乳価格安定対策本部なるものをつくり、八月二十六日から次のような施策を実施しております。一、粉ミルクの販売価格を九百円、千五百グラムかんとし、次第に九百八十円の定価販売に引き戻す。二、一社の商品でもこの価格以下で販売する店に対しては、全メーカーとも商品を出荷しない。三、卸問屋の値引きを一切認めず、特定の大量販売店にはメーカーから値引分を渡す。四、指定価格以下で販売する店に商品の供給を続ける卸に対しては、四社とも商品を全面的に出荷停止する。事実これらの施策は九月一日以降販売店に対し、おとり調査で価格調査を行ない、出荷停止の脅迫を加えながら進行しております。このため、大阪における販売価格はほとんど九百円となっており、従来八百円前後で購入されていたおかあさん方は値上がりに苦しんで、不満を販売店にぶっつけられるようになっています。こういう文書が届きました。そこで、私は大阪に帰りましておかあさんに会いましたよ。そうすると、西成区に住む松本トミエさんという二十九才のおかあさんはこういうことを言っておられます。一番下の六カ月の子はミルクで育てていましたが、一週間で一かんは飲みますので、月四千円近く要ります、いままでスーパーや安いところを探して、ずっと八百二十円で買っていたのに、九月一日からどこへ行っても九百円でしか売ってくれないので、びっくりして、親しいスーパーで聞きましたところ、会社から九百円を値引くと商品をとめられます、そのかわり洗剤一本つけますからと言って、九百円で買ってきた。こういうことを訴えられているのですね。ですから、この私のところに来ました文書は、うそでないという裏づけがこれでできたと思うのですね。しかしこの問題はもうすでに公取も審決書を出している問題なんですね。明治、森永、和光堂三社が粉ミルクについて再販行為をやめるよう――ことしの十月十一日でしょう、やめるよう審決を出しました。この問題はすでに四十年一月から問題になっているのに実効が一向にあがっていないということが言えると思うのです。そればかりか、今回の審決につきましても業者が東京高裁へ上訴しておる。このままでいけば、結局実効があがらないまま販売事情が変更して立ち消えとなり、販売業者、消費者はまた新しい商品が出てくればまた新しい問題が起こり、同じ苦しみを繰り返さなければならぬ。公取は実効のある方法としてどんなことをしようとしていらっしゃるのかどうかという点、これをお聞きしたいんです。
○説明員(柿沼幸一郎君) 初めに御指摘をいただきました大阪地区で育児用粉ミルクのメーカーが最近価格協定、価格維持の手段をとっておるという点は、私どもも知っております。で、本件につきましては現在調査中でございます。それから育児用粉ミルクのメーカー三社の再販売価格維持行為の違反事件につきましては、十月十一日付で審決を下しましたけれども、現在これが東京高裁に持ち込まれて高裁の問題になっております。
 それで、最後の公正取引委員会の独禁法運用についての御意見でございますけれども、二つほど問題点があるかと思うのでございますけれども、一つは公正取引委員会が措置をとっても価格が下がらぬじゃないかという御批判、これは物価問題にからんで、公取の措置がたくさんとられましたことにからんで出ておる一つの批判でございますけれども、公正取引委員会は、これは物価を直接コントロールする官庁ではございません。そういった各種の申し合わせでございますとか、価格指示といったような事態をなくするということを目的として措置をしております。それによって自由経済としての法則が回復することをねらいといたしておるので、その点は御了承願いたいと思います。
 それからもう一つは、公正取引委員会の違反事件が時間がかかるではないかという御指摘でございます。これは裁判手続一般についての御指摘と共通するものであろうかと思うのでございますけれども、確かに正式の審判事件になりましたものについては相当な時間を要しております。ただ、これは裁判手続というものが一般にそうでございますように、そういった時間をかけて審決なり判決なりを下すということが、それ自体としてやはり意味を持ってくるものというふうに私どもは考えております。
○須藤五郎君 そうしたらね、どうしたら実効があがるんです。消費者は時間かけてずるずる引っぱられたんじゃたまったものじゃない。今日が問題なんです、消費者は。それじゃどうしたらあなたたちの考えている実効というのはあげることができるんですか。どうしたらいいんですか。
○説明員(柿沼幸一郎君) 物価を直ちに引き下げる、あるいは物価の統制的な効果をあげるということは、これを公正取引委員会に期待していただくこと自体にやはり問題が若干あるんじゃないかというふうに考えております。
○須藤五郎君 それではね、公正取引委員会がこれは疑いがあるというので審決をするですよね、審決をしても、それを業者が聞かなくて、それで上告する。ここに明治粉ミルク販売店の皆さまへという明治商事株式会社からの文書もありますよ。このような公取委の考え方に対しては幣社は東京高等裁判所に上訴し、あくまで業界の実情と争点の公正を訴える決心をいたしました、だから皆さんどうぞよろしゅうといって、これをずっとまいているわけですね、業者間に。こうなると、公取というものは全く私はメーカーになめ切られておると思うのです。権威がないじゃないですか、公取というものは。その権威がない公取は、実際は権威を持っているはずなんです。私が最初申しましたように、絶対な権威を持っておる公取が、こんなに業者になめられて、そして消費者がどんなにひどい目にあっても泣き寝入りしなきゃならぬ、これが現状ですか。そして今後こういう状態がずっと続いていくんですか。それで公取はけっこうなんですか。それに対する対策の方法は何もないのですか。
○説明員(柿沼幸一郎君) 独占禁止法におきましては、公正取引委員会の審決に不服がある場合は東京高等裁判所に、それから東京高等裁判所の判決に不服がある場合には最高裁に持ち込むことができるような手続を定めております。したがいまして、そういう手続自体に問題があるということでございますると、これは独占禁止法の法律制定の問題になろうかと思います。それから公正取引委員会がカルテル行為なり再販売価格維持行為なりにとっております措置については、ただいま申しましたような手続に移る場合はきわめてまれでございまして、公正取引委員会の調査によってやめておるのもございますし、審決というかっこうでやめさせておるのもございます。そういう意味では、私は相当程度公取の施策というものが実効をあげておるというふうに了解しております。
○須藤五郎君 実効をあげていないからぼくはこういう質問をしなければならないのですよね。もう一つ本題に入っていく前に、ちょっと技術的な問題ですが伺っておきますが、公取の審決という一問題、粉ミルクに対する審決は、全部の粉ミルクに適用されるのか。また新しい業者で、これはだめだと思えば名前を変えるとか、それから内容を変えるとか、そういうふうにして公取の審決からのがれようとする動きが出てくると思うのですがね。こういう場合はどういうふうに扱われるのですか。名前さえ変わったらいいんですか、品質が必要なんですか、内容が変わらなければいけないのですか、どういうことなんですか、そこをちょっと伺っておきたい。
○説明員(柿沼幸一郎君) 粉ミルクの三件の審決につきましては、これは具体的な証拠の裏づけによりまして、相当詳細に複雑な適用が審決書の中に書かれてございます。いま手元に審決書を持ってまいっておりませんけれども、それに該当する事項が審決書として配付されるということでございます。
○須藤五郎君 公取にしてみましたら、先ほども申しましたように、非常に強い権限を持っているのですからね。だから独禁法をもっと十分駆使すれば、実効のある方法をとることができると私は思うのです。しかしあなたの話を聞いていると、そんな権限を与えられている公取でも、実際には実効ある措置ができない、こういうことだと思うのですね。ここに私は一つの証拠を持っているのです。大阪の問題につきまして、大阪の新目薬の幹部とそれから丹平商事株式会社、ここの浜口第一課長、柴田第一係長、こういう人たちが集まりまして、懇談というか交渉をやったときにテープをとったんですよ。そのテープ全部読み取っておっても何ですから、私はそのところどころ略して読みますがね。西岡という人が新目薬の代表です。この人がこういうことをまず言ったんです。「吉田薬局、小林薬局、仁盛堂薬局の三店が試買にひっかかっり、」試買というのは御存じですね。「八百五十円に売っているので、商品の納入を御遠慮したいと丹平商事から連絡があった。」これが一つ。そうしますると丹平商事の代表の柴田さんというのが、「八月二十六日以後価格調整をしながら出荷もともに調整しつつ、九月一日以後は理由のいかんを問わず出荷を拒否するという、メーカーとわれわれのオーナーとの会議できまっていた。」こういうことを言っているんですね。そこで浜口さんという第一課長はこう言っています。「メーカーと代理店との間で八月二十五日以後また九月一日以後は店頭価格九百円を守ってもらうということが話し合われたことに基づいている。」
 ここで、ちょっと私は最初説明するのを忘れましたが、先ほど申しましたような、いわゆる入荷に対する業者の、卸問屋の組合があるわけです。さっき申しましたね。育児用粉乳価格安定対策本部というものがつくられているんです。大阪にあるんですよ。そこにはこういう大きな問屋と、それからメーカーの代表がここに出席して、そうしていろいろ協議をしておる、という事実があるわけです。それを頭に置いて聞いていただきたい。
 それで、浜口さんがまた続けて、「われわれのほうはメーカーから商品を供給されているので、九百円以下で売っている店に持っていくとわれわれの店に――いわゆる問屋に――商品がとめられるのでございます。これはメーカーが一方的であろうと、こうきまっておるんです。」ということを言っているんですよ。それからなお浜口さんは「本日出荷をすればメーカーはおそらく出荷をとめるでしょうから、出荷したくても品物がないから出荷できないようになるのです。メーカーの態度がこうなっているからでございます。」と、こういうことを言ってメーカーが問屋に対して九百円で売れということを指示して、売らなきゃ出荷しないぞ、卸売り屋にも出荷しない、こういうことを言っている。だから卸屋は小売り店にこういうことをやって圧力をかけている。そこで薬屋さんの塚本さんというのが「小売り店の価格を云々できるのは再販維持制度しかないのに、法律違反であるが、間違いでもやろうとしておるんでございますか。」とこう聞きましたら「まあそう解釈してもらってもよい。」と柴田さんという丹平の係長さんは言っている。法違反でもかまわない、やる。それで、またもう一人の丹平の人が「そうです。やったことが法律違反になってもやろうとしております。」まあ、私ずっと読んで皆さんに聞いていただきたいと思いますが「法律違反であろうとやるという会社の方針は正しいことだと考えておりますか。」という薬屋さんの質問に対しまして、丹平商会の代表が、「正しいと思います。」こういう答えをしておるんです。こういうことを聞かれて、会社が正しいのか問屋が正しいのか、どういうふうに思いますか、あなたは。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいまのお読みいただいたテープを記録にしたものを私ども入手しておるように聞いております一そういった事実について、ただいま公取委員会といたしましては調査中でございます。
○須藤五郎君 そんな調査中、調査中といって、ものをはぐらかしてしまいますが、いつまで調査するのです、このように事実がはっきりしているじゃないですか。これはもう法違反だと、そうしたら何で、もっと緊急命令を裁判所に申し立てないのですか、あなたのほうの権限で。こういう事実が明らかになって、調査、調査といって逃げるのじゃなしに――こんなテープがあるのです。この文書がうそだというなら、ほんとうのテープを持ってきて聞かしていいですよ。こういうことが明らかになって、法違反だということが明らかになっている場合、あなた、緊急命令を裁判所に出すことは、六十七条でできるのじゃないですか、なぜそれをやらないのですか。また違反事実を認めているのだから、何で告発をしないのですか。告発もできるじゃないですか。七十三条で告発ができるのでしょう。独禁法の七十二条で告発ができるということがちゃんとありますよ。そういうことをちゃんとできるのに、調査中、調査中といって、こういうできることを延ばしていく。そのあなたたちの姿勢がおかしいというのですよ。これでは国民は、消費者は迷惑するだけですよ。公取委は何ら役に立たないじゃないですか。だから業者になめられてしまうのです。もっとしっかりしたらどうですか。
○説明員(柿沼幸一郎君) 調査中の事件につきましては、これを実は言ってはならないような規定が独占禁止法にはございます。一般論として若干説明をいたしますと、現在、わが国におきまして、取引は、これは基本的には契約自由の原則にのっとってやっております。ただ、独占禁止法はその中である種の取引拒絶について、これを独禁法違反ということでいたしておるわけでございますけれども、事実の評価というものは、やはり見る人によって違うわけでございまして、価格を維持するために取引拒絶をするという場合に、これは再販売価格維持行為になるわけでございますので、取引をやめる場には、そのほかの理由もあり得るわけでございます。私どもは、その辺についてただいま調査中ということでございます。
○須藤五郎君 では、テープがあっても、こういう歴然たる証拠があっても、調査中で、直ちに緊急命令を発動して、裁判所に告発の申し立てをしない、こういうことですか。申し立てをする気持ちがあるのですか、ないのですか。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいまのところ、事務当局の見解としては、緊急命令ないし告発の意思はございません。
○須藤五郎君 そうすると、なんですか、いま大阪で起こっておるように、要するに、このメーカーは、九百円で売らなければ出荷を差しとめる、こういうことを言って、卸売り業者はそれに従って、卸売り業者とメーカーとが話し合って、そこで、小売り業者に、九百円で売らなかったら品物を回さぬぞと言って、市販を――二十五人ほど人を雇って、ほうぼうの店へ回しているのですね。そうして、そういうところには出荷を差しとめているのですよ。こういうことは公取委員会として一体どう処置をしようというふうに考えているのですか。これは調査中ということで野放しになって、いつ結論が出るかわからないのですか、どうなんですか。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいま御指摘のような事実がございますれば、これは独禁法違反の疑いが確かにあるわけでございます。したがいまして、その容疑についてただいま調査中ということでございます。
○須藤五郎君 事実があるということを、まだ確認できないのですか、これだけはっきりものがしておって。公取委としては、どういうことをつかんだら、あなた、事実だと、こういうように認識するんですか。こういう事実がたくさんあるんじゃないですか。何でこの事実をすなおに事実として確認できないんですか。そういう公取の態度がいかぬというのですよ、私は。事実はあるのですよ。事実があったらすぐやりますか。事実がどうしたら事実だとあなたは認めるのですか、そこをはっきり言っておいてくださいよ。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいま御提出をいただきましたテープの資料その他に基づきまして調査中でございます。
○須藤五郎君 こんな公取じゃ処置なしですな、全く。これだけはっきりした事実があって、このテープはね、大阪の公取に聞かしたのです。これは独禁法違反のいい証拠だと、りっぱな証拠だ、こう大阪の公取は言っているそうですよ。そこまで言っているのに、東京のあなたたちは事実を調査すると、いつまでに事実を調査する予定ですか、はっきり言ってください。いつになったら事実がはっきりするんですか。
○説明員(柿沼幸一郎君) これは調査をいたしまして、証拠として十分な資料が出てくれば違反になるわけでございまして、いつまでという期限は切っておりません。それから担当官それぞれによっていろいろな個人的な見解はあろうかと思いますが、東京の事務局における審査部の担当官、それから大阪地方事務所と協力いたしまして、ただいま調査中でございます。
○須藤五郎君 それじゃ長いことこの調査がかかれば、したがって損害賠償という問題が起こってくるのですよね。公取は損害賠償をさせることができないのですか、できるんですか、その場合。
○説明員(柿沼幸一郎君) 損害賠償をする規定は現在の独禁法にございます。しかし、具体的な取引について幾ら損害が発生したかという価格の決定はなかなか技術的にむずかしい問題があるようでございますけれども、過去におきまして損害賠償の事例はあるように聞いております。
○須藤五郎君 その損害賠償は一体だれがやることになっているんですか。だれが損害賠償をやる……。
○説明員(柿沼幸一郎君) 最近損害賠償の事例がございませんので、私いま具体的にその条項を調べてみませんと即答いたしかねます。
○須藤五郎君 公取にはこういう考えがあるのじゃないでしょうかね。大資本は有能な弁護士を持っているから確かな物的証拠がなければ手が出せない、こういうような公取の姿勢ですね、あるいは独禁法の思想が普及するまでは手控えるというような姿勢、これでは真に消費者を保護していくという公取には私はなれないと思うのですよね。もちろん大資本からの不当な支配のもとで、先ほど申しましたように原材料を独占価格で押えられて、そして過酷な税収奪を受けている零細商工業者に対しても過酷な態度で臨めと私は言っているわけじゃないんです。公取のやっていることは中小企業いじめ、こういうものに対しては盛んにやるんです。そして大資本に対しましては実に手ぬるいことしかやっていない、こういうことが私は言えると思うんですがね。この点はっきり私はしてもらわないと、どうにもならない。こんなような、今日のような公取のやり方ではどうにもならない。私はこの公取の、あなた方の国会における答弁は、大阪の市民に報告しようと思いますが、大阪のおかあさんたちは非常に憤慨していますよ、公取はなまぬるいと。これだけりっぱな証拠があるのに何しているんだといってみんな訴えているんです。だから公取としてはもっとしっかりしてもらいたいと思うんです。実際国民の立場に立って、国民の生活を守るという立場に立ってやってもらわなければ、大資本の利益を守るという立場に立っていつまでも調査します調査しますで、ぐずぐず引っぱられたのではたまったものじゃない、消費者は。この点はっきりあなた頭に入れておいてもらいたい。今日の公取の態度は国民は支持しませんよ、そういうことでは。
 それからもう一つあるのです。私のところに香川県の食料品出荷問屋のえびす商品企業組合大石守男という方から訴えがあったのですよ。簡単に言いますと、昭和四十年五月一日、大洋漁業株式会社の約二十店で組織する香川は会、これは会費も何も取っていない、ほとんど大洋漁業のほうから金なんかがくる、いわば大洋漁業の意向を伝達するようなかいらい組織にしかすぎないのです、このマルは会。ここではソーセージというソーセージが売られるわけですね、魚肉の。マルはソーセージ類は大洋漁業の指示する価格で売ることなど、再販価格をきめ、会員から違反すればどんな処分を受けても甘受するという誓約書を取っておるんです。この香川は会は、えびす商品大石氏にも同調を、誓約書を書けということを言ってきたのです。ところが、大石さんは、自分は拘束を受けませんと言って、従来どおりに香川県青果青品協同組合、ここへリベート七%出す約束で取引をずっと続けてきたのです。ところが五月三日、従来の方法で大洋漁業へ香川青協あてはソーセージ類の発送を大石さんから依頼しました。ところが大洋漁業松山工場から大石さんにこういう返事があったのです。香川青協はもちろん、えびす食品へも送ってはいけないと言われているから、大洋漁業大阪の藤原課長さんと話をつけてほしいと、こういう返事が松山工場からやってきたのですね。そこでさっそく大石さんが藤原課長に電話して出荷を要請しましたところ、五月十一日にやっと希望の数量の半分だけが入ったわけです。それも香川青協には連絡、直送されないで、大石さんのほうへやってきた。これまでは大石さんから話をすれば香川青協へずっと直送されていたわけですね、そういう状態にあった。また、従来大洋漁業から代理店を通じて仕入れ一%以上のリベートをもらっていたのが四十年には三十九年仕入れの〇・五%しかもらえなかった。残額を代理店に請求しましたところ、大洋漁業が出さぬから仕方がないとして取り合わなかった、こういうのですね。さらに四十年七月以降、大洋漁業代理店は、いままでの契約を一方的に破棄して、契約の商品を送れなくなってしまった。その上四十年のリベートも受け取らぬまま取引停止の状態である、こういう状態がわかりました。このような事情を大石さんは幾つかの証拠をつけてあなたのほうに申告したと、申告いっているでしょう。ところが公取は一年半以上も大石さんには連絡をせず、四十二年三月になってやっと香川は会は本件の審査中価格協定を破棄した。一年半かかっておる間に、香川は会はこれはまずいと思ったのでしょう、審査中価格協定を破棄してしまった、だから問題にならぬというのですね。大洋漁業については独禁法違反が認められなかった。したがって、申し立ての事件は不問に付するという決定をしたと、こういう返事が大石さんのところにきたわけですね。しかしこの中には幾つもの問題があると思うのですね。一つは香川は会の価格協定はいつ破棄されたかということですね。これも明らかになっていない。それから二番目は、それまで一年半以上もどうしてこの問題を、大石さんの訴えをあなたたちは放置しておったかという問題が一つ。それから三番目には公取は独占禁止法七十三条の発動をなぜしなかったのか、こういうことです。その点まず聞いておきたいと思います。
○委員長(金丸冨夫君) もう時間もだいぶ超過いたしておりますので、答弁もひとつ簡単にお願いします。
○説明員(柿沼幸一郎君) 初めの御質問でございますけれども、公正取引委員会は弱いものいじめだけをやっておるという点につきましては、私ども与えられた人員で消費者物価の問題に直結した問題といたしましては、小売り店の協定等が相当取り上げられるわけでございますけれども、また大きな事業に対します事件も、最近新聞紙等に報道されておりますように、私どもは全力をあげてやっておるわけでございまして、決して弱いものいじめだけをやっておるわけではございません。それから消費者の味方に立ってできるだけ仕事をするようにという御鞭撻をいただきましたことは、まことに私どもとしてはありがたいことだと思っておりますが、私ども小人数ではございますけれども、全力をあげて独禁法の使命達成に努力いたしたいというふうに考えております。
 それから次の香川県の再販売価格維持契約の事件でございますけれども、これは申告をいただきまして、私どもといたしましては立件調査をいたしました。調査の結果は、違反事実に十分な証拠がないということで不問処分をいたした次第でございます。
○須藤五郎君 それは間違いでしょう。あなた、このマルは会はこの調査中に、要するにいま申しましたように価格協定をもう破棄したから、だからマルは会についてはしないのだと、こういうことでしょう。その価格協定を破棄したからもう独禁法違反でない、問題にしないというのは、これはおかしいと思うのですよ。再販行為の事実があれば、その再販行為の事実を問題にするのが公取じゃないですか。再販の事実があってもそれが守られていない、破棄された、一年半かかっている間にその問題が破棄されたからこれは問題にしないというのではおかしいじゃないですか。再販行為の事実があったということを問題にするのが公取じゃないですか。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいま御指摘のございました点は、判断の一つの要素でございます。その他取引拒絶について、それが独禁法違反になるような取引拒絶かどうかという点について慎重に検討いたしました結果、不問決定をいたしておるということでございます。
○須藤五郎君 そういう………
○委員長(金丸冨夫君) ひとつ簡単にお願いします。
○須藤五郎君 そういう考え方だから再販行為をやっても、だからそれを守らなきゃいいのだとか、それからそれを破棄してしまえば問題にならないのだと、こういうふうに解釈されて、そうしてみんなが再販行為をやるわけですよ。だから再販行為そのものをあなたたち処置するのが私は公取の任務だ、悪いことしても、もうそれで――どろぼうした人間がどろぼうして悪い、しかし刑事の前へ行って、もう今後どろぼうやりません、もういまはやっておりません、こう言ったらそれで済むのですか。そうじゃないでしょう。だから再販行為自体を問題にするのが公取の役目だと、私はこういうように思うのですよ。それで大石さんのところへ何で商品を送らなくなったのですか、それじゃ。何で取引を停止したのです、大石さんのところ。
○説明員(柿沼幸一郎君) 直接えびす食品企業組合の大石守男氏と取引をいたしておりました先は、これは株式会社古屋商店というところでございますので、実際問題として本事件が問題になりましたことにつきましては古屋商店の取引先の中でこれは香川県下の卸売り商が何軒かあるわけでございますけれども、えびす食品企業組合の売れ行きが非常にふえてまいりまして、その他の卸売り商からいろいろこの古屋商店に対する苦情があったようでございます。で、実は先ほども質問の中で御指摘いただきましたように、相当大きなリベートを出すというかっこうでこのえびす食品企業組合が伸びておりましたので、その辺は古屋商店といたしましては、やはり他の取引先との調整の問題もございますので、えびす食品企業組合と従来の取引方法を変えることについて話し合いがあったようでございます。ただその場合に、えびす食品企業組合側では何か非常にこう商業ベ−スで話し合いをするという態度でなく出ましたために、古屋商店といたしましては、やはり今後取引を続けることに対しまして相当御不審の念を抱きまして、結局取引がなくなることになったということのように私ども調査結果を報告受けております。
○須藤五郎君 いまもあなたは大石さんが過大なリベートを要求した、だから取引をやめたというふうな意味のお話ですが、大石さんは正当なリベートを要求しておるのですよ。決して過大な要求じゃないのですね。このリベートの問題が条件の一つだとしましても、公取として見れば独禁法違反の問題を中心に考えるのが私は当然ではなかろうかと思うのです。リベートとか金払いが悪いとか、そんなことを理由にすべきじゃないです。あなたのほうではやっぱし独禁法違反だということ、再販制の問題を中心に考えていくのが問題だと思う。大石さんの金払いの問題で大石さんの手形不払いの問題があるらしいのですよ。これを口実にしているらしいのです。古屋という神戸の商店は。ところが七月に発生したことでありまして、この手形不払いの問題は、これは出荷停止を受けたから手形の不払いという問題が起こってきたのですよ。しかも大石さんは事情を説明して銀行協会へちゃんとその金を供託をしているわけです。だからそういうことは理由にはならないのですよ。リベートの問題だとか金払いが悪いというようなことは理由にならない。大洋漁業につきまして公取は確証がつかめなかったと言いいますがね、確認をつかむために一体どういうような調査をしたか、大洋漁業について。ここではっきりしていただきます。
○説明員(柿沼幸一郎君) 私どもが与えられた人員の範囲でもって先ほど御指摘のような大きな事件から小さな事件までできるだけ公平に、それから独禁法の運用が効率的にできるように配慮いたしておるわけでございます。で、おそらく御指摘の具体的なトラブルにつきましては、私どもといたしましてもおそらくほかの事件よりも相当時間と労力を使って調べたというふうに事務局長としては了解いたしておりますけれども、その結果こういうことになったわけでございます。
○委員長(金丸冨夫君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○委員長(金丸冨夫君) 速記をつけて。
○須藤五郎君 香川は会は、会費もほとんど取らない事実上の大洋漁業のかいらい団体でしかない。これを立証すればできるはずなんです、あなたのほうで。しかもえびす食品と大洋の取引関係を取引銀行まで総合的に調べれば、大洋漁業の意思が何らかの形で立証できるはずだと思うんです。特に申告者大石から詳しく事情を聞いてやることが私はほんとうだと思う。ところがそれをしない。大資本は有能な弁護士を多数かかえているからといって、これを摘発するのにちゅうちょするようなことでは、とても大資本の横暴をチェックすることはできないと思うんですね。過去において、このような大資本の販売店の販売活動を制限したり、独占価格を維持した問題について企業規模別に調査はしてありますか、どうでしょうか。あったらひとつ提出をしてもらいたい。これはありますか、ないかでいい。きょうここでそれを出してもらわなくても、私は資料としてあとで提出してもらってもそれでいいと思います。ありますか、どうですか、なければ調査して提出していただきたい。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいまの御質問は再販売価格維持行為についての御質問でございますか。
○須藤五郎君 そうですよ。大資本の販売店の販売活動を制限したり独占価格を維持した問題について、あなたたちが企業規模別に調査なすったかどうかということですね。
○説明員(柿沼幸一郎君) どういう事件について公取が審決を下したかという資料はございます。ただ企業規模別と申しましても、これは過去二十年間の間に非常に会社の資本金は変わっておりますし、それを横に並べて、ただいま御要求の資料をつくるのはむずかしいかと思うのです。
○須藤五郎君 公取はかつて昭和二十四年八月三十日に合板入札価格協定事件につきまして、その審決書で、われわれから見ましたならば不十分とは考えますけれども、不十分ではあるが、共同行為の成立にはある業者の行動を予測しこれと歩調をそろえる意思で同一行動に出たような場合には、これらのものの間に共同の意思の連絡があるものと認めるに足ると、こういうような判決を出しておるわけですね。現に出しております。石油製品販売価格協定事件につきましても同様の状況証拠により合理的に推論さえできればいいとされておるわけですね、そういうことでしょう。この姿勢は、私は、不十分とはいえ、この方向で公取が強く動けば、強くやるならば、大資本独占価格の引き上げをいまのように野放しにすることはないと、こういうふうに思うのですが、公取は私がいま申しましたような姿勢で今後やっていくのかどうか、この公取の決意を聞いておきたい。
 一つは、これまで問題になっておる松下電器に関する勧告は拒否されておりますね、その後一体どういうふうな措置をとるつもりか、まあ一例です、これはいろいろ問題、こういう問題たくさんあるわけです。これに対して緊急命令を一体出すというように考えておるのかどうか、また、ビールの値上げやいろいろな問題があります。新聞紙の値上げの問題もあります。こういうことに対してやはり従来どおりの泣き寝入りになってしまうのか、どういう態度をとろうとしているのか、公取の態度を聞いて私の質問を終わります。
○説明員(柿沼幸一郎君) ただいま最初に御指摘をいただきました不当な取引制限のケースだと思いますけれども、そういう審決は確かに公取としてはございます。独占禁止法は先生御承知のように昭和二十四年に改正され、さらに二十八年に改正されております。独占禁止法の法規から申しますと、特に不当な取引制限でなしに再販売価格維持行為に関する規制の条項につきましては、二十八年の改正で若干変わっておるというふうに私ども了解いたしております。
 それから、どの程度の実質的な証拠が必要かという問題につきましては、やはり裁判所の取り扱い自体が二十年の間に若干の変化があるというふうに了解をいたしております。
 それから最後に御指摘の諸事件でございますけれども、松下電器の違反事件につきましては、ただいま審判中でございます。これは審判の結果を待って勧告をするということになろうかと思います。
 それから、ビール、新聞の値上げ等につきましては、これは資料収集につとめたわけでございますけれども、こういった協定のない行為につきまして、現在の独禁法といたしましては対処するのはきわめて困難だというのが私どもの現在の見方でございます。
○委員長(金丸冨夫君) 以上をもちまして本日の委員会は散会いたします。
   午後一時五十九分散会